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特表2024-523288流体活性の作動機構を有する医療装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】流体活性の作動機構を有する医療装置
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/07 20060101AFI20240621BHJP
【FI】
A61J3/07
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577140
(86)(22)【出願日】2022-06-09
(85)【翻訳文提出日】2024-01-26
(86)【国際出願番号】 EP2022065628
(87)【国際公開番号】W WO2022263265
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】63/212,239
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596113096
【氏名又は名称】ノボ・ノルデイスク・エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シグルザルソン, ヌコヴィ ステイン
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047CC16
4C047DD40
4C047HH06
4C047LL11
(57)【要約】
自己復元摂取可能なカプセルであって、a)中心軸を画定し、近位端および遠位端を有するカプセルハウジング(110、120)と、b)カプセルハウジング(110、120)内の密封区画(A)であって、固体用量部材(130)を収容し、遠位出口ポート(124)を備える密封区画(A)と、c)密封区画(A)から流体的に分離された作動区画(B)と、d)作動区画(B)内に少なくとも部分的に収容され、軸方向に変位し、それによって、遠位出口ポート(124)を通して用量部材(130)を遠位に移動させるように配設された作動部材(150)と、e)作動部材(150)を遠位方向に動力供給するための螺旋ばね(140)と、f)近位位置にラッチされた作動部材を解放可能に維持するために、作動部材(150)に結合されたラッチ構成要素(152)と、g)作動区画(B)内に配置された溶解可能なラッチ支持体(160)と、を備え、溶解可能なラッチ支持体が、溶解可能なラッチ支持体(160)の溶解までラッチ構成要素(152)を支持することによって、作動部材(150)のラッチを近位位置に維持し、それによって、作動部材(150)を遠位に変位させることを可能にし、溶解前に、環状密封部(170)が、作動区画(B)から流体的に分離された密封区画(A)を維持し、環状密封部(170)が、螺旋ばね(140)の少なくとも一部分に対して半径方向外向きに配設されている、自己復元摂取可能なカプセル。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の内腔への摂取に適した自己復元カプセル(100)であって、前記内腔が内腔壁を有し、前記自己復元カプセル(100)が、
-中心軸を画定し、近位端および遠位端を有するカプセルハウジング(110、120)と、
-治療ペイロードを含む調製物から部分的または完全に形成された固体治療剤形として成形された用量部材(130)を収容するための、前記カプセルハウジング(110、120)内の密封区画(A)であって、出口ポート(124)が提供された遠位端および近位端を有する軸方向に延在するエンクロージャを備える、密封区画(A)と、
-前記密封区画(A)から流体的に分離され、かつ自己作動アクチュエータを少なくとも部分的に収容する作動区画(B)と、を備え、
前記自己作動アクチュエータは、
-近位位置から遠位位置へ前記軸方向に延在するエンクロージャに対して軸方向に変位させ、それによって、前記用量部材を前記密封区画(A)内の非曝露位置から、前記用量部材(130)の少なくとも一部分が、前記出口ポート(124)を通して曝露される曝露位置へと遠位に移動させるために、前記用量部材(130)と協働するように配設された作動部材(150)と
-前記作動部材(150)を変位させるための螺旋ばね(140)であって、前記近位位置から前記遠位位置への変位のために、前記作動部材(150)に荷重をかけるように引っ張られる、螺旋ばねと、
-ラッチされた前記作動部材を前記近位位置で解放可能に維持するために、前記作動部材(150)に結合されたラッチ構成要素(152)と、
-前記作動区画(B)内に配置された溶解可能なラッチ支持体(160)であって、前記作動区画(B)に入る生体液に曝されたときに少なくとも部分的に溶解可能であり、前記溶解可能なラッチ支持体(160)が、溶解前に、前記ラッチ構成要素(152)を支持することによって、前記作動部材(150)のラッチを前記近位位置に維持し、前記溶解可能なラッチ支持体(160)の少なくとも部分的な溶解が、ラッチ構成要素(152)の支持を停止させ、それによって、作動部材(150)を前記遠位位置に向かって変位させることを可能にする、溶解可能なラッチ支持体(160)と、を備え、
前記自己復元カプセル(100)が、前記作動部材(150)が前記近位位置をとる状態で、前記密封区画(A)を前記作動区画(B)から流体的に分離して維持する、前記作動部材(150)と前記軸方向に延在するエンクロージャとの間の密封境界面を備え、前記密封境界面が、前記螺旋ばね(140)の少なくとも一部分に対して半径方向外向きに配設された環状密封部(170)を備える、自己復元カプセル(100)。
【請求項2】
前記螺旋ばね(140)が、複数の巻線を備え、前記巻線の遠位部分が、第1の大きさの外径を画定し、前記環状密封部(170)が、前記第1の大きさよりも大きい第2の大きさの内径を画定する半径方向内向きに面する表面を備える、請求項1に記載の自己復元カプセル(100)。
【請求項3】
前記螺旋ばね(140)が、前記カプセルハウジング(110、120)に結合された広い近位端と、作動部材(150)に結合された狭い遠位端とを有するコイル状の先細ばねとして提供されている、請求項1または2に記載の自己復元カプセル(100)。
【請求項4】
前記環状密封部(170)は、少なくとも前記作動部材(150)が前記近位位置をとるとき、および/または少なくとも前記作動部材(150)が前記遠位位置をとるとき、前記螺旋ばね(140)の一部分と軸方向に重なり合う関係で配設される、請求項1~3のいずれか一項に記載の自己復元カプセル(100)。
【請求項5】
前記環状密封部(170)は、半径方向外向きに面する表面が前記軸方向に延在するエンクロージャの半径方向内向きの表面と接合する状態で配設される、請求項1~4のいずれか一項に記載の自己復元カプセル(100)。
【請求項6】
前記環状密封部(170)が、前記作動部材(150)が前記近位位置から前記遠位位置へと移動するときに、前記軸方向に延在するエンクロージャに対して固定して配置される、請求項1~5のいずれか一項に記載の自己復元カプセル(100)。
【請求項7】
前記作動部材(150)が、前記用量部材(130)に結合された遠位部分を備え、前記ラッチ構成要素(152)が、前記遠位部分に取り付けられるか、または前記遠位部分と一体的に形成され、前記ラッチ構成要素(152)が、前記作動部材(150)の前記遠位部分から近位に突出する、請求項1~6のいずれか一項に記載の自己復元カプセル(100)。
【請求項8】
前記ラッチ構成要素(152)が、前記作動部材(150)の前記遠位部分に取り付けられるか、または前記作動部材(150)の前記遠位部分と一体的に形成される1つ以上のラッチアームを備え、前記1つ以上のラッチアームが、前記作動部材(150)の前記遠位部分から近位に延在して、前記カプセルハウジング(110、120)に関連付けられた対応する保持部分(113)と協働するように形成される、請求項7に記載の自己復元カプセル(100)。
【請求項9】
前記1つ以上のラッチアームのうちの少なくとも1つが、ラッチ係合において対応する保持部分(113)と協働する閉塞部分を画定する横方向に移動可能なラッチアームとして形成され、前記溶解可能なラッチ支持体(160)の溶解前に、前記ラッチアームが、前記溶解可能なラッチ支持体によって支持され、溶解時に前記ラッチアームを支持することを停止し、それによって前記ラッチアームの横方向移動を可能にして前記ラッチ係合を解放する、請求項8に記載の自己復元カプセル(100)。
【請求項10】
複数のラッチアームを備え、各ラッチアームが、半径方向外向きおよび半径方向内向きに面するラッチ表面を画定し、各ラッチアームが、半径方向に偏向可能であり、
前記溶解可能なラッチ支持体(160)が、軸上に中央に配設され、前記保持部分(113)が、前記溶解可能なラッチ支持体(160)の周りに同軸に配設され、前記ラッチアームが、それらの間に半径方向に配設され、
前記溶解可能なラッチ支持体(160)の溶解前に、前記半径方向外向きに面するラッチ表面が、それぞれの保持部分(113)とラッチ係合で係合し、前記半径方向内向きに面するラッチ表面が、前記溶解可能なラッチ支持体(160)のそれぞれの半径方向外向きに面する表面と支持係合し、それにより、前記ラッチアームが半径方向内向きに移動するのを制限し、前記ラッチ係合の開放を防止し、
溶解前に、前記ラッチアームが、各ラッチアームの前記半径方向内向きに面するラッチ表面が前記軸に対して傾斜するように、前記作動部材(150)の前記遠位部分から近位かつ半径方向外向きに延在し、前記溶解可能なラッチ支持体(160)の前記それぞれの半径方向外向きに面する表面が傾斜し、それによって、前記半径方向内向きに面するラッチ表面に沿って前記それぞれのラッチアームを支持し、
前記溶解可能なラッチ支持体(160)が少なくとも部分的に溶解したとき、前記ラッチアームが半径方向内向きに移動することが許容され、それによって前記ラッチ係合が解放され、前記螺旋ばね(140)が前記作動部材(150)を前記遠位位置に向かって移動させることが許容される、請求項8または9に記載の自己復元カプセル(100)。
【請求項11】
前記カプセルハウジング(110、120)の近位端内に、流体進入開口部が、軸上で中央に配設されるなどして提供され、前記溶解可能なラッチ支持体(160)が前記流体進入開口部内に配置される、請求項1~10のいずれか一項に記載の自己復元カプセル(100)。
【請求項12】
前記自己復元カプセル(100)の外部環境と前記溶解可能なラッチ支持体(160)との間に流体および/またはガス連通を提供するための1つ以上の通気孔をさらに備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の自己復元カプセル(100)。
【請求項13】
前記作動部材(150)の前記遠位部分が、前記螺旋ばね(140)の前記遠位端部分のためのばねシートを形成する近位に面するくぼみを有するカップ状の幾何学的形状(155)を備え、前記カップ状の幾何学的形状(155)の外部フランジ部分が、前記作動部材(150)が前記近位位置にあるときに、前記環状密封部(170)と係合して配設された近位に面する環状表面部分を形成する、請求項1~12のいずれか一項に記載の自己復元カプセル(100)。
【請求項14】
前記出口ポート(124)が、前記自己作動アクチュエータの作動まで、前記自己復元カプセル(100)の外部環境から流体的に分離された前記密封区画(A)を維持するように構成されている、請求項1~13のいずれか一項に記載の自己復元カプセル(100)。
【請求項15】
前記密封区画(A)内に収容された用量部材(130)をさらに備え、前記用量部材(130)が、治療ペイロードを含む調製物から部分的または完全に形成された固体治療剤形として成形され、前記調製物が、前記内腔壁の組織に挿入されたときに溶解して、前記治療ペイロードを血流中に少なくとも部分的に放出する溶解可能な材料から作製される、請求項1~14のいずれか一項に記載の自己復元カプセル(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の内腔に挿入され、生体液などの流体によって活性化されることを可能にするように適合された、薬剤送達のためのシステムを含む、医療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の開示では、主に治療剤の送達による疾患または他の状態の治療が参照されるが、これは本発明の例示的な使用に過ぎない。
【0003】
多くの人々が、疾患に罹り、定期的に、およびしばしば、日常的に、薬剤の注射を受けることを必要としている。疾患を治療するために、これらの人々は、複雑であるとみなされ得る、かつ不快な経験となり得る、異なるタスクを実施する必要がある。さらに、その人々は、外出時に注射装置、針、薬剤を持参することが必要となる。したがって、治療が錠剤またはカプセルの経口摂取に基づき得る場合、そのような疾患の治療の有意な改善とみなされることになる。
【0004】
しかしながら、タンパク質ベースの薬剤は、摂取時に吸収されるのではなく、分解および消化されることになるため、そのような溶液は、実現が非常に困難である。
【0005】
経口摂取を通して治療用物質を血流中に送達するための作用溶液を提供するために、薬剤は、まず消化管の内腔に送達され、さらに消化管の壁(内腔壁)内に送達されなければならない。これは、以下の数個の課題を提示する:(1)薬剤は、胃内の酸による分解または消化から保護されなければならない。(2)薬剤は、胃内、または下部消化管、すなわち、胃の後に放出されなければならず、これは、薬剤放出の絶好の機会を制限する。(3)薬剤は、胃および下部消化管内の流体の分解環境に曝露される時間を制限するために、内腔壁に送達されなければならない。壁で放出されない場合、薬剤は、放出点から壁への移動中に分解され得るか、または分解流体から保護されない限り、吸収されずに下部消化管を通過し得る。
【0006】
活性薬剤の経口投与および上記の課題のうちの1つ以上への対処に関する先行技術文献は、特許文献1、特許文献2、および特許文献3を含む。
【0007】
その文献に開示されているものなどの医療用カプセルについて、内部構成設計は、いくつかの設計上の課題のトレードオフを提供する。例えば、固体針形状のAPIの形態でのAPIの送達のために、経口装置が実行可能であるためには、意図される療法に十分な量のAPIを送達する必要がある。同時に、固体針形状のAPI錠剤については、API錠剤は、全身取り込みを可能にするのに十分な深さで組織層内に確実に送達される必要がある。典型的には、適切な深さでAPI錠剤を送達するために、大きな注射力が必要である。したがって、課題は、十分な量のAPIを充分な深さで確実に自己復元および注射しながら、嚥下可能なほど小さい装置を設計することである。さらに、低コストで安定した性能が不可欠である。
【0008】
特許文献4では、ラッチ係合において保持部分と協働するブロッキング部分を含む横方向に移動可能なラッチ要素を有する作動機構を有する、カプセル装置が開示されている。作動前に、ラッチ要素は、溶解可能な保持部材によって支持され、溶解すると、ラッチ要素の支持を停止し、それによって、横方向移動またはラッチ要素がラッチ係合を解放することを可能にする。
【0009】
この種の作動機構について、良好に機能する機構を得るための典型的な制約および要件は、以下を含む:
-たとえ大きな荷重がかかる駆動ばねであっても、駆動ばねの荷重に対して作動部材を長期間維持する能力、
-作動されるときの所望の加速度を維持するために、作動部材が、溶解可能な保持部材の溶解中に、定位置を保つべきであること、および
-作動機構を閉塞し得る未溶解片を回避するために、溶解可能な保持部材が完全に溶解される必要があること。
【0010】
上記に関して、患者の内腔への挿入のための医療装置を提供することが本発明の目的であり、医療装置は、高度に効果的および信頼性で、生体液の影響によって、制御された、かつ予測可能な様式で作動機構の発射を許容する。
【0011】
さらに本発明の目的は、大用量のペイロードを収容するために最適化され、強力な作動力を提供し、カプセルの外形寸法が最小化されたカプセル設計を提供することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第2018/213600A1号
【特許文献2】国際公開第2020/160399A1号
【特許文献3】米国特許公開第2020/0129441A1号
【特許文献4】国際公開第2020/157324A1号
【発明の概要】
【0013】
本発明の開示では、上記の目的のうちの1つ以上に対処する、または下記の開示だけでなく例示的な実施形態の説明からも明らかな目的に対処する、実施形態および態様が説明される。
【0014】
したがって、第1の態様では、自己復元摂取可能カプセルが提供されており、カプセルは、
-中心軸を画定し、近位端および遠位端を有するカプセルハウジングと、
-カプセルハウジング内の密封区画(A)であって、固体用量部材を収容し、遠位出口ポートを備える、密封区画(A)と、
-密封区画(A)から流体的に分離された作動区画(B)であって、自己作動アクチュエータが少なくとも部分的に収容される、作動区画(B)と、を備え、
自己作動アクチュエータは、
-軸方向遠位に変位し、それによって、遠位出口ポートを通して用量部材を遠位に移動させるように配設された作動部材と、
-作動部材を遠位方向に付勢する螺旋ばねと、
-螺旋ばねの付勢に抗してラッチされた作動部材を近位位置で解放可能に維持するために、作動部材に結合されたラッチ構成要素と、
-作動区画(B)内に配置された溶解可能なラッチ支持体と、を備え、溶解前に、溶解可能なラッチ支持体が、ラッチ構成要素を支持することによって作動部材のラッチを近位位置に維持し、溶解時に、ラッチ構成要素の前述の支持が停止し、それによって、作動部材を遠位に変位させることを可能にし、
溶解前に、環状密封部は、作動区画(B)から流体的に分離された密封区画(A)を維持し、環状密封部は、螺旋ばねの少なくとも一部分に対して半径方向外向きに配設されている。
【0015】
特定の実施形態では、自己復元カプセルは、患者の内腔への摂取に適したカプセルを画定し、内腔は内腔壁を有し、自己復元カプセルは、
-中心軸を画定し、近位端および遠位端を有するカプセルハウジングと、
-治療ペイロードを含む調製物から部分的または完全に形成された固体治療剤形として成形された用量部材を収容するための、カプセルハウジング内の密封区画(A)であって、出口ポートが提供された遠位端および近位端を有する軸方向に延在するエンクロージャを備える、密封区画(A)と、
-密封区画(A)から流体的に分離され、かつ自己作動アクチュエータを少なくとも部分的に収容する作動区画(B)と、を備え、
自己作動アクチュエータは、
-近位位置から遠位位置へ軸方向に延在するエンクロージャに対して軸方向に変位させ、それによって、用量部材を密封区画(A)内の非曝露位置から、用量部材の少なくとも一部分が、出口ポートを通して曝露される曝露位置へと遠位に移動させるために、用量部材と協働するように配設された作動部材と、
-作動部材を変位させるための螺旋ばねであって、近位位置から遠位位置への変位のために、作動部材に荷重をかけるように引っ張られる、螺旋ばねと、
-ラッチされた作動部材を近位位置で解放可能に維持するために、作動部材に結合されたラッチ構成要素と、
-作動区画(B)内に配置された溶解可能なラッチ支持体であって、作動区画(B)に入る生体液に曝されたときに少なくとも部分的に溶解可能であり、溶解可能なラッチ支持体が、溶解前に、ラッチ構成要素を支持することによって、作動部材のラッチを近位位置に維持し、溶解可能なラッチ支持体の少なくとも部分的な溶解が、ラッチ構成要素の支持を停止させ、それによって、作動部材を遠位位置に向かって変位させることを可能にする、溶解可能なラッチ支持体と、を備え、
自己復元カプセルは、作動部材が近位位置をとる状態で、密封区画(A)を作動区画(B)から流体的に分離して維持する、作動部材と軸方向に延在するエンクロージャとの間の密封境界面を備え、密封境界面は、螺旋ばねの少なくとも一部分に対して半径方向外向きに配設された環状密封部を備える。
【0016】
当技術分野で開示される以前に提案された自己復元カプセルと比較して、本解決策は、環状密封部が予め引っ張られたばねの半径方向外側に移動したという点で異なる。本発明の発明者らは、提案された解決策が、改善された解決策を提供することを認識してきており、カプセル寸法、薬剤負荷、自己復元能力、および薬剤挿入速度の態様のうちのいくつか、あるいは全てをさらに最適化することができる。その上、自己作動アクチュエータの耐荷重面を最適化することができ、自己復元カプセルの性能を概ね向上させることができる。
【0017】
これらの変化は、ばね力(およびそれによって注射深さ)を増加させること、および装置サイズを減少させることを許容する。一方で、溶解可能なラッチ支持体の溶解に対する制御を改善する。
【0018】
螺旋ばねは、複数の巻線を形成する圧縮ばねの形態で提供され得る。いくつかの実施形態では、巻線の遠位部分は、第1の大きさの外径を画定し、環状密封部は、第1の大きさよりも大きい第2の大きさの内径を画定する半径方向内向きに面する表面を備える。
【0019】
いくつかの実施形態では、螺旋ばねは、コイル状の先細ばねとして提供され、螺旋ばねは、カプセルハウジングに結合された広い近位端と、作動部材に結合された狭い遠位端と、を有する。これにより、より硬く、用量部材を組織内に移動させるためのより多くのエネルギーを提供し、製造中の取り扱いに関して利点を提供するばねが可能になる。
【0020】
他の実施形態では、ばねの外側形状は、円筒形、すなわち、非先細状など、異なり得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、環状密封部は、リング形状部材などの密封部材を形成し得、密封材料から形成され得る。密封材料は、エラストマー材料、例えば、シリコーン含有材料などのFDA認可ゴムなどの軟質の可撓性材料から形成され得る。
【0022】
いくつかの形態では、環状密封部は、少なくとも作動部材が近位位置をとるとき、および/または少なくとも作動部材が遠位位置をとるときに、螺旋ばねの一部分と軸方向に重なり合う関係で配設される。
【0023】
いくつかの形態では、環状密封部は、半径方向外向きに面する表面が軸方向に延在するエンクロージャの半径方向内向きの表面と接合する状態で配設される。
【0024】
環状密封部は、作動部材が近位位置から遠位位置へと移動するときに、軸方向に延在するエンクロージャに対して固定して配置されるように配設され得る。他の実施形態では、環状密封部は、作動部材に対して固定的に取り付けられ、作動部材の移動に追従する。
【0025】
いくつかの形態では、作動部材は、用量部材に結合された遠位部分を備え、ラッチ構成要素は、遠位部分に取り付けられるか、または遠位部分と一体的に形成され、ラッチ構成要素は、作動部材の遠位部分から近位に突出する。
【0026】
近位位置での作動部材の当該ラッチ、すなわち、溶解可能なラッチ支持体の溶解前の当該ラッチは、カプセルハウジングに関連付けられた1つ以上の保持部分によってラッチ構成要素の支持体と係合することによって提供され得る。1つ以上の保持部分は、カプセルハウジングと一体的に形成されるか、またはカプセルハウジングに固定して取り付けられた構成要素によって形成される、概ね近位に面する表面などとして配設され得る。典型的には、1つ以上の保持部分は、螺旋ばねの近位端のためのばねシートを画定する自己復元カプセルの一部分によって形成されることによってなどして、関連付けられる。溶解前に、溶解可能なラッチ支持体は、ラッチ構成要素と1つ以上の保持部分との間のラッチ係合を維持する。
【0027】
ラッチ構成要素は、作動部材の遠位部分に取り付けられるか、または作動部材の遠位部分と一体的に形成される1つ以上のラッチアームを備え、1つ以上のラッチアームは、作動部材の遠位部分から近位に延在して、カプセルハウジングに関連付けられた対応する保持部分と協働するように形成される。
【0028】
いくつかの実施形態では、上述の1つ以上のラッチアームのうちの少なくとも1つは、ラッチ係合において保持部分と協働する閉塞部分を画定する横方向に移動可能なラッチアームとして形成され、溶解可能なラッチ支持体の溶解前に、ラッチアームは、溶解可能なラッチ支持体によって支持され、溶解時にラッチアームを支持することを停止し、それによってラッチアームの横方向移動を可能にしてラッチ係合を解放する。
【0029】
さらなる実施形態では、自己復元カプセルは、複数のラッチアームを備えるように形成され、各ラッチアームは、半径方向外向きおよび半径方向内向きに面するラッチ表面を画定し、各ラッチアームは、半径方向に偏向可能であり、
溶解可能なラッチ支持体は、軸上に中央に配設され、保持部分は、溶解可能なラッチ支持体の周りに同軸に配設され、ラッチアームは、それらの間に半径方向に配設され、
溶解可能なラッチ支持体の溶解前に、半径方向外向きに面するラッチ表面は、それぞれの保持部分とラッチ係合で係合し、半径方向内向きに面するラッチ表面は、溶解可能なラッチ支持体のそれぞれの半径方向外向きに面する表面と支持係合し、それにより、ラッチアームが半径方向内向きに移動するのを制限し、ラッチ係合の解放を防止し、
溶解前に、ラッチアームは、各ラッチアームの半径方向内向きに面するラッチ表面が軸に対して傾斜するように、作動部材の遠位部分から近位かつ半径方向外向きに延在し、溶解可能なラッチ支持体のそれぞれの半径方向外向きに面する表面が傾斜し、それによって、半径方向内向きに面するラッチ表面に沿ってそれぞれのラッチアームを支持し、
溶解可能なラッチ支持体が少なくとも部分的に溶解したとき、ラッチアームが半径方向内向きに移動することが許容され、それによってラッチ係合が解放され、螺旋ばねが作動部材を遠位位置に向かって移動させることが許容される。
【0030】
自己復元カプセルは、溶解可能なラッチ支持体の溶解前の状態に対応する作動前構成を画定し得る。また、作動構成は、作動部材の解放が生じるように、溶解可能なラッチ支持体が少なくとも部分的に溶解した状態を画定し得る。
【0031】
各ラッチアームの半径方向内向きに面するラッチ表面が軸に対して傾斜するように、基部分から近位および半径方向外向きに延在する、ラッチアームを有するラッチ機構を構成することによって、これにより、作動構成では、ラッチアームが半径方向でほとんど空間を占有しないような様式で、ラッチアームが互いに向かって半径方向に折り畳まれることが可能になる。これにより、カプセルハウジングに関連付けられた保持部分が半径方向に小さな寸法で形成されることが可能になる。これにより、カプセル装置の全体的な外形寸法を損なうことなく、大きな作動力を得るためにより強力な駆動ばねの使用が可能になる。
【0032】
先行技術のラッチ機構と比較して、提案されたラッチ機構は、耐荷重面に改善をもたらし、ラッチ機構構成要素のクリープのリスクが低減される。
【0033】
さらに、本解決策は、溶解可能なラッチ支持体のより効果的な湿潤を可能にし、ラッチ係合のタイムリーな解放のための精度の向上をもたらす。
【0034】
一部の実施形態では、作動前構成にあるときに、溶解可能なラッチ支持体は、溶解可能なラッチ支持体に向かって半径方向に付勢されるラッチアームによって溶解可能なラッチ支持体上にかけられる圧縮力によって主に作用される。
【0035】
一部の実施形態において、作動前構成では、ラッチアームおよび保持部分の少なくとも1つの対が、作動部材を維持するように、すなわち、解放可能に保持するように、構造化される。
【0036】
カプセル装置の一部の形態では、作動前構成をとるときに、ばねは、作動部材上に荷重をかけ、ラッチアームおよび保持部分の少なくとも1つの対が、ばねによってかけられる荷重に対抗して、ベース部材に対して作動部材を保持する。
【0037】
他の形態では、カプセル装置が使用されるとき、ばねは、作動部材に対して最初から荷重をかけないが、ユーザが開始した工程などによって、上述の荷重を提供するように動作され得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、複数のラッチアームは、V字形状の構成に配設された2つの半径方向に対向するラッチアームとして提供され、溶解可能なラッチ支持部材は、概ねくさび形状または円錐形状であるか、またはくさび形状または円錐形状である部分を備えている。他の実施形態では、ラッチアームの数は、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上であり得、ラッチアームは、軸の周りに分布する。
【0039】
いくつかの実施形態では、複数の保持部分は各々、近位および半径方向内向きに向いた表面法線を有する傾斜表面を備え、各ラッチアームの半径方向外向きに面するラッチ表面は、対応する傾斜表面を備える。
【0040】
カプセルハウジングは、外部表面を画定する。保持部分の傾斜表面は、カプセルハウジングの外部表面と交差するように形成され得る。
【0041】
半径方向外向きに面するラッチ表面とそれぞれの保持部分との間の係合境界面は、特定の実施形態では、平面境界面、または円錐形状の境界面などの単一湾曲境界面のいずれかとして提供され得る。
【0042】
さらなる実施形態では、半径方向内向きに面するラッチ表面と溶解可能なラッチ支持体のそれぞれの半径方向外向きに面する表面との間の係合境界面は、平面境界面、または円錐形状の境界面などの単一湾曲境界面として提供され得る。
【0043】
カプセルハウジングの外部は、ハウジング外部の最近位端表面を画定する。いくつかの実施形態では、溶解可能なラッチ支持体は、溶解可能なラッチ支持体の近位端表面を画定し、作動前構成では、溶解可能なラッチ支持体の近位端表面は、ハウジング外部の最近位端に対して近位に位置する。代替的な実施形態では、溶解可能なラッチ支持体の近位端表面は、ハウジング外部の最近位端から2mm以内、例えば、1.5mm以内、例えば、1.0mm以内、例えば、0.5mm以内の遠位に位置する。
【0044】
いくつかの実施形態では、カプセルハウジングを通して作動区画(B)への生体液の進入を可能にする流体進入開口部が提供される。いくつかの実施形態では、流体進入開口部は、軸上で中央に配設されるなどしてカプセルハウジング近位端に提供され、溶解可能なラッチ支持体は、例えば溶解可能なラッチ支持体の湿潤を可能にするために、流体進入開口部内に配置される。
【0045】
また、いくつかの実施形態では、自己復元カプセルの外部環境と溶解可能なラッチ支持体との間の流体および/またはガス連通を可能にする1つ以上の通気孔が提供される。こうした実施形態では、通気孔は、螺旋ばねの巻線を通過するガスまたは流体を作り出すように形成され得る。作動区画(B)内に2つ以上の開口部を提供することによって、空気などのガスが溶解可能なラッチ支持体の表面の隣に閉じ込められるリスクが低減される。
【0046】
いくつかのさらなる形態では、作動部材の遠位部分は、螺旋ばねの遠位端部分のためのばねシートを形成する近位に面するくぼみを有するカップ状の幾何学的形状を備え、カップ状の幾何学的形状の外部フランジ部分は、作動部材が近位位置にあるときに環状密封部と係合して配設された近位に面する環状表面部分を形成する。
【0047】
いくつかの実施形態では、出口ポートは、自己作動アクチュエータの作動まで、自己復元カプセルの外部環境から流体的に分離された密封区画(A)を維持するように構成されている。
【0048】
自己復元カプセルは、用量部材が密封区画(A)内に収容される形態で提供され得、用量部材は、治療ペイロードを含む調製物から部分的または全体的に形成された固体治療剤形として成形され、調製物は、内腔壁の組織内に挿入されたときに溶解して治療ペイロードを少なくとも部分的に血流中に放出する溶解可能な材料から作製される。
【0049】
例示的な実施形態では、カプセル装置は、摂取のために、かつ患者の内腔内に移動するために構成されており、内腔は、内腔壁を有する。
【0050】
こうした実施形態では、カプセル装置は、自己復元カプセルとして構成され得、自己復元カプセルが内腔壁の組織によって少なくとも部分的に支持されるときに、自己復元カプセルは、軸が垂直に配設され、かつ遠位端が下側に向いている状態で、重力に対して自己配向する。
【0051】
いくつかの形態では、剤形は、作動前構成などで作動部材に取り付けられる。他の形態では、作動部材は、第1の位置から第2の位置への作動部材のストローク中に剤形に係合する。
【0052】
いくつかの形態では、用量部材は、組織貫通部材を画定する。
【0053】
いくつかの形態では、カプセル装置は、作動部材に結合された組織貫通部材を備え、組織貫通部材は、作動部材が第1の位置をとるときに、カプセルハウジング内に配置され、組織貫通部材は、作動部材が第1の位置から第2の位置へと移動するときに、カプセルハウジングから、かつ内腔の壁の中へと前進する。
【0054】
いくつかの形態では、カプセル装置は、患者による嚥下、および胃または小腸などの患者の消化管の内腔内への移動のために好適な摂取可能な装置を画定する。装置のカプセルハウジングは、ヒトなどの対象者によって嚥下されることを可能にするように成形およびサイズ設定され得る。上記の配設によって、経口投与された薬剤は、ヒトなどの生存哺乳類対象の胃または腸壁内に安全に、かつ確実に送達されることができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、作動機構は、作動前構成から、作動構成を通して、作動構成で終わるように動作可能である。作動構成は、作動機構が作動構成に向かって移動するために作動部材を解放する、中間構成と呼ばれ得る。
【0056】
さらなる例示的な実施形態では、自己復元カプセルは、丸みを帯びた物体として形成され、外部表面を画定する外形を有するカプセルハウジングを備えるカプセル装置を画定する。カプセル装置は、針またはダーツ状形態を有し、治療ペイロードを含む調製物から部分的または完全に形成される、前述の用量部材をさらに備え、調製物は、内腔壁の組織内に挿入されるときに溶解する溶解可能な材料から作製される。作動部材は、境界面部分を備えるハブとしての形態をとり得、用量部材は、ハブの境界面部分に対して保持または取り付けられる。カプセル装置は、幾何学的中心および軸に沿った幾何学的中心からオフセットされる質量中心を有する、自己復元カプセルとして構成され、カプセル装置が、質量中心が幾何学的中心から横方向にオフセットされるように配向されながら内腔壁の組織によって支持されるとき、カプセル装置は、用量部材が標的場所で内腔壁と相互作用することを可能にするように重力方向に沿って配向された軸を有するカプセル装置を配向するように作用する重力に起因する外部から加えられるトルクを経験する。作動構成に入ると、ハブは、軸に沿って移動し、それによって、用量部材を組織内に挿入する。挿入に続いて、用量部材は、1つ以上の治療剤を少なくとも部分的に溶解して組織内に放出し得る。
【0057】
そのような実施形態では、ハブは、ハブを第1の位置から第2の位置まで移動させるために作動され得、用量部材は、ハブが第2の位置をとるときに、ハブの境界面部分に対する取り外しのために構成されている。
【0058】
自己復元カプセル装置の非限定的な例としては、装置が患者の胃内腔に位置するときに作動するように構成された装置が挙げられ得る。他の非限定的な例は、装置を含み得、装置は、小腸または大腸に位置するときに作動するように構成されている。
【0059】
本明細書で使用される場合、「薬剤」、「治療剤」、「剤形」、「ペイロード」、または「治療ペイロード」という用語は、指定された標的部位内またはその上に送達されることができる任意の薬剤製剤を包含することを意味する。薬剤は、単一の薬剤化合物、または予混合もしくは共配合された複数の薬剤化合物であり得る。代表的な非限定的な薬剤としては、固体、粉末または液体の両方の形態における、ペプチド(例えば、インスリン、インスリン含有薬剤、GLP-1含有薬剤ならびにその誘導体)、タンパク質、およびホルモンなどの医薬品、生物由来または活性物質、ホルモンおよび遺伝子に基づく物質、栄養製剤、ならびに他の物質が挙げられる。具体的には、薬剤は、インスリンまたはGLP-1含有薬剤であり得、これは、その類似体、および1つ以上の他の薬剤との組み合わせを含む。
【0060】
以下では、本発明の実施形態が、図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1図1は、本発明による第1の実施形態のカプセル装置100の斜視図であり、装置は、作動前構成をとっている。
図2図2は、作動前構成での第1の実施形態のカプセル装置100の部分的に切り取られた斜視図である。
図3図3は、本発明による第2の実施形態のカプセル装置100の断面正面図を示しており、装置は、作動前構成をとっている。
【発明を実施するための形態】
【0062】
異なる実施形態の図を表す図において、同様の構造は、主として同様の参照番号で識別される。
【0063】
以下で「上」および「下」、「右」および「左」、「水平」および「垂直」などの用語、または同様の相対表現が使用されるとき、これらは、添付の図に言及するだけであり、必ずしも実際の使用状況ではない。示された図は、概略図であり、そのため、異なる構造の構成、およびそれらの相対寸法は、例示的な目的のみを果たすことが意図される。部材または要素という用語が所与の構成要素に対して使用されるとき、これは概ね、説明される実施形態においてこの構成要素が単一の構成要素であることを示すが、代替的に、説明される構成要素のうちの2つ以上が単一の構成要素として、例えば、単一の射出成形部品として製造される可能性があるように、同一の部材または要素はいくつかの下位構成要素を備え得る。「アセンブリ」および「サブアセンブリ」という用語は、説明された構成要素が所与の組み立て手順の間に単一の、または機能アセンブリまたはサブアセンブリを提供するように組み立てることができることを暗示しておらず、機能的により密接に関連するものとして共に分類される構成要素を説明するために使用されるに過ぎない。
【0064】
図1図2および図3を参照して、本発明の異なる態様による薬剤送達装置の第1および第2の実施形態が説明され、実施形態は、摂取可能な自己復元カプセル装置からの固体剤形の展開のための所望の作動構成を有するカプセル装置100を提供するように設計される。開示される実施形態は、カプセル装置100であって、患者によって摂取されて、カプセル装置が、胃内腔に入り、その後、胃壁に対して配向し、最終的に胃壁の組織内の標的場所における挿入のための固体用量ペイロードを展開することを許容するために好適な、カプセル装置100に関する。概して、固体用量ペイロードの少なくとも一部分は対象者の組織に貫通し、ペイロード内の治療剤の少なくとも一部分は対象者の血流中での取り込みのために組織に溶解する。カプセル装置100について、胃壁に対してカプセルを配向するための一般原理は、国際公開第2018/213600A1号に開示されている原理のいずれかを利用し得る。図1図2、および図3に示す状態は全て、カプセルの嚥下前の作動前構成を表す。
【0065】
図1および図2に示される第1の実施形態は、カプセル装置を提供し、装置内に収容された剤形は、概ね円筒形の主要部分で、かつ尖った遠位先端端部で形成された遠位部分で成形され、標的場所において組織に押し込まれたときに剤形の浸透を改善する。図3に示される第2の実施形態の設計は、概ね第1の実施形態の設計に対応するが、剤形は、剤形の最遠位部分に沿って輪郭を提供する、やや複雑な外側形状で成形されている。
【0066】
摂取可能な自己復元カプセル装置100は、ある平均密度を有する第1の部分100Aと、第1の部分100Aの平均密度とは異なる平均密度を有する第2の部分100Bと、を備える(図3を参照)。カプセル装置100は、物品を摂取する対象ユーザの内部で放出するための薬剤を担持するための剤形130を形成する組織貫通部材を収容する。示される実施形態では、展開前のカプセル装置の平均密度は、消化液の密度よりも大きく、カプセル装置が胃内腔の底部まで沈むことを可能にする。自己復元物品の外側形状は、ゴンボック形状、すなわち、形状の単一の安定した配向以外の任意の配向で表面上に置かれたとき、形状がその単一の安定した配向に再配向する傾向がある、ゴンボックタイプの形状である。
【0067】
示されるカプセル装置は、下部(遠位)カプセルハウジング120に嵌合して取り付けられる上部(近位)カプセルハウジング110を含む。上部カプセルハウジング110および下部カプセルハウジング120は、装置のカプセルハウジングを一緒に形成する。示される実施形態では、上部カプセルハウジング110および下部カプセルハウジング120は、スナップ係合によって互いに対して装着される。カプセルハウジング部110/120は、剤形130、ならびに作動および推進機構、すなわち自己作動アクチュエータを収容する内部中空を有するシェルを画定する。後者は、予め引っ張られた螺旋駆動ばね140の形態のエネルギー源と、駆動ばね140からのエネルギーの放出時にペイロード送達のために剤形130を保持し前進させるハブ150の形態の作動部材と、を備える。剤形130は、作動軸に沿って配向され、作動軸に沿った移動のために構成されている。示される実施形態では、上部カプセルハウジング部110および下部カプセルハウジング部120は、作動軸に沿って配設された対称軸を有する概ね回転対称部を形成する。図面では、装置は、作動軸が垂直に向き、剤形130が下部カプセルハウジング120の中央に配設された出口孔124に向かって垂直に下向きに向いた状態で配向され、出口孔は、剤形130が、出口孔を通って輸送され、カプセル装置100の外側に移動することを許容する。下部カプセルハウジング部120は、出口孔124を取り囲む、実質的に平坦な下部外部表面として形成される、組織係合表面123を含む。
【0068】
示される実施形態のカプセルハウジングに好適な材料について、上部カプセルハウジング110は、ポリカプロラクトン(PCL)などの低密度材料から好適に作製され得るが、一方、下部カプセルハウジング120は、316Lステンレス鋼などの高密度材料から好適に作製され得る。他の実施形態では、他の材料を使用し得る。
【0069】
示される実施形態では、カプセル装置100全体の密度分布に起因して、および装置の外部形状に起因して、カプセル装置100は、作動軸が表面(例えば、重力に実質的に直交する表面、消化管の壁などの組織の表面)に対して実質的に垂直な状態で、それ自体を配向する傾向がある。それ故、カプセル装置は、組織係合表面123が垂直に下向きに面するように、重力の方向に対して配向する傾向がある。
【0070】
上部カプセルハウジング部110の内部は、上部カプセルハウジング110の上部から、下部カプセルハウジング部120に形成された近位に面する底面128に向かって、作動軸と同心状に延在する内側スリーブ115の形態で提供された案内構造を含む。内側スリーブ案内構造は、展開中にハブ150を案内する役割を果たす。さらに、内側スリーブ115は、剤形130のための密封区画(A)の一部を形成する。
【0071】
さらに、示される実施形態では、ハウジング部110の上部中空部分は、自己作動アクチュエータの部分を収容するための作動区画(B)を形成する。ハウジング部110の近位端部分において、流体進入開口部117が中央(軸上)に形成される。作動の前に、密封区画(A)は、作動区画(B)から流体的に分離される。
【0072】
ハブ保持構造113は、作動軸と同心に配設され、上部カプセルハウジング部110から流体進入開口部117に対して半径方向内向きに、かつ作動軸に沿って下方に延在する、内向きに延在する周回フランジとして提供される。ハブ保持構造113は、カプセル内に配設された予め引っ張られた駆動ばね140から発せられる駆動力に対抗して、ハブ150を解放可能に保持するための保持幾何学的形状としての役割を果たす。主に図2を参照すると、示される実施形態では、ハブ保持構造113は、円錐形状保持表面を提供し、円錐形状保持表面に対して垂直な表面は、近位および半径方向内向きに向けられる。示される実施形態では、円錐形状保持表面は、上部カプセルハウジング110の近位端部分において、外側の丸みを帯びた表面と直接的に接合する。カプセル装置100の示される第1の実施形態では、ハブ保持構造113の円錐形状保持表面は、作動軸に対して60度の角度を形成する。
【0073】
流体進入開口部117内に提供された異なる幾何学的形状構造は、ハブ150が解放状態をとるときに、ハブが中央開口部から軸方向に遠位に移動可能であるように寸法を付けられるが、ハブ150が作動前構成に対応する状態をとるときに、ハブ150は、中央開口部に対して軸方向に遠位に移動することができない。流体進入開口部117を画定する構造は、胃液が流体動作式作動機構と接触することを許容する。さらに、示される実施形態では、複数の通気孔118がカプセルハウジング部110内に形成され、流体動作式作動機構への流体の侵入を提供し、閉じ込められた空気が流体動作式作動機構から逃げることを許容する。示される実施形態では、12個の通気孔118が軸の周りに分布している。しかしながら、他の実施形態では、異なる数の通気孔が提供され得、または省略され得る。
【0074】
示された実施形態では、剤形130は、治療ペイロードを含む調製物から全体的または部分的に形成された固体送達部材を画定する。示される実施形態では、固体送達部材は、内腔壁の組織を貫通するように成形された薄い円筒形ロッドとして形成され、円筒形ロッドは、組織貫通端、すなわち、先端部分および組織貫通端の反対側の後端を有する。示される実施形態では、ロッドの組織貫通端は、内腔壁の粘膜組織内への容易な挿入を促進するために向けられるが、図2に示される実施形態では、後端は、90度の切断によって切断された切頭円筒を画定する。カプセル装置100による送達に好適な薬剤の非限定的な実施例は、インスリンなどの乾燥圧縮APIである。
【0075】
主に図3を参照すると、ハブ150は、カプセルハウジングに対してハブを解放可能に保持するよう構成される上部保持部151と、剤形130の後端を定位置に保持するよう構成される下部境界面部155と、を備える。示される実施形態では、下部境界面部155は、剤形130が孔内に堅固に取り付けられるように、剤形130の後端を受容する下向き開口孔157を含む。下部境界面部155は、環状ばねシートをさらに画定する。ばねシートは、ハブのカップ形状の遠位部分内に形成され、ばねシートは、ハブ150の最遠位端表面から近位方向に延在する丸みのあるフランジ155によって取り囲まれる。
【0076】
ハブ150の上部保持部151は、近位端において、2つの独立して偏向可能なラッチアーム152の形態で提供される2つのラッチと接続する、基部分を形成する。図2および図3に示す状態では、ラッチアーム152は、作動軸の周りに対称的に配設される。各ラッチアーム152は、保持部分151から作動軸と概ね平行に近位に延在し、軸に対して角度を有する端部分153で終わり、端部分が基部分から近位かつ半径方向外向きに傾斜して延在するようになっている。したがって、2つのラッチアーム152の近位端部分153は、V字形状の構成で構成されている。各ラッチアーム152は、上部保持部151に対する旋回運動によって半径方向内向き方向に弾性的に移動可能である。ラッチアーム152は各々、ラッチ係合において円錐形状保持表面113のそれぞれの部分と係合するように構成された半径方向外向きに面するラッチ表面を画定する。ラッチアーム152の各々は、中央に配置された溶解可能なラッチ支持体160と協働するように構成された半径方向内向きに面するラッチ表面をさらに含む。示される実施形態では、傾斜した係合表面は、円錐表面として形成される。
【0077】
示される実施形態では、ハブ150、すなわち、作動部材は、カプセルハウジング内で近位位置から遠位位置へと変位可能であるように構成されている。
【0078】
示される第1の実施形態では、図1aに示す作動前構成では、半径方向外向きに面するラッチ表面の傾斜角は、軸に対して60度の角度を形成するのに対し、半径方向内向きに面するラッチ表面の傾斜角は、軸に対して28度の角度を形成する。それ故、基部分151からラッチアームの自由端に向かって、各ラッチアームの端部分の横方向の厚さは、自由端においてより大きな横方向の厚さに向かって徐々に増加する。他の実施形態では、傾斜表面に対して、異なる傾斜角を使用し得る。また、傾斜角は、半径方向外向きに面する表面と半径方向内向きに面する表面とで同じであり得、または表面間の傾斜角の差がさらに大きくなり得る。
【0079】
ハブ150の示された実施形態では、ラッチアーム152は、ヒンジセクションによって上部保持部151の基部分に接続され、2つのラッチアームは、図3においてそれらが想定する位置に対して、ラッチアームが互いに接触するか、またはそれらの間にわずかな半径方向の間隔を空けて位置付けられる折り畳み位置に向かって半径方向内向きに偏向することが許容される。それ故、半径方向内向きに偏向すると、偏向可能なラッチアームは、ハブ保持構造113の円錐形状保持表面から解放されることが許容され、それによってハブ150の近位部分が中央開口部117を通ってカプセルハウジング110/120に対して遠位に移動することが許容される。
【0080】
図3は、作動前構成に対応する状態のハブ150を示していることに留意されたい。しかしながら、カプセル装置100の組み立て前、すなわち、ハブ150を上部カプセルハウジング110内に挿入する前に、ラッチアームは、それらが弛緩状態をとるときに、異なる配向をとり得る。それ故、ポリオキシメチレン(POM)または類似の材料などの高強度熱可塑性材料を使用した成形によってなど、注射成形によって製造され得るハブ150の製造中に、ラッチアーム152は、ラッチアームが弛緩状態にあるときに、ラッチアームが、アームが互いに向かって半径方向に折り畳まれる折り畳み位置をとるように形成され得る。これにより、ラッチアームを折り畳み状態に向けて動かす別個の工程を必要とせずに、ハブ保持構造113の円錐形状保持表面内に形成された中央開口部を通してハブ150を近位方向に挿入することが許容され、カプセル装置の容易な組み立てが可能になる。
【0081】
示される実施形態では、溶解可能なラッチ支持体160は、概ね円筒形の遠位部分と、概ね円錐形の近位部分とを備えて形成され、ラッチアーム152をハブ保持構造113の円錐形状保持表面に密接に接触させるために、楔状に2つのラッチアーム152の間に挿入されるようにサイズ設定されている。示される実施形態では、溶解可能なラッチ支持体の円錐表面は、中心軸に対して約28度の傾斜角で、ラッチアームの端部分の半径方向内向きに面する表面と概ね合致する。
【0082】
溶解可能なラッチ支持体160については、異なる形態および組成物を使用し得る。非限定的な実施例としては、ソルビトールまたは微結晶性セルロース(MCC)から作製されたペレットが挙げられる。他の非限定的な実施例としては、射出成形イソマルトペレット、圧縮造粒イソマルトペレット、クエン酸/NaHCO3の顆粒組成物から作製された圧縮ペレット、またはイソマルト/クエン酸/NaHCO3の顆粒組成物から作製された圧縮ペレットが挙げられる。
【0083】
こうした溶解可能なラッチ支持体は、胃液などの液体に曝されたときに分解する。組成物、溶解可能なラッチ支持体の幾何学的形状、および任意選択で溶解可能なラッチ支持体の湿潤を確実にするための曝露チャネルを慎重に選択することによって、カプセル装置100の嚥下後に選択された時間遅延内に解放時間が発生するように制御することができる。
【0084】
第1の実施形態のカプセル装置100は、作動前に、組織接合構成要素、すなわち、カプセル装置100の外部環境から流体的に分離された剤形130を維持するための一対の密封要素170、180をさらに備える。示される実施形態では、密封区画(A)は、内側スリーブ115、ハブ150のフランジ155とカプセルハウジング部110の内向きに延在するフランジとの間に提供される上部密封要素170、下部密封要素180、およびハブ150の近位部分によって形成される。
【0085】
上部密封要素170は、エラストマー材料などの軟質の可撓性材料のリングとして形成される。示される実施形態では、上部密封要素170は、駆動ばね140の半径方向外側に配設されるようにサイズ設定および成形されており、したがって、ばね140の一部分を囲む。示される実施形態では、環状密封部170は、半径方向外向きに面する表面がガイドスリーブの半径方向内向きの表面と接合する状態で配設される。密封要素170の近位に面する表面は、カプセルハウジング部110の内向きに延在するフランジの遠位に面するリム表面と接合する。示される実施形態では、上部密封要素170は、内側スリーブ115によって形成される軸方向に延在するエンクロージャに対して固定して配置された環状密封部を提供し、ハブ150が近位位置から遠位位置へと移動するときに、その位置を維持する。
【0086】
さらなる密封要素、すなわち、下部密封要素180は、剤形130の出口ポートの一部を形成する。下部密封要素は、作動前に出口孔124が流体的に遮断された状態を維持するように構成された流体ゲートとして提供される。示される実施形態では、密封要素180は、概ね円盤形状の形態を有するエラストマー密封部材を備える。密封要素180の外周は、内側スリーブ115の下方に装着され、下部カプセルハウジング120の環状の近位に面する表面の上方に圧着される。米国特許公開第2020/0129441 A1号に開示されているように、密封要素180の中央領域は、自己密封弁を提供するように形成された流体ゲート、例えば、流体ゲートの中央に位置する材料部分を通って部分的にまたは完全に延在する1つ以上の薄い切れ目(例えば、1つ以上の薄いスリット)によって形成された流体ゲートを備え得る。
【0087】
したがって、密封要素170と180とが協働して、カプセル装置100の内部に区画を形成し、それにより、作動前に、カプセル装置100に対して外部に生体液から流体的に分離された剤形130を維持するが、剤形が、組織へのペイロード送達のための作動時に、密封要素180を通して容易に貫通することを許容する。
【0088】
組み立て中、ハブ150と上部ハウジング部110との間で密封要素170が軸方向に圧縮された状態で、ハブ150のラッチアームが、円錐形状保持表面内に形成された中央開口部117の上部を通って近位に完全に挿入された後である。ラッチ支持体160は、ラッチアーム152の間に遠位方向に軸方向に押し進められる。溶解可能なラッチ支持体160とラッチアーム152との間の円錐形状境界面に起因して、溶解可能なラッチ支持体160は、ラッチアーム152が円錐形状保持表面113aと係合するように半径方向外向きに広がるようになる間に、湿潤作用で遠位に移動することが許容される。この組み立て工程の終了時に、湿潤作用は、溶解可能なラッチ支持体160とラッチアーム152との間に張り付きを提供し、結果として、溶解可能なラッチ支持体160がラッチアーム152に固定して取り付けられるような装着係合がもたらされる。これにより、溶解可能なラッチ支持体160がラッチアーム152から誤って取り外れるリスクを伴わずに、安全な貯蔵および取り扱いが可能になる。図1に見られるように、溶解可能なラッチ支持体の上面162は、円錐形状保持表面によって画定される近位開口部117と実質的に同一平面に位置する。これは、胃液中に浸漬されたときに、溶解可能なラッチ支持体160の適切な湿潤を確実にするのに役立つ。他の実施形態では、上面162は、上部カプセルハウジング110の最近位端に対して近位に位置し得るか、または遠位に位置し得る。
【0089】
上述の駆動ばね140に関して、駆動ばね140は、送達ストローク中に拡張するようにエネルギーを貯蔵する圧縮ばねの形態で提供されている。
【0090】
駆動ばね140は、内側スリーブ115内に部分的に軸方向に配設された螺旋状に巻かれた円錐ばねとして提供される。駆動ばねは、上部カプセルハウジング部110の最近位部分に形成された上部ばねシートに対して着座するように配設される、幅が広い近位の第1の端部を形成する。この上部ばねシートは、内側スリーブ115の内径よりも小さい直径内で半径方向に形成される。ばね140の遠位の幅の狭い第2の端部は、ハブ150の下部境界面部155によって形成されたばねシートに着座する。
【0091】
カプセル装置100の組み立ての一部として、駆動ばね140は、2つのばねシートの間で駆動ばね140を軸方向に圧縮することによって付勢される。それ故、作動前に、ハブ150は、駆動ばね140からの荷重下で維持される。
【0092】
次にカプセル装置100の動作に目を向けると、主に、カプセル装置が貯蔵中または摂取直後にとる状態を表す初期状態を示す図3が参照される。この状態では、アクチュエータ150は、2つのラッチアーム152が、溶解可能なラッチ支持体160の半径方向外向きに面する表面がラッチアームの半径方向内向きに面するラッチ表面に係合することによって図示の位置に維持される作動前構成をとる。結果として、ラッチアームの半径方向外向きに面するラッチ表面は、円錐形状保持表面と係合して保持され、ラッチアームが円錐形状保持表面に対して摺動することを防止する。ラッチアーム152が円錐形状保持表面に近位に閉じ込められるため、駆動ばね140がアクチュエータ150上にその最大圧縮荷重をかけても、ハブ150は遠位に移動することができない。
【0093】
上部密封要素170は、フランジ155およびカプセルハウジング部110の内向きに延在するフランジと係合して、この境界面を流体密封に保つ。また、下部密封要素180は、出口孔124を流体密封に保つ。
【0094】
カプセル装置100の摂取後、カプセル装置は、胃の底部に急速に沈む。胃壁によって支持されると、カプセル装置の自己復元能力により、カプセル装置は、カプセル装置の発射軸が実質的に垂直に、すなわち剤形130が下方を向いた状態で、その組織境界表面123が組織胃壁に係合するように、速やかに再配向することになる。流体進入開口部117および/または通気孔118を通して胃液に曝露されることにより、溶解可能なラッチ支持体160の溶解が始まっている。ラッチアーム152に対する溶解可能なラッチ支持体160からの支持は、嚥下後に特定の時点で停止する。駆動ばね140の荷重は、ラッチアーム152を半径方向内向きに徐々に偏向させ、それによって、ラッチアームが円錐形状保持表面との係合から離れて摺動することを許容する。ある時点において、ラッチアーム152はその折り畳み位置に到達し、その後、剤形130を有するハブ150はハブ保持構造113から解放される。この状態は、作動構成に対応する。駆動ばね140がハブ150に遠位方向に向いた力をかけると、ハブおよび剤形130は、剤形が下部密封要素180を貫通し、さらに標的位置における粘膜組織内に入った状態で、出口孔124に向かって妨げられることなく移動させられる。作動構成では、カプセルハウジング120の底部に配設された近位に面するハブ停止表面128は、ハブ150がさらに遠位に移動することを防止する。
【0095】
意図される使用の状況では、剤形130は、内腔壁の組織内に挿入され、概ね作動軸に沿った方向にアンカー固定されることになる。上述のように、カプセル装置の特定の設計に応じて、剤形130は、挿入ストロークの終了時にカプセルの残りの部分から能動的に解放され得る。カプセル装置100が意図された用量を送達すると、カプセルは、対象者の血流中に治療剤を放出するために組織壁内に留まる堆積された剤形130に対して放出される。
【0096】
本明細書に開示される実施形態には示されていないが、実施形態のうちのいくつかは、剤形130が組み立てられて、かつハブ150がカプセルハウジング内の最遠位位置に到着したときに、剤形130をハブ150から分離するための機構を含むように修正され得る。適切な非限定的な原理は、国際公開第2020/157324A1号に開示されている原理を含み得、ここでラム(ハブに類似する)は、送達部材の組織挿入部分をラムから切り離すための挿入ストロークの終了時に傾く。
【0097】
別の方法として、カプセルは、剤形130が、カプセルが組織に対して静止して保持されているときに、対象者の血流中に治療剤を放出することを許容するために、長期間静止状態に保持され得る。これらのいずれの場合でも、薬剤送達に続いて、カプセル装置の残りの部分は、ユーザの消化器系を通って移動し、処分されることになる。
【0098】
部分的に円錐形状の溶解可能なラッチ支持体および大きな直径の第1の端部を有する先細の外径を含む駆動ばねの形状と組み合わせたラッチアームのV字形状の構成を含む、作動機構の設計により、作動機構および駆動ばねは、互いに軸方向に重なるように設計されている。前述の組み合わせの特徴により、アクチュエータ機構の耐荷重面、すなわち、ハブ保持構造113とラッチアーム152との間の境界面、およびラッチアーム152と溶解可能なラッチ支持体160との間の境界面を最適化することが許容される。当該技術分野で開示された以前に提案された設計と比較して、駆動ばねのばね力は、耐荷重面を損なうことなく増加しており、同時にアクチュエータ機構を形成する部品のクリープリスクも低減している。これまでは、カプセルの外形サイズを妥協することでしか、それに見合う利益を得ることができなかった。
【0099】
本発明によるさらに示されていない実施形態は、第1、および第2の実施形態に関連して示される円錐形状の境界面表面とは異なるように形成されたアクチュエータ境界面を有するアクチュエータ機構を含み得ることに留意されたい。例えば、アクチュエータ境界面は、ハブ保持構造113とラッチアーム152との間の、および/またはラッチアーム152と溶解可能なラッチ支持体160との間の境界面のいずれかで、円錐表面の代わりに平面で形成され得る。2つの半径方向に対向するラッチアームを有するこうした実施形態では、溶解可能なラッチ支持体160は、くさび状の鋭い縁部において互いに交差する2つの平面を有するくさびを部分的に形成するものとして形成され得る。
【0100】
さらに、ラッチアームの数は、2つ以外であり得、例えば、3つ、4つ、またはそれ以上の個々のラッチアームであり得る。特定の実施形態では、複数のラッチアームは、作動軸の周りに等しく配置され得るが、これは、本発明の原理による任意の実施形態に厳密には必要とされない場合がある。
【0101】
上記の剤形130とハブ150との間の境界面の変形例は、単に例示的であり、他の構成が代わりに使用され得る。剤形とハブとの間の取り外し可能な取り付けは、摩擦嵌めまたは圧入を使用することによって得られ得る。あるいは、スクロースなどの接着剤が、境界面において使用され得る。さらに代替的に、取り付けは、最初に剤形を湿潤させ、ハブと剤形との間の固有の張り付きを利用することによって得られ得る。使用の状況では、ハブがその最終目的地に到達すると、剤形とハブとの間の境界面において取り外しが生じ得る。他の実施形態では、所望の取り外しは、剤形の大部分を、ハブに依然として接着または固定されている残りの剤形から取り外すことによって得られ得る。いくつかの実施形態では、剤形は、分離点を決定する脆弱点を含む。なおもさらなる実施形態では、ハブおよび剤形は、APIを含有する組成物で全て作製された一体構成要素として形成され得、カプセル装置から押し出される意図された剤形は、ハブ部分から分離される。また、代替的な実施形態では、ペイロードは、カプセル装置から完全に離れて輸送されるように、それ自体によってハブとして作用し得る。
【0102】
例示的な実施形態の上記の説明は、主に、胃の中の送達のための摂取可能なカプセルに関するが、本作動原理は、概して、カプセル装置において、カプセル装置が本体内腔内に位置付けられ、流体が、構成要素を、第1の位置から第2の位置などの、第1の構成から第2の構成にするために溶解可能なラッチ支持体を溶解することによって作動機構を起動する、内腔挿入全般に有用性を見出すものである。カプセル装置の非限定的な実施例としては、腸内腔内への送達または腸内腔の組織壁内への送達のいずれかによるペイロードまたは薬剤の腸送達のためのカプセル装置が挙げられ得る。
【0103】
例示的な実施形態の上記の説明では、異なる構成要素について説明された機能を提供する異なる構造および手段を、本発明の概念が当業者にとって明らかとなる程度まで、説明してきた。異なる構成要素に対する詳細な構築および仕様は、本明細書に規定されるラインに沿って当業者によって行われる通常の設計手順の対象とみなされる。
図1
図2
図3
【国際調査報告】