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特表2024-523189プレバイオティクス、プロバイオティクス及び/又はポストバイオティクス処置剤、オストミーバリア及び接着剤、並びにストーマ周囲皮膚の健康を改善する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】プレバイオティクス、プロバイオティクス及び/又はポストバイオティクス処置剤、オストミーバリア及び接着剤、並びにストーマ周囲皮膚の健康を改善する方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/445 20060101AFI20240621BHJP
   A61K 36/062 20060101ALI20240621BHJP
   A61K 35/74 20150101ALI20240621BHJP
   A61K 35/744 20150101ALI20240621BHJP
   A61K 35/747 20150101ALI20240621BHJP
   A61K 35/745 20150101ALI20240621BHJP
   A61K 36/05 20060101ALI20240621BHJP
   A61K 36/02 20060101ALI20240621BHJP
   A61P 31/02 20060101ALI20240621BHJP
   C12N 1/14 20060101ALN20240621BHJP
   C12N 1/16 20060101ALN20240621BHJP
   C12N 1/20 20060101ALN20240621BHJP
   C12N 5/04 20060101ALN20240621BHJP
   C12N 1/00 20060101ALN20240621BHJP
   C12M 1/00 20060101ALN20240621BHJP
【FI】
A61F5/445
A61K36/062
A61K35/74 A
A61K35/744
A61K35/747
A61K35/745
A61K36/05
A61K36/02
A61P31/02
C12N1/14 A
C12N1/16 G
C12N1/20 A
C12N5/04
C12N1/00 F
C12M1/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574802
(86)(22)【出願日】2022-06-07
(85)【翻訳文提出日】2024-01-31
(86)【国際出願番号】 US2022032495
(87)【国際公開番号】W WO2022261090
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】63/208,247
(32)【優先日】2021-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591000414
【氏名又は名称】ホリスター・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】HOLLISTER INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】ジャニス、エイブラム・ディー
(72)【発明者】
【氏名】ジョシ、ジャヤント
(72)【発明者】
【氏名】ペデルセン、ウォルター・アール
(72)【発明者】
【氏名】シャット、ジョーエル・ディー
(72)【発明者】
【氏名】バート、ラジャン・エー
【テーマコード(参考)】
4B029
4B065
4C087
4C088
4C098
【Fターム(参考)】
4B029AA21
4B029BB02
4B029BB04
4B029BB05
4B029BB07
4B029BB08
4B029CC05
4B065AA01X
4B065AA21X
4B065AA30X
4B065AA80X
4B065AA84X
4B065AA85X
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4C087AA01
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4C087BC01
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4C088AA16
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4C088AD21
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4C088MA17
4C088MA28
4C088MA43
4C088MA63
4C088NA20
4C088ZA90
4C098AA09
4C098CC18
4C098CC24
4C098CE14
4C098DD12
4C098DD14
4C098DD20
(57)【要約】
オストミーバリア、皮膚接着剤、付属品又はストーマ周囲皮膚処置剤が、ストーマ周囲皮膚又は他の身体部位の皮膚内又はその上の病原性生物の増殖を制限し、及び/又は健康な皮膚細菌叢を維持するように構成される非病原性の細菌、真菌、藻類、酵母の集団又はそれらの溶解物を含む。オストミーバリア、接着剤、付属品又はストーマ周囲皮膚処置剤はまた、ストーマ周囲又は他の皮膚環境を変化させ、望ましい集団又は共生集団の成長を促進する一方で、病原性生物の成長を阻止するように構成され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキンバリア材料と非病原性の細菌、真菌、藻類、酵母の集団又はそれらの溶解物(「集団」)とを含むオストミー装具であって、前記集団が、ストーマ周囲皮膚環境において病原性生物の増殖を制限し、及び/又は非病原性細菌若しくは共生細菌の増殖及び維持を選択的に増強するように構成される、オストミー装具。
【請求項2】
前記集団が前記スキンバリア材料の皮膚に面する表面上に提供されるか、又は前記スキンバリア材料に組み込まれる、請求項1に記載のオストミー装具。
【請求項3】
前記集団の成長を選択的に促進する一方で、前記病原性生物の成長を抑制するように構成される栄養培地を更に含む、請求項1又は2に記載のオストミー装具。
【請求項4】
前記集団が剥離ライナー上に提供され、該剥離ライナーが前記スキンバリア材料にラミネートされ、前記集団が前記スキンバリア材料の皮膚に面する表面に移される、請求項1~3のいずれか一項に記載のオストミー装具。
【請求項5】
前記スキンバリア材料が、前記集団を組み込んだスキンバリア配合物から形成され、前記集団が前記スキンバリア材料の皮膚に面する表面に移動する、請求項1~3のいずれか一項に記載のオストミー装具。
【請求項6】
前記集団がラクトバチルス属、ラクトバチルス・プランタルム、乳酸菌及びビフィドバクテリウム属、並びにそれらの溶解物からなる群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載のオストミー装具。
【請求項7】
前記集団がサッカロミセス・セレビシエ、クロレラ、スピルリナ、古細菌、及びそれらの溶解物からなる群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載のオストミー装具。
【請求項8】
酸素を枯渇させるか、又は気密ストーマ周囲領域を提供し、好気性細菌の成長を制限する一方で、嫌気性細菌の成長を可能にする嫌気性環境を作り出すように構成される、請求項1~7のいずれか一項に記載のオストミー装具。
【請求項9】
酸素を提供し、好気性環境を作り出し、嫌気性細菌の成長を制限する一方で、好気性細菌の成長を可能にするように構成される、請求項1~7のいずれか一項に記載のオストミー装具。
【請求項10】
約38℃~48℃のストーマ周囲皮膚温度を維持するように構成される、請求項1~9のいずれか一項に記載のオストミー装具。
【請求項11】
前記集団の成長を促進する一方で、他の生物又は病原性生物の成長を抑制するように構成される栄養培地を導入するための再密閉可能な開口部又はポートを更に備える、請求項1~10のいずれか一項に記載のオストミー装具。
【請求項12】
前記集団の成長を促進する一方で、前記病原性生物の成長を抑制するために、ストーマ周囲皮膚領域の湿度を選択範囲内に制御するように構成される、請求項1~11のいずれか一項に記載のオストミー装具。
【請求項13】
前記集団の成長を促進する一方で、前記病原性生物の成長を抑制するために、ストーマ周囲皮膚領域のpHレベルを選択範囲内に制御するように構成される、請求項1~12のいずれか一項に記載のオストミー装具。
【請求項14】
オストミーバリア又はオストミーリングである、請求項1~13のいずれか一項に記載のオストミー装具。
【請求項15】
前記オストミー装具がオストミーパウチシステムであり、該オストミーパウチシステムが、前記集団を含むポリマーフィルムから形成されたオストミーパウチを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載のオストミー装具。
【請求項16】
非病原性の細菌、真菌、藻類、酵母の集団又はそれらの溶解物(「集団」)を含むストーマ周囲皮膚処置剤、オストミー付属品又は皮膚接着剤であって、前記集団が、ストーマ周囲皮膚環境において皮膚内の病原性生物の増殖を制限し、及び/又は非病原性細菌若しくは共生細菌の増殖及び維持を選択的に増強するように構成される、ストーマ周囲皮膚処置剤、オストミー付属品又は皮膚接着剤。
【請求項17】
前記ストーマ周囲皮膚処置剤が皮膚保護剤、皮膚コンディショナー又はローションである、請求項16に記載のストーマ周囲皮膚処置剤、オストミー付属品又は皮膚接着剤。
【請求項18】
前記集団が分解性ポリマーマイクロスフェアに含まれ、該分解性ポリマーマイクロスフェアが、イオン条件又はストーマ周囲皮膚のpHレベルに曝露されると分解するように構成される、請求項16又は17に記載のストーマ周囲皮膚処置剤、オストミー付属品又は皮膚接着剤。
【請求項19】
前記集団がタンパク質担体に含まれ、該タンパク質担体が、内因性の又は導入されたプロテアーゼの存在下で崩壊するように構成される、請求項16又は17に記載のストーマ周囲皮膚処置剤、オストミー付属品又は皮膚接着剤。
【請求項20】
前記集団が脂質担体に含まれ、該脂質担体が内因性のリパーゼ又は導入されたリパーゼ、例えば膵リパーゼの存在下で分解するように構成される、請求項16又は17に記載のストーマ周囲皮膚処置剤、オストミー付属品又は皮膚接着剤。
【請求項21】
前記集団が炭水化物担体に含まれ、該炭水化物担体が内因性のアミラーゼ又は導入されたアミラーゼの存在下で崩壊するように構成される、請求項16又は17に記載のストーマ周囲皮膚処置剤、オストミー付属品又は皮膚接着剤。
【請求項22】
前記集団が水溶性担体に組み込まれて固定化され、該水溶性担体がポリビニルアルコール又はゼラチン又は機能性ポリマーから形成される、請求項16又は17に記載のストーマ周囲皮膚処置剤、オストミー付属品又は皮膚接着剤。
【請求項23】
前記ストーマ周囲皮膚処置剤が粉末又はペーストの形態で提供される、請求項16~22のいずれか一項に記載のストーマ周囲皮膚処置剤、オストミー付属品又は皮膚接着剤。
【請求項24】
プロテアーゼ阻害剤を更に含む、請求項16~23のいずれか一項に記載のストーマ周囲皮膚処置剤、オストミー付属品又は皮膚接着剤。
【請求項25】
ストーマ周囲皮膚の健康を改善又は維持する方法であって、非病原性の細菌、真菌、藻類、酵母の集団又はそれらの溶解物(「集団」)をストーマ周囲皮膚に適用する工程と、前記集団の成長を促進するように構成されるオストミーバリア、皮膚接着剤、皮膚処置剤又は装具を取り付ける工程とを含む、方法。
【請求項26】
前記集団が液体、ゲル、ペースト又は粉末の形態で提供され、前記ストーマ周囲皮膚に適用される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記オストミーバリア又は皮膚接着剤が、前記集団又は既存の非病原性の細菌、真菌、藻類若しくは酵母の成長を促進する一方で、他の生物又は病原性生物の成長を抑制するように構成される栄養プロバイオティクス培地を含む、請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
前記オストミーバリア又は皮膚接着剤が、前記ストーマ周囲皮膚の温度、水分量、湿度及びpHレベルの少なくとも1つを変化させ、前記集団又は既存の非病原性の細菌、真菌、藻類若しくは酵母の成長を促進する一方で、他の生物又は病原性生物の成長を抑制するように構成される、請求項25~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記オストミーバリア又は皮膚接着剤が、乾燥剤、塩及び/又は揮発性溶媒を配合物に含めることにより皮膚界面での湿度を変化させるように構成される、請求項25~28のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、皮膚接着剤及びオストミーストーマ周囲皮膚ケアのための方法及びデバイス、より詳細には、病原性細菌又は腐生性真菌よりも非病原性の細菌又は単細胞真核生物を導入し、維持し、及び/又はその成長を促進するオストミーバリア、接着剤、付属品及び処置剤に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚接着剤は、多種多様な医療用具及びウェアラブルセンサー技術について、経皮インターフェースを身体に固定するために使用されている。一例がオストミーバリアであり、これは、オストミーパウチ等のオストミー装具を、使用者のストーマの周辺の皮膚、すなわち「ストーマ周囲皮膚」に固定するために使用される。典型的には、現在のオストミーバリアは、接着剤から形成されたスキンバリアと、裏打ち層と、ストーマを受容する入口開口部とを備える。オストミーバリアは、ワンピースパウチシステム用のオストミーパウチに取り付けることができる。代替的には、オストミーバリアは、オストミーパウチに取り付けられたパウチ側カップリングと係合するように構成されるボディ側カップリングを含むツーピースパウチシステム用のフェースプレートとして構成され得る。オストミー付属品は、オストミーバリアとともに使用され、付着、密閉、取外し及び再適用を含むバリアの正確な「装着」に役立つ。
【0003】
オストミーバリアは、オストミーパウチを固定するために長時間にわたって使用者の皮膚に取り付けられたままになることがある。オストミーバリア下のストーマ周囲皮膚環境は、温かく、暗く、湿っており、尿、糞便又は他の排泄物によって断続的に汚れる可能性があり、これはストーマ周囲皮膚のディスバイオシス及び/又は感染につながる恐れがある微生物の成長に理想的な状況を提供する。研究により、ストーマ周囲皮膚のスワブが様々なウイルス、細菌及び真菌の感染、並びに細菌及び真菌微生物のコロニー形成を示すことが見出された。病原性種による感染の報告されている悪影響としては、再上皮化及び細胞遊走、並びに表皮の生存能力の障害が挙げられ、これはストーマ周囲皮膚合併症及び病態の治癒に影響を及ぼす可能性がある。さらに、多くのオストミー患者が糖尿病、補助的癌療法/化学療法、又は炎症性腸疾患の治療に使用される免疫抑制剤/免疫調節剤を含むが、これらに限定されない共存症のために免疫抑制状態である可能性があり、これがストーマ周囲感染症及び他の合併症のリスクを更に高める恐れがある。
【0004】
マイクロバイオームは、特定の環境、例えばヒトの身体又は身体の一部における微生物の集合的ゲノム集団であり、健康及び疾患に対するその影響は、研究の盛んな分野である。プロバイオティクスは、例えば胃腸管、並びに座瘡、アトピー性皮膚炎及び他の病態の局所皮膚ケア配合物において、病原性微生物よりも非病原性微生物の成長を選択的に促進するために使用されてきた。非病原性微生物は、環境を変化させ、及び/又は病原性微生物と競合し、全集団に対するそれらの相対的割合を減少させると仮定される。さらに、差次的培養培地、栄養素及び/又は条件が、微生物の特定及び/又は単離に歴史的に広く使用されており、文献において十分に特徴付けられている。これらと同じ培地、栄養素及び/又は条件を用いて、特定の細菌種、真菌種及び/又はウイルス種を他よりも選択的に促進又は抑制することができる。
【0005】
本開示は、非病原性の細菌、真菌、藻類、及び/又は健康なストーマ周囲皮膚を選択的に促進及び/又は維持する成分及び/又は条件を含む、改善された皮膚接着剤、オストミーバリア、装具、付属品及びストーマ周囲処置剤を提供する。
【発明の概要】
【0006】
ストーマ周囲皮膚処置剤、オストミー付属品、オストミー装具、皮膚接着剤又はオストミースキンバリアは、様々な実施の形態に従って、非病原性の細菌、真菌、藻類若しくは酵母の選択された種を導入するか、又は既存の細菌集団を調節するか、又は或る特定の非病原性の微生物を他よりも優先的に選択するか、若しくはその成長を助長して、ストーマ周囲皮膚の健康を促進するように構成され得る。
【0007】
一態様において、皮膚接着剤又はオストミーバリアは、スキンバリア又は接着剤と、ストーマ周囲皮膚内若しくはその上の病原性生物の増殖を制限するか、又は健康な皮膚細菌叢を維持するように構成される非病原性の細菌、真菌、藻類又は酵母の集団又は溶解物とを含むことができる。非病原性の細菌、真菌、藻類又は酵母の集団又は溶解物は例えば、限定されるものではないが、ラクトバチルス属、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、他の乳酸菌及びビフィドバクテリウム属、並びにそれらの溶解物からなる群から選択することができる。
【0008】
皮膚接着剤又はオストミーバリアは、非病原性の細菌、真菌、藻類又は酵母の集団の成長を促進する一方で、病原性生物の成長を抑制するように構成される栄養培地を更に含むことができる。一実施の形態において、オストミーバリア又は接着剤は、栄養培地を導入するための再密閉可能な開口部又はポートを備えることができる。
【0009】
一実施の形態において、非病原性の細菌、真菌、藻類又は酵母の集団又は溶解物は、スキンバリア接着剤の皮膚に面する表面上に提供されるか、又はバリア若しくは接着剤配合物に組み込まれ得る。例えば、非病原性の細菌、真菌、藻類又は酵母の集団は、剥離ライナー上に提供され、剥離ライナーがスキンバリア又は接着剤にラミネートされ、使用前に取り外される際にスキンバリア又は接着剤の皮膚に面する表面に移され得る。
【0010】
一実施の形態において、オストミーバリア又は皮膚接着剤は、酸素を枯渇させるか、又は気密ストーマ周囲領域を提供し、好気性細菌の成長を制限する一方で、嫌気性細菌の成長を可能にする嫌気性環境を作り出すように構成することができる。代替的には、嫌気性菌の成長を制限するために好気性環境を提供してもよい。別の実施の形態において、オストミーバリア又は接着剤は、一体化加熱素子を用いて約38℃~48℃のストーマ周囲皮膚温度を維持するように構成され得る。選択的な温度条件を提供するために、その上の加熱パッドを利用してもよい。更に別の実施の形態において、オストミーバリア又は接着剤は、非病原性の細菌、真菌、藻類又は酵母の集団の成長を促進する一方で、他の生物又は病原性生物の成長を抑制するために、ストーマ周囲皮膚領域の湿度及び/又はpHを選択範囲内に制御するように構成又は配合され得る。導入された(例えば、腸内細菌又は糞便細菌)又は病原性の種よりも健康な皮膚微生物叢を促進する特定のpHを維持するための緩衝条件も含まれ得る。
【0011】
別の態様において、ストーマ周囲皮膚処置剤、オストミー付属品又は皮膚接着剤は、ストーマ周囲皮膚内/上の病原性生物の増殖を制限するように構成される非病原性の細菌、真菌、藻類又は酵母の溶解物又は集団を含み得る。
【0012】
幾つかの実施の形態において、非病原性の細菌、真菌、藻類又は酵母の集団又は溶解物は、分解性ポリマーマイクロスフェア又はタンパク質担体に含まれてもよく、分解性ポリマーマイクロスフェア又はタンパク質担体は、特定範囲のイオン条件若しくは特定範囲のpHに曝露されることで、又はイレオストミー及び人工肛門の排泄物に存在することが知られる内因性プロテアーゼ若しくは膵プロテアーゼの存在下で分解又は崩壊するように構成され得る。一実施の形態において、非病原性の細菌、真菌、藻類又は酵母の集団は、好ましい環境を提供するポリビニルアルコール又はゼラチン又は他の機能性ポリマーから形成される水溶性担体に組み込まれて固定化されてもよい。一実施の形態において、オストミー付属品又はストーマ周囲皮膚処置剤は、ストーマパウダー又はペーストとして提供され得る。幾つかの実施の形態において、ストーマ周囲皮膚処置剤、オストミー付属品又は皮膚接着剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等のプロテアーゼ阻害剤を更に含み得る。
【0013】
更に別の態様において、ストーマ周囲皮膚の健康を改善又は維持する方法は、非病原性の細菌、真菌、藻類又は酵母の溶解物又は集団を、ビヒクルを介してストーマ周囲又は他の皮膚部位に適用する工程と、非病原性の細菌、真菌、藻類又は酵母の集団の成長を促進するように構成されるオストミーバリア又は接着剤をそれぞれ取り付ける工程とを含み得る。
【0014】
一実施の形態において、非病原性の細菌、真菌、藻類又は酵母の溶解物及び/又は集団は、ストーマ周囲皮膚若しくは他の皮膚部位に噴霧若しくは塗布され得る液体形態で提供されても、又はゲル、ペースト若しくは粉末の形態で提供されてもよい。接着剤又はオストミーバリアは、非病原性の細菌、真菌、藻類又は酵母の集団の成長を促進する一方で、病原性生物の成長を抑制するように構成される栄養培地を含むことができる。一実施の形態において、接着剤又はオストミーバリアは、非病原性の細菌、真菌、藻類又は酵母の集団の成長を促進する一方で、選択された病原性生物の成長を抑制するために、栄養、酸素供給、イオン濃度、温度、水分量、湿度又はpH等のストーマ周囲皮膚の少なくとも1つの態様を変化させるように構成され得る。
【0015】
一実施の形態において、接着剤又はオストミーバリアは、マイクロクライメット湿度を調節するために固体、ゲル及び/又は液体の添加剤を組み込んでもよい。例えば、乾燥剤又は蒸気圧調節添加剤をオストミーバリアに組み込んでもよく、ストーマ周囲皮膚微小環境内の湿度の調節が可能となる。バリアは、異なる添加剤及び/又は乾燥剤の選択、並びにバリア内のそれらの割合によって特定の湿度条件に合わせることができる。付加的な湿度仕様は、化学的同一性及びバリア内の割合が異なる添加剤の組合せ混合物によって拡大することができる。別の実施の形態において、湿度調節接着剤、皮膚保護剤又はデバイスは、ストーマ周囲ケアの付属品として適用され得る。湿度調節は、有益な微生物集団の成長の促進、病原性生物の抑制又はそれらの組合せのためにカスタマイズすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示は、種々の形態の実施形態に適用可能であるが、現在好ましい実施形態が以下に記載される。ここで、本開示は例示とみなされ、本開示を図示される特定の実施形態に限定することは意図されていないことが理解される。
【0017】
ヒト皮膚のマイクロバイオームは、マイクロクライメット、例えば乾燥、皮脂及び湿潤マイクロクライメットのために解剖学的部位によって異なる。外科的に作られた小孔は、腸内及び/又は皮膚のマイクロバイオームを様々な程度に破壊し、その中の固有のマイクロバイオームを変化させる可能性がある。また、小孔は、潜在的に独特なディスバイオシスの混合皮膚/腸マイクロバイオームに対する独特なマイクロクライメットを皮膚と腸との間の界面に作り出す。本開示は、様々な実施形態に従って、オストミー環境を維持、調節又は変化させて、ストーマ周囲皮膚の健康を維持及び/又は再確立する方法及びデバイスを開示する。
【0018】
本明細書において使用されるプロバイオティクスは、宿主に健康上の利益を与えるために投与される生きた微生物である。プロバイオティクスの健康上の利益は、細菌株、送達又は適用の方法、及び臨床条件によって異なり得る。
【0019】
本明細書において使用されるプレバイオティクスは、宿主の健康に有益な微生物の1つ以上の株の成長及び/又は活性を選択的に刺激し得る化合物又は成分である。
【0020】
本明細書において使用されるポストバイオティクスは、生きた微生物によって分泌されるか、又は微生物の溶解後に放出される可溶性因子(生成物又は代謝副生成物)、例えば酵素、ペプチド、テイコ酸、ペプチドグリカン由来のムロペプチド、多糖、細胞表面タンパク質及び有機酸を指す。
【0021】
本開示においては、簡略化のために単独培養を記載するが、2つ以上の細菌種、真菌、藻類種又はそれらの組合せの共培養又は多重培養を用いることもできる。
【0022】
一実施形態において、ストーマ周囲皮膚処置剤(例えば皮膚保護剤、皮膚コンディショナー、ローション、液体等)又はオストミー装具若しくは付属品(例えばオストミーバリア、ストーマリング、ストーマパウダー等)は、ストーマ周囲皮膚の健康を維持及び改善するために、単一の細菌種若しくは細菌の混合物、又は単一の溶解物若しくは溶解物の混合物を一度に又は順に送達するように構成され得る。細菌は様々な形態、例えば浮遊形態(例えば皮膚上に噴霧、塗布又は注入することができる液体懸濁液中)、凍結乾燥粉末、及び/又はストーマ周囲皮膚に適用され、皮膚をオストミー流出物から隔離し得る固体基材、例えば親水コロイド若しくは他の生体材料を含むオストミーバリア上に固定化された芽胞で送達することができる。ストーマ周囲皮膚への適用に適した微生物の属としては、ラクトバチルス属、ラクトバチルス・プランタルム、乳酸菌及びビフィドバクテリウム属又はそれらの溶解物を挙げることができるが、これらに限定されない。かかる微生物は現在、市販の(OTC)プロバイオティクスとして使用されており、したがって容易に入手可能である。藻類を含む他の多くの細菌種、真菌種及び真核生物種、例えばスタフィロコッカス属及び/又はストレプトコッカス属もストーマ周囲皮膚への適用に適している可能性がある。
【0023】
非病原性細菌の細菌培養物若しくは接種材料、又はその溶解物は、リスクのある、刺激された、裂傷した、コロニー形成された又は感染したストーマ周囲皮膚に適用し、その領域に競合的にコロニー形成し、病原性細菌の付着、コロニー形成及び増殖を防ぐことができる。適用方法の例としては、スプレー、スワブ、ドレッシング固定化培養物又は芽胞ストリップを挙げることができる。幾つかの実施形態において、選択された細菌、藻類、酵母、真菌等の増殖を補助するために、選択された非病原性生物(複数の場合もある)に対する選択的な栄養又は条件を、送達手段に組み込むことができる。一実施形態において、天然抗生物質の放出又は栄養素若しくは付着部位の競合によって他の種の成長を制限する生物又は特定の種のバイオフィルム形成カクテルを、様々な実施形態に従って、オストミーバリア、付属品又は他の適用方法によってストーマ周囲皮膚に導入することができる。
【0024】
一実施形態において、オストミースキンバリアは、添加剤、ゲル又は成分の形態でストーマ周囲皮膚に適用される細菌、藻類、酵母又は真菌の溶解物又は集団を含み得る。別の実施形態において、細菌又は細菌溶解物は、ストーマパウダーとして直接使用するか、又はワイプ配合物、接着剤組成物、接着剤テープ組成物、シール若しくはペースト配合物等に組み入れることができる噴霧乾燥粉末フォーマットに配合され得る。リザーバ、ゲル又は分解性マイクロスフェアは、ストーマ周囲条件を時間とともに変化させる送達ビヒクルとして利用することができる。
【0025】
幾つかの実施形態において、細菌配合物は、悪臭原因細菌を減少させ、及び/又は皮膚に優しい環境を促進するためにオストミーパウチフィルムに組み入れることができる。例えば、オストミーパウチは、非病原性の細菌、真菌、藻類、酵母の集団又はそれらの溶解物を含み得る。別の例では、オストミーパウチは、非病原性の細菌、真菌、藻類、酵母の集団又はそれらの溶解物を含むポリマーフィルムから形成することができる。かかるオストミーパウチは、使用者がパウチ内容物の逆流を経験した場合であっても、健康なマイクロバイオーム環境を促進し得る。一実施形態において、オストミーパウチは、非病原性の細菌、真菌、藻類、酵母の集団又はそれらの溶解物を含む内層を含む多層フィルムから形成することができる。
【0026】
一実施形態において、選択された細菌、藻類、酵母又は真菌の溶解物又は集団は、初めに、例えば噴霧又は粉末適用によってストーマ周囲皮膚に適用され、続いて、適用された細菌、藻類、酵母又は真菌の集団にとって望ましい条件を維持するように構成されるオストミーバリアに適用され得る。
【0027】
一実施形態において、ストーマ周囲皮膚処置剤、又はオストミー装具若しくは付属品は、好ましい種若しくは好ましい種の混合物の成長を選択的に助長するか、又は望ましくない種若しくは望ましくない種の混合物の成長を選択的に阻止するように構成され得る。例えば、ストーマ周囲皮膚処置剤、又はオストミー装具若しくは付属品は、ストーマ周囲皮膚、及び急性又は慢性の皮膚創傷及び皮膚病態、例えばアトピー性皮膚炎又は乾癬における微生物叢を制御するために、プレバイオティクス、ポストバイオティクス、及び/又は界面/環境条件の選択的調節を含み得る。ストーマ周囲処置剤、又はオストミー装具若しくは付属品は、生きた細菌又は微生物を含有又は送達しても又はそうでなくてもよい。
【0028】
幾つかの実施形態において、オストミーバリアは、或る種の細菌の成長を維持又は助長する一方で、他の細菌の成長を阻止するために、特定の成長培地を含んでいてもよく、又は別の形でストーマ周囲皮膚環境を変化させてもよい。本明細書において使用される場合、ストーマ周囲皮膚環境としては、ストーマ周囲皮膚のイオン濃度、温度、pH、湿度及び水分量レベルを挙げることができるが、これらに限定されない。例えば、親水コロイドオストミーバリアは、選択的栄養組成物を提供するか、高酸素/低酸素/無酸素を誘導するか、又はストーマ周囲皮膚のpHを変化させることによって、特定の種又はクラスの生物の成長を促進する一方で、他の生物の成長を制限する材料を含み得る。かかるオストミーバリアを、リスクのある、感染した又は接種されたストーマ周囲皮膚部位に適用し、差次的生物集団を確立、制限又は維持することができる。一実施形態において、オストミー装具は、非病原性の細菌、真菌、藻類、酵母の集団又はそれらの溶解物の成長を選択的に促進する一方で、病原性生物の成長を抑制するように構成される栄養培地を含むスキンバリア材料を含み得る。
【0029】
一実施形態において、ストーマ周囲処置剤、又はオストミーバリア若しくは付属品は、ストーマ周囲皮膚の健康を改善するために、好気性細菌及び嫌気性細菌の相対的集団を調節するように構成され得る。例えば、オストミーバリアは、酸素を枯渇させるか、又は気密ストーマ周囲領域を提供し、好気性細菌の成長を制限するが、嫌気性細菌の成長を許容又は助長する嫌気性環境を作り出すように構成され得る。
【0030】
一実施形態において、オストミーバリアは、電池、コンデンサ又は他の電源で動く一体化加熱素子を使用して、ストーマ周囲皮膚温度を範囲内に制御するように構成されてもよく、温度範囲は、ラクトバチルス属(例えば、43℃~46℃)の細菌の差次的生存のために選択され、これは病原性のスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)(最適温度37℃)及びスタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)(最適温度26℃~37℃)又はシュードモナス・エルジノーサ(Pseudomonas aeruginosa)(最適温度37℃)の成長が成功する温度範囲外である。
【0031】
一実施形態において、オストミーバリアは、選択された細菌の成長を必要に応じて促進するように構成される栄養培地を導入するための再密閉可能な開口部又はポートを備えることができる。かかる実施形態においては、オストミーバリアを変化させることなく細菌の接種を行うこともできる。
【0032】
一実施形態において、オストミーバリアは、湿度又は気体の濃度を制御するように構成され得る入口ポート、出口ポート、湿度調節リザーバ又はそれらの組合せを備えていてもよい。かかる実施形態においては、オストミーバリアは、湿度又は気体のレベルを測定又は検出するための計器を備え得る。環境湿度の調節は、ストーマ周囲マイクロバイオーム環境の動的変更を可能にし得る。例えば、ストーマ周囲領域の相対湿度を低下させることにより、乾燥皮膚マイクロバイオームに対する駆動圧を上方制御することができ、これは、これらの駆動圧が健康な皮脂分泌しない皮膚組織の微小環境により類似する可能性があるためである。一実施形態において、ストーマ周囲処置剤は、湿潤環境において成長する病原性種、例えば水中細菌(例えばシュードモナス・エルジノーサ)よりも脱水耐性種を差次的に選択するために、ストーマ周囲皮膚を乾燥させることができる。
【0033】
一実施形態において、オストミーバリアは、1つ以上の細菌種の成長を維持又は助長する一方で、他の細菌種の成長を阻止するために、特定の炭素源を含有又は放出する材料を含み得る。幾つかの実施形態において、リザーバ、ゲル又は分解性マイクロスフェアは、ストーマ周囲皮膚条件を時間とともに発生又は変化させるために使用することができる。例えば、細菌、芽胞、培地、培地成分を含む分解性ポリマーマイクロスフェアは、皮膚のイオン条件(低張/等張/高張)又はpHレベルに基づいて調整され得る担体の分解に基づいて放出が誘発され得る。別の例では、タンパク質担体は、細菌、芽胞、培地及び/又は培地成分を含有してもよく、タンパク質担体は、刺激された、炎症を起こした若しくは感染したストーマ周囲皮膚において濃度が上昇し得る内因性プロテアーゼ、又はイレオストミー及び比較的程度は低いが、人工肛門の排泄物に見られるような外因性プロテアーゼの存在下で崩壊するように構成され得る。タンパク質担体は、ストーマから導入された酵素、例えば膵プロテアーゼの存在下で崩壊するように構成されてもよい。代替的には、分解性炭水化物ベース又は脂質ベースのポリマーを、それぞれ内因性又は膵臓のアミラーゼ又はリパーゼの存在下で細菌、芽胞、培地又は培地成分を送達するために使用することができる。
【0034】
また、プロバイオティクス生物又はプレバイオティクス化合物は、水溶性担体、例えばポリビニルアルコール(PVOH)若しくはゼラチン、又は他の機能性ポリマーマイクロカプセルに組み込まれて固定化され得る。一実施形態において、固定化されたプロバイオティクス生物又はプレバイオティクス化合物は、剥離ライナーに適用され、オストミーバリアにラミネートされてもよく、プロバイオティクス生物又はプレバイオティクス化合物は、剥離ライナーが使用前に取り外される際にオストミーバリアの皮膚に面する表面に移され得る。オストミーバリアが使用者のストーマ周囲皮膚に取り付けられる場合、固定化されたプロバイオティクス生物又はプレバイオティクス化合物は、オストミーバリアと使用者の皮膚との間の界面に配置することができ、プロバイオティクス生物又はプレバイオティクス化合物は、水分、汗又はストーマ流出物への曝露によって放出され得る。幾つかの実施形態において、プレバイオティクス生物とプロバイオティクス化合物との混合物が、有益な微生物の成長を促進するために、オストミーバリアの皮膚に面する表面上に提供され得る。
【0035】
ストーマ周囲皮膚のpHレベルは、ラクトバチルス属の細菌の差次的生存に選択的な範囲内(例えば、病原性のスタフィロコッカス・アウレウス(最適pH7.4~7.6)、スタフィロコッカス・エピデルミディス(最適pH6.8)又はシュードモナス・エルジノーサ(最適pH6.6~7.0)の成長が成功するpH範囲外であるpH5.0未満)に制御することができる。幾つかの実施形態において、ストーマ周囲皮膚のpHレベル及び温度の両方が選択範囲内に制御され得る。一実施形態において、皮膚接着剤、ストーマ周囲処置剤、オストミーバリア又は付属品は、代謝されて、ラクトバチルス属種の選択的生存のためにpHを低下させる代謝産物を生成する材料を含み得る。
【0036】
一実施形態において、皮膚接着剤、ストーマ周囲処置剤、オストミーバリア又は付属品はシュードモナス属及びスタフィロコッカス属等の他の細菌種よりもラクトバチルス属に対して差次的に選択的であり得る高張性(高塩分)を提供するように構成されてもよい。高張状態は、他の細菌叢よりもラクトバチルス属種の選択的生存のために、例えばNaClを用いたブライン処理によって作り出すことができる。
【0037】
幾つかの実施形態において、ラクトバチルス属の細菌に加えて又はその代わりに、酵母又は藻類をストーマ周囲皮膚に導入してもよい。かかる実施形態においては、ストーマ周囲処置剤又はオストミーバリアは、酵母又は藻類の成長を助長するストーマ周囲環境を提供するように構成され得る。ストーマ周囲皮膚適用に適した酵母種としては、最適pH4及び最適温度26℃を有するサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerivisae)(ビールの醸造に使用される)を挙げることができる。好適な藻類種としては、クロレラ(最適pH10~10.5、最適温度15℃、低塩分)、スピルリナ(最適温度32℃、pH9~9.5)等の食品生産に一般に使用される種、及び高張(約0.6M)条件で最適な成長を有し得る海水中で進化した海洋種を挙げることができる。
【0038】
本開示の様々な実施形態によると、病原性種の増殖を制限するために、ストーマ周囲皮膚の露出した細胞外基質(ECM)内の結合部位を占有し、栄養素及び他の資源について競合する競合生物を導入してもよい。幾つかの実施形態において、好極限性古細菌を利用することもでき、これは、これらの細菌が、健康なストーマ周囲皮膚の治癒又は維持に有害でない可能性がある非生理学的条件下で繁殖するためである。これらの種は、典型的な病原性創傷細菌又は真菌に対して選択的であり得る極端な温度だけでなく、高塩分及び高pH又は低pH環境において生き延びることができる。
【0039】
本明細書で参照される全ての特許は、本開示の文章内に明示されているか否かにかかわらず、引用することによりその全体が本明細書の一部をなす。
【0040】
本開示において、数量を特定しないもの(the words "a" or "an")は、単数及び複数の双方を含むものと解釈される。反対に、複数のものに対する参照は、適切な場合、単数を含むものとする。
【0041】
上述の記載から、本開示の新規の構想の真の趣旨及び範囲から逸脱することなく、数多くの変更及び変形を実施することができることがわかるであろう。図示の特定の実施形態に対して一切の限定が意図されず、又は暗示もされないことを理解されたい。本開示は、添付の特許請求の範囲によって、特許請求の範囲内にある全ての変更を包含するように意図される。
【国際調査報告】