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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】デジタル印刷システム及びプロセス
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240621BHJP
【FI】
B41J2/01 203
B41J2/01 101
B41J2/01 451
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577411
(86)(22)【出願日】2022-06-13
(85)【翻訳文提出日】2023-12-14
(86)【国際出願番号】 IB2022055433
(87)【国際公開番号】W WO2022263989
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】63/210,507
(32)【優先日】2021-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514210005
【氏名又は名称】ランダ コーポレイション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002723
【氏名又は名称】高法弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】バラン,ギル
(72)【発明者】
【氏名】ゲヴァ,ヨアヴ
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056EB13
2C056EB46
2C056EC12
2C056EC35
2C056FA13
2C056FD13
(57)【要約】
印刷方法は、印刷システム(10)の可動中間転写体(ITM)(44)上の第1の位置(16a、23a)に第1の画像を生成し、第1の画像を第1の基板(50)に転写するためにITM(44)を移動することを含む。第1の位置(16a、23a)とは異なる第2の位置(16b、23b)においてITM(44)上に生成されることが意図される第2の画像に対して、(i)第1の位置(16a、23a)に対する第2の位置(16b、23b)の意図的なオフセット(18、24)を指定し、(ii)第2の画像を第2の基板(50)に転写するときにオフセット(18、24)を少なくとも部分的に補償するであろうITM(44)の移動を計算し、(iii)第2の画像を生成し、第2の画像を第2の基板(50)に移動するために、計算された移動に従ってITM(44)を移動する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷するための方法であって、
印刷システムの可動中間転写体(ITM)上の第1の位置に第1の画像を生成し、前記第1の画像を第1の基板に転写するために前記ITMを移動することと、
前記第1の位置とは異なる第2の位置において前記ITM上に生成されることが意図される第2の画像に対して、
前記第1の位置に対して前記第2の位置の意図的なオフセットを指定することと、
前記第2の画像を第2の基板に転写するときに前記オフセットを少なくとも部分的に補償するであろう前記ITMの移動を計算することと、
前記第2の画像を生成し、前記第2の画像を前記第2の基板に転写するために、前記計算された移動に従って前記ITMを移動することと、
を含む方法。
【請求項2】
前記第1及び第2の画像は所与の画像のコピーである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の画像によって覆われる前記第2の位置は、前記第1の画像によって覆われる前記第1の位置と部分的に重なる、請求項1及び2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記ITMは、回転される閉ループを含み、
(i)前記ITMの第1の回転中に、前記ITMを画像形成ステーションに対して前記第1の位置に位置決めすることによって前記第1の画像を生成することと、
(ii)前記ITMの第2の回転中に、前記ITMを前記画像形成ステーションに対して前記第2の位置に位置決めすることによって前記第2の画像を生成することと、
を行う、請求項1及び2のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記第1の画像を生成した後、前記第2の画像を生成する前に、
(i)前記ITM上で第3の画像を、前記第3の画像の意図された位置に対してシフトされた第3の位置に生成することと、
(ii)前記第3の画像を第3の基板に転写するときに前記シフトを少なくとも部分的に補償するであろう前記ITMのさらなる移動を計算することと、
(iii)前記第3の画像を前記第3の基板に転写するために、前記計算されたさらなる移動に従って前記ITMを移動することと、
を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記意図的なオフセットを、前記ITMの移動方向と平行な方向に指定する、請求項1及び2のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記意図的なオフセットを、前記ITMの移動方向と平行ではない方向に指定する、請求項1及び2のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記第2の位置の前記意図的なオフセットを第1の方向に沿って行い、
前記方法は、前記第1及び第2の位置とはそれぞれ異なる複数の第3の位置において前記ITM上に生成されることが意図される複数の第3の画像に対して、
(i)所定のストロークサイズに基づいて前記第1の方向に沿って前記第3の位置のさらなる意図的なオフセットを指定することと、
(ii)前記第3の画像を第3の基板にそれぞれ転写するときに前記さらなる意図的なオフセットを少なくとも部分的に補償するであろう前記ITMの複数の第3の移動を計算することと、
(iii)前記第3の画像を生成し、前記第3の画像を前記第3の基板にそれぞれ転写するために、前記計算された移動に従って前記ITMを移動することと、
を含む、請求項1及び2のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記第1、第2、及び第3の基板は、少なくとも前記第1の方向に沿って所与のサイズを有し、
少なくとも前記所定のストロークサイズは、前記所与のサイズに依存する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記意図的なオフセット及び前記さらなる意図的なオフセットを適用し、前記所定のストロークサイズに従って前記第1、第2、及び第3の画像を生成及び転写した後で、前記意図的なオフセット及び前記さらなる意図的なオフセットを、前記第1の方向とは異なる第2の方向において行うことを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
システムであって、
(i)印刷システムの可動中間転写体(ITM)上の第1の位置に第1の画像を生成し、前記第1の画像を第1の基板に転写するために前記ITMを移動することと、(ii)前記第1の位置とは異なる第2の位置において第2の画像を生成し、前記第2の画像を第2の基板に転写するために前記ITMを移動することと、を行うように構成された印刷アセンブリと、
(i)前記第1の位置に対する前記第2の位置の意図的なオフセットを指定することと、(ii)前記第2の画像を前記第2の基板に転写するときに前記オフセットを少なくとも部分的に補償するであろう前記ITMの移動を計算することと、(iii)前記印刷アセンブリを制御して、前記第2の画像を前記第2の基板に転写するために、前記計算された移動に従って前記ITMを移動することと、を行うように構成されたプロセッサと、
を含む、前記システム。
【請求項12】
前記第1及び第2の画像は所与の画像のコピーである、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記プロセッサは、前記第2の画像によって覆われる前記第2の位置の前記意図的なオフセットを、前記第1の画像によって覆われる前記第1の位置と部分的に重なるように指定するように構成されている、請求項11及び12のいずれかに記載のシステム。
【請求項14】
前記ITMは、回転される閉ループを含み、
(i)前記ITMの第1の回転中に、前記プロセッサは、前記印刷アセンブリを制御して、前記ITMを画像形成ステーションに対して前記第1の位置に位置決めすることによって前記第1の画像を生成するように構成され、
(ii)前記ITMの第2の回転中に、前記プロセッサは、前記印刷アセンブリを制御して、前記ITMを前記画像形成ステーションに対して前記第2の位置に位置決めすることによって前記第2の画像を生成するように構成されている、
請求項11及び12のいずれかに記載のシステム。
【請求項15】
前記第1の画像を生成した後、前記第2の画像を生成する前に、前記プロセッサは、前記印刷アセンブリを制御して、
(i)前記ITM上で第3の画像を、前記第3の画像の意図された位置に対してシフトされた第3の位置に生成することと、
(ii)前記第3の画像を第3の基板に転写するときに前記シフトを少なくとも部分的に補償するであろう前記ITMのさらなる移動を計算することと、
(iii)前記第3の画像を前記第3の基板に転写するために、前記計算されたさらなる移動に従って前記ITMを移動することと、
を行うように構成されていることを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記プロセッサは、前記意図的なオフセットを、前記ITMの移動方向と平行な方向に指定するように構成されている、請求項11及び12のいずれかに記載のシステム。
【請求項17】
前記プロセッサは、前記意図的なオフセットを、前記ITMの移動方向と平行ではない方向に指定するように構成されている、請求項11及び12のいずれかに記載のシステム。
【請求項18】
前記プロセッサは、前記第2の位置の前記意図的なオフセットを第1の方向に沿って指定するように構成され、
前記システムは、前記第1及び第2の位置とはそれぞれ異なる複数の第3の位置において前記ITM上に生成されることが意図される複数の第3の画像に対して、前記プロセッサが、
(i)所定のストロークサイズに基づいて前記第1の方向に沿って前記第3の位置のさらなる意図的なオフセットを指定することと、
(ii)前記第3の画像を第3の基板にそれぞれ転写するときに前記さらなる意図的なオフセットを少なくとも部分的に補償するであろう前記ITMの複数の第3の移動を計算することと、
(iii)前記第3の画像を生成し、前記第3の画像を前記第3の基板にそれぞれ転写するために、前記計算された移動に従って前記ITMを移動することと、
を行うように構成されていることを含む、請求項11及び12のいずれかに記載のシステム。
【請求項19】
前記第1、第2、及び第3の基板は、少なくとも前記第1の方向に沿って所与のサイズを有し、
少なくとも前記所定のストロークサイズは、前記所与のサイズに依存する、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記意図的なオフセット及び前記さらなる意図的なオフセットを適用し、前記所定のストロークサイズに従って前記第1、第2、及び第3の画像を生成及び転写した後で、前記プロセッサは、前記意図的なオフセット及び前記さらなる意図的なオフセットを、前記第1の方向とは異なる第2の方向において行うように構成されていることを含む、請求項18に記載のシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国仮特許出願第63/210,507号(2021年6月15日に出願)の利益を主張する。なおこの文献の開示は、参照により本明細書に組み込まれている。
技術分野
【0002】
本発明は全般的に、デジタル印刷に関し、詳細には、印刷プロセス中に中間転写体上に生成される痕跡を低減するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
印刷システムの中には中間転写体を有するものがある。中間転写体は、画像を受け取って、その画像をターゲット基板に転写するように構成されている。場合によっては、中間転写体上で生成される特定の画像の多数のコピー(たとえば、数千)を含む印刷バッチの場合、中間転写体上の画像の痕の望ましくない形成が引き起こされることがあり、その結果、画像シルエットが他の画像の印刷(たとえば、次の印刷バッチ)に現れることがある。この現象は、本明細書では「記憶」または「ゴースト印刷」とも言い、同じ中間転写体を使用して印刷される後続画像の品質を低下させる場合がある。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に記載の本発明の実施形態によって、印刷するための方法が提供される。本方法は、印刷システムの可動中間転写体(ITM)上の第1の位置に第1の画像を生成して、第1の画像を第1の基板に転写するためにITMを移動することを含み、第1の位置とは異なる第2の位置においてITM上に生成されることが意図される第2の画像に対して、(i)第1の位置に対する第2の位置の意図的なオフセットを指定し、(ii)第2の画像を第2の基板に転写するときにオフセットを少なくとも部分的に補償するであろうITMの移動を計算し、(iii)第2の画像を生成し、第2の画像を第2の基板に転写するために、計算された移動に従ってITMを移動する。
【0005】
いくつかの実施形態では、第1及び第2の画像は所与の画像のコピーである。他の実施形態では、第2の画像によって覆われる第2の位置は、第1の画像によって覆われる第1の位置と部分的に重なる。さらに他の実施形態では、ITMは、回転される閉ループを含み、(i)ITMの第1の回転中に、ITMを画像形成ステーションに対して第1の位置に位置決めすることによって第1の画像を生成し、(ii)ITMの第2の回転中に、ITMを画像形成ステーションに対して第2の位置に位置決めすることによって第2の画像を生成する。
【0006】
一実施形態では、本方法は、第1の画像を生成した後、第2の画像を生成する前に、(i)ITM上で第3の画像を、第3の画像の意図された位置に対してシフトされた第3の位置に生成することと、(ii)第3の画像を第3の基板に転写するときにシフトを少なくとも部分的に補償するであろうITMのさらなる移動を計算することと、(iii)第3の画像を第3の基板に転写するために、計算されたさらなる移動に従ってITMを移動することと、を含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、意図的なオフセットを、ITMの移動方向と平行な方向に指定する。他の実施形態では、意図的なオフセットを、ITMの移動方向と平行ではない方向に指定する。
【0008】
いくつかの実施形態では、第2の位置の意図的なオフセットを第1の方向に沿って行い、本方法は、第1及び第2の位置とはそれぞれ異なる複数の第3の位置においてITM上に生成されることが意図される複数の第3の画像に対して、(i)所定のストロークサイズに基づいて第1の方向に沿った第3の位置のさらなる意図的なオフセットを指定することと、(ii)第3の画像を第3の基板にそれぞれ転写するときにさらなる意図的なオフセットを少なくとも部分的に補償するであろうITMの複数の第3の移動を計算することと、(iii)第3の画像を生成し、第3の画像を第3の基板にそれぞれ転写するために、計算された移動に従ってITMを移動することと、を含む。
【0009】
他の実施形態では、第1の、第2の及び第3の基板は、少なくとも第1の方向に沿って所与のサイズを有し、少なくとも所定のストロークサイズは、所与のサイズに依存する。さらに他の実施形態では、本方法は、意図的なオフセット及びさらなる意図的なオフセットを適用し、所定のストロークサイズに従って第1、第2、及び第3の画像を生成及び転写した後で、意図的なオフセット及びさらなる意図的なオフセットを、第1の方向とは異なる第2の方向において行うことを含む。
【0010】
本発明の実施形態によれば、印刷アセンブリ及びプロセッサを含むシステムが提供される。印刷アセンブリは、(i)印刷システムの可動中間転写体(ITM)上の第1の位置に第1の画像を生成し、第1の画像を第1の基板に転写するためにITMを移動することと、(ii)第1の位置とは異なる第2の位置において第2の画像を生成し、第2の画像を第2の基板に転写するためにITMを移動することと、を行うように構成されている。プロセッサは、(i)第1の位置に対する第2の位置の意図的なオフセットを指定することと、(ii)第2の画像を第2の基板に転写するときにオフセットを少なくとも部分的に補償するであろうITMの移動を計算することと、(iii)印刷アセンブリを制御して、第2の画像を第2の基板に転写するために、計算された移動に従ってITMを移動することと、を行うように構成されている。
【0011】
本発明は、図面と併せて、本発明の実施形態の以下の詳細な説明からより十分に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態によるデジタル印刷システムの概略側面図である。
図2A】本発明の実施形態による、デジタル印刷システムの中間転写体(ITM)上での記憶効果の出現の概略図である。
図2B】本発明の実施形態による、デジタル印刷システムの中間転写体(ITM)上での記憶効果の出現の概略図である。
図2C】本発明の実施形態による、デジタル印刷システムの中間転写体(ITM)上での記憶効果の出現の概略図である。
図2D】本発明の実施形態による、デジタル印刷システムの中間転写体(ITM)上での記憶効果の出現の概略図である。
図3】本発明の実施形態による、画像をターゲット基板に転写するときに、ITM上に生成された画像の位置におけるオフセットを補償するための装置の概略側面図である。
図4】本発明の実施形態による、ITMを有するデジタル印刷システムにおける記憶効果を減らすための方法を概略的に例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
概要
印刷システムの中には中間転写体を有するものがある。中間転写体は、画像を受け取って、その画像をターゲット基板に転写するように構成されている。場合によっては、中間転写体上で生成される特定の画像の多数のコピー(たとえば、数1000)を含む印刷バッチの場合、中間転写体上の画像の痕の望ましくない形成が引き起こされることがあり、その結果、画像シルエットが他の画像の印刷(たとえば、次の印刷バッチ)に現れることがある。この現象は、本明細書では「記憶」または「ゴースト印刷」とも言い、同じ中間転写体を使用して印刷される後続画像の品質を低下させる場合がある。
【0014】
原理的には、中間転写体の頻繁な交換プロセス及び/または広範囲の洗浄プロセスによって、後続の印刷における記憶の出現を減らすことは可能である。しかし、このような作業によって、印刷システムの利用率及び生産性が低下し、また大量の化学物質及び中間転写体が廃棄物になる。
【0015】
以下に説明する本発明の実施形態によって、中間転写体を使用したデジタル印刷プロセスにおける記憶の出現を減らすための効率的な方法及びシステムが提供される。
【0016】
いくつかの実施形態では、デジタル印刷システムは、印刷アセンブリであって、(i)中間転写体(ITM)の表面に印刷流体の液滴を適用(たとえば、インク滴を噴射)して、その上に画像を生成するように構成された画像形成ステーションと、(ii)画像をITMからターゲット基板(たとえば、シート)に転写するように構成されたインプレッションステーションと、(iii)(a)画像形成ステーションからインク滴を受け取ることによって画像を生成するため、及び(b)画像をシートに転写するために、ITMを移動するように構成されたITMモジュールと、を有する印刷アセンブリを含む。デジタル印刷システムはさらに、印刷アセンブリを制御するように構成されたプロセッサを含む。
【0017】
本例では、ITMは、エンドレスループ内に形成されたフレキシブル部材であって、(a)複数のパネル(各パネルは画像を受け取ることが意図されている)と、(b)画像を受け取ることが意図されていない1つ以上のセクションと、を有するフレキシブル部材を含む。ITMモジュールは、ITMを複数の回転で回転させるように構成されており、各パネル及び各回転において、プロセッサは、印刷アセンブリを制御して、画像を生成し、続いて画像をシートに転写することで、次の回転で、所与のパネルが次の画像を受け取れる状態になる。
【0018】
いくつかの実施形態では、パネルの中の所与のパネルに対して、プロセッサは印刷アセンブリを制御して、(i)第1の回転中に、ITM上の第1の位置に第1の画像を生成し、第1の画像を第1のシートに転写するためにITMを移動することと、(ii)所与のパネル上で、第2の後続の回転中に、第1の位置とは異なる第2の位置に第2の画像を生成し、第2の画像を第2のシートに転写するためにITMを移動することと、を行うように構成されている。
【0019】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、(i)第1の位置に対する第2の位置の意図的なオフセットを指定することと、(ii)第2の画像を第2の基板に転写するときにオフセットを補償するであろうITMの移動を計算することと、(iii)印刷アセンブリを制御して、第2の画像を第2の基板に転写するために、計算された移動に従ってITMを移動することと、を行うように構成されている。なお、ITM上の望ましくない記憶痕跡は、ITMの異なる回転中に所与のパネル上に生成される画像の位置を変えることによって減ることに留意されたい。
【0020】
いくつかの実施形態では、ITMの引き続いて起こる回転間に各パネルにオフセットを適用することに加えて、プロセッサは、ITMの異なるパネル間で画像の相対位置をシフトさせるために同じ技術を適用するように構成されている。たとえば、11個のパネルを有するITMにおいて、プロセッサは、各隣接するパネル対上に生成されるそれぞれの画像対に対して、前述した技術を適用してもよい。各対において、画像は、本明細書では、「先行」パネル及び「後続」パネル上にそれぞれ生成される「先行」画像及び「後続」画像と言う。この実施形態例では、プロセッサは印刷アセンブリを制御して、先行画像の位置に対して後続画像の位置を、約60μmのオフセットだけシフトさせる。したがって、前述の所与のパネルでは、第2の回転において生成される第2の画像は、第1の回転において生成された第1の画像の位置に対して約660μmのオフセット(すなわち、約60μmの11シフト)に位置決めされる。
【0021】
開示した技術によって、(i)中間転写体を有するデジタル印刷システムにおいて印刷される画像の品質、(ii)このようなシステムの生産性、及び(iii)環境の清浄度に対するこのような印刷プロセスの影響が改善される。
【0022】
システムの説明
図1は、本発明の実施形態によるデジタル印刷システム10の概略側面図である。いくつかの実施形態では、システム10は、画像形成ステーション60、乾燥ステーション64、インプレッションステーション84、及びブランケット処理ステーション52を通って循環する回転フレキシブルブランケット44を含む。本発明の文脈及び特許請求の範囲において、用語「ブランケット」及び「中間転写体(ITM)」は交換可能に使用され、エンドレスループ内に形成される中間転写体として使用される1つ以上の層を含むフレキシブル部材を指す。エンドレスループは、以下で詳細に後述するように、たとえば画像形成ステーション60からインク画像を受け取り、インク画像をターゲット基板に転写するように構成されている。
【0023】
動作モードでは、画像形成ステーション60は、ブランケット44の表面の上段ラン上にデジタル画像42のミラーインク画像(本明細書では、「インク画像」(図示せず)または簡略にするために「画像」とも言う)を形成するように構成されている。その後、インク画像は、ブランケット44の下段ランの下に配置されたターゲット基板(たとえば、紙、折り畳みカートン、多層ポリマー、またはシートまたは連続的なウェブの形態の任意の好適なフレキシブルパッケージ)に転写される。
【0024】
本発明の文脈において、用語「ラン」は、ブランケット44が案内される任意の2つの所与のローラ間のブランケット44の長さまたはセグメントを指す。
【0025】
いくつかの実施形態では、取り付け中に、ブランケット44は、シーム部分(本明細書ではシーム45とも言う)を使用してエッジ間で接着してもよく、これにより、連続的なブランケットループ(本明細書では閉ループとも言う)が形成される。シームを取り付けるための方法及びシステムの例は、米国特許出願公開第2020/0171813号に詳細に記載されている。なおこの文献の開示は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0026】
いくつかの実施形態では、画像形成ステーション60は通常、複数の印刷バー62を含み、各印刷バー62は、ブランケット44の上段ランの表面の上方の固定された高さに位置決めされたフレーム(図示せず)上に取り付けられている。いくつかの実施形態では、各印刷バー62は、ブランケット44上の印刷領域と同じ幅の印刷ヘッドのストリップを含み、以下で詳細に説明するように、インク及び他の種類の印刷流体をブランケット44に噴射するように構成された個別に制御可能な印刷ノズルを含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、画像形成ステーション60は、任意の好適な数の印刷バー62(本明細書では、簡略にするためにバー62とも言う)を含んでいてもよい。各バー62は、異なる色の水性インクなどの印刷流体を含んでいてもよい。インクは通常、シアン、マゼンタ、赤色、緑色、青色、黄色、黒色、及び白色などの可視色を有するが、これらに限定されない。図1の例では、画像形成ステーション60は7つの印刷バー62を含んでいるが、たとえば、シアン(C)、マゼンタ(M)、黄色(Y)、及び黒色(K)などの任意の選択された色を有する4つの印刷バー62を含んでいてもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、印刷ヘッドは、異なる色のインク滴をブランケット44の表面上に噴射して、ブランケット44の表面上にインク画像(図示せず)を形成するように構成されている。本例では、ブランケット44をシステム10のXYZ座標系のX軸に沿って移動し、インク滴は、印刷ヘッドによって、通常は座標系のZ軸と平行に送られる。
【0029】
いくつかの実施形態では、異なる印刷バー62が、移動軸(本明細書では、(i)ブランケット44の移動方向94または(ii)印刷方向とも言う)に沿って、互いに離間に配置されている。本例では、ブランケット44の移動方向はX軸と平行であり、各印刷バー62はシステム10のXYZ座標のY軸に沿って延びている。この構成では、X軸に沿ったバー62間の正確な間隔、及び各バー62のインクの液滴を送ることとブランケット44を移動することとの間の同期化が、画像パターンの正しい配置を可能にするためには必須である。
【0030】
本開示の文脈及び特許請求の範囲において、用語「色間パターン配置」、「パターン配置精度」、「色間位置合わせ」、「C2C位置合わせ」、「色間の位置差」、「バー間位置合わせ」、及び「色位置合わせ」は、交換可能に使用され、2つ以上の色の互いに対する任意の配置精度を指す。
【0031】
いくつかの実施形態では、システム10は、ヒーター66、たとえば、任意の好適な温度でガスもしくは空気を流すための高温ガスもしくは空気ブロワ及び/またはガスもしくは空気ブロワを有する赤外線ベースのヒーターを含む。ヒーター66は、印刷バー62の間に位置決めされ、ブランケット44の表面上に付着したインク滴を部分的に乾燥させるように構成されている。この印刷バー間の空気流は、たとえば、(i)印刷ヘッドの表面における凝縮を減らすこと、及び/またはサテライト(たとえば、主なインク滴の周りに分布する残留物または小さい液滴)を取り扱うこと、及び/または(ii)印刷ヘッドのインクジェットノズルのオリフィスの目詰まりを防止すること、及び/または(iii)ブランケット44上の異なる色のインクの液滴が互いに望ましくないほど溶け込むのを防止することを助け得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、システム10は乾燥ステーション64を含む。乾燥ステーション64は、赤外線放射及び冷却用空気(または他のガス)を送り、及び/または高温空気(または他のガス)をブランケット44の表面上に吹き付けるように構成されている。いくつかの実施形態では、乾燥ステーション64は、赤外線ベースの照明アセンブリ(図示せず)及び/または空気ブロワ68または任意の他の好適な乾燥装置を含んでいてもよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、乾燥ステーション64において、ブランケット44上に形成されたインク画像は、インクをより完全に乾燥させるために放射線及び/または高温空気に暴露され、液体キャリアの大部分または全部を蒸発させ、粘着性のインク被膜になる時点まで加熱された樹脂と着色剤の層のみを後に残す。
【0034】
いくつかの実施形態では、システム10は、ブランケット44などの回転フレキシブルITMを含むブランケットモジュール70(本明細書ではITMモジュールとも言う)を含む。いくつかの実施形態では、ブランケットモジュール70は、1つ以上のローラ78を含む。ローラ78のうちの少なくとも1つは、モーションエンコーダ(図示せず)を含む。モーションエンコーダは、それぞれの印刷バー62に対するブランケット44のセクションの位置を制御するために、ブランケット44の位置を記録するように構成されている。いくつかの実施形態では、1つ以上のモーションエンコーダは、さらなるローラ及びシステム10の他の移動コンポーネントと一体化されていてもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、前述のモーションエンコーダは通常、それぞれのローラの角変位を示す回転ベースの位置信号を生成するように構成された少なくとも1つのロータリーエンコーダを含む。なお、本発明の文脈及び特許請求の範囲において、用語「を示す(indicative of)」及び「表示(indication)」は交換可能に使用されることに留意されたい。
【0036】
それに加えてまたはその代わりに、ブランケット44は、システム10の種々のモジュールの動作を制御するための統合エンコーダ(図示せず)を含んでいてもよい。統合モーションエンコーダの1つの実施態様は、たとえば、PCT国際公開第WO2020/003088号に詳細に記載されている。なおこの文献の開示は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0037】
いくつかの実施形態では、ブランケット44は、ローラ76、78及び本明細書に記載の他のローラ、ならびに動力付きテンショニングローラ(本明細書ではダンサーアセンブリ74とも言う)上を案内される。ダンサーアセンブリ74は、ブランケット44におけるたるみの長さを制御するように構成されており、その動きは、図1において双方向矢印によって概略的に示されている。さらに、経年変化によるブランケット44のわずかな伸張も、システム10のインク画像配置性能には影響せず、ダンサーアセンブリ74に張力をかけることによってより多くのたるみを取り上げる必要があるだけである。
【0038】
いくつかの実施形態では、ダンサーアセンブリ74は電動であってもよい。ローラ76及び78の構成及び動作は、たとえば、米国特許出願公開第2017/0008272号及び前述のPCT国際公開第WO2013/132424号により詳細に記載されている。なおこれらの文献の開示は、参照により本明細書にすべて組み込まれている。
【0039】
いくつかの実施形態では、システム10は、ブランケット張力駆動ローラ(BTD)99とブランケット制御駆動ローラ(BCD)77とを含んでいる。これらは、それぞれ第1及び第2のモータ(通常は電動モータ(図示せず))によって駆動され、それら自身の第1及び第2の軸の周りにそれぞれ回転するように構成されている。
【0040】
いくつかの実施形態では、システム10は、ブランケット44に沿った1つ以上の位置に配置された1つ以上の張力センサ(図示せず)を含んでいてもよい。張力センサは、ブランケット44内に組み込んでもよいし、またはブランケット44に印加される機械的張力を示す信号を取得する任意の他の好適な技術を使用して、ブランケット44の外部にセンサを含んでもよい。いくつかの実施形態では、システム10のプロセッサ20及びさらなるコントローラは、ブランケット44に印加される張力をモニタリングして、ダンサーアセンブリ74の動作を制御するように、張力センサによって生成された信号を受け取るように構成されている。
【0041】
インプレッションステーション84では、ブランケット44は、圧縮可能ブランケット(図3で以下に示す)を搬送するように構成された、インプレッションシリンダ82と圧力シリンダ90との間を通る。いくつかの実施形態では、モーションエンコーダは、インプレッションシリンダ82及び圧力シリンダ90のうちの少なくとも一方と一体化されている。
【0042】
いくつかの実施形態では、システム10は制御コンソール12を含む。制御コンソール12は、システム10の複数のモジュール、たとえば、ブランケットモジュール70、ブランケットモジュール70の上方に配置された画像形成ステーション60、及び基板搬送モジュール80を制御するように構成されている。基板搬送モジュール80は、ブランケットモジュール70の下方に配置され、後述するように1つ以上のインプレッションステーションを含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、コンソール12はプロセッサ20(通常は、汎用プロセッサ)を含む。プロセッサ20は、ダンサーアセンブリ74のコントローラ及びコントローラ54とケーブル57を介してインターフェースし、そこから信号を受け取るための好適なフロントエンド及びインターフェース回路を有する。それに加えてまたはその代わりに、コンソール12は、任意の好適なタイプの特定用途向け集積回路(ASIC)及び/またはデジタル信号プロセッサ(DSP)及び/または任意の他の好適な種類の処理ユニットであって、システム10において処理されるデータに対する任意の種類の処理を行うように構成されたものを含んでいてもよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、コントローラ54(単一デバイスとして概略的に示す)は、システム10上の所定の場所に取り付けられた1つ以上の電子モジュールを含んでいてもよい。コントローラ54の電子モジュールのうちの少なくとも1つは、システム10の種々のモジュール及びステーションを制御するように構成された、制御回路またはプロセッサ(図示せず)などの電子デバイスを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、プロセッサ20及び制御回路は、印刷システムによって使用される機能を行い、ソフトウェア用のデータをメモリ22に記憶するように、ソフトウェアにおいてプログラムしてもよい。ソフトウェアは、プロセッサ20及び制御回路に、たとえばネットワークを介して電子的形態でダウンロードしてもよいし、または光、磁気、または電子メモリ媒体などの非一時的な有形媒体に提供してもよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、コンソール12はディスプレイ34を含む。ディスプレイ34は、プロセッサ20から受け取ったデータ及び画像、または入力デバイス40を使用してユーザ(図示せず)によって挿入された入力を表示するように構成されている。いくつかの実施形態では、コンソール12は、任意の他の好適な構成を有していてもよく、たとえば、コンソール12及びディスプレイ34の代替的な構成が、米国特許第9,229,664号に詳細に記載されている。なおこの文献の開示は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0046】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、ディスプレイ34に、画像42の1つ以上のセグメント(図示せず)を含むデジタル画像42、及び/またはメモリ22に記憶してもよい種々のタイプのテストパターンを表示するように構成されている。
【0047】
いくつかの実施形態では、ブランケット処理ステーション52(本明細書では、冷却ステーションとも言う)は、ブランケットの処理を、たとえば、それを冷却すること、及び/またはブランケット44の外面に処理流体を適用すること、及び/またはブランケット44の外面を洗浄することによって行うように構成されている。ブランケット処理ステーション52では、ブランケット44が画像形成ステーション60内に入る前に、ブランケット44の温度を所望の温度レベルまで下げることができる。処理は、ブランケットの外面に冷却及び/または洗浄及び/または処理流体を適用するように構成された1つ以上のローラまたはブレード上にブランケット44を通すことによって行ってもよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、ブランケット処理ステーション52は、印刷バー62に隣接して位置決めされた1つ以上のバー(図示せず)をさらに含んで、これにより、処理流体を、それに加えてまたはその代わりに、噴射によってブランケット44に適用し得るようになっていてもよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、ブランケット44の温度をモニタリングし、ブランケット処理ステーション52の動作を制御するように、たとえば温度センサ(図示せず)から、ブランケット44の表面温度を示す信号を受け取るように構成されている。このような処理ステーションの例は、たとえば、PCT国際公開第WO2013/132424号及び第WO2017/208152号に記載されている。なおこれらの文献の開示は、参照により本明細書にすべて組み込まれている。
【0050】
図1の例では、ステーション52は、インプレッションステーション84と画像形成ステーション60との間に取り付けられているが、ステーション52は、インプレッションステーション84と画像形成ステーション60との間の任意の他のまたはさらなる1つ以上の好適な場所において、ブランケット44に隣接して取り付けてもよい。前述したように、ステーション52は、それに加えてまたはその代わりに、画像形成ステーション60に隣接するバーに取り付けてもよい。
【0051】
図1の例では、インプレッションシリンダ82及び圧力シリンダ90は、入力スタック86から出力スタック88までインプレッションステーション84を介して基板搬送モジュール80によって搬送される個別シート50などのターゲットフレキシブル基板上に、インク画像を圧印する。本例では、ロータリーエンコーダ(図示せず)が、インプレッションシリンダ82と一体化されている。
【0052】
いくつかの実施形態では、ブランケット44の下段ランは、インプレッションステーション84においてインプレッションシリンダ82と選択的に相互作用して、圧力シリンダ90の圧力の作用によってブランケット44とインプレッションシリンダ82との間で圧縮されたターゲットフレキシブル基板上に画像パターンを圧印する。図1に示す片面印刷機(すなわち、シート50の片側に印刷する)の場合、1つのインプレッションステーション84のみが必要である。
【0053】
他の実施形態では、モジュール80は、1つ以上の両面印刷を可能にするために、2つ以上のインプレッションシリンダ(図示せず)を含んでいてもよい。2つのインプレッションシリンダの構成により、両面印刷を印刷する速度の2倍の速度で片面印刷を行うことも可能になる。加えて、片面印刷及び両面印刷の混在ロットを印刷することもできる。代替的な実施形態では、連続的なウェブ基板上に印刷するために、異なる構成のモジュール80を使用してもよい。両面印刷システム及び連続的なウェブ基板上に印刷するためのシステムの詳細な説明及び種々の構成は、たとえば、米国特許第9,914,316号及び第9,186,884号、PCT国際公開第WO2013/132424号、米国特許出願公開第2015/0054865号、及び米国仮出願第62/596,926号に示されている。なおこれらの文献の開示は、参照により本明細書にすべて組み込まれている。
【0054】
前述で簡単に述べたように、シート50または連続的なウェブ基板(図示せず)は、モジュール80によって入力スタック86から運ばれ、インプレッションシリンダ82と圧力シリンダ90との間に配置されたニップ(図示せず)を通る。ニップ内では、インク画像を保持するブランケット44の表面は、たとえば、圧力シリンダ90の圧縮可能ブランケットによって、シート50に(または他の好適な基板に)しっかりと押圧され、これにより、インク画像は、シート50の表面上に圧印され、ブランケット44の表面からきれいに分離される。その後、シート50は出力スタック88に搬送される。
【0055】
図1の例では、ローラ78は、ブランケット44の上段ランに位置決めされて、ブランケット44を、画像形成ステーション60に隣接して通るときにピンと張った状態に維持するように構成されている。さらに、画像形成ステーション60によりブランケット44の表面上に画像を形成するために、画像形成ステーション60の下方でブランケット44の速度を制御して、インク滴の正確な噴射及び付着を得ることが特に重要である。
【0056】
いくつかの実施形態では、インプレッションシリンダ82は、移動するブランケット44から、ブランケット44とインプレッションシリンダ82との間を通るターゲット基板にインク画像を転写するために、ブランケット44と周期的に嵌合して、ブランケット44から嵌合解除される。いくつかの実施形態では、システム10は、上段ランをピンと張った状態に維持し、ブランケット44の上段ランを、下段ランにおいて生じる機械的振動による影響から実質的に分離するように、前述のローラ及びダンサーアセンブリを使用してブランケット44にトルクを印加するように構成されている。
【0057】
いくつかの実施形態では、システム10は、画質制御ステーション55(本明細書では、自動品質管理(AQM)システムとも言う)を含む。これは、システム10に組み込まれた閉ループ検査システムとして機能する。いくつかの実施形態では、画質制御ステーション55は、図1に示したように、インプレッションシリンダ82に隣接して位置決めしてもよいし、またはシステム10内の任意の他の好適な場所に位置決めしてもよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、画質制御ステーション55はカメラ(図示せず)を含む。カメラは、シート50上に印刷された前述のインク画像の1つ以上のデジタル画像を取得するように構成されている。いくつかの実施形態では、カメラは、接触型画像センサ(CIS)または相捕型金属酸化膜半導体(CMOS)画像センサなどの任意の好適な画像センサ、及び約1メートルの幅または任意の他の好適な幅を有するスリットを含むスキャナを含んでいてもよい。
【0059】
本開示の文脈及び特許請求の範囲において、任意の数値または範囲に対する用語「約」または「ほぼ」は、部品またはコンポーネントの集合が本明細書に記載するようなその使用目的のために機能できるようにする好適な寸法許容差を示す。
【0060】
いくつかの実施形態では、ステーション55は、シート50上に印刷されたインクの品質をモニタリングするように構成された分光光度計(図示せず)を含んでいてもよい。
【0061】
いくつかの実施形態では、ステーション55によって取得されたデジタル画像は、それぞれの印刷画像の品質を評価するように構成されたプロセッサ、たとえば、プロセッサ20またはステーション55の任意の他のプロセッサに送信される。コントローラ54から受け取った評価及び信号に基づいて、プロセッサ20は、システム10のモジュール及びステーションの動作を制御するように構成されている。本発明の文脈及び特許請求の範囲において、用語「プロセッサ」は、ステーション55に接続されているかまたはステーション55と一体化されたプロセッサ20または任意の他のプロセッサまたはコントローラなどの任意の処理ユニットを指す。これは、ステーション55のカメラ及び/または分光光度計から受け取った信号を処理するように構成されている。なお、本明細書に記載の信号処理動作、制御関連の命令、及び他の計算演算は、単一のプロセッサによって実行してもよいし、または1つ以上の個々のコンピューターの複数のプロセッサ間で共有してもよいことに留意されたい。
【0062】
いくつかの実施形態では、ステーション55は、種々の属性をモニタリングするために印刷画像及びテストパターンの品質を検査するように構成されている。属性は、たとえば、限定することなく、シート50との完全な画像位置合わせ(本明細書では、画像対基板位置合わせとも言う)、色間(C2C)位置合わせ、印刷された形状、画像均一性、色のプロファイル及び線形性、及び印刷ノズルの機能性である。いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、前述の属性のうちの1つ以上における幾何学的な歪みまたは他の誤差を自動的に検出するように構成されている。
【0063】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、検出された歪みを補償するために、誤動作するモジュールに修正処置を適用し、及び/またはシステム10の他のモジュールまたはステーションに命令を送るために、検出された歪みを分析するように構成されている。
【0064】
いくつかの実施形態では、システム10は、テスティングマーク(図示せず)または他の好適な特徴を、たとえばシート50の面取りまたは縁に印刷してもよい。テスティングマークの画像を取得することによって、ステーション55は、種々のタイプの歪みを測定するように構成されている。歪みは、たとえば、C2C位置合わせ、画像対基板位置合わせ、色間の異なる幅(本明細書では「バー間の幅デルタ」または「色間幅差異」と言う)、種々のタイプの局所的な歪み、及び前後の位置合わせエラー(両面印刷における)である。いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、(i)たとえば、拒否トレイ(図示せず)に、第1の所定の閾値セットを超える歪みを有するシート50を選別すること、(ii)第2の、より低い所定の閾値セット(複数可)を超える歪みを有するシート50に対する修正処置を開始すること、及び(iii)軽微な歪み(たとえば、第2の閾値セットを下回る)を有するシート50を、出力スタック88に出力すること、を行うように構成されている。
【0065】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20、ステーション55の分光光度計から受け取った信号に基づいて、印刷された色のプロファイル及び線形性におけるずれを検出するように構成されている。
【0066】
いくつかの実施形態では、ステーション55のプロセッサは、たとえば、歪みの密度が規定の閾値を超えた場合に、システム10の動作を停止するか否かを決定するように構成されている。ステーション55のプロセッサはさらに、前述したように、システム10のモジュール及びステーションのうちの1つ以上において修正処置を開始するように構成されている。いくつかの実施形態では、修正処置は、印刷動作を停止して、システム10のそれぞれのモジュール及び/またはステーションにおける問題を修復することによって、オンザフライ(システム10が印刷プロセスを続ける間)またはオフラインで行ってもよい。他の実施形態では、システム10の任意の他のプロセッサまたはコントローラ(たとえば、プロセッサ20またはコントローラ54)は、歪みの密度が規定の閾値を超えた場合に、修正処置を開始するかまたはシステム10の動作を停止するように構成されている。
【0067】
それに加えてまたはその代わりに、プロセッサ20は、たとえば、ステーション55から、システム10の印刷プロセスにおけるさらなるタイプの歪み及び問題を示す信号を受け取るように構成されている。これらの信号に基づいて、プロセッサ20は、パターン配置精度のレベル及び前述していないさらなるタイプの歪み及び/または欠陥を自動的に推定するように構成されている。他の実施形態では、シート50(または前述した任意の他の基板)上に印刷されたパターンを検査するための任意の他の好適な方法を、たとえば、外部の(たとえば、オフラインの)検査システム、または任意のタイプの測定治具及び/またはスキャナを使用して、使用することもできる。これらの実施形態では、外部検査システムから受け取った情報に基づいて、プロセッサ20は、任意の好適な修正処置を開始し及び/またはシステム10の動作を停止するように構成されている。
【0068】
システム10の構成は、本発明を明確にするために、簡略化して単なる一例として示している。前記の印刷システム10において記載されているコンポーネント、モジュール、及びステーション、ならびにさらなるコンポーネント及び構成は、以下の文献に詳細に記載されている。たとえば、米国特許第9,327,496号及び第9,186,884号、PCT国際公開第WO2013/132438号、第WO2013/132424号及び第WO2017/208152号、米国特許出願公開第2015/0118503号及び第2017/0008272号である。なおこれらの文献の開示は、参照により本明細書にすべて組み込まれている。
【0069】
システム10の特定の構成を、本発明の実施形態によって対処される特定の問題を例示し、このようなシステムの性能を向上させる際のこれらの実施形態の適用を示すために、一例として示す。しかし、本発明の実施形態は、この特定の種類のシステム例に決して限定されず、本明細書に記載の原理は、任意の他の種類の印刷システムに同様に適用され得る。
【0070】
ブランケット上での記憶効果の出現の低減
図2Aは、本発明の実施形態による、システム10のブランケット44上での記憶効果の出現の概略図である。
【0071】
いくつかの実施形態では、ブランケット44は複数のパネル11を含み、各パネル11は、前述の図1で詳細に説明したように画像を受け取ることが意図されている。ブランケット44はさらに、1つ以上のセクション13を含む。セクション13は、画像を受け取ることは意図されておらず、前述の図1で説明した印刷プロセスを支援するために使用される種々のタイプのパターンを有する場合がある。なお、パネル11もブランケット44の(画像を受け取ることが意図されている)セクションであるが、画像を受け取ることが意図されていない「セクション13」に対して区別するために、本明細書では「パネル」と言うことに留意されたい。
【0072】
本例では、各セクション13は、所定の位置に、マーカー15を含む。マーカー15は、前述の図1に記載したシステム10のステーション及びアセンブリに対するブランケット44の移動を制御するための基準位置として機能し得る。また、シーム45(インクの液滴を受け取ることは意図されていない)が、セクション13のうちの1つにおいて位置決めされている。なお、図2Aにおいて、ブランケット44のX軸に沿ったパネル11及びセクション13のサイズは、一定の割合ではないことに留意されたい。本例では、X軸に沿ったパネル11及びセクション13のサイズ間の比は、約8であってもよいし(たとえば、パネル11は長さが約940mmで、一方でセクション13は長さが約190mm)、またはたとえば5~20の任意の他の好適な比であってもよい。
【0073】
本開示の文脈及び特許請求の範囲において、任意の数値または範囲に対する用語「約」または「ほぼ」は、部品またはコンポーネントの集合が本明細書に記載するようなその使用目的のために機能できるようにする好適な寸法許容差を示す。
【0074】
場合によっては、印刷ジョブ(本明細書では、印刷バッチとも言う)は、ブランケット44上に生成された特定の画像の多数(たとえば、数千またはそれ以上)のコピーを含むが、ブランケット44上に画像の痕の望ましくない形成を引き起こし得る。ブランケット44の表面上に痕が形成される結果、画像のシルエットが、他の画像の後続の印刷において、たとえば次の印刷バッチにおいて、現れる場合があることになり得る。この望ましくない現象は、本明細書では、各パネル11上に現れ得る「記憶効果」または「記憶」または「ゴースト印刷」とも言い、図2Aの例では記憶16として示している。そのような場合、記憶16のシルエットが、後続画像の後続のバッチ(たとえば、印刷ジョブ)においてシート50上に印刷されることがあり、したがって、ブランケット44の同じピースを使用して印刷される後続画像の品質が低下する場合がある。なお、記憶16は通常、ブランケット44のすべてのパネル11において現れるが、表示及び概念的に明確にするために、記憶16は図2Aでは1つのパネル11上にのみ現れていることに留意されたい。
【0075】
記憶効果及び出現の大きさは、種々の要因の影響を受け得る。たとえば、限定することなく、ブランケット回転数(下図2Bに記載される)及び印刷ジョブにおける画像のコピー数、インクタイプ(たとえば、配合)、色及びブランケット温度、画像内の異なるインク色のカバー範囲レベル(たとえば、カバー範囲が60%K、60%C、60%M、及び60%Yである画像は通常、カバー範囲が40%C、27%M、及び27%Yである画像と比べて記憶効果が大きい)、ブランケット処理プロセス、ブランケット処理ステーション52において使用される温度及び化学物質、印刷プロセスにおいて発生する種々のタイプの位置合わせ誤差の大きさ、ブランケット44上に形成される画像の均一性、ブランケット44のサービス時間及び経年変化、ターゲット基板のタイプ(たとえば、未コーティングのシート50、コーティングされたシート50または連続的なウェブの層構造)、及び他のシステム関連の及びプロセス関連のパラメータである。たとえば、2つのシステム10間の記憶効果を比較した場合、画像均一性が良好であり位置合わせ誤差が小さいシステムの方が、記憶効果が大きいと予想される。
【0076】
図2Bは、本発明の実施形態により、ブランケット44のそれぞれの個々の回転中に生成される画像の各コピーに意図的なオフセットを適用したときの、ブランケット44上での記憶効果の出現の概略図である。
【0077】
以下の実施形態を説明する目的で、システム10は、画像形成ステーション60、インプレッションステーション84、及びブランケットモジュール70を組み込んだ印刷アセンブリを含む。本例では、印刷アセンブリはプロセッサ20によって制御される。前述の図1で説明したように、ブランケット44は、エンドレスループ内に形成されたフレキシブル部材を含む。また、前述の図2Aで説明したように、記憶の痕は通常、ブランケット44のすべてのパネル11において現れるが、表示及び概念的に明確にするために、本明細書に記載の記憶の痕は、図2Bでは1つのパネル11(図2Bでは「所与のパネル11」とも言う)上にのみ現れている。
【0078】
いくつかの実施形態では、ブランケットモジュール70は、ブランケット70を複数の回転で回転させるように構成されており、各パネル11及び各回転において、プロセッサ20は、印刷アセンブリを制御して、画像のコピーを生成し、続いて画像をパネル11からシート50に転写する。その後、ブランケット44は、ブランケット処理ステーション52において種々のプロセスを経ることで、次の回転において、同じパネル11が、画像の次のコピーを生成するためのインク滴を画像形成ステーション60から受け取れる状態になる。
【0079】
ブランケット44の所与のパネル11の例では、プロセッサ20は、印刷アセンブリを制御して、第1の回転中に、ブランケット44上の第1の位置に第1の画像を生成し、続いて、ブランケット44を移動方向94に移動して、第1の画像を(前述の図1に示したように入力スタック86から受け取った)第1のシート50に転写するように構成されている。図2Bに示したように、第1の画像を第1のシート50に転写した後、記憶16aの望ましくない痕跡または痕がブランケット44上に残る。
【0080】
ここから
いくつかの実施形態では、ブランケット44の第2の後続の回転中に、プロセッサ20は、印刷アセンブリを制御して、所与のパネル11上で、前述した第1の画像の第1の位置とは異なる第2の位置に第2の画像を生成するように構成されている。その後、プロセッサ20は、印刷アセンブリを制御して、ブランケット44を移動方向94に移動して、第2の画像を、前述の図1に示したように入力スタック86から受け取った後続の第2のシート50に転写する。
【0081】
図2Bの例では、第2の画像を第2のシート50に転写した後、記憶16bの望ましくない痕がブランケット44上に残る。図2Bに示したように、プロセッサ20は、印刷アセンブリを制御して、ブランケット44の後続の回転において同じ技術を適用し、各回転では、ブランケット44上に、第3の回転において生成される記憶16cのようなさらなる記憶16が望ましくないほど生成される。
【0082】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、第1の位置に対して第2の位置の意図的なオフセット18を指定するように構成されている。図2Bの例では、意図的なオフセットを、第1及び第2の画像の位置にそれぞれ対応する記憶16a及び16bの間に示す。
【0083】
いくつかの実施形態では、図2Bの例に示したように、記憶16bの位置は記憶16aの位置と少なくとも部分的に重なっている。しかし、他の実施形態では、プロセッサ20はオフセット18を十分に大きく設定して、記憶16a及び16bの痕跡が互いに分離されて現れ得るようにしてもよい。なお、記憶の出現は、ブランケット44の個々の回転中に所与のパネル11の表面上に生成される画像間の重なり量によって判定されることに留意されたい。図2Aに示したように、記憶16の大きさは、図2Bの記憶16a~16cのそれと比べて実質的に大きい。
【0084】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、画像形成ステーション60を制御して、最初に意図された噴射時間に対して所定の遅延で、パネル11の表面にインク滴を塗布(たとえば、噴射)することによって、オフセット18を実施するように構成されている。このような実施形態では、ブランケットが方向94に移動する場合、噴射を遅延させると、図2Bに示したように、痕跡記憶16bが記憶16aの右側に出現する。同様に、プロセッサ20は、画像形成ステーションを制御して、インク滴の噴射を前進させてもよい。言い換えれば、インク滴を最初に意図された噴射時間よりも早く噴射させて、記憶16bの痕跡が記憶16aの左側に(図2Bに示したように、記憶16aに対する記憶16bの位置と反対側に)現れ得るようにしてもよい。
【0085】
本開示の文脈において、用語「最初に意図された」は、それぞれのパネル11上に生成される所与の画像の位置をずらすことなくインク滴の指定された噴射時間を指す。
【0086】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、第2の画像を第2のシート50に転写するときに少なくとも部分的に、通常は完全にオフセットを補償するであろうブランケット44の移動を計算するように構成されている。このような実施形態の一実施態様について、以下の図3で詳細に説明する。プロセッサ20は、印刷アセンブリを制御して、計算された移動に従ってブランケット44を移動し、画像対基板の位置合わせ誤差を引き起こすことなく第2の画像を第2のシート50に転写するように構成されている。
【0087】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、ブランケット44が回転するたびに各パネル11上に生成される各画像の位置を制御するために、マーカー15を使用してもよい。他の実施形態では、プロセッサ20は、ブランケット44が回転するたびに各パネル11上に生成される各画像の位置を制御するために、ブランケット44上の任意の他の基準位置(たとえば、ブランケット44の1つ以上のファイバの位置)を使用してもよい。
【0088】
図2Bの例では、プロセッサ20は、印刷アセンブリを制御して、(たとえば、第2の画像の噴射時間を遅延させることによって)第2の画像をオフセット18でシフトさせ、そして、オフセットを補償するようにブランケット44の移動を制御する(たとえば、速度を下げる)ことで、第1及び第2の画像が、同じ位置において、第1及び第2のシート50にそれぞれ転写されるようにする。補償の一実施態様の技術について、以下の図3で詳細に説明する。
【0089】
図2Bの例では、ブランケット44の異なる回転において(たとえば順次)生成される画像間の意図的なオフセット(たとえば、オフセット18)は、X軸に沿ってのみ行われる。他の実施形態では、プロセッサ20は、移動方向94と平行であってもよいし平行でなくてもよい任意の他の好適なオフセットを指定するように構成されている。X軸と平行でないオフセットの一実施態様例について、以下の図2Dで詳細に説明する。また、オフセット18は、任意の好適なサイズ(本明細書では、ステップサイズとも言う)、たとえば1μm~10mmを有していてもよい。
【0090】
前述でも部分的に述べたいくつかの実施形態では、ブランケット44上の記憶痕跡の大きさは、ブランケット44の異なる回転中に所与のパネル11上に生成される画像の位置を変えることによって小さくなる。図2A及び2Bの例では、図2Aの記憶16は、図2Bの記憶16a~16cよりも黒色(すなわち、暗い)で見えている。グレーレベルが異なっていることは、記憶16はブランケット44の表面上の痕跡が、記憶16a~16cのそれと比べてより強いことを示している。
【0091】
図2Cは、本発明の別の実施形態による、ブランケット44の異なるパネル11の表面上に生成された画像の異なるコピーに適用される意図的なオフセットの概略図である。
【0092】
いくつかの実施形態では、ブランケット44は、セクション13によってX軸に沿って分離されたパネル11a及び11bを含む。プロセッサ20は、パネル11a上に生成された第1の画像とパネル11b上に生成された第2の画像との位置を制御するために、マーカー15または任意の他の好適な基準位置を使用してもよい。
【0093】
図2Cの例では、第1及び第2の画像は、パネル11a及び11bの表面上の第1及び第2の個々の位置にそれぞれ生成され、以下で詳細に後述するように、プロセッサ20は、印刷アセンブリを制御して、第1の画像の位置に対してシフトされた位置に第2の画像を生成する。その後、ブランケット44を、第1の画像を第1のシート50に、第2の画像を第2のシート50に転写するために、印刷アセンブリによって移動する。なお、図2Cの例では、図2A及び2Bで説明したプロセスとは対照的に、第1及び第2の画像はブランケット44の同じ回転中に生成されることに留意されたい。第1及び第2の画像を転写した後、記憶23a及び23bの望ましくない痕跡が、パネル11a及び11bの表面上にそれぞれ形成される。なお、記憶23a及び23bの位置は、前述した第1及び第2の画像の位置を示すことに留意されたい。
【0094】
いくつかの実施形態では、ブランケット44は、パネル11aの左端及び右端をそれぞれ示すライン25a及び25bを含む。同様に、ライン25c及び25dは、パネル11bの左端及び右端をそれぞれ示す。図2Cの例では、記憶23aの端部はライン25aに接触しているように見えるが、第2の画像の位置に適用されたシフトによって、記憶23bは、ライン25cに対してX軸に沿ってオフセット24だけシフトしているように見える。オフセット24のシフト方向は、本明細書では、右方向(左方向とは反対)とも言う。
【0095】
前述の図2Bで説明した技術に基づいて、プロセッサ20は、パネル11b上に生成された画像をそれぞれのシート50に転写するときに、オフセット24を補償するであろうブランケット44の移動を計算するように構成されている。いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、画像対基板の位置合わせ誤差を引き起こすことなく、またはその大きさに影響を及ぼすことなく、パネル11b上に生成された画像をそれぞれのシート50に転写するように、印刷アセンブリを制御して、計算された移動に従ってブランケット44を移動するように構成されている。
【0096】
いくつかの実施形態では、ブランケットは11個のパネル(または任意の他の好適な数のパネル)を有し、プロセッサ20は、前述の図2Bで説明した技術を、それぞれの隣接するパネル対11上に生成された各画像対に適用するように構成されている。本例では、プロセッサ20は、印刷アセンブリを制御して、パネル11b内の画像の位置を、約60μmであるオフセット24だけ(または、任意の他の好適なサイズ及び方向を有する他のオフセットだけ)シフトさせる。プロセッサ20は、隣接するパネル上にそれぞれ生成された各画像対に同じ技術を適用してもよい。たとえば、(パネル11bの)第2の画像と、パネル11bに隣接してそれに続く第3のパネル(図示せず)上に生成された第3の画像との間である。
【0097】
このような実施形態では、第3の画像は、第3のパネルの左端に対して(ならびに、パネル内の第1の画像の位置に対して)(右に)、約120μmだけ(第1の画像と第3の画像との間に60μmの2つのシフトを適用することによって得られる)シフトされる。また、第1の回転の完了後、第11のパネル上に生成された第11の画像は、第11のパネルの左端に対して約600μmのオフセットに、また第1の画像の(それぞれの個々のパネル11内の)位置に対して位置決めされる。
【0098】
その後、第2の回転中にパネル11a内に生成された画像は、第1の回転中にパネル11a上に生成された第1の画像の位置に対して約660μmのオフセット(すなわち、約60μmの11シフト)に位置決めされる。言い換えれば、第2の回転中にパネル11a上に生成された画像を(それぞれのシート50)に転写した後、この画像の記憶痕跡は、記憶23aの位置に対して約660μmだけシフトされてパネル11a内に現れる。言い換えれば、ブランケット44の連続した回転中に各パネル11の表面上に生成された隣接する画像間のX軸に沿ったステップサイズは、約660μmである。
【0099】
このような実施形態では、ブランケット44の第2の回転中に生成されたすべての画像をそれぞれのシート50に転写した後、ブランケット44のすべてのパネル11における第1の記憶と第2の記憶との間のオフセットは、約660μmである。同様に、ブランケット44の第3の回転中に生成されたすべての画像をそれぞれのシート50に転写した後、ブランケット44のすべてのパネル11における第2の記憶と第3の記憶との間のオフセットも、約660μmである。
【0100】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、ブランケット44のパネル11上に生成された画像の位置をシフトさせる総量に対して、たとえばX軸に沿ったストロークサイズを規定するように構成されている。図2B及び2Cの例では、隣接するパネル間のオフセット24に等しい画像のシフトを適用するときに、プロセッサ20は、X軸に沿って約60mmのストロークサイズを規定してもよい。言い換えれば、1,000の連続するパネル11の表面上にそれぞれ生成された約1,000の連続する画像にオフセット24を適用した後、プロセッサ20は、シフト方向を反転させるように構成されている。前述の図2Bで説明したように、プロセッサ20は、最初に意図された噴射時間に対してインク滴の噴射を遅延または前進させることによって、シフト方向を制御してもよい。また、前述の図2Bで説明した技術を使用して、シフト方向を反転させることに加えて、プロセッサ20は、(a)画像をそれぞれのパネル11の表面に転写するときに、反転されたオフセットを補償するであろうブランケット44の移動を計算することと、(b)画像を個々のパネル11の表面に転写するために、印刷アセンブリを制御して、計算された移動に従ってブランケット44を移動することと、を行うように構成されている。
【0101】
なお、シート50のサイズは、印刷された製品の最終顧客の要求に基づいて変化し得ることに留意されたい。いくつかの実施形態では、累積する意図的なストロークサイズ(たとえば前述したように約60mm)の限界は、インプレッションステーション84におけるシーム45とシート50との間の嵌合を防止するために、シート50のサイズに依存する。言い換えれば、X軸に沿ったシート50のサイズが小さいほど、累積する意図的なストロークサイズが約60mmよりも大きくなる可能性がある。たとえば、計算及び実験データに基づいて、(i)X軸に沿ったシート50のサイズが約750mmである場合、最大許容ストロークサイズは約60mmから約80mmに増加する場合があり、(ii)X軸に沿ったシート50のサイズが約700mmである場合、最大許容ストロークサイズは約130mmに増加する場合があり、(iii)X軸に沿ったシート50のサイズが約650mmである場合、最大許容ストロークサイズは約180mmに増加する場合がある。
【0102】
このような実施形態では、プロセッサ20は、印刷アセンブリを制御して、各パネルにおいて約60μmの画像シフト(たとえば、オフセット24)を維持し、シフト方向を反転させる前のシフト数を増加させるように構成されている。前述した例のうちの1つでは、X軸に沿ったシート50のサイズが約650mmである場合、最大許容ストロークサイズは約180mmである。この例では、プロセッサ20は、印刷アセンブリを制御して、オフセット24を、約3,000個の連続するパネル11の表面上にそれぞれ生成された約3,000個(前述した約1,000個の代わりに)の連続する画像に適用するように構成されている。オフセット24を約3,000個に適用した後、プロセッサ20は、約3,000個の連続するパネル11の表面上にそれぞれ生成された約3,000個の連続する画像に、オフセット24を逆方向に適用するために、シフト方向を反転させるように構成されている。言い換えれば、連続する画像のストロークサイズ及び数は3倍に増加する。
【0103】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、シフト方向を反転させる前に、ストロークサイズ(たとえば、前述した例では約180mm)及び/またはそれぞれのパネル上に生成された画像の数(たとえば、前述した例では約3,000個)に閾値を適用することによって、シフト及び方向反転動作を制御するように構成されている。
【0104】
原理的には、ブランケット44の1つ以上の回転(複数可)ごとにのみ、すなわち、パネルごとに画像をシフトさせることなく、画像をシフトさせることは可能である。しかし、各回転において各パネルに対して大きなオフセット(たとえば、約660μm)まで合計する小さなシフト(たとえば、約60μm)をすべてのパネルに適用することによって、ブランケット44上の記憶効果は低下するが、システム10の画像均一性及び位置合わせ性能(たとえば、C2C及び画像対基板の位置合わせ誤差)は悪化しない。
【0105】
図2Dは、本発明の別の実施形態による、ブランケット44のパネル11cの表面上に生成された画像のそれぞれのコピーに適用される意図的なオフセットの概略図である。
【0106】
前述の図2B及び2Cで説明したように、プロセッサ20は、印刷アセンブリを制御して、X軸に沿った画像の位置を、前述の図2Bのオフセット18のような所定のオフセットでシフトさせる。
【0107】
図2Dに示す実施形態例では、プロセッサ20は、印刷アセンブリを制御して、パネル11cの表面上に生成された画像(たとえば、所与の画像のコピー)の位置を、X軸と平行以外の任意の好適な方向に、かつ以前のブランケット回転中にパネル11cの表面上に生成された以前の画像に適用されたステップサイズに対して任意の好適なステップサイズで、シフトさせるように構成されている。たとえば、画像30及び31は、ブランケット44のパネル11cの表面の第1及び第2のそれぞれの回転中に生成される。
【0108】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、印刷アセンブリを制御して、画像30の位置に対してX軸及びY軸の両方に画像31の位置をシフトさせる。より具体的には、画像31は、X軸と平行な負の方向(すなわち、X軸の矢印の方向とは反対側)に沿って、及びY軸と平行な正方向にシフトされる。その後、画像32が、たとえば、ブランケット44の次の回転において、画像30に対して画像31の同じシフト方向を維持する位置に、しかしX軸及びY軸の両方において異なるステップサイズを使用して生成される。
【0109】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、印刷アセンブリを制御して、画像33の位置を、画像32の位置に対して、X軸及びY軸の両方と平行な負の方向にシフトさせる。同じシフト方向(しかし必ずしも対応するステップサイズではない)が、画像35上の位置を含む、ブランケット44の次のそれぞれの回転において生成された次の画像の位置において維持される。
【0110】
いくつかの実施形態では、画像35の位置に対して画像36の位置をシフトさせるときに、Y軸に沿ったシフト方向が再び反転され、ブランケット44のパネル11c上に画像37が生成されるまで同じシフト方向が維持される。
【0111】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、印刷アセンブリを制御して、ブランケット44のそれぞれの回転中にパネル11c上に生成された画像のシフトされた位置において波38の形状を得るように、画像30~33及び35~37の位置をシフトさせる。
【0112】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、印刷アセンブリを制御して、パネル11c上に生成された画像の位置のシフトを繰り返し、パネルに沿って波38の形状を繰り返して、その後、X軸においてシフト方向を反転させるときに波38の形状を維持または変更する。なお、波38は規則的な形状または不規則な形状を有していてもよいことに留意されたい。
【0113】
他の実施形態では、波38の形状に従って画像を生成する代わりに、プロセッサ20は、印刷アセンブリを制御して、ブランケット44の回転ごとに生成された画像の位置を、任意の他の規則的なパターン(たとえば、螺旋状)または不規則なパターンに従ってシフトさせるように構成されている。
【0114】
図3は、本発明の実施形態による、画像をシートに転写するときに、ブランケット44上に生成された画像の位置におけるオフセットを補償するための装置の概略側面図である。
【0115】
図3の例では、装置は、とりわけ、前述の図1のBCD77、BTD99、及びインプレッションステーション84を含む。これらは、前述の図2Cに示して詳細に説明したオフセット24などの複数のオフセットを補償するように、プロセッサ20によって制御される。なお、以下の図3で説明する技術も、前述の図2Bに示したオフセット18または本開示の任意の他のオフセット及び/またはシフトを補償するために、必要な変更を加えて適用できることに留意されたい。
【0116】
前述の図1で説明したように、プロセッサ20は、BCD77及びBTD99を制御して、予め割り当てられた速度でブランケットを方向94に移動するように構成されている。用語「予め割り当てられた」は、ブランケット44の速度が一定の値に予め規定されていないが、前述したオフセットを補償するために調整されることを示す。パネル11の表面44a上に画像を生成するために、ブランケット44をBTD99とBCD77との間で移動する。その後、各パネル11上に生成された画像をそれぞれのシート50に転写するために、ブランケット44をBCD77からインプレッションステーション84まで移動し、画像を転写した後、前述の図2A~2Cで説明したように、次の回転を開始するためにブランケット44をインプレッションステーション84とBTD99との間で移動する。
【0117】
次に、時計回りに回転される圧力シリンダ(PC)90を参照する。いくつかの実施形態では、圧縮可能ブランケット(CB)19が、PC90の円周と接触して置かれ、PC90の円周上でピンと張ったままであるようにPC90のギャップ43の壁41に結合されている。
【0118】
いくつかの実施形態では、ギャップ43は、図3に示したように、セクション13がPC90とインプレッションシリンダ(IC)82との間を移動するときのみ、ブランケット44に面している。なお、この位置において、シート50はPC90とIC82との間に供給されないことに留意されたい。なお本例では、ギャップ43の面積は、PC90の総面積の約5分の1であることに留意されたい。
【0119】
いくつかの実施形態では、パネル11及びシート50がPC90とIC82との間を移動するとき、PC90の円周と接触しているCB19は、画像を表面44aからシート50に転写するために、ブランケット44をシート50に押圧するように構成されている。
【0120】
次にIC82を参照する。これは、反時計回りに回転され、本例では、PC90の直径に対して2倍の直径を有する。
【0121】
いくつかの実施形態では、IC82は、それぞれグリッパ49を含む2つの開放角47を有する。グリッパ49は、前述したように画像をパネル11の表面44aからシート50に転写するために、シート50を把持してPC90とIC82との間で移動するように構成されている。
【0122】
いくつかの実施形態では、IC82の円周上のセクション51及び53は、パネル11の表面44aから画像を受け取るために、シート50をブランケット44に押圧するように構成されている。なお、画像転送中に、第1のシート50はセクション51上にフィットし、画像を転写した後、第1のシート50は、基板搬送モジュール80によって出力スタック88の方に移動されることに留意されたい。また、本例では、インプレッションステーション84の動作中、ギャップ43及び開放角47は通常、互いに面しており、同時に、ブランケット44が方向94に移動するときに、ブランケット44のセクション13がPC90とIC82との間を通る。その後、第2のシート50(図示せず)が、他方の(たとえば、反対側の)開放角47のグリッパ49によって把持及び移動され、次の画像を次のパネル11から第2のシート50に転写するためにセクション53上にフィットする。インプレッションステーション84及びそのコンポーネントの動作は、たとえば、PCT国際公開番号WO2020/099976A1(Leanら)により詳細に記載されている。なおこの文献の開示は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0123】
次に、図3の全体図を参照する。前述の図2B及び2Cで説明したように、プロセッサ20は、シフトされた画像をそれぞれのシート50に転写するときに通常はオフセットを補償するでろうブランケット44の移動を計算するように構成されている。
【0124】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、画像対基板の位置合わせ誤差を引き起こすことなく、シフトされた画像をそれぞれのシート50に転写するように、BCD77及びBTD99を制御して、計算された移動に従ってブランケット44の速度を調整する。
【0125】
図3に、オフセット補償の1つの可能な実施態様を示す。いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、たとえば、破線46aと46bの間に、ブランケット44のパネル11に生成された画像の位置をシフトさせる総量を示すストローク39を規定するように構成されている。図2B、2C、及び任意選択で2Dの実施形態例によれば、プロセッサ20は、ストローク39のサイズをX軸に沿って約60mmと規定してもよい。
【0126】
図3の例では、ブランケットの公称速度に対するブランケット44の調整された速度を、矢印48a及び48bを使用して示している。矢印48aは、公称速度と比べてブランケット44がより高速であることを表し、矢印48bは、公称速度と比べてブランケット44がより低速であることを表す。
【0127】
前述の図2Cに示し説明したように、第2の画像は、記憶23bがライン25cに対するオフセット24に現れるように、X軸に沿って右にシフトされる。言い換えれば、記憶23bの位置は、移動方向94に対して、オフセット24の量(たとえば、約60μm)だけ、その公称位置から遅れている。いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、オフセット24を補償するために、BCD77及びBTD99を制御して、ブランケット44の速度を前述の公称速度よりも高い速度まで高め、それによって、すべてのシート50上で画像を同じ位置に転写する。
【0128】
言い換えれば、画像上の位置がその公称位置の後方にシフトされた場合、プロセッサ20は、ブランケット44の表面44a上に画像形成ステーション60によって生成された画像のシフトされた位置を補償するように、ブランケット44の速度を公称速度を超えるように調整する。これらの実施形態を図3に例示する。
【0129】
一実施形態では、オフセット24を適用することに応答して、ブランケット44のシーム45を方向48aの相対速度で、すなわち、ブランケット44の公称速度よりも高い速度で移動する。別の実施形態では、方向オフセット24とは反対方向にオフセットを適用することに応答して、シーム45を方向48bの相対速度で、すなわち、ブランケット44の公称速度と比べてより低い速度で移動する。なお、図3の例では、ブランケット44を常に、方向94に移動するが、矢印48a及び48bは、ブランケット44の公称速度と比べたブランケット44の相対速度を示すことに留意されたい。
【0130】
いくつかの実施形態では、前述の図2Cで説明した実施形態により、プロセッサ20は、ブランケット44のすべてのパネル11において60μmのオフセットを補償するように、BCD77及びBTD99を制御してブランケット44の速度を調整する。なお、ギャップ43及び開放角47が互いに面していて、シーム45がPC90とIC82との間を移動するとき、プロセッサ20は、シーム45の位置をストローク39の範囲内にあるように、すなわち、破線46aと46bの間にあるように、制御することに留意されたい。
【0131】
図4は、本発明の実施形態による、ブランケット44における記憶効果の出現を減らすための方法を概略的に例示するフローチャートである。
【0132】
本方法は、第1の画像印刷ステップ100から始まる。プロセッサ20は、印刷アセンブリを制御して、ブランケット44のパネル11上の記憶16aの位置(前述の図2Bに示す)などの第1の位置に第1の画像を生成し、そして、以下の図1及び2Bで詳細に説明するように、第1の画像をパネル11から第1のシート50に転写するために、ブランケット44を方向94に移動する。
【0133】
オフセット指定ステップ102において、プロセッサ20は、第2の位置において、ブランケット44のパネル11上に生成されることが意図される第2の画像のオフセット18を指定する。図2Bの例では、第2の位置は、第1の位置とは異なる記憶16bの位置、たとえば、前述の図2Bで詳細に説明したような記憶16aの位置を含む。
【0134】
補償計算ステップ104において、プロセッサ20は、前述の図2Bで詳細に説明したように、第2の画像を第2のシート50に転写するときにオフセット18を少なくとも部分的に、通常は完全に補償するであろうブランケット44の移動を計算する。
【0135】
第2の画像印刷ステップ106において、プロセッサ20は、印刷アセンブリを制御して、第2の画像を生成し、前述の図2Bで詳細に説明したように、第2の画像を第2のシート50に転写するために、計算された移動に従ってブランケット44を移動する。
【0136】
いくつかの実施形態では、第1及び第2の画像は所与の画像のコピーであり、記憶16bの位置(第2の画像の位置を示す)は、記憶16aの位置(第1の画像の位置を示す)と部分的に重なる。
【0137】
前述の図1で説明したように、ブランケット44は、連続的なブランケットループの形状を有し、複数の回転で回転する。いくつかの実施形態では、ブランケット44の第1の回転中に、プロセッサ20は、印刷アセンブリを制御して、画像形成ステーション60に対して第1の位置にブランケット44を位置決めすることによって第1の画像を生成する。ブランケット44の第2の回転中に、プロセッサ20は、印刷アセンブリを制御して、前述の図2Bで詳細に説明したように、画像形成ステーションに対して第2の位置にブランケット44を位置決めすることによって第2の画像を生成する。
【0138】
いくつかの実施形態では、前述の図2Cで示し詳細に説明したように、第1の画像を生成した後(たとえば、ブランケット44の第1の回転中)、及び第2の画像を生成する前(たとえば、ブランケット44の第2の回転中)に、プロセッサ20は、印刷アセンブリを制御して、ブランケット44上で第3の位置に第3の画像を生成する。前述の図2Cの例では、記憶23aは第1の画像の位置を示し、記憶23bは第3の画像の位置を示し、第3の画像は、(たとえば、オフセット24によって)その意図された位置に対してシフトされている。プロセッサ20はさらに、第3の画像を第3のシート50に転写するときにオフセット24を補償するであろうブランケット44の移動を計算するように構成されている。プロセッサ50は、印刷アセンブリを制御して、第3の画像を第3のシート50に転写するために、計算された移動に従ってブランケット44を移動する。
【0139】
いくつかの実施形態では、前述の図2B及び2Cに示し詳細に説明したように、意図的なオフセット(たとえば、オフセット18またはオフセット24)は、移動方向94と平行なX軸に沿って指定される。
【0140】
代替的な実施形態において、以下の図2Dで詳細に説明するように、意図的なオフセットは、任意の方向に、またはX軸及びY軸に沿った移動と、一定または変更され得るステップサイズとの組み合わせで指定される。
【0141】
本明細書で説明する実施形態は、フレキシブル中間転写体を使用するデジタル印刷に主に対処するものであるが、本明細書に記載の方法及びシステムは、画像を受け取って画像をターゲット基板に転写するための任意の好適なタイプの中間装置(たとえば、部材)を有する任意の種類の印刷システム及びプロセスなどの他の用途においても使用することができる。
【0142】
前述した実施形態は一例として引用されており、本発明は特に上記で図示及び説明したものに限定されないことが理解される。むしろ、本発明の範囲は、前述した種々の特徴の組み合わせ及び部分組み合わせの両方、ならびに前述の説明を読むと当業者に想起され、従来技術には開示されていないその変形及び変更を含む。本特許出願に参照により組み込まれた文献は、本出願の構成部分と考えるべきである。ただし、何らかの用語が、これらの組み込まれた文献において、本明細書において明示的または黙示的に形成された定義と矛盾する方法で定義されている場合は別であり、本明細書における定義のみを考慮すべきである。

図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
【国際調査報告】