(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】液体分注装置用ピペットチップ
(51)【国際特許分類】
B01L 3/02 20060101AFI20240621BHJP
G01N 1/00 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
B01L3/02 D
G01N1/00 101K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577101
(86)(22)【出願日】2022-06-10
(85)【翻訳文提出日】2024-01-22
(86)【国際出願番号】 GB2022051472
(87)【国際公開番号】W WO2022258995
(87)【国際公開日】2022-12-15
(32)【優先日】2021-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523464886
【氏名又は名称】エスピーティー ラブテック リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SPT LABTECH LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100173794
【氏名又は名称】色部 暁義
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ティエリー グレッドヒル
(72)【発明者】
【氏名】ルーベン ロドバー パードウ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート スティーブン ルイス
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ゲイリー コクレーン
【テーマコード(参考)】
2G052
4G057
【Fターム(参考)】
2G052CA20
2G052CA28
2G052CA30
2G052DA06
4G057AB18
(57)【要約】
液体分注装置用ピペット操作ヘッドが提供される。ピペット操作ヘッドは、ピペットチップ連結機構と、プランジャー締め付け機構とを有する。プランジャー締め付け機構は、使用中、多数のピペットのプランジャーを保持するための複数のマウントと、各々がマウントの1つの内部に延びる複数の締め付けロッドと、マウントと締め付けロッドとの間の相対移動を引き起こし、選択的に締め付け機構を係合させるように操作可能な締め付けドライブ機構とを有する。マウントは、各々、スナップフィット連結の半分を形成するように構成された半径方向に延びる機構を有する。締め付けロッドの各々の締め付け領域は、締め付け位置にあるとき、その関連マウントの半径方向に延びる機構に軸方向に隣接し、解放位置にあるとき、その関連マウントの半径方向に延びる機構から軸方向にオフセットされる。締め付けロッドは、締め付け位置にあるとき、プランジャーとのスナップフィット連結が解除されるのを防ぐ。
【選択図】
図19
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々がピペットチップと、前記ピペットチップ内に設けられたプランジャーとを有する多数のピペットとともに使用するための液体分注装置用ピペット操作ヘッドであって、前記ピペット操作ヘッドは、
使用中、前記多数のピペットの前記ピペットチップを保持するための複数のチップマウントを有するピペットチップ連結機構と、
使用中、前記多数のピペットの前記プランジャーを保持するための複数のプランジャーマウントを有するプランジャー連結機構と
を備え、
前記複数のプランジャーマウントの各々は、その内面に、スナップフィット連結の半分を形成するように構成されている半径方向に延びる機構を有し、前記プランジャー連結機構は、
各々が前記複数のプランジャーマウントの1つと関連し、各々が締め付け領域を有する複数のプランジャー締め付け部材と、
前記プランジャーマウントと前記プランジャー締め付け部材との間の相対移動を軸方向に引き起こし、クランプ位置と解放位置との間で前記プランジャー締め付け機構を動かすことにより、選択的に前記プランジャー締め付け機構を係合させるように操作可能なアクチュエータを備えるプランジャー締め付けドライブ機構と
を更に備えるプランジャー締め付け機構であり、
前記複数のプランジャーマウントは、複数の軸方向に延びるスリーブを備え、前記複数のプランジャー締め付け部材は、複数の軸方向に延びる締め付けロッドを備え、前記締め付けロッドは、前記プランジャー締め付け機構が係合されたとき、前記締め付け領域を画定し、前記複数の軸方向に延びるスリーブの内部に延び、各プランジャー締め付けロッドの前記締め付け領域が、前記プランジャー締め付け機構が前記クランプ位置にあるとき、その関連プランジャーマウントの内面の前記半径方向に延びる機構に軸方向に隣接し、各プランジャー締め付けロッドの前記締め付け領域が、前記プランジャー締め付け機構が前記解放位置にあるとき、その関連プランジャーマウントの内面の前記半径方向に延びる機構から軸方向にオフセットされる、ピペット操作ヘッド。
【請求項2】
前記複数の締め付けロッドは、各々、より狭い軸部に連結された拡張遠位端部を有し、前記拡張遠位端部は、前記締め付け領域を画定している、請求項1に記載のピペット操作ヘッド。
【請求項3】
前記複数のチップマウントの各々は、その外面に、スナップフィット連結の半分を形成するように構成されている半径方向に延びる機構を備え、前記ピペットチップ連結機構は、
各々が前記複数のチップマウントの1つと関連し、各々が締め付け領域を有する複数のチップ締め付け部材と、
前記チップマウントと前記チップ締め付け部材との間の相対移動を軸方向に引き起こし、クランプ位置と解放位置との間で前記ピペットチップ締め付け機構を動かすことにより、選択的に前記ピペットチップ締め付け機構を係合させるように操作可能なアクチュエータを備えるチップ締め付けドライブ機構と
を更に備えるピペットチップ締め付け機構であり、
各チップ締め付け部材の前記締め付け領域は、前記ピペットチップ締め付け機構が前記クランプ位置にあるとき、その関連チップマウントの外面の前記半径方向に延びる機構に軸方向に隣接し、各チップ締め付け部材の前記締め付け領域は、前記ピペットチップ締め付け機構が前記解放位置にあるとき、その関連チップマウントの外面の前記半径方向に延びる機構から軸方向にオフセットされる、請求項1または請求項2に記載のピペット操作ヘッド。
【請求項4】
前記複数のチップ締め付け部材は、複数のスリーブを備え、前記複数のスリーブは、前記ピペットチップ締め付け機構が前記クランプ位置にあるとき、前記締め付け領域を画定し、前記複数のチップマウントと同軸であり、前記複数のチップマウントの周囲を囲む、請求項3に記載のピペット操作ヘッド。
【請求項5】
前記ピペットチップ締め付け機構は、ピペットチップ締め付けプレートを備え、前記ピペットチップ締め付けプレート上に前記複数のチップ締め付け部材が提供され、前記ピペットチップ締め付けプレートは、前記複数のピペットチップマウントに対して軸方向に移動可能であり、選択的に前記ピペットチップ締め付け機構を係合させる、請求項4に記載のピペット操作ヘッド。
【請求項6】
前記複数のスリーブは、前記ピペットチップ締め付けプレートにおいて画定された開口部により画定されている、請求項5に記載のピペット操作ヘッド。
【請求項7】
前記複数のチップマウントの各々の外面の前記半径方向に延びる機構は、円周溝である、請求項3~6の何れか一項に記載のピペット操作ヘッド。
【請求項8】
各々がピペットチップと、前記ピペットチップ内に設けられたプランジャーとを有する多数のピペットとともに使用するための液体分注装置用ピペット操作ヘッドであって、前記ピペット操作ヘッドは、
使用中、前記多数のピペットの前記プランジャーを保持するための複数のプランジャーマウントを有するプランジャー連結機構と
使用中、前記多数のピペットの前記ピペットチップを保持するための複数のチップマウントを有するピペットチップ連結機構であって、前記複数のチップマウントの各々は、その外面に、スナップフィット連結の半分を形成するように構成されている半径方向に延びる機構を備え、前記ピペットチップ連結機構は、
各々が前記複数のチップマウントの1つと関連し、各々が締め付け領域を有する複数のチップ締め付け部材と、
前記チップマウントと前記チップ締め付け部材との間の相対移動を軸方向に引き起こし、クランプ位置と解放位置との間で前記ピペットチップ締め付け機構を動かすことにより、選択的に前記ピペットチップ締め付け機構を係合させるように操作可能なアクチュエータを備えるチップ締め付けドライブ機構と
を更に備えるピペットチップ締め付け機構である、ピペットチップ連結機構と
を備え、
前記複数のチップ締め付け部材は、複数のスリーブを備え、前記複数のスリーブは、前記締め付け領域を画定し、前記複数のチップマウントと同軸であり、前記複数のスリーブが、前記ピペットチップ締め付け機構が前記クランプ位置にあるとき、その関連チップマウントの外面の前記半径方向に延びる機構に軸方向に隣接している前記複数のスリーブの各々の前記締め付け領域により、前記複数のチップマウントの周囲を囲み、各スリーブの前記締め付け領域は、前記ピペットチップ締め付け機構が前記解放位置にあるとき、その関連チップマウントの外面の前記半径方向に延びる機構から軸方向にオフセットされる、ピペット操作ヘッド。
【請求項9】
前記複数のチップ締め付け部材は、複数のスリーブを備え、前記複数のスリーブは、前記ピペットチップ締め付け機構が前記クランプ位置にあるとき、前記締め付け領域を画定し、前記複数のチップマウントと同軸であり、前記複数のチップマウントの周囲を囲む、請求項8に記載のピペット操作ヘッド。
【請求項10】
前記ピペットチップ締め付け機構は、ピペットチップ締め付けプレートを備え、前記ピペットチップ締め付けプレート上に前記複数のチップ締め付け部材が提供され、前記ピペットチップ締め付けプレートは、前記複数のピペットチップマウントに対して軸方向に移動可能であり、選択的に前記ピペットチップ締め付け機構を係合させる、請求項9に記載のピペット操作ヘッド。
【請求項11】
前記複数のスリーブは、前記ピペットチップ締め付けプレートにおいて画定された開口部により画定されている、請求項10に記載のピペット操作ヘッド。
【請求項12】
前記複数のチップマウントの各々の外面の前記半径方向に延びる機構は、円周溝である、請求項8~11の何れか一項に記載のピペット操作ヘッド。
【請求項13】
請求項1~12の何れか一項に記載のピペット操作ヘッドとともに使用するためのピペットであって、
ピペットチップであって、分注開口部を有する遠位端と、使用中、前記ピペット操作ヘッドの前記ピペットチップ連結機構に前記ピペットチップを連結するためのチップコネクタ部を有する近位端とを有するピペットチップと、
プランジャーであって、前記ピペットチップの内部に位置付けられた遠位端と、使用中、前記ピペット操作ヘッドの前記プランジャー連結機構に前記プランジャーを連結するための中空プランジャーコネクタ部を有する近位端とを有するプランジャーと
を備え、
(i)前記チップコネクタ部は、その内面に、スナップフィット連結の半分を形成するように構成された半径方向に延びる機構を有し、前記チップコネクタ部は、前記チップコネクタ部が第1の外径を有する静止位置から、前記チップコネクタ部が、少なくとも前記チップコネクタ部の前記半径方向に延びる機構の半径範囲だけ、前記第1の外径より大きい第2の外径を有する拡張位置まで、半径方向に外側の方向に弾性的に偏向するように構成されている、および/または
(ii)前記プランジャーコネクタ部は、その外面に、スナップフィット連結の半分を形成するように構成された半径方向に延びる機構を有し、前記プランジャーコネクタ部は、前記プランジャーコネクタ部が第1の内径を有する静止位置から、前記プランジャーコネクタ部が、少なくとも前記プランジャーコネクタ部の前記半径方向に延びる機構の半径範囲だけ、前記第1の内径より小さい第2の内径を有する押し込み位置まで、半径方向に内側の方向に弾性的に偏向するように構成されている、ピペット。
【請求項14】
前記チップコネクタ部は、半径方向に外側の方向に弾性的に偏向して前記静止位置から前記拡張位置まで前記チップコネクタ部を偏向させるように構成された複数の可撓セグメントにより画定された分割管状壁を備える、請求項13に記載のピペット。
【請求項15】
前記チップコネクタ部の内面の前記半径方向に延びる機構は、周方向に延びる、請求項13または請求項14に記載のピペット。
【請求項16】
前記チップコネクタ部の内面の前記半径方向に延びる機構は、前記チップコネクタ部の内面から半径方向内側に突き出る円周リブを備える、請求項15に記載のピペット。
【請求項17】
前記プランジャーコネクタ部は、半径方向に内側の方向に弾性的に偏向して前記静止位置から前記押し込み位置まで前記プランジャーコネクタ部を偏向させるように構成された複数の可撓セグメントにより画定された分割管状壁を備える、請求項13~16の何れか一項に記載のピペット。
【請求項18】
前記プランジャーコネクタ部の外面の前記半径方向に延びる機構は、周方向に延びる、請求項13~17の何れか一項に記載のピペット。
【請求項19】
前記プランジャーコネクタ部の外面の前記半径方向に延びる機構は、前記プランジャーコネクタ部の内面へと半径方向外側に延びる円周溝に直接隣接した成形ヘッド部を備える、請求項18に記載のピペット。
【請求項20】
請求項13~19の何れか一項に記載の少なくとも1つのピペットを更に備える、請求項3~6および9~11の何れか一項に記載のピペット操作ヘッドであって、前記チップ締め付け機構の前記複数のスリーブの各々の前記締め付け領域は、前記チップコネクタ部の前記第1の外径以上、かつ前記チップコネクタ部の前記第2の外径未満の内径を有し、前記チップ締め付け機構が前記クランプ位置にあるとき、前記締め付け領域が、前記チップコネクタ部が前記拡張位置まで偏向し、それにより前記スナップフィット連結が解除されるのを防ぐ、ピペット操作ヘッド。
【請求項21】
請求項13~19の何れか一項に記載の少なくとも1つのピペットを更に備える、請求項1~7の何れか一項に記載のピペット操作ヘッドであって、前記複数の軸方向に延びる締め付けロッドの各々の前記締め付け領域は、前記プランジャーコネクタ部の前記第1の内径以下、かつ前記プランジャーコネクタ部の前記第2の内径より大きい外径を有し、前記プランジャー締め付け機構が前記クランプ位置にあるとき、前記締め付け領域が、前記プランジャーコネクタ部が前記押し込み位置まで偏向し、それにより前記スナップフィット連結が解除されるのを防ぐ、ピペット操作ヘッド。
【請求項22】
マイクロプレート受け取りエリアを有する本体と、
請求項1~12、20、または21の何れか一項に記載のピペット操作ヘッドであって、前記マイクロプレート受け取りエリアの上に位置付けられているピペット操作ヘッドと
を備える液体分注装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体分注装置用ピペット操作ヘッド、特に、ピペットチップ連結機構とプランジャー連結機構とを有するピペット操作ヘッドに関する。ピペットチップ連結機構とプランジャー連結機構により、ピペットチップとプランジャーとを有するピペットは、ピペット操作ヘッドにしっかりと取り付けられうる。
【背景技術】
【0002】
液体試料を吸引または分注するピペットを使用することが知られている。
【0003】
ピペットチップに設けられたプランジャーを有するピペットを使用することも知られている。「容積式」ピペットとして知られる、典型的なピペットは、プランジャーまたはピストンを使用し、試料液体との直接的な接触により、または小さなエアギャップを介しての何れかで、液体を吸引または分注する。使用中、ピペットチップおよびプランジャーは、液体分注装置のピペット操作ヘッドに取り付けられる。ピペット操作ヘッドは、チップに対してプランジャーを動かし、ピペットチップの遠位端において、開口部から液体を吸引または分注する。このようなピペットは、自動機械において使用され、ピペット操作の動きの精度および再現性を改善させることができる。
【0004】
本発明者らは、ピペットが既知の液体分注装置用ピペット操作ヘッドに連結される方法のいくつかの問題を特定した。
【0005】
改良されたピペット操作ヘッドが必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本発明の第1の態様は、各々がピペットチップと、ピペットチップ内に設けられたプランジャーとを有する多数のピペットとともに使用するための液体分注装置用ピペット操作ヘッドであって、ピペット操作ヘッドは、使用中、多数のピペットのピペットチップを保持するための複数のチップマウントを有するピペットチップ連結機構と;使用中、多数のピペットのプランジャーを保持するための複数のプランジャーマウントを有するプランジャー連結機構とを備え、複数のチップマウントの各々は、その外面に、スナップフィット連結の半分を形成するように構成されている半径方向に延びる機構を備え、ピペットチップ連結機構は、各々が複数のチップマウントの1つと関連し、各々が締め付け領域を有する複数のチップ締め付け部材と;チップマウントとチップ締め付け部材との間の相対移動を軸方向に引き起こし、クランプ位置と解放位置との間でピペットチップ締め付け機構を動かすことにより、選択的にピペットチップ締め付け機構を係合させるように操作可能なアクチュエータを備えるチップ締め付けドライブ機構とを更に備えるピペットチップ締め付け機構であり、各チップ締め付け部材の締め付け領域は、ピペットチップ締め付け機構がクランプ位置にあるとき、その関連チップマウントの外面の半径方向に延びる機構に軸方向に隣接し、各チップ締め付け部材の締め付け領域は、ピペットチップ締め付け機構が解放位置にあるとき、その関連チップマウントの外面の半径方向に延びる機構から軸方向にオフセットされる、ピペット操作ヘッドを提供する。代替的に、または加えて、複数のプランジャーマウントの各々は、その内面に、スナップフィット連結の半分を形成するように構成されている半径方向に延びる機構を有し、プランジャー連結機構は、各々が複数のプランジャーマウントの1つと関連し、各々が締め付け領域を有する複数のプランジャー締め付け部材と;プランジャーマウントとプランジャー締め付け部材との間の相対移動を軸方向に引き起こし、クランプ位置と解放位置との間でプランジャー締め付け機構を動かすことにより、選択的にプランジャー締め付け機構を係合させるように操作可能なアクチュエータを備えるプランジャー締め付けドライブ機構とを更に備えるプランジャー締め付け機構であり、各プランジャー締め付け部材の締め付け領域は、プランジャー締め付け機構がクランプ位置にあるとき、その関連プランジャーマウントの内面の半径方向に延びる機構に軸方向に隣接し、各プランジャー締め付け部材の締め付け領域は、プランジャー締め付け機構が解放位置にあるとき、その関連プランジャーマウントの内面の半径方向に延びる機構から軸方向にオフセットされる。
【0007】
これにより、多数のピペットがピペット操作ヘッドに正確に、しっかりと取り付けられうる、非常にコンパクトな構成が提供される。このことは、コンパクトな構成により384個の取り付けカラーおよびロック部材が提供され、16×24の行列において384個のピペットを保持することができるため、標準的な384ウェルプレートとともに使用することを目的とした液体分注装置において特に有用である。これにより、単一の動作で、従来の384ウェルプレートから液体を吸引する、または従来の384ウェルプレートに液体を分注することができる。本明細書において使用されるとき、「締め付け(clamping)」および「クランプ(clamp)」という用語は、ピペットチップまたはプランジャーが、ともに所定の場所に取り付けられ、ロックされ、不用意な取り外しを防ぐ構成を指す。これは、ピペットチップまたはプランジャーが、例えば、ピペットチップまたはプランジャーが軸方向に引っ張られることにより簡単に取り外されうる締まりばめまたはスナップフィット連結を使用して、ロックせずに取り付けられている構成と対照をなす。締め付ける構成は、ピペット操作ヘッドとプランジャーまたはピペットチップとの間に生じうる小さな相対移動を防ぐことにより、吸引および分注操作の精度を改善することもできる。
【0008】
さらに、チップ連結機構をチップ締め付け機構として構成する、および/またはプランジャー連結機構をプランジャー締め付け機構として構成することにより、締め付け部材がマウントのスナップフィット特性を有するレジスタへ、かつレジスタから移動可能であり、ピペットチップおよび/またはプランジャーは、チップまたはプランジャーのコネクタ部の偏向を制限するだけで、マウントの適切な位置に締め付けられ、マウントとのスナップフィット連結が解除されるのを防ぐことができる。これにより、ピペットチップのチップコネクタ部および/またはプランジャーのプランジャーコネクタ部に大きな力をかける必要なく、ピペットチップおよび/またはプランジャーを、所定の場所に取り付け、しっかりと締め付けることができる。これにより、ピペットチップ締め付け機構および/またはプランジャー締め付け機構を係合させるのに必要な力を低減できる。これは、ピペットチップ内のコレットを拡張し、ピペットチップの上端に対して外側へと押し付け、それによりピペットチップ内にフープ応力をもたらすことにより締め付けが成されるいくつかの既知のチップ連結機構と対照をなす。それは、コレットをプランジャーの上端の外面に押し付け、プランジャーに押し込み応力をもたらすことにより締め付けが成されるいくつかの既知のプランジャー連結機構とも対照をなす。
【0009】
複数のチップ締め付け部材は、各々、任意の適切な部品を備えてよく、その部品により、ピペットチップ締め付け機構がクランプ位置にあるとき、その関連チップマウントにおけるピペットチップの半径方向の動きを制限できる。複数のチップ締め付け部材は、各々が締め付け領域を画定している複数のスリーブを備えてよい。スリーブは、複数のチップマウントと軸方向に一直線になっていてよい。スリーブは、複数のチップマウントと同軸であってよい。スリーブは、不連続であっても、連続していてもよい。スリーブは、ピペットチップ締め付け機構がクランプ位置にあるとき、複数のチップマウントの周囲を囲んでよい。スリーブは、実質的に一定の内径を有してよい。スリーブは、内径が異なる領域を有してよい。
【0010】
ピペットチップ締め付け機構は、ピペットチップ締め付けプレートを備えてよく、ピペットチップ締め付けプレート上に複数のチップ締め付け部材が提供される。ピペットチップ締め付けプレートは、複数のピペットチップマウントに対して軸方向に移動可能であり、選択的にピペットチップ締め付け機構を係合させてよい。
【0011】
複数のスリーブは、ピペットチップ締め付けプレートに固定された1つまたは複数の別々の部品により画定されてよい。複数のスリーブは、ピペットチップ締め付けプレートにおいて画定された開口部により画定されてよい。
【0012】
複数のチップマウントの各々の外面の半径方向に延びる機構は、任意の適切な形状を有してよい。複数のチップマウントの1つまたは複数の外面の半径方向に延びる機構は、くぼみまたは溝であってよい。この構成は、溝での受け取りのために構成された、対応して成形された突起を有するピペットチップとの使用に特に適している。複数のチップマウントの各々の外面の半径方向に延びる機構は、円周溝であってよい。円周溝は、周方向の切れ目を備えてよい。例えば、円周溝は、部分的に環状であってよい。
【0013】
他の実施形態において、複数のチップマウントの1つまたは複数の外面の半径方向に延びる機構は、突起であってよい。この構成は、チップマウントにおいて突起を受け入れるように構成された、対応して成形されたくぼみまたは溝を有するピペットチップとの使用に特に適している。
【0014】
複数のプランジャーマウントは、複数の軸方向に延びるスリーブを備えてよい。複数のプランジャー締め付け部材は、各々が締め付け領域を画定している複数の軸方向に延びる締め付けロッドを備えてよい。締め付けロッドは、プランジャー締め付け機構が係合されたとき、複数の軸方向に延びるスリーブの内部に延びてよい。スリーブは、実質的に一定の内径を有してよい。代替的に、スリーブは、内径が異なる領域を有してよい。複数の軸方向に延びるスリーブは、各々、それらの遠位端に複数の軸方向スロットを備えてよい。これは、ピペット操作ヘッドにより画定されたチャネルと、ピペット操作ヘッドに取り付けられた多数のピペットとの間のコンプライアンスを可能にするのに役立ちうる。
【0015】
複数の締め付けロッドは、各々、より狭い軸部に連結された拡張遠位端部を有してよく、拡張遠位端部は、締め付け領域を画定している。この構成で、複数の締め付けロッドを何れかの軸方向に動かすことにより、締め付け機構を、クランプ位置から解放位置に動かすことができる。これにより、締め付けロッドを下方に動かし、締め付け機構を解除し、プランジャーおよびピペットチップをそれらのそれぞれのマウントから押し出すことにより、ピペットのプランジャーおよびピペットチップの両方の解除が促されうる。
【0016】
本発明の第2の態様によれば、本発明の第1の態様に記載のピペット操作ヘッドとともに使用するためのピペットであって、分注開口部を有する遠位端と、使用中、ピペット操作ヘッドのピペットチップ連結機構にピペットチップを連結するためのチップコネクタ部を有する近位端とを有するピペットチップと;ピペットチップの内部に位置付けられた遠位端と、使用中、ピペット操作ヘッドのプランジャー連結機構にプランジャーを連結するための中空プランジャーコネクタ部を有する近位端とを有するプランジャーとを備えるピペットが提供される。チップコネクタ部は、その内面に、複数のピペットチップマウントの1つの外面の半径方向に延びる機構とスナップフィット連結を形成するように構成された半径方向に延びる機構を有し、チップコネクタ部は、チップコネクタ部が第1の外径を有する静止位置から、チップコネクタ部が、少なくともチップコネクタ部の半径方向に延びる機構の半径範囲だけ、第1の外径より大きい第2の外径を有する拡張位置まで、半径方向に外側の方向に弾性的に偏向するように構成されている。代替的に、または加えて、プランジャーコネクタ部は、その外面に、複数のプランジャーマウントの1つの内面の半径方向に延びる機構とスナップフィット連結を形成するように構成された半径方向に延びる機構を有し、プランジャーコネクタ部は、プランジャーコネクタ部が第1の内径を有する静止位置から、プランジャーコネクタ部が、少なくともプランジャーコネクタ部の半径方向に延びる機構の半径範囲だけ、第1の内径より小さい第2の内径を有する押し込み位置まで、半径方向に内側の方向に弾性的に偏向するように構成されている。
【0017】
チップコネクタ部は、半径方向に外側の方向に弾性的に偏向して静止位置から拡張位置までチップコネクタ部を偏向させるように構成された複数の可撓セグメントにより画定された分割管状壁を備えてよい。可撓セグメントは、管状壁における一連の軸方向に延びる切れ目またはスロットにより画定されてよい。軸方向に延びる切れ目は、ピペットの縦軸から等距離で間隔を取ってよい。軸方向に延びる切れ目は、同一のまたは異なる軸方向の長さを有してよい。軸方向に延びる切れ目は、ピペット軸と一直線になっていてもよいし、ピペット軸に対してある角度を成してもよい。
【0018】
チップコネクタ部の内面の半径方向に延びる機構は、チップコネクタ部の内面から半径方向内側に突き出る突起またはリブを備えてよい。この構成は、チップコネクタ部の突起またはリブを受け入れるように構成された、対応して成形されたくぼみまたは溝を有するチップマウントとの使用に特に適している。突起またはリブは、円周リブであってよい。円周リブは、周方向の切れ目を備えてよい。例えば、円周リブは、部分的に環状であってよい。代替的に、または加えて、チップコネクタ部の内面の半径方向に延びる機構は、チップコネクタ部の内面へと半径方向外側に延びるくぼみまたは溝を備えてよい。この構成は、チップコネクタ部のくぼみまたは溝で受け入れるように構成された、対応して成形された突起またはリブを有するチップマウントとの使用に特に適している。
【0019】
プランジャーコネクタ部は、半径方向に内側の方向に弾性的に偏向して静止位置から押し込み位置までプランジャーコネクタ部を偏向させるように構成された複数の可撓セグメントにより画定された分割管状壁を備えてよい。可撓セグメントは、管状壁における一連の軸方向に延びる切れ目またはスロットにより画定されてよい。軸方向に延びる切れ目は、ピペットの縦軸から等距離で間隔を取ってよい。軸方向に延びる切れ目は、同一のまたは異なる軸方向の長さを有してよい。軸方向に延びる切れ目は、ピペット軸と一直線になっていてもよいし、ピペット軸に対してある角度を成してもよい。
【0020】
プランジャーコネクタ部の外面の半径方向に延びる機構は、プランジャーコネクタ部の外面へと半径方向内側に延びるくぼみまたは溝に隣接した成形ヘッド部を備えてよい。くぼみまたは溝は、成形ヘッドの下部を画定する。成形ヘッドは、くぼみまたは溝の直下のプランジャーコネクタ部の領域と実質的に同一の外径を有してよい。この構成は、プランジャーコネクタ部の成形ヘッドを受け入れるように構成された、対応して成形されたくぼみを有するプランジャーマウントとの使用に特に適している。プランジャーコネクタ部のくぼみまたは溝は、円周溝であってよい。円周溝は、周方向の切れ目を備えてよい。例えば、円周溝は、部分的に環状であってよい。プランジャーコネクタ部がそこまで縮小する第2の内径は、少なくとも半径方向に延びる機構の半径範囲だけ、すなわち、成形ヘッドの外径と、その直下の環状のくぼみの最も狭い部分の外径との間の差の少なくとも半分だけ、第1の内径より小さい。
【0021】
チップ締め付け機構の複数のスリーブの各々の締め付け領域は、チップコネクタ部の第1の外径以上、かつチップコネクタ部の第2の外径未満である内径を有し、チップ締め付け機構がクランプ位置にあるとき、締め付け領域が、チップコネクタ部が拡張位置まで偏向し、それによりスナップフィット連結が解除されるのを防ぐようにしてよい。
【0022】
複数の軸方向に延びる締め付けロッドの各々の締め付け領域は、プランジャーコネクタ部の第1の内径以下、かつプランジャーコネクタ部の第2の内径より大きい外径を有し、プランジャー締め付け機構がクランプ位置にあるとき、締め付け領域が、プランジャーコネクタ部が押し込み位置まで偏向し、それによりスナップフィット連結が解除されるのを防ぐようにしてよい。
【0023】
本発明の第3の態様によれば、マイクロプレート受け取りエリアを有する本体と;本発明の第1の態様に記載のピペット操作ヘッドであって、マイクロプレート受け取りエリアの上に位置付けられているピペット操作ヘッドとを備える液体分注装置が提供される。
【0024】
本発明の更なる特徴および利点を、ほんの一例として、添付の図面を参照して以下に更に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明に係るピペット操作ヘッドを有する液体分注装置の斜視図である。
【
図2】本発明に係るピペット操作ヘッドの斜視図である。
【
図4】
図2のピペット操作ヘッドの斜視図であり、明確にするためにさまざまな部品が省略されており、ピペットチップ締め付け機構およびプランジャー締め付け機構が示されている。
【
図5】
図4の図の断面図であり、ピペットチップ締め付け機構およびプランジャー締め付け機構のプレートが示されている。
【
図6】
図4の図の拡大断面斜視図であり、ピペットチップ締め付け機構のプレートが示されている。
【
図7】
図2のピペット操作ヘッドのピペットチップ締め付け機構のプレートの拡大断面図であり、ピペットチップマウントスリーブが示されている。
【
図8】
図2のピペット操作ヘッドの拡大断面斜視図であり、明確にするためにさまざまな部品が省略されており、プランジャー締め付け機構のプレートがより詳細に示されている。
【
図9】
図2のピペット操作ヘッドのプランジャー締め付け機構のプレートの拡大断面図であり、プランジャーマウントおよび締め付け部材が示されている。
【
図10】
図2のピペット操作ヘッドのプランジャー締め付け機構の斜視図であり、明確にするためにプランジャー取り付けプレートが省略され、プランジャー締め付けプレートが締め付け位置に示されている。
【
図11】
図2のピペット操作ヘッドのプランジャー締め付け機構の斜視図であり、明確にするためにプランジャー取り付けプレートが省略され、プランジャー締め付けプレートが解放位置に示されている。
【
図12】
図2のピペット操作ヘッドの断面正面図である。
【
図13】
図2のピペット操作ヘッドの断面側面図である。
【
図14】
図1の液体分注システムとともに使用するためのピペットの断面図である。
【
図15】
図14のピペットのピペットチップおよびプランジャーの斜視図であり、プランジャーは、ピペットチップから取り外されている。
【
図16】チップコネクタ部およびプランジャーコネクタ部をさらに詳細に示す、
図14のピペットの拡大断面図である。
【
図17】ピペットチップ締め付け機構のチップマウントおよび関連チップクランプを示す、
図14のピペットの斜視図である。
【
図18】ピペット連結のさまざまな段階のピペットチップ締め付け機構およびプランジャー締め付け機構の一部の拡大断面図である。
【
図19】ピペット連結のさまざまな段階のピペットチップ締め付け機構およびプランジャー締め付け機構の一部の拡大断面図である。
【
図20】ピペット連結のさまざまな段階のピペットチップ締め付け機構およびプランジャー締め付け機構の一部の拡大断面図である。
【
図21】ピペット連結のさまざまな段階のピペットチップ締め付け機構およびプランジャー締め付け機構の一部の拡大断面図である。
【
図22】ピペット連結のさまざまな段階のピペットチップ締め付け機構およびプランジャー締め付け機構の一部の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、多数の容積式ピペット1010とともに使用するための液体分注装置10を示す。装置10は、マイクロプレート受け取りエリアまたはデッキ14と、マイクロプレート受け取りエリア14の上に位置付けられたピペット操作ヘッド100とを有する本体12を備える。マイクロプレート受け取りエリア14は、ラボ用マイクロプレートを受け取るように配置された実質的に水平な上面16を有する。受け取りエリア14は、マイクロプレート受け取りエリア14の高さを要求に応じて変更することができる高さ調節可能な支持構造物18上に位置しうる。受け取りエリア14は、定位置でラボ用マイクロプレートを保持するように構成されてよい。例えば、受け取りエリア14の上面16は、マイクロプレートを受け取り、受け取りエリア14に対するマイクロプレートの横方向の移動を防ぐように配置された1つまたは複数のくぼみ(図示せず)を備えてよい。装置10は、通常、
図1に示す向きで使用され、重力によりマイクロプレートのウェル内の産物を保持する。
図1のZの記号のついた軸は、それゆえ、上向きの方向を表し、反対方向に作用する重力は、マイクロプレートのウェル内の産物を保持する。上向きおよび下向きの方向または軸方向への言及は、それゆえ、
図1のZの記号のついた軸に沿った動きを指す。一方、横または横断方向への言及は、
図1のXおよびYの記号のついた方向の動きを指す。垂直方向または高さへの言及も、それゆえ、
図1のZの記号のついた軸に沿った寸法または動きを指す。ピペット操作ヘッド100は、
図2~
図9との関連で以下に示されるように、多数のピペットを保持するように構成されており、デッキ14と関連して移動可能であり、ピペット操作ヘッド100に取り付けられたピペットを、デッキ14に支持されたマイクロプレートに近接させ、液体がマイクロプレートのウェルから吸引される、またはウェルに分注されるようにしてよい。
【0027】
図2~
図4は、さらに詳細にピペット操作ヘッド100を示す。ピペット操作ヘッドは、上側ヘッドシャーシ部102と下側ヘッドシャーシ部103とを有するヘッドシャーシ101を備え、上側ヘッドシャーシ部102および下側ヘッドシャーシ部103は、ともにボルト締めされ、ピペット操作ヘッド100の本体を形成する。上側および下側ヘッドシャーシ部は、シャーシ支持プレート104により装置の本体に連結されている。シャーシ支持プレート104は、好ましくは、1つまたは複数のヘッドアクチュエータ(図示せず)を使用して、従来の方法で装置の受け取りエリアに対してピペット操作ヘッド100全体をX、Y、およびZ方向に動かすことができる。ピペット操作ヘッド100は、使用中、多数の容積式ピペットのピペットチップに連結するためのピペットチップ連結機構と、多数の容積式ピペットのプランジャーに連結するためのプランジャー連結機構とを更に備える。
【0028】
本実施形態において、ピペットチップ連結機構は、使用中、多数の容積式ピペットチップのピペットチップに連結または結合し、それらを締め付けるためのピペットチップ締め付け機構120であり、プランジャー連結機構は、使用中、多数の容積式ピペットのプランジャーに連結または結合し、それらを締め付けるためのプランジャー締め付け機構140である。したがって、両方とも、それぞれ、ピペットチップおよびプランジャーに結合し、締め付けるように構成されている。他の実施形態において、ピペットチップ連結機構およびプランジャー連結機構のうちのどちらかの締め付け特性が省略され、その機構は、それぞれ、ピペットチップまたはプランジャーに結合するのみとしてもよい。
【0029】
上側ヘッドシャーシ部102に取り付けられると、ダイレクトドライブアクチュエータ160は、使用中、ピペットチップ締め付け機構のプレートへと、またはプレートから離してプランジャー締め付け機構140を軸方向に動かし、液体を吸引または分注するように操作可能になる。ドライブアクチュエータは、そうでなければ、例えば、ピペットチップ締め付け機構に対してプランジャー締め付け機構を動かし、ピペットチップ締め付けドライブ機構およびプランジャー締め付けドライブ機構とは無関係に動作するように構成されたモータ駆動ベルトまたはチェーンを備えるインダイレクトドライブアクチュエータであってよい。好ましくは、ドライブアクチュエータは、ダイレクトドライブアクチュエータである。ドライブアクチュエータがダイレクトドライブアクチュエータであろうと、独立して操作されるドライブアクチュエータを有するインダイレクトドライブアクチュエータであろうと、プランジャー締め付け機構、ひいてはそこに取り付けられる任意のプランジャーは、ピペットチップ締め付け機構に対して動き、ピペットチップクランプおよびプランジャークランプを操作する機構とは無関係に吸引および分注操作を行うことができる。例えば、ドライブアクチュエータが1つまたは複数のねじロッドを備えるドライブ機構を使用する場合、ねじ山のピッチは、プランジャー締め付け機構自体の動作により判定されるのではなく、具体的にプランジャー締め付け機構の所望の動きの速度に合わせることができる。ダイレクトドライブアクチュエータ160は、ヘッドシャーシ101と関連して固定され、ヘッドシャーシ101とプランジャー締め付け機構140との間を延びる。
【0030】
ピペットチップ締め付け機構120は、ピペットチップ取り付けプレート121と、ピペットチップ取り付けプレート121の下に位置付けられたピペットチップ締め付けプレート125と、ピペットチップ取り付けプレート121とピペットチップ締め付けプレート125との間の相対移動を引き起こすように操作可能なピペットチップ締め付けドライブ機構130とを備える。本例において、ピペットチップ取り付けプレート121は、下側ヘッドシャーシ部の一部として提供され、ピペットチップ締め付けドライブ機構130は、固定されたピペットチップ取り付けプレート121へと、かつ固定されたピペットチップ取り付けプレート121から離してピペットチップ締め付けプレート125を動かし、選択的にピペットチップ締め付け機構120を係合させるように構成されている。
【0031】
図5~
図7に最もよく見られるように、ピペットチップ取り付けプレート121は、ピペットチップ取り付けプレート121の厚みを通して軸方向に延びる多数の開口部122を有する。各開口部122内に固定されると、ピペットチップマウント123は、プレート121から下向きの軸方向で延び、使用中、ピペットチップの1つと結合するように構成されている。各ピペットチップマウント123は、多数の開口部122の1つに保持された管状チップマウントスリーブの形態である。本例において、開口部122は、各々、チップマウントスリーブ123の外径未満の直径を有する制限部を有する。制限部は、チップマウントスリーブが初めにピペットチップに挿入されるとき、チップマウントスリーブ123が、チップ取り付けプレートを通って上向きの方向に押し進められるのを防ぐ。チップマウントスリーブ123の上端は、好ましくは、内側に先細な端面を備え、チップマウントスリーブ123の穴へのプランジャー締め付け機構の部品の挿入を補助する。チップマウントスリーブ123の下端は、好ましくは、外側に先細な端面を備え、ピペットチップへのチップマウントスリーブの下端の挿入を補助する。各チップマウントスリーブ123の外面は、その外面に、ピペットチップの内面の対応して成形された機構とのスナップフィット連結の半分を形成するように構成されている半径方向に延びる機構を備える。本例において、半径方向に延びる機構は、チップマウントスリーブ123の周囲を囲む環状溝124の形態である。
【0032】
ピペットチップ締め付けプレート125は、ピペットチップ締め付けプレート125の厚みを通して軸方向に延びる多数の開口部126を有する。多数の開口部126は、ピペットチップ取り付けプレート121の多数の開口部122に、数および位置が対応している。ピペットチップ締め付けプレート125は、各々が複数のピペットチップマウント123の1つと関連している多数のピペットチップ締め付け部材127を更に備える。本例において、多数のピペットチップ締め付け部材127は、ピペットチップ締め付けプレート125内に画定された開口部126を直接取り囲む、ピペットチップ締め付けプレート125の領域により画定された複数のクランプスリーブ127の形態でもたらされる。各クランプスリーブ127は、その各々のチップマウントスリーブの外径より大きい内径を有する締め付け領域128を有する。このようにして、
図7に示すように、ピペットチップ締め付け機構が係合されたとき、チップマウントスリーブ123の外面と締め付け領域128の内面との間に小さな隙間が設けられる。
【0033】
各クランプスリーブは、実質的に一定の内径を有してよい。代替的に、各クランプスリーブは、
図7に示すように、内径が異なる領域を有してよい。例示において、各クランプスリーブ127は、その上端に向けて狭領域129Aを有し、その底端に先細領域129Bを有する。クランプスリーブ127の内径は、最も下のチップから締め付け領域128まで、先細領域129Bにおいて減少する。この構成により、1つまたは複数のピペットチップは、ピペットチップ締め付けプレート125において、クランプスリーブ127の先細領域129Bがチップマウントスリーブ123の外面のくぼみ124に隣接している中間の「プレロック」位置で位置付けられることにより半固定されうる。これにより、チップボックスからの多数のチップの一部のピッキングが促進されうる。一旦、ピックされたチップがピックされていない多数のチップの上に持ち上げられると、ピックされたチップは、続いて、ピペットチップ締め付けプレート125を締め付け位置に動かすことにより所定の場所で締め付けられうる。クランプスリーブ127の狭領域129Aとチップマウント123の外面との間に、小さな隙間が設けられてよい。このことは、チップ締め付けプレート125を軸方向に動かし、ピペットチップ締め付け機構の円滑な操作を促進するのに必要な力を最小化するのに役立ちうる。
【0034】
図2~
図4に最もよく見られるように、ピペットチップ締め付けドライブ機構130は、回転アクチュエータ131と、回転アクチュエータ131の出力軸に動作可能に連結されたねじ軸132とを備える。回転アクチュエータ131は、ピペットチップ取り付けプレート121と関連して固定されているチップモータ支持プレート135に取り付けられている。本例において、チップモータ支持プレート135は、下側ヘッドシャーシ部103の外面に取り付けられている。チップモータ支持プレート135は、ピペットチップ締め付けプレートと関連して固定されている拡張タブ133の上に位置付けられている。拡張タブ133は、ねじ開口部133Aを備え、ねじ軸132は、そこを通って延びる。ピペットチップ締め付け機構130は、ピペットチップ取り付けプレート121とピペットチップ締め付けプレート125とを連結する複数のガイドロッド134を更に備える。図示された実施形態において、ガイドロッド134は、ピペットチップ取り付けプレート121と関連して固定されており、各々、ピペットチップ締め付けプレート125における対応する開口部137を通って軸方向に延びる。当然のことながら、ガイドロッドは、ピペットチップ締め付けプレートと関連して均等に固定され、ピペットチップ取り付けプレート、またはピペットチップ取り付けプレートと関連して固定されているピペット操作ヘッドの任意の他の部品における開口部を通って延びうることが理解されるであろう。
【0035】
回転アクチュエータ131が操作されたとき、ねじ軸132は、ねじ開口部133A内で回転し、チップモータ支持プレート135へと、またはチップモータ支持プレート135から離して拡張タブ133を動かし、それにより、ピペットチップ締め付けプレート125が、ピペットチップ取り付けプレート121へと、またはピペットチップ取り付けプレート121から離れて軸方向に動く。動きの方向は、アクチュエータ131の回転の方向により決定づけられる。ピペットチップ締め付けプレート125は、ピペットチップ取り付けプレート121へと、またはピペットチップ取り付けプレート121から離れて軸方向に動くため、ガイドロッド134は、ピペットチップ取り付けプレート121とピペットチップ締め付けプレート125との間の平行関係を維持するのに役立つ。
【0036】
図5および
図8~
図11に最もよく見られるように、プランジャー締め付け機構140は、プランジャー取り付けプレート141と、プランジャー取り付けプレート141の上に位置付けられたプランジャー締め付けプレート145と、プランジャー取り付けプレート141とプランジャー締め付けプレート145との間の相対移動を引き起こすように動作可能なプランジャー締め付けドライブ機構150とを備える。プランジャー締め付け機構140は、プランジャー取り付けプレート141およびプランジャー締め付けプレート145の双方の上に位置付けられたプランジャークランプモータマウント155を更に備える。プランジャークランプモータマウント155上には、プランジャー締め付けドライブ機構150のアクチュエータモータが支持されている。プランジャー取り付けプレート141およびプランジャークランプモータマウント155は、互いに関連して固定されている。本例において、プランジャー取り付けプレート141およびプランジャークランプモータマウント155は、製造および組み立てを容易にするために結合される別々の部品として提供されている。他の例において、プランジャー取り付けプレート141およびプランジャークランプモータマウント155は、単一の部品として提供されうる。プランジャー締め付けドライブ機構150は、プランジャー取り付けプレート141へと、かつプランジャー取り付けプレート141から離してプランジャー締め付けプレート145を動かし、選択的にプランジャー締め付け機構140を係合させるように構成されている。
【0037】
図8および
図9に最もよく見られるように、プランジャー取り付けプレート141は、プランジャー取り付けプレート141の厚みを通って軸方向に延びる多数の開口部142を有する。各開口部142内に固定され、プランジャーマウント143は、プレート141から下向きの軸方向に延び、使用中、プランジャーの1つと結合するように構成されている。各プランジャーマウント143は、多数の開口部142の1つに保持された管状プランジャーマウントスリーブの形態である。本例において、プランジャーマウント143は、各々、開口部142の直径より大きい外径を有し、プランジャーマウントプレート141の下面に当接する肩部を有する。肩部は、プランジャーマウントプレート141における開口部142に初めに挿入されたとき、プランジャーマウントスリーブ143の高さを設定するのに役立つ。チップマウントスリーブ143の下端は、好ましくは、内側に先細の端面を有し、プランジャーマウントスリーブ143の穴へのプランジャーの挿入を補助する。各プランジャーマウントスリーブ143は、その内面に、プランジャーの外面に対応して成形された機構とのスナップフィット連結の半分を形成するように構成されている半径方向に延びる機構を備える。本例において、半径方向に延びる機構は、下端に向かうプランジャーマウントスリーブ143の内面における環状のくぼみ144の形態である。
【0038】
プランジャー締め付けプレート145は、軸方向に延びる多数のくぼみまたは開口部146を有する。プランジャー締め付けプレート145の多数の開口部146は、プランジャー取り付けプレート141の多数の開口部142に、数および位置が対応する。プランジャー締め付けプレート145の多数の開口部146は、ピペットチップ締め付け機構の多数の開口部122および126に、数が対応してもよい。プランジャー締め付けプレート145は、各々が複数のプランジャーマウント143の1つと関連している多数のプランジャー締め付け部材147を更に備える。多数のプランジャー締め付け部材は、プランジャー締め付けプレート145から軸方向に延び、プランジャーマウントスリーブ143内に画定された穴へと延びる複数の締め付けロッド147の形態で提供されている。各締め付けロッド147は、その下端に、より狭いネック領域149Aから延びる拡大ヘッド148を有する。拡大ヘッド148は、プランジャーマウントスリーブ143の内径未満の外径を有する。このようにして、プランジャー締め付け機構が係合されたとき、拡大ヘッド148の外面とプランジャーマウントスリーブ143の内面との間に、小さな隙間が設けられる。ネック149Aは、拡大ヘッド148の外径未満の外径を有する。好ましくは、各締め付けロッド147は、それが位置するプランジャーマウントスリーブ143の領域の内径と実質的に同一の外径を有する主軸149Bも有する。プランジャー締め付けプレート145がプランジャーマウントプレート141に対して軸方向に上下に動くため、主軸149Bは、プランジャーマウント143の穴に沿って軸方向に動く。
【0039】
図13に最もよく見られるように、プランジャー締め付けドライブ機構150は、回転アクチュエータ151と、回転アクチュエータ151の出力軸に動作可能に連結されたねじ軸152とを備える。回転アクチュエータ151は、プランジャークランプモータマウント155に取り付けられ、したがって、プランジャー取り付けプレート141と関連して固定されている。回転アクチュエータ151は、ねじ開口部153Aを有する、プランジャー締め付けプレート145の開口部153の上に位置付けられており、ねじ軸152は、ねじ開口部153Aを通って延びる。プランジャー締め付け機構150は、プランジャー取り付けプレート141とプランジャー締め付けプレート145とを動作可能に連結する複数のガイドロッド154を更に備える。図示された実施形態において、ガイドロッド154は、プランジャー締め付けプレート145と関連して固定されており、各々、プランジャークランプモータマウント155の下面から延びる対応する円柱状筺体157の穴へと軸方向に延びる。当然のことながら、ガイドロッドは、プランジャー取り付けプレート141と関連して均等に固定され、プランジャー締め付けプレート145、またはプランジャー締め付けプレート145と関連して固定されているピペット操作ヘッドの任意の他の部品における開口部を通って延びうることが理解されるであろう。
【0040】
回転アクチュエータ151が操作されるとき、ねじ軸152は、ねじ開口部153A内で回転し、プランジャー取り付けプレート141へと、またはプランジャー取り付けプレート141から離してプランジャー締め付けプレート145を軸方向に動かす。プランジャー締め付けプレート145がプランジャー取り付けプレート141へと、またはプランジャー取り付けプレート141から離れて軸方向に動くため、ガイドロッド154は、プランジャー取り付けプレート141とプランジャー締め付けプレート145との間の平行関係を維持するのに役立つ。動きの方向は、アクチュエータ151の回転の方向により決定づけられる。このことは、明確にするためにプランジャー取り付けプレート141が省略されている
図10および
図11を見れば分かる。
図10において、プランジャー締め付けプレート145およびその支持プレート156がプランジャークランプモータマウント155の下面から離れ、かつプランジャー取り付けプレート(
図10および
図11では示さず)の上面に近づいた低位置にあるように、ガイドロッド154は、円柱状筺体157から引き伸ばされているのが分かる。これが締め付け位置である。
図11において、プランジャー締め付けプレート145およびその支持プレート156がプランジャー取り付けプレート141から離れて、かつプランジャークランプモータマウントプレート155へと軸方向に動くように、ガイドロッド154は、円柱状筺体157内に収縮されている。これが解放位置である。プランジャー締め付けプレート145とプランジャー取り付けプレート141との間の相対移動により、プランジャーが適切な位置で締め付けられている係合された状態と、プランジャーが軸方向にプランジャーマウントと接続した、またはプランジャーマウントから取り外された解除もしくは「解放された」位置または状態との間の任意の位置へと、プランジャー締め付け機構140を動かすことができる。プランジャー締め付け機構140は、プランジャー締め付けプレート145が締め付け位置を超えてプランジャー取り付けプレート141へと動かされる取り出し状態まで動くように構成されてよい。この位置において、締め付けロッド147の拡大ヘッド148は、軸方向おいて、プランジャーマウントスリーブ143の内面の半径方向に延びる機構の下にあり、半径方向に延びる機構は、代わりに締め付けロッドのより狭いネック部149Aと一直線になっている。これにより、プランジャーの頂部、すなわちプランジャーコネクタ部を内側に曲げることができる。締め付けプレート145および締め付けロッド147の更なる下向きの動きにより、プランジャーが下方に押され、プランジャー取り付けスリーブとのスナップフィット連結からプランジャーが解放される。ピペットチップ締め付けプレート125も解放された位置にあるとき、プランジャー締め付けドライブ機構を使用した締め付けロッドの更なる下向きの動きにより、ピペットチップの1つまたは複数の内面、例えば、ピペットチップの遠位端における開口部周辺の領域に、プランジャーが押し当てられ、ピペットチップがチップ締め付け機構から押し出される。これにより、ピペットアセンブリ全体がピペット操作ヘッドから取り出される。代替的に、ダイレクトドライブアクチュエータ160を使用して、締め付けロッドおよびプランジャーを一緒に下に動かし、ピペットに押し当て、それにより装置からピペットチップを取り出してもよい。この取り出しモードにおいて、プランジャーは、ピペットチップが取り出された後も、装置に残ってよい。
【0041】
図12および
図13は、さらに詳細にダイレクトドライブアクチュエータ160を示す。ダイレクトドライブアクチュエータ160は、上側ヘッドシャーシ102の頂面に取り付けられたアクチュエータモータ161を備える。アクチュエータモータ161の出力軸は、ボールねじアクチュエータナット163に連結されたねじロッド162に結合されている。アクチュエータ161の出力軸は、ねじロッド162と一体であってよい、またはねじロッド162に固定されてよい。図示された実施形態において、出力軸は、ベローズカップリング161Aの形態の回転剛性カップリングによりねじロッドに結合されている。ベローズカップリング161Aは、出力軸とねじ軸162との間の相対的な軸方向の動きを可能にするが、その2つの部品間の相対的回転は阻止する、または実質的に阻止する。ナット163は、ボールねじマウント164に固定され、その2つは同時に動くようになっている。図示された実施形態において、ボールねじマウント164は、プランジャー締め付け機構140の上端においてプランジャークランプモータマウント155に固定されている。他の実施形態において、ボールねじマウント164は、プランジャークランプモータマウント155と一体化されてよい。ダイレクトドライブアクチュエータ160は、したがって、ヘッドシャーシ101とプランジャー締め付け機構140との間を延びる。
【0042】
アクチュエータモータ161が操作されたとき、プランジャー締め付け機構140全体が、アクチュエータモータ161の回転の方向に応じて、ガイドロッド165に沿って、ピペットチップ締め付け機構120へと、またはピペットチップ締め付け機構120から離れて、軸方向に動く。ガイドロッド165は、ねじ切りされていない。プランジャー取り付けプレート141は、複数のガイドスリーブ166(
図8参照)を備え、ガイドロッド165は、そこを通って延びる。アクチュエータモータ161が操作されたとき、ガイドスリーブ166は、ガイドロッドの外面に沿ってスライドする。このようにして、プランジャー締め付け機構140により締め付けられたプランジャーは、締め付け機構の操作速度により課せられた任意の制限とは無関係に、その内部にプランジャーが延びるピペットチップに対して急に加速されうる。これにより、非接触分注モード(ジェッティングとしても知られる-標的と接触する前に滴がチップから離れるように、標的から少し離してピペットから液体が分注される)および接触分注モード(液滴がピペットチップに生じ、標的との接触により沈殿する)で装置を使用することができる。非接触分注を行うとき、液体試料は、十分に速い速度で進み、チップから離れなければならない。分注ショットに対してプランジャーにより進む距離は短く、例えば、1mm以下の範囲でありうる。結果として、非接触分注の標的速度に達するためには、高レベルの加速度/減速度が必要である。例えば、ボールねじを介した、ダイレクトドライブ構成により、ベルト駆動システムより重負荷の加速度/減速度が高いレベルになり、したがって、少量の液体試料の非接触分注が可能になる。さらに、ダイレクトドライブ構成により、同等のベルトドライブ機構より高い位置精度および再現性が提供できる。このことは、分注性能に大きな影響を与えうる。
【0043】
図14~
図17は、
図2~
図13のピペット操作ヘッドとともに使用するためのピペット1010を示す。ピペット1010は、ピペットチップ1100とプランジャー1200とを備える。
【0044】
ピペットチップ1100は、試料流体または試料液体を受け入れる、および/または含むレセプタクルであってよい。ピペットチップ1100は、試料液体の容器に、または試料液体に挿入されるように構成されてよい。ピペットチップ1100は、近位端1101と遠位端1102と有し、近位端1101および遠位端1102は、それらの間を延びる縦軸1001を画定する。ピペットチップ1100は、
図15に示すように、その遠位端1102に開口部1108を有する。開口部1108は、遠位端1102で、具体的にはピペットチップ1100の最も外側の遠位点で、ピペットチップ1100の内壁面1111により画定されてよい。開口部1108は、例えば、楕円形、卵形、または円形の、任意の適切な形状であってよい。ピペットチップ1100は、開口部1108から少なくとも部分的に近位端1101へと延びる流体キャビティ1109を有する。流体キャビティは、エアギャップまたは試料液体などの流体を受け入れる、および/または保持するように構成されてよい。流体キャビティ1109は、実質的に細長くてよい。流体キャビティは、ピペットチップ1100の内壁面により画定されてよい。縦軸1001は、ピペットチップ1100および/またはプランジャー1200が周囲に設けられる中心軸であってよい。縦軸1001は、ピペットチップ1100および/またはプランジャー1200が周囲に均一にまたは対称的に設けられる中心軸を画定してよい。ピペットチップ1100および/またはプランジャー1200は、吸引および/または分注の方向が縦軸1001に沿うように構成されてよい。ピペットチップ1100は、実質的に細長くてよく、その近位端1101と遠位端1102との間を延びる。ピペットチップ1100は、実質的にまたは完全に中空であってよい。ピペットチップ1100は、高分子材料を含んでよい、または高分子材料から成ってよい。ピペットチップ100は、均質な材料を含んでよい、または均質な材料から成ってよい。ピペットチップ100は、半透明もしくは透明な材料を含んでよい、または半透明もしくは透明な材料から成ってよい。
【0045】
ピペットチップ1100は、各々が異なる機能、際立った特徴、および/または異なる形状もしくは寸法を有する、一連の部分を備えてよい。ピペットチップ1100は、例えば
図15に示すような、チップコネクタ部1103、中心部1104、支持部1105、本体部1106、および橋架部1107の1つまたは複数を備えてよい。近位端1101から遠位端1102まで、各部は、チップコネクタ部1103、中心部1104、支持部1105、本体部1106、橋架部1107、および端部1110の順番で配置されてよい。流体キャビティ1109は、ピペットチップ1100の部分の1つ、複数、または全てを通って延びてよい。プランジャー1200は、ピペットチップ1100の部分の1つ、複数、または全てを通って延びてよい。
【0046】
チップコネクタ部1103は、例えば、スナップフィット連結により、液体処理システムに連結されるように構成されている。チップコネクタ部1103は、複数の可撓セグメント1121により画定されうる分割管状壁1120を備えてよい。可撓セグメント1121は、半径方向に外側の方向に弾性的に偏向し、可撓セグメントが偏向せず、かつチップコネクタ部が静止状態にある第1の外径から、可撓セグメントが半径方向外側に偏向され、かつチップコネクタ部が拡張状態にある第2の外径まで、ピペットチップ1100の近位端1101の外径が増加するように構成されてよい。描写された実施形態において、チップコネクタ部1103は、管状壁1120に、4つの可撓セグメント1121に分ける4つの軸方向に延びる切れ目またはスロット1122を備える。チップコネクタ部1103は、任意の適切な数の軸方向に延びる切れ目1122を備え、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つなど、任意の数の可撓セグメント1121を画定してよい。可撓セグメント1121およびスロット1122の構成により、チップコネクタ部に大きな力をかける必要なく、チップコネクタ部を拡張させることができる。これにより、チップコネクタ部1103をピペット操作ヘッドに係合させるのに必要な挿入力を低減できる。
【0047】
チップコネクタ部1103は、その内面に、1つまたは複数の半径方向に延びる機構1123を更に備えてよく、それにより、ピペットチップがピペット操作ヘッドに連結されうる。チップコネクタ部1103の内面の半径方向に延びる機構は、半径方向内側に延びる突起、および/または半径方向外側に延びるくぼみもしくは溝を備えてよい。半径方向に延びる機構は、周方向に延びてよい。描写された実施形態において、チップコネクタ部1103の内面の半径方向に延びる機構は、チップコネクタ部1103の内面から突き出る部分環状リブ1123を備える。好ましくは、チップコネクタ部がそこまで拡大する第2の外径は、少なくとも半径方向に延びる機構1123の半径範囲だけ、第1の外径より大きい。リブ1123は、好ましくは、角度のついた上面および下面を備え、上面および下面に沿って、チップコネクタ部の内径は、リブ1123からリブ1123の上下のチップコネクタ部の領域まで、徐々に増加する。上面の角度は、所望の挿入力に従って選択されうる。下面の角度は、所望の取り出し力に従って選択されうる。上面または下面は、各々、ピペットチップの軸方向から10~80度、例えば、ピペットチップの軸方向から20~70度、ピペットチップの軸方向から30~60度、またはピペットチップの軸方向から40~50度の角度を有してよい。
【0048】
中心部1104は、ピペットチップ1100内でプランジャー1200を中心に置くように構成されてよい。中心部1104は、先細または円すい形状を有しうる内面を有してよい。支持部1105は、ピペットチップ1100の柔軟性を低減する、および/または構造的完全性を改善するように構成された1つまたは複数の構造リブまたはリングを備えてよい。1つまたは複数のリブは、
図16に最もよく見られるように、例えば、軸方向に、近位端1101と遠位端1102との間の長さの少なくとも一部に沿って、ピペットチップの外面において延びてよい。本体部1106は、実質的に円柱状であってよい、および/または細長くてよい。本体部1106は、実質的に均一な内径および/または外径を有してよい。本体部1106は、ピペットチップ1100の長さの少なくとも半分に沿って延びてよい。本体部1106は、端部1110の任意の直径より大きい内径および/または外径を有してよい。橋架部1107は、本体部1106を端部1110に橋渡しするように構成されてよい。橋架部1107は、本体部1106と端部1110との間の段階的移行またはステップを画定してよい。橋架部1107は、実質的に先細、円すい、および/またはドーム状であってよい。
【0049】
プランジャー1200は、近位端1201と遠位端1202とを有し、縦軸1101に沿って延びる。プランジャー1200は、ピペットチップ1100の近位端1101と遠位端1102との間を端部1110内へと少なくとも部分的に延びるように構成されている。プランジャー1200は、ピペットチップ1100の近位端1101と遠位端1102との間を端部1110内へと実質的にまたは完全に延びるように構成されてよい。プランジャー1200は、開口部1108へと、かつ開口部1108から離れて移動可能であり、流体を吸引する、またはピペットチップ1100から流体を分注する。プランジャー1200は、ピペットチップ端部1110の内壁面1111と並ぶように構成された端部外壁面1212を有してよい。プランジャー1200は、高分子材料を含んでよい、または高分子材料から成ってよい。プランジャー1200は、均質な材料を含んでよい、または均質な材料から成ってよい。
【0050】
プランジャー1200は、各々が異なる機能、際立った特徴、および/または異なる形状または寸法を有する一連の部分を備えてよい。プランジャー1200は、プランジャーコネクタ部1203、中心部1204、本体部1206、および封止部1207の1つまたは複数を備えてよい。近位端1201から遠位端1202まで、各部は、コネクタ部1203、中心部1204、本体部1206、封止部1207、および端部1210の順番で配置されてよい。
【0051】
プランジャーコネクタ部1203は、例えば、スナップフィット連結により、液体処理システムに連結されるように構成されている。プランジャーコネクタ部1203は、ピペットチップ100のチップコネクタ部1103内に完全に受け入れられるように構成されてよい。プランジャーコネクタ部1203は、複数の可撓セグメント1221により画定されうる分割管状壁1220を備えてよい。可撓セグメント1221は、半径方向内側の方向に弾性的に偏向し、可撓セグメントが偏向せず、かつプランジャーコネクタ部が静止状態にある第1の内径から、可撓セグメントが半径方向内側に偏向され、かつプランジャーコネクタ部が押し込まれた状態にある第2の内径まで、プランジャー1200の近位端1201の内径を減少させるように構成されてよい。描写された実施形態において、プランジャーコネクタ部1203は、管状壁1220に、3つの可撓セグメント1221に分ける3つの軸方向に延びる切れ目またはスロット1222を備える。プランジャーコネクタ部1203は、任意の適切な数の軸方向に延びる切れ目1222を備え、任意の数の可撓セグメント1221を画定してよい。可撓セグメント1221およびスロット1222の構成により、大きな押し込み応力なしでプランジャーコネクタ部を押し込むことができる。プランジャーコネクタ部1203は、その外面に、1つまたは複数の半径方向に延びる機構1223を更に備えてよく、それによりプランジャーがピペット操作ヘッドに結合されうる。プランジャーコネクタ部1203の外面の半径方向に延びる機構は、半径方向外側に延びる突起、および/または半径方向内側に延びるくぼみもしくは溝を備えてよい。半径方向に延びる機構は、周方向に延びてよい。描写された実施形態において、プランジャーコネクタ部1203の外面の半径方向に延びる機構は、プランジャーの上端に成形ヘッド1223を備え、その下部は、プランジャーコネクタ部1203の外面の環状溝により画定されている。好ましくは、プランジャーコネクタ部がそこまで縮小する第2の内径は、少なくとも半径方向に延びる機構1223の半径範囲だけ、すなわち、成形ヘッド1223の外径と、環状のくぼみの最も狭い部分の外径との間の差の少なくとも半分だけ、第1の内径より小さい。
【0052】
プランジャーコネクタ部1203は、プランジャーコネクタ部1203の内面から横に延びる内部壁1224を更に備えてよい。内部壁1224は、可撓セグメント1221の末端に位置付けられてよい。内部壁1224は、本体部1206に近接して位置付けられてよい。内部壁1224は、プランジャーコネクタ部の穴を横切る制限部を形成する。これにより、締め付けロッドのヘッドが当接できる面が設けられ、ピペットが取り出される。内部壁1224は、
図17に示すように、プランジャー1200の内部の穴の全幅にわたって延びてよい。しかしながら、これは必ずしもではない。内壁1224は、穴のサイズを、締め付けロッドのヘッドの外径未満に制限すれば十分である。
【0053】
中心部1204は、環状の肩部を備えてよい。中心部1204は、実質的に円すいまたはドーム状であってよい。描写された実施形態において、中心部1204は、半径方向に延びる円すい台状の肩部である。ピペットチップ1100の中心部1104は、好ましくは、プランジャー1200の中心部1204を受け入れ、係合し、プランジャーを一直線に中心に置くように構成されている。
図14に示す実施形態において、その2つの中心部は、対応する幾何学的形状を有している。プランジャー1200の本体部1206は、ピペットチップ1100の本体部1106に受け入れられるように構成されてよい。本体部1206は、実質的に円柱状であってよい、および/または細長くてよい。本体部1206は、実質的に均一な直径を有してよい。本体部1206は、プランジャーの長さの少なくとも半分、任意にプランジャー1200の長さの少なくとも3分の2に沿って延びてよい。本体部1206は、端部1210の直径より大きな直径を有してよい。プランジャー1200の封止部1207は、ピペットチップ1100の橋架部1107に受け入れられるように構成されてよい。封止部1207は、ピペットチップ1100の内壁に対してシールを形成するように構成されてよい。封止部1207は、プランジャー1200がピペットチップ1100内に設置されたとき、流体が封止部1207の近位側から封止部1207の遠位側に流れないように、ピペットチップ内に液密シールを形成してよい。封止部1207は、少なくとも部分的に柔軟性があってよい。封止部1207は、本体部1206を端部1210に橋渡しするように構成されてよい。封止部1207は、本体部1207と端部1210との間のステップを画定してよい。封止部1207は、実質的に先細、円すい、および/またはドーム状であってよい。プランジャー1200の端部1210は、ピペットチップ1100の端部1110に受け入れられるように構成されてよい。端部1210は、封止部1207および/または本体部1206より小さい直径を有してよい。
【0054】
図18~
図22を参照して、本発明の、ピペット1010をピペット操作ヘッド100に連結する方法を、以下に記載する。以下の説明に関連する図は単一のピペットのみを示すが、説明される連結、吸引、分注、および取り出し操作の1つまたは複数は、複数のピペットに同時に適用できることが理解されるであろう。例えば、ピペット操作ヘッドが384個のマウントを備える場合、以下の説明は、384個のピペット、またはその任意のサブセットの同時連結に適用されてよい。
【0055】
図18において、ピペットチップ締め付け機構120およびプランジャー締め付け機構140は、ともに解放された状態にある。ピペットチップ締め付け機構120が解放された状態にあるとき、ピペットチップ締め付けプレート125は、ピペットチップ取り付けプレート121の下面に対して、その最上の位置にある。重要なことに、この位置において、チップクランプスリーブの締め付け領域は、チップマウントスリーブの外面の周りの環状溝から、軸方向にオフセットされている。プランジャー締め付け機構140が解放された状態にあるとき、図示するように、プランジャー締め付けプレート145は、最上の位置にあり、プランジャー締め付けロッド147の拡大ヘッド148は、プランジャーマウントスリーブの各々の内面の環状のくぼみから、軸方向にオフセットされている。続いて、ピペット操作ヘッド100全体を、ピペットヘッドZモータ(図示せず)を使用して、多数のピペット1010へと軸方向に動かし、チップマウントスリーブがピペットチップ1100のチップコネクタ部内に受け入れられるようにする。ピペットチップ1100の近位端にチップマウントスリーブ123が挿入されている間、各ピペットチップ1100の環状リブ1123は、チップマウントスリーブ123の外面上に乗り上げ、各チップのチップコネクタ部を拡張位置まで外側に偏向させる。一旦、
図18に示すように、環状リブ1123が環状溝124に受け入れられと、可撓セグメントは、偏向されていない状態、または部分的にのみ偏向された状態に戻る。この位置において、チップコネクタ部は、静止状態にあり、各ピペットチップ1100は、スナップフィット連結でその各々のピペットチップマウントスリーブ123に結合されている。これが、工程1である。
【0056】
工程2は、
図19を参照して説明される。工程2において、ピペットチップ締め付け機構120は、
図19に示すように、ピペットチップ締め付けプレート125を下げ、ピペットチップ取り付けプレートから離して動かすことにより係合されている。これにより、チップ締め付けスリーブ127は、各ピペットチップ1100のチップコネクタ部1103の周囲を延び、各チップ締め付けスリーブの締め付け領域が各ピペットチップ1100とその各々のチップマウントスリーブ123との間のスナップフィット連結に隣接するようにする。締め付け領域128の内径は、チップコネクタ部1103の拡張された直径未満であり、例えば、チップコネクタ部の拡張されていない外径または「第1の」外径と実質的に同一であってよい。この構成により、チップコネクタ部1103は、完全に拡張することができず、したがって、ピペットチップ1100の内面の半径方向に延びる機構1123がチップマウントスリーブ123の外面の溝124から解放されるのを防ぐ。このようにして、ピペットチップ1100は、ピペットチップ1100のチップコネクタ部に任意の大きな力をかける必要なく、適切な位置に「ロックされて」いるまたは「締め付けられて」いる。これにより、ピペットチップ締め付け機構を係合させるのに必要な力を軽減できる。
【0057】
工程1と工程2との間、ピペットチップ締め付け機構は、解放された状態と係合された状態との間の、部分的に係合された「プレロック」位置に任意に動かされてよく、その位置で、各クランプスリーブ127の先細領域129Bは、その各々のチップマウントスリーブ123の外面のくぼみ124に隣接している。これにより、ピペットチップ締め付けプレートとピックされていない多数のチップとの間での干渉を受けずに、ピックされたチップをチップマウントに対して固定できるため、チップボックスからの多数のチップの一部のピッキングが促進されうる。一旦、ピックされたチップがピペット操作ヘッドによりピックされていない多数のチップの上に持ち上げられると、ピペットチップ締め付けプレート125を締め付け位置に動かすことにより、ピックされたチップは、続いて、所定の場所で完全に締め付けられうる。
【0058】
工程3は、
図20を参照して説明される。工程3において、プランジャー締め付け機構140全体が、ダイレクトドライブアクチュエータを使用して下げられる。これにより、プランジャーマウントスリーブ143が、プランジャー1200の上端または近位端においてプランジャーコネクタ部1203と接触する。プランジャー締め付け機構140の更なる下向きの動きにより、プランジャーマウントスリーブ143の内面がプランジャーコネクタ部の外面に乗り上げ、収縮された位置または押し込み位置までプランジャーコネクタ部が内部へ偏向し、プランジャー1200の頂部の成形ヘッド1223がプランジャーマウントスリーブ143の内面のくぼみ144に受け入れられる。一旦、
図20に示すように、成形ヘッド1223がプランジャーマウントスリーブ143の内面のくぼみ144に受け入れられると、プランジャーコネクタ部1203の可撓セグメント1221は、偏向されていない状態または部分的に偏向された状態に戻る。この位置において、プランジャーコネクタ部は、静止状態であり、各プランジャー1200は、スナップフィット連結でその各々のプランジャーマウントスリーブ143に結合されている。
【0059】
工程4は、
図21を参照して説明される。工程4において、プランジャー締め付けプレート145は、プランジャークランプロッドのヘッド148がプランジャーとプランジャーマウントスリーブとの間のスナップフィット連結に隣接するまで、プランジャークランプドライブ機構によりプランジャー取り付けプレート141へと軸方向に動かされる。各締め付けロッドのヘッド148の外径は、収縮された状態のときのプランジャーの内径、または「第2の内径」より大きい。例えば、各締め付けロッドのヘッド148の外径は、偏向されていないプランジャーの内径、または「第1の」内径と実質的に同一であってよい。この構成により、プランジャーコネクタ部は、収縮された位置に完全に収縮することができず、したがって、プランジャー1200の成形ヘッド1223がプランジャーマウントスリーブ143の内面のくぼみ144から解放されるのを防ぐ。このようにして、プランジャー1200は、プランジャーコネクタ部に任意の大きな押し込む力をかける必要なく、適切な位置に「ロックされて」いるまたは「締め付けられて」いる。これによりプランジャー締め付け機構を係合させるのに必要な力を軽減できる。
【0060】
吸引操作を行うため、ピペット操作ヘッド100は、ピペット操作ヘッドZモータを使用して、液体試料一式に対して所望の位置に動かされる。各ピペットのプランジャーは、続いて、
図22に示すように、ダイレクトドライブアクチュエータを使用してその各々のピペットチップ内で持ち上げられ、ピペットチップ締め付け機構から離してプランジャー締め付け機構全体を動かし、ピペットチップ内に流体を吸い込む。続いて、ダイレクトドライブアクチュエータを使用してプランジャー締め付け機構を反対方向に動かすことにより、流体は、要望どおり分注されうる。
【0061】
一旦、吸引および分注操作が完了すると、ピペットまたは複数のピペットは、以下のように取り出されうる。初めに、プランジャーは、それぞれ、各々のピペットチップの内部でそれらが進む最下端まで動かされ、チップ締め付け機構120は、チップ締め付けプレート125をチップ取り付けプレート121へと動かし、クランプスリーブ127を、各ピペットチップとその各々のチップマウント123との間のスナップフィット連結とのアライメントからずらし、かつピペットチップの外面から離すことにより、解除される。次に、プランジャー締め付けプレート145は、係合された位置を超えてプランジャー取り付けプレート141へと動かされ、各締め付けロッド147のヘッド148が各プランジャー1200とその各々のプランジャーマウント143との間のスナップフィット連結とのアライメントからずらして動かされ、代わりに、各締め付けロッド147のネック部149Aをスナップフィット連結と一直線にし、締め付けロッドのヘッドの遠位端面をプランジャーコネクタ部1203の内部壁1224に対して当接させるようにする。締め付けロッド147のネック部149Aはプランジャーコネクタ部1203の第2の押し込まれた内径未満の外径を有するため、締め付けロッドがこの位置にあるとき、プランジャーコネクタ部は、押し込まれた状態へと内部へ偏向することを制限されない。したがって、プランジャー締め付けプレート145の継続的な下向きの動きにより、プランジャーマウント143の対応する半径方向に延びる機構144からプランジャーコネクタ部1203の成形ヘッド1223が解放され、ピペット操作ヘッドからプランジャー1200が取り外される。プランジャー締め付けプレート、ひいては締め付けロッドおよびプランジャー自体の更なる下向きの動きにより、プランジャーの遠位端部が、それらが内部に位置するピペットチップの各部に対して押し付けられる。このようにして、プランジャーおよびプランジャー締め付け機構は、ピペットチップマウント123からピペットチップ1100を解放するのに使用でき、それによりピペット操作ヘッドからピペット1010が取り出される。
【0062】
1つまたは複数の好適な実施形態を参照して、本発明について上述したが、添付の特許請求の範囲で定義された本発明の範囲から逸脱することなく、さまざまな変更または修正が成されうることが理解されるであろう。
【0063】
本発明は、以下の項に従って説明または定義されてもよい。
【0064】
1.各々がピペットチップと、ピペットチップ内に設けられたプランジャーとを有する多数のピペットとともに使用するための液体分注装置用ピペット操作ヘッドであって、ピペット操作ヘッドは、
使用中、多数のピペットのピペットチップを保持するための複数のチップマウントを有するピペットチップ連結機構と、
使用中、多数のピペットのプランジャーを保持するための複数のプランジャーマウントを有するプランジャー連結機構と
を備え、
(i)複数のチップマウントの各々は、その外面に、スナップフィット連結の半分を形成するように構成されている半径方向に延びる機構を備え、ピペットチップ連結機構は、
各々が複数のチップマウントの1つと関連し、各々が締め付け領域を有する複数のチップ締め付け部材と、
チップマウントとチップ締め付け部材との間の相対移動を軸方向に引き起こし、クランプ位置と解放位置との間でピペットチップ締め付け機構を動かすことにより、選択的にピペットチップ締め付け機構を係合させるように操作可能なアクチュエータを備えるチップ締め付けドライブ機構と
を更に備えるピペットチップ締め付け機構であり、
各チップ締め付け部材の締め付け領域は、ピペットチップ締め付け機構がクランプ位置にあるとき、その関連チップマウントの外面の半径方向に延びる機構に軸方向に隣接し、各チップ締め付け部材の締め付け領域は、ピペットチップ締め付け機構が解放位置にあるとき、その関連チップマウントの外面の半径方向に延びる機構から軸方向にオフセットされる、および/または
(ii)複数のプランジャーマウントの各々は、その内面に、スナップフィット連結の半分を形成するように構成されている半径方向に延びる機構を有し、プランジャー連結機構は、
各々が複数のプランジャーマウントの1つと関連し、各々が締め付け領域を有する複数のプランジャー締め付け部材と、
プランジャーマウントとプランジャー締め付け部材との間の相対移動を軸方向に引き起こし、クランプ位置と解放位置との間でプランジャー締め付け機構を動かすことにより、選択的にプランジャー締め付け機構を係合させるように操作可能なアクチュエータを備えるプランジャー締め付けドライブ機構と
を更に備えるプランジャー締め付け機構であり、
各プランジャー締め付け部材の締め付け領域は、プランジャー締め付け機構がクランプ位置にあるとき、その関連プランジャーマウントの内面の半径方向に延びる機構に軸方向に隣接し、各プランジャー締め付け部材の締め付け領域は、プランジャー締め付け機構が解放位置にあるとき、その関連プランジャーマウントの内面の半径方向に延びる機構から軸方向にオフセットされる、ピペット操作ヘッド。
【0065】
2.複数のチップ締め付け部材は、複数のスリーブを備え、複数のスリーブは、ピペットチップ締め付け機構がクランプ位置にあるとき、締め付け領域を画定し、複数のチップマウントと同軸であり、複数のチップマウントの周囲を囲む、項1に記載のピペット操作ヘッド。
【0066】
3.ピペットチップ締め付け機構は、ピペットチップ締め付けプレートを備え、ピペットチップ締め付けプレート上に複数のチップ締め付け部材が提供され、ピペットチップ締め付けプレートは、複数のピペットチップマウントに対して軸方向に移動可能であり、選択的にピペットチップ締め付け機構を係合させる、項2に記載のピペット操作ヘッド。
【0067】
4.複数のスリーブは、ピペットチップ締め付けプレートにおいて画定された開口部により画定されている、項3に記載のピペット操作ヘッド。
【0068】
5.複数のチップマウントの各々の外面の半径方向に延びる機構は、円周溝である、項1~項4の何れか一項に記載のピペット操作ヘッド。
【0069】
6.複数のプランジャーマウントは、複数の軸方向に延びるスリーブを備え、複数のプランジャー締め付け部材は、締め付けロッドを備え、締め付けロッドは、プランジャー締め付け機構が係合されたとき、締め付け領域を画定し、複数の軸方向に延びるスリーブの内部に延びる複数の軸方向に延びる、項1~項5の何れか一項に記載のピペット操作ヘッド。
【0070】
7.複数の締め付けロッドは、各々、より狭い軸部に連結された拡張遠位端部を有し、拡張遠位端部は、締め付け領域を画定している、項6に記載のピペット操作ヘッド。
【0071】
8.項1~項7の何れか一項に記載のピペット操作ヘッドとともに使用するためのピペットであって、
ピペットチップであって、分注開口部を有する遠位端と、使用中、ピペット操作ヘッドのピペットチップ連結機構にピペットチップを連結するためのチップコネクタ部を有する近位端とを有するピペットチップと、
プランジャーであって、ピペットチップの内部に位置付けられた遠位端と、使用中、ピペット操作ヘッドのプランジャー連結機構にプランジャーを連結するための中空プランジャーコネクタ部を有する近位端とを有するプランジャーと
を備え、
(i)チップコネクタ部は、その内面に、複数のピペットチップマウントの1つの外面の半径方向に延びる機構とスナップフィット連結を形成するように構成された半径方向に延びる機構を有し、チップコネクタ部は、チップコネクタ部が第1の外径を有する静止位置から、チップコネクタ部が、少なくともチップコネクタ部の半径方向に延びる機構の半径範囲だけ、第1の外径より大きい第2の外径を有する拡張位置まで、半径方向に外側の方向に弾性的に偏向するように構成されている、および/または
(ii)プランジャーコネクタ部は、その外面に、複数のプランジャーマウントの1つの内面の半径方向に延びる機構とスナップフィット連結を形成するように構成された半径方向に延びる機構を有し、プランジャーコネクタ部は、プランジャーコネクタ部が第1の内径を有する静止位置から、プランジャーコネクタ部が、少なくともプランジャーコネクタ部の半径方向に延びる機構の半径範囲だけ、第1の内径より小さい第2の内径を有する押し込み位置まで、半径方向に内側の方向に弾性的に偏向するように構成されている、ピペット。
【0072】
9.チップコネクタ部は、半径方向に外側の方向に弾性的に偏向して静止位置から拡張位置までチップコネクタ部を偏向させるように構成された複数の可撓セグメントにより画定された分割管状壁を備える、項8に記載のピペット。
【0073】
10.チップコネクタ部の内面の半径方向に延びる機構は、チップコネクタ部の内面から半径方向内側に突き出る円周リブを備える、項8または項9に記載のピペット。
【0074】
11.プランジャーコネクタ部は、半径方向に内側の方向に弾性的に偏向して静止位置から押し込み位置までプランジャーコネクタ部を偏向させるように構成された複数の可撓セグメントにより画定された分割管状壁を備える、項8~項10の何れか一項に記載のピペット。
【0075】
12.プランジャーコネクタ部の外面の半径方向に延びる機構は、プランジャーコネクタ部の内面へと半径方向外側に延びる円周溝に直接隣接した成形ヘッド部を備える、項8~項11の何れか一項に記載のピペット。
【0076】
13.項8~項12の何れか一項に記載の少なくとも1つのピペットを更に備える、請求項2~項4の何れか一項に記載のピペット操作ヘッドであって、チップ締め付け機構の複数のスリーブの各々の締め付け領域は、チップコネクタ部の第1の外径以上、かつチップコネクタ部の第2の外径未満である内径を有し、チップ締め付け機構がクランプ位置にあるとき、締め付け領域が、チップコネクタ部が拡張位置まで偏向し、それによりスナップフィット連結が解除されるのを防ぐ、ピペット操作ヘッド。
【0077】
14.項8~項12の何れか一項に記載の少なくとも1つのピペットを更に備える、項6または項7に記載のピペット操作ヘッドであって、複数の軸方向に延びる締め付けロッドの各々の締め付け領域は、プランジャーコネクタ部の第1の内径以下、かつプランジャーコネクタ部の第2の内径より大きい外径を有し、プランジャー締め付け機構がクランプ位置にあるとき、締め付け領域が、プランジャーコネクタ部が押し込み位置まで偏向し、それによりスナップフィット連結が解除されるのを防ぐ、ピペット操作ヘッド。
【0078】
15.マイクロプレート受け取りエリアを有する本体と、
項1~項7、項13、または項14の何れか一項に記載のピペット操作ヘッドであって、マイクロプレート受け取りエリアの上に位置付けられているピペット操作ヘッドと
を備える液体分注装置。
【国際調査報告】