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特表2024-523357非燃焼系エアロゾル供給システムに使用するための物品
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】非燃焼系エアロゾル供給システムに使用するための物品
(51)【国際特許分類】
   A24D 1/20 20200101AFI20240621BHJP
   A24D 3/17 20200101ALI20240621BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20240621BHJP
   A24F 40/465 20200101ALI20240621BHJP
   A24C 5/01 20200101ALI20240621BHJP
【FI】
A24D1/20
A24D3/17
A24F40/20
A24F40/465
A24C5/01
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577635
(86)(22)【出願日】2022-06-17
(85)【翻訳文提出日】2024-01-15
(86)【国際出願番号】 GB2022051527
(87)【国際公開番号】W WO2022263834
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】2108772.1
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【弁理士】
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】テイラー、ベンジャミン
【テーマコード(参考)】
4B045
4B144
4B162
【Fターム(参考)】
4B045AA21
4B045AB01
4B045AB14
4B045BA02
4B045BA05
4B045BA08
4B045BB05
4B045BC03
4B045BC16
4B045BC23
4B144CG01
4B144CG10
4B144CM01
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB12
4B162AB21
4B162AC12
4B162AC21
(57)【要約】
エアロゾル供給システムに使用するための物品(1)が開示されている。物品は、遠位端(D)を有するエアロゾル発生材のロッドと、その遠位端からエアロゾル発生材のロッド内を延びるキャビティ(20)とを含む。また本発明は、非燃焼系エアロゾル供給デバイスと、この非燃焼系エアロゾル供給デバイス内に挿入するための本発明による物品とを含むシステムも含む。エアロゾル発生材のロッドを含む物品が開示され、この方法は、ダイを介してマンドレル上にエアロゾル発生材を押し出してエアロゾル発生材を延びるキャビティを形成することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠位端を有するエアロゾル発生材のロッドと、前記遠位端からエアロゾル発生材のロッド内に延びたキャビティとを含むエアロゾル供給システムに使用するための物品。
【請求項2】
キャビティは、エアロゾル発生材のロッドの長手方向軸と同軸である長手方向軸を有することを特徴とする請求項1記載の物品。
【請求項3】
キャビティは、エアロゾル発生材のロッドの全長を延びていることを特徴とする請求項1または2記載の物品。
【請求項4】
キャビティは、非円形の断面を有することを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載の物品。
【請求項5】
キャビティは、エアロゾル発生材の長手方向に非均一な断面を有することを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項記載の物品。
【請求項6】
キャビティは、長手方向にテーパーしていることを特徴とする請求項5記載の物品。
【請求項7】
キャビティは、遠位端から離れる方向にテーパーしていることを特徴とする請求項6記載の物品。
【請求項8】
キャビティの少なくとも一部を裏打ちする材料層を含むことを特徴とする請求項1乃至7いずれか1項記載の物品。
【請求項9】
エアロゾル発生材は、材料層がエアロゾル発生材に埋め込まれるように材料層の両面に配置されていることを特徴とする請求項8記載の物品。
【請求項10】
材料層はゲル、非晶質固体または紙などのシート材であることを特徴とする請求項8または9記載の物品。
【請求項11】
材料層は、加熱素子を含むことを特徴とする請求項8または9記載の物品。
【請求項12】
材料層は、伝導的または誘導的に加熱されるように構成されていることを特徴とする請求項11記載の物品。
【請求項13】
材料層は、空気を通すことを特徴とする請求項8乃至12いずれか1項記載の物品。
【請求項14】
材料層は、メッシュである、または穿孔されているまたは穴を有することを特徴とする請求項13記載の物品。
【請求項15】
前記遠位端に対向する吸い口端を含み、前記吸い口端は、遠位端が非燃焼系エアロゾル供給デバイス内に挿入された際にユーザーの唇の間で挟まれるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至14いずれか1項記載の物品。
【請求項16】
冷却セグメントがエアロゾル発生材と吸い口端との間に位置していることを特徴とする請求項15記載の物品。
【請求項17】
ろ過セグメントが冷却セグメントと吸い口端との間に位置していることを特徴とする請求項16記載の物品。
【請求項18】
非燃焼系エアロゾル供給デバイスと、非燃焼系エアロゾル供給デバイス内に挿入するための遠位端を有するエアロゾル発生材からなるロッドを含む物品とを含み、キャビティが前記遠位端からエアロゾル発生材のロッド内を延びているシステム。
【請求項19】
物品は、キャビティの少なくとも一部を裏打ちする材料層を含むことを特徴とする請求項18記載のシステム。
【請求項20】
エアロゾル発生材は、材料層がエアロゾル発生材に埋め込まれるように材料層の両面に配置されていることを特徴とする請求項19記載のシステム。
【請求項21】
材料層は、ゲル、非晶質固体または紙などのシートであることを特徴とする請求項19または20記載のシステム。
【請求項22】
材料層は、加熱素子を含むことを特徴とする請求項19または20記載のシステム。
【請求項23】
エアロゾル供給デバイスは、物品がエアロゾル供給デバイス内に収容された際に前記遠位端を介してエアロゾル発生材のロッドのキャビティ内を延びるように構成されたヒーターを含むことを特徴とする請求項22記載のシステム。
【請求項24】
加熱素子とキャビティは、同じ断面形状を有することを特徴とする請求項23記載のシステム。
【請求項25】
加熱素子は、キャビティに嵌合または締まりばめされていることを特徴とする請求項23または24記載のシステム。
【請求項26】
加熱素子は、サセプタであり、エアロゾル供給デバイスは、物品がデバイス内に挿入された際に加熱素子を誘導的に加熱するためにエアロゾル発生材を囲む磁場発生器を含むことを特徴とする請求項22記載のシステム。
【請求項27】
材料層は、空気を通すことを特徴とする請求項19乃至26いずれか1項記載のシステム。
【請求項28】
材料層は、メッシュである、または穿孔されているまたは穴を有することを特徴とする請求項27記載のシステム。
【請求項29】
非燃焼系エアロゾル供給デバイス内に挿入するための遠位端を有するエアロゾル発生材のロッドを含む物品の製造方法であって、該方法は、エアロゾル発生材をダイヘッドを介してマンドレル上に押し出してエアロゾル発生材を延びるキャビティを形成することを含む方法。
【請求項30】
マンドレルは、エアロゾル発生材にマンドレルに対応した形状のキャビティを供する形状であることを特徴とする請求項29記載の方法。
【請求項31】
材料層は、マンドレル上に引き出され、エアロゾル発生材は、材料層上に押し出されることを特徴とする請求項29または30記載の方法。
【請求項32】
エアロゾル供給システムに使用するための物品の、材料層に巻かれたエアロゾル発生材のロッドを含み、かつ、材料層で裏打ちされたキャビティを含むエアロゾル発生セクションの製造方法であって、この方法は、
材料層シートを供することと、
材料層シートを直立した成形器を含むエアロゾル発生セクションの形状の金型内にプレスして、材料層シートが金型の形状に一致し、成形器を囲むようにすることと、
金型をエアロゾル発生材で満たすことと、
エアロゾル発生材を金型内にプレスしてエアロゾル発生セクションを形成することと、
エアロゾル発生セクションを金型から外すこととを含む方法。
【請求項33】
物品の一端を切断して物品を包んでいる材料層をキャビティを裏打ちしている材料層から分離することを含むことを特徴とする請求項32記載の方法。
【請求項34】
エアロゾル供給システムに使用するための物品の、材料層に巻かれたエアロゾル発生材のロッドを含み、かつ、キャビティを含むエアロゾル発生セクションの製造方法であって、この方法は、
材料層シートを供することと、
エアロゾル発生物品の形状の金型内に材料層シートをプレスして材料層シートが金型の形状に一致するようにすることと、
金型をエアロゾル発生材で満たすことと、
金型を高速回転させてエアロゾル発生材を半径方向外方かつ金型の内壁に対して付勢させるのに充分な遠心力を発生させて中央キャビティを形成することと、および
物品を金型から外すこととを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非燃焼系エアロゾル供給システムに使用するための物品、該物品および非燃焼系エアロゾル供給デバイスを含むシステムおよび本発明による物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特定のタバコ産業製品は、使用時にユーザーによって吸入されるエアロゾルを発生させる。例えば、タバコ加熱デバイスは、タバコなどのエアロゾル発生基材を加熱し、基材を燃やさずに加熱することによってエアロゾルを形成する。そのようなタバコ産業製品は、共通してエアロゾルがユーザーの口に到達するように通過するマウスピースを含む。
【発明の概要】
【0003】
本明細書で説明する一部の実施態様ではエアロゾル供給システムに使用するための物品が提供され、この物品は、遠位端を有するエアロゾル発生材のロッドと、前記遠位端からエアロゾル発生材のロッド内に延びたキャビティとを含む。
【0004】
キャビティは、エアロゾル発生材のロッドの長手方向軸と同軸である長手方向軸を有してもよい。
【0005】
キャビティは、エアロゾル発生材のロッドの全長を延びてもよい。
【0006】
キャビティは、非円形の断面を有してもよい。
【0007】
キャビティは、エアロゾル発生材の長手方向に非均一な断面を有してもよい。特にキャビティは、長手方向にテーパーさせてもよい。キャビティは、遠位端から離れる方向にテーパーしてもよい。
【0008】
本発明のいくつかの実施態様では材料層がキャビティの少なくとも一部を裏打ちする。
【0009】
エアロゾル発生材は、材料層がエアロゾル発生材に埋め込まれるように材料層の両面に配置されてもよい。
【0010】
材料層はゲル、非晶質固体または紙などのシート材であってもよい。
【0011】
一部の実施態様では材料層は、加熱素子であってもよい。材料層が加熱素子を含む場合、伝導的または誘導的に加熱されるように構成されてもよい。
【0012】
空気経路は、加熱素子を通して画定されてもよく、加熱素子は、空気開口部の列を含んでもよい。本明細書中では「空気開口部の列」なる用語は、2つ以上の空気開口部/ミシン目または穴を意味する。空気開口部の列は、加熱素子の周囲を円周方向に配分されてもよい。空気開口部の列は、加熱素子に沿って軸方向に配分されてもよい。空気開口部の列の少なくとも第1の空気開口部は、空気開口部列の少なくとも第2の空気開口部とは流路面積が異なってもよい。空気開口部の列の流路面積は、遠位端から近位端の方向に大きくなってもよい。空気開口部の列の流路面積は、近位端から遠位端の方向に大きくなってもよい。空気開口部の列の空気開口部の密度は、遠位端から近位端の方向に大きくなってもよい。この文脈における密度は、加熱素子の単位面積当たりの空気開口部の数または密集度を意味する。空気開口部の列の空気開口部の密度は、遠位端から近位端の方向に小さくなってもよい。この文脈における密度は、加熱素子の単位面積当たりの空気開口部の数または密集度を意味する。デバイスは、空気開口部の列を含む加熱素子の第1の壁領域と、空気開口部の列を含まない加熱素子の第2の壁領域とを含んでもよい。第1の領域は、バンドであってもよい。第2の領域は、バンドであってもよい。空気出口は、メッシュを含んでもよい。空気出口は、ミシン目の列を含んでもよい。空気開口部は、長尺であってもよい。空気開口部は、加熱素子の長手方向に延びてもよい。
【0013】
本発明の物品は、前記遠位端に対向する吸い口端を含んでもよく、前記吸い口端は、遠位端が非燃焼系エアロゾル供給デバイス内に挿入された際にユーザーの唇の間で挟まれるように構成されている。
【0014】
冷却セグメントがエアロゾル発生材と吸い口端との間に位置してもよい。
【0015】
ろ過セグメントが冷却セグメントと吸い口端との間に位置してもよい。
【0016】
本明細書に記載されている他の実施態様では非燃焼系エアロゾル供給デバイスと、非燃焼系エアロゾル供給デバイス内に挿入するための遠位端を有するエアロゾル発生材からなるロッドを含む物品とを含み、キャビティが前記遠位端からエアロゾル発生材のロッド内を延びているシステムが提供される。
【0017】
本明細書の物品は、キャビティの少なくとも一部を裏打ちする材料層を含んでもよい。
【0018】
エアロゾル発生材は、材料層がエアロゾル発生材に埋め込まれるように材料層の両面に配置されてもよい。
【0019】
材料層は、ゲル、非晶質固体または紙などのシートであってもよい。
【0020】
材料層は、加熱素子を含んでもよい。
【0021】
エアロゾル供給デバイスは、物品がエアロゾル供給デバイス内に収容された際に前記遠位端を介してエアロゾル発生材のロッドのキャビティ内を延びるように構成されたヒーターを含んでもよい。
【0022】
加熱素子とキャビティは、同じ断面形状を有してもよい。
【0023】
加熱素子は、キャビティに嵌合または締まりばめされていてもよい。
【0024】
加熱素子は、サセプタであってもよく、エアロゾル供給デバイスは、物品がデバイス内に挿入された際に加熱素子を誘導的に加熱するためにエアロゾル発生材を囲む磁場発生器を含んでもよい。
【0025】
材料層は、空気を通してもよく、メッシュであってもよく、または穿孔されてもよくまたは穴を有してもよい。
【0026】
本明細書で説明するいくつかの他の実施態様では非燃焼系エアロゾル供給デバイス内に挿入するための遠位端を有するエアロゾル発生材のロッドを含む物品の製造方法が提供され、該方法は、エアロゾル発生材をダイヘッドを介してマンドレル上に押し出してエアロゾル発生材を延びるキャビティを形成することを含む。
【0027】
マンドレルは、エアロゾル発生材にマンドレルに対応した形状のキャビティを供する形状であってもよい。
【0028】
材料層は、マンドレル上に引き出されてもよく、エアロゾル発生材は、材料層上に押し出されてもよい。
【0029】
本明細書で説明するいくつかの他の実施態様ではエアロゾル供給システムに使用するための物品の、材料層に巻かれたエアロゾル発生材のロッドを含み、かつ、材料層で裏打ちされたキャビティを含むエアロゾル発生セクションの製造方法が提供され、この方法は、
材料層シートを供することと、
材料層シートを直立した成形器を含むエアロゾル発生セクションの形状の金型内にプレスして、材料層シートが金型の形状に一致し、成形器を囲むようにすることと、
金型をエアロゾル発生材で満たすことと、
エアロゾル発生材を金型内にプレスしてエアロゾル発生セクションを形成することと、 エアロゾル発生セクションを金型から外すこととを含む。
【0030】
本発明の方法は、物品の一端を切断して物品を包んでいる材料層をキャビティを裏打ちしている材料層から分離することを含んでもよい。
【0031】
本明細書で説明するいくつかの他の実施態様ではエアロゾル供給システムに使用するための物品の、材料層に巻かれたエアロゾル発生材のロッドを含み、かつ、キャビティを含むエアロゾル発生セクションの製造方法が提供され、この方法は、
材料層シートを供することと、
エアロゾル発生物品の形状の金型内に材料層シートをプレスして材料層シートが金型の形状に一致するようにすることと、
金型をエアロゾル発生材で満たすことと、
金型を高速回転させてエアロゾル発生材を半径方向外方かつ金型の内壁に対して付勢させるのに充分な遠心力を発生させて中央キャビティを形成することと、および
物品を金型から外すこととを含む。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本発明の実施態様を添付図面を参照してあくまで例示として説明する。
図1a】非燃焼系エアロゾル供給デバイスに使用するための物品の側部断面図である。
図1b】別の実施態様による非燃焼系エアロゾル供給デバイスに使用するための物品の側部断面図である。
図2a】A-A線に沿った図1の物品のエアロゾル発生材の別の実施態様の断面を示している。
図2b】A-A線に沿った図1の物品のエアロゾル発生材の別の実施態様の断面を示している。
図2c】A-A線に沿った図1の物品のエアロゾル発生材の別の実施態様の断面を示している。
図3a】A-A線に沿った図2の物品のエアロゾル発生材の別の実施態様の断面を示している。
図3b】A-A線に沿った図2の物品のエアロゾル発生材の別の実施態様の断面を示している。
図3c】A-A線に沿った図2の物品のエアロゾル発生材の別の実施態様の断面を示している。
図4】非燃焼系エアロゾル供給デバイスの断面図である。
図5図4に示したエアロゾル供給デバイスのハウジング内の部品の略図である。
図6図4に示した非燃焼系エアロゾル供給デバイスの断面図であり、デバイス内に図1または2に示した物品が挿入されている。
図7図1bの物品に使用するための非燃焼系エアロゾル供給デバイス200の別の実施態様を示している。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本明細書中では「供給システム」なる用語はユーザーに少なくとも1つの物質を供給するシステムを包含することを意図し、次のものを含む、
紙巻きタバコ、シガリロ、シガーおよびパイプまたは手巻きまたは自作紙巻きタバコ用タバコ(タバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコ、タバコ代替え品または他の喫煙材をベースにしているかに関係無く)などの燃焼系エアロゾル供給システム
電子タバコ、タバコ加熱製品、エアロゾル発生材の組合わせを使用してエアロゾルを発生させるハイブリッドシステムなどのエアロゾル発生材を燃焼させずにエアロゾル発生材から化合物を放出する非燃焼系エアロゾル供給システム、および
トローチ、ガム、パッチ、パッチ吸入可能な粉を含む物品およびスヌースまたはモイストスヌースを含む経口タバコなどの経口製品を含むがこれらに限定されないユーザーにニコチンを含むまたは含まない上記少なくとも1つの物質を経口的、経鼻的、経皮的または別の方法で供給するエアロゾルを含まない供給システム。
【0034】
本開示では「非燃焼系」エアロゾル供給システムは、ユーザーへの少なくとも1つの物質の送出を容易にするために、エアロゾル供給システム(またはその構成要素)の構成エアロゾル発生材を燃焼させないまたは燃やさないシステムである。
【0035】
一部の実施態様では送出システムは、非燃焼系エアロゾル供給システム、例えば電動非燃焼系エアロゾル供給システムである。
【0036】
一部の実施態様では非燃焼系エアロゾル供給システムは、ベイピング装置または電子ニコチン送出システム(END)としても知られる電子タバコであるが、エアロゾル発生材中のニコチンの存在は要件ではないことに留意されたい。
【0037】
一部の実施態様では非燃焼系エアロゾル供給システムは、エアロゾル発生材加熱システムであり、非燃焼加熱システムとしても知られている。このようなシステムの一例は、タバコ加熱システムである。
【0038】
一部の実施態様では非燃焼系エアロゾル供給システムは、エアロゾル発生材の組合わせを使用してエアロゾルを生成するハイブリッドシステムであり、その1種以上の材料を加熱することができる。エアロゾル発生材のそれぞれは、例えば、固体、液体、またはゲルの形体であり、ニコチンを含んでも含まなくてもよい。一部の実施態様ではハイブリッドシステムは、液体またはゲルのエアロゾル発生材および固体のエアロゾル発生材を含む。固体エアロゾル発生材は、例えばタバコまたは非タバコ製品を含んでもよい。
【0039】
通常は非燃焼系エアロゾル供給システムは、非燃焼系エアロゾル供給デバイスと、その非燃焼系エアロゾル供給デバイスに使用するための消耗品とを含む。
【0040】
本開示は、エアロゾル発生材を含み、非燃焼系エアロゾル供給デバイスに使用するために構成された消耗品に関する。これらの消耗品は、場合によっては本開示を通して物品と称する場合もある。
【0041】
本明細書で使用する「上流」および「下流」なる用語は、使用の際、物品またはデバイスを介して引き込まれる主流エアロゾルの方向に対して定義される相対的な用語である。「遠位端」と言った場合、デバイスの上流を意味し、これに対して「近位端」と言った場合、デバイスの下流を意味する。
【0042】
一部の実施態様では非燃焼系エアロゾル供給システム、例えばその非燃焼系エアロゾル供給デバイスは、動力源と、コントローラとを含んでもよい。動力源は、例えば電源または発熱動力源であってもよい。一部の実施態様では発熱動力源は、炭素基材を含み、これは動力を熱の形体で発熱動力源に近接したエアロゾル発生材または熱伝導材に分配するように励起される。
【0043】
一部の実施態様では非燃焼系エアロゾル供給システムは、消耗品を収容する領域と、エアロゾル発生器と、エアロゾル発生領域と、ハウジングと、マウスピースと、フィルターおよび/またはエアロゾル変性剤とを含む。
【0044】
一部の実施態様では非燃焼系エアロゾル供給システムに使用するための消耗品は、エアロゾル発生材と、エアロゾル発生材貯蔵領域と、エアロゾル発生材移送部品と、エアロゾル発生器と、エアロゾル発生領域と、ハウジングと、ラッパーと、フィルターと、マウスピースおよび/またはエアロゾル変性剤とを含んでもよい。
【0045】
消耗品は、送出される物質を含む。その送出される物質は、エアロゾル発生材である。必要に応じて発生材は、1つ以上の活性成分、1つ以上の風味料、1つ以上のエアロゾル形成材および/または1つ以上の他の機能材を含んでもよい。
【0046】
一部の実施態様では供給される物質は、活性物質を含む。本発明で使用する活性物質は生理反応を達成するまたは高めることを意図した材料である生理的に活性な材料である。活性物質は、例えば栄養補助食品、向知性薬、向精神薬から選択されてもよい。活性物質は自然に発生したものまたは合成で得られたものであってもよい。活性物質は、例えばニコチン、カフェイン、タウリン、テイン、B6またはB12またはCなどのビタミン、メラトニン、カンナビノイド、またはこれらの成分、派生物または混合物を含んでもよい。活性物質はタバコ、大麻または他の植物の成分、派生物または抽出物の1つ以上を含んでもよい。一部の実施態様では活性物質はニコチンを含む。一部の実施態様では活性物質はカフェイン、メラトニンまたはビタミンB12を含む。
【0047】
本明細書で説明するように活性物質は植物またはその成分、派生物または抽出物を含むまたはそれらから派生したものであってもよい。ここで言う「植物」なる用語は抽出物、葉、樹皮、繊維、茎、根、種、花、果実、花粉、殻、さやなどの植物から派生したあらゆる材料を含むがこれらに限定されない。これとは別に材料は植物に天然に存在するまたは合成して得られる活性化合物を含んでもよい。材料は、液体、気体、固体、粉体、塵、粉砕された粒子、粒、ペレット、小片、ストリップ、シートなどの形体であってもよい。植物の例としてはタバコ、ユーカリ、トウシミキ、オオアサ、ココア、大麻、フェンネル、レモングラス、ペパーミント、スペアミント、ルイボス、カミツレ、亜麻、ショウガ、イチョウ、ハシバミ、ハイビスカス、月桂樹、リコリス(甘草)、抹茶、マテ茶、オレンジの皮、パパイヤ、バラ、セージ、緑茶または紅茶などの茶、タイム、チョウジ、シナモン、コーヒー、アニシード(アニス)、バジル、月桂樹の葉、カルダモン、コリアンダー、クミン、ナツメグ、オレガノ、パプリカ、ローズマリー、サフラン、ラベンダー、レモン果皮、ミント、ビャクシン、ニワトコの花、バニラ、ヒメコウジ、シオガマギク、クルクマ、ターメリック、サンダルウッド、シラントロ、ベルガモット、橙花、ギンバイカ、カシス、カノコソウ、ピメント、メース、ダミエン、ハナハッカ、オリーブ、レモンバーム、レモンバジル、チャイブ、ウイキョウ、バーベナ、タラゴン、ゼラニウム、桑、朝鮮人参、テアニン、テアクリン、マカ、アシュワガンダ、ダミアナ、ガラナ、クロロフィル、バオバブまたはこれらのあらゆる組み合わせがある。ミントは次のミント種から選択されてもよい、ハッカ、モロッコミント、エジプトミント、ペパーミント、オーデコロンミント、キャンディミント、カーリーミント、ケンタッキーカーネルミント、ホースミント、パイナップルミント、ペニーロイヤルミント、イングリッシュスペアミントおよびマルバハッカ。
【0048】
一部の実施態様では活性物質は、植物またはその成分、派生物または抽出物の1つ以上を含むまたはそれらから派生したものであってもよく、植物はタバコである。
【0049】
一部の実施態様では活性物質は、植物またはその成分、派生物または抽出物の1つ以上を含むまたはそれらから派生したものであってもよく、植物はユーカリ、トウシミキ、ココアおよびオオアサから選択される。
【0050】
一部の実施態様では植物またはその成分、派生物または抽出物の1つ以上を含むまたはそれらから派生したものであってもよく、植物はルイボスおよびフェンネルから選択される。
【0051】
一部の実施態様では物質は、風味料を含む。
【0052】
本明細書中で使用する「風味料」および「風味剤」なる用語は、各地の条例で許可されており、成人消費者が望む味、匂いまたは他の体性感覚刺激を生じさせるために使用される。それらは自然発生の風味材料、植物、植物の抽出物、合成によって得られた材料またはそれを組み合わせたもの(例えば、タバコ、大麻、リコリス(甘草)、アジサイ、オイゲノール、ホオノキの葉、カミツレ、フェヌグリーク、チョウジ、メイプル、抹茶、メンソール、ニホンハッカ、アニシード(アニス)、シナモン、ターメリック、インドスパイス、アジアスパイス、ハーブ、ヒメコウジ、サクランボ、ベリー、レッドベリー、クランベリー、モモ、リンゴ、オレンジ、マンゴー、クレメンタイン、レモン、ライム、トロピカルフルーツ、パパイヤ、ダイオウ、ブドウ、ドリアン、ドラゴンフルーツ、キュウリ、ブルーベリー、桑、柑橘類、ドランブイ、バーボン、スコッチ、ウイスキー、ジン、テキーラ、ラム、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、アロエ、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、サンダルウッド、ベルガモット、ゼラニウム、チャット、ナスワール、キンマ、シーシャ、マツ、ハチミツエキス、バラ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、橙花、サクランボ花、カシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイランノキ、セージ、フェンネル、ワサビ、ピメント、ショウガ、コリアンダー、コーヒー、オオアサ、ハッカ属のいずれかの種からのハッカ油、ユーカリ、トウシミキ、ココア、レモングラス、ルイボス、亜麻、イチョウ、ハシバミ、ハイビスカス、月桂樹、マテ茶、オレンジの皮、バラ、緑茶または紅茶などの茶、タイム、ビャクシン、ニワトコの花、バジル、ローリエの葉、クミン、オレガノ、パプリカ、ローズマリー、サフラン、レモン果皮、ミント、シオガマギク、クルクマ、シラントロ、ギンバイカ、カシス、カノコソウ、ピメント、メース、ダミエン、ハナハッカ、オリーブ、レモンバーム、レモンバジル、チャイブ、ウイキョウ、バーベナ、タラゴン、リモネン、チモール、カンフェン)、調味料、苦味受容体部位遮断剤、感覚受容器部位活性化剤または刺激剤、糖及び/または糖置換体(例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、サイクラミン酸塩、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、マンニトールなど)や、木炭、クロロフィル、鉱物、植物または息消臭剤などのその他の添加剤を含む。それらは、模倣物、合成または天然の成分またはそれらのブレンドであってもよい。それらは、例えば油などの液体、粉などの固体または気体などのあらゆる好適な形体であってもよい。
【0053】
一部の実施態様では風味料はメンソール、スペアミントおよび/またはペパーミントを含む。一部の実施態様では風味料はキュウリ、ブルーベリー、柑橘類および/またはレッドベリーの風味成分を含む。一部の実施態様では風味料はオイゲノールを含む。一部の実施態様では風味料はタバコから抽出された風味成分を含む。一部の実施態様では風味料は大麻から抽出された風味成分を含む。
【0054】
一部の実施態様では風味料は、感覚惹起剤を含んでもよく、これはアロマまたは味覚神経に加えてまたは代わりに通常第5脳神経(三叉神経)の刺激によって化学的に誘発そして認識され、それらは加熱、冷却、ヒリヒリ感、しびれ感を与える薬剤を含んでもよい。好適な熱作用剤は、バニリルエチルエーテルであるが、これに限定されず、好適な冷却剤はオイカリプトール、WS-3であるが、これらに限定されない。
【0055】
エアロゾル発生材は、例えば加熱、照射または何らかの他の方法で励起された際にエアロゾルを発生することができる材料である。エアロゾル発生材は、活性物質および/または風味剤を含んでも含まなくてもよい固体、液体またはゲルの形体であってもよい。エアロゾル発生材は、エアロゾル発生システムに使用するための物品に組み込まれる。
【0056】
本明細書中では「タバコ材」なる用語は、タバコまたはその派生物または代替品を含むあらゆる材料を意味する。タバコ材は、あらゆる好適な形体であってもよい。「タバコ材」なる用語はタバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコまたはタバコ代替え品の内の1つ以上を含んでもよい。タバコ材は粉タバコ、タバコ繊維、刻みタバコ、押し出しされたタバコ、タバコ葉柄、再生タバコおよび/またはタバコ抽出物の内の1つ以上を含んでもよい。
【0057】
消耗品は、一部またはすべてが使用中にユーザーによって消費されることを意図したエアロゾル発生材を含むまたはそのような発生材からなる物品である。消耗品は、エアロゾル発生材貯蔵領域、エアロゾル発生材移送構成部品、エアロゾル発生領域、ハウジング、ラッパー、マウスピース、フィルターおよび/またはエアロゾル変性剤などの1つ以上の他の構成部品を含んでもよい。また消耗品は、使用時にエアロゾル発生材がエアロゾルを発生するように熱を放射するエアロゾル発生器、特に加熱素子を含んでもよい。ヒーターは、電気伝導によって加熱可能な材料またはサセプタを含んでもよい。
【0058】
サセプタは、交番磁界などの変動磁場の侵入によって加熱可能な材料である。サセプタは、導電性材料であってもよく、変動磁場の侵入によって加熱材の誘導加熱を生じさせるようにしてもよい。加熱材は、導電性材料であってもよく、変動磁場の侵入によって加熱材の磁気ヒステリシス加熱を生じさせるようにしてもよい。サセプタは、導電性および磁力の両方によるものであってもよく、これにより加熱材は両方の加熱機構で加熱可能になる。変動磁場を発生させるように構成されている装置を本明細書では磁場発生器と言う。
【0059】
エアロゾル変性剤は、典型的にはエアロゾル発生領域の下流に位置し、発生したエアロゾルを例えばエアロゾルの味、風味、酸度または別の特徴を変えることによって変性するように構成された物質である。エアロゾル変性剤は、エアロゾル変性剤を選択的に放出するように動作可能なエアロゾル変性剤放出構成部品内に設けてもよい。
【0060】
エアロゾル変性剤は、例えば添加剤または吸着剤であってもよい。エアロゾル変性剤は、例えば風味剤、着色剤、水および炭素吸着剤のうちの1つ以上を含んでもよい。エアロゾル変性剤は、例えば固体、液体またはゲルであってもよい。エアロゾル変性剤は、粉、糸または粒体であってもよい。エアロゾル変性剤はろ過材を含まなくてもよい。
【0061】
エアロゾル発生デバイスは、エアロゾル発生材からエアロゾルを発生させるように構成された装置である。エアロゾル発生デバイスは、エアロゾル発生材を熱エネルギーに晒し、エアロゾルを形成するためにエアロゾル発生材から1つ以上の揮発性物質を放出するように構成されたヒーターを含む。
【0062】
本明細書で説明するフィラメント状のトウ材料はセルロースアセテート繊維トウを含んでもよい。フィラメント状のトウ材料は、ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ(1,4-ブタンジオールスクシナート)(PBS)、ポリ(ブチレンアジペート-コ-テレフタレート)(PBAT)、スターチ系材料、紙、脂肪族ポリエステル材および多糖ポリマーまたはこれらを組合わせたものなどの繊維を形成するために使用される他の材料を使用して形成してもよい。フィラメント状のトウ材料は、フィルター材がセルロースアセテートトウである場合、トリアセチンなどのフィルター材に適した可塑剤で可塑化してもよく、または可塑化されなくてもよい。トウは、「Y」字状または「X」字状などの他の断面、2.5~15の単糸繊度、例えば8.0~11.0の単糸繊度の繊維のデニール値および5,000~50,000、例えば10,000~40,000の総繊度値を有する繊維のようにあらゆる好適な仕様を使用することができる。
【0063】
本明細書で図面において同等の特徴、物品または部材を示す場合には同じ参照番号が使用されている。
【0064】
図1aは、エアロゾル送出デバイス100(図4~6参照)を含むエアロゾル送出システムに使用するための物品1の側部断面図である。
【0065】
物品1は、上流または遠位端「D」および下流または近位端「P」を有する。近位端Pは、マウスピース2を含み、遠位端Dは、マウスピース2に接続されたエアロゾル発生セクションを含む。本例ではエアロゾル発生セクションは、ロッド形状のエアロゾル発生材3源を含む。エアロゾル発生材3は、エアロゾル発生材3からなる複数のストランドまたは条片を含んでもよい。例えば、エアロゾル発生材3は、エアロゾル化可能な材料からなる複数のストランドまたは条片および/または非晶質固体からなる複数のストランドまたは条片を含んでもよい。
【0066】
本例ではエアロゾル発生材3は、エアロゾル発生材の複数のストランドおよび/または条片を含み、ラッパー4によって囲まれている。本例ではラッパー4は水分非透過性ラッパーである。
【0067】
エアロゾル発生材の複数のストランドまたは条片3は、それらの長手方向の寸法が物品1の長手方向軸X-X’と平行に位置合わせされるようにエアロゾル発生セクション内に位置合わせされてもよい。これとは別にストランドまたは条片は、それらの長手方向の寸法が物品1の長手方向軸を横切るように大まかに配置されてもよい。
【0068】
本例ではエアロゾル発生材のロッド3は、約22.7mmの円周を有する。別の実施態様ではエアロゾル発生材のロッド3は、あらゆる好適な円周、例えば約20mm~約26mmの円周を有してもよい。
【0069】
物品1は、以下に詳しく説明するようにエアロゾル発生セクションのエアロゾル発生材3内に挿入するためのブレードまたはピンなどの加熱素子103の形体のエアロゾル発生器を含む非燃焼系エアロゾル供給デバイス100(図4参照)に使用するために構成されている。
【0070】
他の実施態様では図2および図3a~3cを参照して以下により詳しく説明するように、加熱素子30は、物品1のエアロゾル発生材内に組み込まれ、物品1の一体部品を形成している。このような実施態様では加熱素子30は、サセプタであってもよい。加熱素子30がサセプタである場合、デバイス200は、エアロゾル発生材3を囲んで加熱素子30を誘導加熱し、次にエアロゾル発生材3を加熱する磁場発生器203を含んでもよい。このようなデバイス200を図7に示す。
【0071】
マウスピース2は、エアロゾル発生材3源の直ぐ下流および隣接して位置する冷却部材とも言われる冷却セクション5を含む。本例では冷却セクション5は、エアロゾル発生材3源と当接関係にある。マウスピース2は、本例では冷却セクション5の下流にある材料体6および物品1の吸い口端2にあり材料体6の下流にある中空の管状部材7も含む。
【0072】
冷却セクション5は、約1mm~約4mm、例えば約2mm~約4mmの内径を有する中空の流路を含む。本例では中空の流路は、約3mmの内径を有する。中空の流路は、冷却セクション5の全長に沿って延びている。本例では冷却セクション5は、単独の中空の流路を含む。別の実施態様では冷却セクションは、複数の流路、例えば、2、3または4つの流路を含んでもよい。本例では単独の中空の流路は、実質的に円筒状であるが、別の実施態様では他の流路形状/断面も使用してもよい。中空の流路は、空間を供し、その中で冷却セクション5内に引き込まれたエアロゾルが膨張し、冷える。すべての実施態様において冷却セクション5は、1つ以上の中空の流路の断面積を制限し、使用の際、冷却セクション5内へのタバコの移動を制限するように構成されている。
【0073】
水分非透過性ラッパー4は、エアロゾル発生材3との摩擦が小さく、これは結果として加熱素子103がエアロゾル発生材3のロッドに挿入される際にエアロゾル発生材3のストランドおよび/または条片が冷却セクション5内で長手方向にずれやすくなる。エアロゾル発生材3源に直接隣接して冷却セクション5を設け、この範囲の直径を有する内方流路を含むことによって、デバイス100の加熱素子103がエアロゾル発生材3のロッドに挿入される際にエアロゾル発生材3のストランドおよび/または条片の長手方向のずれが少なくなる。使用時にエアロゾル発生材のずれを少なくすることは、結果としてロッドの長さに沿ってエアロゾル発生材3の充填密度をより一定にするという利点が得られ、その結果としてエアロゾルをより一定かつ良好に発生させることができる。
【0074】
いくつかの例では冷却セクション5は、半径方向に壁厚を有する。冷却セクションが所定外形の場合に冷却セクション5の壁厚は、冷却セクション5の壁によって囲まれたチェンバーの内径を画定する。冷却セクション5は、少なくとも約1.5mm、最大で約2mmの壁厚を有してもよい。本例では冷却セクション5は、約2mmの壁厚を有する。この範囲内の壁厚を有する冷却セクション5を設けることによって、エアロゾル発生器が物品1に挿入された際にエアロゾル発生材3のストランドおよび/または条片の長手方向のずれを少なくすることでエアロゾル発生セクション内にエアロゾル発生材3源が使用時に良好に保持される。
【0075】
冷却セクション5は、フィラメント状のトウから形成されている。その他の構成も使用可能であり、冷却セクション5を形成するために接合した継ぎ目を有する平行に巻かれた複数の紙の層またはらせん状に巻かれた紙の層、ボール紙管、混凝紙型処理の成型または押し出しされたプラスチック管などを使用して形成された管またはそれに類するものも使用できる。冷却セクション5は、製造中および物品1の使用中に生じるであろう軸方向の圧縮力および曲げモーメントに耐えるに充分な剛性を有するように製造される。
【0076】
冷却セクション5の壁材は、エアロゾル発生材3によって発せられたエアロゾルの少なくとも90%が冷却セクション5の壁材ではなく、1つ以上の中空の流路を長手方向に通過するように比較的非孔性にしてもよい。例えば、エアロゾル発生材3によって発せられたエアロゾルの少なくとも92%または少なくとも95%が1つ以上の中空の流路を通過できる。
【0077】
いくつかの例ではマウスピース2は、110mm超の内部容積を有するキャビティを含む。少なくともこの容積のキャビティを設けることで良好なエアロゾルを形成できることが分かっている。マウスピース2は、例えば冷却セクション5内に形成され、内部容積が110mm超、または130mm超であって、さらにエアロゾルを向上させるキャビティを含む。一部の例では内部キャビティは、約130mm~約230mm、例えば約134mmまたは227mmの容積を含む。
【0078】
冷却セクション5は、冷却セクション5の第1の上流端部に入る加熱されて揮発した成分と冷却セクション5の第2の下流端部を出る加熱されて揮発した成分との間で少なくとも40℃の温度差を設けるように構成することができる。冷却セクション5は、好ましくは冷却セクション5の第1の上流端部に入る加熱されて揮発した成分と冷却セクション5の第2の下流端部を出る加熱されて揮発した成分との間で少なくとも60℃、好ましくは少なくとも80℃およびより好ましくは少なくとも100℃の温度差を供するように構成される。冷却セクション5の長さに亘るこの温度差は、加熱された際のエアロゾル発生材3の高温から温度感受性の材料体6を保護する。
【0079】
使用時にエアロゾル発生セクションは、約15~約40mmHOの圧力降下を示してもよい。一部の実施態様ではエアロゾル発生セクションは、約15~約30mmHOのエアロゾル発生セクションの圧力降下を示す。
【0080】
本実施態様ではエアロゾル発生材のロッド3を囲む水分非透過性ラッパー4は、アルミニウム箔を含む。他の実施態様ではラッパー4は、任意にラッパーの材料を実質的に水分非透過性にするバリアコーティングを含む紙のラッパーを含む。アルミニウム箔は、エアロゾル発生材3内でエアロゾルの形成を高める上で特に効果的であることが分かっている。本例ではアルミニウム箔は厚さが約6μmの金属層を有する。本例ではアルミニウム箔は台紙を有する。しかしながら、別の構成ではアルミニウム箔は、他の厚さ、例えば4μm~16μmの厚さであってもよい。またアルミニウム箔は、台紙を必要としないが、例えば箔に適度な引っ張り強度を供するのに役立つ他の材料から形成された裏当て材を有することも可能であり、あるいは裏当て材を持たなくてもよい。アルミニウム以外の金属層または箔も使用可能である。ラッパーの厚さの合計は、好ましくは20μm~60μmまたは30μm~50μmで、適した構造的完全性および伝熱特性を有するラッパーを供することができる厚さである。ラッパーが破れるまでのラッパーに加えることができる張力は、3,000グラム重量超、例えば3,000~10,000グラム重量または3,000~4,500グラム重量である。ラッパーが紙または紙の台紙、即ちセルロース系材料を含む場合、ラッパーは約30gsm超の坪量を有してもよい。例えば、ラッパー4は、約40gsm~約70gsmの範囲の坪量を有してもよく、これはエアロゾル発生材3のロッドの剛性を向上させる。この範囲の坪量を有するラッパー4によって供される向上した剛性は、物品が使用時に例えば物品がデバイスに挿入されるおよび/または熱発生器が物品に挿入される際に物品が受ける力による揉み潰しまたは他の変形に対してエアロゾル発生材ロッド3が抵抗できるようにする。
【0081】
本例では水分非透過性ラッパー4も実質的に空気を通さない。別の実施態様ではラッパー4は、100コレス単位未満の通気度、例えば60コレスタ単位未満の通気度を有してもよい。低通気性、例えば100コレスタ単位未満、より好ましくは60コレスタ単位未満の通気性のラッパーは、結果としてエアロゾル発生材3でのエアロゾルの形成を向上させることになることが分かっている。いかなる理論にも束縛されることを望まないが、これはラッパー10を介したエアロゾル化合物の損失が少なくなることによると推定される。ラッパー10の通気性は、シガレットペーパー、フィルタープラグラッパーおよびフィルター接合ペーパーとして使用される材料の空気透過度の測定に関するISO 2965:2009に従って測定することができる。
【0082】
材料体6は、実質的に円筒状の外形を全体的に画定し、第1のプラグラッパー8に包まれている。第1のプラグラッパー8は、50gsm未満または約20gsm~40gsmの坪量を有してもよい。第1のプラグラッパー8は、30μm~60μmまたは35μm~45μmの厚さを有してもよい。第1のプラグラッパー8は、例えば100コレス単位未満、例えば50コレスタ単位未満の通気度を有する非孔性プラグラッパーであってもよい。しかしながら、他の実施態様では第1のプラグラッパー8は、例えば200コレスタ単位超の通気性を有する多孔性プラグラッパーであってもよい。
【0083】
図1aに示すように物品1のマウスピース2は、エアロゾル発生材のロッド3に隣接する上流端2aを含む。マウスピース2は、その近位端でフィラメント状のトウから形成された中空の管状部材7を有する。これは物品1の使用時に消費者の唇に接触するマウスピースの下流端部2bでマウスピース2の外面の温度が著しく低下させるという有利な発見があった。加えて管状部材7を使用することで管状部材7の上流であってもマウスピース2の外面の温度を著しく低下させるということも分かっている。いかなる理論にも束縛されることを望まないが、これはマウスピース2の中央に近いところでエアロゾルを流し、従ってエアロゾルからの熱のマウスピース2の外面への移行を低減する管状部材7によると推定される。
【0084】
中空の管状部材7の「壁厚」は、半径方向の管7の壁の厚さに対応する。これは、例えばノギスを使用して測定される。壁厚は、0.9mm超または1.0mm以上であると有利である。壁厚は、中空の管状部材7の壁全体の周囲で実質的に一定であってもよい。しかしながら、壁厚が実質的に一定でない場合、壁厚は、管状部材7の周囲の任意の箇所で0.9mm超または1.0mm以上である。本例では中空の管状部材7の壁厚は約1.3mmである。
【0085】
チッピング紙9はマウスピース2の全長およびエアロゾル発生材のロッドの一部に亘って巻かれ、その内面に接着剤を有し、マウスピース2とロッド3を接続している。本例ではエアロゾル発生材3のロッドは、第1の包装材を形成するラッパー4に包まれ、チッピング紙9は、マウスピース2とロッド3を接続するためにエアロゾル発生材3のロッドの少なくとも一部に亘って延びた外方包装材を形成する。一部の例ではチッピング紙9は、エアロゾル発生材3のロッドの一部のみに亘って延びてもよい。
【0086】
物品1を介して引き込まれる物品1のエアロゾルの換気レベルは、約10%である。別の実施態様では物品1を介して引き込まれる物品1のエアロゾルの換気レベルは、1%~20%、例えば1%~12%である。これらのレベルの換気は、吸い口端2bでユーザーによって吸入されるエアロゾルの均一性を増加させることに役立ち、エアロゾル冷却工程を補助する。換気は、物品1のマウスピース2内に直接設けられる。本例では換気は、冷却セクション5内に設けられ、これはエアロゾル発生プロセスを補助する上で特に有益であることが分かっている。換気は、ミシン目によって、本例ではマウスピース2の下流の吸い口端2bから13mmの所に位置するレーザーによるミシン目の単独の列として供される。別の実施態様では2またはそれ以上の列の換気ミシン目10を設けてもよい。これらのミシン目10は、チッピング紙9、第2のプラグラッパー11および冷却セクション5を通る。別の実施態様では換気は、マウスピース2の他の位置、例えば材料体6または第1の管状部材7内に設けることができる。物品1は、ミシン目10が物品1の上流端部から約28mm以下、または物品1の上流端部から20mm~28mmの所に設けられるように構成されてもよい。本例では開口部が物品1の上流端部から約25mmの所に設けられている。
【0087】
エアロゾル発生材3は、タバコ材などの植物系材料を含む。エアロゾル発生材3は、タバコ材などの植物系材料を含むエアロゾル化可能な材料からなるシートまたは刻まれたシートであってもよい。
【0088】
植物系材料は、微粒子状または粒状の材料であってもよい。一部の実施態様では植物系材料は粉である。これとは別にまたは加えてタバコ材は、タバコの条片、ストランドまたは繊維を含んでもよい。例えば、タバコ材は、タバコの微粒子、粒子、繊維、条片および/またはストランドを含んでもよい。一部の実施態様ではタバコ材は、タバコ材の微粒子または粒からなる。
【0089】
タバコ材の密度は、熱がタバコ材に伝わる速度に影響を与え、低密度、例えば900mg/ccの密度では熱は材料内にゆっくりと伝わり、したがって、エアロゾルをより持続的に放出できる。
【0090】
タバコ材は、例えば紙再生タバコ材のような約900mg/cc未満の密度を有する再生タバコ材を含んでもよい。例えば、エアロゾル発生材は、約800mg/cc未満の密度を有する再生タバコ材料を含む。これとは別にまたは加えてエアロゾル発生材は、少なくとも350mg/ccの密度を有する再生タバコ材料を含んでもよい。
【0091】
タバコ材は、タバコ植物のあらゆる部分から得られるタバコを含んでもよい。一部の実施態様ではタバコ材は、タバコ葉を含む。
【0092】
シートまたは刻まれたシートは、5%~約90重量%のタバコ葉を含んでもよい。
【0093】
エアロゾル発生材3は、エアロゾル形成材を含んでもよい。エアロゾル形成材は、エアロゾルを形成できる1種以上の成分を含む。エアロゾル形成材は、グリセリン、グリセロール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エリスリトール、メソエリスリトール、バニリン酸エチル、ラウリン酸エチル、スベリン酸ジエチル、クエン酸トリエチル、トリアセチン、ジアセチン混合物、安息香酸ベンジル、酢酸ベンジルフェニル、トリブチリン、酢酸ラウリル、ラウリン酸、ミリスチン酸、および炭酸プロピレンのうちの1つ以上を含む。エアロゾル形成材は、グリセロールまたはプロピレングリコールであってもよい。
【0094】
エアロゾル化可能な材料からなるシートまたは刻まれたシートは、エアロゾル形成材を含む。エアロゾル形成材は、シートまたは刻まれたシートの重量で乾式重量基準で約50%以下の量で供される。エアロゾル形成材は、シートまたは刻まれたシートの重量で乾式重量基準で約5%~約40%、シートまたは刻まれたシートの重量で乾式重量基準で約10%~約30%またはシートまたは刻まれたシートの重量で乾式重量基準で約10%~約20%の量で供される。
【0095】
エアロゾル発生材3は、充填材を含んでもよい。一部の実施態様ではシートまたは刻まれたシートは、充填材を含む。充填材は、一般に非タバコ成分、即ちタバコ由来の成分を含まない成分である。充填材は、炭酸カルシウム、パーライト、バーミキュライト、珪藻土、コロイドシリカ、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウムおよびモレキュラーシーブなどの好適な無機吸着剤の内の1つ以上を含んでもよい。充填材は、木繊維またはパルプまたは小麦繊維などの非タバコ繊維であってもよい。セルロースを含む材料またはセルロースの派生物を含む材料であってもよい。充填材成分は、非タバコキャスト材または非タバコ押し出し材であってもよい。
【0096】
本明細書のエアロゾル発生材3は、本明細書に記載の風味料のいずれかのようなエアロゾル変性剤を含んでもよい。1つの実施態様ではエアロゾル発生材3は、メンソールを含む。そのエアロゾル発生材3がエアロゾル供給システムに使用するための物品内に組込まれる場合、その物品はメンソール化された物品と言う場合もある。エアロゾル発生材3は、0.5mg~20mgのメンソール、0.7mg~20mgのメンソール、1mg~18mgまたは8mg~16mgのメンソールを含んでもよい。
【0097】
一部の実施態様では組成物は、エアロゾル形成「非晶質固体」を含んでもよく、これはこれとは別に「モノリシック固体」(即ち、非繊維性)とも言われる。一部の実施態様では非晶質固体は乾燥ゲルを含んでもよい。非晶質固体は、その内部に液体などの流体を保持する固体材料である。
【0098】
一部の例では非晶質固体は、
‐1~60重量%のゲル化剤と、
‐0.1~50重量%のエアロゾル形成材と、
‐0.1~80重量%の風味剤とを含み、
これらの重量は、乾式重量基準で計算されている。
【0099】
一部の別の実施態様では非晶質固体は、
‐1~50重量%のゲル化剤と、
‐0.1~50重量%のエアロゾル形成材と、
‐30~60重量%の風味材とを含み、
これらの重量は、乾式重量基準で計算されている。
【0100】
非晶質固体材料は、シートまたは刻まれたシートの形体で提供されてもよい。非晶質固体材料は、エアロゾル化可能な材料のシートまたは刻まれたシートと同じ形体であってもよい。
【0101】
エアロゾル発生材3は、紙再生タバコ材を含んでもよい。組成物は、これとは別にまたは加えて本明細書で説明したいずれかの形体のタバコを含んでもよい。エアロゾル発生材3は、10~90重量%のタバコ葉を含むタバコ材を含むシートまたは刻まれたシートを含んでもよく、エアロゾル形成材は、シートまたは刻まれたシートの約20重量%の量で供され、タバコ材の残りは紙再生タバコを含む。
【0102】
エアロゾル発生材3が非晶質固体材料を含む場合、非晶質固体材料は、メンソールを含む乾燥ゲルであってもよい。
【0103】
図4に本発明の実施態様による非燃焼系エアロゾル供給デバイス100の実施態様の部品が簡略化されて示されている。特に非燃焼系エアロゾル供給デバイス100の要素は図4に縮尺通りに描かれていない。本実施態様の理解に関係しない要素は、図4を簡略化するために省略されている。
【0104】
図4に示すように非燃焼系エアロゾル供給デバイス100は、物品1を収容するための領域102を含むハウジング101を有する非燃焼系エアロゾル供給デバイスを含む。
【0105】
領域102は、物品1を収容するように配置されている。物品1が領域102に収容されると、エアロゾル発生材3の少なくとも一部がヒーター103に熱的に近接する。物品1が領域102に完全に収容されると、エアロゾル発生材3の少なくとも一部がヒーター103と直にまたは間接的に接触してもよい。エアロゾル発生基材3が異なる温度で一連の揮発成分を放出する。電気的に加熱されたエアロゾル発生システム100の最大作動温度を制御することによって望ましくない成分の選択的な放出が選択された揮発成分の放出を妨げることによって制御される。
【0106】
図5に示すようにハウジング101内に電気エネルギー供給部104、例えば充電可能なリチウムイオンバッテリーがある。コントローラ105がヒーター103、に接続され、電気エネルギー供給部104およびユーザーインターフェース106、例えばボタンまたはディスプレイに接続されている。コントローラ105は、ヒーター103に供給される電力を制御してヒーターの温度を規制する。通常はエアロゾル形成基材が250~450℃の温度に加熱される。
【0107】
図6は、ヒーター103が物品1のエアロゾル発生材3内に挿入されている図4に示した種類の非燃焼系エアロゾル供給デバイスの略式断面図である。非燃焼系エアロゾル供給デバイス100は、ユーザーによるエアロゾル発生物品1の消費のためにエアロゾル発生物品1と係合して示されている。
【0108】
非燃焼系エアロゾル供給デバイス100のハウジング101は、キャビティ形状の領域102を画定し、消費のためにエアロゾル発生物品1を収容するために近位端(または吸い口端)で開口している。キャビティの遠位端は、ヒーター103を含む加熱装置によって橋渡しされている。ヒーター103は、ヒーターの活性加熱領域がキャビティ内に位置するようにヒーター取り付け具によって保持されている。ヒーター103の活性加熱領域は、エアロゾル発生物品1がキャビティ内に完全に収容された際にエアロゾル発生物品1のエアロゾル発生セクション内に位置する。
【0109】
ヒーター103は、エアロゾル発生材3内に挿入するように構成されている。物品1がデバイス100内に押し込まれると、ヒーター103のテーパーした先端がエアロゾル発生材3と係合する。物品1に力を加えることによってヒーターがエアロゾル発生材3内に刺さる。物品1が非燃焼系エアロゾル供給デバイス100と適切に係合すると、ヒーター103がエアロゾル発生材3内に挿入される。ヒーター103を作動させると、エアロゾル発生材3が温められ、揮発性の物質が発生するまたは放出される。ユーザーがマウスピース2で吸い込むと、空気が物品1内に引き込まれ、揮発性成分が凝縮し、吸入可能なエアロゾルを形成する。このエアロゾルは物品1のマウスピース2を通過し、ユーザーの口内に移動する。
【0110】
本発明の実施態様による非燃焼系エアロゾル供給デバイス200の別の実施態様を図7に示し、これも非燃焼系エアロゾル供給デバイス200の実施態様の部品を簡略化して示している。
【0111】
図7に示すように非燃焼系エアロゾル供給デバイス200は、物品1を収容するための領域202を含むハウジング201を有する非燃焼系エアロゾル供給デバイスを含む。
【0112】
この実施態様では加熱素子103が省略されている。代わりにデバイス200は、変動磁場発生器203を有し、これは図1bの物品1、即ち以下により詳しく説明するように加熱素子30を形成する材料層またはライナーを組み込んでいる物品1が挿入される領域202を囲んでいる。デバイス200の制御は、ヒーター103が変動磁場発生器203に変えられている以外、図5を参照して上述した制御に類似している。
【0113】
エアロゾル発生材3の組成物に関係無く、本発明の実施態様は、図4~6に示すように物品1がデバイス100の第1の実施態様に挿入された際にデバイス100の加熱素子103がキャビティに収容されるように遠位端Dから長手方向に近位端Pの方向へ延びるキャビティ20を有するエアロゾル発生材3を提供する。
【0114】
一部の実施態様ではキャビティ20は、物品の長手方向軸X-X’と同軸であり、エアロゾル発生材3は管状であってもよい。他の実施態様ではキャビティ20は、長手方向軸X-X’からオフセットしてもよく、および/または複数のキャビティ20を含んでもよく、その内の1つ以上は、物品1がデバイス100内に挿入された際に加熱素子103を収容する。
【0115】
キャビティ20は、エアロゾル発生材3の全長を延びてもよい。これとは別にキャビティ20はエアロゾル発生材3の長さの一部を延びてもよい。
【0116】
キャビティ20は、図2aの断面図に示すように円形の断面を有するが、他の断面形状も可能である。例えば、キャビティ20の断面は、図2bに示すようにスロットまたは図2cに示すように星形形状であってもよい。またいくつかの他の非円形断面を有してもよい。これらの実施態様では加熱素子103は、加熱素子103とキャビティの向きを挿入前に合わせる必要がないように円筒状、即ちピン形状であってもよい。しかしながら、加熱素子103とキャビティ20は、同じ断面形状を有することも可能である。
【0117】
キャビティ20の形状に関係無くそしてキャビティ20とヒーター103が同じ断面形状を有しているかに関係無く、ヒーター103は、キャビティ20に嵌合または締まりばめされてもよい。特定の実施態様ではヒーター103は、エアロゾル発生材3がデバイス100内への挿入時にヒーター103によって圧迫または変形されるようにキャビティ20より僅かに大きくてもよい。
【0118】
エアロゾル発生材3のキャビティ20の内壁21aは、エアロゾル発生材とは異なる材料の層(図3a~c)によってコーティング、裏打ちされてもよくまたはそうでなければそのような層を付着させてもよい。例えば、非晶質固体および/またはゲルおよび/または紙などのシート材層または第1のものとは異なるエアロゾル発生材の別の層をキャビティ20内の内壁21a上に、内壁に接触してまたは内壁の近傍に配置してもよい。エアロゾル発生材3のキャビティは、したがってこの第2の層30を通って延びる。内方材料層30は、ヒーター103がより簡単にキャビティ20内にスライドするようにエアロゾル発生材と較べて低い摩擦係数を有してもよい。
【0119】
本発明の一部の実施態様ではヒーター103およびそれが挿入されるキャビティ20は、ヒーター103全体がキャビティ20を満たさないように異なる断面を有し、エアロゾル発生材3の内壁とヒーター103の間にエアロゾルが流れる1つ以上の経路を残す。ヒーター103の大きさに対して経路の大きさを調整することによってまたはヒーター103に占められていない追加のキャビティ20を設けることによってエアロゾル発生材3の吸引抵抗を特定の製品またはマーケット用に調整し、最適化することができる。
【0120】
一部の実施態様ではエアロゾル流の経路は、加熱素子103が収容されるキャビティ20と一体となっている部分として形成されている。特に加熱素子103およびキャビティ20は、加熱素子103とエアロゾル発生材3の内壁との間に経路を形成するために断面形状が異なる。
【0121】
本発明の実施態様のいずれかにおいて、エアロゾル発生材3のキャビティ20は、その長さに沿って均一でなくてもよい。例えば、キャビティ20の形状は、エアロゾル発生材3の長さに沿って異なってもよく、キャビティ20は、テーパーしてもよい。例えば、キャビティ20は、エアロゾル発生材3の遠位端から離れて延びる方向に狭くなってもよい。
【0122】
エアロゾル発生材3のキャビティ20を裏打ちされたまたはコーティングされていることは既に上述している。裏打ちされたキャビティ20を組み込んだ特定の実施態様を図1bに示す。この実施態様ではキャビティ20は、物品1の一体部品を形成する加熱素子30で裏打ちされている。図1bによる物品1であっても図4~6を参照して説明した加熱素子103がキャビティに収容され、熱がヒーター103からエアロゾル発生材3とヒーター103の一方または両方と接触する加熱素子30を介して移動または伝わるようになっているデバイスと使用することができる。しかしながら、図1bの物品1は、エアロゾル発生材3のキャビティ20を裏打ちする加熱素子30を誘導加熱するための変動磁場発生器203を含む図7を参照して説明したデバイス200と使用してもよい。
【0123】
図3に示すようにそして物品1と使用されるデバイス100、200の種類に関係無く、エアロゾル発生材3の裏打ちされたキャビティ20は、図2aに示すように円形の断面を有してもよく、図2bに示すようにスロット形状でもよく、図2cに示すように星形であってもよい。これとは別に他の規則的または不規則な形状を有してもよい。これらの実施態様のそれぞれにおいてキャビティ20を裏打ちする材料層30は、キャビティ20の形状に対応する形状である。
【0124】
キャビティ20を裏打ちする加熱素子30は、導電性材から作製されてもよく、磁性材であってもよい。加熱素子は鉄鋼材から作製してもよい。理想的には加熱素子は、その近傍での変動磁場の発生に応答して誘導的に加熱可能な材料から作製される。
【0125】
加熱素子30は、透過性であってもよい。例えば、それは、空気およびエアロゾルを加熱素子30を通ることができるように穿孔されてもよく、メッシュから形成されてもよく、穴を有してもよい。他の実施態様では不透過性材からなるシートから形成してもよい。加熱素子30は、単独の部材または複数の部材から形成されてもよい。例えば、それは長手方向に互いに隔てられた複数の個別のセクションから形成することも可能である。
【0126】
本発明による任意の実施態様ではエアロゾル発生材3は、ダイを介して押し出し成型されてもよい。この製造方法ではダイにはマンドレルを設けることができ、その上にエアロゾル発生材3が押し出され、エアロゾル発生材3にキャビティ20を形成する。マンドレルは、円筒状でもよいが、エアロゾル発生材3内に要求される断面形状のキャビティを形成するために他の形状または構造であってもよい。
【0127】
キャビティ20が材料層30で裏打ちされる場合、材料層30は、管に形成され、エアロゾル発生材3がマンドレル上に押し出される際にマンドレル上に引き出されるまたは供給されてもよい。
【0128】
別の実施態様ではキャビティ20を裏打ちしている材料層30を組み込んだ物品1の製造は、図8に示すエアロゾル発生セクションを形成する工程を含んでもよい。工程(a)では材料層30を形成する材料のシート30aが図8(a)の矢印で示すように金型40上に下ろされ、その中にプレスされる。金型40は、エアロゾル発生セクションの必要とされる管状形状を画定し、キャビティ20の形状の同軸の直立した形成機40aを有する円筒状の内面を有する。シート30aは、それが図8(b)に示すように金型の形と一致するように金型40内にプレスされる。次に裏打ちされた金型が図8(c)に示すようにエアロゾル発生材3で満たされる。エアロゾル発生材3は、金型から物品1を取り外す前に金型内にプレスされるまたは押しつけられてもよい。図8(d)に示すようにエアロゾル発生セクションは、エアロゾル発生材3を含む成形された材料層30を含み、成形された材料層がキャビティを裏打ちしているだけでなく、物品1の一体を包み、その外面上を延びる。
【0129】
エアロゾル発生セクションを完成させるために材料層30で覆われた物品1の端部を切断し(図8dのC-C線に沿って)、キャビティを裏打ちしている材料層30がエアロゾル発生材3を囲んでいる外層またはラッパーを形成するシート材30aから分離させて図8eに示すエアロゾル発生セクションを形成する。
【0130】
さらなる変型例では金型40は、直立した形成機を持たなくてもよく、本方法は、金型が材料層30で裏打ちされた後、金型をエアロゾル発生材3で満たすことを含んでもよい。その後、金型を高速回転させて金型の外側の周囲に材料層30aに対してエアロゾル発生材3を付勢させ、それによりエアロゾル発生材3内に中央キャビティを形成するのに充分な遠心力を発生させる。
【0131】
本明細書に記載の種々の実施態様は、特許請求された特徴の理解と教示の単なる補助に提供されている。これらの実施態様は単なる代表的な具体例であり、包括的でも排他的でもない。当然だが、本開示の利点、実施形態、具体例、機能、特徴、構造、および/または他の側面は本開示を特許請求の範囲に規定されたとおりに限定するあるいは特許請求の範囲の均等物に限定すると考えるべきではなく、本開示の範囲および/または思想から乖離することなく他の実施形態を利用しても改変してもよいと考えるべきである。種々の実施形態は、開示された構成要素、成分、特徴、部品、工程、手段他の組合せを適切に備えても、これらで構成されても、基本的にこれらで構成されてもよい。また本開示は、現在は特許請求されていないが将来特許請求される可能性がある他の発明を含む。
図1a
図1b
図2(a)】
図2(b)】
図2(c)】
図3(a)】
図3(b)】
図3(c)】
図4
図5
図6
図7
図8(a)】
図8(b)】
図8(c)】
図8(d)】
図8(e)】
【手続補正書】
【提出日】2024-01-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠位端を有するエアロゾル発生材のロッドと、前記遠位端からエアロゾル発生材のロッド内に延びたキャビティとを含むエアロゾル供給システムに使用するための物品。
【請求項2】
キャビティは、エアロゾル発生材のロッドの長手方向軸と同軸である長手方向軸を有することを特徴とする請求項1記載の物品。
【請求項3】
キャビティは、エアロゾル発生材のロッドの全長を延びていることを特徴とする請求項1または2記載の物品。
【請求項4】
キャビティは、非円形の断面を有することを特徴とする請求項1または2記載の物品。
【請求項5】
キャビティは、エアロゾル発生材の長手方向に非均一な断面を有することを特徴とする請求項1または2記載の物品。
【請求項6】
キャビティは、長手方向にテーパーしていることを特徴とする請求項5記載の物品。
【請求項7】
キャビティは、遠位端から離れる方向にテーパーしていることを特徴とする請求項6記載の物品。
【請求項8】
キャビティの少なくとも一部を裏打ちする材料層を含むことを特徴とする請求項1または2記載の物品。
【請求項9】
エアロゾル発生材は、材料層がエアロゾル発生材に埋め込まれるように材料層の両面に配置されていることを特徴とする請求項8記載の物品。
【請求項10】
材料層はゲル、非晶質固体または紙などのシート材であることを特徴とする請求項8記載の物品。
【請求項11】
材料層は、加熱素子を含むことを特徴とする請求項8記載の物品。
【請求項12】
材料層は、伝導的または誘導的に加熱されるように構成されていることを特徴とする請求項11記載の物品。
【請求項13】
材料層は、空気を通すことを特徴とする請求項8記載の物品。
【請求項14】
材料層は、メッシュである、または穿孔されているまたは穴を有することを特徴とする請求項13記載の物品。
【請求項15】
前記遠位端に対向する吸い口端を含み、前記吸い口端は、遠位端が非燃焼系エアロゾル供給デバイス内に挿入された際にユーザーの唇の間で挟まれるように構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の物品。
【請求項16】
冷却セグメントがエアロゾル発生材と吸い口端との間に位置していることを特徴とする請求項15記載の物品。
【請求項17】
ろ過セグメントが冷却セグメントと吸い口端との間に位置していることを特徴とする請求項16記載の物品。
【請求項18】
非燃焼系エアロゾル供給デバイスと、非燃焼系エアロゾル供給デバイス内に挿入するための遠位端を有するエアロゾル発生材からなるロッドを含む物品とを含み、キャビティが前記遠位端からエアロゾル発生材のロッド内を延びているシステム。
【請求項19】
物品は、キャビティの少なくとも一部を裏打ちする材料層を含むことを特徴とする請求項18記載のシステム。
【請求項20】
エアロゾル発生材は、材料層がエアロゾル発生材に埋め込まれるように材料層の両面に配置されていることを特徴とする請求項19記載のシステム。
【請求項21】
材料層は、ゲル、非晶質固体または紙などのシートであることを特徴とする請求項19または20記載のシステム。
【請求項22】
材料層は、加熱素子を含むことを特徴とする請求項19または20記載のシステム。
【請求項23】
エアロゾル供給デバイスは、物品がエアロゾル供給デバイス内に収容された際に前記遠位端を介してエアロゾル発生材のロッドのキャビティ内を延びるように構成されたヒーターを含むことを特徴とする請求項22記載のシステム。
【請求項24】
加熱素子とキャビティは、同じ断面形状を有することを特徴とする請求項23記載のシステム。
【請求項25】
加熱素子は、キャビティに嵌合または締まりばめされていることを特徴とする請求項23記載のシステム。
【請求項26】
加熱素子は、サセプタであり、エアロゾル供給デバイスは、物品がデバイス内に挿入された際に加熱素子を誘導的に加熱するためにエアロゾル発生材を囲む磁場発生器を含むことを特徴とする請求項22記載のシステム。
【請求項27】
材料層は、空気を通すことを特徴とする請求項19記載のシステム。
【請求項28】
材料層は、メッシュである、または穿孔されているまたは穴を有することを特徴とする請求項27記載のシステム。
【請求項29】
非燃焼系エアロゾル供給デバイス内に挿入するための遠位端を有するエアロゾル発生材のロッドを含む物品の製造方法であって、該方法は、エアロゾル発生材をダイヘッドを介してマンドレル上に押し出してエアロゾル発生材を延びるキャビティを形成することを含む方法。
【請求項30】
マンドレルは、エアロゾル発生材にマンドレルに対応した形状のキャビティを供する形状であることを特徴とする請求項29記載の方法。
【請求項31】
材料層は、マンドレル上に引き出され、エアロゾル発生材は、材料層上に押し出されることを特徴とする請求項29または30記載の方法。
【請求項32】
エアロゾル供給システムの使用するための物品の、材料層に巻かれたエアロゾル発生材のロッドを含み、かつ、材料層で裏打ちされたキャビティを含むエアロゾル発生セクションの製造方法であって、この方法は、
材料層シートを供することと、
材料層シートを直立した成形器を含むエアロゾル発生セクションの形状の金型内にプレスして、材料層シートが金型の形状に一致し、成形器を囲むようにすることと、
金型をエアロゾル発生材で満たすことと、
エアロゾル発生材を金型内にプレスしてエアロゾル発生セクションを形成することと、
エアロゾル発生セクションを金型から外すこととを含む方法。
【請求項33】
物品の一端を切断して物品を包んでいる材料層をキャビティを裏打ちしている材料層から分離することを含むことを特徴とする請求項32記載の方法。
【請求項34】
エアロゾル供給システムに使用するための物品の、材料層に巻かれたエアロゾル発生材のロッドを含み、かつ、キャビティを含むエアロゾル発生セクションの製造方法であって、この方法は、
材料層シートを供することと、
エアロゾル発生物品の形状の金型内に材料層シートをプレスして材料層シートが金型の形状に一致するようにすることと、
金型をエアロゾル発生材で満たすことと、
金型を高速回転させてエアロゾル発生材を半径方向外方かつ金型の内壁に対して付勢させるのに充分な遠心力を発生させて中央キャビティを形成することと、および
物品を金型から外すこととを含む方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
本発明の実施態様を添付図面を参照してあくまで例示として説明する。
図1a】非燃焼系エアロゾル供給デバイスに使用するための物品の側部断面図である。
図1b】別の実施態様による非燃焼系エアロゾル供給デバイスに使用するための物品の側部断面図である。
図2a】A-A線に沿った図1の物品のエアロゾル発生材の別の実施態様の断面を示している。
図2b】A-A線に沿った図1の物品のエアロゾル発生材の別の実施態様の断面を示している。
図2c】A-A線に沿った図1の物品のエアロゾル発生材の別の実施態様の断面を示している。
図3a】A-A線に沿った図2の物品のエアロゾル発生材の別の実施態様の断面を示している。
図3b】A-A線に沿った図2の物品のエアロゾル発生材の別の実施態様の断面を示している。
図3c】A-A線に沿った図2の物品のエアロゾル発生材の別の実施態様の断面を示している。
図4】非燃焼系エアロゾル供給デバイスの断面図である。
図5図4に示したエアロゾル供給デバイスのハウジング内の部品の略図である。
図6図4に示した非燃焼系エアロゾル供給デバイスの断面図であり、デバイス内に図1または2に示した物品が挿入されている。
図7図1bの物品に使用するための非燃焼系エアロゾル供給デバイス200の別の実施態様を示している。
図8本発明の物品のエアロゾル発生セクションの製造工程を示す略図である。
【国際調査報告】