(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】緑内障治療システム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61F 9/007 20060101AFI20240621BHJP
【FI】
A61F9/007 160
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575747
(86)(22)【出願日】2022-06-30
(85)【翻訳文提出日】2023-12-07
(86)【国際出願番号】 US2022035877
(87)【国際公開番号】W WO2023278807
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523459871
【氏名又は名称】アクエシス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】ロモダ ラスズロ
(57)【要約】
緑内障治療は、眼内シャントを送達するための眼内シャントインサータを使用して実施することができる。シャントは、約50μm~約70μm及び約170μm~約260μmの内径を有する少なくとも1つの流路を有することができる。インサータは、約220~約280μmの内径を含む内腔を有する27ゲージ針内に眼内シャントを担持することができる。これらのシステム及び関連する方法の実施形態は、緑内障患者の眼圧を安全かつ有意に低下させ、抗緑内障薬の数を低減することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
緑内障を治療するためのシステムであって、
架橋ゼラチンから作製された眼内シャントであって、前記眼内シャントが、約170μm~約260μmのシャント外径を有し、かつ前記眼内シャントが、約50μm~約70μmのシャント内径を有する少なくとも1つの内部流路を画定する、眼内シャントと、
前記眼内シャントを担持するための内腔を有する針と、を備え、前記内腔が、約220~約280μmの内腔内径を有する、システム。
【請求項2】
前記シャントの外部表面と前記内腔の内部表面との間の環状間隙が、約0μm~約20μmである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記シャント外径が、拡張可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記シャント外径が、約260μmの最大シャント外径まで拡張する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記シャント内径が、約63μmである、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記眼内シャントが、約88μm~約99μmのシャント肉厚を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記眼内シャントが、約6ミリメートルのシャント長を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記内腔内径が、約260μmである、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記針が、約400μm~約420μmの針外径を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記針が、約70μm~約80μmの針肉厚を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記内腔内に配設された移動可能なプランジャを更に備え、前記プランジャが、前記内腔を通して前記シャントを前進させるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記プランジャを選択的に移動させて前記シャントを前進させるように構成された展開機構を更に備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
緑内障を治療する方法であって、
患者の強膜を通して、約400μm~約420μmの針直径を有する針を前進させて開口部を作ることと、
前記針の内腔を通して前記開口部内へ眼内シャントを前進させることであって、前記眼内シャントが、約240~260μmのシャント外径を有し、前記内腔が、前記シャントと前記開口部との間の任意の間隙を低減して、それらの間の管周囲流を最小限に抑えるために約220μm~約280μmの内腔内径を有する、前進させることと、
前記眼内シャントを通る流れを可能にすることと、を含み、前記シャントが、約50μm~約70μmのシャント内径を有する、方法。
【請求項14】
前記眼内シャントの拡張を可能にすることを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記シャント外径が、拡張中、およそ前記内腔内径に制限される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記シャントが前記針の前記内腔の外側にあるときに、前記シャント外径をおよそ前記開口部の内径まで拡張することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記開口部を形成するために、前記針の先端部を介して前記強膜を切ることを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
緑内障を治療するためのシステムであって、
架橋ゼラチンから作製された眼内シャントであって、前記眼内シャントが、約170μm~約260μmのシャント外径を有し、かつ眼内シャントが、約63μmのシャント内径を有する少なくとも1つの内部流路を画定する、眼内シャントと、
前記眼内シャントを担持するための内腔を有する針と、を備え、前記針が、約400μm~約420μmの針外径を有し、前記内腔が、約260μmの内腔内径を有する、システム。
【請求項19】
前記眼内シャントが、約88μm~約99μmのシャント肉厚を有する、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記針が、約70μm~約80μmの針肉厚を有する、請求項18に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年6月30日に出願された米国特許仮出願第63/217,230号に対する優先権及びその利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、眼内シャント、眼内インサータ、及び眼内シャントを眼に埋め込む方法におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
緑内障は、何百万もの人々に影響を及ぼす眼の疾患である。緑内障は、網膜神経節細胞の進行性喪失及びその後の視野欠損を特徴とする、広範囲の多因子性、慢性及び進行性視神経症を指す。緑内障は、眼の前房から房水を適切に除去するための眼の排液系の不全、又は眼内の毛様体による房水の過剰産生のいずれかに起因する眼圧の上昇と関連付けられる。房水の蓄積及び結果として生じる眼圧は、視神経及び網膜に対する不可逆的損傷をもたらし得、これは、不可逆的網膜損傷及び失明につながり得る。
【0004】
緑内障は、多くの異なる方式で治療することができる。治療の1つの様式は、房水の産生を低減するか、又は眼の前房からの房水の流れを増加させるかのいずれかのために、β遮断薬又はプロスタグランジンなどの薬物を眼に送達することを伴う。緑内障濾過手術は、緑内障を治療するために典型的に使用される外科的方法である。この方法は、眼の前房から房水を排出するための経路を作ることによって眼圧を軽減するために、眼にシャントを配置することを伴う。シャントは、典型的には、眼の前房と低圧領域との間に排出経路を作るように、眼内に位置決めされる。そのような流体流経路は、房水が前房から出ることを可能にする。
【発明の概要】
【0005】
緑内障治療は、眼内シャントを送達するための眼内シャントインサータを使用して実施することができる。シャントは、約50μm~約70μm及び約170μm~約260μmの内径を有する少なくとも1つの流路を有することができる。インサータは、約220~約280μmの内径を含む内腔を有する27ゲージ針内に眼内シャントを担持又は保持することができる。これらのシステム及び関連する方法の実施形態は、緑内障患者の眼圧を安全かつ有意に低下させ、抗緑内障薬の数を低減することができる。
【0006】
いくつかの実施形態によれば、眼内シャントと針とを備え得る、緑内障を治療するためのシステムが提供される。眼内シャントは、架橋ゼラチンから作製することができる。眼内シャントは、約170μm~約260μmのシャント外径を有することができる。眼内シャントは、約50μm~約70μmのシャント内径を有する少なくとも1つの内部流路を画定することができる。針は、眼内シャントを担持又は保持するための内腔を有することができる。内腔は、約220~約280μmの内腔内径を有することができる。
【0007】
いくつかの実施形態では、システムは、約63μmのシャント内径を画定する眼内シャントを有することができる。更に、針は、約400μm~約420μmの針外径を有することができ、内腔は、約260μmの内腔内径を有することができる。
【0008】
システムは、シャントの外部表面と内腔の内部表面との間に存在する環状間隙が、約0μm~約20μmであるように構成することができる。更に、シャント外径は、拡張可能であり得る。例えば、シャント外径は、約260μmの最大シャント外径まで拡張することができる。
【0009】
いくつかの実施形態では、シャント内径は、約63μmであり得る。任意選択的に、眼内シャントは、約88μm~約99μmのシャント肉厚を有することができる。更に、眼内シャントは、約6ミリメートルのシャント長を有することができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、針の内腔内径は、約260μmであり得る。針はまた、約400μm~約420μmの針外径を有することができる。針は、約70μm~約80μmの針肉厚を有することができる。
【0011】
任意選択的に、システムは、内腔内に配設された移動可能なプランジャを更に備えることができる。プランジャは、内腔を通してシャントを前進させるように構成することができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、システムは、プランジャを選択的に移動させてシャントを前進させるように構成されている展開機構を更に備えることができる。
【0013】
緑内障を治療する方法も提供される。例えば、方法であって、患者の強膜を通して、約400μm~約420μmの針直径を有する針を前進させて開口部を作ることと、針の内腔を通して開口部内へ眼内シャントを前進させることであって、眼内シャントは、約240~260μmのシャント外径を有し、内腔は、シャントと開口部との間の任意の間隙を低減して、それらの間の管周囲流を最小限に抑えるために約220μm~約280μmの内腔内径を有する、前進させることと、眼内シャントを通る流れを可能にすることと、を含み、シャントは、約50μm~約70μmのシャント内径を有する、方法が実施され得る。
【0014】
方法はまた、眼内シャントの拡張を可能にすることを含み得る。例えば、シャント外径は、拡張中、およそ内腔内径に制限され得る。更に、シャント外径は、シャントが針の内腔の外側にあるとき、およそ開口部の内径まで拡張することができる。
【0015】
方法は、任意選択的に、開口部を形成するために、針の先端部を介して強膜を切ることを伴ってもよい。
添付の図面は、主題の技術の更なる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成し、本開示の態様を例示し、説明とともに、主題の技術の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1A】いくつかの実施形態による、インサータを使用して眼内シャントを眼に埋め込むための方法の概略図である。
【
図1B】いくつかの実施形態による、インサータを使用して眼内シャントを眼に埋め込むためのアブインテルノ(ab interno)法の側断面図である。
【
図1C】いくつかの実施形態による、インサータを使用して眼内シャントを眼に埋め込むためのアブエクステルノ(ab externo)法の側断面図である。
【
図2】いくつかの実施形態による、眼内シャントを眼に埋め込むためのインサータの斜視図である。
【
図3】いくつかの実施形態による、
図2に示されるインサータの分解斜視図である。
【
図4】いくつかの実施形態による、
図2に示されるインサータの駆動アセンブリの分解斜視図である。
【
図5】本開示のいくつかの実施形態に従う方法を受けた研究における患者の、ベースライン及び3か月目における眼圧の散布図である。
【
図6】本開示のいくつかの実施形態に従う方法を受けた研究における患者の、ベースライン及び18か月目までの眼圧の散布図である。
【
図7】本開示のいくつかの実施形態に従う方法を受けた患者の、研究の3か月目における平均眼圧及び患者が使用した降圧薬の数の概要である。
【
図8】本開示のいくつかの実施形態に従う方法を受けた患者の、研究の過程にわたる平均眼圧及び患者が使用した降圧薬の数の概要である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の詳細な説明では、主題の技術の完全な理解を提供するために、多くの特定の詳細が記載される。主題の技術は、これらの特定の詳細のいくつかがなくても実施され得ることを理解されたい。他の例では、主題の技術を不明瞭にしないように、既知の構造及び技法は詳細に示されていない。
【0018】
本明細書では、修正された眼内インプラントと、本明細書では「XEN63システム」と総称される、修正された挿入デバイスとの独自の組み合わせが開示される。
【0019】
この独自のXEN63システムの実施形態は、以前のシステムと比較して有害事象が低減された、予想外に改善された、より効果的な緑内障治療を達成する可能性を実証した。XEN(登録商標)インプラント又はシャントは、緑内障を治療するためにヒトの眼に埋め込むことができる市販の眼内シャントである。XEN(登録商標)は、45μmの内径を有する(以下、「XEN45シャント」)。しかしながら、本明細書で更に説明されるように、本出願人の研究開発チームは、既に成功している方法を改善するための努力において、様々な点でシャント及びインサータの以前の組み合わせとは異なるシャント及びインサータの特定の組み合わせを使用して、緑内障治療の有効性における驚くべき変化を発見した。具体的には、XEN63システムは、例えば、63μm内径を有することができる、XEN45シャントの修正バージョンを備える(63μm内径シャントは、以降、「XEN63シャント」と称される)。更に、XEN63システムは、元々はXEN45シャントでのみ使用するために設計されたものであるが、例えば、特別に修正された27ゲージ針を含む、いくつかの点で修正されたインサータを使用する。本明細書で説明されるように、XEN63システムは、以前のシステム又はデバイスよりも優れた驚くべき予想外の利益を提供する。
【0020】
例えば、修正された27ゲージ針を有するインサータを使用してXEN63シャントを送達することの集合的効果は、特に、より高いベースライン眼内圧(「intraocular pressure、IOP」)値を有する患者において、IOPの即時の明確かつ実質的な低減であって、有意により大きな内腔内径を有するにもかかわらず、XEN45シャントと比較して低眼圧症を発症する対応して増加するリスクを伴わない、低減と、XEN45シャントと比較して術後の穿刺のリスクが低いことと、XEN45シャントと比較して、挿入後の降圧性抗緑内障薬の使用が低減することと、XEN45インサータと同等の管周囲濾過の発生率とを提供する。全体として、XEN63システムは、良好な安全性プロファイルで、IOPを有意に低下させ、抗緑内障薬の数を低減させた。XEN63システムの低眼圧症の限定された発生率は、MMCの任意選択的な使用と組み合わせて(濃度及び注射面積の両方に関して)、より進行した患者を治療し、長期的により低い目標IOPを得ることを可能にし得る。
【0021】
緑内障治療の方法及びシステム
緑内障は、視神経が損傷を受け、進行性の不可逆的な視力喪失につながる疾患である。これは、典型的には、眼内の流体(すなわち、房水)の圧力の増加と関連付けられる。緑内障を治療しないと、視神経が永久的に損傷し、その結果、視野が失われ、失明に進行する可能性がある。一旦失われると、この損傷した視野は、回復することができない。緑内障治療の主な目標は、疾患の進行を遅らせ、患者の生活の質を可能な限り維持することであり、IOPの即時の一貫した低減は、緑内障を治療するための外科的選択肢の有効性及び実行可能性を評価する際の最も重要な考慮事項となる。
【0022】
薬物療法が失敗した場合、又は許容されない場合、外科的介入が正当化される。前房と結膜下組織との間に流体流路を作ることによってIOPを低下させるための様々な外科的濾過方法がある。1つの特定の方法において、眼内シャントは、インサータを用いて針を方向付けることによって埋め込まれ、針は、角膜を通して、前房を横断して、小柱網及び強膜を通して、結膜下腔の中へシャントを担持又は保持する。例えば、米国特許第6,544,249号、米国特許出願公開第2008/0108933号及び米国特許第6,007,511号(これらの各々の全体が、参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0023】
外科医は、患者の必要性及び選択された治療に応じて、アブエクステルノ法又はアブインテルノ法を使用して、眼内シャントを埋め込むことができる。アブエクステルノアプローチでは、外科医は、米国特許第10,470,927号及び米国特許第10,463,537号(これらの各々の全体が、参照により本明細書に組み込まれる)を含め、本出願人の刊行物において説明されるように、結膜を通して、強膜を通して内向きに進入してもよい。アブインテルノアプローチでは、外科医は、Yu et al.(米国特許第6,544,249号、及び米国特許出願公開第2008/0108933号)、並びにPrywes(米国特許第6,007,511号)(これらの各々の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)において示されるように、角膜を通して、前房を横断して、小柱網及び強膜を通して進入し得る。
【0024】
眼内シャント、インサータ、及び様々な方法の有効性及び安全性を評価するために、本出願人は、様々な研究及び評価を行った。本明細書に開示される実施形態のうちの少なくともいくつかの一態様によれば、様々な予想外の結果及び予想外の利益が、特定のシャント及びインサータ特性に基づいて使用して達成されたという認識である。本明細書で更に考察されるように、研究前評価は、特定の特性に関して懐疑的態度及び低い期待を明らかにしたが、特定の特性は、驚くべきことに、かつ一貫して優れた結果をもたらし、外科医の支持において見解に完全に影響を与えた。したがって、本明細書で考察される本出願人の評価及び研究以前は、特定の方法及びデバイスが好まれたが、圧倒的多数の外科医は、本明細書で開示されるXEN63システムの実施形態のほぼ均一な採用可能性を実証しており、患者に対する新たに発見された利益及び利点は、外科医の対象群に対して非常に説得力がある。
【0025】
現在まで、IOPを減少させることは、緑内障を治療する唯一の証明された方法であった。そうするために、薬物療法、レーザ、及び手術などの異なる治療戦略が現在利用可能である。局所降圧薬は、通常、最初の治療アプローチであるが、多くの患者は、不十分なアドヒアランス、副作用、又は維持される有効性の欠如を含む異なる原因のために、適切な緑内障制御を達成しない。線維柱帯切除術は、主にIOPを低下させることに関するその十分に確立された有効性に起因して、緑内障手術における絶対的基準であると考えられているにもかかわらず、潜在的な視力を脅かす合併症につながり得る。低侵襲緑内障手術(Minimally invasive glaucoma surgery、MIGS)デバイスが、緑内障患者のIOPを低下させるより安全で外傷の少ない手段として開発されている。
【0026】
種々のMIGSデバイスの中で、既に市販されているXEN45シャントは、前房から結膜下腔への房水の流れを可能にする。XEN45シャントは、長年使用されており、緑内障に罹患している患者に有効な治療を提供している。XEN45シャントは、多くの外科医が、角膜代償不全、加速された白内障形成、黄斑症、不快感、及び全体的な視力減退を含む、様々な有害作用を引き起こし得る低眼圧症に対して強力な保護を提供すると認めた。低眼圧症は、房水が前房から眼内シャントを介してあまりに急速に排出されることが可能になる場合に起こり得、IOPを5mmHg以下に低下させる。
【0027】
本明細書に開示される実施形態のうちの少なくともいくつかのうちの一態様は、XEN45シャントがそれを通して送達されるインサータとともに、より大きい直径の内腔を有するようにXEN45シャントを修正することが、より良好でより効果的な緑内障治療を達成する可能性を有したという認識である。しかしながら、ヒトの眼の応答又は挙動は、外科医によって十分に理解されておらず、したがって、任意の方法、インプラント、又はインサータに対する修正は、予測可能な結果を提供しないか、又は全ての外科医の期待を満たさない。その上、XEN45シャントは、それが提供する利益及び有効性を考慮すると、産業界においてかなりの程度の信頼を有する。したがって、この臨床空間における本出願人の開発及び発見への経路は、本明細書で更に考察されるように、多大な時間及び試行だけでなく、対照的な思考及び証明されていない概念の考慮及び実装も必要とした。
【0028】
したがって、いくつかの実施形態は、IOPの低減を改善し、眼圧降下剤への依存を低減し、低減されたIOPを維持するための術後の穿刺を最小限に抑える眼内シャント及び送達システムを提供する。そのような利益及び利点は、27ゲージ針を使用して63μm内径を有するシャントを送達することによって達成することができる。
【0029】
任意選択的に、シャント外径は、従来のシャント製造手順と比較して低減された公差を有することができる。シャントは、約160μm~約200μm、約170μm、約180μm、又は約190μmの外径を有することができる。いくつかの実施形態では、シャントは、約170μm~約180μm、好ましくは約170μmの外径を画定することができる。
【0030】
これら及び他の実施形態が試験及び研究されており、IOPの低減及び維持、並びに術後の予後及びケアの改善、並びに有害な術後事象の低減に関して有効であることが証明されている。本開示は、これらの課題を企図し、これらの課題に対する解決策を提供し、外科医及び患者の両方にとっての手術結果を改善することができる独自の手術システムを提供する。
【0031】
本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態は、インサータ又は展開デバイスを利用して、眼内シャントを展開することができる。中空シャフト又は針が、インサータに結合され得るか、又はインサータ自体の一部であり得る。インサータは、共同所有の米国特許第9,585,790号、米国特許第8,721,792号、米国特許第8,852,136号、及び2010年11月15日に出願された米国特許出願公開第2012/0123434号(これらの各々の内容は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)に記載されているようなデバイスなどのデバイスを含むことができる。
【0032】
いくつかの実施形態によると、インサータは、アブインテルノ又はアブエクステルノアプローチを介して眼の中に前進させることができる。その後、シャントが、前房から、シュレム管、結膜下腔、強膜上静脈、脈絡膜上腔、テノン内癒着腔、クモ膜下腔、又は眼の他の領域などの低圧領域への通路を形成するように、シャントをシャフトから眼の中へ展開することができる。次に、中空シャフトを眼から引き抜く。生体吸収性若しくは恒久的なチューブ又はシャントを送達し埋め込むための方法、及びそのような方法を実施するための埋め込みデバイスは、概して、米国特許出願公開第2012/0197175号、同第2015/0011926号、及び同第2016/0354244号、米国特許出願第15/613,018号、並びに米国特許第6,007,511号、同第6,544,249号、同第8,852,136号、及び同第9,585,790号を含む、本出願人の出願に開示されており、これらの各々が、参照によりそれらの全体が組み込まれる。
【0033】
いくつかの方法は、インサータの挿入前に眼に切開部を作製することによって行うことができる。しかしながら、いくつかの例では、方法は、インサータの挿入前に眼に切開部を作製することなく行われてもよい。いくつかの実施形態では、インサータに接続されているシャフトは、鋭利な先端又は先端部を有する。いくつかの実施形態では、中空シャフトは、針である。使用され得る例示的な針は、Terumo Medical Corp.(Elkington,Md)から市販されている。いくつかの実施形態では、針は、中空内部及び斜角先端部を有することができ、眼内シャントは、針の中空内部内に保持することができる。いくつかの実施形態では、針は、中空内部及び三重接地先端又は先端部を有することができる。
【0034】
いくつかの方法は、小柱網、虹彩、角膜、又は房水を含むがこれらに限定されない眼の解剖学的部分又は特徴部を除去する必要なしに行うことができる。いくつかの方法は、結膜下小疱形成又は眼内炎などの実質的な眼炎症を誘発することなく行うことができる。いくつかの方法は、眼内シャントが角膜を通して、前房を横断して、小柱網を通して、強膜内又はテノン内癒着空間内に前進されるときに、眼内シャントを担持又は保持するように構成された中空シャフトを挿入することによって、アブインテルノアプローチを使用して達成することができる。しかしながら、いくつかの方法は、アブエクステルノアプローチを使用して行われ得る。
【0035】
アブインテルノアプローチを使用して行われるいくつかの方法では、角膜を通る進入角度は、テノン内癒着空間内のシャントの最適な配置に影響を及ぼすように変更され得る。中空シャフトは、角膜縁を通して進入するのとは対照的に、角膜縁の上又は下のある角度で眼の中に挿入されることができる。
【0036】
例えば、中空シャフトは、角膜縁の約0.25mm~約3.0mm上に挿入され得る。シャフトは、角膜縁の約0.5mm~約2.5mm上に挿入され得る。シャフトはまた、角膜縁の約1.0mm~約2.0mm上、又はこれらの範囲のいずれかのうちの任意の特定の値で挿入され得る。例えば、中空シャフトは、角膜縁の上に、約1.0mm、1.1mm、1.2mm、1.3mm、1.4mm、1.5mm、1.6mm、1.7mm、1.8mm、1.9mm、又は2.0mmの距離で挿入され得る。
【0037】
アブインテルノアプローチ又は方法は、アブエクステルノ法のためのシャントの位置と比較して、針のベベルに対して異なって位置決めされるシャントを必要とするか、又はそれから利益を得る場合がある。例えば、アブエクステルノ法の場合、シャントの遠位端部がアブインテルノ法の場合よりも針のベベルに対して更に近位に位置決めされる場合に、有益であり得る。上述したように、既存のインサータは、外科医が、アブエクステルノ及び/又はアブインテルノ法に備えてシャントを針のベベルに対して位置決めし直すことを可能にすることができないか、又は容易には可能にしない場合がある。本開示は、操作者がシャントを針のベベルに対して容易に位置決めして、アブエクステルノ法又はアブインテルノ法のいずれかのためにインサータを構成することを可能にすることができる方法及びデバイスの様々な実施形態を提供する。
【0038】
更に、いくつかの実施形態では、縁の上の進入角度によって提供されるような、出口部位における縁からより遠いシャントの配置は、結膜リンパ系に加えて、強膜上リンパ網等の、房水の排出のためのより多くのリンパ管へのアクセスを提供することができる。より高い進入角度はまた、テノン内癒着空間内のより平坦な配置をもたらし、その結果、シャントの屈曲がより少なくなる。
【0039】
米国特許第8,852,136号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)で考察されるように、いくつかの実施形態では、眼内シャントの適切な位置決め及び機能を確実にするために、テノン内癒着空間内への貫通の深さは、いくつかの方法を実施するときに重要であり得る。
【0040】
いくつかの方法では、中空シャフトの遠位先端部は、周囲の眼組織のコアリング、除去、又は主要な組織の歪みを引き起こすことなく、強膜及びテノン内癒着空間を穿刺することができる。次いで、シャントがシャフトから展開される。好ましくは、シャントが中空シャフトから展開される前に、中空シャフトの遠位部分(遠位先端部とは対照的に)がテノン内癒着空間に完全に進入する。
【0041】
いくつかの実施形態によれば、中空シャフトは、三重接地先端を有する針などの平坦なベベル針を含むことができる。先端部ベベルは、最初に、水平スリットを作製することによって、強膜を通してテノン内癒着空間内に穿刺することができる。いくつかの方法では、針は、平坦なベベル全体がテノン内癒着空間内に貫入し、組織を完全な円形直径まで広げて開くように、また更に前進させることができる。
【0042】
更に、いくつかの方法の一態様によれば、テノン内チャネルは、開口部の周りの物体が十分に伸張され、そのゾーンにおけるシャントの挟み込みが回避されるように、針の平坦なベベル部分によって開くように付勢されることができ、したがって、挟み込み又は狭窄に起因してシャントが機能しなくなることを防止する。テノン内癒着空間内への平坦なベベルの完全な進入は、局所領域に軽微な歪み及び外傷を引き起こす。しかしながら、この領域は、シャントが眼内で展開されると、最終的にシャントを取り囲み、シャントに適合する。
【0043】
眼内シャントインサータ
いくつかの実施形態では、インサータは、操作者が、フックなどの眼を保持する固定デバイス上に自身の他方の手を保つことを可能にするために、片手用デバイスとして機能することができる。これは、手術制御及び配置精度を改善することができ、手術をより容易にもする。
【0044】
眼12を治療するための方法の例示が、
図1Aに示される。
図1Aは、眼12を保持するための任意選択的なフック14と、眼内シャントを眼に導入するためのインサータ100との使用を例示する。
図1B及び
図1Cは、アブインテルノ及びアブエクステルノアプローチの一般的原理を例示する。
図1Bは、いくつかの実施形態による、インサータ100を使用して眼内シャントを眼12に埋め込むためのアブインテルノ法20の側断面図である。例示されるように、インサータ100は、角膜縁30の上又は上方の位置で眼12に接近し、角膜縁30は、概して、眼12の強膜32を角膜34から分離する。したがって、アブインテルノ法では、インサータ100は、角膜34を通して眼12に進入する。更に、
図1Cは、いくつかの実施形態による、インサータ100を使用して眼内シャントを眼12に埋め込むためのアブエクステルノ法40の側断面図である。例示されるように、アブエクステルノ法の場合、インサータ100は、インサータ100が強膜32を通して眼12に進入するように、角膜縁30の下又は下方の位置で眼12に接近する。
【0045】
眼内シャントインサータのいくつかの実施形態が本明細書に記載される。シャントインサータは、内腔を画定する針を含むことができる。プランジャが、針の内腔内に部分的に配設され得る。プランジャは、針を通してシャントを前進させて、眼内シャントを眼に導入することができる。本明細書に開示されるいくつかの実施形態に従って使用され得るインサータのこれら及び他の特徴部は、少なくとも本出願人の米国特許第6,007,511号、同第8,721,702号、同第8,801,766号、同第8,828,070号、同第9,095,411号、同第9,585,790号、同第10,470,927号、同第10,085,884号、及び同第10,952,898号、並びに米国特許出願公開第2019/0274881号(これらの各々の全体が、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0046】
図2~
図4は、
図1に示されるインサータ100の詳細を例示する。インサータ100は、片手を使用して作動させることができ、したがって、操作者によるインサータの使用を容易にする。インサータ100は、上部ハウジング102と、下部ハウジング104と、スライダ構成要素106と、針121と、を備えることができる。
図2に示されるように、インサータ100は、スライダ構成要素106がハウジング102の細長いスロット108に沿って摺動可能であるように構成することができる。スライダ構成要素106は、インサータ100の構成要素の移動を作動させるために、操作者によって選択的に移動可能であり得る。
【0047】
例えば、スライダ構成要素106がスロット108に沿って遠位に(すなわち、針121に向かう方向に)移動するとき、スライダ構成要素106の結果として、シャント(図示せず)を針121内で前進させ、いくつかの実施形態では、針121から解放するか、又は解放させることができる。本明細書で更に考察されるいくつかの実施形態によれば、スライダ構成要素106の移動は、インサータ100の構成要素の並進移動及び/又は回転移動をもたらすことができる。スライダ構成要素106の摺動移動は、回転移動に変換されることができ、これはその後、インサータ100の長手方向軸に沿った移動に変換されることができる。この革新的で複雑な移動変換機構の利益のうちの1つは、インサータの実施形態が、コンパクトなアセンブリ内でその構成要素の正確な測定された移動を提供することを可能にすることである。
【0048】
描示された例では、インサータ100は、埋め込み方法の前に取り外し可能なキー150を回転させることによって、アブエクステルノ法又はアブインテルノ法のために構成することができる。本明細書に記載されるように、取り外し可能なキー150は、アブエクステルノ法のためにシャントを針121に対して位置決めするために(
図2に示されるように)鉛直位置に位置決めすることができる。同様に、取り外し可能なキー150を回転させるか、又は他の方法で水平位置に位置決めして、アブインテルノ法のためにシャントを針121に対して移動させることができる。
【0049】
図3に例示されるように、プランジャ131を針121内に配設して、埋め込みのためにシャントを前進させることができる。プランジャ131は、インサータ100の長手方向軸に沿って針121の内腔内で摺動可能に移動可能であり得る。更に、針121は、長手方向軸に沿ってスリーブ構成要素115の内腔内で摺動可能に移動可能であり得る。いくつかの実施形態では、針121は、移動可能な針基部110に取り付けることができる。
【0050】
針121及びプランジャ131の各々は、ハウジング102及び104内に配設された駆動アセンブリ140のそれぞれの駆動構成要素に結合され得る。組み立てられた状態にあるとき、インサータ100は、針121、プランジャ131、及びスリーブ構成要素115が長手方向軸に沿って位置合わせされるか、又は長手方向軸と同軸であるように構成することができる。プランジャを作動させ、インサータの針を引き込むためのいくつかの駆動アセンブリが、米国特許第8,663,303号、同第8,721,702号、同第8,758,290号、同第8,974,511号、同第9,585,790号、同第9,636,254号、同第10,470,927号、同第10,085,884号、及び同第10,952,898号、並びに米国特許出願公開第2019/0274881号(その全体が、参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0051】
図3及び
図4を参照すると、針121、プランジャ131、及びスリーブ構成要素115は、駆動アセンブリ140及び/又はハウジング102に動作可能に結合され得る。例えば、針アセンブリ120は、針121を駆動アセンブリ140に動作可能に結合することができる。針アセンブリ120は、針121と、針基部110と、持針器122と、を含むことができる。描図された例では、針121は、針基部110に結合され得る。針基部110は、針121と針基部110との間の回転及び長手方向の移動が制限又は防止されるように、針121の近位端部分に固定して結合され得る。針基部110は、インサータ100が組み立てられるとき、ハウジング102の遠位端部分内に封入されることができる。更に、
図4に例示され、以下で更に考察されるように、針基部110は、持針器122を介して駆動アセンブリ140に結合されることができる。
【0052】
更に、
図4に示されるように、プランジャアセンブリ130が、プランジャ131を駆動アセンブリ140に動作可能に結合され得る。プランジャアセンブリ130は、プランジャ131及びプランジャドライバ132を含むことができる。プランジャドライバ132は、プランジャドライバ132に対するプランジャ131の回転及び長手方向の移動を制限又は防止するために、プランジャ131の近位端部分又は中央部に固定して結合され得る。更に、
図4に例示され、以下で更に考察されるように、プランジャドライバ132は、駆動アセンブリ140に結合され得る。
【0053】
更に、スリーブ構成要素115は、ハウジング102及び104の一部分に結合され得る。スリーブ構成要素115は、スリーブ構成要素115とハウジング102及び104との間の回転及び長手方向の移動を防止するように結合され得る。
【0054】
上述したように、針121及びプランジャ131は、駆動アセンブリ140に動作可能に結合され得る。そのような結合は、持針器122及びプランジャドライバ132を介して生じ得る。次に、持針器122及びプランジャドライバ132は、駆動アセンブリ140とともにハウジング102に係合する1つ以上の駆動構成要素に結合され得る。
【0055】
いくつかの実施形態によれば、駆動アセンブリ140は、針121及びプランジャ131に結合されて、ハウジング102及び104に対する針121及びプランジャ131の長手方向軸に沿った移動を作動させることができる。例えば、駆動アセンブリ140は、ハウジング102内で回転又は摺動するように構成され得る。駆動アセンブリ140は、長手方向軸に沿った長手方向又は軸方向の力を針121及び/又はプランジャ131に独立して又は同時に伝達して、ハウジング102及び104に対する長手方向軸に沿った針121及びプランジャ131の移動をもたらすことができる。
【0056】
本明細書で考察されるように、スライダ構成要素106の運動は、駆動アセンブリ140の運動をもたらし、それによって、ハウジング102及び104に対する駆動アセンブリ140の構成要素の運動をもたらすことができる。いくつかの実施形態は、針121及びプランジャ131、したがってシャントの直線運動を駆動するか又はもたらすために、スライダ構成要素106が、ハウジング102及び104に対して長手方向軸に沿って長手方向に移動可能又は摺動可能であり得るように、構成され得る。
【0057】
図4に示されるように、駆動アセンブリ140は、持針器122及びプランジャドライバ132と係合するように構成された、駆動構成要素141a及び141bを備えることができる。いくつかの実施形態では、長手方向軸に沿ったスライダ構成要素106の長手方向又は直線の運動は、駆動アセンブリ140の駆動構成要素141a及び141bの回転をもたらすように変換されることができ、これは次いで、ハウジング102及び104に対する長手方向軸に沿った針121及びプランジャ131の長手方向又は直線の運動をもたらすように変換されることができる。いくつかの実施形態によれば、長手方向軸に沿った構成要素の運動は、長手方向軸に対して平行であり得る。
【0058】
図4はまた、駆動構成要素141a及び141bの実施形態を例示する。駆動構成要素141a及び141bは、スライダ構成要素106の対応する突出部(図示せず)と係合するように構成され得る溝143を備えることができる。更に、駆動構成要素141a及び141bはまた、持針器122及びプランジャドライバ132の対応する突出部に摺動係合するように構成され得る、第1及び第2の駆動溝142、144を備えることができる。したがって、スライダ構成要素106は、突出部を備えることができ、持針器122は、突出部125を備えることができ、プランジャドライバ132は、突出部135を備えることができる。スロット及び突出部のこの配置は、スライダ構成要素106から針121及びプランジャ131のそれぞれのものへの運動の伝達を容易にすることができる。更に、プランジャドライバ132及び持針器122は、駆動構成要素141a及び141b内に着座すると、駆動構成要素141a及び141bの内部ガイド表面に接触し、それに対して摺動する、丸みを帯びた本体を備えることができる。
【0059】
XEN63システム
上述したように、本出願人は、XEN45シャントを商業化することに成功しており、これは、外科医にとって信頼できる緑内障治療選択肢として優れた結果及び有効性を提供する。本明細書に開示される実施形態のうちの少なくともいくつかの態様は、XEN45シャントを、XEN45シャントがそれを通して送達されるインサータとともに修正することが、緑内障治療の有効性を改善し、治療と関連付けられる有害事象を低減し得るという認識である。
【0060】
特に、ヒトの眼の応答又は挙動が、外科医によって常に予測可能であるか又は十分に理解されるものではないことを考慮すると、任意の方法、インプラント、又はインサータに対する修正は、外科医が予見するものである予測可能な結果を提供しない。その上、既存のXEN45シャントは、それが提供する利益及び有効性を考慮すると、当業界においてかなりの程度の信頼を有する。したがって、本出願人の研究開発チームの、内径45μmのXEN45シャントから変更するという決定は、本明細書で更に考察されるように、多大な時間及び評価だけでなく、対照的な思考及び証明されていない概念の包含も必要とした。
【0061】
したがって、いくつかの実施形態は、IOPの低減を改善し、眼圧降下剤への依存を低減し、低減されたIOPを維持するための術後の穿刺を最小限に抑える眼内シャント及び送達システムを提供する。そのような利益及び利点は、27ゲージ針を有するように修正されているインサータ(XEN63システムと総称される)を使用して、63μm内径を有するように修正されたXEN45シャント(すなわち、XEN63シャント)を送達することによって達成することができる。修正された27ゲージ針を使用する利益のうちの1つは、医師が、XEN63シャントのより大きい直径を考慮して別様に必要とされるであろうもの(例えば、25ゲージ針)よりも小さいゲージ針を有するインサータを使用して、XEN63シャントを送達することを可能にすることである。27ゲージ針は、(例えば、XEN63シャントのようなより大きな内腔のシャントに使用された25ゲージ針などのより大きな針に対して)より小さな修正された27ゲージ針を介して送達されるXEN63シャントに起因するより低い有害事象の可能性を経験しながら、患者がXEN63シャントのより大きな内腔から利益を得ることを可能にする。以下で更に考察される評価及び研究を通して例示されるように、本明細書で開示される少なくともいくつかの実施形態の態様は、XEN63システムが、以前のシステム又はデバイスよりも優れた驚くべき予想外の利益を提供するという認識に関する。例えば、27ゲージ針を有するインサータと組み合わせてXEN63シャントを送達することの集合的効果は、IOPの即時の明確かつ実質的な低減を提供し、また驚くべきことに、XEN45シャントと比較して低眼圧症のリスクの対応する増加を伴わず、術後の穿刺及び降圧抗緑内障薬の使用の必要性を低減する。
【0062】
いくつかの実施形態では、XEN63シャントは、従来のシャント製造手順と比較して、XEN63シャントの外径の許容可能な公差を低減するように製造することができる。いくつかの実施形態では、XEN63シャントは、約170μm~約280μm、約170μm、約180μm、約190μm、約200μm、約210μm、約220μm、約230μm、約240μm、約250μm、約260μm、約270μm、約280μm、又はいくつかの実施形態では、約240μm~約260μmの外径を有することができる。XEN63シャントは、約55μm、60μm、65μm、又はいくつかの実施形態では約63μmなど、約50μm~約70μmのシャント内径を有する少なくとも1つの内側流路を画定することができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、XEN63シャントは、約260μmの最大外径まで拡張することができる。更に、XEN63シャントは、約80μm~約110μm、約85μm~約105μm、又は約88μm~約99μmのシャント肉厚を有することができる。更に、XEN63シャントは、約5mm、約6mm、又は約7mmのシャント長を有することができる。
【0064】
XEN63システムで使用されるインサータは、上で考察されたインサータの特徴部のいずれかを備えることができる。いくつかの実施形態によれば、XEN63シャントを送達するために使用されるインサータは、約210μm~約280μm、約230μm~約270μm、又は約260μmの公称内径を提供する27ゲージ針を備えることができる。針の公称外径は、約400μm~約420μm、例えば、約410μmであり得る。更に、針は、約70μm~約80μmの肉厚を有することができる。
【0065】
XEN63システム評価調査
XEN63システムの評価中、評価に参加した外科医は、異なる時点で、任意のXEN63埋め込み方法を完了する前の、評価の開始時の事前評価調査と、3~4回のXEN63シャント埋め込み方法を完了した後の、初期経験調査と、外科医が最初のXEN63シャントを埋め込んでから約3~4か月後に完了した最終評価調査との3つの調査に記入した。
【0066】
事前評価調査では、外科医は、XEN45シャントを用いた現在までの自身の経験、及びXEN63シャント送達に対する自身の期待に関する様々な質問に対する回答を提供した。事前評価調査は、任意のXEN63シャントが埋め込まれる前に行われた。一貫して、グループ全体にわたって、外科医は、XEN63シャントのより大きい内腔について重大な懸念を有した。外科医は、より大きい内腔がより低いIOPを達成することを予期したが、XEN45シャントを使用して経験した合併症よりも頻繁な低眼圧症関連合併症をもたらすことも予期した。更に、外科医は、XEN63シャントの有効性について悲観的であり、XEN63シャントを受ける患者が、XEN45シャントを受けた患者と比較して、より多くの術後IOP低下薬を必要とすると予期したことを示している。加えて、外科医はまた、XEN63シャントを受ける患者が、XEN45シャントを受ける患者と比較して、より高い穿刺比率を必要とすると考えていた。
【0067】
次に、初期経験調査では、いくつかのXEN63シャント埋め込み方法を完了した後、外科医は、「1日目すぐさま」に、XEN63シャントが、XEN45シャントと比較してより低いIOPをもたらしたと述べた。この時点で、外科医の48%はまた、XEN63シャントを用いた自身の経験が予期したよりも良好であったと述べたが、外科医の別の48%は、XEN63シャントを用いた自身の経験が予期した通りであったと言及した。
【0068】
最後に、外科医は、自身の最初のXEN63シャントを埋め込んでから約3~4か月後に行われた事後評価調査又は最終評価調査において、27ゲージ針を有するインサータを使用して埋め込まれたXEN63シャント(この方法は「XEN63システム」と総称される)を用いた自身の経験が、予期したよりも良好であったと述べた。外科医は、XEN63シャントが同じ方式で埋め込まれ、XEN45シャントとほぼ同じ時間を必要とすると述べた。これらの外科医は、XEN63システムが、XEN45シャントと比較して、IOPの即時低下を提供すると言及した。外科医はまた、穿刺が成功裏に実施された場合、ブレブの回復は、XEN45シャントの場合よりもXEN63シャントの場合により明らかであったと言及した。外科医は、XEN45シャントよりも、組み合わせ水晶体/XEN63シャント方法のためにXEN63システムを検討する可能性が高かった。外科医は、XEN63シャントが、少なくとも一次使用に関して、XEN45シャントに完全に置き換わることができると考えた。実際、外科医の63%はまた、XEN45シャントと比較して、XEN63システムが、必要とする術後穿刺がより少ないことを示した。
【0069】
全体として、事後評価調査又は最終評価調査において、外科医は、XEN63シャントの内腔がより大きいことを考慮して、XEN63システムを使用可能であるという見込みが魅力的であることを示した。外科医は、XEN63システムが、潜在的により低いIOP値を達成するための有望な選択肢であり、XEN45シャントとともに使用されることが必要とされるものと比較して、降圧薬の必要性がより少ないと考えた。実際、外科医は、XEN45シャントと比較して、XEN63シャントがより適切であると考えた。実際には、外科医の13%は、XEN63システムが、全ての患者における将来の作業のためにXEN45シャントに完全に置き換わることを示し、別の75%は、外科医が、将来的に患者においてXEN63システムを主に使用することを示した。
【0070】
したがって、評価調査は、低眼圧症及び穿刺の懸念に起因して、XEN63システムを使用する基本的な実行可能性に特有の初期の高い懐疑的態度が存在しただけでなく、XEN63システムの有効性及び長期の実行可能性についての外科医の見解における後の大きいシフトも存在したことを示す。上述したように、圧倒的多数の外科医が、XEN63システムが自身の患者作業のための主要な選択であることを示しただけでなく、多くの外科医が、全ての患者における将来的な作業に関してXEN45シャントに完全に置き換わることも示した。
【0071】
したがって、この分野の医療専門家は、最初は、XEN63システム、例えば、27ゲージ針を有するインサータを使用したXEN63シャントの埋め込みが、自身が回避するであろう外科的選択肢であることを示していた。しかしながら、試行及び観察時に、外科医の大多数は、驚くべきことに、XEN63システムが、自身が効果的、安全、かつ成功裏の緑内障治療を行うための新しい最良の方式であることを見出した。これらの経験的結果自体は、その多くの利益及び利点を含む、本明細書に開示されるXEN63システムの実施形態によって提供される解決策の驚くべき属性だけでなく、XEN63システムの実行可能性及び予期される商業的成功の説得力のある証拠を提供する(これらの同じ医療専門家が、自身の患者に手術のタイプを推奨する医師を代表することを前提とする)。XEN63システムの新しい特徴及び構成は、(医療専門家からの陳述及び調査によって証明されるように)従来の見識及び容認された実践に反するだけでなく、これらの医療専門家及び先行技術は、これらの特徴及び構成が、27ゲージ針を使用して63μm内径を有するシャントを送達することなどによって、IOPの低減を改善し、眼圧降下剤への依存を低減し、本明細書に開示されるものと同程度に低減されたIOPを維持するための術後の穿刺を最小限に抑える眼内シャント及び送達システムを提供するように修正され得ることを認識していなかった。
【0072】
XEN63システム研究
本明細書に開示されるXEN63システムの実施形態に関して本出願人によって行われた様々な調査に加えて、本出願人は、2020年2月~6月に、XEN63シャントを単独で、又は白内障手術と組み合わせて受けた開放隅角緑内障(「open-angle glaucoma、OAG」)患者を使用して医師によって行われる研究を手配した。本出願人は、原稿のデータ分析又は改訂に参加しなかった。研究の著者らは、XEN63システム(27ゲージ針を有するインサータを使用して埋め込まれるXEN63シャント)の使用が、良好な短期安全性プロファイルを伴って、IOPを有意に低下させ、抗緑内障薬の数を低減させたと結論付けた。これらの結論は、更なるデータによって支持され、18か月のフォローアップを通して一貫していた。
【0073】
参加者は、以下の受け入れ基準:年齢≧40歳、OAGの臨床診断、及び薬物療法にもかかわらず満たされていない目標IOPを満たすことを要求された。狭隅角緑内障(外科医が、デバイスを安全に埋め込むのに十分な空間が可能であると考えていない限り)、重度の結膜瘢痕、眼類天疱瘡、水晶体振盪、何らかの原因による進行性の網膜若しくは視神経疾患、又は過去6か月以内の主要な眼科手術(水晶体超音波乳化吸引術を除く)の病歴を有する患者は、研究から除外した。この研究では、MIGSデバイス、XEN63シャント(Allergan,Irvine,CA,US製)を使用した。使用したXEN63シャントは、グルタルアルデヒドで架橋されたブタゼラチンから構成された。ステントは、長さ6mm、外径180μm、内径63μmであった。全ての外科的方法は、同じ2人の熟練した外科医によって局麻下で実施された。
【0074】
ベースラインにおいて、各対象は、詳細な病歴、前眼部及び眼底検査、最良矯正視力(「best corrected visual acuity、BCVA」)、ゴールドマン圧平眼圧計を使用して午前9時(±1時間)に評価されたIOP測定、並びに隅角鏡検査を含む標準的な眼科検査を受けた。コンピュータ化された視野(ハンフリー視野分析器;Carl Zeiss Meditec,Dublin,CA)を、XEN63シャントの埋め込み前6か月以内にベースライン検査として実施した。更に、フォローアップ来院は、濾過胞、BCVA、IOP、拡張眼底検査、及び有害事象の発生率に特別な注意を払う、前眼部検査を含むものとした。
【0075】
局所的及び全身的なIOP降下薬は、手術当日に一時中断された。濾過胞線維症、扁平濾過胞、及び/又は上昇したIOPを有する患者は、穿刺を受け、これは手術室で実施された。
【0076】
XEN63シャントを、標準的なアブインテルノ技法を使用して鼻上側に配置した。Fea AM,Bron AM,Economou MA,Laffi G,Martini E,Figus M,et al.European study of the efficacy of a cross-linked gel stent for the treatment of glaucoma.J Cataract Refract Surg.2020;46(3):441-450.doi:10.1097/j.jcrs.0000000000000065、Fea AM,Durr GM,Marolo P,Malinverni L,Economou MA,Ahmed I.XEN(登録商標)Gel Stent:A Comprehensive Review on Its Use as a Treatment Option for Refractory Glaucoma.Clin Ophthalmol.2020;14:1805-1832doi:10.2147/OPTH.S178348、及びFernandez-Garcia A,Zhou Y,Garcia-Alonso M,Andrango HD,Poyales F,Garzon 19 N.Comparing Medium-Term Clinical Outcomes following XEN(登録商標)45 and XEN(登録商標)63 Device Implantation.J Ophthalmol.2020;2020:4796548doi:10.1155/2020/4796548(これらの各々の全体が、参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。麻酔及び皮膚消毒の後、結膜鼻上側を縁から3mmでマークした。手術の前に、0.1mlの0.02%~0.03%のMMCを、鼻上側のテノン内に注射した。
【0077】
高い凝集性を有する粘弾性物質を注射した後、予め装填された注入針を、1.8mmの角膜穿刺を通して下側頭四分円に挿入した。術中ゴニオレンズを使用して、強膜岬を通した配置を確認した。ゴニオレンズを取り外すと、インサータ針の先端部を、強膜を通しておよそ3mm前進させ、XEN63シャントを、結膜下腔の中に最終的に位置決めした。前房内のXEN63シャントの位置を、粘弾性物質を除去する前に、隅角鏡検査によってチェックした。癒着の欠如を確認するために、XEN63シャントの側方移動を、XEN63シャントが結膜下で自由に移動するまで実施した。
【0078】
その後、XEN63シャントの機能及び濾過胞形成を、平衡塩類溶液(balanced salt solution、BSS)での一定の灌注によって評価した。最後に、角膜切開部にBSSで水分補給した。
【0079】
周術期ケアは、第1週の間に1日4回の抗生物質療法を含み、ステロイドによる抗炎症療法を、1日6回投与し、これを3か月にわたって徐々に漸減させた。
【0080】
白内障手術を受けた眼において、水晶体超音波乳化吸引術は、外科医が好む技法を使用して実施され、XEN63シャントは、白内障手術後の全ての場合において埋め込まれた。
【0081】
眼圧降下剤の再導入を可能な限り回避又は遅延させるためにも特別な注意が払われた。任意の術後の抗緑内障薬を開始する前に、外科医は、穿刺又は濾過胞再建のいずれかを実施した。このアプローチが失敗した場合、又は患者がこれらの方法を受けることを拒絶した場合、局所降圧薬が再導入された。
【0082】
XEN63システム研究結果及び分析
XEN63研究の結果を、(i)3か月目のIOP及び(ii)重篤な有害事象の発生率の主要エンドポイントを使用して評価した。二次エンドポイントは、(iii)何らかの有害事象の発生率、(iv)ベースラインから3か月目までの眼圧降下薬の数の低減、(v)抗緑内障薬を用いずに≧30%及び≧20%のIOP低下を達成する患者の割合、(vi)投薬なしで最終IOP≦12mmHg、≦14mmHg、≦16mmHg、又は≦18mmHgを達成する患者の割合、及び(vii)重篤でない有害事象の発生率を含むものとした。
【0083】
標準的な統計分析を、Prism9バージョン9.0(GraphPad Software;San Diego,CA 92108,USA)を使用して実施した。研究前にサンプルサイズを計算しなかったが、サンプルの妥当性を試験するために事後分析を行った。事後検出力分析は、0.05のαレベル、研究サンプルサイズ、及び研究において観察された効果サイズについて決定された。Yuan K-H,Maxwell S.On the Post Hoc Power in Testing Mean Differences.Journal of Educational and Behavioral Statistics.2005;30(2):141-167.doi:10.3102/10769986030002141(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。データは、必要に応じて、数(パーセンテージ)、平均±標準偏差(standard deviation、SD)、又は平均(95%信頼区間、confidence interval、CI)として表される。シャピロ-ウィルク検定を使用して、データを正規分布について検定した。
【0084】
反復測定ANOVA及びグリーンハウス・ガイサー補正試験によって、IOP及び眼圧降下薬の数の変更を実施した。最後の観察繰越法(last-observation-carried-forward method)を使用して、欠損データを補完した。0.05未満のP値を有意とみなした。
【0085】
XEN63システム研究の結果
以下の表1に例示されるように、全体として、23人の患者が、研究のための受け入れ/除外基準要件を満たし、20人が、XEN63シャントのみが埋め込まれた治療を受け、別の3人が、水晶体超音波乳化吸引術又は白内障方法を伴うXEN63シャントの治療を受けた。平均年齢は67.8±15.3歳であり、15人(65.2%)が女性であった。表1はまた、研究集団の主要なベースラインの臨床的及び人口統計的特徴を示す。
【0086】
【表1】
*患者は2回以上の方法を受けていてもよい。
略語:
Phaco:水晶体超音波乳化吸引術、SD:標準偏差、POAG:原発開放隅角緑内障、PXG:偽落屑緑内障、PACG:原発閉塞隅角緑内障、SLT:選択的レーザ線維柱帯形成術、YAG:ネオジムドープイットリウムアルミニウムガーネット、MIG:低侵襲性緑内障デバイス、BCVA:最高矯正視力、ETDRS:早期治療糖尿病性網膜症研究、ECC:内皮細胞数、MD:平均欠損、PSD:パターン標準偏差、NTOHM:局所眼圧降下薬の数、IOP:眼圧。
【0087】
結果はまた、ベースライン及び3か月目におけるIOPの散布図である
図5に要約され、表される。散布図は、以下の情報:平均差-14.8±6.0mmHg、95信頼区間-18.4~-11.2mmHg、p<0.0001(両側対応ありサンプルスチューデントt検定)を使用する。
【0088】
図5によって例示されるように、20%及び30%のラインは、手術前のベースライン値と比較して、それぞれ、20%又は30%を超えるIOPの低減が個々の症例によって達したレベルを示す。更に、全研究集団において、ベースラインIOPは、3か月目に27.0±7.8mmHg~12.2±3.4mmHgに有意に低減し(p<0.0001)、18か月のフォローアップを通して一貫していた。
【0089】
図6を参照すると、結果が要約されており、ベースライン及び18か月目におけるIOPの散布図によって表されている。データを、X軸上のベースラインIOP及びY軸上の18か月目の来院時IOPからプロットして、全体的な視覚的評価を決定した。3か月目について
図5に例示される結果と同様に、18か月目までに、術前IOPは、XEN単独群及びXEN+水晶体超音波乳化吸引術群において、それぞれ、26.5±8.2mmHg及び30.3±3.3mmHgから14.2±3.7mmHg及び13.7±1.5mmHgに有意に低減した(それぞれ、p<0.0001及びp=0.0012)。ベースラインと18か月目のIOPとの平均差は-12.9mmHg、95CI:-16.9~-8.9mmHg、p<0.0001であった(反復測定ANOVA及びグリーンハウス・ガイサー補正検定)。
【0090】
次に、
図7は、3か月目までの研究フォローアップの過程にわたる平均IOPを示す。
図7は、全研究集団における研究フォローアップの過程にわたる平均IOP及び降圧薬の数の概要である。
図6において、縦棒は、標準偏差を表す。更に、ベースラインと比較した場合、平均(95%信頼区間)IOP低下は、-17.6(-22.0~-13.1)mmHg、p<0.0001、-16.3(-20.8~-11.8)mmHg、p<0.0001、-14.0(-18.6~-9.4)mmHg、p<0.0001、-15.4(-20.2~-10.6)mmHg、p<0.0001、及び-14.8(-20.1~-9.5)mmHg、p<0.0001であった(それぞれ、1日目、7日目、並びに1か月目、2か月目、及び3か月目)。3か月目に、平均低下IOPは、40.8±23.5%であり、14例の眼(60.9%)及び16例の眼(69.6%)が、降圧薬を用いずに、それぞれ≧30%及び≧20%のIOP低下を達成した。
【0091】
局所眼圧降下薬の平均数は、ベースラインの2.27±0.94薬物から3か月目の0.09±0.42薬物に有意に低減した(p<0.0001)。3か月目に、22例の眼(95.7%)は、いかなる抗緑内障薬も受けなかった。加えて、BCVAは、研究の過程にわたって変化しなかった(平均変化:0.1±0.2)。
【0092】
ここで
図8を参照すると、平均IOPデータは、18か月のフォローアップを通して一貫していた。全研究サンプルにおいて、
図8に示されるように、術前IOPは、18か月目に27.0±7.8mmHg~14.1±3.4mmHgへと有意に低下した(平均差-12.9mmHg、95CI:-16.9~-8.9mmHg、p<0.0001)。
【0093】
ここで以下の表2を参照すると、7日目に、4例の眼(17.4%)が、ベースラインと比較してBCVAの≧2ラインの悪化を示し、一方、4例の眼(17.4%)は、ベースラインと比較して≧2ラインの改善を示した(表2)。18か月目の患者の数は、人員欠落のために3か月目の数より少なかった。
【0094】
【0095】
加えて、安全性に関して、4例の眼(17.4%)は、術後1日目に低眼圧症(IOP≦6mmHg)になったが、これは、続発症なしに成功裏に解決された。3例の眼(13.0%)は、研究フォローアップの過程にわたって穿刺を必要とし(穿刺の平均時間35.6±9.7日)、1例の眼は、マイトマイシンCを、2例の眼は5-フルオロウラシルを与えられた。1例の眼のみが、上昇したIOPに起因して穿刺を受けた。5例の眼(21.7%)が、指による眼のマッサージを受けた。1例の眼(4.3%)は、手術中に前房の出血を有し、1例の眼(4.3%)は、1日目に1.5mmの前房出血を有し、4例の眼(17.4%)は、脈絡膜剥離を有し(7日目に3例、15日目に1例)、これは、1か月目の来院時に、治療で成功裏に解決された。
【0096】
18か月目に、安全性に関して、4例(17.4%)の眼が、術後1日目に低眼圧症(IOP≦6mmHgとして定義される)になったが、これは、続発症なしに成功裏に解決された。1例(4.3%)の眼は、手術中に前房の出血を有し、1例(4.3%)の眼は、術後1日目に1.5mmの前房出血を有し、4例(17.4%)は、脈絡膜剥離を有し(術後7日目に3例、術後15日目に1例)、これは、1か月目の来院時に、治療で成功裏に解決された。4例(17.4%)の眼が穿刺法(穿刺の平均時間42.9±11.2日)を受けたが、1例の眼のみが上昇したIOPに起因して穿刺法を受けた。4例の眼が追加の手術を受け、2例(8.7%)の眼が線維柱帯切除術を受け、1例(4.3%)の眼がデバイス置換(新しいXEN45デバイスが埋め込まれた)を受け、1例の眼(4.3%)が、高密度焦点式超音波毛様体破壊(high-intensity focused ultrasound、HIFU)法を受けた(表3)。しかしながら、最後のフォローアップ来院によれば、別の患者は、穿刺又は追加の手術のいずれかを必要とした。
【0097】
XEN63システム研究の考察
共同の初期緑内障治療研究(「collaborative initial glaucoma treatment study:CIGTS」)(Jampel HD,Musch DC,Gillespie BW,Lichter PR,Wright MM,Guire KE;Collaborative Initial Glaucoma Treatment Study Group.Perioperative complications of trabeculectomy in the collaborative initial glaucoma treatment study(CIGTS).Am J Ophthalmol.2005;140(1):16-22.doi:10.1016/j.ajo.2005.02.013(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照)によれば、線維柱帯切除術は、初期術後合併症の50パーセントの発生率と関連付けられた。同じ研究において、脈絡膜剥離、前房の出血、又は前房の扁平化は、10%以上の発生率を有していた。Jampel HD,Musch DC,Gillespie BW,Lichter PR,Wright MM,Guire KE;Collaborative Initial Glaucoma Treatment Study Group.Perioperative complications of trabeculectomy in the collaborative initial glaucoma treatment study(CIGTS).Am J Ophthalmol.2005;140(1):16-22.doi:10.1016/j.ajo.2005.02.013(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。加えて、チューブ対線維柱帯切除術研究の結果は、初期術後合併症(術後1か月以内に発症したもの)の比率が、線維柱帯切除術群において37%であったことを示した。Gedde SJ,Herndon LW,Brandt JD,Budenz DL,Feuer WJ,Schiffman JC;Tube Versus Trabeculectomy Study Group.Postoperative complications in the Tube Versus Trabeculectomy(TVT)study during five years of follow-up.Am J Ophthalmol.2012;153(5):804-814.e1.doi:10.1016/j.ajo.2011.10.024(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0098】
XEN63研究の結果によれば、研究が23例の眼のみに限定され、3か月の短いフォローアップを伴う場合であっても、27ゲージ針を有するインサータを使用する送達を含むXEN63システムは、以前のXEN45シャントよりも良好なIOP低下効果を提供した。XEN45シャントの有効性の結果及び考察は、様々な刊行物において文書化されている。例えば、De Gregorio A,Pedrotti E,Russo L,Morselli S.Minimally invasive combined glaucoma and cataract surgery:clinical results of the smallest ab interno gel stent.Int Ophthalmol.2018;38(3):1129-1134.doi:10.1007/s10792-017-0571-x、Reitsamer H,Sng C,Vera V,Lenzhofer M,Barton K,Stalmans I;Apex Study Group.Two-year results of a multicenter study of the ab interno gelatin implant in medically uncontrolled primary open-angle glaucoma.Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol.2019;257(5):983-996.doi:10.1007/s00417-019-04251-z、Chatzara A,Chronopoulou I,Theodossiadis G,Theodossiadis P,Chatziralli I.XEN Implant for Glaucoma Treatment:A Review of the Literature.Semin Ophthalmol.2019;34(2):93-97.doi:10.1080/08820538.2019.1581820、Marcos Parra MT,Salinas Lopez JA,Lopez Grau NS,Ceausescu AM,Perez Santonja JJ.XEN implant device versus trabeculectomy,either alone or in combination with phacoemulsification,in open-angle glaucoma patients.Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol.2019;257(8):1741-1750.doi:10.1007/s00417-019-04341-y、Fea AM,Bron AM,Economou MA,Laffi G,Martini E,Figus M,et al.European study of the efficacy of a cross-linked gel stent for the treatment of glaucoma.J Cataract Refract Surg.2020;46(3):441-450.doi:10.1097/j.jcrs.0000000000000065、Fea AM,Durr GM,Marolo P,Malinverni L,Economou MA,Ahmed I.XEN(登録商標)Gel Stent:A Comprehensive Review on Its Use as a Treatment Option for Refractory Glaucoma.Clin Ophthalmol.2020;14:1805-1832.doi:10.2147/OPTH.S178348、Grover DS,Flynn WJ,Bashford KP,Lewis RA,Duh YJ,Nangia RS,et al.Performance and Safety of a New Ab Interno Gelatin Stent in Refractory Glaucoma at 12 Months.Am J Ophthalmol.2017;183:25-36.doi:10.1016/j.ajo.2017.07.023、Ibanez-Munoz A,Soto-Biforcos VS,Chacon-Gonzalez M,Rua-Galisteo O,Arrieta-Los Santos A,Lizuain-Abadia ME,et al.One-year follow-up of the XEN(登録商標)implant with mitomycin-C in pseudoexfoliative glaucoma patients.Eur J Ophthalmol.2019;29(3):309-314.doi:10.1177/1120672118795063、Laborda-Guirao T,Cubero-Parra JM,Hidalgo-Torres A.Efficacy and safety of XEN 45 gel stent alone or in combination with phacoemulsification in advanced open angle glaucoma patients:1-year retrospective study.Int J Ophthalmol.2020;13(8):1250-1256.doi:10.18240/ijo.2020.08.11、及びTheilig T,Rehak M,Busch C,Bormann C,Schargus M,Unterlauft JD.Comparing the efficacy of trabeculectomy and XEN gel microstent implantation for the treatment of primary open-angle glaucoma:a retrospective monocentric comparative cohort study.Sci Rep.2020;10(1):19337.doi:10.1038/s41598-020-76551-y(これらの各々の全体が、参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0099】
加えて、研究における患者は、良好な降圧プロファイルを実証し、平均IOP低下は40.8±23.5%であり、16例の眼(69.6%)は、降圧薬を用いずに≧30%のIOP低下を達成した。
【0100】
研究を非常に有意なものにする態様のうちの1つは、XEN45シャントが、良好なIOP低下を維持しながら、良好な初期及び長期の術後安全性プロファイルを示したことが既知であることである。例えば、De Gregorio A,Pedrotti E,Russo L,Morselli S.Minimally invasive combined glaucoma and cataract surgery:clinical results of the smallest ab interno gel stent.Int Ophthalmol.2018;38(3):1129-1134.doi:10.1007/s10792-017-0571-x、Reitsamer H,Sng C,Vera V,Lenzhofer M,Barton K,Stalmans I;Apex Study Group.Two-year results of a multicenter study of the ab interno gelatin implant in medically uncontrolled primary open-angle glaucoma.Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol.2019;257(5):983-996.doi:10.1007/s00417-019-04251-z、Chatzara A,Chronopoulou I,Theodossiadis G,Theodossiadis P,Chatziralli I.XEN Implant for Glaucoma Treatment:A Review of the Literature.Semin Ophthalmol.2019;34(2):93-97.doi:10.1080/08820538.2019.1581820、Marcos Parra MT,Salinas Lopez JA,Lopez Grau NS,Ceausescu AM,Perez Santonja JJ.XEN implant device versus trabeculectomy,either alone or in combination with phacoemulsification,in open-angle glaucoma patients.Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol.2019;257(8):1741-1750.doi:10.1007/s00417-019-04341-y、Fea AM,Bron AM,Economou MA,Laffi G,Martini E,Figus M,et al.European study of the efficacy of a cross-linked gel stent for the treatment of glaucoma.J Cataract Refract Surg.2020;46(3):441-450.doi:10.1097/j.jcrs.0000000000000065、Fea AM,Durr GM,Marolo P,Malinverni L,Economou MA,Ahmed I.XEN(登録商標)Gel Stent:A Comprehensive Review on Its Use as a Treatment Option for Refractory Glaucoma.Clin Ophthalmol.2020;14:1805-1832.doi:10.2147/OPTH.S178348(これらの各々の全体が、参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0101】
したがって、XEN63システムを使用して達成された結果を、3か月目のXEN45シャントのIOPデータを報告した他の研究と比較すると、XEN63システムで達成された平均IOPは、以下の表3に示されるように、一貫してより低かった。減圧差を調べる場合も同様である。Marcos Parra MT,Salinas Lopez JA,Lopez Grau NS,Ceausescu AM,Perez Santonja JJ.XEN implant device versus trabeculectomy,either alone or in combination with phacoemulsification,in open-angle glaucoma patients.Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol.2019;257(8):1741-1750.doi:10.1007/s00417-019-04341-y、及びLaborda-Guirao T,Cubero-Parra JM,Hidalgo-Torres A.Efficacy and safety of XEN 45 gel stent alone or in combination with phacoemulsification in advanced open angle glaucoma patients:1-year retrospective study.Int J Ophthalmol.2020;13(8):1250-1256.doi:10.18240/ijo.2020.08.11(これらの各々の全体が、参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0102】
【表3】
*平均(標準偏差)
**平均(95%信頼区間)
†標準偏差についてのデータは提供されなかった。
‡ベースラインからの平均低減。
【0103】
【表4】
*平均(標準偏差)。
**平均(95%信頼区間)。
1平均IOP低下は、原発開放隅角緑内障患者において-7.3(±9.7~±5.0)mmHgであり、続発開放隅角緑内障眼において-6.6(±8.4~±4.8)mmHgであった。
218か月目のIOP。†標準偏差についてのデータは提供されなかった。
【0104】
XEN63システムの印象的な有効性を同様に指し示すものは、Hengerer et al.の研究(Hengerer FH,Kohnen T,Mueller M,Conrad-Hengerer I.Ab Interno Gel Implant for the Treatment of Glaucoma Patients With or Without Prior Glaucoma Surgery:1-Year Results.J Glaucoma.2017;26(12):1130-1136.doi:10.1097/IJG.0000000000000803(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい)を除いて、XEN63研究のベースラインIOPが、他の著者によって報告されたものよりも高かったことである(Reitsamer H,Sng C,Vera V,Lenzhofer M,Barton K,Stalmans I;Apex Study Group.Two-year results of a multicenter study of the ab interno gelatin implant in medically uncontrolled primary open-angle glaucoma.Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol.2019;257(5):983-996.doi:10.1007/s00417-019-04251-z、Marcos Parra MT,Salinas Lopez JA,Lopez Grau NS,Ceausescu AM,Perez Santonja JJ.XEN implant device versus trabeculectomy,either alone or in combination with phacoemulsification,in open-angle glaucoma patients.Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol.2019;257(8):1741-1750.doi:10.1007/s00417-019-04341-y、Fea AM,Bron AM,Economou MA,Laffi G,Martini E,Figus M,et al.European study of the efficacy of a cross-linked gel stent for the treatment of glaucoma.J Cataract Refract Surg.2020;46(3):441-450.doi:10.1097/j.jcrs.0000000000000065、Grover DS,Flynn WJ,Bashford KP,Lewis RA,Duh YJ,Nangia RS,et al.Performance and Safety of a New Ab Interno Gelatin Stent in Refractory Glaucoma at 12 Months.Am J Ophthalmol.2017;183:25-36.doi:10.1016/j.ajo.2017.07.023、Ibanez-Munoz A,Soto-Biforcos VS,Chacon-Gonzalez M,Rua-Galisteo O,Arrieta-Los Santos A,Lizuain-Abadia ME,et al.One-year follow-up of the XEN(登録商標)implant with mitomycin-C in pseudoexfoliative glaucoma patients.Eur J Ophthalmol.2019;29(3):309-314.doi:10.1177/1120672118795063、Laborda-Guirao T,Cubero-Parra JM,Hidalgo-Torres A.Efficacy and safety of XEN 45 gel stent alone or in combination with phacoemulsification in advanced open angle glaucoma patients:1-year retrospective study.Int J Ophthalmol.2020;13(8):1250-1256.doi:10.18240/ijo.2020.08.11、及びTheilig T,Rehak M,Busch C,Bormann C,Schargus M,Unterlauft JD.Comparing the efficacy of trabeculectomy and XEN gel microstent implantation for the treatment of primary open-angle glaucoma:a retrospective monocentric comparative cohort study.Sci Rep.2020;10(1):19337.doi:10.1038/s41598-020-76551-y(これらの各々の全体が、参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。
【0105】
この研究は、その短期フォローアップにもかかわらず、XEN63システムが、XEN45シャントと比較して、より低いIOPを達成することが可能であるだけでなく、デバイスのより大きい内腔サイズが、より高いベースライン圧力を有する患者に利益ももたらし得るという事実を指し示す。この発見の妥当性は、初期の術後圧力が長期の成功を予測し得るかどうかに決定的に依存する。しかしながら、XEN63研究の著者らは、術後早期のより低いIOPが、線維柱帯切除術を受けている患者における成功裏の転帰と関連付けられたことを示唆する証拠を有している(例えば、Okimoto S,Kiuchi Y,Akita T,Tanaka J.Using the early postoperative intraocular pressure to predict pressure control after a trabeculectomy.J Glaucoma.2014;23(6):410-4.doi:10.1097/IJG.0b013e318285fd7d、Esfandiari H,Pakravan M,Loewen NA,Yaseri M.Predictive value of early postoperative IOP and bleb morphology in Mitomycin-C augmented trabeculectomy.F1000Res.2017;6:1898.doi:10.12688/f1000research.12904.2(これらの各々の全体が、参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。その上、これらの発見は、XEN45シャントに適用可能であるようである(Fea AM,Bron AM,Economou MA,Laffi G,Martini E,Figus M,et al.European study of the efficacy of a cross-linked gel stent for the treatment of glaucoma.J Cataract Refract Surg.2020;46(3):441-450.doi:10.1097/j.jcrs.0000000000000065、及びKarimi A,Lindfield D.Is a Day 1 postoperative review following ab interno Xen gel stent surgery for glaucoma needed? Clin Ophthalmol.2018;12:2331-2335.doi:10.2147/OPTH.S181530(これらの各々の全体が、参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。本出願人によって行われた以前の研究において(Fea AM,Bron AM,Economou MA,Laffi G,Martini E,Figus M,et al.European study of the efficacy of a cross-linked gel stent for the treatment of glaucoma.J Cataract Refract Surg.2020;46(3):441-450.doi:10.1097/j.jcrs.0000000000000065(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい)、1週目及び1か月目の術後IOPは、最終IOPと有意に相関しており、1週目により低いIOPを有する眼は、より高い成功率を有した。
【0106】
この研究はまた、以前のXEN63シャント(63μmの内径を有するシャントであり、このサイズのXENシャントは、いまだかつて市販されていない)の有効性及び安全性を評価する科学的証拠が限られていることにも言及している。一般論として、以前のXEN63シャント自体の以前の研究の結果は、良好な有効性及び安全性プロファイルを示したが、本XEN63システム研究の著者らは、XEN63シャントを埋め込むために使用される外科的技法の差異に起因して(例えば、本開示のXEN63システムにおける27ゲージ針の使用に起因して、またおそらくはMMCの使用に起因して)、本XEN63研究を、以前のXEN63シャントに関する以前の研究と直接比較することは困難であると結論付けた。しかしながら、XEN63システムでは、より好ましい傾向が観察された。
【0107】
安全性に関して、最も一般的に報告された有害事象は、脈絡膜剥離(4例の眼)であり、これは、1か月目の来院時に、治療なしで成功裏に解決された。この研究では、4例の眼(17.4%)が術後1日目に≦6mmHgのIOPを有したが、それらは因果関係なしに解決された。この主題に関して、Lenzhofer et al.(Lenzhofer M,Kersten-Gomez I,Sheybani A,Gulamhusein H,Strohmaier C,Hohensinn M,et al.Four-year results of a minimally invasive transscleral glaucoma gel stent implantation in a prospective multi-centre study.Clin Exp Ophthalmol.2019;47(5):581-587.doi:10.1111/ceo.13463(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい)は、以前のXEN63シャントを使用して、3例の眼(4.7%)が、低IOPに起因して(手術と研究の終了との間に)何らかの介入を必要としたことを報告した。加えて、Lavin-Dapena et al.(Lavin-Dapena C,Cordero-Ros R,D’Anna O,Mogollon I.XEN 63 gel stent device in ship glaucoma surgery:A 5-years follow-up prospective study.Eur J Ophthalmol.2020:1120672120952033.doi:10.1177/1120672120952033(その全体が参照により本明細書に組み込まれる))はまた、以前のXEN63シャントを評価して、1日目に3例の眼(27.3%)において低眼圧症(XEN63研究のものと同様の基準)を見出した。しかしながら、両方の研究がMMCを使用しなかったことは注目すべきであり、これは理論的には低眼圧症の発生率を低減させ得る。
【0108】
重要なことに、XEN63研究はまた、XEN63システムを使用したより良好なIOP低下効果が、低眼圧症のより高いリスクと関連付けられるかどうかという疑問に対処するものである。XEN63シャントの内径がより大きいにもかかわらず、低眼圧症の発生率は、驚くべきことに、XEN45シャントで観察されたものと有意に異ならなかった。不明確ではあるが、XEN63研究の著者らは、これは、抵抗が結膜下ブレブによって決定されるためであり得ると考えている(Fernandez-Garcia A,Zhou Y,Garcia-Alonso M,Andrango HD,Poyales F,Garzon N.Comparing Medium-Term Clinical Outcomes following XEN(登録商標)45 and XEN(登録商標)63 Device Implantation.J Ophthalmol.2020;2020:4796548.doi:10.1155/2020/4796548(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。しかしながら、XEN63シャントとXEN45シャントとの間の低眼圧症のリスクにおけるわずかな差異についての別の説明は、XEN63システムにおいて使用される外科的技法に関連し得る。実際に、XEN63システムのインサータは、XEN63システムと比較してより大きいゲージの針を利用した以前のXEN63インサータデバイスと比べて、強膜を通るトラック又は切開部を作製するためにより小さい針(すなわち、27ゲージ針)を使用するため、管周囲濾過のリスクは、新しいXEN63システムでは、XEN45シャントよりも大きくないはずであり、その理由は、両方とも、同じ外径を有する27ゲージ針を利用しているが、特にXEN63システムの場合、より大きいXEN63外部寸法を収容するために内腔が拡張されているためである。
【0109】
緑内障排出デバイス術後の術後早期における低眼圧症の回避は、重篤な合併症を回避すべき場合には最重要である。術後初期の低眼圧症は、線維柱帯切除術後の視力回復の遅延と関連付けられている一般的かつ重大な合併症である(Popovic V.Early hypotony after trabeculectomy.Acta Ophthalmol Scand.1995;73(3):255-60.doi:10.1111/j.1600-0420.1995.tb00280.x、及びSaeedi OJ,Jefferys JL,Solus JF,Jampel HD,Quigley HA.Risk factors for adverse consequences of low intraocular pressure after trabeculectomy.J Glaucoma.2014;23(1):e60-8.doi:10.1097/IJG.0000000000000008(これらの各々の全体が、参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。術後初期合併症が線維柱帯切除術におけるよりも低い理由は、所定の内腔が、従来の濾過手術と比較してはるかに制御された流出を可能にするという事実に起因し得る。異なる縫合技法を使用する流出の制限は、安全性プロファイルを改善し、線維柱帯切除術で観察される初期合併症の比率を低減することができるが、これは、術後期における縫合糸の操作という不利点を伴う(Lin S.Building a safer trabeculectomy.Br J Ophthalmol.2006;90(1):4-5.doi:10.1136/bjo.2005.078568(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。
【0110】
このXEN63研究において、初期の低眼圧症は、眼の合併症又は視力喪失と関連しなかった。全研究サンプルにおいて、平均視力は、研究の過程にわたって変化しなかった。7日目に、4例の眼(17.4%)が、ベースラインと比較してBCVAの≧2ラインの悪化を有したが、2例の眼は1か月以内に回復した。その上、3か月目に、8例の眼(34.8%)が、ベースラインと比較してBCVAの≧2ラインの改善を示したことが強調されるべきである。
【0111】
また、印象的なことに、本XEN63研究は、穿刺に関して、3例の眼(13.0%)が術後穿刺を受け、そのうちの2例が予防措置であり、そのうちの1例だけがIOPの増加に起因することを示している。それにもかかわらず、合計3例でさえも、以前のXEN45シャント研究において報告されたものと比較して低い穿刺比率を表す(De Gregorio A,Pedrotti E,Russo L,Morselli S.Minimally invasive combined glaucoma and cataract surgery:clinical results of the smallest ab interno gel stent.Int Ophthalmol.2018;38(3):1129-1134.doi:10.1007/s10792-017-0571-x、Reitsamer H,Sng C,Vera V,Lenzhofer M,Barton K,Stalmans I;Apex Study Group.Two-year results of a multicenter study of the ab interno gelatin implant in medically uncontrolled primary open-angle glaucoma.Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol.2019;257(5):983-996.doi:10.1007/s00417-019-04251-z、Chatzara A,Chronopoulou I,Theodossiadis G,Theodossiadis P,Chatziralli I.XEN Implant for Glaucoma Treatment:A Review of the Literature.Semin Ophthalmol.2019;34(2):93-97.doi:10.1080/08820538.2019.1581820、Marcos Parra MT,Salinas Lopez JA,Lopez Grau NS,Ceausescu AM,Perez Santonja JJ.XEN implant device versus trabeculectomy,either alone or in combination with phacoemulsification,in open-angle glaucoma patients.Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol.2019;257(8):1741-1750.doi:10.1007/s00417-019-04341-y、Fea AM,Bron AM,Economou MA,Laffi G,Martini E,Figus M,et al.European study of the efficacy of a cross-linked gel stent for the treatment of glaucoma.J Cataract Refract Surg.2020;46(3):441-450.doi:10.1097/j.jcrs.0000000000000065、及びFea AM,Durr GM,Marolo P,Malinverni L,Economou MA,Ahmed I).XEN(登録商標)Gel Stent:A Comprehensive Review on Its Use as a Treatment Option for Refractory Glaucoma.Clin Ophthalmol.2020;14:1805-1832.doi:10.2147/OPTH.S178348(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。
【0112】
出願人はまた、XEN63研究には特定の制限があるが、XEN63システムの強力な性能を正当化する同様の相殺する考慮事項があることにも注目している。例えば、XEN63研究は、遡及的設計、並びに遡及的研究に固有の潜在的バイアス及び交絡因子を有するが、厳密な受け入れ/除外基準が、それらの影響を最小限に抑えるために選択された。また、XEN63研究ではフォローアップ時間が限られていたが、少なくとも術後初期のIOPが方法の成功と関連付けられていると思われるため、短期臨床転帰の評価が有用である。か加えて、研究の開始時にサンプルサイズ計算はなかったが、研究の結果によれば、ベースラインと3月目との間の平均IOP低下及び眼圧降下剤低減を検出するための検出力は、それぞれ各々99%であった。最後に、XEN45シャントを使用した同時対照群(一対一無作為化臨床試験など)はなかったが、XEN63研究は、比較データを提供するために多くの以前のXEN45シャント研究に依拠している。
【0113】
実際、これらの制限にもかかわらず、本研究の結果は、OAG患者において有効かつ安全な外科的方法を提供することにおいて、本明細書に開示されるXEN63システムの実施形態の驚くべき有効性を明確に実証するものである。本明細書で考察されるように、XEN63システムのそのような実施形態は、良好な安全性プロファイルで、IOPを有意に低下させ、抗緑内障薬の数を低減した。更に、XEN63システムの低眼圧症の限定された発生率のそのような実施形態は、MMCの任意選択的な使用と組み合わせて(濃度及び注射面積の両方に関して)、より進行した患者を治療し、長期的により低い目標IOPを得ることを可能にし得る。これら及び他の要因は、特に、そのような実施形態が医療専門家の従来の実践、経験、及び教示に反するという事実を考慮して、XEN63システムの実施形態の驚くほど効果的な予想外の結果を実証している。
【0114】
詳細な説明は多くの詳細を含むが、これらは、主題の技術の範囲を限定するものとしてではなく、主題の技術の異なる例及び態様を単に例示するものとして解釈されるべきである。主題の技術の範囲は、上で詳細に考察されていない他の実施形態を含むことを理解されたい。本開示の範囲から逸脱することなく、本明細書で開示される主題の技術の方法及び装置の配置、動作、及び詳細において、様々な他の修正、変更、及び変形が行われ得る。別段の表現がない限り、単数形の要素への言及は、明示的に述べられていない限り、「唯一」を意味することを意図せず、むしろ「1つ以上」を意味することを意味する。加えて、デバイス又は方法が、本開示の範囲内に包含されるために、本開示の異なる実施形態によって解決可能であるあらゆる問題に対処する必要はない。
【0115】
項としての主題の技術の例示
本開示の態様の様々な例が、便宜上、項として以下に記載される。これらは例として提供され、主題の技術を限定するものではない。
【0116】
項1.緑内障を治療するためのシステムであって、架橋ゼラチンから作製された眼内シャントであって、約170μm~約260μmのシャント外径を有し、約50μm~約70μmのシャント内径を有する少なくとも1つの内部流路を画定する、眼内シャントと、眼内シャントを担持するための内腔を有する針であって、内腔は、約220~約280μmの内腔内径を有する、針と、を備える、システム。
【0117】
項2.シャントの外部表面と内腔の内部表面との間の環状間隙が、約0μm~約20μmである、項1に記載のシステム。
【0118】
項3.シャント外径は、拡張可能である、項1又は2に記載のシステム。
【0119】
項4.シャント外径は、約260μmの最大シャント外径まで拡張する、項3に記載のシステム。
【0120】
項5.シャント内径は、約63μmである、項1~4のいずれかに記載のシステム。
【0121】
項6.眼内シャントは、約88μm~約99μmのシャント肉厚を有する、項1~5のいずれかに記載のシステム。
【0122】
項7.眼内シャントは、約6ミリメートルのシャント長を有する、項1~6のいずれかに記載のシステム。
【0123】
項8.内腔内径は、約260μmである、項1~7のいずれかに記載のシステム。
【0124】
項9.針は、約400μm~約420μmの針外径を有する、項1~8のいずれかに記載のシステム。
【0125】
項10.針は、約70μm~約80μmの針肉厚を有する、項1~9のいずれかに記載のシステム。
【0126】
項11.内腔内に配設された移動可能なプランジャを更に備え、プランジャは、内腔を通してシャントを前進させるように構成されている、項1~10のいずれかに記載のシステム。
【0127】
項12.プランジャを選択的に移動させてシャントを前進させるように構成された展開機構を更に備える、項11に記載のシステム。
【0128】
項13.緑内障を治療する方法であって、患者の強膜を通して針を前進させて開口部を作ることであって、針は、約400μm~約420μmの針直径を有する、作ることと、針の内腔を通して開口部内へ眼内シャントを前進させることであって、眼内シャントは、約240~260μmのシャント外径を有し、内腔は、シャントと開口部との間の任意の間隙を低減して、それらの間の管周囲流を最小限に抑えるために約220μm~約280μmの内腔内径を有する、前進させることと、眼内シャントを通る流れを可能にすることであって、シャントは、約50μm~約70μmのシャント内径を有する、可能にすることと、を含む、方法。
【0129】
項14.眼内シャントの拡張を可能にすることを更に含む、項13に記載の方法。
【0130】
項15.シャント外径は、拡張の間、およそ内腔内径に制限される、項14に記載の方法。
【0131】
項16.シャントが針の内腔の外側にあるときに、シャント外径をおよそ開口部の内径まで拡張することを更に含む、項13~15のいずれかに記載の方法。
【0132】
項17.開口部を形成するために、針の先端部を介して強膜を切ることを更に含む、項13~16のいずれかに記載の方法。
【0133】
項18.緑内障を治療するためのシステムであって、架橋ゼラチンから作製された眼内シャントであって、約170μm~約260μmのシャント外径を有し、約63μmのシャント内径を有する少なくとも1つの内部流路を画定する、眼内シャントと、眼内シャントを担持するための内腔を有する針であって、約400μm~約420μmの針外径を有し、内腔は、約260μmの内腔内径を有する、針と、を備える、システム。
【0134】
項19.眼内シャントは、約88μm~約99μmのシャント肉厚を有する、項18に記載のシステム。
【0135】
項20.針は、約70μm~約80μmの針肉厚を有する、項18又は19に記載のシステム。
【0136】
更なる考察
いくつかの実施形態では、本明細書の項のいずれも、独立した項のいずれか1つ又は従属する項のいずれか1つに従属し得る。一態様では、項(例えば、従属する項又は独立した項)のいずれかは、任意の他の1つ以上の項(例えば、従属する項又は独立した項)と組み合わせることができる。一態様では、請求項は、項、文、句、又は段落に列挙された単語(例えば、ステップ、動作、手段、又は構成要素)の一部又は全てを含み得る。一態様では、請求項は、1つ以上の項、文、句、又は段落に列挙された単語の一部又は全てを含み得る。一態様では、項、文、句、又は段落の各々における単語のいくつかが削除され得る。一態様では、項、文、句、又は段落に追加の単語又は要素が追加され得る。一態様では、主題の技術は、本明細書で記載される構成要素、要素、機能、又は動作のうちのいくつかを利用することなく実装され得る。一態様では、主題の技術は、追加の構成要素、要素、機能、又は動作を利用して実装され得る。
【0137】
単数形の要素への言及は、特に明記されない限り、1つ及び1つのみを意味することを意図せず、むしろ1つ以上を意味することを意図する。例えば、「1つの(a)」モジュールは、1つ以上のモジュールを指し得る。「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」、又は「上記(said)」に続く要素は、更なる制約なしに、追加の同じ要素の存在を排除しない。
【0138】
見出し及び小見出しは、ある場合には、便宜上使用されるにすぎず、本発明を限定するものではない。例示的という単語は、例又は例解として機能することを意味するために使用される。含む(includes)、有する(have)などの用語が使用される限り、そのような用語は、請求項において移行語として用いられるときに備える(comprise)が解釈されるように、備えるという用語と同様に包括的であることが意図される。第1及び第2などのような関係用語は、1つのエンティティ又はアクションを別のエンティティ又はアクションから区別するために使用され得、そのようなエンティティ又はアクションの間の任意の実際のそのような関係又は順序を必ずしも要求又は暗示するものではない。
【0139】
一態様、態様、別の態様、いくつかの態様、1つ以上の態様、一実装形態、実装形態、別の実装形態、いくつかの実装形態、1つ以上の実装形態、一実施形態、実施形態、別の実施形態、いくつかの実施形態、1つ以上の実施形態、一構成、構成、別の構成、いくつかの構成、1つ以上の構成、主題の技術、本開示、本発明の開示、それらの他の変形などのような句は、便宜上のものであり、そのような句に関する開示が主題の技術に不可欠であること、又はそのような開示が主題の技術の全ての構成に適用されることを暗示するものではない。そのような句に関する開示は、全ての構成、又は1つ以上の構成に適用され得る。そのような句に関する開示は、1つ以上の例を提供し得る。態様又はいくつかの態様などの句は、1つ以上の態様を指すことがあり、逆もまた同様であり、これは、他の前述の句に同様に適用される。
【0140】
一連の項目に先行する「のうちの少なくとも1つ」という句は、項目のいずれかを分離するための用語「及び」又は「又は」とともに、リストの各メンバーではなく、全体としてリストを修飾する。「のうちの少なくとも1つ」という句は、少なくとも1つの項目の選択を必要とせず、むしろ、この句は、項目のいずれか1つのうちの少なくとも1つ、及び/又は項目の任意の組み合わせのうちの少なくとも1つ、及び/又は項目の各々のうちの少なくとも1つを含む意味を可能にする。例として、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」又は「A、B、又はCのうちの少なくとも1つ」という句の各々は、Aのみ、Bのみ、若しくはCのみ、A、B、及びCの任意の組み合わせ、及び/又はA、B、及びCの各々のうちの少なくとも1つを指す。
【0141】
開示されるステップ、動作、又はプロセスの特定の順序又は階層は、例示的な手法の例解であることを理解されたい。明示的に別段の定めがない限り、ステップ、動作、又はプロセスの特定の順序又は階層は、異なる順序で実施され得ることを理解されたい。ステップ、動作、又はプロセスのうちのいくつかは、同時に実施されてもよい。添付の方法の請求項は、ある場合は、様々なステップ、動作又はプロセスの要素をサンプルの順序で提示し、提示された特定の順序又は階層に限定されることを意味しない。これらは、直列に、線形に、並列に、又は異なる順序で実施されてもよい。記載された命令、動作、及びシステムは、概して、単一のソフトウェア/ハードウェア製品に一緒に統合され得るか、又は複数のソフトウェア/ハードウェア製品にパッケージ化され得ることを理解されたい。
【0142】
一態様では、「結合される」などの用語は、直接結合されることを指し得る。別の態様では、「結合される」などの用語は、間接的に結合されることを指し得る。
【0143】
上部、底部、前部、後部、側部、水平、鉛直などのような用語は、通常の重力座標系ではなく、任意の座標系を指す。したがって、そのような用語は、重力座標系において上方、下方、斜め、又は水平に延在し得る。
【0144】
本開示は、当業者が本明細書で記載される様々な態様を実施することを可能にするために提供される。いくつかの例では、主題の技術の概念を不明瞭にすることを回避するために、周知の構造及び構成要素は、ブロック図の形態で示される。本開示は、主題の技術の様々な例を提供し、主題の技術はこれらの例に限定されない。これらの態様に対する様々な修正が、当業者には容易に明らかであり、本明細書で記載される原理は、他の態様に適用され得る。
【0145】
当業者に知られている、又は後に知られるようになる、本開示全体にわたって記載される様々な態様の要素に対する全ての構造的及び機能的均等物は、参照により本明細書に明示的に組み込まれ、特許請求の範囲によって包含されることが意図される。その上、本明細書で開示されるものは、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に列挙されているかどうかにかかわらず、公衆に捧げられることは意図されていない。いずれの請求項要素も、要素が「のための手段」という句を使用して明示的に列挙されていない限り、又は方法請求項の場合、要素が「のためのステップ」という句を使用して列挙されていない限り、米国特許法第112条、第6パラグラフの規定の下で解釈されるべきではない。
【0146】
発明の名称、背景技術、図面の簡単な説明、要約書、及び図面は、これによって本開示に組み込まれ、限定的な説明としてではなく、本開示の例示的な例として提供される。それらは、特許請求の範囲の範囲又は意味を限定するために使用されないという理解の下で提出されている。加えて、詳細な説明では、説明が例示的な例を提供し、様々な特徴が、本開示を合理化する目的のために様々な実装形態において一緒にグループ化されることが分かり得る。開示の方法は、特許請求される主題が、各請求項に明示的に列挙されるよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。むしろ、特許請求の範囲が反映するように、発明の主題は、単一の開示された構成又は動作の全ての特徴よりも少ない特徴にある。特許請求の範囲は、これにより詳細な説明に組み込まれ、各請求項は、別個に特許請求される主題として独立している。
【0147】
特許請求の範囲は、本明細書で説明される態様に限定されるものではなく、文言の特許請求の範囲と一致する全範囲が与えられ、全ての法的均等物を包含することが意図される。それにもかかわらず、特許請求の範囲のいずれも、適用可能な特許法の要件を満たさない主題を包含することを意図しておらず、そのように解釈されるべきでもない。
【国際調査報告】