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特表2024-523229高双極子モーメントフラグメントを有する金属化合物を含む、有機電子デバイス
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  • 特表-高双極子モーメントフラグメントを有する金属化合物を含む、有機電子デバイス 図1
  • 特表-高双極子モーメントフラグメントを有する金属化合物を含む、有機電子デバイス 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】高双極子モーメントフラグメントを有する金属化合物を含む、有機電子デバイス
(51)【国際特許分類】
   H10K 85/30 20230101AFI20240621BHJP
   H10K 50/17 20230101ALI20240621BHJP
   H10K 50/155 20230101ALI20240621BHJP
【FI】
H10K85/30
H10K50/17
H10K50/155
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575849
(86)(22)【出願日】2022-06-15
(85)【翻訳文提出日】2023-12-08
(86)【国際出願番号】 EP2022066285
(87)【国際公開番号】W WO2022263497
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】21180305.1
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503180100
【氏名又は名称】ノヴァレッド ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ウヴァロフ,ウラジーミル
(72)【発明者】
【氏名】エッゲマン,ウルリヒ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルマン,シュテフェン
(72)【発明者】
【氏名】ルシュティネッツ,レギーナ
【テーマコード(参考)】
3K107
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC12
3K107CC14
3K107CC21
3K107DD72
3K107DD73
3K107DD78
3K107DD84
3K107FF04
3K107FF19
(57)【要約】
本発明は、基板と、陽極層および陰極層と、少なくとも1つの発光層と、少なくとも1つの半導体層以上と、を含み、前記少なくとも1つの半導体層は、少なくとも1つの有機金属化合物を含み、前記有機金属化合物は、金属Mおよび少なくとも1つのリガンドLを含み、前記リガンドLは、好ましくは4-(2,4-ジオキソペンタン-3-イル)-2,6-ビス(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル(I)であり、かつ、前記有機金属化合物は、好ましくはビス(トリフルオロメチル)フェニル)-4-オキソペント-2-エン-2-イル)オキシ)銅)(II)(G1)または対応するアルミニウム(III)および鉄(III)化合物である、有機エレクトロルミネッセンスデバイスに関する。前記有機金属化合物を含む有機エレクトロルミネッセンスデバイスの技術データは表3に提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板、陽極層および陰極層、少なくとも1つの発光層、ならびに少なくとも1つ以上の半導体層を含み、
前記少なくとも1つの半導体層は、少なくとも1つの金属化合物を含み、
前記金属化合物は、金属Mおよび少なくとも1つのリガンドLを含むか、または前記金属化合物は、式(I)を有し:
【化1】

式中、
Mは金属イオンであり;
pはMの価数であり;
wはpであり
Lはリガンドであり;
ここで、前記金属化合物は、以下を含み、
-金属M、および
-少なくとも1つのリガンドL、ここで、前記少なくとも1つのリガンドLは、少なくとも1つの配位性リンカーXおよび少なくとも1つのリガンドフラグメントYを含み、
前記配位性リンカーXおよび前記少なくとも1つのリガンドフラグメントYは、少なくとも1つの結合によって互いに結合されており、
-前記配位性リンカーXは、式(IIa)から選択され
【化2】

式中、
mおよびnは、独立して、0または1から選択され;
Zは、CR、O、Nを含む群から選択され;
かつ、
およびAは、独立して、C=O、C-O、C=NR、C-NR、SO、SO、またはP(=O)Rを含む群から選択され;
およびAは共に、任意にZと環を形成し;
、R、RおよびRは、独立して、H、D、CN、置換もしくは非置換のC~C24アリール、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロアリール、置換もしくは非置換のC~C24アルキル、置換もしくは非置換のC~C24カルボシクリル、または置換もしくは非置換のC~C24ヘテロシクリル、リガンドフラグメントYから選択され、
前記置換基は、電子吸引性基、好ましくはハロゲン、F、Cl、CN、ペルフルオロ化C~Cアルキル、ペルフルオロ化C~C12アリール、またはC~C12ヘテロアリールを含む群から選択され;
-前記少なくとも1つのリガンドフラグメントYは、独立して、置換もしくは非置換のC~C24アリール、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロアリール、置換もしくは非置換のC~C24アルキル、置換もしくは非置換のC~C24カルボシクリル、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロシクリル、ペルフルオロ化C~Cアルキル、3位の置換C~C24アリール、4位の置換C~C24アリール、置換4-ピリジル、または置換5-ピリミジルから選択され、
前記少なくとも1つのリガンドフラグメントYは、-3.6デバイ未満の指向性双極子モーメントを有し、前記少なくとも1つのリガンドLは負に荷電しており;
前記陽極層は、第1の陽極副層および第2の陽極副層を含み、
-前記第1の陽極副層は、≧4および≦6eVの範囲の仕事関数を有する第1の金属を含み、かつ
-前記第2の陽極副層は、透明導電性酸化物(TCO)を含み;かつ
前記少なくとも1つの半導体層は、前記第1の発光層と前記陽極層との間に配置され、
-前記第1の陽極副層は、前記基板により近い位置に配置され、かつ
-前記第2の陽極副層は、前記少なくとも1つの半導体層により近い位置に配置され;
以下のリガンドフラグメントYは除外される、有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【化3】
【請求項2】
前記有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、基板、陽極層および陰極層、少なくとも1つの発光層、ならびに少なくとも1つ以上の半導体層を含み、
前記少なくとも1つ以上の半導体層は、正孔注入層、または正孔注入層および正孔輸送層を含み、前記正孔注入層、または正孔注入層および正孔輸送層は、少なくとも1つの金属化合物を含み、前記金属化合物は、金属Mおよび少なくとも1つのリガンドLを含むか、または前記金属化合物は、式(I)を有し:
【化4】

式中、
Mは金属イオンであり;
pはMの価数であり;
wはpであり
Lはリガンドであり;
ここで、前記金属化合物は、以下を含み、
-金属M、および
-少なくとも1つのリガンドL、ここで、前記少なくとも1つのリガンドLは、配位性リンカーXおよび少なくとも1つのリガンドフラグメントYを含み、
前記配位性リンカーXおよび前記少なくとも1つのリガンドフラグメントYは、少なくとも1つの結合によって互いに結合されており、
-前記配位性リンカーXは、式(IIa)から選択され
【化5】

式中、
mおよびnは、独立して、0または1から選択され;
Zは、CR、O、Nを含む群から選択され;
かつ、
およびAは、独立して、C=O、C-O、C=NR、C-NR、SO、SO、またはP(=O)Rを含む群から選択され;
およびAは共に、任意にZと環を形成し;
、R、RおよびRは、独立して、H、D、CN、置換もしくは非置換のC~C24アリール、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロアリール、置換もしくは非置換のC~C24アルキル、置換もしくは非置換のC~C24カルボシクリル、または置換もしくは非置換のC~C24ヘテロシクリル、リガンドフラグメントYから選択され、
前記置換基は、電子吸引性基、好ましくは、ハロゲン、F、Cl、CN、ペルフルオロ化C~Cアルキル、ペルフルオロ化C~C12アリール、またはC~C12ヘテロアリールを含む群から選択され;および/または
-前記少なくとも1つのリガンドフラグメントYは、独立して、置換もしくは非置換のC~C24アリール、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロアリール、置換もしくは非置換のC~C24アルキル、置換もしくは非置換のC~C24カルボシクリル、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロシクリル、ペルフルオロ化C~Cアルキル、3位の置換C~C24アリール、4位の置換C~C24アリール、置換4-ピリジル、または置換5-ピリミジルから選択され、より好ましくは、前記少なくとも1つのリガンドフラグメントYは、独立して、置換もしくは非置換のC~C24アリール、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロアリールから選択され、
前記置換基は、電子吸引性基、ハロゲン、F、Cl、および/またはCNを含む群から選択され;かつ
前記少なくとも1つのリガンドフラグメントYは、-3.6デバイ未満の指向性双極子モーメントを有し、前記少なくとも1つのリガンドLは負に荷電しており;
前記陽極層は、第1の陽極副層および第2の陽極副層を含み、
-前記第1の陽極副層は、≧4および≦6eVの範囲の仕事関数を有する第1の金属を含み、かつ
-前記第2の陽極副層は、透明導電性酸化物(TCO)を含み;かつ
前記正孔注入層は、前記第1の発光層と前記陽極層との間に配置され、
-前記第1の陽極副層は、前記基板により近い位置に配置され、かつ
-前記第2の陽極副層は、前記正孔注入層により近い位置に配置され;
以下のリガンドフラグメントYは除外される、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【化6】
【請求項3】
前記リガンドフラグメントYは、置換C~C24アリールまたは置換C~C24ヘテロアリール、ペルフルオロ化C~Cアルキル、3位の置換C~C24アリール、4位の置換C~C24アリール、置換4-ピリジル、または置換5-ピリミジル、より好ましくは4位の置換C~C24アリールであり、前記置換基は、ハロゲン、F、Cl、および/またはCNを含む群から選択される、請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項4】
前記リガンドフラグメントYは、≦-4.0デバイ、≦-4.2デバイ、≦-4.4デバイ、≦-4.6デバイ、≦-4.8デバイ、≦-5.0デバイ、≦-5.1デバイ、≦-5.2デバイ、≦-5.3デバイ、≦-5.4デバイ、≦-5.5デバイ、≦-5.6デバイ、≦-5.7デバイ、または≦-5.8デバイの群から選択される指向性双極子モーメントを有し、より好ましくは、前記リガンドフラグメントYは、-5.5デバイ未満の指向性双極子モーメントを有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項5】
前記リガンドフラグメントYは、式(IV)で表され、
【化7】

式中、
qは0、1、2から選択され、好ましくは0または1であり;
Arは、置換もしくは非置換のフェニル、置換もしくは非置換のナフチル、または置換もしくは非置換のアントラセニルから選択され、好ましくは、Arはフェニルであり;
は、NまたはCR’から選択され;
は、NまたはCR’’から選択され;
は、NまたはCR’’’から選択され;かつ
R’、R’’およびR’’’は、独立して、H、D、電子吸引性基、好ましくはF、ペルフルオロ化C~C24アルキル、好ましくはCF、CN、SCN、OCF、-NO、-SFから選択される、請求項1~4のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項6】
前記リガンドフラグメントYは、式(IV)で表され、
【化8】

式中、
qは0、1、2から選択され、好ましくは0または1であり;
Arは、非置換フェニル、非置換ナフチル、または非置換アントラセニルから選択され、好ましくは、Arはフェニルであり;
は、NまたはCR’から選択され;
は、NまたはCR’’から選択され;
は、NまたはCR’’’から選択され;かつ
R’、R’’およびR’’’は、独立して、H、D、電子吸引性基、好ましくはF、ペルフルオロ化C~C24アルキル、好ましくはCF、CN、SCN、OCF、-NO、-SFから選択される、請求項1~5のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項7】
前記リガンドフラグメントYは、式(IV)で表され、
【化9】

式中、
qは0、1、2から選択され、好ましくは0または1であり;
Arは、非置換フェニル、非置換ナフチル、または非置換アントラセニルから選択され、好ましくは、Arはフェニルであり;
は、NまたはCR’から選択され;
は、NまたはCR’’から選択され;
は、NまたはCR’’’から選択され;かつ
R’、R’’およびR’’’は、独立して、H、D、電子吸引性基、好ましくはF、ペルフルオロ化C~C24アルキル、好ましくはCF、CN、SCN、OCF、-NO、-SFから選択され;
、UおよびUのうちの多くとも2つはNであるか、またはU、UおよびUがそれぞれCR’、CR’’、およびCR’’’である場合には、R’、R’’、R’’’のうちの少なくとも1つは電子吸引性基である、請求項1~6のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項8】
前記リガンドフラグメントYは、群D1~D11から選択され:
【化10】

式中、
より好ましくは、前記リガンドフラグメントYは、D1~D6、D1~D4、またはD5およびD6の群から選択される、請求項1~7のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項9】
前記配位性リンカーXは、式(IIa)から選択され、
【化11】

式中、
mおよびnは、独立して0または1から選択され;
Zは、CR、O、Nを含む群から選択され;かつ
およびAは、独立して、C=O、C-O、SOまたはSOを含む群から選択され;
は、独立して、H、D、置換もしくは非置換のC~C24アリール、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロアリール、置換もしくは非置換のC~C24アルキル、リガンドフラグメントYから選択され;
ここで、AおよびAは共に、任意にZと環を形成する、請求項1~8のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項10】
前記配位性リンカーXは、式(IIa)から選択され、
【化12】

式中、
mおよびnは1であり;
Zは、CR、Nを含む群から選択され;かつ
およびAは、独立して、C=O、C-OまたはSOを含む群から選択され;
は、独立して、H、D、置換もしくは非置換のC~C24アリール、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロアリール、置換もしくは非置換のC~C24アルキル、リガンドフラグメントYから選択され;
およびAは共に、任意にZと環を形成する、請求項1~9のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項11】
前記金属Mは、Li、Na、K、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、In、Bi、Sc、Ti、Zr、Hf、V、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Ru、Co Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、La、Ce、EuまたはYbを含む群から選択され、好ましくは、前記金属は、Al、Bi、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Mo、Ag、Re、AuまたはCeを含む群から選択され、より好ましくは、前記金属は、Al、Mn、Fe、Cu、Mo、Ag、AuまたはCeを含む群から選択される、請求項1~10のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項12】
前記少なくとも1つの配位性リンカーXは、式(IIb)で表され:
【化13】

式中、
Zは、CR、Nから選択され;
およびAは、独立して、C=O、C-O、またはSOから選択され、AおよびAは共に、任意にZと環を形成し;
は、H、D、CN、置換もしくは非置換のC~C24アリール、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロアリール、置換もしくは非置換のC~C24アルキル、置換もしくは非置換のC~C24カルボシクリル、または置換もしくは非置換のC~C24ヘテロシクリル、リガンドフラグメントYから選択され;
およびRは、独立して、置換もしくは非置換のC~C24アリール、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロアリール、置換もしくは非置換のC~C24アルキル、置換もしくは非置換のC~C24カルボシクリル、または置換もしくは非置換のC~C24ヘテロシクリル、リガンドフラグメントYから選択され、
前記置換基は、電子吸引性基、ハロゲン、F、Cl、CN、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC~Cアルキル、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC~C12アリール、または部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC~C12ヘテロアリールを含む群から選択され;
、RおよびRの少なくとも1つは、リガンドフラグメントYを含み;
前記少なくとも1つのリガンドフラグメントYの少なくとも1つは、独立して、置換C~C24アリール、または非置換もしくは置換のC~C24ヘテロアリールから選択され、前記少なくとも1つのリガンドフラグメントYの少なくとも1つは、-3.6デバイ未満の指向性双極子モーメントを有し、前記少なくとも1つのリガンドLは負に荷電している、請求項1~11のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項13】
およびRは、独立して、置換もしくは非置換のC~C24アリール、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロアリール、置換もしくは非置換のC~C24アルキル、リガンドフラグメントYから選択される、請求項1~12のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項14】
前記少なくとも1つのリガンドLは、式(III)で表され:
【化14】

式中、
は、H、D、CN、置換もしくは非置換のC~C24アリール、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロアリール、置換もしくは非置換のC~C24アルキル、置換もしくは非置換のC~C24カルボシクリル、または置換もしくは非置換のC~C24ヘテロシクリル、リガンドフラグメントYから選択され;
およびRは、独立して、置換もしくは非置換のC~C24アリール、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロアリール、置換もしくは非置換のC~C24アルキル、置換もしくは非置換のC~C24カルボシクリル、または置換もしくは非置換のC~C24ヘテロシクリル、リガンドフラグメントYから選択され、
前記置換基は、電子吸引性基、ハロゲン、F、Cl、CN、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC~Cアルキル、ペルフルオロ化されたC~C12アリール、または部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC~C12ヘテロアリールを含む群から選択され;
、RおよびRの少なくとも1つは、リガンドフラグメントYを含み;
前記少なくとも1つのリガンドフラグメントYの少なくとも1つは、独立して、置換C~C24アリール、または非置換もしくは置換のC~C24ヘテロアリールから選択され、前記少なくとも1つのリガンドフラグメントYの少なくとも1つは、-3.6デバイ未満の指向性双極子モーメントを有し、前記少なくとも1つのリガンドLは負に荷電している、請求項1~13のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項15】
は、前記リガンドフラグメントYを含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項16】
前記半導体層は、前記陽極層と前記発光層との間に配置され、好ましくは、前記半導体層は、正孔輸送層または正孔注入層である、請求項1~15のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項17】
前記半導体層は、前記陽極層と前記発光層との間に配置され、好ましくは、前記半導体層は、正孔輸送層または正孔注入層であり;好ましくは、前記少なくとも1つの半導体層は、前記陽極層上に配置され、より好ましくは、前記少なくとも1つの半導体層は、前記陽極と直接接触しており、前記半導体層は、好ましくは正孔注入層である、請求項1~16のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項18】
前記半導体層は、少なくとも1つのマトリックス化合物を含み、前記少なくとも1つのマトリックス化合物は、非ポリマー化合物であり、好ましくは、前記マトリックス化合物は、共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物である、請求項1~17のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項19】
前記有機電子デバイスは、有機発光ダイオード、表示デバイスまたはエレクトロルミネッセンスデバイスであり、好ましくは有機発光ダイオードである、請求項1~18に記載の有機電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明は、基板と、陽極層および陰極層と、少なくとも1つの発光層と、金属および少なくとも1つのリガンドの少なくとも1つの金属化合物を含む、少なくとも1つの半導体層とを含む、有機エレクトロルミネッセンスデバイス、およびエレクトロルミネッセンスデバイスを含む有機電子デバイスに関する。
【0002】
[背景技術]
自発光デバイスである有機発光ダイオードOLEDは、広視野角、優れたコントラスト、高速応答性、高輝度、優れた動作電圧特性、および色再現性を有する。一般的なOLEDは、陽極層と、正孔注入層HILと、正孔輸送層HTLと、発光層EMLと、電子輸送層ETLと、陰極層とを備えており、これらは、基板上に順次積層されている。このうち、HIL、HTL、EML、およびETLは、有機化合物から形成された薄膜である。
【0003】
陽極および陰極に電圧が印加されると、陽極から注入された正孔はHILおよびHTLを介してEMLへ移動し、陰極から注入された電子はETLを介してEMLへ移動する。上記正孔および電子はEML内で再結合し、励起子を生成する。当該励起子が励起状態から基底状態に移行するときに、光が放出される。正孔および電子の注入および流れは、上述した構造を有するOLEDが低い動作電圧、優れた効率および/または長い寿命を有するように、調和させるべきである。
【0004】
有機発光ダイオードデバイスの性能は、正孔注入層の特性に影響される場合があり、中でも正孔注入層に含まれる正孔輸送化合物および金属錯体の特性に影響される場合がある。
【0005】
CN111018921は、同じものを含む金属錯体およびエレクトロルミネッセンスデバイスに関し、当該金属錯体は金属とリガンドとからなる新規な構造を含んでいる。
【0006】
改善された性能を有する半導体層を提供することによって、発光ダイオードおよび有機電子デバイスの性能を改善する必要性が残っており、特に、そこに含まれる化合物の特性を改善することによって、改善された動作電圧、改善された寿命、電流効率、および/または改善された動作電圧の経時的安定性を達成する必要がある。
【0007】
さらに、例えば正孔注入層(HIL)および/または正孔輸送層(HTL)のような半導体層を提供する必要性が残っており、これは、真空レベルからさらに離れたHOMOレベルを有する化合物を含む隣接層への注入を可能にする。
【0008】
改善された熱安定性を有する半導体層、例えば正孔注入層(HIL)および/または正孔輸送層(HTL)と同様に、改善された熱特性を有する化合物を提供することがさらなる目的である。
【0009】
大量生産に適した条件下で真空熱蒸発によって蒸着させることができる化合物を含む半導体層、例えば正孔注入層(HIL)および/または正孔輸送層(HTL)を提供することがさらなる目的である。
【0010】
[開示]
一態様は、基板、陽極層および陰極層、少なくとも1つの発光層、ならびに少なくとも1つ以上の半導体層を含み、
前記半導体層が少なくとも1つの金属化合物を含み、
前記少なくとも1つ以上の半導体層が少なくとも1つの金属化合物を含み、
前記金属化合物は、金属Mおよび少なくとも1つのリガンドLを含むか、または前記金属化合物は、式(I)を有し:
【0011】
【化1】
【0012】
式中、
Mは金属イオンであり;
pはMの価数であり;
wはnであり
Lはリガンドであり;
ここで、前記金属化合物は、以下を含み、
-金属、および
-少なくとも1つのリガンド、ここで、前記少なくとも1つのリガンドは、配位性リンカーXおよび少なくとも1つのリガンドフラグメントYを含み、
前記配位性リンカーXおよび前記少なくとも1つのリガンドフラグメントYは、少なくとも1つの結合によって互いに結合されており、
-前記配位性リンカーXは、式(IIa)から選択され
【0013】
【化2】
【0014】
式中、
mおよびnは、独立して、0または1から選択され;
Zは、CR、O、Nを含む群から選択され;
かつ、
およびAは、独立して、C=O、C-O、C=NR、C-NR、SO、SO、またはP(=O)Rを含む群から選択され;
およびAは共に、任意にZと環を形成し;
、R、RおよびRは、独立して、H、D、CN、置換もしくは非置換のC~C24アリール、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロアリール、置換もしくは非置換のC~C24アルキル、置換もしくは非置換のC~C24カルボシクリル、または置換もしくは非置換のC~C24ヘテロシクリル、リガンドフラグメントYから選択され、
前記置換基は、電子吸引性基、好ましくはハロゲン、F、Cl、CN、ペルフルオロ化C~Cアルキル、ペルフルオロ化C~C12アリール、またはC~C12ヘテロアリールを含む群から選択され、および/または;
-前記少なくとも1つのリガンドフラグメントYは、独立して、置換もしくは非置換のC~C24アリール、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロアリール、置換もしくは非置換のC~C24アルキル、置換もしくは非置換のC~C24カルボシクリル、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロシクリル、ペルフルオロ化C~Cアルキル、3位の置換C~C24アリール、4位の置換C~C24アリール、置換4-ピリジル、または置換5-ピリミジルから選択され、
前記少なくとも1つのリガンドフラグメントYは、-3.6デバイ未満の指向性双極子モーメントを有し、前記少なくとも1つのリガンドLは負に荷電しており;
前記陽極層は、第1の陽極副層および第2の陽極副層を含み、
-前記第1の陽極副層は、≧4および≦6eVの範囲の仕事関数を有する第1の金属を含み、かつ
-前記第2の陽極副層は、透明導電性酸化物(TCO)を含み;かつ
前記少なくとも1つの半導体層は、前記第1の発光層と前記陽極層との間に配置され、
-前記第1の陽極副層は、前記基板により近い位置に配置され、かつ
-前記第2の陽極副層は、前記少なくとも1つの半導体層により近い位置に配置され;
以下のリガンドフラグメントYは除外される:
【0015】
【化3】
【0016】
有機エレクトロルミネッセンスデバイスを提供する。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、基板、陽極層および陰極層、少なくとも1つの発光層、ならびに少なくとも1つ以上の半導体層を含み、
前記少なくとも1つ以上の半導体層は、正孔注入層、または正孔注入層および正孔輸送層を含み、
前記正孔注入層、または正孔注入層および正孔輸送層は、少なくとも1つの金属化合物を含み、前記金属化合物は、金属Mおよび少なくとも1つのリガンドLを含むか、または前記金属化合物は、式(I)を有し:
ここで、前記金属化合物は、以下を含み、
-金属M、および
-少なくとも1つのリガンドL、ここで、前記少なくとも1つのリガンドLは、配位性リンカーXおよび少なくとも1つのリガンドフラグメントYを含み、
前記配位性リンカーXおよび前記少なくとも1つのリガンドフラグメントYは、少なくとも1つの結合によって互いに結合されており、
-前記配位性リンカーXは、式(IIa)から選択され
【0018】
【化4】
【0019】
式中、
mおよびnは、独立して、0または1から選択され;
Zは、CR、O、Nを含む群から選択され;
かつ、
およびAは、独立して、C=O、C-O、C=NR、C-NR、SO、SO、またはP(=O)Rを含む群から選択され;
およびAは共に、任意にZと環を形成し;
、R、RおよびRは、独立して、H、D、CN、置換もしくは非置換のC~C24アリール、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロアリール、置換もしくは非置換のC~C24アルキル、置換もしくは非置換のC~C24カルボシクリル、または置換もしくは非置換のC~C24ヘテロシクリル、リガンドフラグメントYから選択され、
前記置換基は、電子吸引性基、好ましくはハロゲン、F、Cl、CN、ペルフルオロ化C~Cアルキル、ペルフルオロ化C~C12アリール、またはC~C12ヘテロアリールを含む群から選択され、および/または;
-前記少なくとも1つのリガンドフラグメントYは、独立して、置換もしくは非置換のC~C24アリール、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロアリール、置換もしくは非置換のC~C24アルキル、置換もしくは非置換のC~C24カルボシクリル、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロシクリル、ペルフルオロ化C~Cアルキル、3位の置換C~C24アリール、4位の置換C~C24アリール、置換4-ピリジル、または置換5-ピリミジルから選択され、
-より好ましくは、前記少なくとも1つのリガンドフラグメントYは、独立して、置換もしくは非置換のC~C24アリール、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロアリールから選択され、
ここで、前記置換基は、電子吸引性基、ハロゲン、F、Cl、および/またはCNを含む群から選択され、かつ
前記少なくとも1つのリガンドフラグメントYは、-3.6デバイ未満の指向性双極子モーメントを有し、前記少なくとも1つのリガンドLは負に荷電しており;
前記陽極層は、第1の陽極副層および第2の陽極副層を含み、
-前記第1の陽極副層は、≧4および≦6eVの範囲の仕事関数を有する第1の金属を含み、かつ
-前記第2の陽極副層は、透明導電性酸化物(TCO)を含み;かつ
前記正孔注入層は、前記第1の発光層と前記陽極層との間に配置され、
-前記第1の陽極副層は、前記基板により近い位置に配置され、かつ
-前記第2の陽極副層は、前記正孔注入層により近い位置に配置され;
以下のリガンドフラグメントYは除外される:
【0020】
【化5】
【0021】
本発明の一実施形態によれば、有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、基板、陽極層および陰極層、少なくとも1つの発光層、ならびに少なくとも1つ以上の半導体層を含み、
前記少なくとも1つ以上の半導体層は、正孔輸送層、または正孔注入層および正孔輸送層を含み、
前記正孔輸送層、または正孔注入層および正孔輸送層は、少なくとも1つの金属化合物を含み、前記金属化合物は、金属Mおよび少なくとも1つのリガンドLを含むか、または前記金属化合物は、式(I)を有し:
ここで、前記金属化合物は、以下を含み、
-金属M、および
-少なくとも1つのリガンドL、ここで、前記少なくとも1つのリガンドLは、配位性リンカーXおよび少なくとも1つのリガンドフラグメントYを含み、
前記配位性リンカーXおよび前記少なくとも1つのリガンドフラグメントYは、少なくとも1つの結合によって互いに結合されており、
-前記配位性リンカーXは、式(IIa)から選択され
【0022】
【化6】
【0023】
式中、
mおよびnは、独立して、0または1から選択され;
Zは、CR、O、Nを含む群から選択され;
かつ、
およびAは、独立して、C=O、C-O、C=NR、C-NR、SO、SO、またはP(=O)Rを含む群から選択され;
およびAは共に、任意にZと環を形成し;
、R、RおよびRは、独立して、H、D、CN、置換もしくは非置換のC~C24アリール、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロアリール、置換もしくは非置換のC~C24アルキル、置換もしくは非置換のC~C24カルボシクリル、または置換もしくは非置換のC~C24ヘテロシクリル、リガンドフラグメントYから選択され、
前記置換基は、電子吸引性基、好ましくはハロゲン、F、Cl、CN、ペルフルオロ化C~Cアルキル、ペルフルオロ化C~C12アリール、またはC~C12ヘテロアリールを含む群から選択され、および/または;
-前記少なくとも1つのリガンドフラグメントYは、独立して、置換もしくは非置換のC~C24アリール、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロアリール、置換もしくは非置換のC~C24アルキル、置換もしくは非置換のC~C24カルボシクリル、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロシクリル、ペルフルオロ化C~Cアルキル、3位の置換C~C24アリール、4位の置換C~C24アリール、置換4-ピリジル、または置換5-ピリミジルから選択され、
-より好ましくは、前記少なくとも1つのリガンドフラグメントYは、独立して、置換もしくは非置換のC~C24アリール、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロアリールから選択され、
ここで、前記置換基は、電子吸引性基、ハロゲン、F、Cl、および/またはCNを含む群から選択され、かつ
前記少なくとも1つのリガンドフラグメントYは、-3.6デバイ未満の指向性双極子モーメントを有し、前記少なくとも1つのリガンドLは負に荷電しており;
前記陽極層は、第1の陽極副層および第2の陽極副層を含み、
-前記第1の陽極副層は、≧4および≦6eVの範囲の仕事関数を有する第1の金属を含み、かつ
-前記第2の陽極副層は、透明導電性酸化物(TCO)を含み;かつ
前記正孔輸送層は、前記第1の発光層と前記陽極層との間に配置され、
-前記第1の陽極副層は、前記基板により近い位置に配置され、かつ
-前記第2の陽極副層は、前記正孔輸送層により近い位置に配置され;
以下のリガンドフラグメントYは除外される:
【0024】
【化7】
【0025】
本発明の一実施形態によれば、有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、基板、陽極層および陰極層、少なくとも1つの発光層、ならびに少なくとも1つ以上の半導体層を含み、前記少なくとも1つ以上の半導体層は、正孔輸送層および正孔注入層を含む群から選択され、
前記半導体層は、少なくとも1つの金属化合物を含み、
前記金属化合物は、金属Mおよび少なくとも1つのリガンドLを含むか、または前記金属化合物は、式(I)を有し、以下を含み、
-金属、および
-少なくとも1つのリガンド、ここで、前記少なくとも1つのリガンドは、配位性リンカーXおよび少なくとも1つのリガンドフラグメントYを含み、
前記配位性リンカーXおよび前記少なくとも1つのリガンドフラグメントYは、少なくとも1つの結合によって互いに結合されており、
-前記配位性リンカーXは、式(IIa)から選択され
【0026】
【化8】
【0027】
式中、
mおよびnは、独立して、0または1から選択され;
Zは、CR、O、Nを含む群から選択され;
かつ、
およびAは、独立して、C=O、C-O、C=NR、C-NR、SO、SO、またはP(=O)Rを含む群から選択され;
およびAは共に、任意にZと環を形成し;
、R、RおよびRは、独立して、H、D、CN、置換もしくは非置換のC~C24アリール、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロアリール、置換もしくは非置換のC~C24アルキル、置換もしくは非置換のC~C24カルボシクリル、または置換もしくは非置換のC~C24ヘテロシクリル、リガンドフラグメントYから選択され、
前記置換基は、電子吸引性基、好ましくはハロゲン、F、Cl、CN、ペルフルオロ化C~Cアルキル、ペルフルオロ化C~C12アリール、またはC~C12ヘテロアリールを含む群から選択され、および/または;
-前記少なくとも1つのリガンドフラグメントYは、独立して、置換もしくは非置換のC~C24アリール、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロアリール、置換もしくは非置換のC~C24アルキル、置換もしくは非置換のC~C24カルボシクリル、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロシクリル、ペルフルオロ化C~Cアルキル、3位の置換C~C24アリール、4位の置換C~C24アリール、置換4-ピリジル、または置換5-ピリミジルから選択され、
-より好ましくは、前記少なくとも1つのリガンドフラグメントYは、独立して、置換もしくは非置換のC~C24アリール、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロアリールから選択され、
ここで、前記置換基は、電子吸引性基、ハロゲン、F、Cl、および/またはCNを含む群から選択され、かつ
前記少なくとも1つのリガンドフラグメントYは、-3.6デバイ未満の指向性双極子モーメントを有し、前記少なくとも1つのリガンドLは負に荷電しており;
前記陽極層は、第1の陽極副層および第2の陽極副層を含み、
-前記第1の陽極副層は、≧4および≦6eVの範囲の仕事関数を有する第1の金属を含み、かつ
-前記第2の陽極副層は、透明導電性酸化物(TCO)を含み;かつ
前記正孔輸送層および正孔注入層は、前記第1の発光層と前記陽極層との間に配置され、
-前記第1の陽極副層は、前記基板により近い位置に配置され、かつ
-前記第2の陽極副層は、前記正孔注入層により近い位置に配置され;
以下のリガンドフラグメントYは除外される:
【0028】
【化9】
【0029】
一実施形態によれば、少なくとも1つの半導体層は、正孔注入層および/または正孔輸送層であり得、好ましくは正孔注入層であり得る少なくとも1つの半導体層は、非発光性である。
【0030】
本明細書の文脈において、用語「本質的に~からなる(consisting essentially of)」は、≧90%(体積/体積)、より好ましくは≧95%(体積/体積)、最も好ましくは≧99%(体積/体積)の割合を特に意味する、および/または、含む。
【0031】
本出願および特許請求の範囲を通して、特に断りのない限り、B、Rなどは常に同じ部位を指すことに留意されたい。
【0032】
本明細書において、用語「リガンド」は、二価結合またはイオン相互作用のいずれか(好ましくは二価結合)によってカチオン性金属と結合するアニオン性分子を指し、前記二価結合の性質は、共有結合からイオン結合までの範囲の特徴を有することができる。
【0033】
本明細書において、他に定義がない場合、「部分的にフッ素化された」とは、水素原子の一部のみがフッ素原子で置換されたアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などを指す。
【0034】
本明細書において、他に定義がない場合、「ペルフルオロ化された」とは、すべての水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などを指す。
【0035】
特に断らない限り、本明細書で使用される用語「金属」は、金属がアニオンと共に言及される場合、金属カチオンを含み、ここで、金属カチオンの正電荷とアニオンの負電荷とは互いに均衡が取れている。
【0036】
本明細書において、電子吸引性基(EWG)とは、それが結合している炭素原子を介して分子内の電子密度を減少させる基である。電子吸引性基の典型的な例は、ハロゲン、特にFおよびCl、-COR、-COH、-COOR、-COOH、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたアルキル、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたアリール、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたヘテロアリール、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたカルボシクリル、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC~C20ヘテロシクリル、-NO、および-CNである。
【0037】
一実施形態によれば、電子吸引性基は独立して、ハロゲンを含む群から選択され、ここで、前記ハロゲンは好ましくは、選択された、F、C~Cの過ハロゲン化されたものから選択され、前記C~Cの過ハロゲン化されたものは好ましくは、ペルフルオロ化されたもの、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC~Cアルコキシ、または-(O)-C2q-CHalp2p+1(l=0または1、好ましくは0であり、q=1または2、好ましくは1であり、p=1~3、好ましくは1または2であり、ならびにHal=ハロゲン、好ましくはFである)である。
【0038】
一実施形態によれば、電子吸引性基は独立して、C~CアルキルまたはC~Cアルコキシで置換されたものから選択され、C~CアルキルまたはC~Cアルコキシ部分の置換基は、(フッ素置換基の)数nおよび(水素の)数nが式:n>n+2に従うフッ素である。
【0039】
一実施形態によれば、電子吸引性基は独立して、ペルフルオロ化されたC~Cアルキルまたはペルフルオロ化されたC~Cアルコキシから選択される。
【0040】
一実施形態によれば、電子吸引性基は独立して、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC~Cアルキルから選択される。
【0041】
一実施形態によれば、電子吸引性基は独立して、CFまたはCNから選択される。
【0042】
一実施形態によれば、電子吸引性基は独立して、CF、C、CまたはCから選択され、好ましくはCFである。
【0043】
本明細書において、他に定義がない場合、「置換された」は、重水素、C~C12アリール、C~C11ヘテロアリール、およびC~C12アルキル、D、C~C12アルコキシ、C~C12分岐アルキル、C~C12環状アルキル、C~C12分岐アルコキシ、C~C12環状アルコキシ、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC~C12アルキル、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC~C12アルコキシ、部分的に重水素化もしくは過重水素化されたC~C12アルキル、部分的に重水素化もしくは過重水素化されたC~C12アルコキシ、ハロゲン、CNまたはPY(R10で置換されたものを指し、ここで、Yは、O、SまたはSeから選択され、好ましくはOであり、R10は独立して、C~C12アリール、C~C12ヘテロアリール、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC~Cアルキル、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC~Cアルコキシ、部分的に重水素化もしくは過重水素化されたC~Cアルキル、部分的に重水素化もしくは過重水素化されたC~Cアルコキシであり、好ましくは、「置換された」は、重水素(Dとも称される)、ハロゲン、Cl、F、CN、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC~Cアルキル、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC~Cアルコキシで置換されたものを指す。
【0044】
本明細書において、「アリール基」とは、対応する芳香族炭化水素中の芳香族環から1個の水素原子を形式的に引き抜くことによって生成することができる、ヒドロカルビル基を指す。芳香族炭化水素は、少なくとも1個の芳香族環または芳香族環系を含む、炭化水素を指す。芳香族環または芳香族環系は、共有結合した炭素原子の平面環または環系を指し、当該平面環または環系は、ヒュッケル則を満たす非局在化電子の共役系を含む。アリール基の例として、単環式基(例えば、フェニルまたはトリル)、単結合によって連結された複数個の芳香族環を含む多環式基(例えば、ビフェニル)、および、縮合環を含む多環式基(例えば、ナフチルまたはフルオレニル)が含まれる。好ましくは、用語「置換もしくは非置換のアリール」または「置換もしくは非置換のC~C24アリール」は、「縮合アリール環(fused aryl rings)」または「縮合アリール環(condensed aryl rings)」のアリール化合物を含む。
【0045】
同様に、ヘテロアリールの下で、少なくとも1個の当該環を含む化合物中の複素環式芳香族環から1個の環水素を形式的に引き抜くことによって誘導される基が、特に好適であると理解されたい。
【0046】
さらに、用語「置換もしくは非置換ヘテロアリール」または「置換もしくは非置換C~C24ヘテロアリール」は、「縮合ヘテロアリール環」または「縮合アリール環」または「少なくとも1つの非ヘテロアリール環を含む縮合ヘテロアリール環」または「少なくとも1つの非ヘテロアリール環を含む縮合アリール環」のヘテロアリール化合物を含む。
【0047】
用語「縮合アリール環(fused aryl rings)」または「縮合アリール環(condensed aryl rings)」は、2個のアリール環が、少なくとも2個の共通sp混成炭素原子を共有する場合に、縮合(fused)または縮合(condensed)していると考えられる状態であると理解されたい。
【0048】
同様に、本明細書中にて、「ヘテロアリール置換」は、1個以上のヘテロアリール基による置換を指し、ヘテロアリール基自体は、1個以上のアリール基および/またはヘテロアリール基によって置換されてもよい。
【0049】
本明細書中にて、定義が別途規定されていない場合には、「アルキル基」は、飽和脂肪族ヒドロカルビル基を指す。アルキル基は、C~C12アルキル基またはC~Cアルキル基であってもよい。より具体的には、アルキル基は、C~C10アルキル基またはC~Cアルキル基であってもよい。例えば、C~Cアルキル基は、アルキル鎖中に1個~4個の炭素を含み、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチルおよびtert-ブチルから選択され得る。
【0050】
アルキル基の具体例は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基であり得る。
【0051】
用語「シクロアルキル」は、対応するシクロアルカンに含まれる環原子から1個の水素原子を形式的に引き抜くことによってシクロアルカンより誘導される、飽和ヒドロカルビル基を指す。シクロアルキル基の例は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、アダマンチル基などであり得る。
【0052】
用語「ヘテロ」は、共有結合した炭素原子によって形成することができる構造中の少なくとも1個の炭素原子が、別の多価原子によって置換された状態であると理解されたい。好ましくは、ヘテロ原子は、B、Si、N、P、O、Sより選択され;より好ましくは、N、P、O、Sより選択され、最も好ましくはNである。
【0053】
用語「縮合環系」は、2個以上の環が少なくとも2個の原子を共有する環系を意味すると理解されたい。
【0054】
用語「5員環、6員環または7員環」は、5個、6個または7個の原子を含む環を意味すると理解されたい。当該原子は、Cおよび1個以上のヘテロ原子から選択され得る。
【0055】
本明細書中にて、単結合は直接結合を指す。
【0056】
本文脈において、「異なる(different)」は、化合物が同一の化学構造を有さないことを意味する。
【0057】
用語「含まない(free of)」、「含まない(does not contain)」、「含まない(does not comprise)」は、蒸着前の化合物に存在し得る不純物を除外するものではない。不純物は、本発明によって達成される目的に関して、技術的な影響を有さない。
【0058】
用語「接触する(contacts)」または「接触している(contacting)」は、第1の層が隣接する第2の層と直接接触する、少なくとも2つの層の配置を指す。
【0059】
用語「光活性層(photoactive layer)」は、同義的に使用される「光吸収層(light-absorbing layer)」および「光吸収層(light absorption layer)」を含み得る。
【0060】
用語「光活性層(photoactive layer)」は、層、好ましくは「発光層(light-emitting layer)」、「発光層(light emitting layer)」、および「発光層(light emitting layer)」を含み得る。
【0061】
用語「OLED」および「有機発光ダイオード」は、同義的に使用される。
【0062】
用語「陽極」および「陽極電極」は、同義的に使用される。用語「少なくとも2つの陽極副層」は、2つ以上の陽極副層(例えば、2つまたは3つの陽極副層)を意味すると理解されたい。
【0063】
用語、陰極および陰極電極は、同義的に使用される。
【0064】
用語「正孔輸送層」は、正孔注入層と、正孔注入層および陰極層の間に配置されたさらなる層と、の間で正孔を輸送する層を意味すると理解されたい。
【0065】
動作電圧Uは、ボルトで測定される。
【0066】
本明細書の文脈において、用語「実質的に非発光性」または「非発光性」は、有機電子デバイス、好ましくはOLEDまたは表示デバイスからの可視発光スペクトルに対する金属化合物、マトリックス化合物、または金属錯体および/もしくは層(当該層は、正孔注入層、正孔輸送層、陽極層、および陰極層である)の寄与が、可視発光スペクトルに対して10%未満、好ましくは5%未満であることを意味する。可視発光スペクトルは、約≧380nmから約≦780nmの波長を有する発光スペクトルである。
【0067】
本明細書において、正孔特性とは、電界が印加されたときに電子を供与して正孔を形成する能力を指し、陽極中に形成された正孔は、最高被占分子軌道(HOMO)準位に応じた導電特性により、発光層に注入されやすく、発光層中を輸送されやすいことを指す。
【0068】
また、電子特性は、電界が印加されたときに電子を受領する能力を指し、陰極中に形成された電子は、最低被占分子軌道(LUMO)準位に応じた導電特性により、発光層に注入され、発光層中を輸送されやすいことを指す。
【0069】
用語「HOMO準位」は、最高被占分子軌道を意味し、eV(エレクトロンボルト)で測定されることを理解されたい。
【0070】
用語「真空準位からさらに離れたHOMO準位」は、HOMO準位の絶対値が参照化合物のHOMO準位の絶対値よりも高いことを意味すると理解されたい。例えば、用語「N2,N2,N2’,N2’,N7,N7,N7’,N7’-オクタキス(4-メトキシフェニル)-9,9’-スピロビ[フルオレン]-2,2’,7,7’-テトラアミンのHOMOレベルよりも真空準位からさらに離れた」は、正孔注入層の共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物のHOMO準位の絶対値が、N2,N2,N2’,N2’,N7,N7,N7’,N7’-オクタキス(4-メトキシフェニル)-9,9’-スピロビ[フルオレン]-2,2’,7,7’-テトラアミンのHOMOレベルよりも高いことを意味すると理解されたい。
【0071】
用語「絶対値」は、「-」記号なしの値を意味すると理解されたい。本発明の一実施形態では、共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物(好ましくは、正孔注入層のマトリックス化合物)のHOMO準位は、量子力学的方法によって計算され得る。
【0072】
第1の金属の仕事関数は、eV(エレクトロンボルト)で測定される。仕事関数の集計値は、例えば、CRC Handbook of Chemistry and Physics version 2008, p. 12-114に記載されている。さらに、仕事関数の集計値は、例えばhttps://en.wikipedia.org/wiki/Work_function#cite_note-12で見つけることができる。
【0073】
本明細書において、正孔特性とは、電界が印加されたときに電子を供与して正孔を形成する能力を指し、陽極中に形成された正孔は、最高被占分子軌道(HOMO)準位に応じた導電特性により、発光層に注入されやすく、発光層中を輸送されやすいことを指す。
【0074】
また、電子特性は、電界が印加されたときに電子を受領する能力を指し、陰極中に形成された電子は、最低被占分子軌道(LUMO)準位に応じた導電特性により、発光層に注入され、発光層中を輸送されやすいことを指す。
【0075】
本明細書に記載された異なる実施形態は、別個に、または2つ以上の実施形態を組み合わせて、本発明を実現するための材料となり得る。
【0076】
〔有利な効果〕
驚くべきことに、本発明による有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、有機エレクトロルミネッセンス装置、好ましくは有機発光ダイオードLEDを、特に動作電圧の上昇の低減に関して、当該技術分野で公知の有機エレクトロルミネッセンス装置よりも優れた様々な態様で可能にすることによって、本発明の根底にある問題を解決することが見出された。
【0077】
また、大量生産に適した条件下で真空熱蒸発による蒸着に適した化合物を提供することによって、本発明の根底にある課題を解決できることが見出された。特に、金属錯体およびマトリックス化合物の速度開始温度(rate onset temperature)は、大量生産に適した範囲であり得る。
【0078】
さらに、本明細書に記載の金属化合物は、熱的特性が改善され、これを半導体層として、好ましくは正孔注入層または正孔輸送層として含む有機電子デバイスは、特に電流効率、安定性および寿命において改善された性能を有することが見出された。
【0079】
〔配位性リンカーX〕
mおよびn
一実施形態によれば、式(IIa)または(IIb)の配位性リンカーXにおけるmおよびnは、m+n≧1である。
【0080】
一実施形態によれば、式(IIa)または(IIb)の配位性リンカーX中のmおよびnは、1から選択される。一実施形態によれば、式(IIa)または(IIb)の配位性リンカーX中、m=1およびn=0である。一実施形態によれば、式(IIa)または(IIb)の配位性リンカーX中、m=0およびn=1である。一実施形態によれば、式(IIa)または(IIb)の配位性リンカーX中、mおよびnは、0から選択される。別の実施形態によれば、式(IIa)または(IIb)の配位性リンカーX中、mおよびnは、選択されたm+n≧1である。
【0081】

一実施形態によれば、Zは、CR、O、またはNを含む群から選択される。一実施形態によれば、Zは、CR、またはNを含む群から選択される。一実施形態によれば、Zは、CRまたはOを含む群から選択される。一実施形態によれば、Zは、選択されたCRである。一実施形態によれば、Zは、選択されたOである。一実施形態によれば、Zは、選択されたNである。
【0082】
およびA
一実施形態によれば、AおよびAは独立して、C=O、C-O、C=NR、C-NR、SO、SO、またはP(=O)Rを含む群から選択される。一実施形態によれば、AおよびAは独立して、C=O、C-Oを含む群から選択される。一実施形態によれば、AおよびAは独立して、C=NR、C-NRを含む群から選択される。一実施形態によれば、AおよびAは独立して、SOまたはSOを含む群から選択される。一実施形態によれば、AおよびAは独立して、C=O、C-O、C=NR、C-NR、SO、またはP(=O)Rを含む群から選択される。一実施形態によれば、AおよびAは独立して、C=O、C-O、C=NR、C-NR、SO、またはP(=O)Rを含む群から選択される。
【0083】
一実施形態によれば、AおよびAは共に、Zと環を形成する。
【0084】
、R、RおよびR
一実施形態によれば、R、R、RおよびRは、独立して、H、D、CN、置換もしくは非置換のC~C24アリール、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロアリール、置換もしくは非置換のC~C24アルキル、置換もしくは非置換のC~C24カルボシクリル、または置換もしくは非置換のC~C24ヘテロシクリル、リガンドフラグメントYから選択される。一実施形態によれば、R、R、RおよびRは、独立して、H、D、CN、置換もしくは非置換のC~C18アリール、置換もしくは非置換のC~C18ヘテロアリール、リガンドフラグメントYから選択される。一実施形態によれば、R、R、R、およびRは、独立して、H、D、CN、置換もしくは非置換のC~C18アリール、置換もしくは非置換のC~C18ヘテロアリールから選択される。一実施形態によれば、R、R、RおよびRは、独立して、H、D、CN、置換もしくは非置換のC~C12アリール、置換もしくは非置換のC~C128ヘテロアリール、リガンドフラグメントYから選択される。一実施形態によれば、R、R、RおよびRは、独立して、H、D、CN、置換もしくは非置換のC~C12アリール、置換もしくは非置換のC~C12ヘテロアリールから選択される。
【0085】
一実施形態によれば、R、R、RおよびR上の置換基は、独立して、置換もしくは非置換のC~C24アリール、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロアリール、置換もしくは非置換のC~C24アルキル、置換もしくは非置換のC~C24カルボシクリル、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロシクリル、ペルフルオロ化C~Cアルキル、3位の置換C~C24アリール、4位の置換C~C24アリール、置換4-ピリジル、または置換5-ピリミジルから選択され、より好ましくは、少なくとも1つのリガンドフラグメントYは、独立して、置換もしくは非置換のC~C24アリール、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロアリールから選択され、置換基は、電子吸引性基、ハロゲン、F、Cl、および/またはCNを含む群から選択される。
【0086】
一実施形態によれば、R、R、RおよびR上の置換基は、独立して、置換もしくは非置換のC~C18アリール、置換もしくは非置換のC~C18ヘテロアリール、置換もしくは非置換のC~C18アルキル、置換もしくは非置換のC~C18カルボシクリル、置換もしくは非置換のC~C18ヘテロシクリル、ペルフルオロ化C~Cアルキル、3位の置換C~C18アリール、4位の置換C~C18アリール、置換4-ピリジル、または置換5-ピリミジルから選択され、より好ましくは、少なくとも1つのリガンドフラグメントYは、独立して、置換もしくは非置換のC~C18アリール、置換もしくは非置換のC~C18ヘテロアリールから選択され、置換基は、電子吸引性基、ハロゲン、F、Cl、および/またはCNを含む群から選択される。
【0087】
一実施形態によれば、R、R、RおよびR上の置換基は、独立して、置換もしくは非置換のC~C18アリール、置換もしくは非置換のC~C18ヘテロアリール、3位の置換C~C18アリール、4位の置換C~C18アリール、置換4-ピリジル、または置換5-ピリミジルから選択され、より好ましくは、少なくとも1つのリガンドフラグメントYは、独立して、置換もしくは非置換のC~C18アリール、置換もしくは非置換のC~C18ヘテロアリールから選択され、置換基は、電子吸引性基、ハロゲン、F、Cl、および/またはCNを含む群から選択される。
【0088】
一実施形態によれば、R、R、RおよびR上の置換基は、独立して、置換もしくは非置換のC~C18アルキル、置換もしくは非置換のC~C18カルボシクリル、置換もしくは非置換のC~C18ヘテロシクリル、ペルフルオロ化C~Cアルキル、4位の置換C~C18アリール、置換4-ピリジル、または置換5-ピリミジルから選択され、より好ましくは、少なくとも1つのリガンドフラグメントYは、独立して、置換もしくは非置換のC~C18アリール、置換もしくは非置換のC~C18ヘテロアリールから選択され、置換基は、電子吸引性基、ハロゲン、F、Cl、および/またはCNを含む群から選択される。
【0089】
一実施形態によれば、R、R、RおよびR上の置換基は、独立して、3位の置換C~C18アリール、4位の置換C~C18アリール、置換4-ピリジル、または置換5-ピリミジルから選択され、より好ましくは、少なくとも1つのリガンドフラグメントYは、独立して、置換もしくは非置換のC~C18アリール、置換もしくは非置換のC~C18ヘテロアリールから選択され、置換基は、電子吸引性基、ハロゲン、F、Cl、および/またはCNを含む群から選択される。
【0090】
一実施形態によれば、配位性リンカーXは、式(IIa)から選択され
【0091】
【化10】
【0092】
式中、
mおよびnは、独立して、0または1から選択され;
Zは、CR、O、Nを含む群から選択され;
かつ、
およびAは、独立して、C=O、C-O、SO、またはSOを含む群から選択され;
は、独立して、H、D、置換もしくは非置換のC~C24アリール、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロアリール、置換もしくは非置換のC~C24アルキル、リガンドフラグメントYから選択され、
およびAは共に、任意にZと環を形成する。
【0093】
一実施形態によれば、配位性リンカーXは、式(IIa)から選択され
【0094】
【化11】
【0095】
式中、
mおよびnは、選択された1であり;
Zは、CR、Nを含む群から選択され;
かつ、
およびAは、独立して、C=O、C-O、またはSOを含む群から選択され;
は、独立して、H、D、置換もしくは非置換のC~C24アリール、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロアリール、置換もしくは非置換のC~C24アルキル、リガンドフラグメントYから選択され、
およびAは共に、任意にZと環を形成する。
【0096】
リガンドフラグメントY
一実施形態によれば、リガンドフラグメントYは、少なくとも1つのリガンドフラグメントYであり、当該少なくとも1つのリガンドフラグメントYは、独立して、置換もしくは非置換のC~C24アリール、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロアリール、置換もしくは非置換のC~C24アルキル、置換もしくは非置換のC~C24カルボシクリル、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロシクリル、ペルフルオロ化C~Cアルキル、3位の置換C~C24アリール、4位の置換C~C24アリール、置換4-ピリジル、または置換5-ピリミジルから選択され、ここで、前記少なくとも1つのリガンドフラグメントYは、-3.6デバイ未満の指向性双極子モーメントを有し、前記少なくとも1つのリガンドLは負に荷電している。
【0097】
一実施形態によれば、リガンドフラグメントYは、置換C~C24アリールもしくは置換C~C24ヘテロアリール、ペルフルオロ化C~Cアルキル、3位の置換C~C24アリール、4位の置換C~C24アリール、置換4-ピリジル、または置換5-ピリミジルであり、より好ましくは4位の置換C~C24アリールであり、ここで、置換基は、ハロゲン、F、Cl、および/またはCNを含む群から選択される。
【0098】
一実施形態によれば、リガンドフラグメントYは、置換C~C18アリールもしくは置換C~C18ヘテロアリール、ペルフルオロ化C~Cアルキル、3位の置換C~C18アリール、4位の置換C~C18アリール、置換4-ピリジル、または置換5-ピリミジルであり、より好ましくは4位の置換C~C18アリールであり、ここで、置換基は、ハロゲン、F、Cl、および/またはCNを含む群から選択される。
【0099】
一実施形態によれば、リガンドフラグメントYは、置換C~C12アリールもしくは置換C~C12ヘテロアリール、ペルフルオロ化C~Cアルキル、3位の置換C~C18アリール、4位の置換C~C12アリール、置換4-ピリジル、または置換5-ピリミジルであり、より好ましくは4位の置換C~C12アリールであり、ここで、置換基は、ハロゲン、F、Cl、および/またはCNを含む群から選択される。
【0100】
一実施形態によれば、リガンドフラグメントY上の置換基は、電子吸引性基、F、Cl、CN、SCN、-OCF、NO、SF、置換もしくは非置換のC~C24アリール、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロアリール、置換もしくは非置換のC~C24アルキル、置換もしくは非置換のC~C24カルボシクリル、または置換もしくは非置換のC~C24ヘテロシクリルであり;
ここで、置換基は、F、Cl、CNのような電子吸引性基である。
【0101】
一実施形態によれば、リガンドフラグメントY上の置換基は、電子吸引性基、F、Cl、CN、SCN、-OCF、NO、SF、ペルフルオロ化C~Cアルキル、CF
【0102】
【数1】
【0103】
置換4-ピリジル、および置換5-ピリミジルである。
【0104】
一実施形態によれば、リガンドフラグメントY上の置換基は、F、Cl、CN、ペルフルオロ化C~Cアルキル、CF、3位および4位(最も好ましくは4位)の置換アリール、置換4-ピリジル、および置換5-ピリミジルである。
【0105】
Yの指向性双極子モーメント
一実施形態によれば、リガンドフラグメントYは、-3.6デバイ未満の指向性双極子モーメントを有し、少なくとも1つのリガンドLは、負に荷電している。一実施形態によれば、リガンドフラグメントYは、≦-4.0デバイ、≦-4.2デバイ、≦-4.4デバイ、≦-4.6デバイ、≦-4.8デバイ、≦-5.0デバイ、≦-5.1デバイ、≦-5.2デバイ、≦-5.3デバイ、≦-5.4デバイ、≦-5.5デバイ、≦-5.6デバイ、≦-5.7デバイ、または≦-5.8デバイの群から選択される指向性双極子モーメントを有し、より好ましくは、リガンドフラグメントYは、-5.5デバイ未満の指向性双極子モーメントを有する。一実施形態によれば、リガンドフラグメントYは、≦-4.0デバイ、≦-4.2デバイ、≦-4.4デバイ、≦-4.6デバイ、≦-4.8デバイ、≦-5.0デバイ、≦-5.1デバイ、≦-5.2デバイ、≦-5.3デバイ、≦-5.4デバイ、≦-5.5デバイ、≦-5.6デバイ、≦-5.7デバイ、または≦-5.8デバイの群から選択される指向性双極子モーメントを有し、より好ましくは、リガンドフラグメントYは、-5.5デバイ未満の指向性双極子モーメントを有し、少なくとも1つのリガンドLは、負に荷電している。
【0106】
フラグメントYは、式(IV)で表される
一実施形態によれば、リガンドフラグメントYは、式(IV)で表され、
【0107】
【化12】
【0108】
式中、
qは0、1、2から選択され、好ましくは0または1であり;
Arは、置換もしくは非置換のフェニル、置換もしくは非置換のナフチル、または置換もしくは非置換のアントラセニルから選択され、好ましくは、Arはフェニルであり;
は、NまたはCR’から選択され;
は、NまたはCR’’から選択され;
は、NまたはCR’’’から選択され;かつ
R’、R’’およびR’’’は、独立して、H、D、電子吸引性基、好ましくはF、ペルフルオロ化C~C24アルキル、好ましくはCF、CN、SCN、OCF、-NO、-SFから選択される。
【0109】
一実施形態によれば、リガンドフラグメントYは、式(IV)で表され、
【0110】
【化13】
【0111】
式中、
qは0、1、2から選択され、好ましくは0または1であり;
Arは、置換もしくは非置換のフェニル、置換もしくは非置換のナフチル、または置換もしくは非置換のアントラセニルから選択され、好ましくは、Arはフェニルであり;
は、NまたはCR’から選択され;
は、NまたはCR’’から選択され;
は、NまたはCR’’’から選択され;かつ
R’、R’’およびR’’’は、独立して、H、D、電子吸引性基、好ましくはF、ペルフルオロ化C~C24アルキル、好ましくはCF、CN、SCN、OCF、-NO、-SFから選択され;
少なくとも1つのリガンドフラグメントYは、-3.6デバイ未満の指向性双極子モーメントを有し、少なくとも1つのリガンドLは、負に荷電している。
【0112】
一実施形態によれば、リガンドフラグメントYは、式(IV)で表され、
【0113】
【化14】
【0114】
式中、
qは0、1、2から選択され、好ましくは0または1であり;
Arは、置換もしくは非置換のフェニル、置換もしくは非置換のナフチル、または置換もしくは非置換のアントラセニルから選択され、好ましくは、Arはフェニルであり;
は、NまたはCR’から選択され;
は、NまたはCR’’から選択され;
は、NまたはCR’’’から選択され;かつ
R’、R’’およびR’’’は、独立して、H、D、電子吸引性基、好ましくはF、ペルフルオロ化C~C24アルキル、好ましくはCF、CN、SCN、OCF、-NO、-SFから選択され;
少なくとも1つのリガンドフラグメントYは、-3.6デバイ未満の指向性双極子モーメントを有し、少なくとも1つのリガンドLは、負に荷電している。
【0115】
一実施形態によれば、リガンドフラグメントYは、式(IV)で表され、
【0116】
【化15】
【0117】
式中、
qは0、1、2から選択され、好ましくは0または1であり;
Arは、置換もしくは非置換のフェニル、置換もしくは非置換のナフチル、または置換もしくは非置換のアントラセニルから選択され、好ましくは、Arは置換もしくは非置換のフェニルであり、ここで、置換基は、電子吸引性基、好ましくはハロゲン、F、Cl、ペルフルオロ化C~C24アルキル、好ましくはCF、CN、SCN、OCF、-NO、-SF、ハロゲン、F、Cl、および/またはCNを含む群から選択され、好ましくは、ハロゲン、F、Cl、および/またはCNを含む群から選択から選択され;
は、NまたはCR’から選択され;
は、NまたはCR’’から選択され;
は、NまたはCR’’’から選択され;かつ
R’、R’’およびR’’’は、独立して、H、D、電子吸引性基、好ましくはF、ペルフルオロ化C~C24アルキル、好ましくはCF、CN、SCN、OCF、-NO、-SFから選択され;
少なくとも1つのリガンドフラグメントYは、-3.6デバイ未満の指向性双極子モーメントを有し、少なくとも1つのリガンドLは、負に荷電している。
【0118】
一実施形態によれば、リガンドフラグメントYは、式(IV)で表され、
【0119】
【化16】
【0120】
式中、
qは0、1、2から選択され、好ましくは0または1であり;
Arは、置換もしくは非置換のフェニル、置換もしくは非置換のナフチル、または置換もしくは非置換のアントラセニルから選択され、好ましくは、Arはフェニルであり、
Ar上の置換基は、ハロゲン、F、Cl、および/またはCNを含む群から選択され、
は、NまたはCR’から選択され;
は、NまたはCR’’から選択され;
は、NまたはCR’’’から選択され;かつ
R’、R’’およびR’’’は、独立して、H、D、電子吸引性基、好ましくはF、ペルフルオロ化C~C24アルキル、好ましくはCF、CN、SCN、OCF、-NO、-SFから選択され;
少なくとも1つのリガンドフラグメントYは、-3.6デバイ未満の指向性双極子モーメントを有し、少なくとも1つのリガンドLは、負に荷電している。
【0121】
一実施形態によれば、リガンドフラグメントYは、式(IV)で表され:
【0122】
【化17】
【0123】
式中、
qは0、1、2から選択され、好ましくは0または1であり;
Arは、非置換フェニル、非置換ナフチル、または非置換アントラセニルから選択され、好ましくは、Arはフェニルであり;
は、NまたはCR’から選択され;
は、NまたはCR’’から選択され;
は、NまたはCR’’’から選択され;かつ
R’、R’’およびR’’’は、独立して、H、D、電子吸引性基、好ましくはF、ペルフルオロ化C~C24アルキル、好ましくはCF、CN、SCN、OCF、-NO、-SFから選択される。
【0124】
一実施形態によれば、リガンドフラグメントYは、式(IV)で表され:
【0125】
【化18】
【0126】
式中、
qは0、1、2から選択され、好ましくは0または1であり;
Arは、非置換フェニル、非置換ナフチル、または非置換アントラセニルから選択され、好ましくは、Arはフェニルであり;
は、NまたはCR’から選択され;
は、NまたはCR’’から選択され;
は、NまたはCR’’’から選択され;かつ
R’、R’’およびR’’’は、独立して、H、D、電子吸引性基、好ましくはF、ペルフルオロ化C~C24アルキル、好ましくはCF、CN、SCN、OCF、-NO、-SFから選択され;
少なくとも1つのリガンドフラグメントYは、-3.6デバイ未満の指向性双極子モーメントを有し、少なくとも1つのリガンドLは、負に荷電している。
【0127】
一実施形態によれば、リガンドフラグメントYは、群D1~D11から選択され:
【0128】
【化19】
【0129】
より好ましくは、前記リガンドフラグメントYは、D1~D6、D1~D4、またはD5およびD6の群から選択される。
【0130】
〔金属〕
一実施形態によれば、金属Mの価数pは1、2、3または4であり得る。
【0131】
一実施形態によれば、金属Mは、≧22Da、あるいは≧24Daの原子質量を有する。
【0132】
一実施形態によれば、金属Mは、対応する金属が2.4未満、好ましくは2未満、より好ましくは1.9未満のAllenによる電気陰性度値を有する金属イオンから選択され得る。それによって、有機電子デバイスにおける特に良好な性能を達成することができる。
【0133】
用語「Allenによる電気陰性度」については、特に、Allen、Leland C. (1989). "Electronegativity is the average one-electron energy of the valence-shell electrons in ground-state free atoms". Journal of the American Chemical Society. 111 (25): 9003-9014を参照されたい。
【0134】
一実施形態によれば、Mの価数pは、1または2である。
【0135】
一実施形態によれば、金属Mは、対応する金属が2.4未満、好ましくは2未満、より好ましくは1.9未満のAllenによる電気陰性度値を有する、金属イオンから選択され、当該金属Mの価数pは、1または2である。
【0136】
一実施形態によれば、金属Mは、アルカリ、アルカリ土類、希土類または遷移金属から選択され、あるいはMは、アルカリ、アルカリ土類または周期4もしくは5の遷移金属から選択される。
【0137】
一実施形態によれば、金属Mは、対応する金属が2.4未満、好ましくは2未満、より好ましくは1.9未満のAllenによる電気陰性度値を有する、金属イオンから選択され、Mは、アルカリ、アルカリ土類、希土類、または周期4もしくは5の遷移金属から選択され、当該金属Mは、≧22Da、あるいは≧24Daの原子質量を有する。
【0138】
一実施形態によれば、金属Mは、Li、Na、K、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、In、Bi、Sc、Ti、Zr、Hf、V、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、La、Ce、EuまたはYbを含む群から選択され、好ましくは、金属は、Al、Bi、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Mo、Ag、Re、Au、またはCeを含む群から選択され、より好ましくは、金属は、Al、Mn、Fe、Cu、Mo、Ag、AuまたはCeを含む群から選択される。
【0139】
一実施形態によれば、金属Mは、アルカリ土類金属、遷移金属または希土類金属から選択され、好ましくはCu(II)、Ag(I)、Zn(II)、Fe(II)、Fe(III)、Ce(IV)から選択され、およびより好ましくはFe(II)である。
【0140】
一実施形態によれば、金属Mは、Li、Na、K、Cs、Mg、Mn、Cu、Zn、AgおよびMoから選択され;好ましくは、Mは、Na、K、Cs、Mg、Mn、Cu、ZnおよびAgから選択され;また、好ましくは、Mは、Na、K、Mg、Mn、Cu、ZnおよびAgから選択され、ここで、金属MがCuである場合、価数pは2である。
【0141】
式(IIb)の配位性リンカーX
一実施形態によれば、少なくとも1つの配位性リンカーXは、式(IIb)で表され:
【0142】
【化20】
【0143】
式中、
Zは、CR、Nから選択され;
およびAは、独立して、C=O、C-O、またはSOから選択され、AおよびAは共に、任意にZと環を形成し;
は、H、D、CN、置換もしくは非置換のC~C24アリール、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロアリール、置換もしくは非置換のC~C24アルキル、置換もしくは非置換のC~C24カルボシクリル、または置換もしくは非置換のC~C24ヘテロシクリル、リガンドフラグメントYから選択され;
およびRは、独立して、置換もしくは非置換のC~C24アリール、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロアリール、置換もしくは非置換のC~C24アルキル、置換もしくは非置換のC~C24カルボシクリル、または置換もしくは非置換のC~C24ヘテロシクリル、リガンドフラグメントYから選択され、
前記置換基は、電子吸引性基、ハロゲン、F、Cl、CN、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC~Cアルキル、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC~C12アリール、または部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC~C12ヘテロアリールを含む群から選択され;
、RおよびRの少なくとも1つは、リガンドフラグメントYを含み;
前記少なくとも1つのリガンドフラグメントYの少なくとも1つは、独立して、置換C~C24アリール、または非置換もしくは置換のC~C24ヘテロアリールから選択され、前記少なくとも1つのリガンドフラグメントYの少なくとも1つは、-3.6デバイ未満の指向性双極子モーメントを有し、前記少なくとも1つのリガンドLは負に荷電している。
【0144】
前記少なくとも1つのリガンドLは、式(IIb)で表され:
【0145】
【化21】
【0146】
式中、
Zは、CR、Nから選択され;
およびAは、独立して、C=O、C-O、またはSOから選択され、AおよびAは共に、任意にZと環を形成し;
は、H、D、CN、置換もしくは非置換のC~C24アリール、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロアリール、置換もしくは非置換のC~C24アルキル、置換もしくは非置換のC~C24カルボシクリル、または置換もしくは非置換のC~C24ヘテロシクリル、リガンドフラグメントYから選択され;
前記置換基は、電子吸引性基、ハロゲン、F、Cl、CN、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC~Cアルキル、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC~C12アリール、または部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC~C12ヘテロアリールを含む群から選択され;
およびRは、独立して、置換もしくは非置換のC~C24アリール、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロアリール、置換もしくは非置換のC~C24アルキル、置換もしくは非置換のC~C24カルボシクリル、または置換もしくは非置換のC~C24ヘテロシクリル、リガンドフラグメントYから選択され、
前記置換基は、電子吸引性基、ハロゲン、F、Cl、CN、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC~Cアルキル、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC~C12アリール、または部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC~C12ヘテロアリールを含む群から選択され;
、RおよびRの少なくとも1つは、リガンドフラグメントYを含み;
前記少なくとも1つのリガンドフラグメントYの少なくとも1つは、独立して、置換C~C24アリール、または非置換もしくは置換のC~C24ヘテロアリールから選択され、前記少なくとも1つのリガンドフラグメントYの少なくとも1つは、-3.6デバイ未満の指向性双極子モーメントを有し、前記少なくとも1つのリガンドLは負に荷電している。
【0147】
一実施形態によれば、RおよびRは、独立して、置換もしくは非置換のC~C24アリール、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロアリール、置換もしくは非置換のC~C24アルキル、リガンドフラグメントYから選択される。
【0148】
一実施形態によれば、少なくとも1つのリガンドLは、式(III)で表され:
【0149】
【化22】
【0150】
式中、
は、H、D、CN、置換もしくは非置換のC~C24アリール、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロアリール、置換もしくは非置換のC~C24アルキル、置換もしくは非置換のC~C24カルボシクリル、または置換もしくは非置換のC~C24ヘテロシクリル、リガンドフラグメントYから選択され;
およびRは、独立して、置換もしくは非置換のC~C24アリール、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロアリール、置換もしくは非置換のC~C24アルキル、置換もしくは非置換のC~C24カルボシクリル、または置換もしくは非置換のC~C24ヘテロシクリル、リガンドフラグメントYから選択され、
前記置換基は、電子吸引性基、ハロゲン、F、Cl、CN、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC~Cアルキル、ペルフルオロ化されたC~C12アリール、または部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC~C12ヘテロアリールを含む群から選択され;
、RおよびRの少なくとも1つは、リガンドフラグメントYを含み;
前記少なくとも1つのリガンドフラグメントYの少なくとも1つは、独立して、置換C~C24アリール、または非置換もしくは置換のC~C24ヘテロアリールから選択され、前記少なくとも1つのリガンドフラグメントYの少なくとも1つは、-3.6デバイ未満の指向性双極子モーメントを有し、前記少なくとも1つのリガンドLは負に荷電している。
【0151】
一実施形態によれば、少なくとも1つのリガンドLは、式(III)で表され:
【0152】
【化23】
【0153】
式中、
は、H、D、CN、置換もしくは非置換のC~C24アリール、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロアリール、置換もしくは非置換のC~C24アルキル、置換もしくは非置換のC~C24カルボシクリル、または置換もしくは非置換のC~C24ヘテロシクリル、リガンドフラグメントYから選択され;
前記置換基は、電子吸引性基、ハロゲン、F、Cl、CN、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC~Cアルキル、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC~C12アリール、または部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC~C12ヘテロアリールを含む群から選択され;
およびRは、独立して、置換もしくは非置換のC~C24アリール、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロアリール、置換もしくは非置換のC~C24アルキル、置換もしくは非置換のC~C24カルボシクリル、または置換もしくは非置換のC~C24ヘテロシクリル、リガンドフラグメントYから選択され、
前記置換基は、電子吸引性基、ハロゲン、F、Cl、CN、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC~Cアルキル、ペルフルオロ化されたC~C12アリール、または部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC~C12ヘテロアリールを含む群から選択され;
、RおよびRの少なくとも1つは、リガンドフラグメントYを含み;
前記少なくとも1つのリガンドフラグメントYの少なくとも1つは、独立して、置換C~C24アリール、または非置換もしくは置換のC~C24ヘテロアリールから選択され、前記少なくとも1つのリガンドフラグメントYの少なくとも1つは、-3.6デバイ未満の指向性双極子モーメントを有し、前記少なくとも1つのリガンドLは負に荷電している。
【0154】
一実施形態によれば、Rは、リガンドフラグメントYであるか、またはリガンドフラグメントYを含む。一実施形態によれば、Rは、リガンドフラグメントYを含む。
【0155】
〔金属化合物〕
金属化合物は、非発光性である。本明細書の文脈において、用語「実質的に非発光性」または「非発光性」は、有機電子デバイス、好ましくはOLEDまたは表示デバイスからの可視発光スペクトルに対する金属化合物の寄与が、可視発光スペクトルに対して10%未満、好ましくは5%未満であることを意味する。可視発光スペクトルは、約≧380nmから約≦780nmの波長を有する発光スペクトルである。
【0156】
〔リガンドフラグメントY〕
リガンドフラグメントYは、表1から選択することができる。点線は、配位リンカーXへの結合位置を表す。表1は、式K1~K31の本発明に従って使用できる好適なリガンドフラグメントYを示す。
【0157】
【表1】



【0158】
〔半導体層〕
一実施形態によれば、半導体層を含む少なくとも1つの半導体層は、有機半導体層であり、および好ましくは、少なくとも1つの半導体層は、非発光性である。
【0159】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つの半導体層は、陽極に隣接して配置および/または提供される。
【0160】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つの半導体層は、陽極と直接接触する。
【0161】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つの半導体層は、共通の正孔注入層である。
【0162】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つの半導体層は、少なくとも1つの金属化合物からなるか、または少なくとも1つの金属化合物を含む、正孔注入層である。
【0163】
少なくとも1つの半導体層が正孔注入層であり、および/または陽極に隣接して配置および/または提供される場合、この層は少なくとも1つの金属化合物から実質的になることが特に好ましい。
【0164】
別の態様によれば、少なくとも1つの半導体層は、約≧0.5nm~約≦10nm、好ましくは約≧2nm~約≦8nm、また好ましくは約≧3nm~約≦5nmの層の厚さを有し得る。
【0165】
一実施形態によれば、半導体層は、少なくとも1つのマトリックス化合物を含むことができ、少なくとも1つのマトリックス化合物は、非ポリマー化合物であり、好ましくは、マトリックス化合物は、共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物である。
【0166】
好ましくは、共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物を含む、少なくとも1つの半導体層は、陽極に隣接して配置または提供される。
【0167】
共有結合性のマトリックス化合物の好ましい例示は、共有結合したC、H、O、N、Sから主になる有機化合物であり、これは共有結合したB、P、As、Seも任意に含み得る。共有結合した炭素-金属を含む有機金属化合物、有機リガンドを含む金属錯体、および有機酸の金属塩は、有機共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物として機能し得る有機化合物のさらなる例示である。
【0168】
一実施形態では、共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物は、金属原子を欠き、その骨格原子の大部分は、C、O、S、Nから選択される。あるいは、共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物が金属原子を欠き、その骨格原子の大部分は、CおよびNから選択される。
【0169】
一実施形態では、共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物のHOMOレベルは、同じ条件下で測定した場合、N2,N2,N2’,N2’,N7,N7,N7’,N7’-オクタキス(4-メトキシフェニル)-9,9’-スピロビ[フルオレン]-2,2’,7,7’-テトラアミン(CAS 207739-72-8)のHOMOレベルよりも負であり得る。
【0170】
一実施形態では、共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物の計算されたHOMOレベルは、-4.27eVよりも負であり、好ましくは-4.3eVよりも負であり、あるいは-4.5eVよりも負であり、あるいは-4.6eVよりも負であり、あるいは-4.65eVよりも負であり得る。
【0171】
別の態様によれば、半導体層は、Fc/Fc+に対してジクロロメタン中でサイクリックボルタンメトリーによって測定される場合、-0.2Vよりも正であり、1.22Vよりも負であり、好ましくは-0.18Vよりも正であり、1.12Vよりも負である、酸化電位を有する、共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物をさらに含む。これらの条件下で、スピロ-MeO-TAD(CAS 207739-72-8)の酸化電位は、-0.07Vである。
【0172】
一実施形態では、共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物のHOMOレベルは、同じ条件下で決定した場合、N2,N2,N2’,N2’,N7,N7,N7’,N7’-オクタキス(4-メトキシフェニル)-9,9’-スピロビ[フルオレン]-2,2’,7,7’-テトラアミン(CAS 207739-72-8)のHOMOレベルよりも負であり得、N4,N4’’’-ジ(ナフタレン-1-イル)-N4,N4’’’-ジフェニル-[1,1’:4’,1’’:4’’,1’’’-クアテルフェニル]-4,4’’’-ジアミンのHOMOレベルよりも正であり得る。
【0173】
一実施形態では、共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物は、アルコキシ基を含まなくてもよい。
【0174】
一実施形態では、共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物の計算されたHOMOレベルは、<-4.27eVおよび>-4.84eVの範囲、あるいは<-4.3eVおよび>-4.84eVの範囲、あるいは<-4.5eVおよび>-4.84eVの範囲、あるいは<-4.5eVおよび>-4.84eVの範囲、あるいは<-4.6eVおよび>-4.84eVの範囲から選択され得る。
【0175】
一実施形態では、共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物の計算されたHOMOレベルは、<-4.27eVおよび>-4.8eVの範囲、あるいは<-4.3eVおよび>-4.8eVの範囲、あるいは<-4.5eVおよび>-4.8eVの範囲、あるいは<-4.5eVおよび>-4.8eVの範囲、あるいは<-4.6eVおよび>-4.8eVの範囲、あるいは<-4.65eVおよび>-4.8eVの範囲から選択され得る。
【0176】
好ましくは、共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物は、少なくとも1つのアリールアミン化合物、あるいはジアリールアミン化合物、あるいはトリアリールアミン化合物を含む。
【0177】
有機電子デバイスの一実施形態によれば、共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物、好ましくは正孔注入層は、式(2)または式(3)の化合物を含むことができ:
【0178】
【化24】
【0179】
式中、
、T、T、TおよびTは独立して、単結合、フェニレン、ビフェニレン、テルフェニレンまたはナフテニレンから選択され得、好ましくは単結合またはフェニレンから選択され得;
は、置換もしくは非置換のフェニレン、ビフェニレン、テルフェニレンまたはナフテニレンから選択され;ここで、フェニレン上の置換基は、C~C18アリール、C~C18ヘテロアリール、フェニル、ビフェニル、カルバゾール、フェニルカルバゾールから選択され、好ましくはビフェニルまたは9-フェニルカルバゾールから選択され;
Ar、Ar、Ar、ArおよびArは独立して、置換もしくは非置換のC~C20アリール、または置換もしくは非置換のC~C20ヘテロアリーレン、置換もしくは非置換のビフェニレン、置換もしくは非置換のフルオレン、置換の9-フルオレン、置換の9,9-フルオレン、置換もしくは非置換のナフタレン、置換もしくは非置換のアントラセン、置換もしくは非置換のフェナントレン、置換もしくは非置換のピレン、置換もしくは非置換のペリレン、置換もしくは非置換のトリフェニレン、置換もしくは非置換のテトラセン、置換もしくは非置換のテトラフェン、置換もしくは非置換のジベンゾフラン、置換もしくは非置換のジベンゾチオフェン、置換もしくは非置換のキサンテン、置換もしくは非置換のカルバゾール、置換の9-フェニルカルバゾール、置換もしくは非置換のアゼピン、置換もしくは非置換のジベンゾ[b,f]アゼピン、置換もしくは非置換の9,9’-スピロビ[フルオレン]、少なくとも1つの縮合芳香族環を有する置換もしくは非置換の9,9’-スピロビ[フルオレン]、置換もしくは非置換のスピロ[フルオレン-9,9’-キサンテン]、2つの芳香族6員環および2つの芳香族5員環を含む置換もしくは非置換の芳香族縮合環系(少なくとも1つの5員環はヘテロ原子を含む)、2つの芳香族6員環および2つの芳香族5員環を含む置換もしくは非置換の芳香族縮合環系(少なくとも1つの5員環はO原子を含む)、または置換もしくは非置換の非ヘテロ、置換もしくは非置換のヘテロ5員環、置換もしくは非置換の6員環、および/または置換もしくは非置換の7員環を含む群から選択される少なくとも3つの置換もしくは非置換の芳香族環を含む、置換もしくは非置換の芳香族縮合環系、置換もしくは非置換のフルオレン、2~6個の置換もしくは非置換の5、6、もしくは7員環を有する縮合された置換もしくは非置換のヘテロまたは非ヘテロ環系を有する、置換もしくは非置換のフルオレン、または2~6個の置換もしくは非置換の5~7員環を有する縮合環系から選択され得、当該環は、(i)不飽和5~7員環の複素環、(ii)5~6員の芳香族複素環、(iii)不飽和5~7員環の非複素環、(iv)6員環の芳香族非複素環を含む群から選択され;
ここで、Ar、Ar、Ar、ArおよびArの置換基は、H、C(=O)R、CN、Si(R、P(=O)(R、OR、S(=O)R、S(=O)、1~20個の炭素原子を有する直鎖アルキル、1~20個の炭素原子を有する分岐アルキル、3~20個の炭素原子を有する環状アルキル、2~20個の炭素原子を有するアルケニル基またはアルキニル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基、C~C18アリール、C~C18ヘテロアリール、2~6個の非置換の5~7員環を含む縮合環系を含む群から選択され、同一であるかまたは異なり、当該環は、不飽和5~7員環の複素環、5~6員の芳香族複素環、不飽和5~7員環の非複素環、および6員環の芳香族非複素環を含む群から選択される。
【0180】
好ましくは、Ar、Ar、Ar、ArおよびArの置換基は、H、1~6個の炭素原子を有する直鎖アルキル、1~6個の炭素原子を有する分岐アルキル、3~6個の炭素原子を有する環状アルキル、2~6個の炭素原子を有するアルケニル基もしくはアルキニル基、1~6個の炭素原子を有するアルコキシ基、C~C18アリール、C~C18ヘテロアリール、2~4個の非置換5~7員環を含む縮合環系を含む群から選択され、同一であるかまたは異なり、当該環は、不飽和5~7員環の複素環、5~6員環の芳香族複素環、不飽和5~7員環の非複素環、および6員環の芳香族非複素環を含む群から選択され;より好ましくは、前記置換基は、H、1~4個の炭素原子を有する直鎖アルキル、1~4個の炭素原子を有する分岐アルキル、3~4個の炭素原子を有する環状アルキルおよび/またはフェニルからなる群から選択され、同一であるかまたは異なる。
【0181】
それによって、式(2)または(3)の化合物は、大量生産に適した速度開始温度を有し得る。
【0182】
有機電子デバイスの一実施形態によれば、共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物、好ましくは、正孔注入層のマトリックス化合物は、式(2)または式(3)の化合物を含み:
【0183】
【化25】
【0184】
式中、
、T、T、TおよびTは独立して、単結合、フェニレン、ビフェニレン、テルフェニレンまたはナフテニレンから選択され得、好ましくは、単結合またはフェニレンから選択され得;
は、置換もしくは非置換のフェニレン、ビフェニレン、テルフェニレンまたはナフテニレンから選択され;ここで、フェニレン上の置換基は、C~C18アリール、C~C18ヘテロアリール、フェニル、ビフェニル、カルバゾール、フェニルカルバゾールから選択され、好ましくはビフェニルまたは9-フェニルカルバゾールから選択され;
Ar、Ar、Ar、ArおよびArは独立して、非置換のC~C20アリール、または非置換のC~C20ヘテロアリーレン、非置換のビフェニレン、非置換のフルオレン、置換の9-フルオレン、置換の9,9-フルオレン、非置換のナフタレン、非置換のアントラセン、非置換のフェナントレン、非置換のピレン、非置換のペリレン、非置換のトリフェニレン、非置換のテトラセン、非置換のテトラフェン、非置換のジベンゾフラン、非置換のジベンゾチオフェン、非置換のキサンテン、非置換のカルバゾール、置換の9-フェニルカルバゾール、非置換のアゼピン、非置換のジベンゾ[b,f]アゼピン、非置換の9,9’-スピロビ[フルオレン]、非置換のスピロ[フルオレン-9,9’-キサンテン]、または非置換の非ヘテロ、非置換のヘテロ5員環、非置換の6員環、および/もしくは非置換の7員環を含む群から選択される少なくとも3つの非置換の芳香族環を含む、非置換の芳香族縮合環系、非置換のフルオレン、または2~6個の非置換の5~7員環を有する縮合環系から選択され得、当該環は、(i)不飽和5~7員環の複素環、(2)5~6員の芳香族複素環、(3)不飽和5~7員環の非複素環、および(iv)6員環の芳香族非複素環を含む群から選択される。
【0185】
有機電子デバイスの一実施形態によれば、共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物、好ましくは、正孔注入層の共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物は、式(2)または式(3)の化合物を含み:
【0186】
【化26】
【0187】
式中、
、T、T、TおよびTは独立して、単結合、フェニレン、ビフェニレン、テルフェニレンまたはナフテニレンから選択され得、好ましくは、単結合またはフェニレンから選択され得;
は、置換もしくは非置換のフェニレン、ビフェニレン、テルフェニレンまたはナフテニレンから選択され;ここで、フェニレン上の置換基は、C~C18アリール、C~C18ヘテロアリール、フェニル、ビフェニル、カルバゾール、フェニルカルバゾールから選択され、好ましくはビフェニルまたは9-フェニルカルバゾールから選択され;
Ar、Ar、Ar、ArおよびArは独立して、非置換のC~C20アリール、もしくは非置換のC~C20ヘテロアリーレン、非置換のビフェニレン、非置換のフルオレン、置換の9-フルオレン、置換の9,9-フルオレン、非置換のナフタレン、非置換のアントラセン、非置換のフェナントレン、非置換のピレン、非置換のペリレン、非置換のトリフェニレン、非置換のテトラセン、非置換のテトラフェン、非置換のジベンゾフラン、非置換のジベンゾチオフェン、非置換のキサンテン、非置換のカルバゾール、置換の9-フェニルカルバゾール、非置換のアゼピン、非置換のジベンゾ[b,f]アゼピン、非置換の9,9’-スピロビ[フルオレン]、非置換のスピロ[フルオレン-9,9’-キサンテン]から選択され得る。
【0188】
ここで、Ar、Ar、Ar、ArおよびArの置換基は、定義が別途規定されていない場合、H、C(=O)R、CN、Si(R、P(=O)(R、OR、S(=O)R、S(=O)、1~20個の炭素原子を有する直鎖アルキル、1~20個の炭素原子を有する分岐アルキル、3~20個の炭素原子を有する環状アルキル、2~20個の炭素原子を有するアルケニル基またはアルキニル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基、C~C18アリール、C~C18ヘテロアリール、2~6個の非置換の5~7員環を含む縮合環系を含む群から選択され得、同一であるかまたは異なり、当該環は、不飽和5~7員環の複素環、5~6員の芳香族複素環、不飽和5~7員環の非複素環、および6員環の芳香族非複素環を含む群から選択される。
【0189】
それによって、式(2)または(3)の化合物は、大量生産に適した速度開始温度を有し得る。
【0190】
一実施形態によれば、T、T、T、T、およびT、またはT、T、およびTは独立して、単結合、フェニレン、ビフェニレンまたはテルフェニレンから選択され得る。一実施形態によれば、T、T、T、T、およびT、またはT、T、およびTは独立して、フェニレン、ビフェニレンまたはテルフェニレンから選択され得、T、T、T、TおよびTのうちの1つ、またはT、T、Tのうちの1つは、単結合である。一実施形態によれば、T、T、T、T、およびT、またはT、T、およびTは独立して、フェニレンまたはビフェニレンから選択され得、T、T、T、TおよびTのうちの1つ、またはT、T、Tのうちの1つは、単結合である。一実施形態によれば、T、T、T、T、およびT、またはT、T、およびTは独立して、フェニレンまたはビフェニレンから選択され得、T、T、T、TおよびTのうちの2つ、またはT、T、Tのうちの2つは、単結合である。
【0191】
一実施形態によれば、T、T、T、TおよびT、またはT、TおよびTは独立して、フェニレンから選択され得、T、T、T、TおよびTのうちの1つ、またはT、TおよびTのうちの1つは、単結合である。一実施形態によれば、T、T、T、TおよびT、またはT、TおよびTは独立して、フェニレンから選択され得、T、T、T、TおよびTのうちの2つ、またはT、TおよびTのうちの2つは、単結合である。
【0192】
一実施形態によれば、Tは、置換もしくは非置換のフェニレン、ビフェニレン、テルフェニレンまたはナフテニレンから選択され得;ここで、フェニレン上の置換基は、C~C18アリール、C~C18ヘテロアリール、フェニル、ビフェニル、カルバゾール、フェニルカルバゾールから選択され、好ましくはビフェニルまたは9-フェニルカルバゾールから選択される。一実施形態によれば、Tは、置換もしくは非置換のフェニレンであり得、フェニレン上の置換基は、C~C18アリール、C~C18ヘテロアリール、フェニル、ビフェニル、カルバゾール、フェニルカルバゾールから選択され、好ましくはビフェニルまたは9-フェニルカルバゾールから選択される。一実施形態によれば、Tは、ビフェニレンであり得る。一実施形態によれば、Tは、テルフェニレンであり得る。
【0193】
一実施形態によれば、Ar、Ar、Ar、ArおよびArは独立して、D1~D16から選択され得:
【0194】
【化27】
【0195】
アスタリスク「」は、結合位置を示す。
【0196】
一実施形態によれば、Ar、Ar、Ar、ArおよびArは独立して、D1~D15から選択され得;あるいは、D1~D10およびD13~D15から選択され得る。
【0197】
一実施形態によれば、Ar、Ar、Ar、ArおよびArは独立して、D1、D2、D5、D7、D9、D10、D13~D16からなる群から選択され得る。
【0198】
Ar、Ar、Ar、ArおよびArがこの範囲で選択される場合、速度開始温度は、大量生産に特に適した範囲にあり得る。
【0199】
「式(2)または式(3)のマトリックス化合物」は、「正孔輸送化合物」とも称され得る。
【0200】
一実施形態によれば、式(2)または式(3)のマトリックス化合物は、ヘテロ芳香族環を含む少なくとも≧1~≦6個の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系を含み得る。
【0201】
一実施形態によれば、式(2)または式(3)のマトリックス化合物は、ヘテロ芳香族環を含む少なくとも≧1~≦6個の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系、および少なくとも≧1~≦3個の置換もしくは非置換の不飽和5~7員環の複素環、好ましくは、ヘテロ芳香族環を含む≧2~≦5個の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系を含み得る。
【0202】
一実施形態によれば、式(2)または式(3)のマトリックス化合物は、ヘテロ芳香族環を含む少なくとも≧1~≦6個の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系、および少なくとも≧1~≦3個の置換もしくは非置換の不飽和5~7員環の複素環、好ましくは、ヘテロ芳香族環を含む≧2~≦5個の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系、および少なくとも≧1~≦3個の置換もしくは非置換の不飽和5~7員環の複素環、さらに好ましくは、ヘテロ芳香族環を含む3または4個の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系、および任意に少なくとも≧1~≦3個の置換もしくは非置換の不飽和5~7員環の複素環を含み得、そして、さらに好ましくは、ヘテロ芳香族環を含む芳香族縮合環系は、非置換であり、任意に少なくとも≧1~≦3個の非置換の不飽和5~7員環の複素環である。
【0203】
一実施形態によれば、式(2)または式(3)のマトリックス化合物は、少なくとも≧1~≦6個の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系、好ましくは≧2~≦5個の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系、さらに好ましくは3または4個の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系を含み得る。
【0204】
一実施形態によれば、式(2)または式(3)のマトリックス化合物は、少なくとも≧1~≦6個の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系、好ましくは≧2~≦5個の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系、さらに好ましくは3または4個の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系を含み得、当該芳香族縮合環系は、置換もしくは非置換のヘテロ芳香族環を含む。
【0205】
一実施形態によれば、式(2)または式(3)のマトリックス化合物は、少なくとも≧1~≦3個または2個の置換もしくは非置換の不飽和5~7員環の複素環を含み得る。
【0206】
一実施形態によれば、式(2)または式(3)のマトリックス化合物は、少なくとも≧1~≦3個または2個の置換もしくは非置換の不飽和7員環の複素環を含み得る。
【0207】
一実施形態によれば、式(2)または式(3)の共有結合性もしくは実質的に共有結合性のマトリックス化合物の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系は、少なくとも≧1~≦3個または2個の置換もしくは非置換の不飽和5~7員環の複素環を含み得る。
【0208】
一実施形態によれば、式(2)または式(3)の共有結合性もしくは実質的に共有結合性のマトリックス化合物の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系は、少なくとも≧1~≦3個または2個の置換もしくは非置換の不飽和7員環の複素環を含み得る。
【0209】
一実施形態によれば、式(2)または式(3)のマトリックス化合物は、少なくとも≧1~≦6個の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系、好ましくは≧2~≦5個の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系、さらに好ましくは3または4個の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系を含み得、当該芳香族縮合環系は、置換もしくは非置換の不飽和5~7員環の複素環を含む。
【0210】
一実施形態によれば、式(2)または式(3)のマトリックス化合物は、少なくとも≧1~≦6個の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系、好ましくは≧2~≦5個の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系、およびさらに好ましくは3または4個の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系を含み得、当該芳香族縮合環系は、置換もしくは非置換のヘテロ芳香族環を含み、当該芳香族縮合環系は、置換もしくは非置換の不飽和5~7員環の複素環を含む。
【0211】
一実施形態によれば、式(2)または式(3)のマトリックス化合物は、少なくとも≧1~≦6個の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系、好ましくは≧2~≦5個の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系、さらに好ましくは3または4個の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系を含み得、当該芳香族縮合環系は、少なくとも≧1~≦3個または2個の置換もしくは非置換の不飽和5~7員環の複素環を含む。
【0212】
一実施形態によれば、式(2)または式(3)のマトリックス化合物は、少なくとも≧1~≦6個の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系、好ましくは≧2~≦5個の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系、およびさらに好ましくは3または4個の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系を含み得、当該芳香族縮合環系は、置換もしくは非置換のヘテロ芳香族環を含み、前記芳香族縮合環系は、少なくとも≧1~≦3個または2個の置換もしくは非置換の不飽和5~7員環の複素環を含む。
【0213】
一実施形態によれば、式(2)または式(3)のマトリックス化合物は、下記を含み得る:
- 置換もしくは非置換の非ヘテロ芳香族環、置換もしくは非置換のヘテロ5員環、置換もしくは非置換の6員環および/または置換もしくは非置換の不飽和5~7員環の複素環を含む群から選択される、少なくとも≧2~≦6個、好ましくは≧3~≦5個、または4個の縮合芳香族環を有する置換もしくは非置換の芳香族縮合環系;または
- 非置換の非ヘテロ芳香族環、非置換のヘテロ5員環、非置換の6員環および/または非置換の不飽和5~7員環の複素環を含む群から選択される、少なくとも≧2~≦6個、好ましくは≧3~≦5個、または4個の縮合芳香族環を有する非置換の芳香族縮合環系。
【0214】
用語「芳香族縮合環系」は、少なくとも1つの芳香族環および少なくとも1つの置換もしくは非置換の不飽和5~7員環を含み得ることに留意されたい。ここで、置換もしくは非置換の不飽和5~7員環は、芳香族環でなくてもよいことに留意されたい。
【0215】
一実施形態によれば、式(2)または式(3)のマトリックス化合物は、少なくとも≧1~≦6個、好ましくは≧2~≦5個、またはさらに好ましくは3または4個の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系を含み得、当該芳香族縮合環系は下記を有する:
- 少なくとも1つの不飽和5員環、および/または
- 少なくとも1つの不飽和6員環、および/または
- 少なくとも1つの不飽和7員環;
ここで、好ましくは、少なくとも1つの不飽和5員環および/または少なくとも1つの不飽和7員環は、少なくとも1~3個、好ましくは1個のヘテロ原子を含む。
【0216】
一実施形態によれば、式(2)または式(3)のマトリックス化合物は、少なくとも≧1~≦6個、好ましくは≧2~≦5個、またはさらに好ましくは3もしくは4個の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系を含み得、当該芳香族縮合環系は下記を有し得る:
- 少なくとも1つの芳香族5員環、および/または
- 少なくとも1つの芳香族6員環、および/または
- 少なくとも1つの芳香族7員環;
ここで、好ましくは、少なくとも1つの芳香族5員環および/または少なくとも1つの芳香族7員環は、少なくとも1~3個、好ましくは1個のヘテロ原子を含み;
ここで、置換もしくは非置換の芳香族縮合環系は、少なくとも≧1~≦3個または2個の置換もしくは非置換の不飽和5~7員環の複素環を含む。
【0217】
一実施形態によれば、式(2)または式(3)のマトリックス化合物は、下記を含み得る:
- 少なくとも≧6~≦12個、好ましくは≧7~≦11個、さらに好ましくは≧8~≦10個または9個の芳香族環;および/または
- 少なくとも≧4~≦11個、好ましくは≧5~≦10個、さらに好ましくは≧6~≦9個、またはさらに好ましくは7または8個の非ヘテロ芳香族環(好ましくは、非ヘテロ芳香族環は芳香族C環);および/または
- 少なくとも≧1~≦4個、好ましくは2または3個の芳香族5員環、好ましくはヘテロ芳香族5員環;および/または
- 少なくとも1または2個の不飽和5~7員環の複素環、好ましくは少なくとも1または2個の不飽和7員環の複素環;
- 少なくとも≧6~≦12個、好ましくは≧7~≦11個、さらに好ましくは≧8~≦10個または9個の芳香族環であり、ここで、
少なくとも≧4~≦11個、好ましくは≧5~≦10個、さらに好ましくは≧6~≦9個、またはさらに好ましくは7もしくは8個は、非ヘテロ芳香族環であり、かつ
少なくとも≧1~≦4個、好ましくは2または3個の芳香族環は、ヘテロ芳香族環であり、
当該非ヘテロ芳香族環および当該ヘテロ芳香族環の総数は、12個を超えない、
芳香族環;および/または
- 少なくとも≧6~≦12個、好ましくは≧7~≦11個、さらに好ましくは≧8~≦10個または9個の芳香族環であり、ここで、
少なくとも≧4~≦11個、好ましくは≧5~≦10個、さらに好ましくは≧6~≦9個、またはさらに好ましくは7もしくは8個が非ヘテロ芳香族環であり、かつ
少なくとも≧1~≦4個、好ましくは2または3個の芳香族環は、ヘテロ芳香族環であり、
当該非ヘテロ芳香族環および当該ヘテロ芳香族環の総数は、12個を超えない、
芳香族環;かつ
式(II)または(III)による正孔輸送化合物または正孔輸送化合物は、少なくとも≧1~≦4、好ましくは2または3個の芳香族5員環、好ましくはヘテロ芳香族5員環を含み、および/または
式(II)または(III)による正孔輸送化合物または正孔輸送化合物は、少なくとも1または2個の不飽和5~7員環の複素環、好ましくは少なくとも1または2個の不飽和7員環の複素環を含む。
【0218】
一実施形態によれば、式(2)または式(3)のマトリックス化合物は、ヘテロ原子を含み得、前記ヘテロ原子は、O、S、N、BまたはPを含む群から選択され得、好ましくは、前記ヘテロ原子は、O、SまたはNを含む群から選択され得る。
【0219】
一実施形態によれば、式(2)または式(3)のマトリックス化合物は、少なくとも≧1~≦6個、好ましくは≧2~≦5個、またはさらに好ましくは3もしくは4個の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系を含み得、当該芳香族縮合環系は下記を有する:
- 少なくとも1つの芳香族5員環、および/または
- 少なくとも1つの芳香族6員環、および/または
- 少なくとも1つの芳香族7員環;
ここで、好ましくは、少なくとも1つの芳香族5員環および/または少なくとも1つの芳香族7員環は、少なくとも1~3個、好ましくは1個のヘテロ原子を含み;
ここで、置換もしくは非置換の芳香族縮合環系は、少なくとも≧1~≦3個または2個の置換もしくは非置換の不飽和5~7員環の複素環を任意に含み;かつ、置換もしくは非置換の芳香族縮合環系は、ヘテロ原子を含み、前記ヘテロ原子は、O、S、N、B、P、またはSiを含む群から選択され得、好ましくは、前記ヘテロ原子は、O、SまたはNを含む群から選択され得る。
【0220】
一実施形態によれば、式(2)または式(3)のマトリックス化合物は、芳香族環の一部ではないヘテロ原子および/または不飽和7員環の一部ではないヘテロ原子を含まなくてもよく、好ましくは、式(I)による正孔輸送化合物または正孔輸送化合物は、芳香族環の一部であるか、または不飽和7員環の一部であるN原子を除くN原子を含まなくてもよい。
【0221】
一実施形態によれば、正孔輸送化合物は、少なくとも1つのナフチル基、カルバゾール基、ジベンゾフラン基、ジベンゾチオフェン基および/または置換フルオレニル基を含み、ここで、置換基は独立して、メチル、フェニルまたはフルオレニルから選択される。
【0222】
電子デバイスの実施形態によれば、共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物は、F1~F19から選択される:
【0223】
【化28】



【0224】
F1~F18の化合物は、正孔注入層のマトリックス化合物として使用することが好ましい。化合物F19は、EBLにおいてマトリックス化合物として使用されてもよい。
【0225】
正孔注入層のマトリックス化合物は、HTM014、HTM081、HTM163、HTM222、EL-301、HTM226、HTM355、HTM133、HTM334、HTM604およびEL-22Tを含まなくてもよい。略語は、製造社名(例えば、MerckまたはLumtec)を示す。
【0226】
さらに好ましい実施形態によれば、共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物は、表2に示される式(T-1)~(T-6)を有する。
【0227】
【表2】

【0228】
別の態様によれば、少なくとも1つの半導体層は、さらに共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物を含み、少なくとも約≧0.1重量%~約≦50重量%、好ましくは約≧1重量%~約≦25重量%、より好ましくは約≧2重量%~約≦15重量%の共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物、好ましくは式(2)もしくは式(3)のものを含み得る。
【0229】
一実施形態によれば、半導体層は、陽極層と発光層との間に配置され、好ましくは、半導体層は、正孔輸送層または正孔注入層である。
【0230】
一実施形態によれば、半導体層は、陽極層と発光層との間に配置され、好ましくは、半導体層は、正孔輸送層または正孔注入層であり;好ましくは、少なくとも1つの半導体層は、陽極層上に配置され、より好ましくは、少なくとも1つの半導体層は、陽極と直接接触しており、半導体層は、好ましくは正孔注入層である。
【0231】
〔双極子モーメントおよび指向性双極子モーメント〕
N個の原子を含有する分子の双極子モーメント
【0232】
【数2】
【0233】
は次式によって与えられる:
【0234】
【数3】
【0235】
ここで
【0236】
【数4】
【0237】
は部分電荷であり、分子内の原子iの位置である。ここでいう指向性双極子モーメントとは、下記式
【0238】
【数5】
【0239】
で定義される、双極子ベクトル
【0240】
【数6】
【0241】
のx-成分を指す。
【0242】
指向性双極子モーメントおよび全双極子モーメントは半経験的分子軌道法によって決定される。気相における部分電荷および原子の位置は、プログラムパッケージTURBOMOLE V6.5に実装される6-31G基底系と共に混成汎関数B3LYPを使用して求めた。これにより、原点の中心は金属に結合するリガンドの原子に設定された。指向性双極子モーメントは水素を用いて計算される。すなわち、リガンドフラグメントラジカルは水素を用いて計算される。
【0243】
本発明によれば、指向性双極子モーメント、原点の中心は、配位性リンカーXに直接または間接的に結合するリガンドフラグメントYの原子に設定されている。配位性リンカーXは水素原子を介して置き換えられている。この水素原子とリガンドフラグメントYとの間の結合は、座標系のx軸に平行に配向しており、すなわち、指向性双極子モーメントはこの結合に沿った極性を示している。
【0244】
これは、指向性双極子モーメントの決定のための化合物G1(ビス(((Z)-3-(4-シアノ-3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-4-オキソペント-2-エン-2-イル)オキシ)銅)のリガンドフラグメントK6を示す図8を参照して、より詳細に例示される:
【0245】
【化29】
【0246】
配位性リンカーXは、リガンドフラグメントYの原点の中心まで水素(水素ラジカル)によって置き換えられている。X、Y、Z軸に沿ったリガンドフラグメントおよび水素の配向を示す。全体の双極子モーメントから見た指向性双極子モーメント
【0247】
【数7】
【0248】
の値が描かれている。
【0249】
〔さらなる層〕
本発明によれば、有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、上述の層に加えて、さらなる層を含んでもよい。それぞれの層の例示的な実施形態は、以下に記載される:
〔基板〕
基板は、電子デバイス、好ましくは有機エレクトロルミネッセンスデバイスまたはOLEDの製造において、一般的に使用される任意の基板であり得る。光が基板を通して放射される場合、基板は透明または半透明の材料、例えば、ガラス基板または透明プラスチック基板であるべきである。光が上面を通って放射される場合、基板は透明材料および非透明材料の両方、例えば、ガラス基板、プラスチック基板、金属基板、またはシリコン基板であり得る。
【0250】
〔陽極電極〕
陽極層とも呼ばれる陽極電極は、陽極電極を形成するために使用される材料を蒸着またはスパッタリングすることによって形成され得る。陽極電極を形成するために使用される材料は、正孔注入を容易にするために、高仕事関数材料であり得る。陽極材料はまた、低仕事関数材料(すなわち、アルミニウム)から選択され得る。陽極電極は、透明または反射電極であり得る。透明導電性酸化物、好ましくは酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、二酸化スズ(SnO2)、酸化アルミニウム亜鉛(AlZO)および酸化亜鉛(ZnO)は、陽極電極を形成するために使用され得る。陽極電極はまた、金属、典型的には銀(Ag)、金(Au)、または金属合金を使用して形成され得る。
【0251】
一実施形態によれば、陽極層は、AgもしくはAuを含むか、またはそれらからなる第1の陽極副層と、ITOもしくはIZOを含むか、またはそれらからなる第2の陽極副層と、任意にITOもしくはIZOを含むか、またはそれらからなる第3の陽極副層とを含み得る。好ましくは、第1の陽極副層は、Agを含むか、またはAgからなり得、第2の陽極副層は、ITOを含むか、またはITOからなり得、第3の陽極副層は、ITOを含むか、またはITOからなり得る。好ましくは、第2の陽極副層および第3の陽極副層における透明導電性酸化物は、同じものが選択され得る。
【0252】
一実施形態によれば、陽極層は、100~150nmの厚さを有するAgまたはAuを含む第1の陽極副層と、3~20nmの厚さを有するITOまたはIZOを含む第2の陽極副層と、3~20nmの厚さを有するITOまたはIZOを含む第3の陽極副層と、を含み得る。
【0253】
〔陽極副層〕
陽極層は、第1の陽極副層および第2の陽極副層を含み得、ここで、第1の陽極副層は、≧4eVおよび≦6eVの範囲の仕事関数を有する第1の金属を含み、第2の陽極副層は、透明導電性酸化物(TCO)を含む。
【0254】
一実施形態によれば、陽極層は、第1の陽極副層、第2の陽極副層、および任意に第3の陽極副層を含み、ここで、第1の陽極副層は、≧4eVおよび≦6eVの範囲で仕事関数を有する第1の金属を含み、第2の陽極副層は、透明導電性酸化物(TCO)を含み;ここで、正孔注入層は、第1の発光層と陽極層との間に配置され、第1の陽極副層は、基板のより近くに配置され、第2の陽極副層は、正孔注入層のより近くに配置される。
【0255】
〔第1の陽極副層〕
一実施形態によれば、第1の陽極副層の第1の金属は、≧4.2eVおよび≦6eVの範囲の仕事関数を有し得る。第1の金属は、金属または金属合金から選択され得る。
【0256】
一実施形態によれば、第1の陽極副層の第1の金属は、Ag、Mg、Al、Cr、Pt、Au、Pd、Ni、Nd、Ir、好ましくはAg、AuまたはAl、より好ましくはAgを含む群から選択され得る。
【0257】
第1の陽極副層は、5~200nm、あるいは8~180nm、あるいは8~150nm、あるいは100~150nmの範囲の厚さを有し得る。
【0258】
第1の陽極副層は、真空熱蒸発を介して第1の金属を蒸着させることによって形成され得る。
【0259】
第1の陽極層は、基板の一部ではないことを理解されたい。
【0260】
〔第2の陽極副層〕
一実施形態によれば、透明導電性酸化物は、インジウムスズ酸化物(ITO)またはインジウム亜鉛酸化物(IZO)、より好ましくはインジウムスズ酸化物(ITO)を含む群から選択され得、好ましくは、ITOまたはIZOであり得る。
【0261】
第1の陽極副層は、3~200nm、あるいは3~180nm、あるいは3~150nm、あるいは3~20nmの範囲の厚さを有し得る。
【0262】
第2の陽極副層は、透明導電性酸化物をスパッタリングすることによって形成され得る。
【0263】
〔第3の陽極副層〕
一実施形態によれば、有機エレクトロルミネッセンスデバイスの陽極層は、第1の陽極副層、第2の陽極副層および第3の陽極副層の少なくとも3つの陽極副層を含み得る。一実施形態によれば、有機エレクトロルミネッセンスデバイスの陽極層は、第1の陽極副層および第2の陽極副層に加えて、第3の陽極副層を含み得、第3の陽極副層は、透明導電性酸化物を含み、第3の陽極副層は、基板と第1の陽極副層との間に配置され得る。
【0264】
第3の陽極副層は、3~200nm、あるいは3~180nm、あるいは3~150nm、あるいは3~20nmの範囲の厚さを有することができる。
【0265】
第3の陽極副層は、透明導電性酸化物をスパッタリングすることによって形成され得る。
【0266】
第3の陽極層は、基板の一部ではないことを理解されたい。
【0267】
〔正孔注入層〕
正孔注入層(HIL)は、陽極電極上に、真空蒸着、スピンコーティング、印刷、キャスティング、スロット-ダイコーティング、Langmuir-Blodgett(LB)蒸着などによって形成され得る。HILが真空蒸着を使用して形成される場合には、蒸着条件は、HILを形成するために使用される化合物、ならびにHILの所望の構造および熱特性に従って変化し得る。しかし、通常、真空蒸着のための条件は、100℃~500℃の蒸着温度、10-8~10-3トール(1トールは133.322Paに等しい)の圧力、および0.1~10nm/秒の蒸着速度を含み得る。
【0268】
HILがスピンコーティングまたは印刷を用いて形成される場合には、コーティング条件は、HILを形成するために使用される化合物、ならびにHILの所望の構造および熱特性に従って変化し得る。例えば、コーティング条件は、約2000rpm~約5000rpmのコーティング速度、および約80℃~約200℃の熱処理温度を含み得る。コーティング後は、熱処理によって溶剤が除去される。
【0269】
HILは、HILを形成するために一般的に使用される任意の化合物で形成され得る。HILを形成するために使用され得る化合物の例には、フタロシアニン化合物、好ましくは銅フタロシアニン(CuPc)、4,4’,4’’-トリス(3-メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(m-MTDATA)、TDATA、2T-NATA、ポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸(Pani/DBSA)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4-スチレンスルホネート)(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/カンファースルホン酸(Pani/CSA)、およびポリアニリン/ポリ(4-スチレンスルホネート)(PANI/PSS)が含まれる。
【0270】
HILは、テトラフルオロ-テトラシアノキノンジメタン(F4TCNQ)、2,2’-(ペルフルオロナフタレン-2,6-ジイリデン)ジマロノニトリル、または2,2’,2’’-(シクロプロパン-1,2,3-トリイリデン)トリス(2-(p-シアノテトラフルオロフェニル)アセトニトリル)から選択され得るp-型ドーパントおよびp-型ドーパントを含み得るか、またはそれからなり得るが、これらに限定されない。HILは、p-型ドーパントでドープされた正孔輸送マトリックス化合物から選択され得る。公知のドープされた正孔輸送材料の典型的な例は、LUMO準位が約-5.2eVであるテトラフルオロ-テトラシアノキノンジメタン(F4TCNQ)でドープされた、HOMO準位が約-5.2eVである銅フタロシアニン(CuPc);F4TCNQでドープされた亜鉛フタロシアニン(ZnPc)(HOMO=-5.2eV);F4TCNQでドープされたα-NPD(N,N’-ビス(ナフタレン-1-イル)-N,N’-ビス(フェニル)-ベンジジン)である。2,2’-(ペルフルオロナフタレン-2,6-ジイリデン)ジマロノニトリルでドープされたα-NPD。p-型ドーパントの濃度は、1重量%から20重量%まで、より好ましくは3重量%から10重量%まで、から選択することができる。
【0271】
HILの厚さは、約1nmから約100nmの範囲内、例えば、約1nmから約25nmの範囲内とすることができる。HILの厚さがこの範囲内にある場合には、HILは、駆動電圧の実質的なペナルティなしに、優れた正孔注入特性を有することができる。
【0272】
有機電子デバイスの一実施形態によれば、正孔注入層は、本発明による金属化合物を含む第1の正孔注入副層と、共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物を含む第2の正孔注入副層と、を含み得る。
【0273】
有機電子デバイスの別の実施形態によれば、正孔注入層は、本発明による金属化合物を含む第1の正孔注入副層と、共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物を含む第2の正孔注入副層と、を含み得、第1の正孔注入副層は、第1の陽極副層および第2の陽極副層を含む陽極層のより近くに配置され、第2の正孔注入副層は、少なくとも1つの発光層のより近くに配置される。
【0274】
有機電子デバイスの一実施形態によれば、正孔注入層は、本発明による金属化合物を含む第1の正孔注入副層と、少なくとも1つのアリールアミン化合物、ジアリールアミン化合物、トリアリールアミン化合物を含むマトリックス化合物を含む第2の正孔注入副層と、を含み得、第1の正孔注入副層は、陽極層のより近くに配置され、第2の正孔注入副層は、少なくとも1つの発光層のより近くに配置される。
【0275】
有機電子デバイスの一実施形態によれば、正孔注入層は、本発明による金属化合物を含む第1の正孔注入副層と、少なくとも1つのアリールアミン化合物、ジアリールアミン化合物、トリアリールアミン化合物を含むマトリックス化合物を含む第2の正孔注入副層と、を含み得、第1の正孔注入副層は、第1の陽極副層および第2の陽極副層を含む陽極層のより近くに配置され、第2の正孔注入副層は、少なくとも1つの発光層のより近くに配置される。
【0276】
〔正孔輸送層(HTL)〕
正孔輸送層(HTL)は、真空蒸着、スピンコーティング、スロット-ダイコーティング、印刷、キャスティング、Langmuir-Blodgett(LB)蒸着などによって、HIL上に形成され得る。HTLが真空蒸着またはスピンコーティングによって形成される場合には、蒸着およびコーティングのための条件は、HILの形成のための条件と同様であり得る。しかし、真空または溶液蒸着のための条件は、HTLを形成するために使用される化合物に応じて変化し得る。
【0277】
一実施形態では、有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、正孔輸送層をさらに含み、正孔輸送層は、半導体層と少なくとも1つの光活性層との間に配置される。
【0278】
一実施形態では、正孔輸送層は、共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物を含む。
【0279】
一実施形態では、少なくとも1つの半導体層および正孔輸送層は、共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物を含み、共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物は、両方の層において同じものが選択される。
【0280】
HTLの厚さは、約5nm~約250nm、好ましくは約10nm~約200nm、さらに約20nm~約190nm、さらに約40nm~約180nm、さらに約60nm~約170nm、さらに約80nm~約160nm、さらに約100nm~約160nm、さらに約120nm~約140nmの範囲であり得る。
【0281】
HTLの厚さがこの範囲内である場合には、HTLは駆動電圧を大きく損なうことなく、優れた正孔輸送特性を有することができる。
【0282】
〔電子阻止層〕
電子阻止層(EBL)の機能は、電子が発光層から正孔輸送層に移動するのを防ぎ、それによって電子を発光層に閉じ込めることである。これにより、効率、動作電圧および/または寿命が改善され得る。典型的には、電子阻止層はトリアリールアミン化合物を含む。トリアリールアミン化合物は、正孔輸送層のLUMO準位よりも真空準位により近いLUMO準位を有し得る。電子阻止層は、正孔輸送層のHOMO準位と比較して、真空準位からさらに離れたHOMO準位を有し得る。電子阻止層の厚さは、2~20nmの間で選択され得る。
【0283】
電子阻止層が高い三重項準位を有する場合には、それはまた三重項制御層として記載され得る。三重項制御層の機能は、リン光緑色発光層またはリン光青色発光層が使用される場合に、三重項の消光を低減することである。これにより、リン光発光層からの発光効率を高めることができる。三重項制御層は、隣接する発光層におけるリン光発光体の三重項準位より高い三重項準位を有するトリアリールアミン化合物から選択される。三重項制御層に適した化合物、特にトリアリールアミン化合物は、EP2722908A1に記載されている。
【0284】
〔光活性層(PAL)〕
光活性層は、電流を光子に、または光子を電流に変換する。
【0285】
PALは、真空蒸着、スピンコーティング、スロット-ダイコーティング、印刷、キャスティング、LB蒸着などによってHTL上に形成され得る。PALが真空蒸着またはスピンコーティングを用いて形成される場合には、蒸着およびコーティングのための条件は、HILの形成のための条件と同様であり得る。しかし、蒸着およびコーティングのための条件は、PALを形成するために使用される化合物に応じて変化し得る。
【0286】
光活性層が、本発明の金属化合物を含まないことが提供され得る。
【0287】
〔発光層(EML)〕
EMLは、真空蒸着、スピンコーティング、スロット-ダイコーティング、印刷、キャスティング、LB蒸着などによってHTL上に形成され得る。EMLが真空蒸着またはスピンコーティングを用いて形成される場合には、蒸着およびコーティングのための条件は、HILの形成のための条件と同様であり得る。しかし、蒸着およびコーティングのための条件は、EMLを形成するために使用される化合物に応じて変化し得る。
【0288】
発光層は、本発明に記載の金属化合物を含まないことが提供され得る。
【0289】
発光層(EML)は、ホストドーパントと発光体ドーパントとの組み合わせで形成されてもよい。ホストの例は、Alq3,4,4’-N,N’-ジカルバゾール-ビフェニル(CBP)、ポリ(n-ビニルカルバゾール)(PVK)、9,10-ジ(ナフタレン-2-イル)アントラセン(ADN)、4,4’,4’’-トリス(カルバゾール-9-イル)-トリフェニルアミン(TCTA)、1,3,5-トリス(N-フェニルベンズイミダゾール-2-イル)ベンゼン(TPBI)、3-tert-ブチル-9,10-ジ-2-ナフチルアントラセン(TBADN)、ジスチリルアリーレン(DSA)およびビス(2-(2-ヒドロキシフェニル)ベンゾ-チアゾレート)亜鉛(Zn(BTZ)2)である。
【0290】
発光体ドーパントは、リン光発光体または蛍光発光体であり得る。リン光発光体および熱活性化遅延蛍光(TADF)機構を介して光を放出する発光体は、それらのより高い効率のために好ましい場合がある。発光体は、小分子またはポリマーであり得る。
【0291】
赤色発光体ドーパントの例は、PtOEP、Ir(piq)3、およびBtp2lr(acac)であるが、これらに限定されない。これらの化合物はリン光発光体であるが、蛍光赤色発光体ドーパントを使用することもできる。
【0292】
リン光緑色発光体ドーパントの例は、Ir(ppy)3(ppy=フェニルピリジン)、Ir(ppy)2(acac)、Ir(mpyp)3である。
【0293】
リン光青色発光体ドーパントの例は、F2Irpic、(F2ppy)2Ir(tmd)およびIr(dfppz)3ならびにter-フルオレンである。4.4’-ビス(4-ジフェニルアミオスチリル)ビフェニル(DPAVBi)、2,5,8,11-テトラ-tert-ブチルペリレン(TBPe)は、蛍光青色発光体ドーパントの例である。
【0294】
発光体ドーパントの量は、ホスト100重量部に対して、約0.01重量部から約50重量部までの範囲であり得る。あるいは、発光層は、発光ポリマーからなり得る。EMLは、約10nm~約100nm、例えば、約20nmから約60nmまでの厚さを有し得る。EMLの厚さがこの範囲内である場合には、EMLは駆動電圧の実質的なペナルティなしに、優れた発光を有し得る。
【0295】
〔正孔阻止層(HBL)〕
ETLへの正孔の拡散を防止するために、正孔阻止層(HBL)は、真空蒸着、スピンコーティング、スロット-ダイコーティング、印刷、キャスティング、LB蒸着などを用いることによって、EML上に形成され得る。EMLがリン光ドーパントを含む場合には、HBLはまた、三重項励起子阻止機能を有することができる。
【0296】
HBLはまた、補助ETLまたはa-ETLとも呼ばれ得る。
【0297】
HBLが真空蒸着またはスピンコーティングを用いて形成される場合には、蒸着およびコーティングのための条件は、HILの形成のための条件と同様であり得る。しかし、蒸着およびコーティングのための条件は、HBLを形成するために使用される化合物に応じて変化し得る。HBLを形成するために一般的に使用される任意の化合物を使用することができる。HBLを形成するための化合物の例としては、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体およびトリアジン誘導体が含まれる。
【0298】
HBLは、約5nmから約100nmまで、例えば、約10nmから約30nmまでの範囲の厚さを有し得る。HBLの厚さがこの範囲内である場合には、HBLは、駆動電圧が実質的に低下することなく、優れた正孔阻止特性を有することができる。
【0299】
〔電子輸送層(ETL)〕
本発明による有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、電子輸送層(ETL)をさらに含み得る。
【0300】
別の実施形態によれば、電子輸送層は、アジン化合物、好ましくはトリアジン化合物をさらに含み得る。
【0301】
一実施形態では、電子輸送層は、アルカリ有機錯体から選択されるドーパント、好ましくはLiQをさらに含み得る。
【0302】
ETLの厚さは、約15nmから約50nmまでの範囲、例えば、約20nmから約40nmまでの範囲であり得る。EILの厚さがこの範囲内である場合には、ETLは駆動電圧の実質的なペナルティなしに、満足のいく電子注入特性を有することができる。
【0303】
別の実施形態によれば、有機エレクトロルミネッセンスデバイスは正孔阻止層および電子輸送層をさらに含み得、正孔阻止層および電子輸送層はアジン化合物を含む。好ましくは、アジン化合物はトリアジン化合物である。
【0304】
〔電子注入層(EIL)〕
陰極からの電子の注入を容易にし得る任意のEILは、ETL上に、好ましくは直接電子輸送層上に、形成され得る。EILを形成するための材料の例としては、当技術分野で公知のリチウム8-ヒドロキシキノリノレート(LiQ)、LiF、NaCl、CsF、Li2O、BaO、Ca、Ba、Yb、Mgが含まれる。EILを形成するための蒸着およびコーティング条件は、HILの形成のためのものと同様であるが、蒸着およびコーティング条件はEILを形成するために使用される材料に応じて変動し得る。
【0305】
EILの厚さは、約0.1nmから約10nmまでの範囲、例えば、約0.5nmから約9nmまでの範囲であり得る。EILの厚さがこの範囲内である場合には、EILは駆動電圧の実質的なペナルティなしに、満足のいく電子注入特性を有することができる。
【0306】
〔陰極電極〕
陰極層とも呼ばれる陰極電極は、ETLまたは任意のEIL上に形成される。陰極電極は、金属、合金、導電性化合物、またはそれらの混合物から形成され得る。陰極電極は、低仕事関数を有し得る。例えば、前記陰極電極は、リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、アルミニウム(Al)-リチウム(Li)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、イッテルビウム(Yb)、マグネシウム(Mg)-インジウム(In)、マグネシウム(Mg)-銀(Ag)などから形成され得る。あるいは、陰極電極は、透明導電性酸化物、好ましくはITOまたはIZOから形成され得る。
【0307】
陰極電極の厚さは、約5nmから約1000nmの範囲、例えば、約10nmから約100nmまでの範囲であり得る。陰極電極の厚さが約5nmから約50nmまでの範囲である場合には、陰極電極は、金属または金属合金から形成されていても、透明または半透明であり得る。
【0308】
陰極電極は、電子注入層または電子輸送層の一部ではないことを理解されたい。
【0309】
〔有機エレクトロルミネッセンスデバイス(OLED)〕
本発明による有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、有機発光デバイスであってもよい。
【0310】
一態様によれば、基板、基板上に形成された陽極電極、本発明に記載の金属化合物を含む半導体層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層および陰極電極を備える有機エレクトロルミネッセンスデバイス(OLED)が提供される。
【0311】
別の態様によれば、基板;基板上に形成された陽極電極;本発明に記載の金属化合物、正孔輸送層、電子阻止層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層および陰極電極を含む半導体層;を備えるOLEDが提供される。
【0312】
別の態様によれば、基板;基板上に形成された陽極電極;本発明に記載の金属化合物、正孔輸送層、電子阻止層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層、および陰極電極を含む半導体層;を備えるOLEDが提供される。
【0313】
様々な実施形態によれば、上記の層の間、基板上または上部電極上に配置されたOLED層が提供され得る。
【0314】
一態様によれば、OLEDは、陽極電極に隣接配置される基板の層構造を含むことができ、陽極電極は第1の正孔注入層に隣接配置され、第1の正孔注入層は第1の正孔輸送層に隣接配置され、第1の正孔輸送層は第1の電子阻止層に隣接配置され、第1の電子阻止層は第1の発光層に隣接配置され、第1の発光層は第1の電子輸送層に隣接配置され、第1の電子輸送層はn型電荷発生層に隣接配置され、n型電荷発生層は正孔発生層に隣接配置され、正孔発生層は第2の正孔輸送層に隣接配置され、第2の正孔輸送層は第2の電子阻止層に隣接配置され、第2の電子阻止層は第2の発光層に隣接配置され、第2の発光層と陰極電極との間には任意の電子輸送層および/または任意の注入層が配置される。
【0315】
本発明による半導体層は、第1正孔注入層およびp型電荷発生層であってもよい。
【0316】
例えば、図7によるOLEDは、基板(110)上に、第1の陽極副層(121)および第2の陽極副層(122)を含む陽極層(120)と、正孔注入層(HIL)(130)とを備えるプロセスによって形成され得る。HIL(130)は陽極層(120)上に配置される。HIL(130)上には、続いて、正孔輸送層(HTL)(140)、電子阻止層(EBL)(145)、第1の発光層(EML)(150)、正孔阻止層(HBL)(155)、電子輸送層(ETL)(160)、および陰極層(190)がこの順に形成される。
【0317】
〔有機電子デバイス〕
本発明による有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、発光デバイスであってもよく、光電池であってもよく、好ましくは発光デバイスである。
【0318】
本発明はさらに、本発明による有機エレクトロルミネッセンスデバイスを含むディスプレイデバイスに関する。
【0319】
一実施形態によれば、有機電子デバイスは有機エレクトロルミネッセンスデバイスを含み、好ましくは、有機電子デバイスはディスプレイデバイスまたはエレクトロルミネッセンスデバイスである。
【0320】
別の態様によれば、有機電子デバイスを製造する方法が提供され、この方法は、以下を使用する:
-少なくとも1つの蒸着源、好ましくは2つの蒸着源、より好ましくは少なくとも3つの蒸着源。
【0321】
好適に使用できる蒸着方法は、以下を含む:
-真空熱蒸発による蒸着;
-溶液処理による蒸着、好ましくは、当該処理は、スピンコーティング、印刷、キャスティングから選択される;および/または
-スロット-ダイコーティング。
【0322】
様々な実施形態によれば、以下を使用する方法が提供される:
-本発明に従って本発明に記載の金属化合物を放出するための第1の蒸着源、および
-共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物を放出するための第2の蒸着源;
半導体層を形成する工程と、それによって有機エレクトロルミネッセンスデバイス(OLED)を形成する工程と、を含む方法:
-半導体層は、本発明に従って本発明に記載の金属化合物を第1の蒸着源から放出し、共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物を第2の蒸着源から放出することによって形成される。
【0323】
様々な実施形態によれば、本方法は、陽極電極上に、正孔輸送層の形成または正孔阻止層の形成からなる群から選択される少なくとも1つの層、および陽極電極と第1の電子輸送層との間の発光層、を形成することをさらに含み得る。
【0324】
様々な実施形態によれば、本方法は、有機エレクトロルミネッセンスデバイス(OLED)を形成するための工程をさらに含み得、
-基板上に陽極電極が形成され、
-陽極電極上に本発明に記載の金属化合物を含む半導体層が形成され、
-本発明に記載の金属化合物を含む半導体層上に正孔輸送層が形成され、
-正孔輸送層上に発光層が形成され、
-発光層上に電子輸送層が形成され、任意で発光層上に正孔阻止層が形成され、
-そして最後に、陰極電極が形成され、
-任意に正孔阻止層が第1の陽極電極と発光層との間にこの順で形成され、
-任意に電子注入層が電子輸送層と陰極電極との間に形成される。
【0325】
様々な実施形態によれば、OLEDは以下の層構造を有することができ、前記層は以下の順序を有する:
陽極、本発明に従って本発明に記載された金属化合物を含む半導体層、第1の正孔輸送層、第2の正孔輸送層、発光層、任意の正孔阻止層、電子輸送層、任意の電子注入層、および陰極。
【0326】
本発明の別の態様によれば、本出願全体を通じて記載されるいずれかの実施形態による少なくとも1つの有機発光デバイスを含む電子デバイスが提供され、好ましくは、電子デバイスは、本出願全体を通じて記載される実施形態の1つにおける有機エレクトロルミネッセンスデバイスを含む。より好ましくは、電子デバイスはディスプレイデバイスである。
【0327】
以下、実施例を参照して、実施形態をより詳細に説明する。ただし、本開示は以下の実施例に限定されるものではない。以下、例示的な態様を詳細に参照する。
【0328】
[図面の説明]
前述の構成要素、ならびに請求された構成要素および記載された実施形態において本発明に従って使用される構成要素は、それらのサイズ、形状、材料選択、および技術的概念に関していかなる特別な例外も受けず、その結果、関連分野において知られている選択基準を限定なしに適用することができる。
【0329】
本発明の目的のさらなる詳細、特性、および利点は、従属請求項、および例示的な様式で本発明による好ましい実施形態を示すそれぞれの図面の以下の説明において開示される。しかし、いかなる実施形態も必ずしも本発明の全範囲を表すものではなく、したがって、本発明の範囲を解釈するために、特許請求の範囲および本明細書を参照する。前述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方は、例示的かつ説明的なものにすぎず、特許請求の範囲に記載のさらなる説明を提供することを意図していることを理解されたい。
【0330】
図1図7
図1は、本発明の例示的な実施形態による有機電子デバイスの概略断面図である;
図2は、本発明の例示的な実施形態による有機電子デバイスの概略断面図である;
図3は、本発明の例示的な実施形態による有機電子デバイスの概略断面図である。
【0331】
図4は、本発明の例示的な実施形態による有機電子デバイスの概略断面図である;
図5は、本発明の例示的な実施形態による有機電子デバイスの概略断面図である;
図6は、本発明の例示的な実施形態による有機電子デバイスの概略断面図である;
図7は、本発明の例示的な実施形態による有機電子デバイスの概略断面図である。
【0332】
図8は、指向性双極子モーメントの決定のための、本発明の実施例(G1)のリガンドフラグメントK6の配向を示す。
【0333】
以下、図1~7について、実施例を参照してさらに詳細に説明する。ただし、本開示は以下の図面に限定されるものではない。
【0334】
本明細書では第1の要素が第2の要素の「上(on)」または「上(onto)」に形成されるか、または配置されると言及される場合には、第1の要素は第2の要素の上に直接配置され得るか、または1つ以上の他の要素がそれらの間に配置され得る。第1の要素が第2の要素の「上に直接(directly on)」または「上に直接(directly onto)」形成されるか、または配置されると言及される場合には、他の要素はそれらの間に配置されない。
【0335】
図1は、本発明の例示的な実施形態による有機電子デバイス(100)の概略断面図である。有機電子デバイス(100)は、基板(110)と、陽極層(120)と、正孔注入層(HIL)(130)とを含む。HIL(130)は、陽極層(120)上に配置される。HIL(130)上には、正孔輸送層(140)、第1の発光層(EML)(150)および陰極層(190)が配置される。
【0336】
図2は、本発明の例示的な実施形態による有機電子デバイス(100)の概略断面図である。有機電子デバイス(100)は、基板(110)と、第1の陽極副層(121)および第2の陽極副層(122)を含む陽極層(120)と、正孔注入層(HIL)(130)とを含む。HIL(130)は、第1の陽極副層(121)および第2の陽極副層(122)を含む陽極層(120)上に配置される。HIL(130)上には、正孔輸送層(140)、第1の発光層(EML)(150)、および陰極層(190)が配置される。
【0337】
図3は、本発明の例示的な実施形態による有機電子デバイス(100)の概略断面図である。有機電子デバイス(100)は、基板(110)と、第1の陽極副層(121)、第2の陽極副層(122)および第3の陽極副層(123)を含む陽極層(120)と、正孔注入層(HIL)(130)とを含む。HIL(130)は、陽極層(120)上に配置される。HIL(130)上には、正孔輸送層(140)、第1の発光層(EML)(150)、および陰極層(190)が配置される。
【0338】
図4は、本発明の例示的な実施形態による有機電子デバイス(100)の概略断面図である。有機電子デバイス(100)は、基板(110)と、第1の陽極副層(121)および第2の陽極副層(122)を含む陽極層(120)と、正孔注入層(HIL)(130)とを含む。HIL(130)は、陽極層(120)上に配置される。HIL(130)上には、正孔輸送層(HTL)(140)、第1の発光層(EML)(150)、正孔阻止層(HBL)(155)、電子輸送層(ETL)(160)、および陰極層(190)が配置される。
【0339】
図5は、本発明の例示的な実施形態による有機電子デバイス(100)の概略断面図である。有機電子デバイス(100)は、基板(110)と、第1の陽極副層(121)、第2の陽極副層(122)および第3の陽極副層(123)を含む陽極層(120)と、正孔注入層(HIL)(130)とを含む。HIL(130)は陽極層(120)上に配置される。HIL(130)上には、正孔輸送層(HTL)(140)、第1の発光層(EML)(150)、正孔阻止層(HBL)(155)、電子輸送層(ETL)(160)、および陰極層(190)が配置される。
【0340】
図6は、本発明の例示的な実施形態による有機電子デバイス(100)の概略断面図である。有機電子デバイス(100)は、基板(110)と、第1の陽極副層(121)、第2の陽極副層(122)および第3の陽極副層(123)を含む陽極層(120)と、正孔注入層(HIL)(130)とを含む。HIL(130)は陽極層(120)上に配置される。HIL(130)上には、正孔輸送層(HTL)(140)、電子阻止層(EBL)(145)、第1の発光層(EML)(150)、正孔阻止層(HBL)(155)、電子輸送層(ETL)(160)、および陰極層(190)が配置される。
【0341】
図7は、本発明の例示的な実施形態による有機電子デバイス(100)の概略断面図である。有機電子デバイス(100)は、基板(110)と、第1の陽極副層(121)、第2の陽極副層(122)および第3の陽極副層(123)を含む陽極層(120)と、正孔注入層(HIL)(130)とを含む。HIL(130)は陽極層(120)上に配置される。HIL(130)上には、正孔輸送層(HTL)(140)、電子阻止層(EBL)(145)、第1の発光層(EML)(150)、正孔阻止層(HBL)(155)、電子輸送層(ETL)(160)、電子注入層(180)および陰極層(190)が配置される。
【0342】
図8は、指向性双極子モーメントの決定のための、本発明の実施例G1(ビス(((Z)-3-(4-シアノ-3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-4-オキソペント-2-エン-2-イル)オキシ)銅)のリガンドフラグメントK6の配向を示す。配位性リンカーXは、リガンドフラグメントYの原点の中心まで水素(水素ラジカル)によって置き換えられている。X、YおよびZ軸に沿ったリガンドフラグメントおよび水素の配向を示す。全体の双極子モーメントから見た指向性双極子モーメント
【0343】
【数8】
【0344】
の値が表されている。
【0345】
図1図7には示されていないが、有機電子デバイス100を封止するために、陰極層190上にキャッピング層および/または封止層がさらに形成されてもよい。さらに、これに様々な他の修飾が施されてもよい。
【0346】
以下、実施例を参照して、実施形態をより詳細に説明する。ただし、本開示は以下の実施例に限定されるものではない。
【0347】
[詳細な説明]
本発明はさらに、以下の実施例によって説明されるが、これらの実施例は例示的なものに過ぎず、これに限定されない。
【0348】
化合物は、文献に記載されているように調製することができ、または代替化合物は、文献に記載されているように類似の化合物に応じて調製することができる。
【0349】
〔速度開始温度〕
速度開始温度(TRO)は、100mgの化合物をVTE源に投入することによって決定される。VTE源としては、Kurt J. Lesker Company(www.lesker.com)またはCreaPhys GmbH(http://www.creaphys.com)によって提供される有機材料用のポイント源が使用され得る。VTE源は10-5mbar未満の圧力で15K/分の一定速度で加熱され、前記源内部の温度を熱電対で測定する。化合物の蒸発はQCM検出器で検出し、検出器の水晶振動子への化合物の蒸着を検出する。水晶振動子への蒸着速度は、オングストローム/秒で測定する。速度開始温度を決定するために、蒸着速度をVTE源の温度に対してプロットする。速度開始温度は、QCM検出器への顕著な蒸着が発生する温度である。正確な結果を得るため、VTE源の加熱および冷却を3回行い、2回目と3回目の結果のみを使用して速度開始温度を決定する。
【0350】
有機化合物の蒸発速度を良好に制御するために、速度開始温度は200~255℃の範囲とすることができる。速度開始温度が200℃未満の場合には、蒸発が速すぎるため、制御が困難になる可能性がある。速度開始温度が255℃を超える場合には、蒸発速度が低すぎるためタクト時間が短くなり、高温に長時間曝されるためVTE源中の有機化合物の分解が起こる可能性がある。
【0351】
速度開始温度は、化合物の揮発性の間接的な尺度である。速度開始温度が高いほど、化合物の揮発性は低い。
【0352】
〔還元電位〕
還元電位は、電位デバイスMetrohm PGSTAT30およびソフトウェアMetrohm Autolab GPESを用いて、室温でサイクリックボルタンメトリーによって測定した。特定の化合物に与えられた酸化還元電位は、アルゴン脱気した、試験溶液の乾燥0.1MのTHF溶液中で、アルゴン雰囲気下、白金作用電極間に0.1Mのテトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート支持電解質を用いて、および塩化銀で覆われた銀線で構成され測定溶液に直接浸漬されたAg/AgCl擬似標準電極(Metrohm Silver rod electrode)を用いて、スキャン速度100mV/sで測定した。最初の実行は、作用電極に設定された電位の最も広い範囲で行い、その後の実行で範囲を適切に調整した。最後の3回の実行は、標準物質としてフェロセン(0.1M濃度)を添加して行った。研究対象化合物の陰極および陽極のピークに対応する電位の平均から、標準Fc/Fc酸化還元カップルで観測された陰極および陽極の電位の平均を差し引いた後、最終的に上記の値を得た。全ての研究化合物ならびに報告された比較化合物は、明確に定義された可逆的な電気化学的挙動を示した。
【0353】
〔HOMOおよびLUMOの計算値〕
HOMOおよびLUMOは、プログラムパッケージTURBOMOLE V6.5(TURBOMOLE GmbH、Litzenhardtstrasse 19、76135 Karlsruhe、ドイツ)を用いて計算される。分子構造の最適化された形状ならびにHOMOエネルギー準位およびLUMOエネルギー準位は、気相中に6-31G基底関数系と共にハイブリッド機能B3LYPを適用することによって決定される。2つ以上のコンホメーションが実行可能である場合には、最も低い総エネルギーを有するコンホメーションが選択される。HOMO準位およびLUMO準位は、電子ボルト(eV)で記録される。
【0354】
〔正孔注入層および/または正孔輸送層中のマトリックス化合物〕
表2にマトリックス化合物のHOMO準位および速度開始温度TROを示す。HOMO準位は、気相において6-31G基底関数系と共に混成汎関数B3LYPを適用し、TURBOMOLE V6.5(TURBOMOLE GmbH,Litzenhardtstrasse 19,76135 Karlsruhe,ドイツ)を使用して計算した。
【0355】
【表3】

【0356】
表3からわかるように、マトリックス化合物は、有機電子デバイスの大量生産に適した速度開始温度を有している。
【0357】
〔実験データ〕
4-(2,4-ジオキソペンタン-3-イル)-2,6-ビス(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル(リガンド)の合成
28.6g(87.7mmol)の炭酸セシウムを100mLの乾燥DMFに不活性条件下で懸濁させた。4.5mL(43.9mmol)のアセチルアセトンおよび10g(36.6mmol)の4-クロロ-2,6-ビス(トリフルオロメチル)ベンゾニトリルを室温で加えた。混合物を60℃に20時間加熱した。固体を濾別し、酢酸エチルで洗浄した。母液を250mLの2N塩酸に加えた。相分離後、水層を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層を食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、減圧下で溶媒を除去した。粗生成物をメタノール/水、および酢酸エチル/ヘキサンでスラリー洗浄し、8.7g(収率71%)の生成物をオフホワイトの結晶性固体として得た。
【0358】
【化30】
【0359】
ビス(((Z)-3-(4-シアノ-3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-4-オキソペント-2-エン-2-イル)オキシ)銅の合成
4-(2,4-ジオキソペンタン-3-イル)-2,6-ビス(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル3.0g(8.9mmol)をアセトニトリル20mlに溶解させ、酢酸銅(II)一水和物0.89g(4.45mmol)を加えた。混合物を室温で1時間撹拌した。30mlの水を加え、沈殿物を濾別し、水およびヘキサンで洗浄し、高真空で乾燥した。3.15g(96%)の生成物が灰紫色粉末として得られた。
【0360】
【化31】
【0361】
〔OLEDの製造のための一般的手順〕
表2による実施例1および実施例2および比較例1については、120nmAgの第1の陽極副層、8nmのITOの第2の陽極副層および10nmのITOの第3の陽極副層を含む陽極層を有するガラス基板を、50mm×50mm×0.7mmのサイズに切断し、水で60分間超音波洗浄し、次いでイソプロパノールで20分間洗浄した。窒素気流中で液膜を除去した後、表3を参照してプラズマ処理を行い、陽極層を作製した。プラズマ処理は、97.6体積%の窒素および2.4体積%の酸素を含む雰囲気中で行った。
【0362】
次に、実質的に共有結合性のマトリックス化合物としてN-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-9,9-ジメチル-N-(4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル)-9H-フルオレン-2-アミン(F3)と、本発明による金属化合物(ビス(((Z)-3-(4-シアノ-3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-4-オキソペント-2-エン-2-イル)オキシ)銅または比較例としてLa(FOD)3など)とを陽極層上に真空中で共蒸着させて、10nmの厚さを有する正孔注入層(HIL)を形成した。HILの組成を表3に示す。
【0363】
【化32】
【0364】
次に、実質的に共有結合性のマトリックス化合物(N-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-9,9-ジメチル-N-(4-(9-フェニル9H-カルバゾール-3-イル)フェニル)-9H-フルオレン-2-アミンをHIL上に真空蒸着させて、128nmの厚さを有するHTLを形成した。HTLにおける実質的に共有結合性のマトリックス化合物の式は、HILにおいて使用した実質的に共有結合性のマトリックス化合物と同一であった。
【0365】
次に、N-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-9,9-ジフェニル-N-(4-(トリフェニルシリル)フェニル)-9H-フルオレン-2-アミン(CAS 1613079-70-1)(F19)をHTL上に真空蒸着させて、5nmの厚さを有する電子阻止層(EBL)を形成した。
【0366】
【化33】
【0367】
次いで、EMLホストとしての97体積%H09(Sun Fine Chemicals、韓国)および蛍光青色発光ドーパントとしての3体積%BD200(Sun Fine Chemicals、韓国)をEBL上に蒸着させて、20nmの厚さを有する青色発光第1発光層(EML)を形成した。
【0368】
次に、2-(3’-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジンを発光層EML上に蒸着することによって、5nmの厚さを有する正孔阻止層を形成した。
【0369】
次に、50重量%の4’-(4-(4-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)フェニル)ナフタレン-1-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4-カルボニトリルおよび50重量%のLiQを蒸着することによって、正孔阻止層上に31nmの厚さを有する電子輸送層を形成した。
【0370】
次に、イッテルビウムを10-7mbarで0.01~1A/sの速度で蒸発させ、電子輸送層上に2nmの厚さを有する電子注入層を形成した。
【0371】
次いで、Ag:Mg(90:10体積%)を、10-7mbarで、0.01~1A/sの速度で蒸発させて、電子注入層上に100nmの厚さを有する陰極層を形成した。
【0372】
次に、N-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-9,9-ジメチル-N-(4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル)-9H-フルオレン-2-アミン(F3)を陰極層上に蒸着させて、75nmの厚さを有するキャッピング層を形成した。
【0373】
OLEDスタックは、ガラススライドでデバイスを封入することによって周囲条件から保護される。それによって、さらなる保護のためのゲッター材料を含むキャビティが形成される。
【0374】
従来技術と比較して本発明の実施例の性能を評価するために、電流効率を20℃で測定する。電流-電圧特性は、Keithley 2635 source measure unitを使用して、動作電圧UをVで供給し、被試験デバイスを流れるmAの電流を測定することによって決定される。デバイスに印加される電圧は、0V~10Vの範囲で0.1Vの工程で変化する。同様に、輝度-電圧特性およびCIE座標は、それぞれの電圧値について、Instrument Systems CAS-140CTアレイ分光計(Deutsche Akkreditierungsstelle(DAkkS)によって較正された)を使用して、cd/m単位で輝度を測定することによって決定される。
【0375】
デバイスの寿命LTは、周囲条件(20℃)および30mA/cmで、Keithley 2400 source meterを使用して測定し、時間単位で記録する。デバイスの輝度は、較正されたフォトダイオードを用いて測定する。寿命LTは、デバイスの輝度がその初期値の97%に低下するまでの時間として定義される。
【0376】
時間U(100h)-(1h)にわたる電圧安定性を決定するために、30mA/cmの電流をデバイスに印加した。1時間後および100時間後に動作電圧を測定し、その後、1時間~100時間の期間の電圧安定性を計算した。
【0377】
〔発明の技術的効果〕
使用できる好適な金属錯体は、G1~G3から選択できる:
【0378】
【化34】
【0379】
表3に技術的効果を示す:
【0380】
【表4】

【0381】
本発明による金属化合物、好ましくは式(I)による金属化合物を含む半導体層では、動作電圧の上昇が実質的に低減され、寿命が実質的に増大し、電流効率が当技術の状態と比較して実質的に増大する。
【0382】
経時的な動作電圧の上昇を抑えることは、電子デバイスの安定性を向上させるために有益であり得る。
【0383】
寿命の増加は、電子デバイスの安定性を向上させるために有益であり得る。
【0384】
高効率は、特にモバイルデバイスにおいて、消費電力の削減とバッテリー寿命の向上に有益であり得る。
【0385】
前述の詳細な実施形態における要素および特徴の特定の組み合わせは例示的なものに過ぎず、これらの教示を、この教示と、参照によって組み込まれる特許/出願とにおける他の教示と交換し、置き換えることも、明示的に企図される。当業者が認識するように、本明細書に記載される変形、修正、および他の実装形態は、特許請求される本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、一般的な当業者に想起され得る。したがって、前述の説明は単なる例であり、限定することを意図するものではない。特許請求の範囲において、用語「含む(comprising)」は他の要素または工程を除外せず、不定冠詞「a」または「an」は複数を除外しない。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用され得ないことを示すものではない。本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲およびその均等物において定義される。さらに、説明および特許請求の範囲で使用される参照符号は、特許請求される本発明の範囲を限定しない。
【図面の簡単な説明】
【0386】
図1図1は、本発明の例示的な実施形態による有機電子デバイスの概略断面図である。
図2図2は、本発明の例示的な実施形態による有機電子デバイスの概略断面図である。
図3図3は、本発明の例示的な実施形態による有機電子デバイスの概略断面図である。
図4図4は、本発明の例示的な実施形態による有機電子デバイスの概略断面図である。
図5図5は、本発明の例示的な実施形態による有機電子デバイスの概略断面図である。
図6図6は、本発明の例示的な実施形態による有機電子デバイスの概略断面図である。
図7図7は、本発明の例示的な実施形態による有機電子デバイスの概略断面図である。
図8図8は、指向性双極子モーメントの決定のための、本発明の実施例(G1)のリガンドフラグメントK6の配向を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-12-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板、陽極層および陰極層、少なくとも1つの発光層、ならびに少なくとも1つ以上の半導体層を含み、
前記少なくとも1つの半導体層は、少なくとも1つの金属化合物を含み、
前記金属化合物は、金属Mおよび少なくとも1つのリガンドLを含むか、または前記金属化合物は、式(I)を有し:
【化1】

式中、
Mは金属イオンであり;
pはMの価数であり;
wはpであり
Lはリガンドであり;
ここで、前記金属化合物は、以下を含み、
-金属M、および
-少なくとも1つのリガンドL、ここで、前記少なくとも1つのリガンドLは、少なくとも1つの配位性リンカーXおよび少なくとも1つのリガンドフラグメントYを含み、
前記配位性リンカーXおよび前記少なくとも1つのリガンドフラグメントYは、少なくとも1つの結合によって互いに結合されており、
-前記配位性リンカーXは、式(IIa)から選択され
【化2】

式中、
mおよびnは、独立して、0または1から選択され;
Zは、CR、O、Nを含む群から選択され;
かつ、
およびAは、独立して、C=O、C-O、C=NR、C-NR、SO、SO、またはP(=O)Rを含む群から選択され;
およびAは共に、任意にZと環を形成し;
、R、RおよびRは、独立して、H、D、CN、置換もしくは非置換のC~C24アリール、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロアリール、置換もしくは非置換のC~C24アルキル、置換もしくは非置換のC~C24カルボシクリル、または置換もしくは非置換のC~C24ヘテロシクリル、リガンドフラグメントYから選択され、
前記置換基は、電子吸引性基、ハロゲン、F、Cl、CN、ペルフルオロ化C~Cアルキル、ペルフルオロ化C~C12アリール、またはC~C12ヘテロアリールを含む群から選択され;
-前記少なくとも1つのリガンドフラグメントYは、独立して、置換もしくは非置換のC~C24アリール、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロアリール、置換もしくは非置換のC~C24アルキル、置換もしくは非置換のC~C24カルボシクリル、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロシクリル、ペルフルオロ化C~Cアルキル、3位の置換C~C24アリール、4位の置換C~C24アリール、置換4-ピリジル、または置換5-ピリミジルから選択され、
前記少なくとも1つのリガンドフラグメントYは、-3.6デバイ未満の指向性双極子モーメントを有し、前記少なくとも1つのリガンドLは負に荷電しており;
前記陽極層は、第1の陽極副層および第2の陽極副層を含み、
-前記第1の陽極副層は、≧4および≦6eVの範囲の仕事関数を有する第1の金属を含み、かつ
-前記第2の陽極副層は、透明導電性酸化物(TCO)を含み;かつ
前記少なくとも1つの半導体層は、前記第1の発光層と前記陽極層との間に配置され、
-前記第1の陽極副層は、前記基板により近い位置に配置され、かつ
-前記第2の陽極副層は、前記少なくとも1つの半導体層により近い位置に配置され;
以下のリガンドフラグメントYは除外される、有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【化3】
【請求項2】
前記有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、基板、陽極層および陰極層、少なくとも1つの発光層、ならびに少なくとも1つ以上の半導体層を含み、
前記少なくとも1つ以上の半導体層は、正孔注入層、または正孔注入層および正孔輸送層を含み、前記正孔注入層、または正孔注入層および正孔輸送層は、少なくとも1つの金属化合物を含み、前記金属化合物は、金属Mおよび少なくとも1つのリガンドLを含むか、または前記金属化合物は、式(I)を有し:
【化4】

式中、
Mは金属イオンであり;
pはMの価数であり;
wはpであり
Lはリガンドであり;
ここで、前記金属化合物は、以下を含み、
-金属M、および
-少なくとも1つのリガンドL、ここで、前記少なくとも1つのリガンドLは、配位性リンカーXおよび少なくとも1つのリガンドフラグメントYを含み、
前記配位性リンカーXおよび前記少なくとも1つのリガンドフラグメントYは、少なくとも1つの結合によって互いに結合されており、
-前記配位性リンカーXは、式(IIa)から選択され
【化5】

式中、
mおよびnは、独立して、0または1から選択され;
Zは、CR、O、Nを含む群から選択され;
かつ、
およびAは、独立して、C=O、C-O、C=NR、C-NR、SO、SO、またはP(=O)Rを含む群から選択され;
およびAは共に、任意にZと環を形成し;
、R、RおよびRは、独立して、H、D、CN、置換もしくは非置換のC~C24アリール、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロアリール、置換もしくは非置換のC~C24アルキル、置換もしくは非置換のC~C24カルボシクリル、または置換もしくは非置換のC~C24ヘテロシクリル、リガンドフラグメントYから選択され、
前記置換基は、電子吸引性基、ハロゲン、F、Cl、CN、ペルフルオロ化C~Cアルキル、ペルフルオロ化C~C12アリール、またはC~C12ヘテロアリールを含む群から選択され;および/または
-前記少なくとも1つのリガンドフラグメントYは、独立して、置換もしくは非置換のC~C24アリール、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロアリール、置換もしくは非置換のC~C24アルキル、置換もしくは非置換のC~C24カルボシクリル、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロシクリル、ペルフルオロ化C~Cアルキル、3位の置換C~C24アリール、4位の置換C~C24アリール、置換4-ピリジル、または置換5-ピリミジルから選択され
記置換基は、電子吸引性基、ハロゲン、F、Cl、および/またはCNを含む群から選択され;かつ
前記少なくとも1つのリガンドフラグメントYは、-3.6デバイ未満の指向性双極子モーメントを有し、前記少なくとも1つのリガンドLは負に荷電しており;
前記陽極層は、第1の陽極副層および第2の陽極副層を含み、
-前記第1の陽極副層は、≧4および≦6eVの範囲の仕事関数を有する第1の金属を含み、かつ
-前記第2の陽極副層は、透明導電性酸化物(TCO)を含み;かつ
前記正孔注入層は、前記第1の発光層と前記陽極層との間に配置され、
-前記第1の陽極副層は、前記基板により近い位置に配置され、かつ
-前記第2の陽極副層は、前記正孔注入層により近い位置に配置され;
以下のリガンドフラグメントYは除外される、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【化6】
【請求項3】
前記リガンドフラグメントYは、置換C~C24アリールまたは置換C~C24ヘテロアリール、ペルフルオロ化C~Cアルキル、3位の置換C~C24アリール、4位の置換C~C24アリール、置換4-ピリジル、または置換5-ピリミジルであり、前記置換基は、ハロゲン、F、Cl、および/またはCNを含む群から選択される、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項4】
前記リガンドフラグメントYは、≦-4.0デバイ、≦-4.2デバイ、≦-4.4デバイ、≦-4.6デバイ、≦-4.8デバイ、≦-5.0デバイ、≦-5.1デバイ、≦-5.2デバイ、≦-5.3デバイ、≦-5.4デバイ、≦-5.5デバイ、≦-5.6デバイ、≦-5.7デバイ、または≦-5.8デバイの群から選択される指向性双極子モーメントを有する、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項5】
前記リガンドフラグメントYは、式(IV)で表され、
【化7】

式中、
qは0、1、2から選択され;
Arは、置換もしくは非置換のフェニル、置換もしくは非置換のナフチル、または置換もしくは非置換のアントラセニルから選択され;
は、NまたはCR’から選択され;
は、NまたはCR’’から選択され;
は、NまたはCR’’’から選択され;かつ
R’、R’’およびR’’’は、独立して、H、D、電子吸引性基、F、ペルフルオロ化C~C24アルキル、C、CN、SCN、OCF、-NOまたは-SFから選択される、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項6】
前記リガンドフラグメントYは、式(IV)で表され、
【化8】

式中、
qは0、1、2から選択され;
Arは、非置換フェニル、非置換ナフチル、または非置換アントラセニルから選択され;
は、NまたはCR’から選択され;
は、NまたはCR’’から選択され;
は、NまたはCR’’’から選択され;かつ
R’、R’’およびR’’’は、独立して、H、D、電子吸引性基、F、ペルフルオロ化C~C24アルキルCF、CN、SCN、OCF、-NOまたは-SFから選択される、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項7】
前記リガンドフラグメントYは、式(IV)で表され、
【化9】

式中、
qは0、1、2から選択され;
Arは、非置換フェニル、非置換ナフチル、または非置換アントラセニルから選択され;
は、NまたはCR’から選択され;
は、NまたはCR’’から選択され;
は、NまたはCR’’’から選択され;かつ
R’、R’’およびR’’’は、独立して、H、D、電子吸引性基、F、ペルフルオロ化C~C24アルキルCF、CN、SCN、OCF、-NOまたは-SFから選択され;
、UおよびUのうちの多くとも2つはNであるか、またはU、UおよびUがそれぞれCR’、CR’’、およびCR’’’である場合には、R’、R’’、R’’’のうちの少なくとも1つは電子吸引性基である、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項8】
前記リガンドフラグメントYは、群D1~D11から選択される、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス
【化10】
【請求項9】
前記配位性リンカーXは、式(IIa)から選択され、
【化11】

式中、
mおよびnは、独立して0または1から選択され;
Zは、CR、O、Nを含む群から選択され;かつ
およびAは、独立して、C=O、C-O、SOまたはSOを含む群から選択され;
は、独立して、H、D、置換もしくは非置換のC~C24アリール、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロアリール、置換もしくは非置換のC~C24アルキル、リガンドフラグメントYから選択され;
ここで、AおよびAは共に、任意にZと環を形成する、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項10】
前記配位性リンカーXは、式(IIa)から選択され、
【化12】

式中、
mおよびnは1であり;
Zは、CR、Nを含む群から選択され;かつ
およびAは、独立して、C=O、C-OまたはSOを含む群から選択され;
は、独立して、H、D、置換もしくは非置換のC~C24アリール、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロアリール、置換もしくは非置換のC~C24アルキル、リガンドフラグメントYから選択され;
およびAは共に、任意にZと環を形成する、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項11】
前記金属Mは、Li、Na、K、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、In、Bi、Sc、Ti、Zr、Hf、V、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Ru、Co Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、La、Ce、EuまたはYbを含む群から選択される、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項12】
前記少なくとも1つの配位性リンカーXは、式(IIb)で表され:
【化13】

式中、
Zは、CR、Nから選択され;
およびAは、独立して、C=O、C-O、またはSOから選択され、AおよびAは共に、任意にZと環を形成し;
は、H、D、CN、置換もしくは非置換のC~C24アリール、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロアリール、置換もしくは非置換のC~C24アルキル、置換もしくは非置換のC~C24カルボシクリル、または置換もしくは非置換のC~C24ヘテロシクリル、リガンドフラグメントYから選択され;
およびRは、独立して、置換もしくは非置換のC~C24アリール、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロアリール、置換もしくは非置換のC~C24アルキル、置換もしくは非置換のC~C24カルボシクリル、または置換もしくは非置換のC~C24ヘテロシクリル、リガンドフラグメントYから選択され、
前記置換基は、電子吸引性基、ハロゲン、F、Cl、CN、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC~Cアルキル、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC~C12アリール、または部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC~C12ヘテロアリールを含む群から選択され;
、RおよびRの少なくとも1つは、リガンドフラグメントYを含み;
前記少なくとも1つのリガンドフラグメントYの少なくとも1つは、独立して、置換C~C24アリール、または非置換もしくは置換のC~C24ヘテロアリールから選択され、前記少なくとも1つのリガンドフラグメントYの少なくとも1つは、-3.6デバイ未満の指向性双極子モーメントを有し、前記少なくとも1つのリガンドLは負に荷電している、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項13】
およびRは、独立して、置換もしくは非置換のC~C24アリール、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロアリール、置換もしくは非置換のC~C24アルキル、リガンドフラグメントYから選択される、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項14】
前記少なくとも1つのリガンドLは、式(III)で表され:
【化14】

式中、
は、H、D、CN、置換もしくは非置換のC~C24アリール、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロアリール、置換もしくは非置換のC~C24アルキル、置換もしくは非置換のC~C24カルボシクリル、または置換もしくは非置換のC~C24ヘテロシクリル、リガンドフラグメントYから選択され;
およびRは、独立して、置換もしくは非置換のC~C24アリール、置換もしくは非置換のC~C24ヘテロアリール、置換もしくは非置換のC~C24アルキル、置換もしくは非置換のC~C24カルボシクリル、または置換もしくは非置換のC~C24ヘテロシクリル、リガンドフラグメントYから選択され、
前記置換基は、電子吸引性基、ハロゲン、F、Cl、CN、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC~Cアルキル、ペルフルオロ化されたC~C12アリール、または部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC~C12ヘテロアリールを含む群から選択され;
、RおよびRの少なくとも1つは、リガンドフラグメントYを含み;
前記少なくとも1つのリガンドフラグメントYの少なくとも1つは、独立して、置換C~C24アリール、または非置換もしくは置換のC~C24ヘテロアリールから選択され、前記少なくとも1つのリガンドフラグメントYの少なくとも1つは、-3.6デバイ未満の指向性双極子モーメントを有し、前記少なくとも1つのリガンドLは負に荷電している、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項15】
は、前記リガンドフラグメントYを含む、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項16】
前記半導体層は、前記陽極層と前記発光層との間に配置される、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項17】
前記半導体層は、前記陽極と直接接触している、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項18】
前記半導体層は、正孔輸送層または正孔注入層を含む群から選択される、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項19】
前記半導体層は、少なくとも1つのマトリックス化合物を含み、前記少なくとも1つのマトリックス化合物は、非ポリマー化合物、共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物を含む群から選択される、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項20】
前記有機電子デバイスは、有機発光ダイオード、表示デバイスまたはエレクトロルミネッセンスデバイスを含む群から選択される、請求項1に記載の有機電子デバイス。
【国際調査報告】