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特表2024-523228水の消費量を低減させ、アルミニウム-水反応から活性化金属を回収するためのシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】水の消費量を低減させ、アルミニウム-水反応から活性化金属を回収するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 3/08 20060101AFI20240621BHJP
【FI】
C01B3/08 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575835
(86)(22)【出願日】2022-06-07
(85)【翻訳文提出日】2024-02-07
(86)【国際出願番号】 US2022032487
(87)【国際公開番号】W WO2022261083
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】63/209,342
(32)【優先日】2021-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060697
【氏名又は名称】マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ハート, ダグラス ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ゴダート, ピーター
(57)【要約】
アルミニウム-水反応、水素ガス生産、および活性化金属の回収に関連するシステムおよび方法が、概して、説明される。いくつかの実施形態によると、水素ガスを生産する方法であって、反応チャンバ内で、アルミニウムと、活性化組成物を含む、活性アルミニウム組成物を、水と、イオン性塩、水酸化物、および酸の群から選択される、少なくとも1つのものとを含む、溶液と反応させ、水素ガスおよび1つまたはそれを上回る反応生成物を生産することと、活性アルミニウムと水を反応させることの後に、活性化組成物を含む、分離相を形成することとを含む、方法が、説明される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素ガスを生産する方法であって、
反応チャンバ内で、アルミニウムと、活性化組成物とを含む活性アルミニウム組成物を、水と、イオン性塩、水酸化物、および酸の群から選択される少なくとも1つのものとを含む溶液と反応させ、水素ガスおよび1つまたはそれを上回る反応生成物を生産することと、
前記活性アルミニウムと前記水を反応させることの後に、前記活性化組成物を含む分離相を形成することと
を含む、方法。
【請求項2】
反応させることに先立って、前記活性アルミニウムを第1のリザーバから前記反応チャンバの中に分注することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
反応させることに先立って、前記イオン性塩、前記水酸化物、または前記酸を第2のリザーバから前記反応チャンバの中に分注することをさらに含む、請求項1-2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
反応させることに先立って、前記水を第3のリザーバから前記反応チャンバの中に分注することをさらに含む、請求項1-3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記活性化組成物は、ガリウムおよび/またはインジウムを含む、請求項1-4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記溶液は、前記イオン性塩を含む、請求項1-5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記イオン性塩は、NaCl、KCl、NaHCO、MgCl、および/またはCaClを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記溶液は、前記水酸化物を含む、請求項1-5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記水酸化物は、NaOH、KOH、Ca(OH)、および/またはMg(OH)を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記溶液は、前記酸を含む、請求項1-5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記酸は、HCl、HSO、および/またはCHCOOHを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記溶液中の前記イオン性塩、前記水酸化物、または前記酸の濃度は、0.1Mを超えるまたはそれに等しい値と、前記溶液中の前記イオン性塩、前記水酸化物、または前記酸の溶解性限界未満またはそれに等しい値との間である、請求項1-11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記活性アルミニウムと前記水とを反応させることの後に、湿潤活性化組成物を維持することをさらに含む、請求項1-12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記活性化組成物の分離相を形成することは、前記活性アルミニウムおよび前記水の1つまたはそれを上回る反応生成物から前記活性化組成物を分離することを含む、請求項1-13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記活性化組成物を含む前記分離相を前記反応チャンバから回収チャンバに流動させることをさらに含む、請求項1-14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
システムであって、
アルミニウムと、活性化組成物とを含む活性アルミニウム組成物を含有するように構成される第1のリザーバと、
イオン性塩、水酸化物、および/または酸を含有するように構成される第2のリザーバと、
前記第1のリザーバおよび前記第2のリザーバと流体連通する反応チャンバであって、前記第1のリザーバは、前記活性アルミニウムを前記反応チャンバの中に分注するように構成され、前記第2のリザーバは、前記イオン性塩、前記水酸化物、および/または前記酸を前記反応チャンバの中に分注するように構成され、前記反応チャンバは、前記活性アルミニウムが、前記反応チャンバ内で前記イオン性塩、前記水酸化物、および/または前記酸の存在下で水と反応し、水素ガスおよび1つまたはそれを上回る反応生成物を生産するように構成される、反応チャンバと、
を備える、システム。
【請求項17】
前記第2のリザーバは、前記活性化組成物に、前記活性アルミニウムが前記水と反応した後に、分離相を形成させるために十分な量において、前記イオン性塩、前記水酸化物、および/または前記酸を前記反応チャンバの中に分注するように構成される、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記1つまたはそれを上回る反応生成物から前記活性化組成物を分離するように構成される分離システムをさらに備える、請求項16-17のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項19】
前記反応チャンバと流体連通する回収チャンバであって、前記回収チャンバは、前記反応チャンバから前記活性化組成物の分離相を受容するように構成される、回収チャンバ
をさらに備える、請求項16-18のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項20】
水を含有するように構成される第3のリザーバであって、前記第3のリザーバは、前記水を前記反応チャンバの中に分注するように構成される、第3のリザーバ
をさらに備える、請求項16-19のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項21】
前記イオン性塩、前記水酸化物、および/または前記酸は、水中に溶解される、請求項16-20のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項22】
前記活性化組成物は、ガリウムおよび/またはインジウムを含む、請求項16-21のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項23】
前記第2のリザーバ内に配置される前記イオン性塩をさらに含む、請求項16-22のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項24】
前記イオン性塩は、NaCl、KCl、NaHCO、MgCl、および/またはCaClを含む、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記第2のリザーバ内に配置される前記水酸化物をさらに含む、請求項16-22のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項26】
前記水酸化物は、NaOH、KOH、Ca(OH)、および/またはMg(OH)を含む、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記第2のリザーバ内に配置される前記酸をさらに含む、請求項16-22のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項28】
前記酸は、HCl、HSO、および/またはCHCOOHを含む、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
1つまたはそれを上回るプロセッサであって、前記1つまたはそれを上回るプロセッサは、前記反応チャンバに進入する前記活性アルミニウム、前記イオン性塩、前記水酸化物、および/または前記酸、および/または前記水の量を制御するように構成される、1つまたはそれを上回るプロセッサ
をさらに備える、請求項16-28のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項30】
前記水中に溶解される前記イオン性塩、前記水酸化物、および/または前記酸の濃度は、0.1Mを超えるまたはそれに等しい値と、前記水中の前記イオン性塩、前記水酸化物、および/または前記酸の溶解性限界未満またはそれに等しい値との間である、請求項21-29のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項31】
システムであって、
アルミニウムと、活性化組成物とを含む活性アルミニウム組成物を含有するように構成される第1のリザーバと、
水と、前記水中に溶解されるイオン性塩、水酸化物、および/または酸とを含む溶液を含有するように構成される第2のリザーバと、
前記第1のリザーバおよび前記第2のリザーバと流体連通する反応チャンバであって、前記第1のリザーバは、前記活性アルミニウムを前記反応チャンバの中に分注するように構成され、前記第2のリザーバは、前記溶液を前記反応チャンバの中に分注するように構成され、前記反応チャンバは、前記活性アルミニウムが、前記イオン性塩、前記水酸化物、および/または前記酸の存在下で前記水と反応し、水素ガスおよび1つまたはそれを上回る反応生成物を生産するように構成され、前記イオン性塩、前記水酸化物、および/または前記酸の量は、前記活性アルミニウムが前記水と反応した後に、活性化組成物に分離相を形成させるために十分である、反応チャンバと、
1つまたはそれを上回る反応生成物から前記活性化組成物を分離するように構成される分離システムと、
前記反応チャンバと流体連通する回収チャンバであって、前記回収チャンバは、前記反応チャンバから前記活性化組成物の分離相を受容するように構成される、回収チャンバと、
を備える、システム。
【請求項32】
前記活性化組成物は、ガリウムおよび/またはインジウムを含む、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記イオン性塩は、NaCl、KCl、NaHCO、MgCl、および/またはCaClを含む、請求項31-32のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項34】
前記水酸化物は、NaOH、KOH、Ca(OH)、および/またはMg(OH)を含む、請求項31-32のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項35】
前記酸は、HCl、HSO、および/またはCHCOOHを含む、請求項31-32のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、その開示が参照することによってその全体として組み込まれる、2021年6月10日に出願された、米国仮出願第63/209,342号の35 U.S.C. Section 119(e)(米国特許法第119条(e))下の利益を主張する。
【0002】
アルミニウム-水反応、水素ガス生産、および活性化金属の回収に関連するシステムおよび方法が、概して、説明される。
【背景技術】
【0003】
水素ガスは、化石燃料と比較して、より持続可能なエネルギー経済のための無公害性の燃料保持手段の有望策として広く認識されている。金属を伴う酸化還元反応は、要望に応じて水素を生産し、水素を高圧において気体または液体として貯蔵するコストおよび安全性への懸念を除外することができる。アルミニウム(Al)は、例えば、ディーゼル燃料の約2倍超、リチウムイオンの40倍超のエネルギー密度を有し、水と反応し、室温および大気圧において水素を生産する。しかしながら、バルク燃料源としてアルミニウムを使用することは、水の消費量と関連付けられる、ある課題を提示する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
アルミニウム-水反応、水素ガス生産、および活性化金属の回収に関連するシステムおよび方法が、概して、説明される。本開示の主題は、ある場合には、相互に関連する製品、特定の問題に対する代替解決策、および/または1つまたはそれを上回るシステムおよび/または物品の複数の異なる使用を伴う。
【0005】
いくつかの実施形態によると、水素ガスを生産する方法であって、反応チャンバ内で、アルミニウムと、活性化組成物を含む、活性アルミニウム組成物を、水と、イオン性塩、水酸化物、および酸の群から選択される、少なくとも1つのものとを含む、溶液と反応させ、水素ガスおよび1つまたはそれを上回る反応生成物を生産することと、活性アルミニウムと水を反応させることの後に、活性化組成物を含む、分離相を形成することとを含む、方法が、説明される。
【0006】
ある実施形態では、システムであって、アルミニウムと、活性化組成物とを含む、活性アルミニウム組成物を含有するように構成される、第1のリザーバと、イオン性塩、水酸化物、および/または酸を含有するように構成される、第2のリザーバと、第1のリザーバおよび第2のリザーバと流体連通する、反応チャンバであって、第1のリザーバは、活性アルミニウムを反応チャンバの中に分注するように構成され、第2のリザーバは、イオン性塩、水酸化物、および/または酸を反応チャンバの中に分注するように構成され、反応チャンバは、活性アルミニウムが、反応チャンバ内でイオン性塩、水酸化物、および/または酸の存在下で水と反応し、水素ガスおよび1つまたはそれを上回る反応生成物を生産するように構成される、反応チャンバとを備える、システムが、説明される。
【0007】
いくつかの実施形態によると、システムであって、アルミニウムと、活性化組成物とを含む、活性アルミニウム組成物を含有するように構成される、第1のリザーバと、水と、水中に溶解されるイオン性塩、水酸化物、および/または酸とを含む、溶液を含有するように構成される、第2のリザーバと、第1のリザーバおよび第2のリザーバと流体連通する、反応チャンバであって、第1のリザーバは、活性アルミニウムを反応チャンバの中に分注するように構成され、第2のリザーバは、溶液を反応チャンバの中に分注するように構成され、反応チャンバは、活性アルミニウムが、イオン性塩、水酸化物、および/または酸の存在下で水と反応し、水素ガスおよび1つまたはそれを上回る反応生成物を生産するように構成され、イオン性塩、水酸化物、および/または酸の量は、活性アルミニウムが水と反応した後に、活性化組成物に分離相を形成させるために十分である、反応チャンバと、1つまたはそれを上回る反応生成物から活性化組成物を分離するように構成される、分離システムと、反応チャンバと流体連通する、回収チャンバであって、反応チャンバから活性化組成物の分離相を受容するように構成される、回収チャンバとを備える、システムが、説明される。
【0008】
本開示の他の利点および新規の特徴が、付随の図面と併せて考慮されるとき、本開示の種々の非限定的実施形態の以下の詳細な説明から明白な状態となるであろう。本明細書および参照することによって組み込まれる文書が、相反および/または矛盾する開示を含む場合には、本明細書が、優先されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示の非限定的実施形態は、概略的であり、縮尺通りに描かれることを意図していない、付随の図を参照して、実施例として説明されるであろう。図では、図示される各同じまたはほぼ同じ構成要素が、典型的には、単一の番号によって表される。明確性の目的のために、当業者が本開示を理解することを可能にするために図示が必要ではない場合には、全ての構成要素が全ての図内で標識されるわけではなく、本開示の各実施形態の全ての構成要素が示されるわけでもない。
【0010】
図1A図1Aは、ある実施形態による、第1のリザーバと、第2のリザーバと、反応チャンバとを備える、システムの概略上視図を示す。
【0011】
図1B図1Bは、ある実施形態による、図1Aのシステムの概略側視図を示す。
【0012】
図2A図2Aは、ある実施形態による、第1のリザーバと、第2のリザーバと、第3のリザーバと、反応チャンバとを備える、システムの概略上視図を示す。
【0013】
図2B図2Bは、ある実施形態による、図2Aのシステムの概略側視図を示す。
【0014】
図3A図3Aは、ある実施形態による、第1のリザーバと、第2のリザーバと、反応チャンバと、分離システムとを備える、システムの概略上視図を示す。
【0015】
図3B図3Bは、ある実施形態による、図3Aのシステムの概略側視図を示す。
【0016】
図4A図4Aは、ある実施形態による、第1のリザーバと、第2のリザーバと、1つまたはそれを上回るプロセッサと、反応チャンバと、分離システムとを備える、システムの概略上視図を示す。
【0017】
図4B図4Bは、ある実施形態による、図4Aのシステムの概略側視図を示す。
【0018】
図5A図5Aは、ある実施形態による、第1のリザーバと、第2のリザーバと、1つまたはそれを上回るプロセッサと、反応チャンバと、分離システムと、回収チャンバとを備える、システムの概略上視図を示す。
【0019】
図5B図5Bは、ある実施形態による、図5Aのシステムの概略側視図を示す。
【0020】
図6図6は、ある実施形態による、pHの関数として、NaOHの存在下での活性アルミニウムと水との間の反応の水素収率を示す。
【0021】
図7図7は、ある実施形態による、NaOHの存在下での活性アルミニウムと水との間の反応の反応生成物を示す。
【0022】
図8図8は、ある実施形態による、NaOHの存在下で活性アルミニウムと水を反応させるためのシステムの概略フロー図を示す。
【0023】
図9A図9Aは、ある実施形態による、アルミニウム-水反応の後の活性化組成物の走査電子顕微鏡(SEM)画像を示す。
【0024】
図9B図9Bは、ある実施形態による、図9Aに示される活性化組成物のエネルギー分散X線分光法(EDS)原子マップを示す。
【0025】
図10A図10Aは、ある実施形態による、イオン性塩、水酸化物、または酸を伴わないアルミニウム-水反応から結果として生じる凝集物のSEM画像を示す。
【0026】
図10B図10Bは、図10Aに示される凝集物のEDS原子マップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
詳細な説明
アルミニウム金属および水は、反応(1)および(2)に示される以下の発熱反応のうちのいずれかに従って水素ガスを生産するように反応する。
2Al+4HO→3H+2AlO(OH)+Q1 (1)
2Al+6HO→3H+2Al(OH)+Q2 (2)
式中、Q1および/またはQ2は、反応の程度に応じた、840kJ~880kJの熱である。しかしながら、周囲条件下では、酸化物層が、アルミニウムが大気酸素に暴露されるにつれて、その表面上に形成し、したがって、水と実質的に反応しないように下層の純アルミニウム金属の能力を妨げる。活性化組成物が、アルミニウムの結晶粒界および/または亜結晶粒界の中に浸透し、したがって、酸化物層を破壊し、アルミニウムと水との間の反応を促進するために使用され得る。
【0028】
本発明者らは、燃料源としてのアルミニウムの完全な潜在力を達成するための障害が、アルミニウムと水との間の反応が完了した後に活性化組成物を容易に回収することができないことであることを理解している。活性化組成物の成分(例えば、ガリウムおよび/またはインジウム)が、反応の過程の間に相互から分離し、したがって、それらの個別の融解点を上昇させ、活性化組成物の成分のうちの1つまたはそれを上回るもの(例えば、ガリウム)が酸化することを可能にする、および/または活性化組成物の1つまたはそれを上回る成分を反応生成物中に分散される、微小液滴の中に分散させ得、その全てが、反応生成物の混合物からの活性化組成物の分離を複雑化させ得る。活性化組成物を回収することの従来の方法は、複雑で非効率的な化学的プロセスを使用し、低い回収収率をもたらす。これは、本明細書に開示される、機械分離ベースのプロセスと対照的である。
【0029】
燃料源としてのアルミニウムの潜在力を実現することと関連付けられる、別の障害物は、アルミニウムと水との間の反応が、水素の最大収率に到達するために、反応(1)または(2)のいずれにおける化学量論によって示唆されるものよりも著しい量の余剰水を余儀なくさせることである。いくつかの従来の場合では、例えば、最大水素収率は、化学量論的水比率のほぼ10倍が採用されるまで達成されない。大量の余剰水を要求することは、アルミニウムおよび水の両方を貯蔵する閉鎖系電力用途のためには非実用的である。さらに、そのようなシステムのエネルギー密度および比エネルギーは、有意に減少し、これは、アルミニウムがあまり実行可能ではない燃料選択肢になることをもたらす。
【0030】
本発明者らは、イオン性塩(例えば、NaCl)、水酸化物(例えば、NaOH)、および/または酸(例えば、HCl)の存在下で活性アルミニウム組成物と水を反応させることが、アルミニウムを活性化させるために使用される活性化組成物の回収を可能にしながら、また、水の消費量を減少させる、タンデム効果を提供することを認識し、理解している。理論によって拘束されることを所望するわけではないが、イオン性塩、水酸化物、および/または酸の存在下で活性アルミニウムと水を反応させることは、活性化組成物の成分が相互から分離することを防止し、活性化組成物がいくつかの密度駆動式機械的プロセスを介して余剰反応物および/または他の反応生成物から分離されることを可能にする。活性化組成物を回収することは、活性化組成物が高価であり、多分量にある環境に対して有害であり得るため、有利である。加えて、活性アルミニウムと水の反応の間にイオン性塩、水酸化物、および/または酸を含むことが、水素収率を増加させ得る。本明細書においてさらに詳細に解説されるように、例えば、イオン性塩、水酸化物、および/または酸のイオン性カチオンおよび/またはイオン性アニオン(例えば、Na、Cl)が、活性化組成物の表面に接着し得る。理論によって拘束されることを所望するわけではないが、イオン性カチオンおよび/またはアニオンは、有利には、活性化組成物が、活性アルミニウムと水との間の反応の後にコロイド状組成物のままであるように、活性化組成物のゼータ電位および/または表面張力に影響を及ぼし得る。
【0031】
本明細書で使用されるように、用語「イオン性塩」は、当技術分野におけるその通常の意味を与えられ、概して、カチオンとアニオンとのイオン集合体から成る、化学化合物を指す。用語「水酸化物」もまた、当技術分野におけるその通常の意味を与えられ、概して、化学式OHを伴う二原子アニオンを含む、化学化合物を指す。いくつかの実施形態では、水酸化物は、塩基(例えば、Bronstead-Lowry塩基等の陽子を収受すること、またはLewis塩基等の電子対を供与することのいずれかが可能である、化学化合物)であり得る。ある実施形態では、水酸化物は、イオン性塩であり得る。用語「酸」もまた、当技術分野におけるその通常の意味を与えられ、概して、陽子(すなわち、Bronsted-Lowry酸)を供与すること、または電子対(すなわち、Lewis酸)を収受することのいずれかが可能である、化学化合物を指す。いくつかの実施形態によると、酸は、イオン性塩であり得る。
【0032】
活性アルミニウム組成物と水との間の反応の後に、活性化組成物を分離することおよび/または回収することが、望ましくあり得る。ある実施形態によると、イオン性塩、水酸化物、および/または酸の使用は、有利には、下記にさらに詳細に解説されるように、活性化組成物が相隔離されることを可能にし、したがって、活性化組成物が反応物および反応生成物より高密度であることに起因して、単純な機械的分離を介した活性化組成物の分離および回収を可能にする。理論によって拘束されることを所望するわけではないが、イオン性カチオン(例えば、Na)および/またはイオン性アニオン(例えば、Cl)等のイオン性塩、水酸化物、および/または酸の1つまたはそれを上回る成分は、活性化組成物がアルミニウムを活性化させるにつれて、活性化組成物の表面上に接着および/または別様に凝集し得る。活性化組成物の表面へのイオン性カチオンの接着は、活性化組成物の成分の分離および/または酸化を防止し、したがって、活性化組成物の単純な機械的分離を可能にする。
【0033】
イオン性塩、水酸化物、および/または酸の使用はまた、水素の最大収率に到達するために必要な水消費の量を減少させる、または逆に、所与の量の水に関する水素収率を増加させ得る。理論によって拘束されることを所望するわけではないが、例えば、水酸化物(例えば、NaOH)が、ある非限定的実施形態では、水反応物のアルカリ度を増加させ、したがって、反応(2)に示されるようなAl(OH)の形成に有利に作用し、反応を完了に促すために採用されてもよい。AlOOHが反応(1)に示されるように形成される、ある実施形態では、水が、反応生成物の層間に介在し、したがって、水がアルミニウム燃料に到達することを防止し得る。
【0034】
活性化組成物の分離相は、いくつかの実施形態では、付加的相内に分散される、活性化組成物のコロイド状凝集物を含んでもよい。付加的相は、いくつかの実施形態では、1つまたはそれを上回る反応生成物(例えば、反応(1)および(2)に示されるようなAlO(OH)、Al(OH))、未反応水、および/または(例えば、水中に溶解および/または懸濁される)余剰および/または剰余イオン性塩、水酸化物、および/または酸を含んでもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、活性化組成物および1つまたはそれを上回る反応生成物の混合物をゲル状態において維持し、1つまたはそれを上回る反応生成物からの活性化組成物の分離を促進しながら、1つまたはそれを上回る反応生成物の結晶化を回避することが、望ましくあり得る。そのような実施形態では、活性化組成物と、1つまたはそれを上回る反応生成物とを含む、混合物は、様々な好適な量の水の任意のものを含み、ゲル状態を維持してもよい。いくつかの実施形態では、例えば、混合物は、混合物の総重量と対比して、1重量%を超えるまたはそれに等しい、5重量%を超えるまたはそれに等しい、10重量%を超えるまたはそれに等しい、15重量%を超えるまたはそれに等しい、または20重量%を超えるまたはそれに等しい量における水を含む。ある実施形態では、混合物は、混合物の総重量と対比して、25重量%未満またはそれに等しい、20重量%未満またはそれに等しい、15重量%未満またはそれに等しい、10重量%未満またはそれに等しい、または5重量%未満またはそれに等しい量における水を含む。上記に列挙される範囲の組み合わせもまた、可能性として考えられる(例えば、混合物は、混合物の総重量と対比して、1重量%を超えるまたはそれに等しい値と25重量%未満またはそれに等しい値との間の量における水を含み、混合物は、湿潤活性化組成物の総重量と対比して、10重量%を超えるまたはそれに等しい値と15重量%未満またはそれに等しい値との間の量における水を含む)。他の範囲もまた、可能性として考えられる。
【0036】
本明細書に説明されるシステムは、いくつかの実施形態では、1つまたはそれを上回る反応生成物から活性化組成物を分離するように構成される、分離機構(例えば、分離システム)を備えてもよい。様々な好適な分離システムのうちのいずれかが、採用されてもよい。いくつかの実施形態では、例えば、分離システムは、重力ベースのシステムおよび/または分離漏斗ベースのシステムである。重力ベースのシステムは、例えば、反応チャンバと分離システムとの間に段階的流体接続を含んでもよく、反応チャンバの少なくとも一部は、活性化組成物の分離相が、重力下で垂直に下向きに分離システムまで流動するように、重力の方向に対して分離システムより高い高さに位置付けられる。分離漏斗が、いくつかの実施形態において使用されてもよく、分離漏斗は、付加的相から活性化組成物の分離相を分離するために抽出を実施するように構成される。いくつかの実施形態によると、電場が、活性化組成物を分離するために印加されてもよい。例えば、ある実施形態では、活性化組成物および1つまたはそれを上回る反応生成物は、電気湿潤化を受けてもよい。理論によって拘束されることを所望するわけではないが、活性化組成物は、イオン性溶液の存在下で電子二重層を形成し得る。例えば、いくつかの実施形態では、活性化組成物は、アルカリ性溶液中で少なくとも部分的に正に荷電される、または酸性溶液中で少なくとも部分的に負に荷電され得る。いくつかのそのような実施形態では、外部電場(例えば、電気湿潤化)が、活性化組成物を分離するために印加されてもよい。
【0037】
付加的相から活性化組成物を分離することの後、活性化組成物は、反応チャンバおよび分離システムと流体連通する、回収チャンバに流動されてもよい。いくつかの実施形態では、回収チャンバは、活性化組成物の分離相を受容し、湿潤化および活性化された組成物を維持するように構成される。いくつかの実施形態によると、活性化組成物の1つまたはそれを上回る成分の酸化および/または分離を回避するために、分離の後に活性化された組成物を実質的に乾燥することを回避することが、有利であり得る。
【0038】
ある実施形態では、システムの回収チャンバはまた、アルミニウム-水反応のための付加的なアルミニウムの後続の活性化における使用のために、活性化組成物を再循環するように構成されてもよい。
【0039】
いくつかの実施形態によると、有利なほど大量の活性化組成物が、活性アルミニウムと水との間の反応の後に回収され得る。いくつかの実施形態では、例えば、95%を超えるまたはそれに等しい、96%を超えるまたはそれに等しい、97%を超えるまたはそれに等しい、98%を超えるまたはそれに等しい、99%を超えるまたはそれに等しい、または99.9%を超えるまたはそれに等しい活性化組成物が、活性アルミニウムと水との間の反応の後に回収される。いくつかの実施形態では、100%未満またはそれに等しい、99.9%未満またはそれに等しい、99%未満またはそれに等しい、98%未満またはそれに等しい、97%未満またはそれに等しい、または96%未満またはそれに等しい活性化組成物が、活性アルミニウムと水との間の反応の後に回収される。上記に列挙される範囲の組み合わせもまた、可能性として考えられる(例えば、96%を超えるまたはそれに等しい値と100%未満またはそれに等しい値との間の活性化組成物が、活性アルミニウムと水との間の反応の後に回収され、98%を超えるまたはそれに等しい値と99.9%未満またはそれに等しい値との間の活性化組成物が、活性アルミニウムと水との間の反応の後に回収される)。
【0040】
ある実施形態によると、イオン性塩、水酸化物、および/または酸の存在下で活性アルミニウム組成物と水を反応させることによって水素ガスを生産する方法が、本明細書に説明される。いくつかの実施形態では、例えば、本方法は、活性アルミニウム組成物(例えば、活性化組成物によって活性化されたアルミニウム)およびイオン性塩、水酸化物、および/または酸を反応チャンバの中に分注することを含む。下記にさらに詳細に解説されるように、活性アルミニウム組成物は、第1のリザーバから反応チャンバの中に分注されてもよく、イオン性塩、水酸化物、および/または酸は、第2のリザーバから反応チャンバの中に分注されてもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、本方法は、反応チャンバ内で、アルミニウムと、活性化組成物とを含む、活性アルミニウム組成物を、水と、イオン性塩、水酸化物、および酸の群から選択される、少なくとも1つのものとを含む、溶液と反応させることを含む。水素ガスおよび1つまたはそれを上回る反応生成物(例えば、反応(1)および(2)に示されるようなAlO(OH)、Al(OH))が、活性アルミニウム組成物を、水と、イオン性塩、水酸化物、および/または酸とを含む溶液と反応させることの結果として生産され得る。水素ガスは、例えば、反応チャンバと流体連通する1つまたはそれを上回るガス出口を通すことを含む、様々な好適な手段のうちのいずれかを介して、反応チャンバから除去されてもよい。ある実施形態では、反応からの発熱(例えば、反応(1)および(2)に示されるようなQ1、Q2)が、例えば、熱ポンプおよび/または直接加熱用途等の1つまたはそれを上回る用途のために回収および使用されてもよい。
【0042】
いくつかの実施形態によると、本方法は、活性アルミニウム組成物と水を反応させることの後に、活性化組成物を含む、分離相を形成することを含む。理論によって拘束されることを所望するわけではないが、本明細書に解説されるように、活性化組成物を含む分離相は、活性化組成物の表面へのイオン性カチオン(例えば、Na)および/またはイオン性アニオン(例えば、Cl)の接着に起因して形成される。いくつかの実施形態では、活性化組成物の分離相は、次いで、本明細書に説明されるように、機械的分離を介して1つまたはそれを上回る反応生成物から分離されてもよい。活性化組成物の分離相は、次いで、ある実施形態では、回収チャンバに流動され、活性化組成物は、続いて、別のアルミニウム-水反応における使用のために回収および/または再循環されてもよい。
【0043】
イオン性塩、水酸化物、および/または酸は、任意の望ましい形態において提供されてもよい。いくつかの実施形態では、例えば、イオン性塩、水酸化物、および/または酸は、溶液(例えば、水または水溶液)中に溶解および/または懸濁される。他の実施形態では、イオン性塩、水酸化物、および/または酸は、固体材料として提供される。例えば、いくつかの実施形態では、イオン性塩、水酸化物、および/または酸は、その中で水および活性アルミニウムが反応されるべき適切な反応チャンバに添加され得る、粉体として提供されてもよい。
【0044】
ある実施形態によると、イオン性塩は、NaCl、KCl、NaHCO、MgCl、CaCl、および/またはAl(SOを含む。他のイオン性塩もまた、可能性として考えられる。
【0045】
いくつかの実施形態では、水酸化物は、NaOH、KOH、Ca(OH)、および/またはMg(OH)を含む。他の水酸化物もまた、可能性として考えられる。
【0046】
ある実施形態では、酸は、HCl、HSO、および/またはCHCOOHを含む。他の酸もまた、可能性として考えられる。
【0047】
上記に解説されるように、イオン性塩、水酸化物、および/または酸は、溶液(例えば、水または水溶液)中に溶解されてもよい。イオン性塩、水酸化物、および/または酸は、様々な好適な濃度のうちのいずれかを有してもよい。いくつかの実施形態では、例えば、溶液(例えば、水または水溶液)中に溶解される、イオン性塩、水酸化物、および/または酸の濃度は、0.1Mを超えるまたはそれに等しい、0.5Mを超えるまたはそれに等しい、1Mを超えるまたはそれに等しい、1.5Mを超えるまたはそれに等しい、2Mを超えるまたはそれに等しい、2.5Mを超えるまたはそれに等しい、3Mを超えるまたはそれに等しい、3.5Mを超えるまたはそれに等しい、4Mを超えるまたはそれに等しい、4.5Mを超えるまたはそれに等しい、5Mを超えるまたはそれに等しい、6Mを超えるまたはそれに等しい、7Mを超えるまたはそれに等しい、8Mを超えるまたはそれに等しい、9Mを超えるまたはそれに等しい、またはそれを上回る。ある実施形態では、溶液中に溶解される、イオン性塩、水酸化物、および/または酸の濃度は、溶液中のイオン性塩、水酸化物、および/または酸の溶解性限界未満である、またはそれに等しい。例えば、いくつかの実施形態では、溶液(例えば、水または水溶液)中に溶解される、イオン性塩、水酸化物、および/または酸の濃度は、10M未満またはそれに等しい、9M未満またはそれに等しい、8M未満またはそれに等しい、7M未満またはそれに等しい、6M未満またはそれに等しい、5M未満またはそれに等しい、4.5M未満またはそれに等しい、4M未満またはそれに等しい、3.5M未満またはそれに等しい、3M未満またはそれに等しい、2.5M未満またはそれに等しい、2M未満またはそれに等しい、1.5M未満またはそれに等しい、1M未満またはそれに等しい、0.5M未満またはそれに等しい、またはそれ未満である。上記に列挙される範囲の組み合わせもまた、可能性として考えられる(例えば、溶液中のイオン性塩、水酸化物、および/または酸の濃度は、0.1M超またはそれに等しく、溶液中のイオン性塩、水酸化物、および/または酸の溶解性限界未満またはそれに等しく、溶液中のイオン性塩、水酸化物、および/または酸の濃度は、4M超またはそれに等しく、6M未満またはそれに等しい)。他の範囲もまた、可能性として考えられる。
【0048】
本明細書に説明されるように、アルミニウムは、活性化組成物を用いて活性化されてもよい。活性化組成物は、ある実施形態では、アルミニウムの結晶粒界および/または亜結晶粒界の中に浸透し、アルミニウム上に形成される酸化物層を破壊し、それによって、アルミニウムと水との間の反応を促進し得る。
【0049】
活性化組成物は、様々な好適な材料のうちのいずれかを含み得る。いくつかの実施形態では、例えば、活性化組成物は、ガリウムおよび/またはインジウムを含む。理論によって拘束されることを所望するわけではないが、ガリウムおよび/またはインジウムは、アルミニウムの1つまたはそれを上回る結晶粒界および/または亜結晶粒界を通して浸透し得る。活性化組成物は、例えば、ガリウムと、インジウムとの共晶組成物を含む、共晶組成物である、または共晶組成物に近いものであってもよい。1つのそのような実施形態では、活性化組成物は、ガリウムと、インジウムとを含んでもよく、活性化組成物の一部は、約70重量%~80重量%のガリウムと、20重量%~30重量%のインジウムとの組成物を有してもよいが、他の重量パーセントもまた、可能性として考えられる。
【0050】
ある実施形態では、活性化組成物は、アルミニウムとの合金の中に組み込まれてもよい。金属合金は、様々な好適な量のうちのいずれかにおける、任意の活性化組成物を含んでもよい。いくつかの実施形態では、例えば、金属合金は、金属合金の総重量に基づいて、0.1重量%を超えるまたはそれに等しい活性化組成物、1重量%を超えるまたはそれに等しい、5重量%を超えるまたはそれに等しい、15重量%を超えるまたはそれに等しい、30重量%を超えるまたはそれに等しい、または45重量%を超えるまたはそれに等しい活性化組成物を含む。ある実施形態では、金属合金は、金属合金の総重量に基づいて、50重量%未満またはそれに等しい、40重量%未満またはそれに等しい、30重量%未満またはそれに等しい、20重量%未満またはそれに等しい、10重量%未満またはそれに等しい、5重量%未満またはそれに等しい、または1重量%未満またはそれに等しい活性化組成物を含む。上記に列挙される範囲の組み合わせもまた、可能性として考えられる(例えば、金属合金は、金属合金の総重量に基づいて、0.1重量%超またはそれに等しく、50重量%未満またはそれに等しい活性化組成物を含み、金属合金は、金属合金の総重量に基づいて、1重量%超またはそれに等しく、10重量%未満またはそれに等しい活性化組成物を含む)。他の範囲もまた、可能性として考えられる。
【0051】
活性アルミニウムは、任意の望ましい形態において提供され得る。ある実施形態では、例えば、活性アルミニウムは、スラリ内に分散される複数の活性アルミニウム粒子を含む、スラリとして提供される。他の実施形態では、活性アルミニウムは、固体形態における複数の活性アルミニウム粒子として(例えば、粉体として)提供される。活性アルミニウム粒子は、球状等のように規則的に成形されてもよい、または不規則的に成形された塊であってもよい。活性アルミニウム粒子のサイズは、均一である、または変動されてもよい。代替として、活性アルミニウム粒子は、所望の用途のための任意の適切なサイズ分布を伴う粉体等のより連続的な形態において提供されてもよい。
【0052】
活性アルミニウム粒子は、様々な好適な最大特性寸法(例えば、直径、長さ、高さ、幅)のうちのいずれかを有してもよい。いくつかの実施形態では、例えば、活性アルミニウム粒子は、100マイクロメートル未満またはそれに等しい、90マイクロメートル未満またはそれに等しい、80マイクロメートル未満またはそれに等しい、70マイクロメートル未満またはそれに等しい、60マイクロメートル未満またはそれに等しい、50マイクロメートル未満またはそれに等しい、40マイクロメートル未満またはそれに等しい、30マイクロメートル未満またはそれに等しい、20マイクロメートル未満またはそれに等しい、またはそれ未満の平均最大特性寸法を有する。ある実施形態では、活性アルミニウム粒子は、10マイクロメートルを超えるまたはそれに等しい、20マイクロメートルを超えるまたはそれに等しい、30マイクロメートルを超えるまたはそれに等しい、40マイクロメートルを超えるまたはそれに等しい、50マイクロメートルを超えるまたはそれに等しい、60マイクロメートルを超えるまたはそれに等しい、70マイクロメートルを超えるまたはそれに等しい、80マイクロメートルを超えるまたはそれに等しい、90マイクロメートルを超えるまたはそれに等しい、またはそれを上回る平均最大特性寸法を有する。上記に列挙される範囲の組み合わせもまた、可能性として考えられる(例えば、活性アルミニウム粒子は、100マイクロメートル未満またはそれに等しい値と10マイクロメートルを超えるまたはそれに等しい値との間の平均最大特性寸法を有し、活性アルミニウム粒子は、60マイクロメートル未満またはそれに等しい値と40マイクロメートルを超えるまたはそれに等しい値との間の平均最大特性寸法を有する)。他の範囲もまた、可能性として考えられる。
【0053】
活性アルミニウムがスラリとして提供される、ある実施形態では、複数の活性アルミニウム粒子が、任意の適切な担体流体中に懸濁されてもよい。いくつかの事例では、例えば、担体流体は、剪断減粘性流体であってもよいが、本開示は、剪断減粘性流体のみを使用することに限定されない。本明細書で使用されるように、語句「剪断減粘性流体」は、当技術分野におけるその通常の意味を与えられ、概して、その粘度が剪断歪み下で減少する流体を指す。様々な好適な剪断減粘性流体のうちのいずれかが、利用されてもよい。いくつかの実施形態では、例えば、担体流体は、鉱油、キャノーラ油、および/またはオリーブ油等の油を含んでもよい。ある実施形態では、担体流体は、担体流体中に水反応性粒子を懸濁させることが可能である、グリース、アルコール、または他の適切な材料を含んでもよい。ある実施形態では、担体流体は、ヒュームドシリカ増粘剤または他の適切な増粘剤を含む。
【0054】
スラリが、活性アルミニウム粒子と担体流体の任意の適切な重量比を有し得ることを理解されたい。さらに、理論によって拘束されることを所望するわけではないが、スラリ中の活性アルミニウム粒子と担体流体の比率は、スラリの物理的性質に影響を及ぼし得る。例えば、90:10の活性アルミニウム粒子と流体担体の重量比を有する、スラリは、ペーストとして特徴付けられ得る一方、50:50の比率を伴うスラリは、より容易に流動し得る。いくつかの用途では、10:90と同程度に低い活性アルミニウム粒子と流体担体の比率が、望ましくあり得る。故に、活性アルミニウム粒子と流体担体の重量比は、約10:90~90:10またはそれに等しくあり得るが、上記に記載されるものを上回るものおよびそれ未満のものの両方の他の適切な範囲もまた、想定される。いくつかの実施形態では、スラリは、コロイドミルにおいて生産され得るが、本開示は、本点については限定されないため、任意の適切なミリングおよび/または混合プロセスを使用してスラリを生産する他の方法もまた、想定される。
【0055】
いくつかの実施形態では、液体燃料源としてのスラリの使用は、固体燃料源(例えば、バルクアルミニウム金属)と比較して、より高い充塞分率、(例えば、複雑な幾何学形状を伴う物品および/または容器内での)貯蔵のし易さ、低損失を伴って液体燃料源に圧送するための能力、および/またはより高い保存安定性を含む、有意な利点を提供する。ある実施形態では、スラリは、水と担体流体ともに分散される水反応性粒子との間のより広い表面積接触に起因して、ほぼ瞬時に水と反応され、したがって、(固体燃料源の使用と比較して)より高い反応率と、制御される水素流量とを提供し得る。液体燃料源と水との間の反応はまた、単に2つの反応物流が相互と混合することを防止することによって、迅速に停止され得る。
【0056】
図に目を向けると、具体的な非限定的な実施形態が、さらに詳細に説明される。これらの実施形態に対して説明される種々のシステム、構成要素、特徴、および方法が、本開示が本明細書に説明される具体的な実施形態のみに限定されないため、個々に、および/または任意の所望の組み合わせにおいてのいずれにおいても使用され得ることを理解されたい。
【0057】
図1Aは、ある実施形態による、第1のリザーバ102と、第2のリザーバ104と、反応チャンバ106とを備える、システム100の概略上視図を示す。図1Bは、図1Aのシステムの概略側視図を示す。図1A-1Bに示されるように、システム100は、接続部101(例えば、第1のリザーバ102および反応チャンバ106を接続する、接続部101a、および第2のリザーバ104および反応チャンバ106を接続する、接続部101b)を備えてもよい。
【0058】
いくつかの実施形態によると、第1のリザーバ102は、活性アルミニウム組成物を含有するように構成される。ある実施形態では、活性アルミニウム組成物は、本明細書に説明されるように、アルミニウムと、活性化組成物とを含む。活性アルミニウム組成物は、いくつかの実施形態では、スラリ内に分散される複数の活性アルミニウム粒子を含む、スラリを含んでもよい。
【0059】
いくつかの実施形態では、第1のリザーバ102は、活性アルミニウム組成物を反応チャンバ106の中に分注するように構成される。ある実施形態では、例えば、活性アルミニウム組成物は、接続部101aを介して第1のリザーバ102から反応チャンバ106の中に流動してもよい。活性アルミニウムが提供される形態に応じて、接続部101aおよび/または本明細書に説明される他の接続部のうちのいずれかは、第1のリザーバまたはチャンバ内に含有される所望の量の材料を本システムの別のリザーバまたはチャンバに分注することが可能である、1つまたはそれを上回る弁、ダンパ、ポンプ、他の作動油圧デバイス、コンベヤ、スクープベースの分注システム、および/または任意の他の適切なタイプの構築物を備えてもよい。
【0060】
ある実施形態では、第2のリザーバ104は、イオン性塩、水酸化物、および/または酸を含有するように構成される。第2のリザーバ104は、いくつかの実施形態では、水と、水中に溶解および/または懸濁される、イオン性塩、水酸化物、および/または酸とを含む、溶液を含有するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、例えば、水と、イオン性塩とを含む溶液は、濃縮された海水であってもよい。下記により詳細に解説されるであろうように、第2のリザーバ104は、固体形態における(例えば、粉体として)、イオン性塩、水酸化物、および/または酸を含有するように構成されてもよく、固体材料は、第2のリザーバ104内および/または反応チャンバ106内で水和されてもよい。
【0061】
第2のリザーバ104は、いくつかの実施形態では、イオン性塩、水酸化物、および/または酸を反応チャンバ106の中に分注するように構成されてもよい。ある実施形態では、例えば、イオン性塩、水酸化物、および/または酸(例えば、水と、水中に溶解および/または懸濁されるイオン性塩、水酸化物、および/または酸とを含む溶液)は、接続部101bを介して第2のリザーバ104から反応チャンバ106の中に流動してもよい。他の実施形態では、イオン性塩、水酸化物、および/または酸は、固体形態において(例えば、粉体として)、第2のリザーバ104から反応チャンバ106の中に分注されてもよい。ある実施形態によると、活性アルミニウムと反応するために使用されるべき水は、反応チャンバ内に存在する、および/または任意の所望の濃度におけるイオン性塩、水酸化物、および/または酸を含有する溶液として、第2のリザーバ104から分注されてもよい。
【0062】
図2Aは、ある実施形態による、第1のリザーバ102と、第2のリザーバ104と、第3のリザーバ105と、反応チャンバ106とを備える、システム200の概略上視図を示す。図2Bは、図2Aのシステムの概略側視図を示す。第1のリザーバ102、第2のリザーバ104、および反応チャンバ106は、図1A-1Bに関して上記に解説されるように構成されてもよい。図2A-2Bに示されるような接続部101(例えば、第1のリザーバ102および反応チャンバ106を接続する、接続部101a、第2のリザーバ104および反応チャンバ106を接続する、接続部101b、第3のリザーバ105および反応チャンバ106を接続する、接続部101c、および第3のリザーバ105および第2のリザーバ104を接続する、接続部101f)は、上記に説明される接続部のうちのいずれかであってもよい。
【0063】
ある実施形態では、本システムは、活性アルミニウムと反応するために使用されるべき水の分離体積を含有するように構成され得る、第3のリザーバ105を含む。
【0064】
第3のリザーバ105は、いくつかの実施形態では、水を反応チャンバ106の中に分注するように構成されてもよい。例えば、ある実施形態では、水は、接続部101cを介して第3のリザーバ105から反応チャンバ106の中に流動してもよい。いくつかの実施形態では、第3のリザーバ105から反応チャンバ106の中に分注される水は、水と、水中に溶解および/または懸濁されるイオン性塩、水酸化物、および/または酸とを含む溶液からの水に加えて、第2のリザーバ104から反応チャンバ106の中に分注されてもよい。
【0065】
いくつかの実施形態によると、第3のリザーバ105はまた、水を第2のリザーバ104の中に分注するように構成されてもよい。ある実施形態では、例えば、水は、接続部101fを介して第3のリザーバ105から第2のリザーバ104の中に流動してもよい。いくつかのそのような実施形態では、水は、第2のリザーバ104内に含有される、固体形態におけるイオン性塩、水酸化物、および/または酸を溶解してもよい。しかしながら、別個の水源が水を第2のリザーバに提供するために使用される、実施形態もまた、想定される。
【0066】
本明細書に説明される種々の実施形態では、第1のリザーバ102、第2のリザーバ104、および/または第3のリザーバ105が、所望の用途に応じて、様々な好適な形状、サイズ、および/または容積のうちのいずれかを有し得ることを理解されたい。
【0067】
図1A-1Bに示されるように、システム100は、反応チャンバ106を備える。上記に解説されるように、反応チャンバ106は、(例えば、接続部101aを介して)第1のリザーバ102および(例えば、接続部101bを介して)第2のリザーバ104と流体連通する。図2A-2Bに示されるように、反応チャンバ106は、(例えば、接続部101cを介して)第3のリザーバ105と流体連通する。
【0068】
材料を反応チャンバ106に提供するための具体的な構築物にかかわらず、反応チャンバ106は、(例えば、第1のリザーバ102から分注される)活性アルミニウム組成物が、反応チャンバ106内で(例えば、第2のリザーバ104から分注される)イオン性塩、水酸化物、および/または酸の存在下で水と反応し、水素ガスおよび1つまたはそれを上回る反応生成物を生産するように構成されてもよい。
【0069】
いくつかの実施形態によると、第2のリザーバ104から反応チャンバ106の中に分注されるイオン性塩、水酸化物、および/または酸の量は、少なくとも、活性化組成物に、活性アルミニウム組成物が反応チャンバ106内で水と反応した後に分離相を形成させるために十分な量である。理論によって拘束されることを所望するわけではないが、本明細書に解説されるように、イオン性塩、水酸化物、および/または酸のイオン性カチオン(例えば、Na)および/またはイオン性アニオン(例えば、Cl)は、活性化組成物がアルミニウムを活性化させるにつれて、活性化組成物の表面上に接着および/または別様に凝集し得る。いくつかの実施形態では、イオン性カチオンおよび/またはイオン性アニオンの接着および/または凝集は、活性化組成物の成分が分離または酸化することを防止し、活性化組成物が、アルミニウムが水との反応によって消費された後に1つまたはそれを上回る分離相を形成することをもたらす。いくつかの実施形態によると、活性化組成物は、1つまたはそれを上回る付加的な材料からさらなる分離を受け得る、材料の1つまたはそれを上回るマクロサイズのビーズを形成し得る。例えば、図1Bを参照すると、活性アルミニウム組成物が水と反応した後、反応チャンバ106は、活性化組成物152と、付加的相150との分離相を含んでもよい。付加的相150は、いくつかの実施形態では、以下の成分、すなわち、1つまたはそれを上回る反応生成物(例えば、反応(1)および(2)に示されるようなAlO(OH)、Al(OH))、未反応水、および/または(例えば、水中に溶解および/または懸濁される)余剰および/または剰余イオン性塩、水酸化物、および/または酸のうちの1つまたはそれを上回るものを含んでもよい。
【0070】
ある実施形態では、活性化組成物152の分離相が、有利には、重力175の方向に対して反応チャンバ106の底部に下向きに流動してもよい。理論によって拘束されることを所望するわけではないが、活性化組成物152(例えば、ガリウムおよび/またはインジウム)の分離相の1つまたはそれを上回る成分の分子量は、付加的相150の成分のそれぞれの分子量を上回る。したがって、付加的相150より重い、活性化組成物152の分離相は、有利には、付加的相150から容易に分離可能である。
【0071】
図3Aは、ある実施形態による、第1のリザーバ102と、第2のリザーバ104と、反応チャンバ106と、分離システム108とを備える、システム300の概略上視図を示す。図3Bは、図3Aのシステムの概略側視図を示す。第1のリザーバ102、第2のリザーバ104、および反応チャンバ106は、図1A-1Bに関して上記に解説されるように構成されてもよい。図3A-3Bに示されるような接続部101(例えば、第1のリザーバ102および反応チャンバ106を接続する、接続部101a、第2のリザーバ104および反応チャンバ106を接続する、接続部101b、および反応チャンバ106および分離システム108を接続する、接続部101d)は、上記に説明される接続部のうちのいずれかであってもよい。
【0072】
本明細書に解説されるように、分離システム108は、様々な好適な分離機構のうちのいずれかを備えてもよい。いくつかの実施形態では、例えば、図3Bに示されるように、分離システム108は、重力ベースの分離システムを備える。例えば、図3Bを参照すると、活性化組成物152の分離相は、重力175に対して下向きの方向に、接続部101dを介して分離システム108の中に流動することによって、付加的相150から分離し得る。ある実施形態では、接続部101dにつながる反応チャンバ106の出口ポートは、反応物および/または反応生成物が反応の後および/または間に位置することが期待される高さを下回る、反応チャンバ106の部分上に位置してもよい。いくつかの実施形態では、接続部101dから通じる分離システム108の入口ポートは、対応して、活性化組成物152の分離相の分離のための閾値高またはそれ下回る、類似する高さに位置してもよい。ある実施形態によると、分離システム108は、重力175に対して下向きの方向において反応チャンバ106の下方に位置してもよい。本明細書に解説されるように、分離漏斗ベースのシステム等の他の分離システムまたは外部電場の印加もまた、本開示が、本点について限定する意図はないため、採用され得る。
【0073】
図4Aは、ある実施形態による、第1のリザーバ102と、第2のリザーバ104と、1つまたはそれを上回るプロセッサ110と、反応チャンバ106と、分離システム108とを備える、システムの概略上視図を示す。図4Bは、図4Aのシステムの概略側視図を示す。第1のリザーバ102、第2のリザーバ104、および反応チャンバ106は、図1A-1Bに関して上記に解説されるように構成されてもよい。分離システム108は、図3A-3Bに関して上記に解説されるように構成されてもよい。図4A-4Bに示されるような接続部101(例えば、第1のリザーバ102および反応チャンバ106を接続する、接続部101a、第2のリザーバ104および反応チャンバ106を接続する、接続部101b、および反応チャンバ106および分離システム108を接続する、接続部101d)は、上記に説明される接続部のうちのいずれかであってもよい。
【0074】
いくつかの実施形態では、1つまたはそれを上回るプロセッサ(例えば、プロセッサ110aおよびプロセッサ110b)は、実行されると、第1のリザーバ102からの活性アルミニウム組成物の量、および/または反応チャンバ106に進入する、第2のリザーバ104からのイオン性塩、水酸化物、および/または酸(例えば、水と、水中に溶解および/または懸濁されるイオン性塩、水酸化物、および/または酸とからを含む溶液)、および本システムの任意の他のリザーバからの任意の他の適切な材料の量を制御するように構成される、プロセッサ実行可能命令を含む、対応するメモリと関連付けられる。ある実施形態では、1つまたはそれを上回るプロセッサは、それらの個別のリザーバから反応チャンバに進入する材料の量に加えて、材料の流量を制御してもよい。
【0075】
実施形態に応じて、1つまたはそれを上回るプロセッサは、対応するリザーバから、前述で説明されるような、例えば、1つまたはそれを上回るポンプ(例えば、真空ポンプ)、弁、コンベヤシステム、および/または任意の他の適切な分注システムを含む、反応チャンバに材料を分注するために、任意の適切な分注システムを制御するように構成されてもよい。
【0076】
図4Aおよび4Bに示されるように、プロセッサ110aは、(例えば、反応チャンバ106に進入する活性アルミニウム組成物の量および/または流量を制御するように)第1のリザーバ102と関連付けられてもよく、プロセッサ110bは、(例えば、反応チャンバ106に進入するイオン性塩、水酸化物、および/または酸の量および/または流量を制御するように)第2のリザーバ104と関連付けられてもよい。図に図示されないが、プロセッサはまた、例えば、第3のリザーバ105から反応チャンバ106に進入する水の量および/または流量を制御するために、第3のリザーバ105と関連付けられてもよい。
【0077】
図5Aは、ある実施形態による、第1のリザーバ102と、第2のリザーバ104と、1つまたはそれを上回るプロセッサ110と、反応チャンバ106と、分離システム108と、回収チャンバ112とを備える、システムの概略上視図を示す。図5Bは、図5Aのシステムの概略側視図を示す。第1のリザーバ102、第2のリザーバ104、および反応チャンバ106は、図1A-1Bに関して上記に解説されるように構成されてもよい。分離システム108は、図3A-3Bに関して上記に解説されるように構成されてもよい。1つまたはそれを上回るプロセッサ110は、図4A-4Bに関して上記に解説されるように構成されてもよい。図5A-5Bに示されるような接続部101(例えば、第1のリザーバ102および反応チャンバ106を接続する、接続部101a、第2のリザーバ104および反応チャンバ106を接続する、接続部101b、反応チャンバ106および分離システム108を接続する、接続部101d、分離システム108および回収チャンバ112を接続する、接続部101e、および回収チャンバ112および第1のリザーバ102を接続する、接続部101g)は、上記に説明される接続部のうちのいずれかであってもよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、回収チャンバ112は、反応チャンバ106から活性化組成物152の分離相を受容するように構成される。ある実施形態では、図5Bに示されるように、分離システム108を介して他の相150から分離されている、活性化組成物152の分離相は、接続部101eを介して分離システム108から回収チャンバ112の中に流動してもよい。活性化組成物152の分離相を回収することの後、活性化組成物は、いくつかの実施形態では、接続部101gを介して第1のリザーバ102に再循環され、活性アルミニウムと水との間の後続の反応のためにより多くのアルミニウムを活性化させるために使用されてもよい。
【0079】
回収チャンバ112はまた、いくつかの実施形態では、付加的相150の1つまたはそれを上回る成分(例えば、1つまたはそれを上回る反応生成物、イオン性塩、水酸化物、および/または酸)を受容するように構成されてもよい。図に示されないが、システムは、それぞれが、分離材料を受容するように構成される、複数の回収チャンバ、例えば、活性化組成物152の分離相を受容するように構成される、第1の回収チャンバと、1つまたはそれを上回る反応生成物(例えば、反応(1)および(2)に示されるようなAlO(OH)、Al(OH))を受容するように構成される、第2の回収チャンバと、(例えば、水中に溶解および/または懸濁される)余剰および/または剰余イオン性塩、水酸化物、および/または酸を受容するように構成される、第3の回収チャンバとを含んでもよい。
【0080】
以下の実施例は、本開示のある実施形態を例証することを意図するが、本開示の完全な範囲を例示するものではない。
【0081】
実施例
実施例1
以下の実施例は、種々のイオン性塩、水酸化物、および/または酸をアルミニウム-水反応環境に添加し、液体金属合金としての活性化ガリウム-インジウム合金の機械的回収を可能にすることの有効性を説明する。種々のイオン水溶液が、NaClと、KClと、CaClと、MgClと、NaHCOとを含む、塩を、0.1M~5Mの範囲に及ぶモル濃度において0.2Mずつ、事前に脱イオン化された水の中に溶解することによって調製された。各溶液は、単一の塩分種を含有するように調製された。イオン性塩および濃度の組み合わせ毎に、0.3gのガリウム-インジウム-活性アルミニウムが、100mLの三角フラスコ内で10mLの溶液中で反応された。フラスコ容器の上部開口部が、直径3mmの小さい開口部を除いて被覆され、水素が逃散することを可能にしながら、また、フラスコ容器内での水の気化率を減速させた。全ての反応が、それぞれ、20℃および1気圧の初期の温度および圧力において行われた。上記に列挙される塩および濃度の全ての組み合わせにおいて、液体ガリウム-インジウムが、各フラスコ容器の底部において溶液から出現することが観察された。各場合において、液体金属合金が、アルミニウム-水反応の完了後に収集され、最低48時間にわたって脱イオン化された水の中に浸漬され、乾燥され、計量された。試行毎に、収集された共晶物の量が、そのアルミニウム含有量が把握されていた、処理アルミニウムの初期の質量に対して比較され、ガリウム-インジウム回収分率の算出を可能にした。全ての場合において、算出された回収分率は、1に対して(±0.05)の誤差バー内(すなわち、活性化化合物の完全な回収)であった。
【0082】
1回の試行において、3gの活性アルミニウムが、前述に列挙される実験に別様に類似する条件下で、20mLの3.9MのNaCl溶液中で反応された。48時間後、液体金属が、シリンジを使用してバルク溶液から物理的に分離され、付加的な48時間にわたって脱イオン化された水の中に浸漬された。液体金属は、乾燥および計量され、最終報告された質量は、予期された0.248gに対して0.247gであり、0.996±0.008の回収分率をもたらした。
【0083】
本アプローチの有効性はまた、7に等しくない、初期のpHを伴うイオン性溶液中でも実証された。最初に、10mLの0.1MのNaOH溶液(pH13)が、調製され、上記に議論される実験に別様に類似する条件下で、100mLの三角フラスコ内で0.3gの活性アルミニウムと反応された。図7に示されるように、反応が完了するにつれて、液体金属が、反応生成物から出現し、機械的に分離可能なビーズの中に合体され、その最終的な質量および回収比率が、1に対して(±0.05)の誤差バー内にあることが測定された。類似の実験が、1MのHCl溶液(pH0)を使用して行われ、再び、機械的に分離可能な液体金属合金としての活性化ガリウムおよびインジウムの完全な回収、すなわち、(±0.05)の誤差バー内にあることをもたらした。
【0084】
別個の試行では、種々の濃度におけるNaOH溶液を伴う反応に関して、水素の分量が、測定された。これらの場合におけるアルミニウム-水反応は、反応が等重的に(すなわち、一定の体積で)完了するように、封入された反応チャンバ内で行われた。チャンバ内の圧力および温度が、反応の全体を通して測定され、チャンバ内に存在する水素の量を算出するために使用された。試行の1つのセットにおいて、反応溶液の体積が、5mLにおいて一定に保持され、反応された活性アルミニウムの質量も同様に、0.9gにおいて一定に保持された。入力水溶液のイオン強度、したがって、pHのみが、NaOHの濃度を変動させることによって変動された。図6に示されるように、イオン強度を増加させることは、同一の体積の水に関して生産される水素の量を増加させる、追加された利益を有する。反応度が、反応チャンバの中にもたらされたアルミニウムの量に関する理論上の化学量論水素収率によって除算された、反応から測定された水素の比率として得られる。NaOHは、図8に概説されるプロセスを使用して、本観察された現象を利用するシステムから再生され得る。
【0085】
ガリウム-インジウム合金回収におけるイオン強度の重要性が、イオン水溶液中の反応生成物と同等の溶質濃度の非イオン水溶液を比較することによって、実証されている。具体的には、0.3gの活性アルミニウムペレットが、10mLの以下の水溶液、すなわち、脱イオン化された水(pH7)、3Mのグルコース溶液、3Mの蔗糖溶液、3MのNaCl、および3MのKClと個々に反応された、実験が、行われた。その全てがイオンへの溶質の解離の不在に起因して0に等しいイオン強度を有する、脱イオン化された水、3Mのグルコース溶液、および3Mの蔗糖溶液との反応において、いかなる液体ガリウム-インジウム合金も、反応が完了した後に観察されることも、抽出されることが可能でもなかった。両方の溶液が3Mに等しいイオン強度を伴う、3MのNaCl溶液および3MのKCl溶液との反応において、液体ガリウム-インジウム合金が、(±0.05)の誤差バー内で1に等しい回収分率において回収された。
【0086】
最後に、非イオン性の初期反応条件(すなわち、活性アルミニウムが、最初にpH7において脱イオン化された水と反応した)下では、インジウムが、反応の過程にわたって初期のガリウム-インジウム合金から脱合金化し、0.1~10マイクロメートルの範囲に及ぶ平均特性直径を伴う固体インジウム凝集物の形成を誘発し得ることが、示されている。図10Aは、凝集物のSEM画像を示し、図10Bは、その高インジウム濃度を示す、同一のサンプルのZAF補正EDS原子マップを示す。これらのインジウム凝集物は、バルク反応生成物中での限定された可動性を有し、それらを機械的手段を使用して分離することを困難にする。本明細書に議論される方法は、本脱合金化が生じることを防止し、ガリウム-インジウム合金が反応の全体を通して液体であり、したがって、いったん反応が完了すると、容易に分離可能なままであることを可能にする。図9Aは、液相におけるガリウム-インジウム合金の存在を示す、0.1Mのイオン強度を伴うNaOH溶液中での活性アルミニウム-水反応の副生成物のSEM画像を示す。同一のサンプルに関する図9BのZAF補正EDS原子マップが、最初にアルミニウムサンプルを処理するために使用される、ガリウム-インジウム合金の元の組成に一貫する比率における、液体凝集物内のガリウムおよびインジウムの存在を示す。
【0087】
本明細書に説明される実施形態は、実施例が提供されている方法として具現化され得る。本方法の一部として実施される行為は、任意の好適な方法で順序付けられてもよい。故に、例証的実施形態では順次行為として示されたとしても、ある行為を同時に実施することを含み得る、図示されるものと異なる順序で行為が実施される実施形態が、構築されてもよい。
【0088】
さらに、いくつかのアクションが、「ユーザ」によって講じられるものとして説明される。「ユーザ」が、単一の個人である必要はないこと、およびいくつかの実施形態では、「ユーザ」に起因するアクションが、個人のチームおよび/またはコンピュータ支援ツールまたは他の機構との組み合わせにおける個人によって実施され得ることを理解されたい。
【0089】
本開示のいくつかの実施形態が、本明細書に説明および図示されているが、当業者は、本明細書に説明される機能を実施する、および/または結果および/または利点のうちの1つまたはそれを上回るものを取得するための様々な他の手段および/または構造を容易に想起し、そのような変形例および/または修正はそれぞれ、本開示の範囲内であると見なされる。より一般的には、当業者は、本明細書に説明される全てのパラメータ、寸法、材料、および構成が、例示的であることを意図し、実際のパラメータ、寸法、材料、および/または構成が、本開示の教示が使用される具体的な用途または複数の用途に依存するであろうことを容易に理解するであろう。当業者は、日常的にすぎない実験を使用して、本明細書に説明される開示の具体的実施形態の多くの均等物を認識する、または確認することが可能であろう。したがって、前述の実施形態が、実施例としてのみ提示され、添付される請求項およびその均等物の範囲内で、本開示が、具体的に説明および請求されるものとは別様に実践され得ることを理解されたい。本開示は、本明細書に説明される各個々の特徴、システム、物品、材料、および/または方法を対象とする。加えて、2つまたはそれを上回るそのような特徴、システム、物品、材料、および/または方法の任意の組み合わせは、そのような特徴、システム、物品、材料、および/または方法が相互に矛盾しない場合、本開示の範囲内に含まれる。
【0090】
明細書および請求項において本明細書で使用されるような不定冠詞「a」および「an」は、明確にそうではないことが示されない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解されるべきである。
【0091】
明細書および請求項において本明細書で使用されるような語句「および/または」は、そのように結合される要素の「いずれかまたは両方」、すなわち、ある場合には接続的に存在し、他の場合には離接的に存在する要素を意味すると理解されるべきである。明確にそうではないことが示されない限り、具体的に識別されるそれらの要素に関連するか、または関連しないかどうかにかかわらず、「および/または」の節によって具体的に識別される要素以外の他の要素も、随意に存在し得る。したがって、非限定的実施例として、「Aおよび/またはB」の言及は、「comprising(~を備える)」等の非制約的文言と併せて使用されるときに、一実施形態では、Bを伴わないA(随意に、B以外の要素を含む)、別の実施形態では、Aを伴わないB(随意に、A以外の要素を含む)、さらに別の実施形態では、AおよびBの両方(随意に、他の要素を含む)等を指すことができる。
【0092】
明細書および請求項において本明細書で使用されるように、「または」は、上記に定義されるような「および/または」と同一の意味を有すると理解されるべきである。例えば、リスト内の項目を分離するとき、「または」または「および/または」は、包括的である、すなわち、少なくとも1つの包含であるが、また、いくつかの要素または要素のリストのうちの1つを上回るもの、随意に、付加的な列挙されていない項目を含むものとして解釈されるものとする。「~のうちの1つのみ」または「~のうちの厳密に1つ」、または請求項で使用されるときに、「~から成る」等の明確に反対に示される用語のみが、いくつかの要素または要素のリストのうちの厳密に1つの要素の包含を指すであろう。一般に、本明細書で使用されるような用語「または」は、「いずれか」、「~のうちの1つ」、「~のうちの1つのみ」、または「~のうちの厳密に1つ」等の排他性の用語によって先行されるときに、排他的代替物(すなわち、「両方ではないが一方または他方」)のみを示すものとして解釈されるものとする。「本質的に~から成る」は、請求項内で使用されるときに、特許法の分野で使用されるようなその通常の意味を有するものとする。
【0093】
明細書および請求項において本明細書で使用されるように、1つまたはそれを上回る要素のリストの参照における語句「少なくとも1つ」は、要素のリスト内の要素のうちのいずれか1つまたはそれを上回るものから選択されるが、要素のリスト内に具体的に列挙されるありとあらゆる要素のうちの少なくとも1つを必ずしも含むわけではなく、要素のリスト内の要素のいかなる組み合わせも除外しない、少なくとも1つの要素を意味すると理解されるべきである。本定義はまた、具体的に識別されるそれらの要素に関連するか、または関連しないかどうかにかかわらず、語句「少なくとも1つ」が指す要素のリスト内で具体的に識別される要素以外の要素が、随意に、存在し得ることも可能にする。したがって、非限定的実施例として、「AおよびBのうちの少なくとも一方」(または同等に、「AまたはBのうちの少なくとも一方」、または同等に、「Aおよび/またはBのうちの少なくとも一方」)は、一実施形態では、Bが存在しない(随意に、B以外の要素を含む)、随意に、1つを上回るAを含む、少なくとも1つのA、別の実施形態では、Aが存在しない(随意に、A以外の要素を含む)、随意に、1つを上回るBを含む、少なくとも1つのB、さらに別の実施形態では、随意に、1つを上回るAを含む、少なくとも1つのA、および随意に、1つを上回るBを含む、少なくとも1つのB(随意に、他の要素を含む)等を指すことができる。
【0094】
請求項では、および上記の明細書では、「comprising(~を備える)」、「including(~を含む)」、「carrying(~を有保する)」、「having(~を有する)」、「containing(~を含有する)」、「involving(~を伴う)」、「holding(~を保持する)」、および同等物等の全ての移行句は、非制約的である、すなわち、「including but not limited to(限定ではないが、~を含む)」を意味すると理解されるべきである。移行句「consisting of(~から成る)」および「consisting essentially of(本質的に~から成る)」のみが、それぞれ、米国特許庁特許審査手順マニュアル第2111.03節に記載されるように、閉鎖的または半閉鎖的移行句であるものとする。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
【国際調査報告】