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特表2024-523216飽和炭素-水素結合含有化合物の光促進酸化方法
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  • 特表-飽和炭素-水素結合含有化合物の光促進酸化方法 図1
  • 特表-飽和炭素-水素結合含有化合物の光促進酸化方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】飽和炭素-水素結合含有化合物の光促進酸化方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 51/265 20060101AFI20240621BHJP
   C07C 63/06 20060101ALI20240621BHJP
   C07C 49/67 20060101ALI20240621BHJP
   C07C 45/36 20060101ALI20240621BHJP
   C07C 49/786 20060101ALI20240621BHJP
   C07C 311/37 20060101ALI20240621BHJP
   C07C 303/40 20060101ALI20240621BHJP
   C07C 27/12 20060101ALI20240621BHJP
   C07C 53/02 20060101ALI20240621BHJP
   C07C 51/235 20060101ALI20240621BHJP
   C07C 409/04 20060101ALI20240621BHJP
   C07C 407/00 20060101ALI20240621BHJP
   C07C 53/08 20060101ALI20240621BHJP
   C07C 47/06 20060101ALI20240621BHJP
   C07C 45/29 20060101ALI20240621BHJP
   C07C 31/08 20060101ALI20240621BHJP
   C07C 49/08 20060101ALI20240621BHJP
   C07C 53/122 20060101ALI20240621BHJP
   C07C 47/02 20060101ALI20240621BHJP
   C07C 31/10 20060101ALI20240621BHJP
   C07C 49/10 20060101ALI20240621BHJP
   C07C 45/33 20060101ALI20240621BHJP
   C07C 53/124 20060101ALI20240621BHJP
   C07C 49/12 20060101ALI20240621BHJP
   C07C 49/403 20060101ALI20240621BHJP
   C07C 31/04 20060101ALI20240621BHJP
   C07C 49/04 20060101ALI20240621BHJP
   C07C 63/331 20060101ALI20240621BHJP
   C07C 35/08 20060101ALI20240621BHJP
   B01J 27/10 20060101ALI20240621BHJP
   B01J 27/053 20060101ALI20240621BHJP
   B01J 27/25 20060101ALI20240621BHJP
   B01J 31/02 20060101ALI20240621BHJP
   B01J 31/26 20060101ALI20240621BHJP
   B01J 31/04 20060101ALI20240621BHJP
   C07D 231/12 20060101ALI20240621BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20240621BHJP
【FI】
C07C51/265
C07C63/06
C07C49/67
C07C45/36
C07C49/786
C07C311/37
C07C303/40
C07C27/12 310
C07C53/02
C07C51/235
C07C409/04
C07C407/00
C07C53/08
C07C47/06 Z
C07C45/29
C07C31/08
C07C49/08 A
C07C53/122
C07C47/02
C07C31/10
C07C49/10
C07C45/33
C07C53/124
C07C49/12
C07C49/403 A
C07C31/04
C07C49/04 A
C07C63/331
C07C35/08
B01J27/10 Z
B01J27/053 Z
B01J27/25 Z
B01J31/02 103Z
B01J31/26 Z
B01J31/04 Z
B01J31/02 Z
C07D231/12 C
C07B61/00 300
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575667
(86)(22)【出願日】2022-04-14
(85)【翻訳文提出日】2023-12-07
(86)【国際出願番号】 CN2022086889
(87)【国際公開番号】W WO2022257598
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】202110642049.7
(32)【優先日】2021-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202210137499.5
(32)【優先日】2022-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518384803
【氏名又は名称】フーダン ユニバーシティー
【氏名又は名称原語表記】FUDAN UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100202326
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 大佑
(72)【発明者】
【氏名】施 章傑
(72)【発明者】
【氏名】麻 生明
(72)【発明者】
【氏名】劉 烽
(72)【発明者】
【氏名】喩 浩
(72)【発明者】
【氏名】王 長城
(72)【発明者】
【氏名】劉 ▲キ▼
(72)【発明者】
【氏名】張 震
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA05
4G169AA06
4G169BA21A
4G169BA21B
4G169BB08A
4G169BB08B
4G169BB10A
4G169BB10B
4G169BB12A
4G169BB12B
4G169BC04B
4G169BD12A
4G169BD12B
4G169BD13A
4G169BD13B
4G169BE01A
4G169BE01B
4G169BE05A
4G169BE05B
4G169BE08A
4G169BE08B
4G169BE17B
4G169BE22A
4G169BE22B
4G169BE37A
4G169BE37B
4G169BE46A
4G169BE46B
4G169CB07
4G169CB70
4G169CB72
4G169CB74
4H006AA02
4H006AC41
4H006AC44
4H006AC45
4H006AC46
4H006BA66
4H006BA95
4H006BB21
4H006BC11
4H006BC34
4H006FE11
4H006FE12
4H039CA60
4H039CA62
4H039CA64
4H039CA65
4H039CC30
(57)【要約】
本発明は、有機中間体の合成技術の分野に属し、飽和炭素-水素結合含有化合物の光促進酸化方法であって、前記飽和炭素-水素結合含有化合物を触媒と混合し、酸素ガス又は空気雰囲気下、光照射及び20℃~100℃の温度で、飽和炭素-水素結合含有化合物を酸化反応させて酸化生成物を生成する飽和炭素-水素結合含有化合物の光促進酸化方法を提供する。この方法は、光により促進される飽和炭素-水素結合含有化合物の直接酸化方法であり、比較的に低い温度でも行うことができ、官能基の互換性が良く、反応時間が短く、反応効率が高く、反応コストが低く、付加価値が高く、操作が簡単で、安全性が良く、温和で環境にやさしい酸化方法である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飽和炭素-水素結合含有化合物を触媒と混合し、酸素ガス又は空気雰囲気下、光照射及び20℃~100℃の温度で、前記飽和炭素-水素結合含有化合物を酸化反応させて酸化生成物を生成することを特徴とする、飽和炭素-水素結合含有化合物の光促進酸化方法。
【請求項2】
前記触媒は、次亜塩素酸t-ブチル、塩酸及び臭化水素酸から選択されるいずれか1種であり、
又は、前記触媒は、その場で塩酸及び臭化水素酸を生成できる種々の混合物であり、前記混合物は、塩化物と酢酸との混合物又はブロモ化物と酢酸との混合物であることを特徴とする、請求項1に記載の飽和炭素-水素結合含有化合物の光促進酸化方法。
【請求項3】
前記飽和炭素-水素結合含有化合物は、C1~C8アルカンから選択されることを特徴とする、請求項1に記載の飽和炭素-水素結合含有化合物の光促進酸化方法。
【請求項4】
前記飽和炭素-水素結合含有化合物は、フェニル、ビフェニル又は置換フェニルで置換されたC1~C8アルカンから選択され、置換フェニルの置換基は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシル、C2~C8カルボン酸エステル基、及び
【化1】
基から選択されるいずれか1種であることを特徴とする、請求項1に記載の飽和炭素-水素結合含有化合物の光促進酸化方法。
【請求項5】
前記触媒は、酸素含有酸であり、前記酸素含有酸は、p-トルエンスルホン酸、硫酸及び硝酸から選択されるいずれか1種であることを特徴とする、請求項1に記載の飽和炭素-水素結合含有化合物の光促進酸化方法。
【請求項6】
前記光の波長が300nm~800nmである、請求項1に記載の飽和炭素-水素結合含有化合物の光促進酸化方法。
【請求項7】
前記酸化生成物は、アルコール、過酸化アルコール、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、及び過酸化酸から選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1に記載の飽和炭素-水素結合含有化合物の光促進酸化方法。
【請求項8】
反応系内の前記酸素ガス又は空気の圧力は、1~100気圧であることを特徴とする、請求項1に記載の飽和炭素-水素結合含有化合物の光促進酸化方法。
【請求項9】
前記飽和炭素-水素結合含有化合物と前記触媒とのモル比は、1:0.0001~1:1であることを特徴とする、請求項1に記載の飽和炭素-水素結合含有化合物の光促進酸化方法。
【請求項10】
前記酸化反応の溶媒は、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロメタン、ジメチルスルホキシド、ジブロモエタン、及び、N,N-ジメチルホルムアミドから選択されるいずれか1種であることを特徴とする、請求項1に記載の飽和炭素-水素結合含有化合物の光促進酸化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2021年6月9日に中国国家知識産権局に出願した、出願番号が202110642049.7であり、発明の名称が「飽和炭素-水素結合含有化合物の光促進酸化方法」である中国特許出願及び2022年2月15日に中国国家知識産権局に出願した、出願番号が202210137499.5であり、発明の名称が「飽和炭素-水素結合含有化合物の光促進酸化方法」である中国特許出願の優先権を主張し、これらの全体が引用によって本発明に組み込まれている。
【0002】
本発明は、有機中間体の合成技術の分野に属し、具体的に飽和炭素-水素結合含有化合物の光促進酸化方法に関する。
【背景技術】
【0003】
アルコール、過酸化アルコール、アルデヒド、ケトン、カルボン酸及び過酸化酸などの酸素含有有機化合物は、日常生活及び基礎化学工業分野で重要な応用価値があり、そのうち、テレフタル酸は、ポリエステルの原料であり、年間生産量が数億トンであり、サリチル酸は、個人保健及び食品の鮮度保持に広く応用され、過酸化酢酸は、エコ殺菌剤及び木材パルプなどに対する漂白剤である。酸化反応は、化学工業において非常に重要な反応であり、ほとんどの酸素含有化合物は酸化反応によって製造されている。図1に示すように、従来の酸化方式では、一般的に均一系酸化、或いは不均一系触媒酸化が用いられ、例えば、均一系酸化の酸化剤としては、金属酸化剤(過マンガン酸カリウム(KMnO))、遷移金属、五酸化ジヨウ素(iodine V)、過酸化物(過酸化t-ブタノール(t-BuOOH)、m-クロロ過酸化安息香酸(m-CPBA)、過酸化水素(H))、N-ヒドロキシフタルイミド(NHPI)を含む。前記触媒は、大量に使用されたり、高価であったりするため、酸化反応の発展及び応用が制約されている。
【0004】
持続可能な発展思想の指導で、新規の省エネ、環境に優しい合成方法を発展させることは必要である。どのように温和で環境にやさしい条件で安価な触媒を使用してアルカン系化合物を効率的に酸化する方法は、化学合成の分野で求められている目標である。酸素ガスを酸化剤として用いる有機酸化反応は、比較的に高い原子経済性、低いコスト及び比較的に小さい環境破壊性などの特徴があるため、日増しに高まる環境保護の要求に適合し、注目される研究方向となっている。近年、感光性を有する有機金属触媒又は有機染料を用いて促進される化学反応は、急速に発展している。現在発展している光促進酸化反応では、ルテニウム、白金、イリジウムなどの高価な金属触媒、又は、メチルアクリジン、アントラキノン誘導体などの構造が複雑な有機光増感剤を使用する必要があり、この2種類の触媒の使用は、経済的及び環境保護の面で、ある程度の欠陥があり、反応コストの増加及び環境汚染をもたらす。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、光により促進され、金属関与のない環境にやさしい飽和炭素-水素結合含有化合物の酸化方法を提供することを目的とする。具体的な技術案は、以下の通りである。
【0006】
本発明は、飽和炭素-水素結合含有化合物の光促進酸化方法を提供し、前記飽和炭素-水素結合含有化合物の光促進酸化方法は、飽和炭素-水素結合含有化合物を触媒と混合し、酸素ガス又は空気雰囲気下、光照射及び20℃~100℃の温度で、飽和炭素-水素結合含有化合物を酸化反応させて酸化生成物を生成することを特徴とする。
【0007】
本発明では、飽和炭素-水素結合含有化合物の酸化方法とは、不飽合結合を含まない炭素原子上の炭素-水素結合を酸化する方法を指す。
【0008】
本発明が提供する飽和炭素-水素結合含有化合物の光促進酸化方法では、さらに、前記触媒は、次亜塩素酸t-ブチル、塩酸及び臭化水素酸から選択されるいずれか1種であり、又は、前記触媒は、その場で塩酸及び臭化水素酸を生成できる種々の混合物であり、前記混合物は、塩化物と酢酸との混合物又はブロモ化物と酢酸との混合物であることを特徴とする。
【0009】
本発明が提供する飽和炭素-水素結合含有化合物の光促進酸化方法では、さらに、前記飽和炭素-水素結合含有化合物は、C1~C8アルカンから選択されることを特徴とする。
【0010】
本発明が提供する飽和炭素-水素結合含有化合物の光促進酸化方法では、さらに、前記飽和炭素-水素結合含有化合物は、フェニル、ビフェニル又は置換フェニルで置換されたC1~C8アルカンから選択され、置換フェニルの置換基は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシル、C2~C8カルボン酸エステル基、及び
【化1】
基から選択されるいずれか1種であることを特徴とする。
本発明が提供する飽和炭素-水素結合含有化合物の光促進酸化方法では、さらに、前記触媒は、酸素含有酸であり、前記酸素含有酸は、p-トルエンスルホン酸、硫酸及び硝酸から選択されるいずれか1種であることを特徴とする。
【0011】
本発明が提供する飽和炭素-水素結合含有化合物の光促進酸化方法では、さらに、前記光の波長が300nm~800nmであることを特徴とする。
【0012】
本発明が提供する飽和炭素-水素結合含有化合物の光促進酸化方法では、さらに、前記酸化生成物は、アルコール、過酸化アルコール、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、及び過酸化酸から選択される少なくとも1種であることを特徴とする。
【0013】
本発明が提供する飽和炭素-水素結合含有化合物の光促進酸化方法では、さらに、反応系内の前記酸素ガス又は空気の圧力は、1~100気圧であることを特徴とする。
【0014】
本発明が提供する飽和炭素-水素結合含有化合物の光促進酸化方法では、さらに、前記飽和炭素-水素結合含有化合物と前記触媒とのモル比は、1:0.0001~1:1であることを特徴とする。
【0015】
本発明が提供する飽和炭素-水素結合含有化合物の光促進酸化方法では、さらに、前記酸化反応の溶媒は、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロメタン、ジメチルスルホキシド、ジブロモエタン、及び、N,N-ジメチルホルムアミドから選択されるいずれか1種であることを特徴とする。
【0016】
本発明は、飽和炭素-水素結合含有化合物の光促進酸化方法であって、光照射の条件で、飽和炭素-水素結合含有化合物と酸素ガスとを触媒の作用で酸化反応させて、対応する酸化生成物、例えば、アルコール、過酸化アルコール、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、及び過酸化酸から選択される少なくとも1種を合成する飽和炭素-水素結合含有化合物の光促進酸化方法を提供する。この方法は、光により促進される飽和炭素-水素結合含有化合物の直接酸化方法であり、比較的に低い温度(20℃~100℃)でも行うことができ、官能基の互換性が良く、反応時間が短く、反応効率が高く、反応コストが低く、付加価値が高く、操作が簡単で、安全性が良い利点があり、温和で環境にやさしい酸化方法である。
【0017】
もちろん、本願のいずれかの製品や方法を実施するにあって、上記したすべての利点を同時に達成する必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、従来の酸化方式の図である。
図2図2は、本発明の実施例15における生成物の水素核磁気スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、本発明の技術的手段、特徴、目的及び効果をより明確にするために、実施例及び図面に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明の保護範囲は具体的な実施例に限定されるものではなく、当業者が本発明の実施例に基づいて得た他の実施例も本発明の保護範囲内に含まれる。
【0020】
本発明は、飽和炭素-水素結合含有化合物を触媒と混合し、酸素ガス又は空気雰囲気下、光照射及び20℃~100℃の温度で、飽和炭素-水素結合含有化合物を酸化反応させて酸化生成物を生成することを含む、飽和炭素-水素結合含有化合物の光促進酸化方法を提供する。
【0021】
本発明では、飽和炭素-水素結合含有化合物の酸化方法とは、不飽合結合を含まない炭素原子上の炭素-水素結合を酸化する方法を指す。
【0022】
本発明のいくつかの実施態様において、触媒は、次亜塩素酸t-ブチル、塩酸及び臭化水素酸から選択されるいずれか1種であり、又は、触媒は、その場で塩酸及び臭化水素酸を生成できる種々の混合物であり、混合物は、塩化物と酢酸との混合物又はブロモ化物と酢酸との混合物である。ここで、塩化物と酢酸とのモル比、又は、ブロモ化物と酢酸とのモル比は、1:1~1:10である。例示的には、触媒としては、モル比が1:1である塩化アンモニウムと酢酸との混合液を用いてもよい。
【0023】
本発明のいくつかの実施態様において、飽和炭素-水素結合含有化合物は、C1~C8アルカンから選択される。本発明では、C1~C8アルカンは、直鎖アルカン、分岐アルカン及びシクロアルカンであってもよく、前記C1~C8アルカンは、メタン、エタン、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、へプタン、イソへプタン、オクタン、イソオクタン、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロへプタン、シクロオクタンを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0024】
本発明のいくつかの実施態様において、飽和炭素-水素結合含有化合物は、フェニル、ビフェニル又は置換フェニルで置換されたC1~C8アルカンから選択され、置換フェニルの置換基は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシル、C2~C8カルボン酸エステル、及び
【化2】
基から選択されるいずれか1種であり、ハロゲンとの置換基は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素から選択され、前記置換フェニルの置換基の置換位置は、オルト、メタ又はパラであってもよい。
【0025】
本発明のいくつかの実施態様において、触媒は、酸素含有酸であり、酸素含有酸は、p-トルエンスルホン酸、硫酸及び硝酸から選択されるいずれか1種である。
【0026】
本発明のいくつかの実施態様において、光の波長が300nm~800nmである。
【0027】
本発明のいくつかの実施態様において、酸化生成物は、アルコール、過酸化アルコール、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、及び過酸化酸から選択される少なくとも1種である。
【0028】
本発明のいくつかの実施態様において、反応系内の酸素ガス又は空気の圧力は、1~100気圧(atm)である。
【0029】
本発明のいくつかの実施態様において、飽和炭素-水素結合含有化合物と触媒とのモル比は、1:0.0001~1:1である。
【0030】
本発明のいくつかの実施態様において、酸化反応の溶媒は、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロメタン、ジメチルスルホキシド、ジブロモエタン、及び、N,N-ジメチルホルムアミドから選択されるいずれか1種である。本発明では、用いられる反応容器は、一定の雰囲気下、光促進により酸化反応を起こす必要があり、用いられる反応容器は、光反応釜又は石英管を含むが、これらに限定されない。
【0031】
本発明では、用いられる光源のタイプは、本発明の目的を達成できれば、特に制限されない。本発明では、用いられる光源のパワーの範囲は、1W~100Wであり、例示的には、光源として、40Wの発光ダイオード(LED)ランプを用いる。
【0032】
本発明では、光促進反応が停止した後に目的生成物を分離する方法は、ろ過、減圧蒸留、抽出などの本分野によく使われる分離方法であり、本発明は、本発明の目的を達成できれば、分離方法を限制しない。
【0033】
本発明では、「収率」という用語とは、ある生成物の理論収量に対する実際の収量のモル百分率を意味する。本発明では、収率の計算式は、目的生成物の収率=目的生成物の実際の生成モル数/目的生成物の理論の生成モル数×100%である。
【0034】
以下では、実施例及比較例を挙げて本発明の実施方式をより具体的に説明する。各種の試験及び評価は下記の方法で行われる。なお、特に断らない限り、「部」、「%」は質量基準である。
【0035】
測定の方法及び設備
核磁気共鳴スペクトル装置により目的生成物の水素核磁気スペクトルを測定し、目的生成物の収率を定量的に測定し、目的生成物の分子構造を確認した。
実施例1
安息香酸の製造:
【化3】
【0036】
25mLの石英管に、トルエン(92mg、1mmol)、塩酸(200μL、1M)、アセトニトリル(CHCN、2mL)をこの順に加え、混合して混合液を得た。得られた混合液を酸素ガスの雰囲気下(1atm)、波長が380nm~550nmの青色LEDランプ(40W)を用いて照射し、室温で12時間反応した。反応が停止した後、溶媒を減圧下で除去し、対応する安息香酸103mgが得られ、収率は84%であった。
【0037】
この生成物の水素核磁気スペクトルは、次のとおりであった。H NMR (400 MHz, DMSO) δ 12.98 (s, 1H), 7.95 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.63 (t, J = 7.2 Hz, 1H), 7.50 (t, J = 7.6 Hz, 2H). 13C NMR (100 MHz, DMSO) δ 167.4, 132.9, 130.8, 129.3, 128.6。反応の生成物は、目的生成物の安息香酸を示している。
実施例2
安息香酸の製造:
【化4】
【0038】
実施例1と比べると、その相違点は、変換反応温度が60℃であることであった。具体的には、以下の通りであった。
25mLの石英管に、トルエン(92mg、1mmol)、塩酸(200μL、1M)、アセトニトリル(2mL)をこの順に加え、混合して混合液を得た。得られた混合液を酸素ガスの雰囲気下(1atm)、波長が380nm~550nmの青色LEDランプ(40W)を用いて照射し、60℃で12時間反応した。反応が停止した後、溶媒を減圧下で除去し、対応する安息香酸109mgが得られ、収率は89%であった。
実施例3
安息香酸の製造:
【化5】
【0039】
実施例1と比べると、その相違点は、390nmの光源を用いることであった。具体的には、以下の通りであった。
25mLの石英管に、トルエン(92mg、1mmol)、塩酸(200μL、1M)、アセトニトリル(2mL)をこの順に加え、混合して混合液を得た。得られた混合液を酸素ガスの雰囲気下(1atm)、波長が390nmのLEDランプ(40W)を用いて照射し、室温で12時間反応した。反応が停止した後、溶媒を減圧下で除去し、対応する安息香酸112mgが得られ、収率は92%であった。
実施例4
安息香酸の製造:
【化6】
【0040】
実施例1と比べると、その相違点は、触媒として臭化水素酸を用いることであった。具体的には、以下の通りであった。
25mLの石英管に、トルエン(92mg、1mmol)、臭化水素酸(200μL、1M)、アセトニトリル(2mL)をこの順に加え、混合して混合液を得た。得られた混合液を酸素ガスの雰囲気下(1atm)、波長が380nm~550nmの青色LEDランプ(40W)を用いて照射し、室温で12時間反応した。溶媒を減圧下で除去し、対応する安息香酸76mgが得られ、収率は62%であった。
実施例5
安息香酸の製造:
【化7】
【0041】
実施例1と比べると、その相違点は、触媒としてp-トルエンスルホン酸を用いることであった。具体的には、以下の通りであった。
25mLの石英管に、トルエン(92mg、1mmol)、p-トルエンスルホン酸(TsOH、200μL、1M)、アセトニトリル(2mL)をこの順に加え、混合して混合液を得た。得られた混合液を酸素ガスの雰囲気下(1atm)、波長が380nm~550nmの青色LEDランプ(40W)を用いて照射し、室温で12時間反応した。溶媒を減圧下で除去し、対応する安息香酸70mgが得られ、収率は57%であった。
実施例6
安息香酸の製造:
【化8】
【0042】
実施例1と比べると、その相違点は、触媒として塩化リチウムと酢酸との混合液を用いることであった。具体的には、以下の通りであった。
25mLの石英管に、トルエン(92mg、1mmol)、塩化リチウムと酢酸との混合液(LiClとAcOHとのモル比=1:1、200μL、1M)、アセトニトリル(2mL)をこの順に加え、混合した後に酸素ガスの雰囲気下(1atm)、波長が380nm~550nmの青色LEDランプ(40W)を用いて照射し、室温で12時間反応した。溶媒を減圧下で除去し、対応する安息香酸92mgが得られ、収率は75%であった。
実施例7
安息香酸の製造:
【化9】
【0043】
実施例1と比べると、その相違点は、触媒として塩化アンモニウムと酢酸との混合液を用いることであった。具体的には、以下の通りであった。
25mLの石英管に、トルエン(92mg、1mmol)、塩化アンモニウムと酢酸との混合液(NHClとAcOHとのモル比=1:1、200μL、1M)、アセトニトリル(2mL)をこの順に加え、混合した後に酸素ガスの雰囲気下(1atm)、波長が380nm~550nmの青色LEDランプ(40W)を用いて照射し、室温で12時間反応した。溶媒を減圧下で除去し、対応する安息香酸98mgが得られ、収率は80%であった。
実施例8
安息香酸の製造:
【化10】
【0044】
実施例1と比べると、その相違点は、触媒として硫酸を用いることであった。具体的には、以下の通りであった。
25mLの石英管に、トルエン(92mg、1mmol)、硫酸(200μL、1M)、アセトニトリル(2mL)をこの順に加え、混合して混合液を得た。得られた混合液を酸素ガスの雰囲気下(1atm)、波長が380nm~550nmの青色LEDランプ(40W)を用いて照射し、室温で12時間反応した。溶媒を減圧下で除去し、対応する安息香酸105mgが得られ、収率は86%であった。
実施例9
安息香酸の製造:
【化11】
【0045】
実施例1と比べると、その相違点は、触媒として硝酸を用いることであった。具体的には、以下の通りであった。
25mLの石英管に、トルエン(92mg、1mmol)、硝酸(200μL、1M)、アセトニトリル(2mL)をこの順に加え、混合して混合液を得た。得られた混合液を酸素ガスの雰囲気下(1atm)、波長が380nm~550nmの青色LEDランプ(40W)を用いて照射し、室温で12時間反応した。溶媒を減圧下で除去し、対応する安息香酸102mgが得られ、収率は84%であった。
実施例10
安息香酸の製造:
【化12】
【0046】
実施例1と比べると、その相違点は、触媒として次亜塩素酸t-ブチルを用いることであった。具体的には、以下の通りであった。
25mLの石英管に、トルエン(92mg、1mmol)、次亜塩素酸t-ブチル(t-BuOCl、200μL、1M)、アセトニトリル(2mL)をこの順に加え、混合して混合液を得た。得られた混合液を酸素ガスの雰囲気下(1atm)、波長が380nm~550nmの青色LEDランプ(40W)を用いて照射し、室温で12時間反応した。溶媒を減圧下で除去し、対応する安息香酸0.112gが得られ、収率92%であった。
実施例11
【0047】
4-フェニル安息香酸の製造:
【化13】
25mLの石英管に、4-フェニルトルエン(168mg、1mmol)、塩酸(200μL、1M)、アセトニトリル(2mL)をこの順に加え、混合して混合液を得た。得られた混合液を酸素ガスの雰囲気下(1atm)、波長が380nm~550nmの青色LEDランプ(40W)を用いて照射し、室温で12時間反応した。反応が停止した後、溶媒を減圧下で除去し、対応する4-フェニル安息香酸170mgが得られ、収率は86%であった。
この生成物の水素核磁気スペクトルは、次のとおりであった。H NMR (400 MHz, DMSO) δ 13.04 (s, 1H), 8.05 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.81 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.74 (d, J = 7.2 Hz, 2H), 7.51 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 7.44 (t, J = 7.2 Hz, 1H). 13C NMR (100 MHz, DMSO) δ 167.3, 144.4, 139.2, 130.1, 129.7, 129.2, 128.4, 127.1, 126.9。反応の生成物は、目的生成物の4-フェニル安息香酸であることを示している。
実施例12
【0048】
1-インダノンの製造:
【化14】
25mLの石英管に、インダン(168mg、1mmol)、塩酸(200μL、1M)、アセトニトリル(2mL)をこの順に加え、混合して混合液を得た。得られた混合液を酸素ガスの雰囲気下(1atm)、波長が380nm~550nmの青色LEDランプ(40W)を用いて照射し、室温で12時間反応した。反応が停止した後、溶媒を減圧下で除去し、対応する1-インダノン103mgが得られ、収率は78%であった。
この生成物の水素核磁気スペクトルは、次のとおりであった。H NMR (400 MHz, CDCl) δ 7.77 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.59 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 7.49 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.38 (t, J = 7.2 Hz, 1H), 3.17 - 3.14 (m, 2H), 2.72 - 2.69 (m, 2H). 13C NMR (100 MHz, CDCl) δ 207.1, 155.1, 137.1, 134.6, 127.3, 126.7, 123.7, 36.2, 25.8。反応の生成物は、目的生成物の1-インダノンであることを示している。
実施例13
【0049】
ベンゾフェノンの製造:
【化15】
25mLの石英管に、ジフェニルメタン(168mg、1mmol)、塩酸(200μL、1M)、アセトニトリル(2mL)をこの順に加え、混合して混合液を得た。得られた混合液を酸素ガスの雰囲気下(1atm)、波長が380nm~550nmの青色LEDランプ(40W)を用いて照射し、室温で24時間反応した。反応が停止した後、溶媒を減圧下で除去し、対応するベンゾフェノン162mgが得られ、収率は89%であった。
この生成物の水素核磁気スペクトルは、次のとおりであった。H NMR (400 MHz, CDCl) δ 7.81 (dd, J = 8.4, 1.3 Hz, 4H), 7.62-7.57 (m, 2H), 7.49 (t, J = 7.6 Hz, 4H). 13C NMR (100 MHz, CDCl) δ 132.4, 130.1, 128.3。反応の生成物は、目的生成物のベンゾフェノンであることを示している。
実施例14
【0050】
セレコキシブ酸化:
【化16】
25mLの石英管に、セレコキシブ(381mg、1mmol)、塩酸(200μL、1M)、アセトニトリル(2mL)をこの順に加え、混合して混合液を得た。得られた混合液を酸素ガスの雰囲気下(1atm)、波長が380nm~550nmの青色LEDランプ(40W)を用いて照射し、室温で24時間反応した。反応が停止した後、急速に分離し、対応する酸化生成物262mgが得られ、収率は64%であった。
この生成物の水素核磁気スペクトルは、次のとおりであった。H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 12.11 (brs, 1H), 7.94 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.88 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 7.55 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 7.52 (s, 2H), 7.44 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.35 (s, 1H). 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6) δ 167.0, 144.6, 144.5, 142.5 (q, J = 10.0 Hz), 141.2, 132.6, 131.7, 130.0, 129.5, 127.3, 126.4, 120.3 (q, J = 247.0 Hz), 107.4. 19F NMR (377 MHz, DMSO-d6) δ -60.87。反応の生成物は、目的生成物であることを示している。
実施例15
【0051】
メタン酸化:
【化17】
光反応釜に、塩酸(200μL、1M)、重水素アセトニトリル(CDCN、2mL)をこの順に加え、反応釜を締めた後、20atmの酸素ガス及び40atmのメタンを通気した。波長が380nm~550nmの青色LEDランプ(40W)を用いて照射し、室温で24時間反応した。反応が停止した後、核磁気共鳴スペクトルを用いて検出した結果、メタノールの収率は3.3%であり、ギ酸の収率は16.5%であった。反応の生成物の水素核磁気スペクトルを図2に示す。
ギ酸の水素核磁気スペクトルは、次のとおりであった。H NMR (400 MHz, CDCN) δ 8.08 (s, 1H)。
メタノールの水素核磁気スペクトルは、次のとおりであった。H NMR (400 MHz, CDCN) δ 3.31 (s, 0.6 H)。
実施例16
【0052】
メタン酸化:
【化18】
25mLの封管に撹拌子を入れ、塩酸(5.0μL、12.0M)、重水素アセトニトリル(750.0μL)をこの順に加えた。その後、冷凍の条件(-20℃)で真空排気し、メタンと酸素ガスとの混合ガス(混合ガスの全圧は1atmであり、ガスの圧力の比はCH:O=1:1である)を通気した。その後、封管を390nmのLEDランプ(40W)の前に置き、室温で24時間反応した。反応が停止した後、核磁気共鳴スペクトルを用いて検出し、対応する酸化生成物及びその収率が得られ、表1に示す。
【表1】
実施例17
【0053】
エタン酸化:
【化19】
25mLの封管に撹拌子を入れ、塩酸(5.0μL、0.1M)、重水素アセトニトリル(750.0μL)をこの順に加えた。その後、冷凍の条件(-20℃)で真空排気し、エタンと酸素ガスとの混合ガス(混合ガスの全圧は1atmであり、ガスの圧力の比はエタン:O=1:1である)を通気した。その後、封管を390nmのLEDランプ(40W)の前に置き、室温で24時間反応した。反応が停止した後、核磁気共鳴スペクトルを用いて検出し、対応する酸化生成物及びその収率が得られ、表2に示す。
【表2】
実施例18
【0054】
プロパン酸化:
【化20】
25mLの封管に撹拌子を入れ、塩酸(5.0μL、0.1M)、重水素アセトニトリル(750.0μL)をこの順に加えた。その後、冷凍の条件(-20℃)で真空排気し、プロパンと酸素ガスとの混合ガス(混合ガスの全圧は1atmであり、ガスの圧力の比はプロパン:O=1:1である)を通気した。その後、封管を390nmのLEDランプ(40W)の前に置き、室温で24時間反応した。反応が停止した後、核磁気共鳴スペクトルを用いて検出し、対応する酸化生成物及びその収率が得られ、表3に示す。
【表3】
実施例19
【0055】
ブタン酸化:
【化21】
25mLの封管に撹拌子を入れ、塩酸(5.0μL、0.1M)、重水素アセトニトリル(750.0μL)をこの順に加えた。その後、冷凍の条件(-20℃)で真空排気し、ブタンと酸素ガスとの混合ガス(混合ガスの全圧は1atmであり、ガスの圧力の比はブタン:O=1:1である)を通気した。その後、封管を390nmのLEDランプ(40W)の前に置き、室温で24時間反応した。反応が停止した後、核磁気共鳴スペクトルを用いて検出し、対応する酸化生成物及びその収率が得られ、表4に示す。
【表4】
実施例20
【0056】
混合ガス酸化:
【化22】
25mLの封管に撹拌子を入れ、塩酸(5.0μL、0.1M)、重水素アセトニトリル(750.0μL)をこの順に加えた。その後、冷凍の条件(-20℃)で真空排気し、アルカンガスと酸素ガスとが混合された混合ガス(混合ガスの全圧は1atmであり、ガスの圧力の比はメタン:エタン:プロパン:ブタン:O=7:1:1:1:10である)を通気し、この混合アルカンガスの割合は、天然ガスにおける各アルカンの割合を模擬した。その後、封管を390nmのLEDランプ(40W)の前に置き、室温で24時間反応した。反応が停止した後、核磁気共鳴スペクトルを用いて検出し、対応する酸化生成物及びその収率が得られ、表5に示す。
【表5】
実施例21
【0057】
石油エーテル酸化:
【化23】
25mLの封管に撹拌子を入れ、塩酸(5.0μL、0.1M)、石油エーテル(22.6mg)、重水素アセトニトリル(750.0μL)をこの順に加えた。その後、冷凍の条件(-20℃)で真空排気し、酸素ガス(1atm)を通気した。その後、封管を390nmのLEDランプ(40W)の前に置き、室温で24時間反応した。反応が停止した後、核磁気共鳴スペクトルを用いて検出し、対応する酸化生成物及びその収率が得られ、表6に示す。
【表6】
実施例22
【0058】
n-ヘキサン酸化:
【化24】
25mLの封管に撹拌子を入れ、塩酸(5.0μL、0.1M)、n-ヘキサン(17.2mg)、重水素アセトニトリル(750.0μL)をこの順に加えた。その後、冷凍の条件(-20℃)で真空排気し、酸素ガス(1atm)を通気した。その後、封管を390nmのLEDランプ(40W)の前に置き、室温で24時間反応した。反応が停止した後、核磁気共鳴スペクトルを用いて検出し、対応する酸化生成物及びその収率が得られ、表7に示す。
【表7】
実施例23
【0059】
シクロヘキサン酸化:
【化25】
25mLの封管に撹拌子を入れ、塩酸(5.0μL、0.1M)、シクロヘキサン(16.8mg)、重水素アセトニトリル(750.0μL)をこの順に加えた。その後、冷凍の条件(-20℃)で真空排気し、酸素ガス(1atm)を通気した。その後、封管を390nmのLEDランプ(40W)の前に置き、室温で24時間反応した。反応が停止した後、核磁気共鳴スペクトルを用いて検出し、対応する酸化生成物及びその収率が得られ、表8に示す。
【表8】
実施例24
【0060】
イソオクタン酸化:
【化26】
25mLの封管に撹拌子を入れ、塩酸(5.0μL、0.1M)、イソオクタン(22.8mg)、重水素アセトニトリル(750.0μL)をこの順に加えた。その後、冷凍の条件(-20℃)で真空排気し、酸素ガス(1atm)を通気した。その後、封管を390nmのLEDランプ(40W)の前に置き、室温で24時間反応した。反応が停止した後、核磁気共鳴スペクトルを用いて検出し、対応する酸化生成物及びその収率が得られ、表9に示す。
【表9】
実施例25
【0061】
n-へプタン酸化:
【化27】
25mLの封管に撹拌子を入れ、塩酸(5.0μL、0.1M)、n-へプタン(20.0mg)、重水素アセトニトリル(750.0μL)をこの順に加えた。その後、冷凍の条件(-20℃)で真空排気し、酸素ガス(1atm)を通気した。その後、封管を390nmのLEDランプ(40W)の前に置き、室温で24時間反応した。反応が停止した後、核磁気共鳴スペクトルを用いて検出し、対応する酸化生成物及びその収率が得られ、表10に示す。
【表10】
実施例26
【0062】
n-オクタン酸化:
【化28】
25mLの封管に撹拌子を入れ、塩酸(5.0μL、0.1M)、n-オクタン(22.8mg)、重水素アセトニトリル(750.0μL)をこの順に加えた。その後、冷凍の条件(-20℃)で真空排気し、酸素ガス(1atm)を通気した。その後、封管を390nmのLEDランプ(40W)の前に置き、室温で24時間反応した。反応が停止した後、核磁気共鳴スペクトルを用いて検出し、対応する酸化生成物及びその収率が得られ、表11に示す。
【表11】
実施例27
【0063】
シクロヘキサン酸化:
【化29】
25mLの封管に撹拌子を入れ、塩酸(5.0μL、0.1M)、シクロヘキサン(16.8mg)、重水素アセトニトリル(750.0μL)をこの順に加えた。その後、冷凍の条件(-20℃)で真空排気し、空気(1atm)を通気した。その後、封管を390nmのLEDランプ(40W)の前に置き、室温で24時間反応した。反応が停止した後、核磁気共鳴スペクトルを用いて検出し、対応する酸化生成物及びその収率が得られ、表12に示す。
【表12】
【0064】
本発明の実施形態によって提供される飽和炭素-水素結合含有化合物の光促進酸化方法によれば、光照射の条件で、飽和炭素-水素結合含有化合物と酸素ガスとを触媒の作用で酸化反応させて、対応する酸化生成物、例えば、アルコール、過酸化アルコール、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、及び過酸化酸から選択される少なくとも1種を合成する飽和炭素-水素結合含有化合物の光促進酸化方法を提供する。この方法は、光により促進される飽和炭素-水素結合含有化合物の直接酸化方法であり、比較的に低い温度(20℃~100℃)でも行うことができ、官能基の互換性が良く、反応時間が短く、反応効率が高く、反応コストが低く、付加価値が高く、操作が簡単で、安全性が良い利点がある。そして、この方法は、反応を促進するために光のみを必要とするため、より温和で環境にやさしい酸化方法である。
【0065】
以上の実施方式は本発明の好ましい例であり、本発明の保護範囲を制限するためのものではない。もちろん、その趣旨及び原理を逸脱しない範囲で、任意の補正、同等の置換、改良などが本発明の特許請求の範囲に含まれる。
図1
図2
【国際調査報告】