IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ グーグル インコーポレイテッドの特許一覧

特表2024-523090MEMSミラーの能動音響リップルキャンセル
<>
  • 特表-MEMSミラーの能動音響リップルキャンセル 図1
  • 特表-MEMSミラーの能動音響リップルキャンセル 図2
  • 特表-MEMSミラーの能動音響リップルキャンセル 図3
  • 特表-MEMSミラーの能動音響リップルキャンセル 図4
  • 特表-MEMSミラーの能動音響リップルキャンセル 図5
  • 特表-MEMSミラーの能動音響リップルキャンセル 図6
  • 特表-MEMSミラーの能動音響リップルキャンセル 図7
  • 特表-MEMSミラーの能動音響リップルキャンセル 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】MEMSミラーの能動音響リップルキャンセル
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/64 20060101AFI20240621BHJP
   G02B 26/10 20060101ALI20240621BHJP
   G02B 26/08 20060101ALI20240621BHJP
   G02B 27/02 20060101ALI20240621BHJP
   G10K 15/04 20060101ALI20240621BHJP
   H04R 17/02 20060101ALN20240621BHJP
【FI】
H04N5/64 511A
G02B26/10 104Z
G02B26/08 E
G02B27/02 Z
G10K15/04 302Z
H04R17/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561193
(86)(22)【出願日】2023-01-17
(85)【翻訳文提出日】2023-10-04
(86)【国際出願番号】 US2023010904
(87)【国際公開番号】W WO2023177472
(87)【国際公開日】2023-09-21
(31)【優先権主張番号】17/694,845
(32)【優先日】2022-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502208397
【氏名又は名称】グーグル エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Google LLC
【住所又は居所原語表記】1600 Amphitheatre Parkway 94043 Mountain View, CA U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク,サンタク
(72)【発明者】
【氏名】デロッシュ,アイザック・ジェームズ
【テーマコード(参考)】
2H045
2H141
2H199
5D004
【Fターム(参考)】
2H045AB01
2H045BA12
2H045BA24
2H045DA11
2H141MA12
2H141MB24
2H141MC07
2H141MD12
2H141MD20
2H141MD35
2H141ME01
2H141ME06
2H141ME13
2H141ME25
2H141MG04
2H141MG06
2H141MZ06
2H141MZ12
2H141MZ16
2H199CA02
2H199CA12
2H199CA34
2H199CA42
2H199CA44
2H199CA53
2H199CA58
2H199CA59
2H199CA66
2H199CA67
2H199CA68
2H199CA92
2H199CA93
2H199CA94
2H199CA95
5D004DD03
(57)【要約】
システム、デバイス、および方法は、レーザ投影システム等のディスプレイシステムにおける歪みパターン(1つ以上の大音量の音源によって引き起こされるもの等)を軽減または排除する。ディスプレイシステムの光学反射体の1つ以上の共振周波数に対応する入力音の周波数成分は、定義された音量閾値を超えていると判断される。その判断に応じて、光学反射体の1つ以上の調和運動の大きさおよび位相のうちの一方または両方が測定される。音波は、光学反射体の共振周波数に対応する少なくとも1つの周波数成分と破壊的に干渉するように生成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
ディスプレイコントローラによって、かつ前記ディスプレイコントローラに通信可能に結合された1つ以上のマイクロフォンを介して、入力音の1つ以上の周波数成分が定義された音量閾値を超えていると判断することを備え、
前記1つ以上の周波数成分は、前記ディスプレイコントローラに通信可能に結合された光学反射体の1つ以上の共振周波数に対応し、
前記方法は、
前記判断に応じて、前記光学反射体の1つ以上の調和運動の大きさおよび位相のうちの一方または両方を測定することと、
前記1つ以上の周波数成分のうちの少なくとも1つの周波数成分と破壊的に干渉する音波を生成することとをさらに備える、方法。
【請求項2】
前記音波を生成することは、前記1つ以上の調和運動の前記測定された大きさおよび前記測定された位相のうちの一方または両方に少なくとも部分的に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ以上の周波数成分の前記大きさおよび前記位相のうちの一方または両方を測定することは、前記光学反射体の1つ以上の特性を決定することを含み、
前記1つ以上の特性は、前記光学反射体の回転位置、前記光学反射体の角変位、または前記光学反射体の角度を含むグループのうちの少なくとも1つを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記大きさおよび前記位相のうちの一方または両方を測定することは、前記光学反射体のロータと前記光学反射体の第1のステータとの間の静電容量の差、および、前記ロータと前記光学反射体の第2のステータとの間の静電容量の差に少なくとも部分的に基づく、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記光学反射体の前記1つ以上の調和運動の前記大きさおよび前記位相のうちの一方または両方を測定することは、前記1つ以上の共振周波数における前記調和運動の前記大きさおよび前記位相のうちの一方または両方を測定することを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記光学反射体は、微小電気機械システム(micro-electromechanical system:MEMS)ベースの走査ミラーを備える、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記光学反射体の前記1つ以上の共振周波数のうちの少なくとも1つは、600~660Hzの周波数範囲内にある、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記音波を生成することは、前記ディスプレイコントローラに通信可能に結合された1つ以上のオーディオスピーカを介して実行され、
動作中、前記1つ以上のオーディオスピーカは、ユーザ通信および/またはユーザメディア消費のために使用される、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記音波を生成することは、前記光学反射体の前記1つ以上の調和運動の前記測定された大きさおよび前記測定された位相のうちの一方または両方に少なくとも部分的に基づく、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
動作中、前記1つ以上のマイクロフォンは、ユーザ通信のために使用される、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
方法であって、
ディスプレイデバイスにおいて受信された音の1つ以上の周波数成分が、定義された音量閾値を超え、かつ、前記ディスプレイデバイスの光学反射体の1つ以上の共振周波数に対応すると判断したことに応じて、前記光学反射体の1つ以上の調和運動の大きさおよび位相のうちの一方または両方を測定することと、
前記測定することに少なくとも部分的に基づいて、前記1つ以上の周波数成分のうちの少なくとも1つの周波数成分と破壊的に干渉する音波を生成することとを備える、方法。
【請求項12】
ディスプレイシステムは、
光学反射体と、
前記光学反射体および1つ以上のマイクロフォンに通信可能に結合されたディスプレイコントローラとを備え、
前記ディスプレイコントローラは、請求項1から11のいずれかに記載の前記方法を実行するように構成される、ディスプレイシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
ウェアラブル電子アイウェアデバイスは、ユーザの視野(field of view:FOV)(ユーザの「アイボックス(eye box)」とも呼ばれる)に仮想画像を供給する光学系を含む。デバイスはまた、ユーザがレンズまたはシースルーアイピースを通して外界を見ることを可能にする。いくつかのウェアラブル電子アイウェアデバイスは、ユーザにコンテンツを表示するために、接眼光学系(near-to-eye optical system)を組み込む。これらのデバイスは、ヘッドマウントディスプレイ(head-mounted display:HMD)またはニアアイディスプレイ(near-eye display:NED)と呼ばれることがある。例えば、従来のHMDデバイス設計は、従来の眼鏡のような頭部装着型フレームのテンプルまたはリム領域に配置されたマイクロディスプレイ(「ディスプレイ」)を含む。ディスプレイは、頭部装着型フレームのレンズ(または「光学コンバイナ」)内に展開される、1つ以上の光学反射体(例えば、1つ以上の微小電気機械システム(micro-electromechanical system:MEMS)ベースの走査ミラー)、1つ以上のライトガイドまたは導波路、等の光学要素によってユーザのFOVに伝達される、コンピュータ生成画像(computer-generated images:CGI)等の画像を生成する。したがって、ウェアラブル電子アイウェアデバイスは、拡張現実(augmented reality:AR)、複合現実(mixed reality:MR)、または両方を実装するためのハードウェアプラットフォームとしての役割を果たすことができる。拡張現実の異なるモードは、光学シースルー拡張現実、ビデオシースルー拡張現実、または不透明(VR)モードを含む。
【0002】
しかしながら、上記で説明されるもの等の光学系の構成要素(準静的MEMSミラーおよび/または他のMEMSミラー等)は、ディスプレイ出力に悪影響を及ぼし得る、内部および外部の外乱からの振動に敏感である。
【発明の概要】
【0003】
特定の実施形態の概要
本明細書では、レーザ投影システム(laser projection system:LPS)またはレーザビーム走査(laser beam scanning:LBS)システム等のディスプレイシステムにおける歪みパターン(1つ以上の大音量の音源によって引き起こされるもの等)を軽減または排除するための実施形態が説明される。ディスプレイシステムの光学反射体の1つ以上の共振周波数に対応する入力音の周波数成分は、定義された音量閾値を超えていると判断される。その判断に応じて、光学反射体の1つ以上の調和運動の大きさおよび位相が測定される。音波は、光学反射体の共振周波数に対応する少なくとも1つの周波数成分と破壊的に干渉するように生成される。
【0004】
ある実施形態では、方法は、ディスプレイコントローラによって、かつディスプレイコントローラに通信可能に結合された1つ以上のマイクロフォンを介して、入力音の1つ以上の周波数成分が定義された音量閾値を超えていると判断することを備えてもよい。1つ以上の周波数成分は、ディスプレイコントローラに通信可能に結合された光学反射体の1つ以上の共振周波数に対応する。当該方法は、その判断に応じて、光学反射体の調和運動の大きさおよび位相を測定することと、1つ以上の周波数成分のうちの少なくとも1つの周波数成分と破壊的に干渉する音波を生成することとをさらに備えてもよい。
【0005】
音波を生成することは、1つ以上の調和運動の測定された大きさおよび/または測定された位相に少なくとも部分的に基づいてもよい。
【0006】
1つ以上の周波数成分の大きさおよび位相を測定することは、光学反射体の1つ以上の特性を決定することを含んでもよい。1つ以上の特性は、光学反射体の回転位置、光学反射体の角変位、または光学反射体の角度を含むグループのうちの少なくとも1つを含む。
【0007】
大きさおよび位相を測定することは、光学反射体のロータと光学反射体の第1のステータとの間の静電容量の差、および、当該ロータと光学反射体の第2のステータとの間の静電容量の差に少なくとも部分的に基づいてもよい。
【0008】
音波を生成することは、光学反射体の1つ以上の調和運動の測定された大きさおよび位相に少なくとも部分的に基づいてもよい。
【0009】
光学反射体の1つ以上の調和運動の大きさおよび位相を測定することは、1つ以上の共振周波数における調和運動の大きさおよび位相を測定することを含んでもよい。
【0010】
光学反射体は、微小電気機械システム(MEMS)ベースの走査ミラーを備えてもよい。
【0011】
光学反射体の1つ以上の共振周波数のうちの少なくとも1つは、600~660Hzの周波数範囲内であってもよい。
【0012】
音波を生成することは、ディスプレイコントローラに通信可能に結合された1つ以上のオーディオスピーカを介して実行されてもよく、動作中、1つ以上のオーディオスピーカは、ユーザ通信および/またはユーザメディア消費のために使用されてもよい。
【0013】
動作中、1つ以上のマイクロフォンは、ユーザ通信のために使用されてもよい。
ある実施形態では、ディスプレイシステムは、光学反射体と、光学反射体および1つ以上のマイクロフォンに通信可能に結合されたディスプレイコントローラとを備えてもよい。その結果、ディスプレイコントローラは、1つ以上のマイクロフォンを介して、入力音の1つ以上の周波数成分が定義された音量閾値を超えていると判断し、1つ以上の周波数成分が定義された音量閾値を超えているとの判断に基づいて、光学反射体の1つ以上の調和運動の大きさおよび位相を測定し、1つ以上の調和運動の測定された大きさおよび/または位相に少なくとも部分的に基づいて、1つ以上の周波数成分のうちの少なくとも1つの周波数成分と破壊的に干渉する音波を生成するように構成される。1つ以上の周波数成分は、光学反射体の1つ以上の共振周波数に対応する。
【0014】
音波を生成することは、1つ以上の調和運動の測定された大きさおよび/または測定された位相に少なくとも部分的に基づいて音波を生成することを含んでもよい。
【0015】
1つ以上の周波数成分の大きさおよび位相を測定することは、光学反射体の1つ以上の特性を決定することを含んでもよい。1つ以上の特性は、光学反射体の回転位置、光学反射体の角変位、または光学反射体の角度を含むグループのうちの少なくとも1つを含む。
【0016】
大きさおよび位相を測定することは、光学反射体のロータと光学反射体の第1のステータとの間の静電容量の差、および、当該ロータと光学反射体の第2のステータとの間の静電容量の差に少なくとも部分的に基づいてもよい。
【0017】
音波を生成することは、光学反射体の1つ以上の調和運動の測定された大きさおよび位相に少なくとも部分的に基づいてもよい。
【0018】
光学反射体の1つ以上の調和運動の大きさおよび位相を測定することは、1つ以上の共振周波数における調和運動の大きさおよび位相を測定することを含んでもよい。
【0019】
光学反射体は、微小電気機械システム(MEMS)ベースの走査ミラーを備えてもよい。
【0020】
光学反射体の1つ以上の共振周波数のうちの少なくとも1つは、200~2000Hzの周波数範囲内であってもよい。
【0021】
音波を生成することは、ディスプレイコントローラに通信可能に結合された1つ以上のオーディオスピーカを介して音波を生成することを含んでもよい。その結果、動作中、1つ以上のオーディオスピーカは、ユーザ通信および/またはユーザメディア消費のために使用されてもよい。
【0022】
動作中であって、1つ以上のマイクロフォンは、ユーザ通信のために使用されてもよい。
【0023】
ある実施形態では、方法は、ディスプレイデバイスにおいて受信された音の1つ以上の周波数成分が、定義された音量閾値を超え、かつ、ディスプレイデバイスの光学反射体の1つ以上の共振周波数に対応すると判断したことに応じて、光学反射体の1つ以上の調和運動の大きさおよび位相を測定することと、当該測定に少なくとも部分的に基づいて、1つ以上の周波数成分のうちの少なくとも1つの周波数成分と破壊的に干渉する音波を生成することとを備えてもよい。
【0024】
ある実施形態では、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)デバイスは、光学反射体と、1つ以上のマイクロフォンと、1つ以上のオーディオスピーカと、ディスプレイコントローラとを備えてもよく、ディスプレイコントローラは、光学反射体と、1つ以上のマイクロフォンと、1つ以上のオーディオスピーカとに通信可能に結合される。ディスプレイコントローラは、1つ以上のマイクロフォンを介して、入力音の1つ以上の周波数成分が定義された音量閾値を超えると判断するように構成されてもよい。1つ以上の周波数成分は、光学反射体の1つ以上の共振周波数に対応する。ディスプレイコントローラは、光学反射体の1つ以上の調和運動の大きさおよび位相を測定し、1つ以上のオーディオスピーカを介して、1つ以上の周波数成分のうちの少なくとも1つの周波数成分と破壊的に干渉する音波を生成するように構成されてもよい。
【0025】
図面の簡単な説明
本開示は、添付の図面を参照することによって、よりよく理解され得、その多数の特徴および利点が当業者に明らかになる。異なる図面における同じ参照符号の使用は、類似または同一の項目を示す。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】いくつかの実施形態による、統合レーザ投影システムを有するディスプレイシステムを示す図である。
図2】いくつかの実施形態による、2つの走査ミラーの間に配置された光学リレーを含む光学スキャナを有するレーザ投影システムを示す図である。
図3】1つ以上の外部の大音量の音源の結果としてヘッドマウントディスプレイ上に現れ得る例示的な歪みパターンを示す図である。
図4】組み込みHMDデバイスに影響を及ぼす様々な大音量の音源に関連する準静的MEMSミラーの望ましくない変位パターンの固有値分析グラフ401を示す図である。
図5】いくつかの実施形態による、光を空間的に変調するためのディスプレイシステムの例示的な部分の概略図である。
図6】いくつかの実施形態による、光学反射体に関連する静電容量の一例を示す図である。
図7】いくつかの実施形態による、ディスプレイコントローラの動作ルーチンを示す図である。
図8】1つ以上の実施形態を実装するのに適したHMDコンピューティングシステムの一例を示すコンポーネントレベルのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図面において、同じ参照番号は、同様の要素または行為を識別する。図面における要素のサイズおよび相対位置は、必ずしも縮尺通りに描かれていない。例えば、様々な要素の形状および角度は、必ずしも縮尺通りに描かれておらず、これらの要素のいくつかは、図面の見易さを向上させるために任意に拡大および位置決めされている。さらに、描かれた要素の特定の形状は、必ずしも特定の要素の実際の形状に関するいかなる情報も伝えることを意図するものではなく、図面における認識を容易にするために単に選択されたものである。
【0028】
詳細な説明
レーザ走査プロジェクタに依拠するヘッドマウントディスプレイ(HMD)デバイスは、潜在的に、複数の実用的およびレジャー用途を有するが、そのようなウェアラブル電子アイウェアデバイスの開発および採用は、既存のアイウェアデバイスを実装するために使用される光学系の品質、コスト、サイズ、重量、厚さ、視野(FOV)、および効率によって課される制約によって制限されている。例えば、従来の設計の幾何学的および物理的制約は、ディスプレイの低いFOVにつながる。加えて、そのようなレーザ走査プロジェクタは、ディスプレイ出力に悪影響を及ぼし得る、内部および外部の外乱からの振動に敏感である。
【0029】
光学反射体(準静的MEMSミラーを利用する光学反射体等)のためのフィードバック制御は、多くの環境からのトランジェントおよび外乱によって引き起こされる特定のリップルを補正し得る。しかし、音響的および/または構造的結合を介して大音量の音によって引き起こされるリップルまたは他の歪み効果は、部分的には、光学反射体に関連する作動電圧および制御帯域幅に関する制限により、同様には補正され得ない。したがって、典型的なHMDデバイスは、ある歪み効果を補償することを可能にされ得るが、そのようなデバイスの視覚ディスプレイ構成要素は、依然として、大型エンジン、産業機器、およびコンサート会場等の大音量の音源によって影響され得る。これらの大音量の音源は、HMDデバイスの敏感なディスプレイ構成要素に影響を及ぼし、それによってユーザ体験に悪影響を及ぼす視覚的歪み効果を引き起こし得る。そのような視覚的歪み効果は、バンディング(banding)、色シフト、意図しない表示パターン等の1つ以上のインスタンスを含み得る。あるシナリオでは、これらの視覚的歪み効果は、レーザビーム走査(LBS)プロジェクタが1つ以上の大音量の音源に暴露されるときに、そのプロジェクタを介して投影される画像の一連の伸張および/または圧縮から生じ得る。
【0030】
例えば、ロックコンサートのオーディオスピーカの前で、または、ユーザの職場の騒音の大きい機械の前で、ARメガネを装着している間、大音量の音源にさらされるユーザは、1つ以上の光学反射体の走査方向におけるフレーム内の投影画像の一連の伸張および圧縮を経験する可能性がある。そのような状況では、オーディオスピーカ、または、騒音の大きい機械によって放出される大音量の音は、音響結合および/または構造的結合を介して、MEMSミラーのねじり運動および/または面外(ピストン)運動等に関して、準静的MEMSミラーの低周波共振モードを励起し得る。
【0031】
本明細書で説明されるシステムおよび方法は、概して、空間光変調器に関する。特に、本開示は、1つ以上の光学反射体を使用する空間光変調器を含むHMDデバイスの視覚的ディスプレイ要素に影響を及ぼす歪み効果(1つ以上の大音量の音源によって引き起こされるもの等)を軽減またはキャンセルするために、破壊的干渉を利用するための、能動リップルキャンセル(active ripple cancellation:ARC)方法およびシステムについて説明する。ディスプレイシステム内の光学反射体の共振周波数に対応する周波数成分等、入力音の1つ以上の共振周波数成分が定義された音量閾値を超えるとの判断に応じて、ARCシステムは、光学反射体の1つ以上の調和運動の大きさおよび位相を測定する。測定された大きさおよび/または位相に基づいて、ARCシステムは、共振周波数成分のうちの少なくとも1つと破壊的に干渉する音波を選択的に生成する。1つの非限定的な例として、いくつかの実施形態では、定義された音量閾値は、外部音源がそれを超えると光学反射体の1つ以上の望ましくない調和運動をもたらす可能性が高い閾値である。
【0032】
したがって、本明細書で説明される実施形態は、1つ以上のオーディオスピーカを使用して、入ってくる大音量の音と破壊的干渉を引き起こす音を生成する。破壊的干渉は、HMDデバイスの1つ以上の光学反射体(例えば、走査ミラー)のリップルおよび/または任意の関連するスプリアス運動をキャンセルするほどのものである。様々な実施形態では、そのような歪み効果を引き起こす可能性が高い典型的な大音量の音源は、100dBまでの音量で約600~660Hzで生じることが多い。対応する周波数帯域(再び約600~660Hz)の成分を有する任意の音の大きさおよび位相を測定することによって、本明細書で説明される技法の実施形態は、選択された閾値の大きさ(例えば、90dBまで、または、90dBを超える音量に相当する閾値の大きさ)を超える任意の信号に対する破壊的干渉の生成を開始する。
【0033】
ある実施形態では、空間光変調器で利用される1つ以上の光学反射体は、1つ以上のMEMSベースの走査ミラーを含む。ある実施形態では、光学反射体の位置属性は、光学反射体のロータの位置属性を含む。ある実施形態では、位置属性は、ロータの回転位置、ロータの角変位、および、光学反射体の内側ステータまたは外側ステータに対するロータの角度のうちの1つ以上を含む。
【0034】
光学反射体の位置属性を決定することは、光学反射体のいくつかの用途において重要になる。例えば、光学反射体がレーザ走査投影システムに実装される場合、光学反射体の位置属性は、画像を投影するために、または、投影画像の品質を最適化するために考慮される必要がある。
【0035】
ある実施形態では、走査レーザプロジェクタシステムは、ディスプレイ領域にわたって少なくとも1つのレーザビームを走査するための空間光変調器を備える。空間光変調器は、微小電気機械システム(MEMS)ベースの走査反射体(走査ミラーとも呼ばれる)等の1つ以上の光学反射体を備える。種々の実施形態では、空間光変調器は、水平走査ミラーおよび垂直走査ミラーを備える2つの光学反射体を含み、水平走査ミラーおよび垂直走査ミラーはそれぞれ、直交方向に走査して協働し、走査レーザプロジェクタシステムの出力を生成する。いくつかの実施形態では、水平走査ミラーは速軸ミラーであり、垂直走査ミラーは遅軸ミラーである。速軸ミラーは、準静的ミラーとも呼ばれ得る遅軸ミラーよりも高い周波数で動作(例えば、走査)する。ある実施形態では、遅軸ミラーは、その移動期間の大部分の間、ディスプレイ領域にわたって一方向に走査し、期間の残りの間、元の位置に迅速に戻るように動作させられる。他の例では、遅軸ミラーは、正弦関数または三角関数に従って振動する。さらに、「水平」および「垂直」の学術用語は、限定的ではない。速軸ミラーおよび遅軸ミラーは、2次元画像が投影されることを可能にする任意の適切な向きであり得る。
【0036】
一般に、遅軸ミラーの動作(例えば、走査動作)は、走査レーザプロジェクタシステムにおいて出力を生成するために速軸ミラーと同期される。ある実施形態では、遅軸ミラーの動作は、遅軸ミラーの位置属性を決定する(例えば、感知する)ことによって制御され、したがって、速軸ミラーと同期される。遅軸ミラーの位置属性は、遅軸ミラーの回転位置、角変位、または角度を含み得る。遅軸ミラーの位置属性を決定することによって、外乱を排除しながら、遅軸ミラーの角変位および速度を閉ループで制御し得る。加えて、光学反射体のそのような位置属性は、その光学反射体の望ましくない調和運動の大きさおよび位相の測定に利用され得、それらの望ましくない調和運動の(例えば、破壊的干渉を介した)能動的キャンセルを可能にする。それらの望ましくない調和運動は、そうでなければ、組み込まれたディスプレイシステムによって表示される歪みパターンを引き起こし得る。
【0037】
本開示のいくつかの実施形態は、ウェアラブルHMDデバイスの形態の特定の例示的なニアアイディスプレイシステムを参照して説明および図示されるが、本開示の装置および技法は、この特定の例に限定されないことを理解されたい。しかしながら、代わりに、1つ以上のMEMSミラーを利用する種々のディスプレイシステムまたは他のシステム(例えば、レーザ撮像、検出、および測距またはLIDARシステム)のうちのいずれかにおいて、本明細書に説明される技法を使用して実装されてもよい。同様に、本開示のいくつかの実施形態は、単純化の目的で、単一の単眼投影システムを利用するディスプレイシステムを参照して説明および図示されるが、本明細書で説明される技法を使用する付加的実施形態は、両眼ディスプレイシステムを含む、ディスプレイが複数のFOV領域にわたって形成されるもの等の複数のディスプレイ領域を用いて実装されてもよい。
【0038】
図1は、ユーザが投影された画像をレンズ要素108,110の一方または両方においてディスプレイの視野(FOV)領域106内に表示されるものとして知覚するように、ユーザの眼に向かって画像を投影するように構成されたレーザ投影システムを収容するアーム104を含む支持構造102を有する例示的なディスプレイシステム100を示す。図示の実施形態では、ディスプレイシステム100は、ユーザの頭部に装着されるように構成される支持構造102を含み、眼鏡(例えば、サングラス)フレームの一般的な形状および外観を有する、ウェアラブルHMDデバイスである。支持構造102は、レーザプロジェクタ、光学スキャナ、および導波路等、ユーザの眼へのそのような画像の投影を容易にするための種々の構成要素を内包するか、または別体に含む。ある実施形態では、支持構造102はさらに、ユーザ通信、メディア消費等のための1つ以上のオーディオ伝送設備(例えば、オーディオスピーカ)を含む。いくつかの実施形態では、支持構造102はさらに、1つ以上のマイクロフォン、前向きカメラ、後向きカメラ、他の光センサ、モーションセンサ、加速度計等の種々のセンサを含む。支持構造102はさらに、1つ以上の無線周波数(radio frequency:RF)インターフェース、または、Bluetooth(登録商標)インターフェース、WiFi(登録商標)インターフェース等の他の無線インターフェースを含むことができる。さらに、いくつかの実施形態では、支持構造102はさらに、ディスプレイシステム100の電気構成要素に電力を供給するための1つ以上のバッテリ、または、他の携帯用電源を含む。いくつかの実施形態では、ディスプレイシステム100のこれらの構成要素のうちのいくつかまたは全ては、支持構造102の領域112内のアーム104内等の支持構造102の内部容積内に完全にまたは部分的に含まれる。例示的形状要素が図示されるが、他の実施形態では、ディスプレイシステム100は、図1に図示される眼鏡フレームとは異なる形状および外観を有し得ることが理解されるであろうことに留意されたい。
【0039】
レンズ要素108,110の一方または両方は、レンダリングされたグラフィカルコンテンツがレンズ要素108,110を通してユーザによって知覚されるような実世界ビューの上に重ね合わせられることができるか、または、そうでなければ、それと併せて提供されることができる拡張現実(AR)ディスプレイを提供するために、ディスプレイシステム100によって使用される。例えば、知覚可能な画像または一連の画像を形成するために使用されるレーザ光は、ディスプレイシステム100のレーザプロジェクタによって、対応するレンズ要素内に少なくとも部分的に形成される導波路、1つ以上の走査ミラー、および1つ以上の光学リレー等の一連の光学要素を介して、ユーザの眼に投影されてもよい。したがって、レンズ要素108,110の一方または両方は、導波路のインカプラによって受け取られた表示光を導波路のアウトカプラに送り、ディスプレイシステム100のユーザの眼に向けて表示光を出力する導波路の少なくとも一部を含む。表示光は、ユーザが表示光を画像として知覚するように変調され、ユーザの眼に走査される。加えて、レンズ要素108,110の各々は、ユーザがレンズ要素を通して見てユーザの実世界環境の視野を提供することを可能にするのに充分に透明であり、その結果、画像は、実世界環境の少なくとも一部に重ね合わされて見える。
【0040】
いくつかの実施形態では、プロジェクタは、デジタル光処理ベースのプロジェクタ、走査レーザプロジェクタ、または、レーザもしくは1つ以上のLED等の変調光源と、1つ以上の動的スキャナまたはデジタル光プロセッサ等の動的反射体機構との任意の組み合わせである。いくつかの実施形態では、プロジェクタは、複数のレーザダイオード(例えば、赤色レーザダイオード、緑色レーザダイオード、および/または青色レーザダイオード)、および、少なくとも1つの走査ミラー(例えば、微小電気機械システム(MEMS)ベース、ボイスコイルベース、またはピエゾベースであり得る2つの1次元走査ミラー)を含む。プロジェクタは、コントローラ(図示せず)と、コントローラによって実行されると、コントローラにプロジェクタの動作を制御させるプロセッサ実行可能命令および他のデータを記憶する非一時的プロセッサ可読記憶媒体またはメモリと、に通信可能に結合される。いくつかの実施形態では、コントローラは、プロジェクタの走査領域サイズおよび走査領域位置を制御し、ディスプレイシステム100で表示されるコンテンツを生成するプロセッサ(図示せず)に通信可能に結合される。プロジェクタは、可変領域、すなわち、ディスプレイシステム100の指定されたFOV領域106にわたって光を走査する。走査領域サイズは、FOV領域106のサイズに対応し、走査領域位置は、FOV領域106がユーザに見えるレンズ要素108,110の一方の領域に対応する。概して、広範囲の角度にわたる光の外部結合に適応するように、ディスプレイが広いFOVを有することが望ましい。本明細書では、ディスプレイを見ることができるであろう異なるユーザの眼の位置の範囲は、ディスプレイのアイボックスと呼ばれる。
【0041】
いくつかの実施形態では、プロジェクタは、第1および第2の走査ミラーと、第1および第2の走査ミラー間に配置された光学リレーと、第2の走査ミラーの出力に配置された導波路とを介して光を送る。いくつかの実施形態では、導波路のアウトカプラの少なくとも一部分は、FOV領域106と重なり得る。これらの態様は、以下でより詳細に説明される。
【0042】
図2は、レーザ光を介してユーザの眼に直接画像を投影するレーザ投影システム200の簡略ブロック図を示す。レーザ投影システム200は、光学エンジン202と、光学スキャナ204と、光学エンジン202と光学スキャナ204との両方、並びに、オーディオスピーカ235とマイクロフォン230とに通信可能に結合されたコントローラ215と、導波路205とを含む。光学スキャナ204は、第1の走査ミラー206と、第2の走査ミラー208と、光学リレー210とを含む。導波路205は、インカプラ212およびアウトカプラ214を含み、アウトカプラ214は、この例では、ユーザの眼216と光学的に位置合わせされる。いくつかの実施形態では、レーザ投影システム200は、図1のディスプレイシステム100等のHMDデバイスまたは他のディスプレイシステムに実装される。
【0043】
光学エンジン202は、レーザ光218(例えば、赤色、青色、および緑色レーザ光等の可視レーザ光、および/または、赤外レーザ光等の非可視レーザ光)を生成し出力するように構成される1つ以上のレーザ光源を含む。光学エンジン202は、コントローラ215に結合される。コントローラ215は、コントローラ215のプロセッサによって受信された命令に従って光学エンジン202のレーザ光源からのレーザ光の放出のタイミングを制御し、ユーザの眼216の網膜に出力されるときに画像として知覚されるようにレーザ光218を変調する。コントローラ215はまた、走査ミラー206および/または208の作動および振動の1つ以上の態様を制御するため等に、光学スキャナ204に通信可能に結合される。
【0044】
レーザ投影システム200の動作中、それぞれ異なる波長を有する複数のレーザ光ビームが、光学エンジン202のレーザ光源によって出力され、次いで、ビーム結合器(図示せず)を介して結合され、その後、ユーザの眼216に向けられる。光学エンジン202は、合成レーザ光が画像の一連のピクセルを反射するようにレーザ光ビームのそれぞれの強度を変調し、任意の所与の時点における各レーザ光ビームの特定の強度は、その時点における合成レーザ光によって表されるピクセルにおける対応する色成分および輝度の量に寄与する。
【0045】
ある実施形態では、光学スキャナ204の走査ミラー206および208の一方または両方はMEMSミラーである。例えば、走査ミラー206および走査ミラー208は、それぞれの作動電圧によって駆動されてレーザ投影システム200のアクティブ動作中に振動し、走査ミラー206および208にレーザ光218を走査させるMEMSミラーである。走査ミラー206の振動は、光学エンジン202によって出力されたレーザ光218を、光学リレー210を通して、第2の走査ミラー208の表面にわたって走査させる。第2の走査ミラー208は、走査ミラー206から受け取ったレーザ光218を導波路205のインカプラ212に向けて走査する。いくつかの実施形態では、走査ミラー206は、レーザ光218が第2の走査ミラー208の表面にわたって、ただ1つの次元で(すなわち、ラインで)走査されるように、振動するか、または、そうでなければ第1の軸219の周りで回転する。いくつかの実施形態では、走査ミラー208は、振動するか、または、そうでなければ第2の軸221の周りで回転する。いくつかの実施形態では、第1の軸219は、第2の軸221に対して傾斜している。
【0046】
いくつかの実施形態では、インカプラ212は、実質的に長方形の外形を有し、レーザ光218を受け取り、レーザ光218を導波路205に向けるように構成される。インカプラ212は、より小さい寸法(すなわち、幅)、および、より大きい直交寸法(すなわち、長さ)によって画定される。一実施形態では、光学リレー210は、第1の走査ミラー206によって第1の次元(例えば、インカプラ212の小さい寸法に対応する第1の次元)に走査されたレーザ光218を受け取り、レーザ光218を第2の走査ミラー208に送り、第1の次元におけるレーザ光218への収束(例えば、コリメーションを介して)を、第2の走査ミラー208を越えて光学リレー210の射出瞳面に導くライン走査光学リレーである。ここで、光学系における「射出瞳面」とは、光が光学系から射出される前に仮想絞りに収束する光路上の位置を指す。例えば、レーザ光218の可能な光路は、第1の走査ミラー206による反射に続いて、最初に第1の走査軸に沿って広がるが、その後、これらの光路は、光学リレー210によって導かれる収束に起因して、第2の走査ミラー208を越えて射出瞳で交差する。例えば、所与の射出瞳の幅(すなわち、最小寸法)は、その射出瞳に対応するレーザ光の直径にほぼ対応する。したがって、射出瞳は「仮想絞り」と考えることができる。いくつかの実施形態では、光学リレー210の射出瞳面は、インカプラ212と一致する。いくつかの実施形態では、光学リレー210の入射瞳面は、第1の走査ミラー206と一致する。
【0047】
様々な実施形態によれば、光学リレー210は、レーザ光218を成形して第2の走査ミラー208上に向ける1つ以上の球面レンズ、非球面レンズ、放物面レンズ、または自由曲面レンズを含み、かつ/または、限定はしないが、レーザ光218を成形し、第2の走査ミラー208上に向ける球面レンズ、非球面レンズ、放物面レンズ、自由曲面レンズ、または反射体(本明細書では「反射面」と呼ばれることもある)を含む2つ以上の光学表面を含む成形反射リレーを含む。第2の走査ミラー208は、レーザ光218を受け取り、レーザ光218を第2の次元に走査する。第2の次元は、導波路205のインカプラ212の長い寸法に対応する。いくつかの実施形態では、第2の走査ミラー208は、レーザ光218の射出瞳を第2の次元に沿った線に沿って掃引させる。いくつかの実施形態では、インカプラ212は、第2の走査ミラー208がインカプラ212上のラインまたは列としてレーザ光218を走査するように、第2の走査ミラー208の下流の掃引ラインまたはその近くに配置される。
【0048】
いくつかの実施形態では、光学エンジン202は、実質的に楕円形の非円形断面を有するレーザ光218を放出する、端面発光レーザ(edge-emitting laser:EEL)等のレーザエミッタを含む。光学リレー210は、第1の方向(例えば、レーザ光218のビーム外形の長半径)および第2の方向(例えば、レーザ光218のビーム外形の短半径)の一方または両方に沿ってレーザ光218を拡大または最小化して、レーザ光218が第2の走査ミラー208上に収束する前にレーザ光218を円形化する。いくつかのそのような実施形態では、第1の走査ミラー206のミラープレートの表面は、楕円形かつ非円形(例えば、レーザ光218の断面積と同様の形状およびサイズ)である。他のそのような実施形態では、第1の走査ミラー206のミラープレートの表面は円形である。
【0049】
レーザ投影システム200の導波路205は、インカプラ212およびアウトカプラ214を含む。本明細書で使用する「導波路」という用語は、インカプラ(インカプラ212等)からアウトカプラ(アウトカプラ214等)に光を伝達するために、全内部反射(total internal reflection:TIR)、専用フィルタ、および/または反射面のうちの1つ以上を使用するコンバイナを意味すると理解されるであろう。いくつかのディスプレイ用途では、光は、コリメートされた画像であり、導波路は、コリメートされた画像を眼に転送および複製する。一般に、「インカプラ」および「アウトカプラ」という用語は、回折格子、ホログラム、ホログラフィック光学素子(例えば、1つ以上のホログラムを使用する光学素子)、体積回折格子、体積ホログラム、表面レリーフ回折格子、および/または表面レリーフホログラムを含むがこれらに限定されない任意のタイプの光学格子構造を指すと理解されるであろう。いくつかの実施形態では、所与のインカプラまたはアウトカプラは、インカプラまたはアウトカプラに光を透過させ、透過中に光に設計された光学機能を適用することができる透過型格子(例えば、透過型回折格子または透過型ホログラフィック格子)として構成される。いくつかの実施形態では、所与のインカプラまたはアウトカプラは、インカプラまたはアウトカプラに光を反射させ、反射中に光に設計された光学機能を適用させる反射型格子(例えば、反射型回折格子または反射型ホログラフィック格子)である。本実施例では、インカプラ212で受信されたレーザ光218は、TIRを使用して導波路205を介してアウトカプラ214に伝播される。次いで、レーザ光218は、アウトカプラ214を介してユーザの眼216に出力される。前述のように、いくつかの実施形態では、導波路205は、眼鏡形状要素を有し、レーザ投影システム200を採用するディスプレイシステムのレンズ108またはレンズ110(図1)等の眼鏡レンズの一部として実装される。
【0050】
図2の例には示されていないが、いくつかの実施形態では、光学エンジン202と走査ミラー206との間、走査ミラー206と光学リレー210との間、光学リレー210と走査ミラー208との間、走査ミラー208とインカプラ212との間、インカプラ212とアウトカプラ214との間、および/またはアウトカプラ214と眼216との間(例えば、ユーザの眼216によって視認されるためにレーザ光を成形するため)の光路のいずれかに追加の光学構成要素が含まれる。例えば、いくつかの実施形態では、プリズムが、光が、TIRによる導波路205内の光の伝播を促進するために適切な角度でインカプラ212の中に結合されるように、光を走査ミラー208からインカプラ212の中へ誘導するために使用される。別の実施例として、いくつかの実施形態では、折り畳み格子(fold grating)等の射出瞳エキスパンダが、インカプラ212によって導波路205の中に結合される光を受け取って、光を拡張し、光をアウトカプラ214に向けて再指向するために、インカプラ212とアウトカプラ214との間の中間段階に配置されてもよい。次いで、アウトカプラ214は、レーザ光を導波路205から(例えば、ユーザの眼216に向けて)結合する。
【0051】
図2の例示的な実施形態では、単一のマイクロフォンおよび単一のオーディオスピーカによってそれぞれ表されているが、本明細書におけるマイクロフォン230および/またはオーディオスピーカ235への言及は、様々な実施形態では、1つ以上の個々のそのような構成要素を指すことがある。例えば、ある実施形態では、マイクロフォン230は、各々が複数のそのようなセンサを含む1つ以上のマイクロフォンアレイを備え得る。同様に、種々の実施形態では、オーディオスピーカ235は、種々の望ましいメディア構成(例えば、ステレオ構成、サラウンドサウンド構成、コンサートおよび/またはスタジアム構成、あるいは、1つ以上のオーディオ、音楽、および/または劇場業界規格に準拠することが意図されるものを含む任意の他の配置)を再現するために使用することが意図されるもの等、複数のオーディオスピーカの1つ以上の配列を備え得る。少なくともいくつかの実施形態では、追加のオーディオまたは他のセンサをサイズおよび重量に敏感なHMDデバイスパッケージに組み込むことの潜在的にネガティブな設計含意を回避するために、ARC機能が、例えば、ユーザ通信、メディア消費等のためにHMDデバイスによってすでに組み込まれている1つ以上のマイクロフォンおよび/またはオーディオスピーカを使用して、HMDデバイス内の1つ以上のMEMSミラー(例えば、準静的MEMSミラー)に提供され得る。例えば、図2の実施形態に関して、マイクロフォン230およびオーディオスピーカ235は、本明細書で説明される様々なARC技法に関連する測定および破壊的干渉設備のために排他的に使用され得ないが、レーザ投影システム200を組み込むHMDデバイスの動作中のユーザ通信およびメディア消費のためにも使用され得る。しかしながら、ある実施形態では(例えば、大音量のサウンド環境における定期的な使用を意図したもの等)、ARC動作における排他的または主要な使用を意図した1つ以上のマイクロフォンおよび/またはオーディオスピーカ等、専用のコンポーネントを利用できることが理解されたい。
【0052】
図3は、HMDデバイスのディスプレイ上に現れ得る例示的なリップルまたはバンディング歪みパターンを示す。リップルまたはバンディング歪みパターンは、HMDデバイスの光学反射体の望ましくない調和運動を引き起こす1つ以上の大音量の音源の結果等である。特に、バンディング歪みパターン301およびリップル歪みパターン303はそれぞれ、HMDデバイスが1つ以上のそのような大音量の音源にさらされるときにHMDデバイスによって表示され得る望ましくないアーチファクトの例である。明確にする目的であるが、ソリッドカラー画像が走査レーザプロジェクタによって提供されるFOV(例えば、図1のFOV領域106)にわたって投影されるときに現れ得るような歪みパターン301および303がここでは分離して描写されることを理解されたい。様々なシナリオでは、そのような歪みパターンは、1つ以上の画像および/またはビデオフレームとともに表示され得る。
【0053】
図4は、組み込みHMDデバイスに影響を及ぼす様々な大音量の音源に関連する準静的MEMSミラーの望ましくない調和運動の固有値分析グラフ401を示す。描写された固有値周波数分析のために、変位振動の形態の調和運動は、光学反射体(例えば、図2の走査ミラー206および208、ならびに/または、図5の光学反射体515)として対象のMEMSミラーを組み込む走査レーザプロジェクタを使用して、レーザドップラ振動計(laser Doppler vibrometer:LDV)によって測定された。分析グラフ401に見られるように、光学反射体の測定された調和運動は、655Hzの周波数でのねじり変位に対応する第1のピーク410と、2.590kHzの周波数での面外曲げに対応する第2のピーク415とを有する。それらの周波数における光学反射体の調和運動の測定された大きさおよび位相に基づいて、光学反射体に通信可能に結合されたコントローラは、組み込みHMDデバイスの1つ以上のオーディオスピーカを介して破壊的干渉を選択的に生成し、それによって、そうでなければ、入力される大音量のオーディオ信号の結果としてHMDデバイスのディスプレイ上に現れるであろういかなる歪みパターン(図3の歪みパターン301および303に類似するもの等)も軽減し、排除し、および/または回避する。
【0054】
一般的に、位置感知デバイス(position sensing device:PSD)は、ミラー(例えば、遅軸ミラー)の角度または角変位を光学的に測定するために使用されることができる。しかしながら、そのようなPSDは、比較的大きい形状要素を有する可能性があり、高い電力消費とも関連付けられる可能性がある。そのようなPSDは、小型で低消費電力が望ましいHMD用途に適さない可能性がある。例えば、PSDを採用することは、限定はされないがHMDデバイス等のウェアラブルには適さないことがある。したがって、ある実施形態では、別個の光学PSDの必要性を除去するために、角度感知回路が利用されてもよく、これにより、光学反射体を組み込み得るデバイスまたはシステムのサイズ、重量、または電力消費の節約を提供してもよい。
【0055】
図5は、1つ以上の実施形態による、光を空間的に変調するための例示的システム500の概略図を示す。システム500は、光学反射体505(これは、図2の走査ミラー206および208のうちの1つの実装形態であり得る)およびコントローラ510(これは、図2のコントローラ215の実装形態であり得る)を備える。光学反射体505は、ロータ520と、内側ステータ525(以下、ステータ525と呼ぶ)と、外側ステータ530(以下、ステータ530と呼ぶ)とを備える。ある実施形態では、内側ステータ525は第1のステータと呼ばれることもあり、外側ステータ530は第2のステータと呼ばれることもある。図5は、2つの内側ステータ525および2つの外側ステータ530を示しているが、光学反射体505は、ステータおよびロータの他の配置、または、異なる数のステータを備え得ることが考えられる。ある実施形態では、光学反射体505は、1つのロータと、1つの内側ステータと、1つの外側ステータとを備えてもよい。
【0056】
ロータ520は、ミラー515を含む。ある実施形態では、ミラー515は、限定されないが、アルミニウム(Al)コーティング等の金属コーティングを備える。ロータ520およびステータ525,530は、協働して光学反射体505のためのアクチュエータを形成する。
【0057】
ロータ520は、その軸を中心に回転または振動し、したがって、ステータ525に対してミラー515を回転または振動させる。ロータ520、したがってミラー515は、一対のトーションバー545を通してその軸550を中心に回転または振動する。ある実施形態では、トーションバー545は、トーションヒンジを含む。
【0058】
ある実施形態では、ロータ520は櫛形ロータであり、ステータ525、530は櫛形ステータである。櫛形ロータ520は、外側に突出する構造535を有する。いくつかの実施形態では、構造535は、櫛形ステータ525および/または櫛形ステータ530の突出する構造540と嵌合する。構造535は、ステータ525および530の突出する構造540に向かって突出する。構造535は、ロータコーム535と呼ばれ、構造540は、ステータコーム540と呼ばれる。ロータコーム535は、ステータコーム540と噛み合って、光学反射体505のための静電作動機構を提供するコームドライブを形成する。
【0059】
図5の図示された実施形態では、システム500の上面図または透視図が示されている。この見方から、ロータ520、ならびに、ステータ525および530は、ロータ520がその中立位置にあるとき(例えば、ロータ520がその静止位置にあるとき)に平面を画定する。ある実施形態では、ステータ525のステータコーム540は、ステータ530のステータコーム540から面外方向にオフセットされる。さらに、ロータ520のロータコーム535は、ステータ525および530のコームに対して面外方向に様々にオフセットされる。図5において、ダッシュは、図5に示される上から見た図においてページの中へさらに入るか、または観察者からさらに離れるコーム(歯とも呼ばれる)を示すために使用される。実線で示されるコームは、図5に示される上から見た図において観察者により近い。コームのこれらの相対位置は、ロータ520がその中立または静止位置にあるときのコームの相対位置を記述する。いくつかの実施形態では、そのような中立または静止位置は、ロータ520とステータ525,530との間に電位が印加されないときのステータ525,530に対するロータ520の位置である。
【0060】
さらに、ロータ520およびステータ525および530のコームの相対位置は、ロータ520とステータ525との間に形成された静電アクチュエータが、回転の軸550の周りで第1の方向にロータ520を回転または偏向することを可能にし、ロータ520とステータ530との間に形成された静電アクチュエータが、回転の軸550の周りで第1の方向とは反対の第2の方向にロータ520を回転または偏向することを可能にする。言い換えれば、ロータ520とステータ525との間に電圧を印加すると、ロータ520およびステータ525のコームが互いに向かって引き付けられ、それによって、ロータ520が軸550を中心に第1の方向に回転または偏向する。この移動または偏向はまた、ロータ520のコームとステータ530のコームとの間の距離または間隔を増加させ、ロータ520とステータ530との間の表面積を減少させる。したがって、第1の方向へのロータ520の偏向または回転は、ロータ520とステータ525との間の静電容量の増加を引き起こすが、ロータ520とステータ530との間の静電容量は減少する。
【0061】
同様に、ロータ520とステータ530との間に電圧を印加すると、ロータ520およびステータ530のコームが互いに向かって引き付けられ、それによってロータ520が軸550を中心に第2の方向に回転または偏向する。この移動または偏向はまた、ロータ520のコームとステータ525のコームとの間の距離または間隔を増加させ、ロータ520とステータ525との間の表面積を減少させる。したがって、第2の方向へのロータ520の偏向または回転は、ロータ520とステータ530との間の静電容量の増加を引き起こすが、ロータ520とステータ525との間の静電容量は減少する。さらに、ロータ520は軸550の周りで振動し、軸550の周りで360度自由に回転できない可能性があるので、回転の軸550はまた、振動の軸550として説明され得る。
【0062】
ロータ520およびステータ525,530は、図5ではそれぞれ櫛形ロータおよび櫛形ステータとして示されている。ある実施形態では、ロータ520およびステータ525,530は、他の形状を有してもよいことを理解されたい。
【0063】
動作について、光学反射体505は、ステータに対するロータの回転を引き起こす電気信号によって駆動される。
【0064】
ある実施形態では、光学反射体505の作動原理は静電気であり、その結果、ロータ520とステータ525との間、または、ロータ520とステータ530との間に電位差がかかる。上述のように、ロータ520とステータ525との間にかかる電位差は、第1の方向におけるロータの移動(例えば、振動)を引き起こす。ロータ520とステータ530との間にかかる電位差は、第1の方向と反対の第2の方向におけるロータの移動(例えば、振動)を引き起こす。
【0065】
例えば、電圧は、ロータコーム535と(ステータ525またはステータ530の)ステータコーム540との間に印加され得る。この状態では、ロータコーム535および対応するステータコーム540が互いに噛み合う。印加された電圧は、ロータ520をステータ525またはステータ530に引き付け、ミラー515を傾ける。言い換えれば、ロータ520とステータ525またはステータ530との間に電圧が印加されると、静電場からトルクが発生し、静電トルクがトーションバー545の復元力学的トルクと釣り合うまで、または、駆動電圧がオフになるか反転されるまで、ロータ520をトーションバー545を中心にステータ525またはステータ530に向かって、またはそれらから遠ざかる方向に回転させる。
【0066】
加えて、システム500は、光学反射体505と通信するコントローラ510を含む。コントローラ510は、光学反射体505を制御する。ある実施形態では、コントローラ510は、作動信号を光学反射体505に提供することによって光学反射体を駆動する。さらに、コントローラ510は、光学反射体505の位置属性を決定する。また、システム500は、限定されないが、走査レーザプロジェクタ等の走査または画像投影システムに組み込まれるか、またはそれを形成し、コントローラ510は、光学反射体505の位置属性に基づいて、光学反射体505を使用して投影される画像の投影を修正する。
【0067】
本明細書の他の場所で説明されるように、ある実施形態では、システム500は、MEMSベースのシステムとして実装される。例えば、光学反射体505は、いくつかの実施形態では、MEMSベースの光学反射体を含む。ある実施形態では、光学反射体505は、走査レーザプロジェクタの遅軸ミラー(垂直走査ミラー)として実装される。
【0068】
ある実施形態では、本明細書に記載のコントローラ(例えば、図5のコントローラ510または図2のコントローラ215)は、少なくとも1つの非一時的プロセッサ可読媒体と通信する少なくとも1つのプロセッサを含む。プロセッサ可読媒体は、本明細書で説明される方法およびシステムに関連して説明されるように、プロセッサに光学反射体505を制御させるための命令を含む。さらに、ある実施形態では、コントローラは、自立型構成要素であるが、他の実施例では、コントローラは、それらのそれぞれのシステムの他の構成要素に組み込まれる機能モジュールである。加えて、コントローラは、光学反射体505を制御するための回路および構成要素を含む。例えば、コントローラ510は、他の機能の中でも、光学反射体505を駆動し、光学反射体505の位置属性を決定するための回路および構成要素を含む。
【0069】
さらに、ある実施形態では、コントローラまたはそれらの機能性は、他の方法で実装される。例えば、コントローラまたはそれらの機能性は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)を介して、標準的な集積回路において、1つ以上のコンピュータによって実行される1つ以上のコンピュータプログラムとして(例えば、1つ以上のコンピュータシステム上で実行される1つ以上のプログラムとして)、1つ以上のコントローラ(例えば、マイクロコントローラ)によって実行される1つ以上のプログラムとして、1つ以上のプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ、中央処理装置、グラフィック処理装置)によって実行される1つ以上のプログラムとして、ファームウェア等として、またはそれらの組合せとして実装される。
【0070】
ここで図6を参照すると、光学反射体505に関連する静電容量の例600が示されている。図6に見られるように、ロータ520およびステータ525は、それらの間に静電容量605を形成し、ロータ520およびステータ530は、それらの間に静電容量610を形成する。ある実施形態では、第1の静電容量605および第2の静電容量610は、約2~6ピコファラド(pF)の寄生容量を含む。他の実施形態では、寄生容量は他の値を有してもよい。
【0071】
ステータ525,530に対するロータ520の位置に応じて(例えば、上述のようなロータコーム535またはステータコーム540の間のオフセットに起因して)、ロータ520とステータ525との間の静電容量605、および、ロータ520とステータ530との間の静電容量610に差がある。例えば、光学反射体が第1の方向に回転すると、ロータ520とステータ525との間の距離の減少および/または表面積の増加に起因して、ロータ520とステータ525との間の第1の静電容量とも呼ばれる静電容量605が増加し、ロータ520とステータ530との間の距離の増加および/または表面積の減少に起因して、ロータ520とステータ530との間の第2の静電容量とも呼ばれる静電容量610が減少する。同様に、光学反射体が第1の方向と反対であり得る別の方向に回転するとき、第1の静電容量605は減少し、第2の静電容量610は増加する。
【0072】
静電容量のこの差は、光学反射体505の位置属性を決定するために使用され得る。ある実施形態では、第1の静電容量605と第2の静電容量610との間の関係は、光学反射体505の回転位置、角変位、および角度のうちの1つ以上を決定するために使用される。このような属性の決定に関するさらなる詳細は、「静電MEMSミラーの容量性角度検出(Capacitive Angle Sensing of Electrostatic MEMS Mirrors)」と題する出願第17/220,627号に記載されており、これはその全体が本明細書に組み込まれる。さらに、ピエゾ抵抗(piezoresistive:PZR)または圧電(piezoelectric:PZT)センサが1つ以上の圧電MEMSミラーの機械的な角度を測定するために使用される、種々の実施形態が実装されてもよい。
【0073】
図7は、いくつかの実施形態によるディスプレイコントローラ(例えば、図2のコントローラ215および/または図5のコントローラ510)の動作ルーチンを示す。ルーチンは、ブロック705で開始する。ブロック705において、ディスプレイコントローラは、(例えば、ディスプレイコントローラに通信可能に結合された1つ以上のマイクロフォンを介して)入力音の1つ以上の周波数成分がディスプレイコントローラに通信可能に結合された光学反射体の1つ以上の共振周波数に対応していると判断する。次いで、ルーチンは、ブロック710に進む。
【0074】
ブロック710において、ディスプレイコントローラは、入力音の共振周波数成分のうちの少なくとも1つ(1つ以上の共振周波数に対応する1つ以上の周波数成分)が定義された音量閾値を超えていると判断する。ルーチンは、ブロック715に進む。
【0075】
ブロック715において、ディスプレイコントローラは、少なくとも1つの共振周波数成分が定義された音量閾値を超えているとの判断に応じるなどして、光学反射体の1つ以上の調和運動の大きさおよび位相の測定を開始する。本明細書の他の場所でより詳細に論じられるように、そのような調和運動は、入力音の共振周波数成分の結果として生じ得る。入力音の共振周波数成分がチェックされないままである場合には、入力音の共振周波数成分は、ディスプレイコントローラ(例えば、図1のディスプレイシステム100のFOV領域106)によって提供されるディスプレイの種々の歪みパターンを引き起こす調和運動を含み得る。ルーチンは、ブロック720に進む。
【0076】
ブロック720において、ディスプレイコントローラは、少なくとも1つの共振周波数成分と破壊的に干渉するために、(ディスプレイコントローラに通信可能に結合された1つ以上のオーディオスピーカ等を介して)音の生成を開始する。
【0077】
図8は、1つ以上の実施形態を実装するのに適したHMDコンピューティングシステム800の一例を示すコンポーネントレベルのブロック図である。代替実施形態では、HMDコンピューティングシステム800は、スタンドアロンデバイスとして動作するか、または、他のシステムに接続(例えば、ネットワーク接続)され得る。種々の実施形態では、HMDコンピューティングシステム800の1つ以上の構成要素は、1つ以上のサーバコンピューティングシステムとして、またはその中に組み込まれ、1つの非限定的実施例として、組み込みHMDデバイスを介して、ユーザに表示するためのグラフィックスレンダリングを提供する。関連するサーバコンピューティングデバイスは、HMDコンピューティングシステム800のいくつかの構成要素を含み得るが、必ずしもそれらのすべてを含むとは限らないことを理解されたい。ネットワーク化された展開では、HMDコンピューティングシステム800は、サーバ-クライアントネットワーク環境において、サーバマシン、クライアントマシン、またはその両方の能力で動作する。少なくとも1つの例では、HMDコンピューティングシステム800は、ピアツーピア(P2P)(または他の分散型)ネットワーク環境におけるピアシステムとして動作する。したがって、HMDコンピューティングシステム800は、ある実施形態では、サーバコンピュータ、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、セットトップボックス(set-top box:STB)、モバイルコンピューティングデバイス、ウェブアプライアンス、ネットワークルータ、スイッチもしくはブリッジ、またはそのシステムによって行われるべき動作を指定する命令を(逐次的または別様に)実行可能な任意のシステムとして動作する。さらに、単一のシステムのみが示されているが、「システム」という用語はまた、クラウドコンピューティング、サービスとしてのソフトウェア(software as a service:SaaS)、他のコンピュータクラスタ構成等、本明細書で論じられる方法論のうちの任意の1つ以上を実行するための命令のセット(または複数のセット)を個々にまたは共同で実行するシステムの任意の集合を含むと解釈されるべきである。
【0078】
本明細書で説明される例は、ロジックまたはいくつかの構成要素、あるいは機構を含むか、またはそれらによって動作する。回路は、ハードウェア(例えば、単純な回路、ゲート、ロジック等)を含む有形のエンティティに実装される回路の集合である。回路のメンバシップは、時間の経過や基礎となるハードウェアの変動に柔軟であり得る。回路は、動作しているときに、単独でまたは組み合わせて、指定された動作を実行し得る部材を含む。ある例では、回路のハードウェアは、特定の動作(例えば、ハードワイヤード)を実行するように不変に設計され得る。一例では、回路のハードウェアは、特定の動作の命令を符号化するために物理的(例えば、磁気的、電気的、不変質量粒子の移動可能な配置等)に修正されたコンピュータ可読媒体を含む可変に接続された物理的構成要素(例えば、実行ユニット、トランジスタ、単純回路等)を含み得る。物理的構成要素を接続する際、ハードウェア構成要素の基本的な電気的特性は、例えば、絶縁体から導体に、またはその逆に変化する。命令は、組み込みハードウェア(例えば、実行ユニットまたはローディング機構)が、動作中に特定の動作の部分を実行するために可変接続を介してハードウェア内に回路のメンバを作成することを可能にする。したがって、コンピュータ可読媒体は、デバイスが動作しているときに回路の他の構成要素に通信可能に結合される。一例では、物理的構成要素のいずれも、複数の回路の複数の部材において使用され得る。例えば、動作中、実行ユニットは、ある時点で第1の回路構成(circuitry)の第1の回路で使用され、別の時点で第1の回路構成の第2の回路によって、または、第2の回路構成の第3の回路によって再利用され得る。
【0079】
HMDコンピューティングシステム800は、1つ以上のハードウェアプロセッサ802(例えば、中央処理装置(CPU)、ハードウェアプロセッサコア、またはそれらの任意の組合せ)と、メインメモリ804と、グラフィックス処理ユニット(GPU)806とを含み、それらのいくつかまたはすべては、インターリンク(例えば、バス)808を介して互いに通信する。HMDコンピューティングシステム800は、いくつかの実施形態では、ディスプレイユニット810(図1のディスプレイシステム100、図2のディスプレイシステム200、または他のディスプレイデバイス等)と、英数字入力デバイス812(例えば、キーボードまたは他の物理的もしくはタッチベースのアクチュエータ)と、ユーザインターフェース(UI)ナビゲーションデバイス814(例えば、マウスまたはタッチベースのインターフェース等の他のポインティングデバイス)とをさらに含む。一例では、ディスプレイユニット810、入力デバイス812、およびUIナビゲーションデバイス814は、タッチスクリーンディスプレイを含む。HMDコンピューティングシステム800は、加えて、記憶装置(例えば、ドライブユニット)816と、信号生成デバイス818(例えば、図2のオーディオスピーカ235)と、ネットワークインターフェースデバイス820と、マイクロフォン(例えば、図2のマイクロフォン230)、全地球測位システム(GPS)センサ、コンパス、加速度計、または他のセンサ等の1つ以上のセンサ821とを含む。HMDコンピューティングシステム800は、1つ以上の周辺デバイス(例えば、プリンタ、カードリーダ等)を通信または制御するためのシリアル(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB))接続、パラレル接続、または他の有線接続もしくは無線接続(例えば、赤外線(IR)、近距離無線通信(NFC)等)等の出力コントローラ828を含む。
【0080】
記憶装置816は、本明細書で説明される技法または機能のうちの任意の1つ以上によって具現化または利用されるデータ構造または命令824(例えば、ソフトウェア)の1つ以上のセットが記憶されるコンピュータ可読媒体822を含む。命令824はまた、HMDコンピューティングシステム800によるその実行中に、メインメモリ804内、GPU806内、またはハードウェアプロセッサ802内に完全にまたは少なくとも部分的に常駐する。一例では、ハードウェアプロセッサ802、メインメモリ804、GPU806、または記憶装置816のうちの1つまたは任意の組合せが、コンピュータ可読媒体を構成する。
【0081】
コンピュータ可読媒体822は単一の媒体として示されているが、「コンピュータ可読媒体」という用語は、1つ以上の命令824を記憶するように構成された単一の媒体または複数の媒体(例えば、集中型もしくは分散型データベース、ならびに/または、関連するキャッシュおよびサーバ)を含む。
【0082】
「コンピュータ可読媒体」という用語は、HMDコンピューティングシステム800による実行のための命令を記憶、符号化、または伝送することができ、HMDコンピューティングシステム800に本開示の技法のうちの任意の1つ以上を実行させるか、あるいはそのような命令によって使用されるか、またはそのような命令に関連付けられるデータ構造を記憶、符号化、または伝送することができる任意の媒体を含む。非限定的なコンピュータ可読媒体の例は、ソリッドステートメモリ、ならびに、光学および磁気媒体を含み得る。ある例において、大容量コンピュータ可読媒体は、不変(例えば、静止)質量を有する複数の粒子を有するコンピュータ可読媒体を含む。したがって、大容量コンピュータ可読媒体は、一時的な伝播信号ではない。大容量コンピュータ可読媒体の特定の例は、半導体メモリデバイス(例えば、電気的プログラマブルリードオンリメモリ(EPROM)、電気的に消去可能なプログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM))およびフラッシュメモリデバイス等の不揮発性メモリ、内部ハードディスクおよびリムーバブルディスク等の磁気ディスク、光磁気ディスク、ならびにCD-ROMおよびDVD-ROMディスクを含み得る。
【0083】
命令824は、いくつかの転送プロトコル(例えば、フレームリレー、インターネットプロトコル(IP)、伝送制御プロトコル(TCP)、ユーザデータグラムプロトコル(UDP)、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)等)のうちのいずれか1つを利用して、ネットワークインターフェースデバイス820を介して伝送媒体を使用して通信ネットワーク826上で送信または受信される。例示的な通信ネットワークは、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、パケットデータネットワーク(例えば、インターネット)、モバイル電話ネットワーク(例えば、セルラーネットワーク)、基本電話サービス(Plain Old Telephone:POTS)ネットワーク、およびワイヤレスデータネットワーク(例えば、Wi-Fi(登録商標)として知られる規格であるIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11ファミリー、WiMax(登録商標)として知られる規格であるIEEE802.16ファミリー)、IEEE802.15.4規格ファミリー、とりわけピアツーピア(P2P)ネットワークを含む。一例では、ネットワークインターフェースデバイス820は、通信ネットワーク826に接続するための1つ以上の物理的ジャック(例えば、イーサネット(登録商標)、同軸、または電話ジャック)または1つ以上のアンテナを含む。一例では、ネットワークインターフェースデバイス820は、単入力多出力(single-input multiple-output:SIMO)技法、多入力多出力(multiple-input multiple-output:MIMO)技法、または多入力単出力(multiple-input single-output:MISO)技法のうちの少なくとも1つを使用してワイヤレス通信するための複数のアンテナを含む。「伝送媒体」という用語は、HMDコンピューティングシステム800による実行のための命令を記憶、符号化、または伝送することが可能な任意の無形媒体を含むと解釈され、デジタルもしくはアナログ通信信号またはそのようなソフトウェアの通信を容易にするための他の無形媒体を含む。
【0084】
上記の説明では、様々な開示された実装形態の完全な理解を提供するために、いくつかの具体的な詳細が述べられている。しかしながら、当業者は、これらの具体的な詳細の1つ以上を伴わずに、または他の方法、構成要素、材料等を用いて、実装が実践され得ることを認識するであろう。他の例では、実装形態の説明を不必要に不明瞭にすることを避けるために、よく知られている構造(例えば、光源に関連する構造)は詳細に図示または説明されていない。
【0085】
文脈上別段の要求がない限り、明細書および明細書に続く特許請求の範囲を通して、「含む(comprise)」という語、ならびに、その変形である「含む(comprises)」および「含んでいる(comprising)」等は、オープンで包括的な意味で解釈されるべきであり、すなわち、「含む(including)であるが、これに限定されない」と解釈されるべきである。
【0086】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される通り、単数形「a」、「an」、および「the」は、内容が別様に明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。また、「または(or)」という用語は、概して、その最も広い意味で使用され、すなわち、内容が別様に明確に指示しない限り、「および/または(and/or)」を意味することにも留意されたい。
【0087】
本明細書で提供される表題および要約は、便宜上だけのものであり、実装の範囲または意味を解釈するものではない。
【0088】
本明細書および添付の特許請求の範囲を通して、「伝送する(carries)」という用語および「によって伝送される(carried by)」等の変形は、一般に、2つの物体の間の物理的結合を指すために使用される。物理的結合は、直接的な物理的結合(すなわち、2つの物体の間の直接的な物理的接触を伴う)、または、1つ以上の追加の物体によって媒介され得る間接的な物理的結合であり得る。したがって、「伝送する(carries)」という用語および「によって伝送される(carried by)」等の変形は、限定されないが、任意の数の中間の物理的物体をその間に有して、または有さずに、「上を伝送される(carried on)」、「中で伝送される(carried within)」、「物理的に結合される(physically coupled to)」、「固定される(secured to)」、および/または「支持される(supported by)」等、直接的および間接的な物理的結合のすべての様式を概して包含することを意味する。
【0089】
いくつかの実施形態では、上記で説明した技法のある態様は、ソフトウェアを実行する処理システムの1つ以上のプロセッサによって実装され得る。ソフトウェアは、非一時的コンピュータ可読記憶媒体に記憶された、またはそうでなければ有形に具現化された実行可能な命令の1つ以上のセットを備える。ソフトウェアは、1つ以上のプロセッサによって実行されると、上記で説明された技法のうちの1つ以上の態様を実行するように1つ以上のプロセッサを操作する命令といくつかのデータとを含むことができる。非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気または光ディスク記憶装置、フラッシュメモリ、キャッシュ、ランダムアクセスメモリ(RAM)または他の不揮発性メモリ装置等のソリッドステート記憶装置等を含むことができる。非一時的コンピュータ可読記憶媒体に記憶された実行可能な命令は、ソースコード、アセンブリ言語コード、オブジェクトコード、または1つ以上のプロセッサによって解釈されるか、あるいは実行可能な他の命令フォーマットであり得る。
【0090】
コンピュータ可読記憶媒体は、命令および/またはデータをコンピュータシステムに提供するために使用中にコンピュータシステムによってアクセス可能な任意の記憶媒体または記憶媒体の組合せを含み得る。そのような記憶媒体は、光学媒体(例えば、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイディスク)、磁気媒体(例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気テープ、または磁気ハードドライブ)、揮発性メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)またはキャッシュ)、不揮発性メモリ(例えば、読み出し専用メモリ(ROM)またはフラッシュメモリ)、または微小電気機械システム(MEMS)ベースの記憶媒体を含むことができるが、それらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体は、コンピューティングシステムに埋め込まれてもよく(例えば、システムRAMまたはROM)、コンピューティングシステムに固定して取り付けられてもよく(例えば、磁気ハードドライブ)、コンピューティングシステムに取り外し可能に取り付けられてもよく(例えば、光ディスクまたはユニバーサルシリアルバス(USB)ベースのフラッシュメモリ)、または有線もしくは無線ネットワークを介してコンピュータシステムに結合されてもよい(例えば、ネットワークアクセス可能なストレージ(NAS))。
【0091】
全般的な説明において上述されたアクティビティまたは要素のすべてが必要とされるわけではなく、特定のアクティビティまたはデバイスの一部は必要とされないことがあり、1つ以上のさらなるアクティビティが、説明されたものに加えて実行され得るか、または要素が含まれ得ることに留意されたい。さらに、アクティビティが列挙される順序は、必ずしもそれらが実行される順序ではない。また、概念は、特定の実施形態を参照して説明されている。しかしながら、当業者は、以下の特許請求の範囲に記載される本開示の範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更を行うことができることを理解する。したがって、明細書および図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味で見なされるべきであり、全てのそのような修正は、本開示の範囲内に含まれることが意図される。
【0092】
利益、他の利点、および問題に対する解決策は、特定の実施形態に関して上述されている。しかしながら、利益、利点、問題に対する解決策、および、任意の利益、利点、または解決策を生じさせ得るか、またはより顕著になる可能性がある任意の特徴は、いずれかまたは全ての請求項の重要な、必要な、または本質的な特徴として解釈されるべきではない。さらに、開示される主題は、本明細書の教示の利益を有する当業者に明白である、異なるが同等の様式で修正および実践され得るため、上記で開示される特定の実施形態は、例証にすぎない。以下の特許請求の範囲に記載されるもの以外に、本明細書に示される構造または設計の詳細への限定は意図されない。したがって、上記で開示された特有の実施形態は、変更または修正され得、すべてのそのような変形は、開示された主題の範囲内であると見なされることが明らかである。したがって、本明細書で求められる保護は、以下の特許請求の範囲に記載されるとおりである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-12-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
ディスプレイコントローラによって、かつ前記ディスプレイコントローラに通信可能に結合された1つ以上のマイクロフォンを介して、入力音の1つ以上の周波数成分が定義された音量閾値を超えていると判断することを備え、
前記1つ以上の周波数成分は、前記ディスプレイコントローラに通信可能に結合された光学反射体の1つ以上の共振周波数に対応し、
前記方法は、
前記判断に応じて、前記光学反射体の1つ以上の調和運動の大きさおよび位相のうちの一方または両方を測定することと、
前記1つ以上の周波数成分のうちの少なくとも1つの周波数成分と破壊的に干渉する音波を生成することとをさらに備える、方法。
【請求項2】
前記音波を生成することは、前記1つ以上の調和運動の前記測定された大きさおよび前記測定された位相のうちの一方または両方に少なくとも部分的に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ以上の周波数成分の前記大きさおよび前記位相のうちの一方または両方を測定することは、前記光学反射体の1つ以上の特性を決定することを含み、
前記1つ以上の特性は、前記光学反射体の回転位置、前記光学反射体の角変位、または前記光学反射体の角度を含むグループのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記大きさおよび前記位相のうちの一方または両方を測定することは、前記光学反射体のロータと前記光学反射体の第1のステータとの間の静電容量の差、および、前記ロータと前記光学反射体の第2のステータとの間の静電容量の差に少なくとも部分的に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記光学反射体の前記1つ以上の調和運動の前記大きさおよび前記位相のうちの一方または両方を測定することは、前記1つ以上の共振周波数における前記調和運動の前記大きさおよび前記位相のうちの一方または両方を測定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記光学反射体は、微小電気機械システム(micro-electromechanical system:MEMS)ベースの走査ミラーを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記光学反射体の前記1つ以上の共振周波数のうちの少なくとも1つは、600~660Hzの周波数範囲内にある、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記音波を生成することは、前記ディスプレイコントローラに通信可能に結合された1つ以上のオーディオスピーカを介して実行され、
動作中、前記1つ以上のオーディオスピーカは、ユーザ通信および/またはユーザメディア消費のために使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記音波を生成することは、前記光学反射体の前記1つ以上の調和運動の前記測定された大きさおよび前記測定された位相のうちの一方または両方に少なくとも部分的に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
動作中、前記1つ以上のマイクロフォンは、ユーザ通信のために使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
方法であって、
ディスプレイデバイスにおいて受信された音の1つ以上の周波数成分が、定義された音量閾値を超え、かつ、前記ディスプレイデバイスの光学反射体の1つ以上の共振周波数に対応すると判断したことに応じて、前記光学反射体の1つ以上の調和運動の大きさおよび位相のうちの一方または両方を測定することと、
前記測定することに少なくとも部分的に基づいて、前記1つ以上の周波数成分のうちの少なくとも1つの周波数成分と破壊的に干渉する音波を生成することとを備える、方法。
【請求項12】
ディスプレイシステムは、
光学反射体と、
前記光学反射体および1つ以上のマイクロフォンに通信可能に結合されたディスプレイコントローラとを備え、
前記ディスプレイコントローラは、請求項1から11のいずれかに記載の前記方法を実行するように構成される、ディスプレイシステム。
【請求項13】
請求項1から11のいずれか1項に記載の方法をディスプレイコントローラの1つ以上のプロセッサに実行させるためのプログラム。
【国際調査報告】