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特表2024-523245集電体、電極板及び集電体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】集電体、電極板及び集電体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/66 20060101AFI20240621BHJP
   H01M 4/74 20060101ALI20240621BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20240621BHJP
   H01M 4/02 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
H01M4/66 A
H01M4/74 C
H01M4/13
H01M4/02 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023576061
(86)(22)【出願日】2022-09-30
(85)【翻訳文提出日】2023-12-26
(86)【国際出願番号】 CN2022123176
(87)【国際公開番号】W WO2023051773
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】202111162977.X
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【弁理士】
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】崔彦▲輝▼
(72)【発明者】
【氏名】潘▲儀▼
(72)【発明者】
【氏名】梅日国
【テーマコード(参考)】
5H017
5H050
【Fターム(参考)】
5H017AA03
5H017BB01
5H017BB08
5H017CC25
5H017DD05
5H017EE01
5H017EE07
5H017HH03
5H017HH04
5H050AA12
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB07
5H050CB08
5H050DA04
5H050FA16
5H050GA22
5H050GA24
(57)【要約】
集電体、電極板及び集電体の製造方法を開示する。該集電体は、支持層、第1の導電層及び第2の導電層を含み、支持層は、互いに反対側に配置された第1の表面及び第2の表面を有し、第1の導電層は、メッシュ状構造で支持層の第1の表面及び/又は第2の表面に配置され、第1の導電層の支持層から離れた表面に第2の導電層が設置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持層(1)と、第1の導電層(2)と、第2の導電層(3)とを含む集電体であって、
前記支持層(1)は、互いに反対側に配置された第1の表面(11)及び第2の表面(12)を有し、
前記第1の導電層(2)は、メッシュ状構造(20)を有し、前記第1の導電層(2)は、前記支持層(1)の第1の表面(11)及び/又は第2の表面(12)に配置され、
前記第2の導電層(3)は、前記第1の導電層(2)の前記支持層(1)から離れた表面に配置される、ことを特徴とする集電体。
【請求項2】
前記第1の導電層(2)の厚さ範囲は、0.1μm~50μmである、ことを特徴とする請求項1に記載の集電体。
【請求項3】
前記支持層(1)の厚さ範囲は、0.1μm~20μmである、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の集電体。
【請求項4】
前記集電体の厚さ範囲は、1μm~100μmである、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の集電体。
【請求項5】
前記メッシュ状構造(20)は、面積範囲が0.01cm~100cmであるメッシュ孔(201)を含む、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の集電体。
【請求項6】
前記メッシュ状構造(20)は、メッシュ孔(201)を含み、メッシュ壁(202)によって前記メッシュ孔(201)が囲まれ、前記メッシュ壁(202)の厚さ範囲が0.1mm~50mmである、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の集電体。
【請求項7】
前記第2の導電層(3)の厚さ範囲は、0.1μm~50μmである、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の集電体。
【請求項8】
前記支持層(1)は、空隙を有する熱可塑性エラストマー層である、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の集電体。
【請求項9】
第3の導電層(4)を更に含み、前記第3の導電層(4)は、メッシュ状構造(20)を有し、前記第3の導電層(4)は、前記支持層(1)の第1の表面(11)又は第2の表面(12)に配置される、ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の集電体。
【請求項10】
前記第1の導電層(2)は、前記支持層(1)の第1の表面(11)に配置され、前記第3の導電層(4)は、前記支持層(1)の第2の表面(12)に配置される、ことを特徴とする請求項9に記載の集電体。
【請求項11】
前記第1の導電層(2)は、前記支持層(1)の第2の表面(12)に配置され、前記第3の導電層(4)は、前記支持層(1)の第1の表面(11)に配置される、ことを特徴とする請求項9に記載の集電体。
【請求項12】
前記第3の導電層(4)の前記支持層(1)から離れた表面に前記第2の導電層(3)が配置される、ことを特徴とする請求項9~11のいずれか一項に記載の集電体。
【請求項13】
前記第1の導電層(2)は、金属部材であり、前記第3の導電層(4)は、金属部材である、ことを特徴とする請求項9~12のいずれか一項に記載の集電体。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の集電体と、前記第2の導電層(3)に形成された電極ペースト層とを含む、ことを特徴とする電極板。
【請求項15】
集電体の製造方法であって、前記集電体は、請求項1~13のいずれか一項に記載の集電体であり、前記集電体の製造方法は、
支持層(1)を提供するステップと、
印刷技術、凸版印刷技術、堆積技術及びマグネトロンスパッタリング技術のうちの少なくとも1つを用いて、メッシュ状構造(20)が支持層(1)上に配置されるように、支持層(1)の第1の表面(11)上、及び/又は、第2の表面(12)上に、第1の導電層(2)を形成するステップと、
第1の導電層(2)の表面全体に第2の導電層(3)を形成するステップと、
第2の導電層(3)を乾燥処理して、第2の導電層(3)を硬化させて、集電体を作製するステップとを含む、ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年9月30日に中国国家知識産権局に提出された、名称が「集電体、電極板及び集電体の製造方法」である中国特許出願第202111162977.X号の優先権を主張するものであり、その全ての内容は参照により本願に組み込まれるものとする。
【0002】
本願は、電池の技術分野に関し、より具体的には、集電体、電極板及び集電体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
リチウムイオン電池は、ポータブル電源及びエネルギー貯蔵の分野に広く適用されているが、社会の発展に伴い、人々の電源のエネルギー密度への要求がますます高くなり、リチウムイオン電池のエネルギー密度の向上はますます差し迫っている。
【0004】
関連技術において、エネルギー密度を向上させる最も基礎的な手段は、電池材料系の変更によってエネルギー密度を根本的に向上させることである。しかしながら、短期間で電池材料の革新及び商用化を実現することは、非常に困難である。
【0005】
したがって、従来の材料系が制限されている場合に、どのように集電体構造の技術革新に基づいて、エネルギー密度がより高い電池を設計して、長い航続距離の要求を満たすかということは、業界でずっと考えており、早急に解決すべき問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願の目的は、集電体、電極板及び集電体の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の実施例の第1の態様によれば、集電体が提供される。前記集電体は、支持層と、第1の導電層と、第2の導電層とを含み、
前記支持層は、互いに反対側に配置された第1の表面及び第2の表面を有し、
前記第1の導電層は、メッシュ状構造で前記支持層の第1の表面及び/又は第2の表面に配置され、
前記第2の導電層は、前記第1の導電層の前記支持層から離れた表面に設置される。
【0008】
好ましくは、前記第1の導電層の厚さ範囲は、0.1μm~50μmである。
【0009】
好ましくは、前記支持層の厚さ範囲は、0.1μm~20μmである。
【0010】
好ましくは、前記集電体の厚さ範囲は、1μm~100μmである。
【0011】
好ましくは、前記メッシュ状構造は、面積範囲が0.01cm~100cmであるメッシュ孔を含む。
【0012】
前記メッシュ状構造は、メッシュ孔を含み、メッシュ壁によって前記メッシュ孔が囲まれ、前記メッシュ壁の幅範囲が0.1mm~50mmである。
【0013】
好ましくは、前記第2の導電層の厚さ範囲は、0.1μm~50μmである。
【0014】
好ましくは、前記支持層は、空隙を有する熱可塑性エラストマー層である。
【0015】
好ましくは、前記集電体は、第3の導電層を更に含み、前記第3の導電層は、メッシュ状構造で前記支持層の第1の表面又は第2の表面に配置される。
【0016】
好ましくは、前記第1の導電層は、前記支持層の第1の表面に配置され、前記第3の導電層は、前記支持層の第2の表面に配置される。
【0017】
好ましくは、前記第1の導電層は、前記支持層の第2の表面に配置され、前記第3の導電層は、前記支持層の第1の表面に配置される。
【0018】
好ましくは、前記第3の導電層の前記支持層から離れた表面に前記第2の導電層が設置される。
【0019】
好ましくは、前記第1の導電層は、金属部材であり、前記第3の導電層は、金属部材である。
【0020】
本願の第2の態様によれば、電極板が提供される。前記電極板は、第1の態様に記載の集電体と、前記第2の導電層に形成された電極ペースト層とを含む。
【0021】
本願の第3の態様によれば、集電体の製造方法が提供される。集電体の製造方法は、
支持層を提供するステップと、
印刷技術、凸版印刷技術、堆積技術及びマグネトロンスパッタリング技術のうちの少なくとも1つを用いて、メッシュ状構造で支持層に配置されるように第1の導電層を支持層の第1の表面及び/又は第2の表面に形成するステップと、
第1の導電層の表面全体に第2の導電層を形成するステップと、
第2の導電層を乾燥処理して、第1の導電層の表面にある第2の導電層を硬化させて、前記集電体を製造するステップとを含む。
【発明の効果】
【0022】
本願の技術的効果は、集電体を提供することである。この集電体は、支持層と、メッシュ状構造の第1の導電層と、第1の導電層に形成された第2の導電層とを含む。支持層を設置することにより、集電体の強度要求が満たされ、第1の導電層及び第2の導電層により、集電体の導電性が実現される。本願の実施例では、第1の導電層がメッシュ状構造で支持層に形成されると、集電体の単位面積当たりの重量が低下し、電池のエネルギー密度が向上する。メッシュ構造が形成された第1の導電層が支持層に形成され、集電体全体は、多孔質構造を有してもよく、多孔質集電体は、集電体の厚さ方向に垂直な方向にイオンを透過させることができ、即ち、集電体は、リチウムイオンを透過させることができ、該集電体の適用シーンを増加させる。
【0023】
以下、図面を参照しながら、本願の例示的な実施例を詳細に説明すると、本願の他の特徴及びその利点は、明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
明細書の一部となる図面は、本願の実施例を説明し、かつ明細書とともに本願の原理を解釈する。
【0025】
図1】本願の集電体の第1の概略構成図である。
図2】本願の集電体の第2の概略構成図である。
図3】本願の集電体の第3の概略構成図である。
図4】本願の集電体の第4の概略構成図である。
図5】本願の集電体の第5の概略構成図である。
図6】本願の集電体の第6の概略構成図である。
図7】本願の集電体の第1の導電層の概略構成図である。
図8】本願の集電体の製造のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら、本願の様々な例示的な実施例を詳細に説明する。なお、特に断らない限り、これらの実施例において記載された部材及びステップの相対的な配置、数字表現式及び数値は、本願の範囲を限定しない。
【0027】
以下、少なくとも1つの例示的な実施例についての説明は、本質的に例示的なものに過ぎず、本願及びその適用又は使用を限定することは決して意図されていない。
【0028】
当業者が知っている技術及び装置について詳細に検討していないが、適切な場合には、上記技術及び装置は、明細書の一部と見なすべきである。
【0029】
ここで示され検討された全ての例では、いかなる具体的な値は、例示的なものに過ぎず、限定的なものではないと解釈されるべきである。したがって、例示的な実施例の他の例は、異なる値を有してもよい。
【0030】
なお、類似した符号及びアルファベットが以下の図面において類似した要素を表すため、いずれか1つの要素が1つの図面において定義された場合、後続図面においてそれをこれ以上検討する必要がない。
【0031】
現在既に知られている材料の制限の上に、業界では、電池における不活性成分の割合を低下させることにより電池のエネルギー密度の向上を実現することが考慮されている。多孔質集電体の技術は、不活性成分の割合を低下させる重要な技術であり、そして、多孔質集電体はまた、電池のエネルギー密度を向上させることができる。現在、多孔質集電体の種類は、発泡金属シート、開孔金属箔材、炭素繊維シートなどを含む。従来の多孔質集電体の技術において、発泡金属シートは、厚さが大きく、単位面積当たりの重量が大きいため、電池の比エネルギー密度を低下させるという問題があり、開孔金属箔材は、開孔コストが高いという問題がある。開孔が大きいと、集電体の強度が大幅に低下する。カーボンクロスなどの炭素繊維シートは、材質が脆く、かつ高価であるという問題がある。
【0032】
上記技術的問題に基づいて、本願の第1の態様では、集電体が提供される。図1図3に示すように、集電体は、支持層1、第1の導電層2及び第2の導電層3を含む。
【0033】
上記支持層1は、互いに反対側に配置された第1の表面11及び第2の表面12を有する。上記第1の導電層2は、メッシュ状構造20で上記支持層1の第1の表面11及び/又は第2の表面12に配置される。上記第1の導電層2の上記支持層1から離れた表面に上記第2の導電層3が設置される。
【0034】
換言すれば、集電体は、主に、支持層1、第1の導電層2及び第2の導電層3を含む。支持層1は、構造強度を有し、集電体の強度を確保し、電池の組立ニーズを満たし、そして、支持層1はまた、空隙を有するため、リチウムイオンを通過させることができ、第1の導電層2が支持層1に形成され、第2の導電層3が第1の導電層2に形成され、導電層にメッシュ構造が形成されることにより、集電体全体が多孔質構造となり、リチウムイオンを通過させることができ、集電体のリチウムイオン輸送能力を確保する。多孔質集電体は、その二次元面の垂直方向(即ち、多孔質集電体の厚さ方向)にリチウムイオンを透過させることができ、多孔質集電体の適用シーンを拡大し、例えば、該集電体は、電気化学的リチウム補充などに適用することができる。
【0035】
一実施例では、図1に示すように、第1の導電層2は、メッシュ状構造20で支持層1の第1の表面11に配置され、第1の導電層2に第2の導電層3が形成され、支持層1の第2の表面12に導電層が設置されず、このように第1の集電体が形成される。第1の集電体は、支持層1、第1の導電層2及び第2の導電層3のみを含む。
【0036】
別の実施例では、図2に示すように、第1の導電層2は、メッシュ状構造20で支持層1の第2の表面12に配置され、第1の導電層2に第3の導電層3が形成され、支持層1の第1の表面11に導電層が設置されず、このように第1の集電体が形成される。図2に示す第1の集電体の構造と図1に示す第1の集電体の構造との相違点は、第1の導電層2が支持層1の異なる表面に設置されることである。
【0037】
また別の実施例では、図3に示すように、第1の導電層2は、メッシュ状構造20で支持層1の第1の表面11及び第2の表面12に配置され、2層の第1の導電層2にそれぞれ第3の導電層が形成され、このように第1の集電体が形成される。図3に示す第1の集電体の構造と図1及び図2に示す第1の集電体の構造との相違点は、図3に示す第1の集電体において、支持層1の第1の表面11及び第2の表面12にいずれも第1の導電層2が形成され、図1及び図2に示す第1集電体において、支持層1の第1の表面11又は第2の表面12のみに第1の導電層2が形成されることである。
【0038】
本願の実施例では、第1の導電層2は、メッシュ状構造20で支持層1に配置され、第1の導電層2がメッシュ状構造20となるため、リチウムイオンがメッシュ状構造20のメッシュ孔を容易に通過する。第1の導電層2のメッシュ状構造は、リチウムイオンの正常な透過を保証する一方で、第1の導電層2がメッシュ状構造20であるため、集電体の単位面積当たりの重量が低下し、電池のエネルギー密度が向上し、また集電体の内部抵抗が低下し、大きな電流を形成して外部に出力し、第1の導電層2は導電性を有するため、集電体の導電性も保証する。したがって、メッシュ状の第1の導電層2は、集電体の電子収集能力及びリチウムイオン輸送能力を保証する。
【0039】
第1の導電層2の支持層1から離れた表面に第2の導電層3が設置されると、リチウムイオンの透過を妨げないとともに、第2の導電層3により集電体の電子導電性を更に向上させる。具体的には、第2の導電層3は、第1の導電層2の表面全体に設置され、メッシュ壁202において第2の導電層3と第1の導電層2とが協働して(例えば、メッシュ領域を覆う第2の導電層3が第1の導電層2の不足を補う)、集電体の電子収集能力及びリチウムイオン輸送能力を保証する。具体的には、第3の導電層3は、メッシュの中空領域の電子を収集するとともに、リチウムイオンの輸送に影響を与えない。
【0040】
本願の実施例の集電体は、強度が高く、質量が軽く、導電性に優れているとともに、多孔質構造を有し、リチウムイオンの正常な輸送を保証する。
【0041】
一実施例では、上記第1の導電層2の厚さ範囲は、0.1μm~50μmである。好ましくは、第1の導電層2の厚さ範囲は、1μm~10μmである。
【0042】
一実施例では、上記支持層1の厚さ範囲は、0.1μm~20μmである。好ましくは、上記支持層1の厚さ範囲は、5μm~15μmである。
【0043】
一実施例では、上記第2の導電層3の厚さ範囲は、0.1μm~50μmである。好ましくは、第2の導電層3の厚さ範囲は、5μm~20μmである。
【0044】
一実施例では、上記集電体の厚さ範囲は、1μm~100μmである。好ましくは、集電体の厚さ範囲は、15μm~50μmである。
【0045】
具体的には、本実施例は、第1の導電層2の厚さを限定する。集電体全体の導電性能及びイオン輸送性能を統合する場合に、第1の導電層2の厚さをこの範囲にすることにより、集電体全体の厚さに影響を与えない前提の下で、集電体の単位面積当たりの重量が低下し、不活性物質の割合が低下するため、電池のエネルギー密度が向上する。
【0046】
本実施例は、支持層1の厚さを限定する。支持層1の厚さをこの範囲にすることにより、集電体全体の強度に影響を与えない前提の下で、集電体の単位面積当たりの重量が低下し、不活性物質の割合が低下し、電池に適用されると、電池のエネルギー密度が向上する。
【0047】
本実施例は、第2の導電層3の厚さを限定する。第2の導電層3の厚さは、第1の導電層2の集電体の電子収集能力及びリチウムイオン輸送における第2の導電層3の補助に影響を与える。第2の導電層3の厚さが小さいほど、集電体の、収集した電子が少なくなり、リチウムイオン輸送能力が向上し、逆に、集電体の、収集した電子が多くなり、リチウムイオン輸送能力が低下する。本実施例では、第2の導電層3の厚さをこの範囲に制御することにより、集電体の正常な電子収集能力及びリチウムイオン輸送能力を効果的に向上させることができる。
【0048】
本実施例は、支持層1、第1の導電層2及び第2の導電層3の厚さを限定することにより、製造された集電体の厚さを合理的な範囲に限定する。本実施例は、集電体の厚さをこの範囲に限定することにより、集電体全体の導電性を確保する一方で、不活性物質の割合を低下させ、電池のエネルギー密度を確保することができる。
【0049】
一実施例では、図7に示すように、上記メッシュ状構造20は、アレイ状に配列されたメッシュ孔201を複数含み、各上記メッシュ孔201の面積範囲が0.01cm~100cmである。
【0050】
更に、具体的には、メッシュ壁202によって上記メッシュ孔201が囲まれ、上記メッシュ壁202の厚さ範囲が0.1mm~50mmである。
【0051】
具体的には、メッシュ壁202の厚さは、第1の導電層2の導電性能及び単位面積当たりの重量に影響を与える。第1の導電層2の導電性能と第1の導電層2の単位面積当たりの重量とのバランスをどのようにとれるかについて、本実施例は、メッシュ壁202の厚さを限定し、メッシュ壁202の厚さをこの範囲に限定することにより、第1の導電層2の単位面積当たりの重量が低下し、電池のエネルギー密度が向上し、また集電体の導電性能も確保する。
【0052】
該実施例では、メッシュ構造は、アレイ状に配列されたメッシュ孔201を複数含み、メッシュ孔201は、支持層1にアレイ状に配置される。メッシュ孔201の形状は、矩形、円形、菱形などであってもよい。本実施例では、メッシュ孔201の形状を特に限定せず、該実施例では、各メッシュ孔201の面積範囲は、0.01cm~100cmであり、好ましくは、各メッシュ孔201の面積範囲は、1cm~10cmである。
【0053】
具体的には、メッシュ孔201の面積は、第1の導電層2の導電性能及び集電体の単位面積当たりの重量に影響を与える。第1の導電層2の導電性能と第1の導電層2の単位面積当たりの重量とのバランスをどのようにとれるかについて、本実施例は、メッシュ孔201の面積を限定する。研究したところ、メッシュ孔201の面積をこの範囲に限定することにより、第1の導電層2の単位面積当たりの重量が低下し、電池のエネルギー密度が向上するだけでなく、集電体の導電性能が確保される。
【0054】
一実施例では、上記支持層1は、空隙を有する熱可塑性エラストマー層である。
【0055】
具体的には、支持層1を基体とし、支持層1に第1の導電層2を形成し、第1の導電層2に第2の導電層3を形成する。支持層1は、空隙を有する熱可塑性エラストマー層である。例えば、支持層1には、直径が100μm未満の空隙を形成する。
【0056】
本実施例では、支持層1として熱可塑性エラストマー層を選択することにより、集電体の構造強度が向上する。
【0057】
具体的には、熱可塑性エラストマー層は、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー層、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー層又はポリアミド系熱可塑性エラストマー層のうちの1種である。支持層1は、複合膜層であってもよく、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー層、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー層又はポリアミド系熱可塑性エラストマー層のうちの少なくとも2種を物理的に圧着して複合膜層を形成する。
【0058】
1つの具体的な実施例では、支持層1の材料は、リチウム電池のセパレータの材料と同じであり、集電体が一定の強度を有することを保証し、電池の生産ニーズを満たすとともに、リチウムイオンの正常な透過性を保証する。
【0059】
一実施例では、支持層1の表面に、堆積方式でメッシュ構造の第1の導電層2を形成する。
【0060】
一実施例では、第2の導電層3は、導電剤及び接着剤を含み、上記導電剤及び接着剤を均一に混合した後に上記第1の導電層2の表面に設置して、第2の導電層3を形成する。
【0061】
具体的には、導電剤としては、カーボンブラック、カーボンナノチューブ又はグラフェンのうちの1種を用いる。接着剤は、導電性接着剤であり、具体的には、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)接着剤、又はPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)接着剤、又はCMC(カルボキシメチルセルロース)接着剤又はSBR(スチレンブタジエンラテックス)接着剤である。
【0062】
粘着剤と導電剤とを質量比0.5:99.5~50:50の割合で混合し、一定の溶媒(NMP、水など)を加えてペーストを調製し、ペーストを第1の導電層2の表面に塗布して第2の導電層3を形成する。
【0063】
一実施例では、図4図6に示すように、上記集電体は、第3の導電層4を更に含み、上記第3の導電層4は、メッシュ状構造20で上記支持層1の第1の表面11又は第2の表面12に配置される。
【0064】
上記第1の導電層2は、上記支持層1の第1の表面11に配置され、上記第3の導電層4は、上記支持層1の第2の表面12に配置される。或いは、上記第1の導電層2は、上記支持層1の第2の表面12に配置され、上記第3の導電層4は、上記支持層1の第1の表面11に配置される。上記第3の導電層4は、メッシュ状構造20で上記支持層1の第1の表面11又は第2の表面12に配置され、上記第3の導電層4の上記支持層1から離れた表面に上記第2の導電層3が設置される。
【0065】
具体的には、集電体は、第3の導電層4を更に含む。一実施例では、第3の導電層4は、メッシュ状構造20で支持層1の第1の表面11に配置される。別の実施例では、第3の導電層4は、メッシュ状構造20で支持層1の第2の表面12に配置される。
【0066】
図6に示すように、第3の導電層4は、上記支持層1の第1の表面11に配置され、第1の導電層2は、支持層1の第2の表面12に配置され、第1の導電層2の表面及び第3の導電層4の表面にそれぞれ第2の導電層3が形成され、このように第3の集電体が形成される。第3の集電体は、支持層1、第1の導電層2、第2の導電層3及び第3の導電層4を含む。
【0067】
或いは、一実施例では、第3の導電層4は、上記支持層1の第2の表面12に配置され、第1の導電層2は、支持層1の第1の表面11に配置され、第1の導電層2の表面及び第3の導電層4の表面にそれぞれ第2の導電層3が形成され、このように第3の集電体が形成される。
【0068】
図6に示すように、第1の導電層2は、支持層1の第2の表面12に配置され、第3の導電層4は、支持層1の第1の表面11に配置される。この場合に、集電体の両面にそれぞれ正極ペースト及び負極ペーストを塗布し、裁断した後、セルとして用いてもよい。
【0069】
或いは、一実施例では、図4に示すように、第3の導電層4は、メッシュ状構造20で支持層1の第1の表面11に配置され、第3の導電層4の表面に第2の導電層3が形成され、支持層1の第2の表面12に導電層が設置されず、このように第2の集電体が形成される。第2の集電体は、支持層1、第3の導電層4及び第2の導電層3のみを含む。
【0070】
別の実施例では、図5に示すように、第3の導電層4は、メッシュ状構造20で支持層1の第2の表面12に配置され、第3の導電層4の表面に第2の導電層3が形成され、支持層1の第1の表面11に導電層が設置されず、このように第2の集電体が形成される。
【0071】
また別の実施例では、第3の導電層4は、メッシュ状構造20で支持層1の第1の表面11及び第2の表面12に配置され、2層の第3の導電層4の表面にそれぞれ第2の導電層3が形成され、このように第2の集電体が形成される。
【0072】
1つの具体的な実施例では、第1の導電層2は、正極導電層であり、第3の導電層4は、負極導電層である。具体的には、支持層1は、イオンのみを伝導し、電子を伝導せず、電池のセパレータと見なすことができ、第1の導電層2は、支持層1の一側に位置する正極導電層であり、第3の導電層4は、支持層1の他側に位置する負極導電層である。或いは、第1の導電層2は、負極導電層であり、第3の導電層4は、正極導電層である。本実施例では、第1の導電層2が正極導電層であり、第3の導電層4が負極導電層であることを例として本実施例を説明する。例えば、正極導電層は、アルミニウムメッシュ構造であり、負極導電層は、銅メッシュ構造である。
【0073】
一実施例では、正極導電層は、支持層1の第1の表面11に配置され、第2の導電層3は、正極導電層に形成され、このように正極集電体が形成される。或いは、正極導電層は、支持層1の第2の表面12に配置され、第2の導電層3は、正極導電層に形成され、このように正極集電体が形成される。或いは、正極導電層は、支持層1の第1の表面11及び第2の表面12に配置され、第2の導電層3は、正極導電層に形成され、このように正極集電体が形成される。即ち、第1の集電体は、正極集電体である。
【0074】
一実施例では、負極導電層は、支持層1の第1の表面11に配置され、第2の導電層3は、負極導電層に形成され、このように負極集電体が形成される。或いは、負極導電層は、支持層1の第2の表面12に配置され、第2の導電層3は、負極導電層に形成され、このように負極集電体が形成される。或いは、負極導電層は、支持層1の第1の表面11及び第2の表面12に配置され、第2の導電層3は、負極導電層に形成され、このように負極集電体が形成される。即ち、第2の集電体は、負極集電体である。
【0075】
一実施例では、支持層1は、イオンのみを伝導し、電子を伝導せず、電池のセパレータと見なすことができ、第1の導電層2は、支持層1の一側に位置する正極導電層であり、第3の導電層4は、支持層1の他側に位置する負極導電層である。例えば、正極導電層は、支持層1の第1の表面11に配置され、第2の導電層3は、正極導電層に形成され、そして、負極導電層は、支持層1の第2の表面12に配置され、第2の導電層3は、負極導電層に形成され、このように第3の集電体が形成される。即ち、第3の集電体は、正極集電体と負極集電体とが一体的に統合された構造である。
【0076】
一実施例では、上記第1の導電層2は、金属部材であり、上記第3の導電層4は、金属部材である。
【0077】
具体的には、第1の導電層2及び第3の導電層4は、いずれも金属メッシュ部材である。第1の導電層2は、正極導電層であってもよく、第3の導電層4は、負極導電層であってもよく、或いは、第1の導電層2は、負極導電層であってもよく、第3の導電層4は、正極導電層であってもよい。
【0078】
第1の導電層2が正極導電層である場合に、第1の導電層2は、アルミニウム金属部材である。例えば、アルミニウム金属部材によりメッシュ状構造20の第1の導電層2を形成する。
【0079】
第3の導電層4が負極導電層である場合に、第3の導電層4は、銅金属部材である。例えば、銅金属部材によりメッシュ状構造20の第3の導電層4を形成する。
【0080】
リチウムイオン電池の正極の電位が高く、アルミニウムの酸化層が比較的緻密であり、集電体の酸化を防止することができ、銅が高電位でリチウム吸蔵反応を起こすため、正極導電層としての使用に適しておらず、正極導電層として、一般的にアルミニウム箔を用い、負極の電位が低く、アルミニウムが低電位でアルミニウムリチウム合金を形成しやすいため、負極導電層として、一般的に銅箔を用い、銅箔とアルミニウム箔とは、互換性がない。
【0081】
本願の第2の態様によれば、電極板が提供される。電極板は、第1の態様に記載の集電体と、上記第2の導電層3に形成された電極ペースト層とを含む。例えば、電極ペースト層は、第2の導電層3に塗布又は溶射される。電極板は、正極板及び負極板を含む。
【0082】
一実施例では、上記電極ペースト層は、電極活物質、導電剤及び接着剤を含む。活物質は、電池用の正極活物質又は負極活物質である。例えば、正極活物質は、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、リン酸鉄リチウム、三元系材料などのうちの1種を含む。負極活物質は、炭素材料を含む。例えば、負極活物質は、黒鉛である。例えば、導電剤は、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェンなどのうちの1種を含む。例えば、接着剤は、導電性接着剤である。例えば、接着剤は、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)接着剤、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)接着剤、CMC(カルボキシメチルセルロース)接着剤、SBR(スチレンブタジエンラテックス)接着剤である。
【0083】
一実施例では、第1の導電層2は、上記支持層1の第1の表面11及び/又は第2の表面12に配置され、第1の導電層2の表面に第2の導電層3が形成され、このように第1の集電体が形成され、そして第1の集電体に正極ペースト層が設置され、このように正極板である第1の電極板が形成される。
【0084】
一実施例では、第3の導電層4は、上記支持層1の第1の表面11及び/又は第2の表面12に配置され、第3の導電層4の表面に第2の導電層3が形成され、このように第2の集電体が形成され、そして第2の集電体に負極ペースト層が設置され、このように負極板である第2の電極板が形成される。
【0085】
一実施例では、第1の導電層2は、支持層1の第1の表面11に配置され、第1の導電層2に第2の導電層3が設置され、第2の導電層3に正極ペースト層が設置され、そして、第3の導電層4は、支持層1の第2の表面12に配置され、第3の導電層4に第2の導電層3が形成され、第2の導電層3に負極ペースト層が形成されることにより、正極板と負極板とが一体的に統合された構造になり、正極板と負極板とが一体的に統合された構造を、第3の電極板として定義する。第3の電極板において、支持層は、電池のセパレータ構造に相当し、支持層は、イオンのみを伝導し、電子を伝導しない。
【0086】
一実施例では、セルが提供される。セルは、正極板、負極板、及び正極板と負極板との間に設置されたセパレータを含む。正極板及び負極板が独立した構造である場合に、正極板、セパレータ及び負極板が巻回してセルを形成する。或いは、片面正極板における活物質層と片面負極板における支持層1の一方の表面とが貼り合わされ、更に巻回してセルを形成する。本実施例は、更に、セル集電体の厚さを低減し、電池のエネルギー密度を向上させる。
【0087】
正極板と負極板が統合された構造である場合に、セルは、複数の第3の電極板を含み、隣接する第3の電極板の間にセパレータが設置される。
【0088】
本願の第3の態様によれば、集電体の製造方法が提供される。図8に示すように、上記集電体の製造方法は、
支持層1を提供するステップS101と、
印刷技術、凸版印刷技術、堆積技術及びマグネトロンスパッタリング技術のうちの少なくとも1つを用いて、メッシュ状構造20で支持層1に配置されるように第1の導電層2を支持層1の第1の表面11及び/又は第2の表面12に形成するステップS102と、
第1の導電層2の表面全体にペーストを塗布して第2の導電層3を形成するステップS103と、
第2の導電層3を乾燥処理して、第1の導電層2の表面にある第2の導電層3を硬化させて、上記集電体を製造するステップS104とを含む。
【0089】
具体的には、支持層1として熱可塑性エラストマー層を選択することにより、集電体の構造強度が向上する。
【0090】
具体的には、熱可塑性エラストマー層は、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー層、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー層又はポリアミド系熱可塑性エラストマー層のうちの少なくとも1種である。したがって、支持層1は、複合膜層であってもよく、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー層、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー層又はポリアミド系熱可塑性エラストマー層のうちの少なくとも2種を物理的に圧着して複合膜層を形成する。
【0091】
1つの具体的な実施例では、支持層1の材料は、リチウム電池のセパレータの材料と同じであり、集電体が一定の強度を有することを保証し、電池の生産ニーズを満たすとともに、リチウムイオンの正常な透過性を保証する。
【0092】
上記ステップS102では、スクリーン印刷技術などの方式で支持層1に第1の導電層2を印刷する。或いは、3Dプリント技術で支持層1に第1の導電層2を印刷する。或いは、堆積技術で支持層1に第1の導電層2を形成するか、マグネトロンスパッタリング技術で支持層1に第1の導電層2を形成する。
【0093】
具体的な実施例では、第1の導電層2は、
支持層1にメッシュ状構造20を印刷してから、物理気相堆積技術、化学気相堆積技術、電気化学的堆積技術及びマグネトロンスパッタリング技術のうちの少なくとも1種を用いて金属メッシュ構造を形成し、そして、第1の導電層2を洗浄し、乾燥すればよい、方式1)と、
支持層1に第1の導電層2を直接的に印刷するか又は3Dプリントし、乾燥すればよい、方式2)と、
支持層1にメッシュ状構造20を印刷してから、電気めっき技術を用いてメッシュ状構造20に金属層を電気めっきし、洗浄し、乾燥すればよく、電気めっきされた金属層が第1の導電層2の導電性を増加させる、方式3)とで実現されてもよい。
【0094】
本実施例は、第1の導電層が支持層1に形成される方式を特に限定せず、第1の導電層2がメッシュ状構造20であることを満たし、第1の導電層2の厚さ及びメッシュのサイズの要求を満たせばよい。第1の導電層2の形成方式と同じ方式で支持層1に第3の導電層4を形成する。
【0095】
上記ステップ103では、溶射又はコーティングの方式で第1の導電層2に第2の導電層3を形成してもよい。溶射又はコーティングの方式で第2の導電層3を形成すると、第2導電層3の厚さを制御しやすい。
【0096】
上記ステップ104では、第2の導電層3を乾燥処理する前に、第2の導電層3の平坦性を確保するために、第2の導電層3をロールプレスしてもよい。例えば、100~150℃の条件下で5~12h保温して、第1の導電層2の表面の第2の導電層3を硬化させてもよい。
【0097】
本願の実施例は、集電体を提供する。集電体は、支持層1と、メッシュ状構造20の第1の導電層2と、第1の導電層2に形成された第2の導電層3とを含む。支持層1を設置することにより、集電体の強度要求が満たされ、第1の導電層2及び第2の導電層3により、集電体の導電性が実現される。本願の実施例では、第1の導電層2がメッシュ状構造20で支持層1に形成され、集電体の単位面積当たりの重量が低下し、電池のエネルギー密度が向上する。
【0098】
具体的な実施例を設置することにより、具体的な実施形態で製造された集電体の性能及び集電体で製造された電池の性能を検証する。
【0099】
実施例1
1)5μm厚さのポリプロピレン支持層の第1の表面11及び第2の表面12にメッシュを印刷し(CMCとシリカとを質量比1:9の割合で混合して水を加えて印刷ペーストを調製し、印刷した後に乾燥させる)、物理気相堆積技術を用いてメッシュが印刷された支持層にアルミニウムを堆積して洗浄し(洗浄過程において、支持層に印刷されたメッシュが溶解され、洗浄中に除去される)乾燥させて、第1の導電層2を形成し、堆積されたアルミニウムの厚さが5μmであり、メッシュ孔は、辺長1cmの方形であり、間隔が1mmであり、
PVDFとカーボンナノチューブとを質量比5:95の割合で混合してNMPを加えて均一なペーストを調製し、第1の導電層の両面に塗布し、第1の導電層に第2の導電層を形成し、乾燥させ、ローリングすれば、多孔質集電体を得て、正極集電体をS1とし、
リン酸鉄リチウム、PVDF、カーボンナノチューブ、カーボンブラックを質量比95:2:1.5:1.5の割合で混合し、NMPを加えて正極ペーストを調製し、第2の導電層に塗布し、乾燥させ、ローリングし、裁断して正極板を形成し、正極板の面密度が200g/mであり、
2)5μm厚さのポリプロピレン支持層の第1の表面11及び第2の表面12にメッシュを印刷し(CMCとシリカとを質量比1:9の割合で混合して水を加えて印刷ペーストを調製し、印刷した後に乾燥させる)、物理気相堆積技術を用いてメッシュが印刷された支持層1に銅を堆積して洗浄し乾燥させて、第1の導電層2を形成し、堆積された銅の厚さが5μmであり、メッシュ孔は、辺長1cmの方形であり、間隔が1mmであり、
PVDFとカーボンナノチューブとを質量比5:95の割合で混合してNMPを加えて均一なペーストを調製し、第1の導電層の両面に塗布し、第1の導電層に第2の導電層を形成し、乾燥させ、ローリングすれば、多孔質集電体を得て、負極集電体をS2とし、
黒鉛、CMC、カーボンナノチューブ、カーボンブラックを95:2:1.5:1.5の割合で混合し、NMPを加えて負極ペーストを調製し、第2の導電層に塗布し、乾燥させ、ローリングし、裁断して負極板を形成し、負極板の面密度が90g/mであり、
3)上記正極板と負極板を合わせて、6.1cm*7.2cmのパウチ電池を製造し、注液量を2mLとし、浸潤、化成、エージング、容量選別を行ってから、0.5C充放電試験を行った。
【0100】
比較例1
リン酸鉄リチウム、PVDF、カーボンナノチューブ、カーボンブラックを質量比95:2:1.5:1.5の割合で混合し、NMPを加えて正極ペーストを調製し、10μm厚さのアルミニウム箔集電体D1に塗布し、乾燥させ、ローリングし、裁断して正極板を形成し、正極板の面密度が200g/mであり、
黒鉛、CMC、カーボンナノチューブ、カーボンブラックを質量比95:2:1.5:1.5で混合し、水を加えてペーストを調製し、10μm厚さの銅箔集電体D2に塗布し、乾燥させ、ローリングし、裁断して負極板を形成し、負極板の面密度が90g/mである。
【0101】
上記電極板を合わせて、6.1cm*7.2cmのパウチ電池を製造し、注液量を2mLとし、浸潤、化成、エージング、容量選別を行ってから、0.5C充放電試験を行った。
【0102】
上記集電体S1、S2、D1、D2をそれぞれ秤量し、単位面積当たりの重量を算出した。各電池を常温で0.5Cの定電流で3.8Vまで充電し、0.5Cの定電流で2Vまで放電し、電池の放電容量と充電容量を記録した。
【表1】
【0103】
比較して分かるように、本願で製造された集電体の単位面積当たりの重量は、従来技術において適用された集電体の単位面積当たりの重量の10~15%であり、電池における集電体の質量の割合を大幅に低減する。そして、該集電体は、性能に優れ、電池容量の発揮が従来の集電体の98%以上に達する。
【0104】
上記実施例では、各実施例の間の相違点に重点を置いて説明し、各実施例の間の異なる最適な特徴は、矛盾しない限り、組み合わせてより好ましい実施例を構成することができ、説明を簡潔にするために、ここでは、説明を省略する。
【0105】
例を挙げて本願のいくつかの特定の実施例を詳細に説明したが、当業者であれば、以上の例が説明するためのものに過ぎず、本願の範囲を限定するものではないことを理解すべきである。当業者であれば、本願の範囲及び趣旨から逸脱しない場合に、以上の実施例を修正できることを理解すべきである。本願の範囲は、添付した特許請求の範囲によって限定した。
【符号の説明】
【0106】
1 支持層
11 第1の表面
12 第2の表面
2 第1の導電層
3 第2の導電層
4 第3の導電層
20 メッシュ状構造
201 メッシュ孔
202 メッシュ壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-12-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持層(1)と、第1の導電層(2)と、第2の導電層(3)とを含む集電体であって、
前記支持層(1)は、互いに反対側に配置された第1の表面(11)及び第2の表面(12)を有し、
前記第1の導電層(2)は、メッシュ状構造(20)を有し、前記第1の導電層(2)は、前記支持層(1)の第1の表面(11)及び/又は第2の表面(12)に配置され、
前記第2の導電層(3)は、前記第1の導電層(2)の前記支持層(1)から離れた表面に配置される、ことを特徴とする集電体。
【請求項2】
前記第1の導電層(2)の厚さ範囲は、0.1μm~50μmである、ことを特徴とする請求項1に記載の集電体。
【請求項3】
前記支持層(1)の厚さ範囲は、0.1μm~20μmである、ことを特徴とする請求項に記載の集電体。
【請求項4】
前記集電体の厚さ範囲は、1μm~100μmである、ことを特徴とする請求項に記載の集電体。
【請求項5】
前記メッシュ状構造(20)は、面積範囲が0.01cm~100cmであるメッシュ孔(201)を含む、ことを特徴とする請求項に記載の集電体。
【請求項6】
前記メッシュ状構造(20)は、メッシュ孔(201)を含み、メッシュ壁(202)によって前記メッシュ孔(201)が囲まれ、前記メッシュ壁(202)の厚さ範囲が0.1mm~50mmである、ことを特徴とする請求項に記載の集電体。
【請求項7】
前記第2の導電層(3)の厚さ範囲は、0.1μm~50μmである、ことを特徴とする請求項に記載の集電体。
【請求項8】
前記支持層(1)は、空隙を有する熱可塑性エラストマー層である、ことを特徴とする請求項に記載の集電体。
【請求項9】
第3の導電層(4)を更に含み、前記第3の導電層(4)は、メッシュ状構造(20)を有し、前記第3の導電層(4)は、前記支持層(1)の第1の表面(11)又は第2の表面(12)に配置される、ことを特徴とする請求項に記載の集電体。
【請求項10】
前記第1の導電層(2)は、前記支持層(1)の第1の表面(11)に配置され、前記第3の導電層(4)は、前記支持層(1)の第2の表面(12)に配置される、ことを特徴とする請求項9に記載の集電体。
【請求項11】
前記第1の導電層(2)は、前記支持層(1)の第2の表面(12)に配置され、前記第3の導電層(4)は、前記支持層(1)の第1の表面(11)に配置される、ことを特徴とする請求項9に記載の集電体。
【請求項12】
前記第3の導電層(4)の前記支持層(1)から離れた表面に前記第2の導電層(3)が配置される、ことを特徴とする請求項に記載の集電体。
【請求項13】
前記第1の導電層(2)は、金属部材であり、前記第3の導電層(4)は、金属部材である、ことを特徴とする請求項に記載の集電体。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の集電体と、前記第2の導電層(3)に形成された電極ペースト層とを含む、ことを特徴とする電極板。
【請求項15】
集電体の製造方法であって、前記集電体は、請求項1~13のいずれか一項に記載の集電体であり、前記集電体の製造方法は、
支持層(1)を提供するステップと、
印刷技術、凸版印刷技術、堆積技術及びマグネトロンスパッタリング技術のうちの少なくとも1つを用いて、メッシュ状構造(20)が支持層(1)上に配置されるように、支持層(1)の第1の表面(11)上、及び/又は、第2の表面(12)上に、第1の導電層(2)を形成するステップと、
第1の導電層(2)の表面全体に第2の導電層(3)を形成するステップと、
第2の導電層(3)を乾燥処理して、第2の導電層(3)を硬化させて、集電体を作製するステップとを含む、ことを特徴とする方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
別の実施例では、図2に示すように、第1の導電層2は、メッシュ状構造20で支持層1の第2の表面12に配置され、第1の導電層2に第の導電層3が形成され、支持層1の第1の表面11に導電層が設置されず、このように第1の集電体が形成される。図2に示す第1の集電体の構造と図1に示す第1の集電体の構造との相違点は、第1の導電層2が支持層1の異なる表面に設置されることである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
第1の導電層2の支持層1から離れた表面に第2の導電層3が設置されると、リチウムイオンの透過を妨げないとともに、第2の導電層3により集電体の電子導電性を更に向上させる。具体的には、第2の導電層3は、第1の導電層2の表面全体に設置され、メッシュ壁202において第2の導電層3と第1の導電層2とが協働して(例えば、メッシュ領域を覆う第2の導電層3が第1の導電層2の不足を補う)、集電体の電子収集能力及びリチウムイオン輸送能力を保証する。具体的には、第の導電層3は、メッシュの中空領域の電子を収集するとともに、リチウムイオンの輸送に影響を与えない。


【国際調査報告】