(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】IFNAR1発現を低減するための化合物及び方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/113 20100101AFI20240621BHJP
C12N 5/079 20100101ALI20240621BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240621BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20240621BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240621BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240621BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20240621BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20240621BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20240621BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20240621BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20240621BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240621BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
C12N15/113 Z ZNA
C12N5/079
A61P43/00 105
A61P43/00 111
A61P9/10
A61P25/00
A61P29/00
A61P37/06
A61P25/28
A61P25/18
A61P27/02
A61P9/00
A61K48/00
A61K31/7088
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577660
(86)(22)【出願日】2022-06-17
(85)【翻訳文提出日】2024-02-05
(86)【国際出願番号】 US2022033935
(87)【国際公開番号】W WO2022266414
(87)【国際公開日】2022-12-22
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595104323
【氏名又は名称】アイオーニス ファーマシューティカルズ, インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Ionis Pharmaceuticals,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100163784
【氏名又は名称】武田 健志
(72)【発明者】
【氏名】カンメ,フレデリック・カール
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4B065AA91X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA01
4B065BB14
4B065CA44
4C084AA13
4C084MA16
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA011
4C084ZA012
4C084ZA161
4C084ZA162
4C084ZA181
4C084ZA182
4C084ZA221
4C084ZA222
4C084ZA331
4C084ZA332
4C084ZA361
4C084ZA362
4C084ZA401
4C084ZA402
4C084ZB081
4C084ZB082
4C084ZB111
4C084ZB112
4C084ZB211
4C084ZB212
4C084ZC411
4C084ZC412
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA16
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA16
4C086ZA18
4C086ZA22
4C086ZA33
4C086ZA36
4C086ZA40
4C086ZB08
4C086ZB11
4C086ZB21
4C086ZC41
(57)【要約】
細胞または動物におけるIFNAR1 RNAの量または活性を低減するため、そしてある特定の例では、細胞または動物におけるIFNAR1タンパク質の量を低減するためのオリゴマー化合物、方法、及び薬学的組成物が提供される。そのようなオリゴマー化合物、方法、及び薬学的組成物は、Aicardi-Goutieres症候群、脳卒中、神経精神性全身性エリテマトーデス、外傷性脳損傷後の神経炎症、神経自己免疫障害、アルツハイマー病、術後せん妄及び認知低下、頭蓋放射線誘発性認知低下、ウイルス感染誘発性認知低下、視神経性脊髄炎、及び毛細血管拡張性運動失調症を含む、神経炎症に関連する疾患及び状態を治療するのに有用である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の化学構造に従う、修飾されたオリゴヌクレオチド
【化1】
(配列番号10)、またはその塩。
【請求項2】
ナトリウム塩またはカリウム塩である、請求項1に記載の修飾されたオリゴヌクレオチド。
【請求項3】
以下の化学構造に従う、修飾されたオリゴヌクレオチド
【化2】
(配列番号10)。
【請求項4】
以下の化学構造に従う、修飾されたオリゴヌクレオチド
【化3】
(配列番号11)、またはその塩。
【請求項5】
ナトリウム塩またはカリウム塩である、請求項4に記載の修飾されたオリゴヌクレオチド。
【請求項6】
以下の化学構造に従う、修飾されたオリゴヌクレオチド
【化4】
(配列番号11)。
【請求項7】
以下の化学構造に従う、修飾されたオリゴヌクレオチド
【化5】
(配列番号12)、またはその塩。
【請求項8】
ナトリウム塩またはカリウム塩である、請求項7に記載の修飾されたオリゴヌクレオチド。
【請求項9】
以下の化学構造に従う、修飾されたオリゴヌクレオチド
【化6】
(配列番号12)。
【請求項10】
以下の化学構造に従う、修飾されたオリゴヌクレオチド
【化7】
(配列番号9)、またはその塩。
【請求項11】
ナトリウム塩またはカリウム塩である、請求項10に記載の修飾されたオリゴヌクレオチド。
【請求項12】
以下の化学構造に従う、修飾されたオリゴヌクレオチド
【化8】
(配列番号9)。
【請求項13】
以下の化学構造に従う、修飾されたオリゴヌクレオチド
【化9】
(配列番号13)、またはその塩。
【請求項14】
ナトリウム塩またはカリウム塩である、請求項13に記載の修飾されたオリゴヌクレオチド。
【請求項15】
以下の化学構造に従う、修飾されたオリゴヌクレオチド
【化10】
(配列番号13)。
【請求項16】
以下の化学構造に従う、修飾されたオリゴヌクレオチド
【化11】
(配列番号14)、またはその塩。
【請求項17】
ナトリウム塩またはカリウム塩である、請求項16に記載の修飾されたオリゴヌクレオチド。
【請求項18】
以下の化学構造に従う、修飾されたオリゴヌクレオチド
【化12】
(配列番号14)。
【請求項19】
以下の化学表記法に従う修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、オリゴマー化合物であって、T
es
mC
eoG
eo
mC
eo
mC
esT
dsA
dsA
dsT
dsT
dsT
dsT
dsT
ds
mC
dsT
ds
mC
eoT
eo
mC
esA
es
mC
e(配列番号10)、式中、
Aが、アデニン核酸塩基であり、
mCが、5-メチルシトシン核酸塩基であり、
Gが、グアニン核酸塩基であり、
Tが、チミン核酸塩基であり、
eが、2’-MOE糖部分であり、
dが、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分であり、
sが、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、
oが、ホスホジエステルヌクレオシド間結合である、前記オリゴマー化合物。
【請求項20】
以下の化学表記法に従う修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、オリゴマー化合物であって、
mC
esT
eoT
eoT
eoT
eoT
eo
mC
dsT
dsG
ds
mC
dsT
ds
mC
dsT
dsT
dsA
dsT
dsA
eo
mC
esG
es
mC
e(配列番号11)、式中、
Aが、アデニン核酸塩基であり、
mCが、5-メチルシトシン核酸塩基であり、
Gが、グアニン核酸塩基であり、
Tが、チミン核酸塩基であり、
eが、2’-MOE糖部分であり、
dが、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分であり、
sが、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、
oが、ホスホジエステルヌクレオシド間結合である、前記オリゴマー化合物。
【請求項21】
以下の化学表記法に従う修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、オリゴマー化合物であって、
mC
esT
eoG
eoT
eoT
eoT
eoT
dsA
ds
mC
dsA
dsT
dsT
dsT
dsT
dsT
dsT
dsT
eoT
es
mC
es
mC
e(配列番号12)、式中、
Aが、アデニン核酸塩基であり、
mCが、5-メチルシトシン核酸塩基であり、
Gが、グアニン核酸塩基であり、
Tが、チミン核酸塩基であり、
eが、2’-MOE糖部分であり、
dが、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分であり、
sが、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、
oが、ホスホジエステルヌクレオシド間結合である、前記オリゴマー化合物。
【請求項22】
以下の化学表記法に従う修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、オリゴマー化合物であって、T
esT
eoT
eoA
eoT
es
mC
ds
mC
dsA
dsA
dsT
dsT
dsA
dsT
ds
mC
ds
mC
dsA
eoT
eo
mC
es
mC
es
mC
e(配列番号9)、式中、
Aが、アデニン核酸塩基であり、
mCが、5-メチルシトシン核酸塩基であり、
Gが、グアニン核酸塩基であり、
Tが、チミン核酸塩基であり、
eが、2’-MOE糖部分であり、
dが、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分であり、
sが、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、
oが、ホスホジエステルヌクレオシド間結合である、前記オリゴマー化合物。
【請求項23】
以下の化学表記法に従う修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、オリゴマー化合物であって、T
esT
eoT
eo
mC
eoA
eoT
eoA
dsT
dsT
dsT
dsG
dsT
dsT
dsA
ds
mC
dsT
dsT
eo
mC
es
mC
esT
e(配列番号13)、式中、
Aが、アデニン核酸塩基であり、
mCが、5-メチルシトシン核酸塩基であり、
Gが、グアニン核酸塩基であり、
Tが、チミン核酸塩基であり、
eが、2’-MOE糖部分であり、
dが、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分であり、
sが、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、
oが、ホスホジエステルヌクレオシド間結合である、前記オリゴマー化合物。
【請求項24】
以下の化学表記法に従う修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、オリゴマー化合物であって、T
esT
eo
mC
eoG
eo
mC
eo
mC
eoT
dsA
dsA
dsT
dsT
dsT
dsT
dsT
ds
mC
dsT
ds
mC
eoT
es
mC
esA
e(配列番号14)、式中、
Aが、アデニン核酸塩基であり、
mCが、5-メチルシトシン核酸塩基であり、
Gが、グアニン核酸塩基であり、
Tが、チミン核酸塩基であり、
eが、2’-MOE糖部分であり、
dが、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分であり、
sが、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、
oが、ホスホジエステルヌクレオシド間結合である、前記オリゴマー化合物。
【請求項25】
請求項1~18のいずれかに記載の修飾されたオリゴヌクレオチドの集団、または請求項19~24のいずれかに記載のオリゴマー化合物の集団であって、前記修飾されたオリゴヌクレオチドの前記ホスホロチオエートヌクレオシド間結合が、ステレオランダムである、前記集団。
【請求項26】
請求項1~18のいずれかに記載の修飾されたオリゴヌクレオチド、請求項19~24のいずれかに記載のオリゴマー化合物、または請求項25に記載の修飾されたオリゴヌクレオチドの集団もしくはオリゴマー化合物の集団、及び薬学的に許容される希釈剤を含む、薬学的組成物。
【請求項27】
前記薬学的に許容される希釈剤が、人工脳脊髄液またはリン酸緩衝生理食塩水である、請求項26に記載の薬学的組成物。
【請求項28】
前記薬学的組成物が、前記修飾されたオリゴヌクレオチド、前記オリゴマー化合物、または前記集団、及び人工脳脊髄液またはリン酸緩衝生理食塩水から本質的になる、請求項27に記載の薬学的組成物。
【請求項29】
対象に、請求項1~18のいずれかに記載の修飾されたオリゴヌクレオチド、請求項19~24のいずれかに記載のオリゴマー化合物、請求項25に記載の修飾されたオリゴヌクレオチドの集団もしくはオリゴマー化合物の集団、または請求項26~28のいずれかに記載の薬学的組成物を投与することを含む、方法。
【請求項30】
I型インターフェロンシグナル伝達に関連する疾患を治療する方法であって、I型インターフェロンシグナル伝達に関連する疾患を有する対象に、治療有効量の、請求項1~18のいずれかに記載の修飾されたオリゴヌクレオチド、請求項19~24のいずれかに記載のオリゴマー化合物、請求項25に記載の修飾されたオリゴヌクレオチドの集団もしくはオリゴマー化合物の集団、または請求項26~28のいずれかに記載の薬学的組成物を投与し、それによって、前記I型インターフェロンシグナル伝達に関連する疾患を治療することを含む、前記方法。
【請求項31】
前記I型インターフェロンシグナル伝達に関連する疾患が、Aicardi-Goutieres症候群、脳卒中、神経精神性全身性エリテマトーデス、外傷性脳損傷後の神経炎症、神経自己免疫障害、アルツハイマー病、術後せん妄及び認知低下、頭蓋放射線誘発性認知低下、ウイルス感染誘発性認知低下、視神経性脊髄炎、または毛細血管拡張性運動失調症である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記疾患が、インターフェロンアルファのレベルの上昇に関連する、請求項30または31に記載の方法。
【請求項33】
前記修飾されたオリゴヌクレオチド、前記オリゴマー化合物、前記修飾されたオリゴヌクレオチドの集団もしくは前記オリゴマー化合物の集団、または前記薬学的組成物を投与することが、前記対象における発作、ジストニア、痙攣、白質異常、T細胞浸潤、B細胞浸潤、線条体壊死、脳萎縮、基底神経節石灰化、もしくは小脳髄症を低減する、前記対象における摂食、運動発達、言語発達、もしくは社会的技能発達を改善する、または前記対象の前記脳脊髄液中のインターフェロンアルファもしくはリンパ球増加を低減する、請求項30~32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
細胞におけるIFNAR1の発現を低減する方法であって、請求項1~18のいずれかに記載の修飾されたオリゴヌクレオチド、請求項19~24のいずれかに記載のオリゴマー化合物、請求項25に記載の修飾されたオリゴヌクレオチドの集団もしくはオリゴマー化合物の集団、または請求項26~28のいずれかに記載の薬学的組成物と、前記細胞を接触させることを含む、前記方法。
【請求項35】
前記細胞が、ニューロンまたはグリア細胞であり、任意選択で、前記細胞が、アストロサイトまたはミクログリア細胞である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記対象が、ヒトである、請求項29~33のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
前記細胞が、ヒト細胞である、請求項34または35に記載の方法。
【請求項38】
I型インターフェロンシグナル伝達に関連する疾患を治療するための、請求項1~18のいずれかに記載の修飾されたオリゴヌクレオチド、請求項19~24のいずれかに記載のオリゴマー化合物、請求項25に記載の修飾されたオリゴヌクレオチドの集団もしくはオリゴマー化合物の集団、または請求項26~28のいずれかに記載の薬学的組成物の、使用。
【請求項39】
I型インターフェロンシグナル伝達に関連する疾患を治療するための医薬品の製造における、請求項1~18のいずれかに記載の修飾されたオリゴヌクレオチド、請求項19~24のいずれかに記載のオリゴマー化合物、請求項25に記載の修飾されたオリゴヌクレオチドの集団もしくはオリゴマー化合物の集団、または請求項26~28のいずれかに記載の薬学的組成物の、使用。
【請求項40】
前記疾患が、インターフェロンアルファのレベルの上昇に関連する、請求項38または39に記載の使用。
【請求項41】
前記I型インターフェロンシグナル伝達に関連する疾患が、Aicardi-Goutieres症候群、脳卒中、神経精神性全身性エリテマトーデス、外傷性脳損傷後の神経炎症、神経自己免疫障害、アルツハイマー病、術後せん妄及び認知低下、頭蓋放射線誘発性認知低下、ウイルス感染誘発性認知低下、視神経性脊髄炎、または毛細血管拡張性運動失調症である、請求項38~40のいずれかに記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表
本出願は、電子形式で配列表とともに出願されている。配列表は、サイズが64KBである、2022年6月13日に作成されたBIOL0386WOSEQ_ST25.txtのファイル名で提供される。この配列表の電子形式の情報は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
細胞または動物におけるIFNAR1 RNAの量または活性を低減するため、そしてある特定の例では、細胞または動物におけるIFNAR1タンパク質の量を低減するためのオリゴマー化合物、方法、及び薬学的組成物が提供される。そのようなオリゴマー化合物、方法、及び薬学的組成物は、Aicardi-Goutieres症候群、脳卒中、神経精神性全身性エリテマトーデス、外傷性脳損傷後の神経炎症、神経自己免疫障害、アルツハイマー病、術後せん妄及び認知低下、頭蓋放射線誘発性認知低下、ウイルス感染誘発性認知低下、視神経性脊髄炎、及び毛細血管拡張性運動失調症を含む、神経炎症に関連する神経疾患または状態を治療するのに有用である。
【背景技術】
【0003】
Aicardi-Goutieres症候群(AGS)は、発作、摂食困難、ジストニア、痙攣、運動発達遅延、言語発達遅延、及び社会的技能発達遅延を含む、いくつかの神経病理学的症状に関連する進行性炎症性脳症である。AGS患者のイメージングにより、白質異常、T細胞浸潤、B細胞浸潤、線条体壊死、脳萎縮、基底神経節石灰化、及び微小脳症が明らかになり、患者はまた、脳脊髄液中のインターフェロンアルファ(IFNa)及びリンパ球増加のレベルも上昇している。AGSは、TREX1(DNAエキソヌクレアーゼ)、RNASEH2A、BまたはC(RNASEH2のサブユニット)、SAMHD1(dNTPヒドラーゼ)、ADAR1(RNA編集酵素)、MDA5(dsRNAセンサー)、USP18(I型IFNシグナル伝達のネガティブレギュレーター)、LSM11及びRNU7-1(複製依存性ヒストン前mRNA処理複合体の成分)の10個の遺伝子のうちの1つの変異に関連している。これらの遺伝子のうちのいずれか1つにおける変異は、抗ウイルス応答の異常な活性化及び高レベルのIFNaをもたらす(Adang,et al.,2020,J.Child Neurol.,35,7016、Rodero,et al.,2016,J.Esp.Med.,213,2527-2538)。
【0004】
インターフェロンアルファ及びベータ受容体サブユニット1(IFNAR1)は、I型インターフェロンシグナル伝達に関与するインターフェロンアルファ受容体の2つの成分の1つである。I型インターフェロンシグナル伝達は、AGS患者において上昇し、神経病理学の重要なメディエーターであると考えられている。I型インターフェロンシグナル伝達のレベルの上昇はまた、脳卒中、脳損傷、アルツハイマー病、神経精神性全身性エリテマトーデス、視神経性脊髄炎、術後せん妄及び認知低下、頭蓋放射線誘発性認知低下、ウイルス感染誘発性認知低下、及び毛細血管拡張性運動失調症に関連する神経炎症などの疾患または状態と関連している(Wlodarczyk,et al.,2021,Glia 69,943-953、Santer,et al.,2009,J.Immunol.182,1192-1201、Zeng,et al.,2019,Arthritis Res.Ther.21,205.017、Karageorgas,et al.,2011,J Biomed Biotechnol 2011,273907、Roy,et al.,2020,J Clin Invest.130, 1912-1930、Witcher,2021,J.Neurosci.JN-RM-2469-2420、Blank,et al.,2016,Immunity 44,901-912、Hartlova,et al.,2015,Immunity 44,901-912、McDonugh,et al.,2017,J Neurosci.37,8292-8308)。トランスジェニックマウスにおけるIFNaの過剰発現は、I型インターフェロンシグナル伝達のレベルの上昇をもたらし、神経変性変化、T細胞浸潤、B細胞浸潤、ミクログリア細胞活性化、反応性星状細胞増加症、内皮細胞の活性化、ならびに視床及び小脳の石灰化をもたらす(Hofer,et al.,2013,Cytokine & Growth Factor Reviews 24,257-267、Klok,et al.,2015,Ann.Clin.Transl.Neurol.,2,774-779)。I型インターフェロンシグナル伝達は、テトラトリコペプチド反復1(Ifit1)を有するインターフェロン誘導タンパク質、テトラトリコペプチド反復3(Ifit3)を有するインターフェロン誘導タンパク質、及びインターフェロン調節因子7(Irf7)を含む何百もの遺伝子の発現を誘導する(Li,et al.,2018,J.Biol.Chem.292,P5845-P5859)。アルツハイマー病のマウスモデルをIFNAR1ノックアウトマウスと交配することにより、I型インターフェロンシグナル伝達が抑制され、グリア細胞の抗炎症応答が得られ、神経炎症が減少した(Minter,M.R.,et al.,2016,Acta Neuropathologica Commun.4:72)。
【発明の概要】
【0005】
本明細書に記載のある特定の実施形態のオリゴマー化合物、方法、及び薬学的組成物は、細胞または動物におけるIFNAR1発現を低減または阻害するのに有用である。ある特定の実施形態では、IFNAR1 RNAまたはタンパク質レベルは、細胞または動物において低減され得る。ある特定の実施形態では、対象は、Aicardi-Goutieres症候群を有する。ある特定の実施形態では、対象は、TREX1、RNASEH2A、RNASEH2B、RNASEH2C、SAMHD1、ADAR1、MDA5、USP18、LSM11、またはRNU7-1における変異に関連する疾患または障害を有する。
【0006】
上昇したI型インターフェロンシグナル伝達に関連する疾患または状態を治療する方法もまた、提供され、ある特定の実施形態では、疾患または障害は、AGS、脳卒中、てんかん、外傷性脳損傷後の神経炎症、神経自己免疫疾患、アルツハイマー病、術後せん妄及び認知機能低下、頭蓋放射線誘発性認知機能低下、ウイルス感染誘発性認知機能低下、視神経脊髄炎または毛細血管拡張性運動失調症である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
前述の概要及び以下の詳細な説明はいずれも、例示的かつ説明的であるにすぎず、制限するものではないことを理解されたい。本明細書では、単数形の使用は、別途明確な定めのない限り、複数形を含む。本明細書で使用される場合、「または」の使用は、別途定めのない限り、「及び/または」を意味する。更に、「含むこと」という用語、ならびに「含む」及び「含まれる」などの他の形態の使用は、限定するものではない。また、「要素」または「成分」などの用語は、別途明確に記述されない限り、1つのユニットを含む要素及び成分、ならびに2つ以上のサブユニットを含む要素及び成分の両方を包含する。
【0008】
本明細書で使用される項の見出しは、構成的目的のためのみであり、記載される主題を限定するものと解釈されるべきではない。これらに限定されないが、特許、特許出願、論説、書物、及び論文を含む、この出願に列挙される全ての書類、または書類の一部は、本明細書で考察される書類の一部、ならびにそれらの全体が参照により本明細書に明確に組み込まれる。
【0009】
定義
具体的な定義が提供されない限り、本明細書に記載される分析化学、有機合成化学、ならびに医薬的及び薬学的化学に関連して使用される命名法、ならびにそれらの手順及び技法は、当該技術分野で周知のものであり、一般に使用されている。許容される場合、本開示全体において参照される全ての特許、出願、公開された出願、ならびに他の出版物及び他のデータは、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0010】
別段の指示がない限り、下記の用語は、以下の意味である。
【0011】
本明細書で使用される場合、「2’-デオキシヌクレオシド」とは、2’-H(H)デオキシフラノシル糖部分を含むヌクレオシドを意味する。ある特定の実施形態では、2’-デオキシヌクレオシドは、2’-β-D-デオキシヌクレオシドであり、天然に存在するデオキシリボ核酸(DNA)にみられるようなβ-Dリボシル立体配置を有する2’-β-D-デオキシリボシル糖部分を含む。ある特定の実施形態では、2’-デオキシヌクレオシドは、修飾された核酸塩基を含み得るか、またはRNA核酸塩基(ウラシル)を含み得る。
【0012】
本明細書で使用される場合、「2’-MOE」とは、フラノシル糖部分の2’-OH基の代わりの2’-O(CH2)2OCH3基を意味する。「2’-MOE糖部分」または「2’-O-メトキシエチル糖部分」とは、フラノシル糖部分の2’-OH基の代わりに2’-O(CH2)2OCH3基を有する糖部分を意味する。別段の指示がない限り、2’-MOE糖部分は、β-D-リボシル配置にある。「MOE」は、O-メトキシエチルを意味する。
【0013】
本明細書で使用される場合、「2’-MOEヌクレオシド」とは、2’-MOE糖部分を含むヌクレオシドを意味する。
【0014】
本明細書で使用される場合、「5-メチルシトシン」とは、5位に結合されたメチル基で修飾されたシトシンを意味する。5-メチルシトシンは、修飾された核酸塩基である。
【0015】
本明細書で使用される場合、治療に関連する「緩和する」とは、治療の不在下で同じ症状または特徴と比較して、少なくとも1つの症状または特徴に緩和がみられることを意味する。ある特定の実施形態では、緩和は、症状もしくは特徴の重症度もしくは頻度の低下、または症状もしくは特徴の発症の遅延、または症状もしくは特徴の重症度もしくは頻度の進行の遅延である。ある特定の実施形態では、症状または特徴は、発作、摂食困難、ジストニア、痙攣、運動発達遅延、言語発達遅延、社会的技能発達遅延、白質異常、T細胞浸潤、B細胞浸潤、線条体壊死、脳萎縮、基底神経節石灰化、及び微小脳症のうちの1つ以上である。ある特定の実施形態では、特徴は、対象の脳脊髄液中のIFNaまたはリンパ球増加症のレベルである。
【0016】
本明細書で使用される場合、「集団」とは、同一の分子式の複数の分子を意味する。
【0017】
本明細書で使用される場合、集団に関して「キラル的に濃縮された」とは、同一の分子式の複数の分子であって、特定のキラル中心で特定の立体化学配置を含む集団内の分子の数またはパーセンテージが、本明細書に定義されるように、特定のキラル中心がステレオランダムである場合に集団内の同じ特定のキラル中心で同じ特定の立体化学配置を含むことが予想される分子の数またはパーセンテージよりも大きい、同一の分子式の複数の分子を意味する。各分子内に複数のキラル中心を有する分子のキラル濃縮集団は、1つ以上のステレオランダムなキラル中心を含み得る。ある特定の実施形態では、分子は、修飾されたオリゴヌクレオチドである。ある特定の実施形態では、分子は、修飾されたオリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物である。ある特定の実施形態では、キラル中心は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合のリン原子にある。ある特定の実施形態では、キラル中心は、メシルホスホロアミデートヌクレオシド間結合のリン原子にある。
【0018】
本明細書で使用される場合、ヌクレオシド間結合に関して「キラル的に制御された」とは、その結合が特定の立体化学的配置について濃縮されているキラリティを意味する。
【0019】
本明細書で使用される場合、「アンチセンス剤」とは、アンチセンス化合物、及び任意選択で、センス化合物などの1つ以上の追加の特徴を意味する。RNAiは特許請求されないが、それを維持することの背後にある私の考えは、化合物をsiRNA配列と区別するための根拠が必要になると考える場合であった。
【0020】
本明細書で使用される場合、「脳脊髄液」または「CSF」とは、脳及び脊髄の周囲の空間を満たす流体を意味する。「人工脳脊髄液」または「aCSF」とは、脳脊髄液と同様の特定の特性(例えば、オスモル濃度、pH、及び/または電解質)を有し、CSFと生体適合性である調製または製造された流体を意味する。
【0021】
本明細書で使用される場合、「コンジュゲート基」とは、オリゴヌクレオチドに直接的に結合している原子団を意味する。コンジュゲート基は、コンジュゲート部分、及びコンジュゲート部分をオリゴヌクレオチドに結合させるコンジュゲートリンカーを含む。
【0022】
本明細書で使用される場合、「コンジュゲートリンカー」とは、単結合またはコンジュゲート部分をオリゴヌクレオチドに連結する少なくとも1つの結合を含む原子団を意味する。
【0023】
本明細書で使用される場合、「コンジュゲート部分」とは、薬力学、薬物動態学、安定性、結合、吸収、組織分布、細胞分布、細胞取り込み、電荷、及びクリアランスを含むが、これらに限定されない、コンジュゲート部分を欠く同一の分子と比較して、分子の1つ以上の特性を修飾する、共有結合された原子団を意味する。
【0024】
本明細書で使用される場合、「デオキシ領域」とは、5~12個の連続したヌクレオチドの領域を意味し、ヌクレオシドのうちの少なくとも70%は、β-D-2’-デオキシリボシル糖部分である。ある特定の実施形態では、デオキシ領域は、ギャップマーのギャップである。
【0025】
本明細書で使用される場合、「ヌクレオシド間結合」は、オリゴヌクレオチド内の隣接するヌクレオシド間の共有結合である。本明細書で使用される場合、「修飾されたヌクレオシド間結合」とは、ホスホジエステルヌクレオシド間結合以外の任意のヌクレオシド間結合を意味する。
【0026】
本明細書で使用される場合、「結合されたヌクレオシド」とは、連続した配列において接続されている(すなわち、結合されたヌクレオシド間に追加のヌクレオシドが存在しない)ヌクレオシドである。
【0027】
本明細書で使用される場合、「モチーフ」は、オリゴヌクレオチドにおける修飾されていない及び/または修飾された糖部分、核酸塩基、及び/またはヌクレオシド間結合のパターンを意味する。
【0028】
本明細書で使用される場合、「修飾されたヌクレオシド」とは、修飾核された酸塩基及び/または修飾された糖部分を含むヌクレオシドを意味する。
【0029】
本明細書で使用される場合、「非二環式の修飾された糖部分」は、第2の環を形成するための糖の2つの原子間に架橋を形成しない、置換基などの修飾を含む修飾された糖部分を意味する。
【0030】
本明細書で使用される場合、「核酸塩基」とは、修飾されていない核酸塩基または修飾された核酸塩基を意味する。核酸塩基は、複素環式部分である。本明細書で使用される場合、「非修飾核酸塩基」は、アデニン(A)、チミン(T)、シトシン(C)、ウラシル(U)、またはグアニン(G)である。本明細書で使用される場合、「修飾された核酸塩基」とは、少なくとも1つの他の核酸塩基と対合することができる修飾されていないA、T、C、U、またはG以外の原子団である。「5-メチルシトシン」は、修飾核酸塩基である。ユニバーサル塩基とは、5種類の非修飾核酸塩基の任意の1つと対合できる核酸塩基である。
【0031】
本明細書で使用される場合、「核酸塩基配列」とは、任意の糖またはヌクレオシド間結合修飾とは無関係の核酸またはオリゴヌクレオチドにおける連続する核酸塩基の順番を意味する。
【0032】
本明細書で使用される場合、「ヌクレオシド」は、核酸塩基及び糖部分を含む化合物または化合物の断片を意味する。核酸塩基及び糖部分は各々独立して、修飾されていないか、または修飾されている。
【0033】
本明細書で使用される場合、「オリゴマー化合物」とは、オリゴヌクレオチド、及び任意選択で、コンジュゲート基または末端基などの1つ以上の追加の特徴を意味する。オリゴマー化合物は、第1のオリゴマー化合物と相補的な第2のオリゴマー化合物と対になっていてもよく、または対になっていなくてもよい。「一本鎖オリゴマー化合物」は、不対オリゴマー化合物である。
【0034】
本明細書で使用される場合、「オリゴヌクレオチド」とは、ヌクレオシド間結合を介して連結されている結合されたヌクレオシドの鎖を意味し、ヌクレオシド及びヌクレオシド間結合は各々、修飾されていても修飾されていなくてもよい。別段の指示がない限り、オリゴヌクレオチドは、8~50個の結合されたヌクレオシドからなる。本明細書で使用される場合、「修飾されたオリゴヌクレオチド」とは、オリゴヌクレオチドを意味し、少なくとも1つのヌクレオシドまたはヌクレオシド間結合は、修飾されている。本明細書で使用される場合、「修飾されていないオリゴヌクレオチド」とは、任意のヌクレオシド修飾またはヌクレオシド間修飾を含まないオリゴヌクレオチドを意味する。
【0035】
本明細書で使用される場合、「オリゴヌクレオチド」とは、ヌクレオシド間結合を介して連結されている結合されたヌクレオシドの鎖を意味し、ヌクレオシド及びヌクレオシド間結合は各々、修飾されていても修飾されていなくてもよい。別段の指示がない限り、オリゴヌクレオチドは、8~50個の結合されたヌクレオシドからなる。本明細書で使用される場合、「修飾されたオリゴヌクレオチド」とは、オリゴヌクレオチドを意味し、少なくとも1つのヌクレオシドまたはヌクレオシド間結合は、修飾されている。本明細書で使用される場合、「修飾されていないオリゴヌクレオチド」とは、任意のヌクレオシド修飾またはヌクレオシド間修飾を含まないオリゴヌクレオチドを意味する。
【0036】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体または希釈剤」とは、動物に投与することにおいて使用するのに好適な任意の物質を意味する。ある特定のそのような担体は、薬学的組成物を、例えば、対象による経口摂取のための丸剤、錠剤、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液、及びトローチ剤として製剤化することを可能にする。ある特定の実施形態では、薬学的に許容される担体または希釈剤は、滅菌水、滅菌生理食塩水、滅菌緩衝液、または滅菌人工脳脊髄液である。
【0037】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」とは、化合物の生理学的及び薬学的に許容される塩を意味する。薬学的に許容される塩は、親化合物の望ましい生物学的活性を保持し、望ましくない毒物学的影響を親化合物に与えない。
【0038】
本明細書で使用される場合、「薬学的組成物」とは、対象に投与するのに好適な物質の混合物を意味する。例えば、薬学的組成物は、オリゴマー化合物及び滅菌水溶液を含むことができる。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、ある特定の細胞株での自由取り込みアッセイにおいて活性を示す。
【0039】
本明細書で使用される場合、同一の分子式の分子の集団の文脈における「ステレオランダム」または「ステレオランダムキラル中心」とは、特定の絶対的立体化学的配置のために、合成中に制御されないか、または合成後に濃縮されないキラル中心を意味する。キラル中心の立体化学的配置は、立体化学的配置を制御するように設計されていない合成法の結果である場合にはランダムである。例えば、ステレオランダムキラル中心を含む分子の集団において、ステレオランダムキラル中心の(S)配置を有する分子の数は、ステレオランダムキラル中心の(R)配置を有する分子の数と同じであり得るが、必ずしも同じであるとは限らない。ある特定の実施形態では、ステレオランダムキラル中心は、例えば、隣接する糖部分の濃縮された立体化学の近くでの非キラル試薬の作用により、1つの絶対構成が合成後に優勢であるため、ラセミではない。ある特定の実施形態では、ステレオランダムキラル中心は、ステレオランダムホスホロチオエートまたはメシルホスホロアミデートヌクレオシド間結合のリン原子にある。
【0040】
本明細書で使用される場合、「糖部分」とは、修飾されていない糖部分または修飾された糖部分を意味する。本明細書で使用される場合、「修飾されていない糖部分」とは、RNA中に見出されるような2’-OH(H)リボシル部分(「修飾されていないRNA糖部分」)、またはDNA中に見出されるような2’-H(H)デオキシリボシル糖部分(「修飾されていないDNA糖部分」)を意味する。修飾されていない糖部分は1’、3’、及び4’位の各々に1個の水素、3’位に1個の酸素、5’位に2個の水素を有する。本明細書で使用される場合、「修飾された糖部分」または「修飾された糖」とは、修飾されたフラノシル糖部分または糖サロゲートを意味する。
【0041】
本明細書で使用される場合、「症状または特徴」とは、疾患または障害の存在または程度を示す任意の身体的特徴または検査結果を意味する。ある特定の実施形態では、症状は、対象またはその対象を診察もしくは検査する医療専門家に明らかである。ある特定の実施形態では、特徴は、死後検査を含むがこれに限定されない侵襲的診断検査により明らかである。ある特定の実施形態では、特徴は、脳MRIスキャンにより明らかである。
【0042】
本明細書で使用される場合、「標的核酸」及び「標的RNA」とは、オリゴマー化合物が作用するように設計されている核酸を意味する。標的RNAは、RNA転写産物を意味し、別段の定めがない限り、pre-mRNA及びmRNAを含む。
【0043】
本明細書で使用される場合、「標的領域」とは、これとハイブリダイズするようにオリゴマー化合物が設計されている標的核酸の一部を意味する。
【0044】
本明細書で使用される場合、「末端基」とは、オリゴヌクレオチドの末端に共有結合した化学基または原子団を意味する。
【0045】
本明細書で使用される場合、「アンチセンス活性」とは、アンチセンス化合物のその標的核酸へのハイブリダイゼーションに起因し得る任意の検出可能な及び/または測定可能な変化を意味する。ある特定の実施形態では、アンチセンス活性は、アンチセンス化合物の不在下で標的核酸レベルまたは標的タンパク質レベルと比較した、標的核酸またはかかる標的核酸によってコードされるタンパク質の量または発現の低減である。
【0046】
本明細書で使用される場合、「ギャップマー」とは、1個以上のヌクレオシドを有する外部領域の間に位置する内部領域を含む修飾されたオリゴヌクレオチドを意味し、内部領域を構成するヌクレオシドが外部領域を構成するヌクレオシド(複数可)とは化学的に異なっており、修飾されたオリゴヌクレオチドがRNase H切断を支援する。内部領域は、「ギャップ」と称される場合があり、外部領域は、「ウイング」と称される場合がある。ある特定の実施形態では、内部領域は、デオキシ領域である。内部領域またはギャップの位置は、内部領域のヌクレオシドの順番を指し、内部領域の5’末端から計数される。別段の指示がない限り、「ギャップマー」は糖モチーフを意味する。ある特定の実施形態では、ギャップの各ヌクレオシドは、2’-β-D-デオキシヌクレオシドである。本明細書で使用される場合、「MOEギャップマー」は、2’-β-D-デオキシヌクレオシドを含むギャップ及び2’-MOEヌクレオシドを含むウイングを有するギャップマーを示す。別段の指示がない限り、ギャップマーは、1個以上の修飾ヌクレオシド間結合及び/または修飾核酸塩基を含み得、そのような修飾は、必ずしも糖修飾のギャップマーパターンに従うとは限らない。
【0047】
本明細書で使用される場合、「ハイブリダイゼーション」とは、オリゴヌクレオチド及び/または核酸のアニーリングを意味する。特定のメカニズムに限定されないが、ハイブリダイゼーションの最も一般定なメカニズムは、相補的核酸塩基の間の、ワトソン・クリック、フーグスティーン、または逆フーグスティーン水素結合であり得る水素結合を伴う。ある特定の実施形態では、相補性核酸分子は、これらに限定されないが、アンチセンス化合物及び核酸標的を含む。ある特定の実施形態では、相補性核酸分子は、これらに限定されないが、オリゴヌクレオチド及び核酸標的を含む。
【0048】
本明細書で使用される場合、「RNAi剤」とは、少なくとも部分的に、RISCまたはAgo2を介して、標的核酸及び/または標的核酸によってコードされるタンパク質を調節するように作用する、アンチセンス剤を意味する。RNAi剤は、二本鎖siRNA、一本鎖RNAi(ssRNAi)、及びmicroRNA模倣物を含むmicroRNAを含むが、これらに限定されない。RNAi剤は、コンジュゲート基及び/または末端基を含み得る。ある特定の実施形態では、RNAi剤は、標的核酸の量及び/または活性を調節する。RNAi剤という用語は、RNase Hを介して作用するアンチセンス剤を除外する。
【0049】
本明細書で使用される場合、「RNase H剤」とは、RNase Hを介して、標的核酸及び/または標的核酸によってコードされるタンパク質を調節するように作用する、アンチセンス剤を意味する。ある特定の実施形態では、RNase H剤は、一本鎖である。ある特定の実施形態では、RNase H剤は、二本鎖である。RNase H化合物は、コンジュゲート基及び/または末端基を含み得る。ある特定の実施形態では、RNase H剤は、標的核酸の量及び/または活性を調節する。RNase H剤という用語は、主にRISC/Ago2を介して作用するアンチセンス剤を除外する。
【0050】
本明細書で使用される場合、「治療すること」とは、本明細書に記載のオリゴマー化合物を投与することによって、対象の疾患または状態を改善することを意味する。ある特定の実施形態では、対象を治療することは、治療の不在下で同じ症状に対する症状を改善する。ある特定の実施形態では、治療は、症状の重症度もしくは頻度を低減するか、または症状の発症を遅延させるか、症状の進行を遅延させるか、または症状の重症度もしくは頻度を遅延させる。
【0051】
本明細書で使用される場合、「治療有効量」とは、動物に治療効果を提供する医薬品または組成物の量を意味する。例えば、治療有効量は、疾患の症状を改善する。
【0052】
特定の実施形態
実施形態1.以下の化学構造に従う、修飾されたオリゴヌクレオチド
【0053】
【0054】
(配列番号10)、またはその塩。
【0055】
実施形態2.ナトリウム塩またはカリウム塩である、実施形態1に記載の修飾されたオリゴヌクレオチド。
【0056】
実施形態3.以下の化学構造に従う、修飾されたオリゴヌクレオチド
【0057】
【0058】
(配列番号10)。
【0059】
実施形態4.以下の化学構造に従う、修飾されたオリゴヌクレオチド
【0060】
【0061】
(配列番号11)、またはその塩。
【0062】
実施形態5.ナトリウム塩またはカリウム塩である、実施形態4に記載の修飾されたオリゴヌクレオチド。
【0063】
実施形態6.以下の化学構造に従う、修飾されたオリゴヌクレオチド
【0064】
【0065】
(配列番号11)。
【0066】
実施形態7.以下の化学構造に従う、修飾されたオリゴヌクレオチド
【0067】
【0068】
(配列番号12)、またはその塩。
【0069】
実施形態8.ナトリウム塩またはカリウム塩である、実施形態7に記載の修飾されたオリゴヌクレオチド。
【0070】
実施形態9.以下の化学構造に従う、修飾されたオリゴヌクレオチド
【0071】
【0072】
(配列番号12)。
【0073】
実施形態10.以下の化学構造に従う、修飾されたオリゴヌクレオチド
【0074】
【0075】
(配列番号9)、またはその塩。
【0076】
実施形態11.ナトリウム塩またはカリウム塩である、実施形態10に記載の修飾されたオリゴヌクレオチド。
【0077】
実施形態12.以下の化学構造に従う、修飾されたオリゴヌクレオチド
【0078】
【0079】
(配列番号9)。
【0080】
実施形態13.以下の化学構造に従う、修飾されたオリゴヌクレオチド
【0081】
【0082】
(配列番号13)、またはその塩。
【0083】
実施形態14.ナトリウム塩またはカリウム塩である、実施形態13に記載の修飾されたオリゴヌクレオチド。
【0084】
実施形態15.以下の化学構造に従う、修飾されたオリゴヌクレオチド
【0085】
【0086】
(配列番号13)。
【0087】
実施形態16.以下の化学構造に従う、修飾されたオリゴヌクレオチド
【0088】
【0089】
(配列番号14)、またはその塩。
【0090】
実施形態17.ナトリウム塩またはカリウム塩である、実施形態16に記載の修飾されたオリゴヌクレオチド。
【0091】
実施形態18.以下の化学構造に従う、修飾されたオリゴヌクレオチド
【0092】
【0093】
(配列番号14)。
【0094】
実施形態19.以下の化学表記法に従う修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、オリゴマー化合物であって、Tes
mCeoGeo
mCeo
mCesTdsAdsAdsTdsTdsTdsTdsTds
mCdsTds
mCeoTeo
mCesAes
mCe(配列番号10)、式中、
Aが、アデニン核酸塩基であり、
mCが、5-メチルシトシン核酸塩基であり、
Gが、グアニン核酸塩基であり、
Tが、チミン核酸塩基であり、
eが、2’-MOE糖部分であり、
dが、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分であり、
sが、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、
oが、ホスホジエステルヌクレオシド間結合である、前記オリゴマー化合物。
【0095】
実施形態20.以下の化学表記法に従う修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、オリゴマー化合物であって、mCesTeoTeoTeoTeoTeo
mCdsTdsGds
mCdsTds
mCdsTdsTdsAdsTdsAeo
mCesGes
mCe(配列番号11)、式中、
Aが、アデニン核酸塩基であり、
mCが、5-メチルシトシン核酸塩基であり、
Gが、グアニン核酸塩基であり、
Tが、チミン核酸塩基であり、
eが、2’-MOE糖部分であり、
dが、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分であり、
sが、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、
oが、ホスホジエステルヌクレオシド間結合である、前記オリゴマー化合物。
【0096】
実施形態21.以下の化学表記法に従う修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、オリゴマー化合物であって、mCesTeoGeoTeoTeoTeoTdsAds
mCdsAdsTdsTdsTdsTdsTdsTdsTeoTes
mCes
mCe(配列番号12)、式中、
Aが、アデニン核酸塩基であり、
mCが、5-メチルシトシン核酸塩基であり、
Gが、グアニン核酸塩基であり、
Tが、チミン核酸塩基であり、
eが、2’-MOE糖部分であり、
dが、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分であり、
sが、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、
oが、ホスホジエステルヌクレオシド間結合である、前記オリゴマー化合物。
【0097】
実施形態22.以下の化学表記法に従う修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、オリゴマー化合物であって、TesTeoTeoAeoTes
mCds
mCdsAdsAdsTdsTdsAdsTds
mCds
mCdsAeoTeo
mCes
mCes
mCe(配列番号9)、式中、
Aが、アデニン核酸塩基であり、
mCが、5-メチルシトシン核酸塩基であり、
Gが、グアニン核酸塩基であり、
Tが、チミン核酸塩基であり、
eが、2’-MOE糖部分であり、
dが、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分であり、
sが、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、
oが、ホスホジエステルヌクレオシド間結合である、前記オリゴマー化合物。
【0098】
実施形態23.以下の化学表記法に従う修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、オリゴマー化合物であって、TesTeoTeo
mCeoAeoTeoAdsTdsTdsTdsGdsTdsTdsAds
mCdsTdsTeo
mCes
mCesTe(配列番号13)、式中、
Aが、アデニン核酸塩基であり、
mCが、5-メチルシトシン核酸塩基であり、
Gが、グアニン核酸塩基であり、
Tが、チミン核酸塩基であり、
eが、2’-MOE糖部分であり、
dが、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分であり、
sが、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、
oが、ホスホジエステルヌクレオシド間結合である、前記オリゴマー化合物。
【0099】
実施形態24.以下の化学表記法に従う修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、オリゴマー化合物であって、TesTeo
mCeoGeo
mCeo
mCeoTdsAdsAdsTdsTdsTdsTdsTds
mCdsTds
mCeoTes
mCesAe(配列番号14)、式中、
Aが、アデニン核酸塩基であり、
mCが、5-メチルシトシン核酸塩基であり、
Gが、グアニン核酸塩基であり、
Tが、チミン核酸塩基であり、
eが、2’-MOE糖部分であり、
dが、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分であり、
sが、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、
oが、ホスホジエステルヌクレオシド間結合である、前記オリゴマー化合物。
【0100】
実施形態25.実施形態1~18のいずれかの修飾されたオリゴヌクレオチドの集団、または実施形態19~24のいずれかのオリゴマー化合物の集団であって、前記修飾されたオリゴヌクレオチドのホスホロチオエートヌクレオシド間結合の全てが、ステレオランダムである、前記集団。
【0101】
実施形態26.実施形態1~18のいずれかに記載の修飾されたオリゴヌクレオチド、実施形態19~24のいずれかに記載のオリゴマー化合物、または実施形態25に記載の修飾されたオリゴヌクレオチドの集団もしくはオリゴマー化合物の集団、及び薬学的に許容される希釈剤を含む、薬学的組成物。
【0102】
実施形態27.前記薬学的に許容される希釈剤が、人工脳脊髄液またはリン酸緩衝生理食塩水である、実施形態26に記載の薬学的組成物。
【0103】
実施形態28.前記薬学的組成物が、前記修飾されたオリゴヌクレオチド、前記オリゴマー化合物、または前記集団、及び人工脳脊髄液またはリン酸緩衝生理食塩水から本質的になる、実施形態27に記載の薬学的組成物。
【0104】
実施形態29.対象に、実施形態1~18のいずれかに記載の修飾されたオリゴヌクレオチド、実施形態19~24のいずれかに記載のオリゴマー化合物、または実施形態25に記載の修飾されたオリゴヌクレオチドの集団もしくはオリゴマー化合物の集団、または実施形態26~28のいずれかに記載の薬学的組成物を投与することを含む、方法。
【0105】
実施形態30.I型インターフェロンシグナル伝達に関連する疾患を治療する方法であって、I型インターフェロンシグナル伝達に関連する疾患を有する対象に、治療有効量の、実施形態1~18のいずれかに記載の修飾されたオリゴヌクレオチド、実施形態19~24のいずれかに記載のオリゴマー化合物、または実施形態25に記載の修飾されたオリゴヌクレオチドの集団もしくはオリゴマー化合物の集団、または実施形態26~28のいずれかに記載の薬学的組成物を投与し、それによって、I型インターフェロンシグナル伝達に関連する疾患を治療することを含む、前記方法。
【0106】
実施形態31.前記I型インターフェロンシグナル伝達に関連する疾患が、Aicardi-Goutieres症候群、脳卒中、神経精神性全身性エリテマトーデス、外傷性脳損傷後の神経炎症、神経自己免疫障害、アルツハイマー病、術後せん妄及び認知低下、頭蓋放射線誘発性認知低下、ウイルス感染誘発性認知低下、視神経性脊髄炎、または毛細血管拡張性運動失調症である、実施形態30に記載の方法。
【0107】
実施形態32.前記疾患が、インターフェロンアルファのレベルの上昇に関連する、実施形態30または31に記載の方法。
【0108】
実施形態33.前記修飾されたオリゴヌクレオチド、前記オリゴマー化合物、前記修飾されたオリゴヌクレオチドの集団もしくは前記オリゴマー化合物の集団、または前記薬学的組成物を投与することが、前記対象における発作、ジストニア、痙攣、白質異常、T細胞浸潤、B細胞浸潤、線条体壊死、脳萎縮、基底神経節石灰化、もしくは小脳髄症を低減する、前記対象における摂食、運動発達、言語発達、もしくは社会的技能発達を改善する、または前記対象の前記脳脊髄液中のインターフェロンアルファもしくはリンパ球増加を低減する、実施形態30~32のいずれか1つに記載の方法。
【0109】
実施形態34.細胞におけるIFNAR1の発現を低減する方法であって、実施形態1~18のいずれかに記載の修飾されたオリゴヌクレオチド、実施形態19~24のいずれかに記載のオリゴマー化合物、実施形態25に記載の修飾されたオリゴヌクレオチドの集団もしくはオリゴマー化合物の集団、または実施形態26~28のいずれかに記載の薬学的組成物と、前記細胞を接触させることを含む、前記方法。
【0110】
実施形態35.前記細胞が、ニューロンまたはグリア細胞であり、任意選択で、前記細胞が、アストロサイトまたはミクログリア細胞である、実施形態34に記載の方法。
【0111】
実施形態36.前記対象が、ヒトである、実施形態29~33のいずれかに記載の方法。
【0112】
実施形態37.前記細胞が、ヒト細胞である、実施形態34または35に記載の方法。
【0113】
実施形態38.I型インターフェロンシグナル伝達に関連する疾患を治療するための、実施形態1~18のいずれかに記載の修飾されたオリゴヌクレオチド、実施形態19~24のいずれかに記載のオリゴマー化合物、実施形態25に記載の修飾されたオリゴヌクレオチドの集団もしくはオリゴマー化合物の集団、または実施形態26~28のいずれかに記載の薬学的組成物の、使用。
【0114】
実施形態39.I型インターフェロンシグナル伝達に関連する疾患を治療するための医薬品の製造における、実施形態1~18のいずれかに記載の修飾されたオリゴヌクレオチド、実施形態19~24のいずれかに記載のオリゴマー化合物、実施形態25に記載の修飾されたオリゴヌクレオチドの集団もしくはオリゴマー化合物の集団、または実施形態26~28のいずれかに記載の薬学的組成物の、使用。
【0115】
実施形態40.前記疾患が、インターフェロンアルファのレベルの上昇に関連する、実施形態38または39に記載の使用。
【0116】
実施形態41.前記I型インターフェロンシグナル伝達に関連する疾患が、Aicardi-Goutieres症候群、脳卒中、神経精神性全身性エリテマトーデス、外傷性脳損傷後の神経炎症、神経自己免疫障害、アルツハイマー病、術後せん妄及び認知低下、頭蓋放射線誘発性認知低下、ウイルス感染誘発性認知低下、視神経性脊髄炎、または毛細血管拡張性運動失調症である、実施形態38~40のいずれかに記載の使用。
【0117】
1.化合物番号1489477
ある特定の実施形態では、化合物番号1489477は、(5’から3’に)CTTTTTCTGCTCTTATACGC(配列番号11)の配列を有する6-10-4MOEギャップマーとして特徴付けられ、ヌクレオシド1~6及び17~20(5’から3’に)は各々、2’-MOEヌクレオシドであり、ヌクレオシド7~16は各々、2’-β-D-デオキシヌクレオシドであり、ヌクレオシド2と3との間、3と4との間、4と5との間、5と6との間、6と7との間、及び17と18との間のヌクレオシド間結合は、ホスホジエステルヌクレオシド間結合であり、ヌクレオシド1と2との間、7と8との間、8と9との間、9と10との間、10と11との間、11と12との間、12と13との間、13と14との間、14と15との間、15と16との間、16と17との間、18と19との間、及び19と20との間のヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、各シトシンは、5-メチルシトシンである。
【0118】
ある特定の実施形態では、化合物番号1489477は、以下の化学表記法によって表され、mCesTeoTeoTeoTeoTeo
mCdsTdsGds
mCdsTds
mCdsTdsTdsAdsTdsAeo
mCesGes
mCe(配列番号11)、式中、
Aが、アデニン核酸塩基であり、
mCが、5-メチルシトシン核酸塩基であり、
Gが、グアニン核酸塩基であり、
Tが、チミン核酸塩基であり、
eが、2’-MOE糖部分であり、
dが、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分であり、
sが、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、
oが、ホスホジエステルヌクレオシド間結合である。
【0119】
ある特定の実施形態では、化合物番号1489477は、以下の化学構造によって表される。
【0120】
【0121】
(配列番号11)
構造1.化合物番号1489477
【0122】
ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物は、構造1によって表される修飾されたオリゴヌクレオチドのナトリウム塩またはカリウム塩を含む。
【0123】
ある特定の実施形態では、化合物番号1489477のナトリウム塩は、以下の化学構造によって表される。
【0124】
【0125】
(配列番号11)
構造2.化合物番号1489477のナトリウム塩
【0126】
2.化合物番号1489494
ある特定の実施形態では、化合物番号1489494は、(5’から3’に)CTGTTTTACATTTTTTTTCC(配列番号12)の配列を有する6-10-4MOEギャップマーとして特徴付けられ、ヌクレオシド1~6及び17~20(5’から3’に)は各々、2’-MOEヌクレオシドであり、ヌクレオシド7~16は各々、2’-β-D-デオキシヌクレオシドであり、ヌクレオシド2と3との間、3と4との間、4と5との間、5と6との間、6と7との間、及び17と18との間のヌクレオシド間結合は、ホスホジエステルヌクレオシド間結合であり、ヌクレオシド1と2との間、7と8との間、8と9との間、9と10との間、10と11との間、11と12との間、12と13との間、13と14との間、14と15との間、15と16との間、16と17との間、18と19との間、及び19と20との間のヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、各シトシンは、5-メチルシトシンである。
【0127】
ある特定の実施形態では、化合物番号1489494は、以下の化学表記法によって表され、mCesTeoGeoTeoTeoTeoTdsAds
mCdsAdsTdsTdsTdsTdsTdsTdsTeoTes
mCes
mCe(配列番号12)、式中、
Aが、アデニン核酸塩基であり、
mCが、5-メチルシトシン核酸塩基であり、
Gが、グアニン核酸塩基であり、
Tが、チミン核酸塩基であり、
eが、2’-MOE糖部分であり、
dが、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分であり、
sが、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、
oが、ホスホジエステルヌクレオシド間結合である。
【0128】
ある特定の実施形態では、化合物番号1489494は、以下の化学構造によって表される。
【0129】
【0130】
(配列番号12)
構造3.化合物番号1489494
【0131】
ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物は、構造3によって表される修飾されたオリゴヌクレオチドのナトリウム塩またはカリウム塩を含む。
【0132】
ある特定の実施形態では、化合物番号1489494のナトリウム塩は、以下の化学構造によって表される。
【0133】
【0134】
(配列番号12)
構造2.化合物番号1489494のナトリウム塩
【0135】
3.化合物番号1489525
ある特定の実施形態では、化合物番号1489525は、(5’から3’に)TTTATCCAATTATCCATCCC(配列番号9)の配列を有する5-10-5MOEギャップマーとして特徴付けられ、ヌクレオシド1~5及び16~20(5’から3’に)は各々、2’-MOEヌクレオシドであり、ヌクレオシド6~15は各々、2’-β-D-デオキシヌクレオシドであり、ヌクレオシド2と3との間、3と4との間、4と5との間、16と17との間、及び17と18との間のヌクレオシド間結合は、ホスホジエステルヌクレオシド間結合であり、ヌクレオシド1と2との間、5と6との間、6と7との間、7と8との間、8と9との間、9と10との間、10と11との間、11と12との間、12と13との間、13と14との間、14と15との間、15と16との間、18と19との間、及び19と20との間のヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、各シトシンは、5-メチルシトシンである。
【0136】
ある特定の実施形態では、化合物番号1489525は、以下の化学表記法によって表され、TesTeoTeoAeoTes
mCds
mCdsAdsAdsTdsTdsAdsTds
mCds
mCdsAeoTeo
mCes
mCes
mCe(配列番号9)、式中、
Aが、アデニン核酸塩基であり、
mCが、5-メチルシトシン核酸塩基であり、
Gが、グアニン核酸塩基であり、
Tが、チミン核酸塩基であり、
eが、2’-MOE糖部分であり、
dが、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分であり、
sが、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、
oが、ホスホジエステルヌクレオシド間結合である。
【0137】
ある特定の実施形態では、化合物番号1489525は、以下の化学構造によって表される。
【0138】
【0139】
(配列番号9)
構造5.化合物番号1489525
【0140】
ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物は、構造5によって表される修飾されたオリゴヌクレオチドのナトリウム塩またはカリウム塩を含む。
【0141】
ある特定の実施形態では、化合物番号1489525のナトリウム塩は、以下の化学構造によって表される。
【0142】
【0143】
(配列番号9)
構造6.化合物番号1489525のナトリウム塩
【0144】
4.化合物番号1492069
ある特定の実施形態では、化合物番号1492069は、(5’から3’に)TCGCCTAATTTTTCTCTCAC(配列番号10)の配列を有する5-10-5MOEギャップマーとして特徴付けられ、ヌクレオシド1~5及び16~20(5’から3’に)は各々、2’-MOEヌクレオシドであり、ヌクレオシド6~15は各々、2’-β-D-デオキシヌクレオシドであり、ヌクレオシド2と3との間、3と4との間、4と5との間、16と17との間、及び17と18との間のヌクレオシド間結合は、ホスホジエステルヌクレオシド間結合であり、ヌクレオシド1と2との間、5と6との間、6と7との間、7と8との間、8と9との間、9と10との間、10と11との間、11と12との間、12と13との間、13と14との間、14と15との間、15と16との間、18と19との間、及び19と20との間のヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、各シトシンは、5-メチルシトシンである。
【0145】
ある特定の実施形態では、化合物番号1492069は、以下の化学表記法によって表され、Tes
mCeoGeo
mCeo
mCesTdsAdsAdsTdsTdsTdsTdsTds
mCdsTds
mCeoTeo
mCesAes
mCe(配列番号10)、式中、
Aが、アデニン核酸塩基であり、
mCが、5-メチルシトシン核酸塩基であり、
Gが、グアニン核酸塩基であり、
Tが、チミン核酸塩基であり、
eが、2’-MOE糖部分であり、
dが、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分であり、
sが、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、
oが、ホスホジエステルヌクレオシド間結合である。
【0146】
ある特定の実施形態では、化合物番号1492069は、以下の化学構造によって表される。
【0147】
【0148】
(配列番号10)
構造7.化合物番号1492069
【0149】
ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物は、構造7によって表される修飾されたオリゴヌクレオチドのナトリウム塩またはカリウム塩を含む。
【0150】
ある特定の実施形態では、化合物番号1492069のナトリウム塩は、以下の化学構造によって表される。
【0151】
【0152】
(配列番号10)
構造8.化合物番号1492069のナトリウム塩
【0153】
5.化合物番号1492082
ある特定の実施形態では、化合物番号1492082は、(5’から3’に)TTTCATATTTGTTACTTCCT(配列番号13)の配列を有する6-10-4MOEギャップマーとして特徴付けられ、ヌクレオシド1~6及び17~20(5’から3’に)は各々、2’-MOEヌクレオシドであり、ヌクレオシド7~16は各々、2’-β-D-デオキシヌクレオシドであり、ヌクレオシド2と3との間、3と4との間、4と5との間、5と6との間、6と7との間、及び17と18との間のヌクレオシド間結合は、ホスホジエステルヌクレオシド間結合であり、ヌクレオシド1と2との間、7と8との間、8と9との間、9と10との間、10と11との間、11と12との間、12と13との間、13と14との間、14と15との間、15と16との間、16と17との間、18と19との間、及び19と20との間のヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、各シトシンは、5-メチルシトシンである。
【0154】
ある特定の実施形態では、化合物番号1492082は、以下の化学表記法によって表され、TesTeoTeo
mCeoAeoTeoAdsTdsTdsTdsGdsTdsTdsAds
mCdsTdsTeo
mCes
mCesTe(配列番号13)、式中、
Aが、アデニン核酸塩基であり、
mCが、5-メチルシトシン核酸塩基であり、
Gが、グアニン核酸塩基であり、
Tが、チミン核酸塩基であり、
eが、2’-MOE糖部分であり、
dが、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分であり、
sが、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、
oが、ホスホジエステルヌクレオシド間結合である。
【0155】
ある特定の実施形態では、化合物番号1492082は、以下の化学構造によって表される。
【0156】
【0157】
(配列番号13)
構造9.化合物番号1492082
【0158】
ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物は、構造9によって表される修飾されたオリゴヌクレオチドのナトリウム塩またはカリウム塩を含む。
【0159】
ある特定の実施形態では、化合物番号1492082のナトリウム塩は、以下の化学構造によって表される。
【0160】
【0161】
(配列番号13)
構造10.化合物番号1492082のナトリウム塩
【0162】
6.化合物番号1492131
ある特定の実施形態では、化合物番号1492131は、(5’から3’に)TTCGCCTAATTTTTCTCTCA(配列番号14)の配列を有する6-10-4MOEギャップマーとして特徴付けられ、ヌクレオシド1~6及び17~20(5’から3’に)は各々、2’-MOEヌクレオシドであり、ヌクレオシド7~16は各々、2’-β-D-デオキシヌクレオシドであり、ヌクレオシド2と3との間、3と4との間、4と5との間、5と6との間、6と7との間、及び17と18との間のヌクレオシド間結合は、ホスホジエステルヌクレオシド間結合であり、ヌクレオシド1と2との間、7と8との間、8と9との間、9と10との間、10と11との間、11と12との間、12と13との間、13と14との間、14と15との間、15と16との間、16と17との間、18と19との間、及び19と20との間のヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、各シトシンは、5-メチルシトシンである。
【0163】
ある特定の実施形態では、化合物番号1492131は、以下の化学表記法によって表され、TesTeo
mCeoGeo
mCeo
mCeoTdsAdsAdsTdsTdsTdsTdsTds
mCdsTds
mCeoTes
mCesAe(配列番号14)、式中、
Aが、アデニン核酸塩基であり、
mCが、5-メチルシトシン核酸塩基であり、
Gが、グアニン核酸塩基であり、
Tが、チミン核酸塩基であり、
eが、2’-MOE糖部分であり、
dが、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分であり、
sが、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、
oが、ホスホジエステルヌクレオシド間結合である。
【0164】
ある特定の実施形態では、化合物番号1492131は、以下の化学構造によって表される。
【0165】
【0166】
(配列番号14)
構造11.化合物番号1492131
【0167】
ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物は、構造11によって表される修飾されたオリゴヌクレオチドのナトリウム塩またはカリウム塩を含む。
【0168】
ある特定の実施形態では、化合物番号1492131のナトリウム塩は、以下の化学構造によって表される。
【0169】
【0170】
(配列番号14)
構造12.化合物番号1492131のナトリウム塩
【0171】
I.ある特定のオリゴヌクレオチド
ある特定の実施形態では、結合されたヌクレオシドからなるオリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物が、本明細書に提供される。オリゴヌクレオチドは、修飾されていないオリゴヌクレオチド(RNAまたはDNA)であってもよく、または修飾されたオリゴヌクレオチドであってもよい。修飾されたオリゴヌクレオチドは、修飾されていないRNAまたはDNAに対して少なくとも1つの修飾を含む。すなわち、修飾されたオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの修飾されたヌクレオシド(修飾された糖及び/または修飾された核酸塩基を含むヌクレオシド)及び/または少なくとも1つの修飾されたヌクレオシド間結合を含む。
【0172】
A.ある特定の修飾されたヌクレオシド
修飾ヌクレオシドは、修飾された糖部分もしくは修飾された核酸塩基、または修飾された糖部分及び修飾された核酸塩基の両方を含む。
【0173】
1.ある特定の糖部分
ある特定の実施形態では、修飾された糖部分は、1つ以上の置換基を有するフラノシル環を含む非二環式の修飾された糖部分であり、そのいずれも、フラノシル環の2つの原子を架橋して二環式構造を形成しない。かかる非架橋置換基は、2’、3’、4’、及び/または5’位の置換基を含むがこれらに限定されない、フラノシルの任意の位置にあってよい。非二環式修飾糖部分に好適な2’-置換基の例としては、これらに限定されないが、2’-O(CH2)2OCH3(「MOE」または「O-メトキシエチル」)が挙げられる。
【0174】
ある特定の実施形態では、修飾されたフラノシル糖部分及びそのような修飾されたフラノシル糖部分を組み込むヌクレオシドは、異性体配置によって更に定義される。例えば、2’-デオキシフラノシル糖部分は、天然に存在するβ-D-デオキシリボシル配置以外の7つの異性体配置であってもよい。かかる修飾された糖部分は、例えば、参照により本明細書に組み込まれるWO2019/157531に記載されている。2’-修飾された糖部分は、2’-デオキシフラノシル糖部分と比較して、2’-位置で追加の立体中心を有する;したがって、かかる糖部分は、合計で16個の可能な異性体構成を有する。本明細書に記載される2’-修飾された糖部分は、別段の定めがない限り、β-D-リボシル異性体配置にある。
【0175】
2.ある特定の修飾核酸塩基
ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、修飾されていない核酸塩基を含む1つ以上のヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、修飾された核酸塩基を含む1つ以上のヌクレオシドを含む。修飾された核酸塩基の例としては、5-メチルシトシンが挙げられる。
【0176】
ある特定の修飾された核酸塩基の調製を教示する出版物としては、これらに限定することなく、Manoharan et al.,US2003/0158403、Manoharan et al.,US2003/0175906、Dinh et al.,U.S.4,845,205、Spielvogel et al.,U.S.5,130,302、Rogers et al.,U.S.5,134,066、Bischofberger et al.,U.S.5,175,273、Urdea et al.,U.S.5,367,066、Benner et al.,U.S.5,432,272、Matteucci et al.,U.S.5,434,257、Gmeiner et al.,U.S.5,457,187、Cook et al.,U.S.5,459,255、Froehler et al.,U.S.5,484,908、Matteucci et al.,U.S.5,502,177、Hawkins et al.,U.S.5,525,711、Haralambidis et al.,U.S.5,552,540、Cook et al.,U.S.5,587,469、Froehler et al.,U.S.5,594,121、Switzer et al.,U.S.5,596,091、Cook et al.,U.S.5,614,617、Froehler et al.,U.S.5,645,985、Cook et al.,U.S.5,681,941、Cook et al.,U.S.5,811,534、Cook et al.,U.S.5,750,692、Cook et al.,U.S.5,948,903、Cook et al.,U.S.5,587,470、Cook et al.,U.S.5,457,191、Matteucci et al.,U.S.5,763,588、Froehler et al.,U.S.5,830,653、Cook et al.,U.S.5,808,027、Cook et al.,U.S.6,166,199、及びMatteucci et al.,U.S.6,005,096が挙げられる。
【0177】
3.ある特定の修飾されたヌクレオシド間結合
RNA及びDNAの天然発生型ヌクレオシド間結合は、3’~5’ホスホジエステル結合である。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドのヌクレオシドは、1つ以上の修飾されたヌクレオシド間結合を使用して一緒に結合されてもよい。ヌクレオシド間連結基の2つの主要なクラスは、リン原子の存否によって定義される。代表的なリン含有ヌクレオシド間結合には、ホスホジエステル結合(「P=O」)(修飾されていないまたは天然型結合とも称される)を含むホスフェート、ホスホトリエステル、メチルホスホネート、ホスホルアミデート、及びホスホロチオエート(「P=S」)、及びホスホロジチオエート(「HS-P=S」)が含まれるが、これらに限定されない。修飾されたヌクレオシド間結合は、天然型ホスフェート結合と比較して、オリゴヌクレオチドのヌクレアーゼ耐性を改変、典型的には増加するために使用され得る。ある特定の実施形態では、キラル原子を有するヌクレオシド間結合が、ラセミ混合物として、または別個のエナンチオマーとして調製され得る。リン含有及びリン非含有ヌクレオシド間結合の調製方法は、当業者に周知である。
【0178】
キラル中心を有する代表的なヌクレオシド間結合には、ホスホロチオエートが含まれるが、これに限定されない。キラル中心を有するヌクレオシド間結合を含む修飾されたオリゴヌクレオチドは、ステレオランダムヌクレオシド間結合を含む修飾されたオリゴヌクレオチドの集団として、またはホスホロチオエートもしくは特定の立体化学的配置にキラル中心を含む他の結合を含む修飾されたオリゴヌクレオチドの集団として調製され得る。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドの集団は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含み、全てのホスホロチオエートヌクレオシド間結合は、ステレオランダムである。かかる修飾されたオリゴヌクレオチドは、各ホスホロチオエート結合の立体化学的配置のランダム選択をもたらす合成方法を使用して生成され得る。それにもかかわらず、各個々のオリゴヌクレオチド分子の各個々のホスホロチオエートは、定義される立体配置を有する。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドの集団は、特定の独立して選択される立体化学的配置にある1つ以上の特定のホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含む修飾されたオリゴヌクレオチドが濃縮されている。ある特定の実施形態では、特定のホスホロチオエート結合の特定の配置は、集団中の少なくとも65%の分子に存在する。ある特定の実施形態では、特定のホスホロチオエート結合の特定の配置は、集団中の少なくとも70%の分子に存在する。ある特定の実施形態では、特定のホスホロチオエート結合の特定の配置は、集団中の少なくとも80%の分子に存在する。ある特定の実施形態では、特定のホスホロチオエート結合の特定の配置は、集団中の少なくとも90%の分子に存在する。ある特定の実施形態では、特定のホスホロチオエート結合の特定の配置は、集団中の少なくとも99%の分子に存在する。修飾されたオリゴヌクレオチドのかかるキラル的に濃縮された集団は、当該技術分野で既知の合成方法、例えば、Oka et al.,JACS 125,8307(2003)、Wan et al.Nuc.Acid.Res.42,13456(2014)、及びWO2017/015555に記載される方法を使用して生成され得る。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドの集団は、(Sp)配置にある少なくとも1つの示されるホスホロチオエートを有する修飾されたオリゴヌクレオチドが濃縮されている。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドの集団は、(Rp)配置にある少なくとも1つのホスホロチオエートを有する修飾されたオリゴヌクレオチドについて濃縮されている。ある特定の実施形態では、(Rp)及び/または(Sp)ホスホロチオエートを含む修飾されたオリゴヌクレオチドは、それぞれ、以下の式のうちの1つ以上を含み、式中、「B」は、核酸塩基を示す。
【0179】
【0180】
別段の指示がない限り、本明細書に記載される修飾されたオリゴヌクレオチドのキラルヌクレオシド間結合は、ステレオランダムであり得るか、または特定の立体化学的配置にあり得る。
【0181】
B.ある特定のモチーフ
ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、修飾された糖部分を含む1つ以上の修飾されたヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、修飾された核酸塩基を含有する1つ以上の修飾されたヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、1つ以上の修飾されたヌクレオシド間結合を含む。かかる実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドの修飾された、修飾されていない、及び異なって修飾された糖部分、核酸塩基、及び/またはヌクレオシド間結合は、パターンまたはモチーフを定義する。ある特定の実施形態では、糖部分、核酸塩基、及びヌクレオシド間結合のパターンは各々、互いに独立している。したがって、修飾されたオリゴヌクレオチドは、その糖モチーフ、核酸塩基モチーフ、及び/またはヌクレオシド間結合モチーフにより説明され得る(本明細書で使用される場合、核酸塩基モチーフは、核酸塩基の配列に依存しない核酸塩基に対する修飾を説明する)。
【0182】
1.ある特定の糖モチーフ
ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、定義されるパターンまたは糖モチーフにおいてオリゴヌクレオチドまたはその領域に沿って配列される1つ以上の種類の修飾された糖及び/または修飾されていない糖部分を含む。ある特定の例では、そのような糖モチーフは、本明細書で考察される糖修飾のうちのいずれかを含むが、これらに限定されない。
【0183】
ギャップマーオリゴヌクレオチド
ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、2つの外部領域または「ウイング」及び中心もしくは内部領域または「ギャップ」によって定義されるギャップマーモチーフを有する領域を含むか、またはそれからなる。ギャップマーモチーフの3個の領域(5’-ウイング、ギャップ、及び3’-ウイング)は、ヌクレオシドの連続した配列を形成し、ウイングの各々のヌクレオシドの糖部分の少なくとも一部は、ギャップのヌクレオシドの糖部分の少なくとも一部と異なっている。具体的に述べると、各ウイングの、少なくともギャップに最も近いヌクレオシド(5’-ウイングの最も3’側のヌクレオシド及び3’-ウイングの最も5’側のヌクレオシド)の糖部分は、隣接するギャップヌクレオシドの糖部分とは異なり、したがって、ウイングとギャップとの間の境界(すなわち、ウイング/ギャップ連結部)を画定する。ある特定の実施形態では、ギャップ内の糖部分は、互いに同じである。ある特定の実施形態では、ギャップは、ギャップの1つ以上の他のヌクレオシドの糖部分とは異なる糖部分を有する1つ以上のヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、2つのウイングの糖モチーフは、互いに同じである(対称ギャップマー)。ある特定の実施形態では、5’-ウイングの糖モチーフは、3’-ウイングの糖モチーフと異なる(非対称性糖ギャップマー)。
【0184】
ある特定の実施形態では、ギャップマーのウイングは、1~6個のヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、ギャップマーの各ウイングの各ヌクレオシドは、修飾された糖部分を含む。ある特定の実施形態では、ギャップマーの各ウイングの少なくとも1個のヌクレオシドは、修飾された糖部分を含む。ある特定の実施形態では、ギャップマーの各ウイングの少なくとも2個のヌクレオシドは、修飾された糖部分を含む。ある特定の実施形態では、ギャップマーの各ウイングの少なくとも3個のヌクレオシドは、修飾された糖部分を含む。ある特定の実施形態では、ギャップマーの各ウイングの少なくとも4個のヌクレオシドは、修飾された糖部分を含む。
【0185】
ある特定の実施形態では、ギャップマーのギャップは、7~12個のヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、ギャップマーのギャップの各ヌクレオシドは、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分を含む。ある特定の実施形態では、ギャップマーのギャップの少なくとも1個のヌクレオシドは、修飾された糖部分を含む。
【0186】
ある特定の実施形態では、ギャップマーは、デオキシギャップマーである。ある特定の実施形態では、各ウイング/ギャップ接合部のギャップ側のヌクレオシドは、2’-デオキシリボシル糖部分を含み、各ウイング/ギャップ接合部のウイング側のヌクレオシドは、修飾された糖部分を含む。ある特定の実施形態では、ギャップの各ヌクレオシドは、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分を含む。ある特定の実施形態では、ギャップマーの各ウイングの各ヌクレオシドは、修飾された糖部分を含む。ある特定の実施形態では、ギャップマーのギャップの少なくとも1個のヌクレオシドは、修飾された糖部分を含む。ある特定の実施形態では、ギャップの1個のヌクレオシドは、修飾された糖部分を含み、ギャップの各残りのヌクレオシドは、2’-デオキシリボシル糖部分を含む。ある特定の実施形態では、ギャップマーのギャップの少なくとも1個のヌクレオシドは、2’-OMe糖部分を含む。
【0187】
本明細書において、ギャップマーの3つの領域の長さ(ヌクレオシドの数)は、表記法[5’-ウイングにおけるヌクレオシドの数]-[ギャップにおけるヌクレオシドの数]-[3’-ウイングにおけるヌクレオシドの数]を使用して提供され得る。したがって、3-10-3ギャップマーは、各ウイングにおける3個の結合されたヌクレオシド及びギャップにおける10個の結合されたヌクレオシドからなる。かかる命名法の後に特定の修飾が続く場合、その修飾は、各ウイングの各糖部分における修飾であり、ギャップヌクレオシドは、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分を含む。したがって、5-10-5MOEギャップマーは、5’-ウイングの5個の結合された2’-MOEヌクレオシド、ギャップの10個の結合された2’-β-D-デオキシヌクレオシド、及び3’-ウイングの5個の結合された2’-MOEヌクレオシドで構成される。6-10-4MOEギャップマーは、5’-ウイングの6個の結合された2’-MOEヌクレオシド、ギャップの10個の結合された2’-β-D-デオキシヌクレオシド、及び3’-ウイングの4個の結合された2’-MOEヌクレオシドで構成される。3-10-3cEtギャップマーは、5’-ウイングの3個の結合されたcEtヌクレオシド、ギャップの10個の結合された2’-β-D-デオキシヌクレオシド、及び3’-ウイングの3個の結合されたcEtヌクレオシドで構成される。
【0188】
ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、5-10-5MOEギャップマーである。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、6-10-4MOEギャップマーである。
【0189】
ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、5’から3’へ:eeeeeddddddddddeeeeeから選択される糖モチーフを有し、各「d」は、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分を表し、各「e」は、2’-MOE糖部分を表す。
【0190】
ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、5’から3’へ:eeeeeeddddddddddeeeeから選択される糖モチーフを有し、各「d」は、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分を表し、各「e」は、2’-MOE糖部分を表す。
【0191】
ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、5’から3’へ:kkkddddddddddkkkから選択される糖モチーフを有し、各「d」は、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分を表し、各「k」は、cEt修飾糖部分を表す。
【0192】
2.ある特定の核酸塩基モチーフ
ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、定義されるパターンまたはモチーフにおいてオリゴヌクレオチドまたはその領域に沿って配列される修飾された及び/または修飾されていない核酸塩基を含む。ある特定の実施形態では、各核酸塩基は、修飾されている。ある特定の実施形態では、核酸塩基のうちのいずれも修飾されていない。ある特定の実施形態では、各プリンまたは各ピリミジンが、修飾されている。ある特定の実施形態では、各シトシンが、修飾されている。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドのシトシン核酸塩基のうちのいくつかまたは全ては、5-メチルシトシンである。ある特定の実施形態では、シトシン核酸塩基の全ては、5-メチルシトシンであり、修飾されたオリゴヌクレオチドの他の核酸塩基の全ては、修飾されていない核酸塩基である。
【0193】
ある特定の実施形態では、ギャップマーモチーフを有するオリゴヌクレオチドは、修飾された核酸塩基を含むヌクレオシドを含む。ある特定のかかる実施形態では、修飾された核酸塩基を含む1つのヌクレオシドは、ギャップマーモチーフを有するオリゴヌクレオチドの中心ギャップにある。ある特定のかかる実施形態では、当該ヌクレオシドの糖部分は、2’-デオキシリボシル糖部分である。
【0194】
3.ある特定のヌクレオシド間結合モチーフ
ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、定義されるパターンまたはモチーフにおいてオリゴヌクレオチドまたはその領域に沿って配列される修飾された及び/または修飾されていないヌクレオシド間結合を含む。ある特定の実施形態では、各ヌクレオシド間結合基は、ホスホジエステルヌクレオシド間結合(P=O)である。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドの各ヌクレオシド間結合基は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合(P=S)である。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドの各ヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合及びホスホジエステルヌクレオシド間結合から独立して選択される。ある特定の実施形態では、各ホスホロチオエートヌクレオシド間結合は独立して、ステレオランダムホスホロチオエート、(Sp)ホスホロチオエート、及び(Rp)ホスホロチオエートから選択される。
【0195】
ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドの糖モチーフは、ギャップマーであり、ギャップ内のヌクレオシド間結合は全て修飾されている。ある特定のかかる実施形態では、ウイング内のヌクレオシド間結合のいくつかまたは全ては、修飾されていないホスホジエステルヌクレオシド間結合である。ある特定の実施形態では、末端ヌクレオシド間結合は、修飾されている。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドの糖モチーフは、ギャップマーであり、ヌクレオシド間結合モチーフは、少なくとも1つのウイングにおいて少なくとも1つのホスホジエステルヌクレオシド間結合を含み、少なくとも1つのホスホジエステル結合は、末端ヌクレオシド間結合ではなく、残りのヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。ある特定のかかる実施形態では、ホスホロチオエート結合は全て、ステレオランダムである。ある特定の実施形態では、ウイングにおける全てのホスホロチオエート結合は、(Sp)ホスホロチオエートであり、ギャップは、少なくとも1つのSp、Sp、Rpモチーフを含む。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドの集団は、そのようなヌクレオシド間結合モチーフを含む修飾されたオリゴヌクレオチドが濃縮されている。
【0196】
ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、(5’から3’):sooosssssssssssoossホスホロチオエートヌクレオシド間結合のヌクレオシド間結合モチーフを有し、各「s」は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合を表し、各「o」は、ホスホジエステルヌクレオシド間結合を表す。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、(5’から3’):sooooossssssssssossのヌクレオシド間結合モチーフを有し、各「s」は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合を表し、各「o」は、ホスホジエステルヌクレオシド間結合を表す。
【0197】
II.ある特定のオリゴマー化合物
ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチド(修飾されたまたは修飾されていない)、ならびに任意選択で1つ以上のコンジュゲート基及び/または末端基からなるオリゴマー化合物が、本明細書に提供される。コンジュゲート基は、1つ以上のコンジュゲート部分及びコンジュゲート部分をオリゴヌクレオチドに結合するコンジュゲートリンカーからなる。コンジュゲート基は、オリゴヌクレオチドのどちらかの末端もしくは両端及び/または任意の内部位置に結合され得る。ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、修飾されたオリゴヌクレオチドのヌクレオシドの2’位に結合される。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドのどちらかの末端または両端に結合されたコンジュゲート基は、末端基である。ある特定のかかる実施形態では、コンジュゲート基または末端基は、オリゴヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端に結合される。ある特定のかかる実施形態では、コンジュゲート基(または末端基)は、オリゴヌクレオチドの3’末端に結合される。ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、オリゴヌクレオチドの3’末端付近に結合される。ある特定の実施形態では、コンジュゲート基(または末端基)は、オリゴヌクレオチドの5’末端に結合される。ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、オリゴヌクレオチドの5’末端付近に結合される。
【0198】
末端基の例としては、コンジュゲート基、キャッピング基、リン酸部分、保護基、修飾されたまたは修飾されていないヌクレオシド、及び独立して修飾されたまたは修飾されていない2つ以上のヌクレオシドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0199】
A.ある特定のコンジュゲート基
ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、1つ以上のコンジュゲート基に共有結合している。ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、薬力学的特性、薬物動態学的特性、安定特性、結合特性、吸収特性、組織分布特性、細胞分布特性、細胞取り込み特性、電荷特性及びクリアランス特性を含むが、これらに限定されるものではない、結合オリゴヌクレオチドの1つ以上の特性を改変する。
【0200】
ある特定の実施形態では、1つ以上の炭水化物部分の修飾されたオリゴヌクレオチドへのコンジュゲーションは、修飾されたオリゴヌクレオチドの1つ以上の特性を最適化することができる。ある特定の実施形態では、炭水化物部分は、修飾されたオリゴヌクレオチドの修飾されたサブユニットに結合される。例えば、修飾されたオリゴヌクレオチドの1つ以上のリボヌクレオチドサブユニットのリボース糖は、別の部分、例えば、炭水化物リガンドが結合している非炭水化物(好ましくは環状)担体で置き換えることができる。サブユニットのリボース糖がそのように置き換えられているリボヌクレオチドサブユニットは、本明細書では、修飾された糖部分であるリボース置換修飾サブユニット(RRMS)と称される。環状担体は、炭素環系であり得、すなわち、1つ以上の環原子は、ヘテロ原子、例えば、窒素、酸素、硫黄であり得る。環状担体は、単環式環系であり得るか、または2つ以上の環、例えば縮合環を含み得る。環状担体は、完全に飽和した環系であり得るか、または1つ以上の二重結合を含み得る。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、ギャップマーである。
【0201】
ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、結合オリゴヌクレオチドに新たな特性、例えばオリゴヌクレオチドの検出を可能にする蛍光団またはレポーター基を付与する。ある特定のコンジュゲート基及びコンジュゲート部分は、以前に説明されており、例えば、コレステロール部分(Letsinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1989,86,6553-6556)、コール酸(Manoharan et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1994,4,1053-1060)、チオエーテル、例えば、ヘキシル-S-トリチルチオール(Manoharan et al.,Ann.N.Y.Acad.Sci.,1992,660,306-309、Manoharan et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1993,3,2765-2770)、チオコレステロール(Oberhauser et al.,Nucl.Acids Res.,1992,20,533-538)、脂肪族鎖、例えば、ド-デカン-ジオールもしくはウンデシル残基(Saison-Behmoaras et al.,EMBO J.,1991,10,1111-1118、Kabanov et al.,FEBS Lett.,1990,259,327-330、Svinarchuk et al.,Biochimie,1993,75,49-54)、リン脂質、例えば、ジ-ヘキサデシル-rac-グリセロールもしくはトリエチル-アンモニウム1,2-ジ-O-ヘキサデシル-rac-グリセロ-3-H-ホスホネート(Manoharan et al.,Tetrahedron Lett.,1995,36,3651-3654、Shea et al.,Nucl.Acids Res.,1990,18,3777-3783)、ポリアミンもしくはポリエチレングリコール鎖(Manoharan et al.,Nucleosides&Nucleotides,1995,14,969-973)、またはアダマンタン酢酸パルミチル部分(Mishra et al.,Biochim.Biophys.Acta,1995,1264,229-237)、オクタデシルアミンもしくはヘキシルアミノ-カルボニル-オキシコレステロール部分(Crooke et al.,J.Pharmacol.Exp.Ther.,1996,277,923-937)、トコフェロール基(Nishina et al.,Molecular Therapy Nucleic Acids,2015,4,e220、及びNishina et al.,Molecular Therapy,2008,16,734-740)、またはGalNAcクラスター(例えば、WO2014/179620)である。
【0202】
ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、C22アルキル、C20アルキル、C16アルキル、C10アルキル、C21アルキル、C19アルキル、C18アルキル、C17アルキル、C15アルキル、C14アルキル、C13アルキル、C12アルキル、C11アルキル、C9アルキル、C8アルキル、C7アルキル、C6アルキル、C5アルキル、C22アルケニル、C20アルケニル、C16アルケニル、C10アルケニル、C21アルケニル、C19アルケニル、C18アルケニル、C17アルケニル、C15アルケニル、C14アルケニル、C13アルケニル、C12アルケニル、C11アルケニル、C9アルケニル、C8アルケニル、C7アルケニル、C6アルケニル、またはC5アルケニルのうちのいずれかから選択されるコンジュゲート部分を含み得る。
【0203】
ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、C22アルキル、C20アルキル、C16アルキル、C10アルキル、C21アルキル、C19アルキル、C18アルキル、C17アルキル、C15アルキル、C14アルキル、C13アルキル、C12アルキル、C11アルキル、C9アルキル、C8アルキル、C7アルキル、C6アルキル、またはC5アルキルのうちのいずれかから選択されるコンジュゲート部分を含み得、アルキル鎖は、1つ以上の不飽和結合を有する。
【0204】
ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、以下の構造を有する脂質である。
【0205】
【0206】
1.コンジュゲート部分
コンジュゲート部分には、限定されないが、インターカレーター、レポーター分子、ポリアミン、ポリアミド、ペプチド、炭水化物(例えば、GalNAc)、ビタミン部分、ポリエチレングリコール、チオエーテル、ポリエーテル、コレステロール、チオコレステロール、コール酸部分、葉酸、脂質、リン脂質、ビオチン、フェナジン、フェナントリジン、アントラキノン、アダマンタン、アクリジン、フルオレセイン、ローダミン、クマリン、フルオロフォア、及び色素が含まれる。
【0207】
ある特定の実施形態では、コンジュゲート部分は、活性薬原薬、例えば、アスピリン、ワルファリン、フェニルブタゾン、イブプロフェン、スプロフェン、フェンブフェン、ケトプロフェン、(S)-(+)-プラノプロフェン、カルプロフェン、ダンシルサルコシン、2,3,5-トリヨード安息香酸、フィンゴリモド、フルフェナム酸、フォリン酸、ベンゾチアジアジド、クロロチアジド、ジアゼピン、インドメタシン、バルビツレート、セファロスポリン、サルファ薬、抗糖尿病薬、抗菌薬、または抗生物質を含む。
【0208】
2.コンジュゲートリンカー
コンジュゲート部分は、コンジュゲートリンカーを介してオリゴヌクレオチドに結合している。ある特定のオリゴマー化合物では、コンジュゲートリンカーは、単一の化学結合である(すなわち、コンジュゲート部分は、単結合を介してオリゴヌクレオチドに直接結合している)。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、ヒドロカルビル鎖などの鎖構造、またはエチレングリコール、ヌクレオシド、もしくはアミノ酸単位などの繰り返し単位のオリゴマーを含む。
【0209】
ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、ピロリジンを含む。
【0210】
ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、アルキル、アミノ、オキソ、アミド、ジスルフィド、ポリエチレングリコール、エーテル、チオエーテル、及びヒドロキシルアミノから選択される1つ以上の基を含む。ある特定のかかる実施形態では、コンジュゲートリンカーは、アルキル基、アミノ基、オキソ基、アミド基、及びエーテル基から選択される1つ以上の基を含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、アルキル基及びアミド基から選択される1つ以上の基を含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、アルキル基及びエーテル基から選択される1つ以上の基を含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、少なくとも1つのリン部分を含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、少なくとも1つのリン酸基を含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、少なくとも1つの中性連結基を含む。
【0211】
ある特定の実施形態では、上述のコンジュゲートリンカーを含むコンジュゲートリンカーは、二官能性連結部分、例えば、コンジュゲート部分を本明細書に提供されるオリゴヌクレオチドなどの化合物に結合させるのに有用であることが当該技術分野で知られているものである。一般に、二官能性結合部分には少なくとも2つの官能基が含まれる。官能性基のうちの一方は、化合物の特定の部位と反応するように選択され、他方は、コンジュゲート部分と反応するように選択される。二官能性結合部分に使用される官能基の例としては、これらに限定されるものではないが、求核性基と反応するための求電子基及び求電子基と反応するための求核性基が挙げられる。ある特定の実施形態では、二官能性連結部分は、アミノ、ヒドロキシル、カルボン酸、チオール、アルキル、アルケニル、及びアルキニルから選択される1つ以上の基を含む。
【0212】
コンジュゲートリンカーの例としては、これらに限定されないが、ピロリジン、8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸(ADO)、スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(SMCC)、及び6-アミノヘキサン酸(AHEXまたはAHA)が挙げられる。他のコンジュゲートリンカーとしては、これらに限定されないが、置換もしくは非置換C1-C10アルキル、置換もしくは非置換C2-C10アルケニル、または置換もしくは非置換C2-C10アルキニルが挙げられ、好ましい置換基の非限定的一覧としては、ヒドロキシル、アミノ、アルコキシ、カルボキシ、ベンジル、フェニル、ニトロ、チオール、チオアルコキシ、ハロゲン、アルキル、アリール、アルケニル、及びアルキニルが挙げられる。
【0213】
ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、1~10個のリンカーヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、2~5個のリンカーヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、ちょうど3個のリンカーヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、TCAモチーフを含む。ある特定の実施形態では、かかるリンカーヌクレオシドは、修飾されたヌクレオシドである。ある特定の実施形態では、かかるリンカーヌクレオシドは、修飾された糖部分を含む。ある特定の実施形態では、リンカーヌクレオシドは、修飾されていない。ある特定の実施形態では、リンカーヌクレオシドは、プリン、置換プリン、ピリミジン、または置換ピリミジンから選択される、任意選択で保護される複素環式塩基を含む。ある特定の実施形態では、切断可能な部分は、ウラシル、チミン、シトシン、4-N-ベンゾイルシトシン、5-メチルシトシン、4-N-ベンゾイル-5-メチルシトシン、アデニン、6-N-ベンゾイルアデニン、グアニン、及び2-N-イソブチリルグアニンから選択されるヌクレオシドである。リンカーヌクレオシドは、標的組織に到達した後、オリゴマー化合物から切断されることが一般的に望ましい。したがって、リンカーヌクレオシドは典型的には、切断可能な結合を介して互いにかつオリゴマー化合物の残部に連結される。ある特定の実施形態では、そのような切断可能な結合は、ホスホジエステル結合である。
【0214】
本明細書において、リンカーヌクレオシドは、オリゴヌクレオチドの一部であるとはみなされない。したがって、オリゴマー化合物が、特定の数または範囲の結合されたヌクレオシド及び/または参照核酸に対する特定の相補率(%)からなるオリゴヌクレオチドを含み、かつオリゴマー化合物が、リンカーヌクレオシドを含むコンジュゲートリンカーを含むコンジュゲート基も含むような実施形態では、これらのリンカーヌクレオシドは、オリゴヌクレオチドの長さにカウントされず、参照核酸に対するオリゴヌクレオチドの相補率(%)を決定するうえで用いられない。例えば、オリゴマー化合物は、(1)8~30個のヌクレオシドからなる修飾されたオリゴヌクレオチドと、(2)修飾されたオリゴヌクレオチドのヌクレオシドと連続する1~10個のリンカーヌクレオシドを含むコンジュゲート基と、を含み得る。そのようなオリゴマー化合物における連続する結合されたヌクレオシドの総数は、30個を超える。あるいは、オリゴマー化合物は、8~30個のヌクレオシドからなり、かつコンジュゲート基が存在しない修飾されたオリゴヌクレオチドを含み得る。そのようなオリゴマー化合物における連続する結合されたヌクレオシドの総数は、30個以下である。別段の指示がない限り、コンジュゲートリンカーは、10個以下のリンカーヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、5個以下のリンカーヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、3個以下のリンカーヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、2個以下のリンカーヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、1個以下のリンカーヌクレオシドを含む。
【0215】
ある特定の実施形態では、コンジュゲート基がオリゴヌクレオチドから切断されることが望ましい。例えば、特定の状況において、特定のコンジュゲート部分を含むオリゴマー化合物は、特定の細胞型により取り込まれやすいが、オリゴマー化合物が取り込まれた後、コンジュゲート基が切断されて、非コンジュゲートまたは親オリゴヌクレオチドが放出されることが望ましい。したがって、ある特定のコンジュゲートリンカーは、1つ以上の切断可能な部分を含み得る。ある特定の実施形態では、切断可能な部分は、切断可能な結合である。ある特定の実施形態では、切断可能な部分は、少なくとも1つの切断可能な結合を含む原子団である。ある特定の実施形態では、切断可能な部分は、1つ、2つ、3つ、4つ、または4つよりも多くの切断可能な結合を有する原子団を含む。ある特定の実施形態では、切断可能な部分は、リソソームなどの細胞または細胞内コンパートメントの内側で選択的に切断される。ある特定の実施形態では、切断可能な部分は、ヌクレアーゼなどの内在性酵素によって選択的に切断される。
【0216】
ある特定の実施形態では、切断可能な結合は、アミド、エステル、エーテル、ホスホジエステルの一方もしくは両方のエステル、リン酸エステル、カルバメート、またはジスルフィドの中から選択される。ある特定の実施形態では、切断可能な結合は、ホスホジエステルの一方または両方のエステルである。ある特定の実施形態では、切断可能な部分は、リン酸またはホスホジエステルを含む。ある特定の実施形態では、切断可能な部分は、オリゴヌクレオチドとコンジュゲート部分またはコンジュゲート基との間のリン酸結合である。
【0217】
ある特定の実施形態では、切断可能な部分は、1つ以上のリンカーヌクレオシドを含むか、またはそれからなる。ある特定のかかる実施形態では、1つ以上のリンカーヌクレオシドは、切断可能な結合によって、互いに及び/またはオリゴマー化合物の残りに結合される。ある特定の実施形態では、そのような切断可能な結合は、修飾されていないホスホジエステル結合である。ある特定の実施形態では、切断可能な部分は、ホスフェートヌクレオシド間結合によってオリゴヌクレオチドの3’または5’末端ヌクレオシドのいずれかに結合しており、かつホスフェート結合またはホスホロチオエート結合によってコンジュゲートリンカーまたはコンジュゲート部分の残りの部分に共有結合している2’-デオキシリボヌクレオシドである。ある特定のかかる実施形態では、切断可能な部分は、2’-デオキシアデノシンである。
【0218】
3.細胞標的化部分
ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、細胞標的化部分を含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、下記の一般式を有し、
【0219】
【0220】
式中、nは、1~約3であり、mは、nが1である場合に0であり、mは、nが2以上である場合に1であり、jは、1または0であり、kは、1または0である。
【0221】
ある特定の実施形態では、nは、1であり、jは、1であり、kは、0である。ある特定の実施形態では、nは、1であり、jは、0であり、kは、1である。ある特定の実施形態では、nは、1であり、jは、1であり、kは、1である。ある特定の実施形態では、nは、2であり、jは、1であり、kは、0である。ある特定の実施形態では、nは、2であり、jは、0であり、kは、1である。ある特定の実施形態では、nは、2であり、jは、1であり、kは、1である。ある特定の実施形態では、nは、3であり、jは、1であり、kは、0である。ある特定の実施形態では、nは、3であり、jは、0であり、kは、1である。ある特定の実施形態では、nは、3であり、jは、1であり、kは、1である。
【0222】
ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、少なくとも1つのテザーリガンドを有する細胞標的化部分を含む。ある特定の実施形態では、細胞標的化部分は、分岐基に共有結合する2つのテザーリガンドを含む。
【0223】
ある特定の実施形態では、細胞標的化部分の各リガンドは、標的細胞上の少なくとも1つの受容体型に対して親和性を有する。ある特定の実施形態では、各リガンドは、哺乳動物の肝臓細胞の表面上の少なくとも1つの受容体型に親和性を有する。ある特定の実施形態では、各リガンドは、肝臓のアシアロ糖タンパク質受容体(ASGP-R)に親和性を有する。ある特定の実施形態では、各リガンドは、炭水化物である。
【0224】
ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、細胞標的化コンジュゲート部分を含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、下記の一般式を有し、
【0225】
【0226】
式中、nは、1~約3であり、mは、nが1である場合に0であり、mは、nが2以上である場合に1であり、jは、1または0であり、kは、1または0である。
【0227】
ある特定の実施形態では、nは、1であり、jは、1であり、kは、0である。ある特定の実施形態では、nは、1であり、jは、0であり、kは、1である。ある特定の実施形態では、nは、1であり、jは、1であり、kは、1である。ある特定の実施形態では、nは、2であり、jは、1であり、kは、0である。ある特定の実施形態では、nは、2であり、jは、0であり、kは、1である。ある特定の実施形態では、nは、2であり、jは、1であり、kは、1である。ある特定の実施形態では、nは、3であり、jは、1であり、kは、0である。ある特定の実施形態では、nは、3であり、jは、0であり、kは、1である。ある特定の実施形態では、nは、3であり、jは、1であり、kは、1である。
【0228】
ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、少なくとも1つのテザーリガンドを有する細胞標的化部分を含む。ある特定の実施形態では、細胞標的化部分は、分岐基に共有結合する2つのテザーリガンドを含む。ある特定の実施形態では、細胞標的化部分は、分岐基に共有結合する3つのテザーリガンドを含む。
【0229】
III.ある特定の末端基
ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物は、1つ以上の末端基を含む。ある特定のかかる実施形態では、オリゴマー化合物は、安定化された5’-ホスフェートを含む。安定化された5’-ホスフェートには、5’-ビニルホスホネートを含むがこれらに限定されない5’-ホスホネートが含まれるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、末端基は、1つ以上の脱塩基糖部分及び/または逆ヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、末端基は、1つ以上の2’-結合されたヌクレオシドまたは糖部分を含む。ある特定のかかる実施形態では、2’-結合された基は、脱塩基糖部分である。
【0230】
IV.アンチセンス活性
ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物及びオリゴマー二本鎖は、標的核酸にハイブリダイズすることで少なくとも1つのアンチセンス活性を与えることができる。かかるオリゴマー化合物及びオリゴマー二重鎖は、アンチセンス化合物である。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、それらが標準細胞アッセイにおいて標的核酸の量または活性を25%以上低減または阻害する場合に、アンチセンス活性を有する。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、1つ以上の標的核酸に選択的に作用する。かかるアンチセンス化合物は、1つ以上の標的核酸にハイブリダイズして1つ以上の所望のアンチセンス活性を与え、かつ1つ以上の非標的核酸にはハイブリダイズしないか、または重大な望ましくないアンチセンス活性をもたらすような形で1つ以上の非標的核酸にハイブリダイズしない核酸塩基配列を含む。
【0231】
ある特定のアンチセンス活性では、標的核酸へのアンチセンス化合物のハイブリダイゼーションは、標的核酸を切断するタンパク質の動員をもたらす。例えば、ある特定のアンチセンス化合物は、RNase Hを介した標的核酸の切断をもたらす。RNase Hは、RNA:DNA二重鎖のRNA鎖を切断する細胞性エンドヌクレアーゼである。かかるRNA:DNA二重鎖のDNAは、非修飾DNAである必要はない。ある特定の実施形態では、本明細書において、RNase H活性を誘発するうえで十分に「DNA様」のアンチセンス化合物を記載する。ある特定の実施形態では、ギャップマーのギャップ内の1つ以上の非DNA様ヌクレオシドが許容される。
【0232】
ある特定のアンチセンス活性では、アンチセンス化合物またはアンチセンス化合物の部分は、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)に取り込まれ、最終的に標的核酸の切断をもたらす。例えば、ある特定のアンチセンス化合物は、アルゴノートによる標的核酸の切断をもたらす。RISCに取り込まれたアンチセンス化合物は、RNAi化合物である。RNAi化合物は、二本鎖(siRNAもしくはdsRNAi)または一本鎖(ssRNA)であり得る。
【0233】
ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物の標的核酸へのハイブリダイゼーションは、その標的核酸を切断するタンパク質の動員をもたらさない。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物の標的核酸へのハイブリダイゼーションは、標的核酸のスプライシングの変化をもたらす。ある特定の実施形態では、標的核酸へのアンチセンス化合物のハイブリダイゼーションは、標的核酸とタンパク質または他の核酸との結合相互作用の阻害をもたらす。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物の標的核酸へのハイブリダイゼーションは、標的核酸の翻訳の変化をもたらす。
【0234】
アンチセンス活性は、直接的または間接的に観察することができる。ある特定の実施形態では、アンチセンス活性の観察または検出は、標的核酸またはそのような標的核酸によってコードされるタンパク質の量の変化、核酸もしくはタンパク質のスプライスバリアントの比の変化、及び/または細胞もしくは動物の表現型変化の観察または検出を含む。
【0235】
V.ある特定の標的核酸
ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物は、標的核酸と相補的な領域を含むオリゴヌクレオチドを含むか、またはそれからなる。ある特定の実施形態では、標的核酸は、内因性RNA分子である。ある特定の実施形態では、標的核酸は、タンパク質をコードする。ある特定のかかる実施形態では、標的核酸は、イントロン、エクソン、及び非翻訳領域を含む成熟mRNA及びpre-mRNAから選択される。ある特定の実施形態では、標的RNAは、成熟mRNAである。ある特定の実施形態では、標的核酸は、pre-mRNAである。ある特定の実施形態では、標的領域は、完全にイントロン内にある。ある特定の実施形態では、標的領域は、イントロン/エクソン接合部にまたがる。ある特定の実施形態では、標的領域は、少なくとも50%がイントロン内にある。
【0236】
A.IFNAR1
ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物は、標的核酸と相補的な領域を含むオリゴヌクレオチドを含むか、またはそれからなり、標的核酸は、IFNAR1核酸である。ある特定の実施形態では、IFNAR1核酸は、配列番号1(33321001~33363000で切断されたGENBANK受託番号NC_000021.9)または配列番号2(GENBANK受託番号NM_000629.2)に示される配列を有する。ある特定の実施形態では、細胞を配列番号1または配列番号2と相補的なオリゴマー化合物と接触させることは、IFNAR1 RNAの量を低減し、ある特定の実施形態では、IFNAR1タンパク質の量を低減する。ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物は、修飾されたオリゴヌクレオチドからなる。ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物は、修飾されたオリゴヌクレオチド及びコンジュゲート基からなる。
【0237】
B.ある特定の組織中のある特定の標的核酸
ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物は、標的核酸と相補的な領域を含むオリゴヌクレオチドを含むか、またはそれからなり、標的核酸は、薬理学的に関連する組織中に発現される。ある特定の実施形態では、薬理学的に関連する組織は、脳及び脊髄である。ある特定の実施形態では、標的核酸は、薬理学的に関連する細胞中に発現される。ある特定の実施形態では、薬理学的に関連する細胞は、ニューロンまたはグリア細胞である。ある特定の実施形態では、薬理学的に関連する細胞は、星状細胞またはミクログリア細胞である。ある特定の実施形態では、薬理学的に関連する細胞は、血管平滑筋細胞、血管内皮細胞、または周皮細胞である。
【0238】
VI.ある特定の方法及び使用
本明細書に提供されるある特定の実施形態は、IFNAR1発現を阻害する方法に関し、それは、神経炎症に関連する疾患、例えば、I型インターフェロンシグナル伝達の上昇に関連する疾患、または対象におけるI型インターフェロンの過剰発現に関連する疾患を、IFNAR1核酸に相補的な核酸塩基配列を有する修飾されたオリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物、修飾されたオリゴヌクレオチド、またはオリゴマー二本鎖の投与によって治療するのに有用であり得る。
【0239】
本明細書に提供されるオリゴマー化合物、修飾されたオリゴヌクレオチド、オリゴマー二重鎖、及び方法で治療可能な疾患の例としては、神経炎症に関連する神経学的疾患または状態、例えば、Aicardi-Goutieres症候群、脳卒中、神経精神病性全身性エリテマトーデス、外傷性脳損傷後の神経炎症、神経自己免疫障害、アルツハイマー病、術後せん妄及び認知低下、頭蓋放射線誘発性認知低下、ウイルス感染誘発性認知低下、視神経性脊髄炎、及び毛細血管拡張性運動失調症から選択される、I型インターフェロンシグナル伝達の上昇、またはI型インターフェロンの過剰発現に関連する疾患が挙げられる。ある特定の実施形態では、方法は、IFNAR1核酸に相補的な核酸塩基配列を有する、オリゴマー化合物、修飾されたオリゴヌクレオチド、またはオリゴマー二本鎖を対象に投与することを含む。ある特定の実施形態では、対象は、Aicardi-Goutieres症候群、脳卒中、神経精神全身性エリテマトーデス、外傷性脳損傷後の神経炎症、神経自己免疫障害、アルツハイマー病、術後せん妄及び認知低下、頭蓋放射線誘発性認知低下、ウイルス感染誘発性認知低下、視神経脊髄炎、及び毛細血管拡張性運動失調症から選択される神経炎症に関連する神経学的疾患または状態を有する。ある特定の実施形態では、対象におけるAicardi-Goutieres症候群、脳卒中、神経精神全身性エリテマトーデス、外傷性脳損傷後の神経炎症、神経自己免疫障害、アルツハイマー病、術後せん妄及び認知低下、頭蓋放射線誘発性認知低下、ウイルス感染誘発性認知低下、視神経脊髄炎、及び毛細血管拡張性運動失調症から選択される、神経炎症に関連する神経学的疾患または状態を治療する方法は、治療有効量の、IFNAR1核酸に相補的な核酸塩基配列を有する、オリゴマー化合物、修飾されたオリゴヌクレオチド、またはオリゴマー二本鎖を対象に投与し、それによって、対象を治療することを含む。ある特定の実施形態では、治療有効量のオリゴマー化合物または修飾されたオリゴヌクレオチドを投与することは、神経炎症に関連する疾患または状態の症状または特徴を改善する。ある特定の実施形態では、症状または特徴は、発作、摂食困難、ジストニア、痙攣、運動発達遅延、言語発達遅延、社会的技能発達遅延、白質異常、T細胞浸潤、B細胞浸潤、線条体壊死、脳萎縮、基底神経節石灰化、及び微小脳症から選択される。ある特定の実施形態では、治療有効量のオリゴマー化合物または修飾されたオリゴヌクレオチドを投与することは、対象の脳脊髄液中のI型IFNシグナル伝達またはリンパ球増加症を低減する。
【0240】
ある特定の実施形態では、神経炎症に関連する疾患、例えば、I型インターフェロンシグナル伝達の上昇に関連する疾患、またはI型インターフェロンの過剰発現に関連する疾患を有する対象における、IFNAR1核酸、例えば、RNAの発現を阻害する方法は、IFNAR1核酸に相補的な核酸塩基配列を有する、オリゴマー化合物、修飾されたオリゴヌクレオチド、またはオリゴマー二本鎖を対象に投与し、それによって、対象におけるIFNAR1核酸の発現を阻害することを含む。ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物、修飾されたオリゴヌクレオチド、またはオリゴマー二本鎖を投与することは、脳または脊髄におけるIFNAR1の発現を阻害する。ある特定の実施形態では、対象は、Aicardi-Goutieres症候群、脳卒中、神経精神全身性エリテマトーデス、外傷性脳損傷後の神経炎症、神経自己免疫障害、アルツハイマー病、術後せん妄及び認知低下、頭蓋放射線誘発性認知低下、ウイルス感染誘発性認知低下、視神経脊髄炎、及び毛細血管拡張性運動失調症から選択される神経炎症に関連する神経学的疾患または状態を有する。ある特定の実施形態では、細胞内のIFNAR1核酸の発現を阻害する方法は、細胞を、IFNAR1核酸に相補的な核酸塩基配列を有する、オリゴマー化合物、修飾されたオリゴヌクレオチド、またはオリゴマー二本鎖と接触させ、それによって、細胞内のIFNAR1核酸の発現を阻害することを含む。ある特定の実施形態では、細胞は、グリア細胞、例えば、星状細胞またはミクログリア細胞である。ある特定の実施形態では、細胞は、Aicardi-Goutieres症候群、脳卒中、神経精神全身性エリテマトーデス、外傷性脳損傷後の神経炎症、神経自己免疫障害、アルツハイマー病、術後せん妄及び認知低下、頭蓋放射線誘発性認知低下、ウイルス感染誘発性認知低下、視神経脊髄炎、及び毛細血管拡張性運動失調症から選択される神経炎症に関連する神経学的疾患または状態を有する対象内にある。
【0241】
ある特定の実施形態は、神経炎症に関連する疾患、例えば、I型インターフェロンシグナル伝達の上昇に関連する疾患、またはIFNaの過剰発現に関連する疾患の治療に使用するために、IFNAR1核酸に相補的な核酸塩基配列を有する、オリゴマー化合物、修飾されたオリゴヌクレオチド、またはオリゴマー二本鎖について示されている。ある特定の実施形態では、疾患は、Aicardi-Goutieres症候群、脳卒中、神経精神全身性エリテマトーデス、外傷性脳損傷後の神経炎症、神経自己免疫疾患、アルツハイマー病、術後せん妄及び認知低下、頭蓋放射線誘発性認知低下、ウイルス感染誘発性認知低下、視神経脊髄炎、及び毛細血管拡張性運動失調症から選択される神経炎症に関連する神経学的疾患または状態である。ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物、修飾されたオリゴヌクレオチド、またはオリゴマー二本鎖は、Aicardi-Goutieres症候群、脳卒中、神経精神全身性エリテマトーデス、外傷性脳損傷後の神経炎症、神経自己免疫疾患、アルツハイマー病、術後せん妄及び認知低下、頭蓋放射線誘発性認知低下、ウイルス感染誘発性認知低下、視神経脊髄炎、及び毛細血管拡張性運動失調症から選択される神経炎症に関連する疾患または状態の症状または特徴の改善に使用される。ある特定の実施形態では、症状または特徴は、発作、摂食困難、ジストニア、痙攣、運動発達遅延、言語発達遅延、社会的技能発達遅延、白質異常、T細胞浸潤、B細胞浸潤、線条体壊死、脳萎縮、基底神経節石灰化、及び微小脳症から選択される。ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物、修飾されたオリゴヌクレオチド、またはオリゴマー二本鎖は、対象の脳脊髄液中のI型IFNシグナル伝達またはリンパ球増加症の低減に使用するためのものである。
【0242】
ある特定の実施形態は、オリゴマー化合物、修飾されたオリゴヌクレオチド、またはオリゴマー二本鎖について示されており、これらのいずれも、IFNAR1核酸に相補的な核酸塩基配列を有する修飾されたオリゴヌクレオチドを含み、神経炎症に関連する疾患、例えば、I型インターフェロンシグナル伝達の上昇に関連する疾患、またはIFNaの過剰発現に関連する疾患を治療するための医薬品の製造または調製のためのものである。ある特定の実施形態では、疾患は、Aicardi-Goutieres症候群、脳卒中、神経精神全身性エリテマトーデス、外傷性脳損傷後の神経炎症、神経自己免疫疾患、アルツハイマー病、術後せん妄及び認知低下、頭蓋放射線誘発性認知低下、ウイルス感染誘発性認知低下、視神経脊髄炎、及び毛細血管拡張性運動失調症から選択される神経炎症に関連する神経学的疾患または状態である。ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物、修飾されたオリゴヌクレオチド、またはオリゴマー二本鎖は、Aicardi-Goutieres症候群、脳卒中、神経精神全身性エリテマトーデス、外傷性脳損傷後の神経炎症、神経自己免疫疾患、アルツハイマー病、術後せん妄及び認知低下、頭蓋放射線誘発性認知低下、ウイルス感染誘発性認知低下、視神経脊髄炎、及び毛細血管拡張性運動失調症に関連する症状または特徴を改善するための医薬品の製造または調製のためのものである。ある特定の実施形態では、症状または特徴は、発作、摂食困難、ジストニア、痙攣、運動発達遅延、言語発達遅延、社会的技能発達遅延、白質異常、T細胞浸潤、B細胞浸潤、線条体壊死、脳萎縮、基底神経節石灰化、及び微小脳症から選択される。ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物、修飾されたオリゴヌクレオチド、またはオリゴマー二本鎖は、対象の脳脊髄液中のI型IFNシグナル伝達またはリンパ球増加症の低減に使用するための医薬品の製造または調製のためのものである。
【0243】
本明細書に記載される方法または使用のうちのいずれかでは、オリゴマー化合物、修飾されたオリゴヌクレオチド、またはオリゴマー二本鎖は、本明細書に記載される任意のものであり得る。
【0244】
VII.ある特定の薬学的組成物
ある特定の実施形態では、1つ以上のオリゴマー化合物を含む薬学的組成物が本明細書に提供される。ある特定の実施形態では、1つ以上のオリゴマー化合物は各々、修飾されたオリゴヌクレオチドからなる。ある特定の実施形態では、薬学的組成物には、薬学的に許容される希釈剤または担体が含まれる。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、滅菌生理食塩水及び1つ以上のオリゴマー化合物を含むか、またはそれらからなる。ある特定の実施形態では、滅菌生理食塩水は、医薬品グレードの生理食塩水である。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、1つ以上のオリゴマー化合物及び滅菌水を含むか、またはそれらからなる。ある特定の実施形態では、滅菌水は、医薬品グレードの水である。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、1つ以上のオリゴマー化合物及びリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を含むか、またはそれらからなる。ある特定の実施形態では、滅菌PBSは、医薬品グレードのPBSを含む。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、1つ以上のオリゴマー化合物及び人工脳脊髄液を含むか、またはそれらからなる。ある特定の実施形態では、人工脳脊髄液は、医薬品グレードの人工脳脊髄液である。
【0245】
ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、修飾されたオリゴヌクレオチド及びPBSを含む。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、修飾されたオリゴヌクレオチド及びPBSからなる。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、修飾されたオリゴヌクレオチド及びPBSから本質的になる。ある特定の実施形態では、PBSは、医薬品グレードである。
【0246】
ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、修飾されたオリゴヌクレオチド及び人工脳脊髄液を含む。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、修飾されたオリゴヌクレオチド及び人工脳脊髄液からなる。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、修飾されたオリゴヌクレオチド及び人工脳脊髄液から本質的になる。ある特定の実施形態では、人工脳脊髄液は、医薬品グレードである。
【0247】
ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、1つ以上のオリゴマー化合物及び1つ以上の賦形剤を含む。ある特定の実施形態では、賦形剤は、水、食塩水、アルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ラクトース、アミラーゼ、ステアリン酸マグネシウム、滑石、ケイ酸、粘性パラフィン、ヒドロキシメチルセルロース、及びポリビニルピロリドンから選択される。
【0248】
ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物は、薬学的組成物または配合物の調製のために薬学的に許容される活性及び/または不活性物質と混合されてもよい。薬学的組成物の製剤化のための組成物及び方法は、投与の経路、疾患の程度、または投与される用量を含むが、これらに限定されない、いくつかの基準に依存する。
【0249】
ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物を含む薬学的組成物は、オリゴマー化合物の任意の薬学的に許容される塩、オリゴマー化合物のエステル、またはこのようなエステルの塩を包含する。ある特定の実施形態では、1つ以上のオリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物を含む薬学的組成物は、ヒトを含む動物への投与の際に、生物学的に活性な代謝産物またはその残基を提供する(直接または間接的に)ことができる。したがって、例えば、本開示は、オリゴマー化合物の薬学的に許容される塩、プロドラッグ、そのようなプロドラッグの薬学的に許容される塩、及び他の生物学的等価物も対象とする。好適な薬学的に許容される塩としては、これらに限定されるものではないが、ナトリウム塩及びカリウム塩が挙げられる。ある特定の実施形態では、プロドラッグは、オリゴヌクレオチドに結合された1つ以上のコンジュゲート基を含み、このコンジュゲート基は、体内の内因性ヌクレアーゼによって切断される。
【0250】
脂質部分は、様々な方法で核酸療法において使用されている。ある特定のそのような方法において、オリゴマー化合物のような核酸は、カチオン性脂質と中性脂質との混合物から調製された予め形成されたリポソームまたはリポプレックスに導入される。ある特定の方法において、モノまたはポリカチオン性脂質とのDNA複合体は、中性脂質の非存在下で形成される。ある特定の実施形態では、脂質部分は、特定の細胞または組織への医薬品の分布を増加させるように選択される。ある特定の実施形態では、脂質部分は、脂肪組織への医薬品の分布を増加させるように選択される。ある特定の実施形態では、脂質部分は、筋組織に対する医薬品の分布を増加させるように選択される。
【0251】
ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、送達系を含む。送達系の例としては、リポソーム及びエマルジョンが挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の送達系は、疎水性化合物を含むものを含む特定の薬学的組成物の調製に有用である。ある特定の実施形態では、ジメチルスルホキシドなどのある特定の有機溶媒が使用される。
【0252】
ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、特定の組織または細胞型に本発明の1つ以上の医薬品を送達するように設計された1つ以上の組織特異的送達分子を含む。例えば、ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、組織特異的抗体でコーティングされたリポソームを含む。
【0253】
ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、共溶媒系を含む。ある特定のそのような共溶媒系は、例えば、ベンジルアルコール、非極性界面活性剤、水混和性有機ポリマー、及び水相を含む。ある特定の実施形態では、そのような共溶媒系は、疎水性化合物に使用される。そのような共溶媒系の非限定的な例は、VPD共溶媒系であり、それは、3%w/vベンジルアルコール、8%w/vの非極性界面活性剤Polysorbate 80(商標)、及び65%w/vポリエチレングリコール300を含む無水エタノールの溶液である。そのような共溶媒系の割合は、それらの溶解性及び毒性特性を著しく改変することなく、かなり変化し得る。更に、共溶媒構成成分の同一性は、変化してもよく、例えば、他の界面活性剤は、Polysorbate 80(商標)の代わりに使用されてもよく、ポリエチレングリコールの画分サイズは変化してもよく、他の生体適合性ポリマーは、ポリエチレングリコール、例えば、ポリビニルピロリドンを置き換えてもよく、他の糖または多糖類は、デキストロースを置換してもよい。
【0254】
ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、経口投与のために調製される。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、頬側投与のために調製される。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、注射(例えば、静脈内、皮下、筋肉内、髄腔内(IT)、脳室内(ICV)など)による投与のために調製される。ある特定のそのような実施形態では、薬学的組成物は、担体を含み、水などの水溶液中、またはハンクス溶液、リンガー溶液、もしくは生理食塩水緩衝剤などの生理学的に適合する緩衝剤で製剤化される。ある特定の実施形態では、他の成分が含まれる(例えば、溶解性を補助するか、または防腐剤として役立つ成分)。ある特定の実施形態では、注射可能な懸濁液は、適切な液体担体、懸濁液などを使用して調製される。注射用のある特定の薬学的組成物は、単位剤形、例えば、アンプルまたは複数回投与容器内にある。注射用のある特定の薬学的組成物は、油性または水性ビヒクルにおいて懸濁液、溶液、またはエマルジョンであり、懸濁液、安定化剤、及び/または分散剤などの処方剤を含み得る。注射用の薬学的組成物での使用に好適なある特定の溶媒には、ゴマ油などの親油性溶媒及び脂肪油、オレイン酸エチルまたはトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、ならびにリポソームが含まれるが、これらに限定されない。
【0255】
ある特定の条件下では、本明細書で開示する特定の化合物は、酸として機能する。かかる化合物は、プロトン化(遊離酸)形態で、またはイオン化されカチオンと会合した(塩)形態で図示または記載され得るが、かかる化合物の水溶液は、かかる形態の間で平衡状態で存在する。例えば、水溶液中のオリゴヌクレオチドのホスフェート結合は、遊離酸、アニオン、及び塩形態の間で平衡状態で存在する。別段の指示がない限り、本明細書に開示される化合物は、全てのそのような形態を含むよう意図されている。更に、ある特定のオリゴヌクレオチドは、いくつかのそのような結合を有し、その各々は均衡状態にある。したがって、溶液中のオリゴヌクレオチドは、複数の位置ですべて平衡状態である、形態の集合として存在する。「オリゴヌクレオチド」という用語は、全てのそのような形態を含むことが意図される。図示される構造は、必然的に単一の形態が描かれる。それにもかかわらず、別段の指示がない限り、そのような描写は、同様に対応する形態を含むよう意図されている。本明細書では、化合物の遊離酸の後に「またはその塩」という用語が後に続く構造は、完全または部分的にプロトン化されている/脱プロトン化されている/カチオンと会合し得る全てのそのような形態を明らかに含む。ある特定の事例では、1つ以上の特定のカチオンが、特定される。
【0256】
ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドまたはオリゴマー化合物は、ナトリウムを含む水溶液中にある。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドまたはオリゴマー化合物は、カリウムを含む水溶液中にある。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドまたはオリゴマー化合物は、PBS中にある。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドまたはオリゴマー化合物は、水中にある。ある特定のかかる実施形態では、溶液のpHは、NaOH及び/またはHClで調整され、所望のpHを達成する。
【0257】
本明細書において、ある特定の用量が記載される。用量は、投薬単位の形態であり得る。説明を明確にするため、ミリグラム単位の修飾されたオリゴヌクレオチドまたはオリゴマー化合物の用量(または投与単位)は、修飾されたオリゴヌクレオチドまたはオリゴマー化合物の遊離酸形態の質量を示す。上記のように、水溶液中では、遊離酸はアニオン型及び塩型と平衡状態にある。しかしながら、用量を計算する目的のために、修飾されたオリゴヌクレオチドまたはオリゴマー化合物が、無溶媒、無酢酸ナトリウム、無水、遊離酸として存在すると仮定される。例えば、修飾されたオリゴヌクレオチドまたはオリゴマー化合物がナトリウムを含む溶液中にある場合(例えば、生理食塩水)、修飾されたオリゴヌクレオチドまたはオリゴマー化合物は、部分的または完全に脱プロトン化され、Na+イオンと会合し得る。しかしながら、それでも、プロトンの質量は、用量の重量に計数され、Na+イオンの質量は、用量の重量に計数されない。したがって、例えば、10mgの化合物番号1492069の用量または投薬単位は、10mgの重量を有する完全にプロトン化された分子の数に等しい。これは、無溶媒、無酢酸ナトリウム、無水ソディエーションした(sodiated)化合物番号1492069の10.59mgに相当する。オリゴマー化合物がコンジュゲート基を含む場合、コンジュゲート基の質量は、そのようなオリゴマー化合物の用量の計算に含まれる。コンジュゲート基がまた酸を有する場合、コンジュゲート基も同様に、用量を計算する目的で完全にプロトン化されていると仮定される。
【0258】
非限定的な開示及び参照による組み込み
本明細書に列記される文献及び特許公開は各々、参照によりその全体が組み込まれる。
【0259】
本明細書に記載されるある特定の化合物、組成物、及び方法が、ある特定の実施形態に従って具体的に記載されているが、以下の実施例は、本明細書に記載される化合物を例証するものにすぎず、それを限定するようには意図されていない。本出願に列挙される参考文献、GenBank受託番号、ENSEMBL識別子などは各々、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0260】
本出願に添付している配列表は、必要に応じて「RNA」または「DNA」のいずれかとして特定しているが、実際には、これらの配列は化学修飾の任意の組み合わせで修飾され得る。当業者は、修飾されたオリゴヌクレオチドを説明するための「RNA」または「DNA」としての指定は、ある特定の例では、任意であることを容易に理解するであろう。例えば、2’-OH糖部分及びチミン塩基を含むヌクレオシドを含むオリゴヌクレオチドは、修飾された糖を有するDNA(DNAの1つの2’-Hの代わりに2’-OH)として、または修飾された塩基を有するRNA(RNAのウラシルの代わりのチミン(メチル化ウラシル))として記載され得る。したがって、配列表にあるものを含むがこれらに限定されない、本明細書に提供される核酸配列は、修飾された核酸塩基を有するそのような核酸を含むがこれらに限定されない、天然もしくは修飾されたRNA及び/またはDNAの任意の組み合わせを含む核酸を包含するよう意図されている。更なる例として、限定することなく、核酸塩基配列「ATCGATCG」を有するオリゴマー化合物は、修飾されているかまたは修飾されていないかにかかわらず、これらに限定されないが、配列「AUCGAUCG」を有するものならびに「AUCGATCG」などのいくつかのDNA塩基及びいくつかのRNA塩基を有するものなどのRNA塩基を含むそのような化合物と、「ATmCGAUCG」などの他の修飾された核酸塩基を有するオリゴマー化合物と、を含む、そのような核酸塩基配列を有する任意のオリゴマー化合物を包含し、mCは、5-位置でメチル基を含むシトシン塩基を示す。
【0261】
本明細書に記載されるある特定の化合物(例えば、修飾されたオリゴヌクレオチド)は、1つ以上の不斉中心を有し、したがってエナンチオマー、ジアステレオマー、及び(R)もしくは(S)として、糖アノマーなどのαもしくはβとして、またはアミノ酸などの(D)もしくは(L)として、絶対立体化学に関して定義され得る他の立体異性体配置を生じさせる。ある特定の立体異性体配置を有するものとして描写または記載される本明細書に提供される化合物には、示される化合物のみが含まれる。定義されていない立体化学で描写または記載される本明細書に提供される化合物には、別途指定されない限り、全てのそのような可能な異性体(それらのステレオランダム及び光学的に純粋な形態を含む)が含まれる。同様に、別段の指示がない限り、本明細書の化合物の互変異性形態も含まれる。別段の指示がない限り、本明細書に記載の化合物は、対応する塩形態を含むことを意図している。
【0262】
本明細書に記載される化合物は、1個または複数の原子が示される元素の非放射性同位体または放射性同位体と置き換えられている変形形態を含む。例えば、水素原子を含む本明細書の化合物は、1H水素原子の各々に対して全ての可能な重水素置換を包含する。本明細書における化合物によって包含される同位体置換には、1Hの代わりに2Hまたは3H、12Cの代わりに13Cまたは14C、14Nの代わりに15N、16Oの代わりに17Oまたは18O、及び32Sの代わりに33S、34S、35S、または36Sが含まれるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、非放射性同位体置換は、オリゴマー化合物に治療または研究ツールとしての使用に有益な新しい特性を与え得る。ある特定の実施形態では、放射性同位体の置換は、化合物をイメージングなどの研究目的または診断目的に好適なものにし得る。
【実施例】
【0263】
以下の実施例は、本開示のある特定の実施形態を例証するものであり、限定するものではない。更に、具体的な実施形態が提供される場合、発明者らは、それらの具体的な実施形態の一般的適用を企図した。例えば、特定のモチーフを有するオリゴヌクレオチドの開示は、同じまたは類似のモチーフを有する追加のオリゴヌクレオチドに対する合理的な支持を提供する。更に、例えば、特定の高親和性修飾が特定の位置に出現する場合、同じ位置での他の高親和性修飾は、別段の指示がない限り、好適であるとみなされる。
【0264】
実施例1:ヒトIFNAR1核酸と相補的な修飾されたオリゴヌクレオチドの設計
ヒトIFNAR1核酸と相補的な修飾されたオリゴヌクレオチドを、以下の表に記載されるように設計した。「開始部位」は、標的核酸配列において修飾されたオリゴヌクレオチドが相補的である最も5’側のヌクレオシドを示す。「終結部位」は、標的核酸配列において修飾されたオリゴヌクレオチドが相補的である最も3’側のヌクレオシドを示す。以下の表に列挙される各修飾されたオリゴヌクレオチドは、配列番号1(33321001~33363000が切断されたGENBANK受託番号NC_000021.9)、配列番号2(GENBANK受託番号NM_000629.2)、またはその両方に対して100%相補的である。「N/A」は、修飾されたオリゴヌクレオチドが、その特定の標的核酸配列と100%相補的でないことを示す。
【0265】
以下の表の修飾されたオリゴヌクレオチドは、5-10-5MOEギャップマーである。ギャップマーは、20ヌクレオシド長であり、ギャップマーの糖モチーフは、(5’から3’):eeeeeddddddddddeeeeeであり、各「d」は、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分を表し、各「e」は、2’-MOE糖部分を表す。ギャップマーは、(5’から3’):sooosssssssssssoossのヌクレオシド間結合モチーフを有し、各「s」は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合を表し、各「o」は、ホスホジエステルヌクレオシド間結合を表す。各シトシン残基は、5-メチルシトシンである。
【0266】
【0267】
以下の表の修飾されたオリゴヌクレオチドは、6-10-4MOEギャップマーである。ギャップマーは、20ヌクレオシド長であり、ギャップマーの糖モチーフは、(5’から3’):eeeeeeddddddddddeeeeであり、各「d」は、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分を表し、各「e」は、2’-MOE糖部分を表す。ギャップマーは、(5’から3’):sooooossssssssssossのヌクレオシド間結合モチーフを有し、各「s」は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合を表し、各「o」は、ホスホジエステルヌクレオシド間結合を表す。各シトシン残基は、5-メチルシトシンである。
【0268】
【0269】
実施例2:トランスジェニックマウスにおけるヒトIFNAR1と相補的な修飾されたオリゴヌクレオチドの活性
上記の修飾されたオリゴヌクレオチドを、ヒトIFNAR1トランスジェニックマウスモデルにおいて試験した。ヒトIFNAR1転写産物を発現するトランスジェニックマウスを、作製した。
【0270】
フォスミドABCS-41091_400N2からのヒトIFNAR1遺伝子の上流配列のエクソン1~6及び約4.9kBを、ヒトIFNAR1遺伝子のエクソン7~11及び下流配列の56kBを含有するBAC、CTD-2289N21にサブクローニングして、完全なIFNAR1導入遺伝子を生成した。操作されたBACを、Not1で消化して、BAC骨格を除去した。C57BL/6マウスの受精卵に、前核注射により、完全なヒトIFNAR1遺伝子を含有する精製されたBAC断片を導入して、3つのファウンダー株を生成した。株17505は、本明細書に記載される実験に使用された。
【0271】
処置
トランスジェニックマウスを、各2匹のマウス群に分けた。各マウスに、300μgの修飾されたオリゴヌクレオチドの単回ICVボーラスを投与した。2~4匹のマウス群に、陰性対照としてPBSを投与した。
【0272】
RNA分析
処置から2週間後、マウスを殺処分し、ヒトプライマープローブセットRTS44352(本明細書で配列番号6として指定されるフォワード配列CTTTCAAGTTCAGTGGCTCCA、本明細書で配列番号7として指定されるリバース配列CGTTTTGAGGAAAGACACACTG、本明細書で配列番号8として指定されるプローブ配列AGTTTTGACATTTTCACAGTCAGGTATTTGTTTCC)を使用して、RNAを、RTPCR分析のために皮質脳組織及び脊髄から抽出して、IFNAR1 RNAの量を測定した。18SリボソームRNAに正規化された、PBS対照に対するヒトIFNAR1のパーセントとして結果を表す。マウス18SプライムプローブセットPPS54360(本明細書で配列番号3として指定されるフォワード配列GGAACTGAGGCCATGATTAAGA、本明細書で配列番号4として指定されるリバース配列ACCTCCGACTTTCGTTCTTG、本明細書で配列番号5として指定されるプローブ配列AAGACGGACCAGAGCGAAAGCAT)を使用して、18SリボソームRNAを、増幅した。
【0273】
【0274】
【0275】
実施例3:トランスジェニックマウスにおけるヒトIFNAR1 RNAと相補的な修飾されたオリゴヌクレオチドの有効性
上記に記載される修飾されたオリゴヌクレオチドを、ヒトIFNAR1トランスジェニックマウス(本明細書で上記に記載される)において試験した。
【0276】
処置
ヒトIFNAR1トランスジェニックマウスを、各4匹のマウス群に分けた。各マウスに、以下の表に示される用量で、修飾されたオリゴヌクレオチドの単回ICVボーラスを投与した。4匹のマウスの群に、陰性対照としてPBSを投与した。
【0277】
RNA分析
処置から2週間後、マウスを殺処分し、プライマープローブセットRTS44352(本明細書で上記に記載)を使用して、IFNAR1のRNA発現の定量的リアルタイムRTPCR分析のために、RNAを、脊髄、大脳皮質、及び小脳から抽出した。18S PCR(本明細書で上記に記載)に調整された、PBS対照に対するヒトIFNAR1 RNAのパーセントとして、結果を表す。
【0278】
各修飾されたオリゴヌクレオチドの50%最大有効用量(ED50)を、GraphPad Prism 7ソフトウェア(GraphPad Software,San Diego,CA)を使用して計算した。ED50値は、用量及び個々の動物のIFNAR1 RNAレベルから、以下のカスタム方程式を使用して計算した:アゴニスト対応答-可変勾配(4つのパラメータ)Y=Bottom+(Top-Bottom)/(1+(10^logED50/X)^HillSlope)、次の制約付き:bottom>0、top=100。
【0279】
以下の表に示されるように、修飾されたオリゴヌクレオチドによる処置は、PBS対照と比較して、IFNAR1 RNAの用量応答性の低減をもたらした。
【0280】
【0281】
【配列表】
【国際調査報告】