(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】クロマトグラフィ装置
(51)【国際特許分類】
G01N 30/60 20060101AFI20240621BHJP
【FI】
G01N30/60 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574731
(86)(22)【出願日】2022-06-23
(85)【翻訳文提出日】2023-12-04
(86)【国際出願番号】 US2022034716
(87)【国際公開番号】W WO2022271945
(87)【国際公開日】2022-12-29
(32)【優先日】2021-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000004178
【氏名又は名称】JSR株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】弁理士法人エスエス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベイリー, ダニエル エム.
(72)【発明者】
【氏名】パール, スティーブン アール.
(72)【発明者】
【氏名】シュトロエライン, グイド
(57)【要約】
流体の流入口および流出口を含むハウジングと、ハウジングの内部に配置され、流入口を通って流れる流体を受け、ハウジングの内部の流れを分配する流入分配プレートと、流入分配プレート上に配置された流入フリットプレートと、ハウジングの内部に置かれたクロマトグラフィ媒体と、流入分配プレートおよび流入フリットプレートからの分離されることになる流体を受けるようにハウジングの内部に配置され、クロマトグラフィ媒体がその内部で支持され、流入分配プレートおよび流入フリットプレートからの分離されることになる流体がクロマトグラフィ媒体を通過するように構成されている少なくとも1つの複数面スクリーンと、分離された流体を受ける流出分配プレートと、流出分配プレート上に配置され、クロマトグラフィ媒体を通る流体の流れによって生じる力を受ける流出フリットプレートと、を含んでいる、クロマトグラフィ装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流入口および前記流体の流出口を含むハウジングと、
前記ハウジングの内部に配置され、前記流入口を通って流れる前記流体を受け、前記ハウジングの内部の流れを分配する流入分配プレートと、
前記流入分配プレート上に配置された流入フリットプレートと、
前記ハウジングの内部に置かれたクロマトグラフィ媒体と、
前記流入分配プレートおよび前記流入フリットプレートからの分離されることになる前記流体を受けるように、前記ハウジングの内部に配置され、前記クロマトグラフィ媒体がその内部で支持され、前記流入分配プレートおよび前記流入フリットプレートからの分離されることになる前記流体が前記クロマトグラフィ媒体を通過するように構成されている少なくとも1つの複数面スクリーンと、
分離された前記流体を受けるように構成された流出分配プレートと、
前記流出分配プレート上に配置され、前記複数面スクリーンおよび前記クロマトグラフィ媒体を通る前記流体の流れによって生じる力を受ける流出フリットプレートと、
を備えている、クロマトグラフィ装置。
【請求項2】
前記流入分配プレート、前記流入フリットプレート、前記流出分配プレート、および前記流出フリットプレートが、溶剤接着、超音波接着、および熱接着で構成されたグループから選択されるプロセスによってともに接着される、請求項1に記載のクロマトグラフィ装置。
【請求項3】
前記ハウジングが、前記クロマトグラフィ媒体を供給するための少なくとも1つのスラリー流入口をさらに含む、請求項1に記載のクロマトグラフィ装置。
【請求項4】
前記複数面スクリーンが、少なくとも1つの二面スクリーンを含む、請求項1に記載のクロマトグラフィ装置。
【請求項5】
前記クロマトグラフィ媒体が複数の吸着ビーズを含んでいる、請求項1に記載のクロマトグラフィ装置。
【請求項6】
前記流入分配プレートと前記流出分配プレートとの各々が、パターンのあるチャンネルを含んでいる、請求項1に記載のクロマトグラフィ装置。
【請求項7】
前記パターンのあるチャンネルが、フィッシュボーンパターンを含んでいる、請求項6に記載のクロマトグラフィ装置。
【請求項8】
請求項1に記載のクロマトグラフィ装置を複数備えている、クロマトグラフィシステム。
【請求項9】
1つの前記クロマトグラフィ装置のハウジングが、別のクロマトグラフィ装置のハウジングに、それぞれの流入口および流出口において結合されている、請求項8に記載のクロマトグラフィシステム。
【請求項10】
ともに結合された前記ハウジング間の接続を提供するように構成されたコネクタをさらに備えている、請求項9に記載のクロマトグラフィシステム。
【請求項11】
前記コネクタがT形状のフィッティングを備えている、請求項10に記載のクロマトグラフィシステム。
【請求項12】
前記T形状のフィッティングの長さが、前記クロマトグラフィ装置の各々の厚さに等しいか、または実質的に等しい、請求項11に記載のクロマトグラフィシステム。
【請求項13】
流体の流入口および前記流体の流出口を含むとともに、複数の側壁を有するハウジングと、
前記ハウジングの内部に配置された流入分配プレートと、
前記流入分配プレート上に配置され、前記流体の流れを分配するように構成された流入フリットプレートと、
前記ハウジング内で支持され、前記流入分配プレートおよび前記流入フリットプレートからの分離されることになる前記流体を受けるように配置されたクロマトグラフィ媒体と、
前記ハウジングの内部に配置され、前記流体を前記流出口に向けるように構成された流出分配プレートと、
前記クロマトグラフィ媒体を通る前記流体の流れの力を受けるように、前記流出分配プレート上に配置された流出フリットプレートと、を備え、
前記流入フリットプレート、前記流出フリットプレート、および前記側壁が、前記クロマトグラフィ媒体を囲み、それにより、前記クロマトグラフィ媒体が定位置に保持されるようになっている、クロマトグラフィ装置。
【請求項14】
前記流入分配プレートと前記流出分配プレートとの各々が、フィッシュボーンパターンを含むパターンのあるチャンネルを含んでいる、請求項13に記載のクロマトグラフィ装置。
【請求項15】
前記クロマトグラフィ媒体を保持するように構成された少なくとも1つの複数面スクリーンをさらに備えている、請求項13に記載のクロマトグラフィ装置。
【請求項16】
前記複数面スクリーンが、少なくとも1つの二面スクリーンを備えている、請求項15に記載のクロマトグラフィ装置。
【請求項17】
請求項13に記載のクロマトグラフィ装置を複数備え、
1つの前記クロマトグラフィ装置のハウジングが、別のクロマトグラフィ装置のハウジングに、それぞれの流入口および流出口において結合されている、クロマトグラフィシステム。
【請求項18】
ともに結合された前記ハウジング間の接続を提供するように構成されたコネクタをさらに備えている、請求項17に記載のクロマトグラフィシステム。
【請求項19】
複数の成分を含む流体を請求項1に記載のクロマトグラフィ装置に供給することを含む、流体内の成分を分離する方法。
【請求項20】
前記成分に、タンパク質、抗体、酵素、ウイルス、DNAの断片、RNAの断片、プラスミド、および生体分子の少なくとも1つが含まれる、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年6月24日に出願された米国仮出願第63/214,358号の優先権の利益を主張する。この文献の内容全体は、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明はクロマトグラフィ装置に関し、より詳細には、一連のモジュールまたはカセットで使用される場合があるクロマトグラフィ装置またはシステムに関する。本発明は、そのようなクロマトグラフィ装置またはシステムを使用することにより、流体内の成分を分離する方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
クロマトグラフィは幅広い種類の産業で使用されており、この中で、溶質を分離するために、1つまたは複数の流体によって移送されている1つまたは複数の溶質が、樹脂などのクロマトグラフィ媒体内、または、吸着作用を有する媒体内で分離されるか分析される。
【0004】
そのようなクロマトグラフィでは、クロマトグラフィ用カラムがしばしば採用される。そのようなカラムは、製造が容易であり、使用に好都合であり、また、複数のカラムが順々に使用される場合がある。概して、吸着性媒体がカラム内に、たとえばビーズとしてパックされており、移動する液相がカラムを通るように送液される。液相内の様々な構成要素が、パックされた媒体と相互作用する。液相と媒体との間の相互作用は、各成分を溶質成分から物理的に分離する結果になる。分離された成分は、単一のカラムの流出端部において、または一連のカラムにおける最後のカラムの流出端部において、収集または検出される場合がある。
【0005】
例示的なクロマトグラフィ技術には、イオン交換クロマトグラフィ、疎水性相互作用クロマトグラフィ、ゲルクロマトグラフィ、逆相クロマトグラフィ、イオンアフィニティクロマトグラフィなどの技術が含まれる場合がある。例示的なクロマトグラフィ装置が、たとえば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、および特許文献5に提供されている。これら文献の開示は、その全体が、参照することによって組み込まれる。しかし、これらクロマトグラフィ装置は、均一ではない流れの分布、必要とされる高い圧力降下、媒体の圧縮、パッキングの困難性、それらの製造における主要な課題など、固有の制限を有している。クロマトグラフィ装置に関する目的は、これら制限を克服すること、および、すべての分子に関し、流路を実質的に同じに維持することである。別の目的は、上述の固有の制限を依然として避けつつ、一連のモジュールとしてスタックされるか、または提供される場合がある装置に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7,390,408号公報
【特許文献2】米国特許第8,506,802号公報
【特許文献3】米国特許第9,120,037号公報
【特許文献4】米国特許第9,599,594号公報
【特許文献5】米国特許第9,943,781号公報
【発明の概要】
【0007】
本発明の一態様によれば、クロマトグラフィ装置は、流体の流入口および流出口を含むハウジングと、ハウジングの内部に配置され、流入口を通って流れる流体を受け、ハウジングの内部の流れを分配する流入分配プレートと、流入分配プレート上に配置された流入フリットプレートと、ハウジングの内部に置かれたクロマトグラフィ媒体と、流入分配プレートおよび流入フリットプレートからの分離されることになる流体を受けるように、ハウジングの内部に配置され、クロマトグラフィ媒体がその内部で支持され、流入分配プレートおよび流入フリットプレートからの分離されることになる流体がクロマトグラフィ媒体を通過するように構成されている少なくとも1つの複数面スクリーンと、分離された流体を受ける流出分配プレートと、流出分配プレート上に配置され、クロマトグラフィ媒体を通る流体の流れによって生じる力を受ける流出フリットプレートと、を含んでいる。
【0008】
本発明の別の態様によれば、クロマトグラフィ装置は、流体の流入口および流体の流出口を含むとともに、複数の側壁を有するハウジングと、ハウジングの内部に配置された流入分配プレートと、流入分配プレート上に配置され、流体の流れを分配するような構造とされた流入フリットプレートと、ハウジング内で支持され、流入分配プレートおよび流入フリットプレートからの分離されることになる流体を受けるように配置されたクロマトグラフィ媒体と、ハウジングの内部に配置され、流体を流出口に向けるように構成された流出分配プレートと、クロマトグラフィ媒体を通る流体の流れの力を受けるように、流出分配プレート上に配置された流出フリットプレートと、を含んでいる。流入フリットプレート、流出フリットプレート、および側壁が、クロマトグラフィ媒体を囲み、それにより、クロマトグラフィ媒体が定位置に保持されるようになっている。
【0009】
本明細書に記載の様々な実施形態をよりよく理解するため、および、これら様々な実施形態がどのように実行され得るかをより明確に示すために、例として、添付図面が参照される。この添付図面は、少なくとも1つの例示的な実施形態を示しており、ここに記載される。これら図面は、本明細書に記載の教示の範囲を制限することは意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1(a)は、本発明の少なくとも1つの実施形態に係るクロマトグラフィ装置の分解斜視図である。
図1(b)は、クロマトグラフィ装置のハウジングの内部における、流体の流れの方向、および、流体の流れによって形成される力の方向を示す図である。
図1(c)は、クロマトグラフィ装置のハウジングの内部の流体の流れの方向を示す図である。
【0011】
【
図2】
図2(a)は、組み立てられた形態での、
図1に示されたクロマトグラフィ装置の斜視図である。
図2(b)は、代替的な設計のハウジングの斜視図である。
【0012】
【
図3】
図3(a)は、クロマトグラフィ装置の分配プレートおよびフリットプレートの分解斜視図である。
図3(b)は、流入口/流出口の分配プレートのパターンを示す図である。
図3(c)は、流入口/流出口の分配プレートの別のパターンを示す図である。
【0013】
【
図4】複数のクロマトグラフィ装置を連続して結合するためのコネクタを含む斜視図である。
【0014】
【
図5】
図5(a)は、接続ブラケットが含まれた状態の、複数のクロマトグラフィ装置を連続して結合するためのコネクタを含む斜視図である。
図5(b)は、接続ブラケットが含まれた状態の、複数のクロマトグラフィ装置を連続して結合するためのコネクタを含む斜視図である。
【0015】
【
図6】
図5(a)に示す接続ブラケットの拡大斜視図である。
【0016】
【
図7】ホルダ内にクロマトグラフィシステムを提供するための、接続された一連のクロマトグラフィ装置の斜視図である。
【0017】
【
図8】
図8(a)は、ホルダ内の、
図7のクロマトグラフィシステムの斜視図である。
図8(b)は、流れ方向を示している、ホルダ内の、
図7のクロマトグラフィシステムの別の斜視図である。
図8(c)は、並列に接続されたデバイス内、およびデバイス間の流れ方向を示している、ホルダ内の、
図7のクロマトグラフィシステムの別の斜視図である。
【0018】
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の前述の態様および他の態様が、ここで、本明細書に提供される記載および方法論を参照してより詳細に記載される。本発明を異なる形態で実施することができ、また、本明細書に説明される実施形態に限定されるものとは解釈されるべきではないことを理解されたい。むしろ、これら実施形態は、本開示が完全であるとともに完結しているものとなるように、かつ、当業者に本発明の範囲を完全に伝達するように提供されている。
【0020】
本明細書において本発明の記載で使用される用語は、もっぱら特定の実施形態を記載する目的のためのものであり、本発明を限定することは意図していない。本発明の実施形態、および添付の特許請求の範囲の記載で使用される場合、単数の形態「a」、「an」、および「the」は、文脈によって明確に別様に示されていない限り、複数の形態をも含むことが意図されている。同様に、本明細書で使用される場合、「および/または」は、関連する列挙されたアイテムの1つまたは複数の、いずれか、およびすべての可能性のある組合せに言及するとともに包含する。
【0021】
本明細書で使用される場合、「comprise」、「comprises」、「comprising」、「include」、「includes」、および「including」との用語は、述べられる特徴、整数、ステップ、操作、要素、および/または成分の存在を特定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、成分、および/またはそれらのグループの存在または追加を除外するものではない。
【0022】
本明細書で参照されるすべての特許、特許出願、および刊行物は、その全体が、参照することによって組み込まれる。用語が矛盾するケースでは、本明細書が優先する。
【0023】
クロマトグラフィ媒体を使用することによって様々な流体の成分が分析されるクロマトグラフィ装置が提供される。本装置は、流体流入口を含む上方部分、流体流出口を含む下方部分、および上方部分と下方部分との間に配置された中心部分を有するハウジングを含む場合がある。ハウジングは、分離されることになる溶質を含む流体の流れを分配するために、流入分配プレートおよび流入フリットプレートを含む場合があり、ここで、流入分配プレートおよび流入フリットプレートは、ハウジングの上方部分に配置されている場合がある。ハウジングは、流入分配プレートおよび流入フリットプレートから、分離されることになる流体を受けるために、ハウジングの中心部分内に配置された複数面スクリーン支持構造上に設けられたクロマトグラフィパッキング媒体または樹脂をさらに含む場合があり、各流体は、上方向または下方向に、クロマトグラフィパッキング媒体を通って流れる場合がある。ハウジングは、流体を受け、この流体を流体流出口に分配するために、流出分配プレートおよび流出フリットプレートをも含む場合があり、ここで、流出分配プレートおよび流出フリットプレートは、ハウジングの下方部分に配置されている場合がある。流入フリットプレートおよび流出フリットプレート、2つの側壁、ならびに頂部プレートおよび底部プレートは、クロマトグラフィパッキング媒体を定位置に保持する場合があり、流出フリットプレートは、クロマトグラフィパッキング媒体を通る流体の力を支える場合がある。
【0024】
複数のクロマトグラフィ装置は、ともに結合または接続される場合があり、剛性のハウジングまたはホルダが、クロマトグラフィシステムまたはアセンブリを提供するために、1つまたはいくつかのクロマトグラフィ装置に関して使用される場合がある。拡張性および使用の容易性に起因して、本開示のクロマトグラフィ装置は、高い精製の生産性を可能にする場合があり、また、使い捨て、迅速なサイクル、および/または連続した処理のために設計される場合がある。
【0025】
本出願のこれらおよび他の特徴および利点は、添付図面と合わせて解される以下の詳細な説明から明らかとなるであろう。しかし、本出願の精神および範囲内における様々な変化および変更が、この詳細な記載から当業者には明らかとなるであろうことから、詳細な説明および具体的な実施例は、本出願の好ましい実施形態を示しているが、説明の目的のみのために与えられていることを理解されたい。
【0026】
図示のように、本開示は、クロマトグラフィ装置10の例示的実施形態を提供する。このクロマトグラフィ装置10は、スタック可能である場合があり、また、クロマトグラフィ用樹脂が予めパックされている場合がある、モジュール式の構成を含む場合がある。本開示のクロマトグラフィ装置10は、通常は優れた容量特性および選択的特性を伴って、様々な化学的性質、粒子サイズ、およびリガンドを有する幅広い様々な樹脂または媒体で、より高い流量(より短い滞留時間)を許容することができる。たとえば、本出願の実施形態によって達成することができる滞留時間は、0.1分から20分、0.3分から5分、または0.5分から3分の範囲内である場合がある。クロマトグラフィ装置の設計は、約5cmから約50cm、好ましくは約5cmから約20cm、より好ましくは約6cmから約20cmのベッド高さを許容しつつ、柔軟な拡張性を提供するとともに、プロセスの容量の要請を満たす。一実施形態では、実質的に同じサイズおよび形状を有する複数のクロマトグラフィ装置10が、ともに合わせられて、
図7および
図8(a)から
図8(c)に示すクロマトグラフィシステム90などのデバイスのアセンブリを提供する場合がある。
【0027】
図1(a)を参照すると、例示的なクロマトグラフィ装置10は、上方部分、中心部分、および下方部分を有するハウジング15を含む場合がある。上方部分では、ハウジング15は、流体流入口13、流入フィッティング14、流入分配プレート18、および流入フリットプレート25を含む場合がある。下方部分では、ハウジング15は、流出分配プレート28、流出フリットプレート35、流体流出口36、および流出フィッティング37を含む場合がある。
【0028】
図1(b)および
図1(c)は、クロマトグラフィ装置10のハウジング15の内部の流体または液体の流れの方向を示している。
【0029】
一実施形態では、流入分配プレート18は、流体を均一に、または実質的に均一に分配するような構造とすることができ、それにより、パックされたベッドに向かう、流入フリットプレート表面の任意のポイントにおける流体の流量が同じであるか、または実質的に同じであるようになっている。代替例として、複数の並列なチャンネル、または、流入フリットプレートのためのサポートピンを包含する幅広い中心チャンネルを有する構造を利用することができる。
【0030】
一実施形態では、流入フリットプレート25は、以下の機能を提供するような構造とすることができる。機能の1つは、流体の均一な分配、または実質的に均一な分配をさらに促進し、それにより、パックされたベッドに向かう、流入フリットプレート表面の任意のポイントにおける流体の流量が同じであるか、または実質的に同じであるようにすることである。別の機能は、流体および溶質が透過性であるか、または実質的に透過性であり、一方、クロマトグラフィ媒体のビーズが不透過性であるか、または実質的に不透過性である構造を提供することである。別の機能は、スクリーンの力、または、流体の流れによって生じる力の少なくともかなりの部分であるか、または主要な部分を支えるための、十分であるか、または所望の機械的剛性を提供することである。
【0031】
一実施形態では、ハウジング15は、上側プレート1(第1のプレート)、下側プレート51(第2のプレート)、および側壁48a、48bを含む矩形のハウジングである場合がある。流体流入口13を有する上側プレート1は、流体の流れ方向に関して上流側に置かれている場合がある。流体流出口36は、側壁48a、48bの一方に形成されている場合がある。上側プレート1および下側プレート51、ならびに側壁48a、48bは、特定の実施形態では、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、およびポリエーテルエーテルケトンなどのポリマーから形成される場合があり、適切な他の材料が、ターゲットとなる用途および目的に応じて使用される場合がある。上に例示されたポリマーは、ハウジング15のすべての他の要素に使用することができ、また、適切な異なる材料を組み合わせて使用することができる。
【0032】
一実施形態では、流入フリットプレート25は、流入分配プレート18に形成された開口にフィットさせることができるプレート形状を有しており、流出フリットプレート35も、流出分配プレート28に形成された開口にフィットさせることができるプレート形状を有している(
図3(a)参照)。同様に、側壁48a、48bは、流入分配プレート18(流入フリットプレート25を伴う)および流出分配プレート28(流出フリットプレート35を伴う)をハウジング15の内部の安定した位置に挿入および配置することができるような構造を有するように形成される場合がある(
図1(a)参照)。同様に、流入分配プレート18および流出分配プレート28は、ハウジング15の一体の部分として、かつ、流入フリットプレート25および流出フリットプレート35を、
図2(a)に示すような安定した位置に挿入および配置することができるような構造を有するように形成される場合がある。流入フリットプレート25または流出フリットプレート35は、たとえば、超音波溶接、接着剤、溶剤接着、または機械的シールを使用して、側壁48a、48bに接着することができる。
【0033】
中心部分に配置されているのは、1つまたは複数の複数面スクリーンである。この複数面スクリーンは、クロマトグラフィ媒体支持構造40としてともにスタックされている場合があり、また、クロマトグラフィ樹脂または媒体(たとえば、ビーズ)がパックされている場合がある。ビーズは、複数面スクリーン(複数の場合もある)により、定位置に保持し、安定して支持することができる。異なる実施形態では、流入フリットプレート25、流出フリットプレート35、および側壁48a、48bは、(複数面スクリーンなしでも)クロマトグラフィ媒体を定位置に保持するように、クロマトグラフィ媒体を囲むような構造とすることができる。
【0034】
一実施形態における複数面スクリーン(複数の場合もある)は、ハウジング15のいずれのパーツ(上側プレート1、下側プレート51、側壁48a、48b)にも物理的に固定されていない。ハウジング15内のパーツは、上側プレート1および下側プレート51によって圧縮することができる。一実施形態では、2つ以上の複数面スクリーンを互いの上に置くことができる。各スクリーンは、ともにスタックさせ、互いと接触させることができるが、物理的に接続されるか、ともに接着/束縛させる必要はない。たとえば、クロマトグラフィ媒体支持構造40は、2から100(またはそれより多く)の層を有する複数面スクリーンによって形成することができ、このスクリーンは、たとえば、3D印刷によって製造される場合がある。例示的なスクリーンには、二面スクリーン100(
図9参照)が含まれ、ここでは、2つの平面を形成する2つの層になっている支柱101が存在し、支柱101は、各層の支柱101間に0度から180度の角度を有することができる。2つの平面の支柱101は、たとえば溶接によって互いに取り付けることができる。そのような構造では、2つの支柱101間の重なり合いまたはかみ合いが形成され得る。
【0035】
一実施形態では、複数面スクリーンは、好ましくは約0.1mmから約10mm、より好ましくは約0.3mmから約3mmの厚さを有する二面スクリーンである場合がある。そのような二面スクリーンは、好ましくは1mmから50mm、より好ましくは約3mmから約10mmの支柱から支柱までの距離を有する場合があり、支柱の2つの層は、好ましくは約10度から約170度、より好ましくは約30度から約120度、もっとも好ましくは約80度から約100度の角度を有している。そのような二面スクリーンの2つの層の間のかみ合いは、好ましくは個別の支柱の高さの約0パーセントから約90パーセント、より好ましくは約0パーセントから約50パーセントである場合がある。
【0036】
1つまたは複数の複数面スクリーンは、前部プレート45および背部プレート47と、流入フリットプレート25と、流出フリットプレート35と、ハウジング15の2つの側壁48a、48bとによって定位置に保持される場合がある。これらパーツのいずれにも物理的に接着することなく、定位置に保持することができる複数面スクリーン(複数の場合もある)の構成/配置と、ハウジング15の内部の流出フリットプレート35の構成/配置とは、流体がどのように流れるか、および、流体によって生じる力がどのように向けられるかに影響し得る。
図1(b)は、流体流入口13を通って入る流体が下方に流れる実施形態を示しており、この図は、ハウジング15の内部の流体の流れの方向、および力の方向を示している。一実施形態では、流体は、そのような下方向に、流入分配プレート18および流入フリットプレート25を通ってクロマトグラフィ媒体内に移動する。このクロマトグラフィ媒体は、その粒子サイズに起因して、流れ方向での測定できる圧力降下を生じる。ここで、圧力は面積あたりの力として定義される。そのような圧力降下は、クロマトグラフィ媒体上の力に変換され、そのような力は、クロマトグラフィ媒体支持構造40(たとえば、複数面スクリーン(複数の場合もある))へさらに、実質的に伝えられる場合があり、このため、この力は、流出フリットプレート35によって実質的に支えられる場合がある。この実施形態において流体が下方向に流れると、流体のいくらかが側壁48a、48bに沿って流れ、これにより、一定の力を生成する。しかし、流れによって生成された力の主要な部分(主な部分または実質的な部分、50%より大、場合によっては90%より大)は、この実施形態ではハウジング15の底部の近くに配置された流出フリットプレート35によって支えられている。どれだけの力が流出フリットプレート35によって支えられているかを測定するために、ディスクまたはフォイルなどのセンサーを流出フリットプレート35上に置くことができる。また、他の適切な測定方法を採用することができる。
【0037】
本開示において、流体の流れ、ならびに流入および流出に関する議論がされていることを理解されたい。図面によって示されるようないくつかの実施形態では、流れは、流体流入口13から流体流出口36への下方向のものである場合がある。しかし、異なる実施形態では、流れは、図示されているものとは逆方向である場合があり、また、流体流出口36から流体流入口13に向かう上方向のものである(たとえば、ポンプされている)場合がある。
【0038】
デバイス10上にはさらなる力/圧力が存在し、この中で、流体は、加圧される場合があり、また、ハウジング15内に内部圧力を発生させる。この内部圧力は、ハウジングの外側の周囲圧力より大である。側壁48a、48bの望ましくない変形は、たとえば、2つの側壁48a、48b、ならびに前部プレート45および背部プレート47の厚さを、そのような変形を避けるために十分な厚さにすることによって避けられる場合がある。同様に、剛性を付加するために、ポリマーなどの適切な材料が選択され、0.1mmから100mm、1mmから60mm、または4mmから30mmの範囲の厚さを有するように形成される場合がある。厚さを調整すること、および/または適切な材料を選択することにより、ハウジング15の変形は、側壁または前部プレートおよび背部プレートに支持構造を取り付けるか、または接着する必要なしに、抑制される場合がある。このことは、ハウジングに取り付けられた支持構造を含んでいた慣習的なデバイスに対する利点の1つである。ハウジング15の4つの側壁の製造を促進するために、
図2(b)に示すような空洞にされた側壁を使用することが有利である場合がある。そのような空洞にされた構造は、1mmから100mmまたは5mmから50mmの深さ、0.5mmから10mmまたは1mmから5mmのリブ厚さ、および、1mmから100mmまたは5mmから50mmのリブからリブまでの距離を有するリブを包含する場合がある。
【0039】
1つまたはいくつかのスラリー流入口(複数の場合もある)49が、クロマトグラフィ媒体を導入するために含まれる場合がある。スラリー流入口49は、ハウジング上の一方側または両側にある場合があり、また、一実施形態では、側壁48a、48bに位置している場合がある。スラリー流入口49は、クロマトグラフィ媒体をハウジング15内に、スラリー流入口49を通して供給する方向が、流れ方向に対して垂直であるように、側壁48a、48bに形成されている場合がある。
図2(a)に示すように、要素の各々は、モジュール式のクロマトグラフィ装置10を提供するように、ともにフィットされている場合がある。
図2(b)は、流出フリットプレート35内の流体の流れの方向と、上側プレート1および下側プレート51、ならびに、上述したような空洞にされた側壁での側壁48a、48bに関する代替的な設計と、を示している(
図2(a)をも参照)。適切である場合は、流出分配プレート28は、ハウジング15を形成するパーツと一体に形成することができる。他の実施形態では、ハウジング15のパーツは、別々に構築され、有効な方法によってともに組み立てられる場合がある。
【0040】
図3(a)に示すように、流入フリットプレート25(および流出フリットプレート35)は、それぞれの流入分配プレート18(および流出分配プレート28)にフィットされている場合がある。向上された流れ特性を提供すること、すなわち、流体の流れ内の最小限のばらつきを形成することに加え、流入フリットプレート25および流出フリットプレート35は、クロマトグラフィ装置10のハウジング15内に樹脂または媒体をより安定して保持することに役立つことができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、流入フリットプレート25および流出フリットプレート35は、多孔性であり、たとえば、0.1μmから3000μm、または特定の実施形態では10μmから1000μmの範囲の粒子サイズを有するセラミックまたはポリマー粒子から形成されている場合がある。流入フリットプレート25は、流入分配プレート18からクロマトグラフィ媒体内への流体の流れを促進することができる。流入フリットプレート25が、セラミック粒子などの適切な材料から形成された多孔性構造である場合、流入フリットプレート25を使用することにより、さらに高い流量が提供される場合がある。流出フリットプレート35も多孔性にされる場合があり、また、この流出フリットプレート35に印加され得る圧縮力の観点から所望である厚さをも有する場合がある。具体的には、特に媒体のスラリーが導入された場合の、クロマトグラフィ媒体によって生じる圧縮力の主要な部分は、流出フリットプレート35に伝えられる場合がある。このため、流入フリットプレート25および流出フリットプレート35、特に流出フリットプレート35は、多孔性であり得るのみならず、流体の流れによって引き起こされる力を支えるための所望の厚さ(0.1mmから10mmなど)をも有する場合がある。
【0042】
流入分配プレート18(流出分配プレート28)は、流体の分配を促進するために、ハウジング15の内部に置かれ、また、中に形成された1つまたは複数の溝(チャンネル)を有するプレート形態を有する場合がある。一実施形態では、流入分配プレート18(または流出分配プレート28)は、第1の方向に形成された1つまたは複数の第1のチャンネルと、第1の方向に対して垂直である第2の方向に形成され、第1のチャンネル(複数の場合もある)に接続された1つまたは複数の第2のチャンネルと、を有する場合がある。
【0043】
第1のチャンネル(複数の場合もある)は、延ばされている流入分配プレート18(または流出分配プレート28)の方向と同じ方向に延びるように形成されている場合があり、複数の第2のチャンネルは、第1のチャンネル(複数の場合もある)へ流体を向け、誘導するように、垂直であるか、または斜めに形成されている場合がある。
【0044】
図3(a)から
図3(c)は、流入分配プレート18および流出分配プレート28内に設けることができる例示的なパターンを示している。
図3(b)では、1つまたは複数の第1のチャンネルC1が第1の方向(流路f1の長さ方向、図面ではD1)に延ばされており、複数の第2のチャンネルC2が、流路f2aおよびf2bを提供するように第2の(幅)方向(図面ではD2)に形成されている。
図3(a)および
図3(b)では、D1はD2の方向に対して垂直である。第1のチャンネル(複数の場合もある)C1は、流入分配プレート18(流出分配プレート28)の中心部分に向かう部分に形成されている場合があり、また、流入分配プレート18(流出分配プレート28)の側部に形成された開口27に接続されている(
図3(a)参照)。第2のチャンネルC2は、(流路の長さ方向において)間に所望の間隔(
図3(b)ではS)を有する場合があり、たとえば一実施形態では0.5mmから100mm、または別の実施形態では1mmから10mmである。代替的なパターンは、
図3(c)に示すように、1つまたは複数の第1のチャンネルC1を有し、第2のチャンネルC2が第1のチャンネル(複数の場合もある)から約45度の角度で分岐しているものである場合がある。そのようなパターンは、フィッシュボーンパターンと称される場合がある。パターンは、図示のものには限定されず、流入分配プレート18および流出分配プレート28は、たとえば、全体の流体の分配パスの容量を可能な限り小さく維持すること、または、より低い圧力降下を維持することなどの、意図される用途に有利な効果を提供することができる所望のパターンを有する場合がある。第1のチャンネルと第2のチャンネルとによって形成される角度は、90度または45度には限定されず、この角度は、ターゲットとなる効果に応じて任意の適切な角度へと変化および調整される場合がある。所望のパターンを有するそのような流入分配プレート18/流出分配プレート28では、精製に有利な効果を得ることができる。たとえば、より低い圧力降下、およびより低い滞留量が、高い流量および最小限のバッファの消耗を可能にするために、精製においては有利である。流入分配プレート18は、液体の「ジェット」が流入フリットプレート25に当たることを防止する場合もある。液体の「ジェット」は、流れ方向における流体のモーメントが流入分配プレートおよび流入フリットプレートでの均等な流れの分布を妨げることである。液体のジェットが発生した場合、液体は、ある方向において、別の方向の流体のモーメントに比べて著しく大きい流体のモーメントを伴って流れる場合があり、液体は、バランスが取れた均等な分布では流れない場合がある。全体として、設計は、流体内のすべての分子に関し、流路の長さを実質的に同じに維持するように選択することができる。
【0045】
流入フリットプレート25(流出フリットプレート35)と流入分配プレート18(流出分配プレート28)とは、ともに接着または接続される場合がある。たとえば、各プレートは、溶剤接着、または、当業者に利用可能であり、意図される用途に適切である接着の他の方法、超音波結合、熱結合などを使用して、ともに接着される場合がある。
【0046】
いくつかの実施形態では、分離されることになる流体は、流入フィッティング14、流入分配プレート18、流入フリットプレート25を通してハウジング15内へ入れられ、また、流出フィッティング37を介して出される場合がある。流体は、流入フリットプレート25を出た後に、クロマトグラフィパッキング媒体を通って、流出フリットプレート35へ、また、流体流出口36へと下方向に流れる場合がある。
【0047】
クロマトグラフィ媒体は、その流体または液体から何の成分が分離されるかに応じた、幅広い様々な樹脂および構造である場合がある。精製されることになる流体および成分の実施例には、タンパク質、抗体、酵素、DNAまたはRNAの断片、プラスミド、および様々な生体分子が含まれる。たとえば、単クローン抗体の精製のために、ハウジングにAmsphere(登録商標) A3 Protein A樹脂をパックする場合がある。他の樹脂には、Capto(登録商標)Q、Fractogel(登録商標)、EMD(登録商標) TMAE、MabSelect(登録商標)Sure、MacroCap(登録商標)SP、Q Sepharose(登録商標)、およびToyopearl(登録商標)が含まれる。
【0048】
いくつかの実施形態では、複数面スクリーンは、樹脂または媒体を定位置に保持する場合がある。複数面スクリーンは、樹脂または媒体のための台として機能することができ、また、ハウジング15に取り付けられないか、または固定されない。具体的には、ハウジング15の側壁48a、48b、ハウジング15の端部プレート45または底部プレート47に取り付けられないか、または固定されない。複数面スクリーンは、ハウジング15の内部に取外し可能に置くことができる。一実施形態では、複数面スクリーンは、クロマトグラフィ媒体を定位置に保持する一連のスタックされた二面スクリーンである場合があり、スクリーンは、ハウジング15の4つの壁すべてに接触するように配置される場合がある。別様に述べると、複数面スクリーンは、媒体のための支持構造を提供する場合がある。流入フリットプレート25、流出フリットプレート35、および側壁48a、48bは、クロマトグラフィ媒体が定位置に保持されるように、クロマトグラフィ媒体を囲むような構造とされる場合がある。一実施形態では、複数面スクリーンは、一体成型された本体として、鋳造されるか、押出し加工されるか、または3次元的に印刷される場合がある。別の実施形態では、媒体は、クロマトグラフィベッドのインサート(図示せず)内に設けられる場合がある。さらに別の実施形態では、ハウジング15自体は、支持構造として機能するような構造とされる場合がある。
【0049】
樹脂または媒体は、他のものの内、振盪、振動、超音波、圧力、上昇流および下降流の調整、スラリー濃度の最適化、および/または、樹脂もしくは媒体のパッキングバッファの最適化の組合せを使用してハウジング15内にパックされる場合がある。スクリーン、および樹脂または媒体は、流入分配プレート18/流出分配プレート28、流入フリットプレート25/流出フリットプレート35、および側壁48a、48bによって提供される圧縮力によって定位置に保持される場合がある。流入分配プレート18/流出分配プレート28、流入フリットプレート25/流出フリットプレート35、および側壁48a、48bによって圧縮されるスクリーンおよび樹脂は、追加の支持構造なしでハウジング15の内部に安定して配置することができる。組立ての間に複数面スクリーンに印加される圧縮力は、好ましくは少なくとも約1ニュートン、より好ましくは少なくとも約10ニュートン、もっとも好ましくは少なくとも約100ニュートンである場合がある。
【0050】
一実施形態では、デバイス10を通る流体の流れは、逆にされ、底部から頂部へ、すなわち、デバイスの下方部分から上方部分に流れる場合がある。具体的には、
図2(a)に示す構造では、流体は、側壁48aに形成された開口(たとえば、上述の流体流出口36)を通ってハウジング15に入ることができ、流体は、開口、たとえば上述の流体流入口13を通ってハウジング15を出る場合がある。この構成では、クロマトグラフィ媒体は、水酸化ナトリウムなどの洗浄剤で洗われる場合があり、ふたたび平衡状態にされた後に、場合によっては再使用される。
【0051】
図4および
図5(a)を参照すると、液体が、ハウジング15内に流体流入口13を介して流入し、流体流出口36を介して流出する場合がある。ハウジングの外部には、コネクタ50および配管53がある場合があり、これらコネクタ50および配管53は、複数のクロマトグラフィ装置を接続して、結合された一連のデバイスを形成することを可能にする。一実施形態では、コネクタ50は、T形状のフィッティングおよびブラケット60である場合があり、T形状のフィッティングおよびブラケット60は、隣接するクロマトグラフィ装置を接続するために利用される場合がある。通常は、T形状のフィッティング/コネクタの直線状の水平部分の全長は、約10mmから約500mmである場合がある。一実施形態では、水平部分の全長は、デバイスの全幅におおむねマッチするようなサイズである場合があり、それにより、スタックされたn個のデバイスが、n個の接続されたT形状のフィッティング/コネクタと同じか、または実質的に同じ長さを有する場合があるようになっている。
図5(b)は、代替的なハウジングの設計が採用されている実施例を示している。
【0052】
図6に示すように、ブラケット60は、T形状のコネクタ50の各端部上に構成されている場合があり、それにより、1つのT形状のコネクタ50aの流出口65が、第1のT形状のコネクタ50aと第2のT形状のコネクタ50bとの間にガスケット70が位置する状態で、第2のT形状のコネクタ50bの流入口66と同じ高さに配置されるとともに、この流入口66と流体連通し得るようになっている。コネクタ50は、連続して置かれるクロマトグラフィ装置の数に応じて調整され得る内径を有する場合がある。コネクタ50a、50bは、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、およびポリエーテルエーテルケトンから形成される場合があり、また、ターゲットとなる用途および目的に応じた適切な構造を有する場合がある。
【0053】
本開示のクロマトグラフィ装置10の利点の1つは、複数のクロマトグラフィ装置10が、クロマトグラフィシステム90を提供するように、
図7および
図8(a)から
図8(c)に示すように一連のデバイスまたはモジュールとして接続され、ホルダ(たとえば、
図8(a)のホルダ80)内に取り付けられ得ることである。
図7および
図8(b)を参照すると、流入供給ホース93が、第1のクロマトグラフィ装置10の一方の端部に接続されており、流入供給ホース93を通って供給される流体の一部が、流体流入口13を通って第1のクロマトグラフィ装置10に入り(矢印fiによって示される流れ方向を参照されたい)、他方の端部で、流体流出口36および配管53を通って第1のクロマトグラフィ装置10を出る(
図7、
図8(b)、および
図2(a)、ならびに、矢印foによって示される流れ方向を参照されたい)。流体は、コネクタ50を通って移動し(
図5および
図7、ならびに、矢印fdによって示される流れ方向を参照されたい)、流体流入口13を通って第2のクロマトグラフィ装置10に入り、また、流体流出口36および配管53を通って第2のクロマトグラフィ装置10を出る。また、流体は、残りのクロマトグラフィ装置を順に通って流れる。複数のクロマトグラフィ装置10は、流体が実質的に均等な部分へと分割され、実質的に並列な方式でクロマトグラフィ装置10を通って流れるような構造とされる場合がある。クロマトグラフィ装置10を出た流体の部分は、流出ホース95を介して出る。複数のクロマトグラフィ装置10は、ホルダ80内に配置され、連続して構成される場合がある。ホルダ80は、剛性のハウジングである場合があり、たとえば、ステンレス鋼、または、ポリプロピレンのようなグラスファイバーが充填されたポリマーで形成され、複数のクロマトグラフィ装置10、たとえば、2から50、またはそれより多くのクロマトグラフィ装置10を1つのシステム90内に保持するような構造である場合がある。
【0054】
図8(c)は、5つのクロマトグラフィ装置10が第1のスタックST1内に並列に置かれ、別の5つのクロマトグラフィ装置10が第2のスタックST2内に並列に置かれ、それにより、第1のスタックST1の流出口が第2のスタックST2の流入口になっている実施例を示している。液体/流体の流れの方向は、
図8(c)の矢印によって示されている。矢印fi1は、図面の右側で、第1のスタックST1内のクロマトグラフィ装置10に入る流れの方向を示しており、矢印fo1は、図面の左側で、第1のスタックST1内のクロマトグラフィ装置10から出る流れの方向を示している。矢印fcは、流体が第1のスタックST1の流出口を出て、第2のスタックST2の流入口に入り、矢印fi2の方向に第2のスタックST2のクロマトグラフィ装置10内へ流入する場合の流れを示している。流体は、第2のスタックST2の流出口を、流出ホース95から出る(
図8(b)参照)。
【0055】
クロマトグラフィシステム90をそのように構築し、複数のクロマトグラフィ装置10を通して流れを循環させることにより、さらに効果的かつ効率的な流体内の成分の分離を達成することができる。
【0056】
1つのスタック内のクロマトグラフィ装置10の数は、クロマトグラフィシステム90の意図される用途に応じて変化させることができ、第1のスタックST1および第2のスタックST2は、異なる数のクロマトグラフィ装置10を有する場合がある。そのようなホルダ80は、サポートを提供し、側壁48a、48bの歪みを防止することができる。一実施形態(
図7および
図8(a)から
図8(c)を参照)では、クロマトグラフィ装置10は、連続した構成で取り付けられる場合があり、ここで、配管53のT形状のコネクタ50aの流出口65は、クロマトグラフィ装置10の配管53のT形状のコネクタ50bの流入口66に流体接続されている。さらに、第1の単一のクロマトグラフィ装置、または少なくとも2つのクロマトグラフィ装置が並列に接続された第1のスタックは、第2のクロマトグラフィ装置、または少なくとも2つのクロマトグラフィ装置のスタックに連続して接続される場合がある。この実施形態では、隣接するクロマトグラフィ装置の圧力降下が異なる場合、鋼プレートまたは他のデバイスがクロマトグラフィ装置間、またはクロマトグラフィ装置のスタック間に存在する場合がある。たとえば、鋼プレートは、クロマトグラフィ装置10間に置かれる場合がある。別の鋼プレートまたは他のデバイスが、第1のスタックST1と第2のスタックST2との間に置かれる場合がある。そのようなプレートまたはデバイスは、あるデバイス/スタックの圧力降下の、別の隣接するデバイス/スタックに対する影響を緩和させることができる。
【0057】
本発明の一態様によれば、クロマトグラフィ装置が、流体の流入口および流出口を含むハウジングと、ハウジングの内部に配置され、流入口を通って流れる流体を受け、ハウジングの内部の流れを分配する流入分配プレートと、流入分配プレート上に配置された流入フリットプレートと、ハウジングの内部に置かれたクロマトグラフィ媒体と、流入分配プレートおよび流入フリットプレートからの分離されることになる流体を受けるように、ハウジングの内部に配置され、クロマトグラフィ媒体がその内部で支持され、流入分配プレートおよび流入フリットプレートからの分離されることになる流体がクロマトグラフィ媒体を通過するように構成されている少なくとも1つの複数面スクリーンと、分離された流体を受ける流出分配プレートと、流出分配プレート上に配置され、クロマトグラフィ媒体を通る流体によって生じる力を受ける流出フリットプレートと、を含んでいる。
【0058】
クロマトグラフィ装置の一実施形態では、流入分配プレート、流入フリットプレート、流出分配プレート、および流出フリットプレートが、溶剤接着、超音波接着、および熱接着で構成されたグループから選択されるプロセスによってともに接着される。
【0059】
一実施形態では、ハウジングは、クロマトグラフィ媒体を供給するための少なくとも1つのスラリー流入口をさらに含んでいる。
【0060】
一実施形態では、複数面スクリーンは、少なくとも1つの二面スクリーンを含んでいる。
【0061】
一実施形態では、クロマトグラフィ媒体は、複数の吸着ビーズを含んでいる。
【0062】
一実施形態では、流入分配プレートと流出分配プレートとの各々は、パターンのあるチャンネルを含んでいる。
【0063】
一実施形態では、パターンのあるチャンネルは、フィッシュボーンパターンを含んでいる。
【0064】
一実施形態では、クロマトグラフィシステムが、複数のクロマトグラフィ装置を含んでいる。
【0065】
クロマトグラフィシステムの一実施形態では、1つのクロマトグラフィ装置のハウジングは、別のクロマトグラフィ装置のハウジングに、それぞれの流入口および流出口において結合されている。
【0066】
一実施形態では、クロマトグラフィシステムは、ともに結合されたハウジング間の接続を提供するコネクタをさらに含んでいる。
【0067】
一実施形態では、コネクタは、T形状のフィッティングを含んでいる。
【0068】
一実施形態では、T形状のフィッティングの長さは、クロマトグラフィ装置の各々の厚さに等しいか、または実質的に等しい。
【0069】
本発明の一態様によれば、クロマトグラフィ装置は、流体の流入口および流体の流出口を含むとともに、複数の側壁を有するハウジングと、ハウジングの内部に配置された流入分配プレートと、流入分配プレート上に配置され、流体の流れを分配するような構造とされた流入フリットプレートと、ハウジング内で支持され、流入分配プレートおよび流入フリットプレートからの分離されることになる流体を受けるように配置されたクロマトグラフィ媒体と、ハウジングの内部に配置され、流体を流出に向けるような構造とされた流出分配プレートと、クロマトグラフィ媒体を通る流体の流れの力を受けるように、流出分配プレート上に配置された流出フリットプレートと、を含んでいる、流入フリットプレート、流出フリットプレート、および側壁は、クロマトグラフィ媒体を囲み、それにより、クロマトグラフィ媒体が定位置に保持されるようになっている。
【0070】
一実施形態では、流入分配プレートと流出分配プレートとの各々が、フィッシュボーンパターンを含むパターンのあるチャンネルを含んでいる。
【0071】
一実施形態では、クロマトグラフィ装置は、クロマトグラフィ媒体を保持するような構造とされた少なくとも1つの複数面スクリーンをさらに含んでいる。
【0072】
一実施形態では、複数面スクリーンは、少なくとも1つの二面スクリーンを含んでいる。
【0073】
一実施形態では、クロマトグラフィシステムは、複数のクロマトグラフィ装置を含んでおり、1つのクロマトグラフィ装置のハウジングが、別のクロマトグラフィ装置のハウジングに、それぞれの流入口および流出口において結合されている。
【0074】
一実施形態では、クロマトグラフィシステムは、ともに結合されたハウジング間の接続を提供するような構造のコネクタをさらに含んでいる。
【0075】
本発明の一態様によれば、流体内の成分を分離する方法は、複数の成分を含む流体をクロマトグラフィ装置に供給することを含んでいる。
【0076】
一実施形態では、成分に、タンパク質、抗体、酵素、ウイルス、DNAの断片、RNAの断片、プラスミド、および生体分子の少なくとも1つが含まれる。
【0077】
本アプローチが、好ましい実施形態、およびその特定の実施例を参照して本明細書に図示および記載されてきたが、当業者には、他の実施形態および実施例が、同様の機能を実施し得ること、および/または同様の結果を実現し得ることが、容易に明らかとなるであろう。実施例として、本明細書に記載のクロマトグラフィ装置は、クロマトグラフィ媒体を伴う用途には限定されず、任意の吸着性媒体のデバイスで使用される場合がある。そのような均等の実施形態および実施例のすべては、本アプローチの精神および範囲内にある。
【符号の説明】
【0078】
1 上側プレート
10 クロマトグラフィ装置
13 流体流入口
14 流入フィッティング
15 ハウジング
18 流入分配プレート
25 流入フリットプレート
27 開口
28 流出分配プレート
35 流出フリットプレート
36 流体流出口
37 流出フィッティング
40 クロマトグラフィ媒体支持構造
45 端部プレート
47 底部プレート
48a,48b 側壁
49 スラリー流入口
50 コネクタ
50a,50b T形状のコネクタ
51 下側プレート
53 配管
60 ブラケット
65 流出口
66 流入口
70 ガスケット
80 ホルダ
90 クロマトグラフィ装置
93 流入供給ホース
95 流出ホース
100 二面スクリーン
101 支柱
【国際調査報告】