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特表2024-523247船舶用排気ガス浄化方法と浄化装置及びこれを備えた船舶
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】船舶用排気ガス浄化方法と浄化装置及びこれを備えた船舶
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/92 20060101AFI20240621BHJP
   B01D 53/14 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
B01D53/92 240
B01D53/92 ZAB
B01D53/92 331
B01D53/14 210
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023576090
(86)(22)【出願日】2021-12-21
(85)【翻訳文提出日】2023-12-07
(86)【国際出願番号】 KR2021019545
(87)【国際公開番号】W WO2022260230
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】10-2021-0075099
(32)【優先日】2021-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0158853
(32)【優先日】2021-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522213971
【氏名又は名称】ハンファ オーシャン カンパニー リミテッド
【住所又は居所原語表記】3370,Geoje-daero,Geoje-si,Gyeongsangnam-do 53302,Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】523462882
【氏名又は名称】ハイ エア コリア
【氏名又は名称原語表記】HI AIR KOREA
【住所又は居所原語表記】204,Gomo-ro 324beon-gil,Jillye-myeon Gimhae-si,Gyeongsangnam-do 50875,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】キム、グン ベ
(72)【発明者】
【氏名】イ、グァン ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ノ、ヒョン ジュ
(72)【発明者】
【氏名】イ、ミン ウ
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ウォン ギョン
(72)【発明者】
【氏名】ナム、ビョン タク
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ソ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、スン ミン
【テーマコード(参考)】
4D002
4D020
【Fターム(参考)】
4D002AA09
4D002AC10
4D002BA02
4D002CA07
4D002DA07
4D002EA07
4D002FA10
4D020AA03
4D020BA30
4D020BB03
4D020BC04
4D020CB08
(57)【要約】
IMOによる排気ガス排出規制を満たせるように船舶から発生する排気ガスに含まれている二酸化炭素を回収するために用いるアンモニアガスの危険性へ船舶及び船員の露出を最小化し、アンモニア水を再生して二酸化炭素の回収に再利用が可能な船舶用排気ガス浄化装置及びこれを用いた船舶用排気ガス浄化方法に関する。また、船舶から発生する排気ガスに含まれている二酸化炭素と二酸化硫黄を反応液を用いて回収し、前記二酸化炭素と二酸化硫黄を環境に影響を与えない物質に転換して貯留した後、陸上に移送できる船舶用排気ガス浄化装置1000及びこれを用いる船舶用排気ガス浄化方法に関する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶に備えられる排気ガス発生装置から発生する排気ガスを反応液と反応させて前記排気ガスに含まれている二酸化炭素をアンモニウム塩に転換する湿式スクラバー110と、
前記排気ガスが前記湿式スクラバー110の内部に流入する流入口115及び前記排気ガスが前記湿式スクラバー110の外部に排出される排出口112と、
前記排気ガスと反応する反応液を製造し、これを前記湿式スクラバー110に供給する循環タンク120と、
前記流入口115を介して流入した排気ガスに含まれている二酸化炭素と前記反応液を反応させて生成されるアンモニウム塩を移送するための移送ポンプ123と、
前記湿式スクラバー110から移送されたアンモニウム塩と2価金属酸化物又は2価金属水酸化物を反応させて炭酸塩を含むスラッジとアンモニア水を生成するインペラ135が設けられた混合タンク130と、
前記混合タンク130からスラッジを固液分離装置150に移送するスラッジポンプ131と、
前記混合タンク130から移送されたスラッジから炭酸塩などの沈殿物とアンモニア水を分離する固液分離装置150と、
前記固液分離装置150で分離されたアンモニア水を貯留する第1貯留タンク151と、
前記固液分離装置150で分離された炭酸塩などの沈殿物を貯留する第2貯留タンク160と、
2価金属酸化物又は2価金属水酸化物を供給する第3貯留タンク140と、
前記第1貯留タンク151に貯留されたアンモニア水を必要時に循環タンク120に移送する移送ポンプ152と、
を含む
ことを特徴とする船舶用排気ガス浄化装置100。
【請求項2】
前記2価金属酸化物は、酸化カルシウム又は酸化マグネシウムであり、前記2価金属水酸化物は、水酸化カルシウム又は水酸化マグネシウムである
請求項1に記載の船舶用排気ガス浄化装置100。
【請求項3】
前記2価金属酸化物又は2価金属水酸化物は、粉末、水溶液又はスラッジ状で供給される
請求項1に記載の船舶用排気ガス浄化装置100。
【請求項4】
船体と、
前記船体に備えられる請求項1ないし3のいずれかに記載の船舶用排気ガス浄化装置100を含む
ことを特徴とする船舶。
【請求項5】
i)船舶から排出される排気ガスに含まれている二酸化炭素と水が反応して炭酸(HCO)を生成する第1段階と、
ii)前記第1段階で生成された炭酸とアンモニア水が反応して炭酸水素アンモニウム(NHHCO)を生成する第2段階と、
iii)前記第2段階で生成された炭酸水素アンモニウム(NHHCO)とアンモニア水が反応して炭酸アンモニウム(NH)CO)を生成する第3段階と、
iv)炭酸水素アンモニウム(NHHCO)及び炭酸アンモニウム(NH)COと2価金属酸化物又は2価金属水酸化物が反応して炭酸塩とアンモニア水を生成する第4段階と、
v)前記第4段階で生成されたアンモニア水を前記第2段階に再供給する第5段階と、
を含む
ことを特徴とする船舶用排気ガス浄化方法。
【請求項6】
前記船舶用排気ガス浄化方法において、足りないアンモニア水は、無機化合物と水酸化カルシウムの反応によって生成して補充する
請求項5に記載の船舶用排気ガス浄化方法。
【請求項7】
前記無機化合物は、重炭酸アンモニウム(NHHCO)、炭酸アンモニウム((NH)CO)、硫酸水素アンモニウム(NHHSO)、硫酸アンモニウム((NH)SO)、硝酸アンモニウム(NHNO)、塩化アンモニウム(NHCl)、スルファミン酸アンモニウム(NHSONH)、及び亜硫酸アンモニウム((NH)SO)からなるグループより選択される1つ以上である
請求項6に記載の船舶用排気ガス浄化方法。
【請求項8】
前記無機化合物の使用量は、足りないアンモニア水のモル比に1.0~2.0倍を投入する
請求項6に記載の船舶用排気ガス浄化方法。
【請求項9】
i)船舶から排出される排気ガスに含まれている二酸化炭素と水が反応して炭酸(HCO)を生成する第a段階(S100)と、
ii)前記排気ガスに含まれている二酸化硫黄と水が反応して亜硫酸(HSO)及び硫酸(HSO)を生成する第b段階(S200)と、
iii)前記第a段階(S100)で生成された炭酸(HCO)と第b段階(S200)で生成された亜硫酸(HSO)及び硫酸(HSO)と反応液が反応して無機塩を含む反応液を生成する第c段階(S300)と、
iv)前記第c段階(S300)で生成された無機塩を含む反応液と2価金属酸化物又は2価金属水酸化物が反応して炭酸塩及び硫酸塩を生成しながら同時に反応液を再生する第d段階(S500)と、
v)固液分離装置1500を介して再生された反応液に含まれている炭酸塩及び硫酸塩を分離する第e段階(S600)と、
を含む
ことを特徴とする船舶用排気ガス浄化方法。
【請求項10】
前記反応液は、水酸化ナトリウム水溶液、アンモニア水溶液又はこれらの混合物である
請求項9に記載の船舶用排気ガス浄化方法。
【請求項11】
前記反応液には、補助反応液として水酸化リチウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液及び水酸化マグネシウム水溶液のうちの何れか1つ以上が追加される
請求項9に記載の船舶用排気ガス浄化方法。
【請求項12】
前記水酸化リチウム水溶液と水酸化カリウム水溶液の濃度は、反応液全体に対して15重量%以下である
請求項11に記載の船舶用排気ガス浄化方法。
【請求項13】
前記水酸化カルシウム水溶液と水酸化マグネシウム水溶液の濃度は、全体反応液に対して2重量%以下である
請求項11に記載の船舶用排気ガス浄化方法。
【請求項14】
前記反応液は、純水又は海水を用いて製造する
請求項9に記載の船舶用排気ガス浄化方法。
【請求項15】
前記2価金属酸化物は、酸化カルシウム又は酸化マグネシウムである
請求項9に記載の船舶用排気ガス浄化方法。
【請求項16】
前記2価金属水酸化物は、水酸化カルシウム又は水酸化マグネシウムである
請求項9に記載の船舶用排気ガス浄化方法。
【請求項17】
前記2価金属酸化物又は2価金属水酸化物は、粉末、水溶液又はスラッジ状で供給される
請求項9に記載の船舶用排気ガス浄化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶から排出される排気ガスに含まれている二酸化炭素を吸収して固形化することによって、これを陸上に移送するための船舶用排気ガス浄化方法と浄化装置及びこれを備えた船舶に関し、より詳しくは、湿式スクラバーの反応液として用いるアンモニア水を再生して再利用することによって、アンモニアガスを貯留するためのタンクを船舶に備えないため、船舶及び船員が露出する危険性を除去できる船舶用排気ガス浄化方法と浄化装置及びこれを備えた船舶に関する。
【0002】
また、本発明は、船舶から排出される排気ガスに含まれている二酸化炭素と二酸化硫黄を吸収して固形化することによって、これを容易に陸上に移送できる船舶用排気ガス浄化方法と浄化装置及びこれを備えた船舶に関する。
【背景技術】
【0003】
船舶から排出される排気ガスに含まれている汚染物質は、SOx、NOx及びCOなどがあり、これらの汚染物質は、人体に有害であるだけでなく、濾過処理なしにそのまま大気中に排出される場合、環境汚染を誘発する原因となる。
【0004】
そのため、国連は全世界の全ての海域を航海する船舶の排気ガス排出規制問題を国際海事機関(Interantional Maritime Organization、以下IMO)に委任しており、IMOは、2030年までに船舶から排出される排気ガスの排出量を2008年に比べて40%、2050年までに50%削減することを目標に多様な排気ガス削減案を進めている。
【0005】
そのため、代表的な温室効果ガスである二酸化炭素の排出量削減に対する解決策が海運業界と造船業界に求められている。
【0006】
一方、国際エネルギー機関(IEA)によると、2016年の燃料燃焼による全世界のCO排出量は323億トンであり、このうち海上バンカー油の燃焼によるCO排出量は6.8トンであり、全体の2.1%水準であることが知られている。
【0007】
韓国ではIMOが提示した2030温室効果ガス削減目標40%達成のために、中長期ロードマップを作って研究事業を行っており、船舶から排出される温室効果ガス削減技術などを開発して推進している。
【0008】
特に、2050年には、2008年の排出量の50%以上の二酸化炭素の排出量削減を目指すことで、COを排出しないか、又は排出されたCOを回収する技術が注目されている。
【0009】
そこで、船舶の排気ガスに含まれている代表的な汚染物質である二酸化炭素を大気中に放出せずに回収して貯留し、これを再利用する技術が非常に大きな注目を集めており、これと関連する技術を二酸化炭素の回収及び貯留技術(Carbon dioxide Capture and Storage、以下CCS)といい、代表的な技術は、湿式吸収法、吸着法、そして膜分離法などがある。このうち、湿式吸収法は、陸上プラントにおいて技術的成熟度が高く、COの大量処理が容易であることから、CCS技術の商用化に最も近い回収技術といえる。湿式吸収法の反応液としては、アミン系とアンモニアガスを主に用いる。
【0010】
前記アンモニアガスは腐食性の強い毒性ガスであって、吸入すると鼻、喉、気道粘膜などを刺激しながら激しいやけどを負い、喀血、嘔吐、鼻血などを誘発する恐れがある。
【0011】
そのため、船舶のように密閉された施設で前記アンモニアガスが漏れる危険性を除去し、また船舶から排出される排気ガスに含まれている二酸化炭素を吸収して環境に影響を与えない物質に転換して排出するか、又は貯留して陸上に移送できる技術の開発が切実に求められている。
【0012】
また、船舶から排出される排気ガスに含まれている汚染物質には、二酸化炭素(Carbon dioxide、以下CO)、二酸化硫黄(Sulfur dioxide、以下SO)などがあり、これらの汚染物質は、人体に有害であるだけでなく、濾過処理なしにそのまま大気中に排出される場合は、環境汚染を誘発する原因となる。
【0013】
そのため、国連は全世界の全ての海域を航海する船舶の排気ガス排出規制問題を国際海事機関(Interantional Maritime Organization、以下IMO)に委任しており、IMOは、2030年までに船舶から排出される排気ガスの環境汚染物質の排出量を2008年に比べて40%、2050年までに50%削減することを目標に多様な排気ガス削減案を進めている。
【0014】
韓国ではIMOが提示した2030年温室効果ガス削減目標の達成のために中長期ロードマップを作って研究事業を行っており、これにより、船舶から発生する温室効果ガス削減のための積極的な技術開発により環境にやさしい船舶市場に対する先制的な進入が必要な時点である。
【0015】
このような船舶の排気ガスに対する海運業界の問題を解決するために、これまで開発された方法としては、第一に、IMOが提示した方法のように低硫黄燃料油を用いる方法がある。しかし、この方法を取り入れる場合、低硫黄燃料油と高硫黄燃料油の価格差が大きいため、経済的に不利である。
【0016】
第二に、エンジンの排気ガスに含まれている汚染物質を多量の水で溶解させる装置(Scrubber)を装着及び活用してSOxを低濃度の亜硫酸又は硫酸に変換させた後に海水に放流するか、ナトリウム又はカルシウム塩に変換させて貯留した後に廃棄する方法がある。しかし、この方法の場合は、高価な材質の特殊鋼に対する需要が高まり、非常に大きな規模のスクラバー(Scrubber)を船舶に装着しなければならないなど経済的な追加の負担が生じる。
【0017】
そのため、船舶から発生する排気ガスを吸収処理し、前記排気ガスに含まれている汚染物質を低減するための多様な形態の船舶排気ガスの低減装置が開発されている。しかし、COとSOを除去するか、又は吸収して処理する装置は、陸上に設置されて運用されているが、現在船舶では商用化された事例がない。従って、船舶から排出される排気ガス中に含まれている汚染物質を吸収して環境に影響を与えない物質に転換して排出するか、又は陸上に移送できる技術の必要性が提示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、船舶から発生する排気ガスに含まれている二酸化炭素を回収するために用いる反応液であるアンモニア水を再生して再利用が可能であることにより、アンモニアガスへの船舶及び船員の露出を最小化できる船舶用排気ガス浄化方法と浄化装置及びこれを備えた船舶に関する。
【0019】
また、本発明の他の目的は、船舶から発生する排気ガスに含まれている汚染物質であるCOとSOを、反応液を用いて回収し、これを環境に影響を与えない物質に転換して貯留した後、陸上に移送できる船舶用排気ガス浄化方法と浄化装置及びこれを備えた船舶に関する。
【課題を解決するための手段】
【0020】
前記課題を解決するための本発明の第1実施例に係る船舶用排気ガス浄化装置100は、船舶に備えられて排気ガス発生装置から発生する排気ガスを処理でき、船舶に備えられる排気ガス発生装置から発生する排気ガスを反応液と反応させて前記排気ガスに含まれている二酸化炭素をアンモニウム塩に転換する湿式スクラバー110と、前記排気ガスが前記湿式スクラバー110の内部に流入する流入口115及び前記排気ガスが前記湿式スクラバー110の外部に排出される排出口112と、前記排気ガスと反応する反応液を製造し、これを前記湿式スクラバー110に供給する循環タンク120と、前記流入口115を介して流入した排気ガスに含まれている二酸化炭素と前記反応液を反応させて生成されるアンモニウム塩を移送するための移送ポンプ123と、前記湿式スクラバー110から移送されたアンモニウム塩と、2価金属酸化物又は2価金属水酸化物を反応させて炭酸塩を含むスラッジとアンモニア水を生成するインペラ135が設けられた混合タンク130と、前記混合タンク130からスラッジを固液分離装置150に移送するスラッジポンプ131と、前記混合タンクから移送されたスラッジから炭酸塩などの沈殿物とアンモニア水を分離する固液分離装置150と、前記固液分離装置150で分離されたアンモニア水を貯留する第1貯留タンク151と、前記固液分離装置150で分離された炭酸塩などの沈殿物を貯留する第2貯留タンク160と、2価金属酸化物又は2価金属水酸化物を供給する第3貯留タンク140と、前記第1貯留タンク151に貯留されたアンモニア水を必要時に循環タンク120に移送する移送ポンプ152とを含み、前記2価金属酸化物は、酸化カルシウム又は酸化マグネシウムであり、前記2価金属水酸化物は、水酸化カルシウム又は水酸化マグネシウムであり、前記2価金属酸化物又は2価金属水酸化物は、粉末、水溶液又はスラッジ状で供給されることが好ましい。
【0021】
また、本発明の第1実施例に係る船舶用排気ガス浄化装置100を用いた排気ガス浄化方法は、i)船舶から排出される排気ガスに含まれている二酸化炭素と水が反応して炭酸(HCO)を生成する第1段階と、ii)前記第1段階で生成された炭酸とアンモニア水が反応して炭酸水素アンモニウム(NHHCO)を生成する第2段階と、iii)前記第2段階で生成された炭酸水素アンモニウム(NHHCO)とアンモニア水が反応して炭酸アンモニウム(NH)CO)を生成する第3段階と、iv)炭酸水素アンモニウム(NHHCO)及び炭酸アンモニウム(NH)COと2価金属酸化物又は2価金属水酸化物が反応して炭酸塩とアンモニア水を生成する第4段階と、v)前記第4段階で生成されたアンモニア水を前記第2段階に再供給する第5段階とを含み、前記船舶排気ガス浄化方法において、足りないアンモニア水は、無機化合物と水酸化カルシウムの反応によって生成して補充でき、前記無機化合物は、重炭酸アンモニウム(NHHCO)、炭酸アンモニウム((NH)CO)、硫酸水素アンモニウム(NHHSO)、硫酸アンモニウム((NH)SO)、 硝酸アンモニウム(NHNO)、塩化アンモニウム(NHCl)、スルファミン酸アンモニウム(NHSONH)、及び亜硫酸アンモニウム((NH)SO)からなるグループより選択される1つ以上であり、前記無機化合物の使用量は、足りないアンモニア水のモル比に1.0~2.0倍を投入することが好ましい。
【0022】
更に、本発明の第2実施例に係る船舶用排気ガス浄化装置1000は、船舶に備えられて排気ガス発生装置から発生する排気ガスを処理するためのものであって、排気ガス発生装置から発生する排気ガスを水及び反応液と反応させて前記排気ガスに含まれている二酸化炭素と二酸化硫黄を無機塩に転換する湿式スクラバー1100と、排気ガスと反応する前記反応液を貯留及び前記湿式スクラバー1100に供給する第11タンク1200と、前記湿式スクラバー1100の下部に備えられて前記無機塩を含む反応液を第12タンク1300に移送するための移送ポンプ1230と、前記湿式スクラバー1100で生成された無機塩を含む反応液に含まれている無機塩と2価金属酸化物又は2価金属水酸化物を反応させて反応液を再生し、このとき生成された炭酸塩と硫酸塩を含むスラッジを生成する第12タンク1300と、前記2価金属酸化物又は2価金属水酸化物の貯留及び前記第12タンク1300に供給する第13タンク1400と、前記第12タンク1300から移送されたスラッジから炭酸塩と硫酸塩を分離する固液分離装置1500と、前記第12タンク1300から炭酸塩と硫酸塩を固液分離装置1500に移送するためのスラッジポンプ1310と、前記固液分離装置1500で分離された炭酸塩と硫酸塩を貯留する第14タンク1600と、前記固液分離装置1500で分離された再生反応液の貯留及び第11タンク1200に供給する第15タンク1510とを含み、前記反応液は、水酸化ナトリウム水溶液、アンモニア水溶液又はこれらの混合物であり、前記反応液には、補助反応液として水酸化リチウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液及び水酸化マグネシウム水溶液のうちの何れか1つ以上が追加されることができ、このとき、前記水酸化リチウム水溶液と水酸化カリウム水溶液の濃度は、反応液全体に対して15重量%以下で含まれることができ、前記水酸化カルシウム水溶液と水酸化マグネシウム水溶液の濃度は、反応液全体に対して2重量%以下で含まれることが好ましい。
【0023】
また、本発明の第2実施例に係る船舶排気ガス浄化方法は、i)船舶から排出される排気ガスに含まれている二酸化炭素と水が反応して炭酸(HCO)を生成する第a段階(S100)と、ii)前記排気ガスに含まれている二酸化硫黄と水が反応して亜硫酸(HSO)及び硫酸(HSO)を生成する第b段階(S200)と、iii)前記第a段階(S100)で生成された炭酸(HCO)及び第b段階(S200)で生成された亜硫酸(HSO)及び硫酸(HSO)と反応液が反応して無機塩を含む反応液を生成する第c段階(S300)と、iv)前記第c段階(S300)で生成された無機塩を含む反応液と2価金属酸化物又は2価金属水酸化物が反応して炭酸塩及び硫酸塩を生成しながら同時に反応液を再生する第d段階(S500)と、v)固液分離装置1500を介して再生された反応液に含まれている炭酸塩及び硫酸塩を分離する第e段階(S600)とを含み、前記反応液は、水酸化ナトリウム水溶液、アンモニア水溶液又はこれらの混合物であり、前記水酸化ナトリウム水溶液において前記水酸化ナトリウムは0.1~20重量%で含まれ、前記アンモニア水溶液において前記アンモニアは0.1~25重量%で含まれ、前記反応液には、補助反応液として水酸化リチウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液及び水酸化マグネシウム水溶液のうちの何れか1つ以上が追加されることができ、このとき、前記水酸化リチウム水溶液と水酸化カリウム水溶液の濃度は、反応液全体に対して15重量%以下で含まれることができ、前記水酸化カルシウム水溶液と水酸化マグネシウム水溶液の濃度は、反応液全体に対して2重量%以下で含まれることが好ましい。
【0024】
そして、前記水酸化カリウム水溶液において、前記水酸化カリウムは20重量%以下で含まれ、前記水酸化リチウム水溶液において、前記水酸化リチウムは15重量%以下で含まれ、前記反応液は純水又は海水を用いて製造でき、前記2価金属酸化物は、酸化カルシウム又は酸化マグネシウムであり、前記2価金属水酸化物は、水酸化カルシウム又は水酸化マグネシウムであり、前記2価金属酸化物又は2価金属水酸化物は、粉末、水溶液、スラッジ状で供給されることができ、前記船舶排気ガス浄化方法は、前記反応液を補充する段階として、前記反応液の酸化還元電位(ORP)、酸度(pH)又は電気伝導度を測定してこれから前記反応液の濃度を測定することによって、運転中に損失した反応液を補充する、前記反応液を補充する段階を含むことが特に好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明の第1実施例に係る船舶用排気ガス浄化装置100によれば、船舶から排出される排気ガスに含まれている二酸化炭素を回収し、これを固形化することによって、貯留及び陸上への移送が便利になるという効果を有する。また、前記二酸化炭素を吸収するための湿式スクラバー110で用いられる反応液であるアンモニア水を船舶で自律的に再生して再利用することによって、アンモニアガスへ船舶及び船員が露出する危険性を根本的に遮断するという効果を有する。これにより、アンモニア(NH)の所要量を削減させることができるため、船舶排気ガスの浄化費用を画期的に低減できる。そして、これにより、船舶から排出される排気ガスに含まれている二酸化炭素を吸収することで、IMOによる排気ガス排出規制を満たし、海洋汚染に影響を及ぼし得る物質の流出を最小化できるという効果がある。
【0026】
また、本発明の第2実施例に係る船舶用排気ガス浄化装置によれば、船舶から排出される排気ガスに含まれている汚染物質を回収して固形化することによって、貯留及び陸上への移送が便利になるという効果を有する。更に、前記汚染物質を吸収するための湿式スクラバーで用いられる反応液を船舶で自律的に再生して再利用することによって、船舶排気ガスの浄化費用を画期的に低減できる。
【0027】
そして、前記反応液の酸化還元電位、pH又は電気伝導度などを測定することによって、損失した反応液を補充でき、より高い排気ガス吸収効率が得られるという長所がある。特に、船舶から排出される排気ガスに含まれている汚染物質を吸収することで、IMOによる排気ガス排出規制を満たし、海洋汚染に影響を及ぼし得る物質の流出を最小化できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の第1実施例に係る船舶用排気ガス浄化装置100の概略的な構成図である。
図2】本発明の第1実施例に係る2価金属酸化物又は2価金属水酸化物を貯留及び供給する第3貯留タンク140の構成図である。
図3】本発明の第1実施例に係る湿式スクラバー110の構成図である。
図4】本発明の第1実施例に係る船舶用排気ガス浄化装置100で生成された固形物に対する粉末X線回折(XRD)分析チャートである。
図5】本発明の第2実施例に係る船舶用排気ガス浄化装置の概略的な構成図である。
図6】本発明の第2実施例に係る2価金属酸化物又は2価金属水酸化物を貯留及び供給する第13タンクの構成図である。
図7】本発明の第2実施例に係る湿式スクラバーの構成図である。
図8】本発明の第2実施例に係る反応液の濃度による酸化還元電位の測定グラフである。
図9】本発明の第2実施例に係る反応液の濃度によるpHの測定グラフである。
図10】本発明の第2実施例に係る反応液の濃度による電気伝導度の測定グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本出願における「含む」、「有する」又は「備える」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、構成要素、部分品又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部分品、若しくはこれらを組み合わせたものの存在又は付加の可能性を予め排除しない。
【0030】
また、異なる定義がない限り、技術的又は科学的な用語を含めてここで用いられる全ての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有している。一般に用いられる辞書に定義されているのと同じ用語は、関連技術の文脈上、有する意味と一致する意味を有するものとして解釈され、本出願において明白に定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味として解釈されない。
【0031】
以下では添付の図面を参照して、本発明の好適な実施例をより詳細に説明する。本発明を説明するにあたって、全体的な理解を容易にするために図面上の同一の構成要素に対しては同一の参照符号を付し、同一の構成要素についての重複する説明は省略する。
【0032】
以下、本発明の第1実施例に係る船舶用排気ガス浄化装置100及びこれを用いた船舶用排気ガス浄化方法について添付の図面を参照して詳細に説明する。本発明に添付された図1は、本発明の第1実施例に係る船舶用排気ガス浄化装置100の概略的な構成図であり、図2は、本発明の第1実施例に係る2価金属酸化物又は2価金属水酸化物を貯留及び供給する第3貯留タンク140の構成図であり、図3は、本発明の第1実施例に係る湿式スクラバー110の構成図であり、図4は、本発明の第1実施例に係る船舶用排気ガス浄化装置100で生成された固形物に対する粉末X線回折(XRD)分析チャートである。
【0033】
図1を参照すると、本発明の第1実施例に係る船舶用排気ガス浄化装置100は、船舶に備えられる排気ガス発生装置から発生する排気ガスを反応液と反応させて前記排気ガスに含まれている二酸化炭素をアンモニウム塩に転換する湿式スクラバー110と、前記排気ガスが前記湿式スクラバー110の内部に流入する流入口115及び前記排気ガスが前記湿式スクラバー110の外部に排出される排出口112と、前記排気ガスと反応する反応液を製造し、これを前記湿式スクラバー110に供給する循環タンク(Circulation Tank、120)と、前記流入口115を介して流入した排気ガスに含まれている二酸化炭素と前記反応液を反応させて生成されるアンモニウム塩を移送するための移送ポンプ123と、前記湿式スクラバー110から移送されたアンモニウム塩と2価金属酸化物又は2価金属水酸化物を反応させて炭酸塩を含むスラッジとアンモニア水を生成するインペラが設けられた混合タンク(Mixing Tank、130)と、前記混合タンク130からスラッジを固液分離装置150に移送するスラッジポンプ131と、前記混合タンク130から移送されたスラッジから炭酸塩などの沈殿物とアンモニア水を分離する固液分離装置150と、前記固液分離装置150で分離されたアンモニア水を貯留する第1貯留タンク151と、前記固液分離装置150で分離された炭酸塩などの沈殿物を貯留する第2貯留タンク160と、前記第1貯留タンク151に貯留されたアンモニア水を必要時に循環タンク120に移送するための移送ポンプ152とを含むことが好ましい。
【0034】
前記のように構成される本発明の第1実施例に係る船舶用排気ガス浄化装置100は、船舶に備えられることができる。即ち、船舶の船体には、前記排気ガス発生装置が備えられることができ、前記排気ガス発生装置は、例えば船舶のメインエンジンや発電用エンジン又はボイラーなどであり得る。しかし、排気ガス発生装置は、特に限定されず、船舶に備えられて排気ガスを排出するものであれば、周知の如何なるものでも可能である。
【0035】
本発明の第1実施例に係る前記船舶用排気ガス浄化装置100について詳察すると、前記流入口115は、湿式スクラバー110の一側に備えられて船舶に備えられる排気ガス発生装置で燃料が燃焼した後に生成される排気ガスが流入する。
【0036】
また、前記湿式スクラバー110の一側には、流入した排気ガスが処理された後に外部に排出される排出口112が共に備えられる。
【0037】
本発明の第1実施例によれば、前記湿式スクラバー110は、流入口115を介して流入した排気ガスと反応液を反応させてアンモニウム塩を生成する。そのために、前記湿式スクラバー110は、排気ガスに含まれているガス状汚染物質などを吸収する反応液が噴射される過程を循環繰り返しながら、湿式スクラバー110の下部に汚染物質がスラッジ(Sludge)状で沈殿又は沈積される。前記のように、前記湿式スクラバー110には、排気ガスの流入と排出のために、流入口115及び排出口112を備えることが好ましい。
【0038】
前記湿式スクラバー110について詳察すると、図3に示すように、前記湿式スクラバー110では、内部上端から反応液を下方噴射できるように備えられる反応液供給ライン117が備えられ、前記反応液供給ライン117には、多数の噴射ノズル(図示せず)が備えられて前記反応液を下部に噴射する。
【0039】
このとき、前記のように噴射ノズルから下方噴射される反応液に対して排気ガスが逆方向に下部から上部へ移動する。
【0040】
また、前記湿式スクラバー110の内部に備えられる反応液供給ライン117の下部には、図3に示すように、高い表面積を有する充填部材119が備えられる。前記排気ガスは、前記充填部材119を通過することによって、前記反応液との接触効率が増大し、これにより排気ガス中に含まれている汚染物質の除去効率が増大し得る。
【0041】
そして、本発明の第1実施例によれば、前記循環タンク120は、第1貯留タンク151に貯留された、再生されたアンモニア水を用いて前記二酸化炭素と反応する反応液を製造し、前記反応液を湿式スクラバー110に供給する役割を果たす。
【0042】
このとき、前記循環タンク120では、再生されたアンモニア水と用水を適切に混合して二酸化炭素の反応液であるアンモニア水を製造する。
【0043】
また、前記湿式スクラバー110の下部には、下記一般式1乃至一般式4のように、前記排気ガスに含まれている二酸化炭素と反応して形成されたアンモニウム塩を混合タンク130に移送するための移送ポンプ123を備える。
【0044】
前記混合タンク130は、湿式スクラバー110から移送ポンプ123によって移送されたアンモニウム塩と2価金属酸化物又は2価金属水酸化物を反応させてアンモニア水を再生し、また炭酸塩を含むスラッジを形成する。
【0045】
本発明の第1実施例によれば、前記2価金属酸化物は、酸化カルシウム(CaO)又は酸化マグネシウム(MgO)であり、また前記2価金属水酸化物は、水酸化カルシウム(Ca(OH))又は水酸化マグネシウム(Mg(OH))であり得る。
【0046】
本発明の第1実施例によれば、前記混合タンク130には、前記アンモニウム塩と2価金属酸化物又は2価金属水酸化物の混合を容易にするために、図2に示すように、モータによって駆動されるインペラ135が設けられることが好ましい。
【0047】
また、本発明の第1実施例によれば、前記混合タンク130でアンモニウム塩と2価金属酸化物又は2価金属水酸化物が反応して下記一般式5乃至一般式6のように、炭酸塩などを含むスラッジとアンモニア水が形成される。
【0048】
前記のように反応が完了した後、前記混合タンク130に生成される炭酸塩などを含むスラッジを移送するために、前記混合タンク130の一側には、スラッジポンプ131を更に備えることができる。
【0049】
そして、本発明に係る船舶用排気ガス浄化装置100には、一般式7乃至一般式12のように、反応が完了して生成される炭酸塩などを含むスラッジとアンモニア水を分離するために、固液分離装置150を備えることが好ましい。
【0050】
本発明の第1実施例によれば、前記スラッジには、炭酸塩などの沈殿物と生成されたアンモニア水が混合されているので、前記アンモニア水とスラッジを分離しなければ、後で前記アンモニア水を反応液として再利用できなくなる。
【0051】
即ち、前記スラッジには、前記アンモニア水が20~50重量%含まれているので、前記アンモニア水をスラッジから分離するための多様な技術又は装置が提示されている。そのうち代表的な装置として固液分離装置150が挙げられる。
【0052】
前記のような固液分離装置150としては、フィルタープレス式又はベルトプレス式などがある。このようなフィルタープレス式又はベルトプレス式固液分離装置150は、濾過布ベルトが多数のローラを通過するように設けられ、濾過布の間にスラッジが投入移送されながらローラによって加圧されることによって、前記スラッジからアンモニア水の分離が行われるようにする方式である。
【0053】
また、本発明の第1実施例によれば、前記固液分離装置150で分離されたアンモニア水を排気ガスに含まれている二酸化炭素の回収時に再利用できるように、前記アンモニア水を第1貯留タンク151から循環タンク120に移送するアンモニア水移送ポンプ152が更に備えられることができる。
【0054】
前記のように構成される本発明の第1実施例に係る船舶用排気ガス浄化装置100は、船舶に備えられることができる。即ち、船舶の船体には、前記排気ガスを発生させる排気ガス発生装置が備えられることができ、前記排気ガス発生装置は、例えば船舶のメインエンジンや発電用エンジン又はボイラーなどであり得る。しかし、排気ガス発生装置は、特に限定されず、排気ガスを排出するものであれば、周知の如何なるものでも可能である。
【0055】
前記排気ガス発生装置では、バンカーC油を燃料として使用できる。船舶燃料であるバンカーC油は、燃焼時に発熱量と効率が高いため、エネルギーを多く発生するという長所を有する。即ち、石炭の発熱量が5、000~7、000kcal/kgであるのに対し、バンカーC油の発熱量は、10、000~11、000kcal/kgで約2倍高い。
【0056】
また、前記バンカーC油は、原油(crude oil)よりも価格が安いことから、船舶又は発電所などで多く用いている。
【0057】
一般に、バンカーC油は、炭素数13以上の炭化水素化合物からなり、燃焼過程で汚染物質を発生させやすく、硫黄をはじめとする環境汚染物質が特に多く含まれている。
【0058】
図2を参照して、本発明の第1実施例に係る船舶用排気ガス浄化装置100で排気ガスに含まれている二酸化炭素を回収するための反応液として用いるアンモニア水を2価金属酸化物又は2価金属水酸化物を用いて再生して再利用する方法を具体的に説明すると、以下の通りである。
【0059】
即ち、船舶に備えられる排気ガス発生装置から発生する排気ガス中に含まれている汚染物質である二酸化炭素との反応液であるアンモニア水の反応は、下記一般式1乃至一般式4の通りである。通常、アンモニア水は、アンモニアガスを水に溶解して製造され、このとき、前記アンモニアガスの水に対する溶解度は、29~30重量%程度である。従って、前記アンモニア水には70重量%程度の水が共に存在している。
【0060】
従って、一般式1のように、排気ガスに含まれている二酸化炭素は、水と反応して炭酸を形成する(第1段階)。このとき、前記二酸化炭素と反応する水は、前記アンモニア水に共に存在する水を利用することが好ましい。
【0061】
(化1)CO+HO→HCO
【0062】
(化2)NHOH+HCO→NHHCO+H
【0063】
(化3)NHOH+NHHCO→(NH)CO+H
【0064】
(化4)2NHOH+HCO→(NH)CO+2H
【0065】
前記一般式2のように、炭酸とアンモニア水が反応して炭酸水素アンモニウム(NHHCO)と水を形成する(第2段階)。また、前記一般式2で生成された炭酸水素アンモニウム(NHHCO)とアンモニア水が反応して一般式3のように、炭酸アンモニウム((NH)CO)と水を生成する(第3段階)。
【0066】
前記のように、二酸化炭素とアンモニア水の反応生成物である炭酸水素アンモニウム(NHHCO)及び炭酸アンモニウム((NH)CO)を除去し、アンモニア水を前記湿式スクラバー110に供給し続けると、船舶から発生する排気ガスに含まれている汚染物質である二酸化炭素を持続的に除去できる。
【0067】
従来技術によれば、反応液であるアンモニア水を持続的に湿式スクラバー110に供給するためには、前記アンモニア水を製造するための多量のアンモニアガスを船舶に貯留していなければならない。ところが、前記のように船舶に多量のアンモニアガスを貯留して運行する場合、前記アンモニアガスが露出する危険性がある。
【0068】
このような問題を解決するために、本発明の第1実施例は、前記反応液であるアンモニア水と二酸化炭素との反応生成物である炭酸水素アンモニウム(NHHCO)及び炭酸アンモニウム((NH)CO)を2価金属酸化物又は2価金属水酸化物と反応させて炭酸塩を含むスラッジとアンモニア水として再生する(第4段階)。また、前記アンモニア水とスラッジを分離することによって、前記アンモニア水を排気ガスに含まれている二酸化炭素を回収するための反応液として再利用できる(第5段階)。
【0069】
また、前記炭酸塩を含むスラッジは固形化させることによって、船舶での保管が容易であり、より安全に船舶に貯留可能になる。
【0070】
即ち、前記のように炭酸塩を含むスラッジを固形化する方法は、前記二酸化炭素を最も安定的に貯留できる方法であって、前記二酸化炭素の再放出の恐れがない。
【0071】
前記のようにアンモニア水を反応液として用いて二酸化炭素と反応した後に生成される生成物である炭酸水素アンモニウム及び炭酸アンモニウムを2価金属水酸化物である水酸化カルシウムと反応させてアンモニア水を再生する反応は、下記一般式5乃至一般式6の通りである。
【0072】
(化5)NHHCO+Ca(OH)→NHOH+CaCO+H
【0073】
(化6)(NH)CO+Ca(OH)→2NHOH+CaCO
【0074】
前記のように、反応液であるアンモニア水と炭酸水素アンモニウム又は炭酸アンモニウムが反応して生成されたスラッジをXRD(X-ray diffraction)で分析した結果を図4に示した。前記図4を詳察すると、生成されたスラッジは、炭酸カルシウムであることが確認できる。
【0075】
本発明の第1実施例の他の実施例によれば、前記のようにアンモニア水を反応液として用いて二酸化炭素と反応した後に生成される生成物である炭酸水素アンモニウム及び炭酸アンモニウムと2価金属酸化物である酸化カルシウムを反応させてアンモニア水を再生する一般式は、下記一般式7及び一般式8の通りである。
【0076】
(化7)NHHCO+CaO→NHOH+CaCO
【0077】
(化8)(NH)CO+CaO+HO→2NHOH+CaCO
【0078】
また、前記のようにアンモニア水を反応液として用いて二酸化炭素と反応した後に生成される生成物である炭酸水素アンモニウム及び炭酸アンモニウムと2価金属酸化物である酸化マグネシウムを反応させてアンモニア水を再生する一般式は、下記一般式9及び一般式10の通りである。
【0079】
(化9)NHHCO+MgO→NHOH+MgCO
【0080】
(化10)(NH)CO+MgO→2NHOH+MgCO
【0081】
そして、前記のようにアンモニア水を反応液として用いて二酸化炭素と反応した後に生成される生成物である炭酸水素アンモニウム及び炭酸アンモニウムと2価金属水酸化物である水酸化マグネシウムを反応させてアンモニア水を再生する一般式は、下記一般式11及び一般式12の通りである。
【0082】
(化11)NHHCO+Mg(OH)→NHOH+MgCO+2H
【0083】
(化12)(NH)CO+Mg(OH)→2NHOH+MgCO
【0084】
前記湿式スクラバー110で排気ガス中に含まれている二酸化炭素と反応した反応液を移送ポンプ123を介して混合タンク130に移送する。
【0085】
前記のように移送された排気ガスに含まれている二酸化炭素と反応した反応液が充填された前記混合タンク130に第3貯留タンク140から前記2価金属酸化物又は2価金属水酸化物を供給する。このとき、前記2価金属酸化物又は2価金属水酸化物は、粉末、水溶液又はスラッジ状などの適切な形態で供給されることができる。
【0086】
本発明の第1実施例によれば、前記混合タンク130に供給される2価金属酸化物又は2価金属水酸化物の量は、前記一般式5乃至一般式12から計算されることができる。即ち、前記2価金属酸化物又は2価金属水酸化物は、炭酸水素アンモニウム及び炭酸アンモニウムと1:1の当量比で反応するので、前記炭酸水素アンモニウム及び炭酸アンモニウムの処理量と同じ当量比で2価金属酸化物又は2価金属水酸化物を供給する。
【0087】
前記のように混合タンク130に2価金属酸化物又は2価金属水酸化物を供給すると、前記一般式5乃至一般式12のように、前記排気ガスに含まれている二酸化炭素と反応した反応液と前記2価金属酸化物又は2価金属水酸化物が反応する。
【0088】
前記のように排気ガスに含まれている二酸化炭素と反応した反応液と前記2価金属酸化物又は2価金属水酸化物が反応すると、一般式5乃至一般式12に表されるように、炭酸カルシウム又は炭酸マグネシウムなどの炭酸塩とアンモニア水が形成される。
【0089】
このとき、前記二酸化炭素と反応した反応液と前記2価金属酸化物又は2価金属水酸化物が反応する反応時間は、30~120分が好ましい。
【0090】
排気ガスに含まれている二酸化炭素と反応した反応液と、前記2価金属酸化物又は2価金属水酸化物が反応して生成される炭酸カルシウム又は炭酸マグネシウムなどの炭酸塩は、アンモニア水と混合されてスラッジ状で前記混合タンク130の下部に沈殿される。前記反応時間が経過した後は、前記混合タンク130の下部に備えられるスラッジポンプ131を用いてスラッジを固液分離装置150に移送する。前記スラッジポンプ131によって移送されたスラッジは、固液分離装置150にて固体成分である炭酸塩と液体成分であるアンモニア水とに分離される。
【0091】
前記のように分離された炭酸塩を含む沈殿物は、第2貯留タンク160に移送され、分離されたアンモニア水は、第1貯留タンク151に移送される。
【0092】
前記のように、第1貯留タンク151に貯留されるアンモニア水は、必要時に移送ポンプ152を用いて循環タンク120に移送した後、反応液として製造されて排気ガスを処理する湿式スクラバー110に供給して反応液として再利用される。
【0093】
また、前記第2貯留タンク160に貯留される炭酸塩を含む沈殿物は、公知の方法を通じて固形化して貯留することが好ましい。前記のように固形化されて貯留される沈殿物は、船舶が陸上に到着すると下船して処理する。
【0094】
このとき、前記固液分離装置150でアンモニア水と沈殿物の分離時に沈殿物に含まれるか、又は前記湿式スクラバー110の上端に排気ガスと共に排出されることによって、反応液であるアンモニア水が多少損失し得る。
【0095】
前記のようにアンモニア水が損失して不足すると、排気ガス浄化装置100の運転時間が長くなり、また排気ガス中に含まれている二酸化炭素の吸収効率が低くなる問題が発生する恐れがある。
【0096】
本発明の第1実施例では、このような問題を解決するために、運転中に足りないアンモニア水は、処理対象である前記炭酸水素アンモニウム及び炭酸アンモニウムの当量比で1.0~2.0倍を供給することによって、足りないアンモニア水を補充する。前記のようにアンモニア水を補充することによって、排気ガス浄化装置100の運転時間を短縮でき、また二酸化炭素の吸収効率を向上させることができる。
【0097】
一般に、排気ガスと反応時に用いられる反応液であるアンモニア水を製造するためのアンモニアガスは、悪臭と毒性があり、船舶で取り扱う場合に船員に露出する恐れがある。特に、船舶で排気ガスの反応液を製造するためのアンモニアガスは、毒性が強く、船舶で漏える場合、船員の安全性を確保できなくなる恐れがある。
【0098】
このようなアンモニアガスが船員に露出するのを防止するために、本発明は、船舶に前記アンモニアガスを貯留するためのタンクを備えず、また排気ガスと反応した反応液を2価金属酸化物又は2価金属水酸化物と反応させることによって、アンモニア水として再生する。
【0099】
また、前記のように再生されたアンモニア水を湿式スクラバー110に供給して再利用することによって、船舶にアンモニアガスを貯留するためのタンクが不要になる。
【0100】
即ち、本発明の第1実施例によれば、排気ガスに含まれている二酸化炭素と反応したアンモニア水を再生して再利用することによって、船舶の乗務員と船舶全体の安全性を向上させることができる。
【0101】
前記混合タンク130には、排気ガスに含まれている二酸化炭素と反応した反応液と前記第3貯留タンク140から2価金属酸化物又は2価金属水酸化物が供給されて反応されることによって、反応液として再利用が可能なアンモニア水の再生反応が行われる。
【0102】
前記のように、前記第3貯留タンク140から混合タンク130に供給される2価金属酸化物又は2価金属水酸化物の供給量は、前記混合タンク130に供給された炭酸水素アンモニウム(NHHCO)と炭酸アンモニウム((NH)CO)などのアンモニウム塩を含むスラッジのpH又はORP(Oxidation-reduction potential)を分析することで推算が可能である。
【0103】
即ち、前記炭酸水素アンモニウム(NHHCO)と炭酸アンモニウム(NH)CO)などのアンモニウム塩を含むスラッジのpH又はORP(Oxidation-reduction potential)を分析することによって、前記スラッジの酸度又は酸化還元ポテンシャルを測定し、これにより、前記2価金属酸化物又は2価金属水酸化物の供給量を推算できる。
【0104】
即ち、本発明によると、前記のように、2価金属酸化物又は2価金属水酸化物の供給量は、前記推算値に対して、モル比で1.0~2.0倍を供給することが好ましい。
【0105】
前記2価金属酸化物又は2価金属水酸化物の供給量がモル比で1.0倍未満で供給される場合は、前記アンモニア水の再生効率が不良になる。また、前記2価金属酸化物又は2価金属水酸化物の供給量がモル比で2.0倍を超えて供給されると、余分の2価金属酸化物又は2価金属水酸化物は、析出されて排出されるため、貯留及び荷役過程で船舶及び船員の安全に問題が発生しない。
【0106】
また、過剰供給された2価金属酸化物又は2価金属水酸化物は、アンモニア水の濃度を増加させ、これにより、二酸化炭素の吸収効率の増大を誘発し得る。
【0107】
また、本発明の第1実施例によれば、船舶にアンモニアガスを貯留するタンクを設置しないために、アンモニアガスを溶解させる方法ではなく、無機化合物を水酸化カルシウムと反応させてアンモニア水を直接製造することも可能である。
【0108】
即ち、前記のように、アンモニア水を直接製造するための無機化合物としては、重炭酸アンモニウム(NHHCO)、炭酸アンモニウム((NH)CO)、硫酸水素アンモニウム(NHHSO)、硫酸アンモニウム(NH)SO)、硝酸アンモニウム(NHNO)、塩化アンモニウム(NHCl)、スルファミン酸アンモニウム(NHSONH)、亜硫酸アンモニウム((NH)SO)などを用いることができる。
【0109】
前記無機化合物は、水酸化カルシウムと反応してアンモニア水を生成する。前記のように製造されたアンモニア水を循環タンク120を介して湿式スクラバー110に供給することによって、船舶に反応液であるアンモニア水を製造するためのアンモニアガスの貯留タンクを備える必要がなくなる。
【0110】
本発明によると、無機化合物を用いてアンモニア水の製造時に前記無機化合物の使用量は、足りないアンモニア水のモル比に1.0~2.0倍を投入することが好ましい。
【0111】
また、本発明の第1実施例によれば、前述した船舶用排気ガス浄化装置100を備えた船舶を提供できる。
【0112】
前述したような船舶用排気ガス浄化装置100によって反応液であるアンモニア水の濃度を一定に維持することによって、前記湿式スクラバー110の吸収性能の低下を防止でき、また、IMOによる排気ガス排出規制を満たし、前記二酸化炭素を環境に影響を与えない物質に転換して分離排出又は貯留できる。
【0113】
そして、アンモニア水を再生して再利用することによって、比較的に高価なアンモニアの消費を最小化することによって、船舶排気ガスの浄化費用を画期的に低減できる。
【0114】
一方、船舶から排出される排気ガスに含まれている二酸化炭素を固形化して船舶の適切な貯留所(reservoirs)に貯留することによって、回収された二酸化炭素の貯留と資源化及び産業的利用を容易にする効果を更に有する。
【0115】
前述したように、本発明の第1実施例に係る船舶用排気ガス浄化方法は、i)船舶から排出される排気ガスに含まれている二酸化炭素と水が反応して炭酸(HCO)を生成する第1段階と、
【0116】
ii)前記第1段階で生成された炭酸とアンモニア水が反応して炭酸水素アンモニウム(NHHCO)を生成する第2段階と、
【0117】
iii)前記第2段階で生成された炭酸水素アンモニウム(NHHCO)とアンモニア水が反応して炭酸アンモニウム((NH)CO)を生成する第3段階と、
【0118】
iv)炭酸水素アンモニウム(NHHCO)及び炭酸アンモニウム((NH)CO)と2価金属酸化物又は2価金属水酸化物が反応して炭酸塩とアンモニア水を生成する第4段階と、
【0119】
v)前記第4段階で生成されたアンモニア水を前記第2段階に再供給する第5段階とを含むことが好ましい。
【0120】
また、本発明の第2実施例に係る船舶用排気ガス浄化方法と浄化装置及びこれを備えた船舶について添付の図面を参照して詳細に説明する。本発明に添付された図5は、本発明の第2実施例に係る船舶用排気ガス浄化装置1000の概略的な構成図であり、図6は、本発明の第2実施例に係る2価金属酸化物又は2価金属水酸化物を貯留及び供給する第13タンク1400の構成図であり、図7は、本発明の第2実施例に係る湿式スクラバー1100の構成図であり、図8は、本発明の第2実施例に係る反応液の濃度による酸化還元電位の測定グラフであり、図9は、本発明の第2実施例に係る反応液の濃度によるpHの測定グラフであり、図10は、本発明に係る反応液の濃度による電気伝導度の測定グラフである。
【0121】
図5を参照すると、本発明の第2実施例に係る船舶用排気ガス浄化装置1000は、排気ガス発生装置から発生する排気ガスを水及び反応液と反応させて前記排気ガスに含まれている二酸化炭素と二酸化硫黄を無機塩に転換する湿式スクラバー1100と、排気ガスと反応する前記反応液を貯留及び前記湿式スクラバー1100に供給する第11タンク1200と、前記湿式スクラバー1100の下部に備えられて前記無機塩を含む反応液を第12タンク1300に移送するための移送ポンプ1230と、前記湿式スクラバー1100で生成された無機塩を含む反応液に含まれている無機塩と2価金属酸化物又は2価金属水酸化物を反応させて反応液を再生し、このとき生成された炭酸塩と硫酸塩を含むスラッジを生成する第12タンク1300と、前記2価金属酸化物又は2価金属水酸化物の貯留及び前記第12タンク1300に供給する第13タンク1400と、前記第12タンク1300から移送されたスラッジから炭酸塩と硫酸塩を分離する固液分離装置1500と、前記第12タンク1300から炭酸塩と硫酸塩を固液分離装置1500に移送するためのスラッジポンプ1310と、前記固液分離装置1500で分離された炭酸塩と硫酸塩を貯留する第14タンク1600と、前記固液分離装置1500で分離された再生反応液の貯留及び第11タンク1200に供給する第15タンク1510とを含むことを特徴とする。
【0122】
前記のように構成される本発明の第2実施例に係る船舶用排気ガス浄化装置1000は、船舶に備えられることができる。即ち、船舶の船体には、前記船舶用排気ガス浄化装置1000が一側に備えられることができ、前記排気ガス発生装置は、例えば船舶のメインエンジンや発電用エンジン又はボイラーなどであり得る。しかし、排気ガス発生装置は、特に限定されず、船舶に備えられて排気ガスを排出するものであれば、周知の如何なるものでも可能である。
【0123】
本発明の第2実施例に係る船舶用排気ガス浄化装置1000について詳察すると、前記船舶用排気ガス浄化装置1000は、まず排気ガスを水及び反応液と反応させて前記排気ガスに含まれているCO及びSOを無機塩に転換させる湿式スクラバー1100を含む。
【0124】
前記湿式スクラバー1100の一側には、図5に示すように、船舶に備えられる排気ガス発生装置で燃料が燃焼した後に生成される排気ガスが流入する流入口1150を備える。また、前記湿式スクラバー1100の一側には、流入した排気ガスが処理された後に外部に排出される排出口1120が共に備えられる。
【0125】
本発明の第2実施例によれば、前記湿式スクラバー1100は、流入口1150を介して流入した排気ガスと水及び反応液を反応させて無機塩を生成する。このために、前記湿式スクラバー1100は、排気ガスに含まれているガス状汚染物質などを吸収するための反応液が噴射される過程を繰り返しながら湿式スクラバー1100の下部に汚染物質がスラッジ(Sludge)の形態で沈殿又は沈積される。
【0126】
前記湿式スクラバー1100について詳察すると、図7に示すように、前記湿式スクラバー1100の内部上端には、反応液を下方噴射できるように備えられる反応液供給ライン1170が備えられ、前記反応液供給ライン1170には、多数の噴射ノズル(図示せず)が備えられて前記反応液を下部に噴射する。
【0127】
このとき、前記のように噴射ノズルから下方噴射される反応液に対して排気ガスが下部から上部に前記反応液と逆方向に移動する。
【0128】
また、前記湿式スクラバー1100の内部に備えられる反応液供給ライン1170の下部には、図7に示すように、高い表面積を有する充填部材1190が備えられる。前記排気ガスは、前記充填部材1190を通過することによって、前記反応液との接触効率が増大し、これにより、排気ガス中に含まれている汚染物質である二酸化炭素及び二酸化硫黄の除去効率が増大し得る。
【0129】
そして、本発明の第2実施例によれば、前記第11タンク1200は、前記湿式スクラバー1100に供給される反応液を貯留して供給する。
【0130】
本発明の第2実施例によれば、前記反応液は、アンモニア水溶液又は水酸化ナトリウム水溶液であり、これらを混合して使用できる。また、前記反応液は、COとSOの回収効率を向上させるために補助反応液として水酸化リチウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液又は水酸化マグネシウム水溶液を更に含むことができる。
【0131】
このとき、前記水酸化リチウム水溶液と水酸化カリウム水溶液の濃度は、反応液全体に対して15重量%以下で含まれることができ、前記水酸化カルシウム水溶液と水酸化マグネシウム水溶液の濃度は、反応液全体に対して2重量%以下で含まれることが好ましい。
【0132】
即ち、前記水酸化リチウム水溶液と水酸化カリウム水溶液の濃度が反応液全体に対して15重量%を超えるか、又は前記水酸化カルシウム水溶液と水酸化マグネシウム水溶液の濃度が反応液全体に対して2重量%を超える前記反応液の副反応を防止する効果に乏しく、前記反応液の飽和濃度に対する増大効果が少ないため、前記補助反応液の投入効果が低下する。
【0133】
前記第11タンク1200は、前記反応液を貯留し、必要時に前記反応液を湿式スクラバー1100に供給する。
【0134】
また、前記湿式スクラバー1100の下部には、前記排気ガスに含まれているCO及びSOと反応して形成された無機塩を第12タンク1300に移送するための移送ポンプ1230を備える。
【0135】
前記第12タンク1300は、湿式スクラバー1100から移送ポンプ1230によって移送された反応液に含まれている無機塩と2価金属酸化物又は2価金属水酸化物を反応させて反応液を再生する。
【0136】
また、本発明によれば、前記のように、第12タンク1300に2価金属酸化物又は2価金属水酸化物を供給するために、前記2価金属酸化物又は2価金属水酸化物を貯留及び供給する第13タンク1400を備えることが好ましい。
【0137】
前記のように、第12タンク1300では反応液が再生されながら生成される炭酸塩と硫酸塩を含むスラッジを形成する。
【0138】
本発明の第2実施例によれば、前記無機塩と反応して反応液を再生し、炭酸塩及び硫酸塩を含むスラッジを形成する前記2価金属酸化物は、酸化カルシウム(CaO)又は酸化マグネシウム(MgO)であり、また、前記2価金属水酸化物は、水酸化カルシウム(Ca(OH))又は水酸化マグネシウム(Mg(OH))であり得る。
【0139】
本発明によれば、前記第12タンク1300には、前記のように生成された無機塩と2価金属酸化物又は2価金属水酸化物の混合を容易にするために、図6に示すように、モータによって駆動されるインペラ1350が設けられることが好ましい。
【0140】
本発明の第2実施例によれば、前記第12タンク1300では、無機塩と2価金属酸化物又は2価金属水酸化物が反応して炭酸塩と硫酸塩などを含むスラッジを生成し、また反応液を再生する。
【0141】
このとき、前記無機塩と反応した反応液と前記2価金属酸化物又は2価金属水酸化物が反応する反応時間は、30~120分が好ましい。
【0142】
排気ガスに含まれている汚染物質であるCO及びSOと反応した反応液と、前記2価金属酸化物又は2価金属水酸化物が反応して生成される炭酸塩及び硫酸塩は、再生される反応液と混合されてスラッジ状で前記第12タンク1300の下部に沈殿される。前記反応時間が経過した後は、前記第12タンク1300の下部に備えられるスラッジポンプ1310を用いて前記スラッジを固液分離装置1500に移送する。
【0143】
前記スラッジポンプ1310によって移送されたスラッジは、固液分離装置1500で固体成分である炭酸塩及び硫酸塩と液体成分である再生反応液とに分離される。
【0144】
前記のように、固液分離装置1500で分離された炭酸塩と硫酸塩は、第14タンク1600に移送され、分離された反応液は、第15タンク1510に移送される。
【0145】
前記のように、再生されて第15タンク1510に貯留される再生反応液は、必要時に第11タンク1200を経て排気ガスを処理する湿式スクラバー1100に供給して反応液として再利用する。
【0146】
また、前記第14タンク1600に貯留される炭酸塩と硫酸塩などの沈殿物は、公知の方法を通じて固形化して貯留することが好ましい。前記のように固形化されて貯留される沈殿物は、船舶が陸上に到着すると下船して処理する。
【0147】
このとき、前記固液分離装置1500で反応液と炭酸塩及び硫酸塩の分離時に沈殿物に含まれるか、又は前記湿式スクラバー1100の上端に排気ガスと共に排出されることによって、前記反応液が多少損失し得る。
【0148】
前記のように反応液が損失して不足すると、船舶用排気ガス浄化装置1000の運転時間が長くなり、また排気ガス中に含まれているCO及びSOの吸収効率が低くなる問題が発生する恐れがある。
【0149】
本発明の第2実施例では、このような問題を解決するために運転中に足りない反応液は、処理対象である炭酸と硫酸及び亜硫酸などの当量比で1.0~2.0倍を供給することによって、足りない反応液を補充する。
【0150】
本発明の第2実施例に係る反応液である水酸化ナトリウム水溶液とアンモニア水溶液は、図8~10に示すように、前記反応液の濃度と酸化還元電位(Oxidation Reduction Potential、以下ORP)とpH及び電気伝導度の測定値と大まかに線形的な相関関係を示す。
【0151】
即ち、図8に示すように、前記反応液の濃度は、ORP測定値に反比例する線形的な相関関係を示し、図9のように、前記反応液とpHは、比例する線形的な相関関係を示す。また、前記反応液と電気伝導度は、図10のように比例する線形的な相関関係を示す。
【0152】
従って、反応液のORP、pH又は電気伝導度のうちの何れか1つを測定して反応液の濃度を測定することによって、足りない反応液の濃度の計算が可能になる。これにより、足りない反応液を処理対象である炭酸と亜硫酸及び硫酸の当量比で1.0~2.0倍を供給することによって、足りない反応液を補充できる。
【0153】
前記のように反応液を補充することによって、本発明の第2実施例に係る船舶用排気ガス浄化装置1000の運転時間を短縮でき、また前記汚染物質の吸収効率を向上させることができる。
【0154】
前記のように、CO及びSOと反応液との反応が完了した後、前記第12タンク1300に生成される炭酸塩と硫酸塩などを含むスラッジを固液分離装置1500に移送するために、前記第12タンク1300の一側には、スラッジポンプ1310を備えることができる。
【0155】
本発明の第2実施例によれば、前記スラッジには、炭酸塩と硫酸塩などの沈殿物と再生された反応液が混合されているので、前記反応液とスラッジを分離しなければ、後で前記反応液を再利用できなくなる。
【0156】
即ち、前記スラッジには、再生された反応液が20~50重量%含まれているので、前記再生された反応液をスラッジから分離するための多様な技術又は装置が提示されている。そのうち代表的な装置として固液分離装置1500が挙げられる。
【0157】
前記のような固液分離装置1500としては、フィルタープレス式又はベルトプレス式などがある。このようなフィルタープレス式又はベルトプレス式固液分離装置1500は、濾過布ベルトが多数のローラを通過するように設けられ、濾過布の間にスラッジが投入移送されながらローラによって加圧されることによって、前記スラッジから反応液の分離が行われるようにする方式である。
【0158】
また、本発明の第2実施例によれば、前記固液分離装置1500で分離された、再生された反応液を排気ガスに含まれているCOとSOの吸着時に再利用できるように、前記反応液を第15タンク1510から第11タンク1200に移送するための反応液移送ポンプ1520が更に備えられることができる。
【0159】
また、本発明の第2実施例に係る船舶用排気ガス浄化装置1000には、前記第12タンク1300に2価金属酸化物又は2価金属水酸化物を供給するための第13タンク1400が備えられる。このとき、前記2価金属酸化物又は2価金属水酸化物は、粉末、水溶液又はスラッジ状などの適切な形態で供給されることができる。
【0160】
本発明の第2実施例に係る船舶用排気ガス浄化装置1000には、前記のように固液分離装置1500で分離された炭酸塩と硫酸塩などを貯留する第14タンク1600が備えられ、分離された再生反応液は、第15タンク1510に移送されて貯留される。
【0161】
前記のように構成される本発明の第2実施例に係る船舶用排気ガス浄化装置1000は、船舶に備えられることができる。即ち、船舶の船体には、前記排気ガスを発生させる排気ガス発生装置が備えられ、前記排気ガス発生装置は、例えば船舶のメインエンジンや発電用エンジン又はボイラーなどであり得る。しかし、排気ガス発生装置は、特に限定されず、排気ガスを排出するものであれば、周知の如何なるものでも可能である。
【0162】
前記排気ガス発生装置では、バンカーC油を燃料として使用できる。船舶燃料であるバンカーC油は、燃焼時に発熱量と効率が高いため、エネルギーを多く発生するという長所を有する。即ち、石炭の発熱量が5、000~7、000kcal/kgであるのに対して、バンカーC油の発熱量は、10、000~11、000kcal/kgで約2倍高い。
【0163】
また、前記バンカーC油は、原油(crude oil)よりも価格が安いことから、船舶又は発電所などで多く用いている。
【0164】
一般に、バンカーC油は、炭素数13以上の炭化水素化合物からなり、燃焼過程で汚染物質を発生させやすく、硫黄をはじめとする環境汚染物質が特に多く含まれている。
【0165】
本発明の第2実施例によれば、船舶から排出される排気ガスに含まれている汚染物質であるCOとSOなどと反応して無機塩を生成することによって、回収するための反応液としては水酸化ナトリウム水溶液又はアンモニア水溶液を使用できる。または、これらの混合物も使用可能である。
【0166】
また、前記反応液は、純水又は海水を用いて製造できる。即ち、純水又は海水に前記水酸化ナトリウム(NaOH)又はアンモニア(NH)を溶解してCOとSOを吸収する反応液として製造できる。
【0167】
本発明の第2実施例によれば、前記反応液として用いられる水酸化ナトリウム水溶液において、前記水酸化ナトリウムは、0.1~20重量%で含まれることが好ましく、またアンモニア水溶液において前記アンモニアは、0.1~25重量%で含まれることが特に好ましい。即ち、0.1重量%未満の濃度を有する水酸化ナトリウム水溶液は、CO及びSOに対する吸収反応速度と飽和吸収量が非常に低いため、前記CO及びSOの回収能力が低下する。また、20重量%を超える水酸化ナトリウム水溶液は、船舶用排気ガス浄化装置1000を腐食させることができる。そして、0.1重量%未満の濃度を有するアンモニア水溶液は、CO及びSOに対する飽和吸収量が大きく低下し、25重量%を超えるアンモニア水溶液は、前記船舶用排気ガス浄化装置1000の運転温度でアンモニア水に対する溶解度が低下し、溶解されたアンモニアがガスに転換されて排出されるためである。
【0168】
特に、本発明の第2実施例によれば、前記船舶から排出される排気ガスに含まれているCOとSOの回収効率を向上させるために、水酸化リチウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液又は水酸化マグネシウム水溶液などの補助反応液が追加されることができる。即ち、前記補助反応液は、反応液である水酸化ナトリウム水溶液又はアンモニア水溶液に比べてCO及びSOに対する吸収反応速度が遅いため、前記反応液のCO及びSOに対する急激な吸収反応を防止することによって、副反応を防止するという効果を有する。また、前記反応液が飽和濃度に到達してCO及びSOに対する吸収反応が終了しても、前記補助反応液は、持続的に前記CO及びSOを吸収できることによって、全体としてCO及びSOに対する飽和濃度を増大させることができるという効果を有する。
【0169】
本発明の第2実施例によれば、前記反応液である水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液又はアンモニア水溶液(NHOH)を用いて、船舶から発生する排気ガスに含まれているCOとSOを回収するための船舶排気ガス浄化方法は、i)船舶から排出される排気ガスに含まれている二酸化炭素と水が反応して炭酸(HCO)を生成する第a段階(S100)と、ii)前記排気ガスに含まれている二酸化硫黄と水が反応して亜硫酸(HSO)及び硫酸(HSO)を生成する第b段階(S200)と、iii)前記第a段階(S100)で生成された炭酸(HCO)と第b段階(S200)で生成された亜硫酸(HSO)及び硫酸(HSO)と反応液が反応して無機塩を含む反応液を生成する第c段階(S300)と、iv)前記第c段階(S300)で生成された無機塩を含む反応液と2価金属酸化物又は2価金属水酸化物が反応して炭酸塩及び硫酸塩を生成しながら同時に反応液を再生する第d段階(S500)と、v)固液分離装置1500を介して再生された反応液に含まれている炭酸塩及び硫酸塩を分離する第e段階(S600)とを含むことが好ましい。
【0170】
これを詳察すると、以下の通りである。
【0171】
<第a段階(S100)>
【0172】
本発明の第2実施例に係る船舶から排出される排気ガスに含まれているCOとSOを回収するための第a段階は、前記COと水が反応して炭酸(HCO)を生成する段階である。
【0173】
前記第a段階は、下記の(一般式13)のように排気ガスに含まれているCOが水と反応して炭酸(HCO)を形成する。このとき、前記COと反応する水は、前記湿式スクラバー1100に噴射される反応液に含まれている水を用いることが好ましい。
【0174】
(化13)CO+HO→HCO
【0175】
<第b段階(S200)>
【0176】
前記第b段階は、船舶の排気ガスに含まれているSOが水と反応して亜硫酸(HSO)又は硫酸(HSO)を形成する段階である。即ち、前記SOが水と反応する際に酸素がある場合は、(一般式14)のように反応して硫酸が生成され、酸素がない場合は水と反応して(一般式15)のように亜硫酸を形成する。
【0177】
このとき、前記SOと反応する水は、前記第a段階と同様、前記湿式スクラバー1100に噴射される反応液に含まれている水を用いることが好ましい。
【0178】
(化14)2SO+O+2HO→2HSO
【0179】
(化15)SO+HO→HSO
【0180】
<第c段階(S300)>
【0181】
第c段階は、第a段階(S100)で生成された炭酸(HCO)と第b段階(S200)で生成された亜硫酸(HSO)及び硫酸(HSO)と反応液が前記湿式スクラバー1100で反応して無機塩を生成する段階を示す。
【0182】
まず、第a段階で生成された炭酸と反応液である水酸化ナトリウム水溶液又はアンモニア水溶液との反応を詳察すると、以下の通りである。
【0183】
前記(一般式13)のように生成される炭酸は、後で(一般式16)及び(一般式17)のように水酸化ナトリウム水溶液と反応して無機塩である炭酸水素ナトリウム(NaHCO)又は炭酸ナトリウム(NaCO)及び水を生成する。
【0184】
(化16)NaOH +HCO→NaHCO+H
【0185】
(化17)2NaOH +HCO→NaCO+2H
【0186】
また、前記(一般式13)のように生成される炭酸は、(一般式18)乃至(一般式19)のようにアンモニア水溶液(NHOH)と反応して無機塩である炭酸水素アンモニウム(NHHCO)又は炭酸アンモニウム((NH)CO)及び水を生成する。
【0187】
(化18)NHOH+HCO→NHHCO+H
【0188】
(化19)2NHOH+HCO→(NH)CO+2H
【0189】
また、前記(一般式14)及び(一般式15)のように生成される亜硫酸と硫酸は、反応液である水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液と下記の(一般式20)乃至(一般式23)のように行う。
【0190】
前記のように(一般式15)のようにSOと水が反応して生成された亜硫酸は、(一般式20)のように水酸化ナトリウムと反応して無機塩である亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO)と水を生成するか、又は(一般式21)のように水酸化ナトリウムと反応して無機塩である亜硫酸ナトリウム(NaSO)と水を生成する。
【0191】
また、(一般式14)のように生成された硫酸は、(一般式22)のように水酸化ナトリウムと反応して無機塩である硫酸水素ナトリウム(NaHSO)と水を生成するか、又は(一般式23)のように水酸化ナトリウムと反応して無機塩である硫酸ナトリウム(NaSO4)と水を生成する。
【0192】
(化20)NaOH+HSO→NaHSO+H
【0193】
(化21)2NaOH+HSO→NaSO+2H
【0194】
(化22)NaOH+HSO→NaHSO+H
【0195】
(化23)2NaOH+HSO→NaSO+2H
【0196】
第c段階としてアンモニア水溶液と亜硫酸と硫黄の反応は、下記の(一般式24)乃至(一般式27)のように、アンモニア水溶液と反応して無機塩である亜硫酸水素アンモニウム(NHHSO)、亜硫酸アンモニウム((NH)SO)、硫酸水素アンモニウム(NHHSO)又は硫酸アンモニウム(NH)SO)と水を生成する。
【0197】
(化24)NHOH+HSO→NHHSO+H
【0198】
(化25)2NHOH+HSO→(NH)SO+2H
【0199】
(化26)NHOH+HSO→NHHSO+H
【0200】
(化27)2NHOH+HSO→(NH)SO+2H
【0201】
<第d段階(S400)>
【0202】
本発明の第2実施例に係る第d段階は、前記第c段階(S300)で生成された無機塩を含む反応液と2価金属酸化物又は2価金属水酸化物が反応して炭酸塩及び硫酸塩を含むスラッジを生成しながら同時に反応液を再生する段階を示す。
【0203】
このとき、本発明の第2実施例によれば、前記無機塩と反応して反応液を再生し、スラッジを形成する前記2価金属酸化物は、酸化カルシウム(CaO)又は酸化マグネシウム(MgO)であり、また前記2価金属水酸化物は、水酸化カルシウム(Ca(OH))又は水酸化マグネシウム(Mg(OH))であり得る。
【0204】
前記2価金属酸化物又は2価金属水酸化物は、粉末、水溶液又はスラッジ状で供給されて無機塩などと反応できる。
【0205】
本発明の第2実施例によれば、前記第12タンク1300には、前記のように生成された無機塩と2価金属酸化物又は2価金属水酸化物の混合を容易にするために、図6に示すように、モータによって駆動されるインペラ1350が設けられることが好ましい。
【0206】
前記のように、第12タンク1300では、反応液が再生されながら生成される炭酸塩と硫酸塩を含むスラッジを形成する。
【0207】
前記のように、第d段階で行われる反応液が再生されながら炭酸塩と硫酸塩を含むスラッジを形成する反応を詳察すると、以下の通りである。
【0208】
1. COが反応して生成された無機塩と2価金属酸化物である酸化カルシウムとの反応
【0209】
まず、水酸化ナトリウム水溶液とCOが反応して生成された無機塩と2価金属酸化物である酸化カルシウムとの反応を通じて前記水酸化ナトリウムを再生する方法は、下記の(一般式28)乃至(一般式29)の通りである。
【0210】
即ち、排気ガスに含まれているCOと水が反応して生成される炭酸(HCO)は、前述した(一般式16)乃至(一般式17)のように、水酸化ナトリウム水溶液と反応して無機塩である炭酸水素ナトリウム(NaHCO)又は炭酸ナトリウム(NaCO)を生成する。
【0211】
(化28)NaHCO+CaO→NaOH+CaCO
【0212】
(化29)NaCO+CaO+HO→2NaOH+CaCO
【0213】
このとき生成される無機塩である炭酸水素ナトリウム(NaHCO)又は炭酸ナトリウム(NaCO)は、前記(一般式28)乃至(一般式29)のように酸化カルシウムと反応して水酸化ナトリウムを再生しながら炭酸塩であるCaCOを生成する。
【0214】
また、アンモニア水溶液とCOが反応して生成された無機塩と2価金属酸化物である酸化カルシウムとの反応を通じて前記NHOHを再生する反応は、下記の(一般式30)乃至(一般式31)の通りである。
【0215】
即ち、排気ガスに含まれているCOと水が反応して生成される炭酸(HCO)は、前記(一般式18)乃至(一般式19)のように、アンモニア水溶液と反応して無機塩であるNHHCO及び(NH)COを生成する。
【0216】
(化30)NHHCO+CaO→NHOH+CaCO
【0217】
(化31)(NH)CO+CaO+HO→2NHOH+CaCO
【0218】
このとき生成される無機塩であるNHHCO及び(NH)COは、前記(一般式30)乃至(一般式31)のように、酸化カルシウムと反応してアンモニア水溶液を再生しながら炭酸塩であるCaCOを生成する。
【0219】
2.SOが反応して生成された無機塩と2価金属酸化物である酸化カルシウムとの反応
【0220】
反応液である水酸化ナトリウム水溶液とSOが反応して生成された無機塩と2価金属酸化物である酸化カルシウムとの反応を通じて前記水酸化ナトリウムを再生する反応は、下記の(一般式32)乃至(一般式35)の通りである。
【0221】
即ち、排気ガスに含まれているSOと水が反応して生成される硫酸と亜硫酸は、前記(一般式20)乃至(一般式23)で詳察したように、水酸化ナトリウム水溶液と反応して無機塩であるNaHSO、NaSO、NaHSO又はNaSOを生成する。
【0222】
前記のように生成された無機塩であるNaHSO、NaSO、NaHSO又はNaSOは、下記の(一般式32)乃至(一般式35)のように、酸化カルシウムと反応して水酸化ナトリウムを再生しながら硫酸塩であるCaSO又はCaSOを生成する。
【0223】
(化32)NaHSO+CaO→NaOH+CaSO
【0224】
(化33)NaSO+CaO+HO→2NaOH+CaSO
【0225】
(化34)NaHSO+CaO→NaOH+CaSO
【0226】
(化35)NaSO+CaO+HO→2NaOH+CaSO
【0227】
また、反応液であるアンモニア水溶液とSOが反応して生成された無機塩と2価金属酸化物である酸化カルシウムとの反応を通じて前記アンモニア水溶液を再生する方法は、下記の(一般式36)乃至(一般式39)の通りである。
【0228】
即ち、排気ガスに含まれているSOと水が反応して生成される硫酸と亜硫酸は、前記(一般式24)乃至(一般式27)で詳察したように、アンモニア水溶液と反応して無機塩であるNHHSO、(NH)SO、NHHSO又は(NH)SOを生成する。
【0229】
(化36)NHHSO+CaO→NHOH+CaSO
【0230】
(化37)(NH)SO+CaO+HO→2NHOH+CaSO
【0231】
(化38)NHHSO+CaO→NHOH+CaSO
【0232】
(化39)(NH)SO+CaO+HO→2NHOH+CaSO
【0233】
このとき生成される無機塩であるNH4HSO3、(NH4)2SO3、NH4HSO4又は(NH4)2SO4は、前記(一般式36)乃至(一般式39)のように、酸化カルシウムと反応してアンモニア水溶液を再生しながら硫酸塩であるCaSO3又はCaSO4を生成する。
【0234】
3.COが反応して生成された無機塩と2価金属酸化物である酸化マグネシウムとの反応
【0235】
本発明の第2実施例によれば、反応液である水酸化ナトリウム水溶液とCOが反応して生成された無機塩と2価金属酸化物である酸化マグネシウムとの反応を通じて水酸化ナトリウムを再生する反応は、下記の(一般式40)乃至(一般式41)の通りである。
【0236】
即ち、排気ガスに含まれているCOと水が反応して生成される炭酸(HCO)は、前記(一般式16)乃至(一般式17)のように、水酸化ナトリウム水溶液と反応して無機塩である炭酸水素ナトリウム(NaHCO)及び炭酸ナトリウム(NaCO)を生成する。
【0237】
(化40)NaHCO+MgO→NaOH+MgCO
【0238】
(化41)NaCO+MgO+HO→2NaOH+MgCO
【0239】
前記のように生成される無機塩である炭酸水素ナトリウム(NaHCO)及び炭酸ナトリウム(NaCO)は、前記(一般式40)乃至(一般式41)のように、酸化マグネシウムと反応して水酸化ナトリウムを再生しながら炭酸塩であるMgCOを生成する。このとき、(一般式41)のように水が必要になり得る。
【0240】
そして、反応液であるアンモニア水溶液とCOが反応して生成された無機塩と、2価金属酸化物である酸化マグネシウムとの反応を通じてアンモニア水溶液を再生する反応は、下記の(一般式42)乃至(一般式43)の通りである。
【0241】
即ち、排気ガスに含まれているCOと水が反応して生成される炭酸(HCO)は、前記(一般式18)乃至(一般式19)のように、アンモニア水溶液と反応して無機塩であるNHHCO及び(NH)COを生成する。
【0242】
(化42)NHHCO+MgO→NHOH+MgCO
【0243】
(化43)(NH)CO+MgO+HO→2NHOH+MgCO
【0244】
前記無機塩であるNHHCO及び(NH)COは、前記(一般式42)乃至(一般式43)のように、酸化マグネシウムと反応してアンモニア水溶液を再生しながら炭酸塩であるMgCOを生成する。このとき、(一般式43)のように水が必要になり得る。
【0245】
4.SO2が反応して生成された無機塩と2価金属酸化物である酸化マグネシウムとの反応
【0246】
反応液である水酸化ナトリウム水溶液とSOが反応して生成された無機塩と、2価金属酸化物である酸化マグネシウムとの反応を通じて前記NaOHを再生する方法は、下記の(一般式44)乃至(一般式47)の通りである。
【0247】
即ち、排気ガスに含まれているSOと水が反応して生成される硫酸と亜硫酸は、前記(一般式20)乃至(一般式23)で詳察したように、水酸化ナトリウム水溶液と反応して無機塩であるNaHSO、NaSO、NaHSO及びNaSOを生成する。
【0248】
(化44)NaHSO+MgO→NaOH+MgSO
【0249】
(化45)NaSO+MgO+HO→2NaOH+MgSO
【0250】
(化46)NaHSO+MgO→NaOH+MgSO
【0251】
(化47)NaSO+MgO+HO→2NaOH+MgSO
【0252】
このとき生成される無機塩であるNaHSO、NaSO、NaHSO及びNaSOは、前記(一般式44)乃至(一般式47)のように、酸化マグネシウムと反応して水酸化ナトリウムを再生しながら硫酸塩であるMgSO又はMgSOを生成する。
【0253】
また、アンモニア水溶液とSOが反応して生成された無機塩と、2価金属酸化物である酸化マグネシウムとの反応を通じて、前記アンモニア水溶液を再生する方法は、下記の(一般式48)乃至(一般式51)の通りである。
【0254】
即ち、排気ガスに含まれているSOと水が反応して生成される硫酸と亜硫酸は、前記(一般式24)乃至(一般式27)で詳察したように、アンモニア水溶液と反応して無機塩であるNHHSO、(NH)SO、NHHSO又は(NH)SOを生成する。
【0255】
(化48)NHHSO+MgO→NHOH+MgSO
【0256】
(化49)(NH)SO+MgO+HO→2NHOH+MgSO
【0257】
(化50)NHHSO+MgO→NHOH+MgSO
【0258】
(化51)(NH)SO+MgO+HO→2NHOH+MgSO
【0259】
このとき生成される無機塩であるNHHSO、(NH)SO、NHHSO又は(NH)SOは、前記(一般式48)乃至(一般式51)のように、酸化マグネシウムと反応してアンモニア水溶液を再生しながら硫酸塩であるMgSO又はMgSOを生成する。このとき、(一般式49)及び(一般式51)のように水が必要になり得る。
【0260】
5.SOが反応して生成された無機塩と2価金属水酸化物である水酸化カルシウムとの反応
【0261】
反応液である水酸化ナトリウム水溶液とSOが反応して生成された無機塩と、2価金属水酸化物である水酸化カルシウムとの反応を通じて前記水酸化ナトリウムを再生する反応は、下記の(一般式52)乃至(一般式55)の通りである。
【0262】
即ち、排気ガスに含まれているSOと水が反応して生成される硫酸と亜硫酸は、前記(一般式20)乃至(一般式23)で詳察したように、水酸化ナトリウム水溶液と反応して無機塩であるNaHSO、NaSO、 NaSO又はNaSOを生成する。
【0263】
(化52)NaHSO+Ca(OH)→NaOH+CaSO+H
【0264】
(化53)NaSO+Ca(OH)→ 2NaOH+CaSO
【0265】
(化54)NaHSO+Ca(OH)→ NaOH+CaSO+H
【0266】
(化55)NaSO+Ca(OH)→ 2NaOH+CaSO
【0267】
このとき生成される無機塩であるNaHSO、NaSO、NaHSO又はNaSOは、前記(一般式52)乃至(一般式55)のように、水酸化カルシウムと反応して水酸化ナトリウムを再生しながら硫酸塩であるCaSO又はCaSOと水を生成する。
【0268】
また、アンモニア水溶液とSOが反応して生成された無機塩と、2価金属水酸化物である水酸化カルシウムとの反応を通じて前記NHOHを再生する方法は、下記の(一般式56)乃至(一般式59)の通りである。
【0269】
即ち、排気ガスに含まれているSOと水が反応して生成される硫酸と亜硫酸は、前記(一般式24)乃至(一般式27)で詳察したように、アンモニア水溶液と反応して無機塩であるNHHSO、(NH)SO、(NH)SO又はNHHSOを生成する。
【0270】
(化56)NHHSO+Ca(OH)→NHOH+CaSO+H
【0271】
(化57)(NH)SO+Ca(OH)→2NHOH+CaSO
【0272】
(化58)NHHSO+Ca(OH)→NHOH+CaSO+H
【0273】
(化59)(NH)SO+Ca(OH)→2NHOH+CaSO
【0274】
このとき生成される無機塩であるNHHSO、(NH)SO、(NH)SO又はNHHSOは、前記(一般式56)乃至(一般式59)のように、水酸化カルシウムと反応してアンモニア水溶液を再生しながら硫酸塩であるCaSO又はCaSO及び水を生成する。
【0275】
6.COが反応して生成された無機塩と2価金属水酸化物である水酸化カルシウムとの反応
【0276】
反応液である水酸化ナトリウム水溶液とCOが反応して生成された無機塩と、2価金属水酸化物である水酸化カルシウムとの反応を通じて前記水酸化ナトリウムを再生する反応は、下記の(一般式60)乃至(一般式61)の通りである。
【0277】
即ち、排気ガスに含まれているCOと水が反応して生成される炭酸(HCO)は、前記(一般式16)乃至(一般式17)のように、水酸化ナトリウム水溶液と反応して無機塩である炭酸水素ナトリウム(NaHCO)又は炭酸ナトリウム(NaCO)を生成する。
【0278】
(化60)NaHCO+Ca(OH)→NaOH+CaCO+H
【0279】
(化61)NaCO+Ca(OH)→ 2NaOH+CaCO
【0280】
このとき生成される無機塩である炭酸水素ナトリウム(NaHCO)又は炭酸ナトリウム(NaCO)は、前記(一般式60)乃至(一般式61)のように、水酸化カルシウムと反応して水酸化ナトリウムを再生しながら炭酸塩であるCaCO及び水を生成する。
【0281】
また、反応液であるアンモニア水溶液とCOが反応して生成された無機塩と、2価金属水酸化物である水酸化カルシウムとの反応を通じて前記アンモニア水溶液を再生する方法は、下記の(一般式62)乃至(一般式63)の通りである。
【0282】
即ち、排気ガスに含まれているCOと水が反応して生成される炭酸(HCO)は、前記(一般式18)乃至(一般式19)のように、アンモニア水溶液と反応して無機塩であるNHHCO又は(NH)COを生成する。
【0283】
(化 62)NHHCO+Ca(OH)→NHOH+CaCO+H
【0284】
(化63)(NH)CO+Ca(OH)→2NHOH+CaCO
【0285】
このとき生成される無機塩であるNHHCO又は(NH)COは、前記(一般式62)乃至(一般式63)のように、水酸化カルシウムと反応してアンモニア水溶液を再生しながら炭酸塩であるCaCO及び水を生成する。
【0286】
7.SOが反応して生成された無機塩と2価金属水酸化物である水酸化マグネシウムとの反応
【0287】
反応液である水酸化ナトリウム水溶液と硫酸及び亜硫酸が反応して生成された無機塩と、2価金属水酸化物である水酸化マグネシウムとの反応を通じて前記水酸化ナトリウムを再生する反応は、下記の(一般式64)乃至(一般式67)の通りである。
【0288】
即ち、排気ガスに含まれているSOと水が反応して生成される硫酸と亜硫酸は、前記(一般式20)乃至(一般式23)で詳察したように、水酸化ナトリウム水溶液と反応して無機塩であるNaHSO、NaSO、NaHSO又はNaSOを生成する。
【0289】
(化64)NaHSO+Mg(OH)→NaOH+MgSO+H
【0290】
(化65)NaSO+Mg(OH)→ 2NaOH+MgSO
【0291】
(化66)NaHSO+Mg(OH)→ NaOH+MgSO+H
【0292】
(化67)NaSO+Mg(OH)→ 2NaOH+MgSO
【0293】
このとき生成される無機塩であるNaHSO、NaSO、NaHSO又はNaSOは、前記(一般式64)乃至(一般式67)のように、水酸化マグネシウムと反応して水酸化ナトリウムを再生しながら硫酸塩であるMgSO又はMgSO及び水を生成する。
【0294】
また、反応液であるアンモニア水溶液とSOが反応して生成された無機塩と、2価金属水酸化物である水酸化カルシウムとの反応を通じて前記NHOHを再生する方法は、下記の(一般式68)乃至(一般式71)の通りである。
【0295】
即ち、排気ガスに含まれているSOと水が反応して生成される硫酸と亜硫酸は、前記(一般式24)乃至(一般式27)で詳察したように、アンモニア水溶液と反応して無機塩であるNHHSO、(NH)SO、(NH)SO又はNHHSOを生成する。
【0296】
(化68)NHHSO+Mg(OH)→NHOH+MgSO+H
【0297】
(化69)(NH)SO+Mg(OH)→2NHOH+MgSO
【0298】
(化70)NHHSO+Mg(OH)→2NHOH+MgSO+H
【0299】
(化71)(NH)SO+Mg(OH)→2NHOH+MgSO
【0300】
このとき生成される無機塩であるNHHSO、(NH)SO、NHHSO又は(NH)SOは、前記(一般式68)乃至(一般式71)のように、水酸化マグネシウムと反応してアンモニア水溶液を再生しながら硫酸塩であるMgSO又はMgSO及び水を生成する。
【0301】
8.CO2が反応して生成された無機塩と2価金属水酸化物である水酸化マグネシウムとの反応
【0302】
本発明の第2実施例によれば、反応液である水酸化ナトリウム水溶液とCOが反応して生成された無機塩と、2価金属水酸化物である水酸化マグネシウムとの反応を通じてNaOHを再生する反応は、下記の(一般式72)乃至(一般式73)の通りである。
【0303】
即ち、排気ガスに含まれているCOと水が反応して生成される炭酸(HCO)は、前記(一般式16)乃至(一般式17)のように、水酸化ナトリウム水溶液と反応して無機塩である炭酸水素ナトリウム(NaHCO)又は炭酸ナトリウム(NaCO)を生成する。
【0304】
(化72)NaHCO+Mg(OH)→NaOH+MgCO+H
【0305】
(化73)NaCO+Mg(OH)→ 2NaOH+MgCO
【0306】
このとき生成される無機塩であるNaHCO又はNaCOは、前記(一般式72)乃至(一般式73)のように、水酸化マグネシウムと反応して水酸化ナトリウムを再生しながら炭酸塩であるMgCO及び水を生成する。
【0307】
また、反応液であるアンモニア水溶液とCOが反応して生成された無機塩と、2価金属水酸化物である水酸化マグネシウムとの反応を通じてアンモニア水溶液を再生する反応は、下記の(一般式74)乃至(一般式75)の通りである。
【0308】
即ち、排気ガスに含まれているCOと水が反応して生成される炭酸(HCO)は、前記(一般式18)及び(一般式19)のように、アンモニア水溶液と反応して無機塩であるNHHCO又は(NH)COを生成する。
【0309】
(化74)NHHCO+Mg(OH)→NHOH+MgCO+H
【0310】
(化75)(NH)CO+Mg(OH)→2NHOH+MgCO
【0311】
前記のように生成される無機塩であるNHHCO又は(NH)COは、前記(一般式74)乃至(一般式75)のように、水酸化マグネシウムと反応してアンモニア水溶液を再生しながら炭酸塩であるMgCO及び水を生成する。
【0312】
前述したように、前記2価金属酸化物又は2価金属水酸化物を用いて炭酸塩及び硫酸塩を生成しながら反応液である水酸化ナトリウム水溶液又はアンモニア水溶液を再生できる。
【0313】
<第e段階(S500)>
【0314】
前記のように、第d段階を通じて生成される炭酸塩及び硫酸塩は、再生された反応液と互いに混合されてスラッジ状で存在する。前記のように炭酸塩及び硫酸塩が混合された、再生された反応液を再利用するためには、第e段階を通じて前記炭酸塩と硫酸塩を分離する。このとき、前記炭酸塩と硫酸塩の分離は、固液分離装置1500を介して分離することが好ましい。
【0315】
前記のように再生された反応液に存在する炭酸塩は、前述したように、CaCO、CaCO、MgCO及びMgCOなどがあり、硫酸塩はCaSO、CaSO、MgSO及びMgSOなどがある。
【0316】
前記のような炭酸塩と硫酸塩は、反応液である水酸化ナトリウム水溶液又はアンモニア水溶液中で容易に結晶化される。これにより、固体状態で結晶化された炭酸塩と硫酸塩は、固液分離装置1500を介して容易に分離できる。
【0317】
前記のように、CO及びSOと反応液が反応して生成される無機塩と、前記無機塩と2価金属酸化物又は2価金属水酸化物が反応して前記反応液を再生しながら炭酸塩及び硫酸塩などが生成される。前記のような炭酸塩、又は硫酸塩などは、無害な物質として船舶で固形化して貯留した後、陸地に到着した後、これを容易に処理できる。
【0318】
本発明の第2実施例による船舶用排気ガス浄化装置1000によれば、船舶から排出される排気ガスに含まれている汚染物質を回収して固形化することによって、貯留及び陸上への移送が便利になり、前記汚染物質を吸収するための湿式スクラバー1100で用いられる反応液を船舶で自律的に再生して再利用することによって、前記反応液の所要量を削減できるため、船舶排気ガスの浄化費用を画期的に低減できる。これにより、船舶から排出される排気ガスに含まれている汚染物質を吸収することで、IMOによる排気ガス排出規制を満たし、海洋汚染に影響を及ぼし得る物質の流出を最小化できる。
【0319】
本発明は、図面に示した実験例を参考として説明したが、これは例示的なものに過ぎず、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、これから多様な変形及び均等な他の実験例が可能である。また、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態に容易に変更可能である。従って、以上で記述した実施例は、あらゆる面で例示的なものであり、限定的ではなく、本発明の真の技術的保護範囲は、添付の請求範囲の技術的思想によって定められる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】