(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】マイクロ孔セラミック霧化コア及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C04B 38/00 20060101AFI20240621BHJP
C04B 38/06 20060101ALI20240621BHJP
C04B 35/14 20060101ALI20240621BHJP
C04B 35/5835 20060101ALI20240621BHJP
C04B 35/632 20060101ALI20240621BHJP
A24F 40/44 20200101ALI20240621BHJP
A24F 40/40 20200101ALI20240621BHJP
【FI】
C04B38/00 303Z
C04B38/06 B
C04B35/14
C04B35/5835
C04B35/632
A24F40/44
A24F40/40
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566587
(86)(22)【出願日】2021-11-29
(85)【翻訳文提出日】2023-10-27
(86)【国際出願番号】 CN2021133939
(87)【国際公開番号】W WO2023000573
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】202110827486.6
(32)【優先日】2021-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521528698
【氏名又は名称】深▲ゼン▼市華誠達精密工業有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】陳平
【テーマコード(参考)】
4B162
4G019
【Fターム(参考)】
4B162AA05
4B162AB01
4B162AB14
4B162AC18
4B162AC27
4G019FA13
4G019FA15
(57)【要約】
本発明は、マイクロ孔セラミック霧化コア及びその製造方法を開示する。マイクロ孔霧化コアは、原料及びその質量部数として、主要材料10~50部、セラミック粉体0~40部、助燃剤10~50部、造孔剤0~20部、パラフィン20~50部及び界面活性剤0.1~2.0部を含む。前記主要材料は、珪藻土、シリカエアロゲル粉末及び多孔質窒化ホウ素のうちの少なくとも1種類を含む。前記主要材料の粒度は200~1500メッシュである。本発明のマイクロ孔セラミック霧化コアは、マイクロ孔を備え且つ高比表面積を有する主要材料を加えることで、霧化コアの気孔率及び液止め能力を向上させる。これにより、霧化用リキッドの十分な霧化が確実に保証され、霧化コアの使用体験が強化される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料及びその質量部数として、主要材料10~50部、セラミック粉体0~40部、助燃剤10~50部、造孔剤0~20部、パラフィン20~50部及び界面活性剤0.1~2.0部を含み、
前記主要材料は、珪藻土、シリカエアロゲル粉末及び多孔質窒化ホウ素のうちの少なくとも1種類を含み、前記主要材料の粒度は200~1500メッシュであることを特徴とするマイクロ孔セラミック霧化コア。
【請求項2】
前記セラミック粉体は、石英砂、窒化ケイ素、シリコン粉末及びコランダムのうちの少なくとも1種類を含み、粒度が100~1500メッシュであることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ孔セラミック霧化コア。
【請求項3】
前記助燃剤は、金属酸化物又はガラス粉末であり、粒度が200~2000メッシュ、溶融開始温度が300~600℃であることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ孔セラミック霧化コア。
【請求項4】
前記金属酸化物は、酸化マグネシウム、二酸化チタン、酸化ニオブのうちの少なくとも1種類であることを特徴とする請求項3に記載のマイクロ孔セラミック霧化コア。
【請求項5】
前記ガラス粉末は、無鉛系低温溶融ガラス粉末、希少元素系低温溶融ガラス粉末又はホウ素系低融点ガラス粉末であることを特徴とする請求項3に記載のマイクロ孔セラミック霧化コア。
【請求項6】
前記造孔剤は、小麦粉、PSミクロスフェア及びもみ殻粉末のうちの少なくとも1種類を含み、粒度が200~1000メッシュであることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ孔セラミック霧化コア。
【請求項7】
前記パラフィンは半精製又は精製パラフィンであり、融点が40~100℃であることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ孔セラミック霧化コア。
【請求項8】
前記界面活性剤は、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリソルベート及びオレイン酸のうちの少なくとも1種類を含むことを特徴とする請求項1に記載のマイクロ孔セラミック霧化コア。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載のマイクロ孔セラミック霧化コアの製造方法であって、
S1:質量部数に従って各原料を混合し、プレスして素地を形成し、
S2:前記素地を焼結炉に置いて500~800℃で焼結する、
とのステップを含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、霧化の技術分野に関し、特に、マイクロ孔セラミック霧化コア及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミック霧化コアは、電子タバコ等の霧化分野における中核部品である。当該分野の発展に伴って、セラミック霧化コアに対する人々の要求は霧化にとどまらず、その霧化効果についても霧化コアを評価するための重要指標の一つとなっている。
【0003】
現在のセラミック霧化コアには、霧化粒子が大きい、使用又は運搬過程で液漏れが生じる、高温焼結により霧化コアが収縮して変形する等の主な課題が存在し、セラミック霧化コアの発展を極めて大きく制限している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的課題は、気孔率が高く、霧化効果を向上させるマイクロ孔セラミック霧化コア及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が技術的課題を解決するために採用する技術方案は、マイクロ孔セラミック霧化コアを提供することである。当該マイクロ孔セラミック霧化コアは、原料及びその質量部数として、主要材料10~50部、セラミック粉体0~40部、助燃剤10~50部、造孔剤0~20部、パラフィン20~50部及び界面活性剤0.1~2.0部を含む。
【0006】
前記主要材料は、珪藻土、シリカエアロゲル粉末及び多孔質窒化ホウ素のうちの少なくとも1種類を含む。前記主要材料の粒度は200~1500メッシュである。
【0007】
好ましくは、前記セラミック粉体は、石英砂、窒化ケイ素、シリコン粉末及びコランダムのうちの少なくとも1種類を含み、粒度が100~1500メッシュである。
【0008】
好ましくは、前記助燃剤は、金属酸化物又はガラス粉末であり、粒度が200~2000メッシュ、溶融開始温度が300~600℃である。
【0009】
好ましくは、前記金属酸化物は、酸化マグネシウム、二酸化チタン、酸化ニオブのうちの少なくとも1種類である。
【0010】
好ましくは、前記ガラス粉末は、無鉛系低温溶融ガラス粉末、希少元素系低温溶融ガラス粉末又はホウ素系低融点ガラス粉末である。
【0011】
好ましくは、前記造孔剤は、小麦粉、PSミクロスフェア及びもみ殻粉末のうちの少なくとも1種類を含み、粒度が200~1000メッシュである。
【0012】
好ましくは、前記パラフィンは半精製又は精製パラフィンであり、融点が40~100℃である。
【0013】
好ましくは、前記界面活性剤は、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリソルベート及びオレイン酸のうちの少なくとも1種類を含む。
【0014】
本発明は、更に、マイクロ孔セラミック霧化コアの製造方法を提供する。当該方法は、以下のステップを含む。
【0015】
S1:質量部数に従って各原料を混合し、プレスして素地を形成する。
【0016】
S2:前記素地を焼結炉に置いて500~800℃で焼結する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の有益な効果は以下の通りである。即ち、マイクロ孔を備え、高比表面積を有する主要材料を加えることで霧化コアの気孔率及び液止め能力を向上させる。これにより、霧化用リキッドの十分な霧化が確実に保証され、霧化コアの使用体験が強化される。
【0018】
製造時には、低温(500~800℃)で焼結成型するため、製造条件が簡単であり、実施しやすい。
【0019】
以下に、図面と実施例を組み合わせて、本発明につき更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本発明における珪藻土のSEM画像である。
【
図2】
図2は、本発明におけるマイクロ孔セラミック霧化コアのSEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の技術的特徴、目的及び効果がより明瞭に理解されるよう、図面を参照して本発明の具体的実施形態につき詳細に説明する。
【0022】
本発明におけるマイクロ孔セラミック霧化コアは、原料及びその質量部数として、主要材料10~50部、セラミック粉体0~40部、助燃剤10~50部、造孔剤10~20部、パラフィン20~50部及び界面活性剤0.1~2.0部を含む。
【0023】
主要材料には、マイクロ孔を備え、高比表面積を有する材料を選択する。これにより、霧化コアにおいて液止め効果を向上させることができ、且つ、霧化粒子をきめ細かくできる。当該主要材料は、珪藻土、シリカエアロゲル粉末及び多孔質窒化ホウ素のうちの少なくとも1種類を含む。主要材料の粒度は、200~1500メッシュである。
【0024】
主要材料のうち、珪藻土は主成分がケイ酸質であり、表面に無数の細孔が存在するため、吸着性能に優れ、単位容積重量が軽く、細かさが均一であり、pH値が中性且つ無害であり、混合時の均一性に優れる等の利点を有する。珪藻土のSEM画像は
図1に示す通りである。図面に示される珪藻土粉体粒子の微細形状特性評価より、珪藻土には均一なマイクロ孔が分布しており、比表面積が大きいことがわかる。
【0025】
シリカエアロゲル粉末は、常圧乾燥法で作製される低密度、低熱伝導率、高比表面積、高吸着性のエアロゲル材料である。また、多孔質窒化ホウ素は、新型の非酸化物多孔質材料であり、互いに貫通又は閉塞された孔により内部が構成されるため、高比表面積と豊富なトンネル構造を有する。なお、孔径のサイズについては、実際の応用に合わせて調節可能である。
【0026】
セラミック粉体は、マイクロ孔セラミック霧化コアの骨格材料として、石英砂、窒化ケイ素、シリコン粉末及びコランダムのうちの少なくとも1種類を含み得る。また、セラミック粉体の好ましい粒度は100~1500メッシュである。
【0027】
助燃剤は、金属酸化物又はガラス粉末であり、粒度が200~2000メッシュ、溶融開始温度が300~600℃である。金属酸化物は、酸化マグネシウム、二酸化チタン、酸化ニオブ等のうちの少なくとも1種類とすることができる。ガラス粉末は、無鉛系低温溶融ガラス粉末、希少元素系低温溶融ガラス粉末又はホウ素系低融点ガラス粉末とすることができる。
【0028】
造孔剤は、小麦粉、PSミクロスフェア及びもみ殻粉末のうちの少なくとも1種類であり、粒度が200~1000メッシュである。
【0029】
パラフィンは、半精製又は精製パラフィンであり、融点が40~100℃である。
【0030】
界面活性剤は、ソルビタン脂肪酸エステル(スパン)、ポリソルベート(ツイン)及びオレイン酸のうちの少なくとも1種類である。
【0031】
本発明におけるマイクロ孔セラミック霧化コアの製造方法は、以下のステップを含む。
【0032】
S1:質量部数に従って各原料を混合し、プレスして素地を形成する。
【0033】
プレス成型については、ホットダイカスト成型を用いてもよいし、乾式プレス成型を用いてもよい。
【0034】
S2:素地を焼結炉に置いて500~800℃で焼結することで、単一焼結法によりマイクロ孔霧化コアを取得する。
【0035】
理解可能なように、本発明におけるマイクロ孔セラミック霧化コアの製造方法は、上記のホットダイカスト又は乾式プレスに限らず、霧化コアを成型及び製造するためのその他の方法をいずれも使用可能である。
【0036】
本発明におけるマイクロ孔セラミック霧化コアのSEM画像は
図2に示す通りである。図面より、霧化コアは、粒子の堆積及び造孔剤により形成される孔だけでなく、主要材料を加えることでマイクロ孔が大幅に増加することがわかる。よって、給液が確実に保証されるとともに、マイクロ孔霧化コアの毛細管現象が極めて大幅に改善されるため、貯液及び液止め性能が大きく向上する。これにより、アトマイザーの動作時に十分なリキッド供給が保証されるとともに、霧化粒子がきめ細かくなる。
【0037】
以下に、具体的実施例によって、本発明につき更に説明する。
【0038】
実施例1:
各原料の部数を、珪藻土80部、ガラス粉末50部、パラフィン50部、オレイン酸0.5部とした。上記の原料を混合したあとホットダイカスト成型を行い、500~800℃で1回焼結してマイクロ孔霧化コアを形成した。
【0039】
実施例2:
珪藻土をシリカエアロゲル粉末に変更した以外は、実施例1と同じとした。
【0040】
実施例3:
珪藻土を多孔質窒化ホウ素とした以外は、実施例1と同じとした。
【0041】
実施例4:
実施例1をベースに、原料として小麦粉10部を追加した以外は、実施例1と同じとした。
【0042】
実施例5:
実施例1をベースに、原料として小麦粉20部を追加した以外は、実施例1と同じとした。
【0043】
実施例6:
各原料の部数を、珪藻土40部、シリコン粉末10部、ガラス粉末50部、小麦粉20部、パラフィン40部、オレイン酸0.5部とした。上記の原料を混合したあとホットダイカスト成型を行い、500~800℃で1回焼結してマイクロ孔霧化コアを形成した。
【0044】
実施例7:
各原料の部数を、珪藻土40部、シリコン粉末20部、ガラス粉末40部、小麦粉20部、パラフィン40部、オレイン酸0.5部とした。上記の原料を混合したあとホットダイカスト成型を行い、500~800℃で1回焼結してマイクロ孔霧化コアを形成した。
【0045】
実施例8:
各原料の部数を、珪藻土40部、石英砂20部、ガラス粉末40部、小麦粉20部、パラフィン40部、オレイン酸0.5部とした。上記の原料を混合したあとホットダイカスト成型を行い、500~800℃で1回焼結してマイクロ孔霧化コアを形成した。
【0046】
実施例9:
各原料の部数を、珪藻土40部、コランダム20部、ガラス粉末40部、小麦粉20部、パラフィン40部、オレイン酸0.5部とした。上記の原料を混合したあとホットダイカスト成型を行い、500~800℃で1回焼結してマイクロ孔霧化コアを形成した。
【0047】
実施例10:
各原料の部数を、シリカエアロゲル粉末40部、シリコン粉末20部、ガラス粉末40部、小麦粉20部、パラフィン40部、オレイン酸0.5部とした。上記の原料を混合したあとホットダイカスト成型を行い、500~800℃で1回焼結してマイクロ孔霧化コアを形成した。
【0048】
実施例11:
各原料の部数を、多孔質窒化ホウ素40部、シリコン粉末20部、ガラス粉末40部、小麦粉20部、パラフィン40部、オレイン酸0.5部とした。上記の原料を混合したあとホットダイカスト成型を行い、500~800℃で1回焼結してマイクロ孔霧化コアを形成した。
【0049】
比較例1:
各原料の部数を、コランダム70部、ガラス粉末30部、小麦粉20部、パラフィン30部、オレイン酸0.5部とした。上記の原料を混合したあとホットダイカスト成型を行い、500~800℃で1回焼結してマイクロ孔霧化コアを形成した。
【0050】
比較例2:
各原料の部数を、石英砂70部、ガラス粉末30部、小麦粉20部、パラフィン30部、オレイン酸0.5部とした。上記の原料を混合したあとホットダイカスト成型を行い、500~800℃で1回焼結してマイクロ孔霧化コアを形成した。
【0051】
実施例1~11及び比較例1~2で取得したマイクロ孔霧化コアの気孔率(アルキメデス法)及び吸水率を測定したところ、測定結果は表1に示す通りとなった。
【0052】
【0053】
表1の結果から明らかなように、比較例の霧化コアにおける気孔率が小さく、孔径が大きく、霧化コアの貯液能力が低く、且つ液漏れが発生しやすい等の問題と比較して、本発明では、珪藻土等の主要材料を加えることで、マイクロ孔霧化コアの気孔率が明らかに上昇し、且つ、平均孔径を相対的に安定した小さいレベルに維持可能であり、霧化コアにおける優れた液止め能力が確実に保証された。
【0054】
以上の記載は本発明の実施例にすぎず、これにより本発明の権利範囲は制限されない。本発明の明細書及び図面の内容を用いてなされる等価の構造又は等価のフローの変更、或いは、その他関連の技術分野における直接的又は間接的な運用は、いずれも同様の理由で本発明の権利保護の範囲に含まれる。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、霧化の技術分野に関し、特に、マイクロ孔セラミック霧化コア及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミック霧化コアは、電子タバコ等の霧化分野における中核部品である。当該分野の発展に伴って、セラミック霧化コアに対する人々の要求は霧化にとどまらず、その霧化効果についても霧化コアを評価するための重要指標の一つとなっている。
【0003】
現在のセラミック霧化コアには、霧化粒子が大きい、使用又は運搬過程で液漏れが生じる、高温焼結により霧化コアが収縮して変形する等の主な課題が存在し、セラミック霧化コアの発展を極めて大きく制限している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的課題は、気孔率が高く、霧化効果を向上させるマイクロ孔セラミック霧化コア及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が技術的課題を解決するために採用する技術方案は、マイクロ孔セラミック霧化コアを提供することである。当該マイクロ孔セラミック霧化コアは、原料及びその質量部数として、主要材料10~50部、セラミック粉体0~40部、助燃剤10~50部、造孔剤0~20部、パラフィン20~50部及び界面活性剤0.1~2.0部を含む。
【0006】
前記主要材料は、珪藻土、シリカエアロゲル粉末及び多孔質窒化ホウ素のうちの少なくとも1種類を含む。前記主要材料の粒度は200~1500メッシュである。
【0007】
好ましくは、前記セラミック粉体は、石英砂、窒化ケイ素、シリコン粉末及びコランダムのうちの少なくとも1種類を含み、粒度が100~1500メッシュである。
【0008】
好ましくは、前記助燃剤は、金属酸化物又はガラス粉末であり、粒度が200~2000メッシュ、溶融開始温度が300~600℃である。
【0009】
好ましくは、前記金属酸化物は、酸化マグネシウム、二酸化チタン、酸化ニオブのうちの少なくとも1種類である。
【0010】
好ましくは、前記ガラス粉末は、無鉛系低温溶融ガラス粉末、希少元素系低温溶融ガラス粉末又はホウ素系低融点ガラス粉末である。
【0011】
好ましくは、前記造孔剤は、小麦粉、PSミクロスフェア及びもみ殻粉末のうちの少なくとも1種類を含み、粒度が200~1000メッシュである。
【0012】
好ましくは、前記パラフィンは半精製又は精製パラフィンであり、融点が40~100℃である。
【0013】
好ましくは、前記界面活性剤は、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリソルベート及びオレイン酸のうちの少なくとも1種類を含む。
【0014】
本発明は、更に、マイクロ孔セラミック霧化コアの製造方法を提供する。当該方法は、以下のステップを含む。
【0015】
S1:質量部数に従って各原料を混合し、プレスして素地を形成する。
【0016】
S2:前記素地を焼結炉に置いて500~800℃で焼結する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の有益な効果は以下の通りである。即ち、マイクロ孔を備え、高比表面積を有する主要材料を加えることで霧化コアの気孔率及び液止め能力を向上させる。これにより、霧化用リキッドの十分な霧化が確実に保証され、霧化コアの使用体験が強化される。
【0018】
製造時には、低温(500~800℃)で焼結成型するため、製造条件が簡単であり、実施しやすい。
【0019】
以下に、図面と実施例を組み合わせて、本発明につき更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本発明における珪藻土のSEM画像である。
【
図2】
図2は、本発明におけるマイクロ孔セラミック霧化コアのSEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の技術的特徴、目的及び効果がより明瞭に理解されるよう、図面を参照して本発明の具体的実施形態につき詳細に説明する。
【0022】
本発明におけるマイクロ孔セラミック霧化コアは、原料及びその質量部数として、主要材料10~50部、セラミック粉体0~40部、助燃剤10~50部、造孔剤0~20部、パラフィン20~50部及び界面活性剤0.1~2.0部を含む。
【0023】
主要材料には、マイクロ孔を備え、高比表面積を有する材料を選択する。これにより、霧化コアにおいて液止め効果を向上させることができ、且つ、霧化粒子をきめ細かくできる。当該主要材料は、珪藻土、シリカエアロゲル粉末及び多孔質窒化ホウ素のうちの少なくとも1種類を含む。主要材料の粒度は、200~1500メッシュである。
【0024】
主要材料のうち、珪藻土は主成分がケイ酸質であり、表面に無数の細孔が存在するため、吸着性能に優れ、単位容積重量が軽く、細かさが均一であり、pH値が中性且つ無害であり、混合時の均一性に優れる等の利点を有する。珪藻土のSEM画像は
図1に示す通りである。図面に示される珪藻土粉体粒子の微細形状特性評価より、珪藻土には均一なマイクロ孔が分布しており、比表面積が大きいことがわかる。
【0025】
シリカエアロゲル粉末は、常圧乾燥法で作製される低密度、低熱伝導率、高比表面積、高吸着性のエアロゲル材料である。また、多孔質窒化ホウ素は、新型の非酸化物多孔質材料であり、互いに貫通又は閉塞された孔により内部が構成されるため、高比表面積と豊富なトンネル構造を有する。なお、孔径のサイズについては、実際の応用に合わせて調節可能である。
【0026】
セラミック粉体は、マイクロ孔セラミック霧化コアの骨格材料として、石英砂、窒化ケイ素、シリコン粉末及びコランダムのうちの少なくとも1種類を含み得る。また、セラミック粉体の好ましい粒度は100~1500メッシュである。
【0027】
助燃剤は、金属酸化物又はガラス粉末であり、粒度が200~2000メッシュ、溶融開始温度が300~600℃である。金属酸化物は、酸化マグネシウム、二酸化チタン、酸化ニオブ等のうちの少なくとも1種類とすることができる。ガラス粉末は、無鉛系低温溶融ガラス粉末、希少元素系低温溶融ガラス粉末又はホウ素系低融点ガラス粉末とすることができる。
【0028】
造孔剤は、小麦粉、PSミクロスフェア及びもみ殻粉末のうちの少なくとも1種類であり、粒度が200~1000メッシュである。
【0029】
パラフィンは、半精製又は精製パラフィンであり、融点が40~100℃である。
【0030】
界面活性剤は、ソルビタン脂肪酸エステル(スパン)、ポリソルベート(ツイン)及びオレイン酸のうちの少なくとも1種類である。
【0031】
本発明におけるマイクロ孔セラミック霧化コアの製造方法は、以下のステップを含む。
【0032】
S1:質量部数に従って各原料を混合し、プレスして素地を形成する。
【0033】
プレス成型については、ホットダイカスト成型を用いてもよいし、乾式プレス成型を用いてもよい。
【0034】
S2:素地を焼結炉に置いて500~800℃で焼結することで、単一焼結法によりマイクロ孔霧化コアを取得する。
【0035】
理解可能なように、本発明におけるマイクロ孔セラミック霧化コアの製造方法は、上記のホットダイカスト又は乾式プレスに限らず、霧化コアを成型及び製造するためのその他の方法をいずれも使用可能である。
【0036】
本発明におけるマイクロ孔セラミック霧化コアのSEM画像は
図2に示す通りである。図面より、霧化コアは、粒子の堆積及び造孔剤により形成される孔だけでなく、主要材料を加えることでマイクロ孔が大幅に増加することがわかる。よって、給液が確実に保証されるとともに、マイクロ孔霧化コアの毛細管現象が極めて大幅に改善されるため、貯液及び液止め性能が大きく向上する。これにより、アトマイザーの動作時に十分なリキッド供給が保証されるとともに、霧化粒子がきめ細かくなる。
【0037】
以下に、具体的実施例によって、本発明につき更に説明する。
【0038】
実施例1:
各原料の質量部数を、珪藻土80部、ガラス粉末50部、パラフィン50部、オレイン酸0.5部とした。上記の原料を混合したあとホットダイカスト成型を行い、500~800℃で1回焼結してマイクロ孔霧化コアを形成した。
【0039】
実施例2:
珪藻土をシリカエアロゲル粉末に変更した以外は、実施例1と同じとした。
【0040】
実施例3:
珪藻土を多孔質窒化ホウ素とした以外は、実施例1と同じとした。
【0041】
実施例4:
実施例1をベースに、原料として小麦粉10部を追加した以外は、実施例1と同じとした。
【0042】
実施例5:
実施例1をベースに、原料として小麦粉20部を追加した以外は、実施例1と同じとした。
【0043】
実施例6:
各原料の質量部数を、珪藻土40部、シリコン粉末10部、ガラス粉末50部、小麦粉20部、パラフィン40部、オレイン酸0.5部とした。上記の原料を混合したあとホットダイカスト成型を行い、500~800℃で1回焼結してマイクロ孔霧化コアを形成した。
【0044】
実施例7:
各原料の質量部数を、珪藻土40部、シリコン粉末20部、ガラス粉末40部、小麦粉20部、パラフィン40部、オレイン酸0.5部とした。上記の原料を混合したあとホットダイカスト成型を行い、500~800℃で1回焼結してマイクロ孔霧化コアを形成した。
【0045】
実施例8:
各原料の質量部数を、珪藻土40部、石英砂20部、ガラス粉末40部、小麦粉20部、パラフィン40部、オレイン酸0.5部とした。上記の原料を混合したあとホットダイカスト成型を行い、500~800℃で1回焼結してマイクロ孔霧化コアを形成した。
【0046】
実施例9:
各原料の質量部数を、珪藻土40部、コランダム20部、ガラス粉末40部、小麦粉20部、パラフィン40部、オレイン酸0.5部とした。上記の原料を混合したあとホットダイカスト成型を行い、500~800℃で1回焼結してマイクロ孔霧化コアを形成した。
【0047】
実施例10:
各原料の質量部数を、シリカエアロゲル粉末40部、シリコン粉末20部、ガラス粉末40部、小麦粉20部、パラフィン40部、オレイン酸0.5部とした。上記の原料を混合したあとホットダイカスト成型を行い、500~800℃で1回焼結してマイクロ孔霧化コアを形成した。
【0048】
実施例11:
各原料の質量部数を、多孔質窒化ホウ素40部、シリコン粉末20部、ガラス粉末40部、小麦粉20部、パラフィン40部、オレイン酸0.5部とした。上記の原料を混合したあとホットダイカスト成型を行い、500~800℃で1回焼結してマイクロ孔霧化コアを形成した。
【0049】
比較例1:
各原料の質量部数を、コランダム70部、ガラス粉末30部、小麦粉20部、パラフィン30部、オレイン酸0.5部とした。上記の原料を混合したあとホットダイカスト成型を行い、500~800℃で1回焼結してマイクロ孔霧化コアを形成した。
【0050】
比較例2:
各原料の質量部数を、石英砂70部、ガラス粉末30部、小麦粉20部、パラフィン30部、オレイン酸0.5部とした。上記の原料を混合したあとホットダイカスト成型を行い、500~800℃で1回焼結してマイクロ孔霧化コアを形成した。
【0051】
実施例1~11及び比較例1~2で取得したマイクロ孔霧化コアの気孔率(アルキメデス法)及び吸水率を測定したところ、測定結果は表1に示す通りとなった。
【0052】
【0053】
表1の結果から明らかなように、比較例の霧化コアにおける気孔率が小さく、孔径が大きく、霧化コアの貯液能力が低く、且つ液漏れが発生しやすい等の問題と比較して、本発明では、珪藻土等の主要材料を加えることで、マイクロ孔霧化コアの気孔率が明らかに上昇し、且つ、平均孔径を相対的に安定した小さいレベルに維持可能であり、霧化コアにおける優れた液止め能力が確実に保証された。
【0054】
以上の記載は本発明の実施例にすぎず、これにより本発明の権利範囲は制限されない。本発明の明細書及び図面の内容を用いてなされる等価の構造又は等価のフローの変更、或いは、その他関連の技術分野における直接的又は間接的な運用は、いずれも同様の理由で本発明の権利保護の範囲に含まれる。
【国際調査報告】