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特表2024-523089正極板の製造方法、正極板及びそれを有する電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】正極板の製造方法、正極板及びそれを有する電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/139 20100101AFI20240621BHJP
   H01M 50/533 20210101ALI20240621BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20240621BHJP
   H01M 10/058 20100101ALI20240621BHJP
【FI】
H01M4/139
H01M50/533
H01M4/13
H01M10/058
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023559674
(86)(22)【出願日】2022-06-22
(85)【翻訳文提出日】2023-12-28
(86)【国際出願番号】 CN2022100483
(87)【国際公開番号】W WO2023273990
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】202110727297.1
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【弁理士】
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】姜新▲軍▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼宝生
【テーマコード(参考)】
5H029
5H043
5H050
【Fターム(参考)】
5H029AJ05
5H029CJ04
5H029CJ22
5H029DJ05
5H029HJ04
5H043AA02
5H043BA17
5H043BA19
5H043EA07
5H043EA11
5H043HA25E
5H043JA21E
5H043KA22E
5H043KA26E
5H043KA30E
5H050AA07
5H050BA16
5H050BA17
5H050DA20
5H050FA15
5H050FA18
5H050GA04
5H050GA22
5H050HA04
(57)【要約】
正極板の製造方法、正極板及びそれを有する電池を開示し、前記正極板の製造方法は、塗布領域と非塗布領域とを有する集電体を提供するステップと、該集電体の塗布領域に正極活物質を塗布するステップと、該非塗布領域の長さ方向に沿って非塗布領域を間隔をあけて切断して、隣接する2つの切断位置の間にタブを形成し、切断するたびに該正極活物質の該切断位置に対応する箇所のエッジを切り落とすステップと、該正極活物質の隣接する2つの切断位置の間に位置するエッジに絶縁接着剤を塗布するステップと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布領域と非塗布領域とを有する集電体を提供するステップと、
前記集電体の塗布領域に正極活物質を塗布するステップと、
前記非塗布領域の長さ方向に沿って前記非塗布領域を間隔をあけて切断して、隣接する2つの切断位置の間にタブを形成し、切断するたびに前記正極活物質の該切断位置に対応する箇所のエッジを切り落とすステップと、
前記正極活物質の隣接する2つの切断位置の間に位置するエッジに絶縁接着剤を塗布するステップと、を含む、正極板の製造方法。
【請求項2】
前記絶縁接着剤は、前記タブの一部を被覆するように前記タブに塗布される、請求項1に記載の電極板の製造方法。
【請求項3】
集電体と、正極活物質と、絶縁接着剤と、を含む正極板であって、
前記集電体は、塗布領域と非塗布領域とを有し、前記非塗布領域には、少なくとも1つのタブが形成され、前記塗布領域の長さ方向に沿って前記タブの両側に位置する部分には、切断凹部が形成され、
前記正極活物質は、前記塗布領域に塗布され、前記正極活物質の隣接する前記切断凹部の間に位置する部分の厚さが前記正極活物質の残りの部分の厚さよりも小さく、そして
前記絶縁接着剤は、前記正極活物質の隣接する前記切断凹部の間に位置する部分に塗布される、正極板。
【請求項4】
前記絶縁接着剤は、前記タブの一部を被覆するように前記タブに塗布される、請求項3に記載の正極板。
【請求項5】
前記絶縁接着剤の前記タブ上での延在長さは、2mm以下である、請求項4に記載の正極板。
【請求項6】
前記タブは、複数あり、複数の前記タブは、前記集電体の長さ方向に沿って、前記集電体の幅方向の少なくとも一側に間隔をあけて配置される、請求項3~5のいずれか一項に記載の正極板。
【請求項7】
前記絶縁接着剤は、ポリフッ化ビニリデン、スチレンブタジエンゴム、スチレン-イソプレン-スチレン及びポリアクリレートのうちの少なくとも一種である、請求項3~6のいずれか一項に記載の正極板。
【請求項8】
請求項3~7のいずれか一項に記載の正極板と、
負極板と、セパレータと、を含み、
前記セパレータは、前記負極板と前記正極板との間に位置する、電池。
【請求項9】
前記負極板は、負極活物質を有し、前記負極活物質の幅は、前記正極活物質の幅よりも大きく、前記負極活物質のエッジは、前記絶縁接着剤まで延在している、請求項8に記載の電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2021年6月29日に提出された、出願番号が202110727297.1である中国特許出願に基づくものであり、かつその優先権を主張するものであり、その全ての内容は、参照により本願に組み込まれるものとする。
【0002】
本願は、電池の技術分野に関し、特に、正極板の製造方法、正極板及びそれを有する電池に関する。
【背景技術】
【0003】
正極板は、通常、集電体に正極活物質を塗布して形成され、正極活物質の状態が液体状態と固体状態との間で切り替え可能であり、正極活物質が液体状態にあるときに集電体に塗布され、液体状態の正極活物質のエッジにレベリング現象が発生するため、正極活物質が液体状態から固体状態に硬化した後、正極活物質のエッジの厚さが常に正極活物質の残りの部位の厚さよりも小さい。
【0004】
正極板と負極板とが巻回又は積層の方式により電池のセルを形成する場合、正極板のエッジの厚さが薄いため、正極板の残りの部位と負極板との貼り合わせ時に、正極板のエッジと負極板との間の隙間が依然として大きくなり、電池の充放電過程において、正極板のエッジと負極板との間のイオン移動経路が正極板の残りの部位と負極板との間のイオン移動経路よりも大きいため、正極板のエッジと負極板との間の抵抗が大きく、イオンが負極に挿入されにくく、電池が複数回サイクルした後、正極活物質中の導電性イオンが結晶化して析出しやすい。
【0005】
また、正極板のエッジと負極板との間の隙間が大きいため、正極板のエッジからイオンを正常に脱離させるために正極板のエッジと負極板との間により多くの電解液を添加する必要があるが、電池が複数回サイクルした後、電解液が消費されていくため、電解液が正極板のエッジにおいて遊離しやすく、正極板のエッジと負極板との間に電解液が不足することをもたらし、このように、正極板のエッジのイオンが負極板に移動することができず、結晶化して析出することが発生する。
【発明の概要】
【0006】
本願は、従来技術における技術的課題の1つを少なくとも解決しようとする。そのため、本願の1つの目的は、厚さが均一であり、リチウムが析出しにくく、耐用年数が長いなどの利点を有する正極板の製造方法を提供することである。
【0007】
本願は、正極板を更に提供する。
【0008】
本願は、上記正極板を有する電池を更に提供する。
【0009】
上記目的を達成するために、本願の第1態様の実施例に係る正極板の製造方法は、塗布領域と非塗布領域とを有する集電体を提供するステップと、前記集電体の塗布領域に正極活物質を塗布するステップと、前記非塗布領域の長さ方向に沿って前記非塗布領域を間隔をあけて切断して、隣接する2つの切断位置の間にタブを形成し、切断するたびに前記正極活物質の該切断位置に対応する箇所のエッジを切り落とすステップと、前記正極活物質の隣接する2つの切断位置の間に位置するエッジに絶縁接着剤を塗布するステップと、を含む。
【0010】
本願の実施例に係る製造方法によって製造された正極板は、厚さが均一であり、リチウムが析出しにくく、耐用年数が長いなどの利点を有する。
【0011】
本願のいくつかの実施例によれば、前記絶縁接着剤は、前記タブの一部を被覆するように前記タブに延在して塗布される。
【0012】
本願の第2態様の実施例に係る正極板は、集電体と、正極活物質と、絶縁接着剤と、を含み、前記集電体は、塗布領域と非塗布領域とを有し、前記非塗布領域には、少なくとも1つのタブが形成され、前記塗布領域の長さ方向に沿って前記タブの両側に位置する部分には、切断凹部が形成され、前記正極活物質は、前記塗布領域に塗布され、前記正極活物質の隣接する前記切断凹部の間に位置する部分の厚さが前記正極活物質の残りの部分の厚さよりも小さく、前記絶縁接着剤は、前記正極活物質の隣接する前記切断凹部の間に位置する部分に塗布される。
【0013】
本願の実施例に係る正極板は、厚さが均一であり、リチウムが析出しにくく、耐用年数が長いなどの利点を有する。
【0014】
本願のいくつかの実施例によれば、前記絶縁接着剤は、前記タブの一部を被覆するように前記タブに延在して塗布される。
【0015】
本願のいくつかの実施例によれば、前記絶縁接着剤の前記タブ上での延在長さは、2mm以下である。
【0016】
本願のいくつかの実施例によれば、前記タブは、複数あり、複数の前記タブは、前記集電体の長さ方向に沿って、前記集電体の幅方向の少なくとも一側に間隔をあけて配置される。
【0017】
本願のいくつかの実施例によれば、前記絶縁接着剤は、ポリフッ化ビニリデン、スチレンブタジエンゴム、スチレン-イソプレン-スチレン及びポリアクリレートのうちの少なくとも一種である。
【0018】
本願の第3態様の実施例に係る電池は、本願の第2態様の実施例に係る正極板と、負極板と、セパレータと、を含み、前記セパレータは、前記負極板と前記正極板との間に位置する。
【0019】
本願の第3態様の実施例に係る電池は、本願の第2態様の実施例に係る正極板を利用することにより、リチウムが析出しにくく、耐用年数が長いなどの利点を有する。
【0020】
本願のいくつかの実施例によれば、前記負極板は、負極活物質を有し、前記負極活物質の幅は、前記正極活物質の幅よりも大きく、前記負極活物質のエッジは、前記絶縁接着剤層に貼り付けられる。
【0021】
本願の追加的な態様及び利点は、一部が以下の説明において示され、他の部分が以下の説明において明らかになるか、又は、本願の実施により把握される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本願に係る正極活物質を塗布した集電体の概略図である。
図2】本願に係る正極活物質を塗布した集電体の他の視角の概略図である。
図3】本願に係る絶縁接着剤を塗布していない正極板の概略構造図である。
図4】本願に係る正極板の概略構造図である。
図5】本願による正極板の他の視角の概略構造図である。
図6】本願に係る電池の概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本願の実施例を詳細に説明し、図面を参照して説明される実施例は例示的なものであり、以下、本願の実施例を詳細に説明する。
【0024】
なお、本願の説明において、用語「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂部」、「底部」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などで示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、本願を容易に説明し説明を簡略化するためのものに過ぎず、示された装置又は部品が特定の方位を有するとともに、特定の方位で構成されて動作しなければならないことを示すか又は示唆するものではないため、本願を限定するものであると理解してはならない。
【0025】
本願の説明において、「複数」とは、2つ以上を意味する。
【0026】
以下、図面を参照しながら、本願の実施例に係る正極板1の製造方法を説明する。
【0027】
図1図5に示すように、正極板1の製造方法は、
塗布領域110と非塗布領域120とを有する集電体100を提供するステップと、
図1及び図2に示すように、集電体100の塗布領域110に正極活物質200を塗布するステップと、
図3に示すように、非塗布領域120の長さ方向に沿って非塗布領域120を間隔をあけて切断して、隣接する2つの切断位置の間にタブ130を形成し、切断するたびに正極活物質200の該切断位置に対応する箇所のエッジを切り落とすステップと、
図4及び図5に示すように、正極活物質200の隣接する2つの切断位置の間に位置するエッジに絶縁接着剤300を塗布するステップと、を含む。
【0028】
本願の実施例に係る正極板1の製造方法によれば、非塗布領域120の長さ方向に沿って非塗布領域120を間隔をあけて切断することにより、隣接する2つの切断位置の間にタブ130を形成し、かつ切断するたびに正極活物質200の該切断位置に対応する箇所のエッジを切り落とす。
【0029】
なお、正極活物質200の該切断位置に対応する箇所とは、正極活物質200の幅方向の一側において非塗布領域120に接続された領域を指しており、塗布領域110のタブ130に接続された部位は、接続部111であり、即ち、接続部111に塗布された正極活物質200が切り落とされていないことを除いて、正極活物質200のエッジが完全に切り落とされている。なお、正極活物質200のエッジとは、正極活物質200の厚さが薄い領域を指す。
【0030】
このことから分かるように、正極活物質200の該切断位置に対応する箇所のエッジが切り落とされた後、接続部111に塗布された正極活物質200を除いて、正極活物質200の残りの部分の厚さは、同じである。このように、正極板1を含む電池3の平坦度がより良好であり、電池3が複数回サイクルした後、イオンが結晶化して析出する現象が発生しにくく、正極板1及び電池3の耐用年数を延ばす。
【0031】
説明を容易にするために、本願は、以下、正極活物質200に含まれるイオンがリチウムイオンであることを例として説明するが、当然ながら、正極活物質200は、正極板1の製造に適する他のイオンを含む塗料であってもよい。
【0032】
また、正極活物質200の隣接する2つの切断位置の間に位置するエッジに絶縁接着剤300を塗布し、正極活物質200の該切断位置に対応する箇所のエッジを切り落とした後、接続部111に塗布された正極活物質200は、依然としてリチウム析出確率が高いため、接続部111に塗布された正極活物質200の表面に絶縁接着剤300を再び塗布し、絶縁接着剤300は、接続部111に塗布された正極活物質200と負極板2との間に導電回路を形成することを防止することができ、したがって、接続部111に塗布された正極活物質200からリチウムイオンが脱離せず、リチウム析出現象の発生を更に回避することにより、正極1及び電池3の耐用年数を更に延ばすことができる。
【0033】
また、絶縁接着剤300は、接続部11の正極活物質200のみに塗布すればよく、即ち、絶縁接着剤300は、正極活物質200のエッジ全体に塗布する必要がないため、絶縁接着剤300の使用量がより少なく、コストを低減することができる。
【0034】
このように、本願の実施例に係る正極板1の製造方法によって製造された正極板1は、厚さが均一であり、リチウムが析出しにくく、耐用年数が長いなどの利点を有する。
【0035】
本願のいくつかの具体的な実施例によれば、図4及び図5に示すように、絶縁接着剤300は、上記タブ130の一部を被覆するように上記タブ130に延在して塗布される。このように、絶縁接着剤300は、接続部111に塗布された正極活物質200のタブ130に向かう側を完全に被覆することができ、接続部111に塗布された正極活物質200は、リチウム析出現象がより発生しにくく、正極板1及び電池3の耐用年数がより長い。
【0036】
以下、図面を参照しながら、本願の実施例に係る正極板1を説明し、図4及び図5に示すように、正極板1は、集電体100、正極活物質200及び絶縁接着剤300を含む。
【0037】
集電体100は、塗布領域110と非塗布領域120とを有し、非塗布領域120には、少なくとも1つのタブ130が形成され、塗布領域110の長さ方向に沿ってタブ130の両側に位置する部分には、切断凹部140が形成され、正極活物質200は、塗布領域110に塗布され、正極活物質200の隣接する切断凹部140の間に位置する部分の厚さは、正極活物質200の残りの部分の厚さよりも小さく、絶縁接着剤300は、正極活物質200の隣接する切断凹部140の間に位置する部分に塗布される。
【0038】
このように、隣接する切断凹部140の間に位置する部分を除いて、本願の実施例に係る正極板1の残りの部分の正極活物質200は、厚さが均一であり、リチウムが析出しにくく、耐用年数が長いなどの利点を有する。
【0039】
本願のいくつかの具体的な実施例によれば、図4及び図5に示すように、絶縁接着剤300は、上記タブ130の一部を被覆するように上記タブ130に延在して塗布される。このように、絶縁接着剤300は、隣接する切断凹部140の間に位置する部分の正極活物質200のタブ130に向かう側を完全に被覆することができ、隣接する切断凹部140の間に位置する部分の正極活物質200は、リチウム析出現象がより発生しにくく、正極板1及び電池3の耐用年数がより長い。
【0040】
具体的には、絶縁接着剤300のタブ130上での延在長さは、2mm以下であり、タブ130の長さは、2mmよりも大きい。このように、絶縁接着剤300が隣接する切断凹部140の間に位置する部分の正極活物質200を完全に被覆することを保証するだけでなく、絶縁接着剤300のタブ130上での被覆面積が大きすぎてタブ130と外部物体との電気的導通に影響を与えることを回避することができ、それにより正極板1が正常に使用できることを保証する。
【0041】
本願のいくつかの具体的な実施例によれば、図4に示すように、タブ130は、複数あり、複数のタブ130は、集電体100の長さ方向に沿って集電体100の幅方向の少なくとも一側に間隔をあけて配置される。このように、正極板1の長さをより長く設定して、正極板1を含む電池3のエネルギー密度を向上させ、かつ電池3の内部抵抗を減少させて、電池3の耐用年数を延ばすことができる。
【0042】
本願のいくつかの具体的な実施例によれば、絶縁接着剤300は、ポリフッ化ビニリデン、スチレンブタジエンゴム、スチレン-イソプレン-スチレン及びポリアクリレートのうちの少なくとも一種である。このように、絶縁接着剤300は、耐電解液高分子ポリマーで製造され、隣接する切断凹部140の間に位置する部分の正極活物質200の絶縁を実現することに役立ち、正極板1を含む電池3のリチウム析出現象を効果的に回避する。
【0043】
本願のいくつかの具体的な実施例によれば、正極活物質200は、リチウム元素を含み、この場合、正極板1を含む電池3は、リチウム電池である。このように、正極板1は、容易に保管及び移動でき、かつ環境保護に役立つ。
【0044】
以下、図面を参照しながら、本願の実施例に係る電池3を説明する。
【0045】
図6に示すように、電池3は、負極板2と、セパレータ4と、本願の上記実施例に係る正極板1と、を含む。セパレータ4は、負極板2と正極板1との間に位置し、該セパレータ4は、イオンの通過を許容するが、電子の通過を阻止することができるため、負極板2と正極板1との間で自然発電が発生することを回避することにより、電池3の信頼性を向上させる。
【0046】
本願の実施例に係る電池3は、本願の上記実施例に係る正極板1を利用することにより、リチウムが析出しにくく、耐用年数が長いなどの利点を有する。
【0047】
本願のいくつかの具体的な実施例によれば、図6に示すように、負極板2は、負極活物質400を有し、負極活物質400の幅は、正極活物質200の幅よりも大きく、負極活物質400のエッジは、絶縁接着剤300まで延在している。このように、電池3のエネルギー密度を向上させることができ、負極活物質400のエッジは、絶縁接着剤300の両端の間に位置することができる。
【0048】
隣接する切断凹部140の間の部分の正極活物質200のみに絶縁接着剤300を塗布し、即ち、正極板300の正極活物質200の残りの部分に絶縁接着剤300を塗布していないため、正極板300の正極活物質200の残りの部分は、いずれも負極板2と電気的に導通することができ、それにより電池3のエネルギー密度がより高い。
【0049】
本願の実施例に係る正極板1の製造方法、正極板1及びそれを有する電池の他の構成及び操作は、当業者にとって既知であり、ここでは詳細な説明を省略する。
【0050】
本明細書の説明において、「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例示的な実施例」、「例」、「具体的な例」又は「いくつかの例」などの用語に言及する説明は、該実施例又は例を組み合わせて説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性が本願の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語に対する例示的な説明は、必ずしも同じ実施例又は例に限定されるわけではない。
【0051】
本願の実施例を示し説明したが、当業者であれば、本願の原理及び目的を逸脱することなく、これらの実施例に対して様々な変更、補正、置換及び変形を行うことができ、本願の範囲は、特許請求の範囲及びその均等物によって限定されることを理解することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 正極板
2 負極板
3 電池
4 セパレータ
100 集電体
110 塗布領域
111 接続部
120 非塗布領域
130 タブ
140 切断凹部
200 正極活物質
300 絶縁接着剤
400 負極活物質
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-12-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布領域と非塗布領域とを有する集電体を提供するステップと、
前記集電体の塗布領域に正極活物質を塗布するステップと、
前記非塗布領域の長さ方向に沿って前記非塗布領域を間隔をあけて切断して、隣接する2つの切断位置の間にタブを形成し、切断するたびに前記正極活物質の該切断位置に対応する箇所のエッジを切り落とすステップと、
前記正極活物質の隣接する2つの切断位置の間に位置するエッジに絶縁接着剤を塗布するステップと、を含む、正極板の製造方法。
【請求項2】
前記絶縁接着剤は、前記タブの一部を被覆するように前記タブに塗布される、請求項1に記載の極板の製造方法。
【請求項3】
集電体と、正極活物質と、絶縁接着剤と、を含む正極板であって、
前記集電体は、塗布領域と非塗布領域とを有し、前記非塗布領域には、少なくとも1つのタブが形成され、前記塗布領域の長さ方向に沿って前記タブの両側に位置する部分には、切断凹部が形成され、
前記正極活物質は、前記塗布領域に塗布され、前記正極活物質の隣接する前記切断凹部の間に位置する部分の厚さが前記正極活物質の残りの部分の厚さよりも小さく、そして
前記絶縁接着剤は、前記正極活物質の隣接する前記切断凹部の間に位置する部分に塗布される、正極板。
【請求項4】
前記絶縁接着剤は、前記タブの一部を被覆するように前記タブに塗布される、請求項3に記載の正極板。
【請求項5】
前記絶縁接着剤の前記タブ上での延在長さは、2mm以下である、請求項4に記載の正極板。
【請求項6】
前記タブは、複数あり、複数の前記タブは、前記集電体の長さ方向に沿って、前記集電体の幅方向の少なくとも一側に間隔をあけて配置される、請求項に記載の正極板。
【請求項7】
前記絶縁接着剤は、ポリフッ化ビニリデン、スチレンブタジエンゴム、スチレン-イソプレン-スチレン及びポリアクリレートのうちの少なくとも一種である、請求項に記載の正極板。
【請求項8】
請求項3~7のいずれか一項に記載の正極板と、
負極板と、セパレータと、を含み、
前記セパレータは、前記負極板と前記正極板との間に位置する、電池。
【請求項9】
前記負極板は、負極活物質を有し、前記負極活物質の幅は、前記正極活物質の幅よりも大きく、前記負極活物質のエッジは、前記絶縁接着剤まで延在している、請求項8に記載の電池。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0048】
隣接する切断凹部140の間の部分の正極活物質200のみに絶縁接着剤300を塗布し、即ち、正極板の正極活物質200の残りの部分に絶縁接着剤300を塗布していないため、正極板の正極活物質200の残りの部分は、いずれも負極板2と電気的に導通することができ、それにより電池3のエネルギー密度がより高い。
【国際調査報告】