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特表2024-523091ニアアイディスプレイ用のカプセル化された導光光学素子
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】ニアアイディスプレイ用のカプセル化された導光光学素子
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20240621BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
H04N5/64 511A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561903
(86)(22)【出願日】2022-06-09
(85)【翻訳文提出日】2023-10-06
(86)【国際出願番号】 IL2022050621
(87)【国際公開番号】W WO2022264123
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】63/210,672
(32)【優先日】2021-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/251,918
(32)【優先日】2021-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/324,164
(32)【優先日】2022-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518105275
【氏名又は名称】ルーマス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Lumus Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ヨチェイ・ダンジガー
(72)【発明者】
【氏名】エイタン・ロネン
(72)【発明者】
【氏名】アミール・シャピラ
(72)【発明者】
【氏名】イド・フックス
(72)【発明者】
【氏名】エドガー・フリードマン
(72)【発明者】
【氏名】アビブ・フロマー
【テーマコード(参考)】
2H199
【Fターム(参考)】
2H199CA24
2H199CA28
2H199CA42
2H199CA47
2H199CA49
2H199CA53
2H199CA64
2H199CA66
2H199CA67
2H199CA70
2H199CA86
(57)【要約】
光学デバイスは、第1の屈折率を有する光透過材料から形成されたLOEを有する。LOEの1対の平行な主要外部表面は、TIRによってLOE内で画像照明を誘導する。LOEの少なくとも1つの光学カップリング構成は、TIRによってLOE内で誘導される画像照射の一部を偏向させる。光学材料は、主要外部表面と直接接触するように、かつ少なくとも部分的にLOEをカプセル化するように、少なくとも主要外部表面においてLOEに直接取り付けられた少なくとも1つの透明材料を含む。光学材料は、主要外部表面におけるTIRの状態を維持するために、第1の屈折率未満の第2の屈折率を有する。特定の実施形態では、TIR誘導画像照明は、浅い角度を含む、臨界角度を超える角度において主要外部表面に入射する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
視認のためにユーザに向かって画像照明を方向付けるための光学デバイスであって、
第1の屈折率を有する光透過材料から形成された導光光学素子(LOE)であって、前記LOEが、主要外部表面における全内部反射によって、前記LOE内で画像照明を誘導するための1対の平行な前記主要外部表面を含む、複数の表面を含み、前記LOEが、前記主要外部表面における全内部反射によって前記LOE内に誘導される前記画像照明の一部を偏向させるための少なくとも1つの光学カップリング構成を更に含む、導光光学素子(LOE)と、
前記主要外部表面と直接接触するように、かつ前記LOEを少なくとも部分的にカプセル化するように、少なくとも前記主要外部表面において前記LOEに直接取り付けられた少なくとも1つの透明材料を含む、光学材料であって、前記主要外部表面における全内部反射の状態を維持するように、前記第1の屈折率未満である第2の屈折率を有する、光学材料と、を備え、
前記主要外部表面における全内部反射によって前記LOE内で誘導される前記画像照明が、前記第1及び第2の屈折率によって定義される臨界角度を超える角度の範囲において、前記主要外部表面に入射し、前記臨界角度を超える前記角度が、前記主要外部表面に対して測定される浅い角度を含む、光学デバイス。
【請求項2】
前記少なくとも1つの透明材料が、固体材料から形成されている、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項3】
前記少なくとも1つの透明材料が、1つ以上の光学接着剤層から形成されている、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項4】
前記少なくとも1つの透明材料が、ポリマー又は誘電体材料の薄いコーティング層である、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項5】
前記光学材料が、前記光学材料の表面パターンが、前記主要外部表面における欠陥パターンに従うように、十分に小さい厚さを有する、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項6】
前記厚さが、2μm~20μmの範囲内にある、請求項5に記載の光学デバイス。
【請求項7】
前記第1の屈折率が、1.5~1.8の範囲内にある、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項8】
前記第2の屈折率が、1.3~1.4の範囲内にある、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項9】
前記少なくとも1つの光学カップリング構成が、前記主要外部表面における全内部反射によって前記LOE内で誘導される前記画像照明の前記一部を、前記LOEからユーザに向かって偏向させる、正確に1つの光学カップリング構成を含む、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項10】
前記光学カップリング構成が、前記LOE内に展開され、かつ前記主要外部表面に対して斜めの複数の相互に平行な部分反射表面として実装される、請求項9に記載の光学デバイス。
【請求項11】
前記光学カップリング構成が、前記主要外部表面のうちの1つと関連付けられた少なくとも1つの回折素子として実装される、請求項9に記載の光学デバイス。
【請求項12】
前記LOEが、第1の領域と、第2の領域と、を含み、前記少なくとも1つの光学カップリング構成が、前記第1の領域に位置する第1の光学カップリング構成と、前記第2の領域に位置する第2の光学カップリング構成と、を含み、前記第2の光学カップリング構成が、前記主要外部表面における全内部反射によって、前記第1の領域から前記第2の領域へと前記LOE内で誘導される前記画像照明の一部を前記LOEからユーザに向かって偏向させるために構成されており、前記第1の光学カップリング構成が、前記主要外部表面における全内部反射によって、前記第1の領域内で誘導される前記画像照明の一部を前記第2の領域に向かって偏向させるために構成されている、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項13】
前記第1の光学カップリング構成が、第1の配向を有する第1の複数の相互に平行な部分反射表面として実装され、前記第2の光学カップリング構成が、前記第1の配向に非平行である第2の配向を有する第2の複数の相互に平行な部分反射表面として実装される、請求項12に記載の光学デバイス。
【請求項14】
前記第1の光学カップリング構成が、前記主要外部表面のうちの1つと関連付けられた第1の少なくとも1つの回折素子として実装され、前記第2の光学カップリング構成が、前記主要外部表面のうちの1つと関連付けられた第2の少なくとも1つの回折素子として実装される、請求項12に記載の光学デバイス。
【請求項15】
前記第1の領域内の前記少なくとも1つの透明材料の1つ以上の部分と関連付けて展開された光吸収材料を更に備える、請求項12に記載の光学デバイス。
【請求項16】
前記光吸収材料が、前記第1の屈折率と等しいか、又は前記第1の屈折率よりも10%以下超である屈折率を有する、請求項15に記載の光学デバイス。
【請求項17】
前記少なくとも1つの透明材料に取り付けられた少なくとも1つの光学素子を更に備える、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項18】
前記少なくとも1つの光学素子が、前記主要外部表面のうちの第1のものに直接取り付けられている、前記少なくとも1つの透明材料の第1の部分に取り付けられたレンズと、前記主要外部表面のうちの第2のものに直接取り付けられている、前記少なくとも1つの透明材料のうちの第2の部分に取り付けられた保護フィルムと、を含む、請求項17に記載の光学デバイス。
【請求項19】
前記少なくとも1つの光学素子が、前記主要外部表面のうちの第1のものに直接取り付けられている、前記少なくとも1つの透明材料の第1の部分に取り付けられた第1のレンズと、前記主要外部表面のうちの第2のものに直接取り付けられている、前記少なくとも1つの透明材料のうちの第2の部分に取り付けられた第2のレンズと、を含む、請求項17に記載の光学デバイス。
【請求項20】
前記少なくとも1つの光学素子が、前記主要外部表面のうちの第1のものに直接取り付けられている、前記少なくとも1つの透明材料の第1の部分に取り付けられた第1の保護フィルムと、前記主要外部表面のうちの第2のものに直接取り付けられている、前記少なくとも1つの透明材料のうちの第2の部分に取り付けられた第2の保護フィルムと、を含む、請求項17に記載の光学デバイス。
【請求項21】
前記LOEは、前記LOEが、前記画像照明が伝播するアクティブエリアのみを実質的に含むように、前記光学材料が前記LOEに直接取り付けられる前に、前駆体LOEから切断されるプレカットLOEであり、前記LOEの1つ以上の周辺縁が、少なくとも1つの不透明材料層でコーティングされる、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項22】
視認のためにユーザに向かって画像照明を方向付ける光学デバイスを作製するための方法であって、
第1の屈折率を有する光透過材料から形成された導光光学素子(LOE)を取得することであって、前記LOEが、主要外部表面における全内部反射によって、前記LOE内で画像照明を誘導するための1対の平行な前記主要外部表面を含む、複数の表面を含み、前記LOEが、前記主要外部表面における全内部反射によって前記LOE内で誘導される前記画像照明の一部を偏向させるための少なくとも1つの光学カップリング構成を更に含み、前記主要外部表面における全内部反射によって前記LOE内で誘導される前記画像照明が、第1及び第2の屈折率によって定義される臨界角を超える角度の範囲において、前記主要外部表面に入射し、前記臨界角を超える角度が、前記主要外部表面に対して測定される浅い角度を含む、取得することと、
少なくとも1つの透明材料を含む光学材料を、前記光学材料が前記主要外部表面に直接接触し、前記LOEを少なくとも部分的にカプセル化するように、少なくとも前記主要外部表面において、前記LOEに直接取り付けることであって、前記光学材料が、前記主要外部表面における全内部反射の状態を維持するように、前記第1の屈折率未満である第2の屈折率を有する、直接取り付けることと、を含む、方法。
【請求項23】
前記LOEが、前記画像照明が伝播する、アクティブエリアと、前記画像照明が伝播しない、又は前記画像照明が前記ユーザに向かって方向付けられない、非アクティブエリアと、を含み、前記方法が、
前記光学材料を前記LOEに直接取り付ける前に、
前記LOEの前記アクティブエリアのみが実質的に残存するように、前記LOEを修正して、前記非アクティブエリアを除去し、それによって、修正されたLOEを生成することと、
前記修正されたLOEの1つ以上の周辺縁を、少なくとも1つの不透明材料層でコーティングすることと、を更に含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記光学材料が、前記修正されたLOEの前記1つ以上の周辺縁において、前記不透明材料に追加的に直接取り付けられる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記光学材料を切断又はトリミングして、接眼レンズの輪郭を達成することを更に含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記少なくとも1つの透明材料を研磨することを更に含む、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
少なくとも1つの光学素子を前記少なくとも1つの透明材料に取り付けることを更に含む、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
前記少なくとも1つの光学素子が、前記主要外部表面のうちの第1のものに直接取り付けられている、前記少なくとも1つの透明材料の第1の部分に取り付けられたレンズと、前記主要外部表面のうちの第2のものに直接取り付けられている、前記少なくとも1つの透明材料のうちの第2の部分に取り付けられた保護フィルムと、を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記少なくとも1つの光学素子が、前記主要外部表面のうちの第1のものに直接取り付けられている、前記少なくとも1つの透明材料の第1の部分に取り付けられた第1のレンズと、前記主要外部表面のうちの第2のものに直接取り付けられている、前記少なくとも1つの透明材料のうちの第2の部分に取り付けられた第2のレンズと、を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記少なくとも1つの光学素子が、前記主要外部表面のうちの第1のものに直接取り付けられている、前記少なくとも1つの透明材料の第1の部分に取り付けられた第1の保護フィルムと、前記主要外部表面のうちの第2のものに直接取り付けられている、前記少なくとも1つの透明材料のうちの第2の部分に取り付けられた第2の保護フィルムと、を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記LOEが、第1の領域と、第2の領域と、を含み、前記少なくとも1つの光学カップリング構成が、前記第1の領域に位置する第1の光学カップリング構成と、前記第2の領域に位置する第2の光学カップリング構成と、を含み、前記第2の光学カップリング構成が、前記主要外部表面における全内部反射によって、前記第1の領域から前記第2の領域へと前記LOE内で誘導される前記画像照明の一部を前記LOEから前記ユーザに向かって偏向させるために構成されており、前記第1の光学カップリング構成が、前記主要外部表面における全内部反射によって、前記第1の領域内で誘導される前記画像照明の一部を前記第2の領域に向かって偏向させるために構成されており、前記方法が、前記第1の領域内の前記少なくとも1つの透明材料の1つ以上の部分と関連付けて、光吸収材料を展開することを更に含む、請求項22に記載の方法。
【請求項32】
前記光吸収材料が、前記第1の屈折率と等しいか、又は前記第1の屈折率よりも10%以下超である屈折率を有する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記少なくとも1つの透明材料を前記LOEに直接取り付けることが、浸漬コーティング、スピンコーティング、ボンディング、及び成形からなる群から選択されるプロセスを実行することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項34】
視認のためにユーザに向かって画像照明を方向付けるための光学デバイスであって、
第1の屈折率を有する光透過材料から形成された導光光学素子(LOE)であって、前記LOEが、
主要外部表面における全内部反射によって、前記LOE内で画像照明を誘導するための少なくとも1対の平行な前記主要外部表面を含む、複数の表面、
第1の領域及び第2の領域、並びに
前記第1の領域に位置する第1の光学カップリング構成及び前記第2の領域に位置する第2の光学カップリング構成であって、前記第2の光学カップリング構成が、前記主要外部表面における全内部反射によって、前記第1の領域から前記第2の領域へと前記LOE内で誘導される前記画像照明の一部を前記LOEから前記ユーザに向かって偏向させるために構成されており、前記第1の光学カップリング構成が、前記主要外部表面における全内部反射によって、前記第1の領域内で誘導される前記画像照明の一部を前記第2の領域に向かって偏向させるために構成されている、第1の光学カップリング構成及び第2の光学カップリング構成を含む、導光光学素子(LOE)と、
前記主要外部表面と直接接触するように、かつ前記LOEを少なくとも部分的にカプセル化するように、少なくとも前記主要外部表面において前記LOEに直接取り付けられた透明材料であって、前記主要外部表面における全内部反射の状態を維持するように、前記第1の屈折率未満である第2の屈折率を有する、透明材料と、
前記第1の領域内の前記透明材料の1つ以上の部分と関連付けて展開された光吸収材料と、を備える、光学デバイス。
【請求項35】
視認のためにユーザに向かって画像照明を方向付けるための光学デバイスであって、
第1の屈折率を有する光透過材料から形成された導光光学素子(LOE)であって、前記LOEが、
主要外部表面における全内部反射によって、前記LOE内で画像照明を誘導するための少なくとも1対の平行な前記主要外部表面を含む、複数の表面、
第1の領域及び第2の領域、並びに
前記第1の領域に位置する第1の光学カップリング構成及び前記第2の領域に位置する第2の光学カップリング構成であって、前記第2の光学カップリング構成が、前記主要外部表面における全内部反射によって、前記第1の領域から前記第2の領域へと前記LOE内で誘導される前記画像照明の一部を前記LOEから前記ユーザに向かって偏向させるために構成されており、前記第1の光学カップリング構成が、前記主要外部表面における全内部反射によって、前記第1の領域内で誘導される前記画像照明の一部を前記第2の領域に向かって偏向させるために構成されている、第1の光学カップリング構成及び第2の光学カップリング構成を含む、導光光学素子(LOE)と、
前記第1の領域内の前記主要外部表面と直接接触するように、前記第1の領域内の前記主要外部表面において前記LOEに直接取り付けられた光吸収材料と、
前記第2の領域内の前記主要外部表面と直接接触するように、前記第2の領域内の前記主要外部表面において前記LOEに直接取り付けられた透明材料と、を備え、
前記透明材料及び前記光吸収材料が、少なくとも部分的に前記LOEをカプセル化するために協働し、前記透明材料及び前記光吸収材料の各々が、前記主要外部表面における全内部反射の状態を維持するように、前記第1の屈折率未満の屈折率を有する、光学デバイス。
【請求項36】
視認のためにユーザに向かって画像照明を方向付けるための光学デバイスであって、
第1の屈折率を有する光透過材料から形成された導光光学素子(LOE)であって、前記LOEが、
主要外部表面における全内部反射によって、前記LOE内で画像照明を誘導するための少なくとも1対の平行な前記主要外部表面を含む、複数の表面、
第1の領域及び第2の領域、並びに
前記第1の領域に位置する第1の光学カップリング構成及び前記第2の領域に位置する第2の光学カップリング構成であって、前記第2の光学カップリング構成が、前記主要外部表面における全内部反射によって、前記第1の領域から前記第2の領域へと前記LOE内で誘導される前記画像照明の一部を前記LOEから前記ユーザに向かって偏向させるために構成されており、前記第1の光学カップリング構成が、前記主要外部表面における全内部反射によって、前記第1の領域内で誘導される前記画像照明の一部を前記第2の領域に向かって偏向させるために構成されている、第1の光学カップリング構成及び第2の光学カップリング構成を含む、導光光学素子(LOE)と、
前記主要外部表面と直接接触するように、かつ前記LOEを少なくとも部分的にカプセル化するように、少なくとも前記主要外部表面において前記LOEに直接取り付けられた少なくとも1つの透明材料であって、前記主要外部表面における全内部反射の状態を維持するように、前記第1の屈折率未満である第2の屈折率を有する、少なくとも1つの透明材料と、
少なくとも1つの保護フィルムであってが、前記第1の領域内の前記主要外部表面のうちの少なくとも1つの一部分と関連付けられるように、前記少なくとも1つの透明材料の一部分と少なくとも関連付けられている、少なくとも1つの保護フィルムと、
コーティングであって、前記コーティングが前記少なくとも1つの透明材料の前記部分と関連付けられるように、前記少なくとも1つの保護フィルムの少なくとも一部分上に展開されている、コーティングと、を備える、光学デバイス。
【請求項37】
前記第1の領域は、前記画像照明が、2対の平行な主要外部表面における全内部反射によって第1のLOEセクションを伝播するように、矩形断面を形成する前記2対の平行な主要外部表面を有する前記第1のLOEセクションとして構成されている、請求項34~36のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年6月15日に出願された米国仮特許出願第63/210,672号、2021年10月4日に出願された米国仮特許出願第63/251,918号及び2022年3月28日に出願された米国仮特許出願第63/324,164号からの優先権を主張し、これらの開示は、参照により、それらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、光学デバイス、及び、具体的には、カプセル化された導光光学素子を有する光学デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
ニアアイディスプレイ(NED)、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)、及びヘッドアップディスプレイ(HUD)の光学配置では、観察者の眼が位置するエリア(一般に眼球運動ボックス又はEMBと称される)を覆うために大きい開口を必要とする。コンパクトなデバイスを実装するために、観察者の眼に投影される画像は、大きい開口を生成するために増倍される小さい開口を有する小さい光学画像ジェネレータ(プロジェクタ)によって生成される。開口増倍(拡張)は、様々な方式で達成することができる。開口増倍を達成するための解決策の1つのセットは、導光光学素子(LOE)を採用し、Lumus Ltd(イスラエル)によって様々な刊行物に記載されている。いくつかの例示的な解決策では、画像プロジェクタからの画像照明は、LOEの外部表面での全内部反射によってLOEを伝搬するように、LOE内に投入される。伝搬する照明は、斜めに角度が付けられた部分反射器を使用することによって、又はLOEの片面に回折光学素子を使用することによってのいずれかで、LOEから観察者の眼に向かって徐々にカップリングされる。
【発明の概要】
【0004】
本発明の実施形態は、カプセル化された導光光学素子(LOE)、カプセル化されたLOEを有する光学デバイス、カプセル化されたLOEを有する光学デバイスを作製する方法、及びLOEをカプセル化する方法を提供する。開示される実施形態の各LOEは、第1の屈折率を有する光透過性材料から形成され、LOEの対(及び特定の実施形態では2対)の平面状の平行な主要外部表面における全内部反射による画像照明の伝搬をサポートし、伝搬する画像照明の一部を方向転換/偏向するための少なくとも1つの光学カップリング構成を含む。LOEは、LOEの主要外部表面における全内部反射の状態を維持するために、第1の屈折率未満である第2の屈折率を有する光学材料から形成されたカプセル内の主要外部表面において少なくとも部分的にカプセル化される。光学材料(低インデックス材料とも称される)は、低インデックス材料の間に介在する材料又は物質(空気を含む)が存在しないように、主要外部表面に直接取り付けられる。結果として、カプセル化は、エアギャップフリーカプセル化である。低インデックス材料は、少なくとも1つの透明な低インデックス材料を含む。特定の実施形態では、低インデックス材料は、単一の透明な低インデックス材料のみからなる。他の実施形態では、低インデックス材料は、隣接して定置された2つの透明な低インデックス材料を含む。更に他の実施形態では、低インデックス材料は、透明な低インデックス材料及び隣接して定置された光吸収低インデックス材料を含む。
【0005】
特定の好ましい実施形態では、LOEは、一次元の開口拡張を実行するように構成されているが、他の好ましい実施形態では、LOEは、二次元の開口拡張を実行するように構成されている。LOEが二次元開口拡張を実行する実施形態では、LOEの第1の領域は、開口部拡張の第1の段階を実行し、LOEの第2の領域は、開口拡張の第2の段階を実行する。LOEが二次元開口拡大を実行する特定の実施形態では、光吸収材料は、LOEの第1の領域に取り付けられる低屈折率材料の部分において展開される。前述のように、特定の実施形態では、2つ以上の低インデックス材料を使用してLOEをカプセル化する。そのような実施形態は、LOEが二次元開口拡張を実行する実施形態と組み合わせて特に有用であり、それによって、第1の低インデックス材料が、開口拡張の第1の段階を実行するLOEの第1の領域に取り付けられ、第2の低インデックス材料が、開口拡張の第2の段階を実行するLOEの第2の領域に取り付けられる。特定の実施形態では、第1及び第2の低インデックス材料の両方は、透明材料であり、光吸収材料は、第1の低インデックス材料において展開される。他の実施形態では、第2の低インデックス材料は、透明材料であり、第1の低インデックス材料は、本質的に低屈折率を有する光吸収材料である。
【0006】
本発明の実施形態の教示によれば、視認のためにユーザに向かって画像照明を方向付けるための光学デバイスが提供される。光学デバイスは、第1の屈折率を有する光透過材料から形成された導光光学素子(LOE)であって、LOEが、主要外部表面における全内部反射によって、LOE内で画像照明を誘導するための1対の平行な主要外部表面を含む、複数の表面を含み、LOEが、主要外部表面における全内部反射によってLOE内で誘導される画像照明の一部を偏向させるための少なくとも1つの光学カップリング構成を更に含む、導光光学素子(LOE)と、主要外部表面と直接接触するように、かつLOEを少なくとも部分的にカプセル化するように、少なくとも主要外部表面においてLOEに直接取り付けられた少なくとも1つの透明材料を含む光学材料であって、主要外部表面における全内部反射の状態を維持するように、第1の屈折率未満である第2の屈折率を有する、光学材料と、を備え、主要外部表面における全内部反射によってLOE内で誘導される画像照明は、第1及び第2の屈折率によって定義される臨界角度を超える角度の範囲において主要外部表面に入射し、臨界角度を超える角度は、主要外部表面に対して測定される浅い角度を含む。
【0007】
任意選択的に、少なくとも1つの透明材料は、固体材料から形成されている。
【0008】
任意選択的に、少なくとも1つの透明材料は、1つ以上の光学接着剤層から形成されている。
【0009】
任意選択的に、少なくとも1つの透明材料は、ポリマー又は誘電体材料の薄いコーティング層である。
【0010】
任選択的に、光学材料は、光学材料の表面パターンが、主要外部表面における欠陥パターンに従うように、十分に小さい厚さを有する。
【0011】
任意選択的に、厚さは、2μm~20μmの範囲内にある。
【0012】
任意選択的に、第1の屈折率は、1.5~1.8の範囲内にある。
【0013】
任意選択的に、第2の屈折率は、1.3~1.4の範囲内にある。
【0014】
任意選択的に、少なくとも1つの光学カップリング構成は、主要外部表面における全内部反射によってLOE内で誘導される画像照明の一部を、LOEからユーザに向かって偏向させる、正確に1つの光学カップリング構成を含む。
【0015】
任意選択的に、光学カップリング構成は、LOE内に展開され、かつ主要外部表面に対して斜めの複数の相互に平行な部分反射表面として実装される。
【0016】
任意選択的に、光学カップリング構成は、主要外部表面のうちの1つと関連付けられた少なくとも1つの回折素子として実装される。
【0017】
任意選択的に、LOEは、第1の領域と、第2の領域と、を含み、少なくとも1つの光学カップリング構成は、第1の領域に位置する第1の光学カップリング構成と、第2の領域に位置する第2の光学カップリング構成と、を含み、第2の光学カップリング構成は、主要外部表面における全内部反射によって、第1の領域から第2の領域へとLOE内で誘導される画像照明の一部をLOEからユーザに向かって偏向させるために構成されており、第1の光学カップリング構成は、主要外部表面における全内部反射によって、第1の領域内で誘導される画像照明の一部を第2の領域に向かって偏向させるために構成されている。
【0018】
任意選択的に、第1の光学カップリング構成は、第1の配向を有する第1の複数の相互に平行な部分反射表面として実装され、第2の光学カップリング構成は、第1の配向に非平行である第2の配向を有する第2の複数の相互に平行な部分反射表面として実装される。
【0019】
任意選択的に、第1の光学カップリング構成は、主要外部表面のうちの1つと関連付けられた第1の少なくとも1つの回折素子として実装され、第2の光学カップリング構成は、主要外部表面のうちの1つと関連付けられた第2の少なくとも1つの回折素子として実装される。
【0020】
任意選択的に、光学デバイスは、第1の領域内の少なくとも1つの透明材料の1つ以上の部分と関連付けて展開された光吸収材料を更に備える。
【0021】
任意選択的に、光吸収材料は、第1の屈折率と等しいか、又は第1の屈折率よりも10%以下超である屈折率を有する。
【0022】
任意選択的に、光学デバイスは、少なくとも1つの透明材料に取り付けられた少なくとも1つの光学素子を更に備える。
【0023】
任意選択的に、少なくとも1つの光学素子は、主要外部表面のうちの第1のものに直接取り付けられている、少なくとも1つの透明材料の第1の部分に取り付けられたレンズと、主要外部表面のうちの第2のものに直接取り付けられている、少なくとも1つの透明材料のうちの第2の部分に取り付けられた保護フィルムと、を含む。
【0024】
任意選択的に、少なくとも1つの光学素子は、主要外部表面の第1の部分に直接取り付けられている、少なくとも1つの透明材料の第1の部分に取り付けられた第1のレンズと、主要外部表面の第2の部分に直接取り付けられている、少なくとも1つの透明材料の第2の部分に取り付けられた第2のレンズと、を含む。
【0025】
任意選択的に、少なくとも1つの光学素子は、主要外部表面のうちの第1のものに直接的に取り付けられている、少なくとも1つの透明材料の第1の部分に取り付けられた第1の保護フィルムと、主要外部表面のうちの第2のものに直接的に取り付けられている、少なくとも1つの透明材料の第2の部分に取り付けられた第2の保護フィルムと、を含む。
【0026】
任意選択的に、LOEは、画像照明が伝播するアクティブエリアのみをLOEが実質的に含むように、光学材料がLOEに直接取り付けられる前に、前駆体LOEから切断されるプレカットLOEであり、LOEの1つ以上の周辺縁は、少なくとも1つの不透明材料層でコーティングされる。
【0027】
本発明の教示の実施形態によれば、視認のためにユーザに向かって画像照明を方向付ける光学デバイスを作製する方法も提供される。この方法は、第1の屈折率を有する光透過材料から形成された導光光学素子(LOE)を取得することであって、LOEが、主要外部表面における全内部反射によって、LOE内で画像照明を誘導するための1対の平行な主要外部表面を含む、複数の表面を含み、LOEが、主要外部表面における全内部反射によってLOE内で誘導される画像照明の一部を偏向させるための少なくとも1つの光学カップリング構成を更に含み、主要外部表面における全内部反射によってLOE内で誘導される画像照明が、第1及び第2の屈折率によって定義される臨界角を超える角度の範囲において主要外部表面に入射し、臨界角を超える角度が、主要外部表面に対して測定される浅い角度を含む、取得することと、少なくとも1つの透明材料を含む光学材料を、光学材料が主要外部表面に直接接触し、LOEを少なくとも部分的にカプセル化するように、少なくとも主要外部表面においてLOEに直接取り付けることであって、光学材料が、主要外部表面における全内部反射の状態を維持するように、第1の屈折率未満である第2の屈折率を有する、直接取り付けることと、を含む。
【0028】
任意選択的に、LOEは、画像照明が伝播するアクティブエリアと、画像照明が伝播しない、又は画像照明がユーザに向かって方向付けられていない非アクティブエリアと、を含み、方法は、光学材料をLOEに直接取り付ける前に、LOEのアクティブエリアのみが実質的に残存するように、LOEを修正して、非アクティブエリアを除去し、それによって、修正されたLOEを生成することと、修正されたLOEの1つ以上の周辺縁を、少なくとも1つの不透明材料層でコーティングすることと、を更に含む。
【0029】
任意選択的に、光学材料は、修正されたLOEの1つ以上の周辺縁において不透明材料に追加的に直接取り付けられる。
【0030】
任意選択的に、方法は、光学材料を切断又はトリミングして、接眼レンズの輪郭を達成することを更に含む。
【0031】
任意選択的に、方法は、少なくとも1つの光学素子を少なくとも1つの透明材料に取り付けることを更に含む。
【0032】
任意選択的に、少なくとも1つの光学素子は、主要外部表面のうちの第1のものに直接取り付けられている、少なくとも1つの透明材料の第1の部分に取り付けられたレンズと、主要外部表面のうちの第2のものに直接取り付けられている、少なくとも1つの透明材料のうちの第2の部分に取り付けられた保護フィルムと、を含む。
【0033】
任意選択的に、少なくとも1つの光学素子は、主要外部表面の第1の部分に直接取り付けられている、少なくとも1つの透明材料の第1の部分に取り付けられた第1のレンズと、主要外部表面の第2の部分に直接取り付けられている、少なくとも1つの透明材料の第2の部分に取り付けられた第2のレンズと、を含む。
【0034】
任意選択的に、少なくとも1つの光学素子は、主要外部表面のうちの第1のものに直接的に取り付けられている、少なくとも1つの透明材料の第1の部分に取り付けられた第1の保護フィルムと、主要外部表面のうちの第2のものに直接的に取り付けられている、少なくとも1つの透明材料の第2の部分に取り付けられた第2の保護フィルムと、を含む。
【0035】
任意選択的に、LOEは、第1の領域と、第2の領域と、を含み、少なくとも1つの光学カップリング構成は、第1の領域に位置する第1の光学カップリング構成と、第2の領域に位置する第2の光学カップリング構成と、を含み、第2の光学カップリング構成は、主要外部表面における全内部反射によって、第1の領域から第2の領域へとLOE内で誘導される画像照明の一部をLOEからユーザに向かって偏向させるために構成されており、第1の光学カップリング構成は、主要外部表面における全内部反射によって、第1の領域内で誘導される画像照明の一部を第2の領域に向かって偏向させるために構成されており、方法は、第1の領域内の少なくとも1つの透明材料の1つ以上の部分と関連付けて、光吸収材料を展開することを更に含む。
【0036】
任意選択的に、光吸収材料は、第1の屈折率と等しいか、又は第1の屈折率よりも10%以下超である屈折率を有する。
【0037】
任意選択的に、少なくとも1つの透明材料をLOEに直接取り付けることは、浸漬コーティング、スピンコーティング、ボンディング、及び成形からなる群から選択されるプロセスを実行することを含む。
【0038】
本発明の教示の実施形態によれば、視認のためにユーザに向かって画像照明を方向付ける光学デバイスも提供される。光学デバイスは、第1の屈折率を有する光透過材料から形成された導光光学素子(LOE)であって、LOEが、主要外部表面における全内部反射によって、LOE内で画像照明を誘導するための少なくとも1対の平行な主要外部表面を含む、複数の表面、第1の領域及び第2の領域、並びに第1の領域に位置する第1の光学カップリング構成及び第2の領域に位置する第2の光学カップリング構成であって、第2の光学カップリング構成が、主要外部表面における全内部反射によって、第1の領域から第2の領域へとLOE内で誘導される画像照明の一部をLOEからユーザに向かって偏向させるために構成されており、第1の光学カップリング構成が、主要外部表面における全内部反射によって、第1の領域内で誘導される画像照明の一部を第2の領域に向かって偏向させるために構成されている、第1の光学カップリング構成及び第2の光学カップリング構成を含む、導光光学素子(LOE)と、主要外部表面と直接接触するように、かつLOEを少なくとも部分的にカプセル化するように、少なくとも主要外部表面においてLOEに直接取り付けられた透明材料であって、主要外部表面における全内部反射の状態を維持するように、第1の屈折率未満である第2の屈折率を有する、透明材料と、第1の領域内の透明材料の1つ以上の部分と関連付けて展開された光吸収材料と、を備える。
【0039】
本発明の教示の実施形態によれば、視認のためにユーザに向かって画像照明を方向付ける光学デバイスも提供される。光学デバイスは、第1の屈折率を有する光透過材料から形成された導光光学素子(LOE)であって、LOEが、主要外部表面における全内部反射によって、LOE内で画像照明を誘導するための少なくとも1対の平行な主要外部表面を含む、複数の表面、第1の領域及び第2の領域、並びに第1の領域に位置する第1の光学カップリング構成及び第2の領域に位置する第2の光学カップリング構成であって、第2の光学カップリング構成が、主要外部表面における全内部反射によって、第1の領域から第2の領域へとLOE内で誘導される画像照明の一部をLOEからユーザに向かって偏向させるために構成されており、第1の光学カップリング構成が、主要外部表面における全内部反射によって、第1の領域内で誘導される画像照明の一部を第2の領域に向かって偏向させるために構成されている、第1の光学カップリング構成及び第2の光学カップリング構成を含む、導光光学素子(LOE)と、第1の領域内の主要外部表面と直接接触するように、第1の領域内の主要外部表面においてLOEに直接取り付けられた光吸収材料と、第2の領域内の主要外部表面と直接接触するように、第2の領域内の主要外部表面においてLOEに直接取り付けられた透明材料と、を備え、透明材料及び光吸収材料が、少なくとも部分的にLOEをカプセル化するために協働し、透明材料及び光吸収材料の各々が、主要外部表面における全内部反射の状態を維持するように、第1の屈折率未満の屈折率を有する。
【0040】
本発明の教示の実施形態によれば、視認のためにユーザに向かって画像照明を方向付ける光学デバイスも提供される。光学デバイスは、第1の屈折率を有する光透過材料から形成された導光光学素子(LOE)であって、LOEが、主要外部表面における全内部反射によって、LOE内で画像照明を誘導するための少なくとも1対の平行な主要外部表面を含む、複数の表面、第1の領域及び第2の領域、並びに第1の領域に位置する第1の光学カップリング構成及び第2の領域に位置する第2の光学カップリング構成であって、第2の光学カップリング構成が、主要外部表面における全内部反射によって、第1の領域から第2の領域へとLOE内で誘導される画像照明の一部をLOEからユーザに向かって偏向させるために構成されており、第1の光学カップリング構成が、主要外部表面における全内部反射によって、第1の領域内で誘導される画像照明の一部を第2の領域に向かって偏向させるために構成されている、第1の光学カップリング構成及び第2の光学カップリング構成を含む、導光光学素子(LOE)と、主要外部表面と直接接触するように、かつLOEを少なくとも部分的にカプセル化するように、少なくとも主要外部表面においてLOEに直接取り付けられた少なくとも1つの透明材料であって、主要外部表面における全内部反射の状態を維持するように、第1の屈折率未満である第2の屈折率を有する、少なくとも1つの透明材料と、少なくとも1つの保護フィルムであって、第1の領域内の主要外部表面のうちの少なくとも1つの一部分と関連付けられるように、少なくとも1つの透明材料の一部分と少なくとも関連付けられている、少なくとも1つの保護フィルムと、コーティングであって、コーティングが、少なくとも1つの透明材料の部分と関連付けられるように、少なくとも1つの保護フィルムの少なくとも一部分上に展開されている、コーティングと、を備える。
【0041】
任意選択的に、本発明の実施形態による光学デバイスのいずれか1つにおいて、第1の領域は、画像照明が、2対の平行な主要外部表面における全内部反射によって第1のLOEセクションを伝播するように、矩形断面を形成する2対の平行な主要外部表面を有する第1のLOEセクションとして構成されている。
【0042】
本文書の文脈内では、「誘導された」という用語は、概して、光透過材料内で捕捉された光が、光透過材料を通して伝播方向に伝播するように、光透過材料の主要外部表面における全内部反射によって、光透過材料(例えば、基板)内で捕捉される光を指す。
【0043】
本明細書で別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び/又は科学用語は、本発明が関係する当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されたものと同様又は同等の方法及び材料が、本発明の実施形態の実施若しくは試験に使用され得るが、例示的な方法及び/又は材料が、以下に記載されている。矛盾する場合は、定義を含む本特許明細書が支配する。加えて、材料、方法、及び例は、例解的であるにすぎず、必ずしも限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
本発明のいくつかの実施形態は、添付の図面を参照して、例としてのみ本明細書に記載されている。詳細な、図面への具体的な言及について、示された細目は、例として、及び本発明の実施形態の例解的な考察の目的のためであることを強調しておく。これに関して、図面と併せてなされた説明により、本発明の実施形態がどのように実施され得るかが当業者に明らかになる。
【0045】
ここで、図面に注意を向けると、図面では、同様の参照番号又は文字は、対応する又は同様の構成要素を示す。
図1】本発明の実施形態と共に使用することができる、1対の平行面及び平行面に対して斜めの部分反射表面を有する、導光光学素子(LOE)を有する光学デバイスの概略側面図である。
図2A】それぞれ、本発明の実施形態による、LOEの屈折率よりも低い屈折率を有する透明材料から形成されたカプセルによってカプセル化された、図1のLOEと同様のLOEを有する光学デバイスの概略側面図、平面図、及び正面図である。
図2B】それぞれ、本発明の実施形態による、LOEの屈折率よりも低い屈折率を有する透明材料から形成されたカプセルによってカプセル化された、図1のLOEと同様のLOEを有する光学デバイスの概略側面図、平面図、及び正面図である。
図2C】それぞれ、本発明の実施形態による、LOEの屈折率よりも低い屈折率を有する透明材料から形成されたカプセルによってカプセル化された、図1のLOEと同様のLOEを有する光学デバイスの概略側面図、平面図、及び正面図である。
図3図2Cと同様の概略正面図であるが、LOEのアクティブ及び非アクティブ領域を示す。
図4A】本発明の実施形態による、非アクティブエリアを除去するためにトリミング又は切断されているLOEの概略正面図である。
図4B】本発明の実施形態による、不透明な材料のコーティングが適用されているLOEの周辺縁を示す、図4AのLOEの概略正面図である。
図4C】それぞれ、本発明の実施形態による、LOEの屈折率よりも低い屈折率を有する透明材料から形成されたカプセルによってカプセル化された、図4BのLOEの概略正面図及び概略平面図である。
図4D】それぞれ、本発明の実施形態による、LOEの屈折率よりも低い屈折率を有する透明材料から形成されたカプセルによってカプセル化された、図4BのLOEの概略正面図及び概略平面図である。
図4E】本発明の実施形態による、接眼レンズ輪郭を有するようにトリミング又は切断された後のカプセルを示す、図4C及び図4Dのカプセル化されたLOEの概略正面図である。
図4F】本発明の実施形態による、図4Eと同様のカプセル化されたLOEであるが、光学カップリングイン構成を収容することができるカップリングイン領域を含むように修正された後の、カプセル化されたLOEを示す概略正面図である。
図5A】それぞれ、本発明の実施形態による、カプセルの第1及び第2の表面にそれぞれ取り付けられたレンズ及び保護フィルムを有するカプセル化されたLOEの概略側面図及び概略平面図である。
図5B】それぞれ、本発明の実施形態による、カプセルの第1及び第2の表面にそれぞれ取り付けられたレンズ及び保護フィルムを有するカプセル化されたLOEの概略側面図及び概略平面図である。
図6A】それぞれ、本発明の実施形態による、カプセルの第1及び第2の表面にそれぞれ取り付けられた第1及び第2の保護フィルムを有するカプセル化されたLOEの概略側面図及び概略平面図である。
図6B】それぞれ、本発明の実施形態による、カプセルの第1及び第2の表面にそれぞれ取り付けられた第1及び第2の保護フィルムを有するカプセル化されたLOEの概略側面図及び概略平面図である。
図7A】それぞれ、本発明の実施形態による、カプセルの第1及び第2の表面にそれぞれ取り付けられた第1及び第2のレンズを有するカプセル化されたLOEの概略側面図及び概略平面図である。
図7B】それぞれ、本発明の実施形態による、カプセルの第1及び第2の表面にそれぞれ取り付けられた第1及び第2のレンズを有するカプセル化されたLOEの概略側面図及び概略平面図である。
図8A】それぞれ、本発明の実施形態による、カプセルの第1及び第2の表面にそれぞれ取り付けられた、それらに適用された保護コーティング又はフィルムを各々有する、第1及び第2のレンズを有するカプセル化LOEの概略側面図及び概略平面図である。
図8B】それぞれ、本発明の実施形態による、カプセルの第1及び第2の表面にそれぞれ取り付けられた、それらに適用された保護コーティング又はフィルムを各々有する、第1及び第2のレンズを有するカプセル化LOEの概略側面図及び概略平面図である。
図9A】それぞれ、本発明の実施形態による、LOEの屈折率よりも低い屈折率を有する透明材料から形成されたカプセルによってカプセル化された二次元開口拡張を実行するように構成されたLOEを有する光学デバイスの概略正面図及び概略側面図である。
図9B】それぞれ、本発明の実施形態による、LOEの屈折率よりも低い屈折率を有する透明材料から形成されたカプセルによってカプセル化された二次元開口拡張を実行するように構成されたLOEを有する光学デバイスの概略正面図及び概略側面図である。
図10】本発明の実施形態による、接眼レンズ輪郭を有するようにトリミング又は切断された後のカプセルを示す、図9A及び図9Bのカプセル化されたLOEの概略正面図である。
図11】本発明の実施形態による、カプセルの第1及び第2の表面にそれぞれ取り付けられたレンズ及び保護フィルムを示す、図9Bと同様のカプセル化されたLOEの概略側面図である。
図12】カプセルの外部表面によって反射されてLOE内に戻されたLOEからの漏出光を示し、また、LOEと関連付けられた光学カップリング構成によってユーザに向かって反射された外部シーンからの光を示す、図9A及び図9BのLOEの概略部分側面図である。
図13A】本発明の実施形態による、カプセルを形成する透明材料の部分と関連付けられた光吸収材料を示す、図9A及び図9Bと同様の概略正面図及び概略側面図である。
図13B】本発明の実施形態による、カプセルを形成する透明材料の部分と関連付けられた光吸収材料を示す、図9A及び図9Bと同様の概略正面図及び概略側面図である。
図14】本発明の実施形態による、LOEからの漏出光及び外部シーンからの光を吸収する光吸収材料を示す、図13A及び図13BのLOEの概略部分側面図である。
図15】本発明の実施形態による、図9Bに示されるのと同様であるが、カプセルが、各々LOEの屈折率よりも低い屈折率を有する2つの透明材料から形成される、カプセル化されたLOEを示す概略側面図である。
図16A】それぞれ、本発明の実施形態による、図15に示されるLOEと同様であるが、LOEの片側の透明材料上の保護フィルム及び保護フィルムの一部上の追加コーティング層も示す、カプセル化されたLOEの概略側面図及び概略平面図である。
図16B】それぞれ、本発明の実施形態による、図15に示されるLOEと同様であるが、LOEの片側の透明材料上の保護フィルム及び保護フィルムの一部上の追加コーティング層も示す、カプセル化されたLOEの概略側面図及び概略平面図である。
図17A】それぞれ、本発明の別の実施形態による、LOEの屈折率よりも低い屈折率を各々有する第1及び第2の透明材料から形成されたカプセルによってカプセル化された二次元開口拡張を実行するように構成されたLOEを有する光学デバイスの概略側面図及び概略正面図である。
図17B】それぞれ、本発明の別の実施形態による、LOEの屈折率よりも低い屈折率を各々有する第1及び第2の透明材料から形成されたカプセルによってカプセル化された二次元開口拡張を実行するように構成されたLOEを有する光学デバイスの概略側面図及び概略正面図である。
図18】本発明の実施形態による、カプセルの第1及び第2の表面の一部にそれぞれ取り付けられたレンズ及び保護フィルムを追加的に示す、図17A及び図17Bの光学デバイスの概略側面図である。
図19】本発明の実施形態による、カプセルの第1の透明材料の部分と関連付けられた光吸収材料を追加的に示す、図17A及び図17Bの光学デバイスの概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明の実施形態は、カプセル化された導光光学素子(LOE)、カプセル化されたLOEを有する光学デバイス、カプセル化されたLOEを有する光学デバイスを作製する方法、及びLOEをカプセル化する方法を提供する。本発明の実施形態によるカプセル化されたLOEは、拡張現実アプリケーションのためのニアアイディスプレイ又はヘッドアップディスプレイの一部としての使用に特に好適である。
【0047】
本発明の実施形態によるLOE、光学デバイス及び方法の原理と動作は、本明細書に添付された図面を参照することにより、より良好に理解され得る。
【0048】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、以下の明細書に述べられた、並びに/又は図面及び/若しくは例に例解される構成要素及び/又は方法の構築の詳細及び配置への適用に必ずしも限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であるか、又は様々な方式で実践若しくは実施することができる。最初に、本書全体を通して、例えば、前方及び後方などの方向が参照される。これらの方向基準は、単に例示的なものであり、表現を容易にするためのみに使用され、図面に例解されるように、任意の配向を参照する。LOE及び光学デバイスは、任意の必要な配向に展開され得る。
【0049】
導入として、図1は、本発明の実施形態で使用することができる導光光学素子(LOE)12を概略的に例解する。当初、図1のLOE12は、LOE12以外の他の光学的構成要素、中でも注目すべきは、画像プロジェクタ18及び光学カップリングイン構成22を含むことができる光学デバイス10の一部であることに留意されたい。そのような構成要素はまた、本発明の実施形態に従って構築され、かつ動作する光学デバイス内に存在し得る。
【0050】
LOE12は、スラブの外部表面における全内部反射によって画像照明が伝播する(すなわち、誘導される)透明(すなわち、光透過)材料の平行面スラブ(基板とも称される)として形成される。この特定の実施形態では、LOE12は、全内部反射によって画像照明(光)を誘導するための1対の平面状の平行な主要外部表面(面)14a、14bを含む複数の表面を有する。
【0051】
画像プロジェクタ18は、ここでは、ビームにまたがるサンプル光線20A及び20Bを含む照明ビーム20によって概略的に表されるように、画像20を生成する。画像20は、(カップリングリフレクタ及び回折格子を含む、任意の好適なカップリングイン構成を使用することができるが)ここではカップリングプリズム22によって概略的に例解されるように、光学カップリングイン構成22によってLOE12にカップリングされ、LOE12内で全内部反射によって捕捉される反射光線24を生成し、光線26も生成する。ここで、カップリングプリズム22は、3つの主要表面を含み、そのうちの1つは、LOE12の斜めの縁28(縁28は、主要外部表面14a、14bに対して斜めの角度にある)の隣に位置している(又は共通である)。
【0052】
カップリングイン画像20は、主要外部表面14a、14bからの全内部反射の繰り返しによってLOE12に沿って伝搬し、ここでは一連の相互に平行な部分反射内部表面30a、30b、30c、30d、30e、30f(総称して30)によって概略的に例解されているように、主要外部表面14a、14bに対して斜角(αsur)において光学カップリングアウト構成30に突き当たり、画像強度の一部は、光線32A及び32Bとして、主要外部表面14aからアイレリーフ(ER)距離40における眼球運動ボックス(EMB)38内に位置する(観察者/ユーザの)眼36の瞳孔34に向かって基板から偏向される(カップリングアウトされる)ように反射される。LOE12の透明性により、観察者は、LOE12の前面側において(すなわち、面14bにおいて)、外部シーン(すなわち、現実世界のシーン)のビューに重ねられたカップリングアウト画像20を見ることができ、これは、光学デバイス10が拡張現実(AR)システムの一部として展開される場合に特に有用である。
【0053】
ゴースト画像を生じさせる可能性のある画像20の不要な反射を最小限に抑えるために、部分反射内部表面(本明細書では「ファセット」とも称される)30は、好ましくは、第1の範囲の入射角に対して低い反射率を有するように反射コーティングでコーティングされ、一方、第2の範囲の入射角に対しては所望の部分反射率を有し、この場合、部分反射表面30に対する法線に対する傾斜(ここでは角度βrefとして表される)が小さい光線は、カップリングアウトのための反射光線を生成するために分割される一方、(法線に対する)傾斜が大きい光線は、ごくわずかな反射で透過される。
【0054】
画像20は、コリメートされた画像であり、すなわち、各ピクセルは、観察者から遠く離れたシーンからの光に相当する、対応する角度における平行光線のビームによって表される(コリメートされた画像は、「無限大にコリメートされる」と称される)。ここでは、画像は、画像内の単一の点、典型的には画像の重心に対応する光線によって単純に表されるが、実際には、この中心ビームの各側への角度の範囲が含まれ、それらの光線は、対応する角度の範囲で基板内にカップリングインされ、及び同様に対応する角度でカップリングアウトされ、それにより、観察者の眼36に異なる方向で到達する画像の部分に対応する視野(FOV)を作成する。
【0055】
画像プロジェクタ18は、ここでは、矩形として概略的に例解されているが、画像プロジェクタ18は、典型的には、LCOSチップなどの、空間光変調器を照明するために展開された、少なくとも1つの光源を含む。空間光変調器は、画像の各画素の投影強度を変調し、それによって、画像を生成する。代替的に、画像プロジェクタは、プロジェクタの画像平面を横切ってレーザ光源からの照明を走査しながら、ビームの強度が走査の動きと同期して画素単位で変化し、それによって各画素に所望の強度を投影する、典型的には高速走査ミラーを使用して実装される走査構成を含み得る。どちらの場合も、無限遠にコリメートされる出力投影画像を生成するために、コリメート光学系が設けられる。上記の構成要素のいくつか又は全ては、典型的には、当該技術分野で周知であるように、1つ以上の偏光ビームスプリッタ(PBS)キューブ又は他のプリズム配置の表面上に配置される。
【0056】
LOE12の性能は、所望のフィールド全体にわたる画像照明の全内部反射(TIR)に強く依存する。当該技術分野で既知であるように、TIRの原理は、臨界角度によって支配され、これは、LOE12が構築されている材料(典型的には、約1.52の屈折率を有するガラス、例えば、BK7)の屈折率と、LOE12に接触する周囲の媒体の屈折率によって決定される。具体的には、LOEを通る光の伝播の臨界角は
【数1】
として定義され、式中、
【数2】
は、LOEを取り囲む媒体の屈折率であり、
【数3】
は、LOEの屈折率である。例えば、LOEがBK7から構築され、主要外部表面14a、14bに直ちに接触する媒体が空気(実質的に1である屈折率、すなわち、1の屈折率を有する)である場合
【数4】
である。
【0057】
したがって、LOE12の性能は、概して、LOE12内の伝搬光場の角度、並びにLOE12及び周囲の媒体の屈折率によって決定される。
【0058】
図1の光学デバイス10などの開口増倍(すなわち、開口拡張)を実行するためにLOEを利用する従来の光学デバイスでは、LOEの主要外部表面14a、14bに接触する周囲の媒体は、典型的には空気である。これは、いくつかの点で問題を提示する可能性がある。1つの点では、LOEの主要表面14a、14bを空気と直接接触させると、LOEが環境に曝露されたままになり得、したがって、LOEが損傷から保護されず、光学デバイスの全体的な機械的安定性を低減させる。これはまた、LOEの他の機能的又は機械的要素、例えば、LOEを支持する機械的本体、特にLOEを特定のニアアイディスプレイ実装に装着させることができる眼鏡フレームへの機械的接触面積を低減する。別の点では、小さいフォームファクタと良好な光学性能を維持しながら、主要外部表面14a、14bにレンズ又は光学フィルムなどの追加の光学素子を展開することは、特に困難である可能性がある。例えば、主要LOE表面への追加の光学素子の直接接合は、結合材料(例えば、光学セメント)の屈折率に起因してTIRに悪影響を及ぼす可能性があり、これは、LOEの屈折率未満であるが、典型的には空気の屈折率よりも高く、したがって、臨界角を増加させ、それによって有効FOVを低減させる。より低い臨界角を有するTIRの状態は、追加の光学素子とLOE12との間の空隙を用いて維持することができるが、そのような空隙は、光学デバイスの厚みを増加させ、デバイスをかさばらせ、デバイスの機械的安定性も低減させる。
【0059】
これらの制限を克服するために、本発明の実施形態は、中程度の屈折率から中程度に高い屈折率を有する材料から形成され、少なくとも1つの透明材料を含み、LOEよりも低い屈折率を有するが、依然として1よりも大きい、光学材料から形成されたカプセル化構造内に少なくとも部分的にカプセル化されたLOEを提供する。
【0060】
ここで図2A図2Cに目を向けると、本発明の実施形態に従って構築され、かつ動作する、概して100で示される光学デバイスが概略的に例解されている。ここで、光学デバイス100は、LOE12を含み、また、LOE12をカプセル化する光学材料51から形成されるカプセル化構造50を含む。光学デバイス100は、接眼レンズ、すなわち、例えば、眼鏡のフォームファクタの一部としてニアアイディスプレイの一部である、接眼レンズのほぼ形態に成形することができる。図2A図2Cに例解されるLOEは、図2A図2Cに例解されるLOEが傾斜縁で示されておらず、光学カップリングイン構成が図2A図2Cに示されていないという顕著な例外を除いて、LOE例解図1と構造が同様であることに留意されたい。これは、本開示の実施形態によるカプセル化されたLOEが1つ以上の傾斜縁(すなわち、平行表面14a、14bに対して斜めである縁又は表面)を含み得るため、提示の明確化のみを目的としており、カプセル化されたLOEと共に使用される光学カップリングイン構成は、本開示の後続のセクションで考察する。
【0061】
また、図2A図2Cには、LOE12の外部表面15a、15b及び16a、16bの2つの追加のセットも例解されている。これらの表面15a、15b、16a、16bはまた、周辺表面/縁又は周辺表面/縁15a、15b、16a、16bとも称される。表面15a、15b、及び16a、16bの対の各々は、特定の実施形態では、平行表面の対である可能性がある。特定の実施形態では、表面14a、14b、及び15a、15bの両対は、平行表面の対であり、表面14a、14b、15a、15b、16a、16bの3つの対は、相互に垂直である。
【0062】
カプセル化構造50(本明細書では互換的に「カプセル」とも称される)及びLOE12は、カプセル50の光学材料51が、主要外部表面14a、14bと直接接触するように(すなわち、直接当接で)、少なくとも主要外部表面14a、14bにおいてLOE12に直接取り付けられ、それによってLOE12をカプセル化するように配置される。直接接触によって、材料の中間層がカプセル50の光学材料51とLOE12の主要外部表面14a、14bとの間に存在しないことを意味する。そのような中間材料は、固体材料、半固体材料、並びに空気を含む。したがって、本発明の実施形態によるカプセル化されたLOEの主な区別は、カプセル50の光学材料51とLOE12の主要外部表面14a、14bとの間に空隙が存在しないことであることを明らかにすべきである。
【0063】
本発明の特定の実施形態では、LOE12は、中程度の屈折率から中程度の高い屈折率、好ましくは、1.5~1.8の範囲(すなわち、
【数5】
)に入る屈折率を有する光透過材料から形成される。カプセル化構造50は、LOEの屈折率未満であるが、依然として空気の屈折率を超える(すなわち、1よりも大きい)屈折率を有する光学材料51から形成される。好ましい実施形態では、カプセル化構造50は、1.1~1.4の範囲(すなわち、
【数6】
)、より好ましくは1.2~1.4の範囲(すなわち、
【数7】
)、最も好ましくは1.3~1.4の範囲(すなわち、
【数8】
)の屈折率を有する光学材料51から形成される。1つの非限定的な実施形態では、カプセル化構造50は、約1.34(すなわち、
【数9】
)の屈折率を有する光学接着剤の形態の透明材料、例えば、Norland Products,Inc.of Jamesburg,NJ,USAから入手可能な光学接着剤から形成される。カプセル50を形成することができる透明材料のタイプの詳細な考察は、本開示の後続のセクションで提供される。
【0064】
カプセル化構造50が形成される光学材料は、本明細書では、低インデックス材料51と互換的に称される。本文書の文脈において、「低インデックス」という表現の「低」という用語は、LOE12の屈折率に対して取られる。言い換えれば、光学材料51は、LOE12の屈折率と比較して低い屈折率を有する、すなわち、光学材料は、LOE12の屈折率よりも低い屈折率を有する(好ましくは、光学材料は、LOEの屈折率よりも少なくとも約7%低い屈折率を有する)。
【0065】
開示された実施形態では、光学材料51は、少なくとも1つの透明材料を含む。考察されるように、特定の実施形態では、単一の透明材料を使用してLOEをカプセル化する。他の実施形態では、(相互に隣接して配置された)2つの透明な材料を使用して、LOEをカプセル化する。更に他の実施形態では、透明材料及び光吸収材料が、LOEをカプセル化するために使用される。本発明の実施形態によるカプセル化に使用される全てのそのような透明材料及び光吸収材料は、上記で定義された低インデックス材料の定義に従って低インデックス材料である。
【0066】
LOE12を中程度の屈折率から中程度に高い屈折率の材料から構築し、低インデックス材料51から形成されたカプセル50を提供することによって、LOE12がカプセル50にカプセル化されるときに、TIRの状態を使用可能な臨界角で維持することができる。例えば、上記の屈折率範囲の極端な値を基準として、約37.7°(
【数10】
及び
【数11】
場合)~69°(
【数12】
及び
【数13】
の場合)の範囲の臨界角度を達成することができる。
【0067】
特定の実施形態では、投入された照明がTIRによって伝播し、主要外部表面14a、14bの平面に対して測定される浅い角度を含む臨界角を超える角度の範囲で主要表面14a、14bに入射するように、画像照明をLOE12に投入することが望ましい場合がある。これらの浅い角度は、高入射角(AOI)、好ましくは60°~80°の範囲のAOIに対応する。浅い角度を含む臨界角度を超える角度でのTIRによるLOE内の画像照明の伝搬は、画像の光場のより大きな部分を含むという有利な効果を有する。これは、臨界角度が好ましい角度(例えば、50°を超える)を超え、光場のより大きな部分が臨界角度未満であり、したがって、LOE12に捕捉されない状況で特に価値があり得る。画像照明が主要表面14a、14bにおいてTIRによってLOE内に捕捉され、かつ伝播する画像照明が浅い角度を含む臨界角を超える角度の範囲において主要表面14a、14bに入射するように、画像照明をLOE内に投入させることは、例えば、カップリングインプリズム又はカップリングインリフレクタの角度を適切に設計することによって、光学カップリングイン構成を適切に設計することによって達成することができる。
【0068】
図2A図2Cでは、LOE12は、表面14a、14bと直接接触していることに加えて、低インデックス材料51が表面15a、15bの全体(図2A及び図2Cに見られるように)及び表面16a、16bの全体(図2B及び図2Cに見られるように)とも直接接触しているように、カプセル50によってカプセル化されているように示されていることに留意されたい。図2A図2Cは、低インデックス材料と表面15a、15b、16a、16bとの直接接触を示しているにもかかわらず、この接触はあくまで任意選択であり、主要外部表面14a、14bにおけるカプセル化は、このカプセル化がTIRに必要な作業条件を提供するため、好ましい最小量のカプセル化である。実際には、特定の非限定的な実施態様では、低インデックス材料がLOEの主要表面にのみ取り付けられるように、LOEをカプセル化することがより実用的であり得る。
【0069】
特定の好ましい実施形態では、主要外部表面14a、14bにおけるカプセル化は、完全カプセル化であり、それによって、低インデックス材料51の層は、各主要外部表面14a、14bの長さ全体にわたって延在する。しかしながら、他の好ましい実施形態では、低インデックス材料は、(特定の場合には)主要外部表面14a、14bの長さにわたって部分的に延在し得、それによって、低インデックス材料によってLOE12の端部(表面15a、15bの直前)が接触しないままになる可能性がある。好ましくは、部分的な延在部は、画像照明が伝播し、最終的に観察者の眼に到達する主要外部表面14a、14bの部分を覆う。好ましくは、この部分的な延在部は、主要外部表面14a、14bの長さの大部分(又はかさ)にわたっている(ここで、長さの大部分は、好ましくは、長さの少なくとも80%、より好ましくは、長さの少なくとも90%、更により好ましくは、長さの少なくとも95%を指す)。これらの「部分的な延在部」の実施形態では、LOEは「部分的にカプセル化された」とみなされる。
【0070】
図面で使用される任意にラベル付けされたxyz座標系では、「長さ」は、x次元に沿って測定される。また、低インデックス材料51は、好ましくは、横方向(長さに垂直)で主要外部表面14a、14b全体にわたって延在し、図面で使用される任意にラベル付けされたxyz座標系では、z次元に沿って測定されることにも留意されたい。言い換えれば、低インデックス材料は、好ましくは、ちょうど縁16a、16bまで延在する。
【0071】
上記のように、特定の非限定的な実施形態では、低インデックス材料は、長さ次元(図面のx次元)でちょうど縁15a、15bまで延在する。しかしながら、特定の場合、低インデックス材料は、低インデックス材料の一部が縁15a、15bと直接接触するように、長さ次元(図面のx次元)で縁15a、15bを越えて延在し得る。特定の場合、低インデックス材料はまた、低インデックス材料の一部が縁16a、16bと直接接触するように、横方向次元(図面のz次元)で縁16a、16bを越えて延在し得る。
【0072】
表面14aの長さにわたって延在するカプセル50の低インデックス材料51の層(又は複数の層)は、表面14aに直接取り付けられているカプセル50の第1の領域52aに対応する。同様に、表面14bの長さにわたって延在するカプセル50の低インデックス材料51の層(又は複数の層)は、表面14bに直接取り付けられているカプセル50の第2の領域52bに対応する。低インデックス材料51は、主要外部表面14a、14bにおけるLOEに直接接触する内側/内部接触部分を有する。これらの内側/内部接触部分は、「界面」部分とも称される。接触部分53aの第1の部分は、低インデックス材料51の第1の領域52a内にあり、低インデックス材料51とLOE12の表面14aとの間に界面を形成するように、表面14aにおいてLOE12に直接接触する。同様に、界面部分の接触部分53bの第2の部分は、低インデックス材料51の第1の領域52a内にあり、低インデックス材料51とLOE12の表面14bとの間に界面を形成するように、表面14bにおいてLOE12に直接接触する。したがって、LOE12に投入される画像照明は、主要外部表面14a、14bにおいてTIRによって誘導(すなわち、伝搬)され、等価性によって、低インデックス材料51と表面14a、14bとの間の界面においてTIRによって誘導される。
【0073】
低インデックス材料51の領域52a、52bの各々は、関連付けられた厚さを有する。具体的には、領域52aは、表面14a(及び等価的には、界面部分の接触部分53a)と、カプセル50の低屈折率材料51の外部表面54aとの間で測定される関連付けられた厚さT1を有する。同様に、領域52bは、表面14b(及び等価的には、界面部分の接触部分53b)と、カプセル50の低屈折率材料51の外部表面54bとの間で測定される関連付けられた厚さT2を有する。
【0074】
同様の原理は、LOE12の他の表面15a、15b、16a、16bのうちの1つ以上において低インデックス材料の直接接触がある場合に適用される。例えば、低インデックス材料は、LOE12の残りの表面15a、15b、16a、16bに直接接触する追加の界面部分を有し得る。これらの追加の界面部分は、カプセル50の領域内にあり、その部分は、領域52a、52bと重複し得る。
【0075】
カプセル50の外部表面(例えば、表面54a、表面54b、及び図面にラベル付けされていない他の外部表面)は平面状の表面として示されているが、カプセルの外部表面のうちの1つ以上(及び場合によっては全て)は、曲面又は別様に非平面状の表面である可能性があることに留意されたい。
【0076】
補足的に、本発明の原理をより良好に説明するために、2つの領域52a、52bの厚さを含むLOE12及びカプセル50の寸法は、図面において明確にするために誇張される。一般的に言えば、領域52a、52bにおける低インデックス材料51の厚さは、2μmと小さくすることができ、光学設計及び製造の制約によって許される限り大きくすることができる。しかしながら、特定の実施形態では、低インデックス材料51の厚さは、好ましくは100μmを超えない、すなわち、低インデックス材料51の厚さは、好ましくは、2μm~100μmの範囲内にある。実際、2つの領域52a、52bの厚さを比較的小さく、より好ましくは、2μm~20μmの範囲内、更により好ましくは、2μm~10μmの範囲内に保つことが特に有利であり得、これは、光学性能を向上させると同時に、光学デバイスの全体的なかさを低減させることができる。好ましくは、表面14a、14bにおける低インデックス材料51の厚さは、低インデックス材料51の表面パターンが表面14a、14bにおける欠陥パターンに従うように十分に小さい。これらの欠陥パターンは、典型的には、表面14a、14bにおけるミクロンレベルの欠陥であり、例えば、表面14a、14bの様々な部分に沿った小さいくぼみの形態であり、例えば、研磨段階中のLOE12の製造プロセス中に出現し得る。欠陥パターンは、LOE12を通ってTIR誘導される画像照射の強度の一部が、LOE12から漏出することをもたらし得る。低インデックス材料51が厚すぎる場合、LOE12から漏出する画像照明は、望ましくない角度においてLOE12内に戻る低インデックス材料によって反射され得、潜在的にゴースト画像をもたらし、光学性能を低減させる。より好ましくは2μm~20μmの範囲内、更により好ましくは2μm~10μmの範囲内で低インデックス材料を十分に薄くすることによって、低インデックス材料の表面パターンは、LOE12表面14a、14bの欠陥パターンに追従し、それにより、表面14a、14bを通ってLOE12を漏出するTIR誘導照明は、ほとんどの場合、LOE12に再導入されないように、低インデックス材料からも漏出する。
【0077】
低インデックス材料51の上記の厚さ範囲はまた、(表面14a、14b間のy次元で測定される)LOE厚さのパーセントとして表すこともできることに留意されたい。好ましい実施形態では、LOE12の厚さは、典型的には、0.6mm~1.5mm(600μm~1500μm)の範囲内にある。したがって、2μm超、好ましくは2μm~100μm、より好ましくは2μm~20μm、更により好ましくは2μm~10μmの低インデックス材料51の厚さの範囲は、それぞれ、LOEの厚さの0.13%超、好ましくはLOEの厚さの0.13%~16.67%、より好ましくはLOEの厚さの0.13%~3.33%、更により好ましくはLOEの厚さの0.13%~1.67%に対応する。
【0078】
一般的に言えば、カプセル50は、様々なタイプの透明な低インデックス材料から形成することができる。そのような透明材料には、バルク材料(ガラス又はポリマーなど)、光学接着剤、誘電材料、ポリマー材料(そのようなポリマー樹脂)、及び同類のものが含まれるが、これらに限定されない。これらの材料の全ては、低インデックス材料51と表面14a、14bとの間の任意の中間材料又は層を使用せずに直接取り付けを容易にする様々な既知の技法を使用して、表面14a、14bにおいてLOE12に直接取り付け(すなわち、直接接合)することができる。
【0079】
特定の実施形態では、低インデックス材料51の1つ以上の層は、表面14a、14bに直接取り付けることができる。これは、低インデックス材料が低インデックス光学接着剤として実装され、また、LOEへの追加の光学的構成要素又は素子の取り付けを容易に収容することができる実施形態において特に適用可能であり得る。
【0080】
他の実施形態では、低インデックス材料の単一の薄層を提供することが好ましい場合がある。これは、低インデックス材料が、低インデックス誘電体材料又は低インデックスポリマーとして実装されている実施形態において特に適用可能であり得る。
【0081】
更に別の実施形態では、2つ以上の低インデックス材料を、LOEをカプセル化するために協働するように、LOEの異なる領域において展開することができる。そのような実施形態は、本開示の後続のセクションで考察されるように、LOEが開口拡張に二次元を提供する状況において特に有利である。
【0082】
低インデックス材料51を表面14a、14bに取り付ける/接合するために使用される技法は、使用される低インデックス材料のタイプに依存し得る。例えば、バルク材料を使用する場合、超音波処理又は熱処理接合プロセスを使用して、バルク材料を表面14a、14bに直接取り付けることができる。この点において、本開示の文脈において、バルク材料は、任意の固体材料を指し、例えば、固体材料とLOE12との間に存在するいかなる中間材料も伴わずに、直接結合を誘導する、任意のプロセス(例えば、超音波処理、熱処理、及び同類のもの)を使用して、LOE12の表面14a、14bに直接取り付けることができる、ガラス又はポリマーを含む。
【0083】
LOE12の主要表面14a、14b、並びにカプセル50の表面54a、54bは、好ましくは、光学品質を改善するために研磨されることに留意されたい。研磨は、当該技術分野で既知である任意の研磨ツール又は装置を使用して実行することができる。
【0084】
LOE12がカプセル50によってカプセル化されるプロセスは、本明細書ではカプセル化プロセスと称される。カプセル化プロセスは、浸漬コーティング、スピンコーティング、接合、及び成形を含むが、これらに限定されない、当該技術分野で既知である様々な技法を使用して実行することができる。浸漬コーティング及びスピンコーティングは、両方とも、基板作製及び処理の技術で周知である工業用コーティングプロセスである。接合技法は上記で考察されており、低インデックス材料51が固体(バルク材料)である場合に特に好適である。射出成形などの成形技法は、低インデックス材料51がポリマー又はポリマー樹脂として実装されている実施形態では、特に有用であり得る。そのような実施形態では、LOE12は、カプセルの形状を画定する成形型内に挿入することができ、低インデックス材料、そのようなポリマー樹脂は、次いで、成形型内に提供(例えば、投入)され、次いで、固化するまで硬化させたままにしておき、次いで、カプセル化されたLOEを成形型から除去することができる。
【0085】
特定のシナリオでは、LOE12を通って伝搬する画像照明、又は外部シーンからの照明は、LOE12の他の表面15a、15b、16a、16bのうちの1つ以上などのLOEの部分に突き当たり得、これは、照明の一部の散乱を引き起こし得る。この散乱照明は、場合によっては、例えば、光学カップリングアウト構成30による偏向を介して、ユーザの眼に到達し得る。光散乱効果を軽減し、好ましくは完全に防止するために、本発明の特定の実施形態は、LOE12の周辺縁15a、15b、16a、16bにおいて、光吸収塗料(例えば、黒色塗料)などの不透明な材料の層(又は複数の層)を提供する。結果として、照明が、別様に散乱し得る周辺縁15a、15b、16a、16bに突き当たるとき、照明は、好ましくは、不透明な材料によって吸収される。
【0086】
特定の実施形態では、不透明材料でコーティングされる周辺縁15a、15b、16a、16bの表面積を低減させることによって、不透明材料コーティングプロセスを簡素化することができる。この簡略化を詳細に考察する前に、LOE12は、典型的には、画像照明が伝播し、最終的にユーザに向かって方向付けられるアクティブエリアと、画像照明が伝播しない、又は画像照明がユーザに向かって方向付けられない非アクティブエリアとに細分化することができることに最初に留意されたい。アクティブエリア及び非アクティブエリアは、互換的に、それぞれ「撮像エリア」及び「非撮像エリア」と称される。撮像エリアは、光学カップリングアウト構成30によってEMBに向かって偏向されたLOE12内を伝播する全ての光線経路によってマッピングされる包絡線によって画定することができる。図3は、ここでは、LOE12に、アクティブエリア17(破線で区切られる)と非アクティブエリア19とが示されることを除き、図2Cに示されるようなものと同様のLOE12の概略正面図を例解する。
【0087】
特定の実施形態では、周辺縁15a、15b、16a、16bの表面積は、LOE12を切断又はトリミングして、非アクティブエリア19の実質的に全体(すなわち、全部又は大部分)を除去し、それによって、アクティブエリアのみを効果的に包含するLOEを提供することによって、低減させることができる。そのようなLOE12’は、図4Aに例解されている。特定の実施形態では、LOE12’は、LOE12からカット又はトリミングされたプレカットLOEである(ここで、LOE12は、前駆体LOEとも称される)。したがって、LOE12は、(切断/トリミングを介して)非アクティブエリア19を除去するように修正され、それによって、アクティブエリア17のみを有する修正されたLOE12’を生成する。次いで、修正されたLOE12’を表面14a、14bにおいて研磨して、光学品質を改善することができる。代替的に、前駆体LOE12の表面14a、14bは、切断/トリミングの前に研磨されて、非アクティブエリア17を除去することができる。
【0088】
次いで、図4Bに例解されるように、修正/プレカットLOE12’は、低減された周辺縁15a、15b、16a、16bにおいて不透明材料23でコーティングすることができる。不透明材料23でコーティングされると、コーティングされたLOE12’は、次いで、カプセル50の低インデックス材料51がLOEの表面14a、14bに直接取り付けられ/接合されるように(上で考察されたカプセル化プロセス/技法のいずれかなどのカプセル化プロセスを使用して)カプセル50によってカプセル化することができる。特定の実施形態では、低インデックス材料51はまた、周辺縁15a、15b、16a、16bにおいて不透明材料23に直接取り付けられ/接合される。図4C及び図4Dは、低インデックス材料がまた、周辺縁15a、15b、16a、16bに直接接触する、カプセル50によるコーティングされたLOE12’の異なる図を示す。次いで、カプセル50の表面54a、54bを研磨して、光学デバイスの光学品質を改善することができる。
【0089】
図4Eに例解されるように、カプセル化されたLOE12’は、任意選択で切断又はトリミングされて、所望の接眼レンズ輪郭を達成することができる。特に、カプセル50の低インデックス材料51は、接眼レンズ輪郭を有する所望の形状を達成するために切断又はトリミングすることができる。これは、カプセル化されたLOEが、例えば、眼鏡フォームファクタに実装されたニアアイディスプレイデバイスの一部として適合することが意図されているときに特に有用である。
【0090】
特定の実施形態では、LOE12又は12’は、光学カップリングイン構成の定置に対応するために修正することができる。LOEの修正は、LOEのカップリングイン領域を画定するために(カプセル化の前に)LOEを切断/トリミングすることによって遂行することができる。図4Fは、カプセル50によるカプセル化の後に(画像照明を投入することができる)カップリングイン領域25を含むように更に修正されているLOE12’の実施例を示す。LOE12に同様の修正を行うことができる。代替的に、カプセル化されたLOEは、例えば、カップリングイン領域となる領域に位置するカプセル50のエリア/部分を研削/切断/トリミングすることによって、カプセル化されたLOEにカップリングイン領域を提供するように修正することができる。
【0091】
LOEの非アクティブエリアの除去は、絶対的な要件ではなく、完全に無傷のLOE(すなわち、アクティブエリアと非アクティブエリアの両方を有するLOE)の周辺縁15a、15b、16a、16bのうちの1つ以上が不透明な材料でコーティングされている実施形態が、本明細書で企図されることに留意されたい。
【0092】
前述のように、光学カップリングイン構成(カップリングイン領域に定置される)は、TIRによる誘導のために、画像プロジェクタ(例えば、図1の画像プロジェクタ18)によって生成された画像照明をLOEに投入するように機能する。考察されたように、光学カップリングイン構成は、浅い角度を含む角度における画像照明の投入に適応するために適切に設計することができる。光学カップリングイン構成の設計はまた、カップリングイン領域の適切な設計、すなわち、光学カップリングイン構成の定置に対応することができる適切なカップリングイン領域を生成するために、LOE又はカプセル化されたLOEを適切に修正することを含み得る。
【0093】
本発明の実施形態によるカプセル化されたLOEは、従来のカプセル化されていないLOEに勝るいくつかの利点を提供する。まず、特定の実施形態によるカプセル化されたLOE、例えば、アクティブエリアのみを有するトリミングされたLOE12’及び接眼レンズ輪郭に適合するようにトリミングされたカプセル50を含む、図4Eのカプセル化されたLOEは、それらの従来のカプセル化されていないLOEの対応物よりも重量が軽い。別の利点は、カプセル化されたLOEが、眼鏡フレームなどの機能素子の直接的な機械的接触を提供することである。そのような機械的利点に加えて、本発明の実施形態によるカプセル化されたLOEは、従来のカプセル化されていないLOEよりも多くの特定の光学的利点を提供する。いくつかの顕著な光学的利点は、TIRの状態に悪影響を及ぼすことなく、主要表面14a、14bのうちの1つと関連付けて、レンズ、保護フィルム、ゴースト画像低減コーティング/フィルム及び同類のものなどの追加の光学素子をカプセル50に直接取り付ける能力である。
【0094】
ここで図5A図8Bに目を向けると、そこに取り付けられた様々な追加の光学素子を有するカプセル化されたLOEの実施例が例解されている。実施例の全てでは、第1の光学素子(72a/74a/76a/78a)は、主要表面14aと関連付けて(すなわち、ユーザの眼に対向して)展開されるように、表面54aにおいてカプセル50に直接取り付けられ、第2の光学素子(72b/74b/76b/78b)は、主要表面14bと関連付けて(すなわち、ユーザの眼から離れて、すなわち、LOEの背面側に向かって)展開されるように、表面54bにおいてカプセル50に直接取り付けられる。表面54a、54bへの光学素子72a/74a/76a/78a、72b/74b/76b/78bの直接取り付けは、例えば、接着剤接合を介して提供することができる。カプセル50が低インデックス光学接着剤から形成される実施形態では、低インデックス光学接着剤(厚さT1及びT2を有する)を使用して、表面14a、14bにおけるLOEに光学素子72a/74a/76a/78a、72b/74b/76b/78bを接合することもできる。
【0095】
第1の光学素子72a/74a/76a/78aは、表面54aの一部、大部分、又は全てを側方向(図面のx次元)及び横方向(図面のz次元)にわたって延在するように設計及び展開することができる。同様に、第2の光学素子72b/74b/76b/78bは、表面54bの一部、大部分、又は全てを側方向及び横方向にわたって延在するように設計及び展開することができる。
【0096】
ここで図5A及び図5Bに目を向けると、第1の光学素子72aがレンズ(処方レンズ、すなわち、眼科用レンズであり得る)の形態であり、第2の光学素子72bが保護フィルム(すなわち、薄い光学保護フィルムなどの安全保護フィルム)の形態である光学素子の第1の実施例が示されている。
【0097】
レンズ72aは、正又は負の屈折力を適用するように設計することができ、レンズの設計及び展開場所に応じて、そのような屈折力を、表面14a、14bを通してユーザによって視認可能である外部シーンからの照明に適用することができ、また、そのような屈折力を、LOE12からカップリングアウトされた画像照明、例えば、図1の光線32A、32Bに適用し得る)。例解される実施例では、レンズ72aは、平凸であり、したがって、正のパワーを適用する。加えて、レンズ72aは、部分的に側方向に表面54aにわたって延在し、部分反射表面30を包含するLOE12の部分にわたって完全に延在するように示されている。したがって、例解される実施例では、レンズ72aは、外部シーンからの光、並びに部分反射表面30によってLOE12からカップリングアウトされた画像照明に正の屈折力を適用する。
【0098】
保護フィルム72bは、側方向及び横断方向の両方向において表面54bにわたって完全に延在するように示されている。フィルム72bは、例えば、欠け、粉砕、破損などの損傷からLOE12を保護する保護安全フィルムである可能性がある。フィルム72bはまた、傷防止若しくは耐傷性コーティング、及び/又は汚れ若しくは他の粒子若しくは汚染がLOEに接触することに対する保護を提供するバリアフィルム(例えば、3Mから入手可能)であり得る。
【0099】
図6A及び図6Bを参照すると、第1の光学素子74a及び第2の光学素子74bの両方が保護フィルム(図5A及び図5Bの光学素子72bと同様)として実装されている光学素子の第2の実施例が示されている。この実施例では、フィルム74a、74bは、側方向及び横方向の両方で表面54a、54bの全体にわたって延在する。
【0100】
図7A及び図7Bは、光学素子の第3の実施例を例解する。この実施例では、第1の光学素子76aは、第1のレンズとして実装され、第2の光学素子76bは、第2のレンズとして実装され、その各々は、屈折力を適用することができる。ここで、第1のレンズ76aは、(図5A及び図5Bのレンズ72aと同様の)平凸(正)レンズであり、第2のレンズ76bは、平凹(負)レンズであり、したがって、組み合わせた2つのレンズ76a、76bは、2倍の屈折力を提供する。例解される実施例では、第1のレンズ76aは、側方向で表面54aにわたって部分的に延在し、横方向で表面54aにわたって完全に延在する。同様に、第2のレンズ76bは、側方向で表面54bにわたって部分的に延在し、横方向で表面54bにわたって完全に延在する。
【0101】
ここで図8A及び図8Bに目を向けると、光学素子の第4の実施例が例解されている。この実施例では、第1の光学素子78a及び第2の光学素子78bは、屈折力及び保護レンズの両方であり、両方のレンズが屈折力及び保護機能を提供することを意味する。具体的には、レンズ78aは、正レンズ又は負レンズである可能性があるが、例解される実施例では(レンズ72a、76aと同様の)平凸(正)レンズとして示されており、その上に(フィルム72b、74a、74bと同様の性質を有する)保護フィルム又はコーティングが適用されている。同様に、レンズ78bは、正レンズ又は負レンズである可能性があるが、例解される実施例では(レンズ76bと同様の)平凹(負)レンズとして示されており、その上に(フィルム72b、74a、74bと同様の性質を有する)保護フィルム又はコーティングが適用されている。例解される実施例では、レンズ78a、78bは、横方向でそれぞれの表面54a、54bにわたって完全に延在するが、側方向でそれぞれの表面54a、54bにわたって部分的にのみ延在する。
【0102】
図5A図8Bに例解される構成は、本発明の実施形態に従って想定される可能な構成の例示的なサブセットにすぎず、主要表面14a、14bの両方と関連付けて展開された複数の光学素子の組み合わせを有する構成、及びそれと関連して展開された1つ以上の光学素子を有する主要表面14a、14bのうちの1つのみを有する構成を含む構成は、本発明の範囲内にあることが強調される。例えば、(図6A及び6Bと同様に)保護フィルムが表面54aに適用され、レンズ(例えば、負のレンズ)が表面54bに適用される実施形態が企図される。
【0103】
これまでに記載した実施形態は、LOEを少なくとも部分的に越えて、表面14a、14b(すなわち、LOE内に展開されたファセット)に対して斜めの、相互に平行な部分反射内部表面のセットとして実装された光学カップリングアウト構成30を有するLOEに関係しているが、部分反射表面のセットは、光学カップリングアウト構成の1つの非限定的な実装を単に例解するものであり、他の光学カップリング構成を使用して、画像照明をLOE12からカップリングアウトさせることができる。光学カップリングアウト構成は、LOE12内ですでに伝播している入射画像照明の一部を、TIRによって、画像照明の偏向された部分がLOE12を出るような角度に偏向させる任意の光学カップリング配置であり得る。そのような好適な光学カップリング配置の他の例には、これらに限定されないが、表面14a、14bのいずれかに展開された1つ以上の回折光学素子(例えば、回折格子)(光学カップリングイン構成が1つ以上の回折素子として実装されているときに最も好適に使用される)、及びビームスプリッタ配置が含まれる。
【0104】
これまで記載された実施形態は、一次元(図面で使用した任意にラベル付けした座標系でのおよそx次元で)で開口拡張を行うように構成されたLOEのカプセル化に関係していた。しかしながら、上記のカプセル化方法論/技法を使用して二次元開口拡張を実行するLOEのカプセル化もまた、本発明の範囲内にある。実際、本明細書に記載のカプセル化方法論は、特定の場合、二次元開口拡張を実行するLOEアーキテクチャにより更に適用可能であり得る。Lumus Ltd(イスラエル)によって開発された2つの例示的なクラスのソリューションを含む、二次元開口拡張を行うLOEベースの光学デバイスのための様々なソリューションが長年にわたって開発されており、これらのソリューションの各々は、伝搬する画像照明の一部を各々が偏向させる(1つ以上の光透過基板として実装される)LOEの2つのそれぞれの領域内の部分反射表面の2つのセット(すなわち、光学カップリング構成の2つのセット)に基づいている。
【0105】
Lumusによって開発され、例えばPCT公開第WO 2020/049542号を含む、様々な刊行物に記載されている、例示的なクラスのソリューションのうちの1つでは、「複合LOE」と称されるものを使用して、二次元開口拡張が達成される。大まかに言えば、これらの複合LOEは2つの領域を採用しており、領域の各々は、平行な主要外部表面においてTIRによるコリメートされた画像照明の伝搬を容易にするための透明(すなわち、光透過)材料の平行面スラブであり、領域の各々は、光学カップリング構成(例えば、相互に平行な部分反射内側表面(すなわち、LOE内に展開されたファセット)又は回折素子のセット)を含み、光学開口の拡張を達成しつつ画像照明を方向転換する。
【0106】
Lumusによって開発され、例えば米国特許第10,133,070号を含む様々な刊行物に記載されている例示的なソリューションクラスの別のものでは、二次元開口拡張が、第2のスラブ型LOEと光学的にカップリングされた第1の矩形LOEを利用して達成され、その各々は、内部反射による画像照明の伝播をサポートする。大まかに言えば、これらの矩形LOEベースのソリューションはまた、2つの領域を採用し、領域のうちの第1のものは、矩形断面を形成する2対の平面状の平行な主要外部表面を有する細長い基板として形成される矩形LOEを含む。矩形LOEは、2対の主要外部表面において全内部反射(4倍全内部反射と称される)による画像照明の伝搬をサポートする。第2の領域は、矩形のLOEと光学的にカップリングされ、図1のLOEと同様の形態を有するスラブ型LOEを含む。言い換えれば、第2のスラブ型LOEは、主平行面の対と、主平行面に対して斜めに傾斜した内部部分反射表面(ファセット)のセットとを有する。矩形LOEはまた、矩形LOEの伸長方向に対して斜めに角度付けられた平行なファセットのセットを有し、これにより、矩形LOEを通って第2のLOE内に伝搬する画像照明の一部が、第2のLOEの1対の平行な主要表面においてTIRによって第2のLOEを通って誘導されるように偏向される。第2のLOEを通って伝播する画像照明の一部は、第2のLOEのファセットによって偏向され、第2のLOEから観察者の眼に向かってカップリングアウトされる。
【0107】
したがって、一次元開口拡張の文脈内で記載された光学カップリングアウト構成30は、より一般的には、LOE内で誘導される画像照明の一部を偏向させる光学カップリング構成30と称することができ、二次元開口拡張を実行するLOEアーキテクチャは、TIRによってLOE領域を通って伝搬する画像照明を偏向させるための2つ(又はそれ以上)のそのような光学カップリング構成を各々含むことができる。LOEが一次元のみで開口拡張を実行するように構成されている実施形態では、光学カップリング構成30は、誘導された画像照明の一部をLOEからユーザに向かって偏向させる。
【0108】
上記を念頭に置いて、以下の段落では、少なくとも部分的にカプセル化された二次元開口拡張LOEの実施形態を説明する。最初に、少なくとも部分的にカプセル化された複合LOEの実施形態について説明し、次に、少なくとも部分的にカプセル化された矩形LOEベースの配置の実施形態について説明する。
【0109】
ここで図9A及び図9Bを参照すると、LOEの2つのそれぞれの領域に位置する2つの光学カップリング構成131、132を有するカプセル化された複合LOE120を有する光学デバイス110の実施例の異なる図が示されており、各々が伝播する画像照明を偏向させる。LOE120は、1対の平行な主要外部表面(面)124a、124bを有する透明(すなわち、光透過)材料のスラブとして形成され、第1の光学カップリング構成131を包含する第1の領域121(本明細書では「LOE1」とも称され、図9Aでは破線で区切られている)と、第2の光学カップリング構成132を包含する第2の領域(本明細書では「LOE2」とも称され、図9Aでは破線で区切られている)と、を有する。図面に例解される非限定的な例示的な実施形態では、第1の光学カップリング構成131は、第1の配向を有する平面状の相互平行部分反射内側表面(ファセット)の第1のセットとして実装され、第2の光学カップリング構成132は、第1の配向に非平行な第2の配向を有する平面状の相互平行部分反射内側表面(ファセット)の第2のセットとして実装される。しかしながら、光学カップリング構成131、132はまた、表面124a、124bのいずれかに展開された回折光学素子(例えば、回折格子)として実装され得ることに留意されたい。
【0110】
補足的に、特定の実施形態では、カプセル化された複合LOEを有する光学デバイスを生成するための一般的なステップは、一次元開口拡張を実行するカプセル化されたLOEを有する光学デバイスを生成するために使用されるステップと同様である。そのような実施形態では、これらのステップは、一般に、LOEを取得し、次に、低インデックス材料をLOEの主要外部表面に直接取り付けることによって、取得されたLOEを少なくとも部分的にカプセル化することを含む。一次元の実施形態と同様に、低インデックス材料は、主要外部表面の長さの全体にわたって延在し得る(完全カプセル化)か、又は主要外部表面の長さの大部分にわたって延在し得る(部分カプセル化)。LOEを取得することは、特定の実施形態では、LOEを作製することを含み得る。複合LOEを作製するための方法は、例えば、前述のPCT公開第WO2020/049542号を含む、Lumus Ltd.(イスラエル)による様々な刊行物に広範囲に記載されている。他の実施形態では、カプセル化ステップは、複合LOE作製プロセスの追加ステップとして実行され得る。
【0111】
光学カップリング構成131、132が(図面に示されるように)のファセットのセットとして実装されている実施形態では、第1の配向は、概して、ファセット131が伝播画像照明の方向に対して斜めに傾斜していることを指し、第2の配向は、ファセット132が、ファセット131に対して非平行であり、また表面124a、124bに対して斜めに傾斜していることを指す。非限定的な実施例の1つのセットでは、第1の配向はまた、ファセット131が主要表面124a、124bに直交するようにすることもできる一方で、非限定的な実施例の別のセットでは、第1の配向はまた、ファセット131が主要表面124a、124bに対して斜めに角度付けられるようにすることもできる。
【0112】
相互に平行な主要外部表面124a、124bは、部分反射表面131の第1のセット及び部分反射表面131の第2のセットの両方が、主要外部表面124a、124bの間に位置するように、第1の領域121及び第2の領域122にわたって延在している。
【0113】
ここでは画像プロジェクタ18によって生成されたコリメートされた画像に対応するサンプル光線20によって概略的に表される画像照明は、表面124a、124bにおいてTIRによってLOE120の第1の領域121内を伝播する。第1の光学カップリング構成131は、画像照明の一部を、LOE120の第1の領域121内のTIRによって捕捉/誘導された第1の伝搬方向から、LOE120内のTIRによっても捕捉/誘導された第2の伝搬方向に偏向する。偏向された画像照明(ここでは、サンプル光線21によって概略的に表される)は、次に、第1の領域121から第2の領域122内に通過し、第2の光学カップリング構成132は、画像照明(図9Bでは、サンプル光線32として概略的に表される)の一部をLOE120の外に、EMB内に位置する観察者/ユーザの眼36に向かって次第にカップリングするように、TIR誘導画像照明の一部を偏向し、それによって、光学的開口拡張の第2の次元を達成する。
【0114】
複合LOEの実施形態に対応する図面では、LOE内の伝搬中に光線の面内伝搬方向のみが例解されているが、光線は実際には、2つの主要外部表面124a、124bからの内部反射を繰り返すジグザグ経路をたどり(図1に示すものと同様)、画像視野の一次元全体が、Y次元の画素位置に対応する、主要外部表面に対する光線の傾斜の角度によって符号化されることに留意されたい。
【0115】
LOE120はまた、平行表面の対であり得るか、又はそうでない場合がある、追加の外部(周囲)表面(縁)125a、125b、126a、126bも含む。例解される実施例では、カプセル50の低インデックス材料51は、LOE120の平行主要表面124a、124bと直接接触しているだけであり、LOE120の周囲表面(縁)125a、125b、126a、126bと接触していないことに留意されたい。しかしながら、低インデックス材料が、周囲表面(縁)125a、125b、126a、126bのうちの1つ以上と直接接触している他の構成が可能であることは明らかであるはずである。
【0116】
特定の実施形態では、縁125a、125b、126a、126bは、一次元開口拡張LOE12の文脈で上述したように、散乱を低減するために不透明な材料でコーティングすることができる。加えて、LOE12と同様に、複合LOE120は、アクティブエリア及び非アクティブエリアを有する。したがって、LOE12の文脈で先に前述したのと同様に、アクティブエリアのみを有する複合LOEを得ることができ(例えば、複合LOE120をトリミング/切断して非アクティブエリアを取り除くことによって)、トリミングされた複合LOEの周辺縁を不透明材料でコーティングすることができる。図10は、非アクティブエリアの大部分又は全てを除去するようにトリミングされている複合LOE120’の実施例を例解し、得られた周辺縁125a、125b、126a、126bは、不透明な材料23でコーティングされている。この実施例では、カプセル50の低インデックス材料51はまた、コーティングされた周辺縁125a、125b、126a、126bと直接接触しているように示されている。
【0117】
図5A図8Bを参照して記載されたLOEと同様に、LOE120は、レンズ及び保護フィルムの組み合わせを含む、低インデックス材料51の外部表面54a、54bにおけるカプセル50への直接取り付けを介して、追加の光学素子をそこに取り付けることができる。図11は、第1の光学素子82a(ここではレンズ、例えば、眼科用レンズとして表される)がカプセル50の前面54aに取り付けられ、第2の光学素子82(ここでは保護フィルムとして表される)がカプセル50の背面54bに取り付けられる、1つの非限定的な例示的な構成を例解する。光学素子82a及び82bがそれぞれレンズ及び保護フィルムとして実装されている1つの例示的な構成のみが図面に例解されているが、一次元開口拡張を実行するLOEの文脈において上で考察されたレンズ及び/又は保護フィルムの組み合わせのいずれも、ここでは、二次元開口拡張を実行するLOE120の文脈においても適用可能であることは明らかである。
【0118】
図11は、レンズ82aが、LOE120の領域121、122の各々における主要表面124aの部分と関連付けられるように、主要表面124aの全体に沿って側方向次元で延在するように、表面54aの全体に沿って側方向次元(図中のx次元)で延在するものとしてレンズ82aを示しているが、特定の場合において、レンズ82aの次元は、レンズ82aが、LOE120の第2の領域122内にある主要表面124aの部分にのみと関連付けられるように、側方向次元で表面54aの部分のみにわたってレンズ82aが延在するように限定され得ることに留意されたい。LOE120の第2の領域122では、ファセット132によって画像照明が偏向され、また、眼36が(主要表面124a、124bを介して)外部シーンを見ることができるため、特定の場合において、この方がより実用的であり得る。
【0119】
本開示の前のセクションで言及されるように、(それぞれ、表面124a及び124bの長さにわたって延在するカプセル50の低インデックス材料51の層に対応する)2つの領域52a、52bの厚さ(T1及びT2)は、本発明の原理をより良好に説明するために、図面で明確にするために誇張されるが、光学デバイスの全体的なかさを低減すると同時に、光学性能を増加させるために、2つの領域52a、52bの厚さを比較的小さく保つことが特に有利であり得る。具体的には、表面124a、124における低インデックス材料51の厚さは、好ましくは、低インデックス材料51の表面パターンが表面124a、124bにおける欠陥パターンに従うように十分に小さく、その結果、表面124a、124bを通ってLOE120から漏出するTIR誘導照明も、ほとんどの場合、LOE120に戻されないように、低インデックス材料51から漏出する。しかしながら、主要画像から逸脱した画像照明が、LOE120から領域52a、52bの一方又は両方内に漏出し、TIRによって表面54a又は54bにおいて反射され(漏出した照明が、低インデックス材料51の屈折率と、典型的には空気である、カプセル50を取り囲む媒体とによって定義される臨界角を超える入射角において表面54a又は54bに突き当たることに起因する)、散乱光としてLOE120に戻る状況が生じ得る。加えて、シーン(例えば、外部シーン)からの光がLOEに入り、ユーザの眼に向かって光学カップリング構成のうちの1つによって反射される可能性がある状況が生じ得る。これらの状況は、LOE120の第1の領域121の拡大された部分側面図を示す図12に概略的に例解されている。図12に例解されるように、主要TIR誘導画像20から逸脱し、LOE120から(表面124aを介して)カプセル50の領域52a内に漏出する照明(太いサンプル光線27として概略的に表される)は、表面54aにおいてTIRによって反射され、次いで、散乱光(太いサンプル光線29として概略的に表される)として(表面124aを介して)LOE120に再び入る。また、LOE120に(表面124bを介して)入り、(太いサンプル光線33として概略的に表される)反射光として光学カップリング構成131によってユーザの眼36に向かって偏向/反射される外部シーンからの(太いサンプル光線31として概略的に表される)光を示す。
【0120】
上記のシナリオにおける散乱及び不要な反射を軽減するために、本開示の特定の実施形態は、低インデックス材料51の1つ以上の部分に、光吸収材料の1つ以上の層を提供する。ここで図13A及び図13Bを参照すると、低インデックス材料51の部分と関連付けて、好ましくは低インデックス材料51の部分への直接取り付けを介して展開された光吸収材料60を有する光学デバイス110の異なる図が示されている。例解される実施例では、例えば、黒色塗料の1つ以上の層として実装することができる光吸収材料60は、LOE120の第1の領域121の表面124a、124bに直接取り付けられている低インデックス材料51の表面54a、54bの各々の少数部分(表面積)に直接堆積又はコーティングされる。光吸収材料60によって覆われる低インデックス材料51の表面54a、54bの少数部分は、xz平面における第1の光学カップリング構成部131の投影によって広がったエリアを覆う低インデックス材料51の表面積のほぼ全体を構成し、好ましくは、この広がったエリアをわずかに越えて延在する低インデックス材料51の表面エリアを含む。これは、別様にLOEへの進入と光学カップリング構成131からの偏向をサポートし得る角度において光学デバイスに到達する外部シーンからの照明が、光吸収材料61によって吸収されることを確実にするのに役立つ。大まかに言えば、光吸収材料60によって覆われる低インデックス材料51のエリアは、LOE120の第1の領域121を覆う低インデックス材料51の表面エリアのほぼ全体を含み、また、xz平面における第1の光学カップリング構成131の投影をわずかに超えて延在するように、領域121、122の間のLOE120の中間領域の一部(又は第2の領域122の一部)も含み得る。比例して、光吸収材料60によって覆われている低インデックス材料51の表面54a、54bの少数部分は、表面124a、124bの各々において展開された低インデックス材料の表面積の約10~20%を構成する。
【0121】
図14は、漏出した照明(光線27)及びシーン照明(光線31)に対する光吸収材料の効果を概略的に例解する。示されるように、主要TIR誘導画像20から逸脱し、LOE120から(表面124aを介して)カプセル50の領域52a内に漏出する照明27は、表面54aに展開された光吸収材料60によって吸収され、それによって、表面54aにおけるTIRの発生を防止し、散乱光のLOE120内へ再び入ることを防止する。また示されるように、外部シーンからの照明31は、表面54bにおいて展開された光吸収材料60によって吸収され、それによって、光学カップリング構成131による照明31のユーザの眼に向かっての偏向/反射を防止する。
【0122】
フレネル反射又はTIR反射を防止するために、光吸収材料60は、好ましくは、カプセル50を形成する低インデックス材料51の屈折率と同じ(すなわち、等しい)又はわずかに高い屈折率を有する。わずかに高いということは、光吸収材料60の屈折率が、カプセル50が形成される低インデックス材料51の屈折率よりも、好ましくは10%以下大きい/高い(より好ましくは5%以下大きい/高い)ことを意味する。
【0123】
眼36は、LOE120の第2の領域121の前方に位置するEMB内に位置するので、光吸収材料60の層は、第2の光学カップリング構成131によってカップリングアウトされた画像照明のユーザの可視性、又は表面124a、124bを通して視認可能である外部シーンのユーザの可視性を干渉しない。
【0124】
上述したように、特定の実施形態では、カプセル50は、2つ以上の低インデックス材料から形成することができる。図15は、第1の低インデックス材料61が、第1の領域121内にある表面124a、124bの部分に直接取り付けられ、第2の低インデックス材料62が、第2の領域122内にある表面124a、124bの部分に直接取り付けられる、そのような実施形態の非限定的な実施例を例解する。第2の低インデックス材料62は、透明材料であり、第1の低インデックス材料は、透明材料であり得るか、又は透明材料でない場合がある。ここで、カプセル50の第1の領域52aは、2つのサブ領域52a-1及び52a-2に細分化され、カプセル50の第2の領域52bは、2つのサブ領域52b-1及び52b-2に細分化される。第1の低インデックス材料61は、サブ領域52a-1及び52b-1内にあるのに対し、第2の低インデックス材料62は、サブ領域52a-2及び52b-2内にある。2つの低インデックス材料61、62は、カプセルを形成するように隣接して定置され、したがって、LOEを少なくとも部分的にカプセル化するように協働する。言い換えると、カプセル50の一部は、第1の低インデックス材料61から形成され、カプセル50の別の部分は、第2の低インデックス材料62から形成される。好ましくは、LOE120の主要外部表面124a、124bの各々において、LOE120の主要外部表面に取り付けられている第2の低インデックス材料62の外部表面62eは、LOE120の主要外部表面に取り付けられている第1の低インデックス材料61の外部表面61eの継続であり、それによって、カプセル50の外部表面54a、54bを形成する。
【0125】
好ましくは、2つの低インデックス材料61、62は、同一又は同様の屈折率を有する。しかしながら、これは絶対的な要件ではなく、LOE120は、2つの材料61、62間の屈折率のばらつきにもかかわらず、依然として二次元開口拡張を提供することができる。例えば、第1の低インデックス材料61は、約1.2の屈折率を有することができ、第2の低屈折率材料62は、1.3の屈折率を有することができる。
【0126】
特定の実施形態では、第1の低インデックス材料61は、透明材料である。他の実施形態では、第1の低インデックス材料61は、例えば、本質的に低い屈折率(例えば、約1.3の屈折率)を有する黒色塗料として実装された、低屈折率を有する光吸収材料である。そのような他の実施形態では、第1の低インデックス材料61は、例えば、i)第1の領域121内にある主要外部表面124a、124bの部分においてTIRの条件を保持することと、ii)別様に第1の領域121内にあり、第1の光学カップリング構成131から偏向する主要外部表面124a、124bの部分を介してLOE120に入るであろう外部シーンからの照明が、外部シーンの照明を吸収することによってLOE120に入るのを防止することと、iii)第1の領域121内にある主要外部表面124a、124bの部分を通してLOE120から漏出するTIR誘導照明が、漏出した照明を吸収することによってLOE120に再び入るのを防止することと、を含む複数の機能を実行する。
【0127】
第1の低インデックス材料61が低インデックス光吸収材料である実施形態では、第1の低インデックス材料61は、好ましくは、図13B及び図14の光吸収材料60が関連付けられている主要外部表面124a、124bの同じ又は同様の表面積を覆うことに留意されたい。言い換えると、第1の低インデックス材料61は、好ましくは、xz平面内の第1の光学カップリング構成131の投影によって広げられ、好ましくは、それをわずかに越えて延在する主要外部表面124a、124bの表面積を覆う。
【0128】
加えて、低インデックス材料61は、そのような他の実施形態では、それ自体が光吸収材料であるため、(例えば、図13B及び図14に例解されるような)光吸収材料の追加の層は必要ではない場合がある。
【0129】
特定の場合において、追加の光学素子(例えば、保護フィルム)が低インデックス材料(又は複数の低インデックス材料)を介してLOEに取り付けられている特定の実施形態では、機械的安定性を高め、LOEに入る外部シーンからの望ましくない光を遮断するのを助けるために、光学素子の露出表面の全部又は一部に追加のコーティング層又は複数のコーティング層を適用することが有利であり得る。追加のコーティング層に使用することができる1つの例示的な材料は、剛性(機械的安定性)及び反射防止性質を提供する、反射防止(AR)コーティングである。追加のコーティング層に使用することができる別の例示的な材料は、光吸収材料、例えば、黒色塗料である。図16A及び図16Bは、主要外部表面124bのうちの1つに取り付けられている低インデックス材料に取り付けられている保護フィルム82bの部分(例えば、薄い光学保護フィルム)に、コーティング63(例えば、ARコーティングの1つ以上の層、黒色塗料の1つ以上の層)が適用される、1つの非限定的な例示的な実施形態によるLOEの様々な図を例解する。例解の明確化のために、光学カップリング構成131、131は、図16Bには示されていない。好ましくは、コーティング63は、フィルム82bの主要表面の一部又は全て(好ましくは、LOE120の第1の領域121と関連付けられたフィルム82bの主要表面83bの少なくとも一部、例えば、第1の低インデックス材料61に取り付けられているフィルム82bの部分)、並びにフィルム82bの縁及び低インデックス材料の縁(LOE120の主要表面124bとの交点まで)を覆う。これは、低インデックス材料自体が環境から保護され、それによって、低インデックス材料がLOEから欠けるか、又は剥離することを防止することを確実にする。例解される実施例では、カプセル50は、2つの低インデックス材料61、62から形成され、コーティング63は、第1の低インデックス材料61と関連付けられたフィルム82bの主要表面83bの部分を覆う。しかしながら、特定の非限定的な構成では、コーティング63はまた、第2の低インデックス材料62と関連付けられたフィルム82bの主要表面83bの部分を覆うために展開され得ることは明らかであるはずである。
【0130】
加えて、コーティング63の展開は、単一の低インデックス材料がカプセルを形成するために使用される状況にも好適であることが明らかであるはずである。そのような構成では、コーティング63は、第1の領域121と関連付けられた低インデックス材料の部分と関連付けられたフィルム82bの主要表面の部分のみを覆うために展開され得るか、又はフィルム82bの主要表面全体を覆うために展開され得る。また、図16A及び図16Bは、コーティング63が、ユーザの眼から対向する主要外部表面124bと関連付けられている保護フィルム82b上に展開されたものとして示されているが、コーティング63は、ユーザの眼に対向する関係にある主要外部表面124aと関連付けられている(保護フィルム82bに類似する)保護フィルム上に展開することもできることに留意されたい(すなわち、例えば、図6Aに例解されるフィルム74aと同様の、主要外部表面124aに取り付けられている低インデックス材料に取り付けられている保護フィルム)。図16A及び図16Bに例解されるように、主要外部表面124bと関連付けられている保護フィルム上のコーティング63のそのような展開は、主要外部表面124bと関連付けられているフィルム82b上のコーティング63の展開に加えられるか、又はその代わりとなることができる。
【0131】
本明細書に記載の少なくとも部分的にカプセル化された複合LOEは、光学カップリング構成の特定の非限定的な構成に関するが、例えば、異なる撮像投入場所及び幾何学的形状、不均一なファセット間隔、又は部分反射内部表面の追加の(例えば、第3の)セットを導入することを採用する他の変形実施形態は、Lumus Ltd.(イスラエル)による以前の刊行物、特に前述のPCT公開第WO2020/049542号、並びにPCT公開第WO2020/152688号及びPCT出願第PCT/IL2020/051354号で詳細に考察されている。これらの追加の特徴は全て、本発明の文脈において実装され得るが、簡潔にするために、それらは、本明細書では詳細には扱われていない。
【0132】
ここで図17A及び図17Bに目を向けると、本発明の別の実施形態による、二次元開口拡張を実行する少なくとも部分的にカプセル化されたLOE205を有する光学デバイス200の実施例の異なる図が例解されている。ここで、LOE205は、矩形基板ベースのアーキテクチャであり、第1の領域(又はLOEセクション)221に、(z軸に沿って任意に示される)伸長方向、及び矩形断面を形成する2対の主要平行外部表面(面)212a、212b、214a、214bを有する光透過基板として形成された第1の(矩形)LOE210を含む。ここで、LOE210を少なくとも部分的に越えて、LOE210の伸長方向に対して斜め方向に傾斜している(すなわち、ファセット131が表面212a、212bに対して斜めである)複数の相互に平行な部分反射内面(ファセット)131として表される第1の光学カップリング構成131は、LOE210を通して伝播する画像照明を偏向させるように機能する。
【0133】
矩形LOE210は、LOE205の第2の領域(又はLOEセクション)222では、第2のスラブ型LOE220に光学的にカップリングされており、これは、図1図2Cを参照して記載したLOE12と構造が同様である。具体的には、LOE220は、表面224a、224bにおいてTIRによってLOE220を通して画像照明を誘導する1対の平行な主要外部表面224a、224bを有する光透過基板として形成され、ここでは、LOE220を少なくとも部分的に越えて、面224a、224bに対して斜めに傾斜している複数の相互に平行な部分反射性内部表面132として表される第2の光学カップリング構成132を有する。好ましくは、表面224a、214a、及び224b、214bの対は、表面224a、214aが、表面224b、214bによって形成される見かけの単一の表面に平行である見かけの単一の表面を形成するように、各々平行であり、共平面状である。
【0134】
LOE210、220間の光学カップリング、及び部分反射表面131、132の展開及び構成は、コリメートされた画像に対応する画像照明20が、両対の平行面212a、212b、214a、214bに対して斜めのカップリング角度において最初の伝搬方向で矩形LOE210にカップリング(投入)されると、画像が、矩形LOE210に沿って4倍の全内部反射(画像a1、a2、a3、a4)によって前進するようになっており、スラブ型LOE220内にカップリングされるように、画像の強度の一部が部分反射表面131において反射され、次いで、画像は、LOE220内で2倍の全内部反射(画像b1、b1)を通して伝搬し、観察者の眼36によって見える可視画像32として平行面224bのうちの1つから外側に方向付けられるように、画像の強度の一部が部分反射表面132において反射(偏向)される。
【0135】
明示的に別様に記載がない限り、低インデックス材料(1つ以上の透明な低インデックス材料、又は光吸収性の低インデックス材料に隣接する透明な低インデックス材料を含み得る)から形成されたカプセルを使用する少なくとも部分的なカプセル化、低インデックス材料への追加の光学素子の取り付け、追加のコーティング層の展開、眼鏡レンズの形状に適合する輪郭形成、及び他のそのような概念、複合LOE120/120’の文脈で上述したような全てを含む、複合LOE120/120’の少なくとも部分的なカプセル化に関連する概念もまた、矩形ベースのLOE205の文脈において本明細書に適用可能であることが理解されるべきである。したがって、LOE205のカプセル化の詳細及びそれに関連する概念は、ここでは繰り返さず、一般的にのみ考察される。
【0136】
上記を念頭に置くと、概して、LOE205をカプセル化するカプセル50は、(表面214a、214b、224a、224bと直接接触している)単一の低インデックス材料から形成することができ、又は表面214a、214bと直接接触している第1の低インデックス材料及び表面224a、224bと直接接触している第2の低インデックス材料から形成することができる)。図面において、カプセル50は、2つの低インデックス材料61、62から形成されているように示され、第1の低インデックス材料61は、表面214a、214bと直接接触し、第2の低インデックス材料は、表面224a、224bと直接接触している。図18に例解される実施形態などの特定の実施形態では、追加の光学素子82a、82b(ここでは、それぞれレンズ及び保護フィルムとして表される)は、カプセル50の低インデックス材料の関連部分への直接取り付けを介して、LOE205の前面及び背面と関連付けて展開することができる。例解される実施例では、レンズ82aは、レンズ82aが領域222を覆うように、x次元でLOE205に沿って部分的にのみ延在するが、上で考察されているものと同様に、レンズ82aは、x次元の表面214b、224bにわたって完全に延在し得る。明らかであるはずであるように、一次元開口拡張を行うLOEの文脈において上で考察されたレンズ及び/又は保護フィルムの組み合わせのいずれもが、二次元開口拡張を行うLOE205の文脈でも適用可能である。
【0137】
補足的に、図17Aは、矩形LOE210の主要外部表面214a、214bの全体に第1の低インデックス材料61を取り付けており、スラブ型LOE220の主要外部表面224a、224bの全体に第2の低インデックス材料62を取り付けている非限定的な実施例を示すが、他の構成が可能である。例えば、第1の低インデックス材料61は、(2つのLOE210、220間のカップリングに近接するスラブ型LOE220の「上部」部分に位置する)スラブ型LOE220の主要外部表面224a、224bの少数部分にも取り付けられるように、(x軸に沿って更に)下方に延在し得る。
【0138】
図19に例解される実施形態などの特定の実施形態では、光吸収材料60は、第1の領域221と接触している低インデックス材料(すなわち、矩形LOE210の表面214a、214bと接触している低インデックス材料)と関連付けて展開することができる。他の実施形態では、表面214a、214bと接触する低インデックス材料(例えば、図17Aの低インデックス材料61)は、本質的に低屈折率を有する黒色塗料など、低屈折率を有する光吸収材料として実装することができる。図面には例解されていないが、追加のコーティング(例えば、AR、黒色塗料)は、図16A及び図16Bに例解されるものと同様に、LOE205の第1の領域221内の低インデックス材料に取り付けられた保護フィルムに適用することができる。
【0139】
LOE120/120’のカプセル化とは異なり得るLOE205のカプセル化の一態様は、表面212a、212bに関することに留意されたい。概して、本明細書に開示されるLOEの全てについて、TIRによって照明を反射する任意の対の主要外部表面の光学的性質は、同じであるべきである。矩形LOE210は、4倍の全内部反射によって光を誘導するので、対向する表面212a、212bの光学的性質は、所与の角度において表面212a、212bに突き当たる照明が、表面212a、212bによって同じ角度に反射されるように、同じでなければならない。したがって、カプセル50の低インデックス材料が、表面212aにも直接取り付けられている場合(図17A図19に例解される低インデックス材料61又は62など)、表面212bでTIRによって反射される角度の範囲が、表面212aにおいてTIRによって反射される同じ角度の範囲であるように、対向する表面212a、212bの一致する光学的性質が保持されることが確実になるように注意を払う必要がある。
【0140】
特定の実施形態では、カプセル化された矩形LOEベースの配置を有する光学デバイスを生成するための一般的なステップは、一次元開口拡張を実行するカプセル化された複合LOE及びLOEを有する光学デバイスを生成するために使用されるステップと同様である。そのような実施形態では、これらのステップは、概して、矩形LOEベースの配置を取得すること(すなわち、LOE205を取得すること)、次いで、低インデックス材料をLOE210の主要外部表面214a、214b(好ましくは、表面212aも)及び主要外部表面224a、224bに直接取り付けることによって、LOE205をカプセル化することを含む。LOEを取得することは、特定の実施形態では、LOE205を作製することを含み得る。カプセル化された矩形LOEベースの配置を作製するための方法は、例えば、前述の米国特許第10,133,070号、及び同時係属中のPCT出願第PCT/IL2022/050500号を含む、Lumus Ltd.(イスラエル)による様々な刊行物に広範囲に記載されている。特定の実施形態では、カプセル化ステップは、LOE作製プロセスの追加ステップとして実行され得る。
【0141】
本開示の様々な実施形態の説明は、例解の目的で提示されてきたが、網羅的であることも、開示される実施形態に限定されることも意図されていない。記載された実施形態の範囲及び趣旨から逸脱しない多くの修正及び変形が、当業者には明らかであろう。本明細書で使用される用語は、実施形態の原理、市場で見出される技術に対する実用的な応用若しくは技術的な改善を最もよく説明するために、又は当業者が本明細書に開示される実施形態を理解することを可能にするために選択された。
【0142】
本明細書で使用される場合、「a」、「an」、及び「the」という単数形は、文脈が明らかに別様に指示しない限り、複数の参照を含む。
【0143】
「例示的」という語は、本明細書では、「実施例、実例、又は例解として役立つ」ことを意味するために使用される。「例示的」として記載される任意の実施形態は、必ずしも他の実施形態よりも好ましい若しくは有利であると解釈されるべきではなく、及び/又は他の実施形態からの特徴の組み込みを除外するものではない。
【0144】
明確にするために、別個の実施形態の文脈で記載される本発明の特定の特徴はまた、単一の実施形態で組み合わせて提供され得ることが理解される。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で記載される本発明の様々な特徴はまた、別個に、又は任意の好適な部分的な組み合わせで、又は本発明の他の任意の記載された実施形態で好適であるとして提供され得る。様々な実施形態の文脈で記載される特定の特徴は、実施形態がそれらの要素なしでは動作しない場合を除いて、それらの実施形態の本質的な特徴とみなされるべきではない。
【0145】
添付の特許請求の範囲が多重の依存関係なしに起草されている点において、これは、このような複数の依存関係を許可しない法域の正式な要件に対応するためにのみ行われている。特許請求の範囲を多重依存にすることによって暗示されるであろう特徴の全ての可能な組み合わせが明示的に想定されており、本発明の一部とみなされるべきであることに留意されたい。
【0146】
本発明は、その具体的な実施形態と併せて記載されてきたが、多くの代替、修正、及び変形が当業者には明らかになるであろうことは明白である。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨及び広い範囲内に収まる全てのこのような代替、修正、及び変形を包含することが意図されている。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15
図16A
図16B
図17A
図17B
図18
図19
【国際調査報告】