(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】非晶質熱可塑性積層製造物品およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
C08L 101/12 20060101AFI20240621BHJP
C08L 33/12 20060101ALI20240621BHJP
C08L 67/00 20060101ALI20240621BHJP
C08L 77/00 20060101ALI20240621BHJP
C08J 3/12 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
C08L101/12
C08L33/12
C08L67/00
C08L77/00
C08J3/12 A CER
C08J3/12 CEZ
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023571162
(86)(22)【出願日】2022-06-03
(85)【翻訳文提出日】2024-01-10
(86)【国際出願番号】 US2022032173
(87)【国際公開番号】W WO2022260952
(87)【国際公開日】2022-12-15
(32)【優先日】2021-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514073570
【氏名又は名称】ジャビル インク
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100224775
【氏名又は名称】南 毅
(72)【発明者】
【氏名】フライ,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ユー,ジョン ジー
【テーマコード(参考)】
4F070
4J002
【Fターム(参考)】
4F070AA32
4F070AA47
4F070AB11
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4J002CL00X
(57)【要約】
積層製造に有用な半結晶性ブレンド高分子は、非晶質熱可塑性高分子および熱可塑性半結晶性高分子からなり、これらの高分子の各々は、互いに実質的に混和性であり、1より大きく約20までの非晶質高分子/半結晶性高分子の質量比でブレンドされている。半結晶性ブレンド高分子は、少なくとも約3ジュール/gのDSC溶融ピークエンタルピーを示す。この半結晶性高分子は、上述した高分子を前記質量比でブレンドし、半結晶性高分子の溶融温度と非晶質高分子のガラス転移温度との間の加熱を施すことによって、製造することができる。半結晶性ブレンド高分子は、これらの高分子粉末の層を互いに融合することによって積層製造された場合、実質的に非晶質高分子に戻ることがある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非晶質熱可塑性高分子および熱可塑性半結晶性高分子を含む半結晶性ブレンド高分子であって、前記高分子の各々は、互いに実質的に混和性であり、1より大きく約20までの非晶質高分子/半結晶性高分子の質量比でブレンドされており、このブレンドされた半結晶性高分子は、少なくとも約3ジュール/gのDSC溶融ピークエンタルピーを示す、半結晶性ブレンド高分子。
【請求項2】
前記質量比が10から2である、請求項1記載の半結晶性ブレンド高分子。
【請求項3】
前記質量比が10から3である、請求項2記載の半結晶性ブレンド高分子。
【請求項4】
前記非晶質熱可塑性高分子が、約60℃から約120℃のガラス転移温度を有し、前記半結晶性熱可塑性高分子が、少なくとも約140℃のDSCで決定された溶融温度を有する、請求項1から3いずれか1項記載の半結晶性ブレンド高分子。
【請求項5】
前記非晶質熱可塑性高分子が、約100℃から約120℃のガラス転移温度を有し、前記半結晶性熱可塑性高分子が、少なくとも約140℃から約200℃のDSCで決定された溶融温度を有する、請求項4記載の半結晶性ブレンド高分子。
【請求項6】
前記半結晶性熱可塑性高分子の溶融ピークエンタルピーが、前記半結晶性ブレンド高分子の溶融ピークエンタルピーより小さい、請求項1から5いずれか1項記載の半結晶性ブレンド高分子。
【請求項7】
前記非晶質高分子がポリメチルメタクリレートであり、前記半結晶性高分子がポリエステルである、請求項1から6いずれか1項記載の半結晶性ブレンド高分子。
【請求項8】
前記ポリエステルがポリ乳酸である、請求項8記載の半結晶性ブレンド高分子。
【請求項9】
前記非晶質高分子が非晶質ポリアミドであり、前記半結晶性高分子が半結晶性ポリアミドである、請求項1から6いずれか1項記載の半結晶性ブレンド高分子。
【請求項10】
前記ブレンド高分子が、少なくとも約140℃の溶融温度を有する、請求項1から9いずれか1項記載の半結晶性ブレンド高分子。
【請求項11】
前記ブレンド高分子が、少なくとも約150℃から約225℃の溶融温度を有する、請求項10記載の半結晶性ブレンド高分子。
【請求項12】
前記高分子が、少なくとも1マイクロメートルのD10および最大200マイクロメートルの相当球径のD90を有する粉末である、請求項1から11いずれか1項記載の半結晶性ブレンド高分子。
【請求項13】
前記粉末が、約20マイクロメートルから100マイクロメートルの相当球径のD50を有する、請求項12記載の半結晶性ブレンド高分子。
【請求項14】
前記ブレンド高分子が溶媒を実質的に含まない、請求項1から13いずれか1項記載の半結晶性ブレンド高分子。
【請求項15】
半結晶性ブレンド高分子を形成する方法であって、
a.非晶質熱可塑性高分子および熱可塑性半結晶性高分子を溶融ブレンドする工程であって、前記高分子の各々は、ブレンド高分子を形成するために、1より大きく約20までの非晶質高分子/半結晶性高分子の質量比で、互いに実質的に混和性である、工程、および
b.前記半結晶性ブレンド高分子を実現するのに前記ブレンド高分子を十分に結晶化させる熱処理時間に亘り、前記非晶質高分子のガラス転移温度より高いが、前記半結晶性高分子の溶融温度より低い結晶化温度で該ブレンド高分子を熱処理する工程、
を含む方法。
【請求項16】
前記熱処理する工程が、少なくとも約2時間の熱処理時間に亘り行われる、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記熱処理時間が少なくとも約4時間から約24時間である、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記ブレンド高分子が実質的に非晶質である、請求項15から17いずれか1項記載の方法。
【請求項19】
前記半結晶性ブレンド高分子が、少なくとも約5ジュール/gのDSC溶融ピークエンタルピーおよび少なくとも約140℃の溶融温度を有する、請求項15から18いずれか1項記載の方法。
【請求項20】
前記熱処理する工程の少なくとも一部が、前記半結晶性高分子の溶融温度より低いが、その20℃以内の温度で行われる、請求項15から19いずれか1項記載の方法。
【請求項21】
前記熱処理する工程が、約60℃から約200℃の熱処理温度で行われる、請求項15から20いずれか1項記載の方法。
【請求項22】
前記熱処理温度が約100℃から約180℃である、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記熱処理温度が最高約175℃である、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記溶融ブレンドする工程が、押出機内で行われる、請求項15から23いずれか1項記載の方法。
【請求項25】
前記半結晶性ブレンド高分子を粉砕して、粉末を形成する工程をさらに含む、請求項15から24いずれか1項記載の方法。
【請求項26】
前記粉砕する工程が、-50℃より低い温度で行われる、請求項25記載の方法。
【請求項27】
積層製造物品を形成する方法であって、
a.請求項1から14いずれか1項記載の半結晶性ブレンド高分子の粉末の層を広げる工程と、
b.指向性電磁放射線により、制御された様式で前記層の粒子を加熱し、融合させる工程と、
c.前記半結晶性ブレンド高分子のその後の層を広げ、指向性電磁放射線により、制御された様式で前の層に各層を融合させて、前記積層製造物品を形成する工程と、
を含む方法。
【請求項28】
前記積層製造物品の高分子が実質的に非晶質である、請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記積層製造物品が、少なくとも2時間の時間に亘る前記非晶質高分子のガラス転移温度より高い温度への加熱に曝された時に、該積層製造物品の高分子が結晶化する、請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記方法が選択的レーザ焼結である、請求項27から29いずれか1項記載の方法。
【請求項31】
実質的に非晶質の高分子に戻された請求項1から14いずれか1項記載の半結晶性ブレンド高分子からなる積層製造物品。
【請求項32】
前記非晶質高分子のガラス転移温度と前記半結晶性高分子の溶融温度との間の温度への加熱の際に、非晶質に戻された半結晶性ブレンド高分子が再結晶化する、請求項31記載の積層製造物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、非晶質である熱可塑性高分子からなる積層製造物品に関する。本発明は、特に、積層製造物品を形成した後、実質的に非晶質熱可塑性高分子に戻る熱可塑性高分子の選択的レーザ焼結に関する。
【背景技術】
【0002】
粉末床の粉末を選択的に焼結することによって、3D部品を製造するために、選択的レーザ焼結または溶融(SLSまたはSLM)が使用されてきた(例えば、特許文献1参照)。この方法では、高温に維持された粉末床が、CO2レーザまたは他の電磁放射線源を使用して選択的に焼結される。最初の層が一旦焼結されたら、粉末のさらなる層が計り出され、所望の3D部品が製造されるまで、選択的焼結が繰り返される。その粉末は焼結または溶融されなければならないので、SLSは、個別の融点を有する結晶性または半結晶性高分子を使用する必要があり、光透過性、靱性、および破断前の伸びなどの所望の性質を有する非晶質高分子の使用が不可能になることによって、限定されてきた。
【0003】
最近、高温で溶媒に非晶質高分子を溶かすことによって、非晶質高分子(例えば、ポリカーボネートおよびポリフェニルスルホン)を部分的に結晶化させる手法が記載されてきた(例えば、特許文献2および3を参照のこと)。しかしながら、溶媒を使用すると、必然的に、結晶化高分子中に残留量の溶媒が保持され、これにより、生体適合性用途への使用が不可能になり、積層製造製品を形成するために使用される場合に環境緩和が必要となであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5597589号明細書
【特許文献2】国際公開第2020/006061号
【特許文献3】国際公開第2017/033146号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、半結晶性であり、先に記載したことなどの当該技術分野の問題の1つ以上を回避する非晶質高分子物品に積層製造できる高分子を提供することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
特定の非晶質熱可塑性高分子は、適切な比率で特定の結晶性または半結晶性熱可塑性高分子とブレンドされ、十分に熱処理された場合、SLSなどの積層製造過程に適した半結晶性熱可塑性高分子を実現することが見出された。意外なことに、これらの半結晶性高分子ブレンドは、積層製造された場合、残留溶媒を含まずに、非晶質高分子の望ましい性質を有する、実質的に非晶質の高分子物品に戻る。
【0007】
本発明の第1の態様は、非晶質熱可塑性高分子および熱可塑性半結晶性高分子を含む半結晶性ブレンド高分子であって、これらの高分子の各々は、互いに実質的に混和性であり、1より大きく20までの非晶質高分子/半結晶性高分子の質量比でブレンドされており、このブレンドされた半結晶性高分子は、少なくとも約5ジュール/gのDSC溶融ピークエンタルピーを示す、半結晶性ブレンド高分子である。このブレンドされた半結晶性粉末は、SLSなどの積層製造方法に適した粉末であることがある。DSC溶融ピークのエンタルピーは、ASTM D3418により記載されたやり方にしたがって決定される。
【0008】
本発明の第2の態様は、半結晶性ブレンド高分子を形成する方法であって、
a.非晶質熱可塑性高分子および熱可塑性半結晶性高分子を溶融ブレンドする工程であって、これらの高分子の各々は、ブレンド高分子を形成するために、1より大きく約20までの非晶質高分子/半結晶性高分子の質量比で、互いに実質的に混和性である、工程、および
b.半結晶性ブレンド高分子を実現するのにブレンド高分子を十分に結晶化させるのに十分な時間に亘り、非晶質高分子のガラス転移温度より高いが、半結晶性高分子の溶融温度より低い温度でブレンド高分子を熱処理する工程、
を含む方法である。SLSなどの積層製造方法に有用な粉末を製造するために、サイズ削減などの半結晶性高分子のさらなる処理が行われることがある。
【0009】
本発明の第3の態様は、積層製造物品を形成する方法であって、
a.第1と第2の態様の熱可塑性半結晶性ブレンド高分子の粉末の層を広げる工程と、
b.指向性電磁放射線により、制御された様式で層の粒子を加熱し、融合させる工程と、
c.半結晶性ブレンド粉末のその後の層を広げ、指向性電磁放射線により、制御された様式で前の層に各層を融合させて、積層製造物品を形成する工程と、
を含む方法である。積層製造物品は、意外なことに、20℃/分の加熱または冷却速度で示差走査熱量測定(DSC)で決定して、実質的に非晶質であることがある。DSCが本明細書に言及されときはいつでも、特に明記のない限り、加熱および冷却速度は、20℃/分であると理解される。
【0010】
本発明の第4の態様は、実質的に非晶質高分子に戻された(すなわち、エンタルピーピークの個別のDSC融解熱を本質的に示さない)第1の態様の熱可塑性半結晶性ブレンド高分子からなる積層製造物品である。電磁放射線で加熱され、融合され、決して限定するものではないが、溶融温度より高く加熱され、急冷された後の半結晶性粉末が、混和性であり、主に非晶質高分子からなるブレンド高分子のために、冷却の際にその後に再配列させずに、結晶構造を破壊することがある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の半結晶性ブレンド高分子を製造するために使用した半結晶性熱可塑性高分子のDSC曲線を示す図
【
図2】本発明の半結晶性ブレンド高分子を製造するために使用した非晶質熱可塑性高分子のDSC曲線を示す図
【
図3】本発明の半結晶性ブレンド高分子を製造するための熱処理前のブレンド高分子(15%の半結晶性高分子および85%の非晶質高分子)のDSC曲線を示す図
【
図4】本発明の半結晶性ブレンド高分子(すなわち、熱処理後の)のDSC曲線を示す図
【
図5】光透過性を有する本発明の積層製造物品の例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
残留溶媒を含まない本発明の半結晶性ブレンド高分子を実現する方法は、非晶質熱可塑性高分子および熱可塑性半結晶性高分子を溶融ブレンドして、ブレンド高分子を形成する工程を含む。これらの高分子は互いに実質的に混和性である。実質的に混和性とは、DSCで決定されるガラス転移温度がはっきりとは異ならないことを意味する。一般に、ブレンド共重合体は、配合した後、エンタルピー溶融ピークの明白な熱を示さない。たとえそうであっても、そのようなピークがあることがあるが、一般に、良好な粉末焼結部品を実現するのに十分ではない(例えば、ピークが、約1ジュール/g未満であるか、またはあまりに不明瞭である)。
【0013】
非晶質高分子および半結晶性高分子は、プレンドが主に非晶質高分子からなるが、ブレンド高分子の結晶化を十分に開始するのに十分な半結晶性高分子を含むような質量比で混合される。混合され、ブレンドされた非晶質高分子/半結晶性高分子の質量比は、1より大きく約20までである。その比が約2または3から約15または10であることが望ましい。
【0014】
半結晶性高分子は、そのような高分子を形成するまたは配合するときに一般に経験する速度(例えば、約25℃の周囲温度から溶融温度までの加熱および冷却速度)で加熱し、冷却したときに、少なくとも約5%の結晶化度から実質的に完全な結晶性を示すどの熱可塑性有機高分子であってもよい。すなわち、その高分子は、当該技術分野で公知のもの(例えば、溶媒誘起結晶化など)などの強制結晶化方法を行わずに結晶化度を示す。一般に、結晶化度の量は、少なくとも約5%、10%、15%または20%から約95%、75%、50%または30%である。結晶化度は、当該技術分野で公知のものなど、どの適切な方法で決定されてもよい。実例として、結晶化度のパーセントは、例えば、Rigaku SmartLab X線回折計を使用することなど、広角X線回折(WAXD)を含むX線回折により、またはTA Instruments DSC250示差走査熱量計ASTM D3418-15を使用することなど、示差走査熱量測定(DSC)により、決定することができる。例示の結晶性高分子は、鎖状構造に応じて、特定のポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミドなどを含むことがある。
【0015】
非晶質高分子は、先の段落に記載されたような速度(20℃/分は先に記載されたように例示である)で加熱し冷却し、測定された場合、結晶化度(検出可能であったとしても、微量である)を実質的に示さないどの熱可塑性有機高分子であってもよい。例示の非晶質高分子は、鎖状構造に応じて、特定のポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミドなどを含むことがある。
【0016】
非晶質高分子と半結晶性高分子の溶融ブレンドは、当該技術分野で公知のものなど、どの適切な方法および装置で行われてもよい。その例に、高強度ミキサおよびスクリュー押出機(例えば、一軸または二軸押出機)がある。剪断の量は、高分子ブレンドを形成するためにブレンドと配合を促進するのに有用ないずれであってもよい。押出機は、2種類の高分子の配合を促進するために、押出機の長さに沿って勾配を有するか、または1つの温度で保持されることがある。その温度は、高分子ブレンドを形成するのに十分である、例えば、特定の縮合高分子が劣化し始める温度をわずかに下回るどの温度であってもよい。典型的に、その温度は、半結晶性高分子の溶融温度の100℃以内、50℃以内、または25℃以内の温度であることがある。典型的な温度は、約150℃、175℃、または200℃から約300℃または250℃であることがある。剪断は、配合押出機内で高分子を配合する実践に典型的に使用されるいずれであってもよい。時間も、同様に、高分子が互いに均一に溶けている(上述したように混和性である)ブレンド高分子を実現するのに十分などの時間であってもよい。典型的な時間は、1、2分から、1時間かそこらまでであることがある。ブレンド高分子は、押し出され、任意の有用な形状に造形されて、任意の形状のペレットなどの半結晶性ブレンド高分子を形成してもよい。
【0017】
ブレンド高分子は、非晶質高分子のガラス転移温度より高いが、半結晶性高分子の溶融温度より低い結晶化温度で、半結晶性ブレンド高分子を実現するのにブレンド高分子を十分に結晶化させる時間に亘り、熱処理される。雰囲気は、ブレンド高分子中に存在する高分子の内の1つに劣化が生じない限り、どの有用な雰囲気であってもよく、ほとんどの場合、空気が許容され、水を含まない気体または酸素が利用されることがある(例えば、窒素、乾燥空気、希ガスまたはその組合せ並びに真空)。
【0018】
加熱処理は、どの適切な方法または装置もしくはその組合せにより行われてもよい。例えば、加熱は、熱エネルギーが、当該技術分野で公知のもの(例えば、抵抗、燃焼、誘導、放射加熱または伝熱加熱)など、任意の様式に由来するバッチ式または連続オーブン内で行われることがある。加熱は、ブレンド高分子を形成するために使用したブレンド押出機内で行われてもよいが、一般に、とりわけ、所望の結晶化を妨げることのある、撹乱剪断なく、より効率的かつ均一な伝熱から生じる効率性のために、これらの過程を分離することが望ましい。
【0019】
結晶化温度は、非晶質高分子のガラス転移温度(Tg)より高く、半結晶性高分子の溶融温度(Tm)より低い。非晶質高分子のTgは、半結晶性高分子のTmより低い。一般に、非晶質高分子のTgは、Tmより約20℃から150または250℃低い。結晶化温度は、単一温度であっても、TgとTmの間で熱処理中に変動してもよい。例えば、結晶化温度は、上昇または降下され、TgとTmの間の異なる温度で保持されるか、または熱処理時間に亘りこの温度範囲内でゆっくりと勾配をなすことがある。実例として、非晶質高分子のTgは、約60℃、80℃または100℃から約140℃または120℃であり、半結晶性高分子は、少なくとも約160℃から約300℃、250℃、225℃、200℃または180℃のTmを有する。Tmは、溶融ピークの中点を使用するASTM D3418によって記載されたようにDSCの溶融ピークから決定される。非晶質高分子のTgは、ガラス転移温度の中点を使用するASTM D3418によるDSCプロットから決定される。
【0020】
熱処理時間は、半結晶性ブレンド高分子を形成するのに十分な、どの時間であってもよく、非晶質高分子のTgおよび半結晶性高分子のTmにより規定される温度範囲内で使用される温度に応じて、いくぶん変動してもよい。一般に、十分な時間は、半結晶性ブレンド高分子が、溶融ピークのエンタルピーの熱が少なくとも約3または4ジュール/g、5ジュール/gから、約30ジュール/gなどの任意の実施可能な量であるようなレベルの結晶化度(または実質的に結晶性)を達成するときである。一般に、熱処理は、どのような溶媒も存在しない状況で、少なくとも2、4、6、または8時間から48、36または24時間に亘り行われる。
【0021】
熱処理後、半結晶性ブレンド高分子は、SLSなどの特定の積層製造方法に使用するために、所望のサイズに粉砕されることがある。実例として、半結晶性ブレンド高分子は、積層製造物品を製造するのに有用な粒径を有するように、粉砕され、分類されることがあり、典型的に、体積で、約1マイクロメートル(μm)、10μm、20μmまたは30μmから、150μm、125μm、100μmまたは90μmの、中央粒径(D50)を有する。同様に、粉末の一貫した加熱と融合を可能にするために、半結晶性ブレンド高分子が、最大で300μm、200μmまたは150μmのD90、および体積で、少なくとも0.1μm、0.5μmまたは1μmのD10を有することが望ましい。D90は、粒子の90体積%がそのサイズ以下である、粒径分布における粒径(相当球径)を意味し、同様に、D50は、粒子の少なくとも50体積%がそのサイズ未満である、粒径分布における粒径(相当球径)を意味し、D10は、粒子の少なくとも10体積%がそのサイズ未満である、粒径分布における粒径(相当球径)を意味する。粒径は、例えば、十分な数の粒子(約100から約200の粒子)のレーザ回折または顕微鏡写真の画像解析を含む、当該技術分野で公知のものなど、どの適切な方法によって決定されてもよい。代表的なレーザ回折計は、Microtrac S3500などのMicrotracにより製造されているものである。
【0022】
粉砕は、当該技術分野で公知のものなど、どの適切な方法で行われてもよい。実例として、一般に冷凍製粉と称されるものなど、半結晶性高分子が脆くなる温度での製粉が使用されることがある。一般に、冷凍製粉の温度は、約0℃未満、-25℃未満、-50℃未満から約-75℃、-100℃、-150℃、または-190℃のどの温度であってもよい。冷却は、ドライアイスまたは液体窒素の使用など、どの適切な方法または手段で行われてもよい。
【0023】
実例として、非晶質高分子と半結晶性高分子の適切な対は、非晶質ポリメチルメタクリレート(PMMA)と半結晶性ポリ乳酸(PLA)である。別の適切な対は、非晶質ポリアミドと半結晶性ポリアミドである(例えば、米国特許第5391640号明細書を参照のこと)。PLAは、L-ラクチド、D-ラクチド、またはその組合せを使用して形成されたものなど、PLAのどの形態であってもよい。L-ラクチドの量が、PLAを製造するために使用される単量体の少なくとも50質量%、60質量%、70質量%、80質量%または90質量%から98質量%または100質量%(100%は、微量のD-ラクチドを含むことがある)であることが望ましい。ここに記載されたように混和性であれば、結晶性または半結晶性高分子を容易に形成する当該技術分野で公知のものなど、他のポリエステルも、PMMAと共に使用してよい。
【0024】
非晶質または半結晶性高分子の各々は、所望の特徴を有するブレンド高分子および半結晶性ブレンド高分子を実現するために、どのMwを有してもよい。例えば、PLAは、約10kDaから500kDaの重量平均分子量(Mw)を有することがある。PLAのメルトフローレートは、ブレンドされた半結晶性高分子を形成するのに有用ないずれであってもよい。典型的に、MFRは、PMMAと組み合わされたときに、半結晶性ブレンド高分子の所望の特徴を実現するものである。一般に、MFRは、25、50、60または70から90、100、125または150グラム(210℃/10分、2.16kg)であることがある。適切なPLAの例が、NatureWorks LLCから商標名INGEO Biopolymer 625Fおよび3260HP、並びにTotal Corbion PLAからLUMINY L105で入手できる。
【0025】
PMMAは、当該技術分野で公知のものなど、どの適切なPMMAであってもよく、PMMAがPLA/PMMA半結晶性ブレンド高分子の半結晶性ブレンド高分子の所望の程度の結晶化度(エンタルピーの十分な溶融熱)が可能なレオロジー挙動を示す限り、10kDaから3MDaなどの幅広い範囲に亘り変動するMwを有してよい。衝撃強度や熱安定性などの1つ以上の性質を改善するために、当該技術分野で一般に使用されているもの(例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチルなど)などのコモノマーをわずかな比率(例えば、約5%未満、約2%未満、または約1%未満)で含む、PMMAを製造してもよい。PMMAのメルトフローレートは、半結晶性ブレンド高分子を形成し、最終的にそれから積層製造物品を形成するために、どの有用なMFRであってもよい。典型的に、PMMAのMFRは、PLAと組み合わされた場合、積層製造物品の所望のエンタルピー熱および性質をもたらすものである。一般に、PMMAのMFRは、1、2、5、または10から100、50、40または30グラム(230℃/10分、3.8kg)であることがある。有用であろうPMMAの例としては、PLASKOLITEから商標名CA41で入手できるもの、およびArkemaから商標名PLEXIGLAS VM、VSおよびVSUVTで入手できるものが挙げられる。
【0026】
半結晶性ブレンド高分子は、例えば、積層製造物品を製造するまたはある特定の性質を与えるために有用であろうさらなる随意的な成分を含んでもよい。その随意的な成分は、非晶質高分子/半結晶性高分子の質量比がここに記載されて範囲内である限り、どの有用な量で存在してもよいと理解される。例えば、随意的な成分は、半結晶性ブレンド高分子および随意的な成分の1質量%、2質量%、5質量%または10質量%から90質量%、75質量%、50質量%、または30質量%であることがある。
【0027】
随意的な成分の例としては、充填剤、流動補助剤(flow agent)、および着色剤、トナー、増量剤、着色料(例えば、顔料および染料)、滑剤、耐食剤、チキソトロープ剤、分散剤、酸化防止剤、接着促進剤、光安定剤、有機溶媒、界面活性剤、難燃剤、帯電防止剤、可塑剤、またはその組合せが挙げられる。
【0028】
意外なことに、半結晶性ブレンド高分子は、粉末層の連続的な融合による物品の印刷を可能にする十分な結晶化度を有するにもかかわらず、実質的に非晶質の積層製造物品を製造するのに特に有用であることが見出された。非晶質である積層製造物品を称する場合、これは、結晶化度を示す任意の随意的な成分とは対照的に、非晶質高分子に戻される半結晶性高分子を称することが理解される。具体的に、半結晶性ブレンド高分子は、SLSなど、指向性電磁放射線の施用により、その後の粉末層内と中の微粒子の融合を含む積層製造方法に有用である。積層製造物品は、所望であれば、物品の積層製造中に非晶質状態に戻された半結晶性ブレンド高分子を再結晶化させるために、ここに記載されたように熱処理されてもよい。
【実施例】
【0029】
実施例1:
215~205℃で、400rpmの回転速度で、直径27mmのバレルおよび40対1の長さ対直径比を有する二軸押出機内において、商品名CA-41でPlaskoliteから市販されている85質量%のPMMAおよび商標名Luminy L-105でTotal Corbion PLAから市販されている15質量%のPLAを混合して、直径1~3mm、長さ2~4mmの円柱ペレットを形成することによって、ブレンド高分子を形成する。
図1は、ブレンド高分子を製造するために使用したPLAのDSCプロットを示す。PLAは、
図1のDSCプロットから決定されたように約42%の結晶化度を有する。
図2は、結晶性溶融または再結晶化ピークを示さないブレンド高分子を製造するために使用したPMMA(Plaskolite CA-41)のDSC曲線を示す。
図3は、ブレンド高分子のDSC曲線を示す。これらの曲線から、ブレンド高分子は、PMMAのように実質的に非晶質であることが見てすぐに分かる。
【0030】
半結晶性ブレンド高分子を製造するために、対流式オーブン内の空気中で、30時間に亘り、155℃で、トレイ上のブレンド高分子を熱処理する。半結晶性ブレンド高分子のDSCプロットが
図4に示されており、加熱の際に、半結晶性ブレンド高分子は、約10.5ジュール/グラムのエンタルピーの熱およびピーク温度(ここでは、Tmと交換可能に称される)での溶融のために、個別のエンタルピーピークを有するのが見てすぐに分かる。その溶融ピークは、冷却と再加熱の際に消え、そのブレンド高分子が非晶質状態に戻ることを示す。
【0031】
冷却剤として液体窒素を使用して、半結晶性ブレンド高分子を冷凍製粉する。製粉後、粉末は、250マイクロメートルより大きい大粒子や凝集体を篩にかけた後に、数で、7.19マイクロメートルのD10、26.07マイクロメートルのD90、および11.01マイクロメートルのD50を有する。粉末と流動補助剤の0.5質量%で、この粉末に流動補助剤のAerosil A200(ヒュームドシリカ)を加え、20リットルのHenschelミキサ内で混合する。Henschelミキサ内での混合により、D10、D50およびD90がそれぞれ、7.23マイクロメートル、11.38マイクロメートルおよび28.04マイクロメートルと、粒径がさらに減少して、半結晶性ブレンド高分子の粉末を形成した。
【0032】
Farsoon 252P SLS積層製造プリンタを使用して、上述した粉末を使用して積層製造物品を製造する。床温度は122.5℃に設定する。この温度は、小さい粒径のために、Tmと溶融開始温度(DSC溶融ピークの始まり)より著しく低い。積層製造部品は、
図5に示されるような試験物品でプリントされ、その物品は、ある程度の気孔率を有し、それでも、いくぶん透明であり、良好な機械的性質(2800MPaの弾性率、35MPaの引張強度、および1.5%の破断点伸び)を示す。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
Farsoon 252P SLS積層製造プリンタを使用して、上述した粉末を使用して積層製造物品を製造する。床温度は122.5℃に設定する。この温度は、小さい粒径のために、Tmと溶融開始温度(DSC溶融ピークの始まり)より著しく低い。積層製造部品は、
図5に示されるような試験物品でプリントされ、その物品は、ある程度の気孔率を有し、それでも、いくぶん透明であり、良好な機械的性質(2800MPaの弾性率、35MPaの引張強度、および1.5%の破断点伸び)を示す。
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
実施形態1
非晶質熱可塑性高分子および熱可塑性半結晶性高分子を含む半結晶性ブレンド高分子であって、前記高分子の各々は、互いに実質的に混和性であり、1より大きく約20までの非晶質高分子/半結晶性高分子の質量比でブレンドされており、このブレンドされた半結晶性高分子は、少なくとも約3ジュール/gのDSC溶融ピークエンタルピーを示す、半結晶性ブレンド高分子。
実施形態2
前記質量比が10から2である、実施形態1に記載の半結晶性ブレンド高分子。
実施形態3
前記質量比が10から3である、実施形態2に記載の半結晶性ブレンド高分子。
実施形態4
前記非晶質熱可塑性高分子が、約60℃から約120℃のガラス転移温度を有し、前記半結晶性熱可塑性高分子が、少なくとも約140℃のDSCで決定された溶融温度を有する、実施形態1から3いずれか1つに記載の半結晶性ブレンド高分子。
実施形態5
前記非晶質熱可塑性高分子が、約100℃から約120℃のガラス転移温度を有し、前記半結晶性熱可塑性高分子が、少なくとも約140℃から約200℃のDSCで決定された溶融温度を有する、実施形態4に記載の半結晶性ブレンド高分子。
実施形態6
前記半結晶性熱可塑性高分子の溶融ピークエンタルピーが、前記半結晶性ブレンド高分子の溶融ピークエンタルピーより小さい、実施形態1から5いずれか1つに記載の半結晶性ブレンド高分子。
実施形態7
前記非晶質高分子がポリメチルメタクリレートであり、前記半結晶性高分子がポリエステルである、実施形態1から6いずれか1つに記載の半結晶性ブレンド高分子。
実施形態8
前記ポリエステルがポリ乳酸である、実施形態8に記載の半結晶性ブレンド高分子。
実施形態9
前記非晶質高分子が非晶質ポリアミドであり、前記半結晶性高分子が半結晶性ポリアミドである、実施形態1から6いずれか1つに記載の半結晶性ブレンド高分子。
実施形態10
前記ブレンド高分子が、少なくとも約140℃の溶融温度を有する、実施形態1から9いずれか1つに記載の半結晶性ブレンド高分子。
実施形態11
前記ブレンド高分子が、少なくとも約150℃から約225℃の溶融温度を有する、実施形態10に記載の半結晶性ブレンド高分子。
実施形態12
前記高分子が、少なくとも1マイクロメートルのD10および最大200マイクロメートルの相当球径のD90を有する粉末である、実施形態1から11いずれか1つに記載の半結晶性ブレンド高分子。
実施形態13
前記粉末が、約20マイクロメートルから100マイクロメートルの相当球径のD50を有する、実施形態12に記載の半結晶性ブレンド高分子。
実施形態14
前記ブレンド高分子が溶媒を実質的に含まない、実施形態1から13いずれか1つに記載の半結晶性ブレンド高分子。
実施形態15
半結晶性ブレンド高分子を形成する方法であって、
a.非晶質熱可塑性高分子および熱可塑性半結晶性高分子を溶融ブレンドする工程であって、前記高分子の各々は、ブレンド高分子を形成するために、1より大きく約20までの非晶質高分子/半結晶性高分子の質量比で、互いに実質的に混和性である、工程、および
b.前記半結晶性ブレンド高分子を実現するのに前記ブレンド高分子を十分に結晶化させる熱処理時間に亘り、前記非晶質高分子のガラス転移温度より高いが、前記半結晶性高分子の溶融温度より低い結晶化温度で該ブレンド高分子を熱処理する工程、
を含む方法。
実施形態16
前記熱処理する工程が、少なくとも約2時間の熱処理時間に亘り行われる、実施形態15に記載の方法。
実施形態17
前記熱処理時間が少なくとも約4時間から約24時間である、実施形態16に記載の方法。
実施形態18
前記ブレンド高分子が実質的に非晶質である、実施形態15から17いずれか1つに記載の方法。
実施形態19
前記半結晶性ブレンド高分子が、少なくとも約5ジュール/gのDSC溶融ピークエンタルピーおよび少なくとも約140℃の溶融温度を有する、実施形態15から18いずれか1つに記載の方法。
実施形態20
前記熱処理する工程の少なくとも一部が、前記半結晶性高分子の溶融温度より低いが、その20℃以内の温度で行われる、実施形態15から19いずれか1つに記載の方法。
実施形態21
前記熱処理する工程が、約60℃から約200℃の熱処理温度で行われる、実施形態15から20いずれか1つに記載の方法。
実施形態22
前記熱処理温度が約100℃から約180℃である、実施形態21に記載の方法。
実施形態23
前記熱処理温度が最高約175℃である、実施形態22に記載の方法。
実施形態24
前記溶融ブレンドする工程が、押出機内で行われる、実施形態15から23いずれか1つに記載の方法。
実施形態25
前記半結晶性ブレンド高分子を粉砕して、粉末を形成する工程をさらに含む、実施形態15から24いずれか1つに記載の方法。
実施形態26
前記粉砕する工程が、-50℃より低い温度で行われる、実施形態25に記載の方法。
実施形態27
積層製造物品を形成する方法であって、
a.実施形態1から14いずれか1つに記載の半結晶性ブレンド高分子の粉末の層を広げる工程と、
b.指向性電磁放射線により、制御された様式で前記層の粒子を加熱し、融合させる工程と、
c.前記半結晶性ブレンド高分子のその後の層を広げ、指向性電磁放射線により、制御された様式で前の層に各層を融合させて、前記積層製造物品を形成する工程と、
を含む方法。
実施形態28
前記積層製造物品の高分子が実質的に非晶質である、実施形態27に記載の方法。
実施形態29
前記積層製造物品が、少なくとも2時間の時間に亘る前記非晶質高分子のガラス転移温度より高い温度への加熱に曝された時に、該積層製造物品の高分子が結晶化する、実施形態28に記載の方法。
実施形態30
前記方法が選択的レーザ焼結である、実施形態27から29いずれか1つに記載の方法。
実施形態31
実質的に非晶質の高分子に戻された実施形態1から14いずれか1つに記載の半結晶性ブレンド高分子からなる積層製造物品。
実施形態32
前記非晶質高分子のガラス転移温度と前記半結晶性高分子の溶融温度との間の温度への加熱の際に、非晶質に戻された半結晶性ブレンド高分子が再結晶化する、実施形態31に記載の積層製造物品。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非晶質熱可塑性高分子および熱可塑性半結晶性高分子を含む半結晶性ブレンド高分子であって、前記高分子の各々は、互いに実質的に混和性であり、1より大き
く20までの非晶質高分子/半結晶性高分子の質量比でブレンドされており、このブレンドされた半結晶性高分子は、少なくと
も3ジュール/gのDSC溶融ピークエンタルピーを示
し、前記非晶質熱可塑性高分子は、100℃から120℃のガラス転移温度を有し、前記半結晶性熱可塑性高分子は、少なくとも140℃から200℃のDSCで決定された溶融温度を有する、半結晶性ブレンド高分子。
【請求項2】
前記質量比が10から2である、請求項1記載の半結晶性ブレンド高分子。
【請求項3】
前記非晶質高分子がポリメチルメタクリレートであり、前記半結晶性高分子がポリエステルである、
請求項1記載の半結晶性ブレンド高分子。
【請求項4】
前記非晶質高分子が非晶質ポリアミドであり、前記半結晶性高分子が半結晶性ポリアミドである、
請求項1記載の半結晶性ブレンド高分子。
【請求項5】
前記ブレンド高分子が、少なくと
も140℃の溶融温度を有する、
請求項1記載の半結晶性ブレンド高分子。
【請求項6】
前記高分子が、少なくとも1マイクロメートルのD10
、20マイクロメートルから100マイクロメートルのD50、および最大200マイクロメートルの相当球径のD90を有する粉末である、
請求項1から5いずれか1項記載の半結晶性ブレンド高分子。
【請求項7】
前記ブレンド高分子が溶媒を実質的に含まない、
請求項1から5いずれか1項記載の半結晶性ブレンド高分子。
【請求項8】
半結晶性ブレンド高分子を形成する方法であって、
a.非晶質熱可塑性高分子および熱可塑性半結晶性高分子を溶融ブレンドする工程であって、前記高分子の各々は、ブレンド高分子を形成するために、1より大き
く20までの非晶質高分子/半結晶性高分子の質量比で、互いに実質的に混和性である、工程、および
b.前記半結晶性ブレンド高分子を実現するのに前記ブレンド高分子を十分に結晶化させる熱処理時間に亘り、前記非晶質高分子のガラス転移温度より高いが、前記半結晶性高分子の溶融温度より低い結晶化温度で該ブレンド高分子を熱処理する工程
であって、該熱処理する工程の少なくとも一部が、前記半結晶性高分子の溶融温度より低いが、その20℃以内の温度で行われる、工程、
を含む方法。
【請求項9】
前記熱処理する工程が、少なくと
も2時間の熱処理時間に亘り行われる、
請求項8記載の方法。
【請求項10】
工程(a)の前記ブレンド高分子が実質的に非晶質であ
り、前記半結晶性ブレンド高分子が、少なくとも5ジュール/gのDSC溶融ピークエンタルピーおよび少なくとも140℃の溶融温度を有する、
請求項8記載の方法。
【請求項11】
前記熱処理する工程が
、60℃か
ら200℃の熱処理温度で行われる、
請求項8記載の方法。
【請求項12】
前記半結晶性ブレンド高分子を粉砕して、粉末を形成する工程をさらに含む、
請求項8から11いずれか1項記載の方法。
【請求項13】
積層製造物品を形成する方法であって、
a.
非晶質熱可塑性高分子および熱可塑性半結晶性高分子を含む半結晶性ブレンド高分子であって、前記高分子の各々は、互いに実質的に混和性であり、1より大きく20までの非晶質高分子/半結晶性高分子の質量比でブレンドされており、このブレンドされた半結晶性高分子は、少なくとも3ジュール/gのDSC溶融ピークエンタルピーを示す半結晶性ブレンド高分子
からなる粉末の層を広げる工程と、
b.指向性電磁放射線により、制御された様式で前記層の粒子を加熱し、融合させる工程と、
c.前記半結晶性ブレンド高分子のその後の層を広げ、指向性電磁放射線により、制御された様式で前の層に各層を融合させて、前記積層製造物品を形成する工程と、
を含む方法。
【請求項14】
前記積層製造物品の高分子が実質的に非晶質である、
請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記積層製造物品が、少なくとも2時間の時間に亘る前記非晶質高分子のガラス転移温度より高い温度への加熱に曝された時に、該積層製造物品の高分子が結晶化する、
請求項14記載の方法。
【国際調査報告】