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特表2024-523164バージンHDPEとポストコンシューマリサイクルHDPEとのブレンドおよびその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】バージンHDPEとポストコンシューマリサイクルHDPEとのブレンドおよびその方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/04 20060101AFI20240621BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
C08L23/04
B32B27/32 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574273
(86)(22)【出願日】2022-06-08
(85)【翻訳文提出日】2023-11-30
(86)【国際出願番号】 US2022032710
(87)【国際公開番号】W WO2022261238
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】63/208,684
(32)【優先日】2021-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510320575
【氏名又は名称】イクイスター・ケミカルズ・エルピー
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】ブリース,リャン,ディー.
【テーマコード(参考)】
4F100
4J002
【Fターム(参考)】
4F100AK05A
4F100AK05B
4F100AK68
4F100BA02
4F100BA07
4F100CB03
4F100EH17A
4F100EJ38A
4F100GB07
4F100GB15
4F100GB23
4F100GB33
4F100GB66
4F100GB81
4F100JA04A
4F100JA04B
4F100JA06A
4F100JA07A
4F100JA11A
4F100JA11B
4F100JD02
4F100JK07A
4F100JK07B
4F100JK08A
4F100JK08B
4F100JK10A
4F100JK10B
4F100JL01
4F100JL12
4F100JL16A
4J002BB02W
4J002BB02X
4J002GG00
(57)【要約】
【解決手段】 加工性および機械的特性が改善された、複合バージンおよびポストコンシューマリサイクルHDPE組成物,その製造プロセス、製品および食品包装におけるこれらの使用を開示している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合ポリマーであって、
a)約2.0~18.0g/10minのメルトインデックスを有するバージン高密度ポリエチレン(バージンHDPE)50~80重量%と、
b)約0.3~約1g/10minのメルトインデックスを有するポストコンシューマリサイクル高密度ポリエチレン(PCR HDPE)20~50重量%と、を含み、
c)前記複合ポリマーは、約1~4g/10minのメルトインデックス、約0.950~0.960g/cmの密度、および4を超える重量平均分子量/数平均分子量(M/M)を有し、
d)前記メルトインデックスは、2.16kgの力、190Cで測定される、複合ポリマー。
【請求項2】
125℃を超える温度で0.15kW/kg/hrを超える比機械的エネルギーを用いて混合される、請求項1に記載の複合ポリマー。
【請求項3】
二軸複合押出機を用いて125~299℃の温度で混合される、請求項2に記載の複合ポリマー。
【請求項4】
前記バージンHDPEは約6~18g/10minのメルトインデックスを有し、前記PCR HDPEは約0.5~0.9g/10minのメルトインデックスを有する、請求項1に記載の複合ポリマー。
【請求項5】
5を超えるM/Mを有する、請求項1に記載の複合ポリマー。
【請求項6】
前記バージンHDPEおよび前記PCR HDPEは、それぞれ0.930~0.970g/cmの密度を有し、前記複合ポリマーは約0.96g/cmの密度を有する、請求項1に記載の複合ポリマー。
【請求項7】
前記バージンHDPEと前記PCR HDPEとの比が約50/50である、請求項1に記載の複合ポリマー。
【請求項8】
前記バージンHDPEと前記PCR HDPEとの比が約47/53である、請求項1に記載の複合ポリマー。
【請求項9】
前記バージンHDPEおよび前記PCR HDPEは食品に安全である、請求項1に記載の複合ポリマー。
【請求項10】
a)約8g/10minのメルトインデックスを有するバージンHDPE50~80重量%と、
b)約0.5~0.85g/10minのメルトインデックスを有するPCR HDPE20~50重量%と、を含み、
c)前記複合ポリマーは、メルトインデックスが約2g/10min、メルトインデックスが約0.950~0.960g/cm、M/M>5を有する、
請求項2に記載の複合ポリマー。
【請求項11】
a)約8g/10minのメルトインデックスを有するバージンHDPE45~55重量%と、
b)約0.5~0.9g/10minのメルトインデックスを有するPCR HDPE45~55重量%と、を含み、
c)前記複合ポリマーは食品に安全であり、約2のメルトインデックス、約0.950~0.960g/cm、M/M>5を有する、
請求項2に記載の複合ポリマー。
【請求項12】
請求項3に記載の複合ポリマーを含むポリマーフィルムであって、単軸押出機で複合された同様のポリマーよりもゲルの量が90%少ない、ポリマーフィルム。
【請求項13】
前記フィルムの欠陥数が、500mmと7500mmとの間の欠陥サイズに対して、133個未満/mである、請求項12に記載のフィルム。
【請求項14】
前記フィルムの欠陥数が、750mmと1000mmの間の欠陥サイズに対して、15個未満/mである、請求項12に記載のフィルム。
【請求項15】
前記フィルムの欠陥数が、1000mmと1250mmとの間の欠陥サイズに対して、1.5個未満/mである、請求項12に記載のフィルム。
【請求項16】
前記フィルムの欠陥数が、少なくとも1250mmの欠陥サイズに対して、1.5個未満/mである、請求項12に記載のフィルム。
【請求項17】
多層フィルムであって、複合ポリマーの1つ以上の層と、バージンポリマーの1つ以上の層とを含み、1.5ミル、37.8℃、湿度90%で測定したとき、0.28g/100inch/日未満の水蒸気透過率(MVTR)を有する、請求項3に記載の多層フィルム。
【請求項18】
前記MVTRは0.12g/100inch/日未満である、請求項17に記載のフィルム。
【請求項19】
前記MVTRは0.08g/100inch/日未満である、請求項17に記載のフィルム。
【請求項20】
前記フィルムの欠陥数が、1500mm以上の欠陥サイズに対して、1.5個未満/mである、請求項17に記載のフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年6月9日に出願された米国特許出願第63/208,684号の優先権を主張する特許協力条約に基づいて提出されており、その全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
連邦政府が後援する研究報告書
【0002】
該当なし。
【0003】
本開示は、加工性および性質が改善された、バージン高密度ポリエチレンとポストコンシューマリサイクル(「PCR」)高密度ポリエチレンとのブレンド、その製造方法、製品および使用に関する。
【背景技術】
【0004】
高密度ポリエチレン(「HDPE」)は石油から作られる熱可塑性ポリマーである。密度は、約0.93~約0.97g/cmの範囲内であり、これらの高密度ポリマーは、モノマーの分岐が少なくて済み、従って、より強い分子間力および引張強度を提供することができる。HDPEの他の性質には、耐食性、強度密度比の増加、溶融性および可塑性などがある。また、すべてのHDPEが食品に安全であるとは限らないが、食品に安全であると考えられる方法で製造することができ、食品の包装や保存に使用することができる。
【0005】
「バージン」プラスチックとは、消費者が一度も使用したことのない原料、つまりリサイクルされていない材料から作られたプラスチックのことである。バージンHDPEは、その強度と無毒性により、ペットボトル、ミルクジャグ、シャンプーボトル、漂白剤ボトル、冷凍袋や買い物袋、まな板、配管など、高い耐衝撃性と融点を必要とするさまざまな用途に使用されている。
【0006】
リサイクルHDPEは、ボトル、配管材、屋外プラスチック家具、自動車部品など、バージンのHDPEと同様の用途で使用することができる。しかし、リサイクルHDPEから製造された再利用可能な包装製品は、人間が消費するための医薬品および/または食品への直接の接触に関する米国農務省の要件を必ずしも満たしているとは限らない。
【0007】
プラスチックの製造・廃棄を減らすためにリサイクルが行われてきたが、リサイクルの過程でポリマーが分解されることが多くなっていた。そのため、バージンプラスチックとリサイクルプラスチックをブレンドして、より高品質な素材を提供する取り組みもある。残念ながら、異なる性質を持つポリマーをブレンドすることで、完成品に追加の変数が導入されることもあり、これらの変数は望ましくない可能性があり、品質の悪い製品を生成する可能性がある。したがって、当技術分野では、バージンプラスチックとリサイクルプラスチックを組み合わせた、より優れた方法論および製品を提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示は、バージンプラスチックまたはポストコンシューマリサイクルプラスチックの性質を保持または改善し、意図される最終用途のために使用され、食品および飲料産業で使用可能なプラスチックを製造するために、バージンHDPEとPCR HDPEとをブレンドする方法を提供する。
本開示は、高メルトインデックスバージンHDPEと低メルトインデックス(MI)リサイクルHDPEポリマーとを含む複合HDPEポリマーを提供する。得られたブレンドは、190℃、2.16kgの力で測定したとき、メルトインデックスが1~4g/10minであり、M/Mが≧4であり、良好な加工性と良好な膜特性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、MIが2.0g/10minの対照バージンHDPEと、MIが2.0g/10minのPCR HDPE 47%とバージンHDPE 53%を含む複合ブレンドの複素粘度曲線を示す。
図2図2は、単軸スクリュー(ドライブレンド)と二軸スクリュー(シングルペレット)のHDPEクロスポーラーフィルタを使用した写真比較を示す。
図3図3は、膜厚1.75および3.5ミルにおける表5に記載の膜構造のMVTR対合計%PCR含有量を示す。
図4図4は、MVTRが商業ポリマーと同等であるポリマー予測フィルムゲージ対合計%PCR含有量(0.19g/100inch/日)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、複合プラスチックを提供するために、バージンプラスチックおよびポストコンシューマリサイクルプラスチックを加工工場で加工または混合することに関する。予め独立して押出造粒されたプラスチックは、独立してまたは組み合わせて押出機に供給することができる。押出機では、プラスチックが溶融および混合され、その後、その後の用途のために押し出されてペレット化される。
【0011】
一実施形態において、プラスチック(バージンおよびPCR HDPE)は、単軸押出機を使用する押出機内で混合されてもよい。単軸スクリューブレンド方法をテストしたところ、高品質のフィルムが必要な場合にはあまり好ましくない可能性があることが示された。単軸押出成形で製造された組成物は、得られるフィルムにかなりのゲルを含む可能性がある。これはいくつかの用途で許容されるかもしれないが、高品質のフィルムのためには、より高い剪断合成法が好ましい。
【0012】
別の実施形態において、共回転二軸押出機または他の高剪断方法を使用して、バージンポリマーとリサイクルポリマーを混合または配合してもよい。二軸配合押出機の一実施形態において、密閉バレル内のスプラインシャフトに取り付けられた2つの噛み合い共回転スクリューが使用される。本開示の複合プラスチックは、単軸押出機と比較して二軸押出機でより均一に混合することができるが、連続ミキサー、バンバリーミキサーなどの十分に高い剪断方法を使用することもできる。一実施形態において、バージンHDPEとPCR HDPEとは、約0.15kW/kg/hr超、0.15kW/kg/h~0.5kW/kg/h、または0.20kW/kg/h~0.4kW/kg/hの比機械的エネルギーで溶融複合化される。
【0013】
複合HDPE用の共回転二軸押出機の詳細については、James L.White およびEung K.Kimによる二軸押出成形:技術と原理(第2版)Carl Hanser Verlag,Munich 2010;Klemens KohlgruberおよびWerner Wiedmannによる共回転二軸押出機:基礎・技術・応用,Hanser,Munich 2008; Chan I.Chungによるポリマーの押出成形:理論と実践,Carl Hanser Verlag,Munich 2000;およびPaul Andersonによるポリマーの混合と複合化 (第2版),Ed.Manas-Zloczower,Tadmore 2009,Chapter 25,p.947に記載されており、その各々の内容は、すべての目的のために、参照によって全体としてここに組み込まれている。
【0014】
食品包装産業用のプラスチックフィルムの製造には、ブローンフィルム押出またはブローンフィルム共押出またはホットブローンプロセスなどが使用され得る。ブローンバブルプロセスの一実施形態において、小さなビーズまたはペレットの形態のプラスチックを、フィードコートを介して、プラスチックペレットを加熱されたバレルに押し出す回転スクリューが取り付けられたバレルに供給することができる。プロセスおよび所望のプラスチック出力の種類によって設定された所望の押出温度で、円形の押出ダイからフィルムとして残る溶融プラスチックが形成され得る。空気圧を使用してフィルムを気泡の形でさらに膨張させることもできる。所望の寸法に拡張した後、フィルムを冷却して固化させてもよい。フィルムの厚さは0.254mm(10ミル)未満としてもよいが、ブローンフィルムは0.5mm(20ミル)まで製造することができる。
【0015】
任意のフィルム押出工程において、所望のフィルムは一定の厚さを有してもよい。したがって、良好なフィルムを製造するには、ブローンバブルプロセスにおける安定したバブルの形成が重要である可能性がある。しかし、バリア性は、食品の賞味期限を延長するために包装産業が材料を選択する際のもう1つの重要な要素であることが多い。これは、コーティングと基材を組み合わせた際に水分や酸素の透過を防ぐ材料の能力として定義される場合がある。プラスチックの低い水蒸気透過率(「MVTR」)は、より優れたバリアを提供するため、食品包装用のより優れたプラスチック材料である。
【0016】
メルトインデックス(「MI」)は、プラスチックの溶融物の流れやすさを示す指標である。出願人は現在、メルトインデックスが高い材料は一般的にバリア性に優れているが、粘度が低いため気泡性に劣ると考えている。ブローンバブルフィルムプロセスでは、MIの上限が約2.0g/10minであるなど、MIの増加に伴って気泡の安定性が低下することがある。この理論に拘束されない限り、出願人は現在、MIを低減して気泡の安定性を向上させることは可能であるが、MVTRおよび溶融粘度を増加させることは、バリア性および押出機のスループットを損なう可能性があり、MIを約0.8に制限することが可能であると考えている。
【0017】
本開示のブレンドを開発するためのもう1つのパラメータは、分子量分布(「MWD」)である。すべての合成ポリマーは、異なる長さのポリマー鎖を含むので、多分散であり、分子量は単一値ではない。ポリマーは鎖長と分子量の分布の形で存在する。鎖長のやや広い分布をターゲットにすることにより、複合ポリマーは良好な性能特性(例として、フィルム用途で許容可能な防湿性)と改善された加工特性(例えば、フィルム用途での気泡安定性および押出機の生産量)の両方を備えてよい。
【0018】
一実施形態において、本開示の複合ポリエチレン組成物は、M/Mによって評価される少なくとも4のMWDを有する。別の実施形態において、複合ポリエチレン組成物のM/Mは、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、または約4~約10、または約5~約7である。
【0019】
本開示の複合ポリマーをテストしたところ、MIが約2g/10min、PCRが約20~40%、M/Mが少なくとも4または4~10である場合、フィルムが現在使用されているフィルムより薄い場合でも、十分な気泡安定性およびMVTRを有することが見出された。
【0020】
別の実施形態において、複合ポリマーのMVTRは、1.5ミル、37.8℃、および90%湿度で測定したとき、0.20g/100inch/日未満、または、0.12g/100inch/日未満または0.08g/100inch/日未満である。
【0021】
より詳細には、高いメルトインデックスを有するバージンHDPEと、より低いメルトインデックスを有する適切なポストコンシューマリサイクルHDPEとを組み合わせて、中間MI、M/M約4を超え、かつ改善された加工性を有するブレンドを生成する。これは、例えば二軸複合押出機(「シングルペレット」溶液とも呼ばれる)中で、バージンHDPEとPCR HDPEとを高剪断溶融混合することによって達成される。このブレンドを多層フィルム構造に使用すると、プラスチック内の総PCR含有量、防湿層、材料コスト、フィルムージのバランスをとることができる。
【0022】
本開示のバージンHDPEは、2g/10minよりも大きいメルトインデックスを有してもよい。他の実施形態において、MIは、2~18、より好ましくは2~10または2~8g/10minである。一方、リサイクルHDPEは、低いMI、例えば0.40~0.9、0.5~0.85、または約0.70~0.8を有する。複合プラスチックは、使用される2種類のプラスチックの割合に応じて、一般的に中程度のMIを有している。一般に、2つの成分の比率は、目的とする最終ブレンドMIが0.8~4、1~3、1.5~2.5または約2であってもよい。
【0023】
本開示のバージンおよび/またはリサイクルHHDPEは、約4より大きいM/Mを有してもよい。代替実施形態において、本開示のバージンおよび/またはリサイクルHHDPEは、5、6、8より大きい、または10より大きいM/Mを有してもよい。複合材料は、出発材料と同様の分布を有するか、または異なるM/Mを有するプラスチックを使用する場合には中間値を有してもよい。しかし、一般的には、最終製品のM/Mは、加工性を向上させるために、4以上、5以上、6以上、8以上、10以上等が好ましい。M/Mの範囲は、4~10、4~8、4~6、5~8または5~6である。
【0024】
バージンおよび/またはリサイクルHHDPE出発材料は、0.94g/cmより高い密度を有してもよい。代替実施形態において、本開示のバージンおよび/またはリサイクルHHDPEは、約0.954~0.965g/cmの密度を有してもよい。代替実施形態において、本開示のバージンおよび/またはリサイクルHHDPEは、約0.950~0.960g/cmの密度を有してもよい。複合HDPEは、出発材料が異なる密度を有する場合、類似したものであってもよいし、両者の間のものであってもよい。
【0025】
高MIバージンポリマーと低MI PCRポリマーとの適切なブレンドの粘度範囲は、0.025ラジアン/秒の剪断速度で8.0×10~1.2×10ポアズ、8.4×10~1.0×10ポアズ、または8.9×10~9.4×10ポアズである。高MIバージンポリマーと低MI PCRとの適切なブレンドの粘度範囲は、0.025ラジアン/秒の剪断速度で、MI=2の100%バージンポリマーより14%~68%高いか、またはMI=2の100%バージンポリマーより21%~48%高いか、またはMI=2の100%バージンポリマーより28%~34%高い。
【0026】
高MIバージンポリマーと低MI PCRとの適切なブレンドの粘度範囲は、100ラジアン/秒の剪断速度で、8.8×10~5.5×10、8.4×10~6.7×10、または8.0×10~7.6×10である。高MIバージンポリマーと低MI PCRとの適切なブレンドの粘度範囲は、100ラジアン/秒の剪断速度で、MI=2の100%バージンポリマーより5~41%低いか、MI=2の100%バージンポリマーより10~28%低いか、または、MI=2の100%バージンポリマーより14%~19%低い。
【0027】
一実施形態において、複合ポリマーは、少なくとも15%のリサイクルHHDPE、好ましくは少なくとも20、30、40、50、または約60%のリサイクルHHDPEを有してもよい。より高い量が可能であるが、PCR HDPEのコストは現在、バージンHDPEより約10%高いため、20~45%または25~40%が好ましいかもしれない。しかし、商業フィルムラインの多くは3層から11層の多層共押出であり、多層フィルムでは、いくつかの層(例えばシーラント層、リンカー層、ハイバリア層など)があるので、より高いPCR濃度を目指すことが望ましいかもしれない。多層フィルム全体の特性を維持するには、100%バージン状態を維持する必要がある場合がある。従って、多層フィルム構造は、全体的なフィルムバリア性、総PCR含有量、より低コストの材料の使用、およびフィルムゲージ(コスト削減および持続可能性への追加的な影響のため)のバランスをとるために作成され得る。
【0028】
したがって、バージンおよびリサイクルHDPEブレンドを多層フィルム構造に使用して、プラスチック内の全体的なPCR含有量、防湿層、材料コスト、およびフィルムのゲージのバランスをとることができる。異なるメルトインデックスを複合化したバージンHDPEとPCR HDPEは、バージンHDPEと比較して、より高い押出機スループットで加工できるプラスチックフィルムを提供する。
【0029】
複合プラスチックおよびそれから製造されたシートまたはフィルムは、例えば、プラスチックボトル、プラスチック袋、食品安全容器、食品安全およびその他のフィルム、まな板およびその他の食品加工装置、水槽、配管および付属品、玩具、遊園地設備、化学容器、家具、標識および固定装置、キックボード、燃料タンク、ロッカー、包装、シュートライナー、車両内装など、HDPEで一般的に製造されたあらゆる製品に使用することができる。
【0030】
本開示は、以下の実施形態の任意の1つまたは複数の組み合わせを含む。
【0031】
本発明の複合ポリマーは、A)メルトインデックスが約2.0~18.0g/10minであるバージン高密度ポリエチレン(バージンHDPE)を50~80重量%、b)メルトインデックスが約0.3~約1g/10minであるポストコンシューマリサイクル高密度ポリエチレン(PCR HDPE)を20~50重量%、c)メルトインデックスが約1~4g/10minであり、密度が約0.950~0.960g/cmであり、重量平均分子量/数平均分子量(M/M)が≧4であり、d)メルトインデックスが2.16kgの力、190℃で測定される。
【0032】
本明細書に記載のいずれかの複合ポリマーであって、該複合ポリマーは、125℃を超える温度または0.15~0.5kW/kg/hrを超える温度で、0.15kW/kg/hr超、または0.20~0.4kW/kg/hの比機械的エネルギーを使用して混合される、複合ポリマーは、二軸複合押出機を用いて125~299℃または150~220℃の温度で混合することが好ましい。
【0033】
本明細書に記載のいずれかの複合ポリマーであって、バージンHDPEは、約6~18または7~10g/10minのメルトインデックスを有し、PCR HDPEは、約0.5~0.85または約0.8g/10minのメルトインデックスを有する。
【0034】
本明細書に記載のいずれかの複合ポリマーであって、M/M≧5である。
【0035】
本明細書に記載のいずれかの複合ポリマーであって、バージンHDPEおよびPCR HDPEはそれぞれ0.930~0.970g/cmの密度を有し、複合ポリマーは約0.96g/cmの密度を有する。
【0036】
本明細書に記載のいずれかの複合ポリマーであって、バージンHDPEとPCR HDPEとの比が、約20/80、30/70、40/60、47/53、50/50、または60/40である。
【0037】
本明細書に記載のいずれかの複合ポリマーであって、バージンHDPEおよびPCR HDPEは食品に安全であり、および/または得られた複合ポリマーは食品に安全である。
【0038】
本明細書に記載のいずれかの複合ポリマーであって、約8g/10minのメルトインデックスを有するバージンHDPE50~80重量%と、約0.5~0.85g/10minのメルトインデックスを有するPCR HDPE20~50重量%と、を含み、複合ポリマーは、約2g/10minのメルトインデックス、約0.950~0.960g/cmの密度M/M≧5を有する。
【0039】
本明細書に記載のいずれかの複合ポリマーであって約8g/10minのメルトインデックスを有するバージンHDPE45~55重量%と、約0.5~0.9または約0.8g/10minのメルトインデックスを有するPCR HDPE45~55重量%と、を含み複合ポリマーは、食品に安全であり、約2のメルトインデックス、約0.950~0.960g/cmの密度、M/M≧5を有する。
【0040】
本明細書に記載のいずれかの複合ポリマーで製造されるポリマーフィルム。好ましくは、このフィルムは、単軸押出機で複合化された同様のポリマーよりも90%少ないゲルを有する。好ましくは、このフィルムの欠陥数が、500mmと7500mmとの間の欠陥サイズに対して、133個/m未満、750mmと1000mmとの間の欠陥サイズに対して、15個/m未満、1000mmと1250mmとの間の欠陥サイズに対して、1.5個/m未満であるか、少なくとも1250mmとの間の欠陥サイズに対して、1.5個/m未満である。
【0041】
多層フィルムは、本明細書に記載のいずれかの複合ポリマーの1層または複数層と、バージンポリマーの1層または複数層と、を含む。好ましくは、多層フィルムは1.5ミル、37.8℃、湿度90%で測定したときに、の水蒸気透過率(MVTR)が0.28g/100inch/日未満、0.12g/100inch/日未満、または0.08g/100inch/日未満である。
【0042】
本明細書で使用される「バージン」という用語は、製造業者によって提供された未使用の材料を指す。
【0043】
本明細書で使用される「PCR」または「ポストコンシューマリサイクル」プラスチックとは、製品として成形され、消費者によって使用された後、リサイクルされたプラスチックを指す。
【0044】
本明細書で使用される「複合プラスチック」または「複合ポリマー」または「ブレンドポリマー」という用語は、バージンHDPEおよびPCR HDPEを含む均一なブレンドを指し、場合によっては他の少量の添加剤も含まれる。
【0045】
本明細書で使用されるバージンまたはリサイクルHDPEの割合は、HDPEポリマーの重量パーセントであり、着色剤、潤滑剤などの副次的な添加剤を含まない。
【0046】
本明細書で使用される「メルトインデックス」(「MI」)または「メルトフローインデックス」(「MFI」)とは、ASTM D1238-20(手順B)に従って、190C、2.16kgで標準金型(2.095×8mm)を通過した溶融樹脂の押出速度を測定したものである。これは、所定の温度、標準負荷下で標準化されたキャピラリーを通って10min間に流れるポリマーの重量(グラム単位)として定義される。一般に、MIが高いプラスチックは材料粘度が低いことを示し、MIを比較して2つのプラスチックの流動特性を比較する。
【0047】
本明細書で使用される「水分蒸気透過率」または「WVTR」とも呼ばれる「水蒸気透過率」または「MVTR」は、ASTM F1249-20によって決定される。選択された温度と湿度で、ウェットチャンバーとドライチャンバーの間にバリアフィルムがシールされる。一般的に米国では、3mmの厚さのフィルムの食品産業では、37.8℃の標準温度と90%の相対湿度が使用されている。圧力変調センサーは、被測定材料を透過する水分を測定する。所定時間内に物質を透過した水蒸気量を測定することにより、水蒸気バリア透過性の測定が可能となる。所定の厚さの100平方インチのフィルム部分については、通常、グラム/日単位で測定される。プラスチックの低いMVTR値は、より優れたバリアを提供するため、食品包装や蒸気による損傷や乾燥を受けやすい他の製品に適したプラスチック材料となる。
【0048】
本明細書で使用される「正規化された」MVTRは、1.5ミルの膜厚に対して正規化された水蒸気透過率を指す。
【0049】
本明細書で使用される「分子量分布」または「MWD」と、数平均分子重量(「M」)および重量平均分子量(「M」)を測定するために、サイズ排除クロマトグラフィー(「SEC」)とも呼ばれている高温ポリマーチャーゲル浸透クロマトグラフィー(「GPC」)が使用される。
より詳細には、GPCは、フィルタベースの赤外線検出器IR5と、4キャピラリー差動ブリッジ粘度計と、Wyatt18角光散乱検出器とを備える。赤外線検出器を用いてM、M、MWDと短鎖分岐(SCB)曲線を報告し、粘度計と赤外線検出器の組み合わせを用いて145℃で長鎖分岐インデックスg'を測定した。1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)中の流体力学的サイズに基づき、145℃で3本のAgilent PLgel Olexis GPCカラムを用いてポリマー分級を行い、その中で300ppmの酸化防止剤ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を移動相とした。16mgのポリマーを10mLバイアルに秤量し、GPC測定のために密封した。溶解プロセスは、Agilent オートサンプラー内で連続振盪しながら160℃で1時間自動的に(8ml TCB中で)得られた。溶解プロセス中にフローマーカーとして20μLヘプタンもバイアルに注入される。溶解プロセス後、GPCカラムに200Lの溶液を注入した。GPCカラムは、578g/molから3,510000g/molまでの12種類の単分散ポリスチレン(PS)規格に基づいて較正された。コモノマー組成(またはSCB分布)は、確立された溶液NMR技術を用いて測定されたCH/1000総炭素の既知値を有する、比較的狭い一連のポリエチレン(ポリマーカーボンは1-ヘキセンと1-オクテンのコモノマーを有するポリエチレンを提供し、内部的には1-ブテンのコモノマーを有するポリエチレンを合成する)を用いて得られた異なる較正分布に基づいて報告された。
GPC oneソフトウェアを使用してデータを分析した。長鎖分岐インデックスg'は以下のように測定された。
【数1】

ここで、[η]はポリマーの平均固有粘度であり、GPC断面上のスライスの総和から以下のように導出される。
【数2】

ここで、cはIR検出器から得られた特定のスライスの濃度であり、[η]は粘度計検出器から測定されたスライスの固有粘度である。[η]linは、以下の線形高密度ポリエチレンのMark-Houwink方程式を用いて、IR検出器から得られ、ここで、Mは、基準線状ポリエチレンの粘度平均分子量であり、Kおよびαは、線状ポリマーのMark-Houwink定数であり、ここで、線状ポリエチレンの場合はK=0.000374、α=0.7265、線状ポリプロピレンの場合はK=0.00041、α=0.6570である。
【数3】
【0050】
プラスチックフィルムの厚さは通常、マイクロメータASTM-D6988またはASTM-D8136を使用して測定される。ミルはプラスチックフィルムの厚さ測定の一般的な単位である。厚さも規格で表示されることが多い。単純に換算すると1ミル=100規格=25.4マイクロメートルである。
【0051】
本明細書で使用される「OCS」または「光学制御システム」はフィルムの品質を決定する方法であり、これにより高解像度カメラがフィルムを撮影し、ゲルや欠陥を識別・定量する。ソフトウェアはゲルを分類し、複合ゲル数を報告するように構成されている。US7393916には、OCSと複合ゲル数の具体例が記載されている。
【0052】
本明細書で使用される「ゲル」とは、高分子フィルムの欠陥を意味する。ゲルは周囲のフィルムとは視覚的に区別できる局所的な欠陥であり、未複合のポリマーや未反応の触媒などが原因で発生する可能性がある。
【0053】
本明細書で使用される「ダウンゲージ」や「プラスチックフィルムのダウンゲージ化」とは、より薄いプラスチックフィルムを作ることを意味する。これには、持続可能性、材料コストの削減、アプリケーションのニーズに基づくなど、多くの理由がある。
【0054】
特許請求の範囲または明細書における「1つ(a)」または「一(an)」という単語の使用は、文脈で別段の指示がない限り、1つまたは複数を意味する。
【0055】
「約」という用語は、記載された値に測定誤差の範囲をプラスまたはマイナスしたもの、または測定方法が示されていない場合はプラスまたはマイナス10%を指す。
【0056】
特許請求の範囲における「または」という用語の使用は、「および/または」を意味する。ただし、代替案のみを意味することが明示的に示されている場合、または代替案が相互に排他的である場合は、この限りでない。
【0057】
「備える」、「有する」、「含む」および「含有する」という用語(並びにそれらの変形)は、オープン連結動詞であり、請求項で使用される場合、他の要素の追加を可能にする。「で構成される」というフレーズは閉じ型であり、追加要素はすべて除外される。「本質的に……から構成される」というフレーズは、追加の材料要素を除外するが、本開示の本質を実質的に変更しない非材料要素を含むことを可能にする。オープンな移行用語「含む」を使用して導入された任意の請求項または請求項要素は、「本質的に」または「からなる」という語句を使用するように絞り込むこともでき、その逆もまた同様である。しかしながら、簡潔にするために、本明細書では、請求項のすべての言語を1語ずつ繰り返してはいない。
【0058】
本明細書では、以下の略語が使用される。
【表1】
本明細書の実施例は、例示のみを目的としており、添付の特許請求の範囲を不当に限定するものではない。本開示およびその利点を詳細に説明してきたが、特許請求の範囲で定義される開示の範囲から逸脱することなく、本明細書において様々な変更、置換および変更を行うことができることを理解されたい。
バージンHDPEとリサイクルHHDPEのブレンド
【0059】
高融点二軸複合押出機シングルペレット方法を使用して、より高いMIを有するバージンホモポリマーHDPE(例えば、射出成形HDPEグレードM6080、MI 8.0g/10min、密度=0.960g/cm3、溶融温度132.7℃、LyondellBasell Industries、Houston、TXから取得可能)と、MI 0.5~0.85g/10minのより低いMI PCRグレードのポリマー(例えば、PCR HDPE EcoPrime C+、Envision Plastics、Reidsville、NCから取得可能)を複合し、その後OCSを使用して特徴付ける。
【0060】
バージンプラスチック(M6080)の性質を表1に示す。
【表2】
US2013015604によると、Envision PlasticsのリサイクルHDPE EcoPrime C+は、主にリサイクルミルク缶から作られた。ボトルを粉砕してフレークに分類し、洗浄ラインで洗浄し。プラスチックを溶かしてペレットに成形し、化学物質を使用せずに熱と空気を使用してプラスチックを精製する独自のプロセスを行った。そのため、リサイクルされたとしても、米国食品医薬品局は、高脂肪食品やスピリッツの高密度ポリエチレン包装に100%まで使用することを許可している。
リサイクルプラスチックの性質の一部を表2に示す。
【表3】
【0061】
この方法は、プラスチック粒子を二軸押出機に同時に導入する連続工程により、バージンプラスチックとリサイクルプラスチックとをブレンドするものである。一般的にHDPEの場合、コンパウンドは150~220℃のキャスク設定温度範囲と、二軸押出機の異なるスクリュー速度で行われた。典型的な押出機の温度分布は約180/200/210/210/210℃で、滞留時間は5秒から60秒である。
【0062】
具体的には、125~299℃の範囲が許容されるが、押出機のバレル温度範囲は供給口150℃、ダイ220℃であり、さらに出発材料に応じて変化し得る。押出機出力は100ps/hに設定されているが、50~150ps/h程度の範囲内であってもよい。比機械的エネルギーは0.25kW/Kg/hrであるが、約0.15kW/Kg/hr~0.5kW/Kg/hrの範囲を含んでもよい。使用される押出機のスクリュー速度は300rpmであるが、十分な混合が可能であれば、約200~400またはそれ以上の範囲が許容される。
【0063】
得られた複合プラスチックM6020SBRX01は、リサイクルHDPEを47%、バージンHDPEを53%含有している。複合M6020SBRX01は、同様のMIを有するバージンのHDPEと比較して、より高い押出機出力で加工することができ、押出機内で低い剪断速度でより高い粘度を有するため、より良好な気泡安定性を示す。
【0064】
ブレンドM6020BRX01の性質の一部を表3に示す。
【表4】
さまざまな剪断速度での挙動
粘度流動曲線(レオグラムとも呼ばれる)は、流動する材料(流体)が剪断速度の増加または減少にさらされたときにどのように動作するかをグラフで表現したものである。複素粘度(q)は、非ニュートン粘弾性流体に振動剪断応力を与えることにより求められる周波数依存粘度関数である。190℃で20%のひずみを持つレオメーターを使用して、各試験ポリマーの周波数を最大周波数(400 rad/s)から最低周波数(0.025 rad/s)まで走査し、データを記録した。
図1は、PCR HDPE 47%とバージンHDPE 53%(M6080)を含む複合HDPE(M6020SBRX01)の粘度曲線と、MI 2.0g/10minの複合HDPE(M6020SBRX01)の粘度曲線を、MI 2.0g/10minのバージンHDPE(M6020SB)と比較した複素粘度曲線である。M6020SBポリマーは、複合化されたM6020SBRX01と同等のMI(いずれも約2)を有するため、出発材料であるM6080よりも優れた比較物として選択された。
高い剪断速度(ラジアン/秒)では、複合HDPEの押出ヘッド圧力は26%低下していることが観察された。これにより、より良好な濾過が可能となり、プラスチックフィルムの歩留まりが向上した。さらに、M6020SBRX01は、粘度が高いため、低剪断速度での気泡安定性に優れ、新しい複合プラスチックからのフィルムブロー成形性を向上させた。
ブレンド技術の比較
厚さ2.0ミルのプラスチックHDPEフィルムターゲットは、上記の高剪断溶融混合二軸複合押出機法を使用して製造され、材料のサイズを制限するためにスクリーンを使用しない単一の低剪断スクリュー法を使用して製造された同じ成分から製造された同様のフィルムと比較される。単軸押出機の溶融温度は169℃、rpmは50、出力は10lbs/hrに設定されている。
フィルムの組成と特性に関するデータは、表4に示すように押出機システムに接続されたOCSカメラを用いて取得し、写真例は図に示すようにした。
【表5】
【0065】
上記の表および図2から、シングルペレット溶液から調製されたポリマーフィルムの欠陥は、OCS検査により、ドライブレンドから調製されたフィルムよりも著しく低い。高剪断複合法により製造されたフィルムには約289ppmの総欠陥が観察され、ドライブレンド法により製造されたフィルムには2562の総欠陥が観察された。
【0066】
HDPE をブレンドするために二軸スクリュー配合を使用した高せん断溶融混合を使用すると、最大のゲル(約1500ミクロン以上)が減少または除去され、ゲルレベルの全体的な90%の減少が観察された。好ましくは、この方法は、85~95%の少ないゲルを有し、250~300の欠陥の間の総欠陥レベル、350μmの欠陥レベル2000~2500、500μmの欠陥レベル650~750、750μmの欠陥レベル100~150、20未満、または10未満または5未満の少なくとも1000μmの欠陥レベルを有するフィルムを製造する。実際、1500ミクロンを超える欠陥は観察されず、これはより低い剪断力で製造されたフィルムとは対照的である。二軸押出機を使用したブレンドはまた、より一貫したバリア性と均一なヒートシール強度を提供し、美観と消費者の受容性を向上させる。したがって、高剪断複合体は、例えば、二軸押出機または連続ミキサー、バンバリーミキサーなどの他の高剪断方法によって得ることができるのが好ましい。
バージン/リサイクルHHDPEを用いたフィルム
多層フィルムは、全体的なフィルムバリア性、PCR含有量、低コスト材料の使用、および膜量のバランスをとるために作成され、コスト削減および持続可能性への追加的な影響をもたらす。
全体のPCR含有量を20、30、または40%に変えて3つの7層フィルムを製造し、EVA層であるシーラント層7を除いて残りはバージンHDPEで製造した。各層は混合ブレンドM6020SBRX01とゼロ層から2層のバージンHDPE M6020SBで構成され、総PCR含有量を変化させる。フィルム中のシーラント層(7)は、バージンEVA(例えば、9%EVAを含むLyondellBasellのUE637000)からなるが、これは例示的なものであり、他のシーラント層を使用してもよい。
表5は、3種類の7層フィルムの組成と、各層に使用される複合ブレンドM6020SBRX01とバージンM6020SBの量を詳細に示す。層%は、その層が総膜厚のどれだけを占めるかを示す。
【表6】
複合ブレンド層間のバージン層として使用されているバージンM6020SBは、ブローンフィルム用途に使用される中分子量高密度ポリエチレンホモポリマーであり、MIは2.0g/10minであり、その性質の一部は表6に示されている。
【表7】
バージン/リサイクルHDPEフィルムのMVTR
表5に基づいて製造された3種類の複合フィルム(多層フィルム中の全リサイクル材の20%、30%、40%)のMVTR(グラム/100インチ/日)を、1.75ミルと3.50ミルの2種類の厚さで測定した。これは、膜厚1.9ミル、MVTR 0.19グラム/100インチ/日のシリアルライナーと比較した。シリアルライナーは通常、バージンHDPE製で、厚さ1.9ミルの多層フィルムであり、一部の層には低コスト/低バリア性樹脂が組み込まれている。
バリアデータは、フィルム構造内のHDPEのミルごとに正規化された。EVA層は非常に低い防湿性を有しており、このため防湿層が必要とされる理由がある。EVA層はシーラント層であり、試料全体にわたって不変である。
図3に示した比較により、PCR含有量が20~40%の複合HDPEをHDPE膜全体に含有させることにより、1.75ミルの厚さを減少させても、現在の市場バリア性(上破線で示す0.19の目標)を満足できることが示された。したがって、本明細書に記載したように20~40%のリサイクル材を配合することにより、より低コストで環境負荷の少ない食品安全プラスチックを提供することができる。
バージン/リサイクルHHDPEフィルムゲージ
【0067】
表5に示す多層フィルムは、サイズを小さく(薄く)することができるが、許容可能なバリア性を維持している。ダウンゲージ化は、溶融ポリマーをより薄いゲージまで引き下げることによって、押出機のプロセス中に実行された。
【0068】
図4は、ダウンゲージによって得られる膜厚とポリマーフィルムの総PCR含有量の予測結果を示している。図に見られるように、必要な総PCR含有量が25%の場合、1.9ミルのシリアルライナーなど、現在の市販のフィルム構造と同等のMVTRを有する厚さ1.25ミルのフィルムを実現できる。PCRを組み合わせることで、所望のバリア性を維持しつつ、全膜厚34%減を実現できる。したがって、PCRを含むフィルムの厚さを減少させる能力は、市販のバージンプラスチックよりも優れている利点であり、同じ防湿性を有するより薄いフィルムを可能にすることで、材料を節約し、持続可能性に積極的に影響を与えることがある。
【0069】
前述の開示は、本開示の好適な実施形態を説明した。この説明に鑑みて、当業者に様々な変更および修正を提案することができる。例えば、食品レベルの組成物のさらなる所望の特性を達成するために、上記組成物に追加の添加剤を加えることができる。したがって、このような変更および修正は、本開示の範囲内で考慮されるべきである。
【0070】
以下の参考文献はそれぞれ、あらゆる目的のためにその全体が参照により組み込まれる。ここで引用したASTM規格は、特許請求の範囲に記載されているポリマーの特性を測定するために使用される。
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図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】