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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】心肺蘇生術訓練用マネキン
(51)【国際特許分類】
   G09B 9/00 20060101AFI20240621BHJP
   G09B 23/28 20060101ALI20240621BHJP
   A61H 31/00 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
G09B9/00 Z
G09B23/28
A61H31/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553137
(86)(22)【出願日】2023-05-02
(85)【翻訳文提出日】2023-08-29
(86)【国際出願番号】 KR2023005975
(87)【国際公開番号】W WO2023219323
(87)【国際公開日】2023-11-16
(31)【優先権主張番号】10-2022-0056513
(32)【優先日】2022-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523328522
【氏名又は名称】ベストシーピーアール,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BESTCPR,INC.
【住所又は居所原語表記】#273 #277 KyeongDongMirwellCity,741,Taejang-ro,Gimpo-si,Gyeonggi-do 10090,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】キム,キチャン
【テーマコード(参考)】
2C032
4C074
【Fターム(参考)】
2C032CA01
4C074BB10
4C074RR10
(57)【要約】
本発明は、心肺蘇生術訓練用マネキンに関し、より詳しくは、マネキンの内部に上下方向に回転する回転アームの末端部に磁石を設置し、2つの柱の異なる高さに2つのセンサをそれぞれ設けて回転アームの位置を把握し、垂直に動く垂直センサが通過する経路上に複数の赤外線センサを左右に一対設けて、垂直センサが垂直方向に移動するか否かを確認して実習者が規定に符合する心肺蘇生術をしているか否かをリアルタイムで確認することができるようにする心肺蘇生術訓練用マネキンに関する。本発明に係ると、心肺蘇生術をする時、どの程度の深さで圧迫したのかを容易かつ正確に判定することができ、圧迫の方向が地面に対して垂直であるか否かを正確に感知することができて、心肺蘇生術を学ぶ実習者が正確な訓練をすることができるという効果を奏する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭および胴で構成されて、実習者に心肺蘇生術を教育するために用いられる訓練用マネキンであって、
前面が開放されており、内部に空間が形成される胴ケースと;
前記胴ケースの前面を覆いながら人の上体の前姿と類似するように製作される胴カバーと;
前記胴ケースの一側に連結され、内部に空間が形成される頭ケースと;
前記頭ケースの前面を覆いながら人の顔の前姿と類似するように製作される頭カバーと;
前記胴ケースの内部底面に設けられて、前記胴カバーを上方へ持ち上げる弾性力を発揮するばねと;
前記胴ケースの内部底面に設けられ、磁力を感知する第1センサが設けられる第1柱と;
前記胴ケースの内部底面に設けられて、磁力を感知する第2センサと第3センサが前記第1センサよりも相対的に低い高さに設けられる第2柱と;
前記胴ケースの内部底面に設けられて、末端が上下方向に往復運動をし、前記末端には磁石が設けられる回転アームと、
を含み、
前記第2センサは、前記第3センサに比べて相対的により高い位置に設けられ、
前記回転アームの末端は、前記第1柱と前記第2柱との間で円弧の一部に沿って所定の角度だけ上下方向に往復運動をし、前記第1センサ、前記第2センサ、前記第3センサは、前記磁石の接近による磁力の印加有無を感知し、
心肺蘇生術の実習過程において、制御部は、前記回転アームが往復運動する過程で前記磁石が下方へ下降して、前記第3センサを通り過ぎると、過圧迫と判断して、影像や音声で表示するようにすることを特徴とする、心肺蘇生術訓練用マネキン。
【請求項2】
前記制御部は、前記磁石の磁力が前記第2センサで感知されてから消え、前記第3センサで最大値に感知されると、前記磁石が前記第3センサを通り過ぎたと判断する、ことを特徴とする請求項1に記載の心肺蘇生術訓練用マネキン。
【請求項3】
頭および胴で構成されて、実習者に心肺蘇生術を教育するために用いられる訓練用マネキンであって、
前面が開放されており、内部に空間が形成される胴ケースと;
前記胴ケースの前面を覆いながら人の上体の前姿と類似するように製作される胴カバーと;
前記胴ケースの一側に連結され、内部に空間が形成される頭ケースと;
前記頭ケースの前面を覆いながら人の顔の前姿と類似するように製作される頭カバーと;
前記胴ケースの内部底面に設けられて、前記胴カバーを上方へ持ち上げる弾性力を発揮するばねと;
前記胴ケースの内部底面に設けられ、磁力を感知する第1センサが設けられる第1柱と;
前記胴ケースの内部底面に設けられ、磁力を感知する第2センサが前記第1センサよりも相対的に低い高さに設けられる第2柱と;
前記胴ケースの内部底面に設けられて、末端が上下方向に往復運動をして、前記末端には磁石が設けられる回転アームと;
前記胴ケースの内部底面に突出されるように設けられるセンサケースと;
前記センサケースに左右方向で離隔されるように設けられる第1赤外線センサおよび第2赤外線センサと;
前記胴カバーの底面に連結されて、前記胴カバーの圧迫動作によって上下方向に移動し、実習者の圧迫動作によって下へ下降しながら前記第1赤外線センサまたは前記第2赤外線センサの感知を遮断する遮断板
を含み、
前記第1赤外線センサと第2赤外線センサは、上下方向に動く前記遮断板が前記センサケースの前を遮ると、赤外線が感知されない状態を確認して制御部に伝達する、ことを特徴とする心肺蘇生術訓練用マネキン。
【請求項4】
前記遮断板の左右長さは、前記第1赤外線センサと前記第2赤外線センサが離隔された距離よりも長く製作される、ことを特徴とする請求項3に記載の心肺蘇生術訓練用マネキン。
【請求項5】
制御部は、
前記遮断板の左右側末端部が互いに離隔された前記第1赤外線センサと前記第2赤外線センサを遮りながら、同時または所定時間未満の間隔を隔てて信号感知が遮断される場合、圧迫が垂直方向に行われていると見なす、ことを特徴とする請求項4に記載の心肺蘇生術訓練用マネキン。
【請求項6】
制御部は、
前記遮断板の左右側末端部が互いに離隔された前記第1赤外線センサと前記第2赤外線センサを所定時間以上の間隔を隔てて信号感知が遮断される場合、圧迫が垂直方向に行われていないと見なし、影像または音声で実習者に通知を表示する、ことを特徴とする請求項4に記載の心肺蘇生術訓練用マネキン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心肺蘇生術訓練用マネキンに関し、より詳しくは、マネキンの内部に上下方向に回転する回転アームの端部に磁石を設け、2つの柱の異なる高さに2つのセンサをそれぞれ設けて回転アームの位置を把握し、垂直に動く垂直センサが通過する経路上に複数の赤外線センサを左右に一対設けて、垂直センサが垂直方向に移動するか否かを確認して、実習者が規定に符合する心肺蘇生術をしているか否かをリアルタイムで確認することができるようにする心肺蘇生術訓練用マネキンに関する。
【背景技術】
【0002】
心肺蘇生術とは、心肺機能が極めて低下したり停止された時、心肺機能を回復させて蘇生させる処置である。通常、呼吸機能障害や呼吸休止に対しては、まず気道を確保した後に人工呼吸を実施し、心臓機能を回復させるためには、心臓マッサージをする。
【0003】
人工呼吸とは、溺れたり中毒・出血などで心臓は動いているものの呼吸が止まって仮死状態にある場合、人工的に肺の機能を蘇生させて呼吸を正常に維持させることを意味する。第1次救命処置としての人工呼吸法には、施術者の呼気を患者の肺に吹き込む息吹き込み方法と、施術者が手を用いて患者の胸部などを圧迫して吸気および呼気を引き起こす用手人工呼吸方法がある。前記息吹き込み方法の最も一般的なものが患者に口腔を介して吹き込んだ空気によって患者の肺を拡張させる口対口法である。
【0004】
また、墜落・感電・中毒などにより心臓拍動が停止したとき、心臓機能を蘇生させるために用いる方法として、心肺蘇生術を実施する。心肺蘇生術には、胸骨を脊椎に向かって約5cm~6cm下方へ押すことによって心臓を圧迫して、血液を拍出させる胸骨圧迫式心臓マッサージ方法がある。普通、心臓マッサージといえばこれを指す。
【0005】
まず、患者の気道を確保し、呼吸の有無を確認して、呼吸停止状態であれば人工呼吸を実施し、心臓停止状態であれば、人工呼吸を続きながら、心臓マッサージを始める心肺蘇生施術は、人体を対象に実施するため、施術者或は実習者が上記過程を繰り返し練習することが適当でない。
【0006】
最近、人体の形状と類似する模様のマネキンを利用して人工呼吸と心肺蘇生術を練習するようにする装置が開示されている。
【0007】
図1は、従来技術による訓練用マネキンの構造を示す斜視図である。
【0008】
図1に示したように、訓練用マネキンは、人体胸部および頭の形状をしているマネキン10と、前記マネキン10の内部に設けられ、心肺蘇生訓練が成功的に実施されたことを確認させるために、胸部の圧迫時、所定の確認音を発生させる心肺蘇生術確認部20と、人体の肺器官を示す気嚢30とで構成される。
【0009】
前記マネキン10は、背中の形状を示す下板40と、胸の形状を示す上板50と、頭の形状を示す頭部60とで構成される。前記下板40は、前記心肺蘇生術確認部20と気嚢30などが内部に設けられることができるように、所定の空間を有し、前面が開口されているキャビネットの形態になっており、前記上板50は、前記下板40を開閉できるように、所定の幅を有する板状の形態になっている。前記頭部60は、前記下板40の上端に結合されており、前記頭部60の前半部下端には人のあごの形状をしている回動部62が設けられて、回動部62が上下に回転することができるようになっている。
【0010】
前記下板40と上板50との間にはその中心に上板50が外力に対して弾性を有するように圧縮ばね70が設けられている。そこで、前記上板50を内側へ圧迫すると、前記圧縮ばね70によって所定の抵抗を受けながら、上板50が内側に入る。前記下板40の下部にはストッパが上方に向かって突出されている。
【0011】
前記心肺蘇生術確認部20は、一側に凸部を備えた板ばね、および板ばねを支持する支持ブラケット26で構成される。
【0012】
前記支持ブラケット26は、前記下板40と所定距離を保持するように離隔して設けられ、前記板ばねは、前記ストッパと対応する位置に設けられ、板ばねがストッパと衝突するとき、音を発生するように板ばねの凸部がストッパと対向するように設けられる。
【0013】
そして、前記上板50には、前記ストッパ、および板ばねと対応する位置に前記板ばねを圧迫する圧迫部52が設けられている。したがって、前記上板50を外側で加圧すると、前記圧迫部52が前記板ばねを圧迫して音が発生する。
【0014】
このような方式のマネキン10を利用して心肺蘇生術訓練を行う時には、実習者が強い力でマネキン10の上板50を押して板ばねで音がすると、適切な圧迫が行われたと判断することができる。しかしながら、板ばねの位置が変わったり、マネキン10を長く使用すると、音がよく出なかったり、音が小さくなって、実習者や教官が気付かれない場合もある。
【0015】
また、実習者が上板50を垂直方向に押してこそ正確な心肺蘇生術が行われるが、実習者の動作が正確な垂直方向の動きであるか否かを確認することができなくて、正確な訓練成果分析に不十分な問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上述の問題点を解決するための本発明は、人の上半身模様に作られたマネキンの内部に回転アームを設けて、実習者の圧迫によって上下に回転するようにし、2つのセンサを上下方向で互いに異なる高さに設置し、2つのセンサの間を往復運動する磁石を利用して回転アームの高さを確認するようにして、実習者が十分な深さと高さだけ圧迫と弛緩動作を実施しているか否かを確認することができるようにする、心肺蘇生術訓練用マネキンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
また、本発明は、実習者が実施している心肺蘇生術が正確な深さと周期で行われているか否かを確認して影像と音声で表示するようにし、胴カバーとともに下上に動く遮断棒を設けて、圧迫の方向が地面に対して垂直方向であるか否かを感知するようにすることにより、リアルタイムで心肺蘇生術の品質を確認することができるようにする、心肺蘇生術訓練用マネキンを提供することを目的とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係ると、心肺蘇生術をする時、どのほどの深さで圧迫したのかを簡単で、かつ正確に判定することができ、圧迫の方向が地面に対して垂直であるか否かを正確に感知することができて、心肺蘇生術を学ぶ実習者が正確な訓練をすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】従来技術による訓練用マネキンの構造を示す斜視図。
図2】本発明の実施形態によるマネキンの構造を示す斜視図。
図3図2のマネキンのカバーを分離した状態を示す分解斜視図。
図4】回転アームの設置状態を示す斜視図。
図5】回転アームの設置状態を示す側面図。
図6】回転アームの位置によるセンサの感知状態を示す側面図。
図7】回転アームの位置によるセンサの感知状態を示す側面図。
図8】回転アームの位置によるセンサの感知状態を示す側面図。
図9】回転アームの位置によるセンサの感知状態を示す側面図。
図10】垂直センサの構造を示す斜視図。
図11】垂直センサの正面構造を示す正断面図。
図12】垂直センサの側面構造を示す側断面図。
図13】遮断板が垂直に下降する状態を示す側断面図。
図14】遮断板が垂直に下降する状態を示す正断面図。
図15】遮断板が斜めに下降する状態を示す正断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
上述の問題点を解決するために案出された本発明は、頭および胴で構成されて、実習者に心肺蘇生術を教育するために用いられる訓練用マネキンであって、前面が開放されており、内部に空間が形成される胴ケース102と;前記胴ケース102の前面を覆いながら人の上体の前姿と類似するように製作される胴カバー104と;前記胴ケース102の一側に連結され、内部に空間が形成される頭ケース106と;前記頭ケース106の前面を覆いながら人の顔の前姿と類似するように製作される頭カバー108と;前記胴ケース102の内部底面に設けられて、前記胴カバー104を上方へ持ち上げる弾性力を発揮するばね110と;前記胴ケース102の内部底面に設けられ、磁力を感知する第1センサ112aが設けられる第1柱112と;前記胴ケース102の内部底面に設けられ、磁力を感知する第2センサ114aと第3センサ114bが前記第1センサ112aよりも相対的に低い高さに設けられる第2柱114と;前記胴ケース102の内部底面に設けられて、末端が上下方向に往復運動をし、前記末端には磁石118aが設けられる回転アーム118;を含み、前記第2センサ114aは、前記第3センサ114bに比べて相対的により高い位置に設けられ、前記回転アーム118の末端は、前記第1柱112と前記第2柱114との間で円弧の一部に沿って所定角度だけ上下方向に往復運動をし、前記第1センサ112a、前記第2センサ114a、前記第3センサ114bは、前記磁石118aの接近による磁力の印加有無を感知し、心肺蘇生術の実習過程で、制御部は、前記回転アーム118が往復運動する過程で前記磁石118aが下方へ移動して前記第3センサ114bを通り過ぎると、過圧迫と判断して、影像や音声で表示するようにすることを特徴とする。
【0021】
前記制御部は、前記磁石118aの磁力が前記第2センサ114aで感知されてから消え、前記第3センサ114bで最大値に感知されると、前記磁石118aが前記第3センサ114bを通り過ぎたと判断することを特徴とする。
【0022】
他の実施形態による本発明は、頭および胴で構成されて、実習者に心肺蘇生術を教育するために用いられる訓練用マネキンであって、前面が開放されており、内部に空間が形成される胴ケース102と;前記胴ケース102の前面を覆いながら人の上体の前姿と類似するように製作される胴カバー104と;前記胴ケース102の一側に連結され、内部に空間が形成される頭ケース106と;前記頭ケース106の前面を覆いながら人の顔の前姿と類似するように製作される頭カバー108と;前記胴ケース102の内部底面に設けられて、前記胴カバー104を上方へ持ち上げる弾性力を発揮するばね110と;前記胴ケース102の内部底面に設けられ、磁力を感知する第1センサ112aが設けられる第1柱112と;前記胴ケース102の内部底面に設けられ、磁力を感知する第2センサ114aが前記第1センサ112aよりも相対的に低い高さに設けられる第2柱114と;前記胴ケース102の内部底面に設けられて、末端が上下方向に往復運動をし、前記末端には磁石118aが設けられる回転アーム118と;前記胴ケース102の内部底面に突出されるように設けられるセンサケース132と;前記センサケース132に左右方向に離隔されるように設けられる第1赤外線センサ134および第2赤外線センサ136と;前記胴カバー104の底面に連結されて、前記胴カバー104の圧迫動作によって上下方向に移動し、実習者の圧迫動作によって下へ移動しながら前記第1赤外線センサ134または前記第2赤外線センサ136の感知を遮断する遮断板140と;を含み、前記第1赤外線センサ134と第2赤外線センサ136は、上下方向に動く前記遮断板140が前記センサケース132の前を遮ると、赤外線が感知されない状態を確認して制御部に伝達することを特徴とする。
【0023】
前記遮断板140の左右長さは、前記第1赤外線センサ134と前記第2赤外線センサ136が離隔された距離よりも長く製作されることを特徴とする。
【0024】
制御部は、前記遮断板140の左右側末端部が互いに離隔された前記第1赤外線センサ134と前記第2赤外線センサ136を遮りながら、同時または所定時間未満の間隔を隔てて信号感知が遮断される場合に、圧迫が垂直方向に行われていると見なすことを特徴とする。
【0025】
制御部は、前記遮断板140の左右側末端部が互いに離隔された前記第1赤外線センサ134と前記第2赤外線センサ136を所定時間以上の間隔を隔てて信号感知が遮断される場合に、圧迫が垂直方向に行われていないと見なして、影像または音声で実習者に通知を表示することを特徴とする。
【0026】
実施形態
以下、図面を参照して本発明の実施形態による「心肺蘇生術訓練用マネキン」(以下、「マネキン」という)を説明する。
【0027】
図2は、本発明の実施形態によるマネキンの構造を示す斜視図であり、図3は、図2のマネキンのカバーを分離した状態を示す分解斜視図であり、図4は、回転アームの設置状態を示す斜視図であり、図5は、回転アームの設置状態を示す側面図であり、図6乃至図9は、回転アームの位置によるセンサの感知状態を示す側面図である。
【0028】
本発明のマネキン100は、人の上半身と類似する形態に作られ、胴および頭で構成されていて、心肺蘇生術を構成する心臓圧迫と人工呼吸を実習することができる環境を提供する。
【0029】
胴と頭の内部には空の空間が形成されていて、心肺蘇生術の動作を確認できるようにする装置が設けられる。
【0030】
胴は、上体の後ろ部分を形成しながら、所定の収容空間(前面が開放)を有する胴ケース102と、胴ケース102の前面を覆いながら人の上体の前姿そのまま製作される胴カバー104と、からなる。
【0031】
頭も胴と類似するように、頭ケース106と頭カバー108とで構成され、内部の空間にはディスプレイおよびその他の装置が設けられる。
【0032】
頭カバー108は、頭ケース106の前面を覆いながら、人の顔の前姿と類似するように製作される。
【0033】
胴と頭は首関節部で連結されて、所定角度だけ前後方向に回転する。頭の回転は、人の体と同様に構成することが好ましい。
【0034】
胴ケース102の内部底面には、ばね110が設けられる。本発明では、コイル状のばね110が用いられることに図示したが、弾性力を発揮するものであれば、他の形態の弾性体が用いられてもよい。ばね110は、心臓圧迫動作の時、胴カバー104を上方へ持ち上げて本来の位置に戻るようにする。ばね110は、胴ケース102の中央に来るようにすることが好ましい。
【0035】
胴ケース102の内部底面一側には、2つの柱が設けられるが、それぞれ第1柱112および第2柱114に定義する。第1柱112には第1センサ112aが設けられ、第2柱114には第2センサ114aおよび第3センサ114bが設けられる。第1センサ112a、第2センサ114a、および第3センサ114bは磁力測定センサで、磁場を発生させる手段(磁石など)が近接することを感知して、制御部(図示せず)に信号を伝達する。
【0036】
本発明において、第1センサ112a、第2センサ114a、および第3センサ114bは同じ形態の装置で、同じ特性(磁力)を感知するが、底面から高さが異なる所に設けられる。便宜上、第1柱112に設けられる第1センサ112aは底面から最も高い位置に設けられ、第2柱114に設けられる第2センサ114aは中間位置に、そして、第3センサ114bは最も低い位置に設けられることに区分する。
【0037】
胴ケース102の内部底面一側には中間に回転軸が挿入される回転軸柱116が設けられる。そして、回転軸柱116に設けられた回転軸には、所定角度だけ回転運動をする回転アーム118の一側末端が設けられる。回転アーム118の他側末端は、胴カバー104の上下運動によって一緒に回転する。
【0038】
回転アーム118の他側末端には磁力を発生する手段が設けられ、一般的には、磁石118aが用いられる。
【0039】
図4は、回転アームの設置状態を示す斜視図であり、図5は、回転アームの設置状態を示す側面図であり、図6乃至図9は、回転アームの位置によるセンサの感知状態を示す側面図である。
【0040】
回転アーム118は、回転軸柱116に設けられた地面と平行する回転軸を中心として回転する。回転アーム118の他側末端の上端は何らの力が加えられていない状態で、胴カバー104の底面と接触または近接した高さに位置する。
【0041】
したがって、実習者が胴カバー104を強く押すと、回転アーム118の他側末端も下方へ下降するようになる。
【0042】
回転アーム118の他側末端は平行に設けられた第1柱112と第2柱114との間を上下方向に回転しながら往復運動する。図4および5に示したように、回転アーム118が2つの柱の間で往復運動をすると、第1センサ112aから第3センサ114bの間を磁石118aが往復運動をするようになる。
【0043】
第1センサ112a乃至第3センサ114bは、往復運動をする磁石118aから発散される磁力を感知して、磁石118aの位置を確認する。磁石118aの位置は、回転アーム118の他側末端の位置と同一であるので、制御部は、回転アーム118がどの高さにあるのかを把握することができるようになる。
【0044】
図6のように、回転アーム118が下方へ回転しながら磁石118aが第1センサ112aを通り過ぎて第1センサ112aと第2センサ114aの中間高さまで下降すると、第1センサ112aには磁石118aで発生する磁力が感知されてから消え、第2センサ114aにはまだ磁力が感知されない状態になる。この場合、制御部は、磁石118aが第1センサ112aと第2センサ114aとの間の高さにあると判断することができる。すなわち、実習者が心臓圧迫動作をしている最中であるが、まだ最低点までは押さなかったと判断することができる。
【0045】
実習者がさらに圧迫を加えて、図7のように、回転アーム118がさらに下方へ回転すると、第2センサ114aでも磁力が感知される。制御部は、この時、圧迫の深さが十分に行われたことと判断する。
【0046】
実習者が胴カバー104を押していた圧力を解除すると、ばね110の弾性力によって胴カバー104が元の高さに復帰する。この過程で、回転アーム118も上方へ回転しながら上がり、図8に示したように、磁石118aは、第2センサ114aと第1センサ112aを順次通って上がる。すなわち、制御部は、第2センサ114aで感知される磁力と、第1センサ112aで感知される磁力を確認することができ、回転アーム118が再び元の高さに上がったと判断するようになる。
【0047】
この過程を1回の圧迫が行われたと見なすことができる。
【0048】
たとえ、第1センサ112aのみで磁力が感知されてから消えた後、第2センサ114aでの感知が行われる前に再び第1センサ112aで感知されてから消えた場合、回転アーム118が下方へ十分下降する前に再び上って来たと判断することができる。
【0049】
通常、心肺蘇生術で行われる心臓圧迫は、最小5cmの深さほど押す必要がある。たとえ、第1センサ112aと第2センサ114aとの間の高さの差を約5cmに設定すると、第1センサ112aと第2センサ114aで正常に感知が行われた場合に、圧迫が十分行われたと判断することができる。
【0050】
第2センサ114aがある深さまで圧迫が十分行われなかった場合、マネキン100は、「圧迫深さが十分でない」と言う旨の音声案内を出力する。
【0051】
また、第1センサ112aと第2センサ114aで順次に磁力が感知されてから消えた後、第2センサ114aで再び磁力が感知されてから消え、もう一度第2センサ114aで磁力が感知されてから消える場合、回転アーム118が第1センサ112aの高さまで上がらなかった状態で再び下りたことに見なすことができる。
【0052】
心臓の圧迫動作は、血液の循環のために、圧迫と圧力解除が正常に十分行わなければならない。圧力の解除は、回転アーム118が上方へ十分上って来るか否かを確認することによって判断することができる。すなわち、下へ下降した磁石118aが再び上って来ながら第1センサ112aを通り過ぎる程度になる必要があるが、そうでない場合には、圧力の解除が十分でないことであるので、これに対する警告を発することができる。
【0053】
この時には、「圧迫の緩和が不足する」という旨の音声案内を出力することにより、実習者に自分の圧迫動作の品質を知らせることができる。
【0054】
結論的に、正常な深さほど十分な圧迫と解除が行われる場合には、「(1)第1センサ感知後消滅、(2)第2センサ感知後消滅、(3)第2センサ感知後消滅、(4)第1センサ感知後消滅」の過程で、磁力が測定される。
【0055】
一方、心肺蘇生術では最小限5cmの深さで胸を押してこそ心臓に圧迫が加えられながら血液循環に役立つことができる。しかしながら、これよりも深い深さまで胸を押すと、肋骨が折れたり他の臓器に損傷を与える可能性もある。本願発明では、実習者が過度に深く胸を押すことを防止するために、過圧迫を感知して警告するようにする機能を具現する。
【0056】
第2センサ114aは、最小限の深さを感知するための構成であるが、第3センサ114bは過度な深さを感知するための構成である。すなわち、回転アーム118が過度に回転しながら磁石118aが第3センサ114bを通り過ぎて下降すると、制御部は、過圧迫と見なすことができる。このために、第2センサ114aを約5cmの深さに設置すると、第3センサ114bは、約6cm~7cmの深さに設置するようにする。できるだけ第2センサ114aが設けられた位置で1~2cmの下に第3センサ114bを設置することが好ましい。
【0057】
図9のように、磁石118aの磁力が第2センサ114aで感知されてから消え、その直後に第3センサ114bで最大値に感知されると、回転アーム118が第3センサ114bが設けられた高さよりも下側まで回転したと判断して、制御部は過圧迫が発生したことを音声や影像で表示する。
【0058】
また、制御部は、磁場が感知される時間や周期を測定することにより、単位時間当り正常な圧迫が何回行われているかを計算することができる。計算された単位時間当り圧迫回数が正常な場合と非正常な場合に、実習者に影像や音声で警告することができる。
【0059】
概して、実習者が一般的に行われる胸圧迫の間隔は、実習者によって大きな差を見せるため、アメリカ心臓協会(AHA)の2020年CPRガイドラインによれば、分当たり100回~120回の速度で胸圧迫を実施することを勧めている。
【0060】
一方、図10は、垂直センサの構造を示す斜視図であり、図11は、垂直センサの正面構造を示す正断面図であり、図12は、垂直センサの側面構造を示す側断面図であり、図13は、遮断板が垂直に下降する状態を示す側断面図であり、図14は、遮断板が垂直に下降する状態を示す正断面図であり、図15は、遮断板が斜めに下降する状態を示す正断面図である。
【0061】
心肺蘇生術では、圧迫動作において十分な深さと一定の速度などが患者の生命を救う重要な要素となる。そして、圧迫対象となる心臓に効果的に圧力が伝達されるようにするために、垂直方向に押すことも重要な要素である。
【0062】
本発明では、圧迫動作が地面に対して垂直方向に行われるか否かを確認するための垂直センサをさらに備える。
【0063】
垂直センサは、上下方向に動く感知対象物を水平方向に離隔された左右側のセンサが感知し、左側または右側センサが対象物を同時に感知するか否かを確認して、圧迫の方向が垂直であるか斜めであるかを分析するように構成される。
【0064】
図10および図11に示したように、垂直センサは、胴ケース102の内部底面に突出されるように設けられるセンサケース132と、その前で上下方向に動く遮断板140とで構成される。センサケース132には、第1赤外線センサ134と第2赤外線センサ136が左右方向に離隔されるように設けられる。第1赤外線センサ134と第2赤外線センサ136は、センサケース132に発光部と受光部が一緒に配置されるように設けられる。第1赤外線センサ134と第2赤外線センサ136は、発光部から照射される赤外線を受光部が感知する方式で動作する。第1赤外線センサ134と第2赤外線センサ136は、上下方向に動く遮断板140がセンサケース132の前を遮ると、赤外線が感知されない状態を確認して制御部に伝達する。
【0065】
本発明では、第1赤外線センサ134と第2赤外線センサ136が赤外線を発光して感知することで説明するが、LEDを用いて可視光線を受発光する形態のセンサも使用可能である。また、超音波などの直進性を有する光や音波、電磁波などを用いる方式のセンサも使用可能である。
【0066】
センサケース132の前面に第1赤外線センサ134と第2赤外線センサ136が左右方向に並んで設けられる。そして、センサケース132の高さは、遮断板140が下方へ下降すると、第1赤外線センサ134と第2赤外線センサ136を遮ることができるほどの高さになるようにすることが好ましい。
【0067】
遮断板140の上部は、柱状の縦バー138で構成され、縦バー138は、上端の連結部142によって胴カバー104の底面に連結される。したがって、実習者が胴カバー104の中心部分を押して圧迫動作をすると、その下に連結された遮断板140が下方へ下降しながら、センサケース132の前方まで下降するようになる。そして、十分な深さまで下降すると、2つの赤外線センサと会う。
【0068】
遮断板140は、左右長さが十分長くて、2つの赤外線センサを遮ることができる程度になるが、このために、遮断板140の左右長さは、第1赤外線センサ134と第2赤外線センサ136が離隔された距離よりも長く製作することが好ましい。
【0069】
たとえ、図13および図14のように、実習者が胴カバー104を地面に対して垂直方向に押す場合には、左右に長い形態の遮断板140が平衡を維持した状態で下へ下降する。これにより、遮断板140の左右側末端部が互いに離隔された第1赤外線センサ134と第2赤外線センサ136を同時または非常に短い時間間隔を隔てて遮るようになる。制御部は、第1赤外線センサ134と第2赤外線センサ136の信号感知がほぼ同時に遮断される場合に、圧迫が垂直方向に行われていると見なす。この場合には、別途のアラームを鳴らさないか、垂直に圧迫が行われていることを影像や音声で表示することができる。
【0070】
設定によっては、物理的に同時にセンサを遮断しなくても、所定時間間隔以内にセンサを遮断すると、同時に遮断したことと同様に見なすことができるはずである。このような時間間隔は、装置の大きさによって異なってもよく、約0.1秒~0.5秒に設定することができる。
【0071】
たとえ、図15のように、実習者が胴カバー104の表面で斜めに圧迫する場合には、遮断板140が下へ下降しながら斜めに左側や右側に傾斜するようになる。実習者が胴カバー104を上体の長さ方向に斜めに押すこともあるが、この場合には、上体の長さ方向に遮断板140が斜めに傾斜し、上体の長さ方向に斜めに傾斜しても心臓を圧迫する効果においては、大きな差がないので、心肺蘇生術に問題が生じない。
【0072】
しかしながら、上体の幅方向に斜めに傾斜すると、心臓を正確に圧迫できないため心肺蘇生術を正確に実施することができなくなる。したがって、左右側に傾斜しないようにするために、2つのセンサを上体の幅方向に配置することが最も好ましい。
【0073】
それで、遮断板140の左右側がいずれの一側に傾斜して第1赤外線センサ134と第2赤外線センサ136を同時に遮断できなくなる。制御部は、第1赤外線センサ134と第2赤外線センサ136の信号感知が所定時間以上の間隔を隔てて遮断される場合に、圧迫が垂直方向に行われていないと見なす。この場合には、警告音や音声、影像などの方法で正常圧迫動作でないことを実習者に表示する。
【0074】
一方、第1赤外線センサ134と第2赤外線センサ136との間の離隔距離によって時間差を調節することができる。すなわち、第1赤外線センサ134と第2赤外線センサ136が相対的に近く設けられた場合には、遮断板140が斜めに下降する場合にも、両方センサの感知時間に大きな差が発生しない。しかしながら、2つの赤外線センサの間の距離が遠い場合には、遮断板140が少しだけ傾いた状態で下降しても、感知時間に差が発生しながら傾斜を容易に感知することができる。
【0075】
言い替えれば、実習者または装置の管理者が第1赤外線センサ134と第2赤外線センサ136との間の距離を調節することができるように構成することにより、遮断板140の傾斜を感知する程度(精密度)を変化させることができる。したがって、心肺蘇生術を少なく受けた実習者とたくさん受けた実習者のレベルによって、2つの赤外線センサの間の距離を調節することにより、訓練の難易度を調節することができる。
【0076】
一方、遮断板140は、プラスチックや金属、ゴムなど多様な素材を用いることができる。また、赤外線の効果的な反射のために、色を調節したり、反射効果の大きいフィルムを付着するなどの構成を追加することができる。しかしながら、本願発明は、遮断板の素材や反射効率などに対して権利範囲を限定するのではないので、このような構成の変更は当業者によって容易に変更することができると見なすことができる。
【0077】
以上、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を説明したが、上述の本発明の技術的構成は、本発明が属する技術分野における当業者が本発明のその技術的思想や必須特徴を変更することなく、他の具体的な形態に実施されることができることを理解すべきである。したがって、以上で記述した実施形態は、すべての面で例示的なものあり、限定的なものではないことを理解すべきである。本発明の範囲は、上記詳細な説明よりは後述する特許請求範囲によって示され、特許請求範囲の意味および範囲そしてその等価概念から導出されるすべての変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれることに解釈されるべきである。
図1
図2
図3
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図10
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【国際調査報告】