(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】放射性同位体の生成のための照射ターゲット及びその分解のための解体器具
(51)【国際特許分類】
G21G 4/08 20060101AFI20240621BHJP
G21K 5/08 20060101ALI20240621BHJP
G21G 1/00 20060101ALN20240621BHJP
【FI】
G21G4/08 T
G21K5/08 R
G21G1/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577691
(86)(22)【出願日】2022-06-17
(85)【翻訳文提出日】2024-02-07
(86)【国際出願番号】 US2022034064
(87)【国際公開番号】W WO2022266487
(87)【国際公開日】2022-12-22
(32)【優先日】2022-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519307539
【氏名又は名称】ビーダブリューエックスティー アイソトープ テクノロジー グループ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ローグ、エヴァン、トーマス
(57)【要約】
照射ターゲットシステムであって、中心開口を画定する少なくとも1つの環状プレートを備え、細長い本体と、複数のプレートの第1の端部を超えて延びるフランジ部分と、タブ部分とを含む照射ターゲットとを含む照射ターゲットと、ターゲット解体器具であって、底部プレートと、底部プレートに取り付けられたグリッパ組立体と、ツイスタ組立体であって、ターゲットを中に受け入れるように構成されたターゲット孔を画定するハウジングと、ターゲット孔の底端部においてハウジングに摺動可能且つ非回転可能に設置されたスライド部分とを含むツイスタ組立体とを有するターゲット解体器具とを有する照射ターゲットシステム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性同位体の生成のための照射ターゲットシステムにおいて、
照射ターゲットであって、
中心開口を画定する複数の環状プレートと、
前記複数の環状プレートの前記中心開口を通過することで、前記複数の環状プレートがその上に維持される第1の細長い中心部材であって、細長い本体と、第1の端部においてそれに対して横方向に延びるフランジ部分と、第2の端部においてそこから軸方向に延びるタブ部分とを含み、前記第1の細長い中心部材の前記フランジ部分は、前記複数の環状プレートの第1の端部を超えて軸方向に外向きに延び、前記タブ部分は、前記複数の環状プレートの第2の端部を超えて軸方向に外向きに延びる第1の細長い中心部材とを備える照射ターゲットと、
ターゲット解体器具であって、
底部プレートと、
前記底部プレートに取り付けられたグリッパ組立体と、
前記底部プレートに回転可能に固定されたツイスタ組立体であって、前記照射ターゲットを中に受け入れるように構成されたターゲット孔を画定するハウジングと、前記ターゲット孔の底端部において前記ハウジングに摺動可能且つ非回転可能に設置されたスライド部分であって、実質的に円であり、前記照射ターゲットの前記複数の環状プレートの外径より小さい最大直径を有する第1の穴を画定するスライド部分とを備えるツイスタ組立体とを備えるターゲット解体器具とを備える、
放射性同位体の生成のための照射ターゲットシステム。
【請求項2】
前記複数の環状プレート及び前記第1の細長い中心部材は共に、中性子捕獲を介してモリブデン-99(Mo-99)を生成する材料で形成される、請求項1に記載の照射ターゲットシステム。
【請求項3】
前記第1の細長い中心部材は、前記本体部分から外向きに、且つ前記本体部分の長手方向中心軸に沿って延びるリブ部分をさらに備える、請求項1に記載の照射ターゲットシステム。
【請求項4】
その第1の端部から横方向に延びるフランジ部分と、第2の端部においてそこから軸方向に延びるタブ部分とを含む第2の細長い中心部材をさらに備え、前記第1の細長い中心部材の前記タブ部分は、前記第2の細長い中心部材の前記フランジ部分に隣接している、請求項1に記載の照射ターゲットシステム。
【請求項5】
前記第1の細長い中心部材の前記タブ部分は、前記第2の細長い中心部材の前記フランジ部分の上に折り曲げられる、請求項4に記載の照射ターゲットシステム。
【請求項6】
前記複数の環状プレートの各プレート並びに前記第1の細長い中心部材及び前記第2の細長い中心部材は、モリブデン-98(Mo-98)で形成される、請求項4に記載の照射ターゲットシステム。
【請求項7】
前記照射ターゲットが前記ターゲット孔に配置されるとき、前記グリッパ組立体は、前記照射ターゲットが前記ツイスタ組立体に対して非回転可能であるように、前記第1の細長い中心部材の前記フランジ部分に係合するように構成される、請求項4に記載の照射ターゲットシステム。
【請求項8】
前記ツイスト組立体の前記スライド部分は、2つの平行な側壁によって画定される第2の穴をさらに画定し、前記第2の穴は、前記第2の細長い部材の前記フランジ部分を摺動可能に受け入れるように構成されている、請求項7に記載の照射ターゲットシステム。
【請求項9】
前記スライド部分は、前記第1の穴が前記照射ターゲットの底部に配置される第1の位置と、前記第2の穴が前記ターゲット穴の底部に配置される第2の位置との間で摺動可能である、請求項8に記載の照射ターゲットシステム。
【請求項10】
前記スライド部分は、実質的に円であり、前記照射ターゲットの前記少なくとも1つの環状プレートの前記外径より大きい最小直径を有する第3の穴をさらに画定し、前記第3の穴が前記ターゲット孔の底部に配置される第3の位置へと摺動可能である、請求項9に記載の照射ターゲットシステム。
【請求項11】
放射性同位体の生成のための照射ターゲットシステムにおいて、
照射ターゲットであって、
中心開口を画定する複数の環状プレートと、
前記複数の環状プレートの前記中心開口を通過することで前記複数の環状プレートがその上に維持される第1の細長い中心部材であって、細長い本体と、第1の端部においてそれに対して横方向に延びるフランジ部分と、その第2の端部に配置されたタブ部分とを含み、前記フランジ部分は、前記複数の環状プレートの第1の端部面に当接し、そこから軸方向外向きに延び、前記タブ部分は、前記複数の環状プレートの第2の端部面を超えて外向きに延びる第1の細長い中心部材とを備える照射ターゲットと、
ターゲット解体器具であって、
底部プレートと、
前記底部プレートに取り付けられたグリッパ組立体と、
前記底部プレートに固定されたツイスタ組立体であって、前記照射ターゲットを中に受け入れるように構成されたターゲット孔を画定する回転可能なハウジングと、前記ターゲット孔の底端部において前記ハウジングに摺動可能且つ非回転可能に設置されたスライド部分とを備えるツイスタ組立体とを備えるターゲット解体器具とを備える、
放射性同位体の生成のための照射ターゲットシステム。
【請求項12】
前記スライド部分は、実質的に円であり、前記照射ターゲットの前記複数の環状プレートの前記外径より小さい最大直径を有する第1の穴を画定し、前記スライド部分は、2つの平行な側壁によって画定される第2の穴をさらに画定し、前記第2の穴は、前記第2の細長い部材の前記フランジ部分を摺動可能に受け入れるように構成される、請求項11に記載の照射ターゲットシステム。
【請求項13】
前記複数の環状プレート及び前記第1の細長い中心部材は共に、中性子捕獲を介してモリブデン-99(Mo-99)を生成する材料で形成される、請求項12に記載の照射ターゲットシステム。
【請求項14】
前記第1の細長い中心部材は、前記本体部分から外向きに、且つ前記本体部分の長手方向中心軸に沿って延びるリブ部分をさらに備える、請求項12に記載の照射ターゲットシステム。
【請求項15】
その第1の端部から横方向に延びるフランジ部分と、第2の端部においてそこから軸方向に延びるタブ部分とを含む第2の細長い中心部材をさらに備え、前記第1の細長い中心部材の前記タブ部分は、前記第2の細長い中心部材の前記フランジ部分に隣接している、請求項12に記載の照射ターゲットシステム。
【請求項16】
前記第1の細長い中心部材の前記タブ部分は、前記第2の細長い中心部材の前記フランジ部分の上に折り曲げられる、請求項15に記載の照射ターゲットシステム。
【請求項17】
前記複数の環状プレートの各プレート並びに前記第1の細長い中心部材及び前記第2の細長い中心部材は、モリブデン-98(Mo-98)で形成される、請求項15に記載の照射ターゲットシステム。
【請求項18】
前記照射ターゲットが前記ターゲット孔に配置されるとき、前記グリッパ組立体は、前記照射ターゲットが前記ツイスタ組立体に対して非回転可能であるように、前記第1の細長い中心部材の前記フランジ部分に係合するように構成される、請求項15に記載の照射ターゲットシステム。
【請求項19】
前記スライド部分は、前記第1の穴が前記照射ターゲットの底部に配置される第1の位置と、前記第2の穴が前記ターゲット穴の底部に配置される第2の位置との間で摺動可能である、請求項12に記載の照射ターゲットシステム。
【請求項20】
前記スライド部分は、実質的に円であり、前記照射ターゲットの前記少なくとも1つの環状プレートの前記外径より大きな最小直径を有する第3の穴をさらに画定し、前記第3の穴が前記ターゲット穴の底部に配置される第3の位置へと摺動可能である、請求項19に記載の照射ターゲットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年5月20日に提出された米国仮特許出願第63/344,391号及び2021年6月18に提出された米国仮特許出願第63,212,177号に対する優先権を主張し、これらの開示全体が本明細書に組み込まれている。
【0002】
これから開示される発明は、一般に、テクネチウム-99m生成器(Mo-99/Tc-99m生成器)において使用するのに適したチタン-モリブデン酸塩99材料に関し、より具体的には、そのようなチタン-モリブデン酸塩99材料の生成で使用される照射ターゲット並びに照射ターゲットの分解のための解体器具に関する。
【背景技術】
【0003】
テクネチウム-99m(Tc-99m)は、核医学(例えば、医学的診断撮像)において最も一般的に使用される放射性同位体である。Tc-99m(mは、準安定性)は典型的には、患者に注入され、特定の装備と共に使用される際に患者の体内の器官を撮像するのに使用される。しかしながらTc-99mは、わずか6(6)時間の半減期しか持たない。したがって、Tc-99mの容易に利用可能な供給源は、少なくとも核医学分野において特に興味深く、及び/又は特に必要とされる。
【0004】
Tc-99mの短い半減期を考えれば、Tc-99mは典型的には、Mo-99/Tc-99m生成器を介して必要な場所で、及び/又は必要な時に(例えば、薬局、病院などで)入手される。Mo-99/Tc-99m生成器は、生理的食塩水をMo-99材料に通すことによって、崩壊するモリブデン-99(Mo-99)の供給源からテクネチウムの準安定アイソトープ(すなわちTc-99m)を抽出するのに使用されるデバイスである。Mo-99は不安定であり、66時間の半減期でTc-99mに崩壊する。Mo-99は典型的には、高中性子束原子炉内で高度に濃縮されたウランターゲット(93%ウラン-235)の照射から生成され、その後の処理ステップの後に、Mo-99/Tc-99m生成器製造場所に出荷されてMo-99を使用可能な形態まで還元する。Mo-99/Tc-99m生成器は、その後、このような集約化した場所からその国の至るところの病院又は薬局に配給される。Mo-99は、短い半減期を有し、製造場所の数が制限されるため、照射されたMo-99物質を使用可能な形態に還元するのに必要とされる時間数を最小限にすることが望ましい。
【0005】
したがって、時宜に適したやり方でTc-99m生成器内で使用するのに適したチタン-モリブデン酸塩99材料を生成するためのプロセスに対する要望が少なくとも残っている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施例は、放射性同位体の生成のための照射ターゲットシステムを提供し、照射ターゲットシステムは、照射ターゲットであって、中心開口を画定する複数の環状プレートと、複数の環状プレートの中心開口を通過することで複数の環状プレートがその上に維持される第1の細長い中心部材であって、細長い本体と、第1の端部においてそれに対して横方向に延びるフランジ部分と、第2の端部においてそこから軸方向に延びるタブ部分とを含み、第1の細長い中心部材のフランジ部分は、複数のプレートの第1の端部を超えて軸方向に外向きに延び、タブ部分は、複数のプレートの第2の端部を超えて軸方向に外向きに延びる第1の細長い中心部材とを含む照射ターゲットと、ターゲット解体器具であって、底部プレートと、底部プレートに取り付けられたグリッパ組立体と、底部プレートに回転可能に固定されたツイスタ組立体であって、照射ターゲットを中に受け入れるように構成されたターゲット孔を画定するハウジングと、ターゲット孔の底端部においてハウジングに摺動可能且つ非回転可能に設置されたスライド部分であって、実質的に円であり、照射ターゲットの複数の環状プレートの外径より小さい最大直径を有する第1の穴を画定するスライド部分とを備えるツイスタ組立体とを有するターゲット解体器具とを有する。
【0007】
添付の図面は、この明細書に組み込まれてその一部を構成しており、発明の1つ又は複数の実施例を例示し、記載と併せて発明の原理を説明する役目を果たしている。
【0008】
次に発明は、添付の図面を参照して以下でより十分に記載され、その中で、発明の一部の実施例が示されており、全ての実施例が示されるわけではない。当然のことながら、この発明は、多くの異なる形態で具現化されてよく、本明細書に記載される実施例に限定されるように解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施例は、本開示が適用可能な法的要件を満たすように提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】本発明の一実施例による照射ターゲットの剛性の背骨を形成する保持クリップの斜視図である。
【
図1B】本発明の一実施例による照射ターゲットの剛性の背骨を形成する保持クリップの正面図である
【
図2】本発明の一実施例による照射ターゲットの側部斜視図である。
【
図3】
図2に示される照射ターゲットの組み立てプロセスの図である。
【
図4】端部キャップの一方が取り外された状態での対応するターゲットキャニスタに装填された、
図2に示される照射ターゲットの斜視図である。
【
図5】両方の端部キャップがそこに取り付けられている状態の、
図4に示されるターゲットキャニスタの側面図である。
【
図6A】本発明の一実施例による解体器具の斜視図である。
【
図6B】本発明の一実施例による解体器具の上面図である。
【
図6C】本発明の一実施例による解体器具の正面図である。
【
図6D】本発明の一実施例による解体器具の左側面図である。
【
図8】
図7Aから
図7Dまでに示されたツイスタ組立体のスライド部分の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書中及び図面中での参照符号の繰り返しの使用は、開示による発明の同じ、又は類似の特徴部及び要素を表すことを意図している。
【0011】
次に発明は、添付の図面を参照して以下で十分に記載され、その中で、発明の一部の実施例が示されており、全ての実施例が示されるわけではない。当然のことながら、本発明は、多くの異なる形態で具現化されてよく、本明細書に記載される実施例に限定されるように解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施例は、本開示が適用可能な法的要件を満たすために提供されている。
【0012】
本明細書で使用される際、照射ターゲット解体器具の配向に対する方向又は位置を指す用語、「垂直方向」、「水平方向」、「頂部」、「底部」、「上」又は「下」などは、これに限定するものではないが、
図6A及び
図6Bに示される照射ターゲット解体器具の配向に関する方向及び相対位置を指す。よって、例えば、用語「垂直方向」及び「頂部」は、
図6A及び
図6Bの斜視図における垂直方向の配向及び相対的に上方の位置を指しており、さらには、異なる配向で配置される可能性のある照射ターゲット解体器具に関しても、その文脈で理解すべきである。
【0013】
さらにこの出願書類又は添付の特許請求の範囲において使用される際の用語「又は」は、排他的「又は」ではなく、包括的「又は」を意味することが意図されている。すなわち、特に指定のない限り、又は文脈から明らかでない限り、「Xは、A又はBを利用する」という表現は、自然な包括的な並べ替えのいずれも意味することが意図されている。すなわち、「Xは、A又はBを利用する」という表現は、以下の例:XはAを利用する、XはBを利用する、又はXはAとBの両方を利用するのいずれかによって満たされる。加えて、この出願書類及び添付の特許請求の範囲において使用される際の冠詞「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、特に指定のない限り、又は文脈から単数形に向けられるべきことが明らかでない限り、「1つ又は複数」を意味するように一般に解釈されるべきである。明細書及び特許請求の範囲を通して、以下の用語は、文脈がそれ以外を指示していない限り、少なくとも本明細書において明示的に対応付けられた意味を取る。以下で特定された意味は、必ずしも用語を限定するものではないが、用語に関する例示的な例を単に提供するだけである。「1つの(a)」「1つの(an)」及び「その(the)」の意味は、複数の指示内容を含む場合があり、「中に(in)」の意味は、「中」及び「上(on)」を含む場合がある。本明細書で使用される際の「一実施例では」という表現は、必ずしも同じ実施例を指すわけではないが、そうである場合もある。
【0014】
図1A、
図1B及び
図2を次に参照すると、本発明による照射ターゲット100は、一対の保持クリップ121a及び121bによって形成された剛性の背骨120上に保持される複数の薄い環状プレート110を含み、これらは、外側キャニスタ102内に摺動可能に収容される。好ましくは、複数の薄い環状プレート110並びに保持クリップ121a及び121bは共に同じ材料から形成され、材料は、例えば核分裂タイプの原子炉などの原子炉内で中性子捕獲プロセスを受けた後にアイソトープモリブデン-99(Mo-99)を生成することが可能なものである。好ましい実施例では、この材料はMo-98である。しかしながら、代替の実施例では、プレート110並びに保持クリップ121a及び121bは、これに限定するものではないが、モリブデン-ランタン(Mo-La)、チタン-ジルコニウム-モリブデン(Ti-Zr-Mo)、炭化モリブデン-ハフニウム(MoHf-C)、モリブデン-タングステン(Mo-W)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン(Mo-MP35N)及びウラン-モリブデン(U-Mo)などの材料から形成され得ることに留意されたい。
【0015】
図2に示されるように、剛性の背骨120は、第1の保持クリップ121a及び第2の保持クリップ121bによって形成されており、2つのクリップは、構造が全く同じである。したがって各クリップは、実質的に平面である細長い本体122と、細長い本体の第1の端部におけるフランジ部分と、細長い本体122の第2の端部におけるタブ部分126とを含む。
図1A及び
図1Bにおいて、保持クリップ121のタブ部分126は、折り曲げられていない位置で示されていることに留意されたい。背骨120の組み立てより前は、各保持クリップ121のタブ部分126は、対応する細長い本体122の端部から軸方向外向きに延びている。好ましくは、各クリップの細長い本体122は、タブ部分126を除いて、細長い本体122の長さに延びるリブ部分123を含むことで、タブ部分126が容易に曲がることを可能にしつつ、クリップ121に剛性を与える。同様に、リブ部分123が保持クリップ121のフランジ部分124に存在することで、その剛性を高める。
【0016】
検討した実施例では、保持クリップ121の細長い本体122は、照射ターゲット100の複数の薄い環状プレート110の全長よりわずかに大きな長さを有する。細長い本体122の最大の幅は、以下でより詳細に考察されるように、タブ部分126を含む保持クリップ121の端部が、組み立てプロセス中に複数の薄いプレート110によって画定された孔111の中を摺動することを可能にする。
【0017】
照射ターゲット100の質量の大半は、剛性の背骨120上に摺動可能に受け入れられる複数の薄いプレート110にある。好ましくは、各薄いプレート110は、薄い環状ディスクであるが、円形以外の代替の形状も可能である。各環状プレート110の縮小された厚さは、ターゲット材料の所与の量に対して増大した表面積を提供する。各薄いプレート110の増大した表面積は、それらが、Ti-Mo-99を生成するプロセスの一部として核分裂反応炉内で照射された後、プレートを溶解させるプロセスを容易にする。追加として、好ましい実施例として、各薄いプレート110は、各薄いプレート110が剛性の背骨120上に摺動可能に位置決めされるように中心穴112を画定する。
【0018】
本実施例では、照射ターゲット100を照射プロセス中に核分裂原子炉に挿入するために、ターゲットキャニスタ102が利用される。
図4及び
図5に最も良く見られるように、各ターゲットキャニスタ102は、内側の孔103を画定する実質的に円筒形の本体部分を含む。孔103は、照射ターゲットの薄いプレート110が対応する反応炉内での照射プロセス中に、乾燥した環境に留まるように端部キャップ105によって密閉される。ターゲットの薄いプレート110を照射プロセス中に乾燥して維持することは、そこに酸化物層が形成されるのを防止し、酸化層の形成は、Mo-99を使用可能な形態まで還元するために、薄いプレートをその後の化学プロセスにおいて溶解させる努力を妨害する可能性がある。
【0019】
次に
図3を参照して、照射ターゲット100の組み立てプロセスを議論する。最初に、複数の薄いプレート110、好ましくは環状プレートが整列ジグ140の半円筒形の凹部142に位置決めされる。整列ジグ140は、3D印刷プロセスによって形成されてよく、複数のプレートは、半円筒形の凹部142の中にきっちりと詰め込まれることにより、その中心穴112は整列した状態になる。第1の保持クリップ121aのタブ部分126aを有する前方端部が、整列ジグ140内にきっちりと詰め込まれた複数のプレート110の中心孔111に挿入される。半円の凹部144が整列ジグ140の端部壁に設けられることで、第1の保持クリップ121aは、中心孔111と整列されてよい。第1の保持クリップ121aは、そのフランジ部分124aの底面が複数の環状プレート110と当接するまで挿入される。第1の保持クリップ121aが複数の環状プレート110に十分挿入された後、タブ部分126aは、環状プレートのスタックの端部を超えて外向きに延びる。
【0020】
次に、第2の保持クリップ121bのタブ部分126bが、第1の保持クリップ121aのフランジ部分124aがそこから延びている中心孔111の端部に挿入される。
図2に示されるように、第1の保持クリップ121a及び第2の保持クリップ121bが複数の環状プレート110の中心孔の中に配置されることで、その細長い本体122a及び122bは併せてぴったり重ね合わされる。第1の保持クリップ121aと同様に、第2の保持クリップ121bは、そのフランジ部分124bの底面が、最も外側の環状プレート110の外面に当接するまで環状プレート110の孔に摺動可能に挿入される。この位置では、第2の保持クリップ121bのタブ部分126bは、第1の保持クリップ121aのフランジ部分124aを超えて軸方向外向きに延びる。
図2に示されるように、第1の保持クリップ121a及び第2の保持クリップ121bのタブ部分126a及び126bは、他方の保持クリップのフランジ部分124a及び124bの上に折り曲げられ、これにより、複数の環状プレート110を第1の保持クリップ121aのフランジ部分124aと第2の保持クリップ121bのフランジ部分124bとの間に保持する。
【0021】
ターゲットキャニスタ102の照射及びそこからの複数の環状プレート110の取り外しの後、環状プレート110のさらなる処理を可能にするために剛性の背骨120が取り外される。次に
図6Aから
図6Dを参照すると、好ましくは照射ターゲット解体器具150を使用して、フランジ部分124を、対応する照射ターゲット100の剛性の背骨120の一端から取り外すことで、処理のために複数の環状プレート110が剛性の背骨120から摺動可能に取り外されてよい。示されているように、好ましくは、解体器具150は、複数のポスト151によって底部プレート152の上方に支持される頂部プレート153を含む。
図6C及び
図6Dに最も良く見られるように、ツイスト組立体170が、解体器具150の頂部プレート153の底面に固定される。スライド部分172は、ツイスト組立体のハウジング176内に摺動可能に支持され、以下でより詳細に考察されるように複数の位置の間で可動である。
図6Aに最も良く見られるように、取り外し可能な引きだし156がツイスタ組立体170の真下に配置され、複数のレール154によって底部プレート152上の所定の位置に保持される。引きだし156は、照射ターゲット100が解体されるとき、ツイスタ組立体170から落下する開放された環状プレート110、及び剛性の背骨120の一部を収容するように構成されている。
【0022】
引き続き
図6Aから
図6Dまでを参照すると、解体器具150は、頂部プレート153の頂面に固定されたグリッパ組立体157を含む。好ましくは、グリッパ組立体157は、空気圧により作動され、グリッパ取り付け台ブロック159と、グリッパ取り付け台ブロック159によって可動式に支持される一対のグリッパアーム161とを含む。各グリッパアーム161は、そこに配置されたグリッパ158を含み、グリッパアーム161は、対向するグリッパ158を互いに向かう方向と互いに離れる方向に所望通りに移動させるように構成されている。装填管166が頂部プレート153によって垂直に支持され、照射ターゲット100が照射されターゲットキャニスタ102から取り外された後に組み立てられた照射ターゲット100を、その中に摺動可能に受け入れるように構成された円筒形のターゲット孔167を、その中に画定する。ターゲット孔167の長さは、照射ターゲット100がその中に配置されたとき、ターゲットの剛性の背骨120のフランジ部分124が、装填管166の頂面を超えて上向きに延びることで、フランジ部分124がグリッパ158によって所定の場所に固定され得るように選択される。同様に、電気モータ190が頂部プレート153の上面に保持され、電気モータ190に機械的に連結され、頂部プレート153の真下に配置された対応する駆動歯車192を選択的に駆動するように構成される。
【0023】
さらに
図7Aから
図7Dまでを参照すると、ツイスタ組立体170がより詳細に示される。示されるように、ツイスタ組立体ハウジング176の一部は、先に言及した装填管166の一部を形成することで、装填された照射ターゲット100の底端部は、頂部プレート153の下に延び、ツイスタ組立体170内へと延びる。ツイスタ組立体170のハウジング176は、頂部プレート153に対して回転可能であり、内部ブシュ(図示せず)によって頂部プレート153から支持されていることに留意されたい。スライド部分172の頂面184は、装填管166のターゲット孔167の底端部を画定し、以下でより詳細に考察されるように、対応する照射ターゲット100をその上で選択式に支持するために使用されてよい。スライド部分172は、ユーザが、スライド部分172をハウジング176に対して横向きの方向、したがって装填管166に対して横向きの方向に摺動させることを可能にするハンドル171をその第1の端部に含む。頑丈な止め具178がスライド部分172の反対側の端部に配置され、ユーザがスライド部分172をツイスタ組立体170から不注意に取り外すのを防止する。
【0024】
ツイスト歯車177が、回転可能なハウジング176の外面から半径方向外向きに延びており、ツイスト歯車177は、
図6Dに最適に見られるように、電気モータ190の駆動歯車192によって回転可能に係合されている。したがって、電気モータ190は、駆動歯車192を介して、ツイスト歯車177、したがってハウジング176を選択的に回転するのに使用されてよい。
図6を追加で参照すると、スライド部分172は、キャッチ穴180、ドロップ穴182及びそれらの間に延在するジョー穴172を画定する。キャッチ穴180、ドロップ穴182及びジョー穴174は、スライド部分172の長手方向の中心軸に沿って軸方向に整列される。示されるように、スライド部分172のキャッチ穴180及びドロップ穴182は実質的に円であり、キャッチ穴180の最大直径は、周囲が200の点線で示されている対応する照射後のターゲット200の外径よりわずかに小さく、その一方で、ドロップ穴182の外径は、これもまた200の点線で示される対応する照射後のターゲットの最大直径よりわずかに大きい。したがって、キャッチ穴182は、照射後のターゲット200がスライド部分172を通り抜けて通過するのを防止するため、照射後のターゲットはスライド部分172上に支持され、その一方でドロップ穴182は、照射後のターゲットがそこを通り抜けて通過するのを可能にするように構成される。キャッチ穴180の直径は、フランジ部分が、ターゲット100の配向に関わらずキャッチ穴180を通り抜けて通過し得るように、背骨のフランジ部分124の横方向の長さより大きいことに留意されたい。同様に、ジョー穴174は、その間の対応するターゲットの202の点線で示されるフランジ部分202を、摺動可能に受け入れるように構成された一対の平行な側壁174a及び174bによって形成される。
【0025】
照射ターゲット100が原子炉から取り外された後、照射ターゲット100は、
図4に示されるように、端部キャップ105の一方を取り外すことによって外側キャニスタ102から取り外される。照射後のターゲット100を解体器具150に挿入する前に、ツイスタ組立体170のスライド部分172が、
図8に最も良く見られるように、キャッチ穴180が装填管166の底端部に位置決めされるように位置決めされる。
図7A及び
図7Dに最も良く見られるようなボールとバネの戻り止め組立体196が、スライド部分172の縁部に形成された対応するスロット198に係合して、スライド部分172を所望の位置に保持する。照射後のターゲット100は、複数の薄いプレート110が、キャッチ穴180を取り囲むスライド部分172の頂面184の一部分の上に載るまで、解体器具150のターゲット孔167に摺動可能に挿入される。好ましくは、照射後のターゲット100と接触する解体器具150の全ての内面はチタンで形成され、材料の境界面がターゲットと衝突するのを回避し、最終医療製品に影響を与える可能性のあるターゲット100内に異物を取り込む可能性も回避する。次に、ツイスタ組立体170のハウジング176は、ジョー穴174の平行な側壁174a及び174bがグリッパ158の把持面に平行になるまで回転される。グリッパ158はその後、それらが照射ターゲット100の露出したフランジ部分124に係合するまで内向きに推し進められ、それにより剛性の背骨120の上部の回転を防止する。露出したフランジ部分とグリッパ158が係合することはまた、照射後のターゲット100の底端部に配置されたフランジ部分124が、
図8に示されるようにジョー穴174と軸方向に整列されることを保証する。
【0026】
スライド部分172は、次に照射後のターゲット100の底部フランジ部分124がジョー穴174内に摺動可能に受け入れられる第2の位置に移動される。ここでもやはり、ボールとバネの戻り止め196がスライド部分172を所望の位置に保持する。電気モータ190がここで通電され、これにより駆動歯車192によるツイスタ歯車177の回転を介してハウジング176を回転させる。解体器具150の底部プレート152に対するツイスタ組立体170のハウジング176の回転は、頂部フランジ部分124に対する照射後のターゲット100の底部フランジ部分124の回転を引き起こす。典型的には4から6回転のハウジング176の十分な回転の後、剛性の背骨120は、機械的に破損し、破壊された背骨の緩んだ部分が、ジョー穴174を通って下の引きだし156の中へと落下する。底部フランジ124が取り外された状態で、スライド部分172は、今度はドロップ穴182が照射後のターゲット100の下に配置される第3の位置へと移動される。
図8に示されるように、ドロップ穴182の直径は、照射後のターゲットのプレート110の直径より大きく、これにより薄いプレート110がドロップ穴182を通って下の引きだし156の中へと落下するのを可能にする。照射後のターゲット100の頂部フランジ124が、グリッパ158を後退させることによって解放されることで、頂部フランジ124もまた引きだし156の中へと落下し得る。このとき解体された放射線を受けたターゲットは、さらなる処理のための準備ができる。
【0027】
発明のこれらの及び他の修正形態及び変形形態は、添付の特許請求の範囲により詳細に記載される発明の精神及び範囲から逸脱することなく当業者によって実施されてよい。加えて、種々の実施例の態様は、全体又は一部が相互に入れ替え可能であり得ることを理解されたい。さらに、当業者は、上述の記載が単なる一例であり、そのような添付の特許請求の範囲にさらに記載されるような発明を限定することは意図されていないことを理解するであろう。したがって、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲は、本明細書に含まれる形式の例示の記載に限定されるべきではない。
【国際調査報告】