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特表2024-523153呼気弁アセンブリ及び呼気弁アセンブリを備えた呼吸ガスラインアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】呼気弁アセンブリ及び呼気弁アセンブリを備えた呼吸ガスラインアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/20 20060101AFI20240621BHJP
   A61M 16/08 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
A61M16/20 B
A61M16/08 300Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573434
(86)(22)【出願日】2022-07-01
(85)【翻訳文提出日】2024-01-16
(86)【国際出願番号】 EP2022068277
(87)【国際公開番号】W WO2023280710
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】102021117375.2
(32)【優先日】2021-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515233591
【氏名又は名称】ハミルトン メディカル アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ケルスティン・リピンスキー
(72)【発明者】
【氏名】キム・ハルティナー
(57)【要約】
本発明は、人工呼吸器用の呼気弁アセンブリ(16)に関するものであり、呼気弁アセンブリ(16)は、一方の端部に呼気入口(22)及び呼気呼吸ガスライン(36a)に連結するように構成された入口連結形成部(30a)を有し、他方の端部に呼気出口(40)を有する呼気チャネル(38)であって、呼気弁(42)を有する呼気チャネル(38)と、一方の端部に吸気入口(54)及び吸気呼吸ガスを供給する呼吸ガス源に接続するように構成された入口接続形成部(58)を有し、他方の端部に吸気出口(24)及び吸気呼吸ガスライン(36b)に接続するように構成された出口接続形成部(30b)を有する吸気チャネル(52)と、分岐点(66)で吸気チャネル(52)から分岐し、呼気弁(42)に至り、これによって、呼気弁(42)が吸気呼吸ガスによって、呼気呼吸ガス流を遮断する遮断位置に変位し得る制御チャネル(68)と、を含んでおり、吸気チャネル(52)には、一方向弁(60、60’)が配置されており、一方向弁は、吸気入口(54)から吸気出口(24)への吸気方向(I)における吸気呼吸ガス流を許容し、反対方向の呼吸ガス流を阻止する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に人工呼吸を施すための人工呼吸器用の呼気弁アセンブリ(16)であって、
一方の端部に、呼気呼吸ガス流を呼気チャネル(38)に導入するための呼気入口(22)と、患者に至る呼気呼吸ガスライン(36a)に連結するように構成された入口連結形成部(30a)とを有し、他方の端部に、呼気呼吸ガスを吐出すための呼気出口(40)を有する呼気チャネル(38)であって、呼気入口(22)から呼気出口(40)までの呼気方向(E)における呼気呼吸ガス流によって、呼気呼吸ガス流を通過させる通過位置に変位可能である呼気弁(42)を有する呼気チャネル(38)と、
一方の端部に、吸気呼吸ガス流を吸気チャネル(52)に導入するための吸気入口(54)と、吸気呼吸ガスを供給する呼吸ガス源に接続するように構成された入口接続形成部(58)とを有し、他方の端部に、吸気呼吸ガスを排出するための吸気出口(24)と、患者に至る吸気呼吸ガスライン(36b)に接続するように構成された出口接続形成部(30b)とを有する吸気チャネル(52)と、
分岐点(66)で前記吸気チャネル(52)から分岐し、前記呼気弁(42)に至り、これによって、前記呼気弁(42)が吸気呼吸ガスによって、呼気呼吸ガス流を遮断する遮断位置に変位し得る制御チャネル(68)と、
を含む呼気弁アセンブリ(16)において、
前記吸気チャネル(52)には、一方向弁(60、60’)が配置されており、前記一方向弁は、前記吸気入口(54)から前記吸気出口(24)への吸気方向(I)における吸気呼吸ガス流を許容し、反対方向の呼吸ガス流を阻止することを特徴とする呼気弁アセンブリ(16)。
【請求項2】
前記分岐点(66)が、吸気方向(I)において、前記一方向弁(60、60’)の上流に位置することを特徴とする、請求項1に記載の呼気弁アセンブリ(16)。
【請求項3】
吸気出口(24)よりも吸気入口(54)の近くに位置する吸気チャネル(52)の吸気入口部分(56)が、吸気入口軸(IEA)に沿って延在しており、呼気弁(42)の弁体(46)が遮断位置の前記呼気弁(42)の弁座(44)から持ち上げられ得る際、及び前記弁座(44)に接近可能である際に沿う弁移動経路(VBB)は、吸気入口軸(IEA)に対して、10°~45°の範囲、好ましくは15°~35°の範囲の傾斜角度(α)で傾斜していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の呼気弁アセンブリ(16)。
【請求項4】
呼気出口(40)よりも呼気入口(22)の近くに位置する呼気チャネルの呼気入口部分(26)が、呼気入口軸(EEA)に沿って延在しており、弁移動経路(VBB)が、前記呼気入口軸(EAA)に対する平行線(P)の周りで、吸気入口軸(IAA)に対して傾斜していることを特徴とする、請求項3に記載の呼気弁アセンブリ(16)。
【請求項5】
弁座(44)が、吸気入口部分(56)に向かって傾斜し、近付けられた近接部分(44a)と、前記吸気入口部分(56)から離れて傾斜し、さらに離れた位置にある離間部分(44b)とを有し、制御チャネル(68)が、前記離間部分(44b)よりも前記近接部分(44a)の近くで、分岐位置(66)から呼気弁(42)に向かって延在していることを特徴とする、請求項3又は4に記載の呼気弁アセンブリ(16)。
【請求項6】
吸気入口部分(56)と呼気入口部分(30a)との間の領域、又は/及び吸気入口部分(56)と、吸気入口(54)よりも吸気出口(24)の近くに位置する吸気出口部分(28)との間の領域には、少なくとも1つの通過開口部(72a、72b)が形成されており、前記通過開口部は、吸気チャネル(52)又は/及び呼気チャネル(38)を限定するチャネル壁(52a、38c)を貫通することを特徴とする、請求項4、又は請求項4を引用する場合の請求項5に記載の呼気弁アセンブリ(16)。
【請求項7】
少なくとも1つの前記通過開口部(72a、72b)が、呼気方向(E)において、基準面(BE)の下流に配置されており、前記基準面は、呼気入口軸(EEA)に対して直交するように方向付けられており、弁座(44)によって囲まれた開口面を等しい面部分に分割することを特徴とする、請求項6に記載の呼気弁アセンブリ(16)。
【請求項8】
少なくとも1つの前記通過開口部(72a、72b)が通過軸(DA)に沿って延在しており、前記通過軸は、呼気入口軸(EEA)、又は/及び、吸気出口部分(28)が沿って延在している吸気出口軸(IAA)に対して平行であることを特徴とする、請求項6又は7に記載の呼気弁アセンブリ(16)。
【請求項9】
前記呼気入口部分(26)及び前記吸気出口部分(28)が、共通のマルチルーメン端部(20)に形成されていることを特徴とする、請求項4及び6を引用する場合の、請求項1から8のいずれか一項に記載の呼気弁アセンブリ(16)。
【請求項10】
吸気入口部分(56)、呼気入口部分(26)及び吸気出口部分(28)が、一体型のチャネル部材(18)によって実現していることを特徴とする、請求項4及び6を引用する場合の、請求項1から9のいずれか一項に記載の呼気弁アセンブリ(16)。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の呼気弁アセンブリ(16)と、呼気呼吸ガスライン(36a)と、吸気呼吸ガスライン(36b)と、流量センサ(108)と、を含む呼吸ガスラインアセンブリ(10)であって、
前記呼気呼吸ガスライン(36a)は、前記呼気呼吸ガスラインの遠位長手方向端部に、遠位呼気カップリング形成部(34)を有しており、前記遠位呼気カップリング形成部は、前記呼気弁アセンブリ(16)の呼気チャネル(58)の入口連結形成部(26)との、呼気呼吸ガス流を誘導する接続を形成するように構成されており、
前記呼気呼吸ガスライン(36a)は、前記呼気呼吸ガスラインの近位長手方向端部に、近位呼気カップリング形成部(94a)を有しており、前記近位呼気カップリング形成部は、前記流量センサ(108)の遠位長手方向端部において、呼気排出連結形成部(109)との、呼気呼吸ガス流を誘導する接続を形成するように構成されており、
前記吸気呼吸ガスライン(36b)は、前記吸気呼吸ガスラインの遠位長手方向端部に、遠位吸気カップリング形成部(34)を有しており、前記遠位吸気カップリング形成部は、前記呼気弁アセンブリ(16)の吸気チャネル(52)の出口接続形成部(28)との、吸気呼吸ガス流を誘導する接続を形成するように構成されており、
前記吸気呼吸ガスライン(36b)は、前記吸気呼吸ガスラインの近位長手方向端部に、近位吸気カップリング形成部(94b)を有しており、前記近位吸気カップリング形成部は、前記流量センサ(108)の遠位長手方向端部において、吸気吸入連結形成部(109)との、吸気呼吸ガス流を誘導する接続を形成するように構成されており、
前記呼気呼吸ガスライン(36a)及び前記吸気呼吸ガスライン(36b)から成る少なくとも1つの呼吸ガスライン(36a、36b)には、少なくとも1つの信号線(78、80)が受容されており、前記信号線は、前記流量センサ(108)の検出情報を、少なくとも1つの前記呼吸ガスライン(36a、36b)の近位長手方向端部から遠位長手方向端部に伝達するように構成されている、呼吸ガスラインアセンブリ(10)。
【請求項12】
少なくとも1つの前記信号線(78、80)の少なくとも1つの信号線が、少なくとも1つの前記通過開口部(72a、72b)の少なくとも1つの通過開口部を貫通するか、又は、少なくとも1つの前記信号線(78、80)の遠位端を受容するための受容形成部(76)の受容係合部で終端することを特徴とする、請求項6を引用する場合の、請求項11に記載の呼吸ガスラインアセンブリ(10)。
【請求項13】
呼気呼吸ガスライン(36a)及び吸気呼吸ガスライン(36b)が、共通のマルチルーメンライン部材(36)上に形成されていることを特徴とする、請求項11又は12に記載の呼吸ガスラインアセンブリ(10)。
【請求項14】
呼気ルーメン(36a)及び吸気ルーメン(36b)には、それぞれ信号線(78、80)が受容されていることを特徴とする、請求項13に記載の呼吸ガスラインアセンブリ(10)。
【請求項15】
呼吸ガスラインアセンブリ(10)が、マルチルーメンライン部材(36)が接続されている近位カップリング部材(90)を有しており、カップリング部材(90)が、前記カップリング部材の遠位長手方向端部に、呼気ルーメン(36a)との呼気呼吸ガス流を誘導する接続を形成するための呼気接続形成部(90a)と、吸気ルーメン(36b)との吸気呼吸ガス流を誘導する接続を形成するための吸気接続形成部(90b)とを有し、前記カップリング部材(90)は、前記カップリング部材の近位長手方向端部に、カップリング形成部(94)を有しており、前記カップリング形成部は、近位呼気カップリング形成部(94a)でもあり、近位吸気カップリング形成部(94b)でもあることを特徴とする、請求項13又は14に記載の呼吸ガスラインアセンブリ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者に人工呼吸を施すための人工呼吸器用の呼気弁アセンブリに関するものであり、呼気弁アセンブリは、
-一方の端部に、呼気呼吸ガス流を呼気チャネルに導入するための呼気入口と、患者に至る呼気呼吸ガスラインに連結するように構成された入口連結形成部とを有し、他方の端部に、呼気呼吸ガスを吐出すための呼気出口を有する呼気チャネルであって、呼気入口から呼気出口までの呼気方向における呼気呼吸ガス流によって、呼気呼吸ガス流を通過させる通過位置に移動可能である呼気弁を有する呼気チャネルと、
-一方の端部に、吸気呼吸ガス流を吸気チャネルに導入するための吸気入口と、吸気呼吸ガスを供給する呼吸ガス源に接続するように構成された入口接続形成部とを有し、他方の端部に、吸気呼吸ガスを排出するための吸気出口と、患者に至る吸気呼吸ガスラインに接続するように構成された出口接続形成部とを有する吸気チャネルと、
-分岐点で吸気チャネルから分岐し、呼気弁に至り、これによって、呼気弁が吸気呼吸ガスによって、呼気呼吸ガス流を遮断する遮断位置に変位し得る制御チャネルと、
を含んでいる。
【背景技術】
【0002】
このような呼気弁アセンブリは、呼気呼吸ガス流及び吸気呼吸ガス流の両方を誘導するように構成されており、例えば特許文献1から知られている。
【0003】
特許文献1から知られた呼気弁アセンブリは、呼吸ガスラインアセンブリの一部であり、呼気弁アセンブリに連結されたライン部材としてのホースを備えている。このホースは、ダブルルーメンホースとして、その最も外側のホーススリーブ内部に呼気呼吸ガスラインと吸気呼吸ガスラインとの両方を有するように構成されている。既知のダブルルーメンホースは、その遠位長手方向端部において、すなわち動作中に患者から離れた長手方向端部において、呼気弁アセンブリに接続されている。その近位長手方向端部、すなわち動作中に患者により近い長手方向端部では、逆流防止弁アセンブリを備えたY字型接続要素がホース上に配置されている。Y字型接続要素は、その2つの脚を有する遠位長手方向端部とその1つの脚を有する近位長手方向端部との間で、遠位側に連結された呼吸ガスラインである呼気呼吸ガスライン及び吸気呼吸ガスラインを、共通の双方向呼吸ガスラインに統合する。
【0004】
逆流防止弁アセンブリは、逆流防止弁アセンブリの遠位に位置する、吸気呼吸ガスライン及び呼気呼吸ガスラインから成る、目下非アクティブな各呼吸ガスラインの領域において、既存の呼吸ガスカラムを、それぞれ他方のアクティブな呼吸ガスラインから切り離すために用いられる。これによって、呼吸ガスは、各換気相で所望されるアクティブな呼吸ガスラインを通ってのみ流れることになる。
【0005】
しかしながら、Y接続要素は、逆流防止弁アセンブリの受容によって、比較的大きな設置空間を必要とし、嵩張ることになる。これは、つねに患者の近くに配置されるY接続要素にとっては、特に不利である。
【0006】
呼気チャネルに配置された既知の呼気弁は、吸気相において吸気呼吸ガスが吸気チャネルを通って吸気方向に流れる際、分岐した吸気呼吸ガスが呼気弁を遮断位置に変位させることによって、呼気チャネルを遮断する。患者の自発吸気の際、自発吸気の間に患者自身によって生み出される陰圧が、呼気弁を遮断位置に変位させる。前述した2つの場合のそれぞれにおいて、吸気相の間、呼気弁には、その呼気方向において上流側と下流側との間に圧力勾配が存在しており、当該圧力勾配が呼気弁を遮断位置に変位させる。
【0007】
特許文献1から知られた呼吸ガスラインアセンブリでは、Y接続要素内の逆流防止弁が、呼気中の吸気呼吸ガスラインを同じように遮断する。これによって、吸気呼吸ガスライン内での吸気方向とは反対の呼気方向における呼吸ガス流が防止される。
【0008】
先行技術のさらなる背景として、補足的に、特許文献2も参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2021/018902号
【特許文献2】欧州特許第2663354号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、患者の近くに場所を必要とする医療技術部品を持続的に配置せずとも、吸気及び呼気から成る各換気相において一時的に非アクティブな呼吸ガスラインを、非アクティブな各呼吸ガスラインに関して誤った方向の流れに対して遮断することを可能にする技術的教示を記載することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、冒頭に述べた種類の呼気弁アセンブリの吸気チャネルに一方向弁を配置することによって本課題を解決するものであり、当該一方向弁は、吸気入口から吸気出口への吸気方向における吸気呼吸ガス流を許容し、反対方向の呼吸ガス流を阻止する。
【0012】
有利な態様では、換気ホースなどの遠位側につねに患者から離れて配置される呼気弁アセンブリは、吸気の間は呼気呼吸ガスラインを遮断し、呼気の間は吸気呼吸ガスラインを遮断する。このために必要な一方向弁は、一方では比較的コンパクトなアセンブリ内に、他方では人工呼吸が施される患者から離れた位置に配置され得る。一方向弁を呼気弁アセンブリ内に配置することによって、先行技術から知られている呼気弁アセンブリに対して呼気弁アセンブリの設置容積が増大したとしても、これは人工呼吸を施される患者から大きく離れた位置で生じるので、患者がこれによって制限されることはない。
【0013】
一方向弁は、好ましくは、弁座と弁体とを有する単純な逆流防止弁であり、弁体は、その吸気呼吸ガスラインを閉鎖する閉鎖位置において、物理的に弁座に当接し、吸気呼吸ガスラインの貫流のために弁座から取り外すことができる。吸気呼吸ガスラインが吸気方向においてのみ貫流可能であることを確実にするために、弁体は、呼気弁アセンブリ内のその取付位置において、局所的な吸気方向に沿ってのみ弁座から持ち上げることができる。これによって、一方向弁は、吸気呼吸ガス流自体によって、弁座から持ち上げられ、したがって貫流を可能にする開放位置に変位可能であるが、他方、反対方向における呼吸ガス流は、弁体をその弁座上に戻し、したがって閉鎖位置に変位させる。
【0014】
弁体は、例えばプリテンションバネ又は弾性ポリマーのプリテンション要素のようなプリテンション手段を用いて、弾性力によってプリテンションを加えて閉鎖位置に変位させることができる。弁体がそれ自体のプリテンション要素であることによって、部材の数を可能な限り少なくすることによる有利な単純化が達成され得る。したがって、好ましくは、弁体は、閉鎖形状と開放形状との間で、吸気呼吸ガス流によって変形可能である。閉鎖形状では、弁体は弁座に当接し、吸気チャネルを閉鎖する。開放形状では、弁体は弁座から少なくとも部分的に持ち上げられ、吸気方向における吸気チャネルの貫流を許容する。これによって、付加的なプレテンション部材を省略することができる。
【0015】
本発明によると、弁体は、旋回可能なフラップとして構成されていてよく、閉鎖形状と開放形状との間の上述の変形可能性を実現するために、フラップ状に構成された弁体の旋回運動を可能にするヒンジは、好ましくはリビングヒンジとして構成されている。
【0016】
代替的に、かつ、対称的な貫流の可能性ゆえに好ましくは、弁体はディスクとして構成されていてよく、当該ディスクは、そのディスク縁部から離れた位置にある中央ディスク領域で保持されており、これによって、ディスク縁部は、保持された中央ディスク領域に対して、ディスクの変型を通じて、ディスク表面に対して横方向に移動し得る。弁座は、環状面によって形成されていてよく、環状面には、一方向弁の閉鎖位置において、中央ディスク領域の径方向外側に位置するディスク縁部領域が載置されており、環状面からは、ディスク縁部領域が、ディスク状の弁体の変形によって、開口形状になるように持ち上げられ得る。
【0017】
弁体を保持するために、弁体は、中央ディスク領域内に中央ディスク領域を貫通する開口部を有し、開口部は、保持部材によって貫通されている。保持部材は、好ましくは、貫通される開口部の両側において、貫通される開口部よりも大きな横断面を有しているので、弁体は、保持部材によって非常に効果的に形状接続的に保持され得る。
【0018】
好ましくは、弁体の弁座と保持部材とは一体型の部材として構成されている。一方向弁は、好ましくは、弁座と保持部品とを備えた基本部材を含む、予め組み立てられたアセンブリとして吸気チャネルに挿入され得る。好ましくは弁座と保持部材とを備えた部材は、特に好ましくは一体型部材として、吸気チャネルに挿入された後、接着、超音波溶接若しくは摩擦溶接などの溶接、又は吸気チャネル壁の内側表面に対向する部材壁の外側表面と内側表面との間の摩擦によって単に摩擦接続的に、吸気チャネル内で固定され得る。挿入を容易にするために、保持部材は、一方向弁を有する基本部材が挿入される吸気チャネルの部分も回転対称に構成されている場合、少なくともその吸気チャネルに固定可能な固定部分で回転対称に、又は周方向に沿って反復する形状部分を有するように構成されていてよい。この場合、組立に際する挿入軸に対する基本部材の方向付けは、有利には重要ではない。
【0019】
溶接の際のように、重なり合う境界面の溶融による熱固定を容易にするために、少なくとも基本部材の固定部分と、当該固定部分を受容する吸気チャネルの部分とは、少なくとも互いに向かい合い、互いに接触する面において、相溶性を有する熱可塑性プラスチックから形成されている。好ましくは、製造を簡略化するために、弁座と保持部材とを備えた基本部材全体、又は/及び吸気チャネル全体が、相溶性を有する熱可塑性プラスチック材料で形成されている。
【0020】
弁体、特にディスク状の弁体は、熱可塑性エラストマー又は一般的なシリコーンなどのエラストマーから形成されていてよい。弁体の材料は、弁座の材料又は/及び保持部材の材料又は/及び吸気チャネル壁を形成する材料と適合している必要はない。好ましくは、弁体と弁座又は/及び吸気チャネル壁との間の望ましくないランダムな接続を避けるために、そうでなくてもよい。
【0021】
吸気方向と呼気方向とは機能的に反対方向であるが、これは、吸気呼吸ガス流と呼気呼吸ガス流とが呼気弁アセンブリの各位置でそれぞれ反対方向に流れることを意味しない。呼気チャネルと吸気チャネルとは、部分的に平行に延在し得るが、通常は、その共通の延在部分全体に沿って平行に延在することはない。なぜなら、例えば、好ましくは呼気弁の配置領域に位置する呼気出口は、呼気弁アセンブリの外側環境に開口する一方で、吸気入口は、例えば加圧呼吸ガス貯蔵装置又は/及び送風機などの呼吸ガス源に連結されているからである。呼気チャネルと吸気チャネルとが、呼気弁アセンブリに接して、又は呼気弁アセンブリ内で局所的に平行に延在している限りにおいて、この平行な領域内では、呼気呼吸ガス流及び吸気呼吸ガス流は、一般に、実際には反対方向に流れる。
【0022】
入口連結形成部、入口接続形成部及び出口接続形成部は、さらなるライン又はさらなるチャネルの連結を可能にする任意の形状を有することができる。前述の形成部はそれぞれ、空気圧クイックカップリングの一部であってよいか、又は、単にチャネルソケット若しくはチャネルブッシュのいずれかによって形成されていてよい。当業者は一般に、呼吸ガスラインを入口連結形成部及び出口接続形成部に連結する方法を知っている。当業者はまた、入口接続形成部を、呼吸ガス貯蔵装置、すなわち加圧呼吸ガスが貯蔵された容器又は送風機を備えた換気装置などと流体技術的に効果的に接続し得る方法も知っている。
【0023】
一方向弁の機能的能力に関係なく、吸気呼吸ガスによって呼気弁を遮断位置に確実に変位させるために、分岐点は、好ましくは、吸気方向において一方向弁の上流に位置している。
【0024】
呼気弁は、好ましくは、それ自体既知のダイヤフラム弁として構成されており、その主延在面に対して直交方向に変位可能なダイヤフラムを弁体として有し、呼気チャネルの部分の端面側長手方向端部を、弁体が遮断位置で載置された環状弁座として有している。
【0025】
好ましくは、呼気弁は、それ自体既知の方法で、径方向内側の、呼気入口を有する、弁座を備えた入口側呼気チャネル部分と、入口側呼気チャネル部分の径方向外側の、呼気出口を有する、出口側呼気チャネル部分と、を有している。呼気呼吸ガスは、通過位置においてのみ、つまり弁体が弁座から持ち上げられている場合にのみ、入口側呼気チャネル部分から出口側呼気チャネル部分に流れることができる。比較的大きなダイヤフラム面に基づいて、好ましいダイヤフラム弁体の弁座から離れた方を向いた側にチャンバを形成することが可能であり、当該チャンバは制御チャネルと連通しているので、吸気呼吸ガスは制御チャネルを通ってチャンバに流入し、チャンバでダイヤフラム弁体を弁座に向かって、すなわち閉鎖位置に変位させることができる。
【0026】
ダイヤフラム弁体は、好ましくは吸気ダイヤフラム面を有しており、吸気ダイヤフラム面は、チャンバに対向しており、吸気呼吸ガスによって湿らすことができる。呼気入口に対向する反対側において、ダイヤフラム弁体は、好ましくは呼気ダイヤフラム面を有しており、呼気ダイヤフラム面は、入口側呼気チャネル部分からの呼気呼吸ガスによって接近可能である。呼気ダイヤフラム面は、基準状態として呼気弁を閉じた状態で見た場合に、弁座内部に位置している。好ましくは、吸気プロセス中に吸気呼吸ガスによって呼気弁を確実に閉じた状態に保つことができるように、吸気呼吸ガスによって湿らせることが可能であるダイヤフラム弁体の吸気ダイヤフラム面は、呼気呼吸ガスによって接近され得る呼気ダイヤフラム面よりも大きい。吸気ダイヤフラム面の呼気ダイヤフラム面に対する有利な面積比は1.5から2の範囲である。より好ましくは、面積比は1.7から1.9の範囲である。特に好ましくは、面積比は1.8である。
【0027】
基本的に、吸気チャネル及び呼気チャネルは、それぞれの入口と出口との間に任意の経路を有し得る。しかしながら、不必要な乱流と流れ抵抗とを回避するためには、吸気チャネルの吸気出口よりも吸気入口に近い吸気入口部分が吸気入口軸に沿って延在していることが好ましい。好ましくは、吸気入口部分は吸気入口を有し、吸気入口から延在している。
【0028】
明確にするために、本出願において「軸」という概念は直線経路を指すことに留意されたい。
【0029】
特許文献1では、呼気弁の弁体が弁座から持ち上げられる際の弁移動経路は、吸気入口軸に対して直交している。既知の弁移動経路はさらに、吸気入口よりも吸気出口の近くに位置する吸気出口部分に対して平行に延在している。既知の吸気出口部分は吸気出口軸に沿って延在している。さらに、既知の弁移動経路は、呼気入口軸に沿って延在する呼気入口部分に対して平行に延在しており、呼気入口部分は、呼気出口よりも呼気入口の近くに位置している。弁体のこのような運動学では、動作状況によっては、重力が呼気弁に不利な影響を及ぼすか、又は、少なくとも有利な影響は及ぼさない。
【0030】
基本的に、呼気弁の弁体は、通常、好ましいダイヤフラム弁体の材料弾性によってプレテンションが加えられ、遮断位置に変位する。大部分の動作状況において、付加的に、重力が呼気弁を遮断位置に変位させ、したがって呼気弁の機能的信頼性が高まるようにするために、ここで議論される呼気弁アセンブリに対して、好ましくは、呼気弁の弁体、特に上述のダイヤフラム弁体が、呼気弁の遮断位置から呼気弁の弁座、特に上述の弁座から持ち上げられる際、及び弁座に接近し得る際の弁移動経路が、吸気入口軸に対して10°から45°の範囲、好ましくは15°から35°の範囲の傾斜角度で傾斜していると規定されている。好ましくは、ここで議論される呼気弁アセンブリは、救急車、救助ヘリコプターなどのような患者救急輸送手段又は事故発生時救急輸送手段に搭載される緊急用人工呼吸器で用いられる。したがって、緊急時の使用における呼気弁アセンブリの方向付けは予測不可能である。弁移動経路に対する呼気弁の位置に関する記載は、大部分の動作状況において、呼気弁アセンブリが、少なくとも弁体に作用する重力が弁体を遮断位置に変位させるように方向付けられて使用されることを示している。
【0031】
呼気弁アセンブリの連結形成部及び接続形成部に連結されるさらなるラインを有する使用状況において有利なことにコンパクトである呼気弁アセンブリは、呼気出口よりも呼気入口の近くに位置する呼気チャネルの呼気入口部分が、呼気入口軸に沿って延在することによって得られる。好ましくは、弁移動経路は、吸気入口軸に関して、呼気入口軸に対する平行線の周りに傾斜している。
【0032】
好ましくは、呼気入口軸と吸気入口軸とは、互いに直交するように方向付けられている。各チャネル部分の中心を貫通すると想定されている2つの入口軸は、交差する必要はなく、互いに距離をおいて通り過ぎてよい。
【0033】
好ましくは、弁座は平坦であるか、又は平面に位置する弁座面を有している。弁座面が、例えば円錐形又は負円錐形であるゆえに、弁移動経路に沿って延在部分を有する場合、弁座面の上記平面は、数学的な平面として理解されるのではなく、弁移動経路に沿って小さな延在部分を有する技術的な平面として理解される。
【0034】
上記で説明したように、弁移動経路が吸気入口軸に対して傾斜している場合、弁座又は平坦な弁座面の延在面も、吸気入口軸に直交する平面に対して傾斜していることが好ましい。この場合、弁座は、理論的に可能な非平面弁座であっても、吸気入口部分の方に傾斜し、近付けられた近接部分と吸気入口部分から遠ざかるように傾斜した、さらに遠くに位置する離間部分とを有している。制御チャネルを可能な限り短くし、これによって可能な限り損失がないようにするために、制御チャネルは、好ましくは、離間部分よりも近接部分の近くで、分岐点から呼気弁まで延在している。
【0035】
制御チャネルは、少なくとも部分的に、吸気チャネル又は/及び呼気チャネルから空間的に距離をおいて配置されたチャネル部材又はチャネル部材部分として構成されていてよい。これによって、吸気チャネルと呼気チャネルとから成る少なくとも1つのチャネルを有する制御チャネルの一体型の構造とは異なり、これらのチャネルの各々は、可能な限り小さな横断面を備えることが可能であり、したがって設置空間が可能な限り小さい呼気弁アセンブリが供給され得る。
【0036】
好ましくは、本発明に係る呼気弁アセンブリでも、信号線が必要な場合、少なくとも部分的に呼気弁アセンブリを通り、特に吸気チャネルと呼気チャネルとから成る少なくとも1つのチャネルを通るように信号線を延在させることが想定されている。チャネル内に誘導されるこのような少なくとも1つの信号線が確実にチャネルを貫通し、その通信装置に接続され得るように、本発明の好ましいさらなる発展形態によると、吸気入口部分と呼気入口部分との間の領域、又は/及び吸気入口部分と、吸気入口よりも吸気出口の近くに位置する吸気出口部分との間の領域には、少なくとも1つの通過開口部が形成されていてよい。この少なくとも1つの通過開口部は、吸気チャネル又は/及び呼気チャネルを限定するチャネル壁を貫通する。
【0037】
少なくとも1つの通過開口部は、少なくとも1つの信号線によって単純に貫通されていてよい。代替的に、信号線は、チャネル壁の各チャネルに対向する内側面で物理的に終端していてよい。信号線の長手方向端部を確実に位置決めするために、チャネル壁の内側面には、信号線の長手方向端部を差し込むことが可能である、プラグオンソケット、プラグインカラー、又は通過開口部の周縁領域から同一方向に突出する板バネから成るリングのような受容形成部が、信号線の長手方向端部との形状接続による受容係合を形成するように配置されていてよい。
【0038】
同様に、関連するチャネルの外側面に、さらなる受容形成部が配置されていてもよく、当該受容形成部は、信号線を誘導するチャネルの外側で信号線を継続するさらなる信号線の長手方向端部を位置決めするために、同じように構成されている。さらなる受容形成部は、例えば、プラグオンソケット、プラグインカラー、又は通過開口部の周縁領域から同じ方向に突出する板バネから成るリングであってよい。少なくとも1つの受容形成部は、別個の貫通部材上に形成されていてもよく、当該貫通部材は、通過開口部に挿入して固定されていてよい。
【0039】
複数の通過開口部が形成されている場合、通過開口部は、複数の貫通部材がある場合と同様に、好ましくは同じように形成されている。
【0040】
少なくとも1つの信号線の不必要な湾曲を回避するために、少なくとも1つの通過開口部は、可能な限り、通過開口部に連結する信号線部分又は連結するさらなる信号線がチャネル部材の周りに配線される必要がないように配置されている。これは、少なくとも1つの通過開口部が呼気方向において基準面の下流側に位置しており、当該基準面は呼気入口軸に対して直交するように方向付けられており、弁座によって囲まれた開口面が等しい面部分に分割されることによって実現され得る。
【0041】
さらに、信号線の不必要な湾曲は、少なくとも1つの通過開口部又は/及び場合によっては通過開口部に挿入される貫通部材が、呼気入口軸、又は/及び、吸気出口部分が沿って延在している吸気出口軸に対して平行な通過軸に沿って延在することによって回避され得る。
【0042】
この際、信号線は一般に、呼気弁アセンブリよりも患者に近い位置にあるセンサ、特に流量センサから呼気弁アセンブリまで延在していることを考慮すべきである。信号線は、電気信号を伝送する電気信号線であってよい。この場合、信号線の湾曲は一般に重要ではない。頻繁に使用される近位差圧流量センサには2本の信号線が設けられており、各信号線は、中空の圧力線として、流量センサ内の流れ抵抗の上流側の呼吸ガス圧力と流れ抵抗の下流側の呼吸ガス圧力とを伝達する。可能な限り正確な圧力伝達のためには、湾曲及び折れ曲がりを回避することが有用である。
【0043】
基本的には、呼気入口部分と吸気出口部分とを、いずれも機能的に人工呼吸が施される患者に対向するように、空間的に互いに離間するように構成することも可能である。しかしながら、特に救急医療では、人工呼吸器、したがって呼気弁アセンブリのセットアップを可能な限り迅速に行うことが決定的な利点となる。したがって、呼気入口部分と吸気出口部分とが共通のマルチルーメン端部に形成されていることが好ましい。したがって、有利には、入口連結形成部と出口接続形成部とは、共通の、好ましくは一体型の連結‐接続形成部として構成されていてよい。当該連結‐接続形成部には、マルチルーメンホースが、1回の接続プロセスで、呼気呼吸ガスラインが呼気チャネルに、吸気呼吸ガスラインが吸気チャネルに、同時に、かつ、可能な限り1回の作動プロセスで連結されるように連結され得る。
【0044】
呼気弁アセンブリは、吸気入口部分、呼気入口部分及び吸気出口部分を一体型のチャネル部材によって実現することで、可能な限りコンパクトな形で供給され得る。好ましくは、一体型のチャネル部材は、プラスチック射出成形プロセスを用いて製造されている。一体型のチャネル部材は、好ましくは同様に、その上に一体的に形成された、入口連結形成部、入口接続形成部及び出口接続形成部を有し、好ましくはそれぞれ、接続ソケット又は/及び接続ブッシュとして形成されている。
【0045】
本発明はさらに、上述したように形成された呼気弁アセンブリと、呼気呼吸ガスラインと、吸気呼吸ガスラインと、流量センサとを含む呼吸ガスラインアセンブリに関する。
【0046】
呼気呼吸ガスラインは、好ましくは、その遠位長手方向端部に遠位呼気カップリング形成部を有しており、遠位呼気カップリング形成部は、呼気弁アセンブリの呼気チャネルの入口連結形成部との、呼気呼吸ガス流を誘導する接続を形成するように構成されている。同様に、呼気呼吸ガスラインは、その近位長手方向端部に近位呼気カップリング形成部を有しており、近位呼気カップリング形成部は、流量センサの遠位長手方向端部において、呼気排出連結形成部との、呼気呼吸ガス流を誘導する接続を形成するように構成されている。さらに、吸気呼吸ガスラインは、その遠位長手方向端部に遠位吸気カップリング形成部を有しており、遠位吸気カップリング形成部は、呼気弁アセンブリの吸気チャネルの出口接続形成部との、吸気呼吸ガス流を誘導する接続を形成するように構成されている。最後に、吸気呼吸ガスラインは、その近位長手方向端部に近位吸気カップリング形成部を有しており、近位吸気カップリング形成部は、流量センサの遠位長手方向端部において、吸気吸入連結形成部との、吸気呼吸ガス流を誘導する接続を形成するように構成されている。
【0047】
使用中に救助隊員又は医療スタッフに絡まる可能性がある、不必要に多数の異なるライン又はホースを回避するために、好ましくは、呼気呼吸ガスライン及び吸気呼吸ガスラインから成る少なくとも1つの呼吸ガスラインには、少なくとも1つの信号線が受容されており、当該信号線は、流量センサの検出情報を、少なくとも1つの呼吸ガスラインの近位長手方向端部から遠位長手方向端部に伝達するように構成されている。これは、上述した少なくとも1つの信号線である。
【0048】
このような呼吸ガスラインアセンブリにおいて、好ましくは、呼気弁アセンブリの吸気チャネルにおける上述の一方向弁は、吸気入口から流量センサの近位端までの吸気呼吸ガス流における唯一の一方向弁である。吸気チャネル又は吸気呼吸ガスライン全体にさらなる弁を配置することは、機能上必要ではない。
【0049】
同様に、呼気弁は、好ましくは、呼気チャネルにおける唯一の弁配置であるか、又は特に好ましくは、呼気呼吸ガスライン全体における唯一の弁配置である。
【0050】
上述したように、少なくとも1つの信号線の内の少なくとも1つは、少なくとも1つの通過開口部の内の少なくとも1つを貫通することが可能であるか、又は少なくとも1つの信号線の遠位端を受容するための受容形成部の受容係合部で終端することが可能である。可能な受容形成部については上述した。
【0051】
呼吸ガスラインアセンブリの動作領域で作業する人員に絡まり、患者の人工呼吸を危険にさらすか、又は終了させてしまう危険性を増大させる、不必要に多数のライン、特にホースをさらに回避するために、好ましくは、呼気呼吸ガスライン及び吸気呼吸ガスラインは、共通のマルチルーメンライン部材上に形成されている。マルチルーメンライン部材は、例えばマルチルーメン呼吸ガスホースとして、入口連結形成部及び出口接続形成部から成る互いに空間的に分離した形成部に連結していてもよい。しかしながら、好ましくは、マルチルーメンライン部材は、呼気弁アセンブリの上述したマルチルーメン端部に連結している。
【0052】
マルチルーメンライン部材は、ダブルルーメンライン部材として、2つの同軸の、好ましくは同心のホースを有することが可能であるが、区間単位当たり略同じ壁面積を有する吸気呼吸ガスライン及び呼気呼吸ガスラインに、略同じ横断面面積を供給するためには、呼気呼吸ガスライン及び吸気呼吸ガスラインが、ライン部材に沿って、及び、その内径に沿って延在する隔壁によって、ライン部材内で互いに分離されていることが好ましい。ライン部材は、好ましくはホースである。
【0053】
信号線の受容によって、呼気呼吸ガスライン及び吸気呼吸ガスラインから成る2つの呼吸ガスラインに可能な限り均等に負荷を与えるために、好ましくは、呼気ルーメン及び吸気ルーメンには、同数の信号線が、好ましくは、それぞれ正確に1つの信号線が受容されている。
【0054】
その近位長手方向端部において、呼吸ガスラインアセンブリ、特にライン部材、特に好ましくはマルチルーメンライン部材は、近位カップリング部材を有することが可能であり、近位カップリング部材には、ライン部材、特にマルチルーメンライン部材が接続されている。カップリング部材は、好ましくは、その遠位長手方向端部に、呼気呼吸ガスライン、特にマルチルーメンライン部材の呼気ルーメンとの呼気呼吸ガス流を誘導する接続を形成するための呼気接続形成部と、吸気呼吸ガスライン、特にマルチルーメンライン部材の吸気ルーメンとの吸気呼吸ガス流を誘導する接続を形成するための吸気接続形成部と、を有している。カップリング部材は、その近位長手方向端部に、好ましくはカップリング形成部を有しており、当該カップリング形成部は、近位呼気カップリング形成部であり、近位吸気カップリング形成部でもある。
【0055】
以下において、添付した図面を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1A】本発明に係る呼気弁アセンブリの実施形態を備えた、本発明に係る呼吸ガスラインアセンブリの実施形態の遠位端を示す分解側面図である。
図1B図1Aの呼吸ガスラインアセンブリの近位端の分解側面図である。
図2A図3A及び図4の矢印IIAに沿って見た場合の、組み立てられた状態における図1Aの呼吸ガスラインアセンブリの遠位端の側面図である。
図2B図3Bの矢印IIBに沿って見た場合の、組み立てられた状態における図1Bの呼吸ガスラインアセンブリの近位端の側面図である。
図3A図2A及び図4の矢印IIIAに沿った、図2Aの呼吸ガスラインアセンブリの近位端の底面図である。
図3B図2Bの矢印IIIBに沿った、図2Bの呼吸ガスラインアセンブリの遠位端の底面図である。
図4図2B及び図3Bの矢印IVに沿って見た場合の呼吸ガスラインアセンブリの立面図である。
図5図4の断面V‐Vに沿った、図4の呼気弁アセンブリの一体型チャネル部材の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
図1A図3Bにおいて、本発明に係る呼吸ガスラインアセンブリの一実施形態は、全体として10で表されている。図1A図2A及び図3Aには、呼吸ガスラインアセンブリ10の遠位長手方向端部領域12が示されており、図1B図2B及び図3Bには、その近位長手方向端部領域14が示されている。
【0058】
呼吸ガスラインアセンブリ10の遠位長手方向端部12、すなわち、人工呼吸が施される患者からさらに離れた長手方向端部12は、プラスチックから射出成形された一体型のチャネル部材18を有する呼気弁アセンブリ16を含んでいる。唯一の位置にあるチャネル部材18は、図5において縦断面で示されている。
【0059】
チャネル部材18は、マルチルーメン端部20を含んでおり、マルチルーメン端部20は、その図1Aにおける上側領域に呼気入口22を、その下側領域に吸気出口24を有している。呼気入口22には、呼気方向Eにおいて、呼気入口軸EEAに沿って延在する直線状の呼気入口部分26が連結している。呼気出口24には、吸気方向Iとは反対の方向において、吸気出口軸IAAに沿って延在している直線状の吸気出口部分28が連結している。呼気入口軸EEA及び吸気出口軸IAAは、図示された実施例では、呼気入口部分26及び吸気出口部分28と同様に、互いに対して平行である。
【0060】
マルチルーメン端部20は、共通の連結‐接続形成部30を有しており、連結‐接続形成部30は、その図1Aにおける上側領域では入口連結形成部30aとして、その図1Aにおける下側領域では出口接続形成部30bとして機能する。呼吸ガスラインアセンブリ10のマルチルーメンライン部材36としてのマルチルーメンホースの連携する連結‐接続相手側形成部34の端部ストッパとして機能する径方向突起32a及び32bは、入口連結形成部30a及び出口接続形成部30bの長手方向端部を示している。
【0061】
マルチルーメンホース36は、マルチルーメンホース36とチャネル部材18との間の流れ接続を形成するために、その連結‐接続相手側形成部34で、マルチルーメン端部20の連結‐接続形成部30に挿入され得る。連結‐接続相手側形成部34は、例えばバヨネットキャッチ、弾性を有するキャッチ機構、又は他のロック手段によって、摩擦接続的又は形状接続的に、連結‐接続形成部30に解除可能に保持されていてよい。
【0062】
呼気弁アセンブリには、呼気入口22から呼気出口40まで延在する呼気チャネル38が形成されている。呼気入口部分26は呼気チャネル38の一部である。
【0063】
呼気チャネル38内には、呼気入口22と呼気出口40との間の呼気方向Eにおいて、ダイヤフラム弁の形状を有する呼気弁42が配置されている。図1Aでは、環状の、平坦ではあるが傾斜した弁座44が認識可能であり、弁座44では、呼気方向Eにおいて、入口側呼気チャネル部分38aが終端しており、弁座44から、呼気方向Eにおいて、出口側呼気チャネル部分38bが出発している。呼気チャネル部分38a、38bは、呼気弁42によって互いに分離されている。このために、呼気弁42はダイヤフラムの形状である弁体46を有しており、ダイヤフラムは、カバー部材50によって出口側呼気チャネル部分38bのチャネル壁48に保持されている。ダイヤフラム弁体46は、チャネル壁48とカバー部材50との間にクランプされていてよい。
【0064】
呼気呼吸ガスが、呼気方向Eにおいて、入口側呼気チャネル部分38aを通ってダイヤフラム弁体46に流れる場合、ダイヤフラム弁体46は、生じる圧力によって、ダイヤフラム弁体46の材料弾性によってもたらされるプレテンション力に反して、環状の弁座44から持ち上げられ、呼気呼吸ガスは、入口側呼気チャネル部分38aから、入口側呼気チャネル部分38aを径方向外側において包囲する出口側呼気チャネル38bに流れることができる。
【0065】
呼気弁アセンブリ16、特に一体型のチャネル部材18には、吸気チャネル52が形成されており、吸気チャネル52は、図5において最も明確に認識できる。吸気チャネル52は、吸気方向Iにおいて、吸気入口54から吸気出口24にまで至っている。
【0066】
吸気入口54には、吸気方向Iにおいて、吸気チャネル52の一部として直線状の吸気入口部分56が連結しており、吸気入口部分56は、図示された例では吸気出口軸IAAと90°の角度を形成する吸気入口軸IEAに沿って延在している。吸気入口54を有する吸気入口部分56の領域は、入口接続形成部58として構成されており、入口接続形成部58は、吸気方向Iにおいて吸気呼吸ガスを誘導する接続を形成するために用いられ、この接続によって、吸気呼吸ガスは、図示されていない呼吸ガス源、例えば人工呼吸器から吸気チャネル52に導入され得る。入口接続形成部58は、呼吸ガス源との連結ラグに、連結ラグを径方向外側において包囲しながら差し込み可能であるプラグオンブッシュとして構成されていてよい。代替的に、入口接続形成部58は、呼吸ガス源のブッシュに差し込むことができる連結ラグとして構成されていてよい。
【0067】
吸気入口部分56には、一方向弁60が挿入されており、一方向弁60は、基本部材62と、基本部材62の上に保持されたエラストマー製のディスク状の弁体64とを有している。一方向弁60は、吸気チャネル52の内壁52a(図5参照)に、好ましくは基本部材62の固定リンク62aと内壁52aとの超音波溶接によって溶接され、したがって所定位置に固定される。弁体64は、中央領域において基本部材62に形状接続的に保持されており、吸気方向Iに流れる場合は、その周縁領域で、基本部材62に形成された弁座62bから持ち上げられ得る。吸気方向Iの反対に流れる場合は、弁体64は弁座62bに押し付けられ、吸気チャネル52を閉鎖する。
【0068】
吸気チャネル52と同様に、呼気チャネル38はチャネル壁38cによって限定されている。出口側呼気チャネル部分38bのチャネル壁48はチャネル壁38cの一部である。
【0069】
図1の破線の長方形60’は、組み立てが終了した状態におけるチャネル部材18内の一方向弁60の位置を示している。図1において、ディスク状の弁体64は、弁体ディスクの延在面が図1の投影面に直交するように方向付けられている。
【0070】
吸気チャネル52からは、吸気方向Iにおいて一方向弁60の取り付けられた弁体64の上流側に位置する分岐点66において、制御チャネル68が分岐しており、制御チャネル68は、ダイヤフラム弁体46の開口部70を用いて、ダイヤフラム弁体46を貫通し、カバー部材50の呼気弁42の弁座44に背向する側に位置するチャンバで終端している。したがって、一方向弁60の動作状態とは無関係に、吸気呼吸ガスは、つねに制御チャネル68を通って、ダイヤフラム弁体46の弁座44に背向する側に誘導可能であり、これによって、吸気プロセスの間、呼気呼吸ガスによって、呼気弁42は、その遮断位置に確実に保持されることが可能であり、遮断位置では、弁座44に載置されたダイヤフラム弁体46が、呼気チャネル38の貫流を遮断する。制御チャネル68は、部分的に、構造的に吸気チャネル52の外側と呼気チャネル38の外側との両方に位置しており、少なくとも1つの部分に沿って、一方の側で制御チャネル68を限定し、その反対側で吸気チャネル52及び呼気チャネル38から成るチャネルを限定するような共通の壁部分を、吸気チャネル52又は呼気チャネル38とは有していない。出口側呼気チャネル部分38bのチャネル壁48の領域においてのみ壁部分が存在しており、当該壁部分は、制御チャネル68の部分と出口側呼気チャネル部分38bの部分との両方を限定する。
【0071】
吸気プロセス中に呼気弁を確実に閉じておくことができるように、吸気呼吸ガスによって湿らせることができるダイヤフラム弁体46の吸気ダイヤフラム面46aは、反対の呼気ダイヤフラム面46bよりも大きく、呼気ダイヤフラム面46bは、呼気弁46が閉じている場合に弁座44の内側に位置しており、入口側呼気チャネル部分38aから呼気呼吸ガスが接近することができる。図示された好ましい場合には、吸気ダイヤフラム面46aは、呼気ダイヤフラム面46bの1.8倍大きい。
【0072】
チャネル部材58は、図5で認識できるように、呼気チャネル38に通過開口部72aを有し、吸気チャネル52に通過開口部72bを有している。それぞれ呼気入口軸EEA及び吸気出口軸IAAに対して平行な通過軸DAに沿って延在する通過開口部72a及び72bは、吸気チャネル52及び呼気チャネル38の両方を限定するチャネル部材58のチャネル部材壁58aを貫通する。
【0073】
通過開口部72a及び72bには、図1に示された、チャネル部材18とは別個に形成され、各々が配設された通過軸DAに沿って延在している貫通部材74a及び74bが取り付けられている。貫通部材74a及び74bは同じであるので、貫通部材74aのみを説明すれば十分であり、この説明は他方の貫通部材74bにも有効である。
【0074】
貫通部材74aは、その呼気チャネル38内、すなわちチャネル部材18の内側領域に向けられた側に、受容形成部76を有しており、受容形成部76には、マルチルーメンホース36の呼気ルーメン36a内に誘導される第1の信号線78が形状接続的に接続可能である。受容形成部76は、信号線78を差し込むことが可能である、信号線78を取り囲むカラー、スプリングワッシャ、又はプラグオンソケットであってよい。
【0075】
その反対側には、貫通部材74aは、さらなる受容形成部80を有しており、受容形成部には、さらなる信号線82を形状接続的に接続することができる。さらなる受容形成部80は、カラー、スプリングワッシャ又はプラグオンソケットであってよい。
【0076】
マルチルーメンホース36では、吸気ルーメン36b内で第2の信号線84が誘導されており、第2の信号線84は、上述の貫通部材74aと同様に、貫通部材74bを用いて、チャネル部材18の外側においてさらなる信号線86によって継続されていてよい。
【0077】
信号線78及び84と、さらなる信号線82及び86とは、中空線として、呼吸ガスラインアセンブリ10の近位長手方向端部領域14における、後述する流量センサ108からの圧力情報を伝達する。さらなる信号線82及び86は、コネクタ88に合流することが可能であり、コネクタ88を用いて、人工呼吸器内の圧力センサとの圧力情報を伝達する接続を容易かつ確実に形成することが可能である。
【0078】
図1Bには、呼吸ガスラインアセンブリ10の近位長手方向端部14、すなわち動作中において人工呼吸を施されている患者に近い方に位置する長手方向端部が示されている。マルチルーメンホース36は、その遠位長手方向端部において、上述した近位長手方向端部と同一の構成を有するので、遠位長手方向端部の説明については、マルチルーメンホース36の近位長手方向端部の説明を参照されたい。
【0079】
別個の部材として形成された近位カップリング部材90は、マルチルーメンホース36の近位長手方向端部にカップリングされており、その遠位長手方向端部には共通の連結‐接続形成部92を有しており、連結‐接続形成部92は、上述した連結‐接続形成部30に対応するものであるので、連結‐接続形成部92の説明に関しては、連結‐接続形成部30の説明も参照されたい。共通の連結‐接続形成部92は、チャネル部材18上の入口接続形成部30aに対応する、図1Bでは上側の呼気接続形成部92aを含み、チャネル部材18上の出口接続形成部30bに対応する、図1Bでは下側の吸気接続形成部92bを含んでいる。近位カップリング部材90は、その機能においてY接続部材である。なぜなら、呼気ルーメンと吸気ルーメンとをその近位長手方向端部において共通のカップリング形成部94に統合し、カップリング形成部94は、近位呼気カップリング形成部94aであり、近位吸気カップリング形成部94bでもあるからである。したがって、共通のカップリング形成部94は、吸気呼吸ガスと呼気呼吸ガスとの両方によって貫流され、当該呼吸ガスは、呼気弁42及び一方向弁60の位置に応じて、当該呼吸ガスに配設された呼気ルーメン及び吸気ルーメンから成るルーメンに流入する。共通のカップリング形成部94は、流量センサ108の遠位長手方向端部の吸入連結形成部109に接続可能であり、例えばプラグ接続可能である。
【0080】
呼気ルーメン36a内に延在する第1の信号線78と吸気ルーメン36b内に延在する第2の信号線84とは、図1Bには示されていない。しかしながら、これらの信号線は存在しており、上述した貫通部材74a及び74bと同一である貫通部材96a及び96bにおいて再び合流している。貫通部材96a及び96bはそれぞれ、近位カップリング部材90の壁を貫通する通過開口部98a又は98b内に配置されている。カップリング部材90の外側で、信号線78及び84は、さらなる近位信号線100及び102によって継続され、これらの信号線は、差圧流量センサ108の連結ラグ104又は106で終端する。信号線100及び102と信号線80又は84とさらに信号線82又は86とは、ホース線として、差圧流量センサ108内部の詳細には図示されていないがそれ自体既知である流れ抵抗の両側における圧力を人工呼吸器内の圧力センサに伝達し、当該圧力センサは、伝達された圧力情報から、吸気及び呼気中に近位差圧流量センサ108を双方向に貫流する呼吸ガス流量を決定する。
【0081】
図2A及び図3Aには、組み立てられた状態における呼吸ガスラインアセンブリ10の遠位長手方向端部が、上記の図のリストで言及され、図に示された視線方向から示されている。対応することは、図2B及び図3Bにおいて、呼吸ガスラインアセンブリ10の近位長手方向端部に関しても適用される。
【0082】
この際、図3Aの底面図では、一方向弁60の固定リンク62a及び弁座62bを有する基本部材62の構造と、図3Aを見た場合に、その後方に位置する弁体64とが認識され得る。見やすくするため、弁座62bの全ての構造に参照符号を付しているわけではない。
【0083】
図4において、呼吸ガスラインアセンブリ10は、差圧流量センサ108の近位端から見て、呼気入口軸EEA及び吸気出口軸IAAに対する、図4の投影面に直交する平行線Pに沿っている。図4において、吸気呼吸ガス及び呼気呼吸ガスの両方によって貫流される流量センサ108の近位開口部を見ると、近位開口部には図4の投影面に直交して延在する流れ誘導要素110と、その後方に位置する、図4の投影面に対して平行な、流れに依存して可変である流れ抵抗を有する箔状の流れ抵抗部材112とが認識されるということとは別に、図4は、平行線Pの周りの吸気入口軸IEAに対するカバー部材50の傾斜も示している。図示された例では、傾斜角度αは20°~30°、好ましくは22°~26°、特に好ましくは24°又は25°である。
【0084】
この構成によって、ダイヤフラム弁体46がその通過位置への移動のために弁座44から持ち上げられ、その遮断位置に戻るために弁座44に向かって移動する際の弁移動経路VBBもまた、傾斜角度αで傾斜している。これによって、呼気弁アセンブリ16が保持され、呼気弁アセンブリ16では、事故現場及び救助状況での慌ただしい動作においても、重力によって、弁座44の方向にダイヤフラム弁体64が変位し、したがって、呼気弁42の遮断位置への一種のプレテンションを支持する。重力による負荷は、呼気弁42の遮断位置へのプレテンションによる変位のために、ダイヤフラム弁体64の構造と材料弾性とに基づいて付加される。
【0085】
制御チャネル68は、好ましくは弁移動経路VBBと平行に延在している。
【0086】
弁移動経路VBB及びカバー部材50の傾斜によって、カバー部材50、しかしながら特に呼気弁42と特に弁移動経路VBBに直交して延在する弁座44とは、図1に示された吸気入口54により近い位置にある近接部分44aと、吸気入口54からより離れた位置にある離間部分44bとを有している。離間部分44bと近接部分44aとは、弁移動経路VBBに関して直径上で向かい合っている。特に短い制御チャネル68を実現するために、制御チャネル68は近接部分44aの側に位置している。
【0087】
図5には、図4に示された断面V‐Vに沿ったチャネル部材18の縦断面が示されている。同様に、弁座44の離間部分44bも認められる。
【0088】
図5は同様に、通過開口部72a及び72bと、図5の投影面に対して直交するように方向付けられた略平坦な隔壁114とを示しており、隔壁114は、チャネル部材18内のマルチルーメン端部20を呼気ルーメン23aと吸気ルーメン23bとに分割する。呼気ルーメン23a及び吸気ルーメン23bは、呼吸ガスラインアセンブリ10の組み立てが終了した状態において、マルチルーメンホース36内の呼気ルーメン36a又は吸気ルーメン36b内で続いている。マルチルーメンホース36はまた、マルチルーメンホース36を径方向に貫通する略平坦な隔壁によって2つのルーメン36a及び36bに分割されている。隔壁114に形成された溝114aは、マルチルーメン端部20の2つの隔壁とマルチルーメンホース36との気密接続に用いられる。
【0089】
図5において、参照符号BEは、図5の投影面に直交する基準面BEを示しており、基準面BEは、弁座44によって囲まれた開口面を、基準面BEの両側に位置する等しい大きさの面部分に分割する。通過開口部72a及び72bは、呼気方向Eにおいて基準面BEの下流側に位置している。これによって、信号線78及び84は、可能な限り長く、可能な限り湾曲させずに延在し得る。
【符号の説明】
【0090】
10 呼吸ガスラインアセンブリ
12 遠位長手方向端部
14 近位長手方向端部
16 呼気弁アセンブリ
18 チャネル部材
20 マルチルーメン端部
22 呼気入口
23a 呼気ルーメン
23b 吸気ルーメン
24 吸気出口
26 呼気入口部分
28 吸気出口部分
30 連結‐接続形成部
30a 入口連結形成部
30b 出口接続形成部
32a、32b 径方向突起
34 連結‐接続相手側形成部
36 マルチルーメンライン部材
36a 呼気ルーメン、呼気呼吸ガスライン
36b 吸気ルーメン、吸気呼吸ガスライン
38 呼気チャネル
38a、38b 呼気チャネル部分
38c チャネル壁
40 呼気出口
42 呼気弁
44 弁座
44a 近接部分
44b 離間部分
46 弁体
46a 吸気ダイヤフラム面
46b 呼気ダイヤフラム面
48 チャネル壁
50 カバー部材
52 吸気チャネル
52a 内壁
54 吸気入口
56 吸気入口部分
58 入口接続形成部、チャネル部材
58a チャネル部材壁
60 一方向弁
60’ 長方形
62 基本部材
62a 固定リンク
62b 弁座
64 弁体
66 分岐点
68 制御チャネル
70 開口部
72a、72b 通過開口部
74a、74b 貫通部材
76 受容形成部
78、80、82、84、86、100、102 信号線
88 コネクタ
90 カップリング部材
92 連結‐接続形成部
92a 呼気接続形成部
92b 吸気接続形成部
94 カップリング形成部
94a 近位呼気カップリング形成部
94b 近位吸気カップリング形成部
96a、96b 貫通部材
98a、98b 通過開口部
104、106 連結ラグ
108 流量センサ
109 吸入連結形成部
110 流れ誘導要素
112 流れ抵抗部材
114 隔壁
114a 溝
BE 基準面
DA 通過軸
E 呼気方向
EEA 呼気入口軸
I 吸気方向
IAA 吸気出口軸
IEA 吸気入口軸
P 平行線
V 断面
VBB 弁移動経路
α 傾斜角度
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
【国際調査報告】