(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】搾乳システム
(51)【国際特許分類】
A01J 5/00 20060101AFI20240621BHJP
【FI】
A01J5/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023569910
(86)(22)【出願日】2022-06-02
(85)【翻訳文提出日】2023-11-10
(86)【国際出願番号】 SE2022050537
(87)【国際公開番号】W WO2022260574
(87)【国際公開日】2022-12-15
(32)【優先日】2021-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521499848
【氏名又は名称】デラバル ホールディング アクチエボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グドムンドソン、マッツ
(57)【要約】
それぞれの乳排出管(120a、120b、120c、120d)に各々が接続されているティートカップ(110a、110b、110c、110d)と、真空ポンプ(140)と、乳タンク(130)と、それぞれ関連付けられたティートカップ(110a、110b、110c、110d)に提供される吸出し真空圧レベル(P1)を調節するように構成された真空調節装置(150a、150b、150c、150d)と、各々が各乳首(210a、210b、210c、210d)の下の真空圧を測定するように構成された真空圧センサ(160a、160b、160c、160d)と、吸出し真空圧レベル(P1)を設定すること、関連付けられたティートカップ(110a、110b、110c、110d)の結果として生じる真空圧レベル(P2)の測定値を取得すること、その測定値を所望の搾乳真空圧レベル(Pm)と比較すること、所望の搾乳真空圧レベル(Pm)を達成するために、調節された吸出し真空圧レベルを計算すること、及び動物の識別とは無関係に、それぞれ計算された調節に従って調節を引き起こすこと、を行うように構成された処理装置(170)と、備える、搾乳システム(100)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搾乳システム(100)であって、
複数のティートカップ(110a、110b、110c、110d)であって、各々が搾乳セッション(400)における搾乳中、動物(200)のそれぞれの乳首(210a、210b、210c、210d)に適合するように構成された、前記複数のティートカップ(110a、110b、110c、110d)と、
複数の乳排出管(120a、120b、120c、120d)であって、各乳排出管(120a、120b、120c、120d)がそれぞれのティートカップ(110a、110b、110c、110d)に接続されている、前記複数の乳排出管(120a、120b、120c、120d)と、
システム真空圧(P
s)を生成するように構成された、真空ポンプ(140)と、
前記それぞれの接続された乳排出管(120a、120b、120c、120d)を介して前記ティートカップ(110a、110b、110c、110d)の各々に接続され、前記真空ポンプ(140)にも接続されている、乳タンク(130)と、
各々が1つのティートカップ(110a、110b、110c、110d)に関連付けられ、前記それぞれのティートカップ(110a、110b、110c、110d)に提供される吸出し真空圧レベル(P
1a、P
1b、P
1c、P
1d)を調節するように構成された、複数の真空調節装置(150a、150b、150c、150d)と、
複数の真空圧センサ(160a、160b、160c、160d)であって、各々が1つのティートカップ(110a、110b、110c、110d)に関連付けられ、前記搾乳セッション(400)中に前記乳首(210a、210b、210c、210d)のうちの1つの下の前記関連付けられたティートカップ(110a、110b、110c、110d)内に広がる真空圧レベル(P
2a、P
2b、P
2c、P
2d)を測定するように構成された、前記複数の真空圧センサ(160a、160b、160c、160d)と、
前記真空調節装置(150a、150b、150c、150d)及び前記真空圧センサ(160a、160b、160c、160d)に通信可能に接続された処理装置(170)と
を備え、前記処理装置(170)が、
各真空調節装置(150a、150b、150c、150d)にそれぞれのコマンドを生成して、前記吸出し真空圧レベル(P
1a、P
1b、P
1c、P
1d)を吸出し搾乳真空圧レベル(P
im)に設定することと、
前記吸出し真空圧レベル(P
1a、P
1b、P
1c、P
1d)を前記関連付けられたティートカップ(110a、110b、110c、110d)に提供することと、
前記搾乳セッション(400)中に、前記関連付けられたティートカップ(110a、110b、110c、110d)の前記真空圧センサ(160a、160b、160c、160d)から、前記乳首(210a、210b、210c、210d)のうちの1つの下の前記関連付けられたティートカップ(110a、110b、110c、110d)内に広がる前記真空圧レベル(P
2a、P
2b、P
2c、P
2d)の測定値を繰り返し取得することと、
前記搾乳セッション(400)中に、前記真空圧レベル(P
2a、P
2b、P
2c、P
2d)の前記取得されたそれぞれの測定値を所望の搾乳真空圧レベル(P
m)と繰り返し比較することと、
前記搾乳セッション(400)中に、前記行われた比較に基づいて、前記関連付けられたティートカップ(110a、110b、110c、110d)内で前記所望の搾乳真空圧レベル(P
m)を達成するために、各真空調節装置(150a、150b、150c、150d)によって前記関連付けられたティートカップ(110a、110b、110c、110d)に提供される前記吸出し真空圧レベル(P
1a、P
1b、P
1c、P
1d)の調節(ΔP)を繰り返し計算することと、
前記搾乳セッション(400)中に、前記それぞれ計算された調節(ΔP)に従って前記吸出し真空圧レベル(P
1a、P
1b、P
1c、P
1d)を調節するために、各真空調節装置(150a、150b、150c、150d)へのそれぞれのコマンドを繰り返し生成し、それによって、前記搾乳セッション(400)の前記乳首(210a、210b、210c、210d)の各々の下の前記それぞれの真空圧センサ(160a、160b、160c、160d)によって測定されるように、前記動物(200)の識別情報とは無関係に、前記それぞれの関連付けられたティートカップ(110a、110b、110c、110d)の各々において前記所望の搾乳真空圧レベル(P
m)を達成することと
を行うように構成されている、搾乳システム(100)。
【請求項2】
前記処理装置(170)が、
前記搾乳セッション(400)の少なくとも大半の時間にわたって、前記乳首(210a、210b、210c、210d)の各々の下の前記それぞれの真空圧センサ(160a、160b、160c、160d)によって測定されるように、前記それぞれの関連付けられたティートカップ(110a、110b、110c、110d)の各々において略一定の前記所望の搾乳真空圧レベル(P
m)を達成するために、前記吸出し真空圧レベル(P
1a、P
1b、P
1c、P
1d)を調節するための前記コマンドを前記搾乳セッション(400)の間に繰り返し生成するように構成されている、請求項1に記載の搾乳システム(100)。
【請求項3】
前記処理装置(170)が、
ある期間中に前記真空圧センサ(160a、160b、160c、160d)によって測定された前記ティートカップ(110a、110b、110c、110d)のうちの1つの前記真空圧レベル(P
2a、P
2b、P
2c、P
2d)の最高測定値と最低測定値との差をそれぞれ繰り返して推定し、
前記推定された差が閾値限界より小さい場合、前記所望の搾乳真空圧レベル(P
m)を、前記ティートカップ(110a、110b、110c、110d)の高流量搾乳真空圧レベル(P
HF)に一時的に設定するように構成されている、請求項1に記載の搾乳システム(100)。
【請求項4】
前記処理装置(170)が、前記搾乳セッション(400)中に、
前記それぞれの乳首(210a、210b、210c、210d)に取り付けられた各ティートカップ(110a、110b、110c、110d)に関連付けられた前記真空調節装置(150a、150b、150c、150d)に対して、それぞれのコマンドを繰り返し生成することと、
前記真空圧センサ(160a、160b、160c、160d)から取得された前記乳首(210a、210b、210c、210d)の下の前記取得された最新の真空圧レベル(P
2a、P
2b、P
2c、P
2d)が、前記乳首(210a、210b、210c、210d)の下の前記所望の搾乳真空圧レベル(P
m)よりも低いとき、前記調節(ΔP)で前記ティートカップ(110a、110b、110c、110d)に提供される前記吸出し真空圧レベル(P
1a、P
1b、P
1c、P
1d)を増加することと、又は
前記真空圧センサ(160a、160b、160c、160d)から取得された前記乳首(210a、210b、210c、210d)の下の前記取得された最新の真空圧レベル(P
2a、P
2b、P
2c、P
2d)が、前記乳首(210a、210b、210c、210d)の下の前記所望の搾乳真空圧レベル(P
m)を超えるとき、前記ティートカップ(110a、110b、110c、110d)に提供される前記吸出し真空圧レベル(P
1a、P
1b、P
1c、P
1d)を前記調節(ΔP)で減少させることと
を行うように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の搾乳システム(100)。
【請求項5】
前記調節(ΔP)のサイズが、前記それぞれの真空圧センサ(160a、160b、160c、160d)によって測定される、前記最新の取得された真空圧レベルと前記以前に取得された真空圧レベルとの差に比例する、請求項4に記載の搾乳システム(100)。
【請求項6】
前記処理装置(170)が、
前記搾乳セッション(400)が終了に近づいていると推定されたときに、前記対応するティートカップ(110a、110b、110c、110d)における前記吸出し真空圧レベル(P
1a、P
1b、P
1c、P
1d)を減少させるために、少なくとも1つの真空調節装置(150a、150b、150c、150d)に対してそれぞれのコマンドを生成するように構成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の搾乳システム(100)。
【請求項7】
前記真空調節装置(150a、150b、150c、150d)が、それぞれの真空調節器(153a、153b、153c、153d)及び弁装置(155a、155b、155c、155d)を備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の搾乳システム(100)。
【請求項8】
前記真空調節装置(150a、150b、150c、150d)が、調節可能な通路を有する動作可能な弁(310)を備え、前記弁(310)が、前記乳排出管(120a、120b、120c、120d)内に配置され、前記乳セッション(400)中に抽出された前記乳が、前記通路を通過する、請求項1~6のいずれか一項に記載の搾乳システム(100)。
【請求項9】
前記処理装置(170)が、
前記ティートカップ(110a、110b、110c、110d)が前記動物(200)の前記乳首(210a、210b、210c、210d)に取り付けられることを検出することと、
各真空調節装置(150a、150b、150c、150d)にそれぞれのコマンドを生成して、前記吸出し真空圧レベル(P
1a、P
1b、P
1c、P
1d)を吸出し取り付け真空圧レベル(P
ia)に設定することと、ティートカップの取り付けに関連して、前記関連するティートカップ(110a、110b、110c、110d)に前記吸出し真空圧レベル(P
1a、P
1b、P
1c、P
1d)を提供することと
を行うように構成され、前記吸出し取り付け真空圧レベル(P
ia)が、吸出し搾乳真空圧レベル(P
im)よりも低い不足圧力を表す、請求項1~8のいずれか一項に記載の搾乳システム(100)。
【請求項10】
前記真空圧センサ(160a、160b、160c、160d)によって測定される、前記乳首(210a、210b、210c、210d)のいずれかの下の前記ティートカップ(110a、110b、110c、110d)のいずれかにおいて広がることが許容される最大許容真空圧レベル(P
max)が、35~55kPa、好ましくは44~49kPaの区間内である、請求項1~9のいずれか一項に記載の搾乳システム(100)。
【請求項11】
前記真空圧センサ(160a、160b、160c、160d)が、実質的に毎秒10~1000回の測定、好ましくは毎秒100~1000回の測定で、前記それぞれの乳首(210a、210b、210c、210d)の下の各ティートカップ(110a、110b、110c、110d)に広がる前記真空圧レベル(P
2a、P
2b、P
2c、P
2d)を測定するように構成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の搾乳システム(100)。
【請求項12】
前記処理装置(170)が、
前記それぞれ関連付けられた真空圧センサ(160a、160b、160c、160d)から取得された所定の数の最新真空圧レベル(P
2a、P
2b、P
2c、P
2d)に基づいて、前記それぞれの乳首(210a、210b、210c、210d)の下の各ティートカップ(110a、110b、110c、110d)に広がる真空圧レベル(P
2a、P
2b、P
2c、P
2d)のローリング平均を計算するように構成され、
前記所望の真空圧レベル(P
m)との前記比較が、前記計算された真空圧レベルのローリング平均を用いて行われる、請求項1~11のいずれか一項に記載の搾乳システム(100)。
【請求項13】
前記乳タンク(130)内に広がる、前記真空ポンプ(140)によって生成された前記システム真空圧(P
s)が、前記搾乳セッション(400)の前記大半の時間にわたって、略一定に維持されている、請求項1~12のいずれか一項に記載の搾乳システム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搾乳システムに関する。より詳細には、複数のティートカップと、複数の乳排出管と、真空ポンプと、乳タンクと、複数の真空調節装置と、複数の真空圧センサと、処理装置とを備える搾乳システムが記載される。処理装置は、真空調節装置及び真空圧センサに通信可能に接続されている。処理装置は、動物の識別とは無関係に、搾乳セッション中に各ティートカップで所望の搾乳真空圧レベルを達成するために、それぞれの真空調節装置によってそれぞれの関連するティートカップに提供される吸出し真空圧レベルを連続的に調節するように構成されている。
【背景技術】
【0002】
酪農場では、乳は、典型的には、ライナを有するティートカップを動物の各乳首に取り付け、脈動真空に加えて乳首先端の下に搾乳真空をかけることによって、動物から抽出される。これにより、搾乳真空による吸引が脈動真空によって引き起こされるライナの開閉といった律動的な動きによって断続されるように、子牛の律動的な哺乳が模倣される。その結果、乳首がマッサージされて動物のオキシトシン放出が刺激され、これにより乳排出反射が活性化され、第1の乳首に第1のティートカップを取り付けた後約40~60秒で、腺胞乳(alveoli milk)の乳放出がもたらされる。また、マッサージされることによって乳首端の鬱血が防止される。
【0003】
搾乳装置を効率的に使用し、最大数の動物から搾乳できるようにするために、過剰な搾乳真空による乳首の損傷を回避しつつ、可能な限り高速で動物から乳を排出することが望ましい。
【0004】
しかしながら、動物の乳首の乳流は、様々な理由、例えば、遺伝的変異、及び/又は適用されるティートカップ/ライナにあまり適さない逸脱したサイズ/形状を乳首が有していることがある(典型的には、実際の乳首のサイズとは無関係に、同じティートカップ/ライナサイズが全乳首に適用される)ために、典型的には、乳首間で等しく分配されていない。
【0005】
乳流が不均一に分配されるだけでなく、それぞれの乳首を刺激している間の乳流の増加率も異なる。単位時間あたりの乳流は、搾乳セッション中に動物の全乳首において異なり得る。
【0006】
少なくともいくつかの動物は、たとえ搾乳真空を急激に高めても、より高い乳流で乳を放出しないことが観察されており、これらの動物にとって、乳首に印加された搾乳真空を高めることは、高い搾乳真空に乳首をさらすことになり、乳首を傷つける恐れがある。
【0007】
上述したこれらの特徴は、互いに同時発生して強化される場合があり、問題を悪化させる。
【0008】
更なる研究及び開発を通じて、満足のいく乳首の保全性を確保及び/又は強化しながら、時間及び効率に関して改善された乳排出のための概念を発展させることが望まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、上記の問題の少なくともいくつかを解決し、搾乳システム内での動物の搾乳を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様によれば、この目的は、搾乳システムによって達成される。本搾乳システムは、複数のティートカップを備え、各ティートカップは、搾乳セッションにおける乳抽出中に動物のそれぞれの乳首に適合するように構成されている。本搾乳システムはまた、複数の乳排出管を備え、各乳排出管は、それぞれのティートカップに接続されている。更に、本搾乳システムは、システム真空と呼ばれ得る真空圧を生成するように構成された真空ポンプを備える。本搾乳システムは更に、それぞれの接続された乳排出管を介してティートカップの各々に接続されており、かつ真空ポンプにも接続されている乳タンクを備える。更に加えて、搾乳システムは、複数の真空調節装置を備え、各真空調節装置は、1つのティートカップに関連付けられ、それぞれのティートカップに提供される吸出し真空圧レベルを調節するように構成されている。また、搾乳システムは、複数の真空圧センサを更に備え、各真空圧センサは、1つのティートカップに関連付けられ、搾乳セッション中に乳首のうちの1つの下の関連付けられたティートカップ内に広がる真空圧レベルを測定するように構成されている。
【0011】
搾乳システムは処理装置を備える。処理装置は、真空調節装置及び真空圧センサに通信可能に接続されている。
【0012】
処理装置は、各真空調節装置へのそれぞれのコマンドを生成して、吸出し真空圧レベルを吸出し搾乳真空圧レベルに設定することと、ティートカップ取り付けに関連して、関連するティートカップに吸出し真空圧レベルを提供することと、を行うように構成されている。また、処理装置は、搾乳セッション中に、関連付けられたティートカップの真空圧センサから、乳首のうちの1つの下の関連付けられたティートカップ内に広がる真空圧レベルの測定値を繰り返し得るように構成されている。加えて、処理装置は、搾乳セッション中に、真空圧レベルの取得されたそれぞれの測定値を所望の搾乳真空圧レベルと繰り返し比較するように更に構成されている。処理装置は、搾乳セッション中に、行われた比較に基づいて、関連付けられたティートカップ内で所望の搾乳真空圧レベルを達成するために、それぞれの真空調節装置によって関連付けられたティートカップに提供される吸出し真空圧レベルの調節を繰り返し計算するように構成されている。
【0013】
処理装置は更に、搾乳セッション中に、それぞれ計算された調節に従って吸出し真空圧レベルを調節するために、各真空調節装置に対してそれぞれのコマンドを繰り返し生成し、それによって、動物の識別とは無関係に、各乳首の下のそれぞれの真空圧センサによって測定されるように、それぞれの関連するティートカップにおいて所望の搾乳真空圧レベルを達成するように構成されている。
【0014】
各動物の乳首の下のティートカップ内のそれぞれの真空圧レベルを連続的に測定し、それを所望の搾乳真空圧レベルと比較し、行われた比較に基づいて、真空調節装置によって提供される吸出し真空圧レベルを調節することによって、各ティートカップ内のそれぞれの真空圧レベルは、真空調節装置とそれぞれのティートカップとの間のいかなる真空圧漏れ及び/又はそれぞれの乳首の乳流のいかなる変動とも無関係に、所望の搾乳真空圧レベルに維持されている。このようにして、乳首の保全性が保証される一方で、ティートカップの所望の/高い真空圧レベルが達成され、また、高い乳流を有する乳首に対しても達成される。
【0015】
それによって、それぞれの吸出し真空圧レベルを各ティートカップの下の真空圧レベルの変化に適合させることによって、乳抽出が根本的に改善される。搾乳ステーション/搾乳ロボットで扱われる各動物の総搾乳時間が(従来の解決策と比較して)短縮され、これにより、搾乳システムにおいて単位時間あたりより多くの動物を扱うことが可能になる。しかしながら、搾乳は穏やかな方法で行われ、乳首上の過剰な真空圧によって引き起こされる動物への不都合が排除される、又は少なくとも減少する。過剰な真空圧は、乳腺炎などの乳房疾患を助長し得る損傷を引き起こすことがあり、これにより、個々の動物の苦痛に加えて、農場への深刻な経済的影響が引き起こされることがある。
【0016】
第1の態様による搾乳システムの一実装形態では、処理装置は、搾乳セッションの少なくとも大半の時間にわたって、各乳首の下のそれぞれの真空圧センサによって測定されるように、それぞれの関連付けられたティートカップの各々において所望の搾乳真空圧レベルを略一定に維持するために、吸出し真空圧レベルを調節するコマンドを搾乳セッション中に繰り返し生成するように構成されている。
【0017】
第1の態様による搾乳システムの別の実装形態では、処理装置は、ある期間中にそれぞれの真空圧センサによって測定されたティートカップのうちの1つの真空圧レベルの最高測定値と最低測定値との差をそれぞれ繰り返して推定するように構成されている。処理装置はまた、推定された差が閾値限界より小さい場合、所望の搾乳真空圧レベルをティートカップの高流量搾乳真空圧レベルに一時的に設定するように構成されている。
【0018】
期間内の少なくとも2つの異なる時点で真空圧センサによって測定されるように、ティートカップ内の真空圧レベルは、期間にわたってかなり一定である(すなわち、限界閾値未満である)場合、これは、動物の乳首の乳流が最大乳流ピーク又はその付近でプラトー相に達したと解釈される。したがって、ティートカップの所望の真空圧レベルは、動物の乳首を過剰な真空圧にさらす危険なしに、高流量搾乳真空圧レベルまで増加され得る。
【0019】
乳首の乳流が非常に高い/最大乳流レベル付近であるときにティートカップ内の真空圧レベルを増加させることの利点は、搾乳セッションが、以前から知られている解決策によるよりも早く、又は一定に維持されているときに終了され得ることである。これは、同じ搾乳装置によって単位時間あたりより多くの動物が提供され得るからである。農業従事者は、新しい搾乳装置に投資する必要なく、より多くの動物を農場に動員することができ、それによって農場における総乳収量を増加させることができる。
【0020】
第1の態様による搾乳システムの一実装形態では、処理装置は、搾乳セッション中に、それぞれの乳首に取り付けられた各ティートカップに関連付けられた真空調節装置に対して、ティートカップに提供される吸出し真空圧レベルを増加又は減少させるためのそれぞれのコマンドを繰り返し生成するように構成されている。
【0021】
したがって、真空調節装置は、真空圧センサから得られた、乳首の下のティートカップ内の取得された最新の真空圧レベルが、乳首の下のティートカップ内の所望の搾乳真空圧レベルよりも低いとき、調節によってティートカップに提供される吸出し真空圧レベルを増加させ、又は、真空圧センサから得られた、乳首の下のティートカップ内の最後に取得された真空圧レベルが、乳首の下のティートカップ内の所望の搾乳真空圧レベルを超えるときに、ティートカップに供給される吸出し真空圧レベルを調節によって減少させるように構成されている。
【0022】
各ティートカップの真空圧レベルを頻繁に測定することができることによって、現在/瞬間真空圧のより良い制御が達成される。この場合、印加された吸出し真空圧レベルを、ティートカップに関連付けられた真空調節装置を介して適合させることができる。それにより、真空によって引き起こされる乳首の損傷又は刺激を回避しつつ、時間効率の良い搾乳のために、ティートカップ内に望ましい真空レベルをもたらす、適切な吸出し真空圧レベルを各ティートカップに提供することが可能になる。
【0023】
第1の態様の第1の実装形態よる搾乳システムの更に別の実装形態では、調節のサイズは、それぞれの真空圧センサによって測定され、またそこから得られる、最新で取得された真空圧レベルと以前に取得された真空圧レベルとの差に比例し得る。
【0024】
測定間の検出された差に比例し得るステップサイズで吸出し真空圧レベルを変化させるように真空調節装置に命令することによって、各それぞれの乳首の下のティートカップ内の略一定の真空圧レベルを維持することにより不適切な真空圧レベルがティートカップに加えられることが回避される。
【0025】
第1の態様による搾乳システムの別の実装形態又はその任意の実装形態では、処理装置は、搾乳セッションが終了に近づいていると推定されたとき、対応するティートカップにおける吸出し真空圧レベルを減少させるために、少なくとも1つの真空調節装置へのそれぞれのコマンドを生成するように構成されている。
【0026】
搾乳セッションの終わりに向かって吸出し真空圧レベルを減少させることによって、乳首の下のティートカップ内の真空圧レベルが減少し、ティートカップの取り外しが容易になる。
【0027】
第1の態様による搾乳システムの別の実装形態又はその任意の実装形態では、真空調節装置は、それぞれの真空調節器及び弁装置を備える。
【0028】
第1の態様による搾乳システムの別の実装形態又はその任意の実装形態では、真空調節装置は、通路を有する動作可能な弁を備え、弁は、乳排出管内に配置され、乳セッション中に抽出された乳は、通路を通過する。
【0029】
これにより、真空調節装置の実施形態が特定され、動作可能な弁は、電気制御信号に基づいてソレノイドによって調節され得る。
【0030】
第1の態様に係る搾乳システムの別の実装形態又はその任意の実装形態では、処理装置は、ティートカップが動物の乳首に取り付けられることを検出するように構成されている。また、処理装置は、各真空調節装置へのそれぞれのコマンドを生成して、吸出し真空圧レベルを吸出し取り付け真空圧レベルに設定することと、ティートカップ取り付けに関連して、関連するティートカップに吸出し真空圧レベルを提供することと、を行うように構成され、吸出し取り付け真空圧レベルは、吸出し搾乳真空圧レベルよりも低い不足圧力を表す。
【0031】
ティートカップが取り付けられるとき、搾乳真空圧レベルよりも低い(すなわち、より低い不足圧力を含む)専用の吸出し取り付け真空圧を提供することによって、ティートカップの取り付けが容易になる。
【0032】
第1の態様による搾乳システムの別の実装形態又はその任意の実装形態では、真空圧センサによって測定される、任意の乳首の下の任意のティートカップ内に広がることが許容される最大許容真空圧レベルは、35~55kPa、好ましくは44~49kPaの区間内である。
【0033】
これにより、乳首の乳流が、印加された真空圧に対応していない場合に、乳首に過剰な真空圧が印加されることが回避される。それによって、動物の乳首の穏やかな扱いが確保されるにも関わらず、乳首容量に適合した効率的な真空圧をかけることが可能となり、これにより、動物の乳首の保全性を損なわずに乳が短時間で排出されるため、搾乳セッションが改善及び合理化される。
【0034】
第1の態様による搾乳システムの更に別の実装形態又はその実装形態では、真空圧センサは、毎秒実質的に10~1000回の測定、好ましくは1秒あたり100~1000回の測定で、それぞれの乳首の下の各ティートカップで広がる真空圧レベルを測定するように構成されている。
【0035】
ティートカップ下の真空圧レベルがより頻繁に測定されるにつれ、以前の搾乳セッション及び/又は異なる乳首間及び/又は動物間で比較して動物の乳流に偏差があるときであっても、所望の真空圧レベルを維持するために印加された真空圧レベルをより正確に微調節することができる。
【0036】
第1の態様による搾乳システムの更に別の実装形態又はその任意の実装形態では、処理装置は、それぞれ関連付けられた真空圧センサから取得した所定の数の最新真空圧レベルに基づいて、それぞれの乳首下の各ティートカップに広がる真空圧レベルのローリング平均を計算するように構成されている。更に、所望の真空圧レベルとの比較は、真空圧レベルの計算されたローリング平均を用いて行われる。
【0037】
例えば、最新の5個又は10個の測定された真空圧レベルのローリング平均を計算することで測定における任意の変動が均一化され、より信頼性の高い安定した所望の真空圧レベルの比較がもたらされる。
【0038】
第1の態様による搾乳システムの更に別の実装形態又はその任意の実装形態では、乳タンク内に広がる真空ポンプによって生成されるシステム真空圧は、搾乳セッションの大半の時間にわたって、略一定に維持されている。
【0039】
これにより、時間効率が良く、しかも乳首に優しい乳抽出が提供される。
【0040】
次の詳細な説明から、他の利点及び更なる新規の特徴が明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0041】
次に、添付の図面を参照して本発明の実施形態を更に詳細に説明する。
【
図1】一実施形態による搾乳システムを示している。
【
図2】一実施形態による搾乳システムを示している。
【
図3A】一実施形態による搾乳システムの原理を示す概念図である。
【
図3B】一実施形態による搾乳システムの原理を示す概念図である。
【
図4A】搾乳セッションにおける乳抽出中の乳流量及び真空圧レベルの例を示す図である。
【
図4B】搾乳セッションにおける乳抽出中の乳流量及び真空圧レベルの例を示す図である。
【
図5】一実施形態による、真空圧調節を概念的に示す、組み合わされたフローチャート及び信号伝達スキームである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
次に、添付の図面を参照して本発明の実施形態を更に詳細に説明する。
本明細書に記載されている本発明の実施形態は、搾乳システムとして定義され、以下に記載される実施形態において実施され得る。しかしながら、これらの実施形態は、多くの異なる形態で例示及び実現されてもよく、本明細書に記載された例に限定されるものではない。むしろ、実施形態のこれらの例示的な例は、本開示が詳細かつ完全なものとなるように提供されている。
【0043】
更に他の目的及び特徴は、添付の図面と併せて考慮される以下の詳細な説明から明らかになり得る。しかし、図面は例示の目的のためにのみ設計されており、添付の請求項が参照されることになる、本明細書において開示される実施形態の限定の定義として設計されていないことを理解されたい。更に、図面は必ずしも原寸に比例して描かれておらず、別途記載のない限り、それらは、単に、本明細書において説明される構造及び手順を概念的に例示することが意図されているにすぎない。
【0044】
図1は、搾乳セッション中に動物から乳を抽出するように構成された搾乳システム100を示している。動物は、農場での酪農のための家畜の群に含まれ得る。搾乳システム100は、必須ではないが、有利には、自由に歩き回る動物を自発的に搾乳するように構成された自動搾乳設備、例えば搾乳ロボットにおいて実装されてもよく、動物は、所望されたときに搾乳されるために搾乳設備/搾乳システム100を訪れてもよい。
【0045】
「動物」は、例えば、乳牛、ヤギ、ヒツジ、ラクダ、ウマ、酪農バッファロー、ロバ、ヤクなどの任意の種類の飼いならされた雌の哺乳動物であり得る(動物の非包括的な一覧)。動物は、例えば乳牛のように4つの乳首を有してもよく、又は例えばヤギ及び/若しくはヒツジのように2つの乳首を有してもよい。他の動物の乳首の数は異なる場合がある。
【0046】
搾乳システム100は、複数のティートカップ110a、110b、110c、110dを備える。ティートカップ110a、110b、110c、110dの数は、典型的には、搾乳システム100内で搾乳される動物の乳首の数と同じである。各ティートカップ110a、110b、110c、110dは、動物のそれぞれの乳首に適合し、かつ搾乳セッションにおいて乳抽出中に乳首に取り付けられるように構成されている。
【0047】
各ティートカップ110a、110b、110c、110dは、それぞれの乳排出管120a、120b、120c、120dに接続され、それぞれの乳首から抽出された乳を、乳排出管121a、121b、121c、121dの第2の部分を介して、接続された乳タンク130に導く。乳タンク130は、乳タンク130に供給されるシステム真空圧Psを生成した、及び/又は連続的に生成する真空ポンプ140に接続されている。システム真空圧は、例えば約48~55kPaの範囲内とすることができる(任意の非限定的な例)。システム真空圧Psは、搾乳セッションの大半の時間にわたって、乳タンク130内で経時的に略一定に維持され得る。
【0048】
「真空圧」及び/又は「搾乳真空」及び/又は「システム真空圧」という表現は、環境大気圧と比較して不足/低い圧力を指す。したがって、10kPaの真空圧レベルは、環境大気圧よりも10kPa低い真空圧レベルを意味する。
【0049】
乳タンク130は、搾乳セッション中に排出された乳を集めることができ、集められた乳は、ポンプ装置及び管を介して、接続されている冷却タンクに転送することができ、乳は収集され、牛乳トラックが農場に到着して空になるまで低温で維持され得る。
【0050】
搾乳システム100はまた、複数の真空調節装置150a、150b、150c、150dを備え、各真空調節装置は、それぞれのティートカップ110a、110b、110c、110dに提供される吸出し真空圧レベルP1a、P1b、P1c、P1dの調節に関連する。
【0051】
真空ポンプ140及び/又は乳タンク130は、各真空調節装置150a、150b、150c、150dに接続されてもよく、それによって、システム真空Psを真空調節装置150a、150b、150c、150dに提供する。制御された方法で弁の乳通路を調節することによって、真空調節装置150a、150b、150c、150dは、システム真空レベルPsを、それぞれのティートカップ110a、110b、110c、110dに提供される吸出し真空圧レベルP1a、P1b、P1c、P1dに調節することができる。
【0052】
真空調節装置150a、150b、150c、150dは、いくつかの実施形態では、
図1に概略的に示すように、それぞれの弁装置155a、155b、155c、155dと連動して動作する真空調節器153a、153b、153c、153dを備えてもよい。
【0053】
真空調節装置150a、150b、150c、150dの各真空調節器153a、153b、153c、153dは、ソレノイドを備えてもよく、ソレノイドの弁の位置は、例えば真空調節器153a、153b、153c、153dに通信可能に接続された処理装置170によって生成されるパルス幅変調(PWM)信号を用いて、ソレノイドの周囲の磁場を調節することによって調節され得、それによって、いくつかの実施形態では、制御真空を生成するために真空ポンプ140のシステム真空Psと大気圧の空気との混合を変化させる。
【0054】
真空調節器153a、153b、153c、153dは、それぞれの弁装置155a、155b、155c、155dを備えるか、又はそれに接続され得る。弁装置155a、155b、155c、155dは、それぞれのティートカップ110a、110b、110c、110dのそれぞれの乳排出管120a、120b、120c、120dに配置されるか、関連付けられ得る。
【0055】
いくつかの実施形態に従って、弁装置155a、155b、155c、155dは、膜157によって分離された湿潤部156及び乾燥部158を備える。第1の乳排出管部120a、120b、120c、120d及び第2の乳排出管部121a、121b、121c、121dは、弁装置155a、155b、155c、155dの湿潤部156を通過する。
【0056】
弁装置155a、155b、155c、155dの上流の乳排出管120a、120b、120c、120dに関連するティートカップ110a、110b、110c、110d内に広がる真空圧レベルは、いくつかの実施形態では、真空調節器153a、153b、153c、153dによって弁装置155a、155b、155c、155dの乾燥部158に提供される制御真空レベルPca、Pcb、Pcc、Pcdと同じ真空レベルに調節することができる。制御真空レベルPca、Pcb、Pcc、Pcdは、パイロット真空レベルと呼ばれることもある。
【0057】
したがって、乳首下のティートカップ110a、110b、110c、110d内に広がる真空圧レベルを、目標/所望の真空圧レベルを達成するために個々に調節することができる。
【0058】
弁装置155a、155b、155c、155dは、いくつかの実施形態では、例えば、それ自体公知である遮断弁を備えることができる。
【0059】
真空調節装置150a、150b、150c、150dは、いくつかの代替実施形態では、
図3Aに概略的に示され、本明細書の対応するセクションで説明されるように、処理装置170によって提供される電気制御信号によって調節可能な通路を有する動作可能な弁を備えてもよい。
【0060】
真空調節装置150a、150b、150c、150dは、いくつかの他の代替的な実施形態では、例えば、位置エネルギーの蓄積を可能にするばね又は他の同様の弾性装置と連動して動作するアクチュエータによって機械的に調節可能な動作可能な弁を備えてもよい。
【0061】
更に、搾乳システム100は、複数の真空圧センサ160a、160b、160c、160dを備える。各真空圧センサ160a、160b、160c、160dは、1つのティートカップ110a、110b、110c、110dに関連付けられ、搾乳セッションの搾乳中に、乳首の1つの下にある関連するティートカップ110a、110b、110c、110d内に広がる真空圧レベルP2a、P2b、P2c、P2dを測定するように構成されている。したがって、1つの真空圧センサ160a、160b、160c、160dを、乳首のうちの1つの乳首下の1つの特定のティートカップ110a、110b、110c、110d内に広がる真空圧レベルP2a、P2b、P2c、P2dを測定専用とすることができる。
【0062】
搾乳システム100は、いくつかの実施形態では、例えば、吸出し搾乳真空圧レベルPim、所望の搾乳真空圧レベルPm、吸出し取り付け真空圧レベルPia、分離真空圧レベルPd、最大許容真空圧レベルPmax、及び他の同様のデータなどの様々な真空圧レベルに関するデータを記憶するように構成されたデータベース180を更に備えることができる。
【0063】
搾乳セッションは、動物のオキシトシン放出の刺激を開始する前処理が動物の第1の乳首に対して行われたときに開始されるものとみなすことができる。前処理は、乳首を水ですすぐことによる乳首の洗浄、乳首をブラシで処理すること、又は他の方法で乳首をいじる/刺激することを含むことができる。前処理の開始から腺胞乳の放出までに要する時間は、約40~60秒であり得る。しかしながら、この時間は、異なる品種、異なる個々の動物、及び同じ動物でも異なる状況において異なることがあり、単に大まかな推定とみなすことができる。
【0064】
しかしながら、前処理は、全ての農場で行われるわけではない。前処理が行われない場合、搾乳セッションは、第1のティートカップ110a、110b、110c、110dが第1の乳首に取り付けられたときに開始されると考えることができる。
【0065】
更に、搾乳システム100は、処理装置170も備え、これは、例えば、無線又は光技術に基づく無線接続、又は電気ケーブル若しくは光ファイバーによって実装される有線接続を介し、真空調節装置150a、150b、150c、150d、真空圧センサ160a、160b、160c、160d、及び場合によっては任意のデータベース180、193にも通信可能に接続されている。
【0066】
処理装置170の目的は、各乳首の下で所望の搾乳真空圧レベルPmを達成することである。次いで、所望の搾乳真空圧レベルPmは、いくつかの実施形態では、搾乳セッションの少なくとも一部分にわたって、略一定に維持され得る。
【0067】
真空圧センサ160a、160b、160c、160dは、いくつかの実施形態では、実質的に毎秒10~1000回の測定、好ましくは毎秒100~1000回の測定で、乳首下のそれぞれのティートカップ110a、110b、110c、110d内の真空圧レベルP2a、P2b、P2c、P2dを測定するように構成されてもよい。
【0068】
真空圧センサ160a、160b、160c、160dはまた、更にいくつかの実施形態では、それぞれのティートカップ110a、110b、110c、110dのライナが開いている期間中に少なくとも2回、乳首の下のそれぞれのティートカップ110a、110b、110c、110d内の真空圧レベルP2a、P2b、P2c、P2dを測定するように構成されてもよい。
【0069】
処理装置170は、各真空調節装置150a、150b、150c、150dへのそれぞれのコマンドを生成して、吸出し真空圧レベルP1a、P1b、P1c、P1dを吸出し搾乳真空圧レベルPimに設定することと、ティートカップ取り付けに関連して、関連するティートカップ110a、110b、110c、110dに吸出し真空圧レベルP1a、P1b、P1c、P1dを提供することと、を行うように構成されている。
【0070】
また、処理装置170は、搾乳セッション中に、関連付けられたティートカップ110a、110b、110c、110dの真空圧センサ160a、160b、160c、160dから、乳首のうちの1つの下の関連付けられたティートカップ110a、110b、110c、110dに広がる真空圧レベルP2a、P2b、P2c、P2dの測定値を繰り返し取得するように構成されている。
【0071】
処理装置170はまた、搾乳セッション中に、所望の搾乳真空圧レベルPmで取得された真空圧レベルP2a、P2b、P2c、P2dのそれぞれの測定値を繰り返し比較するように構成されている。所望の搾乳真空圧レベルPmは、いくつかの実施形態では、例えば35~55kPaの範囲内であってもよい。好ましくは44~49kPaである。所望の搾乳真空圧レベルPmは、予め決定され、農場における全ての動物の全ての乳首に適用されてもよく、搾乳セッションの少なくとも一部分にわたって、略一定に保たれてもよい。
【0072】
真空圧センサ160a、160b、160c、160dによって測定されるような、乳首のいずれかの下のティートカップ110a、110b、110c、110dのいずれかに広がるように処理装置170によって許容される最大許容真空圧レベルPmaxは、動物が乳牛である場合、少なくともいくつかの法律では35~55kPaの区間内である。動物がヒツジ又はヤギである場合、最大許容真空圧レベルは、28~38kPaなどの範囲内に設定され得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、吸出し搾乳真空圧レベルPim及び/若しくは所望の搾乳真空圧レベルPm及び/若しくは最大許容真空圧レベルPmaxは、処理装置170に記憶されてもよく、並びに/又はデータベース180から処理装置170によって検索されてもよい。
【0074】
加えて、処理装置170は、搾乳セッション中に、関連するティートカップ110a、110b、110c、110d内に広がる真空圧レベルP2a、P2b、P2c、P2dと所望の搾乳真空圧レベルPmとの比較に基づいて、関連するティートカップ110a、110b、110c、110d内の所望の搾乳真空圧レベルPmを達成するために、各真空調節装置150a、150b、150c、150dによって関連するティートカップ110a、110b、110c、110dに提供される吸出し真空圧レベルP1a、P1b、P1c、P1dの調節量ΔPを繰り返し計算するように構成されている。
【0075】
処理装置170は更に、搾乳セッション中に、それぞれ計算された調節ΔPに従って吸出し真空圧レベルP1a、P1b、P1c、P1dを調節するために各真空調節装置150a、150b、150c、150dへの各コマンドを繰り返し生成して、それによって、搾乳セッションの少なくとも一部分、例えば搾乳セッションの大半の時間にわたって、動物の識別とは無関係に、すなわち動物の識別を知ることなく、各乳首の下の各真空圧センサ160a、160b、160c、160dによって測定されるように、各関連するティートカップ110a、110b、110c、110dにおける所望の搾乳真空圧レベルPmを達成するように構成されている。
【0076】
したがって、同じ所望の搾乳真空圧レベルPmが、農場の同種の全動物の全乳首に対して目標とされ得る。それぞれの各乳首下の真空圧レベルP2a、P2b、P2c、P2dの直接的なリアルタイム(又はほぼリアルタイム)の制御が可能になる。
【0077】
次いで、処理装置170は、関連付けられた真空圧センサ160a、160b、160c、160dによって測定されるように、乳首のうちの1つの下の関連付けられたティートカップ110a、110b、110c、110d内に広がる真空圧レベルP2a、P2b、P2c、P2dの現在/瞬間の(又は、わずかな時間遅延を伴うほぼ現在/瞬間の)測定値を取得することができる。
【0078】
所望の搾乳真空圧レベルPmとの比較の結果に基づいて、処理装置170は、乳首下の真空圧レベルP2a、P2b、P2c、P2dを所望の搾乳真空圧レベルPmに保つように吸出し真空圧レベルP1a、P1b、P1c、P1dを調節するために、ティートカップ110a、110b、110c、110d及び乳首に関連付けられた真空調節装置150a、150b、150c、150dへのコマンドを生成してもよい。
【0079】
できるだけ短い時間で動物の乳を効率的に抽出することが望ましく(単位時間あたりより多くの動物に搾乳システム100が供給できるようにするため)、乳首の下に過度の真空レベルを適用することで、乳首を損傷したり傷つけたりすることはない。
【0080】
開示された概念のおかげで、ティートカップ110a、110b、110c、110dに提供される吸出し真空圧レベルP1a、P1b、P1c、P1dの乳首特有の適合に向けて方法論が開発され、効率的な搾乳を促進し、更に乳首の保全性を保存する。
【0081】
したがって、乳抽出は、以前から知られている方法よりも効率的に行うことができる。
【0082】
いくつかの実施形態では、処理装置170の制御アルゴリズムは、フィードフォワードモデルを有する比例積分微分(PID)調節器を含むか、それに基づくか、又はそれによって誘導され得る。
【0083】
各ティートカップ110a、110b、110c、110d内の真空圧レベルP2a、P2b、P2c、P2dの制御機能は、吸出し真空圧レベルP1a、P1b、P1c、P1dに対して正確で応答性のある補正を繰り返し適用することによって行うことができる。
【0084】
制御ループは、いくつかの実施形態では、約1Hzで動作し得る。これにより、真空調節装置150a、150b、150c、150dによって提供される吸出し真空圧レベルP1a、P1b、P1c、P1dの頻繁な更新が達成され、所望の搾乳真空圧レベルPmと同一又はそれに近い安定した真空圧レベルP2a、P2b、P2c、P2dがティートカップ110a、110b、110c、110d内にもたらされる。
【0085】
処理装置170は、搾乳セッション中に、真空圧センサ160a、160b、160c、160dから取得された乳首下の最後に得られた真空圧レベルP2a、P2b、P2c、P2dが乳首下の所望の搾乳真空圧レベルPmより低いとき、それぞれの乳首に取り付けられた各ティートカップ110a、110b、110c、110dに関連付けられた真空調節装置150a、150b、150c、150dへのそれぞれのコマンドを繰り返し生成して、調節ΔPでティートカップ110a、110b、110c、110dに提供される吸出し真空圧レベルP1a、P1b、P1c、P1dを増加させるように構成されてもよい。
【0086】
また、代替的に、処理装置170は、真空圧センサ160a、160b、160c、160dから取得された、最新で取得された乳首下の真空圧レベルP2a、P2b、P2c、P2dが、所望の乳首下の搾乳真空圧レベルPmを超えるとき、調節ΔPでティートカップ110a、110b、110c、110dに提供される吸出し真空圧レベルP1a、P1b、P1c、P1dを減少させるように構成されてもよい。
【0087】
処理装置170は、いくつかの実施形態では、ティートカップ110a、110b、110c、110dに提供される吸出し真空圧レベルP1a、P1b、P1c、P1dを調節、すなわち増加又は減少させるように構成されてもよく、調節ΔPのサイズは、それぞれの真空圧センサ160a、160b、160c、160dによって測定され、そこから取得された最新の真空圧レベルP2a、P2b、P2c、P2dと以前に得られた真空圧レベルP2a、P2b、P2c、P2dとの差に比例する。
【0088】
乳首の下の真空圧レベルレベルP2a、P2b、P2c、P2dの調節は、いくつかの実施形態では、異なる瞬間に取得された真空圧レベル間の偏差サイズに関して行われてもよく、測定された真空圧レベルP2a、P2b、P2c、P2dと所望の搾乳真空圧レベルPmとの偏差の将来的な傾向が、その現在の変化率に基づいて推定されるので、乳首における印加された挿入真空圧レベルと乳首の乳流との間のより良好な対応をもたらす。それにより、吸出し真空圧レベルP1a、P1b、P1c、P1dの調節ΔPは、ティートカップ110a、110b、110c、110dにおいて測定される偏差の変化速度によって生成された制御の影響があることによって予測され、制御を改善することができる。
【0089】
処理装置170は、搾乳セッションが終了に近づいていると推定されるときに、対応するティートカップ110a、110b、110c、110dにおける吸出し真空圧レベルP
1a、P
1b、P
1c、P
1dを減少させるために、少なくとも1つの真空調節装置150a、150b、150c、150dへのそれぞれのコマンドを生成するように構成されてもよい。このプロセスは
図4Aに概略的に示されている。
【0090】
いくつかの実施形態では、搾乳セッションが終了しようとするとき、ティートカップのスムーズな取り外しを可能にするために、取り外し真空圧Pdをかけることができる。取り外し真空圧レベルは、例えば約15kPaなど、約10~20kPaに設定することができる。
【0091】
これにより、ティートカップ110a、110b、110c、110dの取り外しが簡略化され、搾乳セッションの円滑かつ穏やかな実行につながる。
【0092】
いくつかの実施形態では、処理装置170は、ティートカップ110a、110b、110c、110dが動物の乳首に取り付けられることを検出するように構成されてもよい。
【0093】
加えて、処理装置170は、各真空調節装置150a、150b、150c、150dへのそれぞれのコマンドを生成して、ソフトスタートとも呼ばれる吸出し真空圧レベルP1a、P1b、P1c、P1dを吸出し取り付け真空圧レベルPiaに設定することと、ティートカップ取り付けに関連して、関連するティートカップ110a、110b、110c、110dに吸出し真空圧レベルP1a、P1b、P1c、P1dを提供することと、を行うように構成されてもよく、吸出し取り付け真空圧レベルPiaは、吸出し搾乳真空圧レベルPimよりも低い不足圧力を表す。
【0094】
吸出し取り付け真空圧レベルPiaは、例えば20~35kPaであってもよい(任意の非限定的な例)。
【0095】
更にいくつかの実施形態では、処理装置170は、それぞれの関連付けられた真空圧センサ160a、160b、160c、160dから取得された所定の数の最新真空圧レベルP2a、P2b、P2c、P2dに基づいて、それぞれの乳首下の各ティートカップ110a、110b、110c、110dに広がる真空圧レベルP2a、P2b、P2c、P2dのローリング平均を計算するように構成されてもよい。これにより、測定結果の任意の変動に起因する測定結果の偏差が均一化され、乳首下の真空圧レベルP2a、P2b、P2c、P2dのより信頼性の高い測定値につながる。
【0096】
処理装置170はまた、所望の搾乳真空圧レベルPmを真空圧レベルの計算されたローリング平均と比較するように構成されてもよい。それによって、測定値の小さな変動が均一化され、より安定した真空圧調節がもたらされる。
【0097】
搾乳システム100はまた、いくつかの実施形態では、サービスプロバイダの中央処理装置192と通信するための通信装置190を備えていることができる。次に、中央処理装置192は、例えば、SS-ISO 5707:2007又は他の同様の規格、最大許容真空圧レベルPmax、所望の搾乳真空圧レベルPm、吸出し搾乳真空圧レベルPimなどによる制限などの様々な関連データを記憶することができる中央データベース193に接続することができる。
【0098】
農場における処理装置170は、上記で特定されたような中央データベース193からの様々なデータを達成し、又は例えば、ソフトウェア更新をダウンロードするように構成され得る。
【0099】
いくつかの実施形態では、処理装置170は、例えば、農場における動物の真空圧測定データ、逸脱した真空圧レベルの検出(システム内の空気漏れを示し得る)などをアップロードするように構成され得る。
【0100】
処理装置170は、一般的に有利には、コンピュータプログラムを実行することによって、上述した手順を自動的に実行するように構成され得る。したがって、いくつかの実施形態によれば、処理装置170は、コンピュータプログラムを記憶するメモリユニット、すなわち不揮発性データキャリアを備えることができ、次いで、不揮発性データキャリアは、処理装置170内の少なくとも1つのプロセッサの形態の処理回路に、コンピュータプログラムが処理回路上で実行されたときに上述した動作を実行させるソフトウェアを含むことができる。
【0101】
図2は、カメラ、ビデオカメラ、ライダー、レーダー、赤外線カメラなどのセンサ240に通信可能に接続されたロボットアーム230を備える搾乳ロボットなどのティートカップ配置装置220を備える搾乳システム100を示す。センサ240は、搾乳される動物200の各乳首210a、210b、210c、210dの位置を検出するように構成されている。
【0102】
図示された非限定的な実施形態では、ティートカップ配置装置220は、搾乳ロボットとして具体化されており、搾乳ロボットは、自主搾乳システム(Voluntary Milking System、VMS)と呼ばれることもある、自動搾乳システム(Automatic Milking System、AMS)又は類似のシステムの一部であってもよい。本明細書に開示されている方法及び搾乳システム100は、搾乳ロボットを伴う使用に限定されず、搾乳パーラーに拘束された動物及び/又は搾乳ピット若しくはロータリー搾乳パーラーにおける手動搾乳など、一般に知られている任意の搾乳概念と一緒に利用されてもよい。
【0103】
ティートカップ110a、110b、110c、110dが動物の乳首210a、210b、210c、210dに取り付けられたときに、脈動圧力がかけられ得る。パルス管(pulse tube)を介してティートカップ110a、110b、110c、110dにおける脈動チャンバに印加された脈動圧力レベルは、いくつかの実施形態では、休止段階D中の大気圧と、搾乳段階B中のシステム真空圧との間で変動してもよい。脈動真空をかけるための配置構造は、図面に示されていない。
【0104】
したがって、吸引は、ティートカップ110a、110b、110c、110d内のライナの繰り返される律動的な動きである開閉によって中断される。圧潰されたライナが及ぼす力により、乳首がマッサージされる。その結果、乳首210a、210b、210c、210dがマッサージされ、乳首端における(例えば血液の)鬱血が防止されつつ、子牛の哺乳を模倣する、搾乳真空をかけることと組み合わせた、開閉するライナの律動的な動きによって、オキシトシン放出及び射乳が刺激される。
【0105】
ティートカップ配置装置220は、有線接続又は無線接続を介してセンサ240に通信可能に接続することができ、それによって動物の乳首210a、210b、210c、210dのそれぞれの位置に関する情報を取得する。ティートカップ配置装置220は、センサ240によって行われるセンサ検出に基づいて、動物200のそれぞれの乳首210a、210b、210c、210d上にティートカップ110a、110b、110c、110dの各々を順次取り付けるように構成することができる。ティートカップ110a、110b、110c、110dは、保管マガジン又は同様の保管ゾーン内に保持することができ、ティートカップ配置装置220は、ティートカップを一度に1つ把持し、それを乳首210a、210b、210c、210dのうちの1つに取り付け、全ティートカップ110a、110b、110c、110dが取り付けられるまでこれを繰り返すことができる。
【0106】
吸出し搾乳真空圧レベルPim、所望の搾乳真空圧レベルPm、吸出し取り付け真空圧レベルPia、及び/又は最大許容真空圧レベルPmaxなどに関するデータは、例えば、処理装置170に通信可能に接続されるか含まれているデジタルメモリ又はデータベース180に記憶され、後にそこから検索されてもよい。これに代えて、又はこれに加えて、データを中央データベース193に記憶することができ、中央処理装置192によってデータにアクセスすることができる。
【0107】
処理装置170は、ティートカップ設置装置220と連動して動作することができ、ロボットアーム230を制御して、ティートカップ110a、110b、110c、110dをそれぞれの乳首210a、210b、210c、210d上に1つずつ、あるいは場合によってはまとめて取り付け始める。
【0108】
処理装置170は、データベース180、193に通信可能に接続されてもよく、及び/又は任意選択的に複数の乳量計250a、250b、250c、250dにも通信可能に接続されてもよい。乳量計250a、250b、250c、250dは、単位時間あたりの乳流、例えば、各乳排出管120a、120b、120c、120d及び/又はティートカップ110a、110b、110c、110dの乳流量、及び/又は搾乳セッション中の動物200の抽出された乳の総量を測定するように構成されてもよい。
【0109】
乳量計250a、250b、250c、250dは、提供される解決策が実装されるときに省略され得ることに留意されたい。すなわち、提供される解決策は、農場で乳量計250a、250b、250c、250dを必要とせずに実装され得る。したがって、利点は、乳量計250a、250b、250c、250dを必要とせずに、又はそれらに依存せずに、乳を効率的に抽出し、あるいは農場における動物の個々のデータを記憶することができ、資源を節約することである。
【0110】
搾乳セッション中に動物200から抽出された乳の量は、いくつかの実施形態では、例えば、乳タンク130内のフロートの動きを適用及び研究することによって、乳タンク130内の乳の貯蔵体積の差の搾乳セッション前後の測定に基づいて推定され得る。
【0111】
いくつかの実施形態では、処理装置170は、各それぞれの乳首210a、210b、210c、210dの乳流の量とは無関係に、搾乳セッションの少なくとも一部分にわたって、乳首210a、210b、210c、210dの下に広がる所望の搾乳真空圧レベルPmを確立し、維持することができる。
【0112】
いくつかの実施形態では、それぞれの乳首210a、210b、210c、210dの下で測定されるような真空圧レベルP2a、P2b、P2c、P2dは、搾乳セッション中に比較的一定の搾乳真空圧レベルPmで達成され、維持され得る。これを達成するために、吸出し真空圧レベルP1a、P1b、P1c、P1dは、乳首210a、210b、210c、210dの下の真空圧レベルP2a、P2b、P2c、P2dの繰り返し測定に基づいて、連続的に調節されてもよい。
【0113】
他の実施形態では、乳首210a、210b、210c、210dのうちの1つの下のそれぞれの真空圧センサ160a、160b、160c、160dによって測定された真空圧レベルP2a、P2b、P2c、P2dの最高測定値と最低測定値との推定差が期間中にあるとき、乳首210a、210b、210c、210dの下に広がる真空圧レベルP2a、P2b、P2c、P2dは、高流量搾乳真空圧レベルPHFに一時的に増加させることができる。この期間は、予め定められていてもよいし、設定可能であってもよい。例えば、5~60秒、好ましくは15~30秒である。したがって、直近の例えば5~60秒間に取得された測定値が比較され、その期間中の2つの極端な測定値(最高/最低)間の最大差が推定されてもよい。
【0114】
推定された差が閾値限界より小さい場合、所望の搾乳真空圧レベルPmは、一時的に、ティートカップ110a、110b、110c、110dのための高流量搾乳真空圧レベルPHFに設定されてもよい。
【0115】
閾値限界は、設定可能であってもよいし、予め定められていてもよく、例えば搾乳吸引圧力レベルPmの1%であってもよい。
【0116】
所望の搾乳真空圧レベルPmは、例えば44kPaであってもよく、一方、高流量搾乳真空圧レベルPHFは、例えば49kPaであってもよい(非限定的な例)。
【0117】
処理装置170は、それぞれの関連する真空圧センサ160a、160b、160c、160dを用いて、乳首210a、210b、210c、210dの下の真空圧レベルP2a、P2b、P2c、P2dの測定値を連続的/繰り返し取得することができる。
【0118】
図3A及び
図3Bは、2つの別個の実施形態による搾乳システム100の簡略化された/機能的な概要を示しており、提供される解決策を不明瞭にしないように、1つのティートカップ110のみを示すなど、詳細は省略されている。
【0119】
真空ポンプ140は、乳タンク130に供給されるシステム真空圧Psと呼ばれる真空、すなわち大気圧未満の圧力を生成することができる。乳タンク130内に広がる真空ポンプ140によって生成されるシステム真空圧Psは、搾乳セッションの大半の時間にわたって、略一定に維持され得る。
【0120】
図3Aにおいて、真空調節装置150は、処理装置170によって提供される電気制御信号によって調節可能な通路を有する動作可能な弁310を備える。動作可能な弁310は、アクチュエータ320、例えばソレノイド又は同様の装置によって調節されてもよい。弁310は、乳セッション中に抽出された乳が通路を通過するように、乳排出管120内に配置されてもよい。
【0121】
動作可能な弁310の通過を調節することによって、吸出し真空圧レベルP1が生成され、これは、場合によっては乳排出管120上に配置された任意選択の乳量計250を介してティートカップ110に提供される。動物の乳首210は、ティートカップ110に挿入されたとき、乳首210の下の真空圧レベルP2にさらされ、これは真空圧センサ160によって測定され、処理装置170に繰り返し提供される。
【0122】
真空圧センサ160は、ティートカップ110の下端に配置されてもよいし、ティートカップ110の比較的近く、例えばティートカップ110から数センチメートル、又は1若しくは数デシメートルの乳排出管120の部分に配置されてもよい。真空圧センサ160は、ティートカップ110内に挿入されたときに、1つの乳首210の下のティートカップ110内に広がる真空圧レベルP2を測定することができる。
【0123】
次に、処理装置170は、乳首210の下の取得された真空圧レベルP2を所望の搾乳真空圧レベルPmと繰り返し比較し、比較の結果に基づいて、アクチュエータ320へのコマンドを生成して、動作可能な弁310の通路を開閉し、それによって吸出し真空圧P1を増加/減少させ、次に乳首210の下の真空圧レベルP2を変化させることができる。
【0124】
図3Bの真空調節装置150は、例えば
図1~
図2に示され、本明細書の対応するセクションで前述されたように、真空調節器153及び弁装置155を備える。弁装置155は、例えば、それ自体公知である遮断弁を備えることができる。
【0125】
真空ポンプ140は、真空調節装置150に接続され、それによって、システム真空Psを真空調節装置150に提供する。制御された方法で遮断弁の乳通路を調節することによって、真空調節装置150は、ティートカップ110に提供される吸出し真空圧レベルP1を調節することができる。
【0126】
真空調節装置150の真空調節器153はソレノイドを備えていてもよく、ソレノイドの弁の位置は、例えば真空調節器153に通信可能に接続された処理装置170によって生成されるパルス幅変調(PWM)信号を用いてパルス幅変調され得るソレノイドの周囲の磁場を調節することによって調節され得、それによって、制御真空Pcを生成するために真空ポンプ140のシステム真空Psと大気圧の空気との混合を変化させる。
【0127】
真空調節器153は、弁装置155を備えてもよく、又はそれに接続されてもよい。弁装置155は、ティートカップ110の乳排出管120内に配置されてもよいし、それに関連付けられてもよい。
【0128】
弁装置155は、膜によって分離された湿潤区画と乾燥区画とを備えることができる。乳排出管120は、弁装置155の湿潤区分を通過してもよい。
【0129】
弁装置155の上流側の乳排出管120のティートカップ110内に広がる真空圧レベルは、真空調節器153によって弁装置155の乾燥部に供給される制御真空レベルPcと実質的に同じ真空レベルに調節されてもよい。
【0130】
したがって、乳首210の下のティートカップ110内に広がる真空圧レベルP2は、乳首210の下のティートカップ110内の目標/所望の真空圧レベルPmを達成するために、動物200の各乳首210について個別に調節されてもよい。
【0131】
動物の乳首210は、ティートカップ110に挿入されたとき、乳首210の下の真空圧レベルP2にさらされ、これは真空圧センサ160によって測定され、処理装置170に繰り返し提供される。
【0132】
次に、処理装置170は、ティートカップ110内の真空圧レベルP2の測定値を繰り返し取得し、取得した測定値を所望の搾乳真空圧レベルPmと比較してもよい。比較の結果に基づいて、処理装置170は、乳首210の下の真空圧レベルP2を所望の搾乳真空圧レベルPmに調節するために、吸出し真空圧レベルP1の調節を計算してもよい。次に、処理装置170は、弁装置155に提供される制御真空Pcを調節するために、真空調節装置150の真空調節器153へのコマンドを生成してもよく、弁装置は、次に、ティートカップ110に提供される吸出し真空圧レベルP1を調節し、それによって、乳首210の下の真空圧レベルP2を調節する。次いで、この手順を搾乳セッション中に繰り返すことができる。
【0133】
図4Aは、一実施形態による、搾乳セッション400中の動物200の乳首210a、210b、210c、210dの真空圧センサ160a、160b、160c、160dからの、乳首210a、210b、210c、210dのうちの1つの下の関連付けられたティートカップ110a、110b、110c、110d内に広がる乳流及び真空圧レベルP
2a、P
2b、P
2c、P
2dの測定を示す。
【0134】
図4Aの上部は、一例における乳首210a、210b、210c、210dの乳流を示し、一方、下部は、ティートカップ110a、110b、110c、110d内の真空圧レベルP
2を示す。
【0135】
乳曲線に従う乳の流れは、異なる乳首及び異なる動物200の両方に対して非常に異なる形状/サイズを有してもよく、図示された乳曲線は単に任意の例である。
【0136】
いくつかの実施形態では、ティートカップ110a、110b、110c、110dの所望の真空圧レベルは、ティートカップ110a、110b、110c、110d内の分離真空圧Pdに設定されてもよく、これは、搾乳セッション400の最終段階に向かって、例えば約15kPaなど、例えば10~20kPaに設定されてもよい。これにより、ティートカップの迅速な取り外しが保証される。
【0137】
搾乳セッション400の終了段階は、例えば、最初の(又は場合によっては最後の)ティートカップ110a、110b、110c、110d取り付けからの時間を測定し、それを制限時間tlと比較することによって検出され得る。
【0138】
図4Bは、一実施形態による、搾乳セッション400中の動物200の乳首210a、210b、210c、210dの真空圧センサ160a、160b、160c、160dからの、乳首210a、210b、210c、210dのうちの1つの下の関連付けられたティートカップ110a、110b、110c、110d内に広がる乳流及び真空圧レベルP
2a、P
2b、P
2c、P
2dの測定を示す。
【0139】
図4Bの上部は、一例における1つの乳首210a、210b、210c、210dの乳流を示し、一方、下部は、対応するティートカップ110a、110b、110c、110d内の真空圧レベルP
2を示す。
【0140】
いくつかの実施形態では、ティートカップ110a、110b、110c、110dの所望の真空圧レベルは、高流量搾乳真空圧レベルPHFに設定されてもよい。高流量搾乳真空圧レベルPHFは、例えば約45~55kPa、例えば49kPaに設定することができる(非限定的な例)。高流量搾乳真空圧レベルPHFは、例えば44kPaであってもよい搾乳真空圧レベルPmよりも大きな負圧を表す。
【0141】
高流量搾乳真空圧レベルPHFは、ある期間中に乳首210a、210b、210c、210dのうちの1つの下の真空圧センサ160a、160b、160c、160dによって測定された真空圧レベルP2a、P2b、P2c、P2dの最高測定値と最低測定値との推定差が閾値限界より小さいときに、少なくとも一時的にティートカップ110a、110b、110c、110dの真空圧レベルの所望の目標値として設定されてもよい。
【0142】
他の実施形態では、高流量搾乳真空圧レベルPHFは、最初の乳首刺激から、又は搾乳セッション400の開始からトリガ時間tl1が経過したときに設定されてもよい。
【0143】
更にいくつかの実施形態では、これらの2つの実施形態は組み合わされてもよく、すなわち、高流量搾乳真空圧レベルPHFは、例えば、トリガ時間tl1が経過する前に設定されなくてもよく、期間中の乳首210a、210b、210c、210dの下の推定された真空圧差は閾値限界よりも小さい。
【0144】
これに対応して、ティートカップ110a、110b、110c、110dの所望の真空圧レベルは、乳首210a、210b、210c、210dの乳流が減少しているときに、高流量搾乳真空圧レベルPHFに設定された後に、通常流量搾乳真空圧レベルPmに減少されてもよい。
【0145】
これは、期間中に乳首210a、210b、210c、210dの下の真空圧センサ160a、160b、160c、160dによって測定される真空圧レベルP2a、P2b、P2c、P2dの最高測定値と最低測定値との推定差が閾値限界を超えるときに行われてもよい。これは、動物/乳首210a、210b、210c、210dの乳流が減少しており、乳流がピークプラトーを通過したと解釈され得る。
【0146】
更にいくつかの実施形態では、ティートカップ110a、110b、110c、110dの真空圧レベルP2a、P2b、P2c、P2dは、所望の真空圧レベルを高流量搾乳真空圧レベルPHFに設定してから第2のトリガ時間tl2が経過したときに、通常の搾乳真空圧レベルPmに減少されてもよい。他の実施形態では、第2のトリガ時間は、搾乳セッション400の開始から、例えば最初の乳首刺激以降に設定されてもよい。
【0147】
図5は、動物200の各それぞれの乳首210a、210b、210c、210dの下の各それぞれのティートカップ110a、110b、110c、110dに広がる真空圧レベルP
2a、P
2b、P
2c、P
2dの調節プロセスを概略的に示す。
【0148】
処理装置170は、乳首210a、210b、210c、210dへのティートカップ110a、110b、110c、110d取り付け時に動物200の搾乳セッション400の開始を検出することができる。
【0149】
処理装置170は、真空調節装置150a、150b、150c、150dの吸出し真空圧レベルP1a、P1b、P1c、P1dを吸出し搾乳真空圧レベルPimに設定することができる。吸出し搾乳真空圧レベルPimは、予め決定され、メモリ装置又はデータベース180、193から検索されてもよい。吸出し搾乳真空圧レベルPimは、例えば、いくつかの任意の例において、35~45kPaの区間内の値に設定されてもよい。
【0150】
いくつかの他の例では、吸出し搾乳真空圧レベルPimは、吸出し取り付け真空圧レベルPiaに設定されてもよく、これは、乳抽出中に適用される真空圧レベルよりも低く、例えば20~35kPa又はその付近に設定される。
【0151】
処理装置170は、真空調節装置150a、150b、150c、150dに命令を送信して、吸出し真空圧レベルP1a、P1b、P1c、P1dを吸出し搾乳真空圧レベルPimに設定し、その真空圧をティートカップ110a、110b、110c、110dに提供する。したがって、吸出し搾乳真空圧レベルPimは、全ティートカップ110a、110b、110c、110dに供給されるために共通であってもよい。
【0152】
次いで、各ティートカップ110a、110b、110c、110dにおける真空圧センサ160a、160b、160c、160dは、動物200の各それぞれの乳首210a、210b、210c、210dの下の各それぞれのティートカップ110a、110b、110c、110dに広がる真空圧レベルP2a、P2b、P2c、P2dを測定することができる。次いで、これらの圧力測定値P2a、P2b、P2c、P2dは、処理装置170に提供される。それぞれの乳首210a、210b、210c、210dの乳流量が異なる可能性があるため、それぞれのティートカップ110a、110b、110c、110dのそれぞれの圧力測定値P2a、P2b、P2c、P2dは異なり得る。
【0153】
処理装置170は、ティートカップ110a、110b、110c、110d内で達成され維持されるべき所望の搾乳真空圧レベルPmをメモリ装置又はデータベース180、193から抽出することができる。次いで、圧力測定値P2a、P2b、P2c、P2dの各々と所望の搾乳真空圧レベルPmとの比較を行うことができる。
【0154】
ティートカップ110a、110b、110c、110d内の測定された圧力測定値P2a、P2b、P2c、P2dが所望の搾乳真空圧レベルPmに等しい場合には(又はそれからの許容範囲内、例えば1~5%以内)、ティートカップ110a、110b、110c、110dに提供される吸出し真空圧レベルP1a、P1b、P1c、P1dは変更されなくてもよい。
【0155】
そうでない場合、すなわち、圧力測定値P2a、P2b、P2c、P2dが所望の搾乳真空圧レベルPmから逸脱する(又はそこから許容範囲外である)場合、吸出し真空圧レベルP1a、P1b、P1c、P1dのそれぞれの調節ΔPは、アルゴリズムに従って計算されてもよく、又は異なる実施形態ではメモリ/データベース180、193内のテーブルから抽出されてもよい。例えば、ティートカップ110a、110b、110c、110d内の測定された圧力測定値P2a、P2b、P2c、P2dの1つが所望の搾乳真空圧レベルPmを(所望の搾乳真空圧レベルPmの)10%超えている場合、真空調節装置150a、150b、150c、150dによって関連するティートカップ110a、110b、110c、110dに提供される吸出し真空圧レベルP1a、P1b、P1c、P1dは、いくつかの実施形態(任意の非限定的な例)において、10%減少されてもよい。
【0156】
それによって、新しいそれぞれの吸出し真空圧レベルP1a、P1b、P1c、P1dに関する命令が計算され、真空調節装置150a、150b、150c、150dに提供され得る。真空調節装置150a、150b、150c、150dは、新たな再計算された吸出し真空圧レベルP1a、P1b、P1c、P1dを受信すると、吸出し真空圧を調節し、それをそれぞれのティートカップ110a、110b、110c、110dに提供することができる。
【0157】
次いで、ティートカップ110a、110b、110c、110dの各々における真空圧センサ160a、160b、160c、160dは、調節された吸出し真空圧レベルP1a、P1b、P1c、P1dを受信した後、再び真空圧レベルP2a、P2b、P2c、P2dを測定し、最新の圧力測定値P2a、P2b、P2c、P2dを処理装置170に報告することができる。
【0158】
ティートカップ110a、110b、110c、110d内の真空圧レベルP2a、P2b、P2c、P2dを測定するこのプロセスαは、取得された圧力測定値P2a、P2b、P2c、P2dを所望の搾乳真空圧レベルPmと比較し、吸出し真空圧レベルP1a、P1b、P1c、P1dを再計算し、調節された吸出し真空圧レベルP1a、P1b、P1c、P1dのティートカップ110a、110b、110c、110dへの供給は、次いで、搾乳セッション400の終わりまで繰り返されてもよい。
【0159】
提供される解決策のおかげで、動物200の各それぞれの乳首210a、210b、210c、210dの下に広がるティートカップ110a、110b、110c、110d内の真空圧レベルP2a、P2b、P2c、P2dを動的に調節することが可能である。したがって、各ティートカップ110a、110b、110c、110dに加えられる吸出し真空圧レベルP1a、P1b、P1c、P1dは、当該乳首210a、210b、210c、210dの乳流量に依存して変動する。
【0160】
これにより、搾乳効率が改善される一方で、最大許容真空圧レベルを超える過剰な真空圧による乳首の損傷が排除される、又は少なくとも低減される。動物200の乳首状態が向上していることもまた、これにより、推定される。また、動物1匹あたりの搾乳時間が短縮されるため、搾乳システム100によって単位時間あたりより多くの動物を搾乳することができる。
【0161】
添付の図面に示される実施形態の説明で使用される用語は、説明される搾乳システム100、処理装置170及び/又はコンピュータプログラムを限定することを意図したものではない。添付の請求項によって定義されるとおりの発明の実施形態から逸脱することなく、様々な変更、置換及び/又は改変が行われ得る。
【0162】
図1~
図5に描かれている、かつ/又は本明細書の対応するそれぞれのセクションで説明されている様々な図示された実施形態は、例えば、記載された実施形態の一部又は全ての特徴を混合及び編成することによって、有利に互いに組み合わせることができ、それによって追加の利点を達成する。
【0163】
本明細書で使用される場合、用語「及び/又は」は、関連する列挙された項目のうちの1つ以上のありとあらゆる組み合わせを含む。本明細書中に使用される用語「又は」は、特に明記しない限り、数学的なORとして、すなわち両立的選言として解釈されなければならず、数学的な排他的OR(XOR)として解釈されるべきでない。加えて、単数形「a」、「an」、及び「the」は、特に明記しない限り、「少なくとも1つ」として解釈されるべきであり、それゆえ、場合により、同じ種類の複数の実体も含む。「含む(includes)」、「備える(comprises)」、「含んでいる(including)」、及び/又は「備えている(comprising)」という用語は、述べられた特徴、アクション、整数、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、アクション、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらのグループの存在又は追加を排除しないことが更に理解されよう。例えば、プロセッサなどの、単一のユニットが、請求項に記載されているいくつかの項目の機能を果たし得る。特定の方策又は特徴は、相互に異なる従属請求項に記載されているか、異なる図に示されているか、又は異なる実施形態に関連して説明されているという事実のみをもって、これらの方策又は特徴の組み合わせを有利に用いることができないことが示されるわけではない。
【国際調査報告】