(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】官能化されたN-アセチルガラクトサミンヌクレオシド
(51)【国際特許分類】
C07H 19/073 20060101AFI20240621BHJP
C07H 19/14 20060101ALI20240621BHJP
C07H 21/04 20060101ALI20240621BHJP
C07H 1/02 20060101ALI20240621BHJP
A61K 47/54 20170101ALN20240621BHJP
A61P 1/16 20060101ALN20240621BHJP
A61K 31/7072 20060101ALN20240621BHJP
A61K 31/7064 20060101ALN20240621BHJP
C12N 15/11 20060101ALN20240621BHJP
【FI】
C07H19/073
C07H19/14 CSP
C07H21/04 Z
C07H1/02
A61K47/54
A61P1/16
A61K31/7072
A61K31/7064
C12N15/11 Z ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575913
(86)(22)【出願日】2022-06-16
(85)【翻訳文提出日】2024-02-05
(86)【国際出願番号】 US2022033781
(87)【国際公開番号】W WO2022266316
(87)【国際公開日】2022-12-22
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523460578
【氏名又は名称】ホンジーン バイオテック コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】グアン, シャオヤン
(72)【発明者】
【氏名】ユー, デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ゾウ, ルイミン
(72)【発明者】
【氏名】ジェン, シャオリン
(72)【発明者】
【氏名】リウ, ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ラウ, アルドリッチ エヌ.ケー.
(72)【発明者】
【氏名】プーン, ウィング シー.
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ, ガン
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ, ゲンユー
(72)【発明者】
【氏名】ヤオ, ユン-チャオ
【テーマコード(参考)】
4C057
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C057AA22
4C057BB02
4C057BB05
4C057DD03
4C057LL16
4C057LL19
4C057LL26
4C057LL42
4C057MM05
4C076AA95
4C076CC16
4C076CC41
4C076EE59
4C086AA03
4C086EA16
4C086EA17
4C086NA13
4C086ZA75
(57)【要約】
本出願の実施形態は、N-アセチルガラクトサミンとコンジュゲートしたヌクレオシドに関する。特に、N-アセチルガラクトサミンは、多種多様なリンカーを通してヌクレオシドの核酸塩基上に導入される。N-アセチルガラクトサミンとコンジュゲートしたヌクレオシドを作製する方法も、本明細書で開示される。N-アセチルガラクトサミンは、十分に規定された肝臓標的化部分であり、N-アセチルガラクトサミンとコンジュゲートしたヌクレオシドは、オリゴヌクレオチドベースの治療の標的化送達の調製において使用され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物
【化45】
または薬学的に許容されるその塩
[式中、R
1a、R
1bおよびR
1cのそれぞれは、独立に、水素、ベンジル(Bn)、または-C(=O)R
1Aであり、
R
2は、-C(=O)C
1~6アルキル、-C(=O)C
1~6ハロアルキルまたは-C(=O)フェニルであり、
R
3は、水素、ハロ、ヒドロキシ、C
1~6アルコキシ、C
1~6ハロアルコキシ、C
1~6アルキル、C
1~6ハロアルキル、(C
1~6アルコキシ)C
1~6アルキル、-O-(C
1~6アルコキシ)C
1~6アルキル、またはヒドロキシ保護基であり、
R
4は、水素、ホスホロアミダイト部分、-C(=O)CH
2CH
2C(=O)R
4A、または-P(OR
4B)NR
4CR
4Dであり、
R
5は、ヒドロキシ保護基であり、
L
1、L
2、およびL
3のそれぞれは、独立に、結合、-C(=O)-、-C(=S)-、-S(=O)
2-、-C(=O)NR
6-、-C(=S)NR
6-、-C(=O)O-、-C(=S)O-、-NR
6C(=O)NR
6-、-NR
6C(=S)NR
6-、-OP(=O)(OH)O-、-OP(=S)(OH)O-、-O-、-S-、-NR
6-、必要に応じて置換されているC
1~10アルキレン、必要に応じて置換されているC
6~10アリーレン、必要に応じて置換されているC
3~10シクロアルキレン、必要に応じて置換されている5~10員のヘテロアリーレン、必要に応じて置換されている5~10員のヘテロシクリレン、または1つもしくは複数の炭素原子がC(=O)、O、SもしくはNで置き換えられている必要に応じて置換されている2~15員のヘテロアルキレンであり、ただし、L
1、L
2、およびL
3のうちの少なくとも1つは、結合ではなく、
Gは、
【化46】
またはR
7で必要に応じて置換されているトリアゾレンであり、
L
4は、結合、必要に応じて置換されているC
1~10アルキレン、または1つもしくは複数の炭素原子がC(=O)、O、SもしくはNで置き換えられている必要に応じて置換されている2~15員のヘテロアルキレンであり、
Bは、天然核酸塩基、修飾天然核酸塩基、または非天然核酸塩基であり、
各R
1Aは、独立に、C
1~6アルキル、C
1~6ハロアルキル、または必要に応じて置換されているフェニルであり、
R
4Aは、-OH、-OR
8または-NR
9R
10であり、
R
4B、R
4CおよびR
4Dのそれぞれは、独立に、H、C
1~6ハロアルキル、または必要に応じて置換されているC
1~6アルキルであり、
各R
6は、独立に、Hまたは必要に応じて置換されているC
1~6アルキルであり、
R
7は、独立に、ハロ、アミノ、ヒドロキシ、C
1~6アルキル、C
1~6ハロアルキル、C
1~6アルコキシ、C
1~6ハロアルコキシ、(C
1~6アルコキシ)C
1~6アルキル、または-O-(C
1~6アルコキシ)C
1~6アルキルであり、
R
8は、必要に応じて置換されているC
1~6アルキルまたはヒドロキシ保護基であり、
R
9およびR
10のそれぞれは、独立に、H、必要に応じて置換されているC
1~6アルキルまたはアミノ保護基である]。
【請求項2】
式(Ia)の構造
【化47】
を有する、請求項1に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項3】
式(Ib)の構造
【化48】
を有する、請求項1に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項4】
Bが、
【化49】
であり、R
xが、水素もしくはアミノ保護基であるか、または-NHR
xの水素が存在せず、R
xが、二価のアミノ保護基である、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
R
xが、-C(=O)C
1~6アルキルもしくは-C(=O)フェニルであるか、または-NHR
xの水素が存在せず、R
xが、
【化50】
である、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
R
xが、-C(=O)CH
3または-C(=O)CH(CH
3)
2である、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
R
1a、R
1bおよびR
1cのそれぞれが、独立に、H、-C(=O)CH
3または-C(=O)Phである、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
R
1a、R
1bおよびR
1cのそれぞれが、-C(=O)CH
3である、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
R
2が、-C(=O)CH
3または-C(=O)CF
3である、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
R
3が、H、-OH、-OCH
3、-F、-OCF
3、-OCH
2CH
2OCH
3、-O-tertブチルジメチルシリル、または-O-トリ-イソプロピルシリルオキシメチルである、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
R
4が、-C(=O)CH
2CH
2C(=O)OHである、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
R
4が、
【化51】
である、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
R
5が、(4-メトキシフェニル)ジフェニルメチル、ビス(4-メトキシフェニル)フェニルメチル、トリス(4-メトキシフェニル)メチル、9-フェニルキサンテン-9-イルまたは9-(4-メトキシフェニル)キサンテン-9-イルから選択される、トリチルタイプのヒドロキシ保護基である、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
L
1が、結合、C
1~10アルキレン、または1つもしくは複数の炭素原子がC(=O)、OまたはNで置き換えられている2~15員のヘテロアルキレンである、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
L
2が、-C(=O)-、-C(=O)NR
6-、-NR
6-、または1つもしくは複数の炭素原子がC(=O)、OもしくはNで置き換えられている2~15員のヘテロアルキレンである、請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
R
6が、HまたはCH
3である、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
L
3が、結合、または1つもしくは複数の炭素原子がC(=O)、OもしくはNで置き換えられている2~15員のヘテロアルキレンである、請求項1~16のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項18】
L
1-L
2-L
3が、-(CH
2)
2~6C(=O)-である、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項19】
L
1-L
2-L
3が、-[(CH
2)
2O]
1~5-CH
2C(=O)-である、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項20】
L
1-L
2-L
3が、-[(CH
2)
2O]
1~5(CH
2)
1~4-である、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項21】
L
4が、結合またはC
1~10アルキレンである、請求項1~20のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項22】
【化52】
【化53】
ならびに薬学的に許容されるその塩からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物
[式中、R
3は、H、-F、-OCH
3、-OCH
2CH
2OCH
3、-O-tertブチルジメチルシリルまたはヒドロキシ保護基であり、
各R
xは、独立に、H、-C(=O)CH
3、-C(=O)Ph、または-C(=O)CH(CH
3)
2であり、
R
4は、-C(=O)CH
2CH
2C(=O)OHまたは
【化54】
である]。
【請求項23】
前記化合物のR
4を介して共有結合している請求項1~22のいずれか一項に記載の化合物を含む固体支持体。
【請求項24】
前記化合物が、部分
【化55】
[式中、破線は、必要に応じてさらなるリンカーを通しての前記固体支持体との連結を指し、波線は、前記化合物の残部分への前記化合物の3’酸素の結合点を指す]を介して共有結合している、請求項23に記載の固体支持体。
【請求項25】
前記化合物が、オリゴヌクレオチド配列に組み込まれている、請求項23または24に記載の固体支持体。
【請求項26】
合成オリゴヌクレオチドを調製する方法であって、請求項1~22のいずれか一項に記載の化合物をオリゴヌクレオチドと反応させるステップを含む、方法。
【請求項27】
前記オリゴヌクレオチドが、1~100の核酸塩基長を有する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記反応が、固体支持体上で実施される、請求項26または27に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本出願は、N-アセチルガラクトサミンとコンジュゲートしたヌクレオシドおよびそれらの調製方法に関する。本明細書で開示される、塩基上にN-アセチルガラクトサミンをコンジュゲートしたヌクレオシド(N-acetylgalactosamine-conjugated on-base nucleoside)は、オリゴヌクレオチドベースの治療の標的化in vivo送達のために使用され得る。
【背景技術】
【0002】
背景
関連技術の説明
オリゴヌクレオチドベースの薬物は、様々な疾患を処置する能力を有する強力な典型になってきた。N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)は、アシアロ糖タンパク質受容体(ASGPR)とのその高親和性から利益を得る、十分に規定された肝臓標的化部分である。N-アセチルガラクトサミンは、クラスリン媒介性エンドサイトーシスによる、GalNAcとコンジュゲートした循環オリゴの取込みおよびクリアランスを促進することができる。他のオリゴコンジュゲートと比較したGalNAcコンジュゲートの最も強力な特質は、内部移行および細胞輸送効率であり、それによって、前臨床種およびヒト対象において並外れて低用量で、ほぼ完全なmRNAノックダウンが可能になる。この差別化要因は、肝細胞上のASGPRの高い膜密度、およびASGPRが内部移行し、再循環して細胞表面に戻る急速サイクルに関連する。ASGPRの内部移行および細胞表面への再循環は、わずか15分で済む。
【0003】
ASGPRは、ヒト系においてH1およびH2と指定された2つの相同サブユニットからなり、それらは、それぞれ2:1および5:1の推定比で非共有結合性のヘテロオリゴマー複合体を形成する。それらのサブユニットは共に、カルシウム依存性Gal/GalNAc認識ドメイン(CRD)を有するシングルスパニング膜タンパク質である。肝細胞表面上の天然受容体上でのこれらの結合部位は、25~30Å離れている。モノ、ジ、トリ、またはテトラGalNAc糖のすべてのコンジュゲーションが、肝細胞へのオリゴヌクレオチドの送達効率を増強することができる。
【0004】
リボースの2’および3’位におけるGalNAcコンジュゲーションが、既に報告されている。オリゴヌクレオチド治療は、ヌクレアーゼ媒介性分解に対する感受性、急速な排除、生体内分布の低さ、不十分な膜透過性、免疫刺激、および潜在的に著しいオフターゲット効果を含む薬理学的困難を有している。これらの薬理学的困難を克服するために、多くの場合、リボース糖への化学修飾が必要である。しかし、2’および/または3’位上のGalNAcの位置は、修飾ヌクレオシド、例えばすべて一般に使用される糖修飾である2’-F、2’-OMe、2’-MOEヌクレオシドへのこれらの戦略の適用を制限することがある。塩基上にGalNAcをコンジュゲートしたヌクレオシドの使用は、特に、これらのヌクレオシドがセンス鎖中の内部にまたはセンス鎖の末端にある場合、GalNAcとコンジュゲートしたヌクレオシドについて公知の安定性および送達の問題に対処することができる。したがって、新規なGalNAcとコンジュゲートしたヌクレオシド、特に2’および/または3’位における修飾リボース、ならびに他の拘束リボース構造を有するものを調製する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
一部の実施形態では、本明細書では、式(I)の化合物
【化1】
または薬学的に許容されるその塩が提供される
[式中、R
1a、R
1bおよびR
1cのそれぞれは、独立に、水素、ベンジル(Bn)、または-C(=O)R
1Aであり、
R
2は、-C(=O)C
1~6アルキル、-C(=O)C
1~6ハロアルキル、または-C(=O)フェニルであり、
R
3は、水素、ハロ、ヒドロキシ、C
1~6アルコキシ、C
1~6ハロアルコキシ、C
1~6アルキル、C
1~6ハロアルキル、(C
1~6アルコキシ)C
1~6アルキル、-O-(C
1~6アルコキシ)C
1~6アルキル、またはヒドロキシ保護基であり、
R
4は、水素、ホスホロアミダイト部分、-C(=O)CH
2CH
2C(=O)R
4A、または-P(OR
4B)NR
4CR
4Dであり、
R
5は、ヒドロキシ保護基であり、
L
1、L
2、およびL
3のそれぞれは、独立に、結合、-C(=O)-、-C(=S)-、-S(=O)
2-、-C(=O)NR
6-、-C(=S)NR
6-、-C(=O)O-、-C(=S)O-、-NR
6C(=O)NR
6-、-NR
6C(=S)NR
6-、-OP(=O)(OH)O-、-OP(=S)(OH)O-、-O-、-S-、-NR
6-、必要に応じて置換されているC
1~10アルキレン、必要に応じて置換されているC
6~10アリーレン、必要に応じて置換されているC
3~10シクロアルキレン、必要に応じて置換されている5~10員のヘテロアリーレン(hetetroarylene)、必要に応じて置換されている5~10員のヘテロシクリレン、または1つもしくは複数の炭素原子がC(=O)、O、SもしくはNで置き換えられている必要に応じて置換されている2~15員のヘテロアルキレンであり、ただし、L
1、L
2、およびL
3のうちの少なくとも1つは、結合ではなく、
Gは、
【化2】
またはR
7で必要に応じて置換されているトリアゾレンであり、
L
4は、結合、必要に応じて置換されているC
1~10アルキレン、または1つもしくは複数の炭素原子がC(=O)、O、SもしくはNで置き換えられている必要に応じて置換されている2~15員のヘテロアルキレンであり、
Bは、天然核酸塩基、修飾天然核酸塩基、または非天然核酸塩基であり、
各R
1Aは、独立に、C
1~6アルキル、C
1~6ハロアルキル、または必要に応じて置換されているフェニルであり、
R
4Aは、-OH、-OR
8または-NR
9R
10であり、
R
4B、R
4CおよびR
4Dのそれぞれは、独立に、H、C
1~6ハロアルキル、または必要に応じて置換されているC
1~6アルキルであり、
各R
6は、独立に、Hまたは必要に応じて置換されているC
1~6アルキルであり、
R
7は、独立に、ハロ、アミノ、ヒドロキシ、C
1~6アルキル、C
1~6ハロアルキル、C
1~6アルコキシ、C
1~6ハロアルコキシ、(C
1~6アルコキシ)C
1~6アルキル、または-O-(C
1~6アルコキシ)C
1~6アルキルであり、
R
8は、必要に応じて置換されているC
1~6アルキルまたはヒドロキシ保護基であり、
R
9およびR
10のそれぞれは、独立に、H、必要に応じて置換されているC
1~6アルキルまたはアミノ保護基である]。
【0006】
一部の実施形態では、本明細書で提供される化合物は、式(Ia)
【化3】
または薬学的に許容されるその塩の構造を有することができる。
【0007】
一部の実施形態では、本明細書で提供される化合物は、式(Ib)
【化4】
または薬学的に許容されるその塩の構造を有することができる。
【0008】
式(I)、(Ia)または(Ib)の化合物の一部の実施形態では、Bは、
【化5】
であり得、R
xは、水素もしくはアミノ保護基であるか、またはR
xおよび窒素原子に結合している水素は、アミノ保護基を形成する。一部の実施形態では、R
xは、-C(=O)C
1~6アルキルまたは-C(=O)-フェニルであり得る。一部の実施形態では、-NHR
xの水素は存在せず、R
xは、ジメチルホルムアミジン
【化6】
である。一部の実施形態では、R
xは、-C(=O)CH
3(Ac)または-C(=O)CH(CH
3)
2(iBu)であり得る。
【0009】
式(I)、(Ia)または(Ib)の化合物の一部の実施形態では、R
1a、R
1bおよびR
1cのそれぞれは、独立に、H、-C(=O)CH
3(Ac)または-C(=O)Ph(Bz)であり得る。一部の実施形態では、R
1a、R
1bおよびR
1cは、それぞれ、-C(=O)CH
3であり得る。一部の実施形態では、R
2は、-C(=O)CH
3または-C(=O)CF
3であり得る。一部の実施形態では、R
3は、H、-OH、-OCH
3、-F、-OCF
3、-OCH
2CH
2OCH
3、-O-tertブチルジメチルシリル、または-O-トリ-イソプロピルシリルオキシメチルであり得る。一部の実施形態では、R
4は、-C(=O)CH
2CH
2C(=O)OHであり得る。他の実施形態では、R
4は、
【化7】
であり得る。一部の実施形態では、R
5は、(4-メトキシフェニル)ジフェニルメチル、ビス(4-メトキシフェニル)フェニルメチル、トリス(4-メトキシフェニル)メチル、9-フェニルキサンテン-9-イルまたは9-(4-メトキシフェニル)キサンテン-9-イルから選択される、トリチルタイプのヒドロキシ保護基であり得る。
【0010】
式(I)、(Ia)または(Ib)の化合物の一部の実施形態では、L1は、結合、C1~10アルキレン、または1つもしくは複数の炭素原子がC(=O)、OもしくはNで置き換えられている2~15員のヘテロアルキレンであり得る。一部の実施形態では、L2は、-C(=O)-、-C(=O)NR6-、-NR6-、または1つもしくは複数の炭素原子がC(=O)、OもしくはNで置き換えられている2~15員のヘテロアルキレンであり得る。一部の実施形態では、R6は、HまたはCH3であり得る。一部の実施形態では、L3は、結合、または1つもしくは複数の炭素原子がC(=O)、OもしくはNで置き換えられている2~15員のヘテロアルキレンであり得る。一部の実施形態では、L1-L2-L3は、-(CH2)2~6C(=O)-(例えば、-(CH2)4C(=O)-)であり得る。他の一部の実施形態では、L1-L2-L3は、-[(CH2)2O]1~5-CH2C(=O)-(例えば、-[(CH2)2O]2-CH2C(=O)-)であり得る。他の一部の実施形態では、L1-L2-L3は、-[(CH2)2O]1~5(CH2)1~4-(例えば、-[(CH2)2O]2(CH2)2-)であり得る。一部の実施形態では、L4は、結合またはC1~10アルキレンであり得る。
【0011】
式(I)、(Ia)または(Ib)の化合物の一部の実施形態では、化合物は、
【化8】
【化9】
ならびに薬学的に許容されるその塩からなる群から選択される
[式中、R
3は、H、ハロ、ヒドロキシ、C
1~6アルコキシ、C
1~6ハロアルコキシ、C
1~6アルキル、C
1~6ハロアルキル、(C
1~6アルコキシ)C
1~6アルキル、-O-(C
1~6アルコキシ)C
1~6アルキル、またはヒドロキシ保護基であり、
各R
xは、独立に、H、-C(=O)CH
3、-C(=O)Ph、または-C(=O)CH(CH
3)
2であり、
R
4は、-C(=O)CH
2CH
2C(=O)OHまたは
【化10】
である]。さらなる実施形態では、R
3は、H、-F、-OCH
3、-OCH
2CH
2OCH
3、または-O-tertブチルジメチルシリルである。
【0012】
本開示の別の態様は、例えば化合物のR
4を介して共有結合している、本明細書に記載される式(I)、(Ia)または(Ib)のヌクレオシド化合物を含む固体支持体に関する。一実施形態では、R
4は、-C(=O)CH
2CH
2C(=O)OHである。さらなる実施形態では、化合物は、部分
【化11】
[式中、破線は、必要に応じてさらなるリンカーを通しての固体支持体との連結を指し、波線は、化合物の残部への化合物の3’酸素の結合点を指す]を介して共有結合している。さらなる実施形態では、固体支持体は、オリゴヌクレオチドを含み、化合物は、オリゴヌクレオチド配列に組み込まれている。
【0013】
本開示の別の態様では、本明細書において、合成オリゴヌクレオチドを調製する方法であって、本明細書に記載される化合物をオリゴヌクレオチドと反応させるステップを含む、方法が開示される。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、1~100の核酸塩基長を有することができる。一部の実施形態では、反応は、固体支持体上で実施され得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本出願の実施形態に従う様々な単分岐型の(monoantennary)GalNAcとコンジュゲートしたヌクレオシドを示す。
【0015】
【
図2】
図2は、本出願の実施形態に従う、7-デアザアデノシンとのGalNAcのコンジュゲーションに続いて、3’位における-O-スクシネート(-O-C(=O)CH
2CH
2C(=O)OH)または-O-ホスホロアミダイトのその後の形成のための反応スキームである。
【0016】
【
図3】
図3は、本出願の実施形態に従う、ウリジンとのGalNAcのコンジュゲーションに続いて、3’位における-O-スクシネートまたは-O-ホスホロアミダイトのその後の形成のための反応スキームである。
【0017】
【
図4】
図4は、本出願の実施形態に従う、シチジンとのGalNAcのコンジュゲーションに続いて、3’位における-O-スクシネートまたは-O-ホスホロアミダイトのその後の形成のための反応スキームである。
【0018】
【
図5】
図5は、本出願の実施形態に従う、7-デアザグアノシンとのGalNAcのコンジュゲーションに続いて、3’位における-O-スクシネートまたは-O-ホスホロアミダイトのその後の形成のための反応スキームである。
【0019】
【
図6】
図6は、本出願の実施形態に従う、ホスホロアミダイト部分を含有するヌクレオシドを使用するオリゴヌクレオチドの調製のための合成サイクルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
詳細な説明
本明細書で開示される化合物は、オリゴヌクレオチド送達のための新規な方法を提供するための、核酸塩基にコンジュゲートしたGalNAcを有する新規なヌクレオシドに関する。一部の実施形態では、本明細書で開示されるGalNAcとコンジュゲートしたヌクレオシド化合物は、オリゴヌクレオチドの5’末端またはいずれかの内部位置への、GalNAcとコンジュゲートしたヌクレオシドの組込みを可能にするホスホロアミダイト部分を、リボースまたは2’デオキシリボースの3’位に含有することができる。他の一部の実施形態では、本明細書で開示されるGalNAcとコンジュゲートしたヌクレオシド化合物は、固体支持体上へのGalNAcヌクレオシドの組込みを可能にするスクシネート部分を、リボースまたは2’デオキシリボースの3’位に含有することができ、それによって、オリゴヌクレオチドの3’末端に、本明細書に記載されるGalNAcとコンジュゲートしたヌクレオシドを導入することができる。
定義
【0021】
別段定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で参照されるすべての特許、出願、公開出願および他の刊行物は、別段記載されない限りそれらの全体が参照により組み込まれる。本明細書の用語について複数の定義が存在する場合には、別段記載されない限り、この節の定義が優先する。本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される単数形「a」、「an」および「the」は、文脈によって別段明示されない限り、複数の指示対象を含む。別段指定されない限り、質量分析法、NMR、HPLC、タンパク質化学、生化学、組換えDNA技術および薬理学の従来の方法が用いられる。「または」または「および」の使用は、別段記載されない限り、「および/または」を意味する。さらに、「含む(including)」ならびに他の形態、例えば「含む(include)」、「含む(includes)」、および「含まれる(included)」という用語の使用は、限定するものではない。
【0022】
本開示を、前述の説明において詳細に例証し、記載しているが、そのような説明は、例証的または例示的なものであり、制限的なものではないとみなされるべきである。本開示は、開示される実施形態に限定されない。開示される実施形態の変形形態は、本開示および添付の特許請求の範囲の研究から、特許請求されている本開示を実践する当業者によって理解され、行われ得る。
【0023】
本明細書で引用されているすべての参考文献は、それら全体が参照により本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれる刊行物および特許または特許出願が、本明細書に含まれている本開示と矛盾する限りにおいて、本明細書は、いずれのそのような矛盾材料よりも優先され、および/または上位になることが意図される。
【0024】
別段定義されない限り、すべての用語(技術用語および科学用語を含む)は、当業者にとってそれらの通常の、通例の意味を与えられるべきであり、本明細書でそのように明確に定義されない限り、特別なまたは特化された意味に限定されるべきではない。特定の用語が、本開示のある特定の特色または態様を記載する場合、その使用は、その用語が関連する本開示の特色または態様のいずれかの特定の特徴を含むように、その用語が本明細書で制限されるように再定義されることを含意すると解釈されるべきでないことに留意されたい。
【0025】
ある範囲の値が提供される場合、その範囲の上限および下限、ならびに上限と下限の間に介在する各値は、実施形態に包含されると理解される。
【0026】
本明細書で使用される場合、いずれかの「R」基(複数可)は、示された原子に結合することができる置換基を表す。R基は、置換または非置換であり得る。2つの「R」基が「一緒になって」と記載される場合、R基およびそれらが結合している原子は、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、または複素環を形成することができる。例えば、限定されるものではないが、R
aおよびR
b、ならびにそれらが結合している原子が、「一緒になって」または「一緒に繋がれて」いると示される場合、それらが互いに共有結合して、環
【化12】
を形成することを意味する。
【0027】
ある基が「必要に応じて置換されている」と記載される場合はいつでも、その基は、非置換であっても、示された置換基の1つもしくは複数で置換されていてもよい。同様に、ある基が「置換されている」と記載される場合、置換基は、示された置換基の1つまたは複数から選択され得る。置換基が示されていない場合、示された「必要に応じて置換されている」または「置換されている」基は、アルキル(例えば、C1~C6アルキル);アルケニル(例えば、C2~C6アルケニル);アルキニル(例えば、C2~C6アルキニル);C3~C8カルボシクリル(例えば、C3~C8シクロアルキル、C3~C8シクロアルケニル、またはC3~C8シクロアルキニル(cyclalkynyl)(それぞれ、例えば、ハロ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、C1~C6ハロアルコキシ、(C1~C6アルコキシ)C1~C6アルキル、または-O(C1~C6アルコキシ)C1~C6アルキルで必要に応じてさらに置換され得る);(C3~C7カルボシクリル)C1~C6アルキル(例えば、ハロ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、C1~C6ハロアルコキシ、(C1~C6アルコキシ)C1~C6アルキル、または-O(C1~C6アルコキシ)C1~C6アルキルで必要に応じてさらに置換され得る);5~10員のヘテロシクリル(例えば、ハロ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、C1~C6ハロアルコキシ、(C1~C6アルコキシ)C1~C6アルキル、または-O(C1~C6アルコキシ)C1~C6アルキルで必要に応じてさらに置換され得る);(5~10員のヘテロシクリル)C1~C6アルキル(例えば、ハロ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、C1~C6ハロアルコキシ、(C1~C6アルコキシ)C1~C6アルキル、または-O(C1~C6アルコキシ)C1~C6アルキルで必要に応じてさらに置換され得る);アリール(例えば、ハロ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、C1~C6ハロアルコキシ、(C1~C6アルコキシ)C1~C6アルキル、または-O(C1~C6アルコキシ)C1~C6アルキルで必要に応じてさらに置換され得る);(アリール)C1~C6アルキル(例えば、ハロ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、C1~C6ハロアルコキシ、(C1~C6アルコキシ)C1~C6アルキル、または-O(C1~C6アルコキシ)C1~C6アルキルで必要に応じてさらに置換され得る);5~10員のヘテロアリール(ハロ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、C1~C6ハロアルコキシ、(C1~C6アルコキシ)C1~C6アルキル、または-O(C1~C6アルコキシ)C1~C6アルキルで必要に応じてさらに置換され得る);(5~10員のヘテロアリール)C1~C6アルキル(ハロ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、C1~C6ハロアルコキシ、(C1~C6アルコキシ)C1~C6アルキル、または-O(C1~C6アルコキシ)C1~C6アルキルで必要に応じてさらに置換され得る);ハロ(例えば、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード);シアノ;ヒドロキシ;保護ヒドロキシ;アルコキシ(例えば、C1~C6アルコキシ);ハロアルキル(例えば、C1~C6ハロアルキル、例えば-CF3);ハロアルキル(例えば、C1~C6ハロアルコキシ、例えば、-OCF3);(C1~C6アルコキシ)C1~C6アルキル、-O(C1~C6アルコキシ)C1~C6アルキル、(C1~C6ハロアルコキシ)C1~C6アルキル、-O(C1~C6ハロアルコキシ)C1~C6アルキル、アリールオキシ;スルフヒドリル(メルカプト);アルキルチオ(例えば、C1~C6アルキルチオ);アリールチオ;アジド;ニトロ;O-カルバミル;N-カルバミル;O-チオカルバミル;N-チオカルバミル;C-アミド;N-アミド;S-スルホンアミド;N-スルホンアミド;C-カルボキシ;保護C-カルボキシ;O-カルボキシ;アシル;シアネート;イソシアナト;チオシアナト;イソチオシアナト;シリル;スルフェニル;スルフィニル;スルホニル;トリハロメタンスルホニル;トリハロメタンスルホンアミド;アミノ(保護されたその誘導体を含む);一置換アミノ(例えば、NH(C1~C6アルキル);二置換アミノ(例えば、N(C1~C6アルキル)2);オキソ(=O);およびチオキソ(=S)から個々に、独立に選択される1つまたは複数の基であり得ることを意味する。
【0028】
本明細書で使用される場合、「a」および「b」が整数である「Ca~Cb」は、アルキル基における炭素原子の数、またはシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールもしくはヘテロシクリル基の環原子の数を指す。すなわち、アルキル、シクロアルキルの環、およびアリールの環は、両端を含み「a」~「b」個の炭素原子を含有することができる。同様に、ヘテロアリールの環およびヘテロシクリルの環は、両端を含み合計「a」~「b」個の環原子を含有することができる。したがって、例えば、「C1~C4アルキル」基は、1~4個の炭素を有するすべてのアルキル基、すなわちCH3-、CH3CH2-、CH3CH2CH2-、(CH3)2CH-、CH3CH2CH2CH2-、CH3CH2CH(CH3)-および(CH3)3C-を指し、C3~C4シクロアルキル基は、3~4個の炭素原子の炭素を有するすべてのシクロアルキル基、すなわちシクロプロピルおよびシクロブチルを指す。同様に、「4~6員のヘテロシクリル」基は、合計4~6個の環原子を有するすべてのヘテロシクリル基、例えば、アゼチジン、オキセタン、オキサゾリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン等を指す。「a」および「b」が、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリル基に関して指定されていない場合、これらの定義において記載される最も広範な範囲が想定されるべきである。本明細書で使用される場合、「C1~C6」という用語は、C1、C2、C3、C4、C5およびC6、ならびにそれらの2つの数のいずれかによって定義される範囲を含む。例えば、C1~C6アルキルは、C1、C2、C3、C4、C5およびC6アルキル、C2~C6アルキル、C1~C3アルキル等を含む。同様に、C3~C8カルボシクリルまたはシクロアルキルは、それぞれ、3、4、5、6、7および8個、またはそれらの2つの数のいずれかによって定義される範囲の炭素原子を含有する炭化水素環、例えばC3~C7シクロアルキルまたはC5~C6シクロアルキルを含む。
【0029】
本明細書で使用される場合、「アルキル」は、完全に飽和の(二重結合または三重結合がない)炭化水素基を含む、直鎖または分岐の炭化水素鎖を指す。アルキル基は、1~20個の炭素原子を有することができる(本明細書で出現する場合はいつでも、数値範囲、例えば「1~20」は、所与の範囲の各整数を指し、例えば、「1~20個の炭素原子」は、アルキル基が、1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子等、20個を含み最大20個の炭素原子からなり得ることを意味するが、本発明の定義は、数値範囲が指定されていない「アルキル」という用語の出現も網羅する)。アルキル基はまた、1~10個の炭素原子を有する中程度のサイズのアルキルであってもよい。アルキル基はまた、1~6個の炭素原子を有する低級アルキルであってもよい。化合物のアルキル基は、「C1~C4アルキル」または類似の命名として指定され得る。単なる例として、「C1~C4アルキル」は、アルキル鎖に1~4個の炭素原子が存在することを示しており、すなわち、アルキル鎖は、メチル、エチル、プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、およびt-ブチルから選択される。典型的なアルキル基には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第三級ブチル、ペンチル(直鎖または分岐)、およびヘキシル(直鎖または分岐)が含まれるが、それらに決して限定されない。アルキル基は、置換または非置換であり得る。
【0030】
本明細書で使用される場合、「アルケニル」は、1つまたは複数の二重結合を含有する直鎖または分岐の炭化水素鎖を指す。アルケニル基は、2~20個の炭素原子を有することができる。単なる例として、「C2~C6アルケニル」は、アルケニル鎖に2~6個の炭素原子が存在することを示しており、すなわち、アルケニル鎖は、エテニル、プロペン-1-イル、プロペン-2-イル、プロペン-3-イル、ブテン-1-イル、ブテン-2-イル、ブテン-3-イル、ブテン-4-イル、1-メチル-プロペン-1-イル、2-メチル-プロペン-1-イル、1-エチル-エテン-1-イル、2-メチル-プロペン-3-イル、ブタ-1,3-ジエニル、ブタ-1,2,-ジエニル、およびブタ-1,2-ジエン-4-イルからなる群から選択される。典型的なアルケニル基には、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、およびヘキセニル等が含まれるが、それらに決して限定されない。アルケニル基は、置換または非置換であり得る。
【0031】
本明細書で使用される場合、「アルキニル」は、1つまたは複数の三重結合を含有する直鎖または分岐の炭化水素鎖を指す。アルキニル基は、2~20個の炭素原子を有することができる。単なる例として、「C2~C4アルキニル」は、アルキニル鎖に2~6個の炭素原子が存在することを示しており、すなわち、アルキニル鎖は、エチニル、プロピン-1-イル、プロピン-2-イル、ブチン-1-イル、ブチン-3-イル、ブチン-4-イル、および2-ブチニルからなる群から選択される。典型的なアルキニル基には、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、およびヘキシニル等が含まれるが、それらに決して限定されない。アルキニル基は、置換または非置換であり得る。
【0032】
本明細書で使用される場合、「シクロアルキル」は、完全に飽和の(二重結合または三重結合がない)単環式または多環式炭化水素環系を指す。2つまたはそれよりも多い環から構成される場合、これらの環は、縮合、架橋またはスピロ様式で一緒に繋がれていてもよい。本明細書で使用される場合、「縮合」という用語は、2つの環が、2個の原子および1個の結合を共有していることを指す。本明細書で使用される場合、「架橋シクロアルキル」という用語は、シクロアルキルが、隣接していない原子を連結する1つまたは複数の原子の連結を含有している化合物を指す。本明細書で使用される場合、「スピロ」という用語は、2つの環が1個の原子を共有しており、その2つの環が架橋によって連結されていないことを指す。シクロアルキル基は、環(複数可)内に3~10個の原子、環(複数可)内に3~8個の原子、または環(複数可)内に3~6個の原子を含有することができる。シクロアルキル基は、非置換または置換であり得る。単環式シクロアルキル基の例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルが挙げられるが、それらに決して限定されない。二環式縮合シクロアルキル基の例は、デカヒドロナフタレニル、ドデカヒドロ-1H-フェナレニルおよびテトラデカヒドロアントラセニルであり、二環式架橋シクロアルキル基の例は、ビシクロ[1.1.1]ペンチル、アダマンタニルおよびノルボルナニルであり、二環式スピロシクロアルキル基の例として、スピロ[3.3]ヘプタンおよびスピロ[4.5]デカンが挙げられる。
【0033】
本明細書で使用される場合、「カルボシクリル」は、非芳香族の単環式または多環式炭化水素環系を指す。2つまたはそれよりも多い環から構成される場合、環は、本明細書に記載される通り、縮合、架橋またはスピロ様式で一緒に繋がれていてもよい。カルボシクリル基は、環(複数可)内に3~30個の原子、環(複数可)内に3~20個の原子、環(複数可)内に3~10個の原子、環(複数可)内に3~8個の原子または環(複数可)内に3~6個の原子を含有することができる。カルボシクリル基は、非置換または置換であり得る。カルボシクリル基の例として、本明細書で定義される通りのシクロアルキル基、ならびに1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、2,3-ジヒドロ-1H-インデン、5,6,7,8-テトラヒドロキノリンおよび6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジンの非芳香族部分が挙げられるが、それらに決して限定されない。
【0034】
本明細書で使用される場合、「アリール」は、すべての環を通して完全に非局在化されたπ電子系を有する、炭素環式(すべて炭素の)単環式または多環式芳香環系(2つの炭素環式環が化学結合を共有している縮合環系を含む)を指す。アリール基における炭素原子の数は、変わり得る。例えば、アリール基は、C6アリール基、またはC10アリール基であり得る。アリール基の例として、ベンゼンおよびナフタレンが挙げられるが、それらに限定されない。アリール基は、置換または非置換であり得る。
【0035】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール」は、1つまたは複数のヘテロ原子(例えば、1、2または3個のヘテロ原子)、すなわち限定されるものではないが、窒素、酸素および硫黄を含む炭素以外の元素を含有する、単環式または多環式芳香環系(完全に局在化されたπ電子系を有する環系)を指す。ヘテロアリール基の環(複数可)における原子の数は、変わり得る。例えば、ヘテロアリール基は、環(複数可)内に5~10個の原子、環(複数可)内に6~10個の原子または環(複数可)内に5~6個の原子、例えば9個の炭素原子および1個のヘテロ原子、8個の炭素原子および2個のヘテロ原子、7個の炭素原子および3個のヘテロ原子、8個の炭素原子および1個のヘテロ原子、7個の炭素原子および2個のヘテロ原子、6個の炭素原子および3個のヘテロ原子、5個の炭素原子および4個のヘテロ原子、5個の炭素原子および1個のヘテロ原子、4個の炭素原子および2個のヘテロ原子、3個の炭素原子および3個のヘテロ原子、4個の炭素原子および1個のヘテロ原子、3個の炭素原子および2個のヘテロ原子、または2個の炭素原子および3個のヘテロ原子を含有することができる。さらに、「ヘテロアリール」という用語は、2つの環、例えば少なくとも1つのアリール環および少なくとも1つのヘテロアリール環、または少なくとも2つのヘテロアリール環が、少なくとも1つの化学結合を共有している、縮合環系を含む。ヘテロアリール環の例として、フラン、フラザン、チオフェン、ベンゾチオフェン、フタラジン、ピロール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、チアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、ベンゾチアゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、インドール、インダゾール、ピラゾール、ベンゾピラゾール、イソオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、イソチアゾール、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、プリン、プテリジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、キノキサリン、シンノリンおよびトリアジンが挙げられるが、それらに限定されない。ヘテロアリール基は、置換または非置換であり得る。
【0036】
本明細書で使用される場合、「ヘテロシクリル」は、炭素原子が1~5個のヘテロ原子と一緒に環系を構成している、3、4、5、6、7、8、9、および10員の単環式、二環式および三環式環系を指す。しかし、複素環は、完全に非局在化されたπ電子系がすべての環を通しては生じないようなやり方で位置した1つまたは複数の不飽和結合を、必要に応じて含有し得る(すなわち、ヘテロシクリル基は芳香族ではない)。ヘテロ原子(複数可)は、限定されるものではないが、酸素、硫黄および窒素を含む炭素以外の元素である。複素環は、その定義にオキソ系、例えば、ラクタム、ラクトン、および環式カルバメートが含まれるように、1つまたは複数のカルボニル官能基をさらに含有することができる。2つまたはそれよりも多い環から構成される場合、これらの環は、縮合、架橋またはスピロ様式で一緒に繋がれていてもよい。本明細書で使用される場合、「縮合」という用語は、2つの環が、2個の原子および1個の結合を共有していることを指す。本明細書で使用される場合、「架橋ヘテロシクリル」という用語は、ヘテロシクリルが、隣接していない原子を連結する1つまたは複数の原子の連結を含有している化合物を指す。本明細書で使用される場合、「スピロ」という用語は、2つの環が1個の原子を共有しており、その2つの環が架橋によって連結されていないことを指す。ヘテロシクリル基は、環(複数可)内に3~10個の原子、環(複数可)内に3~8個の原子、環(複数可)内に3~6個の原子、または環(複数可)内に5~6個の原子を含有することができる。例えば、5個の炭素原子および1個のヘテロ原子、4個の炭素原子および2個のヘテロ原子、3個の炭素原子および3個のヘテロ原子、4個の炭素原子および1個のヘテロ原子、3個の炭素原子および2個のヘテロ原子、2個の炭素原子および3個のヘテロ原子、1個の炭素原子および4個のヘテロ原子、3個の炭素原子および1個のヘテロ原子、または2個の炭素原子および1個のヘテロ原子。加えて、ヘテロシクリル基におけるいずれかの窒素は、四級化され得る。ヘテロシクリル基は、ヘテロシクリル基の炭素原子を介して(C連結)、またはヘテロシクリル基のヘテロ原子、例えば窒素原子によって(N連結)、分子の残部に連結することができる。ヘテロシクリル基は、非置換または置換であり得る。そのような「ヘテロシクリル」基の例として、アジリジン、オキシラン、チイラン、アゼチジン、オキセタン、1,3-ジオキシン、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、1,2-ジオキソラン、1,3-ジオキソラン、1,4-ジオキソラン、1,3-オキサチアン、1,4-オキサチイン、1,3-オキサチオラン、1,3-ジチオール、1,3-ジチオラン、1,4-オキサチアン、テトラヒドロ-1,4-チアジン、2H-1,2-オキサジン、マレイミド、スクシンイミド、バルビツール酸、チオバルビツール酸、ジオキソピペラジン、ヒダントイン、ジヒドロウラシル、トリオキサン、ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、イソオキサゾリン、イソオキサゾリジン、オキサゾリン、オキサゾリジン、オキサゾリジノン、チアゾリン、チアゾリジン、モルホリン、オキシラン、ピペリジンN-オキシド、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、アゼパン、ピロリドン、ピロリジノン、4-ピペリドン、ピラゾリン、ピラゾリジン、2-オキソピロリジン、テトラヒドロピラン、4H-ピラン、テトラヒドロチオピラン、チアモルホリン、チアモルホリンスルホキシド、チアモルホリンスルホンおよびそれらのベンゾ縮合アナログ(例えば、ベンゾイミダゾリジノン、テトラヒドロキノリンおよび/または3,4-メチレンジオキシフェニル)が挙げられるが、それらに限定されない。スピロヘテロシクリル基の例として、2-アザスピロ[3.3]ヘプタン、2-オキサスピロ[3.3]ヘプタン、2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタン、2,6-ジアザスピロ[3.3]ヘプタン、2-オキサスピロ[3.4]オクタンおよび2-アザスピロ[3.4]オクタンが挙げられる。
【0037】
本明細書で使用される場合、「アルキレン」は、2つの結合点を介して分子の残部に結合している、炭素および水素だけを含有する分岐または直鎖の完全に飽和のジラジカル化学基を指す。単なる例として、「C1~C10アルキレン」は、アルキレン鎖に1~10個の炭素原子が存在することを示す。非限定的な例として、エチレン(-CH2CH2-)、プロピレン(-CH2CH2CH2-)、ブチレン(-CH2CH2CH2CH2-)、およびペンチレン(-CH2CH2CH2CH2CH2-)が挙げられる。
【0038】
本明細書で使用される場合、「アルケニレン」は、2つの結合点を介して分子の残部に結合している、炭素および水素だけを含有し、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含有する、直鎖または分岐鎖ジラジカル化学基を指す。アルケニレン基は、「C2~C10アルケニレン」または類似の命名として指定され得る。単なる例として、「C2~C10アルケニレン」は、アルケニレン鎖に2~10個の炭素原子が存在することを示す。
【0039】
本明細書で使用される場合、「アルキニレン」は、2つの結合点を介して分子の残部に結合している、炭素および水素だけを含有し、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含有する、直鎖または分岐鎖ジラジカル化学基を指す。アルキニレン基は、「C2~C10アルケニレン」または類似の命名として指定され得る。単なる例として、「C2~C10アルキニレン」は、アルキニレン鎖に2~10個の炭素原子が存在することを示す。
【0040】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアルキレン」は、炭素骨格に1つまたは複数のヘテロ原子を含有する本明細書で定義される通りのアルキレン基(すなわち、1つまたは複数の炭素原子が、ヘテロ原子、例えば、窒素原子、酸素原子または硫黄原子で置き換えられているアルキレン基)を指す。例えば、-CH2-は、-O-、-S-、または-NH-で置き換えられ得る。ヘテロアルキレン基には、エーテル、チオエーテル、アミノ-アルキレン、およびアルキレン-アミノ-アルキレン部分が含まれるが、それらに限定されない。一部の実施形態では、ヘテロアルキレンは、1、2、3、4、または5個の-CH2CH2O-単位を含み得る。代替的および/または付加的に、1つまたは複数の炭素原子はまた、オキソ(=O)で置換されてカルボニルになることもできる。例えば、-CH2-は、-C(=O)-で置き換えられ得る。
【0041】
本明細書で使用される場合、「アラルキル」および「(アリール)アルキル」は、前述のアルキレン基を介して置換基として連結している、上述で定義される通りのアリール基を指す。アラルキルのアルキレンおよびアリール基は、置換または非置換であり得る。例として、ベンジル、2-フェニルアルキル、3-フェニルアルキル、およびナフチルアルキルが挙げられるが、それらに限定されない。一部の実施形態では、アルキレンは、1、2、3、4、5、または6個のメチレン単位を含有する非置換の直鎖である。
【0042】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアラルキル」および「(ヘテロアリール)アルキル」は、上述で定義される通りのアルキレン基を介して置換基として連結している、上述で定義される通りのヘテロアリール基を指す。ヘテロアラルキルのアルキレンおよびヘテロアリール基は、置換または非置換であり得る。例として、2-チエニルアルキル、3-チエニルアルキル、フリルアルキル、チエニルアルキル、ピロリルアルキル、ピリジルアルキル、イソオキサゾリルアルキル、およびイミダゾリルアルキル、ならびにそれらのベンゾ縮合アナログが挙げられるが、それらに限定されない。一部の実施形態では、アルキレンは、1、2、3、4、5、または6個のメチレン単位を含有する非置換の直鎖である。
【0043】
本明細書で使用される場合、「(ヘテロシクリル)アルキル」は、上述で定義される通りのアルキレン基を介して置換基として連結している、上述で定義される通りの複素環式またはヘテロシクリル基を指す。(ヘテロシクリル)アルキルのアルキレンおよびヘテロシクリル基は、置換または非置換であり得る。例として、(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル、(ピペリジン-4-イル)エチル、(ピペリジン-4-イル)プロピル、(テトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル)メチル、および(1,3-チアジナン-4-イル)メチルが挙げられるが、それらに限定されない。一部の実施形態では、アルキレンは、1、2、3、4、5、または6個のメチレン単位を含有する非置換の直鎖である。
【0044】
本明細書で使用される場合、「シクロアルキルアルキル」および「(シクロアルキル)アルキル」は、アルキレン基を介して置換基として連結しているシクロアルキル基(本明細書で定義される通り)を指す。例として、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルエチル、およびシクロヘキシルプロピルが挙げられるが、それらに限定されない。一部の実施形態では、アルキレンは、1、2、3、4、5、または6個のメチレン単位を含有する非置換の直鎖である。
【0045】
本明細書で使用される場合、「アルコキシ」は、式-ORを指し、ここでRは、本明細書で定義される通りのアルキル基である。アルコキシ基の非限定的な一覧には、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、1-メチルエトキシ(イソプロポキシ)、n-ブトキシ、イソ-ブトキシ、sec-ブトキシ、およびtert-ブトキシが含まれる。アルコキシは、置換または非置換であり得る。
【0046】
本明細書で使用される場合、「ハロアルキル」は、水素原子の1つまたは複数がハロゲンによって置き換えられているアルキル基(例えば、モノ-ハロアルキル、ジ-ハロアルキル、およびトリ-ハロアルキル)を指す。そのような基には、クロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチルおよび1-クロロ-2-フルオロメチル、2-フルオロイソブチルが含まれるが、それらに限定されない。ハロアルキルは、置換または非置換であり得る。
【0047】
本明細書で使用される場合、「ハロアルコキシ」は、水素原子の1つまたは複数がハロゲンによって置き換えられているアルコキシ基(例えば、モノ-ハロアルコキシ、ジ-ハロアルコキシおよびトリ-ハロアルコキシ)を指す。そのような基には、クロロメトキシ、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシおよび1-クロロ-2-フルオロメトキシ、2-フルオロイソブトキシが含まれるが、それらに限定されない。ハロアルコキシは、置換または非置換であり得る。
【0048】
本明細書で使用される場合、「アミノ」は、-NH2基を指す。「一置換アミノ基」という用語は、本明細書で使用される場合、水素原子の1個が置換基によって置き換えられているアミノ(-NH2)基を指す。「二置換アミノ基」という用語は、本明細書で使用される場合、2個の水素原子のそれぞれが置換基によって置き換えられているアミノ(-NH2)基を指す。「必要に応じて置換されているアミノ」という用語は、本明細書で使用される場合、-NRARB基を指し、ここでRAおよびRBは、独立に、水素、本明細書で定義される通りのアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アラルキル、またはヘテロシクリル(アルキル)である。
【0049】
本明細書で使用される場合、「アルキルアミノ」または「(アルキル)アミノ」は、-NRARB基を指し、ここでRAおよびRBは、水素または上述で定義されるアルキルであり、RAおよびRBの少なくとも一方はアルキルである。(アルキル)アミンのアルキル部分は、例えば、C1~C6アルキル基を含む。
【0050】
本明細書で使用される場合、「アミノアルキル」または「(アミノ)アルキル」は、水素原子の1つまたは複数が、本明細書で定義される通りのアミノ基または「-NRARB」基によって置き換えられている、アルキル基を指す。アミノアルキルのアルキル部分は、例えば、C1~C6アルキルを含む。
【0051】
「ハロゲン原子」または「ハロゲン」という用語は、本明細書で使用される場合、元素周期表の7列目の放射線に安定な原子、例えば、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素のいずれか1つを意味する。
【0052】
本明細書で使用される場合、「アルコキシアルキル」または「(アルコキシ)アルキル」は、アルキレン基を介して連結しているアルコキシ基、例えばC2~C8アルコキシアルキル、または(C1~C6アルコキシ)C1~C6アルキル、例えば、-(CH2)1~3-OCH3を指す。
【0053】
本明細書で使用される場合、「-O-アルコキシアルキル」または「-O-(アルコキシ)アルキル」は、-O-(アルキレン)基を介して連結しているアルコキシ基、例えば-O-(C1~C6アルコキシ)C1~C6アルキル、例えば、-O-(CH2)1~3-OCH3を指す。
【0054】
本明細書で使用される場合、「アリールオキシ」および「アリールチオ」は、RO-およびRS-を指し、ここでRは、上述で定義される通りのアリール、例えばフェニルであるが、それに限定されない。アリールオキシおよびアリールチオは、共に置換または非置換であり得る。
【0055】
「スルフェニル」基は、「-SR」基を指し、ここでRは、水素、上述で定義される通りのアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アラルキル、またはヘテロシクリル(アルキル)であり得る。スルフェニルは、置換または非置換であり得る。
【0056】
「スルフィニル」基は、「-S(=O)-R」基を指し、ここでRは、スルフェニルに関して定義されているものと同じであり得る。スルフィニルは、置換または非置換であり得る。
【0057】
「スルホニル」基は、「SO2R」基を指し、ここでRは、スルフェニルに関して定義されているものと同じであり得る。スルホニルは、置換または非置換であり得る。
【0058】
「O-カルボキシ」基は、「RC(=O)O-」基を指し、ここでRは、水素、本明細書で定義される通りのアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アラルキル、またはヘテロシクリル(アルキル)であり得る。O-カルボキシは、置換または非置換であり得る。
【0059】
「エステル」および「C-カルボキシ」という用語は、「-C(=O)OR」基を指し、ここでRは、O-カルボキシに関して定義されているものと同じであり得る。エステルまたはC-カルボキシは、置換または非置換であり得る。
【0060】
「トリハロメタンスルホニル」基は、「X3CSO2-」基を指し、ここでXはハロゲンである。
【0061】
「トリハロメタンスルホンアミド」基は、「X3CS(O)2N(R)-」基を指し、ここでXはハロゲンであり、Rは、水素、本明細書で定義される通りのアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アラルキル、またはヘテロシクリル(アルキル)である。
【0062】
「メルカプト」基は、「-SH」基を指す。
【0063】
「S-スルホンアミド」基は、「-SO2N(RARB)」基を指し、ここでRAおよびRBは、独立に、水素、本明細書で定義される通りのアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アラルキル、またはヘテロシクリル(アルキル)であり得る。S-スルホンアミドは、置換または非置換であり得る。
【0064】
「N-スルホンアミド」基は、「RSO2N(RA)-」基を指し、ここでRおよびRAは、独立に、水素、本明細書で定義される通りのアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アラルキル、またはヘテロシクリル(アルキル)であり得る。N-スルホンアミドは、置換または非置換であり得る。
【0065】
「O-カルバミル」基は、「-OC(=O)N(RARB)」基を指し、ここでRAおよびRBは、S-スルホンアミドに関して定義されているものと同じであり得る。O-カルバミルは、置換または非置換であり得る。
【0066】
「N-カルバミル」基は、「ROC(=O)N(RA)-」基を指し、ここでRおよびRAは、N-スルホンアミドに関して定義されているものと同じであり得る。N-カルバミルは、置換または非置換であり得る。
【0067】
「O-チオカルバミル」基は、「-OC(=S)-N(RARB)」基を指し、ここでRAおよびRBは、S-スルホンアミドに関して定義されているものと同じであり得る。O-チオカルバミルは、置換または非置換であり得る。
【0068】
「N-チオカルバミル」基は、「ROC(=S)N(RA)-」基を指し、ここでRおよびRAは、N-スルホンアミドに関して定義されているものと同じであり得る。N-チオカルバミルは、置換または非置換であり得る。
【0069】
「C-アミド」基は、「-C(=O)N(RARB)」基を指し、ここでRAおよびRBは、S-スルホンアミドに関して定義されているものと同じであり得る。C-アミドは、置換または非置換であり得る。
【0070】
「N-アミド」基は、「RC(=O)N(RA)-」基を指し、ここでRおよびRAは、N-スルホンアミドに関して定義されているものと同じであり得る。N-アミドは、置換または非置換であり得る。
【0071】
置換基の数が特定されていない場合(例えば、ハロアルキル)、1つまたは複数の置換基が存在し得る。例えば、「ハロアルキル」は、同じまたは異なるハロゲンの1つまたは複数を含み得る。
【0072】
1つまたは複数のキラル中心を有する本明細書に記載されるいずれかの化合物において、絶対立体化学が明確に示されていない場合には、各中心は、独立に、R-立体配置もしくはS-立体配置またはそれらの混合物になり得ると理解される。したがって、本明細書で提供される化合物は、鏡像異性的に純粋であり、鏡像異性体的に富化されており、または立体異性体混合物である場合があり、すべてのジアステレオマー形態および鏡像異性形態を含む。加えて、EまたはZとして定義することができる幾何異性体を生じる1つまたは複数の二重結合を有する、本明細書に記載されるいずれかの化合物において、各二重結合は、独立に、EもしくはZまたはその混合物であり得ると理解される。所望に応じて、立体選択的な合成および/またはキラルクロマトグラフィーカラムによる立体異性体の分離等の方法によって、立体異性体が得られる。同様に、記載されるいずれかの化合物において、すべての互変異性形態が含まれることが意図されることも理解される。
【0073】
置換基がジラジカル(すなわち、分子の残部への2つの結合点を有する)として示される場合はいつでも、置換基は、別段指定されない限り、いずれかの方向の立体配置で結合していてもよいと理解されるべきである。したがって、例えば、-AE-または
【化13】
と示される置換基は、Aが分子の最も左側の結合点で結合するように配向されている置換基、およびAが分子の最も右側の結合点で結合している場合を含む。加えて、基または置換基が、
【化14】
と示され、Lが結合であるか、または存在しないと定義される場合、そのような基または置換基は、
【化15】
に等価である。
【0074】
本明細書で開示される化合物が、満たされていない原子価を有する場合には、この原子価は、水素および/または重水素で満たされることになると理解されるべきである。
【0075】
本明細書に記載される化合物は、同位体的に、あるいは限定されるものではないが発色団もしくは蛍光性部分、生物発光標識、または化学発光標識の使用を含む別の他の手段によって、標識することができると理解される。同位体、例えば、重水素での置換は、代謝安定性がより高いことから生じるある特定の治療上の利点、例えば、in vivo半減期の延長または必要投与量の低減等をもたらし得る。化合物構造において表される各化学元素は、前記元素のいずれかの同位体を含み得る。例えば、化合物構造において、水素原子は、化合物中に存在することが明示的に開示され得るか、またはそのように理解され得る。水素原子が存在し得る化合物のいずれかの位置において、水素原子は、限定されるものではないが、水素-1(プロチウム)、水素-2(重水素)、および水素-3(トリチウム)を含む水素の任意の同位体であり得る。したがって、本明細書における化合物への言及は、文脈によって別段明示されない限り、潜在的に可能なすべての同位体形態を包含する。
【0076】
本明細書に記載される方法および製剤は、好ましい実施形態の化合物の結晶形態、非晶質相、ならびに/または薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物および配座異性体、ならびに同じタイプの活性を有するこれらの化合物の代謝産物および活性代謝産物の使用を含むと理解される。配座異性体は、立体構造異性体である構造である。配座異性は、構造式は同じであるが、回転する結合の周囲の原子の配座(配座異性体)が異なっている分子の現象である。特定の実施形態では、本明細書に記載される化合物は、水、エタノール等の薬学的に許容される溶媒との溶媒和形態で存在する。他の実施形態では、本明細書に記載される化合物は、非溶媒和形態で存在する。溶媒和物は、化学量論量または非化学量論量の溶媒を含有し、結晶化プロセス中に、薬学的に許容される溶媒、例えば、水、エタノール等と形成され得る。溶媒が水である場合、水和物が形成され、または溶媒がアルコールである場合、アルコラートが形成される。加えて、本明細書で提供される化合物は、非溶媒和形態でも溶媒和形態でも存在し得る。一般に、本明細書で提供される化合物および方法の目的では、溶媒和形態は、非溶媒和形態に等価であるとみなされる。好ましい実施形態の化合物を提供することができる他の形態には、非晶質形態、微粉砕形態、およびナノ微粒子状形態が含まれる。
【0077】
同様に、本明細書に記載される化合物、例えば好ましい実施形態の化合物は、本明細書に記載される形態(例えば、薬学的に許容される塩、結晶形態、非晶質形態、溶媒和形態、鏡像異性形態、互変異性形態等)のいずれかの化合物を含むと理解される。
【0078】
本明細書で使用される場合、いずれかの保護基、アミノ酸、および他の化合物の略語は、別段指定されない限り、それらの一般的な用法、認められている略語、またはIUPAC-IUB生化学命名法委員会(Biochem. 11:942-944 (1972)を参照されたい)に従う。
【0079】
「保護基」という用語(単数形または複数形)は、本明細書で使用される場合、分子中の既存の基が望ましくない化学反応を受けないようにするために分子に付加されるいずれかの原子または原子団を指す。保護基部分の例は、T. W. Greene and P. G. M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3. Ed. John Wiley & Sons, 1999およびJ.F.W. McOmie, Protective Groups in Organic Chemistry Plenum Press, 1973に記載されており、それらは共に、好適な保護基を開示する限られた目的のために、参照により本明細書に組み込まれる。保護基部分は、ある特定の反応条件に対して安定であり、好都合な段階で、当技術分野で公知の方法を使用して容易に除去されるようなやり方で選択され得る。保護基の非限定的な一覧には、ベンジル(Bn)、置換ベンジル、アルキルカルボニル(例えば、t-ブトキシカルボニル(BOC)、アセチル(すなわち、-C(=O)CH3またはAc)、またはイソブチリル(iBu)、アリールアルキルカルボニル(例えば、ベンジルオキシカルボニルまたはベンゾイル(すなわち、-C(=O)PhまたはBz))、置換メチルエーテル(例えば、メトキシメチルエーテル(MOM))、置換エチルエーテル(例えば、メトキシエチルエーテル(MOE)、置換ベンジルエーテル、テトラヒドロピラニルエーテル、シリルエーテル(例えば、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、t-ブチルジメチルシリル(TBDMS)、トリ-イソ-プロピルシリルオキシメチル(TOM)、またはt-ブチルジフェニルシリル)、エステル(例えば、安息香酸エステル)、カーボネート(例えば、メトキシメチルカーボネート)、スルホネート(例えば、トシレートまたはメシレート)、非環式ケタール(例えば、ジメチルアセタール)、環式ケタール(例えば、1,3-ジオキサンまたは1,3-ジオキソラン)、非環式アセタール、環式アセタール、非環式ヘミアセタール、環式ヘミアセタール、環式ジチオケタール(例えば、1,3-ジチアンまたは1,3-ジチオラン)、およびトリアリールメチル基(例えば、トリチル、モノメトキシトリチル(MMTr)、4,4’-ジメトキシトリチル(DMTr)、または4,4’,4’’-トリメトキシトリチル(TMTr))が含まれる。
【0080】
「脱離基」という用語は、本明細書で使用される場合、化学反応において別の原子または部分によって置き換えることができるいずれかの原子または部分を指す。より具体的には、一部の実施形態では、「脱離基」は、求核置換反応において置き換えられる原子または部分を指す。一部の実施形態では、「脱離基」は、強酸の共役塩基であるいずれかの原子または部分である。好適な脱離基の例として、トシレートおよびハロゲンが挙げられるが、それらに限定されない。脱離基の非限定的な特徴および例は、例えば、Organic Chemistry, 2d ed., Francis Carey (1992), pages 328-331、Introduction to Organic Chemistry, 2d ed., Andrew Streitwieser and Clayton Heathcock (1981), pages 169-171、およびOrganic Chemistry, 5th ed., John McMurry (2000), pages 398 and 408において見出すことができ、それらはすべて、脱離基の特徴および例を開示する限られた目的のために、参照により本明細書に組み込まれる。
【0081】
「薬学的に許容される塩」という用語は、本明細書で使用される場合、広範な意味の用語であり、当業者にとって通常および通例のその意味を与えられるべきであり(特別なまたは特化された意味に限定されるべきではない)、限定されるものではないが、それらが投与される生物に対して著しい刺激を引き起こさず、化合物の生物活性および特性を無効にしない、化合物の塩を指す。一部の実施形態では、塩は、化合物の酸付加塩である。薬学的な塩は、化合物を、無機酸、例えば、ハロゲン化水素酸(例えば、塩酸または臭化水素酸)、硫酸、硝酸、およびリン酸と反応させることによって得ることができる。薬学的な塩は、化合物を、有機酸、例えば、脂肪族または芳香族カルボン酸またはスルホン酸、例えば、ギ酸、酢酸(AcOH)、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、トリフルオロ酢酸(TFA)、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、コハク酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸、酪酸、フェニル酢酸、フェニル酪酸、バルプロ酸、1,2-エタンジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、またはナフタレンスルホン酸と反応させることによって得ることもできる。薬学的な塩は、化合物を塩基と反応させて、塩、例えば、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、例えば、リチウム、ナトリウムもしくはカリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えば、カルシウム、マグネシウムもしくはアルミニウム塩、有機塩基、例えば、ジシクロヘキシルアミン、N-メチル-D-グルカミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、(C1~C7アルキル)アミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミンの塩、ならびにアミノ酸、例えば、アルギニンおよびリシンとの塩、または無機塩基、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムなどの塩を形成することによって得ることもできる。一部の実施形態では、本明細書に記載される化合物は、トリフルオロ酢酸塩の形態であり得る。
【0082】
本明細書で使用される場合、「ヌクレオチド」は、窒素含有複素環式塩基、糖、および1つまたは複数のホスフェート基を含む。ヌクレオチドは、核酸配列のモノマー単位である。RNAでは、糖はリボースであり、DNAではデオキシリボース、すなわちリボースに存在するヒドロキシ基が欠如している糖である。窒素含有複素環式塩基は、プリン塩基またはピリミジン塩基であり得る。プリン塩基には、アデニン(A)およびグアニン(G)、ならびにそれらの修飾誘導体またはアナログ、例えばデアザプリンが含まれる。ピリミジン塩基には、シトシン(C)、チミン(T)、およびウラシル(U)、ならびにそれらの修飾誘導体またはアナログが含まれる。デオキシリボースのC-1原子は、ピリミジンのN-1またはプリンのN-9に結合している。
【0083】
本明細書で使用される場合、「ヌクレオシド」は、構造的にはヌクレオチドに類似しているが、ホスフェート部分が欠けている。ヌクレオシドアナログの例は、標識が塩基に連結しており、糖分子に結合したホスフェート基がないものである。「ヌクレオシド」という用語は、本明細書では、当業者により理解されるその通常の意味で使用される。例として、リボース部分を含むリボヌクレオシドおよびデオキシリボース部分を含むデオキシリボヌクレオシドが挙げられるが、それらに限定されない。修飾ペントース部分は、酸素原子が炭素で置き換えられ、および/または炭素が硫黄原子もしくは酸素原子で置き換えられている、ペントース部分である。「ヌクレオシド」は、置換された塩基および/または糖部分を有することができるモノマーである。加えて、ヌクレオシドは、より大きいDNAおよび/またはRNAのポリマーおよびオリゴマーに組み込むことができる。
【0084】
「プリン塩基」という用語は、本明細書では当業者によって理解されるその通常の意味で使用され、その互変異性体を含む。同様に、「ピリミジン塩基」という用語は、本明細書では当業者によって理解されるその通常の意味で使用され、その互変異性体を含む。必要に応じて置換されているプリン塩基の非限定的な一覧には、プリン、デアザプリン、7-デアザプリン、アデニン、7-デアザアデニン、グアニン、7-デアザグアニン、ヒポキサンチン、キサンチン、アロキサンチン、7-アルキルグアニン(例えば、7-メチルグアニン)、テオブロミン、カフェイン、尿酸およびイソグアニンが含まれる。ピリミジン塩基の例として、シトシン、チミン、ウラシル、5,6-ジヒドロウラシルおよび5-アルキルシトシン(例えば、5-メチルシトシン)が挙げられるが、それらに限定されない。
【0085】
本明細書で使用される場合、オリゴヌクレオチドが本明細書に記載されるヌクレオシド化合物を「含む」または「組み込む」と記載される場合、本明細書に記載されるヌクレオシドは、オリゴヌクレオチドと共有結合を形成することを意味する。一部の実施形態では、共有結合は、本明細書に記載される式(I)のヌクレオシドの5’ヒドロキシ基と別のヌクレオシド(オリゴヌクレオシドの末端ヌクレオシドであり得る)の3’ホスホロアミダイト基との反応によってホスホジエステル結合を形成するか、または本明細書に記載される式(I)のヌクレオシドの3’ホスホロアミダイト基と別のヌクレオシド(オリゴヌクレオシドの末端ヌクレオシドであり得る)の5’ヒドロキシ基との反応によってホスホジエステル結合もしくはその等価物(例えば、チオホスホジエステル)を形成することによって形成される。
【0086】
本明細書で使用される場合、「誘導体」または「アナログ」は、修飾塩基部分および/または修飾糖部分を有する合成ヌクレオシドまたはヌクレオチド誘導体を意味する。そのような誘導体およびアナログは、例えば、Scheit, Nucleotide Analogs (John Wiley & Son, 1980)およびUhlman et al., Chemical Reviews 90:543-584, 1990に記載されている。ヌクレオチドアナログはまた、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、アルキル-ホスホネート、ホスホロアニリデート(phosphoranilidate)、ホスホロアミダイト、およびホスホロアミデート連結を含む修飾ホスホジエステル連結を含むことができる。「誘導体」および「アナログ」は、本明細書で使用される場合、交換可能に使用することができ、本明細書で定義される「ヌクレオチド」および「ヌクレオシド」という用語によって包含される。
【0087】
本明細書で使用される場合、「ホスフェート」という用語は、当業者によって理解されるその通常の意味で使用され、そのプロトン化形態を含む(例えば、
【化16】
)。本明細書で使用される場合、「モノホスフェート」、「ジホスフェート」、および「トリホスフェート」という用語は、当業者によって理解されるその通常の意味で使用され、そのプロトン化形態を含む。
式(I)の化合物
【0088】
一部の実施形態は、本明細書に記載される通りの式(I)の化合物、または薬学的に許容されるその塩
【化17】
を提供する。
【0089】
式(I)の化合物の一部の実施形態では、化合物は、式(Ia)
【化18】
または薬学的に許容されるその塩の構造を有する。他の実施形態では、化合物は、式(Ib)
【化19】
または薬学的に許容されるその塩の構造を有する。
【0090】
式(I)、(Ia)または(Ib)の化合物の一部の実施形態では、R1a、R1bおよびR1cのそれぞれは、独立に、水素、ベンジル(Bn)、または-C(=O)R1Aであり、R1Aは、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、または必要に応じて置換されているフェニルである。一部の実施形態では、R1aは、C(=O)CH3(Ac)である。一部の実施形態では、R1aは、C(=O)Ph(Bz)である。一部の実施形態では、R1bは、C(=O)CH3である。他の実施形態では、R1bは、C(=O)Phである。一部の実施形態では、R1cは、C(=O)CH3である。他の実施形態では、R1cは、C(=O)Phである。一部の実施形態では、R1a、R1b、およびR1cのそれぞれは、C(=O)CH3である。他の一部の実施形態では、R1a、R1b、およびR1cのそれぞれは、Hである。他の一部の実施形態では、R1a、R1b、およびR1cのそれぞれは、C(=O)Phである。
【0091】
式(I)、(Ia)または(Ib)の化合物の一部の実施形態では、R2は、-C(=O)C1~6アルキルである。他の実施形態では、R2は、-C(=O)C1~6ハロアルキルである。一実施形態では、R2は、-C(=O)CH3である。別の実施形態では、R2は、-C(=O)CF3である。
【0092】
式(I)、(Ia)または(Ib)の化合物の一部の実施形態では、R3は、水素、ハロ、ヒドロキシ、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、(C1~6アルコキシ)C1~6アルキル、-O-(C1~6アルコキシ)C1~6アルキル、またはヒドロキシ保護基である。一部の実施形態では、R3は、Hである。他の実施形態では、R3は、-OHである。さらなる他の実施形態では、R3は、-OCH3である。またさらなる他の実施形態では、R3は、-Fである。一部の実施形態では、R3は、-OCF3である。一部の実施形態では、R3は、ヒドロキシ保護基である。一実施形態では、R3は、-OCH2CH2OCH3(-O-MOE)である。別の実施形態では、R3は、-O-tertブチルジメチルシリル(-O-TBDMS)である。一実施形態では、R3は、-O-トリ-イソプロピルシリルオキシメチル(-O-TOM)である。
【0093】
式(I)、(Ia)または(Ib)の化合物の一部の実施形態では、R
4は、水素である。他の実施形態では、R
4は、ホスホロアミダイト部分である。さらなる他の実施形態では、R
4は、-C(=O)CH
2CH
2C(=O)R
4Aであり、R
4Aは、-OH、-OR
8または-NR
9R
10である。一部の実施形態では、R
9およびR
10のそれぞれは、独立に、H、必要に応じて置換されているC
1~6アルキルまたはアミノ保護基である。他の実施形態では、R
4は、-P(OR
4B)NR
4CR
4Dであり、R
4B、R
4CおよびR
4Dのそれぞれは、独立に、H、C
1~6ハロアルキル、または必要に応じて置換されているC
1~6アルキルである。一実施形態では、R
4は、-C(=O)CH
2CH
2C(=O)OHである。別の実施形態では、R
4は、
【化20】
である。
【0094】
式(I)、(Ia)または(Ib)の化合物の一部の実施形態では、R5は、トリチルタイプのヒドロキシ保護基である。一部の実施形態では、R5は、(4-メトキシフェニル)ジフェニルメチル(すなわち、モノメトキシトリチル(MMTr))である。他の実施形態では、R5は、ビス(4-メトキシフェニル)フェニルメチル(すなわち、4,4’-ジメトキシトリチル(DMTr))である。さらなる他の実施形態では、R5は、トリス(4-メトキシフェニル)メチル(すなわち、4,4’,4’’-トリメトキシトリチル(TMTr))である。一部の実施形態では、R5は、9-フェニルキサンテン-9-イルである。他の実施形態では、R5は、9-(4-メトキシフェニル)キサンテン-9-イルである。
【0095】
式(I)の化合物の一部の実施形態では、Gは、
【化21】
である。他の実施形態では、Gは、R
7で必要に応じて置換されているトリアゾレンである。一部の実施形態では、R
7は、ハロまたはC
1~C
6アルキルである。一実施形態では、R
7は、メチルである。
【0096】
式(I)、(Ia)または(Ib)の化合物の一部の実施形態では、Bは、天然核酸塩基である。他の実施形態では、Bは、修飾天然核酸塩基である。さらなる他の実施形態では、Bは、非天然核酸塩基である。一部の実施形態では、Bは、
【化22】
である。他の実施形態では、Bは、
【化23】
である。他の実施形態では、Bは、
【化24】
である。さらなる他の実施形態では、Bは、
【化25】
である。またさらなる他の実施形態では、Bは、
【化26】
である。一部の実施形態では、Bは、
【化27】
であり、R
xは、水素もしくはアミノ保護基であるか、または-NHR
xの水素は存在せず、R
xは、二価のアミノ保護基である。一部の実施形態では、R
xは、-C(=O)C
1~6アルキルである。例えば、一部の実施形態では、R
xは、-C(=O)CH
3(Ac)、-C(=O)CH
2CH
3、または-C(=O)CH(CH
3)
2(iBu)である。他の実施形態では、R
xは、-C(=O)フェニルである。他の一部の実施形態では、-NHR
xの水素は存在せず、窒素原子に直接結合しているR
xは、アミノ保護基、例えば、アミジンタイプの保護基またはフタロイルタイプの保護基を形成する。そのような一部の実施形態では、R
xは、N,N-ジメチルホルムアミジン
【化28】
である。他の一部の実施形態では、R
xは、
【化29】
である。
【0097】
式(I)、(Ia)、または(Ib)の化合物の一部の実施形態では、各L1、L2、およびL3は、独立に、結合、-C(=O)-、-C(=S)-、-S(=O)2-、-C(=O)NR6-、-C(=S)NR6-、-C(=O)O-、-C(=S)O-、-NR6C(=O)NR6-、-NR6C(=S)NR6-、-OP(=O)(OH)O-、-OP(=S)(OH)O-、-O-、-S-、-NR6-、必要に応じて置換されているC1~10アルキレン、または1つもしくは複数の炭素原子(炭素に結合している水素(複数可)と一緒に)がC(=O)、O、SもしくはNで置き換えられている必要に応じて置換されている2~15員のヘテロアルキレンであり、ただし、L1、L2、およびL3のうちの少なくとも1つは、結合ではない。そのような一部の実施形態では、R6は、Hまたは必要に応じて置換されているC1~6アルキル、例えば、メチルまたはトリフルオロメチルである。一部のさらなる実施形態では、L1は、結合、C1~10アルキレン、または1つもしくは複数の炭素原子(すなわち、CH2)がC(=O)、OもしくはNで置き換えられている2~15員のヘテロアルキレンである。一部の実施形態では、L1は、C1~5アルキレンである。他の一部の実施形態では、L1は、-(CH2CH2O)-1~4である。他の一部の実施形態では、L1は、3~10または3~6員の直鎖ヘテロアルキレンであり、1、2または3個の炭素原子は、窒素またはC(=O)によって置き換えられている。一部の実施形態では、L2は、-C(=O)-、-C(=O)NR6- -NR6-、または1つもしくは複数の炭素原子がC(=O)、OもしくはNで置き換えられている2~15員のヘテロアルキレンである。そのような一部の実施形態では、R6は、Hまたはメチルである。一部の実施形態では、L2は、-(CH2CH2O)-1~4である。他の一部の実施形態では、L2は、3~10または3~6員の直鎖ヘテロアルキレンであり、1、2または3個の炭素原子は、窒素またはC(=O)によって置き換えられている。一部のさらなる実施形態では、L3は、結合、C1~10アルキレン、または1つもしくは複数の炭素原子がC(=O)、OもしくはNで置き換えられている2~15員のヘテロアルキレンである。一部の実施形態では、L3は、C1~5アルキレンである。他の一部の実施形態では、L3は、-(CH2CH2O)-1~4である。他の一部の実施形態では、L3は、3~10または3~6員の直鎖ヘテロアルキレンであり、1、2または3個の炭素原子は、窒素またはC(=O)によって置き換えられている。一部の実施形態では、L1だけが結合である。一部の実施形態では、L2だけが結合である。一部の実施形態では、L3だけが結合である。他の実施形態では、L1、L2、およびL3の少なくとも1つは、必要に応じて置換されているC6~10アリーレン(例えば、フェニレン)、必要に応じて置換されているC3~10シクロアルキレン(例えば、C3~7シクロアルキレン(clyclalkylene))、必要に応じて置換されている5~10員のヘテロアリーレン(例えば、O、NまたはSから選択される1、2または3個のヘテロ原子を含有する5または6員のヘテロアリーレン)、および必要に応じて置換されている5~10員のヘテロシクリレン(例えば、5または6員のヘテロシクリレン、例えば、ピペリジレン、ピペラジニレンまたはモルホリニレン)を含む環または環系である。一部の実施形態では、L1-L2-L3は、-(CH2)2~6C(=O)-(例えば、-(CH2)4C(=O)-)であり得る。他の一部の実施形態では、L1-L2-L3は、-[(CH2)2O]1~5-CH2C(=O)-(例えば、-[(CH2)2O]2-CH2C(=O)-)であり得る。他の一部の実施形態では、L1-L2-L3は、-[(CH2)2O]1~5(CH2)1~4-(例えば、-[(CH2)2O]2(CH2)2-)であり得る。
【0098】
式(I)の化合物の一部の実施形態では、L4は、結合である。他の実施形態では、L4は、必要に応じて置換されているC1~10アルキレンである。例えば、一部の実施形態では、L4は、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、または-CH2CH2CH2CH2-である。さらなる他の実施形態では、L4は、必要に応じて置換されている2~15員のヘテロアルキレンであり、1つまたは複数の炭素原子が、C(=O)、O、SまたはNで置き換えられている。例えば、一部の実施形態では、L4は、(CH2CH2O)pであり、pは、1、2、3、4、または5である。
【0099】
式(I)の化合物のさらなる非限定的な例として、
【化30】
【化31】
ならびに薬学的に許容されるその塩が挙げられる
[式中、R
3は、水素、ハロ、ヒドロキシ、C
1~6アルコキシ、C
1~6ハロアルコキシ、C
1~6アルキル、C
1~6ハロアルキル、(C
1~6アルコキシ)C
1~6アルキル、-O-(C
1~6アルコキシ)C
1~6アルキル、またはヒドロキシ保護基であり、
各R
xは、独立に、H、-C(=O)CH
3、-C(=O)Ph、または-C(=O)CH(CH
3)
2であり、
R
4は、-C(=O)CH
2CH
2C(=O)OHまたは
【化32】
である]。さらなる実施形態では、R
3は、H、-F、-OCH
3、-OCH
2CH
2OCH
3、または-O-tertブチルジメチルシリルである。さらなる実施形態では、化合物は、
【化33】
から選択され得る。
GalNAcヌクレオシドとコンジュゲートした固体支持体
【0100】
本出願の一部の実施形態は、例えば化合物のR
4を介して共有結合している、本明細書に記載される式(I)、(Ia)または(Ib)のヌクレオシド化合物を含む固体支持体に関する。一実施形態では、R
4は、-C(=O)CH
2CH
2C(=O)OHである。さらなる実施形態では、ヌクレオシド化合物は、部分
【化34】
[式中、破線は、必要に応じてさらなるリンカーを通しての固体支持体との連結を指し、波線は、化合物の残部分へのヌクレオシド化合物の3’酸素の結合点を指す]を介して固体支持体に共有結合している。さらなる実施形態では、固体支持体は、オリゴヌクレオチドを含み、化合物は、オリゴヌクレオチド配列、例えば、オリゴ配列の末端(5’末端または3’末端のいずれか)に組み込まれる。いずれかの実施形態では、固体支持体は、制御多孔質ガラス(CPG)またはマクロ多孔質ポリスチレン(MPPS)を含み得る。
オリゴヌクレオチド合成における、GalNAcとコンジュゲートしたヌクレオシド
【0101】
本出願の一部の実施形態は、本明細書に記載される化合物をオリゴヌクレオチドと反応させるステップを含む、合成オリゴヌクレオチドを調製するための方法に関する。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、1~100塩基長、5~50塩基長、または10~30塩基長を含む。さらなる実施形態では、反応は、固体支持体上で実施される。
【0102】
図6は、本明細書に記載されるホスホロアミダイト部分を含有するヌクレオシドを使用するオリゴヌクレオチドの合成サイクルを示す。そのサイクルは、典型的に、以下に詳説される以下のステップを含む。
ステップ1:脱ブロック(脱トリチル化)
【0103】
DMTr基は、不活性溶媒(ジクロロメタンまたはトルエン)中、酸の溶液、例えば2%トリクロロ酢酸(TCA)または3%ジクロロ酢酸(DCA)を用いて除去される。形成されたオレンジ色のDMTrカチオンを洗い流し、そのステップにより、固体支持体に結合した、遊離5’末端ヒドロキシ基を担持するオリゴヌクレオチド前駆体が得られる。
ステップ2:カップリング
【0104】
アセトニトリル中のヌクレオシドホスホロアミダイト(または数種のホスホロアミダイトの混合物)の0.02~0.2M溶液を、酸性アゾール触媒、1H-テトラゾール、5-エチルチオ-1H-テトラゾール、2-ベンジルチオテトラゾール、4,5-ジシアノイミダゾール、またはいくつかの類似の化合物の0.2~0.7M溶液によって活性化する。混合は、通常、非常に短時間であり、オリゴヌクレオチド合成機(以下参照)の流体ラインで行われ、一方、構成成分は、固体支持体を含有する反応器に送達される。次に、支持体に結合した材料の1.5~20倍過剰の活性化されたホスホロアミダイトを、出発固体支持体と接触させるか(第1のカップリング)、または支持体に結合したオリゴヌクレオチド前駆体と接触させ(それに続くカップリング)、その5’-ヒドロキシ基は、入ってくるヌクレオシドホスホロアミダイトの活性化されたホスホロアミダイト部分と反応して、亜リン酸トリエステル連結を形成する。その反応はまた、特にホスホロアミダイトの希薄溶液が使用される場合、水の存在に対して高度に感受性であるので、一般に無水アセトニトリル中で行われる。カップリングが完了したら、あらゆる非結合試薬および副生成物を洗浄によって除去する。
ステップ3:キャッピング
【0105】
キャッピングステップは、固体支持体に結合した材料を、無水酢酸および1-メチルイミダゾールの混合物で、またはさほど頻繁ではないが触媒としてのDMAPで処理することによって実施され、ホスホロアミダイト方法において2つの目的を果たす。カップリング反応の完了後、小さいパーセンテージの固体支持体に結合した5’-OH基(0.1~1%)が未反応のまま残るので、一般に(n-1)ショートマーと呼ばれる内部塩基が欠失したオリゴヌクレオチドの形成を防止するために、さらなる鎖伸長から永続的にブロックされる必要がある。未反応5’-ヒドロキシ基は、大部分がキャッピング混合物によってアセチル化される。
ステップ4:酸化
【0106】
新しく形成された三配位亜リン酸トリエステル連結は、天然ではなく、オリゴヌクレオチド合成の条件下での安定性が限られている。弱塩基(ピリジン、ルチジン、またはコリジン)の存在下でヨウ素および水を用いる、支持体に結合した材料の処理により、亜リン酸トリエステルは、天然に存在するリン酸ジエステルのヌクレオシド間連結の保護前駆体である四配位リン酸トリエステルに酸化される。酸化は、tert-ブチルヒドロペルオキシドまたは(1S)-(+)-(10-カンファースルホニル)-オキサジリジン(CSO)を使用して無水条件下で行うことができる。酸化ステップを硫化ステップで置き換えて、オリゴヌクレオチドホスホロチオエートを得ることができる。後者の場合、硫化ステップは、最も良くはキャッピングの前に行われる。
【0107】
固相合成において、構築されるオリゴヌクレオチドは、その3’末端ヒドロキシ基を介して固体支持体材料に共有結合し、鎖構築の全過程にわたって固体支持体材料に結合したままである。固体支持体はカラムに収容され、そのカラムの寸法は、合成のスケールに応じて決まり、0.05mL~数リットルの間で変わり得る。鎖構築の最後に、オリゴヌクレオチドは固体支持体から放出され、カラムまたはウェルから溶出される。最も頻繁に使用される2種の固相材料は、制御多孔質ガラス(CPG)およびマクロ多孔質ポリスチレン(MPPS)である。
【0108】
有機固相合成およびペプチド合成とは対照的に、オリゴヌクレオチドの合成は、最も良くは非膨潤性または低膨潤性の固体支持体上で進行する。最も頻繁に使用される2種の固相材料は、制御多孔質ガラス(CPG)およびマクロ多孔質ポリスチレン(MPPS)である。
【0109】
CPGは、一般に、その孔径によって定義される。オリゴヌクレオチド化学において、500、1000、1500、2000、および3000Åの孔径が、それぞれ約50、80、100、150、および200マーのオリゴヌクレオチドの調製を可能にするために使用される。さらなる処理に好適な天然CPGを作製するために、材料の表面を、(3-アミノプロピル)トリエトキシシランで処理して、アミノプロピルCPGを得る。アミノプロピルアームをさらに延長して、長鎖アミノアルキル(LCAA)CPGをもたらすことができる。次に、オリゴヌクレオチド合成に好適なリンカーのための固着点として、アミノ基が使用される。
【0110】
オリゴヌクレオチド合成に好適なMPPSは、細孔生成(porogeneous)剤の存在下で、ジビニルベンゼン、スチレン、および4-クロロメチルスチレンの重合によって得られた、低膨潤性の高度に架橋されたポリスチレンである。得られたマクロ多孔質クロロメチルMPPSは、アミノメチルMPPSに変換される。
【実施例】
【0111】
上述で論じられる実施形態の一部の態様を、以下の実施例においてさらに詳細に開示するが、以下の実施例は、本開示の範囲を限定することを決して意図されない。当業者は、他の多くの実施形態もまた、上述の本明細書および特許請求の範囲に記載される通りの、本出願の組成物、キットおよび方法の範囲内に含まれることを認識されよう。
(実施例1)
2,2,2-トリフルオロ-N-(2-(プロパ-2-イン-1-イルオキシ)エチル)アセトアミドの調製
【化35】
【0112】
2,2,2-トリフルオロ-N-(2-(プロパ-2-イン-1-イルオキシ)エチル)アセトアミドリンカー(1)を使用して、ヌクレオシドにおける天然塩基、修飾塩基、または非天然塩基にGalNAcをコンジュゲートすることができる。リンカーは、2ステッププロセスを使用して調製した。
【0113】
ステップ1:水素化ナトリウム(36g、0.9mol、鉱物油中60%分散液)を、テトラヒドロフラン(THF)50mL中で撹拌した。混合物を沈殿するまで静置し、THFをデカントした。この洗浄プロセスをさらに1回反復した。洗浄した水素化ナトリウムに、THF133mLを添加し、得られた懸濁液を0℃に冷却した。エタノールアミン(30.54g、0.5mol)を、10分間にわたって懸濁液に滴下添加し、反応混合物を周囲温度で2時間撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、臭化プロパルギル(89.28g、0.6モル、トルエン中80%)を滴下添加した。添加が完了した後、反応物を周囲条件で16時間撹拌した。次に、混合物をTHF200mLで希釈し、濾過し、固体をTHF(500mL)で洗浄した。THF濾液を合わせ、蒸発させた。残留物を真空蒸留によって精製して、沸点約95℃/6mmHgを有するアミノエチルプロパルギルエーテル(AEP)21.44gを得た。
【0114】
ステップ2:THF100mL中のトリフルオロ酢酸エチル(46.0g、0.324mol)の溶液に、アミノエチルプロパルギルエーテル(21.4g、0.216モル)を15分間にわたって0℃で滴下添加した。添加が完了した後、反応混合物を周囲温度で2時間撹拌し、分液漏斗に移し、水(100mL)で洗浄した。水層を分離し、EtOAc(酢酸エチル)/THF(1:1、100mL)で抽出した。有機層を合わせ、蒸発させて粗生成物を得た。粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィーによって0~10%酢酸エチル/ジクロロメタン(DCM)の勾配で溶出してさらに精製して、2,2,2-トリフルオロ-N-(2-(プロパ-2-イン-1-イルオキシ)エチル)アセトアミド(1)34.42gを得た。化合物(1)はAEP-TFAとも呼ばれる。
(実施例2)
ddU(AEP-TFA)の調製
【化36】
【0115】
乾燥ジメチルホルムアミド(DMF)100mL中の5-ヨード-ddU(2)(6.76g、0.02モル)の溶液に、2,2,2-トリフルオロ-N-(2-(プロパ-2-イン-1-イルオキシ)エチル)アセトアミド(1)(11.71g、0.06mol)、CuI(0.76g、0.004mol)、Pd(PPh3)4(2.31g、0.002mol)およびトリエチルアミン(TEA)(5.86mL、0.042モル)を添加した。反応混合物を、アルゴン雰囲気下、周囲温度で4時間撹拌した。反応をHPLCによってモニタリングし、HPLCによって出発材料である5-ヨード-ddU(2)が3%未満になったことが示されたら完了したと決定された。ビカーボネート樹脂を反応混合物に添加し、得られた混合物を1時間撹拌した。混合物を濾過し、固体をDCM-メタノール(1:1)で洗浄した。濾液を蒸発させて粗生成物を得、それをクロマトグラフィーによって250gのシリカゲルを用いて、0~10%メタノール(MeOH)/DCMの勾配で溶出してさらに精製して、生成物ddU(AEP-TFA)(3)6~6.5gを得た。
【0116】
類似の誘導体化ヌクレオシド(例えば、ddG(AEP-TFA)、ddC(AEP-TFA)、ddA(AEP-TFA)、ddT(AEP-TFA)等)は、この実施例に記載される方法に従って調製することができる。
(実施例3)
ヌクレオシドコンジュゲーションのためのGalNAc部分の調製
【化37】
【0117】
β-D-ガラクトサミンペンタアセテート(10g、25.68mmol)および5-ヘキセン-1-オール(2.83g、28.25mmol)を、無水1,2-ジクロロエタン(100mL)に溶解させた。トリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)(0.58g、3.85mmol)を添加し、混合物を約18時間還流させた。次に、反応混合物を室温に冷却し、1M NaHCO3溶液(50mL)でクエンチし、有機層を分離した。有機層を、水(50mL)、ブライン(50mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下で蒸発乾固させて、粗製物(4)11.52gを得た。
【0118】
上述の粗製物(4)(3.9g、9.08mmol)をDCM(20mL)に溶解させ、次にアセトニトリル(20mL)およびH
2O(20mL)を添加し、続いて塩化ルテニウム(75mg、0.36mmol)を添加した。混合物を5℃に冷却し、4.5mol当量の(メタ)過ヨウ素酸ナトリウム(8.7g、40.67mmol)を添加した。反応混合物を5℃で15分間撹拌し、次に室温に加温し、さらに2時間撹拌した。反応の完了をTLCによって確認した。反応混合物を濾過して固体を除去し、Na
2S
2O
39.5gを濾液に添加した。次に、濾液を濾過し、減圧下で蒸発させて、粗生成物(5)(12.23g)を得た。
(実施例4)
DMT-dU-EO-GalNAc-ホスホロアミダイト/CGPの調製
【化38】
【0119】
100mLの丸底フラスコにおいて、5-ヨード-2’-デオキシウリジン(1.0g、2.82mmol)をピリジン(30mL)に溶解させた。DMT-Cl(1.04g、3.07mmol)をすぐに添加した。反応混合物を室温で12時間撹拌した。反応の完了をTLCによって確認した。次に、この混合物を飽和NaHCO3(51mL)に注ぎ、有機層を分離し、水、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させた。濾過後、有機層を真空下で濃縮乾固させた。粗生成物を、カラム精製によってDCM/MeOH(2%~8%MeOH)を使用して精製した。純粋な画分を収集し、真空下で濃縮乾固させて、5’-DMT保護-5-ヨード-2’デオキシウリジン(1.47g、収率80%)を得た。MS:実測値[M-H]=655.5、計算値[M-H]=655.1。
【0120】
100mLのRBフラスコにおいて、5’-DMT保護-5-ヨード-2’デオキシウリジン(1.31g、1.99mmol)、Pd(PPh3)4(0.23g、0.10mmol)およびCuI(0.115g、6.0mmol)を添加した。空気を除去した後、TEA(0.80g、8.0mmol)、化合物1(1.16g、6.0mmol)およびDMF(30mL)を添加した。反応混合物を室温で5時間撹拌した。反応の完了をTLCによって確認し、次に、この混合物を飽和NaHCO3(51mL)に注いだ。DCM(80mL)を添加し、有機層を分離し、水、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させた。濾過後、有機層を真空下で濃縮乾固させた。粗生成物を、カラム精製によってDCM/MeOH(0%~10%MeOH)を使用して精製した。純粋な画分を収集し、真空下で濃縮乾固させて、化合物6(320mg、収率22%)を得た。MS:実測値[M-H]=722.8、計算値[M-H]=722.2。
【0121】
50mLの丸底フラスコにおいて、化合物6(320mg、0.44mmol)をMeCN(20mL)に溶解させ、NH4OH水溶液(1.5mL)を添加した。反応混合物を室温で12時間撹拌した。反応の完了をTLCによって確認した。次に、この混合物を飽和NaHCO3(10mL)に注ぎ、DCM(20mL)を添加した。有機層を分離し、水、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させた。濾過後、有機層を真空下で濃縮乾固させた。粗生成物を、カラム精製によってDCM/MeOH(0%~20%MeOH)を使用して精製した。純粋な画分を収集し、真空下で濃縮乾固させて、化合物7(160mg、収率58%)を得た。MS:実測値[M-H]=626.8、計算値[M-H]=626.3。
【0122】
50mLの丸底フラスコにおいて、化合物7(50mg、0.079mmol)をDMF(5mL)に溶解させた。化合物5(過アセチル化GalNAcペンテン酸)(40mg、0.086mmol)、HATU(60mg、0.16mmol)、DIEA(40mg、0.32mmol)。反応混合物を室温で24時間撹拌した。反応の完了をTLCによって確認した。次に、この混合物を飽和NaHCO3(10mL)に注ぎ、DCM(20mL)を添加した。有機層を分離し、水、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させた。濾過後、有機層を真空下で濃縮乾固させた。粗生成物を、カラム精製によってDCM/MeOH(0%~10%MeOH)を使用して精製した。純粋な画分を収集し、真空下で濃縮乾固させて、化合物8(22mg、収率26%)を得た。MS:実測値[M-H]=1056.1、計算値[M-H]=1056.1。
【0123】
50mLの丸底フラスコにおいて、化合物8(450mg、0.43mmol)をDCM(20mL)に溶解させた。2-シアノエチルN,N-ジイソプロピルクロロホスホロアミダイト(2-Cyanoethyl N,N-diisopropylchlorophosphoramindite)(120mg、0.51mmol)、DIEA(164mg、1.26mmol)を添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応の完了をTLCによって確認し、次に、この混合物を飽和NaHCO3(10mL)に注いだ。DCM(20mL)を添加し、有機層を分離し、水、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させた。濾過後、有機層を真空下で濃縮乾固させた。粗生成物を、カラム精製によってDCM/TEA(0%~80%TEA)を使用して精製した。純粋な画分を収集し、真空下で濃縮乾固させて、化合物9(120mg、収率22%)を得た。MS:実測値[M+H]=1258.1、計算値[M+H]=1258.3。31PNMR(ジアステレオマーの混合物、DMSO-d6):δ147.481、147.084。
【0124】
GalNAcとコンジュゲートしたウリジン-CPG化合物の調製:ステップ1:50mLの丸底フラスコにおいて、化合物8(83mg、0.079mmol)をDCM(10mL)に溶解させた。無水コハク酸(11mg、0.12mmol)およびTEA(16mg、0.16mmol)を添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応の完了をTLCによって確認し、次に、この混合物を飽和NaHCO3(10mL)に注いだ。DCM(20mL)を添加し、有機層を分離し、水、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させた。濾過後、有機層を真空下で濃縮乾固させた。粗生成物を、カラム精製によってDCM/MeOH(0%~10%MeOH)を使用して精製した。純粋な画分を収集し、真空下で濃縮乾固させて、白色固体(60mg、収率66%)を得た。MS:実測値[M-H]=1156.10、計算値[M-H]=1156.2。
【0125】
ステップ2:50mLの丸底フラスコにおいて、ステップ1からの化合物(82mg、0.072mmol)をMeCN10mLに溶解させた。HATU(27.4mg、0.072mmol)およびDIEA(27.9mg、0.28mmol)を添加した。5分後、LCAA CPG(1000Å、2g)を添加し、反応混合物を室温で3時間撹拌した。濾過後、得られた生成物をMeCN(50ml×3)およびTHF(50ml×3)で洗浄し、次に真空下で乾燥させて、キャップされていないCGP生成物10を得た。キャッピングA試薬:(THF/無水酢酸/ピリジン 80/10/10v/v/v、5mL)およびキャッピングB試薬:(1-メチルイミダゾール/THF、16/84、v/v、5mL)をフラスコに添加し、混合物を室温で2時間撹拌した。濾過後、キャップされたCPG生成物10をEtOH(50mL×3)、EtOH/ピリジン(10%)(50mL×3)、THF(50mL×3)およびDCM(50mL×3)で洗浄し、次に真空下で乾燥させた。担持量は、UV-Vis(498nm)による標準DMTrアッセイによって22μmol/gであると決定された。
(実施例5)
DMT-dA-EO-GalNAc-ホスホロアミダイトの調製
【化39】
【0126】
7-デアザ-2’-デオキシ-7-ヨードアデノシン(1.5g、4.0mmol)をピリジン(15mL)に溶解させた。溶液を氷浴で冷却し、DMTrCl(1.2g、4.4mmol)を少しずつ添加した。反応物を室温まで加温し、TLCによってモニタリングした。反応の完了後、メタノール(1.0mL)を添加することによってクエンチした。溶媒を蒸発させ、粗製物を、DCM/MeOH(5%MeOH)を使用するフラッシュカラム精製に供して、5’-DMT保護-7-デアザ-2’-デオキシ-7-ヨードアデノシン(5’-DMT protected-7-deaza-2’-deoxy-7-isodoadenosine)(2.3g、収率85%)を白色固体として得た。MS:計算値[M-H]=677.13、実測値[M-H]=677.7。
【0127】
5’-DMT保護-7-デアザ-2’-デオキシ-7-ヨードアデノシン(1.2g、1.77mmol)、化合物1(0.75g、3.85mmol)、Pd(PPh3)4(440mg、0.38mmol)、CuI(150mg、0.76mmol)およびトリエチルアミン(0.8ml)をDMF(10.0mL)に分散させた。溶液を窒素でパージし、2日間撹拌した。反応をTLCによってモニタリングした。反応の完了後、混合物を濾過した。溶液を酢酸エチル(30mL)で希釈し、水(3×30mL)およびブライン(20mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製物を、DCM/MeOH(0%~10%MeOH)を使用するフラッシュカラム精製に供して、化合物11(1.0g、収率76%)を黄色油状物として得た。MS計算値[M+H]=746.27、実測値[M+H]=746.7。
【0128】
化合物11(1.0g、1.34mmol)をアセトニトリル(5.0mL)に溶解させ、続いてアンモニア水溶液(20mL、30%)を添加した。反応物を室温で2日間撹拌し、TLCによってモニタリングした。有機溶媒を蒸発させ、混合物を酢酸エチル(20mL)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製物を、MeOH/DCM=(0%~15%MeOH)を使用するフラッシュカラム精製に供して、化合物12(0.62g、収率72%)を白色泡状物として得た。MS計算値[M+H]=650.29、実測値[M+H]=650.8。
【0129】
化合物12(500mg、0.77mmol)、化合物5(400mg、0.89mmol)、トリエチルアミン(320μL)およびHATU(440mg、1.16mmol)をTHF(5.0mL)に溶解させた。反応物を室温で2時間撹拌し、TLCによってモニタリングした。溶媒を蒸発させ、残留物を酢酸エチル(30mL)で希釈し、水(3×30mL)およびブライン(20mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製物を、MeOH/DCM(0%~15%MeOH)を用いるフラッシュカラム精製に供して、化合物13(513mg、収率62%)を白色固体として得た。MS計算値[M+H]=1079.45、実測値[M+H]=1079.8。
【0130】
化合物13(500mg、0.46mmol)、2-シアノエチルテトライソプロピルホスホロジアミダイト(210mg、0.70mmol)、およびジイソプロピルアンモニウムテトラゾリド(20mg、0.115mmol)をDCM(5.0mL)に分散させた。反応物を窒素でパージし、室温で一晩撹拌し、TLCによってモニタリングした。溶液を水(3×5mL)およびブライン(5mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物をアセトニトリル(5mL)に再溶解させ、ヘプタン(3×5ml)で洗浄した。溶媒を蒸発させ、粗製物を、DCM/TEA(4%TEA)を用いるフラッシュカラム精製に供して、化合物14(240mg、収率62%)を白色固体として得た。MS計算値[M+H]=1279.56、実測値[M+H]=1280.1。
31PNMR(ジアステレオマーの混合物、DMSO-d
6):δ147.626、146.969。
(実施例6)
DMT-dANHBz-EO-GalNAc-ホスホロアミダイト/CPGの調製
【化40】
【0131】
7-デアザ-2’-デオキシ-7-ヨードアデノシン(1.0g、2.66mmol)をピリジン(15mL)に溶解させた。溶液を氷浴で冷却し、TMSCl(5.2ml、26.6mmol)を滴下添加した。反応物を、30分にわたって室温まで加温し、次に、混合物を氷浴で再び冷却し、続いてBzCl(0.52ml、2.91mmol)を添加した。1時間後、反応を、水(5mL)を添加することによってクエンチした。有機溶媒を蒸発させ、残留物を酢酸エチル(30mL)で希釈し、水(3×30mL)およびブライン(20mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製物を、DCM/MeOH(0%~10%MeOH)を用いるフラッシュカラム精製に供して、化合物15(0.42g、収率33%)を白色固体として得た。MS計算値[M+H]=481.03、実測値[M+H]=481.5。
【0132】
化合物15(425mg、0.83mmol)をピリジン(5.0mL)に溶解させた。溶液を氷浴で冷却し、DMTrCl(330mg、0.92mmol)を少しずつ添加した。反応物を、30分にわたって室温まで加温し、TLCによってモニタリングした。反応の完了後、メタノール(1.0mL)を添加することによってクエンチした。溶媒を蒸発させ、粗製物を、DCM/MeOH(0%~5%MeOH)を用いるフラッシュカラム精製に供して、化合物16(500mg、収率77%)を白色固体として得た。MS計算値[M+H]=783.16、実測値[M+H]:783.6。
【0133】
化合物5(1g、2.27mmol)、アミノエチルプロパルギルエーテル(337mg、3.41mmol)、トリエチルアミン(947μL、6.81mmol)およびHATU(1.3g、3.41mmol)をTHF(15mL)に溶解させた。反応物を室温で2時間撹拌し、TLCによってモニタリングした。溶媒を蒸発させ、残留物を酢酸エチル(30mL)で希釈し、水(3×30mL)およびブライン(20mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製物を、DCM/MeOH(0%~15%MeOH)を用いるフラッシュカラム精製に供して、化合物17(567mg、収率47%)を白色固体として得た。MS計算値[M-H]=527.23、実測値[M-H]=527.4。
【0134】
化合物16(500mg、0.64mmol)、化合物17(500mg、0.96mmol)、Pd(PPh3)4(148mg、0.13mmol)、CuI(25mg、0.13mmol)およびトリエチルアミン(267μl、1.92mmol)をDMF(5.0mL)に分散させた。反応混合物を窒素でパージし、室温で2日間撹拌した。反応をHPLCによってモニタリングした。反応の完了後、混合物を濾過した。濾液を、酢酸エチル(30mL)で希釈し、水(3×30mL)およびブライン(20mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製物を、DCM/MeOH(0%~10%MeOH)を用いるフラッシュカラム精製に供して、化合物18(468mg、収率62%)を薄黄色固体として得た。MS計算値[M+H]=1184.27、実測値[M+H]=1184.0。
【0135】
化合物18(200mg、0.17mmol)、2-シアノエチルテトライソプロピルホスホロジアミダイト(102mg、0.34mmol)、およびジイソプロピルアンモニウムテトラゾリド(7.3mg、0.043mmol)をDCM(5.0mL)に分散させた。反応物を窒素でパージし、室温で一晩撹拌し、TLCによってモニタリングした。溶液を水(3×5.0mL)およびブライン(5.0mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物をアセトニトリル(5.0mL)に再溶解させ、ヘプタン(3×5.0mL)で洗浄した。溶媒を蒸発させた。粗製物を、DCM/TEA(4%TEA)を用いるフラッシュカラム精製に供して、化合物19(110mg、収率47%)を白色固体として得た。MS計算値[M+H]=1384.49、実測値[M+H]=1384.3。31P-NMR(ジアステレオマーの混合物、DMSO-d6):δ146.923、146.381。
【0136】
化合物18(50mg、0.042mmol)、無水コハク酸(6.3mg、0.063mmol)、およびトリエチルアミン(21mg、0.21mmol)をDCM(2.0mL)に溶解させた。反応混合物を室温で2時間撹拌し、TLCによってモニタリングした。反応の完了後、溶媒を蒸発させ、粗製物をCPG結合に直接使用した。残留物をアセトニトリル(3.0mL)に溶解させ、続いてTBTU(20mg、0.084mmol)、TEA(21mg、0.21mmol)、および1000ÅのCPG(0.60g)を添加した。反応を摂氏25度で2時間進行させた。次に、混合物を濾過し、アセトニトリル(3×3.0mL)、THF(3×3.0mL)、MTBE(3×3.0mL)で洗浄し、乾燥させて、キャップされていないCPG生成物を得た。乾燥させたキャップされていないCPG生成物をTHF(3.0mL)に分散させ、続いてピリジン(0.12mL)、N-メチルイミダゾール(0.12mL)および無水酢酸(0.12mL)を添加した。混合物をロータリーエバポレーターで1時間回転させた。次に、それを濾過し、THF(3×3ml)、EtOH中10%ピリジン(3×3.0mL)、EtOH(3×3.0mL)、ACN(3×3.0mL)、MTBE(3×3.0mL)で洗浄し、乾燥させて、キャップされたCPG生成物20を得た。担持量は、UV-Vis(498nm)による標準DMTrアッセイによって20μmol/gであると決定された。
(実施例7)
DMT-dU-クリック-PEG-GalNAc-ホスホロアミダイト/CPGの調製
【化41】
【0137】
化合物21(5’-DMT保護-2’-デオキシ-5-ヨードウリジン)(2.8g、4.27mmol)、TMS-アセチレン(784mg、8.0mmol)、Pd(PPh3)4(280mg、0.24mmol)、CuI(73mg、0.38mmol)およびトリエチルアミン(1.4mL、10mmol)をDMF(30mL)に分散させた。反応混合物を窒素でパージし、室温で2日間撹拌した。反応をHPLCによってモニタリングした。完了後、混合物を濾過した。溶液を酢酸エチル(50mL)で希釈し、水(3×50mL)およびブライン(50mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製物を、DCM/MeOH(0%~10%MeOH)を用いるフラッシュカラム精製に供して、化合物22(2.0g、収率75%)を黒色固体として得た。MS計算値[M-H]=625.24、実測値[M-H]=625.8。
【0138】
化合物22(200mg、0.32mmol)をTHF(3.0mL)に溶解させ、続いてTBAF(1mmol、1.0mL、THF中1M溶液)を添加した。反応をTLCによってモニタリングした。混合物を濃縮し、DCM/MeOH(0%~15%MeOH)を用いるフラッシュカラム精製に供して、化合物23(169mg、収率95%)を褐色油状物として得た。MS計算値[M-H]=553.21、実測値[M-H]=553.6。
【0139】
化合物23(1.0g、1.8mmol)、GalNAc-PEG2-アジド(1.9g、3.77mmol)、CuI(10mg、0.053mmol)およびDIPEA(0.8ml、4.6mmol)をDMF(15mL)に分散させた。反応物を室温で3日間撹拌し、HPLCによってモニタリングした。次に、混合物を濃縮し、DCM/MeOH(0%~15%MeOH)を用いるフラッシュカラム精製に供して、化合物24(387mg、収率20%)を黒色油状物として得た。MS計算値[M-H]=1058.07、実測値[M-H]=1058.0。
【0140】
化合物24(300mg、0.28mmol)、2-シアノエチルテトライソプロピルホスホロジアミダイト(171mg、0.57mmol)、およびジイソプロピルアンモニウムテトラゾリド(12mg、0.071mmol)をDCM(5.0mL)に分散させた。反応混合物を窒素でパージし、室温で一晩撹拌した。反応混合物をTLCによってモニタリングした。完了後、混合物を水(3×5.0mL)およびブライン(5.0mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物をアセトニトリル(5.0mL)に再溶解させ、ヘプタン(3×5mL)で洗浄した。溶媒を蒸発させた。粗製物を、DCM/TEA(4%TEA)を用いるフラッシュカラム精製に供して、ホスホロアミデート生成物25(113mg、収率32%)を白色固体として得た。MS計算値[M-H]=1258.30、実測値[M-H]=1258.2。31PNMR(ジアステレオマーの混合物、DMSO-d6):δ147.465、147.076。
【0141】
化合物24(87mg、0.082mmol)、無水コハク酸(12.3mg、0.123mmol)、およびトリエチルアミン(41.5mg、0.411mmol)をDCM(2.0mL)に溶解させた。溶液を室温で1日間撹拌し、TLCによってモニタリングした。完了後、溶媒を蒸発させ、粗製物をCPG結合に直接使用した。残留物をアセトニトリル(3.0mL)に溶解させ、続いてTBTU(52.6mg、0.164mmol)、TEA(33mg、0.33mmol)、および1000ÅのCPG(0.70g)を添加した。反応を摂氏25度で2時間進行させた。次に、混合物を濾過し、アセトニトリル(3×3.0mL)、THF(3×3.0mL)、MTBE(3×3.0mL)で洗浄し、乾燥させて、キャップされていないCPG生成物を得た。乾燥させたキャップされていないCPG生成物をTHF(3.0mL)に分散させ、続いてピリジン(0.14mL)、N-メチルイミダゾール(0.14mL)および無水酢酸(0.14mL)を添加した。混合物をロータリーエバポレーターで1時間回転させ、次にそれを濾過し、THF(3×3.0mL)、EtOH中10%ピリジン(3×3.0mL)、EtOH(3×3.0mL)、ACN(3×3.0mL)、MTBE(3×3.0mL)で洗浄し、乾燥させて、キャップされたCPG生成物26を得た。担持量は、UV-Vis(498nm)による標準DMTrアッセイによって31μmol/gであると決定された。
(実施例8)
DMT-dANHBz-クリック-PEG-GalNAc-ホスホロアミダイト/CPGの調製
【化42】
【0142】
5’-DMT保護-7-デアザ-2’-デオキシ-7-ヨードアデノシン(3.3g、4.87mmol)をピリジン50mlに溶解させた。溶液を氷浴で冷却し、TMSCl(9.6ml、49.1mmol)を滴下添加した。反応物を、30分にわたって室温まで加温した。次に、混合物を氷浴で再び冷却し、続いてBzCl(0.62ml、3.47mmol)を添加した。1時間後、反応を、水(10mL)を添加することによってクエンチした。有機溶媒を蒸発させ、残留物を酢酸エチル(50mL)で希釈し、水(3×50mL)およびブライン(50mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製物を、DCM/MeOH(0%~10%を用いるフラッシュカラム精製に供して、化合物27(3.0g、収率79%)を白色固体として得た。MS計算値[M+H]=783.16、実測値[M+H]=783.6。
【0143】
化合物27(0.9g、1.15mmol)、TMS-アセチレン(225mg、2.3mmol)、Pd(PPh3)4(260mg、0.23mmol)、CuI(44mg、0.23mmol)およびトリエチルアミン(0.48ml、3.45mmol)をDMF(10mL)に分散させた。反応混合物を窒素でパージし、3日間撹拌した。反応をTLCによってモニタリングした。反応の完了後、DMFを蒸発させ、粗製物を、DCM/MeOH(0%~10%MeOH)を用いるフラッシュカラム精製に供して、化合物28(843mg、収率98%)を褐色油状物として得た。MS計算値[M+H]=753.30、実測値[M+H]=753.6。
【0144】
化合物28(843mg、1.13mmol)をTHF(10mL)に溶解させ、続いてTBAF(3mmol、3.0mL、THF中1M溶液)を添加した。反応をTLCによってモニタリングした。混合物を濃縮し、DCM/MeOH(0%~15%MeOH)を用いるフラッシュカラム精製に供して、化合物29(714mg、収率93%)を褐色油状物として得た。MS計算値[M+H]=681.26、実測値[M+H]=681.6。
【0145】
化合物29(714mg、1.05mmol)、GalNAc-PEG3-アジド(1.1g、2.2mmol)、CuI(21mg、0.11mmol)およびDIPEA(710mg、5.5mmol)をDMF(15mL)に分散させた。反応物を室温で1日間撹拌し、LC-MSによってモニタリングした。混合物を濃縮し、DCM/MeOH(0%~15%MeOH)を用いるフラッシュカラム精製に供して、化合物30(1.33g、収率107%)を黒色固体として得た。MS計算値[M+H]=1185.47、実測値[M+H]=1185.9。
【0146】
化合物30(546mg、0.46mmol)、2-シアノエチルテトライソプロピルホスホロジアミダイト(278mg、0.92mmol)、およびジイソプロピルアンモニウムテトラゾリド(20mg、0.115mmol)をDCM(5.0mL)に分散させた。反応物を窒素でパージし、室温で一晩撹拌した。反応をTLCによってモニタリングした。完了後、混合物を水(3×5.0mL)およびブライン(5.0mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物をアセトニトリル(5.0mL)に再溶解させ、ヘプタン(3×5.0mL)で洗浄した。溶媒を蒸発させた。粗製物を、DCM/TEA(4%TEA)を用いるフラッシュカラム精製に供して、化合物31(110mg、収率17%)を褐色油状物として得た。MS計算値[M+H]=1386.58、実測値[M+H]=1386.4。31PNMR(ジアステレオマーの混合物、DMSO-d6):δ149.603、149.367。
【0147】
化合物30(87mg、0.074mmol)、無水コハク酸(11mg、0.11mmol)、およびトリエチルアミン(37mg、0.37mmol)をDCM(2.0mL)に溶解させた。溶液を1日撹拌し、TLCによってモニタリングした。反応の完了後、溶媒を蒸発させ、粗製物をCPG結合に直接使用した。残留物をアセトニトリル(3.0mL)に溶解させ、続いてTBTU(48mg、0.15mmol)、TEA(23mg、0.225mmol)、および1000ÅのCPG(0.70g)を添加した。反応を摂氏25度で2時間進行させた。次に、混合物を濾過し、アセトニトリル(3×3.0mL)、THF(3×3mL)、MTBE(3×3.0mL)で洗浄し、乾燥させて、キャップされていないCPG生成物を得た。乾燥させたキャップされていないCPG生成物をTHF(3.0mL)に分散させ、続いてピリジン(0.14mL)、N-メチルイミダゾール(0.14mL)および無水酢酸(0.14mL)を添加した。混合物をロータリーエバポレーターで1時間回転させた。次にそれを濾過し、THF(3×3.0mL)、EtOH中10%ピリジン(3×3.0mL)、EtOH(3×3mL)、ACN(3×3.0mL)、MTBE(3×3.0mL)で洗浄し、乾燥させて、キャップされたCPG生成物32を得た。担持量は、UV-Vis(498nm)による標準DMTrアッセイによって31μmol/gであると決定された。
(実施例9)
GalNAcリンカー化合物33の調製
【化43】
【0148】
ステップ1:HO-PEG2-CH2CO2H(5.0g、30.5mmol)およびKHCO3(3.65g、36.5mmol)を、丸底フラスコにおいて撹拌しながらDMF(61.0mL)に溶解させた。臭化ベンジル(4.35mL、36.5mmol)を滴下添加し、反応混合物を室温で一晩撹拌した。揮発性物質を真空中で除去し、残留物をDCMに溶解させた。沈殿物を濾過によって除去し、濾液を濃縮した。粗製材料をシリカカラム(溶離液:DCM中0~15%MeOH)によって精製した。純粋な画分を収集し、真空下で濃縮乾固させて、油状物(4.02g、収率51.9%)を得た。MS:実測値[M+H]=255.4、計算値[M+H]=255.1。
【0149】
ステップ2:上述の油状物(4.02g、15.8mmol)および過アシル化GalNAc(4.10g、10.5mmol)をDCE(40.4mL)に溶解させた。次に、Sc(OTf)3(0.36g、0.74mmol)を添加した。反応混合物を90℃に一晩加熱した。反応混合物を室温に冷却し、激しく撹拌しながら飽和NaHCO3(50mL)に注いだ。有機層を分離し、水相をDCM(2×50mL)で抽出した。合わせた有機相をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮乾固させた。粗製材料を順相シリカカラム(溶離液:DCM中0~10%MeOH)によって精製した。画分を収集し、真空下で濃縮乾固させて、黄色油状物(7.23g、収率118%)を得た。MS:実測値[M+H]=584.4、計算値[M+H]=584.2。
【0150】
ステップ3:ステップ2からの生成物を、アルゴンパージ下でMeOH(62mL)および10%Pd/C(200mg、1.86mmol)に溶解させた。空気を真空下で除去し、H
2バルーンを挿入した。反応混合物を室温で2時間撹拌し、セライトパッドを介して濾過した。パッドをMeOHで2回洗浄し、揮発性物質を真空中で除去した。粗製材料をC18逆相カラム(溶離液:水中0~90%MeCN)によって精製した。純粋な画分を収集し、真空下で濃縮乾固させて、油状物の化合物33(3.72g、収率71.8%)を得た。MS:実測値[M-H]=492.4、計算値[M-H]=492.2。
(実施例10)
GalNAcとコンジュゲートしたウリジン-EG-CPG化合物の調製
【化44】
【0151】
化合物7(0.60g、0.96mmol)および化合物33(0.52g、1.05mmol)をDCE(2.4mL)に溶解させた。TEA(0.66mL、4.78mmol)およびHATU(0.4g、1.05mmol)を添加した。反応物を室温で一晩撹拌した。反応が完了したら、溶媒を除去し、粗製物を、逆相カラム精製によってH2O/MeCNを使用して精製した。純粋な画分を収集し、真空下で濃縮乾固させて、290mgの化合物5を収率30.5%で得た。MS:実測値[M-H]=1101.9、計算値[M-H]=1101.4。
【0152】
GalNAcとコンジュゲートしたウリジン-EG-CPG化合物の調製-ステップ1:1つの50mLのRBフラスコにおいて、化合物34(290mg、0.263mmol)をDCM(10mL)に溶解させた。無水コハク酸(39.5mg、0.395mmol)、TEA(79.7mg.0.798mmol)を添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応の完了をTLCによって確認した。次に、この混合物を飽和NaHCO3(15mL)に注ぎ、DCM(40mL)を添加し、有機層を分離し、水、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させた。濾過後、有機層を真空下で濃縮乾固させた。粗生成物を、カラム精製によってDCM/MeOH(0%~10%MeOH)を使用して精製した。純粋な画分を収集し、真空下で濃縮乾固させて、200mgの白色固体を収率63%で得た。MS:実測値[M-H]=1201.6、計算値[M-H]=1201.4。
【0153】
ステップ2:1つの50mLのRBフラスコにおいて、ステップ1からの化合物(43mg、0.036mmol)をMeCN(5mL)に溶解させた。HATU(13mg、0.036mmol)、DIEA(14mg、0.019mmol)を添加した。5分後、CPG(1.0g)を添加した。反応混合物を室温で3時間撹拌した。濾過後、このCPG生成物をMeCN(3×50mL)およびTHF(3×50mL)で洗浄し、次に真空下で乾燥させた。キャッピングA試薬:(THF/無水酢酸/ピリジン 80/10/10v/v/v、5mL)およびキャッピングB試薬:(1-メチルイミダゾール/THF、16/84、v/v、5mL)をフラスコに添加し、混合物を室温で2時間撹拌した。濾過後、CPG生成物35(キャッピング後)をEtOH(50mL×3)、EtOH/ピリジン(10%)(50mL×3)、THF(50mL×3)およびDCM(50mL×3)によって洗浄した。CPG(キャッピング後)を真空下で乾燥させた。担持量は、UV-Vis(498nm)による標準DMTrアッセイによって39μg/molであると決定された。
(実施例11)
オリゴヌクレオチド合成におけるGalNAcとコンジュゲートしたホスホロアミダイトの使用法
【0154】
オリゴヌクレオチド合成における新規なGalNAcとコンジュゲートしたホスホロアミダイトの使用法を実証するために、配列5’-X-TTTTTTTTTT-3’(XはGalNAcとコンジュゲートしたホスホロアミダイトを表す)を試験のために設計した。以下の配列、配列X1.1、配列X1.2、配列X2、配列X3、および配列X4を作成した。
【0155】
オリゴヌクレオチド(配列X1.1~X4)を、固相ホスホロアミダイト方法によって合成した。DMT-dT固体支持体を、空のカラムに詰め、MerMade 6合成機内に入れた。合成スケールは0.5~1μmolである。オリゴヌクレオチド合成サイクルは、以下のステップを含む。(1)ジクロロメタン中3%トリクロロ酢酸を用いる45秒間の脱トリチル化を2回、続いてアセトニトリルでの洗浄、(2)アセトニトリル中0.1M DMT-dT-CE-ホスホロアミダイト(5’-O-(4,4’-ジメトキシトリチル)-チミジン-3’-シアノエチルホスホロアミダイト)および0.5Mアクチベーター(アセトニトリル中テトラゾール)を用いる1分間のカップリングを2回、続いてアセトニトリルでの洗浄、(3)ヨウ素(2/20/78の水/ピリジン/THF中0.015Mヨウ素)を用いる45秒間の酸化、続いてアセトニトリルでの洗浄、ならびに(4)無水酢酸、ピリジン、およびTHFの混合物を用いる45秒間のキャッピング、続いてアセトニトリルでの洗浄。dT固体支持体から伸長させたT10を合成するために、ステップ(1)~(4)を9回反復した。新規なGalNAcとコンジュゲートしたホスホロアミダイトをカップリングさせるための最終サイクルは、試料の脱トリチル化、酸化、およびキャッピングステップを含み、その間、カップリングを、アセトニトリル中0.05Mの新規なGalNAcとコンジュゲートしたホスホロアミダイトおよび0.5Mアクチベーターの混合物を使用して3分間、2回行い、続いてアセトニトリルで洗浄する。
【0156】
合成後、オリゴヌクレオチドが結合した固体支持体を、切断および脱保護のために水酸化アンモニウム水溶液およびメチルアミンの1:1混合物で、55℃で2時間処理した。完了したら、液相を収集し、真空中で加熱乾燥させた。乾燥させた残留物を水に溶解させ、逆相HPLC(Agilent 1260)およびLC-MS(Applied Biosystems 4000 Q-Trap)によって分析した。HPLC勾配は、20分で30~70%Bであり、A:水中50mM酢酸トリエチルアンモニウム、ならびにB:80%の水中50mM酢酸トリエチルアンモニウムおよび20%のアセトニトリルを用いた。配列(配列X1.1~X4)ごとの保持時間(RT)、MS計算値、MS実測値、および全長生成物の純度(FLP)を表1に一覧化した。
【表1】
(実施例12)
オリゴヌクレオチド合成におけるGalNAcとコンジュゲートした固体支持体の使用法
【0157】
オリゴヌクレオチド合成における新規なGalNAcとコンジュゲートした固体支持体の使用法を実証するために、配列5’-TTTTTTTTTT-Y-3’(YはGalNAcとコンジュゲートした固体支持体を表す)を試験のために設計した。以下の配列、配列Y1、配列Y2、配列Y3、配列Y4、および配列Y5を作成した。
【0158】
オリゴヌクレオチド(配列Y1~Y5)を、固相ホスホロアミダイト方法によって合成した。新規なDMT-GalNAcとコンジュゲートした固体支持体(Y)を、空のカラムに詰め、MerMade 6合成機内に入れた。合成スケールは0.5~1μmolである。オリゴヌクレオチド合成サイクルは、以下のステップを含む。(1)ジクロロメタン中3%トリクロロ酢酸を用いる45秒間の脱トリチル化を2回、続いてアセトニトリルでの洗浄、(2)アセトニトリル中0.1M DMT-dT-CE-ホスホロアミダイト(5’-O-(4,4’-ジメトキシトリチル)-チミジン-3’-シアノエチルホスホロアミダイト)および0.5Mアクチベーター(アセトニトリル中テトラゾール)を用いる1分間のカップリングを2回、続いてアセトニトリルでの洗浄、(3)ヨウ素(2/20/78の水/ピリジン/THF中0.015Mヨウ素)を用いる45秒間の酸化、続いてアセトニトリルでの洗浄、ならびに(4)無水酢酸、ピリジン、およびTHFの混合物を用いる45秒間のキャッピング、続いてアセトニトリルでの洗浄。GalNAcとコンジュゲートした固体支持体から伸長させたT10を合成するために、ステップ(1)~(4)を10回反復し、アセトニトリルでの洗浄を用いる最終的な脱トリチル化によって終了させた。
【0159】
合成後、オリゴヌクレオチドが結合した固体支持体を、切断および脱保護のために水酸化アンモニウム水溶液およびメチルアミンの1:1混合物で、55℃で2時間処理した。完了したら、液相を収集し、真空中で加熱乾燥させた。乾燥させた残留物を水に溶解させ、逆相HPLC(Agilent 1260)およびLC-MS(Applied Biosystems 4000 Q-Trap)によって分析した。HPLC勾配は、20分で30~70%Bであり、A:水中50mM酢酸トリエチルアンモニウム、ならびにB:80%の水中50mM酢酸トリエチルアンモニウムおよび20%のアセトニトリルを用いた。配列(配列Y1~Y5)ごとの保持時間(RT)、MS計算値、MS実測値、および全長生成物の純度(FLP)を表2に一覧化した。
【表2】
【0160】
本出願をその具体的な実施形態を参照しながら記載してきたが、本出願の真の趣旨および範囲から逸脱することなく様々な変更が加えられ得、均等物で置換され得ることを、当業者には理解されたい。加えて、特定の状況、材料、物質組成、方法、方法ステップまたはステップを本出願の目的、趣旨および範囲に適合させるために、多くの修正を加えることができる。そのようなすべての修正が、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。
【国際調査報告】