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特表2024-523158医療デバイス洗浄及び/又は管腔洗浄のための流体ベースの粉末搬送システム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】医療デバイス洗浄及び/又は管腔洗浄のための流体ベースの粉末搬送システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/12 20060101AFI20240621BHJP
   A61L 2/18 20060101ALI20240621BHJP
   B08B 3/08 20060101ALI20240621BHJP
   A61B 90/70 20160101ALI20240621BHJP
【FI】
A61B1/12 510
A61L2/18
B08B3/08 Z
A61B90/70
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573608
(86)(22)【出願日】2022-06-09
(85)【翻訳文提出日】2023-11-29
(86)【国際出願番号】 AU2022050569
(87)【国際公開番号】W WO2022256872
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】2021901732
(32)【優先日】2021-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503412126
【氏名又は名称】サバン ベンチャーズ プロプライアタリー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アレマーナ、ギルバート
(72)【発明者】
【氏名】アリ、アフメド
(72)【発明者】
【氏名】ピッドコック、デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ティセラ、シーハン
(72)【発明者】
【氏名】ループライ、ハーリーン
【テーマコード(参考)】
3B201
4C058
4C161
【Fターム(参考)】
3B201AA46
3B201AB01
3B201BB03
3B201BB92
4C058AA15
4C058BB07
4C058JJ06
4C161GG08
4C161GG10
4C161JJ11
(57)【要約】
管腔及び医療デバイスを含む物品を洗浄するための流体ベースの粉末搬送を統合するシステム及び方法が提示される。例えば、物品を洗浄する方法は、洗浄剤を含む第1の流体をチャンバに流動させるステップを含む。洗浄剤を含む第1の流体をチャンバに流動させることは、チャンバに流体結合されたフィルタの両側に圧力差を作り出す。圧力差が、洗浄剤が正確に計測されたことを示す閾値に到達したときに、洗浄剤を含む第1の流体の流動は、停止される。次に、第2の流体を、チャンバを通して流動させることは、例えば、医療デバイス又は料理機器の管腔を通して洗浄剤を物品に搬送し、それによって、その物品を洗浄する。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管腔を洗浄する方法であって、
洗浄剤を含む第1の流体をチャンバに流動させることであって、
前記洗浄剤を含む前記第1の流体を前記チャンバに流動させることが、前記チャンバに流体結合されたフィルタの両側に圧力差を作り出し、
前記圧力差によって閾値に到達させることによって、前記洗浄剤を含む前記第1の流体を前記チャンバに流動させることを停止させ、
前記チャンバを通して第2の流体を流動させて、前記洗浄剤を、管腔を通して搬送することによって、前記管腔を洗浄すること、を含む、方法。
【請求項2】
前記第1の流体が、第1のガスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1のガスが、空気、窒素、アルゴン、又は二酸化炭素を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の流体が、第1の液体を含み、前記洗浄剤が、前記第1の液体に実質的に不溶性である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
第1の液体が、水溶性液体、アルコール、炭化水素、又は二酸化炭素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記フィルタの断面領域が、前記流動する第1の流体の方向に対して垂直である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記フィルタの断面領域が、前記流動する第1の流体の方向に対して平行である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の流体が、第2のガスを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第2のガスが、空気、窒素、アルゴン、又は二酸化炭素を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の流体が、第2の液体を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の液体が、水溶性液体、アルコール、炭化水素、又は二酸化炭素を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
物品を洗浄する方法であって、
洗浄剤を含む第1の流体をチャンバに流動させ、
前記洗浄剤を含む前記第1の流体を前記チャンバに流動させることが、前記チャンバに流体結合されたフィルタの両側に圧力差を作り出し、
前記圧力差によって閾値に到達させることによって、前記洗浄剤を含む前記第1の流体を前記チャンバに流動させることを停止させ、
前記チャンバを通して第2の流体を流動させて、前記洗浄剤を前記物品に搬送することによって、前記物品を洗浄することと、を含む、方法。
【請求項13】
前記第1の流体が、第1のガスを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
第1のガスが、空気、窒素、アルゴン、又は二酸化炭素を含む、請求項9又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の流体が、第1の液体を含み、前記洗浄剤が、前記第1の液体に実質的に不溶性である、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の液体が、水溶性液体、アルコール、炭化水素、又は二酸化炭素を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記フィルタの断面領域が、前記流動する第1の流体の方向に対して垂直である、請求項12~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記フィルタの断面領域が、前記流動する第1の流体の方向に対して平行である、請求項12~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記第2の流体が、第2のガスを含む、請求項12~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記第2のガスが、空気、窒素、アルゴン、又は二酸化炭素を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第2の流体が、第2の液体を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記第2の液体が、水溶性液体、アルコール、炭化水素、又は二酸化炭素を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
医療デバイスを洗浄する方法であって、
洗浄剤を含む第1の流体をチャンバに流動させ、
前記洗浄剤を含む前記第1の流体を前記チャンバに流動させることが、前記チャンバに流体結合されたフィルタの両側に圧力差を作り出し、
前記圧力差によって閾値に到達させることによって、前記洗浄剤を含む前記第1の流体を前記チャンバに前記流動させることを停止させ、
前記チャンバを通して第2の流体を流動させて、前記洗浄剤を前記医療デバイスに搬送することによって、前記医療デバイスを洗浄する、方法。
【請求項24】
前記第1の流体が、第1のガスを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
第1のガスが、空気、窒素、アルゴン、又は二酸化炭素を含む、請求項23又は24に記載の方法。
【請求項26】
前記第1の流体が、第1の液体を含み、前記洗浄剤が、前記第1の液体に実質的に不溶性である、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記第1の液体が、水溶性液体、アルコール、炭化水素、又は二酸化炭素を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記フィルタの断面領域が、前記流動する第1の流体の方向に対して垂直である、請求項23~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記フィルタの断面領域が、前記流動する第1の流体の方向に対して平行である、請求項23~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記第2の流体が、第2のガスを含む、請求項23~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記第2のガスが、空気、窒素、アルゴン、又は二酸化炭素を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記第2の流体が、第2の液体を含む、請求項23~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記第2の液体が、水溶性液体、アルコール、炭化水素、又は二酸化炭素を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
管腔を有する医療デバイスを洗浄する方法であって、
洗浄剤の目標用量をエダクタに送達することであって、前記洗浄剤は、前記目標用量を達成するために、空気圧によりフィルタを通して送達され、
前記エダクタに流体を送達し、
前記流体と前記目標用量の前記洗浄剤との集合体を前記管腔の少なくとも一部に送達する、方法。
【請求項35】
前記目標用量の前記洗浄剤を前記エダクタに送達するステップと、前記流体を前記エダクタに送達するステップと、前記集合体を送達して前記管腔の前記少なくとも一部分を洗浄するステップと、を繰り返すことを更に含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記エダクタに界面活性剤を送達することを更に含み、前記集合体が、前記界面活性剤を更に含む、請求項34又は35に記載の方法。
【請求項37】
医療デバイスの管腔を洗浄する方法であって、
投与フィルタの両側の圧力差を使用して、洗浄剤の第1の部分を投与することと、
洗浄剤の前記第1の部分及び水の第1の部分を混合し/合わせ/集めて、混合物/合わせたもの/集合体を形成することと、
前記混合物/合わせたもの/集合体を前記医療デバイスの前記管腔に注入することと、
前記混合物/合わせたもの/集合体の後に、所定量の空気を前記医療デバイスの前記管腔に注入することと、を含む、方法。
【請求項38】
水の前記第1の部分に対する、洗浄剤の前記第1の部分の割合が、約0.5%~約5%、又は約1%~約3%である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記洗浄剤が、重炭酸ナトリウムを含む、請求項37又は38に記載の方法。
【請求項40】
前記洗浄剤の第1の部分が、約1g~約10g、又は約4g~約6gである、請求項37から39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記水の第1の部分が、約50g~約500g、又は約100g~約400gである、請求項37から40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記洗浄剤の第1の部分が、空気を更に含む、請求項37から41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記混合し/合わせ/集めるステップの前に、前記水を所定の温度に加熱するステップを更に含む、請求項37から42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記温度が、約15℃~約25℃、又は約25℃~約40℃である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記混合する/合わせる/集めるステップが、界面活性剤の第1の部分、並びに洗浄剤の前記第1の部分、及び水の前記第1の部分を混合し/合わせ/集めて、前記混合物/合わせたもの/集合体を形成することを含む、請求項37から44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
界面活性剤の前記第1の部分が、約0.1g~約3g、又は約0.5g~約1.5gである、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記混合物/合わせたもの/集合体の流動が、乱流である、請求項37から46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
請求項37に記載の方法のステップを繰り返すことを更に含む、請求項37から47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
医療デバイスの管腔を洗浄する方法であって、
前記医療デバイスを洗浄するためのデバイスを提供することであって、前記デバイスが、
投与フィルタの両側の圧力差を使用して、洗浄剤の第1の部分を投与することと、
洗浄剤の前記第1の部分、及び水の第1の部分を合わせ/混合し/集めて混合物を形成することと、
前記混合物の一部分を前記医療デバイスの前記管腔に注入することと、
前記混合物の前記一部分の注入の後に、所定量の空気を前記医療デバイスの前記管腔に注入することと、を行うように構成されている、方法。
【請求項50】
管腔を有する医療デバイスを洗浄するためのシステムであって、
フィルタを含むエダクタと、
前記エダクタに洗浄剤を送達するように構成され、かつ圧力差機構を備える空気圧式送達サブシステムであって、前記圧力差機構は、圧力差が閾値を下回るときに、前記エダクタに前記洗浄剤を空気圧により送達するように構成されている、空気圧式送達サブシステムと、
液体を前記エダクタに送達するように構成された液体送達サブシステムと、
前記洗浄剤及び前記液体を動的に混合し/合わせ/集めて、得られた混合物/合わせたもの/集合体を、医療デバイスの管腔を通して推進させるように構成されたエンジンと、を備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年6月9日に出願された豪国仮特許出願第2021/901732号の利益を主張するものであり、その全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本明細書全体にわたる先行技術に関するいかなる考察も、そのような先行技術が広く知られているか、又は当分野において共通の一般的な知識の一部を形成していることを容認するものとは、決して見なされるべきではない。
【0003】
物品の食品/医療の安全性を守る洗浄デバイス、洗浄剤、及び方法を使用して、製氷機、ソーダマシン、コーヒー/エスプレッソマシン、及び医療デバイスを含む様々な物品の清潔さ及び無菌状態を維持するには、数多くの困難がある。多くの場合、そのような物品の洗浄の困難さは、その目的に特化しない機器を使用してアクセス又は洗浄することが困難である様々なチューブ/チャネルから生じる。
【0004】
例えば、内視鏡は、剛性又は可撓性があり得、かつ光学又はビデオシステム、及び光源を組み込む細長い管状医療デバイスである。典型的には、内視鏡は、一端が、外科的切開部を介して、又は身体の本来の開口部のうちの1つを介して、患者の体内に挿入され得るように構成される。したがって、内視鏡の挿入された端部の近くの内部構造は、外部観察者によって見ることができる。
【0005】
内視鏡は、検査に使用されるだけでなく、診断及び外科手技を実行するためにも使用される。内視鏡による手技は、本質的に低侵襲であり、(治癒時間、及び感染への曝露の短縮を通じて)より良い患者転帰を提供し、病院及び診療所がより高い患者の入れ替え率を達成することが可能になるため、ますます普及している。
【0006】
内視鏡は、典型的には、長い管状構造の形態をとり、これは、一方の端部に患者への挿入のための「遠位先端」と、他方の端部に「コネクタ端部」とを有し、長さの中央に制御ハンドルを有する。コネクタ端部は、通常、光、水、吸引、及び加圧空気の供給源に接続される。制御ハンドルは、手技中にオペレータによって保持されて、バルブ及び制御ホイールを介して内視鏡を制御する。遠位先端には、カメラレンズ、照明、空気及び水のためのノズル出口、吸引のための出口箇所、及び鉗子が含まれる。全ての内視鏡は、空気及び/若しくは水を送達し、吸引を提供し、又は手技中に必要な鉗子及び他の医療デバイスへのアクセスを可能にするために使用される内部チャネルを有する。これらの内部チャネルのいくつかは、内視鏡の一方の端部から他方の端部まで通っており、他の内部チャネルは、制御ハンドルにおいてバルブソケットを介して通っている。いくつかのチャネルは、分岐し、一方、他のチャネルは、2つから1つに結合する。
【0007】
内視鏡のコストが高いため、それらは、再利用される必要がある。結果として、1人の患者から次の患者への交差感染を避ける必要があるため、各内視鏡は、使用するたびに徹底的に洗浄し、消毒又は滅菌する必要がある。これには、内視鏡の外側の洗浄だけでなく、内部チャネル/管腔の洗浄及び消毒も含まれる。内視鏡のコストが高いため、それらは、再利用される必要がある。結果として、1人の患者から次の患者への交差感染を避ける必要があるため、各内視鏡は、使用するたびに徹底的に洗浄し、消毒又は滅菌する必要がある。これには、内視鏡の外側の洗浄だけでなく、内部チャネル/管腔の洗浄及び消毒も含まれる。
【0008】
結腸鏡検査手技に使用される内視鏡は、典型的には、長さが2.5~4メートルであり、直径が数ミリメートル以下の1つ以上の管腔チャネルを有する。このような長い狭いチャネルが患者間で適切に洗浄及び消毒されていることを確認することは、かなりの課題を提示する。洗浄の課題はまた、内視鏡の構成/タイプが1つだけではないという事実によっても困難になる。実際、それぞれが特定の挿入用途に適した様々な内視鏡デバイス、すなわち、結腸に挿入された結腸内視鏡、気道に挿入された気管支内視鏡、及び胃の調査のための胃鏡がある。例えば、胃鏡は、結腸鏡よりも直径が小さく、気管支鏡は、再び小さく、かつ長さが短く、一方、十二指腸鏡は、胆管にアクセスするための異なる先端設計を有する。
【0009】
洗浄及び消毒プロセスの第1の段階である、管腔から生物学的残留物を機械的に除去することのために、様々な選択肢が利用可能である。管腔を洗浄するための圧倒的に最も一般的な手技は、長くて薄くて柔軟な線に取り付けられた小さなブラシを利用することである。ブラッシングは、一部の国において、管腔を洗浄するために義務付けられている手段である。これらのブラシは、内視鏡が温水及び洗浄液に浸されている間に、管腔に供給される。次に、ブラシは、管腔の長さを通して押し込まれ/引っ張られて、どうにかして汚れ/生物汚染をこすり落とす。手動による前後のこすり落としが、典型的には必要とされる。次に、水及び洗浄液が、管腔に押し流される。これらの押し流しブラシプロセスは、3回繰り返されるか、又は内視鏡再処理技術者が、管腔が清潔であると確認されるまで繰り替えされる。この洗浄プロセスの最後において、空気が管腔にポンプダウンされて、それらを乾燥させる。ワイピングブレードを有する柔軟な引き通しデバイスを使用して、材料を物理的に除去することもできる。限られた圧力で管腔を通る液体流動も使用することができる。
【0010】
しかしながら、一般に、より大きな吸引/生検管腔のみが、ブラッシング又は引き通しによって洗浄することができる。空気/水チャネルは、ブラシには小さすぎるため、これらの管腔は、通常、水及び洗浄液のみで押し流される。
【0011】
機械的洗浄後、化学的洗浄が、残りの生物学的汚染物質を除去するために行われる。内視鏡は、高感度でかつ高価な医療デバイスであるため、生物学的残留物は、高温又は強力な化学物質で処理することはできない。この理由のため、機械的な洗浄は、できるだけ徹底する必要がある。多くの場合、現在の機械的洗浄方法は、特に洗浄が液体の流動だけに依存する場合、管腔からバイオフィルムを完全に除去することができない。従来の洗浄プロセスがどれほど優れているかにかかわらず、小さな微生物による負荷が管腔のチャネルに残ることは、ほとんど避けられない。
【0012】
ブラシで洗浄する方法は、規定されたように実行された場合であっても、内視鏡管腔のバイオフィルムを完全に除去するとは限らないことを示す重要な研究が行われている。有効性に欠けているだけでなく、現在の手動ブラッシング手技には、他の欠点もある。多数の異なる内視鏡メーカ及びモデルは、手動洗浄手技の多くの小さなばらつきをもたらす。これは、混乱を招き、最終的には、洗浄プロセスの順守が不十分になっている。ブラッシングの現在のシステムは、内視鏡を洗浄するために現在使用されている化学物質が再処理スタッフに悪影響を及ぼす可能性があるという点でも危険である。
【0013】
手動ブラッシングの現在のシステムはまた、労働集約的であり、コストの増加につながる。したがって、医療用洗浄装置における管腔の洗浄及び消毒に対する現在のアプローチは、依然として不十分であり、残留微生物は、これらのデバイスに曝露された患者及びスタッフにとって重大な脅威として現在認識されている。
【0014】
内視鏡の内部構造の不十分な洗浄及び消毒からの患者間の細菌伝播の証拠があり、これは、今度は、患者が致命的な感染症を獲得することにつながっている。2010年~2015年の間に、ほとんどが米国内であるが、世界中の41を超える病院が、視鏡に関連する細菌感染を報告し、300~350人の患者に影響を与えた(http://www.modernhealthcare.com/article/20160415/NEWS/160419937)。様々な医療デバイスにおける生物汚染度の低減により、感染率及び死亡率に伴う全体的な低減がもたらされることが期待される。更に、内視鏡が適切に洗浄及び乾燥されない場合、バイオフィルムは、管腔壁に蓄積する可能性がある。バイオフィルムは、自由浮遊微生物自体が表面に付着し、保護多糖層で囲まれたときに形成され始める。次いで、微生物は、他の微生物とともに増殖するか、又は集合体を形成し始め、多糖層の範囲を増加させる。複数の付着部位が、時間内に結合し得、バイオフィルムの重大な堆積物を形成する。細菌又は他の微生物がバイオフィルムに組み込まれると、それらは、自由浮遊状態にあるよりも、化学的及び機械的洗浄に対して有意に耐性を有するようになる。生物自体は、本質的には、より抵抗性はなく、むしろ、多糖フィルムによって抵抗性が付与され、事実として、微生物が、フィルムに深く埋め込まれ、任意の化学的相互作用から隔離され得る。洗浄を試みた後に残った残留バイオフィルムは、どれもすぐに平衡状態に戻り、フィルム内の微生物の更なる増殖が継続する。内視鏡管腔は、特にバイオフィルム形成を生じやすい。それらは、かなりの量の生物汚染に晒されており、その後の長い狭い管腔の洗浄は、アクセスが不可能であり、洗浄プロセスを監視することができないため、非常に困難である。
【0015】
できるだけ迅速に内視鏡を再処理するように、医療施設には、かなりの圧力がある。内視鏡は、手で洗浄されるため、技術者の訓練及び態度は、デバイスの清潔さを決定する上で重要である。器具上の残留バイオフィルムは、患者が内視鏡により獲得される感染症を獲得する結果となり得る。通常、これらの感染症は、感染爆発として発生し、患者に致命的な結果をもたらす可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
先行技術の欠点のうちの少なくとも1つを克服若しくは改善するか、又は有用な代替案を提供する必要性が依然として残っている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の第1の態様によれば、管腔を洗浄する方法が提供され、この方法は、
洗浄剤を含む第1の流体をチャンバに流動させることであって、
洗浄剤を含む第1の流体をチャンバに流動させることは、チャンバに流体結合されたフィルタの両側に圧力差を作り出す、流動させることと、
圧力差によって閾値に到達させ、それによって、洗浄剤を含む第1の流体をチャンバに流動させることを停止させることと、
チャンバを通して第2の流体を流動させて、洗浄剤を、管腔を通して搬送し、それによって、管腔を洗浄することと、を含む。
【0018】
本発明の第2の態様によれば、物品を洗浄する方法が提供され、この方法は、
洗浄剤を含む第1の流体をチャンバに流動させることであって、
洗浄剤を含む第1の流体をチャンバに流動させることは、チャンバに流体結合されたフィルタの両側に圧力差を作り出す、流動させることと、
圧力差によって閾値に到達させ、それによって、洗浄剤を含む第1の流体をチャンバに流動させることを停止させることと、
チャンバを通して第2の流体を流動させて、洗浄剤を物品に搬送し、それによって、物品を洗浄することと、を含む。
【0019】
本発明の第3の態様によれば、医療デバイスを洗浄する方法が提供され、この方法は、
洗浄剤を含む第1の流体をチャンバに流動させることであって、
洗浄剤を含む第1の流体をチャンバに流動させることは、チャンバに流体結合されたフィルタの両側に圧力差を作り出す、流動させることと、
圧力差によって閾値に到達させ、それによって、洗浄剤を含む第1の流体をチャンバに流動させることを停止させることと、
チャンバを通して第2の流体を流動させて、洗浄剤を医療デバイスに搬送し、それによって、医療デバイスを洗浄することと、を含む。
【0020】
本発明の第4の態様によれば、管腔を有する医療デバイスを洗浄する方法が提供され、この方法は、
洗浄剤の目標用量をエダクタに送達することであって、洗浄剤は、目標用量を達成するために、空気圧によりフィルタを通して送達される、送達することと、
エダクタに流体を送達することと、
流体と目標用量の洗浄剤との集合体、を管腔の少なくとも一部に送達することと、を含む。
【0021】
本発明の第5の態様によれば、医療デバイスの管腔を洗浄する方法が提供され、この方法は、
投与フィルタの両側の圧力差を使用して、洗浄剤の第1の部分を投与することと、
洗浄剤の第1の部分、及び水の第1の部分を混合し/合わせ/集め、混合物/合わせたもの/集合体を形成することと、
混合物/合わせたもの/集合体を医療デバイスの管腔に注入することと、
混合物/合わせたもの/集合体の後に、ある量の空気を医療デバイスの管腔に注入することと、を含む。
【0022】
本発明の第6の態様によれば、医療デバイスの管腔を洗浄する方法が提供され、この方法は、
医療デバイスを洗浄するためのデバイスを提供することであって、デバイスは、
投与フィルタの両側の圧力差を使用して、洗浄剤の第1の部分を投与することと、
洗浄剤の第1の部分、及び水の第1の部分を合わせ/混合し/集めて混合物を形成することと、
混合物の一部分を医療デバイスの管腔に注入することと、
混合物の一部の後に、ある量の空気を医療デバイスの管腔に注入することと、を行うように構成されている、提供すること、を含む。
【0023】
本発明の第7の態様によれば、管腔を有する医療デバイスを洗浄するためのシステムが提供され、このシステムは、
フィルタを含むエダクタと、
エダクタに洗浄剤を送達するように構成され、かつ圧力差機構を備える空気圧式送達サブシステムであって、圧力差機構は、圧力差が閾値を下回るときに、エダクタに洗浄剤を空気圧により送達するように構成されている、空気圧式送達サブシステムと、
液体をエダクタに送達するように構成された液体送達サブシステムと、
洗浄剤及び液体を動的に混合し/合わせ/集めて、得られた混合物/合わせたもの/集合体を、医療デバイスの管腔を通して推進させるように構成されたエンジンと、を備える。
【0024】
したがって、物品を洗浄するシステム及び方法は、洗浄剤を含む第1の流体をチャンバに流動させるステップを含む。本発明者らは、好適な洗浄剤としては、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、グリシン、エリスリトール、及びそれらの混合物を含む粉末が挙げられるが、これらに限定されないと考える。洗浄剤を含む第1の流体がチャンバに流動させると、流体は、チャンバに流体結合されたフィルタに出会う。フィルタは、フィルタの細孔径、及び洗浄剤の粒径分布に基づいて、洗浄剤を保持し、フィルタの両側に圧力差を作り出す。圧力差は、連続的に、断続的に、及び/又はオペレータによって監視され得る。圧力差が閾値に到達すると、閾値に到達することにより、チャンバへの洗浄剤の送達の停止が起動される。有利なことに、フィルタ及び圧力降下の使用は、インライン重量、体積、又は時間ベースの計器を使用することなく、洗浄剤の的確かつ正確な計量を可能にすることができる。このような計器を除去することにより、洗浄剤によって汚染又は損傷する可能性のある計器の可動部品を清掃及び/又は修理する必要がなくなる。次いで、第2の流体が、チャンバを通って流動して、洗浄剤を物品に搬送し、それによって、物品を洗浄する。理解され得るように、第1の流体及び第2の流体は、同じでも異なってもよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、第1の流体は、第1のガスを含む。典型的な第1のガスは、空気、窒素、アルゴン、二酸化炭素、又はそれらの混合物を含む。一実施形態では、第1のガスは、第1のガスの含水量を低減するように処理される。
【0026】
他の実施形態では、第1の流体は、第1の液体を含み、洗浄剤は、第1の液体中に実質的に不溶性である(例えば、約5%w/w未満の溶解度を有する)。例えば、エタノール、アセトン、及びメタノールは、重炭酸ナトリウム洗浄剤を用いた第1の流体として使用することができ、これは、重炭酸ナトリウムが、エタノールに不溶であり得、アセトン中で0.02%w/w、及びメタノール中で2.13%w/wの溶解度を有するためである。有利なことに、第1の流体は、フィルタを通過し、洗浄剤は、チャンバ内のフィルタによって保持される。典型的な実施形態では、第1の液体は、水溶性液体、アルコール、炭化水素、二酸化炭素、又はそれらの混合物である。第1の液体は、洗剤を含み得る。好適な洗剤は、低発泡、非イオン性、室温での低粘度の液体、水溶性、及び/又は以下でより詳細に説明される冷水及び温水(15~40℃)での良好な洗浄力を有するなどの界面活性剤を含み得る。
【0027】
フィルタの断面領域は、第1の流体の流動の方向に対して垂直に、又はある角度に位置決めされ得ることが理解され得る。いくつかの実施形態では、フィルタは、第1の流体がフィルタを通過するよう回転するように、例えば、チャンバの側面上に位置決めされる、第1の流体の流動の方向に対して平行である。
【0028】
いくつかの実施形態では、第2の流体は、第2のガスを含む。好適な第2のガスは、空気、窒素、アルゴン、二酸化炭素、又はこれらの混合物を含む。第1のガス及び第2のガスは、同じでも異なってもよい。いくつかの実施形態において、第2のガスは、滅菌ガス、例えば、エチレンオキシドガス、蒸発した過酸化水素、二酸化塩素ガス、蒸発した過酢酸、二酸化窒素、又は他のそのようなガスを含む。
【0029】
他の実施形態では、第2の流体は、第2の液体を含む。例えば、第2の液体は、水溶性液体、アルコール、炭化水素、又は二酸化炭素を含む。第2の液体は、界面活性剤などの洗剤を含み得る。好適な界面活性剤には、低発泡、非イオン性、室温での低粘度の液体、水溶性のものが含まれ得、かつ/又は以下でより詳細に説明される冷水及び温水(15~40℃)での良好な洗浄力を有し得る。いくつかの実施形態では、第2の流体は、過酸化水素、抗菌剤、及び/又はアルコールなどの消毒剤を含む。
【0030】
本開示は、これらの方法を実行するように構成されたシステムを更に包含する。
【0031】
有利なことに、物品は、管腔(例えば、内視鏡の管腔)、医療デバイス、製氷機(例えば、製氷機の導管及び表面)、ソーダディスペンサー、又は本明細書に開示されるシステム及び方法を介した洗浄から利益を得る他の物品を含み得る。
【0032】
したがって、本発明の実施形態による、内視鏡洗浄の有効性を改善するための洗浄剤を含む洗浄液のオンデマンド調製を採用する統合された流体ベースの粉末搬送サブシステム及び方法を有する洗浄システムが記載される。更に、記載された技術は、管腔を有する様々な医療デバイスに実装され得る。本明細書に記載されるシステム及び方法は、オペレータにとって容易にアクセスできるバルク貯蔵器/多用量消耗品システムの使用を容易にすることができる。多くの実施形態では、統合された流体ベースの粉末搬送サブシステムを備える洗浄システムは、統合された流体ベースの粉末搬送システム(正圧及び/又は真空)を使用して、乾燥洗浄剤、例えば、重炭酸ナトリウム粉末をバルク貯蔵器から個々の洗浄エンジンの投与ユニット/投与器に移送することができる。これは、オンデマンドで行うことができる。流体ベースの粉末搬送は、粉末経路内の可動部品が比較的少ない場合があるため、機械的搬送システム(例えば、オーガ/コンベア/重力送り)よりも利点を提供することができる。多くの可動部品が乾燥した固体粉末への曝露によって劣化しやすいため、これは、望ましいことであり得る。流体ベースの粉末搬送の別の利点は、距離及び相対的な位置の両方において、投与ユニット/エンジンに対するバルク貯蔵器/消耗品の様々な配置を容易にすることができることである。これにより、バルク貯蔵器/消耗品の場所が、オペレータがデバイス内にアクセスするために最適化されることが可能になり得る。
【0033】
また、本開示による洗浄システム及び方法は、コンパクトな(デスクトップ規模の)デバイス内の乾燥洗浄剤、例えば、重炭酸ナトリウム粉末の正確な投与(±5%)を促進するためのフィルタを採用する。考慮された洗浄システム及び方法は、各洗浄エンジン上にフィルタを含む投与ユニット/投与器を使用して、正確な量(±5%)の洗浄剤、例えば、重炭酸ナトリウムをエダクタに対して繰り返し測定することによって、この利点を達成することができる。このレベルの精度は、エダクタに過剰な洗浄剤、例えば、重炭酸ナトリウムを投与すると、内視鏡の内部流体を閉塞するリスクがあり、少なすぎると、システムの洗浄効率が目標レベルを下回る可能性があるため、用途にとって重要であり得る。乾燥粉末のための従来の測定システムには、時間ベース及び体積測定の投与が含まれるが、これらは、本出願に望ましい正確さ及び精度をもたらしていない。あるいは、重量測定システムは、十分に正確であるが、本出願のサイズ、機械的複雑性、及びコストにおいて実用的ではない。
【0034】
したがって、いくつかの実施形態による投薬ユニットは、流体ベースの粉末搬送システムに結合された粒子フィルタカートリッジを含み得る。洗浄剤、例えば、重炭酸ナトリウム粉末がフィルタ内に保持されると(フィルタの細孔サイズは、洗浄剤、例えば、重炭酸ナトリウム粉末粒子の大部分より小さい)、カートリッジ全体の差圧が増加する可能性がある。差圧測定は、保持された洗浄剤、例えば、重炭酸ナトリウムの量と相関させることができ、したがって、単純であるが正確な乾燥粉末計量システムとして機能する。
【0035】
管腔を有する医療デバイスを洗浄する方法の一実施形態は、フィルタを通して流体ベースの粉末洗浄剤をエダクタに(例えば、空気圧で)送達して目標用量を達成することと、流体をエダクタに送達することと、流体の集合体及び洗浄剤の目標用量を管腔の少なくとも一部に送達することと、を含む。集合体の送達は、任意の好適な方法で実装され得る。例えば、キャリア流体を使用して、集合体を管腔に送達することができる。例えば、空気は、キャリア流体として使用され得る。別の実施形態では、方法は、管腔の少なくとも一部分を洗浄するために反復して繰り返される。更なる実施形態では、方法は、界面活性剤をエダクタに送達するステップを含み、その結果、内腔の少なくとも一部に送達される集合体は、洗浄剤、流体、及び界面活性剤の目標用量を含む。
【0036】
]好適な洗浄剤は、約1~約5、又は約2~約3のモース硬度を有する水溶性の生体適合性粉末を含み得る。いくつかの実施形態では、生体適合性粉末は、人体内に見出される粉末か、又は食品成分として使用される粉末であり、これらは、洗浄剤が洗浄サイクル後に残留する場合に健康リスクを低減する。典型的な洗浄剤は、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、グリシン、エリスリトール、及びそれらの混合物を含む。任意の好適な洗浄剤粒子サイズは、投与フィルタ、及び医療デバイス管腔の直径に応じて使用され得る。いくつかの実施形態では、好適な塩は、約5~約9のpHを有する水溶液を与えて、腐食のリスクを低減する。
【0037】
別の実施形態では、水の第1の部分に対する洗浄剤、例えば、重炭酸ナトリウムの第1の部分の割合は、約0.5%~約5%であり、いくつかの実施形態では、液体に対する第1の洗浄剤の割合は、約1%~約3%である。驚くべきことに、濃度が飽和点を下回っているにもかかわらず、摩損性を維持することができる。これは、混合物を高速で送達する機能である可能性があり、洗浄剤と流体との「オンデマンド」の組み合わせは、洗浄剤が溶解するのに十分な時間を混合物に与えない。飽和点未満の洗浄剤濃度を用いることの更なる利点は、閉塞のリスクが低減されることである。洗浄剤の第1の部分が飽和点を超える混合物の使用は、除外されない。洗浄剤の第1の部分、例えば、重炭酸ナトリウムは、約1g~約10g、又は約4g~約6gを含み得る。水の第1の部分は、約50g~約500g、又は約100g~約400gである。一実施形態では、空気は、洗浄剤を貯蔵ユニットから混合チャンバに流動させるために使用される。洗浄剤、例えば、重炭酸ナトリウムの用量は、そのような空気流を使用して制御できることを理解されたい。
【0038】
有利なことに、本明細書に開示されるシステム及び方法は、周囲温度(例えば、約15℃~約25℃)で効果的な洗浄を達成することができる。一実施形態では、方法は、水を混合ステップの前に、ある温度に加熱するステップを更に含む。水は、約40℃までの温度に加熱することができる。
【0039】
界面活性剤は、洗浄混合物に含められて、バイオフィルムを含む生物汚染を溶解及び/又は緩めることができる。一実施形態では、混合ステップは、任意選択的に、界面活性剤の第1の部分を、洗浄剤の第1の部分、例えば、重炭酸ナトリウムと、水の第1の部分とを混合して、混合物を形成することを含む。好適な界面活性剤は、限定されないが、低発泡、非イオン性、室温での低粘度の液体、水溶性であり得、かつ/又は冷水及び温水(15~40℃)での良好な洗浄力を有し得る。例えば、アルコールエトキシレート、アルコールアルコキシレート、アルキルポリグルコシド、及びそれらの混合物は、本明細書に開示されるシステム及び方法において用いることができる。これらのグループ内の界面活性剤の配合もまた想定され、より広い汚れの範囲を洗浄するために使用され得る。いくつかの界面活性剤製剤はまた、他の添加剤を含有して、その安定性を改善し、希釈のための濃縮腐食活性剤を投与するときにデバイス内の腐食を低減し、微生物汚染を低減することができる。低レベルの発泡性は、有利なことに、混合物が、より高いレベルの発泡性によって妨げられ得る運動エネルギーを発達させることを可能にすることができる。非イオン性界面活性剤は、水溶性洗浄剤塩、例えば、重炭酸ナトリウムを含む混合物の他の成分と適合することができる。低粘度は、投与を容易にすることができる。水溶性は、残存リスクを低減する。良好な洗浄力は、汚れを可溶化、懸濁、乳化、及び/又は表面/界面張力を低減する能力を特徴とすることができる。界面活性剤の第1の部分は、約0.1~1%w/wであり得る。
【0040】
想定される圧力及び流体速度の下で、混合物の一部の流動は、乱流し得る。本開示の更なる態様において、方法のステップは、方法が混合物調製フェーズと洗浄フェーズとの間で交互になって、洗浄システム及び方法の効率を増加させるように繰り返され得る。
【0041】
文脈が別段明らかに要求しない限り、説明及び特許請求の範囲全体を通して、「含む(comprise)」、「含むこと(comprising)」などの単語は、排他的又は徹底的な意味ではなく、包括的な意味、すなわち、「含むが、これに限定されない」という意味で解釈されるものとする。
【0042】
上記の実施形態は、典型的なものに過ぎない。本明細書に記載の他の実施形態は、開示の主題の範囲内である。
【0043】
本開示の特徴が理解されることができる様式において、詳細な説明は、特定の実施形態を参照することによって有することができ、それらのうちのいくつかは、添付の図面において図示される。しかしながら、図面が特定の実施形態のみを例示し、したがって、開示された主題の範囲が他の実施形態も包含するため、その範囲を限定するものと見なされないことに留意されたい。図面は、必ずしも縮尺通りではなく、特定の実施形態の特徴を例示することに、おおむね重点が置かれる。図面において、様々な図面を通して同様の部分を示すために、同様の番号が使用される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1A】本明細書に記載の1つ以上の態様による、物品を洗浄する方法の1つの実施形態のフロー図を示す。
図1B】本明細書に記載の1つ以上の態様による、医療デバイスの管腔を洗浄する方法の1つの実施形態のフロー図を示す。
図2】本明細書に記載の1つ以上の態様による、統合された流体ベースの粉末搬送サブシステムを有する洗浄システムの1つの実施形態のブロック図を示す。
図3A】本明細書に記載の1つ以上の態様による、統合された流体ベースの粉末搬送サブシステムを有する洗浄システムの別の実施形態のブロック図を示す。
図3B】本明細書に記載の1つ以上の態様による、統合された流体ベースの粉末搬送サブシステムを有する洗浄システムの別の実施形態のブロック図を示す。
図3C】本発明の実施形態によって実装され得る2つのエンジン洗浄システムの別の代表例を示す。
図4A】本明細書に記載の1つ以上の態様による、統合された流体ベースの粉末搬送サブシステムを有する洗浄システムの1つの実施形態のブロック図を示す。
図4B】本明細書に記載の1つ以上の態様による、統合された流体ベースの粉末搬送サブシステムを有する洗浄システムの1つの実施形態のブロック図を示す。
図5A】本明細書に記載の1つ以上の態様による、消耗品インターフェースモジュールの1つの実施形態を示す。
図5B】本明細書に記載の1つ以上の態様による、消耗品インターフェースモジュールの1つの実施形態を示す。
図6A】本明細書に記載の1つ以上の態様による、取入口マニホールドモジュールの1つの実施形態を示す。
図6B】本明細書に記載の1つ以上の態様による、取入口マニホールドモジュールの1つの実施形態を示す。
図7A】本明細書に記載の1つ以上の態様による、エンジンアセンブリの1つの実施形態を示す。
図7B】本明細書に記載の1つ以上の態様による、エンジンアセンブリの1つの実施形態を示す。
図7C】本明細書に記載の1つ以上の態様による、エンジンアセンブリの1つの実施形態を示す。
図8A】本明細書に記載の1つ以上の態様による、エダクタアセンブリの1つの実施形態を示す。
図8B】本明細書に記載の1つ以上の態様による、エダクタアセンブリの1つの実施形態を示す。
図9A】本明細書に記載の1つ以上の態様による、医療デバイスの管腔を洗浄するためのシステムの1つの実施形態を示す。
図9B】本明細書に記載の1つ以上の態様による、医療デバイスの管腔を洗浄するためのシステムの1つの実施形態を示す。
図10】本明細書に記載の1つ以上の態様によって実装され得る消耗品インターフェースモジュールを示す。
【0045】
対応する参照符号は、いくつかの図全体にわたって対応する部分を示す。本明細書において記載される実施例は、いくつかの実施形態を例示するが、いかなる方法においても本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本開示は、医療デバイスの再処理を含む、洗浄用途における流体ベースの粉末搬送システム及び方法に関する。
【0047】
管腔を有する医療デバイスを洗浄する方法の一実施形態は、流体ベースの粉末洗浄剤を、フィルタを通してチャンバに(例えば、空気圧で)送達してフィルタ上の洗浄剤の目標用量を収集することと、流体をチャンバに送達することと、流体の集合体、及び洗浄剤の目標用量を管腔の少なくとも一部に送達することと、を含む。別の実施形態では、方法は、管腔の少なくとも一部分を洗浄するために反復して繰り返される。更なる実施形態では、この方法は、界面活性剤をチャンバに送達することを含み、その結果、管腔の少なくとも一部に送達される集合体は、洗浄剤、流体、及び界面活性剤の目標用量を含む。
【0048】
図1Aは、物品を洗浄する方法の一実施形態についてのフロー図1000を示し、洗浄剤(例えば、重炭酸ナトリウム)を含む第1の流体をチャンバに流動させるステップ1100を含む。ステップ1200において、洗浄剤を含む第1の流体を流動させることは、チャンバに流体結合されたフィルタの両側の圧力差を作り出す。ステップ1300において、圧力差が閾値(例えば、約20psi又は約30psi)に到達すると、チャンバへの洗浄剤の送達が停止される。次いで、ステップ1400において、第1の流体と同じであり得る第2の流体が、チャンバを通って流動して、物品の管腔を通って洗浄剤を搬送し、それによって、物品の管腔を洗浄する。任意選択的に、方法/プロセスは、繰り返されて、物品の管腔のより良い洗浄を達成することができる。上記で説明されたように、想定される物品には、医療デバイス(例えば、内視鏡)及び様々な台所機器(例えば、製氷機、コーヒー/エスプレッソメーカー、ソーダマシンなど)が含まれる。
【0049】
図1Bは、本明細書に記載の1つ以上の態様による、医療デバイスの管腔を洗浄する方法の1つの実施形態のフロー図100を示す。特に、方法100は、洗浄剤110、例えば、重炭酸ナトリウム粉末の目標用量をエダクタに送達することを含む。送達110は、本発明の実施形態による様々な方法のいずれかで達成することができる。例えば、多くの実施形態では、重炭酸ナトリウム粉末は、エダクタに(例えば、空気圧で)搬送される。以下で更に詳細に説明されるように、フィルタを使用して、洗浄剤の目標用量を達成することができる。本発明の実施形態による様々な好適な洗浄剤のいずれかを使用することができることに留意されたい。重炭酸ナトリウムに加えて、好適な洗浄剤は、約1~約5、又は約2~約3のモース硬度を有する水溶性の生体適合性粉末を含むことができる。いくつかの実施形態では、生体適合性塩は、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、グリシン、エリスリトール、及びそれらの混合物を含むことができる。投薬フィルタ孔径及び医療デバイス管腔の直径に応じて、任意の好適な洗浄剤粒子サイズ(例えば、D10(22μm)、D50(77μm)、D90(150μm))を用いてもよい。腐食のリスクを低減するために、塩溶液のpHは、約5~約9の範囲とすることができる。
【0050】
好適な洗浄剤濃度は、約0.5%~約5%、又は約1%~約3%(w/w)の範囲であり得る。洗浄剤がその飽和点(例えば、≧約10%)を超える混合物の使用も考えられる。洗浄剤(又は標的用量)の第1の部分、例えば、重炭酸ナトリウムは、約1g~約10g、又は約4g~約6gを含み得る。水の第1の部分は、約50g~約500g、又は約100g~約400gである。一実施形態では、空気は、洗浄剤を貯蔵ユニットから混合チャンバに流動させるために使用される。
【0051】
任意選択的なステップ120は、界面活性剤、例えば、アルコールエトキシレート、アルコールアルコキシレート、アルキルポリグルコシド、及びそれらの混合物をエダクタに送達することを含む。想定される界面活性剤には、室温で低粘度の液体で、水溶性であり得、かつ/又は冷水及び温水(16~40℃)で良好な洗浄力を有することができる低発泡、非イオン性の界面活性剤が含まれる。
【0052】
ステップ130は、液体をエダクタに送達して、液体、洗浄剤、及び任意選択的に、界面活性剤の混合物を作り出すことを含む。例えば、多くの実施形態では、水は、混合物/合わせたもの/集合体を作り出すために使用される。理解され得るように、ステップ110、120、及び130は、任意の順序で実行されて、前述の混合物/合わせたもの/集合体を作り出すことができる。
【0053】
方法100は、洗浄される標的管腔に混合物を送達すること140を更に含む。多くの実施形態では、空気が、キャリア流体として使用される。しかし、本発明の実施形態によって、任意の好適なキャリア流体を使用することができる。想定される圧力及び流体速度の下で、混合物の一部の流体は、乱流し得る。図示されるように、方法100は、所定の数のサイクル、例えば、20サイクルにわたって、又は医療デバイスの管腔が清潔になるまで繰り返され得る。界面活性剤は、サイクルにわたって断続的に含まれ得る。
【0054】
例示され、説明される方法は、本発明の実施形態による様々な方法のうちのいずれかで実装され得ることを理解されたい。例えば、2つ以上のエンジンは、1つのエンジンが「投与ステップ」(例えば、混合のための構成成分の送達)を実行する一方で、他方のエンジンが混合物/合わせたもの/集合体を管腔(洗浄段階)を通して推進するように、連続した交互のサイクルで方法ステップを実行することができ、次いで、2つのエンジンは、役割を切り替えることができ、それによって、投与ステップが遅くなる可能性があるため、投与及び洗浄段階を直列に実行することと比較して、洗浄システム及び方法の効率を増加させる。
【0055】
更に、上記の説明及び図示された方法は、様々なシステム構成のいずれかを使用して実装することができる。したがって、例えば、図2は、消耗品容器モジュール210、取入口マニホールドモジュール220、洗浄エンジン230、制御モジュール240、結合アセンブリ250、及びアダプタアセンブリ260を含む統合された流体ベースの粉末搬送サブシステム200を備えた洗浄システムの一実施形態のブロック図を示す。消耗品容器モジュール210は、標的管腔の洗浄に使用するための洗浄剤を受け入れるように構成され得る。いくつかの実施形態では、容器モジュール210は、界面活性剤を受け入れるように更に構成され、これは、前述されたように、標的管腔の洗浄を強化することができる。取入口マニホールドモジュール220は、空気/水を供給して混合物を作り出すことができ、かつ/又はキャリア流体として機能することができる。もちろん、任意の好適な流体が、本発明の実施形態に従って実装されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、ガス状の窒素を使用して、洗浄混合物を、管腔を通して推進することができる。洗浄エンジン230は、エダクタを含み得、その中で洗浄混合物が作り出され、標的管腔に搬送される。制御モジュール240は、システム200の動作を制御するために使用され得る。結合アセンブリ250は、システムの医療デバイスへの結合を容易にするために使用され得、アダプタアセンブリ260は、医療デバイスの特定のブランド/モデルへの結合を容易にするために使用され得る。
【0056】
一実施形態では、エンジン230は、消耗品容器モジュール210から、洗浄剤の第1の部分、例えば、重炭酸ナトリウムを受け取り、かつ取入口マニホールドモジュール220から、水の第1の部分を受け取り、そこから混合物/合わせたもの/集合体が形成され得る。
【0057】
一実施形態では、投与フィルタ(図示せず)は、水の第1の部分に対する洗浄剤、例えば、重炭酸ナトリウムの第1の部分の割合を、約0.5%~約5%、又は約1%~約3%w/wであるように制御する。洗浄剤の第1の部分(又は目標用量)、例えば、重炭酸ナトリウムは、約1g~約10g、又は約4g~約6gを含み得る。水の第1の部分は、約50g~約500g、又は約100g~約400gである。一実施形態では、空気は、洗浄剤、例えば、重炭酸ナトリウムを貯蔵ユニットから混合チャンバに流動させるために使用される。洗浄剤、例えば、重炭酸ナトリウムの用量は、そのような空気流を使用して制御することができることを理解されたい。
【0058】
いくつかの実施形態では、混合物中の水の第1の部分に対する洗浄剤の第1の部分、例えば、重炭酸ナトリウムは、水中の洗浄剤の飽和点を上回る。
【0059】
一実施形態では、取入口マニホールドモジュール220は、混合ステップの前に、水を約40℃まで加熱する。好適な水温には、周囲温度、例えば、約15℃~約25℃が含まれる。
【0060】
一実施形態では、エンジン230はまた、消耗品容器モジュール210から界面活性剤を受け取り、界面活性剤の第1の部分と、洗浄剤の第1の部分、例えば、重炭酸ナトリウム、及び水の第1の部分とを混合して、混合物を形成する。界面活性剤の第1の部分は、約0.1g~約3g、又は約0.5g~約1.5gであり得る。好適な界面活性剤は、アルコールエトキシレート、アルコールアルコキシレート、及び/又はアルキルポリグルコシドを含むが、これらに限定されない。
【0061】
当業者は、空気圧及び水圧を選択して、混合物若しくはその一部、及び、混合物の一部の乱流をもたらす速度での空気量を推進することができることを理解するであろう。想定される管腔の内径は、約0.9mm~約6.0mmの範囲である。
【0062】
1つの構成が例示されたが、管腔を有する医療デバイスを洗浄するためのシステムは、本発明の実施形態による様々な構成のうちのいずれかを使用して実装され得ることは明らかであるはずである。
【0063】
図3Aは、洗浄剤、例えば、重炭酸ナトリウム、投与、及び洗浄のステップの間を交互に行うことによって、複数の管腔、例えば、内視鏡の複数のチャネル、及び/又は複数の内視鏡の複数の管腔を洗浄するために4つのエンジンを使用する、統合された流体ベースの粉末搬送サブシステム300aを備えた洗浄システムの一実施形態を示すブロック図である。例えば、方法のステップは、繰り返されて、その方法が投与ステップと洗浄ステップとの間で交互になって、洗浄のシステム及び方法の効率を高めることができる。一実施形態では、ウォームアップステップ310aの後に、エンジン1及び3は、リーク試験320a(例えば、1回又は2回のリーク試験)を実行するように構成される。リーク試験は、空気又は水を医療デバイスに流動させ、かつ水圧及び/又は流量を測定することによって実行され得る。リークは、低圧及び/又は高流量によって検出され得る。いくつかの実施形態では、リークが検出されると、エラーメッセージがユーザに伝達され得、かつ/又は試験流体の流動が自動的に停止され得る。エラーメッセージは、各医療デバイスポートと、統合された流体ベースの粉末搬送サブシステムチャネルを備えた洗浄システムとの間の接続が正しいか(例えば、図4Aに示されるように)、若しくはリークしているか、又は医療デバイスが閉塞、破損、又は他の障害を有するかどうかをユーザに通知することができる。エラー/故障が検出されない場合、エンジン1及び3は、事前押し流し330a(例えば、水で1、2、又は3回の事前押し流し)を実行するように更に構成される。次いで、エンジン2及び4は、用量ステップ340aを実行し、ステップ350aを洗浄するように構成される(例えば、1、2、又は3つの洗浄ステップ)。用量ステップは、洗浄剤の一部(又は目標用量)をエダクタに投与/送達することを含む。洗浄アルゴリズムに従って、界面活性剤はまた、エダクタに投与されることもできる。発明者らは、界面活性剤が全ての洗浄サイクルに含まれた場合よりも、界面活性剤が他の洗浄サイクル毎に含まれた場合の方が、洗浄が改善されることを観察した。界面活性剤は、2サイクル、3サイクル、4サイクル、又は5サイクル毎の洗浄サイクルのうちの1つ、又はそれらの組み合わせに含めることができる。これらのステップは、例えば、約10、約15、約20、約25、約30、約35、又は約40サイクルにわたって繰り返されてもよい。エンジン2及び4はまた、事後押し流しステップ360a(例えば、水を用いた1、2、又は3回の事後押し流し)、パージステップ370a(例えば、空気を用いた1、2、又は3回のパージ)、及び端部380aを実行するようにも構成される。
【0064】
図3Bは、洗浄剤、例えば、重炭酸ナトリウム、投与、及び洗浄のステップの間を交互に行うことによって、複数の管腔、例えば、内視鏡の複数のチャネル及び/又は複数の内視鏡の複数の管腔を洗浄するために2つのエンジンを使用する、統合された流体ベースの粉末搬送サブシステム300bを備えた洗浄システムの別の実施形態を示すブロック図を示す。例えば、方法のステップは、その方法が、図3Aに関して上記に記載されたように、洗浄システム及び方法の効率を高めるために、洗浄剤、水、及び任意選択的な界面活性剤の投与ステップと、洗浄ステップとの間で交互に行われるように繰り返され得る。一実施形態では、入力点検310bが、統合された流体ベースの粉末搬送サブシステム300bを備えた洗浄システムの各チャネルが予想される医療デバイスポートに取り付けられているかどうかを検証した後に(例えば、図4Bに示すように)、リーク試験320bが実行されて、統合された流体ベースの粉末搬送サブシステムチャネルを備えた洗浄システムと、医療デバイスポートとの間の接続にリークがあるかどうかを判定する。リーク試験320bはまた、医療デバイスが、リークを引き起こすであろう穴/破れなどの欠陥を有するかどうかを検出することもできる。閉塞検出試験325bは、医療デバイスの管腔/通路に任意の障害物があるかどうかを判定する。入力点検310b、リーク試験320b、及び閉塞検出試験325bは、医療デバイスに接続された統合された流体ベースの粉末搬送サブシステム300bを備えた洗浄システムを通して空気、水、又は別の流体を流動させ、圧力及び/又は流量を測定し、それらの値を特定の医療デバイスの期待値と比較することによって実行することができる。そのような予想される試験値は、例えば、限定されないが、医療デバイスの各タイプ、モデル番号、それぞれのチャネル/管腔ごとにデータベースに格納することができる。全ての予備試験がクリアし、洗浄サイクルが開始される場合、エンジン2は、押し流し330bを実行する。次いで、エンジン1は、用量ステップ340bを実行し、ステップ350bを洗浄するように構成される。エンジン1が洗浄ステップ350bを実行する間、エンジン2は、用量ステップ340bを実行するように構成される。エンジン2が洗浄ステップ350bを実行する間、エンジン1は、用量ステップ340bなどを実行する。用量ステップは、洗浄剤の一部(又は目標用量)をエダクタに投与/送達することを含む。洗浄アルゴリズムに従って、界面活性剤はまた、エダクタに投与されることもできる。発明者らは、界面活性剤が全ての洗浄サイクルに含まれた場合よりも、界面活性剤が他の洗浄サイクル毎に含まれた場合の方が、洗浄が改善さることを観察した。界面活性剤は、2サイクル、3サイクル、4サイクル、又は5サイクル毎の洗浄サイクルのうちの1つ、又はそれらの組み合わせに含めることができる。これらのステップは、例えば、約10、約15、約20、約25、約30、約35、又は約40サイクルにわたって繰り返されてもよい。エンジン2はまた、事後押し流しステップ360b(例えば、水で)及びパージステップ370b(例えば、空気で)を実行するようにも構成されている。終了380bの後に、メンテナンスステップ390bが行われ得る。
【0065】
図3Cは、本発明の実施形態によって実装され得る2つのエンジン洗浄システムの別の代表例を示す。特に、図3Cは、洗浄プロセスが入力点検から開始し得ることを示す。入力点検は、液体/キャリア流体の供給圧力が仕様内にあることを検証すること、利用されるバルブが所望の量に圧力を制御するように適切に構成されていることを検証することなどのプロセスを含み得る。第1のエンジンが「投与」している間、-例えば、第1のエンジンが洗浄に使用される正確な量の重炭酸ナトリウムを取得している間-、第2のエンジンが押し流している、すなわち、第2のエンジンが流体(例えば、水及び/又は空気)で洗浄される標的管腔を押し流していることが示されている。次に、第1のエンジンは、(例えば、上記のように)標的管腔を洗浄することができ、一方、第2のエンジンは、投与プロセスを開始することができることが示されている。特に、洗浄サイクルのこの部分は、界面活性剤を実装することができることが示されている。この期間に続いて、第1のエンジン及び第2のエンジンは、例えば、第2のエンジンが現在管腔を洗浄し、かつ第1のエンジンが投与しているように、それらの機能を反転させることが示されている。このパターンは、標的管腔を洗浄するために、何度も繰り返すことができる。これらのサイクルに続いて、管腔は、図示されるように、(例えば、空気及び/又は水で)押し流され得る。そして、この押し流しに続いて、例えば、30psiの空気を使用して、管腔をパージすることができる。パージは、残留粗水を除去する効果を有することができる。
【0066】
いくつかの例が例示され、複数の洗浄エンジンが、標的管腔を効率的に洗浄するために、どのように実装することができるかについて説明されてきた。複数の洗浄エンジンが、標的管腔を相乗的に効率的に洗浄するための様々な方法のうちのいずれかで実装することができることを理解されたい。
【0067】
図4Aは、統合された流体ベースの粉末搬送サブシステム400aを備えた洗浄システムの例示的な実施形態のブロック図を示し、エンジン1及び2は、内視鏡ポート、例えば、内視鏡空気/水ポートと接続するように構成され、エンジン3及び4は、他の内視鏡ポート、例えば、吸引、生検及び/又は補助内視鏡ポートと接続するように構成される。チャネル411a及び421aは、組み合わされ、ポート1 410aに接続する。チャネル412a及び422aは、組み合わされ、ポート2 420aに接続する。チャネル413a及び423aは、組み合わされ、ポート3 430aに接続する。チャネル414a及び424aは、組み合わされ、ポート4 440aに接続する。図示の実施形態では、ポート1、3、及び4は、低インピーダンス(例えば、w/比較的大きな直径-例えば、内視鏡の吸引生検ポート)に接続され得、ポート2は、高インピーダンスライン(例えば、比較的小さい直径-例えば、内視鏡の補助ポート)に接続され得る。この構成の効果は、低インピーダンスラインと高インピーダンスラインの組み合わせをインテリジェントな方法で洗浄することができることである。この構成は、集合体がラインの容量と一致する比較的高い速度でラインを流動させることを可能にすることができる。したがって、例えば、ポート2は、過剰な洗浄集合体のための調整ラインとして機能し得る(同時に、洗浄集合体は、ポート2を洗浄するように動作し得る)。理解され得るように、1つのチャネルが調整ラインとして機能することを可能にするための1つの構成が示されているが、この概念は、本発明の実施形態に従って、様々な方法のいずれかで実装され得る。
【0068】
図4Bは、統合された流体ベースの粉末搬送サブシステム400bを備えた洗浄システムの別の実施形態のブロック図を示し、そこでは、エンジン1及び2は、内視鏡ポート、例えば、内視鏡空気/水、吸引、生検、及び補助内視鏡ポートと接続するように構成されている。チャネル411b及び421bは、組み合わされ、ポート1 410b及びポート2 420bに接続する。チャネル412b及び422bは、組み合わされ、ポート3 430b及びポート4 440bに接続する。チャネル413b及び423bは、組み合わされ、ポート5 450b及びポート6 460bに接続する。チャネル414b及び424bは、組み合わされ、ポート7 470b及びポート8 480bに接続する。一実施形態では、ポート1 410bは、吸引生検ポートのために指定され、ポート2 420bは、水ポートのために指定され、ポート3 430bは、空気ポートのために指定され、ポート4 440bは、補助ポートのために指定され、ポート5 450bは、吸引シリンダのために指定され、ポート6 460bは、空気パイプのために指定され、ポート7 470bは、生検ポートのために指定され、ポート8 480bは、空気シリンダのために指定される。したがって、例えば、ポート5及び6(吸引/生検ライン及び空気-水ラインに対応する)を同時に洗浄することができる。ここで、吸引生検ライン(低インピーダンス)は、空気-水ライン(高インピーダンス)の洗浄のための調整ラインとして機能することができる。以前と同様に、「調整ライン」は、同時に洗浄することができる。このようにして、調整ラインは、効率的な方法で実装することができる。
【0069】
図5Aに示されるように、消耗品インターフェースモジュール500の一実施形態は、洗浄剤/粉末容器510(例えば、重炭酸ナトリウムなどの洗浄剤用)、界面活性剤容器515、圧力センサ520、界面活性剤低レベルセンサ525、容器インターフェース530、1×4Y型コネクタ540、ピンチバルブ550、及びI/Oインターフェース560を含む。典型的な消耗品インターフェースモジュール500はまた、3/2分岐ソレノイド制御バルブ555、2×4マニホールド570、及びエアフィルタ580(図5B)も備える。圧力センサ520は、重炭酸塩容器が設定されている圧力に関するフィードバックを提供することができる。その圧力センサは、容器が適切に加圧されているかどうかを判定するために使用され得る。低レベルセンサ525を使用して、洗浄剤/粉末及び界面活性剤のレベルをそれぞれ制御モジュールに伝達することができ、その制御モジュールは、消耗品レベルをユーザに通知するメッセージ、並びに/又はユーザに洗浄剤/粉末容器510及び/若しくは界面活性剤容器515を再充填するように指示するメッセージをユーザに提示することができる。
【0070】
図6A及び図6Bは、取入口マニホールドモジュール600の一実施形態を例示する。取入口マニホールドモジュール600は、N/C-N/Oエアブロック610、水熱電対620、水圧レギュレータ630、取入口マニホールド640、空気圧レギュレータ650、空気圧センサ660、水圧センサ670、2分岐バルブ680、及び3/2分岐バルブ690を備える。取入口マニホールドモジュール600は、圧縮空気を受け入れ、消耗品インターフェースモジュール500及びSCSエンジンの洗浄剤/粉末容器510への空気の流動及び圧力を制御するように構成される。取入口マニホールド600はまた、水を受け取り、SCSエンジンへの水の流動及び圧力を制御するようにも構成される。
【0071】
図7A図7Cは、エンジンアセンブリ700の一実施形態を示す。エンジンアセンブリ700は、界面活性剤ポンプ710、流体検出センサ720(例えば、光学式)、遮光板通気孔アセンブリ730、ソレノイド制御バルブアレイ740、及びピンチバルブ750(図7A)を備える。エンジンアセンブリ700は、空気/水ソレノイドバルブアレイ760、エダクタアセンブリ770、電子式空気圧レギュレータ780、及び水流制御バルブ790(図7B)を更に備える。図7Cは、エンジンアセンブリ700の側面図を提供する。
【0072】
有利なことに、エダクタアセンブリ800は、高い的確さ及び正確さでオンデマンドの洗浄剤投与を達成することができる。図8A及び図8Bは、エダクタアセンブリ800の一実施形態を示し、それは、フィーダマニホールド810、通気孔容器/遮光板820、エダクタ挿入物830、真空発生器840、エダクタ本体850、過圧調整バルブ860、圧力センサ870、低zオリフィス880、高zオリフィス885、及び出口マニホールド890を含む。
【0073】
例示された実施形態では、圧力を使用して、洗浄剤を容器510からフィーダマニホールド810を介して通気孔容器/遮光板820内にある投与フィルタに送達することができる。投与フィルタの入口と出口との間の圧力差が、投入フィルタへの洗浄剤の送達を駆動するものである。投与フィルタが洗浄剤でますます閉塞されるにつれて、圧力差が増大する。圧力差が既知の目標、例えば、約20psi又は約30psiまで増加すると、エンジンへの洗浄剤の送達は、停止される。真空発生器840は、エダクタ本体850内にその後仕組まれる洗浄剤の経路を洗浄するための真空を生成することができ、空気/水ソレノイドバルブアレイ760は、水が洗浄剤とともにエダクタ本体850内に流入することを可能にするように開放することができ、それによって、洗浄混合物を作り出すことができる。同時に、内視鏡管腔へのゲート(例えば、ピンチバルブ750)を開くことができ、洗浄剤、水、空気、及び任意選択的な界面活性剤は、エダクタ内で動的に混合され/合わせられ/集められて、内視鏡に送達される。空気をキャリア流体として使用して、洗浄混合物を、管腔を介して搬送することができる。流体の動的パラメータに応じて、流体の流動は、乱流であっても乱流でなくてもよい。
【0074】
したがって、圧力及び流量を単純に調節することによって、洗浄システムは、オンデマンドで洗浄混合物を調製し、投与サイクルと洗浄サイクルとの間を交互に行って、医療デバイスの管腔を迅速かつ効果的に洗浄する。界面活性剤は、定期的に、例えば、他の洗浄サイクル毎に、2回の洗浄サイクル毎に、又は3回の洗浄サイクル毎に、洗浄混合物に導入することができる。驚くべきことに、界面活性剤を含む混合物を、界面活性剤を含まない混合物と交互にする場合、界面活性剤が全ての洗浄混合物に含まれる場合よりも、より良い洗浄が達成される。ただし、全ての混合物に界面活性剤を含むことは、排除されない。開示されたシステムの更なる利点は、正の空気圧を維持することによって、水が消耗品インターフェースに流動し戻るのを防ぐことである。
【0075】
投与フィルタの使用は、的確かつ正確な量の洗浄剤をエンジンに送達することを可能にする。本明細書で開示される圧力差ベースのシステム及び方法は、非常に的確で正確な量の洗浄剤をもたらすが、時間ベースのシステム及び方法も想定される。圧力差測定を使用して、フィルタの寿命を追跡することもできることを理解されたい。例えば、使用すると、フィルタは、フィルタを膨らませるか、又は劣化させ得、フィルタのそのような変化は、制御アルゴリズムを使用して監視及び/又は検出することができる。開示されたシステム及び方法の更なる利点は、高い空気圧が必要とされないことであり、そのため、システムは、高い空気圧が利用できない設定、例えば、台所用品及び医療デバイスで使用することができる。
【0076】
的確かつ正確な混合物をオンデマンドで調製する能力は、複雑な流路を有する内視鏡を洗浄するという課題に対処することを含む、多くの利点をもたらす。小さな管腔によってもたらされる課題は、流体の流動に対するそれらの高い抵抗であり、より小さな混合物部分を使用することにより、これらの部分は、そのような管腔でより高い速度及びより良い洗浄を達成することができる。更に、狭い通路及びノズルは、幅わずか0.3mmの直径を有し得、洗浄剤の量が制御されない場合、狭い通路及びノズルが詰まる可能性がある。複数サイクルにわたって少量の混合物を使用することで、ノズルの閉塞の問題を解決する。より小さなチャンバを使用すると、混合物を洗浄する際に含まれる洗浄剤の量を制御しやすくなり得る。更に、より小さなチャンバを使用すると、非常に細かい圧力制御を可能にし、改善された信頼性及び再現性をもたらすが、これに対して、より大きな容器では、圧力が蓄積され得、破裂を引き起こす可能性がある。
【0077】
流体ベースの粉末洗浄剤輸送の更なる利点は、消耗品貯蔵器がエンジン自体の近位にある必要がなく、一連の位置に配置することができ、このことが、エンドユーザがアクセスしやすい位置に配置する能力を提供することである。
【0078】
図9A及び図9Bは、消耗品インターフェースモジュール910、2×2エンジンアセンブリ920、及び取入口マニホールドモジュール930を含む、医療デバイスの管腔を洗浄するためのシステム900の一実施形態を示す。
【0079】
本開示は、医療デバイスの管腔を洗浄する方法を更に提供し、この方法は、洗浄剤の第1の部分、例えば、重炭酸ナトリウム、及び水の第1の部分を混合して混合物/合わせたもの/集合体を形成することと、混合物の一部分を医療デバイスの管腔に注入することと、一定量の空気を医療デバイスの管腔に混合物の一部とともに注入することと、を行うように構成された、内視鏡を洗浄するためのデバイスを提供することを含む。
【0080】
したがって、管腔を有する医療デバイスを洗浄するためのシステムの一実施形態は、フィルタを含むエダクタと、エダクタに洗浄剤を送達するように構成され、かつ圧力差機構を含む流体ベースの粉末送達サブシステムであって、その圧力差機構は、圧力差が閾値より小さいときに流体ベースの粉末洗浄剤をエダクタに(例えば、空気圧で)送達するように構成されている、流体ベースの粉末送達サブシステムと、液体をエダクタに送達するように構成された液体送達サブシステムと、洗浄剤及び液体を動的に混合し/合わせ/集めて、得られた混合物を、医療デバイスの管腔を通して推進するように構成されるエンジンと、を備える。
【0081】
機能は、本明細書に開示される1つ以上の部品/モジュールを含む任意の好適なコンポーネントによって実行することができることを理解されたい。表1は、典型的な内視鏡洗浄システムのモジュール及びアセンブリ、並びにそれらの対応する機能を提供する。
【表1】

【0082】
洗浄効率は、洗浄混合物のショット数、界面活性剤ポンプの送り速度、水温、水圧、及び空気圧を含む、これらに限定されない複数のパラメータを使用して調整することができることも理解されたい。
【0083】
消耗品インターフェースモジュール
本発明の特定の実施形態は、上記のシステム/方法論に関連して実装され得る消耗品インターフェースモジュールに関する。図10は、本発明の実施形態によって実装され得る消耗品インターフェースモジュールを示す。この文脈では、「消耗品」は、洗浄システムによって利用され得る洗浄剤(例えば、重炭酸ナトリウム)及び/又は界面活性剤を特徴付ける。例示された実施形態では、正の搬送システムは、洗浄剤を洗浄エンジンに送達することができる。いくつかの実施形態では、交互パルス供給方法が実装され得る。例えば、交互パルス供給方法は、2つのバルブ(例えば、SCV1及びSCV2)を使用して、空気供給を容器に交互にパルス化することができる。パルス化は、例えば、4Hzで生じさせることができる。これにより、洗浄剤を迅速に送達するのに役立つ(特に低レベルの場合)。例示された実施形態では、(例えば、空気圧バイブレータを使用する)振動攪拌を使用して、粉末ブリッジングを管理することができることが示されている。攪拌を実装する他の機構も同様に使用され得ることが理解され得る。いくつかの実施形態では、攪拌機構は存在しない。例示された実施形態では、粉末/重炭酸塩消耗品ボトルは、容器に装填され、次いで、30psiに加圧され、目標パルス周波数のために振動され、差圧が目標差圧値に到達するまで、代替のパルス供給方法が実装され得る。もちろん、消耗品インターフェースモジュールは、本発明の実施形態に従って、様々な技術及びアーキテクチャを使用して実装され得る。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
【国際調査報告】