(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】光学積層体およびその製造方法と、これを含むスマートウィンドウおよびこれを適用した自動車または建物用建具
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1335 20060101AFI20240621BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20240621BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20240621BHJP
G02F 1/1343 20060101ALI20240621BHJP
G02F 1/13363 20060101ALI20240621BHJP
E06B 3/66 20060101ALI20240621BHJP
B60J 3/04 20060101ALI20240621BHJP
B32B 7/023 20190101ALI20240621BHJP
B32B 7/025 20190101ALI20240621BHJP
【FI】
G02F1/1335 510
G02B5/30
G02F1/13 505
G02F1/1343
G02F1/13363
E06B3/66 E
B60J3/04
B32B7/023
B32B7/025
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574515
(86)(22)【出願日】2022-05-27
(85)【翻訳文提出日】2023-12-01
(86)【国際出願番号】 KR2022007590
(87)【国際公開番号】W WO2022255741
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】10-2021-0072854
(32)【優先日】2021-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132, YAKCHON-RO, IKSAN-SI, JEOLLABUK-DO 54631, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム,ドン-フィ
(72)【発明者】
【氏名】ソン,スン-ウォン
(72)【発明者】
【氏名】アン,ホン-ジュン
(72)【発明者】
【氏名】オ,ピョン-ユン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ユ-ジン
【テーマコード(参考)】
2E016
2H088
2H092
2H149
2H291
4F100
【Fターム(参考)】
2E016AA01
2E016AA07
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4F100BA05
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4F100JN10C
(57)【要約】
本発明は、電界によって駆動される液晶層を挟んで、両面に積層された偏光板を含む光学積層体において、前記偏光板は、偏光子および前記偏光子の少なくとも一面上に形成された保護層を含み、透明導電層は、前記偏光板と直接接触して形成され、前記光学積層体は、電圧の印加によって全光線透過率が変化する、透過率可変光学積層体およびその製造方法と、これを含むスマートウィンドウおよびこれを適用した自動車に関するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電界によって駆動される液晶層を挟んで、両面に積層された偏光板を含む光学積層体において、
前記偏光板は、偏光子および前記偏光子の少なくとも一面上に形成された保護層を含み、
透明導電層は、前記偏光板と直接接触して形成され、
前記光学積層体は、電圧の印加によって全光線透過率が変化する、透過率可変光学積層体。
【請求項2】
前記透明導電層は、前記偏光板および透明導電層の間に別途の基材を含まず、前記偏光板と直接接触して形成される、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項3】
前記透明導電層は、前記偏光板および透明導電層の間に易接着層を挟んで前記偏光板と直接接触して形成される、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項4】
前記透明導電層は、透明導電性酸化物、金属、炭素系物質、伝導性高分子、導電性インクおよびナノワイヤからなる群より選択される1種以上を含む、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項5】
前記偏光板は、光学機能層をさらに含む、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項6】
前記光学機能層は、位相差フィルムを含む、請求項5に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項7】
前記保護層は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレートおよび環状オレフィン系高分子からなる群より選択される1種以上を含む、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項8】
前記偏光板と透明導電層との間に屈折率が1.4ないし2.6の屈折率調節層をさらに含む、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項9】
前記偏光板は、30ないし200μmの厚さを有する、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項10】
前記液晶層は、少なくとも一面上に形成された配向膜を含む、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項11】
前記液晶層は、TN(Twisted nematic)、STN(Super-twisted nematic)、IPS(In-plane switching)、FFS(Fringe field switching)、PLS(Plane line switching)、AH-IPS(Advanced high-performance IPS)、PSA(Polymer sustained alignment)およびVA(Vertical alignment)からなる群より選択されるいずれか一つの駆動方式によって駆動される、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項12】
前記液晶層は、ボールスペーサー(Ball spacer)およびコラムスペーサー(Column spacer)からなる群より選択される1種以上を含む、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項13】
前記ボールスペーサー(Ball spacer)は、直径が1ないし10μmである、請求項12に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項14】
前記ボールスペーサー(Ball spacer)は、液晶層内での占有面積が液晶層面積の0.01ないし10%である、請求項12に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項15】
請求項1ないし14のいずれか一項に記載の透過率可変光学積層体の製造方法。
【請求項16】
請求項1ないし14のいずれか一項に記載の透過率可変光学積層体を含む、スマートウィンドウ。
【請求項17】
請求項16に記載のスマートウィンドウを前面窓、後面窓、側面窓、サンルーフ窓、および内部仕切りのうち少なくとも一つ以上に適用した、自動車。
【請求項18】
請求項16に記載のスマートウィンドウを含む、建物用建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透過率可変光学積層体およびその製造方法と、これを含むスマートウィンドウおよびこれを適用した自動車または建物用建具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に車両などの移動手段のガラス窓に外光遮断コーティングを施す場合が多い。しかし、従来の移動手段のガラス窓は透過率が固定されており、外光遮断コーティングも透過率が固定されている。したがって、このような従来の移動手段のウィンドウは全透過率が固定されていて、事故を誘発することがある。例えば、全体的な透過率が低く設定されていたら、周辺に光量が十分な昼間には問題がない。しかし、周辺に光量が十分ではない夜間などの場合には、運転者などが移動手段の周辺をきちんと確認するにおいて困難性があるしかないという問題点があった。または全体的な透過率が高く設定されていたら、周辺に光量が十分な昼間には運転者などの眩しさを引き起こすことがあるという問題点があった。これにより、電圧が印加されると、光の透過性を変化させることができる透過率可変光学積層体が開発された。
【0003】
前記透過率可変光学積層体は、電圧の印加によって液晶を駆動させて透過率を可変させることによって駆動されるが、現在まで開発された透過率可変光学積層体は、液晶駆動のための導電層を別途の基材上にパターニングして形成した後、これを偏光板などの他の素子と結合して製作される。
【0004】
例えば、日本国許開公報第2018-010035号も、所定の厚さを有するポリカーボネート(PC)基板などに形成された透明電極層を含む透過率可変光学積層体を開示している。
【0005】
しかし、このように導電層を形成するために別途の基材を含む場合、製作工程が複雑になることによって製造費用が上昇し、積層体の厚さが厚くなり、位相差が発生することによって透過率が変化するという問題がある。
【0006】
したがって、導電層を形成するための別途の基材を含まないことで、製作工程が簡素化し、厚さを減少させることができる透過率可変光学積層体に対する開発が必要な実情がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、導電層形成のための別途の基材を含まないことで、製作工程が簡素化した透過率可変光学積層体を提供することを発明の目的とする。
【0008】
また、本発明は、導電層形成のための別途の基材を含まないことで、厚さが顕著に減少した透過率可変光学積層体を提供することを発明の目的とする。
【0009】
また、本発明は、前記透過率可変光学積層体を含むスマートウィンドウおよびこれを適用した自動車または建物用建具を提供することを発明の目的とする。
【0010】
しかし、本発明が解決しようとする課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及されていないまた他の課題等は、下記の記載から通常の技術者に明確に理解できるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、電界によって駆動される液晶層を挟んで、両面に積層された偏光板を含む光学積層体において、前記偏光板は、偏光子および前記偏光子の少なくとも一面上に形成された保護層を含み、透明導電層は、前記偏光板と直接接触して形成され、前記光学積層体は、電圧の印加によって全光線透過率が変化する、透過率可変光学積層体に関するものである。
【0012】
本発明は、その第1観点において、前記透明導電層は、前記偏光板および透明導電層の間に別途の基材を含まず、前記偏光板と直接接触して形成されるものであってもよい。
【0013】
本発明は、その第2観点において、前記透明導電層は、前記偏光板および透明導電層の間に易接着層を挟んで前記偏光板と直接接触して形成されるものであってもよい。
【0014】
本発明は、その第3観点において、前記透明導電層は、透明導電性酸化物、金属、炭素系物質、伝導性高分子、導電性インクおよびナノワイヤからなる群より選択される1種以上を含むものであってもよい。
【0015】
本発明は、その第4観点において、前記偏光板は、光学機能層をさらに含むものであってもよい。
【0016】
本発明は、その第5観点において、前記光学機能層は、位相差フィルムを含むものであってもよい。
【0017】
本発明は、その第6観点において、前記保護層は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレートおよび環状オレフィン系高分子からなる群より選択される1種以上を含むものであってもよい。
【0018】
本発明は、その第7観点において、前記偏光板と透明導電層との間に屈折率が1.4ないし2.6の屈折率調節層をさらに含むものであってもよい。
【0019】
本発明は、その第8観点において、前記偏光板は、30ないし200μmの厚さを有するものであってもよい。
【0020】
本発明は、その第9観点において、前記液晶層は、少なくとも一面上に形成された配向膜を含むものであってもよい。
【0021】
本発明は、その第10観点において、前記液晶層は、TN(Twisted nematic)、STN(Super-twisted nematic)、IPS(In-plane switching)、FFS(Fringe field switching)、PLS(Plane line switching)、AH-IPS(Advanced high-performance IPS)、PSA(Polymer sustained alignment)およびVA(Vertical alignment)からなる群より選択されるいずれか一つの駆動方式によって駆動されるものであってもよい。
【0022】
本発明は、その第11観点において、前記液晶層は、ボールスペーサー(Ball spacer)およびコラムスペーサー(Column spacer)からなる群より選択される1種以上を含むものであってもよい。
【0023】
本発明は、その第12観点において、前記ボールスペーサー(Ball spacer)は、直径が1ないし10μmのものであってもよい。
【0024】
本発明は、その第13観点において、前記ボールスペーサー(Ball spacer)は、液晶層内での占有面積が液晶層面積の0.01ないし10%のものであってもよい。
【0025】
また、本発明は、前記透過率可変光学積層体の製造方法に関するものである。
また、本発明は、前記透過率可変光学積層体を含むスマートウィンドウに関するものである。
【0026】
また、本発明は、前記スマートウィンドウを前面窓、後面窓、側面窓、サンルーフ窓および内部仕切りのうち少なくとも一つ以上に適用した、自動車に関するものである。
【0027】
また、本発明は、前記スマートウィンドウを含む、建物用建具に関するものである。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る透過率可変光学積層体によると、偏光板の一面上に直接導電層が形成され、導電層形成のための別途の基材を含まないことで、従来の光学積層体に対して厚さが顕著に減少したものであってもよい。
【0029】
また、本発明に係る透過率可変光学積層体によると、従来の光学積層体形成のために基材上に導電層を形成し、これに他の部材と貼合するなどの工程を省略することができ、従来の光学積層体に対して製作工程が簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例に係る透過率可変光学積層体の積層構造を示した図である。
【
図2】
図2は、本発明の他の一実施例に係る他層が結合された透過率可変光学積層体の積層構造を示した図である。
【
図3】
図3は、本発明の他の一実施例に係る他層が結合された透過率可変光学積層体の積層構造を示した図である。
【
図4】
図4は、本発明の他の一実施例に係る粘接着剤が一面に形成された透過率可変光学積層体の積層構造を示した図である。
【
図5】
図5は、本発明の他の一実施例に係る他層が結合された透過率可変光学積層体の積層構造を示した図である。
【
図6】
図6は、本発明の他の一実施例によって形成された透過率可変光学積層体の積層構造を示した図である。
【
図7】
図7は、本発明の一実施例に係る偏光板を製造するステップを概略的に示した図である。
【
図8】
図8は、本発明の一実施例によって偏光板に導電層を形成して透過率可変光学積層体を形成する過程を概略的に説明するための図である。
【
図9】
図9は、本発明の他の実施例に係る他層が結合された透過率可変光学積層体を形成する過程を概略的に説明するための図である。
【
図10】
図10は、本発明の他の実施例に係る他層が結合された透過率可変光学積層体を形成する過程を概略的に説明するための図である。
【
図11】
図11は、本発明の他の実施例に係る他層が結合された透過率可変光学積層体を形成する過程を概略的に説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、偏光板の一面上に液晶駆動のための導電層を直接形成することによって、導電層形成のための別途の基材を含まない透過率可変光学積層体に関するものである。
【0032】
より詳しくは、電界によって駆動される液晶層を挟んで、両面に積層された偏光板を含む光学積層体において、前記偏光板は、偏光子および前記偏光子の少なくとも一面上に形成された保護層を含み、透明導電層は、前記偏光板と直接接触して形成され、前記光学積層体は、電圧の印加によって全光線透過率が変化する、透過率可変光学積層体に関するものである。
【0033】
以下、図面を参考にして、本発明の実施例等をより具体的に説明するようにする。ただ、本明細書に添付される以下の図面等は、本発明の好ましい実施例を例示するものであって、前述の発明の内容とともに本発明の技術思想をさらに理解させる役目を果たすものであるので、本発明は、これらの図面に記載された事項にのみ限定して解釈されてはならない。
【0034】
本明細書で使用された用語は、実施例等を説明するためのものであって、本発明を制限しようとするものではない。本明細書において、単数形は文言で特に言及しない限り複数形も含む。
【0035】
明細書で使用される含む(comprises)および/または含む(comprising)は言及された構成要素、ステップ、動作および/または素子以外の一つ以上の他の構成要素、ステップ、動作および/または素子の存在または追加を排除しない意味で使用される。明細書全体にかけて同一の参照符号は同一の構成要素を指す。
【0036】
空間的に相対的な用語である「下」、「底面」、「下部」、「上」、「上面」、「上部」などは、図面に示されているように、一つの素子または構成要素等と他の素子または構成要素等との相関関係を容易に記述するために使用することができる。空間的に相対的な用語は、図面に示されている方向に加えて使用時または動作時の素子の互いに異なる方向を含む用語として理解されなければならない。例えば、図面に示されている素子を覆す場合、他の素子の「下」または「下部」と記述された素子は他の素子の「上」に置かれることもある。したがって、例示的な用語である「下」は下と上の方向をいずれも含むことができる。素子は他の方向にも配向することができ、これにより、空間的に相対的な用語は配向に応じて解釈することができる。
【0037】
本明細書内で使用された、「平面方向」は、偏光板および/または透明導電層に対して直交する方向、すなわちユーザーの視認側から眺める方向として解釈することができる。
【0038】
[実施例]
図1は、本発明の一実施例に係る透過率可変光学積層体100の積層構造を示した図である。前記本発明の一実施例に係る透過率可変光学積層体100は、液晶層110、偏光板120および透明導電層130を含む。本発明の実施例に係る透過率可変光学積層体100は、電圧の印加によって全光線透過率が変化し得る。例えば、前記光学積層体100は電圧の印加によって、全光線透過率が5ないし45%になり得る。
【0039】
したがって、本発明の透過率可変光学積層体は、電圧の印加によって光の透過性を変化させることができる技術分野に特に適しており、例えば、スマートウィンドウ(smart window)に用いることができる。
【0040】
スマートウィンドウ(smart window)とは、電気的信号の印加によって光の透過性を変化させて通過される光または熱の量を制御する窓を意味する。すなわち、スマートウィンドウ(smart window)は、電圧によって透明、不透明または半透明状態に変化できるように備えられ、透過度可変ガラス、調光ガラスまたはスマートガラス(smart glass)などとも呼ばれる。
【0041】
スマートウィンドウ(smart window)は、車両および建築物の内部空間の区画用またはプライバシー保護用仕切りに活用されるか、建築物の開口部に配置された採光窓に活用されてもよく、高速道路表示板、掲示板、点数板、時計または広告スクリーンにも活用されてもよく、自動車、バス、航空機、線舶または汽車の窓(windows)またはサンルーフのような運送手段のガラスを代替して活用可能である。
【0042】
本発明の透過率可変光学積層体も、前述の様々な技術分野のスマートウィンドウ(smart window)に活用可能であるが、透明導電層130が偏光板120に直接形成されることによって、透明導電層130の形成のための別途の基材を含まないため、厚さが薄く屈曲特性に有利で、車両用または建物用スマートウィンドウ(smart window)に特に適切に用いることができる。一つまたは複数の実施形態において、本発明の透過率可変光学積層体が適用されたスマートウィンドウ(smart window)は、自動車の前面窓、後面窓、側面窓およびサンルーフ窓、または建物用建具などに用いられてもよい。また、外光遮断用途以外にも、内部仕切りなどのように自動車または建物などの内部空間区画用またはプライバシー保護用にも用いられてもよい。
【0043】
前記液晶層110は、電界によって駆動されることを特徴とする。前記液晶層110は、前記光学積層体100の光制御領域に位置する第1および第2偏光板の間に位置してもよい。一実施例において、前記液晶層110は、光制御領域で第1および第2偏光板の間のシーラント層およびスペーサーによって提供される空間内に位置してもよい。また、前記液晶層110は、第1および第2導電層の間に形成される電場によって外部光源から入射される光の透過度を調節することができる。
【0044】
一つまたは複数の実施形態において、前記液晶層110は、TN(Twisted nematic)、STN(Super-twisted nematic)、IPS(In-plane switching)、FFS(Fringe field switching)、PLS(Plane line switching)、AH-IPS(Advanced high-performance IPS)、PSA(Polymer sustained alignment)およびVA(Vertical alignment)からなる群より選択されるいずれか一つの駆動方式によって駆動されるものであってもよく、従来または以後に開発される液晶の駆動方式が適用されてもよい。
【0045】
本発明の他の実施例に係る前記液晶層110は、ボールスペーサー(Ball spacer)およびコラムスペーサー(Column spacer)からなる群より選択される1種以上のスペーサー(spacer)を含んでもよく、特にボールスペーサー(Ball spacer)であることが好ましい。前記ボールスペーサー(Ball spacer)は一つ以上であってもよく、直径が1ないし10μmであることが好ましい。また、平面方向から見たとき、前記ボールスペーサー(Ball spacer)が液晶層(110;すなわち、光調節領域)内で占める面積は、ユーザーの視認性および投光モードでの透過率の改善の面で、液晶層110の面積に対して0.01ないし10%であることが好ましい。
【0046】
前記偏光板120は、偏光子および前記偏光子の少なくとも一面上に形成された保護層を含んでもよく、互いに異なる二つの偏光板120が前記液晶層110の両面に位置してもよい。前記偏光板120が前記液晶層110の両面に位置する場合、前記互いに異なる二つの偏光板120の吸収軸がなす相互角は垂直または水平になるように形成されてもよく、また最小限の透過率を確保するために、好ましくは、5ないし85度になるように形成されてもよい。前記偏光板120は散発的に降り注ぐ光を一方向に伝達し、前記偏光板120の偏光性質を用いて通過する光の量を調節して光学積層体の透過率を調節することができる。前記保護層は、後工程および外部環境から偏光子の偏光特性を保存するための部材であってもよい。一実施例において、前記保護層は、後述の透明導電層130が形成され得る構造的基地を提供する役目を果たすためのものであってもよい。このとき、前記保護層は、透明導電層130の形成が容易な特性を有することが好ましい。
【0047】
前記保護層は、偏光子の一面上にのみ存在してもよく、偏光子の両面上に備えられてもよい。前記偏光板120が複数の保護層を含む場合、前記互いに異なる二つの保護層は実質的に同一であるか類似の物質を含むものであってもよい。一つまたは複数の実施形態において、前記保護層は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂;ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂;ポリカポネート系樹脂;ポリエチレン樹脂;ポリプロピレン樹脂;ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレートなどのアクリル系樹脂;および環状オレフィン系高分子COPなどを含むものであってもよい。
【0048】
前記偏光板120の偏光子は、延伸形偏光子を含むか延伸形偏光板に提供されてもよい。一実施例において、前記延伸形偏光子は、延伸されたポリビニルアルコール(PVA)系樹脂を含んでもよい。前記ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化して得たポリビニルアルコール系樹脂であってもよい。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニル以外に、酢酸ビニルとこれと共重合可能な他の単量体との共重合体などが挙げられる。前記他の単量体としては、不飽和カルボン酸系、不飽和スルホン酸系、オレフィン系、ビニルエーテル系、アンモニウム基を有するアクリルアミド系単量体などであってもよい。また、ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂は変性されたものであり、アルデヒド類に変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタールであってもよい。
【0049】
また、前記偏光板120は、コーティング型偏光子を含んでもよい。一実施例において、前記コーティング型偏光子は、液晶コーティング用組成物によって形成されてもよく、例えば、液晶コーティング用組成物を保護層の上面上に塗布して形成してもよい。このとき、前記液晶コーティング用組成物は、反応性液晶化合物および異色性染料を含んでもよい。
【0050】
前記反応性液晶化合物は、液晶性を発現できる反応性メソゲン(Reactive Mesogen:RM)、および/または重合可能な末端官能基を含み、熱または光による架橋反応後、液晶相を有する単量体分子などを含んでもよい。前記反応性液晶化合物は光または熱によって重合されると、液晶配列を維持しながら高分子ネットワークを形成することができる。前記反応性液晶化合物を用いることによって液晶の光学異方性や誘電率特性を維持しながら機械的・熱的安全性が向上した薄膜形態の偏光子を形成することができる。
【0051】
前記異色性染料は、液晶コーティング用組成物に含まれ、偏光特性を付与する成分であって、分子の長軸方向での吸光度と短縮方向での吸光度とが異なる性質を有する。前記異色性染料は、従来または以後に開発される異色性染料を用いてもよく、例えば、アクリジン色素、オキサジン色素、シアニン色素、ナフタレン色素、アゾ色素、アントラキノン色素などを含んでもよく、これらを単独または組み合わせて用いてもよい。
【0052】
前記液晶コーティング用組成物は、前記反応性液晶化合物および前記異色性染料を溶解可能な溶剤をさらに含んでもよく、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、メチルエチルケトン(MEK)、キシレン(Xylene)およびクロロホルム(Chloroform)などが用いられてもよい。また、前記液晶コーティング用組成物は、コーティング膜の偏光特性を阻害しない範囲内でレーベリング剤、重合開始剤などをさらに含んでもよい。
【0053】
また、前記偏光板120は、配向性を有する部材を含んで形成されるものであってもよく、例えば、保護層上に配向性高分子、光重合開始剤および溶剤を含む配向膜コーティング組成物を塗布および硬化して前記配向性を有する部材を形成した後、前記部材上に前記液晶コーティング用組成物を塗布および硬化することによって製作されてもよい。前記配向性高分子は、特に限定されないが、ポリアクリレート系樹脂、ポリアミック酸樹脂、ポリイミド系樹脂、シンナメート基を含む高分子などを用いてもよく、従来または以後に開発される配向性を示すことができる高分子を用いてもよい。
【0054】
一実施例において、前記偏光板は、オーバーコート層をさらに含んでもよく、例えば、前記液晶コーティング用組成物によって形成された層の上面上に位置し、前記配向性を有する部材に対向して備えられてもよい。一部の実施例において、前記オーバーコート層の上面上に保護フィルムがさらに備えられるものであってもよい。この場合、偏光板は、配向膜性を有する部材-液晶コーティング用組成物によって形成された層-オーバーコート層-保護フィルムの積層構造を有するものであってもよく、これにより、透過率は一定程度の水準に維持しながら機械的耐久性をより向上させることができる。
【0055】
前記偏光板120は、光学積層体の光学特性の改善のために光学機能層を含んでもよい。
【0056】
前記光学機能層は、保護層の少なくとも一面上に備えられるものであってもよく、例えば、前記保護層の上面上に備えられてもよい。前記光学機能層は、偏光板120の光学機能を補強ないし補完するためのものであれば特に制限されず、例えば、液晶層を通過した光の位相を遅延させるために、四分の一波長板(1/4波長板)、半波長板(1/2波長板)などの位相差フィルムであってもよく、これらは単独でまたは組み合わせて用いられてもよい。前記位相差フィルムは、傾斜延伸樹脂フィルム、液晶コーティング層などを含んで製作されてもよく、従来または以後に開発される位相差フィルムが用いられてもよい。
【0057】
一実施例において、前記偏光板120は、30ないし200μmの厚さを有するものであってもよく、好ましくは、30ないし170μmであってもよく、さらに好ましくは、50ないし150μmであってもよい。この場合、偏光板120が光学特性を維持しながらも、薄い厚さの光学積層体の製造が可能である。
【0058】
前記偏光板120は、曲面を有する光学積層体の製造のために湾曲された形状を含んでもよく、例えば、液晶層110の両面に積層された互いに異なる二つの偏光板120のうち、いずれか一つの偏光板側に湾曲された形態に形成されるものであってもよい。
【0059】
前記透明導電層130は、前記偏光板120の一面に形成されてもよく、好ましくは、前記偏光板120と直接接触して形成されるものであってもよい。前記偏光板120と直接接触して形成されるものは、透明導電層130が偏光板120と接触面を共有し、別途の基材なしに偏光板120上に備えられることを意味する。例えば、透明導電層130が前記偏光板120に形成された保護層の上面上に蒸着されて形成されるものであってもよい。
【0060】
一実施例において、前記透明導電層130は、偏光板120との接着力の向上のために、偏光板の一面上にコロナ処理またはプラズマ処理などの前処理を施した後、前記偏光板の前処理を施した面と直接接触して形成されるものであってもよい。前記前処理は、コロナ処理またはプラズマ処理に限定されるものではなく、本発明の目的を害しない範囲内で、従来または以後に開発される前処理工程を用いてもよい。
【0061】
本発明の他の実施例において、前記透明導電層130は、偏光板120との接着力の向上のために、偏光板の一面上に備えられた易接着層を挟んで、偏光板と直接接触して形成されるものであってもよい。
【0062】
前記透明導電層130は、可視光に対する透過率が50%以上であることが好ましく、例えば、透明導電性酸化物、金属、炭素系物質、伝導性高分子、導電性インクおよびナノワイヤからなる群より選択される1種以上を含むものであってもよいが、これに限定されるものではなく、従来または以後に開発される透明導電層の材料が用いられてもよい。
【0063】
一つまたは複数の実施形態において、前記透明導電性酸化物は、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、インジウム亜鉛スズ酸化物(IZTO)、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO)、ガリウム亜鉛酸化物(GZO)、フローリンスズ酸化物(FTO)および亜鉛酸化物(ZnO)などからなる群より選択される1種以上を含んでもよい。また、前記金属は、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、バナジウム(V)、鋼(Fe)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)およびこれらのうち少なくとも一つを含有する合金などからなる群より選択される1種以上を含むものであってもよく、例えば、銀-パラジウム-銅(APC)合金または銅-カルシウム(CuCa)合金を含んでもよい。前記炭素系物質は、炭素ナノチューブ(CNT)およびグラフェン(graphene)などからなる群より選択される1種以上を含むものであってもよく、前記伝導性高分子は、ポリピロール(polypyrrole)、ポリチオフェン(polythiophene)、ポリアセチレン(polyacetylene)、ペドット(PEDOT)およびポリアニリン(polyaniline)などからなる群より選択される1種以上を含んでもよい。前記導電性インクは、金属パウダーと硬化性高分子バインダーとが混合したインクであってもよく、ナノワイヤは、例えば、シルバーナノワイヤ(AgNW)であってもよい。前記透明導電層130は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)、PVD(Physical Vapor Deposition)、PECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)などの蒸着工程、スクリーン印刷、グラビア(Gravure)印刷、リバースオフセット(Reverse Offset)、インクジェット(Ink Jet)などの印刷工程、乾式または湿式のメッキ工程などを通じて形成されてもよい。また、前記透明導電層130は、前記物質等を組み合わせて、2層以上の構造に形成されてもよい。例えば、入射光の反射率を下げ、透過率を高めるように金属層および透明導電性酸化物層を含む2層構造に形成されてもよい。
【0064】
図2は、本発明の他の一実施例に係る他層が結合された透過率可変光学積層体200の積層構造を示した図である。
図2の実施例に係る光学積層体200は、液晶層110、偏光板120、導電層130および前記液晶層110の少なくとも一面上に形成された配向膜140をさらに含んでもよい。
【0065】
前記配向膜140は、前述の配向性を有する部材で述べたものと実質的に同一な特性を有するものであってもよく、例えば、ポリイミドなどの配向物質を塗布した後、ラビング工程によって形成されるものであってもよい。
【0066】
図3は、本発明の他の一実施例に係る他層が結合された透過率可変光学積層体300の積層構造を示した図である。
【0067】
図3の実施例に係る光学積層体300は、液晶層110、偏光板120、透明導電層130、配向膜140および屈折率調節層150をさらに含んでもよい。
【0068】
前記屈折率調節層150は、前記透明導電層130による光学積層体の透過率差を補償するために備えられるものであり、屈折率差を減少させることによって視認特性などを改善させるための役目を果たすものであってもよい。また、前記屈折率調節層150は、前記透明導電層130に起因する色相を補正するために備えられるものであってもよい。一方、前記透明導電層130がパターンを有する場合には、前記屈折率調節層150を通じて前記パターンが形成されているパターン領域とパターンが形成されていない非パターン領域の間の透過率差を補償することができる。
【0069】
具体的に、前記透明導電層130は、これと屈折率が異なる他の部材(例えば、偏光板120など)と隣接して積層され、隣接した他層との屈折率差によって光透過率の差を誘発することがあり、特に透明導電層130にパターンが形成された場合、パターン領域と非パターン領域とを区分できるように視認されるという問題点が発生し得る。したがって、前記屈折率調節層150は、前記偏光板120および前記透明導電層130の間に位置することによって屈折率を補償するようにし、光学積層体の光透過率の差を減少できるようにして、特に透明導電層130にパターンが形成された場合には、パターン領域および非パターン領域が区分されて視認されないようにする。前記屈折率調節層150の屈折率は、前記偏光板120の保護層の屈折率より大きく、前記透明導電層130の屈折率以下で決まるように予め設定することができる。前記屈折率は、偏光板120および透明導電層130の材料によって適切に選択されてもよいが、1.4ないし2.6であることが好ましく、さらに好ましくは、1.4ないし2.4であってもよい。このように前記屈折率調節層150が予め決まった屈折率に設定されることによって、前記偏光板120および前記透明導電層130の間の急激な屈折率差による光損失を防止することができる。前記屈折率調節層150は、偏光板120と透明導電層130の間の急激な屈折率差を防止できるものであれば特に制限されず、例えば、重合性イソシアヌレート化合物を含む屈折率調節層形成組成物から形成されるものであってもよい。
【0070】
図4は、本発明の他の一実施例に係る粘接着剤が一面に形成された透過率可変光学積層体の積層構造を示した図である。
【0071】
図4の実施例に係る光学積層体300は、
図3の実施例に係る光学積層体300の一面上に粘接着剤層124をさらに含むものであってもよい。
【0072】
前記粘接着剤124は、接着剤または粘着剤を用いて形成されてもよく、光学積層体300の取り扱い時に、剥離、気泡などが発生しないように適切な粘接着力を有するとともに、透明性および熱安定性を有することが好ましい。
【0073】
前記接着剤は、従来または以後に開発される接着剤を用いてもよく、例えば、光硬化性接着剤を用いてもよい。
【0074】
前記光硬化性接着剤は、紫外線(Ultraviolet、UV)、電子線(Electron Beam、EB)などの活性エネルギー線を受け、架橋および硬化されて強い接着力を示すものであって、反応性オリゴマー、反応性モノマー、光重合開始剤などで構成されてもよい。
【0075】
前記反応性オリゴマーは、接着剤の特性を決める重要な成分であり、光重合反応によって高分子結合を形成して硬化被膜を形成する。使用可能な反応性オリゴマーは、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアクリル系樹脂、シリコーン系樹脂などが挙げられる。
【0076】
前記反応性モノマーは、前述の反応性オリゴマーの架橋剤、希薄剤としての役目を果たし、接着特性に影響を及ぼす。使用可能な反応性モノマーは、単官能性モノマー、多官能性モノマー、エポキシ系モノマー、ビニルエーテル類、環状エーテル類などが挙げられる。
【0077】
前記光重合開始剤は、光エネルギーを吸収してラジカル或いは陽イオンを生成させて光重合を開始する役目を果たすものであり、光重合樹脂によって適したものを選択して用いてもよい。
【0078】
前記粘着剤は、従来または以後に開発される粘着剤を用いてもよく、一つまたは複数の実施形態において、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリビニルアルコール系粘着剤、ポリビニルピロリドン系粘着剤、ポリアクリルアミド系粘着剤、セルロース系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤などを用いてもよい。前記粘着剤は、粘着力と粘弾性を有するものであれば特に制限されないが、入手容易性などの面で、好ましくは、アクリル系粘着剤であってもよく、例えば、(メタ)アクリレート共重合体、架橋剤および溶剤などを含むものであってもよい。
【0079】
前記架橋剤は、従来または以後に開発される架橋剤を用いてもよく、例えば、ポリイソシアネート化合物、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ジアルデヒド類、メチロールポリマーなどを含むものであってもよく、好ましくは、ポリイソシアネート化合物を含むものであってもよい。
【0080】
前記溶剤は、樹脂組成物分野において用いられる通常の溶媒を含んでもよく、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、プロピレングリコールメトキシアルコールなどのアルコール系化合物;メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトンなどのケトン系化合物;メチルアセテート、エチルアセテート、ブチルアセテート、プロピレングリコールメトキシアセテートなどのアセテート系化合物;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブなどのセロソルブ系化合物;ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素系化合物などの溶媒等が用いられてもよい。これらは単独で或いは2種以上が組合されて用いられてもよい。
【0081】
前記粘接着剤層の厚さは、粘接着体の役目を果たす樹脂の種類、粘接着強度、粘接着剤が用いられる環境などによって適切に決められてもよい。一実施例において、前記粘接着剤層は、十分な粘接着力を確保し、光学積層体の厚さを最小化するために、0.01μmないし50μmであってもよく、好ましくは、0.05μmないし20μm、さらに好ましくは、0.1μmないし10μmの厚さを有するものであってもよい。
【0082】
図5は、本発明の他の一実施例に係る他層が結合された透過率可変光学積層体400の積層構造を示した図である。
図5の実施例に係る光学積層体400は、液晶層(図示せず)、偏光板120、導電層130、配向膜140、屈折率調節層150および前記液晶層の外郭に形成されたシーラント層160をさらに含んでもよい。前記シーラント層160は、互いに異なる二つの偏光板を結合するためのものであって、互いに異なる二つの偏光板の間で、非活性領域に位置するものであってもよい。また、前記シーラント層160は、スペーサーとともに、互いに異なる二つの偏光板の間に前記液晶層が備えられる空間を確保してもよい。
【0083】
前記シーラント層160は、ベース樹脂として硬化性樹脂を含んでもよい。前記ベース樹脂としては、当業界でシーラントに用いることができるものであり、公知の紫外線硬化性樹脂または熱硬化性樹脂を用いてもよい。前記紫外線硬化性樹脂は、紫外線硬化性単量体の重合体であってもよい。前記熱硬化性樹脂は、熱硬化性単量体の重合体であってもよい。
【0084】
前記シーラントのベース樹脂としては、例えば、アクリレート系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、または、前記樹脂の混合物を用いてもよい。一実施例において、前記ベース樹脂は、アクリレート系樹脂であってもよく、前記アクリレート系樹脂は、アクリル単量体の重合体であってもよい。前記アクリル単量体は、例えば多官能性アクリレートであってもよい。他の実施例において、前記シーラントは、ベース樹脂に単量体成分をさらに含んでもよい。前記単量体成分は、例えば、単官能性アクリレートであってもよい。本明細書において、単官能性アクリレートは、アクリル基を1個有する化合物を意味し、多官能性アクリレートはアクリル基を2個以上有する化合物を意味することができる。前記硬化性樹脂は、紫外線の照射および/または加熱によって硬化されてもよい。前記紫外線の照射条件または加熱条件は、本出願の目的を損なわない範囲内で適切に行われてもよい。前記シーラントは、必要な場合、開始剤、例えば光開始剤または熱開始剤をさらに含んでもよい。
【0085】
図6は、本発明の他の一実施例によって形成された透過率可変光学積層体500の積層構造を示した図である。
【0086】
図6の実施例に係る光学積層体500は、液晶層110、偏光板120、透明導電層130、配向膜140、屈折率調節層150を含み、前記偏光板120は、第1保護層121、PVA(Poly Vinyl Alcohol)122および第2保護層123を含んでもよい。前記偏光板120の中心部に位置するPVA122は、色の具現と光の透過および方向を調節する素材であり、前述の偏光子の一実施形態に備えられるものであってもよい。また、前記第1保護層121は、PVA122を保護するためのものであり、前述の保護層の一実施形態で備えられるものであり、具体的にTAC(Cellulose Triacetate)などを用いてもよい。また、前記第2保護層123は、前述の位相差フィルムの一実施形態で備えられるものであってもよく、具体的にCOP(cyclic olefin polymer)などを用いてもよい。
【0087】
図7は、本発明の一実施例に係る偏光板を製造するステップを概略的に示した図である。
【0088】
図7の実施例によると、前記偏光板120は、偏光子であるPVA122を中心にそれぞれ一面と他面の上に、第1保護層121および第2保護層123が備えられてもよい。
【0089】
また、前記PVA122に、前記第1保護層121および第2保護層123は、粘接着剤124を用いて結合されてもよい。前記粘接着剤124は、適切な粘接着力と透明性および熱安定性などを有するものであれば特に制限されず、例えば、前述の
図4の粘接着剤124と実質的に同一なものであってもよい。
【0090】
前記粘接着剤124を用いたPVA122と第1および第2保護層121、123との接合方法は、当該分野において通常用いられる接合方法によって行われてもよい。例えば、柔軟法、メイヤーバーコーティング法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、ディップコーティング法、スプレーコーティング法などを用いて、偏光子または保護層の接合面に粘接着剤組成物を塗布した後、偏光子または保護層をニップロールなどに挟んで接合する方法などが用いられてもよい。
【0091】
図8は、本発明の一実施例によって偏光板に透明導電層を形成して透過率可変光学積層体を形成する過程を概略的に説明するための図である。
図8の実施例によると、前記偏光板120に前記透明導電層130を直接形成してもよい。このとき、前記偏光板120は、前述のように保護層を含むものであってもよく、前記保護層は、前記光学積層体に形成される透明導電層130の基材に用いられてもよい。前記透明導電層130は、光学的透明性および導電性を有するものであれば特に制限されず、例えば、前述の
図1の透明導電層130と実質的に同一なものであってもよい。
【0092】
図9は、本発明の他の実施例に係る他層が結合された透過率可変光学積層体を形成する過程を概略的に説明するための図である。
図9の実施例によると、前記偏光板120に前記屈折率調節層150を形成した後、前記導電層130を積層することができる。前記屈折率調節層150は、光学積層体の透過率差を補償することができ、透明導電層に起因する色相を補正するものであれば特に制限されず、例えば、前述の
図3の屈折率調節層150と実質的に同一なものであってもよい。前記屈折率調節層150は、前記偏光板120の保護層上に形成されてもよい。
【0093】
前記透明導電層130および屈折率調節層150は、当該分野において通常用いられる蒸着方法によって蒸着されてもよく、例えば、スピンコート法、ローラーコート法、バーコート法、ディップコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、ダイコート法、スプレーコート法、ドクターコート法、ニーダコート法などの塗布法や、スクリーン印刷法、スプレー印刷法、インクジェット印刷法、凸板印刷法、凹板印刷法、平板印刷法などの印刷法コートなど、或いはスパッタリング法などの真空成膜による方法などを用いて形成されてもよい。
【0094】
図10は、本発明の他の実施例に係る他層が結合された透過率可変光学積層体を形成する過程を概略的に説明するための図である。
図10の実施例によると、前記偏光板120、屈折率調節層150、導電層130上に前記配向膜140をさらに積層することができる。
【0095】
前記配向膜140は、液晶に配向性を付加できるものであれば特に制限されず、例えば、前述の
図2の配向膜140と実質的に同一なものであってもよい。
【0096】
前記配向膜140は、前記透明導電層130上に配向膜コーティング組成物を塗布および硬化して前記配向膜140を形成した後、前記配向膜140上に前記液晶コーティング用組成物を塗布および硬化して前記配向膜上に液晶層を含む偏光板を形成することができる。
【0097】
図11は、本発明の他の実施例に係る他層が結合された透過率可変光学積層体を形成する過程を概略的に説明するための図である。
図11の実施例によると、前記偏光板120、屈折率調節層150、導電層130、配向膜140上に前記液晶層の外郭に形成されたシーラント層160をさらに形成してもよい。前記シーラント層160は、互いに異なる二つの偏光板を結合し、外部から液晶層を保護するものであれば特に制限されず、例えば、前述の
図5のシーラント層160と実質的に同一なものであってもよい。
【0098】
前記シーラント層160は、当該分野において通常用いられる方法によって形成されてもよく、例えば、ノズルを備えるディスペンサーを用いてシーラントを前記液晶層の外郭(すなわち、非活性領域)にドローイングして形成されてもよい。以後、前記
図10の光学積層体などを合着および硬化して、本発明の光学積層体を製作することができ、前記シーラントの硬化は、紫外線の照射および/または加熱などの方式によって行われるものであってもよい。
【0099】
また、本発明は、前記透過率可変光学積層体に加えて、これを含むスマートウィンドウを含む。また、本発明は、前記スマートウィンドウを、前面窓、後面窓、側面窓、サンルーフ窓、および内部仕切りのうち少なくとも一つ以上に適用した自動車および前記スマートウィンドウを含む建物用建具を含む。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明に係る透過率可変光学積層体によると、偏光板の一面上に直接導電層が形成され、導電層形成のための別途の基材を含まないことで、従来の光学積層体に対して厚さが顕著に減少したものになり得る。
【国際調査報告】