(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】乾燥細胞粉末を含む細胞ベースの肉製品、及びそのような製品の製造方法
(51)【国際特許分類】
C12N 5/071 20100101AFI20240621BHJP
A23L 13/00 20160101ALI20240621BHJP
C12N 5/077 20100101ALN20240621BHJP
【FI】
C12N5/071
A23L13/00 Z
A23L13/00 A
C12N5/077
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572649
(86)(22)【出願日】2022-06-08
(85)【翻訳文提出日】2024-01-22
(86)【国際出願番号】 US2022072825
(87)【国際公開番号】W WO2022261647
(87)【国際公開日】2022-12-15
(32)【優先日】2021-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521286293
【氏名又は名称】アップサイド フーズ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】UPSIDE FOODS, INC.
【住所又は居所原語表記】804 Heinz Avenue, Berkeley, California 94710, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リース, モルガン ローレンス
(72)【発明者】
【氏名】ウィック, アントニー
【テーマコード(参考)】
4B042
4B065
【Fターム(参考)】
4B042AC05
4B042AD36
4B042AE03
4B042AK14
4B042AK20
4B042AP27
4B042AP30
4B042AT10
4B065AA90X
4B065AC20
4B065BD10
4B065CA41
(57)【要約】
本開示は一般に、培養細胞と乾燥細胞粉末との組み合わせを含む食用細胞ベースの食品、及びそのような細胞ベースの食品を調製するための方法を記載する。1つ以上の実施形態では、食用細胞ベースの食品が培養動物細胞と乾燥培養動物細胞粉末との混合物を含む。例えば、食用細胞ベースの食品は、培養動物細胞と乾燥培養動物細胞粉末との均質な混合物を生成することによって製造される。1つ以上の実施形態では、乾燥培養動物細胞粉末が、食用細胞ベースの食品の硬度及び/又は粘着性を適合させることによって、得られる食用細胞ベースの食品の食感を改善する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食用細胞ベースの食品であって、
培養動物細胞と、
乾燥培養動物細胞粉末と、を含み
前記乾燥培養動物細胞粉末は、前記食用細胞ベースの食品の食感を改変する、食用細胞ベースの食品。
【請求項2】
前記乾燥培養動物細胞粉末が、前記食用細胞ベースの食品の硬度を増加させることによって、前記食用細胞ベースの食品の前記食感を改変する、請求項1に記載の食用細胞ベースの食品。
【請求項3】
前記乾燥培養動物細胞粉末が、前記食用細胞ベースの食品の粘着性を増加させることによって、前記食用細胞ベースの食品の前記食感を改変する、請求項1に記載の食用細胞ベースの食品。
【請求項4】
前記乾燥培養動物細胞粉末が、噴霧乾燥された懸濁細胞を含む、請求項1に記載の食用細胞ベースの食品。
【請求項5】
前記培養動物細胞が粘着細胞を含む、請求項1に記載の食用細胞ベースの食品。
【請求項6】
前記培養動物細胞が懸濁細胞を含む、請求項1に記載の食用細胞ベースの食品。
【請求項7】
前記培養動物細胞が粘着細胞と懸濁細胞との組み合わせを含む、請求項1に記載の食用細胞ベースの食品。
【請求項8】
食用細胞ベースの食品が、重量で1%~30%の乾燥培養動物細胞粉末を含む、請求項1に記載の食用細胞ベースの食品。
【請求項9】
食用細胞ベースの食品が、重量で70%~99%の培養動物細胞を含む、請求項8に記載の食用細胞ベースの食品。
【請求項10】
食用細胞ベースの食品が、形成及び調理中に前記食用細胞ベースの食品に構造を提供するために、少なくとも1つの安定化結合剤をさらに含む、請求項9に記載の食用細胞ベースの食品。
【請求項11】
前記食用細胞ベースの食品が、調理済みのものであり、追加の成分を含まない華氏165度に調理済みの対応する従来の屠殺肉の硬度と比較して、30パーセント未満のパーセント差を有する硬度を備える、請求項1に記載の食用細胞ベースの食品。
【請求項12】
前記食用細胞ベースの食品が、調理済みの製品であり、追加の成分を含まない華氏165度に調理済みの対応する従来の屠殺肉の粘着性と比較して、30パーセント未満のパーセント差を有する粘着性を備える、請求項1に記載の食用細胞ベースの食品。
【請求項13】
食用細胞ベースの食品を製造する方法であって、
培養動物細胞と乾燥培養動物細胞粉末とを組み合わせることと、
培養動物細胞と前記乾燥培養動物細胞粉末との組み合わせから均質な混合物を生成することと、
前記均質な混合物を食品の形状に形成することと、
を含む、方法。
【請求項14】
培養懸濁細胞を噴霧乾燥することによって、前記乾燥培養動物細胞粉末を調製することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記培養動物細胞と前記乾燥培養動物細胞粉末とを組み合わせることが、培養動物粘着細胞と前記乾燥培養動物細胞粉末とを組み合わせることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
培養動物粘着細胞の細胞シートを採取することと、
前記細胞シートを細断することと、
をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
培養動物粘着細胞の凝集体の含水量を減少させることをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
食用細胞ベースの肉製品を製造する方法であって、
培養動物細胞を提供することと、
1つ以上の食感特性を適合させるために、乾燥培養動物細胞粉末を前記培養動物細胞と組み合わせることと、
乾燥培養動物細胞粉末と前記培養動物細胞との組み合わせを、肉製品の形状に形成することと、
を含む、方法。
【請求項19】
1つ以上の食感特性を適合させるために、前記乾燥培養動物細胞粉末を前記培養動物細胞と組み合わせることが、前記食用細胞ベースの肉製品の硬度を増加させることを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
1つ以上の食感特性を適合させるために、前記乾燥培養動物細胞粉末を前記培養動物細胞と組み合わせることが、前記食用細胞ベースの肉製品の粘着性を増加させることを含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願に関する相互参照]
本出願は、2021年6月11日に出願された米国仮特許出願第63/202,466号に対する優先権及び利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
世界の人口が増加し続けるにつれて、消費用の肉製品の必要性は、かつてないほど大きくなっている。残念ながら、従来の屠殺肉製品の生産者は需要を満たすために苦労している。消費用の細胞ベースの又は培養肉製品は、動物からの従来の屠殺肉に対する魅力的な代替物(又は補足物)として出現してきた。例えば、細胞ベースの、培養された、又は培養された肉は、人間の特定の食事の必要性に対処することができる技術を代表する。細胞ベースの肉製品は、非ヒト動物に由来する培養細胞から調製することができる。細胞ベースの肉用の細胞は、食品培養施設で作製されるので、細胞塊はしばしば、従来の肉の食感と形態とを模倣するように形成及び成形される。
【0003】
食事の必要性に対処することに加えて、細胞ベースの肉製品は、従来の屠殺肉製品に関連するいくつかの欠点を軽減するのに役立つ。例えば、従来の肉の生産は、畜産及び屠殺に関連付けられる議論の余地のある慣行を伴う。食肉生産に関連付けられる他の欠点としては、カロリー投入量の食用栄養物への低い変換、製品の微生物汚染、獣医学的及び人畜共通疾患の発生及び伝播、相対的天然資源要件、並びに温室効果ガス排出物及び窒素廃棄物流などの結果として生じる産業汚染物質が挙げられる。
【0004】
細胞ベースの肉製品を作り出すことにおける進歩にもかかわらず、細胞ベースの肉製品を培養及び処理するための既存の方法は、消費者の期待及び好みを満たすために、屠殺肉の食感並びに香味を模倣することなど、いくつかの課題に直面する。特に、既存の方法は、最適ではない食感及び香味を有する細胞ベースの肉製品を製造することができる。実際、バイオリアクターから採取された後、培養された細胞ベースの肉製品は、屠殺肉の食感及び粘度とは異なる、湿潤、軟質、かつ展性のある粘度及び食感を典型的に含む。同様の線に沿って、いくつかの培養された細胞ベースの肉製品は、主に食感及び粘度の差異のために、屠殺肉の味を模倣することができない。これらに加えて、細胞ベースの肉製品の調製に関して、さらなる問題及び課題が存在する。
【0005】
本明細書でクレームされる主題は、任意の欠点を解決する実施形態、又は上述のような環境においてのみ動作する実施形態に限定されない。むしろ、この背景は、本明細書で説明されるいくつかの実施形態が実施され得る1つの例示的な技術分野を示すためにのみ提供される。
【発明の概要】
【0006】
本開示は一般に、培養細胞と乾燥細胞粉末との組み合わせを含む食用細胞ベースの肉製品、及びそのような細胞ベースの肉製品を調製するための方法を記載する。1つ以上の実施形態では、食用細胞ベースの肉製品が培養動物細胞と乾燥培養動物細胞粉末との混合物を含む。例えば、食用細胞ベースの肉製品は、培養動物細胞と乾燥培養動物細胞粉末との均質な混合物を生成することによって製造される。1つ以上の実施形態では、乾燥培養動物細胞粉末が食用細胞ベースの肉製品の硬度及び/又は粘着性を、屠殺肉の硬度及び/又は粘着性とより一致するように調整することによって、得られる食用細胞ベースの肉製品の食感を改善する。
【0007】
本開示の1つ以上の実施形態のさらなる特徴及び利点は、以下の説明において概説され、一部はその説明から明らかになるか、又はそのような例示的な実施形態の実施によって学習されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
この詳細な説明は、以下に簡単に説明するように、添付の図面を使用することによって、追加の特異性及び詳細を有する1つ以上の実施形態を提供する。
【0009】
【
図1】1つ以上の実施形態による、培養動物細胞及び乾燥培養動物細胞粉末を利用する、食用細胞ベースの食品を形成するためのフローチャートを示す。
【0010】
【
図2】1つ以上の実施形態による、粘着細胞と乾燥培養動物細胞粉末との均質な混合物を調製するための例示的な処理を示す。
【0011】
【
図3】1つ以上の実施形態による、粘着細胞を調製するための例示的処理を示す。
【0012】
【
図4】1つ以上の実施形態による、懸濁細胞を調製するための例示的処理を示す。
【0013】
【
図5】1つ以上の実施形態による、様々な割合の乾燥培養動物細胞粉末を含む、生の、及び調理済みの食用細胞ベースの食品の60%歪圧縮での硬度を示すチャートである。
【0014】
【
図6】1つ以上の実施形態による、様々な割合の乾燥培養動物細胞粉末を含む、生の、及び調理済みの食用細胞ベースの食品の60%歪圧縮での粘着性を示すチャートである。
【0015】
【
図7】1つ以上の実施形態による、様々な割合の乾燥培養動物細胞粉末を含む、生の食用細胞ベースの食品の90%歪圧縮での硬度を示す。
【0016】
【
図8】1つ以上の実施形態による、様々な割合の乾燥培養動物細胞粉末を含む、生の食用細胞ベースの食品の90%歪圧縮での粘着性を示す。
【0017】
【
図9】1つ以上の実施形態による、乾燥培養動物細胞粉末を利用して食用細胞ベースの食品を調製するための一連の工程のフローチャートを示す。
【0018】
【
図10】1つ以上の実施形態による、乾燥培養動物細胞粉末を利用して、食用細胞ベースの食品の1つ以上の食感特性を調整するための一連の工程のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示は、乾燥培養細胞粉末を利用して、食用細胞ベースの食品の1つ以上の特性を調整するための方法の1つ以上の実施形態を記載する。例示すると、食用細胞ベースの食品は一般に、培養動物組織及び乾燥培養動物細胞粉末を含有する。乾燥培養動物細胞粉末は培養動物組織の食感を改変することができ、これにより、食用細胞ベースの食品の味を増強することができる。例えば、乾燥培養動物細胞粉末は、得られる食用細胞ベースの食品の食感を調整するこために、培養動物細胞系組織の硬度、粘着性、及び/又は他の特性を改変することができる。
【0020】
1つ以上の実施形態では、培養動物組織は、非ヒト動物に由来する粘着細胞及び/又は懸濁細胞から調製される。さらに、1つ以上の実施形態では、食用細胞ベースの食品が、粘着細胞及び/又は懸濁細胞を乾燥培養動物細胞粉末と組み合わせることによって調製される。例として、食用細胞ベースの食品は限定されないが、ウシ、ブタ、アヒル、ニワトリ、及び魚を含む1つ以上の動物から採取された細胞を使用して調製された、粘着細胞、懸濁細胞、並びに/又は乾燥培養動物細胞粉末から生成された肉製品であってもよい。
【0021】
上述のように、食用細胞ベースの食品は、培養動物細胞及び乾燥培養動物細胞粉末を含むことができる。より具体的には、1つ以上の実施形態では、食用細胞ベースの食品は培養粘着細胞及び乾燥培養動物細胞粉末を含有する。加えて、又は代替として、食用細胞ベースの食品は、培養懸濁細胞及び乾燥培養動物細胞粉末を含む。さらに、いくつかの実施形態では、食用細胞ベースの食品は、培養粘着細胞、培養懸濁細胞、及び乾燥培養動物細胞粉末の組み合わせを含む。
【0022】
上述のように、食用細胞ベースの食品は、乾燥培養動物細胞粉末を含むことができる。いくつかの実施形態では、乾燥培養動物細胞粉末は、培養懸濁細胞を噴霧乾燥して粉末を形成することによって調製される。あるいは、1つ以上の実施形態では、食用細胞ベースの食品を形成するために利用される乾燥培養動物細胞粉末は、培養粘着組織を脱水し、乾燥培養粘着組織を粉末に粉砕することによって形成される。乾燥培養動物細胞粉末は、さらなる香味及び食感を提供することによって、食用細胞ベースの食品を増強する。乾燥培養動物細胞粉末を用いて生成された可食性細胞ベースの食品は、従来の屠殺肉製品の天然の香味及び食感をよりよく模倣することができる。
【0023】
1つ以上の実装形態は、乾燥培養動物細胞粉末を利用して、食用細胞ベースの食品の1つ以上の特性を調整することを含む。より具体的には、1つ以上の実装形態は、食用細胞ベースの食品中の乾燥培養動物細胞粉末の量を制御することによって、食用細胞ベースの食品の食感に影響を及ぼす1つ以上の特性を調整することを含む。例えば、1つ以上の実装形態は、食用細胞ベースの食品の硬度、粘着性、弾性、凝集性、弾力性、ガム性、若しくは咀嚼性のうちの1つ以上を改変又は調整するために、食用細胞ベースの食品中の乾燥培養動物細胞粉末の量を制御することを含む。
【0024】
1つ以上の実装形態は、食用細胞ベースの食品中で使用される培養動物細胞の種類に基づいて、食用細胞ベースの食品中の乾燥培養動物細胞粉末の量を制御することを含む。特に、所望の食感を達成する乾燥培養動物細胞粉末の量は、食用細胞ベースの食品を作製するために使用される細胞の種類に基づいて変動し得る。例えば、粘着性細胞ベースの食品は、所望の食感を達成するために、懸濁細胞ベースの食品よりも少ない乾燥培養動物細胞粉末を必要としてもよい。同様の線に沿って、粘着細胞及び懸濁細胞の両方を含む食用細胞ベースの食品は、懸濁細胞ベースの食品よりも多くの乾燥培養動物細胞粉末、並びに粘着細胞ベースの食品よりも少ない乾燥培養動物細胞粉末を必要としてもよい。
【0025】
さらに、1つ以上の実装形態は、食用細胞ベースの食品の種類に基づいて、食用細胞ベースの食品中の乾燥培養動物細胞粉末の量を制御することを含む。特に、食用細胞ベースのステーキ製品の目標硬度は、食用細胞ベースの挽肉製品の目標硬度よりも高くてもよい。したがって、1つ以上の実装形態は、食用細胞ベースの牛肉製品よりも多くの量の乾燥培養動物細胞粉末を食用細胞ベースのステーキ製品に含めることを含む。同様に、食用細胞ベースの鶏肉製品の目標硬度は、食用細胞ベースのエビ製品又はロブスター製品の目標硬度よりも高くてもよい。
【0026】
開示される食用細胞ベースの食品は、1つ以上の利点及び利益を提供する。より具体的には、開示される食用細胞ベースの食品が、既存の方法又はシステムと比較して改善された食感及び香味を含む。乾燥培養動物細胞粉末を利用して食用細胞ベースの食品を調製することによって、食用細胞ベースの食品は、改善された硬度及び粘着性を含むことができ、これは、従来の肉製品(例えば、屠殺肉)とより一致する食感をもたらす。さらに、開示された方法は、細胞の種類又は食品の種類に基づいて、食用細胞ベースの食品の食感を制御する際の柔軟さを可能にする。
【0027】
さらに、本明細書に記載される食用細胞ベースの食品は、従来の屠殺肉製品と比較して、多くの独特の特徴及び利点を有する。本明細書に記載の培養方法は、健康及び感覚的利益などの所望の形質を達成するように調整することができる。例えば、従来の製品と比較して、本開示の食用細胞ベースの食品は、著しく少ない量のステロイドホルモンを含む。例えば、記載された培養方法を使用すると、培養物中に添加された外因性ホルモンが必要なく、結果として、結果として生じる細胞ベースの肉製品中のホルモンレベルが低くなるか、又は存在しないことになる。したがって、いくつかの実施形態では、食用細胞ベースの食品がステロイドホルモンを実質的に含まない(すなわち、ステロイドホルモンをほとんど又は全く含まない)。これは、屠殺前に動物に給餌又は投与される様々な外因性ホルモンを含むことが多い、従来の屠殺肉製品を超える改善を提供する。
【0028】
したがって、いくつかの実施形態では、本開示の食用細胞ベースの食品は、約1ug、0.5ug、0.1ug、0.05ug、0.01ug、0.005ug、又はさらに約0.001ugステロイドホルモン/kg乾燥質量以下の食用細胞ベースの食品を含む。さらに、1つ以上の実施形態では、食用細胞ベースの食品が約1ug、0.5ug、0.1ug、0.05ug、0.01ug、0.005ug、又はさらに約0.001ugプロゲステロン/kg乾燥質量の食用細胞ベースの食品を含む。さらに、いくつかの実施形態では、食用細胞ベースの食品が約1ug、0.5ug、0.1ug、0.05ug、0.01ug、0.005ug、又はさらには約0.001ugテストステロン/kg乾燥質量の食用細胞ベースの食品を含む。いくつかの実施形態では、食用細胞ベースの食品が約0.05ug、0.01ug、0.005ug、又はさらには約0.001ugエストラジオール/kg乾燥質量以下の食用細胞ベースの食品を含む。例示的な実施形態では、食用細胞ベースの食品が約35ngエストラジオール/kg乾燥質量以下の食用細胞ベースの食品を含む。
【0029】
さらに、開示される方法は、無菌の実験室ベースの細胞培養方法を利用することによって、生産された食用細胞ベースの食品の無菌性を改善する。したがって、この食用細胞ベースの食品は、微生物汚染物質を実質的に含まない。「実質的に含まない」は、微生物若しくは寄生虫の濃度が臨床的に有意なレベルの汚染を下回る、すなわち、摂取が疾病又は有害な健康状態をもたらすレベルを下回ることを意味する。そのような低レベルの汚染は、貯蔵寿命の延長を可能にする。これは、従来の肉生産のために飼育された動物とは対照的である。本明細書で使用される場合、微生物汚染には細菌、真菌、ウイルス、プリオン、原生動物、及びそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。有害微生物には、大腸菌群(糞便細菌)、大腸菌、酵母、カビ、カンピロバクター、サルモネラ、リステリア、及び黄色ブドウ球菌が含まれ得る。加えて、培養物中で増殖させた細胞は動物全体の細胞に感染し、不十分に調理済みの肉の消費を通して人間に移される条虫などの寄生虫を実質的に含まない場合がある。
【0030】
さらに、従来の製品と比較して、本発明の食用細胞ベースの食品は、抗生物質の含有を低減する。本開示の混和性細胞ベースの食品は、著しく少ない量の抗生物質を含むか、又は実質的に抗生物質を含まないか、又は完全に抗生物質を含まない。例えば、本明細書に記載の細胞培養方法を使用して、培養物中の抗生物質の使用を制御若しくは排除することができ、したがって、結果として得られる食用細胞ベースの食品中の抗生物質レベルがより低くなるか、又は存在しないことになる。したがって、いくつかの実施形態では、食用細胞ベースの食品が抗生物質を実質的に含まない(すなわち、抗生物質をほとんど又は全く含まない)。これは、通常の肉生産のために飼育された動物とは対照的であり、これはしばしば摂食されるか、又は他の方法で外因性抗生物質を投与される。
【0031】
したがって、いくつかの実施形態では、開示の食用の細胞ベース食品は、わずか約100ugの抗生物質/kg乾燥質量の食用細胞ベース食品、90ug/kg乾燥質量の食用細胞ベース食品、70ug/kg乾燥質量の食用細胞ベース食品、60ug/kg乾燥質量の食用細胞ベース食品、50ug/kg乾燥質量の食用細胞ベース食品、40ug/kg乾燥質量の食用細胞ベース食品、30ug/kg乾燥質量の食用細胞ベース食品、20ug/kg乾燥質量の食用細胞ベース食品、10ug/kg乾燥質量の食用細胞ベース食品、5ug/kg乾燥質量の食用細胞ベース食品、1ug/kg乾燥質量の食用抗生物質を含む細胞性食 、0.5ugの抗生物質/kgの乾燥質量の食用細胞ベース食品、0.1ugの抗生物質/kgの乾燥質量の食用細胞ベース食品、0.05ugの抗生物質/kgの乾燥質量の食用細胞ベース食品、又はさらに約0.01ug/kgの抗生物質/kgの食用細胞ベース食品の乾燥質量を含む。
【0032】
さらに、従来の製品と比較して、本開示の食用細胞ベースの食品は、より低い平均総脂質(脂肪)含量を含む。例えば、細胞ベースの肉は一般に、約0.5%~約10.0%の平均総脂肪含有量を有し、一方、従来の肉における脂肪酸含有量は幅広く変化し、肉の切り身に応じて、約3%~約18%の範囲であり得る。
【0033】
したがって、いくつかの実施形態では、本開示の食用細胞ベースの食品が、食用細胞ベースの食品の総湿潤質量の%として測定した場合、約0.5%~10%の平均総脂肪含有量を含む。より低い脂肪含有量は、従来の製品と比較した場合、より低いカロリー含有量と、同様に他の関連する健康上の利益とを提供する。本明細書で提供される方法は、特定の脂肪酸プロファイルを変更して、所望の香味特性又は脂肪酸プロファイルを達成することができる。本開示の細胞ベースの生成物中の脂肪酸のレベルが低いと、例えば、生成物中の脂肪酸化のレベルが低くなることによって、貯蔵寿命の延長も促進される。
【0034】
さらに、開示される食用細胞ベースの食品は、従来の屠殺肉製品よりも貯蔵寿命を改善する。肉製品の大部分は毎年腐敗する。およそ35億kgの家禽及び肉が、実質的な経済的並びに環境的影響を有する消費者、小売業者及び食品サービスレベルで廃棄されると推定される。この損失の大部分は、微生物の腐敗によるものである。
【0035】
従来の肉は腐敗しやすく、比較的短い貯蔵寿命安定性(本明細書では単に「貯蔵寿命」と交換可能に称される)を有する。この貯蔵寿命は、食物がヒトの消費に適合したままである時間の量である。従来の肉の組成、及び肉を屠殺し採取するために使用される条件は、糞便細菌(例えば、大腸菌群細菌)を含む様々な微生物にとって好ましい増殖条件を作り出す。従来の肉製品はまた、化学的、酸化的及び酵素的活性に起因する腐敗に非常に敏感である。一般に、微生物の増殖、酸化及び酵素による自己分解は、肉の腐敗に関与する3つの機構であると考えられている。肉の脂肪、タンパク質、及び炭水化物の分解は、悪臭並びに異臭の発生をもたらし、これらの悪臭及び異臭は、肉をヒトの消費にとって好ましくないものにする。種、及び採取の方法に応じて、従来の肉製品は、比較的短期間の貯蔵時間の後に消費するのに安全ではない。例えば、鶏肉は、購入から数日以内に調理されるべきである。調理済みの家禽は4日間だけ冷蔵庫に安全に保管することができ、冷凍庫には4ヶ月まで保管することができる。したがって、その貯蔵寿命を延ばし、その栄養価、食感、及び香味を維持するために、肉の腐敗を制御することが必要である。
【0036】
開示される食用細胞ベースの食品を含む、培養細胞ベースの肉は、その製造及び組成の方法によって、従来の肉製品と比較して延長された貯蔵寿命を有する肉製品を生成する。例示すると、開示された食用細胞ベースの食品は、貯蔵寿命安定性を得るために保存剤の添加を必要としない。加えて、細胞ベースの肉を製造するために使用される製造方法は、清浄かつ無菌の条件を必要とする。これらの条件は、採取された製品及びその後の食品加工の両方における微生物細胞数が低いことを確実にする。これらの複数の因子は、細胞ベースの肉の貯蔵寿命安定性の延長に寄与する。
【0037】
開示された食用細胞ベースの食品の腐敗による貯蔵寿命は、従来の肉と比較して向上する。これは、室温(約25℃)及びより低温(例えば、約4℃)の両方での場合である。貯蔵寿命の増加は、汚染の減少、細胞ベースの肉の組成、細胞ベースの肉の劣化の減少、並びに細胞ベースの肉の色、腐敗、臭い、及び香味のより遅い変化速度に関連付けられる。
【0038】
本開示の食用細胞ベースの食品は、従来の屠殺肉製品よりも高いビタミンE(αトコフェロール)含有量を含むことができる。いくつかの実施形態では、本開示の細胞ベースの製品が少なくとも約0.5mg、少なくとも約0.6mg、少なくとも約0.7mg、少なくとも約0.8mg、少なくとも約0.9mg、又は少なくとも約1.0mg/ビタミンE/100g湿潤質量の細胞ベースの製品を含む。
【0039】
さらに、例として、食用細胞ベースの食品は、静脈及び動脈などの血管組織を、含むよう別途操作されない限り含まず、一方、従来の肉はそのような血管系を含有し、血管系中に見られる血液を含有する。したがって、いくつかの実施形態では、食用細胞ベースの食品が血管系を含まない。
【0040】
前述の議論によって示されるように、本開示は、開示される方法の特徴及び利点を説明するために様々な用語を利用する。ここで、そのような用語の意味に関してさらなる詳細が提供される。例えば、本明細書で使用される場合、「細胞」という用語は、肉の個々の細胞を指す。特に、細胞は、筋由来細胞、筋前駆細胞、サテライト細胞、幹細胞、筋芽細胞、間葉芽細胞、筋線維芽細胞、間葉系幹細胞、肝細胞、線維芽細胞、周皮細胞、脂肪細胞、上皮細胞、軟骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、多能性細胞、体性幹細胞、内皮細胞、又は他の同様の細胞型のうちの1つ以上などの異なる細胞型を含んでもよい。さらに、細胞は、筋原性前駆細胞、脂肪原性前駆細胞、間葉系前駆細胞、又は他の種類の前駆細胞を含む、異なる種類の前駆細胞を含んでもよい。
【0041】
本明細書で使用するとき、用語「懸濁細胞」(又は「懸濁液」)は細胞が増殖し、増加し、及び/又は栄養を維持する、少なくとも部分的に液体の増殖培地中で増殖する細胞を指す。特に、懸濁液は単一細胞又は細胞の小凝集体が撹拌された増殖培地の栄養から増殖し、増殖し、及び/又は栄養を維持する容器内に収容される撹拌された増殖培地を含む。懸濁液中で増殖した細胞は、基材に付着しておらず、したがって従来の粘着培養とは異なる。本明細書で使用するとき、用語「懸濁培養」又は「細胞懸濁培養」は、単一細胞若しくは細胞の小凝集体が非粘着性細胞又は細胞の凝集体として培養される培養の種類を指す。
【0042】
本明細書で使用されるとき、「粘着細胞」という用語は、肉の細胞を含む塊を指す。特に、粘着細胞は、基材上での増殖を含む、集合塊に集められた培養肉の細胞組織を指すことができる。いくつかの実施形態では、細胞塊は食用である。さらに、粘着細胞は、形成期間中に増殖するために増殖培地によって栄養補給された基材上で増殖した細胞を含むことができる。粘着細胞は、筋由来細胞、筋前駆細胞、サテライト細胞、幹細胞、筋芽細胞、間葉芽細胞、筋線維芽細胞、間葉系幹細胞、肝細胞、線維芽細胞、周皮細胞、脂肪細胞、上皮細胞、軟骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、多能性細胞、体性幹細胞、内皮細胞、又は他の同様の細胞型のうちの1つ以上などの異なる細胞型を含んでもよい。例えば、粘着細胞は、チャンバ、ハウジング、容器などの囲い内で増殖する培養肉の細胞シートを含むことができる。
【0043】
本明細書で使用される場合、語句「細胞ベースの肉組成物」、「細胞ベースの肉」、「屠殺不要の肉」、「屠殺不要の細胞ベースの肉」、「インビトロで生産された肉」、「インビトロの細胞ベースの肉」、「培養された肉」、「屠殺不要の培養された肉」、「インビトロで生産された培養された肉」、「インビトロの肉」、「インビトロで培養された肉」並びに他の同様の語句は、本明細書で互換的に使用され、培養中の細胞から開始してインビトロで生産される肉、及び食事消費のためにその動物から肉を直接得るために動物の屠殺を伴わない方法を指す。
【0044】
本明細書で使用するとき、用語「基材」は、細胞が付着又は増殖する材料を指す。特に、基材は、細胞が粘着し、その上で細胞が細胞組織を形成する材料を含む。したがって、基質は、細胞粘着、細胞分化、及び/又は細胞の増殖を支持又は促進して、細胞塊、すなわち食用肉製品を形成することができる。例えば、鋼基材又は他の基材は、バイオリアクター内の播種処理の一部として、装填された細胞培養培地を受容するように配置することができる。一度細胞塊が所定のサイズまで又は所定の持続時間の間増殖すると、いくつかの実施形態では、細胞塊は、基材から採取される。基材は、金属材料、ポリマー材料、有機、又は生物学的足場などの様々な生体適合性材料を含むことができる。
【0045】
さらに、本明細書で使用される場合、「乾燥培養動物細胞粉末」という用語は、乾燥培養非ヒト動物細胞を指す。特に、乾燥培養動物細胞粉末は、噴霧乾燥された懸濁細胞を含むことができる。さらに、1つ以上の実施形態では、乾燥培養動物細胞粉末が乾燥され、及び挽かれ、破砕され、又は粉砕された粘着細胞を含むことができる。懸濁細胞及び粘着細胞に関する上記の議論と同様に、乾燥培養動物細胞粉末は、様々な異なる細胞型を含むことができる。
【0046】
本明細書で使用するとき、用語「食感」は、細胞ベースの肉組成物の感覚的知覚と相関する、細胞ベースの肉組成物の機械的特徴を指す。本明細書で使用するとき、用語「食感プロファイル分析」又は「TPA」は、細胞ベースの肉組成物の食感特性を決定するための二重圧縮試験若しくは同様の試験を指す。TPAテストでは、噛んだときにサンプルがどのようにふるまうかについての洞察を提供するため、複数回の圧縮を食感アナライザとして使用する。いくつかの場合では、TPAは、硬度、凝集性、弾力性、及び弾性を定量化する。
【0047】
本明細書で使用するとき、用語「粘着能力」又は「粘着性」は、材料のプローブに粘着する傾向を定量化するTPAパラメータを指す。本明細書で使用するとき、用語「咀嚼性」は、TPAパラメーターのガム性及び弾力性の積として計算されるTPAパラメーターを指す。理論に拘束されることを望むものではないが、咀嚼性は食物製品を嚥下する準備ができている状態まで噛むのに必要なエネルギーを表すと考えられる。本明細書で提供される肉様食品の咀嚼性を調節するために滴定することができる非限定的な変数としては食感加工タンパク質の密度、及び水分含量が挙げられるが、製品に限定されない。
【0048】
本明細書で使用するとき、用語「凝集性」は、細胞ベースの肉組成物の最初の圧縮中の作業領域から計算されるTPAパラメータを指す。理論に拘束されることを望むものではないが、凝集性は食品の構造的完全性を表すと考えられ、細胞ベースの肉組成物の本体を構成する内部結合の強度によって特徴付けられる特性を指す。本明細書で提供される肉様細胞ベースの肉組成物の凝集性を調節するために滴定することができる非限定的な変数としては結合剤の種類及び量が挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
本明細書で使用するとき、用語「硬度」は食品の食感パラメータを指し、TPAアッセイ又は圧縮アッセイのいずれかにおける細胞ベースの肉組成物の第1の圧縮のピーク力から計算される。理論に拘束されることを望むものではないが、「硬度」は咀嚼中に臼歯間の細胞ベースの肉組成物を圧縮するために必要とされる力と相関すると考えられる。本明細書で提供される細胞ベースの肉組成物の硬度を調節するために滴定され得る非限定的な変数としては限定されるものではないが、異なる密度、含水量、及びpHを有する油、親水コロイド含有量、細胞質量含有量(例えば、第1及び/又は第2の水和細胞質量)食感加工タンパク質製品が挙げられる。
【0050】
本明細書で使用するとき、用語「弾性」は細胞ベースの肉組成物のTPAパラメータを指し、第1の圧縮のアップストロークエネルギーを第1の圧縮のダウンストロークエネルギーで割ることによって計算される。理論に拘束されることを望むものではないが、弾性は、細胞ベースの肉組成物がその元の形状を回復するためにどれだけうまく立ち向かうかを表すと考えられる。
【0051】
本明細書で使用するとき、用語「弾力性」は細胞ベースの肉組成物のTPAパラメータを指し、第2の圧縮中の細胞ベースの肉組成物の高さと元の圧縮距離との比として計算される。理論に拘束されることを望むものではないが、弾力性は変形後に跳ね返る細胞ベースの肉組成物の能力と相関すると考えられる。
【0052】
ここで、開示される方法及び装置の例示的な実施形態並びに実装形態を描写する例示的な図に関連して、さらなる詳細が提供される。例えば、
図1は、培養動物細胞と乾燥培養動物細胞粉末との均質な混合物を生成して、食用細胞ベースの食品を形成するための処理の概要を示す。より具体的には、
図1に示されるように、食用細胞ベースの食品は動物細胞102を含むことができる。例示すると、1つ以上の実施形態では、本開示の食用細胞ベースの食品は、培養物中で天然に存在する、トランスジェニックの、又は改変された動物細胞を培養することによって生成される製品である。
【0053】
動物細胞は、プライマリ細胞及び/又は細胞株であり得る。本明細書で提供される方法は、培養物中の任意の後生動物細胞に適用可能である。一般に、動物細胞は、その組織が食餌摂取に適しており、骨格筋組織の特定の能力を示す、任意の後生動物種由来である。いくつかの実施形態では、動物細胞は、ヒト若しくは非ヒトの食事消費を意図した任意の非ヒト動物種(例えば、トリ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウシ、又は魚起源の細胞)(例えば、家畜、家禽、トリ、猟獣、又は水生種などの細胞)に由来する。
【0054】
さらに、1つ以上の実施形態では、動物細胞は、家畜、例えば、家畜のウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ラクダ、水牛、ウサギなどに由来する。加えて、又は代替として、いくつかの実施形態では、動物細胞は、家禽、例えば、家畜のニワトリ、シチメンチョウ、アヒル、ガチョウ、ハトなどに由来する。さらに、1つ以上の実施形態では、動物細胞は、猟銃、例えば、野生のシカ、キジ目の鳥、水鳥、ノウサギなどに由来する。動物細胞は、野生の漁業又は水産養殖作業から商業的に収穫された水生種又は半水生種に由来する細胞であるか、又は特定の魚類、甲殻類、軟体動物、頭足類、クジラ目、ワニ類、カメ類、カエル類などを含む変種用である細胞でもあり得る。さらに、1つ以上の実施形態では、動物細胞は、外来、保護、又は絶滅した動物種由来である。いくつかの実施形態では、動物細胞は、Gallus、Gallus domesticus、Bos taurus、Sous scrofa、Meleagris gallopavo、Anas platyrynchos、Salmo salar、Thunnus thynnus、Ovis aries、Coturnix、Capra aegagrus hircus、又はHomarus americanusからのものである。
【0055】
いくつかの実施形態では、動物細胞は、培養産生のための骨格筋への細胞の迅速かつ効率的な変換を誘導するために、遺伝子スイッチによって改変可能である。さらに、1つ以上の実施形態では、動物細胞は、筋肉又は筋肉様細胞になるように運命付けられた筋原性細胞である。いくつかの実施形態では、筋原性細胞が、天然の筋原性、例えば筋芽細胞である。ネイティブ筋原細胞としては筋芽細胞、筋細胞、サテライト細胞、側集団細胞、筋由来幹細胞、間葉系幹細胞、筋原性周皮細胞、又は間葉芽細胞が挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
さらに、いくつかの実施形態では、動物細胞は骨格筋系列のものである。骨格筋系列の細胞は筋芽細胞、筋細胞、及び骨格筋前駆細胞を含み、これらはサテライト細胞、側集団細胞、筋由来幹細胞、間葉系幹細胞、筋原性周皮細胞、及び間葉系細胞を含む筋原性前駆細胞とも呼ばれる。さらに、1つ以上の実施形態では、動物細胞は非筋原性であり、このような非筋原性細胞は筋原性であるようにプログラムすることができ、例えば、細胞は1つ以上の筋原性転写因子を発現するように修飾された線維芽細胞を含み得る。例示的な実施形態では、筋原性転写因子がMYOD1、MYOG、MYF5、MYF6、PAX3、PAX7、パラログ、オルソログ、及びそれらの遺伝的変異体を含む。いくつかの実施形態では、細胞は、PCT公報WO/2015/066377(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるように、1つ以上の筋原性転写因子を発現するように改変される。
【0057】
いくつかの実施形態では、動物細胞が本明細書に記載される1つ以上の細胞集団の混合物を含む。例えば、動物細胞は、共培養における線維形成細胞及び筋形成細胞の混合物を含むことができる。別の例では、動物細胞は、共培養における線維芽細胞及び筋芽細胞の混合物を含むことができる。いくつかの実施形態では、消費用の食用細胞ベースの食品の製造に使用される動物細胞は、懸濁共培養物中の線維芽細胞及び筋芽細胞の混合物である。いくつかの実施形態では、消費用の食用細胞ベースの食品の製造に使用される動物細胞は、粘着共培養物中の線維芽細胞及び筋芽細胞の混合物である。いくつかの実施形態では、共培養物は、脂肪細胞をさらに含むことができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、動物細胞は、経路、例えば、HIPPOシグナル伝達経路を阻害するように遺伝子改変される。参照によりその全体が本明細書に組み込まれるPCT出願第PCT/US2018/031276号に記載されているように、HIPPOシグナル伝達経路を阻害する例示的な方法。さらに、1つ以上の実施形態では、細胞がテロメラーゼ逆転写酵素(TERT)を発現する及び/又はサイクリン依存性キナーゼ阻害剤(CKI)を阻害するように改変される。さらに、いくつかの実施形態では、細胞は、その全体が参照により本明細書に組み込まれるPCT公開WO2017/124100に記載されているように、TERTを発現し、及び/又はサイクリン依存性キナーゼ阻害剤を阻害するように改変される。
【0059】
さらに、1つ以上の実施形態では、動物細胞は、グルタミンシンテターゼ(GS)、インスリン様増殖因子(IGF)、及び/又はアルブミンを発現するように改変される。GS、IGF、及び/又はアルブミンを発現するように細胞を修飾する例示的な方法は、その全体が基準により本明細書に組み込まれるPCT出願PCT/US2018/042187に記載されている。
【0060】
さらに、動物細胞は、本明細書に記載の修飾の任意の組み合わせを含むことができることが理解されるであろう。同様に、1つ以上の実施形態では、動物細胞は、本明細書に記載される様々な細胞型の組み合わせを含むことができる。
【0061】
図1に示すように、培養動物細胞102は、粘着細胞104及び/又は懸濁細胞106を任意に含むことができる。1つ以上の実施形態では、食用細胞ベースの食品は、乾燥培養動物細胞粉末と組み合わせた粘着細胞、乾燥培養動物細胞粉末と組み合わせた懸濁細胞、又は乾燥培養動物細胞粉末と組み合わせた粘着細胞及び懸濁細胞の両方を含む。さらに、粘着細胞104及び/若しくは懸濁細胞106は、動物細胞に関して上述した様々な細胞型並びに/又は修飾のいずれかを含むことができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、培養動物細胞102は、粘着細胞104及び懸濁細胞106を含み、線維芽細胞及び筋芽細胞の混合物を含み、線維芽細胞対筋芽細胞の比(F及びMと称される)は約5F:95M~約95F:5Mの範囲である。例示的な実施形態では、線維芽細胞と筋芽細胞との比が約5F:95M、10F:90M、15F:85M、20F:80M、25F:75M、30F:70M、35F:65M、40F:60M、45F:55M、50F:50M、55F:45M、60F:40M、65F:35M、70F:30M、75F:25M、80F:20M、85F:15M、90F:10M、又はさらに約95F:5Mである。
【0063】
1つ以上の実施形態は、粘着細胞104及び/又は懸濁細胞106を培養インフラストラクチャ中で培養することを含む。本明細書で言及されるように、培養インフラストラクチャは、細胞が培養又は培養されて、消費用の二次元若しくは三次元製品を提供する環境を指す。培養インフラストラクチャは、ローラーボトル、チューブ、シリンダー、フラスコ、ペトリ皿、マルチウェルプレート、皿、バット、インキュベーター、バイオリアクター、工業用発酵槽などであってもよい。
【0064】
上述のように、動物細胞102は、粘着細胞104を含むことができる。1つ以上の実施形態は、細胞を基材の表面に播種し、基材上で細胞を増殖させて細胞シートを形成することによって、粘着細胞104を調製することを含む。この方法は、得られた細胞シートを基材から剥離することをさらに含む。粘着細胞の培養に関するより詳細は、
図3に関連してより詳細に提供される。
【0065】
さらに、いくつかの実施形態では、動物細胞102が細胞が増殖し、増殖し、及び/又は栄養を維持する少なくとも部分的に液体の増殖培地中で培養された懸濁細胞106を含む。いくつかの実施形態では、懸濁培養物中で懸濁細胞106を増殖させることを含む。例えば、1つ以上の実施形態は、振盪フラスコ中で懸濁細胞106を増殖させることを含む。例示すると、1つ以上の実施形態では、培養物の製品を遠心分離して、細胞ペレットを得る。いくつかの実施形態は、培養培地中で浮遊している間に懸濁細胞106を増殖させることを含む。懸濁細胞の培養に関するより詳細は、
図4に関連してより詳細に提供される。
【0066】
図1に示すように、1つ以上の実施形態は、培養動物細胞102の任意の前処理108を含む。1つ以上の実施形態では、前処理108は、任意選択で水分調整110及び/又はサイズ縮小112を含む。1つ以上の実施形態では、水分調整110は、培養動物細胞102を真空乾燥することによって行われる。加えて、いくつかの実施形態では、サイズ縮小112は、細断又は他の技法を介して動物細胞102のサイズを縮小することを含む。
【0067】
例えば、工程108は、培養細胞組織を細かい断片に切断することを含むことができる。具体的には、工程108の一部が、培養細胞組織を細かく切って細片にすることを含む。いくつかの実施形態では、工程108が増殖した細胞を細断する、ダイシングする、切断する、又は粉砕することによって、培養細胞組織をサイズ縮小することを含む。工程108を実行する結果、長繊維の少なくとも一部は、より短くよりコンパクトな繊維に分解される。いくつかの実施形態では、工程108が肉繊維を整列させながら、(例えば、歯又は押出機を使用して)微細片を互いに混合することをさらに含む。いくつかの実施形態では、工程108は、培養細胞組織を、閾値長さを有する正方形又は長方形に粗く細断又は切断することによって実行される。1つ以上の実施形態では、小セグメントがおおよその長さ、幅、及び高さを有する長方形の立方体である。例えば、少なくとも1つの実施形態では、小セグメントの長さは9cmに等しく、幅は3cmに等しく、高さは1/2cmに等しい。あるいは、培養細胞組織のサイズを縮小することは、培養細胞組織の不規則な形状及びサイズのセグメント又は凝集体を形成することを含む。
【0068】
さらに、工程108は、バイオリアクター又は懸濁液タンクから採取された後に、食用細胞ベースの肉製品の含水量を減少させる(例えば、部分的に乾燥させる)ことを含むことができる。例えば、1つ以上の実施形態では、工程108が複合圧力-温度操作を使用して、食用細胞ベースの肉製品から含水量の一部を蒸発させる真空乾燥を含む。そうすることで、真空乾燥法は、食用細胞ベースの肉製品、並びにミネラル及び他の非液体成分中にタンパク質を濃縮することができる。1つ以上の実施形態では、真空乾燥が、食用細胞ベースの肉製品の細胞構造を保存し、生肉の販売、流通、及び消費のための様々な規則及び規制に従って安全な処理を容易にするために、冷蔵温度で行われる。加えて、環境圧力の低下は、食用細胞ベースの肉製品の特定の含水量基準又は閾値質量を達成するための乾燥時間の短縮を提供する。
【0069】
図1にも示されるように、1つ以上の実施形態では、食用細胞ベースの食品は、乾燥培養動物細胞粉末114を含む。1つ以上の実施形態では、乾燥培養動物細胞粉末は、培養動物細胞(例えば、粘着細胞及び/又は懸濁細胞)を乾燥及び粉末化するための様々な方法によって調製される。例示すると、1つ以上の実施形態では、乾燥培養動物細胞粉末は、懸濁細胞を噴霧乾燥することによって、又は粘着細胞を乾燥及び粉末化することによって調製される。
【0070】
さらに、
図1に示されるように、食用細胞ベースの食品は、培養動物細胞102と乾燥培養動物細胞粉末114とを組み合わせて、均質又はほぼ均質な混合物を生成する工程116を実施することによって調製される。より具体的には、1つ以上の実施形態は、動物細胞102と乾燥培養動物細胞粉末114とを組み合わせて、均質な混合物を生成することを含む。上述のように、均質な混合物は、粘着細胞104及び乾燥培養動物細胞粉末114、懸濁細胞106及び乾燥培養動物細胞粉末114、又は粘着細胞104、懸濁細胞106、及び乾燥培養動物細胞粉末114の3つすべてを含むことができる。例示すると、1つ以上の実施形態では、さらなる処理のための均質な混合物を作製するために、動物細胞102及び乾燥培養動物細胞粉末114が真空下で混合される。
【0071】
任意選択的に、工程116の一部として、本方法は、均質な混合物に他の機能性成分/添加剤を添加することを含むことができる。例えば、工程116は、細胞ベースの製品の栄養価を増加させるために、ビタミンなどの他の栄養素を添加することを含むことができる。例えば、これは、増殖培地への栄養物の外因性添加によって、又は遺伝子工学技術によって達成されてもよい。さらに、リン酸塩は、細胞混合物からタンパク質を抽出するのを助け、最終製品中の水分保持を増加させるために添加されてもよく、これは、従来の肉の食感を模倣するのを助ける。デンプン又はガムなどの安定化剤は、水を組成物に結合させるのを助け、組成物の全体的な質感及び含水量を改善するために添加されてもよい。スパイス及び香味剤を最終混合物は、従来の肉と同様の基地香味プロファイルを構築するのを助けるために添加されてもよい。一般的なビタミン及びミネラルなどの栄養素を組成物は、最終製品の栄養価をより良好に高めるために添加されてもよい。
【0072】
いくつかの実施形態では、工程116は、組成物の形成及び調理中に組成物がその形状を維持するのを助ける安定剤を均質な混合物に添加することも含む。例示的な安定剤としてはデンプン、ガム、多糖類、タンパク質濃縮物、タンパク質単離物、並びに他の一般的に使用されるゲル化剤及び増粘剤が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、組成物はまた、最終製品の香味、栄養価、及び/又は食感を向上させるのを助ける1つ以上の構成要素、例えば、リン酸塩、香辛料、防腐剤、人工香味剤、ビタミン、又はミネラルを含有する可能性がある。
【0073】
さらに、
図1に示されるように、食用細胞ベースの食品は、均質な混合物を細胞系食品に形成する工程118を実施することによって調製される。例示すると、1つ以上の実施形態では、原料混合物がスタッファー、フォーマー、モールド、若しくは他の処理に適した装置の助けを借りて、所望の形状又はフォーマットに形成される。いくつかの実施形態では、食用細胞ベースの食品が形成後に直ちに包装使用する準備ができている。それに加えて、又はその代わりに、食用細胞ベースの食品は、包装又は保管の前に調理される。
【0074】
上述のように、1つ以上の実施形態は、乾燥培養動物細胞粉末と混合された培養粘着細胞及び/又は培養懸濁細胞を含む。
図2は、粘着細胞202及び乾燥培養動物細胞粉末206を組み合わせて、粘着細胞及び組織細胞粉末混合物208を形成するための処理を示す。
図3に関して以下でより詳細に論じるように、1つ以上の実施形態では、細胞を基材の表面に接触させること、基材上で細胞を増殖させること、得られた細胞シートを基材から剥離すること、及び任意選択で粘着細胞の水分含量及び/又はサイズを低減することによって、粘着細胞202を調製することを含む。
【0075】
さらに、
図2に示されるように、1つ以上の実施形態は、懸濁細胞204から乾燥培養動物細胞粉末を調製することを含む。例示すると、1つ以上の実施形態は、強制空気乾燥、噴霧乾燥、及び/又は真空乾燥を介して動物細胞を脱水して、乾燥培養動物細胞粉末206を形成することを含む。いくつかの実施形態では、乾燥培養動物細胞粉末206は、懸濁細胞204を噴霧乾燥することによって調製される。さらに、1つ以上の代替の実施形態は、粘着細胞を乾燥及び粉末化することによって、乾燥培養動物細胞粉末206を形成することを含む。しかし、乾燥培養動物細胞粉末は、様々な乾燥及び粉末化処理で調製することもできることが理解されるであろう。
【0076】
図2に示されるように、食用細胞ベースの食品は、粘着性細胞及び組織細胞粉末混合物208を含むことができる。例示すると、1つ以上の実施形態では、食用細胞ベースの食品は、懸濁細胞及び/又は粘着細胞を乾燥培養動物細胞粉末と混合して均質な混合物を形成することによって調製される。いくつかの実施形態では、均質な混合物は、真空下で調製される。
【0077】
いくつかの実施形態では、食用細胞ベースの食品が一般に、乾燥質量100g当たり約25g~約95gのアミノ酸を含む。加えて、食用細胞ベースの食品は一般に、60%~95%の含水率を有する。次いで、所望の比率の動物細胞102(例えば、粘着細胞104及び/又は懸濁細胞106)及び乾燥培養動物細胞粉末114が形成されるまで、異なる量の粘着細胞及び懸濁細胞を混合することができる。一般に、粘着細胞と比較してより高い割合の懸濁細胞を使用して、より柔らかく、より脂肪の多い製品を作製することができ、一方、より細身な製品を作製するために、懸濁細胞と比較してより高い割合の粘着細胞が使用されてもよい。
【0078】
同様に、より細身で、より硬く、より少ない粘着性の製品を作製するために、より高い割合の乾燥培養動物細胞粉末114を使用することができる。乾燥培養動物細胞粉末は、細胞混合物中の細胞が所望の形状を形成及び保持するためにより良好に互いに粘着することを可能にすることによって、最終生成物に寄与する。
【0079】
一実施形態では、食用細胞ベースの肉製品210が天然肉の従来の味、食感、及び香味をよりよく模倣するために、粘着性組織及び懸濁細胞の混合物から調製されてもよい。例示すると、1つ以上の実施形態では、均質な混合物は、乾燥培養動物細胞粉末0.1%~30%及び粘着細胞70%~99.9%から構成される。さらに、いくつかの実施形態では、均質な混合物は、乾燥培養動物細胞粉末0.1%~40%及び懸濁細胞60%~99.9%から構成される。さらに、いくつかの実施形態では、均質な混合物は、乾燥培養動物細胞粉末の0.1%~40%、懸濁細胞の.1%~99.8%、及び付着細胞の0.1%~99.8%で構成される。
【0080】
一実施形態では、食用細胞ベースの肉製品210が20%乾燥培養動物細胞粉末を含む80%粘着細胞から構成される。別の実施形態では、食用細胞ベースの肉製品210が5%乾燥培養動物細胞粉末を含む95%粘着細胞から構成される。さらに別の実施形態では、食用細胞ベースの肉製品210が1%の乾燥培養動物細胞粉末を含む99%の粘着細胞から構成される。別の実施形態では、食用細胞ベースの肉製品210が3%乾燥培養動物細胞粉末を含む97%粘着細胞から構成されてもよい。別の実施形態では、食用細胞ベースの肉製品210が5%乾燥培養動物細胞粉末を含む95%粘着細胞から構成される。別の実施形態では、食用細胞ベースの肉製品210が10%乾燥培養動物細胞粉末を含む90%粘着細胞から構成される。別の実施形態では、食用細胞ベースの肉製品210が20%乾燥培養動物細胞粉末を含む80%粘着細胞から構成される。別の実施形態では、食用細胞ベースの肉製品210が30%乾燥培養動物細胞粉末を含む70%粘着細胞から構成される。
【0081】
別の実施形態では、食用細胞ベースの肉製品210が40%乾燥培養動物細胞粉末を含む60%懸濁細胞から構成される。別の実施形態では、食用細胞ベースの肉製品210が35%乾燥培養動物細胞粉末を含む65%懸濁細胞から構成される。さらに別の実施形態では、食用細胞ベースの肉製品210が30%乾燥培養動物細胞粉末を含む70%懸濁細胞から構成される。別の実施形態では、食用細胞ベースの肉製品210が25%乾燥培養動物細胞粉末を含む75%懸濁細胞から構成されてもよい。別の実施形態では、食用細胞ベースの肉製品210が20%乾燥培養動物細胞粉末を含む80%懸濁細胞から構成される。別の実施形態では、食用細胞ベースの肉製品210が15%乾燥培養動物細胞粉末を含む85%懸濁細胞から構成される。別の実施形態では、食用細胞ベースの肉製品210が10%乾燥培養動物細胞粉末を含む90%懸濁細胞から構成される。
【0082】
上述のように、食用細胞ベースの食品は、粘着細胞を含むことができる。
図3は、粘着細胞を調製するための処理を図示する。より具体的には、1つ以上の実施形態では、粘着細胞は1つ以上の細胞培養基質を配置する工程302を行うことによって調製される。いくつかの実施形態では、粘着細胞104のための培養インフラストラクチャが基材を含む。より具体的には、1つ以上の実施形態では、粘着細胞104のための培養インフラストラクチャが透過性基材(例えば、生理学的解決策に対して透過性)又は不透過性基材(例えば、生理学的解決策に対して不透過性)を含んでもよい。粘着細胞104のための基材は、平坦、凹部、又は凸状とすることができる。さらに、粘着細胞104のための基材は、細胞増殖を促進するように食感加工することができる。
【0083】
さらに、
図3に示されるように、粘着細胞は、細胞を基材の表面に接触させる工程304を実施することによって調製することができる。例示すると、1つ以上の実施形態では、粘着細胞がバイオリアクター内を含む培養インフラストラクチャに細胞培養基質を接触させることによって調製される。
【0084】
いくつかの実施形態では、培養基盤における粘着細胞104の培養が細胞外マトリックス(ECM)の産生を誘導することができる。実際、1つ以上の実施形態では、ECMが三次元細胞増殖を指示するための自己足場として作用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、ECMが基材に垂直な平面上の細胞の付着、増殖、及び肥大を指示することができる。加えて、又は代替として、いくつかの実施形態では、培養インフラストラクチャが三次元細胞バイオマスの自己集合を促進するために外因的に添加された足場を含まなくてもよい。いくつかの実施形態では、培養インフラストラクチャがヒドロゲル又は軟寒天などの外因性足場を含まなくてもよい。
【0085】
上述のように、粘着細胞を増殖させて細胞シートを形成することができる。表1は、様々な細胞ベースの食品のための例示的な培養方法を提供する。
【表1】
【0086】
1つ以上の実施形態では、表1の細胞培養方法について、培地は、動物に由来する血清又は他の成分を実質的に含まない。したがって、細胞ベースの肉を産生する例示的な方法は、(a)非ヒト生物から線維芽細胞及び/又は筋芽細胞を提供すること、(b)懸濁培養又は粘着培養のいずれかにおいて線維芽細胞及び/若しくは筋芽細胞が増殖する条件下で、培地中で線維芽細胞及び/又は筋芽細胞を培養することを含み、培地は、動物に由来する血清及び他の成分を実質的に含まない。
【0087】
さらに、
図3に示されるように、1つ以上の実施形態では、粘着細胞が基材上で細胞を増殖させる工程306を実行することによって調製される。1つ以上の実施形態では、粘着細胞104が、無菌バイオリアクター内に位置する表面など、細胞粘着及び拡散を可能にするように特異的に処理される適切な基材上で増殖される。より具体的には、食用細胞ベースの食品のための動物細胞102の生成のための培養条件は一般に、無菌であり、殺菌済みである。場合によっては、細胞が粘着性バイオリアクターなどの培養タンクに注入される。培養タンクは細胞が粘着することができる基材(例えば、金属板又はシート)を含む。細胞を培養タンクに流して、細胞を時間基材に粘着させる。
【0088】
細胞を基材上に播種する前に、いくつかの実施形態では、開示される方法は、基材への細胞粘着を増加させるために、粘着性培地を添加又は流動させることなどによって、基材を調製することを含む。上記で示唆したように、いくつかの実装形態では、基材が無菌環境である培養タンク内に配置される。培養タンク中で基材を調製するために、開示される方法は、粘着性培地を添加することを含むことができる。粘着培地は細胞の凝集を制限するためにカルシウムが低くてもよく、その結果、細胞は基材を横切って均等に広がる。粘着培地は、細胞による基材への付着をさらに促進する。いくつかの実装形態では、基材を調製することは、調整培地を追加することと、調整培地を高熱まで上昇させることとをさらに含む。この調整培地は、培養タンク内のpH、二酸化炭素、及び酸素レベルを制御することによって、基質をさらに調製する。
【0089】
開示される方法は、細胞を細胞組織へと増殖させることを含む。一般に、播種された細胞(播種された初期細胞及び以前に降ろされていない細胞を含む)は、形成期間の間、細胞組織の形成を可能にする条件で増殖される。いくつかの場合において、形成期間は、4~14日に等しくすることができる。この形成期間中、細胞は、細胞の増殖を促進するために、追加の栄養物、培地、増殖因子、及び他のサプリメントを提供されてもよい。例えば、開示される方法は、1日目に増殖培地を提供することを含むことができる。増殖培地は、増殖因子及び有益なタンパク質を含むことができる。形成期間中の栄養間隔(例えば、3日毎)で、播種された細胞における増殖を支援するために、さらなる飼料、アミノ酸、タンパク質、ビタミン、ミネラル、及び成長因子が培養タンクに添加されてもよい。加えて、又は代替的に、開示される方法は、収穫前に収穫前培地を添加することを含む。例えば、収穫の3日前に、酵母濃縮物を含む収穫前培地が培養タンクに添加されてもよい。
【0090】
1つ以上の実施形態では、粘着細胞が基材上での増殖を含む、集合塊又は凝集塊に集められた培養肉の細胞組織を含む。1つ以上の実施形態では、粘着細胞を培養するための培養インフラストラクチャは、粘着細胞の単層を培養するための三次元構造又は形状を有する。さらに、いくつかの実施形態では、培養インフラストラクチャ中の後生動物細胞の三次元増殖を形成し、三次元細胞バイオマスの足場なしの自己集合を提供するために、培養インフラストラクチャが粘着細胞を促進することができる。
【0091】
いくつかの実施形態では、粘着細胞は、三次元培養インフラストラクチャ上で増殖される。3次元培養インフラストラクチャは、粘着細胞104が増殖し、ステーキ、テンダーロイン、すね肉、鶏胸、ドラムスティック、ラムチョップ、魚の切り身、ロブスターの尾などの異なる種類の筋組織に似るための形状及び形態を提供するために、所望に応じて、異なるサイズ、形状、及び形態に造形されることができる。この三次元培養インフラストラクチャは、摂取された場合に有害でないように、非毒性である天然又は合成の生体材料から作製されてもよい。天然生体材料としては、例えば、コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、又は他の細胞外マトリックスが挙げられ得る。合成生体材料としては、例えば、ヒドロキシアパタイト、アルギネート、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、又はそれらのコポリマーが挙げられ得る。三次元培養インフラストラクチャは、固体又は半固体支持体として形成されてもよい。
【0092】
培養インフラストラクチャは、任意の規模のものであり得、任意の体積の細胞バイオマス及び培養試薬を支持することができる。いくつかの実施形態では、培養インフラストラクチャは、約10μL~約100,000Lの範囲である。例示的な実施形態では、培養インフラストラクチャが約10μL、約100μL、約1mL、約10mL、約100mL、約1L、約10L、約100L、約1000L、約10,000L、又はさらに約100,000Lである。
【0093】
1つ以上の実施形態では、食用細胞ベースの食品は、静脈及び動脈などの血管組織を、含むよう別途操作されない限り含まず、一方、従来の肉はそのような血管系を含有し、血管系中に見られる血液を含有する。したがって、いくつかの実施形態では、食用細胞ベースの食品が血管系を含まない。
【0094】
同様に、食用細胞ベースの食品は筋肉又は筋肉様組織から構成されるが、機能する筋肉組織を、含むように別途操作されない限り含まない。したがって、いくつかの実施形態では、細胞ベースの肉が機能する筋肉組織を含まない。脈管構造及び機能的筋肉組織などの特徴は、そうすることが望まれる場合には細胞ベースの肉にさらに操作することができることに留意されたい。
【0095】
また、
図3に示すように、細胞シートを基材から剥離する工程308を行うことにより、粘着細胞を作製することができる。1つ以上の実施形態では、粘着細胞が細胞シートを基材から剥離することによって採取される。特に、粘着細胞は、様々な因子に基づいて採取される。粘着組織は、増殖期間後に採取されてもよい。例えば、粘着細胞は、細胞が4~14日の間のいずれかの期間増殖した後に採取される。別の例では、粘着細胞が増殖期の完了に基づいて採取される。より具体的には、粘着細胞は、細胞シートが収縮を開始し、増殖を停止するときに採取されてもよい。例えば、細胞シートは、基材から剥離し始めてもよい。1つ以上の実施形態では、細胞シートが収穫前に収穫前培地を添加した後、基材から剥離される。
【0096】
また、乾燥培養動物細胞粉末は粘着細胞シートを乾燥し、粉末化して乾燥培養動物細胞粉末を形成することにより、粘着細胞から調製することができる。より具体的には、粘着細胞を閾値水分率まで乾燥させることができる。さらに、1つ以上の実施形態では、乾燥培養動物細胞粉末は、乾燥粘着細胞を粉末化することによって調製される。例示のために、乾燥した粘着細胞は、様々な破砕又は粉砕方法によって物理的に粉末化又は粉砕することができる。
【0097】
図3に示すように、この方法は、粘着細胞の凝集(例えば、細胞シート)の水分及び/又はサイズを低減すること310を任意に含むことができる。上述のように、工程310は、粘着細胞を真空乾燥させることによって、粘着細胞中の含水量を減少させることを含むことができる。加えて、いくつかの実施形態では、工程310は、細断又は他の技法を介して動物細胞102のサイズを縮小することを含む。
【0098】
また、上述のように、1つ以上の実施形態では、食用細胞ベースの食品は懸濁細胞を含む。
図4は、懸濁細胞を生成するための処理を示す。より具体的には、
図4に示すように、動物細胞を懸濁液に調製する工程402を行うことにより、懸濁細胞を調製することができる。例示すると、動物細胞を細胞培地中に懸濁させる。一実施形態では、細胞を解凍し、より小さなフラスコ中で増殖させた後、懸濁液タンクに移す。細胞を、細胞培養培地を含む懸濁液タンクに注入して増殖させる。
【0099】
さらに、いくつかの実施形態では、懸濁液細胞は、動物細胞を懸濁液タンク中で培養する工程404を実施することによって調製される。より具体的には、1つ以上の実施形態では、懸濁液タンクは、懸濁液培養物を保持し、細胞が継代され、増殖され得る容器を提供する。例示すると、懸濁液タンクは細胞の増殖を助けるために、細胞及び細胞培地を保持することができる。いくつかの実施形態では、懸濁液タンクは、増殖を刺激するために細胞をスケールアップ及び継代するための複数の容器を含む。
【0100】
1つ以上の実施形態では、懸濁液細胞は、様々な懸濁液タンク中で増殖させることができ、懸濁液タンクの各懸濁液タンクは異なる種類の細胞を保持してもよい。例示として、懸濁液タンクは、線維芽細胞、筋細胞、及び脂肪細胞を保持してもよい。しかしながら、懸濁液細胞は、より少ない又はより多い懸濁液タンク中で増殖させることもできる。また、懸濁液タンクは互いに接続されていてもよいし、接続されていなくてもよい。
【0101】
1つ以上の実施形態では、懸濁液細胞は、懸濁液タンクから培地リザーバに注入される。培地リザーバは、細胞を細胞培地に可溶化された状態に保つための撹拌器を含む。例示すると、この攪拌器は、細胞及び細胞培地混合物を攪拌して、細胞培地を通して細胞を均一に保つ。細胞混合物内の均一性を維持することによって、この装置は、培養タンク内の基質を横切る細胞の分布の均一性を改善する。
【0102】
上述のように、開示される方法は、懸濁液中で細胞を増殖させることを含む。一般に、懸濁液中で増殖する細胞は、粘着組織形成と比較してより速く、より経済的である。したがって、いくつかの実施形態では、開示される方法は、播種前に細胞を最初に増殖させるために粘着培養物を使用するのではなく、懸濁液中の細胞の増殖をスケールアップすることを含む。
【0103】
一般に、1つ以上の実施形態では、細胞が懸濁培養において閾値細胞密度まで増殖される。一例では、細胞が2~4日の継代ケイデンスを使用して、懸濁液212中で増殖される。一般に、継代細胞は、古い細胞培養培地から新鮮な細胞培養培地に細胞を移すことを含む。細胞を通過させることは、細胞増殖のためのさらなる余地を提供するために、細胞をより大きな容器に移動させることを含み得る。1つ以上の実施形態では、細胞が約20時間(20.202時間+/1.97時間、16.9~25.6時間の範囲)の集団倍加時間で2~4日のケイデンスで継代される。いくつかの実施形態では、細胞が閾値細胞懸濁密度に達するまで複製される。一例では、閾値細胞懸濁密度は、懸濁液中の約3~500万細胞/mLの生細胞密度に等しい。しかし、閾値細胞懸濁密度は、懸濁液中の閾値約2000万細胞/mLを含めて、懸濁液中の500万細胞/mLを超えてもよい。いくつかの実施形態では、開示される方法は、細胞が増殖段階を完了するまで細胞を複製することを含む。例えば、開示される方法は、アンモニア、酸素消費、pH、及び乳酸を測定して、細胞が活発に増殖しているかどうかを決定することを含んでもよい。
【0104】
さらに、1つ以上の実施形態では、乾燥培養動物細胞粉末は、乾燥培養動物細胞粉末に懸濁細胞を噴霧乾燥する工程406を実施することによって調製される。例示のために、1つ以上の実施形態では、懸濁細胞を噴霧し、乾燥させて粉末にする。いくつかの実施形態では、懸濁細胞は、加熱された空気が通る乾燥チャンバ内で噴霧される。さらに、1つ以上の実施形態では、乾燥細胞は、付着した粉末収集器を介して収集される。
【0105】
上述のように、乾燥培養動物細胞粉末を含む食用細胞ベースの食品を生成することは、食用細胞ベースの食品の硬度及び粘着性を従来の肉製品の硬度並びに粘着性とより密接に一致させることによって、食用細胞ベースの食品の食感を改善することができる。
図5~8は、粘着細胞及び乾燥培養動物細胞粉末から調製された様々な食用細胞ベースの食品の硬度又は粘着性のチャートを示す。特に、
図5~8に関連して試験された食用細胞ベースの食品は、脱水培養懸濁鶏肉細胞粉末を有する培養粘着鶏肉細胞を含んでいた。
【0106】
図5は、1つ以上の実施形態による、様々な割合の乾燥培養動物細胞粉末を含む、生の、及び調理済みの食用細胞ベースの食品の60%歪圧縮での硬度のグラフを示す。より具体的には、グラフ500は、グラム単位のピーク力(硬度)を示すy軸502と、生の又は調理済みの肉製品の観察値を示すx軸504とを含む。より具体的には、グラフ500が生のサンプル506及び調理済みサンプル508を含む。生の及び調理済みの食用細胞ベースの食品は、生のものと及び調理済みのものとの両方の従来の屠殺鶏肉と比較される。従来の屠殺鶏肉の試験のために、それぞれ5の反復で、2つの種類の試験サンプルを使用した。第1の種類の試験サンプルは、混合起源(すなわち、ダークミート、ホワイトミート、及び脂肪)の屠殺粉砕鶏肉を含んだ。第2の種類の試験サンプルは、屠殺された純粋な胸挽き鶏肉(すなわち、脂肪又はダークミートを含まない)を含んでいた。両方の種類の試験サンプルを粉砕し、他の成分を添加せずに実験に使用するために形成した。従来の屠殺鶏肉について収集したデータに関して、従来の屠殺鶏肉を粉砕し、形成し、他の成分を加えずに華氏165度まで加熱調理した。しかしながら、従来の屠殺された鶏肉の硬度及び粘着性は例えば、調理テンプ(例えば、調理時間を遅くすることによって、よりハードに調理済みの製品を生成する)、塩(より一般的にはより硬度を低下させる塩)、混合量(より多くの混合は硬度を低下させる)、脂肪含有量(一般的にはより高い脂肪が硬度を低下させる)、含水量(例えば、食塩はより多くの水分及び塩が製品に入ることによって、硬度を低下させる)、機械的な軟化(例えば、硬度を低下させるための針での刺し又はハンマーでの打撃)、pH調整(例えば、バターミルクブライン-酸は硬度を低下させるのを助けることができる)、又は酸誘導変性(より硬度を低下させるための「調理済みの」w/pH調整)によって操作することができることが理解されるであろう。
【0107】
図5に示されるように、バー510は、100%粘着細胞を有する生の食用細胞ベースの食品に対応し、約72.9グラムのピーク力の硬度を示す。比較すると、従来の屠殺された生の鶏肉は、約82.5グラムのピーク力を含む。したがって、100%粘着細胞を製品生の食用細胞ベースの食品は、従来の屠殺された生の鶏肉とは著しく異なる食感を有することができる。この食感の違いは、少なくとも部分的には硬度の違いに起因し得る。
図5は95%粘着細胞及び5%乾燥培養動物細胞粉末を有する生の食用細胞ベースの食品に対応するバー512をさらに示し、約105.8グラムのピーク力の硬度を示す。さらに、80%粘着細胞及び20%乾燥培養動物細胞粉末を有する生の食用細胞ベースの食品に対応するバー514は、約298.2グラムのピーク力の硬度を示す。
図5は乾燥培養動物細胞粉末を添加することが、生の食用細胞ベースの食品の硬度をどのように改変又は調整することができるかを示す。特に、
図5は、1つ以上の実施形態では、食用細胞ベースの食品に乾燥培養動物細胞粉末を添加することが、従来の屠殺された生肉とより一致するように硬度をどのように調整することができるかを示す。特に、1つ以上の実施形態は、従来の屠殺された生肉の硬度と一致する(すなわち、許容される許容範囲内にある)ように硬度を調整するために、ある量の乾燥培養動物細胞粉末を食用細胞ベースの食品に添加することを含む。本明細書の開示に照らして、従来の屠殺肉の硬度に近い硬度を有することにより、消費者に期待される食体験を提供することが理解されるであろう。従来の屠殺肉からの硬度の偏差が大きすぎると、食用細胞ベースの食品が柔らかすぎる又は硬すぎるという知覚につながる可能性がある。他の特性は硬度に加えて食感に影響を及ぼすが、許容可能な公差よりも大きい偏差を有することは、料理の期待が満たされないことをもたらす可能性がある。一方、食用の細胞ベースの食品の硬度が従来の屠殺肉に近いほど、消費者はポジティブな食体験を有する可能性が高い。
【0108】
さらに、
図5に示されるように、100%粘着細胞を有する調理済み食用細胞ベースの食品に対応するバー516は、約121.1グラムのピーク力の硬度を示す。比較すると、従来の屠殺された調理済み鶏肉は、約893.9グラムのピーク力を含む。言い換えれば、100%粘着細胞を有する調理済み食用細胞ベースの食品は、対応する従来の屠殺済み調理済み肉の約13.55%となる硬度を有する。したがって、100%粘着細胞を有する調理済み食用細胞ベースの食品は、従来の屠殺された調理済み鶏肉とは著しく異なる食感を有することができる。この食感の違いは、少なくとも部分的には硬度の違いに起因する可能性があり、食体験の顕著な違いをもたらす可能性がある。
図5は、95%粘着細胞及び5%乾燥培養動物細胞粉末を有する調理済み食用細胞ベースの食品に対応するバー518を含み、約362.1グラムのピーク力の硬度を示す。さらに、80%粘着細胞及び20%乾燥培養動物細胞粉末を有する調理済み食用細胞ベースの食品に対応するバー520は、約1441.0グラムのピーク力の硬度を示す。したがって、
図5は、乾燥培養動物細胞粉末を添加することが、調理済みの食用細胞ベースの食品の硬度をどのように改変又は調整することができるかを示す。特に、
図5は、1つ以上の実施形態では、食用細胞ベースの食品に乾燥培養動物細胞粉末を添加することが、従来の屠殺された調理済みの肉とより一致するように硬度をどのように調整することができるかを示す。特に、1つ以上の実施形態は、従来の屠殺された調理済みの肉の硬度と一致する(すなわち、許容される許容範囲内にある)ように硬度を調整するために、ある量の乾燥培養動物細胞粉末を食用細胞ベースの食品に添加することを含む。例えば、1つ以上の実施形態では、乾燥培養動物細胞粉末の添加は、調理済みの食用細胞ベースの肉製品の硬度を、対応する従来の屠殺された調理済み肉の硬度と比較して、30パーセント未満、20パーセント未満、10パーセント未満、又は5パーセント未満のパーセント差を有するように調整することができる。
【0109】
図6は、1つ以上の実施形態による、様々な割合の乾燥培養動物細胞粉末を含む、生及び調理済みの食用細胞ベースの食品の60%歪圧縮での粘着性を示す。より具体的には、グラフ600は、グラム単位の粘着性の絶対値を示すy軸602と、生又は調理済みの肉製品の状態を示すx軸604とを含む。より具体的には、グラフ600が生サンプル606及び調理済みサンプル608を含む。
【0110】
図6に示されるように、100%粘着細胞を有する生の食用細胞ベースの食品に対応するバー610は、約17.8グラムの粘着性の絶対値を示す。比較すると、従来の屠殺された生の鶏肉は、約16.6グラムの粘着性の絶対値を有することが観察された。さらに、95%粘着細胞及び5%乾燥培養動物細胞粉末を含む生の食用細胞ベースの食品に対応するバー612は、約31.4グラムの粘着性の絶対値を示す。さらに、80%粘着細胞及び20%乾燥培養動物細胞粉末を有する生の食用細胞ベースの食品に対応するバー614は、約65.4グラムの粘着性の絶対値を示す。
【0111】
また、
図6に示されるように、100%粘着細胞を有する調理済み食用細胞ベースの食品に対応するバー616は、約0.3グラムの粘着性の絶対値を示す。比較すると、従来の屠殺された調理済み鶏肉は、約12.5グラムのピーク力の粘着性の絶対値を含む。したがって、100%粘着細胞を有する調理済み食用細胞ベースの食品は、従来の屠殺された調理済み鶏肉とは著しく異なる食感を有することができる。この食感の違いは、少なくとも部分的には粘着性の違いに起因する可能性があり、摂食体験の顕著な違いをもたらす可能性がある。さらに、95%粘着細胞及び5%乾燥培養動物細胞粉末を含む調理済み食用細胞ベースの食品に対応するバー618は、約0.4グラムの粘着性の絶対値を示す。80%粘着細胞及び20%乾燥培養動物細胞粉末を有する調理済み食用細胞ベースの食品に対応するバー620は、約10.1グラムの粘着性の絶対値を示す。
【0112】
図6は、乾燥培養動物細胞粉末を添加することが、調理済みの食用細胞ベースの食品の粘着性をどのように改変又は調整することができるかを示す。特に、
図6は、1つ以上の実施形態では、乾燥培養動物細胞粉末を食用細胞ベースの食品に添加することが、従来の屠殺された調理済み肉とより一致するように粘着性をどのように調整することができるかを示す。特に、1つ以上の実施形態は食用細胞ベースの食品に一定量の乾燥培養動物細胞粉末を添加して、従来の屠殺された調理済みの肉の平均値粘着性と一致する(すなわち、許容される耐性内にある)ように平均値粘着性を調整することを含む。本明細書の開示に照らして、従来の屠殺肉の粘着性により近い粘着性を有することにより、消費者に期待される食体験を提供することが理解されるであろう。従来の屠殺肉からの粘着性の偏差が大きすぎると、食用細胞ベースの食品の粘着性が高すぎたり、粘着性が高すぎたりするとの知覚につながる可能性がある。他の特性は粘着性に加えて食感に影響を及ぼすが、許容される許容差よりも大きい偏差を有することは、料理の期待が満たされないもたらすことを可能性がある。一方、食用の細胞ベースの食品の粘着性が従来の屠殺肉に近いほど、消費者はポジティブな食体験を有する可能性が高い。
【0113】
図6によって示されるように、噴霧乾燥された細胞のパーセント組成は増加した平均値粘着性と相関するが、ここで捕捉された高いパーセントの噴霧乾燥された細胞複製は、低いパーセントの噴霧乾燥された細胞の実施形態と重複する大きな標準偏差を示し、これはさらなる精製の潜在的必要性を示す。それにもかかわらず、組成物噴霧乾燥された細胞のすべてのパーセントにわたる複製は、より高い組成物噴霧乾燥された細胞のパーセントでのみより高い粘着性スコアが可能となることを示す。例えば、1つ以上の実施形態では、乾燥培養動物細胞粉末の添加は、調理済みの食用細胞ベースの肉製品の粘着性を、対応する従来の屠殺された調理済み肉の粘着性と比較して、30パーセント未満、20パーセント未満、10パーセント未満、又は5パーセント未満のパーセント差を有するように調整することができる。
【0114】
図7は、1つ以上の実施形態による、様々な割合の乾燥培養動物細胞粉末を含む生の食用細胞ベースの食品の90%歪圧縮における硬度を示す。例示のために、グラフ700は、グラム製品のピーク力(硬度)を示すy軸702と、食用細胞ベースの食品の調製を示すx軸704とを含む。
【0115】
図7に示されるように、100%粘着細胞を有する調理済み食用細胞ベースの食品に対応するバー706は、約5,020.4グラムのピーク力の硬度を示す。さらに、95%粘着細胞及び5%乾燥培養動物細胞粉末を含む調理済み食用細胞ベースの食品に対応するバー708は、約12,313.2グラムのピーク力の硬度を示す。また、80%粘着細胞及び20%乾燥培養動物細胞粉末を有する調理済み食用細胞ベースの食品に対応するバー710は、約23,295.1グラムのピーク力の硬度を示す。したがって、
図7は、乾燥培養動物細胞粉末を添加することが、調理済みの食用細胞ベースの食品の硬度をどのように改変又は調整することができるかを示す。
【0116】
図8は、1つ以上の実施形態による、様々な割合の乾燥培養動物細胞粉末を含む調理済み食用細胞ベースの食品の90%歪圧縮での粘着性を示す。例示のために、グラフ800は、グラム製品の粘着性の絶対値を示すy軸802と、食用細胞ベースの食品の調製を示すx軸804とを含む。
【0117】
図8に示されるように、100%粘着細胞を有する調理済み食用細胞ベースの食品に対応するバー806は、約111.8グラムの粘着性の絶対値を示す。さらに、95%粘着細胞及び5%乾燥培養動物細胞粉末を含む調理済み食用細胞ベースの食品に対応するバー808は、約51.8グラムの粘着性の絶対値を示す。さらに、80%粘着細胞及び20%乾燥培養動物細胞粉末を有する調理済み食用細胞ベースの食品に対応するバー810は、約77.4グラムの粘着性の絶対値を示す。したがって、
図8は、乾燥培養動物細胞粉末を添加することが、調理済みの食用細胞ベースの食品の粘着性をどのように改変又は調整することができるかを示す。
【0118】
図5~8に関連して試験された実施例は乾燥培養動物細胞粉末と組み合わされた粘着細胞を含んだが、他の実装形態は、懸濁細胞及び乾燥培養動物細胞粉末から生成された食用細胞ベースの肉製品、又は乾燥培養動物細胞粉末とともに粘着細胞と懸濁細胞との組み合わせを含む。そのような実装形態では、食感(例えば、硬度及び/又は粘着性)を調整するための乾燥培養動物細胞粉末の重量パーセントは
図5~8に関連して示される値よりも高くてもよい。言い換えれば、食用細胞ベースの食品に使用される培養動物細胞の種類は、所望の食感を達成するために食用細胞ベースの食品に含める乾燥培養動物細胞粉末の量に影響を及ぼし得る。具体的には、粘着性細胞ベースの食品は、所望の食感を達成するために、懸濁細胞ベースの食品よりも少ない乾燥培養動物細胞粉末を必要としてもよい。同様の線に沿って、粘着細胞及び懸濁細胞の両方を含む食用細胞ベースの食品は、懸濁細胞ベースの食品よりも少ない乾燥培養動物細胞粉末、並びに粘着細胞ベースの食品よりも多い乾燥培養動物細胞粉末を必要としてもよい。
【0119】
[実施例1:非水和鶏肉粉末又は類似の植物由来の代替物、塩、及び水との粘着性並びに懸濁性鶏肉細胞混合物]
全組成物の少なくとも50重量%を含む70%粘着細胞と30%懸濁細胞との混合物を、細胞が互いに接着するまで混合することによって調製する。次いで、混合物を処理し、約1/4インチの小片に細断する。これらの断片を塩水に導入し、回転させた後、除去し、脱水動物細胞粉末、若しくは類似の植物ベースの代替物、又はその両方の組み合わせに導入する。脱水された動物細胞粉末又は類似の植物代替物は、粉末が全組成物の20重量%までを構成するまで混合物に添加される。塩は、それが全組成物の3重量%までを構成するまで添加される。トリポリリン酸ナトリウムは、それが全組成物の0.5重量%までを構成するまで添加される。プレゲル・タピオカやコーンスターチなどの安定剤、及びカラゲナンやキサンタンガムは、重量比で組成全体の最大13%を構成するまで添加される。追加の香辛料及び香味剤は、それらが全組成物の残りを重量で含むまで添加される。次いで、混合物が、消費のために所望の形態に成形され調理される。
【0120】
[実施例2:非水和鶏肉粉末又は類似の植物由来の代替物、塩、水、リン酸塩、安定剤、香辛料及び香味剤との粘着性並びに懸濁性鶏肉細胞混合物]
【0121】
組成物全体の少なくとも97重量%を含む70%粘着細胞と30%懸濁細胞との混合物を、細胞が互いに接着するまで混合することによって調製する。次いで、混合物を処理し、約1/4インチの小片に細断する。これらの断片を塩水に導入し、回転させた後、除去し、脱水動物細胞粉末、若しくは類似の植物ベースの代替物、又はその両方の組み合わせに導入する。脱水された動物細胞粉末又は類似の植物代替物は、粉末が組成物全体の1重量%%までを構成するまで混合物に添加される。塩は、それが組成物全体の0.5重量%までを構成するまで添加される。トリポリリン酸ナトリウムは、それが全組成物の0.5重量%までを構成するまで添加される。プレゲル・タピオカやコーンスターチなどの安定剤、及びカラゲナンやキサンタンガムは、重量比で組成全体の最大0.5%を構成するまで添加される。追加の香辛料及び香味剤は、それらが全組成物の残りを重量で含むまで添加される。
【0122】
図1~8、対応する本文、及び実施例は、1つ以上の実施形態による、培養された乾燥細胞粉末を利用して、食用細胞ベースの食品の1つ以上の特性を調整することに関するいくつかの異なるシステム、方法、技術、構成要素、並びに/又はデバイスを提供する。上記の説明に加えて、1つ以上の実施形態は、特定の結果を達成するための工程を含むフローチャートに関して説明することもできる。
図9~
図10は、そのような工程のフローチャートを示す。本明細書に記載される工程は、互いに並行して、又は同じか若しくは同様の工程の異なるインスタンスと並行して、繰り返されてもよく、又は実行されてもよい。
【0123】
図9は、一連の工程900のフローチャートを示す。概略として、一連の工程900は、培養動物細胞と乾燥培養動物細胞粉末とを組み合わせる工程902と、培養動物細胞と乾燥培養動物細胞粉末との組み合わせから均質な混合物を生成する工程904と、均質な混合物を食品の形状に形成する工程906とを含む。
【0124】
図9に示す一連の工程900は、培養動物細胞と乾燥培養動物細胞粉末とを組み合わせる工程902を含む。特に、工程902は、培養懸濁細胞又は培養粘着細胞のうちの1つ以上と、乾燥培養動物細胞粉末とを組み合わせることを含む。いくつかの実施形態では、工程902が培養動物粘着細胞と乾燥培養動物細胞粉末とを組み合わせることを含む。例えば、工程902は、バイオリアクターから培養動物粘着細胞の細胞シートを採取することを含むことができる。工程902は、細胞シートのサイズを縮小することも含むことができる。例えば、工程902は、培養動物粘着細胞の凝集体のサイズを低減するために細胞シートを細断することを含むことができる。工程902は、培養動物粘着細胞の凝集体の含水量を低減することをさらに含むことができる。1つ以上の実施形態では、培養動物粘着細胞の凝集体の含水量を減少させることは培養動物粘着細胞を真空乾燥することを含む。
【0125】
1つ以上の実施形態では、工程902は、培養動物細胞と乾燥培養動物細胞粉末とを組み合わせて、1重量%~30重量%の乾燥培養動物細胞粉末と70重量%~99重量%の培養動物細胞とを含む組み合わせを形成することを含む。1つ以上の実施形態では、工程902が培養動物細胞の種類(例えば、粘着対懸濁対粘着及び懸濁の組み合わせ)に基づいて、乾燥培養動物細胞粉末の量を調整することを伴う。さらに別の実施形態では、工程902が形成される食用細胞ベースの食品の種類(例えば、鶏肉対挽肉牛対エビ)に基づいて、乾燥培養動物細胞粉末の量を調整することを含む。
【0126】
工程902は、乾燥培養動物細胞粉末を調製することをさらに含むことができる。例えば、工程902は、懸濁液中で動物細胞を増殖させることを含む。工程902は、乾燥培養動物細胞粉末を形成するために、培養懸濁細胞を噴霧乾燥することを含むことができる。あるいは、乾燥培養動物細胞粉末を調製することは培養動物粘着細胞の凝集の一部を脱水し、それらを粉末に粉砕して乾燥培養動物細胞粉末を形成することを含むことができる。
【0127】
一連の工程900は、培養動物細胞と乾燥培養動物細胞粉末との組み合わせから均質の混合物を生成する工程904を含む。特に、1つ以上の実施形態では、工程904が真空下で培養動物細胞と乾燥培養動物細胞粉末とを混合することを含む。
【0128】
任意選択的に、工程904は、少なくとも1つの安定化結合剤を添加して、形成及び調理中に食用細胞ベースの食品に構造を提供することを含む。例えば、工程904は、多糖類、ガム、又はデンプンのうちの1つ以上を均質の混合物に添加することを含むことができる。任意選択的に、工程904は、少なくとも1つの構成要素を添加して、風味、食感、構造的完全性、又は栄養価を食用細胞ベースの食品に向上させることをさらに含む。例えば、工程904は、塩、水、リン酸塩、植物ベースのタンパク質単離物、防腐剤、香辛料、又は様々なビタミン及びミネラルのうちの1つ以上を均質な混合物に添加することを含むことができる。
【0129】
図9は、均質の混合物を食品の形状に形成する工程906をさらに含む。例えば、工程906は、均質な混合物を、鶏胸、挽肉パティ、エビの尾、ソーセージのチューブなどの形状に真空成形することを含む。
【0130】
図10は、一連の工程1000を示す。概略として、一連の工程1000は、培養動物細胞を提供する工程1002と、1つ以上の食感特性を適合させるために、乾燥培養動物細胞粉末を培養動物細胞と組み合わせる工程1004と、乾燥培養動物細胞粉末と培養動物細胞との組み合わせを肉製品の形状に形成する工程1006とを含む。
【0131】
一連の工程1000は、培養動物細胞を提供する工程1002を含む。例えば、工程1002は、細胞の第1のセット及び細胞の第2のセットを増殖させることを含むことができる。特に、工程1002は、細胞の第1のセット及び細胞の第2のセットを懸濁液中で増殖させることを含む。いくつかの実施形態では細胞の第1のセットが筋細胞、脂肪細胞、又は線維芽細胞のうちの少なくとも1つからの第1の種類の細胞を含み、細胞の第2のセットは筋細胞、脂肪細胞、又は線維芽細胞のうちの少なくとも1つからの第2の種類の細胞を含む。工程1002はまた、細胞の第1のセット及び細胞のセットを播種することを含むことができる。特に、工程1002は、細胞の第1のセットを基材上に播種することを含む。いくつかの実施形態では、工程1002は、流出細胞密度が流出細胞密度閾値を下回るまで、細胞の第1のセットを基材上で循環させることによって、細胞の第1のセットを基材上に播種することを含む。いくつかの実施形態では、基材はステンレス鋼を含み、細胞の第1のセットは線維芽細胞を含む。工程1002は播種された第1の細胞セットを細胞組織(例えば、粘着性細胞シート)へと増殖させることをさらに含むことができる。
【0132】
一連の工程1000は、乾燥培養動物細胞粉末を形成することをさらに含むことができる。例えば、一連の工程1000は、懸濁液中で増殖させた細胞の第2のセットから乾燥培養動物細胞粉末を形成することを含むことができる。例えば、一連の工程1000は、懸濁液中で増殖させた細胞の第2のセットを噴霧乾燥することを含むことができる。
【0133】
図10は、乾燥培養動物細胞粉末を培養動物細胞と組み合わせて、1つ以上の食感特性を適合させる工程1004をさらに示す。例えば、1つ以上の実施形態では、工程1004が乾燥培養動物細胞粉末を培養動物細胞と組み合わせて、食用細胞ベースの肉製品の硬度を増加させることを含む。追加的に、又は代替的に、工程1004は、食用細胞ベースの肉製品の粘着性を増加させるために、乾燥培養動物細胞粉末を培養動物細胞と組み合わせることを含む。
【0134】
図10は、乾燥培養動物細胞粉末と培養動物細胞との組み合わせを肉製品の形状に形成する工程1006をさらに含む。例えば、工程1006は、乾燥培養動物細胞粉末と培養動物細胞との組み合わせを、鶏胸、挽肉パティ、エビの尾、ソーセージのチューブなどの形状に真空形成することを含む。
【0135】
1つ以上の実施形態では、一連の工程1000が食用細胞ベースの肉製品を調理することを含む。そのような実施形態では、調理済み食用細胞ベースの肉製品が対応する従来の屠殺済み調理済み肉の粘着性と比較して、30パーセント未満のパーセント差を有する粘着性を含む。例えば、調理済みの食用細胞ベースの肉製品は、対応する従来の屠殺された調理済みの肉の粘着性と比較して、25パーセント未満、20パーセント未満、15パーセント未満、10パーセント未満、又は5パーセント未満のパーセント差を有する粘着性を含む。
【0136】
さらに、調理済み食用細胞ベースの肉製品は、対応する従来の屠殺済み調理済み肉の硬度と比較して、30パーセント未満のパーセント差を有する硬度を含むことができる。例えば、調理済みの食用細胞ベースの肉製品は、対応する従来の屠殺された調理済みの肉の硬度と比較して、25パーセント未満、20パーセント未満、15パーセント未満、10パーセント未満、又は5パーセント未満のパーセント差を有する硬度を含む。
【0137】
慣例に従って、図面に示される様々な特徴は、一定の縮尺で描かれていない場合がある。本開示で提示される例示は任意の特定の装置(たとえば、デバイス、システムなど)又は方法の実際の図であることを意味するものではなく、本開示の様々な実施形態を説明するために使用される理想化された表現にすぎない。したがって、様々な特徴の寸法は、明確にするために任意に拡大又は縮小されてもよい。加えて、図面のいくつかは、明確にするために簡略化されてもよい。したがって、図面は、所与の装置(たとえば、デバイス)の構成要素のすべて、又は特定の方法のすべての動作を描写していなくともよい。
【0138】
本明細書及び特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本体)で使用される用語は一般に、「開いた」用語として意図される(例えば、「含んでいる」という用語は「含んでいるが、限定されない」と解釈されるべきであり、「有する」という用語は「少なくとも有する」と解釈されるべきであり、「含む」という用語は「含むが、限定されない」などと解釈されるべきである)。
【0139】
加えて、導入されたクレームの特定の数が意図される場合、そのような意図は、クレームにおいて明示的に列挙され、そのような列挙がない場合、そのような意図は存在しない。例えば、理解を助けるために、以下の添付の特許請求の範囲は、特許請求の範囲の記載を導入するための導入句「少なくとも1つ」及び「1つ以上」の使用を含むことができる。しかしながら、そのような語句の使用は、不定冠詞「a」又は「an」による請求項の引用の導入が、同じ請求項が導入語句「1つ以上」又は「少なくとも1つ」並びに「a」又は「an」などの不定冠詞(例えば、「a」及び/若しくは「an」は「少なくとも1つ」又は「1つ以上」を意味すると解釈されるべきである)を含む場合であっても、そのような引用を含むいずれかの特定の請求項がそのような引用を1つのみ含む実施形態に限定することを意味すると解釈されるべきではなく、同じことが、請求項の引用を導入するために使用される確定冠詞の使用にも当てはまる。
【0140】
加えて、導入されたクレームの具体的な数が明示的に列挙されたとしても、当業者はそのような列挙が少なくとも列挙された数(例えば、他の修飾語、少なくとも2つの列挙、又は2つ以上の列挙を伴わない、「2つの列挙」のただの列挙)を意味すると解釈されるべきであることを認識するであろう。さらに、「A、B、及びCなどのうちの少なくとも1つ」又は「A、B、及びCなどのうちの1つ以上」に類似する慣例が使用される場合、一般に、そのような構成はAのみ、Bのみ、Cのみ、AとBとがともに、AとCとがともに、BとCとがともに、又はA、B、及びCとがともになどを含むことが意図される。例えば、用語「及び/又は」の使用は、このように解釈されることが意図される。
【0141】
さらに、説明、特許請求の範囲、又は図面に関わらず、2つ以上の代替用語を提示する任意の選言語又は句は、用語のうちの1つ、用語のうちのいずれか、若しくは両方の用語を含む可能性を企図するものと理解されたい。例えば、語句「A又はB」は、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むと理解されるべきである。
【0142】
しかしながら、そのような語句の使用は、不定冠詞「a」又は「an」による請求項の引用の導入が、同じ請求項が導入語句「1つ以上」又は「少なくとも1つ」並びに「a」又は「an」などの不定冠詞(例えば、「a」及び/若しくは「an」は「少なくとも1つ」又は「1つ以上」を意味すると解釈されるべきである)を含む場合であっても、そのような引用を含むいずれかの特定の請求項がそのような引用を1つのみ含む実施形態に限定することを意味すると解釈されるべきではなく、同じことが、請求項の引用を導入するために使用される確定冠詞の使用にも当てはまる。
【0143】
加えて、用語「第1の」、「第2の」、「第3の」などの使用は、本明細書では、必ずしも特定の順序又は数の要素を意味するためには使用されない。一般に、用語「第1の」、「第2の」、「第3の」などは、異なる要素を一般識別子として区別するために使用される。「第1の」、「第2の」、「第3の」などの用語が特定の順序を意味することを示していない場合、これらの用語は、特定の順序を意味すると理解されるべきではない。さらに、「第1の」、「第2の」、「第3の」などの用語が要素の特定の個数を意味することを示していない場合、これらの用語は要素の特定の個数を意味すると理解されるべきではない。例えば、第1のウィジェットは第1の側を有するものとして説明されてもよく、第2のウィジェットは第2の側を有するものとして説明されてもよい。第2のウィジェットに関する用語「第2の側」の使用は、第2のウィジェットのそのような側を第1のウィジェットの「第1の側」から区別することであってよく、第2のウィジェットが2つの側を有することを意味するものではない。
【0144】
本明細書に列挙されるすべての例及び条件付き言語は、本発明及び本発明者によって当該技術分野を促進するために寄与される概念を読者が理解するのを助けるための教育的目的を意図しており、そのような具体的に列挙された例並びに条件に限定されないと解釈されるべきである。本開示の実施形態を詳細に説明してきたが、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更、置換、並びに変更を行うことができることを理解されたい。
【0145】
本発明は、その精神又は本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で実装されてもよい。実際、説明した実施形態は、あらゆる点で例示的なものにすぎず、限定的なものではないとみなされるべきである。例えば、本明細書で説明する方法はより少ない又はより多いステップ/工程で実行されてもよく、又はステップ/工程は異なる順序で実行されてもよい。加えて、本明細書に記載されるステップ/工程は、同じ又は同様のステップ/工程の異なるインスタンスに対して、互いに並行して、又は並行して、繰り返されてもよく、又は実行されてもよい。したがって、本発明の範囲は、前述の説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲と等価の意味及び範囲内で生じる全ての変更は、それらの範囲内に含まれるものとする。
【国際調査報告】