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特表2024-523317炭素繊維Cアームを有するイメージングシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】炭素繊維Cアームを有するイメージングシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/40 20240101AFI20240621BHJP
   A61B 6/42 20240101ALI20240621BHJP
【FI】
A61B6/40 500D
A61B6/42 500X
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577367
(86)(22)【出願日】2022-06-14
(85)【翻訳文提出日】2024-02-07
(86)【国際出願番号】 US2022033467
(87)【国際公開番号】W WO2022266124
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】17/351,727
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319011672
【氏名又は名称】ジーイー・プレシジョン・ヘルスケア・エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】523467887
【氏名又は名称】アイアールテ・ジュール・ヴェルヌ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(72)【発明者】
【氏名】ボーヴィエ,ベルナール
(72)【発明者】
【氏名】コティアン,フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】マルティネス・フェレイラ,カルロス
(72)【発明者】
【氏名】セバスティアン,カミーユ
(72)【発明者】
【氏名】コリュー,ステファニ
(72)【発明者】
【氏名】ネベレー,マチュー
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093CA13
4C093CA35
4C093CA38
4C093EC16
4C093EC52
4C093EC53
4C093EC56
(57)【要約】
本開示は、医用イメージングシステムと共に使用されるC型アームに関する。特定の実施形態では、C型アームは、C字型部分、前記C字型部分によって支持される放射線源、及び前記C字型部分によって支持される放射線検出器を含み、前記C字型部分の少なくとも一部は、一方向超高弾性炭素繊維材料で形成されている。
【選択図】図4


【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用イメージングシステムと共に使用されるC型アームであって、
C字型部分、
前記C字型部分によって支持される放射線源、及び
前記C字型部分によって支持される放射線検出器
を含み、
前記C字型部分の少なくとも一部は、一方向超高弾性炭素繊維材料で形成されている、C型アーム。
【請求項2】
前記C字型部分の残りの部分が別の炭素繊維材料で形成されている、請求項1に記載のC型アーム。
【請求項3】
前記C字型部分は、
一方向超高弾性炭素繊維材料で形成された第1の領域、及び
一方向超高弾性炭素繊維材料で形成された第2の領域
を含む、請求項1に記載のC型アーム。
【請求項4】
前記第1の領域及び前記第2の領域は、前記C字型部分の内径に対して延在する、請求項3に記載のC型アーム。
【請求項5】
前記第1の領域は、前記C字型部分の第1の接合部を含み、前記第2の領域は、前記C字型部分の第2の接合部を含む、請求項3に記載のC型アーム。
【請求項6】
前記C字型部分は、更に、
前記第1の領域と前記第2の領域との間に延在する第3の領域であって、別の炭素繊維材料で形成された第3の領域
を含む、請求項3に記載のC型アーム。
【請求項7】
前記一方向超高弾性炭素繊維材料が、前記C字型部分のキャビティ内に配置されている、請求項1に記載のC型アーム。
【請求項8】
前記C字型部分は、
前記キャビティ内に配置され、前記C字型部分の第1の内側接合部に隣接する第1の補強材、
前記キャビティ内に配置され、前記C字型部分の第2の内側接合部に隣接する第2の補強材
を含み、
前記第1の補強材及び前記第2の補強材は、一方向超高弾性炭素繊維材料で形成されている、請求項7に記載のC型アーム。
【請求項9】
前記放射線源は、前記C字型部分のキャビティ内に存在し、前記放射線源は、更に、
炭素繊維材料で形成された取外し可能なカバーであって、前記放射線源によって放出される放射線の放射線出力部を画定する取外し可能なカバー
を含む、請求項1記載のC型アーム。
【請求項10】
Cアーム、
前記Cアームによって支持された放射線源及び放射線検出器、
ベース、
前記Cアームと前記ベースに結合された延長部
を含む医用イメージングシステムであって、
前記Cアームは、検査領域に対して少なくとも220°の角度で構成されている、医用イメージングシステム。
【請求項11】
前記Cアームの少なくとも一部が炭素繊維材料で形成されている、請求項10に記載の医用イメージングシステム。
【請求項12】
前記炭素繊維材料は、一方向超高弾性炭素繊維材料である、請求項11に記載の医用イメージングシステム。
【請求項13】
前記Cアームは、
一方向超高弾性炭素繊維材料で形成された第1の領域、及び
一方向超高弾性炭素繊維材料で形成された第2の領域
を含む、請求項11に記載の医用イメージングシステム。
【請求項14】
前記第1の領域及び前記第2の領域は、前記C型アームの内径に対して延在する、請求項13に記載の医用イメージングシステム。
【請求項15】
前記Cアームの炭素繊維材料で形成された部分は、前記C型アームのキャビティ内に位置する、請求項10に記載の医用イメージングシステム。
【請求項16】
前記Cアームは、一方向超高弾性炭素繊維材料と、他の炭素繊維材料とで形成されている、請求項10に記載の医用イメージングシステム。
【請求項17】
前記Cアームは、更に、
前記Cアームのキャビティ内に配置され、前記Cアームの第1の内側接合部に隣接する第1の補強材、及び
前記キャビティ内に配置され、前記Cアームの第2の内側接合部に隣接する第2の補強材
前記第1の補強材及び前記第2の補強材は、一方向超高弾性炭素繊維材料で形成されている、請求項16に記載の医用イメージングシステム。
【請求項18】
前記放射線源は、前記Cアームのキャビティ内に存在し、前記放射線源は、更に、
炭素繊維材料で形成された取外し可能なカバーであって、前記放射線源によって放出される放射線の放射線出力部を画定する取外し可能なカバー
を含む、請求項10に記載の医用イメージングシステム。
【請求項19】
放射線源と検出器とを支持するCアームを含む医用イメージングシステムで第1の投影データを取得することであって、前記医用イメージングシステムが前記第1の投影データを取得するとき、前記Cアームは第1の位置にあり、前記Cアームの一部が、一方向超高弾性炭素繊維材料で形成されている、第1の投影データを取得すること、
前記Cアームを第2の位置に回転すること、
前記Cアームが前記第2の位置にあるときに、前記医用イメージングシステムで第2の投影データを取得すること、
前記第1の投影データ及び前記第2の投影データのうちの少なくとも一方の投影データから画像を再構成すること、及び
再構成された画像を表示すること
を含む、方法。
【請求項20】
前記Cアームの、一方向超高弾性炭素繊維材料で形成された部分は、前記Cアームのキャビティ内に位置する、請求項19に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年6月18日に出願された米国特許出願第17/351,727号の優先権及び利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本開示は、Cアームを有するイメージングシステムに関し、より詳細には、炭素繊維Cアームを有する医用イメージングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
放射線医用イメージングシステムは、患者の内部構造(すなわち、骨、組織等)を撮影するための非侵襲的手段を提供することができる。放射線画像撮影装置は、Cアームを支持するベースに結合されたCアーム、放射線源、及び放射線検出器を含むことができる。Cアームは、放射線源を支持し、放射線源の向かいに放射線検出器を支持する。Cアームは、患者の一部を含む検査領域を中心に回転し、放射線源は、検査領域を横切る放射線を放出する。放射線検出器は、検査領域を横切る放射線を検出し、検出された放射線を示す信号を生成する。再構成器が信号を処理し、検査領域及び検査領域内の患者の一部を示す画像データを再構成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2021/0145383号明細書
【発明の概要】
【0004】
一実施形態では、本開示は、医用イメージングシステムと共に使用されるC型アームを提供する。C型アームは、C字型部分、前記C字型部分によって支持される放射線源、及び前記C字型部分によって支持される放射線検出器
を含み、前記C字型部分の少なくとも一部は、一方向超高弾性炭素繊維材料で形成されている。
【0005】
別の実施形態では、本開示は医用イメージングシステムを提供する。医用イメージングシステムは、Cアーム、前記Cアームによって支持された放射線源及び放射線検出器、ベース、前記Cアームと前記ベースに結合された延長部を含む医用イメージングシステムであって、前記Cアームは、検査領域に対して少なくとも220°の角度で構成されている。
【0006】
更に別の実施形態において、本開示は方法を提供する。本方法は、放射線源と検出器とを支持するCアームを含む医用イメージングシステムで第1の投影データを取得することであって、前記医用イメージングシステムが前記第1の投影データを取得するとき、前記Cアームは第1の位置にあり、前記Cアームの一部が、一方向超高弾性炭素繊維材料で形成されている、第1の投影データを取得すること、前記Cアームを第2の位置に回転すること、前記Cアームが前記第2の位置にあるときに、前記医用イメージングシステムで第2の投影データを取得すること、前記第1の投影データ及び前記第2の投影データのうちの少なくとも一方の投影データから画像を再構成すること、及び再構成された画像を表示することを含む。
【0007】
本開示の様々な態様は、図面を参照しながら以下の発明を実施するための形態を読むと、よりよく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】例示的な実施形態による医用画像システムを示す。
図2】例示的な実施形態による医用イメージングシステムの制御機構のブロック図である。
図3】例示的な実施形態による医用イメージングシステムのコンピューティング装置のブロック図である。
図4】例示的な実施形態による、第1の位置にある医用イメージングシステムのCアームの概略図である。
図5】例示的な実施形態による、第2の位置にある医用イメージングシステムのCアームの概略図である。
図6】例示的な実施形態による、第3の位置にある医用イメージングシステムのCアームの概略図である。
図7】例示的な実施形態による医用イメージングシステムのCアームの断面図である。
図8】例示的な実施形態による医用イメージングシステムのCアームを示す図である。
図9】例示的な実施形態による、取外し可能なカバーを有する医用イメージングシステムのCアームの端部を示す図である。
図10】例示的な実施形態による、医用イメージングシステムのCアームの取外し可能なカバーを示す図である。
図11】例示的な実施形態による医用イメージングシステムのCアームの断面図である。
図12】例示的な実施形態による、医用イメージングシステムのガイドシステムに結合された医用イメージングシステムのCアームの断面図である。
図13】例示的な実施形態による、医用イメージングシステムで患者を撮影する方法のフローチャートである。
【0009】
図面は、炭素繊維Cアームを有する医用イメージングシステムの説明される構成要素、システム、及び方法の具体的な動作を示す。以下の説明と共に、図面は、本明細書に記載される構造、方法、及び原理を示し、説明する。図面において、構成要素の厚さ及び大きさは、明確にするために誇張又はその他の方法で変更されている場合がある。既知の構造、材料、又は動作は、説明される構成要素、システム、及び方法の態様をわかりにくくすることを回避するため、詳細には図示又は記載されていない。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の1つ又は複数の具体的な実施形態を以下に説明する。これらの説明される実施形態は、炭素繊維Cアームを有する医用イメージングシステムのシステム及び方法の例示に過ぎない。当業者は、実施形態に記載された特定の詳細を実施する場合には、本開示の主旨から逸脱することなく、その特定の詳細を変更できることを理解する。
【0011】
本開示の様々な実施形態の要素を導入する場合、冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「この(the)」は、その要素が1つ以上存在することを意味することが意図される。用語「第1」、「第2」などは、順序、量、又は重要性を示すものではなく、ある要素を他の要素から区別するために使用されるものである。用語「含む」、「備える」、「有する」は、包括的であることを意図しており、列挙された要素以外の追加の要素が存在してもよいことを意味する。本明細書において、用語「に接続される」、「に結合される」などが使用される場合、1つの対象(即ち、材料、要素、構造、部材等)は、1つの対象が他の対象に直接に接続又は結合されているかどうか、又は1つの対象と他の対象との間に1つ以上の介在物が存在しているかどうかにかかわらず、他の対象に接続する又は結合することができる。加えて、本開示の「1つの実施形態」又は「ある実施形態」に言及することは、言及された特徴も組み込んだ追加の実施形態の存在を排除するように解釈されることを意図するものではないことが理解されるべきである。
【0012】
医用イメージングシステムは、放射線源と放射線検出器を支持するC型アームを含む場合がある。C字形状のアームによって、患者が撮影されている間、医師は患者にアクセスすることができる。様々な角度で内部構造の医用画像を得るために、C型アームは様々な位置に回転することができる。しかしながら、C型アームが回転できる回転量は、C型アームの構造強度によって制限されることがある。別の言い方をすれば、C型アームが所与の回転角度を超えて回転すると、振動によってC型アームは後から戻すことができないような変形をする恐れがある。本開示の一部の実施形態は、少なくとも一部が炭素繊維材料で形成された医用イメージングシステムのC型アームに関する。少なくとも一部が炭素繊維材料で形成されたC型アームを提供することにより、C型アームの構造強度が向上し、このC型アームは、他の材料で形成された他のC型アームよりも更に回転させることができる。
【0013】
更に、放射線源が放射線を放射している間の放射線源の動きによって、C型アームが振動することがある。この振動によって、医用イメージングシステムによって取得された医用画像に望ましくない画像アーチファクトが生じる恐れがある。少なくとも一部が炭素繊維材料で形成されたC型アームを提供することにより、振動特性(すなわち、周波数、振幅、及び減衰)に影響を与えるアームの構造強度、アームの機械的特性(すなわち、剛性)、及びアームの幾何学的形状が向上して、C型アームの振動量が小さくなり、それにより、このC型アームを有する医用イメージングシステムによって生成される画像の画像アーチファクトの量を低減することができる。
【0014】
以下の説明は、Cアームを有する医用イメージングシステムの様々な実施形態に関する。医用イメージングシステム(図1に示す医用イメージングシステムなど)は、少なくとも1つの回転軸の周りを回転するように構成されたCアームを含む。Cアームは、Cアームの反対側の端部に配置された放射線源と放射線検出器とを含む。
【0015】
本開示では、図面を参照して、炭素繊維Cアームを有する医用イメージングシステムのシステム及び方法が説明される。本明細書に記載されている医用イメージングシステム(すなわち、図1に示されている医用イメージングシステム)は、一般に、X線医用イメージングシステムと呼ばれることがある。
【0016】
ここで図1を参照すると、例示的な実施形態による医用イメージングシステム100が示されている。医用イメージングシステム100は、ベース104に接続された回転可能なCアーム102を含む。ベース104は、Cアーム102が静止している間及び回転している間、Cアーム102を支持する。ベース104は、医用イメージングシステム100が位置している床面106上でCアーム102を支持する。Cアーム102は、延長部110に接続されたC字型部分108を含む。C字型部分108は、複合材料(炭素繊維ファブリックなど)で形成することができる。炭素繊維ファブリックは、別の材料(すなわち、鋼、アルミニウムなど)で形成されたC字型部分を含むCアームと比較して、C字型部分108の強度を高める、及び/又はC字型部分108の重量を軽減することができる。延長部110はベース104に回転可能に結合されており、これによりCアーム102は検査領域112及び回転軸114の周りを回転することができる。例えば、Cアーム102は、ベース104に対して反対方向に少なくとも180゜回転するように構成することができる。本明細書で更に詳細に説明するように、一部の実施形態では、Cアーム102は少なくとも220゜回転するように構成してもよい。Cアーム102を少なくとも220゜回転するように構成することで、医師は、撮影される患者にアクセスしやすくなる。構造的特性(すなわち、C字型部分108を形成するために使用される材料)によって、Cアーム102が回転軸114を中心に回転するときにCアーム102が受ける振動及び変形の量を低減することができる。以下では、Cアーム102の回転は、直交座標系115のX方向及びY方向の回転(すなわち、C字型部分108が回転し、様々な位置に置いて、C字型部分108の対向する端部が延長部110に近づいたり延長部110から離れたりする)として説明するが、Cアーム102はZ方向にも回転することができる(すなわち、C字型部分108が回転し、様々な位置に置いて、C字型部分108の対向する端部が検査領域112内の患者の頭部に近づいたり頭部から離れたりする)ことが理解される。
【0017】
医用イメージングシステム100は、患者118の少なくとも一部が検査領域112内にある間に患者118を支持する患者支持体116(すなわち、診察台、ベッド、テーブル等)を更に含む。医用イメージングシステム100は、更に、放射線源120及び放射線検出器122を含む。放射線源120及び放射線検出器122は、Cアーム102によって支持され、Cアーム102と共に回転する。更に、放射線源120及び放射線検出器122は、Cアーム102のC字型部分108の軸124の方向に対向する端部に配置されている。軸124は、回転軸114と交差し、回転軸114に対して半径方向に延在する。C字型部分108は、放射線源120及び放射線検出器122の位置を調整するために、上述のように回転させることができる。更に、図1に示す実施形態では、放射線検出器122の位置は、放射線検出器122が放射線源120から遠くに離れるように配置されたり、放射線検出器122が放射線源120の近くに配置されたりするように、変化させることができる。
【0018】
医用画像撮影検査の間、患者118の一部は検査領域112内にあり、放射線源120は放射線126を放出する。一実施形態では、放射線源120は、ケーシング128内に収容されたX線管(図1には示されていない)を含むことができる。X線管は放射線126を発生し、この放射線126は出力部130を通ってケーシング128から出力される。放射線126は検査領域112を横切り、患者118の、検査領域112内の部分によって減衰される。具体的には、放射線源120は、Cアーム102の反対側の端部にある放射線検出器122に向けて放射線126を放出する。放射線源120は、Cアーム102のアイソセンタにおいて放射線検出器122に平行な一般に「物体面」と呼ばれる直交座標系115のX-Y-Z面内に広がるようにコリメートされた円錐形状の放射線を放出する。
【0019】
患者118の一部を通過した後、減衰した放射線は放射線検出器122によって取り込まれる。一部の実施形態では、放射線検出器122は、投影データを取得する複数の検出器素子(図示せず)を含む。各検出器素子は、検出器素子の位置における減衰の測定値である電気信号を生成する。検出器122内の全ての検出器素子からの減衰測定値は別々に取得され、透過プロファイルが生成される。一実施形態では、放射線検出器122は、複数の検出器素子を含むフラットパネル構成で製造される。
【0020】
放射線源120及び放射線検出器122が、Cアーム102によって、物体面内において患者118の周囲を回転すると、放射線126が患者118と交差する角度が変化する。1つのCアーム角度における放射線検出器122からの一群の減衰測定値(すなわち、投影データ)は「ビュー」と呼ばれる。患者118の「スキャン」には、Cアーム102の回転中に異なる角度(ビュー角度)で行われるビューの集まりが含まれる。本明細書において、ビューという用語は、本明細書に記載されたCアーム102の1つの角度からの投影データに対して使用されることに限定されるものではない。ビューという用語は、異なる角度からの別々のデータ収集が行われる場合には、1つのデータ収集を意味するように使用される。
【0021】
医用イメージングシステム100は、ベース104内に収容される制御機構132を更に含む。制御機構132は、ケーブル134を通じてCアーム102、放射線源120、及び放射線検出器122に接続されており、制御機構は、ケーブル134によって、Cアーム102、放射線源120、及び放射線検出器122にデータを送信する/Cアーム102、放射線源120、及び放射線検出器122からデータを受信することができる。制御機構132は、Cアーム102の回転及び放射線源120の動作を制御する。図2を参照すると、例示的な実施形態による制御機構132のブロック図が示されている。一実施形態では、制御機構132は、放射線源コントローラ136及びCアームモータコントローラ138を含む。放射線源コントローラ136は、放射線源120に電力及びタイミング信号を供給するように構成されている。Cアームモータコントローラ138は、Cアーム102の回転速度及び/又は位置を制御するように構成されている。更に、Cアームモータコントローラは、Cアーム102の回転軸、検出器122の位置(それにより線源から検出器までの距離)、及び患者支持体116の位置を制御する。制御機構132は、データ収集システム(DAS)140を更に含む。DAS140は、放射線検出器122から受信したアナログデータをサンプリングし、アナログデータを後続の処理ができるようにデジタル信号に変換する。図1には、ベース104は、制御機構132を含むものとして示されているが、他の実施形態では、制御機構はベース104から分離していてもよい(すなわち、別の部屋に設けられていてもよい)。
【0022】
Cアーム102は、C字型部分108の回転によって複数の異なる位置に調整することができる。例えば、図1によって示される第1の初期位置では、放射線検出器122は、医用イメージングシステム100が載置される面106に対して放射線源120の鉛直上方に配置することができ、面106に対して法線方向の軸124は、放射線源120の出力部130の中点と、放射線検出器122の検出器面142の中点に交差する。Cアームモータコントローラ138及び延長部110内のガイドシステムは、ガイドシステムとC字型部分108との間の結合部分によってC字型部分108を回転させることにより、C字型部分108を第1の位置から別の第2の位置に調整することができる。一実施例では、第2の位置は、放射線源120と検出器122とが第1の位置に対して一緒に180゜回転した位置であって、放射線源120が放射線検出器122の鉛直上方に配置され、軸124が放射線源120の出力部130の中点と放射線検出器122の検出器面142の中点に交差する位置とすることができる。第2の位置に調整されると、放射線源120は、C字型部分108の回転軸114の鉛直上方に配置され、放射線検出器122は、回転軸114の鉛直下方に配置される。
【0023】
医用イメージングシステム100は、ベース104内に収容されるコンピューティング装置144を更に含む。図1では、コンピューティング装置144はベース104内に収容されているように示されているが、他の実施形態では、コンピューティング装置144は、医用イメージングシステム100の台から離れた位置に設けられていてもよい。本明細書において、コンピューティング装置(又はシステム)は、データを処理し、記憶し、及び/又は送信することができる装置/システム(すなわち、タブレット、ハンドヘルドデバイス、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、ラップトップ、ネットワークコンピュータ、サーバ、モバイル通信デバイス等)である。コンピューティング装置144はネットワーク(すなわち、広域ネットワーク(WAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、公衆ネットワーク(インターネット)など)に接続され、コンピューティング装置144は同じネットワーク上の他のデバイスと通信することができる。一部の実施形態では、ネットワークは、プライベートネットワークであってもよく、例えば、仮想プライベートネットワークを含むことができる。
【0024】
図3を参照すると、例示的な実施形態によるコンピューティング装置144のブロック図が示されている。コンピューティング装置144は、プロセッサ146及びシステムメモリ148を含む。一部の実施形態では、コンピューティング装置は、ディスプレイ150及び1つ又は複数の外部装置152に接続される。プロセッサ146は、システムメモリ148と通信しており、システムメモリ148に記憶されたコンピュータ可読プログラム命令を実行することができる。本明細書において、プロセッサは、中央処理装置(CPU)、又はコンピュータ可読プログラム命令を実行できるもしくは実行する他の電子部品(すなわち、デジタル信号プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、グラフィック処理装置(GPU)など)を含むことができる。更に、本明細書において、プロセッサは、CPU、デジタル信号プロセッサ、FPGA、及びGPUのうちの2つ以上を含んでいてもよい。
【0025】
システムメモリ148は、コンピュータ可読記憶媒体である。本明細書において、コンピュータ可読記憶媒体とは、プロセッサにより実行されるコンピュータ可読プログラム命令を記憶する任意のデバイスであって、それ自体は一時的な記憶デバイスとして解釈されるものではないデバイスである。コンピュータ可読プログラム命令には、プログラム、論理、データ構造、モジュールなどが含まれ、プロセッサによって実行されると、機能/動作を実行するための手段を作成する。コンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体に記憶され、プロセッサによって実行されると、コンピュータシステム及び/又は別のデバイスに特定の方法で機能するように指示し、コンピュータ可読記憶媒体が製造物品を構成する。本明細書で使用されるシステムメモリとしては、揮発性メモリ(すなわち、ランダムアクセスメモリ(RAM)及びダイナミックRAM(DRAM))及び不揮発性メモリ(すなわち、フラッシュメモリ、リードオンリーメモリ(ROM)、磁気コンピュータ記憶装置など)がある。一部の実施形態では、システムメモリ148は、更にキャッシュを含むことができる。
【0026】
一実施形態では、様々な方法及びプロセス(すなわち、図13を参照して後述される方法)は、システムメモリ148にコンピュータ可読プログラム命令として記憶することができる。この実施形態では、システムメモリ148は、医用イメージングシステム(すなわち、医用イメージングシステム100)で患者を撮影するためのコンピュータ可読プログラム命令を含む。
【0027】
外部装置152は、ユーザがコンピューティング装置144と対話できるようにする装置/ユーザがコンピューティング装置144を操作できるようにする装置(すなわち、マウス、キーボード、タッチスクリーン、スピーカなど)を含む。一部の実施形態では、ディスプレイ150は、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を表示する。GUIは、データ(すなわち、患者データ、撮影パラメータ等)を入力するための編集可能なフィールドを含み、選択可能なアイコンを更に含む。アイコンの選択及び/又はデータの入力により、プロセッサ146は、システムメモリ148に記憶されプロセッサにタスクを実行させるコンピュータ可読プログラム命令を実行する。例えば、コンピューティング装置144のユーザは、外部装置152を使用して、プロセッサ146に医用撮影検査を実行させる「開始」アイコンなどを選択することができる。
【0028】
図1には1つのコンピューティング装置144のみが図示されているが、一部の実施形態では、医用イメージングシステム100は複数のコンピューティング装置144を含んでいてもよい。コンピューティング装置144は、撮影パラメータを入力する又は出力する、検査を要求する、データを表示する、及び/又は画像を見るために使用することができる。更に、ある実施形態では、医用イメージングシステム100は、1つ又は複数の設定可能な有線ネットワーク及び/又は無線ネットワークを通じて、ローカルに又は遠隔に(即ち、設備若しくは病院内に、又は全く別の場所などに)配置された複数のディスプレイ、プリンタ、ワークステーション、及び/又は同様の装置に結合することができる。更に、一部の実施形態では、ベースは、更に、医用イメージングシステム100を動作させるために電力を供給する内部電源(図示せず)を収容する。あるいは、ベース104は、医用イメージングシステム100に電力を供給するために外部電源に接続されていてもよい。複数の接続ケーブル(すなわち、ケーブル134)を備えて、放射線源120、放射線検出器122などに電力を伝送してもよい。
【0029】
コンピューティング装置144は、データ収集及び/又はデータ処理などのシステム動作を制御するために、放射線源コントローラ136、Cアームモータコントローラ138、及びDAS140と通信し、これらにコマンドを提供する。一部の実施形態では、コンピューティング装置144は、ユーザ入力に基づいて、放射線源コントローラ136、Cアームモータコントローラ138、及びDAS140の動作を制御する。
【0030】
例えば、コンピューティング装置144は、Cアームモータコントローラ138に信号を送り、この信号によって、Cアームモータコントローラ138はC字型部分108を回転させることができる。図4図6を参照すると、Cアーム102の様々な例示的な位置が示されている。図4図6では、ベース104及びケーブル134は省略されており、図5及び図6では、明確にするため出力部130も省略されている。
【0031】
具体的には、図4は、検出器面142と出力部130との間の軸124が医用イメージングシステム100の置かれた床面106に対して垂直になるように向けられた第1の位置のCアーム102を示す。更に、図1及び図2に示されているように、第1の位置では、軸124は水平軸154に対して垂直である。水平軸154は床面106に平行である。図5は、C字型部分108が回転した第2の位置のCアーム102を示している。第2の位置では、図4によって示されるような第1の位置と比較して、放射線源120は延長部110の近くに配置され、放射線検出器122は延長部110から遠くに配置される。図6は、C字型部分108が回転した第3の位置のCアーム102を示す。第3の位置では、図4によって示される第1の位置と比較して、放射線源120は、延長部110から離れて配置され、放射線検出器122は、延長部110の近くに配置されている。
【0032】
C字型部分の回転範囲(すなわち、C字型部分108がベース104に対して回転することができる角度)は、180゜より大きくてもよい(すなわち、200゜、205゜、220゜など)。例えば、図5は、図4によって示された位置に対してC字型部分108が回転軸114の周りに約95゜の角度だけ回転することに対応しており、図6は、図4によって示される位置に対してC字型部分108が回転軸114の周りに約-95゜の角度だけ回転することに対応しており、C字型部分108は、図6に示される位置から図5に示される位置に調整されるように190゜回転する。図2図4の各々において、延長部110は、C字型部分108に対して位置が維持され、図4図6の延長部110の位置は、図1に示される延長部110の位置と同じである(すなわち、延長部110は、床面106又は水平軸154に対して回転していない)。
【0033】
放射線源120は、放射線検出器122に向けて放射線126を放射する。C字型部分108が回転軸114の周りを回転する場合(すなわち、患者118を撮影している間)、放射線源120及び放射線検出器122の各々は回転軸114の周りを同時に回転するので、放射線126は放射線検出器122に向けられたままである。回転軸114の周りを回転している間、C字型部分108は、経路156に沿って第1の方向158又は第2の方向160に移動することができる。放射線源120及び放射線検出器122はC字型部分108と共に回転軸114の周りを回転するので、放射線源120によって放射された放射線126は検査領域112を通過する。
【0034】
静止の間又は回転している間、C字型部分108の第1の端部162及び第2の端部164は、C字型部分108の中心166から同じ距離に配置される。C字型部分の中心166は、回転軸114と同じ位置である。例えば、C字型部分108は、第1の端部162及び第2の端部164がC字型部分108の中心166から軸124方向において同じ距離に配置されるように、中心166の周りの方向において均一な曲率半径(すなわち、中心166の周りの方向においてC字型部分108に沿った各位置において同じ曲率半径)を有することができる。このように、経路156は、C字型部分108と同じ曲率及び半径を有する。
【0035】
上記のように、C字型部分108は、回転軸114の周りを回転することができる。一部の実施形態では、C字型部分108は、水平軸154を中心に回転することもできる。この構成では、C字型部分108は、回転軸114及び水平軸154のいずれか一方の軸(又は回転軸114及び水平軸154の両方の軸)を中心に回転することができ、水平軸154は回転軸114に直交する。しかしながら、図4図6に示されるビューでは、C字型部分108は、回転軸114を中心に回転しているだけであり、水平軸154を中心にして回転していない。
【0036】
第1の端部162及び第2の端部164は、中心166から同じ長さに配置することができるが、検出器122の位置は変化させることができるので、出力部130及び検出器面142の各々は、中心166から異なる長さに配置させることができる。例えば、出力部130の回転経路168と放射線検出器面142の回転経路170とは異なっていてもよく、回転経路168及び回転経路170の各々は円形状である。C字型部分108が回転軸114を中心に回転している間(すなわち、患者118が撮影されている間)、出力部130は回転経路168に沿って移動することができ、検出器面142は回転経路170に沿って移動することができる。しかしながら、長さ172(すなわち、回転経路168の直径)は、中心166から出力部130までの長さであり、この長さは、中心166から検出器面142までの長さ174(すなわち、回転経路170の直径)よりも長い。一実施形態では、放射線源120がC字型部分108内に固定されているので、長さ172は長さ174よりも長い。例えば、図4に示す実施形態では、放射線源120はX線管176を含んでいる。この実施形態では、X線管176は、ケーシング128内に収容され、C字型部分108内に固定することができる。分かりやすくするために、X線管176は図5及び図6では省略されている。
【0037】
X線管176をC字型部分108内に配置することにより、X線管176がC字型部分108内に固定されていない構成と比較して、出力部130を第2の端部164の近くに配置することができ、その結果、放射線源120の高さがケーシング128によって制限されるので、放射線源120の高さを低くすることができる。放射線源120の高さが低くなることにより、検出器面142と出力部130との間の開放空間を広げることができ、Cアーム102は、体格のよい大きな患者を収容するスペースを設けることができる、及び/又はCアーム102の操作性を向上させることができる。更に、一部の実施形態では、放射線源120をC字型部分108内の位置に固定することにより、Cアーム102のバランスがよくなり、Cアーム102の望ましくない振動を減少させることができる。また、放射線源120をC字型部分102内に配置することにより、C字型部分108が回転している間(すなわち、患者118が撮影されている間)のCアーム102のバランスがよくなり、放射線検出器122に対するカウンターウェイトになり、医用イメージングシステム100のモータの負荷及び/又は振動を低減することができる。
【0038】
図1に戻ると、一実施形態では、医用イメージングシステム100は、画像保存通信システム(PACS)を含む又は画像保存通信システム(PACS)に結合されている。例示的な実施態様では、PACSは、更に、遠隔システム(放射線科情報システム、病院情報システム、内部及び/又は外部のネットワーク等)に結合され、異なる場所にいるオペレータが、コマンド、パラメータを供給する、及び/又は医用イメージングシステム100によって生成された画像データにアクセスすることができる。
【0039】
更に、医用イメージングシステム100は、画像再構成器を含む又は画像再構成器に結合されている。前述のように、DAS140は、放射線検出器122によって取得された投影データをサンプリングしてディジタル化する。その後、画像再構成器は、サンプリングされデジタル化されたX線データを使用して高速再構成を実行する。特定の実施形態では、画像再構成器は、コンピューティング装置144の一部を形成することができる。あるいは、画像再構成器を除外し、代わりにコンピューティング装置144が、画像再構成器の1つ又は複数の機能を実行してもよい。更に、画像再構成装置は、ローカル又は遠隔に配置されてもよく、有線又は無線ネットワークを通じて医用イメージングシステム100に動作可能に結合されてもよい。特に、一実施形態では、再構成器は、「クラウド」ネットワーククラスタのコンピューティング資源を使用して画像再構成をすることができる。
【0040】
一部の実施形態では、再構成器は投影データを受信し、投影データは前処理及び較正され、患者118の減弱係数の線積分を表すようにデータが調整される。処理されたデータは一般に「プロジェクション」と呼ばれる。取得された投影データのセットは、基準物質弁別(BMD)に使用することができる。BMDの間、測定された投影は、物質密度投影のセットに変換される。物質密度投影は再構成され、各基準物質(すなわち、骨、組織、及び/又は造影剤など)の物質密度マップのペア若しくは物質密度画像のペア又は物質密度マップのセット若しくは物質密度画像のセットを形成することができる。これらの密度マップ又は密度画像は、順に関連付けられ、撮影ボリュームの基準物質のボリュメトリック画像を形成することができる。
【0041】
投影データは処理され、患者118を横切る2次元スライスに対応する画像を再構成する、又は投影データが複数のビュー又はスキャンを含む一部の例では、患者118の3次元レンダリングに対応する画像を再構成する。再構成されると、基準物質画像は、複数の物質の密度で表される患者118の内部特徴を明らかにする。画像を表示して、これらの特徴を示すことができる。画像が表示されると、医師は画像を精査して医学的診断をする、又は関心のある特徴部分(すなわち、病変、器官等)を識別する。
【0042】
本明細書において、「画像を再構成する」という語句は、画像を表すデータは生成されるが表示可能な画像は生成されない実施形態を除外することを意図するものではない。したがって、本明細書において、「画像」という用語は、表示可能な画像と表示可能な画像を表すデータとの両方を広く表す。しかしながら、本明細書に記載された一部の実施形態は、少なくとも1つの表示可能な画像を生成する(又は生成するように構成される)。
【0043】
一実施形態では、再構成器は再構成された画像をシステムメモリ148に記憶する。別の実施形態では、再構成器は、診断及び評価に有用な患者情報が生成されるように、再構成された画像をコンピューティング装置144に送信する。特定の実施形態では、コンピューティング装置144は、再構成された画像及び/又は患者情報をディスプレイ150に送信することができる。他の実施形態では、再構成された画像は、システムメモリ148又は再構成器から、短期又は長期の保存ができるようにPACSに送信することができる。
【0044】
次に図7を参照すると、例示的な実施形態によるC字型部分108の断面図が示されている。C字型部分108は、第1の端壁702と、第1の端壁702の反対側にある第2の端壁704とを含む。第1の端壁702は、第2の端壁704よりも、C字型部分108の中心166から離れている。C字型部分108は、第1の側壁706と、第1の側壁706の反対側にある第2の側壁708とを更に含む。第1の側壁706及び第2の側壁708は、第1の端壁702と第2の端壁704との間に延在している。第1の端壁702、第2の端壁704、第1の側壁706、及び第2の側壁708は、C字型部分108の内部キャビティ710を画定する。
【0045】
第1の端壁702と第2の端壁704は、第1の側壁706と第2の側壁708の間に延在する。第1の端壁702は、第1の接合部712において第1の側壁706と合流し、第2の接合部714において第2の側壁708と合流する。第2の端壁704は、第3の接合部716において第1の側壁706と合流し、第4の接合部718において第2の側壁708と合流する。
【0046】
第1の端壁702は、外面720と、外面720の反対側に位置する内面722とを含み、第2の端壁704は、外面724と、外面724とは反対側に位置する内面726とを含み、第1の側壁706は、外面728と、外面728とは反対側に位置する内面730とを含み、第2の側壁708は、外面732と、外面732とは反対側に位置する内面734とを含む。外面720、724、728、及び732の各々はキャビティ710から離れる方向を向いており、一方、内面722、726、730、及び734の各々はキャビティ710を向いている。図7では、外面720が凹部を含むように示されているが、他の実施形態では、凹部を無くして、外面720を同じ高さの面にしてもよい。
【0047】
外面720は外面728と外面732との間に延在している。外面720は、第1の外側接合部736において外面728と合流し、第2の外側接合部738において外面732と合流する。外面724は外面728と外面732との間に延在している。外面724は、第3の外側接合部740で外面728と合流し、第4の外側接合部742において外面732と合流する。内面722は内面730と内面734との間に延在している。内面722は、第1の内側接合部744において内面730と合流し、第2の内側接合部746において内面734と合流する。内面726は内面730と内面734との間に延在している。内面726は、第3の内側接合部748において内面730と合流し、第4の内側接合部750において内面734と合流する。第1の接合部712は、第1の外側接合部736及び第1の内側接合部744を含み、第2の接合部714は、第2の外側接合部738及び第2の内側接合部746を含み、第3の接合部716は、第3の外側接合部740及び第3の内側接合部748を含み、第4の接合部718は、第4の外側接合部742及び第4の内側接合部750を含む。
【0048】
第1の端壁702、第2の端壁704、第1の側壁706、及び/又は第2の側壁706の少なくとも一部は、炭素繊維材料(すなわち、炭素繊維ファブリック)で形成されている。一実施形態では、第1の端壁702、第2の端壁704、第1の側壁706、及び第2の側壁706は、完全に炭素繊維材料で構成されている。この実施形態では、C字型部分108全体が炭素繊維材料で構成されている。一部の実施形態では、第1の端壁702、第2の端壁704、第1の側壁706、及び/又は第2の側壁706のうちの少なくとも1つの壁の炭素繊維材料を形成する炭素繊維ファブリックの各層は、4.8mmの厚さを有する。本実施形態では、炭素繊維材料は16層の炭素繊維ファブリックを含む。各層は、炭素繊維ファブリックの前の層及び/又は後の層に対して45゜の配向を有することができる。炭素繊維材料でC字型部分108を形成することにより、C字型部分108の全体の強度を増加させることができ、これにより、C字型部分108が約100kgのペイロードを支持することができる。一部の実施形態では、C字型部分108は、第1の端部162及び第2の端部164において50kgのペイロードを支持することができる。
【0049】
医用イメージングシステム100が医用画像を取得しているとき(すなわち、放射線源120が放射線を放射しているとき)、放射線源120によって生じる力及びC字型部分108の回転に関連する力によって、C字型部分108に応力が加えられることがある。C字型部分108に応力が加えられると、Cアーム102が振動する場合がある。この振動は、医用イメージングシステム100によって取得された医用画像内に望ましくない画像アーチファクトを生じさせることがある。このような力は、C字型部分108の全体に一様には分散されない場合がある。別の言い方をすれば、C字型部分108の一部の領域は、C字型部分108の他の領域よりも大きな応力を受ける恐れがある。
【0050】
図7に示すように、C字型部分108は、第1の領域752と、第1の領域752の反対側の第2の領域754とを含む。第1の領域752及び第2の領域754は、C字型部分108の他の領域よりも多くの応力を受ける恐れがある。第1の領域752は、少なくとも第3の接合部716を含み、一部の実施形態では、図7に示すように、第1の側壁706の一部及び第2の端壁704の一部を含む。第2の領域は、少なくとも第4の接合部718を含み、一部の実施形態では、図7に示すように、第2の側壁708の一部及び第2の端壁704の一部を含む。一部の実施形態において、第1の領域752及び第2の領域754は、一方向超高弾性炭素繊維材料で形成することができる。一方向炭素繊維材料は、同じ方向に配向された炭素繊維ファブリックの複数の層を含むことができる。別の言い方をすれば、一方向炭素繊維材料は、炭素繊維ファブリックの複数の平行な層を含むことができる。高弾性炭素繊維材料は、少なくとも3300万ポンド/平方インチ(MSI)の定格を有する炭素繊維ファブリックの複数の層を含むことができる。このように、一方向超高弾性炭素繊維材料は、各層が少なくとも65MSI(即ち、約440Gpa)の定格を有する炭素繊維ファブリックの複数の平行な層を含むことができる。
【0051】
図8を参照すると、C字型部分108が、例示的な実施形態に従って示されている。図8に示すように、第1の領域752及び第2の領域754は、C字型部分108の全体にわたって延在している。図8では、第1の領域752及び第2の領域754は、C字型部分108の他の部分よりも濃い灰色で示されている。第1の領域752及び第2の領域754の大部分は、C字型部分108の内側半径に沿って延在している。更に、図8に示されているように、第1の領域752及び第2の領域754は、放射線検出器122に向かってさら延在している。
【0052】
ここで図7に戻ると、C字型部分108は、第1の補強材756と、第1の補強材756に対向する第2の補強材758とを更に含むことができる。第1の補強材756及び第2の補強材758は、丸みを帯びた構造として示されているが、別の実施形態では、第1の補強材756及び第2の補強材758は、45度に面取りした形状であってもよい。第1の補強材756及び第2の補強材758は、キャビティ710内に配置されている。第1の補強材756は、第1の側壁706から延在するとともに、第2の端壁704から延在する。別の言い方をすれば、第1の補強材748は、第1の側壁706の内面730から延在するとともに、第2の端壁704の内面726から延在している。第1の補強材756は、第3の内側接合部748を覆っている。一部の実施形態では、第1の補強材756は、C字型部分108全体にわたって第1の領域752に隣接している。第2の補強材758は、第2の側壁708から延在するとともに、第2の端壁704から延在している。別の言い方をすれば、第2の補強材758は、第2の側壁708の内面734から延在するとともに、第2の端壁704の内面726から延在している。第2の補強材は、第4の内側接合部750を覆っている。一部の実施形態では、第2の補強材758は、C字型部分108全体にわたって第2の領域754に隣接している。
【0053】
第1の補強材756は内側領域760を含み、第2の補強材758は内側領域762を含む。内側領域760の少なくとも一部は第3の内側接合部748に隣接し、内側領域762の少なくとも一部は第4の内側接合部750に隣接する。内側領域760及び内側領域762は、一方向超高弾性炭素繊維材料で形成することができる。一実施形態では、第1の補強材756及び第2の補強材758は、16層の炭素繊維ファブリックで形成することができる。この16層のうちの8層(すなわち、8層の中間層)は、一方向超高弾性炭素繊維ファブリックで形成されてもよい。このように、第1の補強材756及び第2の補強材758の少なくとも一部は、高弾性の炭素繊維材料で形成することができる。
【0054】
第1の領域752、第2の領域754、第1の補強材756、及び第2の補強材758を一方向超高弾性炭素繊維材料で形成することにより、第1の領域752及び第2の領域754を強化することができ、したがって、C字型部分108の全体的な強度を高めることができる。第1の領域752及び第2の領域754を強化することにより、C字型部分108が受ける振動の量を低減することもできる。
【0055】
次に図9を参照すると、例示的な実施形態による第2の端部164の立体図が示されている。先に説明したように、一部の実施形態では、放射線源120は、C字型部分108内に固定することができる。従って、外壁704の一部は、放射線源120を受け入れる形状の開口部を画定することができ、それによって放射線源120をキャビティ710内に配置することができる。放射線源120をキャビティ710内に配置した後は、放射線源120は、保守の目的でアクセスできるようにすることが望ましい。
【0056】
図9及び図10に示すように、一部の実施形態では、C字型部分108は、C字型部分108が図1に示すような第1の位置にあるときに、C字型部分108において放射線源120の垂直上方にある開口部を覆うカバー902を含むことができる。カバー902は、第2の端壁704の外面724に配置され、第2の端壁704の外面724に取り外し可能に取り付けられ、C字型部分108の開口部の形状に対応する形状を有する。カバー902は開口部904を画定する。開口部904は出力部130を画定する。このように、放射線126は、放射線源120によって放射された後、開口部904を通過する。一部の実施形態では、カバー902は、16層の炭素繊維ファブリックを含む炭素繊維材料で形成することができる。炭素繊維材料で形成されたカバー902を使用することにより、C字型部分108の重量を更に低減することができ、これにより、C字型部分108の耐久性を更に向上させることができる。図10は更に、C字型部分108から取り外されたカバー902を示している。カバー902を炭素繊維材料で形成することにより、C字型部分108の剛性が更に向上する。
【0057】
次に図11を参照すると、例示的な実施形態によるC字型部分108の実施形態が示されている。この実施形態では、C字型部分は、第1の延長部764及び第2の延長部766を含む。第1の延長部764は、第1の側壁706から垂直に延在し、第2の延長部766は、第2の側壁708から垂直に延在する。別の言い方をすれば、第1の延長部764は第1の側壁706の外面728から垂直に延在し、第2の延長部766は第2の側壁708の外面732から垂直に延在する。第1の延長部764及び第2の延長部766は、非変形性材料で形成することができる。
【0058】
C字型部分108は、第1のロッド支持部768及び第2のロッド支持部770を更に含む。第1のロッド支持部768は第1の延長部764から延在し、第2のロッド支持部770は第2の延長部766から延在する。第1のロッド支持部768は、第1のロッド772及び第2のロッド774を支持し、これらのロッド772及び774に結合されており、第2のロッド支持部770は、第3のロッド776及び第4のロッド778を支持し、これらのロッド776及び778に結合されている。ロッド支持部768及び770ならびにロッド772~778は、構造用鋼で形成することができる。
【0059】
次に図12を参照すると、C字型部分108に結合されたガイドシステム800が、例示的な実施形態によって示されている。上述したように、ガイドシステム800は、C字型部分108とガイドシステム800との間の結合を介してC字型部分を回転させることができる。ガイドシステム800は、延長部110内に配置され、第1のトロリー802及び第2のトロリー804を含む。
【0060】
ガイドシステム800は、第1のローラ806、第2のローラ808、第3のローラ810、及び第4のローラ812を更に含む。図12は4つのローラを示しているが、一部の実施形態では、ガイドシステムは、更に多くのローラを含んでいてもよい。例えば、別の実施形態では、各ローラ806~812は、互いにすぐ隣に位置する2つのローラのうちの1つとすることができる。このように、この例では、ガイドシステム800は8つのローラを含む。第1のローラ806及び第2のローラ808は、第1のトロリー802から広がっており、第1のトロリー802によって支持される。第3のローラ810及び第4のローラ812は、第2のトロリー804から広がっており、第2のトロリー804によって支持される。第1のローラ806は第1のロッド772に隣接し、第2のローラ808は第2のロッド774に隣接し、第3のローラ810は第3のロッド776に隣接し、第4のローラ812は第4のロッド778に隣接する。C字型部分108が回転すると、ローラ806~812がそれぞれロッド772~778に対して回転し(第1のローラ806は第1のロッド772に対して回転する)、それによってC字型部分108が所定の回転方向に並進する。
【0061】
図13を参照すると、例示的な実施形態による、医用イメージングシステム100で患者を撮影するための方法1300が示されている。図13に示されている方法1300の様々な態様は、「環境設定されたプロセッサ」によって実行することができる。本明細書において、環境設定されたプロセッサは、本開示の態様に従って設定されたプロセッサである。一部の実施形態では、プロセッサ146は、環境設定されたプロセッサである。コンピュータ可読プログラム命令はコンピュータ可読記憶媒体(システムメモリ148を含むがこれに限定されることはない)に記憶され、コンピュータ可読プログラム命令は、環境設定されたプロセッサによって実行されると、環境設定されたプロセッサに方法1300のステップを実行させる。
【0062】
1302では、環境設定されたプロセッサが、医用画像の取得を開始するための第1の信号を制御機構132に送信する。医用画像の取得を開始する第1の信号を受信したことに応答して、制御機構132は、本明細書で先に説明したように、C字型部分が第1の位置にある間に、医用イメージングシステム100に患者118の第1の投影データの取得を開始させる。一実施形態では、環境設定されたプロセッサは、ディスプレイ150によって示されるGUIに表示された撮影プロトコル及び/又は開始アイコン等をユーザが選択することに応答して、医用画像の取得を開始するための信号を送信する。更に、医用画像の取得を開始する信号には、撮影パラメータ(即ち、放射線源の電力及びタイミングパラメータ、Cアーム回転速度、及び位置パラメータ等)が含まれる。医用画像の取得を開始する第1の信号を受信したことに応答して、制御機構132は、医用イメージングシステム100に患者118の内部関心領域(すなわち、臓器、骨、組織等)の投影データを取得させるための受信パラメータに応じて、Cアーム102の位置及び放射線源120の動作を制御する。
【0063】
1304において、環境設定されたプロセッサは、制御機構132に、医用画像の取得を開始するための第2の信号を送信する。医用画像の取得を開始するための第2の信号の受信に応答して、制御機構132は、C字型部分108を第2の位置まで回転させ、本明細書で既に説明したように、C字型部分が第2の位置にある間に、医用イメージングシステム100に患者118の第2の投影データの取得を開始させる。一実施形態では、環境設定されたプロセッサは、ディスプレイ150によって示されるGUIに表示された撮影アイコン等をユーザが選択することに応答して、医用画像の取得を開始するための第2の信号を送信する。別の実施形態では、環境設定されたプロセッサは、撮影プロトコルに基づいて第2の信号を自動的に送信する。
【0064】
1306において、環境設定されたプロセッサは、本明細書で先に説明したように、第1及び第2の投影データのうちの少なくとも一方の投影データから画像を再構成し、再構成された画像をディスプレイ150に送信する。再構成された画像を受信することに応答して、ディスプレイ150は画像を表示する。
【0065】
先に示された修正形態に加えて、本記載の趣旨及び範囲を逸脱することなく、当業者によって多くの他の変更構造及び代替構造を考えることができ、特許請求の範囲は、このような修正形態及び構造を含むことが意図される。したがって、上記の情報は、現在最も実用的で好ましい態様であると考えられるものに関して特に詳細に記載されているが、当業者にとって、本明細書に記載された原則及び概念から逸脱することなく、形態、機能、操作方法、及び使用(これらに限定されることはない)などについて、多くの修正形態が可能であることは明らかである。また、本明細書において、実施例及び実施形態は、あらゆる点において単なる例示であることを意味しており、いかなる方法においても限定的に解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0066】
100 医用イメージングシステム
102 Cアーム
104 ベース
106 床面
108 C字型部分
110 延長部
112 検査領域
114 回転軸
115 直交座標系
116 患者支持体
118 患者
120 放射線源
122 放射線検出器
124 軸
126 放射線
128 ケーシング
130 出力部
132 制御機構
134 ケーブル
136 放射線源コントローラ
138 Cアームモータコントローラ
140 データ収集システム(DAS)
142 検出器面
144 コンピューティング装置
146 プロセッサ
148 システムメモリ
150 ディスプレイ
152 外部装置
154 水平軸
156 経路
158 第1の方向
160 第2の方向
162 第1の端部
164 第2の端部
166 中心
168 回転経路
170 回転経路
172 長さ
174 長さ
176 X線管
702 第1の端壁
704 第2の端壁
706 第1の側壁
708 第2の側壁
710 キャビティ
712 第1の接合部
714 第2の接合部
716 第3の接合部
718 第4の接合部
720 外面
722 内面
724 外面
726 内面
728 外面
730 内面
732 外面
734 内面
736 第1の外側接合部
738 第2の外側接合部
740 第3の外側接合部
742 第4の外側接合部
744 第1の内側接合部
746 第2の内側接合部
748 第3の内側接合部
748 第1の補強材
750 第4の内側接合部
752 第1の領域
754 第2の領域
756 第1の補強材
758 第2の補強材
760 内側領域
762 内側領域
764 第1の延長部
766 第2の延長部
768 第1のロッド支持部
770 第2のロッド支持部
772 第1のロッド
774 第2のロッド
776 第3のロッド
778 第4のロッド
800 ガイドシステム
802 第1のトロリー
804 第2のトロリー
806 第1のローラ
808 第2のローラ
810 第3のローラ
812 第4のローラ
902 カバー
904 開口部
1300 方法

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】