(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】質量分析法を使用してラジカルを検出する方法
(51)【国際特許分類】
G01N 27/62 20210101AFI20240621BHJP
H01J 49/14 20060101ALI20240621BHJP
H01J 49/00 20060101ALI20240621BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
G01N27/62 G
H01J49/14 700
H01J49/00 310
H01J49/00 360
H01L21/302 103
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574183
(86)(22)【出願日】2022-05-31
(85)【翻訳文提出日】2024-01-19
(86)【国際出願番号】 US2022031543
(87)【国際公開番号】W WO2022256295
(87)【国際公開日】2022-12-08
(32)【優先日】2021-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520435429
【氏名又は名称】インフィコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー ノルベルト
【テーマコード(参考)】
2G041
5F004
【Fターム(参考)】
2G041CA01
5F004AA16
5F004CA02
5F004CB04
(57)【要約】
半導体製造が、プラズマ源と、イオン源を備えた質量分析計とを含む場合に、半導体製造アセンブリにおけるプロセスガス中のラジカルを検出するための方法が提供される。この方法は、プロセスガスからイオンを分離するステップと、プロセスガスを測定するための固定電子エネルギーを決定するステップとを含む。半導体製造アセンブリにおけるプロセスガスは連続的にサンプリングされる。第一の測定は、質量分析計を使用して電子エネルギーでサンプリングされたプロセスガスに対して実行され、第一の測定は、プラズマ源をオフにして実行される。サンプリングされたプロセスガスの第二の測定は、質量分析計を使用して固定電子エネルギーで実行され、第二の測定は、プラズマ源をオンにして実行される。サンプリングされたプロセスガス中に存在するラジカルの量は、第二の測定値と第一の測定値との差として決定される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ源と、イオン源を備えた質量分析計とを有する半導体製造の間にプロセスガス中のラジカルを検出するための方法であって、
前記プロセスガスからイオンを分離するステップと、
前記プロセスガスを測定するための固定電子エネルギーを決定するステップと、
半導体製造アセンブリにおいてプロセスガスを連続的にサンプリングするステップと、
前記質量分析計を使用して前記固定電子エネルギーで前記半導体製造アセンブリにおいて前記サンプリングされたプロセスガスの第一の測定を実行するステップであって、前記第一の測定が、前記プラズマ源をオフにして実行される、ステップと、
前記質量分析計を使用して前記固定電子エネルギーで前記半導体製造アセンブリにおいて前記サンプリングされたプロセスガスの第二の測定を実行するステップであって、前記第二の測定が、前記プラズマ源をオンにして実行される、ステップと、
第二の測定値と第一の測定値との差として、前記サンプリングされたプロセスガス中に存在するラジカルの量を決定するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記固定電子エネルギーを決定するステップが、
前記プラズマ源をオフにして、ある範囲の電子エネルギーにわたって前記半導体製造アセンブリにおいて前記サンプリングされたプロセスガスの複数の測定を実行するステップと、
前記プラズマ源をオンにして、ある範囲の電子エネルギーにわたって前記半導体製造アセンブリにおいて前記サンプリングされたプロセスガスの複数の測定を実行するステップと、
前記プラズマ源をオンにしたときの測定値と前記プラズマ源をオフにしたときの測定値との差が最大である場合の前記ラジカルの電子エネルギーを決定するステップと、
決定された前記電子エネルギーを前記固定電子エネルギーとして設定するステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
気密接続を介して前記半導体製造アセンブリに接続するように前記イオン源を構成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記サンプリングされたプロセスガス中で検出された前記ラジカルの決定された量に応じて1つ以上の半導体製造プロセス変数を調整するステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
第一及び第二の測定データがコントローラに出力され、グラフィカルユーザインターフェース上に表示される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記イオン源が電子衝撃イオン源である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
プラズマ源を有する半導体製造アセンブリのプロセスガス中のラジカルを検出するための方法であって、
気密接続を介して前記半導体製造アセンブリに接続するようにイオン源を備えた質量分析計を構成するステップと、
前記プロセスガスからイオンを除去するステップと、
前記プロセスガスを測定するための設定電子エネルギーを決定するステップと、
前記半導体製造アセンブリにおいてプロセスガスを連続的にサンプリングするステップと、
前記質量分析計を使用して前記設定電子エネルギーで前記半導体製造アセンブリにおいて前記サンプリングされたプロセスガスの第一の測定を実行するステップであって、前記第一の測定が、前記プラズマ源をオフにして実行される、ステップと、
前記質量分析計を使用して前記設定電子エネルギーで前記半導体製造アセンブリにおいて前記サンプリングされたプロセスガスの第二の測定を実行するステップであって、前記第二の測定が、前記プラズマ源をオンにして実行される、ステップと、
第二の測定値と第一の測定値との差として、前記サンプリングされたプロセスガス中に存在するラジカルの量を決定するステップと
を含む、方法。
【請求項8】
前記設定電子エネルギーを決定するステップが、
前記プラズマ源をオフにして、ある範囲の電子エネルギーにわたって前記半導体製造アセンブリにおいて前記サンプリングされたプロセスガスの複数の測定を実行するステップと、
前記プラズマ源をオンにして、ある範囲の電子エネルギーにわたって前記半導体製造アセンブリにおいて前記サンプリングされたプロセスガスの複数の測定を実行するステップと、
前記プラズマ源をオンにしたときの測定値と前記プラズマ源をオフにしたときの測定値との差が最大である場合のラジカルの電子エネルギーを決定するステップと、
決定された電子エネルギーを前記設定電子エネルギーとして設定するステップと
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記サンプリングされたプロセスガス中で検出された前記ラジカルの量に応じて1つ以上の半導体製造プロセス変数を調整するステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
第一及び第二の測定データがコントローラに出力され、グラフィカルユーザインターフェース上に表示される、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記イオン源が電子衝撃イオン源である、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年6月1日に出願された米国仮特許出願第63/195,277号の出願日及び優先権の利益を主張する。本出願の明細書全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、半導体/マイクロエレクトロニクス製造の分野に関し、より具体的には、質量分析法を使用して半導体/マイクロエレクトロニクス製造プロセスの間にラジカルを検出する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体は、多くの異なる種類の消費者製品及び工業製品の製造に使用される重要なコンポーネントである。半導体製造プロセスの重要な部分は、半導体ウェーハのエッチングプロセスであり、これは、典型的には、プラズマ処理を使用して(すなわち、プラズマを使用して)行われる。エッチング、特に半導体材料の極めて薄い層(例えば、サイズが5nm以下の構造を有する半導体)のエッチングは、ラジカルを使用して効率的に実行される。ラジカルは、不対価電子を有する非荷電分子であるため、反応性が高く、寿命が短い。ウェーハの表面とのそれらの高い化学反応性により、ウェーハから原子が除去され、ウェーハがエッチングされる。これらのラジカルは、プラス及びマイナスのイオンとともにプラズマ内で生成される。マイナスイオンはエッチングプロセスに悪影響を与えるため、それらは電界を使用して分離され、したがってそれらが半導体ウェーハに到達しないようにする。半導体製造アセンブリ/システム内に存在するラジカルの量又は数を決定することは困難である。しかしながら、アセンブリ/システム内のラジカルの量を知ることは、ウェーハ上のエッチング速度をより適切に計算/予測することができるため有益である。換言すれば、ラジカルの量が多いほど、ウェーハのエッチング速度が速くなる。逆に、ラジカルの量が少ないほど、ウェーハのエッチング速度は遅くなる。
【0004】
プラズマ内のラジカルの生成及びウェーハ上のエッチング速度は比較的安定していると想定されるが、プラズマ源に電力ドリフトが存在する場合、ラジカル密度は変化する場合がある。さらに、グリッドに印加される電位によって生成される電界は、中性粒子及びラジカルを通過させながらイオンを阻止するために、半導体製造アセンブリ/システムで使用される。これらはフィルタと呼ばれることもある。イオン及びラジカルがグリッドを攻撃すると、グリッドは摩耗し、非導電性になり、又はさらにそれらの電気的特性が変化する場合もある。これらの全てにより、プラス及び/又はマイナスイオンのフィルタ効率が失われる可能性があり、その結果、ウェーハ上のイオン、中性粒子、及びラジカルの密度が変化する(すなわち、エッチング速度が変化する)。さらに、プロセスチャンバに供給されるプロセスガスの量の予想外の変化もエッチング速度に影響を与え、エッチングされたウェーハの信頼性を欠く結果をもたらす可能性がある。現在、テストウェーハ上のラジカルの反応をテストするために、テストウェーハが時々プロセスチャンバに挿入される。これにより、プロセス変数/パラメータを調整して、製品ウェーハ(非テストウェーハ)の最適な条件を達成することができる。例えば、プラズマを生成する電力の周波数、1つ以上のプロセスガスの圧力、又はプラズマチャンバ内のガスの組成を、システム内に存在するラジカルのレベルを考慮して変化させることができる。しかしながら、テストウェーハを使用しても、プラズマの状態及び存在するラジカルの数に関する連続的な情報は得られない。結果として、ウェーハ上のエッチング速度が変化し、ウェーハの再現性が低下し、及び/又はウェーハの品質が低下する。
【0005】
これらは、現在利用されている半導体/マイクロエレクトロニクスの製造の間にラジカルを検出する方法に関連する問題のほんの一部にすぎない。
【発明の概要】
【0006】
本発明の方法の一実施形態は、低い可変電子エネルギーでの動作を可能にする電子衝撃イオン源を備えた質量分析計を使用し、プロセスチャンバ内のプロセスガスに対して「出現電位(appearance potential)」測定を実行できるようにする。基底状態にあるプロセスチャンバ内のプロセスガスからのイオン化ラジカル及びイオンは、質量スペクトルの同一の質量数で検出される。しかしながら、プロセスガスが低い電子エネルギーで測定される場合、存在するラジカルは中性ガス成分よりもはるかに速い速度でイオン化される。特定のラジカルの数は、低電子エネルギー(例えば、40eV未満)での測定値と出現電位との差によって決定される。
【0007】
本発明の方法は、ファラデー検出器に着地するイオンによって生成される電流、又は代替として、イオンが着地する二次電子増倍管によって生成される電流を測定し、これはしばしば強度と呼ばれる。したがって、本発明の方法は、プラズマオフ条件下での固定電子エネルギーにおいて所望のラジカルの質量数に対して質量で強度を測定し、次にプラズマオン条件下で測定する。これにより、プラズマオフ及びプラズマオンの条件下で選択された質量数の強度を測定しながら、質量分析計のイオン源において電子エネルギーを絶えず増加させて生成することから得られるデータセットよりも、オンラインでの評価が容易である小さなデータセットが得られる。したがって、小さなデータセットは、より優れたリアルタイム情報を提供できるため、製造プロセスの調整を実行でき、その結果、より良い完成品が得られる。
【0008】
一実施形態において、質量分析計を使用してラジカルを検出するための方法が提供される。この方法は、(1)プロセスガス中に存在する中性粒子及びラジカルからイオンを分離するステップと、(2)半導体製造アセンブリのプラズマ源がオフの間、質量分析計を使用してプロセスガスの第一の測定を実行するステップと、(3)半導体製造アセンブリのプラズマ源がオンの間、質量分析計を使用してプロセスガスの第二の測定を実行するステップと、(4)第二の測定値と第一の測定値との差を得ることによって特定の電子エネルギーで存在するラジカルの量を決定するステップとを含む。
【0009】
上記のステップは、半導体製造アセンブリの動作の間に連続的に実行することができる。一実施形態では、この方法は、中性粒子とラジカルとの間で大きな差を生じる最適な電子エネルギーを決定するために、ある範囲の電子エネルギーで最初に実行され得る。次いでこの電子エネルギーは、質量分析計を使用してプロセスガスの連続測定を実行するための固定電子エネルギーとして設定される。
【0010】
イオン源を備えた質量分析計を使用して半導体製造の間にプロセスガス中のラジカルを検出するための方法の別の実施形態は、プロセスガスからイオンを分離するステップと、プロセスガスを測定するための固定電子エネルギーを決定するステップとを含む。半導体製造アセンブリ内のプロセスガスは連続的にサンプリングされる。半導体製造アセンブリ内でサンプリングされたプロセスガスの第一の測定は、質量分析計を使用して固定電子エネルギーで実行され、この第一の測定はプラズマ源をオフにして実行される。半導体製造アセンブリ内のサンプリングされたプロセスガスの第二の測定は、質量分析計を使用して固定電子エネルギーで実行され、この第二の測定はプラズマ源をオンにして実行される。サンプリングされたプロセスガス中に存在するラジカルの量は、第二の測定値と第一の測定値との差として決定される。
【0011】
一実施形態では、固定電子エネルギーを決定することは、プラズマ源をオフにして、ある範囲の電子エネルギーにわたって半導体製造アセンブリ内のサンプリングされたプロセスガスの複数の測定を実行することを含む。半導体製造アセンブリ内のサンプリングされたプロセスガスの別の複数の測定は、プラズマ源をオンにして、ある範囲の電子エネルギーにわたって実行される。プラズマ源オンでの測定とプラズマ源オフでの測定との差が最大である場合のラジカルについての電子エネルギーが決定され、決定された電子エネルギーを固定電子エネルギーとして設定する。
【0012】
一実施形態では、質量分析計を使用してラジカルを検出する方法は、質量分析計を使用して第二の異なる固定電子エネルギーで半導体製造アセンブリ内のサンプリングされたプロセスガスの第三の測定を実行するステップをさらに含み、この第三の測定は、プラズマ源をオフにして実行される。半導体製造アセンブリ内のサンプリングされたプロセスガスの第四の測定は、質量分析計を使用して第二の電子エネルギーで実行され、第二の測定はプラズマ源をオンにして実行される。サンプリングされたプロセスガス中に存在する第二のラジカルの量は、第四の測定値と第三の測定値との差として決定され、第二の電子エネルギーは第一の電子エネルギーとは異なる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
上記で簡潔に要約した本発明のより具体的な説明は、その一部が添付の図面に示されている実施形態を参照することによって得ることができる。しかしながら、添付の図面は本発明の典型的な実施形態のみを示しており、したがって本発明は他の同様に効果的な実施形態を許容し得るため、その範囲を限定するものとみなされるべきではないことに留意されたい。したがって、本発明の性質及び目的をさらに理解するために、以下の詳細な説明を図面と併せて読むことにより参照することができる。
【0014】
【
図1】質量分析計を備えた半導体製造アセンブリのプロセスチャンバの一実施形態を概略的に示す。
【
図2】質量分析法を使用してラジカルを検出する実施形態を実装する場合に利用され得るステップの例を示す。
【
図3】低電子エネルギー、具体的には31eVで得られた測定の例に重ね合わせられた出現電位測定の例を示す。
【
図4】開示された方法を実行するために使用できるイオン源の例を示す。
【
図5】開示された方法を実行するために使用できるイオン源の別の実施形態を示す。
【
図6】質量分析計の質量範囲全体にわたって、空気中で、様々な電子エネルギーで開放型高感度(Open High-Sensitivity)(HS)質量分析計によって行われた測定を示す。
【0015】
これらの図面の目的は、質量分析法を使用してラジカルを検出する方法の顕著な特徴を示すことであり、特に縮尺通りに提供されているわけではない。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の説明は、質量分析法を使用してラジカルを検出する方法の様々な実施形態に関し、特に縮尺通りに提供されているわけではない。本明細書に記載されるバージョンは、本明細書に詳述される特定の発明概念を具現化する例であることが理解されるであろう。この目的のために、当業者には、他の変形及び修正が容易に明らかになるであろう。さらに、添付の図面に関して適切な参照フレームを提供するために、この説明全体を通じて特定の用語が使用される。「第一」、「第二」などの用語は、具体的に示されている場合を除き、これらの概念を限定することを意図したものではない。本明細書で使用され得る「約」又は「およそ」という用語は、特許請求又は開示された値の80%~125%の範囲を指すことがある。
【0017】
図1は、半導体ウェーハ50を受け入れるように構成されたプロセスチャンバ110と、プロセスガスをプロセスチャンバ110内に供給するプロセスガス排出口120とを備える、半導体製造アセンブリ100の一部の例を概略的に示す。プラズマ源は参照番号150で示されているが、他の実施形態では、プラズマ源150は、
図1に示されているものとは異なる位置に配置されてもよい。質量分析計200は、半導体製造アセンブリ100に接続される。示されるように、プロセスチャンバ110内のプロセスガスが質量分析計200のイオン源210に入ることができるように、質量分析計200は気密接続を介してプロセスチャンバ110に接続される。減圧ステージ220がさらに備えられ、これは、プラズマ110内の(高い)圧力から、イオン源210及び質量分析計200の(より低い)動作圧力まで減圧する少なくとも1つのバルブを備えることができる。プラズマ110内の圧力範囲は、5.0E-3mbarから数mbarまで変化し得る。イオン源210及び質量分析計200内の圧力は、1.0E6~1.0E-5mbarであり得る。
【0018】
図1に示されるように、質量分析計200は、質量分析計200の動作パラメータを制御し、当該パラメータの調整を可能にするとともに、質量分析計200から測定データを受信して表示するように構成され得るコントローラ300と通信する。別の実施形態では、コントローラ300は、半導体製造アセンブリ100と通信するようにさらに構成され得、半導体製造プロセスの動作パラメータを制御するとともに、当該動作パラメータの調整を可能にするように構成され得る。コントローラ300は、1つ以上のプロセッサ、メモリ、ユーザ入力インターフェース、及びグラフィカル出力インターフェース(GUI)を備えることができる。
【0019】
質量分析計のイオン源210は、一般に、任意の種類のイオン源であってもよい。
図2を参照すると、高性能分光計用の開放型クロスビーム(Open Cross Beam)イオン源410の例が示される。このイオン源410の利点は、プロセスガスがイオン源410内に容易に移動できる開放構成を有することである。
図3は、標準的な残留ガス分析器用の開放型高感度イオン源510の例を示す。このイオン源510は完全に開放した構成を有していないため、プロセスガスがイオン源510内に移動することはより困難である。両方のイオン源410、510の電子エネルギーは10eV~100eVまで調整可能である。これらのイオン源410、510の両方は、プロセスチャンバ110又は質量分析計200の他の部分に衝突することなく、プラズマによって生成される、測定されるラジカルがイオン源の感知領域に入るための直接経路を提供する。これは、ラジカルがプロセスチャンバ110又は質量分析計200内部の壁又は表面に衝突すると状態を変化させる可能性があるため、ラジカルのレベルを測定する場合に重要である。例えば、ラジカルはもはや励起状態にない可能性があり、したがってもはやラジカルではない可能性がある。
【0020】
ラジカルを検出する方法600は
図4を参照して説明していない。ステップ610では、電子衝撃イオン源を備えた質量分析計200(
図1)が半導体製造システム100(
図1)に接続される。質量分析計200(
図1)と半導体製造システム100(
図1)との間の接続は、半導体製造システム100(
図1)からのプロセスガスが質量分析計200(
図1)、特に質量分析計200(
図1)のイオン源210(
図1)に入ることができる気密接続である。ステップ615では、フィルタなどの1つ以上の電界を使用することによって、イオンが質量分析計200(
図1)に到達することが阻止される。前述したように、フィルタは、印加された電位を有する1つ以上のグリッドであってもよい。質量分析計200(
図1)は、半導体製造システム100(
図1)内のプロセスガスを連続的にサンプリングし、測定する。
図1に示される実施形態では、質量分析計200は、半導体製造システム100のプロセスチャンバ110からのプロセスガスを測定する。
【0021】
ステップ612の測定プロセスは、ステップ614及び616においてさらに詳述される。まずステップ614において、半導体製造アセンブリ100(
図1)内のガスの測定が、プラズマ源をオフにして、又はプラズマオフ状態にして実行される。基底状態にあるプロセスチャンバ内のプロセスガスからのイオン化ラジカル及び中性粒子は、質量スペクトルの同一の質量数で検出される。測定は固定電子エネルギーで行われ、検出される所望のラジカルに関連する所与の質量数でのピークの強度を測定する。次にステップ616では、プラズマ源をオンにして、又はプラズマオン状態にしてプロセスガスの別の測定を実行する。プラズマ源がオンの場合、プロセスガスは同じ固定又は設定された電子エネルギーで再度測定され、存在するラジカルは中性ガス成分よりもはるかに高い速度でイオン化される。ステップ618では、ステップ616及び614の測定値の差を決定することによって、固定電子エネルギーでラジカルの数/量を決定することができる。
【0022】
質量分析計200(
図1)によって生成され、コントローラ300(
図1)によって表示される測定データの例が
図5に示される。この例では、使用したプラズマ源150(
図1)は、プラズマチャンバに導入された四フッ化炭素(CF
4)ガスを有した。しかしながら、他の実施形態は水素又はNF
3などの他のガスを使用してもよく、その場合、プラズマ源から放出された異なるラジカルが存在する。したがって、測定は、プラズマオンとプラズマオフの測定値の差がCF
+ラジカルで最も大きくなる場合の電子エネルギー(31eV)に対応する、30eVで行われる。示されるように、CF
4の3つの異なるラジカル(CF
+、CF
2
+、CF
3
+)が存在する。
図5に見ることができるように、各ラジカルは異なる値を生じる。最初の測定は、白抜きの記号を有する値によって示されるように、プラズマオフ状態で行われる。次に、塗りつぶしの記号を有する値によって示されるように、プラズマオン状態で測定が行われる。見ることができるように、他のラジカル(CF
2
+、CF
3
+)と比較して、CF
+についてプラズマオフとプラズマオンの測定値の間に大きな差がある。次いで、その後の測定は、より低い電子エネルギー(eV)で行うことができ、プラズマオンとプラズマオフの値の差として試料中の各ラジカルの量をより容易に決定するために他のラジカルのプラズマオフとプラズマオンの測定をより適切に分離する。次いで、所定のラジカルについてプラズマオン測定とプラズマオフ測定との間で最大の差が生じるように決定された電子エネルギーで、プラズマオフ及びプラズマオンの状態で連続測定を行うことができる。例えば、CF
+についての連続測定は31eVで行われる。
【0023】
図6を参照すると、開放型高感度(HS)イオン源510に導入された空気のグラフが表されている。曲線は、様々な電子エネルギーでの質量分析計の全質量範囲の走査を表す。質量数31の強度のみを示す
図5と比較する。
図6は、異なる電子エネルギーで質量分析計200(
図1)に導入されたものの全体のガス組成を示す。例えば、質量数28m/eは窒素(N
2)を指し、電子エネルギーが低いほど曲線の強度が低くなることを見ることができる。
【0024】
本発明は、特定の例示的な実施形態を参照して具体的に示され、説明されてきたが、記載されている説明及び図面によって支持され得る本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、詳細に様々な変更を加えることができることが当業者には理解されるであろう。さらに、例示的な実施形態が特定の数の要素を参照して説明されている場合、例示的な実施形態は、特定の数より少ない又は多い要素を利用して実施できることが理解されるであろう。
【国際調査報告】