(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】燃料電池スタックと高電圧バッテリとを電気的に相互接続するための装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240621BHJP
H01M 8/00 20160101ALI20240621BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20240621BHJP
H01M 8/04537 20160101ALI20240621BHJP
H01M 8/04858 20160101ALI20240621BHJP
【FI】
H02J7/00 S
H01M8/00 A
H01M8/04 H
H01M8/04537
H01M8/04858
H02J7/00 303E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574600
(86)(22)【出願日】2022-06-08
(85)【翻訳文提出日】2023-12-04
(86)【国際出願番号】 EP2022065537
(87)【国際公開番号】W WO2022258683
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】102021205802.7
(32)【優先日】2021-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522100316
【氏名又は名称】セルセントリック・ゲーエムベーハー・ウント・コー・カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100090583
【氏名又は名称】田中 清
(74)【代理人】
【識別番号】100098110
【氏名又は名称】村山 みどり
(72)【発明者】
【氏名】オリヴァー・ハール
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・ハオスマン
(72)【発明者】
【氏名】ベンヤミーン・ピーク
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン・ビーシンガー
【テーマコード(参考)】
5G503
5H127
【Fターム(参考)】
5G503AA05
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA01
5G503CA10
5G503CA11
5G503CC02
5G503DA02
5G503EA05
5G503FA16
5G503FA17
5H127AB02
5H127AB04
5H127AB29
5H127AC07
5H127AC15
5H127AC17
5H127DB53
5H127DC41
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つの燃料電池スタック(2)と少なくとも1つの高電圧バッテリ(3)とを電気的に相互接続するための装置(1)であって、高電圧バッテリ(3)の側につながれている消費機器に電力を供給するための装置(1)に関する。
本発明は、燃料電池スタック(2)と高電圧バッテリ(3)とが、燃料電池スタック(2)の方向への電流の流れを阻止する少なくとも1つのダイオード(7)、および接続の開閉のための少なくとも1つのスイッチ(6)を介して互いに相互接続されることを特徴とする。
本方法によれば、一方では少なくとも1つの燃料電池スタック(2)の、他方では少なくとも1つの高電圧バッテリ(3)の電圧に応じてスイッチ(6)が制御される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの燃料電池スタック(2)と少なくとも1つの高電圧バッテリ(3)とを電気的に相互接続するための装置(1)であって、前記高電圧バッテリ(3)の側につながれている消費機器に電力を供給するための、前記装置(1)において、
前記燃料電池スタック(2)と前記高電圧バッテリ(3)とが、前記燃料電池スタック(2)の方向への電流の流れを阻止する少なくとも1つのダイオード(7)、および前記接続の開閉のための少なくとも1つのスイッチ(6)を介して互いに相互接続されることを特徴とする、前記装置(1)。
【請求項2】
前記相互接続が、コンバータなしで行われることを特徴とする、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
緊急停止機器(13)が、前記少なくとも1つの燃料電池スタック(2)のために提供されることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記緊急停止機器(13)が、火工式クローザを備え、外部通信インターフェース(9)とつながれていることを特徴とする、請求項3に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記スイッチ(6)の制御機構が、外部通信インターフェース(8)とつながれており、前記スイッチ(6)が、特に前記接続の両極用のライン・スイッチまたはコンタクタとして構成されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記燃料電池スタック(2)と前記高電圧バッテリ(3)の電圧を検出するための機器(10、11)が提供されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記スイッチ(6)の制御機構、または通信インターフェース(12)につながれた外部制御機構が、前記燃料電池スタック(2)と前記高電圧バッテリ(3)の電圧を検出するための前記機器(10、11)によって検出された前記電圧に応じて前記スイッチ(6)を作動させるように設計されていることを特徴とする、請求項5または6に記載の装置(1)。
【請求項8】
前記燃料電池システムの補助ユニットのための、少なくとも1つのヒューズを介して保護される少なくとも1つの電気接続部(14)が、前記ダイオード(7)と前記高電圧バッテリ(3)との間に提供されており、消費機器(5)が、前記装置(1)のバッテリ接続部を介してつながれていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の装置(1)を動作させる方法において、
一方では前記少なくとも1つの燃料電池スタック(2)の、他方では前記少なくとも1つの高電圧バッテリ(3)の電圧に応じて前記スイッチ(6)が制御されることを特徴とする、前記方法。
【請求項10】
前記燃料電池スタック(2)の前記電圧が前記高電圧バッテリ(3)の前記電圧に達する前に前記スイッチ(6)が閉じられることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部により詳細に定義されるタイプの燃料電池システムにおいて少なくとも1つの燃料電池スタックと少なくとも1つの高電圧バッテリとを電気的に相互接続するための装置に関する。さらに、本発明は、そのような装置を動作させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムにおけるエネルギーの分配は、通常、少なくとも1つの直流コンバータまたはDC/DCコンバータを備えるいわゆる燃料電池インターフェース(Fuel Cell Interface)を介して行われる。これらのインターフェースは、多くの場合、燃料電池またはそのハウジング自体の領域に設けられる。基本的には、そのような構造は、特許文献1から知られている。これに関連して、さらに特許文献2も参照することができる。
【特許文献1】DE10006781A1
【特許文献2】US2015/0295401A1
【0003】
そのような燃料電池インターフェースを備えた、安全面で最適化された電力システムが、特許文献3に記載されている。ここで、直流コンバータの後ろに、したがって直流コンバータとバッテリとの間に、バッテリ保護スイッチによるバッテリの緊急遮断機構が実現される。燃料電池自体は、直流コンバータの反対側に配置されており、緊急放電機器を備える。
【特許文献3】DE102018213159A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、本発明の課題は、基本的に従来技術から基本的に知られている燃料電池インターフェース(FCI)のこの構造をさらに簡略化することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、この課題は、請求項1の特徴、ここでは特に請求項1の特徴部の特徴を備えた装置によって解決される。装置の有利な形態およびさらなる発展形態は、それに従属する従属請求項から得られる。
【0006】
本発明による装置は、高電圧バッテリと燃料電池スタックとの相互接続において、昇圧コンバータ/降圧コンバータとしての、従来技術で述べられている通常のDC/DCコンバータを不要にする。高電圧バッテリから燃料電池スタックへの電流の流れを阻止する少なくとも1つのダイオードによって、および高電圧バッテリと燃料電池スタックとの接続のための少なくとも1つのスイッチ、特にコンタクタによって、単純な燃料電池電力インターフェースを実現することができる。本発明による装置または燃料電池電力インターフェースは、コンバータもプリチャージ回路も必要とされない非常に費用対効果の高い方法で上述の課題を解決する。さらに、コンバータを省くことにより、コンバータ使用時に避けることができない、燃料電池スタックに作用する電流リップルが生じない。電流リップルは燃料電池スタックに多大な負担をかけるので、DC/DCコンバータをなくすことにより、燃料電池スタックの寿命も長くなる。さらに、コンバータを省くことにより、配電効率を比較的低くすることができる。したがって、全体の効率を向上させることができる。
【0007】
本発明による装置の非常に簡単な相互接続は、燃料電池スタックの効率および寿命の増加に加えて、現在の概念および実装と比較した重量の低減と、一意のインターフェースとを可能にし、燃料電池スタックを適合させる際の労力が軽減される。さらに、DC/DCコンバータをなくすことにより、設置スペース削減およびコスト削減を達成することができる。
【0008】
本発明は、重量、コスト、および設置スペースの削減の面でも、本発明による燃料電池電力インターフェースを備えた燃料電池システムの効率および寿命の向上の面でも、非常に強い競争力を持つという利点を実現する。したがって、本発明の非常に有利な発展形態は、相互接続がコンバータなしで行われることを企図する。
【0009】
本発明による装置は、トラック用途と定置型燃料電池システムとの両方に適している。特に、トラックなどの移動システムで使用される場合、非常に有利な発展形態によれば、少なくとも1つの燃料電池スタックのための緊急停止機器が提供されることが企図され得る。そのような緊急停止機器により、例えば事故の際に、燃料電池スタックが高電圧バッテリから切り離され、好ましくは短絡されて、危険を及ぼさないようにすることができる。
【0010】
緊急停止機器は、本発明による装置において、非常に有利な発展形態によれば、火工式クローザとして構成されていてもよく、または火工式クローザを含んでもよく、外部通信インターフェースと接続されていてもよい。そのような火工式クローザは、例えば、この装置を搭載した車両の衝突センサと接続することができる。事故の際、例えばエア・バッグが発動した場合などに、このセンサ・システムを介して、同時に、上述の有利な発展形態における本発明による装置に信号を送信して火工式クローザを発動させ、燃料電池スタックの極を接続し、したがって短絡させることができる。
【0011】
ここで、本発明による装置のさらに非常に有利な形態は、スイッチの制御機構が外部通信インターフェースと接続されており、スイッチが特にライン・スイッチまたはコンタクタとして構成されていることを企図する。この接続は、特に、上述の形態における火工式クローザの接続とは異なるものでもよい。ここで、このスイッチは、典型的にはコンタクタとして構成されたバッテリ保護スイッチとして実現され、外部通信インターフェースの制御信号に応じて電気接続の両極を接続および切断する。
【0012】
ここで、本発明による装置の特に好ましい形態は、燃料電池スタックと高電圧バッテリの電圧を検出するための機器を企図する。それぞれスイッチの燃料電池スタック側および高電圧バッテリ側に配置されたこれらの機器により、スイッチが開いているときに燃料電池スタックと高電圧バッテリの電圧を互いに独立して検出することができる。さらに、電流計を装置の一部にすることもできる。
【0013】
ここで、この構造において、非常に有利な発展形態によれば、スイッチの制御機構、または通信インターフェースによって接続された外部制御機構が、燃料電池スタックと高電圧バッテリの電圧を検出するための機器によって検出された電圧に応じてスイッチを作動させるように設計されていることが企図されていてもよい。電圧は、最終的にスイッチの制御に使用され、これはまた、それに応じて制御をシンプルかつ効率的にする。
【0014】
ここで、本発明による装置のさらなる非常に有利な形態は、さらに、燃料電池システムの補助ユニット、すなわち例えば空気用搬送機構や水素再循環ブロワなどのための、ヒューズを介して保護された少なくとも1つの電気接続部が、ダイオードとバッテリ接続部との間に提供されていることも企図し、したがって、装置を介してこれらのコンポーネントにも直接電力を供給し、装置にあるヒューズによって保護することができる。有利な実施形態によれば、構造を単純かつコンパクトに保つために、消費機器自体が、バッテリ接続部を介して、または高電圧バッテリに並列に接続されてもよい。
【0015】
ここで、装置全体は、特に燃料電池、すなわち燃料電池スタックに取り付けられるように構成された共通のハウジングに統合することができる。したがって、燃料電池電力インターフェースは、燃料電池スタックの構造、特にそのハウジングに組み込まれ、したがってケーブル配線作業の労力を軽減し、本発明による装置によって単一の効率的なインターフェース・モジュールを実現する。
【0016】
ここで、本発明による方法は、上述の構成のいずれかでそのような装置を動作させるのに役立つ。ここで、本発明によれば、一方では少なくとも1つの燃料電池スタック、他方では少なくとも1つの高電圧バッテリの電圧に応じてスイッチが制御されることが企図される。ここで、通常でもいずれにせよ測定されるこれらの電圧が、非常に簡単で効率的な制御の実施を可能にする。
【0017】
ここで、本方法の非常に好ましい形態によれば、燃料電池スタックの電圧が高電圧バッテリの電圧に達する前にスイッチが閉じられることが企図されていてもよい。ここで、ダイオードにより、燃料電池スタックの方向への電流の流れが妨げられる。燃料電池スタックの電圧が上昇すると、電流が、高電圧バッテリまたは消費機器に流れ始める。ダイオードによる燃料電池スタックの保護により、高電圧中間回路のプリチャージを省くことができる。本発明による装置による単純な相互接続は、簡単な自己調整システムをもたらす。
【0018】
本発明による装置およびその動作方法のさらなる有利な形態も例示的実施形態から得られ、これについては、図面を参照して以下でより詳細に述べる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明による装置の取り得る構造を示す図である。
【
図2】想定される構造における電流の流れを非常に簡略化して示す図である。
【
図3】想定される構造の極曲線プロファイルを示す図である。
【
図5】第3および第4のシナリオの表を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
装置1は、燃料電池電力インターフェースとして機能し、
図1の図示を参照すると、示唆される燃料電池スタック2と、参照番号3で示される高電圧バッテリとの間に配置される。装置1は、特に、ここには具体的には示されておらず単に示唆されているハウジング4内に配置することができ、ハウジング4は、特に、燃料電池スタック2に接続されるように設計されている。燃料電池電力インターフェースとしての装置1は、トラック用途、およびまた定置型燃料電池システムにも適している。現況技術とは対照的に、この新規の概念では、燃料電池スタック2と高電圧バッテリ3との間の電圧を変換するためにDC/DCコンバータ(昇圧コンバータ)は使用されない。
【0021】
費用対効果が高く省スペースの燃料電池電力インターフェースとしての装置1は、燃料電池スタック2を高電圧バッテリ3に効率的に接続して、高電圧バッテリ3を充電することができ、または、ここで消費機器もしくは主消費機器5として示される用途に電流を供給することができる。
図1による燃料電池電力インターフェースは、スイッチ6、特にバッテリ安全スイッチを含み、これは、燃料電池スタック2と高電圧バッテリ3との間の接続の両極を切り替えるためのコンタクタから形成される。さらに、燃料電池電力インターフェースは、少なくとも1つのダイオード7と、補助ユニットの外部電源用の接続部14とを含む。これらは、詳細には図示していない装置1内のヒューズを介して保護されている。さらに、外部通信用に2つのインターフェース8、9が設けられている。さらに、燃料電池スタック2側および高電圧バッテリ3側それぞれの電圧を検出する機器10、11と、電流計12とが存在する。
【0022】
移動用途の場合、装置1は、緊急停止機器13として火工式ロック機器をさらに含む。火工式ロック機器は、事故時に高電圧バッテリ3を燃料電池スタック2から切り離す必要があるとき、燃料電池スタック2用の回路を短絡させるために必要とされる。緊急停止機器13は、外部通信インターフェース9の1つと接続し、例えばエア・バッグを発動するための信号の発生時に、外部通信インターフェース9を介して制御することができる。
【0023】
スイッチ6は、それぞれ一方の極と他方の極とに関する2つの同期スイッチング・スイッチまたはコンタクタの形で構成されている。以下ではこれらを「1つの」スイッチ6として表すが、各場合に両方を意味している。スイッチ6は、燃料電池スタック2の始動時に高電圧バッテリ3をオンに切り替えるために必要とされる。ダイオード7は、燃料電池スタック2に電流が逆流しないようにして、燃料電池スタック2を保護する。
【0024】
燃料電池スタック2側の電圧が高電圧バッテリ3側の電圧よりも低い限り、スイッチ6は閉止されている。ここで、ダイオード7は、燃料電池スタック2を負電流から保護する。燃料電池スタック2側の電圧が上昇されたときにのみ、高電圧バッテリ3または消費機器5への電流が流れる。ダイオード7によって燃料電池スタック2を保護することにより、HV中間回路のプリチャージを省くことができる。
【0025】
装置1の燃料電池電力インターフェースを介した燃料電池スタック2と高電圧バッテリ3との相互接続により、自己調整燃料電池システムが得られる。消費機器を備える燃料電池システムの自己調整を、トラック用途の例で以下に示す。
【0026】
ここで、短期最大出力が400kWであり、一定の内部抵抗が80mOhmである高電圧バッテリ3を想定する。想定される駆動ユニットは、2つの駆動機構を含み、それぞれ、230kWの連続電力(合計460kW)と、330kWのピーク電力(合計660kW)とを備える。燃料電池スタック2として、それぞれ245個の個別の燃料電池を備えた2つの直列接続された燃料電池スタックが想定される。これに関し、以下で、4つの異なるシナリオを考察する。
【0027】
第1のシナリオは、燃料電池システムで動作する、80~100km/hの一定速度でのトラックを述べる。このために、トラックは、約120kWの駆動電力を有する駆動ユニットを1つ必要とする。理解を容易にするために、
図2に、電流の流れiが非常に単純化して示されている。電流i
2は、燃料電池スタック2からの電流を表し、電流i
3は、充電されているか放電されているかに応じて、高電圧バッテリ3からの、または高電圧バッテリ3への電流を表し、電流i
5は、消費機器5への電流を表す。示されている円Vは、それぞれ関連する電圧を表す。
図3は、2つの直列接続された燃料電池スタック2を有する想定された構造の極曲線プロファイルを示す。極曲線は、参照番号15で表される。さらに、高電圧バッテリ3の3つの簡略化された特性曲線16が、異なる充電状態で示されている。ここで、参照番号16.1を有するバッテリ特性曲線は、10%の充電レベルを表し、参照番号16.5を有するバッテリ特性曲線は、50%の充電レベルを表し、参照番号16.9を有するバッテリ特性曲線は、90%の充電レベルを表す。特性曲線16は、高電圧バッテリ3が、グラフの右側で充電され、グラフの左側で消費機器5に電力を供給するように示されている。対応する120kWの電力を駆動機構に供給するために、
図3に従って以下の状態が発生する。
【0028】
高電圧バッテリ3の充電レベルが90%であるとき、740Vの電圧が発生する。ここで、消費機器によって使用される電力120kWは、高電圧バッテリ3から供給される40kWと、燃料電池スタック2から供給される80kWとから得られる。これは
図4の表に示されている。高電圧バッテリ3の充電レベルが50%のとき、電圧は685Vである。ここで、高電圧バッテリ3は80kWで充電され、これは、燃料電池スタック2が200kWを発生することを意味する。10%の充電レベルでは、電圧は610Vである。ここで、高電圧バッテリの充電電力は190kWとなる。したがって、高電圧バッテリ3の充電は自動的に調整される。高電圧バッテリ3が低い充電電力を有する場合、高電圧バッテリ3は、燃料電池スタック2によって高い電力を供給される。高電圧バッテリ3の充電レベルが増加すると、燃料電池スタック2は、その発生電力を減少する。燃料電池スタック2が電力を減少することにより、その効率、そして最終的にはその寿命も同時に増加する。
図4の表は、これら3つの状態を明確に示している。
【0029】
第2のシナリオでは、トラックが停止している。したがって、駆動機構はエネルギーを消費せず、燃料電池スタック2の全エネルギーを、高電圧バッテリ3を充電するために使用することができる。
図3のグラフでは、ゼロ線の右である。ここでは、表は省略した。90%の充電レベルでは、約750Vの電圧が発生し、これにより、高電圧バッテリ3は約70kWで充電される。高電圧バッテリ3が50%の充電レベルを有する場合、690Vの電圧が発生し、高電圧バッテリ3は180kWで充電される。10%のかなり低い充電レベルでは、約620Vの電圧が発生し、高電圧バッテリ3は280kWで充電される。
【0030】
第3のシナリオは、駆動機構の連続出力での460kWの消費量について、第4のシナリオは、駆動機構のピーク電力に関する660kWについて述べる。シナリオ3と4の両方を
図5の表にまとめて示す。
【0031】
ここで、シナリオ3では、高電圧バッテリ3の充電レベルが低い場合、ここでは特に10%の充電レベルの場合にのみ、連続電力を完全には引き出すことができないことに留意されたい。シナリオ4では、高電圧バッテリ3の充電レベルが50%である場合にのみ、660kWの最大電力を引き出すことができることを示す。一方、高電圧バッテリ3の充電レベルが高すぎたり低すぎたりすると、燃料電池システムの最大性能が制限される。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの燃料電池スタック(2)と少なくとも1つの高電圧バッテリ(3)とを電気的に相互接続するための装置(1)であって、前記高電圧バッテリ(3)の側につながれている消費機器に電力を供給するための、前記装置(1)において、
前記燃料電池スタック(2)と前記高電圧バッテリ(3)とが、前記燃料電池スタック(2)の方向への電流の流れを阻止する少なくとも1つのダイオード(7)、および前記接続の開閉のための少なくとも1つのスイッチ(6)、を介して互いに相互接続され
、および
前記相互接続が、コンバータなしで行われる、前記装置(1)。
【請求項2】
緊急停止機器(13)が、前記少なくとも1つの燃料電池スタック(2)のために提供されることを特徴とする、請求項
1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記緊急停止機器(13)が、火工式クローザを備え、外部通信インターフェース(9)とつながれていることを特徴とする、請求項
2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記スイッチ(6)の制御機構が、外部通信インターフェース(8)とつながれており、前記スイッチ(6)が、特に前記接続の両極用のライン・スイッチまたはコンタクタとして構成されていることを特徴とする、請求項1から
3のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記燃料電池スタック(2)と前記高電圧バッテリ(3)の電圧を検出するための機器(10、11)が提供されることを特徴とする、請求項1から
3のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記燃料電池スタック(2)と前記高電圧バッテリ(3)の電圧を検出するための機器(10、11)が提供されること、および
前記スイッチ(6)の前記制御機構、または通信インターフェース(12)につながれた外部制御機構が、前記燃料電池スタック(2)と前記高電圧バッテリ(3)の電圧を検出するための前記機器(10、11)によって検出された前記電圧に応じて前記スイッチ(6)を作動させるように設計されていることを特徴とする、請求項
4に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記燃料電池システムの補助ユニットのための、少なくとも1つのヒューズを介して保護される少なくとも1つの電気接続部(14)が、前記ダイオード(7)と前記高電圧バッテリ(3)との間に提供されており、消費機器(5)が、前記装置(1)のバッテリ接続部を介してつながれていることを特徴とする、請求項1から
3のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項8】
請求項1から
3のいずれか一項に記載の装置(1)を動作させる方法において、
一方では前記少なくとも1つの燃料電池スタック(2)の、他方では前記少なくとも1つの高電圧バッテリ(3)の電圧に応じて前記スイッチ(6)が制御されることを特徴とする、前記方法。
【請求項9】
前記燃料電池スタック(2)の前記電圧が前記高電圧バッテリ(3)の前記電圧に達する前に前記スイッチ(6)が閉じられることを特徴とする、請求項
8に記載の方法。
【国際調査報告】