(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】ジメチルクルクミンの局所製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/121 20060101AFI20240621BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20240621BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240621BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20240621BHJP
A61K 47/28 20060101ALI20240621BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240621BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20240621BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20240621BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240621BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
A61K31/121
A61K47/14
A61K47/10
A61K47/24
A61K47/28
A61K47/26
A61K47/34
A61K47/44
A61K47/12
A61K9/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573103
(86)(22)【出願日】2022-07-01
(85)【翻訳文提出日】2024-01-18
(86)【国際出願番号】 US2022036018
(87)【国際公開番号】W WO2023278876
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522408038
【氏名又は名称】アンジ ファーマシューティカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】リー チャン-ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ライ シン-ユー
(72)【発明者】
【氏名】クー グアン ホック
【テーマコード(参考)】
4C076
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076DD37
4C076DD41
4C076DD45
4C076DD46
4C076DD70
4C076EE23
4C076EE27
4C076EE53
4C076FF36
4C206AA01
4C206AA02
4C206CB14
4C206MA02
4C206MA03
4C206MA05
4C206NA03
(57)【要約】
局所適用に適し得る薬学的組成物を提供する。局所適用のための薬学的組成物は、0.001%w/w~0.2%w/wの範囲内の医薬品有効成分としてのジメチルクルクミンおよび/またはその塩を含む。局所適用のための薬学的組成物は、少なくとも8%w/wの量の油溶媒系をさらに含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
局所適用に適した薬学的組成物であって、
(i)0.001%w/w~0.2%w/wの範囲内の医薬品有効成分(API)としての式Iのクルクミノイド化合物および/またはその塩
ならびに
(ii)少なくとも8%w/wの量の油溶媒系
を含み、
ここで、%w/wが薬学的組成物の全重量と比較されている、
薬学的組成物。
【請求項2】
(iii)1.6%w/w~16%w/wの範囲内の界面活性剤系であって、非イオン性界面活性剤および脂肪酸を含む、界面活性剤系
をさらに含み、
油溶媒系が8%w/w~32%w/wの範囲内にあり、該油溶媒系が、ミリスチン酸イソプロピル、ベンジルアルコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、およびジメチコンを含む、
請求項1記載の薬学的組成物。
【請求項3】
非イオン性界面活性剤が、セテアリルアルコールのポリエチレングリコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、コレステロールのポリエチレングリコールエーテル、ラノリンアルコールのポリオキシエチレンエーテル、エトキシル化メチルグルコシド、エトキシル化アルキルフェノール、オレイルアルコールのポリエチレングリコールエーテル、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ステアリン酸ポリオキシルグリセリル、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリジメチルシロキサン、メチルグルコースポリエステル、メチルグルコースポリエーテル、ヒマシ油のポリエチレングリコール誘導体、脂肪酸エステルのポリエチレングリコール誘導体、およびアルコールエステルのポリエチレングリコール誘導体、ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される、1つまたは複数であり;かつ、
脂肪酸が、ヤシ酸、イソステアリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、リシノール酸、ステアリン酸、ウンデシレン酸、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、1つまたは複数である、
請求項2記載の薬学的組成物。
【請求項4】
ジメチコンが3.5%w/w未満の量である、請求項2記載の薬学的組成物。
【請求項5】
油溶媒系およびAPIが、82:1を超える溶媒対API比を有する、請求項4記載の薬学的組成物。
【請求項6】
油溶媒系およびジメチコンが、2.3:1を超える溶媒対ジメチコン比を有する、請求項4記載の薬学的組成物。
【請求項7】
界面活性剤系が16%w/w未満の量である、請求項2記載の薬学的組成物。
【請求項8】
脂肪酸が6.5%w/w未満の量である、請求項2記載の薬学的組成物。
【請求項9】
非イオン性界面活性剤が9.5%w/w未満の量である、請求項2記載の薬学的組成物。
【請求項10】
ジエチレングリコールモノエチルエーテルが9%w/w未満である、請求項2記載の薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
クルクミノイドにはクルクミンおよびその誘導体が含まれる。これらの化合物は、実験室で合成されてもよく、自然界で得られてもよい。クルクミノイドの一般的な天然源は、ウコン(Curcuma longa)などのショウガの根からのものである。クルクミノイドは、食品、栄養補助食品、および化粧品産業において成分として使用され得る。場合によっては、クルクミノイドは工業用配合物において着色剤および香味剤を提供し得る。より最近では、クルクミノイドは医薬品産業での使用が検討されている。
【発明の概要】
【0002】
概要
この概要は、詳細な説明においてさらに後述する概念の選択を導入するために提供される。この概要は、特許請求される主題の重要または本質的な特徴を特定することを意図したものではなく、特許請求される主題の範囲を限定するための補助として使用されることを意図したものでもない。
【0003】
一局面において、本明細書に開示される態様は、0.001%w/w~0.2%w/wの範囲内の医薬品有効成分(API)としての式Iのクルクミノイド化合物および/またはその塩と、少なくとも8%w/wの量の油溶媒系とを含む、局所適用に適した薬学的組成物の組成物に関連し、ここで、%w/wは薬学的組成物の全重量と比較されている。
【0004】
特許請求される主題の他の局面および利点は、以下の説明および添付の特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図面の簡単な説明
【
図1】本開示の1つまたは複数の態様に従う化学式、式Iの図を示す。
【
図2】本開示の1つまたは複数の態様に従う偏光顕微鏡下での製剤2(F2)の写真を示す。
【
図3】本開示の1つまたは複数の態様に従う偏光顕微鏡下での製剤3(F3)の写真を示す。
【
図4】本開示の1つまたは複数の態様に従う偏光顕微鏡下での製剤4(F4)の写真を示す。
【
図5】本開示の1つまたは複数の態様に従う偏光顕微鏡下での製剤5(F5)の写真を示す。
【
図6】本開示の1つまたは複数の態様に従う偏光顕微鏡下での製剤6(F6)の写真を示す。
【
図7】本開示の1つまたは複数の態様に従う偏光顕微鏡下での製剤7(F7)の写真を示す。
【
図8】本開示の1つまたは複数の態様に従う偏光顕微鏡下での製剤8(F8)の写真を示す。
【
図9】本開示の1つまたは複数の態様に従う偏光顕微鏡下での製剤9(F9)の写真を示す。
【
図10】本開示の1つまたは複数の態様に従う偏光顕微鏡下での製剤10(F10)の写真を示す。
【
図11】本開示の1つまたは複数の態様に従う偏光顕微鏡下での製剤11(F11)の写真を示す。
【
図12】本開示の1つまたは複数の態様に従う偏光顕微鏡下での製剤12(F12)の写真を示す。
【
図13】
図13Aは、本開示の1つまたは複数の態様に従う偏光顕微鏡下での製剤13(F13)の写真を示す。
図13Bは、本開示の1つまたは複数の態様に従う偏光顕微鏡下でのF13の写真である、
図13Aに記された挿入図の高解像度(拡大)バージョンを示す。
【
図14】本開示の1つまたは複数の態様に従う偏光顕微鏡下での製剤14(F14)の写真を示す。
【
図15】本開示の1つまたは複数の態様に従う偏光顕微鏡下での製剤15(F15)の写真を示す。
【
図16】本開示の1つまたは複数の態様に従う製剤7(F7)のHPLCクロマトグラムを示す。
【
図17】本開示の1つまたは複数の態様に従う製剤14(F14)のHPLCクロマトグラムを示す。
【
図18】本開示の1つまたは複数の態様に従う製剤15(F15)のHPLCクロマトグラムを示す。
【
図19】対照としてのAPIを含む標準溶液のクロマトグラフを示す。
【
図20】溶媒/希釈剤のみを有するブランクのクロマトグラフを示す。
【
図21】本開示の1つまたは複数の態様に従う偏光顕微鏡下でのサンプルD1の写真を示す。
【
図22】本開示の1つまたは複数の態様に従う偏光顕微鏡下でのサンプルD2の写真を示す。
【
図23】本開示の1つまたは複数の態様に従う偏光顕微鏡下でのサンプルD3の写真を示す。
【
図24】本開示の1つまたは複数の態様に従う偏光顕微鏡下でのサンプルD4の写真を示す。
【
図25】本開示の1つまたは複数の態様に従う偏光顕微鏡下でのサンプルD5の写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
詳細な説明
本開示の具体的な態様を、次に添付の図を参照して詳細に説明する。本開示の1つまたは複数の態様の以下の詳細な説明において、本開示のより完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細を記載する。しかし、当業者には、本開示がこれらの具体的な詳細なしで実施され得ることは明らかであろう。他の例では、説明を不必要に複雑にすることを避けるために、周知の特徴は詳細に説明していない。
【0007】
本明細書に開示される態様は、概して、薬学的組成物に関する。薬学的組成物は、局所適用に適した製剤である。
【0008】
本明細書に開示される態様は、概して、薬学的組成物の調製方法に関する。
【0009】
薬学的組成物
薬学的組成物は、局所適用としての使用に適している、軟膏またはクリームなどの、医薬品有効成分(API)および油溶媒系を含有する製剤である。
【0010】
1つまたは複数の態様において、薬学的組成物は、API、油溶媒系、界面活性剤系、水系、および他の成分を含む。
【0011】
薬学的組成物は、APIが皮膚へ局所的に、治療上有効かつ安定な量で送達されるように、APIを運ぶマトリックスである。APIの治療上有効かつ安定な量は、APIが組成物全体の重量に含まれる%w/wの範囲であり、以下に記載する。
【0012】
本明細書で使用される用語「治療有効量」は、疾患または障害を処置するために患者へ投与されると、疾患または障害に対するそのような処置に影響を与えるのに十分である化合物または組成物の量を指す。しかし、治療上有効であることに加えて、特許請求される組成物中に存在するAPIの量もまた安定している。
【0013】
薬学的組成物がAPIを安定な量で送達するために、APIは十分な溶解性を有する。十分な溶解性は、薬学的組成物全体にわたる(重量および濃度による)APIの均一な分布であり、ここで、薬学的組成物全体は、均一に分布した官能特性(質感、滑らかさ、および色を含むがこれらに限定されない)を有するクリームである。例えば、薬学的組成物全体は相分離を伴わない。
【0014】
さらに、薬学的組成物は、特定の標準保管条件下で一定期間にわたってAPIの安定性を提供する。APIの安定性は、化学的安定性、物理的安定性、またはそれらの組み合わせを含む。物理的安定性は、十分な溶解性がそのような期間にわたって維持されるように、APIの結晶形成、沈殿、または他の凝集が防止されることを意味する。化学的安定性は、APIが一定期間にわたってその化学的立体配置を保持し、薬学的組成物中のその効力を保持することを意味する。薬学的組成物の安定性および十分な溶解性が維持される期間は、典型的には、最長5年、例えば、5年、4年、3年、2年、1年、11ヶ月、10ヶ月、9ヶ月、8ヶ月、7ヶ月、6ヶ月、5ヶ月、4ヶ月、3ヶ月、2ヶ月、または1ヶ月である。このような期間は、典型的には、その標準保管条件よりも高温多湿である加速試験条件下で予測され得る。これらの加速試験条件は、安定性試験(test)または安定性試験(testing)と時折呼ばれ得るが、安定性試験/試験(tests/testing)は加速試験条件に限定されない。
【0015】
APIに十分な溶解性および安定性を提供するために、薬学的組成物自体は安定している。薬学的組成物の安定性は、一定期間にわたってその元の官能特性を維持し、最小限の分解を可能にすることによって定義される。最小限の分解には、経時的な不純物の形成を制限することが含まれ得る。例えば、不純物全体は、薬学的組成物全体の10%以下、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、または1%以下に制限され得る。不純物には、薬学的組成物中に含まれる成分に存在しないかまたはネイティブでない分子が含まれる。これらの不純物の例は、当技術分野において一般的に公知であり、製剤中の成分および成分濃度に基づいて変化し得る。不純物は、例えば酸化、(酸化、紫外線、または他のラジカル源からの)ラジカル反応、エステル化、鹸化、付加、置換、およびそれらの組み合わせなどの公知の分解プロセスから生じ得る。
【0016】
薬学的組成物が安定している期間は、APIの安定性および十分な溶解性が維持されるのと同じ期間、例えば、最長5年、例えば、5年、4年、3年、2年、1年、11ヶ月、10ヶ月、9ヶ月、8ヶ月、7ヶ月、または6ヶ月である。加速試験条件下では、期間は、最長数ヶ月、例えば、12ヶ月、6ヶ月、3ヶ月、4週間、14日、10日、6日、5日、4日、3日、2日、または1日に短縮され得る。
【0017】
したがって、薬学的組成物は安定しており、APIに対して十分な溶解性を提供し、これはさらにAPIの安定性を提供する。
【0018】
「安定性試験」の定義は、以下のように、Bajajらから参照される(Bajaj et al., “Stability Testing of Pharmaceutical Products,” JAPS online, 02 (03), 2012, pp. 129-138、ワールドワイドウェブアドレス“japsonline.com/admin/php/uploads/409_pdf.pdf”):安定性試験は、医薬品の安定性に影響を与える様々な因子が関与するため、複雑なプロセスと呼ばれる。これらの因子には、有効成分の安定性;有効成分と賦形剤の相互作用、従う製造プロセス、剤形の種類、包装に使用される容器/密閉システム、ならびに出荷、保管、および取扱中に遭遇する光、熱、および水分条件が含まれる。
【0019】
1つまたは複数の態様において、「安定性」は、所与の標準保管条件下でのAPIの完全性、溶解性、APIと賦形剤の相互作用などを意味する。「APIの完全性」は、標準保管条件下での不純物の量によって定義される。
【0020】
長期安定性は、加速試験条件、例えば、37℃で3ヶ月間、37℃で30日間、37℃で28日間、37℃で14日間、50℃で20日間、50℃で17日間、50℃で15日間、50℃で10日間、50℃で6日間、または50℃で1日間によって予測される。「不十分な安定性」は、賦形剤中のAPI不溶性、API完全性の喪失、および/または特定の許容範囲を超える不純物の存在として定義され得る。
【0021】
API溶解性の許容範囲は、水性溶媒の存在下で薬学的組成物中0.2%以下(API/薬学的組成物)である。
【0022】
一般に、APIは、医薬品の製造に使用されるように意図された物質または物質の混合物であり、医薬品の製造に使用されると、医薬品中の有効成分となる。
【0023】
1つまたは複数の態様において、APIは、
図1(式I)に示されるような、「ジメチルクルクミン」と呼ばれるクルクミノイド化合物である。
【0024】
本明細書で使用される場合、用語「式(Formula)」はAPIを指し、用語「製剤(Formulation)(複数可)」(および「製剤(formulation)(複数可)」)は、APIを含有する1つまたは複数の組成物を指す。
【0025】
APIは、0.001%w/w、0.005%w/w、0.01%w/w、0.02%w/w、0.03%w/w、0.04%w/w、0.05%w/w、0.06%w/w、0.07%w/w、0.08%w/w、または0.09%w/wのいずれかの下限、および0.1 %w/w、0.15%w/w、0.2%w/w、0.3%w/w、0.4%w/w、0.5%w/w、0.6%w/w、0.7%w/w、0.8%w/w、0.9%w/w、1%w/w、2%w/w、3%w/w、4%w/w、または5%w/wのいずれかの上限を有する範囲内にあり得、ここで、任意の下限が任意の上限と組み合わせて使用され得る。
【0026】
記載「%w/w」は、薬学的組成物全体の重量百分率(重量パーセントまたはパーセント重量/重量として公知)と比較した成分の重量百分率として定義される。
【0027】
油溶媒系は、薬学的組成物の油相に寄与する物質の混合物である。油溶媒系は、エステル、有機アルコール、グリコールエーテル、有機ケイ素、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0028】
1つまたは複数の態様において、油溶媒系は少なくとも8%w/wの量である。
【0029】
油溶媒系は、4%w/w、4.5%w/w、5%w/w、5.5%w/w、6%w/w、6.5%w/w、7%w/w、7.5%w/w、8%w/w、8.5%w/w、9.0%w/w、9.5%w/w、10%w/w、10.5%w/w、11%w/w、11.5%w/w、12%w/w、または12.5%w/wのいずれかの下限、および13%w/w、14%w/w、15%w/w、16%w/w、17%w/w、18%w/w、19%w/w、20%w/w、21%w/w、22%w/w、23%w/w、24%w/w、25%w/w、26%w/w、27%w/w、28%w/w、29%w/w、30%w/w、31%w/w、32%w/w、33%w/w、34%w/w、35%w/w、36%w/w、37%w/w、38%w/w、39%w/w、40%w/wのいずれかの上限を有する範囲内にあり得、ここで、任意の下限が任意の上限と組み合わせて使用され得る。
【0030】
薬学的組成物において、油溶媒系およびAPIは、「溶媒対API比」と呼ばれる重量比(油溶媒系:API)を有する。1つまたは複数の態様において、溶媒対API比は、82:1を超える、84:1を超える、86:1を超える、88:1を超える、90:1を超える、92:1を超える、94:1を超える、96:1を超える、98:1を超える、100:1を超える、102:1を超える、104:1を超える、106:1を超える、108:1を超える、110:1を超える、112:1を超える、114:1を超える、116:1を超える、118:1を超える、120:1を超える、122:1を超える、124:1を超える、126:1を超える、128:1を超える、130:1を超える、135:1を超える、136:1を超える、155:1を超える、157:1を超える、163:1を超える、179:1を超える、239:1を超える、270:1を超える、または435:1を超える。
【0031】
エステルは、エステルを形成する酸およびアルコールのいずれかまたは両方に由来する15~20個の炭素を含む、1つまたは複数の有機化合物であり得る。1つまたは複数の態様において、エステルは単一のエステル基を含む。好適なエステルの例としては、ミリスチン酸イソプロピル(IPM)(CAS番号110-27-0、First Chemical Works, Zhongzheng District, Taipei City, Taiwan, R.O.C.から入手可能)が挙げられるが、これに限定されない。
【0032】
エステル、例えばIPMは、2%w/w、2.5%w/w、3%w/w、3.5%w/w、4%w/w、4.5%w/w、5%w/w、5.5%w/w、または6%w/wのいずれかの下限、および13%w/w、15%w/w、17%w/w、19%w/w、21%w/w、23%w/w、25%w/w、27%w/w、29%w/w、31%w/w、または33%w/wのいずれかの上限を有する範囲内にあり得、ここで、任意の下限が任意の上限と組み合わせて使用され得る。
【0033】
有機アルコールは、ベンジル型アルコール、脂肪族アルコール、別の好適なアルコール、またはそれらの混合物を有する1つまたは複数の化合物であり得る。有機アルコールは、0.05%w/w以上の下限および10%w/w以下の上限を有する任意の範囲内にあり得る。
【0034】
1つまたは複数の態様において、有機アルコールは、ベンジル型アルコールを有する化合物を含む。ベンジル型アルコールは、化合物のベンジル位にアルコールを含む1つまたは複数の化合物であり得る。好適なベンジル型アルコールの例は、ベンジルアルコール(CAS番号100-51-6、ACROS Organics, Fair Lawn, New Jersey, U.S.A.から入手可能)である。
【0035】
ベンジル型アルコール、例えばベンジルアルコールは、0.4%w/w、0.6%w/w、または0.8%w/w、1.0%w/w、1.2%w/w、1.4%w/w、1.6%w/w、1.8%w/w、2.0%w/w、2.2%w/w、または2.4%w/wのいずれかの下限、および2.6%w/w、2.8%w/w、3.0%w/w、3.2%w/w、3.4%w/w、3.6%w/w、3.8%w/w、4.0%w/w、4.2%w/w、4.4%w/w、4.6%w/w、4.8%w/w、または5.0%w/wのいずれかの上限を有する範囲内にあり得、ここで、任意の下限が任意の上限と組み合わせて使用され得る。
【0036】
1つまたは複数の態様において、有機アルコールは、脂肪族アルコールである化合物を含む。脂肪族アルコールは、4~26個の炭素および末端または内部アルコール官能基を含む、1つまたは複数の化合物であり得る。好適な脂肪族アルコールの例としては、セトステアリルアルコール(CAS番号67762-27-0、First Chemical Works, Zhongzheng District, Taipei City, Taiwan, R.O.C.から入手可能)が挙げられるが、これに限定されない。
【0037】
脂肪族アルコール、例えばセトステアリルアルコールは、1%w/w、1.5%w/w、2%w/w、2.5%w/w、3%w/w、3.5%w/w、4%w/w、または4.5%w/wのいずれかの下限、および6%w/w、6.5%w/w、7%w/w、7.5%w/w、または8%w/wのいずれかの上限を有する範囲内にあり得る。
【0038】
グリコールエーテルは、エチレングリコールのアルキルエーテルであり得る。1つまたは複数の態様において、グリコールエーテルは、ポリオキシエチレンのアルキルエーテルであり得、ジエチレングリコールを含む。
【0039】
好適なグリコールエーテルの例としては、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(CAS番号111-90-0、Alfa Aesar, Ward Hill, Massachusetts, U.S.A.から入手可能)が挙げられるが、これに限定されない。ジエチレングリコールモノエチルエーテルの別の供給源は、商品名Transcutol(登録商標)P(Gattefosse, Saint-Priest Cedex, Lyon, France)である。
【0040】
グリコールエーテル、例えばジエチレングリコールモノエチルエーテルは、10%w/w未満、9%w/w未満、8%w/w未満、7%w/w未満、6%w/w未満、5%w/w未満、4%w/w未満、3%w/w未満、2%w/w未満、または1%w/w未満であり得、例えば、0.1%w/w、0.15%w/w、0.2%w/w、0.25%w/w、0.3%w/w、0.35%w/w、0.4%w/w、または0.45%w/wのいずれかの下限、および0.6%w/w、0.7%w/w、0.8%w/w、0.9%w/w、1%w/w、1.5%w/w、2%w/w、2.5%w/w、3%w/w、3.5%w/w、4%w/w、4.5%w/w、5%w/wのいずれかの上限を有する範囲内にあり得、ここで、任意の下限が任意の上限と組み合わせて使用され得る。
【0041】
1つまたは複数の態様において、ジエチレングリコールモノエチルエーテルは、10%w/w未満、9%w/w未満、8%w/w未満、7%w/w未満、6%w/w未満、5%w/w未満、4%w/w未満、3%w/w未満、2%w/w未満、1%w/w未満、0.6%w/w未満、0.5%w/w未満、0.5%未満、または0.3%w/w未満である。
【0042】
有機ケイ素は、有機ケイ素官能基を含む1つまたは複数の化合物であり得る。1つまたは複数の態様において、有機ケイ素は高分子有機ケイ素である。
【0043】
好適な有機ケイ素の例としては、ジメチコン(例えば、CAS番号9016-00-6、First Chemical Works, Zhongzheng District, Taipei City, Taiwan, R.O.C.から入手可能、しかしそれに限定されない)が挙げられるが、これに限定されない。
【0044】
有機ケイ素、例えばジメチコンは、5%w/w未満、4.5%w/w未満、4%w/w未満、3.5%w/w未満、3%w/w未満、2.5%w/w未満、2%w/w未満、1.5%w/w未満、1%未満、または0.5%未満で存在し得る。例えば、有機ケイ素は、0.01%w/w、0.05%w/w、0.1%w/w、0.15%w/w、0.2%w/w、0.25%w/w、0.3%w/w、0.35%w/w、0.4%w/w、0.45%w/w、0.50%w/w、0.55%w/w、0.60%w/w、0.65%w/w、0.70%w/w、0.75%w/w、0.80%w/w、0.85%w/w、0.90%w/w、0.95%w/w、または1.00%w/wのいずれかの下限、および1.20%w/w、1.25%w/w、1.30%w/w、1.35%w/w、1.40%w/w、1.45%w/w、1.50%w/w、2.00%w/w、2.50%w/w、3.00%w/w、3.50%w/w、4.00%w/w、4.50%w/w、または5.00%w/wのいずれかの上限を有する範囲内にあり得、ここで、任意の下限が任意の上限と組み合わせて使用され得る。
【0045】
薬学的組成物において、油溶媒系全体およびジメチコンは、「溶媒対ジメチコン比」と呼ばれる重量比(油溶媒系:ジメチコン)を有する。1つまたは複数の態様において、溶媒対ジメチコン比は、2.3:1を超える、2.4:1を超える、2.5:1を超える、2.6:1を超える、2.7:1を超える、2.8:1を超える、2.9:1を超える、3:1を超える、4:1を超える、5:1を超える、6:1を超える、7:1を超える、8:1を超える、9:1を超える、10:1を超える、11:1を超える、12:1を超える、13:1を超える、14:1を超える、15:1を超える、16:1を超える、17:1を超える、18:1を超える、19:1を超える、20:1を超える、21:1を超える、22:1を超える、23:1を超える、24:1を超える、または25:1を超える、56:1を超える、100:1を超える、または126.2:1を超える。
【0046】
界面活性剤系は、油溶媒系と水系との間の表面張力の低下に寄与する物質の混合物である。界面活性剤系は、非イオン性界面活性剤、脂肪酸、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0047】
界面活性剤系は、組成物全体の重量と比較して16%w/w以下、または16%w/w未満の量であり得る。例えば、界面活性剤系は、組成物全体の重量と比較して、1%w/w、1.2%w/w、1.4%w/w、1.6%w/w、1.8%w/w、2.0%w/w、2.2%w/w、2.4%w/w、2.6%w/w、2.8%w/w、3.0%w/w、3.2%w/w、または3.4%w/wのいずれかの下限、および4.0%w/w、4.5%w/w、5.0%w/w、5.5%w/w、6.0%w/w、6.5%w/w、7.0%w/w、7.5%w/w、8.0%w/w、8.5%w/w、9.0%w/w、9.5%w/w、10.0%w/w、10.5%w/w、11.0%w/w、11.5%w/w、12.0%w/w、12.5%w/w、13.0%w/w、13.5%w/w、14.0%w/w、14.5%w/w、15.0%w/w、15.5%w/w、または16%w/wのいずれかの上限を有する範囲内にあり得、ここで、任意の下限が任意の上限と組み合わせて使用され得る。
【0048】
界面活性剤系は非イオン性界面活性剤を含み得る。非イオン性界面活性剤は、エステル、エーテル、アルコール、酸、オレフィン、またはそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない、1つまたは複数の官能基を有する化合物であり得る。
【0049】
非イオン性界面活性剤は、セテアリルアルコールのポリエチレングリコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、コレステロールのポリエチレングリコールエーテル、ラノリンアルコールのポリオキシエチレンエーテル、エトキシル化メチルグルコシド、エトキシル化アルキルフェノール、オレイルアルコールのポリエチレングリコールエーテル、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ステアリン酸ポリオキシルグリセリル、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリジメチルシロキサン、メチルグルコースポリエステル、メチルグルコースポリエーテル、ヒマシ油のポリエチレングリコール誘導体、脂肪酸エステルのポリエチレングリコール誘導体、またはアルコールエーテルのポリエチレングリコール誘導体のうちの1つまたは複数を含み得る。
【0050】
非イオン性界面活性剤がセテアリルアルコールのポリエチレングリコールエーテルである場合、それとしてはセテアレス-12、セテアレス-15、セテアレス-20、セテアレス-30、およびセテアリルアルコール/セテアレス-20のうちの1つまたは複数が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0051】
非イオン性界面活性剤がポリオキシエチレンアルキルエーテルである場合、それとしてはセテス-2、セテス-10、セテス-20、およびセテス-23のうちの1つまたは複数が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0052】
非イオン性界面活性剤がコレステロールのポリエチレングリコールエーテルである場合、それとしてはコレスおよびコレス-24のうちの1つまたは複数が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0053】
非イオン性界面活性剤がラノリンアルコールのポリオキシエチレンエーテルである場合、それとしてはラネス、エトキシル化ラノリン、およびPEG-75ラノリンのうちの1つまたは複数が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0054】
非イオン性界面活性剤がエトキシル化メチルグルコシドである場合、それとしてはメチルグルセス-10およびメチルグルセス-20のうちの1つまたは複数が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0055】
非イオン性界面活性剤がエトキシル化アルキルフェノールである場合、それとしてはオクトキシノール-9およびオキシトキシノール-40(oxtoxynol-40)のうちの1つまたは複数が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0056】
非イオン性界面活性剤がオレイルアルコールのポリエチレングリコールエーテルである場合、それとしてはオレス-2、オレス-5、オレス-10、オレス-20、およびオレス-10/オレス-5のうちの1つまたは複数が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0057】
非イオン性界面活性剤がポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロック重合体である場合、それとしてはポロキサマー124、ポロキサマー182、およびポロキサマー407のうちの1つまたは複数が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0058】
非イオン性界面活性剤がポリオキシエチレン脂肪酸エステルである場合、それとしてはラウリン酸PEG-8、オレイン酸PEG-5、オレイン酸PEG-26、オレイン酸PPG-26、イソステアリン酸PEG-6、ジステアリン酸ポリオキシル、ステアリン酸PEG-2、ステアリン酸ポリオキシル、ステアリン酸ペゴキソール7、ステアリン酸PEG-8、ステアリン酸ポリオキシル40、ステアリン酸PEG 6-32、およびステアリン酸PEG-100のうちの1つまたは複数が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0059】
例えば、界面活性剤系中の好適な界面活性剤は、ステアリン酸ポリオキシル40、CAS番号9004-99-3(試薬等級、Tokyo Chemical Industry, Tokyo, Japanから入手可能;または国民医薬品集(NF)等級、Spectrum Chemical Mfg. Corp., New Brunswick, NJ, USAから入手可能)である。
【0060】
非イオン性界面活性剤がステアリン酸ポリオキシルグリセリルである場合、それとしてはステアリン酸PEG-120グリセリル、ステアリン酸ポリオキシルグリセリル、およびステアロイルポリオキシルグリセリドのうちの1つまたは複数が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0061】
非イオン性界面活性剤がモノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタンである場合、それとしてはポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、およびポリソルベート80のうちの1つまたは複数が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0062】
例えば、界面活性剤系中の好適な界面活性剤は、Showa Chemical Co., Ltd. (Tokyo, Japan)から入手可能な、ポリソルベート20、CAS番号9005-64-5(超高純度等級)である。別の好適な界面活性剤は、Acros Organics (Geel, Belgium)から入手可能な、ポリソルベート80、CAS番号9005-65-6(試薬等級)である。
【0063】
非イオン性界面活性剤がポリオキシエチレンステアリルエーテルである場合、それとしてはPPG-11ステアリルエーテル、PPG-15ステアリルエーテル、ステアレス-2、ステアレス-10、ステアレス-21、およびステアレス-40のうちの1つまたは複数が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0064】
非イオン性界面活性剤がポリジメチルシロキサンである場合、それとしてはPEG/PPG-18/18ジメチコンのうちの1つまたは複数が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0065】
非イオン性界面活性剤がメチルグルコースポリエステルおよび/またはメチルグルコースポリエーテルである場合、それとしてはジオレイン酸PEG-120メチルグルコース、セスキステアリン酸PEG-20メチルグルコース、およびジステアリン酸PPG-20メチルグルコースエーテルのうちの1つまたは複数が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0066】
非イオン性界面活性剤が、ヒマシ油、脂肪酸エステル、またはアルコールエーテルのポリエチレングリコール誘導体である場合、それとしてはポリオキシル35ヒマシ油、ポリオキシル40硬化ヒマシ油、PEG-60硬化ヒマシ油、イソステアリン酸PEG-20ソルビタン、ステアリン酸PEG-25プロピレングリコール、ジステアリン酸PPG-20メチルグルコースエーテル、ヒドロキシステアリン酸ポリオキシル15、ポリオキシル6,ポリオキシル32,パルミトステアレート、キョウニン油PEG-6エステルズ、ポリオキシル20セトステアリルエーテル、およびトリデセス-10、C13-14イソパラフィン/ラウレス-7/ポリアクリルアミドのうちの1つまたは複数が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0067】
1つまたは複数の態様において、非イオン性界面活性剤は、15%w/w未満、14%w/w未満、13%w/w未満、12%w/w未満、11%w/w未満、10.5%w/w未満、10%w/w未満、9.5%w/w未満、9%w/w未満、8.5%w/w未満、8.0%w/w未満、7.5%w/w未満、7%w/w未満、6.5%w/w未満、6%w/w未満、5.5%w/w未満、5%w/w未満、4.5%w/w未満、4%w/w未満、3.5%w/w未満、または3%w/w未満の量である。
【0068】
使用され得る好適な非イオン性界面活性剤の例は、ステアリン酸ポリオキシル40(CAS番号9004-99-3、TCI, Tokyo Chemical Industry Co. Ltd., Tokyo, Japanから入手可能)である。1つまたは複数の態様において、ステアリン酸ポリオキシル40、ポリソルベート20、ポリソルベート80、または他の非イオン性界面活性剤は、0.8%w/w、1%w/w、1.2%w/w、1.4%w/w、1.6%w/w、1.8%w/w、2.0%w/w、2.2%w/w、または2.4%w/wのいずれかの下限、および2.6%w/w、2.8%w/w、3.0%w/w、3.2%w/w、3.4%w/w、3.6%w/w、3.8%w/w、4.0%w/w、4.2%w/w、4.4%w/w、4.6%w/w、4.8%w/w、5.0%w/w、5.5%w/w、6.0%w/w、6.5%w/w、7.0%w/w、7.5%w/w、または8.0%w/wのいずれかの上限を有する範囲内にあり、ここで、任意の下限が任意の上限と組み合わせて使用され得る。
【0069】
界面活性剤系は脂肪酸を含み得る。脂肪酸は、8~26個の炭素およびカルボン酸官能基を有する1つまたは複数の脂肪酸を含み得る。脂肪酸は、オレフィン、アルコール、またはそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない、別の官能基を有し得る。
【0070】
1つまたは複数の態様において、脂肪酸は、10%w/w未満、9.5%w/w未満、9%w/w未満、8.5%w/w未満、8%w/w未満、7.5%w/w未満、7%w/w未満、6.5%w/w未満、6%w/w未満、5.5%w/w未満、5%w/w未満、4.5%w/w未満、3%w/w未満、1.5%w/w未満、1%w/w未満、または0.5%w/w未満の量である。
【0071】
脂肪酸の例としては、ヤシ酸、イソステアリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、リシノール酸、ステアリン酸、ウンデシレン酸、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
好適な脂肪酸の例は、一不飽和オメガ-9脂肪酸、例えばオレイン酸(CAS番号112-80-1、First Chemical Works, Zhongzheng District, Taipei City, Taiwan, R.O.C.から入手可能)であり得る。1つまたは複数の態様において、オレイン酸は、0.1%w/w、0.2%w/w、0.3%w/w、0.4%w/w、0.5%w/w、0.6%w/w、0.7%w/w、0.8%w/w、または0.9%w/wのいずれかの下限、および1.2%w/w、1.4%w/w、1.6%w/w、1.8%w/w、2.0%w/w、2.2%w/w、2.4%w/w、2.6%w/w、2.8%w/w、3.0%w/w、3.2%w/w、3.4%w/w、3.6%w/w、3.8%w/w、4.0%w/w、4.2%w/w、または4.4%w/wのいずれかの上限を有する範囲内にあり、ここで、任意の下限が任意の上限と組み合わせて使用され得る。
【0073】
水系は、薬学的組成物の水相に寄与する物質の混合物である。水系は、水、アミノポリカルボン酸および/またはその塩、ポリアクリル酸、ポリオール、ならびに共役酸化合物を含み得る。
【0074】
1つまたは複数の態様において、水は、35%w/w、40%w/w、45%w/w、50%w/w、55%w/w、60%w/w、65%w/w、または70%w/wのいずれかの下限、および80%w/w、85%w/w、または90%w/wのいずれかの上限を有する範囲内にあり、ここで、任意の下限が任意の上限と組み合わせて使用され得る。
【0075】
アミノポリカルボン酸および/またはその塩は、2つ以上のカルボン酸官能基を有する、水溶性モノアミン、ジアミン、トリアミン、またはテトラアミンである。その塩はアルカリ塩であり得る。アルカリ塩中の金属は、ナトリウム、カリウム、他の好適な金属、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0076】
好適なアミノポリカルボン酸および/またはその塩の例としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)および/またはそのナトリウム塩、例えばEDTA二ナトリウム(CAS番号6381-92-6、ACROS Organics, Fair Lawn, New Jersey, U.S.A.から入手可能)が挙げられるが、これに限定されない。
【0077】
1つまたは複数の態様において、アミノポリカルボン酸および/またはその塩、例えばEDTA二ナトリウムは、0.002%w/w、0.004%w/w、0.006%w/w、または0.008%w/wのいずれかの下限、および0.012%w/w、0.014%w/w、0.016%w/w、0.018%w/w、0.02%w/w、0.03%w/w、0.04%w/w、0.05%w/w、0.1%w/w、または1%w/wのいずれかの上限を有する範囲内にあり、ここで、任意の下限が任意の上限と組み合わせて使用され得る。
【0078】
ポリアクリル酸は、アクリル酸サブユニットを含み、ホモポリマーまたは架橋ポリマーであり得る。
【0079】
好適なポリアクリル酸の例としては、カーボポール(登録商標)ポリマー(例えば、CAS番号9003-01-4、Lubrizol Pharmaceuticals, Wickliffe, Ohio, U.S.A.から入手可能、しかしそれに限定されない)が挙げられるが、これに限定されない。1つまたは複数の態様において、ポリアクリル酸、例えばカーボポール(登録商標)ポリマーは、0.05%w/w、0.1%w/w、0.15%w/w、0.2%w/w、0.25%w/w、0.3%w/w、0.35%w/w、0.4%w/w、または0.45%w/wのいずれかの下限、および0.55%w/w、0.6%w/w、0.65%w/w、0.7%w/w、0.75%w/w、0.8%w/w、0.85%w/w、0.9%w/w、0.95%w/w、1%w/w、1.5%w/w、または2%w/wのいずれかの上限を有する範囲内にあり、ここで、任意の下限が任意の上限と組み合わせて使用され得る。
【0080】
ポリオールは、複数のヒドロキシル基を含む有機化合物である。ポリオールは、ジオール、トリオール、テトロール、ペントール、ヘキソール、ヘプトール、オクタール、ノナール、またはデコールであり得る。ポリオールは2~20個の炭素を含み得る。ポリオールには1つのアルコール当たり1つの炭素が存在し得る。例えば、ポリオールがジオールである場合、それはグリコールであり得、ポリオールがトリオールである場合、それはグリセロールであり得る。
【0081】
好適なポリオールの例としては、グリセロール(CAS番号56-81-5、J.T. Baker, Avantor Inc., Radnor, Pennsylvania, U.S.A.から入手可能)が挙げられるが、これに限定されない。1つまたは複数の態様において、グリセロールは、0.01%w/w、0.05%w/w、または1%w/wのいずれかの下限、および2%w/w、2.5%w/w、3%w/w、3.5%w/w、4%w/w、4.5%w/w、または5%w/wのいずれかの上限を有する範囲内にあり、ここで、任意の下限が任意の上限と組み合わせて使用され得る。
【0082】
共役酸化合物は、3~20個の炭素であり得、α,β-不飽和酸である少なくとも1つの共役酸を含む。
【0083】
好適な共役酸化合物の例としては、ソルビン酸(CAS番号110-44-1、First Chemical Works, Zhongzheng District, Taipei City, Taiwan, R.O.C.から入手可能)が挙げられるが、これに限定されない。1つまたは複数の態様において、共役酸化合物、例えばソルビン酸は、0.01%w/w、0.05%w/w、0.1%w/w、または0.15%w/wのいずれかの下限、および0.25%w/w、0.3%w/w、0.35%w/w、0.4%w/w、0.45%w/w、0.5%w/w、0.55%w/w、0.6%w/w、0.65%w/w、0.7%w/w、0.75%w/w、0.8%w/w、0.85%w/w、0.9%w/w、0.95%w/w、または1%w/wのいずれかの上限を有する範囲内にあり、ここで、任意の下限が任意の上限と組み合わせて使用され得る。
【0084】
薬学的組成物中の他の成分は1つまたは複数の中和剤を含む。中和剤は、酸性官能基を有する化合物を含む薬学的組成物のpHを上昇させる。
【0085】
好適な中和剤の例としては、トリエタノールアミン(CAS番号102-71-6、Meru Chem Pvt. Ltd., Mumbai, Indiaから入手可能)が挙げられるが、これに限定されない。1つまたは複数の態様において、中和剤、例えばトリエタノールアミンは、0.05%w/w、0.1%w/w、0.15%w/w、0.2%w/w、0.25%w/w、0.3%w/w、0.35%w/w、0.4%w/w、または0.45%w/wのいずれかの下限、および0.55%w/w、0.6%w/w、0.65%w/w、0.7%w/w、0.75%w/w、0.8%w/w、0.85%w/w、0.9%w/w、0.95%w/w、または1%w/wのいずれかの上限を有する範囲内にある。
【0086】
いかなる理論にも拘束されることを望まずに、薬学的組成物への中和剤の添加は、とりわけ、薬学的組成物全体のpH上昇によるゲル化効果を提供し得る。薬学的組成物のクリームコンシステンシー(および1つまたは複数の官能特性)は、前記ゲル化効果に起因し得る。
【0087】
薬学的組成物の調製方法
1つまたは複数の態様の薬学的組成物は、混合、均質化、および中和のステップによって調製される。
【0088】
混合は、第1部分と第2部分とを一緒に混合することを含む。第1部分は、1つまたは複数の態様の水系を含む。第2部分は、API、油溶媒系、界面活性剤系、および少なくとも1つの他の成分(例えばセトステアリルアルコール)の混合物を含む。初期混合はトリエタノールアミンの添加を含まない。
【0089】
水系を調製するために、1つまたは複数の態様に従う水系の成分を天秤上で測定する。次いで、水系の成分をビーカーまたは好適な容器中へ添加して混合物を形成する。水系の成分(賦形剤)が溶解するまで、混合物を3~4時間撹拌し、60~70℃の温度で加熱する。
【0090】
API、油溶媒系、界面活性剤系、および少なくとも1つの他の成分の混合物を調製するために、1つまたは複数の態様に従うそれらの成分を天秤上で測定する。次いで、成分をビーカーまたは好適な容器中へ添加して混合物を形成する。API、油溶媒系、界面活性剤系、および少なくとも1つの他の成分の成分(賦形剤)が溶解するまで、混合物を3~4時間撹拌し、60~70℃の温度で加熱する。
【0091】
薬学的組成物のエマルジョンを調製するために、第1部分と第2部分とを混合する。第1部分(水系)を、第2部分(API、油溶媒系、界面活性剤系、および少なくとも1つの他の成分)の混合物に移すか、または注ぐ。第1部分および第2部分の混合物を、ホモジナイザー上で60~70℃の温度にて1分間、約4,500毎分回転数(rpm)で撹拌して均質化する。均質化により、薬学的組成物のエマルジョンが形成される。
【0092】
乳化薬学的組成物のクリーム製剤を調製するために、4,500rpmで均質化を継続しながら、1つまたは複数の態様に従うトリエタノールアミンを添加する。熱源から取り出した後、トリエタノールアミンの添加によるこの中和は、温度が40℃未満に達するまで4,500rpmでの均質化と共に進行する。典型的には、中和ステップは約4~6分間継続する。薬学的組成物を冷暗所に保管するために確保する。
【実施例】
【0093】
実施例
表1に示されるように、識別子F2~F15で表される製剤である14の薬学的組成物を調製した(パーセント重量/重量、または%w/wは、薬学的組成物の全重量と比較した成分の重量を表す)。
【0094】
(表1)製剤F2~F15の薬学的組成物
*試薬等級
**表1中の「溶媒」は、ミリスチン酸イソプロピル、ベンジルアルコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、およびジメチコンの合計である。
***表1中の「界面活性剤」は、ステアリン酸ポリオキシル40、およびオレイン酸の合計である。
【0095】
(表1)(続き)製剤F2~F15の薬学的組成物
*試薬等級
**表1中の「溶媒」は、ミリスチン酸イソプロピル、ベンジルアルコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、およびジメチコンの合計である。
***表1中の「界面活性剤」は、ステアリン酸ポリオキシル40、およびオレイン酸の合計である。
【0096】
製剤F2~F15を開発し、API(式I)安定性および組成物安定性について評価した。
【0097】
十分なAPI安定性および組成物安定性を提供する製剤は、薬学的組成物と見なされる。
【0098】
製剤を調製するために、第一に水系を調製した。適量のEDTA二ナトリウム、カーボポール(登録商標)、グリセロール、ソルビン酸、および水を天秤(Sartorius(商標))で測定し、混合物としてビーカー中へ添加した。ビーカーを水浴中に置き、賦形剤が溶解するまで3~4時間、混合物を撹拌ホットプレート(Corning(登録商標)PC-420D)上で撹拌し、60~70℃の温度で加熱した。得られた混合物である水系を、乳化前に60~70℃に保った。
【0099】
第二に、API、油溶媒系、および界面活性剤系を含む混合物を調製した。適量のAPI(式I)、ミリスチン酸イソプロピル(IPM)、セトステアリルアルコール、ベンジルアルコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジメチコン、ステアリン酸ポリオキシル40、およびオレイン酸を天秤(Sartorius(商標))で測定し、混合物として100ミリリットル(mL)のガラス瓶中へ添加した。ガラス瓶を水浴中に置き、賦形剤が溶解するまで3~4時間、混合物を撹拌ホットプレート(Corning(登録商標)PC-420D)上で撹拌し、60~70℃の温度で加熱した。API、油溶媒系、および界面活性剤系の得られた混合物を、乳化前に60~70℃に保った。
【0100】
第三に、ホモジナイザー(Omni Programmable Digital Homogenizer、またはOmni PDH、OMNI International(商標))を4,500毎分回転数(rpm)に設定した。水系をAPI、油溶媒系、および界面活性剤系の混合物中へ移した。ホモジナイザーによって、組み合せた溶液の混合物を4,500rpmにて60~70℃で1分間乳化した。
【0101】
最後に、均質化を4,500rpmで継続しながら、組み合せた溶液の混合物中へトリエタノールアミンを添加した。トリエタノールアミンを添加すると、混合物を室温の水浴中で4~6分間冷却して、混合物を40℃未満の温度に到達させた。得られた製剤を確保し、冷暗所に保管した。
【0102】
製剤F2~F15を化学的および物理的安定性について試験した。偏光顕微鏡法、ならびに紫外線および可視光線(UV-vis)領域を検出するためのフォトダイオードアレイ(PDA)によるクロマトグラフィーを含む、光反射ならびに吸収によって、F2~F15を分析した。
【0103】
偏光顕微鏡法分析
偏光顕微鏡法を用いて、製剤F2~F15を偏光顕微鏡で分析した。手順は以下の通りである。製剤のサンプル(F2~F15の各々に対して1つのサンプル)を室温(15~20℃)に1日間設定し、次いで、(式Iの)API結晶形成の有無を観察するために偏光顕微鏡下で調べた。API結晶形成の非存在は、十分な溶解性および物理的安定性を示す。API結晶形成の存在は、不十分な溶解性、不十分な物理的安定性、またはその両方を示す。
【0104】
図2はサンプルF2の偏光顕微鏡法を示す。API結晶は見つからず、十分な溶解性および物理的安定性を示した。バックグラウンド上の光は油滴(ノイズ)の光反射によるものである。
【0105】
図3はサンプルF3の偏光顕微鏡法を示す。API結晶は見つからず、十分な溶解性および物理的安定性を示した。バックグラウンド上の光は油滴(ノイズ)の光反射によるものである。
【0106】
図4はサンプルF4の偏光顕微鏡法を示す。API結晶は見つからず、十分な溶解性および物理的安定性を示した。バックグラウンド上の光は油滴(ノイズ)の光反射によるものである。
【0107】
図5はサンプルF5の偏光顕微鏡法を示す。API結晶は見つからず、十分な溶解性および物理的安定性を示した。バックグラウンド上の光は油滴(ノイズ)の光反射によるものである。
【0108】
図6はサンプルF6の偏光顕微鏡法を示す。API結晶は見つからず、十分な溶解性および物理的安定性を示した。バックグラウンド上の光は油滴(ノイズ)の光反射によるものである。
【0109】
図7はサンプルF7の偏光顕微鏡法を示す。API結晶は見つからず、十分な溶解性および物理的安定性を示した。バックグラウンド上の光は油滴(ノイズ)の光反射によるものである。
【0110】
図8はサンプルF8の偏光顕微鏡法を示す。API結晶は見つからず、十分な溶解性および物理的安定性を示した。バックグラウンド上の光は油滴(ノイズ)の光反射によるものである。
【0111】
図9はサンプルF9の偏光顕微鏡法を示す。API結晶は見つからず、十分な溶解性および物理的安定性を示した。バックグラウンド上の光は油滴(ノイズ)の光反射によるものである。
【0112】
図10はサンプルF10の偏光顕微鏡法を示す。API結晶は見つからず、十分な溶解性および物理的安定性を示した。バックグラウンド上の光は油滴(ノイズ)の光反射によるものである。
【0113】
図11はサンプルF11の偏光顕微鏡法を示す。API結晶は見つからず、十分な溶解性および物理的安定性を示した。バックグラウンド上の光は油滴(ノイズ)の光反射によるものである。
【0114】
図12はサンプルF12の偏光顕微鏡法を示す。API結晶は見つからず、十分な溶解性および物理的安定性を示した。バックグラウンド上の光は油滴(ノイズ)の光反射によるものである。
【0115】
図13AはサンプルF13の偏光顕微鏡法を示す。
図13Aは白い四角形の囲みを示し、
図13Bはこの囲みの拡大バージョンを示す。
図13Aおよび13Bは、API結晶が偏光および針状(針)形状で見出されたことを示している。API結晶に反射する偏光は、黒色バックグラウンドに対して設定される黄色または黄橙色光(
図13Aおよび13Bでは白色または灰色として示される)であり、黒色バックグラウンドは、油滴(ノイズ)の光反射によるものである小さな白色光を含む。
【0116】
図14はサンプルF14の偏光顕微鏡法を示す。API結晶は見つからず、十分な溶解性および物理的安定性を示した。バックグラウンド上の光は油滴(ノイズ)の光反射によるものである。
【0117】
図15はサンプルF15の偏光顕微鏡法を示す。API結晶は見つからず、十分な溶解性および物理的安定性を示した。バックグラウンド上の光は油滴(ノイズ)の光反射によるものである。
【0118】
HPLC分析
HPLC(高速液体クロマトグラフィー)分析の手順は以下の通りである。10グラム(g)の製剤サンプル(F2~F15の各々に対して1つのサンプル)を50℃の温度で6日間加熱した。API(式I)の化学的安定性を含む製剤の純度を分析した。5℃(冷蔵)の温度で6日間同じ手順(F2~F15の各々に対して1つのサンプル)を使用して、対照試験を安定性試験に付随して行った。
【0119】
図16は、サンプルF7の安定性試験(50℃で6日間)のクロマトグラム(HPLC分析、350nm)を示し、互変異性体保持時間(「RT」)ピークはそれぞれ17.78分(min.)および22.345分である。
【0120】
図17は、サンプルF14の安定性試験(50℃で6日間)のクロマトグラム(HPLC分析、350nm)を示し、互変異性体RTピークはそれぞれ17.775分および22.341分である。
【0121】
図18は、サンプルF15の安定性試験(50℃で6日間)のクロマトグラフ(HPLC分析、350nm)を示し、互変異性体RTピークはそれぞれ17.780分および22.345分である。
【0122】
図19は、対照としてのAPI(式I)の標準溶液のクロマトグラフ(HPLC分析、350nm)を示す。
【0123】
図20は、溶媒/希釈剤のみ(API、製剤、または任意の他の賦形剤なし)を有するブランク溶液(希釈剤)のクロマトグラフ(HPLC分析、350nm)を示す。
【0124】
理論に拘束されることなく、API(式I)は、エノール型およびケト型を含んで互変異性体化すると考えられる。このHPLC法を使用する場合、API(式I)のケト型はより早く(約17.78分)溶出し得、API(式I)のエノール型はより遅く(約22.34~22.35分)溶出し得る。互変異性体のエノール型は、HPLC分析のパラメータ内で、互いに1,3位にあるエノールプロトンとケトン酸素との間の共役および分子内水素結合によって安定化され得る(式Iは、1,3-ジケトンを含む互変異性体のケト型を示す)。
【0125】
水系の存在下でのAPIの溶解性
式IのAPIは、水相、この場合、水系中に実質的に不溶である疎水性分子である(参照ワールドワイドウェブアドレス“solubilityofthings.com/levels-of-solubility”)。式IのAPIが水系中にあるとき、それは結晶を形成し、溶液から沈殿する。より大きな式Iの溶解性を可能にする適合性マトリックスを調べるために、式Iを含有する様々な系を室温で24時間保管し、式I結晶沈殿の有無を観察するために偏光顕微鏡下で調べた。
【0126】
様々な系のうち、高濃度のジメチコンの存在が式Iの沈殿をもたらすことが予想外に見出された。
【0127】
例えば、製剤F13は、製剤F9、F11、およびF12と比較した場合、最も少量の総溶媒を含む。API(式I)の結晶が、室温で24時間後にF13で観察され、比較としてF9、F11、またはF12では観察されなかった。この場合の「総溶媒」は、ミリスチン酸イソプロピル、ベンジルアルコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、およびジメチコンの合計である。溶媒対API比は、製剤中のAPI(式I)の重量%と比較した「総溶媒」である。溶媒対ジメチコン比は、製剤中のジメチコンの重量%と比較した「総溶媒」である。
【0128】
(表2)F3、F9、F11、F12、およびF13の溶解性比較
【0129】
F13は、最も少量の溶媒(%w/w)および最も小さい溶媒対API比を含むが、F12は、F13と比較した場合、同様の量の溶媒および溶媒対API比を含む。F13で観察された急速なAPI沈殿は、少量の溶媒に起因し、かつ小さい溶媒対ジメチコン比にも起因し得る。結果は、より多くの量のジメチコンは、製剤からの式Iの沈殿を引き起こし得ることを示した。
【0130】
F12~F15の中で最も少量の溶媒を含有する製剤F13はAPI結晶が観察され、これは、それがAPI沈殿に有利なマトリックスを含有し得ることを示す。しかし、F12もまた同様の範囲の溶媒を含有するが、F12からAPIは沈殿しない。したがって、ジメチコンの存在が、製剤中のAPIの溶解性を予想外に低下させるようである。さらに、製剤中の式Iの濃度に応じて、広範囲の総溶媒が製剤中のAPIの十分な溶解性を提供しているようである(表2)。製剤中の異なる濃度の式Iに適した溶媒量についての範囲または境界を決定することは困難である。したがって、十分な式Iの溶解性を可能にする総溶媒の限界を明確にして設定するために、溶媒対API比を使用した。要約すると、製剤F9、F11、F12、およびF13中の式Iの溶解性の結果は、溶媒対API比が82.0(82:1)未満である場合、および溶媒対ジメチコン比が2.3(2.3:1)未満である場合、式Iは容易に沈殿することを示している。したがって、これら2つの因子(溶媒対API比82以上、および溶媒対ジメチコン比2.3以上)が、式IのAPIの十分な安定性を提供し得ることが予想外に見出された。
【0131】
異なるジメチコン中のAPI溶解性
次に、異なるジメチコンタイプがAPI結晶化に対して同様の効果を有するかどうかを決定するために、粘度、それぞれ4.6センチストーク(cSt)および500cStを有する異なるタイプのジメチコンを評価した(表3)。APIの溶解性を、1.20%w/w~7.00%w/wの範囲のジメチコン濃度を有するクリーム製剤中で調べた。
【0132】
(表3)ジメチコン評価のために調製した製剤
*試薬等級
**表3中の「溶媒」は、ミリスチン酸イソプロピル、ベンジルアルコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、およびジメチコンの合計である。
***表3中の「界面活性剤」は、ステアリン酸ポリオキシル40およびオレイン酸の合計である。
【0133】
製剤中のジメチコン濃度が1.20%w/wであった場合、ジメチコンのタイプにかかわらず結晶化は観察されなかった。一方、3.50%w/wの濃度で、APIの結晶化が偏光顕微鏡下にて観察された(表4)。
【0134】
さらに、溶媒対API比を117とした場合でさえ、7.00%w/wでの4.6cStジメチコンを有するクリーム製剤においてAPI結晶化が観察された(表4)。結果は、ジメチコンの量がAPI溶解性に至る重要な因子であることを示した。極めて高い濃度(7%w/w)は、高い溶媒対API比にかかわらず、API結晶化をもたらした。したがって、ジメチコンは3.5%w/wより低くあるべきである。
【0135】
(表4)API結晶化の偏光顕微鏡評価
*表4中の「溶媒」は、ミリスチン酸イソプロピル、ベンジルアルコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、およびジメチコンの合計である。
【0136】
製剤D1~D5の偏光顕微鏡法分析
図21はサンプルD1の偏光顕微鏡法を示す。API結晶が偏光および針状(針)形状で見出され、白い四角形の囲みで示されている(
図21には、白い四角形の囲み中に示されているよりも多くのAPI結晶がある)。API結晶に反射する偏光は、黒色バックグラウンドに対して設定される黄色または黄橙色光(
図21~23では白色または灰色として示される)であり、黒色バックグラウンドは、油滴(ノイズ)の光反射によるものである小さな白色光を含む。
【0137】
図22はサンプルD2の偏光顕微鏡法を示す。API結晶が偏光および針状(針)形状で見出され、白い四角形の囲みで示されている(
図22には、白い四角形の囲み中に示されているよりも多くのAPI結晶がある)。
【0138】
図23はサンプルD3の偏光顕微鏡法を示す。API結晶が偏光および針状(針)形状で見出され、白い四角形の囲みで示されている(
図23には、白い四角形の囲み中に示されているよりも多くのAPI結晶がある)。
【0139】
図24はサンプルD4の偏光顕微鏡法を示す。API結晶は見つからず、十分な溶解性および物理的安定性を示した。バックグラウンド上の光は油滴(ノイズ)の光反射によるものである。
【0140】
図25はサンプルD5の偏光顕微鏡法を示す。API結晶は見つからず、十分な溶解性および物理的安定性を示した。バックグラウンド上の光は油滴(ノイズ)の光反射によるものである。
【0141】
製剤純度および不純物
製剤F2~F15中の式Iの純度および総不純物(%)を表5に示す。
【0142】
この場合、「不純物(単数)」または「不純物(複数)」は、API%純度(重量基準)の喪失と定義される。いかなる理論にも拘束されることを望まずに、API%純度の喪失、したがって不純物は、薬学的製剤の技術分野において公知であるようにAPI以外の他の化合物の形成を含み得ることと、これらの化合物は、存在する場合、(計算の目的で)350nmでAPIと同様の吸光係数を有することとが、仮定される。
【0143】
(表5)製剤F2~F15の純度および不純物
*純度は、APIケトおよびエノール互変異性体の合計の面積パーセンテージである。
【0144】
前述したように、製剤を50℃で6日間置き、HPLCによって分析した。この一連の実験において、記載の試験条件下で提供された総不純物が5%を超える製剤は不適切と見なされた。したがって、十分な安定性は、安定性試験の結果に従って5%以下の総不純物によってさらに定義され得る。
【0145】
製剤のうち、F14およびF15は、表5に示されるように、安定性試験後に5%を超える総不純物を提供した。製剤F2~F13は、表5に示されるように、安定性試験後に5%以下の総不純物を提供した。F2~F13のグループの中で、観察された最大の不純物レベルはF8の3.90%であった。したがって、製剤F2~F13中の式IのAPIの安定性(化学的安定性)は、製剤F14およびF15中の式IのAPIの安定性よりも優れている。F14は最大量の界面活性剤(ステアリン酸ポリオキシル40およびオレイン酸)を含有し、界面活性剤系が製剤の16%(w/w)を超えると、予想外にAPIが不安定になった。しかし、APIは以前の溶解性試験において製剤F13から急速に沈殿したことに留意されたい。この一連の実験(純度および不純物を決定するためのHPLC)において、当技術分野の標準的な手順と同様に、HPLC上にサンプルを流す前に、各製剤のアリコートを溶解した。このように、これらのHPLC実験はAPIに関する純度および不純物の情報を提供する。(50℃で6日間の安定性試験からの)F2、F14、およびF15の350nmでの代表的なHPLCクロマトグラムを
図16~18に示す。
【0146】
(表6)組成要素と比較される、選択した製剤の純度および不純物
*純度は、APIケトおよびエノール互変異性体の合計の面積パーセンテージである。
**表6中の「界面活性剤」は、ステアリン酸ポリオキシル40およびオレイン酸の合計である。
【0147】
表6に示されるように、F15中の界面活性剤系(界面活性剤の総量)は9.5%であり、これは界面活性剤の総量が8%であったF4と同様であった。しかし、F15で観察された総不純物(8.58%)は、F4で観察された総不純物(2.21%)よりも遥かに多かった。表6のF4およびF15の組成を比較すると、F15は、より多くの量のジエチレングリコールモノエチルエーテルを有していた。したがって、製剤中のジエチレングリコールモノエチルエーテルの量は、APIの十分な安定性に寄与する因子であり得る。局所薬の周知の浸透促進剤であるジエチレングリコールモノエチルエーテルは、API(式I)の良好な溶解性を提供する。しかし、より多くの量のジエチレングリコールモノエチルエーテル中のAPIの不安定性は、API(式I)についての溶媒および促進剤のさらなる添加が困難であることを示し得る。
【0148】
製剤F8は、F2~F12の最大の総不純物を有した。しかし、F2~F12の総不純物の差は5%未満であった。F2~F12の総不純物のこの狭い範囲は、各成分がAPI(式I)の不安定性に対して有する効果に起因し得る。
【0149】
API安定性に影響を与える非イオン性界面活性剤の濃度
高濃度、中濃度および低濃度、25%w/w、9.50%w/w、および5.00%w/wでの様々なタイプの非イオン性界面活性剤を用いた製剤を、API安定性についてさらに評価した(表7)。製剤S1~S3、S5~S7、およびS9~S11中のAPIの純度および総不純物(%)を表8に示した。製剤を安定性チャンバー中に置き、6日目または17日目に50℃でのそれらの安定性について試験した。
【0150】
(表7)様々なタイプの非イオン性界面活性剤を含む製剤
*NFまたは医薬品等級。
**表7中の「溶媒」は、ミリスチン酸イソプロピル、ベンジルアルコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、およびジメチコンの合計である。
***表7中の「界面活性剤」は、オレイン酸と、ステアリン酸ポリオキシル40、ポリソルベート20、またはポリソルベート80との合計である。
【0151】
(表8)様々な濃度の非イオン性界面活性剤中のAPIの総不純物
*総不純物はAPIピーク(APIピークはケトおよびエノール互変異性体ピークを含む)以外のHPLCピークのパーセンテージ面積の合計である。
【0152】
9.5%w/wおよび25%w/wの非イオン性界面活性剤を用いた製剤では、不十分なAPI安定性が観察された。さらに、遥かにより高い濃度の非イオン性界面活性剤(25%w/w)で、製剤S9~S11は、早くも6日目に極めて高い不純物を示した。したがって、非イオン性界面活性剤の量は、不安定性の問題を回避するために、9.5%w/wよりも低い濃度であるように制限されるべきである。
【0153】
別段の定義がない限り、使用されるすべての専門用語および科学用語は、これらのシステム、装置、方法、プロセス、および組成物が属する技術の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0154】
単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数の指示対象を含む。
【0155】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単語「含む」、「有する」、および「包含する」ならびにそれらのすべての文法的変形物は、それぞれ、追加の要素またはステップを排除しない、オープンで非限定的な意味を有するように意図される。
【0156】
「任意で」とは、その後に説明される事象または状況が発生しても、発生しなくてもよいことを意味する。説明は、事象または状況が発生する場合および発生しない場合を含む。
【0157】
単語「およそ」または「約」という語が用いられる場合、この用語は、最大±10%、最大5%、最大2%、最大1%、最大0.5%、最大0.1%、または最大0.01%の値の変動があり得ることを意味し得る。
【0158】
使用される用語「実質的に」は、少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%、または少なくとも約99.999%もしくはそれ以上におけるように、大部分、または大抵を指す。
【0159】
範囲は、約1つの特定の値から約別の特定の値まで、包括的に表現され得る。このような範囲が表現される場合、別の態様は、その範囲内のすべての特定の値およびそれらの組み合わせと共に、1つの特定の値から他の特定の値までであることが理解されるべきである。
【0160】
ほんのわずかの例示的態様が上記で詳細に説明されたが、当業者は、本発明から実質的に逸脱することなく、多くの改変が例示的態様において可能であることを容易に理解するであろう。したがって、このような改変のすべてが、以下の特許請求の範囲において定義されるような本開示の範囲内に含まれるように意図される。特許請求の範囲において、ミーンズ・プラス・ファンクション節は、記載の機能を果たすとして本明細書に記載された構造物、および構造的均等物だけでなく、等価の構造物もカバーするように意図される。特許請求の範囲が関連の機能と共に「のための手段」という語を明示的に使用するものを除き、本発明の特許請求の範囲のいずれかのいかなる限定についても35 U.S.C. § 112(f)を発動させないことは、本出願人の明白な意図である。
【国際調査報告】