(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】KRAS G12C変異を含む癌を治療するためのソトラシブ及びEGFR抗体
(51)【国際特許分類】
A61K 31/519 20060101AFI20240621BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240621BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240621BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240621BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240621BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240621BHJP
C07K 16/28 20060101ALN20240621BHJP
【FI】
A61K31/519
A61P35/00
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K39/395 T
A61K39/395 N
A61P35/02
C07K16/28 ZNA
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023576362
(86)(22)【出願日】2022-09-07
(85)【翻訳文提出日】2023-12-12
(86)【国際出願番号】 US2022076052
(87)【国際公開番号】W WO2023039430
(87)【国際公開日】2023-03-16
(32)【優先日】2021-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500049716
【氏名又は名称】アムジエン・インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン,エミリー
(72)【発明者】
【氏名】フライバーグ,グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】マザー,オマー
(72)【発明者】
【氏名】ハウク,ブレット・イー
(72)【発明者】
【氏名】ンガームチャムナンリー,ガタリー
(72)【発明者】
【氏名】ヘナリー,アビ
(72)【発明者】
【氏名】ダッタ,サンディープ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084MA02
4C084NA05
4C084ZB261
4C084ZB271
4C084ZC751
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4C086AA01
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4C086MA52
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC75
4H045AA30
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
(57)【要約】
本明細書では、患者においてKRAS G12C変異を含む癌を治療する方法であって、癌を治療するのに有効な量のソトラシブ及び抗上皮増殖因子受容体(EGFR)抗体を患者に投与することを含む方法が提供される。FOLFIRI(イリノテカン、5-FU及びロイコボリン)を患者に投与することをさらに含む方法がさらに提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者においてKRAS G12C変異を含む癌を治療する方法であって、前記癌を治療するのに有効な量の(a)ソトラシブ及び(b)抗上皮増殖因子受容体(EGFR)抗体を患者に投与することを含む方法。
【請求項2】
毎日960mgのソトラシブを前記患者に投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
毎日240mgのソトラシブを前記患者に投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ソトラシブを1日1回前記患者に投与することを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ソトラシブを1日2回前記患者に投与することを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記抗EGFR抗体が、パニツムマブである、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
6mg/kgのパニツムマブを前記患者に投与することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
(a)毎日960mgのソトラシブ;及び
(b)2週間毎にIV投与による6mg/kgのパニツムマブ
を前記患者に投与することを含む、請求項6又は請求項7に記載の方法。
【請求項9】
(a)毎日240mgのソトラシブ;及び
(b)2週間毎にIV投与による6mg/kgのパニツムマブ
を前記患者に投与することを含む、請求項6又は請求項7に記載の方法。
【請求項10】
(c)イリノテカン、(d)5-FU、及び(e)ロイコボリン又はレボロイコボリンを前記患者に投与することをさらに含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
IV投与により400mg/m
2のロイコボリンを前記患者に投与することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
IV投与により200mg/m
2のレボロイコボリンを前記患者に投与することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
IV投与により180mg/m
2のイリノテカンを前記患者に投与することを含む、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
IV投与により400mg/m
2の5-FUを前記患者に投与することを含む、請求項10~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
IV投与により、180mg/m
2のイリノテカン、400mg/m
2のロイコボリン、及び400mg/m
2の5-FUを、IVボーラスで2週間毎に前記患者に投与すること、並びに2400mg/m
2の5-FUを、IV持続注入で46~48時間かけて前記患者に投与することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
IV投与により、180mg/m
2のイリノテカン、200mg/m
2のレボロイコボリン、及び400mg/m
2の5-FUのIVボーラス並びに2400mg/m
2の5-FUの46~48時間にわたるIV持続注入を、2週間毎に前記患者に投与することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記癌が、固形腫瘍である、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記癌が、非小細胞肺癌(NSCLC)である、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記癌が、転移性膵臓癌である、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記癌が、結腸直腸癌である、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記癌が、転移性結腸直腸癌(mCRC)である、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記患者が、少なくとも1つの以前の全身癌療法を受けている、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記患者が、少なくとも2つの以前の全身癌療法を受けている、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記全身癌療法が、フルオロピリミジン、イリノテカン、及びオキサリプラチンを前記患者に投与することを含む療法である、請求項22又は請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記mCRCがMSI-Hであると決定され、前記全身癌療法が前記患者にチェックポイント阻害剤を投与することを含む療法である、請求項21~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記mCRCがBRAF V600E変異を含み、前記全身癌療法がエンコラフェニブ及びセツキシマブを前記患者に投与することを含む療法である、請求項21~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記患者が、2以下のECOGパフォーマンスステータスを示す、請求項21~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記患者が、活動性脳転移を有しない、請求項21~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記全身療法が、KRAS
G12C阻害剤を前記患者に投与することを含む療法ではない、請求項22~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記患者が、以前の全身癌療法を受けていない、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記患者が、活動性脳転移を有しない、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記mCRCが、BRAF V600E変異を含まない、請求項30又は請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記mCRCが、MSI-Hではないと決定される、請求項30~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記全身療法が、KRAS
G12C阻害剤を前記患者に投与することを含む療法である、請求項30~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記患者が、1以下のECOGパフォーマンスステータスを示す、請求項30~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記患者が、1つの以前の全身癌療法を受けている、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記癌がMSI-Hであると決定された場合、前記全身癌療法がチェックポイント阻害剤である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記患者が前記全身癌療法を受けており、前記療法中又はその後に進行した、請求項36又は請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記全身療法が、KRAS
G12C阻害剤を前記患者に投与することを含む療法ではない、請求項36~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記全身療法が、イリノテカンを投与することを含む療法ではない、請求項36~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記患者が、1以下のECOGパフォーマンスステータスを示す、請求項36~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記患者が、活動性脳転移を有しない、請求項36~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記mCRCが、BRAF V600E変異を含まない、請求項36~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記患者が、RECIST 1.1プロトコルによって測定して、ソトラシブ及びパニツムマブ療法の1、3、又は6ヶ月後に少なくとも安定な疾患(SD)を示す、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記患者が、RECIST 1.1プロトコルによって測定して、ソトラシブ及びパニツムマブ療法の1、3、又は6ヶ月後に少なくとも部分奏効(PR)を示す、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記患者が、制酸薬による治療をさらに必要とする、請求項1~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記制酸薬が、プロトンポンプ阻害剤(PPI)、H2受容体アンタゴニスト(H2RA)、又は局所作用制酸剤である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記制酸薬が、局所作用制酸剤であり、ソトラシブが、前記局所作用制酸剤の約4時間前又は約10時間後に投与される、請求項46又は請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記患者が、プロトンポンプ阻害剤(PPI)又はH2受容体アンタゴニスト(H2RA)による治療をさらに必要とする、請求項1~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記患者が、ソトラシブと組み合わせてPPI又はH2RAを投与されない、請求項49に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2021年9月8日に出願された米国仮特許出願第63/241,601号、2022年1月12日に出願された米国仮特許出願第63/298,747号、及び2022年8月31日に出願された米国仮特許出願第63/374,012号の利益を主張し、これらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
電子的に提出された資料の参照による組み込み
配列表を含むテキストファイルの名称は「55328P3_Seqlisting.XML」であり、2022年8月23日に作成され、サイズは13,982バイトである。配列表の対象物は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
ラット肉腫(RAS)癌原遺伝子は、非小細胞肺癌(NSCLC)及び結腸直腸癌(CRC)などの癌における腫瘍発生の発癌ドライバーとして同定された。RASファミリーは、細胞増殖及び生存の調節に関与するグアノシン三リン酸(GTP)アーゼを発現する3つの密接に関係する遺伝子からなる。RASタンパク質、カーステンラット肉腫ウイルス癌遺伝子ホモログ(KRAS)、Harveyラット肉腫ウイルス癌遺伝子ホモログ(HRAS)、及び神経芽細胞腫RASウイルス癌遺伝子ホモログ(NRAS)は、コドン12、13、又は61で変異的に活性化されて、ヒト癌を引き起こす可能性がある。異なる腫瘍型は、RASの特定のアイソフォームにおける変異と関連し、KRASは、大部分の癌において最も高頻度に変異したアイソフォームである。ヒト癌におけるKRAS変異の役割は、何十年にもわたり知られているが、一般にタンパク質は小分子による阻害が困難であるとみなされていたため、KRAS変異を特異的に標的化する抗癌療法は、最近まで順調に開発されていなかった。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
患者においてKRAS G12C変異を含む癌を治療する方法であって、癌を治療するのに有効な量のソトラシブ及び抗上皮増殖因子受容体(EGFR)抗体を患者に投与することを含む方法が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、抗EGFR抗体は、配列番号1の重鎖HCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号6の軽鎖LCDR1、配列番号7のLCDR2、及び配列番号8のLCDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗EGFR抗体は、配列番号4の重鎖可変領域配列及び配列番号9の軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗EGFR抗体は、配列番号5の重鎖配列及び配列番号10の軽鎖配列を含む。いくつかの実施形態では、抗EGFR抗体は、パニツムマブである。
【0005】
いくつかの実施形態では、方法は、イリノテカン、5-フルオロ-1H-ピリミジン-2,4-ジオン(5-フルオロウラシル、5-FU)及びロイコボリンを患者に投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、イリノテカン、5-FU、及びレボロイコボリンを患者に投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、イリノテカン及び5-FUを患者に投与することをさらに含む。
【0006】
様々な実施形態では、癌は、固形腫瘍である。様々な実施形態では、癌は、非小細胞肺癌であり、いくつかの場合、転移性又は局所進行性である。様々な実施形態では、癌は、結腸直腸癌である。様々な実施形態では、癌は、膵臓癌である。様々な実施形態では、癌は、小腸癌、虫垂癌、子宮内膜癌、肝胆道癌、小細胞肺癌、子宮頸癌、生殖細胞腫瘍、卵巣癌、胃腸管神経内分泌腫瘍、膀胱癌、骨髄異形成/骨髄増殖性腫瘍、頭頸部癌、食道胃癌、軟部組織肉腫、中皮腫、甲状腺癌、白血病、又は黒色腫である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】1日目の180、360、720、又は960mgのソトラシブの1日1回の経口投与後の平均血漿濃度時間プロファイルを示し、Nは、データポイント全体にわたる観察の数を示す。
【
図2】8日目の180、360、720、又は960mgのソトラシブの1日1回の経口投与後の平均血漿濃度時間プロファイルを示し、Nは、データポイント全体にわたる観察の数を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書では、患者においてKRAS G12C変異を含む癌を治療する方法であって、癌を治療するのに有効な量のソトラシブ及び抗上皮増殖因子受容体(EGFR)抗体を患者に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、方法は、イリノテカン、5-FU、及びロイコボリンを患者に投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、イリノテカン、5-FU、及びレボロイコボリンを患者に投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、イリノテカン及び5-FUを患者に投与することをさらに含む。
【0009】
患者への2つ以上の治療薬(例えば、ソトラシブ、EGFR抗体、イリノテカン、5-FU、ロイコボリンなど)の投与に関して本明細書に開示される治療方法は、治療薬の同時投与(例えば、それぞれの1時間以内、45分以内、30分以内、15分以内、又は10分以内)、及び連続的投与(例えば、少なくとも1時間、又は少なくとも2時間、又は少なくとも4時間、又は少なくとも6時間、又は少なくとも8時間、又は少なくとも12時間、又は少なくとも24時間、又は少なくとも2日間、又は少なくとも3日間の間隔をあけた投与)を含む。本明細書に別段の記載がない限り、本明細書で論じられる2つ以上の治療薬の組み合わせ療法には、併用及び連続的投与の両方が含まれる。
【0010】
ソトラシブ
ソトラシブは、KRAS
G12C変異タンパク質を不可逆的に阻害する小分子である。ソトラシブはまた、AMG 510又は6-フルオロ-7-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-(1M)-1-[4-メチル-2-(プロパン-2-イル)ピリジン-3-イル]-4-[(2S)-2-メチル-4-(プロパ-2-エノイル)ピペラジン-1-イル]ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンであり、以下の構造を有する。
【化1】
【0011】
ソトラシブは、12位の変異体システインに隣接するKRASのP2ポケット及びヌクレオチド結合ポケットに結合する。阻害剤は、システイン残基を共有結合的に修飾し、不活性型のグアノシン二リン酸(GDP)に結合された立体構造でKRASG12Cをロックするチオール反応性部分を含有する。これは、急速進行性線維肉腫(RAF)などのエフェクターとKRASの相互作用を遮断することにより、細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)のリン酸化を含む下流のシグナル伝達を妨げる(Cully and Downward,2008;Ostrem et al.,2013;Simanshu et al.,2017)。RNA干渉(RNAi)又は小分子阻害によるKRASの不活性化は、KRAS変異(KRAS G12C変異を含む)を有する腫瘍細胞株及び異種移植片におけるアポトーシスの細胞増殖及び誘導の阻害を以前に実証した(Janes et al.,2018;McDonald et al.,2017;Xie et al.,2017;Ostrem and Shokat,2016;Patricelli et al.,2016)。ソトラシブによる試験は、これらのインビトロでの知見を確認し、同様にKRAS G12C変異を有する細胞及び腫瘍の増殖の阻害及び退縮を実証した(Canon et al.,2019)。その全体が参照により本明細書に組み込まれる、LUMAKRAS(登録商標)US Prescribing Information,Amgen Inc.,Thousand Oaks,California,91320(改訂5/2021)も参照されたい。
【0012】
抗EGFR抗体
いくつかの実施形態では、方法は、抗上皮成長因子受容体(EGFR)抗体を患者に投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、抗EGFR抗体は、配列番号1の重鎖HCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号6の軽鎖LCDR1、配列番号7のLCDR2、及び配列番号8のLCDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗EGFR抗体は、配列番号4の重鎖可変領域配列及び配列番号9の軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗EGFR抗体は、配列番号5の重鎖配列及び配列番号10の軽鎖配列を含む。いくつかの実施形態では、抗EGFR抗体は、パニツムマブである。
【0013】
パニツムマブは、上皮成長因子受容体(EGFR)に対する完全ヒト免疫グロブリン(Ig)G2モノクローナル抗体である。パニツムマブは、EGFRの細胞外ドメインに結合し、したがって、その活性化及び細胞内シグナル伝達を防ぐ。
【0014】
パニツムマブ(VECTIBIX(登録商標))は、野生型RAS(KRAS及びNRASの両方において、この用途についてFDAが承認した検査によって決定される)転移性結腸直腸癌(mCRC)を有する患者の治療のために、FOLFOX(ロイコボリンカルシウム(フォリン酸)、フルオロウラシル、及びオキサリプラチン)と組み合わせた第一選択療法として、及びフルオロピリミジン、オキサリプラチン、及びイリノテカン含有化学療法による以前の治療後の疾患進行後の単剤療法として、承認されている。推奨用量は6mg/kgであり、60分間(≦1000mg)又は90分間(>1000mg)かけてQ2WでIV注入として投与される。その全体が参照により本明細書に組み込まれる、VECTIBIX(登録商標)US Prescribing Information,Amgen Inc.,Thousand Oaks,California,91320(改訂8/2021))も参照されたい。
【0015】
FOLFIRI
いくつかの実施形態では、方法は、イリノテカン、5-FU、及びロイコボリンを患者に投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、イリノテカン、5-FU、及びレボロイコボリンを患者に投与することをさらに含む。
【0016】
FOLFIRIレジメンは、1日目のイリノテカン180mg/m2、1日目のラセミ体ロイコボリン400mg/m2、及び1日目の5-フルオロウラシル400mg/m2 IVボーラス、及びQ2Wで投与される1日目から始まって46~48時間にわたる2400mg/m2IV持続注入(IVCI)で構成される(National Comprehensive Cancer Network(NCCN)Colon,Rectal,Anal Cancer Guidelines)。5-フルオロウラシル及びロイコボリンと組み合わせたイリノテカンは、結腸又は直腸の転移性癌を患者のための第一選択治療としてFDAに承認されている(CAMPTOSAR(登録商標)US Prescribing Information,Pharmacia and Upjohn Co.,Division of Pfizer,Inc.,NY,NY 10017(改訂1/2022)、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。いくつかの実施形態では、FOLFIRIレジメンにおけるロイコボリンは、200mg/m2のレボロイコボリンで置き換えてもよい。
【0017】
投与レジメン
いくつかの実施形態では、方法は、ソトラシブを240mg~960mgの範囲の量で投与することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、960mgのソトラシブを1日1回患者に投与することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、720mgのソトラシブを1日1回患者に投与することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、480を1日1回患者に投与することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、240mgを1日1回患者に投与することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、480mgを1日2回患者に投与することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、240mgを1日2回患者に投与することを含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、方法は、パニツムマブを2週間に1回患者に投与することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、パニツムマブを3.0mg/kg~6mg/kg(例えば、3.0mg/kg、3.1mg/kg、3.2mg/kg、3.3mg/kg、3.4mg/kg、3.5mg/kg、3.6mg/kg、3.7mg/kg、3.8mg/kg、3.9mg/kg、4.0mg/kg、4.1mg/kg、4.2mg/kg、4.3mg/kg、4.4mg/kg、4.5mg/kg、4.6mg/kg、4.7mg/kg、4.8mg/kg、4.9mg/kg、5mg/kg、5.1mg.kg、5.2mg/kg、5.3mg/kg、5.4mg/kg、5.5mg/kg、5.6mg/kg、5.7mg/kg、5.8mg/kg、5.9mg/kg、又は6mg/kg)の範囲の量で、2週間に1回、IV投与によって投与することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、6mg/kgのパニツムマブを投与することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、3mg/kgのパニツムマブを投与することをさらに含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、(a)毎日960mgのソトラシブ;及び(b)2週間毎にIV投与による6mg/kgのパニツムマブを患者に投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、(a)毎日720mgのソトラシブ;及び(b)2週間毎にIV投与による6mg/kgのパニツムマブを患者に投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、(a)毎日480mgのソトラシブ;及び(b)2週間毎にIV投与による6mg/kgのパニツムマブを患者に投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、(a)毎日960mgのソトラシブ;及び(b)2週間毎にIV投与による3mg/kgのパニツムマブを患者に投与することを含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、方法は、イリノテカン、5-FU、及びロイコボリンを患者に投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、IV投与により400mg/m2のロイコボリンを患者に投与することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、イリノテカン、5-FU、及びレボロイコボリンを患者に投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、IV投与により200mg/m2のレボロイコボリンを患者に投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、IV投与により180mg/m2のイリノテカンを患者に投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、IV投与により400mg/m2の5-FUを患者に投与することをさらに含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、方法は、IV投与により、180mg/m2のイリノテカン、400mg/m2のロイコボリン、及び400mg/m2の5-FUを、IVボーラスで2週間毎に患者に投与すること、及び2400mg/m2の5-FUを、IV持続注入で46~48時間かけて患者に投与することをさらに含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、方法は、IV投与により、180mg/m2のイリノテカン、200mg/m2のレボロイコボリン、及び400mg/m2の5-FUのIVボーラス並びに2400mg/m2の5-FUの46~48時間にわたるIV持続注入を、2週間毎に患者に投与することをさらに含む。
【0023】
様々な実施形態では、ソトラシブは、食事とともに投与される。様々な実施形態では、ソトラシブは、食事を伴わずに投与される。
【0024】
様々な実施形態では、患者は、制酸薬による治療をさらに必要とする。制酸薬としては、プロトンポンプ阻害剤(PPI)、H2受容体アンタゴニスト(H2RA)、及び局所作用制酸剤が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、患者はさらにPPI又はH2RAによる治療を必要とする。例示的なPPIとしては、オメプラゾール、パントプラゾール、エソメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール、又はデクスランソプラゾールが挙げられるが、これらに限定されない。例示的なH2RAとしては、ファモチジン、ラニチジン、シメチジン、ニザチジン、ロキサチジン及びラフチジンが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な局所作用制酸剤としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、及び水酸化マグネシウムが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、制酸薬による治療をさらに必要とする患者は、ソトラシブと組み合わせてプロトンポンプ阻害剤又はH2受容体アンタゴニストを投与されない。いくつかの実施形態では、制酸薬による治療をさらに必要とする患者は、ソトラシブと組み合わせてプロトンポンプ阻害剤又はH2受容体アンタゴニストを投与されないが、ソトラシブと組み合わせて局所作用性制酸薬を投与される。いくつかの実施形態では、ソトラシブは、局所作用制酸剤の約4時間前又は約10時間後に投与される。
【0025】
様々な実施形態では、患者はさらに、CYP3A4誘導剤による治療を必要とする。いくつかの実施形態では、患者は、ソトラシブと組み合わせてCYP3A4誘導剤を投与されない。例示的なCYP3A4誘導剤としては、バルビツレート、ブリガチニブ、カルバマゼピン、クロバザム、ダブラフェニブ、エファビレンツ、エラゴリクス、エンザルタミド、エスリカルバゼピン、グルココルチコイド、レテルモビル、ロルラチニブ、モダフィニル、ネビラピン、オリタバンシン、オクスカルバゼピン、ペランパネル、フェノバルビタール、フェニトイン、ピオグリタゾン、リファブチン、リファンピン、テロトリスタット、及びトログリタゾンが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、2021年5月にアクセスされたFlockhart DA,Drug Interactions:Cytochrome P450 Drug Interaction Table.Indiana University School of Medicine(2007),www.drug-interactions.medicine.iu.eduを参照されたい。いくつかの実施形態では、患者は、ソトラシブと組み合わせて強力なCYP3A4誘導剤を投与されない。例示的な強力なCYP3A4誘導剤としては、フェニトイン及びリファンピンが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、2021年5月にアクセスされたwww.fda.gov/drugs/drug-interactions-labeling/drug-development-and-drug-interactions-table-substrates-inhibitors-and-inducersを参照されたい。一実施形態では、強力なCYP3A4阻害剤としては、オムビタスビル及びパリタプレビル及びリトナビル及びダサブビル、インジナビル及びリトナビル、チプラナビル及びリトナビル、リトナビル、コビシスタット、ケトコナゾール、トロレアンドマイシン、テラプレビル、ダノプレビル及びリトナビル、エルビテグラビル及びリトナビル、サキナビル及びリトナビル、ロピナビル及びリトナビル、イトラコナゾール、インジナビル、ボリコナゾール、ミフェプリストン、ミベフラジル、LCL161、クラリスロマイシン、ジョサマイシン、ロナファルニブ、ポサコナゾール、テリスロマイシン、グレープフルーツジュースDS3、コニバプタン、ツカチニブ、ネファゾドン、セリチニブ、ネルフィナビル、サキナビル、リボシクリブ、イデラリシブ、ボセプレビルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
様々な実施形態では、患者はさらに、CYP3A4基質による治療を必要とする。いくつかの実施形態では、患者は、ソトラシブと組み合わせてCYP3A4基質を投与されない。例示的なCYP3A4基質としては、アベマシクリブ、アビラテロン、アカラブルチニブ、アレクチニブ、アルフェンタニル、アルプラゾラム、アミトリプチリン、アムロジピン、アピキサバン、アプレピタント、アリピプラゾール、アステミゾール、アトルバスタチン、アバナフィル、アキシチニブ、ボセプレビル、ボスチニブ、ブレクスピプラゾール、ブリガチニブ、ブスピロン、カフェルゴット、カフェイン、カルバマゼピン、カリプラジン、セリチニブ、セリバスタチン、クロルフェニラミン、シロスタゾール、シサプリド、シタロプラム、クラリスロマイシン、クロバザム、クロピドグレル、コビメチニブ、コカイン、コデイン、コルヒチン、コパンリシブ、クリゾチニブ、シクロスポリン、ダブラフェニブ、ダクラタスビル、ダプソン、デフラザコート、デキサメタゾン、デキストロメトルファン、ジアゼパム、ジルチアゼム、ドセタキセル、ドルテグラビル、ドンペリドン、ドキセピン、エラゴリクス、エルバスビル/グラゾプレビル、エリグルスタット、エンザルタミド、エプレレノン、エリスロマイシン、エスシタロプラム、エソメプラゾール、エストラジオール、フェロジピン、フェンタニル、フィナステリド、フリバンセリン、イマチニブ、ハロペリドール、ヒドロコルチゾン、イブルチニブ、イデラリシブ、インダカテロール、インジナビル、イリノテカン、イサブコナゾニウム、イバブラジン、アイバカフトール、ランソプラゾール、レンバチニブ、レルカニジピン、リドカイン、リナグリプチン、ロバスタチン、マシテンタン、メサドン、ミダゾラム、ナルデメジン、ナロキセゴール、ナテグリニド、ネルフィナビル、ネラチニブ、ネツピタント/パロノセトロン、ネビラピン、ニフェジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン、オラパリブ、オメプラゾール、オンダンセトロン、オシメルチニブ、オスペミフェン、パルボシクリブ、パノビノスタット、パントプラゾール、ペランパネル、ピマバンセリン、ピモジド、ポマリドミド、ポナチニブ、プロゲステロン、プロプラノロール、クエチアピン、キニジン、キニーネ、レゴラフェニブ、リボシクリブ、リルピビリン、リスペリドン、リトナビル、リバーロキサバン、ロフルミラスト、ロラピタント、ロミデプシン、ルキソリチニブ、サルメテロール、サキナビル、セレキシパグ、シルデナフィル、シメプレビル、シンバスタチン、シロリムス、ソニデギブ、ソラフェニブ、スニチニブ、スボレキサント、タクロリムス(fk506)、タモキシフェン、タシメルテオン、タキソール、テラプレビル、テリスロマイシン、テルフェナジン、テストステロン、チカグレロル、トファシチニブ、トルバプタン、トーリセル、トラマドール、トラゾドン、バルベナジン、バンデタニブ、ベルパタスビル、ベムラフェニブ、ベネトクラクス、ベンラファキシン、ベラパミル、ビラゾドン、ビンクリスチン、ボラパクサール、ボリコナゾール、ザレプロン、及びジプラシドンが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、2021年5月にアクセスされたFlockhart DA,Drug Interactions:Cytochrome P450 Drug Interaction Table.Indiana University School of Medicine(2007),https://drug-interactions.medicine.iu.eduを参照されたい。
【0027】
様々な実施形態では、患者はさらに、P-糖タンパク質(P-gp)基質による治療を必要とする。いくつかの実施形態では、患者は、ソトラシブと組み合わせてP-gp基質を投与されない。例示的なP-gp基質としては、ダビガトランエテキシラート、ジゴキシン、フェキソフェナジン、エベロリムス、シクロスポリン、シロリムス、及びビンクリスチンが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、2021年5月にアクセスされたwww.fda.gov/drugs/drug-interactions-labeling/drug-development-and-drug-interactions-table-substrates-inhibitors-and-inducersを参照されたい。いくつかの実施形態では、患者は、ソトラシブと組み合わせてP-gp基質を投与されず、P-gp基質は、狭い治療域を有するP-gp基質である。狭い治療域を有する例示的なP-gp基質としては、ジゴキシン、エベロリムス、シクロスポリン、シロリムス、及びビンクリスチンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
患者の特徴
様々な実施形態では、患者は、本明細書で開示されるとおりのソトラシブの投与の前にKRASG12C変異体タンパク質を発現する1つ以上の細胞を有することが決定された癌を有する。KRASG12C変異体タンパク質の決定は、本開示における他の箇所で記載されるとおりに評価され得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法においてソトラシブが投与される患者は、異なる抗癌療法、例えば、1、又は2、又は3つなどの少なくとも1つの他の全身性癌療法で以前に治療されている。いくつかの実施形態では、患者は、ソトラシブ組み合わせ療法が第二選択療法、例えば、KRASG12C転移性結腸直腸癌を治療するための第二選択療法であるように1つの他の全身性癌療法で以前に治療されたことがあった。いくつかの実施形態では、患者は、本明細書に提供されるソトラシブ組み合わせ療法が第三選択療法、例えば、KRASG12C転移性結腸直腸癌を治療するための第三選択療法であるように2つの他の全身性癌療法で以前に治療されたことがあった。いくつかの実施形態では、患者は、ソトラシブ組み合わせ療法が第一選択療法、例えば、KRASG12C転移性結腸直腸癌を治療するための第一選択療法であるように別の他の全身性癌療法で以前に治療されたことがなかった。
【0030】
いくつかの実施形態では、以前の全身性癌療法は、KRASG12C阻害剤による療法である。ある特定の実施形態では、患者は、KRASG12C阻害剤による療法に対して低減した感受性を示す。いくつかの実施形態では、患者は、KRASG12C阻害剤による療法に対して抵抗性である。いくつかの実施形態では、KRASG12C阻害剤は、ソトラシブ、アダグラシブ、GDC-6036、D-1553、JDQ443、LY3484356、BI1823911、JAB-21822、RMC-6291、又はAPG-1842である。ある特定の実施形態では、KRASG12C阻害剤は、ソトラシブである。ある特定の実施形態では、KRASG12C阻害剤は、アダグラシブである。いくつかの実施形態では、療法は、単剤療法である。いくつかの実施形態では、療法は、KRASG12C阻害剤の投与を含む療法であり、例えば、KRASG12C阻害剤とMEK阻害剤又はSHP2阻害剤の投与を含む組み合わせ療法である(例えば、ソトラシブとトラメテニブ(trametenib)、アダグラシブとトラメチニブ、ソトラシブとRMC-4630、アダグラシブとRMC-4630、ソトラシブとTNO-155、及びアダグラシブとTNO-155)。一実施形態では、KRASG12C阻害剤による療法は、ソトラシブ単剤療法である。別の実施形態では、KRASG12C阻害剤による療法は、アダグラシブによる単剤療法である。いくつかの実施形態では、以前の全身性癌療法は、KRASG12C阻害剤による療法ではない。RMC-4630(CAS番号2172652-48-9、6-(2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)スルファニル-3-[(3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル]-5-メチルピラジン-2-イル]メタノール)は、国際公開第2021/142026号パンフレット、例えば、段落[0005]に開示されている。TNO-155((3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン)は、国際公開2021/224867号パンフレット、例えば、段落[0014]に開示されている。
【0031】
本明細書で使用する場合、「感受性」は、癌が薬物、例えば、ソトラシブに対して反応する様式を指す。例示的な態様では、「感受性」とは、「治療に対して反応性である」ことを意味し、「感受性」及び「反応性」の概念は、薬物治療に対して反応性の癌又は腫瘍が、その薬物に対して感受性であると言われる点において正の関連を示す。例示的な場合における「感受性」は、Pelikan,Edward,Glossary of Terms and Symbols used in Pharmacology(Pharmacology and Experimental Therapeutics Department Glossary at Boston University School of Medicine)に従って、特定の薬物用量に対して定性的に通常の方法で反応するための、他の能力と比較した集団、個体又は組織の能力として定義される。効果をもたらすのに必要な用量が少ないほど、反応系は、より感受性が高い。「感受性」は、用量効果曲線と横座標値の軸又はこれに平行な線との交点を基準にして定量的に測定又は説明されてもよく;こうした点は、所与の効果の程度をもたらすのにまさに必要な用量に対応する。これと同様に、測定系の「感受性」は、所与の出力(効果)の程度をもたらすのに必要な最低入力(最小量)として定義される。代表的な態様では、「感受性」は、「抵抗性」とは反対であり、「抵抗性」の概念は、「感受性」と負の関連を示す。例えば、薬物治療に対して抵抗性のある癌は、その薬物に感受性でも反応性でもないか、又はその薬物に対して最初は感受性であり、抵抗性を獲得するともはや感受性でなくなり;薬物がもはやその腫瘍又は癌細胞に関して有効な治療ではないか又はもはや有効な治療ではない。
【0032】
以前の全身性癌療法としては、化学療法及び免疫療法が挙げられるが、これらに限定されない。特に考慮される以前の全身性癌療法としては、チェックポイント阻害剤療法(例えば、抗PD1療法、抗PDL1療法)、プラチナ系化学療法及び抗EGFR療法が挙げられるが、これらに限定されない。抗PD1療法及び抗PDL1療法のいくつかの例としては、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、チスレリズマブ(tisielizumab)、トリパリマブ、アスパルタリズマブ(aspartalizumab)、ドスタルリマブ、レチファンリマブ、シンチリマブ(simtilimab)、ピディリズマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、及びゼルバリマブ(AMG 404)が挙げられるが、これらに限定されない。プラチナ系化学療法のいくつかの例としては、カルボプラチン、オキサリプラチン、シスプラチン、ネダプラチン、サトラプラチン、ロバプラチン、四硝酸トリプラチン、ピコプラチン、ProLindac(商標)(AP5346)、及びアロプラチンが挙げられるが、これらに限定されない。抗EGFR療法のいくつかの例としては、セツキシマブ及びパニツムマブが挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
いくつかの実施形態では、患者は、癌が、上皮増殖因子受容体遺伝子(EGFR)、未分化リンパ腫キナーゼ遺伝子(ALK)、及び/又はROS癌原遺伝子1(ROS1)において治療につながる発癌ドライバー変異を有することが同定された場合、標的化療法である全身性癌療法を以前に施されている。EGFR変異のための標的化療法としては、セツキシマブ、パニツムマブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、及びアファチニブが挙げられるが、これらに限定されない。ALK変異のための標的化療法としては、クリゾチニブ、エヌトレクチニブ、ロルラチニブ、レポトレクチニブ、ブリガチニブ、アルコチニブ(alkotinib)、アレクチニブ、エンサルチニブ、及びセリチニブが挙げられるが、これらに限定されない。ROS1変異のための標的化療法としては、クリゾチニブ、エントレセチニブ(entrecetinib)、エンサルチニブ、アルコチニブ(alkotinib)、ブリガチニブ、タレトレクチニブ、カボザンチニブ、レポトレクチニブ、ロルラチニブ、及びセリチニブが挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
いくつかの実施形態では、患者が、転移性疾患について以前の療法を受けていない。いくつかの場合、患者は、KRASG12C変異癌、例えば、転移性結腸直腸癌及び膵臓癌について以前の療法を受けていない。そのような場合、本明細書で提供されるソトラシブ療法は第一選択療法である。
【0035】
いくつかの実施形態では、患者は、化学療法及び抗血管新生薬による治療を以前に受けている。いくつかの実施形態では、化学療法は、フルオロピリミジン、オキサリプラチン、及びイリノテカンによる療法を含む。いくつかの実施形態では、抗血管新生薬は、抗VEGF抗体(例えば、ベバシズマブ及びラムシルマブ)、アフリベルセプト、又はレゴラフェニブである。
【0036】
様々な実施形態では、患者は、0、1又は2の米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータスを示す(例えば、Zubrod et al.,1960を参照のこと)。いくつかの実施形態では、患者は、0又は1の米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータスを示す。ステータス0は、完全に活動性であり、制約を伴わずに全ての疾患前の動作を続けることができることを示す。ステータス1は、身体的に激しい活動において制約があるが、歩行可能で、軽作業又は座っての作業は行うことができることを示す。ステータス2は、歩行可能であり、自己の世話は全て可能であるが、作業はできず;日中の50%以上は起きて動き回ることを示す。ステータス3は、限定された自己の世話しかできず。日中の50%以上をベッド又は椅子で過ごすことを示す。ステータス4は、全く動くことができず、いずれの自己の世話もできず、完全にベッド又は椅子で過ごすことを示す。ステータス5は、死亡を示す。
【0037】
様々な実施形態において、患者は、MSI-Hではないと決定される癌を有する。MSI-H癌は、細胞の不安定性が高い癌を指し、「高頻度マイクロサテライト不安定性」の略である。MSI-H癌の決定は、例えば、Bethesdaパネル9に基づくか、又は例えば、米国特許第7,521,180号明細書、同第7,662,595号明細書;同第10,294,529号明細書;若しくは同第10,669,802明細書に記載されているように、周知の技術を使用して臨床医によって評価することができる。
【0038】
様々な場合において、患者はMSI-Hである癌を有する。いくつかの場合、MSI-H癌はmCRCであり、患者が以前にチェックポイント阻害剤を投与されている。
【0039】
いくつかの場合、癌は、MSI-Hではない(例えば、MSI-HではないmCRC)。様々な場合において、患者は、KRAS G12C変異癌(例えば、mCRC)に対する以前の全身療法を受けておらず、癌は、MSI-Hではない。すなわち、ソトラシブ組み合わせ療法は、MSI-HではないKRAS G12C変異癌(例えば、mCRC)に対する第一選択治療である。
【0040】
様々な場合において、患者は、結腸直腸癌を有し、癌は、BRAF V600E変異を含まない。BRAF V600E変異の決定は、多数の商業的供給源からの承認された変異検査を使用して患者試料から評価できる。
【0041】
有害事象
いくつかの実施形態では、方法は、患者が初期合計1日用量に対して有害事象を経験する場合、ソトラシブの減少した合計1日用量を投与することを含む。例えば、いくつかの実施形態では、最初の1日用量は960mgのソトラシブであり、減少した合計1日用量は480mgのソトラシブである。いくつかの実施形態では、最初の1日用量は480mgのソトラシブであり、減少した合計1日用量は240mgのソトラシブである。いくつかの実施形態では、方法はさらに、患者が減少した合計1日用量に対して有害事象を経験する場合、ソトラシブの第2の減少した合計1日用量を投与することを含む。
【0042】
用語「有害事象」又は「(AE)」は、本明細書で使用する場合、いずれかの好ましくなく且つ意図されない徴候(臨床検査異常所見を含む)、症状、又は疾患であって、医学的治療又は手順に関連するとみなされ得る医学的治療又は手順の使用と時間的に関連付けられるものを指す。
【0043】
いくつかの実施形態では、有害事象は、肝毒性(例えば、肝臓酵素の上昇)、間質性肺疾患/(ILD)/間質性肺炎、下痢、及び/又は嘔気/嘔吐である。
【0044】
肝毒性
いくつかの実施形態では、有害事象は、肝毒性である。用語「肝毒性」は、本明細書で使用する場合、患者が、ソトラシブ投与前に異常な臨床検査値ではなかったか又はソトラシブの投与後に測定されるものより低かった肝臓バイオマーカーのベースラインレベルを有したとき、肝臓バイオマーカー(例えば、アルカリホスファターゼ(ALP)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、及び/又は総ビリルビン(TBL))の異常な臨床検査値を有する患者を指す。
【0045】
血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(SGPT)又はアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALAT)とも呼ばれるアラニントランスアミナーゼ(ALT)は、アラニンからα-ケトグルタル酸へのアミノ基の転移を触媒して、ピルビン酸及びグルタミン酸を生成する。肝臓が損傷されるとき、血液中のALTのレベルは、損傷したか又は壊死した肝細胞から血液中へのALTの漏出に起因して上昇し得る。
【0046】
血清グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ(SGOT又はGOT)又はアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(ASAT)とも呼ばれるアスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)は、アスパラギン酸からα-ケトグルタル酸へのアミノ基の転移を触媒して、オキサロ酢酸及びグルタミン酸を生成する。ASTは、肝臓損傷に応答して増加し得る。ASTの上昇はまた、赤血球、心筋、骨格筋、腎臓組織、及び脳組織を含む他の供給源に対する損傷から生じる可能性がある。ASTとALTの比は、肝臓損傷のバイオマーカーとして使用され得る。
【0047】
ビリルビンは、肝臓によって身体から排除されるヘムの異化産物である。肝細胞によるグルクロン酸へのビリルビンの抱合によって、身体から容易に排除される水溶性産物である直接ビリルビンを生成する。間接ビリルビンは、未抱合であり、直接ビリルビン及び間接ビリルビンの合計が総ビリルビンを構成する。総ビリルビンの上昇は、肝臓機能障害を示している可能性がある。
【0048】
アルカリホスファターゼ(ALP)は、様々な分子からリン酸基を加水分解し、肝臓の胆管を裏打ちする細胞において存在する。血漿中のALPレベルは、肝臓損傷に応答して上昇する可能性があり、パジェット病を有する成長期の小児及び高齢の患者においてより高い。しかしながら、ALPレベルの上昇は通常、胆樹疾患を反映している。
【0049】
いくつかの実施形態では、患者は、肝臓バイオマーカーの上昇をもたらす障害に罹患していない。肝臓バイオマーカー(AST/ALT及び/又はTBL値など)の上昇と関連する障害としては、肝胆道疾患;ウイルス性肝炎(例えば、A/B/C/D/E型肝炎、エプスタイン・バーウイルス、サイトメガロウイルス、単純ヘルペスウイルス、水痘、トキソプラズマ症、及びパルボウイルス);右心不全、低血圧若しくは虚血を引き起こす肝臓に対して低酸素のいずれかの原因;草本及び栄養補助食品、植物及びマッシュルームを含む肝毒性薬剤/薬物又は肝臓毒への暴露;障害性のグルクロン酸抱合を引き起こす遺伝性障害(例えば、ジルベール症候群、クリグラー・ナジャー症候群)及びビリルビングルクロン酸抱合を阻害する薬物(例えば、インジナビル、アタザナビル);α1-アンチトリプシン欠乏症;アルコール性肝炎;自己免疫性肝炎;ウィルソン病及びヘモクロマトーシス;脂肪性肝炎を含む非アルコール性脂肪性肝疾患;並びに/又は肝臓外の原因(例えば、横紋筋融解症、溶血)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
ソトラシブを受容する前に、患者のベースライン肝臓機能が、肝臓機能のバイオマーカーを測定する血液化学試験などの当技術分野で知られる様々な手段によって評価され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、患者において肝臓バイオマーカーをモニターすること並びにAST及び/又はALTのレベルによって測定されるとおりの>グレード2の異常な肝臓機能を有する患者においてソトラシブ投与を保留することを含む。そのような実施形態では、ソトラシブ投与は、患者におけるAST及び/又はALTレベルが、グレート1以下(ベースライン)に改善するまで休止される。
【0051】
異常な肝臓機能に関する有害作用グレードは、表1において提供される改訂版共通毒性基準(CTC)によって本明細書で定義される。全体として参照により本明細書に組み込まれる、National Cancer Instituteによって2017年11月27日に公開されたNational Cancer Institute Common Terminology Criteria for Adverse Events v5.0(NCI CTCAE)を参照されたい。
【0052】
【0053】
グレード0レベルは、正常範囲内(WNL)のバイオマーカーレベルによって特徴付けられる。「正常な」肝臓機能は、本明細書で使用する場合、グレード0の有害作用を指す。「異常な」肝臓機能は、本明細書で使用する場合、グレード1以上の有害作用を指す。
【0054】
「グレード1の肝臓機能異常」は、ベースラインが正常であった場合、ULNより大きく且つULNの3倍以下のALT又はASTにおける上昇を含む;ベースラインが異常であった場合、1.5~3.0×ベースラインである。グレード1の肝臓機能異常はまた、ベースラインが正常であった場合、ULNより大きく且つULNの1.5倍以下のビリルビンレベルの上昇を含む;ベースラインが異常であった場合、>1.0~1.5×ベースラインである。グレード1の肝臓機能異常はまた、ベースラインが正常であった場合、ULNより大きく且つULNの2.5倍以下のALPの上昇を含む;ベースラインが異常であった場合、>2.0~2.5×ベースラインである。
【0055】
「グレード2の肝臓機能異常」は、ベースラインが正常であった場合、正常範囲上限(ULN)の3倍より大きく且つ5倍以下のALT又はASTにおける上昇を含む;ベースラインが異常であった場合、>3.0~5.0×ベースラインである。グレード2の肝臓機能異常はまた、ベースラインが正常であった場合、ULNの1.5倍より大きく且つULNの3倍以下のビリルビンレベルの上昇を含む;ベースラインが異常であった場合、>1.5~3.0×ベースラインである。グレード2の肝臓機能異常はまた、ベースラインが正常であった場合、ULNの2.5倍より大きく且つULNの5倍以下のALPの上昇を含む;ベースラインが異常であった場合、>2.5~5.0×ベースラインである。
【0056】
「グレード3の肝臓機能異常」は、ベースラインが正常であった場合、ULNの5倍より大きく且つULNの20倍以下のALT、AST、又はALPにおける上昇を含む;ベースラインであった場合、>5.0~20.0×ベースラインである。グレード3の肝臓機能異常はまた、ベースラインが正常であった場合、ULNの3倍より大きく且つULNの10倍以下のビリルビンレベルの上昇を含む;ベースラインが異常であった場合、>3.0~10×ベースラインである。
【0057】
「グレード4の肝臓機能異常」は、ベースラインが正常であった場合、ULNの20倍より大きいALT、AST、又はALPにおける上昇を含む;ベースラインが異常であった場合、>20×ベースラインである。グレード4の肝臓機能異常はまた、ベースラインが正常であった場合、ULNの10倍より大きいビリルビンレベルの上昇を含む;ベースラインが異常であった場合、>10.0×ベースラインである。
【0058】
肝臓機能の様々な指標に関するULNは、使用されるアッセイ、患者集団、及び指定されるバイオマーカーに関する値のそれぞれの臨床検査値正常範囲に依存するが、当業者によって容易に決定され得る。健康な成人集団に関する正常範囲についての例示的な値は、下の表2に記載される。Cecil Textbook of Medicine,pp.2317-2341,W.B.Saunders & Co.(1985)を参照されたい。
【0059】
【0060】
本明細書に記載される方法のいずれかにおいて、ソトラシブの合計1日用量は、患者におけるAST及び/又はALTレベルが、例えば、グレード2又はグレード3レベルまで上昇するときに減少され(例えば、960mgから480mg、又は480mgから240mg)、患者のベースラインAST及び/又はALTレベルは、グレード2未満又はグレード3未満のレベルであった。いくつかの実施形態では、ソトラシブの合計1日用量は、患者におけるAST及び/又はALTレベルが、グレード1レベルまで上昇するときに減少され(例えば、960mgから480mg、又は480mgから240mg)、患者のベースラインAST及び/又はALTレベルは、グレード1未満のレベルであった。
【0061】
或いは、本明細書で開示される方法のいずれかにおいて、ソトラシブの合計1日用量は、例えば、グレード1、グレード2、グレード3又はグレード4レベルまで(1)患者におけるAST及びビリルビンレベルが上昇させられるとき、又は(2)患者におけるAST又はALPレベルが上昇させられるとき、又は(3)患者におけるALT及びビリルビンレベルが上昇させられるとき、又は(4)患者におけるALT及びALPレベルが上昇させられるとき、又は(5)患者におけるビリルビン及びALPレベルが上昇させられるとき、減少され(例えば、960mgから480mg、又は480mgから240mg)、患者のベースラインAST、ビリルビン、ALP、及び/又はALTレベルは、それぞれグレード1未満、グレード2未満、グレード3未満又はグレード4未満のレベルであった。或いは、本明細書で開示される方法のいずれかにおいて、肝臓機能の3つのバイオマーカー(例えば、ALT及びAST及びビリルビン、又はALT及びAST及びALP)は、患者においてグレード1、グレード2、グレード3又はグレード4のレベルまで上昇させられる場合があり、患者のベースラインバイオマーカーレベルは、それぞれグレード1未満、グレード2未満、グレード3未満又はグレード4未満のレベルであった。
【0062】
いくつかの実施形態では、ソトラシブの合計1日用量は、ALT及び/又はASTのレベルが正常範囲上限(ULN)と比較して約3倍より大きいとき、減少される(例えば、960mgから480mg、又は480mgから240mg)。関連する実施形態では、ALT及び/又はASTの異常なレベルは、正常範囲上限(ULN)と比較して約3~約5倍の増大より大きい(すなわち、「グレード2の異常」)。いくつかの実施形態では、患者が異常なベースラインを有する場合、グレード2の異常は、ベースラインと比較して約3倍~約5倍の増大より大きいALT及び/又はASTの異常なレベルである。いくつかの実施形態では、ALPの異常なレベルは、正常範囲上限(ULN)と比較して約2.5~約5倍の増大より大きい(すなわち、「グレード2の異常」)。いくつかの実施形態では、患者が異常なベースラインを有する場合、グレード2の異常は、ベースラインと比較して約2.5~約5倍の増大より大きいALPの異常なレベルである。いくつかの実施形態では、ビリルビンの異常なレベルは、正常範囲上限(ULN)と比較して約1.5~約3倍の増大より大きい(すなわち、「グレード2の異常」)。いくつかの実施形態では、患者が異常なベースラインを有する場合、グレード2の異常は、ベースラインと比較して約1.5倍~約3倍の増大より大きいビリルビンの異常なレベルである。
【0063】
いくつかの実施形態では、ソトラシブの合計1日用量は、ALT及び/又はASTのレベルが正常範囲上限(ULN)と比較して約5倍より大きいとき、減少される(例えば、960mgから480mg、又は480mgから240mg)。いくつかの実施形態では、合計1日用量は、ALT、AST、又はALPのレベルが正常範囲上限(ULN)と比較して約5~約20倍の増大より大きいとき(すなわち、「グレード3の異常」)、減少される。いくつかの実施形態では、患者が異常なベースラインを有する場合、グレード3の異常は、ベースラインと比較して約5倍~約20倍の増大より大きいALT及び/又はASTの異常なレベルである。いくつかの実施形態では、ALPの異常なレベルは、正常範囲上限(ULN)と比較して約5~約20倍の増大より大きい(すなわち、「グレード3の異常」)。いくつかの実施形態では、患者が異常なベースラインを有する場合、グレード3の異常は、ベースラインと比較して約5~約20倍の増大より大きいALPの異常なレベルである。いくつかの実施形態では、合計1日用量は、ビリルビンのレベルが正常範囲上限(ULN)と比較して約3~約10倍の増大より大きいとき(すなわち、「グレード3の異常」)、減少される。いくつかの実施形態では、患者が異常なベースラインを有する場合、グレード3の異常は、ベースラインと比較して約3倍~約10倍の増大より大きいビリルビンの異常なレベルである。
【0064】
いくつかの実施形態では、ソトラシブの合計1日用量は、ALT及び/又はASTのレベルが正常範囲上限(ULN)と比較して約20倍より大きいとき(すなわち、「グレード4の異常」)、減少される(例えば、960mgから480mg、又は480mgから240mg)。いくつかの実施形態では、患者が異常なベースラインを有する場合、グレード4の異常は、ベースラインと比較して約20倍の増大より大きいALT及び/又はASTの異常なレベルである。いくつかの実施形態では、ALPの異常なレベルは、正常範囲上限(ULN)と比較して約20倍の増大より大きい(すなわち、「グレード4の異常」)。いくつかの実施形態では、患者が異常なベースラインを有する場合、グレード4の異常は、ベースラインと比較して約20倍の増大より大きいALPの異常なレベルである。いくつかの実施形態では、合計1日用量は、ビリルビンのレベルが正常範囲上限(ULN)と比較して約10倍の増大より大きいとき(すなわち、「グレード4の異常」)、減少される。いくつかの実施形態では、患者が異常なベースラインを有する場合、グレード4の異常は、ベースラインと比較して約10倍の増大より大きいビリルビンの異常なレベルである。
【0065】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法はさらに、患者における肝臓バイオマーカーがグレード1以下(例えば、ベースライン)まで改善されたとき、ソトラシブの合計用量を増加させること(例えば、240mgから480mg、又は480mgから960mg)を含む。
【0066】
嘔気/嘔吐
いくつかの実施形態では、有害事象は、嘔気又は嘔吐である。いくつかの実施形態では、嘔気/嘔吐は、適切な支持療法(例えば、制吐療法)にもかかわらず存在する。「嘔気」は、本明細書で使用する場合、吐き気を催させる感覚及び/又は嘔吐する衝動によって特徴付けられる障害を指す。
【0067】
嘔気及び嘔吐に関する有害作用グレードは、表3において提供される改訂版共通毒性基準(CTC)によって本明細書で定義される。全体として参照により本明細書に組み込まれる、National Cancer Instituteによって2017年11月27日に公開されたNational Cancer Institute Common Terminology Criteria for Adverse Events v5.0(NCI CTCAE)を参照されたい。
【0068】
【0069】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、患者が≦グレード1又はベースラインに改善されるまで、≧グレード3の嘔気を有する患者においてソトラシブ投与を保留することを含む。いくつかの実施形態では、患者が≦グレード1又はベースラインに改善されると、方法は、患者にソトラシブの減少された合計1日用量(例えば、240mgから480mg、又は480mgから960mg)を投与することを含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、嘔吐が≦グレード1又はベースラインに改善されるまで、≧グレード3の嘔吐を有する患者においてソトラシブ投与を保留することを含む。いくつかの実施形態では、患者が≦グレード1又はベースラインに改善されると、方法は、患者にソトラシブの減少された合計1日用量(例えば、240mgから480mg、又は480mgから960mg)を投与することを含む。
【0071】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法はさらに、患者における嘔気がグレード1以下(例えば、ベースライン)まで改善されたとき、ソトラシブの合計用量を増加させること(例えば、240mgから480mg、又は480mgから960mg)を含む。
【0072】
下痢
いくつかの実施形態では、有害事象は、下痢である。いくつかの実施形態では、下痢は、適切な支持療法(例えば、制瀉療法)にもかかわらず存在する。
【0073】
下痢に関する有害作用グレードは、表4において提供される改訂版共通毒性基準(CTC)によって本明細書で定義される。全体として参照により本明細書に組み込まれる、National Cancer Instituteによって2017年11月27日に公開されたNational Cancer Institute Common Terminology Criteria for Adverse Events v5.0(NCI CTCAE)を参照されたい。
【0074】
【0075】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、患者が≦グレード1又はベースラインに改善されるまで、≧グレード3の下痢を有する患者においてソトラシブ投与を保留することを含む。いくつかの実施形態では、患者が≦グレード1又はベースラインに改善されると、方法は、患者にソトラシブの減少された合計1日用量(例えば、240mgから480mg、又は480mgから960mg)を投与することを含む。
【0076】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法はさらに、患者における下痢がグレード1以下(例えば、ベースライン)まで改善されたとき、ソトラシブの合計用量を増加させること(例えば、240mgから480mg、又は480mgから960mg)を含む。
【0077】
間質性肺疾患
いくつかの実施形態では、有害事象は、間質性肺疾患(ILD)又は肺炎である。どのグレードレベルでもILD又は肺炎が疑われる場合、ソトラシブは保留される。ILD又は肺炎が確認され、ILD又は肺炎の他の原因が特定されない場合、ソトラシブは恒久的に中止される。
【0078】
ソトラシブ併用療法に対する奏効
本明細書で開示される方法においてソトラシブが投与された患者に関する奏効率又は結果は、患者が好適な期間でソトラシブを投与された後にいくつかの方法で測定され得る。様々な実施形態では、患者は、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも7ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも10ヶ月、少なくとも11ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも15ヶ月、少なくとも18ヶ月、少なくとも21ヶ月、又は少なくとも23ヶ月間、例えば、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月、15ヶ月、18ヶ月、21ヶ月、又は24ヶ月間ソトラシブを投与される。様々な実施形態では、患者は、少なくとも1ヶ月間ソトラシブを投与される。様々な実施形態では、患者は、少なくとも3ヶ月間ソトラシブを投与される。様々な実施形態では、患者は、少なくとも6ヶ月間ソトラシブを投与される。
【0079】
患者は、固形がんの反応評価基準(Response Evaluation Criteria in Solid Tumors(RECIST))1.1プロトコル(Eisenhauer、et al.,2009)によって決定される少なくとも安定な疾患(SD)によって測定されるとおり、ソトラシブ併用療法に奏効することができる。少なくとも安定な疾患は、安定な疾患であるか、部分奏効(PR)を示したか又は完全奏効(CR)を示したものである(すなわち、「少なくともSD」=SD+PR+CR、疾患制御と称される場合が多い)。様々な実施形態では、安定な疾患は、部分奏効(PR)の認定を受けるのに十分な縮小も進行性疾患(PD)の認定を受けるのに十分な拡大もない。様々な実施形態では、患者は、少なくとも部分奏効を示す(すなわち、「少なくともPR」=PR+CR、客観的奏効と称される場合が多い)。
【0080】
奏効は、腫瘍サイズの縮小、腫瘍増殖の抑制又は低減、標的又は腫瘍病変の減少、無増悪期間の遅延、新規の腫瘍又は病変がないこと、新規の腫瘍形成の減少、生存又は無増悪生存期間(PFS)の増加、及び転移がないことのうちの1つ以上によって測定され得る。様々な実施形態では、患者の疾患の進行は、腫瘍サイズ、腫瘍病変、又は新規の腫瘍若しくは病変の形成を測定することによって、コンピューター断層撮影(CT)スキャン、ポジトロン放出断層撮影(PET)スキャン、核磁気共鳴画像法(MRI)スキャン、X線、超音波、又はそのいくつかの組み合わせを使用して患者を評価することによって評価され得る。
【0081】
無増悪生存期間(PFS)は、RECIST 1.1プロトコルに記載されるとおりに評価され得る。様々な実施形態では、患者は、少なくとも1ヶ月のPFSを示す。様々な実施形態では、患者は、少なくとも3ヶ月のPFSを示す。いくつかの実施形態では、患者は、少なくとも6ヶ月のPFSを示す。
【0082】
奏効を評価するための追加の手段は、下の実施例において詳細に記載され、一般に本明細書で開示される方法に適用され得る。
【0083】
KRAS G12C癌
いずれの特定の理論にも縛られることを望むものではないが、以下が注目される:ソトラシブは、KRASG12Cを特異的且つ不可逆的に阻害する小分子である(Hong et al.,2020)。Hongらは、「[p]再臨床試験は、[ソトラシブ]が、KRASの重要な下流エフェクターである細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)のほぼ全ての検出可能なリン酸化を阻害し、KRAS p.G12C腫瘍を有するマウスにおいて永続的な完全な腫瘍退縮をもたらすことを示した」と報告している(同書、またCanon et al.,2019、及びLanman et al.,2020も参照のこと)。
【0084】
ソトラシブは、非小細胞肺癌を有する59名の患者、結腸直腸癌を有する42名の患者、及びその他の腫瘍型を有する28名の患者を含む腫瘍組織に対する局所分子検査によって同定された、組織学的に確認されたKRAS G12C変異を含む局所進行性又は転移性の癌を有する129名の患者による第1相用量漸増及び拡大試験で評価された(Hong et al.,2020、1208~1209頁)。Hongらは、非小細胞肺癌について88.1%、結腸直腸癌について73.8%及び他の腫瘍型について75.0%の病勢コントロール率(95%CI)を報告している(Hong et al.,2020,at page 1213,Table 3)。Hongらによって報告された安定な疾患(SD)又は部分奏効(PR)のいずれかを示す癌型は、非小細胞肺癌、結腸直腸癌、膵臓癌、虫垂癌、子宮内膜癌、原発不明癌、膨大部癌、胃癌、小腸癌、副鼻腔癌、胆管癌又は黒色腫であった(Hong et al.,2020,1212頁(
図A)、並びに付録(59頁(
図S5)及び63頁(
図S6))。
【0085】
KRAS G12C変異は、下の表に示される改変頻度で発生する(Cerami et al.,2012;Gao et al.,2013)。例えば、表は、非小細胞肺癌を有する患者の11.6%が、1つ以上の細胞がKRAS G12C変異タンパク質を発現する癌を有することを示す。したがって、KRASG12Cに特異的且つ不可逆的に結合するソトラシブは、下の表5において列挙される癌を含むが、これらに限定されない癌を有する患者の治療に有用である。
【0086】
【0087】
様々な実施形態では、癌は、固形腫瘍である。様々な実施形態では、癌は、非小細胞肺癌、小腸癌、虫垂癌、結腸直腸癌、原発不明癌、子宮内膜癌、混合性癌型、膵臓癌、肝胆道癌、小細胞肺癌、子宮頸癌、胚細胞癌、卵巣癌、消化管神経内分泌癌、膀胱癌、骨髄異形成/骨髄増殖性新生物、頭頸部癌、食道胃癌、軟部組織肉腫、中皮腫、甲状腺癌、白血病、又は黒色腫である。いくつかの実施形態では、癌は、小腸癌、虫垂癌、子宮内膜癌、肝胆道癌、小細胞肺癌、子宮頸癌、生殖細胞腫瘍、卵巣癌、胃腸管神経内分泌腫瘍、膀胱癌、骨髄異形成/骨髄増殖性腫瘍、頭頸部癌、食道胃癌、軟部組織肉腫、中皮腫、甲状腺癌、白血病、又は黒色腫である。様々な実施形態では、癌は、非小細胞肺癌であり、いくつかの特定の実施形態では、転移性又は局所進行性の非小細胞肺癌である。様々な実施形態では、癌は、結腸直腸癌である。いくつかの実施形態では、癌は、膵臓癌である。
【0088】
KRAS、STK11、KEAP1、EGFR、ALK、及び/又はROS1変異状態を検出する方法
本明細書に記載されるとおりの癌におけるG12C、STK11、KEAP1、EGFR、ALK及び/又はROS1変異の存在又は欠如は、当技術分野で知られる方法を使用して決定され得る。腫瘍又は癌が変異を含むかどうかの決定は、例えば、タンパク質をコードするヌクレオチド配列を評価することにより、タンパク質のアミノ酸配列を評価することにより、若しくは推定上の変異体タンパク質の特徴を評価することにより又は当技術分野で知られる任意の他の好適な方法により行われ得る。野生型ヒトKRAS(Genbank受入番号BC010502に記載されるヌクレオチド配列;Genbank受入番号AGC09594に記載されるアミノ酸配列)、STK11(遺伝子ID:6794;www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/6794で利用可能;2020年1月にアクセスされた)、KEAP1(遺伝子ID:9817;www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/9817で利用可能;2020年1月にアクセスされた)、EGFR(遺伝子ID:1956;www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/1956で利用可能;2021年3月にアクセスされた)、ALK(遺伝子ID:238;www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/238で利用可能;2021年3月にアクセスされた)、及びROS1(遺伝子ID:6098;www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/6098で利用可能;2021年3月にアクセスされた)のヌクレオチド及びタンパク質配列の配列は、当技術分野で知られている。
【0089】
変異を検出するための方法としては、ポリメラーゼ連鎖反応-制限酵素断片長多型(PCR-RFLP)アッセイ、ポリメラーゼ連鎖反応-一本鎖DNA高次構造多型(PCR-SSCP)アッセイ、リアルタイムPCRアッセイ、PCRシークエンシング、変異体アレル特異的PCR増幅(MASA)アッセイ、ダイレクトシークエンシング及び/又は次世代シークエンシング、プライマー伸長反応、電気泳動、オリゴヌクレオチド連結アッセイ、ハイブリダイゼーションアッセイ、TaqManアッセイ、SNP遺伝子型決定アッセイ、高分解能融解アッセイ並びにマイクロアレイ分析が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、試料は、リアルタイムPCRによってKRAS G12C変異などの変異について評価される。リアルタイムPCRでは、KRAS G12C変異などの特定の変異に特異的な蛍光プローブが使用される。変異が存在すると、プローブが結合し、蛍光が検出される。いくつかの実施形態では、変異は、遺伝子における特定の領域の直接的な配列決定方法を使用して同定される。この手法は、配列決定された領域において起こり得る変異を全て同定する。いくつかの実施形態では、ゲル電気泳動、キャピラリー電気泳動、サイズ排除クロマトグラフィー、シークエンシング、及び/又はアレイを使用して、挿入変異の存在又は欠如を検出することができる。いくつかの実施形態では、方法としては、変異体タンパク質に特異的な結合剤(例えば、抗体)、タンパク質の電気泳動及びウエスタンブロッティング、並びに直接的なペプチドシークエンシングを使用する変異体の検出が挙げられるが、これらに限定されない。
【0090】
いくつかの実施形態では、マルチプレックスPCR系シークエンシングが変異検出のために使用され、1種以上の遺伝的バイオマーカーの検出の感受性の改善を提供するいくつかのアンプリコンを含み得る。例えば、マルチプレックスPCR系シークエンシングは、約60個のアンプリコン(例えば、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、又は70個のアンプリコン)を含み得る。いくつかの実施形態では、マルチプレックスPCR系シークエンシングは、61個のアンプリコンを含み得る。マルチプレックスPCR系シークエンシングを使用して生成されるアンプリコンは、約15bp~約1000bp(例えば、約25bp~約1000bp、約35bp~約1000bp、約50bp~約1000bp、約100bp~約1000bp、約250bp~約1000bp、約500bp~約1000bp、約750bp~約1000bp、約15bp~約750bp、約15bp~約500bp、約15bp~約300bp、約15bp~約200bp、約15bp~約100bp、約15bp~約80bp、約15bp~約75bp、約15bp~約50bp、約15bp~約40bp、約15bp~約30bp、約15bp~約20bp、約20bp~約100bp、約25bp~約50bp、又は約30bp~約40bp)の長さを有する核酸を含み得る。例えば、マルチプレックスPCR系シークエンシングを使用して生成されるアンプリコンは、約33bpの長さを有する核酸を含み得る。
【0091】
いくつかの実施形態では、患者から得られる試料中に存在する1つ以上の変異の存在は、シークエンシング技術(例えば、次世代シークエンシング技術)を使用して検出される。様々なシークエンシング技術が当技術分野で知られている。例えば、セルフリーDNA中の循環腫瘍DNAの検出及び特徴付けのための方法は他で記載され得る(例えば、Haber and Velculescu,2014を参照のこと)。そのような手法の非限定的な例としては、SafeSeqs(例えば、Kinde et al.,2011を参照のこと)、OnTarget(例えば、Forshew et al.,2012を参照のこと)、及びTamSeq(例えば、Thompson et al.,2012を参照のこと)が挙げられる。
【0092】
いくつかの実施形態では、患者から得られる試料中に存在する1つ以上の変異の存在は、変異検出に関して高度に感受性であることが知られる方法であるドロップレットデジタルPCR(ddPCR)を使用して検出される。いくつかの実施形態では、患者から得られる試料中に存在する1つ以上の変異の存在は、鎖伸長終結技術、ショットガン技術、合成によるシークエンシング方法、微少流体技術を利用する方法、他の捕捉技術、又は試料中の少量のDNA(例えば、セルフリーDNA試料中のctDNA)の検出に有用な当技術分野で知られる他のシークエンシング技術を含むが、これらに限定されない他のシークエンシング技術を使用して検出される。
【0093】
いくつかの実施形態では、患者から得られる試料中に存在する1つ以上の変異の存在は、アレイに基づく方法を使用して検出される。例えば、セルフリーDNA中で遺伝子改変(例えば、1つ以上の遺伝子改変)を検出する工程は、DNAマイクロアレイを使用して実施される。いくつかの実施形態では、DNAマイクロアレイは、複数の癌細胞変異のうちの1つ以上を検出することができる。いくつかの実施形態では、セルフリーDNAは、遺伝子改変を検出する前に増幅される。本明細書に記載される方法のいずれかにおいて使用され得るアレイに基づく方法の非限定的な例としては、相補的DNA(cDNA)マイクロアレイ(例えば、Kumar et al.2012;Laere et al.2009;Mackay et al.2003;Alizadeh et al.1996を参照のこと)、オリゴヌクレオチドマイクロアレイ(例えば、Kim et al.2006;Lodes et al.2009を参照のこと)、細菌人工染色体(BAC)クローンチップ(例えば、Chung et al.2004;Thomas et al.2005を参照のこと)、一塩基多型(SNP)マイクロアレイ(例えば、Mao et al.2007;Jasmine et al.2012を参照のこと)、マイクロアレイに基づく比較ゲノムハイブリダイゼーションアレイ(アレイ-CGH)(例えば、Beers and Nederlof, 2006;Pinkel et al.2005;Michels et al.2007を参照のこと)、分子反転プローブ(MIP)アッセイ(例えば、Wang et al.2012;Lin et al.2010を参照のこと)が挙げられる。いくつかの実施形態では、cDNAマイクロアレイは、Affymetrixマイクロアレイ(例えば、Irizarry 2003;Dalma-Weiszhausz et al.2006を参照のこと)、NimbleGenマイクロアレイ(例えば、Wei et al.2008;Albert et al.2007を参照のこと)、Agilentマイクロアレイ(例えば、Hughes et al.2001を参照のこと)、又はBeadArrayアレイ(例えば、Liu et al.2017を参照のこと)である。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドマイクロアレイは、DNAタイリングアレイ(例えば、Mockler and Ecker,2005;Bertone et al.2006を参照のこと)である。他の好適なアレイに基づく方法は、当技術分野で知られている。
【0094】
腫瘍又は癌が変異を含むかどうかを決定するための方法は、様々な試料を使用することができる。いくつかの実施形態では、試料は、腫瘍又は癌を有する患者から採取される。いくつかの実施形態では、試料は、新鮮な腫瘍/癌試料である。いくつかの実施形態では、試料は、冷凍された腫瘍/癌試料である。いくつかの実施形態では、試料は、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)試料である。いくつかの実施形態では、試料は、循環セルフリーDNA及び/又は循環腫瘍細胞(CTC)試料である。いくつかの実施形態では、試料は、細胞溶解物に処理される。いくつかの実施形態では、試料は、DNA又はRNAに処理される。ある特定の実施形態では、試料は、切除、コア針生検(CNB)、穿刺吸引(FNA)、尿の回収、又は毛包の回収によって得られる。いくつかの実施形態では、全血又は脳脊髄液を使用する液体細胞診を使用して、変異状態を評価してもよい。
【0095】
様々な実施形態では、米国食品医薬品局(FDA)などの規制当局によって承認された試験を使用して、患者が、変異、例えば、KRASG12C変異癌を有するかどうか、又はそのような患者から得られる腫瘍又は組織試料が変異を有する細胞を含有するかどうかを決定する。いくつかの実施形態では、使用されるKRAS変異に関する試験は、therascreen(登録商標)KRAS RGQ PCRキット(Qiagen)である。therascreen(登録商標)KRAS RGQ PCRキットは、Rotor-Gene Q MDx 5plex HRM機器を使用するヒトKRAS癌遺伝子のコドン12及び13の7種の体細胞変異(G12A、G12D、G12R、G12C、G12S、G12V、及びG13D)の検出のためのリアルタイム定量PCRアッセイである。キットは、切除、CNB又はFNAによって得られるNSCLC又はCRCのFFPE試料から抽出されたDNAとの使用が意図される。STK11、KEAP1、EGFR、ALK及び/又はROS1に関する変異試験は、24種の遺伝子を含む(NSCLCにおいて治療につながるものを含む)Resolution Bioscience Resolution ctDx Lung(商標)アッセイなどの市販の試験により実行され得る。組織試料は、Tempus xT 648パネルを使用して試験され得る。
【0096】
いくつかの実施形態では、癌は、KRAS G12C変異を有すると同定されている。いくつかの実施形態では、癌は、STK11の変異、例えば、機能喪失変異を有すると同定されている。いくつかの実施形態では、癌は、KEAP1の変異、例えば、機能喪失変異を有すると同定されている。いくつかの実施形態では、癌は、野生型STK11を有すると同定されている。いくつかの実施形態では、癌は、野生型KEAP1を有すると同定されている。
【0097】
様々な実施形態では、癌は、STK11の機能喪失変異及び野生型KEAP1を有すると同定されている。いくつかの実施形態では、癌は、STK11の機能喪失変異及びKEAP1の機能喪失変異を有すると同定されている。いくつかの実施形態では、癌は、STK11の野生型及びKEAP1の野生型を有すると同定されている。いくつかの実施形態では、癌は、STK11の野生型及びKEAP1の機能喪失変異を有すると同定されている。
【0098】
用語「機能喪失変異」は、本明細書で使用する場合、もはや野生型活性を示さない(例えば、低減したか又は消失した野生型生物活性又は酵素活性)変異体タンパク質の発現をもたらすか、もはや野生型活性を示さないタンパク質の断片のみの発現をもたらすか、又は野生型タンパク質の発現をもたらさない変異(例えば、置換、欠失、短縮化又はフレームシフト変異)を指す。例えば、細胞においてSTK11遺伝子に影響を及ぼす機能喪失変異は、STK11タンパク質の発現の減少、STK11タンパク質の断片のみの発現、又は癌性細胞において減少した酵素活性を示すか又は酵素活性を示さない(例えば、セリン/スレオニンキナーゼ酵素活性がない)STK11タンパク質の発現をもたらし得る。同様に、細胞においてKEAP1遺伝子に影響を及ぼす機能喪失変異は、KEAP1タンパク質の発現の減少、KEAP1タンパク質の断片のみの発現、又は細胞において減少した活性を示すか又は活性を示さない(例えば、赤血球系転写因子2関連転写因子2(NRF2)と相互作用するか又はそれを活性化することができない)KEAP1タンパク質の発現をもたらし得る。
【0099】
PD-L1タンパク質発現を検出する方法
PD-L1発現は、当技術分野で知られる方法によって決定され得る。例えば、PD-L1発現は、ペムブロリズマブによる治療に関するコンパニオン試験としてDako及びMerckによって開発されたFDAに承認されたインビトロ診断用の免疫組織化学(IHC)試験であるPD-L1 IHC 22C3 pharmDxを使用して検出され得る。これは、ヒト非小細胞肺癌組織などのFFPE試料においてPD-L1を検出するためのモノクローナルマウス抗PD-L1、クローン22C3 PD-L1及び自動染色装置Lin 48上でのEnVision FLEX可視化システムを使用する定量アッセイである。発現レベルは、腫瘍比率スコア(TPS)を使用して測定することができ、任意の強度で部分的な又は完全な膜染色を示す生存腫瘍細胞のパーセンテージを測定する。染色は、0%から100%でPD-L1発現を示すことができる。
【0100】
PD-L1発現はまた、ニボルマブによる治療に関するコンパニオン試験としてDako及びBristol-Meyers Squibbによって開発されたFDAに承認されたインビトロ診断用の免疫組織化学(IHC)試験であるPD-L1 IHC 28-8 pharmDxを使用して検出され得る。この定量アッセイは、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)ヒト癌組織においてPD-L1を検出するためのモノクローナルウサギ抗PD-L1、クローン28-8及び自動染色装置Lin 48上でのEnVision FLEX可視化システムを使用する。
【0101】
PD-L1検出のための他の市販の試験としては、モノクローナルウサギ抗PD-L1、クローンSP263を利用するVentana SP263アッセイ(AstraZenecaと共同でVentanaによって開発された)及びウサギモノクローナル抗PD-L1クローンSP142を使用するVentana SP142アッセイ(Genentech/Rocheと共同でVentanaによって開発された)が挙げられる。
【0102】
いくつかの実施形態では、米国食品医薬品局(FDA)などの規制当局によって承認された試験を使用して、本明細書で開示されるとおりの癌のPD-L1 TPSを決定する。様々な実施形態では、PD-L1 TPSは、免疫組織化学(IHC)試験を使用して決定される。いくつかの実施形態では、IHC試験は、PD-L1 IHC 22C3 pharmDx試験である。様々な実施形態では、IHC試験は、例えば、切除、CNB、又はFNAによって得られた試料を用いて実行した。
【0103】
様々な実施形態では、患者は、100%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、50%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、又は1%未満のPD-L1 TPSを有する。様々な実施形態では、患者は、50%未満又は1%未満のPD-L1 TPSを有する。様々な実施形態では、患者は、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、50%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、又は1%以上のPD-L1 TPSを有する。様々な実施形態では、患者は、100%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、50%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、又は1%以下のPD-L1 TPSを有する。様々な実施形態では、患者は、50%以下、又は1%以下のPD-L1 TPSを有する。様々な実施形態では、患者は、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、50%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、又は1%を超えるPD-L1 TPSを有する。様々な実施形態では、患者は、前述の実施形態において引用される値のいずれかによって制限される範囲のPD-L1 TPSスコアを有する。例えば、患者は、50%未満且つ1%以上、50%以下且つ1%超、50%以下且つ1%以上又は50%未満且つ1%超の範囲のPD-L1 TPSスコアを有する。
【0104】
様々な実施形態では、患者は、50%未満且つ1%以上の範囲のPD-L1 TPSスコアを有する。いくつかの実施形態では、患者は、0%以上且つ1%未満の範囲のPD-L1 TPSスコアを有する。いくつかの実施形態では、患者は、50%超且つ100%以下の範囲のPD-L1 TPSスコアを有する。いくつかの実施形態では、患者は、1%未満のPD-L1 TPSスコアを有する。いくつかの実施形態では、患者は、1~49%のPD-L1 TPSスコアを有する。いくつかの実施形態では、患者は、50%以上(すなわち、50%~100%)のPD-L1 TPSスコアを有する。
【0105】
実施形態
1.患者においてKRAS G12C変異を含む癌を治療する方法であって、癌を治療するのに有効な量のソトラシブ及び抗上皮増殖因子受容体(EGFR)抗体を患者に投与することを含む方法。
2.毎日960mgのソトラシブを患者に投与することを含む、実施形態1の方法。
3.毎日720mgのソトラシブを患者に投与することを含む、実施形態1の方法。
4.毎日480mgのソトラシブを患者に投与することを含む、実施形態1の方法。
5.毎日240mgのソトラシブを患者に投与することを含む、実施形態1の方法。
6.ソトラシブを1日1回患者に投与することを含む、実施形態1~5のいずれか1つの方法。
7.ソトラシブを1日2回患者に投与することを含む、実施形態1~5のいずれか1つの方法。
8.抗上皮成長因子受容体(EGFR)抗体を2週間毎に患者に投与することを含む、実施形態1~5のいずれか1つの方法。
9.抗EGFR抗体が、配列番号1の重鎖HCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号6の軽鎖LCDR1、配列番号7のLCDR2、及び配列番号8のLCDR3を含む、実施形態8の方法。
10.抗EGFR抗体が、配列番号4の重鎖可変領域配列及び配列番号9の軽鎖可変領域を含む、実施形態9の方法。
11.抗EGFR抗体が、配列番号5の重鎖配列及び配列番号10の軽鎖配列を含む、実施形態10の方法。
12.抗EGFR抗体が、パニツムマブである、実施形態8の方法。
13.6mg/kgのパニツムマブを患者に投与することを含む、実施形態1~12のいずれか1つの方法。
14.3mg/kgのパニツムマブを患者に投与することを含む、実施形態1~12のいずれか1つの方法。
15.(a)毎日960mgのソトラシブ;及び
(b)2週間毎にIV投与による6mg/kgのパニツムマブ
を患者に投与することを含む、実施形態1~12のいずれか1つの方法。
16.(a)毎日720mgのソトラシブ;及び
(b)2週間毎にIV投与による6mg/kgのパニツムマブ
を患者に投与することを含む、実施形態1~12のいずれか1つの方法。
17.(a)毎日480mgのソトラシブ;及び
(b)2週間毎にIV投与による6mg/kgのパニツムマブ
を患者に投与することを含む、実施形態1~12のいずれか1つの方法。
18.(a)毎日960mgのソトラシブ;及び
(b)2週間毎にIV投与による3mg/kgのパニツムマブ
を患者に投与することを含む、実施形態1~12のいずれか1つの方法。
19.イリノテカン、5-FU、及びロイコボリンを患者に投与することをさらに含む、実施形態1~18のいずれか1つの方法。
20.IV投与により400mg/m2のロイコボリンを患者に投与することを含む、実施形態19の方法。
21.イリノテカン、5-FU、及びレボロイコボリンを患者に投与することをさらに含む、実施形態1~18のいずれか1つの方法。
22.IV投与により200mg/m2のレボロイコボリンを患者に投与することを含む、実施形態21の方法。
23.IV投与により180mg/m2のイリノテカンを患者に投与することを含む、実施形態1~22のいずれか1つの方法。
24.IV投与により400mg/m2の5-FUを患者に投与することを含む、実施形態1~22のいずれか1つの方法。
25.IV投与により、180mg/m2のイリノテカン、400mg/m2のロイコボリン、及び400mg/m2の5-FUを、IVボーラスで2週間毎に患者に投与すること、並びに2400mg/m2の5-FUを、IV持続注入で46~48時間かけて患者に投与することを含む、実施形態1~20、及び23~24のいずれか1つの方法。
26.IV投与により、180mg/m2のイリノテカン、200mg/m2のレボロイコボリン、及び400mg/m2の5-FUのIVボーラス並びに2400mg/m2の5-FUの46~48時間にわたるIV持続注入を、2週間毎に患者に投与することを含む、実施形態1~18、及び21~24のいずれか1つの方法。
27.イリノテカン及び5-FUを患者に投与することをさらに含む、実施形態1~18のいずれか1つの方法。
28.IV投与により180mg/m2のイリノテカンを患者に投与することを含む、実施形態27の方法。
29.IV投与により150mg/m2のイリノテカンを患者に投与することを含む、実施形態27の方法。
30.IV投与により、180mg/m2のイリノテカン、及び400mg/m2の5-FUのIVボーラス並びに2400mg/m2の5-FUの46~48時間にわたるIV持続注入を、2週間毎に患者に投与することを含む、実施形態1~18及び28のいずれか1つの方法。
31.IV投与により、150mg/m2のイリノテカン、及び400mg/m2の5-FUのIVボーラス並びに2400mg/m2の5-FUの46~48時間にわたるIV持続注入を、2週間毎に患者に投与することを含む、実施形態1~18及び27のいずれか1つの方法。
32.癌が、固形腫瘍である、実施形態1~31のいずれか1つの方法。
33.癌が、小腸癌、虫垂癌、子宮内膜癌、肝胆道癌、小細胞肺癌、子宮頸癌、生殖細胞腫瘍、卵巣癌、胃腸管神経内分泌腫瘍、膀胱癌、骨髄異形成/骨髄増殖性腫瘍、頭頸部癌、食道胃癌、軟部組織肉腫、中皮腫、甲状腺癌、白血病、又は黒色腫である、実施形態1~32のいずれか1つの方法。
34.癌が、非小細胞肺癌(NSCLC)又は結腸直腸癌(CRC)である、実施形態1~33のいずれか1つの方法。
35.癌が、非小細胞肺癌(NSCLC)である、実施形態1~33のいずれか1つの方法。
36.癌が、転移性膵臓癌である、実施形態1~33のいずれか1つの方法。
37.患者が、少なくとも1つの他の全身癌療法を以前に受けている、実施形態1~36のいずれか1つの方法。
38.少なくとも1つの全身癌療法が、KRASG12C阻害剤による療法、抗PD-1療法、抗PD-L1療法、及びプラチナ系化学療法から選択される、実施形態37の方法。
39.少なくとも1つの全身癌療法が、KRASG12C阻害剤による療法ではない、実施形態37の方法。
40.癌が、結腸直腸癌(CRC)である、実施形態1~39のいずれか1つの方法。
41.患者が、フルオロピリミジン、オキサリプラチン、イリノテカン、及び抗血管新生薬による療法を以前に受けている、実施形態1~34及び39のいずれか1つの方法。
42.患者が、チェックポイント阻害剤による治療を以前に受けている、実施形態40又は41の方法。
43.患者が、KRASG12C阻害剤による療法に対して抵抗性である、実施形態1~34及び40~42のいずれか1つの方法。
44.患者が、転移性疾患について少なくとも1つの他の療法を以前に受けている、実施形態1~34、36、及び40~43のいずれか1つの方法。
45.患者が、転移性疾患について1つの他の療法を以前に受けている、実施形態1~34、36、及び40~43のいずれか1つの方法。
46.患者が、転移性疾患について以前の療法を受けていない、実施形態1~34及び40のいずれか1つの方法。
47.患者が、非脳腫瘍からの活動性脳転移又は軟髄膜疾患を有しない、実施形態1~46のいずれか1つの方法。
48.患者が、治療開始の6ヶ月前に心筋梗塞を有しなかった、実施形態1~47のいずれか1つの方法。
49.患者が、RECIST 1.1プロトコルによって測定されるとおり、ソトラシブ及びパニツムマブ療法の1、3、又は6ヶ月後に少なくとも安定な疾患(SD)を示す、実施形態1~48のいずれか1つの方法。
50.患者が、RECIST 1.1プロトコルによって測定されるとおり、ソトラシブ及びパニツムマブ療法の1、3、又は6ヶ月後に少なくとも部分奏効(PR)を示す、実施形態1~49のいずれか1つの方法。
51.患者が、少なくとも3ヶ月間の無増悪生存期間(PFS)を示す、実施形態1~50のいずれか1つの方法。
52.患者が、A型肝炎感染、B型肝炎感染、又はC型肝炎感染に罹患していない、実施形態1~51のいずれか1つの方法。
53.患者が、間質性肺炎又は肺線維症に罹患していない、実施形態1~52のいずれか1つの方法。
54.患者が、制酸薬による治療をさらに必要とする、実施形態1~53のいずれか1つの方法。
55.制酸薬が、プロトンポンプ阻害剤(PPI)、H2受容体アンタゴニスト(H2RA)、又は局所作用制酸剤である、実施形態54の方法。
56.制酸薬が、局所作用制酸剤であり、ソトラシブが、局所作用制酸剤の約4時間前又は約10時間後に投与される、実施形態54又は実施形態55の方法。
57.局所作用制酸剤が、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、又は水酸化マグネシウムである、実施形態55又は実施形態56の方法。
58.患者が、プロトンポンプ阻害剤(PPI)又はH2受容体アンタゴニスト(H2RA)による治療をさらに必要とする、実施形態1~57のいずれか1つの方法。
59.患者が、ソトラシブと組み合わせてPPI又はH2RAを投与されない、実施形態58の方法。
60.PPIが、オメプラゾール、パントプラゾール、エソメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール、又はデクスランソプラゾールである、実施形態55、58又は59のいずれか1つの方法。
61.H2RAが、ファモチジン、ラニチジン、シメチジン、ニザチジン、ロキサチジン、又はラフチジンである、実施形態55、58又は59のいずれか1つの方法。
62.患者が、CYP3A4誘導剤による治療をさらに必要とする、実施形態1~61のいずれか1つの方法。
63.患者が、ソトラシブと組み合わせてCYP3A4誘導剤を投与されない、実施形態62の方法。
64.CYP3A4誘導剤が、バルビツレート、ブリガチニブ、カルバマゼピン、クロバザム、ダブラフェニブ、エファビレンツ、エラゴリクス、エンザルタミド、エスリカルバゼピン、グルココルチコイド、レテルモビル、ロルラチニブ、モダフィニル、ネビラピン、オリタバンシン、オクスカルバゼピン、ペランパネル、フェノバルビタール、フェニトイン、ピオグリタゾン、リファブチン、リファンピン、テロトリスタット、及びトログリタゾンである、実施形態62又は63の方法である。
65.患者が、ソトラシブと組み合わせて強力なCYP3A4誘導剤を投与されない、実施形態62又は実施形態63の方法。
66.強力なCYP3A4誘導剤が、フェニトイン又はリファンピンである、実施形態65の方法。
67.患者が、CYP3A4基質による治療をさらに必要とする、実施形態1~66のいずれか1つの方法。
68.患者が、ソトラシブと組み合わせてCYP3A4基質を投与されない、実施形態67の方法。
69.CYP3A4基質が、アベマシクリブ、アビラテロン、アカラブルチニブ、アレクチニブ、アルフェンタニル、アルプラゾラム、アミトリプチリン、アムロジピン、アピキサバン、アプレピタント、アリピプラゾール、アステミゾール、アトルバスタチン、アバナフィル、アキシチニブ、ボセプレビル、ボスチニブ、ブレクスピプラゾール、ブリガチニブ、ブスピロン、カフェルゴット、カフェイン、カルバマゼピン、カリプラジン、セリチニブ、セリバスタチン、クロルフェニラミン、シロスタゾール、シサプリド、シタロプラム、クラリスロマイシン、クロバザム、クロピドグレル、コビメチニブ、コカイン、コデイン、コルヒチン、コパンリシブ、クリゾチニブ、シクロスポリン、ダブラフェニブ、ダクラタスビル、ダプソン、デフラザコート、デキサメタゾン、デキストロメトルファン、ジアゼパム、ジルチアゼム、ドセタキセル、ドルテグラビル、ドンペリドン、ドキセピン、エラゴリクス、エルバスビル/グラゾプレビル、エリグルスタット、エンザルタミド、エプレレノン、エリスロマイシン、エスシタロプラム、エソメプラゾール、エストラジオール、フェロジピン、フェンタニル、フィナステリド、フリバンセリン、イマチニブ、ハロペリドール、ヒドロコルチゾン、イブルチニブ、イデラリシブ、インダカテロール、インジナビル、イリノテカン、イサブコナゾニウム、イバブラジン、アイバカフトール、ランソプラゾール、レンバチニブ、レルカニジピン、リドカイン、リナグリプチン、ロバスタチン、マシテンタン、メサドン、ミダゾラム、ナルデメジン、ナロキセゴール、ナテグリニド、ネルフィナビル、ネラチニブ、ネツピタント/パロノセトロン、ネビラピン、ニフェジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン、オラパリブ、オメプラゾール、オンダンセトロン、オシメルチニブ、オスペミフェン、パルボシクリブ、パノビノスタット、パントプラゾール、ペランパネル、ピマバンセリン、ピモジド、ポマリドミド、ポナチニブ、プロゲステロン、プロプラノロール、クエチアピン、キニジン、キニーネ、レゴラフェニブ、リボシクリブ、リルピビリン、リスペリドン、リトナビル、リバーロキサバン、ロフルミラスト、ロラピタント、ロミデプシン、ルキソリチニブ、サルメテロール、サキナビル、セレキシパグ、シルデナフィル、シメプレビル、シンバスタチン、シロリムス、ソニデギブ、ソラフェニブ、スニチニブ、スボレキサント、タクロリムス(fk506)、タモキシフェン、タシメルテオン、タキソール、テラプレビル、テリスロマイシン、テルフェナジン、テストステロン、チカグレロル、トファシチニブ、トルバプタン、トーリセル、トラマドール、トラゾドン、バルベナジン、バンデタニブ、ベルパタスビル、ベムラフェニブ、ベネトクラクス、ベンラファキシン、ベラパミル、ビラゾドン、ビンクリスチン、ボラパクサール、ボリコナゾール、ザレプロン、又はジプラシドンである、実施形態67又は68の方法。
70.患者が、P-糖タンパク質(P-gp)基質による治療をさらに必要とする、実施形態1~69のいずれか1つの方法。
71.患者が、ソトラシブと組み合わせてP-gp基質を投与されない、実施形態70の方法。
72.P-gp基質が、エテキシラート、ジゴキシン、又はフェキソフェナジンである、実施形態70又は実施形態71の方法。
73.癌が、1~49%のPD-L1腫瘍比率スコア(TPS)を示す、実施形態1~72のいずれか1つの方法。
74.癌が、1%未満のPD-L1腫瘍比率スコア(TPS)を示す、実施形態1~73のいずれか1つの方法。
75.癌が、50~100%のPD-L1腫瘍比率スコア(TPS)を示す、実施形態1~74のいずれか1つの方法。
76.癌がさらに、STK11変異を含む、実施形態1~75のいずれか1つの方法。
77.癌がさらに、KEAP1変異を含む、実施形態1~76のいずれか1つの方法。
78.変異が、機能喪失変異である、実施形態76又は実施形態77の方法。
【0106】
代替的実施形態の第1セット
1.患者においてKRAS G12C変異を含む癌を治療する方法であって、癌を治療するのに有効な量のソトラシブ及び抗上皮増殖因子受容体(EGFR)抗体を患者に投与することを含む方法。
2.毎日960mgのソトラシブを患者に投与することを含む、実施形態1の方法。
3.毎日240mgのソトラシブを患者に投与することを含む、実施形態1の方法。
4.ソトラシブを1日1回患者に投与することを含む、実施形態1~3のいずれか1つの方法。
5.ソトラシブを1日2回患者に投与することを含む、実施形態1~3のいずれか1つの方法。
6.抗上皮成長因子受容体(EGFR)抗体を2週間毎に患者に投与することを含む、実施形態1~5のいずれか1つの方法。
7.抗EGFR抗体が、配列番号1の重鎖HCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号6の軽鎖LCDR1、配列番号7のLCDR2、及び配列番号8のLCDR3を含む、実施形態6の方法。
8.抗EGFR抗体が、配列番号4の重鎖可変領域配列及び配列番号9の軽鎖可変領域を含む、実施形態7の方法。
9.抗EGFR抗体が、配列番号5の重鎖配列及び配列番号10の軽鎖配列を含む、実施形態7の方法。
10.抗EGFR抗体が、パニツムマブである、実施形態7の方法。
11.6mg/kgのパニツムマブを患者に投与することを含む、実施形態1~10のいずれか1つの方法。
12.(a)毎日960mgのソトラシブ;及び
(b)2週間毎にIV投与による6mg/kgのパニツムマブ
を患者に投与することを含む、実施形態1~10のいずれか1つの方法。
13.(a)毎日240mgのソトラシブ;及び
(b)2週間毎にIV投与による6mg/kgのパニツムマブ
を患者に投与することを含む、実施形態1~10のいずれか1つの方法。
14.イリノテカン、5-FU及びロイコボリンを患者に投与することをさらに含む、実施形態1~13のいずれか1つの方法。
15.IV投与により400mg/m2のロイコボリンを患者に投与することを含む、実施形態14の方法。
16.イリノテカン、5-FU、及びレボロイコボリンを患者に投与することをさらに含む、実施形態1~13のいずれか1つの方法。
17.IV投与により200mg/m2のレボロイコボリンを患者に投与することを含む、実施形態16の方法。
18.IV投与により180mg/m2のイリノテカンを患者に投与することを含む、実施形態1~17のいずれか1つの方法。
19.IV投与により400mg/m2の5-FUを患者に投与することを含む、実施形態1~18のいずれか1つの方法。
20.IV投与により、180mg/m2のイリノテカン、400mg/m2のロイコボリン、及び400mg/m2の5-FUを、IVボーラスで2週間毎に患者に投与すること、並びに2400mg/m2の5-FUを、IV持続注入で46~48時間かけて患者に投与することを含む、実施形態1~15、及び18~19のいずれか1つの方法。
21.IV投与により、180mg/m2のイリノテカン、200mg/m2のレボロイコボリン、及び400mg/m2の5-FUのIVボーラス並びに2400mg/m2の5-FUの46~48時間にわたるIV持続注入を、2週間毎に患者に投与することを含む、実施形態1~13、16及び17のいずれか1つの方法。
22.イリノテカン及び5-FUを患者に投与することをさらに含む、実施形態1~13のいずれか1つの方法。
23.IV投与により180mg/m2のイリノテカンを患者に投与することを含む、実施形態22の方法。
24.IV投与により150mg/m2のイリノテカンを患者に投与することを含む、実施形態22の方法。
25.IV投与により、180mg/m2のイリノテカン、及び400mg/m2の5-FUのIVボーラス並びに2400mg/m2の5-FUの46~48時間にわたるIV持続注入を、2週間毎に患者に投与することを含む、実施形態1~13及び23のいずれか1つの方法。
26.IV投与により、150mg/m2のイリノテカン、及び400mg/m2の5-FUのIVボーラス並びに2400mg/m2の5-FUの46~48時間にわたるIV持続注入を、2週間毎に患者に投与することを含む、実施形態1~13及び24のいずれか1つの方法。
27.癌が、固形腫瘍である、実施形態1~26のいずれか1つの方法。
28.癌が、小腸癌、虫垂癌、子宮内膜癌、肝胆道癌、小細胞肺癌、子宮頸癌、膵臓癌、生殖細胞腫瘍、卵巣癌、胃腸管神経内分泌腫瘍、膀胱癌、骨髄異形成/骨髄増殖性腫瘍、頭頸部癌、食道胃癌、軟部組織肉腫、中皮腫、甲状腺癌、白血病、又は黒色腫である、実施形態1~27のいずれか1つの方法。
29.癌が、非小細胞肺癌(NSCLC)又は結腸直腸癌(CRC)である、実施形態1~28のいずれか1つの方法。
30.癌が、非小細胞肺癌(NSCLC)である、実施形態1~29のいずれか1つの方法。
31.癌が、転移性膵臓癌である、実施形態1~28のいずれか1つの方法。
32.癌が、結腸直腸癌である、実施形態1~28のいずれか1つの方法。
33.患者が、少なくとも1つの他の全身癌療法を以前に受けている、実施形態1~32のいずれか1つの方法。
34.少なくとも1つの全身癌療法が、KRASG12C阻害剤による療法、抗PD-1療法、抗PD-L1療法、及びプラチナ系化学療法から選択される、実施形態33の方法。
35.少なくとも1つの全身癌療法が、KRASG12C阻害剤による療法ではない、実施形態33の方法。
36.癌が、転移性結腸直腸癌(mCRC)である、実施形態1~28のいずれか1つの方法。
37.患者が、少なくとも1つの他の全身癌療法を以前に受けている、実施形態1~36のいずれか1つの方法。
38.患者が、少なくとも2つの他の全身癌療法を以前に受けている、実施形態1~36のいずれか1つの方法。
39.全身癌療法が、フルオロピリミジン、イリノテカン、及びオキサリプラチンを患者に投与することを含む療法である、実施形態37及び実施形態38の方法。
40.mCRCがMSI-Hであると決定され、全身癌療法が患者にチェックポイント阻害剤を投与することを含む療法である、実施形態36~39のいずれか1つの方法。
41.mCRCがBRAF V600E変異を含み、全身癌療法がエンコラフェニブ及びセツキシマブを患者に投与することを含む療法である、実施形態36~40のいずれか1つの方法。
42,全身癌療法がアジュバント療法であり、癌がアジュバント療法の完了後6ヶ月以内に進行している、実施形態36~41のいずれか1つの方法。
43.全身癌療法が、mCRCの切除後のアジュバント療法である、実施形態36~42のいずれか1つの方法。
44.患者が、2以下のECOGパフォーマンスステータスを示す、実施形態36~43のいずれか1つの方法。
45.患者が、活動性脳転移を有しない、実施形態36~44のいずれか1つの方法。
46.患者が、軟髄膜疾患を有しない、実施形態36~45のいずれか1つの方法。
47.患者が、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症を有しない、実施形態36~46のいずれか1つの方法。
48.患者が、B型肝炎又はC型肝炎感染を有しない、実施形態36~47のいずれか1つの方法。
49.全身癌療法が、(i)トリフルリジン及びチピラシル、並びに(ii)レゴラフェニブを患者に投与することを含む療法である、実施形態37~48のいずれか1つの方法。
50.全身療法が、KRASG12C阻害剤を患者に投与することを含む療法ではない、実施形態37~49のいずれか1つの方法。
51.KRASG12C阻害剤がソトラシブである、実施形態50の方法。
52.KRASG12C阻害剤がアダグラシブである、実施形態50の方法。
53.全身療法が、トリフルリジン及びチピラシルを患者に投与することを含む療法ではない、実施形態37~52のいずれか1つの方法。
54.全身療法が、レゴラフェニブを患者に投与することを含む療法ではない、実施形態37~53のいずれか1つの方法。
55.患者が、別の全身癌療法を以前に受けていない、実施形態1~36のいずれか1つの方法。
56.患者が、活動性脳転移を有しない、実施形態55の方法。
57.患者が、軟髄膜疾患を有しない、実施形態55及び56の方法。
58.mCRCが、BRAF V600E変異を含まない、実施形態55~57のいずれか1つの方法。
59.mCRCが、MSI-Hではないと決定される、実施形態55~58のいずれか1つの方法。
60.全身療法が、KRASG12C阻害剤を患者に投与することを含む療法である、実施形態55~59のいずれか1つの方法。
61.KRASG12C阻害剤がソトラシブである、実施形態60の方法。
62.KRASG12C阻害剤がアダグラシブである、実施形態60の方法。
63.患者が、ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ欠損症を有しない、実施形態55~62のいずれか1つの方法。
64.患者が、UDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ1A1(UGT1A1)*28ホモ接合性又はギルバート病を有しない、実施形態55~63のいずれか1つの方法。
65.患者が、B型肝炎又はC型肝炎感染を有しない、実施形態55~64のいずれか1つの方法。
66.患者が、ニューヨーク心臓協会(New York Heart Association)のクラスII以上の心臓病、治療前6ヶ月未満の心筋梗塞、不安定性不整脈、又は不安定性狭心症を有しない、実施形態55~64のいずれか1つの方法。
67.患者が、1以下のECOGパフォーマンスステータスを示す、実施形態55~64のいずれか1つの方法。
68.患者が、1つの他の全身癌療法を以前に受けている、実施形態1~36のいずれか1つの方法。
69.癌がMSI-Hであると決定され、1つの他の全身癌療法がチェックポイント阻害剤である、実施形態68の方法。
70.患者が1つの他の全身癌療法を受けており、前記療法中又はその後に進行した、実施形態68又は実施形態69の方法。
71.1つの他の全身癌療法がアジュバント療法であり、mCRCがアジュバント療法の完了後6ヶ月以内に進行している、実施形態68~70のいずれか1つの方法。
72.mCRCがMSI-Hであると決定され、1つの他の全身癌療法がチェックポイント阻害剤を投与することを含む療法である、実施形態68~70のいずれか1つの方法。
73.1つの他の全身療法が、KRASG12C阻害剤を患者に投与することを含む療法ではない、実施形態68~70のいずれか1つの方法。
74.KRASG12C阻害剤がソトラシブである、実施形態73の方法。
75.KRASG12C阻害剤がアダグラシブである、実施形態73の方法。
76.1つの他の全身療法が、イリノテカンを投与することを含む療法ではない、実施形態68~70のいずれか1つの方法。
77.患者が、1以下のECOGパフォーマンスステータスを示す、実施形態68~76のいずれか1つの方法。
78.患者が、活動性脳転移を有しない、実施形態68~77のいずれか1つの方法。
79.患者が、軟髄膜疾患を有しない、実施形態68~78のいずれか1つの方法。
80.mCRCが、BRAF V600E変異を含まない、実施形態68~79のいずれか1つの方法。
81.患者が、ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ欠損症を有しない、実施形態68~80のいずれか1つの方法。
82.患者が、UDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ1A1(UGT1A1)*28ホモ接合性又はギルバート病を有しない、実施形態68~81のいずれか1つの方法。
83.患者が、B型肝炎又はC型肝炎感染を有しない、実施形態68~82のいずれか1つの方法。
84.患者が、ニューヨーク心臓協会(New York Heart Association)のクラスII以上の心臓病、治療前6ヶ月未満の心筋梗塞、不安定性不整脈、又は不安定性狭心症を有しない、実施形態68~83のいずれか1つの方法。
85.患者が、RECIST 1.1プロトコルによって測定されるとおり、ソトラシブ及びパニツムマブ療法の1、3、又は6ヶ月後に少なくとも安定な疾患(SD)を示す、実施形態1~84のいずれか1つの方法。
86.患者が、RECIST 1.1プロトコルによって測定されるとおり、ソトラシブ及びパニツムマブ療法の1、3、又は6ヶ月後に少なくとも部分奏効(PR)を示す、実施形態1~85のいずれか1つの方法。
87.患者が、少なくとも3ヶ月間の無増悪生存期間(PFS)を示す、実施形態1~86のいずれか1つの方法。
88.患者が、制酸薬による治療をさらに必要とする、実施形態1~87のいずれか1つの方法。
89.制酸薬が、プロトンポンプ阻害剤(PPI)、H2受容体アンタゴニスト(H2RA)、又は局所作用制酸剤である、実施形態88の方法。
90.制酸薬が、局所作用制酸剤であり、ソトラシブが、局所作用制酸剤の約4時間前又は約10時間後に投与される、実施形態88又は実施形態89の方法。
91.局所作用制酸剤が、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、又は水酸化マグネシウムである、実施形態89又は実施形態90の方法。
92.患者が、プロトンポンプ阻害剤(PPI)又はH2受容体アンタゴニスト(H2RA)による治療をさらに必要とする、実施形態1~91のいずれか1つの方法。
93.患者が、ソトラシブと組み合わせてPPI又はH2RAを投与されない、実施形態92の方法。
94.PPIが、オメプラゾール、パントプラゾール、エソメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール、又はデクスランソプラゾールである、実施形態89、92、又は93のいずれか1つの方法。
95.H2RAが、ファモチジン、ラニチジン、シメチジン、ニザチジン、ロキサチジン、又はラフチジンである、実施形態89、92、又は93のいずれか1つの方法。
96.患者が、CYP3A4誘導剤による治療をさらに必要とする、実施形態1~95のいずれか1つの方法。
97.患者が、ソトラシブと組み合わせてCYP3A4誘導剤を投与されない、実施形態96の方法。
98.CYP3A4誘導剤が、バルビツレート、ブリガチニブ、カルバマゼピン、クロバザム、ダブラフェニブ、エファビレンツ、エラゴリクス、エンザルタミド、エスリカルバゼピン、グルココルチコイド、レテルモビル、ロルラチニブ、モダフィニル、ネビラピン、オリタバンシン、オクスカルバゼピン、ペランパネル、フェノバルビタール、フェニトイン、ピオグリタゾン、リファブチン、リファンピン、テロトリスタット、又はトログリタゾンである、実施形態96又は97の方法である。
99.患者が、ソトラシブと組み合わせて強力なCYP3A4誘導剤を投与されない、実施形態96又は実施形態97の方法。
100.強力なCYP3A4誘導剤が、フェニトイン又はリファンピンである、実施形態99の方法。
101.患者が、CYP3A4基質による治療をさらに必要とする、実施形態1~100のいずれか1つの方法。
102.患者が、ソトラシブと組み合わせてCYP3A4基質を投与されない、実施形態101の方法。
103.CYP3A4基質が、アベマシクリブ、アビラテロン、アカラブルチニブ、アレクチニブ、アルフェンタニル、アルプラゾラム、アミトリプチリン、アムロジピン、アピキサバン、アプレピタント、アリピプラゾール、アステミゾール、アトルバスタチン、アバナフィル、アキシチニブ、ボセプレビル、ボスチニブ、ブレクスピプラゾール、ブリガチニブ、ブスピロン、カフェルゴット、カフェイン、カルバマゼピン、カリプラジン、セリチニブ、セリバスタチン、クロルフェニラミン、シロスタゾール、シサプリド、シタロプラム、クラリスロマイシン、クロバザム、クロピドグレル、コビメチニブ、コカイン、コデイン、コルヒチン、コパンリシブ、クリゾチニブ、シクロスポリン、ダブラフェニブ、ダクラタスビル、ダプソン、デフラザコート、デキサメタゾン、デキストロメトルファン、ジアゼパム、ジルチアゼム、ドセタキセル、ドルテグラビル、ドンペリドン、ドキセピン、エラゴリクス、エルバスビル/グラゾプレビル、エリグルスタット、エンザルタミド、エプレレノン、エリスロマイシン、エスシタロプラム、エソメプラゾール、エストラジオール、フェロジピン、フェンタニル、フィナステリド、フリバンセリン、イマチニブ、ハロペリドール、ヒドロコルチゾン、イブルチニブ、イデラリシブ、インダカテロール、インジナビル、イリノテカン、イサブコナゾニウム、イバブラジン、アイバカフトール、ランソプラゾール、レンバチニブ、レルカニジピン、リドカイン、リナグリプチン、ロバスタチン、マシテンタン、メサドン、ミダゾラム、ナルデメジン、ナロキセゴール、ナテグリニド、ネルフィナビル、ネラチニブ、ネツピタント/パロノセトロン、ネビラピン、ニフェジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン、オラパリブ、オメプラゾール、オンダンセトロン、オシメルチニブ、オスペミフェン、パルボシクリブ、パノビノスタット、パントプラゾール、ペランパネル、ピマバンセリン、ピモジド、ポマリドミド、ポナチニブ、プロゲステロン、プロプラノロール、クエチアピン、キニジン、キニーネ、レゴラフェニブ、リボシクリブ、リルピビリン、リスペリドン、リトナビル、リバーロキサバン、ロフルミラスト、ロラピタント、ロミデプシン、ルキソリチニブ、サルメテロール、サキナビル、セレキシパグ、シルデナフィル、シメプレビル、シンバスタチン、シロリムス、ソニデギブ、ソラフェニブ、スニチニブ、スボレキサント、タクロリムス(fk506)、タモキシフェン、タシメルテオン、タキソール、テラプレビル、テリスロマイシン、テルフェナジン、テストステロン、チカグレロル、トファシチニブ、トルバプタン、トーリセル、トラマドール、トラゾドン、バルベナジン、バンデタニブ、ベルパタスビル、ベムラフェニブ、ベネトクラクス、ベンラファキシン、ベラパミル、ビラゾドン、ビンクリスチン、ボラパクサール、ボリコナゾール、ザレプロン、又はジプラシドンである、実施形態101又は102の方法。
104.患者が、P-糖タンパク質(P-gp)基質による治療をさらに必要とする、実施形態1~103のいずれか1つの方法。
105.患者が、ソトラシブと組み合わせてP-gp基質を投与されない、実施形態104の方法。
106.P-gp基質が、エテキシラート、ジゴキシン、又はフェキソフェナジンである、実施形態104又は実施形態105の方法。
107.癌が、1~49%のPD-L1腫瘍比率スコア(TPS)を示す、実施形態1~106のいずれか1つの方法。
108.癌が、1%未満のPD-L1腫瘍比率スコア(TPS)を示す、実施形態1~107のいずれか1つの方法。
109.癌が、50~100%のPD-L1腫瘍比率スコア(TPS)を示す、実施形態1~108のいずれか1つの方法。
110.癌がさらに、STK11変異を含む、実施形態1~109のいずれか1つの方法。
111.癌がさらに、KEAP1変異を含む、実施形態1~110のいずれか1つの方法。
112.変異が、機能喪失変異である、実施形態110又は実施形態111の方法。
【0107】
代替的実施形態の第2セット
1.患者においてKRAS G12C変異を含む癌を治療する方法であって、癌を治療するのに有効な量の(a)ソトラシブ及び(b)抗上皮増殖因子受容体(EGFR)抗体を患者に投与することを含む方法。
2.毎日960mgのソトラシブを患者に投与することを含む、実施形態1の方法。
3.毎日240mgのソトラシブを患者に投与することを含む、実施形態1の方法。
4.ソトラシブを1日1回患者に投与することを含む、実施形態1~3のいずれか1つの方法。
5.ソトラシブを1日2回患者に投与することを含む、実施形態1~3のいずれか1つの方法。
6.抗EGFR抗体が、パニツムマブである、実施形態1~5のいずれか1つの方法。
7.6mg/kgのパニツムマブを患者に投与することを含む、実施形態6の方法。
8.(a)毎日960mgのソトラシブ;及び
(b)2週間毎にIV投与による6mg/kgのパニツムマブ
を患者に投与することを含む、実施形態6又は実施形態7の方法。
9.(a)毎日240mgのソトラシブ;及び
(b)2週間毎にIV投与による6mg/kgのパニツムマブ
を患者に投与することを含む、実施形態6又は実施形態7の方法。
10.(c)イリノテカン、(d)5-FU、及び(e)ロイコボリン又はレボロイコボリンを患者に投与することをさらに含む、実施形態1~13のいずれか1つの方法。
11.IV投与により400mg/m2のロイコボリンを患者に投与することを含む、実施形態10の方法。
12.IV投与により200mg/m2のレボロイコボリンを患者に投与することを含む、実施形態10の方法。
13.IV投与により180mg/m2のイリノテカンを患者に投与することを含む、実施形態10~12のいずれか1つの方法。
14.IV投与により400mg/m2の5-FUを患者に投与することを含む、実施形態10~13のいずれか1つの方法。
15.IV投与により、180mg/m2のイリノテカン、400mg/m2のロイコボリン、及び400mg/m2の5-FUを、IVボーラスで2週間毎に患者に投与すること、並びに2400mg/m2の5-FUを、IV持続注入で46~48時間かけて患者に投与することを含む、実施形態10の方法。
16.IV投与により、180mg/m2のイリノテカン、200mg/m2のレボロイコボリン、及び400mg/m2の5-FUのIVボーラス並びに2400mg/m2の5-FUの46~48時間にわたるIV持続注入を、2週間毎に患者に投与することを含む、実施形態10の方法。
17.癌が、固形腫瘍である、実施形態1~16のいずれか1つの方法。
18.癌が、非小細胞肺癌(NSCLC)である、実施形態1~17のいずれか1つの方法。
19.癌が、転移性膵臓癌である、実施形態1~17のいずれか1つの方法。
20.癌が、結腸直腸癌である、実施形態1~17のいずれか1つの方法。
21.癌が、転移性結腸直腸癌(mCRC)である、実施形態1~17のいずれか1つの方法。
22.患者が、少なくとも1つの以前の全身癌療法を受けている、実施形態1~36のいずれか1つの方法。
23.患者が、少なくとも2つの以前の全身癌療法を受けている、実施形態1~36のいずれか1つの方法。
24.全身癌療法が、フルオロピリミジン、イリノテカン、及びオキサリプラチンを患者に投与することを含む療法である、実施形態22及び実施形態23の方法。
25.mCRCがMSI-Hであると決定され、全身癌療法が患者にチェックポイント阻害剤を投与することを含む療法である、実施形態21~24のいずれか1つの方法。
26.mCRCがBRAF V600E変異を含み、全身癌療法がエンコラフェニブ及びセツキシマブを患者に投与することを含む療法である、実施形態21~25のいずれか1つの方法。
27.患者が、2以下のECOGパフォーマンスステータスを示す、実施形態21~26のいずれか1つの方法。
28.患者が、活動性脳転移を有しない、実施形態21~27のいずれか1つの方法。
29.全身療法が、KRASG12C阻害剤を患者に投与することを含む療法ではない、実施形態22~28のいずれか1つの方法。
30.患者が、以前の全身癌療法を受けていない、実施形態1~21のいずれか1つの方法。
31.患者が、活動性脳転移を有しない、実施形態30の方法。
32.mCRCが、BRAF V600E変異を含まない、実施形態30又は実施形態31のいずれか1つの方法。
33.mCRCが、MSI-Hではないと決定される、実施形態30~32のいずれか1つの方法。
34.全身療法が、KRASG12C阻害剤を患者に投与することを含む療法である、実施形態30~33のいずれか1つの方法。
35.患者が、1以下のECOGパフォーマンスステータスを示す、実施形態30~34のいずれか1つの方法。
36.患者が、1つの以前の全身癌療法を受けている、実施形態1~21のいずれか1つの方法。
37.癌がMSI-Hであると決定された場合、全身癌療法がチェックポイント阻害剤である、実施形態36の方法。
38.患者が全身癌療法を受けており、前記療法中又はその後に進行した、実施形態36又は実施形態37の方法。
39.全身療法が、KRASG12C阻害剤を患者に投与することを含む療法ではない、実施形態36~38のいずれか1つの方法。
40.全身療法が、イリノテカンを投与することを含む療法ではない、実施形態36~38のいずれか1つの方法。
41.患者が、1以下のECOGパフォーマンスステータスを示す、実施形態36~40のいずれか1つの方法。
42.患者が、活動性脳転移を有しない、実施形態36~41のいずれか1つの方法。
43.mCRCが、BRAF V600E変異を含まない、実施形態36~42のいずれか1つの方法。
44.患者が、RECIST 1.1プロトコルによって測定されるとおり、ソトラシブ及びパニツムマブ療法の1、3、又は6ヶ月後に少なくとも安定な疾患(SD)を示す、実施形態1~43のいずれか1つの方法。
45.患者が、RECIST 1.1プロトコルによって測定されるとおり、ソトラシブ及びパニツムマブ療法の1、3、又は6ヶ月後に少なくとも部分奏効(PR)を示す、実施形態1~43のいずれか1つの方法。
46.患者が、制酸薬による治療をさらに必要とする、実施形態1~45のいずれか1つの方法。
47.制酸薬が、プロトンポンプ阻害剤(PPI)、H2受容体アンタゴニスト(H2RA)、又は局所作用制酸剤である、実施形態46の方法。
48.制酸薬が、局所作用制酸剤であり、ソトラシブが、局所作用制酸剤の約4時間前又は約10時間後に投与される、実施形態46又は実施形態47の方法。
49.患者が、プロトンポンプ阻害剤(PPI)又はH2受容体アンタゴニスト(H2RA)による治療をさらに必要とする、実施形態1~48のいずれか1つの方法。
50.患者が、ソトラシブと組み合わせてPPI又はH2RAを投与されない、実施形態49の方法。
【実施例】
【0108】
用語「対象」は、実施例全体にわたって、本明細書に記載の1つ以上の方法による治療を必要とする「患者」と互換的に使用される。
【0109】
実施例1-パニツムマブ及び任意選択によりFOLFIRIと組み合わせた、ソトラシブ
いずれの特定の理論にも縛られることを望むものではないが、以下が注目される:960mg QDのソトラシブは、試験20170543(https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03600883;CodeBreaK100)下の試験条件下で安全であり且つ有効であることが示された。ソトラシブに対する抵抗性は、上皮成長因子受容体(EGFR)経路を介したシグナル伝達の上方制御によって媒介され得るため、ソトラシブ療法にEGFR阻害剤を追加すると、マイトジェン活性化キナーゼ(MAPK)シグナル伝達のバイパス活性化が遮断され、抗腫瘍活性の改善につながり得る。FOLFIRIは、転移性結腸直腸癌の第3相試験でパニツムマブとの組み合わせに成功しているため、化学療法のバックボーンとして選択されている(Peeters et al,2010)。したがって、本試験、試験20190135(https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04185883;CodeBreaK 101、サブプロトコルHは、パニツムマブ(EGFR標的化モノクローナル抗体)及び任意選択によりFOLFIRIと組み合わせたソトラシブを検討する。
【0110】
全体的な設計:
KRAS G12C変異進行性CRC、NSCLC、及び進行性固形腫瘍を有する対象において、パニツムマブ(又はパニツムマブ+FOLFIRI)と組み合わせたソトラシブの安全性、忍容性、薬物動態(PK)、PD、及び有効性を評価するために、多施設非盲検試験が設定される。
【0111】
サイクル1でPK試料が採取された日、及びソトラシブの用量保留後、治療は以下の順序で投与される:ソトラシブ、パニツムマブ、該当する場合はFOLFIRI。ソトラシブは1日1回(QD)経口投与される。或いは、1日2回の投与を使用してもよいが、合計1日用量は同じになる。パニツムマブ6mg/kgは、2週間毎(Q2W)に60分間(≦1000mg)又は90分間(>1000mg)の静脈内(IV)注入として投与される。FOLFIRIは、1日目にIV注入による180mg/m2イリノテカン及び400mg/m2ラセミ体ロイコボリン、並びに1日目に5-フルオロウラシル(5-FU)400mg/m2 IVボーラス、その後Q2Wで1日目から開始される46~48時間にわたる2400mg/m2の持続注入で構成される。ラセミ体ロイコボリンの代わりに、200mg/m2のレボロイコボリンを使用してもよい。
【0112】
パニツムマブの最初の用量は、ソトラシブ投与の2時間後に投与される。その後のパニツムマブ用量は、ソトラシブ投与の直後に投与され得る。パート1コホートBでは、パニツムマブの後にFOLFIRIが投与される。
【0113】
この試験には、用量探索フェーズ(パート1)及び拡大フェーズ(パート2)が含まれる。パート1コホートAは、ソトラシブをパニツムマブと組み合わせることの安全性を調べるための用量探索期間である。ソトラシブの用量は、960mgの合計1日用量から開始する。必要な場合、ソトラシブの2段階低い用量レベル及びパニツムマブの1段階低い用量レベルを検討できる。パート1コホートBは、ソトラシブ、パニツムマブ、FOLFIRIの用量探索で構成され、ソトラシブ及びパニツムマブの推奨第2相用量(RP2D)がパート1コホートAで定義されたときに開始される。8つの別個のコホートで構成されるパート2は、ソトラシブとパニツムマブの組み合わせの用量がパート1コホートAで定義されると開始されるが、特定のコホートは、パニツムマブ+FOLFIRIと組み合わせたソトラシブの用量がパート1コホートBで定義されると開始される。パート2の8つのコホート(すなわち、コホートA~H)は、以下のとおりである。
【0114】
ソトラシブ+パニツムマブの用量拡大コホート
コホートA:フルオロピリミジン、オキサリプラチン、イリノテカン、及び抗血管新生薬、並びに高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI H)の場合、その地域で承認されている場合はチェックポイント阻害剤(CPI)により、以前に治療されている、KRASG12C阻害剤ナイーブのKRAS G12C変異転移性結腸直腸癌(n=最大40)。
【0115】
コホートB:KRASG12C阻害剤療法に抵抗性の任意のKRAS G12C変異固形腫瘍(n=最大20)。
【0116】
コホートC:少なくとも1回の全身療法で以前に治療されている、KRASG12C阻害剤ナイーブのKRAS G12C変異NSCLC(n=最大40)。
【0117】
コホートD:転移性疾患について1つの先のラインの療法で以前に治療されている、KRASG12C阻害剤ナイーブのKRAS G12C変異転移性結腸直腸癌(n=最大20)。このコホートの開始は、この試験の他のコホートにおけるこの組み合わせの活性と、新たなソトラシブの組み合わせデータ次第である。
【0118】
コホートE:(1日2回[BID]コホート):フルオロピリミジン、オキサリプラチン、イリノテカン、及び抗血管新生薬、並びにMSI-Hの場合、その地域で承認されている場合はCPIにより、以前に治療されている、KRASG12C阻害剤ナイーブのKRAS G12C変異転移性結腸直腸癌(n=最大40)。このコホートの開始は、この試験の他のコホートにおけるソトラシブ及びパニツムマブの活性と、新たなソトラシブの単剤療法及び組み合わせデータ次第である。
【0119】
コホートH:転移性疾患について少なくとも1つの以前の療法を受けているか、又は標準治療の化学療法を拒絶する若しくはそれに不適格である、KRASG12C阻害剤ナイーブのKRAS G12C変異膵臓癌(n=最大40)。
【0120】
ソトラシブ+パニツムマブ+FOLFIRIの用量拡大コホート
コホートF:転移性疾患について以前の療法を受けていない、KRASG12C阻害剤ナイーブのKRAS G12C変異転移性結腸直腸癌(n=最大40)。
【0121】
コホートG:転移性疾患について少なくとも1つの以前の療法を受けている、KRASG12C阻害剤ナイーブのKRAS G12C変異転移性結腸直腸癌。
【0122】
それぞれのコホートへの登録を継続するには、パート2のコホートA、C、E、F、G又はHの最初の20人の対象で少なくとも2つの応答が見られなければならない。パート2では、パニツムマブと組み合わせたソトラシブ、並びにパニツムマブ及びFOLFIRIと組み合わせたソトラシブの安全性を確認し、予備的な抗腫瘍活性を評価する。
【0123】
全体として、パート1及びパート2の両方でおよそ310人の対象が試験に登録される。
【0124】
パート1:用量探索
パート1の主目的は、パニツムマブと組み合わせたソトラシブ、及びパニツムマブ+FOLFIRIと組み合わせたソトラシブの安全性及び忍容性を評価することである。したがって、主要評価項目には、用量制限毒性、治療中に発生した有害事象、及び治療に関連した有害事象の評価が含まれる。
【0125】
パート1、コホートA
-用量レベル1:Q2Wで1日目に、経口合計1日用量960mgのソトラシブ+6mg/kgのパニツムマブIV
-用量レベル-1:Q2Wで1日目に、経口合計1日用量720mgのソトラシブ+6mg/kgのパニツムマブIV
-用量レベル-2:Q2Wで1日目に、経口合計1日用量480mgのソトラシブ+6mg/kgのパニツムマブIV
用量レベル1に忍容性を示さず、主にパニツムマブの毒性が原因であると考えられる場合(発疹、爪囲炎など)、ソトラシブの用量減少を伴い又は伴わず、パニツムマブ3mg/kg IV 1日目Q2Wの用量を検討することができる。
【0126】
パート1、コホートB
用量レベル1:Q2Wで1日目に、パート1コホートAから特定されたソトラシブの経口合計1日用量+6mg/kgのパニツムマブIV(又はパート1コホートAで特定された用量の場合は3mg/kg)±1日目のイリノテカン180mg/m2、1日目のロイコボリン400mg/m2、及び1日目の5-FU 400mg/m2 IVボーラス、及びQ2Wで投与される1日目から始まって46~48時間にわたる2400mg/m2IV持続注入(IVCI)。ラセミ体ロイコボリンの代わりにレボロイコボリンを使用する治験施設では、レボロイコボリンの用量は200mg/m2になる。
【0127】
用量レベル-1:Q2Wで1日目に、パート1コホートAから特定されたソトラシブの経口合計1日用量+6mg/kgのパニツムマブIV(又はパート1コホートAで特定された用量の場合は3mg/kg)±1日目のイリノテカン180mg/m2、及びQ2Wで投与される1日目から始まって46~48時間にわたる5FU 2400mg/m2IV持続注入(IVCI)。
【0128】
用量レベル-2:Q2Wで1日目に、パート1コホートAから特定されたソトラシブの経口合計1日用量+6mg/kgのパニツムマブIV(又はパート1コホートAで特定された用量の場合は3mg/kg)±1日目のイリノテカン150mg/m2、及びQ2Wで投与される1日目から始まって46~48時間にわたる5フルオロウラシル2400mg/m2IV持続注入(IVCI)。
【0129】
パート2-ソトラシブ+パニツムマブ(及び+FOLFIRI、コホートF及びGのみ)の用量拡大
パート2の主目的は、以前の化学療法及び抗血管新生薬治療を受けており、MSI-Hの場合、その地域で承認されている場合はCPIを受けている、KRASG12C阻害剤ナイーブのKRAS G12C変異転移性CRC(コホートA及びE);以前にKRAS G12C阻害剤に曝露され、進行したKRAS G12C変異進行性固形腫瘍(コホートB);少なくとも1回の全身療法を受けている、KRASG12C阻害剤ナイーブのKRAS G12C変異NSCLC(コホートC);及び転移性疾患について1つ以下の先のラインの療法を受けている、KRASG12C阻害剤ナイーブのKRAS G12C変異転移性CRC(コホートD);及び進行性疾患について少なくとも1つの以前の治療を受けているか、又は標準治療の化学療法を拒絶した若しくはそれに不適格である、KRASG12C阻害剤ナイーブのKRAS G12C変異転移性膵臓癌(コホートH)において、パニツムマブと組み合わせたソトラシブの安全性及び予備的な抗腫瘍活性を評価することである。パニツムマブ及びFOLFIRIと組み合わせたソトラシブは、転移性疾患について以前の療法を受けていない(コホートF)及び転移性疾患について少なくとも1つの以前の療法を受けている(コホートG)KRASG12C阻害剤ナイーブのKRAS G12C変異転移性CRCにおいても評価される。
【0130】
RECIST 1.1によって測定された客観的奏効率(ORR)は、抗腫瘍活性の最初の証拠を提供し、試験のこの部分の二次評価項目として含まれる。PFS、奏功期間、病勢コントロール率、及び反応までの時間を含む、その他の関連する有効性の尺度は、抗腫瘍活性の追加の支持的証拠を提供し、副次的評価項目として含まれる。
【0131】
コホートA:フルオロピリミジン、オキサリプラチン、イリノテカン、及び抗血管新生薬、並びにMSI-Hの場合、その地域で承認されている場合はCPIにより、以前に治療されている、KRASG12C阻害剤ナイーブのKRAS G12C変異転移性結腸直腸癌:Q2Wで1日目に、この試験のパート1コホートAから特定されたソトラシブの合計1日用量経口+6mg/kg(又はパート1コホートAで特定された用量の場合は3mg/kg)のパニツムマブIV。
【0132】
コホートB:KRASG12C阻害剤療法に抵抗性の任意のKRAS G12C変異固形腫瘍:Q2Wで1日目に、この試験のパート1コホートAから特定されたソトラシブの合計1日用量経口+6mg/kg(又はパート1コホートAで特定された用量の場合は3mg/kg)のパニツムマブIV。
【0133】
コホートC:少なくとも1回の全身療法で以前に治療されている、KRASG12C阻害剤ナイーブのKRAS G12C変異NSCLC:Q2Wで1日目に、この試験のパート1コホートAから特定されたソトラシブの合計1日用量経口+6mg/kg(又はパート1コホートAで特定された用量の場合は3mg/kg)のパニツムマブIV。
【0134】
コホートD:転移性疾患について1つ以下の先のラインの療法を受けている、KRASG12C阻害剤ナイーブのKRAS G12C変異転移性CRC:Q2Wで1日目に、この試験のパート1コホートAから特定されたソトラシブの合計1日用量経口+6mg/kg(又はパート1コホートAで特定された用量の場合は3mg/kg)のパニツムマブIV。このコホートの開始は、この試験の他のコホートにおけるこの組み合わせの活性と、新たなソトラシブの組み合わせデータ次第である。
【0135】
コホートE(BIDコホート):BID投与スケジュールでソトラシブを投与されている対象における、フルオロピリミジン、オキサリプラチン、イリノテカン、及び抗血管新生薬、並びにMSI-Hの場合、その地域で承認されている場合はCPIにより、以前に治療されている、KRASG12C阻害剤ナイーブのKRAS G12C変異転移性結腸直腸癌:Q2Wで1日目に、この試験のパート1コホートAから特定されたソトラシブの合計1日用量経口+6mg/kg(又はパート1コホートAで特定された用量の場合は3mg/kg)のパニツムマブIV。このコホートの開始は、この試験の他のコホートにおけるソトラシブ及びパニツムマブの活性と、新たなソトラシブの単剤療法及び組み合わせデータ次第である。
【0136】
コホートH:転移性疾患について少なくとも1つの以前の療法を受けているか、又は標準治療の化学療法を拒絶した若しくはそれに不適格である、KRASG12C阻害剤ナイーブのKRAS G12C変異膵臓癌:Q2Wで1日目に、この試験のパート1コホートAから特定されたソトラシブの合計1日用量経口と、6mg/kg(又はパート1コホートAで特定された用量の場合は3mg/kg)のパニツムマブIV。
【0137】
コホートF:転移性疾患について以前の療法を受けていない、KRASG12C阻害剤ナイーブのKRAS G12C変異転移性結腸直腸癌:Q2Wで1日目に、この試験のパート1コホートBから特定されたソトラシブの合計1日用量経口+6mg/kg(又はパート1コホートBで特定された用量の場合は3mg/kg)のパニツムマブIV+パート1コホートBで特定されたFOLFIRI用量。
【0138】
コホートG:転移性疾患について少なくとも1つの以前の療法を受けている、KRASG12C阻害剤ナイーブのKRAS G12C変異転移性CRC。Q2Wで1日目に、この試験のパート1コホートBから特定されたソトラシブの合計1日用量経口+6mg/kg(又はパート1コホートBで特定された用量の場合は3mg/kg)のパニツムマブIV+パート1コホートBで特定されたFOLFIRI用量。
【0139】
対象のこの試験の期間はおよそ3年間である。スクリーニング期間は最長28日間である。対象に対する計画された治療期間は、疾患進行又は許容できない毒性が発現するまでである。個々の対象の治療期間は約8ヶ月であると予想され、その後、治験製品又はプロトコルで義務付けられた療法の最後の投与から30(+3)日後に安全性経過観察(SFU)来院が行われる。対象は、PFSの分析、又は最後の対象が登録してから3年後のいずれか遅い方まで追跡される。
【0140】
対象の適格基準の概要:
腫瘍生検標本の分子検査によって評価され、KRAS G12C変異を有する転移性進行性固形腫瘍を有し、進行性疾患について以前に少なくとも1つの全身療法を受けた成人対象(18歳以上)は、パート1コホートA及びB、並びにパート2コホートA~E、及びHの試験に参加する資格がある。パート2コホートFの対象は、転移性疾患について以前の治療を受けていてはならない。パート2コホートGの対象は、転移性疾患について以前に少なくとも1つの療法を受けていなければならない。試験コホートの適格基準は以下のとおりである。
【0141】
パート1 コホートA:
-病理学的に確認された、国内の要件に従って実施された分子検査によって特定された、KRAS G12C変異を有する転移性結腸直腸癌。米国では、この検査は、Clinical Laboratory Improvement Amendments(CLIA)認定検査施設で実施されなければならない。
-過去にKRASG12C阻害剤による治療を受けたことがある場合、対象は、KRASG12C阻害剤の用量減少が必要であったり、KRASG12C阻害剤に不耐症であったりしてはならない。用量レベルあたり、少なくとも2人の対象がKRASG12C阻害剤ナイーブでなければならない。
-対象は、進行性疾患について以前に少なくとも1つの治療を受けていなければならない
【0142】
パート1 コホートB:
-病理学的に確認された、国内の要件に従って実施された分子検査によって特定された、KRAS G12C変異を有する転移性結腸直腸癌。米国では、この検査は、CLIA認定検査施設で実施されなければならない。
-過去にKRASG12C阻害剤による治療を受けたことがある場合、対象は、KRASG12C阻害剤の用量減少が必要であったり、KRASG12C阻害剤に不耐症であったりしてはならない。用量レベルあたり、少なくとも2人の対象がKRASG12C阻害剤ナイーブでなければならない。
-対象が以前にFOLFIRIによる治療を受けていた場合、対象は、毒性のためにFOLFIRIレジメンのいずれかの成分について用量減少を必要としてはならない。
-対象は、進行性疾患について以前に少なくとも1つの治療を受けていなければならない。
【0143】
パート2 コホートA:
-病理学的に確認された、国内の要件に従って実施された分子検査によって特定された、KRAS G12C変異を有する転移性結腸直腸癌。米国では、この検査は、CLIA認定検査施設で実施されなければならない。
-対象は、過去にKRASG12C阻害剤による治療を受けていない可能性がある。
-対象は、フルオロピリミジン、オキサリプラチン、及びイリノテカン及び抗血管新生薬を受容した後に進行していなければならない。
-MSI-Hであることが知られている腫瘍を有する対象については、臨床的にCPIを受けることができ、これらの薬剤のいずれかがその地域又は国でその適応症について承認されている場合、CPIによる先の療法を要する。
【0144】
パート2 コホートB:
-病理学的に確認された、国内の要件に従って実施された分子検査によって特定された、KRAS G12C変異を有する転移性進行性固形腫瘍。米国では、この検査は、CLIA認定検査施設で実施されなければならない。
-対象は、過去にKRASG12C阻害剤の不耐症であってはならない。
-対象が以前にソトラシブの用量減少を必要とした場合、治験責任医師が、治療が有益であり得ると評価し、以前の用量減少が、治験責任医師の意見ではソトラシブによるものではない可能性がある毒性のためである場合、対象は、メディカルモニターの承認を得て適格であり得る。
-対象は、KRASG12C阻害剤の最後の投与時又はそれから2ヶ月以内に進行していなければならない。
-対象は、進行性疾患について以前に少なくとも1つの治療を受けていなければならず、以前の治療の少なくとも1つにKRASG12C阻害剤が含まれていなければならない。
【0145】
パート2 コホートC:
-病理学的に確認された、国内の要件に従って実施された分子検査によって特定された、KRAS G12C変異を有する転移性NSCLC。米国では、この検査は、CLIA認定検査施設で実施されなければならない。
-対象は、過去にKRASG12C阻害剤による治療を受けていない可能性がある。
-対象は、進行性疾患について以前に少なくとも1つの治療を受けていなければならない。
【0146】
パート2 コホートD:
-病理学的に確認された、国内の要件に従って実施された分子検査によって特定された、KRAS G12C変異を有する転移性CRC。米国では、この検査は、CLIA認定検査施設で実施されなければならない。
-対象は、過去にKRASG12C阻害剤による治療を受けていない可能性がある。
-対象は、転移性疾患について1つだけ以前のレジメンを受けていなければならない。
【0147】
パート2 コホートE(BID投与):
-病理学的に確認された、国内の要件に従って実施された分子検査によって特定された、KRAS G12C変異を有する転移性結腸直腸癌。
-対象は、過去にKRASG12C阻害剤による治療を受けていない可能性がある。
対象は、フルオロピリミジン、オキサリプラチン、及びイリノテカン及び抗血管新生薬を受容した後に進行していなければならない。
-MSI-Hであることが知られている腫瘍を有する対象については、臨床的に抗PD1療法を受けることができ、これらの薬剤のいずれかがその地域又は国でその適応症について承認されている場合、抗PD1療法による先の療法を要する。
【0148】
パート2 コホートH:
-病理学的に確認された、国内の要件に従って実施された分子検査によって特定された、KRAS G12C変異を有する転移性膵臓癌。米国では、この検査は、CLIA認定検査施設で実施されなければならない。
-対象は、過去にKRASG12C阻害剤による治療を受けていない可能性がある
-対象は、転移性疾患について以前に少なくとも1つの治療を受けていなければならないか、又は標準治療の化学療法を拒絶していなければならないか、又は標準治療の化学療法が禁忌である。
-対象がネオアジュバント又はアジュバント療法の投与の完了後6ヶ月以内に進行した場合、ネオアジュバント又はアジュバント療法は、転移性疾患の療法のラインとして数えられる。
【0149】
パート2 コホートF:
-病理学的に確認された、国内の要件に従って実施された分子検査によって特定された、KRAS G12C変異を有する転移性CRC。
-対象は、過去にKRASG12C阻害剤による治療を受けていない可能性がある。
-対象は、転移性疾患について以前に全身療法を受けていない可能性がある。
【0150】
パート2 コホートG:
-病理学的に確認された、国内の要件に従って実施された分子検査によって特定された、KRAS G12C変異を有する転移性CRC。
-対象は、過去にKRASG12C阻害剤による治療を受けていない可能性がある。
-対象は、転移性疾患について以前に少なくとも1つの全身療法を受けていなければならない。
【0151】
対象は、臨床的に実現可能であれば、治療前の腫瘍生検及び治療中の腫瘍生検を受ける意思がなければならない。治療前の腫瘍生検が医学的に実現可能でない場合、又は試料が検査に十分な組織を有しない場合、対象は、入手可能な場合、過去5年以内に回収された保管腫瘍組織試料(ホルマリン固定パラフィン包埋[FFPE]試料)を提供する意思がなければならない。利用可能な保存された組織を有しない以前に分子的に確認されたKRAS G12C変異を有する対象は、腫瘍生検が臨床的に実現可能ではない場合に治験責任医師及びメディカルモニターによる同意に基づく腫瘍生検を受けずに登録することが許容され得る。
【0152】
固形癌効果判定基準バージョン1.1(RECIST v1.1)の基準による測定可能な疾患。
【0153】
≦2の米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータス。
【0154】
治験責任医師の意見で>3ヶ月の余命。
【0155】
経口薬を服用する能力があり、治験製品に対する毎日のアドヒアランスを記録する意思がある。
【0156】
女性では470ミリ秒以下、男性では450ミリ秒以下の補正されたQT間隔(QTc)(心電図スクリーニング3回の平均に基づく)。
【0157】
対象が十分な血液、腎臓及び肝臓の機能及び凝固を有する。適切な血液臨床検査評価は以下のとおりである:
-絶対好中球数(ANC)≧1.5×109/L
-血小板数≧100×109/L
-ヘモグロビン≧9×g/dL
【0158】
適切な腎臓臨床検査評価には、測定クレアチニンクリアランス、又は腎疾患における食事の変更(MDRD)計算に基づく推定糸球体濾過量≧60mL/分/1.73m2が含まれる。
【0159】
適切な肝臓臨床検査評価は以下のとおりである。
-AST<2.5×正常範囲上限(ULN)(肝転移が存在する場合≦5×ULN)
-ALT<2.5×ULN(肝臓転移が存在する場合≦5×ULN)
-総ビリルビン<1.5×ULN(パート1:コホートA、パート2:コホートA~E及びコホートHでは<2.0×ULN)
-パート1:コホートB、パート2:コホートF及びコホートGの総ビリルビン≦1×ULN
【0160】
適切な凝固臨床検査評価は以下のとおりである。
-プロトロンビン時間(PT)若しくは活性化部分トロンボプラスチン時間(PTT)若しくは活性化PTT<1.5×ULN、又は国際標準比(INR)<1.5×ULN、又は予防的抗凝固療法を受けている場合は目標範囲内。
【0161】
除外基準:
疾患関連
原発性脳腫瘍。
活動性脳転移及び/又は非脳腫瘍からの癌性髄膜炎。語句「活動性脳転移」は、本明細書で使用する場合、元の(原発性、非脳)腫瘍から脳に広がった癌を指す。活動性脳転移は、頭蓋内病変の存在によって評価できる。「転移(metastases)」は複数形であるが、以下に示す基準の下で頭蓋内病変を1つだけ示す患者は、「活動性脳転移(active brain metastases)」を有する患者であることを理解されたい。いくつかの実施形態では、活動性脳転移を有する患者は、5mmを超える少なくとも1つの測定可能な頭蓋内病変を有する。いくつかの実施形態では、活動性脳転移を有する患者は、5mmを超えるが10mm未満の少なくとも1つの測定可能な頭蓋内病変を有する。いくつかの実施形態では、活動性脳転移を有する患者は、10mmを超える少なくとも1つの測定可能な頭蓋内病変を有する。患者が脳転移を有していたか又は試験1日目の少なくとも4週前に放射線療法を終えた場合、患者は活動性脳転移を有する患者とは見なされず、以下の判定基準の全てを満たす場合、適格である:a)≦2のグレードの残留性の神経症状;b)該当する場合、デキサメタゾンの安定用量の投与;及びc)30日以内に実施された経過観察MRIが新規の病変の出現を示さない。頭蓋内病変に起因する任意の神経症状のグレードの決定については、全体として参照により本明細書に組み込まれる、National Cancer Instituteによって2017年11月27日に公開されたNational Cancer Institute Common Terminology Criteria for Adverse Events v5.0(NCI CTCAE)を参照されたい。
【0162】
その他の病状
2年以上疾患の証拠がなく、治療により完治している場合を除いて、血液系腫瘍の病歴があるか又はそれが存在する。
【0163】
以下の例外を伴う過去2年以内の他の悪性腫瘍の病歴:
-治癒を目的として治療された悪性腫瘍であり、登録前の2年間以上活動性の疾患が認められず、且つ担当医によって再発のリスクが低いと考えられたもの;
-疾患の証拠を有しない十分に治療された非黒色腫皮膚癌又は悪性黒子;
-疾患の証拠を有しない十分に治療された生体内原位置の子宮頸癌;
-疾患の証拠を有しない十分に治療された生体内原位置の乳管癌;
-前立腺癌の証拠を有しない前立腺上皮内腫瘍;
-十分に治療された尿路上皮乳頭非浸潤癌若しくは生体内原位置の癌。
【0164】
試験の1日目の6ヶ月以内の心筋梗塞、症候性のうっ血性心不全(ニューヨーク心臓協会(New York Heart Association)>クラスII)、不安定狭心症、又は薬物療法を必要とする心不整脈
【0165】
経口薬の服用を不能にする胃腸(GI)管疾患、吸収不良症候群、IV栄養補給の必要、制御されない炎症性GI疾患(例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎)。
【0166】
以下の結果及び/又は判定基準に基づく肝炎感染の除外:
-陽性のB型肝炎表面抗原(HepBsAg)(慢性B型肝炎又は最近の急性B型肝炎を示す);
-B型肝炎コア抗体に関して陽性である陰性HepBsAg;
-C型肝炎ウイルス抗体陽性:ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によるC型肝炎ウイルスRNAが必要である。C型肝炎ウイルスRNAが検出可能であることは、慢性C型肝炎を示唆する。
【0167】
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に関して既知の陽性試験。
【0168】
間質性肺炎若しくは肺線維症の病歴、又は間質性肺炎若しくは肺線維症の証拠。
【0169】
アスピリン又は他の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)は、1日あたり1.3g以下のアスピリン用量を5日間(ピロキシカムなどの長期作用型薬剤の場合は8日間)以外で中断できない。
【0170】
全身療法を要する活動性感染を有する。
【0171】
前/併用療法
試験1日目の28日以内の抗腫瘍療法(化学療法、抗体療法、分子標的療法、レチノイド療法、ホルモン療法[補助ホルモン療法を受けている乳癌の病歴を有する対象を除く]、又はソトラシブを除く治験薬);少なくとも5つの半減期が経過していない限り、試験1日目の14日以内の標的化小分子阻害剤。パート2コホートBでは、全てのソトラシブ関連毒性がグレード1以下に回復している限り、最後のソトラシブ投与からの最短時間の要件はない。
【0172】
試験1日目の2週以内の治療的又は対症的放射線療法。対象は、Common Terminology Criteria for Adverse Events(CTCAE)バージョン5.0グレード1以下の全ての放射線療法関連毒性から回復していなければならない。
【0173】
治験治療の初回投与の6ヶ月以内に30Gyを超える肺に受けた放射線療法
【0174】
パート1コホートB、並びにパート2コホートF、及びコホートGで骨髄の25%超に受けた累積放射線
【0175】
パート1コホートB、並びにパート2コホートF、及びコホートGの既知のジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ欠損症
【0176】
パート1コホートB、並びにパート2コホートF、及びコホートGについて、既知のUDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ1A1(UGT1A1)*28ホモ接合性又はギルバート病
【0177】
療法の開始前の14日以内又はCYP3A4若しくはP-糖タンパク質(P-gp)基質若しくはその主要な活性代謝物の5半減期以内のいずれか長い方の既知のチトクロムP450(CYP)3A4感受性基質及びP-gp基質(例えば、治療域が狭い)の使用。CYP3A4感受性基質には、アベマシクリブ、ブスピロン、イサブコナゾール、リダフォロリムス、ABT-384、カプラビリン、イタシチニブ、サキナビル、アカラブルチニブ、カソピタント、イバブラジン、シルデナフィル、アルフェンタニル、コビメチニブ、イバカフトール、シメプレビル、アリスポリビル、コニバプタン、L-771,688、シンバスタチン、アルモレキサント、ダノプレビル、レボメタジル(LAAM)、シロリムス、アルファジヒドロエルゴクリプチン、ダリフェナシン、ロミタピド、タクロリムス、アプラビロック、ダルナビル、ロピナビル、テルフェナジン、アプレピタント、ダサチニブ、ロバスタチン、チカグレロル、アスナプレビル、ドロネダロン、ルメファントリン、チリジン、アタザナビル、エバスチン、ルラシドン、チプラナビル、アトルバスタチン、エレトリプタン、マラビロック、トルバプタン、アバナフィル、エリグルスタット(CYP2D6代謝不良(PM)の対象において)、ミダゾラム、トリアゾラム、AZD1305、エルビテグラビル、ミドスタウリン、ウリプリスタル、BIRL355、エントレクチニブ、ナロキセゴール、バルデナフィル、ブロナンセリン、エプレレノン、ネラチニブ、ベネトクラクス、ボスチニブ、エベロリムス、ニソルジピン、ビクリビロック、ブレカナビル、フェロジピン、パリタプレビル、ビラプリサン、ブロチゾラム、イブルチニブ、ペロスピロン、ボクロスポリン、ブデソニド、インジナビル、及びクエチアピンが含まれる。狭い治療域を有するP-gp基質としては、ジゴキシン、エベロリムス、シクロスポリン、タクロリムス、シロリムス、及びビンクリスチンが挙げられる。狭い治療域を有するP450(CYP)3A4感受性基質には、アルフェンタニル、シクロスポリン、ジヒドロエルゴタミン、エルゴタミン、エベロリムス、フェンタニル、ピモジド、キニジン、タクロリムス、及びシロリムスが含まれる。
【0178】
療法開始前14日以内又は5半減期以内(いずれか長い方)のCYP3A4の強力な誘導剤(セイヨウオトギリソウ(St.John’s wort)などのハーブの栄養補助剤を含む)の使用。CYP3A4の強力な誘導剤には、オムビタスビル及びパリタプレビル及びリトナビル及びダサブビル、インジナビル及びリトナビル、チプラナビル及びリトナビル、リトナビル、コビシスタット、ケトコナゾール、トロレアンドマイシン、テラプレビル、ダノプレビル及びリトナビル、エルビテグラビル及びリトナビル、サキナビル及びリトナビル、ロピナビル及びリトナビル、イトラコナゾール、インジナビル、ボリコナゾール、ミフェプリストン、ミベフラジル、LCL161、クラリスロマイシン、ジョサマイシン、ロナファルニブ、ポサコナゾール、テリスロマイシン、グレープフルーツジュースDS3、コニバプタン、ツカチニブ、ネファゾドン、セリチニブ、ネルフィナビル、サキナビル、リボシクリブ、イデラリシブ、ボセプレビルが含まれる。
【0179】
イリノテカン療法を開始する少なくとも1週間前の、既知のCYP3A4又はUGT1A1阻害剤の使用(パート1コホートB、並びにパート2コホートF及びコホートGについてのみ)。UGTA1阻害剤には、ケトコナゾール、アタザナビル、ゲムフィブロジル、及びインジナビルが含まれる。
【0180】
Common terminology Criteria for Adverse Events(CTCAE)バージョン5.0のグレード0若しくは1又は脱毛症を除く適格性判定基準において指示されるレベルまで回復していないと定義される以前の抗腫瘍療法に起因する未回復の毒性(又は任意のグレードが許容される)。オキサリプラチン誘発性神経障害などの不可逆的であるとみなされる[6ヶ月を超えて存在し且つ安定であるものとして定義される]以前の抗腫瘍療法に起因するグレード2又は3の毒性は、それらが除外基準に記載されておらず且つ治験責任医師及び治験依頼者の両方によって同意が得られた場合に許容され得る。
【0181】
対象は、CTスキャンのヨード造影剤及びMRIスキャンのガドリニウム造影剤の両方を受けることができない。
【0182】
前/併用臨床試験の経験
現在、別の治験用医療機器若しくは治験薬試験で治療を受けているか、又は別の治験用医療機器又は治験薬試験での最後の介入から28日未満であるが、ソトラシブ試験を除き、この場合、全てのソトラシブ関連毒性がグレード1以下に回復している限り、最後のソトラシブ投与からの最短時間の要件はない。この試験に参加している間の他の治験手順は除外される。
【0183】
その他の除外事項
対象が、投与中に投与されることになる製品又は成分のいずれかに既知の感受性を有していた。
【0184】
対象が、毒性のために過去にパニツムマブの用量減少又は用量延期を要した。
【0185】
パート1コホートB、並びにパート2コホートF及びコホートGの対象について、対象は、治験責任医師の知る限り、過去の化学療法レジメンにおいて、毒性のため、5-フルオロウラシル又はイリノテカンのいずれかの用量減少又は用量延期を要したことがある。
【0186】
対象は、治験実施計画書で要求される全ての試験来院又は手順を完了することができない、及び/又は対象及び治験責任医師の知る限り、必要な全ての試験手順(例えば、臨床結果評価)に従うことができない可能性がある。
【0187】
対象の安全性に対するリスクを提起するか、又は試験の評価、手順若しくは完了に支障をきたすであろう任意の他の臨床的に重要な障害、病態又は疾患(上で概説されたものを除く)の病歴又は証拠。
【0188】
血清妊娠検査及び/又は尿妊娠検査によるスクリーニングで評価された妊娠検査が陽性ある、妊娠の可能性がある女性対象。
【0189】
女性対象が、治療中及びさらにソトラシブの最後の投与後7日間、妊娠中若しくは授乳中であるか、又は妊娠するか若しくは授乳することを計画している。
【0190】
女性対象が、治療中及びさらにパニツムマブの最後の投与後2ヶ月間、妊娠中若しくは泌乳/授乳中であるか、又は妊娠するか若しくは授乳することを計画している。
【0191】
女性対象が、治療中及びさらにFOLFIRIの最後の投与後6ヶ月間、妊娠中若しくは泌乳/授乳中であるか、又は妊娠するか若しくは授乳することを計画している。
【0192】
治療中及びさらにソトラシブの最後の投与後7日間、1つの非常に効果的な避妊方法を使用することを望まない、妊娠の可能性がある女性対象。
【0193】
治療中及びさらにパニツムマブの最後の投与後2ヶ月間、1つの非常に効果的な避妊方法を使用することを望まない、妊娠の可能性がある女性対象。
【0194】
治療中及びさらにFOLFIRIの最後の投与後6ヶ月間、1つの非常に効果的な避妊方法を使用することを望まない、妊娠の可能性がある女性対象。
【0195】
治療中及びさらにソトラシブの最後の投与後7日間、性的禁欲(異性間性交を控える)を実践すること、又は避妊を望まない、妊娠の可能性がある女性パートナーを有する男性対象。
【0196】
治療中及びさらにソトラシブの最後の投与後7日間、禁欲又はコンドームの使用を望まない、妊娠中のパートナーを有する男性対象。
【0197】
試験中及びさらにソトラシブの最後の投与後7日間、精子提供を控えることを望まない男性対象。
【0198】
治療中及びさらにFOLFIRIの最後の投与後6ヶ月間、性的禁欲(異性間性交を控える)を実践すること、又は避妊を望まない、妊娠の可能性がある女性パートナーを有する男性対象。
【0199】
治療中及びさらにFOLFIRIの最後の投与後6ヶ月間、妊娠中のパートナー、又は禁欲若しくはコンドームの使用を望まないパートナーを有する男性対象。
【0200】
試験中及びさらにFOLFIRIの最後の投与後6ヶ月間、精子提供を控えることを望まない男性対象。
【0201】
目的及び評価項目
【0202】
【0203】
FOLFIRIレジメン前投薬及び支持薬
FOLFIRIの投与前に、全ての対象は制吐薬(例えば、経口又はIVデキサメタゾン、5-ヒドロキシイプタミン(hydroxyyptamine)3[5-HT3]受容体アンタゴニスト)を投与されるべきである。制吐薬は、治療当日、イリノテカン投与の少なくとも30分前に開始すべきである。臨床的に必要な場合、治験責任医師の裁量で、又は標準的な施設若しくは地域の慣行に従って、代替及び追加の制吐薬が使用され得る。コリン作動性症状に対する予防的又は治療的アトロピンのIV又は皮下投与は、治験責任医師の裁量で、又は標準的な施設若しくは地域の慣行に従って使用され得る。
【0204】
成長因子のサポートは、治験責任医師の裁量で、又は標準的な施設若しくは地域の慣行に従って使用され得る。
【0205】
下痢管理のための薬剤は、治験責任医師の裁量で、又は標準的な施設若しくは地域の慣行に従って使用すべきである。
【0206】
試験期間中に除外される治療、医療機器、及び/又は手順
化学療法、抗体療法、分子標的化療法、レチノイド療法、又はホルモン療法(アジュバント療法として受けている乳癌を有する対象を除く)などの抗腫瘍療法。
【0207】
主任治験責任医師及びメディカルモニターの承認がない限り、強力なCYP3A4誘導剤(セイヨウオトギリソウ(St.John’s wort)などのハーブの栄養補助剤を含む)。
【0208】
主任治験責任医師及びメディカルモニターの承認がない限り、狭い治療域を有する既知のCYP3A4及び/又はP-gp感受性基質。
【0209】
主任治験責任医師及びメディカルモニターの承認がない限り、CYP3A4及び/又はUGT1A1阻害剤(パート1コホートB、パート2コホートF及びコホートGのみ)
-その他の治験薬
パニツムマブ以外の抗EGFR標的薬。
【0210】
試験期間中に対象が疼痛管理のために緩和的放射線療法又は手術を必要とする場合、全ての試験薬の投与を保留すべきである。対象は、主任治験責任医師及びメディカルモニターとの協議の後、試験薬の再開を許可され得る。
【0211】
用量制限毒性:
用量制限毒性(DLT)枠(すなわち、DLT評価可能期間)は、ソトラシブ及びパニツムマブ治療の最初の28日間(サイクル1の開始、1日目)である。AEのグレード付けは、CTCAEバージョン5.0で提供されるガイドラインに基づいて行われる。対象が上記のDLT枠を完了し、最初の28日以内に計画用量の80%以上のソトラシブ及びパニツムマブを投与された場合、又はDLT枠中の任意の時点でDLTを経験した場合、対象はDLT評価可能である。DLTは、最初の治療サイクル中に発生し、ソトラシブ及び/又はパニツムマブに起因する、以下に列挙される基準を満たす有害事象として定義される。
【0212】
(1)治験製品の恒久的中止をもたらす有害事象;
(2)発熱性好中球減少症
(3)好中球減少症感染症
(4)持続期間を問わないグレード4の好中球減少症
(5)7日を超えて続くグレード3の好中球減少症
(6)7日を超えるグレード3の血小板減少症
(7)グレード2以上の出血を伴うグレード3の血小板減少症
(8)グレード4の血小板減少症
(9)グレード4の貧血
(10)グレード4、嘔吐又は下痢
(11)最適な医学的支援にもかかわらず3日を超えて続くグレード3の嘔吐又はグレード3の下痢
(12)最適な医学的支援にもかかわらず3日以上続くグレード3以上の嘔気
(13)5日を超えて続くグレード3のALT又はASTの上昇(ベースライン時に肝転移のない対象のみ)
(14)持続期間を問わないALT又はASTのグレード4の上昇
(15)グレード3以上のビリルビン上昇
(16)以下の例外を除き、他のグレード3以上のAE:
-DLT除外:グレード3の疲労<1週間
-DLT除外:グレード3のパニツムマブ皮膚毒性
-DLT除外:持続期間が72時間未満であり、臨床的に複雑でなく、自然に解決するか、又は医療介入に応答する、無症候性のグレード3の電解質異常
-DLT除外:膵炎の症状又は臨床所見と関連しないグレード3のアミラーゼ又はリパーゼ
-DLT除外:臨床的に関連性があるようには見えないか、患者にとって有害であるようには見えない、及び/又は置換又は変更によって修正できる、その他の選択臨床検査異常(例えば、グレード3のリンパ球減少症、グレード3の低アルブミン血症、グレード3の低マグネシウム血症)
-DLT除外:グレード3の注入反応
(17)Hyの法則のケースの基準を満たす対象(すなわち、重度の薬物誘発性肝障害[DILI])はDLTとみなされる。Hyの法則のケースは次のように定義される:AST又はALT値≧3×ULN以上で、且つ血清総ビリルビン値(TBL)>2×ULNで、胆汁うっ滞の兆候がなく、観察された肝臓関連の臨床検査値異常を説明する明確な代替理由を有しない。
【0213】
DLT評価期間中に対象がDLTを経験する場合、その対象に対する試験治療は中止すべきである。ただし、対象が療法から臨床的利益を得ていると治験責任医師が信じる場合には、用量減少を考慮して療法を再開してもよい。
【0214】
血液毒性及び非血液毒性に対するソトラシブ用量変更ガイドライン
【0215】
【0216】
ソトラシブを保留する場合は、パニツムマブも保留すべきである。
【0217】
個々の対象の毒性管理のためのソトラシブの用量減少レベルが以下の表に提供される。
【0218】
【0219】
ソトラシブに関する肝毒性ガイドライン:AST、ALT、又はアルカリホスファターゼ(ALP)の上昇を有する対象の管理及びモニタリングのためのガイドラインは、下の表において示される。
【0220】
【0221】
肝毒性反応:異常な肝臓臨床検査値(すなわち、アルカリホスファターゼ(ALP)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、総ビリルビン(TBL))及び/若しくは国際標準比(INR)並びに/又は肝炎の徴候/症状(下記のとおり)を有する対象は、ソトラシブの保留又は完全中止に関する判定基準を満たし得る。
【0222】
以下の中止及び/又は保留の規則は、肝臓バイオマーカー(TBL、INR及びトランスアミナーゼ)におけるそれらの変化の別の原因が同定されている対象に適用される。AST/ALT及び/又はTBL値の上昇に関する重要な別の原因としては、肝胆道疾患;ウイルス性肝炎(例えば、A/B/C/D/E型肝炎、エプスタイン・バーウイルス、サイトメガロウイルス、単純ヘルペスウイルス、水痘、トキソプラズマ症、及びパルボウイルス);右心不全、低血圧若しくは虚血を引き起こす肝臓に対して低酸素のいずれかの原因;草本及び栄養補助食品、植物及びマッシュルームを含む肝毒性薬剤/薬物又は肝臓毒への暴露;障害性のグルクロン酸抱合を引き起こす遺伝性障害(例えば、ジルベール症候群、クリグラー・ナジャー症候群)及びビリルビングルクロン酸抱合を阻害する薬物(例えば、インジナビル、アタザナビル);α1-アンチトリプシン欠乏症;アルコール性肝炎;自己免疫性肝炎;ウィルソン病及びヘモクロマトーシス;脂肪性肝炎を含む非アルコール性脂肪性肝疾患;並びに/又は肝臓外の原因(例えば、横紋筋融解症、溶血)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0223】
以下に記載されるとおり、障害性の肝臓試験(ALT、AST、ALP)及び/又はTBLの上昇に関する別の原因が発見され且つ/又は臨床検査値異常が正常又はベースラインに回復する場合、再負荷が検討され得る。
【0224】
【0225】
パニツムマブ用量変更:
試験中に毒性を経験した対象については、パニツムマブの1回以上の用量が保留されるか、減量されるか、又は延期される(14日を超える間隔で投与される)。例示的なパニツムマブ用量減少を以下の表に列挙する。
【0226】
【0227】
皮膚毒性による例示的なパニツムマブの用量変更ガイドラインが以下の表に提供される。
【0228】
【0229】
重度又は生命を脅かす炎症性又は感染性合併症が発生した場合は、臨床的に適切であるとしてパニツムマブの保留又は中止を検討すること。
【0230】
日光は発生し得る皮膚反応を悪化させる可能性があるため、パニツムマブ投与中は、患者は日焼け止め及び帽子を着用し、日光への曝露を制限することが推奨される。皮膚の保湿剤、日焼け止め(SPF>15 UVA及びUVB)、局所ステロイドクリーム(1%ヒドロコルチゾン以下)を含む積極的な皮膚治療は、皮膚毒性の管理に役立ち得る。対象は、治療中は毎朝、顔、手、足、首、背中及び胸に、保湿剤及び日焼け止めを塗布すること、並びに毎晩、顔、手、足、首、背中及び胸に局所ステロイドを塗布することが助言され得る。皮膚反応の治療は重症度に基づいて行うべきであり、保湿剤、日焼け止め(SPF>15 UVA及びUVB)、患部に塗布される局所ステロイドクリーム(1%ヒドロコルチゾン以下)、及び/又は医師により処方された経口抗生物質を含み得る。
【0231】
肺症状の急性の発症又は悪化が発生した場合は、パニツムマブの保留を検討すること。間質性肺疾患が確認された場合は、パニツムマブを中止すること。
【0232】
皮膚又は肺以外の毒性については、グレード3又は4のパニツムマブ関連毒性がある場合、以下の例外を除き、パニツムマブの使用を保留する:
-パニツムマブは、積極的なマグネシウム及び/又はカルシウムの補充にもかかわらず持続する症候性のグレード3又は4の低マグネシウム血症及び/又は低カルシウム血症についてのみ保留される。
-パニツムマブは、最大限の支持療法にもかかわらず持続するグレード3又は4の嘔気、下痢、又は嘔吐についてのみ保留される。
【0233】
皮膚以外の毒性の場合:パニツムマブを保留した場合、有害事象がグレード1以下に改善するか、ベースラインに戻れば投与を再開してもよい。
【0234】
注入反応:
注入反応は、発熱、悪寒、呼吸困難、気管支痙攣、低血圧、又はアナフィラキシーとして現れ得る。
【0235】
軽度又は中程度(グレード1又は2)の注入反応を経験している患者においては、その注入期間中に注入速度を50%減少させる。
【0236】
重度の注入反応を経験している患者においては注入を打ち切ること。反応の重症度及び/又は持続性に応じて、パニツムマブを恒久的に中止すること。
【0237】
FOLFIRIの用量減少
【0238】
【0239】
イリノテカン、5-フルオロウラシル、及びロイコボリンの用量は、サイクル1の1日目の身長及び体重に基づいて計算され、各用量での現在の体重を使用して再計算されるべきである。施設の方針である場合、対象の体重変化が10%未満の場合には、FOLFIRI用量は再計算を要しない。FOLFIRIの用量変更の理由は、各対象のCRFに記録される。
【0240】
FOLFIRI用量変更ガイドライン
【0241】
【0242】
【0243】
放射線学的画像評価
疾患の程度は、RECIST v1.1に従って造影MRI/CTによって評価される。対象に対する放射線暴露を低減するために、できるだけ最小限の線量が利用されるべきである。
【0244】
スクリーニングスキャンは、登録前の28日以内に実施される必要があり、ベースラインとして使用される。スキャンのためのスクリーニング枠内にある標準治療の一部として実施される画像診断は、スクリーニングのスキャン要件を満たしている限り、ベースラインスキャンに使用され得る。その後の全てのスキャンは、同じ造影剤を用いて、好ましくは同じスキャナー上でスクリーニング時と同じ様式で実施される。放射線学的評価は、施設画像診断マニュアルに詳細が記載されるとおり、胸部のCT、腹部及び骨盤の造影CT又はMRI、並びに疾患の全ての他の既知の部位の評価を含まなければならない。
【0245】
スクリーニング時に使用される同じ画像診断モダリティ、MRIの場の強度並びにIV及び経口造影剤が、その後の全ての評価のために使用されるべきである。肝臓特異的MRI造影剤は使用してはならない。潜在的な安全性の懸念を軽減するため、大環状ガドリニウム造影剤は、国立衛生研究所(National Health Institute)ガイドラインに従うことが推奨されるか、又はより厳格な場合、地域の基準に従う。
【0246】
治療及び経過観察の間、胸部、腹部、骨盤、及び疾患の全ての他の既知の部位の放射線画像診断は、最初の4回の奏効評価まで治療サイクルに関係なく6±1週毎に実施される。4回(6週間)の奏効評価の後、放射線画像診断及び腫瘍評価は、12±1週毎に実施される。放射線画像診断お飛び腫瘍評価は、疾患進行、新たな抗癌剤治療の開始、死亡、同意の撤回、又は試験終了まで実施される。画像診断はまた、管理医の判断で臨床的に必要な場合、より頻繁に実施され得る。放射線学的奏効(CR、PR)は、奏効の最初の文書化の少なくとも4週後に再現連続スキャンによる確認を必要とし、不必要な手技を回避するために次の予定されたスキャンまで遅延されてもよい。
【0247】
全てのNSCLC対象、脳転移の病歴を有する対象、脳転移を示唆する兆候及び症状を有する対象は、ソトラシブの最初の投与前の28日以内に実施される脳のMRIを有していなければならない。その後、脳スキャンは、管理医の判断において必要な場合、任意の時点で実施され得る。治験実施計画書上の全ての脳スキャンは、MRIが禁忌でなければMRIでなければならず、続いて造影によるCTが許容される。
【0248】
試験終了時又は治療終了(EOT)来院中の放射線画像診断評価は、RECIST v1.1ガイドラインに従う疾患進行以外の理由のために治療を中止する対象に関してのみ実施されるべきである。
【0249】
対象の臨床管理のための疾患奏効の決定は、RECIST v1.1に従って臨床施設で評価される。スキャンは、保管資料及び(必要な場合)RECIST v1.1基準を利用した独立奏功評価のためにセンター画像診断コア検査機関に提出され得る。探索的画像診断解析はセンターで実施され、腫瘍容積測定、生存腫瘍測定、組織壊死率、及び病変組織解析(ラジオミクス)を含み得る。
【0250】
固形癌効果判定基準バージョン1.1(RECIST 1.1)
定義
測定可能な病変
測定可能な腫瘍病変-少なくとも一次元で正確に測定できる境界が明確であり、スライス厚が5mm以下のCT/MRIスキャンで最長の直径が≧10mmの非リンパ節病変。スライス厚が5mmより大きいとき、測定可能な病変の最小サイズは、スライス厚の2倍であるべきである。
【0251】
リンパ節病変-リンパ節は、病理学的に肥大し、測定可能であるとみなされることになり、リンパ節は、CT/MRI(5mm以下であることが推奨されるスキャンスライス厚)によって評価されるとき、短軸で≧15mmでなければならない。ベースライン及び経過観察時に、短軸のみが測定され、追跡される。節のサイズは通常、軸面において二次元として報告される。これらの測定値のうちでより小さいのは短軸(長軸に対して垂直)である。
【0252】
放射線照射された病変-以前に放射線照射された領域、又は他の局所領域療法にかけられた領域に位置する腫瘍病変は、登録前に病変の進行が実証されていない限り、測定不可能である。
【0253】
測定不可能な病変:小病変(最長の直径<10mm又は病的状態のリンパ節であって、短軸が≧10mmであるが<15mmであり、5mm以下のCTスキャンスライス厚を有するもの)を含む他の全ての病変は、測定不可能であるとみなされ、非標的病変として特徴付けられる。
【0254】
測定不可能な病変の他の例としては、以前に局所治療を有する病変:以前に放射線照射された領域、又は他の局所領域療法にかけられた領域に位置する腫瘍病変は、病変の進行が実証されていない限り、測定可能であるとみなされるべきではない;生検された病変が挙げられ;分類上、小病変、骨病変、炎症性乳房疾患、及び軟髄膜疾患のクラスターは、標的不可能である。
【0255】
測定の方法
病変の測定-選択された病変の最長の直径は、画像が取得された平面(軸面)において測定されるべきである。全ての測定値が取得され、メートル表示法で記録されるべきである。全てのベースライン評価は、可能な限り治療の開始に近い時期であり、試験1日目の4週以前に実施されるべきである。
【0256】
評価の方法-同じ評価方法及び同じ技術を使用して、治験全体にわたってそれぞれの同定され且つ報告された病変を特徴付けるべきである。
【0257】
CT/MRI-造影CT又はMRIを使用して、全ての病変を評価すべきである。固形腫瘍における転移の最適な可視化及び測定は、一貫したIV造影剤の投与(用量及び速度)及びスキャンの時機を必要とする。CT及びMRIは、≦5mm厚の隣接するスライスで実施されるべきである。
【0258】
「標的」及び「非標的」病変のベースライン考証
標的病変-全ての関与する臓器を代表する、1つの臓器当たり最大2つまでの病変及び合計で5つまでの病変である全ての測定可能な病変が、ベースライン時に標的病変として同定され、記録され、測定されるべきである。
-標的病変は、それらのサイズ(最長の直径を有する病変)及び正確な反復測定への適性に基づいて選択されるべきである。
-病的なリンパ節(≧15mmの短軸を有する)が標的病変として同定され得る。全ての他の病的なリンパ節(≧10mmであるが<15mmの短軸を有するもの)は、非標的病変とみなされるべきである。
-全ての標的病変について、直径の合計(非リンパ節病変については最長の直径、リンパ節病変については短軸)が計算され、ベースラインの直径の合計として報告される。ベースラインの直径の合計は、客観的腫瘍奏効を特徴付けるための基準として使用される。
【0259】
非標的病変-病的なリンパ節を含む全ての他の病変(又は疾患の部位)は、非標的病変として同定されるべきであり、ベースライン時にも記録されるべきである。これらの病変の測定は必要とされず、これらの病変は、試験全体にわたって「存在」、「非存在」、又は「明白な進行」として追跡されるべきである。加えて、同じ臓器を含む複数の非標的病変を症例報告書上の1つの項目として記録することが可能である(例えば、「複数の拡大した骨盤リンパ節」又は「複数の肝臓転移」)。
【0260】
奏効判定基準
【0261】
【0262】
【0263】
全体的な奏効の評価
最良の全体的な奏効は、試験治療の開始から治療の終了又は疾患進行/再発まで記録された最良の奏功である(PDのための基準として治療が開始されてから記録された最小の測定値を取得する)。
【0264】
一般に、対象の最良効果の割当は、標的疾患及び非標的疾患の両方の所見に依存し、新規の病変の出現も考慮に入れる。
【0265】
【0266】
【0267】
【0268】
奏効評価に対する特記事項
リンパ節病変-標的病変として同定されたリンパ節は、リンパ節が試験において10mm未満に退行する場合でさえ、実際の短軸の測定値が常に記録されるべきである。CRに関して認定するために、各リンパ節は、完全な消失ではなく<10mmの短軸に達しなければならない。リンパ節標的病変の短軸の測定値を、標的病変の最長の直径測定値とともに加えて、特定の評価(時点)のための標的病変の直径の合計を作成する。
【0269】
「小さすぎて測定できない」標的病変-試験中、ベースライン時に記録された全ての病変(リンパ節及び非リンパ節)は、それぞれのその後の評価時にそれらの測定値が記録されるべきである。病変が5mm未満になる場合、測定値の正確度は低下する。したがって、5mm未満の病変は、「小さすぎて測定できない」とみなされ、測定されない。この指定により、それらは5mmの既定の測定値に割り当てられる。病変が完全に消失し、「0」が測定値に関して記録され得る場合を除いて、5mm未満の病変測定値は記録される必要はない。
【0270】
新規の病変-用語「新規の病変」は常に、明確に腫瘍である新規の所見の存在を指す。腫瘍である可能性しかないが、良性の可能性もある新規の所見(感染、炎症など)は、審査によりそれらが腫瘍であると確定するときまで、新規の病変として選択されない。
-例えば、サイズが小さいために新規の病変が不確かである場合、継続される療法及び経過観察評価は、それが実際に新規の疾患となるかどうかを明らかにすることになる。繰り返しのスキャンにより、新規の病変が明確に存在することが確証される場合、進行は、初期スキャンの日付を使用して申告されるべきである。
-ベースライン時にスキャンされなかった解剖学的位置において経過観察試験で同定された病変は、新規の病変とみなされ、ベースラインから存在する標的又は非標的病変において認められ得るいずれかの奏効にもかかわらず、疾患進行を示すことになる。
【0271】
その時点で疾患進行の客観的な証拠を伴わずに治療の中止を必要とする健康状態の全体的な悪化を有する対象は、「症状の悪化」を有するものとして分類されるべきである。治療の中止後でさえ、追加的な画像診断評価により客観的な進行を記録するためのあらゆる試みがなされるべきである。
【0272】
ある状況下では、残存疾患を瘢痕又は正常組織から識別するのが困難な場合がある。完全奏効(CR)の評価がこの決定に依存するとき、残存病変をさらに、フルオロデオキシグルコース-ポジトロン放出断層撮影(FDG-PET)若しくはPET/コンピューター断層撮影(PET/CT)、又は場合により穿刺吸引/生検によって調査して、CR状態を確認することが推奨される。
【0273】
確認測定/奏効期間
奏効確認-奏効が主要評価項目である非無作為化試験において、PR及びCRの確認は、同定された奏効が測定誤差の結果ではないことを確実にするために必要となる。
【0274】
全奏効期間-全奏効期間は、CR/PRに関する測定基準を最初に満たした時点(最初に記録された方)から、再発又は進行性疾患が客観的に記録された最初の日又は死亡のいずれか早い時点まで測定される。
【0275】
安定な疾患の期間-SDは、治療の開始から疾患進行に関する判定基準が満たされるまで測定され、治療が開始されてから記録された最小の測定値、又は死亡のいずれか早い方を基準として取得する。
【0276】
ECOGパフォーマンス及びNYHA分類
【0277】
【0278】
ニューヨーク心臓協会(New York Heart Association)の機能分類
クラスI 身体活動の制限なし。通常の身体活動では、過度の疲労、動悸又は呼吸困難を引き起こさない。
クラスII 身体活動の軽度の制限。安静時は快適であるが、通常の身体活動により疲労、動悸又は呼吸困難が生じる。
クラスIII 身体活動の著しい制限。安静時は快適であるが、通常より少ない活動量により疲労、動悸又は呼吸困難が生じる。
クラスIV いかなる身体活動も不快感なく行うことができない。心不全の症状は安静時にも現れ得る。何らかの身体活動を行うと、不快感が増大する。
【0279】
予備的結果(2021年4月23日データカット):
患者8人(女性5人、男性3人、年齢中央値:60.5歳[範囲:31~79歳])が、ソトラシブ960mg QD及び6mg/kg IV Q2Wパニツムマブによる用量探索に登録された。転移性疾患の療法のライン数の中央値は3.5(範囲1~10)でり;5人の患者は以前にソトラシブ治療を受けていた。治療期間(tx)の中央値は4.4ヶ月(範囲:1.4、8.8)であった。用量制限毒性(DLT)は、DLT評価期間(最初の28日間)中に観察されなかった。ソトラシブ又はパニツムマブに関連するあらゆるグレードのTx関連有害事象(TRAE)が、それぞれ4人及び8人の患者で報告された。グレード4又は致命的なTRAEは発生しなかった。2人の患者はパニツムマブの用量変更を引き起こすパニツムマブTRAEを有しており(1人:ざ瘡様皮膚炎、1人:乾燥肌、発疹、低カリウム血症、低マグネシウム血症)、1人の患者はソトラシブの用量変更を引き起こすソトラシブTRAEを有していた(下痢)。部分奏効が確認されたのが1人、安定な疾患(SD)が5人、進行性疾患(PD)が1人、評価されていないが臨床的PDを有するのが1人であった。以前にソトラシブ治療を受けた患者のうち、4人は標的病変の合計が減少し;4人はSDを有し、PDを有する1人は、標的病変のサイズの縮小にもかかわらず、新たな病変を発症した。ソトラシブ曝露は、単剤療法試験で観察されたものと同様であった。
【0280】
結果は、ソトラシブ(960mg QD)及びパニツムマブ(6mg/kg IV Q2W)の併用が安全且つ忍容性があることと、KRAS G12C変異CRCを有する重度の前治療を受けた患者において有望な有効性を示した。有害事象は、ソトラシブ及びパニツムマブの既知の有害事象と一致していた。Fakih et al.,2021(Abstract #3245)も参照されたい。
【0281】
追加の予備的結果(2021年8月6日データカット):
患者31人(女性21人、男性10人、年齢中央値58歳、範囲31~79歳)が、960mg QDのソトラシブ及び6mg/kg IV Q2Wのパニツムマブによる用量探索に登録された(パート1及びパート2結合コホートA)。転移性疾患の療法のライン数の中央値は2であり;5人の患者(16.1%)が以前にソトラシブ療法を受けていた。データカットオフ時点での治療期間の中央値は、10.3週間(範囲2.1~48.1週間)であった。用量制限毒性(DLT)は、DLT評価期間(最初の28日間)中に観察されなかった。あらゆるグレードの治療に関連する有害事象(TRAE)が23人(74.2%)の患者で報告された(ソトラシブに関連する患者は14人(45.2%)、パニツムマブに関連する患者は23人(74.2%))。グレード4又は致命的なTRAEは発生しなかった。4人の患者(12.9%)がグレード3のTRAEを経験した。これらグレード3のTRAEのうち、1人の患者はグレード3の低カリウム血症、低マグネシウム血症、乾燥肌、及び発疹(パニツムマブ関連)を経験し、パニツムマブの用量が変更され;1人の患者はグレード3のざ瘡様皮膚炎及び筋肉痛(パニツムマブ関連)を経験し、ざ瘡様皮膚炎についてのみパニツムマブの用量が変更され;1人の患者はグレード3の下痢(ソトラシブ関連)を経験し、ソトラシブの用量が変更され;1人の患者はグレード3の蜂窩織炎、末梢性浮腫、及びざ瘡様皮膚炎(パニツムマブ関連)を経験したが、ソトラシブ又はパニツムマブのいずれについても用量の変更はなかった。用量変更をもたらしたTRAEのうち、3人の患者(9.7%)はTRAE(下痢、疲労及び低カリウム血症)を示し、ソトラシブの用量が変更され;2人の患者(6.5%)はTRAE(ざ瘡様皮膚炎及び乾燥肌/発疹/低カリウム血症/低マグネシウム血症)を示し、パニツムマブの用量が変更された。パニツムマブと組み合わせたソトラシブは忍容性が良好であり、致命的なTRAEは伴わなかった。
【0282】
観察された腫瘍反応が以下の表に提供される。
【0283】
【0284】
全体として、患者の27%(26人中7人)が奏功(確認を待っている未確認の奏功を含む)を達成し、患者の81%(26人中21人)が疾患制御を達成した。パート1コホートAでは、用量探索中の患者8人のうち5人が以前にKRASG12C阻害剤治療を受けていたが、それにもかかわらず、全患者の大部分(75%、患者8人中6人)は、標的病変サイズの縮小(-14.5%~-100.0%)を経験した。以前にKRASG12C阻害剤に曝露された患者の大部分(80%、患者5人中4人)は、安定な疾患の最良の応答を示した。KRASG12C阻害剤治療を有する患者5人のうち4人は、標的病変サイズの14.5%~30.3%の縮小を示した。1人の患者(KRASG12C阻害剤ナイーブ)は、治療の2ヶ月以内にPRを達成し、データカットオフ時点でも治療を続けている。このコホートの応答者について、標的病変サイズの100%の縮小が観察された。
【0285】
パート2、コホートA(n=18)では、全体として、患者の83%が治療を続けており、6ヶ月後、2人の患者が治療を続けている。標的病変サイズの縮小(-2.4%から-61.8%)は、用量拡大で治療された化学療法抵抗性転移性結腸直腸癌(mCRC)集団の大部分(83%、患者18人中15人)で観察された(パート2、コホートA、n=18)。この減少は持続すると思われる。無増悪生存期間の平均はまだ決定できない。
【0286】
ソトラシブ及びパニツムマブの両方を投与された患者のソトラシブ曝露は、ソトラシブ単独を投与された患者のものと同様であった(CodeBreaK 100治験NCT03600883において)。
1日目:
組み合わせ療法ではtmax(時間)1.0、単剤療法では1.9;
組み合わせ療法ではCmax(μg/mL)8.01、単剤療法では9.71;
組み合わせ療法では、AUC0-24h(時間*μg/mL)77.2、単剤療法では103
8日目:
組み合わせ療法ではtmax(時間)1.0、単剤療法では2.0;
組み合わせ療法ではCmax(μg/mL)7.50、単剤療法では6.50;
組み合わせ療法では、AUC0-24h(時間*μg/mL)51.7、単剤療法では50.3
【0287】
総合すると、結果は、ソトラシブ(960mg QD)及びパニツムマブ(6mg/kg IV Q2W)の併用が安全且つ忍容性があることと、KRAS G12C変異CRCを有する化学療法抵抗性患者において有望な有効性を示した。有害事象は、ソトラシブ及びパニツムマブの既知の有害事象と一致していた。ソトラシブとパニツムマブの組み合わせの奏効率は、確認されたORRが15.4%、ORRが26.9%(確認を待っている未確認の奏効を含む)であった。これらのORRは、KRAS G12C変異CRCにおけるソトラシブ単剤療法より数値的に高かった(7.1%ORR)(Hong et al.,2020)。ソトラシブ曝露は、単剤療法試験で観察されたものと同様であった。パニツムマブと組み合わせたソトラシブは、KRAS.G12C変異CRCを有する患者における早期の有望な有効性のシグナルと関連している。Fakih et al.,2021(ePoster #3245)も参照されたい。
【0288】
追加の予備的結果(2022年6月24日データカットオフ):
患者40人(女性30人、男性10人、年齢中央値:58歳)が、ソトラシブ960mg QD及び6mg/kg IV Q2Wパニツムマブによる用量探索に登録された(パート2コホートA)。これらの患者のうち23人に関する予備的安全性データ、及びこれらの患者のうち18人に関する有効性データは、上記で報告された2021年8月6日のデータカットに含まれていた。転移性疾患の療法のライン数の中央値は2であり;7人の患者(18%)が以前にレゴラフェニブ療法を受けており、7人の患者(18%)が以前にトリフルリジン/チピラシル療法を受けていた。(1人の患者は第三選択療法としてレゴラフェニブと第四選択療法としてトリフルリジン/チピラシルの両方を受けていた)。
【0289】
安全性及び忍容性
あらゆるグレードの治療に関連する有害事象(TRAE)が37人(93%)の患者で報告された(ソトラシブに関連する患者は26人(65%)、パニツムマブに関連する患者は37人(93%))。グレード4又は致命的なTRAEは発生しなかった。9人の患者(23%)がグレード3のTRAEを経験した。グレード3のTRAEには、発疹(n=2、5%)、貧血、疲労、末梢浮腫、蜂窩織炎、膿疱性発疹、サルモネラ症、皮膚感染、低マグネシウム血症、悪性新生物進行、肺塞栓症、ざ瘡様皮膚炎、及び掻痒(各n=1人の患者、3%)が含まれていた。用量変更をもたらしたTRAEのうち、6人の患者(15%)はTRAE(掻痒、発疹、貧血、下痢、低カリウム血症)を示し、ソトラシブの用量が変更され;10人の患者(25%)はTRAE(ざ瘡様皮膚炎、発疹、乾燥肌、結膜炎、下痢、低マグネシウム血症、爪囲炎、掻痒、膿疱性発疹、かすみ目)を示し、パニツムマブの用量が変更された。パニツムマブと組み合わせたソトラシブは忍容性が良好であり、致命的な又はグレード4のTRAEは伴わなかった。いずれの薬剤も中止する必要はなかった。
【0290】
薬物動態
ソトラシブ及びパニツムマブの両方を投与された患者(n=35)のソトラシブ曝露は、ソトラシブ単独を投与された患者(n=32)のものと同様であった(CodeBreaK 100治験NCT03600883において)。
tmax(h)、中央値(範囲):組み合わせ療法では1.0(1.0~6.0)、単剤療法では2.0(0.3~6.0)。
Cmax(μg/mL)、平均(CV%):組み合わせ療法では9.64(55%)、単剤療法では7.50(98%)。
AUC0-24h(時間*μg/mL)、平均(CV%):組み合わせ療法では65.8(56%)、単剤療法では65.3(82%)
値は、tmax及びCV%を除き、有効数字3桁で報告され、それぞれ有効数字2桁及び最も近い整数として表される。AUC0-24h、投与後0時間から24時間までの濃度-時間曲線下面積;Cmax、観察された最高薬物濃度;tmax、Cmaxに到達するまでの時間;CV、変動係数。
【0291】
有効性:
【0292】
【0293】
化学療法抵抗性mCRCを有する患者におけるソトラシブ+パニツムマブの確定奏効率(ORR)は30%であり、疾患制御率(DCR)は93%であった。原発腫瘍の位置によるORRサブグループ分析(左対右)を実行した。腫瘍の位置に基づく応答の明らかな違いは認められなかった(左(n=27、30%ORR);右(n=13;31%ORR))。
【0294】
RECIST標的病変の減少が患者の88%で観察された。治療期間の中央値(範囲)は5.9(0.5、11.3)ヶ月であり、データカットオフの時点で患者の25%が治療を続けていた。反応期間の中央値は4.4ヶ月(範囲、2.8~7.4ヶ月)であった。
【0295】
経過観察期間の中央値は11.0ヶ月であり、PFSの中央値は5.7ヶ月であった(以下の表を参照)。
【0296】
【0297】
経過観察期間の中央値8.8ヶ月では、OS中央値にはまだ達していなかった(95%CI:10.4、NE)(以下の表を参照)。
【0298】
【0299】
総合すると、結果は、ソトラシブ(960mg QD)及びパニツムマブ(6mg/kg IV Q2W)の併用が安全且つ忍容性があることと、KRAS G12C変異CRCを有する化学療法抵抗性患者において有望な有効性を示した。有害事象は、ソトラシブ及びパニツムマブの既知の有害事象と一致していた。確認された30%のORRは、KRAS G12C変異CRCにおけるソトラシブ単剤療法で以前報告された(7.1%ORR)(Hong et al.,2020)よりも3倍高く、DCRは93%である。腫瘍の位置に基づく明らかな違いは観察されなかった。ソトラシブ曝露は、単剤療法試験で観察されたものと同様であった。PFSの中央値5.7ヶ月は臨床的に意味があり、ソトラシブ単剤療法で報告されているもの(PFS中央値:4.0ヶ月、Hong et al.,2020)よりも長く、OSデータは有望であるように見える。Kuboki et al.,2022も参照されたい。
【0300】
3剤組み合わせ療法(ソトラシブ、パニツムマブ及びFOLFIRI)に関する追加の予備結果(データカットオフは2022年6月9日):
前述したように、試験20190135は、ソトラシブと他の抗癌療法と組み合わせたソトラシブを検討するソトラシブプロトコルである。このプロトコルのサブプロトコルHでは、ソトラシブとパニツムマブの組み合わせ、及びソトラシブ、パニツムマブ、及びFOLFIRIの組み合わせを検討する。サブプロトコルHのパート1コホートBは、ソトラシブ、パニツムマブ、及びFOLFIRIの組み合わせの用量設定コホートである。データのスナップショットは2022年6月9日に取得された。このコホートでは6人の対象が用量レベル1(ソトラシブ960mgを毎日経口投与、パニツムマブ6mg/kgを2週間毎に静脈内投与、FOLFIRI化学療法を2週間毎)に登録され、28日間の用量制限毒性(DLT)評価枠中にDLTは特定されなかった。これらの6人の対象は、以前に中央値で3ラインの抗癌療法を受けており(1~5の範囲)、5人の対象は以前にイリノテカン化学療法を受けており、6人の対象全員が以前にフルオロピリミジン化学療法を受けていた。客観的奏効率は50%(対象6人中3人が部分奏効を確認)、病勢コントロール率は100%(完全奏効、部分奏効、又は最良の奏効として安定な疾患を有する対象)であった。対象数は少ないものの、中央値で3ラインの療法を以前に受けた、重度に前治療を受けた集団において、客観的奏効率50%は非常に有望であり、試験20170543フェーズ2のCRCコホートにおいてソトラシブ単剤療法で観察された10%及び試験20190135サブプロトコルHパート2コホートAにおいてソトラシブとパニツムマブの組み合わせで観察された30%の奏効率と比較して有利である。用量レベル1が第2相の推奨用量と宣言され、パート2拡大コホートへの登録が進行中であり、パート2コホートF(KRAS G12C変異を有する転移性結腸直腸癌を有する、治療ナイーブの患者)及びパート2コホートG(KRAS G12C変異を有する転移性結腸直腸癌を有する、以前に治療を受けた患者)への対象の登録が行われている。
【0301】
実施例2-パニツムマブ対トリフルリジン及びチピラシル又はレゴラフェニブと組み合わせた、ソトラシブ
これは、以前に治療を受けた、KRAS G12C変異を有する転移性CRC対象における、2つの異なる用量のソトラシブ及びパニツムマブ対(1)トリフルリジン及びチピラシル又は(2)レゴラフェニブの有効性及び安全性を評価する第3相、多施設、無作為化、非盲検、実薬対照試験である。試験は、およそ100の施設で実行される。この試験は、スクリーニング期間、治療期間、安全性経過観察及び長期経過観察期間で構成される。以前に治療を受けた、KRAS G12C変異を有する転移性CRC対象およそ153人が登録され、ソトラシブ240mg QD及びパニツムマブ、又はソトラシブ960mg QD及びパニツムマブ、又は治験責任医師の選択((1)トリフルリジン及びチピラシル、又は(2)レゴラフェニブ)を投与されるように、1:1:1に無作為化される。治験責任医師の選択は、無作為化の前に宣言される必要がある。この治験は現在登録中である(試験20190172、https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT05198934;CodeBreaK 300)。
【0302】
対象は、以前の抗血管新生療法(Y対N)、転移性疾患の最初の診断から無作為化までの時間(18ヶ月以上、18ヶ月未満)、及びECOG状態(0又は1対2)によって層別化される。
【0303】
サイクル1の1日目は、対象が試験薬を投与される最初の日として定義され;腫瘍の評価は、ベースライン時、盲検独立中央レビュー(BICR)によって評価される進行、別の抗癌剤治療の開始、同意の撤回、経過観察不能、死亡のいずれか早い時点まで、8週間(±7日)の間隔で(MRI及び/又はCTによって)実行される。安全性経過観察のCT/MRIは、RECIST 1.1に従う疾患進行以外の理由のために治療を中止し、8週間(来院の±7日)以内に放射線画像診断を受けていない対象に関してのみ実施されるべきである。BICRによって評価される進行を有しない対象の場合、BICRによって評価される進行、別の抗癌剤治療の開始、同意の撤回、経過観察不能、死亡のいずれか早い時点まで、8週間(±7日)毎にLTFUで放射線画像診断を継続すべきである。腫瘍の評価及び応答は、RECIST1.1を使用したBICRによって決定される。治験責任医師の選択に基づく対象は、PFSが治験責任医師の選択アームに対してソトラシブ及びパニツムマブアームのPFSにおいて臨床的及び統計的に有意な改善を示し、安全性及び有効性のデータがソトラシブ及びパニツムマブアームを強く支持する場合に限り、PFSの一次解析後にソトラシブ及びパニツムマブへのクロスオーバーが許可される。BICRによって決定される進行性疾患で治験責任医師の選択を以前に中止した対象については、一次解析後にクロスオーバーが適切であると決定された場合、ソトラシブ又はパニツムマブへのクロスオーバーが提案され得る。BICRによって決定される進行性疾患の前に中止した対象は、その後別の全身療法を開始する前にBICRによって決定される進行性疾患を有しない限り、クロスオーバーは許可されない。同意を撤回した対象は、クロスオーバーを許可されない。対象は、疾患進行、治療中断につながる治療の不耐性、別の抗癌療法の開始又は同意の撤回のために治療を中止し得る。放射線学的進行後の試験治療の継続は、治験責任医師の意見において、対象が臨床的利益を得ており、臨床的に安定しており、試験薬による許容できない毒性がなく、生検に同意し、メディカルモニターの承認が得られている場合に許可され得る。進行後も治療を継続する対象について、対象が全ての試験薬を中止するまで、腫瘍評価はスケジュールに従って継続される。
【0304】
進行後又はクロスオーバー後も治療を継続する対象については、最初のBICRで評価された進行の日付が一次PFS解析に使用され、最初の進行後の対象の腫瘍評価は、客観的奏功評価項目を評価するための一次解析には使用されない。
【0305】
全ての対象において、疾患進行後のその後の療法の種類及び期間、その後の療法への応答、その後の療法における進行日、及び生存データに関する情報が回収される。RECIST 1.1の疾患進行前に治療を中止した対象(例えば、許容できない毒性のため)は、疾患進行、同意の撤回、又は別の抗癌療法の開始までX線撮影で追跡され、その後、同意を撤回していない対象については生存率の評価及び抗癌治療の記録のために、電話又はクリニック来院による、さらなる長期経過観察が行われる。対象は、最後の対象が登録されてから1年間、又は同意の撤回、経過観察の喪失、若しくは対象の死亡のいずれか早い方まで追跡される。
【0306】
中間安全性分析は、およそ75人の対象が登録し、少なくとも8週間の試験治療を完了する機会があった後、その後は最後の対象が治療から外れるまでおよそ6ヶ月間隔で、その後は試験が終了するまで毎年、独立データ監視委員会(DMC)によって実行される。
【0307】
この試験で実行される評価は以下に説明され、評価スケジュール(SOA)に指定された時点で行われる。
【0308】
疾患進行は、BICRによって評価される固形癌効果判定基準、バージョン1.1(RECIST v1.1)を使用して評価される。
【0309】
安全性は、重篤及び非重篤な有害事象(AE)、安全性臨床試験、バイタルサイン及び心電図(ECG)を評価することによってモニターされる。全てのAEの発生率、性質、重症度は、National Cancer Institute Common Terminology Criteria for Adverse Eventsバージョン5.0(NCI CTCAE v5.0)に従ってグレード付けされる。
【0310】
臨床安全性検査には、血液学、血液化学、尿検査、甲状腺機能、コレステロール、及びトリグリセリドが含まれる。バイタルサインの評価には、血圧及び脈拍数が含まれ;追加のバイタルサインは、臨床的に正当な場合にのみ回収される。
【0311】
PRO/QOL評価は、PRO機器EORTC QLQ-C30、BPI、BFI、及びPRO CTCAEからの質問、症状の悩みに関する単一の質問(FACTGからのGP5)、及びEQ-5-D-5Lを使用して評価される。PROスコアは、ベースライン及びSOAで指定された時点で、患者の言語でPRO機器が利用できる全ての患者について決定され、治療グループ間で比較される。BFI及びBPIからのデータの解釈を容易にするために、重症度のPatient Global Impression及び疲労及び痛みのPatient Global Impression of Changeが回収される。
【0312】
試料は、ソトラシブ及びパニツムマブPK分析のために回収される。
【0313】
腫瘍マーカーのための試料が回収される。
【0314】
追加の血漿/血液/組織生検試料は、一次及び二次耐性のメカニズムに関する探索的バイオマーカーとして回収される。
-進行時に生検(コア針又は細針吸引(FNA))を受けやすい病変を有する全ての対象は、進行時に生検を受けることが奨励される。
-ソトラシブ及びパニツムマブで治療され、生検が可能な病変を有し、進行を過ぎても治療を継続することを希望する全ての対象は、進行を過ぎて治療を継続する前に、医学的に実現可能であれば進行時に生検を受ける必要がある。
【0315】
この試験では、DMC憲章に従って安全性データを審査する独立データ監視委員会(DMC)が計画される。中間安全性分析は、およそ75人の対象が登録し、少なくとも8週間の試験治療を完了する機会があった後、その後は最後の対象が治療から外れるまでおよそ6ヶ月間隔で、その後は試験が終了するまでおよそ毎年、DMCによって実行される。
【0316】
ソトラシブ及びパニツムマブアームと、治験責任医師の選択アームとの間のPFSの優位性について、PFSの一次解析が1つ計画されている。PFSのPAは、ソトラシブ960mg及びパニツムマブアーム、並びに治験責任医師の選択アームで、およそ60件のPFS事象が観察されたときに発生する。
【0317】
試験製品
毎日の経口ソトラシブ240mg又は960mg。
【0318】
パニツムマブ6mg/kg IV Q2W
トリフルリジン及びチピラシル35mg/m2、1回あたり最大80mg(トリフルリジン成分に基づく)を、各28日間サイクルの1~5日目及び8~12日目に、朝夕の食事終了後1時間以内に1日2回経口投与。用量を最も近い5mg増分に丸める。
【0319】
毎日の経口レゴラフェニブ160mg×各28日サイクルの21日間。低脂肪食の後に摂取する。
【0320】
組み入れ基準:
年齢18歳以上。
【0321】
病理学的に確認された転移性結腸直腸癌。
【0322】
センター検査によって決定されたKRAS G12C変異の確認を有する。
【0323】
対象は、転移性疾患について以前に少なくとも1つのラインの療法を受けている。対象は、転移性疾患について投与されるフルオロピリミジン、イリノテカン、及びオキサリプラチンの投与中又は投与後に、疾患進行又は再発を経験してなければならないが、治験責任医師の意見において、対象がフルオロピリミジン、イリノテカン、又はオキサリプラチンの候補でない場合はその限りでなく、この場合、対象は、転移性疾患について少なくとも1つのラインの療法を受けていることを条件として、治験責任医師がメディカルモニターと議論した後に適格となり得る。MSI-Hであることが知られている腫瘍を有する対象は、医学的禁忌がない限り、その地域で利用可能なチェックポイント阻害剤治療を以前に受けていなければならず、その場合、対象は治験責任医師とメディカルモニターとの協議後に適格となり得る。
【0324】
BRAF V600E変異を有することが知られている腫瘍を有する対象は、国又は地域でこの適応症に利用可能な場合、先にエンコラフェニブ及びセツキシマブによる治療を受けていなければならない。
-対象がアジュバント療法の投与の完了後6ヶ月以内に進行した場合、アジュバント療法は、転移性疾患の療法のラインとして数えられる。
-維持療法は、療法の別個のレジメンとはみなされない。
-転移性疾患の切除後に行われるアジュバント療法は、転移性疾患の療法のラインとして数えられる。
-転移性疾患における、化学放射線療法を伴う又は伴わない周術期化学療法は、それが外科の集学的治療計画の一部である場合、転移性疾患についての療法の1つのラインとして数えられる。
【0325】
対象は、保管された腫瘍組織試料(5年以内に回収されたホルマリン固定パラフィン包埋[FFPE]試料)を提供する意思があるか又は登録前に治療前の腫瘍生検(切除又はコア生検)を受けることに同意しなければならない。
【0326】
RECIST 1.1判定基準に従って測定可能な疾患。以前に放射線照射を受けた病変は、放射線照射後に進行していない限り、測定可能とはみなされない。
【0327】
≦2の米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータス。
【0328】
治験責任医師の意見で>3ヶ月の余命。
【0329】
サイクル1の1日目の前2週間以内に以下のように定義される適切な血液及び末端臓器機能:
-ANC≧1.5×109細胞/L(適格性を決定するために使用される臨床検査の2週間以内の顆粒球コロニー刺激因子のサポートなし)。
-ヘモグロビン≧9.0g/dL(適格性を決定するために使用される臨床検査の2週間以内に輸血なし)。
-血小板数≧100×109細胞/L(適格性を決定するために使用される臨床検査の2週間以内に輸血なし)。
-アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)及びアラニントランスアミナーゼ(ALT)≦正常範囲上限の2.5倍。
-血清ビリルビン≦1.0×ULN。ギルバート病を有する対象の場合、直接ビリルビン≦1.0×ULN
-国際正規化比(INR)及び活性化部分トロンボプラスチン時間(又は部分トロンボプラスチン時間)≦1.5×ULN。検査機関がINRを報告していない施設では、プロトロンビン時間(PT)≦1.5×ULNがINRの代わりに使用され得る。
腎疾患における食事の変更(MDRD)計算に基づく推算糸球体濾過量≧30ml/分/1.73m2。
-Fridericiaの補正式(QTcF)≦470ミリ秒。
【0330】
経口薬を服用する能力があり、治験製品に対する毎日のアドヒアランスを記録する意思がある。
【0331】
除外基準:
疾患関連:
活動性脳転移。語句「活動性脳転移」は、本明細書で使用する場合、元の(原発性、非脳)腫瘍から脳に広がった癌を指す。活動性脳転移は、頭蓋内病変の存在によって評価できる。「転移(metastases)」は複数形であるが、以下に示す基準の下で頭蓋内病変を1つだけ示す患者は、「活動性脳転移(active brain metastases)」を有する患者であることを理解されたい。いくつかの実施形態では、活動性脳転移を有する患者は、5mmを超える少なくとも1つの測定可能な頭蓋内病変を有する。いくつかの実施形態では、活動性脳転移を有する患者は、5mmを超えるが10mm未満の少なくとも1つの測定可能な頭蓋内病変を有する。いくつかの実施形態では、活動性脳転移を有する患者は、10mmを超える少なくとも1つの測定可能な頭蓋内病変を有する。患者が脳転移の切除を受けているか又は試験1日目の少なくとも4週前に放射線療法を終えた場合、患者は活動性脳転移を有する患者とは見なされず、以下の判定基準の全てを満たす場合、適格である:a)≦2のグレードの残留性の神経症状;b)該当する場合、デキサメタゾンの安定用量又は等価量の少なくとも2週間にわたる投与;及びc)1日目から28日以内に実施された経過観察MRIが、進行も新規の病変の出現も示さない。頭蓋内病変に起因する任意の神経症状のグレードの決定については、全体として参照により本明細書に組み込まれる、National Cancer Instituteによって2017年11月27日に公開されたNational Cancer Institute Common Terminology Criteria for Adverse Events v5.0(NCI CTCAE)を参照されたい。
【0332】
その他の病状:
2年以上疾患の証拠がなく、治療により完治している場合を除いて、血液系腫瘍の病歴があるか又はそれが存在する。
【0333】
以下の例外を伴う過去3年以内の他の悪性腫瘍の病歴:
・治癒を目的として治療された悪性腫瘍であり、登録前の3年間以上活動性の疾患が認められず、且つ担当医によって再発のリスクが低いと考えられたもの。
・疾患の証拠を有しない十分に治療された非黒色腫皮膚癌又は悪性黒子。
・疾患の証拠を有しない十分に治療された生体内原位置の子宮頸癌。
・疾患の証拠を有しない十分に治療された生体内原位置の乳管癌。
・前立腺癌の証拠を有しない前立腺上皮内腫瘍。
・十分に治療された尿路上皮乳頭非浸潤癌若しくは生体内原位置の癌。
【0334】
軟髄膜疾患。
【0335】
重度の吸収不良、IV栄養補給の必要性、又は経口薬の服用不能を引き起こす、重度のGI障害。
【0336】
間質性肺炎若しくは肺線維症の病歴、又は間質性肺炎若しくは肺線維症の証拠
【0337】
-ニューヨーク心臓協会(クラスII以上)、無作為化前6ヶ月以内の心筋梗塞、不安定性不整脈又は不安定性狭心症などの、重大な心血管疾患
【0338】
治験責任医師又はメディカルモニターの意見で、プロトコル手順の順守又は結果の解釈に影響を与え得るか、又は対象の安全性に対するリスクを引き起こし得る、制御されない重大な合併症
【0339】
毎月を超える頻度で反復的なドレナージ処置を要する、制御されない胸水、心嚢水、又は腹水。PleurXカテーテル又は腹腔内ドレナージカテーテルを装着している対象は、メディカルモニターの承認により試験の対象となり得る。
【0340】
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染の既知の病歴。
【0341】
以下の結果及び/又は判定基準に基づく肝炎感染の除外:
-陽性のB型肝炎表面抗原(HepBsAg)(慢性B型肝炎又は最近の急性B型肝炎を示す)。
-B型肝炎コア抗体に関して陽性である陰性HepBsAg(B型肝炎コア抗体試験はスクリーニングのために必要ではないが、これがなされ、陽性である場合、B型肝炎表面抗体[抗HBs]試験が必要である)。この状況において抗HBsが検出不能であることは、不明確な感染の可能性を示唆しており、除外される必要がある)。
-C型肝炎ウイルス抗体陽性:ポリメラーゼ連鎖反応によるC型肝炎ウイルスRNAが必要である。検出可能なC型肝炎ウイルスRNAにより、対象は不適格となる。
【0342】
上記の抗体/抗原検査が得られない場合、B型又はC型肝炎ウイルス量の陽性。
【0343】
以前の併用療法:
過去にトリフルリジン及びチピラシル及びレゴラフェニブの投与を受けていた対象。
【0344】
CTCAEバージョン5.0のグレード0若しくは1又は脱毛症を除く適格性判定基準において指示されるレベルまで回復していないと定義される以前の抗腫瘍療法に起因する未回復の毒性(任意のグレードが許容される)、神経障害(グレード2まで許容される)、又は不可逆的であるとみなされる以前の抗腫瘍療法からの毒性[6ヶ月を超えて存在し安定していると定義される]、又は適切な補充療法により安定して維持されている内分泌AE。
【0345】
KRASG12C阻害剤による以前の治療。
【0346】
治験責任医師の選択がトリフルリジン及びチピラシルであろう対象におけるトリフルリジン及びチピラシルによる以前の治療。
【0347】
治験責任医師の選択がレゴラフェニブであろう対象におけるレゴラフェニブによる以前の治療。
【0348】
試験1日目の2週以内の治療的又は対症的放射線療法。対象は、脱毛症を除き、CTCAEバージョン5.0グレード1以下の全ての放射線療法関連毒性から回復していなければならない(任意のグレードの脱毛症が許容される)。
【0349】
試験1日目の4週間以内の抗腫瘍療法(化学療法、抗体療法、分子標的化療法、レチノイド療法、ホルモン療法[長期補助内分泌療法を受けている、3年を超えて活動性疾患のない乳癌の完全切除の病歴を有する対象を除く]又は治験薬);高カルシウム血症の管理又は骨関連事象の予防に必要な場合、ビスホスホネート又は抗RANKL抗体療法が許容されることに注意されたい。試験1日目から6週間以内のチェックポイント阻害剤療法も除外される。
【0350】
毒性のために過去に要したパニツムマブの用量減少。
【0351】
ワルファリンの使用。他の抗凝固薬も許可され得る。
【0352】
主任治験責任医師及びメディカルモニターによる審査及び承認を受けていない、試験1日目前の14日以内又は本剤若しくはその主要な活性代謝物の5半減期以内のいずれか長い方の既知のチトクロムP450(CYP)3A4感受性基質及びP-糖タンパク質(P-gp)基質(治療域が狭い)の使用。
【0353】
治験責任医師及びメディカルモニターによる審査及び承認を受けていない、試験1日目前の14日以内又は5半減期以内(いずれか長い方)のCYP3A4の強力な誘導剤(セイヨウオトギリソウ(St.John’s wort)などのハーブの栄養補助剤を含む)の使用。
【0354】
治験責任医師の選択がレゴラフェニブである場合:治験責任医師及びメディカルモニターによる審査及び承認を受けていない、試験1日目前の14日以内若しくは5半減期以内(いずれか長い方)のCYP3A4の強力な阻害剤(ゴールデンシール(Goldenseal)などのハーブの栄養補助剤を含む)又は試験1日目前の7日以内のグレープフルーツジュース若しくはグレープフルーツ含有製品の使用。
【0355】
無作為化前2週間以内の治療用抗生物質の経口又はIV投与。予防的な抗生物質の使用は許可される。
【0356】
前/併用臨床試験の経験:
現在、別の治験用医療機器若しくは治験薬試験による治療を受けているか、又は別の治験用医療機器若しくは治験薬の終了から4週間未満であるか、又はチェックポイント阻害剤が関与している場合は試験中の他の治験薬が投与されてから6週間以内である。
【0357】
診断評価:
治験責任医師の選択がレゴラフェニブである場合、対象の制御されない高血圧(収縮期血圧>140mmHg又は拡張期血圧>90mmHg)。
【0358】
その他の除外事項:
治療中及びさらに以下の期間、プロトコルに指定された避妊方法を使用することを望まない、妊娠の可能性がある女性対象:
-ソトラシブの最後の投与後7日。
-パニツムマブの最後の投与後2ヶ月。
-トリフルリジン及びチピラシルの最後の投与後6ヶ月。
-レゴラフェニブの最後の投与後2ヶ月。
【0359】
授乳中、又は試験中から以下の期間までに母乳で育てる予定がある女性対象:
-ソトラシブの最後の投与後7日。
-パニツムマブの最後の投与後2ヶ月。
-トリフルリジン及びチピラシルの最後の投与後6ヶ月。
-レゴラフェニブの最後の投与後2ヶ月。
【0360】
試験中から以下の期間までに妊娠中になる予定がある女性対象:
-ソトラシブの最後の投与後7日。
-パニツムマブの最後の投与後2ヶ月。
-トリフルリジン及びチピラシルの最後の投与後6ヶ月。
-レゴラフェニブの最後の投与後2ヶ月。
【0361】
スクリーニング時又は1日目に高感度の尿又は血清妊娠検査によって評価される妊娠検査が陽性である、妊娠の可能性がある女性対象。
【0362】
治療中及びさらに以下の期間、性的禁欲(異性間性交を控える)を実践すること、又は避妊を望まない、妊娠の可能性がある女性パートナーを有する男性対象:
-ソトラシブの最後の投与後7日。
-トリフルリジン及びチピラシルの最後の投与後6ヶ月。
-レゴラフェニブの最後の投与後2ヶ月。
【0363】
治療中及びさらに以下の期間、禁欲又はコンドームの使用を望まない、妊娠中のパートナーを有する男性対象:
-ソトラシブの最後の投与後7日。
-トリフルリジン及びチピラシルの最後の投与後6ヶ月。
-レゴラフェニブの最後の投与後2ヶ月。
【0364】
試験中及びさらに以下の期間、精子提供を控えることを望まない男性対象:
-ソトラシブの最後の投与後7日。
-トリフルリジン及びチピラシルの最後の投与後6ヶ月。
-レゴラフェニブの最後の投与後2ヶ月。
【0365】
試験1日目の28日以内の大手術。
【0366】
対象が、投与中に投与されることになる製品又は成分のいずれかに既知の感受性を有していた。
【0367】
対象は、治験実施計画書で要求される全ての試験来院又は手順を完了することができない、及び/又は対象及び治験責任医師の知る限り、必要な全ての試験手順に従うことができない可能性がある。
【0368】
治験責任医師又は医師に相談した場合、対象の安全性に対するリスクを提起するか、又は試験の評価、手順、若しくは完了に支障をきたすであろうと判断するであろう任意の他の臨床的に重要な障害、病態又は疾患(上で概説されたものを除く)の病歴又は証拠。
【0369】
試験期間中に除外される治療、医療機器、及び/又は手順:
(1)化学療法、抗体療法、分子標的化療法、レチノイド療法、又はホルモン療法(アジュバント療法として受けている乳癌を有する対象を除く);(2)非標的病変に対する治療的又は対症的放射線療法などの抗腫瘍療法は、放射線療法の前に治験責任医師とメディカルモニターの間で議論及び合意があれば、症状の制御のために許可され得る。放射線治療中は試験薬を保留しなければならない。
【0370】
ソトラシブ又はレゴラフェニブを服用している人について:メディカルモニターの承認がない限り、強力なCYP3A4誘導剤(セイヨウオトギリソウ(St.John’s wort)などのハーブ栄養補助剤を含む)。
【0371】
レゴラフェニブを服用している人について:メディカルモニターの承認がない限り、強力なCYP3A4阻害剤(グレープフルーツジュース、グレープフルーツ含有製品、又はゴールデンシール(Goldenseal)などのハーブの栄養補助剤を含む)。
【0372】
ソトラシブを服用している人の場合:メディカルモニターによって承認されていない限り、狭い治療指数を有する既知のCYP3A4及び/又はP-gp感受性基質。
【0373】
その他の治験薬
パニツムマブ以外の抗EGFR標的薬
目的/評価項目:
【0374】
【0375】
【0376】
ソトラシブの用量調整、遅延、保留又は再開のルール、恒久的中止
試験で使用されるソトラシブの開始用量は、960又は240mg/日である。ソトラシブは、食事を伴い又は伴わず、28日間の治療サイクルでQD経口投与される。対象は、毎日ほぼ同時に食事を伴うか又は伴わずにソトラシブ用量(全てが同時の錠剤)を服用すべきである。また、ソトラシブの用量は、前日の用量に基づく目標時間より2時間を超えて早く服用すべきでない。投与予定時刻から6時間が経過した場合、その日の投与をスキップすべきである。次の日には処方通り、次の用量を服用する。服用できなかった分を補うために同時に2用量を服用しないこと。ソトラシブ服用後に嘔吐した場合は、追加用量を服用しないこと。次の日には処方通り、次の用量を服用する。
【0377】
固形物を嚥下することが困難な対象への投与:錠剤を砕かずに、室温の非炭酸水120mL(4オンス)に分散させること。他の液体は使用しないこと。錠剤が細片へと分散するまで撹拌し(錠剤は完全には溶解しない)、すぐに又は2時間以内に飲むこと。混合物の外観は、淡黄色から明るい黄色までの範囲であり得る。錠剤の分散液を嚥下すること。錠剤の破片を噛まないこと。容器をさらに120mL(4オンス)の水ですすいで飲むこと。混合物がすぐに消費されない場合、錠剤が確実に分散するように混合物を再度撹拌すること。
【0378】
個々の対象の毒性管理のための用量変更ソトラシブが以下の表に提供される。
【0379】
【0380】
240mgのソトラシブを投与されている対象は、最大2回の休薬が許容されるが、ソトラシブは、治験責任医師の判断に従って医学的に安全であり且つ適切であるとみなされる場合、ソトラシブの再開時に減少されない。ソトラシブに関連する毒性管理に起因して3以上の用量減少を必要とする960mgソトラシブ治療アームにおける対象及びソトラシブに関連する毒性管理に起因して3回以上の休薬を必要とする240mgソトラシブ治療アームにおける対象は、ソトラシブ治療を恒久的に中止すべきである。
【0381】
【0382】
ソトラシブを保留する場合は、パニツムマブも保留すべきである。
【0383】
以下の中止及び/又は保留の規則は、肝臓バイオマーカー(TBL、INR及びトランスアミナーゼ)におけるそれらの変化の別の原因が同定されている対象に適用される。AST/ALT及び/又はTBL値の上昇に関する重要な別の原因としては、肝胆道疾患;ウイルス性肝炎(例えば、A/B/C/D/E型肝炎、エプスタイン・バーウイルス、サイトメガロウイルス、単純ヘルペスウイルス、水痘、トキソプラズマ症、及びパルボウイルス);右心不全、低血圧若しくは虚血を引き起こす肝臓に対して低酸素のいずれかの原因;草本及び栄養補助食品、植物及びマッシュルームを含む肝毒性薬剤/薬物又は肝臓毒への暴露;障害性のグルクロン酸抱合を引き起こす遺伝性障害(例えば、ジルベール症候群、クリグラー・ナジャー症候群)及びビリルビングルクロン酸抱合を阻害する薬物(例えば、インジナビル、アタザナビル);α1-アンチトリプシン欠乏症;アルコール性肝炎;自己免疫性肝炎;ウィルソン病及びヘモクロマトーシス;脂肪性肝炎を含む非アルコール性脂肪性肝疾患;並びに/又は肝臓外の原因(例えば、横紋筋融解症、溶血)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0384】
以下に記載されるとおり、障害性の肝臓試験(ALT、AST、ALP)及び/又はTBLの上昇に関する別の原因が発見され且つ/又は臨床検査値異常が正常又はベースラインに回復する場合、再負荷が検討され得る。
【0385】
【0386】
ソトラシブに関する肝毒性ガイドライン:AST、ALT、又はアルカリホスファターゼ(ALP)の上昇を有する対象の管理及びモニタリングのためのガイドラインは、下の表において示される。
【0387】
【0388】
肝毒性反応:異常な肝臓臨床検査値(すなわち、アルカリホスファターゼ(ALP)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、総ビリルビン(TBL))及び/若しくは国際標準比(INR)並びに/又は肝炎の徴候/症状(下記のとおり)を有する対象は、ソトラシブの保留又は完全中止に関する判定基準を満たし得る。
【0389】
パニツムマブの用量調整、遅延、保留又は再開のルール、恒久的中止
試験で使用されるパニツムマブの開始用量は、6mg/kg Q2Wである。パニツムマブは、Q2Wで60分(≦1000mg)又は90分(>1000mg)かけたIV注入として投与される。最初の注入に忍容性を示す場合、30~60分かけてその後の注入を投与すること。低タンパク質結合0.2又は0.22μmインラインフィルターを使用して投与すること。
【0390】
パニツムマブは、サイクル1の1日目にソトラシブの2時間(+30分)後に投与すべきである。その後のパニツムマブの投与では、2時間待つ必要はない。パニツムマブは、ソトラシブのC1D15開始直後に投与できる。サイクル1の後、その日に許容範囲内で投与される限り、パニツムマブの前にソトラシブを投与する必要はない。パニツムマブの用量は、各サイクルの1日目の体重に基づいて計算される。ただし、施設の方針である場合、対象の体重変化が10%未満の場合には、パニツムマブ用量は再計算を要しない。
【0391】
試験中に毒性を経験した対象については、パニツムマブの1回以上の用量が保留されるか、減量されるか、又は延期される(14日を超える間隔で投与される)。例示的なパニツムマブ用量減少を以下の表に列挙する。
【0392】
【0393】
パニツムマブの投与が保留されている場合、治験責任医師が臨床的に安全であると決定した場合には、ソトラシブの投与を継続してもよい。
【0394】
皮膚毒性による例示的なパニツムマブの用量変更ガイドラインが以下の表に提供される。
【0395】
【0396】
重度又は生命を脅かす炎症性又は感染性合併症が発生した場合は、臨床的に適切であるとしてパニツムマブの保留又は中止を検討すること。
【0397】
パニツムマブを開始する対象は、実現可能であればパニツムマブの初回投与前に皮膚発病予防を開始すべきである。臨床的に必要な皮膚発病予防は、皮膚の保湿剤、日焼け止め(日焼け防止指数[SPF]>15 紫外線A[UVA]及び紫外線B[UVB])、局所ステロイドクリーム(1%ヒドロコルチゾン以下)、及び経口抗生物質(ドキシサイクリン100mg BID又はミノサイクリン100mg QD)を含むべきである(Lacouture et al,2010)。これらの予防手段の適用頻度及び適用部位の詳細は、パニツムマブの処方情報及び情報パンフレットに記載されている。
【0398】
皮膚反応の治療は重症度に基づいて行うべきであり、保湿剤、日焼け止め(SPF>15 UVA及びUVB)、患部に塗布される局所ステロイドクリーム(1%ヒドロコルチゾン以下)、及び/又は医師により処方された経口抗生物質を含み得る。これらの手段で皮膚反応が解決しない場合、皮膚毒性の管理に関する施設のガイドラインに従って追加の措置が使用され得る。
【0399】
肺毒性
肺症状の急性の発症又は悪化が発生した場合は、パニツムマブの保留を検討すること。間質性肺疾患が確認された場合は、パニツムマブを中止すること。
【0400】
眼毒性
パニツムマブの投与中に眼毒性を発症した患者は、角膜炎又は潰瘍性角膜炎の証拠につきモニターすべきである。潰瘍性角膜炎の診断が確認された場合、パニツムマブによる治療を中断又は中止すべきである。角膜炎と診断された場合、治療を継続する利益及びリスクを慎重に検討すべきである。急性又は悪化などの角膜炎を示唆する徴候及び症状:目の炎症、流涙、光過敏症、かすみ目、目の痛み及び/又は赤目を呈する対象は、直ちに眼科専門医に紹介すべきである。
【0401】
過敏症反応
過敏症反応の重症度(例えば、気管支痙攣、浮腫、血管浮腫、低血圧、非経口投薬の必要性、又はアナフィラキシーの存在)及び/又は持続性に応じて、パニツムマブを恒久的に中止すること。
【0402】
皮膚又は肺以外の毒性
グレード3又は4のパニツムマブ関連毒性がある場合、以下の例外を除き、パニツムマブの使用を保留する:
-パニツムマブは、積極的なマグネシウム及び/又はカルシウムの補充にもかかわらず持続する症候性のグレード3又は4の低マグネシウム血症及び/又は低カルシウム血症についてのみ保留される。
-パニツムマブは、最大限の支持療法にもかかわらず持続するグレード3又は4の嘔気、下痢、又は嘔吐についてのみ保留される。
【0403】
注入反応
注入反応は、発熱、悪寒、呼吸困難、気管支痙攣、又は低血圧として現れ得る。
-軽度又は中程度(グレード1又は2)の注入反応を経験している患者においては、その注入期間中に注入速度を50%減少させる。必要に応じて、その後の注入は減少した注入速度で投与されてもよい。
-重度の注入反応を経験している患者においては注入を打ち切ること。反応の重症度及び/又は持続性に応じて、パニツムマブを恒久的に中止すること。
【0404】
パニツムマブによる再治療の基準
皮膚以外の毒性の場合:パニツムマブを保留した場合、有害事象がグレード1以下に改善するか、ベースラインに戻れば投与を再開してもよい。
【0405】
トリフルリジン及びチピラシル
トリフルリジン及びチピラシルの用量は、体表面積(BSA)に基づいてサイクル1の1日目に計算される。その後のサイクルの開始時に、体重が10%以上変化した場合、BSAを再計算し投与に使用すべきである。
【0406】
各サイクルの15日目より前及び15日目に全血球数を取得する。
【0407】
以下の時点までは、トリフルリジン及びチピラシルのサイクルを開始しないこと:
-ANCが1500/mm3以上であるか、又は発熱性好中球減少症が回復する
-血小板数が75,000/mm3以上である
-グレード3又は4の非血液学的有害反応がグレード0又は1へ回復する
【0408】
治療サイクル内で、以下のいずれかの場合はトリフルリジン及びチピラシルの使用を保留すること:
-ANCが500/mm3未満又は発熱性好中球減少症
-血小板が50,000/mm3未満
-グレード3又は4の非血液学的有害反応
【0409】
回復後、以下が発生した場合に、前の用量レベルから5mg/m2/用量だけ用量減少した後、トリフルリジン及びチピラシルを再開する。
-発熱性好中球減少症
-次のサイクルの開始の1週間を超える遅延を引き起こす、無併発性のグレード4の好中球減少症(1,500/mm3以上に回復)又は血小板減少症(75,000/mm3以上に回復)
-制吐療法によって制御されるグレード3の嘔気及び/又は嘔吐、又は抗下痢薬に対し応答性であるグレード3の下痢を除く、非血液学的なグレード3又はグレード4の有害反応
【0410】
治験責任医師の意見において、より厳しい用量減少又は用量保持が必要であると判断された場合、それは許容される。
【0411】
1日2回、最小用量20mg/m2までの、最大3回の用量減少が許容される。トリフルリジン及びチピラシルの用量を減少させた後に増量しないこと。
【0412】
レゴラフェニブ
臨床試験では、重度の、時には致死的な、肝毒性が発生した(レゴラフェニブUSPIを参照)。治療前及び治療中の肝機能をモニターする。肝機能検査値の上昇又は肝細胞壊死によって明らかな肝毒性の場合、重症度及び持続性に応じて、レゴラフェニブを中断し、その後減量又は中止する。
【0413】
用量変更を要する場合、40mg(1錠)ずつ用量減少すること。治験責任医師の意見において、より厳しい用量減少又は用量保持が必要であると判断された場合、それは許容される。レゴラフェニブの最低推奨1日用量は、1日80mgである。
【0414】
以下の場合はレゴラフェニブの投与を中断すること。
-再発したか、用量減少にもかかわらず7日以内に改善しない、グレード2の手足皮膚反応(HFSR)[手掌足底発赤知覚不全症候群(PPES)];グレード3のHFSRの場合、最低7日間、療法を中断する
-症候性のグレード2の高血圧
-グレード3又は4のあらゆる有害反応
-あらゆるグレードの感染症の悪化
【0415】
レゴラフェニブの用量を120mgに減少させる。
-グレード2のHFSRが持続期間を問わず初めて発生した場合
-感染を除くグレード3又は4の有害反応の回復後
-グレード3のAST/ALT上昇の場合、潜在的な利益が肝毒性のリスクを上回る場合にのみ再開すること
【0416】
レゴラフェニブの用量を80mgに減少させる。
-120mgの用量でグレード2のHFSRが再発した場合
-120mgの用量でグレード3又は4の有害反応が回復した後(肝毒性又は感染症を除く)
【0417】
以下の場合はレゴラフェニブを恒久的に中止すること。
-80mgの用量に忍容性を示さない
-ULNの20倍を超えるAST又はALTの発生
-ULNの3倍を超えるAST又はALTの発生と、ULNの2倍を超えるビリルビンの同時発生
-120mgへの用量減少にもかかわらず、ULNの5倍を超えるAST又はALTの再発
-グレード4の有害反応の場合;潜在的な利益がリスクを上回る場合にのみ再開すること
【0418】
有効性評価
疾患の程度は、RECIST 1.1に従って造影CT/MRIによって評価される(以下に論じる)。全ての放射線画像診断は、センター画像診断コア検査室が提供する施設画像診断マニュアルに指示されているとおりに実施される。対象に対する放射線暴露を低減するために、できるだけ低線量CTが利用されるべきである。
【0419】
スクリーニングスキャンは、サイクル1の1日目の前の28日以内に実施される必要がある。複数のスクリーニングスキャンがある場合、サイクル1の1日目に最も近いスキャンがベースラインとして使用される。インフォームドコンセントに署名する前に標準治療の一部として実施された画像診断は、試験開始の28日以内に実施され、センター画像診断コア検査期間に提出できる場合に使用され得る。
【0420】
放射線学的評価は、施設画像診断マニュアルに詳細が記載されるとおり、胸部、腹部及び骨盤のCT/MRI、並びに疾患の全ての他の既知の部位の評価を含まなければならない。
【0421】
脳転移の病歴を有する全ての対象は、脳のMRIを実施していなければならない。脳転移を有する対象の全ての脳スキャンは、MRIが禁忌でなければMRIでなければならず、続いて造影によるCTが許容される。脳画像診断(MRI又はCT)は、中枢神経系転移を示唆する徴候又は症状が存在する場合、実施されるべきである。
【0422】
その後の全てのスキャンは、スクリーニング時と同じ方法(例えば、同じコントラスト、MRIの場の強度)で、好ましくは同じスキャナー上で実施すべきである。画像診断モダリティを変更しなければならない場合(例えば、予定外の評価)、Amgenのメディカルモニターに相談することが推奨される。
【0423】
治療及び経過観察の間、胸部、腹部、骨盤、及び疾患の全ての他の既知の部位の放射線画像診断は、治療サイクルに関係なく実施される。画像診断はまた、管理医の判断で臨床的に必要な場合、より頻繁に実施され得る。確認された放射線撮影応答(完全奏功、PR)には、最初の応答の記録から少なくとも4週間後の再スキャンによる確認が必要であるが、後で次回の予定されたスキャンにおいて実施してもよい。放射線撮影及び腫瘍評価は、別の抗癌剤治療の開始、同意の撤回、経過観察不能、死亡のいずれか早い時点まで実施される。
【0424】
スキャンは、保管資料、RECIST1.1を含む奏功評価、及び/又は探索的分析(例えば、容積測定及び生存腫瘍測定)のために、センター画像診断コア検査室に提出される。BICRは、最初のBICRによって評価される進行が達成されるまで、取得したスキャンでの腫瘍評価の実施を継続する。最初のBICRによって評価される進行の後に取得されたスキャンは、BICRによって定期的に評価されない。
【0425】
固形癌効果判定基準バージョン1.1(RECIST 1.1)
定義:
測定可能な病変
測定可能な非リンパ節腫瘍病変
少なくとも一次元で正確に測定できる境界が明確であり、スライス厚が5mm以下のコンピューター断層撮影(CT)/MRIスキャンで最長の直径が≧10mmの非リンパ節病変。スライス厚が5mmより大きいとき、測定可能な病変の最小サイズは、スライス厚の2倍であるべきである。
【0426】
リンパ節病変
リンパ節病変-リンパ節は、CT/MRI(5mm以下であることが推奨されるスキャンスライス厚)によって評価されるとき、短軸で≧15mmである場合、測定可能であるとみなされる。ベースライン及び経過観察時に、短軸のみが測定され、追跡される。
【0427】
嚢胞性病変
嚢胞性転移を表すと考えられる嚢胞性病変は、非リンパ節病変について上記で説明した測定可能性の定義を満たす場合、測定可能な病変とみなすことができる。
【0428】
特定可能な軟部組織成分を有する骨病変
CT又はMRIなどの断面画像診断技術によって評価できる、識別可能な軟組織成分を有する骨病変は、軟組織成分が非リンパ節病変について上記で説明した測定可能性の定義を満たす場合、測定可能な病変とみなすことができる。
【0429】
臨床的に測定される病変
可視的又は触知可能な病変は、非リンパ節については最長直径が10mm以上、リンパ節については最短直径が15mm以上の場合に測定可能であると見なすことができる。病変は、より正確であれば放射線的に測定すべきであるが、そうでなければノギスで測定される。
【0430】
放射線照射された病変
以前に放射線照射された領域、又は他の局所領域療法にかけられた領域に位置する腫瘍病変は、登録前に病変の測定可能な進行が実証されていない限り、測定不可能である。
【0431】
測定不可能な病変
小病変(最長の直径<10mm又は病的状態のリンパ節であって、短軸が≧10mmから<15mmであり、5mm以下のCTスキャンスライス厚を有するもの)を含む他の全ての病変は、測定不可能であるとみなされる。(スライス厚が5mmより大きいとき、測定可能な病変の最小サイズは、スライス厚の2倍であるべきである)
【0432】
通常測定不可能であるとみなされる病変の他の例には、以下が含まれる:
・以前に局所治療された病変:以前に放射線照射された領域、又は他の局所領域療法にかけられた領域に位置する腫瘍病変は、病変の進行が実証されていない限り、測定可能であるとみなされるべきではない。
・分類上、小病変のクラスター、軟組織成分を有しない骨病変、炎症性乳房疾患、腹水、胸水/心嚢水、皮膚リンパ管炎/肺炎、及び軟髄膜疾患は測定不能である。
【0433】
測定の方法
CT/MRI-造影CT又はMRIを使用して、全ての病変を評価すべきである。固形腫瘍における転移の最適な可視化及び測定は、一貫したIV造影剤の投与(用量及び速度)及びスキャンの時機を必要とする。CT及びMRIは、≦5mm厚の隣接するスライスで実施されるべきである。
【0434】
PET-CT-現在、複合陽電子放出断層撮影(PET)-CTの低線量又は減衰補正CT部分は、RECIST測定で使用するのに最適な診断用CT品質を常に備えているわけではない。ただし、PET-CTの一部として実施されたCTが診断用CT(IV及び経口の造影剤による)と同等の診断品質を有することを施設が実証できる場合は、PET-CTのCT部分をRECIST測定に使用でき、経時的に癌病変を正確に測定するために従来のCTと互換的に使用できる。
【0435】
「標的」及び「非標的」病変のベースライン考証
標的病変-全ての関与する臓器を代表する、1つの臓器当たり最大2つまでの病変及び合計で5つまでの病変である全ての測定可能な病変が、ベースライン時に標的病変として同定され、記録され、測定されるべきである。
【0436】
標的病変は、それらのサイズ(最長の直径を有する病変)及び正確な反復測定への適性に基づいて選択されるべきである。
【0437】
病的なリンパ節(≧15mmの短軸を有する)が標的病変として同定され得る。全ての他の病的なリンパ節(≧10mmであるが<15mmの短軸を有するもの)は、非標的病変とみなされるべきである。
【0438】
リンパ節は1つの臓器とみなされ、最大2つの測定可能なリンパ節が標的病変として特定され得る。
【0439】
全ての標的病変について、直径の合計(非リンパ節病変については最長の直径、リンパ節病変については短軸)が計算され、ベースラインの直径の合計として報告される。ベースラインの直径の合計は、客観的腫瘍奏効を特徴付けるための基準として使用される。
【0440】
非標的病変-病的なリンパ節を含む全ての他の病変(又は疾患の部位)は、非標的病変として同定されるべきであり、ベースライン時にも記録されるべきである。これらの病変の測定は必要とされず、これらの病変は、試験全体にわたって「存在」、「非存在」、又は「明白な進行」として追跡されるべきである。加えて、同じ臓器を含む複数の非標的病変を症例報告書上の1つの項目として記録することが可能である(例えば、「複数の拡大した骨盤リンパ節」又は「複数の肝臓転移」)。
【0441】
奏効判定基準
標的病変の評価
【0442】
【0443】
非標的病変の評価
【0444】
【0445】
最良の全体的な奏効の評価
対象の最良効果の割当は、標的疾患及び非標的疾患の両方の所見に依存し、新規の病変の出現及び反応の確認も考慮に入れる。最良の全体的な奏功(BOR)は、疾患進行及びその後の抗癌治療の開始前に行われる、全てのベースライン後の疾患評価に基づいて記録された最良の応答である。安定な疾患(SD)の最良の全体的な奏効を割り当てるためには、SDの期間の最小基準を満たすために、試験薬の腫瘍評価の初回投与から少なくとも7週間が、放射線学的疾患進行なしに経過しなければならない。一般に、不十分なデータ又は早期死亡によりRECIST 1.1奏功カテゴリーに分類できない対象は、BORについて評価不能(NE)として分類されるが、全ての奏功率計算の分母に数えられる。
【0446】
【0447】
【0448】
奏効評価に対する特記事項
「小さすぎて測定できない」標的病変-試験中、ベースライン時に記録された全ての病変(リンパ節及び非リンパ節)は、非常に小さい場合(例えば、2mm)であっても、それぞれのその後の評価時にそれらの測定値が記録されるべきである。ただし、ベースラインで標的病変として記録されている病変又はリンパ節がCTスキャンでは非常に薄くなるため、放射線科医が正確な測定値を割り当てることに不安を感じ、「小さすぎて測定できない」と報告する場合がある。これが発生した場合は、症例報告フォームに値を記録することが重要である。非リンパ節病変が消失した可能性が高いというのが放射線科医の意見である場合、測定値は0mmとして記録すべきである。病変が存在すると考えられ、かすかに見えるが小さすぎて測定できない場合は、デフォルト値5mmを割り当てるべきである(注:リンパ節は通常、定義可能なサイズを有し、後腹膜などにおいて脂肪に囲まれていることが多いため、この規則がリンパ節に使用される可能性は低い;ただし、この状況でも、リンパ節が存在すると考えられ、かすかに見えるが小さすぎて測定できない場合は、デフォルト値5mmを割り当てるべきである)。このデフォルト値は5mmのCTスライス厚から得られる(ただし、CTスライス厚の変化により変更すべきでない)。これらの病変の測定には再現性がない可能性があるため、このデフォルト値を提供すると、測定エラーに基づく誤った応答又は進行が防止される。ただし、繰り返しになるが、放射線科医が正確な測定値を提供できる場合、たとえ5mm未満であっても、それを記録すべきである。
【0449】
新規の病変-用語「新規の病変」は常に、明確に腫瘍である新規の所見の存在を指す。CT又はMRI以外のモダリティにより新たな病変が特定された場合、その新たな病変が明白に腫瘍であるとみなされない限り、CT又はMRIによる確認が推奨される。決定的に腫瘍であるわけではないが、良性の可能性もある新規の所見(感染、炎症など)は、審査によりそれらが腫瘍であると確定するときまで、新規の病変として選択されない。
-例えば、サイズが小さいために新規の病変が不確かである場合、継続される療法及び経過観察評価は、それが実際に新規の疾患となるかどうかを明らかにすることになる。追加の画像診断により、新規の病変が明確に存在することが確証される場合、進行は、初期スキャンの日付を使用して申告されるべきである。
-ベースライン時にスキャンされなかった解剖学的位置において経過観察試験で同定された病変は、新規の病変とみなされ、ベースラインから存在する標的又は非標的病変において認められ得るいずれかの奏効にもかかわらず、疾患進行を示すことになる。
【0450】
プロトコルによって許可されていない局所領域療法:
-ベースラインで選択された1つ以上の標的病変に直接影響を与える試験中に、プロトコルで許可されていない局所領域療法を受けた対象は、疾患進行を除き、局所領域療法の日以降に行われる全ての疾患評価で評価不能であるとみなされる。ただし、病理が良性で病変が完全に切除された場合でも、対象は、報告される0次元の応答につき評価可能である。
-局所領域療法が非標的病変に対して実施された場合、病理が良性でない限り、その病変は常に存在すると評価される。
【0451】
治療中に分割又は癒合する病変-非リンパ節病変が「断片化」する場合、断片化した部分の最長直径を加算して標的病変の合計を計算し、元の病変の断片として特定すべきである。同様に、病変が癒合するとき、病変間の平面が維持され得、これは、個々の病変の最大直径測定値を取得するのに役立ち得る。病変が真に癒合して分離できなくなった場合、この場合の最長直径のベクトルは、「癒合した病変」の最大最長直径とすべきである。
-「症状の悪化」だけでは客観的進行とは認定されない。客観的な進行が以前に記録されていない場合は、治療の中止後であっても客観的な進行を記録するためにあらゆる努力を払うべきである。
-ある状況下では、残存疾患を瘢痕又は正常組織から識別するのが困難な場合がある。CRの評価がこの決定に依存するとき、残存病変をさらに、穿刺吸引/生検によって調査して、CR状態を確認することが推奨される。
-病変が消失し、その後の時点で再び出現した場合、測定を継続すべきである。ただし、病変が再発した時点での患者の反応は、その患者の他の病変の状態に依存する。例えば、患者の腫瘍がCR状態に達し、病変が再発した場合、その患者は再発時にPDと見なされるであろう。対照的に、腫瘍の状態がPR又はSDであり、消失した1つの病変が再び出現した場合、効果を計算するために、その最大直径を残りの病変の合計に加算すべきである。言い換えれば、多くの病変が残っている中で、明らかに「消失した」単一の病変が再発しただけでは、PDと認定するのに十分ではない。PD基準を満たすためには、全ての病変の合計が必要である。
【0452】
確認測定/奏効期間
CR及びPRの確認が必要であり、CR又はPRの最初の確認から4週間以上行わなければならない。CRが確認保留中で、1つ以上のNE評価及び/又はPR評価が続く評価で、標的病変反応がCRであり、非標的病変反応がNEであると指定された場合、標的病変反応がCRに戻った場合、その後CRが確認され得る。同様に、PRが確認保留中で、ある評価で指定され、その後に1つ以上のNE及び/又はSD評価が続く場合、PRはその後確認され得る。CRに続くその後の標的病変反応はCR、PD、又はNEに限定され;標的リンパ節のPDは、リンパ節標的病変の短軸測定値が15mm以上に到達する場合にのみ満たされる。
【0453】
ECOGパフォーマンス及びNYHA分類
【0454】
【0455】
ニューヨーク心臓協会(New York Heart Association)の機能分類
クラスI 身体活動の制限なし。通常の身体活動では、過度の疲労、動悸又は呼吸困難を引き起こさない。
クラスII 身体活動の軽度の制限。安静時は快適であるが、通常の身体活動により疲労、動悸又は呼吸困難が生じる。
クラスIII 身体活動の著しい制限。安静時は快適であるが、通常より少ない活動量により疲労、動悸又は呼吸困難が生じる。
クラスIV いかなる身体活動も不快感なく行うことができない。心不全の症状は安静時にも現れ得る。何らかの身体活動を行うと、不快感が増大する。
【0456】
実施例3-960mg、360mg、180mg、及び240mgのソトラシブの薬物動態分析
予備的な薬物動態(PK)データは、180から960mg PO QDまでの範囲の用量により、特定のKRAS G12C変異を有する進行性固形腫瘍を有する患者に関して入手可能である(Study 20170543;https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03600883;CodeBreaK 100)。1日目の暴露量において180から960mg PO QDまでの用量相関性の増加が観察された。暴露量の増加は、1日目の用量比より小さかった。8日間の複数回のPO QD投与による蓄積はなかった。180から960mg PO QDまでの暴露量の変化は、8日目の用量比より小さかった。迅速な吸収は、PO投与の1~2時間後にtmaxにより観察された。
図1は、1日目の180、360、720、又は960mgのソトラシブの経口投与後の平均血漿濃度時間プロファイルを示す。
図2は、8日間の1日1回の投与後(8日目)の濃度を示す。下の表は、薬物動態パラメーターを提供し、AUC
0~24hは、投与後のゼロ時から24時間までの濃度-時間曲線下面積であり;C
maxは、投与間隔の間の最高薬物濃度であり;t
1/2,zは、終末相消失半減期であり;t
maxは、C
maxに到達するまでの時間である。報告されるデータは、それぞれ中央値(範囲)及び算術平均(SD)として報告されるt
max及びt
1/2を除いて、幾何平均(算術的なCV%)として示される。値は、それぞれ小数点以下0桁及び2桁の有効数字まで報告されるCV%及びt
maxを除いて、有効数字3桁まで報告される。
【0457】
【0458】
実施例4-絶食下で制酸薬とソトラシブの同時投与による禁忌
この第1相、非盲検、固定順序試験は、14名の健康な対象を登録した。対象は、1日目に960mg、4~8日目に1日1回40mgのオメプラゾール、9日目に40mgのオメプラゾールに続いて960mgのソトラシブを受容した。全ての用量は、絶食下で投与された。ソトラシブPKのための血液試料は、投与前及びソトラシブ投与の48時間後まで回収された。ソトラシブの血漿PKパラメーターは、ノンコンパートメント法を使用して推定された。
【0459】
ソトラシブとオメプラゾールの同時投与は、ソトラシブの最大血漿濃度(tmax)までの時間を0.75時間遅らせた。ソトラシブの平均終末半減期(t1/2)は、ソトラシブ単独の投与と比較して、ソトラシブとオメプラゾールの同時投与後に同様であった。ソトラシブとオメプラゾールの同時投与後の幾何平均ソトラシブAUCinf(ゼロ時から無限大までの曲線下面積)及びCmax(最大血漿濃度)(それぞれ17000h*ng/mL及び3100ng/mL)は、ソトラシブ単独の投与と比較して低かった(それぞれ29300h*ng/mL及び7200ng/mL)。ソトラシブは、健康な対象に40mgのオメプラゾールと同時投与されたか又は単独で投与されたとき、安全であり且つ良好な忍容性を示した。
【0460】
結果は、絶食状態におけるソトラシブとオメプラゾールの同時投与が、ソトラシブ単独の投与と比較して、ソトラシブのAUCinfを42%及びCmaxを57%減少させることを示した。
【0461】
実施例5-食後の制酸薬とソトラシブの同時投与による禁忌
これは、ソトラシブの暴露に対する制酸薬の影響を制限するための緩和戦略を探索するための第1相、非盲検、固定順序、クロスオーバー、単一施設試験であった。この試験は、食後に健康な男性及び女性(合計で14名の対象)において単独及びファモチジン又はオメプラゾールと組み合わせて投与されたソトラシブのPKを評価した。対象は、1日目にソトラシブの単回投与、3日目にファモチジンの夕方投与(ソトラシブ投与の10時間前)、4日目にソトラシブの単回投与に続いて2時間後にファモチジンの再投与、6日目から10日目にオメプラゾールの毎日の投与、並びに11日目にオメプラゾール及びソトラシブの両方の単回投与を受けた。全てのソトラシブ投与は、標準的なカロリーの中脂肪食の消費後に行われた。血液は、ソトラシブの血漿濃度を特徴付けるために予め規定された時点で回収された。安全性及び忍容性のモニタリングは、試験全体にわたって実施された。
【0462】
合計で15名の健康な対象(1名の女性及び13名の男性)が試験に登録された。14名の対象のうちの13名が、全ての治療を受け、試験を完了した。
【0463】
ソトラシブのAUCinf及びCmaxの幾何最小二乗平均の比率は、食後にファモチジンと同時投与されるソトラシブ及びソトラシブ単独と比較したとき、それぞれ0.622及び0.654であった。ソトラシブのAUCinf及びCmaxの幾何最小二乗平均の比率は、オメプラゾールと同時投与れるソトラシブ及びソトラシブ単独と比較したとき、それぞれ0.430及び0.349であった。960mgのソトラシブの用量は、健康な対象への食後の40mgのファモチジン単回投与との同時投与及び40mgのオメプラゾールの1日に複数回の投与後の同時投与の場合、安全であり且つ良好な忍容性を示した。
【0464】
要約すると、食後のソトラシブの単回投与の10時間前及び2時間後に与えられるファモチジン(H2受容体アンタゴニスト)の単回投与の同時投与は、ソトラシブのCmaxを35%、AUCを38%減少させた。加えて、ソトラシブの単回投与とオメプラゾール(PPI)の反復投与の同時投与は、食後にソトラシブのCmaxを65%、AUCを57%減少させた。
【0465】
実施例6-強力なCYP34A4誘導剤とソトラシブの同時投与による禁忌
この第1相、非盲検、固定順序試験は、14名の健康な対象を登録した。各対象は、1、3及び18日目に960mgのソトラシブ、並びに3日目及び5~19日目に600mgのリファンピンを受容した。ソトラシブPKのための血液試料は、投与前及びソトラシブ投与の48時間後まで回収された。ソトラシブの血漿PKパラメーターは、ノンコンパートメント法を使用して推定された。
【0466】
結果
ソトラシブとリファンピンの単回投与の同時投与後の幾何平均ソトラシブAUCinf(ゼロ時から無限大までの曲線下面積)及びCmax(最大血漿濃度)(それぞれ19600h*ng/mL及び5340ng/mL)は、ソトラシブ単独のものと同様であった(それぞれ25600h*ng/mL及び6350ng/mL)。ソトラシブとリファンピンの複数回投与の同時投与後の幾何平均ソトラシブAUCinf及びCmax(それぞれ12400h*ng/mL及び4110ng/mL)は、ソトラシブ単独のものと比較して低かった(それぞれ25600h*ng/mL及び6350ng/mL)。
【0467】
ソトラシブは、健康な対象に600mgのリファンピンと同時投与されたか又は単独で投与されたとき、安全であり且つ良好な忍容性を示した。リファンピンの単回投与は、ソトラシブのPKに対して臨床的に意味のある影響を及ぼさず、ソトラシブがOATP1B1の基質ではないことを示した。リファンピンの複数回投与は、ソトラシブのAUCinfを51%、Cmaxを35%減少させ、ソトラシブがCYP3A4基質であることを示しており、インビトロでのデータと一致した。
【0468】
実施例7-CYP34A基質とソトラシブの同時投与による禁忌
この第1相、非盲検、固定順序試験は、以前に治療されていないNSCLCを有する5名の対象を登録し、1日前に2mgのミダゾラムを単独で単回経口投与し、1日目から14日目に960mgのソトラシブを経口投与し、15日目に960mgのソトラシブの経口投与とほぼ同時に2mgのミダゾラムを単回経口投与した。ソトラシブPKのための血液試料は、投与前及びソトラシブ投与の48時間後まで回収された。ソトラシブの血漿PKパラメーターは、ノンコンパートメント法を使用して推定された。
【0469】
単回投与のミダゾラムの血漿PKデータは、ミダゾラム単独及びソトラシブと同時投与されるミダゾラムを受容した5名の対象から14日のソトラシブの1日に複数回の投与後に得られた。結果は、ミダゾラムに対する暴露量が、ソトラシブによる1日に複数回の投与後にソトラシブと同時投与されたときに減少することを示した。ミダゾラム(高感度CYP3A4基質)とソトラシブの同時投与は、ミダゾラムのCmaxを48%、AUVを53%減少させた。
【0470】
実施例8-ソトラシブ及びP-gp基質の同時投与による禁忌
この第1相、非盲検、固定順序試験は、14名の健康な対象を登録した。各対象は、1日目に0.5mgのジゴキシン及び7日目に960mgのソトラシブに続いて0.5mgのジゴキシンを受容した。ジゴキシンPKのための血液試料は、投与前及びジゴキシン投与の144時間後まで回収された。試料は、バリデートされた高速液体クロマトグラフィータンデム質量分析法を使用して測定された。PKパラメーターは、ノンコンパートメント法を使用して推定された。安全性及び忍容性は、試験全体にわたってモニターされた。
【0471】
ジゴキシンの最大血漿濃度までの時間(tmax)及び平均終末半減期(t1/2)は、ジゴキシン単独のものと比較してソトラシブとジゴキシンの同時投与後に同様であった。ソトラシブとジゴキシンの同時投与後の幾何平均ジゴキシンAUCinf(ゼロ時から無限大までの曲線下面積)(40.3h*ng/mL)は、ジゴキシン単独のものと同様であった(33.2h*ng/mL)。ソトラシブとジゴキシンの同時投与後の幾何平均ジゴキシンCmax(最大血漿濃度)(3.64ng/mL)は、ジゴキシン単独のものと比較して高かった(1.90ng/mL)。0.5mgのジゴキシンの単回投与は、単独で投与されたか又は960mgのソトラシブと同時投与されたとき、安全であり且つ良好な忍容性を示した。
【0472】
結果は、ソトラシブの単回投与とジゴキシンの同時投与が、ジゴキシン単独と比較してAUCinf及びCmaxをそれぞれおよそ21%及び91%増加させることを示した。
【0473】
実施例9-化学療法(FOLFOX又はFOLFIRI)及び任意選択によりベバシズマブと比較した、転移性結腸直腸癌を有する治療ナイーブ患者におけるパニツムマブ及び任意選択によりFOLFIRIと組み合わせた、ソトラシブ。
以下の例では、KRAS G12C変異を有する治療ナイーブの転移性結腸直腸癌(mCRC)患者における、ソトラシブ、パニツムマブ及びFOLFIRI、対ベバシズマブ-awwbを伴う又は伴わないFOLFOX又はFOLFIRIの有効性及び安全性を評価する第3相、多施設、無作為化、非盲検、実薬対照試験を説明する。
【0474】
この試験は、スクリーニング期間、治療期間、安全性経過観察及び長期経過観察期間で構成される。KRAS G12C変異を有する治療ナイーブのmCRC患者およそ450人が登録され、ソトラシブ、パニツムマブ及びFOLFIRIのいずれかを受けるもの、又はベバシズマブ-awwbを伴い又は伴わず化学療法(FOLFOX又はFOLFIRI)を受けるものに1:1で無作為化される。
【0475】
対象は、領域、転移性疾患の臓器部位の数(1対>1)、及び年齢(<70歳対≧70歳)によって層別化される。
【0476】
サイクル1の1日目は、対象が試験薬を投与される最初の日として定義され;腫瘍の評価は、ベースライン時、BICRによって評価される進行、別の抗癌剤治療の開始、同意の撤回、経過観察不能、死亡のいずれか早い時点まで、8週間+/-1週間の間隔で(MRI及び/又はCTによって)実行される。腫瘍の評価及び応答は、RECIST1.1を使用したBICRによって決定される。対象は、BICRによって評価される疾患進行、治療中断につながる治療の不耐性、別の抗癌療法の開始又は同意の撤回のために治療を中止し得る。
【0477】
全ての対象において、疾患進行後のその後の療法の種類及び期間、その後の療法への応答、その後の療法における進行日、及び生存データに関する情報が回収される。RECIST 1.1の疾患進行前に治療を中止した対象(例えば、許容できない毒性のため)は、疾患進行、同意の撤回、又は別の抗癌療法の開始までX線撮影で追跡され、その後、生存率の評価及び抗癌治療の記録のために、電話又はクリニック来院による、さらなる長期経過観察が行われる。対象は、最後の対象の無作為化から5年間、又は同意の撤回、経過観察の喪失、若しくは対象の死亡のいずれか早い方まで追跡される。この試験で実行される評価は以下に説明され、評価スケジュール(SOA)に指定された時点で行われる。
【0478】
疾患進行は、BICRによって評価される固形癌効果判定基準、バージョン1.1(RECIST v1.1)を使用して評価される。
【0479】
安全性は、重篤及び非重篤な有害事象(AE)、安全性臨床試験、及びバイタルサインを評価することによってモニターされる。全てのAEの発生率、性質、重症度は、National Cancer Institute Common Terminology Criteria for Adverse Eventsバージョン5.0(NCI CTCAE v5.0)に従ってグレード付けされる。
【0480】
臨床安全性検査には、血液学、血液化学、及び尿検査が含まれる。バイタルサインの評価には、血圧及び脈拍数が含まれ;追加のバイタルサインは、臨床的に正当な場合にのみ回収される。
【0481】
試料は、ソトラシブPK分析のために回収される。
【0482】
患者報告結果(PRO)/生活の質(QOL)評価が評価される。
【0483】
腫瘍マーカーのための試料が回収される。
【0484】
追加の血漿/血液/組織生検試料は、一次及び二次耐性のメカニズムに関する探索的バイオマーカーとして回収される。
【0485】
組み入れ基準:
-病理学的に確認された転移性結腸直腸癌
-KRAS p.G12C変異のセンター確認
-対象は、保管された腫瘍組織試料(5年以内に回収されたホルマリン固定、パラフィン包埋[FFPE]試料)を提供するか又は登録前に治療前の腫瘍生検を受けなければならない
-RECIST 1.1判定基準に従って測定可能な疾患。以前に放射線照射を受けた病変は、放射線照射後に進行していない限り、測定可能とはみなされない。
-年齢18歳以上
-≦1の米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータス。
->6ヶ月の平均余命
-非転移性疾患について以前にアジュバント療法を受けている場合、転移性疾患の特定の少なくとも6ヶ月前にアジュバント療法を完了していなければならない。
-無作為化前10日以内に以下のように定義される適切な血液及び末端臓器機能:
-ANC≧1500細胞/μL(適格性を決定するために使用される臨床検査の2週間以内の顆粒球コロニー刺激因子のサポートなし)
-ヘモグロビン≧9.0g/dl(適格性を決定するために使用される臨床検査の2週間以内に輸血なし)
-血小板数≧100,000/μl(適格性を決定するために使用される臨床検査の2週間以内に輸血なし)
-アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)及びアラニントランスアミナーゼ(ALT)≦正常範囲上限(ULN)の2.5倍
-血清ビリルビン≦1.0×ULN
-国際正規化比(INR)及び活性化部分トロンボプラスチン時間≦1.5×ULN
-コッククロフト・ゴールト式に基づくか、又は24時間の採尿による、血清クレアチニン≦1.5×ULN又はクレアチニンクリアランス>30mL/分
-女性ではQTcF≦470ミリ秒、男性では≦450ミリ秒
-経口薬を服用する能力があり、治験製品に対する毎日のアドヒアランスを記録する意思がある
【0486】
除外基準:
-転移性疾患に関する以前の全身療法
-活動性脳転移。語句「活動性脳転移」は、本明細書で使用する場合、元の(原発性、非脳)腫瘍から脳に広がった癌を指す。活動性脳転移は、頭蓋内病変の存在によって評価できる。「転移(metastases)」は複数形であるが、以下に示す基準の下で頭蓋内病変を1つだけ示す患者は、「活動性脳転移(active brain metastases)」を有する患者であることを理解されたい。いくつかの実施形態では、活動性脳転移を有する患者は、5mmを超える少なくとも1つの測定可能な頭蓋内病変を有する。いくつかの実施形態では、活動性脳転移を有する患者は、5mmを超えるが10mm未満の少なくとも1つの測定可能な頭蓋内病変を有する。いくつかの実施形態では、活動性脳転移を有する患者は、10mmを超える少なくとも1つの測定可能な頭蓋内病変を有する。患者が脳転移の切除を受けているか又は試験1日目の少なくとも4週前に放射線療法を終えた場合、患者は活動性脳転移を有する患者とは見なされず、以下の判定基準の全てを満たす場合、適格である:a)≦2のグレードの残留性の神経症状;b)該当する場合、デキサメタゾンの安定用量又は等価量の少なくとも2週間にわたる投与;及びc)1日目から28日以内に実施された経過観察MRIが、進行も新規の病変の出現も示さない。頭蓋内病変に起因する任意の神経症状のグレードの決定については、全体として参照により本明細書に組み込まれる、National Cancer Instituteによって2017年11月27日に公開されたNational Cancer Institute Common Terminology Criteria for Adverse Events v5.0(NCI CTCAE)を参照されたい。
-軟髄膜疾患。
-腫瘍はBRAF V600E変異を有することが知られている。
-腫瘍はMSI-Hであることが知られている。
-CTCAEバージョン5.0のグレード0若しくは1又は脱毛症を除く適格性判定基準において指示されるレベルまで回復していないと定義される以前の抗腫瘍療法に起因する未回復の毒性(任意のグレードが許容される)、神経障害(グレード2まで許容される)、又は不可逆的であるとみなされる以前の抗腫瘍療法からの毒性(6ヶ月を超えて存在し安定していると定義される)、又は適切な補充療法により安定して維持されている内分泌AE。頭蓋内病変に起因する任意の神経症状のグレードの決定については、全体として参照により本明細書に組み込まれる、National Cancer Instituteによって2017年11月27日に公開されたNational Cancer Institute Common Terminology Criteria for Adverse Events v5.0(NCI CTCAE)を参照されたい。
-試験1日目の4週間以内の抗腫瘍療法(化学療法、抗体療法、分子標的化療法、レチノイド療法、ホルモン療法[長期補助内分泌療法を受けている、5年を超えて活動性疾患のない乳癌の完全切除の病歴を有する対象を除く]又は治験薬);高カルシウム血症の管理又は骨関連事象の予防に必要な場合、ビスホスホネート又は抗RANKL抗体療法が許容されることに注意されたい。
-試験1日目の2週以内の治療的又は対症的放射線療法。対象は、脱毛症を除き、CTCAEバージョン5.0グレード1以下の放射線療法関連毒性から回復していなければならない(任意のグレードの脱毛症が許容される)。
-現在、別の治験用医療機器若しくは治験薬試験による治療を受けているか、又は別の治験用医療機器若しくは治験薬の終了から4週間未満である。
-他の治験処置は除外される
-KRASG12C阻害剤による以前の治療。
-骨髄の25%を超える累積放射線を受けた
-既知のジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ欠損症
-既知のUDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ1A1(UGT1A1)*28ホモ接合性又はギルバート病
-投与中に投与されることになる製品又は成分のいずれかに対する既知の感受性。
-対象は、治験責任医師の知る限り、過去の化学療法レジメンにおいて、毒性のため、5-フルオロウラシル又はイリノテカンのいずれかの用量減少又は用量延期を要したことがある。
-治験責任医師及びメディカルモニターによる審査及び承認を受けていない、試験1日目前の14日以内又は本剤若しくはその主要な活性代謝物の5半減期以内のいずれか長い方の既知のチトクロムP450(CYP)3A4感受性基質及びP-gp基質(治療域が狭い)の使用。
-治験責任医師及びメディカルモニターによる審査及び承認を受けていない、試験1日目前の14日以内又は5半減期以内(いずれか長い方)のCYP3A4の強力な誘導剤(セイヨウオトギリソウ(St.John’s wort)などのハーブの栄養補助剤を含む)の使用。
-治験責任医師及びメディカルモニターによる審査及び承認がない限り、イリノテカン療法を開始する少なくとも1週間前の、既知のCYP3A4又はUGT1A1阻害剤の使用。
-主任治験責任医師及びメディカルモニターによる審査及び承認がない限り、試験薬と相互作用する可能性を有する、抗レトロウイルス薬又はウイルス薬の使用。
-治療中及びさらに以下の期間、プロトコルに指定された避妊方法を使用することを望まない、妊娠の可能性がある女性対象:
-ソトラシブの最後の投与後7日
-パニツムマブの最後の投与後2ヶ月
-FOLFIRIの最後の投与後6ヶ月
-FOLFOXの最後の投与後9ヶ月
-ベバシズマブの最後の投与後6ヶ月
-授乳中、又は試験中から以下の期間までに母乳で育てる予定がある女性対象:
-ソトラシブの最後の投与後7日
-パニツムマブの最後の投与後2ヶ月
-FOLFIRIの最後の投与後6ヶ月
-FOLFOXの最後の投与後3ヶ月
-ベバシズマブの最後の投与後6ヶ月
-試験中から以下の期間までに妊娠中になる予定がある女性対象:
-ソトラシブの最後の投与後7日
-パニツムマブの最後の投与後2ヶ月
-FOLFIRIの最後の投与後6ヶ月
-FOLFOXの最後の投与後9ヶ月
-ベバシズマブの最後の投与後6ヶ月
-スクリーニング時又は1日目に高感度の尿又は血清妊娠検査によって評価される妊娠検査が陽性である、妊娠の可能性がある女性対象。
-治療中及びさらに以下の期間、性的禁欲(異性間性交を控える)を実践すること、又は避妊を望まない、妊娠の可能性がある女性パートナーを有する男性対象:
-ソトラシブの最後の投与後7日
-FOLFIRIの最後の投与後6ヶ月
-FOLFOXの最後の投与後6ヶ月
-ベバシズマブの最後の投与後6ヶ月
-治療中及びさらに以下の期間、禁欲又はコンドームの使用を望まない、妊娠中のパートナーを有する男性対象:
-ソトラシブの最後の投与後7日
-FOLFIRIの最後の投与後6ヶ月
-FOLFOXの最後の投与後6ヶ月
-ベバシズマブの最後の投与後6ヶ月
-試験中及びさらに以下の期間、精子提供を控えることを望まない男性対象:
-ソトラシブの最後の投与後7日
-FOLFIRIの最後の投与後6ヶ月
-FOLFOXの最後の投与後6ヶ月
-ベバシズマブの最後の投与後6ヶ月
-ワルファリンの使用。他の抗凝固薬は、メディカルモニターの承認により許可され得る。
-CD4+T細胞数<350細胞/μlの既知のHIV
-過去12ヶ月以内の後天性免疫不全症候群を定義する日和見感染症の病歴
-ウイルス量が検出可能な既知のB型肝炎、又はウイルス量が検出可能なC型肝炎
-転移又は死亡のリスクが無視でき、治癒結果が期待できる治療を受けたもの(適切に治療された子宮頸部上皮内癌、基底細胞癌、皮膚扁平上皮癌、治癒目的で治療された限局性前立腺癌、又は治癒目的で外科的に治療された乳管上皮内癌など)を除く、無作為化前5年以内のCRC以外の悪性腫瘍。
-試験1日目の28日以内の大手術
-治験責任医師の意見で、プロトコル手順の順守又は結果の解釈に影響を与え得るか、又は対象の安全性に対するリスクを引き起こし得る、制御されない重大な合併症
-重度の吸収不良、静脈内栄養補給の必要性、又は経口薬の服用不能を引き起こす、重度の胃腸障害
-間質性肺炎若しくは肺線維症の病歴、又はベースラインCTスキャンでの間質性肺炎若しくは肺線維症の証拠
-メディカルモニターとの合意があり、以下の基準を満たさない限り、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染の証拠の病歴:
-ソトラシブの初回投与の72時間以内の地域標準治療によるSARS-CoV-2の検査が陰性である
-ソトラシブの初回投与前10日以内にコロナウイルス感染症2019(COVID19)疾患の急性症状がない
-ニューヨーク心臓協会(クラスII以上)、無作為化前6ヶ月以内の心筋梗塞、不安定性不整脈又は不安定性狭心症などの、重大な心血管疾患
-対象が治験責任医師の選択のアームに無作為に割り当てられた場合、治験責任医師がベバシズマブを使用する予定の対象の制御されない高血圧(SBP>140又はDB>90)
-治験責任医師の選択がFOLFOX又はFOLFOX及びベバシズマブである対象の末梢神経障害≧グレード2。
-無作為化前2週間以内の治療用抗生物質の経口又は静脈内投与。予防的な抗生物質の使用は許可される。
【0487】
試験製品:
-ソトラシブ960mg又は240mg 経口、1日1回
-2週間に1回のパニツムマブ6mg/kg IV
-2週間に1回のベバシズマブ-awwb 5mg/kg IV
【0488】
FOLFIRI:
-2週間に1回のイリノテカン180mg/m2 IV
-2週間に1回のロイコボリン400mg/m2 IV
-5-フルオロウラシル400mg/m2 IVボーラス 2週間に1回
-5-フルオロウラシル2400mg/m2 IVCI 2週間に1回、46~48時間かけて投与
【0489】
FOLFOX:
-オキサリプラチン85mg/m2 IV 2週間に1回
-2週間に1回のロイコボリン400mg/m2 IV
-5-フルオロウラシル400mg/m2 IVボーラス 2週間に1回
-5-フルオロウラシル2400mg/m2 IVCI 2週間に1回、46~48時間かけて投与
【0490】
目的/評価項目:
【0491】
【0492】
実施例10-FOLFIRI及び任意選択によりベバシズマブによる治療と比較した、転移性結腸直腸癌患者におけるパニツムマブ及び任意選択によりFOLFIRIと組み合わせた、ソトラシブ。
以下の例では、KRAS G12C変異を有する以前に治療を受けた転移性結腸直腸癌(mCRC)患者における、ソトラシブ、パニツムマブ及びFOLFIRI、対ベバシズマブ-awwbを伴う又は伴わないFOLFIRIの有効性及び安全性を評価する第3相、多施設、無作為化、非盲検、実薬対照試験を説明する。
【0493】
この試験は、スクリーニング期間、治療期間、安全性経過観察及び長期経過観察期間で構成される。KRAS G12C変異を有する以前に治療されたmCRC患者およそ350人が登録され、ソトラシブ、パニツムマブ及びFOLFIRIのいずれかを受けるもの、又はベバシズマブ-awwbを伴い又は伴わずFOLFIRIを受けるものに1:1で無作為化される。
【0494】
対象は、領域、転移性疾患の臓器部位の数(1対>1)、及び年齢(<70歳対≧70歳)によって層別化される。
【0495】
サイクル1の1日目は、対象が試験薬を投与される最初の日として定義され;腫瘍の評価は、ベースライン時、BICRによって評価される進行、別の抗癌剤治療の開始、同意の撤回、経過観察不能、死亡のいずれか早い時点まで、8週間+/-1週間の間隔で(MRI及び/又はCTによって)実行される。腫瘍の評価及び応答は、RECIST1.1を使用したBICRによって決定される。対象は、BICRによって評価される疾患進行、治療中断につながる治療の不耐性、別の抗癌療法の開始又は同意の撤回のために治療を中止し得る。
【0496】
全ての対象において、疾患進行後のその後の療法の種類及び期間、その後の療法への応答、その後の療法における進行日、及び生存データに関する情報が回収される。RECIST 1.1の疾患進行前に治療を中止した対象(例えば、許容できない毒性のため)は、疾患進行、同意の撤回、又は別の抗癌療法の開始までX線撮影で追跡され、その後、生存率の評価及び抗癌治療の記録のために、電話又はクリニック来院による、さらなる長期経過観察が行われる。対象は、最後の対象の無作為化から5年間、又は同意の撤回、経過観察の喪失、若しくは対象の死亡のいずれか早い方まで追跡される。
【0497】
この試験で実行される評価は以下に説明され、評価スケジュール(SOA)に指定された時点で行われる。
-疾患進行は、BICRによって評価される固形癌効果判定基準、バージョン1.1(RECIST v1.1)を使用して評価される。
-安全性は、重篤及び非重篤な有害事象(AE)、安全性臨床試験、及びバイタルサインを評価することによってモニターされる。全てのAEの発生率、性質、重症度は、National Cancer Institute Common Terminology Criteria for Adverse Eventsバージョン5.0(NCI CTCAE v5.0)に従ってグレード付けされる。
-臨床安全性検査には、血液学、血液化学、及び尿検査が含まれる。バイタルサインの評価には、血圧及び脈拍数が含まれ;追加のバイタルサインは、臨床的に正当な場合にのみ回収される。
-試料は、ソトラシブPK分析のために回収される。
-患者報告結果(PRO)/生活の質(QOL)評価が評価される。
-試料は、ソトラシブPK分析のために回収される。
-腫瘍マーカーのための試料が回収される。
-追加の血漿/血液/組織生検試料は、一次及び二次耐性のメカニズムに関する探索的バイオマーカーとして回収される。
【0498】
組み入れ基準:
-病理学的に確認された転移性結腸直腸癌
-局所検査で以前に特定されたKRAS G12C変異のセンター確認
-対象は、保管された腫瘍組織試料(5年以内に回収されたホルマリン固定、パラフィン包埋[FFPE]試料)を提供するか又は登録前に治療前の腫瘍生検を受けなければならない
-RECIST 1.1判定基準に従って測定可能な疾患。以前に放射線照射を受けた病変は、放射線照射後に進行していない限り、測定可能とはみなされない。
-年齢18歳以上
-≦1の米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータス。
->6ヶ月の平均余命
-対象は、転移性疾患に対する全身療法のラインを以前に1つだけ受けており、その療法中又はその後に進行していなければならない。以前に非転移性疾患についてアジュバント療法が行われていた場合、アジュバント療法の終了の6ヶ月以内に転移性疾患が特定された場合に、それは転移性疾患に対する療法のラインとして数えられる。腫瘍がMSI-Hの場合、対象は、その地域又は国で利用可能な場合、転移性疾患に対するチェックポイント阻害剤の投与を受けていなければならず、対象はその療法に対して医学的禁忌を有しない。
-無作為化前10日以内に以下のように定義される適切な血液及び末端臓器機能:
-ANC≧1500細胞/μL(適格性を決定するために使用される臨床検査の2週間以内の顆粒球コロニー刺激因子のサポートなし)
-ヘモグロビン≧9.0g/dl(適格性を決定するために使用される臨床検査の2週間以内に輸血なし)
-血小板数≧100,000/μl(適格性を決定するために使用される臨床検査の2週間以内に輸血なし)
-アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)及びアラニントランスアミナーゼ(ALT)≦正常範囲上限(ULN)の2.5倍
-血清ビリルビン≦1.0×ULN
-国際正規化比(INR)及び活性化部分トロンボプラスチン時間≦1.5×ULN
-コッククロフト・ゴールト式に基づくか、又は24時間の採尿による、血清クレアチニン≦1.5×ULN又はクレアチニンクリアランス>30mL/分
-女性ではQTcF≦470ミリ秒、男性では≦450ミリ秒
-経口薬を服用する能力があり、治験製品に対する毎日のアドヒアランスを記録する意思がある
【0499】
除外基準:
-活動性脳転移。語句「活動性脳転移」は、本明細書で使用する場合、元の(原発性、非脳)腫瘍から脳に広がった癌を指す。活動性脳転移は、頭蓋内病変の存在によって評価できる。「転移(metastases)」は複数形であるが、以下に示す基準の下で頭蓋内病変を1つだけ示す患者は、「活動性脳転移(active brain metastases)」を有する患者であることを理解されたい。いくつかの実施形態では、活動性脳転移を有する患者は、5mmを超える少なくとも1つの測定可能な頭蓋内病変を有する。いくつかの実施形態では、活動性脳転移を有する患者は、5mmを超えるが10mm未満の少なくとも1つの測定可能な頭蓋内病変を有する。いくつかの実施形態では、活動性脳転移を有する患者は、10mmを超える少なくとも1つの測定可能な頭蓋内病変を有する。患者が脳転移の切除を受けているか又は試験1日目の少なくとも4週前に放射線療法を終えた場合、患者は活動性脳転移を有する患者とは見なされず、以下の判定基準の全てを満たす場合、適格である:a)≦2のグレードの残留性の神経症状;b)該当する場合、デキサメタゾンの安定用量又は等価量の少なくとも2週間にわたる投与;及びc)1日目から28日以内に実施された経過観察MRIが、進行も新規の病変の出現も示さない。頭蓋内病変に起因する任意の神経症状のグレードの決定については、全体として参照により本明細書に組み込まれる、National Cancer Instituteによって2017年11月27日に公開されたNational Cancer Institute Common Terminology Criteria for Adverse Events v5.0(NCI CTCAE)を参照されたい。
-軟髄膜疾患。
-腫瘍はBRAF V600E変異を有することが知られている。
-CTCAEバージョン5.0のグレード0若しくは1又は脱毛症を除く適格性判定基準において指示されるレベルまで回復していないと定義される以前の抗腫瘍療法に起因する未回復の毒性(任意のグレードが許容される)、神経障害(グレード2まで許容される)、又は不可逆的であるとみなされる以前の抗腫瘍療法からの毒性(6ヶ月を超えて存在し安定していると定義される)、又は適切な補充療法により安定して維持されている内分泌AE。
-試験1日目の4週間以内の抗腫瘍療法(化学療法、抗体療法、分子標的化療法、レチノイド療法、ホルモン療法[長期補助内分泌療法を受けている、5年を超えて活動性疾患のない乳癌の完全切除の病歴を有する対象を除く]又は治験薬);高カルシウム血症の管理又は骨関連事象の予防に必要な場合、ビスホスホネート又は抗RANKL抗体療法が許容されることに注意されたい。
-試験1日目の2週以内の治療的又は対症的放射線療法。対象は、脱毛症を除き、CTCAEバージョン5.0グレード1以下の放射線療法関連毒性から回復していなければならない(任意のグレードの脱毛症が許容される)。
-現在、別の治験用医療機器若しくは治験薬試験による治療を受けているか、又は別の治験用医療機器若しくは治験薬の終了から4週間未満である。
-他の治験処置は除外される
-KRASG12C阻害剤による以前の治療。
-骨髄の25%を超える累積放射線を受けた
-既知のジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ欠損症
-既知のUDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ1A1(UGT1A1)*28ホモ接合性又はギルバート病
-投与中に投与されることになる製品又は成分のいずれかに対する既知の感受性。
-対象は、治験責任医師の知る限り、過去の化学療法レジメンにおいて、毒性のため、5-フルオロウラシル又はイリノテカンのいずれかの用量減少又は用量延期を要したことがある。
-転移性疾患についてイリノテカンによる以前の治療を受けている。
-治験責任医師及びメディカルモニターによる審査及び承認を受けていない、試験1日目前の14日以内又は本剤若しくはその主要な活性代謝物の5半減期以内のいずれか長い方の既知のチトクロムP450(CYP)3A4感受性基質及びP-gp基質(治療域が狭い)の使用。
-治験責任医師及びメディカルモニターによる審査及び承認を受けていない、試験1日目前の14日以内又は5半減期以内(いずれか長い方)のCYP3A4の強力な誘導剤(セイヨウオトギリソウ(St.John’s wort)などのハーブの栄養補助剤を含む)の使用。
-主任治験責任医師及びメディカルモニターによる審査及び承認がない限り、イリノテカン療法を開始する少なくとも1週間前の、既知のCYP3A4又はUGT1A1阻害剤の使用。
-主任治験責任医師及びメディカルモニターによる審査及び承認がない限り、試験薬と相互作用する可能性を有する、抗レトロウイルス薬又はウイルス薬の使用。
-治療中及びさらに以下の期間、プロトコルに指定された避妊方法を使用することを望まない、妊娠の可能性がある女性対象:
-ソトラシブの最後の投与後7日
-パニツムマブの最後の投与後2ヶ月
-FOLFIRIの最後の投与後6ヶ月
-ベバシズマブの最後の投与後6ヶ月
-授乳中、又は試験中から以下の期間までに母乳で育てる予定がある女性対象:
-ソトラシブの最後の投与後7日
-パニツムマブの最後の投与後2ヶ月
FOLFIRIの最後の投与後7日
-ベバシズマブの最後の投与後6ヶ月
-試験中から以下の期間までに妊娠中になる予定がある女性対象:
-ソトラシブの最後の投与後7日
-パニツムマブの最後の投与後2ヶ月
-FOLFIRIの最後の投与後6ヶ月
-ベバシズマブの最後の投与後6ヶ月
-スクリーニング時又は1日目に高感度の尿又は血清妊娠検査によって評価される妊娠検査が陽性である、妊娠の可能性がある女性対象。
-治療中及びさらに以下の期間、性的禁欲(異性間性交を控える)を実践すること、又は避妊を望まない、妊娠の可能性がある女性パートナーを有する男性対象:
-ソトラシブの最後の投与後7日
-FOLFIRIの最後の投与後6ヶ月
-ベバシズマブの最後の投与後6ヶ月
-治療中及びさらに以下の期間、禁欲又はコンドームの使用を望まない、妊娠中のパートナーを有する男性対象:
-ソトラシブの最後の投与後7日
-FOLFIRIの最後の投与後6ヶ月
-ベバシズマブの最後の投与後6ヶ月
-試験中及びさらに以下の期間、精子提供を控えることを望まない男性対象:
-ソトラシブの最後の投与後7日
-FOLFIRIの最後の投与後6ヶ月
-ベバシズマブの最後の投与後6ヶ月
-ワルファリンの使用。他の抗凝固薬は、メディカルモニターの承認により許可され得る。
-CD4+T細胞数<350細胞/μlの既知のHIV
-過去12ヶ月以内の後天性免疫不全症候群を定義する日和見感染症の病歴
-ウイルス量が検出可能な既知のB型肝炎、又はウイルス量が検出可能なC型肝炎
-転移又は死亡のリスクが無視でき、治癒結果が期待できる治療を受けたもの(適切に治療された子宮頸部上皮内癌、基底細胞癌、皮膚扁平上皮癌、治癒目的で治療された限局性前立腺癌、又は治癒目的で外科的に治療された乳管上皮内癌など)を除く、無作為化前5年以内のCRC以外の悪性腫瘍。
-試験1日目の28日以内の大手術
-治験責任医師の意見で、プロトコル手順の順守又は結果の解釈に影響を与え得るか、又は対象の安全性に対するリスクを引き起こし得る、制御されない重大な合併症
-重度の吸収不良、静脈内栄養補給の必要性、又は経口薬の服用不能を引き起こす、重度の胃腸障害
-間質性肺炎若しくは肺線維症の病歴、又はベースラインCTスキャンでの間質性肺炎若しくは肺線維症の証拠
-メディカルモニターとの合意があり、以下の基準を満たさない限り、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染の証拠の病歴:
-ソトラシブの初回投与の72時間以内の地域標準治療によるSARS-CoV-2の検査が陰性である
-ソトラシブの初回投与前10日以内にコロナウイルス感染症2019(COVID19)疾患の急性症状がない
-ニューヨーク心臓協会(クラスII以上)、無作為化前6ヶ月以内の心筋梗塞、不安定性不整脈又は不安定性狭心症などの、重大な心血管疾患
-対象が治験責任医師の選択のアームに無作為に割り当てられた場合、治験責任医師がベバシズマブを使用する予定の対象の制御されない高血圧(SBP>140又はDB>90)
-無作為化前2週間以内の治療用抗生物質の経口又は静脈内投与。予防的な抗生物質の使用は許可される。
【0500】
試験製品:
-ソトラシブ960mg又は240mg 経口、毎日
-2週間に1回のパニツムマブ6mg/kg IV
-2週間に1回のベバシズマブ-awwb 5mg/kg IV
【0501】
FOLFIRI:
-2週間に1回のイリノテカン180mg/m2 IV
-2週間に1回のロイコボリン400mg/m2 IV
-5-フルオロウラシル400mg/m2 IVボーラス 2週間に1回
-5-フルオロウラシル2400mg/m2 IVCI 2週間に1回、46~48時間かけて投与
【0502】
目的/評価項目:
【0503】
【0504】
本明細書で言及される全ての刊行物及び特許出願は、本発明に関する当業者の技術のレベルを示すものである。全ての刊行物及び特許出願は、あたかも個々の刊行物又は特許出願が参照により組み込まれることが具体的且つ個別に示されているのと同じように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0505】
上記の発明は、理解を明確にするために例示及び実施例によってある程度詳細に説明されたが、添付の特許請求の範囲内で特定の変更及び修正が行われ得ることは明らかであろう。
【0506】
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