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特表2024-523210重大な情報及び推奨を提示するためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】重大な情報及び推奨を提示するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/00 20060101AFI20240621BHJP
   A61F 2/16 20060101ALI20240621BHJP
   A61B 3/10 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
A61F9/00
A61F2/16
A61B3/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575578
(86)(22)【出願日】2022-07-05
(85)【翻訳文提出日】2023-12-07
(86)【国際出願番号】 IB2022056220
(87)【国際公開番号】W WO2023281400
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】63/219,853
(32)【優先日】2021-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ユーディット ドゥーレ ディーツ
(72)【発明者】
【氏名】ホリア グレク
(72)【発明者】
【氏名】ジョン アルフレッド キャンピン
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ ハンター ペティット
(72)【発明者】
【氏名】マルゴールツァータ ルカジーク
(72)【発明者】
【氏名】ペーター ツィーガー
【テーマコード(参考)】
4C097
4C316
【Fターム(参考)】
4C097AA25
4C097BB01
4C097BB04
4C097MM10
4C316AA08
4C316AA13
4C316AA20
4C316AA26
4C316AA28
4C316FC12
4C316FC21
4C316FZ01
(57)【要約】
処置のためのデータを解析するための眼科システムは、コンピュータを含む。コンピュータは、メモリ、インタフェース装置及びソフトウェアを実行する1つ又は複数のプロセッサを含む。メモリは、処置のための処置情報を記憶し、及びインタフェース装置は、入力を受信し、且つ出力を提供する。1つ又は複数のプロセッサは、処置に関する重大な情報を処置情報から識別し、その重大な情報に対処するための1つ又は複数の推奨を決定し、且つその重大な情報及び1つ又は複数の推奨を、インタフェース装置を介して提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを含む、処置のためのデータを解析するための眼科システムであって、前記コンピュータは、
前記処置のための処置情報を記憶するように構成されるメモリと、
入力を受信し、且つ出力を提供するように構成されるインタフェース装置と、
1つ又は複数のプロセッサであって、
前記処置に関する重大な情報を前記処置情報から識別することと、
前記重大な情報に対処するための1つ又は複数の推奨を決定することと、
前記重大な情報及び前記1つ又は複数の推奨を、前記インタフェース装置を介して提供することと、
を行うためのソフトウェアを実行するように構成される1つ又は複数のプロセッサと、
を含む、眼科システム。
【請求項2】
前記1つ又は複数のプロセッサは、
前記1つ又は複数の推奨のうちの推奨の選択を、前記インタフェース装置を介して受信することと、
前記選択された推奨に関する重大な情報を前記処置情報から識別することと、
前記選択された推奨に関する前記重大な情報に対処するための1つ又は複数の次の推奨を決定することと、
前記選択された推奨に関する前記重大な情報及び前記1つ又は複数の次の推奨を、前記インタフェース装置を介して提供することと、
を行うように更に構成される、請求項1に記載の眼科システム。
【請求項3】
前記1つ又は複数のプロセッサは、
前記処置の変更を、前記インタフェース装置を介して受信することと、
前記変更された処置に関する重大な情報を前記処置情報から識別することと、
前記変更された処置に関する前記重大な情報に対処するための1つ又は複数の次の推奨を決定することと、
前記変更された処置に関する前記重大な情報及び前記1つ又は複数の次の推奨を、前記インタフェース装置を介して提供することと、
を行うように更に構成される、請求項1に記載の眼科システム。
【請求項4】
前記1つ又は複数のプロセッサは、
前記1つ又は複数の推奨に優先順位を付けることと、
前記優先順位を付けられた1つ又は複数の推奨を提示することと、
を行うように更に構成される、請求項1に記載の眼科システム。
【請求項5】
前記重大な情報は、異常情報を含み、前記異常情報は、1つ又は複数の許容可能な値から逸脱する値を含む、請求項1に記載の眼科システム。
【請求項6】
前記重大な情報は、異常情報を含み、前記異常情報は、許容可能なばらつきを超えて異なるパラメータの複数の値を含む、請求項1に記載の眼科システム。
【請求項7】
前記重大な情報は、前記処置に適合しない眼の測定を含む、請求項1に記載の眼科システム。
【請求項8】
前記1つ又は複数の推奨は、前記眼の測定が適合するIOLを含む、請求項7に記載の眼科システム。
【請求項9】
前記1つ又は複数の推奨は、IOLを前記眼の測定に適合させる挿入処置を含む、請求項7に記載の眼科システム。
【請求項10】
前記1つ又は複数の推奨は、前記眼の測定に適合するIOLパラメータを計算するためのIOL式を含む、請求項7に記載の眼科システム。
【請求項11】
前記重大な情報は、前記処置に適合しない医学的状態を含む、請求項1に記載の眼科システム。
【請求項12】
前記1つ又は複数の推奨は、前記医学的状態に適合するIOLを含む、請求項11に記載の眼科システム。
【請求項13】
前記1つ又は複数の推奨は、前記医学的状態に適合するIOLパラメータを計算するためのIOL式を含む、請求項11に記載の眼科システム。
【請求項14】
前記処置は、外科的処置を含む、請求項1に記載の眼科システム。
【請求項15】
前記処置は、診断的処置を含む、請求項1に記載の眼科システム。
【請求項16】
処置のためのデータを解析する方法であって、
メモリにより、前記処置のための処置情報を記憶するステップと、
インタフェース装置により、入力を受信し、且つ出力を提供するステップと、
ソフトウェアを実行するように構成される1つ又は複数のプロセッサにより、前記処置に関する重大な情報を前記処置情報から識別するステップと、
前記1つ又は複数のプロセッサにより、前記重大な情報に対処するための1つ又は複数の推奨を決定するステップと、
前記1つ又は複数のプロセッサにより、前記重大な情報及び前記1つ又は複数の推奨を、前記インタフェース装置を介して提供するステップと、
を含む方法。
【請求項17】
前記1つ又は複数の推奨のうちの推奨の選択を、前記インタフェース装置を介して受信するステップと、
前記選択された推奨に関する重大な情報を前記処置情報から識別するステップと、
前記選択された推奨に関する前記重大な情報に対処するための1つ又は複数の次の推奨を決定するステップと、
前記選択された推奨に関する前記重大な情報及び前記1つ又は複数の次の推奨を、前記インタフェース装置を介して提供するステップと、
を更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記処置の変更を、前記インタフェース装置を介して受信するステップと、
前記変更された処置に関する重大な情報を前記処置情報から識別するステップと、
前記変更された処置に関する前記重大な情報に対処するための1つ又は複数の次の推奨を決定するステップと、
前記変更された処置に関する前記重大な情報及び前記1つ又は複数の次の推奨を、前記インタフェース装置を介して提供するステップと、
を更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記1つ又は複数の推奨に優先順位を付けるステップと、
前記優先順位を付けられた1つ又は複数の推奨を提示するステップと、
を更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
コンピュータを含む、処置のためのデータを解析するための眼科システムであって、前記コンピュータは、
前記処置のための処置情報を記憶するように構成されるメモリであって、前記処置は、外科的処置又は診断的処置を含む、メモリと、
入力を受信し、且つ出力を提供するように構成されるインタフェース装置と、
1つ又は複数のプロセッサであって、
前記処置に関する重大な情報を前記処置情報から識別することであって、前記重大な情報は、1つ又は複数の許容可能な値から逸脱する値及び許容可能なばらつきを超えて異なるパラメータの複数の値を含む異常情報、前記処置に適合しない眼の測定並びに前記処置に適合しない医学的状態を含む、識別することと、
前記重大な情報に対処するための1つ又は複数の推奨を決定することであって、前記1つ又は複数の推奨は、前記眼の測定が適合するIOL、IOLを前記眼の測定に適合させる挿入処置、前記眼の測定に適合するIOLパラメータを計算するためのIOL式、前記医学的状態に適合するIOL及び前記医学的状態に適合するIOLパラメータを計算するためのIOL式を含む、決定することと、
前記1つ又は複数の推奨に優先順位を付けることと、
前記重大な情報及び前記1つ又は複数の優先順位を付けられた推奨を、前記インタフェース装置を介して提供することと、
前記1つ又は複数の推奨のうちの推奨の選択を、前記インタフェース装置を介して受信することと、
前記選択された推奨に関する重大な情報を前記処置情報から識別することと、
前記選択された推奨に関する前記重大な情報に対処するための1つ又は複数の次の推奨を決定することと、
前記選択された推奨に関する前記重大な情報及び前記1つ又は複数の次の推奨を、前記インタフェース装置を介して提供することと、
前記処置の変更を、前記インタフェース装置を介して受信することと、
前記変更された処置に関する重大な情報を前記処置情報から識別することと、
前記変更された処置に関する前記重大な情報に対処するための1つ又は複数の次の推奨を決定することと、
前記変更された処置に関する前記重大な情報及び前記1つ又は複数の次の推奨を、前記インタフェース装置を介して提供することと、
を行うためのソフトウェアを実行するように構成される1つ又は複数のプロセッサと、
を含む、眼科システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、眼科システムに関し、より詳細には、重大な情報及び推奨を提示するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
処置の準備は、大量のデータを評価することを含む。通常、データは、適切な治療を最終的に決定する外科医ではなく、臨床医によって収集される。外科医は、処置に関する重大な情報を見つけるために、多くの場合にガイダンスなしにデータをナビゲートする。重大な情報は、特定が容易でない情報、例えば外れ値の測定及び異常な結果を含み得る。一部の事例では、外科医は、注意すべき重大な情報を見つけられないこともある。
【0003】
このような状況は、外科医が重大な情報を認識しないことにつながる可能性がある。特定の処置を計画する場合、この情報を見逃すと、合併症及び/又は不満足な結果のリスクが増大する可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
特定の実施形態では、処置のためのデータを解析するための眼科システムは、コンピュータを含む。コンピュータは、メモリ、インタフェース装置及びソフトウェアを実行する1つ又は複数のプロセッサを含む。メモリは、処置のための処置情報を記憶し、及びインタフェース装置は、入力を受信し、且つ出力を提供する。1つ又は複数のプロセッサは、処置に関する重大な情報を処置情報から識別し、その重大な情報に対処するための1つ又は複数の推奨を決定し、且つその重大な情報及び1つ又は複数の推奨を、インタフェース装置を介して提供する。
【0005】
実施形態は、以下の特徴の何れも含まないか、1つを含むか、幾つかを含むか又は全てを含むことができる:1つ又は複数のプロセッサは、1つ又は複数の推奨のうちの推奨の選択を、インタフェース装置を介して受信し、選択された推奨に関する重大な情報を処置情報から識別し、選択された推奨に関する重大な情報に対処するための1つ又は複数の次の推奨を決定し、且つ選択された推奨に関する重大な情報及び1つ又は複数の次の推奨を、インタフェース装置を介して提供する。1つ又は複数のプロセッサは、処置の変更を、インタフェース装置を介して受信し、変更された処置に関する重大な情報を処置情報から識別し、変更された処置に関する重大な情報に対処するための1つ又は複数の次の推奨を決定し、且つ変更された処置に関する重大な情報及び1つ又は複数の次の推奨を、インタフェース装置を介して提供する。1つ又は複数のプロセッサは、1つ又は複数の推奨に優先順位を付け、且つ優先順位を付けられた1つ又は複数の推奨を提示する。重大な情報は、1つ又は複数の許容可能な値から逸脱する値を含む異常情報を含む。重大な情報は、許容可能なばらつきを超えて異なるパラメータの複数の値を含む異常情報を含む。重大な情報は、処置に適合しない眼の測定を含む。1つ又は複数の推奨は、眼の測定が適合するIOLを含み得る。1つ又は複数の推奨は、IOLを眼の測定に適合させる挿入処置を含み得る。1つ又は複数の推奨は、眼の測定に適合するIOLパラメータを計算するためのIOL式を含み得る。重大な情報は、処置に適合しない医学的状態を含む。1つ又は複数の推奨は、医学的状態に適合するIOLを含み得る。1つ又は複数の推奨は、医学的状態に適合するIOLパラメータを計算するためのIOL式を含み得る。処置は、外科的処置を含む。処置は、診断的処置を含む。
【0006】
特定の実施形態では、処置のためのデータを解析する方法は、メモリにより、処置のための処置情報を記憶するステップと、インタフェース装置により、入力を受信し、且つ出力を提供するステップと、ソフトウェアを実行するように構成される1つ又は複数のプロセッサにより、処置に関する重大な情報を処置情報から識別するステップと、1つ又は複数のプロセッサにより、重大な情報に対処するための1つ又は複数の推奨を決定するステップと、1つ又は複数のプロセッサにより、重大な情報及び1つ又は複数の推奨を、インタフェース装置を介して提供するステップとを含む。
【0007】
実施形態は、以下の特徴の何れも含まないか、1つを含むか、幾つかを含むか又は全てを含むことができる:本方法は、1つ又は複数の推奨のうちの推奨の選択を、インタフェース装置を介して受信するステップと、選択された推奨に関する重大な情報を処置情報から識別するステップと、選択された推奨に関する重大な情報に対処するための1つ又は複数の次の推奨を決定するステップと、選択された推奨に関する重大な情報及び1つ又は複数の次の推奨を、インタフェース装置を介して提供するステップとを更に含む。本方法は、処置の変更を、インタフェース装置を介して受信するステップと、変更された処置に関する重大な情報を処置情報から識別するステップと、変更された処置に関する重大な情報に対処するための1つ又は複数の次の推奨を決定するステップと、変更された処置に関する重大な情報及び1つ又は複数の次の推奨を、インタフェース装置を介して提供するステップとを更に含む。本方法は、1つ又は複数の推奨に優先順位を付けるステップと、優先順位を付けられた1つ又は複数の推奨を提示するステップとを更に含む。
【0008】
特定の実施形態では、処置のためのデータを解析するための眼科システムは、コンピュータを含む。コンピュータは、メモリ、インタフェース装置及びソフトウェアを実行する1つ又は複数のプロセッサを含む。メモリは、外科的処置又は診断的処置である処置のための処置情報を記憶する。インタフェース装置は、入力を受信し、且つ出力を提供する。1つ又は複数のプロセッサは、処置に関する重大な情報を処置情報から識別する。重大な情報は、1つ又は複数の許容可能な値から逸脱する値及び許容可能なばらつきを超えて異なるパラメータの複数の値を含む異常情報、処置に適合しない眼の測定並びに処置に適合しない医学的状態を含む。1つ又は複数のプロセッサは、重大な情報に対処するための1つ又は複数の推奨を決定する。推奨は、眼の測定が適合するIOL、IOLを眼の測定に適合させる挿入処置、眼の測定に適合するIOLパラメータを計算するためのIOL式、医学的状態に適合するIOL及び医学的状態に適合するIOLパラメータを計算するためのIOL式を含む。1つ又は複数のプロセッサは、1つ又は複数の推奨に優先順位を付け、且つ重大な情報及び1つ又は複数の優先順位を付けられた推奨を、インタフェース装置を介して提供する。1つ又は複数のプロセッサは、1つ又は複数の推奨のうちの推奨の選択を、インタフェース装置を介して受信し、選択された推奨に関する重大な情報を処置情報から識別し、選択された推奨に関する重大な情報に対処するための1つ又は複数の次の推奨を決定し、且つ選択された推奨に関する重大な情報及び1つ又は複数の次の推奨を、インタフェース装置を介して提供する。1つ又は複数のプロセッサは、処置の変更を、インタフェース装置を介して受信し、変更された処置に関する重大な情報を処置情報から識別し、変更された処置に関する重大な情報に対処するための1つ又は複数の次の推奨を決定し、且つ変更された処置に関する重大な情報及び1つ又は複数の次の推奨を、インタフェース装置を介して提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、特定の実施形態による、重大な情報及び推奨を提供し得る眼科データ解析システムの一例を示す。
図2図2は、異常な眼の測定を含む重大な情報を提示するディスプレイの一例を示す。
図3図3は、異なる装置からの一貫性のない眼の測定を含む重大な情報を提示するディスプレイの一例を示す。
図4図4は、処置に適合しない医療情報を提示するディスプレイの一例を示す。
図5図5は、処置に適合しない眼の測定を提示するディスプレイの一例を示す。
図6図6は、処置に適合しない医療情報及び眼の測定を提示するディスプレイの一例を示す。
図7図7は、あるタイプの医療製品の要求を提示するディスプレイの一例を示す。
図8図8は、特定の実施形態による、図1の眼科データ解析システムによって実行され得る、重大な情報及び推奨を提示する方法の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで、説明及び図面を参照して、開示される機器、システム及び方法の実施形態の例が詳細に示される。説明及び図面は、網羅的であること又は他に図示し、説明で開示される特定の実施形態に特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。図面は、可能な実施形態を表すが、必ずしも縮尺通りではなく、実施形態をよりよく示すために、特定の特徴は、簡略化、誇張、除去又は部分的に分割されている場合がある。
【0011】
特定の実施形態では、データ解析システムが処置、例えば外科的処置に関する重大な情報を識別し、重大な情報に対処するための1つ又は複数の推奨を決定する。システムは、重大な情報及び推奨を、インタフェース装置を介してユーザ(例えば、臨床医、技術者又は外科医)に出力する。このようにして、システムは、重大な情報及び推奨をユーザに通知し、それは、合併症及び/又は不満足な結果のリスクを低減させ得る。データ解析は、任意の適切な目的のために実行することができる。例えば、ユーザは、眼科手術を計画するために、診断的処置中に異常を検出するか、又は誤った測定を識別するために重大な情報及び推奨を使用することができる。
【0012】
図1は、特定の実施形態による、重大な情報及び推奨を提供し得る眼科データ解析システム10の一例を示す。図示の例では、データ解析システム10は、データベース22及び1つ又は複数の診断装置24と通信するコンピュータ20を含む。コンピュータ20は、1つ又は複数のプロセッサ30、(コンピュータディスプレイ等)インタフェース31及びデータ解析ソフトウェア34等のアプリケーションを記憶するメモリ32を含む。
【0013】
特定の実施形態では、コンピュータ20は、処置、例えば外科的処置(例えば、眼内レンズ(IOL)を挿入する)の選択を、インタフェース装置を介して受信する。コンピュータ20は、メモリ32の処置情報、例えば外科的処置のための手術計画情報(例えば、眼の軸長AL)にアクセスする。この情報は、データベース22及び/又は1つ若しくは複数の診断装置24から受信され得る。コンピュータ20は、データ解析ソフトウェア34を実行して、処置に関する重大な情報(例えば、軸長が長過ぎること)を識別し、且つ重大な情報に対処するための1つ又は複数の推奨を決定する(例えば、特定のIOL計算式を推奨する)。その後、コンピュータ20は、重大な情報及び推奨をインタフェース31によって出力する。
【0014】
特定の例では、処置情報は、処置、例えば眼科手術処置に関係する任意の適切な情報を含むことができる。例えば、この情報は、眼の生体寸法(例えば、軸長)、生理学的データ(例えば、眼圧)、眼の屈折特性(例えば、屈折率、眼球収差、断層撮影)及び/又は眼の解剖学的特性(例えば、異なる光条件下での瞳孔サイズ、辺縁サイズ)の測定等の特定のパラメータの値を含むことができる。別の例として、この情報は、眼科診断情報(例えば、円錐角膜、緑内障)等の医療情報、患者の人口統計(例えば、女性)、臨床情報(例えば、実験室の試験結果)、症状(例えば、涙目)、現在の治療(例えば、コンタクトレンズ)、投薬(例えば、高血圧の投薬)、病歴(例えば、網膜剥離)、過去の眼科手術(例えば、レーシック手術等の近視角膜屈折矯正手術)及び/又は医療画像(例えば、網膜画像、3Dレンズ画像)等の医療情報を含み得る。更に別の例として、この情報は、計画及び/又は計算ツール(例えば、特定の眼の特性に対する特定のIOL計算式の適用)、手術技法、医療製品(例えば、要求された先端技術の眼内レンズ(AT-IOL))又は他の好み等の患者及び/又は外科医の好みを含み得る。
【0015】
重大な情報は、場合により処置の結果に悪影響を及ぼす情報を含み得る。例えば、外科的処置のための重大な情報は、外科的合併症又は不満足な結果をもたらす可能性のある要因を含むことができる。重大な情報の例は、異常情報(図2及び図3に関して例を説明する)、処置に適合しない要因(図4図6に関して例を説明する)、医療製品に適合しない要因(図7に関して例を説明する)又は場合により処置の結果に悪影響を及ぼす他の情報を含む。
【0016】
コンピュータ20は、重大な情報を識別し、任意の適切な方法で重大な情報に対応するための推奨を決定することができる。特定の実施形態では、コンピュータ20は、以下でより詳細に説明するように、許容できない値又は不適合な値等の重大な情報を識別するために使用される検索基準を記憶する。コンピュータ20は、以下でより詳細に説明するように、識別された重大な情報によって表される状況に対応するための推奨も記憶する。実施形態では、コンピュータ20は、重大な情報を識別するために検索基準を使用して処置情報を検索し、識別された重大な情報に対する推奨を決定するために記憶された推奨にアクセスする。
【0017】
コンピュータ20は、データ解析の結果をインタフェース31によって出力する。特定の実施形態では、データ解析は、眼科処置(例えば、外科的処置又は診断的処置)を計画するために使用される。一部の事例では、データ解析は、外科的処置を実行するために使用される。重大な情報及び推奨は、処置のための選択(例えば、計算推奨、手術技法及び/又は医療製品の選択)を行うために使用することができ、これらは、結果に含まれ得る。結果は、インタフェース31によってユーザに出力され、且つ/又はインタフェース31によって手術システムに送信され得る。他の場合、データ解析は、診断的処置を実行するために使用される。重大な情報は、患者の異常を検出するか、又は欠陥のある測定を識別するために使用することができ、推奨は、異常に対する診断を提案することがあるか、又は潜在的に欠陥のある測定装置を識別し得る。結果は、ユーザがその状況に容易に対処することを可能にするインタフェース31によってユーザに出力することができる。
【0018】
コンピュータ20と通信するコンポーネントに移ると、データベース22は、処置情報を記憶することができる任意の適切なメモリであり得る。診断装置24は、眼の1つ又は複数の特徴を測定する任意の適切な装置であり得る。診断装置の例は、トポグラファ、波面収差計、2D及び3Dに適用可能な光コヒーレンストモグラフィ(OCT)装置、バイオメトリ又は網膜撮像装置、シャインプルーグ撮像装置又は眼の特徴を測定する他の装置を含む。
【0019】
図2及び図3は、異常情報を提示するディスプレイ210(210a、210b)の例を示す。異常情報は、パラメータの許容可能な値から逸脱したパラメータ値を含み得る。例えば、パラメータ値は、1つ又は複数の既定の許容可能な値から逸脱する場合があるか、又は同じパラメータの複数の値が許容可能なばらつきを超えて異なる場合がある。
【0020】
コンピュータ20は、任意の適切な方法で異常情報を識別することができる。特定の実施形態では、コンピュータ20は、パラメータに対する1つ又は複数の許容可能な値(例えば、1つ又は複数の値又は値域として与えられる)を表す検索基準にアクセスし、パラメータのインスタンスについて処置情報を走査し、許容できない値を検出することができる。特定の実施形態では、コンピュータ20は、測定値の許容可能なばらつきを表す検索基準にアクセスし、測定値について処置情報を走査し、許容可能なばらつきを超えて異なる値を検出することができる。コンピュータ20は、異常情報の発見に応答して提供するための推奨にアクセスすることもできる。
【0021】
図2は、異常な眼の測定Mを含む重大な情報212aを提示するディスプレイ210aの一例を示す。異常な眼の測定の例は、以下を含む:(1)許容範囲外の軸長AL、例えばAL=45.35ミリメートル(mm)であるが、許容範囲は、12~40mmであること。(2)許容範囲外の標準偏差SDを有する軸長、例えばAL=28.50±0.05mmであるが、閾値標準偏差SDは、0.03mmであること。
【0022】
推奨214aは、眼の測定Mを繰り返すこと及び眼の測定Mを除外することを含む。眼の測定Mを有することは、測定Mを有さないことよりも望ましい場合があるため、眼の測定Mを繰り返すことは、眼の測定Mを除外することよりも優先され得る。
【0023】
図3は、異なる装置D,...,Dからの一貫性のない眼の測定M,...,Mを含む重大な情報212bを提示するディスプレイ210bの一例を示す。一貫性のない眼の測定の一例は、測定の許容分布を超える測定を含む。例えば、軸長ALの測定が28.50mm、28.53mm及び28.60mmであり、許容分布が±0.03mmであることを所与とし、28.60mmの測定は、許容分布を超えている。
【0024】
推奨214bは、装置Dからの眼の測定Mを除外すること及び装置Dからの眼の測定Mを繰り返すことを含む。追加の眼の測定Mが必要でない可能性があるため、眼の測定Mを除外することは、眼の測定Mを繰り返すことよりも優先され得る。
【0025】
図4図6は、処置に適合しない重大な情報、例えば場合により処置の否定的な結果を示す情報を提示するディスプレイ210(210c~210e)の例を示す。コンピュータ20は、任意の適切な方法で適合しない重大な情報を識別することができる。特定の実施形態では、コンピュータ20は、処置に適合しない状態及び/又は測定を記述する検索基準にアクセスし、状態及び/又は測定のインスタンスについて処置情報を走査し、適合しない状態及び/又は測定を検出することができる。コンピュータ20は、適合しない状態及び/又は測定を見つけることに応答して提供するための推奨にアクセスすることもできる。
【0026】
図4は、処置に適合しない医療情報、例えば患者が処置又は医療製品のよい候補者ではない可能性があることを示す情報を提示するディスプレイ210cの一例を示す。この例では、重大な情報212cは、医学的状態Cを含む。医学的状態Cの例は、円錐角膜又は過去の角膜屈折矯正外科手術を含む。推奨214cは、医学的状態Cに適合するIOL式F及びIOL Xを含む。IOL式Fの例は、円錐角膜ではHolladay II又は過去の角膜屈折矯正外科手術ではBarret True Kを含む。
【0027】
図5は、処置に適合しない眼の測定を提示するディスプレイ210dの一例を示す。重大な情報212dは、正常範囲内であるが、標準値から外れている眼の測定Mを含む。推奨214dは、眼の測定Mに適合するIOL、IOL式F及び挿入処置Pを含む。例えば、29.50mmの軸長AL測定が29.00mmの長眼閾値を超える場合、長眼用のIOL式Fが推奨され得る。
【0028】
図6は、医療情報及び処置に適合しない眼の測定を提示するディスプレイ210eの一例を示す。重大な情報212eは、医学的状態C及び正常でない眼の測定Mを含む。推奨214eは、医学的状態C及び眼の測定Mに適合するIOL及びIOL式Fを含む。
【0029】
図7は、あるタイプの医療製品、例えば多焦点IOL等のIOLの要求を提示するディスプレイ210fの一例を示す。この例では、重大な情報212fは、要求を含む。推奨214fは、要求に適合するIOL Xを含む。
【0030】
他の例は、以下を含む:(1)要求が多焦点IOLに対するものである場合、推奨は、要求に基づいて結果をカスタマイズし、例えば外科医の評価のためにKc=14.50°のカッパ角(Kc)を示す。(2)要求が、軸長が長い眼に対するIOLに対するものである場合、推奨は、より長い軸長のための度数をサポートするIOLを提案する。(3)要求が多焦点IOLに対するものであり、患者の眼の瞳孔の中心が十分でない場合、推奨は、単焦点IOL等のより適合性の高いIOLを提案する。(4)要求が高屈折率IOLに対するものであり、患者情報が陰性異常光視症の可能性(例えば、角膜切開の既往手術)を示す場合、推奨は、異なるIOL及び/又は異なるIOLの配置(例えば、カプセルの前)を提案する。(5)要求が標準的なIOLに対するものである場合、推奨は、患者の眼に適したプレミアムIOLを提案する。
【0031】
図8は、特定の実施形態による、図1の眼科データ解析システム10によって実行され得る、重大な情報及び推奨を提示する方法の一例を示す。本方法は、ステップ310から開始し、ステップ310でコンピュータ20が処置、例えば外科的処置の選択を、インタフェース装置を介して受信する。例えば、処置は、眼内レンズ(IOL)を眼に挿入することであり得る。ステップ312では、コンピュータ20は、メモリからの処置のための処置情報にアクセスする。処置情報は、例えば、医療情報及び/又は眼の測定を含み得る。
【0032】
ステップ314では、コンピュータ20は、重大な情報を識別することができる。重大な情報は、例えば、処置に適合しない医療情報及び/又は許容できない値を有する測定を含み得る。コンピュータ20が重大な情報を識別する場合、この方法は、ステップ316に進む。コンピュータ20が重大な情報を識別しない場合、この方法は、終了する。
【0033】
コンピュータ20は、ステップ316で推奨を決定する。例えば、医学的状態がIOLの移植に重大である場合、コンピュータ20は、医学的状態に適合するIOLパラメータを計算するためのIOL式及び/又は医学的状態に適合するIOLを推奨することができる。特定の実施形態では、コンピュータ20は、推奨に優先順位を付け、推奨の優先順位付けされたリストを提示することができる。
【0034】
ステップ320では、コンピュータ20は、重大な情報及び推奨を提示する。ステップ322では、コンピュータ20は、推奨の選択又は処置の他の変更を受信することができる。処置の変更は、例えば、システムによって推奨されなかったが、外科医が選択した異なるIOLへの変更であり得る。この方法は、ステップ312に戻って処置情報にアクセスする。
【0035】
ステップ314において、コンピュータ20が選択された推奨又は他の変更に関する重大な情報を識別した場合、ステップ316では、コンピュータ20は、その重大な情報に対処するための1つ又は複数の次の推奨を決定する。例えば、眼の測定が選択されたIOLに適合しない場合、コンピュータ20は、眼の測定が適合するIOL及び/又は選択されたIOLを眼の測定に適合させる切開処置を推奨することができる。ステップ320では、コンピュータ20は、重大な情報及び1つ又は複数の次の推奨を、インタフェース装置を介して提示する。コンピュータ20がステップ314で重大な情報を識別しない場合、この方法は、終了する。
【0036】
本明細書に開示したシステム及び機器のコンポーネント(コンピュータ20及び103等)は、インタフェース、ロジック及び/又はメモリを含むことができ、これらの何れもコンピュータハードウェア及び/又はソフトウェアを含むことができる。インタフェースは、コンポーネントへの入力を受信し、且つ/又はコンポーネントからの出力を送信することができ、典型的には例えばソフトウェア、ハードウェア、周辺装置、ユーザ及び/又は他の外部エンティティとの間で情報を交換するために使用される。ユーザは、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)又はインタフェース装置等のインタフェースを使用してコンピュータと対話する(例えば、入力を提供する及び/又は出力を受信する)ことができる。インタフェース装置の例は、キーボード、マウス、タッチパッド、タッチスクリーン、マイクロフォン、コンピュータディスプレイ、フットペダル、ジェスチャセンサ及び/又はスピーカ等の入力及び/又は出力装置を含む。
【0037】
ロジックは、コンポーネントの動作を実行することができる。ロジックは、データを処理する、例えば命令を実行して入力から出力を生成する1つ又は複数の電子装置を含むことができる。かかる電子装置の例は、コンピュータ、プロセッサ、マイクロプロセッサ(例えば、中央処理装置(CPU))及びコンピュータチップを含む。ロジックは、動作を実行するために電子装置によって実行可能な命令を符号化するコンピュータソフトウェアを含み得る。コンピュータソフトウェアの例は、コンピュータプログラム、アプリケーション及びオペレーティングシステムを含む。
【0038】
メモリは、情報を記憶することができ、有形、コンピュータ可読及び/又はコンピュータ実行可能な記憶媒体を含み得る。メモリの例は、コンピュータメモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)又は読み出し専用メモリ(ROM))、大容量記憶媒体(例えば、ハードディスク)、リムーバブル記憶媒体(例えば、コンパクトディスク(CD)又はデジタルビデオ又は多用途ディスク(DVD))、データベース、ネットワークストレージ(例えば、サーバ)及び/又は他のコンピュータ可読媒体を含む。特定の実施形態は、コンピュータソフトウェアで符号化されたメモリを対象とし得る。
【0039】
本開示を特定の実施形態に関して記載してきたが、実施形態の修正形態(変更形態、置換形態、追加形態、省略形態及び/又は他の修正形態等)が当業者に明らかになるであろう。従って、本発明の範囲から逸脱することなく、実施形態に対する修正形態がなされ得る。例えば、本明細書で開示したシステム及び機器に対する修正形態がなされ得る。当業者に明らかなように、システム及び機器のコンポーネントは、統合若しくは分離され得るか、又はシステム及び機器の動作は、より多い、より少ない若しくは他のコンポーネントによって実行され得る。別の例として、本明細書で開示した方法に対する修正形態がなされ得る。当業者に明らかなように、方法は、より多い、より少ない又は他のステップを含むことができ、ステップは、任意の適切な順序で実行され得る。
【0040】
特許庁及び読者が特許請求の範囲を解釈することを促進するために、本出願人らは、特定の請求項において「~のための手段」又は「~のためのステップ」という用語が明示的に使用されていない限り、特許請求の範囲又は請求項の要素の何れも米国特許法第112条(f)を発動させることを意図しないことを指摘しておく。請求項で他の用語(例えば、「機構」、「モジュール」、「装置」、「ユニット」、「コンポーネント」、「要素」、「部材」、「機器」、「機械」、「システム」、「プロセッサ」又は「コントローラ」)を使用することは、当業者に知られている構造を指すものと本出願人らは理解しており、米国特許法第112条(f)を発動することを意図しない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】