IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ストラタシス リミテッドの特許一覧

特表2024-523252拡張3次元印刷のための方法及びシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】拡張3次元印刷のための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/386 20170101AFI20240621BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20240621BHJP
   B33Y 50/00 20150101ALI20240621BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240621BHJP
   B29C 64/255 20170101ALI20240621BHJP
   B29C 64/209 20170101ALI20240621BHJP
   B29C 64/241 20170101ALI20240621BHJP
   B29C 64/245 20170101ALI20240621BHJP
   B29C 64/112 20170101ALI20240621BHJP
【FI】
B29C64/386
B33Y30/00
B33Y50/00
B33Y10/00
B29C64/255
B29C64/209
B29C64/241
B29C64/245
B29C64/112
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023576126
(86)(22)【出願日】2022-06-15
(85)【翻訳文提出日】2023-12-11
(86)【国際出願番号】 IL2022050641
(87)【国際公開番号】W WO2022264141
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】63/210,515
(32)【優先日】2021-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513131464
【氏名又は名称】ストラタシス リミテッド
【住所又は居所原語表記】1 Holtzman Street, Science Park, P.O. Box 2496, 7612401 Rehovot, Israel
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルビン、シュムエル
(72)【発明者】
【氏名】ライン、キリル
(72)【発明者】
【氏名】モーデチャイ、ダン
(72)【発明者】
【氏名】グラスマン、バラク
(72)【発明者】
【氏名】ツーベリ、エリヤフ
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AP10
4F213AR09
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL55
4F213WL73
4F213WL74
4F213WL85
4F213WW45
(57)【要約】
3次元印刷のためのシステムは、容器から供給された成形材料を使用してオブジェクトを印刷するための3次元印刷装置と、コンピュータとを備える。コンピュータは、装置を操作する作業員の作業時間を受け取り、オブジェクトを記述する3次元印刷データに基づいて、その間に容器が空になると予想される供給期間を計算し、供給期間の終了時間が作業時間内であることを保証するように選択された遅延時間に印刷を開始するための信号を装置に送信するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器から供給された成形材料を使用してオブジェクトを印刷するように構成された3次元印刷装置と、
前記3次元印刷装置を操作する作業員の作業時間を受け取り、前記オブジェクトを記述する3次元印刷データに基づいて、その間に前記容器が空になると予想される供給期間を計算し、前記供給期間の終了時間が前記作業時間内であることを保証するように選択された遅延時間に前記印刷を開始するための信号を前記装置に送信するように構成されたコンピュータと
を備える、3次元印刷のためのシステム。
【請求項2】
前記コンピュータが、前記容器内の材料のあらかじめ決められた総量に基づいて前記供給期間を計算するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コンピュータが、前記容器内の材料の量に関する入力を受け取り、前記入力された量に基づいて前記供給期間を計算するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記コンピュータが、ユーザインターフェースを介して前記入力を受け取るように構成される、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記コンピュータが、前記量を示す信号を前記装置から受信するように構成される、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記装置が、各々が異なる成形材料を供給する複数の容器を備え、前記コンピュータが、容器ごとに別々に供給期間を計算し、それによって複数の供給期間を提供し、前記供給期間の各々の終了時間が前記作業時間内であることを保証するように選択された遅延時間に前記印刷を開始するための信号を前記装置に送信するように構成される、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
成形材料容器を有する3次元印刷装置を操作する作業員の作業時間を受け取ることと、
オブジェクトを記述する3次元印刷データを受信することと、
前記データに基づいて、その間に前記成形材料容器が空になると予想される供給期間を計算することと、
前記供給期間の終了時間が前記作業時間内であることを保証するように選択された遅延時間に前記オブジェクトの印刷を開始するための信号を前記3次元印刷装置に送信することと
を含む、3次元印刷のための方法。
【請求項8】
前記供給期間を前記計算することが、前記容器内の材料のあらかじめ決められた総量に基づく、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記容器内の材料の量に関する入力を受け取ることを含み、前記供給期間を前記計算することが、前記入力された量に基づく、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記入力を前記受け取ることが、ユーザインターフェースによるものである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記入力を前記受け取ることが、前記量を示す信号を前記装置から受信することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記装置が、各々が異なる成形材料を供給する複数の容器を備え、前記方法が、容器ごとに別々に供給期間を計算することと、それによって複数の供給期間を提供し、前記供給期間の各々の終了時間が前記作業時間内であることを保証するように選択された遅延時間に前記印刷を開始するための信号を前記装置に送信することとを含む、請求項7~請求項11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1つの印刷ノズルと、
複数の造形材料容器と、
オブジェクトの形状に応じて造形材料のパターンを分配するように前記印刷ノズルを制御するために、一連の印刷命令バッチを実行するように構成されたコントローラと
を備え、各バッチが、容器のうちの1つに関連付けられるが、前記容器のうちの他のいずれにも関連付けられず、以前に実行されたバッチに関連付けられた容器が空になる前にバッチが実行されない、
3次元印刷のためのシステム。
【請求項14】
前記コントローラが、前記一連の印刷命令バッチが実行される第1の印刷モードと、前記容器のうちの少なくとも1つが、前記容器のうちの別の1つが空になる前に造形材料を供給する第2の印刷モードとの間で選択するように構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記コントローラが、前記造形材料容器が同じ造形材料を含むときに第1のモードを自動的に選択するように構成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記コントローラが、前記造形材料容器が異なる造形材料を含むときに第2のモードを自動的に選択するように構成される、請求項14及び請求項15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記コントローラが、ユーザ入力に基づいて前記第1の印刷モードと前記第2の印刷モードとの間で選択するように構成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
各々が前記容器のうちの単一の容器に別々に接続された複数の別々のノズルアレイを備え、各バッチが、前記コントローラが単一のノズルアレイを動作させるための印刷命令を含む、請求項13~請求項17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
複数の造形材料容器のうちの容器を選択することと、
オブジェクトの形状に対応するパターンで前記選択された容器から造形材料を分配するように少なくとも1つの印刷ノズルを制御するために、印刷命令のバッチを実行することと、
前記選択された容器が空であるとき、前記複数の造形材料容器から他の容器を選択し、前記他の容器に対する印刷命令の前記バッチの前記実行を繰り返すことと
を含む、3次元印刷の方法。
【請求項20】
印刷命令の前記バッチが容器ごとに別々に実行される第1の印刷モードと、前記容器のうちの少なくとも1つが、前記容器のうちの別の1つが空になる前に造形材料を供給する第2の印刷モードとの間で選択することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記造形材料容器が同じ造形材料を含むときに第1のモードを自動的に選択することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記造形材料容器が異なる造形材料を含むときに第2のモードを自動的に選択することを含む、請求項20及び請求項21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の印刷モードと前記第2の印刷モードとの間で前記選択することが、ユーザ入力に基づく、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
各々が前記容器のうちの単一の容器に別々に接続された複数の別々のノズルアレイが存在し、各バッチが、単一のノズルアレイを動作させるための印刷命令を含む、請求項19~請求項23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
垂直軸を中心に回転するように構成された回転トレイと、
印刷ヘッドと、
成形材料の前記トレイ層の上に分配するように前記印刷ヘッドを制御することであって、各々の層がオブジェクトのスライスに応じてパターン化される、制御することと、前記層に対応するパターンの一部分の半径方向位置に基づいて少なくとも1つの層に対する前記トレイの一定の回転速度を選択することとを行うように構成されたコントローラと
を備える、3次元印刷のためのシステム。
【請求項26】
前記一部分が、前記パターンのすべてのボクセルの中で前記垂直軸から最も遠いボクセルを含む、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記コントローラが、複数回、異なる層ごとに1回、前記一定の回転速度を再選択するように構成される、請求項25及び請求項26のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項28】
前記コントローラが、N個の分配された層ごとに、前記一定の回転速度を再選択するように構成され、Nが正の整数である、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記コントローラが、前記半径方向位置における線速度があらかじめ決められた線速度閾値以下であることを保証するために、前記一定の回転速度を選択するように構成される、請求項25~請求項28のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項30】
前記オブジェクトの形状を記述する3次元データを受信し、前記3次元データに基づいて、前記回転トレイに対応する座標系において定義され、前記オブジェクトのより高い部分が前記オブジェクトのより低い部分よりも前記垂直軸に近くなるように向けられた前記オブジェクトの複数のスライスを記述するスライスデータを生成し、前記スライスデータを前記コントローラに送信するように構成されたコンピュータを備える、請求項25~請求項29のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項31】
成形材料の回転トレイ層上に分配することであって、各層が前記オブジェクトのスライスに応じてパターン化される、分配することと、
少なくとも1つの層に対して、前記層に対応するパターンの一部分の半径方向位置に基づいて前記トレイの一定の回転速度を選択することと
を含む、3次元オブジェクトの印刷方法。
【請求項32】
前記一部分が、前記パターンのすべてのボクセルの中で前記回転トレイの垂直回転軸から最も遠いボクセルを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
複数回、異なる層ごとに1回、前記一定の回転速度を再選択することを含む、請求項31及び請求項32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
N個の分配された層ごとに、前記一定の回転速度を再選択することを含み、Nが正の整数である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記半径方向位置における線速度があらかじめ決められた線速度閾値以下であることを保証するために、前記一定の回転速度を前記選択することが実行される、請求項31~請求項34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記オブジェクトの形状を記述する3次元データを受信することと、
前記3次元データに基づいて、前記回転トレイに対応する座標系において定義され、前記オブジェクトのより高い部分が前記オブジェクトのより低い部分よりも前記トレイの回転軸に近くなるように向けられた前記オブジェクトの複数のスライスを記述するスライスデータを生成することと
を含む、請求項31~請求項35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
3次元印刷システムの印刷ヘッド基板を試験するための集積回路であって、前記集積回路が、
前記印刷ヘッド基板の上のソケットと同等であり、それに着脱可能に接続可能なエッジコネクタと、
前記印刷ヘッド基板によって制御される印刷ヘッドが材料を分配していない試験モードに前記印刷ヘッド基板を自動的に切り替え、前記印刷ヘッド基板に試験信号を送信し、前記印刷ヘッド基板から応答信号を受信するように構成された回路と、
前記応答信号に基づいて前記印刷ヘッド基板の状態に関する光信号を生成するための可視指示パネルと
を備える、集積回路。
【請求項38】
前記光信号が、前記基板の故障する可能性がある構成部品に関連付けられた前記ソケットのピン番号を示す、請求項37に記載の集積回路。
【請求項39】
前記回路が、前記基板上の少なくとも一つのサーミスタに試験信号を送信するように構成される、請求項37及び請求項38のいずれか一項に記載の集積回路。
【請求項40】
前記回路が、前記基板上の少なくとも一つの記憶媒体に試験信号を送信するように構成される、請求項37~請求項39のいずれか一項に記載の集積回路。
【請求項41】
前記回路が、前記基板上の少なくとも一つの発熱体に試験信号を送信するように構成される、請求項37~請求項40のいずれか一項に記載の集積回路。
【請求項42】
ここで、前記回路が、前記基板に電圧源を模倣する試験信号を送信するように構成される、請求項37~請求項41のいずれか一項に記載の集積回路。
【請求項43】
ここで、前記回路が、前記基板に分配パルスを模倣する試験信号を送信するように構成される、請求項37~請求項42のいずれか一項に記載の集積回路。
【請求項44】
ここで、前記回路が、前記基板にデータ信号を模倣する試験信号を送信するように構成される、請求項37~請求項43のいずれか一項に記載の集積回路。
【請求項45】
3次元印刷システム用の廃棄物カートリッジネストであって、前記廃棄物カートリッジネストが、カートリッジが前記ネスト内に前方に押し込まれると、廃棄物カートリッジを前記ネスト内に係止するためのカートリッジ係止部材と、流体コネクタを担持し、前記カートリッジが前記ネスト内に前方に押し込まれると、前記廃棄物カートリッジの入口ポートを前記流体コネクタと密封係合するように構成された入口ポート係合部材とを備える、廃棄物カートリッジネスト。
【請求項46】
成形材料を使用して3次元オブジェクトを印刷するように構成された3次元印刷装置と、
請求項45に記載の廃棄物カートリッジネストと、
前記ネストに係止された廃棄物カートリッジと
を備える、3次元印刷のためのシステム。
【請求項47】
前記廃棄物カートリッジが、前記入口ポートに適合し、前記廃棄物カートリッジが前記ネストに係止されている間に、前記入口ポートから横方向に変位する位置で前記廃棄物カートリッジの本体に一時的に取り付けられたコルクを備える、請求項46に記載のシステム。
【請求項48】
前記流体コネクタが、前記廃棄物カートリッジが前記ネストを占有するとき、及び前記廃棄物カートリッジが前記ネストから引き離されるときの両方で、前記装置の廃棄物収集デバイスに接続される、請求項46及び請求項47のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項49】
前記廃棄物収集デバイスが、レベリングシステムの廃棄物収集槽である、請求項48に記載のシステム。
【請求項50】
前記廃棄物収集デバイスが、サービスステーションシステムの廃棄物収集槽である、請求項48に記載のシステム。
【請求項51】
請求項45に記載の廃棄物カートリッジネストを有する3次元印刷システムに廃棄物カートリッジを装填する方法であって、前記廃棄物カートリッジが、コルクで覆われた入口ポートを有し、前記方法が、
前記入口ポートから前記コルクを取り外すことと、
前記入口ポートから横方向に変位した位置で前記廃棄物カートリッジの本体に前記コルクを取り付けることと、
前記廃棄物カートリッジを前記ネストに押し込むことと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
【0002】
本出願は、2021年6月15日に出願された米国仮特許出願第63/210,515号の優先権の利益を主張し、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
本発明は、そのいくつかの実施形態では、積層造形に関し、より詳細には、限定はしないが、拡張3次元印刷のための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0004】
積層造形(AM)は、積層形成工程を介してコンピュータデータから直接任意の形状の構造を製造することを可能にする技術である。任意のAMシステムの基本動作は、3次元コンピュータモデルを薄い断面にスライスすること、結果を2次元位置データに変換すること、及び層ごとに3次元構造を製造する制御機器にデータを供給することから構成される。
【0005】
積層造形は、3Dインクジェット印刷などの3次元(3D)印刷を含む、製造方法に対する多くの異なる手法を伴う。3Dインクジェット印刷は、成形材料の層ごとのインクジェット堆積によって実行される。したがって、成形材料は、支持構造上に層を堆積させるために一組のノズルを有する分配ヘッドから分配される。次いで、層は、レベリングデバイスによって平滑化され、硬化又は固化される。
【0006】
様々な3次元印刷技法が存在し、例えば、米国特許第6,259,962号、同第6,569,373号、同第6,658,314号、同第6,850,334号、同第7,183,335号、同第7,209,797号、同第7,225,045号、同第7,300,619号、同第7,479,510号、同第7,500,846号、同第7,962,237号、同第8,784,723号、同第9,031,680号、同第9,718,238号、及び国際特許公開第2016/009426号に開示されており、それらの内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0007】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、3次元印刷のためのシステムが提供される。システムは、容器から供給された成形材料を使用してオブジェクトを印刷するように構成された3次元印刷装置と、装置を操作する作業員(personnel)の作業時間を受け取り、オブジェクトを記述する3次元印刷データに基づいて、その間に容器が空になると予想される供給期間を計算し、供給期間の終了時間が作業時間内であることを保証するように選択された遅延時間に印刷を開始するための信号を装置に送信するように構成されたコンピュータとを備える。
【0008】
本発明のいくつかの実施形態によれば、コンピュータは、容器内の材料のあらかじめ決められた総量に基づいて供給期間を計算するように構成される。
【0009】
本発明のいくつかの実施形態によれば、コンピュータは、容器内の材料の量に関する入力を受け取り、入力された量に基づいて供給期間を計算するように構成される。
【0010】
本発明のいくつかの実施形態によれば、コンピュータは、ユーザインターフェースを介して入力を受け取るように構成される。
【0011】
本発明のいくつかの実施形態によれば、コンピュータは、量を示す信号を装置から受信するように構成される。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態によれば、装置は、各々が異なる成形材料を供給する複数の容器を備え、コンピュータは、容器ごとに別々に供給期間を計算し、それによって複数の供給期間を提供し、供給期間の各々の終了時間が作業時間内であることを保証するように選択された遅延時間に印刷を開始するための信号を装置に送信するように構成される。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、3次元印刷のための方法が提供される。方法は、成形材料容器を有する3次元印刷装置を操作する作業員の作業時間を受け取ることと、オブジェクトを記述する3次元印刷データを受信することと、データに基づいて、その間に容器が空になると予想される供給期間を計算することと、供給期間の終了時間が作業時間内であることを保証するように選択された遅延時間にオブジェクトの印刷を開始するための信号を装置に送信することとを含む。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態によれば、供給期間の計算は、容器内の材料のあらかじめ決められた総量に基づく。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態によれば、方法は、容器内の材料の量に関する入力を受け取ることを含み、供給期間を計算することは入力された量に基づく。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態によれば、入力は、ユーザインターフェースによって受け取られる。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態によれば、入力は、量を示す信号として装置から受信される。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態によれば、装置は、各々が異なる成形材料を供給する複数の容器を備え、方法は、容器ごとに別々に供給期間を計算することと、それによって複数の供給期間を提供することと、供給期間の各々の終了時間が作業時間内であることを保証するように選択された遅延時間に印刷を開始するための信号を装置に送信することとを含む。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、3次元印刷のためのシステムが提供される。システムは、少なくとも1つの印刷ノズルと、複数の造形材料容器と、オブジェクトの形状に応じて造形材料のパターンを分配するように印刷ノズルを制御するために、一連の印刷命令バッチを実行するように構成されたコントローラとを備え、各バッチは、容器のうちの1つに関連付けられるが、容器のうちの他のいずれにも関連付けられず、以前に実行されたバッチに関連付けられた容器が空になる前にバッチは実行されない。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態によれば、コントローラは、一連の印刷命令バッチが実行される第1の印刷モードと、容器のうちの少なくとも1つが、容器のうちの別の1つが空になる前に造形材料を供給する第2の印刷モードとの間で選択するように構成される。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態によれば、コントローラは、造形材料容器が同じ造形材料を含むときに第1のモードを自動的に選択するように構成される。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態によれば、コントローラは、造形材料容器が異なる造形材料を含むときに第2のモードを自動的に選択するように構成される。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態によれば、コントローラは、ユーザ入力に基づいて第1の印刷モードと第2の印刷モードとの間で選択するように構成される。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態によれば、システムは、各々が容器のうちの単一の容器に別々に接続された複数の別々のノズルアレイを備え、各バッチは、コントローラが単一のノズルアレイを動作させるための印刷命令を含む。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、3次元印刷の方法が提供される。方法は、複数の造形材料容器のうちの容器を選択することと、オブジェクトの形状に対応するパターンで選択された容器から造形材料を分配するように少なくとも1つの印刷ノズルを制御するために、印刷命令のバッチを実行することと、選択された容器が空であるとき、複数の造形材料容器から他の容器を選択し、他の容器に対する印刷命令のバッチの実行を繰り返すこととを含む。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態によれば、方法は、印刷命令のバッチが容器ごとに別々に実行される第1の印刷モードと、容器のうちの少なくとも1つが、容器のうちの別の1つが空になる前に造形材料を供給する第2の印刷モードとの間で選択することを含む。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態によれば、方法は、造形材料容器が同じ造形材料を含むときに第1のモードを自動的に選択することを含む。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態によれば、方法は、造形材料容器が異なる造形材料を含むときに第2のモードを自動的に選択することを含む。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態によれば、第1の印刷モードと第2の印刷モードとの間の選択は、ユーザ入力に基づく。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態によれば、各々が容器のうちの単一の容器に別々に接続された複数の別々のノズルアレイが存在し、各バッチは、単一のノズルアレイを動作させるための印刷命令を含む。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、3次元印刷のためのシステムが提供される。システムは、垂直軸を中心に回転するように構成された回転トレイと、印刷ヘッドと、成形材料のトレイ層上に分配するように印刷ヘッドを制御することであって、各層がオブジェクトのスライスに応じてパターン化される、制御することと、層に対応するパターンの一部分の半径方向位置に基づいて少なくとも1つの層に対するトレイの一定の回転速度を選択することとを行うように構成されたコントローラとを備える。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態によれば、部分は、パターンのすべてのボクセルの中で垂直軸から最も遠いボクセルを含む。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態によれば、コントローラは、複数回、異なる層ごとに1回、一定の回転速度を再選択するように構成される。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態によれば、コントローラは、N個の分配された層ごとに、一定の回転速度を再選択するように構成され、Nは正の整数である。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態によれば、コントローラは、半径方向位置における線速度があらかじめ決められた線速度閾値以下であることを保証するために、一定の回転速度を選択するように構成される。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態によれば、システムは、オブジェクトの形状を記述する3次元データを受信し、3次元データに基づいて、回転トレイに対応する座標系において定義され、オブジェクトのより高い部分がオブジェクトのより低い部分よりも垂直軸に近くなるように向けられたオブジェクトの複数のスライスを記述するスライスデータを生成し、スライスデータをコントローラに送信するように構成されたコンピュータを備える。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、3次元オブジェクトの印刷方法が提供される。方法は、成形材料の回転トレイ層上に分配することであって、各層がオブジェクトのスライスに応じてパターン化される、分配することと、少なくとも1つの層に対して、層に対応するパターンの一部分の半径方向位置に基づいてトレイの一定の回転速度を選択することとを含む。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態によれば、部分は、パターンのすべてのボクセルの中で回転トレイの垂直回転軸から最も遠いボクセルを含む。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態によれば、方法は、複数回、異なる層ごとに1回、一定の回転速度を再選択することを含む。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態によれば、方法は、N個の分配された層ごとに、一定の回転速度を再選択することを含み、Nは正の整数である。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態によれば、一定の回転速度の選択は、半径方向位置における線速度があらかじめ決められた線速度閾値以下であることを保証するように実行される。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態によれば、方法は、オブジェクトの形状を記述する3次元データを受信することと、3次元データに基づいて、回転トレイに対応する座標系において定義され、オブジェクトのより高い部分がオブジェクトのより低い部分よりもトレイの回転軸に近くなるように向けられたオブジェクトの複数のスライスを記述するスライスデータを生成することとを含む。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、3次元印刷システムの印刷ヘッド基板を試験するための集積回路が提供される。集積回路は、印刷ヘッド基板上のソケットと同等であり、それに着脱可能に接続可能なエッジコネクタと、印刷ヘッド基板によって制御される印刷ヘッドが材料を分配していない試験モードに印刷ヘッド基板を自動的に切り替え、印刷ヘッド基板に試験信号を送信し、印刷ヘッド基板から応答信号を受信するように構成された回路と、応答信号に基づいて印刷ヘッド基板の状態に関する光信号を生成するための可視指示パネルとを備える。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態によれば、光信号は、基板の故障する可能性がある構成部品に関連付けられたソケットのピン番号を示す。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態によれば、回路は、基板上の少なくとも1つのサーミスタに試験信号を送信するように構成される。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態によれば、回路は、基板上の少なくとも1つの記憶媒体に試験信号を送信するように構成される。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態によれば、回路は、基板上の少なくとも1つの発熱体に試験信号を送信するように構成される。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態によれば、回路は、基板に電圧源を模倣する試験信号を送信するように構成される。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態によれば、回路は、基板に分配パルスを模倣する試験信号を送信するように構成される。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態によれば、回路は、基板にデータ信号を模倣する試験信号を送信するように構成される。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、3次元印刷システムのため廃棄物カートリッジネストが提供される。廃棄物カートリッジネストは、カートリッジがネスト内に前方に押し込まれると、廃棄物カートリッジをネスト内に係止するためのカートリッジ係止部材と、流体コネクタを担持し、カートリッジがネスト内に前方に押し込まれると、廃棄物カートリッジの入口ポートを流体コネクタと密封係合するように構成された入口ポート係合部材とを備える。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、3次元印刷のためのシステムが提供される。システムは、成形材料を使用して3次元オブジェクトを印刷するように構成された3次元印刷装置と、上記で描写され、所望により且つ好ましくは以下でさらに詳述される廃棄物カートリッジネストと、ネストに係止された廃棄物カートリッジとを備える。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態によれば、廃棄物カートリッジは、入口ポートに適合し、廃棄物カートリッジがネストに係止されている間に、入口ポートから横方向に変位する位置で廃棄物カートリッジの本体に一時的に取り付けられたコルクを備える。
【0054】
本発明のいくつかの実施形態によれば、流体コネクタは、廃棄物カートリッジがネストを占有するとき、及び廃棄物カートリッジがネストから引き離されるときの両方で、装置の廃棄物収集デバイスに接続される。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態によれば、廃棄物収集デバイスは、レベリングシステムの廃棄物収集槽である。
【0056】
本発明のいくつかの実施形態によれば、廃棄物収集デバイスは、サービスステーションシステムの廃棄物収集槽である。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、廃棄物カートリッジがコルクで覆われた入口ポートを有する実施形態において、上記で描写され、所望により且つ好ましくは以下でさらに詳述される廃棄物カートリッジネストを有する3次元印刷システムに廃棄物カートリッジを装填する方法が提供される。方法は、入口ポートからコルクを取り外すことと、入口ポートから横方向に変位した位置で廃棄物カートリッジの本体にコルクを取り付けることと、廃棄物カートリッジをネストに押し込むこととを含む。
【0058】
特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び/又は科学用語は、本発明が関連する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載された方法及び材料と同様又は同等の方法及び材料は、本発明の実施形態の実践又は試験に使用することができるが、例示的な方法及び/又は材料が以下に記載される。矛盾する場合、定義を含む特許明細書が優先される。加えて、材料、方法、及び例は例示にすぎず、必ずしも限定するものではない。
【0059】
本発明の実施形態の方法及び/又はシステムの実施は、選択されたタスクを手動で、自動的に、又はそれらの組合せで実行又は完了することを含むことができる。その上、本発明の方法及び/又はシステムの実施形態の実際の計装及び機器によれば、いくつかの選択されたタスクは、オペレーティングシステムを使用してハードウェア、ソフトウェア若しくはファームウェア、又はそれらの組合せによって実施される可能性がある。
【0060】
例えば、本発明の実施形態による選択されたタスクを実行するためのハードウェアは、チップ又は回路として実装される可能性がある。ソフトウェアとして、本発明の実施形態による選択されたタスクは、任意の適切なオペレーティングシステムを使用してコンピュータによって実行される複数のソフトウェア命令として実装することができる。本発明の例示的な実施形態では、本明細書に記載された方法及び/又はシステムの例示的な実施形態による1又は複数のタスクは、複数の命令を実行するためのコンピューティングプラットフォームなどのデータプロセッサによって実行される。所望により、データプロセッサは、命令及び/若しくはデータを記憶するための揮発性メモリ、並びに/又は命令及び/若しくはデータを記憶するための不揮発性ストレージ、例えば、磁気ハードディスク及び/若しくはリムーバブルメディアを含む。所望により、ネットワーク接続も提供される。ディスプレイ及び/又はキーボード若しくはマウスなどのユーザ入力デバイスも、所望により提供される。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態は、添付図面を参照して、ほんの一例として記載される。ここで詳細に図面を具体的に参照すると、示された詳細は例としてのものであり、本発明の実施形態の例示的な説明を目的としていることが強調される。この点に関して、図面とともになされた説明は、本発明の実施形態がどのように実践され得るかを当業者に明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0062】
図1A図1Aは本発明のいくつかの実施形態による積層造形システムの概略図である。
図1B図1Bは本発明のいくつかの実施形態による積層造形システムの概略図である。
図1C図1Cは本発明のいくつかの実施形態による積層造形システムの概略図である。
図1D図1Dは本発明のいくつかの実施形態による積層造形システムの概略図である。
図2A図2Aは本発明のいくつかの実施形態による印刷ヘッドの概略図である。
図2B図2Bは本発明のいくつかの実施形態による印刷ヘッドの概略図である。
図2C図2Cは本発明のいくつかの実施形態による印刷ヘッドの概略図である。
図3A図3Aは本発明のいくつかの実施形態による座標変換を実証する概略図である。
図3B図3Bは本発明のいくつかの実施形態による座標変換を実証する概略図である。
図4図4は本発明の様々な例示的な実施形態による3次元オブジェクトを印刷するのに適した方法のフローチャート図である。
図5A図5Aは本発明のいくつかの実施形態による印刷命令のバッチの概略図である。
図5B図5Bは本発明のいくつかの実施形態による印刷命令のバッチの概略図である。
図5C図5Cは本発明のいくつかの実施形態による印刷命令のバッチの概略図である。
図6A図6Aはバッチが2つのタイプの成形材料に関連する本発明の実施形態における印刷命令のバッチの概略図である。
図6B図6Bはバッチが2つのタイプの成形材料に関連する本発明の実施形態における印刷命令のバッチの概略図である。
図6C図6Cはバッチが2つのタイプの成形材料に関連する本発明の実施形態における印刷命令のバッチの概略図である。
図7図7は2つの印刷モードのうちの1つが選択された実施形態において3次元オブジェクトを印刷するのに適した方法のフローチャートである。
図8図8は回転速度がコンピュータオブジェクトデータに基づいて選択された本発明の実施形態において3次元オブジェクトを印刷するのに適した方法のフローチャート図である。
図9A図9Aは3次元印刷システムからの廃棄物の除去に関する本発明の実施形態の概略図である。
図9B図9Bは3次元印刷システムからの廃棄物の除去に関する本発明の実施形態の概略図である。
図9C図9Cは3次元印刷システムからの廃棄物の除去に関する本発明の実施形態の概略図である。
図9D図9Dは3次元印刷システムからの廃棄物の除去に関する本発明の実施形態の概略図である。
図9E図9Eは3次元印刷システムからの廃棄物の除去に関する本発明の実施形態の概略図である。
図9F図9Fは3次元印刷システムからの廃棄物の除去に関する本発明の実施形態の概略図である。
図10図10は本発明のいくつかの実施形態による3次元印刷システムの印刷ヘッドの印刷ヘッド基板を試験するための集積回路の概略図である。
図11A図11Aは本発明のいくつかの実施形態によって用意されたプロトタイプ集積回路の画像である。
図11B図11Bは本発明のいくつかの実施形態によって用意されたプロトタイプ集積回路の画像である。
図11C図11Cは本発明のいくつかの実施形態によって用意されたプロトタイプ集積回路の画像である。
図11D図11Dは本発明のいくつかの実施形態によって用意されたプロトタイプ集積回路の画像である。
図11E図11Eは本発明のいくつかの実施形態によって用意されたプロトタイプ集積回路の画像である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
本発明は、そのいくつかの実施形態では、積層造形に関し、より詳細には、限定はしないが、拡張3次元印刷のための方法及びシステムに関する。
【0064】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用において、以下の説明に記載され、且つ/又は図面及び/若しくは実施例に示された構成部品及び/又は方法の構造及び配置の詳細に必ずしも限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、又は様々な方法で実践若しくは実行することが可能である。
【0065】
本実施形態の方法及びシステムは、オブジェクトの形状に対応する構成されたパターンで複数の層を形成することにより、層ごとにコンピュータオブジェクトデータに基づいて3次元オブジェクトを製造する。層の形成は、所望により且つ好ましくは印刷によるものであり、より好ましくはインクジェット印刷によるものである。コンピュータオブジェクトデータは、限定はしないが、標準テッセレーション言語(STL)若しくはステレオリソグラフィ輪郭(SLC)フォーマット、仮想現実モデリング言語(VRML)、積層造形ファイル(AMF)フォーマット、図面交換フォーマット(DXF)、ポリゴンファイルフォーマット(PLY)、3D造形フォーマット(3MF)、オブジェクトファイルフォーマット(OBJ)、又はコンピュータ支援設計(CAD)に適した任意の他のフォーマットを含む、任意の既知のフォーマットであり得る。
【0066】
本明細書で使用される「オブジェクト」という用語は、3次元オブジェクトの全体又はその一部を指す。
【0067】
各層は、2次元表面を走査し、それをパターン化するAM装置によって形成することができる。走査中、装置は、2次元の層又は表面上の複数の目標位置を訪問し、目標位置又は目標位置のグループごとに、目標位置又は目標位置のグループが成形材料配合物によって占有されるべきか否か、及びどのタイプの成形材料配合物がそこに搬送されるべきかを判断する。判断は、表面のコンピュータ画像に従って行われる。
【0068】
本発明の好ましい実施形態では、AMは、3次元印刷、より好ましくは3次元インクジェット印刷を含む。これらの実施形態では、成形材料は、支持構造に層状に成形材料を堆積させるために、ノズルの1又は複数のアレイを有する印刷ヘッドから分配される。したがって、AM装置は、占有されるべき目標位置に成形材料を分配し、他の目標位置を空のままにする。装置は、通常、ノズルの複数のアレイを含み、それらの各々は、異なる成形材料を分配するように構成することができる。これは、通常、互いに分離された複数の流体チャネルを印刷ヘッドに設けることによって実現され、各チャネルは、別々の入口を介して異なる成形材料を受け取り、それをノズルの異なるアレイに搬送する。
【0069】
したがって、異なる目標位置は、異なる成形材料配合物によって占有され得る。成形材料配合物のタイプは、2つの主要なカテゴリー:造形材料配合物及び支持材料配合物に分類することができる。支持材料配合物は、製造プロセス及び/又は他の目的、例えば、中空若しくは多孔性のオブジェクトを提供する間にオブジェクト又はオブジェクト部分を支持するための支持土台又は支持構造として機能する。支持構造は、例えばさらなる支持強度のために、造形材料配合物をさらに含んでもよい。
【0070】
造形材料配合物は、一般に、積層造形に使用するために配合され、単独で、すなわち、任意の他の物質と混合又は組み合わされる必要なく、3次元オブジェクトを形成することができる組成物である。
【0071】
最終的な3次元オブジェクトは、造形材料配合物、又は造形材料配合物の組合せ、又は造形材料配合物及び支持材料配合物、又は(例えば、硬化後の)それらの修正から作製される。これらの作業はすべて、固体自由形状製作の当業者によく知られている。
【0072】
本発明のいくつかの例示的な実施形態では、オブジェクトは、2つ以上の異なる造形材料配合物を分配することによって製造され、各材料配合物は、AM装置の(同じか又は異なる印刷ヘッドに属する)ノズルの異なるアレイからのものである。いくつかの実施形態では、異なる造形材料配合物を分配するノズルの2つ以上のそのようなアレイは、両方ともAM装置の同じ印刷ヘッドに配置される。いくつかの実施形態では、異なる造形材料配合物を分配するノズルのアレイは、別々の印刷ヘッドに配置され、例えば、第1の造形材料配合物を分配するノズルの第1のアレイは第1の印刷ヘッドに配置され、第2の造形材料配合物を分配するノズルの第2のアレイは第2の印刷ヘッドに配置される。
【0073】
いくつかの実施形態では、造形材料配合物を分配するノズルのアレイ及び支持材料配合物を分配するノズルのアレイは、両方とも同じ印刷ヘッドに配置される。いくつかの実施形態では、造形材料配合物を分配するノズルのアレイ及び支持材料配合物を分配するノズルのアレイは、別々の印刷ヘッドに配置される。
【0074】
本発明のいくつかの実施形態による、オブジェクト112のAMに適したシステム110の代表的且つ非限定的な例が図1Aに示されている。システム110は、複数の印刷ヘッドを備える分配ユニット16を有する積層造形装置114を備える。各ヘッドは、好ましくは、以下に記載された図2A図2Cに示されたように、通常、オリフィスプレート121に取り付けられたノズル122の1又は複数のアレイを備え、ノズル122を通って液体成形材料配合物124が分配される。
【0075】
好ましくは、必須ではないが、装置114は3次元印刷装置であり、その場合、印刷ヘッドは印刷ヘッドであり、成形材料配合物はインクジェット技術を介して分配される。一部の用途では、積層造形装置が3次元印刷技法を使用する必要がない場合があるので、これは必ずしもそうであるとは限らない。本発明の様々な例示的な実施形態によって考えられる積層造形装置の代表的な例には、限定はしないが、溶融堆積造形装置及び溶融材料配合物堆積装置が含まれる。
【0076】
各印刷ヘッドは、所望により且つ好ましくは、温度制御ユニット(例えば、温度センサ及び/又は加熱デバイス)並びに材料配合物レベルセンサを所望により含む場合がある1又は複数の成形材料配合物容器を介して供給される。成形材料配合物を分配するために、例えば、圧電インクジェット印刷技法におけるように、印刷ヘッドノズルを介して材料配合物の液滴を選択的に堆積させるために、印刷ヘッドに電圧信号が印加される。別の例には、サーマルインクジェット印刷ヘッドが含まれる。これらのタイプのヘッドには、電圧信号による発熱素子の作動時に、成形材料配合物を加熱してその中に気泡を形成するための、成形材料配合物と熱接触する発熱素子が存在する。気泡は、成形材料配合物中に圧力を発生させ、成形材料配合物の液滴がノズルから放出されるようにする。圧電印刷ヘッド及びサーマル印刷ヘッドは、固体自由形状製作の当業者に知られている。任意のタイプのインクジェット印刷ヘッドの場合、ヘッドの分配速度は、ノズルの数、ノズルのタイプ、及び印加電圧信号速度(周波数)に依存する。
【0077】
所望により、分配ノズル又はノズルアレイの全体の数は、分配ノズルの半分が支持材料配合物を分配するように指定され、分配ノズルの半分が造形材料配合物を分配するように指定されるように選択される、すなわち、造形材料配合物を噴射するノズルの数は、支持体材料配合物を噴射するノズルの数と同じである。図1Aの代表例では、4つの印刷ヘッド16a、16b、16c、及び16dが示されている。ヘッド16a、16b、16c、及び16dの各々は、ノズルアレイを有する。この例では、ヘッド16a及び16bは、造形材料配合物用に指定することができ、ヘッド16c及び16dは、支持材料配合物用に指定することができる。したがって、ヘッド16aは1つの造形材料配合物を分配することができ、ヘッド16bは別の造形材料配合物を分配することができ、ヘッド16c及び16dは、両方とも支持材料配合物を分配することができる。代替の実施形態では、ヘッド16c及び16dは、例えば、支持材料配合物を堆積させるための2つのノズルアレイを有する単一のヘッドに組み合わされてもよい。さらなる代替の実施形態では、任意の1又は複数の印刷ヘッドは、2つ以上の材料配合物を堆積させるための2つ以上のノズルアレイ、例えば、2つの異なる造形材料配合物又は造形材料配合物及び支持体材料配合物を堆積させるための2つのノズルアレイを有する場合があり、各配合物は異なるアレイ又はいくつかのノズルを介する。
【0078】
しかし、それは本発明の範囲を限定するものではないこと、及び造形材料配合物印刷ヘッド(造形ヘッド)の数と支持材料配合物印刷ヘッド(支持ヘッド)の数は異なっていてもよいことを理解されたい。一般に、造形材料配合物を分配するノズルのアレイの数、支持材料配合物を分配するノズルのアレイの数、及びそれぞれのアレイにおけるノズルの数は、支持材料配合物の最大分配速度と造形材料配合物の最大分配速度との間のあらかじめ決められた比率aを提供するように選択される。あらかじめ決められた比率aの値は、好ましくは、各々の形成された層において、造形材料配合物の高さが支持材料配合物の高さに等しいことを保証するように選択される。aの典型的な値は、約0.6~約1.5である。
【0079】
本明細書全体にわたって使用される「約」という用語は、±10%を指す。
【0080】
例えば、a=1の場合、支持材料配合物の全体的な分配速度は、一般に、ノズルのすべてのアレイが動作するときの造形材料配合物の全体的な分配速度と同じである。
【0081】
装置114は、例えば、各々がp個のノズルのm個のアレイを有するM個の造形ヘッドと、各々がq個のノズルのs個のアレイを有するS個の支持ヘッドとを、M×m×p=S×s×qとなるように備えることができる。M×m個の造形アレイ及びS×s個の支持アレイの各々は、アレイのグループから組み立て及び分解することができる別個の物理的ユニットとして製造することができる。この実施形態では、各々のそのようなアレイは、所望により且つ好ましくは、それ自体の温度制御ユニット及び材料配合物レベルセンサを備え、その動作のために個別に制御された電圧を受け取る。
【0082】
装置114は、堆積された材料配合物を硬化させることができる光、熱などを放出するように構成された任意のデバイスを含むことができる凝固デバイス324をさらに備えることができる。例えば、凝固デバイス324は、使用されている造形材料配合物に応じて、例えば紫外線ランプ若しくは可視ランプも若しくは赤外線ランプ、又は他の電磁放射線源、又は電子ビーム源であり得る、1又は複数の放射線源を備えることができる。本発明のいくつかの実施形態では、凝固デバイス324は、造形材料配合物を硬化又は凝固させるのに役立つ。
【0083】
凝固デバイス324に加えて、装置114は、所望により且つ好ましくは、溶媒蒸発のための追加の放射線源328を備える。放射線源328は、所望により且つ好ましくは、赤外線放射を発生させる。本発明の様々な例示的な実施形態では、凝固デバイス324は、紫外線放射を発生させる放射線源を備え、放射線源328は赤外線放射を発生させる。
【0084】
本発明のいくつかの実施形態では、装置114は、1又は複数のファンなどの冷却システム134を備える。
【0085】
印刷ヘッド及び放射線源は、好ましくは、作業面として機能するトレイ360上を往復移動するように好ましくは動作可能なフレーム又はブロック128内に取り付けられる。本発明のいくつかの実施形態では、放射線源は、印刷ヘッドのすぐ後に続いて、印刷ヘッドによって分配されたばかりの材料配合物を少なくとも部分的に硬化又は固化させるように、ブロックに取り付けられる。トレイ360は水平に配置されている。一般的な慣例によれば、X-Y平面がトレイ360に平行になるように、X-Y-Zデカルト座標系が選択される。トレイ360は、好ましくは、垂直に(Z方向に沿って)、通常下方に移動するように構成される。本発明の様々な例示的な実施形態では、装置114は、1又は複数のレベリングデバイス32、例えばローラ326をさらに備える。レベリングデバイス326は、その上に連続層を形成する前に、新しく形成された層の厚さを真っ直ぐにし、平らにし、且つ/又は確立するように機能する。レベリングデバイス32は、好ましくは、レベリング中に生成された余分な材料配合物を収集するための廃棄物収集デバイス136を備える。廃棄物収集デバイス136は、廃棄物タンク又は廃棄物カートリッジに材料配合物を搬送する任意の機構を備える場合がある。
【0086】
使用中、ユニット16の印刷ヘッドは、本明細書ではX方向と呼ばれる走査方向に移動し、トレイ360上を通過する過程であらかじめ決められた構成で成形材料配合物を選択的に分配する。成形材料配合物は、通常、1又は複数のタイプの支持材料配合と、1又は複数のタイプの造形材料配合物とを含む。ユニット16の印刷ヘッドの通過の後に、放射線源126による造形材料配合物の硬化が続く。堆積したばかりの層の開始点に戻るヘッドの逆方向の通過において、あらかじめ決められた構成に従って、成形材料配合物の追加の分配が実行される場合がある。印刷ヘッドの順方向及び/又は逆方向の通過において、このように形成された層は、好ましくは印刷ヘッドの順方向及び/又は逆方向の移動の経路をたどるレベリングデバイス32によって真っ直ぐにされる場合がある。印刷ヘッドがX方向に沿ってそれらの開始点に戻ると、それらは、本明細書ではY方向と呼ばれるインデックス方向に沿って別の位置に移動し、X方向に沿った往復移動によって同じ層を構築し続けることができる。あるいは、印刷ヘッドは、順方向の移動と逆方向の移動との間で、又は2つ以上の順方向-逆方向移動の後にY方向に移動することができる。単一の層を完成させるために印刷ヘッドによって実行される一連の走査は、本明細書では単一の走査サイクルと呼ばれる。
【0087】
層が完成すると、トレイ360は、その後に印刷される層の所望の厚さに応じて、あらかじめ決められたZレベルまでZ方向に下げられる。3次元オブジェクト112を層状に形成するために、この手順が繰り返される。
【0088】
別の実施形態では、トレイ360は、層内で、ユニット16の印刷ヘッドの順方向の通過と逆方向の通過との間でZ方向に変位される場合がある。そのようなZ変位は、レベリングデバイスを一方向に表面と接触させ、他方向の接触を防止するために実行される。
【0089】
本実施形態は、1又は複数の液体材料容器又はカートリッジ430を備え、液体材料を印刷ヘッドに供給する液体材料配合物供給システム330の使用を考察する。供給システム330は、システム110などのAMシステム内で使用することができ、その場合、各容器内の液体材料は成形材料である。
【0090】
コントローラ20は、製造装置114を制御し、所望により且つ好ましくは、供給システム330も制御する。コントローラ20は、通常、制御動作を実行するように構成された電子回路を含む。コントローラ20は、好ましくは、コンピュータオブジェクトデータ、例えば標準テッセレーション言語(STL)フォーマットなどの形態でコンピュータ可読媒体上に表されるCAD構成に基づく製造命令に関するデジタルデータを送信するデータプロセッサ24と通信する。通常、コントローラ20は、各印刷ヘッド又は各ノズルアレイに印加される電圧及びそれぞれの印刷ヘッド又はそれぞれのノズルアレイにおける成形材料配合物の温度を制御する。
【0091】
製造データがコントローラ20にロードされると、コントローラ20はユーザの介入なしに動作することができる。いくつかの実施形態では、コントローラ20は、例えばデータプロセッサ24を使用して、又はコントローラ20と通信するユーザインターフェース116を使用して、オペレータから追加の入力を受け取る。ユーザインターフェース116は、限定はしないが、キーボード、タッチスクリーンなどの当技術分野で知られている任意のタイプのユーザインターフェースであり得る。例えば、コントローラ20は、追加の入力として、限定はしないが、色、特性歪み及び/又は転移温度、粘度、電気特性、磁気特性などの、1又は複数の成形材料配合物のタイプ及び/又は属性を受け取ることができる。他の属性及び属性のグループも考えられる。
【0092】
本発明のいくつかの実施形態によるオブジェクトのAMに適したシステム10の別の代表的且つ非限定的な例が図1B図1Dに示されている。図1B図1Dは、システム10の上面図(図1B)、側面図(図1C)、及び等角図(図1D)を示す。
【0093】
本実施形態では、システム10は、トレイ12と、各々が1又は複数の分離されたノズルを有するノズルの1又は複数の配列を有する複数のインクジェット印刷ヘッド16とを備える。3次元印刷に使用される材料は、さらに上述されたように、1又は複数の液体材料容器又はカートリッジ430を用いて、成形材料供給システム330によってヘッド16に供給される。トレイ12は、ディスクの形状を有することができるか、又は環状であり得る。垂直軸を中心に回転させることができる限り、非円形も考えられる。
【0094】
トレイ12及びヘッド16は、所望により且つ好ましくは、トレイ12とヘッド16との間の相対回転運動を可能にするように取り付けられる。これは、(i)ヘッド16に対して垂直軸14を中心に回転するようにトレイ12を構成すること、(ii)トレイ12に対して垂直軸14を中心に回転するようにヘッド16を構成すること、又は(iii)垂直軸14を中心に異なる回転速度(例えば、反対方向の回転)で回転するようにトレイ12とヘッド16の両方を構成することによって実現することができる。システム10のいくつかの実施形態は、構成(i)に特に重点を置いて以下に記載され、トレイは、ヘッド16に対して垂直軸14を中心に回転するように構成された回転トレイであるが、本出願は、システム10用の構成(ii)及び(iii)も考察することを理解されたい。本明細書に記載されたシステム10の実施形態のいずれか1つは、構成(ii)及び(iii)のいずれかに適用可能であるように調整することができ、本明細書に記載された詳細を提供された当業者は、そのような調整を行う方法を知るであろう。
【0095】
以下の説明では、トレイ12に平行で軸14から外側を指す方向は半径方向rと呼ばれ、トレイ12に平行で半径方向rに垂直な方向は本明細書では方位角方向φと呼ばれ、トレイ12に垂直な方向は本明細書では垂直方向zと呼ばれる。
【0096】
システム10における半径方向rは、システム110におけるインデックス方向yを規定し、方位角方向φは、システム110における走査方向xを規定する。したがって、半径方向は、本明細書ではインデックス方向と互換的に呼ばれ、方位角方向は、本明細書では走査方向と互換的に呼ばれる。
【0097】
本明細書で使用される「半径方向位置」という用語は、軸14から特定の距離にあるトレイ12の上又は上方の位置を指す。この用語が印刷ヘッドに関連して使用されるとき、この用語は、軸14から特定の距離にあるヘッドの位置を指す。この用語がトレイ12上の点に関連して使用されるとき、この用語は、その半径が軸14からの特定の距離にあり、その中心が軸14にある円である点の軌跡に属する任意の点に対応する。
【0098】
本明細書で使用される「方位角位置」という用語は、あらかじめ決められた基準点に対して特定の方位角にあるトレイ12の上又は上方の位置を指す。したがって、半径方向位置は、基準点に対して特定の方位角を形成する直線である点の軌跡に属する任意の点を指す。
【0099】
本明細書で使用される「垂直位置」という用語は、特定の点で垂直軸14と交差する平面上の位置を指す。
【0100】
トレイ12は、3次元印刷用の成形プラットフォームとして機能する。1又は複数のオブジェクトが印刷される作業領域は、必ずしもそうとは限らないが、通常、トレイ12の領域全体よりも小さい。本発明のいくつかの実施形態では、作業領域は環状である。作業領域は26に示されている。本発明のいくつかの実施形態では、トレイ12は、オブジェクトの形成全体を通して同じ方向に連続的に回転し、本発明のいくつかの実施形態では、トレイは、オブジェクトの形成中に(例えば、振動的に)少なくとも1回、回転方向を逆転させる。トレイ12は、所望により且つ好ましくは、取り外し可能である。トレイ12を取り外すことは、システム10のメンテナンスのため、又は必要に応じて、新しいオブジェクトを印刷する前にトレイを交換するためであり得る。本発明のいくつかの実施形態では、システム10には、1又は複数の異なる交換トレイ(例えば、交換トレイのキット)が設けられ、異なるタイプのオブジェクト(例えば、異なる重み)、異なる動作モード(例えば、異なる回転速度)などに対して2つ以上のトレイが指定される。トレイ12の交換は、所望に応じて手動又は自動であり得る。自動交換が使用されるとき、システム10は、ヘッド16の下のその位置からトレイ12を取り外し、それを交換トレイ(図示せず)と交換するように構成されたトレイ交換デバイス36を備える。図1Bの代表的な図では、トレイ交換デバイス36は、トレイ12を引っ張るように構成された可動アーム40を有する駆動装置38として示されているが、他のタイプのトレイ交換デバイスも考えられる。
【0101】
印刷ヘッド16の例示的な実施形態が図2A図2Cに示されている。これらの実施形態は、システム110及びシステム10を含むがそれらに限定されない、上述されたAMシステムのいずれかに使用することができる。
【0102】
図2A図2Bは、1つ(図2A)及び2つ(図2B)のノズルアレイ22を有する印刷ヘッド16を示す。アレイ内のノズルは、好ましくは直線に沿って直線的に位置合わせされる。印刷ヘッド16は、印刷システムのコントローラによってそこに印加された電圧信号に応答して、液体材料が供給され、ノズルアレイ22を通して液体材料を分配する。ヘッド16には、成形材料配合物である液体材料が供給される。
【0103】
特定の印刷ヘッドが2つ以上の線形ノズルアレイを有する実施形態では、ノズルアレイは、所望により且つ好ましくは、互いに平行であり得る。印刷ヘッドがノズルの2つ以上のアレイ(例えば、図2B)を有するとき、ヘッドのすべてのアレイに同じ建成形材料配合物を供給することができるか、又は同じヘッドの少なくとも2つのアレイに異なる成形材料配合物を供給することができる。
【0104】
システム110と同様のシステムが使用されるとき、すべての印刷ヘッド16は、所望により且つ好ましくは、走査方向に沿ったそれらの位置が互いにオフセットされた状態でインデックス方向に沿って配向される。
【0105】
システム10と同様のシステムが使用されるとき、すべての印刷ヘッド16は、所望により且つ好ましくは、それらの方位角位置が互いにオフセットされた状態で放射状に(半径方向と平行に)配向される。したがって、これらの実施形態では、異なる印刷ヘッドのノズルアレイは、互いに平行ではなく、むしろ互いにある角度をなし、その角度はそれぞれのヘッド間の方位角オフセットにほぼ等しい。例えば、1つのヘッドを半径方向に配向し、方位角位置φに配置することができ、別のヘッドを半径方向に配向し、方位角位置φに配置することができる。この例では、2つのヘッド間の方位角オフセットはφ-φであり、2つのヘッドの線形ノズルアレイ間の角度もφ-φである。
【0106】
いくつかの実施形態では、2つ以上の印刷ヘッドを印刷ヘッドのブロックに組み立てることができ、その場合、ブロックの印刷ヘッドは、通常、互いに平行である。いくつかのインクジェット印刷ヘッド16a、16b、16cを含むブロックが図2Cに示されている。
【0107】
いくつかの実施形態では、システム10は、トレイ12が安定化構造体30とヘッド16との間にあるように、ヘッド16の下に配置された安定化構造体30を備える。安定化構造体30は、インクジェット印刷ヘッド16が動作している間に発生する可能性があるトレイ12の振動を防止又は低減するのに役立つことができる。印刷ヘッド16が軸14を中心に回転する構成では、安定化構造体30はまた、好ましくは、安定化構造体30が常にヘッド16の真下にある(トレイ12がヘッド16とトレイ12との間にある)ように回転する。
【0108】
トレイ12及び/又は印刷ヘッド16は、所望により且つ好ましくは、トレイ12と印刷ヘッド16との間の垂直距離を変化させるように、垂直方向zに沿って、垂直軸14に平行に移動するように構成される。垂直方向に沿ってトレイ12を移動させることによって垂直距離が変化する構成では、安定化構造体30も、好ましくはトレイ12と一緒に垂直方向に移動する。垂直方向に沿ってヘッド16によって垂直距離が変化する構成では、固定されたトレイ12の垂直位置を維持している間、安定化構造体30も固定された垂直位置に維持される。
【0109】
垂直運動は、垂直駆動装置28によって確立することができる。層が完成すると、その後に印刷される層の所望の厚さに応じて、あらかじめ決められた垂直段だけトレイ12とヘッド16との間の垂直距離を増加させることができる(例えば、トレイ12がヘッド16に対して下降する)。3次元オブジェクトを層状に形成するために、この手順が繰り返される。
【0110】
インクジェット印刷ヘッド16の動作、及び所望により且つ好ましくは、システム10の1又は複数の他の構成部品の動作、例えばトレイ12の動きも、コントローラ20によって制御される。コントローラは、電子回路と、回路によって読み取り可能な不揮発性記憶媒体とを有することができ、記憶媒体は、回路によって読み取られると、以下でさらに詳述されるように、回路に制御動作を実行させるプログラム命令を記憶する。
【0111】
コントローラ20はまた、例えば、標準テッセレーション言語(STL)若しくはステレオリソグラフィ輪郭(SLC)フォーマット、仮想現実モデリング言語(VRML)、積層造形ファイル(AMF)フォーマット、図面交換フォーマット(DXF)、ポリゴンファイルフォーマット(PLY)、又はコンピュータ支援設計(CAD)に適した任意の他のフォーマットの形態のコンピュータオブジェクトデータに基づいて、製造命令に関するデジタルデータを送信するホストコンピュータ24と通信する。オブジェクトデータフォーマットは、通常、デカルト座標系に従って構造化される。これらの場合、コンピュータ24は、好ましくは、コンピュータオブジェクトデータ内の各スライスの座標をデカルト座標系から極座標系に変換するための手順を実行する。コンピュータ24は、所望により且つ好ましくは、変換された座標系に関する製造命令を送信する。あるいは、コンピュータ24は、コンピュータオブジェクトデータによって提供された元の座標系に関する製造命令を送信することができ、その場合、座標の変換はコントローラ20の回路によって実行される。
【0112】
座標の変換は、回転トレイ上の3次元印刷を可能にする。固定トレイを有する非回転システムでは、印刷ヘッドは、通常、直線に沿って固定トレイの上方を往復移動する。そのようなシステムでは、ヘッドの分配速度が均一である限り、印刷解像度はトレイ上の任意の点で同じである。システム10では、非回転システムとは異なり、ヘッドポイントのすべてのノズルが同時にトレイ12上で同じ距離をカバーするとは限らない。座標の変換は、所望により且つ好ましくは、異なる半径方向位置で等量の過剰な材料配合を保証するように実行される。本発明のいくつかの実施形態による座標変換の代表的な例が図3A図3Bに提供され、オブジェクトの3つのスライス(各スライスはオブジェクトの異なる層の製造命令に対応する)を示し、図3Aはデカルト座標系におけるスライスを示し、図3Bは座標変換手順をそれぞれのスライスに適用した後の同じスライスを示す。
【0113】
通常、コントローラ20は、製造命令に基づいて、且つ以下に記載される記憶されたプログラム命令に基づいて、システム10のそれぞれの構成部品に印加される電圧を制御する。
【0114】
一般に、コントローラ20は、トレイ12の回転中に、3次元オブジェクトをトレイ12上に印刷するなどのために、層内で成形材料配合物の液滴を分配するように印刷ヘッド16を制御する。
【0115】
システム10は、所望により且つ好ましくは、使用されている造形材料配合物に応じて、例えば紫外線ランプ若しくは可視ランプも若しくは赤外線ランプ、又は他の電磁放射線源、又は電子ビーム源であり得る、1又は複数の放射線源18を備える。放射線源は、発光ダイオード(LED)、デジタル光処理(DLP)システム、抵抗ランプなどを含むがそれらに限定されない任意のタイプの放射線放出デバイスを含むことができる。放射線源18は、造形材料配合物を硬化又は固化するのに役立つ。本発明の様々な例示的な実施形態では、放射線源18の動作は、放射線源18を起動及び停止させることができ、所望により放射線源18によって生成される放射線の量を制御することもできるコントローラ20によって制御される。
【0116】
本発明のいくつかの実施形態では、システム10は、ローラ326又はブレードとして製造することができる1又は複数のレベリングデバイス32をさらに備える。レベリングデバイス32は、その上に連続層を形成する前に、新しく形成された層を真っ直ぐにするように機能する。いくつかの実施形態では、レベリングデバイス32は、その対称軸34がトレイ12の表面に対して傾斜し、その表面がトレイの表面に平行になるように配置された円錐ローラの形状を有する。この実施形態は、システム10の側面図(図1C)に示されている。
【0117】
円錐ローラは、円錐又は円錐台の形状を有することができる。
【0118】
円錐ローラの開口角度は、好ましくは、その軸34に沿った任意の位置における円錐の半径と、その位置と軸14との間の距離との間に一定の比率が存在するように選択される。この実施形態は、ローラが回転する間、ローラの表面上の任意の点pが点pの真下の点におけるトレイの線速度に比例する(例えば、同じ)線速度を有するので、ローラ32が層を効率的に平滑化することを可能にする。いくつかの実施形態では、ローラは、高さh、軸14からのその最も近い距離における半径R、及び軸14からのその最も遠い距離における半径Rを有する円錐台の形状を有し、パラメータh、R、及びRは、関係R/R=(R-h)/hを満たし、Rは軸14からのローラの最も遠い距離である(例えば、Rはトレイ12の半径であり得る)。
【0119】
レベリングデバイス32の動作は、所望により且つ好ましくは、コントローラ20によって制御され、コントローラ20は、レベリングデバイス32を起動及び停止させることができ、所望により、垂直方向(軸14に平行)及び/又は半径方向(トレイ12に平行であり、軸14に向かって若しくはそれから離れるように向いている)に沿ってその位置を制御することもできる。
【0120】
本発明のいくつかの実施形態では、印刷ヘッド16は、半径方向rに沿ってトレイに対して往復移動するように構成される。これらの実施形態は、ヘッド16のノズルアレイ22の長さがトレイ12上の作業領域26の半径方向に沿った幅よりも短いときに有用である。半径方向に沿ったヘッド16の動きは、所望により且つ好ましくは、コントローラ20によって制御される。
【0121】
いくつかの実施形態は、(同じか又は異なる印刷ヘッドに属する)ノズルの異なるアレイから異なる材料配合物を分配することによるオブジェクトの製造を考察する。これらの実施形態は、とりわけ、所与の数の材料配合物から材料配合物を選択し、選択された材料配合物及びそれらの特性の所望の組合せを定義する能力を提供する。本実施形態によれば、層を有する各材料配合物の堆積の空間位置は、層内の材料配合物の堆積後の空間的組合せを可能にし、それによってそれぞれの位置又は複数の位置で複合材料配合物を形成するために、異なる材料配合物による異なる3次元空間位置の占有を達成するように、又は2つ以上の異なる材料配合物による実質的に同じ3次元位置若しくは隣接する3次元位置の占有を達成するように定義される。
【0122】
造形材料配合物の任意の堆積後の組合せ又は混合が考えられる。例えば、特定の材料配合物が分配されると、それはその元の特性を保つことができる。しかしながら、それが同じか又は近くの場所に分配された別の造形材料配合物又は他の分配された材料配合物と同時に分配されると、分配された材料配合物とは異なる特性又は複数の特性を有する複合材料配合物が形成され得る。
【0123】
本発明のいくつかの実施形態では、システムは、層のうちの少なくとも1つにデジタル材料配合物を分配する。
【0124】
本明細書及び当技術分野で使用される「デジタル材料配合物」という語句は、異なる材料配合物のピクセル又はボクセルが領域にわたって互いにインターレースされるように、ピクセルレベル又はボクセルレベルでの2つ以上の材料配合物の組合せを記述する。そのようなデジタル材料配合物は、材料配合物のタイプの選択並びに/又は2つ以上の材料配合物の比率及び相対空間分布によって影響を受ける新しい特性を表すことができる。
【0125】
本明細書で使用される層の「ボクセル」は、層を記述するビットマップの単一のピクセルに対応する層内の物理的な3次元基本ボリュームを指す。成形材料がそれぞれのピクセルに対応する場所で分配され、平滑化され、固化されると、ボクセルのサイズは、おおよそ、成形材料によって形成された領域のサイズである。
【0126】
したがって、本実施形態は、オブジェクトの異なる部分において、オブジェクトの各部分を特徴付けるために必要な特性に応じて、広範囲の材料配合物の組合せの堆積、及び材料配合物の複数の異なる組合せからなり得るオブジェクトの製造を可能にする。
【0127】
本実施形態に適したAMシステムの原理及び動作のさらなる詳細は、米国特許第9,031,680号に見出され、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0128】
述べられたように、システム10及び110は、印刷ヘッド16に成形材料を供給する1又は複数の液体材料容器又はカートリッジ430を使用する。容器430はシステムに積載可能であり、その結果、オペレータは、容器のうちの1つを取り外し、通常同じタイプの成形材料を含むが、異なるタイプの成形材料も含む場合がある他の容器とそれを交換するように決定することができる。交換は、印刷プロセスを中断しないように、印刷プロセスの終了時又は印刷プロセスが始まる前に行うことができる。したがって、例えば、システムが、印刷プロセスの開始前に、前の印刷プロセスの後に容器内に残っている材料の量が特定のオブジェクトの製造を完了するには不十分であることを識別すると、システムは、容器を完全に充填された新しい容器と交換するようにオペレータに警告することができる。
【0129】
本発明者らは、大型の印刷ジョブでは、完全に充填された容器でもジョブを完了するのに十分ではない場合があり、オペレータが容器を交換することに対応できないとき、例えば夜間又は週末に、容器が交換される必要があり得るため、印刷プロセスを中断することなくオブジェクトを製造することは常に可能ではないので、この解決策は不便であることを見出した。本発明者らはまた、オペレータが将来使用するためにシステムから取り外された部分的に充填された容器を保管する必要があるので、経時的に繰り返される可能性がある状況は不便であることを見出した。
【0130】
本発明者らはまた、印刷プロセスがあまりにも長い時間中断されたとき、中断後に製造されたオブジェクトの部分は、中断前に製造されたそれらの部分と比較して、異なる外観(通常、異なる色相)を有する場合があることを見出した。これは、通常、システムが一晩中又は週末の間に運転されている間に容器が空になり、オペレータが空の容器を交換するために到着し、印刷を継続することができるまで、システムを長時間停止させる必要があるときに起こる。
【0131】
したがって、本発明者らは、中断の継続時間を短縮する技法を考案した。
【0132】
別段の定義がない限り、以下に記載される動作は、多くの組合せ又は実行順序で同時に又は順次実行することができることを理解されたい。具体的には、以下のフローチャート図の順序付けは、限定と見なされるべきではない。例えば、以下の説明又はフローチャート図に特定の順序で現れる2つ以上の動作は、異なる順序(例えば、逆の順序)で又は実質的に同時に実行することができる。さらに、以下に記載されるいくつかの動作はオプションであり、実行されなくてもよい。
【0133】
図4は、本発明の様々な例示的な実施形態による3次元オブジェクトを印刷するのに適した方法のフローチャート図である。方法は、コントローラ(例えば、コントローラ20)によって操作されるAMシステムのコンピュータ(例えば、システム10又はシステム110のデータプロセッサ24)によって実行することができる。
【0134】
方法は、400で始まり、所望により且つ好ましくは401に進み、そこで印刷システムを操作する作業員の作業時間が受け取られる。作業時間は、通常、ユーザインターフェース、例えば、ユーザインターフェース116又はデータプロセッサ24のユーザインターフェースによって受け取られる。あるいは、作業時間は、コンピュータ可読記憶媒体(図示せず)から読み取られるか、又は通信ネットワークを介してコンピュータに送信されてもよい。
【0135】
方法は402に進み、そこでオブジェクトの3次元形状に一括して関連するコンピュータオブジェクトデータが受信される。例えば、コンピュータ(例えば、データプロセッサ24)は、コンピュータ可読記憶媒体にアクセスし、媒体からデータを取り出すことができる。データプロセッサはまた、例えば、コンピュータ支援設計(CAD)ソフトウェア又はコンピュータ支援製造(CAM)ソフトウェアによって記憶媒体からデータを取り出す代わりに、又はそれに加えて、データ又はその一部分を生成することもできる。コンピュータオブジェクトデータは、オブジェクトの表面を定義する複数のグラフィック要素(例えば、多角形のメッシュ、不均一有理基底スプラインなど)を含むことができる。本発明のいくつかの実施形態では、グラフィック要素は、例えば、各々が3Dオブジェクトの層を記述する複数のボクセルを含む複数のスライスを形成するスライス手順を使用して、オブジェクトの形状を定義するボクセルのグリッドに変換される。あるいは、方法は、スライス動作を実行する必要がない外部ソース、例えばコンピュータ可読媒体からスライスされたコンピュータオブジェクトデータを受信することができる。データはまた、オブジェクトを印刷するために使用される成形材料のタイプに関する情報を含む。データは、前述のコンピュータオブジェクトデータフォーマットのいずれかを含む、当技術分野で知られている任意のデータフォーマットであり得る。
【0136】
コンピュータは、AMシステムのコントローラ(例えば、コントローラ20)と通信して、コンピュータがコントローラにデータを転送することを可能にする。コンピュータは、印刷プロセスが始まる前にすべてのデータをコントローラに転送するか、又はデータの一部分のみを最初に転送し、印刷プロセス中、例えばコントローラからの要求時に転送を継続するように構成することができる。例えば、コンピュータは、スライスごとに、又は一度に2つ以上のスライスのバッチでデータを送信するように構成することができる。
【0137】
方法は403に進み、そこで供給期間Δtが計算される。供給期間Δtは、印刷プロセスで使用される成形材料を含む容器がその間に空になると予想される時間期間として定義される。供給期間Δtは、コンピュータオブジェクトデータに基づいてコンピュータ(例えば、データプロセッサ24)によって計算することができる。本発明のいくつかの実施形態では、供給期間Δtは、容器内の材料のあらかじめ決められた総量に基づいて計算される。例えば、コンピュータは、容器の総容量を表すあらかじめ定義されたパラメータを使用し、このパラメータ又はその一部をあらかじめ決められた総量として使用することができる。
【0138】
あるいは、コンピュータは、容器内の材料の量に関する入力を受け取り、供給期間Δtを計算するためにこの入力を使用することができる。入力は、ユーザインターフェースを介して受け取ることができるか、又はAMシステム装置のコントローラからの信号として受信することができる。コントローラは、量を測定するデバイス(例えば、容器内の液面センサ、又は限定はしないが、容器の重量を測定するロードセルなどの重量測定デバイス)と通信することにより、容器内の材料の量を取得することができる。
【0139】
通常、AMシステムは、異なる成形材料を供給する2つ以上の容器を備える。この場合、供給期間は、所望により且つ好ましくは、容器ごとに別々に計算され、それによって複数の供給期間を提供する。
【0140】
方法は、404に進み、そこで、遅延時間にオブジェクトの印刷を開始するための信号がAMシステムのコントローラに送信される。遅延時間は、供給期間の終了が作業員の作業時間内であるように選択される。例えば、所与の日の1:00AMに、コンピュータが特定のコンピュータオブジェクトデータに基づいてオブジェクトを印刷する要求を受信したと仮定する。さらに、コンピュータオブジェクトデータ及び容器内の成形材料の量に基づいて、コンピュータが3時間の供給期間Δtを計算し、受信された作業時間が午前9時から午後5時までであると仮定する。コンピュータは、3時間の期間の終了が午前9時から午後5時の間に入ることを保証するために、午前6時以降であるが午後2時以降ではない遅延時間にオブジェクトの印刷を開始するための信号をコントローラに送信することができる。
【0141】
方法が複数の供給期間を計算するとき、方法は、所望により且つ好ましくは、すべての供給期間の終了時間が作業時間内であることを保証するように遅延時間を選択する。上記の例に戻ると、コンピュータがAMシステム内の4つの異なる容器について、3時間、4時間、5時間、及び6時間の供給期間Δtを計算すると仮定する。この場合、コンピュータは、3時間の供給期間の終了が午前9時から午後5時の間に入ることを保証するために、午前6時以降であるが、午前11時以降ではない遅延時間にオブジェクトの印刷を開始するための信号をコントローラに送信することができる。
【0142】
方法は405で終了する。
【0143】
従来の3次元印刷システムでは、いくつかの液体容器が、別々の供給導管によって印刷ブロックの異なる区画に接続されている(例えば、上記の9,718,238を参照)。導管の各々は、材料が印刷ブロックに流れることを可能にする開状態と、液体の流れが防止される閉状態とを有する制御可能なバルブを有する。コントローラは、異なる材料が異なる容器から印刷ブロックの異なる区画に同時に供給されることを保証するようにバルブ及び印刷ブロックを動作させ、複数の異なる成形材料からオブジェクトを製造することを可能にする。したがって、コントローラは、混合命令に基づいて印刷プロセスを実行し、1つの容器及びそれぞれの区画に関連付けられた命令は、他の容器及びそれぞれの別の区画に関連付けられた命令と一緒に実行される。
【0144】
本発明者らは、命令のバッチに従って実行されると印刷プロセスをより効率的にすることができることを見出した、各バッチは容器のうちの1つに関連付けられるが、容器のうちの他のいずれにも関連付けられない。印刷プロセスは、システムの印刷ヘッドの各ノズルアレイがすべての他のノズルとは別に単一の容器に接続されているときに特に効率的であり、その結果、2つのノズルアレイは同じ容器から材料を受け取らず、容器は2つ以上のノズルアレイに材料を供給しない。この場合、方法は、異なるノズルアレイ及びこの容器に材料を供給する容器に対して毎回、印刷命令バッチを順次実行することができる。これは、容器とノズルアレイとの間の分岐流体経路内の流れを制御する必要がないので、動作の単純さの観点から効率を提供する。したがって、本発明の様々な例示的な実施形態では、方法は、容器とノズルアレイとの間の流れを制御するマニホールド又はバルブがなく、容器ごとに、容器とノズルアレイのうちの1つとの間に1対1の非分岐流体連通が存在するシステムによって実行される。
【0145】
本発明のいくつかの実施形態では、方法は、容器(例えば、容器430)から容器によって供給された印刷ヘッドのそれぞれのノズルアレイ(例えば、ヘッド16のアレイ122)への成形材料の流れを制御するポンプ432を備えるシステム(例えば、システム10又は110)によって実行される。ポンプ432は、任意のタイプのポンプであり得る。好ましい実施形態では、ポンプ432は蠕動ポンプであるが、他のタイプのポンプも考えられる。
【0146】
したがって、本発明のいくつかの実施形態では、1つの容器から造形材料を分配するように少なくとも1つのノズル(例えば、ノズルアレイ)を制御するために、印刷命令のバッチが実行される。次いで、例えば、容器が空になると、印刷命令の別のバッチが実行されるが、このときは異なるノズル又はノズルアレイに対して、且つ異なる容器に対して実行される。現在実行されている印刷命令のバッチは、通常、他の容器に関連付けられていることを除き、以前に実行された印刷命令のバッチの続きである。これにより、中断することなく、且つ一度に2つ以上の容器からの材料を使用することなく、オブジェクトの連続印刷プロセスが可能になる。
【0147】
図5A図5Cは、本発明のいくつかの実施形態による印刷命令のバッチの概略図である。2つのバッチ502、504が示されており、各々は、AMシステムの容器のうちの1つ(例えば、容器430のうちの1つ)に関連付けられているが、他の容器には関連付けられていない。バッチの数は2より多くてもよいことを理解されたい。
【0148】
各バッチは、印刷命令のセット、バッチ502用のセット502_1、502_2、...、502_N、バッチ504用のセット504_1、504_2、...、504_Nなどを含む。図示された実施形態では、異なる容器に関連付けられていることを除き、バッチ502、504は同一である。しかしながら、いくつかの用途では、バッチが同じ印刷命令を含む必要はない場合があるので、これは必ずしもそうである必要はない。さらに、バッチが同じ数の命令を含む必要はない。
【0149】
現在アクティブなバッチの現在実行されている印刷命令は、ポインタ506によって図5A図5C内でマークされている。実行はバッチ内及びバッチ間の両方で連続なので、図5A図5Cの各々にはポインタ506が1つしか存在しない。
【0150】
図5Aは印刷プロセスの開始を表し、最初のバッチ502の最初の印刷命令502_1が実行される。図5Bは、印刷プロセスの開始からしばらく後の状況を表す。ポインタ506は、バッチ506にさらに沿って命令502_iを指す。バッチ502に関連付けられた容器内の材料の最後の部分が命令502_iの実行中に使用され、その結果、この実行後にバッチ502に関連付けられた容器が空になる状況を考える。この場合、各バッチは単一の特定の容器に関連付けられているので、次の(i+1)命令はバッチ502によって実行されない。むしろ、ポインタ506は、他の容器に関連付けられたバッチ504のi+1命令に移動し(図5C)、容器のうちの1つは空であるが、実質的に中断することなく印刷プロセスが継続することを可能にする。
【0151】
図5A図5Cを参照して上述された印刷プロセスは、バッチ502及び504(及び必要に応じて他のバッチ)に個別に関連付けられた容器が同じタイプの成形材料を含むときに特に有用である。そのような状況の代表的な例は、同じ造形材料を含む2つの容器と、支持材料を含む2つの容器とを含むAMシステムである。限定と見なされるべきではないこの例のための適切な手順が、図6A図6Cに示されている。この場合、バッチ502及び504の1つのペアは、造形材料を含む容器と関連付けることができ、バッチ602及び604の別のペアは、支持材料を含む容器と関連付けることができる。図6Aは印刷プロセスの開始を表し、バッチ502の最初の印刷命令502_1及びバッチ602の最初の印刷命令602_1が実行される。図6Bは、例えば、バッチ502に関連付けられた容器が空になったので、バッチ502の代わりに、印刷バッチ504の開始後のある時間がアクティブである一方で、例えば、バッチ602に関連付けられた容器が依然として十分な量の支持材料を含むので、バッチ602が依然としてアクティブである状況を表す。図6Cは、例えば、バッチ602に関連付けられた容器が空になったので、印刷バッチ504の開始後のある時間が依然としてアクティブであり、バッチ604が(命令602_jの実行後に)アクティブになったばかりである状況を表す。
【0152】
本発明のいくつかの実施形態では、AMシステムのコントローラは2つの印刷モード間の選択を可能にし、第1の印刷モードにおいて、各バッチは容器ごとに別々に実行され、第2の印刷モードにおいて、容器のうちの1又は複数は、造形材料を含む容器のうちの別の1つが空になる前に造形材料を供給する。モード間の選択は、例えばユーザインターフェースを使用してユーザによって行うことができる。あるいは、選択は自動であってもよい。例えば、コントローラが同じ造形材料を含む2つの容器がシステムに装填される状況を識別すると、コントローラは第1のモードを自動的に選択することができる。逆に、コントローラがシステムに装填される2つの容器が同じ造形材料を含まない状況を識別すると、コントローラは第2のモードを自動的に選択することができる。造形材料のタイプの識別は、例えば、容器に取り付けられた識別タグ又はバーコードによって行うことができる。
【0153】
2つの印刷モードのうちの1つが選択された実施形態における3次元印刷方法のフローチャートが図7に示されている。
【0154】
方法は、700で始まり、701に進み、そこで(例えば、方法400の動作402に関して)上記でさらに詳述されたように、オブジェクトの3次元形状に一括して関連するコンピュータオブジェクトデータが受信される。方法は判断702に進み、そこで方法が2つの印刷モードの間で選択する。選択は、上記でさらに詳述されたようにユーザによって又は自動的に実行することができる。702で第1のモードが選択された場合、方法は703に進み、そこで、一連の印刷命令バッチが実行され、造形材料の容器ごとに1つのバッチが実行され、その結果、以前に実行されたバッチに関連付けられた造形材料容器が空になる前にバッチは実行されない。例えば、703において、方法は、図5A図5Cに関して上述された手順と同様の手順を実行することができる。702で第2のモードが選択された場合、方法は704に進み、そこで、同時に造形材料を分配する2つ以上のノズルアレイを操作することにより、2つ以上の造形材料容器が同時に使用される。
【0155】
方法は、オブジェクトの製造が完了すると705で終了する。
【0156】
回転AMシステム(例えば、システム10)が使用されるとき、トレイ12と印刷ヘッド16との間の相対回転運動は、ヘッドとトレイとの間の相対線速度が、回転軸14に近いノズルよりも軸14から遠いノズルの方が速い状況をもたらすことが諒解される。ここで、トレイ12(又は、同等にヘッド16)の回転速度は、通常、オブジェクトの迅速な自由造形を可能にするために十分高くなるように選択されるが、それに対して移動している表面上に着弾する液滴の衝撃による液滴の形状変形の影響を低減するために高すぎない。
【0157】
従来のシステムは、印刷ヘッドの半径方向位置に応じてトレイの回転速度を変化させ、その結果、印刷ヘッドが回転軸に近づくように再配置されると回転速度が増加し、印刷ヘッドが回転軸から離れるように再配置されると回転速度が減少する(例えば、前掲の国際公開第2016/009426号を参照)。本発明者らは、トレイと印刷ヘッドとの間の相対回転速度を選択するときにコンピュータオブジェクトデータを考慮することにより、回転AMシステムにおける印刷プロセスを改善できることを見出した。改良された印刷方法の代表例が図8に示されている。
【0158】
方法は、800で始まり、所望により且つ好ましくは801に進み、そこで、上記でさらに詳述されたように、オブジェクトの3次元形状に一括して関連するコンピュータオブジェクトデータが受信される。方法は、所望により且つ好ましくは802に進み、そこで、オブジェクトの表面を形成するグラフィック要素を、各々がオブジェクトの層を記述する複数のボクセルを含む複数のスライスに変換するスライス手順を実行することによってスライスデータが生成される。あるいは、方法は、スライス動作802を実行する必要がない外部ソース、例えばコンピュータ可読媒体からスライスされたコンピュータオブジェクトデータを受信することができる。
【0159】
803において、802で定義されたスライスのパターン化されたスライスが選択される。802が実行されないとき、パターン化されたスライスは外部ソースから受信される。スライスは、AMの技術分野で知られているように、最下スライスから最上スライスまで順序付けられた方式で、803において選択又は受信される。
【0160】
方法は804に進み、そこで、パターン化されたスライスを定義するパターンに基づいて、トレイと印刷ヘッドとの間の相対回転運動の回転速度が選択される。回転速度は、好ましくはパターンの一部分、より好ましくはパターンに対応するすべてのボクセルの中で垂直軸から最も遠いボクセルを包含するオブジェクトを有する領域を画定する部分の半径位置に基づいて選択される。例えば、回転速度は、軸と前述の最も遠いボクセルとの間の距離に基づいて選択することができる。
【0161】
通常、回転速度は、パターンの一部分の半径方向位置における線速度があらかじめ決められた線速度閾値以下であることを保証するように選択される。例えば、線速度閾値をvthで示し、軸とパターンの一部分の半径方向位置との間の距離をrで示すと、方法は、所望により且つ好ましくは、約ω=vth/rである回転速度ωを計算する。パターンの一部分がパターンのボクセルの中で最も遠いボクセルであるとき、そのような選択は、パターン内のボクセルが閾値vthを超える相対線速度をもたないことを保証する。
【0162】
回転速度が計算されると、コントローラは、計算された回転速度ωに一致するようにトレイとヘッドとの間の相対回転運動の速度を調整し、方法は805に進み、そこで、パターン化されたスライスに応じてパターン化された成形材料の層が相対回転運動中にトレイ上に分配される。分配に続いて、上記でさらに詳述されたように、層を真っ直ぐにし、硬化させることができる。
【0163】
本発明の様々な例示的な実施形態では、方法は、トレイとヘッドとの間の相対回転運動が層の形成全体を通して変化しないように、一定の回転速度を選択する。これらの実施形態は、層の形成中に印刷ヘッドが半径方向に沿って移動することができないときに特に有用である。
【0164】
動作805は、回転速度を再調整することなく2つ以上の層が形成されるように、同じ(好ましくは一定の)回転速度について繰り返すことができる。あるいは、805で層が形成されると、方法は、次のスライスを記述するデータを受信するために803にループバックすることができる。少なくとも2つの隣接する層が同じ回転速度で形成され、少なくとも2つの隣接する層が異なる回転速度で形成されるように、層の一部分に対してループバックが実行される実施形態も考えられる。例えば、ループバックはN個の層ごとに実行することができ、ここでNは1より大きい正の整数である。
【0165】
スライスデータが802で生成される本発明の実施形態では、方法は、所望により且つ好ましくは、オブジェクトの全体的な印刷時間を短縮するようにデータを生成する。好ましくは、方法は、同じ印刷プロセス中に2つ以上のオブジェクトが印刷されるとき、オブジェクトのより高い部分(又はオブジェクトのグループ)がオブジェクトのより低い部分よりも回転軸に近くなるように、回転トレイの座標系内で配向された複数のスライスを記述するデータを生成する。これらの実施形態は、より高速で形成される層の数を増加させ、したがって全体的な印刷時間を短縮するので、回転速度がω=vth/rに従って計算されるときに特に有用である。
【0166】
方法は806で終了する。
【0167】
図9A及び図9Bは、システムからの廃棄物の収集に関与するAMシステム(例えば、システム10又は110)の部分の概略図を提供する。図9Aは、レベリングデバイス32及びローラ326を含むAMシステムの一部分を示す。図9Bは、印刷ヘッドの分配面(例えば、オリフィスプレート121)を拭き取ること、及び印刷ヘッドの分配面から拭き取られた、又はパージされた液体成形材料を収集することを含むがそれらに限定されないサービス作業を自動的に実行するためのサービスステーションシステム960を含むAMシステムの一部分を示す。
【0168】
図9Aを参照すると、本発明の好ましい実施形態では、レベリングシステム32は、ローラ326と、槽932、ローラ326から槽932内に廃棄物を除去するためのブレード934(図示せず、図1A参照)、及び複数の管状構造950を含む廃棄物収集デバイス136とを備える。槽932は、好ましくは細長い。好ましくは、槽932の長さは、少なくともローラ326の長さである。管状構造950は、例えば、ポンプシステム952によって、槽932から廃棄物カートリッジ902に成形材料を搬送するための機構として機能し、ポンプシステム952は、所望により且つ好ましくは、印刷システムのコントローラ(例えば、コントローラ20)によって制御され、廃棄物導管954によってカートリッジ902との流体連通を確立することができる。図9Aは、廃棄物導管954が上方からカートリッジ902の上部に到達する実施形態を示しているが、廃棄物導管が下方から到達する実施形態も考えられる(図9Fの廃棄物導管926を参照)。廃棄物カートリッジ902は、所望により且つ好ましくは、廃棄物カートリッジネスト900に取り付けられる。ポンプシステム952は、構造450の出口に接続された、例えばマニホールドの形態の複数の入口ポートを有する単一のポンプとして具現化することができる。あるいは、ポンプシステム972は、複数の別々のポンプとして具現化することができ、ポンプのうちの2つ以上は別個の管状構造450に接続される。
【0169】
本発明の様々な例示的な実施形態では、槽932の基部936は、複数の分離された凹部領域942を含む。これらの実施形態では、管状構造950の入口は、凹部領域942内に配置される。凹部領域942は、液体成形材料が重力によって領域942に流入することを可能にする液体コレクタとして機能する。凹部領域942は、任意の形状で構成することができる。例えば、基部936は、波状形状を有する非平面であり得、この場合、凹部領域942は波状形状のトラフである。波状形状は湾曲している必要はない。図9Aに示された実施形態では、例えば、基部936の非平面は、波状形状を形成する複数の傾斜セグメントを含む。凹部領域942の他の形状も考えられる。例えば、凹部領域942は、垂直壁、又は傾斜壁、又は階段壁、又は湾曲壁を有する井戸の形状を有することができる。
【0170】
図9Bを参照すると、サービスステーションシステム960は、所望により且つ好ましくは傾斜し、出口ポート978が設けられた底部976を有する槽962を備える。好ましくは、必ずしもそうとは限らないが、槽962は、その上部がほぼ水平になるように槽962を支持するための高速放出コネクタ964を有する。高速放出コネクタ964は、例えば、所望に応じてラッチアセンブリ又はスナップ式コネクタを備えることができる。コネクタ964がラッチアセンブリであるとき、コネクタ964は、所望により且つ好ましくは、下方から槽962を支持するように成形された屈曲した金属ワイヤなどであるが、それらに限定されない屈曲した弾性ワイヤを含む。
【0171】
サービスステーションシステム960はまた、印刷ヘッドが槽962の上方を往復移動する間に、1又は複数の印刷ヘッドの分配面(例えば、ヘッド16のオリフィスプレート121)を拭き取るように構成された拭き取り要素970を有するワイパアセンブリ966を備える。
【0172】
ワイパ要素970は、3次元印刷システムのインデックス方向に対してほぼ垂直に配向することができる。これらの実施形態は、回転システム(例えば、システム10)が使用されるときに特に有用であり、その場合、ヘッドは半径方向に沿ってサービスステーション960の位置に移動し(図1B参照)、その結果、ほぼ方位角方向に沿って配向されたワイパ要素970は、ヘッドがサービスステーションゾーンに入る間にヘッド上の分配面を拭き取る。要素970がインデックス方向に対して垂直である実施形態では、ワイパ要素970の幅は、所望により且つ好ましくは、少なくとも印刷システムのすべての印刷ヘッドの幅である。これにより、同じワイパ要素970が印刷システムのすべてのヘッドを拭き取ることが可能になる。
【0173】
ワイパ要素970は、代替として、3次元印刷システムのインデックス方向に対してほぼ平行に配向することができる。これらの実施形態は、直線反転システム(例えば、システム110)が使用されるときに特に有用であり、その場合、ヘッドは走査方向に沿ってサービスステーション960の位置に移動し、その結果、ほぼインデックス方向に沿って配向されたワイパ要素970は、ヘッドがサービスステーションゾーンに入る間にヘッド上の分配面を拭き取る。要素970がインデックス方向に対してほぼ平行である実施形態では、ワイパデバイスの幅は、所望により且つ好ましくは、少なくとも印刷ヘッドの長さである。これにより、同じワイパ要素970が印刷システムのノズルアレイ全体を拭き取ることが可能になる。
【0174】
サービスステーションシステム960の使用中に、印刷システムのコントローラは、槽962の上方のサービスステーションシステム960の位置に印刷ヘッドを移動させる。槽962上でのヘッドの移動中、ワイパ要素970は、ヘッドの分配面に係合して、その上に蓄積されている可能性がある余分な成形材料を除去する。余分な材料は、液体廃棄物としてワイパ要素970から槽962内に滴下する。液体廃棄物は、例えばポンプ(図示せず)を用いて、又は重力によって、出口ポート978を通って槽962から廃棄物カートリッジ902内に除去することができる。カートリッジ902とポート978との間の流体連通は、サービスステーション廃棄物導管980によって確立することができる。図9Bは、廃棄物導管980が上方からカートリッジ902の上部に到達する実施形態を示す。廃棄物導管が下方から到達する実施形態が図9Fに示されている(廃棄物導管926を参照)。印刷ヘッドが槽962の上方にある間、コントローラは、パージ手順を実行するように印刷ヘッドに指示することもできる。例えば、ヘッドのチャネル又はシステム内の他の流体経路から以前の成形材料を除去するために、ヘッドを供給する成形材料容器を変更する前にパージ手順を実行することができる。この場合、槽962はまた、パージされた材料を収集し、その後、パージされた材料は出口ポート978を介して廃棄物カートリッジ902内に排出することができる。
【0175】
本発明のいくつかの実施形態では、ワイパアセンブリ966はワイパベース968を備え、ワイパ要素970はワイパベース968に着脱可能に接続される。これらの実施形態の利点は、印刷システムからサービスステーションシステム960を取り外す必要なしに、ワイパ要素970の容易な交換を可能にすることである。ワイパベース968は、槽962を貫通し、所望により且つ好ましくは回転可能な軸974に取り付けられる。
【0176】
本発明のいくつかの実施形態では、ワイパベース968は、シャフト988によって軸974に取り付けられる。これらの実施形態では、シャフト988は、モータ424による軸974の回転とは別々に、且つそれに対して垂直に回転可能である。シャフト988が軸974に対して垂直に回転することを可能にする利点は、それがワイパ要素970に2つの回転自由度を与え、それによってワイパ要素970を印刷ヘッドの分配面と位置合わせする能力を改善し、したがって拭き取り効率も改善することである。シャフト988が軸974とは別々に回転することを可能にする利点は、それがワイパ要素970に自動位置合わせ特性を提供することである。具体的には、ワイパ要素970を印刷ヘッドの分配面にわずかに押し付けることにより、ワイパ要素970は、シャフト988の独立した回転を介して分配面と位置合わせされるようになる。好ましくは、シャフト988は水平方向に対して傾斜している。傾斜により、回転軸974によって印刷ヘッドの分配面と係合するようにワイパ要素970を調整することが可能になる。
【0177】
本発明のいくつかの実施形態では、ワイパベース968は、ワイパデバイスによって拭き取られるか又は印刷ヘッドによってパージされた液体成形材料からシャフト988と軸974との間の接続を遮蔽するための遮蔽構造として成形されるか、又はそれを備える。本発明者らは、遮蔽構造が軸974に対するシャフト988の回転不良を低減することを見出した。
【0178】
拭き取り要素970は、好ましくは、実質的に直線状であり、その幅全体にわたって連続する拭き取り端部を有する。好ましくは、拭き取り要素970はエラストマーである。拭き取り要素970に適したエラストマーは、約70~約90のショアA硬度を特徴とするエラストマーである。
【0179】
ショア硬度又は単に硬度とも呼ばれるショアA硬度は、タイプAデュロメータスケールによって定義される永久インデンテーションに対する材料の耐性を記述する。ショア硬度は、通常、ASTM D2240に従って決定される。
【0180】
本実施形態に適した代表的なタイプのエラストマーは、限定はしないが、エチレンプロピレンジエンなどの合成ゴムを含むがそれに限定されない。
【0181】
本発明のいくつかの実施形態では、拭き取り要素970(例えば、エラストマー拭き取り要素)は、限定はしないが、金属平面構造などの弾性非ポリマー平面構造982に接続される。構造982は、例えばヘッド上の材料の過度の蓄積に起因する一時的な位置ずれの場合に、弾性力が拭き取り要素970をヘッドの分配面と再位置合わせすることができるので、上述の自動位置合わせ特性にさらなる自由度を加える。構造982はまた、要素が摩耗しようとしているときでも、ヘッド上の要素970の十分な圧力を維持するので、拭き取り要素970の寿命を延ばす。
【0182】
図9C図9Fは、廃棄物カートリッジ902及び廃棄物カートリッジネスト900をより詳細に示す。廃棄物カートリッジネスト900は、カートリッジ902がネスト内に前方に押し込まれると、廃棄物カートリッジ902をネスト900に係止するためのカートリッジ係止部材904を備える。カートリッジ係止部材904は、コイルばね、片持ち梁、傾斜台、ボルト、スナップコネクタなどを含むがそれらに限定されない任意のタイプの部材であり得、所望に応じて、カートリッジの下、及び/又はカートリッジの上、及び/又はその側面のうちの1つ若しくは複数にカートリッジを係合するように取り付けることができる。
【0183】
図9C図9Eに示された代表的な例では、係止部材は、固定端906及び自由端908を有し、その負荷状態(図9C)で曲がり、その弛緩状態(図9D)で真っ直ぐになるように構成された弾性片持ち梁として具現化されている。片持ち梁904は、カートリッジ902がネスト内にあるときに梁904がカートリッジの下にあるように、ネストの底部に取り付けることができる。片持ち梁904には、その自由端908にアンカー910を設けることができる。カートリッジ902をネスト900に装填するために、アンカー908がカートリッジ902をネスト900内にスライドさせることを可能にするように、梁904に(例えば、図9Cに示されたように下向きに)曲げ荷重が加えられる。次いで、カートリッジ902は、ネスト900内に前方に押し込まれる(図9D)。カートリッジ902がネスト900内のその最終位置にあるとき、曲げ荷重が解放され、カンチレバー904が真っ直ぐになり、アンカー910がカートリッジ902の逆運動を防止する。曲げ荷重は、カートリッジ902自体によって加えることができ、その場合、アンカー910は、図9Cに示されたように、カートリッジ902がネスト内にスライドしている間にカートリッジ902と接触する。好ましくは、カートリッジ902がネスト900内のその最終位置にあると、その前壁は垂直方向に対して角度αで傾斜している(図9E)。αの典型的な値は、約1°~約5°、例えば約2°である。カートリッジ902を取り出すために、アンカー910に(例えば、下方に)曲げ荷重が加えられ、カートリッジ902がネストから引き出される。
【0184】
廃棄物カートリッジネスト900はまた、流体コネクタ914を担持する入口ポート係合部材912を備える。カートリッジ902がネスト900内に前方に押し込まれると、係合部材912は、コネクタ914がカートリッジ902の入口ポート918と密封係合することを保証する。入口ポート係合部材912は、コイルばね、片持ち梁、傾斜台、ボルト、スナップコネクタなどとして具現化することができる。図9C図9Fに示された代表的な例では、係合部材912は、固定端920及び自由端922を有し、その負荷状態(図9C)で曲がり、その弛緩状態(図9D)で真っ直ぐになるように構成された片持ち梁として具現化される。コネクタ914は、梁912の自由端920に取り付けられる。
【0185】
好ましくは、コネクタ914は、廃棄物カートリッジ902がネスト900を占有するとき、及び廃棄物カートリッジ902がネスト900から引き離されるときの両方で、廃棄物収集デバイス(例えば、レベリングシステム32及び/又はサービスステーションシステム960、図9A及び図9Bを参照)に接続される。コネクタ914が2つ以上の廃棄物収集デバイス(例えば、レベリングシステム32及び/又はサービスステーションシステム960の両方)に接続するとき、収集デバイスの各々からの導管(例えば、導管954、980)は、単一の導管926に接続することができ(図9B)、コネクタ914は導管926に接続することができる。
【0186】
本発明のいくつかの実施形態では、廃棄物カートリッジ902には、入口ポート918に適合するコルク924が設けられる。廃棄物カートリッジ902の搬送中、コルク924は入口ポート918を密封する。カートリッジ902をネスト900に装填する前に、コルク924は、所望により且つ好ましくは、図9E及び図9Fに示されたように、入口ポート918から横方向に変位したカートリッジ902の本体上の専用の位置に取り付けられる。カートリッジ902をネスト900から取り出した後、コルク924は専用の場所から取り外され、ポート918上に置かれてカートリッジ902内の廃棄材料を密封する。
【0187】
図10は本発明のいくつかの実施形態による、限定はしないが、AMシステム10又は110などの3次元印刷システムの印刷ヘッド16の印刷ヘッド基板552を試験するための集積回路550の概略図である。印刷ヘッド基板552は、直接集積回路550と電気的に連通しているエッジコネクタ560、又は図10に示されたようにデータケーブル561によってヘッド16と電気的に連通しているエッジコネクタ560に適合し、取り外し可能に接続可能なソケット562を含む。図示された実施形態では、エッジコネクタ560及びソケット562は切り離されている。
【0188】
基板552は、限定はしないが、成形材料の液滴の分配、及び加熱、温度監視、計時などのうちの少なくとも1つを含む、ヘッド16の動作に関与するAMシステムのコントローラ(例えば、コントローラ20)からの信号を受信する駆動素子554を含む。本発明のいくつかの実施形態では、基板554はまた、記憶媒体558及びマイクロプロセッサ556を備え、AMシステムのコントローラは、マイクロプロセッサ556と通信するように構成される。これらの実施形態では、駆動素子554のうちの1又は複数は、AMシステムのコントローラから直接ではなく、マイクロプロセッサ556から動作信号を受信する。記憶媒体558は、パラメータ及び印刷命令を格納し取り出すためにマイクロプロセッサ556によって使用される。
【0189】
集積回路550は、ヘッド16のエッジコネクタ560と同じタイプのエッジコネクタであり、また参照符号560によって図10に示されたエッジコネクタにより、印刷ヘッド基板552のソケット562に着脱可能に接続可能である。集積回路550を使用する前に、ヘッド16のエッジコネクタ560をソケット562から取り外すことによってヘッド16が基板552から引き出され、集積回路550のエッジコネクタ560がソケット562内に押し込まれ、このようにして回路550と基板552との間の電気通信が確立される。
【0190】
集積回路550はまた、印刷ヘッド基板552を、印刷ヘッド16が材料を分配していない試験モードに自動的に切り替え、試験信号を基板552に送信し、基板552から応答信号を受信するように構成された回路564を備える。例えば、回路564は、記憶媒体558への試験信号、及び/又は基板552上の1つ若しくは複数の発熱体570への試験信号、及び/又は基板552への電圧供給を模倣する試験信号、及び/又は分配パルスを模倣する試験信号、及び/又はデータ信号を模倣する試験信号などを送信することができる。本発明のいくつかの実施形態では、印刷ヘッド基板552はまた、1又は複数のサーミスタ568を備え、その場合、回路564はサーミスタ568に試験信号を送信することができる。本発明の様々な例示的な実施形態では、回路564は、ユーザの介入なしにすべての試験信号を自動的に送信するように構成される。所望により、回路550は、試験を初期化及び/又は再実行するための起動制御装置578(例えば、押しボタン)を備える。
【0191】
集積回路550は、所望により且つ好ましくは、回路564によって受信された応答信号に基づいて、印刷ヘッド基板552の状態に関する光信号を生成するための可視指示パネル572も備える。指示パネル572は、通常、ユーザが、例えばルックアップテーブルなどを使用して基板552の状態を識別することができる表示574、記号、又はグラフィック要素を表示するように構成されたディスプレイであり得る。パネル574は、所望により且つ好ましくは、基板554の故障する可能性がある構成部品に関連付けられたソケット562のピン番号を示すコードを提供する。本発明のいくつかの実施形態では、パネル572は、例えば不合格/合格指示及び/又は電源オン/オフ指示などの追加の指示を提供するための1又は複数のLEDインジケータ576を含む。
【0192】
本明細書で使用される「約」という用語は、±10%を指す。
【0193】
「備える」、「備えている」、「含む」、「含んでいる」、「有している」という用語、及びそれらの活用形は、「限定はしないが含む」を意味する。
【0194】
「からなる」という用語は、「限定をして含む」を意味する。
【0195】
「本質的に~からなる」という用語は、組成物、方法、又は構造が追加の成分、工程、及び/又は部部品を含んでもよいが、追加の成分、工程、及び/又は部品が特許請求される組成物、方法、又は構造の基本的且つ新規の特徴を実質的に変化させない場合に限ることを意味する。
【0196】
本明細書で使用される単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数の参照を含む。例えば、「化合物」又は「少なくとも1つの化合物」という用語は、それらの混合物を含む複数の化合物を含んでもよい。
【0197】
本出願全体を通して、本発明の様々な実施形態は、範囲形式で提示され得る。範囲形式での記述は、単に便宜及び簡潔さのためであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない限定として解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の記述は、すべての可能な部分範囲並びにその範囲内の個々の数値を具体的に開示していると見なされるべきである。例えば、1~6などの範囲の記述は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの部分範囲、並びにその範囲内の個々の数、例えば1、2、3、4、5、及び6を具体的に開示していると見なされるべきである。これは、範囲の広がりに関係なく適用される。
【0198】
本明細書において数値範囲が示されたときはいつでも、それは示された範囲内の任意の引用された数字(分数又は整数)を含むことを意味する。第1の指示数と第2の指示数との「間の範囲」及び第1の指示数「から」第2の指示数「までの範囲」という語句は、本明細書では互換的に使用され、第1及び第2の指示数並びにそれらの間のすべての分数及び整数を含むことを意味する。
【0199】
明確にするために別々の実施形態の文脈で記載された本発明のいくつかの特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよいことが諒解される。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈で記載された本発明の様々な特徴はまた、別々に、若しくは任意の適切な部分的組合せで、又は本発明の任意の他の記載された実施形態において適切であるように提供されてもよい。様々な実施形態の文脈で記載されたいくつかの特徴は、実施形態がそれらの要素なしでは動作不能でない限り、それらの実施形態の本質的な特徴と見なされるべきではない。
【0200】
上記で描写され、以下の特許請求の範囲のセクションで特許請求される本発明の様々な実施形態及び態様は、以下の実施例において実験的確証を見出す。
【0201】
実施例
【0202】
ここで、上記の説明と一緒に本発明のいくつかの実施形態を非限定的に示す以下の実施例を参照する。
【0203】
印刷ヘッド基板を試験するための例示的な回路
【0204】
印刷ヘッドの印刷ヘッド基板を試験するための集積回路は、本発明のいくつかの実施形態に従って製造された。
【0205】
図11Aは、ソケット562に取り付けられた直後の集積回路の画像である。指示パネルは、集積回路がソケットに正しく挿入されているという指示を表示する。図11Bは、ソケットに取り付けられた約1秒後の集積回路の画像である。指示パネルは、回路のバージョン番号に関する情報を表示する。図11Cは、ソケットに取り付けられた約2秒後の集積回路の画像である。指示パネルは、試験が実行されていることを示す実行表示(矢印)を表示する。図11Dは、基板が動作可能である場合のテキストの完了後の集積回路の画像である。矢印(i)及び(ii)は、それぞれ、試験の結果及び電源状態に関するLEDインジケータを示し、矢印(iii)は、必要に応じて、試験を再要求するためのプッシュボタンを示す。図11Eは、試験に合格しなかった場合のテキストの完了後の集積回路の画像である。図11Eにおいて、ディスプレイは、どの構成部品が機能していないかをオペレータが判定することを可能にするフェイルコード[矢印(iv)]を示す。
【0206】
本発明がその特定の実施形態とともに記載されているが、多くの代替形態、修正形態、及び変形形態が当業者には明白であることは明らかである。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨及び広い範囲に入るすべてのそのような代替形態、修正形態、及び変形形態を包含することが意図されている。
【0207】
本明細書内で参照されるすべての刊行物、特許、及び特許出願は、あたかも各個々の刊行物、特許、又は特許出願が参照により本明細書に組み込まれることが言及されるときに具体的且つ個別に言及されたかのように、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれることが本出願人の意図である。加えて、本出願における任意の参照文献の引用又は識別は、そのような参照文献が本発明の先行技術として利用可能であることの承認として解釈されるべきではない。セクションの見出しが使用される限り、それらは必ずしも限定的であると解釈されるべきではない。加えて、本出願の任意の優先権書類は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
【国際調査報告】