(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】電気化学デバイスでの流体回路の内圧を調整するための弁を制御するための方法およびモジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04746 20160101AFI20240621BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20240621BHJP
H01M 8/04089 20160101ALI20240621BHJP
H01M 8/0438 20160101ALI20240621BHJP
H01M 8/04992 20160101ALI20240621BHJP
C25B 15/025 20210101ALI20240621BHJP
B64D 27/355 20240101ALI20240621BHJP
【FI】
H01M8/04746
H01M8/04 J
H01M8/04089
H01M8/0438
H01M8/04992
H01M8/04 Z
C25B15/025
B64D27/355
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572775
(86)(22)【出願日】2022-05-31
(85)【翻訳文提出日】2024-01-11
(86)【国際出願番号】 EP2022064675
(87)【国際公開番号】W WO2022253790
(87)【国際公開日】2022-12-08
(32)【優先日】2021-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516284345
【氏名又は名称】サフラン・パワー・ユニッツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベルナール,キリアン・フランク・クロード
(72)【発明者】
【氏名】ビアレ,ロバン・ジャック・マリー
(72)【発明者】
【氏名】クラッスー,オリビエ・ラファエル・ルネ
(72)【発明者】
【氏名】ステファン,レミ・アンドレ・アルマン
【テーマコード(参考)】
4K021
5H127
【Fターム(参考)】
4K021AA01
4K021BA02
4K021BB04
4K021BC01
4K021CA08
4K021CA13
5H127AB04
5H127AC15
5H127BA02
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB37
5H127BB40
5H127CC01
5H127DB23
5H127DC69
5H127DC76
(57)【要約】
電気化学デバイス(2)での流体回路(3)の内圧(Pint)を調整するための圧力調整弁(6)を制御するための方法であって、前記流体回路(3)が、外圧(Pext)において空気を取り込み、圧縮比(A)に従って内圧(Pint)において空気を圧縮する圧縮機(4)によって供給され;前記方法が、外圧(Pext)を測定するステップと、内圧(Pint)および圧縮比(A)に従って電気化学デバイス(2)および圧縮機(4)の全体効率(R1)を促進させるように、測定された外圧(Pext)と圧縮範囲(B)とに基づいて内圧設定値(Pint
*)を決定するステップと、内圧設定値(Pint
*)に達するように圧力調整弁(6)を制御するステップとを含む、方法が開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学デバイス(2)での流体回路(3)の内圧(P
int)を調整するための弁(6)を制御するための方法であって、前記流体回路(3)が、外圧(P
ext)において流体を取り込み、所定の圧縮範囲(B)に属する圧縮比(A)に従って内圧(P
int)まで流体を圧縮するように構成された圧縮機(4)によって供給され、前記調整弁(6)が、流体回路(3)の下流に取り付けられ、前記方法が、設定内圧(P
int
*)に達するように調整弁(6)を制御するステップ(E3)を含み、方法が、
- 所定のデータ、すなわち、
- 内圧(P
int)に応じての電気化学デバイス(2)の効率(R2)、
- 圧縮比(A)に応じての圧縮機(4)の効率(R4)、
- 電気化学デバイス(2)の効率(R2)および圧縮機(4)の効率(R4)に応じての全体効率(R1)
から実施され、
- 外圧(P
ext)を測定するステップ(E1)と、
- 全体効率(R1)を向上させるように、測定された外圧(P
ext)と圧縮範囲(B)とから設定内圧(P
int
*)を決定するステップ(E2)と
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
設定内圧(P
int
*)を決定するステップ(E2)が、
- 試験内圧(P
T)から電気化学デバイス(2)の試験効率(R
T)を計算する段階(E2-1)であって、前記試験内圧(P
T)が、圧縮機(4)の効率(R4)を向上させるように、測定された外圧(P
ext)と、圧縮範囲(B)に属する所定の圧縮比(At)とから計算される、計算する段階(E2-1)と、
- 電気化学デバイス(2)の試験効率(R
T)が所定の最小効率閾値(S1)未満である限り、圧縮機(4)の圧縮範囲(B)に属するインクリメントされた新たな試験圧縮比(A
T)から試験効率(R
T)を計算する新たな段階(E2-2)と
を含み、
- 設定内圧(P
int
*)が、試験効率(R
T)が最小効率閾値(S1)を遵守する試験内圧(P
T)に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
設定内圧(P
int
*)を決定するステップ(E2)が、
- 測定された外圧(P
ext)および圧縮範囲(B)から許容可能な内圧の範囲(PP
A)を計算する段階(E2-A)と、
- 測定された外圧(P
ext)により、内圧(P
int)に応じて全体効率(R1)が再定義され、許容可能な内圧の範囲(PP
A)にわたる全体効率(R1)の最大化の段階(E2-B)と
を含み、
- 設定内圧(P
int
*)が、全体効率(R1)が最大である許容可能な内圧(P
A)に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
電気化学デバイス(2)の効率(R2)が内圧(P
int)に比例し、圧縮機(4)の効率(R4)が、一定の外圧(P
ext)において、内圧(P
int)に反比例する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
電気化学デバイス(2)が、内圧(P
int)に応じて予め定められた効率(R9)を有する冷却回路(9)によって冷却され、全体効率(R1)が、冷却回路(9)の効率(R9)に応じている、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
電気化学デバイス(2)の効率(R2)が流体回路(3)内の酸素レベル(O)に応じており、制御方法が、流体回路(3)内の酸素レベル(O)を測定するステップ(E0)を含み、決定ステップ(E2)が、測定された酸素レベル(O)から実施される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
電気化学デバイス(2)が燃料電池の形態であり、好ましくは、流体回路(3)が、優先的には中を空気が流れる、燃料電池のカソード回路の形態である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
電気化学デバイス(2)が、第2の調整弁(11)によって制御される第2の内圧(P10)の第2の流体回路(10)を備え、制御方法が、|P10
*-P
int
*|<S2を検証する第2の設定内圧(P10
*)に達するように第2の調整弁(11)を制御するステップ(E4)を含み、ここで、(S2)が、所定の最大圧力変動閾値を指定する、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
電気化学デバイス(2)が、航空機に搭載されて、その電気エネルギーの供給を少なくとも一部確実にし、前記方法が、航空機の飛行中に実施される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の方法の実施のための、電気化学デバイス(2)での流体回路(3)の内圧(P
int)を調整するための弁(6)を制御するためのモジュールであって、前記流体回路(3)が、外圧(P
ext)において流体を取り込み、所定の圧縮範囲(B)に属する圧縮比(A)に従って内圧(P
int)まで流体を圧縮するように構成された圧縮機(4)によって供給され、前記制御モジュールが、
- 外圧(P
ext)を測定するための部材(8)と、
- 所定のデータ、すなわち、
- 内圧(P
int)に応じての電気化学デバイス(2)の効率(R2)、
- 圧縮比(A)に応じての圧縮機(4)の効率(R4)、
- 電気化学デバイス(2)の効率(R2)および圧縮機(4)の効率(R4)に応じての全体効率(R1)
を記憶するための部材と、
- 全体効率(R1)を向上させるように、測定された外圧(P
ext)と圧縮範囲(B)とから設定内圧(P
int
*)を決定するように構成された計算部材と、
- 設定内圧(P
int
*)に達するための調整弁(6)の弁アクチュエータ(7)と
を備える、モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に航空機に搭載される電気化学デバイス(燃料電池、電解槽など)の分野に関し、特にそのような電気化学デバイスでの内圧の調整を対象とする。
【背景技術】
【0002】
知られているように、燃料電池は、燃料である水素と、酸化剤である空気中に存在する酸素との酸化還元反応から電気エネルギーを生成することを可能にする。
図1を参照すると、燃料電池200は、酸化還元反応が生じる複数のセル210のスタックを備え、これらのセル210は、2枚のエンドプレート220の間に保持されて、生成された電気エネルギーを収集できるようにする。また、燃料電池200は、カソード回路300およびアノード回路310を備え、セル210にそれぞれ空気および水素を供給し、酸化還元反応の生成物、すなわち水と微量の水素および空気とを排出することを可能にする。
【0003】
航空機に搭載される燃料電池200のコンテキストでは、カソード回路300の空気は、従来、航空機の内部または外部で取り込まれ、すなわち高度に応じて物理化学的特性が変化する外部環境で取り込まれる。特に、外圧Pextと呼ばれる気圧は高度と共に減少し、例えば17000mの高い航空機高度では約9000Paに達する。同じことが、特に空気の温度および酸素濃度にも当てはまる。そのような変動は、燃料電池200の動作条件を変更させ、燃料電池200の性能を低減させる可能性があり、これは望ましくない。
【0004】
燃料電池200の動作条件を制御するために、カソード回路300の上流に圧縮機400を取り付け、カソード回路300の下流に内圧を調整するための弁600を取り付けることが知られている。
図1に示されるように、圧縮機400は、燃料電池200の性能を最適化することを可能にする課せられた質量流量Q
optおよび内圧P
optに従って、外部環境から取り込んだ空気を圧縮してカソード回路300に注入することを可能にする。調整弁600は、燃料電池200内の課された内圧P
optを維持してその効率を最適化するために、その一部に可変通路セクションを備える。同じ原理による実施形態が、仏国特許出願公開第3074363A1号から知られている。
【0005】
しかし、実際には、航空機の飛行中の外圧Pextの変動により、燃料電池200の最適な性能を維持するために、広い圧縮比範囲を有する圧縮機400のディメンジョニングが必要である。圧縮機400のそのようなディメンジョニングは、望ましくないことに、その質量、その体積、およびそのコストを増加させる。
【0006】
さらに、燃料電池200の効率の最適化は、特に高い高度で、圧縮機400の高い電力消費を必要とする。圧縮機400は従来、燃料電池200によって電気的に供給され、その結果、航空機に供給することを意図された燃料電池200の電気生成の利得は、圧縮機400の電力消費によって少なくとも一部失われる。
【0007】
これらの欠点をなくすために、1つの解決策は、カソード回路300内の課される内圧Poptの値を低減することである。しかし、これは、燃料電池200の性能を許容できないほど低減させる。
【0008】
したがって、本発明は、燃料電池、より一般には電気化学デバイス、特に航空機に搭載される電気化学デバイスの内圧を調整するための弁を制御するための方法およびモジュールを提案することによって、これらの欠点の少なくとも一部をなくすことを狙いとする。
【0009】
従来技術による燃料電池は、米国特許出願公開第20190267645A1号、国際公開第2011089502A1号、および米国特許出願公開第20080088043A1号によって従来技術で知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】仏国特許出願公開第3074363号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2019/0267645号明細書
【特許文献3】国際公開第2011/089502号
【特許文献4】米国特許出願公開第2008/0088043号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、電気化学デバイスでの流体回路の内圧を調整するための弁を制御するための方法に関す、前記流体回路が、外圧において流体を取り込み、所定の圧縮範囲に属する圧縮比に従って内圧まで流体を圧縮するように構成された圧縮機によって供給され、前記方法が、設定内圧に達するように調整弁を制御するステップを含む。
【0012】
本発明は、方法が:
- 所定のデータ、すなわち:
- 内圧に応じての電気化学デバイスの効率、
- 圧縮比に応じての圧縮機の効率、
- 電気化学デバイスの効率および圧縮機の効率に応じての全体効率
から実施され、
- 方法が:
- 外圧を測定するステップと、
- 全体効率を向上させるように、測定された外圧と圧縮範囲とから設定内圧を決定するステップと
を含む点で注目に値する。
【0013】
本発明は、有利には、電気化学デバイスにより得られる全体効率、すなわち電気化学デバイスおよびその動作を可能にする関連する要素のアセンブリによって形成される電気生産システムの効率を向上させることを可能にする。関連する要素は、特に、電気化学デバイスの流体回路を供給する圧縮機、電気化学デバイスの冷却回路などを指定する。したがって、そのような全体効率は、電気化学デバイスの電気生成に基づくが、その関連する要素の電力消費にも基づく。これにより、電気化学デバイスによって実際に発生される電力を考慮することが可能になり、これは、電気化学デバイスが発生する電力から、動作のために消費する電力を引いた値に直接的または間接的に対応する。そのような全体的な手法は、関連する要素を考慮せずに電気化学デバイスのみの効率を向上させることを狙いとする従来技術とは異なる。
【0014】
全体効率を向上させるために、本発明は、有利には、下流に取り付けられた調整弁を制御することによって、単一のパラメータ、すなわち流体回路の内圧を簡単で実用的な方法で調整することを提案する。決定された設定内圧は、有利には、電気化学デバイスが位置する環境の物理化学的データ、特に外圧と、電気化学デバイスおよびその関連する要素、特に圧縮機の性能データとに基づく。
【0015】
本発明の一態様によれば、設定内圧を決定するステップが:
- 試験内圧から電気化学デバイスの試験効率を計算する段階であって、前記試験内圧が、圧縮機の効率を向上させるように、測定された外圧と、圧縮範囲に属する所定の圧縮試験比とから計算される、計算する段階と、
- 電気化学デバイスの試験効率が所定の最小効率閾値未満である限り、圧縮機の圧縮範囲に属するインクリメントされた新たな試験圧縮比から試験効率を計算する新たな段階と
を含み、
- 設定内圧が、試験効率が最小効率閾値に従う試験内圧に対応する。
【0016】
したがって、そのような試験手法は、圧縮機に関する許容できる仮説の圧縮比から、対応する電気化学デバイスの効率も許容できることを検証することにある。そのような試験手法により、外圧と、電気化学デバイスおよびその関連する要素の性能データとの簡単な測定から、電気化学デバイスとその関連する要素との両方が良好な動作条件になる内圧値を決定することが可能になる。特に、決定ステップの終了時に選定される設定内圧は、圧縮機の電力消費を制限しながら、電気化学デバイスの良好な効率を確実にする。外圧が変更されると、実用的に新たな設定内圧を決定することができる。
【0017】
本発明の別の態様によれば、設定内圧を決定するステップが:
- 測定された外圧および圧縮範囲から許容可能な内圧の範囲を計算する段階と、
- 測定された外圧により、内圧に応じて全体効率が再定義され、許容可能な内圧の範囲にわたる全体効率の最大化の段階と
を含み、
- 設定内圧が、全体効率が最大である許容可能な内圧に対応する。
【0018】
そのような最適化手法は、電気化学デバイスの効率を内圧に応じたものとして考え、圧縮機の効率を2つの変数、すなわち内圧および外圧に応じたものとして考える。外圧の測定から、全体効率が内圧に応じて書き換えられ、許容可能な内圧の範囲にわたって最大化される。そのような手法は、有利には、例えば航空機への搭載時の高い高度においてのように特に外圧が高いときに、電気化学デバイスの動作点とは異なるエネルギー生成システムの最適な動作点を決定することを可能にする。
【0019】
本発明の一態様によれば、電気化学デバイスの効率は内圧に比例し、圧縮機の効率は、一定の外圧において、内圧に反比例する。したがって、決定された設定内圧は、電気化学デバイスの性能を向上させるように十分に高く、および圧縮機のエネルギー消費を制限するのに十分に低く選定される。
【0020】
本発明の一態様によれば、電気化学デバイスが、内圧に応じて予め定められた効率を有する冷却回路によって冷却され、全体効率が、冷却回路の効率に応じている。決定された設定内圧により、有利には、圧縮機および冷却回路のエネルギー消費を考慮することによって、全体としてエネルギー生成システムの動作を向上させることが可能になる。
【0021】
本発明の一態様によれば、電気化学デバイスの効率が流体回路内の酸素レベルに応じており、制御方法が、流体回路内の酸素レベルを測定するステップを含み、決定ステップが、測定された酸素レベルから実施される。設定内圧は、有利には、電気化学デバイスが取り付けられる環境のいくつかの物理化学的条件、すなわち外圧および存在する酸素レベルから決定される。
【0022】
本発明の一態様によれば、電気化学デバイスが燃料電池の形態であり、好ましくは、流体回路が、好ましくは中を空気が流れる、燃料電池のカソード回路の形態である。燃料電池の動作条件は、有利には、空気の外圧および酸素レベルなど、燃料電池が取り付けられる外部環境の物理化学的条件に特に基づく。
【0023】
本発明の一態様によれば、電気化学デバイスが、第2の調整弁によって制御される第2の内圧の第2の流体回路を備え、制御方法が、|P10*-Pint
*|<S2を検証する第2の設定内圧P10*に達するように第2の調整弁を制御するステップを含み、ここで、S2は、所定の最大圧力変動閾値を指定し、Pint
*は、第1の流体回路の第1の調整弁の設定内圧である。ここで、第1の流体回路および第1の調整弁は、前述した流体回路および調整弁を指定し、第2の流体回路および第2の調整弁と区別される。したがって、本発明による方法は、電気化学デバイスの酸化剤回路と燃料回路との両方での内圧を制御することを可能にする。これにより、電気化学デバイス内で実質的に均質な圧力を確実にし、したがってその正しい動作を保証し、その耐用年数を増加させることが可能になる。
【0024】
本発明の好ましい態様によれば、第2の流体回路は、好ましくは中を水素が流れる、燃料電池アノード回路の形態である。したがって、本発明による方法は、燃料電池の酸化剤回路と燃料回路との両方での内圧を制御することを可能にする。
【0025】
本発明の一態様によれば、電気化学デバイスが、航空機に搭載されて、その電気エネルギー供給を少なくとも一部確実にし、前記方法が、航空機の飛行中に実施される。本発明による方法は、物理化学的条件が高度に応じて大幅に変化するため、航空機に搭載された電気化学デバイスに特に有利である。したがって、本発明による方法は、航空機の高度に関係なく、全体効率を向上させるように、飛行中に設定内圧を適応させることを可能にする。
【0026】
本発明はまた、前述の方法の実施のための、電気化学デバイスでの流体回路の内圧を調整するための弁を制御するためのモジュールであって、前記流体回路が、外圧において流体を取り込み、所定の圧縮範囲に属する圧縮比に従って内圧まで流体を圧縮するように構成された圧縮機によって供給され、前記制御モジュールが:
- 外圧を測定するための部材と、
- 所定のデータ、すなわち:
- 内圧に応じての電気化学デバイスの効率、
- 圧縮比に応じての圧縮機の効率、
- 電気化学的な効率および圧縮機の効率に応じての全体効率
を記憶するための部材と、
- 全体効率を向上させるように、測定された外圧と圧縮範囲とから設定内圧を決定するように構成された計算部材と、
- 設定内圧に達するための調整弁の弁アクチュエータと
を備えるモジュールに関する。
【0027】
本発明は、一例として与えられる以下の説明を読み、非限定的な例として与えられる以下の図面を参照すれば、より良く理解されるであろう。図面中、同様のオブジェクトには同一の参照符号が付されている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】従来技術による航空機に搭載された燃料電池の概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態による航空機に搭載された燃料電池の概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態による、
図2の燃料電池の調整弁を制御するための方法の概略図である。
【
図4A】本発明の一実施形態による、
図3の方法の設定内圧を決定するステップの概略図である。
【
図4B】
図4Aの決定ステップの実施中の計算段階の概略図である。
【
図4C】
図4Aの決定ステップの実施中の計算段階の概略図である。
【
図5A】本発明の代替実施形態による、
図3の方法の設定内圧を決定するステップの概略図である。
【
図5B】
図5Aの決定ステップの実施中の計算段階の概略図である。
【
図5C】
図5Aの決定ステップの実施中の計算段階の概略図である。
【
図6A】本発明の別の実施形態による航空機に搭載された燃料電池の概略図である。
【
図6B】本発明の別の実施形態による、
図6Aの燃料電池の調整弁を制御するための方法の概略図である。
【
図7A】本発明の別の実施形態による航空機に搭載された燃料電池の概略図である。
【
図7B】本発明の別の実施形態による、
図7Aの燃料電池の調整弁を制御するための方法の概略図である。
【
図8A】本発明の別の実施形態による航空機に搭載された燃料電池の概略図である。
【
図8B】本発明の別の実施形態による、
図8Aの燃料電池の調整弁を制御するための方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図面は、本発明を実施するために本発明を詳細に表し、適用可能であれば、当然、前記図面を使用して本発明をより良く定義することができることに留意されたい。
【0030】
本発明は、電気化学デバイスでの流体回路の内圧を調整するための弁を制御するための方法に関する。本発明は、物理化学的特性が変化する環境において、グローバルスケールで電気化学デバイスの効率を向上させることを狙いとする。以下、本発明を、カソード回路の形態での流体回路内の内部気圧を調整するために航空機に搭載された燃料電池のコンテキストで説明する。しかし、言うまでもなく、電気化学デバイスは、電解槽または触媒反応器など燃料電池以外の形態でもよく、および/または航空機の環境とは異なる環境で取り付けられてもよい。流体回路は、アノード回路など別の形態でもよく、および/または任意の流体の循環を可能にすることもできる。
【0031】
序言で説明したように、燃料電池は、燃料である水素と、酸化剤である空気中に存在する酸素との酸化還元反応から電気エネルギーを生成することを可能にする。
図2を参照すると、燃料電池2は、酸化還元反応が生じる複数のセル21のスタックを備え、これらのセル21は、2枚のエンドプレート22の間に保持されて、生成された電気エネルギーを収集できるようにする。また、燃料電池2は、カソード回路3およびアノード回路10を備え、セル21にそれぞれ空気および水素を供給し、酸化還元反応の生成物、すなわち水と微量の水素および空気とを排出することを可能にする。
【0032】
序言で説明したように、航空機に搭載される燃料電池2のコンテキストでは、カソード回路3の空気は、従来、航空機の内部または外部から取り込まれ、すなわち高度に応じて物理化学的特性が可変である外部環境から取り込まれる。特に、外圧Pextと呼ばれる気圧は高度と共に減少し、例えば17000mの高い航空機高度では約9000Paに達する。同じことが、特に空気の温度および酸素濃度にも当てはまる。
【0033】
序言で説明し、
図2に示されるように、圧縮機4および調整弁6が、それぞれカソード回路3の上流および下流に取り付けられる。圧縮機4と調整弁6とは一緒に、カソード回路3内の空気の内圧P
intおよび質量流量Qを制御して、燃料電池2の動作条件を制御することができるようにする。より正確には、圧縮機4は、外圧P
extで外部環境から取り込んだ空気を圧縮比Aに従って圧縮することを可能にする。圧縮比Aは、圧縮機4に特有の圧縮範囲Bに属する。圧縮機4の圧縮比Aは、カソード回路3内の空気の所望の質量流量Qに従って制御デバイス5によって制御される。
【0034】
序言で説明し、
図2に示されるように、調整弁6は、カソード回路3内の所望の内圧P
intに応じて弁アクチュエータ7によって制御される可変通路セクションをその一部に備える。したがって、調整弁6は圧力従属性であり、圧縮機4は流量従属性であり、燃料電池2の動作条件、したがってその効率を制御する。
【0035】
本発明によれば、
図2および3に示されるように、カソード回路3内の内圧P
intは、以下の所定のデータから調整弁6を制御するための方法の実施によって調整される:
- カソード回路3の内圧P
intに応じての燃料電池2の効率R2、
- 圧縮比Aに応じての圧縮機4の効率R4、および
- 燃料電池2の効率R2および圧縮機4の効率R4に応じての全体効率R1。
【0036】
さらに本発明によれば、
図2および3に示されるように、制御方法は以下を含む:
- 外気の外圧P
extを測定するステップE1、
- 全体効率R1を向上させるように、測定された外圧P
extおよび圧縮機4の圧縮範囲Bから設定内圧P
int
*を決定するステップE2、および
- 設定内圧P
int
*に達するように調整弁6を制御するステップE3。
【0037】
以下で説明するように、第1の実施形態によれば、決定ステップE2は、圧縮機4の許容できる効率R4に関連するいくつかの内圧試験値Pintについて燃料電池2の効率R2を比較することによって実施される。第2の実施形態によれば、決定ステップE2は、圧縮機4に関して許容できる内圧Pintの範囲にわたる全体効率R1を最大化することによって実施される。
【0038】
したがって、本発明による制御方法は、電気生成システム1の全体的な性能を向上させるようにカソード回路3内の内圧P
intを調整することを可能にする。
図2に示されるように、そのような電気生成システム1は、燃料電池2と、燃料電池2に酸化剤を供給する圧縮機4など、燃料電池2の動作を可能にする関連する要素と包含する。したがって、決定された設定内圧P
int
*により、航空機で利用可能になる生成されたエネルギーを向上させることが可能になり、このエネルギーは、燃料電池2の出口で生成されるエネルギーから、外気を圧縮するために使用されるエネルギーなど関連する要素によって消費されるエネルギーを差し引いた値に対応する。
【0039】
本発明の第1の実施形態による制御方法のステップ、次いで本発明の第2の実施形態による制御方法のステップを以下に説明する。本発明の他の好ましい態様を最後に示す。
【0040】
図2に示されるように、制御方法の実施に先立って、全体効率R1、燃料電池2の効率R2、および圧縮機4の効率R4のデータが、調整弁6の弁アクチュエータ7、または代替として計算機のデータベースなど任意の記憶部材に記憶されている。実際、効率データR1、R2、R4は、考察中のシステムのエネルギー性能、すなわちそのエネルギー生成および/またはそのエネルギーコストを1つ以上のパラメータに応じて定量化する変数の形式である。本発明の好ましい態様によれば、1つ(または複数)の効率データR1、R2、R4は、以下の形式である:
- 生成された電力を考察中のシステムによって消費される電力で割った商;および/または
- 考察中のシステムの所定の最大効率からの偏差;および/または
- 考察中のシステムによって生成/消費される電力。
【0041】
言うまでもなく、効率データR1、R2、R4のうちの1つ以上は、言及されたものとは別のエネルギー性能の定量化変数の形式でもよい。
【0042】
本発明の好ましい態様によれば、効率データR1、R2、R4はさらに、1つ以上のパラメータに依存する理論的および/または実験的に得られたモデルの形式である。
図3に示されるように、圧縮機4の効率R4は、圧縮機4の圧縮比Aに応じて変化し、より正確には反比例して変化する。定義上、圧縮機4の圧縮比Aは、関係:A=P
int/P
extを検証することに留意されたい。したがって、圧縮機4の効率R4は、外圧P
extを一定とすると、内圧P
intに反比例して変化する。さらに
図3を参照すると、燃料電池2の効率R2は、その一部に関して内圧P
intに応じて変化し、より正確には比例して変化する。言うまでもなく、燃料電池2および/または圧縮機4の効率R2のモデルにおいて、以下で説明するように、燃料電池2の効率R2に関してカソード回路3内の酸素含有量など追加のパラメータを考慮に入れることができる。
【0043】
図3に示されるように、全体効率R1は、燃料電池2およびその動作を可能にする関連する要素のアセンブリとして先に定義された電気生成システム1の効率を指定する。この例では、電気生成システム1は、燃料電池2および圧縮機4から一意に形成されると考える。したがって、全体効率R1は、燃料電池2の効率R2および圧縮機4の効率R4に応じて変化し、実際には比例して変化する。好ましくは、全体効率R1は、燃料電池2によって生成される電力を、圧縮機4によって消費される電力で割った商に相当する。
【0044】
言うまでもなく、以下に説明するように、燃料電池2の冷却回路9など、他の要素を電気生成システム1に追加することができる。好ましくは、選択される関連する要素は、エネルギー消費が燃料電池2の動作条件、特にカソード回路3の内圧Pintに応じての要素である。また好ましくは、選択される関連する要素は、燃料電池2のエネルギー生成と比較してエネルギー消費が顕著なものである。
【0045】
図2および3に示されるように、制御方法は、外気の外圧P
extを測定するステップE1から始まる。この例では、測定するステップE1は、調整弁6の弁アクチュエータ7に接続された、好ましくは圧力センサの形態での測定部材8によって実施される。代替として、外圧P
extは、例えば航空機の高度測量センサから間接的に測定することもできる。測定ステップE1の終了時、外圧P
extの測定結果が弁アクチュエータ7に伝送される。
【0046】
図2および3を参照すると、次に、調整弁6に関する設定内圧P
int
*を決定するステップE2が実施される。
図4Aに示される第1の実施形態によれば、決定ステップE2は以下を含む:
- 試験内圧P
Tから燃料電池2の試験効率R
Tを計算する段階E2-1であって、前記試験内圧P
Tが、圧縮機4の効率R4を向上させるように、測定された外圧P
extと、圧縮範囲Bに属する所定の試験圧縮比A
Tとから計算される、計算する段階E2-1、
- 電気化学デバイス2の試験効率R
Tが所定の最小効率閾値S1未満である限り、圧縮範囲Bに属するインクリメントされた新たな試験圧縮比A
Tから試験効率R
Tを計算する新たな段階E2-2。
【0047】
したがって、決定ステップE2中に決定された設定内圧Pint
*は、試験効率RTが最小効率閾値S1を遵守する試験内圧PTに対応する。
【0048】
実際には、
図4Aおよび4Bに示されるように、計算段階E2-1は、圧縮機4の圧縮範囲Bに属する所定の試験圧縮比A
Tから実施される。好ましくは、試験圧縮比A
Tは、圧縮機4の低いエネルギー消費、したがって圧縮機4の高い効率R4に対応するように低く選定され、R4=f(A
T)>S4を検証する。S4は、圧縮機4の最小効率閾値を指定し、好ましくは圧縮機4の最大効率よりも50%以下だけ小さい。また、好ましくは、試験圧縮比A
Tは、圧縮範囲Bの中央値未満に選定される。
【0049】
図4Aおよび4Bに示されるように、計算段階E2-1中、試験効率R
Tに関連付けられる試験内圧P
Tが、実際には関係:P
T=R
T×P
extによって、測定された外圧P
extから計算される。燃料電池2の試験効率R
Tは、その一部に関して燃料電池2の所定の効率R2および試験内圧P
Tから、実際には関係:R
T=R2=g(P
T)によって決定される。
図4Bの例では、得られた試験効率R
Tが、燃料電池2の最小効率S1よりも低く、したがって、新たな計算段階E2-2が実施され、新たな試験圧縮比A
Tが増分εだけインクリメントされる(
図4A参照)。
【0050】
図4Cは、実際には前の計算段階と同一の方法で実施される、新たな圧縮比A
Tを用いた計算段階E2-2を示す。
図4Cの例では、計算段階E2-2中に得られた試験効率R
Tが、最小効率閾値S1よりも大きい。それで、新たな計算段階E2-1、E2-2は実施されず、設定内圧P
int
*は、この例では計算段階E2-2中に計算された最後の試験内圧P
Tに対応する。言うまでもなく、計算段階E2-1、E2-2の数は任意であり、特に、選択された試験圧縮比A
T、増分e、および最小効率閾値S1に依存する。好ましくは、燃料電池2の最小効率閾値S1は、燃料電池2の最大効率を50%以下だけ下回るように選択される。
【0051】
図2および3を参照すると、決定ステップE2の終了時、設定内圧P
int
*が弁アクチュエータ7に伝送されて、調整弁6を制御するステップE3が実施される。
図2の例では、決定ステップE2は弁アクチュエータ7によって実施されているが、言うまでもなく、所定のデータを記憶するための部材および弁アクチュエータ7に接続された任意の計算部材で実施することができる。制御ステップE3は、その一部に関してカソード回路3内の設定内圧P
int
*を得られるように調整弁6の通路セクションを調整することによって実施される。そのような設定内圧P
int
*は、燃料電池2の電気生成の向上と、圧縮機4の電力消費の制限との両方を可能にする。好ましくは、そのような制御方法は、航空機の飛行中に数回、好ましくは測定された外圧P
extに影響を与える高度の変化ごとに実施される。
【0052】
有利には、設定内圧Pint
*は、増加的に決定され、これは、圧縮機4の消費を低減しながら最小効率目標S1を満たす。
【0053】
図5Aは、決定ステップE2が以下を含む点で、前の実施形態とは異なる本発明の第2の実施形態を示す:
- 測定された外圧P
extおよび圧縮範囲Bから許容可能な内圧の範囲PP
Aを計算する段階E2-A、および
- 測定された外圧P
extが、内圧P
intに応じて全体効率R1を定義することを可能にし、許容可能な内圧の範囲PP
Aにわたる全体効率R1の最大化の段階E2-B。
【0054】
したがって、設定内圧Pint
*は、全体効率R1が最大である許容可能な内圧に対応する。
【0055】
より正確には、
図5Bおよび5Cを参照すると、計算段階E2-A中に決定された許容可能な内圧の範囲PP
Aは、関係:PP
A=P
ext×Bを検証する。また、測定された外圧P
extは、圧縮機4の効率R4を内圧P
intに応じたものとして書き換えることを可能にする。したがって、計算段階E2-Aの終了時、
図5Bおよび5Cに示されるように、圧縮機4の効率R4と燃料電池2の効率R2とはどちらも、内圧P
intに応じている。したがって、全体効率R1を内圧P
intのみに応じて表現することもできる。さらに、決定された許容可能な内圧の範囲PP
Aにより、全体効率R1を最大化することができる間隔を定義することができる。
【0056】
図5Bおよび5Cに示されるように、最大化段階E2-Bは、全体効率R1から実施され、全体効率R1が最大である許容可能な内圧の範囲PP
A内で設定内圧P
int
*を決定することを可能にする。
【0057】
図6Aおよび6Bを参照すると、本発明の好ましい態様によれば、燃料電池2のアノード回路10も圧力従属性である。より正確には、
図6Aに示されるように、アノード回路10の下流に、アノード回路10の内圧P10を調整する弁11が取り付けられるが、これを本明細書では以後「第2の調整弁11」と指定する。分かりやすくするために、ここでは、カソード回路3の調整弁6は、その一部に関して「第1の調整弁6」と指定される。
図6Aに示されるように、第2の調整弁11は、アノード回路10内の第2の設定内圧P10
*を得るために、この例では第1の調整弁6のものと同一の弁アクチュエータ7によって制御される可変通路セクションを備える。ここでは、分かりやすくするために、第1の調整弁6の設定内圧P
int
*が「第1の設定内圧P
int
*」と指定される。
【0058】
図6Bに示されるように、制御方法は、第2の設定内圧P10
*に達するように第2の調整弁11を制御するステップE4をさらに含み、第2の設定内圧P10
*は:|P10
*-P
int
*|<S2を検証し、ここで、S2は、所定の最大圧力変動閾値を指定する。これにより、燃料電池2の耐用年数を増加させるために、カソード回路とアノード回路との間の圧力差を制限することができる。
【0059】
図7Aおよび7Bを参照すると、本発明の別の好ましい態様によれば、調整弁6の設定内圧P
int
*を決定するために、燃料電池2の冷却回路9のエネルギーコストが考慮に入れられる。より正確には、制御方法は、カソード回路3の内圧P
intに応じての冷却回路9の効率R9の所定のデータから実施される。全体効率R1は、その一部に関して、燃料電池2の効率R2、圧縮機4の効率R4、および冷却回路9の効率R9に応じている。換言すると、電気生成システム1は、燃料電池2、圧縮機4、および冷却回路9から形成される。
【0060】
図8Aおよび8Bを参照すると、本発明の別の好ましい態様によれば、燃料電池2の所定の効率R2は、カソード回路3の空気中の酸素レベルOにも依存する。制御方法はさらに、この例ではガスセンサの形態での専用の測定部材12を用いて、カソード回路3内の酸素レベルOを測定するステップE0を含む。測定ステップE0は、外圧P
extを測定するステップE1と並行して実施され、燃料電池2の効率データR2を内圧P
intのみに応じて書き換えることを可能にする。酸素レベルパラメータを考慮することにより、有利には、設定内圧P
int
*をより確実で正確に決定することが可能になる。
【0061】
結論として、本発明で提案される内圧Pintの調整は、燃料電池2の、またはより一般的には電気化学デバイスの電気生成だけでなく、その関連する要素、特に圧縮機4さらには例えば冷却回路9の電力消費も考慮する先例のない全体的な手法に対応する。決定された設定内圧Pint
*は、有利には、燃料電池2の出力での電気生成から圧縮機4などの関連する要素の電力消費を差し引いた値に基づいて、電気生成システムの全体効率を向上させる。そのような全体的な手法は、内圧Pintの調整が燃料電池2の性能のみを考慮していた従来技術とは異なる。そのようなグローバルな手法により、特に、圧縮機4のディメンジョニングを低減し、その結果、航空機に搭載される圧縮機4の質量および体積を低減することも可能になる。
【国際調査報告】