(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】再循環水産養殖システムにおけるアンモニア制御
(51)【国際特許分類】
A01K 63/04 20060101AFI20240621BHJP
【FI】
A01K63/04 F
A01K63/04 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023551744
(86)(22)【出願日】2022-06-02
(85)【翻訳文提出日】2023-08-23
(86)【国際出願番号】 US2022031996
(87)【国際公開番号】W WO2023283002
(87)【国際公開日】2023-01-12
(32)【優先日】2021-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523320571
【氏名又は名称】ナチュラルシュリンプ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100196597
【氏名又は名称】横田 晃一
(72)【発明者】
【氏名】ギルモア,エフ・ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】アンターメイヤー,トーマス・シー
【テーマコード(参考)】
2B104
【Fターム(参考)】
2B104AA01
2B104AA13
2B104AA17
2B104CA01
2B104EB19
2B104ED05
2B104ED23
2B104ED36
2B104EF01
(57)【要約】
選択された淡水または海水水産養殖システムは、最大水生種密度での最大成長および生存を得るための温度、酸素および餌の量を制御しながら、廃棄物、アンモニアおよび病原体の自動的除去のために処理される。中核プラットフォーム処理技術は、塩素をアンモニアと結合させてクロラミンを形成することによりアンモニアを除去し、クロラミンは下流のフィルタステーションで触媒活性炭により除去される。処理はまた、水の滅菌および通電により潜在的病原体を除去する。この技術は、アンモニア、塩素、酸化還元電位(ORP)、および流量センサを利用して、既存のアンモニアを除去するために必要な塩素の量を電子的に調節する。制御システムは、温度、溶存酸素、および画像処理センサを利用して、加熱、冷却、給餌および通気を最適化する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水産養殖容器内に入れられた選択された種を支援し、その中でアンモニアを生成し潜在的病原体を生成する再循環水産養殖システムにおいて、前記水産養殖容器から水ストリームを受容し、前記水ストリームを処理して前記アンモニアおよび前記潜在的病原体を制御し、水ストリームを前記水産養殖容器に返送する水処理システムであって、
前記水ストリームを受容し、前記水ストリームを処理して固形廃棄物を機械的に除去するための、前記水産養殖容器の下流の前記水処理システム内に配設された固形物フィルタと;
前記固形物フィルタの下流の前記水処理システム内に位置付けられた電気凝固チャンバであって、離間した電気駆動隣接プレート間の電位で動作する前記隣接プレートを含み、前記プレートの間に前記水ストリームを受容し、前記プレートは、前記水ストリームを電気分解してそれにより前記潜在的病原体を除去するように動作し、また海水を処理して前記水ストリーム中で塩素ガスを生成するように動作可能である、電気凝固チャンバと;
前記固形物フィルタと前記電気凝固チャンバとの間の位置で前記水ストリームから水を受容およびサンプリングする、前記水処理システム内の第1のサンプリング地点であって、前記電気凝固チャンバに流入する前記水ストリーム中の上流アンモニアレベルを測定する上流アンモニアセンサを備える第1のサンプリング地点と;
前記電気凝固チャンバの下流の位置で前記水ストリームから水を受容およびサンプリングする、前記水処理システム内の第2のサンプリング地点であって、前記電気凝固チャンバの下流の前記水ストリーム中のアンモニアレベルを測定する下流アンモニアセンサを備える第2のサンプリング地点と;
前記上流および下流アンモニアセンサに接続されて、前記電気凝固チャンバに流入する、およびそこから流出するアンモニアレベルの前記測定値を受信するコントローラであって、
前記アンモニアレベル測定値に応答して、海水に作用可能な前記プレート間の前記電位を調整することにより前記電気凝固チャンバを制御し、アンモニアを前記生成された塩素と結合させて前記水ストリーム中にクロラミン化合物を形成するように動作可能であるコントローラと;
炭素フィルタを通過する前記水ストリームからクロラミン化合物を除去するように動作可能な、前記第2のサンプリング地点の下流の前記水処理システム内に位置付けられた前記炭素フィルタであって、
前記炭素フィルタから前記水産養殖容器に返送するための返送水ストリームを提供する炭素フィルタと
を備える水処理システム。
【請求項2】
前記電気凝固チャンバの下流の前記水処理システム内に位置付けられ、前記水ストリームに塩素を供給してアンモニアと結合させ、前記水ストリーム中でクロラミン化合物を形成するように動作する塩素源をさらに備える、請求項1に記載の再循環水産養殖システム。
【請求項3】
前記第1のサンプリング地点における、前記電気凝固チャンバの上流の前記水ストリーム中の酸化還元レベルを測定する上流酸化還元センサであって、
前記上流酸化還元測定値を前記コントローラに伝達する上流酸化還元センサと;
前記第2のサンプリング地点における、前記水ストリーム中の塩素レベルを測定する下流塩素センサ、および前記水ストリーム中の酸化還元レベルを測定する下流酸化還元センサであって、
前記下流塩素測定値および前記下流酸化還元測定値を前記コントローラに伝達する、前記下流塩素センサおよび前記下流酸化還元センサと;
前記電気凝固チャンバの上流の水流量を測定する第1の水流量センサであって、
前記上流水流量測定値を前記コントローラに伝達する第1の水流量センサと;
前記電気凝固チャンバの下流の水流量を測定する第2の水流量センサであって、
前記下流水流量測定値を前記コントローラに伝達する第2の水流量センサと;
前記電気凝固チャンバでの水流量を測定する第3の水流量センサであって、
前記電気凝固チャンバでの前記水流量測定値を前記コントローラに伝達する第3の水流量センサと
をさらに備え、
前記コントローラは、前記伝達された上流酸化還元測定値、前記流入アンモニアレベル測定値、前記伝達された下流塩素測定値、前記伝達された下流酸化還元測定値、前記伝達された上流水流量測定値、前記伝達された下流水流量測定値、前記伝達された電気凝固チャンバ水流量測定値、および前記流出アンモニアレベル測定値に応答して、前記隣接プレート間の前記電位を調整するように動作する、請求項1に記載の再循環水産養殖システム。
【請求項4】
前記電気凝固チャンバ内の前記隣接プレート間に前記電位を印加するために前記電気凝固チャンバの動作中に、および短絡状態中に動作する、前記コントローラおよび前記電気凝固チャンバと連絡する電源をさらに備え、
前記電源は、前記検出された短絡状態を前記コントローラに伝達し、前記コントローラは、前記短絡状態の伝達の受信に応答して前記電源をシャットダウンするように動作可能である、請求項1に記載の再循環水産養殖システム。
【請求項5】
前記電気凝固チャンバ内の水流速を測定し、前記水流量測定値を前記コントローラに伝達する水流量センサをさらに備え、
前記コントローラは、前記電気凝固チャンバ内の水流速の設定範囲をプログラム可能であり、水流速の前記設定範囲外の測定値に応答して前記電気凝固チャンバをシャットダウンするように動作する、請求項1に記載の再循環水産養殖システム。
【請求項6】
前記電気凝固チャンバ内の水温を測定し、前記水温測定値を前記コントローラに伝達する水温センサをさらに備え、
前記コントローラは、前記電気凝固チャンバ内の水温の設定範囲をプログラム可能であり、水温の前記設定範囲外の測定値に応答して前記電気凝固チャンバをシャットダウンするように動作する、請求項1に記載の再循環水産養殖システム。
【請求項7】
前記水産養殖容器が、
餌分配器と;
水温を測定する給餌温度センサ、前記水のアンモニア含量を測定する給餌アンモニアレベルセンサ、および前記選択された種の個体数を示すデータを読み取る給餌画像センサと;
をさらに備え、
前記給餌温度センサ、給餌アンモニアレベルセンサ、および給餌画像センサは、前記給餌水温測定値、給餌アンモニアレベル測定値、および前記選択された種の個体数を示すデータを前記コントローラに伝達し;
前記コントローラは、前記給餌水温測定値、前記給餌アンモニアレベル測定値、および前記選択された種の個体数を示す前記データを処理して、分配する餌の量を選択し、前記餌の量を分配する頻度を選択し、分配する餌の前記選択された量および頻度に従って前記分配器を動作させるようにプログラム可能である、請求項1に記載の再循環水産養殖システム。
【請求項8】
前記コントローラが、前記画像データから種の個体数および重量を導出する、請求項7に記載の再循環水産養殖システム。
【請求項9】
前記給餌温度センサが、測定温度に対応する色を表示することにより測定温度を表示し、
前記給餌画像センサが、前記色を画像データとして入力し、前記画像データを前記コントローラに伝送し;前記コントローラが、前記給餌温度センサの前記色に基づいて前記画像データを処理する、請求項8に記載の再循環水産養殖システム。
【請求項10】
前記電気凝固チャンバが選択された背圧で動作可能である、請求項1に記載の再循環水産養殖システムであって、
第1の水ポンプであって、前記電気凝固チャンバの上流側の前記水処理システム内に位置する、前記第1のポンプでの第1の水流量を測定し、前記第1の水流量測定値を前記コントローラに伝達する、第1の関連流量センサを有する、前記第1の水ポンプと;
第2の水ポンプであって、前記電気凝固チャンバの下流側の前記水処理システム内に位置する、前記第2のポンプでの第2の水流量を測定し、前記第2の水流量測定値を前記コントローラに伝達する、第2の関連流量センサを有する、前記第2の水ポンプと
をさらに備え、
前記コントローラは、前記第1の水流量測定値および第2の水流量測定値から、前記電気凝固チャンバ内の測定背圧を決定し、前記第1および第2の水ポンプの相対速度を調節して、前記電気凝固チャンバ内の前記選択された背圧を自動的に維持するように動作する、請求項1に記載の再循環水産養殖システム。
【請求項11】
前記水産養殖容器内の水温を測定し、前記測定値を前記コントローラに伝達する加熱/冷却温度センサと;
加熱された水を前記水産養殖容器内に送達するように選択的に動作する加熱器と;
冷却された水を前記水産養殖容器内に送達するように選択的に動作する冷却器と
をさらに備え、
前記コントローラは、前記水産養殖容器の設定水温をプログラムされており、前記加熱/冷却温度センサからの前記測定値に応答して、前記加熱器および前記冷却器の1つを選択的に動作させて前記水産養殖容器内の水温を前記設定水温に調節するように動作し、
前記コントローラは、可変的に選択可能な期間にわたり前記水産養殖容器内の水温を調節して、前記水産養殖容器内の選択された水生種による温度順化を可能にするようにプログラムされている、請求項1に記載の再循環水産養殖システム。
【請求項12】
前記水産養殖容器内の酸素レベルを測定し、前記測定値を前記コントローラに伝達する酸素センサを有するエアレータと;
前記水産養殖容器への酸素の吹き込みを供給するように選択的に動作するブロワと;
前記酸素の吹き込みを前記水産養殖容器内の広い面積にわたって広げるように動作する拡散器と
をさらに備え、
前記コントローラは、前記水産養殖容器内の前記選択された種の安全で最適な成長を支援するように標的酸素レベルをプログラムされており;
前記コントローラは、前記酸素センサからの前記測定値に応答して、前記標的酸素レベル未満である場合には、前記標的酸素レベルに達するまで酸素の吹き込みを送達するように前記ブロワを選択的に動作させるように動作する、請求項1に記載の再循環水産養殖システム。
【請求項13】
前記炭素フィルタを迂回し、その上流端から下流端まで返送水ストリームを流動させるように動作する迂回ラインと;
前記炭素フィルタまたは前記迂回ラインのいずれかに前記水ストリームを経路付けるように選択的に動作する弁と
をさらに備え、
前記迂回ラインは、前記水産養殖容器への返送のために前記迂回ラインを通して前記返送水ストリームを流動させ、前記水産養殖容器内に前記水生種を入れる前に前記水産養殖システムの塩素浄化用の塩素を通過させるように動作する、請求項1に記載の再循環水産養殖システム。
【請求項14】
水産養殖容器内に入れられた選択された種を支援し、その中でアンモニアを生成し病原体を生成する再循環水産養殖システムにおいて、前記水産養殖容器から水ストリームを受容し、前記水ストリームを処理して前記アンモニアおよび前記病原体のレベルを制御し、処理された水ストリームを前記水産養殖容器に返送する水処理システムであって、
前記水ストリームを受容する流入端および前記水ストリームを排出する流出端を有する、前記水産養殖容器の下流の前記水処理システム内に位置付けられた電気凝固チャンバであって、前記流入端と流出端との間に、離間した電気駆動隣接プレート間の電位で動作する前記隣接プレートを含み、前記プレートの間に前記水ストリームを受容し、前記プレートは、前記水ストリームを電気分解してそれにより潜在的病原体を除去するように動作し、また海水を処理して前記水ストリーム中で塩素ガスを生成するように動作する、電気凝固チャンバと;
前記水産養殖容器と前記電気凝固チャンバの前記流入端との間の位置で前記水ストリームから水を受容およびサンプリングする、前記水処理システム内の第1のサンプリング地点であって、前記電気凝固チャンバの上流の前記水ストリーム中のアンモニアレベルを測定する上流アンモニアセンサを備える第1のサンプリング地点と;
前記電気凝固チャンバの下流の位置で前記水ストリームから水を受容およびサンプリングする、前記水処理システム内の第2のサンプリング地点であって、前記電気凝固チャンバの下流の前記水ストリーム中のアンモニアレベルを測定する下流アンモニアセンサを備える第2のサンプリング地点と;
前記上流および前記下流アンモニアセンサに接続されて、前記電気凝固チャンバの上流および下流のアンモニアレベルの前記測定値を受信するコントローラであって、
前記アンモニアレベル測定値に応答して、海水に作用する前記隣接プレート間の前記電位を調整することにより前記電気凝固チャンバを制御し、アンモニアを前記生成された塩素ガスと結合させて前記水ストリーム中にクロラミン化合物を形成するように動作可能であるコントローラと;
フィルタを通過する前記水ストリームから前記クロラミン化合物を除去するように動作可能な、前記第2のサンプリング地点の下流の前記水処理システム内に位置付けられた前記フィルタであって、
前記フィルタから前記水産養殖容器に返送するための処理水ストリームを提供するフィルタと
を備える水処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して畜産に関し、より詳細には水生動物養殖に関する。本発明の一態様は、ロブスター、エビ、またはキチン質もしくは石灰質外骨格を有する他の水生節足動物の世話および繁殖を含む甲殻類養殖に関する。本発明は、再循環およびフィルタ手段を有する生息環境を提供し得る。本発明の別の態様は、魚の世話および繁殖に関する。本発明の別の態様は、カキ、二枚貝、または石灰質の殻に包まれた軟らかく分節のない体を有する他の水生動物の繁殖および世話を含む、軟体動物養殖に関する。本発明はまた、水生植物養殖に関する。本発明は、異なる独特のシステム、ならびに魚、甲殻類、軟体動物、および水生植物等の水生種を処理するための方法の実装に向けた水産養殖の分野に関連する。システムおよび方法は、再循環水産養殖システム(RAS)として知られる。
【背景技術】
【0002】
水産養殖は、様々な種類の水性環境において捕獲した水生種を飼育、生育、および収穫することである。捕獲した水生種は廃棄生成物を生成し、これはその成長過程の間除去する必要がある。除去しないと、アンモニア、細菌および固形物がすぐに蓄積してシステムを上回り、収穫による水生種の生存率を著しく低減する。処理方法は、配備したシステムの種類に依存する。ほとんどの水産養殖システムは、水産養殖システムと周囲環境との間で水を交換することにより廃棄生成物を除去するための「開放型」流動法に依存する。しかしながら、「開放型」流動法は、局所環境に著しく有害な影響を有し得る。
【0003】
ごく一部の水産養殖システムは、システム内で水を再循環させ、それにより周囲環境の汚染を防止する、再循環水産養殖システムまたはRASとしても知られる「閉鎖型」流動法を利用している。しかしながら、このアプローチは、高度な処理方法を必要とする。
【0004】
従来のRASは、廃水を環境に排出せず、アンモニアを除去するために通常はバイオフィルタを使用する。バイオフィルタは、好気条件下でアンモニアをまず亜硝酸塩(まだ有毒)に、次いで硝酸塩(それほど有毒ではない)に変換し得る、主に2種類の細菌を含有する。バイオフィルタは、システムからアンモニアを効果的に除去するが、硝酸塩レベルを増加させる。したがって、典型的なRASはまた、嫌気性条件下で別の種類の細菌を使用して過剰の硝酸塩を無毒な窒素ガスに変換する脱窒プロセスを利用する。
【0005】
最初にアンモニアを有毒な亜硝酸塩に変換し、次いで亜硝酸塩をやや有毒な硝酸塩に変換し、最後に硝酸塩を窒素ガスに変換するステップを経ることなく、システム内の廃棄物、アンモニア、および病原体の過剰な蓄積を制御することが望ましい。
【0006】
上記の、および他の目的を達成するために、ならびに本発明の目標に従って、本明細書において具現化され概略的に説明されるように、本発明の方法および装置は以下を含み得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、記載された背景に対抗して、本発明の全体的な目的は、固形廃棄物、アンモニア、病原体、餌の量、温度、および酸素を自動的に制御する再循環水産養殖システムを提供することである。
【0008】
別の目的は、最初にアンモニアを有毒な亜硝酸塩に変換し、次いで亜硝酸塩を依然としてやや有毒な硝酸塩に変換し、最後に硝酸塩を窒素ガスに変換するステップを経ることなく、システム内の廃棄物、アンモニア、および病原体の過剰な蓄積を制御することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、閉鎖再循環水産養殖システムは、選択された収容水生種を支援する水性ストリームを処理する。水産養殖システムは、選択された水生種の生息環境を提供する容器と共に動作する。再循環水産養殖システムは、アンモニア含量を有する水産養殖容器内の選択された種を支援する。水分量は、淡水または海水の間で選択される。容器からの水の再循環ストリームを処理することにより水産養殖容器内のアンモニアレベルを制御するために、一連の水処理ステーションが導管50上に配設される。導管の入口または上流端には、水産養殖容器からの水ストリームを受容し、水ストリームを処理して固形廃棄物を機械的に除去する最初のステーションとして、固形物フィルタが配設される。固形物フィルタの下流の水ストリームには第1のサンプリング地点が配設され、これは水ストリーム中のアンモニアレベルを検出するためのセンサを有する。第1のサンプリング地点の下流の水ストリームには電気凝固チャンバが位置付けられ、これは電気駆動プレートの間に水ストリームを通す。海水システムが選択される場合、電気凝固チャンバは塩素を生成する。淡水システムが選択される場合、電気凝固チャンバは水を電気分解し、その後塩素を受容する。電気凝固チャンバの下流の水処理ストリームには第2のサンプリング地点が位置し、これは水ストリーム中のアンモニアレベルを検出するためのセンサを有する。第1のサンプリング地点および第2のサンプリング地点にはコントローラが接続され、アンモニアレベルの読取り値を受信する。コントローラは、読取り値に応答して電気凝固チャンバを制御するように動作可能である。海水システムが選択される場合、コントローラは、プレート電圧、電流、および流速を調整して、アンモニアを生成された塩素と結合させて水ストリーム中でクロラミン化合物を形成する。淡水システムが選択される場合、水処理経路は、電気分解された水ストリームに塩素を供給してアンモニアと結合させ、水ストリーム中でクロラミン化合物を形成する、電気凝固チャンバの下流に位置付けられた塩素源を有する。第2のサンプリング地点の下流の水処理ストリームには炭素フィルタが位置付けられ、水ストリームからクロラミンを除去する。水処理導管50の最後の部分は、炭素フィルタから水産養殖容器に水ストリームを返送する。
【0010】
本明細書に組み込まれその一部を形成する添付の図面は、本発明の好ましい実施形態を例示し、説明と共に本発明の原理を説明する役割を果たす。図面中:
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】閉鎖型再循環水産養殖システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、一般にRASとして知られる技術を使用した再循環水産養殖システムにおいて水生種を処理するための装置および方法である。水生種の最適な成長、生存、および品質は主に、固形廃棄物、有毒なアンモニア、および病原体を定期的に除去し、正しい量および種類の餌を提供し、理想的な温度を維持し、十分な溶存酸素を供給することに依存する。電気凝固、塩素生成、および炭素吸着と併用した固形物フィルタは、固形廃棄物、有毒なアンモニア、および病原体の自動除去を提供する。アンモニア感知および温度感知と併用した画像処理は、給餌の自動制御を提供する。温度感知は、水温の自動制御を提供する。溶存酸素センサは、最小標的レベルに適合するように溶存酸素レベルの自動制御を提供する。
【0013】
図面を参照すると、水産養殖容器またはタンク10は、様々な選択された水生種の代表的な生息環境を示すが、本発明の実践に使用される容器の種類または選択される種に関する制限ではない。したがって、タンク10への言及は、説明の便宜上のものであり、他の種類の容器を除外しないことが理解されるだろう。タンク10内の例示された生物種は、魚、軟体動物、甲殻類、および植物の可能な選択肢の代表である。最も商業的価値のある種の1つは、エビである。選択された種の必要性に応じて、生息環境は、淡水または海水の選択を含む多くの異なる条件に適応可能である。複数のタンク10が共通したグループの水処理機器によって対応されてもよい。
【0014】
固形廃棄物、アンモニア、および病原体除去システム - 本発明によれば、タンク10内の種のための水は、品質を維持するために処理される。一連の処理ステーションおよびその動作処理ステップが、水を処理する。
図1の代表的な一連の流れは、1つまたは複数の水産養殖容器10から導管50を通って一連のステーションに水ストリームを誘導し、最終的に処理された水ストリームを水産養殖容器10に返送するように示されている。処理ステップおよびデバイスは、水産養殖容器10内の水が海水であるかまたは淡水であるかに応じて変動し得る。使用される処理デバイスおよびステップは、海水または淡水に適用可能な化学反応の利用可能性に応じて変動し得る。主として、塩素を水ストリームに供給してアンモニアと反応させ、クロラミン化合物を形成することが望ましく、クロラミン化合物は水ストリームから除去され得る。海水ストリームでは、電気凝固デバイスは水中のNaClを処理して所望の塩素を生成する。淡水ストリームでは、別個の供給部から塩素がストリームに添加されてアンモニアと反応し、クロラミン化合物を形成する。
【0015】
水処理経路の第1のステーションは、個々のタンク10内の出ていく水をタンク内の種から分離する出口スクリーン12である。電気凝固チャンバの上流側には第1の水ポンプ14が位置し、第1のポンプの速度により制御される圧力で水導管に進入するプロセスストリームに水を供給する。第1のポンプに関連付けられた第1の流量センサ15が、水流量を監視する。次に、固形物フィルタ16が固形不純物、例えばタンク10からスクリーン12を通って逃げた廃棄物を除去する。
【0016】
収集タンク18は、各自がスクリーン12から固形物フィルタ16の前処理機器を有する1つまたは複数の水産養殖容器10からの水ストリームを受容する。収集タンク18は、固形物フィルタ16と電気凝固チャンバとの間の水処理経路における第1のサンプリング地点である。収集タンクは、電気凝固チャンバに流入するアンモニアレベルを読み取るために、電気凝固チャンバ20の上流のアンモニアを検出するアンモニアセンサ34を有する。収集タンクには、関連付けられたアンモニアセンサ34および酸素-還元センサ36により水の補充が評価される。水の補充の読取り値は、タンク18内のブレンドされた水ストリームの検出された化学物質含量に従って下流処理を調節することができるコントローラ32に伝達される。
【0017】
次に、収集タンク18の下流に電気凝固チャンバ20がある。水ストリームが海水である場合、電気凝固チャンバは海水から塩素を生成する。水ストリームが淡水である場合、電気凝固チャンバの下流の水ストリームは、塩素供給物52を受容することにより塩素化される。符号52は、元素17である塩素の新たな供給を示すために元素周期表の元素17からモデル化されているが、これは代替として淡水を処理するための塩素生成システムであってもよい。いずれの場合でも、混合タンク40が処理順序の次にあり、反応ゾーンを提供し、塩素44、アンモニア42、および水の酸素-還元(ORP)46のセンサを提供する。混合タンク40は、水処理順序における第2のサンプリング地点であり、電気凝固チャンバ20の下流に位置する。アンモニアセンサ42は、電気凝固チャンバの下流にあり、電気凝固チャンバの流出側のアンモニアレベルを読み取る。クロラミン形成は、タンク40内で回転ブレードミキサ47およびエアレータ41によって支援される。
【0018】
第2の水ポンプ22が混合タンク40に続き、電気凝固チャンバの下流の水ストリーム内の圧力を監視する第2の流量センサ23と関連付けられている。第1および第2の流量センサ15、23は、電気凝固チャンバ20の反対(上流対下流)側から流量読取り値をコントローラ32に報告する。
【0019】
次に、機械的プレフィルタ24が固形物を捕捉する。次いで、関連付けられた塩素センサ27により監視される触媒活性炭フィルタ26が、水ストリームからクロラミン、残留アンモニアおよび他のアンモニア生成物を効果的に検出および除去する。アンモニア処理および水ストリームからの除去は、バイオフィルタを確立する必要性を排除する。その結果、処理はアンモニアから亜硝酸塩、続いて硝酸塩への変換を防止する。したがって、このアプローチは、システムから過剰の硝酸塩を除去するための脱窒の必要性を排除する。
【0020】
RAS内で水生種により食される餌は、固形物と呼ばれる廃棄生成物に分解する。固形物を水ストリーム内に残留させると、固形物はさらなるアンモニアを生成することによってすぐに水を汚す。固形廃棄物フィルタ16は、水ストリームから固形廃棄物を機械的に除去し、その構造は水生種に依存して様々となり得る。以前の技術では、典型的なRASは、沈殿池、管/プレート分離器、スワール分離器、マイクロスクリーンドラムフィルタ、粒状媒体フィルタ、カートリッジフィルタ、およびフォーム分別器等の固形物を除去するための様々な方法を使用する。
【0021】
収集タンク18は、固形物フィルタ16と電気凝固チャンバ20との間の水ストリームに位置し、水ストリームの化学組成を決定するためのセンサを含む。適用可能なセンサは、アンモニア含量を読み取るアンモニアセンサ34、およびタンク18におけるストリームの酸化還元電位を測定する酸化還元電位(ORP)センサ36を含む。電子コントローラ32は、収集タンクアンモニアセンサ34および収集タンクORPセンサ36から読取り値を受信し、電気凝固により適用される処理を調整および制御する。
【0022】
コントローラ32は、水ストリームの成分の動作を監視および調整する。図では、コントローラ32と水ストリームの他の要素との間の相互作用は、点線および伝達の方向を示す矢印により示されている。コントローラ32はタンク10の加熱および冷却システム56から、タンク10に対応する自動給餌器64から、タンク10に対応するエアレータ74から、両方の水ポンプ14および22から、ならびに収集タンク18に関連付けられたセンサ34、36、電気凝固チャンバ20、混合タンク40、および炭素フィルタ26からデータを受信することが示されている。データ源は、命名された要素に対応するセンサ、例えば流量センサ15、23、38;アンモニアセンサ34、42、70;ORPセンサ36、46;温度センサ37、62、66;塩素センサ27、44;画像センサ(カメラ)68;および酸素センサ80によって取られた読取り値により供給される。コントローラは、両方のポンプ14、22;電気凝固チャンバ20;炭素フィルタ26;加熱および冷却システム56;自動給餌器64;ならびにエアレータ74の動作を調整する。
【0023】
水産養殖タンクが海水タンクまたは淡水タンクとして動作しているかに依存して、コントローラ32は、電気凝固チャンバ20の出口で水ストリームに塩素を供給する塩素供給部52の動作を調整する。海水システムでは、電気凝固チャンバが海水から塩素を生成するため、塩素供給部52は典型的には動作しない。コントローラ32と塩素供給部52との間には、海水ストリームに対する塩素供給部52を遮断する選択肢を確立するために、海水検出器またはスイッチ53が示されている。
【0024】
電気凝固システムは、電気凝固反応チャンバ20を動作させるが、これは典型的には能動的および受動的な電気駆動プレート28、29の両方を含む。プレート28は、1つの極性の傾向、例えば負であるとみなすことができる。プレート29は、第2の極性の傾向、例えば正であるとみなすことができる。プレート間隔30がプレート28、20を隔てている。電気凝固チャンバ20およびそのコントローラ32は、プレート28、29の間のギャップにわたって電位を印加するための電源33を含む。電源は、電気凝固チャンバ20内の短絡を検出することができる。電源33は、コントローラ32と連絡して、短絡がある場合には電気凝固チャンバをシャットダウンする。温度センサ37および流量センサ38は、背圧を含む電気凝固チャンバ20内の水の状態を監視し、その読取り値をコントローラ32に伝達する。コントローラは、センサ36による伝達された上流酸化還元読取り値、センサ34による流入アンモニアレベル読取り値、センサ44から得られた下流塩素読取り値、センサ46から得られた下流酸化還元読取り値、電気凝固チャンバ内のセンサ38で得られた水流量読取り値、およびセンサ42で得られた流出アンモニアレベル読取り値に応答して電気凝固アンペア数を調整するように動作する。コントローラは、許容範囲の水流速および水温をプログラムされており、センサ37、38で決定された許容範囲外の水流速および水温の読取り値に応答して電気凝固チャンバをシャットダウンするように動作する。
【0025】
電気凝固チャンバの満足のいく動作を維持するために選択された背圧が望ましい。第1および第2の流量センサ15、23からの読取り値によって、コントローラは、第1および第2のポンプ14、22の相対ポンプ速度を調整することによって電気凝固チャンバ内の背圧を調節して、選択された背圧を維持することができる。
【0026】
反応チャンバ20は、自己洗浄するように、また非圧縮領域で動作するように構成され得る。プレート28の数およびプレート間隔30は可変であり、プレートは、能動的または受動的プレートとして動作するように様々に接続され得る。異なる用途、異なる含水量、または異なる水生種に対して、プレート材料は、アルミニウム、炭素、鉄、チタン、および金属酸化物コーティングプレート等の様々なプレート材料から選択され得る。電気凝固プロセスは、水ストリーム50が海水または淡水であるかに依存して異なって動作する。海水では、電気凝固は水を電気分解してアンモニアを処理するための塩素を生成するが、淡水では塩素を生成しない。しかしながら、淡水では、水はまだ電気分解され、これは健康上の利点に関連する。電気凝固温度センサ37は、想定外の温度上昇の場合に電気凝固チャンバの自動シャットダウンを開始する。
【0027】
混合タンク40は、エアレータ41を装備しており、電気凝固システム20と第2の水ポンプ22との間の水経路に位置する。混合タンク40は、混合タンクアンモニアセンサ42、混合タンク塩素センサ44、および混合タンクORPセンサ46を含む。コントローラ32は、収集タンクアンモニアセンサ34およびORPセンサ36、電気凝固流量センサ38、ならびに混合タンクアンモニアセンサ42、塩素センサ44、および混合タンクORPセンサ46から測定データを受信し、電気凝固アンペア数を自動的に調節して、アンモニアを処理するためのベースとなる最適な塩素生成を得る。
【0028】
収集タンクは、ブレンドされた流れが電気凝固チャンバ20に到達する前のセンサ読取り値を取るためのサンプリング地点を提供する。混合タンク40は、流れが電気凝固チャンバ20から出た後のセンサ読取り値を取るためのサンプリング地点を提供する。コントローラ32は、これらの前後のセンサ読取り値を使用して、電気凝固プロセスにおける可変の電圧および電流を調整する。同様に、コントローラ32はアンモニアレベルが変化するにつれて流速を修正するようにポンプ動作を変更する。全てのパラメータに対して、また注意が必要な状況を操作者に警告するために、センサおよびアラームが適用され得る。
【0029】
導管50を通って進む海水ストリームにおいて、電気凝固チャンバ20にわたる適切な電圧、電流および流速により、海水ストリーム50とプレート28との間の相互作用が塩素を生成する。塩素は、以下の反応1に従い、水と結合して次亜塩素酸を形成する。次いで、次亜塩素酸は、反応2に従い、水ストリーム50中に存在する利用可能なアンモニアと結合してクロラミン化合物を形成する。
反応1:2Cl2+2H2O=2HOCl+H2+Cl2
反応2:NH3+HOCl=NH2Cl+H2O
導管50を通って進む淡水ストリームでは、電気凝固チャンバ20と混合タンク40との間に位置する生成または供給送給部52からの再循環ストリーム50に塩素が添加される。送給部52で添加される塩素の量は、水ストリームにおいてアンモニアセンサが検出したアンモニアの量に基づき、利用可能なアンモニアをクロラミンに形成するのに適切な量の塩素を提供する。
【0030】
以下の表は、電気凝固電圧および電流を調節する場合のアンモニア、塩素、酸化還元電位(ORP)、流量、電圧およびアンペア数の間の関係を示す。
【0031】
【0032】
混合タンク40から、導管50を進むストリームは、第2のポンプ22を通って流動し、最終セットのフィルタを通るストリームの前進を補助する。機械的プレフィルタ24は固形物を除去する。導管50内のストリームは、残留塩素を除去する炭素フィルタ26に進む。炭素フィルタ塩素センサ27が、塩素の突破を示唆するのに十分な塩素を検出した場合、センサ27は、コントローラ32に電気凝固システムおよびポンプ14、22の自動シャットダウンを開始させ、水産養殖タンク10への塩素の送達を防止する。炭素フィルタ26の後は、導管50は水産養殖タンク10に戻る。触媒活性炭フィルタ26は、正常動作中、導管50内の水ストリームからクロラミン化合物および過剰の遊離塩素を吸着するように、電気凝固チャンバ20の下流に位置する。活性炭フィルタよりも前にインラインで設置された機械的プレフィルタ24は、固形物が活性炭フィルタに進入しないよう保護する。この方法の関連する利益は、電気凝固プロセスが病原体の通過を低減するため、システムからの潜在的に有害な病原体の低減である。
【0033】
炭素フィルタ26は、水産養殖タンク10、および電気凝固システム20と水産養殖タンクとの間の水経路における他の機器の清浄化を可能にするために、水導管経路から引き抜くことができる。迂回ライン54は、炭素フィルタ26の周りの水経路の代替の経路を提供する。三方弁55は、炭素フィルタを通る経路と、炭素フィルタの周りの経路とを選択する。弁55は、コントローラ32により手動または自動で代替経路を開き得る。代替経路の使用により、塩素が清浄化サイクルの一部として作用するように、水中の塩素含量が保存される。そのようなカットオフの結果、いずれかの有効な源、すなわち電気凝固システム20または別個の塩素生成システム52のいずれかからの塩素がタンク10に進入し、タンクの清浄化に関与する。炭素フィルタは、水生種を入れる前に水産養殖システムの塩素浄化を可能にするために迂回される。
【0034】
加熱および冷却システム56 - 加熱器58およびチラー60は、コントローラ32と連絡する温度センサ62を使用して、水生種の温度を最適な成長および生存のための所望の温度に維持する。センサ62は、水産養殖容器の温度を読み取り、読取り値をコントローラに伝達する。コントローラ32は、所望の温度をプログラムされており、所望の温度を維持するために水産養殖容器内に必要に応じて交換器58、60を通して加熱または冷却された水を誘導する。水産養殖タンクに加えられたいくつかの種は、水温および温度変化に敏感である。コントローラ32は、水温変化の速度を調節するようにプログラムされている。人為的により遅いまたは長期化された温度変化の速度は、選択された水生種が水産養殖容器に順化(馴化)する(acclimating)のを補助するために選択され得る。変化の速度は、加えられた種の要求に応じて手動で修正され得る。長期化は、通常動作の倍数によるもの、例えば2倍または3倍であってもよく、長期化は、選択された期間によるもの、例えば数時間または数日の期間であってもよい。
【0035】
餌分配器64 - 給餌温度センサ66、給餌アンモニアセンサ70、および給餌画像処理センサ68は、餌分配器64の調整を可能にするためにコントローラ32にデータを提供する。各水産養殖タンク10に分配される餌の適切な量は、タンク内のアンモニアレベル、温度、および種の個体数に基づく。コントローラ32は、画像センサデータからタンクの個体数を決定し、必要に応じて給餌量および頻度を修正する。RASの適切な給餌は、プロセスが最適に動作する上で必須である。給餌不足は成長を遅くし、共食いを助長する。過剰給餌は餌を無駄にし、RAS内のアンモニア、病原体、および固形物を不必要に増加させる。RASに必要な餌の量および種類は、水産養殖タンク10内の水生種の種類だけでなく、給餌の時点でのその個体数および平均重量にも依存する。かつての典型的なRASは、給餌トレイまたは網での捕獲等の手作業による技術を使用した水生種の個体数の推定、および重量サンプルを手作業で採取することによる水生種の平均重量の推定に依存していた。
【0036】
本発明は、自動餌分配器64を使用して水処理を最適化する。餌分配器は、給餌システム温度センサ66、アンモニアセンサ70、および画像センサ68または画像処理ソフトウェアを有するカメラを使用して、水産養殖タンク10内の個体数を決定する。画像処理ソフトウェアは、タンクの既知の比例体積内で定期的に撮影された写真を処理し、それらの結果を経時的に平均化する。画像処理ソフトウェアは、個体重量をそのサイズに基づき決定することにより、水生種の平均重量を計算する。コントローラ32は、画像データから、水の状態の変動に感受性のデバイスの機械的変化または色の変化に基づいて、センサ読取り値を導出し得る。色の変化に基づくセンサ読取り値の一例は、マンスフィールド、MA002048のRolf C.Hagan,Inc.の製品であるFluval Edgeブランド水槽温度計により検出されたタンクの水温である。この温度計は、別個の明るい色の帯により2度の温度ごとに区切られている。色の変化に基づくセンサ読取り値の別の例は、Madison、GA30650のSeachem Laboratories,Inc.の製品であるAmmonia Alertブランド検出器により検出された水槽のアンモニア含量である。この検出器は、別個の明るい色セクターにより目盛り盤の周りに選択された読取り値で区切られている。これらの、および他のセンサ読取り値は、カメラによる写真およびソフトウェアによる解釈によって検出可能である。プログラムされたコントローラ32は、写真を受信し、読取り値からデータを解釈し、タンク10内の水の状態を、例えば餌の調節、水温、酸素レベル、アンモニア除去、およびpHを自動的に制御する。
【0037】
給餌温度センサ、給餌アンモニアレベルセンサ、および給餌画像センサは、給餌水温、給餌アンモニアレベル、および選択された種の個体数をコントローラに伝達する。コントローラ32は、温度およびアンモニアデータと共に個体数および平均重量を使用して、自動化給餌システムが安全で最適な成長を支援するために適切な餌の量および頻度を決定および設定する。
【0038】
エアレータ74 - 水産養殖タンクは、タンク内の選択された種の安全で最適な成長を支援するための標的酸素レベルを有する。通気酸素センサ80は、水産養殖タンク10内の水の酸素含量を読み取り、酸素レベル読取り値のフィードバックをコントローラ32に提供する。コントローラは、タンク内の標的酸素レベルを標的値に維持するようにプログラムされ、水産養殖タンク10に送達される空気流量を自動的に調節する。ブロワ76は、空気または酸素をタンク10内の水に吹き込む。拡散器78は、タンク内の水に幅広く吸収させるために吹き込みを広げる。コントローラ32は、通気酸素センサ80を使用して水産養殖タンク10内の溶存酸素のレベルを読み取り、酸素を所望のレベルに維持するように送達される酸素または空気の量を調節する。
【0039】
上記は、本発明の原理の単なる例示とみなされる。さらに、当業者は多くの修正および変更を容易に思い付くため、示され説明された厳密な構造および動作に本発明を限定することは望まれず、したがって、全ての好適な修正および均等物が、以下の特許請求の範囲により定義される本発明の範囲内に包含されるとみなすことができる。
【国際調査報告】