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特表2024-523146装軌車両の無限軌道の損傷を判定するための方法及びデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】装軌車両の無限軌道の損傷を判定するための方法及びデバイス
(51)【国際特許分類】
   B62D 55/253 20060101AFI20240621BHJP
【FI】
B62D55/253 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573229
(86)(22)【出願日】2022-07-05
(85)【翻訳文提出日】2024-01-18
(86)【国際出願番号】 SE2022050685
(87)【国際公開番号】W WO2023282829
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】2150889-0
(32)【優先日】2021-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521503857
【氏名又は名称】ビーエーイー システムズ ハッグルンズ アクチエボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】クリステンセン,アッサー
(57)【要約】
本発明は、装軌車両(V)の無限軌道(E)の損傷を判定するための方法(M1;M2)及び装置に関する。軌道(E)は、軌道(E)の周囲を長手延在方向に走るように構成された軌道(E)内に配置されたワイヤ構成(W)を備える。測定コネクタ(10)のセットは、ワイヤ構成(W)のワイヤ部に接続されて、このように接続されたワイヤ部の電気特性の測定を容易にし、測定コネクタ(10)のセットは、無限軌道(E)の少なくとも1つの側部(E1、E2)に接続する1つ以上のセンサデバイス(30)によってアクセス可能である。方法は、ワイヤ構成(W)のワイヤ部の電気特性に関する情報を受信するステップ(S1)と、受信した情報に基づいてワイヤ部の電気特性を決定するステップ(S2)と、決定した電気特性に基づいて無限軌道(E)の損傷があるかどうかを判定するステップ(S3)と、を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装軌車両(V)の無限軌道(E)の損傷を判定する方法(M1;M2)であって、
前記装軌車両が、その長手延在方向に車輪のセットの周囲に配設された前記無限軌道(E)を備えた少なくとも1つの軌道アセンブリ(T1、T2)を備え、
前記無限軌道が、前記車輪のセットの軸方向に実質的に平行な方向を向くように構成された対向する側部(E1、E2)を有し、
前記無限軌道(E)が、前記無限軌道(E)内に配置され、前記無限軌道(E)の前記長手延在方向に前記無限軌道(E)の周囲を走るように構成されたワイヤ構成(W)を備え、
前記ワイヤ構成(W)が、ワイヤ部のセットが前記長手延在方向に走っているように前記無限軌道(E)内を走るように配置された1つ以上の個々のワイヤを含み、
測定コネクタ(10)のセットが、前記ワイヤ部のセットのワイヤ部に接続されて、このように接続された前記ワイヤ部の電気特性の測定を容易にし、
前記測定コネクタ(10)のセットが、前記無限軌道(E)の前記側部(E1、E2)の少なくとも1つの側部(E1、E2)に接続する1つ以上のセンサデバイス(30)によってアクセス可能であり、
前記方法が、
少なくとも1つのセンサデバイス(30)から、測定コネクタ(10)を介して、前記ワイヤ構成(W)のワイヤ部の電気特性に関する測定情報を受信するステップ(S1)と、
前記少なくとも1つのセンサデバイス(30)から受信した前記情報に基づいて、前記ワイヤ部の電気特性を決定するステップ(S2)と、
決定した前記電気特性に基づいて、前記無限軌道(E)の損傷があるか否かを判定するステップ(S3)と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記無限軌道(E)の損傷があるか否かを判定する前記ステップが、
決定した前記ワイヤ部の電気特性を前記ワイヤ構成(W)のワイヤ部の所定の電気特性と比較するステップと、
前記決定した1つ以上のワイヤ部の電気特性と前記ワイヤ構成(W)のワイヤ部の前記所定の電気特性との差が所定の閾値を超える場合に、前記無限軌道(E)の損傷を判定するステップと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記無限軌道(E)の損傷があるか否かを判定する前記ステップが、1つ以上のワイヤ部が引き裂かれているかどうかを前記決定した電気特性に基づいて判定することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記無限軌道(E)の損傷があると判定される場合に、損傷の程度を前記所定の閾値を超える電気特性を有するワイヤ部の数に基づいて判定することを更に含む、請求項1から3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つのセンサデバイス(30)から、前記ワイヤ構成(W)のワイヤ部の電気特性に関する測定情報を受信する前記ステップが、ワイヤ部の第1の接続点(P1)及び第2の接続点(P2)の間の測定からの測定情報を受信することを含む、請求項1から4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つのセンサデバイス(30)から、前記ワイヤ構成(W)のワイヤ部の電気特性に関する測定情報を受信する前記ステップが、電流、電気抵抗、電圧、磁気特性のうちの1つ以上に関する測定情報を受信することを含む、請求項1から5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記測定コネクタ(10)が、前記無限軌道(E)の一体部分となるように構成され、
前記測定コネクタ(10)が、前記無限軌道(E)の前記側部(E1、E2)の少なくとも1つに接続して組み立てられる、請求項1から6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
装軌車両(V)の無限軌道(E)の損傷を判定するための装置であって、
前記装軌車両が、その長手延在方向に車輪のセットの周囲に配設された前記無限軌道(E)を備えた少なくとも1つの軌道アセンブリ(T1、T2)を備え、
前記無限軌道が、前記車輪のセットの軸方向に実質的に平行な方向を向くように構成された対向する側部(E1、E2)を有し、
前記無限軌道(E)が、前記無限軌道(E)内に配置され、前記無限軌道(E)の前記長手延在方向に前記無限軌道(E)の周囲を走るように構成されたワイヤ構成(W)を備え、
前記ワイヤ構成(W)が、ワイヤ部のセットが前記長手延在方向に走っているように前記無限軌道(E)内を走るように配置された1つ以上の個々のワイヤを含み、
前記装置が、前記ワイヤ部のセットのワイヤ部に接続されて、このように接続された前記ワイヤ部の電気特性の測定を容易にする測定コネクタ(10)のセットを備え、
前記測定コネクタ(10)のセットが、前記無限軌道(E)の前記側部(E1、E2)の少なくとも1つの側部に接続する1つ以上のセンサデバイス(30)によってアクセス可能であることによって、決定したワイヤ部の電気特性に基づいた前記無限軌道(E)の損傷の判定を容易にする、装置。
【請求項9】
前記装置が、前記1つ以上のセンサデバイス(30)のうちの少なくとも1つのセンサデバイス(30)と、制御ユニット(100)と、を備え、
前記制御ユニット(100)が、
前記少なくとも1つのセンサデバイス(30)から、測定コネクタ(10)を介して、前記ワイヤ構成(W)のワイヤ部の電気特性に関する測定情報を受信し、
前記少なくとも1つのセンサデバイス(30)から受信した前記情報に基づいて、前記ワイヤ部の電気特性を決定し、
決定した前記電気特性に基づいて、前記無限軌道(E)の損傷の可能性があるか否かを判定する、
ように構成される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記制御ユニット(100)が、前記無限軌道(E)の損傷があるか否かを判定する際に、
決定した前記ワイヤ部の電気特性を前記ワイヤ構成(W)のワイヤ部の所定の電気特性と比較し、
前記決定した1つ以上のワイヤ部の電気特性と前記ワイヤ構成(W)のワイヤ部の前記所定の電気特性との差が所定の閾値を超える場合に、前記無限軌道(E)の損傷の可能性を判定する、
ように構成される、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記無限軌道(E)の損傷の可能性があるか否かを判定する際に、1つ以上のワイヤ部が引き裂かれているかどうかを前記決定した電気特性に基づいて判定するように更に構成された、請求項9又は10に記載の装置。
【請求項12】
前記制御ユニット(100)が、前記無限軌道(E)の損傷の可能性があると判定される場合に、損傷の可能性の程度を前記所定の閾値を超える電気特性を有するワイヤ部の数に基づいて判定するように更に構成される、請求項9から11の何れか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記装置が、前記1つ以上のセンサデバイス(30)のうちの少なくとも1つのセンサデバイス(30)を備え、
前記少なくとも1つのセンサデバイス(30)のセンサデバイスが、ワイヤ部(W1)の第1の接続点(P1)に接続された第1の測定コネクタ(10)と、ワイヤ部(W2)の第2の接続点(P2)に接続された第2の測定コネクタ(10)と、に接続されるように構成されることによって、前記ワイヤ部(W1、W2)の前記第1の接続点(P1)と前記第2の接続点(P2)との間の測定から電気特性に関する測定情報を受信する、請求項8から12の何れか一項に記載の装置。
【請求項14】
測定コネクタを介して決定した前記ワイヤ構成(W)のワイヤ部の前記電気特性が、電流、電気抵抗、電圧、磁気特性のうちの1つ以上を含む、請求項8から13の何れか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記測定コネクタ(10)が、前記無限軌道(E)の一体部分となるように構成され、
前記測定コネクタ(10)が、前記無限軌道(E)の前記側部(E1、E2)の少なくとも1つに接続して組み立てられる、請求項8から14の何れか一項に記載の装置。
【請求項16】
請求項8から15の何れか一項に記載の装置を備えた、装軌車両(V)。
【請求項17】
装軌車両(V)の無限軌道(E)の損傷を判定するための請求項8から15の何れか一項に記載の制御ユニット(100)の少なくとも1つのプロセッサ(110)によって実行されるときに、前記少なくとも1つのプロセッサ(110)に、請求項1から7の何れか一項に記載のステップを実行させる、コンピュータ可読命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項18】
請求項17に記載のコンピュータプログラムを記憶する、不揮発性メモリなどの少なくとも1つのコンピュータ可読媒体を備えたコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装軌車両の無限軌道の損傷を判定する方法に関する。本発明はまた、装軌車両の無限軌道の損傷の可能性を判定するための装置にも関する。本発明はまた装軌車両にも関する。本発明は更にコンピュータプログラム及びコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
装軌車両には、対向する軌道アセンブリが装備されていることがある。各軌道アセンブリは、駆動輪部材、緊張輪部材及びそれらの間の転輪のセットを含む車輪のセット上を長手延在方向に走るように配置された無限軌道を備える。無限軌道は、装軌車両の運転中に駆動輪部材によって回転されるように構成されている。
【0003】
そのような無限軌道は、ゴム材料の無限軌道である場合があり、無限軌道内に配置され、無限軌道の周囲を無限軌道の長手延在方向に走るように構成されたワイヤ構成を備える。
【0004】
そのような装軌車両、例えば戦闘車両は、装軌車両の無限軌道の損傷のリスクを増大させ得る荒れ地を走ることが意図されている。ワイヤが切れると、無限軌道が引き裂かれることがある。無限軌道の損傷の可能性の判定は、例えば視覚的損傷の程度を見る視覚制御によって実行されることがある。しかしながら、これは、非視覚的損傷によっても無限軌道に重大な損傷が生じ、無限軌道が引き裂かれるリスクがあることから完全に信頼できる方法ではない。
【0005】
したがって、装軌車両の無限軌道の損傷の判定を改善する必要性がある。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、装軌車両の無限軌道の損傷を判定する方法を提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、装軌車両の無限軌道の損傷を判定するための装置を提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は、そのような装置を備えた装軌車両を提供することである。
【0009】
本発明の更に別の目的は、方法を実行するためのコンピュータプログラム、及び、コンピュータプログラムを記憶するためのコンピュータプログラム製品を提供することである。
【0010】
以下の説明から明らかなこれら及び他の目的は、添付の独立請求項に記載の方法、装置、装軌車両、コンピュータプログラム及びコンピュータプログラム製品によって達成される。方法及び装置の好適な実施形態は、添付の従属請求項で定義される。
【0011】
本開示のある態様によれば、装軌車両の無限軌道の損傷を判定する方法が提供される。装軌車両は、車輪のセットの周囲にその長手延在方向に配設された無限軌道を備えた少なくとも1つの軌道アセンブリを備え、無限軌道は、無限軌道内に配置され、無限軌道の周囲を無限軌道の長手延在方向に走るように構成されたワイヤ構成を備える。ワイヤ構成は、ワイヤ部のセットが長手延在方向に走っているように無限軌道内を走るように配置された1つ以上の個々のワイヤを含む。測定コネクタのセットが、ワイヤ部のセットのワイヤ部に接続されて、このように接続されたワイヤ部の電気特性の測定を容易にする。測定コネクタのセットは、無限軌道の少なくとも1つの側部に接続する1つ以上のセンサデバイスによってアクセス可能である。方法は、少なくとも1つのセンサデバイスから、測定コネクタを介して、ワイヤ構成のワイヤ部の電気特性に関する測定情報を受信するステップを含む。方法は更に、少なくとも1つのセンサデバイスから受信した情報に基づいて、ワイヤ部の電気特性を決定するステップを含む。方法は更に、決定した電気特性に基づいて、無限軌道の損傷があるか否かを判定することを含む。無限軌道は、車輪のセットの軸方向に実質的に平行な方向を向くように構成された対向する側部を有する。測定コネクタのセットは、車輪のセットの軸方向に実質的に平行な方向を向くように構成された無限軌道の側部の少なくとも1つの側部に接続する1つ以上のセンサデバイスによってアクセス可能である。
【0012】
これによって、装軌車両の無限軌道の損傷を判定する安全かつ信頼できる方法が容易になる。これによって、無限軌道に明らかな視覚的損傷がなくても、無限軌道内の切れた、すなわち引き裂かれたワイヤ/ワイヤ部が検出されることがある。これによって、無限軌道、すなわち無限軌道のワイヤ部の非視覚的損傷を含む損傷の程度及びワイヤ部の損傷の程度が、無限軌道が引き裂かれることをもたらし得る重大な損傷のリスクが生じる前に発見されることがあるため、無限軌道が引き裂かれるような無限軌道の重大な損傷が回避されることがある。
【0013】
本開示のある態様によれば、1つ以上の個々のワイヤは、長手延在方向に走るワイヤ部のセットが無限軌道内に互いに隣接して配置されるように、無限軌道内を走るように配置される。本開示のある態様によれば、長手延在方向に走るワイヤ部のセットは、無限軌道の剛性を提供する及び/又はそれに寄与するように、無限軌道内を走り、互いに隣接して配置されるように構成される。
【0014】
本開示のある態様によれば、測定コネクタのセットは、無限軌道の少なくとも1つの側部に接続する1つ以上のセンサデバイスによって外部からアクセス可能である。
【0015】
本開示のある態様によれば、軌道アセンブリの車輪のセットは、駆動輪部材、緊張輪部材、及び、転輪のセットを備え、無限軌道は、車輪の周囲にその長手延在方向に配設される。本開示のある態様によれば、無限軌道は、装軌車両の運転中に駆動輪部材によって回転されるように構成される。
【0016】
本開示のある態様によれば、ワイヤ構成は、無限軌道の剛性を提供し及び/又はそれに寄与し、ワイヤ構成の切れたワイヤ/ワイヤ部は、無限軌道の剛性を変化させることがある。ワイヤ構成は、本開示のある態様によれば、複数のワイヤ部が無限軌道の剛性を高めるために無限軌道内を互いに隣接して走っているように、無限軌道内を複数周無限軌道内及びその周囲を走るように構成されたワイヤである場合がある。代替的に、ワイヤ構成は、本開示のある態様によれば、無限軌道内で1周以上走るように配置され、互いに隣接して配置される2本以上の個々のワイヤを含むことがある。本開示のある態様によれば、ワイヤ構成のワイヤ/ワイヤ部は、ワイヤ/ワイヤ部を形成するために撚り合わせられるか又は別の方法で纏められるストランドのセットを含むことがある。
【0017】
少なくとも1つのセンサデバイスは、測定コネクタへの接続を提供するときに、ワイヤ構成のワイヤ部の電気特性の測定を容易にするための任意の適切なセンサデバイスである場合がある。本開示のある態様によれば、少なくとも1つのセンサデバイスは、1つ以上のポテンショメータを備えることがある。本開示のある態様によれば、少なくとも1つのセンサデバイスは、1つ以上のケーブルファインダを備えることがある。少なくとも1つのセンサデバイスは、測定コネクタへの接続を提供するときに電気特性の決定を容易にするために電力を生成するための任意の適切なセンサデバイス/センサデバイス用の装置を含むことがある。
【0018】
本開示のある態様によれば、測定コネクタは、導電ケーブルを介してワイヤ部のセットのワイヤ部に接続されて、導電回路を提供することによってこのように接続されたワイヤ部の電気特性の測定を容易にするように構成される。したがって、本開示のある態様によれば、少なくとも1つのセンサデバイスによって判定される電気回路に関連する異常、すなわち電気回路の接続に関連する異常は、電気回路のワイヤ部の損傷に関連すると判定されることがある。本開示のある態様によれば、撚り合わせられるか又は別の方法で纏められるストランドのセットを含むワイヤ構成のワイヤ/ワイヤ部の電気特性が、ストランドのセットの切れる/引き裂かれるストランドの数によって変化する/変わることがある。
【0019】
本開示のある態様によれば、測定コネクタは、ワイヤ部のセットのワイヤ部に接続されて、導電回路を提供することによってこのように接続されたワイヤ部の電気特性の測定を容易にするように構成される導電ケーブルを備える。
【0020】
本開示のある態様によれば、測定コネクタは、無限軌道の側部の少なくとも1つに接続して永久的に接続されるように構成され、測定コネクタの異なる測定コネクタは、導電ケーブル/ワイヤを介してワイヤ部のセットのワイヤ部の異なる接続点に接続されるように構成される。
【0021】
方法のある態様によれば、測定コネクタは、無限軌道の一体部分となるように構成され、測定コネクタは、無限軌道の側部の少なくとも1つに接続して組み立てられる。これによって、無限軌道の損傷の可能性が、例えば手動で容易に判定できるように1つ以上のセンサデバイスのアクセス可能性が促進されるため、無限軌道の損傷の容易かつ効率的な判定が促進される。本開示のある態様によれば、測定コネクタのセットの各測定コネクタは、ワイヤ構成のワイヤ部のセットのワイヤ部の接続点に接続されるように構成された導電ケーブルを備えるか、又はそれに動作可能に接続される。導電ケーブルは、無限軌道の一体部分となるように構成される。
【0022】
方法のある態様によれば、無限軌道の損傷があるか否かを判定するステップは、決定したワイヤ部の電気特性をワイヤ構成のワイヤ部の所定の電気特性と比較するステップと、決定した1つ以上のワイヤ部の電気特性とワイヤ構成のワイヤ部の所定の電気特性との差が所定の閾値を超える場合に無限軌道の損傷を判定するステップと、を含む。そのような比較によって、装軌車両の無限軌道の損傷を判定する安全かつ信頼できる方法が容易になる。これによって、無限軌道内の切れた、すなわち引き裂かれたワイヤ/ワイヤ部が効率的に検出されることがある。
【0023】
方法のある態様によれば、無限軌道の損傷があるか否かを判定するステップは、1つ以上のワイヤ部が引き裂かれているかどうかを決定した電気特性に基づいて判定することを含む。このように1つ以上のワイヤ部が切れている/引き裂かれているかどうかを判定することによって、装軌車両の無限軌道の損傷を判定する安全かつ信頼性の高い方法が容易になる。
【0024】
ある態様によれば、方法は、無限軌道の損傷があると判定される場合に、損傷の程度を所定の閾値を超える電気特性を有するワイヤ部の数に基づいて判定することを更に含む。ある態様によれば、方法は、無限軌道の損傷があると判定される場合に、所定の閾値を超える電気特性を有するワイヤ部の数と、それらがどの程度所定の閾値を超えるかと、に基づいて損傷の程度を判定することを更に含む。
【0025】
ある態様によれば、方法は、無限軌道の損傷があると判定される場合に、所定の閾値を超える電気特性を有するワイヤ部の数に基づいて損傷の程度を判定することを更に含む。これによって、装軌車両の無限軌道の損傷だけでなく、損傷の程度も判定する安全で信頼できる方法が容易になる。これによって、装軌車両の軌道アセンブリの無限軌道が依然として動作可能であるか又は交換/修理が必要であるかが容易かつ効率的に判断されることがある。
【0026】
方法のある態様によれば、ワイヤ構成のワイヤ部の電気特性に関する測定情報を少なくとも1つのセンサデバイスから受信するステップは、ワイヤ部の第1の接続点及び第2の接続点の間の測定からの測定情報を受信することを含む。本開示のある態様によれば、そのようなセンサデバイスは、ワイヤ部の第1の接続点に接続された第1の測定コネクタと、ワイヤ部の第2の接続点に接続された第2の測定コネクタと、にワイヤ構成のワイヤ部と第1及び第2の測定コネクタとを備えた導電回路を提供するために接続可能に構成される。
【0027】
方法のある態様によれば、少なくとも1つのセンサデバイスから、ワイヤ構成のワイヤ部の電気特性に関する測定情報を受信するステップは、電流、電気抵抗、電圧、磁気特性のうちの1つ以上に関する測定情報を受信することを含む。
【0028】
本開示の別の態様によれば、装軌車両の無限軌道の損傷を判定するための装置が提供される。装軌車両は、車輪のセットの周囲にその長手延在方向に配設された無限軌道を備えた少なくとも1つの軌道アセンブリを備え、無限軌道は、無限軌道内に配置され、無限軌道の周囲を無限軌道の長手延在方向に走るように構成されたワイヤ構成を備える。ワイヤ構成は、ワイヤ部のセットが長手延在方向に走っているように無限軌道内を走るように配置された1つ以上の個々のワイヤを含む。装置は、ワイヤ部のセットのワイヤ部に接続された測定コネクタのセットを備え、このように接続されたワイヤ部の電気特性の測定を容易にする。測定コネクタのセットは、無限軌道の少なくとも1つの側部に接続する1つ以上のセンサデバイスによってアクセス可能であるように構成されることによって、ワイヤ部の決定した電気特性に基づいて無限軌道の損傷を判定することを容易にする。無限軌道は、車輪のセットの軸方向に実質的に平行な方向を向くように構成された対向する側部を有する。測定コネクタのセットは、車輪のセットの軸方向に実質的に平行な方向を向くように構成された無限軌道の側部の少なくとも1つの側部に接続する1つ以上のセンサデバイスによってアクセス可能である。本開示のある態様によれば、1つ以上の個々のワイヤは、長手延在方向に走るワイヤ部のセットが無限軌道内に互いに隣接して配置されるように、無限軌道内を走るように配置される。本開示のある態様によれば、測定コネクタのセットは、無限軌道の少なくとも1つの側部に接続する1つ以上のセンサデバイスによって外部からアクセス可能であるように構成される。
【0029】
ある態様によれば、装置は、1つ以上のセンサデバイスのうちの少なくとも1つのセンサデバイスと、制御ユニットと、を備える。制御ユニットは、少なくとも1つのセンサデバイスから、測定コネクタを介して、ワイヤ構成のワイヤ部の電気特性に関する測定情報を受信するように構成される。制御ユニットは更に、少なくとも1つのセンサデバイスから受信した情報に基づいて、ワイヤ部の電気特性を決定するように構成される。制御ユニットは更に、決定した電気特性に基づいて、無限軌道の損傷の可能性があるか否かを判定するように構成される。
【0030】
装置のある態様によれば、制御ユニットは、無限軌道の損傷があるか否かを判定する際に、ワイヤ部の決定した電気特性をワイヤ構成のワイヤ部の所定の電気特性と比較し、決定した1つ以上のワイヤ部の電気特性とワイヤ構成のワイヤ部の所定の電気特性との差が所定の閾値を超える場合に、無限軌道の損傷の可能性を判定するように構成される。
【0031】
装置のある態様によれば、制御ユニットは、無限軌道の損傷の可能性があるか否かを判定する際に、1つ以上のワイヤ部が引き裂かれているかどうかを決定した電気特性に基づいて判定するように更に構成される。
【0032】
装置のある態様によれば、制御ユニットは、無限軌道の損傷があると判定される場合に、所定の閾値を超える電気特性を有するワイヤ部の数に基づいて損傷の可能性の程度を判定するように更に構成される。
【0033】
ある態様によれば、装置は、1つ以上のセンサデバイスのうちの少なくとも1つのセンサデバイスを備え、少なくとも1つのセンサデバイスのセンサデバイスは、ワイヤ部の第1の接続点に接続された第1の測定コネクタと、ワイヤ部の第2の接続点に接続された第2の測定コネクタと、に接続されるように構成されることによって、ワイヤ部の第1の接続点と第2の接続点との間の測定から電気特性に関する測定情報を受信する。
【0034】
装置のある態様によれば、測定コネクタを介してワイヤ構成のワイヤ部の決定した電気特性は、電流、電気抵抗、電圧、磁気特性のうちの1つ以上を含む。
【0035】
装置のある態様によれば、測定コネクタは、無限軌道の一体部分となるように構成され、測定コネクタは、無限軌道の側部の少なくとも1つに接続して組み立てられる。
【0036】
本開示に係る装軌車両の無限軌道の損傷を判定するための装置は、本明細書に記載の対応する方法に係る利点を有する。
【0037】
本開示の更に別の態様によれば、本明細書に記載の装置を備える装軌車両が提供される。
【0038】
本開示の更に別の態様によれば、装軌車両の無限軌道の損傷の可能性を判定するために本明細書に記載の装置の制御ユニットの少なくとも1つのプロセッサによって実行されるときに、少なくとも1つのプロセッサに、上記の方法の方法ステップのいずれか又はそれらの任意の組み合わせを実行させるコンピュータ可読命令を含むコンピュータプログラムが提供される。
【0039】
本開示の更に別の態様によれば、上述のコンピュータプログラムを記憶する、不揮発性メモリなどの少なくとも1つのコンピュータ可読媒体を備えるコンピュータプログラム製品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
本開示のより良い理解のために、添付の図面と併せて読むときに、以下の詳細な説明を参照し、いくつかの図を通して同様の参照符号は同様の部分を指す。
【0041】
図1】本開示のある実施形態に係る装軌車両の側面図を概略的に示す。
図2】本開示のある実施形態に係る装軌車両の軌道アセンブリの側面図を概略的に示す。
図3】本開示のある実施形態に係る軌道アセンブリの無限軌道の一部の斜視図を概略的に示す。
図4】本開示のある実施形態に係る、測定コネクタに接続されたセンサデバイスを備えた無限軌道の一部の平面図を概略的に示す。
図5】本開示のある実施形態に係る装軌車両の無限軌道の損傷を判定する方法のフローチャートを概略的に示す。
図6】本開示のある実施形態に係る装軌車両の無限軌道の損傷を判定する方法のフローチャートを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、「リンク」という用語は、光電子通信線などの物理コネクタ、又は無線接続、例えば無線又はマイクロ波リンクなどの非物理コネクタであり得る通信リンクを指す。
【0043】
本明細書において、「ワイヤ部」という用語は、装軌車両の軌道アセンブリの無限軌道内を、軌道の長手方向に無限軌道内及びその周囲を複数周走るように構成されたワイヤ構成のワイヤの任意の部分を指すことがある。本明細書において、「ワイヤ部」という用語は、無限軌道内を軌道の長手方向に無限軌道の一部に沿って、又は無限軌道内及びその周囲を1周以上走るワイヤの一部を指すことがある。本明細書において、「ワイヤ部」という用語は、軌道の長手方向に第1の測定コネクタが接続されるワイヤの第1の接続点と第2の測定コネクタが接続されるワイヤの第2の接続点との間の無限軌道内の一定の範囲を走るワイヤの一部を指すことがあり、センサデバイスが、第1の接続点と第2の接続点との間のワイヤ部の電気特性の決定を容易にすべくワイヤ部を備えた導電回路を提供するために、第1の測定コネクタ及び第2の測定コネクタに接続可能であるように構成される。
【0044】
図1は、本開示のある実施形態に係る装軌車両Vの側面図を概略的に示す。図2は、本開示のある実施形態に係る装軌車両、例えば図1による装軌車両の軌道アセンブリT1の斜視図を概略的に示す。図3は、本開示のある実施形態に係る図2の軌道アセンブリT1の一部の斜視図を概略的に示す。図4は、本開示のある実施形態に係る測定コネクタに接続されたセンサデバイス30を備えた無限軌道Eの一部の平面図を概略的に示す。
【0045】
装軌車両Vは、図1の開示によれば軍用車両である。装軌車両Vは、図1の開示によれば戦闘車両である。
【0046】
装軌車両Vは車両本体Bを備え、車両本体Bは、本開示のある態様によれば、車両Vのシャーシ及び車体を備える。
【0047】
装軌車両Vは、車両Vを駆動するための右軌道アセンブリT1と左軌道アセンブリT2とを備えており、左軌道アセンブリは図1に示されている。各軌道アセンブリは、駆動輪部材DW、緊張輪部材TW、転輪RWのセット及び車輪を覆って伸びるように配置された無限軌道Eを備える。ここで、駆動輪部材DWは前方に配置され、緊張輪部材TWは後方に配置され、転輪RWは駆動輪部材DWと緊張輪部材TWとの間に配置される。ただし、本開示に係る装軌車両は、駆動輪部材、緊張輪部材及び転輪の任意の適切な配置を有する軌道アセンブリを有することがある。本開示のある態様によれば、緊張輪部材は前部に配置され、駆動輪部材は後部に配置され、転輪はそれらの間に配置されることがある。
【0048】
各軌道アセンブリの無限軌道Eは、駆動輪部材DWによって駆動ひいては回転されるように構成される。装軌車両Vは、駆動輪部材DWを駆動するための図示しない駆動手段を備える。駆動手段は、内燃機関及び/又は電気機械などの任意の適切な駆動手段である場合がある。
【0049】
装軌車両Vの各軌道アセンブリT1の無限軌道Eは、車両の横方向に車両から外を向く外側側部E1と、軌道アセンブリが取り付けられる車両の横方向に車両の方を向く内側側部E2と、を有する(図3参照)。したがって、車両Vの横方向に車両から外を向く外側側部E1は横方向外側側部E1である。したがって、車両Vの横方向に車両の方を向く内側側部E2は、横方向内側側部E2である。無限軌道Eの外側側部E1及び内側側部E2は、無限軌道により取り囲まれ、無限軌道Eを含む軌道アセンブリに含まれる車輪の軸方向に実質的に平行な方向を向くように構成される。例えば、軸Zを中心に回転するように構成される駆動輪DWを備え、側部E1、E2が軸Zに実質的に平行な方向を向いている軌道アセンブリT1を示す図2参照。ここで無限軌道Eの外側側部E1は軸方向外側側部E1、無限軌道の内側側部E2は軸方向内側側部E2と表されることがある。
【0050】
装軌車両Vの各軌道アセンブリT1の無限軌道Eは、軌道が駆動輪部材DWと係合しているときに駆動輪部材DWに背を向ける外側側部E3と、軌道が駆動輪部材DWと係合しているときに駆動輪部材DWの方を向く内側側部E4と、を有する(図1及び図2参照)。外側側部E3は地面係合外側側部E3であり、地面係合外側側部E3の一部分は地面と係合するように構成されており、この部分は軌道Eの駆動中、したがって回転中に変化する。内側側部E4は駆動輪係合内側側部E4であり、駆動輪係合内側側部E4の一部分は駆動輪部材DWと係合するように構成されており、この部分は軌道Eの駆動中、したがって回転中に変化する。したがって、無限軌道Eの地面係合外側側部E3及び反対側の駆動輪係合内側側部E4は、無限軌道Eの横方向外側側部E1及び横方向内側側部E2の方向に直交する方向を向いている。無限軌道Eは、内側側部E4が車輪を向くように、駆動輪部材DWを含む車両の車輪を取り囲むように構成される(例えば図1参照)。
【0051】
各軌道アセンブリの無限軌道Eは、任意の適切な構成を有し、任意の適切な材料で作られることがある。各軌道アセンブリの無限軌道Eは、本開示のある態様によればゴム軌道である場合がある。
【0052】
本開示のある態様によれば、無限軌道Eは、無限軌道E内に配置されたワイヤ構成Wを備える。ワイヤ構成Wは、無限軌道Eの周囲を無限軌道Eの長手延在方向に走るように構成される。図3参照。本開示のある態様によれば、ワイヤ構成Wは、無限軌道Eの周囲を無限軌道Eの長手延在方向に走るように構成された1つ以上のワイヤを含む。本開示のある態様によれば、ワイヤ構成Wは、無限軌道E内を無限軌道Eの周囲を無限軌道Eの長手延在方向に走るように構成された1つ以上のワイヤを含む。本開示のある態様によれば、ワイヤ構成Wは、無限軌道Eの周囲を複数周無限軌道Eの長手延在方向に走るように構成された1つ以上のワイヤを含む。本開示のある態様によれば、無限軌道Eの周囲を複数周無限軌道Eの長手延在方向に走るように構成された1つ以上のワイヤを含むワイヤ構成Wは、無限軌道Eの幅に沿って分布するように構成される。図3参照。ワイヤ構成Wは、無限軌道E内の無限軌道Eの地面係合外側側部E3と反対側の駆動輪係合内側側部E4との間に配置される。
【0053】
本開示のある態様によれば、ワイヤ構成のワイヤ/ワイヤ部は、ワイヤ/ワイヤ部を形成するために撚り合わせられるか又は別の方法で纏められるストランドのセットを含むことがある。
【0054】
本開示のある態様によれば、ワイヤ構成Wは1つ以上の鋼線を含むことがある。
【0055】
本開示のある態様によれば、ワイヤ構成Wは、無限軌道Eに接続を提供するように構成される。本開示のある態様によれば、ワイヤ構成Wは、無限軌道Eに長手方向の取り付けを提供するように構成される。本開示のある態様によれば、ワイヤ構成Wは、無限軌道Eを長手方向に結束させるように構成される。
【0056】
本開示のある態様によれば、ワイヤ構成Wの少なくとも1つのワイヤは、無限軌道Eの周囲を無限軌道Eの長手延在方向に20~100周の範囲で走る、すなわち無限軌道の周囲を長手延在方向に20~100回走るように構成されることがある。
【0057】
本開示のある態様によれば、装軌車両Vの無限軌道Eの損傷を判定するための装置が提供される。
【0058】
そのような装置を図3及び図4に概略的に示す。図3及び図4に概略的に示すそのような装置は、例えば図1に示すような、車輪のセットの周囲にその長手延在方向に配設された無限軌道Eを備える少なくとも1つの軌道アセンブリT1、T2を備えた装軌車両Vのためのものであり、無限軌道Eは、無限軌道E内に配置され、無限軌道Eの周囲を無限軌道Eの長手延在方向に走るように構成されたワイヤ構成Wを備える。ワイヤ構成Wは、無限軌道E内を走るように配置された1つ以上の個々のワイヤを含むことがある。図3に示すように、ワイヤ構成は、無限軌道E内に互いに隣接して配置された、長手延在方向に走るワイヤ部のセットを含む。図3には、ワイヤ部の一部が示されている。図3では、5つのワイヤ部W1、W2、W3、W4、W5に、説明のため参照番号が与えられている。図3では、参照番号が与えられた5つのワイヤ部W1、W2、W3、W4、W5は、ワイヤ構成Wの隣接するワイヤ部のセットのうち、無限軌道Eの外側側部E1から数えて第3のワイヤ部W1、第6のワイヤ部W2、第9のワイヤ部W3、第12のワイヤ部W4及び第15のワイヤ部W5を含む。本開示のある態様によれば、外側側部E1の最も外側のワイヤ部を含むワイヤ部のセットの少なくともワイヤ部、及びワイヤ部W1、W2、W3、W4、W5を含む隣接するワイヤ部は、無限軌道内を複数周走るように構成された単一のワイヤから構成される。
【0059】
装置は、測定コネクタ10のセットを備える。測定コネクタ10は、無限軌道Eの少なくとも1つの側部E1、E2に接続する1つ以上のセンサデバイス30によって外部からアクセス可能であるように構成される。
【0060】
本開示のある態様によれば、測定コネクタ10は、無限軌道Eの側部E1、E2の少なくとも1つに接続して永久的に接続されるように構成される。本開示のある態様によれば、測定コネクタ10は、無限軌道Eの一体部分となるように構成され、測定コネクタ10は、無限軌道Eの側部E1、E2の少なくとも1つに接続して組み立てられる。
【0061】
本開示のある態様によれば、測定コネクタ10は、無限軌道E内の無限軌道Eの地面係合外側側部E3と反対側の駆動輪係合内側側部E4との間に少なくとも部分的に配置されるように構成される。
【0062】
測定コネクタ10は、任意の適切な導電性材料で作られることがある。本開示のある態様によれば、測定コネクタ10は、側部E1、E2の少なくとも1つに接続して無限軌道E内に鋳込まれるように構成される。
【0063】
装置は、任意の適切な数の測定コネクタ10を備えることがある。測定コネクタ10の数は、無限軌道の長手方向に走り、無限軌道E内に横方向に互いに隣接して配置されるワイヤ部の数に依存することがある。測定コネクタ10の数は、ワイヤ構成W、すなわちワイヤ構成Wのワイヤ部の損傷を判定するための所望の精度に依存することがある。図3に示す無限軌道Eの部分について、無限軌道Eの外側側部E1に接続して配置された5つの測定コネクタ10が概略的に示されている。
【0064】
既に述べたように、測定コネクタ10のセットは、ワイヤ部のセットのワイヤ部に接続されて、このように接続されたワイヤ部の電気特性の測定を容易にするように構成される。本開示のある態様によれば、測定コネクタ10は、導電ケーブル20を介してワイヤ部のセットのワイヤ部に接続されて、導電回路を提供することによってこのように接続されたワイヤ部の電気特性の測定を容易にするように構成される。
【0065】
本開示のある態様によれば、測定コネクタ10の異なる測定コネクタ10が、導電ケーブル20を介してワイヤ部のセットのワイヤ部の異なる接続点に接続されるように構成される。導電ケーブル20は、導線20と表されることもある。
【0066】
本開示の代替的な態様によれば、測定コネクタ10は、ワイヤ部のセットのワイヤ部に接続されて、導電回路を提供することによってこのように接続されたワイヤ部の電気特性の測定を容易にするように構成される導電ケーブル20を備える。
【0067】
本開示のある態様によれば、測定コネクタ10のセットの各測定コネクタ10は、ワイヤ構成Wのワイヤ部のセットのワイヤ部の接続点に接続されるように構成された導電ケーブル20を備えるか、又はそれに動作可能に接続される。導電ケーブル20は、無限軌道Eの一体部分となるように構成される。
【0068】
本開示のある態様によれば、導電ケーブル20は、無限軌道E内の無限軌道Eの地面係合外側側部E3と反対側の駆動輪係合内側側部E4との間に配置されるように構成される。
【0069】
図3に概略的に例示するように、測定コネクタ10が、導電ケーブル10を介して第3のワイヤ部W1の接続点に接続される。図3に概略的に例示するように、別の測定コネクタ10が、別の導電ケーブル10を介して第6のワイヤ部W2の接続点に接続される。図3に概略的に例示するように、更に別の測定コネクタ10が、更に別の導電ケーブル10を介して第9のワイヤ部W3の接続点に接続される。図3に概略的に例示するように、更に別の測定コネクタ10が、更に別の導電ケーブル10を介して第12のワイヤ部W4の接続点に接続される。図3に概略的に例示するように、更に別の測定コネクタ10が、更に別の導電ケーブル10を介して第15ワイヤ部W5の接続点に接続される。
【0070】
既に述べたように、測定コネクタのセットは、無限軌道の少なくとも1つの側部E1、E2に接続する1つ以上のセンサデバイス30によって外部からアクセス可能であるように構成され、これによって、決定したワイヤ部の電気特性に基づいた無限軌道の損傷の判定が容易になる。
【0071】
少なくとも1つのセンサデバイス30は、測定コネクタ10への接続を提供するときに、ワイヤ構成のワイヤ部の電気特性の測定を容易にするための任意の適切なセンサデバイス30である場合がある。本開示のある態様によれば、少なくとも1つのセンサデバイス30は1つ以上のポテンショメータを備えることがある。本開示のある態様によれば、少なくとも1つのセンサデバイス30は1つ以上のケーブルファインダを備えることがある。少なくとも1つのセンサデバイス30は、測定コネクタへの接続を提供するときに電気特性の決定を容易にするために、電力を生成するための任意の適切なセンサデバイス/センサデバイス用の装置を含むことがある。
【0072】
図3に概略的に例示するように、センサデバイス30が、第1の接触部材32を介して、導電ケーブル10を介して第3のワイヤ部W1の接続点に接続された測定コネクタ10に接続され、第2の接触部材34を介して、導電ケーブル10を介して第6のワイヤ部W2の接続点に接続された測定コネクタ10に接続される。これによって、導電回路がセンサデバイス30によって第3のワイヤ部W1の接続点と第6のワイヤ部W2の接続点との間に設けられる。
【0073】
そのようなアクセス可能に配置された測定コネクタ10を備えた装軌車両の無限軌道Eの損傷のための装置は、1つ以上のそのようなセンサデバイス30を用いて、無限軌道内のワイヤ構成のワイヤ部の電気特性を決定することによって無限軌道の損傷があるかどうかを判定することを容易にする。決定した電気特性がそのようなワイヤ部の所定の電気特性と一定程度異なる場合に、無限軌道の損傷が判定されることがある。本開示のある態様によれば、撚り合わせられるか又は別の方法で纏められるストランドのセットを含むワイヤ構成のワイヤ/ワイヤ部の電気特性が、ストランドのセットの切れた/引き裂かれたストランドの数によって変化する/変わることがある。
【0074】
図4は、本開示のある実施形態に係る測定コネクタに接続されたセンサデバイス30を備えた無限軌道Eの一部分の平面図を概略的に示している。本開示のある態様によれば、図4に概略的に示すように、装軌車両の無限軌道Eの損傷を判定するための装置は、上記の1つ以上のセンサデバイス30のうちの少なくとも1つのセンサデバイス30を備える。本開示のある態様によれば、図4に概略的に示すように、装軌車両の無限軌道Eの損傷を判定するための装置は、制御ユニット100を備える。
【0075】
本開示のある態様によれば、1つ以上のそのようなセンサデバイス30は、制御ユニット100に動作可能に接続可能である場合がある。本開示のある態様によれば、1つ以上のそのようなセンサデバイス30は、1つ以上のリンクLを介して制御ユニット100に動作可能に接続可能である場合がある。本開示のある態様によれば、1つ以上のそのような制御ユニット100は、装軌車両の車両本体に接続して配置されることがある。本開示のある態様によれば、1つ以上のそのような制御ユニット100は、装軌車両の各軌道アセンブリに接続して配置されることがある。本開示のある態様によれば、1つ以上のそのような制御ユニット100は、1つ以上のそのようなセンサデバイス30を備えることがある。
【0076】
本開示のある態様によれば、制御ユニット100は少なくとも1つのプロセッサ110を備える。
【0077】
本開示のある態様によれば、制御ユニット100はメモリ装置120を備える。メモリ装置120は少なくとも1つのメモリを含むことがある。したがって、制御ユニット100は少なくとも1つのメモリを備える。
【0078】
本開示のある態様によれば、制御ユニット100は、通信インターフェイス130を備える。通信インターフェイス130は、通信ユニットと表されることもある。
【0079】
本開示のある態様によれば、制御ユニット100の少なくとも1つのプロセッサ110は、少なくとも1つのセンサ30に動作可能に接続可能である。
【0080】
本開示のある態様によれば、制御ユニット100のメモリ装置120は、少なくとも1つのプロセッサ110に統合されるもしくは埋め込まれる、及び/又は、別個のメモリハードウェアデバイスである場合がある。本開示のある態様によれば、制御ユニット100のメモリ装置120は、少なくとも1つのプロセッサ110に動作可能に接続可能である。本開示のある態様によれば、メモリ装置120の少なくとも1つのメモリのうちの少なくとも1つは、少なくとも1つのプロセッサ110に統合されるもしくは埋め込まれる、及び/又は、別個のメモリハードウェアデバイスである場合がある。
【0081】
メモリ装置120は、RAM、ROM、ハードディスク、光ディスク、磁気媒体、フラッシュメモリ及び/又は命令又はデータを記憶できる他の任意の機構を含むことがある。
【0082】
本開示のある態様によれば、制御ユニット100の少なくとも1つのプロセッサ110は、入力データに対して論理演算を実行する電気回路を有する任意の物理デバイスを備えることがある。本開示のある態様によれば、制御ユニット100の少なくとも1つのプロセッサ110は、入力データに対して論理演算を実行する電気回路を有する任意の物理デバイスを備えることがある。例えば、少なくとも1つのプロセッサ110は、1つ以上の集積回路、マイクロチップ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、CPU、DSP、FPGAの全部もしくは一部、又は命令を実行するか論理演算を実行するための他の回路を含むことがある。本開示のある態様によれば、制御ユニット100により実行されるものとして本明細書に記載された動作及び方法ステップは、メモリ装置120に記憶されている1つ以上のコンピュータプログラムの実行時に、制御ユニット100の少なくとも1つのプロセッサ110によって実行される。本開示のある態様によれば、少なくとも1つのプロセッサ110により実行されるものとして本明細書に記載された動作及び方法ステップは、メモリ装置120に記憶されている1つ以上のコンピュータプログラムの実行時に、制御ユニット100の少なくとも1つのプロセッサ110によって実行される。
【0083】
本開示のある態様によれば、通信インターフェイス130は、メモリ装置120に動作可能に接続される。本開示のある態様によれば、通信インターフェイス130は、少なくとも1つのプロセッサ110に動作可能に接続されることがある。
【0084】
本開示のある態様によれば、制御ユニット100は、少なくとも1つのセンサデバイス30から、測定コネクタ10を介して、ワイヤ構成Wのワイヤ部W1、W2の電気特性に関する測定情報を受信するように構成される。本開示のある態様によれば、制御ユニット100は、少なくとも1つのセンサデバイス30から受信した情報に基づいて、ワイヤ部W1、W2の電気特性を決定するように構成される。本開示のある態様によれば、制御ユニット100は、決定した電気特性に基づいて、無限軌道Eの損傷の可能性があるか否かを判定するように構成される。
【0085】
本開示のある態様によれば、制御ユニット100は、無限軌道Eの損傷があるか否かを判定する際に、決定したワイヤ部W1、W2の電気特性をワイヤ構成のワイヤ部の所定の電気特性と比較するように構成される。本開示のある態様によれば、制御ユニット100は、決定した1つ以上のワイヤ部W1、W2の電気特性とワイヤ構成Wのワイヤ部の所定の電気特性との差が所定の閾値を超える場合に、無限軌道Eの損傷を判定するように構成される。
【0086】
本開示のある態様によれば、制御ユニット100は、無限軌道Eの損傷の可能性があるか否かを判定するときに、1つ以上のワイヤ部W1、W2が引き裂かれているかどうかを決定した電気特性に基づいて判定するように更に構成される。
【0087】
本開示のある態様によれば、制御ユニット100は、無限軌道Eの損傷の可能性があると判定される場合に、所定の閾値を超える電気特性を有するワイヤ部の数に基づいて損傷の可能性の程度を判定するように更に構成される。
【0088】
図4に概略的に例示するように、1つ以上のセンサデバイス30のうちのセンサデバイス30は、第1の接触部材32を介して、導電ケーブル20を介してワイヤのワイヤ部W1の第1の接続点P1に接続された測定コネクタ10に接続され、第2の接触部材34を介して、別の導電ケーブル20を介してワイヤのワイヤ部W2の第2の接続点P2に接続された測定コネクタ10に接続される。これによって、導電回路が、センサデバイス30によってワイヤ部W1の第1の接続点P1とワイヤ部W2の第2の接続点P2との間に設けられる。
【0089】
ある実施形態によれば、装軌車両Vは、図5に係る装軌車両の無限軌道の損傷を判定するための方法M1に従って動作するように構成される。
【0090】
ある実施形態によれば、装軌車両Vは、図6に係る装軌車両の無限軌道の損傷を判定するための方法M2に従って動作するように構成される。
【0091】
図5は、本開示のある態様に係る装軌車両の無限軌道の損傷を判定する方法M1のフローチャートを概略的に示している。
【0092】
装軌車両は、その長手延在方向に車輪のセットの周囲に配設された無限軌道を備えた少なくとも1つの軌道アセンブリを備え、無限軌道は、無限軌道内に配置され、無限軌道の長手延在方向に無限軌道の周囲を走るように構成されたワイヤ構成を備える。ワイヤ構成は、ワイヤ部のセットが長手延在方向に走っているように無限軌道内を走るように配置された1つ以上の個々のワイヤを含む。本開示のある態様によれば、1つ以上の個々のワイヤは、長手延在方向に走るワイヤ部のセットが無限軌道内に互いに隣接して配置されるように、無限軌道内を走るように配置される。測定コネクタのセットが、ワイヤ部のセットのワイヤ部に接続されて、このように接続されたワイヤ部の電気特性の測定を容易にする。測定コネクタのセットは、無限軌道の少なくとも1つの側部に接続する1つ以上のセンサデバイスによってアクセス可能、ある態様によれば外部からアクセス可能である。装軌車両は、任意の適切な装軌車両である場合がある。装軌車両は、図1による装軌車両である場合がある。装軌車両は、図1から図2による軌道アセンブリを備えることがある。
【0093】
この態様によれば、方法M1はステップS1を含む。このステップでは、ワイヤ構成のワイヤ部の電気特性に関する測定情報が、測定コネクタを介して少なくとも1つのセンサデバイスから受信される。
【0094】
この態様によれば、方法M1はステップS2を含む。このステップでは、少なくとも1つのセンサデバイスから受信した情報に基づいて、ワイヤ部の電気特性を決定する。
【0095】
この態様によれば、方法M1はステップS3を含む。このステップでは、決定した電気特性に基づいて、無限軌道の損傷があるか否かが判定される。
【0096】
本開示のある態様によれば、方法M1は、無限軌道の損傷が判定される場合に、判定された無限軌道の損傷の可能性に基づいて措置を講じるステップ(図示せず)を含むことがある。そのような措置は任意の適切な措置である場合がある。そのような措置は、無限軌道のこのように判定された損傷の可能性を装軌車両の運転者及び/又は制御センターなどに知らせることである場合がある。本開示のある態様によれば、方法M1は、無限軌道の損傷の可能性が低いと判定される場合に、判定された無限軌道の可能性が低い深刻な損傷に基づいて措置が講じられるステップ(図示せず)を含むことがある。そのような措置は任意の適切な措置である場合がある。そのような措置は、装軌車両の運転者及び/又は制御センターなどに装軌車両が操作可能であることを知らせることである場合がある。
【0097】
装軌車両の無限軌道の損傷の可能性を判定する方法M1は、ある実施形態によれば図3及び図4を参照して以上で説明した装置によって実行されるように適合される。
【0098】
方法M1は任意の適切な方法で実行されることがある。本開示のある態様によれば、方法M1は、制御ユニット、例えば図4による制御ユニット100によって実行されることがある。そのような制御ユニットは、装軌車両の運転操作を容易にするために無限軌道の運転操作/状態を制御するように構成されることがある。そのような制御ユニットは、少なくとも1つのプロセッサ、例えば図4によるプロセッサを備えることがあり、ある実施形態に係る方法は、そのような少なくとも1つのプロセッサによって実行されるように適合される。
【0099】
装軌車両の無限軌道の損傷を判定する方法M1は、ある実施形態によれば、装軌車両の無限軌道の損傷の可能性を判定するための装置、例えば図3又は図4による装置の制御ユニットの少なくとも1つのプロセッサによって実行されるときに、少なくとも1つのプロセッサに方法M1を実行させるコンピュータ可読命令を含むコンピュータプログラムによって実行されるように適合される。
【0100】
図6は、本開示のある態様に係る装軌車両の無限軌道の損傷を判定する方法M2のフローチャートを概略的に示している。
【0101】
装軌車両は、その長手延在方向に車輪のセットの周囲に配設された無限軌道を備えた少なくとも1つの軌道アセンブリを備え、無限軌道は、無限軌道内に配置され、無限軌道の長手延在方向に無限軌道の周囲を走るように構成されたワイヤ構成を備える。ワイヤ構成は、ワイヤ部のセットが長手延在方向に走っているように無限軌道内を走るように配置された1つ以上の個々のワイヤを含む。本開示のある態様によれば、1つ以上の個々のワイヤは、長手延在方向に走るワイヤ部のセットが無限軌道内に互いに隣接して配置されるように、無限軌道内を走るように配置される。測定コネクタのセットが、ワイヤ部のセットのワイヤ部に接続されて、このように接続されたワイヤ部の電気特性の測定を容易にする。測定コネクタのセットは、無限軌道の少なくとも1つの側部に接続する1つ以上のセンサデバイスによってアクセス可能、ある態様によれば外部からアクセス可能である。装軌車両は、任意の適切な装軌車両である場合がある。装軌車両は、図1による装軌車両である場合がある。装軌車両は、図1から図2による軌道アセンブリを備えることがある。
【0102】
この態様によれば、方法M2はステップS11を含む。このステップでは、ワイヤ構成のワイヤ部の電気特性に関する測定情報が、測定コネクタを介して少なくとも1つのセンサデバイスから受信される。
【0103】
この態様によれば、方法M2はステップS12を含む。このステップでは、少なくとも1つのセンサデバイスから受信した情報に基づいて、ワイヤ部の電気特性を決定する。
【0104】
この態様によれば、方法M2はステップS13を含む。このステップでは、ワイヤ部の決定した電気特性は、ワイヤ構成のワイヤ部の所定の電気特性と比較される。
【0105】
この態様によれば、方法M2はステップS14を含む。このステップでは、比較に基づいて、差があるかどうかが判定され、差がある場合に、決定した1つ以上のワイヤ部の電気特性とワイヤ構成のワイヤ部の所定の電気特性との差が所定の閾値を超えるかどうかが判定される。
【0106】
この態様によれば、方法M2はステップS14Aを含む。このステップでは、差が所定の閾値を超える場合に、無限軌道の損傷が判定される。
【0107】
本開示のある態様によれば、方法M2は、無限軌道の損傷が判定される場合に、判定された無限軌道の損傷に基づいて措置を講じるステップ(図示せず)を含むことがある。そのような措置は任意の適切な措置である場合がある。そのような措置は、このように判定された無限軌道の損傷の可能性を、装軌車両の運転者及び/又は制御センターなどに知らせることである場合がある。
【0108】
この態様によれば、方法M2はステップS14Bを含む。このステップでは、差が所定の閾値を超えない場合に、無限軌道の損傷の可能性が低いと判定される。
【0109】
本開示のある態様によれば、方法M2は、無限軌道の損傷の可能性が低いと判定される場合に、無限軌道の損傷の可能性が低いとの判定に基づいて措置が講じられるステップ(図示せず)を含むことがある。そのような措置は任意の適切な措置である場合がある。そのような措置は、装軌車両の運転者及び/又は制御センターなどに装軌車両が操作可能であることを知らせることである場合がある。
【0110】
装軌車両の無限軌道の損傷の可能性を判定する方法M2は、ある実施形態によれば図3及び図4を参照して以上で説明した装置によって実行されるように適合される。
【0111】
方法M2は任意の適切な方法で実行されることがある。本開示のある態様によれば、方法M2は、制御ユニット、例えば図4による制御ユニット100によって実行されることがある。そのような制御ユニットは、装軌車両の運転操作を容易にするために無限軌道の運転操作/状態を制御するように構成されることがある。そのような制御ユニットは、少なくとも1つのプロセッサ、例えば図4によるプロセッサを備えることがあり、ある実施形態に係る方法は、そのような少なくとも1つのプロセッサによって実行されるように適合される。
【0112】
装軌車両の無限軌道の損傷を判定する方法M2は、ある実施形態によれば、装軌車両の無限軌道の損傷の可能性を判定するための装置、例えば図3又は図4による装置の制御ユニットの少なくとも1つのプロセッサによって実行されるときに、少なくとも1つのプロセッサに方法M2を実行させるコンピュータ可読命令を含むコンピュータプログラムによって実行されるように適合される。
【0113】
上述の方法M1、M2の場合、少なくとも1つのセンサデバイスから受け取ったワイヤ構成のワイヤ部の電気特性に関する測定情報は、本開示の態様によれば、任意の適切な1つ以上のセンサデバイスを用いて任意の適切な方法で取得されることがある。以下に、方法M1、M2に適用可能な、少なくとも1つのセンサデバイスから受信されたワイヤ構成のワイヤ部の電気特性に関する測定情報に関する本開示の一部の態様及び/又は実施形態が開示される。
【0114】
上述の方法M1、M2では、無限軌道の損傷があるか否かを判定することは、1つ以上のワイヤ部が引き裂かれているかどうかを決定した電気特性に基づいて判定することを含む。
【0115】
方法M1及び/又はM2のある態様によれば、方法は、無限軌道の損傷があると判定される場合に、所定の閾値を超える電気特性を有するワイヤ部の数に基づいて損傷の程度を判定することを更に含む。
【0116】
方法M1及び/又はM2のある態様によれば、少なくとも1つのセンサデバイスから、ワイヤ構成(W)のワイヤ部の電気特性に関する測定情報を受信するステップは、ワイヤ部の第1の接続点と第2の接続点との間の測定から測定情報を受信することを含む。
【0117】
方法M1及び/又はM2のある態様によれば、少なくとも1つのセンサデバイスから、ワイヤ構成のワイヤ部の電気特性に関する測定情報を受信するステップは、電流、電気抵抗、電圧、磁気特性のうちの1つ以上に関する測定情報を受信することを含む。
【0118】
本開示の第2の態様によれば、方法M1、M2は、コンピュータプログラムの実行時に制御ユニットの1つ以上のプロセッサにより実行されるコンピュータ実装方法である場合がある。本開示の第2の態様によれば、コンピュータプログラムは、制御ユニット100内に常駐するプログラムコンポーネントを含む分散型コンピュータプログラムである場合がある。
【0119】
本開示の第2の態様によれば、上記の方法M1、M2は、装軌車両の無限軌道の損傷を判定するための制御ユニットの1つ以上のプロセッサによるコンピュータプログラムの実行時に実行され得るコンピュータ実装方法である場合がある。
【0120】
したがって、本開示の第2の態様によれば、装軌車両の無限軌道の損傷を判定するための制御ユニットの少なくとも1つのプロセッサによって実行されるときに、少なくとも1つのプロセッサに、
少なくとも1つのセンサデバイスから、測定コネクタを介して、ワイヤ構成のワイヤ部の電気特性に関する測定情報を受信するステップと、
少なくとも1つのセンサデバイスから受信した情報に基づいて、ワイヤ部の電気特性を決定するステップと、
決定した電気特性に基づいて、無限軌道の損傷があるか否かを判定するステップと、
を実行させるコンピュータ可読命令を含むコンピュータプログラムが提供される。
【0121】
コンピュータプログラムは、デバイスの少なくとも1つのプロセッサに、上記の方法M1;M2の方法ステップのいずれか、又はそれらの任意の組み合わせを実行させるための命令を更に含むことがある。
【0122】
コンピュータプログラムは、上記の方法の様々なステップを実行するように構成されたいくつかのコンピュータプログラムコンポーネント又はアプリケーションを含むことがある。例えば、コンピュータプログラムは、制御デバイス内に常駐するデータ分析及びデータ通信のためのプログラムコンポーネント又はアプリケーションを含むことがある。ある態様によれば、コンピュータプログラムは、ユーザの電子デバイスに常駐する、データのデータ提示及びユーザとの対話のためのクライアントアプリケーションの形をしたプログラムコンポーネント又はアプリケーションを含むことがある。クライアントアプリケーションは、例えば、携帯電話やタブレットコンピュータなどのモバイル電子デバイス上で実行されるように構成されたモバイルアプリケーション(アプリ)の形で、又はラップトップ又はデスクトップコンピュータ上で実行されるように構成されたデスクトップアプリケーションの形で実現されることがある。
【0123】
本開示のある態様によれば、上述のコンピュータプログラムを記憶する、不揮発性メモリなどの少なくとも1つのコンピュータ可読媒体を備えるコンピュータプログラム製品が提供される。
【0124】
本発明の好適な実施形態の上記の説明は、例示及び説明を目的として提供されたものである。これは、網羅的であること、又は本発明を開示された正確な形式に限定することを意図したものではない。明らかに、当業者には多くの修正及び変形が明らかであろう。実施形態は、本発明の原理とその実際の応用を最もよく説明するために選択され、説明されており、これによって、他の当業者が企図される特定の用途に適した様々な変更を加えた様々な実施形態について本発明を理解できるようにする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】