(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】グループの生成及び実験構築のためのビジュアルインタフェース
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/02 20060101AFI20240621BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
C12Q1/02
C12M1/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023576396
(86)(22)【出願日】2022-06-14
(85)【翻訳文提出日】2023-12-12
(86)【国際出願番号】 US2022033441
(87)【国際公開番号】W WO2022266104
(87)【国際公開日】2022-12-22
(32)【優先日】2021-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】399117121
【氏名又は名称】アジレント・テクノロジーズ・インク
【氏名又は名称原語表記】AGILENT TECHNOLOGIES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【氏名又は名称】池本 理絵
(72)【発明者】
【氏名】クーパー,ジョシュア
(72)【発明者】
【氏名】パラディ,ベンジャミン
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029BB01
4B029FA01
4B029FA12
4B029GA03
4B063QA01
4B063QQ05
4B063QR81
4B063QS07
4B063QS39
4B063QX01
(57)【要約】
パラメータ割り当て及びパラメータグループを記述するインディシアを提供するように自動的に更新するプレートマップを含むユーザインタフェースにより、実験を構築する直感的なシステムを提供することができる。例えば、ユーザは、パラメータ設定を生成し、複数のウェルを表す複数のセルに割り当てる1つ以上の入力を提供することができる。ユーザインタフェースは、どのウェルが新たなパラメータ設定を割り当てられているのかを示す1つ以上のインディシアを示すようにプレートマップを更新することができる。
【選択図】
図2D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のプロセッサを備えるコンピューティングシステムによって、表示用のプレート実験インタフェースを提供することであって、該プレート実験インタフェースはプレートマップを含むことと、
前記コンピューティングシステムによって、新たなパラメータ設定を生成する1つ以上の入力を受信することと、
前記コンピューティングシステムによって、前記1つ以上の入力に基づいて前記新たなパラメータ設定を生成することと、
前記コンピューティングシステムによって、前記プレートマップに表された1つ以上のウェルに前記新たなパラメータ設定を割り当てる1つ以上の選択を受信することと、
前記コンピューティングシステムによって、表示用の更新されたプレート実験インタフェースを提供することであって、前記1つ以上のウェルは、第1のグループ化を示す第1のインディシアを用いて表示されることと
を含む、実験のパラメータを設定するコンピュータ実施方法。
【請求項2】
前記1つ以上のウェルは、該1つ以上のウェルが前記新たなパラメータ設定を割り当てられていることを示す第1の文字を用いて表示される、請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項3】
前記コンピューティングシステムによって、前記新たなパラメータ設定に少なくとも部分的に基づいて前記1つ以上のウェルのそれぞれのパラメータ設定を調整することを更に含む、請求項1又は2に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項4】
前記コンピューティングシステムによって、前記新たなパラメータ設定を最終決定する1つ以上の最終決定選択をユーザから受信することと、
前記コンピューティングシステムによって、表示用の最終決定インタフェースを提供することであって、前記最終決定インタフェースは、更新されたプレートマップと、各それぞれのグループ化に対して一組のパラメータ設定を記述するグループ情報とを含むことと
を更に含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項5】
前記コンピューティングシステムによって、新たなタブ選択をユーザから受信することと、
前記コンピューティングシステムによって、前記更新されたプレート実験インタフェースから第1のインディシアを除去することと
を更に含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項6】
前記プレート実験インタフェースは、複数のタブを含み、各タブは、前記プレートマップの異なる表示に関連付けられている、請求項1~5のいずれか1項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項7】
前記複数のタブは、注入ストラテジの設定タブと、前処理設定タブと、アッセイ培地の設定タブと、細胞タイプの設定タブとを含む、請求項6に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項8】
前記複数のタブは、最終決定タブを含み、該最終決定タブは、完全構成されているプレートマップに関連付けられている、請求項6に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項9】
前記新たなパラメータ設定は、注入ストラテジ設定、前処理設定、アッセイ培地設定、又は細胞タイプ設定のうちの少なくとも1つである、請求項1~8のいずれか1項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項10】
前記コンピューティングシステムによって、第2のパラメータ設定を生成する1つ以上の第2の入力を受信することと、
前記コンピューティングシステムによって、前記1つ以上の第2の入力に基づいて前記第2のパラメータ設定を生成することと、
前記コンピューティングシステムによって、前記プレートマップに表された前記1つ以上のウェルのサブセットに前記第2のパラメータ設定を割り当てる1つ以上の選択を受信することと、
前記コンピューティングシステムによって、表示用の調整されたプレート実験インタフェースを提供することであって、前記1つ以上のウェルの前記サブセットは、第2のグループ化を示す第2の色を用いて表示され、前記1つ以上のウェルの前記サブセットは、該1つ以上のウェルの該サブセットが前記第2のパラメータ設定を割り当てられていることを示す第2の文字を用いて表示されることと
を更に含む、請求項1~9のいずれか1項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項11】
前記コンピューティングシステムによって、第2のパラメータ設定に関連付けられた副次的な入力データを受信することと、
前記コンピューティングシステムによって、前記第2のパラメータ設定を有する第2のグループ化を生成することと、
前記コンピューティングシステムによって、前記更新されたプレート実験インタフェースにおける表示用の前記第1のグループ化及び前記第2のグループ化に関連付けられたグループ情報を提供することと、
前記コンピューティングシステムによって、前記第2のグループ化が前記プレートマップにおいて割り当てを有しないと判断することと、
前記コンピューティングシステムによって、前記グループ情報のサブセットを前記更新されたプレート実験インタフェースから除去することであって、前記サブセットは、前記第2のグループ化に関連付けられたものであることと
を更に含む、請求項1~10のいずれか1項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項12】
1つ以上のプロセッサと、
前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、コンピューティングシステムにある動作を実行させる命令を一括して記憶する1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体と
を備えるコンピューティングシステムであって、
前記動作は、
パラメータ設定を生成する1つ以上の入力を受信することと、
前記1つ以上の入力に基づいて前記パラメータ設定を生成することと、
パラメータ割り当て用の1つ以上の試料の選択を受信することと、
前記パラメータ設定を前記1つ以上の試料に割り当てることと、
表示用のプレートマップを提供することと
を含み、
前記1つ以上の試料を表す前記プレートマップの部分は、1つ以上のインディシアを用いて表示されるものである、コンピューティングシステム。
【請求項13】
前記プレートマップは、少なくとも96個の試料を含む、請求項12に記載のコンピューティングシステム。
【請求項14】
前記動作は、表示用のグループ列を提供することを更に含み、
前記グループ列は、前記プレートマップと同時に表示され、前記グループ列は、グループ情報を含む、請求項12又は13に記載のコンピューティングシステム。
【請求項15】
前記動作は、表示用のパラメータ列を提供することを更に含み、
前記パラメータ列は、前記プレートマップと同時に表示され、前記パラメータ列は、パラメータタイプを記述するタイトルと、1つ以上の割り当て準備済みパラメータとを含み、前記1つ以上の割り当て準備済みパラメータは、前記パラメータ設定を含む、請求項12~14のいずれか1項に記載のコンピューティングシステム。
【請求項16】
前記インディシアは、前記パラメータ設定を記述する第1のインディシアと、ウェルグループ化を記述する第2のインディシアとを含む、請求項12~15のいずれか1項に記載のコンピューティングシステム。
【請求項17】
複数のウェルを備えるプレートと、
1つ以上の注入器具と、
ユーザインタフェースのビジュアルコンポーネントを表示する1つ以上のビジュアルディスプレイと、
入力をユーザから受信するように構成される1つ以上の入力コンポーネントと、
1つ以上のプロセッサと、
前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、該実験コンピューティングシステムにある動作を実行させる命令を一括して記憶する1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体と
を備える実験コンピューティングシステムであって、
前記動作は、
パラメータ設定を生成する1つ以上の入力を受信することと、
前記1つ以上の入力に基づいて前記パラメータ設定を生成することと、
パラメータ割り当て用の1つ以上のウェルの選択を受信することと、
前記パラメータ設定を前記1つ以上のウェルに割り当てることと、
前記1つ以上のビジュアルディスプレイを用いた表示用のプレートマップを提供することであって、前記1つ以上のウェルを表す前記プレートマップの部分は、異なる色又は数字のうちの少なくとも一方で表示されることと、
実験を開始する選択入力を受信することと、
前記パラメータ設定及び前記選択入力に少なくとも部分的に基づいて1つ以上の注入器具を制御することと
を含む、実験コンピューティングシステム。
【請求項18】
前記1つ以上の注入器具は、複数の化合物を注入する複数の注入ポートを備える、請求項17に記載の実験コンピューティングシステム。
【請求項19】
1つ以上の前処理器具を更に備える、請求項17又は18に記載の実験コンピューティングシステム。
【請求項20】
第2のパラメータ設定を生成する1つ以上の第2の入力を受信することと、
前記1つ以上の第2の入力に基づいて前記第2のパラメータ設定を生成することと、
第2のパラメータ割り当て用の1つ以上のウェルの第2の組の第2の選択を受信することと、
前記第2のパラメータ設定を前記1つ以上のウェルの第2の組に割り当てることと、
前記第2のパラメータ設定及び前記選択入力に少なくとも部分的に基づいて、前記1つ以上の前処理器具を制御することと
を前記動作が更に含む、請求項19に記載の実験コンピューティングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、包括的には、プレート実験を構成するためのユーザインタフェースに関する。より詳細には、本開示は、プレート実験作業を援助することができるプレートマップを生成する入力を受信するプレート実験インタフェースを提供するシステム及び方法に関する。
【0002】
[関連出願]
本出願は、2021年6月16日付で出願された米国仮特許出願第63/211,240号の優先権及び利益を主張する。米国仮特許出願第63/211,240号の内容の全体は、引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
【背景技術】
【0003】
アッセイ実験(assay experiment(assay:分析))に対して、ユーザは、しばしば、多くのウェルを有するプレートについてのデータを入力する必要がある。いくつかの既存の解決策は、パラメータをデータとしてスプレッドシートに入力することを必要とする。この方法は、反復的なパラメータデータをフィールドに手作業で入力することをユーザに要求することになる。ウェルのグループ化も、手作業で達成される。この方法の2つの不利な点は、この方法が長時間を要し、ユーザの誤りの影響を受けやすいということである。さらに、他の既存のシステムは、ユーザがグループを最初に作成し、ウェルにパラメータを割り当てる前にそれらのグループを手作業で構成することになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既存のシステムは退屈な入力を伴う可能性があり、これは、非効率的であり、誤りを誘発する可能性がある。その上、既存のシステムは、ユーザがより詳細なパラメータデータを追加する気を失わせる可能性があり、その結果、アッセイの設計は、細部がまばらなものとなる。さらに、既存のシステムは、器具の使用率(instrument usage)の低下、データ再現性問題、及び発見の遅れを含む問題をワークフローの下流において引き起こす可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施の形態の態様及び利点は、以下の説明において部分的に述べられることにもなるし、その説明から学習することもできるし、それらの実施の形態を実施することによって学習することもできる。
【0006】
本開示の1つの例示の態様は、実験のパラメータを設定するコンピュータ実施方法に関する。本方法は、1つ以上のプロセッサを含むコンピューティングシステムによって、表示用のプレート実験インタフェースを提供することを含むことができる。いくつかの実施態様においては、プレート実験インタフェースは、プレートマップ(plate map)を含むことができる。この方法は、コンピューティングシステムによって、新たなパラメータ設定を生成する1つ以上の入力を受信することを含むことができる。本方法は、コンピューティングシステムによって、1つ以上の入力に基づいて新たなパラメータ設定を生成することを含むことができる。この方法は、コンピューティングシステムによって、プレートマップに表された1つ以上のウェルに新たなパラメータ設定を割り当てる1つ以上の選択を受信することを含むことができる。いくつかの実施態様においては、本方法は、コンピューティングシステムによって、表示用の更新されたプレート実験インタフェースを提供することを含むことができる。1つ以上のウェルは、第1のグループ化を示す第1のインディシア(indicia:しるし)を用いて表示することができる。
【0007】
いくつかの実施態様においては、1つ以上のウェルは、この1つ以上のウェルが新たなパラメータ設定を割り当てられていることを示す第1の文字を用いて表示することができる。本方法は、コンピューティングシステムによって、新たなパラメータ設定に少なくとも部分的に基づいて1つ以上のウェルのそれぞれのパラメータ設定を調整することを含むことができる。本方法は、コンピューティングシステムによって、新たなパラメータ設定を最終決定する1つ以上の最終決定選択をユーザから受信することと、コンピューティングシステムによって、表示用の最終決定インタフェースを提供することとを含むことができる。いくつかの実施態様においては、最終決定インタフェースは、更新されたプレートマップと、各それぞれのグループ化の一組のパラメータ設定を記述するグループ情報とを含むことができる。本方法は、コンピューティングシステムによって、新たなタブ選択をユーザから受信することと、コンピューティングシステムによって、更新されたプレート実験インタフェース(plate experiment interface)から第1のインディシアを除去することとを含むことができる。
【0008】
いくつかの実施態様においては、プレート実験インタフェースは、複数のタブを含むことができ、各タブは、プレートマップの異なる表示に関連付けることができる。複数のタブは、注入ストラテジの設定タブ(injection strategy setting tab)と、前処理設定タブと、アッセイ培地の設定タブと、細胞タイプの設定タブとを含むことができる。いくつかの実施態様においては、複数のタブは、最終決定タブ(finalization tab)を含むことができ、該最終決定タブは、完全構成されているプレートマップに関連付けることができる。新たなパラメータ設定は、注入ストラテジの設定、前処理設定、アッセイ培地の設定、又は細胞タイプの設定のうちの少なくとも1つとすることができる。
【0009】
いくつかの実施態様においては、本方法は、コンピューティングシステムによって、第2のパラメータ設定を生成する1つ以上の第2の入力を受信することと、コンピューティングシステムによって、1つ以上の第2の入力に基づいて第2のパラメータ設定を生成することと、コンピューティングシステムによって、プレートマップに表された1つ以上のウェルのサブセットに第2のパラメータ設定を割り当てる1つ以上の選択を受信することと、コンピューティングシステムによって、表示用の調整されたプレート実験インタフェースを提供することとを含むことができる。1つ以上のウェルのサブセットは、第2のグループ化を示す第2の色を用いて表示することができ、1つ以上のウェルのサブセットは、該1つ以上のウェルの該サブセットが第2のパラメータ設定を割り当てられていることを示す第2の文字を用いて表示することができる。第2のパラメータ設定は、注入ストラテジの設定、前処理設定、アッセイ培地の設定、又は細胞タイプの設定のうちの少なくとも1つとすることができる。
【0010】
いくつかの実施態様においては、本方法は、コンピューティングシステムによって、第2のパラメータ設定に関連付けられた副次的な入力データを受信することと、コンピューティングシステムによって、第2のパラメータ設定を有する第2のグループ化を生成することと、コンピューティングシステムによって、更新されたプレート実験インタフェースにおける表示用の第1のグループ化及び第2のグループ化に関連付けられたグループ情報を提供することと、コンピューティングシステムによって、第2のグループ化がプレートマップにおいて割り当てを有しないと判断することと、コンピューティングシステムによって、グループ情報のサブセットを更新されたプレート実験インタフェースから除去することとを含むことができる。サブセットは、第2のグループ化に関連付けることができる。
【0011】
本開示の別の例示の態様は、コンピューティングシステムに関する。このコンピューティングシステムは、1つ以上のプロセッサと、この1つ以上のプロセッサによって実行されると、コンピューティングシステムにある動作(operation)を実行させる命令を一括して記憶する1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体とを含むことができる。この動作は、パラメータ設定を生成する1つ以上の入力を受信することと、上記の1つ以上の入力に基づいてパラメータ設定を生成することとを含むことができる。動作は、パラメータ割り当て用の1つ以上の試料の選択を受信することと、パラメータ設定を1つ以上の試料に割り当てることとを含むことができる。いくつかの実施態様においては、動作は、表示用のプレートマップを提供することを含むことができる。1つ以上の試料を表すプレートマップの部分は、1つ以上のインディシアを用いて表示することができる。
【0012】
いくつかの実施態様においては、プレートマップは、少なくとも8個の試料を含むことができる。動作は、表示用のグループ列(group column)を提供することを含むことができる。いくつかの実施態様においては、グループ列は、プレートマップと同時に表示することができ、グループ列は、グループ情報を含むことができる。動作は、表示用のパラメータ列(parameter column)を提供することを含むことができる。いくつかの実施態様においては、パラメータ列は、プレートマップと同時に表示することができ、パラメータ列は、パラメータタイプを記述するタイトルと、1つ以上の割り当て準備済みパラメータとを含むことができる。1つ以上の割り当て準備済みパラメータ(assignment-ready parameter)は、パラメータ設定を含むことができる。いくつかの実施態様においては、インディシアは、パラメータ設定を記述する第1のインディシアと、ウェルグループ化を記述する第2のインディシアとを含むことができる。
【0013】
本開示の別の例示の態様は、実験コンピューティングシステム(experiment computing system)に関する。この実験コンピューティングシステムは、複数のウェルを含むプレートを含むことができる。実験コンピューティングシステムは、1つ以上の注入器具(injection instrument)と、ユーザインタフェースのビジュアルコンポーネントを表示する1つ以上のビジュアルディスプレイとを含むことができる。実験コンピューティングシステムは、入力をユーザから受信するように構成される1つ以上の入力コンポーネントと、1つ以上のプロセッサと、該1つ以上のプロセッサによって実行されると、実験コンピューティングシステムに動作を実行させる命令を一括して記憶する1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体とを含むことができる。動作は、パラメータ設定を生成する1つ以上の入力を受信することを含むことができる。動作は、1つ以上の入力に基づいてパラメータ設定を生成することと、パラメータ割り当て用の1つ以上のウェルの選択を受信することとを含むことができる。動作は、パラメータ設定を1つ以上のウェルに割り当てることを含み、1つ以上のビジュアルディスプレイを用いた表示用のプレートマップを提供することができる。いくつかの実施態様においては、1つ以上のウェルを表すプレートマップの部分は、異なる色又は数字のうちの少なくとも一方で表示することができる。動作は、実験を開始する選択入力を受信することを含み、パラメータ設定及び選択入力に少なくとも部分的に基づいて1つ以上の注入器具を制御することができる。
【0014】
いくつかの実施態様においては、1つ以上の注入器具は、複数の化合物を注入する複数の注入ポートを備えることができる。実験コンピューティングシステムは、1つ以上の前処理器具(pretreatment instrument)を備えることができる。いくつかの実施態様においては、動作は、第2のパラメータ設定を生成する1つ以上の第2の入力を受信することと、1つ以上の第2の入力に基づいて第2のパラメータ設定を生成することと、第2のパラメータ割り当て用の1つ以上のウェルの第2の組の第2の選択を受信することと、第2のパラメータ設定を1つ以上のウェルの第2の組に割り当てることと、第2のパラメータ設定及び選択入力に少なくとも部分的に基づいて1つ以上の前処理器具を制御することとを含むことができる。
【0015】
本開示の他の態様は、様々なシステム、装置、非一時的コンピュータ可読媒体、ユーザインタフェース、及び電子デバイスに関する。
【0016】
本開示の様々な実施形態のこれらの特徴、態様、及び利点、並びに他の特徴、態様、及び利点は、以下の説明及び添付の特許請求の範囲を参照することによってより良く理解されることになる。本明細書に組み込まれて本明細書の一部をなす添付図面は、本開示の例示の実施形態を示し、以下の説明とともに、関連した原理を説明する役割を果たす。
【0017】
当業者を対象とした実施形態の詳細な論述が、本明細書において述べられるが、この論述では、以下の添付した図が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本開示の例示の実施形態によるプレート実験構築を行う一例示のコンピューティングシステムのブロック図である。
【
図2A】本開示の例示の実施形態による一例示の実験ビルダ(experiment builder)の説明図である。
【
図2B】本開示の例示の実施形態による一例示のパラメータAの構成の説明図である。
【
図2C】本開示の例示の実施形態による一例示のパラメータカテゴリAタブの説明図である。
【
図2D】本開示の例示の実施形態による一例示のパラメータカテゴリAタブの説明図である。
【
図2E】本開示の例示の実施形態による一例示のパラメータカテゴリBタブの説明図である。
【
図2F】本開示の例示の実施形態による一例示のパラメータカテゴリBタブの説明図である。
【
図2G】本開示の例示の実施形態による一例示のパラメータカテゴリDタブの説明図である。
【
図2H】本開示の例示の実施形態による一例示の最終決定タブの説明図である。
【
図3A】本開示の例示の実施形態による一例示のプレートアッセイビルダの説明図である。
【
図3B】本開示の例示の実施形態による一例示の注入ストラテジパラメータの構成の説明図である。
【
図3C】本開示の例示の実施形態による一例示の注入ストラテジタブの説明図である。
【
図3D】本開示の例示の実施形態による一例示の注入ストラテジタブの説明図である。
【
図3E】本開示の例示の実施形態による一例示の注入ストラテジタブの説明図である。
【
図3F】本開示の例示の実施形態による一例示の前処理パラメータの構成の説明図である。
【
図3G】本開示の例示の実施形態による一例示の前処理タブの説明図である。
【
図3H】本開示の例示の実施形態による一例示の前処理タブの説明図である。
【
図3I】本開示の例示の実施形態による一例示のアッセイ培地パラメータの構成の説明図である。
【
図3J】本開示の例示の実施形態による一例示のアッセイ培地タブの説明図である。
【
図3K】本開示の例示の実施形態による一例示のアッセイ培地タブの説明図である。
【
図3L】本開示の例示の実施形態による一例示の細胞タイプタブの説明図である。
【
図3M】本開示の例示の実施形態による一例示の細胞タイプパラメータ構成の説明図である。
【
図3N】本開示の例示の実施形態による一例示の細胞タイプタブの説明図である。
【
図3O】本開示の例示の実施形態による一例示の最終決定タブの説明図である。
【
図3P】本開示の例示の実施形態による一例示の最終決定タブの説明図である。
【
図3Q】本開示の例示の実施形態による一例示の最終決定タブの説明図である。
【
図3R】本開示の例示の実施形態による一例示のインディシア変更の説明図である。
【
図3S】本開示の例示の実施形態による一例示の最終決定タブの説明図である。
【
図3T】本開示の例示の実施形態による一例示の最終決定タブの説明図である。
【
図4A】本開示の例示の実施形態による一例示の実験ビルダページの説明図である。
【
図4B】本開示の例示の実施形態による一例示のプロトコルページの説明図である。
【
図4C】本開示の例示の実施形態による一例示のダウンロードページの説明図である。
【
図5】本開示の例示の実施形態による、実験ビルダを利用して実験を行う一例示のプロセスのブロック図である。
【
図6】本開示の例示の実施形態による、実験の構築を行う一例示の方法のフローチャート図である。
【
図7】本開示の例示の実施形態による、実験の構築を行う一例示の方法のフローチャート図である。
【
図8】本開示の例示の実施形態による、プレートアッセイの構築を行う一例示の方法のフローチャート図である。
【
図9】生物学的物質を分析するシステムの一例示の実施形態の説明図である。
【
図10】
図9に示すシステムの一例示の断面説明図である。
【
図11】本開示の例示的な実施形態に従って作製されたシステムの1つの実施形態の一例示の概略説明図である。
【
図12A】生物学的試料を試験するために本開示に従って使用することができるマイクロプレートの例示の実施形態の一例示の分解斜視説明図である。
【
図12B】
図12Aに示すマイクロプレートの一例示の上下逆にした分解斜視説明図である。
【
図13】本開示の例示の態様に従って測定を行うプローブ又はプランジャ及び1つ以上のコンポーネントポートと関連した試料ステージングサイトに収容される生物学的試料の1つの実施形態の一例示の断面説明図である。
【
図14A】本開示の例示の実施形態による一例示の自動グループクリーンアップの説明図である。
【
図14B】本開示の例示の実施形態による一例示の自動グループクリーンアップの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
複数の図にわたって繰り返される参照符号は、様々な実施態様における同じ特徴を識別するためのものである。なお、「及び/又は」は、その句によってつながれる二以上の要素の一要素、それらの任意の組み合わせ、あるいはそれらの総体をカバーする意味で使われる。
【0020】
本開示の例示の態様は、実験構築用のユーザインタフェースを提供するシステム及び方法に関する。より具体的には、本明細書に開示されたシステム及び方法は、複数のユーザ入力を受信し、パラメータを試料に割り当て、グループを生成し、試料グループを示すプレートマップを提供することができる。いくつかの実施態様においては、本システム及び本方法は、表示のためのプレート実験インタフェースを提供することができる。このプレート実験インタフェースは、プレートマップ及び1つ以上のパラメータタブを含むことができる。その上、いくつかの実施態様においては、プレート実験インタフェースは、最終決定タブ、パラメータ列、及び/又はグループ化列(grouping column)を含むことができる。本システム及び本方法は、新たなパラメータ設定を生成する1つ以上の入力を受信することができ、これらの1つ以上の入力に基づいて新たなパラメータ設定を生成することができる。次に、本システム及び本方法は、この新たなパラメータ設定をプレートマップに表された1つ以上の試料に割り当てる1つ以上の選択を受信することを含むことができる。更新されたプレート実験インタフェースは、その後、表示用に提供することができる。いくつかの実施態様においては、1つ以上の試料は、第1のグループ化(first grouping)を示す第1のインディシアを用いて表示することができる。この第1のインディシアは、第1の色、第1の文字、及び/又は第1のパターンとすることができる。代替的に及び/又は付加的(代替的又は付加的あるいはそれらの両方)に、第2のインディシア(例えば、文字、色、及び/又はパターン)も、新たなパラメータ設定の割り当てを示すために表示することができる。このプロセスは、異なるパラメータタイプごとに複数回完了することができ、試料グループ化は、より多くのパラメータが割り当てられると、更新することができる。いくつかの実施態様においては、割り当てられた新たなパラメータ設定に少なくとも部分的に基づいて1つ以上の試料のパラメータを調整することができる。
【0021】
いくつかの実施態様においては、本システム及び本方法は、新たなパラメータ設定を最終決定する1つ以上の最終決定の選択をユーザから受信することを含むことができる。この最終決定の選択に応答して、本システム及び本方法は、表示用の最終決定インタフェースを提供することができる。最終決定インタフェースは、更新されたプレートマップと、各それぞれのグループ化の一組のパラメータ設定を記述するグループ情報とを含むことができる。
【0022】
本明細書に開示された本システム及び本方法は、複数のタブを含むことができ、これらのタブへのナビゲート及びこれらのタブからのナビゲートは、ユーザから新たなタブ選択を受信することによって行うことができる。新たなタブ選択に応答して、本システム及び本方法は、更新されるプレート実験インタフェースから第1の文字を除去することができる。タブは、種々のパラメータタイプを表すことができる。いくつかの実施態様においては、複数のタブの各タブは、プレートマップの異なる表示を有することができる。異なる表示は、異なるパラメータ設定インディシアが各タブに示されることに基づいてもたらすことができる。いくつかの実施態様においては、試料は、プレートアッセイ実験用のウェルとすることができる。その上、いくつかの実施態様においては、複数のパラメータタイプは、注入ストラテジパラメータ、前処理パラメータ、アッセイ培地パラメータ、及び細胞タイプパラメータを含むことができ、複数のタブは、注入ストラテジの設定タブ、前処理設定タブ、アッセイ培地の設定タブ、及び細胞タイプ設定タブを含むことができる。プレート実験インタフェースは、完全に構成されているプレートマップを表示するために選択することができる最終決定タブを含むことができる。いくつかの実施態様においては、更なるグループ編集を最終決定タブにおいて完了することができる。その上、いくつかの実施態様においては、最終決定タブは、パラメータ設定インディシアを除去することができるとともにグループ化インディシアを異なるフォーマットで提供することができるプレートマップの種々の表示を含むことができる。
【0023】
いくつかの実施態様においては、本明細書に開示された本システム及び本方法は、1つ以上の実験器具を制御するのに使用することができ、これらの実験器具は、注入器具、前処理器具、及び/又は様々な他の器具を含むことができる。生成されたプレート実験は、ダウンロードすることができ、その後、実験機械(experiment machinery)にアップロードして、完全に又は部分的に自動化された実験作業(experimentation)を提供することができる。
【0024】
プレートベースの器具用にアッセイ又は実験を構築することは、退屈なものとなる可能性があるとともに、あまり直感的でない可能性がある。現在の技法は、ユーザがパラメータをウェルごとに個別に手動入力することを伴い、これは、多くの時間を消費する可能性があるとともに誤りを誘発する可能性がある。本明細書に開示された本システム及び本方法は、セットアップの時間を削減することができるとともに、アッセイ及び他の実験を構築するより直感的な方法を提供することができる。
【0025】
本明細書に開示された本システム及び本方法は、ユーザが複数のウェルのパラメータを迅速且つ直感的に設定することを可能にするユーザインタフェースを提供することができる。いくつかの実施態様においては、本システム及び本方法は、各状態のウェルパラメータの配置のビジュアル表示を有する複数タブユーザインタフェースを利用することができる。このインタフェースは、どのウェル、すなわちどの試料が同じパラメータを共有するのか、及び、パラメータが何であるのかをユーザが容易に見ることを可能にすることができる。ウェルのグループ化は、ユーザ入力に基づいて自動的に生成することができ、各タブは、以前のタブに基づくことができる。様々なグラフィカル要素は、ユーザが、実験のパラメータを設定するときに作成されるグループとともに割り当てられるパラメータを容易に理解することを可能にすることができる。
【0026】
本システム及び本方法は、ユーザが、種々のパラメータの組み合わせに基づいてリアルタイムでアッセイグループを作成している間に、パラメータを階層化された方法でプレートマップに直接適用することを可能にすることができる。本システム及び本方法は、プレート上の個々のパラメータのロケーションを明瞭に視覚化したものを提供することができるとともに、アッセイセットアップに必要とされる時間を短縮することができる。
【0027】
既存の方法は、ユーザの(科学的及び技術的な)専門知識及び(アッセイ、生成物、及びソフトウェアに関する)精通度に依拠して、誤りのないアッセイパラメータの置き換え、セットアップ、及び実行を確保することができる。これは、頻繁に使用しないユーザ、新規のユーザ、非熟練者ユーザには脅威となり、それらのユーザがアッセイを行うこと自体を思い留ませる可能性がある。本明細書に開示された本システム及び本方法は、プレートマップを中心としたビュー上に、パラメータ配置をリアルタイムに視覚化したものを提供して、アッセイパラメータがユーザの意図したとおりに割り当てられているという信頼をユーザに与えることができると同時に効率も高めることができる。
【0028】
本システム及び本方法は、事前入力されたグループ定義カタログ及びオートフィル機能を生成して、手作業のデータエントリの量を最小にすることができ、事前アッセイセットアップの間の時間を削減するととともに、冗長なパラメータデータの矛盾したエントリ及び(例えば、反復的なデータ置き換え)によって引き起こされる誤りを軽減する。その上、より詳細な完全なパラメータ定義は、十分に詳細なアッセイ結果ファイルを確保することができる。アッセイパラメータのメタデータは、任意の分析的解釈、論述、提示、協調、又はアッセイ繰り返しの基礎とすることができる。非常に詳細なアッセイ結果ファイルは、全てのこれらの分野における最も大きな成功のチャンスを確保することができ、ユーザがデータの意味に焦点を当て、発見を加速することを可能にする。
【0029】
いくつかの実施態様においては、本システム及び本方法は、1つ以上のタブを有する空白の(blank)白紙のプレートマップを表示用に提供することができ、各タブは、パラメータの異なるカテゴリを表すことができる。本システムは、タブの選択を受信することができ、パラメータに関連付けられたデータを受信するように構成されるインタフェース(例えば、パラメータの説明データを追加するダイアログボックス、既定のパラメータのドロップダウンリスト、及び/又は1つ以上の選択可能ボタン)を提供することができる。本システムは、パラメータを追加する1つ以上の入力を取得することができる。これらの1つ以上の入力に応答して、白紙のプレートマップにマッピングされるパラメータを追加することができる。
【0030】
いくつかの実施態様においては、追加されたパラメータは、その後、それぞれのウェルを表すボックスの選択によって、パラメータをドラッグ及びドロップすることによって、又は様々な他の入力方法を介して1つ以上のウェルに割り当てることができる。ウェルがパラメータを割り当てられると、プレートマップは、割り当てられたパラメータを表す数字及び/又は割り当てられたパラメータを表す色を示すことによって、ウェルが割り当てられたパラメータを有することを示すことができる。いくつかの実施態様においては、数字は、割り当てられたパラメータを示すことができ、色は、同じパラメータを有するウェルのグループ化を示すことができる。グループ情報(例えば、グループの色及びそのグループに割り当てられたパラメータ)を、開いているタブのプレートマップ及びパラメータ情報とともに表示することができる。より多くのパラメータが生成されて割り当てられると、プレートマップ、タブ情報、及びグループ情報を更新して表示することができる。いくつかの実施態様においては、2つのグループが同じ第1のパラメータを共有することができるが、異なる第2のパラメータに基づいて異なる色として表示されることができるように、以前に表示されたグループを更新されたパラメータに基づいて分割することができる。いくつかの実施態様においては、新たなタブが選択されると、以前のパラメータタブからのプレートマップ上の数字は、除去することもできるし、その特定のパラメータタブの選択されたパラメータを示す数字に置き換えることもできる。既に作成された種々のグループ化を表示するために、種々のウェルグループを示す色は、どのパラメータタブが開いているかにかかわらず表示することができる。
【0031】
ユーザが選択及び割り当てを完了すると、本システムは、最終決定入力を受信することができる。最終決定入力に応答して、本システムは、実験又はアッセイのパラメータを最終決定する前に誤りを訂正するために調整することができるグループ化の色分け及び各それぞれのグループのグループ情報の概要とともに最終プレートマップを表示することができるレビューインタフェースを提供することができる。いくつかの実施態様においては、最終決定タブにおいて新たな割り当て及び新たなグループを作成することができる。その上、いくつかの実施態様においては、プレートマップは、最終決定タブが選択されたとき、異なる外観を有することができる。
【0032】
プレートマップは、様々な実験(例えば、アッセイ実験)のセットアップ、実行、及びカタログ化のテンプレートとして使用することができる。例えば、ユーザは、プレートマップにおける1つ以上のウェルに割り当てる1つ以上のパラメータ(例えば、既定のパラメータ又はユーザが作成したパラメータ)を選択することができる。ユーザは、完全な実験が定式化されるまで、新たなパラメータの定義又は以前に定義されたパラメータの選択を行うことができ、その後、パラメータを割り当てることができる。ユーザは、プレートマップ及びグループ情報を見直して、実験が、定式化(formulated)したいとおりに定式化されていることを確認することができる。ユーザは、その後、定式化されたプレートマップ及びグループ情報を、実験のセットアップ中にリファレンスとして使用することができる。いくつかの実施態様においては、プレートマップ及びグループ情報は、実験結果をカタログ化するリファレンスとして使用することができる。その上、プレート実験インタフェースは、実験、構成、又はパラメータに関するメモを含むメモセクションを含むことができる。
【0033】
付加的に及び/又は代替的に、プレート実験インタフェースは、生成された実験の構成をダウンロードする1つ以上のオプションを含むことができる。例えば、ダウンロード機能は、プレートマップ及びグループ情報の容易な参照を行うためのレポートを生成することができる。代替的に及び/又は付加的に、ダウンロード機能は、実験を行うことができるコンピューティングシステムに容易にアップロードすることができるファイルを生成することができる。コンピューティングシステムは、1つ以上の注入器具、1つ以上の前処理器具、及び/又は1つ以上の他の器具を含むことができる。
【0034】
いくつかの実施態様においては、プレート実験インタフェースは、実験のより多くの細部を編集又は生成するためにインタラクトすることができるプロトコルページを含むことができる。プロトコルページは、実験に必要とされるステップ及び期間も定義することができる。プロトコルページは、実験のロジスティクスも提供することができ、及び/又は、生成された実験を様々な因子に基づいて完成する妥当性を試験するインタフェースも提供することができる。
【0035】
本明細書に開示された本システム及び本方法は、アッセイ実験、基質の作成、基質の試験(substrate testing)、材料特性実験、一般的な試料の試験、及び/又は様々な他の実験を含むことができる様々な実験を構成し、それらの実験を行うのに利用することができる。
【0036】
いくつかの実施態様においては、プレートマップは、複数の試料、すなわちウェルを記述する複数のボックス、すなわちセルを含むことができる。プレートマップは、バックグラウンドウェル又は使用不能スペースを記述するバックグラウンドボックスを含むことができる。任意の数のウェルを記述する任意の数のボックスが存在することができる。いくつかの実施態様においては、プレートマップは、少なくとも96個のウェルを記述する少なくとも96個のボックスを有することができる。或いは、プレートマップは、384個のウェル、1536個のウェル、又は他の任意の数のウェルを表すこともできる。
【0037】
いくつかの実施態様においては、本明細書に開示された本システム及び本方法は、自動グループクリーンアップを含むことができる。自動グループクリーンアップは、利用されていないグループのグループ情報を除去し及び/又は隠すのに利用することができる。例えば、ユーザは、第1のグループ(例えば、第1の組の選択されたパラメータを有する第1のグループ)を生成する複数の選択を行うことができ、ユーザは、第2のグループ(例えば、第2の組の選択されたパラメータを有する第2のグループ)を生成する複数の選択を行うことができる。ユーザは、最初に、第1のグループを1つ以上の第1の試料(例えば、1つ以上の第1のウェル)に割り当てることができる。付加的に及び/又は代替的に、ユーザは、最初に、第2のグループを1つ以上の第2の試料(例えば、1つ以上の第2のウェル)に割り当てることができる。ユーザは、その後、以前の割り当てを上書きして、第2のグループを1つ以上の第1の試料及び1つ以上の第2の試料に割り当てると決定することができる。プレートマップは、その後、第2のグループを記述する同じインディシアを有する1つ以上の第1の試料に関連付けられた1つ以上の第1のブロック及び1つ以上の第2の試料に関連付けられた1つ以上の第2のブロックを表示することができる。本システム及び本方法は、その後、第1のグループが利用されていないと判断することができる。第1のグループが利用されていないことに応答して、自動グループクリーンアップシステム(automatic group cleanup system)は、ユーザインタフェースのグループ情報部分(例えば、プレートインタフェースにおけるグループ列)から第1のグループを除去し及び/又は隠すことができる。
【0038】
付加的に及び/又は代替的に、自動のグループクリーンアップは、冗長なグループを除去及び/又はマージすることができる。例えば、自動グループクリーンアップは、2つ以上のグループが同じ状態(例えば、同じパラメータ設定(例えば、同じ注入ストラテジの設定、同じ前処理設定、同じアッセイ培地の設定、及び同じ細胞タイプの設定))を共有すると判断することができる。自動グループクリーンアップは、その後、それらのグループをマージして、重複する状態を有する2つ以上のグループを有するという冗長性を除去することができる。
【0039】
自動グループクリーンアップは、所与の間隔(例えば、数秒ごと、数分ごと等)で行うことができる。代替的に及び/又は付加的に、自動グループクリーンアップは、ユーザ選択に応答して行うことができる。いくつかの実施態様においては、自動グループクリーンアップは、ユーザがタブを切り替えたときに行うことができる。
【0040】
いくつかの実施態様においては、自動グループクリーンアップは、インタラクティブなユーザインタフェース要素を選択することによってオン及びオフにすることができる。インタラクティブなユーザインタフェース要素は、スライダ、アイコン、ドロップダウンメニュー、選択可能吹き出し、及び/又は他の任意の形態のユーザインタフェース要素を含むことができる。
【0041】
自動グループクリーンアップは、複数の生成されたグループのうちの1つ以上のグループがプレートマップ上に割り当てを有していないと判断することを含むことができる。これらの1つ以上のグループは、その後、複数の生成されたグループから削除することができる。代替的に及び/又は付加的に、これらの1つ以上のグループは、ユーザインタフェースのグループ情報部分に表示されたグループから除去することができる。
【0042】
例えば、本システム及び本方法は、第1のパラメータ設定に関連付けられた第1の入力データを受信することができる。この第1のパラメータ設定に基づいて第1のグループ化を生成することができ、第1のグループ化を、プレートマップの1つ以上のブロック(例えば、1つ以上の試料に関連付けられた1つ以上のブロック)に割り当てることができる。付加的に及び/又は代替的に、本システム及び本方法は、第2のパラメータ設定に関連付けられた副次的な入力データを受信することができる。この第2のパラメータ設定に基づいて第2のグループ化を生成することができる。更新されたプレート実験インタフェースを、第1のグループ化及び第2のグループ化に関連付けられたグループ情報とともに表示するために提供することができる。本システム及び本方法は、その後、第2のグループ化がプレートマップ上に割り当てを有していないと判断することができる。この判断は、生成されたグループの間隔を置いたチェックに基づいて行うことができる。いくつかの実施態様においては、この判断は、生成されたグループに関連付けられたデータ及びプレートマップに基づくことができる。この判断は、第2のグループ化がプレートマップのブロックのいずれにも割り当てられていないことに基づくことができる。この判断に応答して、グループ情報のサブセットを更新されたプレート実験インタフェースから除去することができる。除去されるサブセットは、利用されていなかった第2のグループ化に関連付けられたものとすることができる。
【0043】
いくつかの実施態様においては、自動グループクリーンアップは、冗長なグループをマージすることができる。例えば、本システム及び本方法は、複数の生成されたグループのうちの生成されたグループの2つ以上が、一致するパラメータ設定を含むと判断することができる。複数の生成されたグループのうちの生成されたグループの2つ以上が、一致するパラメータ設定を含むとの判断に応答して、本システム及び本方法は、それらの2つ以上の生成されたグループを示す全てのウェル又は試料を、同じインディシアを表示するように切り替えることができる。付加的に及び/又は代替的に、2つ以上の生成されたグループのうちの少なくとも1つをユーザインタフェースのグループ情報部分から除去するか又は隠すことができる。除去されるか又は隠されたグループに関連付けられた試料(例えば、ウェル)は、残っている一致するグループに再割り当てをすることができる。
【0044】
いくつかの実施態様においては、本明細書に開示された本システム及び本方法は、実験機器(experiment equipment)(例えば、生細胞のエネルギー代謝をリアルタイムで測定する分析機器)を制御するのに利用することができる。
【0045】
本開示の本システム及び本方法は、多くの技術的な効果及び利益をもたらす。1つの例として、本システム及び本方法は、実験を構成するシステム及び方法を提供することができる。より具体的には、本システム及び本方法は、複数の入力を受信し、それらの入力に基づいてアッセイ実験の表現を提示することができる。入力を取得し表現を表示するインタフェースは、直感的なものとすることができ、実験構築プロセス(experiment building process)に効率性を加えることができる。
【0046】
本開示の本システム及び本方法の別の技術的な利益は、様々なインディシアを有するタブ付きユーザインタフェースを利用して、パラメータの入力並びに割り当てられたパラメータ及び作成されたグループの表示を行う直感的な方法をユーザに提供することができることである。例えば、ユーザは、第1のパラメータタブにおいて、第1のパラメータを第1の組のウェルに割り当て、第2のパラメータを第2の組のウェルに割り当てることができる。プレートマップの表現は、第1のパラメータ割り当て及び第2のパラメータ割り当てを示す第1の組のインディシアと、2つのグループが作成されていることを示す第2の組のインディシアとを表示することができる。ユーザは、その後、第2のパラメータタブを選択することができ、これによって、第1の組のインディシアを除去することができるが、グループ化インディシアを残しておくことができる。新たなグループが作成されるとともに新たなパラメータが割り当てられることに応答して、新たな組のインディシアを生成することができる。本システム及び本方法は、ユーザがグループをより直感的に作成するとともに、作成されたグループをより良く理解することを可能にすることができる。
【0047】
技術的な効果及び利益の別の例は、改善された計算効率及びコンピューティングシステムの機能の改善に関するものである。例えば、本明細書に開示された本システム及び本方法は、本システム及び本方法のダウンロード機能及びアップロード機能を利用して、ユーザが実験を定式化することができるとともに、定式化された実験の詳細を実験コンピューティングシステムに容易に転送することができることを可能にすることができる。これらのダウンロード機能及びアップロード機能は、入力を再入力することによって必要となる冗長性を削減することによってユーザ時間を節約することができ、これらの機能は、コンピューティングシステムが解釈する必要がある複数の入力の代わりに解釈可能なアップロードを提供することによって、実験に必要となる計算能力も削減することができる。
【0048】
次に図を参照して、本開示の例示の実施形態を更に詳細に論述する。
【0049】
[例示のデバイス及びシステム]
図1は、本開示の態様による実験構築を実施するのに使用することができる例示的なコンピューティングシステム100を示している。システム100は、ネットワーク160を介して1つ以上のクライアントデバイス130と通信するサーバ110を含むクライアントサーバアーキテクチャを有する。ただし、本開示は、ネットワークに接続されていない単一のコンピューティングデバイス等の他の適したアーキテクチャを使用して実施することもできる。システム100は、コンピューティングシステム100を使用してユーザによって構築された実験を行う実験コンピューティングシステム170も有することができる。
【0050】
システム100は、例えば、ウェブサーバ等のサーバ110を含む。サーバ110は、並列コンピューティングシステム又は分散コンピューティングシステムとして実施される1つ以上のコンピューティングデバイスとすることができる。特に、複数のコンピューティングデバイスが、単一のサーバ110としてともに動作することができる。サーバ110は、1つ以上のプロセッサ112及びメモリ114を有することができる。サーバ110は、ネットワーク160を介して1つ以上のリモートコンピューティングデバイス(例えば、クライアントデバイス)130と通信するのに使用されるネットワークインタフェースも含むことができる。
【0051】
プロセッサ(複数の場合もある)112は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、集積回路、又は他の適した処理デバイス等の任意の適した処理デバイスとすることができる。メモリ114は、任意の適したコンピューティングシステム又は媒体を含むことができ、この媒体は、非一時的コンピュータ可読媒体、RAM、ROM、ハードドライブ、フラッシュドライブ、又は他のメモリデバイスを含むが、これらに限定されるものではない。メモリ114は、プロセッサ(複数の場合もある)112によってアクセス可能な情報を記憶することができ、この情報には、プロセッサ(複数の場合もある)112によって実行することができる命令116が含まれる。命令116は、プロセッサ(複数の場合もある)112によって実行されると、プロセッサ(複数の場合もある)112に所望の機能を提供させる任意の一組の命令とすることができる。
【0052】
特に、命令116は、クライアントインタフェース120を実施するためにプロセッサ(複数の場合もある)112によって実行することができる。クライアントインタフェース120は、ユーザが実験を構築するためのインタフェースを提供するように構成することができる。いくつかの実施態様においては、クライアントインタフェース120は、実験を行う命令を実験コンピューティングシステム170に提供するように構成することができる。特に、いくつかの実施態様においては、クライアントインタフェース120は、ネットワーク160を介してサーバコンピューティングシステム110と通信するクライアントコンピューティングシステム130を使用するユーザとのインタラクション用に提供することができる。
【0053】
用語「要素」は、所望の機能を提供するために利用されるコンピュータロジックを指すことができることが理解されるであろう。したがって、いずれの要素、機能、及び/又は命令も、汎用プロセッサを制御するハードウェア、特定用途向け回路、ファームウェア及び/又はソフトウェアにおいて実施することができる。1つの実施態様においては、要素又は機能は、記憶デバイスへの記憶、メモリへのロード、及びプロセッサによる実行が行われるプログラムコードファイルであるか、又は、コンピュータプログラム製品から提供することができるプログラムコードファイルであり、例えば、RAM、ハードディスク又は光媒体若しくは磁気媒体等の有形のコンピュータ可読記憶媒体に記憶されるコンピュータ実行可能命令である。
【0054】
メモリ114は、プロセッサ(複数の場合もある)112によって取り出し、操作、作成、又は格納を行うことができる実験データ118も含むことができる。実験データ118は、注入器具の情報(例えば、注入化合物、可能な注入パラメータ、注入サイズデータ等)、前処理情報、細胞タイプの情報、アッセイ培地情報、表、又は他の適した実験データ若しくは関連情報を含むことができる。一例として、実験データ118は、実験を構築するための可能なパラメータに関連付けられた情報及びデータにアクセスするのに使用することができる。
【0055】
実験データ118は、1つ以上のデータベースに記憶することができる。1つ以上のデータベースは、高帯域幅LAN又は高帯域幅WANによってサーバ110に接続することもできるし、ネットワーク160を通じてサーバ110に接続することもできる。1つ以上のデータベースは、複数の場所に配置されるように分割することができる。
【0056】
サーバ110は、ネットワーク160を介して1つ以上のクライアントデバイス130とデータを交換することができる。2つのクライアント130が
図1に示されているが、任意の数のクライアントデバイス130をネットワーク160を介してサーバ110に接続することができる。クライアントデバイス130は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、ナビゲーションデバイス、ラップトップ、デスクトップ、集積回路、モバイルデバイス、スマートフォン、タブレット、ウェアラブルコンピューティングデバイス、1つ以上のプロセッサが結合され及び/又は組み込まれたディスプレイ、又は他の適したコンピューティングデバイス等の任意の適したタイプのコンピューティングデバイスとすることができる。さらに、クライアントデバイス130は、演算又は計算動作を行うためにともに動作する複数のコンピューティングデバイスとすることもできる。
【0057】
サーバ110と同様に、クライアントデバイス130も、プロセッサ(複数の場合もある)132及びメモリ134を含むことができる。メモリ134は、プロセッサ(複数の場合もある)132によってアクセス可能な情報を記憶することができ、この情報には、プロセッサ(複数の場合もある)112によって実行することができる命令116と、データとが含まれる。一例として、メモリ134は、ブラウザ要素140及びアプリケーション要素142を記憶することができる。
【0058】
ブラウザ要素140は、ブラウザを実施する命令を提供することができる。特に、クライアントデバイス130のユーザは、ブラウザを使用して、特定のウェブアドレスにおいてアクセス可能なウェブサイトを訪問することによって、サーバ110とデータを交換することができる。本開示の実験ビルダは、ウェブサイトのユーザインタフェースの要素として提供することができる。
【0059】
アプリケーション要素142は、特化されたアプリケーションをクライアントデバイス130上で動作させる命令を提供することができる。特に、この特化されたアプリケーションは、ネットワーク160を介してサーバ110とデータを交換するのに使用することができる。アプリケーション要素142は、本開示の態様を提供及び実施するクライアントデバイス可読コードを含むことができる。例えば、アプリケーション要素142は、実験構築アプリケーション又はプレート実験ユーザインタフェースアプリケーションを実施する命令を提供することができる。
【0060】
クライアントデバイス130は、タッチスクリーン、タッチパッド、データエントリキー、スピーカ、マウス、モーションセンサ、及び/又は音声認識に適したマイクロホン等の、ユーザからの情報を受信する様々なユーザ入力デバイス150、すなわち入力コンポーネントを含むことができる。いくつかの実施態様においては、サーバコンピューティングシステム110及び実験コンピューティングシステム170は、ユーザが、クライアントコンピューティングデバイスの入力デバイス150を使用して実験コンピューティングシステム170の入力を提供可能にすることができるように、サーバコンピューティングシステム自体及び実験コンピューティングシステム自体の入力コンポーネントを含むこともできるし、1つ以上の入力コンポーネントをクライアントデバイス130と共有することもできる。さらに、クライアントデバイス130は、実験構築用のクライアントインタフェースの提供等の情報の提示用のディスプレイ146を有することができる。ディスプレイ146は、プレート実験インタフェースのグラフィカル要素をユーザに提供する複数のビジュアルコンポーネントを含むビジュアルディスプレイとすることができる。ビジュアルディスプレイは、液晶ディスプレイ(LCD:liquid crystal display)、発光ダイオード(LED:light-emitting diode)ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機発光ダイオード(OLED:organic light-emitting diode)ディスプレイ、及び/又は陰極線管(CRT:cathode ray tube)ディスプレイを含むことができる。
【0061】
クライアントデバイス130は、グラフィックス処理ユニット152を更に含むことができる。グラフィックス処理ユニット152は、プロセッサ132がプレート実験インタフェースを提供するのに使用することができる。いくつかの実施形態においては、クライアントデバイス130は、ありとあらゆる実験ビルダインタフェースを実行する。
【0062】
クライアントデバイス130は、ネットワーク160を介してサーバ110と通信するためのネットワークインタフェース154を含むことができる。ネットワークインタフェース154は、ネットワーク160を介したサーバ110との通信に適した任意のコンポーネント又は構成を含むことができ、これらのコンポーネント又は構成には、例えば、1つ以上のポート、送信機、無線カード、コントローラ、物理レイヤコンポーネント、又は任意の現在知られている若しくは今後開発される通信プロトコル若しくは通信技術に従った通信用の他のアイテムが含まれる。
【0063】
ネットワーク160は、ローカルエリアネットワーク(例えば、イントラネット)、ワイドエリアネットワーク(例えば、インターネット)、又はそれらの或る組み合わせ等の任意のタイプの通信ネットワークとすることができる。ネットワーク160は、クライアントデバイス130とサーバ110との間の直接接続も含むことができる。一般に、サーバ110とクライアントデバイス130との間の通信は、様々な通信プロトコル(例えば、TCP/IP、HTTP)、符号化若しくはフォーマット(例えば、HTML、XML)、及び/又は保護方式(例えば、VPN、セキュアHTTP、SSL)を使用する任意のタイプの有線接続及び/又は無線接続を使用して、ネットワークインタフェースを介して搬送することができる。
【0064】
いくつかの実施態様においては、ネットワーク160は、クライアントコンピューティングデバイス130及び/又はサーバコンピューティングシステム110の間の通信を実験コンピューティングシステム170に転送するのに使用することができる。この通信は、実験が構築されたことに応答して生成された命令138とすることができる。例えば、クライアントコンピューティングデバイス130は、クライアントインタフェース110を使用して、実験を生成するための複数のユーザ入力をユーザ入力コンポーネント150を介して受信することができる。その後、実験を行うために実験コンピューティングシステム170によって解釈することができる命令138を生成することができる。その上、いくつかの実施態様においては、命令138は、当該命令を理解するために、実験コンピューティングシステム170の1つ以上のプロセッサ172によって処理することができる。命令は、メモリに保存することもできるし、実験作業機器用のより本来のフォーマットに解釈することもできる。実験コンピューティングシステムは、データ176及び命令178をローカルに記憶するメモリコンポーネント174を更に含むことができる。記憶されたデータ176は、デバイスの制限、能力、及びログ記録を含む1つ以上の実験器具に固有のデータを含むことができる。いくつかの実施態様においては、記憶されたデータ176は、過去の命令、解釈に必要な情報、及び/又は局所的なモデルを含むことができる。記憶された命令178は、実験コンピューティングシステムが完了することができる様々なタスクの所定の機能、ユーザ生成機能、及び/又はトレーニング済みの機能を含むことができる。例えば、記憶された命令178は、クライアントインタフェース120を用いて構築された実験を処理するとともにクライアントインタフェース120を用いて構築された実験に基づいて実験のセットアップ動作を完了する複数の命令を含むことができる。
【0065】
いくつかの実施態様においては、1つ以上のプロセッサによって実行されると、実験コンピューティングシステムに動作を実行させる命令を一括して記憶する1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体をコンピューティングシステムに含めることができる。いくつかの実施態様においては、クライアントコンピューティングデバイス130、サーバコンピューティングシステム110、及び実験コンピューティングシステム170のメモリコンポーネントは、1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体を含むことができる。記憶された命令は、コンピューティングシステムのうちの1つ以上に、本明細書に開示された方法及びプロセスを含むことができる動作を実行させる命令を含むことができる。
【0066】
[例示のインタフェース配置]
図2A~
図2Hは、本開示の例示の実施形態による一例示のプレート実験インタフェース200の説明図を示している。いくつかの実施態様においては、プレート実験インタフェース200は、実験を構築するインタフェースを提供し、複数の試料又はウェルを表すプレートマップ214を含むことができる。したがって、いくつかの実施態様においては、プレート実験インタフェース200は、プレートマップ214、パラメータ列212、及びグループ列216を含むことができる。
【0067】
具体的には、
図2Aは、あらゆるパラメータ設定が割り当てられる前のプレート実験インタフェース200を示している。この実施態様においては、プレート実験インタフェースは、パラメータ列212、グループ列216、プレートマップ214、4つのパラメータタブ202、204、206、及び208、並びに最終決定タブ210を含む。
図2Aにおいて選択されているパラメータタブはパラメータタブAである。
【0068】
図2Bは、パラメータAポップアップメニュー218を示している。パラメータAポップアップメニュー218は、新たなパラメータAの設定を追加する1つ以上の入力に応答して表示することができる。いくつかの実施態様においては、プレート実験インタフェース200は、割り当て用の1つ以上の既定のパラメータ設定を含むことができる。付加的に及び/又は代替的に、プレート実験インタフェース200は、ユーザが自身のパラメータ設定を実験用に生成することを可能にすることができる1つ以上の特徴を含むことができる。
【0069】
図2Cは、複数のウェルへのパラメータAの設定の割り当てを示している。この実施態様においては、第1のパラメータAの設定が、パラメータ列212におけるリストから選択され、その後、複数のウェルを表すプレートマップ214上の複数のセルが選択されている。この割り当てによって、第1のグループの生成を引き起こすことができ、割り当てられたパラメータの設定を示すインディシアを用いて示すことができる。この実施態様においては、新たなグループのグループ情報が、グループ列216において提供される。
【0070】
図2Dは、パラメータ列212における2つの他のパラメータ設定がウェルに割り当てられた後のプレートマップ214を示している。新たな割り当てに応答して、更に2つのグループをグループ列216に生成することができる。いくつかの実施態様においては、これらのグループは、新たな割り当てに応答して自動的に生成することができる。
【0071】
図2Eは、パラメータBタブ204が選択された後の例示のプレート実験インタフェース200を示している。数字のインディシアをプレートマップ214から除去して、Bタイプのパラメータが割り当てられていないことを示すことができる。グループを示す色のインディシアは残存することができ、グループ列216における情報によって引き続き記述しておくことができる。いくつかの実施態様においては、プレート実験インタフェース200のインディシアの更新は、パラメータタブの選択に応答して自動的に行うことができる。
【0072】
図2Fでは、パラメータBタイプのパラメータ設定が複数のウェルに割り当てられる。それらのウェルを表す選択されたセルは、その後、パラメータ設定を示す数字によって満たされる。グループ列216におけるグループ情報は、割り当てに応答して更新することができる。
【0073】
その上、
図2Gは、複数のウェルへのパラメータDタイプのパラメータ設定の割り当てを示している。この割り当てによって、現在のグループの細分を通じて新たなグループが生じ、更新されたグループ及びグループ情報がグループ列216において提供される。いくつかの実施態様においては、新たなグループは、割り当てに応答して自動的に生成することができる。
【0074】
最後に、
図2Hは、最終決定タブ210が選択されているときの例示のプレート実験インタフェース200を示している。最終決定ページにおいて、プレートマップ214には、種々のグループを記述することができる種々のインディシアを設けることができる。最終決定ページは、グループ編集、インディシア編集、又は新たなグループの作成用に提供することができる新たなグループ列220も含むことができる。
【0075】
図3A~
図3Tは、本開示の例示の実施形態による一例示のプレート実験インタフェース300のブロック図を示している。プレート実験インタフェース300は、プレート実験インタフェース300が特にプレートアッセイ実験構築用に構成されていることを除いて、
図2A~
図2Hのプレート実験インタフェース200と同様である。
【0076】
より具体的には、
図3A~
図3Tのプレート実験インタフェース300は、複数のタブ302、パラメータ列304、プレートマップ306、及びグループ列308を含むことができる。複数のタブ302は、構築されている例示のプレートアッセイ実験の4つのパラメータタイプを表す注入ストラテジタブ、前処理タブ、アッセイ培地タブ、及び細胞タイプタブを含むことができる。付加的に及び/又は代替的に、複数のタブ302は、生成されたグループの見直し及び編集を行うための最終決定タブを含むことができる。
【0077】
パラメータ列304は、現在編集及び割り当てが行われているパラメータタイプの種々のパラメータ設定に関する情報を提供することができる。パラメータ設定は、既定のパラメータ設定、ユーザ生成パラメータ設定、及び/又は自動生成パラメータ設定とすることができる。いくつかの実施態様においては、パラメータ列304は、ポップアップメニューを表示させることができる新たなパラメータ設定を追加する選択可能な特徴を含むことができる。
【0078】
プレート実験インタフェース300は、プレートアッセイ実験の種々のウェルを表すセル、すなわちボックスを示すことができるプレートマップ306も含むことができる。図示した説明図では、プレートマップ306は、パラメータを割り当てることができない4つのバックグラウンドセルを含む。ただし、いくつかの実施態様においては、プレートマップ306が有するバックグラウンドセルは、0個とすることもできるし、任意の数とすることもできる。
【0079】
付加的に及び/又は代替的に、プレート実験インタフェース300は、グループ内のウェルを示すインディシアとともに生成された各グループを含むことができるグループ列308を含むことができる。グループ列308は、生成された各グループのパラメータ設定に関する情報も含むことができる。
【0080】
図3Aは、パラメータ割り当て前の白紙のプレートマップ306を示している。パラメータ列304は、2つの既定のパラメータ設定及びユーザ生成パラメータ設定を含む。グループ列308は、パラメータ設定が定義されていないので現在空である。
【0081】
図3Bは、新たな注入ストラテジパラメータの設定を作成するための一例示のポップアップメニュー310を示している。ポップアップメニュー310は、特に注入ストラテジパラメータのストラテジ作成に適合するように構成することができる。例えば、注入器具における4つの注入ポートを表す4つのポートを設けることができる。ただし、異なる注入器具について他のポート数を設けることができる。その上、様々なストラテジ選択は、ポートオプションに変化をもたらすことができる。
【0082】
図3Cは、パラメータ設定「注入ストラテジ1(injection strategy 1)」が選択されていることを示している。
【0083】
図3Dは、注入ストラテジパラメータの設定の割り当て中のプレートマップを示している。より具体的には、図示した説明図は、3つのパラメータ設定のそれぞれがプレートマップ306の一部分に割り当てられて3つのグループを生成することを含む。これらの3つのグループは、異なる色を用いて示され、グループ列308に記述される。割り当てられたパラメータ設定は、セル内の数字を用いて示すことができる。その上、
図3Dは、プレートマップ306の新たな部分が、クリックアンドドラッグのジェスチャ入力を介して、パラメータ設定割り当て用に選択されていることを示している。
図3Eは、選択されたセルが、パラメータ設定割り当て及びそれらの新たなグループ化を示すインディシアで満たされていることを示している。
【0084】
図3Bと同様に、
図3Fは、新たなパラメータ設定を作成するための一例示のポップアップメニュー312を示している。ただし、追加されている新たなパラメータ設定は、新たな前処理パラメータの設定である。ポップアップメニュー312は、特に前処理パラメータの作成に適合するように構成することができる。例えば、ポップアップメニュー312は、処理に特化したドロップダウンメニューを含むこともできるし、テキストエントリ用のテキストボックスを含むこともできる。
【0085】
図3G及び
図3Hは、前処理パラメータの設定が割り当てられたときのプレートマップ306及びグループ列308の変更を示している。例えば、
図3Gは、数字インディシアを含まず、グループ列308は、3つのグループのみを含む。対照的に、
図3Hは、プレートマップ306全体にわたって、それらのウェルに割り当てられたパラメータ設定を示す「1」、「2」、及び「3」を含む。パラメータ設定の割り当てに応答して、グループ列308に記述することができるとともに異なる色を用いて示すことができる新たなグループを生成することができる。
【0086】
図3B及び
図3Fと同様に、
図3Iは、新たなパラメータ設定を作成するための一例示のポップアップメニュー314を示している。ただし、追加されている新たなパラメータ設定は、新たなアッセイ培地パラメータ設定である。ポップアップメニュー314は、特にアッセイ培地パラメータの作成に適合するように構成することができる。例えば、ポップアップメニュー314は、処理に固有のドロップダウンメニューを含むこともできるし、テキストエントリ用のテキストボックスを含むこともできる。その上、ポップアップメニュー314は、培地タイプドロップダウンの選択及び緩衝因子入力セクションを含むことができる。
【0087】
図3Jには、アッセイ培地パラメータタブが選択された後の数字を有しないプレートマップ306が示されている。
図3Kは、例示のアッセイ培地パラメータの設定の割り当てを示している。この割り当てによって、より多くのグループがグループ列308に生成され、プレートマップ306に示されるインディシアが変更される。
【0088】
図3Lには、プレートマップ306が、
図3Kから残っているグループインディシアを用いて示されているが、数字インディシアは、新たなパラメータタブが選択されたときに、再度、クリアされている。
【0089】
図3B、
図3F、及び
図3Iと同様に、
図3Mは、新たなパラメータ設定を作成するための一例示のポップアップメニュー316を示している。ただし、追加されている新たなパラメータ設定は、新たな細胞タイプのパラメータ設定である。ポップアップメニュー316は、特に細胞タイプのパラメータ作成に適合するように構成することができる。例えば、ポップアップメニュー316は、有機物に特化したドロップダウンメニューを含むこともできるし、テキストエントリ用のテキストボックスを含むこともできる。その上、ポップアップメニュー316は、細胞タイプのドロップダウンの選択を含むことができる。
【0090】
図3Nでは、プレートマップ306は、特定のウェルを表すセルに細胞タイプのパラメータ設定を割り当てる1つ以上のユーザ入力に応答した新たな数字インディシアを含む。これらのユーザ入力に応答して1つ以上のグループを編集又は作成することができる。
【0091】
図3O~
図3Tは、例示のプレート実験インタフェース300の最終決定インタフェースを示している。最終決定インタフェースは、1つ以上のグループインディシア及び1つ以上のグループのグループ情報を含むグループ列318とともにプレートマップ320を含むことができる。例えば、グループ列318は、インディシアがどのグループに関連付けられているのかを示す凡例を含むことができる。最終決定インタフェースとインタラクトしている間、グループの見直し、編集、及び/又は作成を行うことができる。例えば、
図3P及び
図3Qに示すように、各グループのパラメータ設定は、グループ列318において見直し及び編集を行うことができる。
【0092】
図3Rは、ポップアップカラーパレット324を使用する第1のグループのインディシア322の調整を示している。ユーザが開始したインディシア調整に応答して、新たなインディシアを反映するようにプレートマップ320を更新することができる。
【0093】
図3S及び
図3Tは、最終決定インタフェースを使用して新たなグループを作成し、割り当てる一例示のユーザインタラクションを示している。
図Sは、「+」アイコンが選択された後に「グループ12」326が生成されていることを示している。ユーザは、その後、ドロップダウンメニューを使用して、各パラメータタイプのパラメータ設定を選択することができる。「グループ12(Group 12)」326は、その後、1つ以上のウェルを表す1つ以上のセル328に割り当てることができる。この割り当てに応答して、1つ以上のセル328は、
図3Tに示すように、色を変化させることができる。
【0094】
図4A~
図4Cは、
図4Aにおけるプレート実験ビルダページと、
図4Bにおけるプロトコルページと、
図4Cにおけるダウンロードページとを含む一例示のプレート実験インタフェース400の種々の特徴を示している。いくつかの実施態様においては、各ページは、プレート実験ビルダインタフェースを用いた実験の構築と、プロトコルページにいる間におけるプロトコルの編集と、ダウンロードページ上での実験情報のダウンロードとを行うために、図示した順序で提供することができる。
【0095】
図4Aは、プレートマップ402と、グループ列406に記述された1つ以上の生成されたグループとを含む一例示の実験ビルダページを示している。いくつかの実施態様においては、実験ビルダページは、実験ビルダアイコン404を選択することによって選択することができる。図示した説明図では、プレート実験インタフェースを使用して、プレート実験が既に構築されている。その上、図示した例では、注入ストラテジタブが開かれ、可能な注入ストラテジパラメータが、プレートマップ402に示される各ウェルの割り当てられたパラメータとともに数字を使用して表示されている。プレートマップ402は、パラメータ割り当てに応答して生成されたグループも記述することができる。例えば、プレートマップ402は、同じパラメータを記述する数字であるが異なる色を有する複数のウェルを示している。異なる色は、異なるパラメータタブと相関する異なるパラメータタイプに基づいて割り当てられた他のパラメータに起因することがある。実験が構築されると、ユーザは、
図4Bに示すプロトコルページに移ることができる。
【0096】
図4Bは、プロトコル概要(protocol overview)408を含む一例示のプロトコルページを示している。このプロトコル概要は、実験タイプ又は割り当てられたパラメータに基づいて実験に関係のある種々のプロトコルを記述する情報を含むことができる。いくつかの実施態様においては、或る特定のパラメータ又はプロトコルは、プロトコルページにおいて編集可能とすることができる。例えば、注入ストラテジ410のうちの1つ以上をプロトコルページに示すことができ、編集可能とすることができる。いくつかの実施態様においては、プロトコルページは、プロトコルアイコン412を選択することによってアクセスすることができる。プロトコルが見直され、最終決定されると、ユーザは、
図4Cに示すダウンロードページに移動することができる。
【0097】
図4Cは、ダウンロードページのアイコン418を選択することによって到達する一例示のダウンロードページを示している。このダウンロードページは、プロジェクト名を含むことができるプロジェクト情報416等のサマリ情報の入力又は見直し用のサマリペイン(summary pane)414を含むことができる。サマリ情報、実験構築、及びプロトコル情報が最終決定されると、ユーザは、ダウンロードファイル(download file)というグラフィカルボタン420を選択して、プレート実験インタフェースとインタラクトしている間に選択されて割り当てられたパラメータ情報を含むことができるファイルをダウンロードすることができる。付加的に及び/又は代替的に、このファイルは、プロトコル情報及び実験サマリも含むことができる。ダウンロードされたファイルは、その後、参考として確認することができ、実験を行う実験コンピューティングシステムにアップロードすることができ、及び/又は参照用に印刷することができる。
【0098】
図5は、実験ビルダを利用して実験を行う一例示のプロセスの一例示のブロック図を示している。本明細書に開示された本システム及び本方法は、実験を直感的に構築するためにプレート実験ビルダを利用することができる。この実験は、その後、実験を行うのに使用することができる。例えば、ユーザは、プレート実験ビルダアプリケーションを用いて実験ファイルを作成することができる(502)。このファイルは、このアプリケーションの内部で編集して、実験を所望のユーザパラメータに微調整することができる(504)。このファイルは、その後、構築された実験の最終決定が行われる際にダウンロードすることができる(506)。ダウンロードされたファイルは、その後、実験作業ステップのうちの1つ以上に使用される機械にアップロードすることができる(508)。例えば、ダウンロードされたファイルは、ユーザによって選択された注入ストラテジパラメータに従うように注入器具にアップロードすることができる。付加的に及び/又は代替的に、ダウンロードされたファイルは、別の選択された実験パラメータを完成するために前処理器具又は他の任意の機械にアップロードすることができる。アップロードされると、実験コンピューティングシステムは、アップロードされたファイルを処理して、実験を行う(510)1つ以上の機械に命令を提供することができる。これらの機械は、その後、プレート実験ビルダアプリケーションにおいて構築された実験を行うのに使用することができる。
【0099】
図14A及び
図14Bは、本開示の例示の実施形態による一例示の自動グループクリーンアップ1400の説明図を示している。特に、
図14Aは、生成されたグループ列における2つの生成されたグループのグループ情報を示している。第1の生成されたグループ1408は、第1の実験パラメータセットを含むことができ、第2の生成されたグループ1410は、第2の実験パラメータセットを含むことができる。
図14Aでは、第1の実験パラメータセットは、プレートマップの左側1402に割り当てられ、第2の実験パラメータセットは、プレートマップの右側1404に割り当てられている。
【0100】
ユーザは、スライダ1406とインタラクトする(interacting)ことによって自動グループクリーンアップ機能を選択することができる(又は既に選択しておくことができる)。スライダ1406は、クライアントインタフェースの右上隅に位置することができる。いくつかの実施態様においては、スライダは、この機能がオンにされているのか又はオフにされているのかに基づいて色を変化させることができる。付加的に及び/又は代替的に、スライダ1406は、スピニングインタフェース要素(spinning interface element)(例えば、時計方向又は反時計方向に色を変化させる円の円周の一部分を示すバッファディスプレイ)を有することができる。このスピニングインタフェース要素は、自動グループクリーンアップ機能が、生成されたグループ及びプレートマップを処理して、いずれかの生成されたグループが利用されていないか及び/又は重複であるかを判断するときに表示される。
【0101】
自動グループクリーンアップスライダ1406がオンの位置にあることに応答して、本システム及び本方法は、プレートマップ及び生成されたグループに関連付けられたデータを処理して、いずれかの重複又は未使用の生成されたグループがあるか否かを判断し、いずれかのグループがマージ及び/又は除去されるべきか否かを判断することができる。
【0102】
図14Bでは、ユーザは、第2のパラメータセットをプレートマップの左側1402に割り当てて、単一の選択されたグループ1412を有するプレートマップを生成している。本システム及び本方法は、生成されたグループ及びプレートマップに関連付けられたデータを(例えば、所与の間隔で又はユーザ選択に基づいて)処理して、第1の生成されたグループ1408がもはや使用されていないと判断することができる。第1の生成されたグループ1408のグループ情報は、その後、グループ列から除去することができ、第2の生成されたグループ1410は、名称を変更することができる(1416)。
【0103】
[例示の器具及び実験]
以下で論述する例示の器具、又は機器は、本明細書に開示された本システム及び本方法によって構築された実験作業プロセスの一部としてのタスクを実行又は完了するために、実験コンピューティングシステムの一部として実施することができる。例えば、これらの器具、又は機器は、プレート実験インタフェースを使用して構築された実験に応答して制御することができる。これらの器具、又は機器の制御は、ユーザによる手動制御、ダウンロード及びアップロードされた機能を介した半自動制御、及び/又は有線ネットワーク若しく無線ネットワークを介したクライアントサーバコンピューティングシステムとの完全接続を含むことができる。
【0104】
図11を参照すると、例示を目的として、本明細書に開示された実験のうちの1つ以上を完成するように構成されているシステムの1つの実施形態の簡略図が示されている。
図11に示されるように、本システムは、光源12から励起光を受けるように位置決めされた試料ステージングサイト10を含む。光源12は、試料ステージングサイト10上の試料に関連付けられた蛍光体に蛍光放射を起こさせる励起光(例えば正弦波又は一連のパルス等の変調された励起光)を放射する。蛍光放射は次いで、CMOS飛行時間センサ等の飛行時間センサ(time of flight sensor:飛行時間型センサ)14によって感知される。蛍光体は、生物学的試料に自然に含まれる成分とすることができるし、又は生物学的試料に添加され、生物学的試料中に存在する成分によって影響を受けるものとすることができる。
【0105】
本システムは、光伝達経路16を更に含む。光伝達経路は、光源12によって放射される励起光を試料ステージングサイト10へと向けるため、及び対応する蛍光放射を飛行時間センサ14に向けるためのものである。光伝達経路16は、光ファイバを含むことができる。しかしながら、以下に議論されるように、光伝達経路16は、光信号を伝達するための任意の適切な光路及び/又は光学素子を含むことができる。
【0106】
飛行時間センサ14は、1つの態様においては、光伝達経路16から信号を受信するように構成されている複数の画素を備えた画素アレイを含むことができる。例えば、光伝達経路16から受信される信号は、試料ステージングサイト10中に収容される蛍光体によって生じた蛍光放射を示す光信号とすることができる。画素アレイ中の各画素又は画素の群は、例えば、受信された光信号に少なくとも部分的に基づいて、該画素又は画素の群の光応答に関連付けられた信号を提供するように構成することができる。いくつかの実施形態においては、飛行時間センサ14は、例えば、Sony社によって製造されているIMX556飛行時間センサとすることができる。
【0107】
本システムは、飛行時間センサ14及び光源12と通信するよう配置することができる、1つ以上のプロセッサ18を更に含むことができる。1つ以上のプロセッサ18は、例えば、動作を実行する1つ以上のマイクロプロセッサ、集積回路(例えば特定用途向け集積回路)、CPU、GPU、フィールドプログラマブルゲートアレイ等の、任意の適切な処理装置を含むことができる。いくつかの実施形態においては、1つ以上のプロセッサ18は、応答位相、蛍光強度及び/又は蛍光寿命、及び/又は本明細書に記載される特性の大きさを決定するための動作のいずれか等の動作を実行するために、1つ以上のメモリ装置に保存されたコンピュータ可読命令を実行するように構成することができる。1つ以上のメモリ装置は、コンピュータ可読命令及びデータを保存するための任意の適切な媒体であってもよい。例えば、1つ以上のメモリ装置は、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックメモリ(SRAM)、又はその他の揮発性メモリ等の、ランダムアクセスメモリを含むことができる。これに加えて及び/又は代替として、1つ以上のメモリ装置は、ROM、PROM、EEPROM、フラッシュメモリ、光記憶装置、磁気記憶装置等の、不揮発性メモリを含むことができる。
【0108】
1つ以上のメモリ装置は、1つ以上のプロセッサ18によって実行されるときに、1つ以上のプロセッサに、本明細書に記載される1つ以上のプロセッサによって実施される動作のいずれか等の動作を実行させる、コンピュータ可読命令を保存することもできる。これらの命令は、任意の適切なプログラミング言語で記述されたソフトウェアであってもよいし、又はハードウェアで実施することもできる。
【0109】
1つ以上のプロセッサ18は、飛行時間センサ14に含まれる1つ以上の画素から信号を受信するように構成されてもよい。飛行時間センサ14から受信された情報に基づいて、1つ以上のプロセッサ18は、試料ステージングサイト10に存在する蛍光体の蛍光寿命又は蛍光強度を決定するように構成されてもよい。本開示の例示の態様によれば、1つ以上のプロセッサは、生物学的成分の存在を決定するために使用することができるのみならず、蛍光放射から成分の又は成分に関連するパラメータの大きさ特性を決定するように構成することもできる。大きさ特性は、例えば、量、濃度、又は変化率等とすることができる。大きさ特性は、2次元又は3次元でマッピングされるようにすることができる。
【0110】
図11に示されるように、1つ以上のプロセッサ18は、光源12とも通信することもできる。このようにして、1つ以上のプロセッサ18は、飛行時間センサ14を使用して蛍光放射を感知することと連動して、光源12からの発光を制御及び調整することができる。
【0111】
図11に示されるように、システムは、光を試料へと向けるため、及び/又は蛍光放射を飛行時間センサ14の方へ向けるための、様々な異なる光学素子を任意選択的に含むことができる。例えば、本システムは、電気光学変調器、ビーム成形レンズ、走査装置、多素子レンズ、干渉フィルタ等の光フィルタ、ビームスプリッタ、及び開口素子等を含むことができる。例えば、
図11に示されるように、本システムは、レンズ24、26及び28と組み合わせた光フィルタ20及び22を含むこともできる。本システムはまた、光源12からの光を、試験される試料上へと向けるための、反射素子25を含むこともできる。しかしながら、これらの光学素子は全て任意であり、使用される異なる機器(equipment)に基づいて省略することができる。しかしながら、光学素子は、光を特定の領域に集束させるのに有用となりうる。例えば、光伝達経路16が飛行時間センサの感知領域又は撮像領域よりも大きい場合、光を変化させる又は方向付けるために1つ以上のレンズが使用することができる。いくつかの実施形態においては、光路は1つ以上の光ファイバ又は光パイプを含むことができる。
【0112】
光源12は、概して、任意の適切な光源を含むことができる。例えば、光源12は、コヒーレント光(例えばコヒーレント光ビーム)又はインコヒーレント光を放出するように構成することができる。インコヒーレント光を放射する場合、望ましい場合には、不要な波長をフィルタリングして除外するために、1つ以上のフィルタが使用することができる。1つ以上のフィルタは、光源12によって放射される光をフィルタリングするために、光が生物学的物質に接触するよりも前方に位置決めすることができ、及び/又は、蛍光体によって生成される蛍光放射をフィルタリングするために、生物学的物質と飛行時間センサとの間に位置決めすることができる。本開示のシステムにおいて使用することができる適切な光源12は、例えば、発光ダイオード、レーザダイオード、及びレーザ等を含む。光源12はまた、上述した照明装置のうちの1つ以上を備えることができる。例えば、光源12は、所望の領域にわたって十分な強度を提供するための複数のレーザ、光ダイオード、又は発光ダイオードを備えることができる。
【0113】
光源12が動作する波長は、存在する蛍光体及び/又は検査される生物学的成分に依存して偏光することができる。波長は、例えば、約250nm~約10000nm、例えば約300nm~約2000nmに変更することができる。本明細書において使用される場合、数値に伴う用語「約」の使用は、記載される数値の前後10%を含むことを指すことができる。光源12は、例えば、紫外光、可視光、近赤外光、又はそれらの混合物を放射することができる。
【0114】
光源12の照明強度は、動作波長、飛行時間センサ14の感度、及び本システムの信号対ノイズ比を含む、様々な因子及びパラメータに依存しうる。1つの態様においては、光源12は、毎秒少なくとも約102の光子、例えば毎秒約104よりも多い光子、例えば毎秒約108よりも多い光子、例えば毎秒約109よりも多い光子、例えば毎秒約1010よりも多い光子、例えば毎秒約1011よりも多い光子、例えば毎秒約1012よりも多い光子を送達することができる。光強度は、概して約1030未満、例えば約1020未満である。
【0115】
光伝達経路16は、1つの実施形態においては、1つ以上の光パイプ又は光ファイバを含むことができる。例えば、1つの実施形態においては、光伝達経路16は、光ファイバの束状アレイを含むことができる。光源12からの光を試料ステージングサイト10上に収容された試料へと送達するためと、蛍光放射を飛行時間センサ14に伝達するためとで、同じ光ファイバが使用することができる。代替としては、異なる機能を実行するために異なる光ファイバが使用することができる。
【0116】
1つの態様においては、飛行時間センサ上に位置するセンサ素子又は画素の異なるゾーンへと光を向けるために、異なる光ファイバ又は光ファイバの異なる束ねられたアレイを使用することができる。このようにして、複数の測定を、試料ステージングサイト10上に収容される同じ試料又は異なる試料から同時に又はほぼ同時に行うことができる。
【0117】
例えば、本システムは、同じ試料又は異なる試料に含まれる異なる蛍光体からの複数の蛍光放射を、同時に又はほぼ同時に検出及び測定することが可能である。
【0118】
また、複数の試料中の同じ蛍光体を同時又はほぼ同時に測定するために、多重化を使用することもできる。例えば、1つの態様においては、本システムは複数の試料ステージングサイトを含んでもよい。単一の光源又は複数の光源が、試料ステージングサイトのそれぞれへと同時に又はほぼ同時に光を放射することができる。光伝達経路16は、複数の測定を同時に行うために、各試料ステージングサイトからの蛍光放射を、飛行時間センサ14上のセンサ素子又は画素の異なるゾーンに伝送するために使用することができる。実際、本システムは、各試料中の複数の蛍光体からの蛍光放射を、複数の試料にわたって同時に又はほぼ同時に測定することが可能である。例えば、本システムは、10個所よりも多い試料ステージングサイト、例えば25個所よりも多い試料ステージングサイト、例えば50個所よりも多い試料ステージングサイト、例えば75個所よりも多い試料ステージングサイト、例えば100個所よりも多い試料ステージングサイト、例えば125個所よりも多い試料ステージングサイト、例えば150個所よりも多い試料ステージングサイト、例えば175個所よりも多い試料ステージングサイト、例えば200個所よりも多い試料ステージングサイト、例えば225個所よりも多い試料ステージングサイト、例えば250個所よりも多い試料ステージングサイト、例えば300個所よりも多い試料ステージングサイト、例えば400個所よりも多い試料ステージングサイト、例えば500個所よりも多い試料ステージングサイト、概して約10000個所未満の試料ステージングサイトを含むことができる。1つの態様においては、本システムは、システム内に含まれる試料ステージングサイトの数を更に増加させるために、1つ以上の光源と組み合わせて複数の飛行時間センサを含むことができる。
【0119】
1つの態様においては、飛行時間センサ14は、距離撮像システム又はLiDARシステムの一部とすることができる。飛行時間センサ14は、光信号の往復時間を測定することによって、画像の各点についてセンサとオブジェクトとの間の距離を解明するように構成することができるが、飛行時間センサ14は、信号の往復時間を測定する代わりに、蛍光放射の強度又は即座の減衰を測定する。例えば、蛍光寿命を測定する場合、飛行時間センサ14は、蛍光放射ピークにおいて測定を開始し、次いで信号がどの程度急速に減衰するかを測定する。
【0120】
飛行時間センサ14は、1つの実施形態においては、1つ以上の位相検出器を有する変調光源であってもよい。例えば、飛行時間センサ14は、キャリアを用いて光ビームを変調し、次いでキャリアの位相シフトを測定することによって、動作してもよい。代替としては、飛行時間センサは、光源12によって光パルスが放射されるように開閉する内蔵シャッタを有する、レンジゲート撮像器(range-gated imager)であってもよい。
【0121】
図11に示されるシステムにおいては、光源12と、飛行時間センサ14と、1つ以上のプロセッサ18とは、別個の要素として示されている。しかしながら、これらの要素のそれぞれを、単一の装置に組み込むことができることは、理解されるべきである。
【0122】
図11に示すシステムでは、光源12及び飛行時間センサ14はともに、試験されている生物学的試料の同じ側に位置決めされている。ただし、光源及び飛行センサは、いくつかの実施態様においては、試料の反対側に位置することができる。
【0123】
本開示の例示の態様によるシステム及びプロセスは、蛍光放射を単独で又は蛍光体と組み合わせて生成することができる、任意の生物学的成分の測定に適している。1つの態様においては、例えば、成分は、細胞物質等の生物学的試料中に含むことができる。試験される成分は、気体、固体、ゲル、又は液体であってもよい。測定される1つ以上の成分は、生きている若しくは生存能力のある試料から測定することができる、又は生存能力のない試料から測定することができる。
【0124】
生物学的試料から測定できる成分は、あらゆるタイプの代謝産物を含む。本方法は、成分の存在を確認することのみならず、蛍光寿命又は蛍光強度から、成分の大きさ特性又は成分に関連するパラメータを決定することを含むことができる。成分は、脂質、イオン、溶存気体、塩、ミネラル、核酸、タンパク質、ポリペプチド、又は酵素とすることができる。成分に関連するパラメータは、温度、pH、酸化状態、又は粘度、及び細胞代謝の結果として成分がこれらのパラメータに引き起こす変化とすることができる。測定することができる溶存気体は、酸素、二酸化炭素、一酸化窒素、又はアンモニアを含む。本発明は、成分及び/又は成分に関連するパラメータを測定することを企図している。1つの実施形態においては、測定される成分は、細胞のミトコンドリアによる酸素消費であり、測定されるパラメータは、二酸化炭素及び乳酸等の酸素消費の副産物である。別の実施形態においては、測定される成分又はパラメータは、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+/NADH)、NAD(P)H、又はフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD/FADH2)等の、本質的に蛍光性の代謝補因子を含むことができる。1つの実施形態においては、亜硝酸還元酵素(NAD(P)H)がモニタリング及び分析されることができる。亜硝酸還元酵素は、窒素代謝に関連する反応に触媒作用を及ぼす酵素である。
【0125】
成分は、細胞内に含まれるものとすることができるし、又は細胞によって周囲の培地に分泌される物質を含むものとすることができる。例えば、以上に説明された特定の成分又はパラメータのいずれかが、細胞の微小環境中で及びその周りでモニタリング、分析、マッピングすることができる。1つの実施形態においては、本システムは、成分又はパラメータの変化を測定し、特定のパラメータ又は成分の変化率を提供するために使用することができる。1つの実施形態においては、低酸素用途、TMEモデリング、及び虚血再灌流等のin vivo状態をモデル化する手段として、外部操作を介して単数又は複数の細胞の微小環境をモニタリング及び変調することができる。
【0126】
本開示のシステムは、パラメータ又は成分に関する情報を2次元又は3次元で提供することができる。3次元ダイアグラムは、例えば、酸素等の気体濃度又は分圧を表すことができる。他方、3次元ダイアグラムは、pH又は温度を表すことができる。ダイアグラムは、特定の位置における及び/又は特定の時点におけるパラメータに関する情報を含む、対象のパラメータに関する強固な情報を提供することができる。
【0127】
1つの態様においては、本開示の例示の実施形態によるシステム及びプロセスは、生細胞の生体エネルギーを、リアルタイムでモニタリングするために使用することができる。例えば、本開示の例示の態様によるシステム及びプロセスは、生体細胞のミトコンドリア呼吸及び/又は解糖をモニタリングするために使用することができる。いくつかの実施形態においては、本システム及びプロセスは、細胞内又は微小環境のpH、酸素濃度、又は酸化還元電位等をモニタリングするために使用することができる。これらの細胞機能は典型的には、酸素の消費及びプロトンの流出を中心に展開する。いくつかの実施形態においては、本発明のシステム及びプロセスは、酸化還元電位、又は代謝産物若しくはNAD(P)H若しくはFAD/FADH等の補因子の相対濃度等の、代謝又は生体エネルギーの他の実施形態をモニタリングするために使用することができる。本開示の例示の態様によるシステム及びプロセスは、細胞呼吸、解糖、及びATP産生の速度を測定するために、これらのパラメータの細胞外変化を検出するために使用することができる。
【0128】
試験される細胞は、限定するものではないが、培養細胞、初代細胞、ヒト細胞、ニューロン、T細胞、B細胞、上皮細胞、筋肉細胞、幹細胞、人工多能性幹細胞、不死化細胞、病原体感染細胞、細菌細胞、真菌細胞、植物細胞、古細菌細胞、哺乳類細胞、鳥類細胞、昆虫細胞、爬虫類細胞、及び両生類細胞等を含んでもよい。試験される細胞はまた、組織試料、細胞スフェロイド、生検試料、細胞足場、及び臓器オンチップ等の、3次元細胞試料を含むことができる。測定することができる、上述の細胞機能に関連するパラメータの例は、二酸化炭素濃度、酸素濃度又は酸素分圧、カルシウムイオン、及び水素イオン等を含む。これらの試験を通して、何が細胞の表現型及び機能を駆動しているのか、及び/又は細胞環境又は微小環境の正確な実態の理解を得ることができる。
【0129】
システム及びプロセスは、時間経過に伴うpH速度変化を含むpHを示す蛍光体を含む、非常に短い蛍光寿命を有する蛍光体のモニタリングに特に適しているものとすることができる。例えば、pHに関連する蛍光体は、極めて短い蛍光寿命を有することが知られている。しかしながら、本開示の例示の態様によるシステム及びプロセスは、約100ナノ秒未満、例えば約75ナノ秒未満、例えば約50ナノ秒未満、例えば約40ナノ秒未満、例えば約30ナノ秒未満、例えば約20ナノ秒未満、例えば約15ナノ秒未満、例えば約10ナノ秒未満、例えば約8ナノ秒未満、例えば約6ナノ秒未満、例えば約4ナノ秒未満、例えば約3ナノ秒未満、例えば約2ナノ秒未満、例えば更には約1ナノ秒未満の蛍光寿命を測定することができる変調速度で、動作することができる。実際、システム及びプロセスは、0.1ナノ秒又はそれよりも短い蛍光寿命を検出することができると考えられる。
【0130】
システム及びプロセスは、生細胞の代謝データ、又は任意の生存能力のある細胞の(微小)環境状態を測定するために使用することができる。試験される細胞物質は、例えば、細菌細胞、真菌細胞、酵母細胞、原核細胞、及び真核細胞等を含むことができる。試験することができる細胞は、動物細胞及びヒト細胞を含む哺乳類細胞を含むことができる。試験することができる特定の細胞は、がん細胞、免疫細胞、不死細胞、初代細胞、人工多能性幹細胞、及びウイルス又は細菌病原体に感染した細胞等を含むことができる。
【0131】
例えば、1つの態様においては、システム及びプロセスは、免疫療法を支援するために使用することができる。免疫療法は、がん、感染症、及びその他の疾患に抗するために患者の免疫系を強化する一種の処置である。例えば、免疫療法プロセスは、T細胞及び/又は天然のナチュラルキラー(NK:Natural Killer)細胞の産生を含むことができる。例えば、T細胞療法の間、患者の血液からT細胞が除去される。T細胞は次いで、生物反応器に送られ、増殖又は培養される。これに加えて、T細胞は、受容体と呼ばれる特定のタンパク質を有するように変化させることができる。T細胞上の受容体は、がん細胞等の体内の不要な細胞を認識し標的とするように設計される。改変されたT細胞は、或る特定の細胞密度に達するように生物反応器中で培養され、がん又はその他の疾患に抗するために患者の体内に供給される。T細胞療法は典型的には、キメラ抗原受容体(CAR:chimeric antigen recepter)T細胞療法と呼ばれる。CAR療法のためのT細胞の使用は、血液疾患への対抗における大きな成功によって、近年急増している。いくつかの実施形態においては、本発明の態様は、(CAR)T細胞療法において使用されるT細胞の健全性(health)をモニタリングするために使用することができる。いくつかの実施形態においては、本発明の態様は、T細胞の活性化、T細胞の消耗、及びT細胞の代謝等をモニタリングするために使用することができる。
【0132】
NK細胞は、体内の感染細胞を探し出して破壊することができる、一種の細胞傷害性リンパ球である。NK細胞は、非常に高速な免疫反応応答を示すことができる。したがって、抗がん治療におけるNK細胞の使用は、非常に大きな関心及び人気を集めてきた。しかしながら、哺乳動物の血液中には限られた数のNK細胞しかないため、生物反応器内で比較的高い細胞密度にまでNK細胞を増殖させる必要がある。
【0133】
T細胞、NK細胞、又はその他の哺乳類細胞等の細胞の培養は典型的に、植菌から患者における使用までに幾分複雑なプロセスを必要とする。本開示のシステム及びプロセスは、細胞が健全であること、及び/又は所望の代謝表現型を有すること、及び細胞が増殖している培地が最適化されたレベルの栄養素を含むことを確実にするために、培養プロセス中の任意の時点の間に、細胞代謝をモニタリングするために使用することができる。例えば、本システム及びプロセスは、細胞が増殖する際に、細胞の代謝適性を保証するための調節を行うために使用することができる。
【0134】
免疫細胞に加えて、がん細胞の代謝も、どの栄養素ががん細胞に栄養を供給するかの理解を提供するためにモニタリングすることもできる。例えば、本開示の例示の態様によるシステム及びプロセスは、増殖を阻害するためにがん細胞の代謝に影響を及ぼす機構又は要素を明らかにすることができる。本開示の例示の態様によるシステム及びプロセスはまた、がん細胞が増殖することができる速度を決定するために使用することができる。本開示のシステム及びプロセスはまた、毒物学(toxicology)における使用にも適している。例えば、本開示のプロセス及びシステムは、潜在的な治療薬のうちのミトコンドリア障害を検出するために使用することができる。例えば、ミトコンドリア毒性のリスクを、高い特異性及び感度で評価することができる。このようにして、いくつかのミトコンドリア毒性物質の作用機序を決定することができる。
【0135】
本開示の例示の態様によるシステム及びプロセスはまた、肥満、糖尿病、及び代謝障害の処置を支援するために使用することができる。例えば、本プロセス及びシステムは、代謝経路要素に対する遺伝子変化の機能的効果を測定するために使用することができる。健常細胞モデル及び疾患細胞モデルにおいて使用される栄養素を、検査することができる。さらに、脂肪酸の酸化及び解糖が、異なる細胞タイプで評価されてもよい。
【0136】
細胞物質に関連する細胞パラメータを測定する場合には、対象の成分は、細胞内に含まれるものとすることができるし、又は細胞を囲む培地から測定することができる。例えば、細胞パラメータ又は成分は、細胞によって周囲の培地へと分泌され、測定することができる。試料ステージングサイトは、接着細胞及び懸濁細胞の両方、更には単離されたミトコンドリアとの適合性を有するように構成することができる。
【0137】
蛍光体を試験し測定する場合には、いくつかの状況下では、単一の測定を行うことができる。しかしながら、システム及びプロセスは、生物学的パラメータに関連する蛍光体の蛍光寿命又は蛍光強度の複数の決定を可能とするために、非常に迅速に複数の測定を行うのに適しているものとすることができる。例えば、著しい多重化能力と組み合わせた高速のサイクル時間が、蛍光体の複数の測定を非常に迅速に実施することを可能にする。例えば、細胞パラメータに関連する蛍光体の蛍光寿命又は蛍光強度は、約60秒未満、例えば約30秒未満、例えば約10秒未満、例えば約5秒未満、例えば約1秒未満、例えば更には約0.5秒未満で、複数回決定することができる。上述した期間内に、蛍光体は10回よりも多く、例えば100回よりも多く、例えば200回よりも多く、測定することができる。複数の測定は、変化率を決定するために使用することができ、及び/又は精度を改善するために平均化することができる。
【0138】
図11に示されるようなシステムは、成分の存在、及び/又は成分若しくはパラメータ濃度の存在を測定するための、多数の多様な機器に組み込むことができる。
図9及び
図10並びに
図12A~
図13を参照すると、
図11に示されるコンポーネントを組み込んだシステムの1つの実施形態が示されている。
図9及び
図10並びに
図12A及び
図12Bに示されるシステムは、細胞物質等の生物学的試料の複数のアッセイを同時に実施するのに特に適している。例えば、
図9及び
図10に示されるシステムは、複数の生物学的試料を同時に試験し、各試料中の1つ以上の成分又は細胞パラメータを同時に試験するために使用することができる。
【0139】
単に例示の目的のために、
図9及び
図10における本発明は、生細胞の代謝プロセスのモニタリングに適した機器構成で実証されている。
図9及び
図10の実施形態は、決して本開示の範囲を限定することを意図されたものではない。本開示の光学的検出システムは、任意の適切な生物学的センサ又は撮像システムに組み込むことができる。
図9及び
図10に示されるように、本システムは、生物学的試料を受容するための複数の試料ステージングサイトを画定するマイクロプレート30を含む。マイクロプレート30は、装置に装填(load)されたマイクロプレート30に向かって及びマイクロプレート30から離れるように移動するように構成されている、複数のプランジャ又はプローブ32と関連付けて配置されるように設計されている。各プランジャ32は、光パイプ34と連通している。光パイプ34は、単一の光ファイバとすることができるし、又は図示されるように光ファイバの束とすることができる。光パイプ34は、マイクロプレート30中に収容された生物学的試料に光を送達し、蛍光放射を飛行時間センサに伝達するためのものである。
【0140】
図9及び
図10に示されるように、本システムは、プランジャ32を保持することができる装着ブロック36を含むことができる。装着ブロックは、装着ブロック36を前後に往復運動させるためのモータと動作可能に関連していてもよい。代替としては、マイクロプレート30は、マイクロプレートをプランジャ32に接触させるように持ち上げるプラットフォーム上に配置することができる。
【0141】
光パイプ34は、光源及び飛行時間センサと連通するように配置することもできる。飛行時間センサ及び/又は光源はまた、1つ以上のプロセッサ92(
図10)と連通するように配置することができる。1つ以上のプロセッサ92は、本明細書に記載されるシステム及びプロセスのいずれかに従って、飛行時間センサから測定値を取得し処理することができる。1つ以上のプロセッサ92は、ディスプレイ装置94又はその他の適切なユーザインタフェース(複数の場合もある)(例えば音声、視覚、及び/又は対話型インタフェース)を介して、ユーザに情報を提供することができる。
【0142】
図12A及び
図12Bを参照すると、生物学的試料を保持し、試料に1つ以上の流体を送達し、試料をプランジャ32と連通するように配置するのを支援するために使用することができる、マイクロプレート30の1つの実施形態が示されている。マイクロプレート30は、複数の試料ステージングサイト42を画定するウェルプレート40を含むことができる。ウェルプレート40は、取外し可能なカバー44と組み合わせることができる。
図12Aに示されたウェルプレート40は、24個所の試料ステージングサイト42を含むように示されているが、以上に説明されたように、ウェルプレート40は、より多くの又はより少ない試料ステージングサイト42を含むことができることは、理解されるべきである。実際、試料ステージングサイト42の数は、1個から数千個以上まで変更することができる。いくつかの実施形態においては、ほぼ任意のサイズの単一の試料ステージングサイトが作製することができるし、又は複数の試料ステージングサイトを1次元又は2次元の配置で作製することもできる。
【0143】
再び
図12A及び
図12Bを参照すると、マイクロプレート30は、概して、フレーム46を含む平面的な要素である。マイクロプレート30の種々の要素は、成形プラスチック等の任意の適切な材料又はモジュール式ガラス固定具から作ることができる。フレーム46は、複数の領域50を画定する表面48を含むことができる。複数の領域50は、
図9及び
図10に示されたプランジャの数及び位置に対応することができる。同様に、複数の領域50の数及び位置はまた、試料ステージングサイト42の数及び位置に対応する。
図12Aに示された実施形態においては、各領域50は、第1のポート52、第2のポート52、第3のポート52、及び第4のポート52を含む。注入ポート52は、以下により詳細に説明されるように、試料ステージングサイト42への気体及び/又は試薬の送達を容易化する。各領域50はまた、対応するプランジャ32を受容するための中央開口54を含む。注入ポート52は、4つのポートの群を単一の試料ステージングサイト42上に位置決めすることができるようなサイズとされ、位置決めされる。4つのポートからの気体又は液体は、それぞれの試料ステージングサイト42に送達することができる。他の実施形態においては、各領域中のポートの数は、4よりも少なくすることもできるし、又は4よりも多くすることができる。中央開口54及び各対応するプランジャ32は、横方向の移動に対応することによってウェルプレート内でネストする(nest:入れ子にする)ことを可能とするように、ウェルプレート40に対して適合的に装着することができる。
【0144】
ポート52のそれぞれは、フレーム46の表面48を貫通する開口部を画定する円筒形、円錐形又は立方体の形状を有することができる。各注入ポート52はまた、毛細管開口等の小さな穴を除いて、試料ステージングサイト42に面する底部で閉鎖され得る。開口又は穴は、底面に沿ってセンタリングされるようにすることができる。毛細管開口は、正圧差力、負圧差力、又はことによると遠心力等の外力がない場合に、例えば表面張力によって、ポート52中に試験流体を保持するようになっている。各ポート52は、気体、試験流体に対して不浸透性であるポリマー材料から、又はその他の任意の固体材料から、作製することができる。各ポート52の液体体積は変更することができる。1つの態様においては、例えば、各ポート52の液体体積は、200マイクロリットル~約500マイクロリットルの範囲とすることができるが、この範囲外の体積も想到される。
【0145】
図12Bを参照すると、マイクロプレート30が反転させられた構成で示されている。これに加えて、プランジャ32がフレーム46の中央開口を通って延在して示されている。プランジャ32は、試験される生物学的試料と近接させられるために、試料ステージングサイト42のそれぞれに挿入されるようになっている。
【0146】
取外し可能なカバー44も、
図12Bに示されている。カバー44は、試料の又はマイクロプレート内に配置された培地の蒸発又は汚染を防止することを助けるために使用することができる。
【0147】
図13を参照すると、単一の試料ステージングサイト42の断面図が示されている。試料ステージングサイト42は、培地60に含まれる生物学的試料58を収容する。生物学的試料58は、試験されるべき1つ以上の成分又は細胞パラメータを含む。
図13においては、プローブ又はプランジャ32が、プランジャ32が生物学的試料58に接触するか又は近接するように、試料ステージングサイト42に関連して示されている。以上に説明されたように、プランジャ32は、
図13に示されるような試験位置と、プランジャが試料ステージングサイト42から引き抜かれる非係合位置との間で往復運動するように設計されている。
【0148】
液体及び気体等の流体を試料ステージングサイト42に送達するように設計された、2つの注入ポート52も示されている。例えば、1つの実施形態においては、ポート52は、外部気体供給部62及び内部空気制御部64と連通することができる。外部気体供給部62及び内部空気制御部64は、培地60の上方のヘッドスペースに供給される又はヘッドスペースから除去される気体を制御することができる。内部空気制御部64は、薬物化合物等の流体を送達するためにポート52を加圧する小型の内部コンプレッサを介して圧縮された、機器の内部からの周囲空気とすることができる。ヘッドスペースへの気体の送達は、低酸素症、無酸素症、又は酸素正常状態及び/又は低pHを模倣する状態を作り出すための、試験試料の周りの環境の操作を可能にすることができる。いくつかの実施形態においては、ヘッドスペース中の又は培地中の気体の組成を制御するために、培地60の表面上の試料ステージングサイト42において、窒素等の生物学的に不活性な気体を培地60に注入することができる。この気体は、望ましい場合には、ヘッドスペースをフラッシュするために使用されてもよい。
【0149】
以上に説明されたように、例えば、各試料ステージングサイト42は、4つのポート52と組み合わせることができる。注入ポート52は、試料ステージングサイト42内の生物学的試料58に様々な化合物を送達するために使用することができる。例えば、本機器上で実行される一般的な試験は、ミトコンドリアストレス試験である。このアッセイにおいては、様々な化合物(オリゴマイシン、FCCP、ロテノン及びアンチマイシン)に対する生物学的試料の応答を測定するために、マイクロプレートの薬剤ポートを通して一連の注入が行われる。これらの化合物は、アッセイの実行に先立ってマイクロプレート上の薬剤リザーバ(ポート)にあらかじめ装填されている。マイクロプレートは、本機器に挿入されると、マニホールドに結合され、該マニホールドは、ソレノイド弁によって作動させられると、リザーバのヘッドスペースに空気圧を提供し、小さなオリフィスを通して生物学的試料を収容する試料ステージングサイト42へと化合物を移動させる。空気圧マニホールド及び弁システムは、これらのポートのうちの1つを外部の気体供給源(ガスボンベ又はボトル)に向け直すように変更することができる。気体供給部は、後部コネクタパネル上のポートを通して、本機器に接続することができる。ボトルは、本機器の近くに位置させることができ、流入気体を加湿するためのレギュレータ及びバブラ(bubbler)を含むことができる。ソレノイド弁は、作動させられると開き、気体がマニホールド/マイクロプレートの界面を通り、薬剤ポートオリフィスを通って、生物学的試料の上方のヘッドスペースへと流れることを可能にすることができる。プランジャ(プローブ)を鉛直に振動させることによって、気体が培地と混合されることとなり、試料に利用可能な酸素の制御を可能にする。例えば、窒素をヘッドスペース内へと灌流することによって、培地中の利用可能なO2が置換され、より低酸素の状態が試料の周りに作り出される。気体を止めて混合することによって、O2の周囲レベルを再確立することができる。
【0150】
いくつかの実施態様においては、生物学的に活性である物質の溶液の供給源は、試料を該物質に曝露するために試料ステージングサイト42中の培地と流体連通することができる。
【0151】
各試料ステージングサイト42に関連付けられたポート52の数は、試験の間に試料ステージングサイト42に加えることができる要素の数を決定する。いくつかの実施態様においては、試験を行うために流体は必要とされない。以上に説明されたようなミトコンドリアストレス試験を実施する場合等の他の実施態様においては、生物学的試料58を囲む状態に影響を及ぼすために、複数の異なる要素を試料ステージングサイトに供給することができる。複数の注入ポート52を有することによって、本システム及びプロセスはまた、各単一のステージングサイト42ごとに複数の状態の試験を可能とすることができる。ミトコンドリアストレス試験に加えて、
図9及び
図10並びに
図12A~
図13に示されるシステムを使用して操作することができる他の試験は、解糖及びミトコンドリア呼吸からのATP産生の速度を同時に測定するATP速度アッセイ試験、生細胞における解糖を測定し、他のアッセイにおいては識別できない一過性の応答及び急速な代謝スイッチを明らかにする解糖アッセイ試験、生細胞における酸素消費量の変化を評価することによって細胞基質酸化を測定する基質酸化試験、並びにミトコンドリア呼吸及び解糖を測定する細胞エネルギー表現型試験である。
【0152】
図13に示されるように、プランジャ又はプローブ32は、蛍光寿命及び/又は蛍光強度を測定するために、励起光を生物学的試料58に送達し、飛行時間センサに蛍光放射を伝送する、複数の光ファイバ34を含む。或る特定の用途においては、生物学的試料58中の試験される成分は、自家蛍光性のものとすることができるし、又は、蛍光体が、励起光と接触したときに該成分に蛍光放射を起こさせるために生物学的試料58に対して内因性のものである。本開示のシステムは、FLIMを使用した画像の生成にも適している。この画像は、NAD(P)Hを含む様々なパラメータの測定を行うために使用することができる。
【0153】
代替としては、本システムは、蛍光放射を受ける際に、生物学的成分の存在によって影響を受ける、蛍光体等の1つ以上の蛍光放射剤を、生物学的試料58に送達することができる。例えば、
図13に示されるように、プランジャ32は、一対の蛍光体センサ66及び68を含むことができる。蛍光体センサ66と蛍光体センサ68とは、異なる成分又は同じ成分を異なる条件下で測定するために、同じものとすることができるし、又は異なるものとすることができる。
【0154】
蛍光体センサ66及び68は、蛍光放射を促進する任意の適切な蛍光体又は蛍光剤を含むことができる。一般的に、蛍光体は、特定の波長の光エネルギーを吸収し、より長い波長等の異なる波長で光を再放射する。吸収される波長、エネルギー伝達効率、及び発光までの時間は、蛍光体の構造及びその化学的環境の両方に依存する。
【0155】
測定される成分が酸素濃度又は酸素分圧である場合には、シリコーンゴム又はポリウレタンヒドロゲル等の酸素透過性ポリマー中に、粒子として固定化された又は均一に分散させられた、ポルフィリン、ルテニウム、又はローダミン化合物等の蛍光体が、酸素濃度に反比例する信号を用いて使用することができる。pHを測定する場合には、蛍光指示色素が蛍光体センサに組み込まれてもよい。かかる色素の1つはフルオレセインであり、その信号は色素のプロトン化に伴って減少し、キャリアポリマー中に懸濁した又は親水性ポリマーに共有結合した粒子の中にあるか、該粒子上にあるか、又は該粒子に閉じ込められている。
【0156】
pHを示す、とり得る蛍光体のリストは、限定するものではないが、以下のにおけるものを含む。
【0157】
【0158】
以上は、リン酸緩衝溶液中の5.2~7.9のpHにおける色素の蛍光寿命を提供するものである。データは、酸素化溶液及び脱酸素化溶液についてのものである。
【0159】
二酸化炭素を測定する場合、pHに敏感なトランスデューサに基づくセンサを使用することができる。水との二酸化炭素の反応による炭酸の生成によって、蛍光が間接的に変調させられてもよい。
【0160】
グルコースを検出する蛍光体が使用されてもよく、例えば、グルコースと複合体化し、プローブの蛍光を変調させる電荷移動をもたらす、ボロンプローブを使用する、非酵素的な変換に基づくもの、又は、グルコースオキシダーゼを蛍光酸素センサに結合させ、グルコースの結合及び酸化が酸素センサの定量的変調をもたらす、酵素的なグルコーストランスデューサが使用されてもよい。また、例えば乳酸、アンモニア、又は尿素等の生物学的分子に対して感度の高い蛍光体又はその他のタイプのセンサを採用することも、本開示の実施形態の範囲内である。乳酸センサは、酵素センサ構成に基づくものであってもよく、乳酸オキシダーゼが蛍光酸素センサに結合し、乳酸の結合及び酸化が酸素センサの定量的変調をもたらす。アンモニア又はアンモニウムイオンセンサは、疎水性の気体透過性ポリマー中にプロトン化pH指示薬を固定化し、過渡的なアンモニアとの反応によって蛍光出力を定量的に変調するように構成されてもよい。尿素センサは、ウレアーゼを蛍光性アンモニアトランスデューサに結合させた、酵素センサ構成に基づくものであってもよく、アンモニアへの尿素の結合及び還元が、アンモニアセンサの蛍光の変調をもたらす。センサの性質は、概して、この発明の実施形態の態様を形成するものではない。
【0161】
図13に示されるように、蛍光体源は、生物学的物質と連通するように配置されたプランジャ又はプローブ上に位置することができる。代替としては、蛍光体源は、生物学的物質試料中に位置することができる。生物学的試料は細胞を含むことができ、蛍光体は細胞内、細胞上に位置することができ、又は細胞を囲む微小環境中に位置することができる。1つの実施形態においては、蛍光体は、プランジャ若しくはプローブに結合されたナノ粒子若しくはマイクロ粒子中に封入されることができるか、細胞を囲む懸濁液中にあるか、又は細胞を囲む溶液中にある。
【0162】
1つの態様においては、蛍光体センサはまた、消光剤を含むこともできる。消光剤は、蛍光信号に影響を与えることによって、測定を容易化することができる。1つの態様においては、例えば、酸素消光蛍光体センサが使用される。
【0163】
図13に示されるように、プランジャ32は、生物学的試料58と関連付けて配置されるために、試料ステージングサイト42へと降下するように設計されている。1つの態様においては、プランジャ32は、マイクロチャンバ70を形成するように降下させることができる。マイクロチャンバの作成は、変化する成分又はパラメータの迅速なリアルタイム測定を可能にする。マイクロチャンバの形成は、例えば、細胞外培地中の変化する酸素濃度及びプロトン濃度の測定を可能にする。より詳細には、マイクロチャンバ70は、高濃度の体積の生物学的試料58又はより大容量の細胞培地内の細胞の、一時的な作成を可能にする。このことは、細胞の生物学的活性に起因する培地の成分の変化の、高感度な測定を可能とする。
【0164】
1つの実施形態においては、望ましい場合には、プランジャ32は、生物学的試料58の上方の培地のカラム中に静水圧を作り出すことによって、灌流を提供することもできる。例えば、プランジャ32は、試料ステージングサイト42を貫通して鉛直に往復し、培地が、生物学的試料58を横切って、時には貫通して流れるようにすることができる。プランジャ32を上下に動かすことによって、培地が生物学的試料58を横切って動かされ、栄養分を補給し、酸素を供給し、老廃物を一掃する。したがって、生物学的試料58の周りの微小環境を、測定の間に連続的に灌流することができる。プランジャ32が試料ステージングサイト42の底部へと移動すると、動きが停止され、小さな過渡的な体積が作り出され、測定が行われる。試料ステージングサイト42を通る灌流の効率は、ストロークの高さ、速度、及びプランジャ32と試料ステージングサイト42の底部との間の間隔を変更することによって、向上させることができる。
【0165】
図9~
図13に詳細に示される器具は、単なる例示を目的としたものにすぎない例示的な実施形態として提示されたものであり、本明細書のビジュアルインタフェース並びに関連付けられた実験ビルダ及びプレートアッセイビルダに具現化される本システム及び本方法は、特に、それらの器具がマイクロプレート等のアッセイのグリッド又はアレイを組み込んでいる場合に、任意の数の異なる器具並びに関連付けられた撮像モダリティ及び/又は検知モダリティ(例えば、バイオインピーダンス、細胞外記録、蛍光、吸光、ルミネッセンス、時間分解等)の実験コンピューティングシステムと連携して動作するように実施することもできるし、別の方法で統合することもできることが理解される。
【0166】
例示的な器具は、限定されることなく、リアルタイム細胞分析器具(例えば、米国カリフォルニア州サンタクララにあるAgilent Technologies社製のxCELLigence RTCAアナライザ及びマイクロプレート)、リアルタイム細胞メタボリックアナライザ(例えば、Agilent Seahorse XFアナライザ)、ベンチトップフローサイトメータ(例えばAgilent NovoCyteサイトメータ)、細胞撮像マルチモードマイクロプレートリーダ(例えば、BioTekシナジーアンドサイテーションマイクロプレートリーダ)、マイクロプレート分光光度計(例えば、BioTek Epoch)、マイクロプレート吸光リーダ(例えば、BioTek 800 TS)、微生物学リーダ(例えば、BioTek LogPhase600)、自動化液体分注&ハンドリング器具(例えば、BioTekウォッシャ、ディスペンサ、Agilent Bravo自動化液体ハンドリングプラットフォーム等)、自動化インキュベータ(例えば、BioTek 8インキュベータ)、マイクロプレートスタッカ(例えば、BioTek BioStack)、及び自動化細胞イメージャ(例えば、BioTek Lionheartイメージャ)を含むことができる。
【0167】
マイクロプレートを使用する細胞分析/準備用に構成されている器具に加えて、本明細書のビジュアルインタフェース並びに関連付けられた実験ビルダ及びプレートアッセイビルダに具現化される本システム及び本方法は、他の試料保持レセプタクル(例えば、バイアル、チャンバ等)のアレイを使用する器具、及び、組織試料、又は非生物構成要素、化合物等の試料を分析する器具(例えば、液体クロマトグラフィ器具等)の実験コンピューティングシステムと連携して動作するように実施することもできる。
【0168】
科学的器具に加えて、本明細書のビジュアルインタフェース並びに関連付けられた実験ビルダ及びプレートアッセイビルダに具現化される本システム及び本方法は、表又はグリッドに編成されたセルにおける複数のレプリケートデータ点(メタデータ)の割り当て、追跡及び分析を必要とする任意の操作と連携して動作するように実施することもできる。一例は、列及び行を有するセルのグリッドにデータを編成するExcelスプレッドシートであるが、Excelの場合には、セルごとに1つのデータ点しかない。
【0169】
[例示の方法]
図6は、本開示の例示の実施形態に従って動作する一例示の方法のフローチャート図を示している。
図6は、説明及び論述を目的として特定の順序で実行されるステップを示しているが、本開示の本方法は、特に図示した順序又は配列に限定されるものではない。方法600の様々なステップは、本開示の範囲から逸脱することなく省略、並べ替え、結合、及び/又は様々な方法による適合を行うことができる。
【0170】
602において、コンピューティングシステムは、表示用のプレート実験インタフェースを提供することができる。プレート実験インタフェースは、ユーザコンピューティングデバイスのディスプレイを介して表示することができ、1つ以上のグラフィック要素を含むことができる。いくつかの実施態様においては、プレート実験インタフェースは、複数の試料(例えば、複数のウェル)を表すプレートマップを含むことができる。加えて、いくつかの実施態様においては、プレート実験インタフェースは、1つ以上のパラメータタイプを表す1つ以上のタブを含むことができ、各タブは、選択されると、割り当て用の種々のパラメータ情報を表示する。プレート実験インタフェースは、異なるパラメータを有する様々なグループを記述するグループ化列を更に含むことができる。
【0171】
604において、コンピューティングシステムは、新たなパラメータ設定を生成する1つ以上の入力を受信することができる。新たなパラメータ設定は、注入パラメータ設定、前処理パラメータ設定、アッセイ培地パラメータ設定、細胞タイプパラメータ設定、及び/又は他の任意のタイプのパラメータ設定とすることができる。これらの入力は、既存のパラメータ設定を選択することもできるし、ユーザ定義のパラメータ設定を作成する入力とすることもできる。パラメータ設定は、実験のタイプ及び/又は以前の選択に基づいて変更することができる。
【0172】
606において、コンピューティングシステムは、1つ以上の入力に基づいて新たなパラメータ設定を生成することができる。パラメータ設定を生成することによって、これらのパラメータ設定を、割り当て用の可能なパラメータ設定を表示するパラメータ列に表示することができる。
【0173】
608において、コンピューティングシステムは、プレートマップに表された1つ以上のウェルに新たなパラメータ設定を割り当てる1つ以上の選択を受信することができる。これらの1つ以上の選択は、ドラッグアンドドロップの選択、ジェスチャ入力等とすることができる。
【0174】
610において、コンピューティングシステムは、表示用の更新されたプレート実験インタフェースを提供することができる。更新されたプレート実験インタフェースは、1つ以上のウェルへの1つ以上のパラメータ設定の割り当てを示す1つ以上のインディシアを有するプレートマップを含むことができる。いくつかの実施態様においては、第1のインディシアは、新たなパラメータ設定の割り当てを示すことができ、第2のインディシアは、この割り当てに応答して作成される新たなグループ化を示すことができる。いくつかの実施態様においては、第1のインディシアは、文字(例えば、数字)とすることができ、第2のインディシアは、色(例えば、赤色)とすることができる。
【0175】
いくつかの実施態様においては、コンピューティングシステムは、本方法を繰り返し完了することができる。例えば、コンピューティングシステムは、第2のパラメータ設定を生成する1つ以上の第2の入力を受信することができる。コンピューティングシステムは、その後、これらの1つ以上の第2の入力に基づいて第2のパラメータ設定を生成することができる。コンピューティングシステムは、プレートマップに表された1つ以上のウェルのサブセットに第2のパラメータ設定を割り当てる1つ以上の選択を受信することができる。コンピューティングシステムは、その後、表示用の調整されたプレート実験インタフェースを提供することができる。上記1つ以上のウェルのサブセットは、第2のグループ化を示す第2の色を用いて表示することができ、上記1つ以上のウェルのサブセットは、当該1つ以上のウェルのサブセットが第2のパラメータ設定を割り当てられていることを示す第2の文字を用いて表示することができる。
【0176】
図7は、本開示の例示の実施形態に従って動作する一例示の方法のフローチャート図を示している。
図7は、説明及び論述を目的として特定の順序で実行されるステップを示しているが、本開示の本方法は、特に図示した順序又は配列に限定されるものではない。方法700の様々なステップは、本開示の範囲から逸脱することなく省略、並べ替え、結合、及び/又は様々な方法による適合を行うことができる。
【0177】
702において、コンピューティングシステムは、パラメータ設定を生成する1つ以上の入力を受信することができる。これらの1つ以上の入力は、タッチスクリーン、マウス、及び/又はキーボードのキーによって受信された入力とすることができる。パラメータ設定は、注入する化学化合物、ウェルの前処理等の所望の実験パラメータを示す設定とすることができる。
【0178】
704において、コンピューティングシステムは、1つ以上の入力に基づいてパラメータ設定を生成することができる。パラメータ設定を生成することは、1つ以上の入力を処理することと、所望の応答を決定することとを含むことができる。
【0179】
706において、コンピューティングシステムは、パラメータを割り当てるための1つ以上の試料の選択を受信することができる。1つ以上の試料は、プレート実験におけるウェル、複数の基質、及び/又は試験を行う検体とすることができる。
【0180】
708において、コンピューティングシステムは、パラメータ設定を1つ以上の試料に割り当てることができる。パラメータ設定の割り当ては、様々な選択タイプを伴うことができ、構築されている実験のタイプに適合させることができる。
【0181】
710において、コンピューティングシステムは、表示用のプレートマップを提供することができる。このプレートマップは、複数の試料に割り当てられた1つ以上のパラメータ設定を記述する1つ以上のインディシアを含むように更新することができる。例えば、1つ以上の試料を記述するボックスのうちの1つ以上にある数字1は、第1のパラメータ設定が試料に割り当てられていることを示すことができる。いくつかの実施態様においては、パラメータ列を、プレートマップと同時に表示するために提供することができる。このパラメータ列は、パラメータタイプを記述するタイトルと、1つ以上の割り当て準備済みパラメータとを含むことができ、ここで、1つ以上の割り当て準備済みパラメータは、パラメータ設定を含むことができる。割り当て準備済みパラメータは、選択することができるとともに1つ以上の試料を表す1つ以上のセルに割り当てることができるパラメータ設定とすることができる。
【0182】
図8は、本開示の例示の実施形態に従って動作する一例示の方法のフローチャート図を示している。
図8は、説明及び論述を目的として特定の順序で実行されるステップを示しているが、本開示の本方法は、特に図示した順序又は配列に限定されるものではない。方法800の様々なステップは、本開示の範囲から逸脱することなく省略、並べ替え、結合、及び/又は様々な方法による適合を行うことができる。
【0183】
802において、コンピューティングシステムは、パラメータ設定を生成する1つ以上の入力を受信することができる。これらの1つ以上の入力は、パラメータタブを選択する1つ以上の入力を含むことができるとともに、既定のパラメータの選択又は新たなパラメータの作成を行う1つ以上の入力を含むことができる。
【0184】
804において、コンピューティングシステムは、1つ以上の入力に基づいてパラメータ設定を生成することができる。パラメータ設定を生成することは、ポップアップメニューの1つ以上のセクションを用いた入力を受信することを伴うことができる。
【0185】
806において、コンピューティングシステムは、パラメータ割り当て用の1つ以上のウェルの選択を受信し、パラメータ設定を1つ以上のウェルに割り当てることができる。1つ以上のウェルの選択は、プレートマップの内部でクリック及びドラッグを行い、複数のウェルを選択することを伴うことができる。例えば、ユーザは、第1のウェルを表す第1のボックス内をクリックし、横にドラッグして第1のウェルの横にあるウェルの選択、上及び/又は下にドラッグして第1のウェルの上若しくは下にあるウェルの選択、及び/又は斜めにドラッグしてプレート実験インタフェースとともに表示される長方形内のウェルの選択を行うことができる。
【0186】
808において、コンピューティングシステムは、表示用のプレートマップを提供することができる。プレートマップは、複数のグループを表す複数の色と、複数のパラメータ割り当てを表す複数の文字とを含むことができる。
【0187】
810において、コンピューティングシステムは、実験を開始する選択入力を受信することができる。この選択入力は、最終決定選択を含むことができる。いくつかの実施態様においては、この選択入力は、実験行為を完了するために実験器具にアップロードすることができるファイルを作成することができるダウンロードグラフィックの選択を含むことができる。
【0188】
812において、コンピューティングシステムは、パラメータ設定及び選択入力に基づいて1つ以上の注入器具を制御することができる。注入器具は、選択入力に応答して1つ以上の化学化合物を注入することができる。例えば、固定量の化学化合物を、パラメータ設定がユーザによって割り当てられた各ウェルに注入することができる。
【0189】
[更なる開示]
本明細書において論述した技術は、サーバ、データベース、ソフトウェアアプリケーション、及び他のコンピュータベースのシステム、並びにそのようなシステムによって取られる動作及びそのようなシステムへ及びそのようなシステムから送信される情報に言及している。コンピュータベースのシステムの本来的な柔軟性によって、コンポーネント間でのタスク及び機能の多種多様の可能な構成、組み合わせ、及び分割が可能になる。例えば、本明細書において論述したプロセスは、単一のデバイス又はコンポーネントを使用して実施することもできるし、組み合わせて動作する複数のデバイス又はコンポーネントを使用して実施することもできる。データベース及びアプリケーションは、単一のシステム上で実施することもできるし、複数のシステムにわたって分散させることもできる。分散されたコンポーネントは、逐次的に動作することもできるし、並列に動作することもできる。
【0190】
本主題について、本主題の様々な特定の例示の実施形態に関して詳細に説明してきたが、各例は、本開示の限定ではなく説明を目的として提供されたものである。当業者であれば、上記内容を理解すると、そのような実施形態の変更形態、変形形態、及び均等の形態を容易に作り出すことができる。したがって、本主題の開示は、当業者に容易に明らかであるような本主題に対するそのような変更、変形及び/又は追加を含めることを排除するものではない。例えば、1つの実施形態の一部として図示又は説明された特徴を別の実施形態とともに使用して、別の更なる実施形態を得ることができる。したがって、本開示は、そのような変更形態、変形形態、及び均等形態を包含することが意図されている。
【国際調査報告】