(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】GT排出量またはグリッド安定性を改善するために予備GTシステムのベースロード電力を使用するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H02J 3/28 20060101AFI20240621BHJP
H02J 15/00 20060101ALI20240621BHJP
H02J 3/00 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
H02J3/28
H02J15/00 G
H02J3/00 170
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023575393
(86)(22)【出願日】2021-12-02
(85)【翻訳文提出日】2024-01-18
(86)【国際出願番号】 US2021072692
(87)【国際公開番号】W WO2022265677
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】PCT/US2021/037742
(32)【優先日】2021-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【氏名又は名称】小倉 博
(72)【発明者】
【氏名】スレイマン、バハ マームード
(72)【発明者】
【氏名】セリム、ハテム
(72)【発明者】
【氏名】サマック、マジェド
(72)【発明者】
【氏名】ダウード、アラエルディン エルサイード
(72)【発明者】
【氏名】ハリディ、アブドゥルラフマン アブダラ
【テーマコード(参考)】
5G066
【Fターム(参考)】
5G066AA03
5G066AE03
5G066AE09
5G066HB08
5G066JA01
5G066JB10
(57)【要約】
【課題】GT排出量またはグリッド安定性を改善するために予備GTシステムのベースロード電力を使用するシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】システムは、発電機に動作可能に連結された発電所のガスタービン(GT)システムを含み、常にベースロードで電力を生成する。GTシステムのベースロード電力の第1の部分は、グリッドに送電される。グリッドからの電力需要が閾値を超えない場合、GTシステムのベースロード電力の第2の部分は、水素生成電解槽に送電され、第2のGTシステム用の水素燃料を生成する。グリッドからの電力需要が閾値を超えた場合、GTシステムのベースロード電力の第3の部分がグリッドに送電される。GTシステムは常にベースロードで運転されるが、従来の予備発電のように、グリッドに迅速に電力を供給することができる。このシステムは、すべてのGTシステムをベースロードで運転することで効率を向上させ、グリッド電力需要が許す限り水素燃料を供給することで、第2のGTシステムの排出量を削減する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースロード電力を生成するために第1の発電機に動作可能に連結された第1のGTシステムであって、第1のGTシステムによって生成されたベースロード電力の第1の部分が、送電系統運用者(TSO)によって制御される広域電力網に送電される、前記第1のGTシステムと、
前記広域電力網に送電するための電力を生成する第2の発電機に動作可能に連結された第2のGTシステムと、
前記第1のGTシステムおよび前記第2のGTシステムの一方または両方に水素燃料を供給するように動作可能に連結された水素生成電解槽であって、前記第1のGTシステムによって生成されたベースロード電力の第2の部分または前記広域電力網から戻された電力のいずれかによって選択的に給電されるように構成された、前記水素生成電解槽と、
コントローラと、
を含み、
前記コントローラは、
閾値を超えないTSOからの電力需要に応答して、前記第1のGTシステムによって生成された前記ベースロード電力の第2の部分を前記水素生成電解槽に送り、前記第1のGTシステムおよび前記第2のGTシステムの一方または両方のための水素燃料を生成するように指示し、
前記TSOからの電力需要が前記閾値を超えたことに応答して、前記第1のGTシステムによって生成された前記ベースロード電力の第3の部分を前記広域電力網に送電するよう指示するように構成される、システム。
【請求項2】
前記第1のGTシステムと同じ場所に配置された複数の第3のGTシステムをさらに含み、各第3のGTシステムは、前記広域電力網に送電するためのベースロード電力を生成する第3の発電機に動作可能に連結されている、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記第2のGTシステムは、前記複数の第3のGTシステムのうちの少なくとも1つである、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1、第2および第3の発電機のうち少なくとも2つが同じ発電機である、請求項3記載のシステム。
【請求項5】
前記水素生成電解槽および前記第2のGTシステムは、前記第1のGTシステムとは異なる地理的位置に配置される、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1のGTシステムによって生成された前記ベースロード電力の第4の部分が、前記第1のGTシステムのガバナによって一次制御リザーブとして維持される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1のGTシステムによって生成された前記ベースロード電力の前記第2の部分が、前記広域電力網を通過することなく、前記第1のGTシステムおよび前記第2のGTシステムの一方または両方のための水素燃料を生成するために、前記水素生成電解槽に直接送られる、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記コントローラが前記広域電力網の前記TSOに設置されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1のGTシステムによって生成された前記ベースロード電力の前記第3の部分が前記広域電力網に送電され、前記広域電力網からの電力が前記水素生成電解槽に送電され、前記第1のGTシステムおよび前記第2のGTシステムの一方または両方のための水素燃料を生成する、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記コントローラが、前記第1のGTシステムによって生成された前記ベースロード電力の前記第3の部分を前記広域電力網に送電するよう指示することに応答して、前記コントローラは、前記第2のGTシステムの出力を維持するために、前記第2のGTシステムの少なくとも非水素燃料流量を調整する、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
ベースロード電力を生成するために第1の発電機に動作可能に連結された第1のGTシステムであって、前記ベースロード電力は、送電系統運用者(TSO)によって制御される広域電力網に送電される、前記第1のGTシステムと、
前記広域電力網に送電するための電力を生成する第2の発電機に動作可能に連結された第2のGTシステムと、
前記広域電力網からの電力によって選択的に給電されるように構成された水素生成電解槽であって、前記水素生成電解槽は、水素燃料を前記第2のGTシステムに供給するように動作可能に連結される、前記水素生成電解槽と、
コントローラと、
を含み、
前記コントローラは、
前記広域電力網からの過剰電力が閾値を超えたことに応答して、前記広域電力網から前記水素生成電解槽への電力を増加させて、前記第2のGTシステムのために生成される水素燃料を増加させ、
前記広域電力網からの過剰電力が閾値を超えないことに応じて、前記広域電力網から前記水素生成電解槽への電力を減少させ、前記第2のGTシステムのために生成される水素燃料を減少させるように構成される、システム。
【請求項12】
前記第1のGTシステムと同じ場所に配置された複数の第3のGTシステムをさらに含み、各第3のGTシステムは、前記広域電力網に送電するためのベースロード電力を生成する第3の発電機に動作可能に連結されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記第2のGTシステムは、前記複数の第3のGTシステムのうちの少なくとも1つである、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記水素生成電解槽および前記第2のGTシステムは、前記第1のGTシステムとは異なる地理的位置に配置される、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記コントローラが前記広域電力網から前記水素生成電解槽への電力を減少させることに応答して、前記コントローラは、前記第2のGTシステムの出力を維持するために、前記第2のGTシステムの少なくとも非水素燃料流量を調整する、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記コントローラは、前記広域電力網の送電サービス事業者(TSO)に配置されている、請求項11記載のシステム。
【請求項17】
第1の発電機に連結された第1のGTシステムによって発電されたベースロード電力の第1の部分を、送電系統運用者(TSO)によって制御される広域電力網に送電するステップと、
閾値を超えない前記TSOからの電力需要に応答して、前記第1のGTシステムによって生成された前記ベースロード電力の第2の部分を水素生成電解槽に送るステップであって、前記水素生成電解槽は、水素燃料を前記第2のGTシステムに供給するように動作可能に結合され、前記第2のGTシステムは、電力を生成するために第2の発電機に動作可能に結合される、前記ステップと、
前記TSOからの電力需要が閾値を超えたことに応答して、前記第1のGTシステムによって生成された前記ベースロード電力の第3の部分を前記広域電力網に送電するステップと、
を含む、方法。
【請求項18】
第3の発電機に動作可能に結合された複数の第3のGTシステムによって生成されたベースロード電力を前記広域電力網に送電するステップをさらに含み、前記複数の第3のGTシステムは前記第1のGTシステムと同じ場所に配置され、前記第2のGTシステムは前記複数の第3のGTシステムのうちの少なくとも1つである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記水素生成電解槽および前記第2のGTシステムが、前記第1のGTシステムとは異なる地理的位置に配置される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記第1のGTシステムによって生成された前記ベースロード電力の第3の部分を前記広域電力網に送ることに応答して、前記第2のGTシステムの出力を維持するために、前記第2のGTシステムの少なくとも非水素燃料流量を調整する、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に発電所制御システム(power plant control systems)に関し、より詳細には、予備ガスタービン(GT)システムをベースロードで運転し、ベースロード電力の一部を使用して、グリッド電力需要(grid power demand:系統電力需要)が許容される場合に水素生成電解システムを運転し、他のGTシステムに注入するための水素燃料を供給し、またはグリッド電力需要が必要な場合にグリッドに電力を供給するシステムに関する。その結果、GTシステムの効率、性能、および/または排出量、および/またはグリッド(送電網)の安定性を改善することができる。
【背景技術】
【0002】
発電所は、広域電力網(wide-area electric grid)に電力を供給する。場合によっては、発電所には複数のガスタービン(GT)システムが設置されていることもある。発電所を効率的に運転し、GTシステムの寿命を最も長くするためには、ガスタービンを「ベースロード:baseload」と呼ばれるフル稼働またはそれに近い状態で運転するのが最善である。ベースロードには、GTシステムで自動的にグリッドの周波数変化に対応するための「一次制御リザーブ:primary control reserve」と呼ばれる若干の予備が含まれていない場合があることに留意されたい。安定したグリッドには、グリッドに電力を供給する発電所の発電電力が、需要の変動に関係なく、常に電力需要と一致することが必要である。そのため、安定したグリッドを維持するために、発電所は通常、「スピニングリザーブ:spinning reserve、回転予備」と呼ばれる一定量の追加キャパシティまたは待機負荷(additional capacity or standby load)を維持し、必要なときに追加電力を供給できるようにする必要がある。GTシステムの一次制御リザーブは、広域電力網からの電力需要変動に対応できない。
【0003】
需要変動に対応するため、1つのGTシステムはスピニングリザーブまたは単に予備GTシステムとして設定され(designated)、ベースロードでは運転されない。例えば、予備GTシステム(reserve GT systems)は、グリッド電力需要に応じて50~100%の負荷で運転される。したがって、10基のGTシステムを持つ発電所では、需要の増加がない場合、例えば、5%をスピニングリザーブとし、95%のキャパシティを供給することができる。このように、電力需要が増加すると、予備GTシステムの予備能力(例えば、最大50%)を活用して、より多くの電力を迅速に発電し、グリッドの安定性を維持することができる。
【0004】
予備GTシステムの運転には多くの課題がある。例えば、ベースロードを下回るレベルでGTシステムを運転することは、燃料の燃焼効率が悪く、排出量が増加し、一般的に出力変動に対する制御が難しいため、非常に非効率である。予備GTシステムの運転は、発電所から電力を購入する送電会社(power delivery companies)にとっても、発電所の未使用キャパシティと予備GTシステムの非効率な運転に対して費用を支払うことになるため、出費となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2018/254498号明細書
【発明の概要】
【0006】
以下に述べるすべての態様、例、特徴は、技術的に可能なあらゆる方法で組み合わせることができる。
【0007】
本開示の一態様は、システムを提供する。システムは、ベースロード電力を生成するために第1の発電機に動作可能に連結された第1のGTシステムであって、第1のGTシステムによって生成されたベースロード電力の第1の部分は、送電系統運用者(TSO)によって制御される広域電力網に送電される、第1のGTシステムと広域電力網に送電するための電力を生成するために第2の発電機に動作可能に連結された第2のGTシステムと、第1のGTシステムおよび第2のGTシステムの一方または両方に水素燃料を供給するように動作可能に連結された水素生成電解槽であって、第1のGTシステムによって生成されたベースロード電力の第2の部分または広域電力網から戻された電力のいずれかによって選択的に電力を供給されるように構成された、水素生成電解槽と、コントローラとを含む。コントローラは、閾値を超えないTSOからの電力需要に応答して、第1のGTシステムによって生成されたベースロード電力の第2の部分を水素生成電解槽に送電して、第1のGTシステムおよび第2のGTシステムの一方または両方のための水素燃料を生成するように指示し、TSOからの電力需要が閾値を超えたことに応答して、第1のGTシステムによって生成されたベースロード電力の第3の部分を広域電力網に送電するように指示するように構成される。
【0008】
本開示の別の態様は、先行する態様のいずれかを含み、第1のGTシステムと同じ場所に配置された複数の第3のGTシステムをさらに含み、各第3のGTシステムは、広域電力網に送電するためのベースロード電力を生成するために第3の発電機に動作可能に連結される。
【0009】
本開示の別の態様は、先行する態様のいずれかを含み、第2のGTシステムは、複数の第3のGTシステムのうちの少なくとも1つである。
【0010】
本開示の別の態様は、先行する態様のいずれかを含み、第1、第2および第3の発電機の少なくとも2つは同じ発電機である。
【0011】
本開示の別の態様は、先行する態様のいずれかを含み、水素生成電解槽および第2のGTシステムは、第1のGTシステムとは異なる地理的位置に配置される。
【0012】
本開示の別の態様は、先行する態様のいずれかを含み、第1のGTシステムによって生成されたベースロード電力の第3の部分は、第1のGTシステムのガバナによって一次制御リザーブとして維持される。
【0013】
本開示の別の態様は、先行する態様のいずれかを含み、第1のGTシステムによって生成されたベースロード電力の第2の部分は、広域電力網を通過することなく、第1のGTシステムおよび第2のGTシステムの一方または両方のための水素燃料を生成するために、水素生成電解槽に直接送られる。
【0014】
本開示の別の態様は、先行する態様のいずれかを含み、コントローラは広域電力網のTSOに配置される。
【0015】
本開示の別の態様は、先行する態様のいずれかを含み、第1のGTシステムによって生成されたベースロード電力の第3の部分が広域電力網に送電され、広域電力網からの電力が水素生成電解槽に送電されて第2のGTシステムのための水素燃料を生成する。
【0016】
本開示の別の態様は、先行する態様のいずれかを含み、第1のGTシステムによって生成されたベースロード電力の第3の部分が広域電力網に送られることをコントローラが指示することに応答して、コントローラは、第2のGTシステムの出力を維持するために、第2のGTシステムの少なくとも非水素燃料流量を調整する。
【0017】
本開示の一態様は、システムを提供する。システムは、ベースロード電力を生成するために第1の発電機に動作可能に連結された第1のGTシステムであって、ベースロード電力は、送電系統運用者(TSO)によって制御される広域電力網に送電される、第1のGTシステムと、広域電力網に送電するための電力を生成するために第2の発電機に動作可能に連結された第2のGTシステムと、広域電力網からの電力によって選択的に給電されるように構成された水素生成電解槽であって、水素生成電解槽は、水素燃料を第2のGTシステムに供給するように動作可能に連結された、水素生成電解槽と、コントローラとを含む。コントローラは、広域電力網からの過剰電力が閾値を超えたことに応答して、広域電力網から水素生成電解槽への電力を増加させて、第2のGTシステムのために生成される水素燃料を増加させ、広域電力網からの過剰電力が閾値を超えなかったことに応答して、広域電力網から水素生成電解槽への電力を減少させて、第2のGTシステムのために生成される水素燃料を減少させるように構成される。
【0018】
本開示の別の態様は、先行する態様のいずれかを含み、第1のGTシステムと併設された複数の第3のGTシステムをさらに含み、各第3のGTシステムは、広域電力網に送電するためのベースロード電力を生成するために第3の発電機に動作可能に連結される。
【0019】
本開示の別の態様は、先行する態様のいずれかを含み、第2のGTシステムは、複数の第3のGTシステムのうちの少なくとも1つである。
【0020】
本開示の別の態様は、先行する態様のいずれかを含み、水素生成電解槽および第2のGTシステムは、第1のGTシステムとは異なる地理的位置に配置される。
【0021】
本開示の別の態様は、先行する態様のいずれかを含み、コントローラが、広域電力網から水素生成電解槽への電力伝送の停止を指示することに応答して、コントローラは、第2のGTシステムの出力を維持するために、第2のGTシステムの少なくとも非水素燃料流量を調整する。
【0022】
本開示の別の態様は、先行する態様のいずれかを含み、コントローラは広域電力網のTSOに配置される。
【0023】
本開示の一態様は、方法を提供する。方法は、第1の発電機に結合された第1のGTシステムによって生成されたベースロード電力の第1の部分を、送電系統運用者(TSO)によって制御される広域電力網に送電するステップと、広域電力網からの電力需要が閾値を超えないことに応答して、第1のGTシステムによって生成されたベースロード電力の第2の部分を水素生成電解槽に送電するステップであって、水素生成電解槽は、水素燃料を第2のGTシステムに供給するように動作可能に結合され、第2のGTシステムは、電力を生成するために第2の発電機に動作可能に結合される、ステップと、広域電力網からの電力需要が閾値を超えたことに応答して、第1のGTシステムによって生成されたベースロード電力の第3の部分を広域電力網に送電するステップと、を含む。
【0024】
本開示の別の態様は、先行する態様のいずれかを含み、複数の第3のGTシステムによって生成され、第3の発電機に動作可能に結合されたベースロード電力を広域電力網に送電することをさらに含み、複数の第3のGTシステムは第1のGTシステムと同位置に配置され、第2のGTシステムは複数の第3のGTシステムのうちの少なくとも1つである。
【0025】
本開示の別の態様は、先行する態様のいずれかを含み、水素生成電解槽および第2のGTシステムは、第1のGTシステムとは異なる地理的位置に配置される。
【0026】
本開示の別の態様は、先行する態様のいずれかを含み、第1のGTシステムによって生成されたベースロード電力の第3の部分を広域電力網に送ることに応答して、第2のGTシステムの出力を維持するために、第2のGTシステムの少なくとも非水素燃料流量を調整する。
【0027】
本開示に記載されている2つ以上の態様は、本要約に記載されているものを含め、本明細書に特に記載されていない実施態様を形成するために組み合わされてもよい。
【0028】
1つまたは複数の実施態様の詳細は、添付の図面および以下の説明に記載されている。他の特徴、目的、および利点は、説明および図面、ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本開示のこれらおよび他の特徴は、本開示の様々な実施形態を示す添付の図面と併せて取られる本開示の様々な態様の以下の詳細な説明から、より容易に理解されるであろう。
【
図1】従来技術による例示的な発電所システムの概略図である。
【
図2】本開示の実施形態によるシステムの概略図である。
【
図3】本開示の実施形態による例示的なガスタービン(GT)システムの概略図である。
【
図4】
図3のGTシステムのコンプレッサー部分の断面図である。
【
図5】
図3のGTシステムのタービン部分の断面図である。
【
図6】本開示の実施形態による、システムの操作方法の流れ図である。
【
図7】本開示の他の実施形態によるシステムの概略図である。
【
図8】本開示の他の実施形態による、システムの操作方法の流れ図である。
【
図9】本開示の追加的な実施形態によるシステムの概略図である。
【0030】
本開示の図面は必ずしも縮尺通りではないことに留意されたい。図面は、本開示の典型的な態様のみを描写することを意図しており、したがって、本開示の範囲を限定するものとみなされるべきではない。図面において、同様の番号は、図面間の同様の要素を表す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
最初の事項として、本開示の主題を明確に説明するために、電力を生成するために使用されるターボマシン内の関連する機械部品に言及し説明する際に、特定の用語を選択する必要が生じる。可能な限り、一般的な業界用語を使用し、その一般的な意味と一致する方法で使用する。特に断らない限り、このような用語は、本出願の文脈および添付の特許請求の範囲と一致する広範な解釈が与えられるべきである。当業者であれば、特定の構成要素が複数の異なる用語または重複する用語を用いて言及されることが多いことを理解するであろう。本明細書において単一の部品であると説明されるものは、別の文脈では複数の部品から構成されるものを含み、参照される場合がある。あるいは、本明細書において複数の構成要素を含むものとして説明されているものが、他の箇所では単一部品として言及されている場合もある。
【0032】
加えて、いくつかの説明的な用語が本明細書で定期的に使用されることがあるが、本節の冒頭でこれらの用語を定義しておくことは有益であろう。これらの用語およびその定義は、特に断りのない限り、以下の通りである。本明細書で使用する「下流」および「上流」という用語は、タービンエンジンを通る作動流体や、例えば、燃焼器を通る空気の流れ、またはタービンの構成システムの1つを通る冷却水の流れなど、流体の流れに対する方向を示す用語である。「下流」という用語は、流体の流れ方向に対応し、「上流」という用語は、流れと反対の方向(すなわち、流れが発生する方向)を指す。また、「前方」および「後方」という用語は、それ以上の特定はなく、方向を意味し、「前方」はエンジンの前方またはコンプレッサ端を指し、「後方」はターボマシンの後方セクションを指す。
【0033】
中心軸に対して異なる半径方向の位置に配置された部品を説明する必要がある場合が多い。「半径方向」という用語は、軸に垂直な移動または位置を指す。例えば、第1の部品が第2の部品よりも軸に近い位置にある場合、本明細書では、第1の部品が第2の部品よりも「半径方向内側」または「インボード」にあると述べる。一方、第1の構成要素が第2の構成要素よりも軸から遠くに存在する場合、本明細書では、第1の構成要素が第2の構成要素の「半径方向外側」または「アウトボード」にあると記載することができる。「軸方向」という用語は、軸に平行な移動または位置を指す。最後に、「円周方向」という用語は、軸の周りの移動または位置を指す。このような用語は、タービンの中心軸に関連して適用されてもよいことが理解されよう。
【0034】
さらに、本明細書では、以下に説明するように、いくつかの説明的用語が規則的に使用される場合がある。「第1」、「第2」、および「第3」という用語は、1つの構成要素を別の構成要素から区別するために互換的に使用されることがあり、個々の構成要素の位置または重要性を意味することを意図していない。
【0035】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためだけのものであり、本開示を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上明らかにそうでないことが示されない限り、複数形も含むことが意図される。本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、用語 “含む:comprises”および/または“含んでいる:comprising”は、記載された特徴、整数、ステップ、操作、要素、および/または構成要素の存在を特定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではないことがさらに理解されるであろう。「任意の:Optional」または「任意に:optionally」とは、その後に記述される事象または状況が発生してもしなくてもよいこと、またはその後に記述される構成要素または要素が存在してもしなくてもよいこと、およびその記述が、その事象が発生する例または構成要素が存在する例と、それが発生しない例または存在しない例とを含むことを意味する。
【0036】
ある要素または層が、他の要素または層上に「ある」、「係合されている」、「接続されている」、または「結合されている」と言及される場合、それは、他の要素または層上に直接、ある、係合されている、接続されている、または結合されている可能性があり、または介在する要素または層が存在する可能性がある。対照的に、ある要素が他の要素や層の上に「直接上に:directly on」、「直接係合:directly engaged to」、「直接接続:directly connected to」、「直接結合:directly coupled to」されていると呼ばれる場合、介在する要素や層は存在しない。電力が構造物(structure)に「向けられる:directed to」場合、介在する構造物が存在しないこともある。要素間の関係を説明するために使用される他の単語も同様に解釈されるべきである(例えば、「間:between」対「直接間:directly between」、「隣接:adjacent」対「直接隣接:directly adjacent」など)。本明細書で使用される場合、「および/または」という用語は、関連する列挙された項目の1つまたは複数のあらゆる組み合わせを含む。
【0037】
本明細書で使用する「ベースロード電力:baseload power」とは、特定のガスタービン(GT)システムが全キャパシティ(full capacity:フル稼働)で運転される場合の出力を示す。ベースロード電力は、グリッドに対する周波数変化、すなわち需要と発電の間の不均衡による不安定性に対抗して予備電力を提供するために、任意のGTシステムの各ガバナによって自動的に制御されるガスタービン出力の一部である「一次制御リザーブ:primary control reserve」を除くことができることに留意されたい。一次制御リザーブは、変化に対して15秒など非常に速い応答を提供する。「スピニングリザーブ:Spinning reserve」は、追加電力が要求された時、すなわち広域電力網の送電系統運用者(TSO:transmission system operator)から追加電力が要求された時のために確保された発電所キャパシティの一部を示す。「二次制御リザーブ:Secondary control reserve」は、TSO による自動発電制御(AGC:automatic generation control)(負荷周波数制御(LFC:load frequency control)としても知られている)のために確保されるスピニングリザーブの一部である。
【0038】
この設定において、TSOとは、広域電力網との間の送電制御を委託された事業体である。TSOがカバーする地理的エリアは、例えば米国の州ベースの独立系統運用者(Independent System Operator)のように、国レベルや地域レベルなどさまざまである。TSOは、広域電力網の安定性を維持するために、発電所と広域送電を制御する。AGCは、例えばグリッド周波数に基づいて、負荷と発電量が継続的に一致するように、負荷の変化に対応して異なる発電所の複数の発電機の出力を頻繁に、迅速に、自動的に調整するシステムである。AGCシステムは、例えば約10分以内に作動することができる。
【0039】
グリッド周波数が上昇する場合、使用される電力よりも生産される電力が多くなり、その結果、発電所の発電機が加速する。ここで、AGCは1つまたは複数の発電所の出力を低下させる可能性がある。グリッド周波数が低下する場合、現在の発電が供給できるよりも多くの負荷が存在し、発電所の発電機が減速する。ここで、AGCは1つ以上の発電所の出力を増加させることがある。「三次制御リザーブ:Tertiary control reserve」とは、安定性を維持するために二次制御リザーブでは不十分な場合などに、TSOが手動で調整するために確保されるスピニングリザーブの部分である。ここでの応答時間は、例えば30分程度である。
【0040】
図1を参照すると、発電所100は、広域電力網102(以下、単に「グリッド102」)に電力を供給する。場合によっては、発電所100は、特定のサイトに多数のGTシステム110を含むことがある。各GTシステム110は、発電機114に連結されていてもよいし、発電機を共有していてもよい。発電所100を効率的に運転し、GTシステム110の最長の寿命を達成するためには、GTシステム110をベースロード電力で運転するのが最善である。安定したグリッドは、グリッド102に電力を供給する発電所100が発電する電力が、需要の変動に関係なく常に電力需要と一致することを必要とする。その結果、安定した電力網を維持するために、発電所100は通常、スピニングリザーブを維持することが要求され、必要なときに追加の電力を供給することができる。
【0041】
図1では、スピニング予備GTシステム110Rが図示されている。予備GTシステム110Rは、電力需要に応じて50~100%の負荷で運転することができる。従って、10個のGTシステム110を有する例示的な発電所100の場合、発電所は、通常、需要の増加がないときに、5%がスピニングリザーブであるキャパシティの95%を供給する。このようにして、電力需要が増加すると、発電所100の予備GTシステム110Rの追加キャパシティ、すなわち最大50%を使用して、グリッド102の安定性を維持するために迅速に発電することができる。採用されるスピニングリザーブ量は、経時的な需要の平均的な増加/減少、地理的な位置、グリッドのインフラなどの多くの要因に基づいて変動し得る。不利なことに、予備GTシステム110Rをベースロードを下回るレベルで、または高レベルの出力変動で(at a level below baseload or with a high level of output fluctuation)運転することは、例えば、システムが燃料を非効率的に燃焼し、排出量が増加し、一般に出力の変動に対して制御することが困難であるため、非常に非効率的である。さらに、予備GTシステム110Rの運転は、発電所100の未使用キャパシティと予備GTシステム110Rの非効率的な運転に対して支払うことになるため、発電所100からエネルギーを購入する電力供給会社にとって出費となる。
【0042】
本開示の実施形態は、コントローラと通信し、ベースロード電力を生成するために第1の発電機に動作可能に結合された第1の予備GTシステムを有する1つまたは複数の発電所を含むシステムを含む。発電所は、TSOによって制御されるグリッドのためのベースロード電力を生成するために、1以上の発電機に動作可能に連結された任意の数の他の第1のGTシステムを含むことができる。1以上の水素生成電解槽(hydrogen-producing electrolyzer(s))は、予備GTシステムから選択的に電力を供給される。予備GTシステムのベースロード電力の第1の部分は、グリッドに送電される。TSOからの電力需要が閾値を超えない場合、コントローラは、予備GTシステムのベースロード電力の第2の部分を1以上の水素生成電解槽に送電し、1以上の第2の補足GTシステム(second, supplemented GT system(s))の水素燃料を生成し、後者の排出量を改善するよう指示する。TSOからの電力需要が閾値を超えた場合(例えば、需要が増加した場合)、コントローラは、予備GTシステムのベースロード電力の第2部分をグリッドに送電するよう指示する。
【0043】
常にベースロード発電を行うことで、燃料消費量を削減し、燃焼温度の安定性を高め、部品の寿命を延ばし(メンテナンスの低減)、予備GTシステムの排出量を削減し、予備GTシステムが使用される発電所の全体的な性能を向上させる。グリッド電力需要が増加すると、システムは水素生成電解槽を停止し、予備GTシステムからグリッドに電力を送電してグリッド安定性を維持する。このように、このシステムは、従来のスピニングリザーブの役割も果たすが、そのデメリットはない。
【0044】
図2および
図6~
図9を参照して、本開示の実施形態によるシステム200の実施形態を説明する。システム200は、積み重ねられた長方形によって表される1つ以上の発電所202を含む。各発電所202は、ベースロード電力を生成するために第1の発電機212に動作可能に結合された(第1の)GTシステム210Rを含む。説明の便宜上、GTシステム210Rは、他の複数のGTシステム220のうち、必要なときにグリッド204に予備電力を供給するGTシステムであるため、「予備GTシステム210R:reserve GT system 210R」と呼ばれる。ただし、予備GTシステム210Rは、本明細書で定義するように、ベースロード電力(全キャパシティ)で動作し、本明細書で定義するように、スピニングリザーブ電力を提供しない。
【0045】
各発電所202はまた、1つまたは複数の追加のGTシステム220を含むことができる。説明の便宜上、GTシステム220は「一次GTシステム220:primary GT systems 220」と呼ばれるが、その機能は、本明細書で定義されるように、一次制御リザーブ以外の過剰キャパシティをほとんど持たずに(no excess capacity other than primary control reserves)、一次、ベースロード(全キャパシティ)電力をグリッド204に供給することであるためである。前述のように、一次制御リザーブは、例えば予備GTシステム210Rによって生成され、予備GTシステム210Rのガバナ223によって維持されるベースロード電力の第3の部分を表す(一次GTシステム220のガバナは、明確にするために図示されていない)。
【0046】
特定の実施形態において、システム200は、予備GTシステム210Rと同じ場所に(co-located with)配置された複数の一次GTシステム220を含むことができる。
図2では、例えば、9つの一次GTシステム220が図示されているが、任意の数が提供されてもよい。各一次GTシステム220は、グリッド204に送電するためのベースロード電力を生成するために、発電機214に動作可能に結合され得る。各一次GTシステム220は対応する発電機214と共に示されているが、特定の一次GTシステム220は発電機を共有してもよいことが認識されよう。明確にするため、一次GTシステム220とグリッド204の間の電気伝送は図示されていない。
【0047】
GTシステム210R、220はそれぞれ、GTコントローラ216を含んでもよいし、GTコントローラ216を共有してもよい(明確にするために
図2および
図7にのみ示されている)。1つまたは複数のGTコントローラ216は、全体的な発電所制御システム(図示せず)の一部であってもよい。
【0048】
図3を参照すると、本開示の実施形態による例示的なGTシステム210R、220、250の断面図が示されている。一般に、GTシステム210R、220、250は、圧縮空気の流れ中の1または複数の燃料の燃焼によって生成される高温ガスの加圧流からエネルギーを抽出することによって動作する。GTシステム210R、220、250は、共通のシャフトまたはロータによって下流のタービン部またはタービン224に機械的に結合される軸流圧縮機222と、圧縮機222とタービン224との間に配置される1つまたは複数の燃焼器226とを備えるように構成され得る。GTシステム210R、220、250は、中心軸Aを有する共通シャフト228を中心に形成されてもよい。
【0049】
図4は、
図2のGTシステム210R、220、250において使用され得る多段軸流圧縮機(multi-staged axial compressor)222の例示的な部分の断面図を示す。圧縮機222は、複数の段を有してもよく、各段は、圧縮機ロータブレード230の列と圧縮機ステータブレード232の列とを含む。従って、第1段(ファーストステージ)は、中央シャフトを中心に回転する圧縮機ロータブレード230の列に続いて、運転中に静止したままの圧縮機ステータブレード232の列を含むことができる。
【0050】
図5は、
図2のGTシステム210R、220、250において使用され得る例示的なタービンセクションまたはタービン224の部分断面図を示す。タービン224はまた、複数の段を含むことができる。3つの例示的な段が示されているが、より多くの段が存在してもよいし、より少ない段が存在してもよい。各段は、運転中に静止したままの複数のタービンノズルまたはステータブレード234と、運転中にシャフトを中心に回転する複数のタービン動翼236とを含むことができる。タービン静翼234は、一般に、周方向に互いに間隔を空けて配置され、回転軸を中心として外側ケーシングに固定されている。タービンロータブレード236は、中心軸A(
図3)を中心に回転するように、タービンホイールまたはロータディスク(図示せず)に取り付けることができる。タービン静翼234およびタービン動翼236は、タービン224を通る高温ガス経路または作動流体流路にあることが理解されよう。作動流体流路内の燃焼ガスまたは作動流体の流れ方向は、矢印で示すように、(
図5の向きに基づいて)左から右である。
【0051】
図3~
図5を参照すると、ガスタービン210R、220、250の動作の一例では、軸流圧縮機222内の圧縮機ロータブレード230の回転により、空気の流れが圧縮され得る。燃焼器226において、圧縮された空気が1つまたは複数の燃料と混合され、点火されると、エネルギーが放出される場合がある。その結果、燃焼器226からの高温ガスまたは作動流体の流れは、タービン静翼234上に導かれ、シャフト228を中心とするタービン動翼236の回転を誘導する。このようにして、作動流体の流れのエネルギーは、動翼の機械的エネルギーに変換され、動翼とシャフトの間の接続を考慮すると、回転シャフトに変換される。シャフト228の機械的エネルギーは、圧縮機のローターブレード230の回転を駆動するために使用され、所望のまたは十分な圧縮空気の供給が生成される。さらに、シャフト228の機械的エネルギーは、次に、電気を生成するために、1つまたは複数のGTシステム210R、220(
図2)に結合された1つまたは複数の発電機212、214(
図2)の回転を駆動するために使用され得る。
【0052】
GTシステム210R、220、250の1つ以上の燃焼器226で使用される1つ以上の燃料は、天然ガス、合成ガス、および/または石油のような、現在知られている燃料または後に開発された燃料であってもよいが、これらに限定されない。一般に、利用可能な場合、水素は、1つ以上の燃焼器226における燃焼のための燃料または燃料添加剤(a fuel or fuel additive)として添加され得る。水素の使用は、他の利点の中でも、非水素燃料の燃焼から得られる燃焼エネルギーを増加させ、二酸化炭素のような排出を減少させる。しかし、このような方法で使用するために外部から水素を供給することは、輸送および/または安全な貯蔵要件のために高価になる可能性がある。
【0053】
図2に戻ると、システム200は、予備GTシステム210Rからのベースロード電力の送電を制御するコントローラ238も含む。コントローラ238は、異なる負荷への送電を指示することができる現在知られているまたは後に開発される任意の電気機械制御システムを含むことができる。コントローラ238は、全体的な発電所制御システム(例えば、コントローラ216)の一部であってもよいし、別個のシステムであってもよい。
図2では、コントローラ238は、発電所202内に位置するように示されている。一実施形態では、コントローラ238は、発電所202の全体的な動作の一部として通常実行されるTSO239との追加的な相互作用なし(without additional interaction)に、発電所202によって制御される。他の特定の実施形態では、コントローラ238は、TSO239によって制御される場合がある。一態様では、コントローラ238は、発電所202に配置されるが、TSO239によって制御される。代替実施形態では、コントローラ238は、TSO239など他の場所に配置されてもよい。
図2に示すように、コントローラ238は、予備GTシステム210Rによって生成されたベースロード電力の第1の部分237を、TSO239によって制御されるグリッド204に導くことができる。
【0054】
システム200はまた、予備GTシステム210Rから選択的に電力を供給されるように構成された水素生成電解槽242を含む。水素生成電解槽(Hydrogen-producing electrolyzer)242(以下、「電解槽242:electrolyzer 242」)は、現在知られている、または後に開発される任意の自立型水電解システム(free-standing water electrolysis system)を含むことができる。水の電気分解は、電気を用いて水を酸素と水素ガスに分解するプロセスである。このプロセスで放出される水素ガスは、本開示の実施形態に従って、水素燃料244として使用される。1つの電解槽242が図示されているが、任意の数の自立型電解槽が提供され得る。電解槽242は、水の電気分解を実施することができる現在知られているまたは後に開発される任意の構造を有することができる。いずれにしても、電解槽242は水素燃料244の流れを生成する。
システム200において、コントローラ238は、予備GTシステム210Rによって生成されたベースロード電力の第2の部分246を、電解槽242に電力を供給するように指示することができる。システム200において、電解槽242は、水素燃料244を(第2の)GTシステム250に供給するように動作可能に連結される。説明の便宜上、GTシステム250は、電解槽242から水素の形態の補助燃料を受け取るので、本明細書では「補足GTシステム250:supplemented GT system 250」として言及される場合がある。補足GTシステム250は、予備GTシステム210Rおよび/またはシステム200内の任意の1以上の一次GTシステム220を含むことができる。補足GTシステム250は、1以上の一次GTシステム220および/または予備GTシステム210Rと同位置に配置することができる。いずれにせよ、補足GTシステム250は、発電機212、214に動作可能に結合されて電力を生成することができる。
図2の例では、補足GTシステム250は、一次GTシステム220および/または予備GTシステム210Rのうちの1つ以上であってもよい。本明細書(
図9参照)に記載される代替実施形態では、電解槽242および補足GTシステム250は、1以上の一次GTシステム220および/または予備GTシステム210Rとは異なる地理的位置、例えば、異なる遠隔発電所202に配置されてもよい。複数の他の(第3の)一次GTシステム220は、1以上の補足GTシステム250ではない予備GTシステム210Rと同位置に配置されてもよい。各補足されないGTシステムは、広域電力網104に送電するためのベースロード電力を生成するために、それぞれのまたは共有された(第3の)発電機214に動作可能に結合され得る。
【0055】
図6は、本開示の実施形態による、システム200、より詳細にはコントローラ238の動作方法の流れ図を示す。
図2および
図6を参照すると、プロセスステップP1において、予備GTシステム210Rは、ベースロードで動作する。本開示の実施形態に従って、予備GTシステム210Rは、常にベースロードで動作し、したがって、スピニングリザーブを供給することによって引き起こされる非効率を排除する。プロセスステップP1では、発電機212に結合された予備GTシステム210Rによって生成されたベースロード電力の第1の部分237が、グリッド204に送られる。第1の部分237は、予備GTシステム210Rのキャパシティの任意の部分、例えば50%であってよい。また、プロセスステップP1において、複数の一次GTシステム220によって生成され、1以上の発電機214に動作可能に結合されたベースロード電力が、グリッド204に送られる。
図2に示されるように、一次GTシステム220は、すべての場合において必要ではないが、予備GTシステム210Rと同じ場所に配置(co-located with:併設)されてもよい。
【0056】
プロセスステップP2において、コントローラ238は、グリッド204に対するTSO239による電力需要(要求)が閾値を超えるかどうか、すなわち、電力需要が閾値 より大きいかどうかを判定する。閾値は、グリッド204に対するTSO239からの電力需要が、発電所202によって追加の電力が生成されることを必要とすることを示す、現在知られているまたは後に開発される任意の値とすることができる。閾値は、例えば、通常、二次予備電源の使用を要求するトリガーとなる、現在知られている、または後に開発されたAGCアルゴリズムの一部として作成することができる。このようなアルゴリズムはよく知られているため、これ以上の説明は必要ない。あるいは、閾値は、TSO239に知られることなく、手動で指定(identify)され、発電所202によってコントローラ238が起動されてもよく、または、TSO239によって手動で指定され、TSO239によってコントローラ238が起動されてもよい。
【0057】
プロセスステップP2での否定応答(すなわち「NO」)は、グリッド204に対するTSO239からの電力需要が閾値を超えないこと、すなわち予備電力を供給する必要がないことを示す。この場合、プロセスステップP3において、コントローラ238は、1以上の予備GTシステム210Rおよび1以上の補足GTシステム250の一方または両方のために水素燃料244を生成するために、予備GTシステム210Rによって生成されたベースロード電力の第2の部分246が1以上の電解槽242に送られるように指示する。1以上の電解槽242は、まだオンになっていなければ、オンにされる。前述のように、電解槽242は、水素燃料244を1以上の予備GTシステム210Rおよび/または1以上の補足GTシステム250、すなわち、電力を生成するために発電機212、214に動作可能に結合されている1以上の燃焼器226に供給するように動作可能に結合されている。1以上の補足GTシステム250からの電力は、グリッド204のため、または他の目的のために使用することができる。
【0058】
水素燃料244は、既知の方法で、1つ以上の補足GTシステム250に導くことができる。認識されているように、1以上のGTシステムと共に水素燃料244を使用することで、従来の1以上の炭化水素含有燃料を使用した場合よりも、1以上の補足GTシステムのエミッション(排出)を改善することができる。このように、予備GTシステム210Rのベースロード電力の第2部分246は、通常は未使用のスピニングリザーブであるが、1つまたは複数の補足GTシステム250の排出を低減するために使用され、1以上の発電所202の排出を低減する。
図2において、実線の矢印で示すように、補足GTシステム250は、複数の一次GTシステム220のうちの少なくとも1つであってもよい。他の実施形態では、実線および破線の矢印で示すように、補足GTシステム250は、任意に、任意の数の一次GTシステム220および/または予備GTシステム210Rであってもよい。
【0059】
図6の流れ図を続けると、プロセスステップP2での肯定応答(すなわち、「YES」)は、グリッド204のためのTSO239からの電力の需要が閾値を超えることを示し、これは、発電所202および予備GTシステム210Rが、特に、安定性を維持し、需要を満たすために、グリッド204のためのTSO239により多くの電力を供給する必要があることを意味する。ここで、プロセスステップP4において、コントローラ238は、予備GTシステム210Rおよび発電機212によって生成されたベースロード電力の第3の部分240がグリッド204に送られることを指示する。さらに、1以上の電解槽242は、まだオフになっていない(停止されていない)場合、オフに(停止)され得る。少なくとも1つの実施形態では、グリッド204に電力を供給するために使用される予備GTシステム210Rのベースロード電力の第3部分240は、1以上の電解槽242に電力を供給するために使用される予備GTシステム210Rのベースロード電力の第2部分246と同等であるが、これはすべての場合に必要ではない。このようにして、発電所202からの追加電力を必要とするのに十分な電力需要の増加は、予備GTシステム210Rによって満たされる。
【0060】
それぞれプロセスステップP3およびP4に続く任意のプロセスステップP5およびP6において、1以上の全体GTコントローラ(overall GT controller(s))216および/またはコントローラ238は、先行するプロセスステップに応答して、補足GTシステム250の出力を維持するために、補足GTシステム250の少なくとも非水素燃料流量を調整し得る。例えば、プロセスステップP5に関して、補足GTシステム250は、予備GTシステム210Rによって生成されたベースロード電力の第2の部分246を1以上の電解槽242に送ることに応答して調整され得る。ここで、補足GTシステム250への水素燃料244の流れが開始すると(P3)、1以上の補足GTシステム250の出力が増加し、および/または使用される非水素燃料の量が減少する可能性がある。
【0061】
あるいは、プロセスステップP6に関して、予備GTシステム210Rによって生成されたベースロード電力の第3の部分240をグリッド204に送ることに応答して、補足GTシステム250が調整され得る。ここで、1以上の補足GTシステム250への水素燃料244の流れが停止すると(P4)、1以上の補足GTシステム250の出力が低下する可能性がある。出力を維持するために、1以上の補足GTシステム250の少なくとも非水素燃料流量が調整される場合がある。場合によっては、非水素燃料流量を増加させて出力を増加させ、水素燃料244の流量の停止による出力の損失を補う。他の場合には、水素燃料244の追加による追加出力を補うために、出力を減少させるように非水素燃料流量を減少させることができる。出力を維持するために、補足GTシステム250の他の運転パラメータ、例えば、入口ベーンの位置、燃料の種類、燃料組成、段階的燃料噴射運転(inlet vane location, fuel type, fuel composition, staged fuel injection operation)なども調整することができる。
【0062】
特定の実施形態では、
図6の流れ図は、TSO239からの介入、またはTSO239による知識なしに、発電所202によって制御され得る。あるいは、TSO239によって制御することもできる。
【0063】
さらに発電機212、214に関して、各GTシステム210R、220はそれ自身の発電機を含むものとして示されているが、GTシステム210R、220は1以上の発電機を共有してもよいことが認識されよう。したがって、予備GTシステム210R、1または複数の一次GTシステム220、および1または複数の補足GTシステム250に使用される発電機212、214の少なくとも1つは、同じ発電機であってもよい。
図2の実施形態では、予備GTシステム210Rによって生成されたベースロード電力の第2の部分246は、グリッド204を通過することなく、1以上の補足GTシステム250のための1以上の水素燃料244の流れを生成するために、1以上の電解槽242に直接送られる。すなわち、第2の部分246は、発電所202内に維持される。ここでも、第2の部分246の伝送は、発電所202またはTSO239によって制御される場合がある。
【0064】
図7は、本開示の他の実施形態によるシステム200の概略図を示す。ここで、予備GTシステム210Rは、ベースロード電力を生成するために発電機212に動作可能に結合され、ベースロード電力のすべてがグリッド204に送信される。すなわち、(第1の部分237、第2の部分246、および第3の部分240を有する
図2のように)ベースロード電力を分割するのではなく、予備GTシステム210Rおよび発電機212によって生成されたベースロード電力260のすべてがグリッド204に送信される。この実施形態では、1または複数の電解槽242は、グリッド204から受信した電力262によって選択的に電力供給されるように構成されている。1または複数の電解槽242は、水素燃料244を1または複数の補足GTシステム250に供給するように動作可能に連結され、1または複数の補足GTシステム250は、1または複数の発電機214に動作可能に連結されて、例えば、グリッド204または別の負荷のための電力を生成する。必要なときに1以上の電解槽242に電力を供給するために、グリッド204からの電力262が1以上の電解槽242に送電/返送され、補足GTシステム250のための水素燃料244の流れを生成する。この例では、コントローラ238は、グリッド204のTSO239に配置される場合がある。たとえば、コントローラ238は、現在知られているまたは後に開発されるAGCシステムの一部であってもよいし、AGCシステムと連携して動作する別個のシステムであってもよいし、手動で制御されてもよい。いずれにしても、TSO239は、発電所202の他の制御システム(例えば、コントローラ216)と相互作用することなく、1以上の電解槽242の使用を制御することができる。
【0065】
図8は、本開示の他の実施形態による、システム200、より詳細にはコントローラ238の運転方法の流れ図を示す。
図7および
図8を参照すると、プロセスステップP10において、予備GTシステム210Rは、ベースロードで運転される。本開示の実施形態に従って、予備GTシステム210Rは、常にベースロードで運転され、したがって、スピニングリザーブを提供することによって引き起こされる非効率を排除する。プロセスステップP10において、発電機212に結合された予備GTシステム210Rによって生成されたベースロード電力260は、グリッド204に送信される。また、プロセスステップP10では、複数の一次GTシステム220によって生成され、1または複数の発電機214に動作可能に結合されたベースロード電力(明瞭化のために矢印は省略される)が、グリッド204に送電される。
図2に示すように、一次GTシステム220は、予備GTシステム210Rと同じ場所に配置されてもよいが、これはすべての場合において必要ではない。
【0066】
プロセスステップP12において、コントローラ238は、グリッド204からの過剰電力(excess power from grid 204)が閾値を超えるかどうか、すなわち、1以上の発電所202の全体的な発電量がグリッド204からの需要を上回り、閾値よりも大きいかどうかを判定する。閾値は、グリッド204からの過剰電力が利用可能であることを示す、現在知られている、または後に開発された値であることができる。閾値は、例えば、過剰電力が利用可能であることを示し、例えば、1以上の発電所202で発電される電力を少なくするように呼びかけることをトリガするための、現在知られているまたは後に開発された任意のAGCアルゴリズムの一部として作成され得る。そのようなアルゴリズムは周知であるため、これ以上の説明は必要とされない。
【0067】
あるいは、閾値を手動で特定し、TSO239によってコントローラ238を起動してもよい。プロセスステップP12での肯定応答(すなわち、「YES」)は、1以上の電解槽242のためのグリッド204からの十分な過剰電力が利用可能であることを示す。この場合、プロセスステップP13において、コントローラ238は、補足GTシステム250のために生成される水素燃料を増加させるために、グリッド204から1以上の電解槽242への電力262を増加させる(指示をする)。ここで、既に運転されている電解槽242は、その出力を増加させてもよく、および/または、まだオンになっていなかった電解槽242をさらにオンにしてもよい。1以上の電解槽242が運転中でなかった場合、プロセスステップP13は、1以上の電解槽242を起動し、水素燃料244の補足GTシステム250への供給を開始する。(電力262は、予備GTシステム210Rによって生成されたベースロード電力260の一部の返還(reserve)とみなすことができる)。
【0068】
前述のように、1以上の電解槽242は、水素燃料244を、電力を生成するために発電機212、214に動作可能に連結されている1以上の補足GTシステム250に供給するように動作可能に連結されている。1以上の補足GTシステム250からの電力は、グリッド204または他の目的に使用することができる。水素燃料244は、1つまたは複数の補足GTシステム250に導くことができる。前述したように、水素燃料244を補足GTシステム250と共に使用することで、炭化水素ベースの燃料で可能な排出量と比べて、それらのGTシステムの排出量を削減することができる。このようにして、予備GTシステム210Rのベースロード電力260が最大限に使用され、電力262は、1つまたは複数の補足GTシステム250の排出を削減するために使用され、したがって発電所202の排出を削減するために使用される。1以上の電解槽242を有する発電所202によって生成された追加電力は、例えば、1以上の電解槽242を有する発電所202ほど効率的にまたはクリーンに生成されない、他の場所での発電を削減するために使用され得る。
【0069】
図7では、水素燃料244を表す実線の矢印で示すように、補足GTシステム250は、複数の一次GTシステム220のうちの少なくとも1つであってもよい。あるいは、前述のように、実線および破線の矢印で示す他の実施形態では、補足GTシステム250は、任意選択で、任意の数の一次GTシステム220および/または予備GTシステム210Rであってもよい。
【0070】
図8の流れ図を続けると、プロセスステップP12での否定応答(すなわち、「NO」)は、グリッド204からの過剰電力が閾値よりも大きくないこと、例えば、全体的な過剰電力が存在しないか、またはグリッド204から1以上の電解槽242に電力を供給するための電力262が不十分であることを示す。この場合、プロセスステップP14において、コントローラ238は、1以上の補足GTシステム250のために生成される水素燃料244を減少させるために、グリッド204から1以上の電解槽242への電力を減少させる(指示をする)。ここで、既に運転中の電解槽242は、その出力を低下させてもよく、および/または少なくともいくつかの電解槽242は、オフにしてもよい。過剰電力が閾値を超えないことによって識別され得るように、不十分な過剰電力が利用可能である場合、プロセスステップP14は、すべての電解槽242をオフにし、したがって、1または複数の補足GTシステム250への水素燃料244の供給を停止し得る。
【0071】
それぞれプロセスステップP13およびP14に続く任意のプロセスステップP15およびP16において、1以上の全体GTコントローラ(overall GT controller(s))216および/またはコントローラ238は、先行する工程に応答して、補足GTシステム250の出力を維持するために、補足GTシステム250の少なくとも非水素燃料流量を調整し得る。例えば、プロセスステップP15に関して、補足GTシステム250は、電力262がグリッド204から1または複数の電解槽242に送信されることに応答して調整され得る。ここで、補足GTシステム250への水素燃料244の流れが開始すると(P13)、補足GTシステム250の出力が増加する可能性がある。
【0072】
あるいは、プロセスステップP16に関して、補足GTシステム250は、グリッド204から1または複数の電解槽242への電力262の減少または停止に応答して調整され得る。ここで、補足GTシステム250への水素燃料244の流れが停止すると(P14)、補足GTシステム250の出力は低下する可能性がある。出力を維持するために、1または複数の補足GTシステム250の少なくとも非水素燃料流量が調整され、すなわち、水素燃料244の流れの停止による出力の損失を補うために出力を増加させるか、または水素燃料244の流れの追加による追加出力を補うために出力を減少させることができる。補足GTシステム250の他の運転パラメータも、出力を維持するために調整される可能性があり、例えば、入口ベーンの位置、燃料の種類、燃料組成、段階的燃料噴射運転(inlet vane location, fuel type, fuel composition, staged fuel injection operation)などがある。
【0073】
図8の流れ図は、発電所202からの介入なしに、TSO239によって制御することができる。あるいは、発電所202によって制御することもできる。
【0074】
図9は、本開示の追加的な実施形態によるシステム200の概略図である。
図9のシステム200は、
図8の運転方法論(operational methodology)に従ってもよい。ここで、任意の数の発電所202A~Cは、全てのGTシステム210R、220をベースロードで運転してよい。すなわち、1以上の予備GTシステム210Rは、グリッド204に送信されるベースロード電力を生成するために、1以上の発電機212に動作可能に結合されてもよい。また、複数の一次GTシステム220は、グリッド204に送電するためのベースロード電力を生成するために1以上の発電機214に動作可能に結合されたそれぞれの予備GTシステム210Rと併設(同じ場所に配置)されてもよい。したがって、すべてのGTシステムの集合的なベースロード電力268がグリッド204に送電される。
【0075】
これらの実施形態では、1または複数の電解槽242A~Cは、必ずしも発電所202A~Cと一緒に配置されるわけではなく、水素が燃料として必要とされる場所などであればどこにでも、すなわち、サイト270A~Cにそれぞれ配置され得る。図示した非限定的な例では、1つの水素生成電解槽242Aが、サイト270Aで水素燃料244を補足GTシステム250に供給することができる。サイト270Aは、発電所202A~Cとは異なり、したがって、電解槽242および補足GTシステム250は、1または複数の予備GTシステム210Rとは異なる地理的位置に配置される。ここで、電解槽242Aは、グリッド204からの電力262によって選択的に給電されるように構成され得る。電解槽242Aは、水素燃料244を補足GTシステム250に供給するように動作可能に結合されており、補足GTシステム250は、電力を生成するために発電機214に動作可能に結合されている。補足GTシステム250は、例えば、より低い排出を必要とするGTシステムとすることができる。補足GTシステム250は、発電所202A-Cとは異なる任意の地理的位置270Aに配置することができる。
【0076】
他のサイト270B-Cにある他の電解槽242B~Cは、水素を燃料として必要とする他の様々な産業用途272、例えば、航空宇宙、輸送、化学製造、電子機器、食品および飲料、一般製造、ガラス製造、病院/医療、鉱業、農業、建設、医薬品、プラスチック、または木材製品などに水素燃料244を供給することができるが、これらに限定されない。任意の数の電解槽242が、例えばTSO239または他の事業体による制御を通じて、グリッド204から電力を供給され得る。コントローラ238は、グリッド204から電解槽242A~Cへの送電を指示し、例えば、サイト270Aの補足GTシステム250のための水素燃料244を生成するように構成される。この指示は、グリッド204からの過剰電力が閾値を超えたことに応答して起こり得る(プロセスステップP13および
図8のプロセスステップP12における「YES」)。あるいは、コントローラ238は、グリッド204からの過剰電力が閾値を超えないことに応答して、グリッド204から1つまたは複数の電解槽242A~Cへの送電の停止を指示し得る(プロセスステップP14、および
図8のプロセスステップP12における「NO」)。
図8のプロセスステップP15は、
図9のシステム200でも実施され得る。
【0077】
図9において、コントローラ238は、グリッド204のTSO239に配置されてもよい。ここでもまた、コントローラ238は、現在知られているまたは後に開発されるAGCシステムの一部であってもよいし、AGCシステムと連携して動作する別個のシステムであってもよいし、手動で制御されてもよい。この例では、TSO239は、発電所202A~Cの他の制御システムと相互作用することなく、1以上の電解槽242の使用を制御することができる。
【0078】
本開示の実施形態は、1以上の予備GTシステムを常にベースロードで運転し、電力需要が低いときにグリッドが必要としない余剰ベースロード電力を使用して1以上の水素生成電解槽に電力を供給するシステムを提供する。1以上の水素生成電解槽からの水素燃料は、別の1以上の補足GTシステムに注入して、その(それらの)GTシステムの排出を削減することができる。グリッド電力需要が増加すると、システムは1以上の水素生成電解槽への電力を減少させ(ターンダウンまたはターンオフ)、予備GTシステムからの電力をグリッドに送電してグリッドの安定性を維持する。このため、スピニングリザーブのデメリットを享受することなく、スピニングリザーブの利点が得られる。
【0079】
前述の図面は、本開示のいくつかの実施形態に関連する処理の一部を示す。これに関して、図面の流れ図内の各図面またはブロックは、記載された方法の実施形態に関連する処理ステップを表す。また、いくつかの代替的な実施態様において、図面またはブロックに記された行為は、図に記された順序から外れて発生してもよく、または例えば、関係する行為に応じて、実際には実質的に同時に実行されてもよく、または逆の順序で実行されてもよいことに留意すべきである。また、当業者であれば、処理を記述するブロックを追加してもよいことを認識するであろう。
【0080】
本明細書および特許請求の範囲を通じて使用される近似的な表現は、それが関連する基本的な機能の変化をもたらすことなく許容可能に変化し得るあらゆる定量的表現を修正するために適用することができる。したがって、「約」、「およそ」、「実質的に」などの用語によって修正される値は、指定された正確な値に限定されるものではない。少なくともいくつかの例では、近似的な表現は、値を測定するための機器の精度に対応することがある。本明細書及び特許請求の範囲全体を通じて、範囲の限定は組み合わされ、及び/又は入れ替えられてもよい。このような範囲は、文脈上又は文言上そうでない場合を除き、特定され、そこに含まれるすべてのサブ範囲を含む。範囲の特定の値に適用される「約」は、両端値に適用され、値を測定する計器の精度に依存しない限り、記載された1以上の値の±10%を示す場合がある。
【0081】
以下の特許請求の範囲におけるすべての手段またはステッププラス機能要素の対応する構造、材料、行為、および等価物は、具体的に特許請求されるように、他の特許請求される要素と組み合わせて機能を実行するための任意の構造、材料、または行為を含むことを意図している。本開示の説明は、例示および説明の目的で提示されたが、開示された形態での開示について網羅的または限定的であることを意図するものではない。本開示の範囲および精神から逸脱することなく、多くの修正および変形が当業者には明らかであろう。実施形態は、本開示の原理および実際の適用を最もよく説明するため、ならびに、当業者が、企図される特定の用途に適するように様々な変更を伴う様々な実施形態について本開示を理解できるようにするために選択され、説明された。
【符号の説明】
【0082】
100:発電所 102: 広域電力網 110:GTシステム 114:発電機 200:システム 202:発電所 204:グリッド 210:GTシステム 212、214:発電機 216:GTコントローラ 220:追加のGTシステム 222:圧縮機 223:ガバナ 224:タービン 226:燃焼器 228:シャフト 230:圧縮機ロータブレード 232:圧縮機ステータブレード 234:タービン静翼 236:タービン動翼 237:第1の部分 238:コントローラ 239:TSO 240:第3の部分 242:水素生成電解槽 244:水素燃料 246:第2の部分 250:補足GTシステム 260:ベースロード電力 262:電力 268:ベースロード電力 270:地理的位置 272:産業用途
【国際調査報告】