(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】家庭用温水のユーザ消費パターンの取得、およびそれに基づく家庭用温水製造の制御
(51)【国際特許分類】
F24H 1/20 20220101AFI20240621BHJP
F24H 1/18 20220101ALI20240621BHJP
F24H 15/16 20220101ALI20240621BHJP
F24H 15/144 20220101ALI20240621BHJP
F24H 15/258 20220101ALI20240621BHJP
F24H 15/262 20220101ALI20240621BHJP
F24H 15/281 20220101ALI20240621BHJP
F24H 15/277 20220101ALI20240621BHJP
F24H 15/273 20220101ALI20240621BHJP
F24H 15/269 20220101ALI20240621BHJP
F24H 15/395 20220101ALI20240621BHJP
F24H 15/37 20220101ALI20240621BHJP
【FI】
F24H1/20 F
F24H1/18 G
F24H15/16
F24H15/144
F24H15/258
F24H15/262
F24H15/281
F24H15/277
F24H15/273
F24H15/269
F24H15/395
F24H15/37
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575567
(86)(22)【出願日】2022-06-21
(85)【翻訳文提出日】2023-12-07
(86)【国際出願番号】 JP2022024684
(87)【国際公開番号】W WO2022270496
(87)【国際公開日】2022-12-29
(32)【優先日】2021-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】510048875
【氏名又は名称】ダイキン ヨーロッパ エヌ.ヴイ.
【氏名又は名称原語表記】DAIKIN EUROPE N.V.
【住所又は居所原語表記】Zandvoordestraat 300,Oostende 8400,Belgium
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】ザレ エシュドースト,メーラン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンデメルゲル,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】パオレラ,マテオ
【テーマコード(参考)】
3L122
【Fターム(参考)】
3L122AA02
3L122AA33
3L122AA65
3L122BA32
3L122BA34
3L122BA36
3L122BA37
3L122BA44
3L122BA45
3L122EA44
(57)【要約】
家庭用温水のユーザ消費パターン(UCP)を取得するコンピュータ実装方法に関し、第1期間(T1)内に蓄熱槽(20)から取り出される熱量(ΣQT1)を表すデータを取得する工程と、多数の前記第1期間(T1)にわたって蓄熱槽(20)から取り出した熱量(ΣQ)、特に累積熱量を表すデータの第1履歴(H1)またはデータ集を生成する工程と、蓄熱槽(20)から取り出した熱量を表すデータの生成した第1履歴(H1)またはデータ集に、ユーザ消費パターン決定アルゴリズムを適用することにより、家庭用温水のユーザ消費パターンを取得する工程と、を備え、ユーザ消費パターン決定アルゴリズムは、取り出した熱量(ΣQ)を表す履歴(または複数の履歴)またはデータ集(または複数のデータ集)でトレーニングされ、一以上の機械学習アルゴリズムで家庭用温水のユーザ消費パターンを定義するアルゴリズムである。さらに、本開示は、家庭用温水の製造および/または分配を制御するためのコントローラ(1)およびシステム(100)に関する。さらに本開示は、コンピュータプログラム、およびコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ可読媒体に関する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
家庭用温水のユーザ消費パターン(UCP)を取得するコンピュータ実装方法であって、
第1期間(T1)内に蓄熱槽(20)、特に加圧槽から取り出される熱量(ΣQ
T1)、特に等価エネルギー量を表すデータを取得する工程(S10)と、
多数の第1期間(T1)にわたって前記蓄熱槽(20)から取り出した熱量(ΣQ)、特に累積熱量を表すデータの第1履歴(H
1)またはデータ集を生成する工程(S20)と、
前記蓄熱槽(20)から取り出した熱量(ΣQ)を表すデータの前記生成した第1履歴(H
1)またはデータ集に、ユーザ消費パターン決定アルゴリズムを適用することにより、家庭用温水のユーザ消費パターン(UCP)を取得する工程(S30)と、を備え、
前記ユーザ消費パターン決定アルゴリズムは、(前記蓄熱槽(20)または同等の複数の蓄熱槽から)取り出した熱量(ΣQ)を表す履歴(または複数の履歴)またはデータ集(または複数のデータ集)でトレーニングされ、一以上の機械学習アルゴリズムでユーザ消費パターンを定義するアルゴリズム、特に時系列予測アルゴリズムである、
コンピュータ実装方法。
【請求項2】
多数の第1履歴(H
1)またはデータ集にわたって前記蓄熱槽(20)から取り出した熱量(ΣQ)を表すデータの第2履歴(H
2)またはデータ集を生成する工程(S40)をさらに備え、
前記第1履歴(H
1)またはデータ集は、好ましくは1日すなわち24時間の期間にわたり、前記第2履歴(H
2)またはデータ集は、好ましくは1週間すなわち7日すなわち168時間の期間にわたる、
請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項3】
前記第1期間(T1)は、1週間、2日、1日、12時間、8時間、6時間、4時間、1時間、30分、10分または1分にわたり、および/または
前記第1履歴(H
1)またはデータ集の前記第1期間(T1)の(所定の)数は、1、2、3、4、6、24、48、144、または1440である、
請求項1または2に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項4】
前記消費パターン決定アルゴリズムは、
第2期間(T2)にわたって複数のユーザまたは世帯が取り出す熱量(ΣQ)を表す履歴データまたはデータ集(複数のデータ集)、および
特に取り出された熱量(ΣQ)を表すデータの各履歴またはデータ集内の、特にそれぞれの第1期間(T1)の1日のうちの時間、
でトレーニングされる、
先行する請求項のいずれかに記載のコンピュータ実装方法。
【請求項5】
前記消費パターン決定アルゴリズムは、
第2期間(T2)にわたってユーザまたは世帯が前記蓄熱槽(20)から取り出した熱量(ΣQ)を表す履歴データまたはデータ集(複数のデータ集)、および
特に取り出された熱量(ΣQ)を表すデータの各履歴またはデータ集内の、特にそれぞれの第1期間(T1)の一日のうちの時間、
でトレーニングされる、
先行する請求項のいずれかに記載のコンピュータ実装方法。
【請求項6】
前記(所定の)第2期間(T2)が、30日、60日、90日、180日、1年または2年にわたる、
請求項4または5に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
前記消費パターン決定アルゴリズムはさらに、
特に各第1期間(T1)の、および/または取り出された熱量(ΣQ)を表すデータの各履歴またはデータ集の曜日(day of week)、および/または、
特に各第1期間のおよび/または各履歴データまたはデータ集の、一年のうちの日付および/または一年のうちの週および/または一年のうちの月、および/または
特に各第1期間(T1)の、および/または取り出された熱量(ΣQ)を表すデータの各履歴またはデータ集の気象条件、および/または、
特に各第1期間(T1)の、および/または取り出された熱量(ΣQ)を表すデータの各履歴またはデータ集の外気温度、および/または、
特に各第1期間(T1)の、および/または取り出された熱量(ΣQ)を表すデータの各履歴またはデータ集の前記ユーザまたは世帯の休暇状況、および/または、
特に各第1期間(T1)の、および/または取り出された熱量(ΣQ)を表すデータの各履歴またはデータ集のエネルギー価格、および/または、
特に各第1期間(T1)の、および/または取り出された熱量(ΣQ)を表すデータの各履歴またはデータ集のグリーンエネルギー利用可能性、および/または、
特に各第1期間(T1)の、および/または取り出された熱量(ΣQ)を表すデータの各履歴またはデータ集の地理的位置、および/または、
特に各第1期間(T1)の、および/または取り出された熱量(ΣQ)を表すデータの各履歴またはデータ集の文化的要因、
でトレーニングされる、
請求項4から6のいずれかに記載のコンピュータ実装方法。
【請求項8】
前記ユーザ消費パターン決定アルゴリズムはさらに、前記ユーザ消費パターン(UCP)を決定する際にメタデータを考慮し、前記メタデータは、居住者の数、前記居住者(複数の居住者)の年齢、前記居住者の平均年齢、前記居住者の性別、地理的位置、文化的要因、年間温水消費量からなるグループから選択される、
先行する請求項のいずれかに記載のコンピュータ実装方法。
【請求項9】
前記ユーザ消費パターン決定アルゴリズムはさらに、
少なくとも1つの前記メタデータに基づいて、前記ユーザまたは世帯を所定のクラスターまたはグループに割り当てる工程と、
前記割り当てたクラスターまたはグループに基づいて、ユーザ消費パターン決定サブアルゴリズムを決定する工程と、
を備え、
前記ユーザ消費パターン決定サブアルゴリズムは、少なくとも1つの同じ前記メタデータを有する複数のユーザまたは世帯のデータに基づいてトレーニングされたものであることが好ましい、
請求項8に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項10】
ユーザ消費パターン決定サブアルゴリズムが決定された後、取得した第1履歴(H
1)データまたはデータ集(または複数のデータ集)および/または第3期間(T3)にわたって前記ユーザまたは世帯によって取り出された熱量(ΣQ)を表す第2履歴(H
2)データまたはデータ集(または複数のデータ集)に基づいて、前記事前に設定したユーザ消費パターン決定サブアルゴリズムをトレーニングすることによって、個別ユーザ消費パターン決定アルゴリズムを生成し、
前記第3期間(T3)は好ましくは、1日、2日、10日、30日、60日、90日、180日、1年または連続的な期間にわたる、
請求項9に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項11】
前記ユーザ消費パターン決定アルゴリズムは、朝シャワーを浴びること、夕方シャワーを浴びること、夕方入浴すること、シャワーまたは入浴のために平均熱量(ΣQ)、特に等価エネルギー量を使用すること、を含む個々のユーザの習慣を決定するようにトレーニングされる、
先行する請求項のいずれかに記載のコンピュータ実装方法。
【請求項12】
家庭用温水の消費予測を生成するコンピュータ実装方法であって、
先行する請求項のいずれかに記載のコンピュータ実装方法を用いて、家庭用温水のユーザ消費パターン(UCP)を取得する工程と、
前記取得したユーザ消費パターン(UCP)に家庭用温水消費予測アルゴリズムを適用することにより、前記家庭用温水消費予測を生成する工程と、
を備える、
コンピュータ実装方法。
【請求項13】
前記家庭用温水消費予測アルゴリズムは、前記家庭用温水消費予測を生成する際に検出された偏差を考慮し、
前記偏差は好ましくは、前記ユーザまたは世帯の休暇状況、気象条件、平均よりも早い時間のシャワーのような予期せぬイベント、来客、パーティーなどを備える、
請求項12に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項14】
偏差が検出された場合、前記家庭用温水消費予測を自動的に調整する、および/または、前記検出した偏差を好ましくは制御端末を介して前記ユーザが確認することを要求され、前記ユーザの確認および/または入力に応じて、前記家庭用温水消費予測を調整する、
請求項13に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項15】
前記家庭用温水消費予測は、10分、30分、1時間、2時間、4時間、6時間、または12時間の第4期間(T4)に対して決定される、
請求項12から14のいずれかに記載のコンピュータ実装方法。
【請求項16】
前記ユーザまたは世帯の休暇、来客、パーティーなどのイベントは、カレンダーなどのオンラインデータにアクセスすることによって、および/または好ましくは(リモート)制御端末を介して、前記ユーザの入力によって決定される、
請求項12から15のいずれかに記載のコンピュータ実装方法。
【請求項17】
特に家庭用温水を製造および/または分配するためのシステム(100)を制御することによって、家庭用温水の製造および/または分配を制御するコンピュータ実装方法であって、
請求項12から16のいずれかに記載のコンピュータ実装方法を使用して、家庭用温水消費予測を生成する工程と、
前記生成した家庭用温水消費予測に基づいて、家庭用温水の製造および/または分配を制御する工程と、
を備える、
コンピュータ実装方法。
【請求項18】
前記蓄熱槽(20)に貯蔵されるべき制御期間T_periodにわたる熱量は、前記生成した家庭用温水消費予測に基づいて決定される、
請求項17に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項19】
前記蓄熱槽(20)に貯蔵されるべき制御期間T_periodにわたる熱量は、前記生成した家庭用温水消費予測に熱制御アルゴリズムを適用して決定され、
前記熱制御アルゴリズムは好ましくは、トレーニング済みのアルゴリズムである、
請求項17または18に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項20】
前記熱制御アルゴリズムは、電気エネルギー価格(動的価格、使用時間料金など)、地域エネルギーまたはグリーンエネルギーの利用可能性、気象状況、エネルギー二酸化炭素排出量(energy carbon footprint)、天気予報などに基づいてトレーニングされる、
請求項17から19のいずれかに記載のコンピュータ実装方法。
【請求項21】
家庭用温水消費予測を生成するためのコントローラ(1)であって、
制御ユニット(2)と、
請求項12~16に記載の方法の各工程を実施するよう構成した手段と、
を有する、
コントローラ(1)。
【請求項22】
特に家庭用温水を製造および/または分配するためのシステム(100)を制御することによって、家庭用温水の製造および/または分配を制御するコントローラ(1)であって、
制御ユニット(2)と、
請求項17から20に記載の方法の各工程を実施するよう構成した手段と、
を有する、
コントローラ(1)。
【請求項23】
家庭用温水の製造および/または分配システム(100)であって、
コントローラ、特に請求項21に記載のコントローラ(1)と、
請求項17から20のいずれかに記載の方法の各工程を実施するよう構成した手段と、
を備える、
システム。
【請求項24】
蓄熱槽(20)、特に貯湯槽(20)、より詳細には加圧槽、と、
前記蓄熱槽(20)に蓄えられる熱量、特に等価エネルギー量を決定し、および/または前記蓄熱槽(20)から取り出した熱量、特に等価エネルギー量を決定するよう構成した手段と、
をさらに備える、
請求項23に記載のシステム(100)。
【請求項25】
請求項23または24に記載のシステムに、請求項17から20に記載の方法の各工程を実施させ、および/または
請求項21の前記コントローラに、請求項12から16の方法の各工程を実施させ、および/または
請求項22の前記コントローラに、請求項17から20の方法の各工程を実施させる、命令を備える、
コンピュータプログラム。
【請求項26】
請求項25に記載のコンピュータプログラムを記憶した、
コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、家庭用温水のユーザ消費パターンを取得するコンピュータ実装方法、家庭用温水消費予測を生成するコンピュータ実装方法、および家庭用温水の製造および/または分配を制御するコンピュータ実装方法に関する。さらに本開示は、家庭用温水消費予測を生成するための関連コントローラ、家庭用温水の製造および/または分配を制御するためのコントローラ、ならびに家庭用温水の製造および/または分配システムに関する。さらに本開示は、対応するコンピュータプログラム、および当該コンピュータプログラムを記憶したコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅やオフィススペースなどの建物には、装置や器具、およびシステム(暖房・換気・空調(HVAC)システム、照明システム、警報システム、ホームシアターおよび娯楽システムなどのシステム)を自動制御するスマートホームネットワークが設置されるようになってきている。スマートホームネットワークは、建物内の様々な装置、器具、システムを自動制御するために用いる設定、好み、およびスケジューリング情報を利用者が入力する際に使用するコントロールパネルを備えてもよい。例えば、これによって、所望の温度と、家を留守にする時間を示すスケジュールを入力することができる。ホームオートメーションシステムは、この情報を利用してHVACシステムを制御し、利用者の在宅時には所望の温度に室内を暖めたり冷やしたりし、不在時や就寝時などにはHVACシステムの電力消費部品をオフにしてエネルギーを節約する。
【0003】
同様の考えが、家庭用温水の製造または分配の分野にも存在する。家庭環境での加熱需要は、衛生設備用(sanitary)温水の製造と空間暖房という2つの主な源で構成される。衛生設備用温水は通常、オンデマンドで(ガスボイラーなどの比較的高出力の装置が必要)、または電気、太陽光、ガス、ヒートポンプ等の様々な供給源で加熱できる温水槽を使用して貯めておく(buffered)手法のいずれかを使用して製造する。断熱性が向上した(パッシブハウジングなど)小型の住宅により、住宅の空間暖房に対する要求値は絶対値で減少する。その一方で、家庭用温水の需要は維持され、わずかながら増加している。したがって、家庭での加熱需要全体に占める衛生設備用温水製造の相対的な割合が大きくなっている。
【0004】
貯湯槽を備えたシステムの場合、ユーザに十分な温水を提供するため、通常、槽の最低温度は一日を通して一定に設定される。この所望最低温度は安全を期して選択する。省エネのため、新しいシステムでは、1週間ごとのスケジュールで決まったパターンを使用する。例えば、夜間は槽の最低温度を下げ、朝方、需要が増えると予想されるときは槽の温度を上げる。
【0005】
貯湯槽を使用する家庭用温水システムのエネルギー効率をさらに向上させるためには、家庭用温水の実際の使用量をより正確に予測する手段を家庭用温水の製造および/または分配システムに備える必要がある。これによって、ユーザの快適性を維持しながら、蓄熱槽に蓄えられる熱や温水(温水の貯留)を最小限に抑えるシステムとすることができる。家庭用温水の消費量をより正確に予測するこのような手段をシステムが備えるには、槽内の利用可能で使用可能な温水の量をより正確に推定するための手段をシステムが備えることも必要である。通常これは、家庭用温水の使用を検出および測定することによって行われる。この目的のために既知のシステムでは、流量計および温度センサを含む監視システムを使用する。これらのユニットの出力に基づいて、システムは、貯湯槽から取り出されたと想定するエネルギーを推定し、貯湯槽に残っている使用可能な温水の量を推定する。
【0006】
例えばUS2015/0226460A1には、給湯器、冷水パイプ、温水パイプを備える給湯ボイラシステム用の、後付け型給湯器監視および予測システム、方法、およびコンピュータプログラム製品が記載され、冷水取水管内の水温を測定するよう構成した取水側温度センサと、給湯ボイラシステムを流れる水の流量を測定するように構成した流量計と、温水排水管内の水温を測定するよう構成した排水側温度センサと、取水側温度センサ、流量計および排水側温度センサからのセンサデータを受信する処理ユニットであって、センサデータに基づいて給湯器内の利用可能な温水の量を算出するよう構成した処理ユニットと、処理ユニットに連結し、利用可能な温水の量に基づいて処理ユニットが計算した少なくとも1つの推定リアルタイム使用値を表示するよう構成したディスプレイパネルと、を備える。
【発明の概要】
【0007】
上述のことに鑑みて、家庭用温水のユーザ消費パターンを取得するコンピュータ実装方法、家庭用温水消費予測を生成するコンピュータ実装方法、家庭用温水の製造および/または分配を制御するコンピュータ実装方法、家庭用温水の消費予測を生成するためのコントローラ、家庭用温水の製造および/または分配を制御するためのコントローラ、家庭用温水の製造および/または分配システム、コンピュータプログラムおよびこのコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ可読媒体を提供することが望ましく、これらによって、家庭用温水消費量の予想または予測のより正確な生成または決定を可能にし、これによりエネルギー効率を改善し、家庭用温水の製造および/または分配の環境フットプリントを削減する。さらなる目的は、ユーザ快適性を維持しながらエネルギー消費を削減することを目的として、温水加熱プロセスを個々の使用条件に対応させることにより、家庭用温水の製造および/または分配のスマート制御を可能とすることである。
【0008】
この目的は、請求項1に記載の、ユーザ消費パターンを取得するコンピュータ実装方法、請求項12に記載の、家庭用温水消費予測を生成するコンピュータ実装方法、請求項17に記載の、家庭用温水の製造および/または分配を制御するコンピュータ実装方法、請求項21に記載の、家庭用温水消費予測を生成するためのコントローラ、請求項22に記載の、家庭用温水の製造および/または分配を制御するためのコントローラ、請求項23に記載の、家庭用温水の製造および/または分配システム、請求項25に記載のコンピュータプログラム、および請求項26に記載のコンピュータ可読媒体によって達成してもよい。いくつかの実施形態は、従属請求項、以下の説明および添付図面に記載される。
【0009】
本開示は、蓄熱槽から取り出した熱量を表す履歴もしくはデータ集および/または蓄熱槽または正規化した各蓄熱槽から取り出した熱量を表す履歴またはデータ集に基づいてトレーニングされたユーザ消費パターン決定アルゴリズムを提供する。
【0010】
このようにして、長期間にわたって多くのユーザから収集したデータや経験値を利用できるトレーニング済みのアルゴリズムを使用することで、ユーザの消費パターン、特に個々のユーザまたは個々の世帯の消費パターンをより正確に決定することが可能となる。
【0011】
本開示の一実施形態によれば、家庭用温水のユーザ消費パターンを取得するコンピュータ実装方法が提供される。このコンピュータ実装方法は、
好ましくは所定の第1期間内に蓄熱槽、特に加圧槽から取り出される熱量、特に等価エネルギー量を表すデータを取得する工程と、
好ましくは所定数の第1期間にわたって蓄熱槽から取り出した熱量、特に累積熱量を表すデータの第1履歴またはデータ集を生成する工程と、
蓄熱槽から取り出した熱量を表すデータの生成した第1履歴またはデータ集に、ユーザ消費パターン決定アルゴリズムを適用することにより、家庭用温水のユーザ消費パターンを取得する工程と、を備え、
ユーザ消費パターン決定アルゴリズムは、蓄熱槽または複数の正規化した蓄熱槽から取り出した熱量を表す履歴(または複数の履歴)またはデータ集(または複数のデータ集)でトレーニングされ、一以上の機械学習アルゴリズムを用いて家庭用温水のユーザ消費パターンを定義するアルゴリズム、特に時系列予測アルゴリズムである。
【0012】
本開示の文脈において、蓄熱槽から取り出す熱量を表すデータの取得または収集に関して「取得する」という用語は、温度センサや流量計などのセンサを使用することによって、またはメモリに記録された、蓄熱槽から取り出した熱量を表すデータにアクセスするまたは読み取ることによって各データが決定され得ることと理解するべきである。メモリは、一定期間蓄熱槽に蓄えられた熱または家庭用温水について、定期的な温度および流量測定値を保存してもよい。
【0013】
さらに、本開示の文脈において、データの取得に関する「表す」という用語は、システムおよび/またはコンピュータ実装方法が、取得したデータから、特定の時間および/または特定の期間に蓄熱槽に蓄えられる特定の熱量を決定または再構築できるものと理解されるべきである。
【0014】
さらに、本開示の文脈において、蓄熱槽からの取り出しに関する「熱量」または蓄熱槽内に蓄えた熱量(後述する)に関する「熱量」という用語は、例えば蓄熱槽から取り出した水に含まれるエネルギーを規定する際に使用される。すなわち、取り出し(排出)時に蓄熱槽から取り出される熱またはエネルギーである。したがって、蓄熱槽に蓄えられる熱に関して、「熱」という用語は、例えばt0における残存等価温水(EHW)を指す。
【0015】
「等価温水(EHW)」という用語は、EN16147で定義される最大温水量「V
40」に相当する。EN16147によれば、(特定の蓄熱槽からの)1回の排水における40°Cの混合水の最大量は、排水時の温水エネルギーを計算することによって決定するものとされる。温水の流量f
maxと、流入冷水の温度θ
WCおよび流出温水の温度θ
WHとは、排水中に少なくとも10秒ごとに測定する。最大温水量V40は、以下の式で算出する。
【数1】
式中、
V
40は、40°Cでの混合水の最大体積(l)を示す。
θ
WH(t)-θ
WC(t)は、家庭用温水槽の出口の温水温度と入口の冷水の温度差(K)を示す。
t
40は、排水の開始からθ
WH(t)が40°C未満になるまでの時間(秒)を示す。
f
max(t)は、排出中の温水の流量(l/min)を示す。
【0016】
さらに、本開示の文脈において、蓄熱槽からの取り出しに関する「等価エネルギー」(「利用可能エネルギー」とも呼ぶ)という用語は、10度に対する水の熱エネルギーを有する40℃の水量(リットル)として理解されるべきである。つまり、温度T[°C]での体積V[リットル]の場合、以下の通りとなる。
【数2】
【0017】
さらに、「ユーザ消費パターン(UCP)」という用語は、本開示において、蓄熱槽から取り出される温水の温度および/またはその量等のパラメータを規定するものであって、蓄熱槽から取り出される熱量、特に定期的な時間間隔または特定の期間内での累積熱量を示す。たとえば、ユーザが毎朝午前7時頃にシャワーを浴びるとすると、このユーザの消費パターンは、午前6時に始まって午前8時に終了する時間帯に家庭用温水の需要の増加を示すことになる。
【0018】
ただし、本開示の文脈において、「期間」または「第1期間の数」に関する「所定の」という用語は、特定の時点、例えばコンピュータ実装方法またはユーザ消費パターン決定アルゴリズムが開始される初期時点(初期化)、またはユーザ消費パターン決定アルゴリズムが更新される等の更新時点(アルゴリズムの更新)と理解されるべきであって、「期間」または「第1期間の数」は手動または自動で決定され、自動の場合、その値は関連するアルゴリズムによって決定される。
【0019】
したがって、ユーザ消費パターンを取得するコンピュータ実装方法またはユーザ消費パターン決定アルゴリズムが開始される時点で、第1期間を1時間に設定し、第1期間の数は12に設定してもよく、これによって12時間の予測期間(prediction horizon)を規定する。言い換えると、熱量を表すデータの第1履歴またはデータ集は、12時間に及ぶことになる。次のステップでは、例えば12時間後、または1日のある時間(例えば午前0時または正午)に、生成した第1履歴またはデータ集に基づいて、ユーザ消費パターン決定アルゴリズムを更新してもよく、それによって、最適化の理由のために第1期間を4時間に変更または設定し、第1期間の数を6に設定してもよい。これによって24時間の新たな予測期間を規定し、第1の予測期間とこの新たな予測期間とを組み合わせて36時間の累積予測期間としてもよい。
【0020】
さらに、本開示の文脈において、蓄熱槽に関する「正規化した」という用語は、各蓄熱槽の特性が、家庭用温水のユーザ消費パターンを取得するコンピュータ実装方法を使用または適用した1つの蓄熱槽の特性に対応するようにしたものと理解すべきである。言い換えれば、アルゴリズムがトレーニング済みの蓄熱槽の特性は、家庭用温水のユーザ消費パターンの取得または決定に悪影響を及ぼすことが予想されるほど実際の蓄熱槽の特性から大きく逸脱してはならない。したがって、使用する蓄熱槽は、アルゴリズムがトレーニング済みのものと類似しているべきである。あるいは、そのような偏差を補正するよう(たとえば、使用する蓄熱槽の大きさを、アルゴリズムがトレーニング済みの槽の大きさに自動的に調整するなど。一方、アルゴリズムは、さまざまなサイズやタイプの蓄熱槽でトレーニングしてもよく、アルゴリズムはそれに応じて調整可能である)アルゴリズムをトレーニングしてもよい。
【0021】
本開示のさらなる実施形態によれば、コンピュータ実装方法がさらに、
好ましくは所定数の第1履歴またはデータ集にわたって蓄熱槽から取り出した熱量を表すデータの第2履歴またはデータ集を生成する工程を備えてもよく、第1履歴またはデータ集は、好ましくは1日すなわち24時間の期間にわたり、第2履歴またはデータ集は、好ましくは1週間すなわち7日すなわち168時間の期間にわたる。
【0022】
上述したように、第1期間と第1期間の数とを関連させて予測期間を定義するが、第2期間(第1履歴の数)についても同様である。したがって、第1および第2の履歴は、(第1期間の数×第1期間)×第1履歴の数にまたがる1つの履歴またはデータ集とみなすこともできる。
【0023】
さらに、本開示のいくつかの実施形態では、好ましい所定の第1期間は、1週間、2日、1日、12時間、8時間、6時間、4時間、1時間、30分、10分または1分にわたるまたはまたがってもよく、および/または第1履歴またはデータ集の第1期間の好ましい所定数は、1、2、3、4、6、24、48、144または1440である。
【0024】
さらに、いくつかの実施形態において、好ましい所定の第1期間は、特に初期時点および/または更新時点において、第1履歴またはデータ集のデータ量の長さ/期間に基づいて決定してもよい。すなわち、前述のように、予測期間に渡って蓄熱槽から取り出された熱量を表すより多くのデータが利用可能になった時点で、予測期間を変更してもよい。
【0025】
本開示のさらなる実施形態によれば、初期時点(コンピュータ実装方法またはユーザ消費パターン決定アルゴリズムの開始時)で、第1履歴またはデータ集が存在しないか、または短い第1履歴またはデータ集のビューデータしか利用できない場合、データフィラー(data filler)を用いてユーザ消費パターン決定アルゴリズムに入力する。
【0026】
さらに、いくつかの実施形態では、好ましくは所定の第5期間(第2から第3の期間が後に続く)の後に、ユーザ消費パターン決定アルゴリズムを新たに起動/開始もしくは更新してもよく、または初期時点を新たに設定する。
【0027】
本開示のさらなる実施形態(一般的なMLモデル)によれば、消費パターン決定アルゴリズムを、
好ましくは所定の第2期間(トレーニング期間)にわたって、複数のユーザまたは世帯によって蓄熱槽または正規化した各蓄熱槽から取り出された熱量を表す履歴データまたはデータ集(または複数のデータ集)と、
特に蓄熱槽または正規化した各蓄熱槽から取り出された熱量を表すデータの各履歴またはデータ集内の、特にそれぞれの第1期間の一日のうちの時間と、でトレーニングしてもよい。
【0028】
さらに、代替実施形態(個別モデル)では、消費パターン決定アルゴリズムを、
好ましくは所定の第2期間にわたって、ユーザ、特に個別ユーザ、または世帯、特に個別世帯によって蓄熱槽から取り出された熱量を表す履歴データまたはデータ集(または複数のデータ集)と、
特に蓄熱槽から取り出された熱量を表すデータの各履歴またはデータ集内の、特にそれぞれの第1期間の一日のうちの時間と、でトレーニングしてもよい。
【0029】
本開示のさらなる実施形態によれば、好ましい所定の第2期間は、30日、60日、90日、180日、1年または2年にわたるまたはまたがる。
【0030】
さらに、いくつかの実施形態において、消費パターン決定アルゴリズムをさらにまたは代替的に、
特に各第1期間の、および/または取り出された熱量を表すデータの各履歴またはデータ集の曜日、および/または、
特に各第1期間のおよび/または各履歴データまたはデータ集の、一年のうちの日付および/または一年のうちの週および/または一年のうちの月、および/または、
特に各第1期間の、および/または取り出された熱量を表すデータの各履歴またはデータ集の気象条件、および/または、
特に各第1期間の、および/または取り出された熱量を表すデータの各履歴またはデータ集の外気温度、および/または、
特に各第1期間の、および/または取り出された熱量を表すデータの各履歴またはデータ集のユーザまたは世帯の休暇状況、および/または、
各第1期間の、および/または取り出された熱量を表すデータの各履歴またはデータ集のエネルギー価格、および/または、
特に各第1期間の、および/または取り出された熱量を表すデータの各履歴またはデータ集のグリーンエネルギー利用可能性、および/または、
特に各第1期間の、および/または取り出された熱量を表すデータの各履歴またはデータ集の地理的位置、および/または、
特に各第1期間の、および/または取り出された熱量を表すデータの各履歴またはデータ集の文化的要因、でトレーニングしてもよい。
【0031】
本発明の文脈において、アルゴリズムの教示に関する「グリーンエネルギーの利用可能性」という用語は、例えば好ましくは局所的に大量の太陽光発電が利用可能である晴れた日に、特に冬季には、訓練を受けたまたは倹約家のユーザは入浴する傾向があることと理解すべきである。電気/エネルギーの料金が安い時間にも同様のことが当てはまる。
【0032】
一方で、「地理的位置」および/または「文化的要因」も、ユーザの家庭用温水の消費習慣に影響を与える可能性がある。たとえば、赤道に近い地域に住んでいるユーザは、涼しい地域のユーザよりも頻繁にシャワーを浴びる可能性がある。さらに、宗教や裕福さといった「文化的要因」によって、ユーザの入浴頻度が高くなる傾向もある。1回のシャワーや1回の入浴に使う温水の量にも同じことが当てはまるかもしれない。
【0033】
本開示のさらなる実施形態によれば、ユーザ消費パターン決定アルゴリズムはさらにまたは追加的に、ユーザ消費パターン(UCP)を決定する際にメタデータを考慮してもよく、メタデータは好ましくは、(各世帯に居住している)居住者の数、居住者の年齢、居住者の平均年齢、居住者の性別、地理的位置、地理的位置に基づいて自動的に決定してもよい文化的要因、年間温水消費量からなるグループから選択される。
【0034】
さらに、いくつかの実施形態では、ユーザ消費パターン決定アルゴリズムがさらに、
少なくとも1つのメタデータに基づいて、ユーザまたは世帯を所定のクラスターまたはグループに割り当てる工程と、
割り当てたクラスターまたはグループに基づいて、ユーザ消費パターン決定サブアルゴリズムを決定する工程と、を備え、
ユーザ消費パターン決定サブアルゴリズムは、少なくとも1つの同じメタデータを有する複数のユーザまたは世帯のデータに基づいてトレーニングされたものであることが好ましい。
【0035】
本開示のさらなる実施形態によれば、ユーザ消費パターン決定サブアルゴリズムが決定された後、取得した第1履歴データまたはデータ集(または複数のデータ集)および/または好ましい所定の第3期間にわたって好ましくは個別ユーザまたは好ましくは個別世帯によって蓄熱槽から取り出された熱量を表す第2履歴データまたはデータ集(または複数のデータ集)に基づいて、事前に設定したユーザ消費パターン決定サブアルゴリズムをトレーニングすることによって、個別ユーザ消費パターン決定アルゴリズムを生成してもよく、好ましい所定の第3期間は、好ましくは、1日、2日、10日、30日、60日、90日、180日、1年または連続的な期間にわたる。
【0036】
本開示のさらなる実施形態によれば、ユーザ消費パターン決定アルゴリズムは、朝シャワーを浴びること、夕方シャワーを浴びること、夕方入浴すること、シャワーまたは入浴のために平均熱量、特に等価エネルギー量を使用すること、を含む個々のユーザの習慣を決定するようにトレーニングしてもよい。
【0037】
さらに、本開示は、家庭用温水の消費予測を生成するコンピュータ実装方法に関し、
家庭用温水のユーザ消費パターンを取得する上述のコンピュータ実装方法工程を用いて、家庭用温水のユーザ消費パターン(UCP)を取得する工程と、
取得したユーザ消費パターン(UCP)に家庭用温水消費予測アルゴリズムを適用することにより、家庭用温水消費予測を生成する工程と、を備える。
【0038】
さらに、本開示のいくつかの実施形態において、家庭用温水消費予測アルゴリズムは、家庭用温水消費予測を生成する際に検出された偏差を考慮してもよく、偏差は好ましくは、ユーザまたは世帯の休暇状況、気象条件、平均よりも早い時間帯でのシャワーのような予期せぬイベント、来客、パーティーなどを備える。
【0039】
本開示のさらなる実施形態によれば、偏差が検出された場合、家庭用温水消費予測を自動的に調整する、および/または、検出した偏差を好ましくは制御端末、好ましくは遠隔制御端末または音声認識システムを介してユーザが確認することを要求され、ユーザの確認および/または入力に応じて、家庭用温水消費予測を調整してもよい。
【0040】
さらに、いくつかの実施形態では、家庭用温水消費予測は、10分、30分、1時間、2時間、4時間、6時間、または12時間の好ましい第4の所定の期間(制御期間)に対して決定されてもよい。
【0041】
さらに、本開示によれば、特に家庭用温水を製造および/または分配するためのシステムを制御することによって、家庭用温水の製造および/または分配を制御するコンピュータ実装方法が提供され、
家庭用温水の消費予測を生成する上述のコンピュータ実装方法を使用して、家庭用温水消費予測を生成する工程と、
生成した家庭用温水消費予測に基づいて、家庭用温水の製造および/または分配を制御する工程と、を備える。
【0042】
本開示において、「家庭用温水製造および/または分配の制御」に関する「制御」という用語は、例えば検出温度もしくは検出流量に基づいて、および/または推定値またはパターン(例えば温度分布パターン、ユーザ消費パターンまたはユーザ消費予測)に基づいて、家庭用温水の製造を変更することであって、例えば装荷コイルによる貯蔵温水の加熱を開始もしくは停止することによって、家庭用温水の製造を増加するもしくは低減することを意味する。
【0043】
また、本開示において「家庭用温水製造および/または分配の制御」に関する「製造」という用語は、温水の製造を定義し、約40℃を超える温度への上昇を意味する。具体的には、所定の熱量または家庭用温水を製造するために、装荷コイルには高温流体が供給されるが、この高温流体は例えばヒートポンプによって加熱され供給される。装荷コイルを流れる流体と貯湯槽に貯蔵された温水との間の伝熱によって、槽内に貯蔵された温水が加熱され、すなわち、温水の温度が上昇する。
【0044】
ただし、本開示において「分配」という用語は、熱または温水(特に40℃を超える温度の水)を各ユーザに例えばシャワーまたは浴室で分配すなわち各ユーザが利用可能にする(供給する)ことを意味する。
【0045】
さらに、本開示のさらなる実施形態では、蓄熱槽に貯蔵されるべき熱量、特に等価エネルギーの量は、生成した家庭用温水消費予測に基づいて決定してもよい。
【0046】
本開示のさらなる実施形態によれば、蓄熱槽に貯蔵されるべき熱量、特に等価エネルギーの量は、生成した家庭用温水消費予測に基づいて決定してもよい。
【0047】
さらに、いくつかの実施形態では、蓄熱槽に貯蔵されるべき熱量、特に等価熱エネルギー量は、生成された家庭用温水消費量予測に熱制御アルゴリズムを適用することによって決定してもよく、熱制御アルゴリズムは、トレーニング済みのアルゴリズムであることが好ましい。
【0048】
さらに、本開示のいくつかの実施形態では、熱制御アルゴリズムは、電気エネルギー価格(例えば、昼夜の差、太陽光発電や風力発電などのグリーンエネルギーの高い利用可能性)、地域エネルギーまたはグリーンエネルギーの利用可能性、気象状況、天気予報等に基づいてトレーニングしてもよい。
【0049】
本開示のいくつかの実施形態によれば、電気エネルギー価格、地域エネルギーまたはグリーンエネルギーの利用可能性、気象条件および/または天気予報に応じて、熱制御アルゴリズムは、生成した家庭用温水消費予測が蓄熱量の増加を必要としない場合でも、熱の製造を起動または開始したり、蓄熱槽に蓄えられる熱量を増加させてもよい。
【0050】
さらに、本開示によれば、制御ユニットと、家庭用温水の消費予測を生成する上述のコンピュータ実装方法の各工程を実施するよう構成した手段とを有する、家庭用温水消費予測を生成するためのコントローラが提供される。
【0051】
さらに、本開示は、特に家庭用温水を製造および/または分配するためのシステムを制御することによって、家庭用温水の製造および/または分配を制御するコントローラに関し、制御ユニットと、家庭用温水の製造および/または分配を制御する上述のコンピュータ実装方法の各工程を実施するよう構成した手段とを有する。
【0052】
本開示はさらに、家庭用温水を製造および/または分配するためのシステムを提供し、コントローラ、特に家庭用温水の消費予測を生成する上述のコントローラと、家庭用温水の製造および/または分配を制御する上述の方法の各工程を実施するよう構成した手段とを有する。
【0053】
本開示のいくつかの実施形態において、家庭用温水の製造および/または分配システムはさらに、
蓄熱槽、特に貯湯槽、より詳細には加圧槽と、
蓄熱槽に蓄えられる熱量、特に等価エネルギー量を決定し、および/または蓄熱槽から取り出した熱量、特に等価エネルギー量を決定するよう構成した手段と、を備えてもよい。
【0054】
コントローラおよびシステムは、コンピュータ実装方法の上述の各工程を実行するよう構成されるので、コンピュータ実装方法に関連して開示したさらなる特徴もこのコントローラおよびシステムに適用され得る。コンピュータ実装方法についても同様である。
【0055】
本開示によればさらに、コンピュータプログラムが提供され、上述の家庭用温水を製造および/または分配するためのシステムによって、および/または家庭用温水の製造を制御するための上述のコントローラによって、家庭用温水の製造および/または分配を制御する上述のコンピュータ実装方法の各工程を実行し、および/または家庭用温水の消費予測を生成するための上述のコントローラによって、家庭用温水のユーザ消費パターンを取得する上述のコンピュータ実装方法の各工程を実行する、各命令を備える。
【0056】
さらに、本開示によれば、上述のコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ可読媒体が提供される。
【0057】
これに関して、上述のコンピュータ実装方法は、コンピュータ実装方法の上述した各工程を実施するよう構成したコントローラおよびシステムによってのみ実施されるのではなく、クラウドコンピューティングによっても実施できる。つまり、特定の蓄熱槽から取り出す熱量を表す取得データ、特に蓄熱槽の実温度センサのデータをクラウドに送信し、クラウドは、ユーザ消費パターンを取得するコンピュータ実装方法の上述した各工程を実行するよう構成されており、取得した家庭用温水のユーザ消費パターンを、家庭用温水の消費予測を生成する方法の上述の各工程を実施することによって家庭用温水の消費予測を生成するコントローラに送り返す。
【0058】
さらにコンピュータプログラムおよびコンピュータ可読媒体は、家庭用温水消費予測を生成するおよび/または家庭用温水製造および/または分配を制御する上述のコントローラおよびシステムと関連するので、コンピュータ実装方法、コントローラおよびシステムに関連して開示したさらなる特徴をコンピュータプログラムおよびコンピュータ可読媒体にも適用でき、その逆も同様である。
【0059】
本開示の第1態様によれば、特に家庭用温水の製造および/または分配のためのシステムを制御することによって、家庭用温水の製造および/または分配を監視および/または制御するコンピュータ実装方法であって、
蓄熱槽、特に加圧槽の高さ方向に沿った、好ましくは重力の方向と平行な方向に沿った少なくとも2つの異なる位置において、槽に貯蔵する流体、特に衛生設備用の温水の少なくとも2つの実温度すなわち現実の温度を、少なくとも数時点、好ましくは複数時点で検出または取得する工程と、
少なくとも数時点、好ましくは複数の時点で検出または取得した少なくとも2つの検出または取得温度に、温度分布パターンアルゴリズムを適用することによって、蓄熱槽に貯蔵した流体の熱の少なくとも1つの温度分布パターンおよび/または対応する熱分布パターンデータを取得する工程と、を備える。
【0060】
このように、貯湯槽の利用可能および/または使用可能な温水量をより正確に推定し監視できるとともに家庭用温水の製造および/または分配のエネルギー効率を改善できる。さらに、温度センサだけを用いて貯湯槽に貯蔵される熱および/または等価温水を正確に推定できるようになるので、貯湯槽から取り出された温水の量を検出する流量検出器の必要がなくなる。本発明において、「家庭用温水製造および/または分配の監視」に関する「監視」という用語は、仮想温度センサおよび実温度センサを用いて例えば家庭用温水の製造を検出および任意選択的に記録することを定義するために用いる。例えば、温水を貯湯槽から取り出す際の貯湯槽における温度分布パターンの変化や変様を検出しおよび/または決定し、これに基づいて貯湯槽に残っているおよび/または貯湯槽から取り出された熱の量(kwh)を決定および/または記録する。
【0061】
さらに、本発明において「家庭用温水製造および/または分配の制御」に関する「制御」という用語は、例えば検出温度もしくは検出流量に基づいて、および/または推定値またはパターン(例えば温度分布パターン)に基づいて、家庭用温水の製造を変更することであって、例えば装荷コイルによる貯蔵温水の加熱を開始もしくは停止することによって、家庭用温水の製造を増加するもしくは低減することを意味する。
【0062】
さらに、本発明において「家庭用温水製造の監視および/または制御」に関する「製造」という用語は、温水の製造を定義し、40℃を超える温度への上昇を意味する。具体的には、所定量の家庭用温水を製造するために、装荷コイルには高温流体が供給されるが、この高温流体は例えばヒートポンプによって加熱され供給される。装荷コイルを流れる流体と貯湯槽に貯蔵された温水との間の伝熱によって、槽内に貯蔵された温水が加熱され、すなわち、温水の温度が上昇する。
【0063】
ただし、本発明において「家庭用温水の分配の監視および/または制御」に関する「分配」という用語は、温水(特に40℃を超える温度の水)を各ユーザに例えばシャワーまたは浴室で分配すなわち各ユーザが利用可能にする(供給する)ことを意味する。
【0064】
コンピュータ実装方法がさらに、
少なくとも数時点好ましくは複数時点で検出した少なくとも2つの実温度または現実の温度に仮想温度センサアルゴリズムを適用することにより、蓄熱槽に貯蔵される流体の、蓄熱槽の高さ方向に沿った異なる位置における複数の仮想温度、好ましくは少なくとも5つの仮想温度を、より好ましくは10を超える仮想温度を、さらに好ましくは20を超える仮想温度を取得またはシミュレートする工程と、
検出した少なくとも2つの実温度または現実の温度と取得またはシミュレートした複数の仮想温度とに温度分布パターンアルゴリズムを適用することにより、蓄熱槽に貯蔵される熱の温度分布パターンおよび/または対応する熱分布パターンデータを取得またはシミュレートする工程と、を備えてもよく、
仮想温度はニューラルネットワークを使用して取得またはシミュレートされることが好ましい。
【0065】
コンピュータ実装方法がさらに、
取得した温度分布パターンおよび/または検出した少なくとも2つの実温度または現実の温度と取得した複数の仮想温度とに熱推定アルゴリズムを適用することにより、蓄熱槽に貯蔵される熱量、特に等価温水(EHW,V40)の量を決定する工程、および/または、
少なくとも2セットの取得温度、好ましくは少なくとも異なる2時点で検出した検出実温度および/または取得仮想温度を備える、好ましくは、複数セットの検出および/または取得温度に、温度分布パターンアルゴリズムを適用することによって、少なくとも2つの温度分布パターンおよび/または対応する熱パターンデータを取得する工程と、
少なくとも2つの温度分布パターンに取り出し推定アルゴリズムを適用することによって、蓄熱槽から取り出される熱量、特に等価温水の量を決定する(間接取出し推定)工程と、を備えてもよい。
【0066】
さらなる態様によれば、コンピュータ実装方法の温度分布パターン取得ステップ、特に温度分布パターンアルゴリズムは、
少なくとも数時点で、好ましくは複数時点で検出した少なくとも2つの実温度または現実の温度、具体的には検出した少なくとも2つの実温度または現実の温度と取得したまたはシミュレートした複数の仮想温度とを、回帰アルゴリズムを用いて処理することによって、蓄熱槽に貯蔵される熱の温度分布パターンを決定する工程を備え、回帰アルゴリズムは好ましくは、一以上の機械学習アルゴリズムを用いて、蓄熱槽に貯蔵される熱の温度分布パターンを定義する温度データに基づいてトレーニングされる。
【0067】
さらに、コンピュータ実装方法の回帰アルゴリズムが、
蓄熱槽の高さに沿った異なる位置に配置され、少なくとも2つの温度を検出するよう用いられる複数の温度センサ、好ましくは2つの温度センサを含む複数の温度センサによって検出される温度および/または温度データ、および/または、
特に蓄熱槽に貯蔵される流体の加熱/昇温時のヒートコイルの入力および/または出力温度、および/または、
蓄熱槽への/からの流体の入口および/または出口における流量、および/または、
ヒートコイルを流れる流体(加熱流体)の流量に基づいてトレーニングされてもよい。
【0068】
さらに、コンピュータ実装方法が、好ましくは蓄熱槽からの流体の出口に配置する少なくとも1つの流量センサを用いて、蓄熱槽から取り出される流体、特に温水の流量および/または量を取得する工程、および/または少なくとも2つの温度分布パターンとヒートコイルを流れる流体の流量とに間接取出し推定アルゴリズムを適用することにより、蓄熱槽から取り出される熱量、特に等価温水(EHW,V40)の量を決定する(間接取出し推定)工程と、を備えてもよい。
【0069】
さらに、コンピュータ実装方法において、少なくとも1つの温度分布パターンを、
少なくとも2つの温度センサ、特に実温度センサと、
複数の仮想温度好ましくは少なくとも5つの仮想温度を取得するよう用いられる、複数の仮想温度センサ、好ましくは少なくとも5つの仮想温度センサ、特に10を超える仮想温度センサ、特に20を超える仮想温度センサと、を用いて取得および/または決定してもよく、
仮想温度センサは、(人工)ニューラルネットワークによって提供および/またはシミュレートされることが好ましい。
【0070】
本発明において、「実温度」および「実温度センサ」における「実」という用語は、家庭用温水製造を監視および/または制御するためのシステムに(実際に)物理的に配置されておりしたがって(ライブの)実温度を実際に測定する温度センサを定義するために用いる。言い換えれば、実温度センサは、蓄熱槽に現実に物理的に配置され、蓄熱槽に貯蔵された流体の温度を実際に測定する。
【0071】
一方、本発明において「仮想温度」および「仮想温度センサ」における用語「仮想」は、家庭用温水製造を監視および/または制御するためのシステムに物理的には配置されない温度センサを定義するために用いる。物理的に配置するのではなく、仮想温度センサは、以下でより詳細に説明する通り、ニューラルネットワークによってある程度シミュレートされる。仮想センサの温度値は、実温度センサの入力に基づいてトレーニングされたニューラルネットワークによって決定され、したがって、取得したまたはシミュレートした温度を「仮想温度」と呼ぶ。
【0072】
コンピュータ実装方法がさらに、
a)蓄熱槽に貯蔵される熱の取得した温度分布パターン(複数の温度分布パターン)、および/または、
b)蓄熱槽に貯蔵される、決定した熱量または等価温水の量、および/または、
c)間接取出し推定アルゴリズムを用いて決定した蓄熱槽から取り出された熱量または等価温水の量、および/または、
d)少なくとも1つの流量センサを用いることによって決定した、蓄熱槽から取り出された流体または温水の量、にユーザ消費アルゴリズムを適用することによってユーザ消費パターンを取得する工程を備えてもよい。
【0073】
コンピュータ実装方法がさらに、取得したユーザ消費パターンに加熱パターンアルゴリズムを適用することによって、蓄熱槽に貯蔵される流体の加熱パターンおよび/または温水製造制御パターンを決定する工程を備えてもよく、ユーザ消費パターンおよび/または加熱パターンおよび/または温水製造制御パターンは、1日、12時間、6時間、1時間、30分、10分、および/または1分単位の時間増分に区切られる。
【0074】
つまり、ユーザ消費パターンが例えば蓄熱槽に貯蔵される熱の取得温度分布パターン、および/または複数の時点、例えば1時間に10回決定した、蓄熱槽に貯蔵される熱量または等価温水の量の集合であることを意味する。この10個のデータ集合に基づいて、平均値を算出し、これによって、一度の増加分(この場合1時間の増加分)を定義および/または特徴づける。取得した増分に基づいて、ユーザの消費パターンを決定可能である。加熱パターンおよび/または温水製造制御パターンも同様である。
【0075】
例えば、ユーザ消費パターンにおいて、特定のユーザがいつも特定の時間に(例えば朝午前6時から午前8時までに(シャワーを浴びるために))、家庭用温水の需要が高い場合には、加熱パターンはそれに応じて変更でき、つまり、午前6時から午前8時までの時間は通常より多量の湯を利用可能とする。
【0076】
さらに、コンピュータ実装方法において、蓄熱槽の温度分布パターンを決定する前に、少なくとも10の、好ましくは少なくとも20の、さらに好ましくは少なくとも30の温度を、少なくとも10の時点で、好ましくは少なくとも20の時点で、さらに好ましくは少なくとも30の時点で取得してもよい。
【0077】
このようにして、温度分布パターンを決定する精度を向上させることができる。詳細には、温度分布パターンを決定する前に、少なくとも2つの温度の複数の温度セットをいくつかの時点で取得し、複数の温度セット(履歴)に基づいて、(人工)ニューラルネットワークを用いて温度分布パターンを決定する。
【0078】
さらに、本発明は、特に家庭用温水の製造および/または分配を監視および/または制御するシステムを監視および/または制御することによって、家庭用温水の製造および/または分配を監視および/または制御するコンピュータ実装方法を提供し、
蓄熱槽、特に加圧槽の高さ方向に沿った少なくとも2つの異なる位置において、槽に貯蔵する流体、特に衛生設備用の温水の少なくとも2つの実温度を、少なくとも数時点で検出する工程と、
少なくとも数時点で検出した少なくとも2つの実温度に流体取出し推定アルゴリズムを適用することにより、蓄熱槽から取り出された流体の量を取得する工程と、
蓄熱槽から取り出された流体の取得量と蓄熱槽の最上層温度とに対して直接取出し推定アルゴリズムを適用することにより、蓄熱槽から取り出した熱量または等価温水の量を取得する工程と、を備える。
【0079】
さらに、コンピュータ実装方法において、最上層温度は、蓄熱槽の出口付近に設けた温度センサ、特に実温度センサによって検出してもよく、および/または、上述のコンピュータ実装方法の最上層実温度センサまたは仮想温度センサによって取得してもよい。
【0080】
本発明はさらに、制御ユニットと、コンピュータ実装方法の上述した各工程を実行するよう構成した手段と、を備える家庭用温水製造および/または分配システムを監視および/または制御するコントローラを提供する。
【0081】
本発明はさらに、コントローラ、特に上述のコントローラと、コンピュータ実装方法の上述した各工程を実行するよう構成した手段と、を備える家庭用温水の製造および/または分配を監視および/または制御するシステムを提供する。
【0082】
システムがさらに、
蓄熱槽、特に貯湯槽、より詳細には加圧貯湯槽、と、
貯湯槽の高さ方向に沿って2つの異なる位置に設けられ、貯湯槽に貯めた流体、特に衛生設備用温水の温度を検出するよう構成した少なくとも2つの温度センサと、を備えてもよい。
【0083】
さらに、システムにおいて、少なくとも2つの温度センサの数は、多くても5個、好ましくは多くても4個、さらに好ましくは多くても3個であり、少なくとも2つの温度センサの1つは好ましくは、蓄熱槽の下半分に、さらに好ましくは蓄熱槽の下側三分の一に配置される。
【0084】
コントローラおよびシステムは、コンピュータ実装方法の上述の各工程を実行するよう構成されるので、コンピュータ実装方法に関連して開示したさらなる特徴もこのコントローラおよびシステムに適用され得る。コンピュータ実装方法についても同様である。
【0085】
本発明はさらに、家庭用温水製造および/または分配システムのための上述したコントローラおよび/または家庭用温水製造および/または分配のためのシステムに、家庭用温水製造および/または分配を監視および/または制御するコンピュータ実装方法の上述した各工程を実施させる命令を備えたコンピュータプログラムを提供する。
【0086】
さらに、本発明は、家庭用温水製造および/または分配を監視および/または制御する上述のコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ可読媒体を提供する。
【0087】
これに関して、上述のコンピュータ実装方法は、コンピュータ実装方法の上述した各工程を実施するよう構成したコントローラおよびシステムによってのみ実施できるだけではなく、クラウドコンピューティングによっても実施できる。つまり、特定の蓄熱槽の実温度センサのデータをクラウドに送信し、クラウドは、コンピュータ実装方法の上述した各工程を実行するよう構成されており、取得したデータ(温度分布パターン、蓄熱槽に貯蔵される等価温水、蓄熱槽から取り出された熱および/または等価温水、消費者パターン等)を、家庭用温水を監視および/または制御するための各システムのコントローラおよび/またはユーザに返送する。
【0088】
コンピュータプログラムおよびコンピュータ可読媒体は、家庭用温水の製造および/または分配のための上述のコントローラおよびシステムと関連するので、コンピュータ実装方法、コントローラおよびシステムに関連して開示したさらなる特徴をコンピュータプログラムおよびコンピュータ可読媒体にも適用でき、その逆も同様である。
【図面の簡単な説明】
【0089】
本開示のより完全な理解およびそれによる多くの利点は、添付図面を参照して以下の詳細な説明から容易に得られ、より十分に理解されよう。
【
図1】給湯器システムのための従来の予測システムを示す概略図
【
図2】本開示の第1実施形態に係る、家庭用温水の製造および/または分配を監視および/または制御するシステムの導入段階を示す概略図
【
図3】本開示の第2実施形態に係る、家庭用温水の製造および/または分配を監視および/または制御するシステムのトレーニング段階を示す概略図
【
図4】本開示のさらなる実施形態に係る、
図2のシステムの例示的な信号処理ハードウェア構成を示すブロック図
【
図5】本開示の一実施形態に係る、家庭用温水消費予測を生成するプロセスを示すフロー図
【
図6】本開示のさらなる実施形態に係る、家庭用温水の製造および/または分配を制御するシステムの概略図
【
図7】家庭用温水消費量予測を生成し、それを家庭用温水の製造および/または分配のスマート制御に使用するための3つの異なるモデルを示す概略図
【
図8】本開示の一実施形態に係る、
図2のシステムが蓄熱槽に貯蔵される熱の温度分布パターンTDP
1を取得し、貯蔵された熱量または等価温水の量を決定するプロセスを示すフロー図
【
図9】
図3に示したトレーニング段階におけるシステムのトレーニングプロセスのためのオフラインデータ収集プロセスを示すフロー図
【
図10】本開示の一実施形態に係る、蓄熱槽に貯蔵される熱(EHW,V40)の量を
図2のシステムが決定するプロセスを示すブロック図
【
図11】本開示のさらなる実施形態に係る、蓄熱槽から取り出される熱量を
図2のシステムが決定するプロセスを示すブロック図
【
図12】本開示の一態様に係る、
図10および
図11の温度分布推定器のトレーニングプロセスを示すフロー図
【
図13】本開示のさらなる態様に係る、
図10の直接取出し推定器のトレーニングプロセスを示すフロー図
【
図14】入力層と隠れ層と出力層における人工ニューロンを備えるニューラルネットワークの概略図
【
図15】本開示の一実施形態に係る、ユーザ消費パターン決定アルゴリズムのニューラルネットワークの概略図
【
図16】
図2に示す家庭用温水製造および/または分配を監視および/または制御するためのシステムによって取得される、ユーザ消費パターンを示す図
【
図17】コイルを省略した構成の蓄熱槽を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0090】
<詳細な説明>
本発明のいくつかの実施形態について、図面を参照して以下に説明する。家庭用温水の製造および/または分配分野の当業者には、以下の実施形態の説明が例示のみを目的として提供されており、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示を限定する目的ではないことが明らかであろう。
【0091】
図1は、給湯器システム用の従来の予測システムを示す概略図である。
図1において、温水ヒータ(ボイラ)システム400は、即時監視および予測システムによって機能が拡張されている。一般的な給湯システムは、給湯器460と、外部供給源から冷水を取り入れる冷水取水管480と、(通常、最も高温の温水がある給湯機の頂部付近に位置する)給湯器から家全体(例えば、浴室、台所、洗濯室など)に分配するための複数の管を備える家庭用システムへとつながる温水出口管470と、を含む。システムは、給湯機に取り付けた3つのセンサからデータを収集するが、そのうち第1温度センサ(C)450は、取水ライン480内の水温を測定し、第2温度センサ(H)440は、給湯器から出る温水出口管内の水温を測定し、流量計(X)430は、冷水取水ラインを通って給湯器に流入する水の流量を測定する。給湯機システムがクローズドシステムであれば、取水ラインまたは排水ラインのいずれにも流量センサを設置できる。このシステムは、センサからの入力を分析し、利用可能な温水の量を計算し、好ましくはシャワーまたは浴室などの入浴エリアに配置される表示ユニット410上に利用可能な水のリアルタイム推定値を表示する。
【0092】
図2は、本開示の第1実施形態に係る、家庭用温水の製造および/または分配を監視および/または制御するシステムの導入段階を示す概略図である。図示したシステムは、家庭用温水の製造および分配を監視および制御するためのコントローラ1と、温水(特に40℃以上に加熱された水)を貯蔵するための蓄熱槽20と、蓄熱槽20に蓄えた温水の温度を検出するための5つの温度センサ10A~10Bと、を備える。
【0093】
さらに、
図2に示すように、好ましくは加圧槽である蓄熱槽20は、槽の下半分に配置したコイルまたは装荷コイル(loading coil)を備える。あるいは、槽はコイルのない構成であってもよく、その場合、熱交換器/熱源を槽の外部に配置または、槽の一部とすることができる。この場合、
図17のように温水を注入して循環させる。
【0094】
蓄熱槽20や貯湯槽に蓄えた温水の温度分布は層状(成層状)になっており、底部付近の水が冷たい場合でも(40℃以下)、槽からは温水が取り出せる。蓄熱槽20に蓄えた温水を加熱するための熱源が例えばヒートポンプである場合、供給する温水の温度は槽の下半分の水温よりわずかに(ΔT、約3°C)高い温度であればよいので、槽加熱の初期段階でより良いCOPにてヒートポンプは動作可能である。
【0095】
さらに、蓄熱槽20に蓄えた温水は層状になっているため、槽の底部から頂部に向かって連続的に温度が上昇し、特徴的な温度分布パターンとなる。温度が槽の底部から頂部に向かって上昇するため、貯湯槽20の高さ方向に沿って異なる位置に設けた温度センサ10A~10Eは、各センサの位置・高さに応じて異なる温度を測定する。
【0096】
図示した貯湯槽20には、外部供給源から冷水を導入する冷水取水口/入口22Aと、貯湯槽20から温水を取り出すための温水排出口/出口22Bとが設けられる。入口22Aは、槽の底部側の3分の1に設けられ、出口22Bは、最も温度の高い温度が存在する槽の頂部近くに位置する。出口22Bからの温水は例えば、家全体に分散させるための複数の管によって家庭に分配できる。
【0097】
さらに、図示のシステム100は、装荷コイルを通って流れる流体(加熱流体)の入口温度および出口温度を検出するための一対の温度センサ15、16をさらに備える。
【0098】
このシステムは、コントローラ1により、(実)温度センサ10A~10Eを用いて、貯湯槽20に貯蔵される層状温水の5箇所の(実)温度T1R_t0~T5R_t0を取得する。取得した5箇所の実温度T1R_t0~T5R_t0に基づいて、システムはさらに、貯湯槽20に蓄えた熱の温度分布パターンTDP1と、それに対応する熱分布パターンデータとを取得する。温度分布パターンTDP1および対応する熱分布パターンデータを決定するために、コントローラ1は、以下でより詳細に説明する温度分布パターンアルゴリズムを適用する。次いで、取得した熱分布パターンアルゴリズムに基づいて、コントローラ1は、貯湯槽20に蓄える熱量、特に等価温水の量を決定する。これは、取得した温度分布パターン(TDP1)に熱推定アルゴリズムを適用して行ってもよい。
【0099】
上述した処理を経時的に繰り返すと、特に槽20から一定量の温水が取り出された後や、周囲環境への熱損失により槽20に貯留された温水の温度が低下した後には、システムは、複数の温度分布パターンTDP1、TDP2~TDPnを取得可能である。取得した温度分布パターンTDP1、TDP2~TDPnに基づいて、コントローラは、取得した温度分布パターンTDP1、TDP2~TDPnに間接取出し推定アルゴリズムを適用することによって、貯湯槽20内の残存熱量と、蓄熱槽から取出される熱量、特に等価温水の量とを決定することができる。
【0100】
図3は、本開示の第2実施形態に係る、特に
図2に示す家庭用温水の製造および/または分配を監視および/または制御するためのシステムのトレーニング段階の概略図である。図示したシステムは、
図2に示したシステムに関して上述したすべての構成要素を備える。さらに、このシステムは、トレーニングのために、貯湯槽20の高さ方向に沿って異なる位置に配置した追加の20個の(実)温度センサと、貯湯槽20から取り出される温水の流量を測定する流量センサ30と、コイルを流れる流体(加熱流体)の流量を測定する流量センサ31と、を有する。
【0101】
先に説明したように、このシステム100は、蓄熱槽や貯湯槽20に蓄えた熱や温水の温度分布パターンを取得したり、決定したり、シミュレーションしたりするためにこのシステムをトレーニングするのに使用される。システムのトレーニング、特に温度分布パターンアルゴリズム、熱推定アルゴリズム、間接取出し推定アルゴリズム、回帰アルゴリズムについて、以下でさらに詳しく説明する。
【0102】
図4は、
図2のコントローラ1として機能するように構成され得る、本開示のさらなる実施形態による、
図2のシステムの例示的な信号処理ハードウェア構成を示すブロック図である。プログラム可能な信号処理ハードウェア200は、通信インタフェース(I/F)210を備え、上述した(実)温度センサ10A~10Eの(実)温度データを受信し、貯湯槽20の温度測定を行うよう家庭用温水製造および/または分配を監視および/または制御するシステム100に対する命令を生成し、(実)温度センサ10A~10Eから測定データを受信し、蓄熱槽20に貯蔵される熱の温度分布パターンTDPおよび対応する熱分布パターンデータを決定し、任意選択的に蓄熱槽に貯蔵される熱量を決定するおよび/または蓄熱槽から取り出される熱量を決定し、熱分布パターン、蓄熱槽に貯蔵された熱量および/または蓄熱槽から取り出された熱量を表示するよう表示装置215を制御する表示制御信号を出力する。信号処理装置200は、さらに、制御ユニット2であるプロセッサ(例えば中央処理装置(CPU)またはグラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU))220と、作業メモリ230(例えばランダムアクセスメモリ)と、命令記憶部240と、任意選択的に表示制御信号生成器と、を備え、命令記憶部240は、プロセッサ220によって実行されると家庭用温水製造および/または分配を監視および/または制御するシステム100の機能を含む種々の機能をプロセッサ220に実行させるコンピュータ可読命令を含むコンピュータプログラムを記憶する。命令記憶部240は、コンピュータ可読命令が予め書き込まれている(例えば、電気的に消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリ(EEPROM)またはフラッシュメモリの形式の)ROMを備えてもよい。あるいは、命令記憶部240は、RAMまたは同様の種類のメモリを備えてもよく、コンピュータプログラムのコンピュータ可読命令は、CD-ROMやDVD-ROMといった形式の非一時的コンピュータ可読記憶媒体250等のコンピュータプログラム製品から、またはコンピュータ可読命令を伝送するコンピュータ可読信号260から、命令記憶装置240へと入力可能である。いずれの場合も、プロセッサによって実行されると、コンピュータプログラムは、記載した家庭用温水製造および/または分配を監視および/または制御するための各方法のうちの少なくとも1つをプロセッサに実行させる。なお、コントローラ1は、特定用途向け集積回路(ASIC)等の非プログラマブルハードウェアにおいても実装可能である。
【0103】
本開示の本実施形態に関して、プロセッサ220と、作業メモリ230と、家庭用温水製造および/または分配を監視および/または制御するシステム100の機能を実行するよう構成する命令記憶装置240と、から構成される
図4に示すハードウェア構成要素の組み合わせ270について以下に詳細に説明する。システム100が表示制御信号生成器を備える本発明の本態様等の態様において、この任意選択的な構成要素の機能は、通信I/F210とともにハードウェア構成要素の組み合わせ270によっても提供される。
【0104】
本態様のコントローラ1および/またはシステム100によって実行される動作の以下の説明から分かる通り、蓄熱槽または貯湯槽に貯蔵される熱のまたは等価温水の非常に正確な熱分布パターンTDPを決定するために、コントローラ1および/またはシステム100は、それぞれのセンサによって取得される温度および/または温度データ、任意選択的に流量および/または流量データを自動的に処理する。
【0105】
図5は、本開示の一実施形態に係る、家庭用温水消費予測を生成するプロセスを示すフロー図である。
【0106】
図6は、本開示のさらなる実施形態に係る、家庭用温水の製造および/または分配を制御するシステムの概略図である。
【0107】
図7は、家庭用温水消費予測を生成し、それを家庭用温水の製造および/または分配のスマート制御に使用するための3つの異なるモデルを示す概略図である。
【0108】
図8は、
図2のシステム100が蓄熱槽20に貯蔵される熱の温度分布パターンTDP
1を取得し、タンク20に貯蔵されたそして任意選択的に蓄熱槽20から取り出された熱量または等価温水の量を決定するプロセスを示すフロー図である。また、
図5は、蓄熱槽20から取り出された熱量または等価温水の量を取得するための代替プロセスを示している。
【0109】
図8のプロセスS10においては、コントローラ1、特に制御ユニット2は、温度データ、特に少なくとも2つの実温度データを受信する。2つの実温度データのそれぞれには、貯湯槽20に配置され槽20に貯蔵された温水の温度を検出するよう構成した実温度センサからの、複数の時点(履歴)での複数の実温度測定値(T
1R_t0,T
2R_t0;T
1R_t0-1,T
2R_t0-2;T
1R_t-n,T
2R_tn)が含まれる。
【0110】
図8のプロセスS15Aにおいて、コントローラ1、特に制御ユニット2は、少なくとも数時点で検出した少なくとも2つの実温度に仮想温度センサアルゴリズムを適用することによって、貯湯槽20に貯蔵される温水の、複数の仮想温度(T
1V_t0,T
2V_t0,・・・T
NV_t0)を取得する。
【0111】
図8のプロセスS20Aにおいて、コントローラ1、特に制御ユニット2は、取得した少なくとも2つの実温度(T
1R_t0,T
2R_t0;T
1R_t0-1,T
2R_t0-2;T
1R_t-n,T
2R_tn)と取得した複数の仮想温度(T
1V_t0,T
2V_t0,・・・T
NV_t0)とに温度分布パターンアルゴリズムを適用することによって、貯湯槽20に貯蔵される温水の(第一)温度分布パターンTDP
1を取得する。使用する機械学習温度分布パターンアルゴリズムは、
図3を参照して説明したトレーニング/シミュレーションのための上記システム100を用いて、すでにトレーニングしたアルゴリズムである。温度分布パターンアルゴリズムのトレーニング/機械学習については、
図9、
図10および
図11を参照して以下でより詳細に説明する。
【0112】
さらに、
図8のプロセスS30Aにおいて、コントローラ1、特に制御ユニット2は、取得した温度分布パターンTDP
1に熱推定アルゴリズムを適用することによって、蓄熱槽または貯湯槽20に貯蔵される熱量、特に等価温水の量を決定する。
【0113】
さらに、
図8において示す(破線で示す)任意選択的なプロセスにおいて、S40AでプロセスS20が少なくとも一回繰り返され、これにより、上述した温度分布パターンアルゴリズムを少なくとも2セットの取得温度(T
1R_t0,T
2R_t0,T
1V_t0,T
2V_t0,・・・T
NV_t0;T
1R_t0-1,T
2R_t0-1,T
1V_t0-1,T
2V_t0-1,・・・T
NV_t0-1)に適用することによって、少なくとも2つの温度分布パターンTDP
1,TDP
2を決定する。
【0114】
(破線で示す)さらなる任意選択的なプロセスとして、
図8に示すプロセスS50Aにおいて、取得した2つの温度分布パターンTDP
1,TDP
2に間接取出し推定アルゴリズムを適用することによって、蓄熱槽または貯湯槽20から取り出される熱量および/または等価温水の量を決定する。
【0115】
図3を参照して上述した通り、システム100(トレーニングシステム)のトレーニング段階において、システム100には、少なくとも2つの(実)温度センサだけでなく、例えば25個の(実)温度センサが配置される。したがって、システム100のトレーニング段階(機械学習段階)では、コントローラ1は、25個の温度データT
1_t0、T
2_t0…T
25_t0を受信する。
【0116】
図9は、
図3に示したトレーニング段階におけるシステム、特にシステムの人工ニューラルネットワークのトレーニングプロセスのためのオフラインデータ収集プロセスを示すフロー図である。「オフラインデータ収集」とは、ニューラルネットワークと対応するアルゴリズムとのトレーニングに必要なデータを、トレーニングを実際に実行する前に収集することを意味する。つまり、必要なデータすべてを、1日、1週間、または数か月などの指定された期間中にまず収集する。必要なデータを収集した後、データを前処理し、ニューラルネットワークに入力してトレーニングする。
【0117】
図9のプロセスS100において、コントローラ1、特に制御ユニット2(プロセッサ)は、貯湯槽20の高さ方向に沿って配置した25個の実温度センサ10A~10XYを用いて、貯湯槽20に貯蔵される温水の25個の実温度データT
1_t0~T
25_t0を受信する。
【0118】
図9のプロセスS110において、コントローラ、特に制御ユニット2は、取得した温度T
1_t0,T
2_t0…T
1_t25-0を上述した温度分布パターンアルゴリズムを用いて処理することにより、貯湯槽20に貯蔵される温水の温度分布パターンTDP
1を決定する。
【0119】
図9のプロセスS120において、貯湯槽の出口に配置した流量センサ30と、槽最上部温度センサ10XY(実センサおよび仮想センサ中で最上部にあるセンサ)とを用いて、ある量の熱(kWh)および/またはある量の等価温水(l)が貯湯槽から取り出される。さらに、任意選択的に、コイル21を通る流体の流量をコイルの流量センサ31によって測定しつつ、流体の入口温度と出口温度とをコイル21の入口温度センサ15と出口温度センサ16とによって測定しながら、コイル21を介して貯蔵温水を加熱(kWh)する。
【0120】
さらに、
図9のプロセスS130において、貯湯槽20に貯蔵される温水の新しい温度T
1_t1~T
25_t1を取得し、プロセスS140において、プロセスS110と同様に、貯湯槽20に貯蔵される温水の温度分布パターンTDP
2を、取得した新しい温度T
1_t1~T
25_t1を用いて決定する。
【0121】
ニューラルネットワークをトレーニングするのに十分なデータを取得および/または収集できるまで、上記のプロセスを連続的に繰り返す。
図9のプロセスS150において、取得および/または収集したデータを用いて、人工ニューラルネットワークをトレーニングする。
図12および
図13を参照して、トレーニングについて以下により詳細に説明する。
【0122】
図10は、蓄熱槽に貯蔵される熱(t
0での残留等価温水(EHW,V40))の量を
図2のシステム100が決定する、本発明の一態様に係るプロセスを示すブロック図である。
図10に示すように、少なくとも2つの実温度センサ10A,10B(本態様ではセンサ1、センサ2およびセンサ3)によって実温度が検出され、コントローラ1、特にコントローラ1または制御ユニット2の前処理器によって受信される。
【0123】
前処理器は、それぞれの蓄熱槽20に対して最良のサブセットを取り込んで、センサ1~3から受信した実温度および/または温度データを前処理し、新しい特徴量を計算する。新しい特徴量を計算するとは、前処理器が、履歴(例えばセンサ1~3によって過去に測定された実温度)を用いて、例えば28個のデータからなるデータパッケージを提供することを意味する。
【0124】
次のステップでは、スケーラは、ニューラルネットワークのモデルの準備として特徴量をスケールダウンする。スケーリングされた特徴量は、上述したようにトレーニング済みであって
図12および
図13を参照して後により詳細に説明する(人工)ニューラルネットワーク(ANN)へと入力される。この(人工)ニューラルネットワークは、例えば40個のノードからなる2つの隠れ層で構成され、受信した特徴量に基づいて(上述したトレーニングシステムの)残る22個の仮想センサを推定する。その後、アンスケーラが特徴量を元の範囲に戻すようスケーリングし、結合器(joiner)によって3つの実センサ1~3のデータを22個の仮想センサのデータと結合する。
【0125】
結合器からのデータは、貯湯槽の温度分布パターンTDPを決定するための温度分布推定器に入力される。
【0126】
結合器のデータはさらに補間器に送信され、補間器は、後で変換または計算される熱/等価温水(EHW,V40)におけるアーティファクト(artefacts)を除去するために、温度分布パターンTDPを決定するために用いられる仮想センサの数を増やす。
【0127】
さらに、補間器の後、決定したデータは、温水変換装置(EHW,V40)へと送信され、その後、補間器がすべてのアーティファクトを除去できていない場合には任意選択的に出力(EHW,V40)をさらに平滑化するためのフィルタによって処理される。
【0128】
最後の任意選択的なステップにおいて、コイルを通過する流体の流れを検出するように構成した流量センサによって検出されるコイルフロー(l/min)を用いて、間接取出し推定器により取り出しを推定する。これにより、貯湯槽20から取り出される熱(kwh)および/または等価温水(EHW,V40)を推定することが可能になる。貯湯槽20から取り出された熱(kwh)および/または等価温水(l)を推定する際、間接取出し推定器は、周囲環境への伝熱による熱損失を除去または補正してもよく、ヒートコイル21を介した加熱によって貯湯槽20に加わる熱を除去または補正してもよい。
【0129】
図11は、
図2に示したシステム100が蓄熱槽から取り出される熱量および/または等価温水(EHW,V40)の量を直接決定する、本発明のさらなる態様に係るプロセスを示すブロック図である。
図11に示すプロセスまたはシステム(制御ユニット)は、間接取出し推定器を除く、
図10に示したプロセスまたはシステムのすべての特徴/ステップもしくは構成要素を備える。
【0130】
さらに、図示したプロセスは、蓄熱槽から取り出される熱量および/または等価温水(EHW、V40)の量を直接決定するための第2(並列)プロセスラインを備える。図示のように、センサ1~3によって検出された3つの実温度は、第2前処理器へと入力され、第2前処理器は、それぞれの蓄熱槽20に対して最良のサブセットを取り込んで、実温度を前処理して新しい特徴量を計算する。この特徴量には、新たに入力した実温度と、予め入力された実温度(履歴)とが含まれる。
【0131】
第2スケーラは、第2(人工)ニューラルネットワーク(ANN_2)の第2モデルの準備として特徴量をスケールダウンする。第2(人工)ニューラルネットワーク(ANN_2)は、特に
図13を参照して以下に説明するようにトレーニングされ、例えば40個のノードからなる2つの異なる層で構成され、槽から取り出される温水の量を推定する。ここでは、取り出す水に蓄えられたエネルギーを示さずに水の量だけが推定される。その後、アンスケーラは、その特徴量を元の範囲に戻すようスケーリングし、取り出した温水の推定量を直接取出し推定器へと提供する。
【0132】
直接取出し推定器は、(第2ニューラルネットワークによって提供される)推定取出し温水量と、25個のセンサ(22個の仮想センサ+3個の実センサ)のうちの最上部にある温度センサにより検出される(貯湯槽から取り出す温水の実温度と考えられる)最上層温度とを使用して、貯湯槽から取り出された熱および/または等価温水を推定する。貯湯槽20から取り出された熱または等価温水を推定する際、直接取出し推定器は、周囲環境への伝熱による熱損失を除去または補正してもよい。ここで、第1ニューラルネットワークの22個の仮想センサのうちの1つの代わりに、実際に設置した温度センサを使用することも可能である。これにより、取出す熱または等価温水の決定の際に第1ニューラルネットワークが不要となる。
【0133】
図12は、本発明の一態様に係る、
図10および
図11の温度分布推定器のトレーニングプロセスを示すフロー図である。図示するように、第一ステップにおいて、入力層における数(実センサの数×履歴(利用可能なデータの数;複数の時点))と、隠れ層における数と、出力層における数(仮想センサの数)とが初期化される。次のステップでは、人工ニューラルネットワーク(ANN)が生成され、ANNの重みは、最初にランダム値に設定される。
【0134】
次のステップでは、トレーニング入力値(オフラインデータ収集プロセスで収集されたデータ)に対して各層の出力値が計算され、推定値(温度)と実際の値(温度)に基づいて出力層の誤差が計算される。
【0135】
計算した誤差に基づいて、ANNの出力層と隠れ層の重みの新しい値(更新値)が計算および設定される。次に、更新した重みを用いて、トレーニング入力を使用した各層の出力の計算が繰り返される。計算した誤差が必要なしきい値を下回るまでこの処理を行う。閾値に達すると、人工ニューラルネットワークのトレーニングを終了できる。
【0136】
上記のプロセス中に、実センサと仮想センサの数と位置、履歴(数時点での温度設定値の数)、最適な層数と最適な重みとを最適化できる。つまり、ニューラルネットワークのトレーニング中に使用する、たとえば25個のセンサのうち、少なくとも2個のセンサを実際のセンサとして選択するが、実際に測定した温度分布パターンと比較したとき温度分布パターンを推定する精度に関して総合的に最良の結果をもたらす2個のセンサを実際のセンサとして選択する。同じことが、実センサと仮想センサの数、考慮すべき以前のデータセット(履歴)の数、人工ニューラルネットワークの層数と層サイズとにも当てはまる。
【0137】
図13は、本発明のさらなる態様に係る、
図11の直接取出し推定器のトレーニングプロセスを示すフロー図である。このプロセスは、温度値(温度分布パターン)の代わりに貯湯槽から取り出す温水の量を推定するおよび/またはトレーニングすることを除いて、
図12に示す機械学習プロセスと基本的に同じである。したがって、出力層における誤差を計算するステップにおいて、貯湯槽から取り出された熱および/または等価温水の推定量を、流量センサによって、もしあれば温度センサによって測定される実際の値と比較する。このトレーニングプロセスにより、
図11の第2ニューラルネットワークをトレーニングする。
【0138】
上述した回帰アルゴリズムは、本態様と同様にニューラルネットワークであってもよい。ニューラルネットワークは、入力データ(例えば温度センサ10A~10XYによって検出される温度データ、ヒートコイル温度センサ15,16によって検出されるヒートコイル入力温度データおよび/または出力温度データ、流量センサ30、31によって検出される流量データ)を事前知識なしに処理することによって、識別特性を自動生成する。
【0139】
図14に示すように、一般にニューラルネットワークは、入力層と出力層、および複数の隠れ層で構成される。各層は複数の人工ニューロン(
図14でAからFを付す)で構成され、各層は入力に対して様々な種類の変換を実行してもよい。各人工ニューロンを、隣接する層の複数の人工ニューロンに接続してもよい。各人工ニューロンの出力は、その入力の和に関する非線形関数によって計算される。複数の人工ニューロンとそれらの間の接続には通常、特定の接続における信号の強度を決定するそれぞれの重み(
図14のWAD、WAEなど)が与えられる。これらの重みは、学習の進行に応じて調整され、それによってニューラルネットワークの出力が調整される。信号は最初の層(入力層)から最後の層(出力層)まで移動し、各層を複数回通過してもよい。
【0140】
図15は、本開示の一実施形態に係る、ユーザ消費パターン決定アルゴリズムのニューラルネットワークの概略図である。
【0141】
図16は、
図2に示す家庭用温水製造および/または分配を監視および/または制御するためのシステムによって取得される、ユーザ累積消費パターンを示す図である。
図16は、平日と週末の消費されたまたは取り出された等価温水の量(m
3)を示す図である。
図16からわかるように、取得した消費パターン(経時的)は、日中だけでなく、たとえば平日と週末とでも変化する。
【0142】
また、
図17は、コイルを省略した構成の蓄熱槽を示す模式図である。
【符号の説明】
【0143】
1 コントローラ
2 制御ユニット
10A (第1) 実温度センサ
10B (第2) 実温度センサ
10E (第5) 実温度センサ
15 入口温度センサコイル
16 出口温度センサコイル
20 蓄熱槽
21 ヒートコイル
22A 入口/冷水取水口
22B 出口/温水排出口
30 排出温水流量センサ
31 加熱流体流量センサ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0144】
【特許文献1】US 2015/0226460 A1
【非特許文献】
【0145】
【手続補正書】
【提出日】2023-12-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
家庭用温水のユーザ消費パターン(UCP)を取得するコンピュータ実装方法であって、
第1期間(T1)内に蓄熱槽(20)、特に加圧槽から取り出される熱量(ΣQ
T1)、特に等価エネルギー量を表すデータを取得する工程(S10)と、
多数の第1期間(T1)にわたって前記蓄熱槽(20)から取り出した熱量(ΣQ)、特に累積熱量を表すデータの第1履歴(H
1)またはデータ集を生成する工程(S20)と、
前記蓄熱槽(20)から取り出した熱量(ΣQ)を表すデータの前記生成した第1履歴(H
1)またはデータ集に、ユーザ消費パターン決定アルゴリズムを適用することにより、家庭用温水のユーザ消費パターン(UCP)を取得する工程(S30)と、を備え、
前記ユーザ消費パターン決定アルゴリズムは、(前記蓄熱槽(20)または同等の複数の蓄熱槽から)取り出した熱量(ΣQ)を表す履歴(または複数の履歴)またはデータ集(または複数のデータ集)でトレーニングされ、一以上の機械学習アルゴリズムでユーザ消費パターンを定義するアルゴリズム、特に時系列予測アルゴリズムである、
コンピュータ実装方法。
【請求項2】
多数の第1履歴(H
1)またはデータ集にわたって前記蓄熱槽(20)から取り出した熱量(ΣQ)を表すデータの第2履歴(H
2)またはデータ集を生成する工程(S40)をさらに備え、
前記第1履歴(H
1)またはデータ集は、好ましくは1日すなわち24時間の期間にわたり、前記第2履歴(H
2)またはデータ集は、好ましくは1週間すなわち7日すなわち168時間の期間にわたる、
請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項3】
前記第1期間(T1)は、1週間、2日、1日、12時間、8時間、6時間、4時間、1時間、30分、10分または1分にわたり、および/または
前記第1履歴(H
1)またはデータ集の前記第1期間(T1)の(所定の)数は、1、2、3、4、6、24、48、144、または1440である、
請求項1または2に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項4】
前記消費パターン決定アルゴリズムは、
第2期間(T2)にわたって複数のユーザまたは世帯が取り出す熱量(ΣQ)を表す履歴データまたはデータ集(複数のデータ集)、および
特に取り出された熱量(ΣQ)を表すデータの各履歴またはデータ集内の、特にそれぞれの第1期間(T1)の1日のうちの時間、
でトレーニングされる、
請求項1または2に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項5】
前記消費パターン決定アルゴリズムは、
第2期間(T2)にわたってユーザまたは世帯が前記蓄熱槽(20)から取り出した熱量(ΣQ)を表す履歴データまたはデータ集(複数のデータ集)、および
特に取り出された熱量(ΣQ)を表すデータの各履歴またはデータ集内の、特にそれぞれの第1期間(T1)の一日のうちの時間、
でトレーニングされる、
請求項1または2に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項6】
前記(所定の)第2期間(T2)が、30日、60日、90日、180日、1年または2年にわたる、
請求項
4に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
前記消費パターン決定アルゴリズムはさらに、
特に各第1期間(T1)の、および/または取り出された熱量(ΣQ)を表すデータの各履歴またはデータ集の曜日(day of week)、および/または、
特に各第1期間のおよび/または各履歴データまたはデータ集の、一年のうちの日付および/または一年のうちの週および/または一年のうちの月、および/または
特に各第1期間(T1)の、および/または取り出された熱量(ΣQ)を表すデータの各履歴またはデータ集の気象条件、および/または、
特に各第1期間(T1)の、および/または取り出された熱量(ΣQ)を表すデータの各履歴またはデータ集の外気温度、および/または、
特に各第1期間(T1)の、および/または取り出された熱量(ΣQ)を表すデータの各履歴またはデータ集の前記ユーザまたは世帯の休暇状況、および/または、
特に各第1期間(T1)の、および/または取り出された熱量(ΣQ)を表すデータの各履歴またはデータ集のエネルギー価格、および/または、
特に各第1期間(T1)の、および/または取り出された熱量(ΣQ)を表すデータの各履歴またはデータ集のグリーンエネルギー利用可能性、および/または、
特に各第1期間(T1)の、および/または取り出された熱量(ΣQ)を表すデータの各履歴またはデータ集の地理的位置、および/または、
特に各第1期間(T1)の、および/または取り出された熱量(ΣQ)を表すデータの各履歴またはデータ集の文化的要因、
でトレーニングされる、
請求項
4に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項8】
前記ユーザ消費パターン決定アルゴリズムはさらに、前記ユーザ消費パターン(UCP)を決定する際にメタデータを考慮し、前記メタデータは、居住者の数、前記居住者(複数の居住者)の年齢、前記居住者の平均年齢、前記居住者の性別、地理的位置、文化的要因、年間温水消費量からなるグループから選択される、
請求項1または2に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項9】
前記ユーザ消費パターン決定アルゴリズムはさらに、
少なくとも1つの前記メタデータに基づいて、前記ユーザまたは世帯を所定のクラスターまたはグループに割り当てる工程と、
前記割り当てたクラスターまたはグループに基づいて、ユーザ消費パターン決定サブアルゴリズムを決定する工程と、
を備え、
前記ユーザ消費パターン決定サブアルゴリズムは、少なくとも1つの同じ前記メタデータを有する複数のユーザまたは世帯のデータに基づいてトレーニングされたものであることが好ましい、
請求項8に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項10】
ユーザ消費パターン決定サブアルゴリズムが決定された後、取得した第1履歴(H
1)データまたはデータ集(または複数のデータ集)および/または第3期間(T3)にわたって前記ユーザまたは世帯によって取り出された熱量(ΣQ)を表す第2履歴(H
2)データまたはデータ集(または複数のデータ集)に基づいて、前記事前に設定したユーザ消費パターン決定サブアルゴリズムをトレーニングすることによって、個別ユーザ消費パターン決定アルゴリズムを生成し、
前記第3期間(T3)は好ましくは、1日、2日、10日、30日、60日、90日、180日、1年または連続的な期間にわたる、
請求項9に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項11】
前記ユーザ消費パターン決定アルゴリズムは、朝シャワーを浴びること、夕方シャワーを浴びること、夕方入浴すること、シャワーまたは入浴のために平均熱量(ΣQ)、特に等価エネルギー量を使用すること、を含む個々のユーザの習慣を決定するようにトレーニングされる、
請求項1または2に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項12】
家庭用温水の消費予測を生成するコンピュータ実装方法であって、
請求項1または2に記載のコンピュータ実装方法を用いて、家庭用温水のユーザ消費パターン(UCP)を取得する工程と、
前記取得したユーザ消費パターン(UCP)に家庭用温水消費予測アルゴリズムを適用することにより、前記家庭用温水消費予測を生成する工程と、
を備える、
コンピュータ実装方法。
【請求項13】
前記家庭用温水消費予測アルゴリズムは、前記家庭用温水消費予測を生成する際に検出された偏差を考慮し、
前記偏差は好ましくは、前記ユーザまたは世帯の休暇状況、気象条件、平均よりも早い時間のシャワーのような予期せぬイベント、来客、パーティーなどを備える、
請求項12に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項14】
偏差が検出された場合、前記家庭用温水消費予測を自動的に調整する、および/または、前記検出した偏差を好ましくは制御端末を介して前記ユーザが確認することを要求され、前記ユーザの確認および/または入力に応じて、前記家庭用温水消費予測を調整する、
請求項13に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項15】
前記家庭用温水消費予測は、10分、30分、1時間、2時間、4時間、6時間、または12時間の第4期間(T4)に対して決定される、
請求項
12に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項16】
前記ユーザまたは世帯の休暇、来客、パーティーなどのイベントは、カレンダーなどのオンラインデータにアクセスすることによって、および/または好ましくは(リモート)制御端末を介して、前記ユーザの入力によって決定される、
請求項
12に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項17】
特に家庭用温水を製造および/または分配するためのシステム(100)を制御することによって、家庭用温水の製造および/または分配を制御するコンピュータ実装方法であって、
請求項
12に記載のコンピュータ実装方法を使用して、家庭用温水消費予測を生成する工程と、
前記生成した家庭用温水消費予測に基づいて、家庭用温水の製造および/または分配を制御する工程と、
を備える、
コンピュータ実装方法。
【請求項18】
前記蓄熱槽(20)に貯蔵されるべき制御期間T_periodにわたる熱量は、前記生成した家庭用温水消費予測に基づいて決定される、
請求項17に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項19】
前記蓄熱槽(20)に貯蔵されるべき制御期間T_periodにわたる熱量は、前記生成した家庭用温水消費予測に熱制御アルゴリズムを適用して決定され、
前記熱制御アルゴリズムは好ましくは、トレーニング済みのアルゴリズムである、
請求項
17に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項20】
前記熱制御アルゴリズムは、電気エネルギー価格(動的価格、使用時間料金など)、地域エネルギーまたはグリーンエネルギーの利用可能性、気象状況、エネルギー二酸化炭素排出量(energy carbon footprint)、天気予報などに基づいてトレーニングされる、
請求項
17に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項21】
家庭用温水消費予測を生成するためのコントローラ(1)であって、
制御ユニット(2)と、
請求項
12に記載の方法の各工程を実施するよう構成した手段と、
を有する、
コントローラ(1)。
【請求項22】
特に家庭用温水を製造および/または分配するためのシステム(100)を制御することによって、家庭用温水の製造および/または分配を制御するコントローラ(1)であって、
制御ユニット(2)と、
請求項
17に記載の方法の各工程を実施するよう構成した手段と、
を有する、
コントローラ(1)。
【請求項23】
家庭用温水の製造および/または分配システム(100)であって、
コントローラ、特に請求項21に記載のコントローラ(1)と、
請求項
17に記載の方法の各工程を実施するよう構成した手段と、
を備える、
システム。
【請求項24】
蓄熱槽(20)、特に貯湯槽(20)、より詳細には加圧槽、と、
前記蓄熱槽(20)に蓄えられる熱量、特に等価エネルギー量を決定し、および/または前記蓄熱槽(20)から取り出した熱量、特に等価エネルギー量を決定するよう構成した手段と、
をさらに備える、
請求項23に記載のシステム(100)。
【請求項25】
請求項21の前記コントローラに、請求項
12の方法の各工程を実施させ
る、命令を備える、
コンピュータプログラム。
【請求項26】
請求項25に記載のコンピュータプログラムを記憶した、
コンピュータ可読媒体。
【国際調査報告】