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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】水素液化システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   F25J 1/00 20060101AFI20240621BHJP
   F25J 1/02 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
F25J1/00 C
F25J1/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575383
(86)(22)【出願日】2022-06-08
(85)【翻訳文提出日】2024-01-30
(86)【国際出願番号】 US2022032695
(87)【国際公開番号】W WO2022261224
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】63/208,245
(32)【優先日】2021-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518414306
【氏名又は名称】チャート・エナジー・アンド・ケミカルズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100211236
【弁理士】
【氏名又は名称】道下 浩治
(72)【発明者】
【氏名】ヘイルマン,ブレント・エイ
(72)【発明者】
【氏名】グシャナス,ティモシー・ピー
(72)【発明者】
【氏名】ビッパーラ,ラビクマール
(72)【発明者】
【氏名】ワット,マシュー・アール
(72)【発明者】
【氏名】デュコート,ダグラス・エイ,ジュニア
【テーマコード(参考)】
4D047
【Fターム(参考)】
4D047AA02
4D047AB07
4D047BB07
4D047CA06
4D047CA12
4D047CA13
4D047CA16
4D047CA17
4D047CA19
4D047EA00
(57)【要約】
水素ガス供給ストリームを液化するためのシステム及び方法は、供給ストリームを予冷するために予冷冷媒を使用し、予冷冷媒は、高圧混合冷媒蒸気及び液体ストリームを供給するために圧縮され、冷却され、その後分離される。高圧蒸気ストリームは冷却されて低温蒸気分離器に導かれ、低温蒸気分離器において、低温分離器液体及び蒸気ストリームが形成される。低温分離器蒸気ストリームは、熱交換器システム内に予冷冷凍ストリームを供給するために冷却されて膨張される。高圧予冷冷媒液体及び低温分離器液体ストリームは、冷却及び膨張されて、予冷冷凍ストリームへと導かれる。高圧一次冷媒蒸気は、圧縮及び冷却後、熱交換器システム内で更に冷却された後、高温膨張器及び低温膨張器を使用して膨張し、その結果として得られる膨張した一次冷媒ストリームは、熱交換器システム内で熱交換により予冷された水素供給ストリームを液化するために使用される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素ガス供給ストリームを液化するためのシステムであって、
a.前記水素ガス供給ストリームを受けるように構成される供給ガス入口と、生成物出口と、前記供給ガス入口及び前記生成物出口と流体連通する冷却通路と、一次冷媒供給通路と、一次冷凍通路と、予冷冷凍通路と、高圧蒸気冷却通路と、低温分離器蒸気冷却通路と、低温分離器液体冷却通路と、高圧液体冷却通路とを有する熱交換器システムと、
b.調整された一次冷媒を前記一次冷媒供給通路に導くように構成される一次冷媒圧縮システムと、
c.前記一次冷媒供給通路と流体連通する高温膨張器であって、前記一次冷媒圧縮システムと流体連通する高温膨張器出口を有する、高温膨張器と、
d.前記一次冷媒供給通路と流体連通する低温膨張器であって、前記一次冷凍通路と流体連通する低温膨張器出口を有する、低温膨張器と、
を備え、
e.前記冷却通路は、前記一次冷凍通路の一次冷媒との向流熱交換によって内部の水素が冷却されて液化されるように構成され、
f.前記一次冷媒圧縮システムは、調整された一次冷媒が供給されるように前記一次冷凍通路から気化した一次冷媒を受け、圧縮し、冷却するように構成され、
g.予冷混合冷媒ストリームを受けて圧縮し、圧縮された混合冷媒ストリームを予冷後部冷却器に導くように構成される予冷圧縮器を含む予冷混合冷媒圧縮システムであって、前記予冷後部冷却器が高圧分離装置と流体連通する後部冷却器出口を有し、前記高圧分離装置が、混合冷媒蒸気を前記高圧蒸気冷却通路に導くように構成される混合冷媒蒸気出口と、混合冷媒液体を前記高圧液体冷却通路に導くように構成される混合冷媒液体出口とを有する、予冷混合冷媒圧縮システムと、
h.前記高圧蒸気冷却通路から流体を受けるように構成される入口を有する低温蒸気分離器であって、蒸気を前記低温分離器蒸気冷却通路に導くように構成される低温蒸気分離器蒸気出口と、液体を前記低温分離器液体冷却通路に導くように構成される低温蒸気分離器液体出口とを有する、低温蒸気分離器と、
i.前記低温分離器蒸気冷却通路から流体を受けて膨張させ、膨張した流体を予冷冷媒通路に導くように構成される第1の膨張装置と、
を備え、
j.前記高圧液体冷却通路及び前記低温分離器液体冷却通路はそれぞれ、前記予冷冷凍通路と流体連通し、
k.前記冷却通路は、内部の水素が前記予冷冷凍通路内の予冷混合冷媒との向流熱交換によって冷却されるように構成される、
システム。
【請求項2】
前記熱交換器システムが高温熱交換器と低温熱交換器とを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記高温熱交換器を通じて流れるストリームが約80Kを超え、前記低温熱交換器を通じて流れるストリームが約80K未満である、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記予冷冷凍通路が前記高温熱交換器のみに形成され、前記第1及び第2の一次冷凍通路が前記低温熱交換器及び前記高温熱交換器の両方に形成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記一次冷媒は、水素、ヘリウム、ネオンとヘリウムとの混合物、ネオンとヘリウムと水素との混合物、及び水素とヘリウムとの混合物から成るグループから選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記予冷混合冷媒ストリームは、窒素、メタン、エチレン、エタン、プロパン、ペンタン、及び、イソブタン又はn-ブタンを含むブタンの混合物、から成るグループから選択される成分を含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記予冷混合冷媒ストリームは、窒素、メタン、エチレン、エタン、プロパン、ペンタン、及び、イソブタン又はn-ブタンを含むブタンの混合物、から成るグループから選択される成分を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記熱交換器システムが第1の一次冷凍通路を含み、前記一次冷凍通路が第2の一次冷凍通路であり、前記高温膨張器は、前記一次冷媒供給通路から一次冷媒の第1の部分を受けて、前記一次冷媒の膨張した第1の部分を前記第1の一次冷凍通路に導くように構成され、前記低温膨張器は、前記一次冷媒供給通路内で更に冷却された一次冷媒の第2の部分を受けて膨張させ、前記一次冷媒の膨張した第2の部分を前記第2の一次冷凍通路に導くように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記一次冷媒圧縮システムは、前記熱交換器システムの前記第2の一次冷凍通路から蒸気ストリームを受けるように構成される第1の圧縮器と、前記第1の圧縮器から流体を受けるように構成される第1の後部冷却器と、前記第1の後部冷却器から流体を受けるように構成される第2の圧縮器と、前記第2の圧縮器から流体を受けるように構成される第2の後部冷却器とを含み、前記第2の後部冷却器が前記熱交換器システムの前記一次冷媒供給通路と流体連通し、前記第2の圧縮器は、前記熱交換器システムの前記第1の一次冷凍通路から蒸気ストリームを受けるように構成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記一次圧縮システムは、第1の圧縮段階の前に、前記第1及び第2の一次冷凍通路からの気化した一次冷媒ストリームを組み合わせるように構成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記熱交換器システムが高温熱交換器と低温熱交換器とを含み、前記第1及び第2の一次冷凍通路は、前記低温熱交換器のみを通過し、前記低温熱交換器を出て、蒸気を前記一次冷媒圧縮システムに導き、前記予冷冷凍通路が前記高温熱交換器のみを通過する、請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
前記高温膨張器及び前記低温膨張器は、前記第2の一次冷凍通路から一次冷媒蒸気ストリームを受けて圧縮し圧縮蒸気を前記一次冷媒圧縮システムに導くように構成される調整圧縮器に動力を供給するタービンである、請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
水素が前記冷却通路内で冷却及び/又は液化される際に水素のオルト状態からパラ状態への変換が達成されるように、前記熱交換器システムの前記冷却通路内に触媒を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記一次冷媒供給通路と流体連通する、前記高温膨張器を含む、一連の高温膨張器を更に備え、前記一連の高温膨張器が前記一次冷媒圧縮システムと流体連通し、前記一次冷媒供給通路と流体連通する、前記低温膨張器を含む、一連の低温膨張器を更に備え、前記一連の低温膨張器が前記一次冷凍通路と流体連通する、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記一連の高温膨張器及び前記一連の低温膨張器がタービンを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
l.前記高圧液体冷却通路から流体を受けて膨張させるように構成され、前記予冷冷凍通路と流体連通する第2の膨張装置と、
m.前記低温分離器液体冷却通路から流体を受けて膨張させるように構成され、前記予冷冷凍通路と流体連通する第3の膨張装置と、
を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記高温膨張器は、前記一次冷媒供給通路から一次冷媒の第1の部分を受けるように構成され、前記高温膨張器及び前記低温膨張器が前記圧縮器に動力を供給するタービンであり、
l.前記高温膨張器から流体を受けて冷却し、流体を前記低温膨張器に導くように構成される前記熱交換器システム内の中間冷却通路であって、前記低温膨張器出口が、一次冷媒の膨張した第1の部分を前記一次冷凍通路に導くように構成される、中間冷却通路と、
m.前記一次冷媒供給通路内で更に冷却された一次冷媒の第2の部分を受けて膨張させ、前記一次冷媒の膨張した第2の部分を前記熱交換器システムに導くように構成される一次供給膨張装置と、
を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
n.流体を前記一次冷凍通路に導くように構成される補助低温膨張装置と、
o.前記低温膨張器から流体を受けて冷却し、流体を前記補助低温膨張装置に導くように構成される前記熱交換器システム内の補助中間冷却通路と、
を更に備える、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記高温膨張器は、前記一次冷媒供給通路から一次冷媒の第1の部分を受けるように構成される第1の高温膨張器であり、
l.前記第1の高温膨張器から流体の第1の部分を受けて、流体を前記一次冷凍通路に導くように構成される第2の高温膨張器と、
m.前記第1の高温膨張器から流体の第2の部分を受けて冷却し、流体を前記低温膨張器に導くように構成される前記熱交換器システム内の中間冷却通路と、
n.前記一次冷媒供給通路内で更に冷却された一次冷媒の第2の部分を受けて膨張させ、前記一次冷媒の膨張した第2の部分を前記熱交換器システムに導くように構成される一次供給膨張装置と、
を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記熱交換器システムが第1の一次冷凍通路を含み、前記一次冷凍通路が第2の一次冷凍通路であり、前記高温膨張器は、前記一次冷媒供給通路から一次冷媒の第1の部分を受けて、流体を前記第1の一次冷凍通路に導くように構成され、前記低温膨張器は、一次冷媒供給通路から一次冷媒の第2の部分を受けるように構成される第1の低温膨張器であり、
l.流体を第2の一次冷凍通路に導くように構成される第2の低温膨張器と、
m.前記第1の低温膨張器から流体を受けて冷却し、流体を前記第2の低温膨張器に導くように構成される前記熱交換器システム内の中間冷却通路と、
n.前記一次冷媒供給通路内で更に冷却された一次冷媒の第3の部分を受けて膨張させ、前記一次冷媒の膨張した第3の部分を前記熱交換器システムに導くように構成される一次供給膨張装置と、
を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記熱交換器システムが第1の一次冷凍通路を含み、前記一次冷凍通路が第2の一次冷凍通路であり、前記高温膨張器は、前記一次冷媒供給通路から一次冷媒の第1の部分を受けるように構成され、
l.前記一次冷媒供給通路から一次冷媒の第2の部分を受け、一次冷媒の膨張した第2の部分を前記第1の一次冷凍通路に導くように構成される中間膨張器と、
m.前記高温膨張器から流体を受けて冷却し、流体を前記低温膨張器に導くように構成される前記熱交換器システム内の中間冷却通路であって、前記低温膨張器出口が、一次冷媒の膨張した第1の部分を前記第2の一次冷凍通路に導くように構成される、中間冷却通路と、
n.前記一次冷媒供給通路内で更に冷却された一次冷媒の第3の部分を受けて膨張させ、前記一次冷媒の膨張した第3の部分を前記熱交換器システムに導くように構成される一次供給膨張装置と、
を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
前記熱交換器システムが第1の一次冷凍通路を含み、前記一次冷凍通路が第2の一次冷凍通路であり、前記高温膨張器は、前記一次冷媒供給通路から一次冷媒の第1の部分を受けるように構成される第1の高温膨張器であり、前記低温膨張器は、前記一次冷媒供給通路から一次冷媒の第2の部分を受けて、一次冷媒の膨張した第2の部分を前記第1の一次冷凍通路に導くように構成され、
l.流体を前記第1の一次冷凍通路に導くように構成される第2の高温膨張器と、
m.前記第1の高温膨張器から流体を受けて冷却し、流体を前記第2の高温膨張器に導くように構成される前記熱交換器システム内の中間冷却通路と、
n.前記一次冷媒供給通路内で更に冷却された一次冷媒の第3の部分を受けて膨張させ、前記一次冷媒の膨張した第3の部分を前記熱交換器システムに導くように構成される一次供給膨張装置と、
を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項23】
前記熱交換器システムが高温熱交換器と低温熱交換器とを含み、前記熱交換器システムが前記低温熱交換器のみに第1の一次冷凍通路を含み、前記一次冷凍通路が前記低温熱交換器のみにある第2の一次冷凍通路であり、前記高温膨張器は、前記一次冷媒供給通路から一次冷媒の第1の部分を受けて、前記一次冷媒の膨張した第1の部分を前記第1の一次冷凍通路に導くように構成され、前記低温膨張器は、前記一次冷媒供給通路内で更に冷却された一次冷媒の第2の部分を受けて膨張させ、前記一次冷媒の膨張した第2の部分を前記第2の一次冷凍通路に導くように構成され、前記一次冷媒圧縮システムは、調整された一次冷媒が供給されるように前記第1及び第2の一次冷凍通路からの気化した一次冷媒を受けて、冷間圧縮し、冷却するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項24】
水素ガス供給ストリームを液化するための方法であって、
a.混合冷媒を使用して、
i)混合冷媒ストリームを圧縮及び冷却して高圧混合冷媒ストリームを形成し、
ii)前記高圧混合冷媒ストリームを分離して、高圧混合冷媒蒸気ストリームと高圧混合冷媒液体ストリームを形成し、
iii)前記高圧混合冷媒蒸気ストリームを熱交換器内で冷却して、混合相ストリームを形成し、
iv)前記混合相ストリームを低温蒸気分離器で分離して、低温分離器蒸気ストリームと低温分離器液体ストリームとを形成し、
v)前記低温分離器蒸気ストリームを凝縮し、フラッシングして、低温冷媒ストリームを形成し、
vi)前記熱交換器内の前記高圧混合冷媒液体ストリームを冷却して、冷却された高圧混合冷媒液体ストリームを形成し、
vii)前記低温分離器液体ストリームを冷却して冷却された低温分離器液体ストリームを形成し、冷却された低温分離器液体ストリームを冷却された高圧混合冷媒液体ストリームと混合して、中温冷媒ストリームを形成し、
viii)前記中温冷媒ストリームと前記低温冷媒ストリームとを混合して、混合予冷冷媒ストリームを形成し、
ix)前記水素ガス供給ストリームを、前記熱交換器内の混合された予冷冷媒ストリームと熱的に接触させて、予冷された水素ガス供給ストリームを形成する、
ことによって前記水素ガス供給ストリームを予冷するステップと、
b.一次冷媒を使用して、
i)第1の気化した一次冷媒及び第2の気化した一次冷媒を圧縮及び冷却して、高圧一次冷媒を形成し、
ii)高温膨張器内で前記高圧一次冷媒を膨張させて、第1の膨張した一次冷媒を形成し、
iii)低温膨張器内で前記高圧一次冷媒を膨張させて、第2の膨張した一次冷媒を形成し、
iv)前記予冷された水素ガス供給ストリームを前記第1及び第2の膨張冷媒と熱的に接触させて、第1及び第2の気化した一次冷媒及び液化水素ストリームを形成する、
ことによって前記予冷された水素ガス供給ストリームを液化するステップと、
を含む方法。
【請求項25】
前記一次冷媒は、水素、ヘリウム、及び水素とヘリウムとの混合物から成るグループから選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
水素ガス供給物を液化するためのシステムであって、
a.前記水素ガス供給ストリームを受けるように構成される供給ガス入口と、生成物出口と、前記供給ガス入口及び前記生成物出口と流体連通する冷却通路と、一次冷媒供給通路と、一次冷凍通路と、予冷冷凍通路とを有する熱交換器システムと、
b.調整された一次冷媒を前記一次冷媒供給通路に導くように構成される一次冷媒圧縮システムと、
c.前記一次冷媒供給通路と流体連通する高温膨張器であって、前記熱交換器システム及び前記一次冷媒圧縮システムと流体連通する高温膨張器出口を有する、高温膨張器と、
d.前記一次冷媒供給通路と流体連通する低温膨張器であって、前記一次冷凍通路と流体連通する低温膨張器出口を有する、低温膨張器と、
e.前記高温膨張器及び前記低温膨張器と流体連通する前記熱交換器システム内の中間冷却通路と、
を備え、
f.前記冷却通路は、前記一次冷凍通路の一次冷媒との向流熱交換によって内部の水素が冷却されて液化されるように構成され、
g.前記一次冷媒圧縮システムは、調整された一次冷媒が供給されるように前記一次冷凍通路から気化した一次冷媒を受け、圧縮し、冷却するように構成され、
h.調整された予冷冷媒が前記予冷冷媒通路の入口に供給されるように前記予冷冷媒通路の出口から予冷冷媒蒸気を受けて圧縮し、冷却するように構成される予冷冷媒圧縮システムを備え、
i.前記冷却通路は、内部の水素が前記予冷冷凍通路内の予冷冷媒との向流熱交換によって冷却されるように構成される、
を備えるシステム。
【請求項27】
前記高温膨張器は、前記一次冷媒供給通路から一次冷媒の第1の部分を受けるように構成され、前記高温膨張器及び前記低温膨張器は、圧縮器又は発電機のいずれかに動力を供給するタービンであり、
j.前記高温膨張器から流体を受けて冷却し、流体を前記低温膨張器に導くように構成される前記熱交換器システム内の前記中間冷却通路であって、前記低温膨張器出口が一次冷媒の膨張した第1の部分を前記一次冷凍通路に導くように構成される、前記中間冷却通路と、
k.前記一次冷媒供給通路内で更に冷却された一次冷媒の第2の部分を受けて膨張させ、前記一次冷媒の膨張した第2の部分を前記熱交換器システムに導くように構成される一次供給膨張装置と、
を更に備える、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
l.流体を前記一次冷凍通路に導くように構成される補助低温膨張装置と、
m.前記低温膨張器から流体を受けて冷却し、流体を前記補助低温膨張装置に導くように構成される前記熱交換器システム内の補助中間冷却通路と、
を更に備える、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記高温膨張器は、前記一次冷媒供給通路から一次冷媒の第1の部分を受けるように構成される第1の高温膨張器であり、
j.前記第1の高温膨張器から流体の第1の部分を受けて、流体を前記一次冷凍通路に導くように構成される第2の高温膨張器と、
k.前記第1の高温膨張器から流体の第2の部分を受けて冷却し、流体を前記低温膨張器に導くように構成される前記熱交換器システム内の前記中間冷却通路と、
l.前記一次冷媒供給通路内で更に冷却された一次冷媒の第2の部分を受けて膨張させ、前記一次冷媒の膨張した第2の部分を前記熱交換器システムに導くように構成される一次供給膨張装置と、
を更に備える、請求項26に記載のシステム。
【請求項30】
前記熱交換器システムが第1の一次冷凍通路を含み、前記一次冷凍通路が第2の一次冷凍通路であり、前記高温膨張器は、前記一次冷媒供給通路から一次冷媒の第1の部分を受けるように構成され、
j.前記一次冷媒供給通路から一次冷媒の第2の部分を受けて、一次冷媒の膨張した第2の部分を前記第1の一次冷凍通路に導くように構成される中間膨張器と、
k.前記高温膨張器から流体を受けて冷却し、流体を前記低温膨張器に導くように構成される前記熱交換器システム内の前記中間冷却通路であって、前記低温膨張器出口が、一次冷媒の膨張した第1の部分を前記第2の一次冷凍通路に導くように構成される、前記中間冷却通路と、
l.前記一次冷媒供給通路内で更に冷却された一次冷媒の第3の部分を受けて膨張させ、前記一次冷媒の膨張した第3の部分を前記熱交換器システムに導くように構成される一次供給膨張装置と、
を更に備える、請求項26に記載のシステム。
【請求項31】
水素ガス供給物を液化するためのシステムであって、
a.前記水素ガス供給ストリームを受けるように構成される供給ガス入口と、生成物出口と、前記供給ガス入口及び前記生成物出口と流体連通する冷却通路と、一次冷媒供給通路と、第1の一次冷凍通路と、第2の一次冷凍通路と、予冷冷凍通路とを有する熱交換器システムと、
b.調整された一次冷媒を前記一次冷媒供給通路に導くように構成される一次冷媒圧縮システムと、
c.前記一次冷媒供給通路から一次冷媒の第1の部分を受けて、流体を前記第1の一次冷凍通路に導くように構成される高温膨張器と、
d.前記一次冷媒供給通路から一次冷媒の第2の部分を受けるように構成される第1の低温膨張器と、
e.流体を前記第2の一次冷凍通路に導くように構成される第2の低温膨張器と、
f.前記第1の低温膨張器から流体を受けて冷却し、流体を前記第2の低温膨張器に導くように構成される前記熱交換器システム内の中間冷却通路と、
を備え、
g.前記冷却通路は、前記第1及び第2の一次冷凍通路内の一次冷媒との向流熱交換によって内部の水素が冷却されて液化されるように構成され、
h.前記一次冷媒圧縮システムは、調整された一次冷媒が供給されるように前記第1及び第2の一次冷凍通路から気化した一次冷媒を受けて、圧縮し、冷却するように構成され、
i.調整された予冷冷媒が前記予冷冷媒通路の入口に供給されるように前記予冷冷媒通路の出口から予冷冷媒蒸気を受けて、圧縮し、冷却するように構成される予冷冷媒圧縮システムを備え、
j.前記冷却通路は、内部の水素が前記予冷冷凍通路内の予冷冷媒との向流熱交換によって冷却されるように構成され、
k.前記一次冷媒供給通路内で更に冷却された一次冷媒の第3の部分を受けて膨張させ、前記一次冷媒の膨張した第3の部分を前記熱交換器システムに導くように構成される一次供給膨張装置を備える、
システム。
【請求項32】
水素ガス供給物を液化するためのシステムであって、
a.前記水素ガス供給ストリームを受けるように構成される供給ガス入口と、生成物出口と、前記供給ガス入口及び前記生成物出口と流体連通する冷却通路と、一次冷媒供給通路と、第1の一次冷凍通路と、第2の一次冷凍通路と、予冷冷凍通路とを有する熱交換器システムと、
b.調整された一次冷媒を前記一次冷媒供給通路に導くように構成される一次冷媒圧縮システムと、
c.前記一次冷媒供給通路から一次冷媒の第1の部分を受けるように構成される第1の高温膨張器と、
d.前記第1の一次冷凍通路に流体を導くように構成される第2の高温膨張器と、
e.前記第1の高温膨張器から流体を受けて冷却し、流体を前記第2の高温膨張器に導くように構成される前記熱交換器システム内の中間冷却通路と、
f.前記一次冷媒供給通路から一次冷媒の第2の部分を受けて、一次冷媒の膨張した第2の部分を前記第2の一次冷凍通路に導くように構成される低温膨張器と、
を備え、
g.前記冷却通路は、前記第1及び第2の一次冷凍通路内の一次冷媒との向流熱交換によって内部の水素が冷却されて液化されるように構成され、
h.前記一次冷媒圧縮システムは、調整された一次冷媒が供給されるように前記第1及び第2の一次冷凍通路から気化した一次冷媒を受け、圧縮し、冷却するように構成され、
i調整された予冷冷媒が前記予冷冷媒通路の入口に供給されるように前記予冷冷媒通路の出口から予冷冷媒蒸気を受け、圧縮し、冷却するように構成される予冷冷媒圧縮システムを備え、
j.前記冷却通路は、内部の水素が前記予冷冷凍通路内の予冷冷媒との向流熱交換によって冷却されるように構成され、
k.前記一次冷媒供給通路内で更に冷却された一次冷媒の第3の部分を受けて膨張させ、前記一次冷媒の膨張した第3の部分を前記熱交換器システムに導くように構成される一次供給膨張装置を備える、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
[0001]この出願は、その内容が参照により本明細書に組み込まれる、2021年6月8日に出願された米国仮出願第63/208,245号の利益を主張する。
【0002】
[0002]本開示は、一般に、水素ガスを液化するためのシステム及び方法に関し、より詳細には、一次冷媒を使用する主又は一次冷却ループと、予冷冷媒を使用する予冷ループとを含む水素を液化するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]燃料電池技術の進歩に伴い、水素は代替エネルギー源としての重要性が高まっている。更に、燃料電池駆動の自動車などの燃料電池技術の使用も増大している。
【0004】
[0004]液体天然ガスなどの他の極低温流体の場合と同様に、水素は液体の形でより効率的に輸送及び貯蔵される。
【0005】
[0005]水素は非常に低い温度(約-253℃/20.3K)で液化し、その結果、水素液化システムは大量のエネルギーを消費し、それにより、製造コストが増大する。更に、水素又はヘリウム、又はその2つの混合物は、一般に、水素を液化するための冷媒として使用される。そのような冷媒は、それらのより小さい分子サイズ及び処理に必要な関連する電力に起因して、電力使用量の観点から使用すると高価になる。
【0006】
[0006]水素の液化における効率の向上とそれに対応するエネルギー使用量の削減が望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0007]本発明の主題には幾つかの態様があり、これらは、以下に記載されて特許請求される装置及びシステムにおいて個別に又は一緒に具体化され得る。これらの態様は、単独で使用することも、本明細書に記載の主題の他の態様と組み合わせて使用することもでき、これらの態様を一緒に説明することは、これらの態様を個別に使用すること、又は本明細書に添付の特許請求の範囲に記載されるようにそのような態様を個別に又は異なる組み合わせで特許請求することを排除することを意図するものではない。
【0008】
[0008]一態様において、水素ガス供給ストリームを液化するシステムは、水素ガス供給ストリームを受けるように構成される供給ガス入口と、生成物出口、供給ガス入口及び生成物出口と流体連通する冷却通路と、一次冷媒供給通路と、一次冷凍通路と、予冷冷凍通路と、高圧蒸気冷却通路と、低温分離器蒸気冷却通路と、低温分離器液体冷却通路と、高圧液体冷却通路とを有する熱交換器システムを含む。一次冷媒圧縮システムは、調整された一次冷媒を一次冷媒供給通路に導くように構成される。高温膨張器は一次冷媒供給通路と流体連通しており、上記高温膨張器は一次冷媒圧縮システムと流体連通している高温膨張器出口を有する。低温膨張器が一次冷媒供給通路と流体連通しており、上記低温膨張器は一次冷凍通路と流体連通している低温膨張器出口を有する。冷却通路は、一次冷凍通路内の一次冷媒との向流熱交換によって内部の水素が冷却されて液化されるように構成される。一次冷媒圧縮システムは、調整された一次冷媒が供給されるように、一次冷凍通路から気化した一次冷媒を受け、圧縮し、冷却するように構成される。予冷混合冷媒圧縮システムが、混合冷媒ストリームを受けて圧縮し、圧縮された混合冷媒ストリームを予冷後部冷却器に導くように構成される予冷圧縮器を含む。予冷後部冷却器は、混合冷媒蒸気を高圧蒸気冷却通路に導くように構成される混合冷媒蒸気出口と、混合冷媒液体を高圧液体冷却通路に導くように構成される混合冷媒液体出口とを有する高圧分離装置と流体連通する後部冷却器出口を有する。低温蒸気分離器が、高圧蒸気冷却通路から流体を受けるように構成される入口を有する。低温蒸気分離器は、蒸気を低温分離器蒸気冷却通路に導くように構成される低温蒸気分離器蒸気出口と、液体を低温分離器液体冷却通路に導くように構成される低温蒸気分離器液体出口とを有する。第1の膨張装置は、低温分離器蒸気冷却通路から流体を受けて膨張させ、膨張した流体を予冷冷媒通路に導くように構成される。高圧液体冷却通路及び低温分離器液体冷却通路はそれぞれ予冷冷凍通路と流体連通している。冷却通路は、予冷冷凍通路内の予冷混合冷媒との向流熱交換によって内部の水素が冷却されるように構成される。
【0009】
[0009]別の態様において、水素ガス供給ストリームを液化するためのプロセスは、混合冷媒ストリームを圧縮及び冷却して高圧混合冷媒ストリームを形成することによって、混合冷媒を使用して水素ガス供給ストリームを予冷するステップと、高圧混合冷媒ストリームを分離して、高圧混合冷媒蒸気ストリームと高圧混合冷媒液体ストリームとを形成するステップと、高圧混合冷媒蒸気ストリームを熱交換器内で冷却して混合相ストリームを形成するステップと、低温蒸気分離器で混合相ストリームを分離して、低温分離器蒸気ストリームと低温分離器液体ストリームとを形成するステップと、低温分離器蒸気ストリームを凝縮してフラッシングし、低温冷媒ストリームを形成するステップと、熱交換器内の高圧混合冷媒液体ストリームを冷却し、冷却された高圧混合冷媒液体ストリームを形成するステップと、低温分離器液体ストリームを冷却して、冷却された低温分離器液体ストリームを形成するとともに、冷却された低温分離器液体ストリームと冷却された高圧混合冷媒液体ストリームとを混合して、中温冷媒ストリームを形成するステップと、中温冷媒ストリームと低温冷媒ストリームとを混合して混合予冷冷媒ストリームを形成するステップと、水素ガス供給ストリームを熱交換器内で混合予冷冷媒ストリームと熱接触させて予冷水素ガス供給ストリームを形成するステップとを含む。このプロセスは、第1の気化した一次冷媒及び第2の気化した一次冷媒を圧縮及び冷却して高圧一次冷媒を形成することによって一次冷媒を使用して予冷された水素ガス供給ストリームを液化するステップと、高温膨張器内で高圧一次冷媒を膨張させて第1の膨張した一次冷媒を形成するステップと、低温膨張器内で高圧一次冷媒を膨張させて第2の膨張した一次冷媒を形成するステップと、予冷された水素ガス供給ストリームを第1及び第2の膨張冷媒と熱的に接触させて、第1及び第2の気化した一次冷媒及び液化水素ストリームを形成するステップとを更に含む。
【0010】
[0010]別の態様において、水素ガス供給物を液化するためのシステムは、水素ガス供給ストリームを受けるように構成される供給ガス入口と、生成物出口と、供給ガス入口及び生成物出口と流体連通する冷却通路と、一次冷媒供給通路と、一次冷凍通路と、予冷冷凍通路とを有する熱交換器システムを含む。一次冷媒圧縮システムが、調整された一次冷媒を一次冷媒供給通路に導くように構成される。高温膨張器が、一次冷媒供給通路と流体連通し、熱交換器システム及び一次冷媒圧縮システムと流体連通する高温膨張器出口を有する。低温膨張器が、一次冷媒供給通路と流体連通し、一次冷凍通路と流体連通する低温膨張器出口を有する。熱交換器システム内の中間冷却通路が、高温膨張器及び低温膨張器と流体連通する。冷却通路は、一次冷凍通路内の一次冷媒との向流熱交換によって内部の水素が冷却されて液化されるように構成される。一次冷媒圧縮システムは、調整された一次冷媒が供給されるように一次冷凍通路から気化した一次冷媒を受けて、圧縮し、冷却するように構成される。予冷冷媒圧縮システムが、調整された予冷冷媒が予冷冷媒通路の入口に供給されるように予冷冷媒通路の出口から予冷冷媒蒸気を受けて、圧縮し、冷却するように構成される。冷却通路は、内部の水素が予冷冷凍通路内の予冷冷媒との向流熱交換によって冷却されるように構成される。
【0011】
[0011]更なる態様において、水素ガス供給物を液化するためのシステムは、水素ガス供給ストリームを受けるように構成される供給ガス入口と、生成物出口と、供給ガス入口及び生成物出口と流体連通する冷却通路と、一次冷媒供給通路と、第1の一次冷凍通路と、第2の一次冷凍通路と、予冷冷凍通路とを有する熱交換器システムを含む。一次冷媒圧縮システムが、調整された一次冷媒を一次冷媒供給通路に導くように構成される。高温膨張器が、一次冷媒供給通路から一次冷媒の第1の部分を受けて、流体を第1の一次冷凍通路に導くように構成される。第1の低温膨張器が、一次冷媒供給通路から一次冷媒の第2の部分を受けるように構成される。第2の低温膨張器が、流体を第2の一次冷凍通路に導くように構成される。熱交換器システム内の中間冷却通路が、第1の低温膨張器から流体を受けて冷却し、流体を第2の低温膨張器に導くように構成される。冷却通路は、内部の水素が第1及び第2の一次冷凍通路内の一次冷媒との向流熱交換によって冷却されて液化するように構成される。一次冷媒圧縮システムは、調整された一次冷媒が供給されるように、第1及び第2の一次冷凍通路から気化した一次冷媒を受けて、圧縮し、冷却するように構成される。予冷冷媒圧縮システムが、調整された予冷冷媒が予冷冷媒通路の入口に供給されるように予冷冷媒通路の出口から予冷冷媒蒸気を受けて、圧縮し、冷却するように構成される。冷却通路は、内部の水素が予冷冷凍通路内の予冷冷媒との向流熱交換によって冷却されるように構成される。一次供給膨張装置が、一次冷媒供給通路内で更に冷却された一次冷媒の第3の部分を受けて膨張させ、一次冷媒の膨張した第3の部分を熱交換器システムに導くように構成される。
【0012】
[0012]更なる態様において、水素ガス供給物を液化するためのシステムは、水素ガス供給ストリームを受けるように構成される供給ガス入口と、生成物出口と、供給ガス入口及び生成物出口と流体連通する冷却通路と、一次冷媒供給通路と、第1の一次冷凍通路と、第2の一次冷凍通路と、予冷冷凍通路とを有する熱交換器システムを含む。一次冷媒圧縮システムが、調整された一次冷媒を一次冷媒供給通路に導くように構成される。第1の高温膨張器が、一次冷媒供給通路から一次冷媒の第1の部分を受けるように構成される。第2の高温膨張器が、流体を第1の一次冷凍通路に導くように構成される。熱交換器システム内の中間冷却通路が、第1の高温膨張器から流体を受けて冷却し、流体を第2の高温膨張器に導くように構成される。低温膨張器が、一次冷媒供給通路から一次冷媒の第2の部分を受けて、一次冷媒の膨張した第2の部分を第2の一次冷凍通路に導くように構成される。冷却通路は、内部の水素が第1及び第2の一次冷凍通路内の一次冷媒との向流熱交換によって冷却されて液化されるように構成される。一次冷媒圧縮システムは、調整された一次冷媒が供給されるように、第1及び第2の一次冷凍通路から気化した一次冷媒を受けて、圧縮し、冷却するように構成される。予冷冷媒圧縮システムが、調整された予冷冷媒が予冷冷媒通路の入口に供給されるように、予冷冷媒通路の出口から予冷冷媒蒸気を受けて、圧縮し、冷却するように構成される。冷却通路は、内部の水素が予冷冷凍通路内の予冷冷媒との向流熱交換によって冷却されるように構成される。一次供給膨張装置が、一次冷媒供給通路内で更に冷却された一次冷媒の第3の部分を受けて膨張させ、一次冷媒の膨張した第3の部分を熱交換器システムに導くように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】[0013]本開示の水素液化プロセス及びシステムの第1の実施形態を示すプロセスフロー図及び概略図である。
図2】[0014]本開示の水素液化プロセス及びシステムの第2の実施形態を示すプロセスフロー図及び概略図である。
図3】[0015]本開示の水素液化プロセス及びシステムの第3の実施形態を示すプロセスフロー図及び概略図である。
図4】[0016]本開示の水素液化プロセス及びシステムの第4の実施形態を示すプロセスフロー図及び概略図である。
図5】[0017]本開示の水素液化プロセス及びシステムの第5の実施形態を示すプロセスフロー図及び概略図である。
図6】[0018]本開示の水素液化プロセス及びシステムの第6の実施形態を示すプロセスフロー図及び概略図である。
図7】[0019]本開示の水素液化プロセス及びシステムの第7の実施形態を示すプロセスフロー図及び概略図である。
図8】[0020]本開示の水素液化プロセス及びシステムの第8の実施形態を示すプロセスフロー図及び概略図である。
図9】[0021]本開示の水素液化プロセス及びシステムの第9の実施形態を示すプロセスフロー図及び概略図である。
図10】[0022]本開示の水素液化プロセス及びシステムの第10の実施形態を示すプロセスフロー図及び概略図である。
図11】[0023]本開示の水素液化プロセス及びシステムの第11の実施形態を示すプロセスフロー図及び概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0024]本開示の水素液化システムの第1の実施形態が図1に示される。システムは、全体的に12で示される一次又は主冷却ループ、及び全体的に14で示される予冷ループを使用して、1つ又は複数の熱交換器内で水素ガス供給ストリーム10を液化する。一次冷却ループ12は、冷媒として水素を使用するが、代わりに、単なる例として、ヘリウム、ネオンとヘリウムとの混合物、ネオン、ヘリウム、及び水素の混合物、又は水素とヘリウムとの混合物を使用してもよい。予冷ループ14は、混合冷媒を使用するが、以下に説明するように、本開示の別の実施形態では、単なる一例として、予冷冷媒として窒素を使用することができる。
【0015】
[0025]予冷ループ14は、水素供給ストリーム10を約80~90Kに冷却し、Gushanasらの米国特許第9,441,877号及びDucoteらの米国特許第10,480,851号に開示された混合冷媒冷凍システム及びプロセスを使用することができ、これらのそれぞれの特許の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。主冷却ループ12は、水素を約20Kまで更に冷却する。
【0016】
[0026]図1を参照すると、水素ガス供給ストリーム10は、単なる一例として、例えばジョージア州ボールグラウンドのChartEnergy&Chemicals、Inc.から入手可能なろう付けアルミニウム熱交換器であってもよい高温熱交換器16の冷却通路30aの第1の部分で冷却される。
【0017】
[0027]本明細書では、通路(熱交換器の内部及び外部の両方)及びストリームは、両方とも、図に示されている同じ要素番号で呼ばれることがあることに留意されたい。また、本明細書で使用され、当技術分野で知られているように、熱交換器とは、異なる温度の2つ以上のストリーム間、又はストリームと環境との間で間接的な熱交換が起こる装置又は装置内の領域である。本明細書で使用される場合、「連通」、「連通信している」などの用語は、特に指定がない限り、一般に流体連通を指す。更に、連通している2つの流体は混合時に熱を交換することができるが、そのような交換は熱交換器内の熱交換と同じであるとはみなされない。本明細書で使用される場合、用語「圧力を低減する」(又はその変形)は相変化を含まないが、用語「フラッシング」(又はその変形)は、部分的な相変化さえも含む相変化を伴う。本明細書で使用される場合、「最高温(high)」、「中温(middle)」、「高温(warm)」などの用語は、当技術分野で慣例であるように、同等の流れに関連するものである。
【0018】
[0028]高温熱交換器16を出る冷却ストリーム18は、吸着剤容器22及び24のいずれか一方に導かれることができる。容器は、好ましくは、流れの全てが1つの容器を通過するように、一度に1つずつ動作され、使い果たされると、流れは他の容器に方向転換される。使い果たされた容器は、その後に再生され、動作中の容器が使い果たされるときにいつでも使用できる状態になる。単なる例として、吸着剤容器22及び24は、モルシーブ容器であるか又はモルシーブ容器に類似していてもよく、或いはシリカゲル容器であってもよい。容器22及び24は、水素液化の低温段階で凍結する少量の汚染物質を除去するように設計される。汚染物質は100万分の1の範囲にある(通常は20ppm未満)。これらの汚染物質としては、窒素、アルゴン、酸素、炭化水素、二酸化炭素などを挙げることができる。容器22及び24から出るストリームは、再混合されて、触媒容器26に導かれる。触媒は、水素をオルト状態の水素からパラ状態の水素に変換するために使用される。適切な触媒は当技術分野でよく知られている。触媒は、図1に示すように、熱交換器とは別の容器に設置することもできるし、熱交換器16内に配置することもできるし、水素が冷却する際に熱交換器に沿った複数の容器に配置することも、或いは当該技術分野で知られている他の多くの場所に配置することもできる。
【0019】
[0029]別の実施形態において、触媒は、水素が冷却されて液化されるのと同時に水素のオルト状態からパラ状態への変換を行うことができるように、水素流体が流通する高温熱交換器16及び/又は低温熱交換器32の通路内に位置されてもよい。
【0020】
[0030]引き続き図1を参照すると、触媒容器26を出るストリーム28は、低温熱交換器32から出る液体水素ストリーム34と共に、冷却通路30bの第2の部分、すなわち、高温熱交換器16及び低温熱交換器32をそれぞれ通過する際に更に冷却されて液化される。単なる例として、高温熱交換器16は、80Kを超えるストリームを処理するために使用でき、一方、低温熱交換器32は、80Kよりも低い/より冷たいストリームを処理するために使用され得る。
【0021】
[0031]ストリーム34は、ジュールトムソン(JT)バルブ又は他の膨張装置であってもよい膨張装置36を介して膨張又はフラッシュされ、結果として得られる混合相ストリーム38が分離装置42に入る。結果として得られる液体ストリーム44が、分離装置42から出て、ストリームの使用、輸送のためにシステムの外に導かれる。蒸気ストリーム46が、分離装置42から出て、低温熱交換器及び高温熱交換器を通って戻されて、冷凍を補い、水素供給ストリームの冷凍を助ける。
【0022】
[0032]触媒容器26と同様に、分離装置42は触媒材料を含んでもよい。
【0023】
[0033]熱交換器システムとして2つの熱交換器(高温熱交換器16及び低温熱交換器32)が示されているが、高温端及び低温端を有する単一の熱交換器を代わりに熱交換器システムとして使用することができ、或いは熱交換器システムとして2つ以上の熱交換器を代わりに使用することもできることに留意すべきである。
【0024】
[0034]主冷却ループ12は、高圧(例として約400~800psig)に圧縮された水素冷媒ガスのストリーム52(別の実施形態では、単なる例として、ヘリウム、又はネオンとヘリウムとの混合物、又はネオン、ヘリウムもしくは水素の混合物、或いはヘリウムと水素との混合物を使用することができる)を、ストリームが冷却される高温熱交換器16と低温熱交換器32とに供給する。ストリームは、低温熱交換器32に入った後に分割され、それにより、第1の部分54が一連の高温膨張器56a、56b、及び56cに導かれ、一方、第2の部分は、低温熱交換器32内で更に冷却された後、ストリーム62として一連の低温膨張器64a及び64bに導かれる(高温膨張器及び低温膨張器の両方がそれぞれ3台及び2台の膨張器として示されるが、これらの数より少なくても多くてもよい)。図1の実施形態では、一連の高温膨張器及び一連の低温膨張器が示されるが、それよりむしろ、単一の高温膨張器、或いは、一連の高温膨張器56a~56c及び単一の低温膨張器の代わりの他の膨張装置、又は一連の低温膨張器64a及び64bの代わりの他の膨張装置があってもよい。同じことが残りの図の実施形態にも当てはまる。更に、複数の高温膨張装置が存在する実施形態では、高温膨張装置が並列に配置されてもよい。同様に、複数の低温膨張装置が存在する実施形態では、低温膨張装置が並列に配置され得る。
【0025】
[0035]単なる一例として、高温膨張器56a、56b、56c及び低温膨張器64a、64bは、タービン、ジュールトムソン(JT)バルブ、及び/又は当該技術分野において膨張器又は膨張装置として使用される他の装置であってもよい。「膨張器」及び「膨張装置」という用語は、本明細書では交換可能に使用され、同じ意味を持つものとして扱われる。一連の高温膨張器及び/又は一連の低温膨張器のそれぞれ又は両方は、膨張器又は膨張装置タイプの混合であってもよい(例えば、タービンとそれに続く直列のJTバルブなど)。一連の「高温」水素膨張器ステップ(高温膨張器56a、56b、及び56cにおける)は、好ましくは80Kより低温で行われ、第1の高温膨張器(56a)への入口温度よりも低いストリーム58が生成される。一連の「低温」水素膨張器ステップ(低温膨張器64a及び64bにおける)は、好ましくは、「低温」水素膨張器シリーズから出る液体ストリーム66が20Kに近い温度で行われる。
【0026】
[0036]水素ストリーム58及び66は、向流熱交換(熱接触)によって冷却通路30a及び30b内の水素供給ストリーム10を冷却して液化するために、対応する第1の一次冷凍通路70a及び70b(低温熱交換器32及び高温熱交換器16のそれぞれの内部)及び第2の一次冷凍通路72a及び72b(低温熱交換器32及び高温熱交換器16のそれぞれの内部)を通じて導かれる。別の実施形態では、第1及び第2の一次冷凍通路を、低温熱交換器及び高温熱交換器の両方を通過する単一の一次冷凍通路に組み込むことができる。
【0027】
[0037]気化した水素冷媒ストリーム74及び76は、高温熱交換器を出て、単一ストリーム78に混合され、この単一ストリーム78は、第1の圧縮段階82a及び第1の後部冷却器84a(周囲空気又は冷却用流体のうちの別の流体を使用することができる)を使用して達成される第1の圧縮・冷却段階に入る。更なる圧縮・冷却段階が82b及び84b、82c及び84c、並びに82d及び84dで実行され、前述の高圧水素冷媒蒸気ストリーム52が最終段階後部冷却器84dから出る。圧縮・冷却段階の数は、図示されている数と異なってもよい。実際、図1の実施形態及び以下の全ての図の実施形態には、単一の圧縮段階のみが存在してもよい。更に、複数の圧縮段階がある実施形態では、圧縮段階は、単一の圧縮器の段階によって、又は多数の個別の圧縮器によって実行されてもよい。
【0028】
[0038]水素冷媒の質量流量を2つの膨張器サービス(高温膨張器56a~56c及び低温膨張器64a~64b)間で分割することにより、単一膨張サイクルと比較して消費電力が少なくなる。比エンタルピーの差に基づいて、直列の4台の高温膨張器が好ましく、直列の2台の低温膨張器が好ましいが、高温膨張器及び低温膨張器シリーズのそれぞれに関して別の数の膨張器を使用してもよい。
【0029】
[0039]両方の膨張器サービスから高温熱交換器16を出る温かいガスストリーム74及び76は、同じ圧力で出る。或いは、熱交換器層の配置を簡素化するために、高温膨張器の排出物を(高温膨張器の排出物と同じ温度に加熱した後)低温膨張器の排出物と混合することもできる。
【0030】
[0040]図1の予冷ループ14を参照すると、使用される混合冷媒(MR)は、窒素、メタン、エチレン、プロパン、及びn-ブタンから構成されることが好ましい。凍結を防止するために、n-ブタンの代わりにイソブタンを使用することもできる(操作上の必要性により、エチレンの代わりにエタンを使用することもできる)。単なる一例として、MRストリーム92の圧力は28psig又は2bargであってもよい。
【0031】
[0041]ストリーム92は、第1の圧縮器段階94a及び第1の後部冷却器96a(周囲空気又は冷却用流体の別の流体を使用することができる)を使用して達成される第1の圧縮・冷却段階に入る。更なる圧縮・冷却段階が94b、96b、94c、96cで実行される。圧縮・冷却段階の数は、図示されている数と異なってもよい。実際、その代わりに、図1の実施形態及び以下の全ての図の実施形態の予冷ループ14には単一の圧縮段階だけが存在してもよい。更に、複数の圧縮段階がある実施形態では、圧縮段階は、単一の圧縮器の段階によって、又は多数の個別の圧縮器によって実行されてもよい。吸引分離装置98aが、圧縮器への液体の侵入を防止するために圧縮器94aの入口に設けられ、同様の吸引分離装置98b及び98cが次の圧縮段階と冷却段階との間に設けられる。更に、同一出願人によるGushanasらの米国特許第9,441,877号に示されるように、予冷ループ14の段階間圧縮の吸引分離装置98b及び98cからの液体は、冷却のために高温熱交換器16に送られ、膨張された後、高温熱交換器に戻されてそこで冷凍され得る。
【0032】
[0042]好ましい実施形態では、圧縮中にMRストリームの露点より高い位置に留まることで、吸引分離装置内で液体が生成されない。したがって、液体をポンプで汲み上げたり扱ったりする必要がないため、プロセスの複雑さ及びコストが削減される。
【0033】
[0043]最後の排出冷却器96cによってもたらされる冷却は、MRストリーム102の一部を液化するのに十分である。ストリーム102中に存在する蒸気及び液体は、高温熱交換器16及び低温熱交換器16に入る前に分離される。ストリーム102は、この目的のために、最後の圧縮及び冷却段階を出て、高圧分離装置104に移動する。
【0034】
[0044]単なる一例として、高圧分離装置104から出るMR液体及び蒸気ストリーム106、108はそれぞれ、約640psigの圧力であってもよい。
【0035】
[0045]高温熱交換器16は、高圧MR蒸気ストリーム108を冷却して混合相低温分離器MR供給ストリーム114を形成する高圧蒸気冷却通路112を含む。混合相低温分離器MR供給ストリーム114は低温蒸気分離器116に導かれる。低温蒸気分離器116は、低温分離器供給ストリーム114を低温分離器MR蒸気ストリーム118と低温分離器MR液体ストリーム122とに分離する。
【0036】
[0046]高温熱交換器16は、低温分離器MR蒸気ストリーム118を受けるために低温蒸気分離器116と連通する入口を有する低温分離器蒸気冷却通路124も含む。低温分離器MR蒸気ストリームは通路124内で冷却されて凝縮低温MRストリーム126を形成し、凝縮低温MRストリーム126は膨張装置128でフラッシングされて、予冷冷凍通路134に導かれる膨張された低温MRストリーム132を形成する。高温熱交換器16の予冷冷凍通路134を通じて流れるMRストリームは、向流熱交換によって冷却通路30aの第1の部分内にある水素ガス供給ストリーム10に対して予冷を行う。
【0037】
[0047]膨張装置128(及び本明細書に開示される全ての「膨張装置」又は「膨張器」の場合と同様)は、非限定的な例として、バルブ(ジュール・トンプソンバルブなど)、タービン、又は制限オリフィスであってもよい。
【0038】
[0048]低温分離器MR液体ストリーム122は、低温分離器液体冷却通路136内で冷却されて、膨張装置138内でフラッシングされる過冷却された低温分離器MR液体ストリームを形成する
【0039】
[0049]高圧液体冷却通路142は、高圧MR液体ストリーム106を冷却して、過冷却された高圧MR液体ストリームを形成し、この高圧MR液体ストリームは膨張装置144内でフラッシングされる。膨張装置138及び144を出るストリームは、混合されて、予冷冷凍通路134に導かれる中温ストリーム146を形成する。別の実施形態では、混合ストリーム136及び142が膨張されるように膨張装置138及び144を排除してストリーム146のための単一の膨張装置と置き換えられてもよい。
【0040】
[0050]図2に示す本開示のシステムの第2の実施形態では、図1のシステムの修正バージョンにおいて、2つの異なる圧力を有する水素冷媒ストリーム258及び266を形成するために水素冷媒が膨張され、ストリーム258及び266は、別個の通路270a、270b及び272a、272b内の高温熱交換器216及び低温熱交換器232をそれぞれ通過する。図2に示すように、結果として生じる蒸気ストリーム274及び276は、圧縮段階の2つの異なる位置に導かれる。これにより、プロセス効率が僅かに向上し、高温膨張器の全体にわたる比エンタルピーの差が減少し得る。膨張器の全体にわたる比エンタルフィー差が低いほど、膨張器の効率が向上する傾向にある。
【0041】
[0051]更に、図2の実施形態では、高温膨張器256a、256b、256cと低温膨張器264a、264bとを何らかの態様で制動することができる。或いは、図3を参照すると、高温膨張器356a、356b及び356c並びに低温膨張器364a及び364bからの動力は、ストリーム366が高温及び低温熱交換器316及び332で冷凍を行った後、第1のコンプレッサ段階382aに入る前に、調整コンプレッサ302a、302b、302c、及び304a、304bを介して、低温膨張器364a及び364bからの水素冷媒ストリーム366を再圧縮するために使用される。図3のシステムの残りの部分は図2と同じである。
【0042】
[0052]図4の実施形態では、2つの水素冷媒ストリーム402及び404は、低温熱交換器432内で冷凍を行った後、混合された後、蒸気として低温熱交換器432を出た後に圧縮器405によって圧縮され、それにより、低温圧縮が達成される。圧縮ストリームは、後部冷却器407に導かれ、結果として得られたストリーム409が冷却のために高温熱交換器416に導かれる。
【0043】
[0053]水素冷媒ストリーム402及び404は、MR低温端温度(一例としてのみ、約120Kであり得る)で引き出され、一例としてのみ、コンプレッサ405におけるコンプレッサの種類と吸入温度とに応じて、圧縮器406を介して700~1200psigまで圧縮され得る。この温度及び圧力の選択により、水素ストリーム409を、水素ガス供給ストリーム410及び高圧MR液体及び蒸気ストリーム406及び408と共に高温熱交換器416に供給することが可能になる。
【0044】
[0054]図5のシステムでは、主冷却ループ512が図1の主冷却ループ12と同じであるが、予冷ループ514内の冷媒として窒素が使用される。最後の圧縮・冷却段階(圧縮器594及び後部冷却器596)を出る窒素冷媒ストリーム502は、ストリーム504及び506に分割される。ストリーム506は、膨張器508a内で膨張された後、ストリーム512として予冷冷凍通路509に導かれる。ストリーム504は、高温熱交換器516内の予冷冷媒調整通路511aで更に冷却され、結果として得られたストリームがストリーム518、522に分割される。ストリーム518は、膨張器508b内で膨張された後、ストリーム524として予冷冷凍通路509に導かれる。ストリーム522は、高温熱交換器516内の予冷冷媒調整通路511b内で更に冷却され、結果として得られたストリーム526は、膨張器508c内で膨張された後、ストリーム528として予冷冷凍通路509に導かれる。
【0045】
[0055]膨張器508a~508cは、当技術分野で膨張器又は膨張装置として使用されるタービン又は他の装置であってもよい。
【0046】
[0056]したがって、図5のシステムは、図1図4の混合冷媒の代わりに窒素膨張を使用して水素ガス供給ストリーム510を予冷する。窒素膨張プロセスは、一般に、液体窒素プロセスよりも効率的である。
【0047】
[0057]図6のシステムにおいて、主冷却ループ612は、水素冷媒ガスのストリーム652(別の実施形態では、単なる例として、ヘリウム、又はネオンとヘリウムとの混合物、又はネオン、ヘリウム、又は水素の混合物、或いはネオン、ヘリウムと水素との混合物を使用できる)を、ストリームが冷却される高温熱交換器616と冷熱交換器632とに供給する。ストリームの一部分654は、低温熱交換器632に入った後、分割されて、高温膨張器656に導かれる。結果として得られる膨張した冷媒ストリームは、低温熱交換器632の中間冷却通路661を通じて導かれる。結果として得られる冷却されたストリームは低温膨張器664に導かれる。更に冷却されて膨張した水素ストリーム669は、一次冷凍通路672a及び672b(低温熱交換器632及び高温熱交換器616のそれぞれの内部)を通じて導かれ、向流熱交換によって冷却通路630a及び630b内の水素ガス供給ストリーム610を冷却及び液化する。気化した一次冷媒ストリーム674は、主冷却ループの圧縮システムに戻される。
【0048】
[0058]水素冷媒ストリームの残りの部分682は、低温熱交換器内で更に冷却され、その後、熱交換器を出た後、JTバルブ684などの一次供給膨張装置を介して膨張される。結果として得られた膨張流体685は、低温熱交換器及び高温熱交換器の冷凍通路687a及び687bを通じて戻され、そこで冷凍を行う。結果として生じる気化した冷媒ストリームは、主冷却ループ612の圧縮システムに戻される。
【0049】
[0059]高温膨張器656及び低温膨張器664は、圧縮器657及び665にそれぞれ動力を供給することによって作業を実行する。或いは、膨張器は発電機に給電したり、ブレーキにも接続され得る。作動流体は、圧縮器657で圧縮された後、後部冷却器658で冷却され、その後、JTバルブ660などの膨張装置で膨張され、結果として得られたストリームが圧縮器に戻される。同様に、作動流体は、圧縮器665での圧縮後、後部冷却器667で冷却され、その後、JTバルブ668などの膨張装置で膨張され、結果として得られたストリームが圧縮器に戻される。図6のシステムの残りの部分は、図1のシステムと同じである。混合冷媒予冷ループが図6(及び図1)に示されるが、窒素を含むがこれに限定されない別の冷媒を使用する予冷ループが、代わりに、図6及び残りの図に示される全ての実施形態の両方で使用されてもよい。低温蒸気分離器装置(図1の116)は、図6及び残りの図に示される全ての実施形態の予冷ループから排除されてもよい。
【0050】
[0060]図7のシステムは、低温熱交換器732に補助中間冷却通路700を追加し、図6のシステムに補助低温膨張装置702を追加する。その結果、水素冷媒ストリーム769は(図6のストリーム669と比較して)更なる冷却・膨張段階を受けている。図7のシステムの残りの部分は、図6のシステムと同じである。
【0051】
[0061]主冷却ループの高温膨張器及び低温膨張器の更に別の構成が図8に示される。図8のシステムにおいて、主冷却ループ812は、水素冷媒ガスのストリーム852(別の実施形態では、単なる例として、ヘリウム、又はネオンとヘリウムとの混合物、又はネオン、ヘリウム、及び水素の混合物、又はヘリウムと水素との混合物が使用されてもよい)を、ストリームが冷却される高温熱交換器816及び低温熱交換器832に供給する。ストリームの一部分854は、低温熱交換器832に入った後、分割されて、第1の高温膨張器856aに導かれる。高温膨張器856aを出る膨張した冷媒ストリームの第1の部分は、第2の高温膨張器856bに導かれる。第2の高温膨張器856bを出る膨張した冷媒ストリーム858は、熱交換器832及び816のそれぞれの一次冷凍通路872a及び872bに導かれる。
【0052】
[0062]図8に示されるように、高温膨張器856aを出る膨張した冷媒ストリームの第2の部分は、低温熱交換器832の中間冷却通路861を通じて導かれる。結果として得られる冷却されたストリームは低温膨張器864に導かれる。更なる冷却されて膨張した水素ストリーム869は、一次冷凍通路872a及び872b(低温熱交換器832及び高温熱交換器816のそれぞれの内部)を通じて導かれ、向流熱交換によって冷却通路830a及び830b内の水素ガス供給ストリーム810を冷却及び液化する。気化した一次冷媒ストリーム874は、主冷却ループの圧縮システムに戻される。予冷は、図8に示すように混合冷媒を使用して実行することも、或いは1つ又は複数の膨張装置を使用して窒素を用いて実行することもできる。図8のシステムの残りの部分は、図6及び図7のシステムと同じである。
【0053】
[0063]主冷却ループの高温膨張器及び低温膨張器の更に別の構成が図9に示される。図9のシステムにおいて、主冷却ループ912は、水素冷媒ガスのストリーム952(別の実施形態では、単なる例として、ヘリウム、又はネオンとヘリウムとの混合物、又はネオン、ヘリウム、及び水素の混合物、又はヘリウムと水素との混合物が使用されてもよい)を、ストリームが冷却される高温熱交換器916及び低温熱交換器932に供給する。ストリームの第1の部分954aは、低温熱交換器932に入った後、分割されて、高温膨張器956に導かれる。結果として生じる膨張した冷媒ストリームは、低温及び高温熱交換器932及び916の第1の一次冷凍通路970a及び970bにそれぞれ導かれ、内部で冷凍を行う。結果として生じる気化した冷媒は、主冷却ループの圧縮システムに導かれる。
【0054】
[0064]図9に示されるように、冷却された水素冷媒ストリームの第2の部分954bは、分割されて、第1の低温膨張器964aを通じて導かれ、第1の低温膨張器964aは、膨張した冷媒ストリームを低温熱交換器932の中間冷却通路961を通じて導く。結果として生じる冷却されたストリームは第2の低温膨張器964bに導かれる。更なる冷却されて膨張した水素ストリーム969は、低温熱交換器832及び高温熱交換器816内の第2の一次冷凍通路972a及び972bを通じてそれぞれ導かれ、向流熱交換によって冷却通路930a及び930b内の水素ガス供給ストリーム910を冷却及び液化する。気化した一次冷媒ストリーム974は、主冷却ループの圧縮システムに戻される。図9のシステムの残りの部分は、図6図8のシステムと同じである。
【0055】
[0065]主冷却ループの高温膨張器及び低温膨張器の更に別の構成が図10に示される。図10のシステムにおいて、主冷却ループ1012は、水素冷媒ガスのストリーム1052(別の実施形態では、単なる例として、ヘリウム、又はネオンとヘリウムとの混合物、又はネオン、ヘリウム、及び水素の混合物、又はヘリウムと水素との混合物が使用されてもよい)を、ストリームが冷却される高温熱交換器1016及び低温熱交換器1032に供給する。ストリームの第1の部分1054aは、低温熱交換器1032に入った後、分割されて、高温膨張器1056に導かれる。結果として生じる膨張した冷媒ストリームは、低温熱交換器1032の中間冷却通路1061を通じて導かれる。結果として生じる冷却されたストリームは低温膨張器1064に導かれる。更なる冷却され膨張した水素ストリーム1069は、低温及び高温熱交換器1032及び1016の第2の一次冷凍通路1072a及び1072bのそれぞれを通じて導かれ、向流熱交換によって冷却通路1030a及び1030b内の水素ガス供給ストリーム1010を冷却及び液化する。気化した一次冷媒ストリーム1074は、主冷却ループの圧縮システムに戻される。
【0056】
[0066]図10に更に示されるように、冷却された水素冷媒ストリームの第2の部分1054bは、分割されて、中間膨張器1066を通じて導かれる。結果として生じる膨張した冷媒ストリームは、低温及び高温熱交換器1032及び1016の第1の一次冷凍通路1070a及び1070bにそれぞれ導かれて内部で冷凍を行う。結果として生じる気化した冷媒は、主冷却ループ1012の圧縮システムに導かれる。
【0057】
[0067]図10のシステムの残りの部分は、図6図9のシステムと同じである。
【0058】
[0068]主冷却ループの高温膨張器及び低温膨張器の更に別の構成が図11に示される。図11のシステムにおいて、主冷却ループ1112は、水素冷媒ガスのストリーム1052(別の実施形態では、単なる例として、ヘリウム、又はネオンとヘリウムとの混合物、又はネオン、ヘリウム、及び水素の混合物、又はヘリウムと水素との混合物が使用されてもよい)を、ストリームが冷却される高温熱交換器1116及び低温熱交換器1132に供給する。ストリームの第1の部分1154aは、低温熱交換器1132に入った後、分割されて、第1の高温膨張器1156aに導かれる。結果として生じる膨張した冷媒ストリームは、低温熱交換器1132の中間冷却通路1161を通じて導かれる。結果として生じる冷却されたストリームは第2の高温膨張器1156bに導かれる。更なる冷却され膨張した水素ストリーム1158は、低温及び高温熱交換器1132及び1116の第1の一次冷凍通路1170a及び1070bのそれぞれを通じて導かれ、向流熱交換によって冷却通路1130a及び1130b内の水素ガス供給ストリーム1110を冷却及び液化する。結果として得られる気化した冷媒は、主冷却ループの圧縮システムに供給される。
【0059】
[0069]図11に更に示されるように、冷却された水素冷媒ストリームの第2の部分1154bは分割され低温膨張器1164を通じて導かれる。結果として生じる膨張した冷媒ストリーム1169は、低温及び高温熱交換器1132及び1116の第2の一次冷凍通路1172a及び1172bにそれぞれ導かれる。気化した一次冷媒流ストリーム1174は、主冷却ループの圧縮システムに戻される。
【0060】
[0070]図11のシステムの残りの部分は、図6図10のシステムと同じである。
【0061】
[0071]本発明の好ましい実施形態を図示し説明してきたが、当業者に明らかなように、本発明の思想から逸脱することなく変更及び修正を加えることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】