(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】IBCブレンダーを用いた核燃料製造用UO2混合粉末の製造方法及びこれにより製造された核燃料製造用UO2混合粉末
(51)【国際特許分類】
G21C 21/02 20060101AFI20240621BHJP
C04B 35/01 20060101ALI20240621BHJP
G21C 3/62 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
G21C21/02 240
C04B35/01
G21C3/62 300
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575813
(86)(22)【出願日】2021-08-20
(85)【翻訳文提出日】2023-12-08
(86)【国際出願番号】 KR2021011124
(87)【国際公開番号】W WO2022260212
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】10-2021-0075397
(32)【優先日】2021-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516343608
【氏名又は名称】ケプコ ニュークリア フューエル カンパニー リミテッド
【住所又は居所原語表記】242,Daedeok-daero 989beon-gil Yuseong-gu Daejeon 34057,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョ, ボヒュン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ, フイ ソン
(72)【発明者】
【氏名】チョ, ドン ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】ソン, ジ ファン
(72)【発明者】
【氏名】パク, ジュンソク
(57)【要約】
本発明の核燃料製造用UO
2混合粉末の製造方法によれば、混合時間が短く、製造されたUO
2混合粉末の混合度及び均質度に優れる。本発明は、核燃料製造用UO
2混合粉末の製造方法であって、(a)UO
2粉末、気孔形成剤及び潤滑剤を自動投入装置を用いて計量及び篩掛けし、UCコンテナーに投入するステップと、(b)IBCブレンダー(IBC Blender)を用いて前記UO
2粉末、気孔形成剤及び潤滑剤を混合するステップと、を含む、核燃料製造用UO
2混合粉末の製造方法を提供する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
核燃料製造用UO
2混合粉末の製造方法であって、
(a)気孔形成剤及び潤滑剤を自動投入装置を用いて計量及び篩掛けし、UO
2粉末を含むUCコンテナーに投入するステップと、
(b)IBCブレンダー(IBC Blender)を用いて前記UO
2粉末、気孔形成剤及び潤滑剤を混合するステップと、を含む、核燃料製造用UO
2混合粉末の製造方法。
【請求項2】
前記気孔形成剤は、U
3O
8粉末又はADCA(Azodicarbonamide、C
2H
4N
4O
2)である、請求項1に記載の核燃料製造用UO
2混合粉末の製造方法。
【請求項3】
前記潤滑剤は、Acrawax(Ethylene distearamide、C
38H
76N
2O
2)又はZinc stearate(Zn-C
36H
70O
4)である、請求項1に記載の核燃料製造用UO
2混合粉末の製造方法。
【請求項4】
前記UO
2粉末は、10~500kgであり、前記UO
2粉末100重量部に対して前記気孔形成剤0.08~10重量部及び前記潤滑剤0.05~1重量部を含む、請求項1に記載の核燃料製造用UO
2混合粉末の製造方法。
【請求項5】
前記自動投入装置は、300μmのふるい機を含み、前記気孔形成剤及び潤滑剤に存在する顆粒を除去し、前記UO
2粉末の重量に応じて設定された重量比率で気孔形成剤及び潤滑剤を添加する、請求項1に記載の核燃料製造用UO
2混合粉末の製造方法。
【請求項6】
前記(b)ステップは、回転数10~14rpm、粉末のコンテナー充填率50~70vol%、混合時間20~30分及び正方向混合の条件で行われる、請求項1~5のいずれか一項に記載の核燃料製造用UO
2混合粉末の製造方法。
【請求項7】
前記(b)ステップは、さらに10分間逆方向に混合することを含む、請求項6に記載の核燃料製造用UO
2混合粉末の製造方法。
【請求項8】
請求項1に記載の核燃料製造用UO
2混合粉末の製造方法によって製造された核燃料製造用UO
2混合粉末。
【請求項9】
請求項8に記載の核燃料製造用UO
2混合粉末をプレスするUO
2成形ペレット製造ステップと、
前記UO
2成形ペレットを焼結するUO
2焼結ペレット製造ステップと、
前記焼結ペレットを研削して焼結ペレットの直径を一定にするUO
2研削ペレット製造ステップと、を含み、
不良率が5%以下であり、前記焼結ペレットの密度は10.30~10.58g/cm
3である、UO
2核燃料製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IBCブレンダーを用いた核燃料製造用UO2混合粉末の製造方法及びこれにより製造された核燃料製造用UO2混合粉末に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所で使用される核燃料として、一般的に二酸化ウラン(UO2)ペレットが広く用いられている。
【0003】
核燃料である二酸化ウラン(UO2)ペレットは、UO2粉末から製造される。より具体的には、UO2粉末に気孔形成剤及び潤滑剤などの添加剤を混合してUO2混合粉末を製造するステップ、製造されたUO2混合粉末をプレスしてUO2成形ペレットを製造するステップ、焼結してUO2焼結ペレットを製造するステップ、及び焼結ペレットの直径を一定にするために研削してUO2研削ペレットを製造するステップによって、二酸化ウラン(UO2)ペレットを製造する。
【0004】
前記UO2混合粉末を製造するステップは、粉末の流動性を良好にし、かつ最終的に製造されたペレットの特性を優秀にするために、一般的に気孔形成剤及び潤滑剤を添加し、混合装置を用いて混合する。混合による混合度及び均質度は、最終的に製造されるペレットの特性や品質に大きな影響を及ぼすため、粉末を混合する混合装置の性能は、UO2混合粉末製造ステップにおいて非常に重要である。
【0005】
従来の核燃料製造用UO
2混合粉末の製造方法は、一般的に、スクリュー混合機を用いる。
図1に示すように、作業者が手作業で添加物を計量及び篩掛けしてUCコンテナー1に添加物を投入し、UCコンテナーを、スクリュー混合機の上部に位置するFit-Up装置2に装着させた後、スクリュー混合機3を用いて添加物を混合し、混合された粉末を別途の容器4に貯蔵する。
【0006】
従来の核燃料製造用UO2混合粉末の製造方法は、混合時間が約4時間かかり、潤滑剤の均質な分布のために混合過程において潤滑剤を数回添加しなければならないため、混合時間が長くなり、作業の連続性が悪化し、潤滑剤の添加のために作業者が待機していなければならず、核物質を取り扱う核燃料製造方法の特性上、経済性、効率性及び安全性の面で様々な問題が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国公開特許公報第10-2004-0029408号(2004年4月6日)
【特許文献2】韓国特許公報第10-1001202号(2010年12月8日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、混合時間が短く、製造されたUO2混合粉末の混合度及び均質度に優れた核燃料製造用UO2混合粉末の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、核燃料製造用UO2混合粉末の製造方法であって、(a)気孔形成剤及び潤滑剤を自動投入装置を用いて計量及び篩掛けし、UO2粉末を含むUCコンテナーに投入するステップと、(b)IBCブレンダー(IBC Blender)を用いて前記UO2粉末、気孔形成剤及び潤滑剤を混合するステップと、を含む、核燃料製造用UO2混合粉末の製造方法を提供する。
【0010】
前記気孔形成剤は、U3O8粉末又はADCA(Azodicarbonamide、C2H4N4O2)であってもよい。
【0011】
前記潤滑剤は、Acrawax(Ethylene distearamide、C38H76N2O2)又はZinc stearate(Zn-C36H70O4)であってもよい。
【0012】
前記UO2粉末は、10~500kgであり、前記UO2粉末100重量部に対して前記気孔形成剤0.08~10重量部及び前記潤滑剤0.05~1重量部を含んでもよい。
【0013】
前記自動投入装置は、300μmのふるい機を含み、前記気孔形成剤及び潤滑剤に存在する顆粒を除去し、前記UO2粉末の重量に応じて設定された重量比率で気孔形成剤及び潤滑剤を添加してもよい。
【0014】
前記(b)ステップは、回転数10~14rpm、粉末のコンテナー充填率50~70vol%、混合時間20~30分及び正方向混合の条件で行われてもよい。
【0015】
前記(b)ステップは、さらに10分間逆方向に混合することを含んでもよい。
【0016】
また、本発明は、前記核燃料製造用UO2混合粉末の製造方法によって製造された核燃料製造用UO2混合粉末を提供することができる。
【0017】
また、本発明は、前記核燃料製造用UO2混合粉末をプレスするUO2成形ペレット製造ステップと、前記UO2成形ペレットを焼結するUO2焼結ペレット製造ステップと、前記焼結ペレットを研削して焼結ペレットの直径を一定にするUO2研削ペレット製造ステップと、を含み、不良率が5%以下であり、前記焼結ペレットの密度は10.30~10.58g/cm3である、UO2核燃料製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の核燃料製造用UO2混合粉末の製造方法によれば、混合時間が短く、製造されたUO2混合粉末の混合度及び均質度に優れる。
【0019】
本発明の核燃料製造用UO2混合粉末の製造方法によって製造された核燃料製造用UO2混合粉末を用いれば、最終的に製造されるUO2ペレットの特性及び品質に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】従来のスクリュー混合機を用いたUO
2粉末混合方法を示す図である。
【
図2】本発明に使用されるIBCブレンダーの構成を示す図である。
【
図3】IBCブレンダーの回転数10rpmで混合条件によるUO
2混合粉末内のZn含有量及び偏差を示す図である。
【
図4】IBCブレンダーの回転数14rpmで混合条件によるUO
2混合粉末内のZn含有量及び偏差を示す図である。
【
図5】UO
2粉末を含むUCコンテナーに添加剤を自動投入する添加剤自動投入装置の構成を示す図であり、UCコンテナー(UC Container)が
図2のIBCブレンダー(IBC Blender)に装着されて粉末が混合される。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、実施形態、実施例及び図面に基づいて本発明をより詳細に説明する。これらの実施形態及び実施例は、本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の範囲がこれらの実施形態及び実施例によって制限されると解釈されないことは、当該分野における通常の知識を有する者にとって自明であろう。
【0022】
一実施形態によれば、本発明は、核燃料製造用UO2混合粉末の製造方法であって、(a)気孔形成剤及び潤滑剤を自動投入装置を用いて計量及び篩掛けし、UO2粉末を含むUCコンテナーに投入するステップと、(b)IBCブレンダー(IBC Blender)を用いて前記UO2粉末、気孔形成剤及び潤滑剤を混合するステップと、を含む、核燃料製造用UO2混合粉末の製造方法を提供する。
【0023】
前記UO2粉末は、核燃料製造用UO2混合粉末及び核燃料ペレットを製造するための出発物質である。本発明の一実施形態において、前記UO2粉末の比表面積は2.6~2.7m2/gであり、平均粒度は4.0~10μmである。本発明の一実施形態において、前記UO2粉末は、10~500kgを使用することができる。
【0024】
前記気孔形成剤(poreformer)は、UO2混合粉末を用いて成形ペレットを製造し、成形ペレットを焼結して焼結ペレットを製造する場合、焼結ペレットの焼結密度を調節し、焼結ペレット内部の気孔のサイズを制御することができる製剤である。気孔形成剤として、U3O8粉末又はADCA(Azodicarbonamide、C2H4N4O2)を使用することができる。前記気孔形成剤は、UO2粉末100重量部に対して0.08~10重量部含むことができる。
【0025】
前記潤滑剤(lubricant)は、UO2粉末粒子に薄い被膜を形成させるために添加する製剤であって、粉末粒子の流動性を向上させて粉末成形の際にダイ(die)に装入する量を一定に調節させるだけでなく、成形ペレットの生産速度を増加させる。また、粉末成形の際に粉末粒子間の圧力及び粉末粒子/ダイ壁間の摩擦圧力を減少させて所望の成形密度を最適の成形圧力で製造することができるため、ダイ(die)/パンチ(punch)の寿命を延長させるという効果がある。前記潤滑剤として、Acrawax(Ethylene distearamide、C38H76N2O2)又はZinc stearate(Zn-C36H70O4)を使用することができる。前記潤滑剤は、UO2粉末100重量部に対して0.05~1重量部含むことができる。
【0026】
前記IBCブレンダー(Intermediate Bulk Containers Blender)は、コンテナー自体を多様な方向に回転させて内容物を混合するブレンダーを意味する。
【0027】
前記自動投入装置は、気孔形成剤及び潤滑剤を計量及び篩掛けし、UO
2粉末を含むUCコンテナーに投入する装置である。前記自動投入装置は、300μmのふるい機を含み、前記気孔形成剤及び潤滑剤に存在する顆粒を除去することができる。自動投入装置は、
図5に示す。
図5に示すように、自動投入装置は、第1添加物投入装置1、第2添加物投入装置2及び添加物計量装置3を含み、それぞれの添加物投入装置は、300μmのふるい機4を含む。前記UCコンテナーは、韓国原子力安全技術院から認証された最大濃縮度5.0w/oのウラン粉末を取り扱うことができる容量700リットルの規格容器(Uranium-C(規格順番)容器)をいう。前記300μmのふるい機4は、300μm超過の顆粒や粒子などの物質を除去することができるふるい機である。
【0028】
前記(b)ステップは、回転数10~14rpm、粉末のコンテナー充填率50~70vol%、混合時間20~30分及び正方向混合の条件で行われることができる。前記(b)ステップは、さらに10分間逆方向に混合することを含むことができる。
【0029】
本発明の一実施形態において、核燃料製造用UO2混合粉末をプレスするUO2成形ペレット製造ステップと、前記UO2成形ペレットを焼結するUO2焼結ペレット製造ステップと、前記焼結ペレットを研削して焼結ペレットの直径を一定にするUO2研削ペレット製造ステップと、を含み、不良率が5%以下であり、前記焼結ペレットの密度は10.30~10.58g/cm3である、UO2核燃料製造方法を提供することができる。
【0030】
本明細書において、「不良率」とは、UO2混合粉末から成形、焼結及び研削工程を介して製造された全体ペレットのうち、各ステップで発生した不良ペレットの個数を意味する。ペレットが設計条件又は仕様を満たさない場合に不良と判定する。
【0031】
実施例1
核燃料製造用UO2混合粉末の混合度及び均質度をより向上させるために、IBCブレンダーを用いた混合方法の条件を多様に変形させて研究した。
【0032】
研究のために、UO2粉末に、UO2ペレット製造工程中に発生したペレットスクラップ(scrap)を酸化させて作ったU3O8粉末を一定量(ここでは、UO2粉末100重量部に対して5重量部)添加して混合する。U3O8粉末を添加混合する場合、スクラップをリサイクルすることができて経済性を向上させることができるだけでなく、気孔形成剤として作用して、添加量に応じて、UO2ペレットの密度及びペレット内に存在する気孔のサイズ及び数を制御することができる。また、ペレットの品質に影響を及ぼす粉末の流動性及びペレットの成形性を向上させるために、潤滑剤を一定量(ここでは、UO2粉末及びU3O8粉末の100重量部に対して0.4重量部、UO2粉末100重量部に対して0.38重量部)添加して混合する。潤滑剤としては、Zn-stearate(Zn-C36H70O4)粉末を使用した。Zn-stearateには、Znの含有量が10%存在する。そして、(UO2+U3O8)粉末は、Znの含有量が約20ppmであると測定された。よって、(UO2+U3O8)粉末にZn-stearateをUO2粉末及びU3O8粉末の100重量部に対して0.4重量部添加する場合、混合した粉末のZn含有量は理論的に420ppmである。
【0033】
下記表1に示すように、IBCブレンダーの混合性能を検証するための実施条件として、IBCブレンダーの混合時間及び混合方向(正及び逆)、コンテナー充填率及び回転数を変数として設定した。コンテナー充填率は、コンテナーの全体積に対する粉末の体積%で示す。混合粉末に含まれるZnの含有量分析及び偏差測定を行った。このために、それぞれの実施条件当たり一つの混合粉末を製造し、一つの混合粉末から5個のサンプルを採取してZnの含有量及び偏差を測定した。Zn含有量は、誘導結合放出分光法(ICP-OES)で測定した。測定されたZn含有量と理論Zn含有量とを比較することにより、混合度を評価し、測定されたZn含有量の偏差から均質度を評価した。
【0034】
混合度は、添加剤の混合程度を意味するものである。混合がうまく行われるほど、測定された混合度が理論含有量に近接する。混合度が低いほど、未混合された添加剤が多いことを意味する。
【0035】
均質度は、混合粉末内に存在する添加剤がどれほど均一に混合されているかを示す。本明細書では、測定されたZn含有量の偏差から均質度を評価し、偏差が低いほど均質度が高いことを意味する。
【0036】
下記表1に、各実施条件によるUO2混合粉末内のZn含有量及び偏差を示す。
【0037】
【0038】
前記回転方向の正(Forward)及び逆(Backward)は、相対的に反対の方向を意味するものであり、正方向は、時計方向又は反時計方向を意味することができ、逆方向は、前記正方向の反対方向である反時計方向又は時計方向を意味することができる。
【0039】
前記表1の結果を、回転数に応じてそれぞれ
図3及び
図4に示す。
【0040】
図3は、IBCブレンダーの回転数10rpmで実施した結果を示すものである。
図3に示すように、IBCブレンダーの回転数10rpmで、正方向にのみ混合する場合、混合時間20分と30分間混合した試料それぞれの平均Zn含有量は、それぞれ416rpm、422rpmであって理論値(420ppm)に近似しており、偏差も小さいことが分かる。但し、混合時間20分よりは30分で平均Zn含有量が理論値にさらに近く、偏差がさらに小さいことが分かる。これに対し、混合時間が30分を超過して60分に増加する場合、平均Zn含有量は理論値から遠くなり、偏差も大きくなることが分かる。このように混合時間が過大に増加すると、一部の添加物質が偏析するためであると考えられる。
【0041】
一方、正方向に回転させた後、逆方向の回転を10分追加した結果、正方向にのみ混合した場合より理論値にさらに近く、偏差も小さかいことが分かる。これは、一方向に一定時間回転させた後、反対方向に回転させると、未混合された添加物質が減少するためであると考えられる。一方、このような結果は、充填率に関係なくほぼ同様に現れた。但し、50%の充填率が70%の充填率より良好な均質度を示すため、充填率を50%に設定することが好ましい。
【0042】
図4は、IBCブレンダーの回転数14rpmで実施した結果を示すものである。
図4に示すように、IBCブレンダーの回転数14rpmで、正方向にのみ混合する場合、混合時間20分と30分間混合した試料それぞれの平均Zn含有量は、それぞれ421rpm、419rpmであって、理論値(420ppm)に近似しており、偏差も小さいことが分かる。但し、混合時間20分よりは30分で平均Zn含有量が理論値にさらに近く、偏差がさらに小さいことが分かる。一方、混合時間が30分を超過して60分に増加する場合、平均Zn含有量は理論値から遠くなり、偏差も大きくなることが分かる。このように混合時間が過大に増加すると、一部の添加物質が偏析するためであると考えられる。
【0043】
一方、正方向に回転させた後、逆方向の回転を10分追加した結果、正方向にのみ混合した場合よりも理論値にさらに近く、偏差も小さいことが分かるが、これは、一方向に一定時間回転させた後、反対方向に回転させると、未混合された添加物質が減少するためであると考えられる。一方、このような結果は、充填率に関係なくほぼ同様であった。但し、50%の充填率が70%の充填率よりも良好な均質度を示すため、充填率を50%に設定することが好ましい。
【0044】
実施例2
従来の核燃料製造用UO2混合粉末の製造方法と、本発明の核燃料製造用UO2混合粉末の製造方法で製造されたUO2混合粉末から製造されたUO2ペレットの特性を比較する。
【0045】
UO2粉末からUO2ペレットを製造する工程中に、核燃料製造用UO2混合粉末の製造工程を除いたその他の全ての工程は同様に行うことにより、従来の製造方法と本発明の製造方法とを比較した結果を下記表2に示す。
【0046】
従来の核燃料製造用UO2混合粉末の製造方法及び本発明の核燃料製造用UO2混合粉末の製造方法において、それぞれの混合機に(UO2+U3O8)粉末は50kg、潤滑剤粉末は200g(=0.4重量部)添加した。その他の混合条件は、下記表2に示す。
【0047】
また、従来の製造方法及び本発明の製造方法によって製造されたUO2混合粉末から製造される成形ペレット及び焼結ペレットの物性比較のために、各ペレットを100個ずつ製造した。
【0048】
UO2混合粉末をパンチ及びダイに満たしてプレスすることにより成形ペレットを製造し、製造された成形ペレットをガス環境で一定時間熱処理して焼結ペレットを製造した。
【0049】
成形ペレットの場合、粉末の流動性を考慮して長さのみ測定し、その偏差を計算した。同径のパンチ及びダイを用いて成形ペレットを製造したため、直径への影響は考慮しなかった。焼結ペレットの場合、長さ、直径及び密度を測定し、その偏差を計算した。
【0050】
【0051】
前記表2に示すように、本発明の核燃料製造用UO2混合粉末から製造された成形ペレット及び焼結ペレットが、スクリュー混合機を用いて製造した核燃料製造用UO2混合粉末から製造された成形ペレット及び焼結ペレットよりも優れた特性を示すことが確認された。より具体的に、核燃料製造用UO2混合粉末から製造された成形ペレット及び焼結ペレットの場合、UO2混合粉末の流動性が良好であって成形ペレット及び焼結ペレットの長さの偏差が小さく、これにより密度の偏差も小さいことを確認することができる。理論密度の95.0%~95.7%を焼結ペレットの品質基準とし、従来の方法によって製造された焼結ペレットの密度偏差に比べて、本発明の方法によって製造された焼結ペレットの密度偏差が小さいため、品質管理が容易である。
【0052】
また、焼結ペレットの微細組織において、微細気孔が均質に分布したことを確認することができるが、これは、気孔形成剤として作用するU3O8がUO2混合粉末に均一に分布したことを意味する。また、粗大気孔が存在しないのは、潤滑剤が群集せずに均質に分布したためである。これに比べ、スクリュー混合機を用いて製造した核燃料製造用UO2混合粉末から製造された焼結ペレットの場合、微細組織において粗大気孔が一部存在することを確認することができる。これは、気孔形成剤及び潤滑剤がUO2混合粉末に均一に分布していないことを意味する。
【0053】
本発明の核燃料製造用UO2混合粉末の製造方法は、IBCブレンダー(IBC Blender)を用いることにより、潤滑剤を初期に一回のみ投入することができ、混合時間が短縮され、逆方向の回転によって未混合潤滑剤が発生しないようにして混合度及び均質度を向上させることができ、粉末の流動性を向上させることができ、連続的な作業が可能である。また、潤滑剤を添加するために待機する作業者が不要であるため、経済性、効率性及び安全性に優れる。
【0054】
そして、UO2ペレット製造工程において現れた不良率は、従来の方法では5~10%(成形工程不良率:1~2%、研削工程不良率:5~8%)、本発明では3~5%(成形工程不良率:0%、研削工程不良率:3~5%)であった。
【0055】
ペレットの不良は、一般にUO2混合粉末をプレスして成形ペレットを製造する成形工程及び焼結ペレットを研削する研削工程において主に現れる。成形工程の不良は、成形体製造中に成形ペレットが破損するか或いは成形ペレットの長さの仕様範囲を超えるために発生する。研削工程の不良は、研削ペレットの表面に存在する未研削部分、亀裂又は気孔による損傷により発生する。成形工程不良率が、従来の方法では1~2%であったのに対し、本発明では0%であった。また、研削工程不良率は、従来の方法では5~8%であったのに対し、本発明では不良率が3~5%であった。このように本発明を適用して製造された研削ペレットにおいて不良率が小さい理由は、ペレット表面の未研削部分がなく、気孔による損傷がなかったためである。未研削部分が生じていない原因は、潤滑剤が均質に分散した粉末粒子を成形するときに摩擦による成形圧力の減少が小さいことにある。また、気孔による損傷は、主に混合度が良くないため、群集した潤滑剤が焼結後に残存して現れる現象であり、本技術によって製造されたペレットは、このようなタイプの損傷が少なかった。
【0056】
上述したように、IBCブレンダーを用いた核燃料製造用UO2混合粉末は、潤滑剤及び気孔形成剤が均一に分布しており、UO2混合粉末から製造される成形ペレット、焼結ペレット及び研削ペレットにおいてペレットの特性及び品質をより優秀にすることが分かる。
【0057】
上述したように、従来のスクリュー混合機で混合する場合よりも、本発明のIBCブレンダー装置で混合する場合、混合度及び均質度が良好であって、最終的に製造されたUO2ペレットの特性や品質に優れることが分かる。
【国際調査報告】