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特表2024-523219変形可能部分を備える密閉されたエンクロージャのための移送デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】変形可能部分を備える密閉されたエンクロージャのための移送デバイス
(51)【国際特許分類】
   G21F 7/005 20060101AFI20240621BHJP
   G21F 7/047 20060101ALI20240621BHJP
   B01L 1/00 20060101ALI20240621BHJP
   E05B 65/00 20060101ALI20240621BHJP
   E05B 47/00 20060101ALI20240621BHJP
   B25J 21/02 20060101ALN20240621BHJP
【FI】
G21F7/005
G21F7/047
B01L1/00 D
E05B65/00 U
E05B47/00 J
B25J21/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575725
(86)(22)【出願日】2022-06-02
(85)【翻訳文提出日】2024-02-05
(86)【国際出願番号】 FR2022051042
(87)【国際公開番号】W WO2022258913
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】2105955
(32)【優先日】2021-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511107784
【氏名又は名称】ゲティンゲ ライフ サイエンス フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】エマニュエル・モティエ
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル・ボティエ
【テーマコード(参考)】
3C707
4G057
【Fターム(参考)】
3C707XJ01
4G057AA09
(57)【要約】
本発明は、密閉連結デバイスを備えるエンクロージャ内に取り付けられるように意図された移送デバイス(14)に関する。前記移送デバイスは、前記クロージャ内に要素を流し込むための導管を形成する第1の部分(14.1)と、導管を形成する第2の剛性部分(14.2)と、エンクロージャ内部において前記移送デバイスを移動するためのデバイス(DE)に対して連結するための手段とを備える。前記第1の部分(14.1)は、オペレータによる弾性変形が可能となり、変形後に移送デバイスが連結デバイスを通過することが可能となるような、弾性変形特性を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの密閉連結デバイスを備えるエンクロージャ内に取り付けられるように意図された移送デバイスであって、前記移送デバイスは、前記エンクロージャ内に要素を流し込むための導管を形成する少なくとも1つの第1の部分(14.1)と、前記エンクロージャ内部において前記移送デバイスを変位させるためのデバイス(DE)に対して連結するための手段とを備え、前記第1の部分(14.1)は、オペレータによる弾性変形が可能となり、変形後に前記移送デバイスが前記連結デバイスを通過することが可能となるような、弾性変形特性を有する、移送デバイス。
【請求項2】
前記第1の部分(14.1)は、例えば熱硬化性シリコーン、熱硬化性EPDM(エチレンプロピレンジエンモノマー)、熱硬化性液体シリコーン樹脂(LSR)、熱可塑性エラストマー、PVC(ポリ塩化ビニル)などのエラストマーから選択された材料から作製される、請求項1に記載の移送デバイス。
【請求項3】
前記第1の部分(14.1)は、前記連結デバイスに向かって配向されるように意図されたより大きな直径のフレア形状を有する、請求項1または2に記載の移送デバイス。
【請求項4】
前記移送デバイスは、前記連結手段が固定される、導管を形成する第2の剛性部分(14.2)を備え、前記第2の部分(14.2)は、例えば管形状を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の移送デバイス。
【請求項5】
エンクロージャの壁部中に取り付けられた少なくとも1つの密閉連結デバイス(D)を備えたエンクロージャであって、移送システム(S1)は、請求項1から4のいずれか一項に記載の移送デバイス(14)と、構成要素が前記密閉連結デバイスを通って移送されることを可能にするように前記移送デバイスを配置するために前記エンクロージャの内部において前記移送デバイス(14)を変位させるためのデバイス(DE)と、前記変位デバイス上に前記移送デバイスを取り付ける/前記変位デバイス上から前記移送デバイスを取り外すための手段とを備える、エンクロージャ。
【請求項6】
前記移送デバイス(14)の前記第1の部分(14.1)は、前記密閉連結デバイス(D)のフランジ(6)内におよび部分的には前記容器のフランジ(9)内に貫入するように配向される、請求項5に記載のエンクロージャ。
【請求項7】
前記移送デバイス(14)の前記第1の部分(14.1)は、非変形状態において、第1の密閉連結デバイス(D)を通過することが不可能となる最大断面を有する、請求項5または6に記載のエンクロージャ。
【請求項8】
前記移送デバイス(14)を取り付ける/取り外すための前記手段は、片手で作動可能になるように構成される、請求項5から7のいずれか一項に記載のエンクロージャ。
【請求項9】
前記変位デバイス(DE)は、前記移送デバイス(14)が、前記密閉連結デバイス(D)のより近くにまたは前記密閉連結デバイス(D)から離れるように移動することを可能にするように、前記密閉連結デバイスに対して回転可能にヒンジ連結された少なくとも1つのアーム(28)を備える、請求項5から8のいずれか一項に記載のエンクロージャ。
【請求項10】
前記移送デバイスの前記第2の部分(14.2)は、変形を伴うことなく前記密閉連結デバイスを通過し得る断面を有する、請求項5から9のいずれか一項に記載のエンクロージャ。
【請求項11】
グローブポートを備え、前記グローブポートにより、前記移送デバイス(14)は、前記グローブポート内に取り付けられたグローブによる取付け/取外しが可能となり、前記密閉連結デバイスを通過することが可能となる、請求項5から10のいずれか一項に記載のエンクロージャ。
【請求項12】
前記変位デバイス(DE)は、電動手段を備える、請求項5から11のいずれか一項に記載のエンクロージャ。
【請求項13】
前記密閉連結デバイスのドアをロックするための電動手段と、前記密閉連結デバイスの前記ドアを開くための電動手段とを備える、請求項5から12のいずれか一項に記載のエンクロージャ。
【請求項14】
請求項5から13のいずれか一項に記載の前記エンクロージャから前記移送デバイスを取り出すための方法であって、
a)前記連結デバイス上に容器を連結するステップと、
b)前記エンクロージャの前記内部と前記容器の内部との間の通路を開くステップと、
c)前記変位デバイスから前記移送デバイスを連結解除するステップと、
d)前記エンクロージャの前記内部と前記容器の前記内部との間の前記通路を通して前記移送デバイスを取り出すことを可能にするために前記移送デバイスの外部寸法を縮小させるように、前記移送デバイスの前記第1の部分を変形するステップと、
e)前記エンクロージャの前記内部と前記容器の前記内部との間の前記通路を通して前記移送デバイスを取り出すステップと、
f)前記エンクロージャの前記内部と前記容器の前記内部との間の前記通路を閉じるステップと、
g)前記容器を連結解除するステップと
を含む、方法。
【請求項15】
請求項5から13のいずれか一項に記載の前記エンクロージャの移送デバイスを設置するための方法であって、
a')請求項1から4のいずれか一項に記載の移送デバイスを収容する容器を用意するステップと、
b')前記連結デバイス上に前記容器を連結するステップと、
c')前記エンクロージャの前記内部と前記容器の前記内部との間の前記通路を開くステップと、
d')前記容器の前記内部と前記エンクロージャの前記内部との間の前記通路を通して前記移送デバイスを挿入することを可能にするために前記移送デバイスの外部寸法を縮小させるように、前記移送デバイスの前記第1の部分を変形させるステップと、
e')前記エンクロージャの前記内部と前記容器の前記内部との間の前記通路を通して前記エンクロージャ内に前記移送デバイスを挿入するステップと、
f')前記変位デバイスに対して前記移送デバイスを連結するステップと、
g')前記エンクロージャの前記内部と前記容器の前記内部との間の前記通路を閉じるステップと、
h')前記容器を連結解除するステップと
を含む、方法。
【請求項16】
請求項14または15に記載の取出し方法または設置方法であって、前記容器は、グローブシステムであり、前記ステップc)、d)、およびe)または前記ステップd')、e')、およびf')は、前記グローブシステムの前記グローブを介して実施される、方法。
【請求項17】
請求項14または15に記載の取出し方法または設置方法であって、前記容器は、剛性容器または可撓性容器であり、前記ステップc)、d)、およびe)または前記ステップd')、e')、およびf')は、前記連結デバイスの付近に位置するグローブポート内に取り付けられたグローブを介して実施される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、他の閉鎖ボリュームに対して連結されるように意図された閉鎖ボリュームを画定する密閉されたエンクロージャであって、これらの2つの閉鎖ボリュームの間に密閉連結デバイスを備える密閉されたエンクロージャのための、移送デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
製薬、医療、農業食品、および原子エネルギーの分野を含む多数の産業分野において、作業スタッフを例えば放射線、毒性物質などから保護すること、または対照的に無菌もしくはダストフリーの雰囲気内におけるタスクの実施を可能にすることのいずれかを目的として、あるいは最終的にそれらの両方を同時に実現することを目的として、閉鎖雰囲気内でそれらのタスクを行うことが、必要となるか、または望ましい。
【0003】
一方の閉鎖ボリュームから他方の閉鎖ボリュームへと、これらの各ボリュームの外部からの密閉状態を中断させることなく、装置または製品を移送することは、対処すべきデリケートな問題を生じさせる。この問題は、デュアルドア連結デバイスにより解決され得る。
【0004】
例えば、多重安全管理能力を備えるかかるデュアルドアデバイスが、FR2695343の文献から知られている。各ボリュームは、フランジ内に取り付けられたドアにより閉鎖される。各ドアは、バヨネット連結部によりそのフランジに対して固定され、これらの2つのフランジは、バヨネット連結部により相互に対して固定されるように意図される。このシステムは、「迅速移送ポート(Rapid transfer port)」を表すRTPとも呼ばれる。
【0005】
これらの閉鎖ボリュームの一方が容器により形成され、他方のボリュームが例えばグローブボックスなどのエンクロージャにより形成される場合に、移送は以下の様式で実施される。容器のフランジは、その外方周縁部上にラグを備え、これらのラグは、グローブボックスのフランジのくぼみ部と協働するように意図される。容器のフランジは、グローブボックスのフランジ中に挿入され、容器は、これらのラグがくぼみ部と整合するように配向される。容器がそのドアの軸を中心として第1の回転を行うことにより、バヨネット連結部によってグローブボックスのフランジに対して容器のフランジを固定することが可能になる。これと同じ軸を中心としておよび第1の回転に続いて容器が第2の回転を行うことにより、容器のドアは、容器に対して枢動されて、グローブボックスのドアとの別のバヨネット連結部による連結と、ドアおよびグローブボックスのフランジに対して固定された2つのドアにより形成される新規のアセンブリの分離との両方が確保される。グローブボックス内に配置されたハンドル制御部により、安全機構をロック解除することが可能となり、2つのボリューム間の通路が開放される。無菌雰囲気の場合には、密閉状態で相互に接触状態にある2つのドアの外部面同士により、これらのボリュームの内部が汚染されることが不可能になり、またはグローブボックスの内部環境によって汚染されることが不可能になる。
【0006】
これらの容器フランジは、シールを備える。このシールは、グローブボックスのフランジに対して固定されると、2つのフランジと共に、容器の内部とグローブボックスの内部との間に通路を画成する。グローブボックスのフランジとは接触状態にない容器フランジのシールの先端部は、「汚染リング」または「懸念リング」と呼ばれる。容器フランジシールの保全性を確保するように注意しなければならず、エンクロージャの汚染を回避するために、移送の最中に汚染リングとの接触を回避することを優先させなければならない。
【0007】
このタイプのエンクロージャは、例えば薬品および薬品パッケージの製造のための製薬分野などにおいて、管理雰囲気下で製品を製造するために使用される。例えば、充填ラインがエンクロージャ内に配設される。次いで、例えばバイアルまたはキャップなどの外部からの物体が、このエンクロージャの内部へと移送され得る。これらの物体は、フランジおよびドアを備えるバッグ内に収容される。このフランジは、エンクロージャのフランジに対して封止的に連結される。例えば充填ラインの振動ボウル内へこれらの物体を流し込むためになど、これらの物体の移送を補助するために、移送システムがエンクロージャ内に実装される。この移送システムは、シュートと呼ばれる、ファネルを形成する要素を備え、このシュートは、バッグからの物体を受領し、例えば振動ボウルなどのこれらの物体の最終目的地へとこれらの物体を案内するために、サポート部としてまたはエンクロージャ内部のエンクロージャのフランジ内に取り付けられるように意図される。容器フランジの開口内にこのシュートを位置決めすることにより、汚染リングを覆うことが可能になる。
【0008】
かかる移送システムの一例は、EP3581339の文献に記載されている。シュートは、エンクロージャの壁部に対して、このシュートがエンクロージャのフランジに貫入し、エンクロージャの外部においてエンクロージャのフランジ上に取り付けられる容器の開口を画定するドッキング位置と、シュートがエンクロージャの開口から離れるように移動されることによりエンクロージャのドアが定位置に戻るのを妨害しない分離位置または休止位置との間で、ヒンジ動作される。
【0009】
シュートは、物体の流し込みの最中に物体と接触状態になる。したがって、閉込めエンクロージャの清浄度制約条件を満たすために、シュートを洗浄することが必要となる。さらに、シュートを洗浄し高圧滅菌することを可能にするために、エンクロージャからシュートを取り出すことを可能にすることが必要となる。
【0010】
正しい移送を確保するために、シュートは、容器からの物体のすべてを収集するためにエンクロージャの壁部を貫通して取り付けられた連結デバイスを貫通する移送開口の通路セクション全体を占める断面を有する。シュートの端部は、容器のフランジに圧接した状態になる。結果として、シュートは、エンクロージャから取り外すことができなくなる。エンクロージャからシュートを取り外すために、エンクロージャは、コスト上昇および漏れリスクの上昇を予想させる、シュートの通過を可能にする直径を有する別の密閉連結デバイスを備えるか、またはフラップが設けられるかのいずれかとなる。しかし、フラップの開放は、シュートの除去の最中にエンクロージャが完全に開き、閉込め状態が損なわれることを予想させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】FR2695343
【特許文献2】EP3581339
【特許文献3】米国特許第9754691号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の1つの目的は、上述の欠点を有さない移送デバイスまたはシュートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の目的は、密閉連結デバイスによりエンクロージャに対して連結された密閉ボリュームとエンクロージャとの間における要素の移送を確保するために、閉込めエンクロージャ内に取り付けられるように意図された移送デバイスまたはシュートによって達成される。この移送デバイスは、連結デバイス内に貫入するように構成された少なくとも1つの第1の部分を備える。前記第1の部分は、連結デバイスの直径が縮小されるまたは任意の他のデュアルドア連結デバイスの直径が縮小されることにより、前記部分が変形され除去されることを可能にする、弾性変形特性を有する。また、移送デバイスは、エンクロージャ内部において移送デバイスを変位させるためのデバイスに対して連結するための手段を備える。
【0014】
本発明により、1つまたは複数の連結デバイスの通過断面をシュートの通過断面よりも小さくすることのみによって、エンクロージャからのシュートの除去を確保することが可能となる。また、本発明により、閉込め状態を損なうことなくおよびエンクロージャの無菌性を低下させることなく、シュートの除去を確保することが可能となる。
【0015】
有利には、第1の部分はフレア形状を有する。
【0016】
好ましくは、シュートは、例えば管形状を有する第2の剛性部分を備え、この第2の剛性部分の断面は、連結デバイスを通したシュートの取出しを可能にする。
【0017】
特に有利には、シュートを変位させるためのデバイスに対して連結するための手段が、片手で作動可能な手段である。
【0018】
換言すれば、シュートが変形可能であるために、その変形状態においてセルの内部とセルの外部との間におけるシュートの移送が可能になる外部寸法を有するように、少なくとも最大部分において可撓性を有するシュートが作製される。有利には、この可撓性部分は、セルから外部へのまたはその逆への移送の後に初期形状へと戻る。
【0019】
特に、本発明は、開口させるために追加のグローブ穴を必要としない自動開口連結デバイスを備えるエンクロージャを備えるように適合化される。
【0020】
本願の目的の1つは、少なくとも1つの密閉連結デバイスを備えるエンクロージャ内に取り付けられるように意図された移送デバイスである。前記移送デバイスは、前記エンクロージャ内に要素を流し込むための導管を形成する少なくとも1つの第1の部分と、エンクロージャ内部において前記移送デバイスを変位させるためのデバイスに対して連結するための手段とを備える。前記第1の部分は、オペレータによる弾性変形が可能となり、変形後に移送デバイスが連結デバイスを通過することが可能となるような、弾性変形特性を有する。
【0021】
好ましくは、第1の部分は、例えば熱硬化性シリコーン、熱硬化性EPDM(エチレンプロピレンジエンモノマー)、熱硬化性液体シリコーン樹脂(LSR)、熱可塑性エラストマー、PVC(ポリ塩化ビニル)などのエラストマーから選択された材料から作製される。
【0022】
有利な一例では、第1の部分は、連結デバイスに向かって配向されるように意図されたより大きな直径のフレア形状を有する。
【0023】
例えば、移送デバイスは、連結手段が固定される、導管を形成する第2の剛性部分を備え、第2の部分は、例えば管形状を有する。
【0024】
本願のもう1つの目的は、エンクロージャの壁部中に取り付けられた少なくとも1つの密閉連結デバイスを備えたエンクロージャである。移送システムが、本発明による移送デバイスと、構成要素が密閉連結デバイスを通って移送されることを可能にするように移送デバイスを配置するために、エンクロージャの内部において移送デバイスを変位させるためのデバイスと、変位デバイス上に移送デバイスを取り付ける/変位デバイス上から移送デバイスを取り外すための手段とを備える。
【0025】
移送デバイスの第1の部分は、密閉連結デバイスのフランジ内におよび部分的には容器のフランジ内に貫入するように配向され得る。
【0026】
好ましくは、移送デバイスの第1の部分は、非変形状態において、第1の密閉連結デバイスを通過することが不可能となる最大断面積を有する。
【0027】
有利には、移送デバイスを取り付ける/取り外すための手段は、片手で作動可能になるように構成される。
【0028】
さらなる特徴によれば、変位デバイスは、移送デバイスが、密閉連結デバイスのより近くにまたは密閉連結デバイスから離れるように移動することを可能にするように、密閉連結デバイスに対して回転可能にヒンジ連結された少なくとも1つのアームを備える。
【0029】
一例の実施形態では、移送デバイスの第2の部分は、変形を伴うことなく密閉連結デバイスを通過し得る断面を有する。
【0030】
別の例の実施形態では、エンクロージャは、グローブポートを備え、このグローブポートにより、移送デバイスは、グローブポート内に取り付けられたグローブによる取付け/取外しが可能となり、密閉連結デバイスを通過することが可能となる。
【0031】
さらなる特徴によれば、変位デバイスは、電動手段を備える。
【0032】
別のさらなる特徴によれば、エンクロージャは、密閉連結デバイスのドアをロックするための電動手段と、密閉連結デバイスのドアを開くための電動手段とを備える。
【0033】
本願のもう1つの目的は、本発明によるエンクロージャから移送デバイスを取り出すための方法である。この方法は、
a)連結デバイス上に容器を連結するステップと、
b)エンクロージャの内部と容器の内部との間の通路を開くステップと、
c)変位デバイスから移送デバイスを連結解除するステップと、
d)エンクロージャの内部と容器の内部との間の通路を通して移送デバイスを取り出すことを可能にするために移送デバイスの外部寸法を縮小させるように、移送デバイスの第1の部分を変形するステップと、
e)エンクロージャの内部と容器の内部との間の通路を通して移送デバイスを取り出すステップと、
f)エンクロージャの内部と容器の内部との間の通路を閉じるステップと、
g)容器を連結解除するステップと
を含む。
【0034】
本願のもう1つの目的は、本発明によるエンクロージャの移送デバイスを設置するための方法である。この方法は、
a')本発明による移送デバイスを収容する容器を用意するステップと、
b')連結デバイス上に前記容器を連結するステップと、
c')エンクロージャの内部と容器の内部との間の通路を開くステップと、
d')容器の内部とエンクロージャの内部との間の通路を通して移送デバイスを挿入することを可能にするために移送デバイスの外部寸法を縮小させるように、移送デバイスの第1の部分を変形させるステップと、
e')エンクロージャの内部と容器の内部との間の通路を通してエンクロージャ内に移送デバイスを挿入するステップと、
f')変位デバイスに対して移送デバイスを連結するステップと、
g')エンクロージャの内部と容器の内部との間の通路を閉じるステップと、
h')容器を連結解除するステップと
を含む。
【0035】
一例の実施形態では、容器は、グローブシステムであり、ステップc)、d)、およびe)またはステップd')、e')、およびf')は、グローブシステムのグローブを介して実施される。
【0036】
別の例の実施形態によれば、容器は、剛性容器または可撓性容器であり、ステップc)、d)、およびe)またはステップd')、e')、およびf')は、連結デバイスの付近に位置するグローブポート内に取り付けられたグローブを介して実施される。
【0037】
以下の説明および添付の図面に基づくことにより、本発明がさらに理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】一実施形態による移送デバイスを備え、この移送デバイスがドッキング位置にある、エンクロージャの長手方向断面図である。
図2】一実施形態による移送デバイスを備え、この移送デバイスがパーキング位置にある、エンクロージャの長手方向断面図である。
図3】ある視点からの図1および図2の移送デバイスの斜視図である。
図4】別の視点からの図1および図2の移送デバイスの斜視図である。
図5】エンクロージャから移送デバイスを取り出すために使用され得るグローブシステムの斜視図である。
図6】密閉連結デバイスおよび移送容器を備えるエンクロージャの概略図である。
図7A】シュートとヒンジデバイスとの間に実装可能な片手による迅速取付け/取外しのためのシステムの一例の斜視図である。
図7B図7Aのシステムの長手方向断面図である。
図7C】面A-Aに沿った図7Bのシステムの断面図である。
図8】移送デバイスの2つの部分のアセンブリの一例の実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1および図2では、一例の移送システムS1を備えた密閉されたエンクロージャの一例が、透過的に示され、移送システムは、それぞれ異なる位置において図示される。移送システムS1は、外部からエンクロージャの内部ボリュームのある領域に向かって来ることを案内することが可能である。例えば、これらの物体は、バッグ内に収容されたキャップであり、これらのキャップは、エンクロージャの内部に流し込まれる。システムS1は、例えば物体/要素のコンベヤベルトへの供給を容易にするためなどに、エンクロージャの内部における物体/要素の処理および/または移送を補助するように意図される。
【0040】
エンクロージャ2は、密閉ボリュームを画成する壁部を備える。これらの壁部4の中の少なくとも1つが、デバイスDを備え、このデバイスDは、例えば別のエンクロージャ、バッグタイプの剛性または可撓性の容器などの外部の密閉システムに対して密閉連結するためのものである。デバイスDは、エンクロージャの内部ボリュームと外部システムの内部ボリュームとを密閉状態で連結することを可能にし、これら2つのボリューム間における密閉移送を可能にすることによって、これらの密閉ボリューム内に収容された物体を保護するおよび/またはこれらの物体の外部環境を保護するように意図されたものである。例えば、エンクロージャ2は、隔離器の一部であってもよく、具体的には隔離器の閉込め領域、無菌閉込め領域、または放射線閉込め領域であってもよく、これは、例えば製薬産業、農業食品産業、または原子エネルギー産業などにおける製品の製造のために使用され得る。連結デバイスDは、エンクロージャ2の壁部4を貫通して取り付けられる。
【0041】
密閉連結デバイスの例は、FR2695343および米国特許第9754691号の文献に記載されている。
【0042】
図6では、連結状態にある連結デバイスおよび容器の概略図が示される。
【0043】
密閉連結デバイスDは、壁部4に対して取り付けられ開口8を画定する、アルファフランジとして知られるフランジ6と、開口8を封止的に閉じるように意図された、アルファドアとして知られるドア10とを備える。さらに、密閉連結デバイスDは、例えば容器Cなどの外部システムに対する連結手段を備え、この容器Cは、開口を画定する、ベータフランジとして知られるフランジ9と、封止的に前記開口を閉じる、ベータドアとして知られるドア11とを備える。例えば、フランジ6およびフランジ9を連結するための手段は、バヨネットタイプのものである。さらに、各ドアが、それぞれのフランジに対してバヨネット連結部により連結されるか、またはアルファドアが、アルファフランジアルファに対してヒンジおよびラッチにより連結される。連結デバイスは、軸X1に対して軸対称性を有する。
【0044】
図6を参照として、容器をエンクロージャに対して密閉連結するための手順の一例を簡単に説明する。図6の左側には、エンクロージャに対して連結される前の閉じられた容器が示される。この容器は、エンクロージャ内への移送を所望された、概略的に示された物体Oを収容する。移送システムは示されない。
【0045】
容器のベータフランジ9は、バヨネット連結部によりエンクロージャのアルファフランジ6に対して封止的に固定される。同時に、容器のベータドア11およびエンクロージャのアルファドア10は、バヨネット連結部により相互に対して封止的に固定される。アルファドア10およびベータドア11の外部面は、容器の内部ボリュームおよびエンクロージャの内部ボリュームからそれぞれ隔離され、相互に固定された2つのドア10、11により形成されるアセンブリは、その軸を中心とした枢動と、その後のエンクロージャ内へのアセンブリの変位とにより除去されて、これらの2つのボリューム間の通路が開放され得る。このとき、これらの2つのボリュームは、密閉連通状態にあり、2つのボリューム間における物体の移送は、この通路を介して実現され得る。
【0046】
容器のフランジ9は、シールを備え、このシールは、エンクロージャのフランジ6の外部面と接触状態にある。このシールは、2つのボリューム間に通路を画成することに寄与する。
【0047】
移送システムS1は、シュートと呼ばれる、物体流の案内を確保する移送デバイス14と、エンクロージャの内部におけるおよび具体的には密閉連結デバイスDに対するシュート14の変位デバイスDEとを備える。
【0048】
図3および図4に示す例では、シュート14は、導管を形成する第1の部分14.1を備える。第1の部分14.1の自由端部16は、連結デバイスDのフランジ6内におよび部分的には容器のフランジ9内に貫入するように、ならびに連結デバイスを貫通する通路を画成するように意図される。さらに、シュート14は、導管を形成する第2の部分14.2を備え、この第2の部分14.2の自由端部18は、エンクロージャ内に要素を流し込むように意図される。
【0049】
シュートは、エンクロージャ内部でエンクロージャに対して連結された容器の要素を移送する導管を形成する。
【0050】
シュート14の第1の部分14.1は、その自由端部16の断面が、連結デバイスの通路の断面を占め、第1の部分が、連結デバイスの通路のセクションと第2の部分14.2とを連結するように、フレア形状を有する。図示する例では、第1の部分14.1の自由端部16は、容器のベータフランジに対して圧接されている。
【0051】
図示する例では、シュート14の第1の部分14.1は、第2の部分14.2の第2の端部22に対して連結された第2の端部20を備える。
【0052】
第2の部分14.2は、構成要素を流し込むための流れの中に位置するように、連結デバイスの通路に対して下方へ配向される。さらに、第1の部分14.1は、第2の部分14.2の第2の端部22と連結デバイスの通路の入口との間の空間を満たす形状を有する。さらに、第1の部分14.1は、容器から流れ込む物体に対する障害を解消する、および容器からエンクロージャに向かう物体の流れに逆らう傾斜を解消する、形状を有する下部部分を備える。
【0053】
図示する例では、第1の部分14.1は、軸対称性を有さず、「キャップ」形状を有する。
【0054】
さらに図示する例では、第1の部分14.1が曲線状断面を有する(図1および図2)ことが断面図で示される。
【0055】
構成要素の流し込みに対する障害となる作用をこの下部部分から解消する、第1の部分の任意の他の形状が実装されてもよい。
【0056】
本発明によれば、第1の部分は、連結デバイスの通路を通過するように十分に変形可能となるように弾性変形特性を有する材料から作製される。例えば、第1の部分14.1の材料は、例えば熱硬化性シリコーン、熱硬化性EPDM(エチレンプロピレンジエンモノマー)、熱硬化性液体シリコーン樹脂(LSR)、熱可塑性エラストマー、PVC(ポリ塩化ビニル)などのエラストマーから選択される、合成材料である。
【0057】
可撓性材料から作製された第1の部分14.1の厚さは、例えば1mm~5mmの間である。
【0058】
第1の部分14.1の材料の弾性変形特性は、例えば5N~100Nの間の、オペレータが手により加えることのできる力の範囲に対して考慮される。
【0059】
しかし、この材料の機械特性および第1の部分の厚さは、力が印加されない場合にその形状の維持を確保する特性および厚さである。
【0060】
第2の部分14.2は、図示する例では剛性を有する。有利には、第2の部分14.2は、ステンレス鋼から作製され得る。本願では、「剛性部分」は、移送システムの正常動作におけるハンドリングの最中に通常の強度の力を印加されることによって変形不可能なまたはほとんど変形しない部分を意味する。
【0061】
図示する例では、第2の部分14.2は、管形状を有し、代替的にはエルボを形成するように裁頭円錐形状をおよび/または曲線形状を有する。
【0062】
好ましくは、第1の部分14.1は、第2の部分14.2上にクリップ固定される。図8では、一例のシュートの断面図が示され、第1の部分は、第2の部分上にクリップ固定される。この例では、第2の部分14.2は、雄部分を形成し、端部22付近に周縁部全体に沿って三角形断面のラグ23を備える。第1の部分14.1は、雌部分を形成し、第1の部分14.1の端部20は、径方向溝25を備え、この径方向溝25は、クランプ固定によりラグを収容し、第1の部分および第2の部分をクリップ固定することによる連結を確保するように構成される。第2の部分14.2上に第1の部分14.1を取り付ける最中に、第1の部分14.1の端部20は、環状ラグを収容するように径方向外方に変形され、それにより第2の部分14.2上への第1の部分14.1のクランプ固定を確保する。
【0063】
好ましくは、第2の部分14.2の横面とラグの底部との間に形成される角度は、90°未満であり、これにより第2の部分上への第1の部分の掛止が改善される。
【0064】
クリップ固定による連結の実現により、可撓性部分の取外しが容易になり、その交換が容易になるという利点がもたらされ、良好な洗浄性が得られる。他の変形例では、第1の部分14.1および第2の部分14.2は、螺着または圧力嵌めにより組み立てられてもよい。これらのアセンブリタイプは、高圧滅菌に適するという利点を有する。他の変形例によれば、第1の部分14.1および第2の部分14.2は、結合によって組み立てられるが、高圧滅菌に対する耐性は一般的に良好ではない。
【0065】
一変形例として、シュートは、弾性変形可能材料から全体が作製された本体と、連結デバイスの通路断面よりも小さい断面を有する剛性材料から作製され、変位デバイスに対するシュートの連結を可能にするリングとを備える。
【0066】
他の変形例としては、第1の部分は、第1の部分を所与の形状に保持させると共に、連結デバイスを通り移送されるために変形および体積収縮を可能にする、例えば金属などの強化材を含む。
【0067】
図示する例では、変位デバイスは、変位デバイスを支持するエンクロージャの壁部上に、軸Y1を中心とする枢動ヒンジ30により回転可能にヒンジ連結されたアーム28を備える。有利には、枢動ヒンジ30は、フランジ6上に固定され、これにより移送システムを固定するためにエンクロージャの壁部を穿通する必要性が回避される。アーム28は、例えば図2に示すパーキング位置と、図1に示すようにシュートが連結デバイスにドッキングするドッキング位置との間で枢動し得る。パーキング位置は、移送デバイスの非動作位置に相当する。図示する例では、角度γ=90°だけ、アーム28のパーキング位置とドッキング位置とが離れている。角度γは、例えば連結デバイスのドアの開閉、層流、またはエンクロージャ内部における変位などにとって好適となる、有利なパーキング位置にシュートを配置する別の数値であってもよい。
【0068】
一変形例として、変位デバイスは、エンクロージャ内部におけるより複雑な変位をシュート14に対して適用するために相互にヒンジ連結された複数のアームを備える。
【0069】
さらに、変位デバイスは、連結デバイスを支持する壁部とは異なる壁部に対して固定されてもよい。
【0070】
さらに、有利には、変位デバイスは電動式である。枢動ヒンジ30は、電気モータM1を備える。電気モータは、アルファフランジ6上に固定される。モータM1の電気供給は、アルファフランジ6を通じて行われる。
【0071】
有利には、変位デバイスは、複数のアームおよび複数のモータを備え、それによりより複雑な軌道を可能にすることによって、例えばシュートの装着解除可能部分を移送デバイスDに対して連結された容器内に直接的に移動させることができる。
【0072】
さらに、1つまたは複数の電気モータを実装することにより、例えば連結デバイスのアルファドアのラッチの制御およびアルファドアの開扉など、連結デバイスの少なくとも一部分が自動化される場合には、移送デバイスの電気モータM1および連結デバイスのモータに供給および制御を行うための電気ケーブル同士が、共にまとめられ、アルファフランジを貫通して形成された単一のドリル穴に通される。図1および図2では、アルファドアのラッチを作動させるモータM2が示される。
【0073】
このアセンブリにより、高レベルの一体化の実現と、エンクロージャ装備の簡素化とが可能になる。さらに、漏れリスクが低下する。
【0074】
また、シュートは、変位デバイスDEに対してシュートを連結するための手段24を備える。この例では、連結手段24は、ロッド26を備え、ロッド26は、好ましくはシュートの第2の部分14.2に対して固定され、変位デバイスDEに対する連結/変位デバイスDEからのシュートの連結解除を迅速かつ容易に行うための手段である第2の端部を備える。
【0075】
シュートの剛性部分上にロッド26を固定することにより、シュートの変位はより高精度なものとなり、シュートの重量によるシュートの変形が限定される。
【0076】
図7A図7Cでは、変位デバイスに対してシュートを連結するためのデバイスの一例が示される。
【0077】
有利には、シュートは、ヒンジデバイス上に取外し可能に取り付けられ、これによりシュートの容易な除去、洗浄、および例えばオートクレーブ内における滅菌が可能になる。洗浄の容易さはとりわけ興味深い。なぜならば、シュートは、移送の最中に構成要素と接触状態にあり、注意深い洗浄を必要とするからである。
【0078】
好ましくは、変位デバイスDE上へのシュート14の固定は、迅速取付け/取外しシステムRによって片手で実施される。
【0079】
図7A図7Cでは、迅速取付け/取外しシステムRの一例が示される。
【0080】
このシステムRは、変位デバイスDEのアーム28とシュート14上に固定されたロッド26との間に配設される。例えば、アーム28は、その自由端部に、ロッド26の自由端部を収容するようにサイズ設定されたハウジング36を備える。ハウジング36は、側方壁部38および底部40を備える。側方壁部38は、ハウジング36の厚さ部分にわたり長手方向に延在する切欠部42(図7C)を備える。切欠部42は、アーム28の自由端部内へと開口するフレア状挿入部分42.1と、円形形状停止部分42.2とを備える。
【0081】
シュートに対して固定されたロッド26は、横方向ボア44を備える。横方向ボア44は、開通しており、切欠部42と協働する軸方向ロック機構46を収容する。
【0082】
ロック機構46は、ロックロッド48を備え、ロックロッド48は、ボア44内において横軸方向に移動可能であり、ロッド48と横方向ストッパ52との間に圧縮状態で取り付けられたばね50によって外方に押される。この例では、ストッパは、ボア内に螺入したボルトにより構成される。
【0083】
ロックロッド48は、ばねにより印加されるスラスト力の方向へと直径が漸減する3つの軸方向部分48.1、48.2、48.3を備える。
【0084】
横方向ボア44は、ショルダ53を備え、このショルダ53は、ショルダ54と協働して軸方向部分48.1および48.2の外部側方面同士を連結する。軸方向部分48.2の直径は、停止部分42.2の直径と実質的に等しい。
【0085】
ロックロッド48の端部は、作動ボタン56を支持する。
【0086】
このシステムの動作は、以下の通りである。
【0087】
オペレータが、作動ボタン56を押すことにより、ロックロッド48を変位させ、ばね50を圧縮させる。次いで、部分48.3が、切欠部の停止部分42.2内に嵌入する。部分48.3の直径が切欠部42の最小横方向寸法よりも小さいため、部分48.3は、切欠部42内で摺動することが可能であり、それによりハウジング36からのロッド26の端部の除去と、ヒンジデバイスからのシュートの分離とが可能になる。
【0088】
シュートをヒンジデバイス上に再び配置することは、作動ボタンを押し、切欠部42内に部分48.3を挿入することによって実施される。
【0089】
この操作は、片手で行い得る。
【0090】
次に、シュートの洗浄を視野に入れたシュートの取外しについて説明する。
【0091】
最初に、連結デバイスが閉じられ、連結デバイス上には何もドッキングされない。
【0092】
シュートは、例えば図2に示すようにパーキング位置に、または例えば迅速取付け/取外しシステムRに対するアクセスを容易にする中間位置に、配置される。
【0093】
図5に示すグローブシステムが、連結デバイスのフランジ上に取り付けられる。このグローブシステムは、ベータ部分57およびグローブ58を備え、グローブ58のカフ58.1が、ベータフランジ上に封止的に固定され、手を受容する部分58.2が、カフ58.1の内部に収容される。
【0094】
ベータ部分57は、ベータフランジ60およびベータドア62を備える。ベータフランジ60は、連結デバイスDのアルファフランジ6に対して固定され、ベータドア62は、アルファドア10に対して固定される。連結デバイスのラッチは、アルファドアを解除するように制御され、ベータドアが連結されるアルファドアの開扉が、制御される。
【0095】
次いで、連結デバイスの通路が自由に通過できる状態となる。
【0096】
オペレータは、グローブ内に手を配置し、エンクロージャ内にその手を入れる。オペレータは、シュートの迅速取付け/取外しシステムRにアクセスする。オペレータは、作動ボタン56を押し、これによりアーム28のロッド26がロック解除される。次いで、シュートが、変位デバイスDEから解除される。この動作は片手で実施される。
【0097】
その後、オペレータは、連結デバイスに可撓性部分を通過させるために指の間においてこの可撓性部分を圧迫することによって可撓性部分を変形させる。連結デバイスの通路の直径よりも小さい直径を有する剛性部分は、容易に通過する。次いで、シュートが、エンクロージャの外部のグローブのカフの内部に位置する。
【0098】
これらのドアの閉鎖およびアルファドアのロックが制御される。グローブシステムは、アルファ部分から取外し可能である。シュートは、グローブシステム内で隔離され、洗浄および場合によっては高圧滅菌のための設備内に運ばれ得る。
【0099】
シュートが洗浄され、場合によっては高圧滅菌されると、シュートはエンクロージャ内に再挿入される。このために、シュートは、グローブシステムの内部に配設され、次いで連結デバイスに通過させるために可撓性部分を変形させることによりエンクロージャ内に挿入される。可撓性部分は、エンクロージャ内部に位置するとすぐに初期形状に戻る。後に、シュートは、迅速取付け/取外しシステムRを介してアーム28に対して連結される。連結デバイスが閉じられる。グローブシステムは、連結デバイスから分離される。
【0100】
新規のシュートの設置は、同様に行われる。
【0101】
移送システムは、再び使用可能な状態になる。
【0102】
本発明によるシュートは、任意のタイプの連結デバイスを備えるエンクロージャ内において使用することができる。これは、連結デバイスを作動させるためにオペレータがエンクロージャの内部にさらにアクセスする必要性をもたらさない自動化された連結デバイスの場合には、特に有利になる。したがって、このシュートは、アクセス箇所が少ないエンクロージャに対して特に適する。
【0103】
さらに、連結デバイスと接触状態になるように意図された弾性変形可能部分を実装することは、シュートが連結デバイスと接触状態になる場合に連結デバイスに損傷を与えるリスクを軽減するという利点を有する。さらに、この弾性変形可能部分は、シュートと連結デバイスとの間の通路を解消し、とりわけ小さいサイズの物体の落下を回避させるように、連結デバイスに対してシュートをしっかりと取り付けることを可能にする。本発明によるシュートは、サイズの小さい物体を安全に移送することを可能にする。実際に、弾性変形可能部分は、連結デバイスとのドッキング不良を補償し得る。
【0104】
さらに、本発明によるシュートは、手動開口連結デバイスと共に使用されてもよく、この場合には、シュートの変位は、一般的に手動により行われる。さらに、シュートの除去は、以下の方法で行われる。
【0105】
図6に概略的に示すグローブポートGと呼ばれるアクセスが、連結デバイス付近のクロージャの壁部を貫通して設けられる。オペレータは、連結デバイスに対してベータ部分を備える容器またはバッグを連結し、グローブ158が、グローブポートGに対して連結される。オペレータは、グローブ内に手を入れ、デュアルドアを開き、シュートを掛止解除し、容器またはバッグ内にシュートを配置し、デュアルドアを閉じる。オペレータは、グローブから手を抜きとり、シュートを収容した容器またはバッグを連結解除する。この容器またはバッグは、例えば洗浄設備などに移送される。
【0106】
一変形例として、連結デバイスが、自動化され、エンクロージャが、連結デバイスの付近にグローブポートを備える。オペレータは、連結デバイスに対して容器またはバッグを連結し、グローブポート内にグローブを取り付ける。その後、オペレータは、デュアルドアの開扉を制御し、グローブ内に手を通し、シュートを掛止解除し、容器またはバッグ内にシュートを配置し、グローブから手を抜きとり、デュアルドアの閉扉を制御し、シュートから装填された容器またはバッグを除去する。この構成では、有利には、デュアルドアの開閉のための段階においてグローブへのアクセスを防止する安全制御部が設けられる。
【0107】
別の変形例では、シュートは、例えば付近に位置するデュアルドア連結デバイスなどの、移送を行うための連結デバイスとは異なるデュアルドア連結デバイスにより、エンクロージャ内に挿入され、エンクロージャから取り出される。
【符号の説明】
【0108】
2 エンクロージャ
4 壁部
6 フランジ、アルファフランジ
8 開口
9 フランジ、ベータフランジ
10 ドア、アルファドア
11 ドア、ベータドア
14 移送デバイス、シュート
14.1 第1の部分
14.2 第2の部分
16 自由端部
18 自由端部
20 第1の部分14.2の第2の端部
22 第2の部分14.2の第2の端部
23 ラグ
24 連結手段
25 径方向溝
26 ロッド
28 アーム
30 枢動ヒンジ
36 ハウジング
38 側方壁部
40 底部
42 切欠部
42.1 フレア状挿入部分
42.2 円形形状停止部分
44 横方向ボア
46 軸方向ロック機構
48 ロックロッド
48.1 軸方向部分
48.2 軸方向部分
48.3 軸方向部分
50 ばね
52 横方向ストッパ
53 ショルダ
54 ショルダ
56 作動ボタン
57 ベータ部分
58 グローブ
58.1 カフ
58.2 手を受容する部分
60 ベータフランジ
62 ベータドア
158 グローブ
M1 電気モータ
M2 モータ
S1 移送システム
X1 軸
Y1 軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
【国際調査報告】