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特表2024-523116ニコチン転移が防止された喫煙物品及びそれを含むエアロゾル生成システム
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  • 特表-ニコチン転移が防止された喫煙物品及びそれを含むエアロゾル生成システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】ニコチン転移が防止された喫煙物品及びそれを含むエアロゾル生成システム
(51)【国際特許分類】
   A24D 1/02 20060101AFI20240621BHJP
   A24D 1/20 20200101ALI20240621BHJP
   A24D 3/17 20200101ALI20240621BHJP
   A24D 3/02 20060101ALI20240621BHJP
   A24D 3/04 20060101ALI20240621BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20240621BHJP
   A24F 40/40 20200101ALI20240621BHJP
【FI】
A24D1/02
A24D1/20
A24D3/17
A24D3/02
A24D3/04
A24F40/20
A24F40/40
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571109
(86)(22)【出願日】2023-03-03
(85)【翻訳文提出日】2023-11-24
(86)【国際出願番号】 KR2023002910
(87)【国際公開番号】W WO2023234524
(87)【国際公開日】2023-12-07
(31)【優先権主張番号】10-2022-0068106
(32)【優先日】2022-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519217032
【氏名又は名称】ケーティー アンド ジー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー タエ キュン
(72)【発明者】
【氏名】クォン チャン ミン
(72)【発明者】
【氏名】キム タエ キュン
(72)【発明者】
【氏名】パク インス
(72)【発明者】
【氏名】リー ミ ジェオン
(72)【発明者】
【氏名】リー ジョン タエ
【テーマコード(参考)】
4B045
4B162
【Fターム(参考)】
4B045AB04
4B045AB11
4B045AB16
4B045BB04
4B045BB07
4B045BC16
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB12
4B162AC12
4B162AC14
4B162AC22
4B162AC32
(57)【要約】
本発明は、pH調整媒質部と、吸放出材料を含む紙セグメントと、を含む、ニコチン転移現象が防止された喫煙物品とこれを含むエアロゾル生成システムに関し、前記喫煙物品は、pHが調整された媒質部を含めて非加熱式ニコチン移行が可能であり、吸放出材料を含む紙セグメントを含めてニコチン転移現象が防止されて調和期間短縮が可能であり、これによる安定した保管寿命が確保されたことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
pH調整媒質部と、
吸放出材料を含む紙セグメントと、を含む、
ニコチン転移現象が防止された喫煙物品。
【請求項2】
前記喫煙物品は、媒質部及び紙セグメントのうち少なくとも1つ以上を包む熱伝導性ラッパーをさらに含む、
請求項1に記載のニコチン転移現象が防止された喫煙物品。
【請求項3】
前記熱伝導性ラッパーは、アルミニウム、金、銀及び銅からなる群より選ばれる1種以上である、
請求項2に記載のニコチン転移現象が防止された喫煙物品。
【請求項4】
前記pH調整媒質部のpHは8~9.5である、
請求項1に記載のニコチン転移現象が防止された喫煙物品。
【請求項5】
前記pH調整媒質部は、
揮発性ニコチンを含む、
請求項4に記載のニコチン転移現象が防止された喫煙物品。
【請求項6】
前記紙セグメントは、媒質部の一側又は両側に配置される、
請求項1に記載のニコチン転移現象が防止された喫煙物品。
【請求項7】
前記吸放出材料は、活性炭、ゼオライト、アルミナ、シリカゲル及びベントナイトからなる群より選ばれる1種以上である、
請求項1に記載のニコチン転移現象が防止された喫煙物品。
【請求項8】
前記喫煙物品は、
加熱式喫煙物品である、
請求項1に記載のニコチン転移現象が防止された喫煙物品。
【請求項9】
前記喫煙物品は、
チューブフィルター部及びフィルター部をさらに含む、
請求項1に記載のニコチン転移現象が防止された喫煙物品。
【請求項10】
エアロゾル生成システムであって、
バッテリ及び前記バッテリから供給された電力によって熱を発生させるヒータを含むエアロゾル生成装置と、
前記エアロゾル生成装置に収容されて前記ヒータの加熱によってエアロゾルを生成する、請求項1から9の何れか一項の喫煙物品と、を含む、エアロゾル生成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニコチン転移現象が防止された喫煙物品及びそれを含むエアロゾル生成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、喫煙物品は燃焼されるよりは加熱される多数の喫煙物品が提案されている。このような非燃焼式喫煙物品は、従来の喫煙物品とは異なり、タバコ媒質を燃焼させることなく、タバコ媒質を加熱することによって発生したエアロゾルを吸引して使用される。このような加熱式喫煙物品の類型の一つとして、電気加熱を利用した喫煙物品がある。
【0003】
喫煙物品の媒質部のpHを調節して揮発性遊離ニコチンを生成させて非加熱式でニコチンを移行させることができる。
【0004】
これに関して、喫煙製品の媒質部が酸性pHを有する場合、非加熱式ニコチン移行が難しく、アルカリ性pHを有する場合、非加熱式ニコチン移行を増加させるが、揮発性が高く、期間経過に伴いスティック材料品以外にもインナーライナーと匣包裝紙などの包装材料品までニコチン転移が行われる。煙中ニコチン移行はスティック内の材料品に転移したニコチンによって大きく影響を受けるので、包匣紙などの包装材料品に転移したニコチンは煙中ニコチン移行量を減少させることができる。
【0005】
すなわち、結果として大きな喫煙充足感を与えることができる喫煙製品の媒質部pHをpH8~9.5のように弱アルカリ性に調整することが必要であったが、アルカリ性pHを有する媒質部は揮発性によってインナーライナーと匣包裝紙などの包装材料品までニコチンの転移現象が発生する。
【0006】
これにより、弱アルカリ性pHを有する媒質部を含む喫煙物品は、非加熱式でニコチンを移行させることができるが、製造が完了した後、アセテートフィルターなどのスティック内材料品にニコチンを転移させる調和期間が必須であり、スティック内ニコチン転移平衡到達後の味の変化を防止するために、包装材料品にニコチン転移による消失を防止する方案が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特許文献1:大韓民国公開特許第2021-0121968号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記言及した問題点を解決するために、pHが調節された媒質を含み、ニコチン転移を防止することができる吸放出素材が適用された喫煙物品を提供することである。
【0009】
さらに、本発明は、本発明による喫煙物品を用いたエアロゾル生成システムを提供する。
【0010】
しかし、本発明が解決しようとする課題は、以上で言及したものに制限されず、言及されていない他の課題は、以下の記載から当該分野における通常の技術者に明確に理解できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、水素イオン濃度指数(pH)調整媒質部と、
吸放出材料を含む紙セグメントと、を含む、
ニコチン転移現象が防止された喫煙物品を提供する。
【0012】
本発明の一実施形態では、前記喫煙物品は、媒質部及び紙セグメントのうち少なくとも1つ以上を包む熱伝導性ラッパーをさらに含んでもよい。
【0013】
本発明の他の実施形態では、前記熱伝導性ラッパーは、アルミニウム、金、銀及び銅からなる群より選ばれる1種以上であってもよい。
【0014】
本発明の別の実施形態では、前記pH調整媒質部のpHは8~9.5であってもよい。
【0015】
本発明の別の実施形態では、前記pH調整媒質部は、揮発性ニコチンを含んでもよい。
【0016】
本発明の別の実施形態では、前記紙セグメントは、媒質部の一側又は両側に配置されてもよい。
【0017】
本発明の別の実施形態では、前記吸放出材料は、活性炭、ゼオライト、アルミナ、シリカゲル及びベントナイトからなる群より選ばれる1種以上であってもよい。
【0018】
本発明の別の実施形態では、前記喫煙物品は、加熱式喫煙物品であってもよい。
【0019】
本発明の別の実施形態では、前記喫煙物品は、チューブフィルター部及びフィルター部をさらに含んでもよい。
【0020】
さらに、本発明は、エアロゾル生成システムであって、
バッテリ及び前記バッテリから供給された電力によって熱を発生させるヒータを含むエアロゾル生成装置と、
前記エアロゾル生成装置に収容され、前記ヒータの加熱によってエアロゾルを生成する、本発明による喫煙物品と、を含む、エアロゾル生成システムを提供する。
【発明の効果】
【0021】
従来喫煙物品の媒質部は、喫煙充足感の向上のためにpHを調整する場合、媒質部の遊離ニコチンは喫煙物品内において継続して転移するので、均一な品質を有する平衡状態になるためには相当な調和期間が必要であったが、本発明の喫煙物品は、pH調整された媒質部と共に、吸放出素材が適用された紙セグメントをさらに含み、揮発性がある遊離ニコチンの短時間内迅速な吸着によって製品調和期間を短縮させ、製品の安定した保管寿命(Shelf-life)を確保したことを特徴とする。また、喫煙製品においてニコチン移行に影響を与えない部位(最終外皮、インナーライナー、又は匣包裝紙など)までニコチンが転移することを防止することによって、喫煙時に移行できるニコチン量の消失を防止し、フィルターの安全性を維持できるようにする。
【0022】
併せて、喫煙物品の使用時に吸放出素材が適用された紙セグメントを加熱して吸放出素材に吸着されているニコチンを脱着させて移行させることによって、他の材料品にニコチン消失を防止し、同時に揮発性ニコチンを含めて非加熱式でニコチンを移行させることが可能であり、高い喫煙充足感を獲得することができる。
【0023】
本発明の効果は上記の効果に限定されるものではなく、本発明の詳細な説明又は特許請求の範囲に記載された発明の構成から推論可能な全ての効果を含むと理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の例示的な実施例に係る喫煙物品の断面図である。
図2】本発明の例示的な他の実施例に係る喫煙物品の断面図である。
図3】本発明の例示的な他の実施例に係る喫煙物品の断面図である。
図4A】本発明の例示的な別の実施例に係る喫煙物品の断面図である。
図4B】本発明の例示的な別の実施例に係る喫煙物品の断面図である。
図5】本発明の例示的な実施例に係るエアロゾル生成システムの断面図である。
図6】本発明の例示的な他の実施例に係るエアロゾル生成システムの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
なお、添付図面を参照して説明するにあたって、図面符号にかかわらず同一の構成要素には同一の参照符号を付し、これについての重複する説明は省略する。実施例を説明するにあたって関連する公知技術についての具体的な説明が実施例の要旨を不要に濁す恐れがあると判断される場合、その詳細な説明は省略する。
【0026】
明細書全体において、ある部材が他の部材の「上に」位置していると言うとき、これは、ある部材が他の部材に接している場合だけでなく、両部材の間に別の部材が存在する場合も含む。
【0027】
明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」と言うとき、これは、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0028】
明細書全体において、前記「喫煙物品」(smoking article)とは、タバコ、タバコ派生物、膨化処理タバコ(expanded tobacco)、再生タバコ(reconstituted tobacco)、又はタバコ代用物に基づくか否かにかかわらず、喫煙可能な任意の製品又は喫煙体験を提供できる任意の製品を意味することができる。
【0029】
これに加えて、明細書全体において、「媒質部」とは、喫煙可能な物質が含まれる部分又は部位を意味する。すなわち、エアロゾルを生成し得る物質としてユーザにニコチンを移行させ得る物質を含む部位を意味することができる。
【0030】
明細書全体において、「紙セグメント」とは、紙素材を含み、媒質部と当接している紙フィルターを含む部分又は部位を意味する。
【0031】
明細書全体において、水素イオン濃度指数は、物質内水素イオンがどれだけ存在するかを示す指標であり、本明細書ではpHで表すことができる。
【0032】
明細書全体において、「上流」及び「下流」という用語は、ユーザが喫煙物品を使用して外部空気を吸入するとき、喫煙物品の外部から内部に空気が入る部分が「上流」であり、可燃性熱源を含む喫煙物品の内部から外部に空気が出る部分が「下流」である。「上流」及び「下流」という用語は、喫煙物品を構成する部分又はセグメント間の相対的な位置又は方向を示すために使用することができる。
【0033】
明細書全体において、「吸放出材料」とは、吸着及び放出が起こる又は起こり得る素材を意味する。本発明では、一般的に吸着が容易であり、物理的処理(例えば、加熱)によって吸着された素材が放出され得る素材を意味する。
【0034】
明細書全体において、「エアロゾル生成装置」は、エアロゾル(aerosol)を発生させ得る装置を意味することができる。前記エアロゾルは揮発性化合物を含むものである。
【0035】
以下、本発明のpH調整媒質部200と、
吸放出材料101を含む紙セグメント100と、を含む、
喫煙物品1000について実施例及び図面を参照して具体的に説明する。しかし、本発明は、このような実施例及び図面に制限されるものではない。
【0036】
図1のように、本発明は、pH調整媒質部200と、
吸放出材料101を含む紙セグメント100と、を含む、喫煙物品1000に該当する。
【0037】
本発明の一実施例によって、前記紙セグメントは、媒質部の一側又は両側に配置されてもよい。前記紙セグメントは、図1のように、媒質部の一側、すなわち、媒質部の上流側に配置されてもよい。あるいは、図3のように、媒質部の下流側に紙セグメントが配置されてもよい。
【0038】
あるいは、図2のように、媒質部の両側に紙セグメントが位置してもよい。前記図2のように、媒質部の両側に吸放出素材が適用された紙フィルターを適用することで、吸放出素材が遊離ニコチン(Free-base nicotine)を短時間内に吸着させることによって、調和期間を短縮させることが可能であり、ニコチン移行に影響を与えない他の材料品(最終外皮、インナーライナー、又は匣包裝紙など)にニコチンが転移することを防止することでニコチン消失を防止し、喫煙物品内に含まれるフィルター部、チューブフィルター部などの他のセグメントが安定して機能できるようにする。
【0039】
本発明の一実施例によって、前記紙セグメントには吸放出材料が含まれ、前記吸放出材料は、活性炭、ゼオライト、アルミナ、シリカゲル及びベントナイトからなる群より選ばれる1種以上であってもよい。但し、前記種類は例示であり、遊離ニコチンを容易に吸着することができ、加熱などの処理によって放出が可能な素材であれば、上述した内容に制限されるものではない。
【0040】
前記吸放出素材は、粒子の平均直径が0.1~1000μmであってもよく、好ましくは活性炭のように気孔を含んでおり、ニコチンを容易に吸着できる多孔性素材であってもよい。「多孔性(porous)」とは、固体が内部又は表面に気孔(隙間)を有する状態を意味する。前記吸放出素材は、比表面積が300m/g以上であり、10~80%の気孔率を有することができる。前記気孔率とは、多孔性素材を構成している基質とその基質内に存在する気孔(pore)との容積比を意味するものであり、気孔率が10%未満の場合、多孔性が不足してニコチンが容易に吸着されない可能性があり、80%を超える場合、ニコチンの吸着量が過剰になり、加熱処理時間が延びる可能性がある。
【0041】
前記吸放出素材は、紙セグメント全重量100重量%に対して1~30重量%で含まれてもよい。前記吸放出素材が1重量%未満で含まれると、ニコチンの吸着が十分に起こらないことがあり、30重量%を超えて含まれると、紙と十分に結合しないため、粉塵などが発生することもある。
【0042】
前記吸放出素材は、クリンプ(crimp)が形成された紙原紙に吸放出素材が噴射されて含まれていてもよい。前記吸放出素材は、紙原紙と容易に結合できるようにバインダーを活用することができる。前記バインダーは、所定以上の粘度を有する素材であり、これに制限されるものではないが、例示として、グリセリン、プロピレングリコール、グアーガム、デンプン、エチレンビニルアセテート、アラビアガム、ポリビニルアルコール、又はメチルセルロースなどの素材であってもよい。
【0043】
前記吸着性素材は、バインダーと吸着性素材とを予め混合した後、混合された素材を紙原紙に噴射、塗布、又はコーティングすることもでき、又は紙原紙上に予めバインダーを噴射、塗布又はコーティングを通じて処理し、バインダーが処理された紙原紙上に吸着性素材を噴射する方式で紙原紙に含ませることができる。上記のように吸着性素材を含ませた紙原紙は、一定の厚さを有するように巻き付けて、紙セグメントを製造することができる。
【0044】
一実施例によれば、前記紙原紙の表面に塗布されるバインダーの量は、4mg/mm以下、3mg/mm以下、2mg/mm以下又は1mg/mm以下であってもよく、好ましくは、0.5mg/mm~4mg/mm、0.5mg/mm~3mg/mm又は0.5mg/mm~2mg/mmであってもよい。
【0045】
前記紙原紙の坪量は10~120g/mであってもよい。前記原紙の坪量が10g/m未満の場合、紙セグメントの硬度が弱くなり、喫煙物品全体の品質に影響を及ぼす可能性があり、120g/mを超える場合、原紙を巻き付けて紙セグメントの形態で製造し難い可能性がある。
【0046】
例示として、前記紙セグメントの直径は4mm~30mmであり、周りは14mm~29mmであってもよい。また、長さは10mm~70mmであってもよいが、これらに制限されない。
【0047】
本発明の一実施例によって本発明の喫煙物品は、pH調整媒質部を含み、前記媒質部のpHは8~9.5であることを特徴とする。本発明の媒質部は、8~9.5のpHを有することによって、媒質部に含まれるニコチンが揮発性を有する、遊離(Free-base)状態を有することができる。これにより、本発明の喫煙物品は、使用時に非加熱式ニコチン移行が円滑に行われる。但し、8~9.5のpHを有するpH調整媒質部を含む場合、製造が完了した後、均一なニコチン含量を有し均一な品質を有するように、アセテートフィルターなどのスティック内材料品にニコチンを転移させてスティック内ニコチン転移平衡状態に達するための調和期間が必須であった。したがって、媒質の一側又は両側に紙セグメント内に吸着素材を含ませることで均一な品質を維持するための調和期間を短縮し、調和期間後、喫煙物品が包装される他の材料品(最終外皮、インナーライナー、匣包裝紙など)へのニコチン転移によるニコチン消失を防止したものである。
【0048】
本発明の一実施例によって、本発明のpH調整媒質部には、揮発性ニコチンが含まれるものである。本発明のpH調整媒質部には揮発性ニコチンが含まれ、喫煙時にニコチンの非加熱式移行が容易であることを特徴とするものであり、前記揮発性ニコチンは、pH調整媒質部にのみ含まれるものではなく、pH調整媒質部から転移して、紙セグメントに全て含まれていてもよい。
【0049】
前記pH調整媒質部は、エアロゾル生成物質を含むものであって、例えば、製紙式板状葉、スラリー式板状葉、顆粒型タバコ、刻草などのタバコ原料に基づく喫煙物質を含むことができる。また、前記媒質部は、上述した喫煙物質がシガレット紙に包まれている構造を有するか、又は前記喫煙物質が含まれるフィルターブロックであってもよい。あるいは、キャビティフィルター方式を適用して空洞部に前記喫煙物質が含まれてもよい。
【0050】
本発明の媒質部は、前記喫煙物質に加えて、pH調節剤を含ませてpHを調整することができる。
【0051】
前記pH調節剤は、カルシウムカーボネート、モノカーボネート、バイカーボネート及びセスキカーボネートを含むカーボネート、アセテート、グリシネート、グルコネート、ホウ酸塩、グリセロリン酸塩又はアルカリ金属又はアンモニウムのクエン酸塩、モノヒドロゲンリン酸塩、ジヒドロゲンリン酸塩及びトリヒドロゲンリン酸塩を含むリン酸系、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムなどの金属水酸化物、及びそれらの混合物からなる群より選ばれる1種以上であってもよい。
【0052】
本発明の媒質部は、前記喫煙物質に加えて、バインダーを含ませて、顆粒状を有するようにすることができる。前記バインダーは、フルラン、デキストリン、セルロース、又はグリセリンなどの成分を使用するものであってもよいが、これらに制限されない。
【0053】
本発明の一実施例によって、本発明による喫煙物品は、加熱式喫煙物品であってもよい。加熱式喫煙物品とは、火に燃やすことなく、ヒータなどの加熱手段によって熱を加えて喫煙が行われる物品を意味する。
【0054】
本発明の一実施例によって、前記喫煙物品は、媒質部及び紙セグメントのうち少なくとも1つ以上を包む熱伝導性ラッパーをさらに含むことができる。前記熱伝導性ラッパーが含まれ、吸放出材料に吸着されたニコチンがより効果的に放出されるようにすることができる。一般的に、前記熱伝導性ラッパーが含まれないときは、200℃内外の温度に加熱して喫煙を行うことができ、熱伝導性ラッパーを含む場合、200℃未満の温度でも喫煙を行うことができる。
【0055】
前記熱伝導性ラッパーの喫煙物品内の配置の例示として、図4Aのように、媒質部と紙セグメントとの両方を包んでいてもよい。あるいは、図4Bのように、前記熱伝導性ラッパーが紙セグメント部分のみを包んでいてもよい。
【0056】
前記熱伝導性ラッパーは、熱伝導性素材が含まれた紙、亜麻、木材パルプ、高分子素材であってもよい。前記熱伝導性素材は、アルミニウム、金、銀、銅、又はカーボンナノチューブからなる群より選ばれる1種以上であってもよいが、ヒータから発生した熱を紙セグメント又は媒質部に伝達できる物質であれば、前記材料に制限されない。好ましくは、本発明の熱伝導性ラッパーは、紙にアルミニウムホイルが合紙された形態であってもよい。
【0057】
前記熱伝導性ラッパーの厚さは、約30μm~300μmであってもよい。前記ラッパーの厚さが30μm未満の場合、熱伝達に及ぼす影響が減少することができ、300μmを超える場合、気流の流れに影響を及ぼすことができる。
【0058】
本発明の一実施例によって、前記喫煙物品は、チューブフィルター部及びフィルター部をさらに含むことができる。
【0059】
本発明の一実施例によって、前記喫煙物品は、媒質部及び紙セグメントに加えて、チューブフィルター部をさらに含むことができる。前記チューブフィルター部は、タバコ物質から発生したエアロゾルをスティックの中央に集め、タバコ物質が下流に押されないように支持することができる。前記チューブフィルター部は、紙素材、高分子素材などからなることができ、加熱式タバコで使用される素材であれば、上述した素材に制限されることなく、含むことができる。
【0060】
本発明の一実施例によって、前記喫煙物品はフィルター部を含む。例えば、前記フィルター部は、モノフィルター、二重フィルター又は三重フィルターであってもよい。また、前記フィルター部は、多孔性マトリックス構造、チューブ構造及び紙管構造(paper tube)のうち少なくとも1つ以上のフィルターを含むことができる。前記フィルターは、高分子、紙、セルロースアセテート、活性炭及び炭素のうち少なくとも1つを含む繊維状、フィラメント状又はその両方を含むフィルタートウを含んでもよい。しかし、これらに限定されない。いくつかの実施例において、フィルター物質は炭素を含む吸着剤、活性炭などのように当該技術分野において広く知られている少なくとも1つのフィルター物質をさらに含むことができる。
【0061】
例示として、前記喫煙物品の直径は4mm~10mmであり、周りは14mm~29mmであってもよい。また、長さは45mm~100mmであってもよいが、これらに制限されない。
【0062】
また、本発明は、バッテリ700、前記バッテリ700から供給された電力によって熱を発生させるヒータ600、蒸気化器1100を含むエアロゾル生成装置2000と、前記エアロゾル生成装置2000に収容されて前記ヒータ600の加熱によってエアロゾルを生成する、上述した喫煙物品1000と、を含む、エアロゾル生成システム3000を提供する。
【0063】
本明細書において、「エアロゾル生成装置」は、ユーザの口を通じてユーザの肺に直接的に吸入可能なエアロゾルを発生させるためにタバコ媒質を用いてエアロゾルを生成させる装置を意味することができる。
【0064】
例示として、前記エアロゾル生成装置は、図5に示すものと同様である。但し、図5には、本発明の実施例に関連する構成要素のみが示されているものであって、本発明が属する技術分野における通常の技術者であれば、前記図5に示された構成要素に加えて他の汎用的な構成要素がさらに含まれ得ることが分かる。以下、エアロゾル生成装置2000の構成要素について説明する。
【0065】
前記エアロゾル生成装置は、喫煙物品が収容されるヒータ600、バッテリ700、蒸気化器1100に、制御部800及び収容空間900をさらに含むことができる。但し、これは、本開示の目的を達成するための好ましい実施例であるだけであり、必要に応じて一部構成要素が追加又は省略され得ることは言うまでもない。
【0066】
図5に示すエアロゾル生成装置のそれぞれの構成要素は、機能的に区分される機能要素を示すものであって、複数の構成要素が実際物理的環境では互いに統合される形態で実現されるか、単一構成要素が複数の細部機能要素に分離される形態で実現されることもある。
【0067】
図5を参考にして、喫煙物品1000にはヒータ600が含まれ、前記ヒータから発生した熱によってエアロゾルが発生し、発生したエアロゾルは喫煙物品1000を通過して、フィルター部と当接したユーザの口を通じて吸入され得る。
【0068】
前記ヒータ600は、収容空間900に収容された喫煙物品を加熱することによってエアロゾルを発生させることができる。すなわち、ヒータ600は、収容空間の周辺を包み込む形態で配置され、収容空間に収容された喫煙物品1000を加熱することができる。前記ヒータは電気抵抗性ヒータとして実現することができる。
【0069】
前記ヒータの形態は、単一ヒータ又は多段ヒータであってもよく、図5のように、単一ヒータを使用して、紙セグメントと媒質部を同時に加熱する方式を有することができる。
【0070】
あるいは、別の実施例として、図6のように、多段ヒータを有し、前記ヒータが紙セグメント部位のみを加熱する形態を有することもできる。一般的に、吸着エネルギーが大きいと、脱着エネルギーも大きいので、吸放出素材が適用された部位を最小限の加熱によって素材に吸着された遊離ニコチンを脱着させて移行させることによって、遊離ニコチンの消失なしに使用時にのみニコチン移行を行うことができる。
【0071】
しかし、本開示の範囲はこれらの例示に限定されるものではない。本発明の喫煙物品は熱伝導性ラッパーを含むこともでき、上述したように、紙セグメントと媒質部の配置も多様であるので、喫煙物品の設計及び構成によって前記ヒータの配置を変更することができる。
【0072】
前記蒸気化器1100は、液状組成物と、前記液状組成物を含有する液状貯蔵部と、前記液状組成物を霧化させる霧化要素を含んでもよい。図面に示されてはいないが、前記蒸気化器において喫煙物品が収容された収容空間の間には、霧化要素によって発生したエアロゾルが伝達できる通路が含まれている。
【0073】
前記霧化要素は、液状組成物加熱用ヒータ、又は液状組成物に振動エネルギーを供給する振動子であってもよい。前記液状組成物に熱又は振動を加えてエアロゾルを発生させることができる。前記液状組成物は、プロピレングリコール(PG)及びグリセリン(GLY)のうち少なくとも1つ以上を含むことができ、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール及びオレイルアルコールのうち少なくとも1つをさらに含むこともできる。
【0074】
前記制御部800は、エアロゾル生成装置2000の動作を全般的に制御することができる。例えば、制御部800は、ヒータ600及びバッテリ700の動作を制御することができ、エアロゾル生成装置2000に含まれた他の構成要素の動作も制御することができる。制御部800は、バッテリ700が供給する電力、ヒータ600の加熱温度などを制御することができる。前記バッテリは再充電可能なバッテリ又は再充電可能でないバッテリであってもよい。適切なバッテリの例は、例えば、リチウム-イオンバッテリ、ニッケルバッテリ(例えば、ニッケル-カドミウムバッテリ)、アルカリバッテリ及び/又は等々を含むことができる。
【0075】
以上のように、実施例は限られた図面によって説明されたが、該当技術分野における通常の知識を有する者であれば、上記に基づいて様々な技術的修正及び変形を適用することができる。例えば、説明された技術が説明された方法とは異なる順序で実行され、及び/又は説明されたシステム、構造、装置、回路などの構成要素が説明された方法とは異なる形態で結合又は組み合わせられる、又は他の構成要素又は均等物によって代替又は置換されても適切な結果を達成することができる。
【0076】
したがって、他の実施形態、他の実施例及び特許請求の範囲と均等なものも、後述する特許請求の範囲に属する。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明の喫煙物品は、pH調整された媒質部と共に、吸放出素材が適用された紙セグメントをさらに含み、揮発性がある遊離ニコチンの短時間内の迅速な吸着を通じて製品調和期間を短縮させ、製品の安定した保管寿命を確保したものであり、他の部位にニコチンが転移することを防止してニコチン量の消失を防止することができ、喫煙物品の使用時、前記紙セグメントを加熱して吸着された揮発性ニコチンを移行させることが可能であるため、高い喫煙充足感を獲得することができるので、喫煙製品産業分野において有用に用いられる。
【符号の説明】
【0078】
100:紙セグメント
200:pH調整媒質部
300:チューブフィルター部
400:フィルター部
500:熱伝導性ラッパー
600:ヒータ
700:バッテリ
800:制御部
900:収容空間
1000:喫煙物品
2000:エアロゾル生成装置
3000:エアロゾル生成システム
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6
【国際調査報告】