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特表2024-523184内部圧力センサを使用して心臓内血液ポンプの外部の圧力を導出するシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】内部圧力センサを使用して心臓内血液ポンプの外部の圧力を導出するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 60/174 20210101AFI20240621BHJP
   A61M 60/237 20210101ALI20240621BHJP
   A61M 60/531 20210101ALI20240621BHJP
   A61M 60/411 20210101ALI20240621BHJP
【FI】
A61M60/174
A61M60/237
A61M60/531
A61M60/411
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574651
(86)(22)【出願日】2022-06-24
(85)【翻訳文提出日】2024-01-31
(86)【国際出願番号】 US2022034862
(87)【国際公開番号】W WO2023278263
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】63/216,883
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510121444
【氏名又は名称】アビオメド インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ボエンシュ,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】トゼレン,ジェム
(72)【発明者】
【氏名】アイアー,アジャイ
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA04
4C077DD21
4C077FF04
4C077HH03
4C077HH09
4C077HH13
4C077JJ08
4C077JJ19
4C077JJ28
4C077PP14
(57)【要約】
心臓内血液ポンプアセンブリの血液入口及び血液出口の外側の圧力、並びに当該圧力の間の圧力差を導出するためのシステム及び方法。血液入口の外側の圧力は、血液入口内に配置された圧力センサからの1つ以上の読み取り値、ポンプハウジング又はカニューレの壁の前後の圧力差を測定するように構成された差圧センサからの1つ以上の読み取り値、及びポンプモータの速度に基づいて導出され得る。血液入口と血液出口との間の圧力差は、差圧センサからの1つ以上の読み取り値、及びポンプモータの速度に基づいて導出され得る。血液出口の外側の圧力は、血液入口の外側の導出された圧力、及び血液入口と血液出口との間の導出された圧力差に基づいて導出され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓内血液ポンプシステムであって、
心臓内血液ポンプアセンブリであって、
モータと、
血液入口と、
血液出口と、
前記血液入口と前記血液出口との間に位置決めされたカニューレと、
前記カニューレと流体連通しているポンプハウジングと、
前記ポンプハウジング内に位置決めされており、前記モータによって回転駆動されるように構成された、インペラと、
前記ポンプハウジング又は前記カニューレの壁の前後の圧力差を測定するように構成された、第1の圧力センサと、
前記血液入口又は前記ポンプハウジング内に位置決めされており、前記血液入口又はポンプハウジング内の圧力を測定するように構成された、第2の圧力センサと、を備える、心臓内血液ポンプアセンブリと、
コントローラであって、
メモリと、
1つ以上のプロセッサであって、前記メモリに結合されており、
前記モータの速度、前記第1の圧力センサの出力、及び前記第2の圧力センサの出力を決定することと、
前記モータの決定された前記速度、前記第1の圧力センサの決定された前記出力、及び第1のデータに基づいて、第1のオフセット値を決定することであって、前記第1のデータが、複数のモータ速度のうちの各所与のモータ速度について、第1の複数の差圧値を第1の複数のオフセット値に相関させることと、
前記第2の圧力センサの決定された前記出力及び前記第1のオフセット値に基づいて、第1の圧力値を決定することであって、前記第1の圧力値が、前記血液入口の外側の圧力の推定値を表すことと、を行うように構成されている、1つ以上のプロセッサと、を備える、コントローラと、を備える、心臓内血液ポンプシステム。
【請求項2】
前記1つ以上のプロセッサが、
前記モータの決定された前記速度、前記第1の圧力センサの決定された前記出力、及び第2のデータに基づいて、第2のオフセット値を決定することであって、前記第2のデータが、前記第1のデータとは異なり、複数のモータ速度のうちの各所与のモータ速度について、第2の複数の差圧値を第2の複数のオフセット値に相関させることと、
前記第1の圧力センサの決定された前記出力及び前記第2のオフセット値に基づいて、第2の圧力値を決定することであって、前記第2の圧力値が、前記血液入口の外側の圧力と前記血液出口の外側の圧力との間の差の推定値を表すことと、を行うように更に構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記1つ以上のプロセッサが、前記第1の圧力値及び前記第2の圧力値に基づいて、第3の圧力値を決定するように更に構成されており、前記第3の圧力値が、前記血液出口の外側の前記圧力の推定値を表す、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記心臓内血液ポンプアセンブリが、患者の右心内で使用するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記心臓内血液ポンプアセンブリが、患者の左心内で使用するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記心臓内血液ポンプアセンブリが、
細長いカテーテルと、
前記細長いカテーテルの遠位端と前記血液入口の近位端との間に位置決めされたモータハウジングであって、前記モータを収容し、患者に挿入されるように構成された、モータハウジングと、を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記心臓内血液ポンプアセンブリが、細長いカテーテルを更に備え、前記モータが、前記モータが患者の外側に留まりながら、前記細長いカテーテルを通って延在する駆動シャフトを介して前記インペラを駆動するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
心臓内血液ポンプシステムを動作させるための方法であって、
心臓内血液ポンプアセンブリの一部分を患者の心臓に挿入することであって、前記心臓内血液ポンプアセンブリが、
モータと、
血液入口と、
血液出口と、
前記血液入口と前記血液出口との間に位置決めされたカニューレと、
前記カニューレと流体連通しているポンプハウジングと、
前記ポンプハウジング内に位置決めされており、前記モータによって回転駆動されるように構成された、インペラと、
前記ポンプハウジング又は前記カニューレの壁の前後の圧力差を測定するように構成された、第1の圧力センサと、
前記血液入口又は前記ポンプハウジング内に位置決めされており、前記血液入口又はポンプハウジング内の圧力を測定するように構成された、第2の圧力センサと、を備えることと、
血液を前記血液入口から前記血液出口へ圧送するように前記心臓内血液ポンプアセンブリを動作させることと、
コントローラの1つ以上のプロセッサによって、前記モータの速度、前記第1の圧力センサの出力、及び前記第2の圧力センサの出力を決定することと、
前記1つ以上のプロセッサによって、前記モータの決定された前記速度、前記第1の圧力センサの決定された前記出力、及び第1のデータに基づいて、第1のオフセット値を決定することであって、前記第1のデータが、複数のモータ速度のうちの各所与のモータ速度について、第1の複数の差圧値を第1の複数のオフセット値に相関させることと、
前記1つ以上のプロセッサによって、前記第2の圧力センサの決定された前記出力及び前記第1のオフセット値に基づいて、第1の圧力値を決定することであって、前記第1の圧力値が、前記血液入口の外側の圧力の推定値を表すことと、を含む、方法。
【請求項9】
心臓内血液ポンプアセンブリの前記一部分を患者の心臓に挿入することが、前記血液入口を前記患者の下大静脈内に位置決めし、前記血液出口を前記患者の肺動脈内に位置決めすることを含み、
前記第1の圧力値が、前記患者の中心静脈圧の推定値を表す、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
心臓内血液ポンプアセンブリの前記一部分を患者の心臓に挿入することが、前記血液入口を前記患者の左心室内に位置決めし、前記血液出口を前記患者の上行大動脈内に位置決めすることを含み、
前記第1の圧力値が、前記患者の左心室圧の推定値を表す、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記1つ以上のプロセッサによって、前記モータの決定された前記速度、前記第1の圧力センサの決定された前記出力、及び第2のデータに基づいて、第2のオフセット値を決定することであって、前記第2のデータが、前記第1のデータとは異なり、複数のモータ速度のうちの各所与のモータ速度について、第2の複数の差圧値を第2の複数のオフセット値に相関させることと、
前記1つ以上のプロセッサによって、前記第1の圧力センサの決定された前記出力及び前記第2のオフセット値に基づいて、第2の圧力値を決定することであって、前記第2の圧力値が、前記血液入口の外側の圧力と前記血液出口の外側の圧力との間の差の推定値を表すことと、
を更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記1つ以上のプロセッサによって、前記第1の圧力値及び前記第2の圧力値に基づいて、第3の圧力値を決定することを更に含み、前記第3の圧力値が、前記血液出口の外側の前記圧力の推定値を表す、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
心臓内血液ポンプアセンブリの前記一部分を患者の心臓に挿入することが、前記血液入口を前記患者の下大静脈内に位置決めし、前記血液出口を前記患者の肺動脈内に位置決めすることを含み、
前記第3の圧力値が、前記患者の肺動脈圧の推定値を表す、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
心臓内血液ポンプアセンブリの前記一部分を患者の心臓に挿入することが、前記血液入口を前記患者の左心室内に位置決めし、前記血液出口を前記患者の上行大動脈内に位置決めすることを含み、
前記第1の圧力値が、前記患者の中心大動脈圧の推定値を表す、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記心臓内血液ポンプアセンブリが、
細長いカテーテルと、
前記細長いカテーテルの遠位端と前記血液入口の近位端との間に位置決めされており、前記モータを収容するように構成された、モータハウジングと、を更に備え、
心臓内血液ポンプアセンブリの一部分を患者の心臓に挿入することが、前記モータハウジングを前記患者に挿入することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項16】
前記心臓内血液ポンプアセンブリが、細長いカテーテルを更に備え、
血液を前記血液入口から前記血液出口へ圧送するように前記心臓内血液ポンプアセンブリを動作させることが、前記モータが患者の外側に留まりながら、前記細長いカテーテルを通って延在する駆動シャフトを介して前記インペラを駆動することを含む、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年6月30日に出願された米国仮特許出願第63/216,883号の優先権を主張し、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
心臓内血液ポンプアセンブリは、外科的又は経皮的のいずれかで心臓内に導入され、心臓又は循環系内の1つの場所から心臓又は循環系内の別の場所に血液を送達するために使用されることができる。例えば、心臓内血液ポンプは、左心に配置されると、心臓の左心室から大動脈に血液を圧送することができる。同様に、心臓内血液ポンプは、右心に配置されると、下大静脈から肺動脈へ血液を圧送することができる。心臓内ポンプは、細長い駆動シャフト(若しくは駆動ケーブル)を介して、患者の体外に位置するモータによって、又は患者の体内に位置するオンボードモータによって電力を供給され得る。いくつかの心臓内血液ポンプシステムは、心拍出量を補完し、心臓の構成要素を部分的又は完全にアンロードするために、天然心臓と並行して動作することができる。このようなシステムの例としては、IMPELLA(登録商標)ファミリーのデバイス(Abiomed,Inc.,Danvers Mass.)が挙げられる。
【発明の概要】
【0003】
本技術は、心臓内血液ポンプアセンブリの血液入口の外側及び/若しくは血液出口の外側の圧力、又は当該圧力の間の圧力差を導出するためのシステム及び方法に関する。その点に関して、本技術は、血液入口内に配置された圧力センサからの1つ以上の読み取り値、ポンプハウジング又はカニューレの壁の前後の圧力差を測定するように構成された差圧センサからの1つ以上の読み取り値、及びポンプモータの速度に基づいて、血液入口の外側の圧力が導出されることを可能にする。同様に、本技術は、差圧センサからの1つ以上の読み取り値、及びポンプモータの速度に基づいて、血液入口と血液出口との間の圧力差が導出されることを可能にする。更に、血液出口の外側の圧力は、血液入口の外側の導出された圧力、及び血液入口と血液出口との間の導出された圧力差に基づいて導出され得る。これらの導出された圧力は、患者の心臓内の所望の位置における心臓内血液ポンプアセンブリの配置を確認すること、及び心臓機能を監視することなど、種々の目的のために使用され得る。その上、本明細書に説明されるシステム及び方法は、入口及び出口圧力が、ポンプハウジング内に配置された圧力センサから導出されることを可能にするという利点を提供し、センサはまた、カニューレの捩れ及び/又は血栓などのポンプ内の障害物の存在を示し得る、吸引の変化を監視するために使用されることができる。
【0004】
一態様では、本開示は、心臓内血液ポンプアセンブリとコントローラとを備える、心臓内血液ポンプシステムを説明する。心臓内血液ポンプアセンブリは、モータと、血液入口と、血液出口と、血液入口と血液出口との間に位置決めされたカニューレと、カニューレと流体連通しているポンプハウジングと、ポンプハウジング内に位置決めされており、モータによって回転駆動されるように構成された、インペラと、ポンプハウジング又はカニューレの壁の前後の圧力差を測定するように構成された、第1の圧力センサと、血液入口又はポンプハウジング内に位置決めされており、血液入口又はポンプハウジング内の圧力を測定するように構成された、第2の圧力センサと、を備える。コントローラは、メモリと、1つ以上のプロセッサであって、メモリに結合されており、モータの速度、第1の圧力センサの出力、及び第2の圧力センサの出力を決定することと、モータの決定された速度、第1の圧力センサの決定された出力、及び第1のデータに基づいて、第1のオフセット値を決定することであって、第1のデータは、複数のモータ速度のうちの各所与のモータ速度について、第1の複数の差圧値を第1の複数のオフセット値に相関させる、決定することと、第2の圧力センサの決定された出力及び第1のオフセット値に基づいて、第1の圧力値を決定することであって、第1の圧力値は、血液入口の外側の圧力の推定値を表す、決定することと、を行うように構成されている、1つ以上のプロセッサと、を備える。いくつかの態様では、1つ以上のプロセッサは、モータの決定された速度、第1の圧力センサの決定された出力、及び第2のデータに基づいて、第2のオフセット値を決定することであって、第2のデータは、第1のデータとは異なり、複数のモータ速度のうちの各所与のモータ速度について、第2の複数の差圧値を第2の複数のオフセット値に相関させる、決定することと、第1の圧力センサの決定された出力及び第2のオフセット値に基づいて、第2の圧力値を決定することであって、第2の圧力値は、血液入口の外側の圧力と血液出口の外側の圧力との間の差の推定値を表す、決定することと、を行うように更に構成されている。いくつかの態様では、1つ以上のプロセッサは、第1の圧力値及び第2の圧力値に基づいて第3の圧力値を決定するように更に構成されており、第3の圧力値は、血液出口の外側の圧力の推定値を表す。いくつかの態様では、心臓内血液ポンプアセンブリは、患者の右心内で使用するように構成されている。いくつかの態様では、心臓内血液ポンプアセンブリは、患者の左心内で使用するように構成されている。いくつかの態様では、心臓内血液ポンプアセンブリは、細長いカテーテルと、細長いカテーテルの遠位端と血液入口の近位端との間に位置決めされたモータハウジングであって、モータを収容し、患者に挿入されるように構成された、モータハウジングと、を更に備える。いくつかの態様では、心臓内血液ポンプアセンブリは、細長いカテーテルを更に備え、モータは、モータが患者の外側に留まりながら、細長いカテーテルを通って延在する駆動シャフトを介してインペラを駆動するように構成されている。
【0005】
別の態様では、本開示は、心臓内血液ポンプシステムを動作させるための方法であって、(a)心臓内血液ポンプアセンブリの一部分を患者の心臓に挿入することであって、心臓内血液ポンプアセンブリは、モータと、血液入口と、血液出口と、血液入口と血液出口との間に位置決めされたカニューレと、カニューレと流体連通しているポンプハウジングと、ポンプハウジング内に位置決めされており、モータによって回転駆動されるように構成された、インペラと、ポンプハウジング又はカニューレの壁の前後の圧力差を測定するように構成された、第1の圧力センサと、血液入口又はポンプハウジング内に位置決めされており、血液入口又はポンプハウジング内の圧力を測定するように構成された、第2の圧力センサと、を備える、挿入することと、(b)血液を血液入口から血液出口へ圧送するように心臓内血液ポンプアセンブリを動作させることと、(c)コントローラの1つ以上のプロセッサによって、モータの速度、第1の圧力センサの出力、及び第2の圧力センサの出力を決定することと、(d)1つ以上のプロセッサによって、モータの決定された速度、第1の圧力センサの決定された出力、及び第1のデータに基づいて、第1のオフセット値を決定することであって、第1のデータは、複数のモータ速度のうちの各所与のモータ速度について、第1の複数の差圧値を第1の複数のオフセット値に相関させる、決定することと、(e)1つ以上のプロセッサによって、第2の圧力センサの決定された出力及び第1のオフセット値に基づいて、第1の圧力値を決定することであって、第1の圧力値は、血液入口の外側の圧力の推定値を表す、決定することと、を含む、方法を説明する。いくつかの態様では、心臓内血液ポンプアセンブリの一部分を患者の心臓に挿入することは、血液入口を患者の下大静脈内に位置決めし、血液出口を患者の肺動脈内に位置決めすることを含み、第1の圧力値は、患者の中心静脈圧の推定値を表す。いくつかの態様では、心臓内血液ポンプアセンブリの一部分を患者の心臓に挿入することは、血液入口を患者の左心室内に位置決めし、血液出口を患者の上行大動脈内に位置決めすることを含み、第1の圧力値は、患者の左心室圧の推定値を表す。いくつかの態様では、本方法は、(f)1つ以上のプロセッサによって、モータの決定された速度、第1の圧力センサの決定された出力、及び第2のデータに基づいて、第2のオフセット値を決定することであって、第2のデータは、第1のデータとは異なり、複数のモータ速度のうちの各所与のモータ速度について、第2の複数の差圧値を第2の複数のオフセット値に相関させる、決定することと、(g)1つ以上のプロセッサによって、第1の圧力センサの決定された出力及び第2のオフセット値に基づいて、第2の圧力値を決定することであって、第2の圧力値は、血液入口の外側の圧力と血液出口の外側の圧力との間の差の推定値を表す、決定することと、を更に含む。いくつかの態様では、本方法は、(h)1つ以上のプロセッサによって、第1の圧力値及び第2の圧力値に基づいて、第3の圧力値を決定することを更に含み、第3の圧力値は、血液出口の外側の圧力の推定値を表す。いくつかの態様では、心臓内血液ポンプアセンブリの一部分を患者の心臓に挿入することが、血液入口を患者の下大静脈内に位置決めし、血液出口を患者の肺動脈内に位置決めすることを含み、第3の圧力値は、患者の肺動脈圧の推定値を表す。いくつかの態様では、心臓内血液ポンプアセンブリの一部分を患者の心臓に挿入することが、血液入口を患者の左心室内に位置決めし、血液出口を患者の上行大動脈内に位置決めすることを含み、第1の圧力値は、患者の中心大動脈圧の推定値を表す。いくつかの態様では、心臓内血液ポンプアセンブリは、細長いカテーテルと、細長いカテーテルの遠位端と血液入口の近位端との間に位置決めされており、モータを収容するように構成された、モータハウジングと、を更に備え、心臓内血液ポンプアセンブリの一部分を患者の心臓に挿入することは、モータハウジングを患者に挿入することを含む。いくつかの態様では、心臓内血液ポンプアセンブリは、細長いカテーテルを更に備え、血液を血液入口から血液出口へ圧送するように心臓内血液ポンプアセンブリを動作させることは、モータが患者の外側に留まりながら、細長いカテーテルを通って延在する駆動シャフトを介してインペラを駆動することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本開示の態様による、左心支持のために構成された例示的な心臓内血液ポンプアセンブリを示す。
図2】本開示の態様による、右心支持のために構成された例示的な心臓内血液ポンプアセンブリを示す。
図3】本開示の態様による、例示的なシステムの機能ブロック図である。
図4】本開示の態様による、図3の差圧センサ及び入口圧力センサの例示的な配置を伴う、図2の心臓内血液ポンプアセンブリの一部の断面図を示す。
図5】本開示の態様による、心臓内血液ポンプアセンブリの血液流入ケージの外側の点における圧力を決定するための例示的な方法の流れ図である。
図6】本開示の態様による、例示的な入口圧力オフセット曲線のセットを示すチャートである。
図7】本開示の態様による、心臓内血液ポンプアセンブリの血液流入ケージの外側の点と血液流出ケージの外側の点との間の外部圧力差を決定するための例示的な方法の流れ図である。
図8A】本開示の態様による、例示的な外部差圧オフセット曲線のセットを示すチャートである。
図8B】本開示の態様による、例示的な外部差圧オフセット曲線のセットを示すチャートである。
図9】本開示の態様による、心臓内血液ポンプアセンブリの血液流出ケージの外側の点における圧力を決定するための例示的な方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示の実施形態は、同様の参照番号が類似又は同一の要素を識別する図面を参照して詳細に説明される。開示される実施形態は、様々な形態で具現化され得る本開示の単なる例であることを理解されたい。周知の機能又は構造は、不必要な詳細で本開示を不明瞭にすることを回避するために詳細に説明されない。したがって、本明細書で開示される特定の構造及び機能の詳細は、限定として解釈されるべきではなく、請求項の単なる根拠として、及び実質的に任意の適切に詳述された構造で本開示を様々に採用するために当業者を教示するための代表的な根拠として解釈されるべきである。
【0008】
本明細書で説明されるシステム、方法、及びデバイスの全体的な理解を提供するために、いくつかの例示的な例が説明される。様々な例が心臓内血液ポンプアセンブリを説明し得るが、本技術の改良はまた、電気生理学研究及びカテーテルアブレーションデバイス、血管形成術及びステンティングデバイス、血管造影カテーテル、末梢挿入中央カテーテル、中央静脈カテーテル、正中カテーテル、末梢カテーテル、下大静脈フィルタ、腹部大動脈瘤治療デバイス、血栓摘出デバイス、TAVR送達システム、バルーンポンプを含む心臓治療及び心臓補助デバイス、外科的切開を使用して埋め込まれる心臓補助デバイス、並びに任意の他の静脈又は動脈ベースの導入カテーテル及びデバイスなどの他のタイプの医療デバイスに適合及び適用され得ることが理解されるであろう。
【0009】
図1は、本開示の態様による、左心支持のために適合された例示的な心臓内血液ポンプアセンブリ100を示す。これに関して、心臓内血液ポンプアセンブリ100は、細長いカテーテル102と、モータ104と、カニューレ110と、カニューレ110の遠位端112又はその近くに配置された血液流入ケージ114と、カニューレ110の近位端108又はその近くに配置された血液流出ケージ106と、血液流入ケージ114の遠位端に配置された任意選択の非外傷性延長部116とを含む。
【0010】
モータ104は、インペラ(図示せず)を回転可能に駆動するように構成されており、それによって、血液流入ケージ114を通してカニューレ110の中に血液を引き込み、血液流出ケージ106を通してカニューレ110から血液を排出するのに十分な吸引を生成する。その点に関して、インペラは、血液流出ケージ106の遠位に、例えば、カニューレ110の近位端108内に、又はカニューレ110の近位端108に結合されたポンプハウジング107内に位置決めされてもよい。本技術のいくつかの態様では、インペラが内蔵モータ104によって駆動されるのではなく、代わりに、インペラは、患者の外部に位置するモータによって駆動される細長い駆動シャフト(又は駆動ケーブル)に結合されてもよい。
【0011】
カテーテル102は、モータ104を1つ以上の電気コントローラ又は他のセンサに結合する電線を収容してもよい。代替として、インペラが外部モータによって駆動される場合、細長い駆動シャフトがカテーテル102を通過してもよい。カテーテル102はまた、以下で更に説明される圧力センサを患者の体外に位置する1つ以上のコントローラ、電源などに接続するワイヤのための導管としての役割を果たしてもよい。カテーテル102はまた、パージ流体導管、ガイドワイヤを受容するように構成される管腔などを含んでもよい。
【0012】
血液流入ケージ114は、モータ104が動作しているときに、血液がカニューレ110内に引き込まれることを可能にするように構成された1つ以上のアパーチャ又は開口部を含む。同様に、血液流出ケージ106は、血液がカニューレ110から心臓内血液ポンプアセンブリ100の外へ流れることを可能にするように構成された1つ以上のアパーチャ又は開口部を含む。血液流入ケージ114及び血液流出ケージ106は、任意の好適な生体適合性材料から構成されてもよい。例えば、血液流入ケージ114及び/又は血液流出ケージ106は、ステンレス鋼、チタンなどの生体適合性金属、又はポリウレタンなどの生体適合性ポリマーから形成されてもよい。加えて、血液流入ケージ114及び/又は血液流出ケージ106の表面は、限定ではないが、エッチング、テクスチャ加工、又は別の材料でのコーティング若しくはめっきを含む、種々の方法で処理されてもよい。例えば、血液流入ケージ114及び/又は血液流出ケージ106の表面は、レーザテクスチャ加工されてもよい。
【0013】
カニューレ110は、可撓性ホース部分を含んでもよい。例えば、カニューレ110は、少なくとも部分的に、ポリウレタン材料から構成され得る。加えて、カニューレ110は、形状記憶材料を含んでもよい。例えば、カニューレ110は、ポリウレタン材料と、ニチノールなどの形状記憶材料の1つ以上のストランド又はコイルとの組み合わせを含んでもよい。カニューレ110は、その弛緩状態において1つ以上の屈曲部又は湾曲部を含むように形成されてもよく、又はその弛緩状態において直線であるように構成されてもよい。その点に関して、図1に示される例示的な構成では、カニューレ110は、それが動作することが意図される左心の部分に基づいて単一の予め形成された解剖学的屈曲部118を有する。この屈曲部118にもかかわらず、カニューレ110はまた、それにもかかわらず可撓性であってもよく、したがって、(例えば、ガイドワイヤ上での挿入中に)真っ直ぐになるか、又は(例えば、解剖学的構造がより狭い寸法を有する患者において)更に曲がることが可能であってもよい。更に、その点に関して、カニューレ110は、カニューレ110が室温で異なる形状(例えば、直線又はほぼ直線)であることを可能にし、形状記憶材料が患者の身体の熱に暴露されると、屈曲部118を形成するように構成された形状記憶材料を含んでもよい。
【0014】
非外傷性延長部116は、心臓内血液ポンプアセンブリ100を患者の心臓内の正しい位置に安定させ、位置決めするのを助ける。非外傷性延長部116は、中実又は管状であってもよい。管状の場合、非外傷性延長部116は、心臓内血液ポンプアセンブリ100の位置決めを更に支援するために、ガイドワイヤがそれを通過することを可能にするように構成されてもよい。非外傷性延長部116は、任意の好適なサイズであってもよい。例えば、非外傷性延長部116は、4~8Frの範囲の外径を有してもよい。非外傷性延長部116は、少なくとも部分的に、可撓性材料から構成されてもよく、直線構成、部分的に湾曲した構成、図1の実施例に示されるようなピグテール形状構成などのような、任意の好適な形状又は構成であってもよい。非外傷性延長部116はまた、異なる剛性を有するセクションを有してもよい。例えば、非外傷性延長部116は、座屈を防止し、それによって血液流入ケージ114を所望の場所に保つために十分に剛性である近位セクションと、より軟質であり、より低い剛性を有し、それによって、患者の心臓の壁と接触するための非外傷性先端部を提供し、ガイドワイヤ装填を可能にする、遠位セクションとを含んでもよい。このような場合、非外傷性延長部116の近位セクション及び遠位セクションは、異なる剛性を提供するように処理された異なる材料から構成されてもよく、又は同じ材料から構成されてもよい。
【0015】
上記にかかわらず、上述したように、非外傷性延長部116は任意選択の構造である。その点に関して、本技術はまた、異なるタイプ、形状、材料、及び品質の延長部を含む、心臓内血液ポンプアセンブリ及び他の心臓内デバイスとともに使用されてもよい。同様に、本技術は、心臓内血液ポンプアセンブリ及び任意の種類の遠位延長部を有さない他の心臓内デバイスとともに使用されてもよい。
【0016】
心臓内血液ポンプアセンブリ100は、経皮的に挿入されてもよい。例えば、左心支持のために使用されるとき、心臓内血液ポンプアセンブリ100は、大腿動脈又は腋窩動脈を通して、大動脈の中へ、大動脈弁を横断して、左心室の中へ、カテーテル手技を介して挿入されてもよい。このように配置されると、心臓内血液ポンプアセンブリ100は、左心室の内側に位置する血液流入ケージ114からカニューレ110を通して、上行大動脈の内側に位置する血液流出ケージ106に血液を送達する。本技術のいくつかの態様では、心臓内血液ポンプアセンブリ100は、心臓内血液ポンプアセンブリ100が所望の場所にあるとき、屈曲部118が患者の心臓の所定の部分に対して静置されるように構成されてもよい。同様に、非外傷性延長部116は、心臓内血液ポンプアセンブリ100が所望の場所にあるとき、患者の心臓の異なる所定の部分に対して静置するように構成されてもよい。
【0017】
図2は、本開示の態様による、右心支持のために適合された例示的な心臓内血液ポンプアセンブリ200を示す。これに関して、心臓内血液ポンプアセンブリ200は、細長いカテーテル202と、モータ204と、カニューレ210と、カニューレ210の近位端208に又はその近くに配置された血液流入ケージ214と、カニューレ210の遠位端212又はその近くに配置された血液流出ケージ206と、血液流出ケージ206の遠位端に配置された任意選択の非外傷性延長部216とを含む。
【0018】
図1の例示的なアセンブリと同様に、モータ204は、インペラ(図示せず)を回転可能に駆動するように構成されており、それによって、血液流入ケージ214を通してカニューレ210の中に血液を引き込み、血液流出ケージ206を通してカニューレ210から血液を排出するのに十分な吸引を生成する。その点に関して、インペラは、血液流入ケージ214の遠位に、例えば、カニューレ210の近位端208内に、又はカニューレ210の近位端208に結合されたポンプハウジング207内に位置決めされてもよい。ここでもまた、本技術のいくつかの態様では、インペラが内蔵モータ204によって駆動されるのではなく、代わりに、インペラは、患者の外部に位置するモータによって駆動される細長い駆動シャフト(又は駆動ケーブル)に結合されてもよい。
【0019】
図2のカニューレ210は、同じ目的を果たし、図1のカニューレ110に関して上述したのと同じ特性及び特徴を有することができる。しかしながら、図2に示される例示的な構成では、カニューレ210は、それが動作することが意図される右心の部分に基づいて、2つの予め形成された解剖学的屈曲部218及び220を有する。ここで再び、屈曲部218及び220の存在にもかかわらず、カニューレ210はまた、それにもかかわらず可撓性であってもよく、したがって、(例えば、ガイドワイヤ上での挿入中に)真っ直ぐになるか、又は(例えば、解剖学的構造がより狭い寸法を有する患者において)更に曲がることが可能であってもよい。更に、その点に関して、カニューレ210は、カニューレ210が室温で異なる形状(例えば、直線又はほぼ直線)であることを可能にし、形状記憶材料が患者の身体の熱に暴露されると、屈曲部218及び/又は220を形成するように構成される、形状記憶材料を含んでもよい。
【0020】
図2のカテーテル202及び非外傷性延長部216は、同じ目的を果たし、図1のカテーテル102及び非外傷性延長部116に関して上述したのと同じ特性及び特徴を有することができる。同様に、図2の血液流入ケージ214及び血液流出ケージ206は、図1のものとはカニューレの反対側に配置されていることを除いて、図1の血液流入ケージ114及び血液流出ケージ106と同様であり、したがって、上記と同じ特性及び特徴を有することができる。
【0021】
図1の例示的なアセンブリと同様に、図2の心臓内血液ポンプアセンブリ200もまた、経皮的に挿入され得る。例えば、右心支持のために使用されるとき、心臓内血液ポンプアセンブリ200は、大腿静脈を通って、下大静脈の中へ、右心房を通って、三尖弁を横断して、右心室の中へ、肺動脈弁を通って、肺動脈の中へ、カテーテル手技を介して挿入されてもよい。このように配置されると、心臓内血液ポンプアセンブリ200は、下大静脈の内側に位置する血液流入ケージ214から、カニューレ210を通して、肺動脈の内側に位置する血液流出ケージ206に血液を送達する。
【0022】
図3は、本開示の態様による、例示的なシステムの機能ブロック図である。その点に関して、図3の例では、システム300は、心臓内血液ポンプアセンブリ318及びコントローラ302を備える。心臓内血液ポンプアセンブリ318は、図1又は図2の例示的な血液ポンプアセンブリ100及び200にそれぞれ示されるものを含む、任意の形態をとってもよい。加えて、図3の心臓内血液ポンプアセンブリ318は、ポンプハウジング(例えば、ポンプハウジング107若しくは207)又はカニューレ(例えば、カニューレ110若しくは210)の壁の前後の圧力差を測定するように構成された、差圧センサ320と、血液入口近くのポンプ内の圧力を測定するように構成された、入口圧力センサ322と、を含む。例えば、入口圧力センサ322は、血液流入ケージ(例えば、血液流入ケージ114若しくは214)内、又はポンプハウジング(例えば、ポンプハウジング107若しくは207)の一部内に位置決めされてもよい。図3に示されるように、心臓内血液ポンプアセンブリ318は、インペラを回転可能に駆動するように構成された任意選択のモータ324を更に含むことができる(例えば、モータが患者に挿入されるように構成されている場合)。上記にかかわらず、本技術はまた、血液ポンプアセンブリ以外の心臓内デバイスを備えるシステムにおいて採用されてもよい。
【0023】
図3の例では、コントローラ302は、命令308及びデータ310を記憶するメモリ306に結合された1つ以上のプロセッサ304と、心臓内血液ポンプアセンブリ318とのインターフェース312とを含む。コントローラ302は、任意選択のモータ314(例えば、インペラが細長い駆動シャフトを介して患者の外部に位置するモータによって駆動される場合)、及び/又は電源316(例えば、内蔵モータ324、電力を必要とする任意のセンサなどに電力を供給するため)を更に含むことができる。デバイスインターフェース312は、コントローラ302と心臓内血液ポンプアセンブリ318との間のインターフェースを表し、任意の好適なタイプのインターフェースを含んでもよい。その点に関して、デバイスインターフェース312は、コントローラ302と心臓内血液ポンプアセンブリ318との間の一方向又は双方向通信を可能にするように構成されてもよく、差圧センサ320及び入口圧力センサ322から信号を受信するように更に構成されてもよい。インターフェース312は、内蔵モータ324及び/又は1つ以上のセンサ(例えば、差圧センサ320、入口圧力センサ322など)に電力を提供するように更に構成されてもよい。
【0024】
コントローラ302は、任意の形態をとり得る。その点に関して、コントローラ302は、単一のモジュール式ユニットを備えてもよく、又はその構成要素は、2つ以上の物理的ユニット間に分散されてもよい。コントローラ302は更に、ユーザインターフェースなどのコンピューティングデバイスに関連して通常使用される任意の他の構成要素を含んでもよい。その点に関して、コントローラ302は、1つ以上のユーザ入力(例えば、ボタン、タッチスクリーン、キーパッド、キーボード、マウス、マイクロホンなど)を含むユーザインターフェースと、1つ以上の電子ディスプレイ(例えば、情報を表示するように動作可能なスクリーン又は任意の他の電気デバイスを有するモニタ、1つ以上のライトなど)と、1つ以上のスピーカ、チャイム、又は他の音声出力デバイス、及び/又は振動、パルス、又は触覚要素などの1つ以上の他の出力デバイスと、を有してもよい。
【0025】
本明細書で説明される1つ以上のプロセッサ304及びメモリ306は、カスタマイズされたハードウェア又は任意のタイプの汎用コンピューティングデバイスを含む、任意のタイプのコンピューティングデバイス上に実装され得る。メモリ306は、ハードドライブ、メモリカード、光ディスク、ソリッドステートドライブ、テープメモリ、又は同様の構造など、プロセッサ304によってアクセス可能な情報を記憶することが可能な任意の非一時的タイプのものであり得る。
【0026】
命令308は、差圧センサ320及び入口圧力センサ322からの読み取り値を受信及び処理するように構成されたプログラミングを含み得る。その点に関して、命令308は、以下で説明するオフセット値を計算するのに必要なプログラミングを含み得る。コントローラ302は、差圧センサ320及び入口圧力センサ322からの読み取り値をメモリ306に記憶するように更に構成され得る。
【0027】
データ310は、差圧センサ320及び入口圧力センサ322の信号を較正及び/又は解釈するためのデータ、並びに以下で説明するように、オフセット値の計算において使用されるルックアップテーブルを含み得る。
【0028】
図4は、本開示の態様による、図3の差圧センサ320及び入口圧力センサ322の例示的な配置を伴う、図2の心臓内血液ポンプアセンブリ200の一部の断面図を示す。その点に関して、図4は、血液流入ケージ214及びポンプハウジング207の長手方向軸に沿った断面を示し、インペラ402が駆動シャフト404を介してモータ204によって回転可能に駆動されるように構成された配置を示す。図4の実施例では、ポンプハウジング207の外径は、カニューレ210の近位端208(図示せず)に挿入され得るように、遠位端207aでわずかに縮小されている。加えて、図4の断面図は、血液流入ケージ214の支柱214aを示す。この断面ではそのような支柱が1つしか見えないが、2つ以上の支柱214aがあってもよい。
【0029】
図4の実施例では、差圧センサ320は、ポンプハウジング207の内側の流体と外側の流体との間の圧力差を測定することができるように、ポンプハウジング207の壁内に取り付けられている。この実施例では、圧力センサ320は、インペラ402の中線に、又はその近くに取り付けられている。しかしながら、差圧センサ320はまた、インペラ402の遠位又は近位に、例えば、ポンプハウジング207の異なる部分又はカニューレ210内に取り付けられてもよい。
【0030】
図4の実施例では、入口圧力センサ322は、血液流入ケージ214内に取り付けられており、支柱214aの下に位置決めされている。しかしながら、入口圧力センサ322はまた、血液流入ケージ214又はポンプハウジング207の任意の他の好適な部分に位置決めされてもよい。このように入口圧力センサ322をポンプの内側に位置決めすることは、様々な利点を提供する。例えば、入口圧力センサ322を内部に取り付けることにより、入口圧力センサ322が患者の解剖学的構造の部分に衝突するか、又は別様に接触することから保護することができる。加えて、上述のように、この位置決めは、入口圧力センサ322が、ポンプ内側の圧力を監視するために使用されることを可能にし、これは、カニューレ210の捩れ、並びに/又は血液流入ケージ214、ポンプハウジング207、カニューレ210、及び/若しくは血液流出ケージ206内の障害物(例えば、血栓、組織)の存在を示し得る、吸引の変化を識別することに役立ち得る。
【0031】
これらの利点にもかかわらず、ポンプ内側に入口圧力センサ322を配置することは、血液がインペラ402によってポンプハウジング207の中に引き込まれるとき、入口圧力センサ322をベンチュリ効果に暴露する可能性があり、これは、入口圧力センサ322が代わりに血液流入ケージ214、ポンプハウジング207、又はモータ204のハウジングの外側表面上に取り付けられた場合とは異なる圧力読み取り値を生じ得る。したがって、入口圧力センサ322からの読み取り値を使用して、血液流入ケージ214の外側の血液の圧力(例えば、心臓内血液ポンプが右心支持を提供するために使用されているときの中心静脈圧(「central venous pressure、CVP」))を導出するために、図5及び図6に関して以下で更に説明されるように、第1のオフセット値が、ポンプ速度及び差圧読み取り値に基づいて計算されなければならない。同様に、差圧センサ320及び入口圧力センサ322からの読み取り値を使用して、ポンプ入口と出口との間の圧力差、又は血液流出ケージ206の外側の血液の圧力(例えば、心臓内血液ポンプが右心支持を提供するために使用されているときの肺動脈圧(「pulmonary artery pressure、PAP」)を導出するために、図7図9に関して以下で更に説明されるように、第2のオフセット値が、ポンプ速度及び差圧読み取り値に基づいて計算されなければならない。
【0032】
注目すべきことに、血液流入ケージ214及び血液流出ケージ206の近くでポンプの外側に取り付けられた追加の圧力センサを使用してCVP及びPAPを直接測定することも可能であるが、本技術は、有利には、既に説明したように、差圧センサ320及び入口圧力センサ322のみを使用してこれらの値を正確に導出することを可能にする一方で、入口圧力センサ322を使用してポンプ内側の吸引を直接監視することも可能にする。本技術は、したがって、より少ないセンサが使用されることを可能にし、より低いコスト、より少ない潜在的な故障点、及び潜在的なコントローラのより大きいアレイとともに心臓内血液ポンプアセンブリ200を使用する能力をもたらし、コントローラのうちのいくつかは、追加の外部取り付け圧力センサを支持するための十分な入力部を有しない場合がある。
【0033】
図5は、本開示の態様による、心臓内血液ポンプアセンブリの血液流入ケージの外側の点における圧力を決定するための例示的な方法500の流れ図である。その点に関して、方法500では、血液流入ケージ(例えば、血液流入ケージ214)が患者の下大静脈内に位置決めされ、血液流出ケージ(例えば、血液流出ケージ216)が患者の肺動脈内に位置決めされるように、かつ血液流入ケージの外側の決定された圧力が患者のCVPを表すように、心臓内血液ポンプアセンブリ(例えば、図2図4の心臓内血液ポンプアセンブリ200)が患者の右心内に挿入されていると仮定される。しかしながら、理解されるように、本技術は、同様に、左心支持を提供する文脈で採用されてもよく、その場合、差圧センサ(例えば、差圧センサ320)及び入口圧力センサ(例えば、入口圧力センサ322)は、左心支持のために構成された心臓内血液ポンプアセンブリ(例えば、例示的な心臓内血液ポンプアセンブリ100)の血液流入ケージ(例えば、血液流入ケージ114)、カニューレ(例えば、カニューレ110)、及びポンプハウジング(例えば、ポンプハウジング107)に対して同様に位置決めされてもよく、方法500は、代わりに、患者の左心室(「left ventricle、LVP」)内の圧力を計算するために使用されてもよい。
【0034】
ステップ502において、コントローラ(例えば、図3のコントローラ302)は、モータが動作している速度、差圧センサの出力、及び入口圧力センサの出力を決定する。その点に関して、コントローラは、モータが動作している速度を任意の好適な方法で決定することができる。本技術のいくつかの態様では、モータ速度は、モータ、駆動シャフト(例えば、駆動シャフト404)、又はインペラ(例えば、インペラ402)の毎分回転数(又は回転速度の他の好適なメトリック)を監視するように構成された、速度センサの出力から決定されてもよい。本技術のいくつかの態様では、モータ速度は、モータに印加されている電圧及び/又はモータによって引き出されている電流から決定されてもよい。本技術のいくつかの態様では、コントローラは、複数の事前設定速度のうちの1つでモータを駆動するように構成されてもよく、その場合、モータ速度は、選択される事前設定速度に基づいて決定され得る。
【0035】
ステップ504において、コントローラは、モータの決定された速度、差圧センサの決定された出力、及び第1のデータに基づいて、第1のオフセット値を決定する。第1のオフセット値は、入口圧力センサの読み取り値が心臓内血液ポンプアセンブリの血液流入ケージの外側の実際の圧力と異なると予想される量を表し、これは、インペラ(例えば、インペラ402)によって血液がポンプハウジング(例えば、ポンプハウジング207)内に引き込まれるときのベンチュリ効果、血液が血液流入ケージの支柱(例えば、支柱214a)を通過して流れるときの乱流などの様々な要因によって影響され得る。第1のデータは、複数のモータ速度のうちの各所与のモータ速度について、複数の差圧値を複数のオフセット値に相関させる。第1のデータは、任意の好適な方法で表すことができる。その上、推定、平均化、又は補間の任意の好適な方法が、モータの決定された速度、差圧センサの決定された出力、及び第1のデータに基づいて、第1のオフセット値を決定するために使用されてもよい。それに関して、以下の実施例は、例示的であり、非限定的であることが意図される。
【0036】
したがって、本技術のいくつかの態様では、第1のデータは、各所与の行が複数の可能なモータ速度のうちの所与のモータ速度に対応し、各所与の行の列が、差圧値をオフセット値と相関させる複数のデータ点を表す、ルックアップテーブルを含み得る。そのようなルックアップテーブルは、行列、ベクトル、データベース、2Dプロット、又は任意の他の好適なデータ構造として表され得る。そのような場合、コントローラは、モータの決定された速度に基づいて、ルックアップテーブルの所与の行を選択し(例えば、モータの決定された速度に最も近い行を選択し)、差圧センサの決定された出力に基づいて、行の2つのデータ点間を補間することによって、第1のオフセット値を決定することができる。同様に、コントローラは、モータの決定された速度に基づいて、ルックアップテーブルの第1及び第2の行を選択し(例えば、モータの決定された速度のすぐ上及びすぐ下の2つの行を選択し)、差圧センサの決定された出力に基づいて、第1の行の2つのデータ点間を補間して第1の推定オフセットを取得し、差圧センサの決定された出力に基づいて、第2の行の2つのデータ点間を補間して第2の推定オフセットを取得し、モータの決定された速度に基づいて、第1の推定オフセットと第2の推定オフセットとの間を補間することによって、第1のオフセット値を決定することができる。更に、コントローラは、モータの決定された速度に基づいて、ルックアップテーブルの第1及び第2の行を選択し(例えば、モータの決定された速度のすぐ上及びすぐ下の2つの行を選択し)、ルックアップテーブルの第1及び第2の行並びにモータの決定された速度に基づいて、補間されたルックアップテーブルを生成し、差圧センサの決定された出力に基づいて、補間されたルックアップテーブルの2つのデータ点間を補間することによって、第1のオフセット値を決定することができる。
【0037】
同様に、本技術のいくつかの態様では、第1のデータは、複数のルックアップテーブルを含むことができ、各所与のルックアップテーブルは、複数のモータ速度のうちの異なる所与のモータ速度を表す。この場合も、各個々のルックアップテーブルは、行列、ベクトル、データベース、2Dプロット、又は任意の他の好適なデータ構造として表され得る。そのような場合、コントローラは、モータの決定された速度に基づいて、所与のルックアップテーブルを選択し(例えば、モータの決定された速度に最も近い速度を表すルックアップテーブルを選択し)、差圧センサの決定された出力に基づいて、所与のルックアップテーブルの2つのデータ点間を補間することによって、第1のオフセット値を決定することができる。同様に、コントローラは、モータの決定された速度に基づいて、第1のルックアップテーブル及び第2のルックアップテーブルを選択し(例えば、モータの決定された速度のすぐ上及びすぐ下の速度を有するルックアップテーブルを選択し)、差圧センサの決定された出力に基づいて、第1のルックアップテーブルの2つのデータ点間を補間して第1の推定オフセットを取得し、差圧センサの決定された出力に基づいて、第2のルックアップテーブルの2つのデータ点間を補間して第2の推定オフセットを取得し、モータの決定された速度に基づいて第1の推定オフセットと第2の推定オフセットとの間を補間することによって、第1のオフセット値を決定することができる。更に、コントローラは、モータの決定された速度に基づいて、第1のルックアップテーブル及び第2のルックアップテーブルを選択し(例えば、モータの決定された速度のすぐ上及びすぐ下の速度を有するルックアップテーブルを選択し)、第1及び第2のルックアップテーブル並びにモータの決定された速度に基づいて、補間されたルックアップテーブルを生成し、差圧センサの決定された出力に基づいて、補間されたルックアップテーブルの2つのデータ点間を補間することによって、第1のオフセット値を決定することができる。
【0038】
更に、本技術のいくつかの態様では、第1のデータは、複数の関数を含むことができ、複数の関数のうちの各所与の関数は、複数のモータ速度のうちの所与のモータ速度に対応し、各所与の関数は、所与の差圧値に基づくオフセット値の計算を可能にする。これらの関数は、複数のデータ点に対して回帰分析を実行することなどによって、任意の好適な方法で生成され得る。そのような場合、コントローラは、モータの決定された速度に基づいて、所与の関数を選択し(例えば、モータの決定された速度に最も近い速度を表す関数を選択し)、所与の関数及び差圧センサの決定された出力を使用して第1のオフセット値を計算することによって、第1のオフセット値を決定することができる。同様に、コントローラは、モータの決定された速度に基づいて、第1の関数及び第2の関数を選択し(例えば、モータの決定された速度のすぐ上及びすぐ下の速度を有する関数を選択し)、第1の関数及び差圧センサの決定された出力を使用して第1の推定オフセットを計算し、第2の関数及び差圧センサの決定された出力を使用して第2の推定オフセットを計算し、モータの決定された速度に基づいて、第1の推定オフセットと第2の推定オフセットとの間を補間することによって、第1のオフセット値を決定することができる。更に、コントローラは、モータの決定された速度に基づいて、第1の関数及び第2の関数を選択し(例えば、モータの決定された速度のすぐ上及びすぐ下の速度を有する関数を選択し)、第1及び第2の関数並びにモータの決定された速度に基づいて、第3の関数を生成し、第3の関数及び差圧センサの決定された出力を使用して第1のオフセット値を計算することによって、第1のオフセット値を決定することができる。
【0039】
ステップ506において、コントローラは、入口圧力センサの決定された出力及び第1のオフセット値に基づいて、第1の圧力値を決定する。コントローラは、任意の好適な方法でこの決定を行うことができる。例えば、本技術のいくつかの態様では、コントローラは、第1のオフセット値と入口圧力センサの決定された出力とを加算することによって、第1の圧力値を決定することができる。同様に、本技術のいくつかの態様では、コントローラは、入口圧力センサの決定された出力から第1のオフセット値を減算することによって、第1の圧力値を決定することができる。この決定された第1の圧力値は、心臓内血液ポンプアセンブリの血液流入ケージの外側の点における導出された外部圧力を表す。したがって、上述したように、血液流入ケージが患者の下大静脈内に位置決めされ、血液流出ケージが患者の肺動脈内に位置決めされるように、心臓内血液ポンプアセンブリが患者の右心内に挿入されている場合、この決定された第1の圧力値は、導出されたCVP値を表す。
【0040】
図6は、本開示の態様による、例示的な入口圧力オフセット曲線のセットを示すチャートである。その点に関して、図6は、縦軸が入口圧力センサのオフセット値をmm Hgで表し、横軸が差圧センサからの出力値をmm Hgで表すグラフを示す。602、604、606、608、610、612、614、616、618、及び620として識別される曲線は各々、異なるモータ速度(例えば、モータ204の速度)に対応し、そのモータ速度について、どのオフセット値(例えば、図5の第1のオフセット値)が、差圧センサからの所与の読み取り値(例えば、差圧センサ320の出力)について入口圧力センサの読み取り値(例えば、入口圧力センサ322の出力)に適用されるべきかを表す。
【0041】
上述したように、オフセット曲線602、604、606、608、610、612、614、616、618、及び620は、任意の好適な数のデータ点に基づいて生成され得る。例えば、本技術のいくつかの態様では、オフセット曲線は各々、線分によって2つ以上の点を接続することによって生成され得る。それに関して、オフセット曲線620は、点620aを点620bに接続し、点620bを点620cに接続することによって生成することができる。同様に、本技術のいくつかの態様では、オフセット曲線は、データ点のセットに対して線形、多項式、又は他の好適な回帰分析を実行することによって生成され得る。
【0042】
オフセット曲線602、604、606、608、610、612、614、616、618、及び620が基づくデータ点は、任意の好適な方法で生成されてもよい。その点に関して、本技術のいくつかの態様では、オフセット曲線602、604、606、608、610、612、614、616、618、及び620のうちの1つ以上は、所与のモータ速度及び差圧に対して、入口圧力センサの読み取り値が、血液流入ケージ(例えば、血液流入ケージ214)の外側の実際の圧力からどのように逸脱するかに関する仮定に基づくことができる。例えば、オフセット曲線602、604、606、608、610、612、614、616、618、及び620は、心臓内血液ポンプアセンブリの既知のサイズ、幾何形状、及び動作特性、並びに患者の心臓の圧送能力、患者の血圧、及び粘度などの仮定値に基づく計算及び/又はコンピュータモデリングに基づいて生成することができる。
【0043】
同様に、本技術のいくつかの態様では、オフセット曲線602、604、606、608、610、612、614、616、618、及び620のうちの1つ以上は、1人以上の患者内で実際に使用された1つ以上の心臓内血液ポンプアセンブリから収集されたデータに基づいてもよい。例えば、オフセット曲線602、604、606、608、610、612、614、616、618、及び620は、血液流入ケージの外側に位置決めされた追加の圧力センサを備えた心臓内血液ポンプアセンブリの実際の使用データに基づいてもよく、それにより、その追加のセンサの読み取り値と入口圧力センサの読み取り値との間の差を直接計算することができる。
【0044】
更に、本技術のいくつかの態様では、オフセット曲線602、604、606、608、610、612、614、616、618、及び620のもう1つは、心臓内で動作する心臓内血液ポンプアセンブリの状態をモデルリングするように設計された試験装置から収集された経験的データに基づいてもよい。例えば、試験装置は、心臓内血液ポンプアセンブリが挿入され得る管腔に接続された流体リザーバ(例えば、ヒト血液、動物血液、又は同様の粘稠度を有する流体を収容する)を含んでもよい。その管腔内には、ポンプが挿入される弁(例えば、ゴム膜又はリング)と、心臓内血液ポンプアセンブリの血液流入ケージの外側の圧力を測定するための絶対圧力センサとがあってもよい。予想される動作条件を反映するように出口圧力を調整することを可能にするために、ピンチ弁又は他の好適なデバイスを管腔の下流に設置することもできる。そのような試験台を使用して、心臓内血液ポンプアセンブリは、1つ以上の速度で動作させられることができ、一方で、データは、入口圧力センサ(例えば、入口圧力センサ322)、差圧センサ(例えば、差圧センサ320)、及び管腔内に取り付けられた絶対圧力センサから収集される。入口オフセット値は、絶対圧力センサの読み取り値と入口圧力センサの読み取り値との差から計算することができる。次いで、計算された入口オフセット値は、差圧センサ読み取り値と相関されてもよく、入口オフセット曲線(図6に示されるものなど)は、上記で論じたように、それらのデータ点に基づいて生成されてもよい。
【0045】
図7は、本開示の態様による、心臓内血液ポンプアセンブリの血液流入ケージの外側の点と血液流出ケージの外側の点との間の外部圧力差を決定するための例示的な方法700の流れ図である。その点に関して、方法700では、この場合も同様に、血液流入ケージ(例えば、血液流入ケージ214)が患者の下大静脈内に位置決めされ、血液流出ケージ(例えば、血液流出ケージ216)が患者の肺動脈内に位置決めされるように、かつ決定された外部圧力差が患者のCVPとPAPとの差を表すように、心臓内血液ポンプアセンブリ(例えば、図2図4の心臓内血液ポンプアセンブリ200)が患者の右心内に挿入されていると仮定される。しかしながら、ここでも同様に、本技術は、同様に、左心支持を提供する文脈で採用されてもよく、その場合、差圧センサ(例えば、差圧センサ320)及び入口圧力センサ(例えば、入口圧力センサ322)は、左心支持のために構成された心臓内血液ポンプアセンブリ(例えば、例示的な心臓内血液ポンプアセンブリ100)の血液流入ケージ(例えば、血液流入ケージ114)、カニューレ(例えば、カニューレ110)、及びポンプハウジング(例えば、ポンプハウジング107)に対して同様に位置決めされてもよく、方法700は、代わりに、患者のLVPと、患者の大動脈内の圧力(中心大動脈圧、すなわち「central aortic pressure、CAP」)との間の外部圧力差を計算するために使用されてもよい。
【0046】
ステップ702において、コントローラ(例えば、図3のコントローラ302)は、モータが動作している速度、及び差圧センサの出力を決定する。ここでも同様に、コントローラは、モータが動作している速度を、速度センサ、モータに印加されている電圧及び/又はモータによって引き出されている電流、モータが動作している速度設定などからなど、任意の好適な方法で決定することができる。
【0047】
ステップ704において、コントローラは、モータの決定された速度、差圧センサの決定された出力、及び第2のデータに基づいて、第2のオフセット値を決定する。第2のオフセット値は、差圧センサの読み取り値が、心臓内血液ポンプアセンブリの血流流入ケージの外側の点と血流流出ケージの外側の点との間の実際の圧力差と異なると予想される量を表し、これは、カニューレの曲率、血流とカニューレの壁との間の摩擦、カニューレ内の動圧損失、インペラのブレードによって引き起こされる乱流及び/又は回転流などのような様々な要因によって影響され得る。第2のデータは、第1のデータとは異なるオフセットを表すが、第2のデータはまた、複数のモータ速度のうちの各所与のモータ速度について、複数の差圧値を複数のオフセット値に相関させ、任意の好適な方法で表され得る。同様に、推定、平均化、又は補間の任意の好適な方法が、モータの決定された速度、差圧センサの決定された出力、及び第2のデータに基づいて、第2のオフセット値を決定するために使用されてもよい。したがって、図5のステップ504に関して上述した同じ例示的かつ非限定的な実施例が、第2のデータを表し、第2のデータから第2のオフセット値を導出するために使用され得る。
【0048】
ステップ706において、コントローラは、差圧センサの決定された出力及び第2のオフセット値に基づいて、第2の圧力値を決定する。ここでも同様に、コントローラは、任意の好適な方法でこの決定を行うことができる。例えば、本技術のいくつかの態様では、コントローラは、第2のオフセット値と差圧センサの決定された出力とを加算することによって、第2の圧力値を決定することができる。同様に、本技術のいくつかの態様では、コントローラは、差圧センサの決定された出力から第2のオフセット値を減算することによって、第2の圧力値を決定することができる。この決定された第2の圧力値は、心臓内血液ポンプアセンブリの血液流入ケージの外側の点と血液流出ケージの外側の点との間の導出された外部圧力差を表す。したがって、上述したように、血液流入ケージが患者の下大静脈内に位置決めされ、血液流出ケージが患者の肺動脈内に位置決めされるように、心臓内血液ポンプアセンブリが患者の右心内に挿入されている場合、この決定された第2の圧力値は、患者のCVPとPAPとの間の導出された圧力差を表す。
【0049】
図8A及び図8Bは、本開示の態様による、例示的な外部差圧オフセット曲線のセットを示すチャートである。その点に関して、図8A及び図8Bは、縦軸が差圧センサのオフセット値をmm Hgで表し、横軸が差圧センサからの出力値をmm Hgで表す2つのグラフを示す。802、804、806、808、810、812、814、816、818、及び820として識別される曲線は各々、異なるモータ速度(例えば、モータ204の速度)に対応し、そのモータ速度に対して、どのオフセット値(例えば、図7の第2のオフセット値)が、差圧センサの読み取り値(例えば、差圧センサ320の出力)に適用されるべきかを表す。
【0050】
図6の曲線と同様に、オフセット曲線802、804、806、808、810、812、814、816、818、及び820は、任意の好適な数のデータ点に基づいて生成され得る。例えば、本技術のいくつかの態様では、オフセット曲線は各々、線分によって2つ以上の点を接続することによって生成され得る。それに関して、オフセット曲線820は、点820aを点820bに、点820bを点820cに、及び点820cを点820dに接続することによって生成することができる。同様に、本技術のいくつかの態様では、オフセット曲線は、データ点のセットに対して線形、多項式、又は他の好適な回帰分析を実行することによって生成され得る。
【0051】
ここでもまた、オフセット曲線802、804、806、808、810、812、814、816、818、及び820が基づくデータ点は、任意の好適な方法で生成されてもよい。その点に関して、本技術のいくつかの態様では、オフセット曲線802、804、806、808、810、812、814、816、818、及び820のうちの1つ以上は、所与のモータ速度について、差圧センサの読み取り値が、血液流入ケージ(例えば、血液流入ケージ214)の外側の点と血液流出ケージ(例えば、血液流出ケージ206)の外側の点との間の実際の圧力差からどのように逸脱するかに関する仮定に基づくことができる。例えば、オフセット曲線802、804、806、808、810、812、814、816、818、及び820は、心臓内血液ポンプアセンブリの既知のサイズ、幾何形状、及び動作特性、並びに患者の心臓の圧送能力、患者の血圧、及び粘度などの仮定値に基づく計算及び/又はコンピュータモデリングに基づいて生成することができる。
【0052】
同様に、本技術のいくつかの態様では、オフセット曲線802、804、806、808、810、812、814、816、818、及び820のうちの1つ以上は、1人以上の患者内で実際に使用された1つ以上の心臓内血液ポンプアセンブリから収集されたデータに基づいてもよい。例えば、オフセット曲線802、804、806、808、810、812、814、816、818、及び820は、血液流入ケージ及び血液流出ケージの外側に位置決めされた追加の圧力センサを備えた心臓内血液ポンプアセンブリの実際の使用データに基づいてもよく、それにより、測定された外部圧力差を、それらのセンサの読み取り値に基づいて計算することができ、その測定された外部圧力差と内部差圧センサの出力との間の差を直接計算することができる。
【0053】
更に、本技術のいくつかの態様では、オフセット曲線802、804、806、808、810、812、814、816、818、及び820のもう1つは、心臓内で動作する心臓内血液ポンプアセンブリの状態をモデリングするように設計された試験装置から収集された経験的データに基づいてもよい。例えば、上述したものと同様の試験装置を使用することができる。その点に関して、試験装置は、心臓内血液ポンプアセンブリが挿入され得る管腔に接続された流体リザーバ(例えば、ヒト血液、動物血液、又は同様の粘稠度を有する流体を収容する)を含んでもよい。その管腔内には、ポンプが挿入される弁(例えば、ゴム膜又はリング)と、心臓内血液ポンプアセンブリの血液流入ケージの外側の圧力を測定するための絶対圧力センサと、心臓内血液ポンプアセンブリの血液流出ケージの外側の圧力を測定するための別の絶対センサとがあってもよい。ここでもまた、予想される動作条件を反映するように出口圧力を調整することを可能にするために、ピンチ弁又は他の好適なデバイスを管腔の下流に設置することもできる。そのような試験台を使用して、心臓内血液ポンプアセンブリは、1つ以上の速度で動作させられることができ、一方で、データは、差圧センサ(例えば、差圧センサ320)、及び管腔内に取り付けられた絶対圧力センサから収集される。次に、絶対圧力センサの読み取り値から外部圧力差分値を計算することができ、次いで、外部圧力差分値と内部差圧センサの読み取り値とから差分オフセット値を計算することができる。次に、これらの差分オフセット値は、差圧センサ読み取り値と相関されてもよく、外部圧力差分オフセット曲線(図8に示されるものなど)は、上記で論じたように、それらのデータ点に基づいて生成されてもよい。
【0054】
図9は、本開示の態様による、心臓内血液ポンプアセンブリの血液流出ケージの外側の点における圧力を決定するための例示的な方法900の流れ図である。その点に関して、方法900では、この場合も同様に、血液流入ケージ(例えば、血液流入ケージ214)が患者の下大静脈内に位置決めされ、血液流出ケージ(例えば、血液流出ケージ216)が患者の肺動脈内に位置決めされるように、かつ血液流出ケージの外側の決定された圧力が患者のPAPを表すように、心臓内血液ポンプアセンブリ(例えば、図2図4の心臓内血液ポンプアセンブリ200)が患者の右心内に挿入されていると仮定される。しかしながら、ここでも同様に、本技術は、同様に、左心支持を提供する文脈で採用されてもよく、その場合、差圧センサ(例えば、差圧センサ320)及び入口圧力センサ(例えば、入口圧力センサ322)は、左心支持のために構成された心臓内血液ポンプアセンブリ(例えば、例示的な心臓内血液ポンプアセンブリ100)の血液流入ケージ(例えば、血液流入ケージ114)、カニューレ(例えば、カニューレ110)、及びポンプハウジング(例えば、ポンプハウジング107)に対して同様に位置決めされてもよく、方法900は、代わりに、患者のAPを計算するために使用されてもよい。
【0055】
ステップ902において、コントローラ(例えば、図3のコントローラ302)は、モータが動作している速度、差圧センサの出力、及び入口圧力センサの出力を決定する。ここでも同様に、コントローラは、モータが動作している速度を、速度センサ、モータに印加されている電圧及び/又はモータによって引き出されている電流、モータが動作している速度設定などからなど、任意の好適な方法で決定することができる。
【0056】
ステップ904において、コントローラは、図5のステップ504及び506に従って、入口圧力センサの決定された出力及び第1のオフセット値に基づいて、第1の圧力値を計算する。
【0057】
ステップ906において、コントローラは、図7のステップ704及び706に従って、差圧センサの決定された出力及び第2のオフセット値に基づいて、第2の圧力値を計算する。
【0058】
ステップ908において、コントローラは、第1の圧力値及び第2の圧力値に基づいて、第3の圧力値を決定する。その点に関して、本技術のいくつかの態様では、第3の圧力値は、第1の圧力値と第2の圧力値とを加算することによって計算され得る。この決定された第3の圧力値は、心臓内血液ポンプアセンブリの血液流出ケージの外側の点における導出された外部圧力を表す。したがって、上述したように、血液流入ケージが患者の下大静脈内に位置決めされ、血液流出ケージが患者の肺動脈内に位置決めされるように、心臓内血液ポンプアセンブリが患者の右心内に挿入されている場合、この決定された第3の圧力値は、導出されたPAP値を表す。
【0059】
上記から、及び様々な図を参照して、当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく、本開示に対して特定の修正を行うこともできることを理解するであろう。本開示のいくつかの態様が図面に示されているが、本開示は当該技術分野が許容するのと同程度に広い範囲であるとされるべきであり、本明細書が同様に読み取られるべきであると意図されているので、本開示はこれらの実施形態に限定されることを意図していない。したがって、上記の説明は、限定として解釈されるべきではなく、単に本技術の特定の態様の例示として解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
【国際調査報告】