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特表2024-523314TNFSF-L融合タンパク質およびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】TNFSF-L融合タンパク質およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/62 20060101AFI20240621BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20240621BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240621BHJP
   C12N 15/86 20060101ALI20240621BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240621BHJP
   C12N 15/28 20060101ALI20240621BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20240621BHJP
   C07K 14/525 20060101ALI20240621BHJP
   C12N 7/01 20060101ALI20240621BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240621BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240621BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240621BHJP
   A61K 35/768 20150101ALI20240621BHJP
   A61K 35/763 20150101ALI20240621BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20240621BHJP
   A61K 47/64 20170101ALI20240621BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20240621BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240621BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
C12N15/62 Z ZNA
C07K19/00
C12N15/63 Z
C12N15/86 Z
C12N5/10
C12N15/28
C12N15/12
C07K14/525
C12N7/01
A61P35/00
A61P35/02
A61K48/00
A61K35/768
A61K35/763
A61K35/17
A61K47/64
A61K9/107
A61K9/08
A61K9/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577358
(86)(22)【出願日】2022-06-15
(85)【翻訳文提出日】2024-02-06
(86)【国際出願番号】 US2022033524
(87)【国際公開番号】W WO2022266163
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】63/211,766
(32)【優先日】2021-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521244488
【氏名又は名称】カリヴィル イムノセラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ソーン, スティーブン ハワード
(72)【発明者】
【氏名】ジャン, ミンルイ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AA95X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA44
4C076AA09
4C076AA12
4C076AA17
4C076BB13
4C076BB14
4C076BB15
4C076BB16
4C076BB21
4C076CC41
4C076EE59
4C084AA13
4C084MA17
4C084MA22
4C084MA28
4C084MA55
4C084MA56
4C084MA65
4C084NA14
4C084ZB26
4C084ZB27
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BB37
4C087BC83
4C087CA04
4C087CA08
4C087CA12
4C087MA28
4C087MA55
4C087MA56
4C087MA65
4C087NA14
4C087ZB26
4C087ZB27
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA14
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、オリゴマー化ドメインに融合した腫瘍壊死因子スーパーファミリーリガンドの融合タンパク質をコードする核酸を含む組成物を提供する。そのような組成物を送達するためのウイルスベクターおよび非ウイルスベクターがさらに提供される。本開示はまた、オリゴマー化ドメインに融合した腫瘍壊死因子スーパーファミリーリガンドの融合タンパク質を含む組成物を提供する。上記オリゴマー化ドメインは、融合タンパク質においてネックドメインと配列近接がより緊密である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、前記組成物は、
核酸を含み、前記核酸は融合タンパク質をコードし、前記融合タンパク質は、
TNF-スーパーファミリーリガンド(TNFSF-L)またはその機能的バリアントと、
コレクチンファミリータンパク質由来の複数のドメインとを含み、前記コレクチンファミリータンパク質由来の複数のドメインは、
オリゴマー化ドメインまたはその機能的バリアントと、
ネックドメインまたはその機能的バリアントとを含み、
前記オリゴマー化ドメインまたはその機能的バリアントと、前記ネックドメインまたはその機能的バリアントとは、前記コレクチンファミリータンパク質中のそれらの位置と比較して配列近接がより緊密である、組成物。
【請求項2】
前記融合タンパク質が、N末端からC末端の順序で、
前記オリゴマー化ドメインまたはその機能的バリアントと、
前記ネックドメインまたはその機能的バリアントと、
必要に応じてリンカー配列と、
前記TNFSF-Lまたはその機能的バリアントと
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記TNFSF-Lが、リンホトキシンα、OX40リガンド、CD40リガンド、Fasリガンド、CD27リガンド、CD30リガンド、4-1BBL、TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、核因子κ-βリガンドの受容体活性化因子(RANKL)、TNF関連アポトーシス弱誘導因子、A増殖誘導リガンド(APRIL)、B細胞活性化因子(BAFF)、LIGHT、血管内皮増殖阻害剤(VEGI)、TNFスーパーファミリーメンバー18リガンド(GITRL)、エクトジスプラシンA、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記TNFSF-LがCD40リガンドである、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記CD40リガンドが、配列番号1と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記TNFSF-LがOX40リガンドである、請求項3に記載の組成物。
【請求項7】
前記OX40リガンドが、配列番号2または配列番号3と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記TNFSF-Lが4-1BBLである、請求項3に記載の組成物。
【請求項9】
前記4-1BBLが、配列番号4または配列番号5と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記TNFSF-LがLIGHTである、請求項3に記載の組成物。
【請求項11】
前記LIGHTが、配列番号6と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記TNFSF-LがTNFスーパーファミリーメンバー18リガンド(GITRL)である、請求項3に記載の組成物。
【請求項13】
前記GITRLが、配列番号7または配列番号8と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記コレクチンファミリータンパク質が、SP-A、SP-D、マンノース結合レクチン(MBL)、コングルチニン、CL-43、CL-L1、CL-K1、CL-P1、またはCL-46である、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記コレクチンファミリータンパク質がSP-Dである、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記オリゴマー化ドメインが、配列番号9と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記オリゴマー化ドメインおよび前記ネックドメインが共に、配列番号10と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
前記オリゴマー化ドメインおよび前記ネックドメインが共に配列番号10を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記融合タンパク質が前記リンカー配列を含み、前記リンカー配列がGSG(グリシン-セリン-グリシン)(配列番号12)を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項20】
前記核酸がRNAを含む、請求項1から19までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
前記核酸がDNAを含む、請求項1から19までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項22】
組成物であって、前記組成物は、
核酸を含み、前記核酸は、配列番号21、22、23、24、25、26、または27と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む、組成物。
【請求項23】
組成物であって、前記組成物は、
融合タンパク質を含み、前記融合タンパク質は、配列番号14、15、16、17、18、19、または20と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む、組成物。
【請求項24】
組成物であって、前記組成物は、
ベクターと、
TNF-スーパーファミリーリガンド(TNFSF-L)またはその機能的バリアントをコードする核酸と
を含み、前記TNFSF-Lまたはその機能的バリアントはオリゴマー化ドメインに融合されている、組成物。
【請求項25】
前記核酸が融合タンパク質をコードし、前記融合タンパク質は、
TNF-スーパーファミリーリガンド(TNFSF-L)またはその機能的バリアントと、
コレクチンファミリータンパク質由来の複数のドメインと
を含み、前記コレクチンファミリータンパク質由来の複数のドメインは、
オリゴマー化ドメインまたはその機能的バリアントと、
ネックドメインまたはその機能的バリアントと
を含み、
前記オリゴマー化ドメインまたはその機能的バリアントと、前記ネックドメインまたはその機能的バリアントとは、前記コレクチンファミリータンパク質中のそれらの位置と比較して配列近接がより緊密である、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記ベクターが、ウイルスベクターまたは非ウイルスベクターである、請求項24に記載の組成物。
【請求項27】
前記非ウイルスベクターがナノ粒子担体を含む、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記非ウイルスベクターが脂質ナノ粒子担体を含む、請求項26に記載の組成物。
【請求項29】
前記ナノ粒子担体が、金、シリカ、カーボンナノチューブ、水溶性フラーレン、シリコンナノワイヤ、量子ドット、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項30】
前記ベクターが、バクテリオファージ、ウイルス様粒子(VLP)、赤血球ゴースト、バクトフェクション、エキソソーム、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項24に記載の組成物。
【請求項31】
前記融合タンパク質が、N末端からC末端の順序で、
前記オリゴマー化ドメインまたはその機能的バリアントと、
前記ネックドメインまたはその機能的バリアントと、
必要に応じてリンカー配列と、
前記TNFSF-Lまたはその機能的バリアントと
を含む、請求項25に記載の組成物。
【請求項32】
前記TNFSF-Lが、リンホトキシンα、OX40リガンド、CD40リガンド、Fasリガンド、CD27リガンド、CD30リガンド、4-1BBL、TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、核因子κ-βリガンドの受容体活性化因子(RANKL)、TNF関連アポトーシス弱誘導因子、A増殖誘導リガンド(APRIL)、B細胞活性化因子(BAFF)、LIGHT、血管内皮増殖阻害剤(VEGI)、TNFスーパーファミリーメンバー18リガンド(GITRL)、エクトジスプラシンA、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項24に記載の組成物。
【請求項33】
前記TNFSF-LがCD40リガンドである、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
前記CD40リガンドが、配列番号1と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
前記TNFSF-LがOX40リガンドである、請求項32に記載の組成物。
【請求項36】
前記OX40リガンドが、配列番号2または配列番号3と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
前記TNFSF-Lが4-1BBLである、請求項32に記載の組成物。
【請求項38】
前記4-1BBLが、配列番号4または配列番号5と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
前記TNFSF-LがLIGHTである、請求項32に記載の組成物。
【請求項40】
前記LIGHTが、配列番号6と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む、請求項39に記載の組成物。
【請求項41】
前記TNFSF-LがTNFスーパーファミリーメンバー18リガンド(GITRL)である、請求項32に記載の組成物。
【請求項42】
前記GITRLが、配列番号7または配列番号8と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む、請求項41に記載の組成物。
【請求項43】
前記コレクチンファミリータンパク質が、SP-A、SP-D、マンノース結合レクチン(MBL)、コングルチニン、CL-43、CL-L1、CL-K1、CL-P1、またはCL-46を含む、請求項25に記載の組成物。
【請求項44】
前記コレクチンファミリータンパク質がSP-Dである、請求項43に記載の組成物。
【請求項45】
前記オリゴマー化ドメインが、配列番号9と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む、請求項24に記載の組成物。
【請求項46】
前記オリゴマー化ドメインおよび前記ネックドメインが共に、配列番号10と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む、請求項25に記載の組成物。
【請求項47】
前記オリゴマー化ドメインおよび前記ネックドメインが共に配列番号10を含む、請求項25に記載の組成物。
【請求項48】
前記融合タンパク質が前記リンカー配列を含み、前記リンカー配列がGSG(グリシン-セリン-グリシン)(配列番号12)を含む、請求項31に記載の組成物。
【請求項49】
前記核酸がRNAを含む、請求項24から48までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項50】
前記核酸がDNAを含む、請求項24から48までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項51】
組成物であって、前記組成物は、
ベクターと、
核酸と
を含み、前記核酸は、配列番号21、22、23、24、25、26、または27と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む、組成物。
【請求項52】
組成物であって、前記組成物は、
ベクターと、
核酸と
を含み、前記核酸は、配列番号14、15、16、17、18、19、または20と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含むタンパク質をコードする、組成物。
【請求項53】
請求項1から52までのいずれか1項に記載の組成物を含む、細胞。
【請求項54】
前記細胞が免疫細胞である、請求項53に記載の細胞。
【請求項55】
前記免疫細胞がリンパ系細胞である、請求項54に記載の細胞。
【請求項56】
融合タンパク質であって、前記融合タンパク質は、
TNF-スーパーファミリーリガンド(TNFSF-L)またはその機能的バリアントと、
コレクチンファミリータンパク質由来の複数のドメインと
を含み、前記コレクチンファミリータンパク質由来の複数のドメインは、
オリゴマー化ドメインまたはその機能的バリアントと、
ネックドメインまたはその機能的バリアントと
を含み、前記オリゴマー化ドメインまたはその機能的バリアントと、前記ネックドメインまたはその機能的バリアントとは、前記コレクチンファミリータンパク質中のそれらの位置と比較して配列近接がより緊密である、融合タンパク質。
【請求項57】
前記融合タンパク質が、N末端からC末端の順序で、
前記オリゴマー化ドメインまたはその機能的バリアントと、
前記ネックドメインまたはその機能的バリアントと、
必要に応じてリンカー配列と、
前記TNFSF-Lまたはその機能的バリアントと
を含む、請求項56に記載の融合タンパク質。
【請求項58】
前記TNFSF-Lは、リンホトキシンα、OX40リガンド、CD40リガンド、Fasリガンド、CD27リガンド、CD30リガンド、4-1BBL、TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、核因子κ-βリガンドの受容体活性化因子(RANKL)、TNF関連アポトーシス弱誘導因子、A増殖誘導リガンド(APRIL)、B細胞活性化因子(BAFF)、LIGHT、血管内皮増殖阻害剤(VEGI)、TNFスーパーファミリーメンバー18リガンド(GITRL)、エクトジスプラシンA、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項56に記載の融合タンパク質。
【請求項59】
前記TNFSF-LがCD40リガンドである、請求項58に記載の融合タンパク質。
【請求項60】
前記CD40リガンドが、配列番号1と少なくとも85%の配列同一性を含む、請求項59に記載の融合タンパク質。
【請求項61】
前記TNFSF-LがOX40リガンドである、請求項58に記載の融合タンパク質。
【請求項62】
前記OX40リガンドが、配列番号2または配列番号3と少なくとも85%の配列同一性を含む、請求項61に記載の融合タンパク質。
【請求項63】
前記TNFSF-Lが4-1BBLである、請求項58に記載の融合タンパク質。
【請求項64】
前記4-1BBLが、配列番号4または配列番号5と少なくとも85%の配列同一性を含む、請求項63に記載の融合タンパク質。
【請求項65】
前記TNFSF-LがLIGHTである、請求項58に記載の融合タンパク質。
【請求項66】
前記LIGHTが、配列番号6と少なくとも85%の配列同一性を含む、請求項65に記載の融合タンパク質。
【請求項67】
前記TNFSF-LがTNFスーパーファミリーメンバー18リガンド(GITRL)である、請求項58に記載の組成物。
【請求項68】
前記GITRLが、配列番号7または配列番号8と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む、請求項67に記載の組成物。
【請求項69】
前記コレクチンファミリータンパク質が、SP-A、SP-D、マンノース結合レクチン(MBL)、コングルチニン、CL-43、CL-L1、CL-K1、CL-P1、CL-46、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項56に記載の融合タンパク質。
【請求項70】
前記コレクチンファミリータンパク質がSP-Dである、請求項56に記載の融合タンパク質。
【請求項71】
前記オリゴマー化ドメインが、配列番号9と少なくとも85%の配列同一性を含む、請求項56に記載の融合タンパク質。
【請求項72】
前記オリゴマー化ドメインおよびネックドメインが共に、配列番号10と少なくとも85%の配列同一性を含む、請求項56に記載の融合タンパク質。
【請求項73】
前記オリゴマー化ドメインおよびネックドメインが共に配列番号10を含む、請求項56に記載の融合タンパク質。
【請求項74】
前記融合タンパク質が前記リンカー配列を含み、前記リンカー配列がGSG(グリシン-セリン-グリシン)(配列番号12)を含む、請求項57に記載の融合タンパク質。
【請求項75】
腫瘍溶解性ウイルスであって、前記腫瘍溶解性ウイルスは、
TNF-スーパーファミリーリガンド(TNFSF-L)またはその機能的バリアントをコードする外因性核酸を含み、前記TNFSF-Lまたはその機能的バリアントは、オリゴマー化ドメインに融合されている、腫瘍溶解性ウイルス。
【請求項76】
前記腫瘍溶解性ウイルスが、ニューカッスル病ウイルス(NDV)、レオウイルス(RV)、粘液腫ウイルス(MYXV)、麻疹ウイルス(MV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、ワクシニアウイルス(VV)、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、ポリオウイルス(PV)、センダイウイルス、フラビウイルス、レンチウイルス、ポックスウイルス、レトロウイルス、アデノ随伴ウイルス、またはアデノウイルスである、請求項75に記載の腫瘍溶解性ウイルス。
【請求項77】
前記TNFSF-Lまたはその機能的バリアントをコードする前記核酸が、ウイルスゲノムに挿入されている、請求項75に記載の腫瘍溶解性ウイルス。
【請求項78】
前記TNFSF-Lまたはその機能的バリアントをコードする前記核酸が、チミジンキナーゼ遺伝子に挿入されている、請求項75に記載の腫瘍溶解性ウイルス。
【請求項79】
前記TNFSF-Lが、リンホトキシンα、OX40リガンド、CD40リガンド、Fasリガンド、CD27リガンド、CD30リガンド、4-1BBL、TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、核因子κ-βリガンドの受容体活性化因子(RANKL)、TNF関連アポトーシス弱誘導因子、A増殖誘導リガンド(APRIL)、B細胞活性化因子(BAFF)、LIGHT、血管内皮増殖阻害剤(VEGI)、TNFスーパーファミリーメンバー18リガンド(GITRL)、エクトジスプラシンA、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項75に記載の腫瘍溶解性ウイルス。
【請求項80】
前記TNFSF-LがCD40リガンドである、請求項79に記載の腫瘍溶解性ウイルス。
【請求項81】
前記CD40リガンドが、配列番号1と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む、請求項80に記載の腫瘍溶解性ウイルス。
【請求項82】
前記TNFSF-LがOX40リガンドである、請求項79に記載の腫瘍溶解性ウイルス。
【請求項83】
前記OX40リガンドが、配列番号2または配列番号3と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む、請求項82に記載の腫瘍溶解性ウイルス。
【請求項84】
前記TNFSF-Lが4-1BBLである、請求項79に記載の腫瘍溶解性ウイルス。
【請求項85】
前記4-1BBLが、配列番号4または配列番号5と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む、請求項84に記載の腫瘍溶解性ウイルス。
【請求項86】
前記TNFSF-LがLIGHTである、請求項79に記載の腫瘍溶解性ウイルス。
【請求項87】
前記LIGHTが、配列番号6と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む、請求項86に記載の腫瘍溶解性ウイルス。
【請求項88】
前記TNFSF-LがTNFスーパーファミリーメンバー18リガンド(GITRL)である、請求項79に記載の組成物。
【請求項89】
前記GITRLが、配列番号7または配列番号8と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む、請求項88に記載の組成物。
【請求項90】
前記オリゴマー化ドメインが、配列番号9と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む、請求項75に記載の腫瘍溶解性ウイルス。
【請求項91】
前記核酸がRNAを含む、請求項75から90までのいずれか1項に記載の腫瘍溶解性ウイルス。
【請求項92】
前記核酸がDNAを含む、請求項75から90までのいずれか1項に記載の腫瘍溶解性ウイルス。
【請求項93】
ワクシニアウイルスであって、前記ワクシニアウイルスは、
TNF-スーパーファミリーリガンド(TNFSF-L)またはその機能的バリアントをコードする外因性核酸を含み、前記TNFSF-Lまたはその機能的バリアントは、オリゴマー化ドメインに融合されている、ワクシニアウイルス。
【請求項94】
前記ワクシニアウイルスが、ウエスタンリザーブ(Western Reserve)ワクシニアウイルス(ATCC VR-1354)、コペンハーゲン株、ワクシニアウイルスAnkara(ATCC VR-1508)、ワクシニアウイルスAnkara(ATCC VR-1566)、組換えワクシニアウイルスAnkara(MVA)、NYVAC株、ワクシニアウイルス株Wyeth(ATCC VR-1536)、ワクシニアウイルスWyeth(ATCC VR-325)、Wyeth(NYCBOH)株、Tian Tan株、Lister株、USSR株、およびEvans株の修飾株である、請求項93に記載のワクシニアウイルス。
【請求項95】
前記TNFSF-Lまたはその機能的バリアントをコードする前記外因性核酸が、ウイルスゲノムに挿入されている、請求項93に記載のワクシニアウイルス。
【請求項96】
前記TNFSF-Lまたはその機能的バリアントをコードする前記外因性核酸が、チミジンキナーゼ遺伝子に挿入されている、請求項93に記載のワクシニアウイルス。
【請求項97】
前記TNFSF-Lが、リンホトキシンα、OX40リガンド、CD40リガンド、Fasリガンド、CD27リガンド、CD30リガンド、4-1BBL、TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、核因子κ-βリガンドの受容体活性化因子(RANKL)、TNF関連アポトーシス弱誘導因子、A増殖誘導リガンド(APRIL)、B細胞活性化因子(BAFF)、LIGHT、血管内皮増殖阻害剤(VEGI)、TNFスーパーファミリーメンバー18リガンド(GITRL)、エクトジスプラシンA、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項93に記載のワクシニアウイルス。
【請求項98】
前記TNFSF-LがCD40リガンドである、請求項97に記載のワクシニアウイルス。
【請求項99】
前記CD40リガンドが、配列番号1と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む、請求項98に記載のワクシニアウイルス。
【請求項100】
前記TNFSF-LがOX40リガンドである、請求項97に記載のワクシニアウイルス。
【請求項101】
前記OX40リガンドが、配列番号2または配列番号3と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む、請求項100に記載のワクシニアウイルス。
【請求項102】
前記TNFSF-Lが4-1BBLである、請求項97に記載のワクシニアウイルス。
【請求項103】
前記4-1BBLが、配列番号4または配列番号5と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む、請求項102に記載のワクシニアウイルス。
【請求項104】
前記TNFSF-LがLIGHTである、請求項97に記載のワクシニアウイルス。
【請求項105】
前記LIGHTが、配列番号6と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む、請求項104に記載のワクシニアウイルス。
【請求項106】
前記TNFSF-LがTNFスーパーファミリーメンバー18リガンド(GITRL)である、請求項97に記載の組成物。
【請求項107】
前記GITRLが、配列番号7または配列番号8と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む、請求項106に記載の組成物。
【請求項108】
前記オリゴマー化ドメインが、配列番号9と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む、請求項に記載のワクシニアウイルス。
【請求項109】
前記核酸がRNAを含む、請求項93から108までのいずれか1項に記載のワクシニアウイルス。
【請求項110】
前記核酸がDNAを含む、請求項93から108までのいずれか1項に記載のワクシニアウイルス。
【請求項111】
癌の処置のための方法であって、
癌の処置に十分な量の医薬組成物を対象に投与することを含み、前記医薬組成物が、
請求項1から110までのいずれか1項に記載の組成物、細胞、融合タンパク質、腫瘍溶解性ウイルス、またはワクシニアウイルスを含む、方法。
【請求項112】
前記癌が血液癌または固形癌を含む、請求項111に記載の方法。
【請求項113】
前記癌が、黒色腫、肝細胞癌、乳癌、肺癌、腹膜癌、前立腺癌、膀胱癌、卵巣癌、白血病、リンパ腫、腎臓癌、膵臓癌、上皮癌、胃癌、結腸癌、十二指腸癌、膵臓腺癌、中皮腫、多形性膠芽腫、星状細胞腫、多発性骨髄腫、前立腺癌、肝細胞癌、胆管肉腫、膵臓腺癌、頭頸部扁平上皮癌、結腸直腸癌、腸型胃癌、子宮頚扁平上皮癌、骨肉腫、上皮卵巣癌、急性リンパ芽球性リンパ腫、骨髄増殖性腫瘍、または肉腫を含む、請求項111に記載の方法。
【請求項114】
前記癌が、膀胱癌、血液癌、骨癌、骨髄癌、脳癌、乳癌、結腸癌、食道癌、消化管癌、歯肉癌、頭部癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、上咽頭癌、頸部癌、卵巣癌、前立腺癌、皮膚癌、胃癌、精巣癌、舌癌、または子宮癌を含む、請求項111に記載の方法。
【請求項115】
前記投与することが、全身投与または局所投与を含む、請求項111に記載の方法。
【請求項116】
前記投与することが、腫瘍内投与、静脈内投与、局所投与、腹腔内投与、非経口投与、筋肉内投与、皮下投与、動脈内投与、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項111に記載の方法。
【請求項117】
前記投与することが、腫瘍内投与を含む、請求項111に記載の方法。
【請求項118】
前記医薬組成物が、薬学的に許容され得る担体をさらに含む、請求項111に記載の方法。
【請求項119】
前記薬学的に許容され得る担体が、緩衝液、エマルジョン、生体吸着性ポリマー、ゲル、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項118に記載の方法。
【請求項120】
前記組成物、細胞または融合タンパク質が、約0.01μg/用量~約1g/用量の用量で投与される、請求項111に記載の方法。
【請求項121】
前記腫瘍溶解性ウイルスまたはワクシニアウイルスが、約10~約1012PFU/用量の用量で投与される、請求項111に記載の方法。
【請求項122】
前記医薬組成物が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれを超える用量を含む処置サイクルで投与される、請求項111に記載の方法。
【請求項123】
各用量が、約1分、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約1日、またはそれを超える期間にわたって投与される、請求項122に記載の方法。
【請求項124】
各用量が任意の他の用量から独立している、請求項123に記載の方法。
【請求項125】
前記処置サイクルにおける2回またはそれを超える用量が、用量が投与されない投与間隔によって隔てられている、請求項122に記載の方法。
【請求項126】
前記投与間隔が、約1分、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約1日、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約1ヶ月、約2ヶ月、約3ヶ月、約4ヶ月、約5ヶ月、約6ヶ月、約7ヶ月、約8ヶ月、約9ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、約1年、またはそれを超える期間である、請求項125に記載の方法。
【請求項127】
各投与間隔が、任意の他の投与間隔から独立している、請求項126に記載の方法。
【請求項128】
腫瘍細胞成長の低減のための方法であって、腫瘍細胞成長の低減に十分な量で腫瘍細胞に、請求項1から110までのいずれか1項に記載の組成物、細胞、融合タンパク質、腫瘍溶解性ウイルス、またはワクシニアウイルスを投与することを含む、方法。
【請求項129】
前記腫瘍が、液体腫瘍または固形腫瘍を含む、請求項128に記載の方法。
【請求項130】
前記腫瘍が、黒色腫、肝細胞癌、乳房腫瘍、肺腫瘍、腹膜腫瘍、前立腺腫瘍、膀胱腫瘍、卵巣腫瘍、白血病、リンパ腫、腎臓癌腫、膵臓癌腫、上皮癌腫、胃腫瘍、結腸癌腫、十二指腸腫瘍、膵臓腺癌、中皮腫、多形性膠芽腫、星状細胞腫、多発性骨髄腫、前立腺癌、肝細胞癌、胆管肉腫、膵臓腺癌、頭頸部扁平上皮癌、結腸直腸腫瘍、腸型胃癌、子宮頚扁平上皮癌、骨肉腫、上皮卵巣癌、急性リンパ芽球性リンパ腫、骨髄増殖性腫瘍、または肉腫を含む、請求項128に記載の方法。
【請求項131】
前記腫瘍が、膀胱腫瘍、血液腫瘍、骨腫瘍、骨髄腫瘍、脳腫瘍、乳房腫瘍、結腸腫瘍、食道腫瘍、消化管腫瘍、歯肉腫瘍、頭部腫瘍、腎臓腫瘍、肝臓腫瘍、肺腫瘍、上咽頭腫瘍、頸部腫瘍、卵巣腫瘍、前立腺腫瘍、皮膚腫瘍、胃腫瘍、精巣腫瘍、舌腫瘍、または子宮腫瘍を含む、請求項128に記載の方法。
【請求項132】
前記投与することが、全身投与または局所投与を含む、請求項128に記載の方法。
【請求項133】
前記投与することが、腫瘍内投与、静脈内投与、局所投与、腹腔内投与、非経口投与、筋肉内投与、皮下投与、動脈内投与、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項128に記載の方法。
【請求項134】
前記投与することが、腫瘍内投与を含む、請求項128に記載の方法。
【請求項135】
前記組成物が、薬学的に許容され得る担体をさらに含む、請求項128に記載の方法。
【請求項136】
前記薬学的に許容され得る担体が、緩衝液、エマルジョン、生体吸着性ポリマー、ゲル、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項135に記載の方法。
【請求項137】
前記組成物、細胞または融合タンパク質が、約0.01μg/用量~約1g/用量の用量で投与される、請求項128に記載の方法。
【請求項138】
前記腫瘍溶解性ウイルスまたはワクシニアウイルスが、約10~約1012PFU/用量の用量で投与される、請求項128に記載の方法。
【請求項139】
前記投与することが、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれを超える用量を含む処置サイクルである、請求項128に記載の方法。
【請求項140】
各用量が、約1分、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約1日、またはそれを超える期間にわたって投与される、請求項139に記載の方法。
【請求項141】
2回またはそれを超える用量が、用量が投与されない投与間隔によって隔てられている、請求項139に記載の方法。
【請求項142】
前記投与間隔が、約1分、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約1日、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約1ヶ月、約2ヶ月、約3ヶ月、約4ヶ月、約5ヶ月、約6ヶ月、約7ヶ月、約8ヶ月、約9ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、約1年、またはそれを超える期間である、請求項141に記載の方法。
【請求項143】
各投与間隔が、任意の他の投与間隔から独立している、請求項142に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2021年6月17日に出願された米国仮出願第63/211,766号の利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
配列表
【0002】
本出願は、ASCII形式で電子的に提出された配列表を含み、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。2022年6月14日に作成された上記ASCIIコピーの名称は199249-715601_SL.txtであり、サイズは45,505バイトである。
【背景技術】
【0003】
背景
TNFスーパーファミリー(TNFSF)は、免疫系、血液系、および骨格系を含む多くの哺乳動物系の発達および機能にとって重要なタンパク質で構成されている。TNFSFタンパク質は、TNF受容体スーパーファミリー(TNFS)の対応する受容体セットのリガンドである。TNFSFのメンバーは、分泌タンパク質として産生されるリンホトキシンαを除いて、一般にII型膜タンパク質として発現される。
【0004】
可溶性形態のTNFSFタンパク質を産生するために、一般に、膜タンパク質は、多くの場合、TNFSF細胞外ドメインを膜貫通ドメインから分離することができるプロテアーゼを有する細胞株において発現されるか、または細胞外ドメイン+シグナル配列を有する切断形態のTNFSFタンパク質が産生される。いずれの場合も、TNFSFリガンド(TNFSF-L)タンパク質の特定の可溶性形態は、多くの場合、細胞外ドメインのみから構成されるホモトリマーとして溶液中で不安定である。したがって、これらの重要なシグナル伝達タンパク質のより安定な形態が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
要旨
組成物が本明細書で提供され、この組成物は核酸を含み、この核酸は融合タンパク質をコードし、この融合タンパク質は、TNF-スーパーファミリーリガンド(TNFSF-L)またはその機能的バリアントと、コレクチンファミリータンパク質由来の複数のドメインとを含み、このコレクチンファミリータンパク質由来の複数のドメインは、オリゴマー化ドメインまたはその機能的バリアントと、ネックドメインまたはその機能的バリアントとを含み、このオリゴマー化ドメインまたはその機能的バリアントと、ネックドメインまたはその機能的バリアントとは、コレクチンファミリータンパク質中のそれらの位置と比較して配列近接がより緊密である。さらに提供される組成物では、融合タンパク質は、N末端からC末端の順序で、オリゴマー化ドメインまたはその機能的バリアントと、ネックドメインまたはその機能的バリアントと、必要に応じてリンカー配列と、TNFSF-Lまたはその機能的バリアントとを含む。さらに提供される組成物では、TNFSF-Lは、リンホトキシンα、OX40リガンド、CD40リガンド、Fasリガンド、CD27リガンド、CD30リガンド、4-1BBL、TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、核因子κ-βリガンドの受容体活性化因子(RANKL)、TNF関連アポトーシス弱誘導因子、A増殖誘導リガンド(APRIL)、B細胞活性化因子(BAFF)、LIGHT、血管内皮増殖阻害剤(VEGI)、TNFスーパーファミリーメンバー18リガンド(GITRL)、エクトジスプラシンA、またはそれらの任意の組み合わせを含む。さらに提供される組成物では、TNFSF-LはCD40リガンドである。さらに提供される組成物では、CD40リガンドは、配列番号1と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む。さらに提供される組成物では、TNFSF-LはOX40リガンドである。さらに提供される組成物では、OX40リガンドは、配列番号2または配列番号3と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む。さらに提供される組成物では、TNFSF-Lは4-1BBLである。さらに提供される組成物では、4-1BBLは、配列番号4または配列番号5と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む。さらに提供される組成物では、TNFSF-LはLIGHTである。さらに提供される組成物では、LIGHTは、配列番号6と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む。さらに提供される組成物では、TNFSF-Lは、TNFスーパーファミリーメンバー18リガンド(GITRL)である。さらに提供される組成物では、GITRLは、配列番号7または配列番号8と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む。さらに提供される組成物では、コレクチンファミリータンパク質は、SP-A、SP-D、マンノース結合レクチン(MBL)、コングルチニン、CL-43、CL-L1、CL-K1、CL-P1またはCL-46である。さらに提供される組成物では、コレクチンファミリータンパク質はSP-Dである。さらに提供される組成物では、オリゴマー化ドメインは、配列番号9と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む。さらに提供される組成物では、オリゴマー化ドメインおよびネックドメインは共に、配列番号10と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む。さらに提供される組成物では、オリゴマー化ドメインおよびネックドメインは共に配列番号10を含む。さらに提供される組成物では、融合タンパク質はリンカー配列を含み、このリンカー配列はGSG(グリシン-セリン-グリシン)(配列番号12)を含む。さらに提供される組成物では、核酸はRNAを含む。さらに提供される組成物では、核酸はDNAを含む。
【0006】
本明細書で提供される組成物は、核酸を含み、この核酸は、配列番号21、22、23、24、25、26、または27と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む。
【0007】
本明細書で提供される組成物は、融合タンパク質を含み、この融合タンパク質は、配列番号14、15、16、17、18、19、または20と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む。
【0008】
本明細書で提供される組成物は、ベクターと、TNF-スーパーファミリーリガンド(TNFSF-L)またはその機能的バリアントをコードする核酸を含み、このTNFSF-Lまたはその機能的バリアントはオリゴマー化ドメインに融合されている。本明細書でさらに提供される組成物では、核酸は融合タンパク質をコードし、この融合タンパク質は、TNF-スーパーファミリーリガンド(TNFSF-L)またはその機能的バリアントと、コレクチンファミリータンパク質由来の複数のドメインとを含み、このコレクチンファミリータンパク質由来の複数のドメインは、オリゴマー化ドメインまたはその機能的バリアントと、ネックドメインまたはその機能的バリアントとを含み、このオリゴマー化ドメインまたはその機能的バリアントと、ネックドメインまたはその機能的バリアントとは、コレクチンファミリータンパク質中のそれらの位置と比較して配列近接がより緊密である。本明細書でさらに提供される組成物では、ベクターはウイルスベクターまたは非ウイルスベクターである。本明細書でさらに提供される組成物では、非ウイルスベクターはナノ粒子担体を含む。本明細書でさらに提供される組成物では、非ウイルスベクターは脂質ナノ粒子担体を含む。本明細書でさらに提供される組成物では、ナノ粒子担体は、金、シリカ、カーボンナノチューブ、水溶性フラーレン、シリコンナノワイヤ、量子ドット、またはそれらの任意の組み合わせを含む。本明細書でさらに提供される組成物では、ベクターは、バクテリオファージ、ウイルス様粒子(VLP)、赤血球ゴースト、バクトフェクション、エキソソーム、またはそれらの任意の組み合わせを含む。本明細書でさらに提供される組成物では、融合タンパク質は、N末端からC末端の順序で、オリゴマー化ドメインまたはその機能的バリアントと、ネックドメインまたはその機能的バリアントと、必要に応じてリンカー配列と、TNFSF-Lまたはその機能的バリアントとを含む。本明細書でさらに提供される組成物では、TNFSF-Lは、リンホトキシンα、OX40リガンド、CD40リガンド、Fasリガンド、CD27リガンド、CD30リガンド、4-1BBL、TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、核因子κ-βリガンドの受容体活性化因子(RANKL)、TNF関連アポトーシス弱誘導因子、A増殖誘導リガンド(APRIL)、B細胞活性化因子(BAFF)、LIGHT、血管内皮増殖阻害剤(VEGI)、TNFスーパーファミリーメンバー18リガンド(GITRL)、エクトジスプラシンA、またはそれらの任意の組み合わせを含む。本明細書でさらに提供される組成物では、TNFSF-LがCD40リガンドである。本明細書でさらに提供される組成物では、CD40リガンドが、配列番号1と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む。本明細書でさらに提供される組成物では、TNFSF-LがOX40リガンドである。本明細書でさらに提供される組成物では、OX40リガンドが、配列番号2または配列番号3と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む。本明細書でさらに提供される組成物では、TNFSF-Lが4-1BBLである。本明細書でさらに提供される組成物では、4-1BBLが、配列番号4または配列番号5と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む。本明細書でさらに提供される組成物では、TNFSF-LがLIGHTである。本明細書でさらに提供される組成物では、LIGHTが、配列番号6と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む。さらに提供される組成物では、TNFSF-LがTNFスーパーファミリーメンバー18リガンド(GITRL)である。さらに提供される組成物では、GITRLが、配列番号7または配列番号8と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む。本明細書でさらに提供される組成物では、コレクチンファミリータンパク質は、SP-A、SP-D、マンノース結合レクチン(MBL)、コングルチニン、CL-43、CL-L1、CL-K1、CL-P1またはCL-46を含む。本明細書でさらに提供される組成物では、コレクチンファミリータンパク質はSP-Dである。本明細書でさらに提供される組成物では、オリゴマー化ドメインが、配列番号9と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む。本明細書でさらに提供される組成物では、オリゴマー化ドメインおよび前記ネックドメインが共に、配列番号10と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む。本明細書でさらに提供される組成物では、オリゴマー化ドメインおよび前記ネックドメインが共に配列番号10を含む。本明細書でさらに提供される組成物では、融合タンパク質が前記リンカー配列を含み、前記リンカー配列がGSG(グリシン-セリン-グリシン)(配列番号12)を含む。本明細書でさらに提供される組成物では、核酸がRNAを含む。本明細書でさらに提供される組成物では、核酸がDNAを含む。
【0009】
組成物が本明細書で提供され、この組成物は、ベクターと核酸とを含み、この核酸は、配列番号21、22、23、24、25、26、または271と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む。
【0010】
組成物が本明細書で提供され、この組成物は、ベクターと核酸とを含み、この核酸は、配列番号14、15、16、17、18、19、または20と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含むタンパク質をコードする。
【0011】
細胞が本明細書で提供され、この細胞は、本明細書に記載される組成物を含む。本明細書でさらに提供される細胞では、この細胞は免疫細胞である。本明細書でさらに提供される細胞では、この免疫細胞はリンパ系細胞である。
【0012】
融合タンパク質が本明細書で提供され、この融合タンパク質は、TNF-スーパーファミリーリガンド(TNFSF-L)またはその機能的バリアントと、コレクチンファミリータンパク質由来の複数のドメインとを含み、このコレクチンファミリータンパク質由来の複数のドメインは、オリゴマー化ドメインまたはその機能的バリアントと、ネックドメインまたはその機能的バリアントとを含み、このオリゴマー化ドメインまたはその機能的バリアントと、ネックドメインまたはその機能的バリアントとは、コレクチンファミリータンパク質中のそれらの位置と比較して配列近接がより緊密である。本明細書でさらに提供される融合タンパク質では、この融合タンパク質は、以下、N末端からC末端の順序で、オリゴマー化ドメインまたはその機能的バリアントと、ネックドメインまたはその機能的バリアントと、必要に応じてリンカー配列と、TNFSF-Lまたはその機能的バリアントとを含む。本明細書でさらに提供される融合タンパク質では、TNFSF-Lが、リンホトキシンα、OX40リガンド、CD40リガンド、Fasリガンド、CD27リガンド、CD30リガンド、4-1BBL、TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、核因子κ-βリガンドの受容体活性化因子(RANKL)、TNF関連アポトーシス弱誘導因子、A増殖誘導リガンド(APRIL)、B細胞活性化因子(BAFF)、LIGHT、血管内皮増殖阻害剤(VEGI)、TNFスーパーファミリーメンバー18リガンド(GITRL)、エクトジスプラシンA、またはそれらの任意の組み合わせを含む。本明細書でさらに提供される融合タンパク質では、TNFSF-LがCD40リガンドである。本明細書でさらに提供される融合タンパク質では、CD40リガンドは、配列番号1と少なくとも85%の配列同一性を含む。本明細書でさらに提供される融合タンパク質では、TNFSF-LがOX40リガンドである。本明細書でさらに提供される融合タンパク質では、OX40リガンドは、配列番号2または配列番号3と少なくとも85%の配列同一性を含む。本明細書でさらに提供される融合タンパク質では、TNFSF-Lが4-1BBLである。本明細書でさらに提供される融合タンパク質では、4-1BBLは、配列番号4または配列番号5と少なくとも85%の配列同一性を含む。本明細書でさらに提供される融合タンパク質では、TNFSF-LがLIGHTである。本明細書でさらに提供される融合タンパク質では、LIGHTは、配列番号6と少なくとも85%の配列同一性を含む。さらに提供される組成物では、TNFSF-LがTNFスーパーファミリーメンバー18リガンド(GITRL)である。さらに提供される組成物では、GITRLが、配列番号7または配列番号8と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む。本明細書でさらに提供される融合タンパク質では、コレクチンファミリータンパク質は、SP-A、SP-D、マンノース結合レクチン(MBL)、コングルチニン、CL-43、CL-L1、CL-K1、CL-P1、CL-46、またはそれらの任意の組み合わせを含む。本明細書でさらに提供される融合タンパク質では、コレクチンファミリータンパク質はSP-Dである。本明細書でさらに提供される融合タンパク質では、オリゴマー化ドメインは、配列番号9と少なくとも85%の配列同一性を含む。本明細書でさらに提供される融合タンパク質では、オリゴマー化ドメインおよびネックドメインは共に、配列番号10と少なくとも85%の配列同一性を含む。本明細書でさらに提供される融合タンパク質では、オリゴマー化ドメインおよびネックドメインは共に配列番号10を含む。本明細書でさらに提供される融合タンパク質では、融合タンパク質が前記リンカー配列を含み、前記リンカー配列がGSG(グリシン-セリン-グリシン)(配列番号12)を含む。
【0013】
腫瘍溶解性ウイルスが本明細書で提供され、この腫瘍溶解性ウイルスは、TNF-スーパーファミリーリガンド(TNFSF-L)またはその機能的バリアントをコードする外因性核酸を含み、このTNFSF-Lまたはその機能的バリアントは、オリゴマー化ドメインに融合されている。本明細書でさらに提供される腫瘍溶解性ウイルスでは、この腫瘍溶解性ウイルスは、ニューカッスル病ウイルス(NDV)、レオウイルス(RV)、粘液腫ウイルス(MYXV)、麻疹ウイルス(MV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、ワクシニアウイルス(VV)、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、ポリオウイルス(PV)、センダイウイルス、フラビウイルス、レンチウイルス、ポックスウイルス、レトロウイルス、アデノ随伴ウイルス、またはアデノウイルスである。本明細書でさらに提供される腫瘍溶解性ウイルスでは、TNFSF-Lまたはその機能的バリアントをコードする核酸は、ウイルスゲノムに挿入されている。本明細書でさらに提供される腫瘍溶解性ウイルスでは、TNFSF-Lまたはその機能的バリアントをコードする核酸は、チミジンキナーゼ遺伝子に挿入されている。本明細書でさらに提供される腫瘍溶解性ウイルスでは、TNFSF-Lが、リンホトキシンα、OX40リガンド、CD40リガンド、Fasリガンド、CD27リガンド、CD30リガンド、4-1BBL、TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、核因子κ-βリガンドの受容体活性化因子(RANKL)、TNF関連アポトーシス弱誘導因子、A増殖誘導リガンド(APRIL)、B細胞活性化因子(BAFF)、LIGHT、血管内皮増殖阻害剤(VEGI)、TNFスーパーファミリーメンバー18リガンド(GITRL)、エクトジスプラシンA、またはそれらの任意の組み合わせを含む。本明細書でさらに提供される腫瘍溶解性ウイルスでは、TNFSF-LがCD40リガンドである。本明細書でさらに提供される腫瘍溶解性ウイルスでは、CD40リガンドが、配列番号1と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む。本明細書でさらに提供される腫瘍溶解性ウイルスでは、TNFSF-LがOX40リガンドである。本明細書でさらに提供される腫瘍溶解性ウイルスでは、OX40リガンドが、配列番号2または配列番号3と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む。本明細書でさらに提供される腫瘍溶解性ウイルスでは、TNFSF-Lが4-1BBLである。本明細書でさらに提供される腫瘍溶解性ウイルスでは、4-1BBLが、配列番号4または配列番号5と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む。本明細書でさらに提供される腫瘍溶解性ウイルスでは、TNFSF-LがLIGHTである。本明細書でさらに提供される腫瘍溶解性ウイルスでは、LIGHTが、配列番号6と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む。さらに提供される組成物では、TNFSF-LがTNFスーパーファミリーメンバー18リガンド(GITRL)である。さらに提供される組成物では、GITRLが、配列番号7または配列番号8と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む。本明細書でさらに提供される腫瘍溶解性ウイルスでは、オリゴマー化ドメインが、配列番号9と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む。本明細書でさらに提供される腫瘍溶解性ウイルスでは、核酸がRNAを含む。本明細書でさらに提供される腫瘍溶解性ウイルスでは、核酸がDNAを含む。
【0014】
ワクシニアウイルスが本明細書で提供され、このワクシニアウイルスは、TNF-スーパーファミリーリガンド(TNFSF-L)またはその機能的バリアントをコードする外因性核酸を含み、このTNFSF-Lまたはその機能的バリアントは、オリゴマー化ドメインに融合されている。本明細書でさらに提供されるワクシニアウイルスでは、このワクシニアウイルスは、ウエスタンリザーブ(Western Reserve)ワクシニアウイルス(ATCC VR-1354)、コペンハーゲン株、ワクシニアウイルスAnkara(ATCC VR-1508)、ワクシニアウイルスAnkara(ATCC VR-1566)、組換えワクシニアウイルスAnkara(MVA)、NYVAC株、ワクシニアウイルス株Wyeth(ATCC VR-1536)、ワクシニアウイルスWyeth(ATCC VR-325)、Wyeth(NYCBOH)株、Tian Tan株、Lister株、USSR株、およびEvans株の修飾株である。本明細書でさらに提供されるワクシニアウイルスでは、TNFSF-Lまたはその機能的バリアントをコードする外因性核酸は、ウイルスゲノムに挿入されている。本明細書でさらに提供されるワクシニアウイルスでは、TNFSF-Lまたはその機能的バリアントをコードする外因性核酸は、チミジンキナーゼ遺伝子に挿入されている。本明細書でさらに提供されるワクシニアウイルスでは、TNFSF-Lが、リンホトキシンα、OX40リガンド、CD40リガンド、Fasリガンド、CD27リガンド、CD30リガンド、4-1BBL、TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、核因子κ-βリガンドの受容体活性化因子(RANKL)、TNF関連アポトーシス弱誘導因子、A増殖誘導リガンド(APRIL)、B細胞活性化因子(BAFF)、LIGHT、血管内皮増殖阻害剤(VEGI)、TNFスーパーファミリーメンバー18リガンド(GITRL)、エクトジスプラシンA、またはそれらの任意の組み合わせを含む。本明細書でさらに提供されるワクシニアウイルスでは、TNFSF-LがCD40リガンドである。本明細書でさらに提供されるワクシニアウイルスでは、CD40リガンドが、配列番号1と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む。本明細書でさらに提供されるワクシニアウイルスでは、TNFSF-LがOX40リガンドである。本明細書でさらに提供されるワクシニアウイルスでは、OX40リガンドが、配列番号2または配列番号3と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む。本明細書でさらに提供されるワクシニアウイルスでは、TNFSF-Lが4-1BBLである。本明細書でさらに提供されるワクシニアウイルスでは、4-1BBLが、配列番号4または配列番号5と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む。本明細書でさらに提供されるワクシニアウイルスでは、TNFSF-LがLIGHTである。本明細書でさらに提供されるワクシニアウイルスでは、LIGHTが、配列番号6と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む。さらに提供される組成物では、TNFSF-LがTNFスーパーファミリーメンバー18リガンド(GITRL)である。さらに提供される組成物では、GITRLが、配列番号7または配列番号8と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む。本明細書でさらに提供されるワクシニアウイルスでは、オリゴマー化ドメインが、配列番号9と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む。本明細書でさらに提供されるワクシニアウイルスでは、核酸がRNAを含む。本明細書でさらに提供されるワクシニアウイルスでは、核酸がDNAを含む。
【0015】
癌の処置のための方法であって、癌の処置に十分な量の医薬組成物を対象に投与することを含み、医薬組成物が、本明細書に記載される組成物、細胞、融合タンパク質、腫瘍溶解性ウイルス、またはワクシニアウイルスを含む、方法が本明細書で提供される。本明細書でさらに提供される癌の処置のための方法では、癌は血液癌または固形癌を含む。本明細書でさらに提供される癌の処置のための方法では、癌は、黒色腫、肝細胞癌、乳癌、肺癌、腹膜癌、前立腺癌、膀胱癌、卵巣癌、白血病、リンパ腫、腎臓癌、膵臓癌、上皮癌、胃癌、結腸癌、十二指腸癌、膵臓腺癌、中皮腫、多形性膠芽腫、星状細胞腫、多発性骨髄腫、前立腺癌、肝細胞癌、胆管肉腫、膵臓腺癌、頭頸部扁平上皮癌、結腸直腸癌、腸型胃癌、子宮頚扁平上皮癌、骨肉腫、上皮卵巣癌、急性リンパ芽球性リンパ腫、骨髄増殖性腫瘍、または肉腫を含む。本明細書でさらに提供される癌の処置のための方法では、癌は、膀胱癌、血液癌、骨癌、骨髄癌、脳癌、乳癌、結腸癌、食道癌、消化管癌、歯肉癌、頭部癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、上咽頭癌、頸部癌、卵巣癌、前立腺癌、皮膚癌、胃癌、精巣癌、舌癌、または子宮癌を含む。本明細書でさらに提供される癌の処置のための方法では、投与することは、全身投与または局所投与を含む。本明細書でさらに提供される癌の処置のための方法では、投与することは、腫瘍内投与、静脈内投与、局所投与、腹腔内投与、非経口投与、筋肉内投与、皮下投与、動脈内投与、またはそれらの任意の組み合わせを含む。本明細書でさらに提供される癌の処置のための方法では、投与することは腫瘍内投与を含む。本明細書でさらに提供される癌の処置のための方法では、医薬組成物は、薬学的に許容され得る担体をさらに含む。本明細書でさらに提供される癌の処置のための方法では、薬学的に許容され得る担体は、緩衝液、エマルジョン、生体吸着性ポリマー、ゲル、またはそれらの任意の組み合わせを含む。本明細書でさらに提供される癌の処置のための方法では、組成物、細胞または融合タンパク質は、約0.01μg/用量~約1g/用量の用量で投与される。本明細書でさらに提供される癌の処置のための方法では、腫瘍溶解性ウイルスまたはワクシニアウイルスは、約10~約1012PFU/用量の用量で投与される。本明細書でさらに提供される癌の処置のための方法では、医薬組成物は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれを超える用量を含む処置サイクルで投与される。本明細書でさらに提供される癌の処置のための方法では、医薬組成物は、各用量で投与され、約1分、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約1日、またはそれを超える期間にわたって投与される。本明細書でさらに提供される癌の処置のための方法では、各用量は、任意の他の用量から独立している。本明細書でさらに提供される癌の処置のための方法では、処置サイクルにおける2回またはそれを超える用量が、用量が投与されない投与間隔によって隔てられている。本明細書でさらに提供される癌の処置のための方法では、投与間隔は、約1分、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約1日、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約1ヶ月、約2ヶ月、約3ヶ月、約4ヶ月、約5ヶ月、約6ヶ月、約7ヶ月、約8ヶ月、約9ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、約1年、またはそれを超える期間である。本明細書でさらに提供される癌の処置のための方法では、各投与間隔は、任意の他の投与間隔から独立している。
【0016】
腫瘍細胞成長の低減のための方法であって、腫瘍細胞成長の低減に十分な量で腫瘍細胞に、本明細書に記載される組成物、細胞、融合タンパク質、腫瘍溶解性ウイルス、またはワクシニアウイルスを投与することを含む、方法が本明細書で提供される。本明細書でさらに提供される腫瘍細胞成長の低減のための方法では、腫瘍は液体腫瘍または固形腫瘍を含む。本明細書でさらに提供される腫瘍細胞成長の低減のための方法では、腫瘍は、黒色腫、肝細胞癌、乳房腫瘍、肺腫瘍、腹膜腫瘍、前立腺腫瘍、膀胱腫瘍、卵巣腫瘍、白血病、リンパ腫、腎臓癌腫、膵臓癌腫、上皮癌腫、胃腫瘍、結腸癌腫、十二指腸腫瘍、膵臓腺癌、中皮腫、多形性膠芽腫、星状細胞腫、多発性骨髄腫、前立腺癌、肝細胞癌、胆管肉腫、膵臓腺癌、頭頸部扁平上皮癌、結腸直腸腫瘍、腸型胃癌、子宮頚扁平上皮癌、骨肉腫、上皮卵巣癌、急性リンパ芽球性リンパ腫、骨髄増殖性腫瘍、または肉腫を含む。本明細書でさらに提供される腫瘍細胞成長の低減のための方法では、腫瘍は、膀胱腫瘍、血液腫瘍、骨腫瘍、骨髄腫瘍、脳腫瘍、乳房腫瘍、結腸腫瘍、食道腫瘍、消化管腫瘍、歯肉腫瘍、頭部腫瘍、腎臓腫瘍、肝臓腫瘍、肺腫瘍、上咽頭腫瘍、頸部腫瘍、卵巣腫瘍、前立腺腫瘍、皮膚腫瘍、胃腫瘍、精巣腫瘍、舌腫瘍、または子宮腫瘍を含む。本明細書でさらに提供される腫瘍細胞成長の低減のための方法では、投与することは、全身投与または局所投与を含む。本明細書でさらに提供される腫瘍細胞成長の低減のための方法では、投与することは、腫瘍内投与、静脈内投与、局所投与、腹腔内投与、非経口投与、筋肉内投与、皮下投与、動脈内投与、またはそれらの任意の組み合わせを含む。本明細書でさらに提供される腫瘍細胞成長の低減のための方法では、投与することは腫瘍内投与を含む。本明細書でさらに提供される腫瘍細胞成長の低減のための方法では、組成物は、薬学的に許容され得る担体をさらに含む。本明細書でさらに提供される腫瘍細胞成長の低減のための方法では、薬学的に許容され得る担体は、緩衝液、エマルジョン、生体吸着性ポリマー、ゲル、またはそれらの任意の組み合わせを含む。本明細書でさらに提供される腫瘍細胞成長の低減のための方法では、組成物、細胞または融合タンパク質は、約0.01μg/用量~約1g/用量の用量で投与される。本明細書でさらに提供される腫瘍細胞成長の低減のための方法では、腫瘍溶解性ウイルスまたはワクシニアウイルスは、約10~約1012PFU/用量の用量で投与される。本明細書でさらに提供される腫瘍細胞成長の低減のための方法では、投与することは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれを超える用量を含む処置サイクルにある。本明細書でさらに提供される腫瘍細胞成長の低減のための方法では、各用量で投与され、約1分、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約1日、またはそれを超える期間にわたって投与される。本明細書でさらに提供される腫瘍細胞成長の低減のための方法では、2回またはそれを超える用量が、用量が投与されない投与間隔によって隔てられている。本明細書でさらに提供される腫瘍細胞成長の低減のための方法では、投与間隔は、約1分、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約1日、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約1ヶ月、約2ヶ月、約3ヶ月、約4ヶ月、約5ヶ月、約6ヶ月、約7ヶ月、約8ヶ月、約9ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、約1年、またはそれを超える期間である。本明細書でさらに提供される腫瘍細胞成長の低減のための方法では、各投与間隔は、任意の他の投与間隔から独立している。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本開示の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲に詳細に記載されている。本開示の特徴および利点のより良い理解は、本開示の原理が利用される例示的な実施形態を説明する以下の詳細な説明、および添付の図面を参照することによって得られるであろう。
【0018】
図1図1は、オリゴマー化ドメイン、ネックドメイン、任意選択のリンカー、およびTNFSF-Lドメインを有する例示的なドメイン構造の図を示す。
【0019】
図2図2は、CD40Lスキャフォールドタンパク質を発現する修飾された腫瘍溶解性ワクシニアウイルス導入遺伝子に感染した細胞におけるCD40Lスキャフォールドタンパク質の発現を、導入遺伝子を発現しない腫瘍溶解性ワクシニアウイルスに感染した細胞または非感染細胞と比較して示す。Y軸はng/mL単位のmCD40Lを表し、X軸はサンプル(非感染細胞、A52R欠失およびチミジンキナーゼ欠失を有するワクシニアウイルス、およびチミジンキナーゼ欠失およびバリアントCD40Lの挿入を有するワクシニアウイルス)を表す。
【0020】
図3図3は、mOX40L ELISAアッセイの結果を示し、ここで、上清を、希釈係数を考慮した後に100倍に希釈し、mOX40L発現についてスクリーニングする。Y軸はpg/mL単位のmOX40Lを表し、X軸はサンプル(非感染細胞、A52R欠失およびチミジンキナーゼ欠失を有するワクシニアウイルス、チミジンキナーゼ欠失およびネイティブOX40Lを有するワクシニアウイルス、およびチミジンキナーゼ欠失およびバリアントOX40Lの挿入を有するワクシニアウイルス)を表す。
【0021】
図4図4は、非希釈上清を41BBL発現についてスクリーニングする41BBL ELISAアッセイの結果を示す。Y軸はng/mL単位のm41BBLを表し、X軸はサンプル(非感染細胞、A52R欠失およびチミジンキナーゼ欠失を有するワクシニアウイルス、チミジンキナーゼ欠失およびネイティブ41BBLを有するワクシニアウイルス、およびチミジンキナーゼ欠失およびバリアント41BBLの挿入を有するワクシニアウイルス)を表す。
【0022】
図5図5は、CD40Lレポーター細胞アッセイの結果を示す。Y軸はODであり、X軸は使用される上清の体積である。サンプルは、非感染細胞、A52R欠失およびチミジンキナーゼ欠失を有するワクシニアウイルスに感染した細胞、ならびにチミジンキナーゼ欠失およびバリアントCD40Lを含むワクシニアウイルスに感染した細胞である。
【0023】
図6図6は、TK欠失を有するウイルス(TK-)、TNFSFL融合コンストラクトを有するウイルス(s3CD40L)、または緩衝液対照で処置したマウスにおける生存確率を示す。
【0024】
図7図7は、非感染対照細胞(緩衝液)、41BBLを発現するウイルスに感染した細胞、および三量体OX40L(3sOX40L)を発現するウイルスに感染した細胞におけるルシフェラーゼ発現レベル(RLU)を示す。
【0025】
図8図8は、非感染対照細胞(緩衝液)、陰性対照として三量体GITRLを発現するウイルス、41BBL単量体を発現するウイルス、および三量体41BBL(3s41BBL)を発現するウイルスに感染した細胞におけるルシフェラーゼ発現レベル(RLU)を示す。
【0026】
図9図9は、CD3単独、またはCD3とCD28、組換え41BBL、組換えOX40L、3s41BBLを発現するウイルス、または3xOX40Lを発現するウイルスで刺激されたCD8T細胞におけるIL-2発現レベルを示す。
【0027】
図10図10は、皮下RENCA腫瘍を有するBALB/cマウスにおける平均腫瘍体積を示し、y軸の体積(mm)はx軸上の処置後日数で測定した。体積は、緩衝液対照、チミジンキナーゼ欠失を有する対照ワクシニアウイルス(HCCTKM)、3s41BBLを発現するウイルスまたは3sOX40Lを発現するウイルスでの処置から0、5、8、および12日後に測定した。リガンド3s41BBLまたは3sOX40Lを発現するウイルス含む処置群における腫瘍体積は、5、8、および12日後に陰性対照と比較してより小さい腫瘍体積を示した。
【0028】
図11図11Aは、緩衝液対照、チミジンキナーゼ欠失を有する対照ワクシニアウイルス(HCCTKM)、または3sGITRLを発現するウイルスで処置した30日後の、皮下ルイス肺癌腫(LLC)腫瘍を有するBALB/cマウスの腫瘍体積(mm)の散布図を示す。30日後の各群の平均腫瘍体積が示されており、緩衝液対照群では約1400mm、HCCTKM群では約750mm、3sGITRL群では<100mmを示している。
【0029】
図11Bは、緩衝液対照、チミジンキナーゼ欠失を有する対照ワクシニアウイルス(HCCTKM)、または3sGITRLを発現するウイルスで処置した17日後の皮下RENCA腫瘍を有するBALB/cマウスにおける腫瘍体積(mm)の散布図を示す。17日後の各群の平均腫瘍体積が示されており、緩衝液対照群では約800mm、HCCTKM群では約350mm、3sGITRL群では約250mmを示している。
【発明を実施するための形態】
【0030】
詳細な説明
本開示の好ましい実施形態を本明細書に示し説明してきたが、このような実施形態が例としてのみ提供されることは当業者には明らかであろう。本開示から逸脱することなく、当業者には多数の変形、変更および置換が思い浮かぶであろう。本明細書に記載される本開示の実施形態に対する様々な代替態様が、本開示を実施する際に使用され得ることを理解されたい。以下の特許請求の範囲が本開示の範囲を定義し、これらの特許請求の範囲内の方法および構造ならびにそれらの均等物がそれによってカバーされることが意図される。
【0031】
重合ドメインに融合されたTNFスーパーファミリーリガンド(TNFSF-L)またはその機能的バリアントの融合タンパク質をコードする核酸を含む、癌を処置するための組成物およびその使用が本明細書で提供される。1つの例示的な配置では、図1を参照すると、TNFSF-Lは、N末端のオリゴマー化ドメインに(必要に応じてリンカーを介して)融合され、必要に応じて、オリゴマー化ドメインのC末端のネックドメインに融合される。図1の例示において、オリゴマー化ドメインおよびネックドメインは、コレクチンファミリータンパク質SP-D由来の機能性ドメインである。更なるオリゴマー化ドメイン、ならびに任意選択のネックドメインおよび/またはリンカードメインは、免疫応答を誘発する際に活性が増加した構造、またはそのマーカーを提供する融合タンパク質の重合を可能にする。本明細書では、TNFSF-L、TNFSF-Lへの融合のためのドメイン、融合タンパク質をコードする核酸の送達のためのウイルスベクターおよび非ウイルスベクター、組成物の使用条件、ならびに投与方法がより詳細に記載される。TNFSF-L融合タンパク質をコードする核酸を含む腫瘍溶解性ウイルスを一般に含む、癌を処置するための組成物および方法が、本明細書でさらに提供される。本明細書に記載される融合タンパク質を発現する核酸を含む細胞が本明細書でさらに提供される。
定義
【0032】
本明細書で使用される用語は、特定の事例のみを説明するためのものであり、限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上他に明確に示されない限り、複数形も含むことができる。さらに、「含む(contains)」、「含む(containing)」、「含む(including)」、「有する(having)」、「有する(has)」、「有する(with)」という用語、またはそれらの変形が詳細な説明および/または特許請求の範囲のいずれかで使用される限り、そのような用語は、「備える(comprising)」という用語と同様に包括的であることを意図している。
【0033】
「約」または「およそ」という用語は、当業者によって決定される特定の値の許容され得る誤差範囲内であることを意味することができ、これは値がどのように測定または決定されるか、例えば測定システムの限界に部分的に依存する。特定の値が本出願および特許請求の範囲に記載されている場合、特に明記しない限り、「約」という用語は、特定の値の許容され得る誤差範囲、例えば「約」という用語によって修飾された値の±10%を意味すると仮定されるべきである。
【0034】
特定のウイルスに関して本明細書で使用される「異種核酸配列」、または「外因性核酸配列」、または「導入遺伝子」という用語は、指定されたウイルス以外の供給源に由来する核酸配列を指すことができる。
【0035】
本明細書で使用される「突然変異」という用語は、当該技術分野で一般に理解されているようなオープンリーディングフレーム除去突然変異を含む、欠失、異種核酸の挿入、逆位または置換を指すことができる。
【0036】
本明細書で使用される「遺伝子」という用語は、個々のタンパク質またはRNA(「コード配列」または「コード領域」とも呼ばれる)を、必要に応じて、コード配列の上流または下流に位置し得るプロモーター、オペレーター、ターミネーターなどの関連する調節領域と共にコードする核酸のセグメントを指すことができる。
【0037】
本明細書で使用される「プロモーター」は、転写の開始および速度が制御される核酸配列の領域である制御配列であり得る。いくつかの実施形態では、プロモーターは、RNAポリメラーゼおよび他の転写因子などの調節タンパク質および分子が結合し得る遺伝要素を含み得る。「操作可能に位置決めされた」、「操作可能に連結された」、「制御下にある」および「転写制御下にある」という用語は、プロモーターが核酸配列に対して正しい機能的位置および/または向きにあり、その配列の転写開始および/または発現を制御することを意味し得る。いくつかの実施形態では、プロモーターは、核酸配列の転写活性化に関与するシス作用性調節配列を指す「エンハンサー」と組み合わせて使用されてもよい使用されなくてもよい。
【0038】
本明細書で使用される「相同性」という用語は、最適な比較目的のために配列をアラインメントさせることによって決定され得る2つもしくはそれを超えるヌクレオチドまたはアミノ酸配列間の「相同性」または「パーセント相同性」の計算に対するものであり得る(例えば、第1の配列の配列にギャップを導入することができる)。次いで、対応する位置のヌクレオチドを比較することができ、2つの配列間の同一性パーセントは、配列によって共有される同一の位置の数の関数であり得る(すなわち、相同性%=同一位置の数/位置の総数×100)。例えば、第1の配列中の位置は、第2の配列中の対応する位置と同じヌクレオチドによって占有されてもよく、その場合、分子はその位置で同一である。2つの配列間の相同性パーセントは、2つの配列の最適なアラインメントのために導入する必要があるギャップの数および各ギャップの長さを考慮して、配列によって共有される同一の位置の数の関数であり得る。いくつかの実施形態では、比較目的のためにアラインメントされる配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも約30%、40%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または95%であり得る。BLAST(登録商標)検索は、2つの配列間の相同性を決定し得る。相同性は、2つの配列の全長の間、または2つの配列の全長の一部の間であり得る。2つの配列は、遺伝子、ヌクレオチド配列、タンパク質配列、ペプチド配列、アミノ酸配列、またはそれらの断片であり得る。2つの配列の実際の比較は、例えば数学的アルゴリズムを使用して、周知の方法によって達成することができる。BLASTおよびGapped BLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラムの任意の関連パラメータ(例えば、NBLAST)を使用することができる。例えば、配列比較のためのパラメータは、スコア=100、ワード長=12に設定することができ、または変化させることができる(例えば、W=5またはW=20である)。他の例としては、Myers and Miller、CABIOS(1989)、ADVANCE、ADAM、BLAT、およびFASTAのアルゴリズムが挙げられる。
【0039】
「対象」という用語は、霊長類(例えば、ヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、またはマウスを含むがこれらに限定されない動物を指すことができる。「対象」および「患者」という用語は、例えばヒト対象などの哺乳動物の対象に関して、本明細書では互換的に使用される。
【0040】
「処置する(treat)」、「処置する(treating)」および「処置(treatment)」という用語は、障害、疾患、もしくは症状;障害、疾患、もしくは症状に関連付けられる1つもしくはそれを超える症候を緩和もしくは抑止すること、または障害、疾患、もしくは症状自体の原因を緩和もしくは根絶することを含むことを意味し得る。
【0041】
「有効量」または「治療有効量」という用語は、投与された場合に、処置されている障害、疾患、もしくは症状の1つもしくはそれを超える症候の発症を予防するか、またはある程度緩和するのに十分であり得る化合物の量を指すことができる。
【0042】
本明細書で使用される「腫瘍溶解性」という用語は、薬剤、例えば腫瘍溶解性ポックスウイルス、例えば腫瘍溶解性ワクシニアウイルスによる、例えば上記細胞の直接溶解による、上記細胞に対する免疫応答、アポトーシス、毒性タンパク質の発現、オートファジーおよびタンパク質合成の遮断、抗腫瘍免疫の誘導、またはそれらの任意の組み合わせを刺激することによる、癌または腫瘍細胞の死滅を指すことができる。腫瘍溶解性ワクシニアウイルスなどの薬剤に感染した癌または腫瘍細胞の直接溶解は、上記細胞内のウイルスの複製の結果であり得る。特定の例では、「腫瘍溶解性」という用語は、癌細胞または腫瘍細胞を溶解せずに死滅させることを指すことができる。
【0043】
本明細書で使用される「腫瘍溶解性ウイルス」という用語は、腫瘍細胞に優先的に感染して死滅させるウイルスを指すことができる。
【0044】
本明細書で使用される「修飾された腫瘍溶解性ウイルス」という用語は、ウイルス遺伝子の突然変異または欠失などのウイルスのネイティブゲノム(「骨格」)における修飾、外因性核酸の導入、ウイルス核酸またはウイルスタンパク質の化学的修飾、およびウイルスキャプシドへの外因性タンパク質または修飾されたウイルスタンパク質の導入などであるがこれらに限定されない、その構成要素に対する修飾を含む腫瘍溶解性ウイルスを指すことができる。一般に、腫瘍溶解性ウイルスは、腫瘍細胞に対する改善された治療効果を得るために修飾(「操作された」としても知られる)され得る。
融合コンストラクト
【0045】
融合タンパク質をコードする核コンストラクトが本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される融合タンパク質は、必要に応じてコレクチンタンパク質由来のTNFSF-L領域およびオリゴマー化領域を含む。そのような融合タンパク質は、核酸によってコードされ、腫瘍溶解性ウイルスに挿入され得る。得られた発現された融合タンパク質は、TNFSF-L領域とオリゴマー化領域との間にリンカー領域をさらに含み得る。TNFSF-L領域に含まれるTNFスーパーファミリーメンバーの例としては、限定されないが、リンホトキシンα、OX40リガンド、CD40リガンド、Fasリガンド、CD27リガンド、CD30リガンド、CD137リガンド、TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、核因子κ-βリガンドの受容体活性化因子(RANKL)、TNF関連アポトーシス弱誘導因子、A増殖誘導リガンド(APRIL)、B細胞活性化因子(BAFF)、LIGHT、血管内皮成長阻害剤(VEGI)、TNFスーパーファミリーメンバー18リガンド(GITRL)、エクトジスプラシンA、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。更なる実施形態では、TNFSF-L領域は、N末端でリンカーペプチドに連結され得る。いくつかの例では、リンカーペプチドは、最大10アミノ酸長を含み、必要に応じて、グリシンおよび/またはセリンリッチである。
【0046】
いくつかの実施形態では、融合タンパク質自体が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、必要に応じてコレクチンタンパク質由来のTNFSF-L領域およびオリゴマー化領域を含む。そのような融合タンパク質は、核酸によってコードされ、腫瘍溶解性ウイルスに挿入され得る。得られた発現された融合タンパク質は、TNFSF-L領域とオリゴマー化領域との間にリンカー領域をさらに含み得る。TNFSF-L領域に含まれるTNFスーパーファミリーメンバーの例としては、限定されないが、リンホトキシンα、OX40リガンド、CD40リガンド、Fasリガンド、CD27リガンド、CD30リガンド、CD137リガンド、TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、核因子κ-βリガンドの受容体活性化因子(RANKL)、TNF関連アポトーシス弱誘導因子、A増殖誘導リガンド(APRIL)、B細胞活性化因子(BAFF)、LIGHT、血管内皮成長阻害剤(VEGI)、TNFスーパーファミリーメンバー18リガンド(GITRL)、エクトジスプラシンA、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。更なる実施形態では、TNFSF-L領域は、N末端でリンカーペプチドに連結され得る。いくつかの例では、リンカーペプチドは、最大10アミノ酸長を含み、必要に応じて、グリシンおよび/またはセリンリッチである。
【0047】
本明細書に記載される融合コンストラクトに全体的または部分的に含まれる例示的な腫瘍壊死スーパーファミリーリガンドのアミノ酸配列を表1に示す。そのような例示的なTNFSF-Lタンパク質には、マウスCD40L、ヒトOX40L、マウスOX40L、マウス4-1BBL、ヒト4-1BBL、ヒトGITRL、マウスGITRL、マウス3sCD40L、マウス3sOX40L、マウス3s4-1BBL、マウス3sGITRL、ヒト3sOX40L、ヒト3s4-1BBL、およびマウス3sGITRLからのエクトドメインが含まれる。
表1.
【表1】
【0048】
多くのTNFスーパーファミリー受容体は、ホモ三量体としてそれらの同族リガンドをブラインド(blind)する。リガンドは、細胞の表面上の膜貫通係留タンパク質としてネイティブに発現される。ヒトコレクチンタンパク質由来などのオリゴマー化促進断片に融合したTNFSFリガンドを含む融合コンストラクトが本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、オリゴマー化領域は、必要に応じてTNFSF-L領域のN末端またはリンカーペプチドのN末端に連結されたコレクチンタンパク質ポリペプチド断片を含み、リンカーペプチドのC末端はTNFSF-L領域のN末端に連結されている。典型的には、コレクチンは、C末端炭水化物セクション、ネックセクション、コラーゲン性セクション、およびN末端セクションを含む。レクチンのC末端炭水化物領域は、典型的にはオリゴマー化を助けるシスチン残基を含む、レクチンドメインまたはCRDとしても知られる。ネックセクションは三量化を開始し、ネックセクションのコラーゲン性尾部に沿ってN末端セクションに向かってジッパー様の様式を形成する。N末端セクション自体は、ジスルフィド架橋によるオリゴマー化を助けるシスチンリッチ部分を含む。
オリゴマー化ドメイン
【0049】
オリゴマー化領域を含むTNFSF-L融合コンストラクトが本明細書で提供される。そのような領域は、発現されたTNFSF-Lの安定性および機能性の向上、したがって宿主免疫系活性の活性化の増加を可能にする。いくつかの実施形態では、オリゴマー化領域は、コレクチンファミリータンパク質由来の少なくとも1つのドメインまたはその機能的バリアントを含む。コレクチンタンパク質は、安定なオリゴマーを形成することが知られている。コレクチンは、C型レクチンドメインと呼ばれる構造タンパク質フォールドを含むタンパク質レクチンスーパーファミリーを構築する18のグループメンバーのうちの1つである。いくつかのメンバーは、追加の構造的特徴を含むことが示されている。したがって、それらは以下の成分を含む:i)ネック領域とも呼ばれるαヘリックスセグメントに結合したN末端コラーゲンドメイン、およびiii)C末端のCRD。コレクチンの例としては、サーファクタントタンパク質A(SP-A)、サーファクタントタンパク質D(SP-D)、マンノース結合レクチン(MBL)、コングルチニン、CL-43、CL-L1、CL-K1、CL-P1、およびCL-46が挙げられる。SP-AおよびSP-Dは、予め形成された三量体のジスルフィド媒介オリゴマー化に関与するN末端システインを含む。いくつかの実施形態では、上記のペプチド配列をコードする核酸も企図される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される融合コンストラクトは、コレクチンオリゴマー化ドメインまたはその機能的バリアントを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される融合コンストラクトは、コレクチンオリゴマー化ドメインまたはその機能的バリアントおよびコレクチンネックドメインまたはその機能的バリアントを含む。例示的な配列を表2(アミノ酸)および表3(核酸)に提供する。
表2
【表2】
表3
【表3】
【0050】
いくつかの実施形態では、コレクチンポリペプチド断片は、融合タンパク質のTNFSF-L領域のN末端またはリンカーペプチドのN末端に連結され、リンカーペプチドのC末端は、融合タンパク質のTNFSF-L領域のN末端に連結される。
リンカー
【0051】
オリゴマー化ドメインとTNFSF-Lドメインとの間に位置する可撓性リンカーエレメントを含む融合コンストラクトが本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、可撓性リンカーエレメントは、25アミノ酸またはそれ未満の長さを有する。いくつかの実施形態では、リンカーエレメントは、3~30アミノ酸の長さ、特に3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28または30アミノ酸の長さを有する。いくつかの実施形態では、リンカーの長さは、3~10または5~10アミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、リンカーエレメントは、小さい親水性の非荷電アミノ酸で構築される。いくつかの実施形態では、本発明によるリンカーエレメントは、G、S、AおよびTから選択されるアミノ酸を含み得る。リンカーエレメントは、好ましくはグリシン/セリンリンカー、すなわちアミノ酸グリシンおよびセリンを含むペプチドリンカーである。いくつかの実施形態では、リンカーは、アミノ酸配列(GSG)(配列番号12)を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、アミノ酸配列(GSS)a(SSG)b(GSG)c(配列番号13)を含み、ここで、a、b、cは、各々0、1、2、3、4、5または6回の反復である。TNFSF-Lがセリンまたはグリシンアミノ酸で終了または開始する場合、そのような残基もリンカーの第1の残基を形成し得る。リンカー(liker)エレメントの構成要素は、1、2、3、4、5またはそれを超えるアミノ酸から構成され得る。一般に、本明細書で使用されるリンカーエレメントは、構成要素から構成されてもよく、またはアミノ酸の配列から構成されてもよい。
送達ベクター
【0052】
本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される融合コンストラクトをコードする核酸を送達するためのシステムであって、核酸のヌクレアーゼ分解を低減しながら、核酸コンストラクトを標的細胞に侵入させるシステムである。そのような送達系は、ウイルスベクターまたは非ウイルスベクターを含み得る。
腫瘍溶解性ウイルス
【0053】
本明細書では、ウイルスの形態のベクターが提供される。いくつかの実施形態では、ウイルス送達ベクターは腫瘍溶解性ウイルスを含む。腫瘍溶解性ウイルスを含む組成物であって、腫瘍溶解性ウイルスが本明細書に記載されるTNFSF-L融合コンストラクトを含む組成物が本明細書で提供される。本明細書で使用される腫瘍溶解性ウイルスは、上記細胞に対する免疫応答、アポトーシス、毒性タンパク質の発現、タンパク質合成のオートファジーおよびシャットダウン、抗腫瘍免疫の誘導、またはそれらの任意の組み合わせを刺激することによって、上記細胞の直接溶解などの機序によって癌または腫瘍細胞を死滅させる。本明細書に記載される組成物に含まれる例示的な腫瘍溶解性ウイルスには、限定されないが、ポックスウイルス、ニューカッスル病ウイルス(NDV)、レオウイルス(RV)、粘液腫ウイルス(MYXV)、麻疹ウイルス(MV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、ワクシニアウイルス(VV)、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、ポリオウイルス(PV)、センダイウイルス、フラビウイルス、レンチウイルス、レトロウイルス、レトロウイルス、アデノ随伴ウイルス、およびアデノウイルスが含まれる。いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスはポックスウイルスであり得る。いくつかの実施形態では、ポックスウイルスは、β昆虫ポックスウイルス、ヤタポックスウイルス、セルビドポックスウイルス、γ昆虫エンドモポックスウイルス、レポリポックスウイルス、スイポックスウイルス、モラスポックスウイルス、クロコジリドポックスウイルス、α昆虫ポックスウイルス、カプリポックスウイルス、アビポックスウイルス、パラポックスウイルス、カナリポックスウイルス、または鶏痘ウイルスを含む。これらの腫瘍溶解性ウイルスは、癌細胞を特異的に標的化する傾向があり、ウイルス複製時に有意な細胞死および腫瘍退縮を引き起こす。
【0054】
いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスは、修飾を含まない他の点では同一のウイルスと比較して、腫瘍細胞に対してより大きな治療効果をもたらし得る1つまたはそれを超える修飾を有し得る修飾された腫瘍溶解性ウイルスであり得る。より大きな治療効果のいくつかの非限定的な例としては、ウイルスの免疫回避の増強、ウイルスの腫瘍標的全身送達の増強、ウイルスの腫瘍内および腫瘍間拡散の増強、ならびにウイルスの腫瘍特異的複製の増強、または細胞外マトリックスへの免疫調節剤および抗腫瘍剤の放出の各々または任意の組み合わせを含み得る。本開示の修飾された腫瘍溶解性ウイルスは、場合によっては、全身送達のためのプラットフォームベクターとして利用することができる。
【0055】
本開示のいくつかの実施形態では、ウイルスの腫瘍標的全身送達を増強することができる修飾を含む修飾された腫瘍溶解性ウイルスが提供される。典型的には、腫瘍溶解性ウイルスは、(a)全身投与されるか、または(b)腫瘍上に局所接種されるか、または多くの場合、腫瘍に直接注射され得る(「腫瘍内送達」)。腫瘍溶解性ウイルスの全身送達は、原発腫瘍および顕在的なまたは未診断の転移性沈着物の両方を同時に処置する機会を与えることができると考えられる。結果として、この送達方法は、進行性/転移性疾患を有する患者、またはアクセスが例えば血液脳関門などの生理学的障壁のために困難である膵臓癌または脳癌を有する患者などのアクセス不可能な疾患を有する患者の処置のための非常に魅力的な選択肢となり得る。しかしながら、多くの腫瘍溶解性ウイルスの全身送達を成功させるための障壁が存在し得る。例えば、場合によっては、上記のように、宿主防御は、全身投与後に腫瘍に感染するほとんどの腫瘍溶解性ウイルスの能力を制限する。血球、補体、抗体、および抗ウイルスサイトカイン、ならびに肺、肝臓および脾臓などの他の組織による非特異的取り込み、組織常在マクロファージ、さらには血管区画からの不十分なウイルス回避は、腫瘍溶解性ウイルスの全身送達に対する主な障壁の1つである。本開示のいくつかの実施形態では、開示される腫瘍溶解性ウイルスは、少なくとも上記のように免疫回避の増強を通して、循環系におけるウイルスの持続的存在を促進することができる修飾を含み得る。一方、ウイルスの腫瘍標的化送達の増強は、癌に対する治療有効性を増加させるだけでなく、非腫瘍感染を制限することができ、ウイルス感染の望ましくない副作用を回避するので、ウイルス媒介性腫瘍療法に関する安全性の懸念も軽減することができるので、特定の状況下で望ましい場合もある。本明細書のいくつかの実施形態は、ウイルスの腫瘍標的化送達を促進することができる修飾を含む腫瘍溶解性ウイルスに関する。
【0056】
本開示のいくつかの実施形態では、ウイルスの腫瘍内および腫瘍間拡散を増強することができる修飾を含む修飾された腫瘍溶解性ウイルスが提供される。腫瘍内および腫瘍間での腫瘍溶解性ウイルスの拡散の増強は、ウイルスに感染している癌細胞の数を増加させることによって治療効果を高めることができる。いくつかの実施形態では、外因性核酸を含み得る修飾された腫瘍溶解性ウイルスが本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、ウイルスのゲノムの修飾を含むことができる修飾された腫瘍溶解性ウイルスが本明細書で提供される。本明細書では、いくつかの実施形態では、外因性核酸を含み得る修飾された腫瘍溶解性ウイルス、ならびにウイルスのゲノムにおける修飾が提供される。
【0057】
いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスは、(i)癌細胞において優先的に自然に複製し、多くの場合、先天性抗ウイルスシグナル伝達に対する感受性の上昇または発癌性シグナル伝達経路への依存に起因してヒトにおいて非病原性であるウイルス;および(ii)使用のために遺伝子操作されたウイルスを含み得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスは、麻疹ウイルス、ポリオウイルス、ポックスウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、単純ヘルペスウイルス、水疱性口内炎ウイルス、レオウイルス、ニューカッスル病ウイルス、センセナウイルス、レトロウイルス、デングウイルス、または粘液腫ウイルスであり得る。いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスはポックスウイルスであり得る。いくつかの実施形態では、ポックスウイルスはワクシニアウイルスであり得る。場合によっては、修飾ポックスウイルスは弱毒化カナリポックスウイルスであり得る。場合によっては、修飾ポックスウイルスは鶏痘ウイルスであり得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、修飾された腫瘍溶解性ウイルスが使用される。一般に、そのようなウイルスは、ウイルス遺伝子の突然変異または欠失などのウイルスのネイティブゲノム(「骨格」)における修飾、外因性核酸の導入、ウイルス核酸またはウイルスタンパク質の化学的修飾、およびウイルスキャプシドへの外因性タンパク質または修飾されたウイルスタンパク質の導入などであるがこれらに限定されない、その構成要素に対する修飾を含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、修飾された腫瘍溶解性ウイルスは、LIGHTをコードし得る外因性核酸を含み得る。いくつかの実施形態では、修飾された腫瘍溶解性ウイルスは、IL15をコードし得る外因性核酸を含み得る。いくつかの実施形態では、修飾された腫瘍溶解性ウイルスは、IL15をコードし得る外因性核酸、およびCCL5をコードし得る外因性核酸を含み得る。いくつかの実施形態では、修飾された腫瘍溶解性ウイルスは、IL15をコードし得る外因性核酸、およびIL15-Rαをコードし得る外因性核酸を含み得る。いくつかの実施形態では、修飾された腫瘍溶解性ウイルスは、ITACをコードし得る外因性核酸(CXCL11)、およびフラクタルカインをコードし得る外因性核酸(CX3CL1)を含み得る。いくつかの実施形態では、修飾された腫瘍溶解性ウイルスは、ITAC(CXCL11)をコードし得る外因性核酸、フラクタルカイン(CX3CL1)をコードし得る外因性核酸、IL15をコードし得る外因性核酸、およびIL15-Rαをコードし得る外因性核酸を含み得る。
【0060】
いくつかの実施形態では、修飾された腫瘍溶解性ウイルスは、K7R遺伝子の突然変異または欠失を含み得、サイトカイン、例えばIL15をコードし得る外因性核酸をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、修飾された腫瘍溶解性ウイルスは、K7R遺伝子の突然変異または欠失を含み得、サイトカイン、例えばIL15をコードし得る外因性核酸、およびケモカイン、例えばCCL5をコードし得る外因性核酸をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、修飾された腫瘍溶解性ウイルスは、K7R遺伝子の突然変異または欠失を含み得、サイトカイン、例えばIL15をコードし得る外因性核酸、およびサイトカインの受容体、例えばIL15Rαをコードし得る外因性核酸をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、修飾された腫瘍溶解性ウイルスは、K7R遺伝子の突然変異または欠失を含み得、LIGHTをコードし得る外因性核酸をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、修飾された腫瘍溶解性ウイルスは、K7R遺伝子の突然変異または欠失を含み得、ITAC(CXCL11)をコードし得る外因性核酸をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、修飾された腫瘍溶解性ウイルスは、K7R遺伝子の突然変異または欠失を含み得、フラクタルカイン(CX3CL1)をコードし得る外因性核酸を含み得る。いくつかの実施形態では、修飾された腫瘍溶解性ウイルスは、K7R遺伝子の突然変異または欠失を含み得、ITAC(CXCL11)をコードし得る外因性核酸、およびフラクタルカイン(CX3CL1)をコードし得る外因性核酸をさらに含み得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、修飾された腫瘍溶解性ウイルスは、A52R遺伝子の突然変異または欠失を含み得、サイトカイン、例えばIL15をコードし得る外因性核酸をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、修飾された腫瘍溶解性ウイルスは、A52R遺伝子の突然変異または欠失を含み得、ケモカイン、例えばIL15をコードし得る外因性核酸、およびケモカイン、例えばCCL5をコードし得る外因性核酸をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、修飾された腫瘍溶解性ウイルスは、A52R遺伝子の突然変異または欠失を含み得、サイトカイン、例えばIL15をコードし得る外因性核酸、およびサイトカインの受容体、例えばIL15Rαをコードし得る外因性核酸をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、修飾された腫瘍溶解性ウイルスは、A52R遺伝子の突然変異または欠失を含み得、LIGHTをコードし得る外因性核酸をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、修飾された腫瘍溶解性ウイルスは、A52R遺伝子の突然変異または欠失を含み得、ITAC(CXCL11)をコードし得る外因性核酸をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、修飾された腫瘍溶解性ウイルスは、A52R遺伝子の突然変異または欠失を含み得、フラクタルカイン(CX3CL1)をコードし得る外因性核酸を含み得る。いくつかの実施形態では、修飾された腫瘍溶解性ウイルスは、A52R遺伝子の突然変異または欠失を含み得、ITAC(CXCL11)をコードし得る外因性核酸、およびフラクタルカイン(CX3CL1)をコードし得る外因性核酸をさらに含み得る。
【0062】
場合によっては、修飾された腫瘍溶解性ウイルスからのサイトカイン(例えば、IL15)およびその受容体(例えば、IL15-Rα)の同時発現は、場合によっては、例えば、IL15およびIL15-Rα(IL15:IL15-R複合体)によって形成される複合体がナチュラルキラー細胞を活性化し、T細胞応答を促進する能力が改善されているために、腫瘍溶解性ウイルスの免疫調節効果の増強をもたらし得る。いかなる特定の理論にも束縛されるものではないが、IL15:IL15-Rα複合体中のIL15は、T細胞およびナチュラルキラー(NK)細胞の表面に提示されるIL15-Rβγ(IL15受容体ベータガンマ複合体)に提示され、それによってNK細胞およびT細胞に強力な免疫調節効果を付与することができると考えられる。
【0063】
いくつかの実施形態では、A52R遺伝子を変異または欠失させることができ、さらに、分泌されたヒアルロニダーゼ(例えば、HysA)をコードし得る外因性核酸を含み得る修飾された腫瘍溶解性ウイルスが提供される。いくつかの実施形態では、A52R遺伝子を変異または欠失させることができ、さらにCXCR4などのケモカイン受容体をコードし得る外因性核酸を含み得る修飾された腫瘍溶解性ウイルスが提供される。
【0064】
いくつかの実施形態では、修飾された腫瘍溶解性ウイルスは、ウイルスチミジンキナーゼ(TK)遺伝子の完全または部分的な欠失を含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される修飾された腫瘍溶解性ウイルスのゲノムにおいて、1つまたはそれを超える外因性核酸が欠失TK遺伝子の遺伝子座に挿入される。
【0065】
いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ワクシニアウイルスなどの修飾された腫瘍溶解性ウイルスにおいて、ウイルスTK遺伝子は、単純ヘルペスウイルス(HSV-TK)由来のTK遺伝子で置き換えられ得る。HSV TKは、削除されたTKの代替として機能することができ、多面的な利点を有することができる。例えば、(i)HSV TKは、ガンシクロビル(GCV)を腫瘍においてその細胞傷害性代謝産物に変換するための更なる治療用プロドラッグ変換酵素として使用することができる。追加された治療効果に加えて、この修飾は自殺遺伝子としても機能することができ、例えば、ワクシニア発現細胞は、GCVの添加によって効率的に死滅させることができ、それによって、有害事象または制御されない複製の場合にウイルスを停止させることができる。したがって、いくつかの例では、本開示の修飾された腫瘍溶解性ウイルスは、安全スイッチとして作用し得る)。追加の例では、HSV TKの変異型を使用して、感度を大幅に高めた標識基質のPET画像化を可能にすることができる。したがって、場合によっては、PET画像化において使用することができるHSV TKを含む修飾された腫瘍溶解性ウイルスは、インビボでウイルス複製のレポーターとして作用して、処置後早期に治療活性を決定することができる。
【0066】
場合によっては、修飾された腫瘍溶解性ウイルスは、上記の完全長ウイルス骨格遺伝子もしくはウイルス骨格タンパク質、またはその切断型、またはその機能性ドメイン、またはその断片、またはそのバリアントを含み得る。様々な例において、修飾された腫瘍溶解性ウイルスは、上記のように、ウイルス骨格遺伝子またはウイルス骨格タンパク質の1つまたはそれを超える突然変異または欠失を含み得る。ウイルス骨格遺伝子およびウイルス骨格タンパク質の突然変異は、核酸配列中のヌクレオチドおよびタンパク質配列中のアミノ酸の挿入、欠失、置換または修飾を含み得る。欠失は、いくつかの例では、ウイルス骨格遺伝子またはタンパク質の完全または部分的な欠失を含み得る。
ワクシニアウイルス
【0067】
いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスはワクシニアウイルスである。例示的なワクシニアウイルスには、限定されないが、例えば本明細書に記載される融合コンストラクトを含めることによって修飾された野生型または弱毒化ワクシニアウイルス株、例えば、ウエスタンリザーブ(Western Reserve)ワクシニアウイルス(ATCC VR-1354)、コペンハーゲン株、ワクシニアウイルスAnkara(ATCC VR-1508)、ワクシニアウイルスAnkara(ATCC VR-1566)、組換えワクシニアウイルスAnkara(MVA)、NYVAC株、ワクシニアウイルス株Wyeth(ATCC VR-1536)、ワクシニアウイルスWyeth(ATCC VR-325)、Wyeth(NYCBOH)株、Tian Tan株、Lister株、USSR株、およびEvans株が含まれる。本明細書に記載されるように修飾された基本ワクシニアウイルス株は、それ自体がその親株に対して1つまたはそれを超える突然変異、例えば、限定されないが、以下の1つまたはそれを超えるものを含み得る:TKの欠失「TK-」およびA52Rの欠失(本明細書では「A52R-」とも呼ばれる)。ワクシニアウイルスは、低い毒性を有し、標的組織に蓄積するように組換え型であるかまたは選択され得る。いくつかの実施形態では、ウイルス骨格/ウイルスゲノム中の修飾は、ワクシニアウイルスを非複製性にするかまたは不十分な複製能を含む修飾である。そのような修飾の非限定的な例としては、以下のウイルス遺伝子:A1、A2、VH1、A33、およびI7における突然変異を挙げることができる。いくつかの実施形態では、ウイルス骨格突然変異は、A52R遺伝子の完全または部分的欠失;TK遺伝子の完全または部分的欠失;B15R遺伝子の完全または部分的欠失;K7R遺伝子の完全または部分的欠失;B14R遺伝子の完全または部分的欠失;N1L遺伝子の完全または部分的欠失;K1L遺伝子の完全または部分的欠失;M2L遺伝子の完全または部分的欠失;A49R遺伝子の完全または部分的欠失;VH1遺伝子の完全または部分的欠失;A33遺伝子の完全または部分的欠失;A1の完全または部分的な欠失;A2遺伝子の完全または部分的欠失;I7遺伝子の完全または部分的欠失、およびA46R遺伝子の完全または部分的欠失からなる群より選択される。本明細書で使用される場合、ウイルス遺伝子への言及は、遺伝子によってコードされるタンパク質(例えば、A33遺伝子は、A33タンパク質をコードする遺伝子を意味し得る)への言及によって行うことができる。いくつかの実施形態では、置換、挿入および欠失の任意の組み合わせを含むウイルス骨格突然変異は、ウイルス遺伝子または遺伝子によってコードされるウイルスタンパク質の野生型配列と100%、99%、98、%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%またはそれ未満の配列相同性を有する配列をもたらし得る。ウイルス遺伝子およびそれによってコードされるタンパク質は、いくつかの実施形態では、B15R、K7R、B14R、N1L、K1L、M2L、A49R、VH1、A33、A1、A2、I7、およびA46Rからなる群より選択される。いくつかの実施形態では、ウイルス骨格は、ウイルスタンパク質のアミノ酸配列(例えば、ウイルス抗原)に1、2、3、4、5、またはそれを超える突然変異を含み得る。ウイルス抗原は、いくつかの例では、B15R、K7R、B14R、N1L、K1L、M2L、A49R、VH1、A33、A1、A2、I7、およびA46Rからなる群より選択される。本開示は、いくつかの実施形態では、突然変異が免疫応答のT細胞アームを増加させるように、ウイルス(ウイルス骨格)のゲノムにもう1つの突然変異を含む組換えワクシニアウイルスを提供する。突然変異は、ウイルスゲノム(ワクシニアウイルスの野生型または弱毒化ネイティブ株)中の1つまたはそれを超える核酸の付加、欠失または置換であり得る。非限定的な例では、突然変異は、Th1免疫応答に関与するサイトカインを阻害することが知られている遺伝子の完全または部分的な欠失であり得る。非限定的な例として、突然変異は、B8R(インターフェロンガンマ(IFN-g)結合タンパク質)、C12L(インターロイキン-18(IL-18)結合タンパク質)をコードする核酸の欠失であり得る。更なる非限定的な例では、突然変異は、自然免疫シグナル伝達における遺伝子の完全または部分的な欠失であり得る。非限定的な例として、突然変異は、(B18R(I型インターフェロン(IFN)結合タンパク質);A52R(核因子κB(NF-κB)阻害タンパク質);E3L(プロテインキナーゼ(PKR)阻害剤);C4、C16(STING経路阻害剤)をコードする核酸の欠失であり得る。更なる非限定的な例では、突然変異は、免疫応答の他の成分の阻害のためのタンパク質をコードする遺伝子の完全または部分的な欠失であり得る。非限定的な例として、突然変異は、B15、K7、B14、N1、K1、M2、A49、VH1、A46またはそれらの組み合わせをコードする核酸の完全または部分的な欠失であり得る。ウイルス骨格突然変異はまた、ワクシニア病原性遺伝子を他のポックスウイルスからの実質的に同等の機能の遺伝子で置換することを含み得る。本明細書で提供されるワクシニアウイルスは、ウイルスゲノムにおける更なる挿入、突然変異、欠失または置換を含む。ワクシニアウイルスは、ケモカイン受容体、TRIFタンパク質もしくはその機能的ドメインの1つもしくはそれを超えるもの、またはレプチン、インターロイキン-2(IL2)、インターロイキン-15/インターロイキン-15Ra(IL15/IL15Ra)、インターロイキン-7(IL-7)、レプチン-インターロイキン融合タンパク質(例えば、実施例1にL2として示されるレプチン-IL2融合タンパク質)の1つもしくはそれを超えるものをコードする外因性核酸の1つもしくはそれを超える追加の挿入または部分的な挿入を含み得る。ケモカイン受容体の挿入などの修飾は、野生型および/または突然変異型CXCR4、CCR2、CCL2の挿入である。ワクシニアウイルスは、A52R、B15R、K7R、A46R、N1L、E3L、K1L、M2L、C16、N2R、B8R、B18R、VH1およびその機能的ドメインもしくは断片もしくはバリアント、またはそれらの任意の組み合わせからの1つもしくはそれを超える遺伝子の1つもしくはそれを超える追加の欠失または部分的欠失をさらに含み得る。場合によっては、本明細書で提供されるワクシニアウイルスは、A52R遺伝子の完全または部分的欠失およびCCR2などのケモカイン受容体の挿入を含み得る。場合によっては、本明細書で提供されるワクシニアウイルスは、A52RまたはTKウイルス遺伝子の少なくとも1つの完全または部分的欠失、および融合タンパク質(例えば、サイトカインに融合した代謝調節タンパク質、例えばレプチン-IL2融合タンパク質)をコードする外因性核酸の挿入を含み得る。
追加のベクター
【0068】
本明細書に記載される核酸コンストラクトの送達のためのベクターは、トランスフェクションの物理的、化学的または生物学的手段を含み得る。いくつかの実施形態では、ベクターは、本明細書に記載されるタンパク質の送達を提供する。いくつかの実施形態では、ベクターは脂質ナノ粒子担体である。
【0069】
いくつかの実施形態では、物理的トランスフェクションは、エレクトロポレーション、熱支援遺伝子導入、バイオリスティック(または遺伝子銃)、マイクロインジェクション、レーザー支援トランスフェクション、超音波支援遺伝子導入、流体力学的遺伝子導入、マグネトフェクション、もしくは機械的マッサージ、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、レーザー支援トランスフェクションは、光注入、レーザー影響応力波、光化学的内在化、または光吸収粒子を介した選択的細胞標的化を含む。いくつかの実施形態では、マイクロインジェクションは、単一の針またはアレイを含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、化学的トランスフェクションは、リン酸カルシウム媒介トランスフェクション;ジエチルアミノエチル(DEAE)デキストラン媒介トランスフェクション;カチオン性脂質媒介トランスフェクション;リポソーム;ポリマー;他のナノ粒子、例えば金、シリカ、カーボンナノチューブ、水溶性フラーレン、シリコンナノワイヤ、もしくは量子ドット;またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0071】
いくつかの実施形態では、トランスフェクションは、カチオン性、イオン化可能、または他のタイプの脂質によって媒介される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される脂質は、テトラキス(8-メチルノニル)3,3’,3’’,3’’’-(((メチルアザンジイル)ビス(プロパン-3,1-ジイル))ビス(アザントリイル))テトラプロピオネート(306Oi10);デシル(2-(ジオクチルアンモニオ)エチル)ホスフェート(9A1P9);エチル5,5-ジ((Z)-ヘプタデカ-8-エン-1-イル)-1-(3-(ピロリジン-1-イル)プロピル)-2,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-カルボキシレート(A2-イソ5-2DC18);((4-ヒドロキシブチル)アザンジイル)ビス(ヘキサン-6,1-ジイル)ビス(2-ヘキシルデカノエート)(ALC-0315);2-[(ポリエチレングリコール)-2000]-N,N-ジテトラデシルアセトアミド(ALC-0159);(3S,8S,9S,10R,13R,14S,17R)-17-((2R,5R)-5-エチル-6-メチルヘプタン-2-イル)-10,13ジメチル-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-オール(β-シトステロール);ビス(2-(ドデシルジスルファニル)エチル)3,3’-((3-メチル-9-オキソ-10-オキサ-13,14-ジチア-3,6-ジアザヘキサコシル)アザンジイル)ジプロピオネート(BAME-O16B);2-(((((3S,8S,9S,10R,13R,14S,17R)-10,13-ジメチル-17-((R)-6-メチルヘプタン-2-イル)-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル)オキシ)カルボニル)アミノ)-N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-N-メチルエタン-1-アミニウムブロミド(BHEM-コレステロール);1,1’-((2-(4-(2-((2-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)ピペラジン-1-イル)エチル)アザンジイル)ビス(ドデカン-2-オール)(C12-200);3,6-ビス(4-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)ブチル)ピペラジン-2,5-ジオン(cKK-E12);3β-[N-(N’,N’-ジメチルアミノエタン)-カルバモイル]コレステロール(DC-コレステロール);(6Z,9Z,28Z,31Z)-ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-イル-4-(ジメチルアミノ)ブタノエート(DLin-MC3-DMA);1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-エタノールアミン(DOPE);2,3-ジオレイルオキシ-N-[2-(スペルミンカルボキサミド)エチル]-N,N-ジメチル-1-プロパンアミニウムトリフルオロアセテート(DOSPA);1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(DOTAP);1,2-ジ-O-オクタデセニル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(DOTMA);1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;ePC、エチルホスファチジルコリン(DSPC);ヘキサ(オクタン-3-イル)9,9’,9’’,9’’’,9’’’’、9’’’’’-((((ベンゼン-1,3,5-トリカルボニル)イリス(アザンジイル))トリス(プロパン-3,1-ジイル))トリス(アザントリイル))ヘキサノナノエート(FTT5);ヘプタデカン-9-イル8-((2-ヒドロキシエチル)(6-オキソ-6-(ウンデシルオキシ)ヘキシル)アミノ)オクタノエート(脂質H(SM-102));(((3,6-ジオキソピペラジン-2,5-ジイル)ビス(ブタン-4,1-ジイル))ビス(アザントリイル))テトラキス(エタン-2,1-ジイル)(9Z,9’Z,9’’Z,9’’’Z,12Z,12’Z,12’’Z,12’’’Z)-テトラキス(オクタデカ-9,12-ジエノエート)(OF-Deg-Lin);1,2-ジミリストイル-rac-グリセロ-3-メトキシポリエチレングリコール-2000(PEG2000-DMG);N,N,N-トリス(3-(ジドデシルアミノ)プロピル)ベンゼン-1,3,5-トリカルボキサミド(TT3)、ジオクタデシル-アミド分解-スペルミン、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるリポソームは、荷電されているまたは中性である。いくつかの実施形態では、リポソームは単層または多層小胞である。いくつかの実施形態では、リポソームは逆性リポソームである。
【0073】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるポリマーは、カチオン性ペプチドおよびその誘導体、例えばポリオルニチンまたはポリリジンを含む。いくつかの実施形態では、カチオン性ポリマーは、ポリエチレンイミンまたはポリブレンを含む直鎖または分岐合成ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、カチオン性ポリマーは、キトサンまたはシクロデキストリンを含む多糖系送達化合物を含む。いくつかの実施形態では、カチオン性ポリマーは、コラーゲンまたはヒストンを含む天然ポリマーを含む。
【0074】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるカーボンナノチューブ(CNT)は、単層カーボンナノチューブ(SWNT)、多層カーボンナノチューブ(MWNT)またはそれを超えるカーボンナノチューブを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるCNTは、円筒状に巻かれた同心シートを含む。
【0075】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される量子ドットは、カドミウム、セレン化物、ケイ素、ヒ化インジウム、硫化カドミウム(admium sulphide)、またはそれらの任意の組み合わせなどの半導体材料で作製されたナノ粒子を含む。
【0076】
いくつかの実施形態では、生物学的トランスフェクションは、バクテリオファージ、ウイルス様粒子(VLP)、赤血球ゴースト、バクトフェクション、エキソソーム、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
核酸
【0077】
本明細書に記載される融合コンストラクトをコードする核酸が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、核酸は融合タンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、全長タンパク質、全長タンパク質の切断型、全長タンパク質の機能性ドメイン、全長タンパク質の断片、全長タンパク質のバリアント、またはそれらの任意の組み合わせを含む。全長タンパク質のバリアントは、いくつかの例では、アミノ酸置換(保存的または非保存的)、欠失、付加、修飾、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、核酸はケモカイン受容体をコードする。いくつかの実施形態では、核酸は、腫瘍壊死スーパーファミリーメンバーリガンド(TNFSF-L)を含む三量体化融合タンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、核酸は、リンホトキシンαリガンド、OX40リガンド、CD40リガンド、Fasリガンド、CD27リガンド、CD30リガンド、CD137リガンド、TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、核因子κ-βリガンドの受容体活性化因子(RANKL)、TNF関連アポトーシス弱誘導因子、A増殖誘導リガンド(APRIL)、B細胞活性化因子(BAFF)、LIGHT、血管内皮成長阻害剤(VEGI)、TNFスーパーファミリーメンバー18リガンド(GITRL)、エクトジスプラシンA、その断片、またはそれらの任意の組み合わせをコードする。
【0078】
TNFSF-Lおよびオリゴマー化ドメインを含む融合コンストラクトをコードする核酸が本明細書で提供される。含まれる例示的なTNFSF-Lとしては、リンホトキシンα、OX40リガンド、CD40リガンド、Fasリガンド、CD27リガンド、CD30リガンド、CD137リガンド、TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、核因子κ-βリガンドの受容体活性化因子(RANKL)、TNF関連アポトーシス弱誘導因子、A増殖誘導リガンド(APRIL)、B細胞活性化因子(BAFF)、LIGHT、血管内皮成長阻害剤(VEGI)、TNFスーパーファミリーメンバー18リガンド(GITRL)、エクトジスプラシンA、またはそれらの任意の組み合わせ由来の機能性ドメインが挙げられる。例示的なオリゴマー化ドメインとしては、限定されないが、サーファクタントタンパク質A(SP-A)、サーファクタントタンパク質D(SP-D)、マンノース結合レクチン(MBL)、コングルチニン、CL-43、CL-L1、CL-K1、CL-P1、またはCL-46由来のコレクチン領域が挙げられる。そのような特徴の組み合わせを含む例示的な融合コンストラクトの配列を表4(アミノ酸)および表5(核酸)に提供する。
表4.
【表4-1】
【表4-2】
表5.
【表5-1】
【表5-2】
【表5-3】
【0079】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される核酸をベクターと組み合わせる。いくつかの実施形態では、核酸はゲノムに組み込まれる。いくつかの実施形態では、ゲノムは、ウイルスゲノム、細菌ゲノム、または細胞のゲノムである。いくつかの実施形態では、細胞は哺乳動物細胞である。いくつかの実施形態では、標的細胞は免疫細胞である。いくつかの実施形態では、哺乳動物細胞は腫瘍細胞である。
【0080】
ここでは、融合タンパク質をコードする外因性核酸の1つもしくはそれを超えるものを含む修飾された腫瘍溶解性ウイルスが提供され、融合タンパク質は、全長タンパク質、全長タンパク質の切断型、全長タンパク質の機能性ドメイン、全長タンパク質の断片、全長タンパク質のバリアント、またはそれらの任意の組み合わせを含む。全長タンパク質のバリアントは、いくつかの例では、アミノ酸置換(保存的または非保存的)、欠失、付加、修飾、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、ケモカイン受容体をコードし得る外因性核酸(本明細書では導入遺伝子とも呼ばれる)を含む修飾された腫瘍溶解性ウイルスが本明細書で提供される。場合によっては、外因性核酸は治療導入遺伝子であり得る。いくつかの実施形態では、腫瘍壊死スーパーファミリーメンバーリガンド(TNFSF-L)を含む三量体化融合タンパク質をコードし得る外因性核酸を含む修飾された腫瘍溶解性ウイルスが本明細書で提供される。
【0081】
いくつかの実施形態では、修飾された腫瘍溶解性ウイルスは、リンホトキシンαリガンド、OX40リガンド、CD40リガンド、Fasリガンド、CD27リガンド、CD30リガンド、CD137リガンド、TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、核因子κ-βリガンドの受容体活性化因子(RANKL)、TNF関連アポトーシス弱誘導因子、A増殖誘導リガンド(APRIL)、B細胞活性化因子(BAFF)、LIGHT、血管内皮成長阻害剤(VEGI)、TNFスーパーファミリーメンバー18リガンド(GITRL)、エクトジスプラシンA、その断片、またはそれらの任意の組み合わせをコードする外因性核酸を含む。これらのタンパク質の各々または任意の組み合わせは、骨格腫瘍溶解性ウイルスのより大きな治療上の利益に寄与し得る。
【0082】
いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスの修飾は、修飾を含まない他の点では同一の腫瘍溶解性ウイルスと比較して、ウイルスの腫瘍標的全身送達の有効性の少なくとも約1.1、1.2、1.5、1.8、2、2.2、2.5、2.8、3、3.2、3.5、3.8、4、4.2、4.5、4.8、5、5.2、5.5、5.8、6、6.2、6.5、6.8、7、7.2、7.5、7.8、8、8.2、8.5、8.8、9、9.2、9.5、9.8、10、12、14、15、16、18、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、200、250、500、800、1000、2500、5000、1×10、2.5×10、5×10、7.5×10、1×10、2.5×10、5×10、7.5×10、1×10、2.5×10、5×10、7.5×10、1×10、2.5×10、5×10、7.5×10、1×10、2.5×10、5×10、7.5×10、1×10、2.5×10、5×10、7.5×10、1×1010倍またはそれを超える増加をもたらし得る。いくつかの実施形態では、ウイルスの腫瘍標的全身送達の有効性は、腫瘍細胞に感染するウイルスを定量化することによって、必要に応じて体内の非腫瘍細胞に感染するウイルスとは対照的に測定することができる。いくつかの実施形態では、ウイルスの定量化は、組織切片中のウイルス粒子、または白血病、リンパ腫、もしくは骨髄腫の場合の血液スメアを染色することによって行うことができる。いくつかの実施形態では、定量化は、ウイルス、例えばルシフェラーゼおよび蛍光タンパク質によって発現されるように操作されたレポーター分子によって行うことができる。場合によっては、そのような定量化は、腫瘍中のウイルスゲノムを定量化することによって行うことができる。限定されるものではないが、ウイルスの腫瘍標的全身送達は、腫瘍細胞におけるウイルス感染の特定の下流効果、例えばウイルス感染またはリンパ球蓄積に応答したサイトカインを定量化することによって測定することができる。いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスは、腫瘍壊死スーパーファミリーメンバーリガンド(TNFSF-L)領域を含む細胞外放出のために設計されたオリゴマー化融合タンパク質をコードし得る外因性核酸を含み、外因性核酸の存在は、外因性核酸を含まない他の点では同一の腫瘍溶解性ウイルスと比較して、ウイルスの腫瘍標的全身送達の有効性の約5倍~10倍の増加をもたらし得る。
【0083】
いくつかの実施形態では、修飾された腫瘍溶解性ウイルスは、TNFSF-L領域およびオリゴマー化領域を含む細胞外放出のために設計された三量体化融合タンパク質をコードする外因性核酸を含み、修飾された腫瘍溶解性ウイルスによるこの融合タンパク質の発現は、感染した腫瘍に対する免疫応答の増強をもたらし得る。その結果、腫瘍内の免疫抑制性微小環境を変化させることができ、前述の融合タンパク質をコードする核酸を含む点の他では同一のウイルスと比較して、修飾された腫瘍溶解性ウイルスの免疫療法活性の増強をもたらす。いくつかの実施形態では、免疫療法活性の増加は、少なくとも約1.1、1.1、1.2、1.5、1.8、2、2.2、2.5、2.8、3、3.2、3.5、3.8、4、4.2、4.5、4.8、5、5.2、5.5、5.8、6、6.2、6.5、6.8、7、7.2、7.5、7.8、8、8.2、8.5、8.8、9、9.2、9.5、9.8、10、12、14、15、16、18、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、200、250、500、800、1000、2500、5000、1×10、2.5×10、5×10、7.5×10、2.5×10、5×10、1×10倍またはそれを超える増加であり得る。限定されるものではないが、免疫療法活性の増加は、腫瘍におけるB細胞蓄積の増加、腫瘍関連免疫原に対するT細胞応答の増加、またはその両方によって反映され得る。B細胞蓄積は、例えば、腫瘍中のB細胞を定量化することによって測定することができ、T細胞免疫活性は、例えば、ELISPOTアッセイにおけるインターフェロン-γ(インターフェロン-γ)分泌によって測定することができる。
【0084】
TNFSF-Lおよびオリゴマー化ドメインを含む融合コンストラクトをコードする外因性核酸配列を含む腫瘍溶解性ウイルスが本明細書で提供される。含まれる例示的なTNFSF-Lとしては、リンホトキシンα、OX40リガンド、CD40リガンド、Fasリガンド、CD27リガンド、CD30リガンド、CD137リガンド、TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、核因子κ-βリガンドの受容体活性化因子(RANKL)、TNF関連アポトーシス弱誘導因子、A増殖誘導リガンド(APRIL)、B細胞活性化因子(BAFF)、LIGHT、血管内皮成長阻害剤(VEGI)、TNFスーパーファミリーメンバー18リガンド(GITRL)、エクトジスプラシンA、それらの任意の組み合わせ由来の機能性ドメインが挙げられる。例示的なオリゴマー化ドメインとしては、限定されないが、サーファクタントタンパク質A(SP-A)、サーファクタントタンパク質D(SP-D)、マンノース結合レクチン(MBL)、コングルチニン、CL-43、CL-L1、CL-K1、CL-P1、またはCL-46由来のコレクチン領域が挙げられる。そのような特徴の組み合わせを含む例示的な融合コンストラクトを表4(アミノ酸)および表5(核酸)に提供する。
症状および投与
【0085】
本明細書では、癌の処置のための発現系に使用するための融合コンストラクトが提供される。いくつかの実施形態では、融合コンストラクトは、癌細胞内で発現される。いくつかの実施形態では、癌は血液癌(別名造血癌)または固形癌である。いくつかの実施形態では、癌は、限定されないが、黒色腫、肝細胞癌、乳癌、肺癌、腹膜癌、前立腺癌、膀胱癌、卵巣癌、白血病、リンパ腫、腎臓癌、膵臓癌、上皮癌、胃癌、結腸癌、十二指腸癌、膵臓腺癌、中皮腫、多形性膠芽腫、星状細胞腫、多発性骨髄腫、前立腺癌、肝細胞癌、胆管肉腫、膵臓腺癌、頭頸部扁平上皮癌、結腸直腸癌、腸型胃癌、子宮頚扁平上皮癌、骨肉腫、上皮卵巣癌、急性リンパ芽球性リンパ腫、骨髄増殖性腫瘍、または肉腫を含む。いくつかの実施形態では、癌は、膀胱癌、血液癌、骨癌、骨髄癌、脳癌、乳癌、結腸癌、食道癌、消化管癌、歯肉癌、頭部癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、上咽頭癌、頸部癌、卵巣癌、前立腺癌、皮膚癌、胃癌、精巣癌、舌癌、または子宮癌を含む。
【0086】
いくつかの実施形態では、融合コンストラクトは免疫細胞において発現される。いくつかの実施形態では、細胞はリンパ系細胞または骨髄系細胞である。いくつかの実施形態では、リンパ系細胞は、B細胞、ナチュラルキラー細胞、またはT細胞である。いくつかの実施形態では、T細胞はエフェクター細胞である。いくつかの実施形態では、エフェクター細胞は細胞傷害性T細胞またはCD8+細胞である。いくつかの実施形態では、エフェクター細胞はヘルパー細胞またはCD4+細胞である。いくつかの実施形態では、エフェクター細胞は制御性T細胞である。いくつかの実施形態では、T細胞はメモリーT細胞である。いくつかの実施形態では、骨髄系細胞は好中球、好酸球、または単球である。
【0087】
本明細書では、腫瘍細胞成長の低減のための発現系で使用するための融合コンストラクトが提供される。いくつかの実施形態では、腫瘍は液体腫瘍または固形腫瘍である。いくつかの実施形態では、腫瘍は、黒色腫、肝細胞癌、乳房腫瘍、肺腫瘍、腹膜腫瘍、前立腺腫瘍、膀胱腫瘍、卵巣腫瘍、白血病、リンパ腫、腎臓癌腫、膵臓癌腫、上皮癌腫、胃腫瘍、結腸癌腫、十二指腸腫瘍、膵臓腺癌、中皮腫、多形性膠芽腫、星状細胞腫、多発性骨髄腫、前立腺癌、肝細胞癌、胆管肉腫、膵臓腺癌、頭頸部扁平上皮癌、結腸直腸腫瘍、腸型胃癌、子宮頚扁平上皮癌、骨肉腫、上皮卵巣癌、急性リンパ芽球性リンパ腫、骨髄増殖性腫瘍、または肉腫を含む。いくつかの実施形態では、腫瘍は、膀胱腫瘍、血液腫瘍、骨腫瘍、骨髄腫瘍、脳腫瘍、乳房腫瘍、結腸腫瘍、食道腫瘍、消化管腫瘍、歯肉腫瘍、頭部腫瘍、腎臓腫瘍、肝臓腫瘍、肺腫瘍、上咽頭腫瘍、頸部腫瘍、卵巣腫瘍、前立腺腫瘍、皮膚腫瘍、胃腫瘍、精巣腫瘍、舌腫瘍、または子宮腫瘍を含む。
【0088】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に開示される1つまたはそれを超える修飾された腫瘍溶解性ウイルスの投与によって対象を処置する方法を提供する。「個体」または「対象」:本明細書で互換的に使用される場合、ヒトまたは非ヒト対象を指す。非ヒト対象の非限定的な例としては、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、ブタ、家禽、ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、甲殻類などが挙げられる。いくつかの実施形態では、対象はヒトである。
【0089】
いくつかの実施形態では、治療有効量の上記の腫瘍溶解性ワクシニアウイルスなどの修飾ウイルス、またはそれを含む医薬組成物を癌細胞に投与することを含む、癌細胞に毒性作用を生じさせる方法が本明細書で提供される。本開示はさらに、第2の癌細胞の成長および増殖のうちの少なくとも1つを阻害する方法であって、第1の癌細胞が上記ウイルスに感染するように、第1の癌細胞に上記の修飾された腫瘍溶解性ウイルスを投与することを含む方法を提供する。したがって、本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、治療有効量の本明細書に記載される腫瘍溶解性ワクシニアウイルス、またはそれを含む医薬組成物を投与すると、すべての癌または腫瘍細胞が感染するわけではなく、直接感染することなく非感染細胞の増殖を阻害することができると考えられる。
【0090】
いくつかの実施形態では、本開示の方法および組成物を使用して、腫瘍溶解を誘導し、細胞を死滅させ、増殖を阻害し、転移を阻害し、腫瘍サイズを減少させ、そうでなければ腫瘍細胞の悪性表現型を逆転または減少させるために、癌細胞または腫瘍を、治療有効用量の本明細書に記載される例示的な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスまたはそれを含む医薬組成物と接触させることができる。いくつかの実施形態では、有効量の本明細書に記載される腫瘍溶解性ワクシニアウイルスまたはその医薬組成物などの本開示の修飾された腫瘍溶解性ウイルスは、腫瘍溶解、癌細胞の破壊もしくは溶解または癌細胞の増殖もしくはサイズの阻害もしくは低減を誘導するのに十分な量を含み得る。癌細胞の成長を低下させることは、例えば、細胞死、または細胞を含む腫瘍のより遅い複製速度もしくは成長速度の低下、または癌細胞を含む対象の生存期間の延長によって現れ得る。
【0091】
いくつかの実施形態では、癌または腫瘍を有する対象を処置する方法であって、有効量の上記の核酸、融合タンパク質または修飾ウイルスを対象に投与することを含む方法が提供される。このような方法における有効量には、癌の成長速度もしくは広がりを低下させる量、または対象の生存期間を延長させる量が含まれ得る。本開示は、腫瘍の成長を低減させる方法を提供し、この方法は、有効量の上記の核酸、融合タンパク質または修飾された腫瘍溶解性ウイルスを腫瘍に投与することを含み得る。いくつかの実施形態では、有効量の核酸、融合タンパク質、もしくは修飾ウイルス、またはその医薬組成物は、腫瘍の成長またはサイズの遅延、阻害または低減を誘導するのに十分な量を含むことができ、腫瘍の根絶を含み得る。腫瘍の成長の低下は、例えば、腫瘍を含む対象の成長速度の低下または生存期間の延長によって現れ得る。
【0092】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される核酸は、約0.01μg/用量~約1g/用量または約0.5μg/用量~約500mg/用量の量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、核酸は、約0.01μg/用量、約0.05μg/用量、約0.1μg/用量、約0.5μg/用量、約1μg/用量、約5μg/用量、約10μg/用量、約50μg/用量、約100μg/用量、約500μg/用量、約1mg/用量、約5mg/用量、約10mg/用量、約50mg/用量、約100mg/用量、約500mg/用量、約1g/用量で対象に投与される。
【0093】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される細胞は、約0.01μg/用量~約1g/用量または約0.5μg/用量~約500mg/用量の量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、細胞は、約0.01μg/用量、約0.05μg/用量、約0.1μg/用量、約0.5μg/用量、約1μg/用量、約5μg/用量、約10μg/用量、約50μg/用量、約100μg/用量、約500μg/用量、約1mg/用量、約5mg/用量、約10mg/用量、約50mg/用量、約100mg/用量、約500mg/用量、約1g/用量で対象に投与される。
【0094】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される融合タンパク質は、約0.01μg/用量~約1g/用量または約0.5μg/用量~約500mg/用量の量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、約0.01μg/用量、約0.05μg/用量、約0.1μg/用量、約0.5μg/用量、約1μg/用量、約5μg/用量、約10μg/用量、約50μg/用量、約100μg/用量、約500μg/用量、約1mg/用量、約5mg/用量、約10mg/用量、約50mg/用量、約100mg/用量、約500mg/用量、約1g/用量で対象に投与される。
【0095】
いくつかの実施形態では、対象に投与される本開示の修飾された腫瘍溶解性ウイルス、例えば腫瘍溶解性ウイルスまたはワクシニアウイルスの量は、約10~1012感染性ウイルス粒子またはプラーク形成単位(PFU)、または約10~1010PFU、または約10~10PFU、または約10~1010PFUである。いくつかの実施形態では、対象に投与される本開示の修飾された腫瘍溶解性ウイルス、例えば腫瘍溶解性ウイルスまたはワクシニアウイルスの量は、約10~1012ウイルス粒子またはプラーク形成単位(PFU)、または約10~1010PFU、または約10~10PFU、または約10~1010PFUである。いくつかの実施形態では、本開示の修飾された腫瘍溶解性ウイルス、例えば腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、約10PFU/用量~約10PFU/用量、約10PFU/用量~約10PFU/用量、約10PFU/用量~約10PFU/用量、約10PFU/用量~約10PFU/用量、約10PFU/用量~約1010PFU/用量、約1010PFU/用量~約1011PFU/用量、約1011PFU/用量~約1012PFU/用量、約1012PFU/用量~約1013PFU/用量、約1013PFU/用量~約1014PFU/用量、または約1014PFU/用量~約1015PFU/用量を含み得る用量で投与される。いくつかの実施形態では、本開示の修飾された腫瘍溶解性ウイルス、例えば腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、約2×10PFU/用量、3×10PFU/用量、4×10PFU/用量、5×10PFU/用量、6×10PFU/用量、7×10PFU/用量、8×10PFU/用量、9×10PFU/用量、約10PFU/用量、約2×10PFU/用量、約3×10PFU/用量、約4×10PFU/用量、約5×10PFU/用量、約6×10PFU/用量、約7×10PFU/用量、約8×10PFU/用量、約9×10PFU/用量、約10PFU/用量、2×10PFU/用量、約3×10PFU/用量、約4×10PFU/用量、約5×10PFU/用量、約6×10PFU/用量、約7×10PFU/用量、約8×10PFU/用量、約9×10PFU/用量、約10PFU/用量、2×10PFU/用量、約3×10PFU/用量、約4×10PFU/用量、約5×10PFU/用量、約6×10PFU/用量、約7×10PFU/用量、約8×10PFU/用量、約9×10PFU/用量、約10PFU/用量、2×10PFU/用量、約3×10PFU/用量、約4×10PFU/用量、約5×10PFU/用量、約6×10PFU/用量、約7×10PFU/用量、約8×10PFU/用量、約9×10PFU/用量、約10PFU/用量、2×10PFU/用量、約3×10PFU/用量、約4×10PFU/用量、約5×10PFU/用量、約6×10PFU/用量、約7×10PFU/用量、約8×10PFU/用量、約9×10PFU/用量、約10PFU/用量、2×10PFU/用量、約3×10PFU/用量、約4×10PFU/用量、約5×10PFU/用量、約6×10PFU/用量、約7×10PFU/用量、約8×10PFU/用量、約9×10PFU/用量、約1010PFU/用量、2×1010PFU/用量、約3×1010PFU/用量、約4×1010PFU/用量、約5×1010PFU/用量、約6×1010PFU/用量、約7×1010PFU/用量、約8×1010PFU/用量、約9×1010PFU/用量、約1010PFU/用量、2×1010PFU/用量、約3×1010PFU/用量、約4×1010PFU/用量、約5×1010PFU/用量、約6×1010PFU/用量、約7×1010PFU/用量、約8×1010PFU/用量、約9×1010PFU/用量、約1011PFU/用量、2×1011PFU/用量、約3×1011PFU/用量、約4×1011PFU/用量、約5×1011PFU/用量、約6×1011PFU/用量、約7×1011PFU/用量、約8×1011PFU/用量、約9×1011PFU/用量、約1012PFU/用量、約1012PFU/用量~約1013PFU/用量、約1013PFU/用量~約1014PFU/用量、または約1014PFU/用量~約1015PFU/用量を含み得る用量で投与され得る。いくつかの実施形態では、本開示の修飾された腫瘍溶解性ウイルス、例えば腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、5×10PFU/用量を含み得る用量で投与され得る。いくつかの実施形態では、本開示の修飾された腫瘍溶解性ウイルス、例えば腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、5×10PFU/用量までを含み得る用量で投与され得る。
【0096】
いくつかの実施形態では、本開示の修飾された腫瘍溶解性ウイルス、例えば腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、約10ウイルス粒子/用量~約10ウイルス粒子/用量、約10ウイルス粒子/用量~約10ウイルス粒子/用量、約10ウイルス粒子/用量~約10ウイルス粒子/用量、約10ウイルス粒子/用量~約10ウイルス粒子/用量、約10ウイルス粒子/用量~約1010ウイルス粒子/用量、約1010ウイルス粒子/用量~約1011ウイルス粒子/用量、約1011ウイルス粒子/用量~約1012ウイルス粒子/用量、約1012ウイルス粒子/用量~約1013ウイルス粒子/用量、約1013ウイルス粒子/用量~約1014ウイルス粒子/用量、または約1014ウイルス粒子/用量~約1015ウイルス粒子/用量を含み得る用量で投与され得る。
【0097】
いくつかの実施形態では、本開示の修飾された腫瘍溶解性ウイルスは、約10PFU/kg~約10PFU/kg、約10PFU/kg~約10PFU/kg、約10PFU/kg~約10PFU/kg、約10PFU/kg~約10PFU/kg、約10PFU/kg~約1010PFU/kg、約1010PFU/kg~約1011PFU/kg、約1011PFU/kg~約1012PFU/kg、約1012PFU/kg~約1013PFU/kg、約1013PFU/kg~約1014PFU/kg、または約1014PFU/kg~約1015PFU/kgを含み得る用量で投与され得る。いくつかの実施形態では、本開示の修飾された腫瘍溶解性ウイルス、例えば腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、約2×10PFU/kg、3×10PFU/kg、4×10PFU/kg、5×10PFU/kg、6×10PFU/kg、7×10PFU/kg、8×10PFU/kg、9×10PFU/kg、約10PFU/kg、約2×10PFU/kg、約3×10PFU/kg、約4×10PFU/kg、約5×10PFU/kg、約6×10PFU/kg、約7×10PFU/kg、約8×10PFU/kg、約9×10PFU/kg、約10PFU/kg、2×10PFU/kg、3×10PFU/kg、4×10PFU/kg、5×10PFU/kg、6×10PFU/kg、7×10PFU/kg、8×10PFU/kg、9×10PFU/kg、約10PFU/kg、2×10PFU/kg、3×10PFU/kg、4×10PFU/kg、5×10PFU/kg、6×10PFU/kg、7×10PFU/kg、8×10PFU/kg、9×10PFU/kg、約10PFU/kg、2×10PFU/kg、3×10PFU/kg、4×10PFU/kg、5×10PFU/kg、6×10PFU/kg、7×10PFU/kg、8×10PFU/kg、9×10PFU/kg、約10PFU/kg、2×10PFU/kg、3×10PFU/kg、4×10PFU/kg、5×10PFU/kg、6×10PFU/kg、7×10PFU/kg、8×10PFU/kg、9×10PFU/kg、約10PFU/kg、2×10PFU/kg、3×10PFU/kg、4×10PFU/kg、5×10PFU/kg、6×10PFU/kg、7×10PFU/kg、8×10PFU/kg、9×10PFU/kg、約1010PFU/kg、2×1010PFU/kg、3×1010PFU/kg、4×1010PFU/kg、5×1010PFU/kg、6×1010PFU/kg、7×1010PFU/kg、8×1010PFU/kg、9×1010PFU/kg、約1010PFU/kg、2×1010PFU/kg、3×1010PFU/kg、4×1010PFU/kg、5×1010PFU/kg、6×1010PFU/kg、7×1010PFU/kg、8×1010PFU/kg、9×1010PFU/kg、約1011PFU/kg、2×1011PFU/kg、3×1011PFU/kg、4×1011PFU/kg、5×1011PFU/kg、6×1011PFU/kg、7×1011PFU/kg、8×1011PFU/kg、9×1011PFU/kg、または約1012PFU/kg、約1012PFU/kg~約1013PFU/kg、約1013PFU/kg~約1014PFU/kg、または約1014PFU/kg~約1015PFU/kgを含み得る用量で投与され得る。いくつかの実施形態では、本開示の修飾された腫瘍溶解性ウイルス、例えば腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、5×10PFU/kgを含み得る用量で投与され得る。いくつかの実施形態では、本開示の修飾された腫瘍溶解性ウイルス、例えば腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、5×10PFU/kgまでを含み得る用量で投与され得る。
【0098】
いくつかの実施形態では、本開示の修飾された腫瘍溶解性ウイルスは、約10ウイルス粒子/kg~約10ウイルス粒子/kg、約10ウイルス粒子/kg~約10ウイルス粒子/kg、約10ウイルス粒子/kg~約10ウイルス粒子/kg、約10ウイルス粒子/kg~約10ウイルス粒子/kg、約10ウイルス粒子/kg~約1010ウイルス粒子/kg、約1010ウイルス粒子/kg~約1011ウイルス粒子/kg、約1011ウイルス粒子/kg~約1012ウイルス粒子/kg、約1012ウイルス粒子/kg~約1013ウイルス粒子/kg、約1013ウイルス粒子/kg~約1014ウイルス粒子/kg、または約1014ウイルス粒子/kg~約1015ウイルス粒子/kgを含み得る用量で投与され得る。
【0099】
本明細書に記載される腫瘍溶解性ワクシニアウイルスの液体剤形は、いくつかの実施形態では、約10PFU/mL~約10PFU/mL、約10PFU/mL~約10PFU/mL、約10PFU/mL~約10PFU/mL、約10PFU/mL~約10PFU/mL、約10PFU/mL~約1010PFU/mL、約1010PFU/mL~約1011PFU/mL、約1011PFU/mL~約1012PFU/mL、約1012PFU/mL~約1013PFU/mL、約1013PFU/mL~約1014PFU/mLまたは約1014PFU/mL~約1015PFU/mLのウイルス量を含み得る。いくつかの実施形態では、本開示の修飾された腫瘍溶解性ウイルス、例えば腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、約2×10PFU/mL、3×10PFU/mL、4×10PFU/mL、5×10PFU/mL、6×10PFU/mL、7×10PFU/mL、8×10PFU/mL、9×10PFU/mL、約10PFU/mL、約2×10PFU/mL、約3×10PFU/mL、約4×10PFU/mL、約5×10PFU/mL、約6×10PFU/mL、約7×10PFU/mL、約8×10PFU/mL、約9×10PFU/mL、約10PFU/mL、2×10PFU/mL、3×10PFU/mL、4×10PFU/mL、5×10PFU/mL、6×10PFU/mL、7×10PFU/mL、8×10PFU/mL、9×10PFU/mL、約10PFU/mL、2×10PFU/mL、3×10PFU/mL、4×10PFU/mL、5×10PFU/mL、6×10PFU/mL、7×10PFU/mL、8×10PFU/mL、9×10PFU/mL、約10PFU/mL、2×10PFU/mL、3×10PFU/mL、4×10PFU/mL、5×10PFU/mL、6×10PFU/mL、7×10PFU/mL、8×10PFU/mL、9×10PFU/mL、約10PFU/mL、2×10PFU/mL、3×10PFU/mL、4×10PFU/mL、5×10PFU/mL、6×10PFU/mL、7×10PFU/mL、8×10PFU/mL、9×10PFU/mL、約10PFU/mL、2×10PFU/mL、3×10PFU/mL、4×10PFU/mL、5×10PFU/mL、6×10PFU/mL、7×10PFU/mL、8×10PFU/mL、9×10PFU/mL、約1010PFU/mL、2×1010PFU/mL、3×1010PFU/mL、4×1010PFU/mL、5×1010PFU/mL、6×1010PFU/mL、7×1010PFU/mL、8×1010PFU/mL、9×1010PFU/mL、約1010PFU/mL、2×1010PFU/mL、3×1010PFU/mL、4×1010PFU/mL、5×1010PFU/mL、6×1010PFU/mL、7×1010PFU/mL、8×1010PFU/mL、9×1010PFU/mL、約1011PFU/mL、2×1011PFU/mL、3×1011PFU/mL、4×1011PFU/mL、5×1011PFU/mL、6×1011PFU/mL、7×1011PFU/mL、8×1011PFU/mL、9×1011PFU/mL、または約1012PFU/mL、約1012PFU/mL~約1013PFU/mL、約1013PFU/mL~約1014PFU/mL、または約1014PFU/mL~約1015PFU/mLを含み得る用量で投与され得る。いくつかの実施形態では、本開示の修飾された腫瘍溶解性ウイルス、例えば腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、5×10PFU/mLを含み得る用量で投与され得る。いくつかの実施形態では、本開示の修飾された腫瘍溶解性ウイルス、例えば腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、5×10PFU/mLまでを含み得る用量で投与され得る。
【0100】
いくつかの例では、修飾腫瘍溶解性ウイルスが注射によって投与される場合、投与量は、1回の注射につき約10個のウイルス粒子、1回の注射につき10個のウイルス粒子、1回の注射につき10個のウイルス粒子、1回の注射につき10個のウイルス粒子、1回の注射につき10個のウイルス粒子、1回の注射につき10個のウイルス粒子、1回の注射につき10個のウイルス粒子、1回の注射につき1010個のウイルス粒子、1回の注射につき1011個のウイルス粒子、1回の注射につき1012個のウイルス粒子、1回の注射につき2×1012個のウイルス粒子、1回の注射につき1013個のウイルス粒子、1回の注射につき1014個のウイルス粒子、または1回の注射につき1015個のウイルス粒子を含み得る。更なる例では、修飾腫瘍溶解性ウイルスが注射によって投与される場合、投与量は、1回の注射につき約10個の感染性ウイルス粒子、1回の注射につき10個の感染性ウイルス粒子、1回の注射につき10個の感染性ウイルス粒子、1回の注射につき10個の感染性ウイルス粒子、1回の注射につき10個の感染性ウイルス粒子、1回の注射につき10個の感染性ウイルス粒子、1回の注射につき10個の感染性ウイルス粒子、1回の注射につき1010個の感染性ウイルス粒子、1回の注射につき1011個の感染性ウイルス粒子、1回の注射につき1012個の感染性ウイルス粒子、1回の注射につき2×1012個の感染性ウイルス粒子、1回の注射につき1013個の感染性ウイルス粒子、1回の注射につき1014個の感染性ウイルス粒子、または1回の感染当たり1015個の感染性ウイルス粒子を含み得る。いくつかの実施形態では、ウイルスは、腫瘍中の細胞の少なくとも約20%、腫瘍中の細胞の少なくとも約30%、腫瘍中の細胞の少なくとも約40%、腫瘍中の細胞の少なくとも約50%、腫瘍中の細胞の少なくとも約60%、腫瘍中の細胞の少なくとも約70%、腫瘍中の細胞の少なくとも約80%、または腫瘍中の細胞の少なくとも約90%において腫瘍溶解を誘導するのに十分な量で投与することができる。
【0101】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物の単回用量は、1、2、5、10、15、20または24時間にわたって対象または腫瘍に投与される量を指すことができる。いくつかの実施形態では、用量は、経時的にまたは別個の注射によって広げることができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物の複数回用量(例えば、2、3、4、5、6またはそれを超える用量)を対象に投与することができ、例えば、第2の処置は、第1の処置の1、2、3、4、5、6、7日以内または1、2、3、4、5、6、7数週間以内に行うことができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物の複数回用量を、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日またはそれを超える期間にわたって対象に投与することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物または本明細書に記載される医薬組成物は、約1週間~約2週間、約2週間~約3週間、約3週間~約4週間、約4週間~約5週間、約6週間~約7週間、約7週間~約8週間、約8週間~約9週間、約9週間~約10週間、約10週間~約11週間、約11週間~約12週間、約12週間~約24週間、約24週間~約48週間、約48週間もしくは約52週間、またはそれを超える期間にわたって投与することができる。本明細書に記載される腫瘍溶解性ワクシニアウイルスまたは医薬組成物の投与頻度は、ある場合には、1日1回、1日2回、週に1回、3週間に1回、4週間に1回(または月に1回)、8週間に1回(または2ヶ月に1回)、12週間に1回(または3ヶ月に1回)、または24週間に1回(6ヶ月に1回)であり得る。本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ワクシニアウイルスまたは医薬組成物は、独立して、第1の期間の初期用量、第2の期間の中間用量、および第3の期間の高用量で投与することができる。いくつかの実施形態では、初期用量は中間用量よりも低く、中間用量は高用量よりも低い。いくつかの実施形態では、第1、第2、および第3の期間は、独立して、約1週間~約2週間、約2週間~約3週間、約3週間~約4週間、約4週間~約5週間、約6週間~約7週間、約7週間~約8週間、約8週間~約9週間、約9週間~約10週間、約10週間~約11週間、約11週間~約12週間、約12週間~約24週間、約24週間~約48週間、約48週間もしくは約52週間、またはそれを超える。
【0102】
医薬組成物の1つまたはそれを超える用量は、処置サイクルを含む。処置サイクルにおける2つまたはそれを超える用量は、医薬組成物が投与されない投与間隔によって隔てられ得る。1つまたはそれを超える処置サイクルは、一連の処置を含む。一連の処置における2つまたはそれを超える処置サイクルは、処置が提供されない処置間隔によって隔てられ得る。
【0103】
本明細書に記載される方法のいくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物、細胞、融合タンパク質、腫瘍溶解性ウイルス、またはワクシニアウイルスの1つまたはそれを超える用量は、処置サイクルを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物、細胞、融合タンパク質、腫瘍溶解性ウイルスまたはワクシニアウイルスの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれを超える用量は、処置サイクルを含む。いくつかの実施形態では、用量は、約1分、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約1日、またはそれを超える期間にわたって投与される。いくつかの実施形態では、処置サイクルにおけるすべての用量は、用量量および持続期間においてほぼ同じである。いくつかの実施形態では、処置サイクルにおける各用量は、任意の他の用量から独立している。いくつかの実施形態では、処置サイクルにおける2つまたはそれを超える用量は、用量が投与されない投与間隔によって隔てられる。いくつかの実施形態では、投与間隔は、約1分、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約1日、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約1ヶ月、約2ヶ月、約3ヶ月、約4ヶ月、約5ヶ月、約6ヶ月、約7ヶ月、約8ヶ月、約9ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、約1年、またはそれを超える期間である。いくつかの実施形態では、すべての投与間隔はほぼ同じである。いくつかの実施形態では、各投与間隔は、任意の他の投与間隔から独立している。
【0104】
本明細書に記載される方法のいくつかの実施形態では、1つまたはそれを超える処置サイクルは、一連の処置を含む。いくつかの実施形態では、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれを超える処置サイクルは、一連の処置を含む。本明細書に記載される処置サイクルは、持続期間が1~24時間、1~6日、1~4週間、1~12ヶ月またはそれを超える。いくつかの実施形態では、処置サイクルは、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、10時間、15時間、20時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月、またはそれを超える。いくつかの実施形態では、すべての処置サイクルはほぼ同じである。いくつかの実施形態では、各処置サイクルは、任意の他の処置サイクルから独立している。いくつかの実施形態では、2つまたはそれを超える処置サイクルは、処置が投与されない処置間隔によって隔てられる。いくつかの実施形態では、処置間隔は、1~6日、1~4週間、1~12ヶ月、1~5年、またはそれを超える。いくつかの実施形態では、処置間隔は、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約1ヶ月、約2ヶ月、約3ヶ月、約4ヶ月、約5ヶ月、約6ヶ月、約7ヶ月、約8ヶ月、約9ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、約1年間、約2年間、約3年間、約4年間、約5年間、またはそれを超える。いくつかの実施形態では、すべての処置間隔はほぼ同じである。いくつかの実施形態では、各処置間隔は、任意の他の処置間隔から独立している。
【0105】
本明細書に記載される方法のいくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物、細胞、融合タンパク質、腫瘍溶解性ウイルスまたはワクシニアウイルスによる1回またはそれを超える処置は、本明細書に記載される方法を含む。いくつかの実施形態では、1、2、3、4、5、6、7、8またはそれを超える処置のコースが方法を含む。いくつかの実施形態では、処置のコースは、1~6日、1~4週間、1~12ヶ月、1~5年、またはそれを超える。いくつかの実施形態では、処置のコースは、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約1ヶ月、約2ヶ月、約3ヶ月、約4ヶ月、約5ヶ月、約6ヶ月、約7ヶ月、約8ヶ月、約9ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、約1年間、約2年間、約3年間、約4年間、約5年間、またはそれを超える。いくつかの実施形態では、すべての処置のコースは同じである。いくつかの実施形態では、各処置のコースは、任意の他の処置のコースから独立している。いくつかの実施形態では、処置の各コースの後に、処置が投与されないコース間隔が続く。いくつかの実施形態では、コース間隔は、1~6日、1~4週間、1~12ヶ月、1~5年、またはそれを超える。いくつかの実施形態では、コース間隔は、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約1ヶ月、約2ヶ月、約3ヶ月、約4ヶ月、約5ヶ月、約6ヶ月、約7ヶ月、約8ヶ月、約9ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、約1年間、約2年間、約3年間、約4年間、約5年間、またはそれを超える。いくつかの実施形態では、コース間隔の持続期間は、疾患の発生率または再発に依存する。いくつかの実施形態では、すべてのコース間隔はほぼ同じである。いくつかの実施形態では、各コース間隔は、任意の他のコース間隔から独立している。
【0106】
いくつかの例では、対象は、本明細書に記載される任意の処置方法に従って、本明細書に記載される修飾された腫瘍溶解性ウイルス、例えば腫瘍溶解性ワクシニアウイルスまたはそれを含む医薬組成物の投与前、投与と同時および投与後に、炭水化物低減食、例えばケトン食を与えられ得る。いくつかの実施形態では、対象は、1日当たり500グラム未満の炭水化物、1日当たり450グラム未満の炭水化物、1日当たり450グラム未満の炭水化物、1日当たり400グラム未満の炭水化物、1日当たり350グラム未満の炭水化物、1日当たり300グラム未満の炭水化物、1日当たり250グラム未満の炭水化物、1日当たり200グラム未満の炭水化物、1日当たり150グラム未満の炭水化物、1日当たり100グラム未満の炭水化物、1日当たり90グラム未満の炭水化物、1日当たり80グラム未満の炭水化物、1日当たり70グラム未満の炭水化物、1日当たり60グラム未満の炭水化物、1日当たり50グラム未満の炭水化物、1日当たり40グラム未満の炭水化物、1日当たり30グラム未満の炭水化物、1日当たり20グラム未満の炭水化物、1日当たり10グラム未満の炭水化物を消費することを含み得る食事に置かれる。
【0107】
本明細書に記載される腫瘍溶解性ワクシニアウイルスまたはこれを含む医薬組成物などの本開示の修飾された腫瘍溶解性ウイルスを癌または腫瘍細胞に送達するための例示的な方法は、腫瘍内注射によるものであり得る。しかしながら、代替の投与方法も使用することができる。投与経路は、腫瘍の位置および性質によって異なり得る。いくつかの実施形態では、投与は局所投与または全身投与であり得る。いくつかの実施形態では、投与経路は、静脈内、局所(例えば、腫瘍、特に腫瘍の脈管構造または隣接脈管構造に近接して)、腹腔内、非経口、筋肉内、皮下、動脈内、経皮(percutaneous)、髄腔内、気管内、膀胱内、経皮(transdermal)、皮内、吸入、灌流、鼻腔内、尿道内、膣内、洗浄、経口、皮内、直腸、またはそれらの任意の組み合わせである。腫瘍溶解性ウイルスの注射可能な用量は、ボーラス注射または低速注入として投与することができる。いくつかの実施形態では、修飾された腫瘍溶解性ウイルスは、患者に埋め込まれた供給源から患者に投与することができる。いくつかの実施形態では、修飾された腫瘍溶解性ウイルスの投与は、選択された期間にわたる連続注入によって行うことができる。いくつかの例では、本明細書に記載される腫瘍溶解性ワクシニアウイルスまたはこれを含む医薬組成物を、約15分、約30分、約45分、約50分、約55分、約60分、約75分、約90分、約100分、または約120分またはそれを超える期間にわたる注入によって治療有効用量で投与することができる。本開示の腫瘍溶解性ウイルスまたは医薬組成物は、総投与量が約1mL~約5mL、約5mL~10mL、約15mL~約20mL、約25mL~約30mL、約30mL~約50mL、約50mL~約100mL、約100mL~150mL、約150mL~約200mL、約200mL~約250mL、約250mL~約300mL、約300mL~約350mL、約350mL~約400mL、約400mL~約450mL、約450mL~500mL、約500mL~750mLまたは約750mL~1000mLである液体投与量として投与することができる。
医薬組成物
【0108】
融合コンストラクトまたはそのようなコンストラクトをコードする核酸と、薬学的に許容され得る担体とを含む医薬組成物が本明細書で提供される。本明細書で使用される「薬学的に許容され得る」は、活性成分の生物学的活性の有効性を妨げない、および/または投与される患者に毒性でない任意の担体を含む。薬学的に許容され得る担体の非限定的な例としては、緩衝剤、水、エマルジョン、様々な種類の湿潤剤、滅菌溶液、保存剤、安定剤、圧縮剤、潤滑剤、キレート剤、分散増強剤、崩壊剤、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、緩衝液は、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、水中油型(O/W)エマルジョン、油中水型エマルジョン(W/O)、または多重エマルジョンである。薬学的に許容され得る担体の更なる非限定的な例としては、ゲル、生体吸着性ポリマー、融合コンストラクトもしくは核酸を含む埋め込み要素、または任意の他の適切なビヒクル、送達もしくは分注手段もしくは材料が挙げられ得る。いくつかの実施形態では、生体吸着性ポリマーは、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリジオキソン(PDO)、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、ゲルは、タンパク質、多糖、セルロース誘導体、合成ポリマー、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、タンパク質は、ゼラチン、コラーゲン、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、多糖は、ペクチン、ゲランガム(gellum gum)、アルギン酸、寒天、キサンチン、ケツメイシ(cassia tora)、トラガカント、カラギーナン、グアーガム、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、セルロース誘導体は、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、合成ポリマーは、カルボマー、ポリアクリルアミド、ポロキサマー、ポリビニルアルコール、ポリエチレンもしくはそのコポリマー、またはそれらの任意の組み合わせを含む。そのような担体は、従来の方法によって製剤化することができ、有効量で対象に投与することができる。
【0109】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は、水性溶液、油性溶液、グリセロール中分散液、液体ポリエチレングリコール、固体、吸入可能な形態、鼻腔内形態、リポソーム、ナノ粒子、微粒子、ポリマー、またはそれらの任意の組み合わせとして製剤化される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は、安定剤および緩衝剤を含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は、滅菌水または緩衝液などの可溶化剤を含み得る。
製造方法
【0110】
いくつかの実施形態では、本開示の修飾された腫瘍溶解性ウイルスは、細胞株にパッケージングされる。いくつかの実施形態では、修飾された腫瘍溶解性ウイルスは、適切な宿主細胞、例えばHeLa細胞、293細胞またはVero細胞で増殖させ、宿主細胞から単離し、ウイルスの安定性および完全性を促進する条件で保存することができ、その結果、経時的な感染性の喪失が最小限に抑えられる。特定の例示的な方法では、修飾された腫瘍溶解性ウイルスは、細胞スタック、ローラーボトル、または灌流バイオリアクターを使用して宿主細胞内で増殖される。いくつかの例では、修飾された腫瘍溶解性ウイルスを精製するための下流の方法は、ろ過(例えば、デプスろ過、タンジェンシャルフローろ過、またはそれらの組み合わせ)、超遠心分離またはクロマトグラフィー捕捉を含み得る。修飾された腫瘍溶解性ウイルスは、例えば、凍結または乾燥、例えば凍結乾燥によって保存することができる。いくつかの実施形態では、投与前に、保存した修飾された腫瘍溶解性ウイルスを再構成し(保存のために乾燥させる場合)、投与のために薬学的に許容され得る担体で希釈することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される修飾された腫瘍溶解性ウイルスは、修飾された腫瘍溶解性ウイルス中に修飾を含まない他の点では同一のウイルスと比較して、HeLa細胞および293細胞においてより高い力価を示す。ある場合には、HeLa細胞および293個の細胞におけるより高い力価が、修飾された腫瘍溶解性ウイルスにおいて見られる。
キット
【0111】
実施形態では、本開示は、本明細書に記載される修飾された腫瘍溶解性ウイルスを投与するためのキットを提供する。いくつかの実施形態では、本開示のキットは、修飾された腫瘍溶解性ウイルスまたは上記の修飾された腫瘍溶解性ウイルスを含む医薬組成物を含み得る。いくつかの実施形態では、本開示のキットは、使用説明書、デバイスおよび追加の試薬などの1つまたはそれを超える構成要素、ならびに上記に開示された方法を実施するためのチューブ、容器およびシリンジなどの構成要素をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、本開示のキットは、修飾されたウイルスと組み合わせて投与することができる1つまたはそれを超える薬剤、例えば抗癌剤、免疫調節剤、またはそれらの任意の組み合わせの少なくとも1つをさらに含み得る。
【0112】
いくつかの実施形態では、本開示のキットは、本明細書に開示される修飾されたウイルスを含む1つまたはそれを超える容器を含み得る。例えば、限定するものではないが、本開示のキットは、本開示の修飾された腫瘍溶解性ウイルスを含む1つまたはそれを超える容器を含み得る
【0113】
いくつかの実施形態では、本開示のキットは、使用説明書、修飾された腫瘍溶解性ウイルスを対象に投与するためのデバイス、または追加の薬剤もしくは化合物を対象に投与するためのデバイスを含み得る。例えば、限定するものではないが、説明書は、修飾された腫瘍溶解性ウイルス、および必要に応じてキットに含まれる他の成分の説明、ならびに対象の適切な状態、適切な投薬量および修飾されたウイルスを投与するための適切な投与方法を決定するための方法を含む投与方法を含み得る。説明書はまた、処置時間の期間にわたって対象を監視するためのガイダンスを含み得る。
【0114】
いくつかの実施形態では、本開示のキットは、修飾された腫瘍溶解性ウイルスを対象に投与するためのデバイスを含み得る。医薬および医薬組成物を投与するための当該技術分野で公知の様々なデバイスのいずれも、本明細書で提供されるキットに含めることができる。例えば、限定するものではないが、そのようなデバイスは、皮下注射針、静脈内針、カテーテル、無針注射デバイス、吸入器、および点眼器などの液体ディスペンサーを含む。いくつかの実施形態では、例えば、静脈内注射、腫瘍内注射、腹腔内注射によって全身送達される修飾された腫瘍溶解性ウイルスを、皮下注射針および注射器を備えたキットに含めることができる。
例示的な実施形態
【0115】
融合タンパク質が本明細書で提供され、この融合タンパク質は、TNF(腫瘍壊死因子)-スーパーファミリーリガンド(TNFSF-L)またはその機能的バリアントと、コレクチンファミリータンパク質由来の複数のドメインとを含み、このコレクチンファミリータンパク質由来の複数のドメインは、オリゴマー化ドメインまたはその機能的バリアントと、ネックドメインまたはその機能的バリアントとを含み、このオリゴマー化ドメインまたはその機能的バリアントと、ネックドメインまたはその機能的バリアントとは、コレクチンファミリータンパク質中のそれらの位置と比較して配列近接がより緊密である。本明細書でさらに提供される融合タンパク質では、融合タンパク質は、以下、N末端からC末端の順序で、オリゴマー化ドメインまたはその機能的バリアントと、ネックドメインまたはその機能的バリアントと、必要に応じてリンカー配列と、TNFSF-Lまたはその機能的バリアントとを含む。本明細書でさらに提供される融合タンパク質では、TNFSF-Lは、リンホトキシンα、OX40リガンド、CD40リガンド、Fasリガンド、CD27リガンド、CD30リガンド、4-1BBL、TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、核因子κ-βリガンドの受容体活性化因子(RANKL)、TNF関連アポトーシス弱誘導因子、A増殖誘導リガンド(APRIL)、B細胞活性化因子(BAFF)、LIGHT、血管内皮増殖阻害剤(VEGI)、TNFスーパーファミリーメンバー18、エクトジスプラシンAである。本明細書でさらに提供される融合タンパク質では、TNFSF-LはCD40リガンドである。本明細書でさらに提供される融合タンパク質では、CD40リガンドは、配列番号1と少なくとも85%の配列同一性を含む。本明細書でさらに提供される融合タンパク質では、TNFSF-LはOX40リガンドである。本明細書でさらに提供される融合タンパク質では、OX40リガンドは、配列番号2または配列番号3と少なくとも85%の配列同一性を含む。本明細書でさらに提供される融合タンパク質では、TNFSF-Lは4-1BBLである。本明細書でさらに提供される融合タンパク質では、4-1BBLは、配列番号4または配列番号5と少なくとも85%の配列同一性を含む。本明細書でさらに提供される融合タンパク質では、TNFSF-LはLIGHTである。本明細書でさらに提供される融合タンパク質では、LIGHTは、配列番号6と少なくとも85%の配列同一性を含む。本明細書でさらに提供される融合タンパク質では、コレクチンファミリータンパク質が、SP-A、SP-D、マンノース結合レクチン(MBL)、コングルチニン、CL-43、CL-L1、CL-K1、CL-P1、またはCL-46である。本明細書でさらに提供される融合タンパク質では、コレクチンファミリータンパク質はSP-Dである。本明細書でさらに提供される融合タンパク質では、オリゴマー化ドメインは、配列番号9と少なくとも85%の配列同一性を含む。本明細書でさらに提供される融合タンパク質では、オリゴマー化ドメインおよびネックドメインは共に、配列番号11と少なくとも85%の配列同一性を含む。本明細書でさらに提供される融合タンパク質では、オリゴマー化ドメインおよびネックドメインは共に配列番号11を含む。本明細書でさらに提供される融合タンパク質では、融合タンパク質が前記リンカー配列を含み、前記リンカー配列がGSG(グリシン-セリン-グリシン)(配列番号12)を含む。
【0116】
配列番号14、15、16、18、または19と少なくとも85%の配列同一性を有する配列を含む融合タンパク質が本明細書で提供される。
【0117】
腫瘍溶解性ウイルスが本明細書で提供され、この腫瘍溶解性ウイルスは、オリゴマー化ドメインに融合されたTNF(腫瘍壊死因子)-スーパーファミリーリガンド(TNFSF-L)またはその機能的バリアントを含む。本明細書でさらに提供される腫瘍溶解性ウイルスでは、この腫瘍溶解性ウイルスは、ニューカッスル病ウイルス(NDV)、レオウイルス(RV)、粘液腫ウイルス(MYXV)、麻疹ウイルス(MV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、ワクシニアウイルス(VV)、水疱性口内炎ウイルス(VSV)ポリオウイルス(PV)である。本明細書でさらに提供される腫瘍溶解性ウイルスでは、TNFSF-Lまたはその機能的バリアントがウイルスゲノムに挿入されている。本明細書でさらに提供される腫瘍溶解性ウイルスでは、TNFSF-Lまたはその機能的バリアントは、チミジンキナーゼ遺伝子に挿入されている。
【0118】
ワクシニアウイルスが本明細書で提供され、このワクシニアウイルスは、オリゴマー化ドメインに融合したTNF(腫瘍壊死因子)-スーパーファミリーリガンド(TNFSF-L)またはその機能的バリアントを含む。本明細書でさらに提供されるワクシニアウイルスでは、このワクシニアウイルスは、ウエスタンリザーブワクシニアウイルス(ATCC VR-1354)、ワクシニアウイルスAnkara(ATCC VR-1508)、ワクシニアウイルスAnkara(ATCC VR-1566)、ワクシニアウイルス株Wyeth(ATCC VR-1536)、またはワクシニアウイルスWyeth(ATCC VR-325)の修飾株である。本明細書でさらに提供されるワクシニアウイルスでは、TNFSF-Lまたはその機能的バリアントがウイルスゲノムに挿入されている。本明細書でさらに提供されるワクシニアウイルスでは、TNFSF-Lまたはその機能的バリアントは、チミジンキナーゼ遺伝子に挿入されている。
【0119】
腫瘍溶解性ウイルスが本明細書で提供され、この腫瘍溶解性ウイルスは、本明細書に記載される融合タンパク質を含む。
【0120】
ワクシニアウイルスが本明細書で提供され、このワクシニアウイルスは、本明細書に記載される融合タンパク質を含む。
【0121】
癌の処置のための方法であって、癌の処置に十分な量の核酸を含むベクターを対象に投与することを含み、核酸が本明細書に記載される融合タンパク質をコードする、方法が本明細書で提供される。
【0122】
癌の処置のための方法であって、本明細書に記載される腫瘍溶解性ウイルスを癌の処置に十分な量で対象に投与するステップを含む、方法が本明細書で提供される。
【0123】
癌の処置のための方法であって、本明細書に記載されるワクシニアウイルスを癌の処置に十分な量で対象に投与するステップを含む、方法が本明細書で提供される。
【0124】
腫瘍細胞成長の低減のための方法であって、腫瘍細胞成長の低減に十分な量で腫瘍細胞に、核酸を含むベクターを投与することを含み、核酸が本明細書に記載される融合タンパク質をコードする、方法が本明細書で提供される。
【0125】
腫瘍細胞成長の低減のための方法であって、腫瘍細胞成長の低減に十分な量で腫瘍細胞に、本明細書に記載される腫瘍溶解性ウイルスを投与することを含む、方法が本明細書で提供される。
【0126】
腫瘍細胞成長の低減のための方法であって、腫瘍細胞成長の低減に十分な量で腫瘍細胞に、本明細書に記載されるワクシニアウイルスを投与することを含む、方法が本明細書で提供される。
【実施例
【0127】
以下の実施例は、本開示の範囲を限定することなく、記載された実施形態をさらに例示する。
実施例1:ネイティブおよびTNFSF-L融合コンストラクトの発現
【0128】
以下の融合TNFSF-Lコンストラクトを設計した。3sCD40L(マウス);3sOX40L(マウス);3s41BBL(マウス);3sOX40L(ヒト);および3s41BBL(ヒト)。これらのコンストラクトの配列を表4および表5に記載する。
【0129】
さらに、以下のネイティブ単量体産生コンストラクト:mOX40L(マウス、ネイティブ)およびm41BBL(マウス、ネイティブ)を設計した。これらのコンストラクトの配列を表6(アミノ酸)および表7(核酸)に提供する。
表6.
【表6】
表7.
【表7-1】
【表7-2】
【0130】
腫瘍溶解性ウイルスからのTNFSF-Lネイティブ単量体またはバリアント融合コンストラクトの発現を行った。簡潔には、HeLa細胞を、5.0のMOIで、単量体もしくはスキャフォールド-TNFSF-L融合体(OX40Lもしくは41BBLの場合)を発現するウイルス、またはTNFSF-Lを発現しない対照ウイルス、またはスキャフォールド-TNFSF-L融合体(CD40Lの場合)を発現するウイルスに感染させた。培地を24時間で収集し、製造業者の説明書に従って市販のELISAキットで実行した(サンプルは希釈しないか、または指示されるように希釈した)。サンプルを1:100に希釈し、結合を記録し、希釈倍率を考慮した量をチャートにまとめた。
【0131】
図2を参照すると、感染していないHeLa細胞は、検出可能なレベルのmCD40Lを示さなかった。同様に、A52RおよびTK欠失を有する腫瘍溶解性ワクシニアウイルスに感染したHeLa細胞も、検出可能なレベルのmCD40Lを示さなかった。TK欠失およびを有する腫瘍溶解性ワクシニアウイルスおよびオリゴマー化ドメインを有しTK遺伝子に挿入された融合コンストラクト3sCD40L(マウス)に感染したHeLa細胞は、約400ng/mLと非常に高レベルの発現を示す。
【0132】
図3を参照すると、感染していないHeLa細胞は、検出可能なレベルのmOX40Lを示さなかった。同様に、A52RおよびTK欠失を有する腫瘍溶解性ワクシニアウイルスに感染したHeLa細胞も、検出可能なレベルのmOX40Lを示さなかった。TK欠失を有する腫瘍溶解性ワクシニアウイルスおよびTK遺伝子に挿入されたネイティブmOX40Lに感染したHeLa細胞は、mOX40L発現のわずかな増加を示し、約4500pg/mLが検出された。TK欠失を有する腫瘍溶解性ワクシニアウイルスおよびTK遺伝子に挿入されたオリゴマー化ドメインを含む融合コンストラクト3sOX40L(マウス)に感染したHeLa細胞は、mOX40L発現レベルがはるかに高く、約265,000pg/mLのmOX40Lが検出された。
【0133】
図4を参照すると、感染していないHeLa細胞は、m41BBLの検出可能なレベルを示さなかった。A52RおよびTK欠失を有する腫瘍溶解性ワクシニアウイルスに感染したHeLa細胞も同様に、検出可能なレベルのm41BBLを示さなかった。TK欠失を有する腫瘍溶解性ワクシニアウイルスおよびTK遺伝子に挿入されたネイティブm41BBLに感染したHeLa細胞は最小限の発現を示し、1.4ng/mLが検出された。TK欠失を有する腫瘍溶解性ワクシニアウイルスおよびTK遺伝子に挿入されたオリゴマー化ドメインを含む融合コンストラクト3s41BBL(マウス)に感染したHeLa細胞は、はるかに高レベルの41BBL発現を示し、約1500ng/mLの41BBLが検出された。
【0134】
実施例2:ネイティブおよびスキャフォールド構造の発現
【0135】
オリゴマー化ドメインを有するTNFSF-Lの融合コンストラクトを発現する修飾された腫瘍溶解性ワクシニアウイルスの機能的効果をアッセイした。CD40L活性のSEAPレポーターアッセイを使用し、SEAP産生量はCD40L機能活性と相関する。簡潔には、HeLa細胞を、腫瘍溶解性ワクシニアウイルス(CD40Lなし)または腫瘍溶解性ワクシニアウイルス発現融合コンストラクト3sCD40L([オリゴマー化ドメイン]-[ネックドメイン]-[mCD40L]を含む)に1のMOIで感染させた。感染細胞および非感染細胞の上清を24時間後に収集した。96ウェルプレートに、20μl、10μlまたは1μlの上清を、20μlの培地を含むウェルに三連で添加した。10ng/ml濃度の組換えCD40Lを陽性対照として使用した。180μlのレポーター細胞株をウェルに添加して、ウェルあたり約50,000個の細胞に到達させた。細胞をCOインキュベーター内で一晩インキュベートした。翌日、1mlのQuanti-Blue溶液を1mlのQB緩衝液および98mlの滅菌水に添加し、調製した試薬を180μl/ウェルで96ウェルプレートに分注した。実験プレートからの20μlの上清を、Quanti Blue溶液を含むプレートに添加した。37℃で3時間インキュベートした後、プレートリーダー/分光光度計を用いて625nMで光学密度(O.D.)を測定することによって、SEAPの相対レベルを決定した。結果を以下の表8に示し、図5に可視化する。
表8.
【表8】
【0136】
予想外にも、実施例1および2の両方からのこれらの結果は、細胞外環境で産生される1000倍超のより機能的に活性なTNFSF-Lを示す。特に、単量体配列は、細胞培養においてさえ、機能的に活性な三量体を産生せず、スキャフォールドドメインへの融合は、産生の有意な増加をもたらした。
実施例3:s3CD40Lのインビボ活性の分析
【0137】
実施例1に記載されるTNFSF-L融合コンストラクト3sCD40L(マウス)のマウスにおける活性を測定した。BALB/cマウスの皮下に、Balb/cCrマウスの腎皮質腺癌由来の細胞(RENCA)を移植した。腫瘍を50~100mmまで成長させ、TK欠失(TK-)を有する3sCD40L融合コンストラクトを発現する1×10PFUのウイルス、または緩衝液対照で処置した。処置は、単回用量で腫瘍内(IT)に送達した。腫瘍成長を追跡し、腫瘍が1000mmを超えて測定されると、マウスを研究から外した。1000mmまでの腫瘍を有するマウスにおける全生存を図6に示す。データは、TNFSF-L融合体で処置したマウスが、TK-ウイルスまたは緩衝液対照で処置したマウスと比較して、より高い生存確率を示したことを示す。
実施例4:s3OX40Lの機能的活性
【0138】
実施例1に記載されているように、TNFSF-L融合コンストラクト3sOX40L(ヒト)のインビトロ活性を測定した。HeLa細胞を6ウェルプレートに1×10細胞/ウェルで播種した。細胞に、3sOX40L融合コンストラクトを発現するウイルス、実施例1に記載されるm41BBLを発現するウイルスを陰性対照または緩衝液対照として5.0のMOIで接種した。細胞をウイルスと共に37℃、5%COで3時間インキュベートした。培地をウェルから除去し、細胞をDMEMで洗浄した。DMEM+10%FBSを添加し、プレートを37℃、5%COで60時間インキュベートした。上清を培地交換の60時間後に回収した。感染細胞におけるルシフェラーゼ発現を、ルシフェラーゼ検出を使用して測定し、相対光単位(RLU)で表した。図7は、s3OX40L融合コンストラクトを有するウイルスにおけるより高い発現を示す。
実施例5:3s41BBLの機能的活性
【0139】
実施例1に記載されているように、TNFSF-L融合コンストラクト3s41BBL(ヒト配列)のインビトロ活性を測定した。HeLa細胞を12ウェルプレートに4×10細胞/ウェルで播種した。細胞を、3s41BBL融合コンストラクトを発現するウイルス、41BBL単量体を発現するウイルス、無関係のTNFSF-L、三量体GITRLを発現するウイルス、または緩衝液対照に5.0のMOIで感染させた。細胞をウイルスと共に37℃、5%COで48時間インキュベートした。感染の48時間後に上清を回収した。感染細胞におけるルシフェラーゼ発現を、ルシフェラーゼ検出を使用して測定し、相対光単位(RLU)で発現させた。図8は、ウイルス発現融合コンストラクト3s41BBLのみが活性であり、ウイルス発現41BBL単量体は活性ではないことを示す。
実施例6:マウス配列s3OX40Lおよびs3 41BBLによる刺激後のIL-2分泌
【0140】
TNFSF-L融合コンストラクトを含むウイルスに感染した細胞におけるIL-2分泌の変化を測定した。マウス脾臓からのCD8T細胞を、EasySep(商標)マウスCD8+T細胞単離キット(#19853、STEMCELL Technologies,Inc.、カナダ国バンクーバー)を使用して精製した。細胞をカルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE)で標識した。次いで、細胞を非刺激、CD3単独で刺激、またはCD3およびCD28、組換え41BBL三量体、組換えOX40L三量体、3s41BBL融合コンストラクトを発現するウイルス、3sOX40L融合コンストラクトを発現するウイルス、またはウイルス陰性対照で刺激した。細胞を3日間インキュベートした。上清中のIL-2分泌を、マウスIL-2 ELISAキットを使用して分析した。得られた検出されたIL-2レベルを図9に示す。グラフは、ウイルス発現されたTNFSF-L融合コンストラクト3s41BBLおよび3sOX40Lが、IL-2発現を誘導するという点で機能的に活性であることを示す。
実施例7:3s41BBLおよび3sOX40Lスキャフォールドコンストラクトを使用したマウスにおける腫瘍成長阻害
【0141】
インビボでの腫瘍成長阻害(TGI)を実証するために、実施例3のように皮下RENCA腫瘍を以前に誘導したBALB/cマウスを、緩衝液対照の単回IT用量、またはチミジンキナーゼ欠失のみを有する対照ワクシニアウイルス(HCCTKM)の1×10PFU、3s41BBLを発現するウイルスまたは3sOX40Lを発現するウイルスで処置した。予備的結果は、図10に示されるように、処置後12日まで、3s41BBLまたは3sOX40Lのいずれかを発現するウイルスを受けたマウスにおける平均腫瘍体積が、緩衝液単独またはHCCTKMで処置された腫瘍よりも低かったことを示す。
実施例8:GITRL SCAFFOLDコンストラクトを使用したマウスにおける腫瘍成長阻害
【0142】
インビボでの腫瘍成長阻害(TGI)を実証するために、実施例3のように皮下LLCまたはRENCA腫瘍を以前に誘導したBALB/cマウスを、緩衝液対照(VFB)の単回IT用量、チミジンキナーゼ欠失のみを有する対照ワクシニアウイルス(HCCTKM)の1×10PFU、または3sGITRLを発現するウイルスで処置した。LLC腫瘍を、図11Aに示すように、30日後に測定した。図11Bに示すように、17日後にRENCA腫瘍を測定した。結果は、3sGITRLを発現するウイルスを受けたマウスの平均腫瘍体積が、緩衝液単独または対照HCCTKMで処置した腫瘍よりも低かったことを示している。
【0143】
前述の説明および添付の図面は、現時点におけるいくつかの代表的な実施形態を示す。様々な修正、追加、および代替の設計は、当然ながら、前述の説明ではなく以下の特許請求の範囲によって示される本発明の範囲から逸脱することなく、前述の教示に照らして当業者に明らかになるであろう。特許請求の範囲の均等物の意味および範囲内に含まれるすべての変更および変形は、その範囲内に包含されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【配列表】
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【国際調査報告】