(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】真空成型ロールスリーブ並びにその製造方法及び使用方法
(51)【国際特許分類】
B29C 51/36 20060101AFI20240621BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20240621BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20240621BHJP
B29C 33/10 20060101ALI20240621BHJP
B29C 33/40 20060101ALI20240621BHJP
B29C 51/10 20060101ALI20240621BHJP
B29C 51/22 20060101ALI20240621BHJP
B29C 59/06 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
B29C51/36
B33Y80/00
B33Y10/00
B29C33/10
B29C33/40
B29C51/10
B29C51/22
B29C59/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577299
(86)(22)【出願日】2022-06-07
(85)【翻訳文提出日】2023-12-14
(86)【国際出願番号】 US2022032504
(87)【国際公開番号】W WO2022265887
(87)【国際公開日】2022-12-22
(32)【優先日】2021-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】コカイセル,クリストファー アール.
(72)【発明者】
【氏名】ディンゲルダイン,ジョーゼフ シー.
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン,ティモシー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】クラーク,グラハム エム.
(72)【発明者】
【氏名】プロトニコフ,エリザヴェータ ワイ.
(72)【発明者】
【氏名】ケルトン,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ジョンザ,ジェームズ エム.
(72)【発明者】
【氏名】シャーマン,オードリー エー.
【テーマコード(参考)】
4F202
4F208
4F209
【Fターム(参考)】
4F202AG01
4F202AJ09
4F202AR12
4F202AR13
4F202CA17
4F202CA19
4F202CA30
4F202CB02
4F202CK12
4F202CK42
4F202CN01
4F202CN05
4F202CP06
4F202CP10
4F208MA01
4F208MB02
4F208MB29
4F208MC01
4F208MD02
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4F208MH06
4F208MJ09
4F209AC03
4F209AF01
4F209AG01
4F209AG05
4F209PA03
4F209PA09
4F209PB02
4F209PC12
4F209PN03
4F209PQ01
(57)【要約】
真空成型ロールスリーブ(100、700、800)は、成型面(110、1210、710、810)と少なくとも1つの真空面(130、830)との間に配置されたモールド壁部分(120、820)を含む本体(119、818、819)を備える。成型面(110、1210、710、810)は、成形された陥凹特徴部を有し、第1の所定の位置(134)に配置された第1の開口部(112、812)を有する。各第1の開口部(112、812)は、少なくとも1つの真空面(130、830)からそれぞれの最小厚さ(135、835)だけ間隔が空いている。少なくとも1つの真空面(130、830)は、第2の所定の位置(134)に配置された第2の開口部(132、832)を有する。第1の開口部(112、812)は、導管(140、840)によって第2の開口部(132、832)に流体接続され、導管(140、840)のうちの少なくともいくつかは、それぞれについて、第1の開口部(112、812)と真空面(130、830)との間の最小厚さ(135、835)よりも長い。真空成型ロールスリーブ(100、700、800)は、第1の開口部(112、812)に流体接続された導管(140、840)を通して第1の開口部(112、812)に少なくとも部分真空を印加することができるように構成される。真空成型ロールスリーブ(100、700、800)は、バックアップロール(737)に装着可能である。真空成型スリーブの製造方法及び使用方法もまた開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成型面と少なくとも1つの真空面との間に配置されたモールド壁部分を含む本体を備える真空成型ロールスリーブであって、
前記成型面が、成形された陥凹特徴部を有し、前記成型面が、第1の所定の位置に配置された第1の開口部を有し、各第1の開口部が、前記少なくとも1つの真空面からそれぞれの最小厚さだけ間隔が空いており、
前記少なくとも1つの真空面が、第2の所定の位置に配置された第2の開口部を有し、
前記第1の開口部が、導管によって前記第2の開口部に流体接続されており、
前記導管のうちの少なくともいくつかが、それぞれについて、前記第1の開口部と前記真空面との間の前記最小厚さよりも長くなっており、
前記真空成型ロールスリーブが、前記第1の開口部に流体接続された前記導管を通して前記第1の開口部に少なくとも部分真空を印加することができるように構成され、
前記真空成型ロールスリーブが、バックアップロールに装着可能である、
真空成型ロールスリーブ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの真空面と流体連通した少なくとも1つの真空マニホールドを更に備え、前記少なくとも1つの真空マニホールドの各々が、前記真空成型ロールスリーブの少なくとも一端部に配置され前記少なくとも1つの真空マニホールドに流体接続された少なくとも1つの真空ポートを備え、前記少なくとも1つの真空マニホールドが、前記真空成型ロールスリーブ内に配置されている、請求項1に記載の真空成型ロールスリーブ。
【請求項3】
前記成型面の反対側の裏面を更に備え、前記少なくとも1つの真空面が、前記背面の一部を形成しており、前記背面の隆起部分が、前記少なくとも1つの真空面を取り囲んでおり、前記真空成型ロールスリーブが前記バックアップロールに取り付けられたときに、前記少なくとも1つの真空面と流体連通する少なくとも1つの真空マニホールドを形成し、少なくとも1つの真空ポートが、前記真空成型ロールスリーブの少なくとも一端部に配置され、前記少なくとも1つの真空マニホールドに流体接続される、請求項1に記載の真空成型ロールスリーブ。
【請求項4】
前記導管の少なくとも20パーセントが、それぞれの前記第1の開口部における前記モールド壁部分の最小厚さよりも長い、請求項1~3のいずれか一項に記載の真空成型ロールスリーブ。
【請求項5】
前記導管の少なくとも50パーセントが、それぞれの前記第1の開口部における前記モールド壁部分の最小厚さよりも長い、請求項1~4のいずれか一項に記載の真空成型ロールスリーブ。
【請求項6】
前記導管の少なくとも60パーセントが、それぞれの前記第1の開口部における前記モールド壁部分の最小厚さよりも長い、請求項1~4のいずれか一項に記載の真空成型ロールスリーブ。
【請求項7】
前記導管のうちの少なくともいくつかが直線である、請求項1~6のいずれか一項に記載の真空成型ロールスリーブ。
【請求項8】
前記導管のうちの少なくともいくつかが直線ではない、請求項1~7のいずれか一項に記載の真空成型ロールスリーブ。
【請求項9】
前記導管のうちの少なくともいくつかが分岐していない、請求項1~8のいずれか一項に記載の真空成型ロールスリーブ。
【請求項10】
前記導管のうちの少なくともいくつかが分岐している、請求項1~9のいずれか一項に記載の真空成型ロールスリーブ。
【請求項11】
前記成型面が張り出し特徴部を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の真空成型ロールスリーブ。
【請求項12】
前記真空成型ロールスリーブが有機ポリマーを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の真空成型ロールスリーブ。
【請求項13】
前記有機ポリマーが架橋されている、請求項12に記載の真空成型ロールスリーブ。
【請求項14】
少なくとも前記成型面が、材料からなる、結合された個別の層を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の真空成型ロールスリーブ。
【請求項15】
前記少なくとも1つの真空面からの距離について、前記成型面が、複数の極大値部及び極小値部を含み、前記極小値部の少なくとも過半数が、前記極小値部に近接して配置された前記第1の開口部のうちの1つを有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の真空成型ロールスリーブ。
【請求項16】
積層造形技術を使用して、所定の設計に従って前記真空成型ロールスリーブを生成する工程を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の真空成型ロールスリーブの製造方法。
【請求項17】
前記積層造形技術が、バット光重合、材料押出、粉末床溶融結合、材料ジェット印刷、バインダージェット印刷、指向性エネルギー堆積、及びシート積層からなる群から選択される、請求項16に記載の製造方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つの真空面に真空を印加しながら、前記真空成型ロールスリーブの前記成型面上に溶融熱可塑性ポリマーを導入する工程と、
前記成型面から成型品を、前記成型品が前記成型面の少なくとも一部の実質的な反転である形状面を有するという条件下で、分離する工程と、
を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の真空成型ロールスリーブの使用方法。
【請求項19】
前記成型面から前記成型品を分離する工程の前に、少なくとも前記成型品が寸法安定する温度まで前記成型品を冷却する工程を更に含む、請求項18に記載の使用方法。
【請求項20】
前記成型面から前記成型品を分離する工程の間に、前記導管のうちのいくつかから前記第1の開口部のうちのいくつかを通るようにガスを付勢する工程を更に含む、請求項18又は19に記載の使用方法。
【請求項21】
前記少なくとも1つの真空面に真空を印加しながら、熱可塑性ポリマーフィルムを前記真空成型ロールスリーブの前記成型面と接触させる工程と、
前記成型面から成型されたフィルムを、前記成型されたフィルムが前記成型面の少なくとも一部の実質的な反転である形状面を有するという条件下で、分離する工程と、
を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の真空成型ロールスリーブの使用方法。
【請求項22】
前記成型面から前記成型されたフィルムを分離する工程の前に、少なくとも前記成型されたフィルムが寸法安定する温度まで前記成型されたフィルムを冷却する工程を更に含む、請求項21に記載の使用方法。
【請求項23】
前記成型面から前記成型品を分離する工程の間に、前記導管のうちのいくつかから前記第1の開口部のうちのいくつかを通るようにガスを付勢する工程を更に含む、請求項21又は22に記載の使用方法。
【請求項24】
前記成型されたフィルムが、サンプル収集デバイスの1つ以上の部分を含む、請求項21~23のいずれか一項に記載の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
真空成型ロールスリーブは、成型面に密着するように材料を引き込むことが所望される用途に使用される。このようなツールは、成型面で開口する真空チャネルを設けることによって、材料と成型面との間に閉じ込められた空気の除去を容易にする。多くの場合、真空成型ロールスリーブの設計は複雑であり、時間がかかり、高価である。例えば、1つのツールの製造に数ヶ月かかり、数十万ドルの費用がかかる場合もある。
【発明の概要】
【0002】
本開示は、設計時間を短縮することができ(例えば、数ヶ月から数週間に)、また製造コストを何倍も低減することができるラピッドプロトタイピング設計方法及び製造方法を使用して作製することができる真空成型ロールスリーブを提供する。したがって、他の製造方法を使用して作製することが困難又は不可能であろう真空成型ロールスリーブ設計を、迅速に設計及び製造することが可能である。調整が所望される場合には、元の設計テンプレートに基づいて設計及び製造することが比較的容易である。真空成型ロールスリーブは、例えば、連続鋳造押出成形及び連続熱成形などのプロセスにおいて役立つ。
【0003】
本開示による真空成型ロールスリーブは、モノリシック形態で、又は一体に組み立てられて真空ロールを形成する複数の構成要素を有するモジュール形態で、製造することができる。いくつかの実施形態では、モジュール式フレームにより、製造運転における一時停止中に、1つ以上の真空成型ロールスリーブ部分を迅速に交換可能にすることが可能になる。
【0004】
一態様において、本開示は、真空成型ロールスリーブを提供し、この真空成型ロールスリーブは、
成型面と少なくとも1つの真空面との間に配置されたモールド壁部分を含む本体を備え、この真空成型ロールスリーブにおいて、
成型面が、成形された陥凹特徴部を有し、成型面が、第1の所定の位置に配置された第1の開口部を有し、各第1の開口部が、少なくとも1つの真空面からそれぞれの最小厚さだけ間隔が空いており、
少なくとも1つの真空面が、第2の所定の位置に配置された第2の開口部を有し、
第1の開口部が、導管によって第2の開口部に流体接続されており、
導管のうちの少なくともいくつかが、それぞれについて、第1の開口部とそれらが流体接続された真空面との間の最小厚さよりも長くなっており、
真空成型ロールスリーブが、第1の開口部に流体接続された導管を通して第1の開口部に少なくとも部分真空を印加することができるように構成され、
真空成型ロールスリーブが、バックアップロールに装着可能である。
【0005】
別の態様では、本開示は、本開示による真空成型ロールスリーブの作製方法を提供し、この方法は、積層造形技術を使用して、所定の設計に従って真空成型ロールスリーブを生成する工程を含む。
【0006】
また別の態様では、本開示は、本開示による真空成型ロールスリーブの使用方法を提供し、この方法は、
少なくとも1つの真空面に真空を印加しながら、真空成型ロールスリーブの成型面上に溶融熱可塑性ポリマーを導入する工程と、
成型面から成型品を、成型品が成型面の少なくとも一部の実質的な反転である形状面を有するという条件下で、分離する工程と、を含む。
【0007】
また別の態様では、本開示は、本開示による真空成型ロールスリーブの使用方法を提供し、この方法は、
少なくとも1つの真空面に真空を印加しながら、熱可塑性ポリマーフィルムを真空成型ロールスリーブの成型面と接触させる工程と、
成型面から成型されたフィルムを、成型されたフィルムが成型面の少なくとも一部の実質的な反転である形状面を有するという条件下で、分離する工程と、を含む。
【0008】
本明細書で使用するとき、
「開口部」は、アパーチャ又は導管へのアクセスを可能にすることを意味する。
【0009】
「導管」は、少なくとも2つの開口部の間でガスを運ぶための中空チャネルを意味する。
【0010】
本開示の特徴及び利点は、詳細な説明及び付属する特許請求の範囲を考慮することで、更に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の一実施形態による真空成型ロールスリーブ100の例示的概略斜視図である。
【
図2】
図1の線2-2に沿って取られた真空成型ロールスリーブ100の概略拡大部分断面図である。
【
図3】
図1の線3-3に沿って取られた真空成型ロールスリーブ100の概略拡大部分断面図である。
【
図4A】端部111aから見た真空成型ロールスリーブ100の概略端面図である。
【
図4B】端部111bから見た真空成型ロールスリーブ100の概略端面図である。
【
図5】
図1の線2-2に沿って取られた真空成型ロールスリーブ100の概略拡大部分断面図である。
【
図6】真空成型ロールスリーブ100の裏面を示す、
図1の領域6の概略拡大図である。
【
図7】本開示による押出真空成型プロセスの概略図である。
【
図8】本開示の一実施形態による真空成型ロールスリーブ800の例示的概略斜視図である。
【
図9】真空成型ロールスリーブ800の概略部分切り取り斜視図である。
【
図10】
図8の線10-10に沿って取られた真空成型ロールスリーブ800の概略拡大部分断面図である。
【
図11A】端部811aから見た真空成型ロールスリーブ800の概略端面図である。
【
図11B】端部811bから見た真空成型ロールスリーブ800の概略端面図である。
【
図13】本明細書に記載の真空プロセスロールスリーブ又はプロセスを使用して作製された呼気気流サンプル収集デバイスの一部の概略斜視図である。
【
図14】本明細書に記載の真空プロセスロールスリーブ又はプロセスを使用して作製された呼気気流サンプル収集デバイスの一部の概略斜視図である。
【0012】
明細書及び図面中の参照文字が繰り返して使用されている場合、本開示の同じ又は類似の特徴又は要素を表すことを意図している。当業者は多くの他の修正形態及び実施形態を考案することができ、それらは本開示の原理の範囲及び趣旨に含まれることを理解されたい。図は、縮尺通りに描かれていないことがある。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1~
図6は、本開示による真空成型ロールスリーブ100の1つの例示的実施形態を示す。ここで
図1を参照すると、真空成型ロールスリーブ100は、真空成型ロールスリーブ100の半径方向最外面である成型面110と、半径方向最内面である裏面125とを備える。本体119は、成型面110と真空面130との間に配置されたモールド壁部分120(
図3参照)を備える。真空入口ポート114(再び
図3参照)が、真空成型ロールスリーブ100の第1及び第2の同一の端部(111a、111b、
図4A及び
図4Bも参照)の周囲に間隔を空けて配置される。ねじ付きソケット116が、真空入口ポート114と交互に配置され、
図7に示すような真空シールリング765の取り付け(例えば、ねじ798を用いる)を可能にする。
【0014】
ここで
図2~
図5、特に
図5を参照すると、成型面110は、成形された陥凹特徴部118と、第1の所定の位置に配置された第1の開口部112とを有する。成型面110は、極大値部117及び極小値部113を含む。各第1の開口部112は、真空面130から、それぞれの最小厚さ135(すなわち、第2の開口部132を有するそれぞれの特定の導管140について、第1の開口部112と真空面130との間の最小半径方向変位)だけ間隔が空いている。図示される特定の実施形態は、比較的単純な設計を有しているが、本開示のこの態様は、高度に地形的に構造化された成型面が使用される場合には、非常に重要であり得る。
【0015】
真空面130は、第2の所定の位置134に配置された第2の開口部132を有する。第1の開口部112は、導管140によって第2の開口部132に流体接続される。真空成型ロールスリーブ100は、第1の開口部112に流体接続されたそれぞれの導管140を通して第1の開口部112に少なくとも部分真空を印加することができるように構成される。
【0016】
次に
図6を参照すると、真空面130及び真空マニホールド壁133は、両方とも裏面125の一部を形成しており、真空成型ロールスリーブ100がバックアップロールに取り付けられたときに(
図7参照)、バックアップロールに対して真空成型ロールスリーブ100をシールし、それによって真空マニホールド(図示せず)を形成する。使用時に真空成型ロールスリーブの寸法安定性を維持するのに役立つ支持リッジ165は、真空マニホールド壁と同じ高さの頂部を有する。真空トラフ172は、それぞれの真空入口ポート114から離れた真空マニホールドの部分において、十分な真空を維持するのに役立つ。
【0017】
真空成型ロールスリーブは、例えば、
図7に示される真空押出成型プロセスなどの真空成型プロセス又は類似の連続ロール熱成形プロセスにおいて使用されることができるバックアップロールに装着可能である。上記2つのプロセスは、真空押出成型が押出ポリマー溶融カーテンを使用するのに対して、連続ロール熱成形プロセスが軟化した(しかし溶融していない)ポリマーフィルムを使用することを除いて、類似している。
【0018】
いずれのプロセスにおいても、真空成型ロールスリーブ700は、回転可能なバックアップロール737に装着される。バックアップロール737は、真空成型ロールスリーブとバックアップロールとの間のぴったりした摩擦係合を確実にするために、拡張可能(例えば、油圧加圧バックアップロール)であってもよい。真空成型ロールスリーブをバックアップロールに固定するための他の方法を使用してもよい(例えば、バックアップロール上の対応する構造にしっかりと係合する機械相互連結リッジ/スロット、メカニカルファスナー、又は接着剤)。使用時には、バックアップロールを駆動することにより、真空成型ロールスリーブが共通軸の周りを回転する。使用中、外部真空源が真空ポートに適用されてもよく、それによって、溶融した又は軟化したポリマーと成型面との間の接触を促進するために、真空マニホールドを排気する。
【0019】
図7において、これは、中空真空シュー722のポート767を外部真空(図示せず)に接続することによって達成される。真空成型ロールスリーブ100が回転するにつれて、中空真空シューと接触している真空入口ポート796が真空にさらされ、それにより、今度は、真空マニホールドのうちの1つが排気され、押出機775からポリマー溶融カーテン777が、真空成型ロールスリーブ100の成型面110にぶつかるように引き出され、その陥凹特徴部(図示せず)内に引き込まれる。それぞれの真空入口ポートが中空真空シュー722を越えて大気圧にさらされるので、各真空マニホールドに常圧が戻される。中空真空シュー722及び中空圧力シュー724(通常、回転可能なバックアップロール737の両端部で重複している)は、外部フレーム(図示せず)に取り付けられ、ねじ798によって真空成型ロールスリーブ700の両端部に取り付けられる真空シールリング765とのシールを形成するように構成される。
【0020】
ポリマーは、例えば、バックアップロールを冷却すること、又は成型されたポリマーに当たるように空気を吹き付けることのうちの少なくとも1つによって冷却されてもよい。ポリマーは冷却されると、寸法が安定し、最終的に中空圧力シュー724を通過する。正のガス(例えば、空気)圧を圧力ポート769に印加して、ガスを付勢して、流体接続された導管(図示せず)を通して関連する第1の開口部(図示せず)から出すことによって、成型されたポリマーフィルム779を成型面710から分離することを容易にすることを除いて、中空圧力シュー724は、中空真空シュー722と同様に動作する。
【0021】
図8~
図11Bは、本開示による例示的真空成型ロールスリーブ800の別の実施形態を示す。
【0022】
ここで
図8を参照すると、真空成型ロールスリーブ800は、真空成型ロールスリーブ800の半径方向最外面である成型面810と、半径方向最内である裏面825とを備える。本体818は、成型面810と真空面830との間に配置されたモールド壁部分820(
図9参照)を備える。真空入口ポート814(再び
図9参照)が、
図11A及び
図11Bに示される真空成型ロールスリーブ800の同一の第1及び第2の端部(811a、811b)の周囲に間隔を空けて配置される。ねじ付きソケット816が、真空入口ポート814と交互に配置され、
図7に示すような真空シールリング765の取り付け(例えば、ねじ798を用いる)を可能にする。
【0023】
再び
図9を参照すると、本体819と一体的に形成された、真空マニホールド872内の支持ポスト865は、使用時に真空成型ロールスリーブ800の寸法安定性を維持するのに役立つ。
【0024】
ここで
図10を参照すると、成型面810は、成形された陥凹特徴部818と、第1の所定の位置に配置された第1の開口部812とを有する。各第1の開口部812は、真空面830から、それぞれの最小厚さ835(すなわち、第1の開口部812と真空面830との間の最小半径方向変位)だけ間隔が空いている。真空面830は、真空成型ロールスリーブ800の本体819内に配置される。本体819は、成型面810と真空面830との間に配置されたモールド壁部分820を含む。真空面830は、第2の所定の位置に配置された第2の開口部832を有する。第1の開口部812は、それぞれの導管840(
図9参照)によって第2の開口部832に流体接続される。
【0025】
真空成型ロールスリーブ800は、第1の開口部812に流体接続されたそれぞれの導管840を通して第1の開口部812に少なくとも部分真空を印加することができ、それによって真空入口ポート814と流体連通した真空マニホールド856にも少なくとも部分真空を印加することができるように構成される。
【0026】
選択される実施形態にかかわらず、第1及び第2の開口部は、任意のサイズ及び/又は形状(例えば、円形、楕円形、正方形、三角形、長方形、又は三葉形)を有してもよい。通常、それらの開口部は、真空引きが、第1の開口部に隣接する軟化した又は溶融したポリマーを成型面と密接させるのに十分な大きさとなるのに十分な断面積を有するが、これは必須要件ではない。それらの開口部は、軟化した又は溶融したポリマーが、意図されたプロセス条件下で、それらそれぞれの関連する導管に著しく入り込まないように、十分に小さいことが好ましい。
【0027】
同様に、第1の開口部は、通常、所定のパターンに従って配置されており、陥凹特徴部のほとんど又は全てが、好ましくは最も窪んだ位置を含めて、それらの内部に配置された1つ以上の第1の開口部を有する。成型面上の他の位置に配置された追加の第1の開口部は、成型品を成型面から分離することが所望されるまで、成型品を成型面と接触した状態で保持する(例えば、冷却中)のに役立ち、それによってその成型形状を保持することができる。
【0028】
導管は、第1の開口部と第2の開口部とを、1対1ベース、1対多数(すなわち、少なくとも2つ)ベース、多数対1ベース、又はそれらの任意の組み合わせで接続してもよい。第1及び第2の開口部と各導管との1対1の関係は一般的である。導管は、少なくとも1つの第1の開口部と少なくとも1つの第2の開口部とで終端し、少なくとも1つの第1の開口部を少なくとも1つの第2の開口部に流体接続する限り、任意の内部構造を有してよい。例えば、導管は、半径方向に方向付けられてもよく、傾斜していてもよく(すなわち、半径方向の向きに対して斜め)、直線状、円弧状、回旋状、非分岐状、分岐状、又はそれらの組み合わせであってもよい。
【0029】
導管の少なくとも20パーセント、少なくとも30パーセント、少なくとも40パーセント、少なくとも50パーセント、又は更には少なくとも60パーセントが、それぞれの第1の開口部におけるモールド壁部分の最小厚さよりも長くてもよいが、これは必須要件ではない。少なくとも1つの真空面からの距離について、成型面は、複数の極大値部及び極小値部を含む。いくつかの実施形態では、極小値部の少なくとも過半数が、極小値部に近接して配置された第1の開口部のうちの1つを有するが、これは必須要件ではない。
【0030】
本明細書に記載の真空成型ロールスリーブを使用して、成型されたフィルム内に多種多様な形状及びデバイスを形成することができる。真空成型ロールスリーブ及びその使用方法を使用して形成することができる1つの例示的デバイスは、2020年12月15日に出願された米国特許出願公開第63/199226号、2021年2月12日に出願された同第63/200058号、2021年7月30日に出願された同第63/227498号、2021年4月2日に出願された同第63/200901号、2021年7月30日に出願された同第63/227519号、2021年10月29日に出願された同第63/273300号、2021年5月28日に出願された同第63/202140号、2021年7月30日に出願された同第63/227534号、2021年4月6日に出願された同第63/200958号、2021年8月2日に出願された同第63/203831号、2021年5月21日に出願された同第63/201981号、2021年5月28日に出願された同第63/202143号、2021年7月30日に出願された同第63/227608号、2021年5月21日に出願された同第63/201983号、2021年7月30日に出願された同第63/227529号、2021年9月1日に出願された同第63/260828号、2021年7月22日に出願された同第63/203441号、2021年7月22日に出願された同第63/203442号、2022年2月3日に出願された同第63/306273号、2021年1月13日に出願された第63/136723号、2021年2月11日に出願された同第63/148195号、2021年7月16日に出願された同第63/222745号、2021年7月21日に出願された第63/224242号、2021年8月27日に出願された同第63/237909号、2021年10月13日に出願された第63/255363号、2021年11月24日に出願された同第63/283075号、2021年12月9日に出願された同第63/287911号、2021年1月28日に出願された同第63/142874号、2021年3月8日に出願された同第63/158153号、2020年7月13日に出願された同第63/051116号(現在は、国際公開第20220157765号で公開)、2020年5月26日に出願された同第63/029974号(現在は、国際公開第2021242907号で公開)のいずれかに概して記載されたタイプの呼気気流サンプル収集デバイスであり、上記の各々の全体は、参照により本明細書に組み込まれる。このタイプのサンプル収集デバイスは、一般に、デバイスハウジング内に、デバイスハウジングによって画定された気流チャネルに沿って配置された多孔性サンプル収集媒体を含む。ユーザは、サンプル収集デバイス内に息を吐き出し、多孔性サンプル収集媒体に呼気気流のサンプルを装填して、装填された多孔性サンプル収集媒体を形成することができる。いくつかの実施形態では、流体は、多孔性サンプル収集媒体を通過し(例えば、計量用量分の流体)、多孔性サンプル収集媒体に結合している可能性のある病原体又はウイルスを運び去る。次いで、流体を分析することができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、ハウジングは、協働して空気流路を画定する第1の要素と第2の要素とを含む。いくつかの実施形態では、ハウジングの第1の要素と第2の要素とは、互いに取り外し可能に結合される。代替的な実施形態では、第1の要素と第2の要素とは、破壊又は変形せずに分離することができないように、互いに恒久的に結合される。第1の要素と第2の要素とは、任意の好適な機構で結合され得る。例えば、第1の要素と第2の要素とは、バヨネット結合、締まり嵌め、スナップ嵌め、又はねじ結合によって結合されてもよい。一実施形態では、第1の要素と第2の要素とは、バヨネット結合によって結合される。バヨネット結合用に構成された場合、第1の要素は1つ以上の突出部を含み得、第2の要素は、1つ以上の突出部を受け入れて案内するように構成された1つ以上の対応する溝を含み得る。あるいは、1つ以上の突出部が第2の要素にあってもよく、1つ以上の溝が第1の要素にあってもよい。
【0032】
第1のピースは、近位端部と反対側の遠位端部とを有する。近位端部は、マウスピースを形成してもよい。第2のピースは、近位端部と反対側の遠位端部とを有する。第1のピースと第2のピースとは、互いに結合することができる。
【0033】
例示的実施形態によれば、ハウジングは、長手方向中心軸を有する。空気流チャネルは、第1の要素及び第2の要素の両方を通って延びている。空気流チャネルは、長手方向中心軸に沿って延びていてもよい。第1の要素及び第2の要素の一方又は両方は、管状、四辺形、長方形、又は円筒形の本体を含んでもよい。第1の要素と第2の要素とが結合されると、管状、四辺形、長方形、又は円筒形の本体が、同軸になり得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、第1のピース又は第2のピースのうちの1つはまた、サンプル収集管と結合するための任意の好適な機構を含んでもよい。例えば、第1のピース又は第2のピースの端部のうちの一方は、バヨネット結合、締まり嵌め、スナップ嵌め、又はねじ結合のために構成されてもよい。多くの市販のサンプル収集管又は試験管は、キャップを取り付けるためのねじ付き頂部を有する。第2の要素の管結合端部は、サンプル収集管のねじ山と結合するように構成されてもよい。第2の要素の管結合端部は、サンプル収集管の雄ねじと結合するように構成された雌ねじを含んでもよい。第2の要素の管結合端部は、様々に異なるタイプ又はサイズのサンプル収集管に対して取り付けられるように、様々に異なる構成(例えば、サイズ、ねじ山の間隔、又はねじ山の角度)を有する2つ以上の異なるねじ山を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第2の要素の管結合端部は、サンプル収集管と締まり嵌めするように構成される。締まり嵌めを容易にするために、管結合端部は、サンプル収集管の内側に受け入れられるようにサイズ決めされた突出部を含んでもよい。
【0035】
1つの例示的実装が、
図13及び
図14に示される。
図13は、1列の間隔の空けられたハウジングの第1のピース1310を含む第1の成型されたフィルム1300を示し、この第1のピース1310は、ハウジングの第2のピースと嵌合されると、上に列挙した出願に記載されたタイプのサンプル収集デバイスを形成する。
図13の第1のピース1310は、概ね長方形の形状であり、横流又は垂直流アッセイ(それぞれLFA又はVFA)が内部に配置され得る細長い長方形の挿入物又はウェル1320を含む。したがって、挿入物又はウェルの深さは、LFA又はVFAの厚さの少なくとも2倍必要である。
【0036】
図14は、1列の間隔の空けられたハウジングの第2のピース1410を含む第2の成型されたフィルム1400を示し、この第2のピースは、ハウジングの第2のピースと嵌合されると、上記に列挙した出願に記載されたタイプのサンプル収集デバイスを形成する。第2のピース1410は、ユーザがそれを通して息を吐き出すことができる呼気アパーチャ1420と、ユーザがそれを介して検査の結果を見ることができるインジケータアパーチャ1430とを含む。第2のピースはまた、液体受入アパーチャ1440を含んでもよく、液体はこの液体受入アパーチャ1440を通ってハウジングに入ることができるか、又は液体は呼気アパーチャ1420を通ってハウジングに入ることができる。
【0037】
真空成型ロールスリーブは、任意の好適な技術によって作製され得る。多くの場合、積層造形(additive manufacturing、AM)技術が好ましい、及び/又は必要である。このような場合、真空成型ロールスリーブの本体は単一構造であることが多いが、これは必須要件ではない。
【0038】
典型的な積層造形では、物体は、材料の層を次々と堆積させることによって製造される。材料は、例えば、有機ポリマー(例えば、架橋されたポリマー又は熱可塑性樹脂)、金属、又はセラミックを含んでもよい。
【0039】
積層造形技術に共通するのは、コンピュータ、三次元(3D)モデリングソフトウェア(コンピュータ支援設計(Computer Aided Design、CAD)としても知られる)、機械設備、及び積層材料の使用である。CADスケッチが生成されると、AM設備は、CADファイルからデータを読み込み、液体、粉末、シート材料などの連続した層を重ねて配置して又は追加して、3D物体を製造する。積層造形技術は、例えば、バット光重合、材料押出、粉末床溶融結合、材料ジェット印刷、バインダージェット印刷、指向性エネルギー堆積、及びシート積層を含む。
【0040】
これらのうち、バット重合は、真空成型ロールスリーブ製造に特に適用可能であることが分かっている。バット重合は、液体フォトポリマー樹脂のバットを使用し、そこからモデルが1層ずつ構築される。必要に応じて紫外線(UV)光を使用して樹脂を硬化又は固化するが、新しい層が硬化されるたびに、プラットフォームが作製中の物体を下方に移動させる。選択された方法に関係なく、真空成型ロールスリーブ(及びその成型面)は、材料からなる、結合された個別の層を含み、これは一般に、詳細に検査すると明らかになる。
【0041】
このプロセスでは、光重合性液体を使用して物体を形成するため、結合していない材料からの支持がもたらされる粉末ベースの方法とは異なり、構築段階中に材料からの構造的支持がない。このような場合、支持構造を追加する必要があることが多い。光重合性液体は、光(例えば、紫外線及び/又は可視光)がモータ制御ミラーを使用して樹脂の表面全体に方向付けられる光重合のプロセスを使用して硬化される。樹脂が光と接触すると、樹脂は重合して硬化し、架橋された有機ポリマー、典型的には架橋剤アクリルポリマーを形成する。
【0042】
典型的な一般的プロセスは、以下のとおりである:
1.ビルドプラットフォームが、光重合性液体のバットの上部から1つの薄層の厚さだけ下方に下げられる。
2.UV光が、所定のパターンに従って樹脂層を硬化させる。プラットフォームが下方に移動し続け、前の層の上に追加の層が構築される。
3.完成後又は複数のサイクルの後、物体が製造され、バットから光重合性液体が排出され、物体が取り出される。
【0043】
具体的なバット光重合のタイプとしては、ステレオリソグラフィ(stereolithography、SLA)、デジタルライトプロセッシング(digital light processing、DLP)、連続液体界面製造(continuous liquid interface production、CLIP)、及びデイライトポリマープロセッシング(daylight polymer processing、DLP)が含まれる。
【0044】
SLA製造プロセスの間、紫外線又はレーザーの集中ビームが、液体フォトポリマーで満たされたバットの表面上に集束される。ビーム又はレーザーを集束させ、モノマーを架橋するか又はポリマーを分解することによって所望の3D物体の各層を作製する。
【0045】
DLPプロセスでは、デジタルプロジェクタスクリーンを使用して、各層の1つの画像をプラットフォーム全体に一度にフラッシュする。プロジェクタはデジタルスクリーンであるので、各層の画像は正方形のピクセルから構成され、ボクセルと呼ばれる小さな長方形のレンガ状物から形成される層がもたらされる。DLPでは、各層全体が、レーザーで描画されるのではなく一度に露光されるため、いくつかの部分についてより速い印刷時間を達成することができる。
【0046】
CLIPバット光重合技術は、ベース材料としてタンク1個の樹脂を使用する。バット底部の一部は、紫外光を透過し、そのため、窓と呼ばれる。紫外光ビームが、窓を通して照射され、物体の正確な断面を照明する。光は、樹脂を凝固(光重合)させる。物体は、樹脂が物体の下に流れ込んで物体の底部との接触を維持できる程度に十分にゆっくりと上昇する。樹脂の下には酸素透過性膜があり、これがデッドゾーンを形成している。この持続的な液体界面は、樹脂が窓に付着するのを防止し、これは、窓と製造中の物体との間の光重合を防止することを意味する。標準的なSLAとは異なり、3D印刷プロセスは連続的であり、市販の3D印刷方法よりも最大100倍高速であると主張されている。
【0047】
レーザー又はプロジェクタを使用してポリマーを硬化させる代わりに、DPP製造プロセスは、液晶ディスプレイ(liquid crystal display、LCD)を使用する。
【0048】
適切な材料及び技術は、当該技術分野において既知であり、例えば、積層造形設備供給業者から入手可能である。受託製造会社もまた、作製対象部品の適切なデジタルCADファイルが供給されると、その部品を製造することができる。
【0049】
バット重合を使用する実施形態では、生成された結果物は、一般に、架橋された有機ポリマーを含む。材料押出が使用される場合、物体は、熱可塑性有機ポリマーを含み得る。上記2つのうち、架橋された有機ポリマーは、熱可塑性ではなく、熱変形しやすいので、一般に真空成型ロールスリーブ製造により適している。
【0050】
バット重合で使用するのに適した重合性材料の例としては、ポリエチレングリコールジアクリレート(PEGDA)、トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)、ビフェノールA-メタクリル酸グリシジル(Bis-GMA)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TTA)、構造式を有する軟質脂肪族ウレタンジメタクリレート(UDMA)などのメタクリレート系及び/又はアクリレート系モノマー、及び
【化1】
以下の構造式を有するビスフェノールAエトキシレートジアクリレート(Bis-EDA)が挙げられる。
【化2】
式中、nは、1以上の整数である。有用なフリーラジカル重合光開始剤は、当該技術分野において周知であり、例えば、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、及びエチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィネートが挙げられる。
【0051】
他の重合系としては、チオール-エン及びチオール-イン重合系、並びにカチオン重合性エポキシモノマー系が挙げられる。
【0052】
バット重合に関する更なる詳細は周知であり、例えば、Bagheriらによる「Photopolymerization in 3D printing」,ACS Applied Polymer Materials,2019,vol.1,pp.591-611及びPagacらによる「A Review of Vat Photopolymerization Technology:Materials,Applications,Challenges,and Future Trends of 3D Printing」,Polymers,2021,vol.13,pp.598-618及びそこに含まれる参照文献に記載されている。
【0053】
一実施形態では、真空成型ロールスリーブ用のCADテンプレートを生成することができる。このような場合、半径方向に方向付けられた導管を規則的に間隔を空けて配置したアレイがよく使用される。CADテンプレートには、成型面に特徴がないことを除いて、全ての設計要素が存在する。所望の構造が成型面に適用されると、ソフトウェアは、成型面の極小値部に対応するように第1の開口部を再配置することができる。これにより、新しいロールを生成するのに必要なCAD設計時間を大幅に短縮することができる。
【0054】
好ましくは、真空成型ロールスリーブは、モノリスとして、又は組み立てられてロール全体を形成することができるモジュール式部分として、その端部が直立するように構築される。このようにして、支持構造の必要性を低減又は排除することができる。
【0055】
好都合には、積層造形を使用することによって、複雑な内部特徴部(例えば、真空マニホールド、支持体、導管、及び成型面(例えば、張り出し特徴部を伴う成型面))を製造することが可能である。張り出し特徴部は、通常、それらの真下の成型面の部分へのアクセスを妨げ、彫刻のような伝統的な技術を使用して作製することは困難である。張り出し特徴部の例が
図12に示されており、この特徴部1200は、成型面1210の一部を半径方向に張り出したものである。
【0056】
前述の記載は、当業者が、特許請求の範囲に記載の開示を実践することを可能にするためのものであり、本開示の範囲を限定するものと解釈すべきではなく、本開示の範囲は特許請求の範囲及びその全ての等価物によって定義される。
【国際調査報告】