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特表2024-523280GHR結合ペプチドおよびそれを含む組成物
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  • 特表-GHR結合ペプチドおよびそれを含む組成物 図1
  • 特表-GHR結合ペプチドおよびそれを含む組成物 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】GHR結合ペプチドおよびそれを含む組成物
(51)【国際特許分類】
   C07K 4/00 20060101AFI20240621BHJP
   A61P 5/08 20060101ALI20240621BHJP
   A61K 38/12 20060101ALI20240621BHJP
   A61K 38/10 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
C07K4/00 ZNA
A61P5/08
A61K38/12
A61K38/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023576426
(86)(22)【出願日】2022-06-17
(85)【翻訳文提出日】2024-02-08
(86)【国際出願番号】 JP2022024395
(87)【国際公開番号】W WO2022265109
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】63/212,596
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506269633
【氏名又は名称】ペプチドリーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094640
【弁理士】
【氏名又は名称】紺野 昭男
(74)【代理人】
【識別番号】100103447
【弁理士】
【氏名又は名称】井波 実
(74)【代理人】
【識別番号】100111730
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 武泰
(74)【代理人】
【識別番号】100180873
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 慶政
(72)【発明者】
【氏名】富山 達也
(72)【発明者】
【氏名】倉崎 晴彰
(72)【発明者】
【氏名】松井 克磨
(72)【発明者】
【氏名】増田 吉昭
(72)【発明者】
【氏名】海津 正賢
【テーマコード(参考)】
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA03
4C084AA07
4C084BA01
4C084BA18
4C084BA25
4C084BA28
4C084DB70
4C084MA52
4C084MA55
4C084NA14
4C084ZC041
4C084ZC042
4C084ZC421
4C084ZC422
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA16
4H045EA20
4H045FA34
4H045GA25
4H045GA26
(57)【要約】
本発明は、一般に、成長ホルモン受容体(GhR)に結合するペプチド、GhRに結合し、かつアンタゴニスト活性を有するペプチド、およびそのようなペプチドを含む組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のアミノ酸配列のペプチドまたはその塩:
X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-X8-X9-X10-X11-X12-X13(配列番号1)
(式中:
X1が、芳香環を有するアミノ酸またはその置換体であり;
X2が、N-アルキルアミノ酸またはその修飾体であり;
X3およびX4が、それぞれ、分岐鎖アミノ酸であり;
X5が、任意のアミノ酸であり;
X6が、Nであり;
X7が、Wまたはその置換体であり;
X8が、芳香環を有するアミノ酸またはその置換体であり;
X9が、Kまたはその置物であるか、あるいはRまたはその置換体であり;
X10が、芳香環を有するアミノ酸またはその置換体であり;
X11が、Aまたはその置換体であるか、あるいはKまたはその置換体であり;
X12が、任意のアミノ酸であり;そして
X13が、Cである)
であって、
前記ペプチドまたはその塩が、置換、欠失、付加、または挿入を含まないか、1つ、2つ、または3つの置換、欠失、付加、または挿入を含み、かつ、前記ペプチドまたはその塩がGhRに対する結合性を有する、
ペプチドまたはその塩。
【請求項2】
X2が、N-メチルリジンまたはその修飾体であり;
X3およびX4が、それぞれ、Vであり;
X5が、Sであり;
X7が、置換されたWであり;
X8が、Fまたはその置換体であるか、あるいはYまたはその置換体であり;
X9が、Kまたはその置換体であるか、あるいはRまたはその置換体であり;
X10が、置換されたWであり;
X11は、Aまたはその置換体であるか、あるいはKまたはその置換体であり;
X12が、Vである、請求項1に記載のペプチドまたはその塩。
【請求項3】
X2がN-メチルリジンまたはその修飾体であり;X7が1-(カルボキシメチル)-L-トリプトファン(W1aa)であり;X2およびX7の前記アミノ酸残基が結合している、請求項2に記載のペプチドまたはその塩。
【請求項4】
X2が、アルブミン結合剤が結合したN-メチルリジンである、請求項2に記載のペプチドまたはその塩。
【請求項5】
前記アルブミン結合剤が、4IphpCO、Biph4pCO、PhPeCO、PhpCO、cC14COO、または4MePhpCOである、請求項4に記載のペプチドまたはその塩。
【請求項6】
X1が、Y、4Py、またはF4COOであり;
X8が、YまたはF4COOであり;
X9が、K、KCOpipzaa、Hgn、Ahp、またはHarであり;
X10が、W5Hであり;
X11が、AibまたはA4pipaaである、請求項3~5のいずれか一項に記載のペプチドまたはその塩。
【請求項7】
前記ペプチドまたはその塩が、F4COO-MeK-V-V-S-N-W1aa-F4COO-K-W5H-Aib-V-C(配列番号10)によって表される配列を有し;
前記ペプチドまたはその塩が、1つ、2つ、または3つの置換、欠失、付加、または挿入を含み;
配列番号10における2番目および7番目のアミノ酸残基が結合しており;
前記ペプチドまたはその塩が、ヒト成長因子受容体(hGhR)に対する結合性を有する、請求項1に記載のペプチドまたはその塩。
【請求項8】
前記ペプチドまたはその塩が、Y-MeK-V-V-S-N-W5OMe-F4COO-K-W5H-A4pipaa-V-C(配列番号30)によって表される配列を有し;
前記ペプチドまたはその塩が、1つ、2つ、または3つの置換、欠失、付加、または挿入を含んでいてもよく;
アルブミン結合剤がMeKに結合しており;
前記ペプチドまたはその塩がhGhRに対する結合性を有する、請求項1に記載のペプチドまたはその塩。
【請求項9】
前記アルブミン結合剤が、4IphpCO、Biph4pCO、PhPeCO、PhpCO、cC14COO、または4MePhpCOである、請求項8に記載のペプチドまたはその塩。
【請求項10】
前記ペプチドまたはその塩が環状ペプチドである、請求項1、7、8および9のいずれか一項に記載のペプチドまたはその塩。
【請求項11】
前記ペプチドまたはその塩が、X1におけるクロロアセチル化されたアミノ酸、およびシステイン残基を有する環状構造を有し;前記X1におけるクロロアセチル化されたアミノ酸および前記システイン残基が結合している、請求項10に記載のペプチドまたはその塩。
【請求項12】
前記ペプチドまたはその塩が、配列番号2~9、11~29、および31から選択されるアミノ酸配列からなる、請求項1に記載のペプチドまたはその塩。
【請求項13】
前記ペプチドまたはその塩が、リンカーがC末端に付加された、配列番号2~9、11~29、および31から選択されるアミノ酸配列からなる、請求項1に記載のペプチドまたはその塩。
【請求項14】
前記リンカーが、配列番号32および35から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項13に記載のペプチドまたはその塩。
【請求項15】
前記ペプチドまたはその塩がhGhRアンタゴニスト活性を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載のペプチドまたはその塩
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載のペプチドまたはその塩、および薬学的に許容される担体、賦形剤、または添加剤を含有する、医薬組成物。
【請求項17】
前記医薬組成物がhGhRアンタゴニスト活性を有する、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
ヒト成長ホルモンの過剰分泌と関連する疾患の治療方法であって、請求項1~15のいずれか一項に記載のペプチドまたはその塩を、ヒト成長ホルモンの過剰分泌と関連する疾患を有する患者に投与することを含む、方法。
【請求項19】
ヒト成長ホルモンの過剰分泌と関連する疾患の治療方法であって、請求項16または17に記載の医薬組成物を、ヒト成長ホルモンの過剰分泌と関連する前記疾患を有する患者に投与することを含む、方法。
【請求項20】
前記ヒト成長ホルモンの過剰分泌と関連する疾患が、先端巨大症または巨人症である、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
患者におけるヒト成長ホルモンの過剰分泌と関連する疾患の治療のための、請求項1~15のいずれか一項に記載のペプチドまたはその塩の使用。
【請求項22】
患者におけるヒト成長ホルモンの過剰分泌と関連する疾患の治療のための医薬の製造における、請求項1~15のいずれか一項に記載のペプチドまたはその塩の使用。
【請求項23】
患者におけるヒト成長ホルモンの過剰分泌と関連する疾患の治療のための、請求項16または17に記載の医薬組成物の使用。
【請求項24】
前記ヒト成長ホルモンの過剰分泌と関連する疾患が、先端巨大症または巨人症である、請求項21~23のいずれか一項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【関連出願に対する相互参照】
【0001】
本出願は、2021年6月18日に出願された米国仮特許出願第63/212,596号の利益およびそれに対する優先権を主張し、この出願の内容は、その全体が参照することにより本明細書の開示の一部とされる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、成長ホルモン受容体(GhR)に結合するペプチド、GhRに結合し、かつアンタゴニスト活性を有するペプチド、およびそのようなペプチドを含む組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
成長ホルモン(Growth Hormone;GHまたはGh)は、成長に必須のホルモンであり、脳下垂体前葉における成長ホルモン分泌細胞によって分泌される。成長ホルモンは、成長、例えば骨の伸長および筋肉の成長、ならびに代謝、例えば肝臓におけるグリコーゲン分解を含む、さまざまな組織に対する効果を備えることが知られている。成長ホルモンは、脳下垂体において産生され血流に分泌されて、さまざまな細胞表面、例えば肝臓、筋肉組織、および骨組織において発現される成長ホルモン受容体(GhR)に結合する。GHのGhRへの結合は、ある特定の細胞、特に肝臓細胞において、インスリン様成長因子-1(IGF-1)の産生を誘導する。次いで、IGF-1は全身の成長を刺激し、体細胞において成長を促進する効果を示す。
【0004】
GhRに結合する化合物の例として、ヒトGhRに結合する成長ホルモン改変体化合物が、参照により本明細書に組み込まれる特開2016-511275A号(PCT出願翻訳文)に記載されており、さらにまた、ヒトGhRに結合することができる薬物に対する対象の応答を生成するための方法が、参照により本明細書に組み込まれる特開2006-525785A号(PCT出願翻訳文)に記載されている。このように、GhRに対し結合性(avidity)を有するさまざまな薬物が検討されている。
【0005】
GhRに結合するペプチド(GhR結合ペプチド)を使用して、GhR発現の分布および量は、例えば蛍光または同位元素標識ペプチドのGhRへの結合を測定することによって確認できる。さらにまた、GhRに対するまたは異なる種のGhRに対するリガンドの親和性は、GhR結合ペプチドの使用により決定できる。加えて、GhRに対する薬理学的活性を有する化合物、例えば同位元素、低分子量化合物、ペプチド、タンパク質、抗体、および核酸を標的にし、それを輸送するために、GhR結合ペプチドを使用することが可能である。
【0006】
したがって、新規GhR結合ペプチドおよびGhR結合ペプチドを含む組成物はいずれも有用であり、所望されている。
【発明の概要】
【0007】
本発明の一つの実施態様は、GhR、特に、ヒトGhRに結合するペプチド、およびそのようなGhR結合ペプチドを含む組成物を提供する。
【0008】
いくつかの態様において、本発明によるペプチドは単離されたペプチドである。
【0009】
いくつかの態様において、本発明によるペプチドは精製されたペプチドである。
【0010】
いくつかの態様において、本発明によるペプチドは、以下のアミノ酸配列:X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-X8-X9-X10-X11-X12-X13(配列番号1)を有し、ここで:
X1は、芳香環を有するアミノ酸またはその置換体であり;
X2は、N-アルキルアミノ酸またはその修飾体であり;
X3およびX4は、それぞれ独立して、分岐鎖アミノ酸であり;
X5は、任意のアミノ酸であり;
X6は、N(アスパラギン)であり;
X7は、W(トリプトファン)またはその置換体であり;
X8は、側鎖に芳香環を有するアミノ酸またはその置換体であり;
X9は、K(リジン)またはその置換体であるか、あるいはR(アルギニン)またはその置換体であり;
X10は、側鎖に芳香環を有するアミノ酸またはその置換体であり;
X11は、A(アラニン)またはその置換体であるか、あるいはK(リジン)またはその置換体であり;
X12は、任意のアミノ酸であり;そして
X13は、C(システイン)である)、かつ
当該ペプチドまたはその塩は、置換、欠失、付加、または挿入を含まないか、1つ、2つ、または3つの置換、欠失、付加、または挿入を含み、かつ当該ペプチドまたはその塩は、GhRに対する結合性を有する。
【0011】
これらの態様のいくつかの実施において、X2は、N-メチルリジンまたはその修飾体であり;X3およびX4は、それぞれ、V(バリン)であり;X5は、S(セリン)であり;X7は、置換されたW(トリプトファン)であり;X8は、F(フェニルアラニン)またはその置換体、あるいはY(チロシン)またはその置換体であり;X9は、K(リジン)またはその置換体、あるいはR(アルギニン)またはその置換体であり;X10は、置換されたW(トリプトファン)であり;X11は、A(アラニン)またはその置換体、あるいはK(リジン)またはその置換体であり;X12は、V(バリン)である。
【0012】
これらの態様のいくつかの実施において、X2は、N-メチルリジンまたはその修飾体であり;X7は、1-(カルボキシメチル)-L-トリプトファン(W1aa)であり、X2およびX7のアミノ酸残基は、結合している。
【0013】
これらの態様のいくつかの実施において、X2は、アルブミン結合剤が結合したN-メチルリジンである。アルブミン結合剤は、N-メチルリジンに直接結合していてもよく、または別のアミノ酸残基もしくは連結基を通して結合していてもよい。
【0014】
これらの態様のいくつかの実施において、アルブミン結合剤は、4IphpCO、Biph4pCO、PhPeCO、PhpCO、cC14COO、および4MePhpCOのうちのいずれか1つである。
【0015】
これらの態様のいくつかの実施において、X1は、Y、4Py、またはF4COOであり;X8は、YまたはF4COOであり;X9は、K、KCOpipzaa、Hgn、Ahp、またはHarであり;X10は、W5Hであり;X11は、AibまたはA4pipaaである。
【0016】
いくつかの態様において、本発明によるペプチドまたはその塩は、F4COO-MeK-V-V-S-N-W1aa-F4COO-K-W5H-Aib-V-C(配列番号10)によって表されるアミノ酸配列を有するか、あるいは配列番号10から、1つ、2つ、または3つのアミノ酸残基が、置換、欠失、付加、または挿入されているアミノ酸配列を有し、ここで、配列番号10における2番目および7番目のアミノ酸残基は、結合しており、ペプチドまたはその塩は、hGhRに対する結合性を有する。
【0017】
いくつかの態様において、本発明によるペプチドまたはその塩は、Y-MeK-V-V-S-N-W5OMe-F4COO-K-W5H-A4pipaa-V-C(配列番号30)によって表されるアミノ酸配列を有するか、あるいは配列番号30から、1つ、2つ、または3つのアミノ酸残基が、置換、欠失、付加、または挿入されているアミノ酸配列を有し、ここで、アルブミン結合剤は、配列番号30の2番目のアミノ酸残基であるMeKに結合しており、ペプチドまたはその塩は、hGhRに対する結合性を有する。
【0018】
いくつかの態様において、アルブミン結合剤は4IphpCO、Biph4pCO、PhPeCO、PhpCO、cC14COO、および4MePhpCOのうちのいずれか1つである。いくつかの態様において、アルブミン結合剤は4IphpCOである。いくつかの態様において、アルブミン結合剤はBiph4pCOである。いくつかの態様において、アルブミン結合剤はPhPeCOである。いくつかの態様において、アルブミン結合剤はPhpCOである。いくつかの態様において、アルブミン結合剤はcC14COOである。いくつかの態様において、アルブミン結合剤はBiph4pCOである。
【0019】
いくつかの態様において、本発明によるペプチドまたはその塩は、環状ペプチドまたは環状ペプチドの塩である。
【0020】
いくつかの態様において、本発明によるペプチドまたはその塩は、クロロアセチル化された1番目のアミノ酸残基およびシステイン残基が結合した環状構造を有する。
【0021】
いくつかの態様において、本発明によるペプチドまたはその塩は、配列番号2~9、11~29、および31から選択されるアミノ酸配列を有する。
【0022】
いくつかの態様において、本発明によるペプチドまたはその塩は、配列番号2~9、11~29、および31から選択されるアミノ酸配列を有し、C末端にリンカーをさらに含む。
【0023】
この態様のいくつかの実施において、リンカーは、配列番号32および35から選択されるアミノ酸配列を有する。
【0024】
いくつかの態様において、本発明によるペプチドまたはその塩は、hGhRアンタゴニスト活性を有する。
【0025】
いくつかの態様において、本発明によるペプチドまたはその塩は、本明細書に記載される任意の組み合わせ、および本明細書に記載される任意のペプチドまたはその塩を含む。
【0026】
いくつかの態様において、本発明は、医薬組成物に関する。
【0027】
いくつかの態様において、本発明による医薬組成物は、本明細書に記載される任意のペプチドまたはその塩、および薬学的に許容される担体、賦形剤、または添加剤を含む。
【0028】
いくつかの態様において、本発明による医薬組成物は、hGhRアンタゴニスト活性を有する。したがって、本医薬組成物は、ヒト成長ホルモンの過剰分泌と関連する疾患(例えば、先端巨大症または巨人症)の治療に有効であり、これらの疾患の治療のための医薬組成物として使用され得る。
【0029】
いくつかの態様において、本発明は、ヒト成長ホルモンの過剰分泌と関連する疾患のための治療方法に関する。
【0030】
いくつかの態様において、本発明による治療方法は、ヒト成長ホルモンの過剰分泌と関連する疾患の治療のためのものであり、方法は、上記に記載される医薬組成物(あるいは上記に記載されるペプチドまたはその塩)を、ヒト成長ホルモンの過剰分泌と関連する疾患を有する患者に投与するための工程を含む。
【0031】
いくつかの態様において、ヒト成長ホルモンの過剰分泌と関連する疾患は、先端巨大症または巨人症である。
【0032】
本発明によるペプチドはGhRに結合する能力を有することから、当該ペプチドは、GhRに対する薬理学的活性を有する化合物、例えば同位元素、低分子量化合物、ペプチド、タンパク質、抗体、および核酸を目的とし、輸送することが可能である。
【0033】
本開示の他の態様および特徴は、添付の図面と併せて具体的な実施形態の以下の記載の検討の際に、当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の一つの実施態様によるペプチドの配列例の概要を示す図である。
【0035】
図2】本発明の一つのjっ氏態様によるペプチドにおけるリンカー部位の配列例の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本開示において記載される実施形態のすべての特徴は、相互排他的なものではなく、別のものと組み合わせることができる。例えば、一つの実施態様の要素は、さらなる言及なしで、他の実施形態において利用することができる。具体的な実施形態の詳細な説明を、添付の図面を参照して、本明細書の以下に記載する。
【0037】
下記の一般的な説明および詳細な説明のいずれも、単に例示的および記述的なものであり、本願の本発明を限定するものではないことが理解されるべきである。本明細書において、単数形の使用は、他に規定されない限り、複数形を含む。本明細書において、「または(or)」の使用は、別段の指定がない限り、「および/または(and/or)」を意味する。さらにまた、「要素」または「構成要素」など用語は、別段の指定がない限り、1つの単位を含む要素および構成要素、ならびに2つ以上の下位単位を含む要素および構成要素の両方を包含する。
【0038】
本明細書において使用される見出しは、構造的な目的のためだけのものであって、記載される主題を限定するものとして解釈されるべきではない。限定されるものではないが、特許、特許出願、文献、書籍、および論文を含む、本出願において引用される文献のすべてまたは文献の部分は、本明細書で取り上げられている文献の中から、部分または全体が参照することにより明示的に開示の一部として組み込まれる。
【0039】
端点による数値範囲の本明細書における記述は、その範囲内に包含されるすべての数を含むことが意図される(例えば、1~5の記述は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、4.32、および5を含む)。
【0040】
「約」という用語は、本明細書において明確に使用されるか、または使用されず、本明細書において与えられるすべての量は、実際に与えられた量を指すことを意図し、これは、そのような与えられた値についての実験および/または測定条件に起因する等価物および近似値を含む、当該技術分野における通常の技能に基づいて合理的に推論されるであろうそのような与えられた値に対する近似値を指すことも意図する。例えば、与えられた値または範囲の文脈における「約」という用語は、与えられた値または範囲の、20%以内、好ましくは15%以内、より好ましくは10%以内、より好ましくは9%以内、より好ましくは8%以内、より好ましくは7%以内、より好ましくは6%以内、より好ましくは5%以内である値または範囲を指す。
【0041】
本明細書において使用される場合、「含む」という用語は、その語に続く項目が含まれるが、具体的に挙げられていない項目が排除されないことを意味する、その非限定的な意義で使用される。
【0042】
特別な定義が与えられない限り、本明細書において記載される分析化学、合成有機化学、ならびに創薬化学および医薬品化学だけでなく、それらの手順および技法に関して使用される専門用語は、本発明による分野において周知であり、一般に使用されている。標準的な技法が、化学合成および化学分析のために使用されてもよい。そのような技法および手順の中から定義されるものは、例えば、「K.J.Jensen、P.T.Shelton、S.L.Pedersen、Peptide Synthesis and Applications、第2版、Springer、2013」などにおいて見出すことができ、これらは、すべての目的のために、参照することにより本明細書の開示の一部とされる。開示全体にわたって参照される、すべての特許、出願、公開出願、および他の刊行物、ならびに他のデータは、許容される場合、参照することにより本明細書の開示の一部とされる。
【0043】
略語:
本明細書において別段の記載がない限り、以下の略語は、以下の意味に従って使用される:
BiPh4pCO:4-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)ブタン酸(CAS番号:6057-60-9);
Boc:Tert-ブトキシカルボニルtert-ブトキシカルボニル;
cC12COO:テトラデカン二酸(CAS番号:821-38-5);
cC13COO:ペンタデカン二酸(CAS番号:1460-18-0);
cC14COO:ヘキサデカン二酸(CAS番号:505-54-4);
cC15COO:ヘプタデカン二酸(CAS番号:2424-90-0);
ClAc:クロロアセチル;
DCM:ジクロロメタン;
DIC:N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド;
DMSO:ジメチルスルホキシド;
DMF:ジメチルホルムアミド;
DIPEAまたはDIEA:N,N-ジイソプロピルエチルアミン;
DODT:6-ジオキサ-1,8-オクタンジチオール;
E_cC14COO:N-(15-カルボキシ-1-オキソペンタデシル)-L-グルタミン酸(CAS番号:1472005-57-4);
Fmoc:9-フルオレニルメチルオキシカルボニル;
g:グラム(単位);
HOSu:N-ヒドロキシスクシンイミドN-ヒドロキシスクシンイミド;
HPLC:高速液体クロマトグラフィー;
ivDde:1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキサ-1-イリデン)-3-メチルブチル1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキサ-1-イリデン)-3-メチルブチル;
LC-MSまたはLC/MS:液体クロマトグラフィー質量分析計;
MeCN:アセトニトリル;
mL:ミリリットル(単位);
M:モル濃度(単位);
μL:マイクロリットル(単位);
mM:ミリモル濃度(単位);
μΜ:マイクロモル濃度(単位);
mg:ミリグラム(単位);
mm:ミリメートル(単位);
nm:ナノメートル(単位);
nM:ナノモル濃度(単位);
Oxyma pure:エチルシアノ(ヒドロキシイミノ)アセテート;
PhpCO:4-フェニルブタン酸(CAS番号:1821-12-1);
PhPeCO:6-フェニルヘキサン酸(CAS番号:5581-75-9);
qPCR:定量的PCR;
rpm:毎分回転数(単位);
tBu:tert-ブチル;
TFA:トリフルオロ酢酸;
TIS:トリイソプロピルシラン;
TrtまたはTr:トリチル基;
4IPhpCO:4-(p-ヨードフェニル)酪酸(CAS番号:27913-58-2、Merck);
4MePhpCO:4-(p-トリル)ブタン酸(CAS番号:4521-22-6)。
略語(非天然アミノ酸):
W5OMe:5-メトキシ-L-トリプトファン(CAS番号:25197-96-0);
F4COO:4-カルボキシ-L-フェニルアラニン(CAS番号:126109-42-0);
W5H:5-ヒドロキシ-L-トリプトファン(CAS番号:2382808-45-7);
Aib:アルファ-メチルアラニン(CAS番号:62-57-7);
ds:D-セリン(CAS番号:312-84-5);
W1aa:1-(カルボキシメチル)-L-トリプトファン(CAS番号:773823-50-0);
A4pipaa:4-アミノ-1-(カルボキシメチル)ピペリジン-4-カルボン酸(Kishida Chemical Inc.);
Hgn:(S)-2,6-ジアミノ-6-オキソヘキサン酸(CAS番号:1263046-43-0);
Har:N6-カルバムイミドイル-L-リジン(CAS番号:214852-52-5);
KCOpipzaa:N6-(4-(カルボキシメチル)ピペラジン-1-カルボニル)-L-リジン(Kishida Chemical Inc.);
PEG2Ac:2-(2-(2-アミノエトキシ)エトキシ)酢酸(CAS番号:134978-97-5);
4Py:4-ピリジル-L-アラニン(CAS番号:169555-95-7);
W7N:(S)-2-アミノ-3-(1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)プロパン酸(CAS番号:737007-45-3);
Ahp:(s)-2-アミノヘプタン酸(CAS番号:44902-02-5);
Me:N-メチル;
MeK:N-メチル-L-リジン(CAS番号:7431-89-2);
【0044】
ペプチド:
一つの実施態様において、本発明によるペプチドは、配列番号1に示されるように、酸配列:X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-X8-X9-X10-X11-X12-X13(式中:
X1は、側鎖における芳香環を有するアミノ酸またはその置換体であり;
X2は、N-アルキルアミノ酸またはその修飾体であり;
X3およびX4は、それぞれ、分岐鎖アミノ酸であり;
X5は、任意のアミノ酸であり;
X6は、N(アスパラギン)であり;
X7は、W(トリプトファン)またはその置換体であり;
X8は、側鎖における芳香環を有するアミノ酸またはその置換体であり;
X9は、K(リジン)またはその置換体であるか、あるいはR(アルギニン)またはその置換体であり;
X10は、側鎖における芳香環を有するアミノ酸またはその置換体であり;
X11は、A(アラニン)またはその置換体であるか、あるいはK(リジン)またはその置換体であり;
X12は、任意のアミノ酸であり;
X13は、C(システイン)である)
を有し、
当該ペプチドは、アミノ酸の置換、欠失、付加、または挿入を含まないか、1つ、2つ、または3つのアミノ酸の置換、欠失、付加、または挿入を含む。この態様の実施において、本発明によるペプチドは、GhRに対する結合性を有する。
【0045】
いくつかの態様において、配列番号1に表されるアミノ酸配列を有する本発明によるペプチドは、置換、付加、欠失、または挿入を含む。アミノ酸の置換、欠失、付加、および/または挿入されるアミノ酸の数は、1つ以上かつ3つ以下であり得、その下限は、1である。その上限は、2であり、最小は、1である。いくつかの態様において、アミノ酸置換は、保存的アミノ酸置換である。一部のさらなる実施において、1~3つのそのようなアミノ酸置換は、配列番号1におけるX1、X2、X7、X8、X9、X10、およびX11から選択される位置に存在する。
【0046】
本明細書において使用される場合、「保存的アミノ酸置換」という表現は、機能的に等価なまたは類似のアミノ酸の置換を指す。ペプチドにおける保存的アミノ酸置換は、ペプチドのアミノ酸配列に静的な変化をもたらす。例えば類似の極性を有する1つまたは2つ以上のアミノ酸は、互いと機能的に等価に作用し、ペプチドのアミノ酸配列に静的な変化をもたらす。一般に、ある特定の群内の置換は、構造および機能に関して保存的と考えられ得る。しかしながら、当業者に明らかであるように、定義されたアミノ酸残基によって果たされる役割はアミノ酸を含有する分子の三次元構造におけるその影響によって決定され得る。例えば、システイン残基は、還元型(チオール)形態のものよりも低い極性を有する酸化型(ジスルフィド)形態であってもよい。アルギニン側鎖の長い脂肪族部分は、構造的および機能的に重要な特徴を構成し得る。さらにまた、芳香環を含む側鎖(トリプトファン、チロシン、フェニルアラニン)は、非芳香族相互作用またはカチオン-パイ相互作用に寄与し得る。そのような場合において、これらの側鎖を有するアミノ酸が酸性基または非極性基に属するアミノ酸で置換されていても、それらは構造的および機能的に保存されていることがある。プロリン、グリシン、システイン(ジスルフィド形態)などの残基が主鎖の三次元構造に対する直接的な効果を有し、多くの場合に、構造のゆがみなく置換することができない可能性がある。
【0047】
下記に示されるように、保存的アミノ酸置換は、参照することにより本明細書の開示の一部とされる側鎖の類似性に基づく具体的な置換(例えば置換は、Lehninger、Biochemistry、改訂第2版、1975年発行、73-75頁:L.Lehninger、Biochemistry、第2版、73-75頁、Worth Publisher、New York(1975)に記載されている)および典型的な置換を含む。
【0048】
保存的アミノ酸置換に付け加えて、例えば、それらの共通の側鎖の性質に基づいて以下のように天然アミノ酸を分類することによって得られた群において、ある特定のアミノ酸が属する群と同じ群に属するアミノ酸の置換が好ましい。
【0049】
疎水性(非極性とも称される)アミノ酸:疎水性(非極性)を示すアミノ酸、アラニン(「Ala」または単に「A」とも称される)、グリシン(「Gly」または単に「G」とも称される)、バリン(「Val」または単に「V」とも称される)、ロイシン(「Leu」または単に「L」とも称される)、イソロイシン(「Ile」または単に「I」とも称される)、プロリン(「Pro」または単に「P」とも称される)、フェニルアラニン(「Phe」または単に「F」とも称される)、トリプトファン(「Trp」または単に「W」とも称される)、チロシン(「Tyr」または単に「Y」とも称される)、およびメチオニン(「Met」または単に「M」とも称される)を含む。
【0050】
疎水性アミノ酸は、以下の群にさらに分類され得る:
- 脂肪族アミノ酸:側鎖に脂肪酸または水素を有するアミノ酸、Ala、Gly、Val、Ile、およびLeuを含む。
-脂肪族/分岐鎖アミノ酸:側鎖に分岐脂肪酸を有するアミノ酸、Val、Ile、およびLeuを含む。
- 芳香族アミノ酸:側鎖に芳香環を有するアミノ酸、Trp、Tyr、およびPheを含む。
【0051】
親水性(極性とも称される)アミノ酸:親水性(極性)を示すアミノ酸、セリン(「Ser」または単に「S」とも称される)、トレオニン(「Thr」または単に「T」とも称される)、システイン(「Cys」または単に「C」とも称される)、アスパラギン(「Asn」または単に「N」とも称される)、グルタミン(「Gln」または単に「Q」とも称される)、アスパラギン酸(「Asp」または単に「D」とも称される)、グルタミン酸(「Glu」または単に「E」とも称される)、リジン(「Lys」または単に「K」とも称される)、アルギニン(「Arg」または単に「R」とも称される)、およびヒスチジン(「His」または「H」とも称される)を含む。
【0052】
親水性アミノ酸は、以下の群にさらに分類され得る:
- 酸性アミノ酸:側鎖が酸性を示すアミノ酸、AspおよびGluを含む。
- 塩基性アミノ酸:側鎖が塩基性を示すアミノ酸、Lys、Arg、およびHisを含む。
- 中性アミノ酸:側鎖が忠誠を示すアミノ酸、Ser、Thr、Asn、Gln、およびCysを含む。
【0053】
さらにまた、GlyおよびProは、「主鎖の方向に影響を及ぼすアミノ酸」に分類されることがあり、側鎖に硫黄原子を含有するアミノ酸のCysおよびMetは、「硫黄含有アミノ酸」に分類されることがある。
【0054】
本明細書において使用される場合、「アミノ酸」という表現は、天然アミノ酸だけでなく非天然アミノ酸も含む。非天然アミノ酸としては、例えば上記に記載される天然アミノ酸がNアルキル化されているNアルキルアミノ酸;およびペプチド結合を形成する窒素が分岐または非分岐である低級アルキル基(例えばC1~C5、好ましくはC1~C3、より好ましくはC1のもの)で修飾されたものが挙げられる。N-アルキルアミノ酸のうち、N-エチルアミノ酸、N-ブチルアミノ酸、またはN-メチルアミノ酸が好ましく、N-メチルアミノ酸がより好ましい。さらにまた、非天然アミノ酸は、D型アミノ酸(D-アミノ酸とも称される)、化学修飾されたアミノ酸、例えばβ-アミノ酸、γ-アミノ酸、アミノ酸改変体、アミノ酸誘導体など;インビボでタンパク質のための構成材料ではないアミノ酸、例えばノルロイシン、オルニチンなど;なども含む。官能基が、天然アミノ酸の側鎖にさらに付加されているか、または別の官能基で置換されているアミノ酸も含まれる(例えば、側鎖のアリーレン基、アルキレン基などのような部分に置換または付加を有するアミノ酸;側鎖のアリーレン基またはアルキル基が、増加したC数を有するアミノ酸;側鎖の芳香環に置換を有するアミノ酸;複素環式または縮合環式アミノ酸;など)。
【0055】
天然アミノ酸の側鎖に官能基などの構造を付加または置換することによって、天然アミノ酸の性質とは異なる性質が付与され得る。例えば、A4pは、アラニンの側鎖にピペリジル基を有するアミノ酸であるが、ピペリジル基を付加することによって、これは、非極性アミノ酸基に属するアラニンとは異なって、塩基性を有する極性アミノ酸の性質を示す。すなわち、それらの共通の側鎖の性質に基づいて天然アミノ酸を分類することによって得られる上記に記載される群は、同じ側鎖の性質を有する非天然アミノ酸を含み得る。例えば、塩基性アミノ酸に属するリジンの主鎖の窒素原子がメチル化されているアミノ酸であるN-メチルリジン(MeK)は、非天然アミノ酸であるが、これは、塩基性を示すので、塩基性アミノ酸として分類され得る。そのため、ある特定のアミノ酸の性質と同じ側鎖の性質を示す非天然アミノ酸は、保存的アミノ酸置換の対象としても含まれ得る。
【0056】
非限定的な様式において、非天然アミノ酸としては、これらに限定されるものではないが、N-メチルアミノ酸、W5OMe、F4COO、W5H、Aib、ds、W1aa、A4pipaa、Hgn、Har、KCOpipzaa、4Py、W7N、Ahpなどが挙げられる。例えば、W5OMe、F4COO、W5H、Aib、W1aa、W7N、およびAhpは、疎水性アミノ酸に分類され得;4Py、A4pipaa、ds、Har、およびKCOpipzaaは、親水性アミノ酸に分類され得;さらにまた、AhpおよびAibは、脂肪族アミノ酸に分類され得;KCOpipzaaは、酸性アミノ酸に分類され得;Har、4Py、およびA4pipaaは、塩基性アミノ酸に分類され得;Hgnおよびdsは、中性アミノ酸に分類され得;W5OMe、W5H、W1aa、F4COO、およびW7Nは、芳香族アミノ酸に分類され得る。dsなどのD-アミノ酸は、D-アミノ酸として分類され得るが、それらが、それらの側鎖の性質に従っても分類され得、N-メチルアミノ酸が、N-アルキルアミノ酸として分類され得、N-メチル化を受けていない元のアミノ酸の側鎖の性質に従っても分類され得ることに留意すべきである。
【0057】
側鎖に芳香環またはその置換を有するアミノ酸のうち、側鎖に無置換の芳香環を有するアミノ酸は、側鎖に芳香環を有するアミノ酸であり、芳香族アミノ酸に属する天然アミノ酸;非天然アミノ酸、例えば、N-アセチル化芳香族アミノ酸;または天然アミノ酸の側鎖に付加もしくは置換された芳香環を有するアミノ酸を含む。さらにまた、側鎖に置換された芳香環を有するアミノ酸は、側鎖に芳香環を有するアミノ酸であり、芳香族アミノ酸に属する天然アミノ酸または非天然アミノ酸の芳香環の一部の分子、例えば、N-アセチル化芳香族アミノ酸が、別の分子もしくは官能基もしくは複素環式環で置換された環を有するアミノ酸、または縮合環式環を有するようなアミノ酸を含む。例えば、Tyrの側鎖ヒドロキシ基に置換を有するアミノ酸;Pheのベンゼン環に置換基を有するアミノ酸;またはTrpの側鎖インドール環にヘテロ原子を含有する環を有するアミノ酸;置換基を有するアミノ酸;およびそれらに付加した官能基を有するアミノ酸も含まれる。
【0058】
さらにまた、Wまたはその置換体のうち、無置換のWは、天然アミノ酸であるトリプトファンであり、置換されたWは、側鎖において、Wのインドール環にヘテロ原子を有するWのアミノ酸誘導体;インドール環のNHに含有される水素が置換されているWのアミノ酸誘導体;ベンゼン環に置換基を有するWのアミノ酸誘導体;などを含む。
【0059】
Kまたはその置換体のうち、無置換のKは、天然アミノ酸であるリジンであり、置換されたKは、側鎖において、Kのアミノ基に置換基を有するKのアミノ酸誘導体(アミノ基が水素で置換されている誘導体を含む);側鎖において、Kのアミノブチル基が、分岐鎖または直鎖構造を有するアミノアルキル基で置換されているKのアミノ酸誘導体;また、アルキル基が置換基を有するKのアミノ酸誘導体;などを含む。
【0060】
Rまたはその置換体のうち、無置換のRは、天然アミノ酸であるアルギニンであり、置換されたRは、側鎖において、Rのグアニジノ基に置換基を有するRのアミノ酸誘導体(グアニジノ基が水素で置換されている誘導体を含む);側鎖において、Rのペンチル基が、分岐鎖または直鎖構造を有するアミノアルキル基で置換されているRのアミノ酸誘導体;また、アルキル基が置換基を有するRのアミノ酸誘導体;などを含む。
【0061】
Aまたはその置換体のうち、無置換のAは、天然アミノ酸であるアラニンであり、置換されたAは、Aのα-水素が置換されているAのアミノ酸誘導体;などを含む。
【0062】
Yまたはその置換体のうち、無置換のYは、天然アミノ酸であるチロシンであり、置換されたYは、側鎖において、Yのフェノールのヒドロキシル基が置換されているYのアミノ酸誘導体;複素環式環を有するYのアミノ酸誘導体、または縮合多環式構造を有するYのアミノ酸誘導体;などを含む。
【0063】
Fまたはその置換体のうち、無置換のFは、天然アミノ酸であるフェニルアラニンであり、置換されたFは、側鎖において、フェニルアラニンのベンゼン環に置換基を有するアミノ酸;複素環式環を有するFのアミノ酸誘導体、または縮合多環式構造を有するFのアミノ酸誘導体;などを含む。
【0064】
さらにまた、N-アルキルアミノ酸またはその修飾体は、官能基またはアミノ酸、化合物などが、N-アルキルアミノ酸の側鎖に付加されていてもよい、アミノ酸である。N-アルキルアミノ酸またはその修飾体の例に関して、N-アルキルアミノ酸は、N-アルキルリジンまたはN-メチルリジンである。修飾されたN-アルキルアミノ酸の別の例は、アルブミン結合剤が結合したN-メチルリジン、または任意のアミノ酸のうちの1つ以上が結合したN-メチルリジンである。修飾されたN-アルキルアミノ酸の別の例は、アルブミン結合剤が、Nメチルリジンの側鎖におけるアミノ基に結合したN-メチルリジン、またはグリシン、N-メチルグリシン、またはプロリンのうちの1つもしくは2つが結合したN-メチルリジンである。
【0065】
配列番号1のX1~X11についての前述の選択肢は、任意の組み合わせで選択され得る。
【0066】
一態様において、配列番号1のX1は、Y、4Py、またはF4COOである。
【0067】
一態様において、配列番号1のX2は、N-メチルリジンまたはその修飾体である。さらなる態様において、配列番号1のX2は、N-メチルリジンまたは修飾されたN-メチルリジンである。
【0068】
一態様において、配列番号1のX3およびX4は、それぞれ、Vである。
【0069】
一態様において、配列番号1のX5は、Sである。
【0070】
一態様において、配列番号1のX6は、Nである。
【0071】
一態様において、配列番号1のX7は、置換されたWである。さらなる態様において、配列番号1のX7は、W5OMe、W7N、またはW1aaである。
【0072】
一態様において、配列番号1のX8は、置換されたFまたは置換されたYである。さらなる態様において、配列番号1のX8は、YまたはF4COOである。
【0073】
一態様において、配列番号1のX9は、置換されたKまたはRである。さらなる態様において、配列番号1のX9は、K、KCOpipzaa、Hgn、Ahp、またはHarである。
【0074】
一態様において、配列番号1のX10は、置換されたWである。さらなる態様において、配列番号1のX10は、W5Hである。
【0075】
一態様において、配列番号1のX11は、置換されたAまたはKである。さらなる態様において、配列番号1のX11は、AibまたはA4pipaaである。
【0076】
一態様において、配列番号1のX12は、Vである。
【0077】
一態様において、配列番号1のX13は、Cである。
【0078】
配列番号1のX1~X13についての一態様の選択肢は、任意の組み合わせで選択され得る。本明細書において、「非限定的な様式において」および「一態様において」という表現は、互換的に使用され得る。
【0079】
一つの態様において、本発明によるペプチドは、環状ペプチドである。本明細書において使用される場合、「環状ペプチド」という表現は、2つのアミノ酸が結合し、その全体的にまたは部分的に環状である、ペプチドを指す。このペプチドは、架橋構造を形成する;ラクタム環形成またはマクロ環化反応によって環状構造を形成する;ラッソペプチド様構造を有するなどのペプチドにおけるアミノ酸なども含む。すなわち、環状ペプチドの一部分は、環状構造を形成してもよく、または直鎖部分を有していてもよい。
【0080】
一部の例において、一部のペプチドは、インビボで不十分な代謝安定性を示し、一部のペプチドは、サイズが大きく、それらが細胞膜に透過するのを困難にする。ペプチドを環化するための方法は、そのような問題を考慮して適合される。ペプチドが環化される場合、プロテアーゼ耐性が改善され、代謝安定性が改善され、コンフォメーション変化にも制限が追加され、その結果として、剛性が増加し、標的タンパク質に対する膜透過性および親和性が改善されると示唆されている。
【0081】
一つの実施態様において、本発明によるペプチドは、ペプチドに存在するクロロアセチル化されたアミノ酸およびシステイン残基が結合した環状構造を有する。一態様において、ペプチドは、ペプチドに存在するN末端アミノ酸(1番目のアミノ酸残基)およびシステイン残基が結合した環状構造を有する。一態様において、ペプチドは、ペプチドに存在するN末端アミノ酸(1番目のアミノ酸残基)および13番目のシステイン残基が結合した環状構造を有する。一態様において、ペプチドは、ペプチドに存在するクロロアセチル化されたN末端アミノ酸(1番目のアミノ酸残基)および13番目のシステイン残基が結合した環状構造を有する。「クロロアセチル化」は、別のハロゲンを使用する「ハロゲンアセチル化」であってもよい。さらにまた、「アセチル化」は、アセチル基以外のアシル基を使用する「アシル化」であってもよい。
【0082】
いくつかの態様において、本発明によるペプチドは、配列番号2~31のいずれか1つによるアミノ酸配列を有する。
【0083】
いくつかの態様において、本発明によるペプチドは、配列番号2~31のいずれか1つによるアミノ酸配列からなる。
【0084】
いくつかの態様において、本発明によるペプチドは、配列番号2~31のいずれか1つによるアミノ酸配列を有する環状ペプチドである。
【0085】
いくつかの態様において、本発明によるペプチドは、配列番号2~31のいずれか1つによるアミノ酸配列からなる環状ペプチドである。
【0086】
本発明によるペプチドに含まれるペプチドのアミド結合の数(アミノ酸の数および長さ)およびペプチド部位は、特に限定されない。総アミノ酸残基(環状構造を形成するペプチドに含まれるアミノ酸残基の数を指し、アミノ酸残基が、リンカーにおいてさらに付加され、環状ペプチドから形成される場合、それらは含まれない)が、20残基以内であることが好ましい。一部の実施において、アミノ酸の数は、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、11以上である。一部の他の実施において、アミノ酸の数は、19以下、18以下、17以下、16以下、15以下、14以下、13以下、または12以下である。
【0087】
いくつかの態様において、本発明によるペプチドは、6アミノ酸~19アミノ酸を含む。いくつかの態様において、本発明によるペプチドは、約6アミノ酸~17アミノ酸を含む。いくつかの態様において、本発明によるペプチドは、約6アミノ酸~15アミノ酸を含む。いくつかの態様において、本発明によるペプチドは、約6アミノ酸~14アミノ酸を含む。いくつかの態様において、本発明によるペプチドは、約6アミノ酸~13アミノ酸を含む。いくつかの態様において、本発明によるペプチドは、約6アミノ酸~12アミノ酸を含む。
【0088】
いくつかの態様において、本発明によるペプチドは、8アミノ酸~19アミノ酸を含む。いくつかの態様において、本発明によるペプチドは、約8アミノ酸~17アミノ酸を含む。いくつかの態様において、本発明によるペプチドは、約8アミノ酸~15アミノ酸を含む。いくつかの態様において、本発明によるペプチドは、約8アミノ酸~14アミノ酸を含む。いくつかの態様において、本発明によるペプチドは、約8アミノ酸~13アミノ酸を含む。いくつかの態様において、本発明によるペプチドは、約8アミノ酸~12アミノ酸を含む。
【0089】
いくつかの態様において、本発明によるペプチドは、10アミノ酸~19アミノ酸を含む。いくつかの態様において、本発明によるペプチドは、約10アミノ酸~17アミノ酸を含む。いくつかの態様において、本発明によるペプチドは、約10アミノ酸~15アミノ酸を含む。いくつかの態様において、本発明によるペプチドは、約10アミノ酸~14アミノ酸を含む。いくつかの態様において、本発明によるペプチドは、約10アミノ酸~13アミノ酸を含む。いくつかの態様において、本発明によるペプチドは、約10アミノ酸~12アミノ酸を含む。
【0090】
また、リンカーは、環状ペプチドからさらに付加されてもよい。リンカーの例としては、前述のアミノ酸リンカー(ペプチドリンカー)、化学リンカー、脂肪酸リンカー、核酸リンカー、糖鎖リンカーなどが挙げられ、または、複合体、例えば化学リンカー、ペプチドリンカーなどであってもよい。化学リンカーの例としては、PEG(ポリエチレングリコール)リンカーが挙げられる。例えば、PEGリンカーは1~24のエチレングリコール単位を含んでいてもよい。さらにまた、リンカーは、脂肪酸に由来する二価化学部分を含有する脂肪酸リンカーであってもよい。リンカーは、少なくとも1つのアミノ酸を含み、例えばグリシンリッチペプチド、例えば参照することにより本明細書の開示の一部とされる米国特許第7,271,149号によるなどの配列[Gly-Gly-Gly-Gly-Ser]n(式中、nは、1、2、3、4、5、または6である)を有するペプチド、または参照することにより本明細書の開示の一部とされる米国特許第5,525,491号によるセリンリッチペプチドリンカーが使用されてもよい。非限定的な様式において、ペプチドの物理的性質(例えば、溶解性)が、リンカーの付加によって変化し得るいくつかの場合が存在する。一つの実施態様において、アミノ酸リンカーは、配列番号32~35のいずれか1つによるアミノ酸配列を含む。
【0091】
リンカーは、任意の位置に付加され得る。例えば、リンカーはN末端側に位置するCysに結合してもよく、または環状ペプチドに含まれるアミノ酸に結合してもよい。一部の例において、リンカーはN末端側に位置するCysに結合している。
【0092】
GhR結合ペプチドおよびGhRアンタゴニスト活性を有するペプチド
いくつかの態様において、本発明によるペプチドは、GhRに結合する。これらの実施形態の一部の実施において、ペプチドは、GhRアンタゴニスト活性を有する。一部の例において、ペプチドは、ヒトGhR(hGhR)に結合し、hGhRアンタゴニスト活性を有する。
【0093】
本明細書において使用される場合、「GhR」という用語は、任意の形態のGhR、およびGhRの活性の少なくとも一部分を保持するためのその改変体を指す。ヒトGhR(hGhR)として具体的に別段の記載がない限り、GhRは、例えば、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、およびウシなどの哺乳動物におけるGhRのネイティブ配列のすべてを含む。GhRの一例は、hGhR(遺伝子ID:2690)であり、これは、ヒトGhRであり、2つのジスルフィド架橋、22kDaの分子量を有し、191のアミノ酸の長さを有するタンパク質である。
【0094】
本明細書において使用される場合、「GhRに結合する」という表現は、GhRに結合する活性を有することを示す。GhRへの結合は、公知の分子間結合を測定するための任意の方法によって測定され得る。非限定的な様式において、例えば、これは、競合結合アッセイ、例えば表面プラズモン共鳴(SPR)アッセイ、散乱分析、および/またはラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素イムノアッセイ(EIA)、ならびにサンドイッチおよび競合アッセイによって決定され得、任意の好適な様式において、これは、当該技術分野において公知である所与の例の異なる変形を含んで、公知である。
【0095】
本明細書において使用される場合、「GhRアンタゴニスト活性」という表現は、GhRの生物活性および/またはGhRシグナル伝達によって媒介される下流経路(の1つまたは複数)を阻害する活性を示す。GhRアンタゴニスト活性を有するペプチドは、GhRシグナル伝達によって媒介される下流経路を含むGhRの生物活性、ならびに例えば、GH相互作用および/またはGHに対する細胞応答の誘導などを、遮断、アンタゴナイズ、および抑制または低減することができる(著しい程度を含む、任意の程度まで)ペプチドを含む。本発明による目的のために、「GHRアンタゴニスト活性を有するペプチド」という語句が、以前に定義された用語、表題、ならびに機能状態および特性のすべてを包含し、それによって、GHRそれ自体、GHR生物活性(限定されるものではないが、インスリン様成長因子-1(IGF-1)発現の任意の態様を媒介するその能力を含む)、または生物活性の結果が、任意の意味のある程度で実質的に無効化、減少、または中和されることが明確に理解されるであろう。一つの実施態様において、GhRアンタゴニスト活性を有するペプチドは、GhRに結合して、成長ホルモンとGhRとの間の相互作用に影響を及ぼし、および/またはそれを防止する。いくつかの態様において、GhRアンタゴニスト活性を有するペプチドは、GhRに結合して、GhR二量化に影響を及ぼし、および/またはそれを防止する。
【0096】
いくつかの態様において、本発明によるペプチドは二環式構造を有する。本明細書において使用される場合、「二環式構造」という表現は、2つ以上の環状構造を有するペプチドを指す。一例として、二環式構造を有するペプチドは、ペプチドに存在するクロロアセチル化されたアミノ酸およびシステイン残基が結合した環状構造を有する環状ペプチドであり、環状ペプチドは、環に架橋構造も有する。一つの実施態様において、二環式構造を有するペプチドは、配列番号1におけるX2のアミノ酸残基がN-メチルリジンであり、X7のアミノ酸残基がW1aaであるペプチドであり、ここで、ペプチドは、クロロアセチル化されたX1アミノ酸残基およびX13のシステイン残基が結合した環状構造を有し、X2アミノ酸残基およびX7アミノ酸残基が結合した構造も有する。さらにまた、一つの実施態様において、1つ以上のアミノ酸が、X2アミノ酸残基とX7アミノ酸残基との間に存在してもよい。例えば、X2アミノ酸残基であるN-メチルリジンの側鎖のアミノ基は、X6アミノ酸残基であるW1aaの側鎖のカルボン酸に結合して、二環式構造を形成してもよく、さらにまた、N-メチルリジンの側鎖のアミノ基、およびX6アミノ酸残基であるW1aaの側鎖のカルボン酸は、グリシン、N-メチルグリシン、またはプロリンを通じて結合していてもよい。
【0097】
いくつかの態様において、本発明によるペプチドは、アルブミン結合剤を含む。本明細書において使用される場合、「アルブミン結合剤」という表現は、ヒト血清アルブミンに共有結合しない化合物を指す。ヒト血清アルブミンへの結合は、結合性を測定するための公知の方法、例えば、前述の表面プラズモン共鳴(SPR)によって測定され得る。本発明における使用に好適な典型的なアルブミン結合剤としては、ミリスチン酸もしくはパルミチン酸などの脂肪酸、その誘導体、またはジフェニルシクロヘキサン誘導体が挙げられる。一態様において、アルブミン結合剤は、12~40個の炭素原子を有する直鎖および分岐鎖脂溶性基、ならびに遠位酸性基を含む化合物である。一態様において、アルブミン結合剤は、4IphpCO、cC14COO、BiPh4pCO、PhpCO、PhPeCO、および4MePhpCOのうちのいずれかである。さらにまた、本明細書において、アルブミン結合剤は、1つまたは複数のグルタミン酸を含む構造を有していてもよい。一部の例において、アルブミン結合剤は、1つのグルタミン酸または2~5つのグルタミン酸が結合したペプチドのN末端にアルブミン結合剤が結合した構造を有する。
【0098】
一つの実施態様において、アルブミン結合剤はペプチドの環状構造部位に存在するアミノ酸に結合していてもよく、またはペプチドに結合したリンカーにさらに結合していてもよい。一例として、配列番号1におけるX2のアミノ酸残基に結合している場合において、X2のアミノ酸残基であるN-メチルリジン、およびヒト血清アルブミンに共有結合しない化合物は、1つまたは複数のグルタミン酸を有する構造を通じて結合している。好ましい態様は、1つまたは2つのグルタミン酸が、N-メチルリジンの側鎖に結合し、アルブミン結合剤がそのN末端に結合しているものである。
【0099】
さらにまた、一例として、1つまたは複数のグルタミン酸を有する構造を含むヒト血清アルブミンを有するアミノ酸リンカーはペプチドに結合している。好ましい態様は、K(配列番号32)またはG-P-(ds)-K(配列番号35)を有するアミノ酸リンカーが、ペプチドのC末端に存在するCysに結合し、1つまたは2つのグルタミン酸が、アミノ酸リンカーのリジンの側鎖に結合し、アルブミン結合剤が、そのN末端に結合しているものである。
【0100】
ペイロード結合PDCの態様
一つの実施態様において、本発明は複合体に関する。この複合体は、本明細書に記載されるペプチド、ペプチドに結合したリンカー、およびこのリンカーに結合した物質のうちのいずれかを含む。ペプチドは、GhRに結合することができるので、複合体はGhRに物質を輸送することが可能となる。
【0101】
物質は、それがGhRに送達することを当業者が所望する物質である限り、当業者に所望される任意の物質であり得る。物質の例は、これらに限定されないが、以下を含む:
- 化合物:低分子量化合物、中分子量化合物を含み、例としては、公知の低分子量薬物が挙げられる。
- ペプチド:身体中で標的に結合し、いくつかの種類の効果を示すペプチド、例えば、環状ペプチドであってもよい。
- RI:放射性同位元素によって標識され得る任意の化合物、例えば、放射性同位元素によって標識された、低分子量もしくは中分子量化合物、または抗体であってもよい。例としては、PETスキャンのための化合物が挙げられる。
- タンパク質:身体において有用な機能を示す任意のタンパク質、例えば、抗体または酵素であってもよい。例としては、酵素補充療法において使用される酵素が挙げられる。
- 核酸:塩基配列を有する任意の物質、例えば、DNAおよびRNA。例としては、核酸医薬が挙げられる。
- 薬物送達システム(DDS)において使用される分子:DDSにおいて使用される公知分子、例えば、リポソームまたはミセルであってもよい。DDS分子は、そこに、医薬品などの化合物をさらに含んでいてもよい。
【0102】
また、DDS分子は、上記で与えられた例のいくつかが組み合わされた複合体であってもよい。
【0103】
ペプチド生成
本発明によるペプチドは、例えば、以下のものなどのペプチドを生成するための任意の公知の方法によって生成され得る:
- 液相法、固相法、液相法および固相法を組み合わせるハイブリッド法などの化学合成法;
- 遺伝子組み換え法;など。
本発明によるペプチドが化学合成法によって生成される一部の例において、本発明によるペプチドは合成ペプチドであると言うことができる。
【0104】
固相法において、例えば、ヒドロキシ基を有する樹脂のヒドロキシ基、およびα-アミノ基が保護基によって保護されている1番目のアミノ酸(通常は、標的ペプチドのC末端アミノ酸)のカルボキシ基は、エステル化反応に供される。エステル化触媒について、公知の脱水剤および縮合剤、例えば、1-メシチレンスルホニル-3-ニトロ-1,2,4-トリアゾール(MSNT)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、およびジイソプロピルカルボジイミド(DIC)が使用され得る。
【0105】
次に、1番目のアミノ酸のα-アミノ基の保護基が除去され、主鎖のカルボキシ基を除くすべての官能基が保護されている2番目のアミノ酸が添加され、カルボキシ基が活性化され、1番目および2番目のアミノ酸が結合する。さらにまた、2番目のアミノ酸のα-アミノ基が脱保護され、主鎖のカルボキシ基を除くすべての官能基が保護されている3番目のアミノ酸が添加され、カルボキシ基が活性化され、2番目および3番目のアミノ酸が結合する。これが繰り返され、標的の長さを有するペプチドが合成された後、すべての官能基が脱保護される。
【0106】
固相合成のための樹脂の例としては、Merrifield樹脂、MBHA樹脂、Cl-Trt樹脂、SASRIN樹脂、Wang樹脂、Rinkアミド樹脂、HMFS樹脂、アミノ-PEGA樹脂(Merck KGaA)、HMPA-PEGA樹脂(Merck KGaA)などが挙げられる。これらの樹脂は、溶媒(ジメチルホルムアミド(DMF)、2-プロパノール、塩化メチレンなど)を使用して洗浄された後に使用されてもよい。
【0107】
α-アミノ基の保護基の例としては、ベンジルオキシカルボニル(CbzまたはZ)基、tert-ブトキシカルボニル(Boc)基、フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)基、ベンジル基、アリル基、アリルオキシカルボニル(Alloc)基などが挙げられる。Cbz基は、フッ化水素酸を使用する処理、水素化などによって脱保護され得、Boc基は、トリフルオロ酢酸(TFA)を使用する処理によって保護され得、Fmoc基は、ピペリジンまたはピロールリジンを使用する処理によって脱保護され得る。
【0108】
メチルエステル、エチルエステル、アリルエステル、ベンジルエステル、tert-ブチルエステル、シクロヘキシルエステルなどのような例を使用して、α-カルボキシ基が保護され得る。
【0109】
カルボキシ基の活性化は、縮合剤を使用して行われ得る。縮合剤の例としては、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDCまたはWSC)、(1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチル]-1H-ベンゾトリアゾリウム-3-オキシドヘキサフルオロホスフェート(HBTU)などが挙げられる。
【0110】
樹脂からのペプチド鎖の切断は、酸、例えば、TFA、フッ化水素(HF)などを使用してペプチド鎖を処理することによって行われ得る。
【0111】
遺伝子組み換え法(翻訳/合成系)によるペプチドの生成は、ペプチドをコードする核酸を使用して行われ得る。ペプチドをコードする核酸は、DNAまたはRNAであり得る。
【0112】
ペプチドをコードする核酸は、公知の方法、またはそれと等価な方法によって調製され得る。例えば、ペプチドは、自動合成機によって合成され得る。制限酵素認識部位を追加して、ベクターに得られたDNAを挿入してもよい。あるいは、酵素などを使用して、形成されたペプチド鎖をスプライシングするためのアミノ酸配列をコードする塩基配列が組み込まれてもよい。
【0113】
上記に記載されるように、ペプチドが細胞透過性ペプチドなどに融合される場合、核酸は、細胞透過性ペプチドをコードする核酸も含む。
【0114】
別のペプチドのキメラペプチドとして標的ペプチドを発現させるためのキメラタンパク質発現法を使用して、宿主由来プロテアーゼによる分解も抑制しされ得る。この場合において、標的ペプチドおよびそれに結合したペプチドをコードする核酸は、核酸として使用され得る。
【0115】
その後、発現ベクターが、ペプチドをコードする核酸を使用して調製される。核酸はそのまままたは制限酵素によって消化されてもよく、あるいは、核酸はリンカーなどを付加することによって発現ベクターのプロモーターの下流に挿入されてもよい。ベクターの例としては、大腸菌由来プラスミド(pBR322、pBR325、pUC12、pUC13、pUC18、pUC19、pUC118、pBluescript IIなど)、枯草菌由来プラスミド(pUB110、pTP5、pC1912、pTP4、pE194、pC194など)、酵母由来プラスミド(pSH19、pSH15、YEp、YRp、YIp、YACなど)、バクテリオファージ(eファージ、M13ファージなど)、ウイルス(レトロウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、カリフラワーモザイクウイルス、タバコモザイクウイルス、バキュロウイルスなど)、コスミドなどが挙げられる。
【0116】
プロモーターは、宿主の種類に従って適切に選択され得る。宿主が動物細胞である場合、例えばSV40(サルウイルス40)に由来するプロモーターまたはCMV(サイトメガロウイルス)に由来するプロモーターが使用され得る。宿主が大腸菌である場合、trpプロモーター、T7プロモーター、lacプロモーターなどが使用され得る。
【0117】
発現ベクターは、例えばDNA複製開始点(ori)、選択マーカー(抗生物質耐性、栄養要求性など)、エンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、タグ(FLAG、HA、GST、GFPなど)をコードする核酸などを組み込み得る。
【0118】
次に、適切な宿主細胞は、発現ベクターによって形質転換される。宿主は、ベクターに関連して適切に選択され得る。大腸菌、枯草菌(バチルス属)、酵母、昆虫または昆虫細胞、動物細胞などのような例が宿主として使用され得る。動物細胞として、例えばHEK293T細胞、CHO細胞、COS細胞、骨髄腫細胞、HeLa細胞、およびVero細胞が使用され得る。形質転換は、宿主の種類に応じて、公知の方法、例えばリポフェクション法、リン酸カルシウム法、エレクトロポレーション法、マイクロインジェクション法、遺伝子銃法などに従って行われ得る。標的ペプチドは、従来法に従って、形質転換体を培養することによって発現される。
【0119】
形質転換体培養からのペプチドの精製に関して、培養された細胞は回収され、次いで適切な緩衝溶液に懸濁され、続いて、超音波処理、凍結-解凍などのような方法によって細胞の破壊を行い、次いで、粗抽出物が遠心分離または濾過によって得られる。ペプチドが培養溶液に分泌される場合、上清が回収される。
【0120】
粗抽出物または培養上清の精製はまた、公知の方法またはそれに等価な方法(例えば、塩析、透析、限外濾過法、ゲル濾過法、SDS-PAGE法、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、逆相高速液体クロマトグラフィーなど)によって行われ得る。
【0121】
得られたペプチドは、公知の方法またはそれに等価な方法によって、遊離体から塩に、または塩から遊離体に変換されてもよい。
【0122】
一つの実施態様において、翻訳/合成系は無細胞翻訳系であり得る。無細胞翻訳系によれば、発現産物の高度に純粋な形態を、一般に精製なしで得ることができる。無細胞翻訳系は、例えばリボソームタンパク質、アミノアシル-tRNAシンターゼ(ARS)、リボソームRNA、アミノ酸、rRNA、GTP、ATP、翻訳阻害因子(IF)、伸長因子(EF)、放出因子(RF)、およびリボソーム再生因子(RRF)、または翻訳に必要な別の因子を含む。大腸菌抽出物またはコムギ胚抽出物が、発現効率を増加させるために添加されてもよい。加えて、ウサギ赤血球抽出物または昆虫細胞抽出物が添加されてもよい。
【0123】
透析を使用してこれらを含む系にエネルギーを継続的に供給することによって、数百μg~数mg/mLのタンパク質が、非限定的な様式において生成され得る。系は、ゲノムDANの転写を併せて行うために、RNAポリメラーゼを含んでいてもよい。使用され得る市販の無細胞翻訳系の例としては、大腸菌に由来する系のための、Roche Diagnostics K.K.製のRTS-100(登録商標)、GeneFrontier Corporation製のPURE System、New England Biolabs Inc.製のPURExpressインビトロタンパク質合成キットなど、およびコムギ胚抽出物を使用する系のためのZOIGENE、CellFree Sciences Co.,Ltd.製の系などが挙げられる。
【0124】
細胞翻訳系において、人工アミノアシル-tRNAが使用されてもよく、所望のアミノ酸またはヒドロキシ酸は、天然アミノアシル-tRNAシンターゼによって合成されるアミノアシル-tRNAの代わりに、tRNAに連結(アシル化)されてもよい。アミノアシル-tRNAは、人工リボザイムを使用して合成されてもよい。
【0125】
リボザイムの例としては、フレキシザイム(flexizyme)(H.Murakami、H.Saito、およびH.Suga、(2003)、Chemistry & Biology、第10巻、655-662;およびWO2007/066627号など)が挙げられ、すべて、参照により本明細書に組み込まれる。フレキシザイムは、プロトタイプフレキシザイム(Fx)、新たに修飾されたジニトロベンジルフレキシザイム(dFx)、増強されたフレキシザイム(eFx)、アミノフレキシザイム(aFx)などの名称でも公知である。
【0126】
所望のコドンは、フレキシザイムによって生成されたtRNAを使用することによって、所望のアミノ酸またはヒドロキシ酸と関連して翻訳され得、それに、所望のアミノ酸またはヒドロキシ酸が連結される。特別なアミノ酸が、所望のアミノ酸として使用されてもよい。例えば、上記の環化に必要な非天然アミノ酸も、この方法によって結合ペプチドに導入され得る。
【0127】
例えば、段階的固相合成、コンフォメーション的に支持された再ライゲーションを受けているペプチド断片の半合成、および化学的ライゲーションを含む、当該技術分野において一般に使用されるさまざまな方法が、ペプチドの化学合成のために使用され得る。ペプチドの合成は、例えば、K.J.Jensen、P.T.Shelton、S.L.Pedersen、Peptide Synthesis and Applications、第2版、Springer、2013などに記載されているさまざまな固相技術を使用する化学合成である。好ましい戦略は、α-アミノ基を一時的に保護することができ、塩基を使用して選択的に除去することができるFmoc基、および側鎖官能基を一時的に保護し、Fmoc脱保護条件下で安定である、保護基の組み合わせに基づく。この種類の一般的なペプチド側鎖の選択は、前述のPeptide Synthesis and Applications、第2版;G.B.Fields、R.L.Noble、Solid Phase Peptide Synthesis Utilizing 9-Fluorenylmethoxycarbonyl Amino Acids、Int.J.Peptide Protein Res.35、1990、161-214などにより公知である;しかしながら、好ましいペプチド側鎖保護基としては、例えば、セリンもしくはトレオニンのヒドロキシ基のためのベンジル基もしくはtert-ブチル基およびトリチル(Trt)基;チロシンのヒドロキシ基のための2-ブロモベンジルオキシカルボニル基もしくはtert-ブチル基;リジン側鎖のアミノ基のためのBoc基、メチルテトラゾールチオール(Mtt)基、Alloc基、およびivDde基;ヒスチジンのイミダゾール基のためのTrt基もしくはBoc基;アルギニンのグアニジル基のための2,2,4,6,7-ペンタメチルジヒドロベンゾフラン-5-スルホニル(Pbf)基;グルタミン酸およびアスパラギン酸などのカルボキシル基のためのtert-ブチル基、アリル基、および3-メチルペンタン(Mpe)基;グルタミンもしくはアスパラギンのカルボキサミド基のためのTrt基;またはシステインのチオール基のためのTrt基およびモノメトキシトリチル(Mmt)基が挙げられる。
【0128】
ペプチドは、上記に記載される固相樹脂において、段階的な方法によって合成されてもよい。使用されるC末端アミノ酸および合成のために使用されるアミノ酸またはペプチドのすべては、α-アミノ保護基が、合成するプロセスの間に選択的に除去されなければならない。好ましくは、上記に記載される固相樹脂が使用され、Fmocなどによって適切に保護されたそのN末端を有するペプチドのC末端カルボキシル基、またはFmocによって保護されたそのN末端を有するアミノ酸のC末端カルボキシ基が、適切な試薬によって活性化エステルにされると、次いで、これは、固相樹脂上のアミノ基に添加されて、開始される。ペプチド鎖のその後の伸長は、N末端保護基(Fmoc基)を除去すること、次いで、標的ペプチドのアミノ酸配列による保護されたアミノ酸誘導体の縮合の連続的な繰り返しによって達成され得る。これらが、最終段階において標的ペプチドを放出し得ることに留意すべきである。放出する条件の例は、Teixeira、W.E.Benckhuijsen、P.E.de Koning、A.R.P.M.Valentijn、J.W.Drijfhout、Protein Pept.Lett.、2002、9、379-385などに与えられており、ペプチドは、TFA中の捕捉剤のような、水/シリルヒドリド/チオールを含有するTFA溶液に放出され得る。典型的な例としては、TFA/水/TIS/DODT(体積比92.5:2.5:2.5:2.5)が挙げられる。
【0129】
本明細書に記載されるペプチドの合成は、単一または複数チャネルのペプチド合成機、例えばCEM Corporation製のLiberty Blue合成機、Biotage Japan,Ltd.製のSyro I合成機またはその後継機などを使用して行われてもよい。
【0130】
カルボキシ基の活性化は、縮合剤を使用して行われ得る。縮合剤の例としては、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIPCDI)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDCまたはWSC)、(1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチル]-1H-ベンゾトリアゾリウム-3-オキシドヘキサフルオロホスフェート(HBTU)などが挙げられる。
【0131】
ペプチドの環化は、公知の方法に従って行われ得る。非限定的な様式において、2つ以上のシステイン残基を含むようにペプチドを設計することによって、例えば環状構造は、翻訳後に、ジスルフィド結合によって形成され得る。さらにまた、Gotoら(Y.Gotoら ACS Chem.Biol.3 120-129(2008))の方法に従って、そのN末端にクロロアセチル基を有するペプチドは、遺伝コード再プログラム化技術によって合成されてもよく、そしてペプチドに硫黄分子を含有するシステイン残基を配置することによっても環化されてもよい。そのため、メルカプト基は、自発的に、翻訳後にクロロアセチル基上で求核攻撃を行い、ペプチドは、チオエーテル結合によって環化される。環を形成するように結合する他のアミノ酸の組み合わせが、ペプチド内に配置され、遺伝コード再プログラム化技術によって環化されてもよい。あるいは、環化は、ペプチドにL-2-アミノアジピン酸残基を配置し、それをN末端の主鎖アミノ酸に結合させることによって行われてもよい。この様式において、公知の環化法が任意の特定の制限なく使用され得る。
【0132】
医薬組成物
本発明は、本発明によるペプチドを含む医薬組成物にも関する。本発明による医薬組成物によって標的にされる疾患は、ヒト成長ホルモンの過剰分泌と関連するものであり、これは、成長ホルモンの過剰な分泌、好ましくは下垂体ソマトトロピンの過剰分泌に起因してさまざまな症状を示し、これは脳下垂体などの腫瘍および炎症などによって引き起こされる。さらにまた、標的は成長ホルモンの過剰な分泌によって引き起こされる疾患、例えば先端巨大症(acromegaly)または巨人症を含む。本発明によるペプチドは、ヒト成長ホルモンの過剰分泌と関連する疾患、ならびに先端巨大症および巨人症を治療するための医薬組成物の活性成分として有用である。
【0133】
いくつかの態様において、医薬組成物はGhRアンタゴニスト活性を有する。いくつかの態様において、医薬組成物はhGhRアンタゴニスト活性を有する。
【0134】
成長ホルモンは、脳下垂体において産生された場合、血流に分泌され、さまざまな細胞表面、例えば肝臓、筋肉組織、および骨組織において発現される成長ホルモン受容体(GhR)に結合する。GHおよびGhRの結合は、細胞、特に肝臓細胞において、インスリン様成長因子-1(IGF-1)の産生を誘導する。下記に記載される先端巨大症および巨人症において、血漿および/または組織における成長ホルモンの上昇は、血漿および/または組織におけるIGF-Iレベルの上昇と関連していることが公知である。
【0135】
GHの過剰なまたは不十分な分泌は、疾患を引き起こすことが公知である。GHの過剰な分泌は先端巨大症と呼ばれる状態を引き起こし(小児において発生した場合、巨人症と呼ばれることがある)、これは、過剰な骨の伸長、軟組織の肥大、心臓血管および消化管の症状、ならびにインスリン抵抗性などの症状を提示する。多くの場合において、この状態は、それらの分泌機能を維持しながら、腫瘍原性(下垂体腫瘍)になる成長ホルモン分泌細胞に起因し、発生の頻度は100,000人あたり4~24人と稀である。適切に治療されないと、代謝性疾患、例えば糖尿病および高血圧、アンギナ、心筋梗塞、脳血管障害下の状態、結腸および甲状腺のがんなどの合併症の高い可能性があり、そのため早期の診断および治療が必要である。
【0136】
先端巨大症のための最も一般的な治療は、下垂体腫瘍の外科的切除である。しかしながら、腫瘍は大きく、そのため切除するのが困難であることがあり、またはGH分泌は切除後でさえ過剰なままであることがあり、これらの場合において薬物療法が用いられる。
【0137】
GhRを阻害する活性を有する化合物、ならびに先端巨大症および巨人症の治療のためにそのような化合物を含む組成物が所望されている。したがって、本明細書は、GhRアンタゴニスト活性を有する前述のペプチドならびにヒト成長ホルモンの過剰分泌と関連する疾患、好ましくは先端巨大症および巨人症の治療のための医薬組成物も開示する。いくつかの態様において、本発明による医薬組成物は、ヒト成長ホルモンの過剰分泌と関連する疾患の治療のための医薬組成物である。いくつかの態様において、本発明による医薬組成物は、先端巨大症または巨人症の治療のためのものである。
【0138】
本明細書において使用される場合、「ヒト成長ホルモンの過剰分泌と関連する疾患」という表現は、脳下垂体からの1つまたは複数のホルモンの過剰分泌に起因する過剰な末梢ホルモンによって主に引き起こされるさまざまな症状を示す疾患を指す。病因としては、脳下垂体それ自体の障害、下垂体ホルモンの分泌を制御する視床下部の障害、ならびに脳下垂体および視床下部を接続する下垂体茎の障害、ならびにそれらの組み合わせも挙げられる。本発明によるペプチドは、成長ホルモン受容体に結合することによって治療効果を誘導するので、病因は、特に限定されない。
【0139】
「先端巨大症」は、成長ホルモンの過剰分泌によって引き起こされる状態であり、小児の間に発生した場合、巨人症と呼ばれることがある。小児において、先端巨大症が思春期前に発生する場合、長骨の伸長が止まらず、身長および手足が、異常な長さに成長する。しかしながら、成人において発生する先端巨大症において、骨は、伸長よりもむしろ変形または拡大する。また、非骨組織の拡大が起こり得、例えば、先端巨大症は、心臓の拡張に起因する心不全、神経を圧縮する組織の拡大に起因する視力障害、手足の弱化などを引き起こし得る。加えて、糖尿病、高血圧、睡眠時無呼吸症候群、がんになり得る腫瘍などが発生する可能性がより高くなることが公知である。したがって、ヒト成長ホルモンの過剰分泌と関連する疾患(例えば、限定されるものではないが、ヒト成長ホルモンの発現、産生、および/または分泌の増加と関連する疾患など)のための本発明によるペプチドを含有する医薬組成物を使用する治療を行うことで、結果として先端巨大症および巨人症によって引き起こされる、心不全、糖尿病、高血圧、睡眠時無呼吸症候群、および特定の(特に、結腸)腫瘍の防止をもたらし得る。
【0140】
いくつかの態様において、本発明による医薬組成物は、ペプチドそれ自体を含んでいてもよく、またはペプチドの薬学的に許容される塩を含んでいてもよい。本明細書における「ペプチド」は、特に断らない限り、ペプチドの薬学的に許容される塩を含み得る。医薬組成物は、好ましくは有効量の活性成分としてのペプチドを含む。
【0141】
ペプチドの塩(薬学的に許容される塩)は、好ましくは酸付加塩である。例えば、無機酸(塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸など)の塩、有機酸(酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、シュウ酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸など)の塩などがこの塩として使用される。ペプチドまたはその塩は水和物などの溶媒和物も含む。
【0142】
本明細書において、医薬組成物の投与の形態は、特に限定されず、経口または非経口であり得る。非経口投与の例としては、注射、例えば筋肉内注射、静脈内注射、または皮下注射;経皮投与;経粘膜投与(経鼻、経口、経眼、経肺、経膣、または経直腸);などが挙げられる。
【0143】
医薬組成物は、ポリペプチドが容易に代謝および排泄される性質を考慮して、さまざまな方法で改変されてもよい。例えば、ポリエチレングリコール(PEG)または糖鎖が、血液中でのその保持時間を延長して、抗原性を低減するためにポリペプチドに付加されてもよい。さらにまた、生分解性重合化合物、例えばポリ乳酸/グリコール(PLGA)、多孔性ヒドロキシアパタイト、リポソーム、表面改変リポソーム、および不飽和脂肪酸において調製された、エマルジョン、ナノ粒子、ナノスフェアなどが、放出制御基材として使用され、ポリペプチドは、基材中に存在していてもよい。経皮投与の場合において、弱い電流は皮膚表面を通過し、角質層に浸透するのを可能にする(イオントフォレーシス)。
【0144】
医薬組成物に関して、活性成分はそのまま使用されてもよく、または医薬組成物は薬学的に許容される担体、賦形剤、添加剤などを含んでいてもよく、または製剤化されていてもよい。剤形の例としては、液剤(例えば、注射剤)、分散剤、懸濁剤、錠剤、丸剤、散剤、坐剤、粉末化薬物、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤、ロゼンジ、吸入剤、軟膏、点眼剤、点鼻剤、点耳剤、パッチなどが挙げられる。製剤化は、例えば、必要に応じて、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、溶解剤、可溶化剤、着色剤、香味剤、安定剤、乳化剤、吸収促進剤、界面活性剤、pH調整剤、保存剤、酸化防止剤などを使用して、一般的な方法によって行われ得る。
【0145】
製剤化のために使用される成分の例としては、これらに限定されるものではないが、精製水、生理食塩水、リン酸緩衝溶液、デキストロース、グリセロール、薬学的に許容される有機溶媒、例えば、エタノール、動植物油、ラクトース、マンニトール、グルコース、ソルビトール、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、コーンスターチ、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、コラーゲン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、水溶性デキストラン、カルボキシメチルスターチナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、エチルセルロース、キサンタンガム、アラビアガム、トラガカント、カゼイン、寒天、ポリエチレングリコール、ジグリセリン、グリセリン、プロピレングリコール、ワセリン、パラフィン、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、高級アルコール、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ヒト血清アルブミンなどが挙げられる。
【0146】
医薬組成物は、一般にペプチドが粘膜を通して吸収するのが困難であるという事実を考慮して、不十分な吸収性の薬物の吸収を改善するために吸収促進剤を含んでいてもよい。以下が吸収促進剤として使用されてもよい:界面活性剤、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ラウリル硫酸ナトリウム、およびサポニン;胆汁酸塩、例えば、グリココール酸、デオキシコール酸、およびタウロコール酸;キレート化剤、例えば、EDTAおよびサリチル酸;脂肪酸、例えば、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、リノール酸、混合ミセル;エナミン誘導体、N-アシルコラーゲンペプチド、N-アシルアミノ酸、シクロデキストリン、キトサン、一酸化窒素ドナーなど。
【0147】
医薬組成物が丸剤または錠剤である場合、それは、糖コーティング、または胃溶性もしくは腸溶コーティング物質を使用して、コーティングされていてもよい。
【0148】
医薬組成物が注射剤である場合、それは、注射用蒸留水、生理的食塩水、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、アルコールなどを含んでいてもよい。加えて、保水剤、乳化剤、分散剤、安定剤、溶解剤、可溶化剤、保存剤などが添加されていてもよい。
【0149】
さらにまた、医薬組成物は、ヒトだけでなく、非ヒト哺乳動物または鳥類を標的にしてもよい。非ヒト哺乳動物の例としては、ヒト以外の霊長類(サル、チンパンジー、ゴリラなど)、家畜動物(ブタ、ウシ、ウマ、ヒツジなど)、イヌ、ネコ、ラット、マウス、モルモット、ウサギなどが挙げられる。
【0150】
特に、ヒトに投与される場合における投薬量は、症状、患者の年齢、性別および体重、感受性差、投与方法、投与間隔、活性成分の種類、ならびに製剤の種類に応じて変化し、それは、非限定的な様式において、例えば1回またはいくつかの用量に分割されて、約30μg~約100gの間、約1μg~約10gの間、約1μg~約1gの間、約10μg~約1gの間、約10μg~約500mgの間、約100μg~約10gの間、約100μg~約1gの間、約10μg~約500mgの間、約100μg~約500mgの間、または約100μg~約100mgの間で投与することによって、投与されてもよい。注射剤の場合において、患者の体重に従って、約1μg/kg~約3,000μg/kgまたは約3μg/kg~約1,000μg/kgが、一回またはいくつかの用量に分割されて、投与されてもよい。
【0151】
本発明は、本発明によるペプチドを対象に投与することによる、ヒト成長ホルモンの過剰分泌と関連する疾患を治療するための方法にも関する。
【0152】
本発明は、ヒト成長ホルモンの過剰分泌と関連する疾患の治療のための本発明によるペプチドの使用にも関する。
【0153】
本発明は、ヒト成長ホルモンの過剰分泌と関連する疾患の治療のための医薬組成物を製造するためのペプチドの使用にも関する。
【0154】
本発明は、ヒト成長ホルモンの過剰分泌と関連する疾患を治療するための方法における使用のための本発明によるペプチドにも関する。
【実施例
【0155】
本発明を、実施例に基づいて下記に詳細に記載するが、本発明は、これらの実施例に限定されない。当業者は、本明細書の記載に基づいて、本発明に改変および変更を容易に加えることができ、これらは本発明の技術的範囲に包含される。
【0156】
実施例1-化学合成
以下の実施例における化学合成において使用されたすべての原料、ビルディングブロック、試薬、酸、塩基、固相樹脂、および溶媒について市販の製品をそのまま使用して、または有機化学技法を使用して当業者によって、合成を完了することができる。市販製品が、別段の指定がない限り、保護基を含有するアミノ酸のために使用されたことに留意する。
【0157】
固相樹脂におけるペプチド鎖の拡大は、出発材料としてそれぞれの実施例に記載される樹脂を使用すること、ならびに標準的なペプチドカップリング反応条件およびFmoc除去反応条件を使用することによって行われる。反応を、製造業者のマニュアルに従って、CEMによって製造された自動ペプチド合成機であるLiberty Blueを使用して行った。例として、使用した一般的なアミノ酸の一部を下記に列挙し、側鎖保護基を括弧内に示す:
- Fmoc-N-Me-Lys(alloc)-OH;
- Fmoc-Tyr(tBu)-OH;
- Fmoc-F4COO(tBu)-OH;
- Fmoc-Val-OH;
- Fmoc-Ser(tBu)-OH;
- Fmoc-Asn(Trt)-OH;
- Fmoc-W1aa(アリル)-OH;
- Boc-Lys(Fmoc)-OH;
- Fmoc-Lys(ivDde)-OH;
- Fmoc-Lys(Boc)-OH;
- Fmoc-Lys(alloc)-OH;
- Fmoc-W5H-OH;
- Fmoc-Glu-OtBu;
- Fmoc-Aib-OH;
- Fmoc-A4pipaa(tBu)-OH;
- Fmoc-W7N-OH;
- Fmoc-W5OMe-OH;
- Fmoc-Cys(Trt)-OH;
- Fmoc-Gly-OH;
- Fmoc-Pro-OH;および
- Fmoc-ds(tBu)-OH。
【0158】
逆相分離HPLCを、Watersによって製造されたAutoPurificationシステム-SQD2シングル四重極質量分析計を使用して、得られた粗精製されたペプチドを精製するための方法として行い、溶出を、標的生成物に由来するm/zイオンをモニターしながら行った。ESIポジティブスキャンモードにおいて得られた質量スペクトル、および標的生成物の分子式によって計算された多価イオンを含有する質量スペクトルが、使用した質量分析計の誤差範囲内で一致したことを確認した。使用されたカラムを含む精製条件がそれぞれの実施例に示されることに留意すべきである。
【0159】
化学合成されたペプチドの構造決定に関して、標的配列に従って使用されたアミノ酸および必要により使用されたビルディングブロックを考慮して計算された分子量を、質量スペクトル分析法におけるESI-MS(+)によって確認した。「ESI-MS(+)」が、ポジティブイオンモードにおいて行われたエレクトロスプレーイオン化質量分析法を示すことに留意されたい。検出された質量は、「m/z」単位で報告する。およそ1,000よりも大きい分子量を有する化合物が、二価イオンまたは三価イオンとして頻繁に検出されることに留意すべきである。
【0160】
実施例2-hGhR結合ペプチドの特定
成長ホルモン受容体(GhR)結合ペプチドを、そのすべてが参照することにより本明細書の開示の一部とされる特許文献WO2014/119600号、WO2012/033154号、およびWO2007/066627号に記載されるものと類似のスクリーニング方法によって、スクリーニングおよび特定した。このスクリーニングにおいて、ヒトIgGのFc部分に融合された組換えヒトGhRタンパク質(R&D systems)を、ベイトタンパク質として使用して、GhR結合ペプチドを濃縮した。スクリーニングから得られたペプチドの結合を、最初に、シングルトンDNA鋳型から発現させたDNA/RNAタグに融合されたインビトロ翻訳されたペプチドを用いて試験した。インビトロ翻訳されたペプチドをプロテインG磁気ビーズ上に固定化されたヒトGhR-Fcと共にインキュベートし、ビーズと共沈したペプチドの量をqPCRによって定量化した。次いで、ペプチドをそれらがGhRに対する結合活性を有するかどうか定量的に確認するために化学合成した。
【0161】
実施例3-GhR結合ペプチドの合成
以下の実施例における化学合成において使用されたすべての原料、ビルディングブロック、試薬、酸、塩基、固相樹脂、および溶媒について、市販の製品をそのまま使用したか、または有機化学法を当業者によって使用した。特に断らない限り、保護基を含有する市販のアミノ酸をそのまま使用した。
【0162】
化学合成されたペプチドの構造決定のために、標的配列に従って使用されたアミノ酸および必要により使用されたビルディングブロックを考慮して計算された分子量を質量スペクトル分析法におけるESI-MS(+)によって確認した。「ESI-MS(+)」が、ポジティブイオンモードにおいて行われたエレクトロスプレーイオン化質量スペクトル分析法を示すことに留意されたい。検出された質量は「m/z」単位で報告した。約1000よりも大きい分子量を有する化合物は、二価イオンまたは三価イオンとして頻繁に検出された。カラム:CORTECS(R) UPLC(R) C18カラム(Japan Waters)、9オングストローム、1.6μm、2.1×100mm;移動相:MeCN/H2O中の0.025%のTFA;温度:40℃;グラジエント:5.56分の5~95%のMeCN/H2O中の0.025%のTFA;線形グラジエント、流速:0.4mL/分、検出:UV 220nm。ペプチド合成を、Sieber Amide樹脂(Novabiochemの製品);αアミノ基の保護基として9-フルオレニルメトキシカルボニル基(Fmoc);および自動Liberty Blue(CEM Inc.)を使用して、一般的な固相合成法に従って行った。
【0163】
GhR結合ペプチドを合成した:ペプチド合成を、Sieber Amide樹脂(Novabiochemの製品):αアミノ基の保護基として9-フルオレニルメトキシカルボニル基(Fmoc);Fmoc脱保護のためのDMF中の20%のピペリジン;ペプチド伸長のためのカップリング試薬として、4.2当量のFmoc-アミノ酸、4当量のOxyma Pure、および8当量のN,N’’-ジイソプロピルカルボジイミド(DIC);ならびに自動Liberty Blue(CEM Inc.)を使用して、一般的な固相合成法に従って行った。
【0164】
環状ペプチドを、AutoPurificationシステム-SQD2シングル四重極質量分析計(Watersの製品)を使用して、逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって精製して、意図される生成物を得た。このようにして得られたペプチドを、ESI-ポジティブスキャンモードにおいて得られた質量スペクトルによって特定し、標的対象の分子式から計算された多価イオンを含有する質量スペクトルは、使用した質量分析計の誤差範囲内で一致した。カラム:Kinetex EVO C18 2.6um、2.1ID×150mm、100オングストローム(ガードカートリッジ2.1mmIDを有する)、移動相A:H2O中の0.025%のTFA、移動相B:MeCN中の0.025%のTFA。温度:60℃、グラジエント:7.15分にわたって20~60%のB、0.3分にわたって60~95%のB、1.55分にわたって95%のB、0.01分にわたって95~20%のB、次いで3.49分にわたって20%のB、流速:0.5mL/分、検出:UV 225nm、20~60/7.15分、60~95/0.3分、95~95/1.55分、95~20/0.01分、20~20/3.49分。
【0165】
二環式ペプチド(表1-1における化合物番号1~32)の合成を、下記に記載されるようにして行う。
PD-217(表1-1の化合物番号9);二環式ペプチド(ペプチドの配列番号10)およびアルブミン結合剤(E_E_4IPhpCO)コンジュゲート化リンカー(配列番号32)を含む化合物の合成
【化1】
【0166】
合成において使用したFmocアミノ酸は、Boc-Lys(Fmoc)-OH;Fmoc-Cys(Trt)-OH;Fmoc-Val-OH;Fmoc-Aib-OH;Fmoc-W5H-OH;Fmoc-Lys(ivDde)-OH;Fmoc-F4COO(tBu)-OH;Fmoc-W1aa(アリル)-OH;Fmoc-Asn(Trt)-OH;Fmoc-Ser(tBu)-OH;Fmoc-MeK(alloc)-OHを含んでいた。
【0167】
樹脂を含有する反応容器に、DMF中の20%のピペリジンを添加し、混合物を撹拌した。合成を、一般的な固相合成を使用して、Boc-Lys(Fmoc)-OHから開始した。二重カップリングを、N末端アミノ酸から1位、3位、10位、および11位において実行した。
【0168】
N末端Fmoc-F4COO(tBu)-OHが連結された後、0.25当量の(Pd(PPh)、15当量のPhSiH、およびDCMを添加し、得られた混合物をかき混ぜて、それぞれ、N-メチル-L-リジンおよび1-(カルボキシメチル)-L-トリプトファンの側鎖上のalloc基およびアリル基を除去した。このようにして得られたペプチド樹脂を、マイクロ波照射下、DMF中の16当量のDICおよび8当量のOxyma pureで処理した。
【0169】
Fmoc基を、DMF中の20%のピペリジンで脱保護した後、樹脂をDMFで洗浄した。次いで、樹脂に、DCM/NMP(1:1v/v)中の5当量の2-クロロ酢酸、5当量のDIC、および5当量のHOSuを添加した。樹脂を、DMFおよびDCMで連続して洗浄し、次いで、乾燥させた。
【0170】
TFA-水-TIS-DODT混合物(92.5:2.5:2.5:2.5v/v/v/v)を添加し、得られた混合物を室温で1.25時間撹拌した。
【0171】
粗ペプチドを、樹脂から切断し、エーテル沈殿によって収集した。ジイソプロピルエーテルで3回洗浄し、乾燥した後、15当量のトリエチルアミンを含有するDMSO-水-MeCN(1:1:1v/v/v)を添加して、5mMの最終濃度を得、続いて室温で2時間撹拌した。
【0172】
溶媒を除去した後、DMSO-水(9:1v/v)、1.02当量の1-(tert-ブチル)5-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)((S)-5-(tert-ブトキシ)-4-(4-(4-ヨードフェニル)ブタンアミド)-5-オキソペンタノイル)-L-グルタメート、および3当量のN-エチル-N-イソプロピルプロパン-2-アミンの溶液を添加し、混合物を1時間撹拌した。溶液を濃縮し、生成物を、エーテルから再沈殿させ、乾燥した。
【0173】
TFA-水-TIS-DODT混合物(92.5:2.5:2.5:2.5v/v/v/v)を添加し、得られた混合物を室温で30分間撹拌した。ペプチドを、エーテル沈殿によって収集し、減圧下で乾燥した。
【0174】
N末端アミノ酸から9位のリジン上のivDde基を、DMSO中の25当量のヒドラジン一水和物を用いて切断した。混合物を2.5時間撹拌した後、反応を、40当量の酢酸でクエンチした。粗ペプチドを、LCMSによる分析条件によって確認した:保持時間=1.48分。
【0175】
粗ペプチドを逆相HPLCによって精製し、生成物を、以下に示されるように、その条件下でHPLCによって確認した。分析HPLC条件:保持時間=4.220分。
MS(ESI+);[M+2H]2+についての計算値1242.8、実測値1242.6。
PD-233(表1-1の化合物番号11);二環式ペプチド(ペプチドの配列番号10)およびアルブミン結合剤(E-E-cC14COO)コンジュゲート化リンカー(配列番号32)を含む化合物の合成
【化2】
【0176】
合成において使用したFmocアミノ酸は、Fmoc-Lys(alloc)-OH;Fmoc-Glu-OtBu;Fmoc-Cys(Trt)-OH;Fmoc-Val-OH;Fmoc-Aib-OH;Fmoc-W5H-OH;Fmoc-Lys(Boc)-OH;Fmoc-F4COO(tBu)-OH;Fmoc-W1aa(アリル)-OH;Fmoc-Asn(Trt)-OH;Fmoc-Ser(tBu)-OH;Fmoc-MeK(alloc)-OHを含んでいた。
【0177】
樹脂を含有する反応容器に、DMF中の20%のピペリジンを添加し、混合物を撹拌した。合成を、一般的な固相合成法を使用して、Fmoc-Lys(alloc)-OHから開始した。二重カップリングを、N末端アミノ酸から1位、3位、および11位において実行した。
【0178】
2つのFmoc-Glu-OtBu単量体(CAS:84793-07-7)および16-(tert-ブトキシ)-16-オキソヘキサデカン酸(CAS:843666-27-3)がFmoc-Lys(alloc)-OHに連結された後、0.25当量のPd(PPh、15当量のPhSiH、およびDCMを添加し、得られた混合物をかき混ぜて、リジンの側鎖上のalloc基を除去した。このようにして得られたペプチド樹脂を、さらなるペプチド合成において使用した。
【0179】
N末端Fmoc-F4COO(tBu)-OHが連結された後、0.25当量のPd(PPh、15当量のPhSiH、およびDCMを添加し、得られた混合物をかき混ぜて、それぞれ、MeKおよびW1aaの側鎖上のalloc基およびアリル基を除去した。このようにして得られたペプチド樹脂を、マイクロ波照射下、DMF中の16当量のDICおよび8当量のOxyma pureで処理した。
【0180】
Fmoc基を、DMF中の20%のピペリジンで脱保護した後、樹脂をDMFで洗浄した。次いで、樹脂に、DCM/NMP(1:1 v/v)中の5当量の2-クロロ酢酸、5当量のDIC、および5当量のHOSuを添加した。樹脂を、DMFおよびDCMで連続して洗浄し、次いで、乾燥させた。
【0181】
TFA-水-TIS-DODT混合物(90:2.5:2.5:5v/v/v/v)を添加し、得られた混合物を室温で1.25時間撹拌した。
【0182】
粗ペプチドを、樹脂から切断し、エーテル沈殿によって収集した。ジイソプロピルエーテルで3回洗浄し、乾燥した後、15当量のトリエチルアミンを含有するDMSO-水-MeCN(2:1:1v/v/v)を添加して、5mMの最終濃度を得、続いて室温で4時間撹拌した。粗ペプチドを、LCMSによる分析条件によって確認した:保持時間=2.36分。
【0183】
粗ペプチドを逆相HPLCによって精製し、生成物を、以下に示されるように、以下の条件下でHPLCによって確認した。分析HPLC条件:保持時間=4.892分。
MS(ESI+);[M+2H]2+についての計算値1240.1、実測値1240.8。
【0184】
単環式ペプチド(表1-2における化合物番号34~58)の合成を、下記に記載されるようにして行う。
PD-209(表1-2の化合物番号54);アルブミン結合剤(E-4IPhpCO)コンジュゲート化単環式ペプチド(ペプチド配列番号31)およびリンカー(配列番号34)を含む化合物の合成
【化3】
【0185】
合成において使用したFmocアミノ酸は、Fmoc-ds(tBu)-OH;Fmoc-Pro-OH;Fmoc-Gly-OH;Fmoc-Cys(Trt)-OH;Fmoc-Val-OH;Fmoc-Aib-OH;Fmoc-W5H-OH;Fmoc-Lys(Boc)-OH;Fmoc-F4COO(tBu)-OH;Fmoc-W5OMe-OH;Fmoc-Asn(Trt)-OH;Fmoc-Ser(tBu)-OH;Fmoc- MeK(alloc)-OH;Fmoc-Tyr(tBu)-OHを含んでいた。
【0186】
樹脂を含有する反応容器に、DMF中の20%のピペリジンを添加し、混合物をかき混ぜた。合成を、一般的な固相合成法を使用して、Fmoc-ds(tBu)-OHから開始した。二重カップリングを、N末端アミノ酸から1位、3位、5位、10位、11位、14位、および16位において実行した。
【0187】
N末端Fmoc-Tyr(tBu)-OHが連結された後、DMF中の20%のピペリジンを添加した。樹脂をDMFで洗浄し、次いで、塩化メチレン(DCM)/1-メチル-2-ピロリジン(NMP)(1:1v/v)中の5当量の2-クロロ酢酸、5当量のDIC、および5当量のN-ヒドロキシスクシンイミド(HOSu)を添加した。樹脂を、DMFおよびDCMで連続して洗浄した。
【0188】
樹脂を含有する反応容器に、0.25当量のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh)、15当量のフェニルシラン、およびDCMを添加し、得られた混合物をかき混ぜて、MeKの側鎖上のアリルオキシカルボニル(alloc)基を除去した。このようにして得られたペプチド樹脂を、DMF中の4当量の(4-(4-ヨードフェニル)ブタノイル)-L-グルタミン酸、8当量のDIC、および4当量のOxyma pureで処理した。樹脂を、DMFおよびDCMで3回洗浄し、次いで、乾燥させた。
【0189】
トリフルオロ酢酸(TFA)-水-トリイソプロピルシラン(TIS)-3,6-ジオキサ-1,8-オクタンジチオール(DODT)混合物(92.5:2.5:2.5:2.5v/v/v/v)を添加し、得られた混合物を室温で1.5時間撹拌した。
【0190】
粗ペプチドを、樹脂から切断し、エーテル沈殿によって収集した。ジイソプロピルエーテルで3回洗浄し、乾燥した後、15当量のトリエチルアミンを含有するDMSO-水-MeCN(1:1:1v/v/v)を添加して、5mMの最終濃度を得、続いて室温で2時間撹拌した。粗ペプチドを、LCMSによる分析条件によって確認した:保持時間=1.55分。
【0191】
粗ペプチドを逆相HPLCによって精製し、生成物を、以下に示されるように、その条件下でHPLCによって確認した。分析HPLC条件:保持時間=4.236分。MS(ESI+);[M+2H]2+についての計算値1302.0、実測値1302.6。
PD-224(表1-2の化合物番号36);アルブミン結合剤(E-4IPhpCO)コンジュゲート化単環式ペプチド(ペプチド配列番号23)を含む化合物の合成
【化4】
【0192】
PD-224を、PD-209に記載されたものと同じ手順で調製した。二重カップリングを、N末端アミノ酸から1位および3位において実行した。
【0193】
合成において使用したFmocアミノ酸は、Fmoc-Cys(Trt)-OH;Fmoc-Val-OH;Fmoc-A4pipaa(tBu)-OH;Fmoc-W5H-OH;Fmoc-Lys(Boc)-OH;Fmoc-F4COO(tBu)-OH;Fmoc-W5OMe-OH;Fmoc-Asn(Trt)-OH;Fmoc-Ser(tBu)-OH;Fmoc-N-Me-Lys(alloc)-OHを含んでいた。
【0194】
最終生成物を、以下に示されるように、以下の条件下でHPLCによって確認した。
【0195】
分析HPLC条件:保持時間=3.812分。MS(ESI+);[M+2H]2+についての計算値1158.0、実測値1158.5。
【0196】
実施例4-表面プラズモン共鳴(SPR)を使用するhGhR結合ペプチドの結合活性
SPRアッセイを、Biacore T200(cytiva:以前はGE Healthcare)を使用して行った。シリーズSセンサーチップCM5(cytiva:以前はGE Healthcare製造)のランニング緩衝液(1%(v/v)DMSOを有するHBS-EP)による平衡化後、EDC/NHS混合物を、10μL/分の流速で7分間注入して、それによって、センサーチップ上の官能基を活性化した。10mMの酢酸塩(pH4.0)中の組換えヒトGhR-Fcタンパク質(R&D Systems)を、5μL/分の流速で、注入し、固定化した。センサーチップの基材表面にGhR固定化するのに7分かかった。次いで、エタノールアミンを、10μL/分の流速で7分間注入した。1Mのエタノールアミン(水性)を、キャッピングのために、10μL/分の流速で420秒間注入した。DMSO中の10mMのペプチドを、ランニング緩衝液を用いて、希釈して、10uMを得て、100nM、50nM、25nM、10nM、5nMのそれぞれのペプチド溶液(ペプチド試料)を調製した。
【0197】
ペプチド試料を使用して、ヒトGhR-Fcタンパク質に対するペプチドの動態を測定した。試料測定に適合された方法は、単一サイクル動態法であった。分析を、Biacore T200と共に提供された評価ソフトウェアを使用して実行した。溶媒補正測定によって得られたDMSO補正曲線を、分析のために適用した。動態フィッティングを、試料測定データからベースラインデータを減算することによって得られた異なるデータに対して行った。KD値を、会合速度定数(ka)および解離速度定数(kd)に基づいて計算した。得られた結果を、表1、2および3に示す。
【0198】
表1、2および3における「ペプチドの配列番号」は、配列表に記載されたそれぞれの配列番号を示し、これは、その化合物の環状ペプチドが、利用可能な配列番号のアミノ酸配列を有することを示す。さらにまた、「リンカー」は、配列表に記載された配列番号を示し、これは、リンカーが、結合している利用可能な配列番号のアミノ酸配列を有することを示す。「アルブミン結合剤」は、その環状ペプチドに結合したアルブミン結合剤を含有する構造を示す。「NO」と記載されている場合、これは、化合物が、この構造を含有していないことを示すことに留意されたい。合成を別々の実施例に示すが、表1、2および3におけるペプチドはすべて、1番目のアミノ酸残基および13番目のシステイン残基(C)が結合した環状ペプチドであり、それらは、「リンカー」に示される配列番号のアミノ酸を有するリンカーが、そのシステイン残基にさらに結合した構造を有する。
【0199】
表における「KD」は、SPRを使用する化合物とhGhRとの間の結合試験結果が、KDにおいて表されるところの値であり、単位はnMである。さらにまた、「観察m/z[M+2H]2+」は、ESI-MS(+)観察値を示す。別段の指定がない限り、これは二価である([M+2H]2+)。
【0200】
表1において、「アルブミン結合剤」は、リンカーのN末端に位置するリジン側鎖のアミノ基に結合したアルブミン結合剤の種類を示す。例えば、(E_E_4IPhoCO)と記載されている場合、これは、4IphpCOと呼ばれるアルブミン結合剤が、2つのグルタミン酸を通じて、リンカーのN末端に位置するリジン側鎖のアミノ基に結合していることを示す。「アルブミン結合剤」において化合物番号1~4についてNOと記載されている場合、これは、これらの化合物がアルブミン結合剤を含有していないことを示すことに留意されたい。
【0201】
さらにまた、表1に示される化合物番号1~32および58~65は、すべて、2番目のアミノ酸残基(X2)であるNメチルリジンの側鎖のアミノ基が、7番目のアミノ酸残基(X7)であるW1aaに結合した(化合物番号2、5~32、および58~65)、またはG/MeG/Pが、同じN-メチルリジンの側鎖のアミノ基に結合し、アミノ酸が、7番目のアミノ酸残基(X7)であるW1aaにさらに結合した(化合物番号1~4)、二環式ペプチドである。
【0202】
表2において、「アルブミン結合剤」は、2番目のアミノ酸残残基(X2)であるN-メチルリジンの側鎖のアミノ基に結合したアルブミン結合剤の種類を示す。例えば、「アルブミン結合剤」において(E_ 4IPhpCO)と記載されている場合、これは、4IphpCOと呼ばれるアルブミン結合剤が、1つのグルタミン酸を通じて、2番目のアミノ酸残基であるリジンの側鎖のアミノ基に結合していることを示す。さらにまた、「リンカー」において化合物番号33~40、43~45、47、50、および53についてNOと記載されている場合、これは、それらがリンカーを含有していないことを意味する。表2において示される化合物番号33~57が、すべて、単環式ペプチドであることに留意されたい。
【0203】
表1および2において示されているように、すべての化合物は、ヒトGhR-Fcタンパク質に有効に結合することができる。それは、アルブミン結合剤のペプチドへの付加が、それらの結合活性に影響を及ぼさないことを示す。
【表1】
【表2】
1-(tert-ブチル)5-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)((S)-5-(tert-ブトキシ)-4-(4-(4-ヨードフェニル)ブタンアミド)-5-オキソペンタノイル)-L-グルタメート
【化5】
【0204】
3-(((エチルイミノ)メチレン)アミノ)-N,N-ジメチルプロパン-1-アミン塩酸塩(4.22g、22.00mmol)を、DCM(40.0ml)中の4-(4-ヨードフェニル)ブタン酸(5.80g、20mmol)および1-ヒドロキシピロリジン-2,5-ジオン(2.76g、24.00mmol)の溶液に添加し、混合物を0℃で1時間撹拌した。溶液を、1NのHCl水溶液でクエンチし、DCMで2回抽出した。合わせた有機層を、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾液を減圧下で乾燥した。
【0205】
DMF(40.0ml)中の得られた残渣およびDIPEA(6.99ml、40.0mmol)の溶液を、室温で終夜撹拌した。溶液を、EtOAcで希釈し、1NのHCl水溶液で抽出し、EtOAcで2回洗浄した。合わせた有機層を、水およびブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾液を減圧下で乾燥した。
【0206】
粗残渣を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM中の0%から10%のMeOH)によって精製して、淡黄色油状物を得た。
【0207】
EDC(4.22g、22.00mmol)を、DCM(66.7ml)中の上記で得られた淡黄色油状物および1-ヒドロキシピロリジン-2,5-ジオン(2.53g、22.00mmol)の溶液に添加し、混合物を0℃で1時間撹拌した。溶液を、1NのHCl水溶液でクエンチし、DCMで2回抽出した。合わせた有機層を、飽和NaHCO水溶液、水およびブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾液を減圧下で乾燥した。
【0208】
DMF(67ml)中の粗生成物、1-(tert-ブチル)5-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)(4-(4-ヨードフェニル)ブタノイル)-L-グルタメートおよびN-エチル-N-イソプロピルプロパン-2-アミン(5.17g、40.0mmol)の溶液を、室温で終夜撹拌した。溶液を、EtOAcで希釈し、1NのHCl水溶液で抽出し、EtOAcで2回洗浄した。合わせた有機層を、水およびブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾液を減圧下で乾燥して、淡黄色油状物を得た。
【0209】
DCM(28.0ml)中の淡黄色油状物および1-ヒドロキシピロリジン-2,5-ジオン(2.014g、17.50mmol)の溶液に、3-(((エチルイミノ)メチレン)アミノ)-N,N-ジメチルプロパン-1-アミン塩酸塩(3.35g、17.50mmol)を添加し、混合物を0℃で1時間撹拌した。溶液を、1NのHCl水溶液およびブラインの1:1混合物でクエンチし、DCMで2回抽出した。合わせた有機層を、NaSOで乾燥し、濾液を減圧下で乾燥して、表題化合物を白色固体として得た。LCMSによる分析:MS(ESI+);[M+H]についての計算値758.2、実測値758.4。
【0210】
本発明は、バイオ関連産業および製薬産業において使用され得る。
【0211】
本明細書において引用されたすべての参考文献、およびそれらの参考文献は、追加または代替の詳細、特徴、および/または技術的背景の教示に適切な場合、それらの全体が、参照することにより本明細書の開示の一部とされる。
【0212】
本開示を、特定の実施形態を参照して特に示し、記載したが、上記に開示したものの変形、ならびに他の特徴および機能、またはその代替が、多くの他の異なる系または適用に望ましく組み合わされてもよいことが理解されるであろう。また、それらにおけるさまざまな現時点で予見できないか、または予想外の代替、改変、変形または改良を、その後、当業者が行うことができ、これも、以下の特許請求の範囲に包含されることが意図される。
図1
図2
【配列表】
2024523280000001.app
【国際調査報告】