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2024-523353繊維状アミノ酸系基質、特に毛髪のトリートメント用の高分子脂肪酸塩化合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】繊維状アミノ酸系基質、特に毛髪のトリートメント用の高分子脂肪酸塩化合物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/41 20060101AFI20240621BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20240621BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20240621BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20240621BHJP
   A61Q 5/06 20060101ALI20240621BHJP
   C07C 211/21 20060101ALI20240621BHJP
   C07C 229/26 20060101ALI20240621BHJP
   C07C 233/09 20060101ALI20240621BHJP
   C07C 211/63 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
A61K8/41
A61Q5/00
A61Q5/12
A61Q5/02
A61Q5/06
C07C211/21
C07C229/26
C07C233/09 Z
C07C211/63
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577619
(86)(22)【出願日】2022-06-15
(85)【翻訳文提出日】2024-02-14
(86)【国際出願番号】 EP2022066337
(87)【国際公開番号】W WO2022263525
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】63/211,095
(32)【優先日】2021-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512135078
【氏名又は名称】モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Momentive Performance Materials GmbH
【住所又は居所原語表記】Chemiepark Leverkusen,Gebaeude V7,51368 Leverkusen,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】ワグナー,ローラント
(72)【発明者】
【氏名】シュトレイヒャー,カタリーナ
(72)【発明者】
【氏名】ローマン,ラウラ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンスケ,クリスツィアン
(72)【発明者】
【氏名】ハヴェリ,シュルティザガー,ダッタトラヤ
【テーマコード(参考)】
4C083
4H006
【Fターム(参考)】
4C083AC531
4C083AC532
4C083AC581
4C083AC582
4C083AC641
4C083AC642
4C083AC691
4C083AD131
4C083AD132
4C083BB53
4C083CC31
4C083CC33
4C083CC38
4C083CC39
4C083EE28
4C083FF01
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB12
4H006AB80
4H006AB90
4H006BS10
4H006BU32
4H006BV22
(57)【要約】
本発明は、エストリド部分を含まない有機アンモニウム基含有カチオンと、および少なくとも1つのエストリド部分を含むアニオンまたは少なくとも1つの内部エステル基を含むカルボン酸アニオンからなる群より選択されるカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンとを含む、有機アンモニウム塩に向けられている。この発明はまた、こうした有機アンモニウム塩を製造するためのプロセス、こうした有機アンモニウム塩のスキンケアおよびヘアケア化粧品配合物における使用、こうした有機アンモニウム塩の繊維の処理のための使用、有機アンモニウム塩の毛髪処理のための使用、こうした有機アンモニウム塩を含む組成物、スキンケアおよびヘアコンディショナーおよびヘアシャンプーのための化粧品配合物における有機アンモニウム塩の製造のためのこのプロセスの生成物の使用、前記生成物の繊維処理のための使用、および毛髪の処理のための前記生成物を含む組成物にも向けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機アンモニウム基含有カチオンを含む有機アンモニウム塩であって、
但し上記有機アンモニウム基含有カチオンは式(III)または(IV)の構成部分を含まず:
(-Z-C(O)-R-Z-C(O)- (III)または
(-C(O)-Z-R-C(O)-Z- (IV)、
式中
Zは同一または異なっていてよく-O-または-NR11-から選択され、ここで
11は水素、または-O-、-NH-、-C(O)-、-C(S)-、
【化143】

から選ばれる1つまたはより多くの基を任意選択的に含みヒドロキシル基およびハライド基の1つまたはより多くで置換可能な100までの炭素原子を有する任意選択的に置換された直鎖、環状または分岐鎖の、飽和、不飽和または芳香族の炭化水素ラジカルからなる群より独立して選択され、
は任意選択的に置換された直鎖、環状、または分岐鎖の、置換または未置換の1から36の炭素原子を有する炭化水素ラジカルから独立して選択され、但しRの少なくとも1つは6を超える炭素原子を有し、そして
rは1から20であり、
またカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンは式(V)、(VII)、および(X)のアニオンからなる群より選択され:
式(V):
(-X-C(O)-G) (V)
式中
式(V)におけるRはp価の任意選択的に置換された炭化水素ラジカルから選択され、任意選択的に-O-、-NH-、-C(O)-、-C(S)-、
【化144】

および第4級アンモニウム基から選択される1つまたはより多くの基を含んでいてよく、そしてカルボキシル(-COOH)基、カルボン酸アニオン(-COO)基およびヒドロキシル(-OH)基から選択される1つまたはより多くの置換基によって任意選択的に置換可能であり、
p≧1、より好ましくは2~811、
Xは同一または異なっていてよく-O-または-NR10-から選択され、ここでR10は水素、または-O-、-NH-、-C(O)-、-C(S)-、
【化145】

から選択された1つまたはより多くの基を任意選択的に含む100までの炭素原子を有する任意選択的に置換された直鎖、環状または分岐鎖の、飽和、不飽和または芳香族の炭化水素ラジカルからなる群より選択され、または式(V)R10においてRに対する結合を形成して環状構造を形成してよく、
Gは同一または異なっていてよく、そして任意選択的に-O-、-NH-、-C(O)-、-C(S)-、および
【化146】

から選択された1つまたはより多くの基を含みカルボキシル(-COOH)基、カルボン酸アニオン(-COO)基、ヒドロキシル(-OH)基、およびハライド(-ハロゲン)基から選択される1つまたはより多くの置換基により任意選択的に置換可能な1005までの炭素原子を有する任意選択的に置換された直鎖、環状または分岐鎖の、飽和、不飽和または芳香族の炭化水素ラジカルから選択され、
但しラジカルGの少なくとも1つは式(VI)または(VI)の少なくとも1つの構成部分を含み:
-R(-X-C(O)-R-X-C(O)-R (VI)
-R(-X-C(O)-R-X-C(O)-R9* (VI
式中
Xは上記定義の通りであり、
m=0から20、好ましくは1から20、
は36までの炭化水素を有し任意選択的に置換された直鎖、環状、または分岐鎖の、置換または未置換の2価の炭化水素ラジカルから独立して選択され、
は任意選択的に-O-、-NH-、-C(O)-、-C(S)-、
【化147】

から選択される1つまたはより多くの基を含み、カルボキシル(-COOH)基、カルボン酸アニオン(-COO)基、ヒドロキシル(-OH)基、およびハライド(-ハロゲン)基から選択される1つまたはより多くの置換基で置換可能な、1から1000の炭素原子を有し任意選択的に置換された直鎖、環状、または分岐鎖の、置換または未置換の炭化水素ラジカルから独立して選択され、ここでラジカルRは内部カルボキシ(-COO)基または(-CON(R’)-、R’は水素または有機基)アミド基を含むことができず、すなわちRは-C(O)-基と-O-基の組み合わせまたは-C(O)-基と-NH-または3級アミノ基の組み合わせを含むことができず、そして
但し式(VI)Rの少なくとも1つの構成部分において少なくとも2の、好ましくは少なくとも6の炭素原子を有し、また式(VI)の同じ構成部分においてRの少なくとも1つは少なくとも6の、好ましくは少なくとも8の炭素原子を有し、
但し、RおよびGの少なくとも1つは1つまたはより多くのカルボン酸アニオン(-COO)基を含み、
9*は任意選択的に-O-、-NH-、-C(O)-、-C(S)-、
【化148】

から選択される1つまたはより多くの基を含み、カルボキシル基、ヒドロキシル基、またはハライド基で置換可能な、1から1000の炭素原子を有し任意選択的に置換された分岐鎖またはデンドリマーの炭化水素ラジカルから独立して選択され、ここでラジカルR9*は次の一般構造の2つまたはより多くの基によって終端し、
-X-C(O)-T
式中Xは上記定義の通りであり、そして
Tはカルボキシル基、ヒドロキシル基、またはハライド基で任意選択的に置換された36までの炭化水素の1価の直鎖、環状、または分岐鎖の、置換または未置換の炭化水素ラジカルであり、
但し式(VI)R9*の少なくとも1つの構成部分は少なくとも2の、好ましくは少なくとも6の炭素原子を有する1つまたはより多くの基Tによって終端され、また式(VI)の同じ構成部分においてRの少なくとも1つは少なくとも6の、好ましくは少なくとも8の炭素原子を有し、
また但し、式(V)におけるRおよびGの少なくとも1つは1つまたはより多くのカルボン酸アニオン(-COO)基を含み、
式(VII):
(-C(O)-X-Y) (VII)
式中
およびXは上記定義の通りであり、
q=1から55、好ましくは1から40、より好ましくは2から4、そして
Yは同一または異なっていてよく、任意選択的に-O-、-NH-、-C(O)-、-C(S)-、および
【化149】

から選択される1つまたはより多くの基を含み、カルボキシル(-COOH)基、カルボン酸アニオン(-COO)基およびヒドロキシル基から選択される1つまたはより多くの置換基によって置換可能な、1005までの炭素原子を有し任意選択的に置換された直鎖、環状または分岐鎖の、飽和、不飽和または芳香族の炭化水素ラジカルから選択され、
但しラジカルYの少なくとも1つは式(VIII)または(VIII)の少なくとも1つの構成部分を含み:
-R(-C(O)-X-R-C(O)-X-R (VIII)
-R(-C(O)-X-R-C(O)-X-R9* (VIII
ここで式(VIII)におけるX、m、R、およびRはそれぞれ式(VI)について上記で定義した通りであり、そして
式(VIII)におけるX、m、R、およびR9*はそれぞれ式(VI)について上記で定義した通りであり、
また但し式(VII)におけるRおよびYの少なくとも1つは1つまたはより多くのカルボン酸アニオン(-COO)基を含み、
式(X):
(-C(O)-X-R-COO
ここで式(X)におけるX、R、R、およびqはそれぞれ式(VII)および(VIII)について上記で定義した通りである。
【請求項2】
前記有機アンモニウム基含有カチオンは式(I)のカチオンから選択される:
(-F) (I)
式中
xは1から50、好ましくは2から50、
は1000までの炭素原子、好ましくは2から300の炭素原子、より好ましくは3から200の炭素原子、さらにより好ましくは3から150の炭素原子、特定的には3から50の炭素原子、より特定的には3から20の炭素原子を有し任意選択的に置換されたx価の炭化水素ラジカルから選択され、任意選択的に-O-、-NH-、-C(O)-、-C(S)-、
【化150】

から選択される1つまたはより多くの基を含んでいてよく、そしてRはカルボキシル(-COOH)基、カルボン酸アニオン(-COO)基、ヒドロキシル(-OH)基およびハライド(-ハロゲン)基から選択される1つまたはより多くの基によって置換可能であり、そして
Fは同一または異なっていてよく以下の一般式(II)によって表され:
【化151】

ここで基FはRの炭素原子に結合され、
nは独立して0から1000、
は同一または異なっていてよく任意選択的に-O-、-NH-、-C(O)-、-C(S)-、
【化152】

から選択される1つまたはより多くの基を含み、1000までの炭素原子を有する任意選択的に置換された2価の炭化水素ラジカルから選択され、またRはOH基およびハライド基から選択される1つまたはより多くの基で置換可能であり、そしてR、R、Rは同一または異なっていてよく、水素および任意選択的に-O-、-NH-、-C(O)-、-C(S)-、
【化153】

から選択される1つまたはより多くの基を含む1000までの炭素原子を有する任意選択的に置換された直鎖、環状または分岐鎖の、飽和、不飽和または芳香族の炭化水素ラジカルから選択され、OH基およびハライド基から選択される1つまたはより多くの基で置換可能であり、
ここでR、R、Rは水素でない場合にそれぞれ炭素原子で窒素原子に結合する、請求項1の有機アンモニウム塩。
【請求項3】
前記有機アンモニウム基含有カチオンが、
a.モノおよびポリクオタニウムカチオン、
b.塩基性アミノ酸カチオン、
c.モノおよびポリ第3級アミン系カチオン、
d.モノおよびポリ第2級アミン系カチオン、
e.モノおよびポリ第1級アミン系カチオン
の群から選択される、請求項1の有機アンモニウム塩。
【請求項4】
前記有機アンモニウム基含有カチオンが少なくとも6、好ましくは少なくとも10の炭素原子を有する、先行する任意の請求項による有機アンモニウム塩。
【請求項5】
前記有機アンモニウム基含有カチオンが式(I)を有し、そこにおいてxは2でありRはカルボン酸アニオン基を担持し、カチオンの合計電荷は+1である、先行する任意の請求項による有機アンモニウム塩。
【請求項6】
有機アンモニウム塩のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンは、以下の種類の高分子脂肪酸カルボン酸塩からなる群より選択され、
[(-C(O)-X-Rm+1-C(O)-X-Rまたは
[(X-C(O)-Rm+1-X-C(O)-R
式中X、R、R、R、m、pおよびqは式(V)、(VI)、(VII)および(VIII)について上記で定義した通りであり、また式中Rまたは少なくとも1つのR、或いはRおよび少なくとも1つのRは、1つまたはより多くのカルボキシレート基であり、
好ましくはX=O、
特に
以下の種類の直鎖高分子脂肪酸カルボン酸塩、
O-C(O)-R(-X-C(O)-Rm+1-X-C(O)-R、好ましくは
O-C(O)-R-(O-C(O)-Rm+1-O-C(O)-Rであり、
式中Rは36までの炭素原子を有し任意選択的に置換された直鎖、環状、または分岐鎖の、置換または未置換の1価の炭化水素ラジカルから選択され、
分岐した直鎖高分子脂肪酸カルボン酸塩、
またはポリ官能性カルボン酸の部分エステル、特にジカルボン酸であるコハク酸およびマレイン酸とひまし油またはレスケレラ油との部分エステルから誘導される分岐した直鎖高分子脂肪酸カルボン酸塩、デンドリマー高分子脂肪酸カルボン酸塩、
または以下の種類
[(-C(O)-X-Rm+1-C(O)-X-RC(O)Oまたは
OC(O))q-1-R-(C(O)-X-Rm+1-C(O)-X-RC(O)Oであり
式中X、R、R、R、m、pおよびqは上記で定義した通りであり、
以下の種類のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオン、
[(-C(O)-X-Rm+1-C(O)-X-RC(O)Oまたは
OC(O))q-1-R-(C(O)-X-Rm+1-C(O)-X-RC(O)O
は好ましくは1価から50価、より好ましくは1価から10価、さらにより好ましくは1価から5価、最も好ましくは5価、4価、3価、2価または1価のアニオンである、先行する任意の請求項による有機アンモニウム塩。
【請求項7】
有機アンモニウム塩のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンは、一般式(VIa)の少なくとも1つの部分を含み
(-X-C(O)-R-X-C(O)-R (VIa)
または一般式(VIIIa)の少なくとも1つの部分を含み
(-C(O)-X-R-C(O)-X-R (VIIIa)
式中XおよびRおよびmは上記で定義した通りであり、そしてRは任意選択的に-O-、-NH-、-C(O)-、-C(S)-から選択される1つまたはより多くの基を含み、OH基、カルボキシレート基またはハライド基で置換可能な、任意選択的に置換された直鎖、環状、または分岐鎖の、置換または未置換の1から36の炭素原子を有する炭化水素ラジカルから独立して選択される、先行する任意の請求項による有機アンモニウム塩。
【請求項8】
少なくとも1つの基Rは直鎖アルキル基および直鎖アルケニル基、特にヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシレン、ノナデシル、エイコシル、ヘニコシル、ドイコシル、トリコシル、およびテトライコシルのような直鎖のC6-C24アルキル基、またはヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル、ヘキサデセニル、ヘプタデセニル、オクタデセニル、ノナデセニル、エイコセニル、ヘニコセニル、ドイコセニル、トリコセニル、およびテトライコセニルのような直鎖のC6-C24アルケニル基から選択され、ここでこの基は最も好ましくは隣接するX基または-C(O)-基に対して末端炭素原子によって結合されている、先行する任意の請求項による有機アンモニウム塩。
【請求項9】
少なくとも1つの基Rはカルボン酸または1つまたはより多くのヒドロキシル基を担持したヒドロキシカルボン酸から誘導され、より好ましくはカルボン酸またはモノヒドロキシカルボン酸から、最も好ましくは置換基としてヒドロキシル基を担持しないC7-C25脂肪酸から誘導される、先行する任意の請求項による有機アンモニウム塩。
【請求項10】
少なくとも1つの基Rは、カルボキシレート基の引き抜きによって得られたカルボン酸またはヒドロキシカルボン酸のアルキル鎖またはアルケニル鎖を表し、
ここで好ましくはカルボン酸は酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、リノール酸、α-リノレン酸、γ-リノレン酸、オレイン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、ミード酸、アラキドン酸、ヘネイコサン酸、ドコサン酸、トリコシル酸およびリグノセン酸から選択され、レスケロール酸、リシノール酸、10-ヒドロキシオクタデカン酸、12-ヒドロキシオクタデカン酸、14-ヒドロキシテトラデカン酸、10-ヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸のようなヒドロキシカルボン酸から選択され、またはジヒドロキシカルボン酸、特に2,2’-ジヒドロキシメチルプロパン酸、9,10-ジヒドロキシステアリン酸、またはポリヒドロキシカルボン酸、特にグルコン酸から選択され、
より好ましくは少なくとも1つのRラジカルはパルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、リノール酸、α-リノレン酸、γ-リノレン酸、オレイン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、10-ヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸、レスケロール酸または2,2’-ジヒドロキシメチルプロパン酸から誘導され、そして
最も好ましくは少なくとも1つのRラジカルはオレイン酸、ステアリン酸、レスケロール酸およびリシノール酸から誘導される、先行する任意の請求項による有機アンモニウム塩。
【請求項11】
一般式(V)、(VII)および(X)のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンにおいて、
X=O、
は任意選択的にヒドロキシル置換されたヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、トリデシレン、テトラデシレン、ペンタデシレン、ヘキサデシレン、ヘプタデシレン、オクタデシレン、ノナデシレン、エイコシレン、ヘニコシレン、ドイコシレン、トリコシレン、およびテトライコシレン、またはヘキセニレン、ヘプテニレン、オクテニレン、ノネニレン、デセニレン、ウンデセニレン、ドデセニレン、トリデセニレン、テトラデセニレン、ペンタデセニレン、ヘキサデセニレン、ヘプタデセニレン、オクタデセニレン、ノナデセニレン、エイコセニレン、ヘニコセニレン、ドイコセニレン、トリコセニレン、およびテトライコセニレンから独立して選択され、ここで基は最も好ましくは隣接するC(O)基またはO基に対して末端炭素原子によって結合され、
は任意選択的にヒドロキシル置換されたヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘニコシル、ドイコシル、トリコシル、およびテトライコシル、またはヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル、ヘキサデセニル、ヘプタデセニル、オクタデセニル、ノナデセニル、エイコセニル、ヘニコセニル、ドイコセニル、トリコセニル、およびテトライコセニルから独立して選択され、ここで基は最も好ましくは隣接するC(O)基またはO基に対して末端炭素原子によって結合され、そして
mは0-10、好ましくは1-10、より好ましくは1、2、3、4または5である、先行する任意の請求項による有機アンモニウム塩。
【請求項12】
X=O、
カルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンにおける少なくとも1つの基Rはヘキサデシレン、ヘプタデシレン、オクタデシレン、ノナデシレン、エイコシレン、ヘキサデセニレン、ヘプタデセニレン、オクタデセニレン、ノナデセニレン、エイコセニレンから選択され、また
少なくとも1つのRはヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘキサデセニル、ヘプタデセニル、オクタデセニル、ノナデセニル、エイコセニルから選択され、
そしてmは1、2、3、4または5であり、
好ましくは
少なくとも1つのRはリシノール酸、10-ヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸またはレスケロール酸から誘導され、また
少なくとも1つのRはオレイン酸、リシノール酸またはステアリン酸から誘導され、
そしてmは1、2、3、4または5である、先行する任意の請求項による有機アンモニウム塩。
【請求項13】
一般式(VI)、(VI)、(VIII)または(VIII)の部分のそれぞれは、任意選択的にヒドロキシル置換されたヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、トリデシレン、テトラデシレン、ペンタデシレン、ヘキサデシレン、ヘプタデシレン、オクタデシレン、ノナデシレン、エイコシレン、ヘニコシレン、ドイコシレン、トリコシレン、およびテトライコシレン、またはヘキセニレン、ヘプテニレン、オクテニレン、ノネニレン、デセニレン、ウンデセニレン、ドデセニレン、トリデセニレン、テトラデセニレン、ペンタデセニレン、ヘキサデセニレン、ヘプタデセニレン、オクタデセニレン、ノナデセニレン、エイコセニレン、ヘニコセニレン、ドイコセニレン、トリコセニレン、およびテトライコセニレンから選択された少なくとも1つのRを含み、
好ましくは一般式(VI)、(VI)、(VIII)または(VIII)の部分のそれぞれは、任意選択的にヒドロキシル置換されたヘキサデシレン、ヘプタデシレン、オクタデシレン、ノナデシレン、エイコシレン、ヘキサデセニレン、ヘプタデセニレン、オクタデセニレン、ノナデセニレン、エイコセニレンから選択された少なくとも1つのRを含み、
またmは1、2、3、4または5であり、
そしてより好ましくは一般式(VI)、(VI)、(VIII)または(VIII)の部分のそれぞれにおける少なくとも1つのRはリシノール酸、10-ヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸またはレスケロール酸から誘導され、
またmは1、2、3、4または5である、先行する任意の請求項による有機アンモニウム塩。
【請求項14】
カルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンは下記式の直鎖カルボン酸アニオンAを含み、
O-C(O)-R-(O-C(O)-Rm+1-O-C(O)-R
ここでm、RおよびRは上記で定義した通りであり、
は36までの炭素原子を有し任意選択的に置換された直鎖、環状、または分岐鎖の、置換または未置換の2価の炭化水素ラジカルから独立して選択され、そして
+Rにおける炭素原子の合計数(アニオン当たりのRおよびRのΣ炭素原子)は19から300、好ましくは25から300、より好ましくは35から300、さらにより好ましくは50から300、特定的には35から200、より特定的には35から150、さらにより特定的には50から150であり、
そしてここでRおよびRは好ましくは乳酸、リシノール酸、レスケロール酸、10-ヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、および14-ヒドロキシテトラデカン酸から、最も好ましくはリシノール酸またはレスケロール酸から誘導され、
は好ましくはオクタデカン酸、エイコサン酸、ドコサン酸、2-エチルヘキサン酸、2,2-ジメチルプロピオン酸、ネオデカン酸、オレイン酸から誘導され、そして
mは好ましくは1から10、より好ましくは1から6、さらにより好ましくは1から6、特定的には1、2、3、4、5、6、7である、先行する任意の請求項による有機アンモニウム塩。
【請求項15】
一般式のシーケンスはO-C(O)-R-(O-C(O)-Rm+1-O-C(O)-Rであり、
式中m、R、RおよびRは上記で定義した通りであり、そして上記式においてR、RおよびRは次のように選択される、請求項14の有機アンモニウム塩。
【表15】
【請求項16】
カルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンは分岐した直鎖高分子脂肪酸カルボン酸塩、特にポリ官能性カルボン酸の部分エステル、特にジカルボン酸であるコハク酸およびマレイン酸とひまし油またはレスケレラ油との部分エステルから誘導される分岐した直鎖高分子脂肪酸カルボン酸塩または少なくとも1つの次式の部分を含むヒドロキシ脂肪酸でエステル化されたグリセリンを含み、
グリセリン-O-C(O)-R-(O-C(O)-R-O-C(O)-R
式中
は上記定義の通りであり好ましくは乳酸、リシノール酸、レスケロール酸、10-ヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、14-ヒドロキシテトラデカン酸から誘導され、最も好ましくはリシノール酸またはレスケロール酸から誘導され、
は上記定義の通りであり好ましくはオクタデカン酸、エイコサン酸、ドコサン酸、2-エチルヘキサン酸、2,2-ジメチルプロピオン酸、ネオデカン酸、オレイン酸、コハク酸およびマレイン酸、無水コハク酸および無水マレイン酸から誘導され、
そして上記に示した式の部分において、
m=0から20、好ましくは1から20、より好ましくは1から10、さらにより好ましくは1から6、特に0、1、2、3、4、5、6、7であり、そして
+Rにおける炭素原子の合計数(RおよびRのΣ炭素原子)は19から300、好ましくは25から300、より好ましくは35から300、さらにより好ましくは50から300、特定的には35から200、より特定的には35から150、さらにより特定的には50から150である、先行する任意の請求項による有機アンモニウム塩。
【請求項17】
次の一般式の少なくとも1つのシーケンスがあり、
グリセリン-O-C(O)-R-(O-C(O)-R-O-C(O)-R
ここでm、RおよびRは上記で定義した通りであり以下から選択され、
【表16】

好ましくは2つのシーケンスが上記の表にしたがって選択される、請求項16の有機アンモニウム塩。
【請求項18】
カルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンは、式(V)の分岐鎖またはデンドリマーの高分子脂肪酸カルボン酸アニオンAを含み、そこにおいて
式(VI)または(VI)において
、X、R、R、R9*およびmは上記した通りであり、
そこにおいてR基は少なくとも1つのアニオン性カルボキシレート基を担持し、そして好ましくはグリセリン酸および2,2-ビス-(ヒドロキシメチル)プロピオン酸のようなビスヒドロキシモノカルボン酸から誘導され、
は上記定義の通りであり、好ましくは乳酸、リシノール酸、レスケロール酸、10-ヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、14-ヒドロキシテトラデカン酸から、最も好ましくはリシノール酸またはレスケロール酸から誘導され、
は上記定義の通りであり、好ましくはオクタデカン酸、エイコサン酸、ドコサン酸、2-エチルヘキサン酸、2,2-ジメチルプロピオン酸、ネオデカン酸、およびステアリン酸、オレイン酸から誘導され、そして
9*におけるTは好ましくはオクタデカン酸、エイコサン酸、ドコサン酸、2-エチルヘキサン酸、2,2-ジメチルプロピオン酸、ネオデカン酸、ステアリン酸およびオレイン酸から誘導され、
m=1から20、好ましくは1から10、より好ましくは1から6、さらにより好ましくは1から6、特に1、2、3、4、5、6、7であり、
+Rにおける炭素原子の合計数(RおよびRのΣ炭素原子)は19から300、好ましくは25から300、より好ましくは35から300、さらにより好ましくは50から300、特定的には35から200、より特定的には35から150、さらにより特定的には50から150である、先行する任意の請求項による有機アンモニウム塩。
【請求項19】
一般式R(-X-C(O)-R-X-C(O)-Rの少なくとも1つのシーケンスでXおよびmが上記で定義したものは以下から選択され、
【表17】

好ましくは全てのそうしたシーケンスの基は上記の表にしたがって選択される、請求項18による有機アンモニウム塩。
【請求項20】
カルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンは以下の種類のカルボン酸塩アニオンAを含み、
[(-C(O)-X-Rm+1-C(O)-X-RC(O)O、または
OC(O))q-1-R-(C(O)-X-Rm+1-C(O)-X-RC(O)O
ここでX=O、R、R、R、mおよびqは上記で定義した通りであり、そして
好ましくはq=2から4、特に2、3、4、
は上記定義の通りであり、好ましくは乳酸、リシノール酸、レスケロール酸、10-ヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、14-ヒドロキシテトラデカン酸から、最も好ましくはリシノール酸またはレスケロール酸から誘導され、
は上記定義の通りであり、好ましくはマレイン酸、コハク酸、トリメリット酸、ピロメリット酸から誘導され、そして
m=0から20、好ましくは1から20、より好ましくは1から10、さらにより好ましくは1から6、よりさらに好ましくは1から6、特に1、2、3、4、5、6、7、そして
+Rにおける炭素原子の合計数(アニオン当たりのRおよびRのΣ炭素原子)は19から300、好ましくは25から300、より好ましくは35から300、さらにより好ましくは50から300、特定的には35から200、より特定的には35から150、さらにより特定的には50から150である、先行する任意の請求項による有機アンモニウム塩。
【請求項21】
一般式R[(-C(O)-X-Rm+1-C(O)-X-RC(O)O、および
OC(O))q-1-R-(C(O)-X-Rm+1-C(O)-X-RC(O)O
における少なくとも1つのポリ酸エステルのシーケンスは以下から選択され、
【表18】

好ましくはアニオンの全てのそうしたシーケンスは上記の表にしたがって選択される、請求項20による有機アンモニウム塩。
【請求項22】
有機アンモニウム基含有カチオンは上記で定義した一般式
(-F) (I)
にしたがうカチオンから選択され、ここで
xは1から10、好ましくは1から5、より好ましくは1、2、3、4、5、最も好ましくは1および2、
Fは同一または異なっていてよく一般式(II)によって表され:
【化154】

ここでR、R、R、R、Rおよびnは上記で定義した通りであり、そして好ましくは
n=0-100、さらにより好ましくは0-50、よりさらに好ましくは0-20、最も好ましくは0、1、2、3、4または5である、先行する任意の請求項による有機アンモニウム塩。
【請求項23】
有機アンモニウム基含有カチオンは上記で定義した一般式
(-F) (I)
にしたがうカチオンから選択され、ここで
x=2であり、カチオンは一般式(V)によって表され:
【化155】

式中R、R、R、R、Rおよびnは上記で定義した通りであり、そして好ましくは
n=0-1000、好ましくは0-100、より好ましくは0-50、さらにより好ましくは0-20、最も好ましくは0、1、2、3、4または5である、先行する任意の請求項による有機アンモニウム塩。
【請求項24】
有機アンモニウム基含有カチオンは上記で定義した一般式
(-F) (I)
にしたがうカチオンから選択され、ここで
xは1から10、好ましくは1から5、より好ましくは1、2、3、4、または5、最も好ましくは1または2、
は1000までの炭素原子、好ましくは2から300の炭素原子、より好ましくは3から200の炭素原子、さらにより好ましくは3から150の炭素原子、特定的には3から50の炭素原子、より特定的には3から20の炭素原子を有し、任意選択的に-O-、-NH-、-C(O)-、-C(S)-、
【化156】

から選択される1つまたはより多くの基を含んでいてよく、-OH基およびハライド基によって置換可能な、1価から10価の任意選択的に置換された炭化水素ラジカルから選択され、
好ましくはRはC3-C18グリセリン系ポリエーテルラジカルまたはC1-C8直鎖アルキレンラジカルであり、そして
Fはnが0に等しい式(II)に対応する一般式(XVII)を有し:
【化157】

そして基FはRの炭素原子に結合し、
ここで
、R、Rは水素、および300までの炭素原子、好ましくは1から200の炭素原子、より好ましくは1から150の炭素原子、さらにより好ましくは1から50の炭素原子、特定的には1から20の炭素原子、より特定的には1から10の炭素原子を有し、任意選択的に-O-、-NH-、-C(O)-、-C(S)-、
【化158】

から選択される1つまたはより多くの基を含んでいてよく、OHによって置換可能な、任意選択的に置換された直鎖、環状または分岐鎖の、飽和、不飽和または芳香族の炭化水素ラジカルから独立して選択され、
好ましくはRからRはメチル、エチル、プロピルまたはブチルのようなC1-C8直鎖アルキル基である、先行する任意の請求項による有機アンモニウム塩。
【請求項25】
カルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンは好ましくは1価から50価、より好ましくは1価から10価、さらにより好ましくは1価から5価、最も好ましくは5価、4価、3価、2価または1価のアニオンである、先行する任意の請求項による有機アンモニウム塩。
【請求項26】
カルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンは一般式(XI)または(XII)の少なくとも1つの部分を含み:
-X-C(O)-R-(X-C(O)-R-X-C(O)-R (XI)または
-X-C(O)-R-(X-C(O)-R-X-C(O)-R (XII)
式中
XはOまたはNR11
m=1から20、好ましくは1から10、より好ましくは1から6、さらにより好ましくは2から6、特に1、2、3、4、5、6であり、
+Rの炭素原子の合計数(アニオン当たりのR、RのΣ炭素原子)は19から300、好ましくは25から300、より好ましくは35から300、さらにより好ましくは50から300、特定的には35から200、より特定的には35から150、さらにより特定的には50から150、
11は上記定義の通りであり好ましくは水素、n-、iso-、またはtert-C-C22-アルキルからなる群から選択され、より好ましくは水素であり、
は任意選択的にOH、-O-C(O)-R、-O-C(O)-R-(O-C(O)-R0-19-O-C(O)-Rで置換された、RおよびR基含有置換基の炭素原子を除いて1から36の炭素原子、好ましくは1から24の炭素原子、より好ましくは1から18の炭素原子、さらにより好ましくは8から18の炭素原子を有する直鎖、環状、または分岐鎖の、置換または未置換の炭化水素ラジカルであり、好ましくはモノヒドロキシカルボン酸、特にグリコール酸、乳酸、2-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシ酪酸、4-ヒドロキシ酪酸、14-ヒドロキシテトラデカン酸、10-ヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、レスケロール酸、リシノール酸、またはジヒドロキシカルボン酸、特に2,2’-ジヒドロキシメチルプロパン酸、9,10-ジヒドロキシステアリン酸、またはポリヒドロキシカルボン酸、特にグルコン酸から誘導され、
は上記定義の通りであり、
は任意選択的に置換された直鎖、環状、または分岐鎖の、置換または未置換の、1から36の炭素原子、好ましくは1から24の炭素原子、より好ましくは1から18の炭素原子、さらにより好ましくは8から18の炭素原子を有する炭化水素ラジカルから選択され、好ましくは酢酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、エイコサン酸、ドコサン酸、2-エチルヘキサン酸、2,2-ジメチルプロピオン酸、2,2-ジメチルヘプタン酸、2,2-ジメチルオクタン酸、ネオデカン酸、ウンデシル-10-エン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エルカ酸から誘導され、そして
が任意選択的にヒドロキシル置換されたヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、トリデシレン、テトラデシレン、ペンタデシレン、ヘキサデシレン、ヘプタデシレン、オクタデシレン、ノナデシレン、エイコシレン、ヘニコシレン、ドイコシレン、トリコシレン、およびテトライコシレン、またはヘキセニレン、ヘプテニレン、オクテニレン、ノネニレン、デセニレン、ウンデセニレン、ドデセニレン、トリデセニレン、テトラデセニレン、ペンタデセニレン、ヘキサデセニレン、ヘプタデセニレン、オクタデセニレン、ノナデセニレン、エイコセニレン、ヘニコセニレン、ドイコセニレン、トリコセニレン、およびテトライコセニレンから独立して選択され、より好ましくは任意選択的にヒドロキシル置換されたヘキサデシレン、ヘプタデシレン、オクタデシレン、ノナデシレン、エイコシレン、ヘキサデセニレン、ヘプタデセニレン、オクタデセニレン、ノナデセニレン、エイコセニレンから独立して選択され、最も好ましくはそれぞれのRがリシノール酸、10-ヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸またはレスケロール酸から独立して選択されることが好ましい、先行する任意の請求項による有機アンモニウム塩。
【請求項27】
有機アンモニウム基含有カチオンは上記で定義した一般式
(-F) (I)
によるカチオンから選択され、式中Rは1価から18価の、好ましくは2価から18価の、より好ましくは2価から6価の、さらにより好ましくは2価、3価および4価の、任意選択的に-O-、-C(O)-、OHまたはアミド置換された直鎖、環状または分岐鎖の、飽和、不飽和または芳香族のヒドロカルビル基からなる群より選択され:
-これは少なくとも1つ、好ましくは1つより多く、より好ましくは3つ、さらにより好ましくは3つより多くの炭素原子を有する第1級、第2級および第3級アミン並びに第4級アンモニウム化合物から誘導され、
特に以下から誘導される
-C1からC24の第1級アミンのような第1級アミン、すなわちメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、シクロへキシルアミン、オクチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、デシルアミン、ウンデセニルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、オレイルアミン、
OH官能化第1級アミン、すなわちエタノールアミン、グルカミン、アミノグリセリン、
ポリエーテル系第1級アミン、すなわちポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシド系のモノ-、ジ-、およびトリ官能性第1級アミン、
-エポキシ化合物の縮合生成物から誘導される、特にグリシジルエーテルとアルコール、特にメタノール、エタノール、2-プロパノール、1-ブタノール、t-ブタノール、ウンデカ-10-エン-オール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、1,2,-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリンおよびより高級な直鎖または分岐鎖のオリゴグリセリン、トリメチロールプロパン、ひまし油(リシノール酸トリグリセリド)、ペンタエリスリトール、ソルビトール、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、およびペンタエチレングリコールその他のようなポリエチレングリコールから誘導され、またはジプロピレングリコール(例えば、2,2’-オキシジ-1-プロパノール、1,1’-オキシジ-2-プロパノール、および2-(2-ヒドロキシプロポキシ)-1-プロパノールから誘導される)、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、ペンタプロピレングリコールのようなポリプロピレングリコールから誘導され、混合(エチレンオキシド)および(ブチレンオキシド)系コポリエーテルから誘導され、混合(プロピレンオキシド)-およぴ(ブチレンオキシド)系コポリエーテルから誘導され、そして混合(エチレンオキシド)-および(プロピレンオキシド)-および(ブチレンオキシド)系コポリエーテルから誘導される、(エチレンオキシド)-、(プロピレンオキシド)-および/または(ブチレンオキシド)-系のポリエーテルのようなポリ(アルキレンオキシド)、または好ましくはグリシジルエステルと酸、特にネオデカン酸、およびアンモニア
-リシン、アルギニン、ヒスチジンのような塩基性アミノ酸またはそれらのエステルまたはアミド誘導体から誘導される
-第2級アミンから誘導される、特にジメチルアミン、N-メチルオクチルアミン、N-メチルドデシルアミン、N-メチルオクタデシルアミンのようなN-メチルアミン、ジエチルアミンのようなN-エチルアミン、ジブチルアミンのようなN-ブチルアミン、ピペラジン、モルホリンのような環状アミンといった、C1からC24の第2級アミン、
ポリエーテル系第2級アミン例えばポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシド系のジ官能性第2級アミンまたはポリエチレンイミン、
-エポキシ化合物の縮合生成物から誘導される、特にグリシジルエーテルとアルコール、特にメタノール、エタノール、2-プロパノール、1-ブタノール、t-ブタノール、ウンデカ-10-エン-オール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、1,2,-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリンおよび高級な直鎖または分岐鎖のオリゴグリセリン、トリメチロールプロパン、ひまし油(リシノール酸トリグリセリド)、ペンタエリスリトール、ソルビトール、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、およびペンタエチレングリコールその他のようなポリエチレングリコールから誘導され、またはジプロピレングリコール(例えば、2,2’-オキシジ-1-プロパノール、1,1’-オキシジ-2-プロパノール、および2-(2-ヒドロキシプロポキシ)-1-プロパノールから誘導される)、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、ペンタプロピレングリコールのようなポリプロピレングリコールから誘導され、混合(エチレンオキシド)および(ブチレンオキシド)-系コポリエーテルから誘導され、混合(プロピレンオキシド)-および(ブチレンオキシド)-系コポリエーテルから誘導され、および混合(エチレンオキシド)-および(プロピレンオキシド)-および(ブチレンオキシド)-系コポリエーテルから誘導される、(エチレンオキシド)-、(プロピレンオキシド)-および/または(ブチレンオキシド)-系ポリエーテルのようなポリ(アルキレンオキシド)、または好ましくはグリシジルエステルと酸、特にネオデカン酸、および第1級アミン、すなわちメチルアミン、エチルアミン、ブチルアミン、シクロへキシルアミン、オクチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、ウンデセニルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、エチレンジアミン、1,2-プロピレンジアミン、1,3-プロピレンジアミン、1,4-ブタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、塩基性アミノ酸、例えばN-メチルリシン、
-第3級アミンから誘導される、特にトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、N,N-ジメチルプロパノールアミン、N-メチルイミダゾール、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,2-ジアミノエタン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,4-ジアミノブタン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,6-ジアミノヘキサン、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチル-ジエチレントリアミン、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチル-ジプロピレントリアミン、ビス-(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス-(2-ジメチルアミノプロピル)エーテル、2,2’-ジモルホリノジエチルエーテル、N,N-ビス-(3-ジメチルアミノプロピル)-N-イソプロパノールアミン、N,N,N’-トリメチルアミノエチル-エタノールアミン、1,3,5-トリス(3-(ジメチルアミノ)プロピル)-ヘキサヒドロ-s-トリアジン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、N,N’-ジメチルピペラジン、N,N-ジメチルベンジルアミン、N,N-ジメチルシクロへキシルアミン
-エポキシ化合物の縮合生成物から誘導される、特にグリシジルエーテルとアルコール、特にメタノール、エタノール、2-プロパノール、1-ブタノール、t-ブタノール、ウンデカ-10-エン-オール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、1,2,-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリンおよび高級な直鎖または分岐鎖のオリゴグリセリン、トリメチロールプロパン、ひまし油(リシノール酸トリグリセリド)、ペンタエリスリトール、ソルビトール、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、およびペンタエチレングリコールその他のようなポリエチレングリコールから誘導され、またはジプロピレングリコール(例えば、2,2’-オキシジ-1-プロパノール、1,1’-オキシジ-2-プロパノール、および2-(2-ヒドロキシプロポキシ)-1-プロパノールから誘導される)、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、ペンタプロピレングリコールのようなポリプロピレングリコールから誘導され、混合(エチレンオキシド)および(ブチレンオキシド)-系コポリエーテルから誘導され、混合(プロピレンオキシド)-および(ブチレンオキシド)-系コポリエーテルから誘導され、および混合(エチレンオキシド)-および(プロピレンオキシド)-および(ブチレンオキシド)-系コポリエーテルから誘導される、(エチレンオキシド)-、(プロピレンオキシド)-および/または(ブチレンオキシド)-系ポリエーテルのようなポリ(アルキレンオキシド)、または好ましくはグリシジルエステルと酸、特にネオデカン酸、および第1級または第2級アミノ官能性アミン、特にメチルアミン、エチルアミン、ブチルアミン、シクロへキシルアミン、オクチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、ウンデセニルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、エチレンジアミン、1,2-プロピレンジアミン、1,3-プロピレンジアミン、1,4-ブタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、N,N-ジメチルエチレンジアミン、N,N-ジメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-ジエチレントリアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-ジプロピレントリアミン、N-メチルピペラジン
-カルボン酸の縮合生成物から誘導される、特にC6-C24脂肪酸、すなわちヘキサン酸、2-エチルヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ウンデセン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデセン酸、オクタデカン酸、オレイン酸、リシノール酸、レスケロール酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ジおよび高級カルボン酸、すなわちコハク酸、セバシン酸、トリメリット酸と、第1級-第3級アミン、すなわちN,N-ジメチルプロピレンジアミン、N,N-ジメチルエチレンジアミン、N-ドデシル-N-ビス-(プロピルアミン)、また第2級-第3級アミン、すなわちN,N,N’,N’-テトラメチル-ジエチレントリアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-ジプロピレントリアミン、N-メチルピペラジン、N-エチルピペラジン
-モノ4級アンモニウム化合物から誘導される、例えばC1-C30テトラアルキル置換アンモニウム化合物であって好ましくはCl、Br、CH-O-SO またはOH対イオンを有する、すなわち同一のアルキル置換基を有する化合物、すなわち(CCl、(COH、(CBr、(COH、好ましくはモノ長鎖アルキルトリ短鎖アルキル第4級アンモニウム塩またはジ長鎖アルキルジ短鎖アルキル第4級アンモニウム塩である、異なるアルキル置換基を有する化合物、ここで1つまたは2つのアルキル置換基は約8から約30の炭素原子の脂肪族基または芳香族基、約30までの炭素原子を有するアルコキシ基、ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、ヒドロキシアルキル基、アリール基またはアルキルアリール基から選択され、他のアルキル基は独立して約1から約8の炭素原子の脂肪族基または芳香族基、約8までの炭素原子を有するアルコキシ基、ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、ヒドロキシアルキル基、アリール基またはアリールアルキル基から選択され、脂肪族基は炭素原子および水素原子に加えて、エーテル連結基およびアミノ基のような他の基を含むことができ、より長鎖の脂肪族基、例えば約8またはより多くの炭素原子の脂肪族基は飽和または不飽和であることができ、好ましくは1つのアルキル基は約8から約30の炭素原子、より好ましくは約14から約26の炭素原子、さらにより好ましくは約14から22の炭素原子のアルキル基から選択され、他のアルキル基は独立してCH、C、COH、CH、およびこれらの混合物からなる群より選択され、そして対イオンはCl、Br、CHOSO 、およびこれらの混合物から選択される
C1-C30テトラアルキル置換アンモニウム化合物はエステル部分を含みそして好ましくはCl、Br、CH-O-SO の対イオンを有し、好ましくはカチオン性の飽和または不飽和脂肪酸系のモノエステルおよびジエステルクアットであり脂肪酸由来のアルキル鎖に10から22、好ましくは10から18の炭素原子を有する
エトキシル化C10-C18飽和および不飽和モノエステルクアット、例えばココイルペンタエトキシメチルアンモニウムメトスルフェート
トリエタノールアミンから誘導されたC10-C18、好ましくはC16-C18の飽和および不飽和ジエステルクアット、
トリエタノールアミンから誘導されたC10-C18、好ましくはC16-C18の飽和および不飽和トリエステルクアット、
N-メチル-ジエタノールアミンから誘導されたC10-C18、好ましくはC16-C18の飽和および不飽和エステルクアット、
N,N-ジメチル-3-アミノプロパン-1,2-ジオールから誘導されたC10-C18、好ましくはC16-C18飽和および不飽和エステルクアット、
N-ジメチル-ジイソプロパノールアミンから誘導されたC16-C18飽和および不飽和エステルクアット、
-対称または非対称の、頭部基または尾部基で架橋されたジ第4級アンモニウム化合物、すなわちジェミニ型クアット、特に少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つのC10-C30、より好ましくはC10-C22、さらにより好ましくはC10-C18アルキル基を含むジ4級化合物、特に頭部基が架橋されたジ4級化合物から誘導され、
例えばアルキル架橋を含んでいる、好ましくはC2-C30アルキル架橋含有ジ4級化合物、
例えばエーテルおよびエステル架橋されており、好ましくはC4-C30エーテルおよびエステル架橋含有ジ4級化合物、
例えばヒドロキシアルキル架橋されており、好ましくはグリセリン、より好ましくはC3-C30グリセリン架橋を含むジ第4級アンモニウム化合物、
例えば脂肪酸または脂肪族アルコールエステル部分、好ましくはC6-C30、好ましくはC10-C30、より好ましくはC10-C22、さらにより好ましくはC16-C18脂肪酸または脂肪族アルコールエステル部分を含むジ第4級アンモニウム化合物、
-特にトリ第4級アンモニウム化合物から誘導される
好ましくは少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つのC10-C30、より好ましくは3つのC10-C22、さらにより好ましくはC10-C18アルキル基を含むトリ4級化合物、
-特にポリ4級化合物、好ましくはINCIに登録されたポリクオタニウム化合物、例えばポリクオタニウム1からポリクオタニウム113であり、ポリクオタニウム1からポリクオタニウム47、特にポリクオタニウム16が好ましくい
-特に多糖、好ましくはセルロース、グアーガム、キチンおよびキトサンに基づくポリ4級化合物から誘導され、より好ましくは4級化セルロースおよび架橋4級化セルロース(ヒドロゲル)、4級化グアーガム、4級化キチン、および4級化キトサンである、先行する任意の請求項による有機アンモニウム塩。
【請求項28】
有機アンモニウム基含有カチオンは、上記で定義した一般式
(-F) (I)
によるカチオンから選択され、式中R
-1価から18価の、好ましくは2価から18価の、より好ましくは2価から6価の、さらにより好ましくは2価、3価および4価の、任意選択的にOH、アミノまたはアミド置換された直鎖、環状または分岐鎖の、飽和、不飽和または芳香族の炭化水素基から選択され、これは1つより多く、好ましくは2つより多くの炭素原子を有するハロゲン化アルキルから誘導され、例えばアルキル塩化物、臭化物、ヨウ化物、例えば1,3-ジクロロプロパン、1,3-ジクロロブタン、1,4-ジクロロブタン、ジクロロ-モノヒドロキシプロパン異性体、1,2,3-トリクロロプロパン、1,2-ジクロロヘキサンジオール、1,2-ジクロロヘキサン、またはそれぞれの臭化物およびヨウ化物である誘導体から誘導され
-1価から18価の、好ましくは2価から18価の、より好ましくは2価から6価の、さらにより好ましくは2価、3価および4価の、任意選択的にOH、アミノまたはアミド置換された直鎖、環状または分岐鎖の、飽和、不飽和または芳香族の炭化水素基から選択され、これは合計(エステル)で2つより多く、好ましくは3つより多くの炭素原子を有するハロゲン化カルボン酸、好ましくはクロロカルボン酸のエステルから誘導され、例えばクロロ酢酸、3-クロロプロピオン酸、4-クロロ酪酸またはそれぞれのブロモカルボン酸とアルコール、特にメタノール、エタノール、2-プロパノール、1-ブタノール、t-ブタノール、ウンデカ-10-エン-オール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、1,2,-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリンおよびより高級な直鎖または分岐鎖のオリゴグリセリン、トリメチロールプロパン、ひまし油(リシノール酸トリグリセリド)、ペンタエリスリトール、ソルビトール、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、およびペンタエチレングリコールその他のようなポリエチレングリコールから誘導され、またはジプロピレングリコール(例えば、2,2’-オキシジ-1-プロパノール、1,1’-オキシジ-2-プロパノール、および2-(2-ヒドロキシプロポキシ)-1-プロパノールから誘導される)、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、ペンタプロピレングリコールのようなポリプロピレングリコールから誘導され、混合(エチレンオキシド)および(ブチレンオキシド)系コポリエーテルから誘導され、混合(プロピレンオキシド)-およぴ(ブチレンオキシド)系コポリエーテルから誘導され、そして混合(エチレンオキシド)-および(プロピレンオキシド)-および(ブチレンオキシド)系コポリエーテルから誘導される、(エチレンオキシド)-、(プロピレンオキシド)-および/または(ブチレンオキシド)-系のポリエーテルのようなポリ(アルキレンオキシド)とのエステル、
-1価から18価の、好ましくは2価から18価の、より好ましくは2価から6価の、さらにより好ましくは2価、3価および4価の、任意選択的にOH置換された直鎖、環状または分岐鎖の、飽和、不飽和または芳香族の炭化水素基から選択され、これは合計で3つより多い、好ましくは4つより多い炭素原子を有し、好ましくはグリシジルエーテルであるエポキシ化合物からアルコールとの開環堪能によって誘導されるエポキシ化合物のエーテルまたはエステルから誘導され、アルコールは特にメタノール、エタノール、2-プロパノール、1-ブタノール、t-ブタノール、ウンデカ-10-エン-オール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、1,2,-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリンおよびより高級な直鎖または分岐鎖のオリゴグリセリン、トリメチロールプロパン、ひまし油(リシノール酸トリグリセリド)、ペンタエリスリトール、ソルビトール、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、およびペンタエチレングリコールその他のようなポリエチレングリコールから誘導され、またはジプロピレングリコール(例えば、2,2’-オキシジ-1-プロパノール、1,1’-オキシジ-2-プロパノール、および2-(2-ヒドロキシプロポキシ)-1-プロパノールから誘導される)、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、ペンタプロピレングリコールのようなポリプロピレングリコールから誘導され、混合(エチレンオキシド)および(ブチレンオキシド)系コポリエーテルから誘導され、混合(プロピレンオキシド)-およぴ(ブチレンオキシド)系コポリエーテルから誘導され、そして混合(エチレンオキシド)-および(プロピレンオキシド)-および(ブチレンオキシド)系コポリエーテルから誘導される、(エチレンオキシド)-、(プロピレンオキシド)-および/または(ブチレンオキシド)-系のポリエーテルのようなポリ(アルキレンオキシド)、または好ましくはグリシジルエステルと酸、特にネオデカン酸、
-1価から18価の、好ましくは2価から18価の、より好ましくは2価から6価の、さらにより好ましくは2価、3価および4価の、任意選択的にOH置換された直鎖、環状または分岐鎖の、飽和、不飽和または芳香族の炭化水素基から選択され、これは合計で7つより多い、好ましくは8つより多い炭素原子を有し、好ましくはグリシジルエーテルであるエポキシ化合物と、ジからヘキサの価数のカルボン酸、特にマレイン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、イタコン酸、酒石酸、トリメリット酸、ダイマー脂肪酸とのエーテル、
特に好ましくはジからヘキサの価数のカルボン酸、例えばマレイン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、イタコン酸、酒石酸、トリメリット酸、ダイマー脂肪酸と、上述したようなジからヘキサの価数のアルコールまたはアルキレンオキシド、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドとの縮合によって形成されたカルボキシル(-C(O)OH)官能化ポリエステルと、少なくとも1つのグリシドキシ基を含む化合物、例えばグリシドール、ジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテルおよびオリゴマーグリセリングリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテルとのエーテル、特にコハク酸、マレイン酸および酒石酸、ダイマー脂肪酸とグリセリンジグリシジルエーテル、ポリエステルの縮合生成物、特に好ましくはオリゴマーヒドロキシカルボン酸、特にオリゴマー化乳酸、12-ヒドロキシステアリン酸、レスケロール酸、リシノール酸から誘導される
-1価から18価の、好ましくは2価から18価の、より好ましくは2価から6価の、さらにより好ましくは2価、3価および4価の、任意選択的にOH置換された直鎖、環状または分岐鎖の、飽和、不飽和または芳香族の炭化水素基から選択され、これは合計で5つより多く、好ましくは6つより多い炭素原子を有するハロゲン化カルボン酸、好ましくはクロロカルボン酸のエステルから誘導され、例えばクロロ酢酸、3-クロロプロピオン酸、4-クロロ酪酸またはそれぞれのブロモカルボン酸と、OH官能化ポリエステルとのエステルであり、特に好ましくはジからヘキサの価数のカルボン酸、例えばマレイン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、イタコン酸、酒石酸、トリメリット酸、ダイマー脂肪酸と、上述したようなジからヘキサの価数のアルコールまたはアルキレンオキシド、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドと、少なくとも1つのグリシドキシ基を含む化合物、例えばグリシドール、ジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテルおよびオリゴマーグリセリングリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテルとの縮合によって形成され、特にコハク酸、マレイン酸および酒石酸またはダイマー脂肪酸とグリセリンジグリシジルエーテルとの縮合生成物である、先行する任意の請求項による有機アンモニウム塩。
【請求項29】
有機アンモニウム基含有カチオンは上記で定義した一般式
(-F) (I)
によるカチオンから選択され、式中Rはポリ(アルキレンオキシド)基から、好ましくは一般式(XIII)のポリ(アルキレンオキシド)基から選択され:
-[CHCHO]q1-[CHCH(CH)O]r1-[CHCH(C)O]s1-{[CHCHq2-[CHCH(CH)]r2-[CHCH(C)]s2}- (XIII)
ここで
q1=0から49、好ましくは0から10、より好ましくは1から10、さらにより好ましくは1から5、
r1=0から32、好ましくは0から10、より好ましくは1から10、さらにより好ましくは1から5、
s1=0から24、好ましくは0から10、より好ましくは1から10、さらにより好ましくは1から5、
q2=0または1、
r2=0または1、
s2=0または1、そして
Σ(q2+r2+s2)=1であり、
但しこのポリ(アルキレンオキシド)器における炭素原子の合計は2から100、好ましくは2から50、より好ましくは2から30、さらにより好ましくは2から20、特に2から15、または
は一般式(XIV)のオリゴグリセリンから誘導される2価の炭化水素基から選択され:
-[CHCH(R12)CHO]t1-[CHCH(R12)CH)]t2- (XIV)
ここで
t1=0から32、好ましくは0から10、より好ましくは1から10、さらにより好ましくは1から5、特に1および2であり、
t2=1、
12=OHまたは-O-C(O)-R-N(R、R、R)、
ここでR、R、RおよびRは上記で定義した通りであり、
但し炭素原子の合計は2から100、好ましくは2から50、より好ましくは2から30、さらにより好ましくは2から20、特に2から15、
またはR
少なくとも1つのエステル基を含む一般式(XV)の2価の炭化水素基:
-[CHCHO]q1-R13-[CHCHO]q1-[CHCHq2- (XV)
ここでq1は同一であるかまたは異なっていて上記で定義した通りであり、q2=1であり、
および少なくとも1つのエステル基を含む一般式(XVI)の2価の炭化水素基:
-[CHCH(R12)CHO]t1-R13-[CHCH(R12)CHO]t1-[CHCH(R12)CH)]t2- (XVI)
から選択され、ここでt1、t2およびR12は上記で定義した通りであり、そして
13は-C(O)C(O)O-、-C(O)(CH1-8C(O)O-から選択され、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、または-C(O)(C)C(O)O-から誘導され、すなわちフタル酸およびテレフタル酸、-C(O)CH=CHC(O)O-、-C(O)C(=CH)-CHC(O)O-、-C(O)CH(OH)CH(OH)C(O)O-から誘導され、
但しR13における炭素原子の合計は2から100、好ましくは2から50、より好ましくは2から30、さらにより好ましくは2から20、特に2から15であり、
好ましくはq2=0、そしてq1、r1およびs1の1つまたは2つは0であり、そしてより好ましくは
q2=0、r1およびs1は0、または
q2=0、q1およびs1は0、
あるいは
は1つまたはより多くの、例えば1つから5つの基-O-を含む基であり、これらの基-O-は好ましくはエーテル基であるが、カルボニル基と共にエステル基を形成可能であり、そして好ましくは基Rは1つまたはより多くのヒドロキシル基で置換されている、先行する任意の請求項による有機アンモニウム塩。
【請求項30】
有機アンモニウム塩の式(V)または(VII)のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンの式(VI)、(VI)または(VIII)、(VIII)の部分の少なくとも1つにおいて、2つまたはより多くの異なるR基が存在している、先行する任意の請求項による有機アンモニウム塩。
【請求項31】
有機アンモニウム塩の式(V)または(VII)のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンの式(VI)、(VI)または(VIII)、(VIII)の部分の少なくとも1つにおいて、基RおよびRまたはRおよびR9*は同じカルボン酸構造に基づくものでない、先行する任意の請求項による有機アンモニウム塩。
【請求項32】
式(V)においてpは2-6、
はジからヘキサの価数の直鎖、分岐鎖または環状のアルキレン基、直鎖、分岐鎖または環状のアルケニレン基、直鎖、分岐鎖または環状のアルキニレン基、直鎖、分岐鎖または環状のアルカリーレン基、直鎖、分岐鎖または環状のアラルキレン基、および直鎖、分岐鎖または環状のアリーレン基、例えばフェニレン、ベンジレンまたはトリレン基、特に1から1000の炭素原子、より特定的には1から150の炭素原子を有するそうした基から選択され、
そして少なくとも1つの基Gは一般式(VI)の1つまたはより多くの部分を含み、
-R(-X-C(O)-R-X-C(O)-R9* (VI
式中R、R9*およびmは上記で定義した通りであり、または
式(VII)においてqは2-6、
はジからヘキサの価数の直鎖、分岐鎖または環状のアルキレン基、直鎖、分岐鎖または環状のアルケニレン基、直鎖、分岐鎖または環状のアルキニレン基、直鎖、分岐鎖または環状のアルカリーレン基、直鎖、分岐鎖または環状のアラルキレン基、および直鎖、分岐鎖または環状のアリーレン基、例えばフェニレン、ベンジレンまたはトリレン基、特に1から1000の炭素原子、より特定的には1から150の炭素原子を有するそうした基から選択され、
そして少なくとも1つの基Yは一般式(VIII)の1つまたはより多くの部分を含み、
-R(-C(O)-X-R-C(O)-X-R9* (VIII
式中R、R9*およびmは上記で定義した通りである、先行する任意の請求項による有機アンモニウム塩。
【請求項33】
カルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンにおいてX=Oであり、
pは2、
は2価の直鎖、分岐鎖および環状のアルキレン基から、特に直鎖のC1-C22アルキル基、例えばメチレン、エチレン、n-プロピレン、n-ブチレン、n-ペンチレン、n-ヘキシレン、n-ヘプチレンまたはn-オクチレン基から選択され、また分岐C1-C22アルキレン基から、例えばイソプロピレン、イソブチレン、tert-ブチレン、イソブチレン、tert-ペンチレン、ネオペンチレン、および2-エチルヘキシレン基、好ましくはエチレン、n-プロピレン、n-ブチレン、n-ペンチレンおよびn-ヘキシレンから選択され、
そして少なくとも1つの基Gは1つまたはより多くの一般式(VI)の部分を含み、
-R(-X-C(O)-R-X-C(O)-R9* (VI
式中R、R9*およびmは上記で定義した通りであり、
または
式(VII)のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンにおいてX=Oであり、
qは2、
は2価の直鎖、分岐鎖および環状のアルキレン基から、特に直鎖のC1-C22アルキル基、例えばメチレン、エチレン、n-プロピレン、n-ブチレン、n-ペンチレン、n-ヘキシレン、n-ヘプチレンまたはn-オクチレン基から選択され、また分岐C1-C22アルキレン基から、例えばイソプロピレン、イソブチレン、tert-ブチレン、イソブチレン、tert-ペンチレン、ネオペンチレン、および2-エチルヘキシレン基、好ましくはエチレン、n-プロピレン、n-ブチレン、n-ペンチレンおよびn-ヘキシレンから選択され、
そして少なくとも1つの基Yは1つまたはより多くの一般式(VIII)の部分を含み、
-R(-C(O)-X-R-C(O)-X-R9* (VIII
式中R、R9*およびmは上記で定義した通りである、先行する任意の請求項による有機アンモニウム塩。
【請求項34】
式(V)または(VII)のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンにおいて、1つまたはより多くの基R9*はそれぞれ3つまたはより多くの基-O-C(O)-Tで、好ましくはそれぞれ4つまたはより多くの基-O-C(O)-Tで、最も好ましくはそれぞれ4つから12の基-O-C(O)-Tで終端され、そこにおいてTは上記定義の通りである、請求項32および33のいずれかの有機アンモニウム塩。
【請求項35】
式(V)または式(VII)のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンにおいて、1つまたはより多くの基R9*はそれぞれ次の一般式の少なくとも2つの分岐構造を含み、
-C(O)-B(-O-)
式中Bは2-20の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖の炭化水素基、bは2またはより大きく、そして片側でB基に連結しているb基(-O-)は炭素原子に連結しており、この炭素原子は他方の側のCH基の炭素原子またはカルボニル基の炭素原子であってよい、請求項32から34のいずれかの有機アンモニウム塩。
【請求項36】
式(V)または(VII)のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンにおいて、1つまたはより多くの基R9*における上記に定義した一般式-B(-O-)または-C(O)-B(-O-)の1つまたはより多くの分岐構造は独立して、グリセリン酸、2,2-ジヒドロキシメチルプロピオン酸、グルコン酸、マルトビオン酸、ラクトビオン酸から誘導される、請求項32から35のいずれかの有機アンモニウム塩。
【請求項37】
式(V)または(VII)のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンにおいて、1つまたはより多くの基R9*はそれぞれ以下の構造の2つまたはより多くの基によって終端され、
-R(-X-C(O)-R-X-C(O)-T、
式中RおよびTは上記で定義した通りであり、そして
X=Oであり、
tは独立して0-12、好ましくはtは独立して0-6、最も好ましくはtは独立して0、1、2または3である、先行する任意の請求項による有機アンモニウム塩。
【請求項38】
式(V)または(VII)のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンにおいて、1つまたはより多くの基R9*は以下の構造の2つまたはより多くの基、好ましくは4から12個の基によって終端されており、
-R(-X-C(O)-R-X-C(O)-T
式中Rは独立してC8-C24のモノカルボン酸-モノヒドロキシカルボン酸から、特にリシノール酸、12-ヒドロキシステアリン酸、レスケロール酸、11-ヒドロキシ-ウンデカン酸から誘導され、
XはOであり、そして
Tは独立してC2からC24、好ましくはC8からC24の脂肪酸から、特にラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、アラキジン酸から誘導され、
そしてtは0-6、好ましくは0、1、2または3である、先行する任意の請求項による有機アンモニウム塩。
【請求項39】
1つまたはより多くの下記一般式(VI)の部分を含む式(V)のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンにおいて、
-R(-X-C(O)-R-X-C(O)-R9* (VI
式中R、R9*およびmは上記で定義した通りであり、または1つまたはより多くの下記一般式(VIII)の部分を含む式(VII)のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンにおいて、
-R(-C(O)-X-R-C(O)-X-R9* (VIII
式中R、R9*およびmは上記で定義した通りであり、
1つまたはより多くの基R9*は独立して以下の分岐またはデンドリマー脂肪酸構造のひとつから選択され、
-R14-O-C(O)-R15-(O-C(O)-R16m1-(O-C(O)-R17m2-O-C(O)-Tまたは
-R14-NR10-C(O)-R15-(O-C(O)-R16m1-(O-C(O)-R17m2-O-C(O)-T、
式中
10は上記定義の通りであり、
14は任意選択的に-O-、-NH-、-C(O)-、-C(S)-、
【化159】

から選択される1つまたはより多くの基を含んでいてよく-OHまたはハライド基によって置換可能な、2から50の炭素原子、特に2から20の炭素原子、より特定的には2から10の炭素原子を備え任意選択的に置換された2価の炭化水素ラジカルから選択され、そこにおいてラジカルR14は内部カルボキシレート基または内部アミド基を形成する-C(O)-基と-O-基の組み合わせまたは-C(O)-基と-NH-または第3級アミノ基の組み合わせを含んでいてはならず、そして好ましくはC1-C24のn-アルキレン基およびC2-C24のn-アルケニレン基、特に-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-を表し、
15は独立して、任意選択的に置換された直鎖、環状、または分岐鎖の、置換または未置換の36までの炭素原子を有する2価の炭化水素ラジカルまたは2から6ヒドロキシ基を有するC2からC24のモノカルボン酸、例えば2,2’-ジヒドロキシメチルプロパン酸から選択され、
m1は0から12、好ましくは0から10、より好ましくは0から6、さらにより好ましくは1から6、特に0、1、2、3、4、5、6であり、
m2は0から12、好ましくは0から10、より好ましくは0から6、さらにより好ましくは1から6、特に0、1、2、3、4、5、6であり、
そしてm1+m2はtであり、ここでtは0から12、好ましくは0から10、より好ましくは0から6、さらにより好ましくは1から6、特に0、1、2、3、4、5、6であり、
Tは上記定義の通りであり、
16およびR17は上記に定義したR15基から選択され、そして好ましくは
【表19】

ここでR15+Tの炭素原子の合計(R15、TのΣ炭素原子)は19から300、好ましくは25から300、より好ましくは35から300、さらにより好ましくは50から300、特に35から200、より特定的には35から150、さらにより特定的には50から150であり、
但しジ-またはポリヒドロキシル化カルボン酸から誘導されているR15、R16およびR17については、少なくとも1つ、好ましくは1つから2つ、より好ましくは2つ、さらにより好ましくはすべてのOH基がエステル化されている、先行する任意の請求項による有機アンモニウム塩。
【請求項40】
式(V)のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンは以下の概略的なエステル構造によって表され:
O(O)C-(C1-C12ラジカル)-C(O)-O-(モノまたはオリゴC8-C24ヒドロキシ脂肪酸)-C(O)-O-(C2-C10炭化水素)-O-C(O)-(モノまたはオリゴC8-C24ヒドロキシ脂肪酸)-O-C(O)-(C1-C12ラジカル)-C(O)O
そこにおいて末端のC1-C12ラジカルは直鎖、分岐鎖、飽和、不飽和または芳香族のC1-C12ラジカルから、好ましくはC2-C12、C2-C10、C2-C4ラジカルから、より好ましくはC2およびC4ラジカルから選択される、先行する任意の請求項による有機アンモニウム塩。
【請求項41】
式(V)または(VII)のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンは以下の一般式の少なくとも1つの部分を含み、
-([-O-C(O)-R(-O-C(O)-R)l-O-C(O)-L-C(O)-O-(R-C(O)-O)l-R-C(O)O])-
式中Rは上記定義の通りであり、lは独立して0-20から、より好ましくは1-12から、さらにより好ましくは2から10から選択される整数であり、そしてLは2価の炭化水素ラジカルであり1から30の炭素原子を有していてよく、また任意選択的に-O-、-S-、-NH-、-C(O)-、-C(S)-、
【化160】

および第4級アンモニウム基から選択される1つまたはより多くの基を含んでいてよく、
好ましくはLは2価のアルキレンまたはアルケニレンラジカルであって1から30の炭素原子を有し、より好ましくはLはメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、エテニレン、プロペニレン、ブテニレン、ペンテニレン、ヘキセニレン、ヘプテニレン、オクテニレン、ノネニレンから選択され、最も好ましくはLはメチレン、エチレン、エテニレンまたはブテニレンから選択される、先行する任意の請求項による有機アンモニウム塩。
【請求項42】
式(V)または(VII)のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンは以下の一般式の少なくとも1つの部分を含み
-([-O-C(O)-R(-O-C(O)-R)l-O-C(O)-L-C(O)-O-(R-C(O)-O)l-R-C(O)O])-
式中Lおよびlは先の実施形態において上記で定義した通りであり、そしてRは独立してC8-C24モノカルボン酸-モノヒドロキシカルボン酸、特にリシノール酸、12-ヒドロキシステアリン酸、レスケロール酸、11-ヒドロキシ-ウンデカン酸から誘導され、最も好ましくはRはリシノール酸から誘導される、請求項41の有機アンモニウム塩。
【請求項43】
式(V)または(VII)のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンは以下の構造の少なくとも1つの部分を含む:
(脂肪族アルコール)-O-C(O)-(モノまたはオリゴC8-C24ヒドロキシ脂肪酸)-O-C(O)-(C2-C12炭化水素)-C(O)-O-(モノまたはオリゴC8-C24ヒドロキシ脂肪酸)-C(O)-O-(脂肪族アルコール)、先行する任意の請求項による有機アンモニウム塩。
【請求項44】
式(V)または(VII)のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンは以下の構造の少なくとも1つの部分を含み
-([-O-C(O)-R(-O-C(O)-R-O-C(O)-L-C(O)-O-(R-C(O)-O)-R-C(O)O])-R
式中L、l、RおよびRは上記で定義した通りである、請求項41および42のいずれかの有機アンモニウム塩。
【請求項45】
式(V)または(VII)のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンのR、GまたはYの少なくとも1つの基は以下の式の少なくとも1つの部分を含み
1*[(-O-C(O)-R-O-C(O)-]
式中R1*は2価のC1-C100ラジカル、好ましくはC1-C12アルキレン、最も好ましくはメチレン、エチレン、1,3-プロピレン、1,4-ブチレン、1,6-ヘキシレン、1,2-プロピレン、1,3-ブチレンラジカルであり、
mは1から12から独立して選択され、そして
は上記定義の通りである、先行する任意の請求項による有機アンモニウム塩。
【請求項46】
以下の一般式の少なくとも1つの部分において
1*[(-O-C(O)-R-O-C(O)-]
1*はメチレン、エチレン、1,3-プロピレン、1,4-ブチレン、1,6-ヘキシレン、1,2-プロピレン、1,3-ブチレンから選択され、RはC8-C24モノカルボン酸-モノヒドロキシカルボン酸から、特にリシノール酸、12-ヒドロキシステアリン酸、レスケロール酸、11-ヒドロキシ-ウンデカン酸から誘導され、そしてmは独立して1から6から選択される、請求項45の有機アンモニウム塩。
【請求項47】
請求項1から46のいずれかによる有機アンモニウム塩を製造するためのプロセスであって:
有機アンモニウム基含有カチオンに対応する有機アミンと、式(V)、(VII)および(X)からなる群より選択されるカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンに対応するカルボン酸(-COOH)との反応;または
有機アンモニウム基含有カチオンの無機アニオン含有塩と、式(V)、(VII)および(X)からなる群より選択されるカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンに対応するカルボン酸(-COOH)の金属塩との反応;または
有機アンモニウム基含有カチオンのヒドロキシ塩と、式(V)、(VII)および(X)からなる群より選択されるカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンに対応するカルボン酸との反応を含むプロセス。
【請求項48】
請求項1から46のいずれかによる有機アンモニウム塩の製造は、アニオン交換反応工程(ii)を含み、式(V)、(VII)および(X)からなる群より選択されるカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンに対応するカルボン酸(-COOH)のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩が適用される、請求項47によるプロセス。
【請求項49】
(ii)有機アンモニウム基含有カチオンの無機アニオン含有塩と、式(V)、(VII)および(X)からなる群より選択されるカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンに対応するカルボン酸(-COOH)の金属塩との反応を含み、そこにおいては、式(V)、(VII)および(X)からなる群より選択されるカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンを含むNaカルボン酸塩またはKカルボン酸塩が、塩化物、臭化物またはメトスルフェートアニオンを含有する第1級、第2級、第3級、第4級アミン塩から選択される有機アンモニウム基含有カチオンの無機アニオン含有塩と接触される、請求項47および48による有機アンモニウム塩の製造プロセス。
【請求項50】
請求項1から46のいずれかによる目標の塩化合物を生ずるアニオン交換反応(ii)は、最終的な化粧品配合物の他の成分と何らかの接触を行うのに先立って、別個の反応工程において行われる、請求項47から49のいずれかによるプロセス。
【請求項51】
式(V)、(VII)および(X)からなる群より選択されるカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンに対応するカルボン酸(-COOH)のアルカリ塩、好ましくはナトリウム塩およびカリウム塩は、無機対イオンを含む第1級、第2級、第3級、第4級のアミン塩を含む部分的化粧品配合物または完成した化粧品配合物に対して添加される、請求項47から49のいずれかによるプロセス。
【請求項52】
請求項1から46のいずれかによる有機アンモニウム塩の製造はアニオン交換反応工程(iii)を含み、そしてそこにおいて式(V)、(VII)および(X)からなる群より選択されるカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンに対応するカルボン酸をOH-対イオンを有する第1級、第2級、第3級アミンおよび第4級アンモニウムイオンと接触させるアニオン交換反応工程(iii)は、最終的な化粧品配合物の他の成分と何らかの接触を行うのに先立って、別個の反応工程において行われる、請求項47のプロセス。
【請求項53】
請求項1から46のいずれかによる有機アンモニウム塩の製造はアニオン交換反応工程(iii)を含み、そしてそこにおいて式(V)、(VII)および(X)からなる群より選択されるカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンに対応するカルボン酸は、OH-対イオンを有する第1級、第2級、第3級、第4級アミン塩を含有する部分的化粧品配合物または完成した化粧品配合物に対して添加されて接触される、請求項47のプロセス。
【請求項54】
請求項1から46のいずれかによる塩化合物の、スキンケア用化粧品配合物およびヘアケア用コンディショナーおよびシャンプー化粧品配合物における、特にコンディショナーおよびシャンプーにおける、硬質表面を処理および被覆するための研磨剤における、例えば自動車の洗浄の後に自動車およびその他の硬質表面を乾燥させるための配合物における、繊維製品および繊維製品の繊維を仕上げるための、繊維製品がノニオン性またはアニオン性/ノニオン性洗剤配合物で洗浄された後の別個の柔軟剤としての、繊維製品を洗浄するためのノニオン性またはアニオン性/ノニオン性界面活性剤に基づく配合物中の柔軟剤としての、および繊維製品におけるシワを防止または除去するための手段としての使用。
【請求項55】
請求項1から46のいずれかによる塩化合物の、繊維、好ましくはアミノ酸系繊維、より好ましくは人の毛髪の処理のための化粧品組成物における、特にヘアカラーの保持、髪の輝きの向上、ヘアカラーの向上、ヘアカラーの保護、髪のコンディショニング、髪の滑らかさまたは柔軟化、髪の扱いやすさの改善、特に髪の櫛通りの改善のための使用。
【請求項56】
ヘアシャンプー組成物、ヘアコンディショナー組成物、ヘアカラーまたはヘアダイ組成物、髪の櫛通り改善組成物、髪のリンスオフおよびリーブオン組成物からなる群より選択される、請求項1から46のいずれかの塩化合物を含むヘアトリートメント用組成物。
【請求項57】
スキンケア用化粧品配合物およびヘアケア用コンディショナーおよびシャンプー化粧品配合物における、特にコンディショナーおよびシャンプーにおける、硬質表面を処理および被覆するための研磨剤における、例えば自動車の洗浄の後に自動車およびその他の硬質表面を乾燥させるための配合物における、繊維製品および繊維製品の繊維を仕上げるための、繊維製品がノニオン性またはアニオン性/ノニオン性洗剤配合物で洗浄された後の別個の柔軟剤としての、繊維製品を洗浄するためのノニオン性またはアニオン性/ノニオン性界面活性剤に基づく配合物中の柔軟剤としての、および繊維製品におけるシワを防止または除去するための手段としての、請求項47から53のいずれかによるプロセスの生成物の使用。
【請求項58】
繊維、好ましくはアミノ酸系繊維、より好ましくは人の毛髪の処理のための化粧品組成物における、特にヘアカラーの保持、髪の輝きの向上、ヘアカラーの向上、ヘアカラーの保護、髪のコンディショニング、髪の滑らかさまたは柔軟化、髪の扱いやすさの改善、特に髪の櫛通りの改善のための、請求項47から53のいずれかによるプロセスの生成物の使用。
【請求項59】
ヘアシャンプー組成物、ヘアコンディショナー組成物、ヘアカラーまたはヘアダイ組成物、髪の櫛通りを改善する組成物、髪のリンスオフおよびリーブオン組成物からなる群より選択される、請求項47から53のいずれかの生成物を含む、毛髪の処理のための組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高分子脂肪酸塩化合物、その製造プロセス、高分子脂肪酸塩化合物を含有する組成物、および高分子脂肪酸塩化合物をスキンケアおよびヘアケアのために含む化粧品組成物、特にヘアケア組成物における高分子脂肪酸塩化合物の使用、および毛髪のトリートメント処理のためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪は一般に、直毛、ウェーブ状、巻き毛、縮れ毛、または捻じれ毛などでありうる。人の毛髪は3つの主な形態学的成分、キューティクル(複数の同心円状の層からなる薄い最外殻)、コルテックス(毛髪の本体)、そしてより太い毛髪の場合はメデュラ(細い中心コア)を含んでいる。キューティクルとコルテックスは毛髪の機械的特性、すなわちそれがウェーブ、巻き、または縮れを生ずる傾向をもたらす。真っ直ぐな毛髪は円形の断面の棒に似ており、ウェーブ状の毛髪は楕円形の断面となるように圧縮されたように見え、巻き毛の毛髪はさらに圧縮されて細長い楕円の断面のように見え、そして縮れ毛の毛髪の断面はさらに平坦なものであり得る。
【0003】
毛髪の主成分は、架橋されたαヘリックスタンパク質のケラチンである。ケラチンは、例えば人間の皮膚や髪、羊毛、羽毛、および爪などの上皮細胞に特異的に見られる中間径フィラメントタンパク質である。分子量約45~60kDaのαヘリックスI型およびII型ケラチン中間径フィラメントタンパク質(KIF)は、分子量20~30kDaのケラチン関連タンパク質(KAP)の非晶質マトリックスに埋め込まれている(M.A.Rogers、L.Langbein、S.Praetzel-Wunder、H.Winter、J.Schweizer、国際細胞学雑誌2006;251:209-6);シスチンによって提供される分子内および分子間のジスルフィド結合が両方とも、細胞の足場を維持する細胞骨格タンパク質ネットワークに寄与する。ジスルフィド架橋に加えて、毛髪タンパク質に含まれるさまざまなアミノ酸を対にするイオン結合または塩橋が、毛髪の外側の形状に寄与する。
【0004】
毛髪を、コンディショニング、輝きおよびUV保護、ならびに色保持などの1つまたはより多くの美容上の利点をもたらす官能化シリコーンおよび炭化水素で処理可能であることは、当技術分野において知られている。通常、これらのシリコーンおよび炭化水素ベースの誘導体は繊維表面(キューティクル)に物理的に堆積するため、髪の外観、すなわち滑らかさ、光沢、摩擦、整列性、櫛通りの良さなどにに影響を与える。
【0005】
高機能のシリコーン誘導体は一般に、滑らかで絹のような髪の感触、摩擦の軽減、櫛通りの良さ、髪の色の保護などの特性に関して高性能の材料とみなされている。4級化シリコーンのそれぞれのが、先行技術の開示、すなわち米国特許第4891166号、欧州特許第282720号、米国特許公開第2008027202号、米国特許第6730766号、米国特許第6240929号、国際公開02/10257号、国際公開02/10259号、国際公開2004/069137号、国際公開2013/148629号、国際公開2013/148635号、国際公開2013/148935号に記載されている。
【0006】
炭化水素系のコンディショニング剤もまた、広く使用されている。典型的には、モノ第4級アンモニウム化合物は、モノ長鎖アルキルトリ短鎖アルキル第4級アンモニウム塩またはジ長鎖アルキルジ短鎖アルキル第4級アンモニウム塩であり、1つまたは2つのアルキル置換基は約8から約30の炭素原子の脂肪族基、または約30までの炭素原子を有する芳香族、アルコキシ、ポリオキシアルキレン、アルキルアミド、ヒドロキシアルキル、アリールまたはアルキルアリール基から選択される;他方のアルキル基は約1~約8個の炭素原子の脂肪族基、または約8個までの炭素原子を有する芳香族、アルコキシ、ポリオキシアルキレン、アルキルアミド、ヒドロキシアルキル、アリールもしくはアルキルアリール基から独立して選択され;対イオンはハロゲン(例えば、塩化物、臭化物)、酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、グリコール酸塩、リン酸塩、硝酸塩、スルホン酸塩、硫酸塩、アルキル硫酸塩、グルタミン酸塩、およびアルキルスルホン酸塩のラジカルから選択される塩形成性アニオンである。代替的には、これらのモノ第4級アンモニウム化合物は、飽和または不飽和脂肪酸系のモノ脂肪酸エステルおよびジ脂肪酸エステルクアット(第4級化物)、ならびにアルキル鎖に10~24個の炭素原子を有する脂肪酸アミドクアットである。4級アンモニウム基を含むこれらの材料の詳細は、例えば米国特許公開第2009/0000638号、国際公開2012/027369号、米国特許公開第2013/259820号および米国特許第5880086号、米国特許第6465419号、米国特許第6462014号、米国特許第6323167号、米国特許第6037315号、米国特許第5854201号、米国特許第5750490号、米国特許第5463094号、および米国特許公開第2003/013627号に開示されている。
【0007】
ジ4級化炭化水素もまた知られている。典型的には、これらのジェミニ型クアットは、C8からC20のアルキルまたは脂肪族鎖に基づいている(D.Shuklaら、カチオン性ジ体界面活性剤:評論、日本油化学会誌2006、55巻、8号、381-390;M.J.Rosenらラングミュア誌(2001)、17、6148~6154)。
【0008】
ヒマシ油とさまざまなジカルボン酸の交互コポリエステルをベースにしたジ4級化炭化水素が、米国特許公開第2003/0007950号および米国特許第6972123号に記載されている。
【0009】
ヒマシ油前駆体が、3つの4級アンモニウム基を含む材料の合成に使用されている(欧州特許第0283994号、A.Baydarら国際化粧品科学誌(1991)、13(4)、169-90)。
【0010】
脂肪酸ダイマーを使用してポリ第4級脂肪酸ダイマー共重合体が合成されている(米国特許第6982078号)。
【0011】
国際公開2004/093834号は、パーソナルケア用途向けの炭化水素系モノ4級化合物を記載している。これらの化合物には、構造-CHCHO-EO-PO-を有する連結基が必須で含まれている。重合した脂肪酸が疎水性の尾部として提案されている。
【0012】
米国特許第6051214号は、洗浄性界面活性剤、増粘剤、水、およびエストリドを主成分としたシャンプーを提案している。また、コンディショニング剤、増粘剤、水、およびエストリドを含むコンディショナーも提案されている。
【0013】
繊維状のアミノ酸系の基質、特に毛髪のトリートメントには、主に持続可能な原材料に基づいた、単純でコスト効率が高く、融通性のある方法で合成でき、配合が容易で使用が簡単であり、他の機能成分が存在する場合でも長期間安定した配合物が得られ、髪のコンディショニング、乾燥時および湿潤時の髪の櫛通りの改善、髪の滑らかさや快適な整えに有用な、効率的な化合物が必要とされている。特に、シリコーン系のコンディショニング剤に近い、湿潤時および乾燥時の櫛通り性の改善に関する利点が達成されねばならない。
【0014】
本発明者らは、エストリド構造のカルボン酸アニオンを含む新規な高分子脂肪酸系の塩化合物、およびそのような塩化合物を含む水性組成物が上記の必要性を満たすのに適していることを見出した。したがって本発明は、エストリド構造を含むカルボン酸アニオンを含む新規な高分子脂肪酸系の塩化合物、それを含む水性組成物、それを含む化粧品組成物、特にヘアケア組成物、および毛髪のトリートメントのためのそれらの使用を提供し、このエストリド構造を含むカルボン酸アニオンを含む高分子脂肪酸系の塩化合物は、主に持続可能な原料に基づいて、単純でコスト効率が高く、融通性のある方法で合成可能である。本発明の化合物は配合および使用が容易であり、毛髪のコンディショニング、乾燥時および湿潤時の髪の櫛通り性の改善、髪の滑らかさおよび快適な整列に有用である。
【発明の概要】
【0015】
本発明は、カルボン酸アニオンはエストリド構造に基づいているがカチオンはそのような構造を示さない脂肪酸系の有機アンモニウム塩、並びにその製造方法、塩化合物を含む組成物、およびスキンケアおよびヘアケアのためにそれを含む化粧品組成物、特にヘアケア組成物における塩化合物の使用、および毛髪のトリートメントのためのそれらの使用に関する。
【0016】
かくして本発明によれば有機アンモニウム基含有カチオンを含む有機アンモニウム塩が提供され、
但し上記有機アンモニウム基含有カチオンは式(III)または(IV)の構成部分を含まず:
(-Z-C(O)-R-Z-C(O)- (III)または
(-C(O)-Z-R-C(O)-Z- (IV)、
式中
Zは同一または異なっていてよく-O-または-NR11-から選択され、ここで
11は水素、または-O-、-NH-、-C(O)-、-C(S)-、
【化1】

から選ばれる1つまたはより多くの基を任意選択的に含みヒドロキシル基およびハライド基の1つまたはより多くで置換可能な100までの炭素原子を有する任意選択的に置換された直鎖、環状または分岐鎖の、飽和、不飽和または芳香族の炭化水素ラジカルからなる群より独立して選択され、
は任意選択的に置換された直鎖、環状、または分岐鎖の、置換または未置換の1から36の炭素原子を有する炭化水素ラジカルから独立して選択され、但しRの少なくとも1つは6を超える炭素原子を有し、そして
rは1から20であり、
またカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンは式(V)、(VII)、および(X)のアニオンからなる群より選択され:
式(V):
(-X-C(O)-G) (V)
式中
式(V)におけるRはp価の任意選択的に置換された炭化水素ラジカルから選択され、任意選択的に-O-、-NH-、-C(O)-、-C(S)-、
【化2】

および4級アンモニウム基から選択される1つまたはより多くの基を含んでいてよく、そしてカルボキシル(-COOH)基、カルボン酸アニオン(-COO)基およびヒドロキシル(-OH)基から選択される1つまたはより多くの置換基によって任意選択的に置換可能であり、
p≧1、より好ましくは2~811、
Xは同一または異なっていてよく-O-または-NR10-から選択され、ここでR10は水素、または-O-、-NH-、-C(O)-、-C(S)-、
【化3】

から選択された1つまたはより多くの基を任意選択的に含む100までの炭素原子を有する任意選択的に置換された直鎖、環状または分岐鎖の、飽和、不飽和または芳香族の炭化水素ラジカルからなる群より選択され、または式(V)R10においてRに対する結合を形成して環状構造を形成してよく、
Gは同一または異なっていてよく、そして任意選択的に-O-、-NH-、-C(O)-、-C(S)-、および
【化4】

から選択された1つまたはより多くの基を含みカルボキシル(-COOH)基、カルボン酸アニオン(-COO)基、ヒドロキシル(-OH)基、およびハライド(-ハロゲン)基から選択される1つまたはより多くの置換基により任意選択的に置換可能な1005までの炭素原子を有する任意選択的に置換された直鎖、環状または分岐鎖の、飽和、不飽和または芳香族の炭化水素ラジカルから選択され、
但しラジカルGの少なくとも1つは式(VI)または(VI)の少なくとも1つの構成部分を含み:
-R(-X-C(O)-R-X-C(O)-R (VI)
-R(-X-C(O)-R-X-C(O)-R9* (VI
式中
Xは上記定義の通りであり、
m=0から20、好ましくは1から20、
は36までの炭化水素を有し任意選択的に置換された直鎖、環状、または分岐鎖の、置換または未置換の2価の炭化水素ラジカルから独立して選択され、
は任意選択的に-O-、-NH-、-C(O)-、-C(S)-、
【化5】

から選択される1つまたはより多くの基を含み、カルボキシル(-COOH)基、カルボン酸アニオン(-COO)基、ヒドロキシル(-OH)基、およびハライド(-ハロゲン)基から選択される1つまたはより多くの置換基で置換可能な、1から1000の炭素原子を有し任意選択的に置換された直鎖、環状、または分岐鎖の、置換または未置換の炭化水素ラジカルから独立して選択され、ここでラジカルRは内部カルボキシ(-COO)基または(-CON(R’)-、R’は水素または有機基)アミド基を含むことができず、すなわちRは-C(O)-基と-O-基の組み合わせまたは-C(O)-基と-NH-または3級アミノ基の組み合わせを含むことができず、そして
但し式(VI)Rの少なくとも1つの構成部分において少なくとも2の、好ましくは少なくとも6の炭素原子を有し、また式(VI)の同じ構成部分においてRの少なくとも1つは少なくとも6の、好ましくは少なくとも8の炭素原子を有し、
但し、RおよびGの少なくとも1つは1つまたはより多くのカルボン酸アニオン(-COO)基を含み、
9*は任意選択的に-O-、-NH-、-C(O)-、-C(S)-、
【化6】

から選択される1つまたはより多くの基を含み、カルボキシル基、ヒドロキシル基、またはハライド基で置換可能な、1から1000の炭素原子を有し任意選択的に置換された分岐鎖またはデンドリマーの炭化水素ラジカルから独立して選択され、ここでラジカルR9*は次の一般構造の2つまたはより多くの基によって終端し、
-X-C(O)-T
式中Xは上記定義の通りであり、そして
Tはカルボキシル基、ヒドロキシル基、またはハライド基で任意選択的に置換された36までの炭化水素の1価の直鎖、環状、または分岐鎖の、置換または未置換の炭化水素ラジカルであり、
但し式(VI)R9*の少なくとも1つの構成部分は少なくとも2の、好ましくは少なくとも6の炭素原子を有する1つまたはより多くの基Tによって終端され、また式(VI)の同じ構成部分においてRの少なくとも1つは少なくとも6の、好ましくは少なくとも8の炭素原子を有し、
また但し、式(V)におけるRおよびGの少なくとも1つは1つまたはより多くのカルボン酸アニオン(-COO)基を含み、
式(VII):
(-C(O)-X-Y) (VII)
式中
およびXは上記定義の通りであり、
q=1から55、好ましくは1から40、より好ましくは2から4、そして
Yは同一または異なっていてよく、任意選択的に-O-、-NH-、-C(O)-、-C(S)-、および
【化7】

から選択される1つまたはより多くの基を含み、カルボキシル(-COOH)基、カルボン酸アニオン(-COO)基およびヒドロキシル基から選択される1つまたはより多くの置換基によって置換可能な、1005までの炭素原子を有し任意選択的に置換された直鎖、環状または分岐鎖の、飽和、不飽和または芳香族の炭化水素ラジカルから選択され、
但しラジカルYの少なくとも1つは式(VIII)または(VIII)の少なくとも1つの構成部分を含み:
-R(-C(O)-X-R-C(O)-X-R (VIII)
-R(-C(O)-X-R-C(O)-X-R9* (VIII
ここで式(VIII)におけるX、m、R、およびRはそれぞれ式(VI)について上記で定義した通りであり、そして
式(VIII)におけるX、m、R、およびR9*はそれぞれ式(VI)について上記で定義した通りであり、
また但し式(VII)におけるRおよびYの少なくとも1つは1つまたはより多くのカルボン酸アニオン(-COO)基を含み、
式(X):
(-C(O)-X-R-COO
ここで式(X)におけるX、R、R、およびqはそれぞれ式(VII)および(VIII)について上記で定義した通りである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下においては本発明を詳細に説明する。
【0018】
本発明によれば有機アンモニウム基含有カチオンを含む有機アンモニウム塩が提供され、
但し上記有機アンモニウム基含有カチオンは式(III)または(IV)の構成部分を含まず:
(-Z-C(O)-R-Z-C(O)- (III)または
(-C(O)-Z-R-C(O)-Z- (IV)、
式中
Zは同一または異なっていてよく-O-または-NR11-から選択され、ここで
11は水素、または-O-、-NH-、-C(O)-、-C(S)-、
【化8】

から選ばれる1つまたはより多くの基を任意選択的に含みヒドロキシル基およびハライド基の1つまたはより多くで置換可能な100までの炭素原子を有する任意選択的に置換された直鎖、環状または分岐鎖の、飽和、不飽和または芳香族の炭化水素ラジカルからなる群より独立して選択され、
は任意選択的に置換された直鎖、環状、または分岐鎖の、置換または未置換の1から36の炭素原子を有する炭化水素ラジカルから独立して選択され、但しRの少なくとも1つは6を超える炭素原子を有し、そして
rは1から20であり、
またカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンは式(V)、(VII)、および(X)のアニオンからなる群より選択され:
式(V):
(-X-C(O)-G) (V)
式中
式(V)におけるRはp価の任意選択的に置換された炭化水素ラジカルから選択され、任意選択的に-O-、-NH-、-C(O)-、-C(S)-、
【化9】

および第4級アンモニウム基から選択される1つまたはより多くの基を含んでいてよく、そしてカルボキシル(-COOH)基、カルボン酸アニオン(-COO)基およびヒドロキシル(-OH)基から選択される1つまたはより多くの置換基によって任意選択的に置換可能であり、
p≧1、より好ましくは2~811、
Xは同一または異なっていてよく-O-または-NR10-から選択され、ここでR10は水素、または-O-、-NH-、-C(O)-、-C(S)-、
【化10】

から選択された1つまたはより多くの基を任意選択的に含む100までの炭素原子を有する任意選択的に置換された直鎖、環状または分岐鎖の、飽和、不飽和または芳香族の炭化水素ラジカルからなる群より選択され、または式(V)R10においてRに対する結合を形成して環状構造を形成してよく、
Gは同一または異なっていてよく、そして任意選択的に-O-、-NH-、-C(O)-、-C(S)-、および
【化11】

から選択された1つまたはより多くの基を含みカルボキシル(-COOH)基、カルボン酸アニオン(-COO)基、ヒドロキシル(-OH)基、およびハライド(-ハロゲン)基から選択される1つまたはより多くの置換基により任意選択的に置換可能な1005までの炭素原子を有する任意選択的に置換された直鎖、環状または分岐鎖の、飽和、不飽和または芳香族の炭化水素ラジカルから選択され、
但しラジカルGの少なくとも1つは式(VI)または(VI)の少なくとも1つの構成部分を含み:
-R(-X-C(O)-R-X-C(O)-R (VI)
-R(-X-C(O)-R-X-C(O)-R9* (VI
式中
Xは上記定義の通りであり、
m=0から20、好ましくは1から20、
は36までの炭化水素を有し任意選択的に置換された直鎖、環状、または分岐鎖の、置換または未置換の2価の炭化水素ラジカルから独立して選択され、
は任意選択的に-O-、-NH-、-C(O)-、-C(S)-、
【化12】

から選択される1つまたはより多くの基を含み、カルボキシル(-COOH)基、カルボン酸アニオン(-COO)基、ヒドロキシル(-OH)基、およびハライド(-ハロゲン)基から選択される1つまたはより多くの置換基で置換可能な、1から1000の炭素原子を有し任意選択的に置換された直鎖、環状、または分岐鎖の、置換または未置換の炭化水素ラジカルから独立して選択され、ここでラジカルRは内部カルボキシ(-COO)基または(-CON(R’)-、R’は水素または有機基)アミド基を含むことができず、すなわちRは-C(O)-基と-O-基の組み合わせまたは-C(O)-基と-NH-または3級アミノ基の組み合わせを含むことができず、そして
但し式(VI)Rの少なくとも1つの構成部分において少なくとも2の、好ましくは少なくとも6の炭素原子を有し、また式(VI)の同じ構成部分においてRの少なくとも1つは少なくとも6の、好ましくは少なくとも8の炭素原子を有し、
但し、RおよびGの少なくとも1つは1つまたはより多くのカルボン酸アニオン(-COO)基を含み、
9*は任意選択的に-O-、-NH-、-C(O)-、-C(S)-、
【化13】

から選択される1つまたはより多くの基を含み、カルボキシル基、ヒドロキシル基、またはハライド基で置換可能な、1から1000の炭素原子を有し任意選択的に置換された分岐鎖またはデンドリマーの炭化水素ラジカルから独立して選択され、ここでラジカルR9*は次の一般構造の2つまたはより多くの基によって終端し、
-X-C(O)-T
式中Xは上記定義の通りであり、そして
Tはカルボキシル基、ヒドロキシル基、またはハライド基で任意選択的に置換された36までの炭化水素の1価の直鎖、環状、または分岐鎖の、置換または未置換の炭化水素ラジカルであり、
但し式(VI)R9*の少なくとも1つの構成部分は少なくとも2の、好ましくは少なくとも6の炭素原子を有する1つまたはより多くの基Tによって終端され、また式(VI)の同じ構成部分においてRの少なくとも1つは少なくとも6の、好ましくは少なくとも8の炭素原子を有し、
また但し、式(V)におけるRおよびGの少なくとも1つは1つまたはより多くのカルボン酸アニオン(-COO)基を含み、
式(VII):
(-C(O)-X-Y) (VII)
式中
およびXは上記定義の通りであり、
q=1から55、好ましくは1から40、より好ましくは2から4、そして
Yは同一または異なっていてよく、任意選択的に-O-、-NH-、-C(O)-、-C(S)-、および
【化14】

から選択される1つまたはより多くの基を含み、カルボキシル(-COOH)基、カルボン酸アニオン(-COO)基およびヒドロキシル基から選択される1つまたはより多くの置換基によって置換可能な、1005までの炭素原子を有し任意選択的に置換された直鎖、環状または分岐鎖の、飽和、不飽和または芳香族の炭化水素ラジカルから選択され、
但しラジカルYの少なくとも1つは式(VIII)または(VIII)の少なくとも1つの構成部分を含み:
-R(-C(O)-X-R-C(O)-X-R (VIII)
-R(-C(O)-X-R-C(O)-X-R9* (VIII
ここで式(VIII)におけるX、m、R、およびRはそれぞれ式(VI)について上記で定義した通りであり、そして
式(VIII)におけるX、m、R、およびR9*はそれぞれ式(VI)について上記で定義した通りであり、
また但し式(VII)におけるRおよびYの少なくとも1つは1つまたはより多くのカルボン酸アニオン(-COO)基を含み、
式(X):
(-C(O)-X-R-COO
ここで式(X)におけるX、R、R、およびqはそれぞれ式(VII)および(VIII)について上記で定義した通りである。
【0019】
本発明によれば、エストリドは天然化合物および合成化合物であり、特に油脂から誘導され、より特定的には典型的には油脂の加水分解により得ることのできる脂肪酸化合物から誘導される。
【0020】
エストリド構造は、一方の脂肪酸アシル分子から他方の脂肪酸フラグメントのアルキル主鎖に対する第2級エステル結合によって識別される。用語「脂肪酸」および「脂肪酸アシル分子」は、個々の残基が脂肪の成分から誘導される必要があることを示唆しているように見えるが、そうではない。本願における用語「脂肪酸」は、鎖状のオルガニル基を備えたカルボン酸を指しており、特に未分岐の脂肪族モノカルボン酸を指している。脂肪酸は炭素原子の数(鎖長)によって相互に区別され、また不飽和の脂肪酸に関しては、二重結合の数と位置によって相互に区別される。脂肪酸は7までの炭素原子の短鎖脂肪酸、8から12の炭素原子の中鎖脂肪酸、13から21の炭素原子の長鎖脂肪酸、そして22を超える炭素原子の超長鎖脂肪酸として区別されてよい。
【0021】
本発明によれば、一般に基「-O-」はエーテル基を表し、これはまた三員環のエーテル基であるエポキシド構成部分の存在を含んでいる。したがって、任意選択的に基「-O-」を含むとして上記に定義された基はエポキシ基を含んでいてよい。
【0022】
一般に、以下に説明する本発明によるすべての実施形態の特徴は、特に明記しない限り、或いは特徴の組み合わせまたは1つの実施形態の独立した特徴を別の実施形態に取り入れることがパラメータの定義上不可能、すなわち論理的にそれらが両立しないのでない限り、自由に組み合わせることができる。
【0023】
本発明によれば、有機アンモニウム基は、第4級窒素原子を含み、これがオルガニル基の少なくとも1つの炭素原子、すなわち官能基の種類を問わず、炭素原子上に自由原子価を有する任意の有機置換基の少なくとも1つの炭素原子に直接に結合している任意の基である。
【0024】
本発明によれば、有機アンモニウム塩カチオン、または塩が1つよりも多い有機アンモニウムカチオンを含む場合には複数の有機アンモニウムカチオンは、式(III)または(IV)の構成部分を含まない:
(-Z-C(O)-R-Z-C(O)- (III)または
(-C(O)-Z-R-C(O)-Z- (IV)。
【0025】
基Rは同一または異なっていてよく、任意選択的に置換された直鎖、環状、または分岐鎖の、置換または未置換の1から36の炭素原子を有する炭化水素ラジカルから選択され、かくして直鎖、分岐鎖または環状のアルキレン基、直鎖、分岐鎖または環状のアルケニレン基、直鎖、分岐鎖または環状のアルキニレン基、直鎖、分岐鎖または環状のアルカリーレン基、直鎖、分岐鎖または環状のアラルキレン基および直鎖、分岐鎖または環状のアリーレン基、例えばフェニレン、ベンジレンまたはトリレン基からなる群から、特に1から22の炭素原子を有するそうした群から選択されるヒドロカルビル基を表すことができる。
【0026】
ヒドロカルビルラジカルのどの炭素原子において、隣接する基であるC(O)基およびZ基がRに結合されるかに関して、制約は存在しない。
【0027】
Zは同一または異なっていてよく、そしてOまたはNR11から選択され、ここでR11は独立して水素、または任意選択的に-O-、-NH-、-C(O)-、-C(S)-、
【化15】

から選択される1つまたはより多くの基を含み、また1つまたはより多くのヒドロキシル基およびハライド基で置換可能な、100までの炭素原子を有し任意選択的に置換された直鎖、環状または分岐鎖の、飽和、不飽和または芳香族の炭化水素ラジカルからなる群より選択される。
【0028】
カチオン構造から除外される式(III)または式(IV)によって規定される構成部分のR含有繰り返し単位(-Z-C(O)-R)または(-C(O)-Z-R)の数は、1から20である。本発明による有機アンモニウム塩は、上記に定義した式(V)、(VII)、および(X)のアニオンからなる群より選択される少なくとも1つのカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンを含む。
【0029】
式(V)のアニオンの構造は以下のように定義される:
(-X-C(O)-G) (V)
【0030】
本発明によれば、式(V)において残基Rはp価であり、ここでpは≧1から811、好ましくは2から811、さらに好ましくは2から100、より好ましくは2から50、さらにより好ましくはpは2から30、または3から25、または4から20であり、これは残基Rが構造(-X-C(O)-G)のp個の残基を担持していることを示し、Gは以下に規定する通りである。したがって、用語「p価」は残基Rの(-X-C(O)-G)以外の、カルボキシル基、カルボキシレート基またはヒドロキシル基であることができる任意選択的なさらなる置換基の数を指すものでも、または制限するものでもない。
【0031】
本発明によれば、任意選択的に1つまたはより多くの特定の官能基を含んでいてよく、1つまたはより多くの特定の官能基によって置換可能な「任意選択的に置換された炭化水素ラジカル」という言い回しは、1つまたはより多くのさらなる基へとその炭素原子の少なくとも1つを介して連結したオルガニルラジカルを指しており、ここでラジカルのヒドロカルビル構造は含有されると規定された特定の官能基によって中断されていてよく、そしてヒドロカルビル基の1つまたはより多くの水素原子は示されているように置換基によって置換可能である。
【0032】
例えばRの場合、1つまたはより多くの水素原子がヒドロキシル基により、カルボキシル基により、またはカルボキシレート基により置換されてよい。
【0033】
さらに、任意選択的に置換された炭化水素ラジカルRは特定的には-O-、-NH-、-C(O)-、-C(S)-および
【化16】

から選択された1つまたはより多くの基を含んでいてよいことから、R基のヒドロカルビル構造は、これらの基またはそれらの組み合わせによって中断されていてよい。したがって、残基はエステル基、カルボキシル基、アミド基、エーテル基、アミノ基、カルボニル基、チオン基、チオカルボキシレート基、チオエステル基、カルバメート基、ウレタン基、エポキシド基、およびこのラジカルについて特定した他のすべての基、およびこれらの組み合わせを含んでいてよい。
【0034】
式(V)における残基(-X-C(O)-G)に関してp価であるRのヒドロカルビル構造は、好ましくは直鎖、分岐鎖または環状のアルキレン基、直鎖、分岐鎖または環状のアルケニレン基、直鎖、分岐鎖または環状のアルキニレン基、直鎖、分岐鎖または環状のアルカリーレン基、直鎖、分岐鎖または環状のアラルキレン基および直鎖、分岐鎖または環状のアリーレン基、例えばフェニレン、ベンジレンまたはトリレン基、特に1から1000の炭素原子、より特定的には1から150の炭素原子を有するそうした基からなる群より選択される。
【0035】
好ましくは、炭化水素構造は直鎖または分岐鎖のアルキレン基、またはエーテル基、エステル基またはエーテル基およびエステル基の両者で中断された直鎖または分岐鎖のアルキレン基、特にポリオールを150までの炭素原子を備えたモノまたはポリヒドロキシカルボン酸で、または22までの炭素原子を備えた直鎖アルキレン基でエステル化することによって得られた生成物から誘導された分岐構造である。
【0036】
より好ましくは、式(V)のp価のRラジカルはアルキレン基から選択され、これは直鎖、分岐鎖および環状のアルキレン基、特にメチレン、エチレン、n-プロピレン、n-ブチレン、n-ペンチレン、n-ヘキシレン、n-ヘプチレンまたはn-オクチレン基のような直鎖のC1-C22アルキル基、イソプロピレン、イソブチレン、tert-ブチレン、イソブチレン、tert-ペンチレン、ネオペンチレン、および2-エチルヘキシレン基のような分岐鎖C1-C22アルキレン基からなる群より選択されてよい。
【0037】
ヒドロカルビルラジカルのどの炭素原子がRに結合した1つまたはより多くの(-X-C(O)-G)基を担持するかに関して制約は存在しない。
【0038】
に任意選択的に含有される官能基および任意選択的な置換基の存在に関しては、Rがグリシジル化合物、グリセリンおよびグリセリン誘導体、特にグリシドール、グリセリンジグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテルおよびポリグリセリン化合物から誘導されること、またはRが直鎖のアルキレン基、特に(-X-C(O)-G)基に加えてさらに置換基を担持しないアルキレン基であることが好ましく、そしてさらにより好ましいのはRがグリシドール、グリセリン、グリセリンジグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテルおよびポリグリセリン化合物と、C8-C24モノヒドロキシ脂肪酸、特にリシノール酸、レスケロール酸または12-ヒドロキシステアリン酸の縮合生成物から誘導されることである。
【0039】
がデンドリマー構造である場合には、それが2から6のヒドロキシ基を有するモノカルボン酸を含むことが好ましくは、そのうち少なくとも1つ、好ましくは全てのヒドロキシル基が2から6のヒドロキシ基を担持するモノカルボン酸でエステル化される。任意選択的に、1つ、2つまたはより多くの分岐サイクルが行われてよく、2から6のヒドロキシ基を担持したさらなるモノカルボン酸が、以前の分岐サイクルにおいて適用されたモノカルボン酸のヒドロキシル基のエステル化を介して付加される。
【0040】
後続の分岐サイクルの2から6のヒドロキシ基を有するモノカルボン酸がエストリド鎖によって相互に連結されることもまた好ましい。
【0041】
がデンドリマー構造を含む場合には、2から6のヒドロキシ基を有する1つの種類のモノカルボン酸、例えば2,2-ビス-(ヒドロキシメチル)プロピオン酸を用いて分岐構造をもたらすことが一般に好ましい。
【0042】
デンドリマー構造を含むこうしたRの例は次のようなものである:
【化17】

ここで
【化18】

【化19】
【0043】
当業者に明らかなように、通常は基(-X-C(O)-G)はラジカルRに対して-X-C(O)-単位を経由して、特に-O-C(O)-単位を経由して、Rが誘導された元の化合物において-OHまたは-NHR11基が置換していた位置において結合されている。
【0044】
例えば、グリセリンから誘導されるR基は1,2,3-プロピレンラジカルであり、ここで「1,2,3」はこのラジカルが(-X-C(O)-G)-基によって置換されている位置を示している。
【0045】
本発明によれば、用語「任意選択的に置換された炭化水素残基」はラジカルに対して何らかの制約をさらに課するものではなく、したがってそれらは、置換基として任意選択的に含有または存在しうる基、特定された残基の炭素原子の数、およびそれらが式(V)、式(VI)、式(VI)および式(VII)、式(VIII)、式(VIII)、式(X)または本発明により実施形態を規定するために使用される任意のさらなる式によって規定される本発明による化合物の他の構造的な部分に結合される仕方によって限定される。
【0046】
本発明によれば、基Xは同一または異なっていてよく-O-または-NR11-から選択され、ここでR11は水素、または任意選択的に-O-、-NH-、-C(O)-、-C(S)-、
【化20】

から選択される1つまたはより多くの基を含み100までの炭素原子を有する任意選択的に置換された直鎖、環状または分岐鎖の、飽和、不飽和または芳香族の炭化水素ラジカルからなる群より選択され、または式(V)R11においてRに対する結合を形成してよく環状構造を形成する。
【0047】
11の好ましい例はC1-C10アルキル基、特にメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンタンおよびn-ヘキサン基、シクロペンチル基およびシクロヘキサン基、C2-C10アルケニル基、特にビニル基およびアリル基、およびC6-C12芳香族基、特にフェニル基、トリル基、およびベンジル基であり、ここで挙げたそれぞれの基はヒドロキシル基またはハライド基によって置換されていてよい。
【0048】
本発明によれば、残基Gは同一または異なっていてよく、任意選択的に-O-、-NH-、-C(O)-、-C(S)-、
【化21】

から選択される1つまたはより多くの基を含み、カルボキシル、ヒドロキシルまたはハライド基から選択される1つまたはより多くの基によって任意選択的に置換可能な、1005までの炭素原子を有する任意選択的に置換された直鎖、環状または分岐鎖の、飽和、不飽和または芳香族の炭化水素ラジカルから選択され、但しラジカルGの少なくとも1つの化合物は式(VI)または(VI)の少なくとも1つの部分を含み、
-R(-X-C(O)-R-X-C(O)-R (VI)
-R(-X-C(O)-R-X-C(O)-R9* (VI
式中Xは上記定義の通りであり、
m=0から20、好ましくは1から20、
は36までの炭素原子を有する任意選択的に置換された直鎖、環状、または分岐鎖の、置換または未置換の2価の炭化水素ラジカルから独立して選択され、
は任意選択的に-O-、-NH-、-C(O)-、-C(S)-、
【化22】

から選択される1つまたはより多くの基を含み、カルボキシル(-COOH)基、カルボン酸アニオン(-COO)基、ヒドロキシル(-OH)基、およびハライド(-ハロゲン)基から選択される1つまたはより多くの基で置換可能な、1から1000の炭素原子を有する任意選択的に置換された直鎖、環状、または分岐鎖の、置換または未置換の炭化水素ラジカルから独立して選択され、ここでラジカルRは内部カルボキシ(-COO)基または(-CON(R’)-、R’は水素または有機基)アミド基を含むことができず、すなわちRは-C(O)-基と-O-基の組み合わせまたは-C(O)-基と-NH-または3級アミノ基の組み合わせを含むことができず、そして
但し式(VI)Rの少なくとも1つの構成部分において少なくとも2の、好ましくは少なくとも6の炭素原子を有し、また式(VI)の同じ構成部分においてRの少なくとも1つは少なくとも6の、好ましくは少なくとも8の炭素原子を有し、
9*は任意選択的に-O-、-NH-、-C(O)-、-C(S)-、
【化23】

から選択される1つまたはより多くの基を含み、カルボキシル基、ヒドロキシル基、またはハライド基で置換可能な、1から1000の炭素原子を有し任意選択的に置換された分岐鎖またはデンドリマーの炭化水素ラジカルから独立して選択され、ここでラジカルR9*は次の一般構造の2つまたはより多くの基によって終端し、
-X-C(O)-T
式中Xは上記定義の通りであり、そして
Tはカルボキシル基、ヒドロキシル基、またはハライド基で任意選択的に置換された36までの炭化水素の1価の直鎖、環状、または分岐鎖の、置換または未置換の炭化水素ラジカルであり、
但し式(VI)R9*の少なくとも1つの構成部分は少なくとも2の、好ましくは少なくとも6の炭素原子を有する1つまたはより多くの基Tによって終端され、また式(VI)の同じ構成部分においてRの少なくとも1つは少なくとも6の、好ましくは少なくとも8の炭素原子を有する。
【0049】
本発明によれば、RおよびGの少なくとも1つは1つまたはより多くのカルボン酸アニオン(-COO)基を含むことが必須である。
【0050】
好ましくは、基Gは式(VI)の基のみからなり、または基Gは式(VI)の基のみからなる。
【0051】
本発明によれば、Rは36までの炭素原子を有する任意選択的に置換された直鎖、環状、または分岐鎖の、置換または未置換の2価の炭化水素ラジカルから独立して選択される。かくしてそれは、任意選択的に置換された直鎖、環状または分岐鎖の、飽和、不飽和または芳香族の2価の炭化水素ラジカルであってよく、すなわちRは直鎖、分岐鎖または環状のアルキレン基、直鎖、分岐鎖または環状のアルケニレン基、直鎖、分岐鎖または環状のアルキニレン基、直鎖、分岐鎖または環状のアルカリーレン基、直鎖、分岐鎖または環状のアラルキレン基および直鎖、分岐鎖または環状のアリーレン基、例えばフェニレン、ベンジレンまたはトリレン基からなる群、特に1から24の炭素原子を有するそうした群から選択されるヒドロカルビル基を表すことができ、それぞれは任意選択的に1つまたはより多くのヒドロキシル基を含んでいる。
【0052】
より好ましくは、Rラジカルは直鎖のアルキレン基および直鎖のアルケニレン基から選択され、特にヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、トリデシレン、テトラデシレン、ペンタデシレン、ヘキサデシレン、ヘプタデシレン、オクタデシレン、ノナデシレン、エイコシレン、ヘニコシレン、ドイコシレン、トリコシレン、およびテトライコシレンのような直鎖のC6-C24アルキレン、またはヘキセニレン、ヘプテニレン、オクテニレン、ノネニレン、デセニレン、ウンデセニレン、ドデセニレン、トリデセニレン、テトラデセニレン、ペンタデセニレン、ヘキサデセニレン、ヘプタデセニレン、オクタデセニレン、ノナデセニレン、エイコセニレン、ヘニコセニレン、ドイコセニレン、トリコセニレン、およびテトライコセニレンのような直鎖のC6-C24アルケニレン基から選択され、ここで基は最も好ましくは隣接するC(O)基に対して末端の炭素原子によって結合されている。
【0053】
ヒドロカルビルラジカルのどの炭素原子において隣接する基であるC(O)基およびX基がRに結合するかに関して、制約は存在しない。しかしながらRは好ましくは1つまたはより多くのヒドロキシル基を担持したヒドロキシカルボン酸から、より好ましくはモノヒドロキシカルボン酸から、最も好ましくは置換基として1つのヒドロキシル基を担持しているC7-C25脂肪酸から誘導される。したがって、Rは好ましくは、そのようなカルボン酸のアルキレン鎖またはアルケニレン鎖を表す。例えば、Rがリシノール酸から誘導される場合、
【化24】

は1,11-ヘプタデカ-8-エニルラジカルを表し、
【化25】

式中「1,11」はこのラジカルが隣接する基XおよびC(O)に結合する位置を示している。
【0054】
について好ましい例は、対応するヒドロキシルカルボン酸からカルボキシレート基および1つのOH基を引き抜くことによって誘導される構造であり、ここでヒドロキシルカルボン酸は好ましくはリシノール酸、レスケロール酸、10-ヒドロキシオクタデカン酸、12-ヒドロキシオクタデカン酸、14-ヒドロキシテトラデカン酸、10-ヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、またはジヒドロキシカルボン酸、特に2,2’-ジヒドロキシメチルプロパン酸、9,10-ジヒドロキシステアリン酸、またはポリヒドロキシカルボン酸、特にグルコン酸から選択される。最も好ましくは、Rは上述した仕方でレスケロール酸またはリシノール酸から誘導される。いずれの場合にも天然に生ずるエナンチオマー化合物、すなわち植物ヒマの種子油であるヒマシ油の加水分解物のケン化または分別蒸留によって得られる(9Z,12R)-12-ヒドロキシオクタデカ-9-エン酸、およびパイソニアおよびフィサリアの種から分離される(11Z,14R)-14-ヒドロキシイコス-11-エン酸が特に好ましい。しかしながら本発明によれば、これらの化合物のラセミ体、Sエナンチオマー並びにE配置異性体、そのラセミ体、エナンチオマーおよび任意の可能な混合物もまた好ましい。
【0055】
一般式(V)の化合物の基Gにおいて存在する少なくとも1つの部分のR含有繰り返し単位(-X-C(O)-R)の数mは0から20、好ましくは0から15、0から12、0から10、0から8、または1から20、2から20、3から20、4から20、5から20、特に0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である。
【0056】
は任意選択的に-O-、-NH-、-C(O)-、-C(S)-、
【化26】

から選択される1つまたはより多くの基を含み、カルボキシル(-COOH)基、カルボン酸アニオン(-COO)基、ヒドロキシル(-OH)基、およびハライド(-ハロゲン)基から選択される1つまたはより多くの置換基で置換可能な、1から1000の炭素原子を有する任意選択的に置換された直鎖、環状、または分岐鎖の、置換または未置換の炭化水素ラジカルから独立して選択され、ここでラジカルRは内部カルボキシ(-COO)基または(-CON(R’)-、R’は水素または有機基)アミド基を含むことができず、すなわちRは-C(O)-基と-O-基の組み合わせまたは-C(O)-基と-NH-または3級アミノ基の組み合わせを含むことができない。
【0057】
本発明によれば、ラジカルRは同一または異なっていてよく、任意選択的に置換された直鎖、環状、または分岐鎖の、置換または未置換の1から36の炭素原子を有する炭化水素ラジカルから選択され、かくして直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基、直鎖、分岐鎖または環状のアルケニル基、直鎖、分岐鎖または環状のアルキニル基、直鎖、分岐鎖または環状のアルカリール基、直鎖、分岐鎖または環状のアラルキル基、および直鎖、分岐鎖または環状のアリール基、例えばフェニル基、ベンジル基またはトリル基からなる群より選択される、特に6から24の炭素原子を有し上述のようにそれぞれ任意選択的に1つまたはより多くの官能基を含む群から選択されるヒドロカルビル基を表すことができる。
【0058】
より好ましくは、Rラジカルは直鎖アルキル基および直鎖アルケニル基、特にヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシレン、ノナデシル、エイコシル、ヘニコシル、ドイコシル、トリコシル、およびテトライコシルのような直鎖C6-C24アルキル基、またはヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル、ヘキサデセニル、ヘプタデセニル、オクタデセニル、ノナデセニル、エイコセニル、ヘニコセニル、ドイコセニル、トリコセニル、およびテトライコセニルのような直鎖C6-C24アルケニル基から選択され、ここでこれらの基は最も好ましくは隣接するC(O)基またはX基に対して末端C原子を介して結合している。
【0059】
ヒドロカルビルラジカルのどのC原子において隣接するC(O)基がRに結合するかに関する制約はない。
【0060】
しかしながら、Rは好ましくはカルボン酸または1つまたはより多くのヒドロキシル基を担持したヒドロキシカルボン酸から誘導され、より好ましくはカルボン酸またはモノヒドロキシカルボン酸から誘導され、最も好ましくは置換基としてヒドロキシル基を担持しないC7-C25脂肪酸から誘導される。したがって、Rは好ましくはそうしたカルボン酸のアルキル鎖またはアルケニル鎖を表す。例えば、Rがオレイン酸から誘導される場合、
【化27】

そのときRはヘプタデカ-8-エニルラジカルを表す
【化28】
【0061】
についての好ましい例は、対応するカルボン酸またはヒドロキシルカルボン酸からカルボキシレート基を引き抜くことによって誘導される構造であり、ここでカルボン酸は酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、リノール酸、α-リノレン酸、γ-リノレン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、ミード酸、アラキドン酸、ヘネイコサン酸、ドコサン酸、トリコシル酸およびリグノセン酸から選択されてよく、またレスケロール酸、リシノール酸、10-ヒドロキシオクタデカン酸、12-ヒドロキシオクタデカン酸、14-ヒドロキシテトラデカン酸、10-ヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸のようなヒドロキシルカルボン酸から、またはジヒドロキシカルボン酸、特に2,2’-ジヒドロキシメチルプロパン酸、9,10-ジヒドロキシステアリン酸、またはポリヒドロキシカルボン酸、特にグルコン酸から選択されてよい。
【0062】
ラジカルRは任意選択的に-O-、-NH-、-C(O)-、-C(S)-、
【化29】

から選択された1つまたはより多くの基を含んでいることができ、またOH基またはハライド基で置換されていてよいが、ラジカルRは-C(O)-基と-O-基の組み合わせ、または内部カルボキシレート基、すなわち内部エステル基、または内部アミド基を形成する-C(O)-基と-NH-または3級アミノ基の組み合わせを含むことはできない。
【0063】
本発明によれば、式(VI)の少なくとも1つの部分においてRが少なくとも2の、好ましくは少なくとも6の炭素原子を含み、式(VI)の同じ部分において少なくとも1つのRが少なくとも6の、好ましくは少なくとも8の炭素原子を有することが必要である。
【0064】
上述したように、本発明によればR9*は1価の基として定義され、次の一般式の少なくとも2つの基によって終端されるという構造的特徴がもたらされ、
-X-C(O)-T
残基R9*においては少なくとも1つの分岐構造の存在が必須とされる。
【0065】
9*が分岐炭化水素ラジカルである場合、この基は分岐構造として次の一般式の少なくとも1つの部分を含み、
-B(-O-)
式中Bは3-20の炭素原子、好ましくは3-10の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖の炭化水素基、より好ましくはBは3-10の炭素原子を有するアルキルラジカルであり、そしてbは2またはより大きく、好ましくは2-6、より好ましくは2-4、そして式中基(-O-)は片側で基Bに連結され、他方の側で炭素原子に連結されている。そこにおいて、炭素原子とはCH基またはカルボニル基のC原子であってよい。
【0066】
9*がデンドリマー炭化水素ラジカルである場合、この基は次の一般式の少なくとも1つの部分を含み、
-B(-O-)
式中Bおよびbは上記定義の通りであり、そして基(-O-)は片側で基Bに連結され他方の側で炭素原子に連結されており、また
分岐構造として作用する次の一般的の少なくとも1つのさらなる部分に連結されており、
-C(O)-B(-O-)
式中Bおよびbは上記定義の通りであり、そして基(-O-)は片側で基Bに連結され他方の側で炭素原子に連結されており、そこにおいて炭素原子とはCH基またはカルボニル基のC原子であってよい。デンドリマー炭化水素構造という用語はかくして、少なくとも2つの連続する分岐構造を含む分岐構造を指している。
【0067】
基R9*はまたエストリド鎖構造によって連結された2つまたはより多くの分岐構造を含んでいてよく、すなわち2つまたはより多くの分岐構造は少なくとも2つの内部エステル基を含む直鎖炭化水素鎖、好ましくは2つまたはより多くのC2-C24ヒドロキシカルボン酸のエステル化によって得られた直鎖炭化水素鎖によって連結されている。
【0068】
基TのそれぞれはR9*基の少なくとも2つの末端基の1つを構成し、典型的には脂肪酸から誘導される。したがって、基Tは好ましくは2から24の炭素原子を有する直鎖の飽和した、またはモノ不飽和炭化水素ラジカルである。
【0069】
基Tは好ましくは一般式-B(-O-)または-C(O)-B(-O-)の分岐構造の(-O-)基に対して、カルボニル基またはエストリド鎖を介して連結されている。
【0070】
上述した分岐構造の存在によって、R9*は分岐構造、さらにはデンドリマー構造さえも有する。
【0071】
以下の構造はR9*が上記したように分岐炭化水素ラジカルである例である:
【化30】
【0072】
そこにおいて、一般式B(-O-)の分岐構造は2,2’-ジヒドロキシメチルプロピオン酸から誘導され、そして基Tは分岐構造に連結したn-ヘプタデカニル基である。これはステアリン酸から誘導され、基Bに対して-C(O)-O-単位によって連結している。したがって、この構造は一般構造-X-(CO)-Tの2つの基によって終端されており、式-B(-O-)の分岐構造を含んでいる。
【0073】
分岐基R9*が誘導され得る基の例を以下に示す:
【化31】

ここでR=
【化32】
【0074】
対応する基R9*において、分岐構造は以前の構造におけるものと同じであるが、オレイン酸から誘導されたn-ヘプタデカ-9-エニル基である2つの末端基Tは分岐構造に対して、リシノール酸から誘導されたエストリド鎖構造を介して結合している。
【0075】
本発明による基R9*の別の例であるデンドリマー炭化水素を以下に示す:
【0076】
そこにおいて、分岐構造-B(-O-)には2つのさらなる分岐構造-(C(O)-B(-O-)が直接的に続いており、一般構造-X-C(O)-Tの末端基がさらに増大する結果となっている:
【化33】
【0077】
そこにおいて、分岐構造2,2’-ジヒドロキシメチルプロピオン酸から誘導され、そして末端基はステアリン酸に基づいている。
【0078】
分岐基またはデンドリマー基R9*において、末端基-X-C(O)-Tが分岐構造の基Bに対して直接に連結しておらず、分岐構造の(-O-)基に対して任意選択的に置換されたまたはヘテロ原子基含有アルキレンまたはアルケニレン、好ましくは2から10の炭素原子を有するn-アルキレン、ポリ(エチレンオキシド)またはポリ(プロピレンオキシド)基のようなポリ(アルキレンオキシド)基のような炭化水素基によって連結していること、または特にオリゴエステル基またはポリエステル基、すなわちエストリド鎖によって連結していることも、上記で定義した本発明の範囲内にある。
【0079】
以下の例においては、ステアリン酸に基づく基-X-C(O)-Tが分岐構造に対してエストリド鎖によって連結されている:
【化34】

ここで
【化35】
【0080】
すでに上述したように、デンドリマー基R9*において、構造-(C(O)-B(-O-)の1つまたはより多くの分岐要素が構造-B(-O-)または-(C(O)-B(-O-)の分岐要素に直接結合せず、任意選択的に置換されたまたはヘテロ原子基含有アルキレンまたはアルケニレン、好ましくは2から10の炭素原子を有するn-アルキレン、ポリ(エチレンオキシド)またはポリ(プロピレンオキシド)基のようなポリ(アルキレンオキシド)基のような炭化水素基によって連結していること、または特にオリゴエステル基またはポリエステル基、すなわちエストリド鎖によって連結していることも、同様に上記で定義した本発明の範囲内にある。
【0081】
以下の例においては、分岐構造はエストリド鎖によって連結されている:
【化36】

ここで
【化37】
【0082】
さらに必須であるのは式(V)のカルボン酸アニオン(COO)基を含むアニオンにおけるRおよびGの少なくとも1つが、1つまたはより多くのカルボン酸アニオン(-COO)基、好ましくは1つ、2つまたは3つのカルボキシレート基を含むことである。
【0083】
式(VII)のアニオンの構造は次のように規定される:
(-C(O)-X-Y) (VII)
およびXは、式(VII)においてはRが残基(-C(O)-X-Y)に関してq価であることを除き、式(V)について上記で定義した通りである。他の点では、式(V)においてRおよびXについて好ましいとして示したすべての選択肢は、式(VII)におけるRおよびXについて同様に好ましい。
【0084】
Yは同一または異なっていてよく、任意選択的に-O-、-NH-、-C(O)-、-C(S)-、および
【化38】

から選択される1つまたはより多くの基を含み、カルボキシル(-COOH)基、カルボン酸アニオン(-COO)基およびヒドロキシル基から選択される1つまたはより多くの置換基によって置換可能な、1005までの炭素原子を有し任意選択的に置換された直鎖、環状または分岐鎖の、飽和、不飽和または芳香族の炭化水素ラジカルから選択され、
但しラジカルYの少なくとも1つは式(VIII)または(VIII)の少なくとも1つの構成部分を含み:
-R(-C(O)-X-R-C(O)-X-R (VIII)
-R(-C(O)-X-R-C(O)-X-R9* (VIII
ここで式(VIII)におけるX、m、R、およびRはそれぞれ式(VI)について上記で定義した通りであり、そして
式(VIII)におけるX、m、R、およびR9*はそれぞれ式(VI)について上記で定義した通りである。
【0085】
好ましくは、基Yは式(VIII)の基のみからなり、または式(VIII)の基のみからなる。
【0086】
さらに好ましくは式(VIII)および(VIII)における少なくとも1つのRの最短鎖長は8炭素原子であり、より好ましくは式(VIII)および(VIII)における全ての基Rの鎖長は少なくとも8炭素原子であり、またやはり好ましくは式(VIII)および(VIII)における少なくとも1つのRの最短鎖長は8炭素原子であり、より好ましくは有機アンモニウム塩のアニオンの式(VIII)および(VIII)における全ての基Rの鎖長は少なくとも8炭素原子である。
【0087】
式(VII)におけるRおよびYの少なくとも1つが1つまたはより多くの、好ましくは1つまたは2つまたは3つのカルボン酸アニオン(-COO)基を含むことが必須である。
【0088】
式(VII)のアニオンにおいて、qは1から55、好ましくは1から40、より好ましくは2から25、さらにより好ましくは2から15、そして最も好ましくは2から4である。
【0089】
式(X)のアニオンの構造を以下に規定する:
(-C(O)-X-R-COO (X)
およびXは、式(X)においてはRが残基(-C(O)-X-R-COO)に関してq価であることを除き、式(VII)について上記で定義した通りであり、Rおよびqは式(VIII)において上記で定義した通りである。好ましくは、qは1-3の範囲にあり、特に1、2または3である。
【0090】
式(V)および(VII)並びにこれらの構造に含まれる基によれば、本発明の有機アンモニウム塩のアニオンは中央の部分Rにおいて分岐構造またはデンドリマー分岐構造を含んでいてよく、そしてそれらは分岐構造またはデンドリマー分岐構造を式(VI)および(VIII)の基R9*の内部の位置または末端基に隣接して含んでいてよいことが理解される。一般に、エストリド部分の存在に関する条件が満たされる限り、基YおよびGのみが分岐構造を含むことは本発明の範囲内であり、またRおよびGの両者またはRおよびYの両者が分岐構造を含むことも本発明の範囲内である。
【0091】
本発明の好ましい実施形態において、本発明による有機アンモニウム塩の有機アンモニウム基含有カチオンは式(I)のカチオンから選択される:
(-F) (I)
式中
xは1から50、好ましくは2から50、
は1000までの炭素原子、好ましくは2から300の炭素原子、より好ましくは3から200の炭素原子、さらにより好ましくは3から150の炭素原子、特定的には3から50の炭素原子、より特定的には3から20の炭素原子を有し任意選択的に置換されたx価の炭化水素ラジカルから選択され、任意選択的に-O-、-NH-、-C(O)-、-C(S)-、
【化39】

から選択される1つまたはより多くの基を含んでいてよく、そしてRはカルボキシル(-COOH)基、カルボン酸アニオン(-COO)基、ヒドロキシル(-OH)基およびハライド(-ハロゲン)基から選択される1つまたはより多くの基によって置換可能であり、そして
Fは同一または異なっていてよく以下の一般式(II)によって表され:
【化40】

ここで基FはRの炭素原子に結合され、
nは独立して0から1000、
は同一または異なっていてよく任意選択的に-O-、-NH-、-C(O)-、-C(S)-、
【化41】

から選択される1つまたはより多くの基を含み、1000までの炭素原子を有する任意選択的に置換された2価の炭化水素ラジカルから選択され、またRはOH基およびハライド基から選択される1つまたはより多くの基で置換可能であり、そしてR、R、Rは同一または異なっていてよく、水素および任意選択的に-O-、-NH-、-C(O)-、-C(S)-、
【化42】

から選択される1つまたはより多くの基を含む1000までの炭素原子を有する任意選択的に置換された直鎖、環状または分岐鎖の、飽和、不飽和または芳香族の炭化水素ラジカルから選択され、OH基およびハライド基から選択される1つまたはより多くの基で置換可能であり、
ここでR、R、Rは水素でない場合にそれぞれ炭素原子で窒素原子に結合する。
【0092】
本発明によれば、残基Rはx価であり、ここでxは1から50、好ましくは2から50であり、このことは残基Rが一般式(II)によって規定されたx個の残基Fを担持することを示している。したがって、用語「x価」は、ヒドロキシル基およびハライド基でありうる、残基RのF以外の任意選択的なさらなる置換基の数を示したり制限したりするものではない。
【0093】
において、1つまたはより多くの水素原子はヒドロキシル基またはハライド置換基、すなわちフッ素、塩素、臭素またはヨウ素置換基によって置換されてよい。
【0094】
さらに、任意選択的に置換された炭化水素ラジカルRは特定的には-O-、-NH-、-C(O)-、-C(S)-および
【化43】

から選択された1つまたはより多くの基を含んでいてよいことから、R基のヒドロカルビル構造は、これらの基またはそれらの組み合わせによって中断されていてよい。したがって、この残基はエステル基、カルボキシル基、アミド基、エーテル基、アミノ基、カルボニル基、チオン基、チオカルボキシレート基、チオエステル基、カルバメート基、ウレタン基、エポキシド基およびこのラジカルについて特定した他のすべての基、並びにその組み合わせを含んでいてよい。同じ原則が任意選択的に置換された炭化水素ラジカルR、R、R、Rにも当てはまる。しかしながら上述の基は、上記に定義した式(III)または(IV)の部分が形成されるような仕方では組み合わせられない。
【0095】
残基Fに関してx価であるRのヒドロカルビル構造は、好ましくは直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基またはアルキレン基、直鎖、分岐鎖または環状のアルケニル基またはアルケニレン基、直鎖、分岐鎖または環状のアルキニル基またはアルキニレン基、直鎖、分岐鎖または環状のアルカリール基またはアルカリーレン基、直鎖、分岐鎖または環状のアラルキル基またはアラルキレン基、および直鎖、分岐鎖または環状のアリール基またはアリーレン基、例えばフェニルまたはフェニレン基、ベンジルまたはベンジレン基、或いはトリルまたはトリレン基、特に1から30の炭素原子を有するそうした基からなる群より選択される。
【0096】
より好ましくは、x価のRラジカルはアルキル基またはアルキレン基から選択され、これは直鎖、分岐鎖および環状のアルキルまたはアルキレン基からなる群、または直鎖および環状のアルキルまたはアルキレン構造を組み合わせた群、または分岐鎖および環状構造を組み合わせた群から選択されてよく、特にメチル基とメチレン基、エチル基とエチレン基、n-プロピル基とn-プロピレン基、n-ブチル基とn-ブチレン基、n-ペンチル基とn-ペンチレン基、n-ヘキシル基とn-ヘキシレン基、n-ヘプチル基とn-ヘプチレン基、またはn-オクチル基とn-オクチレン基といった直鎖のC1-C22アルキル基とアルキレン基、イソプロピル基とイソプロピレン基、イソブチル基とイソブチレン基、tert-ブチル基とtert-ブチレン基、イソペンチル基とイソブチレン基、tert-ペンチル基とtert-ペンチレン基、ネオペンチル基とネオペンチレン基、および2-エチルヘキシル基と2-エチルヘキシレン基といった分岐鎖のC1-C22アルキル基とアルキレン基、並びにシクロプロピル基とシクロプロピレン基、シクロブチル基とシクロブチレン基、シクロペンチル基とシクロペンチレン基、シクロヘキシル基とシクロヘキシレン基、およびシクロヘプチル基とシクロヘプチレン基といった環状のC3-C22アルキル基とアルキレン基から選択される。
【0097】
x>1である場合、ヒドロカルビルラジカルのどの炭素原子において基FがRに結合するかに関する制約はない。Rに任意選択的に含まれる官能基および任意選択的な置換基の存在に関しては、Rがグリシジル化合物、グリセリンおよびグリセリン誘導体、特にグリシドール、グリセリン、グリセリンジグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテルおよびポリグリセリン化合物から誘導されることが好ましく、またはRが直鎖アルキレン基であること、特に基Fに加えてさらなる置換基を担持していないアルキレン基であることが好ましい。
【0098】
本発明によれば、Rがグリセリンジグリシジルエーテルから誘導されることが特に好ましく、これはRがグリセリンジグリシジルエーテルのエポキシド環を窒素原子で開環することによって形成され、次いで4級N原子を本発明による化合物のR基に隣接して形成することを意味する。同様に、Rがジグリシジルエーテル、ジグリセリンジグリシジルエーテル、トリグリセリンジグリシジルエーテル、グリシジル単位で終端されたポリグリセリン、およびグリシジル単位で終端されたポリ(アルキレンオキシド)化合物、特にグリシジル単位で終端されたポリ(エチレンオキシド)、グリシジル単位で終端されたポリ(プロピレンオキシド)、およびグリシジル単位で終端されたポリ(ブチレンオキシド)から誘導されることが好ましい。
【0099】
またRがポリオールのエステル化、特にα,ω-ジオールまたはα,ω-ジヒドロキシポリエーテルのようなジオール化合物、より特定的にはジヒドロキシ末端ポリ(エチレンオキシド)、ジヒドロキシ末端ポリ(プロピレンオキシド)、またはジヒドロキシ末端ポリ(ブチレンオキシド)の、ω-ハロカルボン酸、特にω-クロロ酢酸またはω-クロロプロパン酸とのエステル化によって得られる化合物から形成されることも好ましい。後者の化合物はR基に隣接して基Fの窒素原子により塩素置換基を置き換えることによってRを形成する。
【0100】
これによれば、Rが1つまたはより多くの内部エーテルまたはエステル基を含むC3-C50のアルキレン基であることが好ましく、そしてRがヒドロキシル置換基を担持するアルキレン基であることが特に好ましい。
【0101】
が置換基または官能基をさらに持たない直鎖のC1-C8アルキレン基であること、またはRがジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ジグリセリンジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、または3から10の(エチレンオキシド)繰り返し単位を有するエチレングリコールジグリシジルエーテルから誘導された直鎖のC3からC50のアルキレン基であることが最も好ましい。
【0102】
残基R、R、R、およびRは、任意選択的に置換された直鎖、環状または分岐鎖の、飽和、不飽和または芳香族の炭化水素ラジカルであることができ、ここでRは2価のラジカルを表し、これに対してR、RおよびRは1価のラジカルである。Rの場合に用語「2価」はRが式(II)にしたがって2つの4級窒素原子に結合していることを指しているが、しかしRについて規定されたさらなる他の置換基の存在を限定するものではない。
【0103】
ラジカルR、RおよびRは同一または異なっていてよい1価のラジカルであり、水素および任意選択的に置換された直鎖、環状または分岐鎖の、飽和、不飽和または芳香族の1000までの炭素原子を有する炭化水素ラジカルから選択され、かくして直鎖、すなわち直線的な鎖、環状または分岐鎖のアルキル基、直鎖、環状または分岐鎖のアルケニル基、直鎖、環状または分岐鎖のアルキニル基、直鎖、環状または分岐鎖のアルカリール基、直鎖、環状または分岐鎖のアラルキル基、およびアリール基、例えばフェニル基、ベンジル基またはトリル基、特に1から30の炭素原子を有する基を表すことができ、そして任意選択的に上記の基はOH基またはハライド基で置換されていてよく、また任意選択的に-O-、-NH-、-C(O)-、-C(S)-、
【化44】

から選択される1つまたはより多くの基を含んでいる。本発明によれば、上記の基は、基R、R、R、RおよびRのいずれかにおいて上記に定義した式(III)または(IV)の部分が存在するような仕方で組み合わせられるものではない。
【0104】
好ましくは、ラジカルR、R、およびRはアルキル基から選択され、これは直鎖、分岐鎖および環状のアルキル基からなる群、または直鎖および環状のアルキル構造を組み合わせた群、または分岐鎖および環状構造を組み合わせた群から選択されてよく、特にメチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、またはn-オクチル基といった直鎖のC1-C22アルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、および2-エチルヘキシル基といった分岐鎖のC1-C22アルキル基、並びにシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、およびシクロヘプチル基といった環状のC3-C22アルキル基から選択され、より好ましくはラジカルR、R、およびRはメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、シクロペンチル基またはシクロヘキシル基、最も好ましくはメチル基から選択される。
【0105】
本発明によるラジカルRは同一または異なっていてよく、任意選択的に-O-、-NH-、-C(O)-、-C(S)-、
【化45】

から選択される1つまたはより多くの基を含みOH基およびハライド基から選択される1つまたはより多くの基で置換可能な、1000までの炭素原子を有し任意選択的に置換された2価の炭化水素ラジカルから選択され、そして好ましくは直鎖、分岐鎖または環状のアルキレン基、直鎖、分岐鎖または環状のアルケニレン基、直鎖、分岐鎖または環状のアルキニレン基、直鎖、分岐鎖または環状のアルカリーレン基、直鎖、分岐鎖または環状のアラルキレン基、および直鎖、分岐鎖または環状のアリーレン基、例えばフェニレン基、ベンジレン基またはトリレン基からなる群より選択され、特にこうした群のうち1から100の炭素原子を有し、それぞれ任意選択的に上記した1つまたはより多くの官能基を含むものから選択される。
【0106】
より好ましくは、Rラジカルはアルキレン基から選択され、
これは直鎖、分岐鎖および環状のアルキレン基からなる群、または直鎖および環状のアルキレン構造を組み合わせた群、または分岐鎖および環状構造を組み合わせた群から選択されてよく、特にメチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、n-ブチレン基、n-ペンチレン基、n-ヘキシレン基、n-ヘプチレン基、またはn-オクチレン基といった直鎖のC1-C50アルキレン基、イソプロピレン基、イソブチレン基、tert-ブチレン基、tert-ペンチレン基、ネオペンチレン基、および2-エチルヘキシレン基といった分岐鎖のC4-C50アルキレン基、並びにシクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、およびシクロヘプチレン基といった環状のC3-C22アルキレン基から選択される。
【0107】
ヒドロカルビルラジカルのどの炭素原子において4級窒素原子がRに結合するかに関して制約は存在しない。
【0108】
本発明によれば、nは独立して0-1000、好ましくは0から500、より好ましくは0-250、さらにより好ましくは0-50、よりさらに好ましくは0-25または0-10である。またやはり好ましいのは、nが少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8または9であることである。
【0109】
に任意選択的に含まれている官能基および任意選択的な置換基の存在に関しては、Rがグリシジル化合物、グリセリンおよびグリセリン誘導体、特にグリシドール、グリセリンジグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテルおよびポリグリセリン化合物から誘導されることが好ましく、またはRが直鎖アルキレン基、特に4級窒素原子に加えてさらに置換基を担持しないアルキレン基であることが好ましい。
【0110】
上記したように、Rがグリセリンジグリシジルエーテルから誘導されることが特に好ましく、これはRがグリセリンジグリシジルエーテルのエポキシド環を窒素原子で開環することによって形成され、次いで4級N原子を本発明による化合物のR基に隣接して形成することを意味する。同様に、Rがジグリシジルエーテル、ジグリセリンジグリシジルエーテル、トリグリセリンジグリシジルエーテル、グリシジル単位で終端されたポリグリセリン、およびグリシジル単位で終端されたポリ(アルキレンオキシド)化合物、特にグリシジル単位で終端されたポリ(エチレンオキシド)、グリシジル単位で終端されたポリ(プロピレンオキシド)、およびグリシジル単位で終端されたポリ(ブチレンオキシド)から誘導されることが好ましい。またRがα,ω-ジオールまたはα,ω-ジヒドロキシポリエーテルのようなジオール化合物、より特定的にはジヒドロキシ末端ポリ(エチレンオキシド)、ジヒドロキシ末端ポリ(プロピレンオキシド)、またはジヒドロキシ末端ポリ(ブチレンオキシド)の、ω-ハロカルボン酸、特にω-クロロ酢酸またはω-クロロプロパン酸とのエステル化によって得られる化合物から形成されることも好ましい。後者の化合物はR基に隣接して窒素原子により塩素置換基を置き換えることによってRを形成する。
【0111】
また本発明によれば、Rが1つまたはより多くの内部エーテルまたはエステル基を含むC3-C50アルキレン基であることが好ましく、またRがそうしたアルキレン基であってヒドロキシル置換基を担持していることが特に好ましい。
【0112】
が直鎖C1-C8アルキレン基であってさらに置換基または官能基を有しないこと、またはRがジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ジグリセリンジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、または3から10の(エチレンオキシド)繰り返し単位を有するエチレングリコールジグリシジルエーテルから誘導される直鎖のC3からC50アルキレン基であることが最も好ましい。
【0113】
残基Rについての好ましい例はC3-C18ヒドロキシ基置換ポリエーテルラジカル、特にグリセリン系ポリエーテルラジカル、およびC1-C8直鎖アルキルまたはアルキレン基である。ここにおいて、用語ポリエーテルは特にポリ(アルキレンオキシド)から誘導された化合物を含み、そこにおいて繰り返し単位のアルキレン基はC1-C8アルキレンから独立して選択される。
【0114】
残基Rについての好ましい例は直鎖C1-C8アルキレンラジカル、より好ましくはエチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレンおよびヘプチレン、最も好ましくはプロピレンおよびヘキシレンである。
【0115】
残基R、RおよびRについての好ましい例は直鎖C1-C8アルキル基であり、最も好ましくはR、RおよびRはメチレン基である。
【0116】
本発明のさらに好ましい実施形態において、本発明による有機アンモニウム塩の有機アンモニウム基含有カチオンは以下の群から選択される:
a.モノおよびポリクオタニウムカチオン、
b.塩基性アミノ酸カチオン、
c.モノおよびポリ第3級アミン系カチオン、
d.モノおよびポリ第2級アミン系カチオン、
e.モノおよびポリ第1級アミン系カチオン。
【0117】
本発明によれば、モノクオタニウムカチオンとは構造NR の1つの第4級アンモニウム化合物を含むカチオンであり、ここでRはアルキル基、アルケニル基およびアリール基から独立して選択され、これに対してポリクオタニウムカチオンとは2つまたはより多くの上述した第4級アンモニウム化合物の存在によって特徴付けられるポリカチオン性カチオンである。
【0118】
本発明によれば、塩基性アミノ酸カチオンとは中性pHで塩基性側鎖を有するアミノ酸、例えばリシン、アルギニン、ヒスチジンから、両性イオン性アミノ酸の2番目のアミノ基のプロトン化および/またはアルキル化によって形成されるカチオンである。
【0119】
この用語はまた1つまたはより多くのアミノ基のプロトン化またはアルキル化によりアミノ酸のエステルおよびアミドから誘導されるカチオンを含んでいる。
【0120】
本発明によれば、モノ第3級アミンカチオンとは構造NHR の1つの第3級アンモニウムカチオンを含むカチオンであり、ここでRはアルキル基、アルケニル基およびアリール基から独立して選択され、これに対してポリ第3級アミンカチオンとは2つまたはより多くの上述した第3級アンモニウムカチオンの存在によって特徴付けられるポリカチオン性カチオンである。
【0121】
本発明によれば、モノ第2級アミンカチオンとは構造NH の1つの第2級アンモニウムカチオンを含むカチオンであり、ここでRはアルキル基、アルケニル基およびアリール基から独立して選択され、これに対してポリ第2級アミンカチオンとは2つまたはより多くの上述した第2級アンモニウムカチオンの存在によって特徴付けられるポリカチオン性カチオンである。
【0122】
本発明によれば、モノ第1級アミンカチオンとは構造NHの1つの第1級アンモニウムカチオンを含むカチオンであり、ここでRはアルキル基、アルケニル基およびアリール基から独立して選択され、これに対してポリ第1級アミンカチオンとは2つまたはより多くの上述した第1級アンモニウムカチオンの存在によって特徴付けられるポリカチオン性カチオンである。
【0123】
本発明の別の好ましい実施形態において、本発明による有機アンモニウム塩の有機アンモニウム基含有カチオンは少なくとも6、好ましくは少なくとも10の炭素原子を有する。
【0124】
本発明のさらに別の好ましい実施形態において、本発明による有機アンモニウム塩の有機アンモニウム基含有カチオンは式(I)を有し、式中のxは2でありRはカルボン酸アニオン基を担持し、そしてカチオンの合計電荷は+1である。
【0125】
のカルボン酸アニオン基がカチオンの唯一のカルボン酸アニオン基であり、そしてnがカチオンのF基の両方におて0であることが好ましい。
【0126】
このようなカチオンの例は、アルギニン、ヒスチジン、またはリシンからプロトン化またはアルキル化によって得られ、2つの正に荷電したアンモニウム部分とカルボン酸アニオン部分を示すカチオンである。
【0127】
本発明の好ましい実施形態において、本発明による有機アンモニウム塩のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンは、以下の種類の高分子脂肪酸カルボン酸塩からなる群より選択され、
[(-C(O)-X-Rm+1-C(O)-X-Rまたは
[(X-C(O)-Rm+1-X-C(O)-R
式中X、R、R、R、m、pおよびqは式(V)、(VI)、(VII)および(VIII)について上記で定義した通りであり、また式中Rまたは少なくとも1つのR、或いはRおよび少なくとも1つのRは、1つまたはより多くのカルボキシレート基であり、
好ましくはX=O、
特に
以下の種類の直鎖高分子脂肪酸カルボン酸塩、
O-C(O)-R(-X-C(O)-Rm+1-X-C(O)-R、好ましくは
O-C(O)-R-(O-C(O)-Rm+1-O-C(O)-Rであり、
式中Rは36までの炭素原子を有し任意選択的に置換された直鎖、環状、または分岐鎖の、置換または未置換の1価の炭化水素ラジカルから選択され、
すなわち例えば以下の直鎖ポリ脂肪酸構造から脱プロトン化によって誘導される
【化46】

【化47】

【化48】

【化49】

【化50】

分岐した直鎖高分子脂肪酸カルボン酸塩、すなわち例えば以下の分岐鎖ポリ脂肪酸構造から誘導される
【化51】

ここでR=
【化52】

ここでR=
【化53】

ここでR=
【化54】

またはここでR=
【化55】

またはここでR=
【化56】

またはポリ官能性カルボン酸の部分エステル、特にジカルボン酸であるコハク酸およびマレイン酸とひまし油またはレスケレラ油との部分エステルから誘導される分岐した直鎖高分子脂肪酸カルボン酸塩、例えば
【化57】

ここで1つまたは2つのR=
【化58】

および残りの2つまたは1つのR基=
【化59】

または
【化60】

デンドリマー高分子脂肪酸カルボン酸塩、すなわち例えば以下のデンドリマーポリ脂肪酸構造から誘導される
【化61】

ここでR=
【化62】

またはここでR=
【化63】

または以下の種類
[(-C(O)-X-Rm+1-C(O)-X-RC(O)Oまたは
OC(O))q-1-R-(C(O)-X-Rm+1-C(O)-X-RC(O)Oであり
式中X、R、R、R、m、pおよびqは式(V)、(VI)、(VII)および(VIII)について上記で定義した通りであり、例えば
【化64】

および
これらの種類のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオン、特に以下の種類
[(-C(O)-X-Rm+1-C(O)-X-RC(O)Oまたは
OC(O))q-1-R-(C(O)-X-Rm+1-C(O)-X-RC(O)O
は好ましくは1価から50価、より好ましくは1価から10価、さらにより好ましくは1価から5価、最も好ましくは5価、4価、3価、2価または1価のアニオンである。
【0128】
本発明の別の好ましい実施形態において、本発明による有機アンモニウム塩のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンは、一般式(VIa)の少なくとも1つの部分を含み
(-X-C(O)-R-X-C(O)-R (VIa)
または一般式(VIIIa)の少なくとも1つの部分を含み
(-C(O)-X-R-C(O)-X-R (VIIIa)
式中XおよびRおよびmは上記で定義した通りであり、そしてRは任意選択的に-O-、-NH-、-C(O)-、-C(S)-から選択される1つまたはより多くの基を含み、OH基、カルボキシレート基またはハライド基で置換可能な、任意選択的に置換された直鎖、環状、または分岐鎖の、置換または未置換の1から36の炭素原子を有する炭化水素ラジカルから独立して選択される。
【0129】
ラジカルRは同一または異なっていてよく、任意選択的に置換された直鎖、環状、または分岐鎖の、置換または未置換の1から36の炭素原子を有する炭化水素ラジカルから選択され、そして好ましくは直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基、直鎖、分岐鎖または環状のアルケニル基、直鎖、分岐鎖または環状のアルキニル基、直鎖、分岐鎖または環状のアルカリール基、直鎖、分岐鎖または環状のアラルキル基および直鎖、分岐鎖または環状のアリール基、例えばフェニル、ベンジルまたはトリルであり、より好ましくは6から24の炭素原子を有し、それぞれ任意選択的に上記した1つまたはより多くの官能基を含む基からなる群より選択されるヒドロカルビル基を表す。
【0130】
本発明のさらに別の好ましい実施形態においては、本発明による有機アンモニウム塩の少なくとも1つの基Rは直鎖アルキル基および直鎖アルケニル基、特にヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシレン、ノナデシル、エイコシル、ヘニコシル、ドイコシル、トリコシル、およびテトライコシルのような直鎖のC6-C24アルキル基、またはヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル、ヘキサデセニル、ヘプタデセニル、オクタデセニル、ノナデセニル、エイコセニル、ヘニコセニル、ドイコセニル、トリコセニル、およびテトライコセニルのような直鎖のC6-C24アルケニル基から選択され、ここでこの基は最も好ましくは隣接するX基または-C(O)-基に対して末端炭素原子によって結合されている。
【0131】
好ましくは、カルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンのすべての末端基Rは、上述した直鎖アルキル基または直鎖アルケニル基から選択され、そしてより好ましくはすべてのR基はC6-C24アルキル基、特にC14-C22アルキル基から選択される。
【0132】
本発明のさらに好ましい実施形態においては、本発明による有機アンモニウム塩の少なくとも1つの基Rはカルボン酸または1つまたはより多くのヒドロキシル基を担持したヒドロキシカルボン酸から誘導され、より好ましくはカルボン酸またはモノヒドロキシカルボン酸から、最も好ましくは置換基としてヒドロキシル基を担持しないC7-C25脂肪酸から誘導される。
【0133】
特に好ましくは、本発明による有機アンモニウム塩の少なくとも1つの基Rは、リシノール酸、レスケロール酸、10-ヒドロキシオクタデカン酸、12-ヒドロキシオクタデカン酸、14-ヒドロキシテトラデカン酸、10-ヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸から選択されるヒドロキシカルボン酸から誘導され、2,2’-ジヒドロキシメチルプロパン酸、9,10-ジヒドロキシステアリン酸から選択されるジヒドロキシカルボン酸から誘導され、グルコン酸から誘導され、または酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、α-リノレン酸、γ-リノレン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、ミード酸、アラキドン酸、ヘネイコサン酸、ドコサン酸、トリコシル酸およびリグノセン酸から選択されるカルボン酸から誘導され、最も好ましくはRはリシノール酸、レスケロール酸、10-ヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、リノール酸、α-リノレン酸、γ-リノレン酸、オレイン酸、ノナデシル酸、およびアラキジン酸から選択される。
【0134】
さらにより好ましくは、すべての基Rが上述したカルボン酸およびモノヒドロキシ酸から、最も好ましくはリシノール酸、レスケロール酸、オレイン酸、およびステアリン酸から誘導される。
【0135】
本発明のよりさらに好ましい実施形態においては、本発明による有機アンモニウム塩の少なくとも1つの基Rは、カルボキシレート基の引き抜きによって得られたカルボン酸またはヒドロキシカルボン酸のアルキル鎖またはアルケニル鎖を表し、ここで好ましくはカルボン酸は酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、リノール酸、α-リノレン酸、γ-リノレン酸、オレイン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、ミード酸、アラキドン酸、ヘネイコサン酸、ドコサン酸、トリコシル酸およびリグノセン酸から選択され、レスケロール酸、リシノール酸、10-ヒドロキシオクタデカン酸、12-ヒドロキシオクタデカン酸、14-ヒドロキシテトラデカン酸、10-ヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸のようなヒドロキシカルボン酸から選択され、またはジヒドロキシカルボン酸、特に2,2’-ジヒドロキシメチルプロパン酸、9,10-ジヒドロキシステアリン酸、またはポリヒドロキシカルボン酸、特にグルコン酸から選択され、より好ましくは少なくとも1つのRラジカルはパルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、リノール酸、α-リノレン酸、γ-リノレン酸、オレイン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、10-ヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸、レスケロール酸または2,2’-ジヒドロキシメチルプロパン酸から誘導され、そして最も好ましくは少なくとも1つのRラジカルはオレイン酸、ステアリン酸、レスケロール酸およびリシノール酸から誘導される。
【0136】
本発明の好ましい実施形態においては、本発明による有機アンモニウム塩の一般式(V)、(VII)および(X)のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンにおいて、
X=O、
は任意選択的にヒドロキシル置換されたヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、トリデシレン、テトラデシレン、ペンタデシレン、ヘキサデシレン、ヘプタデシレン、オクタデシレン、ノナデシレン、エイコシレン、ヘニコシレン、ドイコシレン、トリコシレン、およびテトライコシレン、またはヘキセニレン、ヘプテニレン、オクテニレン、ノネニレン、デセニレン、ウンデセニレン、ドデセニレン、トリデセニレン、テトラデセニレン、ペンタデセニレン、ヘキサデセニレン、ヘプタデセニレン、オクタデセニレン、ノナデセニレン、エイコセニレン、ヘニコセニレン、ドイコセニレン、トリコセニレン、およびテトライコセニレンから独立して選択され、ここで基は最も好ましくは隣接するC(O)基またはO基に対して末端炭素原子によって結合され、
は任意選択的にヒドロキシル置換されたヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘニコシル、ドイコシル、トリコシル、およびテトライコシル、またはヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル、ヘキサデセニル、ヘプタデセニル、オクタデセニル、ノナデセニル、エイコセニル、ヘニコセニル、ドイコセニル、トリコセニル、およびテトライコセニルから独立して選択され、ここで基は最も好ましくは隣接するC(O)基またはO基に対して末端炭素原子によって結合され、そして
mは0-10、好ましくは1-10、より好ましくは1、2、3、4または5である。
【0137】
本発明の別の好ましい実施形態において、
X=O、
本発明による有機アンモニウム塩のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンにおける少なくとも1つの基Rはヘキサデシレン、ヘプタデシレン、オクタデシレン、ノナデシレン、エイコシレン、ヘキサデセニレン、ヘプタデセニレン、オクタデセニレン、ノナデセニレン、エイコセニレンから選択され、また
少なくとも1つのRはヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘキサデセニル、ヘプタデセニル、オクタデセニル、ノナデセニル、エイコセニルから選択され、
そしてmは1、2、3、4または5であり、
好ましくは
少なくとも1つのRはリシノール酸、10-ヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸またはレスケロール酸から誘導され、また
少なくとも1つのRはオレイン酸、リシノール酸またはステアリン酸から誘導され、
そしてmは1、2、3、4または5である。
【0138】
より好ましくは、X=Oであり、
すべての基Rはリシノール酸、10-ヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸またはレスケロール酸から誘導され、また
すべての基Rはオレイン酸、リシノール酸またはステアリン酸から誘導され、
そしてmは1、2、3、4または5である。
【0139】
本発明のさらに別の好ましい実施形態においては、本発明による有機アンモニウム塩において一般式(VI)、(VI)、(VIII)または(VIII)の部分のそれぞれは、任意選択的にヒドロキシル置換されたヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、トリデシレン、テトラデシレン、ペンタデシレン、ヘキサデシレン、ヘプタデシレン、オクタデシレン、ノナデシレン、エイコシレン、ヘニコシレン、ドイコシレン、トリコシレン、およびテトライコシレン、またはヘキセニレン、ヘプテニレン、オクテニレン、ノネニレン、デセニレン、ウンデセニレン、ドデセニレン、トリデセニレン、テトラデセニレン、ペンタデセニレン、ヘキサデセニレン、ヘプタデセニレン、オクタデセニレン、ノナデセニレン、エイコセニレン、ヘニコセニレン、ドイコセニレン、トリコセニレン、およびテトライコセニレンから選択された少なくとも1つのRを含み、
好ましくは一般式(VI)、(VI)、(VIII)または(VIII)の部分のそれぞれは、任意選択的にヒドロキシル置換されたヘキサデシレン、ヘプタデシレン、オクタデシレン、ノナデシレン、エイコシレン、ヘキサデセニレン、ヘプタデセニレン、オクタデセニレン、ノナデセニレン、エイコセニレンから選択された少なくとも1つのRを含み、
またmは1、2、3、4または5であり、
そしてより好ましくは一般式(VI)、(VI)、(VIII)または(VIII)の部分のそれぞれにおける少なくとも1つのRはリシノール酸、10-ヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸またはレスケロール酸から誘導され、
またmは1、2、3、4または5である。
【0140】
さらにより好ましくは、一般式(VI)、(VI)、(VIII)または(VIII)のそれぞれの部分におけるすべてのRはリシノール酸、10-ヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸またはレスケロール酸から誘導され、
そしてmは1、2、3、4または5である。
【0141】
本発明の好ましい実施形態において、本発明による有機アンモニウム塩のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンは下記式の直鎖カルボン酸アニオンAを含み、
O-C(O)-R-(O-C(O)-Rm+1-O-C(O)-R
ここでm、RおよびRは上記で定義した通りであり、
は36までの炭素原子を有し任意選択的に置換された直鎖、環状、または分岐鎖の、置換または未置換の2価の炭化水素ラジカルから独立して選択され、
そして
+Rにおける炭素原子の合計数(アニオン当たりのRおよびRのΣ炭素原子)は19から300、好ましくは25から300、より好ましくは35から300、さらにより好ましくは50から300、特定的には35から200、より特定的には35から150、さらにより特定的には50から150であり、
そしてここでRおよびRは好ましくは乳酸、リシノール酸、レスケロール酸、10-ヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、および14-ヒドロキシテトラデカン酸から、最も好ましくはリシノール酸またはレスケロール酸から誘導され、
は好ましくはオクタデカン酸、エイコサン酸、ドコサン酸、2-エチルヘキサン酸、2,2-ジメチルプロピオン酸、ネオデカン酸、オレイン酸から誘導され、
そして
mは好ましくは1から10、より好ましくは1から6、さらにより好ましくは1から6、特定的には1、2、3、4、5、6、7である。
【0142】
本発明のさらに好ましい実施形態において、本発明による有機アンモニウム塩のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンは下記式の直鎖カルボン酸アニオンAを含み、
O-C(O)-R-(O-C(O)-Rm+1-O-C(O)-R
式中m、R、RおよびRは上記で定義した通りであり、そして上記式においてR、RおよびRは次のように選択される:
【表1】
【0143】
すべてのシーケンスが上記の表にしたがって選択されることが好ましい。さらに好ましくはmは1から10、より好ましくは1から6、特定的には1、2、3、4、5、6、または7である。
【0144】
本発明のさらに別の好ましい実施形態において、本発明による有機アンモニウム塩のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンは分岐した直鎖高分子脂肪酸カルボン酸塩を含み、
特にポリ官能性カルボン酸の部分エステル、特にジカルボン酸であるコハク酸およびマレイン酸とひまし油またはレスケレラ油との部分エステルから誘導される分岐した直鎖高分子脂肪酸カルボン酸塩または少なくとも1つの次式の部分を含むヒドロキシ脂肪酸でエステル化されたグリセリンであり、
グリセリン-O-C(O)-R-(O-C(O)-R-O-C(O)-R
式中
は上記定義の通りであり好ましくは乳酸、リシノール酸、レスケロール酸、10-ヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、14-ヒドロキシテトラデカン酸から誘導され、最も好ましくはリシノール酸またはレスケロール酸から誘導され、
は上記定義の通りであり好ましくはオクタデカン酸、エイコサン酸、ドコサン酸、2-エチルヘキサン酸、2,2-ジメチルプロピオン酸、ネオデカン酸、オレイン酸、コハク酸およびマレイン酸、無水コハク酸および無水マレイン酸から誘導され、
そして上記に示した式の部分において、
m=0から20、好ましくは1から20、より好ましくは1から10、さらにより好ましくは1から6、特に0、1、2、3、4、5、6、7であり、そして
+Rにおける炭素原子の合計数(RおよびRのΣ炭素原子)は19から300、好ましくは25から300、より好ましくは35から300、さらにより好ましくは50から300、特定的には35から200、より特定的には35から150、さらにより特定的には50から150である。
【0145】
本発明によれば、用語「分岐した直鎖高分子脂肪酸カルボン酸塩」は、分岐構造である次式の2つまたはより多くの直鎖高分子脂肪酸部分
-O-C(O)-R-(O-C(O)-R-O-C(O)-R
および少なくとも1つのカルボキシレート基を含む分岐化合物を指している。
【0146】
用語「ポリ官能性カルボン酸」は、少なくとも1つのカルボン酸基をさらに含むカルボン酸化合物を指している。
【0147】
用語「少なくとも1つの次式の部分を含むエステル化グリセリン
グリセリン-O-C(O)-R-(O-C(O)-R-O-C(O)-R」は、グリセリンの3つのヒドロキシ基の少なくとも1つがエステル基を介して次式の部分に結合しているグリセリン分子を指しており、
-R-(O-C(O)-R-O-C(O)-R
ここでR、Rおよびmはこの実施形態の基について定義した通りである。
【0148】
この実施形態によるアニオンの例は以下の構造の脱プロトン化によって得られるアニオンであり、
【化65】

ここで1つのR=
【化66】

そして残りの2つのR基=
【化67】

である。
【0149】
本発明のさらに好ましい実施形態においては、本発明による有機アンモニウム塩のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンは次式の少なくとも少なくとも1つの部分を含む分岐した直鎖高分子脂肪酸カルボン酸塩を含み、
グリセリン-O-C(O)-R-(O-C(O)-R-O-C(O)-R
ここでは次の一般式の少なくとも1つのシーケンスがあり、
グリセリン-O-C(O)-R-(O-C(O)-R-O-C(O)-R
ここでm、RおよびRは上記で定義した通りであり以下から選択され、
【表2】

好ましくは2つのシーケンスが上記の表にしたがって選択され、他方グリセリン基の3つめのヒドロキシ基はカルボキシレート基含有残基を担持するように官能化される。
【0150】
さらに好ましくはmは0から10、より好ましくは1から6、特に0、1、2、3、4、5、6または7である。
【0151】
本発明の別の好ましい実施形態において、本発明による有機アンモニウム塩のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンは、式(V)の分岐鎖またはデンドリマーの高分子脂肪酸カルボン酸アニオンAを含み、そこにおいて
式(VI)または(VI)において
、X、R、R、R9*およびmは上記した通りであり、
そこにおいてR基は少なくとも1つのアニオン性カルボキシレート基を担持し、そして好ましくはグリセリン酸および2,2-ビス-(ヒドロキシメチル)プロピオン酸のようなビスヒドロキシモノカルボン酸から誘導され、
は上記定義の通りであり、好ましくは乳酸、リシノール酸、レスケロール酸、10-ヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、14-ヒドロキシテトラデカン酸から、最も好ましくはリシノール酸またはレスケロール酸から誘導され、
は上記定義の通りであり、好ましくはオクタデカン酸、エイコサン酸、ドコサン酸、2-エチルヘキサン酸、2,2-ジメチルプロピオン酸、ネオデカン酸、およびステアリン酸、オレイン酸から誘導され、そして
9*におけるTは好ましくはオクタデカン酸、エイコサン酸、ドコサン酸、2-エチルヘキサン酸、2,2-ジメチルプロピオン酸、ネオデカン酸、ステアリン酸およびオレイン酸から誘導され、
m=1から20、好ましくは1から10、より好ましくは1から6、さらにより好ましくは1から6、特に1、2、3、4、5、6、7であり、
+Rにおける炭素原子の合計数(RおよびRのΣ炭素原子)は19から300、好ましくは25から300、より好ましくは35から300、さらにより好ましくは50から300、特定的には35から200、より特定的には35から150、さらにより特定的には50から150である。
【0152】
さらに好ましい実施形態において、上述した実施形態による有機アンモニウム塩のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンは、上述した如き分岐鎖またはデンドリマーの高分子脂肪酸構造を含み、
そこにおいて一般式R(-X-C(O)-R-X-C(O)-Rの少なくとも1つのシーケンスでXおよびmが上述の如きものは以下から選択され、
【表3】

好ましくは全てのそうしたシーケンスの基は上記の表にしたがって選択される。
【0153】
本発明のさらに好ましい実施形態において、本発明による有機アンモニウム塩のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンは以下の種類のカルボン酸塩アニオンAを含み、
[(-C(O)-X-Rm+1-C(O)-X-RC(O)O、または
OC(O))q-1-R-(C(O)-X-Rm+1-C(O)-X-RC(O)O
ここでX=O、R、R、R、mおよびqは上記で定義した通りであり、そして
好ましくはq=2から4、特に2、3、4、
は上記定義の通りであり、好ましくは乳酸、リシノール酸、レスケロール酸、10-ヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、14-ヒドロキシテトラデカン酸から、最も好ましくはリシノール酸またはレスケロール酸から誘導され、
は上記定義の通りであり、好ましくはマレイン酸、コハク酸、トリメリット酸、ピロメリット酸から誘導され、そして
m=0から20、好ましくは1から20、より好ましくは1から10、さらにより好ましくは1から6、よりさらに好ましくは1から6、特に1、2、3、4、5、6、7、そして
+Rにおける炭素原子の合計数(アニオン当たりのRおよびRのΣ炭素原子)は19から300、好ましくは25から300、より好ましくは35から300、さらにより好ましくは50から300、特定的には35から200、より特定的には35から150、さらにより特定的には50から150である。
【0154】
本発明のよりさらに好ましい実施形態において、本発明による有機アンモニウム塩のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンは以下の種類のカルボン酸塩アニオンAを含み、
[(-C(O)-X-Rm+1-C(O)-X-RC(O)O、または
OC(O))q-1-R-(C(O)-X-Rm+1-C(O)-X-RC(O)O
ここでX=O、R、R、R、mおよびqは上記で定義した通りであり、そしてここで
一般式R[(-C(O)-X-Rm+1-C(O)-X-RC(O)O、および
OC(O))q-1-R-(C(O)-X-Rm+1-C(O)-X-RC(O)O
における少なくとも1つのポリ酸エステルのシーケンスは以下から選択され、
【表4】

好ましくはアニオンの全てのそうしたシーケンスは上記の表にしたがって選択される。
【0155】
好ましくは、mは1から10、特に1、2、3、4、5、6、7、または8、そしてさらにより好ましくは加えてqが1-6、最も好ましくは2から4である。
【0156】
本発明の別の好ましい実施形態において、有機アンモニウム基含有カチオンは上記で定義した一般式
(-F) (I)
にしたがうカチオンから選択され、ここで
xは1から10、好ましくは1から5、より好ましくは1、2、3、4、5、最も好ましくは1および2、
Fは同一または異なっていてよく一般式(II)によって表され:
【化68】

式中R、R、R、R、Rおよびnは上記で定義した通りであり、そして好ましくは
n=0-100、さらにより好ましくは0-50、よりさらに好ましくは0-20、最も好ましくは0、1、2、3、4または5である。
【0157】
本発明のさらに別の好ましい実施形態において、有機アンモニウム基含有カチオンは上記で定義した一般式
(-F) (I)
にしたがうカチオンから選択され、ここで
x=2であり、カチオンは一般式(V)によって表され:
【化69】

式中R、R、R、R、Rおよびnは上記で定義した通りであり、そして好ましくは
n=0-1000、好ましくは0-100、より好ましくは0-50、さらにより好ましくは0-20、最も好ましくは0、1、2、3、4または5である。
【0158】
この実施形態によるカチオンの例は、以下のアミノ化合物から誘導されるカチオンである。
【化70】
【0159】
本発明のさらに好ましい実施形態において、有機アンモニウム基含有カチオンは上記で定義した一般式
(-F) (I)
にしたがうカチオンから選択され、ここで
xは1から10、好ましくは1から5、より好ましくは1、2、3、4、または5、最も好ましくは1または2、
は1000までの炭素原子、好ましくは2から300の炭素原子、より好ましくは3から200の炭素原子、さらにより好ましくは3から150の炭素原子、特定的には3から50の炭素原子、より特定的には3から20の炭素原子を有し、任意選択的に-O-、-NH-、-C(O)-、-C(S)-、
【化71】

から選択される1つまたはより多くの基を含んでいてよく、-OH基およびハライド基によって置換可能な、1価から10価の任意選択的に置換された炭化水素ラジカルから選択され、
好ましくはRはC3-C18グリセリン系ポリエーテルラジカルまたはC1-C8直鎖アルキレンラジカルであり、そして
Fはnが0に等しい式(II)に対応する一般式(XVII)を有し:
【化72】

そして基FはRの炭素原子に結合し、
ここで
、R、Rは水素、および300までの炭素原子、好ましくは1から200の炭素原子、より好ましくは1から150の炭素原子、さらにより好ましくは1から50の炭素原子、特定的には1から20の炭素原子、より特定的には1から10の炭素原子を有し、任意選択的に-O-、-NH-、-C(O)-、-C(S)-、
【化73】

から選択される1つまたはより多くの基を含んでいてよく、OHによって置換可能な、任意選択的に置換された直鎖、環状または分岐鎖の、飽和、不飽和または芳香族の炭化水素ラジカルから独立して選択され、
好ましくはRからRはメチル、エチル、プロピルまたはブチルのようなC1-C8直鎖アルキル基である。
【0160】
本発明の好ましい実施形態によれば、カルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンは好ましくは1価から50価、より好ましくは1価から10価、さらにより好ましくは1価から5価、最も好ましくは5価、4価、3価、2価または1価のアニオンである。
【0161】
本発明の別の好ましい実施形態においては、カルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンは一般式(XI)または(XII)の少なくとも1つの部分を含み:
-X-C(O)-R-(X-C(O)-R-X-C(O)-R (XI)または
-X-C(O)-R-(X-C(O)-R-X-C(O)-R (XII)
式中
XはOまたはNR11
m=1から20、好ましくは1から10、より好ましくは1から6、さらにより好ましくは2から6、特に1、2、3、4、5、6であり、
+Rの炭素原子の合計数(アニオン当たりのR、RのΣ炭素原子)は19から300、好ましくは25から300、より好ましくは35から300、さらにより好ましくは50から300、特定的には35から200、より特定的には35から150、さらにより特定的には50から150、
11は上記定義の通りであり好ましくは水素、n-、iso-、またはtert-C-C22-アルキルからなる群から選択され、より好ましくは水素であり、
は任意選択的にOH、-O-C(O)-R、-O-C(O)-R-(O-C(O)-R0-19-O-C(O)-Rで置換された、RおよびR基含有置換基の炭素原子を除いて1から36の炭素原子、好ましくは1から24の炭素原子、より好ましくは1から18の炭素原子、さらにより好ましくは8から18の炭素原子を有する直鎖、環状、または分岐鎖の、置換または未置換の炭化水素ラジカルであり、好ましくはモノヒドロキシカルボン酸、特にグリコール酸、乳酸、2-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシ酪酸、4-ヒドロキシ酪酸、14-ヒドロキシテトラデカン酸、10-ヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、レスケロール酸、リシノール酸、またはジヒドロキシカルボン酸、特に2,2’-ジヒドロキシメチルプロパン酸、9,10-ジヒドロキシステアリン酸、またはポリヒドロキシカルボン酸、特にグルコン酸から誘導され、
は上記定義の通りであり、
は任意選択的に置換された直鎖、環状、または分岐鎖の、置換または未置換の、1から36の炭素原子、好ましくは1から24の炭素原子、より好ましくは1から18の炭素原子、さらにより好ましくは8から18の炭素原子を有する炭化水素ラジカルから選択され、好ましくは酢酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、エイコサン酸、ドコサン酸、2-エチルヘキサン酸、2,2-ジメチルプロピオン酸、2,2-ジメチルヘプタン酸、2,2-ジメチルオクタン酸、ネオデカン酸、ウンデシル-10-エン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エルカ酸から誘導され、そして
が任意選択的にヒドロキシル置換されたヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、トリデシレン、テトラデシレン、ペンタデシレン、ヘキサデシレン、ヘプタデシレン、オクタデシレン、ノナデシレン、エイコシレン、ヘニコシレン、ドイコシレン、トリコシレン、およびテトライコシレン、またはヘキセニレン、ヘプテニレン、オクテニレン、ノネニレン、デセニレン、ウンデセニレン、ドデセニレン、トリデセニレン、テトラデセニレン、ペンタデセニレン、ヘキサデセニレン、ヘプタデセニレン、オクタデセニレン、ノナデセニレン、エイコセニレン、ヘニコセニレン、ドイコセニレン、トリコセニレン、およびテトライコセニレンから独立して選択され、より好ましくは任意選択的にヒドロキシル置換されたヘキサデシレン、ヘプタデシレン、オクタデシレン、ノナデシレン、エイコシレン、ヘキサデセニレン、ヘプタデセニレン、オクタデセニレン、ノナデセニレン、エイコセニレンから独立して選択され、最も好ましくはそれぞれのRがリシノール酸、10-ヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸またはレスケロール酸から独立して選択されることが好ましい。
【0162】
本発明による好ましい実施形態において、有機アンモニウム基含有カチオンは上記で定義した一般式
(-F) (I)
によるカチオンから選択され、式中Rは1価から18価の、好ましくは2価から18価の、より好ましくは2価から6価の、さらにより好ましくは2価、3価および4価の、任意選択的に-O-、-C(O)-、OHまたはアミド置換された直鎖、環状または分岐鎖の、飽和、不飽和または芳香族のヒドロカルビル基からなる群より選択され:
-これは少なくとも1つ、好ましくは1つより多く、より好ましくは3つ、さらにより好ましくは3つより多くの炭素原子を有する第1級、第2級および第3級アミン並びに第4級アンモニウム化合物から誘導され、
特に以下から誘導される
-C1からC24の第1級アミンのような第1級アミン、すなわちメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、シクロへキシルアミン、オクチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、デシルアミン、ウンデセニルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、オレイルアミン、
OH官能化第1級アミン、すなわちエタノールアミン、グルカミン、アミノグリセリン、
ポリエーテル系第1級アミン、すなわちポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシド系のモノ-、ジ-、およびトリ官能性第1級アミンであるJeffamine登録商標シリーズ、例えばJeffamine登録商標M600、1000、2005、2070、Jeffamine登録商標XTJ-435、436、Jeffamine登録商標D230、400、2000、4000、Jeffamine登録商標ED HK-511、600、900、2003、Jeffamine登録商標EDR148、176、Jeffamine登録商標T403、3000、5000、
以下から誘導される
-エポキシ化合物の縮合生成物から誘導される、特にグリシジルエーテルとアルコール、特にメタノール、エタノール、2-プロパノール、1-ブタノール、t-ブタノール、ウンデカ-10-エン-オール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、1,2,-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリンおよびより高級な直鎖または分岐鎖のオリゴグリセリン、トリメチロールプロパン、ひまし油(リシノール酸トリグリセリド)、ペンタエリスリトール、ソルビトール、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、およびペンタエチレングリコールその他のようなポリエチレングリコールから誘導され、またはジプロピレングリコール(例えば、2,2’-オキシジ-1-プロパノール、1,1’-オキシジ-2-プロパノール、および2-(2-ヒドロキシプロポキシ)-1-プロパノールから誘導される)、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、ペンタプロピレングリコールのようなポリプロピレングリコールから誘導され、混合(エチレンオキシド)および(ブチレンオキシド)系コポリエーテルから誘導され、混合(プロピレンオキシド)-およぴ(ブチレンオキシド)系コポリエーテルから誘導され、そして混合(エチレンオキシド)-および(プロピレンオキシド)-および(ブチレンオキシド)系コポリエーテルから誘導される、(エチレンオキシド)-、(プロピレンオキシド)-および/または(ブチレンオキシド)-系のポリエーテルのようなポリ(アルキレンオキシド)、または好ましくはグリシジルエステルと酸、特にネオデカン酸、およびアンモニア
-リシン、アルギニン、ヒスチジンのような塩基性アミノ酸またはそれらのエステルまたはアミド誘導体から誘導される
-第2級アミンから誘導される、特にジメチルアミン、N-メチルオクチルアミン、N-メチルドデシルアミン、N-メチルオクタデシルアミンのようなN-メチルアミン、ジエチルアミンのようなN-エチルアミン、ジブチルアミンのようなN-ブチルアミン、ピペラジン、モルホリンのような環状アミンといった、C1からC24の第2級アミン、
ジエタノールアミン、N-メチルグルカミン、N-メチルアミノグリセリンのようなOH官能化第2級アミン、
ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシド系のジ官能化第2級アミンであるJeffamine登録商標シリーズのようなポリエーテル系第2級アミン、特にすなわちJeffamine登録商標SD231、401、404、2001(ハンツマン社)、またはポリエチレンイミン、すなわちLupasol登録商標シリーズ(BASF社)
-エポキシ化合物の縮合生成物から誘導される、特にグリシジルエーテルとアルコール、特にメタノール、エタノール、2-プロパノール、1-ブタノール、t-ブタノール、ウンデカ-10-エン-オール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、1,2,-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリンおよび高級な直鎖または分岐鎖のオリゴグリセリン、トリメチロールプロパン、ひまし油(リシノール酸トリグリセリド)、ペンタエリスリトール、ソルビトール、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、およびペンタエチレングリコールその他のようなポリエチレングリコールから誘導され、またはジプロピレングリコール(例えば、2,2’-オキシジ-1-プロパノール、1,1’-オキシジ-2-プロパノール、および2-(2-ヒドロキシプロポキシ)-1-プロパノールから誘導される)、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、ペンタプロピレングリコールのようなポリプロピレングリコールから誘導され、混合(エチレンオキシド)および(ブチレンオキシド)-系コポリエーテルから誘導され、混合(プロピレンオキシド)-および(ブチレンオキシド)-系コポリエーテルから誘導され、および混合(エチレンオキシド)-および(プロピレンオキシド)-および(ブチレンオキシド)-系コポリエーテルから誘導される、(エチレンオキシド)-、(プロピレンオキシド)-および/または(ブチレンオキシド)-系ポリエーテルのようなポリ(アルキレンオキシド)、または好ましくはグリシジルエステルと酸、特にネオデカン酸、および第1級アミン、すなわちメチルアミン、エチルアミン、ブチルアミン、シクロへキシルアミン、オクチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、ウンデセニルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、エチレンジアミン、1,2-プロピレンジアミン、1,3-プロピレンジアミン、1,4-ブタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、塩基性アミノ酸、例えばN-メチルリシン、
-第3級アミンから誘導される、特にトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、N,N-ジメチルプロパノールアミン、N-メチルイミダゾール、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,2-ジアミノエタン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,4-ジアミノブタン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,6-ジアミノヘキサン、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチル-ジエチレントリアミン、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチル-ジプロピレントリアミン、ビス-(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス-(2-ジメチルアミノプロピル)エーテル、2,2’-ジモルホリノジエチルエーテル、N,N-ビス-(3-ジメチルアミノプロピル)-N-イソプロパノールアミン、N,N,N’-トリメチルアミノエチル-エタノールアミン、1,3,5-トリス(3-(ジメチルアミノ)プロピル)-ヘキサヒドロ-s-トリアジン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、N,N’-ジメチルピペラジン、N,N-ジメチルベンジルアミン、N,N-ジメチルシクロへキシルアミン
-エポキシ化合物の縮合生成物から誘導される、特にグリシジルエーテルとアルコール、特にメタノール、エタノール、2-プロパノール、1-ブタノール、t-ブタノール、ウンデカ-10-エン-オール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、1,2,-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリンおよび高級な直鎖または分岐鎖のオリゴグリセリン、トリメチロールプロパン、ひまし油(リシノール酸トリグリセリド)、ペンタエリスリトール、ソルビトール、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、およびペンタエチレングリコールその他のようなポリエチレングリコールから誘導され、またはジプロピレングリコール(例えば、2,2’-オキシジ-1-プロパノール、1,1’-オキシジ-2-プロパノール、および2-(2-ヒドロキシプロポキシ)-1-プロパノールから誘導される)、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、ペンタプロピレングリコールのようなポリプロピレングリコールから誘導され、混合(エチレンオキシド)および(ブチレンオキシド)-系コポリエーテルから誘導され、混合(プロピレンオキシド)-および(ブチレンオキシド)-系コポリエーテルから誘導され、および混合(エチレンオキシド)-および(プロピレンオキシド)-および(ブチレンオキシド)-系コポリエーテルから誘導される、(エチレンオキシド)-、(プロピレンオキシド)-および/または(ブチレンオキシド)-系ポリエーテルのようなポリ(アルキレンオキシド)、または好ましくはグリシジルエステルと酸、特にネオデカン酸、および第1級または第2級アミノ官能性アミン、特にメチルアミン、エチルアミン、ブチルアミン、シクロへキシルアミン、オクチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、ウンデセニルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、エチレンジアミン、1,2-プロピレンジアミン、1,3-プロピレンジアミン、1,4-ブタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、N,N-ジメチルエチレンジアミン、N,N-ジメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-ジエチレントリアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-ジプロピレントリアミン、N-メチルピペラジン
-カルボン酸の縮合生成物から誘導される、特にC6-C24脂肪酸、すなわちヘキサン酸、2-エチルヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ウンデセン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデセン酸、オクタデカン酸、オレイン酸、リシノール酸、レスケロール酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ジおよび高級カルボン酸、すなわちコハク酸、セバシン酸、トリメリット酸と、第1級-第3級アミン、すなわちN,N-ジメチルプロピレンジアミン、N,N-ジメチルエチレンジアミン、N-ドデシル-N-ビス-(プロピルアミン)、また第2級-第3級アミン、すなわちN,N,N’,N’-テトラメチル-ジエチレントリアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-ジプロピレントリアミン、N-メチルピペラジン、N-エチルピペラジン
-モノ4級アンモニウム化合物から誘導される、例えばC1-C30テトラアルキル置換アンモニウム化合物であって好ましくはCl、Br、CH-O-SO またはOH対イオンを有する、すなわち同一のアルキル置換基を有する化合物、すなわち(CCl、(COH、(CBr、(COH、好ましくはモノ長鎖アルキルトリ短鎖アルキル第4級アンモニウム塩またはジ長鎖アルキルジ短鎖アルキル第4級アンモニウム塩である、異なるアルキル置換基を有する化合物、ここで1つまたは2つのアルキル置換基は約8から約30の炭素原子の脂肪族基または芳香族基、約30までの炭素原子を有するアルコキシ基、ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、ヒドロキシアルキル基、アリール基またはアルキルアリール基から選択され、他のアルキル基は独立して約1から約8の炭素原子の脂肪族基または芳香族基、約8までの炭素原子を有するアルコキシ基、ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、ヒドロキシアルキル基、アリール基またはアリールアルキル基から選択され、脂肪族基は炭素原子および水素原子に加えて、エーテル連結基およびアミノ基のような他の基を含むことができ、より長鎖の脂肪族基、例えば約8またはより多くの炭素原子の脂肪族基は飽和または不飽和であることができ、好ましくは1つのアルキル基は約8から約30の炭素原子、より好ましくは約14から約26の炭素原子、さらにより好ましくは約14から22の炭素原子のアルキル基から選択され、他のアルキル基は独立してCH、C、COH、CH、およびこれらの混合物からなる群より選択され、そして対イオンはCl、Br、CHOSO 、およびこれらの混合物から選択される
C1-C30テトラアルキル置換アンモニウム化合物はエステル部分を含みそして好ましくはCl、Br、CH-O-SO の対イオンを有し、好ましくはカチオン性の飽和または不飽和脂肪酸系のモノエステルおよびジエステルのクアットであり脂肪酸由来のアルキル鎖に10から22、好ましくは10から18の炭素原子を有する
エトキシル化C10-C18飽和および不飽和モノエステルクアット、例えばココイルペンタエトキシメチルアンモニウムメトスルフェート
トリエタノールアミンから誘導されたC10-C18、好ましくはC16-C18の飽和および不飽和ジエステルクアット、例えば
【化74】

ここでRは独立してC9-C17アルキル基またはアルケニル基から選択され、好ましくはRは独立してC15-C17アルキル基またはアルケニル基から選択される
トリエタノールアミンから誘導されたC10-C18、好ましくはC16-C18の飽和および不飽和トリエステルクアット、例えば
【化75】

ここでRは独立してC9-C17アルキル基またはアルケニル基から選択され、好ましくはRは独立してC15-C17アルキル基またはアルケニル基から選択される
N-メチル-ジエタノールアミンから誘導されたC10-C18、好ましくはC16-C18の飽和および不飽和エステルクアット、例えば
【化76】

ここでRは独立してC9-C17アルキル基またはアルケニル基から選択され、好ましくはRは独立してC15-C17アルキル基またはアルケニル基から選択される
N,N-ジメチル-3-アミノプロパン-1,2-ジオールから誘導されたC10-C18、好ましくはC16-C18飽和および不飽和エステルクアット、例えば
【化77】

ここでRは独立してC9-C17アルキル基またはアルケニル基から選択され、好ましくはRは独立してC15-C17アルキル基またはアルケニル基から選択される
N-ジメチル-ジイソプロパノールアミンから誘導されたC16-C18飽和および不飽和エステルクアットであって次式を有する
【化78】

ここでR=C15-C17アルキル基またはアルケニル基、およびA=1価のカチオン、
特にジオレオイルイソプロピルジメチルアンモニウムメトスルフェート、ジオレオイルイソプロピルジメチルアンモニウムクロリド、ジパルミトイルイソプロピルジメチルアンモニウムメトスルフェート、ジパルミトイルイソプロピルジメチルアンモニウムクロリド、ビス-(イソステアロイル/オレオイルイソプロピル)ジメチルアンモニウムメトスルフェート、ビス-(イソステアロイル/オレオイルイソプロピル)ジメチルアンモニウムクロリド、
-対称または非対称の、頭部基または尾部基で架橋されたジ第4級アンモニウム化合物、すなわちジェミニ型クアット、特に少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つのC10-C30、より好ましくはC10-C22、さらにより好ましくはC10-C18アルキル基を含むジ4級化合物、特に頭部基が架橋されたジ4級化合物から誘導され、
例えばアルキル架橋を含んでいる、好ましくはC2-C30アルキル架橋含有ジ4級化合物、例えば次式
【化79】

例えばエーテルおよびエステル架橋されており、好ましくはC4-C30エーテルおよびエステル架橋含有ジ4級化合物、例えば次式
【化80】

【化81】

【化82】

ここでnは独立して0から24から選択される
【化83】

例えばヒドロキシアルキル架橋されており、好ましくはグリセリン、より好ましくはC3-C30グリセリン架橋を含むジ第4級アンモニウム化合物、例えば次式
【化84】

または
【化85】

ここでRは独立してC1-C25アルキル基またはC2-C25アルケニル基から選択される
例えば脂肪酸または脂肪族アルコールエステル部分、好ましくはC6-C30、好ましくはC10-C30、より好ましくはC10-C22、さらにより好ましくはC16-C18脂肪酸または脂肪族アルコールエステル部分を含むジ第4級アンモニウム化合物、例えば次式
【化86】

【化87】

ここでnは独立して2-22から選択され、そしてmは独立して2-6から選択される
【化88】

【化89】

【化90】

-特にトリ第4級アンモニウム化合物から誘導される
好ましくは少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つのC10-C30、より好ましくは3つのC10-C22、さらにより好ましくはC10-C18アルキル基を含むトリ4級化合物、例えば次式
【化91】

特にポリ4級化合物、好ましくはINCIに登録されたポリクオタニウム化合物、すなわちポリクオタニウム1からポリクオタニウム113、例えば以下の表に列記するポリクオタニウム化合物から誘導される
【表5】

-特に多糖、好ましくはセルロース、グアーガム、キチンおよびキトサンに基づくポリ4級化合物から誘導され、より好ましくは4級化セルロースおよび架橋4級化セルロース(ヒドロゲル)、例えば以下の構造による4級化セルロース
【化92】

4級化セルロース(QC)、式中の構造は対応するポリマーの繰り返し単位を示す
以下の構造の4級化セルロース
【化93】

4級化セルロース、n>1である
以下の構造のヒドロゲル
【化94】

ヒドロゲルにおいてn>1、または
【化95】

であり、これは対応するポリマーの繰り返し単位の構造を示している
すなわち4級化ヒドロキシエチルセルロースおよびエトキシル化セルロース、例えば
【化96】

ここでn>1、x≧1、y≧1
【化97】

ここでn>1
【化98】

ここでn>2、または
【化99】

4級化グアーガム、例えば次式のもの
【化100】

または以下の反応機構から得られたもの
【化101】

そして特に商業的に入手可能なグアーガム系生成物、例えばグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド
4級化キチン、例えば以下に示す反応機構において得られる生成物(1)および(2)
【化102】

および4級化キトサン、特にN-4級化キトサン、O-4級化キトサン、N,O-4級化キトサン、例えば(N-(2-ヒドロキシプロピル)-3-トリメチルアンモニウムキトサンクロリド(HTCC)、以下に示す反応機構において得られるQ-キトサンまたはTMCTPCHT
【化103】

【化104】

【化105】

または以下に示す反応において得られる構造
【化106】

【化107】
【0163】
本発明による好ましい実施形態によれば、有機アンモニウム塩カチオンの有機アンモニウム基含有カチオンは、上記で定義した一般式
(-F) (I)
によるカチオンから選択され、式中R
-1価から18価の、好ましくは2価から18価の、より好ましくは2価から6価の、さらにより好ましくは2価、3価および4価の、任意選択的にOH、アミノまたはアミド置換された直鎖、環状または分岐鎖の、飽和、不飽和または芳香族の炭化水素基から選択され、これは1つより多く、好ましくは2つより多くの炭素原子を有するハロゲン化アルキルから誘導され、例えばアルキル塩化物、臭化物、ヨウ化物、例えば1,3-ジクロロプロパン、1,3-ジクロロブタン、1,4-ジクロロブタン、ジクロロ-モノヒドロキシプロパン異性体、1,2,3-トリクロロプロパン、1,2-ジクロロヘキサンジオール、1,2-ジクロロヘキサン、またはそれぞれの臭化物およびヨウ化物である誘導体から誘導され
-1価から18価の、好ましくは2価から18価の、より好ましくは2価から6価の、さらにより好ましくは2価、3価および4価の、任意選択的にOH、アミノまたはアミド置換された直鎖、環状または分岐鎖の、飽和、不飽和または芳香族の炭化水素基から選択され、これは
合計(エステル)で2つより多く、好ましくは3つより多くの炭素原子を有するハロゲン化カルボン酸、好ましくはクロロカルボン酸のエステルから誘導され、例えばクロロ酢酸、3-クロロプロピオン酸、4-クロロ酪酸またはそれぞれのブロモカルボン酸とアルコール、特にメタノール、エタノール、2-プロパノール、1-ブタノール、t-ブタノール、ウンデカ-10-エン-オール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、1,2,-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリンおよびより高級な直鎖または分岐鎖のオリゴグリセリン、トリメチロールプロパン、ひまし油(リシノール酸トリグリセリド)、ペンタエリスリトール、ソルビトール、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、およびペンタエチレングリコールその他のようなポリエチレングリコールから誘導され、またはジプロピレングリコール(例えば、2,2’-オキシジ-1-プロパノール、1,1’-オキシジ-2-プロパノール、および2-(2-ヒドロキシプロポキシ)-1-プロパノールから誘導される)、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、ペンタプロピレングリコールのようなポリプロピレングリコールから誘導され、混合(エチレンオキシド)および(ブチレンオキシド)系コポリエーテルから誘導され、混合(プロピレンオキシド)-およぴ(ブチレンオキシド)系コポリエーテルから誘導され、そして混合(エチレンオキシド)-および(プロピレンオキシド)-および(ブチレンオキシド)系コポリエーテルから誘導される、(エチレンオキシド)-、(プロピレンオキシド)-および/または(ブチレンオキシド)-系のポリエーテルのようなポリ(アルキレンオキシド)とのエステル、
-1価から18価の、好ましくは2価から18価の、より好ましくは2価から6価の、さらにより好ましくは2価、3価および4価の、任意選択的にOH置換された直鎖、環状または分岐鎖の、飽和、不飽和または芳香族のヒドロカルビル基から選択され、これは
合計で3つより多い、好ましくは4つより多い炭素原子を有し、好ましくはグリシジルエーテルであるエポキシ化合物からアルコールとの開環堪能によるエポキシ化合物のエーテルまたはエステルから誘導され、アルコールは特にメタノール、エタノール、2-プロパノール、1-ブタノール、t-ブタノール、ウンデカ-10-エン-オール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、1,2,-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリンおよびより高級な直鎖または分岐鎖のオリゴグリセリン、トリメチロールプロパン、ひまし油(リシノール酸トリグリセリド)、ペンタエリスリトール、ソルビトール、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、およびペンタエチレングリコールその他のようなポリエチレングリコールから誘導され、またはジプロピレングリコール(例えば、2,2’-オキシジ-1-プロパノール、1,1’-オキシジ-2-プロパノール、および2-(2-ヒドロキシプロポキシ)-1-プロパノールから誘導される)、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、ペンタプロピレングリコールのようなポリプロピレングリコールから誘導され、混合(エチレンオキシド)および(ブチレンオキシド)系コポリエーテルから誘導され、混合(プロピレンオキシド)-およぴ(ブチレンオキシド)系コポリエーテルから誘導され、そして混合(エチレンオキシド)-および(プロピレンオキシド)-および(ブチレンオキシド)系コポリエーテルから誘導される、(エチレンオキシド)-、(プロピレンオキシド)-および/または(ブチレンオキシド)-系のポリエーテルのようなポリ(アルキレンオキシド)、または好ましくはグリシジルエステルと酸、特にネオデカン酸、
-1価から18価の、好ましくは2価から18価の、より好ましくは2価から6価の、さらにより好ましくは2価、3価および4価の、任意選択的にOH置換された直鎖、環状または分岐鎖の、飽和、不飽和または芳香族の炭化水素基から選択され、これは
合計で7つより多い、好ましくは8つより多い炭素原子を有し、好ましくはグリシジルエーテルであるエポキシ化合物と、ジからヘキサの価数のカルボン酸、特にマレイン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、イタコン酸、酒石酸、トリメリット酸、ダイマー脂肪酸とのエーテル、
特に好ましくはジからヘキサの価数のカルボン酸、例えばマレイン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、イタコン酸、酒石酸、トリメリット酸、ダイマー脂肪酸と、上述したようなジからヘキサの価数のアルコールまたはアルキレンオキシド、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドとの縮合によって形成されたカルボキシル(-C(O)OH)官能化ポリエステルと、少なくとも1つのグリシドキシ基を含む化合物、例えばグリシドール、ジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテルおよびオリゴマーグリセリングリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテルとのエーテル、特にコハク酸、マレイン酸および酒石酸、ダイマー脂肪酸とグリセリンジグリシジルエーテル、ポリエステルの縮合生成物、特に好ましくはオリゴマーヒドロキシカルボン酸、特にオリゴマー化乳酸、12-ヒドロキシステアリン酸、レスケロール酸、リシノール酸から誘導される
-1価から18価の、好ましくは2価から18価の、より好ましくは2価から6価の、さらにより好ましくは2価、3価および4価の、任意選択的にOH置換された直鎖、環状または分岐鎖の、飽和、不飽和または芳香族の炭化水素基から選択され、これは
合計で5つより多く、好ましくは6つより多い炭素原子を有するハロゲン化カルボン酸、好ましくはクロロカルボン酸のエステルから誘導され、例えばクロロ酢酸、3-クロロプロピオン酸、4-クロロ酪酸またはそれぞれのブロモカルボン酸と、OH官能化ポリエステルとのエステルであり、特に好ましくはジからヘキサの価数のカルボン酸、例えばマレイン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、イタコン酸、酒石酸、トリメリット酸、ダイマー脂肪酸と、上述したようなジからヘキサの価数のアルコールまたはアルキレンオキシド、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドと、少なくとも1つのグリシドキシ基を含む化合物、例えばグリシドール、ジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテルおよびオリゴマーグリセリングリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテルとの縮合によって形成され、特にコハク酸、マレイン酸および酒石酸またはダイマー脂肪酸とグリセリンジグリシジルエーテルとの縮合生成物である。
【0164】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、有機アンモニウム基含有カチオンは上記で定義した一般式
(-F) (I)
によるカチオンから選択され、式中Rはポリ(アルキレンオキシド)基から、好ましくは一般式(XIII)のポリ(アルキレンオキシド)基から選択され:
-[CHCHO]q1-[CHCH(CH)O]r1-[CHCH(C)O]s1-{[CHCHq2-[CHCH(CH)]r2-[CHCH(C)]s2}- (XIII)
ここで
q1=0から49、好ましくは0から10、より好ましくは1から10、さらにより好ましくは1から5、
r1=0から32、好ましくは0から10、より好ましくは1から10、さらにより好ましくは1から5、
s1=0から24、好ましくは0から10、より好ましくは1から10、さらにより好ましくは1から5、
q2=0または1、
r2=0または1、
s2=0または1、そして
Σ(q2+r2+s2)=1であり、
但しこのポリ(アルキレンオキシド)器における炭素原子の合計は2から100、好ましくは2から50、より好ましくは2から30、さらにより好ましくは2から20、特に2から15、または
は一般式(XIV)のオリゴグリセリンから誘導される2価の炭化水素基から選択され:
-[CHCH(R12)CHO]t1-[CHCH(R12)CH)]t2- (XIV)
ここで
t1=0から32、好ましくは0から10、より好ましくは1から10、さらにより好ましくは1から5、特に1および2であり、
t2=1、
12=OHまたは-O-C(O)-R-N(R、R、R)、
ここでR、R、RおよびRは上記で定義した通りであり、
但し炭素原子の合計は2から100、好ましくは2から50、より好ましくは2から30、さらにより好ましくは2から20、特に2から15、
またはR
少なくとも1つのエステル基を含む一般式(XV)の2価の炭化水素基:
-[CHCHO]q1-R13-[CHCHO]q1-[CHCHq2- (XV)
ここでq1は同一であるかまたは異なっていて上記で定義した通りであり、q2=1であり、
および少なくとも1つのエステル基を含む一般式(XVI)の2価の炭化水素基:
-[CHCH(R12)CHO]t1-R13-[CHCH(R12)CHO]t1-[CHCH(R12)CH)]t2- (XVI)
から選択され、ここでt1、t2およびR12は上記で定義した通りであり、そして
13は-C(O)C(O)O-、-C(O)(CH1-8C(O)O-から選択され、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、または-C(O)(C)C(O)O-から誘導され、すなわちフタル酸およびテレフタル酸、-C(O)CH=CHC(O)O-、-C(O)C(=CH)-CHC(O)O-、-C(O)CH(OH)CH(OH)C(O)O-から誘導され、
但しR13における炭素原子の合計は2から100、好ましくは2から50、より好ましくは2から30、さらにより好ましくは2から20、特に2から15であり、
好ましくはq2=0、そしてq1、r1およびs1の1つまたは2つは0であり、そしてより好ましくは
q2=0、r1およびs1は0、または
q2=0、q1およびs1は0、
あるいは
は1つまたはより多くの、例えば1つから5つの基-O-を含む基であり、これらの基-O-は好ましくはエーテル基であるが、カルボニル基と共にエステル基を形成可能であり、そして好ましくは基Rは1つまたはより多くのヒドロキシル基で置換されている。
【0165】
本発明の好ましい実施形態においては、本発明による有機アンモニウム塩の式(V)または(VII)のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンの式(VI)、(VI)または(VIII)、(VIII)の部分の少なくとも1つにおいて、2つまたはより多くの異なるR基が存在している。
【0166】
式(VI)、(VI)または(VIII)、(VIII)の部分において少なくとも2つの異なる基Rが存在することは、こうした鎖構造の調製において少なくとも2つの異なる種類のヒドロキシ置換またはアミノ置換カルボン酸誘導体が使用された場合の結果として生ずる。異なる基Rは炭素原子の数において相互に異なっていてよいが、存在する場合には二重結合の数や位置に関して異なっていてもよく、および/または置換基の位置や隣接する基に対する連結の位置において異なっていてもよい。それらは直鎖または分岐鎖であるかどうかに関して異なっていてもよい。
【0167】
少なくとも1つの基GまたはYにおいてRが独立してリシノール酸および12-ヒドロキシステアリン酸から誘導された炭化水素基を表していることが好ましい。
【0168】
本発明のさらに好ましい実施形態においては、本発明による有機アンモニウム塩の式(V)または(VII)のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンの式(VI)、(VI)または(VIII)、(VIII)の部分の少なくとも1つにおいて、基RおよびRまたはRおよびR9*は同じカルボン酸構造に基づくものでない。
【0169】
好ましくは、有機アンモニウム塩のアニオンに存在する式(VI)、(VI)、(VIII)または(VIII)のすべての部分が、エストリド鎖構造の内部員を構成している基Rとは異なる基であるRまたはR9*によって終端されている。
【0170】
さらに好ましくは、RとRまたはRとR9*はそれぞれ、基の炭素原子の数、存在する場合には二重結合の数または位置、または炭素鎖に関して相互に異なり、または基の炭素鎖に結合している酸素原子や窒素原子の位置に関して異なる。基が誘導されるカルボン酸構造もまた、これらの特徴の2つまたはより多くによって異なっていてよい。
【0171】
本発明の別の好ましい実施形態においては、本発明による有機アンモニウム塩の式(V)のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンにおいて、pは2-6、
はジからヘキサの価数の直鎖、分岐鎖または環状のアルキレン基、直鎖、分岐鎖または環状のアルケニレン基、直鎖、分岐鎖または環状のアルキニレン基、直鎖、分岐鎖または環状のアルカリーレン基、直鎖、分岐鎖または環状のアラルキレン基、および直鎖、分岐鎖または環状のアリーレン基、例えばフェニレン、ベンジレンまたはトリレン基、特に1から1000の炭素原子、より特定的には1から150の炭素原子を有するそうした基から選択され、
そして少なくとも1つの基Gは一般式(VI)の1つまたはより多くの部分を含み、
-R(-X-C(O)-R-X-C(O)-R9* (VI
式中R、R9*およびmは上記で定義した通りであり、または
有機アンモニウム塩の式(VII)のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンにおいて、qは2-6、
はジからヘキサの価数の直鎖、分岐鎖または環状のアルキレン基、直鎖、分岐鎖または環状のアルケニレン基、直鎖、分岐鎖または環状のアルキニレン基、直鎖、分岐鎖または環状のアルカリーレン基、直鎖、分岐鎖または環状のアラルキレン基、および直鎖、分岐鎖または環状のアリーレン基、例えばフェニレン、ベンジレンまたはトリレン基、特に1から1000の炭素原子、より特定的には1から150の炭素原子を有するそうした基から選択され、
そして少なくとも1つの基Yは一般式(VIII)の1つまたはより多くの部分を含み、
-R(-C(O)-X-R-C(O)-X-R9* (VIII
式中R、R9*およびmは上記で定義した通りである。
【0172】
この実施形態によれば、式(V)においてpは2、3または4、最も好ましくはpは2であることが好ましく、または式(VII)においてq=2、3または4、最も好ましくはqは2であることが好ましい。また好ましくは一般式(V)の化合物においてRが1から150の炭素原子を有する直鎖、分岐鎖または環状のアルキレン基から選択され、より好ましくは1から12の炭素原子を有する直鎖アルキレン基から選択されることが好ましく、または式(VII)においてRが1から150の炭素原子を有する直鎖、分岐鎖または環状のアルキレン基から選択され、より好ましくは1から12の炭素原子を有する直鎖アルキレン基から選択されることが好ましい。
【0173】
本発明のさらに好ましい実施形態においては、本発明による有機アンモニウム塩の式(V)のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンにおいてX=Oであり、
pは2、
は2価の直鎖、分岐鎖および環状のアルキレン基から、特に直鎖のC1-C22アルキル基、例えばメチレン、エチレン、n-プロピレン、n-ブチレン、n-ペンチレン、n-ヘキシレン、n-ヘプチレンまたはn-オクチレン基から選択され、また分岐C1-C22アルキレン基から、例えばイソプロピレン、イソブチレン、tert-ブチレン、イソブチレン、tert-ペンチレン、ネオペンチレン、および2-エチルヘキシレン基、好ましくはエチレン、n-プロピレン、n-ブチレン、n-ペンチレンおよびn-ヘキシレンから選択され、
そして少なくとも1つの基Gは1つまたはより多くの一般式(VI)の部分を含み、
-R(-X-C(O)-R-X-C(O)-R9* (VI
式中R、R9*およびmは上記で定義した通りであり、
または
式(VII)のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンにおいてX=Oであり、
qは2、
は2価の直鎖、分岐鎖および環状のアルキレン基から、特に直鎖のC1-C22アルキル基、例えばメチレン、エチレン、n-プロピレン、n-ブチレン、n-ペンチレン、n-ヘキシレン、n-ヘプチレンまたはn-オクチレン基から選択され、また分岐C1-C22アルキレン基から、例えばイソプロピレン、イソブチレン、tert-ブチレン、イソブチレン、tert-ペンチレン、ネオペンチレン、および2-エチルヘキシレン基、好ましくはエチレン、n-プロピレン、n-ブチレン、n-ペンチレンおよびn-ヘキシレンから選択され、
そして少なくとも1つの基Yは1つまたはより多くの一般式(VIII)の部分を含み、
-R(-C(O)-X-R-C(O)-X-R9* (VIII
式中R、R9*およびmは上記で定義した通りである。
【0174】
好ましくは、Rは乳酸、リシノール酸、レスケロール酸、10-ヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、14-ヒドロキシテトラデカン酸から、最も好ましくはリシノール酸またはレスケロール酸から誘導される。
【0175】
本発明による特に好ましい実施形態においては、1つまたはより多くの一般式(VI)の部分を含んでいる式(V)のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンにおいて
-R(-X-C(O)-R-X-C(O)-R9* (VI
式中R、R9*およびmは上記で定義した通りであり、
または1つまたはより多くの一般式(VIII)の部分を含んでいる式(VII)のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンにおいて
-R(-C(O)-X-R-C(O)-X-R9* (VIII
式中R、R9*およびmは上記で定義した通りであり、
1つまたはより多くの基R9*はそれぞれ3つまたはより多くの基-O-C(O)-Tで、好ましくはそれぞれ4つまたはより多くの基-O-C(O)-Tで、最も好ましくはそれぞれ4つから12の基-O-C(O)-Tで終端され、そこにおいてTは上記定義の通りである。
【0176】
そこにおいて、好ましくは分岐構造を含むR9*の分岐構造は3つから10の基-O-C(O)-Tで終端され、これに対して少なくとも2つの分岐構造を含むデンドリマー構造は好ましくは4つから20の基-O-C(O)-Tで終端される。
【0177】
本発明による別の好ましい実施形態によれば、1つまたはより多くの一般式(VI)の部分を含む式(V)のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンにおいて、
-R(-X-C(O)-R-X-C(O)-R9* (VI
式中R、R9*およびmは上記で定義した通りであり、または(VII)を含有する1つまたはより多くの一般式(VIII)の部分において
-R(-C(O)-X-R-C(O)-X-R9* (VIII
式中R、R9*およびmは上記で定義した通りであり、
1つまたはより多くの基R9*はそれぞれ次の一般式の少なくとも2つの分岐構造を含み、
-C(O)-B(-O-)
式中Bは2-20の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖の炭化水素基、bは2またはより大きく、そして片側でB基に連結しているb基(-O-)は炭素原子に連結しており、この炭素原子は他方の側のCH基の炭素原子またはカルボニル基の炭素原子であってよい。
【0178】
上記で定義した一般式の分岐鎖構造
-B(-O-)
の存在は、2つまたはより多くの基-O-C(O)-Tによって終端されていてよい分岐構造を可能にするために基R9*において必要とされ、上記で定義した一般式
-C(O)-B(-O-)
の2つまたはより多くのさらなる分岐構造の存在は、デンドリマー構造、すなわちR9*の結合連結から分子の残りの部分さらには基R9*の末端まで連続的または平行に配列されていてよい幾つかの分岐点を有する構造の形成をもたらす。しかしながら、デンドリマー分子についてのIUPACの定義[A.Fradetら、純粋および応用化学、91(3)、523-561:規則的なデンドロンを有するデンドリマーおよび多分岐ポリマーの命名法と用語(IUPACの推奨2017)参照]から離れて、デンドロンは樹状構造と末端構造の繰り返し単位のみを含む必要はなく、またR9*の自由原子価、すなわちR9*を分子の残余に対して結合している原子価から任意の末端基までの経路のそれぞれが、同じ数の構成繰り返し単位を含む必要はない。
【0179】
さらに好ましくは、上記で定義した一般式の分岐構造
-B(-O-)
のすべての基(-O-)は、上記で定義した一般式の分岐構造
-C(O)-B(-O-)
によって置換されている。
【0180】
また好ましくは、1つまたはより多くの基R9*は3つまたはより多くの分岐構造-C(O)-B(-O-)、より好ましくは3-5のそうした分岐構造を含んでいる。
【0181】
この実施形態においては、bが両方の分岐構造について2-6の範囲から、より好ましくは2-4の範囲から独立して選択されることが好ましい。
【0182】
本発明によるさらに好ましい実施形態においては、先の実施形態において規定した式(V)または(VII)のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンにおいて、1つまたはより多くの基R9*における上記に定義した一般式-B(-O-)または-C(O)-B(-O-)の1つまたはより多くの分岐構造は独立して、グリセリン酸、2,2-ジヒドロキシメチルプロピオン酸、グルコン酸、マルトビオン酸、ラクトビオン酸から誘導される。
【0183】
好ましくは、基R9*に存在するすべての分岐構造が独立して、2,2-ジヒドロキシメチルプロピオン酸から選択され、より好ましくは少なくとも1つの基R9*にあるすべての分岐構造が2,2-ジヒドロキシメチルプロピオン酸から誘導される。
【0184】
よりさらに好ましくは、すべての基R9*の式(V)または(VII)の化合物に存在するすべての分岐構造が同じポリヒドロキシカルボン酸から誘導される。
【0185】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、下記一般式(VI)の1つまたはより多くの部分を含む式(V)のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンにおいて、
-R(-X-C(O)-R-X-C(O)-R9* (VI
式中のR、R9*およびmは上記で定義した通りであり、
または下記一般式(VIII)の1つまたはより多くの部分を含む式(VII)のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンにおいて、
-R(-C(O)-X-R-C(O)-X-R9* (VIII
式中のR、R9*およびmは上記で定義した通りであり、
1つまたはより多くの基R9*はそれぞれ以下の構造の2つまたはより多くの基によって終端され、
-R(-X-C(O)-R-X-C(O)-T、
式中RおよびTは上記で定義した通りであり、そして
X=Oであり、
tは独立して0-12、好ましくはtは独立して0-6、最も好ましくはtは独立して0、1、2または3である。
【0186】
この実施形態において、上記で定義した通りである2つまたはより多くの末端基はエストリド鎖の末端に位置している。好ましくは、1つまたはより多くの基R9*はそれぞれ2-48個の一般式-R(-X-C(O)-R-X-C(O)-Tの基によって、より好ましくは2-27個の式-R(-X-C(O)-R-X-C(O)-Tの基によって、そして最も好ましくは4-16個の式-R(-X-C(O)-R-X-C(O)-Tの基によって終端されている。
【0187】
本発明によるさらに別の好ましい実施形態によれば、一般式(VI)の1つまたはより多くの部分を含む式(V)のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンにおいて、
-R(-X-C(O)-R-X-C(O)-R9* (VI
式中R、R9*およびmは上記で定義した通りであり、または一般式(VIII)の1つまたはより多くの部分を含む式(VII)のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンにおいて、
-R(-C(O)-X-R-C(O)-X-R9* (VIII
式中R、R9*およびmは上記で定義した通りであり、
1つまたはより多くの基R9*は以下の構造の2つまたはより多くの基、好ましくは4から12個の基によって終端されており、
-R(-X-C(O)-R-X-C(O)-T
式中Rは独立してC8-C24のモノカルボン酸-モノヒドロキシカルボン酸から、特にリシノール酸、12-ヒドロキシステアリン酸、レスケロール酸、11-ヒドロキシ-ウンデカン酸から誘導され、
XはOであり、そして
Tは独立してC2からC24、好ましくはC8からC24の脂肪酸から、特にラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、アラキジン酸から誘導され、
そしてtは0-6、好ましくは0、1、2または3である。
【0188】
この実施形態によれば、好ましくはRがリシノール酸から誘導され、そしてTがステアリン酸またはオレイン酸から誘導される。
【0189】
より好ましくは、すべての基R9*のRはリシノール酸から誘導され、そしてさらにより好ましくはすべての基R9*においてRはリシノール酸から誘導され、Tはステアリン酸またはオレイン酸から誘導され、そしてtは0、1、2または3である。
【0190】
本発明のさらなる好ましい実施形態によれば、1つまたはより多くの下記一般式(VI)の部分を含む式(V)のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンにおいて、
-R(-X-C(O)-R-X-C(O)-R9* (VI
式中R、R9*およびmは上記で定義した通りであり、または1つまたはより多くの下記一般式(VIII)の部分を含む式(VII)のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンにおいて、
-R(-C(O)-X-R-C(O)-X-R9* (VIII
式中R、R9*およびmは上記で定義した通りであり、
1つまたはより多くの基R9*は独立して以下の分岐またはデンドリマー脂肪酸構造のひとつから選択され、
-R14-O-C(O)-R15-(O-C(O)-R16m1-(O-C(O)-R17m2-O-C(O)-Tまたは
-R14-NR10-C(O)-R15-(O-C(O)-R16m1-(O-C(O)-R17m2-O-C(O)-T、
式中
10は上記定義の通りであり、
14は任意選択的に-O-、-NH-、-C(O)-、-C(S)-、
【化108】

から選択される1つまたはより多くの基を含んでいてよく-OHまたはハライド基によって置換可能な、2から50の炭素原子、特に2から20の炭素原子、より特定的には2から10の炭素原子を備え任意選択的に置換された2価の炭化水素ラジカルから選択され、そこにおいてラジカルR14は内部カルボキシレート基または内部アミド基を形成する-C(O)-基と-O-基の組み合わせまたは-C(O)-基と-NH-または第3級アミノ基の組み合わせを含んでいてはならず、そして好ましくはC1-C24のn-アルキレン基およびC2-C24のn-アルケニレン基、特に-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-を表し、
15は独立して、任意選択的に置換された直鎖、環状、または分岐鎖の、置換または未置換の36までの炭素原子を有する2価の炭化水素ラジカルまたは2から6ヒドロキシ基を有するC2からC24のモノカルボン酸、例えば2,2’-ジヒドロキシメチルプロパン酸から選択され、
m1は0から12、好ましくは0から10、より好ましくは0から6、さらにより好ましくは1から6、特に0、1、2、3、4、5、6であり、
m2は0から12、好ましくは0から10、より好ましくは0から6、さらにより好ましくは1から6、特に0、1、2、3、4、5、6であり、
そしてm1+m2はtであり、ここでtは0から12、好ましくは0から10、より好ましくは0から6、さらにより好ましくは1から6、特に0、1、2、3、4、5、6であり、
Tは上記定義の通りであり、
16およびR17は上記に定義したR15基から選択され、そして好ましくは
【表6】

ここでR15+Tの炭素原子の合計(R15、TのΣ炭素原子)は19から300、好ましくは25から300、より好ましくは35から300、さらにより好ましくは50から300、特に35から200、より特定的には35から150、さらにより特定的には50から150であり、
但しジ-またはポリヒドロキシル化カルボン酸から誘導されているR15、R16およびR17については、少なくとも1つ、好ましくは1つから2つ、より好ましくは2つ、さらにより好ましくはすべてのOH基がエステル化されている。
【0191】
この実施形態によれば、式(V)または(VII)のアニオンの1つまたはより多くの基R9*が独立して、2,2’-ジヒドロキシメチルプロパン酸とジヒドロキシメチルプロパン酸それ自体、C2からC24、好ましくはC8からC24の脂肪酸、さらに好ましくはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、アラキジン酸、および任意選択的にモノヒドロキシ脂肪酸、特にリシノール酸とのエステル化によって得られる分岐またはデンドリマー脂肪酸構造から誘導されることもまた好ましく、以下の構造式によって例示されるごときである
【化109】

ここでRは:
【化110】

または構造は
【化111】

ここでRは上に示した如きである。
【0192】
好ましくは、式(V)または(VII)のアニオンのすべての基R9*が上述した構造の基から独立して選択される。
【0193】
さらにより好ましくは、式(V)または(VII)のアニオンのすべての基R9*が上述した構造の基から選択される単一の式によって表される。
【0194】
ここで明らかにされるのは、分岐鎖またはデンドリマーの脂肪酸構造:
-R14-O-C(O)-R15-(O-C(O)-R16m1-(O-C(O)-R17m2-O-C(O)-Tまたは
-R14-NR10-C(O)-R15-(O-C(O)-R16m1-(O-C(O)-R17m2-O-C(O)-T
は、表示されてよい分岐構造のすべてのOH基の置換は表示していないが、この実施形態の構造要件を満たすために必要な構成要素の順序は反映しているということである。
【0195】
本発明の好ましい実施形態において、有機アンモニウム塩の式(V)のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンは以下の概略的なエステル構造によって表され:
O(O)C-(C1-C12ラジカル)-C(O)-O-(モノまたはオリゴC8-C24ヒドロキシ脂肪酸)-C(O)-O-(C2-C10炭化水素)-O-C(O)-(モノまたはオリゴC8-C24ヒドロキシ脂肪酸)-O-C(O)-(C1-C12ラジカル)-C(O)O
そこにおいて末端のC1-C12ラジカルは直鎖、分岐鎖、飽和、不飽和または芳香族のC1-C12ラジカルから、好ましくはC2-C12、C2-C10、C2-C4ラジカルから、より好ましくはC2およびC4ラジカルから選択される。
【0196】
好ましくは、C1-C12ラジカルおよび隣接する-C(O)-基および末端のカルボキシレート基は、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸またはそれらの無水物、例えば無水コハク酸、無水マレイン酸および無水フタル酸といった酸からそれぞれ誘導される。
【0197】
例えば、以下の式の末端基
-O(O)C-(C)-C(O)-
は、コハク酸または無水コハク酸のいずれかから誘導される。
【0198】
特に好ましくは、構造の両末端の基が同様の種類のジカルボン酸またはジカルボン酸無水物から誘導される。
【0199】
留意すべきは、この実施形態による概略的なエステル構造において、用語「モノまたはオリゴC8-C24ヒドロキシ脂肪酸」は、エステル化によって得られるのと同じまたは異なる種類のヒドロキシ脂肪酸のモノヒドロキシ脂肪酸、またはヒドロキシ脂肪酸オリゴマーを指しており、ここでこの部分を末端基「O(O)C-(C1-C12ラジカル)-C(O)-」に連結している基「-O-」およびこの部分を中央のジオール部分に連結している基「-C(O)-(O)-」は概略的なエステル構造において形式的に抽象化されているが、それらはモノまたはオリゴヒドロキシ脂肪酸基の末端の-OHおよび末端のC(O)OH部分から誘導されている。
【0200】
本発明のさらなる好ましい実施形態によれば、式(V)または(VII)のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンは以下の一般式の少なくとも1つの部分を含み、
-([-O-C(O)-R(-O-C(O)-R)l-O-C(O)-L-C(O)-O-(R-C(O)-O)l-R-C(O)O])-
式中Rは上記定義の通りであり、lは独立して0-20から、より好ましくは1-12から、さらにより好ましくは2から10から選択される整数であり、そしてLは2価の炭化水素ラジカルであり1から30の炭素原子を有していてよく、また任意選択的に-O-、-S-、-NH-、-C(O)-、-C(S)-、
【化112】

および第4級アンモニウム基から選択される1つまたはより多くの基を含んでいてよく、
好ましくはLは2価のアルキレンまたはアルケニレンラジカルであって1から30の炭素原子を有し、より好ましくはLはメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、エテニレン、プロペニレン、ブテニレン、ペンテニレン、ヘキセニレン、ヘプテニレン、オクテニレン、ノネニレンから選択され、最も好ましくはLはメチレン、エチレン、エテニレンまたはブテニレンから選択される。
【0201】
好ましくは、この実施形態によるアニオンは一般式
-([-O-C(O)-R(-O-C(O)-R)l-O-C(O)-L-C(O)-O-(R-C(O)-O)l-R-C(O)O])-
の1つの部分を上記のように含んでいる。
【0202】
明示的に留意されるように、本願に記載した他の部分との重複があってよく、例えば重複は式(VI)の部分の構造
-R(-C(O)-X-R-C(O)-X-R (VI)
および上記に定義した一般式
-([-O-C(O)-R(-O-C(O)-R-O-C(O)-L-C(O)-O-(R-C(O)-O)-R-C(O)O])-
との間であってよい。
【0203】
本発明によれば、以下の一般式の構造の存在
-([-O-C(O)-R(-O-C(O)-R-O-C(O)-L-C(O)-O-(R-C(O)-O)-R-C(O)O])-R
は式(V)のラジカルGの条件を満足する。
【0204】
本発明のさらなる好ましい実施形態によれば、式(V)または(VII)のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンは以下の一般式の少なくとも1つの部分を含み
-([-O-C(O)-R(-O-C(O)-R)l-O-C(O)-L-C(O)-O-(R-C(O)-O)l-R-C(O)O])-
式中Lおよびlは先の実施形態において上記で定義した通りであり、そしてRは独立してC8-C24モノカルボン酸-モノヒドロキシカルボン酸、特にリシノール酸、12-ヒドロキシステアリン酸、レスケロール酸、11-ヒドロキシ-ウンデカン酸から誘導され、最も好ましくはRはリシノール酸から誘導される。
【0205】
好ましくは、LはC1からC10から、好ましくはメチレン、エチレン、ブチレン、オクチレン、デシレンから選択され、lは独立して0から4の範囲にあり、そしてRはリシノール酸から誘導される。本発明の別の好ましい実施形態によれば、式(V)または(VII)のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンは以下の構造の少なくとも1つの部分を含む:
(脂肪族アルコール)-O-C(O)-(モノまたはオリゴC8-C24ヒドロキシ脂肪酸)-O-C(O)-(C2-C12炭化水素)-C(O)-O-(モノまたはオリゴC8-C24ヒドロキシ脂肪酸)-C(O)-O-(脂肪族アルコール)。
【0206】
そこにおいて、C2-C12炭化水素はC2-C12ヒドロカルビレン基であり、特にコハク酸、マレイン酸、イタコン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン2酸から誘導され、モノまたはオリゴC8-C24ヒドロキシ脂肪酸はC8-C24のヒドロキシ置換されたカルボン酸モノマーまたは20個までのC8-C24のヒドロキシ置換されたカルボン酸モノマーからエステル化により形成されたオリゴマーから誘導される基であり、特にモノリシノール酸またはオリゴマー度2から20、好ましくは2から10、より好ましくは2から6、さらにより好ましくは2から4のオリゴリシノール酸から誘導され、そして脂肪族アルコールはC2からC24、好ましくはC8からC24の脂肪族アルコールから誘導される基であり、特にn-オクタノール、n-デカノール、n-ドデカノール、n-テトラデカノール、n-ヘキサデカノール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、アラキジルアルコールから誘導される。
【0207】
このような種類の化合物は以下の構造によって例示される:
【化113】

ここでRは:
【化114】

である(点線の結合はRよりも上側の構造のO原子に対するRの結合を示す)。
【0208】
本発明によるさらなる好ましい実施形態においては、式(V)または(VII)のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンは以下の構造の少なくとも1つの部分を含み
-([-O-C(O)-R(-O-C(O)-R-O-C(O)-L-C(O)-O-(R-C(O)-O)-R-C(O)O])-R
式中L、l、RおよびRは上記で定義した通りである。
【0209】
好ましくは、L、lおよびRは上記で定義した通りであり、そしてRはC1-C23ヒドロカルビル基、好ましくはC1-C18ヒドロカルビル基、より好ましくはC7-C19ヒドロカルビル基、さらにより好ましくはC11-C17ヒドロカルビル基から選択され、最も好ましくはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、およびステアリン酸から誘導される。
【0210】
さらに好ましくは、式(V)の化合物は以下の構造を有している
-([-O-C(O)-R(-O-C(O)-R-O-C(O)-L-C(O)-O-(R-C(O)-O)-R-C(O)O])-R
式中L、lおよびRは上記で定義した通りであり、そしてRは独立してC1-C23ヒドロカルビル基、好ましくはC1-C18ヒドロカルビル基、より好ましくはC7-C19ヒドロカルビル基、さらにより好ましくはC11-C17ヒドロカルビル基から選択され、最も好ましくはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、およびステアリン酸から誘導される。
【0211】
よりさらに好ましくは、Lはメチレン、エチレンまたはエテニレン、ブチレン、ヘキシレン、オクチレン、デシレンから選択され、またはイタコン酸から誘導され、
lは独立して0-4の範囲から選択され、
はリシノール酸から選択誘導され、そして
はオレイン酸またはステアリン酸から選択誘導される。
【0212】
本発明のなおさらに好ましい実施形態においては、式(V)または(VII)のカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンは以下の式の少なくとも1つの部分を含み
1*[(-O-C(O)-R-O-C(O)-]
式中R1*は2価のC1-C100ラジカル、好ましくはC1-C12アルキレン、最も好ましくはメチレン、エチレン、1,3-プロピレン、1,4-ブチレン、1,6-ヘキシレン、1,2-プロピレン、1,3-ブチレンラジカルであり、
mは1から12から独立して選択され、そして
は上記定義の通りである。
【0213】
そこにおいて、以下の式の部分
1*[(-O-C(O)-R-O-C(O)-]
は好ましくはアルキレンジオール、より好ましくはα,ω-アルキレンジオール、例えば1,2-エタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオールおよび1,6ヘキサンジオールから出発して、連続的またはブロックごとのエステル鎖形成によって形成される。
【0214】
単一のヒドロキシ置換カルボン酸が繰り返して付加されるか、またはカルボン酸基を有するエストリド鎖がそうしたジオールと反応するようにされるかに関わらず、過剰のカルボン酸反応物質を使用することで結果としてジオールが両端において同じ仕方で主としてエステル化されている生成物、すなわち以下の式の対称構造
1*[(-O-C(O)-R-O-C(O)-]
の形成が得られる。
【0215】
基R1*の構造はかくして通常、出発物質として適用されるアルキレンジオールに直接的に対応する。
【0216】
本発明によれば、R1*は2価のC2-C100炭化水素ラジカルであり、これはすべての種類の直鎖、分岐鎖および環状の脂肪族および芳香族の2価の炭化水素基、例えばアルキレン、アルケニレン、アルキニレン並びに芳香族構造、例えばフェニレンを含んでいる。
【0217】
C1-C12アルキレンジオールは好ましい出発物質であるから、R1*は好ましくはC1-12アルキレン基、より好ましくはメチレン、エチレン、n-プロピレン、n-ブチレン、n-ベンチレン、n-ヘキシレン、さらにより好ましくはメチレン、エチレン、n-プロピレンまたはn-ブチレンまたはn-ヘキシレン基である。
【0218】
この実施形態によればmは独立して選択されるが、好ましくは以下の一般式の両方のmは等しい
1*[(-O-C(O)-R-O-C(O)-]
なぜならこの部分は典型的には対称的だからである。
【0219】
さらに好ましくはmは独立して1-6から、より好ましくは1-4から選択され、さらにより好ましくは両方のmは同じであって1-6から選択され、最も好ましくは両方のmは同じであって1-4から選択される。
【0220】
この実施形態によれば、Rは上記定義の通りであるが、しかし好ましくはRラジカルは直鎖のアルキレン基および直鎖のアルケニレン基、特に直鎖のC6-C24アルキレン基、例えばヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、トリデシレン、テトラデシレン、ペンタデシレン、ヘキサデシレン、ヘプタデシレン、オクタデシレン、ノナデシレン、エイコシレン、ヘニコシレン、ドイコシレン、トリコシレン、およびテトライコシレン、または直鎖のC6-C24アルケニレン基、例えばヘキセニレン、ヘプテニレン、オクテニレン、ノネニレン、デセニレン、ウンデセニレン、ドデセニレン、トリデセニレン、テトラデセニレン、ペンタデセニレン、ヘキサデセニレン、ヘプタデセニレン、オクタデセニレン、ノナデセニレン、エイコセニレン、ヘニコセニレン、ドイコセニレン、トリコセニレン、テトライコセニレンから選択され、ここでこれらの基は最も好ましくは、隣接するC(O)基に対して末端の炭素原子によって結合される。
【0221】
より好ましくは、Rは置換基として1つのヒドロキシル基を担持するC7-C25脂肪酸から誘導され、さらにより好ましくはRはリシノール酸、レスケロール酸、10-ヒドロキシオクタデカン酸、12-ヒドロキシオクタデカン酸、14-ヒドロキシテトラデカン酸、10-ヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸から誘導される。
【0222】
最も好ましくはRはリシノール酸から誘導される。
【0223】
この実施形態において一般に好ましくは、下記一般式の部分
1*[(-O-C(O)-R-O-C(O)-]
のすべてのR基は同じである。
【0224】
本発明の特に好ましい実施形態においては、以下の一般式の少なくとも1つの部分において
1*[(-O-C(O)-R-O-C(O)-]
1*はメチレン、エチレン、1,3-プロピレン、1,4-ブチレン、1,6-ヘキシレン、1,2-プロピレン、1,3-ブチレンから選択され、RはC8-C24モノカルボン酸-モノヒドロキシカルボン酸から、特にリシノール酸、12-ヒドロキシステアリン酸、レスケロール酸、11-ヒドロキシ-ウンデカン酸から誘導され、そしてmは独立して1から6から選択される。
【0225】
本出願はさらに、本発明の別の実施態様にも向けられており、それは本願に記載の発明による上述の実施形態のいずれかに規定された本発明による有機アンモニウム塩の製造のためのプロセスである。
【0226】
本発明による有機アンモニウム塩を製造するためのプロセスは以下を含んでいる:
(i)有機アンモニウム基含有カチオンに対応する有機アミンと、式(V)、(VII)および(X)からなる群より選択されるカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンに対応するカルボン酸(-COOH)との反応;または
(ii)有機アンモニウム基含有カチオンの無機アニオン含有塩と、式(V)、(VII)および(X)からなる群より選択されるカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンに対応するカルボン酸(-COOH)の金属塩との反応;または
(iii)有機アンモニウム基含有カチオンのヒドロキシ塩と、式(V)、(VII)および(X)からなる群より選択されるカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンに対応するカルボン酸との反応。
【0227】
代替的な(i)においてはアンモニウムカチオンおよびカルボン酸アニオンはカルボン酸から有機アミンへのプロトンの移動によって形成され、したがって反応において生成物はさらに形成されないが、代替的な(ii)のプロセスにおいては金属カチオンと無機アニオンからなる1当量の塩、例えばアルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物、特にNaCl、KCl、NaBr、NaCl、NaI、およびKIが形成され、そして代替的な(iii)においては本発明による有機アンモニウム塩を得る場合に1当量の水が形成される。
【0228】
かくして、代替的な(ii)および(iii)のプロセスによって得られる有機アンモニウム塩においては、すべてのアンモニウム基は4級アンモニウム部分であってよいが、代替的な(i)のプロセスによって得られる本発明のアンモニウム塩は、少なくとも1つの第3級、第2級または第1級のアンモニウム部分を含んでいる。
【0229】
この実施形態による代替的な(ii)においては、無機アニオンを有するアンモニウム塩は、本発明による有機アンモニウム塩の形成のために適用される。そこにおいて用語「無機アニオン」は、
-ハライドアニオン、特にフッ化物、塩化物、臭化物、およびヨウ化物アニオン、ヒドロキシルアニオン、ヒドロスルフィドアニオン、
-無機オキソ酸の共役塩基として形成されるアニオン、例えば塩素酸塩、亜塩素酸塩、ヨウ素酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩、硫酸塩または亜硫酸塩のアニオン、特にリン酸塩および硫酸塩のアニオン、
-無機オキソ酸系エステルアニオン、例えば硫酸メチルなどの硫酸エステルアニオン、およびリン酸モノメチル、リン酸ジメチルなどのリン酸エステルアニオンを指している。
【0230】
本発明による好ましい実施形態においては、有機アンモニウム塩の製造のためのプロセスは、アニオン交換反応工程(ii)を含み、式(V)、(VII)および(X)からなる群より選択されるカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンに対応するカルボン酸(-COOH)のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩が適用される。
【0231】
そこにおいては、Li、Na、K、MgおよびCaの塩が好ましく、最も好ましくはカルボン酸塩はNa塩またはK塩である。
【0232】
本発明による別の好ましい実施形態において、本発明による有機アンモニウム塩の製造は、(ii)有機アンモニウム基含有カチオンの無機アニオン含有塩と、式(V)、(VII)および(X)からなる群より選択されるカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンに対応するカルボン酸(-COOH)の金属塩との反応を含み、そこにおいては、式(V)、(VII)および(X)からなる群より選択されるカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンを含むNaカルボン酸塩またはKカルボン酸塩が、塩化物、臭化物またはメトスルフェートアニオンを含有する第1級、第2級、第3級、第4級アミン塩から選択される有機アンモニウム基含有カチオンの無機アニオン含有塩と接触される。
【0233】
通常、有機アンモニウム塩の無機アニオンは、アミンと脱離基、例えばヨード、ブロモ、クロロ、メシレートまたはトシレート脱離基を担持した有機化合物との置換反応による塩の形成に由来する。この実施形態においては、塩化物、臭化物、またはメト硫酸アニオンを含む無機アニオン含有塩の使用が好ましい。最も好ましくは、塩化物または臭化物アニオンを有するアミン塩が適用される。
【0234】
本発明のさらなる好ましい実施形態によれば、本発明によるプロセスにおいて、本発明による実施形態のいずれかによる目標の塩化合物を生ずるアニオン交換反応(ii)は、最終的な化粧品配合物の他の成分と何らかの接触を行うのに先立って、別個の反応工程において行われる。
【0235】
ここにおいて、本発明によれば用語「最終的な化粧品配合物の他の成分」には、水および工程(ii)において副生物として形成される塩を除く、化粧品配合組成物のすべての構成成分が含まれ、すなわちこの実施形態によれば、アンモニウム塩化合物は化粧品配合物に対して、任意選択的には反応(ii)において副生物として形成された塩をも含有する水溶液として添加されてもよい。
【0236】
本発明のさらに別の好ましい実施形態においては、本発明によるプロセスにおいて、式(V)、(VII)および(X)からなる群より選択されるカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンに対応するカルボン酸(-COOH)のアルカリ塩は、無機対イオンを含む第1級、第2級、第3級、第4級のアミン塩を含む部分的化粧品配合物または完成した化粧品配合物に対して添加される。
【0237】
好ましくは、カルボン酸のアルカリ塩はナトリウム塩およびカリウム塩から選択される。
【0238】
この実施形態によれば、本発明による有機アンモニウム塩は部分的または完全な化粧品配合物中で形成され、そこでは副生物としてアルカリ金属カチオンの塩および無機アニオンが形成される。
【0239】
本発明による別の好ましい実施形態によれば、本発明のいずれかの実施形態による有機アンモニウム塩の製造プロセスは、上述したアニオン交換反応工程(iii)を含み、そしてそこにおいて式(V)、(VII)および(X)からなる群より選択されるカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンに対応するカルボン酸をOH-対イオンを有する第1級、第2級、第3級アミンおよび第4級アンモニウムイオンと接触させるアニオン交換反応工程(iii)は、最終的な化粧品配合物の他の成分と何らかの接触を行うのに先立って、別個の反応工程において行われる。
【0240】
ここにおいて、この実施形態によれば用語「最終的な化粧品配合物の他の成分」には、水を除く化粧品配合組成物のすべての構成成分が含まれ、すなわちこの実施形態によれば、アンモニウム塩化合物は化粧品配合物に対して水溶液として添加されてもよい。
【0241】
本発明のさらに別の好ましい実施形態によれば、本発明のいずれかの実施形態による有機アンモニウム塩の製造プロセスは、上述したアニオン交換反応工程(iii)を含み、そしてそこにおいて式(V)、(VII)および(X)からなる群より選択されるカルボン酸アニオン(COO)基含有アニオンに対応するカルボン酸は、OH-対イオンを有する第1級、第2級、第3級、第4級アミン塩を含有する部分的化粧品配合物または完成した化粧品配合物に対して添加されて接触される。
【0242】
この実施形態によれば、本発明による有機アンモニウム塩は部分的または完全な化粧品配合物中で形成され、そこでは副生物として1当量の水が形成される。
【0243】
本発明の別の実施態様は、上述した実施形態のいずれかに規定された本発明による化合物をスキンケア用およびコンディショナーやシャンプーといったヘアケア用の化粧品配合物に使用することである。
【0244】
本発明の好ましい実施形態によれば、上述した実施形態のいずれかの塩化合物はスキンケア用およびコンディショナーやシャンプーといったヘアケア用の化粧品配合物に使用され、特にコンディショナーおよびシャンプー、硬質表面を処理および被覆するための研磨剤、例えば自動車の洗浄の後に自動車およびその他の硬質表面を乾燥させるための配合物に使用され、繊維製品および繊維製品の繊維を仕上げるために使用され、繊維製品がノニオン性またはアニオン性/ノニオン性洗剤配合物で洗浄された後に別個の柔軟剤として使用され、繊維製品を洗浄するためのノニオン性またはアニオン性/ノニオン性界面活性剤に基づく配合物中の柔軟剤として使用され、また繊維製品におけるシワを防止または除去するための手段として使用される。
【0245】
実施例において示されるように、本発明による有機アンモニウム塩は、繊維に対して明確なコンディショニング効果を示し、かくしてこの実施形態による用途において有益な方法で使用することができる。本発明による有機アンモニウム塩を含む配合物が上述したような硬質表面に適用された場合、疎水性コーティングが形成される。
【0246】
本発明のさらに好ましい実施形態において、本発明によるいずれかの実施形態の塩化合物は、繊維、好ましくはアミノ酸系繊維、より好ましくは人の毛髪の処理のための化粧品組成物に使用され、特にヘアカラーの保持、髪の輝きの向上、ヘアカラーの向上、ヘアカラーの保護、髪のコンディショニング、髪の滑らかさまたは柔軟化、髪の扱いやすさの改善、特に髪の櫛通りの改善に役立つ。
【0247】
本発明による有機アンモニウム塩化合物はその明確なコンディショニング特性のゆえに、本実施形態に規定した仕方で使用することができる。
【0248】
別の実施態様において本発明は、本発明によるいずれかの実施形態に規定された塩化合物を含むヘアトリートメント用組成物に向けられている。
【0249】
本発明による好ましい実施形態において、本発明によるいずれかの実施形態の塩化合物を含むヘアトリートメント用組成物は、ヘアシャンプー組成物、ヘアコンディショナー組成物、ヘアカラーまたはヘアダイ組成物、髪の櫛通り改善組成物、髪のリンスオフおよびリーブオン組成物からなる群より選択される。
【0250】
なおさらなる実施態様において、本発明はまた、本発明の上述した実施形態に規定されたプロセスによって得られた生成物の使用に向けられている。
【0251】
本発明による好ましい実施形態において、本発明の上述した実施形態に規定されたプロセスによって得られた生成物は、スキンケア用およびコンディショナーやシャンプーといったヘアケア用の化粧品配合物に使用され、特にコンディショナーおよびシャンプー、硬質表面を処理および被覆するための研磨剤、例えば自動車の洗浄の後に自動車およびその他の硬質表面を乾燥させるための配合物に使用され、繊維製品および繊維製品の繊維を仕上げるために使用され、繊維製品がノニオン性またはアニオン性/ノニオン性洗剤配合物で洗浄された後に別個の柔軟剤として使用され、繊維製品を洗浄するためのノニオン性またはアニオン性/ノニオン性界面活性剤に基づく配合物中の柔軟剤として使用され、また繊維製品におけるシワを防止または除去するための手段として使用される。
【0252】
本発明のさらなる好ましい実施形態によれば、本発明の上述した実施形態に規定されたプロセスによって得られた生成物は、繊維、好ましくはアミノ酸系繊維、より好ましくは人の毛髪の処理のための化粧品組成物に使用され、特にヘアカラーの保持、髪の輝きの向上、ヘアカラーの向上、ヘアカラーの保護、髪のコンディショニング、髪の滑らかさまたは柔軟化、髪の扱いやすさの改善、特に髪の櫛通りの改善に役立つ。
【0253】
最後に別の実施態様において、本発明は、本発明の上述した実施形態に規定されたプロセスによって得られた塩化合物を含む、毛髪の処理のための組成物に向けられている。
【0254】
本発明の好ましい実施形態においては、本発明の上述した実施形態に規定されたプロセスによって得られた塩化合物を含む毛髪の処理のための組成物は、ヘアシャンプー組成物、ヘアコンディショナー組成物、ヘアカラーまたはヘアダイ組成物、髪の櫛通り改善組成物、髪のリンスオフおよびリーブオン組成物からなる群より選択される。
【実施例
【0255】
(特に明記しない限り、パーセントは重量%を示している。)
本願で使用するところでは、用語「ひまし油」は一般にリシノール酸トリグリセリドを指している。
【0256】
エストリド部分およびエストリド化合物について本願で使用される術語についての注記
以下の例においてエストリド基の構造を示すために使用される術語は、エストリド部分が少なくとも形式的にエステル化により得られる化合物を示しており、エストリド部分が少なくとも形式的に誘導されるカルボン酸が括弧内に順番に示されている。同じ酸から続けて誘導される幾つかのサブユニットがエストリド部分に存在する場合には、それらは括弧内に示されて下付き文字の整数がユニットの繰り返し数を表示し、カルボン酸の全体が角括弧内に示される。
【0257】
留意されるべきは、括弧内または角括弧内に示される特定のカルボン酸はランダムな構造に組み合わせられるものではなく、それらは使用された術語において示されたような、ヒドロキシルカルボン酸から誘導された残基とカルボン酸から誘導された残基のそれぞれの正確な順序を有しているということである。そこにおいて、括弧または角括弧内のそれぞれの用語において与えられた最後のカルボン酸は、エストリド部分の末端カルボン酸である。括弧内または角括弧内の用語の最初から始まって用語の最後に至るまで、エステル基によって連結されたカルボン酸残基の順序は正確な順番および含有される残基の数で表示される。
【0258】
例えば、用語「(12-ヒドロキシステアリン酸-リシノール酸-オレイン酸)」は、12-ヒドロキシステアリン酸分子が形式的にそのOH基を介してエステル基を形成することによってリシノール酸分子のカルボン酸基に連結されているエストリド部分を指している。このリシノール酸基のヒドロキシル基はオレイン酸分子のカルボン酸基とエステル基を形成することによって、オレイン酸分子に対して連結している。この例におけるオレイン酸は、この特定的なエストリド部分の末端基と見なされるが、これは、もしもエストリド部分が高次構造(すなわちより複雑な分子)の置換基である場合、一般にはエストリド部分はエストリド部分について使用された用語において最初に言及された残基のカルボン酸基に対する連結を介して全体的な構造へと連結されるからである。この場合には、それは最初に言及された12-ヒドロキシステアリン酸残基であり、そしてオレイン酸残基はエストリド部分の末端基である。
【0259】
したがって、使用される用語がエストリド構造のカルボン酸塩化物を示している場合、括弧内の最初に記載されたカルボン酸残基、すなわち末端基から最も離れた残基からは、塩化アシル基が必然的に形成される。
【0260】
用語「ダイマー」または「トリマー」その他が使用される場合、それはエストリド部分のカルボン酸から誘導されたサブユニットの数を示している。
【0261】
同様にして、用語「[(リシノール酸)-オレイン酸]エストリド」は、形式的にリシノール酸分子または残基がそのOH基を介してエステル基を形成することによって別のリシノール酸分子のカルボン酸基に連結しているエストリド部分または化合物を示している。この後者のリシノール酸基のヒドロキシル基は、オレイン酸分子のカルボン酸基とエステル基を形成することにより、オレイン酸分子に連結している。このオレイン酸は、この特定的なエストリド部分の末端基と見なさるが、それは、もしもエストリド部分が高次構造(すなわちより複雑な分子)の置換基である場合、エストリド部分は最初に言及されたリシノール酸残基のカルボン酸基に対する連結を介して全体的な構造へと連結されるからであり、そしてオレイン酸残基はエストリド部分の末端基となる。
【0262】
エストリド部分が[(リシノール酸)-コハク酸-(リシノール酸)]において2つのリシノール酸エストリド基に各側のエステル基によって連結されたコハク酸誘導残基のように、エステル基またはアミド基の連結基によって連結される場合、このことは親の化合物の名前を全体的なエストリド構造の用語中に取り入れることによって示される。かくして、カルボン酸残基の順序を示す分かり易い用語がもたらされる。
【0263】
さらに留意されるのは、エストリドの正確な構造は主として、例示的な化合物について徹底的に提供される構造式によって明らかにされ、そして例示的な化合物の構造はまた、提示された詳細な実験手順から当業者によって明確に誘導可能であるということである。特に、単純化するという理由から、式は化学量論的に正確な構造を常に反映しているとは限らない。
【0264】
実施例
合成例1
(リシノール酸-オレイン酸)エストリドダイマーの合成
【0265】
還流コンデンサー、温度計およびマグネチックスターラー、滴下漏斗およびガス排出管を装着した1000mlの4口ビンに、225g(0.75モル)のリシノール酸を窒素雰囲気下に室温で入れた。撹拌し、226.85g(0.75モル)のオレイン酸クロリドを1.5時間の間にゆっくりと添加した。温度は22から32℃に上昇させた。この温度上昇は気泡の生成を伴っており、HClが形成されたことが示された。温度は32℃においてさらに2時間保持し、その後50℃へと上昇させ、そこで1時間保持した。揮発性物質を減圧下に除去した(40℃/2時間/20mmHg)。OH基の変換はH NMR分光法によって求められた。OH基の変換は100%であった。
【0266】
本質的に以下の構造を有する茶色がかった透明な油が得られた:
【化115】

【化116】
【0267】
対応するエストリド系カルボン酸アニオンは式(X)によって包含され:
(-C(O)-X-R-COO
ここでX=Oおよびq=1であり、そして
(強調部分):
【化117】

(強調部分):
【化118】
【0268】
合成例2
[(リシノール酸)-オレイン酸]エストリドトリマーの合成
【0269】
還流コンデンサー、温度計およびマグネチックスターラー、滴下漏斗およびガス排出管を装着した250mlの4口ビンに、34.87g(0.293モル)のSOClを窒素雰囲気下に室温で入れた。撹拌し、110g(0.195モル)の合成例1のエストリドダイマーを1時間の間にゆっくりと添加した。添加の終了後に温度を80℃に上昇させた。温度は80℃において1時間保持した。揮発性物質を減圧下に除去した(80℃/2時間/20mmHg)。窒素を用いて真空を破り、そして57.75g(0.195モル)のリシノール酸をカルボン酸クロリド中間体に対して80℃で45分間かけて添加した。温度を2時間にわたって保持した。揮発性物質を減圧下に除去した(40℃/2時間/20mmHg)。OH基の変換はH NMR分光法によって求められた。OH基の変換は100%であった。
【0270】
本質的に以下の構造を有する茶色がかった透明な油が得られた:
【化119】
【0271】
実施例2a
[(リシノール酸)-ステアリン酸]エストリドトリマーの合成
【0272】
還流コンデンサー、温度計およびマグネチックスターラー、滴下漏斗およびガス排出管を装着した2つの250mlの3口ビンAおよびBを窒素でフラッシングした。ビンAは脂肪酸クロリドをリシノール酸と反応させるために使用され、鎖延長された脂肪酸エステルが生成された。続いてSOClを添加することで、対応する脂肪酸エステルクロリドが得られた。ビンBは得られた脂肪酸エステルクロリドをリシノール酸と反応させるために使用され、鎖延長された脂肪酸エステルが得られた。続いてSOClを添加することで、対応する脂肪酸エステルクロリドが得られた。この脂肪酸クロリドはビンAに移し戻して、新たなリシノール酸と反応させた。上述のサイクルは、エストリド[(リシノール酸)-ステアリン酸]ヘキサマーが調製されるまで繰り返してよい。
【0273】
鎖延長された脂肪酸エステルの合成のための一般的手順:
計算された量のリシノール酸をビンに入れる。等モル量の脂肪酸エステルクロリドを室温でゆっくりと添加する。反応を完了させるために、温度を3時間にわたって80℃に上昇させる。OH基の完全な変換はH NMR分光法によって決定される。
【0274】
脂肪酸エステルクロリドの合成のための一般的手順:
計算された量の脂肪酸エステルをビンに入れる。SOCl(3倍モル過剰)を室温でゆっくりと添加する。その後、混合物を80℃に加熱する。この温度を3時間にわたって保持する。その後、過剰のSOClを減圧下で除去する(80℃/2時間/20mmHg)。C(O)OH基からC(O)Cl基への完全な変換がH NMR分光法によって決定される。
【0275】
以下の表は使用した物質および量を概括している。
【表7】
【0276】
[(リシ)-ステアリン酸]の式は以下の通りである:
【化120】
【0277】
実施例2b
(リシノール酸-12-ヒドロキシステアリン酸-オレイン酸)エストリドトリマーの合成
【0278】
合成例2aについて概要を述べた手順を繰り返した。
【0279】
以下の表は使用した物質および量を概括している。
【表8】
【0280】
リシ-(12ヒドロキシステア)-オレイン酸の式は以下の通りである:
【化121】
【0281】
実施例2c
(12-ヒドロキシステアリン酸-リシノール酸-オレイン酸)エストリドトリマーの合成
【0282】
合成例2aについて概要を述べた手順を繰り返した。
【0283】
以下の表は使用した物質および量を概括している。
【表9】
【0284】
(12-ヒドロキシステア-リシ-オレイン酸)の式は以下の通りである:
【化122】
【0285】
合成例3
[(リシノール酸)-オレイン酸]エストリドヘキサマーおよび対応する[(リシノール酸)-オレイン酸]クロリドヘキサマーの合成
【0286】
還流コンデンサー、温度計およびマグネチックスターラー、滴下漏斗およびガス排出管を装着した2つの100mlの3口ビンAおよびBを窒素でフラッシングした。ビンAは脂肪酸クロリドをリシノール酸と反応させるために使用され、鎖延長された脂肪酸エステルが生成された。続いてSOClを添加することで、対応する脂肪酸エステルクロリドが得られた。ビンBは得られた脂肪酸エステルクロリドをリシノール酸と反応させるために使用され、鎖延長された脂肪酸エステルが得られた。続いてSOClを添加することで、対応する脂肪酸エステルクロリドが得られた。この脂肪酸クロリドはビンAに移し戻して、新たなリシノール酸と反応させた。上述のサイクルを、エストリド[(リシノール酸)-オレイン酸]ヘキサマーが調製されるまで繰り返した。
【0287】
鎖延長された脂肪酸エステルの合成のための一般的手順:
計算された量のリシノール酸をビンに入れる。等モル量の脂肪酸エステルクロリドを室温でゆっくりと添加する。反応を完了させるために、温度を3時間にわたって80℃に上昇させる。リシノール酸のOH基のエステルへの完全な変換がH NMR分光法によって決定される。
【0288】
脂肪酸エステルクロリドの合成のための一般的手順:
計算された量の脂肪酸エステルをビンに入れる。SOCl(3倍モル過剰)を室温でゆっくりと添加する。その後、混合物を80℃に加熱する。この温度を3時間にわたって保持する。その後、過剰のSOClを減圧下で除去する(80℃/2時間/20mmHg)。C(O)OH基からC(O)Cl基への完全な変換はH NMR分光法によって決定される。
【0289】
以下の表は使用した物質および量を概括している。
【表10】
【0290】
本質的に以下の構造[(リシ)-オレイン酸]を有する茶色がかった透明な油が得られた:
【化123】
【0291】
対応する[(リシ)-オレイン酸]クロリドは以下の構造を有する:
【化124】
【0292】
合成例4
ビス2,2-ジヒドロキシメチルプロピオン酸に基づく分岐したビス-[(リシノール酸)-オレイン酸]エストリドの合成
【0293】
還流コンデンサー、温度計およびマグネチックスターラー、滴下漏斗およびガス排出管を装着した100mlの3口ビンにおいて、48.88g(0.0567モル)の合成例3の[(リシノール酸)-オレイン酸]クロリドを3.80g(0.0284モル)の2,2-ジヒドロキシメチルプロピオン酸と混合した。混合物は8時間にわたり100℃に加熱した。揮発性物質を減圧下に除去した(80℃/1時間/20mmHg)。2,2-ヒドロキシメチルプロピオン酸のOH基の完全な変換がH NMR分光法によって求められた。
【0294】
本質的に以下の構造を有する茶色がかった透明な油が得られた:
【化125】

ここでR=
【化126】
【0295】
実施例4a
ビス-[(リシノール酸)-オレイン酸]エストリドデンドリマーの合成
【0296】
還流コンデンサー、温度計およびマグネチックスターラー、滴下漏斗およびガス排出管を装着した100mlの3口ビンにおいて、合成例4の2,2-ジヒドロキシメチルプロピオン酸に基づく分岐したビス-[(リシノール酸)-オレイン酸]エストリド64.57g(0.03617モル)を80℃に加熱した。8.61g(0.0723モル)のSOClを10分以内に添加した。反応を4時間にわたって維持した。揮発性物質を減圧下に除去した(80℃/1時間/20mmHg)。C(O)OH基からC(O)Cl基への完全な変換がH NMR分光法によって求められた。2.42g(0.01808モル)の2,2-ジヒドロキシメチルプロピオン酸を80℃において添加し、反応をさらに5時間にわたって維持した。揮発性物質を減圧下に除去した(80℃/0.5時間/20mmHg)。ビス-2,2-ジヒドロキシメチルプロピオン酸の末端OH基の完全な変換が、H NMR分光法によって求められた。
【0297】
本質的に以下のデンドリマー構造を有する粘稠な茶色がかった透明な油が得られた:
【化127】

ここでR=
【化128】
【0298】
実施例4b
2,2-ジヒドロキシメチルプロピオン酸に基づく分岐したビス-[(リシノール酸)-ステアリン酸]エストリドの合成
【0299】
還流コンデンサー、温度計およびマグネチックスターラー、滴下漏斗およびガス排出管を装着した250mlの3口ビンにおいて、95.06g(0.1124モル)の合成例2aの[(リシノール酸)-ステアリン酸]エストリドを80℃まで加熱した。33.8g(0.28モル)のSOClを10分以内に添加した。この反応を4時間にわたって維持した。揮発性物質を減圧下に除去した(80℃/1時間/20mmHg)。C(O)OH基のC(O)Cl基への完全な変換がH NMR分光法によって求められた。
【0300】
還流コンデンサー、温度計およびマグネチックスターラー、滴下漏斗およびガス排出管を装着した250mlの3口ビンにおいて、92.88g(0.1075モル)の(リシノール酸)-ステアリン酸クロリド中間体と7.22g(0.0538モル)の2,2-ジヒドロキシメチルプロピオン酸を80℃において混合し、この反応をさらに5時間にわたって維持した。揮発性物質を減圧下に除去した(80℃/0.5時間/20mmHg)。2,2-ジヒドロキシメチルプロピオン酸のOH基の完全な変換がH NMR分光法によって求められた。
【0301】
本質的に以下の構造を有する粘稠な茶色がかった透明な油が得られた:
【化129】

ここでR=
【化130】
【0302】
実施例4c
2,2-ジヒドロキシメチルプロピオン酸に基づく分岐したビス-(リシノール酸-12-ヒドロキシステアリン酸-オレイン酸)エストリドの合成
【0303】
還流コンデンサー、温度計およびマグネチックスターラー、滴下漏斗およびガス排出管を装着した250mlの3口ビンにおいて、102.95g(0.1218モル)の合成例2bの(リシノール酸-12ヒドロキシステアリン酸-オレイン酸)エストリドを80℃に加熱した。42.8g(0.36モル)のSOClを10分以内に添加した。この反応を4時間にわたって維持した。揮発性物質を減圧下に除去した(80℃/1時間/20mmHg)。C(O)OH基のC(O)Cl基への完全な変換がH NMR分光法によって求められた。
【0304】
還流コンデンサー、温度計およびマグネチックスターラー、滴下漏斗およびガス排出管を装着した250mlの3口ビンにおいて、104.22g(0.1206モル)のビス-(リシノール酸-12ヒドロキシステアリン酸-オレイン酸)クロリド中間体および8.09g(0.0603モル)の2,2-ジヒドロキシメチルプロピオン酸を80℃で混合し、この反応をさらに5時間にわたって維持した。揮発性物質を減圧下に除去した(80℃/0.5時間/20mmHg)。2,2-ジヒドロキシメチルプロピオン酸からのOH基の完全な変換がH NMR分光法によって求められた。
【0305】
本質的に以下の構造を有する粘稠な茶色がかった透明な油が得られた:
【化131】

ここでR=
【化132】
【0306】
実施例4d
2,2-ジヒドロキシメチルプロピオン酸に基づく分岐した(12-ヒドロキシステアリン酸-リシノール酸-オレイン酸)エストリドの合成
【0307】
還流コンデンサー、温度計およびマグネチックスターラー、滴下漏斗およびガス排出管を装着した250mlの3口ビンにおいて、98.05g(0.116モル)の合成例2cの(12-ヒドロキシステアリン酸-リシノール酸-オレイン酸)エストリドを80℃に加熱した。30.08g(0.25モル)のSOClを10分以内に添加した。この反応を4時間にわたって維持した。揮発性物質を減圧下に除去した(80℃/1時間/20mmHg)。C(O)OH基のC(O)Cl基への完全な変換がH NMR分光法によって求められた。
【0308】
還流コンデンサー、温度計およびマグネチックスターラー、滴下漏斗およびガス排出管を装着した250mlの3口ビンにおいて、97.4g(0.1127モル)の(12-ヒドロキシステアリン酸-リシノール酸-オレイン酸)クロリド中間体および7.56g(0.0564モル)の2,2-ジヒドロキシメチルプロピオン酸を80℃で混合し、この反応をさらに5時間にわたって維持した。揮発性物質を減圧下に除去した(80℃/0.5時間/20mmHg)。ヒドロキシメチル基のOH基の完全な変換がH NMR分光法によって求められた。
【0309】
本質的に以下の構造を有する粘稠な茶色がかった透明な油が得られた:
【化133】

ここでR=
【化134】
【0310】
合成例5
2,2-ジヒドロキシメチルプロピオン酸に基づくアルファ分岐したビス-[(リシノール酸)-オレイン酸]エストリドの合成
【0311】
還流コンデンサー、温度計およびマグネチックスターラー、滴下漏斗およびガス排出管を装着した100mlの3口ビンにおいて、29.53g(0.0173モル)の合成例3の[(リシノール酸)-オレイン酸]クロリドを1.16g(0.00866モル)の2,2-ジヒドロキシメチルプロピオン酸と混合した。この混合物を105℃で5時間にわたって加熱した。揮発性物質を減圧下に除去した(80℃/10分/20mmHg)。2,2-ジヒドロキシメチルプロピオン酸のOH基の完全な変換がH NMR分光法によって求められた。
【0312】
本質的に以下の構造を有する茶色がかった透明な油が得られた:
【化135】

ここでR=
【化136】
【0313】
合成例6
[(リシノール酸)-コハク酸-(リシノール酸)]ジ酸エストリドの合成
【0314】
還流コンデンサー、温度計およびマグネチックスターラー、滴下漏斗およびガス排出管を装着した2つの250mlの3口ビンAおよびBを窒素でフラッシングした。ビンAは出発物質のジカルボン酸であるコハク酸ジクロリドまたは脂肪酸クロリドをリシノール酸と反応させるために使用され、鎖延長された脂肪酸エステルが生成された。続いてSOCl2を添加することで、対応する脂肪酸エステルクロリドが得られた。
【0315】
ビンBは得られた脂肪酸エステルクロリドをリシノール酸と反応させるために使用され、鎖延長された脂肪酸エステルが得られた。続いてSOCl2を添加することで、対応する脂肪酸エステルクロリドが得られた。この脂肪酸クロリドはビンAに移し戻して、新たなリシノール酸と反応させた。上述のサイクルは、エストリド[(リシノール酸)-コハク酸-(リシノール酸)]が調製されるまで繰り返した。
【0316】
鎖延長された脂肪酸エステルの合成のための一般的手順:
計算された量のリシノール酸をビンに入れる。等モル量の脂肪酸エステルクロリドを室温でゆっくりと添加する。反応を完了させるために、温度を3時間にわたって80℃に上昇させる。OH基のエステルへの完全な変換がH NMR分光法によって決定される。
【0317】
脂肪酸エステルクロリドの合成のための一般的手順:
計算された量の脂肪酸エステルをビンに入れる。SOCl(3倍モル過剰)を室温でゆっくりと添加する。その後、混合物を80℃に加熱する。この温度を3時間にわたって保持する。その後、過剰のSOClを減圧下で除去する(80℃/2時間/20mmHg)。C(O)OH基からC(O)Cl基への完全な変換はH NMR分光法によって決定される。
【0318】
以下の表は使用した物質および量を概括している。
【表11】
【0319】
本質的に以下の構造[(リシ)-コハク酸-(リシ)]を有する茶色がかった透明な油が得られた:
【化137】
【0320】
合成例7
コハク酸モノエステル部分を担持したひまし油に基づくエストリドの合成
【0321】
還流コンデンサー、温度計およびマグネチックスターラー、滴下漏斗およびガス排出管を装着した100mlの3口ビンにおいて、xgのひまし油をxgの無水コハク酸およびxgのEt3N触媒と混合した。この混合物を105℃に5時間にわたって加熱した。無水物の環が完全に変換されてエステル結合が形成されたことは、H NMR分光法によって求めた。
【0322】
29.53g(0.0173モル)のリシノール酸-オレイン酸ダイマークロリド(合成例2の中間体)を添加した。この混合物を105℃に5時間にわたって加熱した。揮発性物質を減圧下に除去した(80℃/10分/20mmHg)。-C(O)Cl基の完全な変換およびそれと同時のエステル結合の形成が、H NMR分光法によって求められた。
【0323】
本質的に以下の構造を有する茶色がかった透明な油が得られた:
【化138】

ここで1つのR=
【化139】

そして残りの2つのR基=
【化140】
【0324】
合成例8
グリセリンジグリシジルエーテルに基づくヘキサ第3級アミンの合成
【0325】
還流コンデンサー、温度計およびメカニカルスターラーを装着した100mlの3口ビンにおいて、0.22g(0.0016モルのエポキシ基;具体的なエポキシ含有量はエポキシ基0.00729モル/1g)のグリセリンジグリシジルエーテル、0.30g(0.0016モルのNH基)の(CHNCHCHCHNHCHCHCHN(CHおよび55gの2-プロパノールを室温で混合した。この混合物を80℃で8時間にわたって加熱した。エポキシ基の完全な変換はH NMR分光法によって確認された。
【0326】
以下の第3級アミンを含む茶色がかった液体が得られた:
【化141】

合成例9
N,N-ジメチルアミノプロピルオレイン酸アミドの合成
【0327】
還流コンデンサー、温度計およびメカニカルスターラーを装着した100mlの3口ビンにおいて、3.4g(0.033モル)の(CHNCHCHCHNHおよび13.87g(0.137モル)のトリエチルアミンを室温で混合した。10g(0.033モル)のオレイン酸クロリドを10分以内でゆっくりと添加した。5.3gの0.2%NaOHの活性な水溶液、およびその後に9.2gの脱イオン水を添加した。相分離の後に水性相を除去した。続いての3回の洗浄サイクルにおいてサイクルあたり11gの脱イオン水を添加および除去した。固相は10gの2-プロパノールに溶解した。その後、揮発性物質を38℃/20mbarで除去した。
【0328】
以下の構造を有する茶色がかった油状の液体が得られた(構造はH-NMRにより確認した):
【化142】
【0329】
実施例10
ポリ脂肪酸に基づく塩化合物
【0330】
以下の表は、合成例1から7に記載した異なるポリ脂肪酸系のカルボン酸(-COOHの形)、または代替的にはそれぞれのカルボン酸Na塩(-COONaの形)を化学量論量において、アミノ/アンモニウム化合物のそれぞれと組み合わせることによって合成された塩化合物を概観している。カルボン酸Na塩の形を生成するためには、ポリ脂肪酸系カルボン酸を含有している2-プロパノールに対して、化学量論量のNaOH水溶液が添加された。
【0331】
以下のアミノ/アンモニウム化合物が使用された:
-オレイルアミン
-リシン
-合成例9によるN,N-ジメチルアミノプロピルオレイン酸アミド
-ポリクオタニウム16
-テトラブチルアンモニウムブロミド
【表12】
【0332】
適用試験
櫛通り力の測定
本発明による化合物の効果を定量するために、櫛通り力の測定を行った。小型引張試験機MTT175(ダイアストロン社)を使用した。
【0333】
この測定については、強く漂白した白色人種の毛髪(ケルリングインターナショナル社)を選択した:
【表13】
【0334】
毛髪の仕上げ方法1(1つのダメージヘア)
仕上げを行うヘアトレス(毛束)の部分の重量を求め、活性物質について計算した全量(活性物質の目標mg/毛髪1gに基づく)を2-プロパノールまたは2-プロパノールとHOの混合物に溶解する。使用する2-プロパノールの量は、以下の式によって計算した:
2-プロパノール(g)=0.64×m仕上げ毛髪
2-プロパノールまたは2-プロパノール/水の溶液は、ヘアトレス上に均一に分散される。トレスは2時間風乾し、一般プロトコルに概説するようにしてさらに処理される。
【0335】
ヘアトレスの前処理および取り扱いのための一般プロトコル
個々のヘアトレス(2.5cm)をそれぞれの貯蔵トレスから切り取り、50%の相対湿度(R.H.)の湿度室において12時間にわたって平衡化した。その後、乾燥時の引分力および湿潤時の平均力(トレスは38℃の水道水で30秒間洗い流す)を未処理トレスについて求めた(ベースライン測定値)。3回のストロークを行った。3回目のストロークの力のデータを計算に使用した。
【0336】
トレスを風乾し、人工気候室においてさらに15時間にわたって平衡化した。その後、毛髪の仕上げ方法1および2に概説したようにして、トレスを2-プロパノール溶液で仕上げ、2時間風乾し、人工気候室でさらに15時間にわたって平衡化した。最後に、乾燥時の引分力および湿潤時の平均力(トレスは38℃の水道水で30秒間洗い流す)を仕上げトレスについて求める(仕上げ毛髪の測定値)。3回のストロークを行った。3回目のストロークの力のデータを計算に使用した。
【0337】
仕上げを行う前に必要とされる櫛通り力(ベースライン測定値)と、仕上げ後の櫛通り力(仕上げ毛髪の測定値)の間の比率は、コンディショニング剤の有効性を示す。
【0338】
以下の式を使用して、相対的な櫛通り力の低減を計算した:
力の低減(%)=(力ベースライン-力仕上げ後)×100/力ベースライン
【0339】
櫛通り力測定の結果
人のダメージヘア
【表14】
【0340】
人のダメージヘアについての上記の表における櫛通り力のデータは、本発明による塩化合物が、異なるケラチン物質について櫛通り力を著しく低減可能であることを示している。
【0341】
データは、この櫛通り力の低減は広範な種々のポリ脂肪酸系カルボン酸塩構造について達成可能であることを例証している。不飽和脂肪酸から誘導された直鎖構造(合成例2および3)並びに不飽和/飽和混合脂肪酸系(合成例2a、2b、2c)を使用することができる。さらに、分岐鎖/デンドリマー誘導体(実施例4a)も良好に作用する。同じことは、ひまし油から誘導された分岐鎖ポリ脂肪酸カルボン酸塩(実施例7)についても言える。モノ官能性でないポリ脂肪酸系カルボン酸塩、すなわちビスカルボン酸系のポリ脂肪酸構造(実施例6)も人の毛髪に対して有効である。
【0342】
データはまた、この櫛通り力の低減は広範な種々のアミノ/アンモニウム構造についても達成可能であることを例証している。アルキル変性された第1級アミン(オレイルアミン)並びにベタイン様の第1級アミン(リシン)を使用可能である。さらに、アルキル変性された第3級アミン(実施例9)を利用することができる。
【0343】
モノ第4級化合物、例えばテトラブチルアンモニウム化合物、およびポリ4級化ポリマー、すなわちポリクオタニウム16は、ポリ脂肪酸系アニオンとの組み合わせにおいて、やはり著しい櫛通り力の低減をもたらすことができる。モノ第4級化合物については、ポリ脂肪酸カルボン酸塩の形成の仕方が大きな影響を有する。
【0344】
テトラブチルアンモニウムブロミド系の実施例10.l(COOHの形のポリ脂肪酸;テトラブチルアンモニウムブロミドRBrとの本当の塩の形成なし)と実施例10.m(-COONaの形のポリ脂肪酸;テトラブチルアンモニウムブロミドRBrとの本当の塩の形成)との比較は、相違を明らかにする。本発明による-COONaの形のポリ脂肪酸の使用は、乾燥時の引分力並びに湿潤時の平均力の大きな低減をもたらす。対照的に、本発明ではない-COOHの形のポリ脂肪酸の使用がもたらす乾燥時の引分力並びに湿潤時の平均力は著しく低い。さらに、ヘアトレスの手触りについての専門家パネラーの評価により、著しい相違があることが表面化した。本発明ではない-COOHの形のポリ脂肪酸による毛髪処理は否定的に判定される冴えない手触りをもたらし、これは-COONaの形のポリ脂肪酸で処理した後の滑らかな手触りと対比される。
【0345】
実施例10.kにおけるポリクオタニウム16との本当の塩の形成もまた、乾燥時の引分力並びに湿潤時の平均力の低減をもたらす。さらに、ヘアトレスの手触りについての専門家パネラーの評価も、著しい相違を明らかにした。テトラブチルアンモニウムブロミド系の実施例10.lおよび10.nについて見出されたのと同様に、-COONaの形のポリ脂肪酸での本発明による毛髪処理は、ポリ脂肪酸(10.k)での処理の後に滑らかな手触りをもたらす。
【0346】
ポリ脂肪酸系カルボン酸塩構造、並びにアミノ/アンモニウム構造に関する上記で概括した相当の融通性に基づいて、広範な種々の特定的な用途に対して適切な塩化合物を開発することができる。
【国際調査報告】