(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】CAR T細胞における、および疾患の処置のための抗CD307E単一ドメイン抗体、その使用
(51)【国際特許分類】
C07K 16/28 20060101AFI20240621BHJP
C07K 14/705 20060101ALI20240621BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20240621BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240621BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20240621BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240621BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240621BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240621BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240621BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20240621BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240621BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20240621BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20240621BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
C07K14/705
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
C12N15/13
C12N5/10
A61P35/00
A61P43/00 105
A61P35/02
A61K47/68
A61K39/395 T
A61K35/17
A61K35/76
A61K48/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577365
(86)(22)【出願日】2022-06-17
(85)【翻訳文提出日】2024-02-09
(86)【国際出願番号】 GB2022051550
(87)【国際公開番号】W WO2022263855
(87)【国際公開日】2022-12-22
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517215973
【氏名又は名称】オートラス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】キンナ, アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】フェラーリ, マテュー
(72)【発明者】
【氏名】オヌオハ, シモビ
(72)【発明者】
【氏名】プーレ, マーティン
(72)【発明者】
【氏名】イルカ, チューダー
(72)【発明者】
【氏名】ダッタ, プリータ
(72)【発明者】
【氏名】ウー, フィリップ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA44
4C076AA95
4C076CC26
4C076CC27
4C076CC41
4C076EE59
4C084AA13
4C084NA05
4C084NA13
4C084NA14
4C084ZB021
4C084ZB211
4C084ZB261
4C084ZB271
4C085AA16
4C085BB01
4C085BB12
4C085BB50
4C085CC03
4C085CC31
4C085DD62
4C085EE01
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BB37
4C087BC83
4C087CA04
4C087CA12
4C087NA05
4C087NA13
4C087NA14
4C087ZB02
4C087ZB21
4C087ZB26
4C087ZB27
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、FcRH5結合ドメインに関する。特に、本発明は、そのような結合ドメインを含む、単一ドメイン抗体、抗体コンジュゲート、キメラ抗原受容体(CAR)および免疫細胞エンゲージャーを提供する。本発明者らは、驚くべきことに、本明細書に記載される相補性決定領域(CDR)を含む単一ドメイン抗体は、FcRH5を標的とすることができることを実証した。これらの単一ドメインFcRH5結合剤は、そのようなFcRH5結合ドメインを含む抗原結合実体、例えば、VHH抗体、抗体コンジュゲート、キメラ抗原受容体(CAR)および免疫細胞エンゲージャーにおいて有益であり得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
FcRH5結合ドメインを含む単一ドメイン抗体(sdAb)。
【請求項2】
前記FcRH5結合ドメインが、
(i)以下の配列を有する相補性決定領域(CDR):
CDR1-RSSFSNNA(配列番号1)
CDR2-ITKGGVT(配列番号2)
CDR3-NTIPFRSA(配列番号3);または
(ii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GFTFSNYA(配列番号4)
CDR2-INSDGGTA(配列番号5)
CDR3-AANRGFCAGVRCLEYQY(配列番号6);または
(iii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTFSINA(配列番号7)
CDR2-IGGSGRVSST(配列番号8)
CDR3-AARRDYLPFPPESYDY(配列番号9);または
(iv)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTFSINA(配列番号7)
CDR2-IGGSGRVSST(配列番号8)
CDR3-AAGRRTSTNGGDYDY(配列番号10);または
(v)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTFSINA(配列番号7)
CDR2-ISRSGGAT(配列番号11)
CDR3-AGTRRAFSTGLRDYDY(配列番号12);または
(vi)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTFSNST(配列番号13)
CDR2-ISWSGGTY(配列番号14)
CDR3-AAARKGWSTRGDDYDY(配列番号15);または
(vii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTYNNYA(配列番号16)
CDR2-ISRSGGMT(配列番号17)
CDR3-AAYVGGFSTARRDYSY(配列番号18);または
(viii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTFSSYA(配列番号19)
CDR2-ISRIGGVT(配列番号20)
CDR3-AAAGLVSISTTPNDYDY(配列番号21);または
(ix)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GNIFRLNG(配列番号22)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-NAIPFRL(配列番号24);または
(x)以下の配列を有するCDR:
CDR1-RNIFSLNP(配列番号25)
CDR2-ITDGGST(配列番号26)
CDR3-NRVGGLQTWA(配列番号27);または
(xi)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRSFSNYG(配列番号28)
CDR2-IGMVGGLT(配列番号29)
CDR3-AAGRRFSTSSRDYDI(配列番号30);または
(xii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTFDSRP(配列番号31)
CDR2-VSWRGEST(配列番号32)
CDR3-AAGEPYSGTYYYRGRDYDY(配列番号33);または
(xiii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTFSMYA(配列番号34)
CDR2-ISGSARIT(配列番号35)
CDR3-AASSTYTSTSGSSYNY(配列番号36);または
(xiv)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GSIFSINA(配列番号37)
CDR2-ITSGGST(配列番号38)
CDR3-NALGGFVPSYG(配列番号39);または
(xv)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTSSRAA(配列番号155)
CDR2-ISWSGGTT(配列番号156)
CDR3-AAARIFTTARNDYDH(配列番号157);または
(xvi)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GNIFRLNG(配列番号22)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-NTIPFRLS(配列番号186);または
(xvii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GNIFRLNA(配列番号160)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-NTIPFRLS(配列番号186);または
(xviii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-RSSFSNNA(配列番号1)
CDR2-ITKGGVT(配列番号2)
CDR3-NTIPVRSA(配列番号187);または
(xix)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GSIFSINA(配列番号37)
CDR2-ITKGGVT(配列番号2)
CDR3-NTIPCRSA(配列番号188);または
(xx)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GSSFRLNG(配列番号161)
CDR2-ITSGGST(配列番号38)
CDR3-NTIPFSRA(配列番号189);または
(xxi)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRSVSINA(配列番号162)
CDR2-IDRSGNT(配列番号176)
CDR3-NTIPYSDS(配列番号190);または
(xxii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTFSSYA(配列番号19)
CDR2-IDGIGGIT(配列番号177)
CDR3-NTIPFRSA(配列番号3);または
(xxiii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-RSSFSNNA(配列番号1)
CDR2-ITKGGVT(配列番号2)
CDR3-NAIPFRSA(配列番号191);または
(xxiv)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GNNFRLNA(配列番号163)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-NAIPFRPS(配列番号192);または
(xxv)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GNIFRLNG(配列番号22)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-NAIPFRRS(配列番号193);または
(xxvi)以下の配列を有するCDR:
CDR1-ERIFRINA(配列番号164)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-NAIPFRRS(配列番号193);または
(xxvii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GFTFSTYW(配列番号165)
CDR2-IDNGGGTT(配列番号178)
CDR3-NALPFRLS(配列番号194);または
(xxviii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GNIFRLNG(配列番号22)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-NATPFRLS(配列番号195);または
(xxix)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GNIFRLNG(配列番号22)
CDR2-ITRGGNT(配列番号179)
CDR3-NSIPFRLS(配列番号196);または
(xxx)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GNIFRING(配列番号166)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-NAIPFRIS(配列番号197);または
(xxxi)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GNNFRLNA(配列番号163)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-NAIPFRLY(配列番号198);または
(xxxii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GFTFSTYW(配列番号165)
CDR2-IDNGGGTT(配列番号178)
CDR3-KAIPFRLS(配列番号199);または
(xxiii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GSSFSNNA(配列番号167)
CDR2-ITKGGVT(配列番号2)
CDR3-NTIPFRSA(配列番号3);または
(xxxiv)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GFTFSTYW(配列番号165)
CDR2-IDNGGGTT(配列番号178)
CDR3-NTIPFRSA(配列番号3);または
(xxxv)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GNIFRLNA(配列番号160)
CDR2-ITKGGVT(配列番号2)
CDR3-NTIPFRSA(配列番号3);または
(xxxvi)以下の配列を有するCDR:
CDR1-RSSFGNNA(配列番号168)
CDR2-ITKGGVT(配列番号2)
CDR3-NTIPFRSA(配列番号3);または
(xxxvii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTFSTYG(配列番号169)
CDR2-ISRSGGAT(配列番号11)
CDR3-AGTRRAFSTGLRDYDY(配列番号12);または
(xxxviii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GTIERNNA(配列番号170)
CDR2-ITSGGST(配列番号38)
CDR3-AAGRRFSTRSRDYDY(配列番号200);または
(xxxix)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRSFSNYG(配列番号28)
CDR2-IGMVGGLT(配列番号29)
CDR3-AAGRRFSTSSRDYDY(配列番号201);または
(xl)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRSFSNYG(配列番号28)
CDR2-IGMVGGLT(配列番号29)
CDR3-AAGRRFSTGSRDYDI(配列番号202);または
(xli)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTFSSYA(配列番号19)
CDR2-ISQFGGVTT(配列番号179)
CDR3-AAGRRFSTGSRDYDI(配列番号202);または
(xlii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRSFSNYG(配列番号28)
CDR2-IGMVGGLT(配列番号29)
CDR3-AGGRRFSTSSRDYDI(配列番号203);または
(xliii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRSFSNYG(配列番号28)
CDR2-IGMVGGLT(配列番号29)
CDR3-AAGRRFSTSSREYDI(配列番号204);または
(xliv)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRSFSNYG(配列番号28)
CDR2-IGMVGGLP(配列番号180)
CDR3-AAGRRLSTSSRDYDI(配列番号205);または
(xlv)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRSFSNYG(配列番号28)
CDR2-ISRGGGVS(配列番号181)
CDR3-AAGLRFSTGSRDYDI(配列番号206);または
(xlvi)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTFRRYA(配列番号171)
CDR2-ISRSGGMT(配列番号17)
CDR3-AAYVGGFSTTRRDYAY(配列番号207);または
(xlvii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTFSNST(配列番号13)
CDR2-ISWSGGTT(配列番号156)
CDR3-AAARKGWSTRGDDYDY(配列番号15);または
(xlviii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTVI(配列番号172)
CDR2-SSGSGGVT(配列番号182)
CDR3-AAALTWSTRPSDFTS(配列番号208);または
(xlix)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTVI(配列番号172)
CDR2-SNWSGGVT(配列番号183)
CDR3-AAYVGGFSTARRDYSY(配列番号18);または
(l)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTFSINA(配列番号7)
CDR2-ISRSGGMT(配列番号17)
CDR3-AAYVGGFSTARRDYSY(配列番号18);または
(li)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTFSRYA(配列番号173)
CDR2-INGSGGT(配列番号184)
CDR3-AAARIFTTTRNEYDH(配列番号209);または
(lii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTFSRYA(配列番号173)
CDR2-INGSGGT(配列番号184)
CDR3-AAARIFTTTRNEYDH(配列番号209);または
(liii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GFTFSTYW(配列番号165)
CDR2-IDNGGGTT(配列番号178)
CDR3-AAARIFSTARNDYDH(配列番号210);または
(liv)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRSFSNYG(配列番号28)
CDR2-IGMVGGLT(配列番号29)
CDR3-AGGRIFRTSSRDYDI(配列番号211);または
(lv)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GNIFRLNG(配列番号22)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-AAARFFTTARNDYDH(配列番号212);または
(lvi)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GSIFSINA(配列番号37)
CDR2-ITSGGST(配列番号38)
CDR3-NALGGFVPNYG(配列番号213);または
(lvii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GNIFRLNG(配列番号22)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-NALGGFVPNYG(配列番号213);または
(lviii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GSIFSINA(配列番号37)
CDR2-ITSGGST(配列番号38)
CDR3-NALGGFVPNDG(配列番号214);または
(lix)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GNNFRLNA(配列番号163)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-NALGGFAPNYG(配列番号215);または
(lx)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRSFSNYG(配列番号28)
CDR2-IGMVGGLT(配列番号29)
CDR3-NALGGFVPNYV(配列番号216);または
(lxi)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRSFSINA(配列番号174)
CDR2-ITSGGST(配列番号38)
CDR3-NALGGFVLNYG(配列番号217);または
(lxii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GSIFSINA(配列番号37)
CDR2-ITSGGST(配列番号38)
CDR3-NALGGLVPNYG(配列番号218);または
(lxiii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GSIFSINA(配列番号37)
CDR2-ITSGGST(配列番号38)
CDR3-NALGGFLPNYG(配列番号219);または
(lxiv)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GSIFSINA(配列番号37)
CDR2-ITSGGST(配列番号38)
CDR3-NALGGFVTNYG(配列番号220);または
(lxv)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GSIFSINA(配列番号37)
CDR2-ITSGGST(配列番号38)
CDR3-NALGGFVTNYG(配列番号220);または
(lxvi)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTV(配列番号222)
CDR2-ITRGGST(配列番号185)
CDR3-NALGGFVPNYG(配列番号213);または
(lxvii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GNIFRLNG(配列番号22)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-NALGGFVPSYG(配列番号39);または
(lxviii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GNNFRLNA(配列番号163)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-NALGGFVPSYG(配列番号39);または
(lxix)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GNIFRLNG(配列番号22)
CDR2-ITSGGST(配列番号38)
CDR3-NALGGFVPSYG(配列番号39);または
(lxx)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRSFSNYG(配列番号28)
CDR2-IGMVGGLT(配列番号29)
CDR3-NALGGFVPSYG(配列番号39);または
(lxxi)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GNIFSINA(配列番号175)
CDR2-ITSGGST(配列番号38)
CDR3-NALGGFVPSYG(配列番号39);または
(lxxii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GFTFSTYW(配列番号165)
CDR2-IDNGGGTT(配列番号178)
CDR3-ARNPTRGWYSTDY(配列番号221)
を含み、
必要に応じて、前記CDRのうちの1つまたは複数が、1つ、2つまたは3つのアミノ酸変異を含む、請求項1に記載のsdAb。
【請求項3】
前記FcRH5結合ドメインが、
(i)配列番号40として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有する可変重鎖ドメイン抗体(VHH);または
(ii)配列番号41として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(iii)配列番号42として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(iv)配列番号43として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(v)配列番号44として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(vi)配列番号45として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(vii)配列番号46として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(viii)配列番号47として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(ix)配列番号48として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(x)配列番号49として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xi)配列番号50として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xii)配列番号51として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xiii)配列番号52として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xiv)配列番号53として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;
(xv)配列番号158として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xvi)配列番号223として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xvii)配列番号224として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xviii)配列番号225として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xvix)配列番号226として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xx)配列番号227として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxi)配列番号228として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxii)配列番号229として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxiii)配列番号230として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxiv)配列番号231として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxv)配列番号232として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxvi)配列番号233として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxvii)配列番号234として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxviii)配列番号235として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxix)配列番号236として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxx)配列番号237として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxxi)配列番号238として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxxii)配列番号239として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxxiii)配列番号240として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxxiv)配列番号241として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxxv)配列番号242として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxxvi)配列番号243として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxxvii)配列番号244として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxxviii)配列番号245として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxxix)配列番号246として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xl)配列番号247として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xli)配列番号248として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xlii)配列番号249として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xliii)配列番号250として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xliv)配列番号251として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xlv)配列番号252として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xlvi)配列番号253として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xlvii)配列番号254として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xlviii)配列番号255として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xlix)配列番号256として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(l)配列番号257として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(li)配列番号258として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lii)配列番号259として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(liii)配列番号260として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(liv)配列番号261として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lv)配列番号262として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lvi)配列番号263として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lvii)配列番号264として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lviii)配列番号265として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lix)配列番号266として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lx)配列番号267として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxi)配列番号268として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxii)配列番号269として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxiii)配列番号270として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxiv)配列番号271として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxv)配列番号272として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxvi)配列番号273として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxvii)配列番号274として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxviii)配列番号275として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxix)配列番号276として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxx)配列番号277として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxxi)配列番号278として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxxii)配列番号279として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxxiii)配列番号280として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxxiv)配列番号281として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxxv)配列番号282として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxxvi)配列番号283として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxxvii)配列番号284として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxxviii)配列番号285として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxxix)配列番号286として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxxx)配列番号287として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxxxi)配列番号288として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH
を含む、請求項1または2に記載のsdAb。
【請求項4】
ヒト化sdAbである、前記請求項のいずれかに記載のsdAb。
【請求項5】
前記請求項のいずれかに記載のsdAbを含むFcRH5結合分子であって、抗体コンジュゲート、キメラ抗原受容体(CAR)または免疫細胞エンゲージャー、例えば、T細胞エンゲージャー分子、ガンマデルタT細胞エンゲージャー分子、ナチュラルキラー(NK)T細胞エンゲージャー分子もしくはNK細胞エンゲージャー分子から選択される、FcRH5結合分子。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか一項に記載のsdAbを含むCAR。
【請求項7】
配列番号76~配列番号89、配列番号159および配列番号289~配列番号354を含む群から選択される配列、またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するが、i)FcRH5に結合する能力およびii)T細胞シグナル伝達を誘導する能力を保持するそのバリアントを含む、請求項6に記載のCAR。
【請求項8】
(i)請求項1から4のいずれか一項に記載のsdAbを含む第1のドメイン;および
(ii)T細胞を活性化することができる第2のドメイン
を含み;必要に応じて
(iii)T細胞を共活性化することができる第3のドメイン
をさらに含む免疫細胞エンゲージャー分子。
【請求項9】
請求項1から4のいずれか一項に記載のsdAb、請求項6または7に記載のCAR、または請求項8に記載の免疫細胞エンゲージャー分子をコードする核酸配列を含むポリヌクレオチド。
【請求項10】
請求項9に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項11】
請求項6または7に記載のCAR、請求項9に記載のポリヌクレオチド、または請求項10に記載のベクターを含む細胞。
【請求項12】
請求項1から4のいずれか一項に記載のsdAb、請求項5に記載のFcRH5結合分子、請求項8に記載の免疫細胞エンゲージャー分子、請求項9に記載のポリヌクレオチド、請求項10に記載のベクター、または請求項11に記載の細胞を、薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤と共に含む医薬組成物。
【請求項13】
疾患の処置における医薬として使用するための、請求項1から4のいずれか一項に記載のsdAb、請求項5に記載のFcRH5結合分子、請求項8に記載の免疫細胞エンゲージャー分子、請求項9に記載のポリヌクレオチド、請求項10に記載のベクター、請求項11に記載の細胞、または請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
疾患を処置するための方法であって、請求項1から4のいずれか一項に記載のsdAb、請求項5に記載のFcRH5結合分子、請求項8に記載の免疫細胞エンゲージャー分子、請求項9に記載のポリヌクレオチド、請求項10に記載のベクター、請求項11に記載の細胞、または請求項12に記載の医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法。
【請求項15】
疾患を処置するための医薬の製造における、請求項1から4のいずれか一項に記載のsdAb、請求項5に記載のFcRH5結合分子、請求項8に記載の免疫細胞エンゲージャー分子、請求項9に記載のポリヌクレオチド、請求項10に記載のベクター、請求項11に記載の細胞、または請求項12に記載の医薬組成物の使用。
【請求項16】
前記疾患がB細胞悪性腫瘍または形質細胞障害である、請求項13に記載の使用のための前記sdAb、FcRH5結合分子または前記免疫細胞エンゲージャーまたは前記免疫細胞エンゲージャー分子または前記ベクターまたは前記細胞または前記医薬組成物、または請求項14に記載の方法、または請求項15に記載の使用。
【請求項17】
前記B細胞悪性腫瘍または形質細胞障害が、白血病、有毛細胞白血病、慢性リンパ球性白血病、非ホジキンリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、EBV関連リンパ腫(バーキット)、リンパ形質細胞性リンパ腫、形質細胞腫、孤立性形質細胞腫、髄外性形質細胞腫、形質細胞白血病、多発性骨髄腫、マクログロブリン血症、アミロイドーシス、ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症、骨の孤立性形質細胞腫、髄外性形質細胞腫、骨硬化性骨髄腫、重鎖疾患、意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症(MGUS)、非IgM MGUS、IgM MGUS、軽鎖MGUSおよびくすぶり型多発性骨髄腫を含むリストから選択される、使用のための前記sdAbまたは前記FcRH5結合分子または前記免疫細胞エンゲージャー分子または前記免疫細胞エンゲージャー分子または前記ベクターまたは前記細胞または前記医薬組成物;前記方法;または請求項16に記載の使用。
【請求項18】
がんが多発性骨髄腫である、使用のための前記sdAbまたは前記FcRH5結合分子または前記免疫細胞エンゲージャー分子または前記免疫細胞エンゲージャー分子または前記ベクターまたは前記細胞または前記医薬組成物;前記方法;または請求項17に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、FcRH5結合ドメインに関する。特に、本発明は、そのようなFcRH5結合ドメインを含む単一ドメイン抗体、抗体コンジュゲート、キメラ抗原受容体(CAR)、免疫細胞エンゲージャーに関する。FcRH5を標的にする様式は、例えば、多発性骨髄腫のようながん性疾患の処置に有益であり得る。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
多発性骨髄腫(骨髄腫)は、形質細胞の骨髄悪性腫瘍である。異常形質細胞の集団が骨髄中に蓄積し、正常血液細胞の産生を妨害する。骨髄腫は、米国においては2番目に多い血液悪性腫瘍であり(非ホジキンリンパ腫に次ぐ)、血液悪性腫瘍の13%、および全てのがんの1%を構成する。この疾患は、病的骨折、感染感受性、腎不全、および続く骨髄不全後の死亡を引き起こすため、苦痛ならびに医療費の点から負担となる。
【0003】
多くのリンパ腫とは異なり、骨髄腫は現在、不治である。リンパ腫において使用される標準の化学療法剤は、骨髄腫にはおおむね無効である。さらに、形質細胞中ではCD20発現が消失しているため、この疾患に対して、リツキシマブを使用することができない。ボルテゾミブ(Bortezamib)およびレナリドミド(Lenolidomide)のような新規薬剤は、部分的に有効であるが、長続きする寛解はもたらさない。
【0004】
したがって、有効性の増加および長期効果の改善を有する、骨髄腫の処置のための代替薬剤に対する必要性が存在する。
【0005】
Fc受容体様5(FcRH5)は、CD307、IRTA2、FcRL5、およびBXMAS1としても公知で、免疫グロブリン受容体スーパーファミリーおよびFc受容体ファミリーのメンバーである。FcRH5は、細胞外領域に9つのIg様ドメインを含む1型膜貫通タンパク質である。FcRH5は、B細胞系統において排他的に発現され、形質細胞中に保持され、かつ多発性骨髄腫での治療標的として現在調査中である。
【0006】
以下のいくつかのアイソフォームが存在する:標準的構造のアイソフォームc(Uniprot Q96RD9-1-v3)は、細胞外領域にある9つのIg様ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞質尾部を含有する;アイソフォームaは、8つの可溶型のIg様細胞外ドメインを含有する(Uniprot Q96RD9-3);アイソフォームbは、最初の6つのIg様ドメインおよび32aaペプチドを含むGPIアンカータンパク質である(Uniprot Q96RD9-4);アイソフォームdは、最初の2つのIg様ドメインのみを含有する(Uniprot Q96RD9-5)。
【0007】
治療用モノクローナル抗体(mAb)、イムノコンジュゲートmAb、放射性コンジュゲート(radioconjugated)mAb、および二重特異性T細胞エンゲージャーを含む、いくつかの免疫療法剤が、がん処置で使用するために記載された。
【0008】
しかし、FcRH5を標的とする免疫療法剤に対する必要性がなおも存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の概要
本発明者らは、驚くべきことに、本明細書に記載される相補性決定領域(CDR)を含む単一ドメイン抗体は、FcRH5を標的とすることができることを実証した。これらの単一ドメインFcRH5結合剤は、そのようなFcRH5結合ドメインを含む抗原結合実体、例えば、VHH抗体、抗体コンジュゲート、キメラ抗原受容体(CAR)および免疫細胞エンゲージャーにおいて有益であり得る。
【0010】
したがって、第1の態様では、本発明は、FcRH5結合ドメインを含む単一ドメイン抗体(sdAb)を提供する。
【0011】
好適には、FcRH5結合ドメインは、
(i)以下の配列を有する相補性決定領域(CDR):
CDR1-RSSFSNNA(配列番号1)
CDR2-ITKGGVT(配列番号2)
CDR3-NTIPFRSA(配列番号3);または
(ii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GFTFSNYA(配列番号4)
CDR2-INSDGGTA(配列番号5)
CDR3-AANRGFCAGVRCLEYQY(配列番号6);または
(iii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTFSINA(配列番号7)
CDR2-IGGSGRVSST(配列番号8)
CDR3-AARRDYLPFPPESYDY(配列番号9);または
(iv)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTFSINA(配列番号7)
CDR2-IGGSGRVSST(配列番号8)
CDR3-AAGRRTSTNGGDYDY(配列番号10);または
(v)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTFSINA(配列番号7)
CDR2-ISRSGGAT(配列番号11)
CDR3-AGTRRAFSTGLRDYDY(配列番号12);または
(vi)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTFSNST(配列番号13)
CDR2-ISWSGGTY(配列番号14)
CDR3-AAARKGWSTRGDDYDY(配列番号15);または
(vii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTYNNYA(配列番号16)
CDR2-ISRSGGMT(配列番号17)
CDR3-AAYVGGFSTARRDYSY(配列番号18);または
(viii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTFSSYA(配列番号19)
CDR2-ISRIGGVT(配列番号20)
CDR3-AAAGLVSISTTPNDYDY(配列番号21);または
(ix)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GNIFRLNG(配列番号22)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-NAIPFRL(配列番号24);または
(x)以下の配列を有するCDR:
CDR1-RNIFSLNP(配列番号25)
CDR2-ITDGGST(配列番号26)
CDR3-NRVGGLQTWA(配列番号27);または
(xi)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRSFSNYG(配列番号28)
CDR2-IGMVGGLT(配列番号29)
CDR3-AAGRRFSTSSRDYDI(配列番号30);または
(xii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTFDSRP(配列番号31)
CDR2-VSWRGEST(配列番号32)
CDR3-AAGEPYSGTYYYRGRDYDY(配列番号33);または
(xiii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTFSMYA(配列番号34)
CDR2-ISGSARIT(配列番号35)
CDR3-AASSTYTSTSGSSYNY(配列番号36);または
(xiv)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GSIFSINA(配列番号37)
CDR2-ITSGGST(配列番号38)
CDR3-NALGGFVPSYG(配列番号39);または
(xv)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTSSRAA(配列番号155)
CDR2-ISWSGGTT(配列番号156)
CDR3-AAARIFTTARNDYDH(配列番号157);または
(xvi)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GNIFRLNG(配列番号22)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-NTIPFRLS(配列番号186);または
(xvii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GNIFRLNA(配列番号160)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-NTIPFRLS(配列番号186);または
(xviii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-RSSFSNNA(配列番号1)
CDR2-ITKGGVT(配列番号2)
CDR3-NTIPVRSA(配列番号187);または
(xix)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GSIFSINA(配列番号37)
CDR2-ITKGGVT(配列番号2)
CDR3-NTIPCRSA(配列番号188);または
(xx)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GSSFRLNG(配列番号161)
CDR2-ITSGGST(配列番号38)
CDR3-NTIPFSRA(配列番号189);または
(xxi)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRSVSINA(配列番号162)
CDR2-IDRSGNT(配列番号176)
CDR3-NTIPYSDS(配列番号190);または
(xxii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTFSSYA(配列番号19)
CDR2-IDGIGGIT(配列番号177)
CDR3-NTIPFRSA(配列番号3);または
(xxiii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-RSSFSNNA(配列番号1)
CDR2-ITKGGVT(配列番号2)
CDR3-NAIPFRSA(配列番号191);または
(xxiv)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GNNFRLNA(配列番号163)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-NAIPFRPS(配列番号192);または
(xxv)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GNIFRLNG(配列番号22)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-NAIPFRRS(配列番号193);または
(xxvi)以下の配列を有するCDR:
CDR1-ERIFRINA(配列番号164)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-NAIPFRRS(配列番号193);または
(xxvii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GFTFSTYW(配列番号165)
CDR2-IDNGGGTT(配列番号178)
CDR3-NALPFRLS(配列番号194);または
(xxviii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GNIFRLNG(配列番号22)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-NATPFRLS(配列番号195);または
(xxix)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GNIFRLNG(配列番号22)
CDR2-ITRGGNT(配列番号179)
CDR3-NSIPFRLS(配列番号196);または
(xxx)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GNIFRING(配列番号166)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-NAIPFRIS(配列番号197);または
(xxxi)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GNNFRLNA(配列番号163)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-NAIPFRLY(配列番号198);または
(xxxii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GFTFSTYW(配列番号165)
CDR2-IDNGGGTT(配列番号178)
CDR3-KAIPFRLS(配列番号199);または
(xxiii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GSSFSNNA(配列番号167)
CDR2-ITKGGVT(配列番号2)
CDR3-NTIPFRSA(配列番号3);または
(xxxiv)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GFTFSTYW(配列番号165)
CDR2-IDNGGGTT(配列番号178)
CDR3-NTIPFRSA(配列番号3);または
(xxxv)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GNIFRLNA(配列番号160)
CDR2-ITKGGVT(配列番号2)
CDR3-NTIPFRSA(配列番号3);または
(xxxvi)以下の配列を有するCDR:
CDR1-RSSFGNNA(配列番号168)
CDR2-ITKGGVT(配列番号2)
CDR3-NTIPFRSA(配列番号3);または
(xxxvii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTFSTYG(配列番号169)
CDR2-ISRSGGAT(配列番号11)
CDR3-AGTRRAFSTGLRDYDY(配列番号12);または
(xxxviii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GTIERNNA(配列番号170)
CDR2-ITSGGST(配列番号38)
CDR3-AAGRRFSTRSRDYDY(配列番号200);または
(xxxix)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRSFSNYG(配列番号28)
CDR2-IGMVGGLT(配列番号29)
CDR3-AAGRRFSTSSRDYDY(配列番号201);または
(xl)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRSFSNYG(配列番号28)
CDR2-IGMVGGLT(配列番号29)
CDR3-AAGRRFSTGSRDYDI(配列番号202);または
(xli)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTFSSYA(配列番号19)
CDR2-ISQFGGVTT(配列番号179)
CDR3-AAGRRFSTGSRDYDI(配列番号202);または
(xlii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRSFSNYG(配列番号28)
CDR2-IGMVGGLT(配列番号29)
CDR3-AGGRRFSTSSRDYDI(配列番号203);または
(xliii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRSFSNYG(配列番号28)
CDR2-IGMVGGLT(配列番号29)
CDR3-AAGRRFSTSSREYDI(配列番号204);または
(xliv)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRSFSNYG(配列番号28)
CDR2-IGMVGGLP(配列番号180)
CDR3-AAGRRLSTSSRDYDI(配列番号205);または
(xlv)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRSFSNYG(配列番号28)
CDR2-ISRGGGVS(配列番号181)
CDR3-AAGLRFSTGSRDYDI(配列番号206);または
(xlvi)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTFRRYA(配列番号171)
CDR2-ISRSGGMT(配列番号17)
CDR3-AAYVGGFSTTRRDYAY(配列番号207);または
(xlvii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTFSNST(配列番号13)
CDR2-ISWSGGTT(配列番号156)
CDR3-AAARKGWSTRGDDYDY(配列番号15);または
(xlviii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTVI(配列番号172)
CDR2-SSGSGGVT(配列番号182)
CDR3-AAALTWSTRPSDFTS(配列番号208);または
(xlix)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTVI(配列番号172)
CDR2-SNWSGGVT(配列番号183)
CDR3-AAYVGGFSTARRDYSY(配列番号18);または
(l)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTFSINA(配列番号7)
CDR2-ISRSGGMT(配列番号17)
CDR3-AAYVGGFSTARRDYSY(配列番号18);または
(li)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTFSRYA(配列番号173)
CDR2-INGSGGT(配列番号184)
CDR3-AAARIFTTTRNEYDH(配列番号209);または
(lii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTFSRYA(配列番号173)
CDR2-INGSGGT(配列番号184)
CDR3-AAARIFTTTRNEYDH(配列番号209);または
(liii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GFTFSTYW(配列番号165)
CDR2-IDNGGGTT(配列番号178)
CDR3-AAARIFSTARNDYDH(配列番号210);または
(liv)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRSFSNYG(配列番号28)
CDR2-IGMVGGLT(配列番号29)
CDR3-AGGRIFRTSSRDYDI(配列番号211);または
(lv)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GNIFRLNG(配列番号22)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-AAARFFTTARNDYDH(配列番号212);または
(lvi)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GSIFSINA(配列番号37)
CDR2-ITSGGST(配列番号38)
CDR3-NALGGFVPNYG(配列番号213);または
(lvii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GNIFRLNG(配列番号22)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-NALGGFVPNYG(配列番号213);または
(lviii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GSIFSINA(配列番号37)
CDR2-ITSGGST(配列番号38)
CDR3-NALGGFVPNDG(配列番号214);または
(lix)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GNNFRLNA(配列番号163)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-NALGGFAPNYG(配列番号215);または
(lx)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRSFSNYG(配列番号28)
CDR2-IGMVGGLT(配列番号29)
CDR3-NALGGFVPNYV(配列番号216);または
(lxi)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRSFSINA(配列番号174)
CDR2-ITSGGST(配列番号38)
CDR3-NALGGFVLNYG(配列番号217);または
(lxii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GSIFSINA(配列番号37)
CDR2-ITSGGST(配列番号38)
CDR3-NALGGLVPNYG(配列番号218);または
(lxiii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GSIFSINA(配列番号37)
CDR2-ITSGGST(配列番号38)
CDR3-NALGGFLPNYG(配列番号219);または
(lxiv)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GSIFSINA(配列番号37)
CDR2-ITSGGST(配列番号38)
CDR3-NALGGFVTNYG(配列番号220);または
(lxv)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GSIFSINA(配列番号37)
CDR2-ITSGGST(配列番号38)
CDR3-NALGGFVTNYG(配列番号220);または
(lxvi)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTV(配列番号222)
CDR2-ITRGGST(配列番号185)
CDR3-NALGGFVPNYG(配列番号213);または
(lxvii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GNIFRLNG(配列番号22)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-NALGGFVPSYG(配列番号39);または
(lxviii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GNNFRLNA(配列番号163)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-NALGGFVPSYG(配列番号39);または
(lxix)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GNIFRLNG(配列番号22)
CDR2-ITSGGST(配列番号38)
CDR3-NALGGFVPSYG(配列番号39);または
(lxx)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRSFSNYG(配列番号28)
CDR2-IGMVGGLT(配列番号29)
CDR3-NALGGFVPSYG(配列番号39);または
(lxxi)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GNIFSINA(配列番号175)
CDR2-ITSGGST(配列番号38)
CDR3-NALGGFVPSYG(配列番号39);または
(lxxii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GFTFSTYW(配列番号165)
CDR2-IDNGGGTT(配列番号178)
CDR3-ARNPTRGWYSTDY(配列番号221)
を含み得る。
【0012】
CDRのうちの1つまたは複数は、1つ、2つまたは3つのアミノ酸変異を含み得る。
【0013】
結合ドメインは、単一ドメイン抗体(sdAb)であり得る。sdAbは、VHHまたは重鎖可変領域(VH)ドメインであり得る。sdAbは、ヒト化sdAbであり得る。
【0014】
好適には、FcRH5結合ドメインは、
(i)配列番号40として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有する可変重鎖ドメイン抗体(VHH);または
(ii)配列番号41として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(iii)配列番号42として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(iv)配列番号43として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(v)配列番号44として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(vi)配列番号45として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(vii)配列番号46として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(viii)配列番号47として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(ix)配列番号48として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(x)配列番号49として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xi)配列番号50として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xii)配列番号51として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xiii)配列番号52として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xiv)配列番号53として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;
(xv)配列番号158として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xvi)配列番号223として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xvii)配列番号224として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xviii)配列番号225として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xvix)配列番号226として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xx)配列番号227として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxi)配列番号228として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxii)配列番号229として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxiii)配列番号230として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxiv)配列番号231として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxv)配列番号232として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxvi)配列番号233として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxvii)配列番号234として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxviii)配列番号235として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxix)配列番号236として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxx)配列番号237として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxxi)配列番号238として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxxii)配列番号239として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxxiii)配列番号240として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxxiv)配列番号241として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxxv)配列番号242として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxxvi)配列番号243として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxxvii)配列番号244として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxxviii)配列番号245として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxxix)配列番号246として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xl)配列番号247として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xli)配列番号248として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xlii)配列番号249として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xliii)配列番号250として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xliv)配列番号251として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xlv)配列番号252として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xlvi)配列番号253として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xlvii)配列番号254として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xlviii)配列番号255として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xlix)配列番号256として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(l)配列番号257として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(li)配列番号258として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lii)配列番号259として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(liii)配列番号260として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(liv)配列番号261として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lv)配列番号262として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lvi)配列番号263として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lvii)配列番号264として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lviii)配列番号265として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lix)配列番号266として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lx)配列番号267として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxi)配列番号268として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxii)配列番号269として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxiii)配列番号270として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxiv)配列番号271として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxv)配列番号272として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxvi)配列番号273として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxvii)配列番号274として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxviii)配列番号275として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxix)配列番号276として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxx)配列番号277として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxxi)配列番号278として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxxii)配列番号279として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxxiii)配列番号280として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxxiv)配列番号281として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxxv)配列番号282として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxxvi)配列番号283として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxxvii)配列番号284として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxxviii)配列番号285として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxxix)配列番号286として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxxx)配列番号287として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxxxi)配列番号288として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH
を含み得る。
【0015】
第2の態様では、本発明は、本発明の第1の態様のsdAbを含むFcRH5結合分子であって、抗体コンジュゲート、キメラ抗原受容体(CAR)または免疫細胞エンゲージャー、例えば、T細胞エンゲージャー分子、ガンマデルタT細胞エンゲージャー分子、ナチュラルキラー(NK)T細胞エンゲージャー分子もしくはNK細胞エンゲージャー分子から選択される、FcRH5結合分子を提供する。
【0016】
第3の態様では、本発明は、本発明の第1の態様のsdAbを含む抗体コンジュゲートを提供する。
【0017】
好適には、抗体コンジュゲートは、化学療法用実体、放射性核種または検出用実体とコンジュゲートされてもよい。
【0018】
第4の態様では、本発明は、本発明の第1の態様のsdAbを含むCARを提供する。
【0019】
CARは、CD8a膜貫通ドメイン;CD28膜貫通ドメイン;またはTyrp1膜貫通ドメインを含む膜貫通ドメインを含み得る。
【0020】
CARは、配列番号54、配列番号55もしくは配列番号56を含む群から選択される配列の1つ、または少なくとも80%の配列同一性を有するそのバリアントを含む膜貫通ドメインを含み得る。
【0021】
sdAbおよび膜貫通ドメインは、スペーサーによって連結され得る。
【0022】
スペーサーは、以下:ヒトIgG1 Fcドメイン;IgG1ヒンジ;IgG1ヒンジ-CD8ストーク;またはCD8ストークの1つを含み得る。
【0023】
スペーサーは、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60もしくは配列番号61を含む群から選択される配列の1つ;または少なくとも80%の配列同一性を有するそのバリアントを含み得る。
【0024】
CARは、細胞内T細胞シグナル伝達ドメインも含み得る。
【0025】
細胞内T細胞シグナル伝達ドメインは、以下のエンドドメイン:CD28エンドドメイン;OX40エンドドメイン;41BBエンドドメイン;およびCD3ゼータエンドドメインの1つまたは複数を含み得る。
【0026】
細胞内T細胞シグナル伝達ドメインは、配列番号67、配列番号68、配列番号69、もしくは配列番号70を含む群から選択される配列の1つもしくは複数;または少なくとも80%の配列同一性を有するそのバリアントを含み得る。
【0027】
CARは、配列番号76~配列番号89、配列番号159および配列番号289~配列番号354を含む群から選択される配列、またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するが、i)FcRH5に結合する能力およびii)T細胞シグナル伝達を誘導する能力を保持するそのバリアントを含み得る。
【0028】
第5の態様では、本発明は、(i)本発明の第1の態様のsdAbを含む第1のドメイン;および(ii)T細胞を活性化することができる第2のドメインを含む免疫細胞エンゲージャー分子を提供する。
【0029】
免疫細胞エンゲージャー分子は、T細胞を共活性化することができる第3のドメインをさらに含み得る。
【0030】
第2のドメインは、T細胞表面上のCD3に結合することによってT細胞を活性化し得る。
【0031】
第2のドメインは、CD3特異的抗体またはその一部を含み得る。
【0032】
第2のドメインは、配列番号96、配列番号103もしくは配列番号110を含む群から選択される配列、または少なくとも80%の配列同一性を有し、かつCD3に結合するそのバリアントを含み得る。
【0033】
第1および第2の結合ドメインは、スペーサーまたはリンカーによって連結され得る。第2および第3の結合ドメインは、スペーサーまたはリンカーによって連結され得る。
【0034】
スペーサーは、IgG1ヒンジまたはCD8ストークを含み得る。
【0035】
スペーサーは、配列番号113もしくは配列番号114を含む群から選択される配列の1つ、または少なくとも80%の配列同一性を有するそのバリアントを含み得る。リンカーは、SGGGGS(配列番号116)、GGGGS(配列番号117)、((Gly4)Ser)2(GGGGSGGGGS、配列番号355)、((Gly4)Ser)3(GGGGSGGGGSGGGGS、配列番号356)および((Gly4)Ser)4(GGGGSGGGGSGGGGSGGGGS、配列番号357)などのセリン-グリシンリンカーを含み得る。
【0036】
第3のドメインはCD28に結合することができ得る。
【0037】
第3のドメインは、CD28特異的抗体またはその一部を含み得る。
【0038】
第3のドメインは、
(i)配列番号130として示す配列を有するVH領域および配列番号131として示す配列を有するVL領域、もしくは
(ii)配列番号132として示す配列を有するVH領域および配列番号133として示す配列を有するVL領域、もしくは
(iii)配列番号134として示す配列を有するVH領域および配列番号135として示す配列を有するVL領域;
または少なくとも80%の配列同一性を有し、かつCD28に結合するそのバリアント
を含み得る。
【0039】
第6の態様では、本発明は、(i)本発明の第1の態様のsdAbを含む第1のドメイン;および(ii)NK細胞を活性化することができる第2のドメインを含む免疫細胞エンゲージャー分子を提供する。
【0040】
免疫細胞エンゲージャー分子は、NK細胞を活性化することができる第3のドメインをさらに含み得る。
【0041】
第2のドメインは、NK細胞表面上のCD16に結合することによってNK細胞を活性化し得る。
【0042】
第2のドメインは、CD16特異的抗体またはその一部を含み;必要に応じて、第2のドメインが、
(i)配列番号142として示す配列を有するVH領域および配列番号143として示す配列を有するVL領域、もしくは
(ii)配列番号146として示す配列を有するVH領域および配列番号147として示す配列を有するVL領域、もしくは
(iii)配列番号153として示す配列を有するVH領域および配列番号154として示す配列を有するVL領域;
または少なくとも80%の同一性を有し、かつCD16に結合するそのバリアント
を含み得る。
【0043】
第3のドメインは、IL-15を架橋することができ得る。
【0044】
第7の態様では、本発明は、本発明の第1の態様にしたがうsdAbをコードする核酸配列、本発明の第4の態様にしたがうCAR、本発明の第5の態様にしたがう免疫細胞エンゲージャー分子、または本発明の第6の態様にしたがう免疫細胞エンゲージャー分子を含むポリヌクレオチドを提供する。
【0045】
第8の態様では、本発明は、本発明の第7の態様にしたがうポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。
【0046】
第9の態様では、本発明は、本発明の第4の態様にしたがうCARを含む細胞を提供する。
【0047】
第10の態様では、本発明は、本発明の第7の態様にしたがうポリヌクレオチドまたは本発明の第8の態様にしたがうベクターを含む細胞を提供する。
【0048】
細胞は、免疫細胞、例えばT細胞またはNK細胞であってよい。
【0049】
第11の態様では、本発明は、本発明の第9または第10の態様にしたがう細胞を作製するための方法であって、本発明の第7の態様にしたがうポリヌクレオチドまたは本発明の第8の態様にしたがうベクターを導入するステップを含む方法を提供する。
【0050】
第12の態様では、本発明は、本発明の第1の態様にしたがうsdAb、または本発明の第3の態様にしたがう抗体コンジュゲート、または本発明の第5の態様にしたがう免疫細胞エンゲージャー分子、または本発明の第6の態様にしたがう免疫細胞エンゲージャー分子、または本発明の第7の態様にしたがうポリヌクレオチド、または本発明の第8の態様にしたがうベクター、または本発明の第9もしくは第10の態様にしたがう細胞を、薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤と共に含む医薬組成物を提供する。
【0051】
第13の態様では、本発明は、疾患の処置における医薬としての使用のための、本発明の第1の態様にしたがうsdAb、または本発明の第3の態様にしたがう抗体コンジュゲート、または本発明の第5の態様にしたがう免疫細胞エンゲージャー分子、または本発明の第6の態様にしたがう免疫細胞エンゲージャー分子、または本発明の第7の態様にしたがうポリヌクレオチド、または本発明の第8の態様にしたがうベクター、または本発明の第9もしくは第10の態様にしたがう細胞、または本発明の第12の態様にしたがう医薬組成物を提供する。
【0052】
第14の態様では、本発明は、疾患を処置するための方法であって、本発明の第1の態様にしたがうsdAb、または本発明の第3の態様にしたがう抗体コンジュゲート、または本発明の第5の態様にしたがう免疫細胞エンゲージャー分子、または本発明の第6の態様にしたがう免疫細胞エンゲージャー分子、または本発明の第7の態様にしたがうポリヌクレオチド、または本発明の第8の態様にしたがうベクター、または本発明の第9もしくは第10の態様にしたがう細胞、または本発明の第12の態様にしたがう医薬組成物を、対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0053】
第15の態様では、本発明は、疾患を処置するための医薬の製造における、本発明の第1の態様にしたがうsdAb、または本発明の第3の態様にしたがう抗体コンジュゲート、または本発明の第5の態様にしたがう免疫細胞エンゲージャー分子、または本発明の第6の態様にしたがう免疫細胞エンゲージャー分子、または本発明の第7の態様にしたがうポリヌクレオチド、または本発明の第8の態様にしたがうベクター、または本発明の第9もしくは第10の態様にしたがう細胞、または本発明の第12の態様にしたがう医薬組成物の使用を提供する。
【0054】
疾患は、B細胞悪性腫瘍または形質細胞障害であり得る。
【0055】
B細胞悪性腫瘍または形質細胞障害は、白血病、有毛細胞白血病、慢性リンパ球性白血病、非ホジキンリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、EBV関連リンパ腫(バーキット)、リンパ形質細胞性リンパ腫、形質細胞腫、孤立性形質細胞腫、髄外性形質細胞腫、形質細胞白血病、多発性骨髄腫、マクログロブリン血症、アミロイドーシス、ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症、骨の孤立性形質細胞腫、髄外性形質細胞腫、骨硬化性骨髄腫、重鎖疾患、意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症(MGUS)、非IgM MGUS、IgM MGUS、軽鎖MGUSおよびくすぶり型多発性骨髄腫を含むリストから選択され得る。
【0056】
がんは、多発性骨髄腫であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図1】プレート結合抗原アッセイ用のFCRH5-CAR構築の概略図。
【0058】
【
図2】プレートFcRH5による刺激(24h)後のJurkat T細胞におけるmClover-NUR77上方制御。たいていのCAR候補は、24hの抗原刺激後、NUR77を上方制御する。非形質導入(NT)細胞は、一貫して低レベルのmClover発現を示し、一方、陽性対照(aCD3/CD28)コーティングしたウェルは、著しく活性化される。
【0059】
【
図3-1】プレートFcRH5による刺激(72h)後のJurkat T細胞におけるmClover-NUR77上方制御。予想どおり、Nu77-mClover発現は、72h後、抗原との初期接触と比べて低減する。ここで示される低下は、陽性対照刺激の減少に一致する。示すデータは、二つ組実験を代表する。
【
図3-2】プレートFcRH5による刺激(72h)後のJurkat T細胞におけるmClover-NUR77上方制御。予想どおり、Nu77-mClover発現は、72h後、抗原との初期接触と比べて低減する。ここで示される低下は、陽性対照刺激の減少に一致する。示すデータは、二つ組実験を代表する。
【
図3-3】プレートFcRH5による刺激(72h)後のJurkat T細胞におけるmClover-NUR77上方制御。予想どおり、Nu77-mClover発現は、72h後、抗原との初期接触と比べて低減する。ここで示される低下は、陽性対照刺激の減少に一致する。示すデータは、二つ組実験を代表する。
【0060】
【
図4】プレート結合抗原での刺激に応じた、抗FcRH5 VHH CAR形質導入Jurkat NR4A1 T細胞によるmClover-NUR77上方制御(MFIに対するFcRH5濃度)。A)24hインキュベーション;B)72hインキュベーション。
【0061】
【
図5-1】プレートFcRH5_2倍希釈系列による刺激(24h)後のJurkat T細胞における反復mClover-NUR77上方制御。
【
図5-2】プレートFcRH5_2倍希釈系列による刺激(24h)後のJurkat T細胞における反復mClover-NUR77上方制御。
【0062】
【
図6】プレート結合抗原活性化後のmClover陽性細胞の百分率。A)PBAまたはaCD3/CD28刺激によるJurkat T細胞の活性化。B)aCD3/CD28データを除いた、Jurkat T細胞の活性化。PBA=プレート結合抗原。
【0063】
【
図7】FcRH5 Ig8に対するELISAアッセイ。ヒトFcRH5 Ig8ドメインに対する、可溶性抗FcRH5 VHH抗体のELISAアッセイ。FcRH5 Ig8-muFcに対する抗マウス二次抗体により検出された結合。A)抗FcRH5 VHH-Hisコーティングの滴定。B)1μg/mlのVHHコーティングでの最大シグナルに基づく、クローンのランク付け。クローン85139の結合エピトープは、Ig8ドメインの外側にある。
【0064】
【
図8】A)HEK293T NT、およびFcRH5 Ig8ドメインをトランスフェクトしたHEK293Tの代表的ドットプロット。33%の細胞が、eGFPトランスフェクションマーカーを含有する、ヒトFcRH5 Ig8ドメインを発現する構築物をトランスフェクトされる。B)抗His AF647二次抗体で検出された抗FcRH5 VHH-His抗体によるHEK293T NT染色のヒストグラムプロット。青色曲線=二次抗体のみ。赤色曲線=VHH-His染色。C)抗His AF647二次抗体で検出された抗FcRH5 VHH-His抗体によるHEK293T FcRH5 Ig8染色のヒストグラムプロット。青色曲線=二次抗体のみ。赤色曲線=VHH-His染色。
【0065】
【
図9-1】抗FcRH5結合剤に関する、粒子分散および凝集プロファイルのMADLS解析。A)粒径分布。抗体は、主として単分散プロファイルを示す。B)平均粒径。サイズは、予想される分子量82kDaに一致する。C)サイズに基づく%凝集。
【
図9-2】抗FcRH5結合剤に関する、粒子分散および凝集プロファイルのMADLS解析。A)粒径分布。抗体は、主として単分散プロファイルを示す。B)平均粒径。サイズは、予想される分子量82kDaに一致する。C)サイズに基づく%凝集。
【発明を実施するための形態】
【0066】
発明の詳細な説明
単一ドメイン抗体
本発明は、FcRH5結合ドメインを含む単一ドメイン抗体(sdAb)を提供する。したがって、sdAbは、FcRH5に選択的に結合することができるものであってよい。
【0067】
本明細書で使用される場合、「抗体」は、少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)を含む抗原結合部位または抗原結合ドメインを有するタンパク質またはポリペプチドを意味する。抗体は、3つのCDRを含むことができ、ドメイン抗体(sdAb)の抗原結合部位と同等である抗原結合部位を有することができる。
【0068】
用語「ポリペプチド」は、その従来の意味で、一般的に、隣接するアミノ酸のα-アミノ基とカルボキシル基との間のペプチド結合により、一方が他方に連結した、一連のアミノ酸、一般的にL-アミノ酸を意味して使用される。用語「ポリペプチド」は、用語「アミノ酸配列」、「ペプチド」、および/または「タンパク質」と交換可能に使用される。用語「残基」は、アミノ酸配列中のアミノ酸に関して使用される。
【0069】
sdAb(すなわちナノボディ)は、単一モノマー可変抗体ドメインを含む抗体断片である。sdAbは、3つのCDRを有する、重鎖可変(VH)ドメインまたは軽鎖可変(VL)ドメインであり得る単鎖可変ドメインであってよい。
【0070】
SdAbは、可変重鎖ドメイン抗体(VHH)を産生するために、ラクダ類で見出された重鎖抗体から操作された。SdAbは、可変新抗原受容体抗体(VNAR)を産生するために、軟骨魚類で見出された免疫グロブリン新抗原受容体(IgNAR)と呼ばれる重鎖抗体からも操作された。
【0071】
好適には、sdAbは、VHH、VHドメインまたはVNARであってよい。好適には、sdAbはVHHであってよい。
【0072】
sdAbは、Humabody(登録商標)(Crescendo Biologics)であってよい。Humabodyは、VLドメインを有さずに完全ヒトVHドメインを有する重鎖のみ抗体を産生するトランスジェニックマウスにより産生される抗体である。
【0073】
sdAbは、非ヒト、ヒト化または完全ヒトであってよい。好適には、sdAbはヒト化sdAbであってよい。好適には、sdAbは完全ヒトsdAbであってよい。
【0074】
ポリペプチドの残部は、抗原結合部位のための好適な足場を提供し、かつその抗原結合部位を、抗原に結合するために適当なやり方で提示する任意の配列であってよい。
【0075】
「重鎖可変領域」または「VH」は、フレームワーク領域として公知である隣接するストレッチ間に挟まれた3つのCDRを含有する、抗原結合ドメインまたは抗体の重鎖の断片を指し、前記フレームワーク領域は、前記CDRよりも高度に保存されており、前記CDRを支持する足場を形成する。「軽鎖可変領域」または「VL」は、フレームワーク領域間に挟まれた3つのCDRを含有する、抗原結合ドメインまたは抗体の軽鎖の断片を指す。
【0076】
抗原結合ドメインまたは抗体またはその抗原結合断片に関する「相補性決定領域」または「CDR」は、抗体の重鎖または軽鎖(the heavy chain of the light chain)の可変領域中の高度可変ループを指す。CDRは、抗原の立体構造と相互作用でき、抗原への結合を主として決定する(いくつかのフレームワーク領域は、結合に関与することが公知であるが)。重鎖可変領域および軽鎖可変領域は、各々、3つのCDRを含有する(アミノ末端からカルボキシ末端へと重鎖CDR1、2、および3、ならびに軽鎖CDR1、2、および3と番号付け)。
【0077】
CDRのいくつかの定義が一般的に使用される。Kabatの定義は、配列変動性に基づいており、最も一般的に使用される(http://www.bioinf.org.uk/abs/を参照)。ImMunoGeneTics情報システム(IMGT)(http://www.imgt.orgを参照)も使用することができる。このシステムによると、相補性決定領域(CDR-IMGT)は、Vドメインに対するIMGTの固有の番号付けにしたがい区切られた、可変ドメインのループ領域である。可変ドメイン中には3つのCDR-IMGT:CDR1-IMGT(BCループ)、CDR2-IMGT(C’C”ループ)、およびCDR3-IMGT(FGループ)がある。CDRの他の定義も開発されており、例えば、Chothiaの定義、AbMの定義、および接触定義である(http://www.imgt.orgを参照)。異なる指定がない限り、本明細書に記載されるCDRは、IMGTシステムを使用して導き出される。
【0078】
「ヒト化抗体」は、ヒト抗体定常ドメインと、ヒト可変ドメインに対する高レベルの配列相同性を含有するように改変された非ヒト可変ドメインとを含有する、遺伝子操作された非ヒト抗体を指す。それは、共に抗原結合部位を形成する3つ(または6つ)の非ヒト抗体相補性決定領域(CDR)を、相同ヒトアクセプターフレームワーク領域(FR)上にグラフトさせることにより達成され得る。抗体ヒト化法の非限定的な例には、CDRグラフティング、CDR相同性(フレームワーク類似性よりはむしろマウス/ヒト配列間のCDR相同性に基づく);再表面化(すなわち、「よりヒトらしい」表面を得るために表面残基を置換え)、および生殖細胞系列ベースのヒト化が含まれる。例えば、親抗体の結合親和性および特異性を完全に再構成するためには、親抗体(すなわち非ヒト抗体)からヒトフレームワーク領域への、フレームワーク残基の置換(復帰変異)が必要であり得る。構造的相同性モデリングは、抗体の結合特性にとって重要である、フレームワーク領域中のアミノ酸残基の同定に役立つことができる。したがって、ヒト化抗体は、非ヒトCDR配列、非ヒトアミノ酸配列への1つまたは複数のアミノ酸復帰変異を必要に応じて含む主にはヒトフレームワーク領域、および必要に応じて完全にヒトの定常領域を含むことができる。必要に応じて、好ましい特徴、例えば、親和性および生化学的特性を有するヒト化抗体を得るために、必ずしも復帰変異ではない追加のアミノ酸改変を導入することができる。非ヒト治療用抗体のヒト化は、ヒトでのその免疫原性を最小にするために行い、そのようなヒト化抗体は、同時に、非ヒト起源の抗体の特異性および結合親和性を維持する。VHHのヒト化の例示的な方法は、Vincke et al. (Journal of Biological Chemistry; 2009; 284(5); 3273-3284)およびRossotti et al. (FEBS; 2021; doi:10.1111/febs/15809)に記載される。
【0079】
sdAbは、抗原結合ドメインとコグネイト標的との間の結合相互作用に依拠する任意の方法において有益であると判明し得る。したがって、sdAbは、検出抗体および/または捕捉抗体として使用することができる。sdAbは、治療用抗体、例えば、FcRH5タンパク質、またはFcRH5を発現する細胞を標的とする治療用抗体として使用することができる。したがって、sdAbの適用に関する非限定的な例は、FcRH5の発現および/または過剰発現で特徴付けられるがんの処置での使用である。
【0080】
本発明は、本明細書に定義される任意のsdAbまたはタンパク質またはポリペプチドの断片も包含する。断片は、sdAbまたはタンパク質またはポリペプチドの全長配列よりも短いものの、sdAbまたはタンパク質またはポリペプチドの全長配列の完全な生物活性および/または抗原性特質を保持するアミノ酸配列を含むと理解される。前記断片は、sdAbまたはタンパク質またはポリペプチドの全長配列と同じ結合親和性を保持するとも理解される。
【0081】
FcRH5結合ドメイン
本明細書に記載される結合ドメインは、FcRH5に特異的に結合できる。
【0082】
好適には、FcRH5結合ドメインは、相補性決定領域(CDR)1、CDR2およびCDR3の配列を含み得る。
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-RSSFSNNA(配列番号1)
CDR2-ITKGGVT(配列番号2)
CDR3-NTIPFRSA(配列番号3)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GFTFSNYA(配列番号4)
CDR2-INSDGGTA(配列番号5)
CDR3-AANRGFCAGVRCLEYQY(配列番号6)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GRTFSINA(配列番号7)
CDR2-IGGSGRVSST(配列番号8)
CDR3-AARRDYLPFPPESYDY(配列番号9)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GRTFSINA(配列番号7)
CDR2-IGGSGRVSST(配列番号8)
CDR3-AAGRRTSTNGGDYDY(配列番号10)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GRTFSINA(配列番号7)
CDR2-ISRSGGAT(配列番号11)
CDR3-AGTRRAFSTGLRDYDY(配列番号12)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GRTFSNST(配列番号13)
CDR2-ISWSGGTY(配列番号14)
CDR3-AAARKGWSTRGDDYDY(配列番号15)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GRTYNNYA(配列番号16)
CDR2-ISRSGGMT(配列番号17)
CDR3-AAYVGGFSTARRDYSY(配列番号18)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GRTFSSYA(配列番号19)
CDR2-ISRIGGVT(配列番号20)
CDR3-AAAGLVSISTTPNDYDY(配列番号21)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GNIFRLNG(配列番号22)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-NAIPFRL(配列番号24)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-RNIFSLNP(配列番号25)
CDR2-ITDGGST(配列番号26)
CDR3-NRVGGLQTWA(配列番号27)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GRSFSNYG(配列番号28)
CDR2-IGMVGGLT(配列番号29)
CDR3-AAGRRFSTSSRDYDI(配列番号30)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GRTFDSRP(配列番号31)
CDR2-VSWRGEST(配列番号32)
CDR3-AAGEPYSGTYYYRGRDYDY(配列番号33)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GRTFSMYA(配列番号34)
CDR2-ISGSARIT(配列番号35)
CDR3-AASSTYTSTSGSSYNY(配列番号36)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GSIFSINA(配列番号37)
CDR2-ITSGGST(配列番号38)
CDR3-NALGGFVPSYG(配列番号39)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GRTSSRAA(配列番号155)
CDR2-ISWSGGTT(配列番号156)
CDR3-AAARIFTTARNDYDH(配列番号157)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GNIFRLNG(配列番号22)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-NTIPFRLS(配列番号186)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GNIFRLNA(配列番号160)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-NTIPFRLS(配列番号186)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-RSSFSNNA(配列番号1)
CDR2-ITKGGVT(配列番号2)
CDR3-NTIPVRSA(配列番号187)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GSIFSINA(配列番号37)
CDR2-ITKGGVT(配列番号2)
CDR3-NTIPCRSA(配列番号188)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GSSFRLNG(配列番号161)
CDR2-ITSGGST(配列番号38)
CDR3-NTIPFSRA(配列番号189)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GRSVSINA(配列番号162)
CDR2-IDRSGNT(配列番号176)
CDR3-NTIPYSDS(配列番号190)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GRTFSSYA(配列番号19)
CDR2-IDGIGGIT(配列番号177)
CDR3-NTIPFRSA(配列番号3)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-RSSFSNNA(配列番号1)
CDR2-ITKGGVT(配列番号2)
CDR3-NAIPFRSA(配列番号191)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GNNFRLNA(配列番号163)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-NAIPFRPS(配列番号192)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GNIFRLNG(配列番号22)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-NAIPFRRS(配列番号193)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-ERIFRINA(配列番号164)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-NAIPFRRS(配列番号193)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GFTFSTYW(配列番号165)
CDR2-IDNGGGTT(配列番号178)
CDR3-NALPFRLS(配列番号194)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GNIFRLNG(配列番号22)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-NATPFRLS(配列番号195)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GNIFRLNG(配列番号22)
CDR2-ITRGGNT(配列番号179)
CDR3-NSIPFRLS(配列番号196)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GNIFRING(配列番号166)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-NAIPFRIS(配列番号197)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GNNFRLNA(配列番号163)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-NAIPFRLY(配列番号198)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GFTFSTYW(配列番号165)
CDR2-IDNGGGTT(配列番号178)
CDR3-KAIPFRLS(配列番号199)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GSSFSNNA(配列番号167)
CDR2-ITKGGVT(配列番号2)
CDR3-NTIPFRSA(配列番号3)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GFTFSTYW(配列番号165)
CDR2-IDNGGGTT(配列番号178)
CDR3-NTIPFRSA(配列番号3)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GNIFRLNA(配列番号160)
CDR2-ITKGGVT(配列番号2)
CDR3-NTIPFRSA(配列番号3)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-RSSFGNNA(配列番号168)
CDR2-ITKGGVT(配列番号2)
CDR3-NTIPFRSA(配列番号3)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GRTFSTYG(配列番号169)
CDR2-ISRSGGAT(配列番号11)
CDR3-AGTRRAFSTGLRDYDY(配列番号12)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GTIERNNA(配列番号170)
CDR2-ITSGGST(配列番号38)
CDR3-AAGRRFSTRSRDYDY(配列番号200)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GRSFSNYG(配列番号28)
CDR2-IGMVGGLT(配列番号29)
CDR3-AAGRRFSTSSRDYDY(配列番号201)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GRSFSNYG(配列番号28)
CDR2-IGMVGGLT(配列番号29)
CDR3-AAGRRFSTGSRDYDI(配列番号202)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GRTFSSYA(配列番号19)
CDR2-ISQFGGVTT(配列番号179)
CDR3-AAGRRFSTGSRDYDI(配列番号202)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GRSFSNYG(配列番号28)
CDR2-IGMVGGLT(配列番号29)
CDR3-AGGRRFSTSSRDYDI(配列番号203)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GRSFSNYG(配列番号28)
CDR2-IGMVGGLT(配列番号29)
CDR3-AAGRRFSTSSREYDI(配列番号204)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GRSFSNYG(配列番号28)
CDR2-IGMVGGLP(配列番号180)
CDR3-AAGRRLSTSSRDYDI(配列番号205)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GRSFSNYG(配列番号28)
CDR2-ISRGGGVS(配列番号181)
CDR3-AAGLRFSTGSRDYDI(配列番号206)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GRTFRRYA(配列番号171)
CDR2-ISRSGGMT(配列番号17)
CDR3-AAYVGGFSTTRRDYAY(配列番号207)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GRTFSNST(配列番号13)
CDR2-ISWSGGTT(配列番号156)
CDR3-AAARKGWSTRGDDYDY(配列番号15)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GRTVI(配列番号172)
CDR2-SSGSGGVT(配列番号182)
CDR3-AAALTWSTRPSDFTS(配列番号208)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GRTVI(配列番号172)
CDR2-SNWSGGVT(配列番号183)
CDR3-AAYVGGFSTARRDYSY(配列番号18)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GRTFSINA(配列番号7)
CDR2-ISRSGGMT(配列番号17)
CDR3-AAYVGGFSTARRDYSY(配列番号18)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GRTFSRYA(配列番号173)
CDR2-INGSGGT(配列番号184)
CDR3-AAARIFTTTRNEYDH(配列番号209)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GRTFSRYA(配列番号173)
CDR2-INGSGGT(配列番号184)
CDR3-AAARIFTTTRNEYDH(配列番号209)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GFTFSTYW(配列番号165)
CDR2-IDNGGGTT(配列番号178)
CDR3-AAARIFSTARNDYDH(配列番号210)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GRSFSNYG(配列番号28)
CDR2-IGMVGGLT(配列番号29)
CDR3-AGGRIFRTSSRDYDI(配列番号211)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GNIFRLNG(配列番号22)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-AAARFFTTARNDYDH(配列番号212)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GSIFSINA(配列番号37)
CDR2-ITSGGST(配列番号38)
CDR3-NALGGFVPNYG(配列番号213)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GNIFRLNG(配列番号22)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-NALGGFVPNYG(配列番号213)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GSIFSINA(配列番号37)
CDR2-ITSGGST(配列番号38)
CDR3-NALGGFVPNDG(配列番号214)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GNNFRLNA(配列番号163)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-NALGGFAPNYG(配列番号215)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GRSFSNYG(配列番号28)
CDR2-IGMVGGLT(配列番号29)
CDR3-NALGGFVPNYV(配列番号216)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GRSFSINA(配列番号174)
CDR2-ITSGGST(配列番号38)
CDR3-NALGGFVLNYG(配列番号217)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GSIFSINA(配列番号37)
CDR2-ITSGGST(配列番号38)
CDR3-NALGGLVPNYG(配列番号218)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GSIFSINA(配列番号37)
CDR2-ITSGGST(配列番号38)
CDR3-NALGGFLPNYG(配列番号219)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GSIFSINA(配列番号37)
CDR2-ITSGGST(配列番号38)
CDR3-NALGGFVTNYG(配列番号220)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GSIFSINA(配列番号37)
CDR2-ITSGGST(配列番号38)
CDR3-NALGGFVTNYG(配列番号220)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GRTV(配列番号222)
CDR2-ITRGGST(配列番号185)
CDR3-NALGGFVPNYG(配列番号213)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GNIFRLNG(配列番号22)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-NALGGFVPSYG(配列番号39)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GNNFRLNA(配列番号163)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-NALGGFVPSYG(配列番号39)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GNIFRLNG(配列番号22)
CDR2-ITSGGST(配列番号38)
CDR3-NALGGFVPSYG(配列番号39)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GRSFSNYG(配列番号28)
CDR2-IGMVGGLT(配列番号29)
CDR3-NALGGFVPSYG(配列番号39)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GNIFSINA(配列番号175)
CDR2-ITSGGST(配列番号38)
CDR3-NALGGFVPSYG(配列番号39)
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは以下の配列を含み得る:
CDR1-GFTFSTYW(配列番号165)
CDR2-IDNGGGTT(配列番号178)
CDR3-ARNPTRGWYSTDY(配列番号221)
【0083】
CDRの1つまたは複数は、1つ、2つまたは3つのアミノ酸変異を含むことができる。これらのCDRを含むFcRH5結合ドメインは、FcRH5に結合する能力を好適に維持することができる。
【0084】
好適には、FcRH5結合ドメインは、VHHを含むことができる。
【0085】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号40として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号40として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0086】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号41として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号41として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0087】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号42として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号42として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0088】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号43として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号43として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0089】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号44として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号44として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0090】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号45として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号45として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0091】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号46として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号46として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0092】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号47として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号47として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0093】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号48として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号48として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0094】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号49として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号49として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0095】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号50として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号50として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0096】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号51として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号51として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0097】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号52として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号52として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0098】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号53として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号53として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0099】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号158として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号158として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0100】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号223として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号223として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0101】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号224として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号224として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0102】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号225として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号225として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0103】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号226として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号226として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0104】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号227として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号227として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0105】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号228として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号228として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0106】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号229として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号229として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0107】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号230として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号230として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0108】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号231として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号231として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0109】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号232として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号232として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0110】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号233として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号233として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0111】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号234として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号234として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0112】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号235として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号235として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0113】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号236として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号236として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0114】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号237として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号237として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0115】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号238として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号238として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0116】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号239として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号239として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0117】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号240として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号240として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0118】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号241として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号241として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0119】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号242として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号242として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0120】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号243として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号243として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0121】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号244として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号244として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0122】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号245として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号245として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0123】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号246として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号246として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0124】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号247として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号247として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0125】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号248として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号248として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0126】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号249として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号249として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0127】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号250として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号250として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0128】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号251として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号251として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0129】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号252として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号252として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0130】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号253として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号253として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0131】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号254として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号254として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0132】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号255として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号255として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0133】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号256として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号256として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0134】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号257として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号257として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0135】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号258として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号258として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0136】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号259として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号259として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0137】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号260として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号260として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0138】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号261として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号261として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0139】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号262として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号262として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0140】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号263として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号263として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0141】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号264として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号264として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0142】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号265として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号265として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0143】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号266として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号266として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0144】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号267として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号267として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0145】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号268として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号268として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0146】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号269として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号269として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0147】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号270として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号270として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0148】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号271として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号271として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0149】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号272として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号272として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0150】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号273として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号273として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0151】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号274として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号274として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0152】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号275として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号275として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0153】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号276として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号276として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0154】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号277として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号277として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0155】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号278として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号278として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0156】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号279として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号279として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0157】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号280として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号280として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0158】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号281として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号281として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0159】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号282として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号282として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0160】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号283として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号283として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0161】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号284として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号284として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0162】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号285として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号285として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0163】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号286として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号286として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0164】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号287として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号287として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0165】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、配列番号288として示される配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを有するVHHを含み得る。好適には、FcRH5結合ドメインは、配列番号288として示される配列を有するVHHを含み得る。
【0166】
配列番号40~53、158、および223~288のアミノ酸配列は、下の表1に提供される。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【0167】
好適には、本明細書に記載されるVHHは、本明細書に記載されるCDR1、CDR2およびCDR3配列を含むことができる。
したがって、FcRH5結合ドメインは、
以下の番号付け:
CDR1
CDR2
CDR3
を有するCDRを有するVHH
を含むことができる。
【0168】
用語「バリアント」は、本明細書に記載されるアミノ酸配列と同等の機能を有するものの、1つまたは複数のアミノ酸の置換、挿入または欠失を含むポリペプチドを指す。したがって、VHHは、本明細書に記載される配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するバリアントを含むことができる。
【0169】
本明細書で使用される場合、「バリアント」は、「変異体」と同義であり、対応する野生型配列と比べて異なるアミノ酸配列を指す。用語「野生型」は、それぞれ天然タンパク質と同一であるアミノ酸配列をそれぞれ有するタンパク質を意味して使用される。
【0170】
1つまたは複数の変異(置換、付加または欠失)を、結合活性に悪影響を与えることなしに各CDRに導入することが可能であり得る。各CDRは、例えば、1つ、2つまたは3つのアミノ酸変異を有することができる。1つ、2つまたは3つのアミノ酸変異を含むCDRの1つまたは複数を含むFcRH5結合ドメインを含むVHH領域は、FcRH5に結合する能力を好適に維持することができる。
【0171】
FcRH5結合ドメインの、FcRH5に結合する能力は、結合親和性の決定により評価することができる。
【0172】
本明細書で使用される用語「親和性」は、抗体の抗原結合部位とエピトープとの間の相互作用の強度を指す。親和性は、通常は、抗体と抗原との間の、解離速度定数(kdまたはkoff)の会合速度定数(kaまたはkon)に対する比、すなわちkd/kaまたはkoff/konである平衡解離定数(KD)として測定される。KDと親和性とは、反比例する。本明細書で使用される用語「会合速度定数」または「on速度」または「ka」または「kon」は、抗体がいかに素早くその標的に結合するかを特徴付けるために使用される定数を指す。本明細書で使用される用語「解離速度定数」または「off速度」または「kd」または「koff」は、抗体がいかに素早くその標的から結合を解除するかまたは解離するかを特徴付けるために使用される定数を指す。KDは、Mで測定される;kaは、M-1s-1で測定される;そしてkdは、s-1で測定される。
【0173】
結合親和性の定量的な評価または測定(例えば、KD値の確定)は、当技術分野で公知の方法を使用して、例えば、標識依存性の方法、例えば直接的および間接的ELISAならびにラジオイムノアッセイ方法により、ならびに例えば生体層干渉および表面プラスモン共鳴(SPR)などの相互作用のリアルタイムでの直接検出および測定を可能にする無標識方法により、例えば、Biacore(登録商標)システムを使用して決定または測定することができる。平衡解離定数(KD)に加えて、会合速度定数(Ka(1/Ms))、および解離速度定数(Kd(1/s))も決定することができる。
【0174】
FcRH5結合ドメインのKDおよび動力学速度定数(kinetic rate constant)は、SPRにより測定することができる。アッセイは、異なるパラメータを使用して、および市販の様々な機器を使用して行うことができる。表面プラスモン共鳴(SPR)実験は、例えば、BiacoreT200またはBiacore8k装置を使用して行うことができる。KDおよび動力学速度定数は、BiacoreT200またはBiacore8k装置を用いて、必要に応じてHBS-P+またはHBSP1をランニング緩衝液および希釈緩衝液として使用して(GE Healthcare BioSciences)、25℃において30ml/分の流速で測定することができる。動力学速度定数は、1:1のラングミュア結合モデルにしたがう曲線あてはめによって得ることができる。
【0175】
結合特異性を決定するための方法には、ELISA、ウエスタンブロット、免疫組織化学、フローサイトメトリー、フェルスター共鳴エネルギー移動(FRET)、ファージディスプレイライブラリー、酵母ツーハイブリッドスクリーン、共免疫沈降、二分子蛍光補完、およびタンデムアフィニティー精製が限定されずに含まれる。結合親和性は、蛍光消光、等温滴定熱量測定のような方法を使用して決定することもできる。
【0176】
本発明に包含されるバリアントは、対応する全長配列と比べて必須の未変更または改善した結合活性を有する。
【0177】
同一性比較は、目測で、または通常は、容易に入手可能な配列比較プログラムを用いて行うことができる。これらの市販のコンピュータプログラムは、2つまたはそれよりも多くの配列間の%同一性を計算することができる。そのようなアライメントを行うための好適なコンピュータプログラムは、GCGウィスコンシンベストフィットパッケージ(University of Wisconsin, U.S.A.; Devereux et al., 1984, Nucleotide sequences Research 12:387)である。配列比較を行うことができる(than can perform sequence comparisons)他のソフトウェアの例には、比較ツールのBLASTパッケージ(Ausubel et al., 1999 ibid - Chapter 18を参照)、FASTA(Atschul et al., 1990, J. Mol. Biol., 403-410)、およびGENEWORKSスート(suite)が限定されずに含まれる。BLASTおよびFASTAの両方が、オフラインおよびオンライン検索に利用可能である。例えば、2つのポリペプチド配列間の同一性百分率は、http://blast.ncbi.nlm.nih.gov.から自由に入手可能なBLASTによって容易に決定することができる。
【0178】
ソフトウェアが最適なアライメントを生成したら、%同一性を計算することが可能である。ソフトウェアは、一般的に、それを配列比較の一部として行い、数値結果を生成する。
【0179】
配列は、サイレント変化を生じて機能的に同等の分子をもたらす、アミノ酸残基の1つまたは複数の欠失、挿入または置換を有することができる。これらの配列は、本発明に包含される。意図的なアミノ酸置換は、活性が保持される限り、残基の極性、電荷、溶解性、疎水性、親水性および/または両親媒性の性質の類似性に基づいて行うことができる。例えば、負電荷アミノ酸にはアスパラギン酸およびグルタミン酸が含まれ;正電荷アミノ酸にはリジンおよびアルギニンが含まれ;非電荷極性の頭部基を有する、親水性値が類似したアミノ酸には、ロイシン、イソロイシン、バリン、グリシン、アラニン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、フェニルアラニンおよびチロシンが含まれる。
【0180】
好適には、単一ドメイン抗体を含むポリペプチドまたはFcRH5結合分子は、抗体コンジュゲート、キメラ抗原受容体(CAR)、免疫細胞エンゲージャーであってよい。
【0181】
前記のFcRH5結合分子との関連で、細胞活性化を刺激するために、FcRH5結合ドメインは、ある特定の結合プロファイルで(例えば、必要とされる結合親和性で)、そのコグネイト抗原(FcRH5)に結合することができる。
【0182】
抗体および結合分子の有用性は、多くの場合は互いに関連する溶解特性、例えば、溶解性、凝集、および熱安定性によって制限される場合がある。抗体溶解性および抗体凝集は、熱安定性と無関係でもあり得るが、熱安定性が低いことは、抗体の溶解性および凝集の両方に影響を与える場合がある。
【0183】
熱安定性の定量的な評価または測定は、当技術分野で公知の方法、例えば、示差走査熱量測定(DSC)、示差走査蛍光定量法(DSF)を含む、アンフォールディング温度およびタンパク質アンフォールディング中の熱力学的パラメータを測定する技術を使用して決定または測定することができる。折畳み状態からアンフォールディングした状態への移行が起こる融解温度(Tm)が、抗体および結合分子の熱安定性に関する代替パラメータとして使用される。例えば、DSFは、Prometheus NT.48装置(Nanotemper)を使用して行うことができる。Tmは、Prometheus NT.48装置を用い、20℃から95℃への1℃/分の温度勾配で、330nmおよび350nmにおいて走査して行うことができる。融解温度(Tm)は、350nm/330nm比の一次導関数として計算される。
【0184】
タンパク質凝集は、タンパク質分子が互いに自己会合するプロセスである。凝集は、タンパク質がアンフォールディングまたは部分的アンフォールディングを受けることを必要とする。凝集の定量的な評価または測定は、当技術分野で公知の方法、例えば、多くの場合、超遠心分離、サイズ排除クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、動的光散乱法または濁度測定に依拠する、タンパク質凝集体をモニタリングするための生化学的アッセイを使用して決定または測定することができる。例えば、抗体および結合ドメインの凝集傾向および平均粒径は、多角度動的光散乱法(MADLS)によって決定することができる。MADLSは、ゼータサイザーUltraデバイスおよびZS Xplorerソフトウェア(Malvern Panalytical)を使用して行うことができる。
【0185】
好ましいFcRH5 VHHドメインは、下の表12に記載される:
【表12】
【0186】
一実施形態では、FcRH5結合ドメインは、Biacore 8k装置でのSPRにより測定して、少なくとも約1×10-8M、5×10-9M、1×10-9M、5×10-10M、1×10-10M、5×10-11M、1×10-11M、5×10-12M、1×10-12M、5×10-13M、1×10-13M、5×10-14M、1×10-14Mまたは5×10-15Mまたは1×10-15Mの親和性(KD)を有する。別の実施形態では、FcRH5結合ドメインは、Biacore 8k装置でのSPRにより測定して、少なくとも約5×10-3s-1、1×10-3s-1、5×10-4s-1、1×10-4s-1、5×10-5s-1、1×10-5s-1、5×10-6s-1、1×10-6s-1、5×10-7s-1、1×10-7s-1、5×10-8s-1、1×10-8s-1、5×10-9s-1または1×10-9s-1の解離速度定数(kdまたはkoff)を有する。別の実施形態では、本発明のFcRH5結合部分は、Biacore 8k装置でのSPRにより測定して、少なくとも約1×103M-1s-1、5×103M-1s-1、1×104M-1s-1、5×104M-1s-1、1×105M-1s-1、5×105M-1s-1、1×106M-1s-1または5×106M-1s-1の会合速度定数(kaまたはkon)を有する。
【0187】
別の実施形態では、FcRH5結合ドメインは、示差走査蛍光定量法(DSF)により、20℃から95℃への1℃/分の温度勾配で330nmおよび350nmにおいて測定して(Tmは、350nm/330nm比の一次導関数として計算)、少なくとも約59℃、60℃、61℃、62℃、63℃、64℃、65℃、66℃、67℃、68℃、69℃、70℃、71℃、72℃、73℃、74℃、75℃、76℃、77℃、78℃、79℃または80℃の熱安定性Tmを有する。
【0188】
さらに別の実施形態では、FcRH5結合ドメインは、Biacore 8k装置でのSPRにより測定して、少なくとも約1×10-8M、5×10-9M、1×10-9M、5×10-10M、1×10-10M、5×10-11M、1×10-11M、5×10-12M、1×10-12M、5×10-13M、1×10-13M、5×10-14M、1×10-14M、5×10-15Mまたは1×10-15Mの親和性(KD)を有し、示差走査蛍光定量法(DSF)により、20℃から95℃への1℃/分の温度勾配で330nmおよび350nmにおいて測定して(Tmは、350nm/330nm比の一次導関数として計算)、少なくとも約59℃、60℃、61℃、62℃、63℃、64℃、65℃、66℃、67℃、68℃、69℃、70℃、71℃、72℃、73℃、74℃、75℃、76℃、77℃、78℃、79℃または80℃の熱安定性Tmを有する。
【0189】
さらに別の実施形態では、FcRH5結合ドメインは、Biacore 8k装置でのSPRにより測定して、少なくとも約5×10-3s-1、1×10-3s-1、5×10-4s-1、1×10-4s-1、5×10-5s-1、1×10-5s-1、5×10-6s-1、1×10-6s-1、5×10-7s-1、1×10-7s-1、5×10-8s-1、1×10-8s-1、5×10-9s-1または1×10-9s-1の解離速度定数(kdまたはkoff)を有し、示差走査蛍光定量法(DSF)により、20℃から95℃への1℃/分の温度勾配で330nmおよび350nmにおいて測定して(Tmは、350nm/330nm比の一次導関数として計算)、少なくとも約59℃、60℃、61℃、62℃、63℃、64℃、65℃、66℃、67℃、68℃、69℃、70℃、71℃、72℃、73℃、74℃、75℃、76℃、77℃、78℃、79℃または80℃の熱安定性Tmを有する。
【0190】
さらに別の実施形態では、FcRH5結合ドメインは、Biacore 8k装置でのSPRにより測定して、少なくとも約1×103M-1s-1、5×103M-1s-1、1×104M-1s-1、5×104M-1s-1、1×105M-1s-1、5×105M-1s-1、1×106M-1s-1または5×106M-1s-1の会合速度定数(kaまたはkon)を有し、示差走査蛍光定量法(DSF)により、20℃から95℃への1℃/分の温度勾配で330nmおよび350nmにおいて測定して(Tmは、350nm/330nm比の一次導関数として計算)、少なくとも約59℃、60℃、61℃、62℃、63℃、64℃、65℃、66℃、67℃、68℃、69℃、70℃、71℃、72℃、73℃、74℃、75℃、76℃、77℃、78℃、79℃または80℃の熱安定性Tmを有する。
【0191】
別の実施形態では、FcRH5ドメインは、予測分子量に一致する平均粒径を有する優先的には単分散のプロファイル(例えば単一ピーク)、および多角度動的光散乱法(MADLS)により、ゼータサイザーUltraデバイスおよびZS Xplorerソフトウェア(Malvern Panalytical)を使用して、pH7.4のPBS中の1mg/mlで測定して、約1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%または0.1%未満の凝集を有する。
【0192】
抗体コンジュゲート
本発明は、本発明のsdAb、および薬物、カーゴまたはペイロード構成要素を含む抗体コンジュゲートを提供する。抗体コンジュゲートは、がん薬物の選択性および細胞傷害活性の両方を向上させる、標的治療薬のクラスである抗体薬物コンジュゲート(ADC)であってよい。
【0193】
一般的に、ADCは、3つの構成要素を有し、(i)抗体は、(ii)リンカーとコンジュゲートされ、そのリンカーも、(iii)薬物、治療用実体またはペイロード、例えば、細胞傷害性薬物または化学療法薬物とコンジュゲートされる。
【0194】
細胞の表面上の標的抗原に結合すると、抗体コンジュゲートは、内在化されて、リソソームへと輸送され、そこでペイロードは、切断可能リンカーのタンパク質分解(例えば、リソソーム内に見出されるカテプシンBによる)によってか、または非切断可能リンカーを介してペイロードが結合している場合は、抗体のタンパク質分解による分解かのいずれかによって放出される。
【0195】
好適には、薬物またはペイロードは、化学療法用実体、放射性核種または検出用実体であってよい。
【0196】
本明細書で使用される用語「治療用実体」または「化学療法用実体」は、細胞の機能を阻害するもしくは妨げる、および/または細胞の破壊(細胞死)を引き起こす、および/または抗増殖効果を発揮する任意の分子を指すことができる。細胞傷害性薬物または化学療法薬物は、細胞に破壊的であり、かつ細胞の生存能力を低減する薬物を指す。好適な細胞傷害性薬物または化学療法薬物は、当技術分野で公知であり、チューブリン阻害剤、DNA傷害剤、トポイソメラーゼI阻害剤、およびRNAポリメラーゼII阻害剤を限定されずに含む。
【0197】
用語「放射性核種」は、独自のセラノスティック(すなわち治療および診断)潜在能力を有する放射性イムノコンジュゲートを指すことができる。診断目的には、抗体は、画像化手順、例えば、単一光子放射断層撮影または陽電子放射断層撮影(PET)と適合性の放射性核種で標識することができる。治療目的には、放射性核種の選択は、主として、処置すべき腫瘍のサイズに依存し、高エネルギーβ放射体、例えば、90Yは、より大きな腫瘍の治療に好適であり、中エネルギーβ放射体、例えば、131Iおよび177Luは、より小さい腫瘍の処置のためにより有効である。ARCで使用するために好適な放射性核種は、当技術分野で周知であり、他の放射性核種も、本発明において企図される。放射性免疫療法の主な魅力的な特色の1つは、クロスファイア効果またはバイスタンダー効果、すなわち、抗体局在の部位に近接する細胞を損傷する能力である。ほとんどの場合、抗体の放射性標識は、チロシンのヨウ素化によってか、または金属キレート剤、例えば、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)もしくは1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(DOTA)の、抗体分子へのコンジュゲートによるかのいずれかで達成する。
【0198】
抗体コンジュゲートの内在化特性を調査する目的で、ペイロードを、検出用実体または検出可能な実体により置き換えることができる。
【0199】
「検出可能な実体」は、蛍光実体、例えば蛍光ペプチドまたは蛍光色素または蛍光標識であってよい。本明細書で使用される用語「蛍光実体」は、励起の後に検出可能な波長の光を放出する部分を指す。蛍光実体の例には、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、フィコエリトリン(PE)、アロフィコシアニン(APC)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、増強GFP、赤色蛍光タンパク質(RFP)、青色蛍光タンパク質(BFP)およびmCherryが限定されずに含まれる。抗体コンジュゲートの内部移行を追跡するためには、pH感受性の色素または標識が特に有利である。pH感受性色素の非限定的な例には、明るい蛍光を示し、pHが低下すると消光するフルオレセイン、および中性pHでは非常に低い蛍光を示し、pHがより酸性になると蛍光の増加を示すpHrodo色素が含まれる。
【0200】
本発明の抗体コンジュゲートは、それにコンジュゲートされた、少なくとも1つの治療薬またはペイロード分子(検出用実体を含む)を含むことができる。本発明の抗体コンジュゲートは、所望の治療効果を達成するために、任意の好適な数、すなわち1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、またはそれよりも多いペイロード分子を含むことができる。
【0201】
好適には、本発明の抗体コンジュゲートは、生物学的に活性な細胞傷害性のペイロードまたは薬物、例えば抗がん薬物に連結された(すなわちコンジュゲートされた)、本明細書に記載されるsdAbで構成される分子である。リンカーは、当技術分野で公知の任意の適当なリンカーであってよい。当業者は、そのようなリンカーが、コンジュゲート分子の生成において常套的に使用されることを知り、適当なリンカーを選択できるであろう。
【0202】
そのようなリンカーは、一般的に、各端部に化学的に反応性の基を有する。それらのリンカーは、2つの分子、例えば、sdAbと薬物またはペイロードとの間で共有結合を形成することができる。したがって、sdAbおよび薬物またはペイロードの両方が、リンカーに共有結合的に連結することができる。好適には、リンカーの一方の領域がsdAbに結合することができ、リンカーの他方の領域が薬物またはペイロードに結合することができる。リンカーは、sdAbおよび/または薬物もしくはペイロードとの間で、例えば、ヒドラゾン結合、ジスルフィド結合またはアミド結合を形成することができる。
【0203】
キメラ抗原受容体
本発明は、本明細書に定義されるsdAbを含むキメラ抗原受容体(CAR)を提供する。
【0204】
キメラT細胞受容体、人工T細胞受容体およびキメラ免疫受容体としても公知のキメラ抗原受容体(CAR)は、任意の特異性を免疫エフェクター細胞上にグラフトする、操作された受容体である。古典的なCARでは、モノクローナル抗体の特異性が、T細胞上にグラフトされる。CARコード核酸は、例えば、レトロウイルスベクターを使用して、T細胞に移入させることができる。このやり方で、多数のがん特異的T細胞を、養子細胞移入のために生成することができる。このアプローチの第I相臨床試験は有効性を示す。
【0205】
CARの標的抗原結合ドメインは、一般的に、スペーサーおよび膜貫通ドメインを介してシグナル伝達エンドドメインに融合しており、前記シグナル伝達エンドドメインは、活性化シグナルを、T細胞活性化シグナル伝達カスケードへと直接に変換することが可能である。CARが標的抗原に結合すると、それはCARが発現されるT細胞への活性化シグナルの伝達をもたらす。したがって、本発明のCARは、標的細胞の表面上で発現されるFcRH5へのCARの結合後に、CARが発現されるT細胞を活性化できる。
【0206】
好適には、本明細書に定義されるsdAbは、スペーサーおよび膜貫通ドメインを介して、シグナル伝達エンドドメインに融合することができる。
【0207】
膜貫通ドメイン
本発明のCARは、細胞の膜にまたがる膜貫通ドメインを含むことができる。膜貫通ドメインは、膜の中で熱力学的に安定している任意のタンパク質構造であってよい。それは、疎水性アルファヘリックスを含むことができる。膜貫通ドメインは、CD8、CD28、ヒトTyrp-1またはヒトIgGに由来することができる。
【0208】
膜貫通ドメインは、優れた受容体安定性を与えるCD8に由来することができる。
【0209】
膜貫通ドメインは、任意のI型膜貫通タンパク質に由来することができる。膜貫通ドメインは、疎水性ヘリックスを形成すると予測される合成配列であってよい。
【0210】
本明細書で使用されるように、用語「に由来する」は、起源または供与源を指し、天然に存在する、組換え、未精製または精製された分子を含むことができる。用語「に由来する」は、用語「に起因する」、「から得られる」、「から入手可能である」、「から単離される」、および「から作製される」を包含する。
【0211】
膜貫通ドメインは、配列番号54として示す配列を含むことができる。
【0212】
膜貫通ドメインは、配列番号55として示す配列を含むことができる。
【0213】
膜貫通ドメインは、配列番号56として示す配列を含むことができる。
配列番号54(CD8a膜貫通ドメイン)
IYIWAPLAGTCGVLLLSLVIT
配列番号55(CD28膜貫通ドメイン)
FWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWV
配列番号56(Tyrp-1膜貫通ドメイン)
IIAIAVVGALLLVALIFGTASYLI
【0214】
本発明のCARは、バリアント配列が膜に挿入して膜をまたぐ能力を保持するならば、少なくとも80%の配列同一性を有する、配列番号54、55または56として示す配列のバリアントを含むことができる。
【0215】
バリアント配列は、膜に挿入して膜をまたぐ能力を保持するならば、配列番号54と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有することができる。
【0216】
バリアント配列は、膜に挿入して膜をまたぐ能力を保持するならば、配列番号55と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有することができる。
【0217】
バリアント配列は、膜に挿入して膜をまたぐ能力を保持するならば、配列番号56と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有することができる。
【0218】
スペーサー
本発明のCARは、sdAbを膜貫通ドメインに連結し、sdAbをエンドドメインから空間的に分離するスペーサー配列を含むことができる。柔軟なスペーサーは、FcRH5の結合を可能にするためにsdAbが異なる方向に配向することを可能にする。
【0219】
スペーサー配列は、例えば、IgG1 Fc領域、IgG1ヒンジまたはCD8ストークまたはそれらの組合せを含むことができる。スペーサーは、IgG1 Fc領域、IgG1ヒンジまたはCD8ストークに類似した長さおよび/またはドメイン間隔特性を有する代わりの配列を代わりに含むことができる。スペーサー配列は、例えば、CD2外部ドメイン、CD34外部ドメインまたはCOMPを含むことができる。
【0220】
ヒトIgG1スペーサーは、Fc結合モチーフを取り除くように変更することができる。
【0221】
本発明のCARのスペーサーは、配列番号57、58、59、60、61、62、63もしくは64として示す配列の1つもしくは複数、または少なくとも80%の配列同一性を有するそのバリアントを含むことができる。
【0222】
これらのスペーサーのアミノ酸配列の例を下に示す:
配列番号57(ヒトIgG1のヒンジ-CH2CH3)
【化1】
配列番号58(ヒトCD8ストーク):
TTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACD
配列番号59(ヒトIgG1ヒンジ):
AEPKSPDKTHTCPPCPKDPK
配列番号60(IgG1ヒンジFc)
【化2】
配列番号61(Fc受容体認識モチーフを取り除くように改変されたIgG1ヒンジ-Fc)
【化3】
改変された残基に下線が引かれている;
*欠失を示す。
配列番号62(CD2外部ドメイン)
【化4】
配列番号63(CD34外部ドメイン)
【化5】
配列番号64(COMP)
DLGPQMLRELQETNAALQDVRELLRQQVREITFLKNTVMECDACG
【0223】
N末端でCOMPコイルドコイルドメインをトランケーションし、表面発現を保持することが可能である。したがって、コイルドコイルCOMPスペーサーは、N末端でトランケーションされる、配列番号64のトランケーションされたバージョンを含むかそれからなることができる。トランケーションされたCOMPは、配列番号64の5つのC末端アミノ酸、すなわち配列CDACG(配列番号65)を含むことができる。トランケーションされたCOMPは、5~44アミノ酸、例えば少なくとも5、10、15、20、25、30、35または40アミノ酸を含むことができる。トランケーションされたCOMPは、配列番号64のC末端に対応することができる。例えば、20アミノ酸を含むトランケーションされたCOMPは、配列QQVREITFLKNTVMECDACG(配列番号66)を含むことができる。トランケーションされたCOMPは、多量体化に関与するシステイン残基(複数可)を保持することができる。トランケーションされたCOMPは、多量体を形成する能力を保持することができる。
【0224】
バリアント配列は、配列番号57に対する少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有し得る。
【0225】
バリアント配列は、配列番号58に対する少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有し得る。
【0226】
バリアント配列は、配列番号59に対する少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有し得る。
【0227】
バリアント配列は、配列番号60に対する少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有し得る。
【0228】
バリアント配列は、配列番号61に対する少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有し得る。
【0229】
バリアント配列は、配列番号62に対する少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有し得る。
【0230】
バリアント配列は、配列番号63に対する少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有し得る。
【0231】
バリアント配列は、配列番号64に対する少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有し得る。
【0232】
細胞内シグナル伝達ドメイン(エンドドメイン)
エンドドメインは、CARのシグナル伝達部分である。抗原認識の後、受容体がクラスター化し、シグナルが細胞に伝達される。最も一般的に使用されるエンドドメイン構成要素は、3つのITAMを含有するCD3ゼータのそれである。これは、抗原に結合した後に活性化シグナルをT細胞に伝達する。CD3ゼータは完全にコンピテントな活性化シグナルを提供することができないので、追加の共刺激シグナル伝達が必要となる場合がある。例えば、キメラCD28、41-BBおよびOX40を、増殖/生存シグナルを伝達するためにCD3ゼータと使用することができ、または3つ全てを共に使用することができる。
【0233】
本発明のCARのエンドドメインは、CD28エンドドメインおよび/またはOX40エンドドメインおよび/または41-BBエンドドメインおよび/またはCD3ゼータエンドドメインを含むことができる。
【0234】
本発明のCARの細胞内T細胞シグナル伝達ドメイン(エンドドメイン)は、配列番号67、68、69、70、71、72もしくは119として示す配列の1つもしくは複数、または少なくとも80%の配列同一性を有するそのバリアントを含むことができる。
配列番号67(CD28エンドドメイン)
RSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAY
配列番号68(OX40エンドドメイン)
RRDQRLPPDAHKPPGGGSFRTPIQEEQADAHSTLAKI
配列番号69(41-BBエンドドメイン)
KRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCEL
配列番号70(CD3ゼータエンドドメイン)
【化6】
配列番号71(CD28Z)
【化7】
配列番号72(CD28OXZ)
【化8】
配列番号119(4-1BB-CD3Z)
【化9】
【0235】
バリアント配列は、配列番号67に対する少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有し得、ただし、配列は、有効な細胞内T細胞シグナル伝達ドメインを提供する。
【0236】
バリアント配列は、配列番号68に対する少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有し得、ただし、配列は、有効な細胞内T細胞シグナル伝達ドメインを提供する。
【0237】
バリアント配列は、配列番号69に対する少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有し得、ただし、配列は、有効な細胞内T細胞シグナル伝達ドメインを提供する。
【0238】
バリアント配列は、配列番号70に対する少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有し得、ただし、配列は、有効な細胞内T細胞シグナル伝達ドメインを提供する。
【0239】
バリアント配列は、配列番号71に対する少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有し得、ただし、配列は、有効な細胞内T細胞シグナル伝達ドメインを提供する。
【0240】
バリアント配列は、配列番号72に対する少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有し得、ただし、配列は、有効な細胞内T細胞シグナル伝達ドメインを提供する。
【0241】
バリアント配列は、配列番号119に対する少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有し得、ただし、配列は、有効な細胞内T細胞シグナル伝達ドメインを提供する。
【0242】
シグナルペプチド
本発明のCARは、CARがT細胞などの細胞の中で発現されると、新生タンパク質(nascent protein)が小胞体に、その後それが発現される細胞表面に導かれるように、シグナルペプチドを含むことができる。
【0243】
シグナルペプチドのコアは、単一のアルファヘリックスを形成する傾向のある長いひと続きの疎水性アミノ酸を含有することができる。シグナルペプチドは短い正に荷電したひと続きのアミノ酸で開始することができ、それは転位の間、ポリペプチドの適切なトポロジーを強制するのを助ける。シグナルペプチドの端部には、シグナルペプチダーゼによって認識され、切断されるひと続きのアミノ酸が一般的に存在する。シグナルペプチダーゼは、転位の間または完了後に切断して、遊離のシグナルペプチドおよび成熟タンパク質を生成することができる。遊離のシグナルペプチドは、特異的プロテアーゼによってその後消化される。
【0244】
シグナルペプチドは、分子のアミノ末端にあってよい。
【0245】
本発明のCARは、次の一般式を有することができる:
シグナルペプチド-sdAb-スペーサードメイン-膜貫通ドメイン-細胞内T細胞シグナル伝達ドメイン(複数可)。
【0246】
シグナルペプチドは、配列番号73もしくは配列番号358として示す配列、またはシグナルペプチドがCARの細胞表面発現を引き起こす機能がなおあるならば、5つ、4つ、3つ、2つもしくは1つのアミノ酸変異(例えば、挿入、置換または付加)を有するそのバリアントを含むことができる。
配列番号73:METDTLLLWVLLLWVPGSTG
配列番号358:MGWSCIILFLVATATGVHS
【0247】
配列番号73または配列番号358のシグナルペプチドはコンパクトであり、高度に効率的である。それは末端グリシンの後ろで約95%の切断を与えることが予測され、シグナルペプチダーゼによる効率的な除去を与える。
【0248】
自殺遺伝子
T細胞は生着し自律的であるため、CAR T細胞のレシピエントにおいて、CAR T細胞を選択的に欠失させる手段が望まれる。自殺遺伝子は、許容できない毒性に直面すると、注入されたT細胞の選択的破壊をもたらす、遺伝的にコード可能な機構である。自殺遺伝子に関する最初の臨床経験は、T細胞をガンシクロビルに対して感受性にするヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV-TK)である。HSV-TKは高度に有効な自殺遺伝子である。しかし、前もって形成された免疫応答は、免疫抑制が著しい臨床状況に、例えば、半合致幹細胞移植に対するその使用を制限することがある。誘導性カスパーゼ9(iCasp9)は、カスパーゼ9の活性化ドメインを、改変FKBP12で置き換えることにより構築された自殺遺伝子である。iCasp9は、他の点では不活性の小分子二量体誘導化合物(CID)により活性化される。iCasp9は、半合致HSCTの状況において最近試験されており、GvHDを未然に防ぐことができる。iCasp9の最大の限定は、臨床グレード専売(clinical grade proprietary)CIDの入手可能性への依存である。iCasp9およびHSV-TKの両方とも、細胞内タンパク質であるため、唯一の導入遺伝子として使用されるとき、形質導入細胞の選択を可能にするマーカー遺伝子と共発現させた。
【0249】
iCasp9は、配列番号74として示す配列、または少なくとも80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の配列同一性を有するそのバリアントを含むことができる。
配列番号74
【化10】
【0250】
別のマーカー/自殺遺伝子は、抗体QBEnd10、および治療用抗体リツキシマブで溶解させた発現細胞により検出することができるRQR8である。
【0251】
RQR8は、配列番号75として示す配列、または少なくとも80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の配列同一性を有するそのバリアントを含むことができる。
配列番号75
【化11】
【0252】
自殺遺伝子は、別個の実体としての2つのポリペプチドの共発現を可能にする共発現部位により分離されているCARを含む単一ポリペプチドとして発現することができる。両方のポリペプチドが切断部位により連結されるように、切断部位をコードする配列であってよい。切断部位は、自己切断性であってよく、そのため、ポリペプチドが産生されると、いかなる外部切断活性も必要なしに、個々のペプチドに直ちに切断される。
【0253】
切断部位は、2つのポリペプチドが別々になることを可能にする任意の配列であってよい。
【0254】
用語「切断」は、本明細書で便宜上使用されるが、切断部位は、古典的な切断以外の機構により、ペプチドを個々の実体に分離させてもよい。例えば、口蹄疫ウイルス(FMDV)2A自己切断ペプチドには(下を参照)、「切断」活性を説明する様々なモデル:宿主細胞プロテイナーゼによるタンパク質分解、自己タンパク質分解または翻訳効果が提案されている(Donnelly et al (2001) J. Gen. Virol. 82:1027-1041)。そのような「切断」の正確な機構は、切断部位が、タンパク質をコードする核酸配列間に位置するとき、タンパク質を別個の実体として発現させる限り、本発明の目的には重要でない。
【0255】
切断部位は、例えば、フリン切断部位、タバコエッチ病ウイルス(TEV)切断部位であってもよく、または自己切断ペプチドをコードしてもよい。
【0256】
「自己切断ペプチド」は、タンパク質と自己切断ペプチドとを含むポリペプチドが産生されると、いかなる外部切断活性も必要なしに、直ちに別個かつ個別の第1および第2のポリペプチドに「切断される」または分離されるように機能するペプチドを指す。
【0257】
自己切断ペプチドは、アフトウイルスまたはカルジオウイルスからの2A自己切断ペプチドであってよい。アフトウイルスおよびカルジオウイルスの一次2A/2B切断は、それ自身のC末端での2A「切断」によって媒介される。アフトウイルス、例えば、FMDVおよびウマ鼻炎Aウイルスでは、2A領域は、タンパク質2BのN末端残基(保存されたプロリン残基)と共に、それ自身のC末端において「切断」を媒介することが可能である自律因子を表す、約18個のアミノ酸の短い部分である(前記のDonelly et al (2001))。
【0258】
「2A様」配列は、アフトウイルスまたはカルジオウイルス以外のピコルナウイルス、「ピコルナウイルス様」昆虫ウイルス、C型ロタウイルス、およびトリパノソーマspp内の反復配列、および細菌配列において見出された(前記のDonnelly et al (2001))。
【0259】
切断部位は、配列番号359(RAEGRGSLLTCGDVEENPGP)として示す2A様配列を含むことができる。
【0260】
FcRH5 CAR
本発明のCARは、配列番号76~89、159、および289~354として示す配列からなる群から選択される配列、またはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の配列同一性を有するが、i)FcRH5に結合する能力およびii)T細胞シグナル伝達を誘導する能力を保持するそのバリアントを含むことができる。
【0261】
CARは、CD8スペーサー領域、CD8膜貫通領域、41BB細胞内シグナル伝達ドメイン、およびCD3z鎖細胞内シグナル伝達ドメインを含むことができる。CARは、2A部位によって分離されたRQR8形質導入マーカーも含むことができる。
配列番号76
【化12】
配列番号77
【化13】
配列番号78
【化14】
配列番号79
【化15】
配列番号80
【化16】
配列番号81
【化17】
配列番号82
【化18】
配列番号83
【化19】
配列番号84
【化20】
配列番号85
【化21】
配列番号86
【化22】
配列番号87
【化23】
配列番号88
【化24】
配列番号89
【化25】
配列番号159
【化26】
配列番号289
【化27】
配列番号290
【化28】
配列番号291
【化29】
配列番号292
【化30】
配列番号293
【化31】
配列番号294
【化32】
配列番号295
【化33】
配列番号296
【化34】
配列番号297
【化35】
配列番号298
【化36】
配列番号299
【化37】
配列番号300
【化38】
配列番号301
【化39】
配列番号302
【化40】
配列番号303
【化41】
配列番号304
【化42】
配列番号305
【化43】
配列番号306
【化44】
配列番号307
【化45】
配列番号308
【化46】
配列番号309
【化47】
配列番号310
【化48】
配列番号311
【化49】
配列番号312
【化50】
配列番号313
【化51】
配列番号314
【化52】
配列番号315
【化53】
配列番号316
【化54】
配列番号317
【化55】
配列番号318
【化56】
配列番号319
【化57】
配列番号320
【化58】
配列番号321
【化59】
配列番号322
【化60】
配列番号323
【化61】
配列番号324
【化62】
配列番号325
【化63】
配列番号326
【化64】
配列番号327
【化65】
配列番号328
【化66】
配列番号329
【化67】
配列番号330
【化68】
配列番号331
【化69】
配列番号332
【化70】
配列番号333
【化71】
配列番号334
【化72】
配列番号335
【化73】
配列番号336
【化74】
配列番号337
【化75】
配列番号338
【化76】
配列番号339
【化77】
配列番号340
【化78】
配列番号341
【化79】
配列番号342
【化80】
配列番号343
【化81】
配列番号344
【化82】
配列番号345
【化83】
配列番号346
【化84】
配列番号347
【化85】
配列番号348
【化86】
配列番号349
【化87】
配列番号350
【化88】
配列番号351
【化89】
配列番号352
【化90】
配列番号353
【化91】
配列番号354
【化92】
【0262】
配列番号76~配列番号89、配列番号159、および配列番号289~配列番号354として示す配列には、RQR8(配列番号75)、2A様配列(配列番号359)および配列番号358のシグナルペプチドの配列が含まれる。本発明の一態様は、RQR8(配列番号75)、2A様配列(配列番号359)、および必要に応じて配列番号358のシグナルペプチドの配列を欠く、配列番号76~89、159、および289~354として示す配列からなる群から選択される配列を含むCAR、またはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の配列同一性を有するが、i)FcRH5に結合する能力およびii)T細胞シグナル伝達を誘導する能力を保持する前記CARのバリアントでもある。
【0263】
免疫細胞エンゲージャー
免疫細胞エンゲージャー分子は、主に抗がん薬物としての使用のために開発された抗体型分子のクラスである。宿主の免疫系の免疫エフェクター細胞を、標的細胞、例えば、がん細胞に対して導く。これらの免疫細胞エンゲージャー分子では、少なくとも1つの結合ドメインは、例えば、免疫細胞上で発現する受容体を介して免疫細胞に結合し、別の結合ドメインは、標的細胞、例えば、腫瘍細胞に(例えば、腫瘍特異性分子を介して)結合する。免疫細胞エンゲージャー分子は標的細胞および免疫細胞の両方に結合するので、それは標的細胞を免疫細胞と近接させ、そのため免疫細胞はその効果、例えばがん細胞への細胞傷害効果を発揮することができる。免疫細胞:免疫細胞エンゲージャー:がん細胞複合体の形成は免疫細胞でシグナル伝達を誘導し、例えば、細胞傷害性メディエーターの放出をもたらす。理想的には、本剤は標的細胞の存在下で所望のシグナル伝達を誘導するだけであり、選択的殺傷をもたらす。
【0264】
したがって、本発明の(which of the present invention)免疫細胞エンゲージャー分子は、FcRH5発現細胞(例えば、FcRH5+がん細胞)を免疫細胞と近接させ、そのため免疫細胞はその効果をがん細胞に対して発揮することができる。FcRH5免疫細胞エンゲージャー分子の結合を介した共局在の要件が、FcRH5陽性細胞の選択的殺傷をもたらし得る。好適には、本発明の免疫細胞エンゲージャー分子は、標的細胞の表面上で発現するFcRH5への免疫細胞エンゲージャー分子の結合後に、免疫細胞を活性化することができる。
【0265】
免疫細胞エンゲージャーは、多価であってもよく、同じ免疫細胞結合ドメインの複数のコピーを含むことができる。
【0266】
免疫細胞エンゲージャーは、複数の免疫細胞結合ドメインを含むことができ、各免疫細胞結合ドメインは、免疫細胞上で発現する異なる標的分子を有する。
【0267】
免疫細胞エンゲージャーは、T細胞エンゲージャー、NK細胞エンゲージャー、B細胞エンゲージャー、樹状細胞エンゲージャーまたはマクロファージ細胞エンゲージャーであってよい。一部の実施形態では、免疫細胞エンゲージャーは、免疫細胞、例えばエフェクター細胞に結合して活性化する。一部の実施形態では、免疫細胞エンゲージャーは、免疫細胞、例えばエフェクター細胞に結合するが、それを活性化はしない。
【0268】
免疫細胞エンゲージャーは、例えば、T細胞(すなわちアルファベータT細胞)、NKT細胞、ガンマデルタT細胞またはNK細胞に結合することができるものであってよい。
【0269】
二重特異性T細胞エンゲージャー(BITE)および三重特異性T細胞エンゲージャー
一実施形態では、本発明は、本明細書に記載されるsdAbを第1のドメインとして、およびT細胞活性化ドメインを第2のドメインとして含む二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)であるT細胞エンゲージャー分子を提供する。T細胞活性化ドメインは、T細胞を活性化することができるドメインである。
【0270】
二重特異性T細胞エンゲージ分子は、一般には、例えば、CD3受容体を介してT細胞に結合する結合ドメイン、および(例えば、腫瘍特異的分子を介して)腫瘍細胞などの標的細胞に結合する他方の結合ドメインを含む。二重特異性分子は標的細胞およびT細胞の両方に結合するので、それは標的細胞をT細胞と近接させ、そのためT細胞はその効果、例えばがん細胞への細胞傷害効果を発揮することができる。T細胞:二重特異性Ab:がん細胞複合体の形成はT細胞でシグナル伝達を誘導し、例えば、細胞傷害性メディエーターの放出をもたらす。理想的には、本剤は標的細胞の存在下で所望のシグナル伝達を誘導するだけであり、選択的殺傷をもたらす。
【0271】
したがって、本発明の二重特異性分子であるT細胞エンゲージャー分子は、FcRH5発現細胞(例えば、FcRH5+がん細胞)をT細胞と近接させ、そのためT細胞はその効果をがん細胞に対して発揮することができる。FcRH5二重特異性分子の結合を介した共局在の要件が、好適には、FcRH5陽性細胞の選択的殺傷をもたらす。言い換えると、本発明の二重特異性分子は、標的細胞の表面上で発現するFcRH5への二重特異性分子の結合後に、T細胞を活性化することができる。
【0272】
BiTEは、一般的に、短い5残基ペプチドリンカー(例えばGGGGS(配列番号117))を介して、抗CD3 scFvを抗標的抗原scFvと融合することにより作製される。
【0273】
一実施形態では、本発明は、本明細書に記載されるsdAbを第1のドメインとして、T細胞活性化ドメインを第2のドメインとして、および別のT細胞共活性化ドメインを第3のドメインとして含む三重特異性T細胞エンゲージャーであるT細胞エンゲージャー分子を提供する。T細胞活性化ドメインは、T細胞を活性化することができるドメインである。
【0274】
三重特異性T細胞エンゲージャー分子は、二重特異性T細胞エンゲージャー分子に関して本明細書に記載されるのと同じ第1および第2のドメインを、同じくT細胞を共活性化することができる第3のドメインの付加と共に含むことができる。したがって、三重特異性T細胞エンゲージャー分子は、本明細書に記載される二重特異性T細胞エンゲージャー分子と類似した効果および機能を有することができる。
【0275】
第2のドメイン-T細胞活性化ドメイン
本発明の二重特異性T細胞エンゲージャー分子または本発明の三重特異性T細胞エンゲージャー分子の第2のドメインは、T細胞を活性化することができる。T細胞は細胞表面に、抗原提示細胞の表面上でMHC分子によって抗原ペプチドが提示される場合、抗原ペプチドを認識するT細胞受容体(TCR)を有する。そのような抗原認識は、Srcファミリーキナーゼによる、免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)のリン酸化をもたらし、さらなるキナーゼの動員を誘発し、Ca2+放出を含むT細胞活性化をもたらす。
【0276】
第2のドメインは、TCRによる抗原特異的認識によって誘発されるのと同じ経路の誘発により、T細胞活性化を引き起こすことができる。したがって、第2のドメインは、T細胞シグナル伝達を誘導してT細胞活性化をもたらすことができる。
【0277】
分化抗原群3(CD3)
本発明の二重特異性T細胞エンゲージャー分子または本発明の三重特異性T細胞エンゲージャー分子の第2のドメインは、CD3に結合することができる。
【0278】
CD3は、4つの別個の鎖:CD3γ鎖、CD3δ鎖、および2つのCD3ε鎖で構成されるタンパク質複合体である。CD3は、T細胞受容体(TCR)およびT細胞の表面上のζ鎖と会合し、活性化シグナルを生成する。TCR、ζ鎖およびCD3分子が共にTCR複合体を含む。
【0279】
例えば、固定された抗CD3抗体による、T細胞上でのCD3のクラスタリングは、T細胞受容体の会合に類似するT細胞の活性化をもたらすが、そのクローン典型的な特異性には依存しない。
【0280】
T細胞活性のモジュレーションにおけるその中心的な役割ゆえ、TCR/CD3に結合できる分子を開発する試みが存在した。この研究のかなりは、ヒトCD3抗原に特異的である抗体の生成に注目していた。
【0281】
第2のドメインは、CD3、例えば、OKT3、WT32、抗leu-4、UCHT-1、SPV-3TA、TR66、SPV-T3Bに特異的に結合する抗体もしくはその一部、または親和性が調整されたそのバリアントを含むことができる。
【0282】
免疫細胞エンゲージャーの第2または第3のドメインとの関連で本明細書で使用される場合、「抗体」は、少なくとも1つの相補性決定領域CDRを含む抗原結合部位を有するポリペプチドを意味する。抗体は、3つのCDRを含むことができ、ドメイン抗体(dAb)の抗原結合部位と同等である抗原結合部位を有することができる。抗体は、6つのCDRを含むことができ、古典的抗体分子の抗原結合部位と同等である抗原結合部位を有することができる。ポリペプチドの残部は、抗原結合部位のための好適な足場を提供し、かつその抗原結合部位を、抗原に結合するために適当なやり方で提示する任意の配列であってよい。抗体は、免疫グロブリン全分子またはその一部、例えば、Fab、F(ab)’2、Fv、単鎖Fv(ScFv)断片、ナノボディまたは単鎖可変ドメイン(3つのCDRを有するVH鎖もしくはVL鎖であり得る)であってよい。抗体は二機能性抗体であってよい。抗体は、非ヒト、キメラ、ヒト化または完全ヒトであってよい。
【0283】
あるいは、第2のドメインは、免疫グロブリンに由来しないかまたは基づかないCD3結合分子を含むことができる。いくつかの「抗体ミメティック」設計反復タンパク質(DRP)は、非抗体ポリペプチドの結合能力を活用するために開発された。そのような分子には、アンキリンまたはロイシンリッチリピートタンパク質、例えば、DARPin(設計アンキリンリピートタンパク質)、アンチカリン、アビマー、およびバーサボディ(Versabody)が含まれる。
【0284】
本発明の二重特異性T細胞エンゲージャー分子または本発明の三重特異性T細胞エンゲージャー分子の第2のドメインは、FDAによって承認された最初のモノクローナル抗体であるモノクローナル抗体OKT3の全部または一部を含むことができる。OKT3は、ATCC CRL8001から利用可能である。抗体配列は、米国特許第7,381,803号に公開されている。
【0285】
第2のドメインは、OKT3からの1つまたは複数のCDRを含むことができる。第2の結合ドメインは、OKT3の重鎖からのCDR3および/またはOKT3の軽鎖からのCDR3を含むことができる。第2の結合ドメインは、下に示す、OKT3からの6つ全てのCDRを含むことができる。
重鎖
CDR1:(配列番号90)KASGYTFTRYTMH
CDR2:(配列番号91)INPSRGYTNYNQKFKD
CDR3:(配列番号92)YYDDHYCLDY
軽鎖
CDR1:(配列番号93)SASSSVSYMN
CDR2:(配列番号94)RWIYDTSKLAS
CDR3:(配列番号95)QQWSSNPFT
【0286】
好適には、CDRの1つまたは複数は、1つ、2つまたは3つのアミノ酸変異を含むことができる(may comprise comprises)。
【0287】
第2の結合ドメインは、OKT3からのCDR配列を含むscFvを含むことができる。第2の結合ドメインは、下に配列番号96として示すscFv配列、またはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の配列同一性を有する、CD3に結合する能力を保持するそのバリアントを含むことができる。
配列番号96
【化93】
【0288】
第2のドメインは、UCHT1からの1つまたは複数のCDRを含むことができる。第2の結合ドメインは、UCHT1の重鎖からのCDR3および/またはUCHT1の軽鎖からのCDR3を含むことができる。第2の結合ドメインは、下に示す、UCHT1からの6つ全てのCDRを含むことができる。
重鎖
CDR1:GYSFTGYT(配列番号97)
CDR2:INPYKGVS(配列番号98)
CDR3:ARSGYYGDSDWYFDV(配列番号99)
軽鎖
CDR1:QDIRNY(配列番号100)
CDR2:YTS(配列番号101)
CDR3:QQGNTLPWT(配列番号102)
【0289】
好適には、CDRの1つまたは複数は、1つ、2つまたは3つのアミノ酸変異を含むことができる。
【0290】
第2の結合ドメインは、UCHT1からのCDR配列を含むscFvを含むことができる。第2の結合ドメインは、下に配列番号103として示すscFv配列、またはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の配列同一性を有する、CD3に結合する能力を保持するそのバリアントを含むことができる。
配列番号103
【化94】
【0291】
第2のドメインは、YTHからの1つまたは複数のCDRを含むことができる。第2の結合ドメインは、YTHの重鎖からのCDR3および/またはYTHの軽鎖からのCDR3を含むことができる。第2の結合ドメインは、下に示す、YTHからの6つ全てのCDRを含むことができる。
重鎖
CDR1:GFTFSSFP(配列番号104)
CDR2:ISTSGGRT(配列番号105)
CDR3:AKFRQYSGGFDY(配列番号106)
軽鎖
CDR1:SGNIENNY(配列番号107)
CDR2:DDD(配列番号108)
CDR3:HSYVSSFNV(配列番号109)
【0292】
好適には、CDRの1つまたは複数は、1つ、2つまたは3つのアミノ酸変異を含むことができる。
【0293】
第2の結合ドメインは、YTHからのCDR配列を含むscFvを含むことができる。第2の結合ドメインは、下に配列番号110として示すscFv配列、またはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の配列同一性を有する、CD3に結合する能力を保持するそのバリアントを含むことができる。
配列番号110
【化95】
【0294】
配列番号96、103または110のバリアント配列は、少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を有することができ、配列番号96、103または110として示す配列と比べて、同等または向上した、CD3に結合する能力および/またはTCR活性化能力を有することができる。
【0295】
本発明の三重特異性T細胞エンゲージャー分子の第2の結合ドメインは、配列番号120として示す配列を有するVH領域またはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の配列同一性を有する、CD3に結合する能力を保持するバリアント;および配列番号121として示す配列を有するVL領域またはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の配列同一性を有する、CD3に結合する能力を保持するバリアントを含むことができる。好適には、第2の結合ドメインは、配列番号120として示す配列を有するVH領域;および配列番号121として示す配列を有するVL領域を含むことができる。
VHドメイン(配列番号120)
【化96】
VLドメイン(配列番号121)
【化97】
【0296】
本発明の三重特異性T細胞エンゲージャー分子の第2の結合ドメインは、配列番号122として示す配列を有するVH領域またはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の配列同一性を有する、CD3に結合する能力を保持するバリアント;および配列番号123として示す配列を有するVL領域またはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の配列同一性を有する、CD3に結合する能力を保持するバリアントを含むことができる。好適には、第2の結合ドメインは、配列番号122として示す配列を有するVH領域;および配列番号123として示す配列を有するVL領域を含むことができる。
VHドメイン(配列番号122)
【化98】
VLドメイン(配列番号123)
【化99】
【0297】
第3のドメイン-T細胞共活性化ドメイン
本発明の三重特異性T細胞エンゲージャー分子の第3のドメインは、T細胞を共活性化することができる。
【0298】
第3のドメインは、T細胞の共刺激によって誘発されるのと同じ経路を誘発することにより、T細胞活性化を引き起こすことができる。したがって、第3のドメインは、T細胞活性化をもたらすことができる。
【0299】
本発明の三重特異性T細胞エンゲージャー分子の第1および第2のドメインは、本発明の二重特異性T細胞エンゲージャー分子に関して本明細書に記載される第1および第2のドメインを含むことができる。
【0300】
CD28
本発明の三重特異性T細胞エンゲージャー分子の第3のドメインは、CD28に結合することができる。
【0301】
第3のドメインは、TGN1412のような、CD28に特異的に結合する抗体もしくはその一部、または親和性が調整されたそのバリアントを含むことができる。
【0302】
本発明の三重特異性T細胞エンゲージャー分子の第3のドメインは、モノクローナル抗体TGN1412の全部または一部を含むことができる。
【0303】
第3のドメインは、TGN1412からの1つまたは複数のCDRを含むことができる。第2の結合ドメインは、TGN1412の重鎖からのCDR3および/またはTGN1412の軽鎖からのCDR3を含むことができる。第2の結合ドメインは、下に示す、TGN1412からの6つ全てのCDRを含むことができる。
重鎖
CDR1:GYTFTSYY(配列番号124)
CDR2:IYPGNVNT(配列番号125)
CDR3:TRSHYGLDWNFDV(配列番号126)
軽鎖
CDR1:QNIYVW(配列番号127)
CDR2:KA(配列番号128)
CDR3:QQGQTYPYT(配列番号129)
【0304】
好適には、CDRの1つまたは複数は、1つ、2つまたは3つのアミノ酸変異を含むことができる。
【0305】
第3の結合ドメインは、TGN1412からのCDR配列を含むscFvを含むことができる。
【0306】
第3の結合ドメインは、配列番号130として示す配列を有するVH領域またはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の配列同一性を有する、CD28に結合する能力を保持するバリアント;および配列番号131として示す配列を有するVL領域またはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の配列同一性を有する、CD28に結合する能力を保持するバリアントを含むことができる。好適には、第3の結合ドメインは、配列番号130として示す配列を有するVH領域;および配列番号131として示す配列を有するVL領域を含むことができる。
VHドメイン配列番号130
【化100】
VLドメイン配列番号131
【化101】
【0307】
本発明の三重特異性T細胞エンゲージャー分子の第3の結合ドメインは、配列番号132として示す配列を有するVH領域またはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の配列同一性を有する、CD28に結合する能力を保持するバリアント;および配列番号133として示す配列を有するVL領域またはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の配列同一性を有する、CD28に結合する能力を保持するバリアントを含むことができる。好適には、第3の結合ドメインは、配列番号132として示す配列を有するVH領域;および配列番号133として示す配列を有するVL領域を含むことができる。
VHドメイン(配列番号132)
【化102】
VLドメイン(配列番号133)
【化103】
【0308】
本発明の三重特異性T細胞エンゲージャー分子の第3の結合ドメインは、配列番号134として示す配列を有するVH領域またはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の配列同一性を有する、CD28に結合する能力を保持するバリアント;および配列番号135として示す配列を有するVL領域またはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の配列同一性を有する、CD28に結合する能力を保持するバリアントを含むことができる。好適には、第3の結合ドメインは、配列番号134として示す配列を有するVH領域;および配列番号135として示す配列を有するVL領域を含むことができる。
VHドメイン(配列番号134)
【化104】
VLドメイン(配列番号135)
【化105】
【0309】
分泌シグナルペプチド
本発明の二重特異性T細胞エンゲージャー分子または本発明の三重特異性T細胞エンゲージャー分子は、その産生を助けるシグナルペプチドを含むことができる。シグナルペプチドは宿主細胞による二重特異性T細胞エンゲージャー分子または三重特異性T細胞エンゲージャー分子の分泌を引き起こすことができ、そのため、分子を宿主細胞の上清から採取することができる。
【0310】
シグナルペプチドのコアは、単一のアルファヘリックスを形成する傾向のある長いひと続きの疎水性アミノ酸を含有することができる。シグナルペプチドは短い正に荷電したひと続きのアミノ酸で開始することができ、それは転位の間、ポリペプチドの適切なトポロジーを強制するのを助ける。シグナルペプチドの端部には、シグナルペプチダーゼによって認識され、切断されるひと続きのアミノ酸が一般的に存在する。シグナルペプチダーゼは、転位の間または完了後に切断して、遊離のシグナルペプチドおよび成熟タンパク質を生成することができる。遊離のシグナルペプチドは、特異的プロテアーゼによってその後消化される。
【0311】
シグナルペプチドは、分子のアミノ末端にあってよい。
二重特異性T細胞エンゲージャー分子は、次の一般式を有することができる:
シグナルペプチド-第1のドメイン-第2のドメイン。
三重特異性T細胞エンゲージャー分子は、次の一般式を有することができる:
シグナルペプチド-第1のドメイン-第2のドメイン-第3のドメイン。
【0312】
シグナルペプチドは、配列番号111もしくは112、またはシグナルペプチドが分子の分泌を引き起こす機能がなおあるならば、5つ、4つ、3つ、2つもしくは1つのアミノ酸変異(挿入、置換または付加)を有するそのバリアントを含むことができる。
配列番号111:METDTLLLWVLLLWVPGSTG
配列番号112:MGTSLLCWMALCLLGADHADG
【0313】
配列番号111および112のシグナルペプチドはコンパクトであり、高度に効率的である。それらは末端グリシンの後ろで約95%の切断を与えることが予測され、シグナルペプチダーゼによる効率的な除去を与える。
【0314】
スペーサー
本発明の二重特異性T細胞エンゲージャー分子または本発明の三重特異性T細胞エンゲージャー分子は、ドメインを空間的に分離するために、第1のドメインを第2のドメインに連結する、および/または第2のドメインを第3のドメインに連結するスペーサーまたはリンカー配列を含むことができる。
【0315】
スペーサー配列は、例えば、IgG1ヒンジまたはCD8ストークを含むことができる。スペーサーまたはリンカーは、IgG1ヒンジまたはCD8ストークに類似した長さおよび/またはドメイン間隔特性を有する代わりのリンカー配列を代わりに含むことができる。
【0316】
スペーサーは、短いスペーサー、例えば、100未満、80未満、60未満または45未満のアミノ酸を含むスペーサーであってよい。スペーサーは、IgG1ヒンジもしくはCD8ストークもしくはそれらの改変バージョンであってよいか、または含むことができる。
これらのスペーサーのアミノ酸配列の例を下に示す:
配列番号113(IgG1ヒンジ):AEPKSPDKTHTCPPCPKDPKSGGGGS
配列番号114(CD8ストーク):
TTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACD
【0317】
CD8ストークは、ホモ二量体の形成を誘導することができるような配列を有する。それが望ましくない場合、1つまたは複数のシステイン残基を置換するか、またはCD8ストーク配列から除去してもよい。
【0318】
本発明の二重特異性T細胞エンゲージャー分子は、配列番号113もしくは114として示す配列、またはそのバリアント配列が、第1のドメインと第2のドメインとのおよそ同等の間隔を引き起こす分子であるならば、および/もしくはそのバリアント配列が二重特異性分子のホモ二量体化を引き起こすならば、少なくとも80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の配列同一性を有するそのバリアント、を含むかまたはそれからなるスペーサーを含むことができる。
【0319】
本発明の三重特異性T細胞エンゲージャー分子は、配列番号113もしくは114として示す配列、またはそのバリアント配列が、第1のドメインと第2のドメインとの、および/もしくは第2のドメインと第3のドメインとのおよそ同等の間隔を引き起こす分子であるならば、ならびに/またはそのバリアント配列が三重特異性分子のホモ二量体化を引き起こすならば、少なくとも80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の配列同一性を有するそのバリアント、を含むかまたはそれからなる1つまたは複数のスペーサーを含むことができる。
【0320】
スペーサーは、鎖切断を導入する1つまたは複数のリンカーモチーフも含むことができる。鎖切断は、2つの別個のドメインを分離するが、異なる角度での配向を可能にする。そのような配列は、配列SDPおよび配列SGGGSDP(配列番号115)を含む。
【0321】
本発明の二重特異性T細胞エンゲージャー分子または本発明の三重特異性T細胞エンゲージャー分子は、セリン-グリシンリンカーを含むリンカーを含むことができる。リンカーは、セリン-グリシンのいくつかのモジュール、例えば、例えばSGGGGS(配列番号116)、GGGGS(配列番号117)、((Gly4)Ser)2(GGGGSGGGGS、配列番号355)、((Gly4)Ser)3(GGGGSGGGGSGGGGS、配列番号356)および((Gly4)Ser)4(GGGGSGGGGSGGGGSGGGGS、配列番号357)で構成され得る。
【0322】
本発明の二重特異性T細胞エンゲージャー分子は、次の一般式を有することができる:
シグナルペプチド-第1のドメイン-スペーサー/リンカー-第2のドメイン。
【0323】
本発明の三重特異性T細胞エンゲージャー分子は、次の一般式を有することができる:
シグナルペプチド-第1のドメイン-スペーサー/リンカー-第2のドメイン-スペーサー/リンカー-第3のドメイン。
【0324】
ガンマデルタ細胞エンゲージャー
本発明の免疫細胞エンゲージャーは、ガンマデルタT細胞をエンゲージする分子であってよい。ガンマデルタ細胞の例は、Vγ9Vδ2T細胞を含む。
【0325】
ガンマデルタT細胞エンゲージャーの第2のドメインは、本明細書に記載されるCD3に結合することができる。
【0326】
ガンマデルタT細胞エンゲージャーの第2のドメインは、Vγ9Vδ2+γδT細胞受容体のVγ9鎖に結合することができる。好適にはVγ9Vδ2T細胞に結合できる抗体は、例えば、国際公開第2020/159368号に記載されている。
【0327】
NKT細胞エンゲージャー
本発明の免疫細胞エンゲージャーは、NKT細胞をエンゲージする分子であってよい。
【0328】
NKT T細胞エンゲージャーの第2のドメインは、本明細書に記載されるCD3に結合することができる。
【0329】
二重特異性キラー細胞エンゲージャー(BIKE)および三重特異性キラー細胞エンゲージャー(TRIKE)
一実施形態では、本発明は、本明細書に記載されるsdAbを第1のドメインとして、およびNK細胞活性化ドメインを第2のドメインとして含む二重特異性キラー細胞エンゲージャー分子(BiKE)であるNK細胞エンゲージャー分子を提供する。NK細胞活性化ドメインは、NK細胞を活性化することができるドメインである。
【0330】
BiKEまたはTRiKEは、第2のドメインの複数のコピーを含むことができ、したがって、NK細胞活性化ドメインの複数のコピーを包含することができる。BiKEまたはTRiKEは、同じNK細胞活性化ドメインの1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたはそれよりも多くを含むことができる。例えば、NK細胞エンゲージャーは、各々がCD16に結合する3つのCD16結合ドメインを含むことができる。
【0331】
二重特異性キラー細胞エンゲージ分子は、主に抗がん薬物としての使用のために開発された二重特異性抗体型分子のクラスである。それらは宿主の免疫系、より具体的にはNK細胞の細胞傷害活性を、がん細胞などの標的細胞に対して向ける。これらの二重特異性キラー細胞エンゲージャー分子では、一方の結合ドメインが、例えばCD16受容体を介してNK細胞に結合し、他方が腫瘍細胞などの標的細胞に結合する(例えば、腫瘍特異的分子を介して)。二重特異性キラー細胞エンゲージャー分子は標的細胞およびNK細胞の両方に結合するので、それは標的細胞をNK細胞と近接させ、そのためNK細胞はその効果、例えばがん細胞への細胞傷害効果を発揮することができる。NK細胞:二重特異性Ab:がん細胞複合体の形成はNK細胞でシグナル伝達を誘導し、例えば、細胞傷害性メディエーターの放出をもたらす。理想的には、本剤は標的細胞の存在下で所望のシグナル伝達を誘導するだけであり、選択的殺傷をもたらす。
【0332】
したがって、本発明のNK細胞エンゲージャーは、FcRH5発現細胞(例えば、FcRH5+がん細胞)をNK細胞と近接させ、そのためNK細胞はその効果をがん細胞に対して発揮することができる。FcRH5二重特異性キラー細胞エンゲージャー分子の結合を介した共局在の要件が、FcRH5陽性細胞の選択的殺傷をもたらす。言い換えると、本発明のNK細胞エンゲージャー分子は、標的細胞の表面上で発現するFcRH5へのNK細胞エンゲージャー分子の結合後に、NK細胞を活性化することができる。
【0333】
好適には、第2のドメインは、NK細胞表面上のCD16に結合することによってNK細胞を活性化する。
【0334】
好適には、第2のドメインは、CD16特異的抗体またはその一部を含む。
【0335】
第2のドメインは、3G8もしくはLSIV21のような、CD16に特異的に結合する抗体もしくはその一部、または親和性が調整されたそのバリアントを含むことができる。
【0336】
本発明のNK細胞エンゲージャー分子の第2のドメインは、マウス3G8からの1つまたは複数のCDRを含むことができる。第2の結合ドメインは、マウス3G8の重鎖からのCDR3および/またはマウス3G8の軽鎖からのCDR3を含むことができる。第2の結合ドメインは、下に示す、マウス3G8からの6つ全てのCDRを含むことができる。
重鎖
CDR1:GFSLRTSGMG(配列番号136)
CDR2:IWWDDDK(配列番号137)
CDR3:AQINPAWFAY(配列番号138)
軽鎖
CDR1:QSVDFDGDSF(配列番号139)
CDR2:TT(配列番号140)
CDR3:QQSNEDPYT(配列番号141)
【0337】
好適には、CDRの1つまたは複数は、1つ、2つまたは3つのアミノ酸変異を含むことができる。
【0338】
NK細胞エンゲージャー分子の第2のドメインは、マウス3G8からのCDR配列を含むscFvを含むことができる。
【0339】
NK細胞エンゲージャー分子の第2のドメインは、配列番号142として示す配列を有するVH領域またはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の配列同一性を有する、CD16に結合する能力を保持するバリアント;および配列番号143として示す配列を有するVL領域またはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の配列同一性を有する、CD16に結合する能力を保持するバリアントを含むことができる。好適には、第3の結合ドメインは、配列番号142として示す配列を有するVH領域;および配列番号143として示す配列を有するVL領域を含むことができる。
VHドメイン配列番号142
【化106】
VLドメイン配列番号143
【化107】
【0340】
本発明のNK細胞エンゲージャー分子の第2のドメインは、ヒト化3G8からの1つまたは複数のCDRを含むことができる。第2の結合ドメインは、ヒト化3G8の重鎖からのCDR3および/またはヒト化3G8の軽鎖からのCDR3を含むことができる。第2の結合ドメインは、下に示す、ヒト化3G8からの6つ全てのCDRを含むことができる。
重鎖
CDR1:GFSLSTSGMG(配列番号144)
CDR2:IWWDDDK(配列番号137)
CDR3:ARINPAWFAY(配列番号145)
軽鎖
CDR1:QSVDFDGDSF(配列番号139)
CDR2:TT(配列番号140)
CDR3:QQSNEDPYT(配列番号141)
【0341】
好適には、CDRの1つまたは複数は、1つ、2つまたは3つのアミノ酸変異を含むことができる。
【0342】
NK細胞エンゲージャー分子の第2のドメインは、ヒト化3G8からのCDR配列を含むscFvを含むことができる。
【0343】
NK細胞エンゲージャー分子の第2のドメインは、配列番号146として示す配列を有するVH領域またはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の配列同一性を有する、CD16に結合する能力を保持するバリアント;および配列番号147として示す配列を有するVL領域またはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の配列同一性を有する、CD16に結合する能力を保持するバリアントを含むことができる。好適には、第3の結合ドメインは、配列番号146として示す配列を有するVH領域;および配列番号147として示す配列を有するVL領域を含むことができる。
VHドメイン配列番号146
【化108】
VLドメイン配列番号147
【化109】
【0344】
本発明のNK細胞エンゲージャー分子の第2のドメインは、LSIV21からの1つまたは複数のCDRを含むことができる。第2の結合ドメインは、LSIV21の重鎖からのCDR3および/またはLSIV21の軽鎖からのCDR3を含むことができる。第2の結合ドメインは、下に示す、マウスLSIV21からの6つ全てのCDRを含むことができる。
重鎖
CDR1:GYTFTSYY(配列番号124)
CDR2:INPSGGST(配列番号148)
CDR3:ARGSAYYYDFADY(配列番号149)
軽鎖
CDR1:NIGSKN(配列番号150)
CDR2:QD(配列番号151)
CDR3:QVWDNYSVL(配列番号152)
【0345】
好適には、CDRの1つまたは複数は、1つ、2つまたは3つのアミノ酸変異を含むことができる。
【0346】
NK細胞エンゲージャー分子の第2のドメインは、LSIV21からのCDR配列を含むscFvを含むことができる。
【0347】
NK細胞エンゲージャー分子の第2のドメインは、配列番号153として示す配列を有するVH領域またはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の配列同一性を有する、CD16に結合する能力を保持するバリアント;および配列番号154として示す配列を有するVL領域またはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の配列同一性を有する、CD16に結合する能力を保持するバリアントを含むことができる。好適には、第3の結合ドメインは、配列番号153として示す配列を有するVH領域;および配列番号154として示す配列を有するVL領域を含むことができる。
VHドメイン配列番号153
【化110】
VLドメイン配列番号154
【化111】
【0348】
本発明は、三重特異性キラー細胞エンゲージャー分子であるNK細胞エンゲージャーも提供する。BiKEに関して本明細書に記載される第1および第2のドメインに加えて、TriKEは、別のNK細胞活性化ドメインを第3のドメインとしてさらに含む。NK細胞活性化ドメインは、NK細胞を活性化することができるドメインである。したがって、TriKEは、本明細書に記載されるBiKEと類似した効果および機能を有することができる。
【0349】
TriKEの第3のドメインは、追加の活性化シグナルをNK細胞に提供するドメインであってよい。
【0350】
好適には、第3のドメインは、IL-15を架橋することができる。
【0351】
BiKEおよびTriKEは、一般的に、短い5残基ペプチドリンカー(GGGGS(配列番号117))を介して、抗CD16 scFvを抗標的抗原scFvと融合することにより作製される。
【0352】
本発明のBiKEまたは本発明のTriKEは、ドメインを空間的に分離するために、本発明のBiTEまたは本発明の三重特異性T細胞エンゲージャー分子との関連で記載される、第1のドメインを第2のドメインに連結する、および/または第2のドメインを第3のドメインに連結するスペーサーまたはリンカー配列を含むことができる。
【0353】
本発明のBiKEまたは本発明のTriKEは、その産生を助ける、本明細書に記載されるシグナルペプチドを含むことができる。
【0354】
本発明の二重特異性NK細胞エンゲージャー分子は、次の一般式を有することができる:
シグナルペプチド-第1のドメイン-スペーサー/リンカー-第2のドメイン。
【0355】
本発明の三重特異性NK細胞エンゲージャー分子は、次の一般式を有することができる:
シグナルペプチド-第1のドメイン-スペーサー/リンカー-第2のドメイン-スペーサー/リンカー-第3のドメイン。
【0356】
ポリヌクレオチド
一態様では、本発明は、本発明のsdAbをコードする核酸配列を提供する。
【0357】
一態様では、本発明は、本発明のCARをコードする核酸配列を提供する。
【0358】
一態様では、本発明は、本発明の免疫細胞エンゲージャー分子をコードする核酸配列を提供する。
【0359】
遺伝暗号の冗長性ゆえ、同じポリペプチドをコードする核酸配列における変動が可能である。これらの配列は、本発明に包含される。したがって、各核酸配列は異なるが、本発明によるポリペプチドまたは本明細書に記載されるさらなるポリペプチドをコードする複数のポリヌクレオチドが想定される。そのような核酸配列の設計および産生が難なく可能である。
【0360】
核酸配列は、RNAまたはDNA配列またはそのバリアントであってよい。用語「ポリヌクレオチド」は、RNAまたはDNA配列を含む。それは一本鎖であっても二本鎖であってもよい。それは、例えば、ゲノム、組換えmRNAまたはcDNAであってよい。
【0361】
ヌクレオチド配列は、好まれる宿主細胞での産生用にコドン最適化されてもよい。
【0362】
本明細書で使用される場合、「バリアント」は、「変異体」と同義であり、対応する野生型配列と比べて異なるポリヌクレオチドまたはアミノ酸配列を指す。用語「野生型」は、それぞれ天然の遺伝子またはタンパク質と同一であるポリヌクレオチドまたはアミノ酸配列をそれぞれ有する遺伝子またはタンパク質を意味して使用される。
【0363】
好適には、核酸配列は、発現カセットを形成する、プロモーターまたは制御配列のような異種配列に作動可能に連結していてもよい。
【0364】
発現カセットは、1つまたは複数の調節配列を含むことができる。調節配列は、前記sdAb、CARまたは免疫細胞エンゲージャーの転写および適当である場合は翻訳を調節および制御する配列であり、プロモーター配列、転写制御因子コード配列、リボソーム結合配列(RBS)および/または転写終結配列を含む。本発明の発現カセットは、エンハンサーをさらに含むことができ、それは、プロモーター配列に隣接していても離れていてもよく、かつその発現カセットからの転写を上昇させるように機能できる。発現調節配列は、原核細胞または真核細胞および生物体、例えば、哺乳動物細胞中で機能的であってもよい。発現カセットは、プロモーターを含むことができる。任意のプロモーターを、この方法において使用することができる。一般に、真核細胞中で機能的な強力プロモーターを利用することが有利である。強力プロモーターは、それに限定されないが、ヒトもしくはマウス起源の、または必要に応じて、ラットもしくはモルモットのような別の起源を有する最初期サイトメガロウイルスプロモーター(CMV-IE)であってよい。
【0365】
さらに一般的には、プロモーターは、ウイルス起源または細胞起源のいずれかを有する。本発明の実践において有益に利用することができる、CMV-IE以外の強力ウイルスプロモーターは、SV40ウイルスの初期/後期プロモーターまたはラウス肉腫ウイルスのLTRプロモーターである。本発明の実践において有益に利用することができる強力細胞プロモーターは細胞骨格の遺伝子のプロモーター、例えば、デスミンプロモーター(Kwissa et al., 2000)またはアクチンプロモーター(Miyazaki et al., 1989)である。
【0366】
プロモーターは、構成的プロモーターであってよい。プロモーターは、組織特異的プロモーターであってよい。
【0367】
ベクター
本発明は、本発明による核酸配列を含むベクターも提供する。例えば、本発明のベクターは、本発明のFcRH5結合分子、例えば、本発明のsdAb、または本発明のCAR、または本発明の免疫細胞エンゲージャー分子(immune cell cell engager molecule)をコードする核酸配列を含むポリヌクレオチドを含むことができる。そのようなベクターは、それが本発明のFcRH5結合分子を発現および産生するように、核酸配列を宿主細胞に導入するために使用することができる。
【0368】
ベクターは、核酸を宿主細胞中で送達または維持することができる任意の作用物質であってよく、ウイルスベクター、プラスミド、ネイキッド核酸、ポリペプチドまたは他の分子と複合体形成した核酸、および固相粒子上に固定された核酸を含む。ベクターは、例えば、プラスミドまたはウイルスベクター、例えばレトロウイルスベクターもしくはレンチウイルスベクターであってよい。
【0369】
ベクターは、プロモーターまたは制御配列のような異種配列に作動可能に連結した、本発明によるsdAb、CAR、二重特異性T細胞エンゲージャー分子、三重特異性T細胞エンゲージャー分子、二重特異性キラー細胞エンゲージャー分子、または三重特異性キラー細胞エンゲージャー分子をコードする核酸配列を含むことができる。一般に、真核細胞中で機能的な強力プロモーターを利用することが有利である。強力プロモーターは、それに限定されないが、ヒトもしくはマウス起源の、または必要に応じて、ラットもしくはモルモットのような別の起源を有する最初期サイトメガロウイルスプロモーター(CMV-IE)であってよい。
【0370】
さらに一般的には、プロモーターは、ウイルス起源または細胞起源のいずれかを有する。本発明の実践において有益に利用することができる、CMV-IE以外の強力ウイルスプロモーターは、SV40ウイルスの初期/後期プロモーターまたはラウス肉腫ウイルスのLTRプロモーターである。本発明の実践において有益に利用することができる強力細胞プロモーターは細胞骨格の遺伝子のプロモーター、例えば、デスミンプロモーター(Kwissa et al., 2000)またはアクチンプロモーター(Miyazaki et al., 1989)である。
【0371】
プロモーターは、構成的プロモーターであってよい。プロモーターは、組織特異的プロモーターであってよい。
【0372】
ベクターは、細胞にトランスフェクトまたは形質導入することができるものであってよい。一態様では、ベクターは、T細胞またはNK細胞にトランスフェクトまたは形質導入することができるものであってよい。
【0373】
ベクターは、iCasp9またはRQR8のような自殺遺伝子をコードする核酸配列も含むことができる。
【0374】
細胞
本発明は、本発明による核酸またはベクターを含む宿主細胞も提供する。
【0375】
宿主細胞は、本発明のsdAbを産生することができるものであってよい。宿主細胞は、本発明の免疫細胞エンゲージャーを産生することができるものであってよい。宿主細胞は、本発明のCARを、産生および/もしくは発現することができるものであってよく、ならびに/または含むことができる。
【0376】
宿主細胞は、細菌細胞、真菌細胞、酵母細胞、植物細胞または動物細胞であってよい。好適には、本発明のsdAbまたは免疫細胞エンゲージャーは、細菌細胞、真菌細胞、酵母細胞、植物細胞または動物細胞中で産生することができる。好適には、宿主細胞は、哺乳動物細胞、例えば、ヒト胎児腎細胞系293であってよい。
【0377】
細胞は、細胞表面でCARを発現することができる任意の真核細胞、例えば免疫学的細胞であってよい。特に、細胞は、免疫細胞、例えば、T細胞またはNK細胞であってよい。
【0378】
T細胞またはTリンパ球は、細胞媒介性免疫で中心的な役割を演ずるタイプのリンパ球である。それらは、細胞表面上のT細胞受容体(TCR)の存在によって、他のリンパ球、例えばB細胞およびナチュラルキラー細胞(NK細胞)から区別することができる。下で要約される通り、各種のT細胞がある。
【0379】
ヘルパーT細胞(TH細胞)は、B細胞の形質細胞およびメモリーB細胞への成熟化、ならびに細胞傷害性T細胞およびマクロファージの活性化を含めた免疫学的プロセスにおいて他の白血球を補助する。TH細胞は、表面上にCD4を発現する。TH細胞は、抗原提示細胞(APC)の表面上のMHCクラスII分子によってペプチド抗原が提示されると活性化される。これらの細胞は、異なる型の免疫応答を促進するような異なるサイトカインを分泌する、TH1、TH2、TH3、TH17、Th9、またはTFHを含めたいくつかの亜型のうちの1つに分化し得る。
【0380】
細胞傷害性T細胞(TC細胞、またはCTL)は、ウイルス感染細胞および腫瘍細胞を破壊し、また、移植拒絶にも関係づけられる。CTLは、表面上にCD8を発現する。これらの細胞は、全ての有核細胞の表面上に存在するMHCクラスIに付随する抗原に結合することによってそれらの標的を認識する。調節性T細胞から分泌されるIL-10、アデノシンおよび他の分子を通じて、CD8+細胞を不活性化してアネルギーの状態にすることができ、それにより、実験的自己免疫性脳脊髄炎などの自己免疫疾患を予防する。
【0381】
メモリーT細胞は、感染が消散した後、長期間存続する抗原特異的T細胞のサブセットである。これらは、同族抗原に再曝露されると直ちに増大して多数のエフェクターT細胞になり、そうすることで、過去の感染に対する「メモリー」による免疫系をもたらす。メモリーT細胞は、3つの亜型:セントラルメモリーT細胞(TCM細胞)およびエフェクターメモリーT細胞の2つの型(TEM細胞およびTEMRA細胞)を含む。メモリー細胞は、CD4+またはCD8+のいずれかであり得る。メモリーT細胞は、一般には、細胞表面タンパク質CD45ROを発現する。
【0382】
調節性T細胞(Treg細胞)は、以前はサプレッサーT細胞として公知であり、免疫寛容を維持するために極めて重要である。それらの主要な役割は、T細胞媒介性免疫をシャットダウンして免疫反応の終わりに向かわせること、および胸腺における負の選択のプロセスを免れた自己反応性T細胞を抑制することである。
【0383】
2種の主要なクラスのCD4+Treg細胞が記載されている-天然に存在するTreg細胞および適応性Treg細胞。
【0384】
天然に存在するTreg細胞(CD4+CD25+FoxP3+Treg細胞としても公知)は、胸腺において生じ、発達中のT細胞と、TSLPで活性化された骨髄樹状細胞(CD11c+)および形質細胞様樹状細胞(CD123+)との間の相互作用に関連付けられている。天然に存在するTreg細胞は、FoxP3と称される細胞内分子が存在することにより、他のT細胞と区別することができる。FOXP3遺伝子の変異により、調節性T細胞の発生が妨げられ、それにより、致死的な自己免疫疾患IPEXが引き起こされる可能性がある。
【0385】
適応性Treg細胞(Tr1細胞またはTh3細胞としても公知)は、正常な免疫応答の間に生じる可能性がある。
【0386】
ガンマデルタT細胞(γδT細胞)は、1つのγ(ガンマ)鎖および1つのδ(デルタ)鎖で構成されるTCRを有するT細胞である。ガンマデルタT細胞は、一般的に、αβT細胞ほど一般的ではない。ヒトでは、T細胞の95%において、TCRは、アルファ(α)鎖およびベータ(β)鎖(それぞれ、TRAおよびTRBによりコードされる)からなる。しかし、T細胞の約5%において、TCRは、ガンマおよびデルタ(γ/δ)鎖(それぞれ、TRGおよびTRDによりコードされる)からなる。ガンマデルタT細胞は、腸粘膜に豊富にある。ガンマデルタ細胞の例は、Vγ9Vδ2T細胞を含む。
【0387】
γδTCRは、MHCに依存せず、かつ腫瘍によって発現される細胞ストレスのマーカーを検出することができる。γδTCRは、ホスホアンチゲン/ブチロフィリン3A1複合体;主要組織適合性複合体クラスI鎖関連A(MICA);主要組織適合性複合体クラスI鎖関連B(MICB);NKG2Dリガンド1-6(ULBP1-6);CD1c;CD1d;内皮細胞タンパク質C受容体(EPCR);リポヘキサペプチド;フィコエリトリン(phycoreythrin)またはヒスチジルtRNA合成酵素に結合することができるものであってよい。
【0388】
ナチュラルキラーT(NKT)細胞は、T細胞およびナチュラルキラー細胞の両方の特性を共有するT細胞の異質群である。これらの細胞の多くは、自己脂質および外来脂質および糖脂質に結合する抗原提示分子である非多形CD1d分子を認識する。
【0389】
本発明の細胞は、上で指摘したT細胞型のいずれか、特にCTLであってよい。
【0390】
ナチュラルキラー細胞(NK細胞)は、自然免疫系の一部を形成するある種類の細胞溶解性細胞である。NK細胞により、ウイルス感染細胞からの生得的なシグナルに対する迅速な応答がMHC非依存的にもたらされる。
【0391】
NK細胞(生得的なリンパ系細胞の群に属する)は、大型顆粒リンパ球(LGL)と定義され、Bリンパ球およびTリンパ球を生成する共通のリンパ系前駆細胞から分化する第3の種類の細胞を構成する。NK細胞は、骨髄、リンパ節、脾臓、扁桃および胸腺において分化および成熟し、次いでそこから循環中に入ることが公知である。
【0392】
本発明のCAR細胞は、上で指摘した細胞型のいずれかであってよい。
【0393】
好適には、T細胞またはNK細胞は、本発明のCARを産生および/または発現および/または含むことができる。
【0394】
好適には、宿主細胞はT細胞であってよい。好適には、宿主細胞はNK細胞であってよい。
【0395】
本発明によるCARを発現することができるT細胞は、CARコード核酸をT細胞に形質導入またはトランスフェクトすることによって作製することができる。本発明によるCARを発現することができるNK細胞は、CARコード核酸をNK細胞に形質導入またはトランスフェクトすることによって作製することができる。
【0396】
細胞は、患者自身の末梢血(第一者)から、または造血幹細胞移植の状況ではドナー末梢血(第二者)から、または無関係のドナーからの末梢血(第三者)からex vivoで作製することができる。細胞は、患者またはドナーからの末梢血単核細胞(PBMC)試料からのものであってよい。
【0397】
あるいは、細胞は、誘導可能な前駆体細胞または胚性前駆体細胞の、例えば、T細胞またはNK細胞へのex vivo分化に由来してもよい。あるいは、その溶解機能を保持し、治療薬として作用することができる不死化されたT細胞系を使用することができる。
【0398】
細胞は、CARコード核酸が形質導入される前に、例えば抗CD3モノクローナル抗体による処理によって活性化および/または拡大することができる。
【0399】
本発明は、本発明による細胞を作製するための方法であって、本発明によるポリヌクレオチドまたは本発明によるベクターを細胞に導入するステップを含む方法も提供する。ポリヌクレオチドまたはベクターは、例えば、in vitroまたはex vivoでの形質導入またはトランスフェクションによって導入することができる。
【0400】
前記細胞は、次いで、分子の産生に好適な条件下で宿主細胞を培養すると、本発明のsdAb、または本発明のCAR、または本発明の免疫細胞エンゲージャーを発現および/または産生することができる。次いで、分子は、宿主細胞または上清から採取することができる。
【0401】
前記の細胞中で産生される本発明の抗体および免疫細胞エンゲージャーは、細胞内(例えば、サイトゾル内、ペリプラズマ(periplasma)内または封入体内)で産生した後に宿主細胞から単離し、必要に応じてさらに精製することができるか;または細胞外(例えば、宿主細胞が培養される培地中)で産生した後に培養培地から単離し、必要に応じてさらに精製することができるかのいずれかである。
【0402】
医薬組成物
本発明は、本発明のポリヌクレオチドまたはベクターを、薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤、および必要に応じて1つまたは複数のさらなる医薬活性ポリペプチドおよび/または化合物と共に含む医薬組成物にも関する。
【0403】
本発明は、本発明のsdAbを、薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤、および必要に応じて1つまたは複数のさらなる医薬活性ポリペプチドおよび/または化合物と共に含む医薬組成物にも関する。
【0404】
本発明は、本発明の抗体コンジュゲートを、薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤、および必要に応じて1つまたは複数のさらなる医薬活性ポリペプチドおよび/または化合物と共に含む医薬組成物にも関する。
【0405】
本発明は、本発明のCAR発現細胞を、薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤、および必要に応じて1つまたは複数のさらなる医薬活性ポリペプチドおよび/または化合物と共に含む医薬組成物にも関する。
【0406】
本発明は、本発明の免疫細胞エンゲージャーを、薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤、および必要に応じて1つまたは複数のさらなる医薬活性ポリペプチドおよび/または化合物と共に含む医薬組成物にも関する。
【0407】
医薬組成物は、患者に投与することができる。
【0408】
医薬組成物は、宿主細胞または対象における、本発明のポリヌクレオチドの送達および/または維持を可能にすることができる。そのような送達は、宿主細胞または対象における、本発明のsdAbまたはさらなる生成物の発現を好適に可能にする。ポリヌクレオチドは、DNA、RNAまたはmRNAであってもよい。医薬組成物は、ウイルスベクター、プラスミド、ネイキッド核酸、ポリペプチドまたは他の分子と複合体形成した核酸、および固相粒子上に固定された核酸を含むことができる。ベクターは、例えば、プラスミドまたはウイルスベクター、例えばレトロウイルスベクターもしくはレンチウイルスベクターであってよい。他の送達剤は、送達ナノ粒子および脂質ナノ粒子(LNP)を含む。
【0409】
投与の形は、例えば、経口投与または非経口投与(例えば、静脈内、筋肉内もしくは皮下注射または静脈内注入による)に好適な形、または腫瘍内であってよい。
【0410】
好適には、そのような製剤は、例えば、静脈内注入に好適な形であってよい。
【0411】
医学的使用
本発明は、疾患の処置における医薬として使用するための本発明のsdAbを提供する。
【0412】
本発明は、疾患の処置における医薬として使用するための本発明の抗体コンジュゲートを提供する。
【0413】
本発明は、疾患の処置における医薬として使用するための本発明のCARを発現する本発明の細胞を提供する。
【0414】
本発明は、疾患の処置における医薬として使用するための本発明の免疫細胞エンゲージャーを提供する。
【0415】
本発明は、疾患の処置における医薬として使用するための本発明のポリヌクレオチドを提供する。
【0416】
本発明は、疾患の処置における医薬として使用するための本発明のベクターを提供する。
【0417】
本発明は、疾患の処置における医薬として使用するための本発明の医薬組成物を提供する。
【0418】
好適には、疾患は、FcRH5発現と関連した疾患であってよい。FcRH5は、分化したB細胞および形質細胞上で発現することが公知である。
【0419】
好適には、疾患は、がん性疾患、特にFcRH5発現と関連したがん性疾患であってよい。
【0420】
疾患は、B細胞悪性腫瘍であってよい。
【0421】
疾患は、白血病または非ホジキンリンパ腫であってよい。
【0422】
白血病は、有毛細胞白血病または慢性リンパ球性白血病であってよい。
【0423】
非ホジキンリンパ腫は、マントル細胞リンパ腫、EBV関連リンパ腫(バーキット)またはリンパ形質細胞性リンパ腫であってよい。
【0424】
好適には、疾患は、形質細胞障害または形質細胞異常症、特にFcRH5発現と関連する形質細胞障害または形質細胞異常症であってよい。
【0425】
疾患は、形質細胞腫、孤立性形質細胞腫(solitary plasmocytoma)、髄外性形質細胞腫(extramedullary plasmocytoma)、形質細胞白血病、多発性骨髄腫、マクログロブリン血症、アミロイドーシス、ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症、骨の孤立性形質細胞腫、髄外性形質細胞腫、骨硬化性骨髄腫、重鎖疾患、意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症(MGUS)、非IgM MGUS、IgM MGUS、軽鎖MGUSおよびくすぶり型多発性骨髄腫から選択される形質細胞障害または形質細胞異常症であってよい。
【0426】
疾患は、多発性骨髄腫であってよい。
【0427】
好適には、本発明のsdAb、本発明の抗体コンジュゲート、本発明のCARを発現する細胞、本発明の免疫細胞エンゲージャー、本発明のポリヌクレオチド、本発明のベクターおよび/または本発明の医薬組成物は、FcRH5発現と関連するがん性疾患の処置のために使用することができる。
【0428】
好適には、本発明のsdAb、本発明の抗体コンジュゲート、本発明のCARを発現する細胞、本発明の免疫細胞エンゲージャー、本発明のポリヌクレオチド、本発明のベクターおよび/または本発明の医薬組成物は、多発性骨髄腫の処置のために使用することができる。
【0429】
本発明のCAR分子を発現する細胞は、がん細胞を殺傷することができる。CAR発現細胞は、患者自身の末梢血(第一者)から、または造血幹細胞移植の状況ではドナー末梢血(第二者)から、または無関係のドナーからの末梢血(第三者)からのいずれかでex vivoで作製することができる。あるいは、CAR細胞は、誘導可能な前駆体細胞または胚性前駆体細胞のT細胞またはNK細胞へのex vivo分化に由来してもよい。これらの場合、CAR細胞は、ウイルスベクターの形質導入、DNAまたはRNAのトランスフェクションを含む多くの手段のうちの1つによって、CARをコードするDNAまたはRNAを導入することによって生成される。
【0430】
本発明は、疾患の処置のための方法であって、本発明のsdAb、本発明の抗体コンジュゲート、本発明のCARを発現する細胞、本発明の免疫細胞エンゲージャー、本発明のポリヌクレオチド、本発明のベクターおよび/または本発明の医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法にも関する。
【0431】
その点で、sdAb、抗体コンジュゲート、CAR発現細胞、免疫細胞エンゲージャー ポリヌクレオチド、ベクターおよび/または医薬組成物は、疾患と関連する少なくとも1つの症状を軽くするか、低減するか、向上させるために、および/または疾患の進行を遅くするか、低減するか、ブロックするために、既存の疾患または状態を有する対象に投与することができる。例えば、本発明の方法は、FcRH5発現細胞、例えばがん細胞の、T細胞またはNK細胞媒介性殺傷を引き起こすまたは促進することができる。
【0432】
本発明は、疾患を処置するための医薬の製造における、本発明のsdAb、本発明の抗体コンジュゲート、本発明のCARを発現する細胞、本発明の免疫細胞エンゲージャー、本発明のポリヌクレオチド、本発明のベクターおよび/または本発明の医薬組成物の使用にも関する。
【0433】
本発明の態様
本発明のさらなる態様を、以下の番号付き項(para)において記載する:
1.FcRH5結合ドメインを含む単一ドメイン抗体(sdAb)。
【0434】
2.FcRH5結合ドメインが、
(i)以下の配列を有する相補性決定領域(CDR):
CDR1-RSSFSNNA(配列番号1)
CDR2-ITKGGVT(配列番号2)
CDR3-NTIPFRSA(配列番号3);または
(ii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GFTFSNYA(配列番号4)
CDR2-INSDGGTA(配列番号5)
CDR3-AANRGFCAGVRCLEYQY(配列番号6);または
(iii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTFSINA(配列番号7)
CDR2-IGGSGRVSST(配列番号8)
CDR3-AARRDYLPFPPESYDY(配列番号9);または
(iv)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTFSINA(配列番号7)
CDR2-IGGSGRVSST(配列番号8)
CDR3-AAGRRTSTNGGDYDY(配列番号10);または
(v)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTFSINA(配列番号7)
CDR2-ISRSGGAT(配列番号11)
CDR3-AGTRRAFSTGLRDYDY(配列番号12);または
(vi)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTFSNST(配列番号13)
CDR2-ISWSGGTY(配列番号14)
CDR3-AAARKGWSTRGDDYDY(配列番号15);または
(vii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTYNNYA(配列番号16)
CDR2-ISRSGGMT(配列番号17)
CDR3-AAYVGGFSTARRDYSY(配列番号18);または
(viii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTFSSYA(配列番号19)
CDR2-ISRIGGVT(配列番号20)
CDR3-AAAGLVSISTTPNDYDY(配列番号21);または
(ix)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GNIFRLNG(配列番号22)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-NAIPFRL(配列番号24);または
(x)以下の配列を有するCDR:
CDR1-RNIFSLNP(配列番号25)
CDR2-ITDGGST(配列番号26)
CDR3-NRVGGLQTWA(配列番号27);または
(xi)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRSFSNYG(配列番号28)
CDR2-IGMVGGLT(配列番号29)
CDR3-AAGRRFSTSSRDYDI(配列番号30);または
(xii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTFDSRP(配列番号31)
CDR2-VSWRGEST(配列番号32)
CDR3-AAGEPYSGTYYYRGRDYDY(配列番号33);または
(xiii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTFSMYA(配列番号34)
CDR2-ISGSARIT(配列番号35)
CDR3-AASSTYTSTSGSSYNY(配列番号36);または
(xiv)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GSIFSINA(配列番号37)
CDR2-ITSGGST(配列番号38)
CDR3-NALGGFVPSYG(配列番号39);または
(xv)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTSSRAA(配列番号155)
CDR2-ISWSGGTT(配列番号156)
CDR3-AAARIFTTARNDYDH(配列番号157);または
(xvi)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GNIFRLNG(配列番号22)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-NTIPFRLS(配列番号186);または
(xvii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GNIFRLNA(配列番号160)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-NTIPFRLS(配列番号186);または
(xviii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-RSSFSNNA(配列番号1)
CDR2-ITKGGVT(配列番号2)
CDR3-NTIPVRSA(配列番号187);または
(xix)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GSIFSINA(配列番号37)
CDR2-ITKGGVT(配列番号2)
CDR3-NTIPCRSA(配列番号188);または
(xx)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GSSFRLNG(配列番号161)
CDR2-ITSGGST(配列番号38)
CDR3-NTIPFSRA(配列番号189);または
(xxi)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRSVSINA(配列番号162)
CDR2-IDRSGNT(配列番号176)
CDR3-NTIPYSDS(配列番号190);または
(xxii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTFSSYA(配列番号19)
CDR2-IDGIGGIT(配列番号177)
CDR3-NTIPFRSA(配列番号3);または
(xxiii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-RSSFSNNA(配列番号1)
CDR2-ITKGGVT(配列番号2)
CDR3-NAIPFRSA(配列番号191);または
(xxiv)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GNNFRLNA(配列番号163)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-NAIPFRPS(配列番号192);または
(xxv)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GNIFRLNG(配列番号22)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-NAIPFRRS(配列番号193);または
(xxvi)以下の配列を有するCDR:
CDR1-ERIFRINA(配列番号164)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-NAIPFRRS(配列番号193);または
(xxvii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GFTFSTYW(配列番号165)
CDR2-IDNGGGTT(配列番号178)
CDR3-NALPFRLS(配列番号194);または
(xxviii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GNIFRLNG(配列番号22)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-NATPFRLS(配列番号195);または
(xxix)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GNIFRLNG(配列番号22)
CDR2-ITRGGNT(配列番号179)
CDR3-NSIPFRLS(配列番号196);または
(xxx)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GNIFRING(配列番号166)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-NAIPFRIS(配列番号197);または
(xxxi)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GNNFRLNA(配列番号163)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-NAIPFRLY(配列番号198);または
(xxxii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GFTFSTYW(配列番号165)
CDR2-IDNGGGTT(配列番号178)
CDR3-KAIPFRLS(配列番号199);または
(xxiii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GSSFSNNA(配列番号167)
CDR2-ITKGGVT(配列番号2)
CDR3-NTIPFRSA(配列番号3);または
(xxxiv)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GFTFSTYW(配列番号165)
CDR2-IDNGGGTT(配列番号178)
CDR3-NTIPFRSA(配列番号3);または
(xxxv)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GNIFRLNA(配列番号160)
CDR2-ITKGGVT(配列番号2)
CDR3-NTIPFRSA(配列番号3);または
(xxxvi)以下の配列を有するCDR:
CDR1-RSSFGNNA(配列番号168)
CDR2-ITKGGVT(配列番号2)
CDR3-NTIPFRSA(配列番号3);または
(xxxvii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTFSTYG(配列番号169)
CDR2-ISRSGGAT(配列番号11)
CDR3-AGTRRAFSTGLRDYDY(配列番号12);または
(xxxviii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GTIERNNA(配列番号170)
CDR2-ITSGGST(配列番号38)
CDR3-AAGRRFSTRSRDYDY(配列番号200);または
(xxxix)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRSFSNYG(配列番号28)
CDR2-IGMVGGLT(配列番号29)
CDR3-AAGRRFSTSSRDYDY(配列番号201);または
(xl)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRSFSNYG(配列番号28)
CDR2-IGMVGGLT(配列番号29)
CDR3-AAGRRFSTGSRDYDI(配列番号202);または
(xli)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTFSSYA(配列番号19)
CDR2-ISQFGGVTT(配列番号179)
CDR3-AAGRRFSTGSRDYDI(配列番号202);または
(xlii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRSFSNYG(配列番号28)
CDR2-IGMVGGLT(配列番号29)
CDR3-AGGRRFSTSSRDYDI(配列番号203);または
(xliii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRSFSNYG(配列番号28)
CDR2-IGMVGGLT(配列番号29)
CDR3-AAGRRFSTSSREYDI(配列番号204);または
(xliv)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRSFSNYG(配列番号28)
CDR2-IGMVGGLP(配列番号180)
CDR3-AAGRRLSTSSRDYDI(配列番号205);または
(xlv)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRSFSNYG(配列番号28)
CDR2-ISRGGGVS(配列番号181)
CDR3-AAGLRFSTGSRDYDI(配列番号206);または
(xlvi)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTFRRYA(配列番号171)
CDR2-ISRSGGMT(配列番号17)
CDR3-AAYVGGFSTTRRDYAY(配列番号207);または
(xlvii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTFSNST(配列番号13)
CDR2-ISWSGGTT(配列番号156)
CDR3-AAARKGWSTRGDDYDY(配列番号15);または
(xlviii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTVI(配列番号172)
CDR2-SSGSGGVT(配列番号182)
CDR3-AAALTWSTRPSDFTS(配列番号208);または
(xlix)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTVI(配列番号172)
CDR2-SNWSGGVT(配列番号183)
CDR3-AAYVGGFSTARRDYSY(配列番号18);または
(l)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTFSINA(配列番号7)
CDR2-ISRSGGMT(配列番号17)
CDR3-AAYVGGFSTARRDYSY(配列番号18);または
(li)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTFSRYA(配列番号173)
CDR2-INGSGGT(配列番号184)
CDR3-AAARIFTTTRNEYDH(配列番号209);または
(lii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTFSRYA(配列番号173)
CDR2-INGSGGT(配列番号184)
CDR3-AAARIFTTTRNEYDH(配列番号209);または
(liii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GFTFSTYW(配列番号165)
CDR2-IDNGGGTT(配列番号178)
CDR3-AAARIFSTARNDYDH(配列番号210);または
(liv)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRSFSNYG(配列番号28)
CDR2-IGMVGGLT(配列番号29)
CDR3-AGGRIFRTSSRDYDI(配列番号211);または
(lv)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GNIFRLNG(配列番号22)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-AAARFFTTARNDYDH(配列番号212);または
(lvi)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GSIFSINA(配列番号37)
CDR2-ITSGGST(配列番号38)
CDR3-NALGGFVPNYG(配列番号213);または
(lvii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GNIFRLNG(配列番号22)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-NALGGFVPNYG(配列番号213);または
(lviii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GSIFSINA(配列番号37)
CDR2-ITSGGST(配列番号38)
CDR3-NALGGFVPNDG(配列番号214);または
(lix)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GNNFRLNA(配列番号163)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-NALGGFAPNYG(配列番号215);または
(lx)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRSFSNYG(配列番号28)
CDR2-IGMVGGLT(配列番号29)
CDR3-NALGGFVPNYV(配列番号216);または
(lxi)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRSFSINA(配列番号174)
CDR2-ITSGGST(配列番号38)
CDR3-NALGGFVLNYG(配列番号217);または
(lxii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GSIFSINA(配列番号37)
CDR2-ITSGGST(配列番号38)
CDR3-NALGGLVPNYG(配列番号218);または
(lxiii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GSIFSINA(配列番号37)
CDR2-ITSGGST(配列番号38)
CDR3-NALGGFLPNYG(配列番号219);または
(lxiv)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GSIFSINA(配列番号37)
CDR2-ITSGGST(配列番号38)
CDR3-NALGGFVTNYG(配列番号220);または
(lxv)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GSIFSINA(配列番号37)
CDR2-ITSGGST(配列番号38)
CDR3-NALGGFVTNYG(配列番号220);または
(lxvi)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRTV(配列番号222)
CDR2-ITRGGST(配列番号185)
CDR3-NALGGFVPNYG(配列番号213);または
(lxvii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GNIFRLNG(配列番号22)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-NALGGFVPSYG(配列番号39);または
(lxviii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GNNFRLNA(配列番号163)
CDR2-ITSGGNT(配列番号23)
CDR3-NALGGFVPSYG(配列番号39);または
(lxix)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GNIFRLNG(配列番号22)
CDR2-ITSGGST(配列番号38)
CDR3-NALGGFVPSYG(配列番号39);または
(lxx)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GRSFSNYG(配列番号28)
CDR2-IGMVGGLT(配列番号29)
CDR3-NALGGFVPSYG(配列番号39);または
(lxxi)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GNIFSINA(配列番号175)
CDR2-ITSGGST(配列番号38)
CDR3-NALGGFVPSYG(配列番号39);または
(lxxii)以下の配列を有するCDR:
CDR1-GFTFSTYW(配列番号165)
CDR2-IDNGGGTT(配列番号178)
CDR3-ARNPTRGWYSTDY(配列番号221)
を含み、
必要に応じて、CDRのうちの1つまたは複数が、1つ、2つまたは3つのアミノ酸変異を含む、項1に従うsdAb。
【0435】
3.VHHまたは重鎖可変領域(VH)ドメインである、いずれかの前出の項に従うsdAb。
【0436】
4.FcRH5結合ドメインが、
(i)配列番号40として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有する可変重鎖ドメイン抗体(VHH);または
(ii)配列番号41として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(iii)配列番号42として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(iv)配列番号43として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(v)配列番号44として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(vi)配列番号45として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(vii)配列番号46として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(viii)配列番号47として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(ix)配列番号48として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(x)配列番号49として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xi)配列番号50として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xii)配列番号51として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xiii)配列番号52として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xiv)配列番号53として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;
(xv)配列番号158として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xvi)配列番号223として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xvii)配列番号224として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xviii)配列番号225として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xvix)配列番号226として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xx)配列番号227として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxi)配列番号228として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxii)配列番号229として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxiii)配列番号230として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxiv)配列番号231として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxv)配列番号232として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxvi)配列番号233として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxvii)配列番号234として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxviii)配列番号235として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxix)配列番号236として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxx)配列番号237として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxxi)配列番号238として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxxii)配列番号239として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxxiii)配列番号240として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxxiv)配列番号241として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxxv)配列番号242として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxxvi)配列番号243として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxxvii)配列番号244として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxxviii)配列番号245として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xxxix)配列番号246として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xl)配列番号247として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xli)配列番号248として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xlii)配列番号249として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xliii)配列番号250として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xliv)配列番号251として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xlv)配列番号252として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xlvi)配列番号253として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xlvii)配列番号254として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xlviii)配列番号255として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(xlix)配列番号256として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(l)配列番号257として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(li)配列番号258として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lii)配列番号259として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(liii)配列番号260として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(liv)配列番号261として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lv)配列番号262として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lvi)配列番号263として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lvii)配列番号264として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lviii)配列番号265として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lix)配列番号266として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lx)配列番号267として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxi)配列番号268として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxii)配列番号269として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxiii)配列番号270として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxiv)配列番号271として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxv)配列番号272として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxvi)配列番号273として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxvii)配列番号274として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxviii)配列番号275として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxix)配列番号276として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxx)配列番号277として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxxi)配列番号278として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxxii)配列番号279として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxxiii)配列番号280として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxxiv)配列番号281として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxxv)配列番号282として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxxvi)配列番号283として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxxvii)配列番号284として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxxviii)配列番号285として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxxix)配列番号286として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxxx)配列番号287として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH;または
(lxxxi)配列番号288として示される配列またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントを有するVHH
を含む、いずれかの前出の項に従うsdAb。
【0437】
5.ヒト化sdAbである、いずれかの前出の項に従うsdAb。
【0438】
6.いずれかの前出の項に従うsdAbを含むFcRH5結合分子であって、抗体コンジュゲート、キメラ抗原受容体(CAR)または免疫細胞エンゲージャー、例えば、T細胞エンゲージャー分子、ガンマデルタT細胞エンゲージャー分子、ナチュラルキラー(NK)T細胞エンゲージャー分子もしくはNK細胞エンゲージャー分子から選択される、FcRH5結合分子。
【0439】
7.項1から5のいずれか一項に従うsdAbを含む抗体コンジュゲート。
【0440】
8.抗体コンジュゲートが、化学療法用実体、放射性核種または検出用実体とコンジュゲートされてもよい、項7に従う抗体コンジュゲート。
【0441】
9.項1から5のいずれか一項に従うsdAbを含むCAR。
【0442】
10.CD8a膜貫通ドメイン;CD28膜貫通ドメイン;またはTyrp1膜貫通ドメインを含む膜貫通ドメインを含む、項9に従うCAR。
【0443】
11.配列番号54、配列番号55もしくは配列番号56を含む群から選択される配列の1つ、または少なくとも80%の配列同一性を有するそのバリアントを含む膜貫通ドメインを含む、項9または10に従うCAR。
【0444】
12.sdAbおよび膜貫通ドメインが、スペーサーによって連結されている、項9から11のいずれか一項に従うCAR。
【0445】
13.スペーサーが、以下:ヒトIgG1 Fcドメイン;IgG1ヒンジ;IgG1ヒンジ-CD8ストーク;またはCD8ストークの1つを含む、項12に従うCAR。
【0446】
14.スペーサーが、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60もしくは配列番号61を含む群から選択される配列の1つ;または少なくとも80%の配列同一性を有するそのバリアントを含む、項12または13に従うCAR。
【0447】
15.細胞内T細胞シグナル伝達ドメインも含む、項9から14のいずれか一項に従うCAR。
【0448】
16.細胞内T細胞シグナル伝達ドメインが、以下のエンドドメイン:CD28エンドドメイン;OX40エンドドメイン;41BBエンドドメイン;およびCD3ゼータエンドドメインの1つまたは複数を含む、項15に従うCAR。
【0449】
17.細胞内T細胞シグナル伝達ドメインが、配列番号67、配列番号68、配列番号69、もしくは配列番号70を含む群から選択される配列の1つもしくは複数;または少なくとも80%の配列同一性を有するそのバリアントを含む、項15または16に従うCAR。
【0450】
18.配列番号76~配列番号89、配列番号159および配列番号289~配列番号354を含む群から選択される配列、またはそれと少なくとも80%の配列同一性を有するが、i)FcRH5に結合する能力およびii)T細胞シグナル伝達を誘導する能力を保持するそのバリアントを含む、項9から17のいずれか一項に従うCAR。
【0451】
19.(i)項1から5のいずれか一項に従うsdAbを含む第1のドメイン;および
(ii)T細胞を活性化することができる第2のドメイン
を含み免疫細胞エンゲージャー分子。
【0452】
20.(iii)T細胞に結合することができる第3のドメインをさらに含む、項19に従う免疫細胞エンゲージャー分子。
【0453】
21.第2のドメインが、T細胞表面上のCD3に結合することによってT細胞を活性化する、項19または20に従う免疫細胞エンゲージャー分子。
【0454】
22.第2のドメインが、CD3特異的抗体またはその一部を含む、項21に従う免疫細胞エンゲージャー分子。
【0455】
23.第2のドメインが、配列番号96、配列番号103もしくは配列番号110を含む群から選択される配列、または少なくとも80%の配列同一性を有し、かつCD3に結合するそのバリアントを含む、項19から22のいずれか一項に従う免疫細胞エンゲージャー分子。
【0456】
24.第1および第2の結合ドメインが、スペーサーまたはリンカーによって連結されている、項19から23のいずれかに従う免疫細胞エンゲージャー分子。
【0457】
25.第2および第3の結合ドメインが、スペーサーまたはリンカーによって連結されている、項19から24のいずれかに従う免疫細胞エンゲージャー分子。
【0458】
26.スペーサーが、IgG1ヒンジまたはCD8ストークを含む、項24または25に従う免疫細胞エンゲージャー分子。
【0459】
27.スペーサーが、配列番号113もしくは配列番号114からなる群から選択される配列の1つ、または少なくとも80%の配列同一性を有するそのバリアントを含む、項24から26のいずれか一項に従う免疫細胞エンゲージャー分子。
【0460】
27a.リンカーが、SGGGGS(配列番号116)、GGGGS(配列番号117)、((Gly4)Ser)2(GGGGSGGGGS、配列番号355)、((Gly4)Ser)3(GGGGSGGGGSGGGGS、配列番号356)および((Gly4)Ser)4(GGGGSGGGGSGGGGSGGGGS、配列番号357)からなる群から選択される配列の1つを含む、項24または25に従う免疫細胞エンゲージャー分子。
【0461】
28.第3のドメインがCD28に結合することができる、項20に従う免疫細胞エンゲージャー分子。
【0462】
29.第3のドメインが、CD28特異的抗体またはその一部を含む、項28に従う免疫細胞エンゲージャー分子。
【0463】
30.第3のドメインが、
(i)配列番号130として示す配列を有するVH領域および配列番号131として示す配列を有するVL領域、もしくは
(ii)配列番号132として示す配列を有するVH領域および配列番号133として示す配列を有するVL領域、もしくは
(iii)配列番号134として示す配列を有するVH領域および配列番号135として示す配列を有するVL領域;
または少なくとも80%の配列同一性を有し、かつCD28に結合するそのバリアント
を含む、項28から29のいずれか一項に従う免疫細胞エンゲージャー分子。
【0464】
31.(i)項1から5のいずれか一項に従うsdAbを含む第1のドメイン;および
(ii)NK細胞を活性化することができる第2のドメイン
を含む免疫細胞エンゲージャー分子。
【0465】
32.(ii)NK細胞を活性化することができる第3のドメイン
をさらに含む、項31に従う免疫細胞エンゲージャー分子。
【0466】
33.第2のドメインが、NK細胞表面上のCD16に結合することによってNK細胞を活性化する、項31または32に従う免疫細胞活性化分子。
【0467】
34.第2のドメインが、CD16特異的抗体またはその一部を含み;必要に応じて、第2のドメインが、
(i)配列番号142として示す配列を有するVH領域および配列番号143として示す配列を有するVL領域、もしくは
(ii)配列番号146として示す配列を有するVH領域および配列番号147として示す配列を有するVL領域、もしくは
(iii)配列番号153として示す配列を有するVH領域および配列番号154として示す配列を有するVL領域;
または少なくとも80%の同一性を有し、かつCD16に結合するそのバリアント
を含む、項33に従う免疫細胞活性化分子。
【0468】
35.第3のドメインが、IL-15を架橋することができる、項32に従う免疫細胞活性化分子。
【0469】
36.項1から5のいずれか一項に従うsdAb、項9から18のいずれか一項に従うCAR、項19から30のいずれか一項に従う免疫細胞エンゲージャー分子、または項31から35のいずれかに従う免疫細胞エンゲージャー分子をコードする核酸配列を含むポリヌクレオチド。
【0470】
37.項36に従うポリヌクレオチドを含むベクター。
【0471】
38.項9から18のいずれかに従うCARを含む細胞。
【0472】
39.項36に従うポリヌクレオチドまたは項37に従うベクターを含む細胞。
【0473】
40.細胞がT細胞またはNK細胞である、項38または39に従う細胞。
【0474】
41.項38から40のいずれか一項に従う細胞を作製するための方法であって、項36に従うポリヌクレオチドまたは項37に従うベクターを細胞に導入するステップを含む方法。
【0475】
42.項1から5のいずれか一項に従うsdAb、項7または8に従う抗体コンジュゲート、項19から30のいずれかに従う免疫細胞エンゲージャー分子、項31から35のいずれかに従う免疫細胞エンゲージャー分子、または項36に従うポリヌクレオチド、または項37に従うベクター、または項38から40のいずれか一項に従う細胞を、薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤と共に含む医薬組成物。
【0476】
43.疾患の処置における医薬としての使用のための、項1から5のいずれか一項に従うsdAb、項7または8に従う抗体コンジュゲート、項19から30のいずれかに従う免疫細胞エンゲージャー分子、項31から35のいずれかに従う免疫細胞エンゲージャー分子、または項37に従うベクター、または項38から40のいずれか一項に従う細胞、または項42に従う医薬組成物。
【0477】
44.疾患を処置するための方法であって、項1から5のいずれか一項に従うsdAb、項7または8に従う抗体コンジュゲート、項19から30のいずれかに従う免疫細胞エンゲージャー分子、項31から35のいずれかに従う免疫細胞エンゲージャー分子、または項37に従うベクター、または項38から40のいずれか一項に従う細胞、または項42に従う医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法。
【0478】
45.疾患を処置するための医薬の製造における、項1から5のいずれか一項に従うsdAb、項7または8に従う抗体コンジュゲート、項19から30のいずれかに従う免疫細胞エンゲージャー分子、項31から35のいずれかに従う免疫細胞エンゲージャー分子、または項37に従うベクター、または項38から40のいずれか一項に従う細胞、または項42に従う医薬組成物の使用。
【0479】
46.疾患がB細胞悪性腫瘍または形質細胞障害である、項43に従う使用のためのsdAb、または抗体コンジュゲート、または免疫細胞エンゲージャーまたは免疫細胞エンゲージャー分子またはベクターまたは細胞または医薬組成物、または項44に従う方法、または項45に従う使用。
【0480】
47.B細胞悪性腫瘍または形質細胞障害が、白血病、有毛細胞白血病、慢性リンパ球性白血病、非ホジキンリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、EBV関連リンパ腫(バーキット)、リンパ形質細胞性リンパ腫、形質細胞腫、孤立性形質細胞腫、髄外性形質細胞腫、形質細胞白血病、多発性骨髄腫、マクログロブリン血症、アミロイドーシス、ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症、骨の孤立性形質細胞腫、髄外性形質細胞腫、骨硬化性骨髄腫、重鎖疾患、意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症(MGUS)、非IgM MGUS、IgM MGUS、軽鎖MGUSおよびくすぶり型多発性骨髄腫を含むリストから選択される、使用のためのsdAbまたは抗体コンジュゲートまたは免疫細胞エンゲージャー分子または免疫細胞エンゲージャー分子またはベクターまたは細胞または医薬組成物;方法;または項46に従う使用。
【0481】
48.がんが多発性骨髄腫である、使用のためのsdAbまたは抗体コンジュゲートまたは免疫細胞エンゲージャー分子または免疫細胞エンゲージャー分子またはベクターまたは細胞または医薬組成物;方法;または項47に従う使用。
【0482】
本開示は、本明細書に開示される例示的な方法および材料によって限定されず、本明細書に記載されるものと類似または同等の任意の方法および材料を、本開示の実施形態の実践または試験において使用することができる。数値範囲は、範囲を定義する数を含む。明記されない限り、それぞれ、任意の核酸配列は、左から右へと5’から3’への配向で記述され;アミノ酸配列は、左から右へとアミノからカルボキシへの配向で記述される。
【0483】
値の範囲が提供される場合、その範囲の上限値と下限値との間にある、各中間値(intervening value)も、文脈が明らかに異なる指定をしない限り下限値の単位の10分の1まで、明確に開示されると理解される。ある表示範囲内の任意の表示値または中間値とその表示範囲内の他の任意の表示値または中間値との間の、各々のより小さい範囲が、本開示の範囲内に包含される。それらのより小さい範囲の上限値および下限値は、独立にその範囲に含まれることも除外されることもあり、それらのより小さい範囲に片方の限界が含まれる、どちらの限界も含まれない、または両方の限界が含まれる各々の範囲も本開示の範囲内に包含され、表示範囲における任意の特に除外される限界値の対象となる。表示範囲が、限界値の一方または両方を含む場合、含まれるそれらの限界値の一方または両方を除いた範囲も本開示に含まれる。
【0484】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用する単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに異なる指定をしない限り、複数の指示対象も含むと明記されなければならない。
【0485】
本明細書で使用される用語「~を含むこと(comprising)」、「~を含む(comprises)」および「~で構成される(comprised of)」は、「~を含むこと(including)」、「~を含む(includes)」または「~を含有すること(containing)」、「~を含有する(contains)」と同義であり、包括的またはオープンエンドであり、追加の、列挙されないメンバー、要素または方法ステップを除外しない。用語「~を含むこと(comprising)」、「~を含む(comprises)」および「~で構成される(comprised of)」は、用語「~からなる(consisting of)」も含む。
【0486】
本明細書で考察される刊行物は、本出願の出願日前のその開示に関してのみ提供される。本明細書のいかなる記載も、そのような刊行物が本明細書に添付される特許請求の範囲に対する先行技術を構成するという承認として解釈されるべきではない。
【0487】
本発明は、実施例として今からさらに記載されるが、それらは、当業者が本発明を実行するのを支援する役目をするものであり、本発明の範囲を限定するものでは決してない。
【実施例】
【0488】
実施例における以下の実験で使用した構築物は、以下のCDR1-3およびVHH配列により同定することができる:
【表2-1】
【表2-2】
【0489】
(実施例1)-抗FcRH5結合ドメインの生成および生物物理学的特徴付け
表3は、本実施例で使用したDNA構築物および細胞系を列挙する。
【表3】
【0490】
マウスIgG2a Fcドメインを保持する抗FcRH5 VHH-Fcを、expi-CHO細胞において一過性トランスフェクションにより発現させて、プロテインAを用いて精製した。これらの結合剤の生物物理学的特性を特徴付けた。
【0491】
熱安定性を決定するための示差走査蛍光定量法
精製抗体を、二つ組で、ガラスキャピラリー(Nanotemper)上にロードした。330および350nmでの走査は、Prometheus NT.48装置(Nanotemper)を使用して、20℃から95℃への1℃/分の温度勾配で行った。350nm/330nm比の一次導関数として計算した融解温度(Tm)。
【0492】
結果
アンフォールディングは、20℃から95℃への1℃/分の温度勾配でモニタリングした。350nm/330nm比の一次導関数として表されるデータ(表4)。
【表4】
【0493】
凝集を決定するための多角度動的光散乱法
試験タンパク質の凝集傾向および平均粒径は、ゼータサイザーUltraデバイスおよびZS Xplorerソフトウェア(Malvern Panalytical)を使用して、MADLSにより決定した。試料は、小容量石英キュベット(Malvern Panalytical-ZEN2112)に1mg/mlの濃度でロードした。各試料に関して三つ組測定を行った。
【0494】
結果
精製抗FcRH5抗体の粒子分散および凝集プロファイルは、ゼータサイザーUltra装置において多角度動的光散乱法(MADLS)を使用して決定した。抗体は、pH7.4のPBS中の1mg/mlで試験した。試験した全ての抗体は、予測分子量82kDaに一致する平均粒径を有する優先的には単分散のプロファイルを示した(
図9)。
【0495】
表面プラスモン共鳴(SPR)
マウスIgG2aフォーマットでの組換え抗FcRH5抗体を、メーカーの推奨(GE Healthcare)にしたがって抗マウス捕捉キットで機能を持たせた、シリーズS CM5チップ(GE Healthcare)上のフローセル2の上に捕捉した。Biacore 8k装置を使用して、抗体は160 RUの密度に捕捉した。全ての実験条件で、HBS-P+緩衝液をランニング緩衝液として使用した。既知濃度(2倍段階希釈による500nM)の組換え精製FcRH5 Ig-8ドメインを「分析物」として使用し、25℃の一定温度の30μl/分の流速で150秒の接触時間および500秒の解離でそれぞれのフローセルの上に注入した。各実験で、フローセル1は未改変であり、参照減算のために使用した。ドリフトを計算に入れるために、緩衝液だけの「0濃度」センサーグラムを二重参照減算として使用した。データは、1:1のラングミュア結合モデルにあてはめた。捕捉系を使用したので、各場合にデータフィッティングのために局所最大解析応答(Rmax)パラメータを使用した。
【0496】
結果
Biacore 8k装置を用いた表面プラスモン共鳴を介して、標的抗原FcRH5 Ig8ドメインに対する抗FcRH5 VHHの結合親和性および動力学プロファイルを決定した。
【表5】
*kdは装置限界外
【0497】
(実施例2)-Jurkat T細胞系におけるNUR77上方制御を介した抗FcRH5 VHH-CAR活性化アッセイ
方法
構築物および細胞系
表6は、本実施例で使用したVHH DNA ID、対応するCAR構築物およびウイルス上清を列挙する。
【表6】
【0498】
CAR構築
2A切断ペプチドによって分離されたRQR8形質導入マーカーのほかに、CD8スペーサーおよび膜貫通領域を41BBおよびCD3z鎖細胞内シグナル伝達ドメインと共に包含するガンマレトロウイルスベクターにVHHをクローニングした(
図1)。
【0499】
プレート結合抗原CAR刺激アッセイ
滅菌ELISAプレートを、10μg/mlの最高濃度で1:2または1:5の段階希釈を6回行った、PBS中の100μlの標的抗原により4℃で一晩コーティングし;バックグラウンド対照のために、ウェルはPBSのみでもコーティングした。実験の当日、コーティングしたELISAプレートを使用前にPBSで3×洗浄し、形質導入細胞を数え、8×105細胞/mlの濃度で調製した。細胞を、8×104細胞/ウェル(100μlの細胞懸濁液)でプレーティングし、24hおよび72hにわたりインキュベーターに戻した。
【0500】
フローサイトメトリー
ELISAプレートからの細胞を収集し、U底プレートに移した。細胞を1000gで2分間遠心分離し、上清を捨てた。細胞を、室温暗所で20分間にわたり抗CD34抗体(1:100希釈)で染色して、PBSで2回洗浄し、残りの未結合抗体を除去した。細胞を、100μlのSytox死細胞染色剤(1:1000希釈)と共に再懸濁し、FACS機を用いて分析し、形質導入細胞上のmClover発現を評価した。ゲーティング戦略は、以下のとおり:細胞を、シングレット(singlet)、生細胞でゲートし、RQR8およびmCloverの発現に基づいて細胞活性化を評価した。
【0501】
結果
実験1_予備的Nur-77/mClover活性化アッセイ(10、2および0.4μg/mlの抗原)
プレート結合抗原による、NUR77経路の活性化
プレート結合抗原曝露(前記のアッセイ)は、調節されたやり方でCAR活性化を評価するために使用できる。ここでは、刺激されたCAR T細胞の代用として蛍光mClover連結NUR77を使用して、CAR活性化を評価するために、抗原の3つの濃度(5倍希釈)を使用した。アッセイは、活性化から24hおよび72h後に行った。
【0502】
24hの抗原曝露(10、2、0.4μg/mlのコーティング)
上清85018、85021および85023で形質導入された細胞以外の全ての形質導入Jurkat T細胞は、10μg/mlのプレート結合FcRH5に応じて、24hの曝露後にmClover-NUR77の上方制御を受けた(
図2)。mClover検出の、10μg/mlから0.4μg/mlへの濃度依存的な低減が存在し、最大抗原刺激は45.45%であった(aCD3/CD28陽性対照は78.98)(
図4)。
【0503】
72hの抗原曝露(10、2、0.4μg/mlのコーティング)
72hの抗原曝露後(
図3)、NUR77-mClover発現は、その、初期T細胞活性化マーカーとしての役割ゆえ、わずかに低下すると予想される。陽性対照ウェル(aCD3/CD28)は、約78%の活性化から57%未満へと低減し、NT細胞はmCloverの上方制御を示さない。同様に、FcRH5活性化CAR T細胞も、ここで試験した全ての抗原濃度においてmClover発現を低減させた。しかし、活性化されたT細胞は、それぞれ、10および2μg/mlコーティングされたウェルの両方にわたり、なおも存在する(
図4)。
【表7】
【0504】
実験2_Nur77-mClover活性化アッセイ、プレート抗原の2倍希釈系列
予備的なプレート結合抗原ベースCAR会合アッセイは、抗FCRH5 VHH-CARが、Nur77経路を活性化できることを示した。ここでは、活性化アッセイを、FcRH5濃度の(5倍よりはむしろ)低減させた2倍希釈系列により繰り返した。
【0505】
FcRH5の2倍希釈により繰り返したプレート結合抗原による、NUR77経路の活性化。
【0506】
試験した全てのCAR構築物にわたり、濃度依存的な、Nur77の活性化が存在し、CAR会合を示した(
図5~6)。0.625μg/ml(0.0625μg/ウェル)未満では活性化がなく、0.4μg/mlにおける結合の低減を示唆する先行研究と相関した(誤り!参照元は見出されず。7)。10μg/mlでは、活性化はCARにわたって類似したが、抗原の低濃度では、結合の低減が存在した。85017、85020および85022で形質導入されたT細胞は、1.25および0.625μg/mlの両方において最も活性化された集団を示した。細胞の活性化に対するFcRH5の濃度(誤り!参照元は見出されず。8)は、構築物の差別化を示し、計算したEC50を表8に報告する。
【0507】
【0508】
(実施例3)-可溶性抗FcRH5 VHH-His結合ドメインの生成および生物物理学的特徴付け
方法
構築物および細胞系
表9は、本実施例で使用したDNA構築物および細胞系を列挙する。
【表9-1】
【表9-2】
【0509】
抗体を、一過性トランスフェクションにより、expi-CHO細胞において発現させた。二重6xHisタグを保持する抗FcRH5 VHH-Hisを、表9に列挙されるプラスミドを使用して一過性トランスフェクションによりexpi-CHO細胞において発現させ、Niビーズ懸濁液を使用して上清から精製した。
【0510】
熱安定性を決定するための示差走査蛍光定量法
精製抗体を、二つ組で、ガラスキャピラリー(Nanotemper)上にロードした。330および350nmでの走査は、Prometheus NT.48装置(Nanotemper)を使用して、20℃から95℃への1℃/分の温度勾配で行った。350nm/330nm比の一次導関数として計算した融解温度(Tm)。
【0511】
結果
クローン85134は、ランから除外した。クローン85138および85139は、温度の範囲ではアンフォールディング事象を示さなかった。結果を表10に示す。
【表10】
【0512】
ELISA
組換え精製抗FcRH5 VHH-His抗体は、1μg/mlの50μl/ウェルで、3倍段階希釈により、96ウェルELISAプレート(Nunc Maxisorp)上に4℃で一晩コーティングした。プレートは、200μl/ウェルのPBS 2%BSAによりRTで1h、プレートシェーカー上でブロッキングした。プレートを、250μl/ウェルのPBS 0.05% Tween(登録商標)20で3回洗浄し、50μl/ウェルのPBS 0.5% BSA中の、マウスIgG2a Fcに融合させた組換えFcRH5 Ig8ドメインを加えて、RTで1h、プレートシェーカー上でインキュベートした。プレートを、250μl/ウェルのPBS 0.05% Tween(登録商標)20で3回洗浄し、50μl/ウェルの、PBS 0.5% BSA中で1:5000希釈したHRPコンジュゲート抗マウス二次抗体(Jackson ImmunoResearch-115-035-166)を加えて、RTで1h、プレートシェーカー上でインキュベートした。プレートをPBS 0.05% Tween(登録商標)20中で4回洗浄し、45μl/ウェルの1-Step Ultra TMB試薬(Thermo scientific)を加えて、RTで3分間、結合を顕色させた。反応を45μl/ウェルの1M H2SO4でブロックし、Varioskan Luxプレートリーダー(Thermo scientific)を用いてOD450nmで吸光度を読み取った。
【0513】
フローサイトメトリー
FcRH5の結合は、HEK293T細胞、およびヒトCD19膜貫通ドメインおよび細胞質尾部と融合させた、FcRH5の細胞外Ig8ドメイン(AU45283)を発現するように一過性トランスフェクトしたHEK293T細胞に対するフローサイトメトリーを介して決定した。構築物は、eGFPタンパク質をトランスフェクションマーカーとして含有する。5×104細胞/ウェルをFACS緩衝液(PBS 2% FCS)中で2回洗浄し、2μg/mlの一次抗体50μl(表8)により、氷上で30の間染色した。細胞をFACS緩衝液中で2回洗浄し、未結合抗体を除去し、50μl/ウェルの、1:100希釈した、Alexa fluor647とコンジュゲートさせた抗His二次抗体(Santa Cruz Biotechnology、sc-53073AF647)により、氷上で30分間染色した。次いで、細胞をFACS緩衝液中で洗浄し、100μl/ウェルの生存能力決定用Sytox blue(Thermo Fisher Scientific、S34857)により、メーカーの推奨にしたがって染色した。細胞は、MACSQuant 10装置を用いて取得した。細胞をまずシングレットでゲートしてから、SSC/FSCの外観に基づいて集団を定義し、Sytox blue染色に基づいて生細胞を同定した。
【0514】
結果
ヒトFcRH5 Ig8ドメイン(マウスIgG2a Fcタグ付き)に対する可溶性抗FcRH5 VHH抗体の結合能力は、ELISAアッセイを介して決定した(
図7)。VHHドメインは、1μg/mlの濃度で3倍段階希釈によりプレート上にコーティングした。FcRH5 Ig8-Fcへの結合を、抗マウスHRP二次抗体で検出した。
【0515】
クローン85139(非Ig8結合剤)を除き、全てのクローンは、FcRH5 Ig8ドメインへの結合を示した。クローン85141および85127は、最も強力な結合相互作用を示した。
【0516】
FcRH5 Ig8発現細胞へのモノマー可溶性VHH-His抗体ドメインの結合は、フローサイトメトリーを介して調査した(
図8)。HEK293T細胞に一過性トランスフェクトして、FcRH5 Ig8ドメインおよびeGFPマーカーを発現させた。非トランスフェクトHEK293T(NT)を対照として含めた。結合したVHH-Hisを、Alexa fluor647とコンジュゲートさせた抗His二次抗体により検出した。陽性染色は、一次抗体省略条件に対する比較として測定した。HEK293T FcRH5 Ig8集団では、低いトランスフェクション効率が検出された。低いタンパク質発現にもかかわらず、いくつかのクローンは、FcRH5への特異的結合を示した。
【0517】
(実施例4)-可溶性抗FcRH5 VHH-Fc結合ドメインおよび抗FcRH5 VHH-His結合ドメインの生成および生物物理学的特徴付け
実施例4で使用する構築物のVHH配列は、以下のCDR1~3およびVHH配列により特定することができる:
【表11-1】
【表11-2】
【表11-3】
【表11-4】
【表11-5】
【表11-6】
【0518】
可溶性抗FcRH5 VHH-Fc結合ドメインの調製
マウスIgG2a Fcドメインを保持する抗FcRH5 VHH-Fcを、expi-CHO細胞において一過性トランスフェクションにより発現させて、プロテインAを用いて精製する。この結合剤の生物物理学的特性を特徴付ける。
【0519】
熱安定性を決定するための示差走査蛍光定量法
精製抗体を、二つ組で、ガラスキャピラリー(Nanotemper)上にロードする。330および350nmでの走査は、Prometheus NT.48装置(Nanotemper)を使用して、20℃から95℃への1℃/分の温度勾配で行う。350nm/330nm比の一次導関数として計算した融解温度(Tm)。
【0520】
凝集を決定するための多角度動的光散乱法
試験タンパク質の凝集傾向および平均粒径は、ゼータサイザーUltraデバイスおよびZS Xplorerソフトウェア(Malvern Panalytical)を使用して、MADLSにより決定する。試料は、小容量石英キュベット(Malvern Panalytical-ZEN2112)に1mg/mlの濃度でロードする。各試料に関して三つ組測定を行う。
【0521】
表面プラスモン共鳴(SPR)
マウスIgG2aフォーマットでの組換え抗FcRH5抗体を、メーカーの推奨(GE Healthcare)にしたがって抗マウス捕捉キットで機能を持たせた、シリーズS CM5チップ(GE Healthcare)上のフローセル2の上に捕捉する。Biacore 8k装置を使用して、抗体は160 RUの密度に捕捉する。全ての実験条件で、HBS-P+緩衝液をランニング緩衝液として使用する。既知濃度(2倍段階希釈による500nM)の組換え精製FcRH5 Ig-8ドメインを「分析物」として使用し、25℃の一定温度の30μl/分の流速で150秒の接触時間および500秒の解離でそれぞれのフローセルの上に注入する。各実験で、フローセル1は未改変であり、参照減算のために使用する。ドリフトを計算に入れるために、緩衝液だけの「0濃度」センサーグラムを二重参照減算として使用する。データは、1:1のラングミュア結合モデルにあてはめる。捕捉系を使用するので、各場合にデータフィッティングのために局所最大解析応答(Rmax)パラメータを使用する。
【0522】
可溶性抗FcRH5 VHH-His結合ドメインの調製
抗体を、一過性トランスフェクションにより、expi-CHO細胞において発現させる。二重6xHisタグを保持する抗FcRH5 VHH-Hisを、一過性トランスフェクションによりexpi-CHOにおいて発現させ、Niビーズ懸濁液を使用して上清から精製する。
【0523】
ELISA
組換え精製抗FcRH5 VHH-His抗体は、1μg/mlの50μl/ウェルで、3倍段階希釈により、96ウェルELISAプレート(Nunc Maxisorp)上に4℃で一晩コーティングする。プレートは、200μl/ウェルのPBS 2%BSAによりRTで1h、プレートシェーカー上でブロッキングする。プレートを、250μl/ウェルのPBS 0.05% Tween(登録商標)20で3回洗浄し、50μl/ウェルのPBS 0.5% BSA中の、マウスIgG2a Fcに融合させた組換えFcRH5 Ig8ドメインを加えて、RTで1h、プレートシェーカー上でインキュベートする。プレートを、250μl/ウェルのPBS 0.05% Tween(登録商標)20で3回洗浄し、50μl/ウェルの、PBS 0.5% BSA中で1:5000希釈したHRPコンジュゲート抗マウス二次抗体(Jackson ImmunoResearch-115-035-166)を加えて、RTで1h、プレートシェーカー上でインキュベートする。プレートをPBS 0.05% Tween(登録商標)20中で4回洗浄し、45μl/ウェルの1-Step Ultra TMB試薬(Thermo scientific)を加えて、RTで3分間、結合を顕色させる。反応を45μl/ウェルの1M H2SO4でブロックし、Varioskan Luxプレートリーダー(Thermo scientific)を用いてOD450nmで吸光度を読み取る。
【0524】
フローサイトメトリー
FcRH5の結合は、HEK293T細胞、およびヒトCD19膜貫通ドメインおよび細胞質尾部と融合させた、FcRH5の細胞外Ig8ドメイン(AU45283)を発現するように一過性トランスフェクトしたHEK293T細胞に対するフローサイトメトリーを介して決定する。構築物は、eGFPタンパク質をトランスフェクションマーカーとして含有する。5×104細胞/ウェルをFACS緩衝液(PBS 2% FCS)中で2回洗浄し、2μg/mlの一次抗体50μl(表8)により、氷上で30の間染色する。細胞をFACS緩衝液中で2回洗浄し、未結合抗体を除去し、50μl/ウェルの、1:100希釈した、Alexa fluor647とコンジュゲートさせた抗His二次抗体(Santa Cruz Biotechnology、sc-53073AF647)により、氷上で30分間染色する。次いで、細胞をFACS緩衝液中で洗浄し、100μl/ウェルの生存能力決定用Sytox blue(Thermo Fisher Scientific、S34857)により、メーカーの推奨にしたがって染色する。細胞は、MACSQuant 10装置を用いて取得する。細胞をまずシングレットでゲートしてから、SSC/FSCの外観に基づいて集団を定義し、Sytox blue染色に基づいて生細胞を同定する。
【0525】
(実施例5)-Jurkat T細胞系におけるNUR77上方制御を介した抗FcRH5 VHH-CAR活性化アッセイ
2A切断ペプチドによって分離されたRQR8形質導入マーカーのほかに、CD8スペーサーおよび膜貫通領域を41BBおよびCD3z鎖細胞内シグナル伝達ドメインと共に包含するガンマレトロウイルスベクターに、表11に示すVHHをクローニングする(
図1)。
【0526】
プレート結合抗原CAR刺激アッセイおよびフローサイトメトリーは、実施例2に記載の方法にしたがって行う。
【0527】
本出願は、2021年6月18日に出願した英国出願第2108773.9号および2021年11月16日に出願した英国出願第2116502.2号の利益を主張するものである。これらの出願は、参照により本明細書にその全体が組み込まれる。
【0528】
上記の明細書に記載されている全ての刊行物は、参照により本明細書に組み込まれる。本発明の範囲および主旨から逸脱することなく、当該記載の方法および本発明のシステムの種々の改変および変形が当業者には明らかである。本発明は、特定の好ましい実施形態に関連して記載されているが、特許請求された本発明はそのような特定の実施形態に過度に限定されるべきではないことが理解されるべきである。実際に、分子生物学または関連する分野の当業者には明らかである本発明を実行するための記載の方式の種々の改変は以下の特許請求の範囲の範囲内にあるものとする。
【配列表】
【国際調査報告】